杏子「美樹杏子?ふざけんな!」(275)

さやか「おーい!杏子ー!」

杏子「よう」

さやか「ごめんごめん、待った?」

杏子「ああ」

さやか「あはは…ごめん」

杏子「ったく…さやかから誘ったのにさ」

さやか「来て行く服悩んでたら待ち合わせの時間になっちゃってさぁ…」

杏子「服なんて着れりゃ何だっていいだろ?」

さやか「そんなことない!」

杏子「ふーん…ま、さやかにしては可愛い服だな」

さやか「えっ?ほんと!?」

杏子「ああ」

さやか「やったー!」

杏子「…そんなに嬉しいのか?」

さやか「もちろん!」

杏子「…ま、さやかが嬉しいんならそれでいっか」

杏子「で、今日は何処に行くんだ?」

杏子「ゲーセン?」

さやか「ふふん、今日は違うのだ!」

杏子「なら何処に行くのさ」

さやか「これなーんだ!」ヒラヒラ

杏子「ん…?」

杏子「入場券…?」

さやか「そう!」

杏子「何処の?」

さやか「遊園地だよ!遊園地!」

杏子「遊園地…」

さやか「たまたま二枚貰ったんだ!」

杏子「誰に?」

さやか「えっ?」

さやか「あー…ほ、ほむらに!」

杏子「へぇ…あいつが遊園地のねぇ」

さやか「まあそんなのどうでもいいじゃん!」

杏子「…そうだな」

さやか「行こうよ!遊園地!」

杏子「ああ」

杏子(遊園地か…ガキのころ、親父に何回か連れていってもらったな…)

杏子(…親父、無理してたのかな?)

杏子「…」

さやか「あれ?あんま元気ないね?」

さやか「嬉しくない?」


杏子「いや…気にすんな」

さやか「でも杏子…」

杏子「気のせいだろ?」

さやか「そうかなぁ…?」

杏子「気のせい気のせい」

さやか「ま…いっか」

杏子「ほら、行くんだろ?早く行こうぜ」

さやか「…うん!」

遊園地

さやか「ついたーっ!」

杏子「ああ」

さやか「ねえ!最初は何に乗ろっか?」

杏子「何でもいいぞ?」

さやか「それじゃあさ!ジェットコースターに乗ろうよ!」

杏子「ジェットコースター?」

さやか「うん!」

さやか「いやさぁ、まどかジェットコースター苦手みたいで」

さやか「来ても乗りたがらないから、私もあんまり乗らないんだよね」

杏子「まどからしいな」

さやか「だからさ!今日は乗れるよ!」

さやか「杏子はジェットコースター大丈夫でしょ?」

杏子「…たぶん」

杏子(乗ったことねーし…)

さやか「よっし!それじゃあ出発!」

杏子「…」

杏子(ジェットコースターってあれだろ…?)

杏子(なんか速い乗り物…)

杏子(まどかは苦手らしいけど大丈夫だよな?)

さやか「杏子ー!早くー!」

杏子「へいへい」

杏子(遊園地なんて来る機会なかったからな)

杏子(なんか調子でないな…)

杏子(でも、昔来た時ははしゃいでたような気がするんだよなぁ)

杏子(…せっかく、さやかが入場券買ってくれたみたいだし)

杏子(ここは楽しまないとな…!)

さやか「杏子ー!」

杏子「そんな急ぐなってー!」

さやか「せっかくなんだし色々回った方が得じゃん!」

杏子「そうだな!」

杏子(よくわかんないけど)

さやか「だから一秒も無駄にしたくないんだよ!さやかちゃんは!」

杏子「そっか、なら急がないとな!」

さやか「そうそう!」

杏子「で、何処にジェットコースターがあるんだ?」

さやか「えっ?」

杏子「ん?」

さやか「…これ」

杏子「え…?」

杏子「うわっ!」

杏子(なんだ?これがジェットコースターってやつか?)

杏子(なんか凄くぐるぐるしてんだけど…)

杏子(楽しいのか…?これ)

さやか「ほら、ここで順番待たないと」

杏子「あ、ああ…」

さやか「いやー、久しぶりだわ!」

さやか「あの最初の落ちる瞬間がたまんないんだよね!」

杏子「へぇ…!」

杏子「さやか!これは楽しいんだよな?」

さやか「うん!」

杏子「そっか…よし!」

杏子「やってやるよ!」

さやか「あっ、きたきた…!」

杏子「おっ」

さやか「やった!ラッキー!」

杏子「何が?」

さやか「私たち先頭だよ!」

杏子「そうだな」

さやか「先頭が一番いいじゃん!」

杏子「そうなのか?」

さやか「そうだよ!」

さやか「そんじゃ、乗ろっか!」

杏子「ああ」

さやか「よっ…と」

杏子「へぇ」

杏子(これがジェットコースターか)

さやか「ちゃんとシートベルトしなよ?」

杏子「…うん」

杏子(これか…?)

さやか「そうそう、後バーも」

杏子「バー?」

さやか「ほら、これだよこれ!」

さやか「こう…ガチャッってなるまで下げて」ガチャッ

杏子「おお…」

杏子「…こうか!」ガチャッ

杏子「よし!できたぞ!」

さやか「あはは、大げさだなぁ」

杏子「そうか?」

さやか「ま、いいけどね!」

杏子「あっ、動き出した!」

さやか「きたきた…!」

杏子「ん?」

杏子(なんだよ、全然速くないじゃんか)

杏子(むしろ遅すぎだろ…)

さやか「この上に上がってくる時が一番ドキドキするんだよね!」

杏子「これがか?」

さやか「そろそろかな…?」

杏子「なにが?」

さやか「くるくるっ!」

杏子「ん?」

ゴォォォォォォォォォ

さやか「きたぁぁぁぁぁ!」

杏子「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

さやか「いぃぃぃやっほぉぉぉぉぉぉっ!」

杏子「な、なんだぁぁぁぁぁぁ?」

杏子(落ちる落ちる落ちる!)

さやか「きゃーーーっ!」

杏子「…………!!」

杏子(び、びっくりした!)

杏子(やっぱり速いじゃねーか!)

杏子「っ……………!」

さやか「きょうこぉーっ!」

杏子「ん?」

さやか「そろそろくるよぉぉぉぉ!」

杏子「え?」

杏子(聞こえねぇぞ!)

杏子「聞こえねぇぞ!」

さやか「きたっ!」

グルグルグル

さやか「さやかトルネェェェェェド!」

杏子「なななななな!?」

さやか「さいっこぉぉぉぉぉぉっ!」

杏子(やばいって!)

杏子「さやかぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

さやか「きょうこぉぉぉぉぉっ!!」

杏子「…」

さやか「あっ、もう終わりかぁ」

杏子「…」

さやか「まだなーんか足りないんだよねぇ」

杏子「…」

さやか「杏子!もう一回乗ろうよ!」

杏子「…」

さやか「おーい、杏子ー?」

杏子「…」

さやか「あんこちゃん!」

杏子「…っ!」

杏子「きょうこだって言ってるだろ!」

さやか「おお、それは知らなかった!」

杏子「お前なぁ…!」

さやか「冗談だって!」

杏子「ったく…」

さやか「んで、どうしたの?黙っちゃって」

杏子「え?」

さやか「あれれ?」

杏子「ん?」

さやか「もしかして…ビビっちゃったとか?」

杏子「なっ…!」

さやか「へぇー…杏子でもビビるんだぁ」

杏子「ビビってなんかねぇし!」

さやか「ならもう一回乗ろうよ!」

杏子「望むところだ!」

さやか「ならもう一回並ばないとね」

杏子「ああ…」

杏子(別にビビってなんかねぇよ…)

杏子(ちょっと…驚いただけだ…)

さやか「やっぱジェットコースターはいいね!」

さやか「あの加速!あの回転!」

杏子「!」

「…私たちの順番だね」

「そうね…」

「わ、私ね?昔さやかちゃんと一緒に乗った時…すっごく怖くて…」

「!」

「それから…ずっと乗ってなかったんだ」

「…そう」


さやか「~が最高!」

杏子「…」

杏子(あいつらも来てたのかよ)

さやか「ん?どうかした?」

杏子「いや…なにも」

さやか「ふーん」

杏子(あの2人が一緒に…?)

杏子(珍しいな…)

さやか「でさ、そこで私は考えたわけよ!」

さやか「さやかトルネード!ってね」

杏子「…」

さやか「聞いてる?」

杏子「ん?ああ」

さやか「そ、ならいいんだけど」

さやか「でさあ!さやかトルネードだけじゃ物足りないからさ!」

さやか「杏子も何か考えてよ!」

杏子「は?」

さやか「名前!さやかトルネードみたいな!」

杏子「…なんでだよ?」

さやか「なんでって…」

杏子「?」

さやか「叫びたいじゃん!」

杏子「…やだね、マミじゃないんだし」

さやか「えぇー?けち!」

杏子「けちで結構!」

さやか「ぶー」

杏子「ほら、進むぞ」

さやか「はいはーい」

杏子「だいたいさぁ、叫ぶ必要なんてないでじゃん」

さやか「わかってないなぁ!あれが良いんだって!」

杏子「そうかぁ?」

さやか「それに杏子も」

さやか「さやかぁぁぁぁぁぁぁっ!」

さやか「って叫んでたでしょ?」

杏子「それは…」

「ほむらちゃぁぁぁん!」

「まどかぁぁぁぁぁぁ!」

杏子「…」

杏子(仲間がいた)

さやか「あれ?今まどかの声しなかった?」

杏子「気のせいだろ」

さやか「うーん…でも確かに…」

杏子「先に行くぞ?」

さやか「あっ!待って!」

さやか「やっと私たちの順番だね」

杏子「そうだな」

さやか「私のターン!座る!」

杏子「なーに言ってんだか」

さやか「杏子も言ってみなっよ」

杏子「なんでだよ!」

さやか「…そんなのも言えないって…恥ずかしいんだ」

杏子「恥ずかしくない!面倒なだけだ!」

さやか「じゃあ言ってよ」

杏子「だーめ」

さやか「…お願いっ!」

杏子「…はぁ、仕方ねぇな…」

杏子「わ、私のターン…!」

さやか「ぷっ」

杏子「なっ!」

さやか「あはは!ほんとに言ってるー!」

杏子「さやかぁ!」

さやか「ごめんごめん」

杏子「ったく!」

さやか「ほら、シートベルトとバーつけて」

杏子「わかってるって!」

さやか「…今度はビビんないでよ?」

杏子「だ、大丈夫だ!」

さやか「ほんとに?」

杏子「この程度へでもねぇ!」

さやか「じゃあ私と一緒に何か叫ぶ余裕あるよね?」

杏子「…え」

さやか「うん、なら叫んでよ何でもいいからさ!」

杏子「えー…」

さやか「さやかちゃんからのお願いっ!」

杏子「…仕方ないな」

杏子(何か断られないんだよなぁ)

杏子(さやかに弱いのか?私って)

さやか「おお!きたよ!」

杏子「ああ…!」

杏子(大丈夫…さっきは知らなかったから驚いただけだ)

杏子(もう大丈夫…!)

杏子「よし!いつでも来やがれ!」

さやか「元気なこって!」

杏子「…この上がってる時間、何か嫌だな」

さやか「だからこれが良いんだってば!」

杏子「そうか…」

さやか「うん!」

杏子「ん…そろそろ頂上だ」

さやか「さーて、行きますか!」

杏子「…」ゴクッ

さやか「来た!」

ゴォォォォォォォォォ

さやか「きゃーーーっ!」

杏子「……………!!」

杏子(ビビってなんかない!ビビってなんかない!)

さやか「きゃっほーっ!」

杏子「くっ…!」

杏子(やべぇ…やっぱ速い…!)

さやか「きょうこぉー!」

杏子「な、なにー?」

さやか「げんきー?」

杏子「はぁ?」

杏子(何でさやかはあんなに元気なんだよ…!)

さやか「あんこちゃーん!」

杏子「さやかぁぁぁっ!」

さやか「好きーっ!」

杏子「…え!?」

さやか「きゃーーーっ!」

杏子(今…なんて…?)

杏子「さやかっ!」

さやか「そろそろくるよ!」

杏子「!」

杏子(ま、まずい…何も考えてなかった…)

杏子(でも何か言わないと…さやかが…)

さやか「さやかトルネェェェェェド!」

杏子(ああ!これしか思い浮かばねぇ!)

杏子(こうなったら自棄だ!)

杏子「ティロォォォフィナァァァァァレッ!」


「くしゅん」

「風邪かい?」

「そうかも…」

「なら無理して来る必要なんてないんじゃないのかい?」

「ううん…みんな遊園地に行くなんて…!」

「私だって!」

「もう遊ぶしかないじゃない!」

「あなたも!」

「私も!」

「だからなんで僕が…」

杏子「…!」

さやか「終わったね!」

杏子「ああ…!」

杏子「ほら!ビビってなんかなかっただろ?」

さやか「わかってるって!」

杏子「ふぅ…」

さやか「でもさ」

杏子「ん?」

さやか「なんでティロ・フィナーレなの?」

杏子「…思いつかなかったんだよ」

さやか「杏子も技あったじゃん」

杏子「え?」

さやか「ほら…あんこ・ファントム?」

杏子「あんこ言うなっ!」

杏子「ロッソ・ファンタズマだ!」

さやか「そーそー、それそれ」

さやか「それ言えば良かったのに」

杏子「やだよ!」

さやか「なんで?」

杏子「は、恥ずかしいし…」

さやか「…まあ、杏子にしては変わったネーミングだもんね」

杏子「…勝手にマミがそう呼んでるだけだぞ」


「くしゅんっ」

さやか「え…そうなの?」

杏子「今変わったネーミングって言ったよな?」

さやか「う、うん…」

杏子「マミにチクっとこうかな」

さやか「げっ!」

杏子「どーしよっかなー?」

さやか「や、やめて!」

杏子「へへっ」

杏子「条件がある!」

さやか「なに?」

杏子「さやか、さっき何か言っただろ?」

さやか「ん?」

杏子「ほら、さ…さやかトルネードの前に…」

さやか「…聞こえてた?」

杏子「いや、よく聞こえなくてさ」

さやか「そ、そっか!」

杏子「あれ何て言ったんだ?」

さやか「あー…それはね…」

杏子「うん」

さやか「えーと…?」

さやか「す、スキー!」

杏子「好きー!?」

さやか「そ、そう!スキー!スキーだよ!」

杏子「す、好きー///」

杏子(さやか…まさか…お前も…!)

杏子「好き…か///」

さやか「うん!えっと…私、今度は杏子とスキーがしたい!」

杏子「わ、私と好きーがしたい?///」

杏子(ちゅ…ちゅうとかするのか…!)

さやか「う、うん!今度行こうよ!」

杏子「今度行くって…どういうことだ…おい…///」

さやか「もうすぐ冬だしさ…!」

杏子「冬…?」

杏子(何をするんだ…ちゅーじゃないのか…?)

さやか「うん、冬なら滑れるでしょ、スキー場」

杏子「…ん?」

杏子「すべる…?すきーじょう…?」

さやか「う、うん」

杏子「…」

杏子「!」

杏子(す、すきーってあれか!滑るやつか!)

杏子(好きーじゃなくてスキーだと…?)

杏子(か、勘違いかよ…)

杏子(は、恥ずかしい)

杏子「///」

さやか「あれ?どうしたの?赤くなって…」

さやか「も、もしかして熱があるんじゃ…!」

さやか「…」ゴクッ

さやか「お、おでこを…」ソォー

杏子「へ?」

さやか「…!」ピトッ

杏子「な、なななな…///」

さやか「…///」

杏子「や、やめろっ!///」バッ

さやか「あっ…」

杏子「あっ…」

さやか「…」

杏子「わ、悪い!」

さやか「あ…いやっ、私こそ!」

杏子「…」

さやか「…」

杏子「つ、次!次は何する?」

さやか「えっ?あ!えーと…」

杏子「私は何でもいいからさ!」

さやか「じゃ、じゃあ…とりあえずここ出ようか…!」

杏子「あ、ああ…!」

さやか「き、杏子!」

杏子「な、なんだ?」

さやか「喉、乾いてない…?」

杏子「ああ、少し…」

さやか「何か飲み物買おうよ!」

杏子「わかった!」

さやか「えっと…どっかにあったはず…」キョロキョロ

杏子「…」

杏子(落ち着け…落ち着け!佐倉杏子!)

さやか「あった!」

さやか「私買ってくる!何が飲みたい?」

杏子「な、何でもいいぞ!」

さやか「…わかった!まってて!」

杏子「ふぅ…」

杏子「調子狂うよな…」

杏子「これじゃ駄目だ…いつも通りにしないとな」

杏子「平常心だ…平常心!」

杏子「…よし!」

さやか「おまたせ!」

杏子「ああ」

さやか「適当に買って来たよ、はい」

杏子「サンキューな、ほら金」

さやか「いいよ、私のおごり!」

杏子「そっか、ありがとうな!」

さやか「てぇひひ!」

杏子「…似てないぞ?」

さやか「ぐぬぬ…修行が足りなかったか…!」

杏子「出直してきな!」

さやか「へい!」

杏子(よし…この調子だ)

杏子「…」ゴクゴク

さやか「…」ゴクゴク

杏子「ふぅ…なあ、さやか」

さやか「ん?」

杏子「それ何?」

さやか「これ?あんコーラ!」

杏子「だから…!」

さやか「うそうそ!きょうコーラ!」

杏子「…それも何か違うな」

さやか「飲む?」

杏子「おっ、いいのか?」

さやか「うん」

杏子「サンキュー」

杏子「…」ゴクゴク

さやか「…あっ!」

杏子「ん?」

さやか「いや…そのさ…!」

杏子「?」

さやか「な、なんでもない!」

杏子「そうか、はい、ありがとな」

さやか「う、うん!」

さやか「…」ジィー

杏子「ん?どうした?」

さやか「…」

杏子「私の飲んだ後じゃ嫌か?」

さやか「それが…」

杏子「…」ゴクゴク

杏子(ん?私が飲んだ後…?)

杏子(私がさやかのコーラに…)

杏子(!?)

杏子「ぶぶっ」

杏子「げほっげほっ」

さやか「わっ?大丈夫?」

杏子「あ、ああ…!」

杏子(それって…あれだ…間接キスってやつじゃないか…)

さやか「慌てて飲むからだよ」

杏子「別に慌てたわけじゃないけどさ…」

さやか「…よし!」

さやか「…」ゴクゴク

杏子「あ…!」

さやか「…ふぅ」

杏子「な、なあ…さやか…!」

さやか「次行こ!次!」

杏子「えっ?」

さやか「ほら、早く!」

杏子「う、うん…」

杏子(なんだ…?)

さやか「早くー!あんこちゃーん!」タタッ

杏子「むっ」

杏子「だからあんこはやめろって言ってるだろー!」タタッ

さやか「こっちこっちー!」

杏子「待てって!」

杏子「ん?」

「良い話だったわ…」

「僕にはよくわからなかったけど…」

「感情ないからね」

杏子(何の話だ…?)

杏子(ってか何をしてるんだあいつ!)

さやか「杏子!」

杏子「早いぞ…」

さやか「ほら見てよ!」

杏子「え?」

さやか「ここ映画もやってるんだってさ!」

杏子「映画?なんでだ?」

さやか「それは知らないけど、何か見てかない?」

杏子「映画?」

さやか「そう!」

杏子「うん…いいぞ、別に」

さやか「よーし、なら何見よっかな!」

杏子「さやかの好きにしなよ」

さやか「んーと…これで」

杏子「私はポップコーン買ってくる」

さやか「わかった、私は券買っとくね」

杏子「まかせたー」

杏子「おまたせー」

さやか「よし、行こっか」

杏子「ああ」

さやか「この前杏子映画見たとき寝てたじゃん」

杏子「…そうだっけ?」

さやか「寝てたって!」

杏子「あー…ごめん」

さやか「今日はちゃんと見ること!」

杏子「ああ…」

さやか「これもさやかちゃんとのお約束なのだ!」

杏子「はいはい」

「映画なんて久々だわ…」

「私もだよっ」

「そうなの?」

「うん、私は映画はあんまり見ないんだ」

「…レンタル派?」

「うん、そうだよ!」

「そう…私と同じね!」

「てぃひひ!」

「そろそろ始まるわね」

「うん!」

杏子「…」

杏子(偶然…だよな?)

さやか「寝ないでよね?」

杏子「わかってるって」

さやか「ほんとにぃ?」)

杏子「だいじょーぶだいじょーぶ」

さやか「寝たらイタズラするから」

杏子「はいはい、ほらポップコーン」

杏子「食うかい?」

さやか「うん、ありがと」

杏子「そろそろ始まるな」

さやか「楽しみ楽しみ」

杏子「映画か…」

杏子(今日はちゃんと見るか…さやかに悪いし)

さやか「静かにしないとね」

杏子「ああ」

杏子(でもあんまり好きじゃないんだよな…寝ないよう頑張るか)

杏子「…」

杏子(宣伝が長いんだよ!)

杏子(特にこの盗撮の奴ウザいな…)

杏子「ん?」

杏子(始まったか…)

さやか「始まったね」ボソッ

杏子「うん」

杏子(さて…頑張るかな)

杏子「…」

杏子(駄目だ…こういう話は苦手だな)

杏子(ポップコーンでも食うか)

杏子「…」スッ

さやか「…」スッ

杏子「…!」サワッ

さやか「!」

杏子「あっ!ごめん!」バッ

さやか「い、いいよ!」

杏子「わりぃ…」

さやか「うん…」

杏子(いや落ち着け…さやかの手を触っただけだ)

杏子(それだけ…それだけだから!)

杏子「…」チラッ

さやか「…」

杏子(集中できねぇ…)

さやか「…!」スッ

杏子(くそっ…なんなんだよこの気持ちは…!)

杏子(ポップコーンだ!ポップコーン!)

杏子「…」スッ

杏子「…!」サワッ

杏子(な…また…?)

さやか「…」ギュッ

杏子「え?」

杏子「さやか…!」

さやか「…」

杏子「おい!」

さやか「…し、静かに見なって」

杏子「あ…ああ…」

さやか「…」ソワソワ

杏子(さやか…どうしたんだ?)

杏子(私の手なんか握って…!)

杏子「…さやか」

杏子「…」ソワソワ

杏子(どういうことだ…?)

杏子(さやか…!)

さやか「…」チラッ

杏子「…」チラッ

さやか「!」

杏子「!」

さやか「っ」バッ

杏子(な、なんなんだよ…!)

杏子(映画どころじゃねーぞ!)

杏子「…ん?」

杏子(終わった…?)

「あ…終わっちゃった…」

「ほむらちゃん…」

「良い話だったね…」

杏子「終った…のか」

杏子(結局全然わかんなかったぞ)

さやか「…終ったね」

杏子「そうだな…」

さやか「手…」

杏子「あっ…」

さやか「…ごめん」

杏子「いや!…い、嫌じゃかったから!」

さやか「ほんと?」

杏子「…ああ!」

さやか「…そっか!ならさ」スッ

杏子「え?」

さやか「もっと繋いでもいいよね?」

杏子「…!」

さやか「嫌じゃないんでしょ?」

杏子「…ああ、嫌じゃないさ!」ギュッ

さやか「…ありがと!」

杏子「へへっ!」

杏子(もう悩んでも仕方ねぇよな!)

杏子「でもさ」

さやか「えっ?」

杏子「その前にすることあるよな」

さやか「なに…なんなの?」

杏子「手、洗わないとな」

さやか「へ?」

杏子「塩がいっぱいついてるだろ?」

さやか「…そうだね!」

杏子「よし、行こうぜ!」

さやか「うん!」

杏子「ちゃんと洗ったか?」

さやか「もちろん!」

杏子「そうか…ほら」スッ

さやか「うん…!」ニギッ

杏子「へへっ…!」

さやか「…杏子はさ」

杏子「ん?」

さやか「杏子はちゃんと握ってくれんだね…!」

杏子「…ああ!」

さやか「できればずっと繋いでいてほしいな…」ボソッ

杏子「え?」

さやか「ううん!独り言!」

さやか「まだ時間はあるよ!次は何処行く?」

杏子「そうだな…」

さやか「さやかちゃんが決めちゃうよ?」

杏子「いいよ、決めても」

さやか「…と言いたいけど、杏子、あんたが決めてよ」

杏子「私が?」

さやか「だって全部私が決めてたからさ」

杏子「別に気にしなくていいぞ?」

さやか「…なら、私は杏子が行きたいところに行きたい!」

杏子「私が行きたいところ?」

さやか「うん、何かあるでしょ?」

杏子「ん…」

杏子(遊園地なんてほんと滅多に来なかったからな…)

杏子(昔…親父に連れてきてもらった時…)

杏子(あの時は何をしたっけ…?)

杏子(はっきりとは覚えてない…)

杏子(でも、楽しかったのは覚えてる!)

杏子(…水、水があったような)

杏子(あれは…なんだ…?)

杏子「さやか、とりあえずぶらつこうぜ」

さやか「わかった」

杏子「行くぞ!」ギュッ

さやか「うん!」ギュッ


杏子(たしか…水…池?)

杏子(そうだ…ボートだ!)

杏子(私はボートから見たあの景色が好きだったんだよ…!)

杏子「たしか…この辺りに…!」

さやか「この辺って…」

杏子「あった!」

さやか「あれは…」

杏子「さやか、あれに乗ろうぜ!」

さやか「ボート?」

杏子「そう、ボートだ!」

さやか「…わかった!」

杏子「ごめんな?こんなんでさ」

さやか「いいって!好きだよ、こういうの!」

杏子「へへっ…ありがとな」

さやか「どういたしまして!」

杏子「…このボートはさ」

さやか「うん」

杏子「私と親父の…思いでなんだ」

さやか「お父さんの…?」

杏子「ああ」

杏子「もうずっと…昔のことなんだけどな」

さやか「…」

杏子「親父…たまに私をここに連れてきてくれたんだ」

さやか「うん…」

杏子「うちは金もなかったのにさ、私と親父の2人で…」

杏子「私はまだ小さかったからジェットコースターなんかには乗れなくてさぁ」

杏子「思えば殆どの乗り物に乗ってなかったんじゃないかな」

さやか「そう…なんだ…」

杏子「でも、これなら私でも乗れるだろ?」

杏子「だから親父はこれに私を乗せてくれたんだよ」

さやか「杏子…」

杏子「さやか、見てみなよ」

さやか「えっ?」

杏子「この景色…綺麗だと思わないか?」

さやか「…うん!夕日が反射して…!」

さやか「すごく綺麗…!」

杏子「だろ?これがさ…」

杏子「私と親父の思い出…だと思うんだ」

さやか「そっか…!」

杏子「ああ…遠い昔の思い出だけどな」

さやか「ならさ…っ!」

杏子「ん?」

さやか「新しい思い出作ろうよ!」

杏子「新しい?」

さやか「うん…!杏子と…」

さやか「私の2人でさ!」

杏子「!」

杏子「さやかと…?」

さやか「うん!」

さやか「杏子…何度か誤魔化してきたけど…もうやめるよ」

杏子「なにが…?」

さやか「私って馬鹿だからさ…学習できなかったのかな」

さやか「私の気持ちをはっきり伝えることができなくってね…」

杏子「…」

さやか「でも…恭介の時みたいに…何も伝えないで終わるなんて嫌だ」

さやか「だから…はっきり言うよ」

杏子「あ、ああ…」

さやか「杏子!」

杏子「うん」

さやか「私…美樹さやかは…!」

杏子「さやかは?」

さやか「佐倉杏子が…!」

杏子「…私が?」

さやか「す…!」

杏子「す?」

さやか「す…すぅ…」

杏子「?」

さやか「ふぅ…」

杏子「さやか?」

さやか「っ!」バチンッ

杏子「おいっ?」

さやか「私は…あんたが…!」

さやか「杏子が好きなの!」

杏子「…」

杏子「え?」

杏子「…好き?」

さやか「うん!」

杏子「スキーじゃなくて?」

さやか「スキーじゃない!好き!」

杏子「…え?」

杏子(どういうことだおい…)

杏子「まじ…?」

さやか「まじ!大まじよ!」

杏子「私の勘違いじゃないんだな…?」

さやか「杏子が何と勘違いしてるのかわかんないけど…!」

さやか「美樹さやかは佐倉杏子が大好き!」

杏子「!!」

さやか「こうゆうことだぁ!」ダキッ

杏子「わっ///」

さやか「杏子…!」ギュッ

杏子「お、おい…///」

さやか「杏子は…杏子だけは私から離れないで…!」

杏子「さやか…!」

さやか「もう…一人は嫌だよ…!」

杏子「!!」

杏子「…そうだな!」

さやか「杏子…」

杏子「一人ぼっちは…寂しいもんな!」

さやか「…!」

杏子「いいよ…一緒にいてやるよ…!」

杏子「さやか!」

さやか「ほんと…?」

杏子「ああ!」

杏子「例え結界だろうが地獄だろうが天国だろうが…!」

杏子「何処ででも一緒にいてやるよ!」

さやか「…杏子!」

杏子「だって、さやかは…!」

杏子「こんな私に…幸せな夢、見させてくれたんだからさ…!」

さやか「…ありがとう!ありがとう…杏子っ…!」

杏子「へへっ…さやか!」ギュッ

さやか「嬉しい…っ!嬉しいよ…!」

杏子「ああ…私もだ」

杏子(親父…見てるか?)

杏子(親父が私を残してくれたこと…感謝するぜ)

杏子(だって私は今、幸せだからな…!)

杏子(それに…魔女なんてへでもねぇ)

杏子(ワルプルギスだろうがなんだろうが…負ける気がしない!)

さやか「…」

杏子「落ち着いたか?」

さやか「うん…!」

杏子「へへっ!」

さやか「杏子…!」

杏子「さやか!」

さやか「杏子は私の嫁になるのだぁー!」

杏子「!」

さやか「私と婚約して、美樹杏子になってよ!」

杏子「美樹杏子?ふざけんな!」

さやか「えっ…?」

杏子「佐倉さやか…だろ?」

さやか「…うんっ!」

おわり

このSSはこれでおしまいです

わかった人もいると思うけど、これは
ほむら「まどかの泣き顔が好きなの」
と一部リンクさせてます
あくまでリンクさせてるだけで続編とかじゃないから
見なくても読めるようにしています

これでほむら視点、杏子視点が終わりました
残るは一人

劇場版が三部作なら俺も三部作に挑戦しようと思います

今回もありがとうございました

関係ないけど
劇場版決定と本スレ2222突破おめでとう!
これは楽しみが増えたわ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom