姉「家族会議するぞ、集合!!」妹弟「「はーい」」(315)

姉(16)「えー、楽しみにしていた私のプリンを食べた奴は誰だ?」

妹(14)「……」

弟(13)「……」

姉「そうか、妹か」

妹「な!?」

姉「かえせー!!」

妹「勝手に心を読むんじゃねー!!」

弟「いつも思うけど、姉ちゃんがいると家族会議がすぐに終わるね」

姉「吐け、おら!!」

妹「あがががが」

弟「もうその辺で」

姉「け」

妹「痛い……」

姉「プリン、買ってこい」

妹「はいはい……分かりましたよ……財布はどこだったかな?」

弟「僕も一緒にいってもいい?」

妹「んー」

姉「……ふん」

―――商店街

妹「お姉ちゃんも酷いよね……いっつもさ」

弟「まあ、仕方ないんじゃない?」

妹「別にいいけど……あ、あった」

弟「一つだけだね」

妹「ラッキー。早速―――」

「やった!!あったあった!!」

妹「え」

「このプリン、欲しかったんだよね」

妹「あの……」

「なに?」

妹「それ譲ってください」

「やだね」

妹「……」

弟「あ、落ち着いて……」

妹「でも、そのプリンはこっちに来たがってるみたいですけど?」

「はぁ?」

弟「ダメだって」

妹「……ほら」

フワフワ……

「え!?な、なんでプリンが勝手に移動を……!?」

パシッ

妹「残念でした♪」

弟「あぁ……」

「え?え?!」

妹「すいませーん、プリンくださーい」

「な、なに……今の?」

弟「えと……手品です。はい!大成功!!」

「……」

弟「し、失礼しました!!」

妹「あっはっはっは!!」

弟「もう……ダメじゃん」

妹「アレぐらいなら手品でしょ?」

弟「いや……でも安易に使うのは」

妹「だって、私の力はお姉ちゃんと違って用途があんまりないんだもん」

弟「……それいったら僕はどうなるのさ」

妹「知らんけど」

弟「はぁ」

妹「ほら、早くかえるよー」

弟「うん」

―――自宅

妹「はい」

姉「さんきゅー」

弟「……」

姉「おい」

妹「なによ?」

姉「人前で力を使うなって何回いったらわかるのー!?」

妹「こら!!なにやってんのよ!?」

弟「あ、ごめん。つい……」

妹「お姉ちゃんもいい加減、心読むのやめてよ!!」

姉「勝手に聞こえるんだからしかたないでしょう!!」

姉「……美味しかった」

妹(折角買ってやったのにお礼は無しか)

姉「殺すぞ?」

妹「ちょ……」

弟「姉ちゃんの前だと心のつぶやきもできないからね」

妹「部屋に戻る」

姉「あ、ちょっと」

妹「なに?」

姉「ありがと」

妹「……別に」

弟「……なんて言ってたの?」

姉「どういたしまして、だって。可愛いとこもあるのよねー」

弟「姉ちゃん……」

姉「さてと、お風呂でもはいろうかな」

弟「もう?まだ5時前だけど」

姉「この後、外出する予定も無いしね」

弟「そう」

姉「一緒に入る?」

弟「!?」

姉「ふふん♪」

弟「や、やめてよ!!」

姉「はいはい。かわいいやつめー」

弟「ドS」

姉「―――きこえてるぞー」

弟「聞こえるようにいったの!!」

姉「あっそう」

妹「あれ?お姉ちゃんは?」

弟「お風呂」

妹「そっか。ねえ、部屋にこない?」

弟「いいよ」

妹「あのゲーム、難しいのよね。教えてくれない?」

弟「うん、いいよ」

妹「さんきゅー」

弟「で、どこで詰まってるの?」

妹「あの最初の岩を動かすところで―――」

――――

姉「さっぱりした」

姉「あれ?誰もいない」

姉「……妹の部屋か」

姉「楽しそう……混じろうかな」

ごはん食う

―――妹の自室

弟「ここはこうしてね……こうすれば」

妹「おー」

弟「はい」

妹「ありがとう!いやぁ、できる弟を持つと嬉しいね」

弟「ゲームで褒められても嬉しくないけど」

妹「ふんふーん♪」

弟「……」

妹「ん?なに?……見つめられると困るんだけど」

弟「あ、ご、ごめん!!その、楽しそうだなぁって」

妹「そっか、退屈だよね?二人プレイのゲームでもしよっか?」

弟「いいよ。僕は見てるだけで楽しいから」

妹「そう?」

弟「うん」

妹「ほっ!やっ!!」

弟「……」

姉「相変わらずゲームしているときは一緒に体が動くんだ。かわいいなぁ」

妹「ひゃ!?」

弟「うわぁぁ!!!」

姉「なにやってるのー?」

弟「うぅ……姉ちゃん、重いから被さってこないで」

姉「正直なれ、このこの~」

弟「な!?」

姉「本当は嬉しい癖に」

弟「お、怒るよ!!」

妹「……」

姉「あら、ごめんなさい。邪魔しちゃった?」

妹「そう思うなら出ていけ」

姉「折角だしボンバーマンやろ♪ボンバーマン♪」

妹「やだよ。お姉ちゃんが強すぎるもん」

弟「だよね……行動予測されちゃうし」

姉「酷いなぁ」

妹「もうゲームの邪魔だから」

弟「それに下着姿で歩かないで」

姉「お前ら、本音が違いすぎる」

妹「……!?」

弟「ぼ、僕は本心だよ!!」

姉「えー?」

妹「もういい。やっちゃえ」

弟「え」

姉「な!?」

妹「こんなお姉ちゃん、一度お灸をすえたほうがいい」

弟「そ、そうかな……?」

姉「あ、こ、こらやめなさい!!お姉ちゃん、怒るよ!!」

弟「で、でも……」

妹「いいじゃない。あんたの能力は10分だけしか効かないんだし」

弟「う、うん……」

姉「おぉ……本気か……」

妹「可愛い弟の能力にかかりたくなきゃ、出てけ」

姉「お姉ちゃんだって遊びたいんですけど!!」

妹「い、今は私が遊んでるの!」

姉「一人でゲームしてるだけじゃん!弟が可哀想!!」

妹「見てるだけでいいっていったもん!!」

姉「それはあんたのことが―――」

弟「やめて!!!」

妹「あ……やば」

姉「ごめ―――」

弟「二人とも……ケンカ、しないで……」

姉「まず……目が合った……」

弟「……あ。ご、ごめんなさい!!」

妹「はぁ……もう遅い」

姉「どうする?」

妹「いや……どうするって言われても……」

姉「……」

弟「えっと……僕は自分の部屋にもど―――」

妹「待ちなさい」

弟「え……」

姉「ここで放置されたら10分間も生殺しじゃない」

弟「あぁ……いや……その……」

妹「覚悟しなさい……」

姉「10分……10分だけだから……」

弟「あ……あ……」

姉・妹「「いただきまーす♪」」

弟「ぎゃぁぁぁ!!!!」

姉「どう?きもちいい?」

弟「う、うん……」

妹「ふふ……ここ、どう?」

弟「く、くすぐったい……」

姉「へたくそ」

妹「お姉ちゃんだってそんなに対して変わらないでしょ?」

姉「まあ、そうかな?」

弟「うぅ……」

姉「どう?他に揉んでほしいところはある?」

弟「えと……」

妹「ほらほら、遠慮せずに」

弟「じゃあ……腕」

姉「任せなさい!!」

妹「じゃあ、私は右腕~!!」

弟「相手を10分間『僕に触れずにはいられなくする』能力……こんな能力、使い道ないよね……」

―――10分後

姉「あ、切れた」

妹「あ~よかった」

弟「……そう思うならもう抱きつくのやめて」

姉「あ、ごめんごめん」

妹「あはは」

弟「苦しかった……」

姉「本音は~?」

弟「部屋に戻る!!」

妹「お姉ちゃん、からかうのよしなよ」

姉「ごめん。可愛くて」

妹「お姉ちゃんには逆らえないってだけでしょうが」

姉「それもあるか」

妹「それしかないよ」

―――翌日

弟「じゃあ、いってきまーす」

妹「あーまってよ!!一緒にいくって!!」

姉「いってらっしゃーい」

弟「姉ちゃんも遅刻したらだめだからね!!」

姉「わかってるって」

妹「いってきまーす!!」

弟「あ、ハンカチ、忘れてるよ?」

妹「お?―――それっ」

フワフワ……

妹「ほい。これでオッケー」

弟「やっぱり『物を引きよせる』能力って便利だね?」

妹「そう?見える範囲の物だけだし、一度に一つまでだし、不便だぞ?」

弟「そうかな?」

妹「そうなの。ほら、いくよ!」

―――中学校

妹「じゃね」

弟「うん」

「あ、おっはよー!」

妹「おはー」

「また弟と一緒に登校?好きだね~」

妹「いやぁ。弟がどうしてもって」

「そうなのー?」

妹「そうだよー」

弟(また適当な事を)

少女「あ、お、おはよう!」

弟「あ、おはよう」

少女「……あの、目を見て言ってほしいんだけど」

弟「え?あ、うん……ごめん」

少女(いつも伏し目がちなんだよね……どうしてだろう?)

―――教室

弟「……」

少女「……」

「どうかした?」

少女「え!?」

「あの子のこと気になってるの?」

少女「い、いや……いつも、一人だから……」

「そうだよね。なんか人の目を見て話そうとしないよね」

「暗いし、何考えてるかよくわかんないよね」

少女(でも……)

「もっと明るかったらモテるんだろうけどね」

「それ思う!」

少女「……」

弟「はぁ……」

―――放課後

「おーい、掃除やっててくれよ!!」

「部活急がなくちゃいけないから!!」

弟「う、うん……わかった」

少女(また掃除を押し付けられてる……)

「早くかえろー」

少女「う、うん……」

弟「……」

弟(友達できなくて当然だよね……)

弟(まだ上手く能力のコントロールができないし……)

弟(まあ、能力を使って練習しなきゃいけないんだけど……練習したら相手が大変なことになるし)

弟(姉ちゃんが言うには自然とコントロールできるようになるってことだけど)

弟「今すぐコントロールしたいなぁ……はぁ」

少女(あんなに深いため息吐いて……)

少女(どうにかできないかな……?)

俺でよければ練習台に

―――校門

弟「やっと帰れる……」

妹「あ、来た来た」

弟「あれ?どうしたの?」

妹「一緒に帰ろう?」

弟「うん……待ってたの?」

妹「いや、一人で掃除してるの偶然見ちゃって」

弟「そ、そうなんだ」

妹「もう少ししたら能力もちゃんと扱えるようになるって」

弟「でも姉ちゃんたちは昔から使えてたじゃないか」

妹「人の心に作用する能力はお爺ちゃんが持ってたね。それ知ってる?」

弟「うん。たしか『相手を絶対服従させる』能力だっけ?」

妹「お爺ちゃんも昔は人の目を見るたびに能力が発動しちゃって大変だったって。でも、高校生ぐらいになったら自分でコントロールできるようになったらしいよ?」

弟「そうなんだ」

妹「だから、もう少しの辛抱だって。気にするな!」

―――自宅

妹「リモコン……」

フワフワ……

妹「よし。なんかやってるかな?」

弟「もう、そういうことに使うのやめたら?」

妹「こういうこと以外でどう使えと?」

弟「うーん……ゴミ拾い、とか?」

妹「動かせる物が無制限なら清掃会社でも建てて一財産築けるなんだろうけど、私の能力は拾った方が早いし」

弟「まあ、そうかな。はい、お茶」

妹「サンキュ。……ふぅ」

弟「はぁ……」

姉「―――ただいま!!」

妹「お、なんか怒ってる感じ?」

弟「どうせいつものじゃないの?」

姉「もうむかつく!!どうして男は私とセックスしたいからってだけで告白してくるかなぁ!!信じらんない!!」

弟「うわぁ……」

姉「お茶!!」

妹「ねえ、年頃の弟と妹がいるんだから、大声でそう言うことは言わない方が良いと思うけど?」

姉「聞いてよ!!」

弟「え、うん。はいお茶」

妹「私の声は聞こえないのか」

姉「ありがと!!―――あのね、あのね。今日、学校に行ったらね机の中にラブレターが入ってたの!!」

弟「うんうん」

姉「でね、これは純粋な人なんだろうなぁって思ってたの!!だから、約束の時間に体育館裏に行ったのね!!」

弟「それでそれで?」

姉「で、会ってみたら。違うクラスの結構評判のいい子だったのね」

弟「姉ちゃん、モテるもんね」

姉「ありがと!!――でもね、心の声が聞こえてきて『この人とセックスできたらうれしいなぁ』って言ってたの!!どう思う!!?酷いよね!?」

妹「その心の声を聞く癖を直さないと。別に常時聞こえるわけじゃないんでしょ?」

姉「だって、やっぱり人の心って聞きたくなるでしょ!?思わない!?」

妹「まあ、思うけど」

弟「聞かないほうがいいときもあると思うよ?」

姉「でも……もう私はこういう能力を扱えちゃうから……どうしてもね」

妹「でもさぁ、そんなことだと、いつまでたっても彼氏できないよ?」

姉「うぐ……」

弟「姉ちゃんは心が読めるから周囲から気配りがすごいって言われてるもんね」

妹「だから男も寄ってくる。でも、男の下心を聞いちゃって付き合う前から幻滅してる。お姉ちゃんの悪いところだよ」

姉「そうだけど……でも、きっと下心なしで私のことを心から好きになってくれる人はいるはずなの!!うん!!」

妹「夢見る乙女か」

姉「乙女だ!!」

弟「あはは」

姉「だから私は弟みたいな彼氏が欲しいの!!」

弟「え!?」

姉「こんなに本心が純粋な男の子が欲しいわぁ」

妹「いや、身内に心を読む奇人がいるからそう言う風に育つしかなかっただけだと思うけど」

ある意味弟は姉のせいで人格障害を患ってるみたいなもんか

姉「その割にはあなたは腹黒いね」

妹「そりゃどーも」

弟「ケンカは駄目」

姉「はいはい。きがえてこよっと」

妹「というか、弟なんだから姉に下心をもつとかないよね」

弟「あはは、お小遣いをもらってるならそういうこともあるかも」

妹「あ、そっちの下心か」

弟「なにが?」

妹「なんでも。いい子に育ってよかったよかった」

弟「あの……頭撫でないで。恥ずかしい」

妹「あ、そーだ。宿題しないと」

弟「僕もやろうかな」

妹「一緒にやる?」

弟「うん」

姉「―――お茶のおかわりいれてー!!!あれ?誰もいない……また妹の部屋か。宿題してるみたいだし、乱入はダメね」

>>86
姉を持つ弟ってそんなもんよ
どっか変わってしまう

女の子にめっちゃ気を使える子になったり
一番多いのは女々しくなるパターンだな

>>89
おい、姉を持つ俺は後者のパターンだ。やめろください…

―――翌日 中学校 教室

弟「……」

「今日も掃除たのぜ!!」

「がんばれよ!!掃除係!!」

弟「う、うん……」

少女(また押し付けられてる……)

「かえろ!」

少女「あ、ご、ごめん。今日はちょっと職員室に行かなきゃならなくて……あと30分ぐらいしたら」

「え?そうなの?」

少女「うん、ごめん。先に帰ってていいから」

「わかった。またね」

少女「うん。バイバイ」

少女(よ、よし……!!)

弟「はぁ……友達、ほしいな」

少女「……」

少女「あの!!」

弟「え?!」

少女「あ……」

弟(しまった、いきなり声をかけられたから……目を合わせちゃった!?)

少女「……あ、あの……掃除のお手伝い……しても……いい?」

弟「あ、いや……えと……僕がやるから……」

少女(え……なに……私、なんか変……)

弟「僕、一人で十分だから……」

少女(体が熱い……あぁ……どうしたの……私……?)

弟「……」

少女「……あの」

弟「手、手だけなら!!」

少女「え……うん……じゃあ……」

弟(はぁ……中学に入ってからは気をつけてたのに……)

少女「あれ、手を握ってると……すごく落ち着く……変なの、ふふ」

俺(体が熱い……あぁ……どうしたの……俺……?)
弟「……」
俺「……あの」
弟「手、手だけなら!!」
俺「え……うん……じゃあ……」

シコシコシコ

少女「ご、ごめんね。なんか、急に声をかけちゃって」

弟「う、ううん。でも、どうしたの?」

少女「いつも掃除を押し付けられてるから……その……」

弟(同情されてたのか……)

少女「えと……迷惑?」

弟「いや、嬉しいよ」

少女「じゃあ、お掃除しないと……あれ?」

弟「……」

少女「あれ?ご、ごめん……なんか手が離れない……あはは」

弟「こ、このまま掃除しようか?」

少女「で、でも……」

弟「手を繋いでいてもなんとかなるよ」

少女「じゃあ、このまま……え?でもやりにくいよ?」

弟「まあ、軽くゴミを集めるぐらいはできるよ。やろ?」

少女(そういえば……目を見て話してくれてる……なんだか嬉しい……)

パンツ預けてきていいの?

―――10分経過

少女「あ……」

弟「離れたね」

少女「うん……」

少女(なんだったんだろう……今の感じ……)

弟「じゃ、じゃあ……隅の埃をとったら終わろうか」

少女「そうしよっか」

弟「……」

少女(あれ……また目を合わしてくれなくなった……なんで?)

少女「あのぉ」

弟「……なに?」

少女「目を見て……話してほしいなぁって……」

弟「……ごめん」

少女「……」

弟「さ、さあ、早く終わらせて帰ろう!!」

弟「手伝ってくれてありがとう。それじゃあ」

少女「あ……」

少女「はぁ……私、嫌われてるのかな……?」

少女(それにしてもさっきの気分は何だったんだろう?)

少女(あの子に無性に触れたくなった……)

少女(もしかして……私って……)

少女「嘘……いやいや……そんなことは……でも……」


――――校門

弟「……はぁ」

弟(悪いことしちゃったなぁ)

弟(殆ど喋ったことないのに……)

弟(今度からは教室に誰がいるか見ておいて、話しかけられてもすぐに顔をあげないようにしないと)

弟(……中学生の間は友達できないなぁ)

―――自宅

姉「ふぁぁ~」

妹「……」

姉「おし、どら焼きもってこい。ねじ込めるならねじ込んでみろ」

妹「ちょっと!!暇だからって心を読むな!!」

姉「だってさ、弟があそんでくれないもーん」

妹「課題をしてるんでしょ。仕方ないじゃないの」

姉「じゃあ、しりとりでもしよっか?」

妹「だから、どんなゲームもお姉ちゃんには勝てないって」

姉「えー?」

妹「圧勝して楽しいの?」

姉「うん」

妹「……」

姉「ドSって言うな」

妹「ドSじゃん」

妹「はっくしゅん!!―――ティッシュ……」

フワフワ……

妹「チーン!!―――はふぅ」

姉「その能力、いいわねぇ」

妹「そう?」

姉「いいよ。物を引きよせられるなんて」

妹「でも、高速で引きよせるならまだしも……くしゅん!!」

フワフワ……

妹「こんなにゆっくりじゃあ、意味ないし。――チーン!」

姉「お茶とってくり」

妹「はいはい」

フワフワ……

姉「サンキュ」

妹「私の能力はこういう感じでしか活用できないなぁ……」

姉「ゴクゴク……ぷはぁ。ま、私の足になりなさい」

姉「お!」

妹「どした、奇姉よ」

姉「ふふん……モテ期が来たわ」

妹「もう……弟に心休まるときはないのね」

弟「―――姉ちゃん」

姉「答えは16よ?」

弟「あ、そっか!ありがとう!!」

姉「いえいえ。お礼はあとで私と遊ぶこと、いい?」

弟「わ、わかった」

姉「課題、がんばってね」

妹「いつでも心覗いてるよね。やめなよ」

姉「いやぁ。弟の心は穢れてなくて気持ちいいの」

妹「可哀想な弟……」

姉「あげないよ?」

妹「……いや、お姉ちゃんにあげるぐらいなら私が養う」

姉「むふふ~、このままぎゅーって永遠にしときたいわぁ」

弟「……」

姉「暑苦しいぐらいがいいんじゃないの~」

弟「はぁ……助けて」

妹「知らん」

姉「あ」

妹「言ったら殺す」

姉「こわ」

弟「なに?」

姉「いやね、今―――」

姉「お姉ちゃん!!」

姉「はいはい。言わないって」

妹「……もう」

姉「むふふ~♪」

弟「……?」

―――翌朝 中学校 教室

担任「はーい。じゃあ、ホームルームはじめるぞー」

「きりーつ、れい」

「「おはようございまーす」」

「ちゃくせきー」

担任「じゃあ、まずはプリントを配るからな」

弟「……」

少女(……今も下向いてる……)

「ちょっと」

少女「え?」

「プリントとって」

少女「あ、ああ。ごめんね」

弟「……」

少女(どうしていつも目を伏せてるんだろう……)

「こら!早くプリント後ろに回せ!!」

―――授業中

教師「ここは―――」

少女「……」

弟「……」

少女(流石に今は前を向いてる……)

「ねえねえ」

少女(はぁ……目を見て話してほしいなぁ)

「あ……」

教師「こら」

少女「いた!?―――え?」

教師「後ろが気になるのか?」

少女「あ、す、すいません」

「「あははは」」

少女「うぅ……」

弟「……」

―――昼休み

弟「……」

少女(一人で食べてる……寂しくないのかな?)

「ねえ」

少女「え?!なに?」

「今日、なんか変だよ?なんかあったの?」

少女「な、なにも」

「なんかずっとあの子のこと見てない?」

少女「見てないよ……」

「怪しいなぁ……」

「好きになったの?」

少女「す……!?」

「あー、そうなんだー?」

「あの子なら一発OKじゃないの?告白しちゃえば?」

少女「や、やめてよ!!そんなんじゃないんだって!!」

―――放課後

弟「はぁ……」

弟「今日は頼まれないみたい……帰ろう」

少女「……」

「ほらほら、いきなよ!」

少女「ちょ……違うんだってば!!」

妹「あ、いたいた!!一緒にかえる!?」

弟「あ、うん。いいよ」

少女「え……?」

「あれ?誰だろう?」

「いっこ上の先輩だね」

「なになに~?あの子の彼女!?」

少女「あ……彼女……いるんだ」

妹「……?」

少女(いけない……目が合った……いや、別にいいか……なんでもないし……)

―――通学路

弟「でも、どうしたの?」

妹「お姉ちゃんに買い物頼まれててさ。結構な量なんだ」

弟「そうなんだ」

妹「ごめんね。ジュースぐらいなら買ってあげるから」

弟「いや……別にいいけど」

妹「そういえばさ」

弟「なに?」

妹「あんたの教室にいた女の子たちがなんか見つめたけど、なんかあったの?」

弟「え?」

妹「ほら、窓際にいた3人」

弟「あ、ああ……」

妹「心当たりあるの?もしかして苛め?」

弟「う、ううん!!そんなことないよ!!大丈夫!!」

妹「ならいいけど……何かあったらすぐに言ってね?守ってあげるから」

―――自宅

妹「疲れた~」

弟「ほんとだね」

妹「買った物冷蔵庫にいれなきゃ……」

妹「よっこいせ」

弟「物を自在に動かせる能力ならよかったのにね」

妹「ねー?引きよせるだけじゃ、ホント不便」

妹「こうやって、一々入れなきゃいけないし……まったく」

弟「あはは……僕もこんな能力ならいらんかったなぁ」

妹「確かに殆ど使い道ないもんね」

弟「うん……ただ困るだけだよ」

妹「でもさ。好きな女の子に触れられるからいいんじゃないの?」

弟「いや……10分だけだし……それやったら虚しいだけ……」

妹「それもそうか……はい、収納完了!!―――テレビ!!」

弟「ホントにこんな能力……どうしろっていうんだろう?」

>>127
弟「あはは……僕もこんな能力ならいらんかったなぁ」

弟「あはは……僕もこんな能力ならいらなかったなぁ」

訂正

休憩

黙れとっととかけ

>>131
すいません

>>129
おまえおっさんだろ

失礼な。おっさんだが関西人だ。バカ野郎

次から再開する

姉「ただいまー!!」

弟「おかえり」

妹「おかえりなさい」

姉「―――きいてよぉ!!!」

弟「うわ!?またぁ!?」

姉「うぅ……また、胸揉んだら気持ち良さそうって思われながら告白された~!!」

妹「もうやめなっていってるじゃん。男は告白する時、そういうことが頭に過るもんだって」

姉「でも、心の底から好きだって思いながら告白してくれないとデリカシーがないって!!」

妹「そりゃ、心を読まれているとは思ってないでしょうし」

弟「うん」

姉「よし……じゃあ、弟で実験だ。―――さあ、告白してみて」

弟「なんで!?」

姉「私のことを心から好きだと思いながら告白してみて。弟でもそう思っちゃうのか実験するの」

弟「いやいや」

妹「弟が変なこと考えるわけないでしょーが」

姉「おーし!!じゃあ、ブラウスのみの恰好になるわ。それで何も思わなかったら成功ね」

弟「やめてよ」

妹「……」

姉「あんたもブラコンでしょ!!」

妹「言うな!!」

弟「もう……お茶、淹れるけど飲む?」

姉「うぃ」

妹「お願い」

姉「……?」

妹「なに?」

姉「学校でなんかあったの?」

妹「はぁ?」

姉「いや、私の可愛い弟が同級生の名前を心で呟いたから……しかも女の子の」

妹「……あの子のことかな?」

姉「誰?教えろ」

姉「―――なるほど」

妹「まあ、なにも無いっていってたけど」

弟「お茶、いれたよ」

姉「ねえねえ」

弟「なに?」

姉「学校で最近、なにかあった?」

弟「え!?」

姉「……なるほど」

弟「うぅ……なんでそんなこと聞くの?」

姉「普通のことじゃない?」

弟「姉ちゃんから訊ねられるとあったことが全部伝わるから……」

姉「まあ、いいじゃないの。家族に隠し事はなしってことで」

弟「もう」

妹「で、なにがあったの?」

弟「実は……能力が発動しちゃって」

妹「それ女の子に?」

弟「そう」

姉「で?」

弟「え……いや、一緒に掃除しただけ」

姉「そう……」

妹「お姉ちゃん、どう思う?」

姉「家族会議をするぞ、集合!!」

弟「してるけど」

姉「今日の議題は、弟の貞操を守る方法についてです!!」

妹「……」

姉「賛成ありがとう」

弟「えぇ!?」

姉「あの能力は結構危険なのよね。それ分かってる?」

弟「何回か説明されたよ……相手の気持ちを変化させちゃうんでしょ?」

姉「そうそう。能力の効果は単に『触れたくなる』ってことだけど、尾を引いちゃうからね」

俺もよく外歩くと他人の声が聞こえてくるわ
『キモイ』とか『死ね』とか

妹「特に思春期だと『好き』って感情と混じりやすいからね」

弟「うん」

姉「男女問わずね。まあ、男に発動しなかっただけマシか」

妹「……」

姉「おい!!変な想像は極力避けなさい!!」

妹「だから!!勝手に読まないでよ!!」

弟「もしかして……その子……」

姉「勘違いしちゃってるかもしれないわ」

弟「やっぱり……そうなのかな?」

妹「私だって今では大丈夫だけど、初めて弟の能力をもらったときはやばかったからね」

姉「私も私も。しばらくは大変だったもん」

妹「多分、あれのせいで……」

姉「私たちはブラコンに……」

姉・妹「はぁ……」

弟「あの……僕が、悪いの?」

姉「ともかく、その子には一度きちんと話した方がいいかもしれないわ」

妹「そだね」

弟「話すって?」

姉「能力についてよ」

弟「信じてくれるわけないよ」

妹「まあ、それでも間違った感情を是正するための補助効果ぐらいはあると思うし」

姉「能力がーとか言ってたら、普通の女の子は引いちゃうし」

妹「うんうん」

弟「なにそれ……僕は暗いだけのクラスメイトでいたいのに……痛い子になっちゃうよ」

姉「でも、その子が告白してきたらどうするの?」

弟「それは……」

妹「どーせ、あんたのことだから断り切れずに付き合っちゃうんでしょ?」

弟「……」

妹「吊り橋効果は長続きしないらしいし、今のうちにその子に打ち明けた方が良いと思うけど?」

姉「そーだそーだ!」

弟「そうなのかなぁ」

妹「今度の休みに家に連れてきたら?」

弟「え?!?」

姉「それいいね。こういう家族だよーって言えば信じるんじゃない?」

弟「うーん……でもなぁ」

妹「大丈夫。噂にはならないようにお父さんに頼んどくから」

弟「え……」

姉「でたー、困った時のお父さん」

妹「いいじゃん。こういうときのためのお父さんでしょ?」

弟「あの……お父さんは駄目だよ……」

姉「どうして?『特定の言葉を操作する』能力で、私たちが超能力を使えるってことをその子から言葉に出せなくするだけだよ?」

妹「実生活に支障なーし」

弟「でも……」

妹「心を弄るわけじゃないんだから。どちらかというと意識をそらすって感じ?」

弟「できれば……そんなことしたくないんだけど……」

姉「ともかく、その子を連れてきなよ。お父さんに頼むかはその後でもいいし」

妹「信頼に足るかどうかってことね」

姉「そういうこと」

弟「……わかった」

姉「よろしい」

弟「でも、お姉ちゃん。その子の心を読んでいじめたりするのは無しだからね」

姉「いいよー」

妹「……」

姉「絶対やるとか言うな」

弟「はぁ……不安だ」

妹「誘いにくかったら私が誘ってあげようか?」

弟「え……い、いや、僕がいうよ」

妹「そう?」

弟「い、いきなり上級生に家に来いって言われたら困るでしょ?」

妹「そっか。そうかも」

―――翌朝 中学校 校門

妹「ふぁ~、じゃね」

弟「うん」

妹「ちゃんと誘うこと。いい?」

弟「だ、大丈夫」

妹「それじゃあ、回れ右!!」

弟「え……」

少女「あ」

妹「がんばってねー」

少女「お、おはよう……」

弟「う、うん……」

少女「……」

弟「……」

弟(って!!しまった!!目が合ってる!?!)

少女(な、なに……ドキドキしてきた……な、なんで……?)

即採用か

弟「あ、えと……」

少女「はぁ……はぁ……」

弟「あ、あ……あの……」

弟(こんなところで触れられたら……この子にあらぬ噂が……)

弟(それだけは避けないと……!)

弟「それじゃあ!!」

少女「あ、待って!!」

弟(10分間逃げ切れば!!)

少女「あ……あぁ……」

少女「苦しい……胸がくるしいよぉ……」

少女(なんでこんなに……息苦しい……体が熱い……)

少女「はぁ……はぁ……やだ……どうしちゃったんだろう……」

「おはよ、どうしたの?」

少女「え!?な、なんでも……!!」

少女(あの子に触れたい……触れていたい……!!)

―――教室

少女「いない……」

「誰が?」

少女「ごめん……ちょっと散歩してくる」

「え?もうすぐチャイムなっちゃうよ?!」

少女「もうダメ……我慢してたら死にそう……はぁ……はぁ……」

少女(どこに……どこにいるんだろう……会いたい……会いたい……!!)


―――男子トイレ 個室

弟(時間的にあと5分強かな……今日はもう遅刻でいいや)

弟(でも、今頃苦しんでるだろうな……)

弟(姉ちゃんのときも大変だったし)

弟「はぁ……」


少女「―――あの子の溜息……男子トイレにいるの?」

少女「……い、いけないことだけど……もう抑えられない……だれもいないし……いいよね?」

弟「……暇だ」

ガタン!!

弟「……ん?」

少女「いた」

弟「きゃぁぁぁ!!!!―――上から覗いてたら目立つから!!早く下りて!!」

少女「そっちにいきたい……あけて」

弟「あ、えと……」

少女「お願い」

弟「ちょっとまって。扉から離れて」

少女「うん……よっと」

ガチャ

弟「ど、どうぞ―――」

少女「やったぁ♪」

弟「うわ!?」

少女「はぁ~幸せ~……ずっと貴方を抱き締めたかったの……もう苦しくて死にそうだった」

弟「うぅ……」

少女「もう一生離さないから……♪」

弟「というか、よくここが分かったね」

少女「溜息が聞こえたから、貴方の♪」

弟「あ、そう……」

弟(怖いな……聴力まで向上するのか、僕の能力……)

少女「はぁ~こうしているだけで……もう何もいらない……」

弟「……あと何分……?」

少女「スリスリ……貴方の体温が私の火照った体を冷ましていく……」

弟(暑苦しい……けど……いい匂いがするな……)

少女「はうぅぅ~もうどこにもいかないで……」

弟「うんうん」

少女「ずっと傍にいて……♪」

―――キーンコーンカーンコーン

弟「……あ、チャイムだ」

少女「―――あ!?」

弟「……あ」

少女「ご、ごめん……私……あの……こんなことするつもりは……」

弟「うん……分かってるよ」

少女「な、なんでこんなことを……本当にごめんなさい!!」

弟「いや……大丈夫」

少女「うぅ……男子トイレで抱きつくなんて……もうお嫁にいけない!!」

弟「あ、待って!!」

弟「……行っちゃった」

弟「ちゃんと説明してあげないと……このままじゃあ可哀想だ」

弟「僕の所為なんだし……」

弟「……うん」


少女(私……私……おかしくなってる……!!)

少女(これってやっぱり……私はあの子のことが……)

少女「どーしよぉぉ!!!絶対に変な子って思われちゃったぁぁぁ!!!!」

―――昼休み

少女「はぁ」

「どうしたの?朝から元気ないね?」

少女「もう……私は生きていけない」

「なにがあったの?」

少女「うぅ……もうおしまい……私の青春……さようなら……」

「はい?」

「どうしたんだろうね?」

少女「うあぁぁ!!」

「ちょ……」

「これは、振られたんじゃない?」

「マジで!?」

少女「う……」

「あの子に告ったの?!」

少女「ち、違うよ……そんなんじゃない……よ」

「じゃあ、なによ?」

少女「それは……あの……」

「なんか変なことして幻滅されたとか?」

少女「うぐ……」

「なにしたの?誤解ならちゃんと説明したら……」

少女「……」

「誤解じゃないの?」

少女「うん……男子トイレで抱きついちゃって……」

「ぶっ!?」

「なにやってんの!?」

少女「自分でもわかんないの!!でも、なんか抱きつきたくなって……」

「だからって……」

「これは終わったね」

少女「ふぇぇん……どーしよぉ……」

「知らんよ。早く違う人を見つければ?あんたならもっといい人見つかるって」

―――放課後

「かえろ。今日は傷心パーティーだ!」

少女「何か嫌だ……それ」

「慰めてあげるってこと」

少女「うん……ありがとね」

弟「……」

「おい!今日も掃除たのむな!!」

弟「……」

少女(あ、また……押し付けられてる……)

弟「……ごめん」

「あ?」

弟「……今日は用事があるから」

「なんだと?」

弟「―――きて!!」

少女「え?ちょっと!?なに?!」

―――校門

「おい!!逃げんのか!?」

「え!?え!?」

「あれ……駆け落ち?実はラブラブ?」

少女「あの!?どこに行くの!?―――すごい注目されちゃったけど!!」

弟「……ごめん」

少女「え?」

弟「全部、僕の所為なんだ」

少女「ど、どういうこと?」

弟「……」


―――共同玄関

少女「あの……えと……」

弟「……朝のこと気にしてたんでしょ?」

少女「あ、う、うん……」

弟「あれ、僕の所為なんだ。ごめん」

>>213
――校門

消すの忘れてたスマン

休憩

たまに訂正するくらいなら
たくさんある誤字脱字を全て訂正しろって思っちゃうから
しないなら訂正&休憩なんかしてないで書き続けろ

>>228
はい、わかりました

少女「ど、どういうこと?」

弟「日曜日、暇?」

少女「え?う、うん……」

弟「じゃあ、あの朝の10時に学校近くにある公園で待ち合わせ……いいかな?」

少女「へ……?」

弟「……待ってるから」

少女「えぇ~!!?」

弟「それじゃあ」

少女「……」

弟(はぁ……だ、大丈夫かな……ちょっと強引すぎたかな……でも掃除を押し付けられたら誘えなかったし……)

「ねえねえ!!!どうしたの!?」

少女(こ、これってデートだよね……デートのお誘い……)

「ねえ!!なにか言われたの!?」

少女(でも……確か彼女がいたんじゃ……もしかして……私は二番目の女?―――わ、悪くない……いやいや、浮気はだめだよ!!)

「駄目だ……呆けてる……」

―――自宅

妹「結局、誘えたんだ。良かったね」

弟「……おかげさまで」

妹「何むくれてるの?」

弟「朝は大変だったんだよ!?」

妹「お、おう……なんかごめん」

弟「……もう」

妹「あの回れ右で目が合ったの?」

弟「……そう」

妹「それはごめん」

弟「おかげで彼女を傷つけちゃったよ」

妹「もしかして逃げたの?」

弟「……うん。だって朝からあんな場所で抱きつかれたり、手を握られたりしたら明日から学校中に噂が広がっちゃうでしょ?」

妹「でも、最後は駆け落ちしたんでしょ?なら、関係なかったね、その気遣い」

弟「……そうだけど。それは結果的にそうなっただけで……」

姉「家族会議するぞ、集合!!」

妹「なにすんの?」

弟「宿題があるんだけど」

姉「明日は!?」

妹「……」

姉「そう、土曜日!!つまり明後日は日曜日!!つまり、決戦の日まで時間がない」

弟「……決戦?」

妹「なんのこっちゃ」

姉「可愛い弟が女を連れてくるんでしょ!!こっちも気合い入れないとだめじゃない!!」

妹「まあ、そうかな?」

姉「話を聞けば朝にもやらかしたみたいだし」

妹「ねー、逃げちゃだめだよ」

弟「だって……」

姉「私のとき大変だったでしょ?―――あれはいつだっけ。誤って私に能力を発動させちゃって、抱きつかれるのが嫌だからって隠れたときがあったでしょ?」

弟「……姉ちゃん、発狂寸前だったしね」

弟の能力は犯人や自殺志願者の説得に向いてるな

―――数年前

姉「どこだ……弟はどこ?!」

妹「お姉ちゃん、部屋をあらさないでよぉ!!」

姉「うがぁぁぁぁ!!!!ふざけんな!!!はやく抱かせろ!!!」

妹「うわーん!!!お姉ちゃんがへんになったぁぁ!!!」

姉「はぁ……はぁ……もうでてきて……おねがい……しんじゃう……」

弟「―――あの、姉ちゃん……えと……」

姉「―――いたぁぁぁ!!!!」

弟「うぇぇ」

姉「はぁぁぁ~!!!もう!!こんなに我慢させて!!許さない!!骨折するぐらい強く抱きしめるんだから!!」

弟「いたい!!いたい!!」

姉「んひぃぃ!!!我慢した分、きもちいぃぃ!!!!」

弟「うぇぇ……」

妹「うわーん!!お姉ちゃんがもっとへんになったー!!」

姉「もうだめ……死にそう……幸せすぎて……頭がとろけてきたぁ……♪」

>>248
弟「奥さん、あんたには無理だ…」

姉「とまあ、あれ以来、我慢した分、欲求不満が許容量を簡単にオーバーしちゃうから家の中では我慢しないと決まったわけで」

弟「決まってないよ」

妹「罪な能力よねぇ」

姉「だから、同級生に向けて発動した時も極力逃げちゃダメって言ったでしょ?」

妹「10分間は本当に生きた心地しないもんね」

弟「そ、そうなんだ」

姉「特に五分を過ぎたあたりからはもう幻聴も聞こえてくるわ」

弟「そ、それは初めて聞いた」

姉「発動した瞬間なら手を繋ぐぐらいで済むんだし、初期の行動が大事なのよ?」

弟「はい……でも、発動するたびに手を繋いでたらやっぱり変人扱いに……」

妹「はやくコントロールできるようになればいいね」

弟「うん……」

姉「さて、話を戻しましょう。問題は日曜日、私たちはどう過ごすか」

弟「どういうこと?普通にしててよ」

姉「そんなのつまんないでしょ」

弟「いや……つまんないって」

妹「……」

姉「こら。そんなことしたら親戚のおじさんに記憶を消してもらわなきゃいけないでしょ?」

妹「ごめん」

弟「え?なにいったの!?」

妹「別に」

弟「なにを考えたの!?」

妹「別に。こっちを見ないで」

弟「そもそも、能力の説明をするだけでしょ?他に目的なんてないでしょ?」

姉「まあ、ね」

妹「でも、根性もみたいし」

弟「何言ってるの!?怖いよ!!」

姉「その方法を考えないと」

妹「だね」

弟「変なことはしないで!!お願いだから!!」

―――日曜日 公園

少女(30分も前に来ちゃった……)

少女(はぁ……この服、変じゃないかな……?)

少女「うぅ……緊張しておしっこ行きたくなってきた……」

少女(で、でも、もう来ちゃうかもしれないし……)

少女「……・」


―――20分後

少女「もうだめ!!我慢できない!!もれちゃう!!」

少女「トイレ!!」

弟「―――まだ来てないみたい」

弟「……はぁ。緊張してきた」

弟(姉ちゃんたちがなんか何度も会議を開いてたけど……何する気なんだろう……怖いなぁ)

弟(トラウマを植えつけたり、記憶を弄ったりすることにならなきゃいいけど)

少女「―――あ、ご、ごめん!!おまたせ!!」

弟「ううん。今来たところだから。待ってないよ?」

少女(最悪……トイレに行ってる間に……)

弟「どうしたの?」

少女「う、ううん!!なんでもないよ」

弟「そ、そう」

少女「……あの」

弟「なに?」

少女「ちゃんと目を見て欲しいんだけど」

弟「それはできない……」

少女「どうして?」

弟「その訳を今から話すよ」

少女「わけ?」

弟「じゃあ、行こうか」

少女「ど、どこに?」

弟「僕の家」

少女「い、いきなり!?」

―――自宅

少女(男の子の家になんて初めて上がった……)

弟「こっち」

少女「う、うん」

妹「あ、こんちは」

少女「あ……えぇ!?!」

妹「なに?」

少女「あの……えと……」

弟「紹介するね。僕の姉」

少女「お姉さん……?」

妹「ども、次女です」

弟「もう一人、姉がいるけど……どこに?」

妹「トイレ」

弟「そう」

少女「そ、そうだったんだぁ……お姉さんだったのね……はぁ……」

弟「どうかした?」

少女「な、なんでもないよ!!」

妹「……」

弟「今、お茶いれるから」

少女「あ、お、おかまいなく……」

少女(こ、これって……もう結婚を前提にしたご家族への紹介だったりするの?)

妹「ねえねえ」

少女「はい!?」

妹「リラックスして、リラックス」

少女「は、はい……」

妹「へっくしゅ!―――ティッシュ……」

少女「私が取りま――」

フワフワ……

少女「え?」

妹「チーン!!……はふぅ」

少女「……」

妹「なんだ?やるか?」

少女「い、いや……」

少女(なに……いまの?ティッシュがお姉さんの方へフワフワと引きよせられるように)

少女「あの、今の手品ですか?」

妹「なにが?」

少女「だ、だから……えと……」

妹「テレビみてもいい?」

少女「あ、ど、どうぞ」

妹「リモコン……ていっ」

フワフワ……

少女「!?!?」

妹「ふう……何やってるかなぁ」

少女「……」

妹「なんで見つめるの?」

少女「いや、だって―――」

姉「手品じゃないよ?」

少女「へ?」

姉「どうも長女です」

少女「は、はい。はじめまして」

姉「これは種の仕掛けも無い、超能力なの」

少女「はぃ?」

姉「ま、簡単には信じられないよね」

少女「意味がよく……」

弟「―――僕たちの一族は何かしらの超能力が使えるんだ。これ、お茶」

少女「ありがとう……」

弟「姉ちゃんたちは『心を覗く』能力と『物を引きよせる』能力を持っている」

少女「じゃあ、貴方も?」

弟「うん。『僕に触れずにはいられなくする』能力があるよ」

少女「な、なにいってるの?」

姉「とりあえず実演してあげれば?」

弟「そうだね……目を見て」

少女「え……」

弟「どう?」

少女「あ……あれ……?」

弟「ほら、手を握って」

少女「うん……」

弟「今、すごく触れたくなったでしょ?」

少女「うん……なった」

弟「あの朝のことは……僕の能力の所為なんだ。決して君が変になったんじゃない」

少女「そ、そうなんだ……」

弟「ごめんね、迷惑かけて」

少女「じゃあ、いつも俯いてたのは……」

弟「この力が上手くコントロールできないから、人と目を合わせないようにしてたんだ」

少女「……そうなんだ」

姉「……」

妹「信じた?」

少女「よ、よくわかりませんが……でも、信じます」

妹「そう。いい子じゃん」

弟「あの……」

少女「え?」

弟「もし……その……僕のことが気になってるなら、それは能力の所為だから……」

少女「え……」

弟「ごめん……今日はその説明がしたかったんだ」

少女「どういう意味……?あの……」

妹「つまり。もし貴女が私の弟のことを好きになってるなら、それはまやかしってこと」

少女「まやかし?」

妹「吊り橋効果で惚れちゃっただけってことを気付かせてあげようと思って貴女を家に招待したの」

少女「そ、そんな……」

姉「ふむ」

弟「今の気持ちも10分過ぎれば消えちゃうし……」

少女「わ、わたしは……」

妹「そんなことで惚れて付き合っても絶対に上手くいかないから、やめときなよって話」

弟「ごめん……いきなり言われても困ると思うけど」

少女「……」

姉「ねえねえ」

少女「は、い?」

姉「私の弟のどこが好き?」

少女「へぇ!?そ、それは……あの……」

姉「……おい、次女よ」

妹「なんだ、姉よ」

姉「プランBに変更だ」

妹「正気?」

姉「うん」

妹「……そう。ま、お姉ちゃんがそういうならいいけど」

弟「プランBってなに?」

少女「はぁ……」

少女(この気持ちが嘘……?)

少女(本当に……?)

姉「ごはんは食べてく?」

少女「え……い、いいんですか?」

姉「いいよー」

妹「んじゃ、よろしく」

弟「僕か……」

少女「あ……」

弟「一緒にキッチンに行こうか。まだ、離したくないでしょ?」

少女「ご、ごめんね……」

弟「ううん。さ、いこ」

妹「―――んで、結局のところどうなの?」

姉「まあ、いいんじゃない。あとは弟をその気にさせちゃうか」

―――キッチン

少女「えっと……何を作るの?」

弟「うーん」

姉「カレー!!」

妹「シチュー!!」

弟「カレーシチューだって」

少女「あはは」

弟「あ、でもめんどくさいからカレーライスにしようか」

少女「いいの?」

弟「なんでもいいよ、あの二人は」

少女「仲、いいんだね」

弟「まあ……よくしてくれるからね」

少女「……いいな」

弟「え?」

少女「私も……もっと仲良くなりたいなって」

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