ベルトルト「人を食う巨人と」カネキ「人を喰らう怪人」(73)


以前スレ落ちさせてしまった話。リベンジに。進撃は若干本誌バレあり。



ベルトルト「初めまして」

カネキ「初めまして」

ベルトルト「えっと、自己紹介からすればいいんでしょうか」

カネキ「そうですね。最も、そちらはもうそんな必要もないほど有名ですけれど」

ベルトルト「そんなことないですよ。えっと、じゃあ僕から」

ベルトルト「講談社別冊少年マガジン連載中『進撃の巨人』の看板巨人、超大型巨人改め、ベルトルト・フーバーです」

カネキ「集英社週刊ヤングジャンプ連載中『東京喰種 トーキョーグール』主人公、金木研です」

ベルトルト「よろしくお願いします」

カネキ「よろしくお願いします」


ベルトルト「えっと、カネキさんって呼べばいいですか」

カネキ「どうぞ。僕は何て呼べばいいですかね」

ベルトルト「ベルトルトでいいですよ。あと、敬語じゃなくていいです。カネキさん年上ですよね?」

カネキ「作中では19歳になりましたね」

ベルトルト「なったってことは、作中で誕生日を迎えたってことですか」

カネキ「そうなります。まぁ、おめでたい誕生日ではなかったけれど……それじゃあ、ベルトルト君、でいい?」

ベルトルト「はい」

カネキ「早速だけど、君は『進撃の巨人』でどういった役回りなの?」


ベルトルト「まず、『進撃の巨人』は、壁の中で巨人から身を守る人類の話なんです」

ベルトルト「100年前に現れた人類の天敵――巨人から身を守るために、人類は壁を作ったんですけど」

ベルトルト「僕と……僕の仲間が、その壁を壊すんです」

カネキ「それが、超大型巨人?」

ベルトルト「はい」

カネキ「それじゃあ君は、人類から見れば敵側ってことになるのかな」

ベルトルト「……そうですね」

カネキ「浮かない顔だね」

ベルトルト「そりゃあ、望んで敵になったわけじゃないですから」


カネキ「わかるよ。僕もそうだから」

ベルトルト「カネキさんも? でも、カネキさんは主人公ですよね」

カネキ「主人公だよ。人を喰らう主人公だ」

ベルトルト「……『東京喰種 トーキョーグール』って、どんな話なんですか」

カネキ「街に人間と、人間の姿をした怪人『喰種(グール)』が紛れ込んでいるんだ」

カネキ「喰種は人を食べる、いや、人しか食べられない。だから人間社会に紛れて、人間を喰らい生きていく」

カネキ「僕は……ある突発的な事故で、人間から喰種になってしまったんだ」

ベルトルト「人間から、喰種に――?」


カネキ「そう」スッ ←眼帯を外す

カネキ「これは、僕が半喰種である証」ギン

ベルトルト「!」

ベルトルト(片目が、赤い――)

カネキ「純粋な喰種なら、両の目が赤くなるんだ」

カネキ「今はもう制御できるようになったけど、以前はお腹がすくと勝手に目が赤くなっちゃうから、外に出るときはこうして眼帯で隠していたんだ」

カネキ「人間としての自分も失いたくなかったから、友達に喰種であることを隠すのは大変だった」

ベルトルト「あぁ……わかります。人でいようとするのって、難しいですよね」


カネキ「そういえば、巨人なのに人間の姿をしてるんだね」

ベルトルト「はい。僕らも巨人であることを隠して、訓練兵として普通の人間の中に紛れています」

カネキ「それじゃあ、どうやって巨人になるの? 着ぐるみってわけじゃないよね」

ベルトルト「違いますよ。巨人化するには、条件が二つあるんです。自傷行為と、目的意識」

ベルトルト「巨人化することへのはっきりとした目的を持っている状態で、手を噛み切る、ナイフで切るなどで体に傷をつけるんです」

カネキ「自傷行為か……痛そうだね」

ベルトルト「痛いですよ。でも痛みがないと巨人化できないんです」

ベルトルト「それに……巨人化した僕が誰かに与える痛みとは、比べ物になりませんから」

カネキ「……そっか」


カネキ「人間の姿をした巨人と人間、見た目は同じだけど、何か違うところはある?」

ベルトルト「そうですね……今、自傷行為の話をしましたけど」

ベルトルト「僕らは、ちょっとの怪我や傷、あるいは極端な話、体の一部が欠損しても、すぐに再生するんです」

カネキ「その傷が原因で巨人化したりはしないの?」

ベルトルト「さっきも言った通り、目的意識がなければ巨人化はしません」

ベルトルト「ただ、普通なら明らかに骨折したはずの怪我でも、すぐに治せてしまいます」

ベルトルト「僕ら巨人は基本的に、超人的な回復力を持っているんです」

カネキ「へぇ……面白いな。そんなところまで僕らとそっくりだ」

ベルトルト「カネキさんも? 喰種もなんですか?」


カネキ「個人差はあるけどね。そもそも僕らの体は、刃が通らないんだ」

ベルトルト「えっ、そうなんですか?」

カネキ「口で言うより、見る方が早いかな。ナイフ、持ってる?」

ベルトルト「あ、はい」スッ

カネキ「抜き身で投げてみて。僕の体、どこ狙ってもいいから」

ベルトルト「えぇ!?」

カネキ「あ、目だけは避けてもらおうかな。僕らでも粘膜だけは弱いんだ」

ベルトルト「ほ、本当にいいんですか?」

カネキ「どうぞ」


ベルトルト「じゃ、じゃあお腹に――えいっ!」ブンッ

キンッ

ナイフ「」グニャリ

ベルトルト「うわぁ、本当だ……」

カネキ「僕らの体に傷をつけられるのは、『赫子(カグネ)』っていう僕らの捕食器官と」

カネキ「……捜査官が使用する『クインケ』という武器だけだ」

ベルトルト「捜査官?」


カネキ「捜査官っていうのは、人を狩る喰種を狩る存在、一言で言えば、人々にとっての正義の味方かな」

カネキ「彼らは特殊な訓練を経て、僕らを根絶やしにしようと、ありとあらゆる策を弄するんだ」

カネキ「時には残酷な手段をとることもある。母親の喰種を見せしめに殺し、娘の喰種をおびき寄せることも」

ベルトルト「そんな……」

カネキ「酷いと思う? でも、それは僕らの視点から見てるから言えることなんだ」

カネキ「彼らから見れば、僕ら喰種は人を殺す悪魔だ。僕らは食べるために人を殺す。その人には家族も、友人も、恋人もいる」

カネキ「僕らが『食事』をするたびに、彼らは自分が喰われる恐怖に襲われ、自分の知り合いの死に嘆き悲しむことになる」

カネキ「彼らにとって僕らは、生きていることそのものが『悪』なんだ」


ベルトルト「そんな……それじゃあどうしてカネキさんは、そんなに堂々としていられるんですか」

ベルトルト「僕はそんな風に、自分の犯した罪を受け入れられない」

ベルトルト「僕の友人も、自分の罪の意識に耐えられなくなって、心を病みました」

ベルトルト「僕だって、いっそ巨人になれることなんか忘れて、みんなと一緒に、普通の兵士として生きていけたら」

ベルトルト「どんなにいいかって……何度思ったことか――」

カネキ「……」


カネキ「そう、だね……僕も、最初の頃はこんな風に落ち着いていられなかった」

カネキ「人間から喰種になって、生活は激変した」

カネキ「冷蔵庫にあるものは、コーヒー以外何も口をつけられなくなった。食べても不味くてたまらなくて、吐き出してしまうんだ」

カネキ「自分が喰種になってしまったことが、どうしても受け入れられなかった。人である自分が、人を食べないと生きていけないなんて」

カネキ「でも食べないとやっぱりお腹が空くから、街に出ても、自然と食べ物より人に食指が動いてしまう」

カネキ「自分が化け物になってしまった実感が、襲ってくる感覚は……怖かったよ。本当に」


カネキ「だけど、僕には僕を救ってくれる人がいた」

カネキ「僕に手を差し伸べて、僕が一人じゃないことを教えてくれる人が」

カネキ「君にも――君にもきっと、いるんじゃないかな。一人で悩んでいる君を、見つけてくれる人が」

ベルトルト「見つけてくれる人、か……いるかな、本当に」

カネキ「うん。きっといるよ」

ベルトルト「……ありがとうございます」


カネキ「さて、そろそろ時間みたいだね」

ベルトルト「そうですね」

カネキ「ベルトルト君、今日はありがとう。楽しい話が出来たよ」

ベルトルト「こちらこそ。ありがとうございました」

カネキ「じゃあ、最後に宣伝しよっか」

ベルトルト「はい」


ベルトルト「『進撃の巨人』既刊11巻、アニメDVD、BD好評発売中! 特典DVD付12巻は12月発売!」

カネキ「『東京喰種 トーキョーグール』既刊8巻、小説版好評発売中! 9巻は今週18日に発売!」

「「よろしくお願いします!!」」





CASE1 終わり


アルミン「何も捨てることが出来ない人は」リゼ「ただ弱いだけ」



アルミン「えっと……初めまして」

リゼ「クスクス……初めまして。名前は?」

アルミン「ア、アルミン・アルレルトです」

アルミン(綺麗な人だ……)

リゼ「私は神代利世。可愛くて線が細い人、タイプなのよね」

アルミン「そ、そんな」カアッ

リゼ「美味しそうで」

アルミン「え?」


リゼ「ふふ。冗談よ。気にしないで」

アルミン「は、はは……」

アルミン(目が本気だった、今――)

アルミン(話には聞いていたけど、やっぱり彼女は、人を喰う存在なんだ)

リゼ「そんなに身構えないで。今の私は誰も食べることが出来ないの」

アルミン「そ、そうですか」

リゼ「ほんと、退屈だわ……」

アルミン「あの、一つ聞いていいですか?」

リゼ「あら、何?」


アルミン「リゼさんは……その、『喰種』はどうして、人を食べるんですか?」

リゼ「どうして? 可笑しなこと聞くのね」

リゼ「お腹が空くからよ。決まってるじゃない」

アルミン「じゃあ、食糧として人を認識しているってことですよね」

リゼ「そうよ。それ以外に何があるの?」

アルミン「えっと、それは……」

リゼ「そういえば、あなたたちの世界にも、人を食べる種族がいるって聞いたけれど」

アルミン「はい。だけど奴らは、人を食糧としているわけではなさそうなんです」


リゼ「どういうこと?」

アルミン「巨人は人を食べますが、その行為はあくまで殺戮なんです。奴らには消化器官がないので、食べたら吐き出すみたいです」

リゼ「何それ。じゃあ何のためにその種族は人を殺すの?」

アルミン「それは……わかりません」

リゼ「ただ殺すだけで食べないなんて……なんてつまらないの。考えられないわ」

リゼ「大体、食べて吐き出すことが殺戮行為になるのかしら。単純に口に合わなかっただけじゃないの?」

アルミン「えっ?」

リゼ「だから、食べられると思ったら食べられなかったってことよ。あるでしょう? それか、食べたいものを探しているか、ね」

アルミン「食べたいものを、探している……?」


リゼ「私の知り合いにもいたわ。究極の美食を目指す、とかなんとか言ってる人」

リゼ「だけど、はっきり言って馬鹿げているわ。確かに私も食べる相手は選ぶけれど」

リゼ「よりよい食を追求するなんて……それはまるで、人間みたいだわ」

アルミン「……」

アルミン(もし、もし巨人が人を食すのが、純粋に人を殺すためでないのなら)

アルミン(彼らはいったい……何を探してるっていうんだ?)

リゼ「……ふふ」

アルミン「!?」ゾクッ


リゼ「あなた、ほんとに美味しそうね……食べられないのが勿体ないわ」

アルミン「聞かないでおこうかと思ってましたけど、どうして食べられないんですか?」

リゼ「今ここにいる私は虚構なの」

アルミン「へ?」

リゼ「あなたにしか見えない幻ってこと。ホントの私はここにはいないわ」

アルミン「そうなんですか?」

リゼ「そうよ。もし私がまともに生きてここにいたら、あなた今頃この世にいないわ」

アルミン「うっ……で、でも、いくら僕でも訓練してますし、女性に負けたりは」

リゼ「見た目に騙されちゃ駄目よ。私が空腹なら、あなた一人食べつくすだけじゃ足りないわ」


アルミン「自分の力に、自信があるんですね」

リゼ「そうね」

アルミン「どうしてそんなに強いんですか?」

リゼ「さぁ。始めからそう産まれたからじゃない?」

アルミン「『喰種』として、ですか……」

リゼ「どうしたの?」

アルミン「いえその……もし、僕らが『喰種』に……人でない存在に勝とうと思うのなら」

アルミン「僕ら人類は、どんな強さを手に入れたらいいんだろう、って」


アルミン「前に僕、友人にこんなことを言ったんです。『何かを変えることが出来る人は、大事なものを捨てることが出来る人だ』って」

アルミン「『化け物をも凌ぐ必要に迫られたのなら、人間性をも捨て去ることが出来る人だ』って」

リゼ「……」

アルミン「僕ら人間が、化け物に勝つためには、僕らが人間であることを、放棄する覚悟も必要なのかもしれないって思ったんです」

アルミン「ただ、それで本当に勝てるのかどうか、まだ自信が持てなくて……」

リゼ「……そうね。私もどんなことされても、ただの人間相手に負ける気はしないわ」

リゼ「でも――その考えは、正しいと思うわ」

アルミン「えっ?」


リゼ「取捨選択も出来ないような優柔不断な人が、強い人なわけないもの」

リゼ「これだけは譲れない、これだけは守りたいってものがあるのなら、他はすべて切り捨てる。その覚悟が足りない人は、ただ弱いだけよ」

リゼ「片方を生かせば確実にもう片方は死ぬ。そんな分かりやすい二択も選べない」

リゼ「そんなのはどちらも選んでいるようで、どちらも見捨てているだけだわ」

リゼ「何も捨てることの出来ない人に、化け物を凌ぐ強さなんて手に入るはずがないのよ」


アルミン「……」

リゼ「わかった?」

アルミン「は、はい……なんか、すごく感心してしまったというか」

リゼ「そう? ふふ。ありがとう」

リゼ「よかったらまた会いましょう。その時は残さず食べてあげるから」

アルミン「あ、はは。遠慮します」

リゼ「もう時間ね。じゃあ、またね」

アルミン「はい。今日はありが――あれ?」


アルミン「消えた……」





CASE2 終わり

書き溜め尽きたのでここまで。プロット出来次第CASE3を書きに来ます。駆逐系男子2人です。

読んでくださった方、支援してくださった方ありがとうございます。

ゆったり投下再開します。が、先に注意。

亜門くんの設定について、9巻前半のネタバレが若干出てきます。


エレン「駆逐してやる」亜門「……一匹残らず?」



エレン「こ、こんにちは!」バッ!←敬礼

亜門「あ、ああ」

エレン「調査兵団所属、エレン・イェーガーです! 今日はよろしくお願いします!」

亜門「喰種捜査官、亜門鋼太郎だ。こちらこそよろしく」

亜門「……そんなに固くならなくていいぞ。座ろう」

エレン「はい! 失礼します」パッ←敬礼を解く

亜門(実直な少年だな)


亜門「今の姿勢は何だ?」

エレン「敬礼です。公に心臓を捧げる、兵士の誓いなんです」

亜門「なるほど」

エレン「確か亜門さんも、兵士なんですよね?」

亜門「兵士というか、まぁ……『喰種』から街の人々を守るために、日々体を鍛え、奴らの討伐に当たっている」

エレン「直接『喰種』と戦うってことですか?」

亜門「そうだ」

エレン「じゃあやっぱり、調査兵みたいなものか……捜査官の人には、敬礼みたいなのはないんですか?」


亜門「敬礼といったものはないが、命をかけて仕事することを誓う合言葉はある」

エレン「合言葉?」

亜門「あぁ。『Peace On Death』、死をもって平和を、という意味だ」

エレン「死をもって、平和を……」

亜門「我々の命をかけた働きがなければ、奴らを捕らえることなど出来ないからな」

エレン「……そうですよね」

エレン「俺もあいつらを――巨人を倒すためなら、なんだってやる気でいます。そのために心臓を捧げたので」

亜門「巨人というのが、君たちにとって害悪となる敵なのか」

エレン「はい」ギリッ

亜門「!」


亜門(一瞬で目つきが変わった。何だこの鋭い眼光は)

亜門(いや……俺はこの目を知っている)

亜門「エレン、だったよな……もしかしてお前」

エレン「はい」

亜門「誰か大切な人を、そいつらに奪われたか?」

エレン「……はい。母親と、信頼する先輩達を」

亜門「やはりそうか」

エレン「わかるんですか?」

亜門「ああ。お前は俺と、いや、俺達と同じだ」


亜門「俺も家族と、信頼する上司を『喰種』に奪われた」

エレン「!」

亜門「家族を失った時、俺はまだ子どもで何の力もなかった。アカデミー(喰種捜査官養成学校)に入ると、奴らを根絶やしにする為に知識と力をつけた」

亜門「だが……それでもまだ、奴らにはかなわない」

亜門「俺は自分の力不足で、ある喰種に足止めをされた。その間に私の上司は、別の喰種に殺されたんだ」

エレン「そんな……亜門さんにも、そんな経験があるんですか」

亜門「俺だけじゃない。喰種捜査官には家族を失った者が少なくない。その上司もそうだった」

亜門「彼も、彼の家族も……誰だって、殺されていい理由なんてないはずだ。こんな世界は、間違っている」


エレン「当たり前ですよ!」ダンッ!

エレン「殺されていい理由なんて、どこにもない……母さんも、104期の仲間も、リヴァイ班の人達も!」

エレン「どうして、どうして俺たちは奪われる! 俺たちはあいつらの餌じゃない!」

エレン「駆逐してやる! 巨人を一匹残らず!!」

亜門「……!」


『君の心は熱く義憤の炎に燃えている』

『君のその火は正しき世界を求める者たちには必ず燃え広がってゆくだろう』

『要は胸の内に“松明”を持っているかどうかだ。火を灯すためのね』

『私も“松明”を持っているつもりだ。君にはいい影響を受けているよ』


亜門(なるほど、こういう事ですか……真戸さん)

亜門(確かにエレンは、忘れかけていた熱い気持ちを呼び覚ましてくれる)

亜門(最近の私は……つまらないことを考え込んでばかりだ――)


亜門「エレン、今のその気持ち、大事に持っていてくれ」

エレン「はい、もちろんです!」

エレン「亜門さんも、喰種との戦いに負けないでくださいね」

亜門「あぁ」

エレン「俺も、もう二度と奴らの好きにはさせない……絶対に根絶やしにする!」

亜門「……」

亜門「一つ、聞いていいか?」

エレン「はい?」


亜門「その巨人というのと、対話をしたことはあるか?」

エレン「対話? そんなこと出来ませんよ。奴らは俺達とは全く別物なんですから」

亜門「そうか……」


『僕を人殺しにしないでくれ』

『お願いだ。耐え切れない』


亜門「……」

エレン「亜門さん?」

亜門「あ、いや……何でもない」


エレン「それじゃあ、すみませんが俺は失礼します」

亜門「もう行くのか」

エレン「はい。もっとお話したかったです」

亜門「そうだな。残念だ」

エレン「亜門さん。俺今日、亜門さんと話せてよかったです」

亜門「それは俺も同じだ。お前のおかげで俺も、昔の俺を取り戻せそうだ」

亜門「ありがとう、エレン」スッ

エレン「はい!」ガシッ


エレン「それじゃあ、縁があったら、また!」


タッタッタッタッ…


亜門「……」

亜門(全く別物だから、か)

亜門(……本当にそうなのか?)

亜門(ただ敵に憎しみをぶつけるだけなら簡単だ。だが――)

亜門(あいつは、敵である俺と対話しようとした)

亜門(わからせると言って……俺に噛みつき、俺を逃がした)

亜門(今あいつは、どうしているんだ)

亜門(『眼帯の喰種』は――)


カネキ「……」

万丈「カネキ? どうしたんだ、月なんか見て」

月山「野暮なことを聞くものじゃないよムッシュ・バンジョイ。彼にも物思う時があるんだろう」

万丈「だからバンジョイじゃねぇって言ってんだろ!」

カネキ「待たせてごめん。じゃあ」

カネキ「――行こうか」





CASE3 終わり

これで考えてた組み合わせは全部です。一応完結ってことで。
読んでくださった方ありがとうございました。

追記

もし進撃×東京喰種で見たい組み合わせとかあったら言ってほしいです。
若干東京喰種寄りになった。だが後悔はしていない。

東京喰種9巻発売記念。ヒロインズ番外編投下していきます。

>>36で亜門くんに「捜査官に敬礼はない」って言わせちゃったけど、9巻で真戸さんの墓前で思いっきりCCG式一礼してたorz
でも有馬さんの前では普通に頭下げてたし、心臓を捧げるポーズほど使われないと信じて訂正せず放置します。すみません。


ミカサ「ヤンデレ女子と」トーカ「ツンデレ女子」



ミカサ「……」

トーカ「えっと、よろしく」

ミカサ「よろしくお願いします」

トーカ「……はぁ、面倒くさい。何で知りもしない人間と対話なんて」ブツブツ

ミカサ「……」ジィー

トーカ「ん? 何?」

ミカサ「……見たことのない服」

トーカ「あんたもね」


ミカサ「特に、そんなに短いスカートは初めて見た。新鮮」

トーカ「短い? 別に私はスカート短くしてないけど」

ミカサ「兵団に入ったら、なかなかスカートを履く機会はない。馬にも乗れないし立体機動も出来ない」

トーカ「りったい……? まぁ、学校やバイトの時は制服のスカート履くけど、私服はズボンの方が多いよ」

ミカサ「バイト……? それは、バイトというものの制服なの?」

トーカ「いや、学校だよ。この服着てる時間が一番長い」


ピリリッ ピリリッ ピリリッ


ミカサ「!? 何の音!?」

トーカ「あ、ごめん、ちょっと出ていい?」ゴソゴソ


トーカ「んー、依子から?」→ケータイ

ミカサ「え、何そ」

トーカ「もしもし?」

ミカサ「?」

トーカ「ごめん、ちょっと今は……え?」

ミカサ「??」

トーカ「アヤトが? ……まさか、そんなところにいるわけないよ」

ミカサ(何故……どうして一人で喋っているの?)ポカーン


トーカ「ううん、いいよ。じゃあまたね」ピッ

トーカ「ごめんね。何の話だっけ」

ミカサ「あ、あの、それは何?」

トーカ「これ? ケータイだけど」

ミカサ「けーたい?」

トーカ「知らないの!?」

ミカサ「初めて見た」

トーカ「えぇー……信じられない」

ミカサ「何故それに話しかけていたの?」

トーカ「ここから相手の声が聞こえるんだよ」

ミカサ「声が?」


トーカ「そ。相手もこれと同じものを持っていれば、どんなに離れていても声が聞こえるの」

ミカサ「どんなに離れていても――? じゃ、じゃあエレンの声も? いつでも聞こえるの?」

トーカ「そうだよ。テレビ電話にすればここに顔も映るし」

ミカサ「じゃあこれがあれば、たとえどんなにエレンと離れていても、エレンの顔も見れるし声も聞こえるの?」

トーカ「そういうこと。電話したくても向こうの都合が合わなければ、メール送っておけばいいしね」

ミカサ「メール?」

トーカ「見てみな。この画面で文章を作って送ると、相手のケータイ画面に同じ内容が映るの。一瞬で届く手紙みたいなものよ」

ミカサ「すごい……!」キラキラ

トーカ(ちょっと楽しくなってきた)


ミカサ「私もそっちの世界に生まれたかった……そうすればエレンといつでも繋がっていられるのに」

トーカ「でもこっちの世界に来たら、あんた喰われるかもしれないよ?」

ミカサ「私は強い。ので問題ない」

トーカ「どうだか……ところでさ」

ミカサ「何?」

トーカ「さっきから出てくるエレンって誰? 彼氏?」

ミカサ「……家族です」カアッ

トーカ「何で急に敬語なのよ」

ミカサ「特に意味はない」


トーカ「何? 家族ってことは兄弟なの?」

ミカサ「いいえ、兄弟ではない。でも家族」

トーカ(……? 養子みたいなもんかな?)

トーカ「あんた、そいつのこと好きなの?」

ミカサ「好き……?」

トーカ「まさかとは思うけど、好きって気持ちも知らないとか言わないよね」

ミカサ「いいえ、そんなことはない。けれど……よくわからない」

ミカサ「今まで何度も、他の訓練兵に同じことを聞かれてきた。けれど、はっきり返せたためしがない」


トーカ「じゃあ聞き方を変えるよ。あんたはそいつと恋人同士になりたいの?」

ミカサ「……」

トーカ「それもわからない?」

ミカサ「そういうことは、わざと考えないようにしていた気がする」

トーカ「どうして?」

ミカサ「――怖いのかもしれない」

トーカ「怖い?」

ミカサ「そう思った瞬間に、エレンが遠くに行ってしまいそうに思えるから」


ミカサ「家族としてならずっと一緒にいられる。エレンも、私が傍にいるのを嫌がったりはしないだろう」

ミカサ「でも家族ではなく恋人になりたいと思った瞬間、エレンが私から離れてしまいそうな気がして、考えるのが怖い」

トーカ「……」

ミカサ「だけどはっきり言えるのは、私はエレンがいなければ生きられないし、エレンも私がいないと生きられない」

ミカサ「それだけわかっていれば充分だと、私は思う」

トーカ「……そっか」


ミカサ「中途半端な答えになってしまった」

トーカ「いいよ。恋愛かどうかはわかんないけど、そういう形もあるって知れてよかった」

ミカサ「あなたには、はっきり好きと言える人がいるの?」

トーカ「――え?」

ミカサ「人のことばかり聞くのは不公平。あなたのこともちゃんと聞きたい」

トーカ「私……私は」

トーカ「……」


トーカ「……いないよ、そんな人」

ミカサ「本当に?」

トーカ「本当だよ」

ミカサ「……」ジッ

トーカ「何よ」

ミカサ「……」ジイイイイ

トーカ「……」フイッ

ミカサ「目をそらした」

トーカ「だから何」


ミカサ「嘘をついてるかどうかを見分ける方法は二つある。一つ目は耳が赤くなってるかどうか」

トーカ「何それ初めて聞いた」

ミカサ「もう一つは、目を見て言えてるかどうか」

トーカ「……」

ミカサ「もう一度聞く」

ミカサ「あなたには好きな人、本当にいないの?」


『またね、トーカちゃん』


トーカ「……」

トーカ「――いないってば」フイッ

ミカサ「また目をそらした」


ミカサ「思ったよりあなたは分かりやすい」

トーカ「だから違うって」

ミカサ「ムキになるところが、嘘を指摘されたエレンとそっくり」

トーカ「違うって言ってんでしょ!」

ミカサ「あなたとは仲良くなれそうな気がする」

トーカ「どうだか」

ミカサ「そういえば、まだあなたの名前を聞いていなかった。不覚」

トーカ「そういえばそうだったね……私は霧島董香。あんたは?」

ミカサ「ミカサ・アッカーマン」


トーカ「へぇ、名字は凄く外国風なのに、名前は妙に馴染みやすいね。ミカサ、か」

ミカサ「……」

トーカ「何、またじっと見て」

ミカサ「……何故今まで気付かなかったのだろう」

ミカサ「あなたの肌の色、髪の色、瞳の色……どれも私のお母さんのに近い」

トーカ「もしかしてあんたハーフなの? 黒髪だし」

ミカサ「私のお母さんは純血の東洋人。こちらの世界ではとても珍しいのだけれど」

トーカ「へえ。こっちにはゴロゴロいるよ。純血の東洋人だらけ」

ミカサ「是非一度行ってみたい」


トーカ「来れるもんならね。あんたのお母さんも一緒に来れたらいいね」

ミカサ「……」

トーカ「どした?」

ミカサ「お母さんは、小さいころに亡くなっている。お父さんも」

トーカ「!」

ミカサ「だから私はエレンの家に引き取られた。そのエレンの家も、巨人のせいで今は帰れないけれど」

トーカ「……あんたの方が養子だったんだね」

ミカサ「それでも寂しい思いはしなかった。エレンがいたし、カルラおばさんもグリシャおじさんも優しかった」

ミカサ「血は繋がっていないけれど、私達は確かに家族」


トーカ「血が繋がってなくても家族、か……羨ましいよ」

トーカ「私には血の繋がった弟がいるけれど、もう今はどこにいるのか分からない」

トーカ「お母さんも、お父さんもいなくなって……2人で生きていかなくちゃいけなかったのに」

トーカ「私達は、同じ生き方を共有することが出来なかった」


『ニンゲンと仲良しごっこやってる間は、自分がバケモンだってこと忘れられて幸せか?』


トーカ「私達は人を喰らう『喰種』。正しくは生きられない」

トーカ「でも、こんな化け物だろうと……産んでくれたんだ。育ててくれたんだ」

トーカ「例え普通じゃなくたって、生きたいと思って――何が悪いのよ」


ミカサ「……」

トーカ「あんたも私らのこと軽蔑する? 罪を犯して生きてる私達を」

ミカサ「……少し、考えていた」

ミカサ「私達の世界で人を食う存在……巨人がもし皆、あなたと同じ思考を持っていたとしたら」

ミカサ「私は――迷いなく刃を振るうことが出来るのかを」

トーカ「振るえばいいよ。私だって捜査官相手に容赦はしない」

トーカ「生きるためには戦わないといけない。こればっかりは仕方ないよ」

ミカサ「そうだった。勝てば生きる。戦わなければ勝てない」


ミカサ「今日は話せてよかった。ありがとう」

トーカ「うん。私も楽しかった」

ミカサ「それじゃあ……また」

トーカ「うん。また」

ミカサ「あの……」

トーカ「うん?」

ミカサ「あなたの好きな人によろしく」

トーカ「だから違う!」

ミカサ「さようなら。トーカ」タッタッタッ


トーカ「ったく、なんなのよ……」

トーカ「……」

トーカ「ミカサ」

トーカ「あんたとは確かに、また会える気がするよ」

トーカ「だけど――」


『一人にしないで』

『しないよ』


トーカ「あんたはどうなの……?」


『またね』


トーカ「カネキ――……」





CASE EXTRA 終わり

アニメイト特典が切なすぎてもうね。こういうエンドにするしかなかった。
これにて番外編も終了です。読んでくださった方ありがとうございました。

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