やよい「春香さん春香さん春香さん春香さん…………」 (110)


「んーっ」

気持ちのいい朝です

カーテンの隙間から見える朝日

近くの木々に止まる小鳥達の鳴き声

「おはようございまーすっ」

「うん、おはよう」

朝一のやよいの声は目覚まし時計なんかじゃ比にならないほど

一気に目を覚まさせてくれます

……うん?

「えっと……やよい」

「なんですかー?」

「なんでいるの?」

私は今やよいの家にいるわけじゃない

もちろん、どこかのホテルでやよいと1泊したというわけでもなく

遠まわしに言わないとつまり、

ここはやよいの家からかけ離れた天海宅である

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「あの、春香さん」

「うん?」

「春香さんと一緒にいるのに理由が必要なんですか?」

「えー」

なんか哲学に足を踏み入れたような回答されちゃったよ

いや、回答というか、

質問に質問で返されちゃったよ……

「いや、そうじゃなくて。なんで私の家にいるのかなって」

「それは春香さんがここにいるからです」

あっれーっ?

なんだろうこれ、

なんだろうこれ、

大事なことだからもう一回

なんだろうこれ。

聞くだけ無駄だよね、完全に


「じゃぁ、とりあえず着替えるから」

「はい」

「……………」

「……………」

「……………」

「……着替えないんですか?」

「いや、出ていこうよ、部屋から出ようよ」

やよいがおかしくなっちゃったよ……なんで?

昨日今日で一体何が起きたの?

あ……もしかしてドッキリ?

ふふ~ん。765プロ総出か、やよい単体での朝一ドッキリだね?


「あははははっ、そっかそっか」

「どうしたんですか?」

「ううん、なんでもない」

そうとわかればこっちのもんですよ

アイドル芸人だとか、えっ芸人じゃないの?

とか、なんか色々言われている春香さんだけども。

いや、そんな春香さんだからこそ、

ドッキリとかにはめっぽう強いわけです

「さて、着替えるのはあとにして下に行こっか」

「いえ、私は窓から入ってきたのでそれはちょっと……」

うわぁ……すごい設定

つまりあれかな?

やよいはヤンデレで私を愛しちゃってる…。。みたいなドッキリを、

バラした状態でどこまで騙されたふりができるのか。ってやつだね


「ま、窓からってどうしてそんな……」

「春香さんのためならたとえスカイツリーだって登ってみせますよっ」

「えぇ……」

ここでドン引きの表情。

くぅ~っ完璧

響ちゃん並に完璧だよ!

「ありえないってそれ」

「愛の力ですよっえへへっ」

やよい可愛い

ヤンデレになりきれてないやよい可愛い

いや、そもそも

やよいがヤンデレの役だなんて不釣合なんですよ

いや、だからこそやよいがやらされてるんだろうけどね


「じゃぁ私下行くからね」

「はい」

「やよいはどうするの?」

「春香さんのお着替えとか用意しておきます。下着は白でいいですか?」

ふふっやよいらしいなぁ

そこは普通、紐パンツとか、

ちょっとしたネタを入れないと

ドッキリにはネタも重要だしね

持ってないけど、ここは

「じゃぁ白の紐――」

「え?」

「だから白の紐――」

「え?」

「だから白の――」

「持ってないですよね?」


中断

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