マミ「魔女め!鋼鉄マミが相手よ!!」(148)

~魔女の結界~

まどか「やだ……何かいる!」ブルブル

使い魔1「ヒゲ」

使い魔2「ヒゲ」

さやか「冗談だよね? 悪い夢でも見てるんだよね? ねえ、まどか!」ガクガク


「ナックルボンバー!」バシュッ

使い魔1「ヒゲッ」ボゴォォォン

「ダイナマイトキィィーーック!」ゴォッ

使い魔2「ヒゲ」ドグシャアア

まどか「えっ!?」

さやか「人が……化け物を蹴り殺した!?」

「危なかったわね。でも、もう大丈夫よ」ニコッ

さやか(この人……手足だけがロボットみたいになってる)

まどか(服は可愛いし、綺麗な人なのに……手足とのギャップが凄いよ)


ほむら(何あれ)

QB「マミ! 助かったよ」

まどか「あなた、この人を知ってるの?」

マミ「あなた達、QBが見えるのね。その子は私のお友達なの、QBを助けてくれてありがとう」

さやか「これQBっていうんだ……」

まどか「ありがとうございます。ええと、お名前は?」

マミ「私は巴マミ。魔法少女よ」

まどか「魔法……少女……?」

さやか(私のイメージする魔法少女と違う。主に手足が)

マミ「安心して、私が来たからにはこんな連中……全滅よ!」

まどか「凄いよあの人……化け物を素手でボコボコにしてる」

さやか「時折ロケットパンチみたいなの使ってない?」

ゲルトルート「コレハマズイ……ニゲルナライマノウチ」ザッ

マミ「逃がさないわ」

ゲルトルート「」

薔薇が好きなのね……その花の名前通り、バランバランにしてあげる!」

ゲルトルート「オコトワリシマ」ボガッ ドゴッ メキャッ

ほむら(巴マミってインファイトが得意な魔法少女だったかしら……?)

さやか「変な空間が消えていく……」

まどか「あんな怪物をあっさり倒すなんて……」

まどか「マミさん、ありがとうございます」ペコッ

マミ「魔法少女として事をしたまでよ。所で、さっきからそこで様子を見てるあなたは誰かしら?」チラッ

ほむら「……」スッ

まどか「あ、ほむらちゃん」

さやか「転校生!」

ほむら「……突然だけど、質問があるわ……あなた、その手足どうしたの?」


マミ「ああ、それね……簡単に言えば、私はロボットなのよ」

ほむら「確かに簡単だけど……まるで意味が分からないわ」

まどか「魔法少女でロボット……?」

さやか「さっきからありえない事ばっかりで、正直頭が追いつかない……」

QB「マミ、流石に説明不足だよ。全員混乱しているじゃないか」

マミ「あらあら……でも、ここで説明するのも難だし……詳しい話は私の家で、というのはどうかしら?」

まどか「いいんですか?」

マミ「ええ。あなた達には魔法少女の才能もあるみたいだから、その話もしたいし」

ほむら「私は……」

マミ「遠慮しなくてもいいわよ。2人の知り合いみたいだしね」

~マミ宅~

ほむら(なんだかんだでついて来てしまったわ……)

マミ「……とまあ、以上が魔法少女についてよ」

さやか「願いを叶えて貰う代わりに、魔女と戦う魔法少女になる、か」

ほむら「一見得なように思えるかもしれないけど、魔女と戦い続けるの命がけよ。私はお勧めしないわ」

まどか「……ほむらちゃんは、魔法少女になって後悔してるの?」

ほむら「私は……自分の命を賭けてでも、叶えたい願いがあったから」

さやか「マミさんはどんな願いで魔法少女になったんですか?」

マミ「私は願い事をしっかり考える余裕なんてなかった……ただ生きる為だけに契約をしたの」

ID変わりましたが2abrvi8Q0です

マミ「私がQBと出会った時、私は家族の乗る車ごと交通事故を起こして瀕死の状態だった」

マミ「両親は即死。残った私も腕や足が千切れちゃって、ほとんど死にかけていたわ」

マミ「そんな時現れたQBに、私はこう願った。もう怪我で痛い思いをするのは嫌だ。二度と怪我をしない体にして、って」

マミ「その願いにより……人より遥かに頑丈な体を持つサイボーグとなった」

ほむら「サイボーグですって……!?」

マミ「そう。といっても人間とほとんど変わらないし、感覚的には頑丈になったくらいなんだけど」

さやか「どれくらい頑丈になったんですか? タンスに小指ぶつけても痛くないとか?」

マミ「そうね……例えるなら、レース中に車から投げ出されて後続車両に何度も撥ねられても無傷で生還出来るくらいかしら」

ほむら「凄まじいわね……あなたの頑丈さも、その例えも」

さやか「所で……さっきから気になってたんですけど、部屋の隅っこにあるあの物騒な置物の数々は何ですか?」

マミ「基本武装だけじゃ物足りないと思って作った武器ね。しっかりと魔力を込めて、我ながら渾身の出来なんだけど……」

まどか「だけど?」

マミ「いかんせん大きすぎて持ち運べないのよ。あんな大きいものを持っていたら目立ってしまうし」

ほむら「というかどれもあなたと同じくらいの大きさがあるんだけど、どうやって使うの?」

マミ「腕を換装するのよ」

ほむら「はい?」

マミ「折角だから、実際にやってみましょうか」ヘンシン

ほむら「近くで改めて見ると、本当にメカメカしいのね……」

マミ「変身(ビルド・アップ)すると首以外は完全なロボットになるのよ。さて、まずは右腕の肘から先をはずす……と」ガコッ

まどか「わっ!?」

マミ「驚かせてしまったわね。大丈夫、ロボットになってる時の私の各部位は外れるように出来てるだけだから」

ほむら「ロケットパンチするだけなら肘だけでもいいでしょうけど、何で全身?」

マミ「そこはおいおい説明するわ。そうね、このマジカル・バズーカを使いましょうか」ガキーン

さやか「う、腕にくっついた……」

マミ「こうやって、腕を外して武器に換装して使うのよ」

マミ「まあ、どれもこれも結局作った時に1回使ってきりなんだけど」ガコッ ガキーン

ほむら「で、どうして全身ばらける必要が?」

マミ「それは私の魔法に関係しているわ。私の魔法は、ロボットとなっている部位のスペアパーツを召喚する事なの」

まどか「スペアを?」

マミ「そう。まあここら辺も実際に見て貰ったほうが早いのだけど、あまり魔力を無駄にはしたくないわ……」

さやか「魔力を使うとソウルジェムが汚れていって、グリーフシードを使って浄化しないといけないんですよね」

マミ「そうなのよ……そうだ! 2人とも、しばらく私の魔女退治を見学してみない?」

ほむら「私は2人を魔法少女に引き込むような事はあまりしてほしくないわね……」

マミ「勧誘するつもりはないわ……ただ、実際に肌で感じて分かる事もあるでしょうし」

さやか「マミさんの能力、ちょっと気になるしなあ」

ほむら「まあ、あれを見たら全貌が気になるというのは私も同じだし……なら、私もついて行くわ」

まどか「ほむらちゃんが?」

ほむら「巴マミは特殊過ぎて、正直参考にはならないわ。その点では私のほうが良い筈よ」

ほむら「それに、私の能力ならあなたのサポートをする事が出来る」

マミ「私のサポートを?」

ほむら「私の盾は大きな物でも収納する事が出来る。見てて」サッサッ

さやか「なんという事でしょう……あれだけあった武器が全てほむらの盾の中に収まってしまいました」

マミ「素晴らしいわ……私もそんな能力が欲しかったなあ」

ほむら「必要な時に私に言ってくれれば武器を渡すわ。私もこの武装の性能は気になるし、お互いにとって悪い話ではないはずよ」

マミ「そうね……私としても、一緒に戦ってくれるというならそれはとっても嬉しいわ」

まどか「マミさんとほむらちゃんのタッグ結成だね!」

さやか「転校生が、まさかマミさんと組む事になるとは……」

いくつか言及されてるみたいですけど、申し訳ない、あの人とは別人です。

マミ「今日は遅いから、見学は明日以降、魔女が出た時にね」

マミ「その時に連絡して集まれるよう、それぞれの携帯のアドレスを交換しておきましょう」ポチポチ

ほむら「そうね。連絡手段は大事だわ」セキガイセンツウシン

マミ(今日1日だけで3件も増えちゃった)ホクホク

ほむら(まどかのメルアドをゲット出来るとは思わぬ収穫だわ)ホクホク

マミ「それじゃあ各自、魔女及びそれらしいものを見かけたらすぐに全員に連絡する事!」

まどさや「「はい!」」


数日後

~病院~

さやか「これって……」

QB「まずいよ、これは孵化しかかったグリーフシードだ。もうすぐここは結界に包まれてしまう」

まどか「あ、QBだ。久しぶりだね」

さやか「そんな事言ってる場合じゃないよ! 早くメールしないと……」

まどか「病院内で携帯は……何て言ってる場合じゃないけど、一応私は外に出てからメールする!」ダッ

さやか「分かった、あたしはこれを見張ってるよ!」

~お菓子の魔女の結界~

マミ「結界は出来てしまったけど、間にあったわね。急ぎましょう」

ほむら「ええ」

まどか「さやかちゃん、大丈夫だといいけど……」

マミ「大丈夫、まだ魔女が出現するには時間があるわ」

マミ「見えた! 最深部に入るわよ!」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「まどか! マミさん! ほむら!」

QB「間にあったみたいだね。もうすぐ魔女が出てくるよ」

シャルロッテ「コンニチマミ「ナックルボンバー!」ボッゴォォ


ほむら(容赦ないわね)

マミ「今日は後輩が見てる前だし、私とアケミッチーのタッグの初陣! 速攻で全滅させるわ!」

ほむら「アケミッチー!?」

マミ「あ、ごめんなさい。何故か頭に浮かんできちゃって……反射的にそう呼んでしまうの」

ほむら「……まあ、私は構わないわ」

マミ「そう言ってくれると嬉しいわ。それじゃあアケミッチー、しっかりやりましょう!」

ほむら「分かったわ、巴マミ」

マミ「ダイナマイトキック!」ゲシッ

シャルロッテ「グワー」

まどか「凄い! マミさん踊ってるみたい!」

さやか「一方的だ!」

ほむら「巴マミ、その魔女、全く反撃してこないのが逆に怪しいわ、気をつけて」ボソボソ

マミ「何かを狙っているのかしら……それなら、一気に片をつけましょう!」ドゴォ

まどか「蹴りあげた!」

マミ「今よ暁美さん、バズーカを!」

ほむら「OK、バズーカ、セットアップ、シュート!」

マミ「マジカル・バズーカ!」ガキーン!

さやか「出た! 新兵器!」

マミ「これでトドメよ! ティロ・フィナーレ!」

シャルロッテ「ヒドイネ」チュドォォォォン

さやか「やった!」

まどか「やりましたね、マミさ――」

シャルロッテ「コッカラワタシノターン!」ニョーン

ほむら(しまった、爆発に紛れて――!)

マミ「え?」


がぶり

マミ「」ヘンシンカイジョ

さやか「ああ……」

まどか「マミさん……こんなのってないよ……」

ほむら「なんてこと……私がついていながら……」

QB「あーあ……これは死んだね。可哀想に」

まどか「QB! そんな言い方ってないよ!」

さやか「そうだ! マミさんが死んだんだぞ!」

QB「何を言ってるんだい? 僕が可哀想だと言ったのは魔女のほうさ。今ので間違いなくマミを怒らせたよ」

まどか「へ?」

「よくもやってくれたわね!」

まどか「マミさんの声!?」

シャルロッテ「!?」ジタバタ

さやか「見て! 魔女の様子が……!」

シャルロッテ「ウエッ!」ペッ

マミ(頭)「うわぁ、涎でベトベトじゃない……許さないわよ!」

全員「」

QB「ほらね、怒ってるだろ?」

ほむら「ちょっとQB! あれはどういう事なの!?」

QB「マミの首は元々取れるようになってるのさ。取れなかったら、どうやって損傷した胴体を入れ替えるんだい?」

ほむら「いや、そういう問題じゃなくて……」

マミ(頭)「これじゃ手も足も出ないわ……アケミッチー!」

ほむら「あ、はい!」

マミ(頭)「ちょっとこいつを引きつけておいて! その間に私はそこにある私の胴体と合体するから!」

ほむら「は、はい!?」カチッ シュリュウダン カチッ

シャルロッテ「ナンスカコレ」ドカーン

マミ(頭)「今よ! ビルド・アーーップ! 鋼鉄、マーミ!!」ガキーン!

ほむら(あっさり復活した……)

敬語もやむなし

マミ「バズーカの弾はまだ残ってるのよ! 覚悟しなさい!」ジャキッ

シャルロッテ「コウナッタラタイアタリダ!」ビューン

マミ「ちょ、バズーカに近づかないd」ドッカーン!

さやか「マミさんもバズーカの爆発に巻き込まれた!」

まどか「大丈夫……なんだろうね、多分」


シャルロッテ「ウググ……」ボロボロ

マミ「くっ……バズーカと右足はもう駄目ね。スペアパーツ! ビルド・アップ!」ガキーン

ほむら「受けたダメージは大差ないのに相手はもう無傷同然とか、魔女涙目ね……」

マミ「そっちのダメージも相当みたいね、終わらせてあげる!」バチバチ

まどか「マミさんの体から電気が!?」

マミ「マグネットパワー・オン!」バチバチバチッ!

シャルロッテ「!」グググ…

ほむら「魔女を引き寄せているの……?」

マミ「捕まえたわよ!」ガシィ

さやか「魔女の首を押さえこんだ!」

ほむら「そのまま絞めようとしている……まさか、力づくで魔女をへし折るつもりなの!?」

マミ「マジカル・ブリーカー!!」ギリギリ

シャルロッテ「ウゴゴゴ……」ベキベキ

マミ「死ねぇ!!」ギリギリ……グシャッ!!

まどか「うわあ……」

ほむら「魔女の体を切断するなんて……凄まじいパワーね」

QB「マミの必殺技だよ。魔法を放出して対象を引き寄せ、粉砕するんだ」

さやか「豪快な技だなあ……」

ほむら「大きさこそ人間サイズだけど、やる事はスーパーロボットのように派手ね」

マミ「いやあ、スッキリしたわ。グリーフシードも手に入ったし、結果的には大勝利ね」

まどか「食べられちゃった時はどうしようかと思いました……」

マミ「私のソウルジェムは私の頭に埋め込まれているからね。あれはちょっと危なかったわ」

まどか「ええ!?」

ほむら「今さらっと凄い事言ったわね」

さやか「なんでソウルジェムが頭の中に?」

マミ「サイボーグの機能を維持するのに必要な、最も重要なパーツなの。頭部のスペアを出せないのはこの為よ」

> マミ「死ねぇ!!」ギリギリ……グシャッ!!
>
> まどか「うわあ……」
うわあ……

ほむら「という事は、どの道頭を噛み砕かれかけたあの場面は本当に危なかったわけね……」

マミ「そうでもないわ。重要なだけあって私の頭は特に頑丈に出来てるから。実際軽く暴れてやれば出てこれたし」

ほむら(向こうもまさか食いちぎった頭が動くとは思ってないでしょうしね……)

さやか「あれ? でもソウルジェムが頭の中にあったら、どうやって穢れを取り除くんですか?」

マミ「それは簡単よ。ソウルジェムを咥えればいいの。どれくらい穢れてるかは感覚で理解してるわ」

ほむら「巴マミ。改めて言わせてもらうけど、本当に特殊な魔法少女ね……」

QB「……」

QB(よくないね。最初は簡単に契約出来そうだと思ったけど、これでまどかもさやかも魔法少女として戦う事の危険性をはっきりと認知してしまっただろう

QB(マミも暁美ほむらと組んだ事で孤独感をなくし、彼女たちを勧誘する理由がなくなってしまった)

QB(どうするかな……とりあえず、もう少し様子を見るとするか)

数日後

~上条の病室~

上条「さやかは、僕を苛めてるのかい?」

さやか「え?」

上条「何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて」

さやか「恭介……」

上条「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない。僕の手はもう二度と動かない。奇跡か、魔法でもない限り治らない」

さやか「あるよ」

上条「え?」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」


マミ(メール)「ごめんなさい。流石に他人用の腕を作るのは無理だわ」

さやか(メール)「ですよねー、変な事聞いちゃってごめんなさい」

さやか「やっぱり、そう上手くはいかないよね」

さやか「でも、奇跡も魔法もあるのは本当だもの。待ってて、恭介」

その夜

まどか「ど、どうしちゃったの?ねえ、どこ行こうとしてたの?」

仁美「ここよりもずっといい場所ですわ。ああ、そうだ。鹿目さんもぜひご一緒に」フラフラ

まどか「どうしよう……これってまさか……」

仁美「ええそうですわ、それが素晴らしいですわ」フラフラ

まどか「マミさんとほむらちゃんに連絡しなきゃ……!」

ダニィエル「サガワキュウビンデース」

イェニフェル「ハンコオネガイシマース」

まどか「うわああ!?」

エリー「アマゾンカシラ、オモッタヨリハヤカッタワネ」

まどか「助けて……」


さやか「でりゃあああーー!」

エリー「コノザマ」ズバッ

まどか「さやかちゃん! その格好……」

さやか「まあ何、心境の変化って言うのかな?」

マミ「鹿目さん!」ザッ

ほむら「まどかぁー!」スタッ

さやか「あ、2人とも! 遅いよー」

マミ「美樹さん、その姿は……」

ほむら「あなた……どうして契約をしたの!?」

さやか「2人に言われてはいたけど……あたし、命を賭けても叶えたい願い、出来ちゃったんだ」

マミ「メールの内容と何か関係があるのかしら?」

さやか「はい。でも、自分で決めた事ですから……後悔なんて、あるわけない」

一方その頃

~隣町~

杏子「で、あたしに何の用だ?」

QB「君が前々からライバル視している巴マミ……彼女に最近、仲間が増えてね」

杏子「『不死身の巴』に仲間ぁ? んなもん作ってもグリーフシードの取り合いになるだけじゃねーか。全く甘いヤツだな」

QB「しかも内1人は僕が契約した覚えのないイレギュラー……マミ以外にも倒すべき相手が増えてしまったね」

杏子「バカ言うな。そんな連中、アタシの敵じゃねえよ」

QB「そうかもしれないけど、その新人の魔法少女もマミの知人でね。彼女を人質にでもすれば……」

杏子「ざけんな!」ボカッ

QB「キュップイ!!」ズザァァ

杏子「人質なんて狡い真似、アタシがするわけねえだろ! 第一、アタシの目的は不死身の巴をぶっ倒す事だ!」

QB「でも、今の君の実力で巴マミを倒す事は不可能だと思うけどね」

杏子「そんなのやってみなくちゃわかんねえだろ! ……ただ、不死身の巴の仲間がどんな奴かは興味あるからな」

QB「会ってどうするんだい?」

杏子「どうもしねーよ。様子見るだけだ」

QB「そうかい」

QB(普段は容赦ないのに、こういう所は正々堂々としてるなあ……ま、杏子は恐らくさやかと衝突するだろうし、問題ないか)

次の日

さやか「でやあああ!」ガキィン!

マミ「踏み込みが浅いわ! そんな攻撃では私のボディに傷をつける事は出来ないわよ!」

ほむら「攻撃というより突進に近いわね。それでは魔女の攻撃を避けられそうにないないわ」

さやか「くぅっ、難しいなあ……」ゼェゼェ

マミ「大丈夫、私だってこの体に慣れるまでは苦労したんだから。美樹さんは私よりも筋がいいし、慣れるのも早い筈よ」

ほむら(しかし、美樹さやかまで願いでロボットになるなんて……確かに怪我を治す部類の願いだけど、巴マミの存在が原因かしら?)

夕方

さやか「訓練の次は、使い魔を1人で倒す……か。よーし、頑張るぞー!」

さやか「気配を探して……見つけた! 覚悟っ!」ダッ

杏子「ちょっとちょっと。何やってんのさ」ザッ

さやか「!?」

杏子「ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。4~5人ばかり食って魔女になるまで待てっての」

さやか「な……魔女に襲われる人たちを見殺しにするって言うの?」

杏子「弱い人間を魔女が食う。その魔女をアタシたちが食う。これが当たり前のルールでしょ、そういう強さの順番なんだから」

さやか「何よ、その考え……とにかくどいてよ、使い魔を倒さないとマミさん達との約束を果たせないんだから」

杏子「マミ……? マミって『不死身の巴』の事か?」

さやか「その二つ名には聞き覚えないけど、そうだよ!」

杏子「あー、QBが言ってた仲間ってのはお前の事か。全く、あいつも大概だが、お前も相当おめでたい奴だよな」

さやか「こいつー! マミさんを侮辱するなー!」ヘンシン!

杏子「な、お前もロボットかよ!」ガキィン! バキッ!

さやか「ナックルボンバー!」

杏子「技まであいつと一緒か! けど、動きはトーシロだな」ヒョイッ

さやか「なっ!」

杏子「ちっとは頭冷やせっての!」ヒュッ

さやか「う、うわあああ!!」

マミ「やめなさい!」バッ ドスッ

さやか「マミさん! あたしの身代わりになって……」

杏子「なっ……!? 不死身の巴!!」

マミ「その呼び方はやめて……今の私は鋼鉄マミよ!」

杏子「えぇー……こないだまでそう名乗ってた癖に。めんどくせえしもうマミでいいや」

さやか(そんな二つ名あったんだ……)

杏子「てか腹に槍が刺さった状態で平然としてんなよな」ズボッ

マミ「だって……ねえ」スペアパーツ ビルドアップ!

杏子「何度見てもチートだろそれ……普通の魔法少女がその傷治すのにどんだけの時間と魔力を使うと思ってんだ」ハァ

ほむら「やれやれ……念のため見張っておいて正解だったわね」

杏子「何だ? 他にも仲間がいたのか?」

ほむら「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵。あなたはどっちなの? 佐倉杏子」

杏子「……あんたが噂のイレギュラーってやつか。3対1の上マミまでいるんじゃ分が悪すぎる、ここは退かせてもらうよ」サッ

マミ「待って! ……行ってしまったわ。相変わらず風より速い身のこなしね」

さやか「マミさん、ほむら、ありがと……」

マミ「あなたの成長具合を確かめようと思ってこっそり様子を見てたんだけど、まさか佐倉さんが来るとはね……」

さやか「あいつはどんな奴なんですか?」

マミ「名前は佐倉杏子。隣町を縄張りにしてる魔法少女で、私を一方的にライバル視していて時折勝負を仕掛けてくるの」

さやか「へぇ……マミさんの気も知らないで喧嘩吹っ掛けてくるなんて、何かやな奴ですね」

マミ「最初はそう思ったけど、根はいい子よ。勝負の後には一緒にお茶したりするし」

ほむら「殴り合いで絆が深まっているのかしら……?」

マミ「佐倉さんが好戦的なせいか、拳を交える事でお互いの事が分かってきてね。向こうは槍だけど」

さやか「でも、あたしは仲良くなれそうにない。グリーフシードの為に人を見殺しにしようだなんて……」

マミ「……そうね。それは私も良い考え方だとは思ってない。だけど、佐倉さんも過去に色々あったの」

さやか「人を見殺しにするのに理由があるっていうんですか!?」

マミ「佐倉さんには話すなって言われてるから、私からは話せないけど……」

ほむら「誰しも人に言い辛い事情というのはあるわよね」

さやか「…………ちょっと、一人にさせてください」ダッ

マミ「美樹さん……」



さやか「同じ魔法少女で、マミさんとも知り合いなのに……何であんなに考え方が違うんだろう……」ブツブツ

さやか「……いつまでも悩んでちゃ駄目か。気分転換に恭介のとこにでも行こうかな」

さやか「……って、いつの間にか恭介の家の前だ。でも、この時間じゃ迷惑かな?」

杏子「へえ……これ、あんたの惚れてる男の家か何かなのかい?」

さやか「お前……!」

杏子「よう」

さやか「あんたには関係ないでしょ」

杏子「その様子を見るに図星か。あんた魔法少女だろ? 惚れた男をモノにするなら冴えた手があるじゃないか」

さやか「何!?」

杏子「坊やの手も足も二度と使えないぐらいに潰して、あんたなしでは何も出来ない体にしてやるんだよ」

さやか「ふざけんな! 私は恭介の腕を治す為に魔法少女になったんだぞ!」

杏子「はあ? 何だそりゃ!? ……たった一度の奇跡のチャンスをくっだらねえことに使い潰しやがって」

さやか「何だと!」

杏子「魔法ってのはね、徹頭徹尾自分だけの望みを叶えるためのもんだ。他人の為に使ったってロクなことにはならないのさ」

さやか「そんな事ない! マミさんだって、街の平和を守る為に……」

杏子「確かにあいつの志は立派だよ。だけど、あいつだって元々は自分の為に願ったんだ。願いを無駄にしたわけじゃねえ」

さやか「あたしの願いが無駄だってのか! こいつ! 絶対に許さない!」

杏子「やる気かい? なら場所変えようか。ここじゃ人目につきそうだ」ニヤッ


QB(……面白い事になったね)

QB(まどか、まどか! 急いで、さやかが危ない!)テレパシー

~歩道橋~

杏子「ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手にいこうじゃない」

さやか「行くぞ!」

まどか「駄目だよさやかちゃん!」

さやか「まどか!?」

QB「僕もいるよ」キュップイ


ほむら「言ったわよね。無駄な争いをする馬鹿の敵だと」ファサァ

マミ「アケミッチーに鹿目さんの様子がおかしいと聞いて来てみれば……どういう事なの!?」

さやか「ほむらにマミさんまで!」

杏子「わらわらと……おいマミ! あんたの仲間だってんなら、しっかり躾とけよな!」

マミ「美樹さんは何も間違っていないわ……あなたのほうが見ていて辛いだけなんじゃないかしら?」

杏子「くっ……てめぇ!」

さやか「あんたの相手はあたしだ!!」ヘンシン!

まどか「駄目! こんなの絶対おかしいよ!」

杏子「うるせえー!」ズガァ!

さやか「くっ……右腕を一発で吹き飛ばされた!」スペアパーツ!

杏子「させるかよ!」ズドッ

さやか「ああ!」

杏子「やっぱり、スペアくっつけんのも遅えな!」ガッ ガッ

さやか(早すぎてスペアパーツを片っ端から壊されちゃう……)

さやか(そうだ、私やマミさんのソウルジェムは、機能維持に大事なパーツ……)

さやか(普通の魔法少女のソウルジェムに攻撃しても、何か起こるかも!)ナックルボンバー!

杏子「!?」バッ

杏子「何だ? ソウルジェムを狙ってやがるのか……?」


QB「なるほど、本体狙いか……考えたね、さやか」

まどか「えっ?」

マミ「私達ならそう言ってもいいでしょうけど……QB、佐倉さんは普通の魔法少女よ?」

QB「いや、全ての魔法少女にとって、元の身体なんていうのは、外付けのハードウェアでしかないんだ」

さやか「え!?」

QB「君たち魔法少女が身体をコントロールできるのは、せいぜい100m圏内が限度だからね」

杏子「100m? ハードウェア? どういう事だ!?」

QB「魔法少女との契約を取り結ぶ、僕の役目はね。君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事なのさ」

全員「!?」

ほむら(魔法少女の真実の事は喋っていなかったのに……QB、本当に殺せるものなら殺したいわ)

QB「ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ」

QB「弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか」

杏子「ふざけんじゃねえ! それじゃアタシたち、ゾンビにされたようなもんじゃないか!」ガシッ

まどか「酷いよ、こんなのあんまりだよ……」

QB「君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする。訳が分からないよ」

マミ「……」

さやか「……」


マミ(……普通ならショックなんでしょうけど、前から同じようなものだったから驚くに驚けない……)

さやか(あたし、今の状態と対して変わりなくない?)

杏子「なんだってんだ……くそっ!」ダッ

まどか「うう……」

ほむら(佐倉杏子があそこまで取り乱すなんて……まどかも……)

マミ「佐倉さん!」

さやか「無理もないのかな……まあ、今は勝てそうになかったし、助かったと思っとこ」

ほむら(それに比べ、この2人の落ち着きよう……特に取り乱しそうな2人なだけに凄い違和感があるわ……)

次の日

仁美「ずっと前から……私、上条恭介君の事、お慕いしてましたの」

さやか「あはは……まさか仁美がねえ……恭介の奴、隅に置けないなあ」

仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します。丸一日だけお待ちしますわ」

さやか「……」

仁美「さやかさんは後悔なさらないよう決めてください」

さやか(どうすれば……今まで考えてなかったけど、恭介は人間、あたしはサイボーグなんだよね……)トボトボ

まどか「さやかちゃん」

マミ「美樹さん、元気ないわね……」

さやか「まどかにマミさん……ほむらは一緒じゃないの?」

マミ「用事があると言って、どこかに行ってしまったわ。所で美樹さん、やっぱり昨日の事を……」

さやか「そんなんじゃないんです……あたしは大丈夫ですから」

マミ「大丈夫にはとても見えないわ。苦しい時は吐き出してしまうのが一番よ」ニコッ

さやか「そう……ですね……」

マミ「なるほど、お友達が……」

さやか「このままじゃ、仁美に恭介を取られちゃうよ……でも私、何も出来ない。だって私、サイボーグだもん」

まどか「そんな……」

さやか「こんな身体で抱き締めてなんて言えない。キスしてなんて言えないよ……」

マミ「そんな事はないわ」

さやか「マミさんだって同じサイボーグなら、分かるでしょう!? 力加減を間違えたらブリーカーしかねないんですよ!」

マミ「そうね。私もずっと、サイボーグという人ならざる身になった事に葛藤があったわ」

マミ「だけど、気付いたの。私はこうして生きている。例えサイボーグだろうが、魂を抜かれようが、人として生きているのよ」

さやか「マミさん……」

マミ「人間もサイボーグもないわ。先輩サイボーグが言うんだから間違いないわよ」ニコッ

まどか「サイボーグでも魔法少女でも、さやかちゃんはさやかちゃんだよ!」

さやか「まどか……マミさん……ううっ、うああああ……」ポロポロ

マミ「辛かったのね。色んな事が一度に圧し掛かって……でも大丈夫よ、私達がついてるわ」

さやか「……泣いたらスッキリしました。あたし、もう迷いません!」

まどか「その意気だよ、さやかちゃん!」

マミ「ええ。その上条くんって子に告白するんでしょう? 応援してるわ!」

さやか「うん……行ってきます!」

マミ「あ、そうだ! 一応言っておくと、変身しないと力はそんなに変わらないから、ブリーカーは出来ないと思うわ」

さやか「そうなんですか? そういえば思ってただけで試した事なかった……」


その夜

マミ「美樹さんの事も気になるけれど……魔女の気配を見逃すわけにはいかないわ」タタタ

ほむら「……巴マミ」

マミ「あら、アケミッチーと……佐倉さん?」

杏子「こいつに言われてな……しばらくあんた達と共闘させてもらうよ」

マミ「一体、どういう風の吹きまわしかしら……?」

ほむら「後で説明するわ。それよりも今は魔女を」

~魔女の結界~

エルザマリア「ササヤキ」

杏子「ナメんな!」

エルザマリア「イノリ」バババッ

ほむら「危ない!」ポイッ ドカーン!

マミ「たぁっ!」ナックルボンバー!

エルザマリア「エイショウ」バシィッ!


マミ「思いのほか厄介な相手ね。触手のせいで近づけないし、かといって遠距離も防がれる……」

杏子「めんどくせえ……あんなもんぶっ潰しながら突っ込んでいければ……」

マミ「突っ込む……そうだ! アケミッチー、マジカル・バックラーよ!」

ほむら「OK、マジカル・バックラー、セットアップ、シュート!」バシュッ

マミ「マジカル・バックラー、セット!」ガキーン!

杏子「そんなもんまであったのかよ! 側面トゲだらけでとても盾とは思えねーな!」

マミ「佐倉さん、ついてきて!」タタタタ ブチブチ

杏子「なるほど、あの盾で突っ込めば、触手をぶっちぎりながら突っ込める!」タタタ

マミ「触手はほとんどなくなった……今よ!」

杏子「おう!」バッ

エルザマリア「ネンジ……」グサッ!

マミ「やったわ!」

ほむら「流石に長い事ライバルしてるだけの事はあって、息が合ってるわね」


「ありゃりゃ、もう終わっちゃったかー」

ほむら「美樹さやか……今までどこに行っていたの?」

さやか「ちょっとね……」

マミ「結果はどうだった?」ヒソヒソ

さやか「ここに来る前にまどかにも言いましたけど……」ヒソヒソ グッ

マミ「そう、良かった!」パァッ

杏子「ん? 何の話だ?

さやか「って杏子! あんたどの面下げてここに……昨日のショックも残ってんじゃないの?」

杏子「あんなもんふっ切ったよ。あんたらが平然としてんのにアタシだけ引きずってるとか馬鹿みたいじゃん」

マミ「佐倉さんは暁美さんが連れてきたの」

さやか「ほむらが?」

ほむら「理由はこれから話すけわ。味方は一人でも多いほうがいいのよ」

杏子「あんたとは決着つけたいと思ってるけど、今はそれ所じゃねえんだよ」

さやか「どういう事?」

ほむら「結論から言うわ。もうすぐ、この町にワルプルギスの夜という超大型の魔女が来る」

マミ「ワルプルギスの夜……聞いた事があるわ。結界を持たず、一般人には大災害として扱われるという魔女よね」

杏子「とーけーだか何だか知らねーが、こいつの言う事を信じるなら来るのは間違いないらしいぜ」

さやか「そんなのが来たら……見滝原は!」

ほむら「壊滅的な被害を受けるのは間違いないわ……だからこそ、私達でこいつを倒したい。協力してくれるかしら」

マミ「ええ、勿論よ。一緒に戦いましょう」

さやか「あたしもやるよ! ただ、ひとつ気になる事があるんだけど……」チラッ

杏子「アタシはここがどうなろうが知ったこっちゃないが……ライバルが戦うってのに、アタシだけ逃げる訳にゃいかないだろ?」

ほむら「巴マミでも危ないかもしれないと言ったら二つ返事で了承してくれたわ」

さやか「こいつがねえ……」ジロジロ

杏子「何だよ……」キッ


マミ「……この際、もう一度喧嘩してみたら?」

さやあん「「えっ?」」

ほむら「ちょっと、何を言っているの?」

マミ「佐倉さんに勝負を挑まれてる内に、最初はグリーフシードを奪い合う敵同士だった私達が打ち解けていったように」

マミ「あなた達も、お互いの事を知れるかもしれないわよ」

ほむら(昭和の不良の理論だわ……)

杏子「アタシは構わないぜ。どうせそのうち決着つけるつもりでいたしな」

さやか「あたしも。今のあたしの全力をあんたにぶつけるよ」

マミ「それじゃあ、私達は少し離れてるから、気が済むまでどうぞ」

ほむら「基本的に魔力の無駄遣いだし、本当に危ない時は止めるからね?」

さやか「よし……いくよ、杏子!」

杏子「かかって来な!」

杏子「はぁ、はぁ、はぁ……」

さやか「ぜー、ぜー……」

マミ「お互いの意地をぶつけあっただけあって、いい勝負だったわね」

ほむら「けど、これ以上は魔力の無駄遣いよ。と言っても、2人とももう戦う体力はないみたいだけど」

さやか「あんたは立ってるけど、あたしは立つ気力ないや……あんたの勝ちだね」

杏子「フン、トーシロに負けてられっかっての。でも、昨日の動きとまるで違ったな」

さやか「さやかちゃんの本気、思い知ったかー、なんてね」

マミ「お疲れ様。2人共、グリーフシードよ」コトッ

杏子「いいのか?」

マミ「奢りよ。そもそも吹っ掛けたのは私だしね」ニコッ


さやか「……そういえばさ、あんたはどうして魔法少女になったの?」

杏子「今それを聞くか……まあいい、話してやるよ。ちょっと長い話になるけど……いいかい?」

さやか「……」コクリ

杏子「……アタシの親父は正直過ぎて、優し過ぎる人だった」

杏子「新しい時代を救うには、新しい信仰が必要だって、それが親父の言い分だった。だけど、傍から見れば胡散臭い新興宗教さ」

杏子「だから、QBに頼んだんだよ。皆が親父の話を、真面目に聞いてくれますように、って」

杏子「翌朝には、親父の教会は押しかける人でごった返していた。アタシは魔法少女になって魔女退治さ」

杏子「……でもね、ある時カラクリが親父にバレた。親父はブチ切れて、娘のアタシを、人の心を惑わす魔女だって罵った」

杏子「それで親父は壊れちまって、最後にはアタシを残して無理心中さ。アタシの祈りが、家族を壊しちまったんだ」

さやか「杏子……」

杏子「その時心に誓ったんだよ。もう二度と他人のために魔法を使ったりしない。自分のためだけに使い切るって」

さやか(これが、マミさんの言っていた、杏子の過去……)

杏子「あんたを見ててさ、昔の自分を思い出しちまって。それで気に喰わなかったんだ。今までゴメンな」

さやか「……いいよ、あたしの方こそ、事情も知らずに勝手な事ばっかり言っちゃって……ゴメン」

杏子「話したらスッキリしちまったな……なあ、さやか」

さやか「何?」

杏子「ずっとこうして生きてきたから、今更やり方は変えられないけどよ……今回の共闘くらいはしてくれねーか?」

さやか「フフッ……いいよ! 一緒にワルプルギスの夜をやっつけよう!」


ほむら「本当に和解した……2人の性格的に、これが一番合っていたのかしら……」

マミ「喧嘩の末に深まる絆。青春よね……」ウフフ

それから数日

ワルプルギスの夜襲来前日

ほむら「ここに皆を集めたのは、作戦の最終確認と……事実を伝えるためよ」

杏子「事実?」

マミ「いつになく真剣な表情ね……」

さやか「あんたの魔法が時間停止だってのは聞いたけど、それとは別なわけ?」

まどか「どうして魔法少女じゃない私も呼んだの?」

ほむら「まず、私の事……私の本当の魔法は、時間停止ではないの」

ほむら「私の魔法は、この一カ月を繰り返す事。私の持つ盾の砂時計を引っくり返せば、私は過去に戻る事が出来る」

さやあん「「な、なんだってー!?」」

マミ「未来から来た、という事かしら……?」

まどか「でも、どんな願いごとをすればそんな能力になるの?」

ほむら「私の願いはただ一つ……まどかを魔法少女にさせない事」

まどか「私を?」

ほむら「別の時間軸のあなたに言われたの。QBに騙される前の私を助けてって」

さやか「QBに騙される……か。そういえばあいつ、最近見ないね」

杏子「見たら顔面に一発ブチ込んでやろうと思ってたのに、さっぱり姿を見なくなったな」

ほむら「……荒唐無稽な話だけど、事実なの。信じて頂戴」

まどか「……信じるよ」

ほむら「!」

さやか「あたしも。あんたがこんな大事な時にこんな嘘をつくとも思えないし」

杏子「アタシも同意見だ。あんたはふざけた事を言うような人間じゃねえよ」

マミ「それに、そうだとすればQBがあなたを知らなかった事とも辻褄が合うもの」

ほむら「信じてくれるのね……ありがとう。けれどもう一つだけ、話しておかなければならない事実があるわ」

杏子「まだあんのか?」

ほむら「これはとてもショッキングな内容よ……誰とは言わないけど、この事実を知った時錯乱した人もいたわ」

全員「……」ゴクリ

ほむら「だけど、ワルプルギスの夜という強敵との戦いの前には知っておかなければならない事実……」

さやか「勿体ぶってないで早く言ってよ……」

ほむら「分かったわ。私達の魂でもあるソウルジェム。これが濁り切ると、どうなるか分かるかしら?」

マミ「そういえば、考えた事もないわ……死んでしまうとか?」

ほむら「ある意味はそうね。ソウルジェムが魔力の使い過ぎや絶望で濁り切ると、砕け散り……魔女が生まれる」

全員「!!!」

ほむら「魔法少女が魔女になる時に生まれる感情のエネルギーを回収するのが、QB……インキュベーターの狙いなの」

杏子「クソッ、アタシらはとことんあいつに利用されてたってわけか……」

さやか「許せない……インキュベーター!」

まどか「あんまりだよ……こんなのってないよ!」

マミ「魔法少女が魔女に……? それじゃあ、私達もいつか……」フルフル

ほむら(巴マミ……! やはり、話してしまうのは失敗だったかしら……)

まどか「……マミさん」ギュッ

マミ「!」

やっぱり深夜にスレ立てたのは失敗だったかな……眠い
結構後半まで進んでしまったし、もし見ている人がいたら申し訳ないですが改めて投下し直したいと思います。
投下日は未定ですが今度は夕方くらいに始められたらなあと。それでは失礼します。

ううむ……書き溜めがそろそろなくなるというのもあったんですが、頑張ってみます
優柔不断で申し訳ないですが、最後までお付き合いください

まどか「もし魔法少女が魔女になるとしても、すぐじゃない。力尽きたり、絶望しなければいいんです」

まどか「マミさん、ほむらちゃん、さやかちゃん、杏子ちゃん。皆強いから、力尽きたりしない」

さやか「私が迷って迷って、絶望に呑まれそうになった時、マミさんは救ってくれましたよね」

さやか「今度は、あたしが、あたし達がマミさんを救う番です。皆がいれば、絶望なんてしなくていいんですよ」

マミ「でも、魔女が元々人間なら、私のやって来た事は……」

杏子「んなもん、考え方だ! 魔女になっちまった魔法少女をやっつけて、天国に送ってやってると考えりゃいいんだよ」

マミ「……」

ほむら「あなたには、こんなに沢山の仲間がいる。魔女になるからって、悲観的になる必要はないわ」

マミ「……皆……そうね……一番先輩の私が一番ショックを受けてるようじゃ駄目よね」グッ

さやか「でも、たまにはこうやって弱い所も見せてくださいよー?」ニッ

杏子「いつも自信満々に見えたけど、案外弱いんだな、お前」ニタニタ

マミ「もう……私だって体はサイボーグでも、心は人間なのよ?」

マミ「……アケミッチーも、ありがとう」

ほむら「え?」

マミ「真実を話してくれたのは、私達なら大丈夫だって信じてくれたからでしょ?」

杏子「ちょっと大丈夫じゃなかったヤツもいたがな」

まどか「私は一緒に戦えないけれど……それがほむらちゃんの願いなら、私は絶対に契約しない」

まどか「その代わり、絶対にワルプルギスの夜をやっつけて、帰ってきてね」

ほむら「ええ……勿論、そのつもりよ」

さやか「全く、いい仲間を持ってほむらは幸せだなあー、こいつめー」ウリウリ

当日

杏子「いよいよか……」


さやか「やっぱ、いざとなると緊張するなあ……」


ほむら「この戦い、負けるわけにはいかない……」


マミ「来るなら……来なさい!」



マミ「魔女め! 鋼鉄マミが相手よ!!」


ワルプルギス「アーッハッハッハッハ!!」

ほむら(作戦は至って単純、私が兵器による波状攻撃を仕掛ける)ドドドドド

ワルプルギス「アーハッハッハッハ!!」ドゴーン ズガーン

ほむら(この弾幕で相手の動きが鈍った所で……)


さやか「あたし達が……」

杏子「近づいて……ぶっ潰す!」

ワルプルギス「アーハッハッハッハ!!」テケテーン

さやか「!?」

杏子「ワルプルギスから蛇の頭が!? やべえ!」

蛇「ギャオー!」バシィッ!

マミ「2人共叩き落とされた!?」

ほむら「ワルプルギスのスカートの裾から伸びる8匹の蛇……こんなの、今までにはなかったわ!」


『当然だよ。僕が追加したのだからね!』

杏子「その声は!」

ほむら「インキュベーター!」

QB『やれやれ、君たちには呆れるよ。たった4人でこの幻魔要塞ワルプルギスに立ち向かおうというのだから』

マミ「幻魔要塞ワルプルギス……!」

ほむら「テレパシーで話しているのね……本体はその要塞とやらの中かしら?」

QB『察しがいいね、時間遡行者、暁美ほむら。君のせいでかなり手こずったよ』

さやか「あたし達を散々利用しやがって……絶対に倒してやる!」

QB『倒されるのは君たちのほうだよ。まどかが契約せざるを得ない状態を作る為に、排除させてもらう!』

QB『やれ! 幻魔要塞ワルプルギス!』

ワルプルギス「アーッハッハッハッハ!」テケテーン ボワァァァ!

ほむら「蛇が炎を!」

杏子「くそっ、あんな能力まであるのかよ!」

マミ「面倒ね……アケミッチー、マッハドリルよ!」

ほむら「了解! マッハドリル・セットアップ・シュート!」

すみません……バイ猿されてました
一気に行こうと思って投稿速度を上げすぎたみたいで

マミ「マッハドリル・セット!!」ガキーン! ギュイイイイイン

ワルプルギス「アーハハハハハ!!」ズガガガガガ ブシャアア!

さやか「首を一本ぶっちぎった!」

QB『流石はマミだ。君の対策として改造しておいたのに……けれど、本体を倒さない限り首は時間と共に再生するよ!』

マミ「何ですって!? ならば本体を!」ギュイイン!

QB『無駄だよ。幻魔要塞ワルプルギスの装甲はそんな攻撃では破れない』

マミ「くっ、マッハドリルがまるで通じない……何て頑丈さなの!」

ワルプルギス「アーハッハッハ!」テケテーン

マミ「しまった……ぐっ!!」ドカッ!

マミ「攻撃が通じないだけでなく、蛇による全方位攻撃だなんて……」

杏子「ちく……しょう……」

さやか「駄目だ……いくらスペアがあっても、これじゃ……」

ほむら(全員疲弊している上に、もうグリーフシードもない……やはり、駄目なの……?)

QB『終わりだね。幻魔要塞ワルプルギス、ここ一帯を火の海にして、魔法少女を焼きつくせ』

「皆……負けないで!!!」


マミ「!」

杏子「なっ!」

さやか「まさか……!」

ほむら「まどか!?」

まどか「皆が戦ってると思ったらいてもたってもいられなくて……」

QB『まどか!? 攻撃を中止しろ、まどかを巻き込んでしまう』

さやか「何とか助かったのかな……?」

まどか「あれがワルプルギスの夜……スゴい大きさだし、蛇が生えてて……あんなのと戦うなんて、私には出来ない」

まどか「だから、せめて……皆の近くで、応援させて!!」

マミ「後輩がわざわざ応援に駆け付けたとあっては、カッコ悪いとこ見せられないわね……」ググ…

杏子「マミ? 何でガッツポーズなんてしてんだ?」

マミ「今から使うのよ……私の秘密の兵器をね!」

さやか「秘密の兵器!?」

マミ「……ヤツの動きが止まっている、今がチャンスだわ。私の全エネルギーを込めて……」

ほむら「マミさんのお腹に凄いエネルギーが集まってる……」

マミ「喰らいなさい! スピンストーム!!」ギュワアアアアアアアアアア!!

QB『マミから高エネルギー反応……スピンストームか!』

ワルプルギス「アーハッハッハッハ!!」ズガァァン!!

QB『ぐっ……大したものだ、幻魔要塞ワルプルギスにダメージを与えるとはね』

マミ「くぅ……」ガクッ

さやか「マミさん!」

QB『でも、マミはもう限界みたいだね。やはり君たちでは勝てない』

杏子「マミ!」

ほむら「早くグリーフシードを使って! いくらサイボーグでも、あんなものを全力で撃ったら……」

マミ「でも、今のでダメージは与えられた……もう一回使えば……」

さやか「その体でもう一度使うのは無理です! 代わりに、私がやる!」

マミ「確かにあなたも私と同じタイプだから、使える筈……だけど、この技は消費と反動が大きい! 美樹さんには早いわ!」

さやか「大丈夫です! この鋼鉄の体、気合と根性、それに……みんながいれば!!」

マミ「……そうね……私も先輩として、負けてはいられない……」グググ

杏子「さやか! マミ!」

ほむら「……2人共……せめて私の魔力を受け取って!」

マミ「そんな事出来るの?」

ほむら「2人が気合と根性で戦うというのなら、こちらも気合と根性で……」

さやか「まさかほむらの口からそんな精神論が聞けるとは……」

QB『またやるつもりのようだね……その前に潰せばいい話だよ』

杏子「ちっ、あいつ、こっちに蛇と、浮かべた周辺のビルを向けてやがる!」

まどか(皆が頑張ってる……なのに、私は見ているだけなの? 何も出来ないの?)

マミ「もう十分よ、攻撃が来るから2人は下がって……」

ほむら「お断りよ」

さやか「2人共……」

杏子「最後まで諦めねえ……アタシにも意地があるんだ!」

まどか(ううん、そんなはずない。私にだって、魔法少女の素質があるんだ!)


QB『無駄なあがきだね。お終いだよ』

ワルプルギス「アーハッハッハッハ!!!!」テケテーン ゴオオオオッ! ゴゴゴゴゴ…

まどか(魔法少女じゃなくても、力を分け与える事くらいは!)ダッ

ほむら「まどか!?」

杏子「お前、なんで来たんだ!?」

QB『なんて事だ、これでは巻きこんでしまう!』

マミ「鹿目さん!」

さやか「まどか!」

まどか「私だって……皆と一緒に戦いたい!!!」


カッ!!


まどか「これは……!?」

マミ「ピンク色の……銅鐸?」

ほむら「凄い力を感じるわ……」

杏子「もしかして、こいつが、まどかの潜在能力ってヤツなのか……?」

さやか「まどか……凄いよ!」

まどか「2人共! これを使って!」カッ!

さやか「うわっ!? 力が沸き上がってくる……これなら!!」

マミ「どんな相手だろうが、怖くないわ! 行くわよ、美樹さん!」

さやか「はい!」


杏子「喰らえ、インキュベーター!!」

ほむら「私達の力を集めた、渾身の一撃!」

まどか「いっけえええええ!!」


マミさや「「ダブル・スピンストーム!!!」」ドギュワアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

また猿… ここまできたらスマフォ使って書きます

QB 『なんてエネルギーだ! これじゃあ……ぐわああああ!』

ワルプルギス「アーハッハッハ!!!」ドゴォォォン!!

さやか「倒した……」

まどか「やったあ!」

杏子「すげー! 跡形もなく消し飛んだぜ!」

マミ「皆の勝利ね!」

ほむら「みんな……ありがとう」グスッ

杏子「嬉しいのは分かるけど……今は笑えよ」

さやか「幻魔要塞ワルプルギスも、インキュベーターもまとめてやっつけたんだよ!」

QB 「僕がどうかしたのかい?」

まどか「えっ!!」

ほむら「こいつらは殺した所で、代わりがくるだけよ……」

QB「君たちは大したものだ。あの幻魔要塞ワルプルギスを倒してしまうのだから」

QB「だけど、地上にはまだまだたくさんの魔女がいる。君たちの戦いは終わらないね」

まどか「だとしても……皆は、私は絶対に希望を捨てないよ」

杏子「そうだ!最後の最後までアタシ達は戦い続ける!」

さやか「これまでの戦いで叩き抜かれたこの体には、平和の願いがこもってるんだ!」


マミ「今に見てなさい、インキュベーター! 全滅よ!」


これにて終了です。途中色々と不手際がありましたが、何とか完結させる事が出来ました。

拙い内容ではありましたが、支援してくれた方、保守してくれた方、ありがとうございました!

またSSスレを立てる事があったら、時間と規制に気をつけようと思います。それでは。

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