男「魔女だ!!魔女がいるぞ!」女「!?」 (15)

男(季節は秋、明日は我が大学の学祭である。)

男(私は自身が所属するサークルの出店の準備に労力を費やしていた。)

先輩「今日、妙な噂を耳にしてな。」

男「酒癖の悪い先輩の噂ですか?」

男(先輩は酒が入ると一変、何の躊躇いなしに悪行を成す。)

男(鬼の如く豪快に酒を飲み暴れ狂う姿から我が大学で人に化けた酒呑童子だと噂されているのも無理からぬ話だ。)

男(そして、昨日の夜も随分と暴れたらしい。)

先輩「違う違う!俺のことではなくて」

先輩「大学界隈で魔女が出没するらしいのだ。」

男「魔女?そんな奇怪な存在がうちの大学に?」

先輩「そうだ。」

男「でも、どうしてまた大学なんかに」

先輩「こんなご時世だ。魔法だけでは食っていけんのだろう。」

先輩「魔術だけでなく教養も身につけようなんて熱心な魔女だ。」

男「それだと魔女は学生ってことじゃないですか!!」

男「まぁ、学生にしろ教授にしろ魔女は実際に魔法を使ったんでしょう?だから、魔女が出たなんて噂が流れている。」

先輩「そのことなんだが」

先輩「これは映画研究部の話なのだが、夜、彼らが長引いた学祭の準備を切り上げ駅へ向かっていた途中」

先輩「例の魔女が空を飛んでいるところを見たと言うのだ。」

男「はぁ」

先輩「そしてだ。同じ学部生の話なのだが、学内で魔女が茂みに隠れて猫に化けて出てくるとこをみたのだという。」

先輩「この2つはどれも昨日の内に起こった出来事だ。」

先輩「まだ、魔女が大学に潜んでいるかも知れん!!」

男「放っておけばオカルト研究部あたりが真相を突き止めてくれるでしょう」

先輩「俺は。魔法と言うものにすごく興味があるのだ。」

先輩「だから、その魔女に魔法を使う術を伝授してもらいたいと思っている。」

男「そうですか。なら、一緒に捕まえにいきませんか?」

男「ちょうど出店の準備に飽きてきた頃ですし」

先輩「お前は底抜けの阿呆だな!!」

先輩「魔女を捕まえることが出来ても魔法を伝授してくれるはずがないだろう!!」

先輩「魔女の敵になってしまっては我が夢は叶えられん。奴の味方にならねばならん。」

男「では、どうやって見えざる魔女の味方になるのです?」

先輩「簡単な事だ。魔女が大学の連中に捕まったところを助けてやればいい。」

先輩「大学に通うくらいの者だ。魔女であろうと義理を果たすに違いない」

男「ハイエナが死肉を貪るというわけですか」

先輩「違う!!仮にも俺は命の恩人になるわけだぞ。もう少しマシな言い方があるだろう!!」

男「魔女が捕まるまで暇ですね」

先輩「今日中に見つかってくれればいいのだが」

――

女(季節はもう秋です。大学に植えられている木々は皆、葉を赤や黄色に染めて学内を彩ります)

女(明日は待ちに待った学祭!私は講義室を借りたお化け屋敷の最後の準備に没頭しています!)

女「明日までに間に合うといいですねぇ。」

女先輩「小道具は揃えることが出来たけど肝心の講義室が前日まで使われるっていうんだから……」

女先輩「一日でここをお化け屋敷にしろなんて無茶な話だよぉ」

「あぁ、テープが無くなった!誰か買ってきてくれ!」

女「あ、私いきます!!」

女先輩「あんたはよく働く良い子だね!」

女「いえいえ!がんばらないと!間に合わなかったら大変ですし!!」

女「それでは行ってきますね!!」

女先輩「大学の購買で売ってるからぁ」

女「は~い」

女(購買部のある食堂まで続く道は出店の準備をする学生たちで賑やかです。)

女「焼きそばに、クレープ屋さんもだすのかぁ」トボトボ

女「ん?」

女「チョコ焼きそば??なにこの店!」

「美味しそうでしょう?チョコ焼きそば!!」

女「えっと、わかりません。食べたことないですし」

「明日、食べにおいでよ!!」

女「はい!是非!!とても興味があるので」

「早く来ないと大行列で買えなくなっちゃうかもよ」

「お~い!サボってないで働け~。また怪我するぞ~」

「はい!!わかってます!先輩!」

女「お怪我なされたんですか?」

「うん、そこの看板にチョコレートが飛び出してるでしょ?」

女「はい、尖った大きなちょこれーとです」

「それ、画用紙で作ったんだけど筒状になってるから頭に被ってふざけてたの」

女「確かに被ったら大きな帽子みたいになりそうですね」エヘヘ

「でしょ!?それでね、案の定取れなくなっちゃって」

「誰か助けてぇってふらふらしてたら茂みに頭から飛び込んじゃって」ハッハッハ

女「ひえぇ!危ない!」

「茂みにいた猫が驚いてにゃーって言って驚いて逃げちゃったよ。」

「まぁ、なんとか壊さずとれたんだけどね~」

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