ほむら「自殺するわ」(85)

ほむら「まどかは概念となり、私は永遠に戦い続ける業を背負うことになった」

ほむら「でも」

ほむら「そうはいっても、結局は一人ぼっちのままじゃない」

ほむら「ずっと見ているとか言ってくれたけれど、どうせ今ごろは美樹さやかとキャッキャウフフしてるでしょうよ」

ほむら「何のために戦っているのかしら、私」

ほむら「…」

ほむら「そうだ、自殺しましょう」

ほむら「あ、自殺したらまどかに会えないと思うわ。彼女はソウルジェムが濁って死にかけの魔法少女だけを救済するでしょうから」



ほむら「ただ死ぬのじゃ面白くないわ…数百年に及ぶ私の歴史を閉じるのにふさわしい死を考えましょう」

ほむら「さてどうしましょうか…とりあえず、自殺の方法でも探しましょうか」

ほむら「自殺 方法っと…」

ほむら「ふん、ふん…」

ほむら「なるほどね」



ほむら「やっぱりインターネットは勉強になるわね」

ほむら「さっそく準備に取り掛かりましょうか」

QB「緋美ほむら。何をやってるんだい?」

ほむら「自殺よ」

QB「そうかい」

ほむら「QB、この梯子をそこに立てかけておいてくれるかしら」

QB「何をするんだい?」

ほむら「命綱よ。これから高圧電線の塔で首つり自殺をするつもりなの」

QB「へぇ、僕は君の事を常識人だと思っていたけど、随分と変わった方法で自殺するんだね」

ほむら「まどかに見せたいのよ、私の死にざまを」

QB「その、まどかってのは宇宙に居るのかい?」

ほむら「知らないわ。でも、空にはいるかもしれないわね」

ほむら「高圧電線で首を釣って火花を散らしながらブルブル震えている私を、まどかが見たら…」

ほむら「美樹さやかと一緒になって、大笑いするでしょうね」

QB「ふぅん」

ほむら「彼女は概念だし退屈でしょうから、少しの娯楽になればと思って」

QB「確かに、人の死にざまは最高の娯楽だって歴史が証明してるしね」

ほむら「じゃあ言ってくるわ。巴マミと佐倉杏子によろしくと伝えといてね」

QB「うん」

ほむら「よいしょ、よいしょ」

グラグラ

QB「あっ…鉄塔が」

ほむら「…きゃあっ!」

グシャッ

QB「倒れちゃった…」

ほむら「…」

QB「君が乗ったせいで、老朽化している支柱が倒れちゃったんだね。これはマズいよ暁美ほむら」

ほむら「…逃げましょう」

ほむら「…はぁ」

QB「この辺り一帯停電だって。とんでもない事をしてくれたね」

ほむら「悪かったわ…」

QB「死ぬなら、迷惑がかからないような所で死んでほしいね」

ほむら「…」

QB「といっても迷惑のかからない自殺なんて無いんだけれどね。死体は必ず残るし…」

ほむら「まったくね」

ほむら「待って…あるわ」

QB「?」

ほむら「死体が残らない自殺の方法、あるわよ」

QB「どんな方法だい」

ほむら「硫酸のプールに飛び込むのよ」

QB「なるほどね、確かに殺人犯が死体の処理に使ったと聞くし実績はあるね」

QB「でも、どうやって硫酸のプールのある場所に侵入するんだい。今の君は、時間を止める事が出来ないんだろう?」

ほむら「…」

ほむら「今日は自殺をするのをやめましょう」

QB「そうかい。じゃあ明日に持ち越しだね」

ほむら「さようなら、QB」



ほむら「…ソウルジェムの光で食べる夕食は寂しいわね」

ほむら「結局、私はこの世界になっても友達が居ない…」

ほむら「寂しいわ」

ほむら「思えば、今まで親友と呼べるものはまどかぐらいしか出来なかった」

ほむら「いや、まどかは本当に私の事を親友だと思ってくれていたのかしら」

ほむら「私の最高の友達とあの子は私に対して言ってくれたけれど」

ほむら「それは彼女にとって、全ての相手が最高の友達であるわけで」

ほむら「所詮は私は大多数の最高の友達の一人ってだけなんじゃ…」

ほむら「ということは、最高の友達は私や、巴マミ…佐倉杏子で」

ほむら「親友…最高の親友は美樹さやかただ一人って話もあるかもしれないわね」

ほむら「はぁ…」

ほむら「明日は、どうやって死のうかしら」

次の日

QB『魔獣が出たよ!自殺する前に倒してよ!』

ほむら「まったく…」


ほむら「…」ヒュンヒュン

魔獣「ヒィィィィィィ!」

QB「お見事だよ暁美ほむら。君は非常に優秀な魔法少女だ」

ほむら「…お世辞のつもりかしら」

QB「君を失うのは大きな損失だけど、仕方が無いね。君の意志だからね」

ほむら「あなたにしては物分かりがいいのね」

QB「そうかい」

ほむら「…」ジリジロ

QB「どうしたんだい?」

ほむら「いっそのこと、この弓とリボンで死んでみようかしら」

QB「まどかへの当てつけのつもりかい?」

ほむら「…」

QB「図星だね、まあ構わないけれど」

ほむら「弓とバット、まどかのリボンでクロスボウを作ったわ」

ほむら「これを自分に向けてっと…あとはまどかのリボンを引っ張れば弓が発射されてあの世行きね」

ほむら「うふふふ…まどかに殺されているみたい、いい気分だわ」

ほむら「…」グイッ

ギギギギ ブチッ

ほむら「あっ…まどかのリボンが切れてしまったわ」

ほむら「…チッ」

ほむら「良く考えれば、こんなちっぽけでオンボロのリボンを頼りにずっと…」

ほむら「…」ポイッ

ほむら「窓から投げ捨ててやったわ。ざまあみなさい」

ほむら「…」

ほむら「もうどうにでもなれ…」バタッ

ほむら「このままソウルジェムが濁ったら、私どうなるのかしら」

ほむら「もうまどかには会いたくないわ…」

ドンドン ドンドン

ほむら「…誰かしら」ガチャ

マミ「暁美さん、ほら…これ」

マミ「大切な親友のリボンなんでしょう?落とすなんて、とんでもないわよ」

ほむら「ああ、これ」

マミ「ほら、良かったわね」

ほむら「別に親友のでもなんでもないわ。そんなのただのぼろぼろの布切れよ」

マミ「えっ…?」

ほむら「いっそ、あなたにあげるわ。それじゃ」バタン

マミ「ちょ、ちょっと待って!暁美さん!暁美さん!」

ほむら「…」

マミ「開けて!どうしちゃったのよ!暁美さん!」

ほむら「あぁ…はぁ…」

ほむら「もう寝ましょう、まだ夕方の4時だけど」

ほむら「Zzz...Zzz...」



まどか「ほむらちゃん、私のリボン捨ててるよ!酷いよねぇ」

さやか「最低だよね」

まどか「せっかく友達にしてあげたのに、こんなのってないよね」

さやか「さすがはメンヘラ気質の女だけはあるよね。飽きたら、まったくの興味持たなくなるんだもん」

まどか「本当だよ、まあ私もほむらちゃんの事なんてどうでもいいけどさ」

ほむら「…」ガバッ

ほむら「私…なんて事をしたの…ごめんなさい…まどか」

ほむら「うっ…でもまどかも…ぐすっ…私のこと…何とも思っていないなら…ぐすっ…リボンなんてあげないでよぅ…」メソメソ

ほむら「うっ…うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」ボロボロ


ほむら「少し…ウック…落ち着いたわ…ウック」

ほむら「でも、心は…ウック…悲しいまま」

ほむら「死にたくても死ねない…このままソウルジェムを濁らせて死んだら、まどかに会ってしまう…」

ほむら「八方ふさがり…」

ほむら「…」

QB「どうしたんだい?そんな部屋の隅っこで背を向けて、不気味だよ」

ほむら「それが…」

(略)

QB「ふぅん、まどかは結局自分の事を何とも思っていないって夢を見たんだ」

ほむら「…」

QB「それはお気の毒に。僕がまどかに対して、何か言う事は出来ないからどうしようもないよ」

ほむら「…」

QB「まあそれはいいとして、また魔獣が出たよ。早く行こうよ」

ほむら「…うん」

QB「君がウジウジしている間に、魔獣は増え続けているんだから」

杏子「おい!何攻撃の手を緩めているんだよ!死んじまうぞ!」

ほむら「いっその事死んでもいいと思うわ…」

杏子「あっ…おい、ソウルジェムが…これじゃ円環の理に導かれちまう!」

マミ「ほら、今採れたてのグリーフシード。本当にどうしちゃったのよ…まどかって子と喧嘩でもしたの?」シュワワワワ

ほむら「…」

杏子「やれやれ、早く仲直りしろよな、あんたを頼りにしているんだから」

ほむら「頼りに…」

マミ「ええ、あなたが一番魔獣狩りが上手いもの」

ほむら「そうなの…」

ほむら(頼りにされても困るわ、だって私…)




ほむら「…ただいま」ガチャ

ほむら「はぁ…どうやれば死ねるのかしら」

ほむら「ビルから飛び降りても、死ねなかった。首を釣っても死ねなかった。魔獣に踏みつぶされても…結局は死ねなかった」

ほむら「…ん?」

ほむら「あら、このリボン…」

ほむら「なんであるのかしら。まさか、巴マミのおせっかいで…」

ほむら「随分と上手く刺繍されているのね、縫い目がまったくわからないわ」

ほむら「まあせっかく刺繍してもらったところ、悪いけど…」ポイッツ

ほむら「いらないわよ、こんな物」

次の朝

ほむら「ん…はぁ」

ほむら「死にたい…」

ほむjら「朝起きたら顔を洗う…これは死ぬ直前の日でも大事なことよ」


ほむら「…あれ」

ほむら「なんで昨日捨てたはずのリボンが、頭に付けられているのかしら」

ほむら「なんておせっかいな…」グイッ

ほむら「こうしてこうしてこうしてこうして…」ビリビリビリビリ

ほむら「このっこのっ」ゲシゲシ

ほむら「あああああああっ」ポイッ

ほむら「はぁ…これで巴マミも諦めるでしょう」

ほむら「…」

トントン

ほむら「誰かしら、うざったいわねぇ…」

杏子「よう!」

ほむら「あら、佐倉杏子。一体何の用かしら」

杏子「お前の悲しそうな姿見てると、こっちも悲しくなってくるからさ…」

杏子「お前のために本を買ったんだ。めっちゃくちゃ笑えるから見てみなよ」

ほむら「へぇ、頂くわ」

杏子「おう、それじゃあな」


ほむら「"自殺うさぎの本"ですって」

ほむら「ジェット飛行機のエンジンに飛び込んで死ぬ…切り倒された木に潰されて死ぬ…」

ほむら「ふへへっ」

ほむら「敬礼している軍人に中指を立てて銃殺刑される、DVDプレイヤーのトレイの穴に首を引っかけて死ぬ…」

ほむら「えへっ…えへへっ…面白いわ…」

ほむら「…彼女には何かお礼をしてから死なないと」

ほむら「はぁ…」

QB「…」ヒョコッ

ほむら「あら、QB。また魔獣?」

QB「違うよ。マミに言われて君の様子を見に来ただけさ」

ほむら「巴マミ?ああ、なら言っておきたい事があるの」

QB「なんだい

ほむら「巴マミ?ああ、なら言っておきたい事があるの」

QB「なんだい?」

ほむら「今後一切、あのぼろぼろリボンをこの家に返すのはやめて欲しいって伝えといて」

QB「…?」

ほむら「あんなもの、もうただのゴミなのだから」

QB「何かよくわからないけど、伝えとくよ」

QB「まあ君の調子が少しだけ良くなってて良かったよ。これで、明日は魔獣をまともに倒せるだろうね」

QB「それじゃあ、また明日」

ほむら「…」

ほむら「もう寝ましょう…おやすみなさい、パパママ」

ほむら「Zzz...」


「…む…ちゃん」

「でる…ほむ…ちゃ…かわ…」

ほむら「うぅぅ…」

「だき…め…たい…でも」

「…」

「じさつ…しようと…許…」

「リボ…すて…たの許さ…」

「おしおき…」

ほむら「うぅっ…うぐぅ…ごめんなさい!ごめんなさい!」

「…」

ほむら「Zzz...」

「うぇひ…どんな夢…見たのかな」

「立ち直ったら、とってもいい夢見せてあげるから…」



ほむら「…あぁ」

ほむら「死にたい」

ほむら「またリボンが…はぁ」

ほむら「なんて執念なのかしら、お人よしもいい所だわ」

ほむら「もう知らない…どうにでもすればいいわよ」


ほむら「…佐倉杏子、普段ろくなもの食べてないだろうから…」

ほむら「健康にいいお弁当でも作ってあげましょう、それでお礼は返したってことでいいわね」

ほむら「…ついでに巴マミの分も作ってあげましょう」

ほむら「…ふん」

杏子「おっいいのか!ありがとな!」

ほむら「…どういたしまして、あとあなたにも」

マミ「あら、私にも?貴方にしては、気が利くわね」

ほむら「そうかしら、でもその前に条件があるの」

マミ「…?」

ほむら「このリボンのことよ」

マミ「あら、新しいの買ったの?」

ほむら「これ…」ヒョイ

ほむら「あれ…」グイグイ

マミ「…?」

ほむら「離れない…なぜ固結びになっているの…?」

マミ「あの…」

ほむら「何てことしてくれたのよ…ふざけないで」

マミ「誰に言っているの…?」

ほむら「誰にって貴女によ…貴女以外居るかしら…」グイグイ

マミ「えっ、私?」

ほむら「どうしてくれるのよ…これじゃあ、不便じゃない」グイグイ

マミ「えっ…えっ…」

ほむら「もう知らない」ホムッ

マミ「あ、あの私のお弁当は…」

ほむら「今日も自殺…」

QB「魔獣だよ」


ほむら「じさ…」

QB「魔獣だよ」


ほむら「じ…」

QB「まじゅ」


ほむら「…」

ほむら「QB、私を過労死させるつもりなの」

QB「願ったりかなったりじゃないか」

ほむら「過労死なんて嫌よ」

QB「なぜ人間は、死んだら何も無くなるのに死に方なんてものをを選ぶんだい」

ほむら「それが人間の性よ」

QB「よくわからないや」



ほむら「結局今日も死ねなかったじゃない」

ほむら「おやすみなさい…」

ほむら「Zzz..」

まどか「ほむらちゃん、ほむらちゃん!」ユサユサ

ほむら「…」

まどか「あれ…どうしちゃったのかな?」

ほむら「…」

まどか「ねえ、私だよ?まどかだよ…?」

ほむら「…」

まどか「寝ぼけてるのかな?」

ほむら「寝ぼけてなんかいないわ」

まどか「良かったあ、やっと反応してくれた!」ギュッ

ほむら「…ベタベタと触らないで」バシッ

まどか「えっ…?」

168:ほむら「私ね、伝えたいことがあるの」 (87)
171:ほむら「戻りすぎた」マミ「貴女誰ですか?」 (130)
173:ほむら「まどかちゃん!」 (356)
220:ほむら「自殺するわ」 (57)

ほむほむ・・・

まどか「ほ、ほむらちゃん?」

ほむら「あっち行って」

まどか「あの、どうしちゃったの?私だよ?まどかだよ?」

ほむら「知ってるわよ、だから早く消えなさい」

まどか「えっ…えっ…」

まどか「私、何かほむらちゃんに悪いことしたかな…あの…」

ほむら「はやく覚めろ…はやく覚めろ…」

まどか「何だかよくわからないけど、ごめんね…ほむらちゃん」

ほむら「覚めろ…覚めろ…」


すいません、もう時間が無いのでこれで終わりにします

と思ったけど、もうちょっと頑張ってみるか

かなり急ぎ足になると思うけど、許してね

ほむら「…」

まどか「…」ギュッ

ほむら「失せなさい…」バシッ

まどか「イテテ…」

まどか「どうしちゃったの…前はこんな事無かったのに」

ほむら「自分の心に聞いてみなさいよ」

まどか「心?」

ほむら「そう、心」

まどか「えーと、うーんと…」

ほむら「ふん」


まどか「あっ、そっか。ずぅっと離れてたから拗ねてたんだね」

ほむら「へっ…」

まどか「でもさ、自殺しようとしたり…リボンを捨てるのはやりすぎだよ、ほむらちゃん」

ほむら「いや、その…」

まどか「だから、おしおきだよ…んちゅ」

ほむら「ひゃっ…やめなっ…」

まどか「朝まで、私とこうしてること。いいね」

ほむら(子の子…本当に…何を考えているのか…わから…)

まどか「うぇひひひ…」

次の日

ほむら「…」ガバッ

ほむら「久しぶりにいい夢を見たわ」

ほむら「リボンは…あら、固結びが解けてる」

ほむら「今なら、いつでも外せるわね…」

ほむら「まあ、当分の間は付けときましょうか」



終わり

ごめんね

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