マミ「お友達100人できるかな」(931)

児童1「先生さようなら~!」

児童2「さよなら巴せんせ~」

マミ「はい、さようなら。気を付けて帰るのよ」

最後の子供たちを見送ってようやく一息つくことができる
ぐっと伸びをしてからかけた眼鏡を外して目を擦ると、ふとあの日のことを思い出す

ワルプルギスの夜が来たあの日から、もう15年経った

美樹さんはワルプルギスの夜が来る前に魔女となってしまい、佐倉さんは美樹さんと一緒に死んだ
私と暁美さんで迎え撃ったワルプルギスの夜、しかし二人の力では勝てなかった
鹿目さんが契約して撃退していなければ、私はあの時死んでいたのだろう

そこで死んでおけばよかったのにと、今まで何度思ってきたことだろうか

?「ミナサンサヨナラー」

暁美さんは魔女化する前の鹿目さんのソウルジェムを撃った
そして暁美さんは――

?「イヤー、コノ星ノ子供達ハオ元気デスネ~」

マミ「……あの、あなた誰?」

いつからいたのか、当たり前のように児童用の椅子に座っていた
目の前の彼(?)は、ボウリングのピンから手足が生えたような姿をしている

?「ドウモ初メマシテ。私アナタ方ノ言葉デ言ウトコロノ、宇宙人トイウモノデス
  愛ニツイテ研究シテオリマス」

マミ「あー……QBのお仲間か何かかしら?」

宇宙人「オヤ?ソノ反応ハ珍シイデスネ」

マミ「宇宙人には一人というか、一匹知り合いがいるからかしらね
   あなたのような姿の人は初めてだけれど…」

マミ「自分でもあまり驚いてないことに驚いてるわ」

宇宙人「ソレハ、私ガコノ装置デ若干ノ精神操作ヲサセテ頂イテルカラデショウ」

宇宙人「あどれなりんノ分泌量ヲ押サエル電波を発生サテオリマス
    楽シクサセルコトモデキマスヨ」ポチッ

マミ「…ぷっ、ぷは、ふふ、あははははは!何言ってんのこの宇宙人!
   ピンみたいな癖に!あはははははは!愛とかあはははは!!」

宇宙人「元ニ戻シマス」ピッ

マミ「コホン…それで、私に何か御用かしら?」

宇宙人「ハイ、チョット窓ノ外ヲゴ覧クダサイ」

窓の外、上空、そこには夕焼け空を埋めつくさんとする無数の円盤が存在していた

宇宙人「地球制圧ハ後数分デ完了スルデショウ。巴マミサンニハ地球存続ノタメニ……」

宇宙人「愛ノ存在ヲ立証シテ頂キマス」

マミ「……意味がよく分からないのだけれど、なんのためにそんなことを?そもそも、どうして私なの?」

宇宙人「一ツズツ答エマショウ。私達ハ規約ニヨリ他種族ガ生息スル土地ニハ侵攻デキナイノデス」

宇宙人「ソシテ規定ニヨリ他種族ト認メラレルノハ相互間ノこみにゅけーしょんガ発達シタ存在
    スナワチ愛ヲ持ツ種族ノミトナリマス」

宇宙人「マミサンガ査定調査個体トシテ選ラバレタノハタマタマデス。オメデトウゴザイマス」

マミ「はあ……要するに私が愛を証明しないと人類が滅亡してしまう……
   と、まあ、こういうことでいいのかしら?」

宇宙人「飲ミ込ミガ早クテ助カリマス」

マミ「…………なんてことなの……」

昔は正義のためにと意気込んで魔法少女をしていた自分
あの頃の自分とはとっくに決別してしまい、今はもうただ生きるために魔女を狩るだけの存在
そんな自分がまた、世界のために戦わなければならないという

マミ「これが魔法少女の因果って奴かしらね……」

かつて自分が守りきれなかった仲間、町、未来……それら以上のものを今度こそ、この手で守らなければならない

マミ「いいわ、やってあげる……どうせ拒否権はないんでしょう?」

宇宙人「当然デス」

マミ「それで、私は何をすればいいのかしら?」

宇宙人「オオ!ソレデハサッソク屋上ニ向カイマショウ」

マミ「屋上?」

宇宙人「ハイ、私ノ船ヲ待タセテオリマス」

彼(?)についていき屋上へと向かう
扉の向こうには、見たこともない壮観な景色が広がっていた

マミ「わあ…綺麗ね……」

そのままゆっくりと、私は意識を失っていった

随分と不思議な夢を見た気がする
眠たい目を擦りながら、ベッドから起き上がる

いつもと違う、いや、昔使っていたような懐かしい感じのするベッドだ

ゆっくり立ち上がると、私はふと、部屋に置いてあった鏡に目を奪われた

マミ「……肌が瑞々しいわ」

宇宙人「気付クぽいんとハソコデスカ?」

マミ「きゃっ!びっくりした!」

宇宙人「マア大局的ニハ同ジ意味ナノデスカネ」

マミ「私、若返ってるんだけど!?あっ眼鏡もなくなってる」

宇宙人「ソウデス…私モ姿ヲ変えまショウカ」

そう言って彼…いや、彼女は小学生三年生、ちょうど私が受け持っている子供たちのような姿に変身した

宇宙人「この方ガコチラの世界では動きやすいですカラネ

宇宙人「そして、コノ世界でマミさんに試験ヲ受けて頂きマス」

マミ「ちょ、ちょっと待ってちょうだい……何が起こってるのかさっぱり分からないわ」

宇宙人「懐かしいデスか?マミさんが小学三年生の頃のぱられるわーるどデス」

マミ「えっ?いや、今の私、どう見ても中三の姿なんだけど……」


宇宙人「……オヤ?」

マミ「……あの、宇宙人さん?」

宇宙人「おかしいデスねえ、一番友達が作り易い時期デアル期間ヲ選んだハズなのデスが……」

マミ「友達?…どういうことなの?」

宇宙人「コノ星では子供時代に多くの友好の基盤が築かれると聞きマス
    生育期間によって心の扉の開き具合が違うのデス
    ツマリ、一番友達の作りやすい期間を選んだハズなのデス」

マミ「にも拘わらず、私は小三ではなく中三になってるのね……

マミ「それで、友達を作りやすいっていうのは、何か試験と関係があるのかしら?」

宇宙人「ソレは勿論。試験の内容は、マミさんにコノ世界で友達ヲ100人作って頂くコトデス」

宇宙人「できなかったら人類滅亡デス!」

マミ「友達を……100人も!?」

宇宙人「期間は小学校…はもう卒業してマスので、中学校を卒業するマデ」

マミ「短すぎるわよ!?もう中三なのよ!?」

???「マアマア、実ハソノコトニツイテ話ガアル」

マミ「また変な宇宙人!?なんなのよ一体!」

宇宙人「これはこれはシリウス議長直々にトハ、何事デスカ?」

シリウス議長と呼ばれた宇宙人は、やはりボーリングのピンのような姿をしており、目まで隠れるヘルメットのようなものを身につけている

シリウス「ドウヤラコノ星デハ、コノ時間ヲ中心ニ無数ノぱられるわーるどガ存在シテイルヨウデナ
     ココデ多クノ世界線ガ束ネラレテイルヨウナノジャ」

シリウス「無駄ニぱられるわーるどヲ増ヤサナイタメニモ、セッカクナノデコノ日カラヲ試験ニ採用スルコトニシタトイウ訳ダ」

宇宙人「ナルホド、そういうことデシタか。しかし不思議なコトもあるもんデスね~」

マミ(ここを中心にパラレルワールド?……きっと暁美さんのせいね、彼女が何度も繰り返しているはずだから)

宇宙人「期間はどうしマスカ?」

シリウス「中学校卒業デハ短イナ……高校卒業デイインジャナイカ?」

宇宙人「そうしマショウ…マ、高校に合格できれバ、の話デスけどネ」

宇宙人's「はっはっはっは」ゲラゲラゲラゲラ

マミ「私もう30歳なんだけど……もしかして馬鹿にされてる…?」

シリウス「ソレデハ失礼スルヨ」

そう言ってシリウスさんは窓の外へと飛び出していった

マミ「あの、ここ結構高いんだけど、あの人大丈夫なの?」

宇宙人「心配はゴ無用デス。それでは詳しい説明でもしまショウカ」

マミ「そうね……とりあえずお茶でも淹れましょうか」

そういえばこの人に地球の食べ物など与えても大丈夫なのだろうか

冷蔵庫を開けてみると、誰かに貰ったのか、買った覚えのない桜餅が入っていた

お茶を淹れ桜餅をお皿に乗せ、テーブルへと運ぶ

懐かしい台所、懐かしいテーブル、懐かしい部屋

本当に時を越えてきたのだと実感する

宇宙人「さてさて、マミさんの左腕をゴ覧ください。『かうんたー』ヲつけさせて頂いテおりマス」

マミ「この腕時計みたいなもののことね」

宇宙人「ソレを友達になりたい相手に向けて横のぼたんヲ押して『せっと』しマス
    すると親愛度が表示されマスので、ソレをMAXにして頂きマス」

マミ「親愛度がMAXになると、つまりお友達が成立する…ということかしら?」

宇宙人「流石デスネ。そういうことデス」

マミ「あなたは……私の味方なの?」

宇宙人「私は科学者として客観的ニでーたを取るだけデス。よって味方トハ言えまセンので、中立的な立場にありマス」

マミ「なるほどね……私がいるこの世界は、私の過去の世界なの?」

宇宙人「正確ニハたいむわーぷではなく、あったカモしれナイぱられるわーるどデス」

マミ「そう……なら、ここで何かを変えても私の世界には何の影響もないってことになるのかしら?」

さくら「ソノ通りデス」

マミ「でも、変えられるかもしれないのね…あの悲劇を……
   暁美さんが今も戦っているのかもしれない、あの悲劇を」

ワルプルギスの夜…あれと戦いその力を知っている今でも、勝てるかどうか分からない

どうにかできるのだろうか、この私に?

でも……例え私の世界が変わらなくても、暁美さんが選んだ世界に

できるのなら

せめて平和をあげたい

私が手に入れられなかった平和を、この手で

マミ「そういえば、あなたお名前はなんていうの?」

宇宙人「コレは失礼、自己紹介がまだデシタネ……ところで、コノ食べ物はなんという名前なのデスカ?」

マミ「それ?それは桜餅よ……確か道明寺の……だったかしら?」

宇宙人「ふむ、ナルホド……アリガトウゴザイマス」

マミ「それがどうかしたの?」

さくら「では、私の名前は道明寺さくら、というコトニしておきマショウカ」

マミ「今名付けるのね……」

マミ「道明寺さん…は、これから私と一緒にいることになるのかしら?」

さくら「できるカギリ一緒ニいることデショウ」

マミ「ふんふん…これを相手に向けてセット……」

さくら「マア実際にやって実物ヲ見た方が早いデスよ」

さくら「ソレデハ、私は帰りマスので、マタ明日オ会いしまショウ」

マミ「ちょっと待って!その前に……」

さくら「まだ何か?」

マミ「私の最初のお友達になってほしいの」

さくら「オオ!そういう反応も珍しいデスネ!」

マミ「これを道明寺さんに向けて……セット!」カチッ

ボタンを押すと画面に渦が現れる
両端から始まる二つの線は渦となって中心に向かって繋がっており、線をなぞるように光っている部分がある

さくら「左カラ始まる渦ノ光がマミさんから私への愛、右カラの光が私からマミさんへの愛デス」

さくら「中心に近づくホド、親愛度は高くなりマス」

マミ「私の光は少ししかないのに、道明寺さんの光は中心まで届いてるわね」

さくら「私、結構愛情深いんデス」

マミ「これがお互いに中心まで光ったらお友達成立、なのね…」

さくら「マアマア、時間はあることデスシ、ゆっくり友達ニなっていけばいいのデスヨ」

マミ「……ありがとう」

さくら「?」

マミ「一ヶ月後、ワルプルギスの夜が来るの……あの悲劇がまた繰り返されるかもしれない
   また皆が悲しい思いをするかもしれないのよ」

マミ「私はそれを、黙って見過ごすわけにはいかない!例えパラレルの世界だろうと、今度こそ、どんな悲劇も起させない……」

マミ「私一人では無理でも、仲間たちとなら一緒に戦えばきっと勝てるはず」

マミ「ありがとう道明寺さん、私にチャンスをくれて!これは人類を守るだけの戦いじゃない!私の運命を変える戦いでもあるの!」

マミ「だから、ここに連れてきてくれて本当にありがとう!!」

ピピピピ

マミ「私と、お友達になってください」

その瞬間、腕の機械に光が走り、カッと眩しく光った

マミ「……これからよろしくね、道明寺さん。私、あなたと出会えてよかったわ……」

さくら「……」ワクワク

さくら「ハイ、喜んで」

固い握手を交わす
その手は小学三年生とは思えないほど大きくなっていて、まるで同じ年のような……

マミ「――って、いつの間に成長してるわけ?」

さくら「流石に小三ノ格好デハ中学校に通えませんカラ」

マミ「転校してくる気満々なのね」

さくら「ところで、わるぷるぎすトハ一体何なのでショウカ?いまいちよく分からナイのデスガ…」

マミ「ああ、そうねえ……まずはそこから説明しないといけないみたいだけど……」

マミ「まずはQBを呼びましょうか」

マミ「久しぶりねQB。最近はグリーフシードを回収してもらう時くらいしか会ってなかったから」

QB「何を言ってるんだいマミ?昨日は僕と一緒に晩御飯を食べていたじゃないか」

マミ「……ホント、あの頃の私は何も知らなかったのよね、QB……

マミ「いえ、インキュベーターだったかしら?」

QB「……へえ、その情報をどこで手に入れたんだいマミ?」

マミ「そのことを説明するには、道明寺さんと一緒に話した方がいいかしら」

さくら「おやおや、コレは本当に珍しいデスネ…こんな星で私達以外の宇宙人に会うトハ……」

QB「……一体どういうことなんだい、マミ?そこにいるのは人間じゃないようだね」

マミ「あら?QBには分かるのね」

さくら「アナタは一体どうしてコノ星に?」

マミ「そうね、それも含めて、まずは三人で現状を整理しましょうか」

私達は現状を話した

私が未来から来たこと、私がQBの正体や魔法少女の真実を知っていること

道明寺さんの目的、そのために私が友達を作らなければならないこと

QBたちは宇宙のために効率のいいエネルギーを探し魔法少女のシステムを作ったこと

魔法少女と魔女、そのカラクリ、そしてワルプルギスの夜の生む悲劇

ただし、暁美さん達のことは上手くぼかして話した
QBならいずれ気づいてしまうだろうが、それは今ではない

マミ「こんなところかしら?」

さくら「なんと酷いオ話なのデショウ」ホロリ

QB「なるほどね…それでマミは色々と知っているわけだ」

マミ「QBには悪いけれど、あなたの思うようにはさせないから」

QB「まあ、未来になってもノルマ回収は済んでいないようだから、
  そうなると僕としてもマミには試験に合格してもらわなければならないわけだね」

QB「つまり、僕はむやみに君のマイナスになるようなことは極力しない方がいいのかな」

マミ「できればそれが一番助かるわね」

今日はこれでお開きになった
懐かしいベッドに横になって、暗い天井を見つめながら思う

絶対に悲劇は繰り返させない

地球も、きっと救ってみせる

マミ「お友達100人、できるかな」

━現在友達1人━

翌日

マミ「艶やかな髪と水晶の歯に曇りなき瞳…
   肌のハリツヤだけでなく15年の歳月がこんなにも私を蝕んでいたなんて……恐ろしいわ」

マミ「それに、当たり前だけど制服も着ないといけないのよね…中身は大人だというのに」

いそいそと着替えているとまるでコスプレでもしているかのような気分になったが、着替え終わった姿を鏡で確認すると、そんな気持ちも吹き飛んだ

マミ「うわー、ほんとに懐かしいわ……ちょっとテンション上がってきちゃったかも」

ピンポーンとチャイムの音がする
こんな朝から一体誰なのかと思いながら確認すると道明寺さんが制服姿で立っていた

さくら「オハヨウゴザイマスマミさん」

マミ「おはよう道明寺さん、随分と早いのね」

さくら「お隣デスカラ」

マミ「えっ!?」

外に出て標識を確認
いつの間にか住みつく準備まで整えていたようだ

さくら「あとスイマセン、ちゃいむ壊しテしまいマシタ」 ボロー

マミ「どんな力で押したのよ!?」

学校に着くと、今までの思い出が少しずつ蘇ってきた
ここでまた過ごすことになるのかと思えば、少しの楽しみとそれ以上の不安が押し寄せてくる

さて、そういえば私のこの教室での友達といえば……

?「おっはようマミちゃん、元気してる~?」

マミ「あっ、あ~、ええっと……氷室!氷室まつりさんよね!そうよ思い出したわ!うわ~懐かしい~!」

氷室「何?ボクのこと忘れちゃってたの?」

マミ「ううん、ちょっと懐かしくって……」

氷室「???」

マミ「それより、さっそく…セット!」カチッ

親愛度を示す光は順調に中心まで届き、無事友達成立となった

マミ「ありがとう氷室さん!やっぱり私達はお友達よね!」ガバァ

氷室「何言ってんのマミちゃん…やっぱおかしいよ?」

少しづつ思い出してくる…他に二人ほど仲のいい子がいたはずだ

マミ「セット」カチッ カッ

倉橋「おっはー巴~…今なんか光った?」

マミ「セット」カチッ カッ

天野「おはようマミ…なんか光らなかった?」

マミ「……ありがとう二人とも~!私達お友達よね!」ダキッ

天野「えっ…いきなりどうしたの?」

氷室「さあ?なんか来てからずっとこんな調子で」

倉橋「ふーん、まあいいけどさ。おい西村ー、ジュース買ってこいよー」

そんなこんなで、朝のホームルームが始まった

先生「はい、今日はみんなに転校生を紹介する」

さくら「道明寺さくらト言いマス。どうぞヨロシクお願いしマス」ペコリ

\カワイクネ?/ \ヘンナナマリアルネー/

見た目は普通の中学生だが……その正体はへんてこな宇宙人であることを知っているのは私だけだ

\ダレカコエカケロヨー/ \オマエイケヨー/

ああ、それにしても教室の空気が若い……

この空間に年上ではなく同学年としていることに、とても違和感を覚えてしまう

いつか慣れる日が来るのだろうか

━現在友達4人━

道明寺さんは私の後ろの席になった
やがて授業が始まり、しばらく静かな時間が訪れる

一時間目は英語だった

マミ(この人は確か……英語の、えっと……早乙女!早乙女先生ね!)

……それにしても、既に学力が身についてる私には授業を聞く意味が全くないというのは、どうにも面白くない

授業の仕方を参考にして学ぶというのはどうだろうか?

早乙女「つまり、関係代名詞とはある名詞がどんなものであるかを文で説明するときに使う接続詞なんですね。それから――」

マミ(早乙女先生の授業は結構分かりやすいわね……参考にしようかしら)

早乙女「例えば、『私は嫌味を言った彼をビンタしました』という文章ならば――」

マミ(……あぁ、少し思い出してきたたわ)

早乙女「とにかく!女子の皆さんはそういうなんでもかんでも塩じゃないと駄目だと文句を言うような、
    嗜好の偏った男子と交際してはいけませんよ!」

マミ(自分の恋愛事をよく絡めてくる人だったわね)

早乙女「男子の皆さんも、そういう偏見を持った大人になってはいけませんよ!」

マミ(まあでも、分かりやすいし授業が面白いのは事実よね……私にはちょっと真似できそうにないけど)

コツン
マミ「ッ!……?」

ふと、頭に何か軽くぶつかった
どうやら左隣の席から投げられてきたらしい丸まった紙だった……投げたのは当然隣の席の子だ

その子は手を合わせて謝りつつ、この紙を私の右隣の人に渡してほしい様子だ

マミ(えっと……誰だったかしらこの人、中三の時はあんまり話したことなかったはずよね?名前は…………)

マミ(駄目だわ、周りの皆はあだ名で呼んでたから全く思い出せない……)

マミ(こっちの人も……あだ名しか覚えてないわね…どうしようかしら)

そっと紙を渡しながら考える

そういえばこうして二人に挟まれて良く授業妨害をされていた
当時の私は怒りこそしなかったものの、少しイラついていたかもしれない

マミ(でも、決して悪い人たちじゃなかったはずよね……お友達に、なれるかな…?)

こんなことを考えている間にも私の頭上を紙が行ったり来たり、たまに当たったりしているわけだった

さて、どうしたものか……

キーンコーンカーンコーン

?「いやあ、ごめんごめん。ちょっと手元が狂っちゃって」

?「気をつけなきゃダメっすよ、ラブやん。すいませんね、巴さん」

マミ「いいのよ、気にしないで」

ラブやん「いやいや、みのっちだって二回くらい当ててたし」

マミ「でも、授業はちゃんと聞いた方がいいわよ。将来苦労することになるって、大人になってから思うのよ」

ラブやん「おお、なにやら上から目線な大人な発言……成長しているのは胸の脂肪だけではなかったということね」ジトッ

マミ「もうっ、からかわないでよ!そんなことより、私が仲介してあげるから投げるのは勘弁して頂戴」

みのっち「それは助かるっスね。これからは巴さんも仲間っスよ」

マミ「んー……仲間というよりは、」

マミ「お友達になりましょう」

ラブやん「フゥ~何を言ってるの…私達はすでにこの教室で同じ釜の飯を食い同じ空気を吸い日々を過ごす烏合の衆…!
     その先にある未来は…オオ、輝かしい栄光への花道なのでは!?」

みのっち「よく分かんないっスけど、烏合の衆は違うと思うっス」

ラブやん「とにかく!私達はすでにお友達になっているのではないかしら!?ということよ!!」

マミ「な、なるほど……そういうものなのかしらね?じゃあさっそく…セット!」カチッ

キーンコーンカーンコーン
みのっち「じゃあ次の授業はよろしく頼むっス」

ラブやん「ほんじゃねー」

マミ「……あら、おかしいわね…?」

親愛度は私が7割、ラブやんが5割といったところだった

マミ「お友達になれたと思ったのに」

さくら「そう簡単ニハいきマセンよ」

さくら「どうやら私も含めテ四人ハ一気に友達になったカラ勘違いしたのカモしれマセンガ、これが本来なのデス」

さくら「言葉だけノ友情デハなく、心で繋がってコソの友達デス。ユックリ近づいてイケバいいのデス」

マミ「そうよね……お友達って、そういうものよね」

ならばこれからどうすれば友達になれるのか考えなければならない

しかし、結局何も思い浮かばないまま放課後になってしまった

マミ(ちょくちょく話してみてもなかなか親愛度は上がらないわね…どうすればいいのかしら)

倉橋「じゃあね巴ー、あたし西村達と野球してくるわー」

天野「あたしは部活行かなきゃ」

氷室「ボクもワンゲルに呼ばれてるんだった」

マミ「さようなら」フリフリ

さくら「オヤ、というコトは、マミさんは帰りハいつもオ一人だったのデスカ?」

マミ「そうだったわね。まあ魔女退治もあったから仕方ないんだけど……」

さくら「ウゥ、ナルホド寂しい時代ヲ過ごされてイタのデスネ」ホロリ

マミ「そんな可哀相な目で見ないでよ……別に寂しくなかったわよ」

ラブやん「みのっち帰ろー、帰りにアメリカン寄ってかない?」

みのっち「またっスか…相変わらずチャレンジャーっスね」

マミ(そういえばお友達と放課後どこかに遊びに行くなんてこと、全然してなかったわね……)

マミ「あの、二人とも……」

ラブみの「?」

マミ「その、私も、たまには一緒に帰ってもいいかな~?なんて、思ったり……」

ラブやん「別にいーんじゃない?あっ、さくらちゃんも一緒に来る?」

さくら「オオ!私モ連れて行ってくだサルのデスネ?」ワクワク

ラブやん「決まりね…皆でアメリカンに挑戦するわよ!」グッ

みのっち「なるほど、それは名案っスね」ギラリ

マミ「ありがとう二人とも…ところで、そのアメリカンってなんなの?」

ラブやん「フフン……それは行ってからのお楽しみよ」ニヤリ

数十分後、私は地獄を見ていた……

私が頼んだ『アメリカン牛たたき』は見るも無残な姿の……
道明寺さんは、この不可思議かつグロテスクな料理を異様に喜んでいて、なぜか店長らしき人に気に入られていた

ラブやんとみのっちは、普通っぽい料理を喜々として食べ続けていた

マミ「うっぷ……なんて危険…いえ、デンジャラスなお店なのかしら…」

さくら「どちらも同ジ意味デスヨ。いやー、トッテモいいお店デシタネ!是非また今度行きマショウ、マミさん!!」

マミ「絶っ対に無理!」

ラブやん「いやあごめんごめん、いきなりあんなレベルの高い料理に挑戦するとは思ってなかったからさー」

みのっち「知ってて黙ってたくせによく言うっスね」

ラブやん「セイッ」プルリ みのっち「目がッ!」

マミ(でも、こうやって誰かとはしゃぐのって久しぶりな気がするわね……大人になってからは騒ぐことなんてなかったし)

ラブやん「じゃあねー今日は楽しかったわ」

みのっち「今度は普通の料理食べにまた皆で行こうっス」

マミ「え、えぇ……私も今日は楽しかったわ…さようならラブやん、みのっち」

ラブやん「おっ?やっと呼んでくれたね」

マミ「?…何のこと?」

ラブやん「何って、あだ名よあだ名!マミちゃんったら全然呼んでくれないんだもの」

みのっち「皆呼んでるから抵抗ないかと思ってたっスよ。やっぱり呼んでくれた方が嬉しいっスね」

ラブやん「オオ、夕日をバックに何やら溢れんばかりの力を貰っている気がするわ…これが友情パゥワーってやつなのかしら!?」

ピカッ

マミ「みのっち、ラブやんが何を言ってるのかよく分からないのだけれど……」

みのっち「面倒なので突っ込みはなしっスよ?」

マミ「あらっ、いつの間にか友達になってる…?」

さくら「オメデトウゴザイマス、マミさん。元々好意を抱かレテいたようデスシ、今日ノ交流で一気ニ距離が縮まったようデスネ」

マミ「気が付いたらお友達になってる、のね……」

さくら「コレが友情ぱわーなのデスネ!」

マミ「感化されてるわよ」

みのっち「さて、あたしらもそろそろ帰るっスかね」

マミ「みのっちにも…セット」カチッ ピカッ

ラブやん「また明日ねー」


ラブやん「ところでみのっち、なんで体育会系みたいな口癖なわけ?一応同学年なのに」

みのっち「これが私の個性っスから」

ラブやん「ソ、ソウデスカ……」

マミ「……そういえば」

さくら「どうかシマシタ?」

マミ「二人の本名って結局何だったかしら……」

さくら「ズコー!」

マミ「古いわよ、それ」

さくら「まあ結果おーらいトいうやつデスネ…しかし一日で一気ニ5人も成立トハ、カナリノはいぺーすデスネ」

マミ「そうね、これなら100人も夢じゃない気がするわ!」

さくら「果たシテそうウマクいきマスかね……」

━現在友達6人━

翌日

マミ「あっ」

さくら「?ドウカなさいマシタカ?」

さやか「はっはっはー。まどかはあたしの嫁になるのだー!」

まどか「もう、さやかちゃんってばー」

仁美「まあ、いけませんわお二人とも」

キャッキャキャッキャ

マミ「……よかった…二人とも、ちゃんと生きてるのね……」グスン

さくら「ナルホド、ゴ自分に一緒に登校されるオ友達がいなかったコトを後悔なさっているのデスネ」ホロリ

マミ「違うわよ!……でも、ほんとによかったぁ……」

一週間後、暁美ほむら転校予定日の前日

マミ「はぁ……」ズーン

さくら「ドウカされマシタカ?何ヤラ暗い顔をしておりマスガ」

マミ「ちょっとね、今セットしてる子なんだけど……なかなか親愛度が上がらなくって」

さくら「どの方デスカ?」

マミ「委員長のメテ・ルーさん。帰国子女で成績も優秀
   ちょっと喋りが変だったり子供っぽい見た目だったりするけど、美人だから結構男子からの人気もあるのよ」

さくら「ナルホド…親愛度はマミさんが6割、ルーさんが3割といったところデスカ」

マミ「一緒に帰ったりお昼食べたり休み時間に話しかけたり、結構友達っぽいことしてると思うんだけどなあ……」

さくら「私ハ中立の立場なのでアマリ言イたくはありマセンガ、『友達』とシテ言わせて頂くナラ……」

さくら「マミさんの態度ニ少々問題がアルのデハないデショウカ」

マミ「私に?」

さくら「ソウデス。これ以上は言えマセンガ、モウ一度よく考えてみた方が良いト思いマス。何度も言いマスガ、ゆっくりでよろしいのデスヨ」

マミ(そうはいっても、もうすぐ暁美さんが転校してくるはず。そこから全てが始まるのだとしたら、うかうかなんかしていられないわ)

放課後

マミ「ルーさん、一緒に帰らない?」

ルー「ああ、別にかまわんが、そのルーさんというのはやめれ……普通に委員長で頼む」

マミ「ごめんねル…委員長」

マミ「じゃあ皆で帰りましょうか……って、あら?道明寺さんは?」

ラブやん「ああ、なんか見たいテレビがあるとか言って真っ先に帰って行ったわ」

マミ(道明寺さん、友達を作りやすいように気を使ってくれたのかな?)

ラブやん「じゃあ、あたしらこっちだから」

みのっち「また明日っス」

マミ「さようなら…さ、私達も帰りましょうか」

ルー「……そうじゃな」

マミ(暁美さんの転校日は確か明日のはず…なんとしても今日中にルーさんと友達に……)

ルー「なあマミ、一つ聞いてもいいかの?」

マミ「あら、なあに?」

ルー「何をそんなに焦っておるのじゃ?」

マミ「焦って…?私が?」

ルー「何か分からんが、私にはマミが随分焦っているように見えるというか、全然別のことばかり気にしているように見えるのじゃ」

ルー「それがどうして私と一緒にいようとしてくれることに繋がるのかは分からんがな……」

ルー「マミと話したり遊んだりするのは楽しいが、こっちをちゃんと見てくれんと、どうにもむず痒くてな」

マミ「あっ……」

ルー「良く分からんが、あまり無理をする必要はないと思うぞ…まあ、言えない理由があるんじゃろうが……な」

言い返せなかった

元々委員長を選んだのだって、人気があったから誰とでも友達になれるのではないか、という安易な理由だけだ

一緒にいても、委員長と本気で接したことなどなかったのかもしれない


ならば、私も本気で接する必要があるということ

マミ「……ねえ、委員長ってさ」

あれは昨日の夜のこと、魔女退治をした帰り道で、偶然ジョギングをしていた委員長を見かけたのだ
そして今まで一緒に食べた時に見た昼食が、全て控え目だったこと

これらのことを顧みれば、彼女が今何をしているかは明白である

マミ「ダイエットしてるでしょう?」

ルー「なっ…!?どうしてそれを!?」

マミ「お昼御飯はパン一個だし、それに夜はジョギングしてるみたいだし」

ルー「そんなことまで!?……ま、まあ、白状すると、そうじゃな。確かにしとるよ」

マミ「フフッ、やっぱりね」

ルー「笑うなー!マミはスタイルが良いからそんな風に笑えるんじゃ!」

マミ「えっ?そ、そんなことないわよ?///」

ルー「ヌヌゥ…自覚のないところがまた腹立たしい……」

マミ「本当だってば!……ちょっとこっちに来て」

物陰に隠れて、私はおもむろに委員長の腕を取ってお腹を掴ませた

ルー「えっ!?……あれ、意外と…柔らかい?」ムニィ

マミ「ね?///……その、ちょっと最近、甘い物食べすぎて危ないかなって思ってたのよ」

将来的に危ないことになることはなかったが、それでもやはり気になる物は気になるのだ

ルー「まさかじゃ…マミは胸以外に脂肪がいかない生き物かと思っとったぞ」

マミ「そんな生物いるわけないでしょ!もうっ!」

マミ「とにかく、ものは一つ相談なんだけど……」

その夜

マミ「お待たせ!家が近くてよかったわね……」

マミ「それじゃあ、張り切って走るわよ!」

ルー「そんなに気合入れると途中でばてるぞ……」

マミ「大丈夫よ、これでも結構運動には自信あるんだから」

これからできるだけ毎日、委員長のジョギングに付き合うつもりだ

その中で、心を開いていけたら、きっと友達になれると思うから……

魔法少女のことは、まだまだやりようはあるはずだ

とにかく今は、委員長と本気で向き合うことだけを考えようと思う

マミ「はぁ……ちょ、ちょっと待って委員長……はぁ、はぁ……」

マミ「ちょっと休んでいかない?」

ルー「早っ!?まだあんまり走っとらんぞ」

マミ「悪いけど…はぁ……あとから追いつくから、先に行っててくれない?」

ルー「……分かった、この先の公園で待っとるぞ」

マミ「フゥー…………さてと、こんな時にまで出てこないで貰いたいわね」シュパァァン

やはり魔女だった

ここで委員長を戦いに巻き込むわけにはいかない

vs芸術家の魔女

マミ「さっさと片付けてあげるわ!」

思っていたよりも、あっけなく蹴りがついた

長年の経験は、魔女を倒すのに必要十分な魔力を使った戦い方を教えてくれる

戦闘時間も、昔とは比べ物にならないほど早くなったと思う

マミ「ま、こんなところね」

それほど長い時間はかからなかったおかげで、委員長にも怪しまれずに済みそうだ

マミ「早く委員長のところに行かなくっちゃ……」

ルー「その必要はないぞ」

マミ「いっ、委員長!?どうして戻ってきて……」

ルー「何か隠しとるのは分かっとったからな
   マミのこと何か分かるんじゃないかと思って戻ってきてみれば……」

マミ「……ごめんなさい」

ルー「なんで謝るんじゃ?マミはあの化け物から街を守っとるんじゃろ?
   人にはとても言えそうにないし、仕方なかろう」

マミ「でも」

ルー「昼のことは気にせんでほしい、私もちょっと言い過ぎた…すまん」

マミ「……ううん、本気で言いたいことが言えるのはお友達の特権だもの
   委員長のことを見る余裕がなかった、私が悪かったのよ」

ルー「………まあ、なんじゃ、その……」

ルー「走るか」

マミ「……そうね」

またしばらく走った後、私達は集まった場所に戻ってきた

ルー「フゥ~、今日はこんなもんかの。誰かと走ると手が抜けんからいいのー」

マミ「確かに…私一人だったら絶対に諦めてたわね」

ルー「しかしあれじゃな……揺れとったな~」

マミ「何が?」

ルー「いや、別に」

ルー「じゃあ、私は帰るが…あのことは、やっぱり言わん方がいいんじゃろ?」

マミ「そうしてくれると助かるわ」

ルー「そう心配そうな顔をするでない。友達の秘密は守るのが当り前じゃろ?」

ピカッ

ルー「うおっまぶし!なんじゃあ今の光はぁ!?敵か!?」

マミ「……さあ、なんなのかしらね……」グスン

ルー「どうしたマミ、なぜ泣いておるのじゃ…?私なんかしたか?」

マミ「ううん、違うの…なんでもないのよ……」

こうして私達は友達になった
勿論これからも、ランニングには付き合うつもりだ
きっとそれが友達だと思うから……


さくら「マミさんマミさん、ポ○モンって面白いデスネ!今度一緒ニげーむを買いニ行きマショウ!」

マミ「…あれ、気を利かせたんじゃなくて本当に見たいテレビがあっただけなの!?」

━現在友達7人━

暁美ほむら転校の日、放課後

さくら「それで、一体コレカラ何が始まるんデス?」

マミ「ここが全ての始まりだったの、もうすぐ鹿目さんと美樹さんが魔法少女に関わる事件が起こるはず
   だから二人を見失わないように後をつけていたのに……」

マミ「道明寺さんのせいで見失っちゃったじゃない!いろんなものに目を奪われすぎよ!」

さくら「いやハヤ、スミマセン。コノ星にはトテモ珍しい物が沢山あるものデスカラ……
    思わず色々買ってしまいマシタ!」ズラー

マミ(QBには出歩かないように言ってあるから暁美さんに襲われることはないはず
   だから二人がQBの声を聞いて迷い込むことはないけれど、もし使い魔に襲われるようなら、私が……)

「きゃああぁぁぁああぁああああ!!!!」

マミ「!出たわね、使い魔!」

まどか「なんなのこれ…」

さやか「ヤバいよこれ、早く逃げよう!」

マミ「そこまでよ!二人とも動かないでね!!」シュパアァン

まどか「誰?」 さやか「変身した!?」

所詮使い魔だ、苦労することもなくあっさり倒すことができた
暁美さんはまだ来ていないようだ

さやか「なんだったんだ今の…」

さくら「うおおお!格好いいデス!私、始めてマミさんが魔法少女とシテ戦う雄姿を見たのデスガ、感動しマシタ!!」

まどか「マミさん…?」 さやか「魔法少女…?」

マミ「二人とも、怪我はない?
   ……あっ…うぅっ、良かったぁ、やっぱり生きてるんだぁ…」グスッ

まどか「ええっ!?あの、どうして泣いてるんですか!?あなたが助けてくれたから、何とか無事だったんですけど……」オロオロ

さやか「えっと、大丈夫ですか?そっちの人も、とりあえず慰めてあげてくださいよ!」

さくら「まあまあ、クヨクヨすんなよ」バシバシ

さやか「えぇ~、適当だなぁ~…」

二人がまだ生きていることは確認をしたから当たり前なのに、こうして会話をしただけで、思わず涙がこぼれた

ここ数日何度も話しかけようと思ったが、ずっと勇気が出せずにいたままだったから

結局今日二人を追いかけようやく話すことができて、やっぱり私は泣くことを止められなかった

ほむら「一体どういうことなの?QBもいないし、巴マミはそこで号泣しているし……」

まどか「あ、ほむらちゃん」

さやか「転校生まで!?っていうかなんなのその格好?コスプレ?」

マミ「暁美さんも無事だったのね~~!」グスン

ほむら「!?……どういうこと、どうして私の名前を知っているの?」

まどか「ほむらちゃん、この人と知り合いなの?」

ほむら「……いいえ、会ったことはないわ。その人の勘違いじゃないかしら」

さくら「そうなのデスカ?マミさん?」

マミ「……そうね…この世界では初めましてよね」フキフキ

まどか「あの、もう平気ですか?」

マミ「ありがとう鹿目まどかさん、それに美樹さやかさんも」

さやか「どぇ!?なんであたしらの名前まで!?」

マミ『暁美さん、聞こえてるでしょう?』

ほむら『……あなた、一体何者なの?本当に巴マミ?』

マミ『勿論そうよ。私のことを知りたかったら、後で話しましょう……夜の見滝原公園で待ってるから』

ほむら『その間に、二人を魔法少女に勧誘するつもりなの?』

マミ『そのことは、とりあえず保留にしておきましょう。私から誘うつもりはないわ』

ほむら『信じられないわ……一つだけ聞かせて。あなたは…私の敵なの?』

マミ「味方に決まってるでしょう……」

まどか「えっ?」

マミ「いいえ、なんでもないわ。とりあえず、二人とも今日は家に帰った方がいいわよ」

さやか「でも」

ほむら「大丈夫よ二人とも、その人はあなた達の味方らしいから」

さやか「いや、転校生に言われてもなんか信じられないっていうか…その前にこの状況について説明してよ!何がなんやらわけ分かんない!」

マミ「軽く説明すると……私達は魔法少女、世界に絶望を振りまく魔女を退治しているのよ」

さやか「まっさかー……さすがに嘘ですよね?」

まどか「でもさやかちゃん、さっきの見ちゃったら嘘とは思えないよ」

さやか「そりゃまあ確かに……」

マミ「信じるも信じないもあなた達次第よ
   どうしてももっと詳しく知りたかったら、明日放課後に、校門で待ってるから」

ほむら「!やはりあなたは……」

マミ「そこで全てを話してあげるわ……全てを、ね」

ほむら「……あなたがそのつもりなら、私も容赦しないから」ヒュン

さやか「あれ?転校生どこ行った?」

さくら「コレはスゴイ!瞬間移動してしまいマシタ!魔法少女とは本当に面白いデスネ」

まどか「ほむらちゃん…」

マミ「じゃあ、二人とも家まで送って行ってあげるから」シュパァン

まどか「あっ、同じ学校の人だったんですね」

マミ「ええ。見滝原中の三年生、巴マミよ。こちらが同じクラスの道明寺さくらさん」

さくら「ドウゾよろしくお願いシマス」

まどか「お二人とも先輩だったんですか…私、鹿目まどかです」

さやか「あたし美樹さやかっていいます!って、なんだか私達のこと知ってる風でしたけど……」

マミ「勿論知ってるわ。だって……」

言いかけた口を閉じてしまった
ここで未来から来た事を言うのはまだ早い、暁美さんとしっかり話し合ってからにしなければ

マミ「それは秘密。明日、もしかしたら教えてあげるかもね」

さやか「ええー、もしかしたらって何ですか!」

マミ「いろいろと事情があるのよ。さ、二人とも帰りましょう!」

夜、見滝原公園

マミ「あら、随分と早かったわね。じゃあ道明寺さん、悪いんだけど二人っきりにしてもらえないかしら」

さくら「分かりマシタ、健闘をオ祈りしておきマス」スタスタ

ほむら「……彼女は何者なの?夕方にも一緒にいたけれど」

マミ「ふふ、ただの友達よ……そんなに殺気を放たないでよ、私は何も争うつもりはないのだから」

ほむら「単刀直入に聞くわ…あなたは誰なの?」

マミ「見滝原中の三年生巴マミ、QBと契約した魔法少女……と、ここまではあなたの知っている通りの巴マミよ」

マミ「ただし、中身は私であって私じゃない……私は15年後の未来から来たの」

ほむら「!?何を言ってるの……ふざけると容赦しないわ」チャキ

マミ「一ヶ月後、この町にワルプルギスの夜が来るでしょう?」

ほむら「そんなもの、調べればいくらでも知ることができるわ」

マミ「あなたの能力も知っているわ、時間遡行の魔法よね?それに、時間停止ではとても私に勝ち目はない……」

ほむら「…………」

マミ「ふぅ~、今になって暁美さんの気持ちがよく分かるわ
   確かに『未来から来た』なんて言っても全然信じてもらえないわね」

ほむら「?そんなこと、私は言ってな――」

マミ「私の世界では言ってくれたわ……魔法少女の、カラクリと一緒にね」

ほむら「なっ!?」

マミ「ソウルジェムは私達の魂の器。魔力が尽きるか絶望が溜まり完全に濁りきってしまえば、私達は魔女になる」

ほむら「……QBに、聞いたのね…?」

マミ「この世界のQBではないわよ…それに、実際に美樹さんが魔女になってしまうところも見たわ」

ほむら「バカな…ありえないわ、そんなこと……そんなこと、不可能に決まってるじゃない!」

マミ「暁美さんが今から一ヶ月後の未来から来た事も、どうして戻ってきているのかも勿論知ってるわ」

ほむら「えっ…?」

マミ「鹿目さんを救うため、よね」

ほむら「…………」

随分と長い沈黙が流れた

暁美さんは途中から俯いたまま、じっと動かなかった

ほむら「……仮に…仮にその話が本当だとして、どうしてその話を私にするの?あなたの目的は何?」

マミ「一つはあなたと同じ、一ヶ月後の悲劇を防ぐため」

マミ「そしてもう一つは、暁美さん……」

マミ「あなたともう一度お友達になるためよ」カチッ

ほむら「……何を言ってるの?」

マミ「少し、昔話をしましょうか…暁美さんは、もう覚えていないかもしれないけれど……」

~~~~~~~~~~
とある時間軸にて

街は水に浸り建物はすべて崩壊して、元々そこに街など無かったかのような壊滅状態だった

私は絶望に打ちひしがれながら、暁美さんが孵化しそうな鹿目さんのソウルジェムを破壊するところを見ていた
やがて、顔をぐしゃぐしゃに濡らした暁美さんが私のもとに歩んできた

泣いているせいなのか雨のせいなのか、声を聞くまでは分からなかった

ほむら「あなたのソウルジェム…もはや濁りすぎていつ魔女になってもおかしくないわ」

やっぱり、泣いていた

ほむら「だから…そうなる前に私が、壊してあげる……」

マミ「暁美さんは……暁美さんは、どうするつもりなの…?」

ほむら「私は繰り返す…もう一度やり直す……だからきっと、この世界から私はいなくなるわ」

マミ「そうだったわね…暁美さんなら、こんな結末を、変えられるのよね……」

ほむら「早くして……これ以上は限界のはずよ」

私は、そっとソウルジェムを差し出した

ほむら「必ず、次の世界ではこの結末を変えてみせるから……」

マミ「ねえ、待って…………」


マミ「グリーフシード、持ってないかしら?」

ほむら「……無駄よ、これ以上生きていたって、あなたではとても」

マミ「いいから!!!」

ほむら「!」

私に威圧されたのか、暁美さんは素直にグリーフシードを差し出してくれた

マミ「私が美樹さんと佐倉さんのことで魔女になりそうだった時も、こうやってグリーフシードを渡してくれたわよね……」

ほむら「あれは、ただあなたに魔女になられるよりは、ましだと思って……」

マミ「だったら、さっさとソウルジェム撃てばよかったのよ……あなたなら簡単にできた」

マミ「でもしなかった……」

マミ「魔法少女の真実を話してくれた時、初めは全然あなたのことを信じてあげられなかった……
   ごめんなさい、あなたは私達を信じて話してくれたのに」

マミ「……あなたを信じてあげられなかったばっかりに、こんな…うぅっ…こんなことになっちゃって……」グスッ

ほむら「……もういいの、その話は終わったことだから」

マミ「だからね……今度こそ私は、あなたを信じてみたいの」

マミ「あなたがどこか別の世界を救ってくれること、こんな結末を変えてくれることを」

マミ「ひょっとしたら、何度も繰り返すうちに、誰も信じられなくなってしまうかもしれない…私のことも、当然ね……」

マミ「それでも、私はあなたを信じることに決めたわ」

ほむら「……なんで……もう、私が何をやっても…何をやってもっ、マミさんには関係なんてないのに……

ほむら「どうして……どうして私を信じようとするの!?」グスッ

マミ「……ありがとう。やっと皆みたいに呼んでくれたわね……私の名前を」

マミ「言ったでしょ?あなたと、あなたの救う世界を信じると絶対に決めたの
   そこに希望があるって信じてる限り、私はずっと生きていくから……」

マミ「だから、もう泣かないで?それに、私のことは気にしないで……どうせあなたにとっては、もう終る世界だもの…」

ほむら「ごめんなさい……ごめんなさい、マミさん……」

私の胸元で泣きじゃくる暁美さんを撫でながら、私も上を向いて泣いていた

マミ「さあ、もう行って……早くしないと、戻れなくなるんでしょ?」

ほむら「はい…ありがとうございます……ごめんなさい、こんな結末になっちゃって……」

涙を拭って、暁美さんは盾に手を掛けた

ほむら「本当に、ごめんなさい」

マミ「謝らないで?暁美さんのせいじゃないわ……私は大丈夫だから」

マミ「いってらっしゃい…できれば、また皆と仲良くしてあげてね?」

ほむら「……行ってきます……必ず、この結末を変えてみせます」

カチリ、と音を立て、暁美さんは消えてしまった
~~~~~~~~~~

マミ「暁美さんは災害で行方不明扱いとなって、ずっとそのままだったわ」

マミ「私の場合は、しばらく何もできないくらいひどい状態だったわ
   ご飯も碌に食べず学校にも行かず……ソウルジェムも結構危なかったわね」

マミ「そんな状態にあっても、今もどこかで暁美さんは頑張ってる…あったかもしれない世界を守るために戦ってるって……」

マミ「だから私も諦めなかった」

マミ「何度も何度も死のうと思って、その度にあなたや鹿目さん達のことを思い出して……
   『あなたを信じる』、それが私の決意」

マミ「それが、たった一つだけ最後に残った、道しるべだったの」

ほむら「!…………」

マミ「私の世界は変わらなくてもいい、ただ暁美さんが笑っていられる世界を見つけられればそれでいいって思ってきたの」

ほむら「……そう…………そんなことも、あったのかもしれないわね」

マミ「やっぱり、暁美さんにとっては気の遠くなるような昔のことだから、もう覚えてもらってないかな?……」

マミ「暁美さんは、私の生きた15年よりも長く生きているの?」

ほむら「さあ……数えるのなんて、途中でやめたから」

マミ「他の世界の私はどうだった?ちゃんと先輩っぽくやってくれてた?」

ほむら「そうね……正直に言わせてもらうなら」

ほむら「無理にまどか達を勧誘したり、まどか達の前で魔女に食べられてトラウマを植えつけたり、
    魔法少女の真実を知って発狂して佐倉さんを殺したり、私を殺そうとしたり……
    それはもうひどかったわ」

マミ「あら……随分な言われようね」

ほむら「全て事実よ」

マミ「その様子だと……やっぱり私のことも信じられなくなっちゃったのかしら?」

ほむら「ええ、あなたが取り乱すから信じるのを諦めようと思ったくらいだわ」

マミ「……ふふっ、ホント、随分嫌われちゃってるのね」

ほむら「……どうして笑っていられるの?あなたの言う通り、私はあなたをまだ信用していないというのに」

マミ「可愛い後輩に多少嫌われたって余裕を見せる……それが大人の対応よ」

マミ「それに私、暁美さんのこと結構好きだもの」

ほむら「なっ!?」カァ

ほむら「なぁなな何を言ってるの!?わた、私達は女の子同士であって、あなたのこと、を、けっ決してそんな風には……」アセアセ

マミ「やあねえ暁美さん、好きっていうのはお友達としてって意味よ?
   ひょっとして……男女の好き、みたいなものだと思った?」

ほむら「!?べ、別にそういうわけじゃ……」

マミ「そうやって必死に否定するところがますます可愛いわね」

ほむら「か、からかわないで!」

マミ「あはは、ごめんなさい……ねえ、暁美さん」

ほむら「な、何かしら…?」

マミ「私、将来教師になって、眼鏡をかけるようになるの

マミ「暁美さんに一度見せてもらった昔かけてたっていう赤い縁の眼鏡…あれにそっくりな……」

マミ「それを見るたびに、あなたのことを思い出して、いろんなことを乗り越えてきた」

マミ「私の世界ではみんな死んでしまった……
   でも、暁美さんは違うわ。私の世界の暁美さんと同じなのよね、ずっと」

ほむら「私は……」

マミ「私は暁美さんの味方よ」

ほむら「っ…!」

マミ「あなたがまだ私を信じてくれていなくても、いつまでも変わらず、あなたの味方だから…だから……」

マミ「いつでも私を頼ってね?私は、ずっとあなたの先輩で、お友達なんだから」

ほむら「マミさん…!」 ピピピピピ

カッ

ほむら「マミさん!マミさんっ!」ダキィ

マミ「暁美さん!……ありがとう…私達、本当にまた、お友達になれたわね」グスン

ほむら「うぁあぁああっ、うわあああぁっああぁあぁぁぁん!!」

夜の公園で、二人抱きあって泣き続けた
友達になれたことも勿論、一緒に戦える仲間ができて、本当によかった

これからのことを二人で話し合っていけたら、

それはとっても嬉しいことよね……と、思ってしまうのだ

━現在友達8人━

翌日昼休み

ほむら「何かしら巴マミ?話って」

マミ「あらあら、せっかく仲良くなれたと思ったのに、結構素っ気ない態度をとってくれるのね?」

マミ「昨日みたいに、マミさんって呼んでくれてもいいのに」

ほむら「別に、もう今の私に慣れてしまっただけよ」

マミ「まあそれはいいとして……鹿目さんと美樹さんのことなんだけど、
   今日の放課後魔法少女のことを知りたがって私を待っていたら……」

マミ「全て話そうと思うの」

ほむら「全てって……まさか、ソウルジェムのことも?」

マミ「勿論、QBのことも彼らの目的も……全て」

ほむら「それで彼女達が魔法少女を諦めると思っているの?私は何度かそうしたこともあった……」

ほむら「でも結局、彼女達は叶えたい願いのために魔法少女を選んできたわ」

マミ「そこなのよね……結局、なりたいかどうかは彼女達次第なんだから、私達が止められるわけじゃないのよね」

マミ「二人の様子はどうだった?昨日のこと聞きたがってた?」

ほむら「ええ勿論…やたら二人に話しかけられて、正直戸惑ったわ」

マミ「やっぱりね……QBもいるし、これが運命ってやつなのかしらね……」

マミ「でも、できるだけ契約させないように頑張りましょう」

ほむら「そうね……私も協力するわ」

ほむら「ま………」

マミ「?」

ほむら「……マミさん」ボソッ

マミ「!……ふふ、ありがとう暁美さん」

ほむら「だから、その、私のことは…………」

ほむら「…ほむらで、いいわよ……」カアァ

マミ「あら……分かったわ、ほ・む・ら・ちゃん!」

ほむら「――っ!?もう///やっぱりいつも通り暁美さんでいいわよ!」

マミ「何よ、それじゃあ不公平じゃない?」

ほむら「いいったらいいのよ!」プイッ

放課後、マミの家

マミ「いらっしゃい、ゆっくりしていってね」

まどか「お邪魔します……うわぁ素敵なお部屋」

さやか「お邪魔しまーす……それにしても転校生までついてくるとは…今度こそバッチリ説明してくれるんだよね?」

ほむら「そうね、そのつもりよ」

さくら「マミさん、今日はアノ桜餅ハないのデスカ?」

マミ「残念だけど、今日は別のやつよ」

さくら「ソレは残念デス!まあ私は甘い物ナラ何でも大歓迎デスけどネ!」

ほむら「マミさん、どうしてこの人までついてくるの?」

マミ「心配しなくても、彼女も魔法少女のことは知っているし二人を誘うつもりはないはずよ」

ほむら「そうだとしても、彼女は一般人じゃ……」

マミ「それについては、また今度話してあげるわ……今日はそれよりこっちの話ね」

さやか「いよっ、待ってました!」

マミ「魔法少女っていうのはね――」

まずは一通り、魔法少女の表向きについて話す

さやか「願い事をなんでもか~、金銀財宝とか不老不死とかあんなこともこんなことも!」

まどか「それじゃあほむらちゃんも、ソウルジェム持ってるんだね」

ほむら「ええ、これがそうよ……ただし、このソウルジェムには秘密があるの……」

まどか「秘密?」

マミ「ここからが、QBが語らない魔法少女の本当の姿……」

ソウルジェムの性質、魂の器であることや魔女になることを話す

まどか「そんな…なんてひどいことを……」

さやか「それじゃあ、もうマミさんも転校生も、もうゾンビみたいなものだってことですか?」

ほむら「……その通り、私達はもはや人ではないの」

マミ「信じられないようなら、これが私達の魂である証明をしてあげるわ」

ほむら「!マミさん、まさか」

マミ「ソウルジェムから100メートルほど離れてしまうと、私達は死んでしまうの……それをやってみせましょう」

まどか「そんな、危ないんじゃ……」

マミ「大丈夫よ、またこの手に戻ってくれば生き返ることができるから…暁美さん、私のソウルジェムをお願いね」

ほむら「いいの…?」

マミ「二人に同級生が死ぬところなんて、見せられないわよ」

ほむら「……分かったわ、行ってくる」スクッ

ガチャッ バタン

さくら「マミさん、ちなみにモシ生き返られナカッタら試験終了となりマスノデあしからず」

マミ「平気だってば、暁美さんはちゃんと戻ってくるわよ」

さやか「そういえば、いつの間に二人とも仲良くなったんですか?なんか昨日に比べてフレンドリーというか……」

マミ「それはきの――」

暁美さんの声が聞こえる
朦朧とした意識が次第にはっきりしてきて、私は本当に死んでいたのだと知った
そういえば、死んだのはこれが初めてだった

当たり前ではあるけれど

マミ「う、んっ…………ほら、この通り元通りに――」

ほむら「マミさん!」ガバァ

マミ「…って、あの、みんな平気?」

まどか「あ、えっと、その……」

さやか「マミさんの言うとおり、確かに死んでました……」

マミ「そう…分かったでしょう?これが魔法少女なのよ……ソウルジェムが砕けるだけでも私達は死んでしまうの」

さくら「うぅ、なんて可哀相なオ話なのデショウ…生きテテ本当に良かったデス」オイオイ

マミ「あなたは知ってたでしょう……」

さやか「なんでこんなこと非人道的なできるんですか!?その、きゅーべーとかいう奴は!」

マミ「彼らには感情がないって、自分で言ってるからね」

マミ「これで分かったでしょう?あなた達が踏み込んではいけない世界なの」

ほむら「マミさんの言う通りよ」

さやか「でも、二人は契約したんでしょ?」

ほむら「知っていたなら契約していなかったかもしれないわよ」

まどか「そうだよね……こんな怖いことになるんなら、契約なんかしないよね」

さくら「コノ星には、怖いもの見たさトいう言葉があるそうデスネ?」

マミ「なんで今言うのよ!」

マミ「でも確かに……人でなくなって、命の危険を冒してもなお叶えたい願いがあれば、話は別かもしれないけどね」

ほむら「マミさん!?あなた――」

さやか「あの!!魔法少女の戦い、見せてもらえませんか!?」

マミ「危険よ。やめた方がいいわ」

さやか「でも、やっぱり気になるっていうか……まだ決まってはないんですけど、願い事があるかもしれないし」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「大丈夫だよ、マミさんに転校生もついてるんだもん……お願いします!一回でいいんです!!」

マミ「……私はいいわよ」

ほむら「マミさん!」

マミ「暁美さん、あなたはどう?」

ほむら「私はあくまで反対よ」

ほむら『何か策でもあるの?』

マミ『うまくいくかは分からないけど、例えば私がぼろぼろに負ける姿を見せるとかどう?』

ほむら『……なるほど、危険だということを見せつけられるし、魔法少女に幻滅するかもしれないわね』

マミ『あの頃は幻滅なんてされたくないって思ってたのに……皮肉なものね』

ほむら「いいわ、そこまで言うのならついてきて」

さやか「ありがとう」

さやか「でも、その前に一つ聞きたいんだけど……」

さやか「どうしてそこまでして止めてくれるの?あたし達の名前を知ってたことと、何か関係があるの?」

マミ「それは……」

ほむら「悪いけど、それはまだ教えられないわ……時が来たら、いずれ必ず言うから」

さやか「……分かった、とりあえず二人の戦いっぷりを見せて貰おうじゃんか」

マミ「ありがとう、美樹さん」

まどか「あの、私も行くよ、さやかちゃん」

さやか「平気なの、まどか?たぶん、結構怖い思いすると思うよ」

まどか「ううん、さやかちゃん一人に怖い思いさせる方がよっぽど怖いよ、私」

さやか「ありがとう、まどか」

さくら「イヤハヤ、素晴らしい友情デスネ!これも愛の為せる技なのデスカネ?」

まどか「愛ッ!?」

さやか「そんな大層なもんじゃ……」

マミ「いえ、結構そういうものよ……愛っていうのは」

ほむら「……もういいかしら?早く行きましょう」

マミ『妬いてるの?』

ほむら『……馬鹿言わないで…!』

さくら「美しいデスネ~」キラキラ

vs薔薇の魔女 エェーエーエーェー エェーエーエーェー♪

さやか「あれが魔女……グロテスクだなー」 イーツーカ キミガ ヒトミニ トモス♪

さくら「ホホゥ、中々興味深いふぉるむデスネ!」 アイノ ヒカリーガ トーキーヲコーエーテ♪

マミ「これから私が戦って、三人は暁美さんに守ってもらうわ……
   どれだけ危険な戦いか、よく見ておいてね」 ホーロービイソグ セカイノ ユメヲ タシカニ ヒトツ♪

戦闘を開始する
死なない程度に攻撃を受けつつ、こちらも魔女にダメージを与えていく
もっとも、全力でやらなければ本当に死んでしまうかもしれないので、いざとなったら必殺技で始末するしかない

マミ(そろそろまずいわね…こうなったら………アレ、でとどめを刺してあげるわ!) オトギバナーシヲー シンージター♪

魔女をリボンで捕獲し、巨大な砲台を作り上げる

マミ「……ハアァッ!!!!」ドシュゥーーン

魔女は消滅し、結界は解かれグリーフシードを手に入れる

マミ「はぁはぁ……分かった?これが、魔法少女なのよ」 ネーガーイー♪

まどか「カッコいい…」ホケー

マミ「……えっ?」

マミ「ね?危険だったでしょ?だから、魔法少女なんて目指すようなものじゃないのよ…?」 イーツーカ キミガ ヒトミニ トモス♪

マミ「っていうか、BGM流さないでよ!」 アイノ ヒカポチッ

さくら「スイマセン、先日買ったしーでぃートイウ物に興味があったノデ」

マミ「だからってなんで戦ってる最中に……」

さくら「しかし人間という生き物は面白いデス!音楽という概念は、人間の生み出した文化の極みデスネ!」

マミ「そ、そうかしら?」

マミ「とにかく二人とも、魔法少女なんて碌なものじゃないって分かってくれたかしら?」

まどさや「そう、ですね……」

マミ(あら?歯切れが悪いわね……もうちょっとやられとくべきだったかしら…?)

QB「おや、今日はずいぶんと大所帯だねマミ」

マミ「QB!」

さやか「なっ!こいつか!マミさんや転校生を騙くらかしたQBってやつは!」

QB「騙すとは失礼だな、僕らは宇宙のためを思ってだね……」

ほむら「戯言を抜かさないで……それ以上言うと撃つわよ」チャキン

マミ「待って暁美さん…QBを殺しても意味はないでしょう」

ほむら「でも」

QB「君が暁美ほむらか…おかしいね、僕は君と契約した記憶はないんだけどなあ……マミは彼女について教えてくれないのかい?」

マミ「あなたなら自分で気づけるはずよ」

QB「なるほど、そういうつもりなんだね……」

QB「そして美樹さやかと鹿目まどかか……どうやら二人とも魔法少女の素質があるみたいだね」

マミ「残念だけれど、二人には魔法少女のことは全部話してあるから、契約しようとしても無駄だと思うわよ」

QB「……分かったよ、僕としては善意でやってあげていることなんだけど、マミがそういうなら仕方ない…今日のところは引き上げるよ」

さくら「一昨日来やがれってんダ!」

マミ「そういうのどこで覚えてくるの?」

マミ「とにかく、もう魔法少女になろうなんて考えない方がいいわよ」

まどか「分かりました……」

さやか「そうですね、願い事の代償は、ちょっと大きすぎる気もしますし……」

マミ「その代わりってわけでも全然ないんだけど、二人とも、私のお友達になってくれないかしら?」

まどか「友達…ですか?」

マミ「せっかく知り合えたんですもの、良かったらこれからもお付き合いしてほしいかな、って思ってるんだけれど……
   どうかしら?」

さやか「はい、私達でよければ!」

まどか「是非なりましょう!」

マミ「ありがとう、二人とも!…セット!」カチッ

帰り道

マミ「うーん…鹿目さんの親愛度が6割程度か……ま、いきなり変な先輩に友達になってくれって言われても普通は困るわよね」

ほむら「ねえマミさん、聞きたいことがあるのだけれど」

マミ「えっ?ああ!道明寺さんのことね」

ほむら「いえ、そうじゃなくって……」

マミ「暁美さんになら話した方がいいかしらね、私がどうして未来から来たのかを……構わない?道明寺さん?」

さくら「私ハ構いマセンよ。未来から来たナドトいう話が通じるノハ非常に珍しいけーすデスシネ」

道明寺さんが宇宙人であること、この世界で友達を100人作らなければならないことを話した

さくら「地球のためトハイエわざわざ過去に……本当ニお疲れ様デス」

マミ「いや、連れてきたのあなた達でしょう」

ほむら「そういうことだったの……ところでマミさん」

マミ「なあに?まだ何かあるの?」

ほむら「『ティロ・フィナーレ』はどうしたんですか?」

マミ「…………さ、さあ……なんのことかしら…?」

さくら「なんデスそれは!?一体どういうものなのデスカ!?」

ほむら「マミさんが最後に放った大技があったでしょう?あれには『ティロ・フィナーレ』という技名がついていて、
    どの時間軸でもマミさんは必ずそれを叫んでいたのよ」

さくら「オオ!格好いいデスネ!?一体どんな意味が込めラレテいるのデスカ?」

ほむら「『最後の射撃』という意味だそうよ」

マミ「ちょっ!?……あの…暁美、さん……?」

さくら「益々格好いいじゃないデスカ!!どうして叫ばれなかったのデスカ?」

マミ「いや、だって、私ほんとは30歳よ?この歳でさすがに技の名前を叫ぶというのは……ちょっとね」

ほむら「マミさん、今は中三なのよ?気にしなくてもいいかと……まあ、中三でもどうかとは」

マミ「それ以上言わないで!」

さくら「私は素敵ダト思いマスヨ!是非次の戦いデハ叫んで頂きたいデスネ!」

マミ(恥ずかしい///……若気の至りって、怖いわ……)

マミ「はぁ~、今日は疲れたわね……そういえば、昔いろいろ書いたノートがまだ残ってた気がするわ……」

マミ「……今度捨てておきましょうか」

マミ「それにしても、鹿目さんとはどうすれば友達になれるのかしら…私の元々の世界では確か……」

~~~~~~~~~~
「マミさん!カッコいいです!」

「こんな私でもマミさんみたいになれますかね?」

「マミさんみたいなカッコいい技が欲しいな~……なんて、まだ魔法少女じゃないんですけどね」テヘッ

「スーパー…いやいやどうせならハイパー……」ブツブツ

まどか「きゃっ!もうマミさん!勝手に覗かないでくださいよ~」ウゥ

「えっ!?一緒にですか?……いえ、ぜひお願いしたいです!」
~~~~~~~~~~

マミ「……まさか…ね……」

翌日

マミ「ごめん二人とも!昨日あんなこと言っといてなんだけど、今日も魔女退治に付き合ってくれないかしら!?」

まどか「私は大丈夫ですけど……さやかちゃんはどうする?」

さやか「そりゃまあ、今日は暇ですし構いませんけど……」

マミ「ホント!?ありがとう二人とも!」

ほむら「……」ジトー

マミ『……ごめんなさい、言いたいことは分かってるから!これっきりだから!』

ほむら『あまり二人に幻想を抱かせないようにね……頼むわよ?』

マミ(難しいかもしれない……)

さくら「ソレデハ皆デれっつごーデス!」

vs暗闇の魔女

マミ(昨日みたいにまずはやられておかないと……)

マミ(――来たっ!!勇気を出すのよ巴マミ!恥を捨てるのよ……巴マミ!!!)

マミ「これでとどめよ!!!ティロ・フィナーレ!!!!!」ボシュゥーーン

さくら「オオ!これがアノ『てぃろ・ふぃなーれ』というヤツデスネ!」

まどか「かっ……」 ピピピピピ

まどか「カッコいい…!」

カッ


マミ「ふぅ……ど、どうだった?今日の戦いも死にかけたでしょう?だからやっぱり魔法少女には……」

さやか「でも、昨日よりすごかったですよ!特に最後のやつとか!」

マミ「えっ」

ほむら「そ、そうね…昨日より良かったと思うわ……」プルプル

マミ「笑いを堪えるほど!?」ガーン

まどか「マミさん……凄かったです!」

マミ「あ、ありがとう……その言葉だけで何とか勇気を出した甲斐があったというものよ」ホロリ

マミ「それじゃあ二人とも気をつけてね」フリフリ

さくら「イヤア!素晴らしかったデスネ!次も是非叫びマショウ!」

マミ「できたら遠慮したいわ」

ほむら「やっぱりあれがないと、マミさんって感じがしないわね」

マミ「もういいの!とにかく、これで鹿目さんとはお友達になれたし…って、私ったら美樹さんにセットするの忘れてたわ……」

ほむら「彼女も『ティロ・フィナーレ』にいい印象を持っていたようだから、すぐ友達になれると思うわよ」

マミ「そうね……ほむほむの言うとおりね」ニヤリ

ほむら「ほむっ!?」

さくら「ソウソウ、前カラ思っていたのデスガ、私のこともソロソロ『さくらちゃん』と呼ンデ頂いて欲しいのデスガ」

マミ「ええ、いいわよさくらちゃん!」

ほむら「マミさん、ほむほむは絶対にやめてください」

マミ「えぇ~?どうしようかしらね~?」

ほむら「勘弁してくれませんか」

━現在友達9人━

キリがいいから飯にしてくる
さるさんうざくて泣きそう

後日

マミ「美樹さんが魔女の結界に!?そんな、一人じゃ……QBも一緒なの?分かったわ、すぐに行くから待っててね」ピッ

マミ「ほむほむ、鹿目さんからの電話の通りよ。すぐ見滝原病院に行きましょう!このままだとQBに勧誘されちゃうかもしれないわ」

ほむら「その名前で呼ばないで」

タッタッタ

ほむら「ところでマミさん、そのことで一つ忠告があるの……
    今までループしてきた世界のほとんどで、マミさんはその魔女に殺されているわ」

マミ「私が!?そんなに強力な魔女なの?」

ほむら「ええ…でも、マミさんが油断しなければ勝てる相手だし、今回は私もいるから問題はないはず」

さくら「ソレはいけマセンねえ」シュタッ

マミ「さくらちゃん!いたの?」

さくら「観察対象者を死なせるワケにはいきマセンから、私も同行しマショウ」

マミ「気をつけてね……そんなに強力なら、守りきれるかどうか分からないから」

さくら「御心配には及びマセンよ」

vsお菓子の魔女

まどか「さやかちゃん!大丈夫!?」

さやか「まどか!皆も、来てくれたんだ」

QB「ギリギリだよマミ、ちょうど今魔女が孵化するみたいだ」

マミ「ふぅ…間に合ってよかったわ、美樹さんがQBと契約しちゃうんじゃないかと思った」

さやか「私は大丈夫です……それより、早く魔女をやっつけちゃってください!」

シャルロッテ「……」ドーン

マミ「あれが私を……強そうには見えないけど、油断は禁物なのよね…行くわよ暁美さん!」

ほむら「ええ」

戦闘を開始する……が、どうにもおかしい
全く抵抗する気配も攻撃する気配も感じられない

マミ「ならこれでどう!ティ…ティロ・フィナーレ!」ボシュゥーーン

ほむら「マミさん気をつけて!」

マミ「はっ!?」

気がつけば目前にまで迫っている形態を変えた魔女
しかし次の手は打ってある、既に出しておいたマスケット銃で牽制しつつ距離をとる

――つもりだったのだが、気がつけば目の前で大爆発が起こっていた

マミ「きゃあ!」カチッ

どうやら暁美さんの仕業のようだ

ほむら「大丈夫ですか、マミさん?」

マミ「もう、爆発させるならそう言ってくれないと…かつての美樹さんの気持ちがちょっと分かったわ……」

ほむら「あれがやつの本性よ。一気に叩けば問題なく倒せるはず」

マミ「オーケー!二人なら何とかなりそうね」

さくら「マミさんマミさん」ツンツン

マミ「さくらちゃん!ここは危険よ、二人と一緒に隠れてないと……」

さくら「ソレよりかうんたーを見た方がいいデスヨ」

マミ「カウンターを?……って……えっ?何、これ…?」

いつの間にか友達候補がセットされている
その相手とは、まさか……

さくら「どうやらアノ魔女のようデスネ」

マミ「えええぇええぇぇぇええええぇぇええええぇぇええぇぇえぇ!?!?」

さくら「アノ魔女が倒されてしまえバ、友達候補の死亡にヨリ試験失格となりマスのでご注意を……」

マミ「……これ、セットの変更は…?」

さくら「不可能デス。友達とは本来選ぶものデハありマセンので」キッパリ

ほむら「これで終わりよ…!」スッ

マミ「暁美さん!ストップスト―プ!!」

ほむら「なっ…何なの?これから魔女にとどめを……」

マミ「これ見てこれ!あの魔女を殺しちゃ駄目なのよ!」

ほむら「なっ……あなたはどこまで愚かなの?」

さくら「恐らくアノ爆発のセイだと思いマスガ……」

シャルロッテ「グアアアン」

ほむら「しまった!間に合わ――」

カチーーーーン

ほむら「……あれっ?私はまだ時を止めてはいないのに、止まってる……?」

さくら「ヤレヤレ……時間停止(たいむろっく)」

ほむら「まさか、あなたが?」

さくら「ええソウデス。ココで観察対象者に死なれるワケにはいきマセンから」

さくら「ちょっと遠くに飛ばしておきましょう」

ピーン ズガガガガガガ

ほむら「なっ!?でこピンだけであの巨体が…あんなに吹っ飛ぶなんて……」

さくら「せっかくデスノデ死なナイようにアノ魔女の傷モ治しておきマショウ……コレでヨシ、ソレでは時を進めマス」

カチーーーーン

マミ「あれ!?今後ろに魔女がいたような……暁美さんが助けてくれたのね?」

ほむら「……いいえ、それについては後で説明してあげるわ」

親愛度は私が1割未満、魔女はどういうわけか8割もある

ほむら「一旦態勢を立て直すわ。煙幕を張るから、逃げましょう」

全員で魔女の結界から脱出し、病院の敷地まで戻ってきた

さやか「はぁ…はぁ……どうしたんですか?もう少しで勝てそうだったのに、急に逃げたりして」

マミ「ちょっとね…倒せない理由ができちゃったのよ……」

ほむら「どうするつもりなの?魔女を懐柔できるとは、とても思えないのだけれど……」

マミ「なぜか私への親愛度がとても高いの……あの魔女は私に好意を持っているみたいね」

まどか「うぇ!?そうなんですか?」

さやか「魔女に好かれるって……一体どういうこと?」

QB「それは僕にも分からない……マミを食べようとしていたにも拘らず、だね」

さくら「それでは、実際に食べてモラエバ友達になれるカモしれマセンネ」

マミ「縁起でもないこと言わないでよ!」

ほむら「……なるほど、そういう感じなのかしら」

まどか「話がよく分からないんですけど、魔女と仲良くなりたいからどうすればいいか……ってことですか?」

さやか「そんな流暢なこと言ってないで早く何とかしてくださいよ!」

ほむら「その前に、マミさんっぽい食べ物を考えて!それで恐らく魔女を大人しくさせられるはずよ」

さやか「はぁ?なんだそりゃ……マミさんっぽい食べ物といえば…みかん…伊予柑…レモン…グレープフルーツ…八朔……」

マミ「なんで柑橘系ばっかり……」

まどか「チーズケーキに紅茶、バームクーヘンにそれから……」

マミ「私の家で食べたものばかりじゃない…っていうか、本当に私が好きだから食べようとしたかどうかも分からないのに」

さくら「とりあえず、片っ端カラ与えてみてはドウデショウカ?」

ほむら「私が家にある物を全部持ってくるわ、その間はここをお願い」ヒュン

マミ「じゃあ私が中で相手をしておくから……とにかく、逃げ回るしかないわね」

さやか「あたしらはどうすれば……」

まどか「とりあえず任せてみようよ……ここで待ってよ?」

10分後、暁美さんが大きな袋を抱えて結界内に帰ってきた

ほむら「はぁ…時間を止めながら帰ったから早めに戻ってこれたわ……マミさん、とりあえずどれを与えてみますか?」

マミ「じゃあ……とりあえずみかんで」

黒い大きな身体の魔女の前に赴き、そっとみかんを投げる
魔女はそれをひとしきり眺めた後、食べた……しかし親愛度は変わっていない

マミ「駄目みたいね…次行きましょう、どんどん行くわよ!」

次々に食べ物を与えてみるが、どれも親愛度は変わらない

ほむら「まずいわ、次が最後よ」

マミ「最後はチーズね……」

半ば祈りつつチーズを与えてみる
口に含んだ瞬間、魔女から私への親愛度がMAXになった

マミ「……どうやら好物はチーズだったみたいね」

ほむら「大きさも元に戻っているわね……さて、これからどうしましょうか」

シャルロッテ「……」ヨタヨタ

マミ「!!!」ズキューン

マミ「う、うちで飼ってみようかしら……」ドキドキ

ほむら「何を言ってるの!?魔女なのよ?いつ人を襲うか……」

マミ「責任持って家で飼うから!ほら、よく見ると可愛らしいし毎日チーズあげてれば懐いてくれると思うし!
   たまにお散歩もさせてみるから!ねえいいでしょう!?」

さくら「マルデ犬を飼うタメの許しを乞う子供のようデスネ」

ほむら「でも……」

シャルロッテ「……?」キョトン

ほむら「っ!!」ドキーン

ほむら「……分かったわ、そこまで言うのなら気をつけてね……
    でも、万が一の時は躊躇わないで欲しい…マミさんに死なれては困るのよ」

マミ「ありがとうほむほむ!」

ほむら「その名前で呼ばないでって言ってるでしょう」

さくら「オ名前はアルのデスカ?」

マミ「どうしましょうか…魔女にも名前はあるらしいけれど、話すわけもないでしょうし」

QB「僕が聞いてあげるよ」

マミ「QB!」

QB「……ふむふむ、どうやら名前はシャルロッテというらしいね、マミ」

マミ「じゃあ、今日からシャルちゃんって呼ぶわね!よろしく、シャルちゃん!」

カッ

マミ「やったわ……これで私たちもお友達ね」

さくら「オオ!コレガ『しゃるチャンげっとダゼ!』というやつデスネ!」

マミ「あなた時々こっちのことよく知ってるわよね……前もポ○モンがどうとか言ってたし……」

ほむら「今さらなのだけれど、人以外でもいいのね…」

さくら「愛は平等デスカラ」

━現在友達10人━

私達は結界から出て、病院で待っていてくれていた二人に事情を説明した

二人とも魔女を見たときはびっくりしていたが、危険がないと分かってくれて安心したようだ
特に心配していた美樹さんには、念入りに危険がなくなったことを伝えた

ほむら「ねえ、ちょっといいかしら」

さくら「ハイ、なんデショウ?」

ほむら「ワルプルギスの夜を倒すのに協力してもらえないかしら?あなたのその力があれば、きっと勝てると思うのだけれど」

マミ「暁美さん……」

さくら「残念ながらソレは無理デス。私はあくまで中立的立場にある観測者なのデス」

ほむら「そう……ごめんなさい」

さくら「マアマア気にスンナヨ!誰でも凄いモノ見たラ欲しくなるもんダッテ!」バシバシ

ほむら「何様のつもりよ」

マミ「まあまあ」

今日はそこで解散となった

私は帰りにチーズを大量購入して家路についた
シャルちゃんと一緒にチーズ尽くしの夕飯を済ませ、しばらくのんびりしながら、ふと思い出す

マミ「結局美樹さんにセットしてないじゃない……」ズーン

まだ大丈夫……そう自分に言い聞かせ、新しい住人が増えたので少し部屋を片付けることにした

マミ「あら、このノートはまさか……」

マミ「うわぁ、やっぱりいろいろ考えてた設定ノートだわ……どれどれ……」ペラッ

マミ「あらぁ、これはこれはなかなか…目を覆いたくなるようなものばかり……あ、でも、『別れの挨拶』?
   これなんか結構格好いいような気もするけど……やっぱり言えないわよね」

マミ「まあでも、今は見た目は中三なんだし、ちょっとくらいはっちゃけても平気かしら
   ……いえ、駄目よ、また暁美さんになんて言われるか分かったものじゃないし」

さくら「マミさんチョットよろしいデスカ?」

マミ「ひゃわぁ!さくらちゃん!?びっくりさせないでよ!……っていうか、どうしたの!?
   なんで黒い方のシャルちゃんの口の中から現れてるのよ!!」

さくら「チョットお口をお借りシテ宇宙空間に繋いでおりマス」

マミ「ええっ!?あ、ほんとだわ…微かに少し宇宙っぽい空間が見えてる……」

マミ「じゃなくて!一体どうしてうちに来たの?普通に玄関から来ればいいのに」

さくら「今回で10人の友達成立とナリマシタ…そのササヤカなぷれぜんとデス」

さくら「サアどうぞコチラのお口ノ中へ!」シュン

マミ「そこから!?…って、もう消えちゃった……ちょっとごめんねシャルちゃん、お邪魔するわよ」

マミ(なんだか頭から食べられてるみたい……)

マミ「いっ…!いやあああああぁぁあぁああああぁあぁああ!!!!!」 グワングワン


マミ(う、ん…ここは一体……あれは宇宙船…?)

マミ「あらっ?ここは屋上かしら?……ん?眼鏡してる…?」

さくら「オヤ、お肌は気にならナイのデスカ?」

マミ「きゃあ!…あなたは……さくらちゃんよね?ちょっと背が縮んでないかしら?」

さくら「ハイ、マミさんは再び戻って参りマシタので小学校に似合う変装をしてみマシタ」

マミ「戻って……そっか、ここは元の時代なのね」

さくら「滞在期間は一時間、これが我々からのぷれぜんとデス。ソレカラもう一つ――」

マミ「何かしら?校庭が騒がしいような……」

そこには騒いでいる児童達、それを収めようとしている先生達、避難場所として非難しに来たらしき地元の人達
誰もが混乱しており、収拾のつかない状態になっていた

マミ「大変!早く私も手伝いに行かないと!」タッタッタ

さくら「……ヤレヤレ、今から言うことの方が大事だというノニ」

階段を駆け降りると、外の騒音が少し静かになる程度に静かだった
ほとんどの児童は既に帰宅していたからだろう

?「ああ!!!巴先生こんなとこにいたんですか!?」

マミ「あっ、相生先生!もう子供たちは避難しているんですか?」

相生「もうみんなとっくにしてますよ!それよりどこ行ってたんですかぁ!?探しましたよ~!」

マミ「えっと、それには深い事情が……」

マミ(あれ、カウンターはそのままなのね……)

相生「もう子供たちはいないと思うんですけど、とにかく、校庭で子供たちを大人しくさせるの手伝ってください!」

マミ「ねえ相生先生、私達って友達だったわよね?」

相生「へぁ!?……そりゃまあ、私達はツーと言えばウンで分かるほど仲が良くって――」

相生「――って、今はそれどころじゃないでしょぉ!なんかあのUFOのせいでスーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルヤバいんですってば!!」

マミ(大丈夫、いけるはず…!)「……セット!」カチッ ピカッ

相生「ななな何なの今の光!?もしかして、宇宙人の大侵略が始まっちゃったの!?」

マミ「相生先生!!私もあなたのこと友達だと思ってるからね!大好きだからね!」ダキィ

相生「ええっーー!?いやいやいやいやいやいや巴先生それやめて!死亡フラグっぽいからそういうのやめて!とにかく校庭に来てくださいね!!!」タッタッタ

さくら「現在世界規模で同様のぱにっくが起こってイマス」

さくら「我々はマミさんの試験終了まで手を出しマセンガ、人々は集団ひすてりーを起こし、事態はさらなる混沌へと向かうデショウ…」

さくら「そこで我々がマミさんに用意したぷれぜんとトハ、コノ混乱を抑えるべく世界に向けて事情を説明する『あなうんす権』デス」

マミ「アナウンス権…?私が世界に向けて……?」

さくら「全世界に配置された宇宙船の下に映像発信ぱねるが展開サレ、マミさんが世界に語りかけることができるのデス」

マミ「なっ……」

私が過去に戻っている間に、どうやらとんでもないことになっているようだった
よりによって私が世界に向けて話すことになるなんて……

そんな大それたことが私にできるだろうか?

校庭の騒ぎはさらに大きくなっているようだ
もはやとっくに先生たちだけで止められる規模ではなくなっている

私がこの試験を受けようと思ったあの時、私は何を考えていただろうか

再び正義のために立ち上がる、そう決めたのではなかったか

マミ「…………分かったわさくらちゃん、アナウンス権…使うわ」

さくら「オオ!それでは行きマショウ!」

今の私は、再び魔法少女としての正義を取り戻したのだ

マミ「なってみせるわ……正義の味方に!」

校庭にて

教頭「みなさん落ち着いて!落ち着いてください!…相生先生!この忙しい時に、巴先生はどうしたんですか!?」

相生「知りませんよ!さっきちゃんと来てって言ったのにー!もうなにやってんの!」

<コホン…えーっと…き、聞こえていますか?>

相生「ぎゃっ」

<全世界の皆さん、こんにちは…あ、おはようございますかしら?
 ……と、とにかく、初めまして!わたくし、巴マミと申します>

相生「……」ポカーーーン

教頭「巴先生……?」

<この度の事情についての説明、私がさせていただきます>

<この宇宙船は宇宙からの侵略者たちのものです…といっても、彼らは凶悪な存在ではありません
 ただ一つ、私達に証明してもらいたいものがあると……>

<それは、愛です!愛の存在が証明できれば、彼らは侵略する気はないとのことです>

<さながら、『シュレデインガーの愛』と言ったところでしょうか…?>

教頭「……何を言っているんだ、巴先生は?」

相生「巴先生…なんか生き生きして見える……」

<その為の判断材料として私が選ばれました…世界の運命は、私に託されることとなってしまいました>

<しかし、この世界に愛が存在しないはずはございません>

<私は信じております>

<愛のために、いつもどこかで、誰かが誰かのために戦っていることを……私達がそれを忘れない限り、私達は決して一人じゃない>

<愛ある限り、世界は終わらない、と>

<だから私は信じております。愛の存在を>

<必ず私が、世界を救ってみせましょう…>

<ヴェスナ・エスタ・ホリシア……命に限りあれど、愛は永遠なり>

<それではみなさん、エル・プサイ・コングルゥ>

Tokyo
<エル・プサイ・コングルゥ>

NY
<エル・プサイ・コングルゥ>

Palis
<エル・プサイ・コングルゥ>

Shanghai
<エル・プサイ・コングルゥ>

Gunma
<エル・プサイ・コングルゥ>

プツン

ざわっ…ざわっ…

教頭「な、なんなんだ最後のは…?」

相生「……巴先生…………色々と、全開すぎるよ……」

さるった?

マミ(やっちゃったわあああああああああああああああああ!!!!)

マミ(なんか話してる途中でテンション上がってきちゃってノートにあった言葉つい言っちゃったわああああああああああああああ!!!!)

マミ(なんなのよヴェスナって!コングルゥって!!意味が分からないじゃない!!!!)

さくら「オ疲レ様デスマミサン。ナニヤラ聞キ慣レナイ言葉がアリマシタガ、一体ドウイウ意味ナノデスカ?」

マミ「やめて!……これ以上、傷口を広げないで」

さくら「チナミニ仲間ニハ大ウケデシタヨ」 \ハッハッハッハッハッハ/

マミ「何これ死にたい……もしかして私、世界中で笑われてるんじゃないかしら……」

さくら「仮ニソウダッタトシテモ、人々ヲ和マセルトイウ意味デハ大成功ナノデハナイデショウカ」

マミ「……だといいわね」

さくら「サア過去ニ戻リマショウカ…ソレデハミナサン、サヨウナラ……オット、間違エマシタ、える・ぷさい・こんぐるぅ!」

ドッ \ゲラゲラゲラゲラ/

マミ「もうやめてよ!」

━現在友達11人━

数日後、美樹さんからとある相談に乗って欲しいとの連絡を受けたので、喫茶店で待ち合わせた

マミ「それで、話って何かしら?」

さやか「えっと、その……マミさんは、願い事どうやって決めたんですか?」

マミ「願い事?そういえば話してなかったわね」

マミ「昔、家族とドライブ中に事故に合っちゃって死ぬかもしれないってところにQBが現れて、考える間もなく契約しちゃったの」

さやか「そうだったんですか……ごめんなさい、変なこと聞いちゃって」

マミ「いいのよ、もう昔のことだし」

さやか「じゃあやっぱり、ご両親はその事故で……」

マミ「そういうこと。一時はQBと契約するときに一緒に助けてもらえばよかったっていうのも考えてたけどね……
   魔法少女をやっているうちに、残される家族がいる辛さを考えるようになってしまって、
   今は一人でもよかったのかな、なんて考えたりもするわ」

さやか「そうなんですか……」

さやか「いや~、ほむらに理由聞いても教えてくれないし、魔法って言葉聞いただけで、
    『あなたはなっては駄目よ』って相談にも乗ってくれなくて」タハハ

マミ「あら、そうだったの?」

マミ(暁美さん、うまくやれてるのかしら?名前で呼んでもらえる仲ぐらいまでには進展しているみたいだけど……)

マミ「美樹さん、ひょっとして魔法少女になりたいって考えてる…?」

さやか「こないだQBと一緒にいた時も考えてたんですけど……」

さやか「魔法少女になりたいというよりは、叶えたい願いがあるというか、でも、それは自分のことに関する願い事じゃなくって……」

そういえば、私のいた世界でも美樹さんは同じことを言っていたはずだ

マミ「確か、入院中のお友達がいるって……」

さやか「ありゃあ、そんなことも知られちゃってるわけですか…恥ずかしいな~」

さやか「……そうです、マミさんの言うとおり、大切な友達のために願い事を使いたいって思ってて
    でも、そういうのはどうなのかなって……」

マミ「美樹さんは…その人の夢を叶えたいの?それとも夢を叶えた恩人になりたいの?」

マミ「他人の願い事を叶えるのなら、なおのことはっきりさせておくべきだわ……同じようなことでも全然違うことよ、これ」

さやか「っ!……そう、なんですかね……」

マミ「それにやっぱり、美樹さんには魔女になって欲しくないと思ってるし……あっ…」

さやか「?……なんだか、まるで私が魔女になるって分かってるような口ぶりですけど」

マミ「違うの、そういう意味じゃないのよ?」

さやか「いつか教えてくれるって言ってましたよね?どうして私達の名前を知ってたのか……
    私の願い事まで知ってることと、やっぱり関係してるんですか?」

マミ「それは」

さやか「まだ駄目なんですか?そうやって私達ばっかり置いてけぼりにして、自分達ばっかり知ってる風な口きいて!」

マミ「美樹さん……」

さやか「……いえ、すいません…言いすぎました……」

マミ「分かったわ……私のことについては少しだけ話してあげる
   でも、暁美さんのことは、やっぱり暁美さんが言うべきだと思うから、そこはお願いね」

さやか「あ、ありがとうございます」

マミ「と言っても、信じてもらえるとは思えないんだけど……」

私は未来から来た事(友達のことは伏せて)、ワルプルギスの夜による悲劇について話した

さやか「マミさんが未来から……確かに信じられないけど……でも待ってください!
    それだと、私はワルプルギスとの戦闘に参加してないんじゃ……」

さやか「もしかして……?」

マミ「ええ、美樹さんはワルプルギスの夜が来る前に魔女になってしまって、それでいなくなってしまったわ」

さやか「それでさっきあんなことを…でも、どうしてそんなことになったんですか?
    教えてください!分かってればひょっとして回避できるかも――」

マミ「美樹さん…魔法少女が魔女になる条件、覚えてる?」

さやか「え?確か、魔力が尽きるのと、絶望が溜まるのと……」

マミ「美樹さんは、あることに絶望して魔女になったの」

マミ「それを聞きたいの?あなたにとって、とても辛い話になることは間違いないのよ」

さやか「パルスのファルシのルシがパージでコクーンだったんだね」
さやか「あたしってほんと馬鹿」

さやか「……それでも、私は……聞きたいです」

マミ「そう……覚悟は、いいわね……」

私は話した、美樹さんが友達のために願い事を叶えたこと
魔法少女の真実を知り、彼に思いも伝えられず世界に絶望して、魔女になったことを

マミ「あなたは誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪ってしまうようになった……これが私の見てきた、あなたの姿よ」

さやか「…………」

さやか「……マミさんも、私が魔法少女になったら、魔女になるって考えてますか?」

マミ「私は……お友達のことを信じているわ、当然美樹さんのことも」

さやか「なんですかそれ……でもやっぱり、魔法少女にはなってほしくないって思ってるんですよね?」

マミ「それは、あなた達にこんな辛い思いをしてほしくないから――」

さやか「それでもあたしは!!」ダン

マミ「美樹さん……落ち着いて、ね?」

さくら「ソレナラ私にお任せを!」ポチッ

マミ「さくらちゃん!?いたの?」

さやか「あはー、そうですねー、ちょっと熱くなっちゃいましたーあはははー」ホワー

さくら「精神を落ち着け和やかにさせる電波を発しておりマス」

マミ「もー、さくらちゃんたらー、盗み聞きしないでよーうふふふー」ホワー

さやか「あはははー、私だっていろいろ考えてるんですよー」ホワー

マミ「でもでもー、もっと大変だしー、よく考えないとー」ホワー

さくら「シカシ、何ヤラ話が進みそうにないノデ戻しマスネ」ポチッ

さやか「あれ?私何してたんだっけ……?」

マミ「コホン……美樹さんは、本当に魔法少女になりたいの?」

さやか「……ごめんなさい、ちょっといろいろ考えたくなってきちゃったんで、私もう帰りますね」ガタッ

マミ「美樹さん待って!……セット」カチッ

さやか「なんですか…?」

マミ「良く考えて、それから決めてほしいの」

マミ「あなたが覚悟を…つらい運命を受け入れ、家族も友達も、その後の人生も犠牲にして、どうしてもなりたいっていう覚悟があるなら……」

マミ「私はなってもいいと思っているわ」

さやか「えっ…?」

マミ「でもその前に、あなたの本当の気持ちと向き合わなくては駄目よ……これが絶対の条件」

さやか「……ありがとうございました」ペコリ

美樹さんが出ていってから、私は深いため息をついた

マミ「やっぱり、言わない方がよかったのかしら……」

さくら「ソレにしても、あの方にソノヨウナ辛い過去があったトハ」オイオイ

マミ「それより、今度から変な毒電波発するのやめてね」

さくら「大切なオ友達のタメニ願い事を叶えたいトハ……コレも愛なのデショウカ」

マミ「もう……そういえば、美樹さんとの親愛度は…私は8割近いけれど、美樹さんは2割程度
   あんまりいい空気じゃなかったものね……」

さくら「ソウソウ、言い忘れてマシタガ、親愛度が0になった時点で試験終了デスノデ、オ気を付けて」

マミ「そうなの…………」

マミ「って!今さら結構重要なことをさらっと言わないでよ!」

さくら「スイマセン、ウッカリしてマシタ」ペカー

マミ「どうして宇宙人って…宇宙人って皆して大事なことを言わないのかしら……もう他にないわよね?」

さくら「エエー、試験終了になる条件とシテハ、後言ってないノハ、1か月間セットをしなかったら試験続行の意思ナシと見て強制終了トカ……」

マミ「もうやだ、宇宙人って」ブワァ

マミ「……でも、美樹さんの親愛度が0になるなんてことはないはずよ……信じてるもの」


その日の夜

マミ「あら、鹿目さん?……えっ、魔女の口付けをつけた人たちに!?場所は町外れの廃工場ね!すぐ行くから!」ピッ

vsハコの魔女

マミ「ここね……鹿目さん!今助けに来たわ!……って、あら?随分静かね」

さやか「遅いですよ、マミさん」

マミ「美樹さん!その格好、もしかして…!」

さやか「ごめんなさい、マミさん……なっちゃいました、魔法少女に」

まどか「さやかちゃん、どうして……」

さやか「そんな顔しないでよ、まどか…私は全然、後悔してないんだから」

マミ「美樹さん……覚悟は、決まったのね?」

さやか「はい、告ってきました」

まどか「ええっ!?もしかして上条君に!?」

さやか「うん……まあ、フラれちゃったんだけどね」

マミ「美樹さん……」

さやか「マミさん…私には、全部を犠牲にする覚悟なんてないんです」

さやか「それでも、私はあいつのためにじゃなくって……多分、また恭介の音楽が聞きたいっていう、私のために……
    私の本当の願いのために、願い事を叶えました」

さやか「だから、後悔なんてあるわけない」

さやか「確かに好きだったし、できれば一緒にいたいって思ってたけど……まあ、フラれちゃったらさすがにもう無理ですもんね」タハハ

マミ「……」

さやか「これで、私が絶望する一つの理由は消えちゃいましたよ、マミさん……」

さやか「私は、私を信じてくれるマミさんを、信じてみようと思うんです」

さやか「それにやっぱり、これから危険なことがあるっていうのに、黙って指咥えて待ってることはできませんからね」

さやか「友達として」

カッ

さやか「う~ん、初めて戦ったから疲れた~…さ、帰ろっか、まどか」

まどか「さやかちゃんごめんね、私……」

さやか「なんでまどかが泣きそうな顔するの!私は自分のために願いを叶えたんだよ
    まどかはさ、無理しなくていいから……ね?」

まどか「……うん」

マミ「美樹さん!……これからも、一緒に頑張りましょう!ありがとう!」

さやか「はい!よろしくお願いします!」


数分後、工場内

ほむら「結局、さやかは魔法少女になってしまったのね……迂闊だったわ、もっと注意しておくべきだったのに」

マミ「ええ……でも、あの様子だと魔女になるとは思えないわ」

ほむら「初めはみんなそういうものよ……覚悟を決めたのはさやかだけじゃないようね」

マミ「……流石ほむほむね、私も覚悟を決めないと」

もし美樹さんが魔女になった時、再び倒す覚悟を

ほむら「普通に呼んでちょうだい」

マミ「暁美さんも、いつか真実を言う覚悟はあるのよね?」

ほむら「……分かってる、近いうちに言うつもりよ……」

マミ「……さてと、とりあえず警察に連絡しないとね」

ほむら「あら、志筑仁美がいるわね」

マミ「誰なの?」

ほむら「同じクラス、まどかとさやかの友達で、最近は私ともよく話をするわ」

マミ「そうだったの…ああ、それで鹿目さんがここに……志筑さんってどんな人?」

ほむら「志筑さん?彼女はクラスの委員長で――」

━現在友達12人━

数日後、帰り道

マミ「あら、4人も揃ってどうかしたの?」

まどか「あ、マミさんとさくらさん」

仁美「えっと、まどかさん、こちらの方はどなたですの?」

さやか「そっか、仁美は初対面だったね。この人は先輩の巴マミさんと道明寺さくらさん
    ちょっと前にお世話になって、それから友達になったんだ」

マミ(美樹さん、普通に振る舞ってる様子だけど、やっぱりちょっと無理してるわね……)

仁美「そうなんですの?初めまして、私志筑仁美と申します」

マミ「初めまして、志筑さん…このあいだは大丈夫だった?怪我とかしてないかしら?」

仁美「あら、ご存知ですの?わたくしが大勢の人と倒れていて警察やらで大変だったことを……」

マミ「えっ?それは、その……ほら、仲のいい暁美さんに聞いたからよ!」

ほむら「えっ!?…そ、そうなの。ごめんなさい、勝手に話しちゃって……」

仁美「いいんですのよ、全然気にしておりませんわ」

ほむら『私に振らないで』

マミ『ごめんなさい、ついうっかり……』

さくら「トコロデ、何事なのデスカ?」

まどか「そうなんですよ!猫ちゃんが!」

マミ「猫ちゃん?」

猫「にゃー」

マミ「黒猫…可愛いわね。あ、でも怪我してるの?」

まどか「そうなんです!こんなところで怪我してて可哀相で……」

ほむら「おまけに誰かに捨てられてたみたいで」

さやか「どうにかなんないかなー、ってみんなで話してたんです」

マミ「そうだったの…どれどれ――痛ッ!」

さくら「コレハ綺麗に引っ掻かれマシタネ」

仁美「あら大変!すぐに絆創膏を用意しますわ」

さやか「ありゃー、マミさん嫌われちゃってますねー」

仁美「さやかさん、からかっては駄目ですわよ」

まどか「私達にはおとなしかったのにね」

ほむら「……可哀相」ボソリ

仁美「ほむらさんも!」

ほむら「おいで猫ちゃん…ふふ、可愛いわね」

さやか「おっと、これはなかなかレアな絵が取れましたな~」

仁美「ほむらさんが笑ったところ初めて見ましたわ……」

ほむら「なっ…///別に、そんなことは……」

まどか「ほむらちゃんも猫好きなんだね!次私にも抱かせて~……あは、くすぐったいよー」

さくら「私にも抱かせてクダサイ!…オオ!コレは何とも言えぬ手触り」サラサラ

さくら「伏せとかお手とかシマスかね?」サッ

マミ「そんな犬じゃあるまいし……って、めちゃくちゃやってるし!」

まどか「さくらさんすごーい!猫あやすのうまいんですね!」

さやか「それにしても、ほんとどうする?怪我は(魔法で)何とかなるからともかく、捨てられたまんまっていうのもねー」

仁美「私にも抱かせてください…とりあえず、しばらく怪我が治るまでみんなで様子を見に来てあげませんか?」

仁美「それとビラを配って飼い主を募集してはどうでしょう?」

まどか「うん、いいねそれ!私明日までにビラいっぱい作ってくるね」

さやか「仁美、あんた習い事とかあるのに大丈夫なの?」

仁美「少々ならお休みしても問題ありませんわ……今は猫ちゃんが心配です」

マミ「志筑さん優しいのね。私にも抱かせて――」

猫「シャー!」

マミ「きゃっ…やっぱり、私には懐いてくれないのね?」

さくら「トコトン嫌われてイマスネ」

マミ(猫ちゃんはともかく、志筑さんとはなんとなく気が合いそうだし、お友達になれそうね……)

マミ「志筑さんに…セット!」カチッ

マミ「……あら?親愛度が1割ちょっとしかない…っていうか、私からの親愛度も全然ないじゃない……」

仁美「どうかなさいました?」

マミ「いえ、別になんでもないの!」

マミ(まあ、いきなり心を開いてくれるわけでもないし、これから仲良くなっていけばいいわよね……)

翌日

まどか「ビラ作ってきたよー」

ほむら「私も手伝ったの」

さやか「おっ、写真と絵があるのか…まどかの絵は相変わらず可愛らしいなー
    っていうかほむらの絵、激ウマじゃん!殆ど実写だよ!」

仁美「とりあえず、これを貼っていきますか?」

マミ「そうね、二手に分かれて貼りましょうか
   私とさくらちゃんと志筑さん、鹿目さん美樹さん暁美さんでいいかしら?」

ほむら「えっ?」

マミ「さあ!さっそく配りに行きましょう!志筑さん、さくらちゃん、行くわよ!!」

仁美「え、ええ……」

さくら「マミさん、コノ時代ならばモット効率的に募集する方法がアッタのデハないデスカ?」

マミ「そうとも限らないわよ?いつの時代でも、こういうのって効果あると思うわ」

マミ「確かにネットとか便利だとは思うけどね」

この時代、私はまだパソコンを持っていなかったのだった

仁美「巴先輩、猫ちゃんにあまり懐かれていなかった様子でしたのに……優しいんですのね」

マミ「そ、そんなことないわよ…志筑さんこそ、習い事休んでまでこんなことしてくれるなんて、素敵だと思うわ」

仁美「……本音を申しますと、皆さんと遊ぶ時間があまりとれませんので、
   たまにはゆっくり皆さんと一緒にいてみたいと思いまして
   勿論、猫ちゃんも心配ですけど」

マミ(そうだったの……悪いことしちゃったかしら……)

マミ「ねえ、今度うちにケーキを食べにこない?」

仁美「ケーキ、ですか?」

マミ「そうなの!最近皆も来てくれるし、志筑さんにもぜひ来てほしいわ!お茶も用意して待ってるから…ね?」

仁美「いいですね!わたくし、お茶菓子結構好きなんですの」

マミ「そうなの?じゃあ、駅前のあれとか――」

仁美「勿論好きですわ!他にも『U&me』の――」


マミ「……終わったわ~、今日はここまでね」

仁美「はい。それではみなさんと合流しましょうか、巴先輩」

マミ「ふふっ、皆みたいに気軽に呼んでくれて構わないわよ?」

仁美「そうですか?それではお言葉に甘えて……行きましょうか、マミさん」

マミ(結構話もあったし、仲良くなれた気がするわ……って、あら?親愛度が全然変化してないじゃない!私の親愛度まで増えてないなんて……)

まどか「三人ともお帰り~」

仁美「そちらも終わりですのね」

まどか「早く飼い主が見つかるといいね、エイミー」ナデナデ

さやか「エイミー?」

まどか「あっ!いや、これは、その、私が勝手に呼んでただけだから…///」

ほむら「私はいいと思うわ」

マミ「エイミー、いい名前ね」ソッ

エイミー「シャー!」

マミ「きゃっ!でもやっぱり、私には懐いてくれないのね……」

まどか「マミさんには相変わらずなんだね」

マミ(相変わらず、か…………あ!もしかして……)

その日の夜、委員長とのジョギングの後

マミ(シャルちゃんのこともあるし、ひょっとして猫ちゃんに…エイミーにセットしちゃったのかも)

マミ「あら、ソウルジェムが反応してる……こっちの方向って、エイミーがいたところに近いわね……」

予想通り、エイミーのいる場所には魔女がいた

vs犬の魔女

エイミー「フシャー!」

マミ「近いどころかど真ん中じゃない!大変、エイミーを助けなきゃ!」

エイミー「にゃぁ…」

エイミーは少し怯えているような表情でこちらを見ていた

マミ「もう大丈夫よ、今からこの魔女を退治してあげるからね!」

エイミーを抱きかかえて庇いつつ魔女との戦闘を繰り広げ、何とか怪我をさせることもなく勝利することができた

マミ「はぁ~、危なかったわ……大丈夫?怪我はない?エイミー」

エイミー「にゃー」ペロペロ

マミ「ふふ、くすぐったいわよエイミー……」

そういえば今までの警戒心もなく、エイミーはすんなり私に抱っこされていた

マミ「よしよし……飼い主、見つかるといいわね」ナデナデー

ピカッ

マミ「あっ」

エイミー「にゃぁ」

マミ「ありがとう、エイミー……うちがマンションじゃなかったらよかったんだけどね……」

マミ「あ、でもシャルちゃんがいるからどっちにしても無理かしら……」

翌日

マミ「飼い主が見つかったの!?」

まどか「見つかったというか、その……」

さやか「まどかが親に話したらエイミーを飼うこと許してくれたんですって。あたしらの昨日の努力はなんだったんだか~」

まどか「ごめんなさい、手間かけさせちゃって」

仁美「まあ、本当によかったですわ」

マミ「そうね、鹿目さんなら安心だわ……そうだ、志筑さんに…セット」カチッ カッ

仁美「?なんですの?」

マミ「良かった…もう友達になれてたのね……志筑さん、今度皆でうちに来てね?約束よ」

仁美「はい!ぜひ行かせていただきます」

━現在友達14人━

次の土曜日のお昼、私と暁美さんはパトロールに出掛け、魔女を退治した
私達はそこである物と、泣いている女の子を見つけた

vs影の魔女

マミ「もう大丈夫、危なくないわよ」

女の子「ふぇぇ…グスン…ほんとぅ?おねーちゃんがやっつけてくれたの?」

マミ「お友達のみんなには内緒よ」クスッ

女の子「おねーちゃんすごーい!プリッキャーみたーい!かっこいー!」ピカッ

女の子「おねーちゃんばいばーい!!」フリフリ

マミ「ばいばーい……ふぅ、なんとか友達になれて良かったわ」

ほむら「流石未来の先生ね、子供の扱いはお手の物と言ったところかしら……それより、気になることが」

マミ「分かってるわ……あの死体、魔法少女のものみたいだけど、魔女にやられた傷じゃなかったわね?」

QB「そのことでマミに話があるんだ」

ほむら「QB…!」スッ

マミ「ストップよほむほむ」

ほむら「その名前で呼ばないで」

マミ「なんなのQB、どういうこと?」

QB「最近、ここらで魔法少女殺しが発生しているみたいでね。どうも犯人は魔法少女のようなんだ……
  だから、マミには気をつけてもらいたいと思ってね」

QB「犯人の特徴は『黒い魔法少女』であるということ以外は不明だよ。じゃ、このままだと撃たれそうだから、僕はこの辺で失敬するよ」ヒョイッ

マミ「忠告ありがとう…殺しだなんて……物騒ね」

ほむら「魔法少女殺し……どこかで聞いたことがあるわね」

マミ「そうなの?」

ほむら「どこかのループでも同じことが起こっていたはずなの……ただ、頻繁に起こることじゃないから
    資料が残っていないか帰って探してみるわ…」

ほむら「マミさんも手伝ってくれるかしら?」

マミ「あ、ごめんなさい、私これから鹿目さんの家にお呼ばれしてて……」

ほむら「あらそうなの?なら仕方が………………」

ほむら「はい?」

マミ「じゃあ、私そろそろ行かないといけないから、さっきのことお願――」

ほむら「ちょっと待って」ガシッ

ほむら「どういうことなの?どうしてあなたがまどかの家に呼ばれているの?私でさえまだ呼ばれたことないのに!」ユサユサ

マミ「おお落ち着いてほむほむぅう!!」

ほむら「その名前で呼ばないで!」

マミ「……どうしてって、何か相談したいことがあるって言われて」

ほむら「くっ……ずるいわ、あなたばっかり……」

マミ(本気で残念そう……)

ほむら「分かったわ、さっきのことは調べておくから……あなた達がイチャイチャしている間にね」

マミ「いや、別にイチャイチャするわけじゃないから」

ほむら「もういいわよ!」ダッ

マミ「……ま、行きましょうか」

鹿目さんの家に着くと、庭先で父親に挨拶され鹿目さんが出てきた
部屋に案内され、持ってきてくれたお茶で一息つく

まどか「ごめんなさい、大したおもてなしもできないんですけど……」

マミ「いいのよ、気にしないで……それで、相談っていうのは?」

まどか「その、さやかちゃんとほむらちゃんのこと、なんですけど……」

鹿目さんの話は大体予想通りだった
魔法少女になった美樹さん、そして遂に全てを話してくれたらしい暁美さんを手伝いたいというものだ

それらを踏まえた上で、自分にも何かできることはないかという

まどか「私は皆みたいに叶えたい願いがあるわけでもなくって、魔法少女にもなるなって言われて、どうすればいいのかなって……」

マミ「鹿目さん…無理に魔法少女になる必要はないのよ?むしろならない方がいいって、何度も言ってるでしょう?」

まどか「そうなんですけど……」

マミ「願い事の引き換えに失うものは計り知れないわ……暁美さんも何度も言ってるんでしょう?」

まどか「でも、マミさんもほむらちゃんも、さやかちゃんまで命がけで頑張ってるのに、私だけ見てるだけしかできないなんて……
    特にほむらちゃんは、何度も私のために繰り返してくれてるのに……」

周りはみんな魔法少女で、いつ死ぬか分からない戦いに身を投じている
ますます仲間外れなのは鹿目さんだけ……

その中で見ていることしかできないのが辛いのかもしれない

マミ「……鹿目さんにも、私のことは話しておいた方がいいかしらね」

まどか「あっ……そういえばほむらちゃんもさやかちゃんも教えてくれなくて…話して、もらえるんですか?」

マミ「……実は――」

バターーン

タツヤ「ねーちゃん、あーそーぼー!」

まどか「たっくん!駄目でしょ、勝手に入ってきちゃ!お姉ちゃんたちは、これから大事なお話をするの」

タツヤ「やーだやだー!ねーちゃと遊ぶのー!こっちのねーちゃとも遊びたいー!」バタバタ

まどか「ごめんなさいマミさん、パパと遊んでもらうように行って来ますから」

マミ「いいじゃない、せっかくだから三人で遊びましょ!」

まどか「えっ?」

タツヤ「やったー!なにするー?なにして遊ぶー!?」

まどか「でも……」

マミ「まだ時間あるんだもの…焦らなくても、必ず話してあげるわ……それに、私子供は好きよ?遊んであげるのも得意なんだから!」

まどか「…そうですか?……じゃあたっくん!マミさんと一緒に遊ぼっか!」

タツヤ「マミ?このねーちゃマミなの?」

まどか「こらたっくん、呼び捨てにしないの!」

マミ「いいのよ鹿目さん。たっくん?おねーさんのことはマミって呼んでいいわよー?」

タツヤ「マミマミ!じゃあねー…みんなでアクアごっこやろー!」

マミ「アクアごっこ?」

まどか「たっくんが嵌まってる特撮ヒーロー、『仮面ダイバー・アクア』のことですよ」

まどか「えぇっと…なんでも、海を無くしてしまおうとする怪人『首領・グラー』と戦う使命を負った戦士だとか…そんな感じみたいです」

マミ「ああ、あれね!そういえばシリーズも長いし、『ダウン』とかやってたわね」

タツヤ「だうん?そんなのいないよ!なに言ってんのマミ?」

マミ「あら?そ、そうだったかしら?……じゃあ、私も一緒にアクアごっこをしてあげるわね!」

マミ「でもその前に、セット!」カチッ

タツヤ「じゃあねえ、たっくんはダイバーやるから、ねーちゃんたちはカイジンね!」

マミ「怪人?……が、がおー……こんな感じかしら?」

タツヤ「ええー?なにそれ全然ちがーう!ねーちゃのほーがうまいよー!ねーちゃんやってー」

まどか「えっ!?いやあ、でも、マミさんもいるし……」

マミ「私のことは気にしないで?鹿目さんの真似をしてやってみるから」

まどか「ほんとですか?絶対マミさんにもやってもらいますからね!」

まどか「……フゥーハハハハハハァ!!!!現れたなアクアァ!貴様の命、それも今日までダァ!
    我が名は『マドマギカー』!!ぐぅへへへぇ!覚悟しろぉ、アクアァ!」

タツヤ「でたな!アクアがやっつけちゃるー!アクアキーック!」ペシッ

まどか「ぐわぁー!おのれアクアめぇ!お~の~れ~!!!!」バタッ

タツヤ「わっはっは!アクアの前には海すら道をひらくのだぁ!」

まどか「……こ、こんな感じです……///」

マミ「な、なぁるほど、ね~……」

まどか「ああ、マミさんちょっと引かないでくださいよー!マミさんがやろうって言いだしたんですから!絶対やってもらいますよ!」

タツヤ「次はマミね!マミ!」

マミ(うぅ…学校でもこんなことしたことはなかったのに……いえ、年齢なんか関係ないわ。子供のために一肌脱いであげないと…!!)

マミ「フッ……よくぞ我が手下『マドマギカー』を倒した…褒めて使わすぞ」

まどか「おおっ、なんかすごく迫力出てる…!」

マミ「だが、所詮奴は我が手下の中でも最弱」

まどか「えっ」

マミ「この私が直々に相手をしてしんぜよう…!さぁ!かかってこい!我が名は『ティロマーミン』!!!そして我が腕の中で息絶えるがよい!」

タツヤ「なにをー!アクアの力がある限り!アクアは負けないのだー!アクアシュマッシュー!」ペシッ

マミ「くっ…!そんな馬鹿な……この私が~~~~!!!」バタッ

タツヤ「まいったか!アクアの前には海すら道をひらくのだぁ!」

まどか「最弱……」

マミ「ど、どうだったかしら……///」

タツヤ「マミすごーい!もっかいやろうもっかいやろう!」

マミ「えぇ、いいわよ」

カッ

タツヤ「あれ~?今の光なにー?もっかいやって、もっかい!」

コンコン ガチャ

知久「まどか、タツヤいる?…って、こらタツヤ!やっぱりここにいたのか……お姉ちゃん達の邪魔しちゃだめだぞ」

タツヤ「えぇー?もっとねーちゃんたちと遊ぶのー」

マミ「私達のことはお気になさらないで下さい」

知久「そういうわけにもいかないよ。ほらタツヤ、お姉ちゃん達にはまた後で遊んでもらおうなあ」バタン

まどか「ティヒヒ、ごめんなさいたっくんの相手までしてもらっちゃって」

マミ「ううん、私も久しぶりに本気が出せて楽しかったわ」

まどか「本気…?」

マミ「それじゃあ、話の続きをさせてもらうわね……」

私は美樹さんに話したことと同じようなことを話した

まどか「そんな…マミさんも未来から来てたなんて……」

マミ「ワルプルギスの夜を必ず倒してみせるわ……誰の犠牲もなく、鹿目さんを魔法少女にすることもなく」

まどか「私は……」

エイミー「にゃぁ」

マミ「あら、エイミー!元気にしてた?もう怪我は大丈夫なのね?」ナデナデ

エイミー「ふにゃぁ」ゴロゴロ

まどか「うわー、いつの間にかマミさんに懐いてますね?」

マミ「ふふ、だってもう友達だもの…ね、エイミー?」

エイミー「にゃー」

それからしばらく談笑した後、帰り際に夕飯ができたと言うので一緒にどうかと誘われた

断ろうかとも思ったが、両親がいないことを知るとますます引き止められたので迷っていると、鹿目さんの母親が帰宅してきた

詢子「ただいまー!あれ?まどかのお友達かな?」

マミ「初めまして、わたくし巴マミと申します。鹿目さんとはいつもご一緒に遊ばさせていただいており、お母様にはご迷惑をおかけしております」フカブカ

詢子「おおぅ、なかなか中学生とは思えない立派な子だねぇ…あなたがまどかがよく話してる巴さんかぁ」

知久「せっかくだから晩御飯を一緒にどうかな、って誘ったんだけど」

タツヤ「マミ!いっしょにたべよ!たべよ!」

詢子「うん、そりゃいいな!まどかがいっつもケーキごちそうになってるって言ってた先輩だろ?たまにはこっちにおもてなしをさせてよ」

マミ「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えさせて頂いて……」

ワイワイガヤガヤ

詢子「ええー!?マミちゃん親御さんいないの?そらまた大変だろー?せっかくだからうちに泊まっていきなよ?」

詢子「遠慮すんなって、服くらいまどかの貸して……え?サイズ?だったらあたしの使ってもいいからさー!よし!お泊り決定な!」

マミ「ご、強引なお母さんだったわね……」

まどか「ごめんなさい、ご迷惑でしたか?」

マミ「ううん、いいのよ…そういえば、子供の頃は誰かの家にお泊りなんてしたことなかったから、結構新鮮ね」

まどか「そうなんですか……えへへ、喜んでもらえて嬉しいです」

鹿目さんの部屋に泊めてもらうことになった私は、またしばらく遊んだり勉強を教えたり

鹿目さんが恥ずかしそうに持ってきた秘密のノートを見て、ああしたらこうしたらと言い合ったりしていた

まどか「今日は楽しかったです…ありがとうございましたマミさん……おやすみなさい」

マミ「おやすみなさい、鹿目さん……」

━現在友達16人━

マミ(………ちょっと寝付けないわね…お手洗い借りようかしら)

マミ(……あら?リビングの明かりが……)

詢子「おっ?マミちゃーん、どったのこんな夜中に?眠れないの?」

マミ「ええ、少し……」

詢子「ブランデーでも飲む?なんつって……」

マミ「いいんですか!?是非いただきたいです!」

詢子「へっ?いやぁ冗談のつもりだったんだけど、マミちゃん結構いくねぇ……ちょっとだけだぞ?」

マミ「いただきます……」コクン

マミ「~~っ!くぅ~っ!久しぶりに効くわ~!」

詢子「久しぶり?もしかしてよく飲んだりするんじゃ……」

マミ「!いや、違うんです!その、子供の頃少し飲まされて以来だから、久しぶりだなーって…決して頻繁に飲んでるわけじゃ!!」

詢子「ま、いいけどね……私も、まどかやマミちゃんぐらいの年にはやんちゃしたもんさ」

マミ「なんだかこういうのっていいですね」

詢子「急にどうしたの?」

マミ「いえ、なんだかちょっと懐かしい感じがして……」

詢子「……そっか、お母さんのこと、思い出しちゃったかぁ~…なんならお母さんと呼んでもでもいいんだぞ?」

マミ「えっ?それはちょっと……詢子さん、でどうですか?」

詢子「なんだそりゃぁ、ちょっと照れ臭いなぁ」ポリポリ

マミ(なんだか同僚と飲んでる気分を思い出したわ……多分30歳の私と近いぐらいの年齢のはずだし)

詢子「そうだよ!ずっと言おうと思ってたんだけど、まどかのことはまどかって呼んでやってよ!
   うちは皆鹿目さんなんだし、その方がまどかも喜ぶって」

マミ「そ、そうですかね……明日、呼んでみたいと思います…」

詢子「まどかはさぁ……ちゃんと元気でやってるのか?何か迷惑とかかけてるんじゃないか?」

マミ「そんなこと……鹿目さ…まどかさんは、本当にいい子ですよ。誰よりも優しい子だと思います」

詢子「そりゃぁあたしの自慢の娘だからねぇ……
   でも、まどかは優しすぎるから、人の分まで悲しみ背負って生きてるんじゃないかなぁ、なんて考えちゃってさ」

詢子「こないださ、詳しくは話してくれなかったんだけど、みんなの役に立てなくてどうしようって相談されたんだ……」

マミ「あ、そのことは、私にも責任があるんです…私がまどかさんを、色々と連れ回しちゃったから……」

詢子「そうなの?ま、でも、それは大した問題じゃないよ。まどかは、誰かのために自分も何かしてあげたいって考えてる……」

詢子「それはとても大事なことだけど、同時に辛いことでもある……そいつらの分の苦しみも悲しみも背負うってことになるんだからな」

マミ「……そうですね、友達として何かしてあげたいというのは必要ですけど
   友達だからこそ、責任を一緒に背負ってくれとは言えない時もあると思います」

詢子「でもさ、たまには間違えるってのも大事だよね」

マミ「……間違える?」

詢子「みんなで不幸になるなんて間違ってるかもしれない…けど、後になってその方が正しかったって分かることもある
   まどかは嘘もつかないし、ほんとにいい子に育ってくれた……」

詢子「けど、大人になる前に間違い方の練習をしとかないと、将来もっと辛いことになるからさ……
   間違いって分かってようが、無理にでも一緒に背負ってやるくらいのことをしてもらわなきゃな」

マミ「もし……絶対に正しくないって分かってたら…どうすればいいんでしょうか」

詢子「それを学ぶのが子供ってやつでしょ?」

マミ「いえ、大人ならどうするべきでしょうか、という意味です」

詢子「何?急に大人の話?……そうだなぁ、私だったら、失敗するって分かってることに手を出そうとは思わないかなぁ
  
詢子「……あ、でも」

マミ「でも…?」

詢子「その先にさらなる可能性があるっていうんなら、やってみるかもしれないね……
   ま、私一人の責任ってわけにもいかなくなるから、皆と相談して決めることにはなるだろうけどさ」

マミ「皆で、ですか……責任を負うのは、やっぱり何歳になってもきついですね……」

詢子「マミちゃんも、なんか背負ってるんだ…?」

マミ「えぇ、ちょっと見滝原のこととか世界のこととか色々と……」

詢子「は?」

マミ「でも、友達がいるから乗り越えていけるような気がします」

詢子「そっか……ね、もう一杯どう?」

マミ「!……い、頂きたいです……」ゴクリ

詢子「フフン…これで最後ね?あんまりやっちゃうとまどかに怒られちゃうから」トクトク

マミ「~~っ!いい……!」

詢子「あはは、なーんか、マミちゃんおばさんみたいだねぇ」

マミ「そ、そんなこと!………あるんですけど……」

詢子「なんだそりゃ……そうそう、まだあれやってなかったね」カラン

マミ「あれ?……あ、そうでしたね……」コロン

「 乾 杯 」コツーン

結局その後私の宇宙人やら仕事やらの愚痴を聞いてもらいつつ、詢子さんの愚痴も聞き、

再び布団に入ったころには2時を回っていた

翌朝

詢子「悪いねこんな朝早くに……ちょっと仕事でなんかあったみたいだから、行ってくる」

知久「いってらっしゃい」

マミ「あ、待って詢子さん…セット」カチッ カッ

詢子「どうかした?」

マミ「よかった……お仕事、頑張ってください。またいつか、ゆっくりお話したいです」

詢子「ん…じゃ、行ってきます」ガチャ バタン

知久「巴さん、ママとなんかあったのかい?」

マミ「いえ、なんでも……いい人ですね、詢子さん」

知久「そりゃぁそうさ、なんせうちの大黒柱だからね」

まどか「ふぁぁ~……あれ、ママ早いな~、お仕事行っちゃったんだ……あっ、マミさん、おはようございます」

マミ「おはよう、まどかさん」

まどか「ふぁい…………ふぇっ!?今、私の名前…!」

マミ「ふふ、鹿目さんは幸せね……いい家族に囲まれて」

まどか「マミさん、もう一回言ってください!」

マミ「んー……恥ずかしから、やっぱりいつも通りにするわね」

まどか「そんな~」

知久「よしっ、それじゃあタツヤも起して、皆で朝ごはんにしようか」

━現在友達17人━

キリがいいので風呂入る&飯の準備してくる
予定よりかなり長引きそうでヤバい

その日、鹿目さんの家から一旦帰宅した私は、暁美さんからの連絡を受けてさくらちゃんと待ち合わせ場所に向かった
どうやら魔法使い殺しの犯人について見当がついたらしい

既にそこには暁美さんと美樹さんが来ていた

ほむら「さやかも当事者だもの……真っ先にやられるならさやかだと思うし」

さやか「ひどいなあ!そんな言い方ないっしょ…そりゃぁ、まだ未熟だけどさ……」

さくら「コレカラ何をするのデス?」

ほむら「これから隣町に行って佐倉杏子にワルプルギスの夜への協力を要請するのと、一緒に魔法少女殺しについても言及するわ」

さくら「私の名前ト同じ名字デスネ……どんな方なのデスカ?」

マミ「佐倉さんは……昔私の弟子をしていたの」

さくら「オオ!師弟関係とは熱い展開デスネ!」

ほむら「そうはいかないわ、彼女はちょっと捻くれてるから……さやかに来てもらったのはそのためでもあるの」

さやか「は?」

ほむら「大丈夫、経験上あなたと佐倉杏子は仲良くできるはずよ」

さやか「どんな経験だよ」

さくら「マミさん、カツテのお知り合いナラバ友達になり易そうデスガ……あまり気乗りしてオリマセンね?」

マミ「佐倉さんとは、喧嘩別れしたようなものだから……今でも友好的に話してくれるかどうか」

隣町の風見野に到着し、佐倉さんを探し始めた私達は、

意外にもあっさりと人の少ない公園で見つけることができた

杏子「なんだてめーら……って、なんだよマミの知り合いかよ」

マミ「久しぶりね佐倉さん……あら?その子は?」

ゆま「ち、千歳ゆまです」モジモジ

杏子「別に、訳あってちょっと面倒見てるだけさ……それより、なんか用かよ?ぞろぞろと雁首揃えて」

ほむら「話があるの佐倉杏子……『黒い魔法少女』の噂を知ってるかしら?」

杏子「誰だおめー…まあ、噂は聞いてるよ」

暁美さんは『黒い魔法少女』と一連の事件の真相について話し始めた

犯人は呉キリカと美国織莉子
呉キリカは速度を低下させる魔法、美国織莉子は未来を予知する魔法を使うという

そして、二人の狙いは魔法少女を殺すことではなく、鹿目まどかの排除であるという

さやか「なんでまどかが狙われるのさ!なんのメリットがあるっていうの?」

ほむら「それは……いえ、ここで言うのはまずいわ」

さやか「どういう意味――」

ほむら『二人は魔法少女の真実を知らないの…下手に刺激しないで』

さやか『あっそっか、ごめん……ん?二人?』

さやか「そのちっちゃい子も魔法少女なの!?」

杏子「なんだ藪から棒に…ま、そうだけどよ」

マミ「そんな……いつ契約したの?」

ゆま「え、えっとえっと……こないだ!」

マミ「アバウトね……でも、最近QBを見ないと思ったらこんなところまで来てたのね」

杏子「なんでてめーらがそんなこと知ってんだよ?あたしらのことまで……
   それに、なんでそのまどかとか言う奴が狙われるんだ?つーかまず名を名乗れ」

さやか「なんだよ、偉そうに……せっかくいろんな情報を教えてあげてるのに!」

杏子「うぜー、さっさと質問に答えろ」

さやか「何をー!」

ゆま「てぇい!」ガバァ

さやか「きゃぁっ!///」バッ

ゆま「キョーコをいじめるやつはゆまが許さないから!」

さやか「だからってスカートめくるなぁ!」

ほむら「一つずつ答えてあげるわ……私は暁美ほむら、そしてしましまが美樹さやか」

さやか「おいこら!!」

ほむら「巴マミは知ってるわよね…そしてこの人が道明寺さくらさん」

さくら「ドウモ初めましてデス」ペコリ

ほむら「狙われる理由となぜ知っているかはまだここでは言えないわ」

杏子「なんだよそりゃ…信用できねーな
   だが、織莉子ってやつの情報はたぶん間違いねー……ゆまが名前を知ってたしな」


マミ「こらっ!女の人のスカートをめくるなんて、お行儀悪いわよ!」

ゆま「ふんだ!このねーちゃんが悪いんだもん!」


さくら「マアマア、ぱんつを見られたくらいでへこまないでクダサイ…たかが布デスヨ」

さやか「そういう問題じゃないの!」

ほむら「今は確かにまだ信用してほしいとは言えないわ……でも、あなたには協力してもらわなければならないことがあるの」

杏子「協力だと?そいつらをぶっ飛ばすのか?」

ほむら「いえ、それとは別の問題よ」


マミ「いい?そういうことばっかりやってると、いろんな人に嫌われちゃってお友達ができなくなるわよ?」

ゆま「ゆまはキョーコがいればいーもん」


さくら「私の見マス?」

さやか「誰が得するの?」

さくら「しかし昔懐かしい『ぶるまー』という代物ですし」ペロリ

さやか「だからって見せられても……」

ほむら「……ちょっといいかしら?」

杏子「……ああ、こっちもちょっと時間をくれ」


マミ「あら、佐倉さんだっていつか愛想を尽かしちゃうかもしれないわよ?」

ゆま「!そ…そんなことないもん……ゆまを一人にしないって、言ってくれたもん!」


さくら「ぱんつでなケレバ恥ずかしくナイのデハ?」

さやか「え?いや、うーん、どうだろ……」

ほむら「外野の皆さん、ちょっと静かにしててもらえないかしら?私達は今大事な話をしているの」

マミ「あ、ごめんなさい…つい教育的指導したくなっちゃって」

杏子「ゆま、ちょっとうるさいぞ」

ゆま「ふぇ!?キョーコ!キョーコはゆまがスカートめくってもゆまを一人にしないよね?ね?」

杏子「はぁ?」

マミ『佐倉さん……する、って言って』

杏子『……は?』

マミ『ゆまちゃんは、このままだと誰これ構わずスカートをめくる不良少女になってしまうわよ?そうなったらあなたにも何をするか……』

杏子『意味が分からねー…久しぶりに会って何を言い出すかと思えば……なんであたしが』

マミ『いいから言うの!間に合わなくなっても知らないわよ!』

杏子「!………ゆま、あんまり人のスカートめくってばっかだと置いてくぞ」

ゆま「そんな!?……」ガーン

マミ「ほらね?言った通りでしょ?……めくられることで悲しい思いをする人もいるの
   だから美樹さんにちゃんと謝って?」

ゆま「うん……あの、ごめんなさい」

さやか「うぇ?ああ、いいんだよ別に!お姉さんの寛容な心で許してあげるから」

マミ「良かったわね?……ありがとう、佐倉さん」

杏子「……ふん」

ほむら「…………本題に入っていいかしら?」

ほむら「……そういうわけで、ワルプルギスの夜を倒すために協力してほしいの」

杏子「なるほどね……話は大体分かったよ。でも、それを手伝うメリットがないね」

ほむら「当分の衣食住とグリーフシードを提供するわ……それでどう?」

さやか「頼むよ杏子!この通り!」

杏子「ふーん……ま、あたしだって魔法少女なんだ、たまには最強の魔女ってやつに喧嘩売ってみてもいいかもな」

ほむら「杏子…ありがとう」

杏子「なんだよ急に名前で……まあなんだ…とりあえず、食うかい?」

さやか「あ、ロッキーじゃん!あたしにも頂戴!」

ゆま「ずるい!ゆまも欲しい」

さくら「甘いものデスカ!?私も欲しいデス!」

杏子「群がんなよ!……ったく、調子狂うよな…」

マミ「佐倉さん」

杏子「……なんだよ」

マミ「あなたにも、守るものが見つかったのね」

杏子「そういうんじゃねーって……ゆまはバカなんだよ、あたしなんかのために願い事決めやがって……
   他人のために使うもんじゃねーのによ」

マミ「佐倉さん、あなただって……」

杏子「うっせー、その話はもういいんだよ」

ゆま「キョーコごめん、全部なくなっちゃった」

杏子「ったくもう……しゃあねーな」

佐倉さんは少し穏やかな表情を見せるようになったと思う
あんな別れ方をしたけれど、やっぱり心根では昔のままの佐倉さんなのだと感じた

その日は私の家に佐倉さんとゆまちゃん、暁美さんとさくらちゃんを招いた

美樹さんは残念ながら帰ってしまったので、5人で食事をすることにした

ちなみに、ゆまちゃんと相性の良さを感じてセットしたところ、
帰り道に話しているうちに仲良くなり、家に着く頃には無事友達になることができた

━現在友達18人━

皆で食事をしてからのんびりしていると、いつのまにかゆまちゃんが眠りについてしまった
私のベッドにそっと運び、再びリビングに戻ってくると、暁美さんと佐倉さんが真剣な顔をして待っていた

杏子「そんじゃあ、話してもらおうか……どうしてあたしらのことを知ってたのか、まどかってやつが狙われるのか」

ほむら「ええ……あなたにも話しておくべきよね、私の目的と魔法少女の真実について」

杏子「魔法少女の…?どういう意味だ?」

暁美さんの話が終わるまで、佐倉さんは黙って聞いていた

さくら「ナント酷いお話なのデショウ…いんきゅべーたーメ!例え宇宙人が許しテモ、そうは問屋が卸しマセンヨ!」

マミ「あなたもでしょ……さくらちゃん、そういうのどこで覚えてくるの?」

杏子「ん?」

マミ「えっ?」

杏子「あ、いや……そっか、あたしらの正体がそんなもんだったとはね……ゆまは寝てて正解だな」

マミ「ねえ、佐倉さん」

さくら「呼びマシタか?」

マミ「えっ?」

杏子「おい、ややこしいから呼び方変えてくれよ」

マミ「じゃあ……杏子」

杏子「あたしの方変えんのかよ……それで、なんだってんだよ?」

マミ「今も、あの時みたいに自分のためだけに魔法を使おうって考えてるの?」

杏子「そうだな……魔法なんてのは、徹頭徹尾自分のために使うもんさ
   そうすりゃ何が起きても自業自得にできるんだよ」

杏子「どいつもこいつも正義の味方気取って誰かのために魔法を使うだなんて
   そういう甘っちょろいこと言ってると皆不幸になって早死にするんだ」

マミ「……セット」カチッ

杏子「何したんだよ……つーか、反論しねーのか?」

マミ「いえ、それも一つの考え方だし、私にもそういう時期があったわ……否定なんてできない」

親愛度は私からが5割、杏子からは――

マミ「でも、今はまた正義の、世界のために戦うと決めたの…あなたもゆまちゃんのために、戦っているんでしょう?」

杏子「はぁ?そんなんじゃねーっての。あいつが勝手についてきてるだけだよ」

ほむら「その割には、千歳ゆまと話すときの杏子は嬉しそうよね」

さくら「アア分かりマス分かりマス!愛に溢れてイマスネ」

杏子「違うっつーの!……あたしのために願い使っちまったのに、勝手に死なれたら後味悪いってだけだよ
   ゆまといいさやかといい、ホント馬鹿ばっかだな」

マミ「ならそういうことにしておきましょうか……杏子とまた一緒に戦うことができて、私は嬉しいわ」

杏子「フン……」

マミ「もう誰も不幸になんかさせない……私は、みんなを信じて生きていくの」

杏子「所詮綺麗事だね……ほんと甘ちゃんだよ、マミは」

マミ「ふふ、ありがとう杏子……これからも、お友達でいましょうね」ピピピピピ

カッ

杏子「チッ……もういいよ、風呂借りるぞ」ガチャッ バタン

マミ「いいわよ…って聞く前に行っちゃった」

さくら「お友達成立オメデトウゴザイマス、随分とお早かったデスネ
    やはり昔の知り合いダッタというのが関係しているのデショウカ」

マミ「それもあるけど……杏子からの親愛度が、もうほぼ10割近かったの」

さくら「ナント…ソレは素晴らしいデスネ」

マミ「杏子も、ゆまちゃんや美樹さんみたいに誰かのために願いを使ったの
   こうして一人じゃなく皆と一緒にいることで、昔を思い出してくれたのかも」

マミ「だから、後は私の気持ち次第だったの。私が、杏子とまた一緒にいたいって思えれば、それで良かったのよ」

さくら「ナルホド、それは素晴らしい……マミさんの周りは愛溢れる方が多い様でなによりデス」

ほむら「これでワルプルギスの夜に勝てる算段はずっと高くなってきたわ……今回こそ、必ず運命を変えましょう」

マミ「そうね…でも、まだできることがあるはずよ……」

ほむら「どういうこと?」

マミ「それは――」

杏子「おい!なんか風呂に魔女いるんだけどどうなってんだよ!?」ガチャッ

マミ「魔女?ああ、シャルちゃんね?可愛いでしょ?」

杏子「可愛くねーよ!なんで魔女がこんなとこにいるんだよ!おかしいだろ!?」

シャルロッテ「……」ヨタヨタ

マミ「そういえば今日のご飯まだだったわね…はい、チーズ」

シャルロッテ「……」モグモグ

杏子「無視すんなこら……馴染みすぎだろ」

マミ「いい?シャルちゃんはね……お友達なの!」

杏子「え?あ、ああそうなのか……って納得できるか!」

ほむら「心配しなくてもチーズさえあげていれば無害よ」

ゆま「んんっ…キョーコうるさいぃ…なんで裸でなの?」

杏子「しまっ…!///」バッ

マミ「何よ、女の子同士なんだから気にしなくてもいいんじゃない?」

杏子「そういう問題じゃねーよ!」

ゆま「あっ!何その歩くぬいぐるみ!可愛い!!ゆまにも抱っこさせて!」

シャルロッテ「……」モグモグ

ゆま「はぁ~~~~~~……癒されるぅ~~~~~」スリスリ

杏子「おいゆま、そいつはなぁ……」

シャルロッテ「……?」キョトン

杏子「うっ!」ズキュン

ほむら「今、不覚にも可愛いって思ったわね」

さくら「思ってマシタネ」

マミ「思ったわね」

杏子「うっせー!///……風呂入るから、そいつ入れるなよ!?」バタン

マミ「シャルちゃんはチーズあげると喜ぶわよ」

ゆま「ほんと!?……うわぁ、食べたぁ!ねえマミ!シャルちゃんと一緒に寝ていい!?」

マミ「ええ、いいわよ。おやすみ、ゆまちゃん」

その後、杏子はムスッとしたままベッドに向かっていった
さくらちゃんは家に帰り、暁美さんも帰ってしまった

そういえば、暁美さんと話の続きをできていなかった事を思い出した

マミ(まあ、明日以降でいいわよね)

QB「やれやれ、ようやくマミの部屋に入ることができるよ」ピョイッ

マミ「QB……もしかしてずっと待ってたの?」

QB「こうでもしないと僕に危害を加えられそうだからね……まともに話ができるのは、今はマミだけさ」

マミ「今までのつけが回ってきたのよ」

QB「理不尽な理由だね……人というのは本当に稀有な生き物だよ」

マミ「それはこっちの台詞よ。宇宙人はみんな感情なんかないのかと思ってたけど
   さくらちゃんみたいなのもいるみたいだし…あなた達が例外なんじゃないの?」

QB「まあ、僕達としては、それで宇宙のエネルギー事情が解決されれば万事問題ないんだぐぇっ」

さくら「マミさん、しばらくコノ生き物を拝借しても宜しいデショウカ?」

マミ「い、いいわよ……でも、いきなりタンスの中から現れないでよ…びっくりするじゃない」

QB「せめてもう少し丁重に扱ってくれないかな?」

━現在友達19人━

某日、宇宙船の中

さくら「ソレデハ、定例報告を行いマス
    今回は地球の人間の中でも特殊な分類に当たる、『魔法少女』という者がさんぷるでありマス」

さくら「そこで、趣向を凝らして彼女達の戦う『魔女』の空間を再現してみマシタ
    発表はコレマタ趣向を凝らして、あにめーしょんで行いたいと思いマス」

宇宙人1「wぜrtyぐいじょ!pklくぇgdびうqy1q3w」
(訳:なんだこの空間は!このような形式にする必要性が感じられない)

宇宙人2「rちぃおp!q4kwgんち、4wm;おmfぴっ!くぇwpfjskcもfれの……」
(訳:その通りだ!それに、その言葉も不愉快だ!私達なりの簡略化された情報伝達が……)

さくら「てぃろ・ふぃなーれ!」 宇宙人1、2「!?」ビクッ

さくら「…コノように、魔法少女は魔女に対して必殺技に名前をつけて攻撃しマス……
    さんぷるを理解する上で、後々必要になる知識かと思われマス」

宇宙人1(bsなお32@いうdfpm:f「@pl)ドキドキ
(訳:なんだ今のは……ちょっと楽しかったかも)

さくら「議長、コノ方式での発表の許可を申請シマス」

シリウス「よろしい、始めたまえ」

カワシタ ヤークソクー ワスレーナイヨー♪ メーヲトジー タシカメルー♪

宇宙人4「なんだこの音は?随分チープに感じられるが……」

さくら「地球では、省略することもあるそうデスガ、基本的にあにめーしょんの始まりに彼らの生み出した音楽トイウものを流すそうデス」

宇宙人5「確かに変ではあるが……悪くないかもしれないな」

さくら「ちなみに、地球時間にしておおよそ30分、もしくは1時間程であにめーしょんは終わりマス
    今回は1時間形式とさせて頂いておりマス」

さくら「また、始まりの音楽をおーぷにんぐ、終わりをえんでぃんぐと申しマス」

宇宙人1「この映像は何なのだ?本当にこのようなことが起こっているのか?」

さくら「あにめーしょんは基本的ニふぃくしょんの産物デス。私が発表させて頂くものは9割ガのんふぃくしょんデスガ……」

さくら「声は人口声帯を用いてホボ100%で再現しておりマス」

宇宙人3「これはこれで興味深い……それよりも早くさんぷるの形態を見せてくれ」

さくら「焦らないでくだサイ……もうすぐ始まりマスノデ」

クージーケーナーイ♪

~~~~~~~~~~
とある朝、学校にて

マミ「さくらちゃん何描いてるの?……って、それ私?」

さくら「ドウカお気になさらず、私の新しい趣味とデモ」

マミ「そんなこと言ってもペンを動かすスピードが尋常じゃないわよっ!!それ只の絵じゃないわよね!?」

さくら「ハイ、あにめーしょんデス」

マミ「何を作るつもりなの!?」

放課後
さくら「さて、今日で既に絵コンテは仕上がりマシタ。おっと、マミさんの写真も撮らせて貰いマス」パシャパシャ

マミ「良く分からないけれど、世のアニメーターがあなたを泣いて欲しがるわよ……」

さくら「帰ってあにめーしょんを製作しマス。恐らく1話分ならば余裕でしょう」

マミ「なんの話よ!……それはともかく、私もやっと19人ね――きゃっ!!」ドタッ カチッ

男「おっとすいません、お怪我はありませんか?」

マミ「!い、いえ、大丈夫ですので……」

さくら「本当に大丈夫デスカ?顔が熱そうデスが」

マミ「な、何言ってるの!私は学生とかの男性には興味ないのよ!」カー

女「あなたも学生でしょ!っていうか、星野くん気をつけないと……」

星野「すいません、根岸さんしか目に入っていなかったもので」

根岸「そう言うことを堂々と言うな!」バキッ

マミ「えぇっ!?何も殴らなくても……」

根岸「いや、ごめんなさい!気にしないでください、これは突っ込みみたいなもので、なんというか、その~」

星野「不器用な根岸さんなりの愛情表現なので許してやってください」

根岸「何様のつもりだっ!っていうか不器用言うな!」バシッ

マミ(ば…バイオレンスな彼女さんね……)
~~~~~~~~~~

さくら「と、コノようにさんぷるが出会ったのは、この星の言語で言う『ばかっぷる』というものデシタ」

さくら「そしてこの後、彼らを見つめるさんぷるの心境に変化が訪れマス」

~~~~~~~~~~
マミ「あの、本当に大丈夫ですからお気になさらず」

根岸「ホントごめんね!じゃ、行こっか根岸くん」テクテク

マミ「行っちゃったわね……はぁ、それにしても、恋人かぁ~……甘酸っぱいわね」

さくら「マミさんマミさん」ツンツン

マミ「なあにさくらちゃん?私達もそろそろ行く?」

さくら「腕のかうんたーをご覧ください」

マミ「えっ……え、あれ……も、もしかして、さっきの人に……!」

さくら「どうやらセットされてしまったようデスネ」

マミ「そこの二人!ちょっと待って!」

星野「はい?まだ何かご用でしょうか!ま、まさか汚れた制服のクリーニング代を請求するおつもりですか?」ガクガク

根岸「そんなヤクザな中学生いるわけないでしょ!」

マミ「あの、ええっと……」

マミ(な、なんて言えばいいのかしら……彼女さんの手前、お友達になってなんて言い出しにくいけど……)

>>310
「ラブロマ」キター!!!!!

マミ(あっ、この制服私が通ってた見滝原北高校の……こうなったら)

マミ「あ!お二人とも、ミタキタの人ですよね!?私、実は見滝原中学の三年生で、お二人の高校を目指してるんです」

マミ「だからですね!ぜひ高校生活のこととか入試の際に気をつけることとか、ご教授していただきたいなと思いまして!
   あ、申し遅れましたが、わたくし巴マミと申します」ペコペコ

さくら「マミさん、敬語になってマスヨ」

マミ「仕方ないでしょ!一応先輩ってことになってるんだから!」

根岸「一応ってなんだよっ!」

マミ「あの、駄目でしょうか?」

星野「どうして俺達なんでしょうか?暇そうな友人なら紹介できますが」

根岸「あいつらはやめといたほうがいいでしょ」

マミ「お二人じゃないと駄目なんです……でないと、地球がどうなるか……」

根岸「急に話が大きくなったよっ!?」

マミ「お願いします!」ペコリ

さくら「スイマセンが、こうしてマミさんも頭を下げてることデスしここはドウカお一つ……」

マミネギ「なんであなたが偉そうなのっ!」

根岸「じゃあ、どこか喫茶店でも寄ってく?」

マミ「!ありがとうございます!それじゃあ、お言葉に甘えて……」

星野「ごめんなさい根岸さん……」

根岸「いや、別に星野くんは悪くないし」

星野「巴さん(?)もごめんなさい、話してる途中でつい乳ばっかり見てしまうと思いますが」

マミ「ちちっ!?///」

根岸「なんてこと言ってんだお前はっ!!!」バシッ

星野「いえ、しかしこの先一緒にお話をすることになるとしますと、自分の中の内なる獣を抑制できる自信がありませんので……」

根岸「そうだとしても初対面の子に言うな!」

マミ「あ、あははは……」

喫茶店
マミ「ごめんなさい、二人のお邪魔をしてしまって……」

根岸「ううん、いいのいいの。未来の後輩のためだもん!私達が一肌脱いであげるからね」

星野「俺としては根岸さんとの二人っきりの時間が減ってしまうので、いい迷惑ですけどね」

根岸「そういうこと言わないの!」ビシッ

マミ「お二人とも仲がいいんですね……えっと、根岸さんと星野さん?」

星野「はい、僕達は恋人ですので」

さくら「それは見れば分かりマス」

星野「まあ、S○Xはまだなんですけどね」

マミ「セッ!?///」

根岸「だからそういうこと堂々と言うな!TPOわきまえろよ!」バシッ

マミ「あの、学校のこと聞いてもいいですか!」(話題変えよう……)

根岸「そ、そうね!そうだったね!」(ナイスよマミちゃん!)

そしてしばらく学校のことについて話を聞いていた……
もっとも、見滝原北高校は一度通っていたことがあるので概ね事情は理解していたのだが

星野「――とまあ、こんな感じですよ」

マミ「はあ、えっと……お二人がラブラブだということはよく分かりました」

根岸「ちょくちょくあたしらの思い出話を挟むな!紛らわしいでしょっ!!」

星野「すいません……でも、なんだか話をしていると懐かしくなってしまって……僕らももう受験生ですから」

マミ「そうだったんですか?ごめんなさい、忙しくなる時期に……」

マミ(そうだとは思ってたけど……こんなに有名そうな二人の噂が流れてこなかったわけだし、
   私が入る頃には卒業してたってことよね)

根岸「どうかな?参考になったかな?」

マミ「はい、とっても勉強になりました。私も絶対入学したいと思います!」

さくら「マミさんなら楽勝デスヨ、大人デスから」

マミ「それは言わないの」

星野「それは……身体が大人に近づいているということの言い回しですか?」

根岸「イヤラシイ聞き方すんな!」バキッ

星野「それでは、お話も終わったことですし、俺達はそろそろ……」

マミ「あ、あの!せっかくですから、私達とお友達になってくれませんか?」

星野「根岸さんがいるので無理です」

根岸「即答かよっ!別にいいでしょ、お友達くらい!」

星野「じゃあオッケーです」

根岸「軽いよっ!」

マミ「ありがとうございます!これで地球は救われると思います!!」

根岸「だから話がなんか壮大だよっ!」

マミ「お二人の馴れ初めとか、他にもいろいろもう少し聞きたいんですけど……いいですか?」

さくら「マミさん今日は少してんしょんが高いといいマスカ、食い付きますね」

マミ「そう、かな……なんか、二人を見てたら、忘れてた感情がまた芽生えてきちゃったみたいで……」

さくら「ヒュゥ~♪」

マミ「また変な表現覚えてきたわね」
~~~~~~~~~~

さくら「さんぷるは所謂『恋愛感情』、というものに再び興味を抱いた模様デス」

さくら「二人のらぶらぶっぷりに心を揺さぶられたようデスネ」

宇宙人2「こんな事故みたいなセットの仕方で地球人は友達になれるのか?さんぷるは大丈夫なのか?」ドキドキ

さくら「マダマダこれからデスヨ」

~~~~~~~~~~
星野「そこで根岸さんから頂いたものがチョコだったのですが、あれは何と言うか、さながら二酸化マンガンのようでして」

根岸「赤裸々に語りすぎだよっ!」

マミ「あの、軽い料理でよければ、今度教えますけど……」

根岸「うわーん、後輩にまで同情されたくなーい!」

さくら「ナルホド、マミさんと一緒では気付けない愛の話が聞けて大変参考になりマス」

マミ「悪かったわね!男っ気がなくて!」

根岸「ええー、マミちゃん彼氏いないの?モテそうなのになー」

マミ「いや、そう言うのとは縁がなくって……将来的にも、結婚するつもりはないんですけど」

エェーエーエーェー エェーエーエーェー♪

宇宙人6「なんだ!?これで終わりなのか!?」

宇宙人7「そうだそうだ!ここからがいいところじゃないか!」

さくら「慌てないでください、あにめーしょんの1話分が終了しただけデス。すぐに2話が始まりマスので、それまでお待ちを」

宇宙人4「しかし、さんぷるはここからどうやって距離を縮めるつもりなのだ?」

宇宙人8「この時点での互いの親愛度はどうなっているんだ?」

さくら「さんぷる4割、対象者6割といったところデス」

宇宙人9「なんだ、さんぷるの方が愛情が少ないではないか!」

宇宙人1「所詮野蛮人ということか」

\アッハッハッハッハッハッハ/

さくら「てぃろ・ふぃなーれ!」 宇宙人's「!?」ビクッ

さくら「みなさんお静かに……さあ、第2話が始まりマス」
~~~~~~~~~~

根岸「そうなの!?結婚は女の人みんなの夢って思ってたけど、やっぱり人それぞれ何だねー」

星野「夢見すぎですよ根岸さん。俺は将来的に根岸さんとしたいと思ってはいますが」

根岸「なっ、こんなところで何言ってんの!///」

星野「そのためには夢の実現からですけどね。必ず宇宙に行ってきます!」

根岸「夢見すぎなのはそっちもでしょ!……もうっ!」

さくら「ホホゥ、宇宙に興味がお有りなのデスカ?私宇宙には詳しいのデスガ、宜しければ色々と伝授いたシマショウカ?」ギラリ

マミ(そりゃあ、宇宙人だものね)

星野「そうなんですか?ぜひお願いします!」

さくら「それでは準備をして参りマスノデ、少々お待ちクダサイ。トイレに行って参りマス」

根岸「教えるのにどんな準備がいるのよ……」

マミ「あの、二人に聞いてみたいことがあるんです。例えば、例えばの話なんですけど……
   もしどちらかがある日突然、目の前からいなくなってしまったら……どうしますか?」

根岸「えっ…?」

to be continue
~~~~~~~~~~

マミ「例えば、例えばの話なんですけど……もしどちらかがある日突然、目の前からいなくなってしまったら……どうしますか?」

根岸「えっ…?」

星野「何も言わずに突然ですか?んー、うーん…………うーーーーーん……」

根岸「あたしなら、そうだなー、やっぱり探しに行くわね!そんで見つけ出して一発喝を入れる!」シュッシュッ

星野「俺も探し出して、どうして突然だったのか、なぜいなくならなければならなかったのかを議論したいと思います
   なぜそのような行動に出たのか理解できませんので」

根岸「なんか硬いなー」

マミ「じゃあ、もう二度と会えないとしたら…?」

星野「多分俺も死ぬでしょう」

根岸「えぇっ!?いやいや早まらない方がいいよ!!死んだとは言ってないし!」

星野「そしてあの世でまた、どうして突然だったのか、なぜ死ななければならなかったのかを議論したいと思います」

根岸「やっぱり硬いよっ!」

マミ「……ありがとうございます、いい人ですね星野さんは」

星野「残念ながら付き合うことはできませんので」キッパリ

マミネギ「そこまで言ってないでしょっ!!」

根岸「あたしは、なんだかんだでずっと生きてると思うんだよねー」

星野「そ、それは俺以外の誰かと一緒にということですか…?」ガクガク

根岸「それは分かんないけど、多分一人だと思う……うん、二人の思い出とか絆とか全部大切にして、生きていくと思う」

星野「そうですか……しかしよく考えると、子供がいるかによって答えは変わってきますよね?
   俺達はまだS○Xしているわけではありませんが……」

根岸「だからオブラートに包めっ!!!」バキッ

星野「すいません……」

マミ「ありがとうございます……それからごめんなさい、変なこと聞いちゃって」

星野「いえ、俺達の距離がまた一歩近づくことができたと思いますので、そこは感謝ですね」 ピピピピ
~~~~~~~~~~

宇宙人7「うーむ、地球人はなかなか愛情深いのか…?」

さくら「私がいない間のコノしーんには小型かめらヲ設置していたノデ、ホボ事実デス」

さくら「さんぷるは魔法少女という不条理な存在でありナガラ、一体何を思っていたのか?後で聞いたものを参考に仕上げてみマシタ」

~~~~~~~~~~
マミ(魔法少女はいつ死ぬか魔女になるか分からない存在……だから恋人や家族はいらないと思ってた)

マミ(でも、ひょっとしたら私にもそういう素敵な人ができて、子供を産んだりなんかする…そういう明るい未来があるのかもしれない)

マミ(……なんて、ちょっとセンチになりすぎたわね。もう恋なんてしないつもりだったのに)

マミ(二人を見てたら、こういうのもいいのかも……って思えてくるわ)

マミ(そして、絶対に二人の未来を守らないと、って思ったの)
~~~~~~~~~~

宇宙人3「何やら決意したぞ」

宇宙人8「これはつまり、二人のひたむきさに心を撃たれた、という解釈でいいのか?」

宇宙人9「まあまだ分からん、続きを見よう」
~~~~~~~~~~

星野「それではせっかくの機会ですので、俺からも質問をさせて頂きます」

マミ「なんでしょうか?」

星野「女子の会話に入れなくて困っているんですが、どうにかなりませんか?」

根岸「星野くんあれ気にしてたんだ……」

マミ「えっと、どういうことなんですか?」

星野「最近昼休みに根岸さんと根岸さんの友人と冴木さんの三人がよく集まるのですが」

根岸「陽子ちゃんね、陽子ちゃん」

星野「俺以外の三人でトークを始めてしまって…俺が聞いても、男には分かんないよねー、と退けられてしまうのです……
   どうすればいいのでしょうか?」

マミ「はぁ……無理なんじゃないですか?」

根岸「意外とズバッというね」

星野「な、なぜですか!?俺はただ、根岸さんを一人占めしたいけどそういうわけにもいかないので
   仕方なく妥協してみんなで会話をしたいだけなのに!」

根岸「そういう欲望丸出しだからでしょ!」

マミ「その通りね、女子には女子にしかできない会話があるの……そこに入り込もうだなんて到底無理よ!」キリッ

>>342
根岸さんの友人の人なつかしス。

出て来るキャラアフタヌーンの漫画が元ネタらしいが影技、人間試験、うたたねひろゆきのSF物、ヴィンラントサーガしか読んでないからさっぱり分からん

星野「なんてことだ……それじゃあ、俺は一生根岸さんとお昼ご飯中に会話できないのか……」

根岸「いや、学校以外ならできるでしょ」

星野「それはすなわち、卒業するまでは無理ということに……」

根岸「そこまで言ってないよ!普通にしてればいいんだって」

マミ「それだけ大事に思われてるってことですよね……なんだか、妬けちゃうわ」

マミ「ほんと、二人ともお似合いのカップルだと思いますよ」

カッ

根岸「あれ、今何か光った?」

星野「そうでしたか?根岸さんの方に気を取られていたもので全く気がつきませんでした」

根岸「それはもういいよ!」ビシッ

さくら「イヤ~、オ待タセシマシタ」スタスタ

マミ「きゃあっ!!さくらちゃん変装はどうしたの!?」

さくら「コノ姿ノ方ガ宇宙ノ説明ニ向イテイルカト思イマシテ」

>>344
とよ田みのる作品とのクロス
基本は「友達100人できるかな」(俺は読んでない)
そこに「ラブロマ」の主人公カップルが出張中
「FLIP-FLAP」の登場人物は出てるのかな?

さくら「スイマセン、コノお店のみなさんの記憶は消しておきマスネ」ピッ

マミ「また毒電波……大丈夫なのかしら、なんかみんな生気が抜けたような顔してるけれど……」

さくら「トコロデ、無事にお友達になれたようですが如何デシタか?」

マミ「そうね、恋愛もやっぱり悪くないのかなって思えたわ……」

さくら「20人目にして初めての異性のお友達デスネ!オメデトウゴザイマス、遂にマミさんにも男っ気が出てきマシタね!!」

マミ「そういえばそうねえ……って、大きなお世話よ!」

さくら「ヒュゥ~♪」

マミ「それ流行ってるの?よく考えたら、鹿目さん家のたっくんが……って、子供相手に何を言ってるのかしら私は……
   それより、さくらちゃんはどう思うの?地球人の恋愛に関して」

さくら「私デスカ?ンー……そのお話はよしマショウ、私は中立的観測者デスカラ」

マミ「そうなの?さくらちゃんにもそういう恋愛感情とかあるのかなって期待してたのに……」
~~~~~~~~~~

さくら「こうして、見事さんぷるは対象者と友達を成立させマシタ」

宇宙人6「地球人の恋愛というものは、中々に甘酸っぱい物なのだな」ドキドキ

宇宙人9「ああ……なんというか、こう、キュンとするな」

さくら「さらにさんぷるは、もう一人のメスの方にもかうんたーをせっとシマシタ」

\ナ、ナンダッテー!?/ \ダガタシカニ、フンイキハヨカッタゾ/

~~~~~~~~~~
根岸「そうなのそうなの、あれったらさー」キャピキャピ

マミ「えー、そうなんですか?意外ですねー」キャピキャピ

さくら「ホント男の子っタラー」キャピキャピ

星野「……あの、一体何の話をしているのですか?」

女子「男には分かんない話よ?ねー?」ねー

カッ
~~~~~~~~~~
さくら「女の子同士話が盛り上がったのか、あっさりと友達を成立サセテしまいマシタ」

宇宙人4「やるなーさんぷるは!」
~~~~~~~~~~

根岸「そうだ!マミちゃんメアド教えてよ!」

マミ「えぇ、どうぞ」

マミ(根岸由美子さんか……あれ?どこかで聞いたことがあるような…………あっ!)

マミ「あの、星野さんの下の名前って、ひょっとして星野一さんではないですか!?」

星野「えっ、そうですけど、どうしてそのことを……ま、まさか俺のことをストーカーしてたんじゃ……」ガクガク

根岸「明らかに今までの反応はストーカーじゃなかったろっ!」ビシッ

マミ「……夢、きっと叶うと思いますよ」

星野「はい、ありがとうございます」

マミ(10年後、日本人初の火星探査船のクルーとして選ばれたのが星野一さん……
   そして、ヒューストンに向けて放った第一声が……)


「根岸さん!!!火星から帰ったら俺と結婚して下さい!!!」


マミ(その相手が根岸由美子さん……この世界でも、二人が結ばれるといいわね)

fin
~~~~~~~~~~

エェーエーエーェー エェーエーエーェー♪

さくら「参考あにめーしょんは以上デス」

宇宙人1「さんぷるが恋愛感情を取り戻しただけで本当に友情が成立するのか?」

宇宙人2「確かに、あのオスの気持ちもよく分からない、感謝だけで親愛度が上がるとは……」

宇宙人3「元々事故のようなせっとだった。不注意で世界を危険に晒していたし……」

さくら「デスガみなさん中々楽しんでおられたノデハ?」

宇宙人4「確かに、こういう甘酸っぱい話は聞いてて面白かったかも……」

さくら「さんぷるは持っていたのです……愛を!」

さくら「そして気付いたのです。愛に立ち向かうコト、それもまた愛なのデアルと!
    愛がある故に、人の愛を知ることができ、互いに歩み寄ることができるのデアルと!」

宇宙人5「バカな!いくらなんでも決め付けすぎではないか!?試験はまだ始まったばかりだぞ」

さくら「あくまで私のふぃーるどわーくを通しての個人見解デス。シカシ新たな視点から見ることで分かるコトもあるのデス
    さんぷるが恋愛感情に気付いたように、私もまた彼らの立場に立って気付きマシタ。さんぷる……イヤ」

さくら「マミさんは確かに愛を持っている」

さくら「私はマミさんが大好きです」

\オオー!/ \キャーキャー/

さくら「今回で一気に21人目…20人達成のぷれぜんと、及び先程の報告の理由により……」

さくら「早期試験終了を視野に入れた試験第二段階へのすてっぷあっぷを申請しマス」

シリウス「……よかろう」

\オオー!/ \イイゾイイゾー/

さくら「ソレとシリウス議長、実はもう一つ頼みたいコトがあるのデスガ……サアサア、入ってきてくだサイ」

QB「やあ、お邪魔させてもらっているよ……僕らと同じくらいか、それ以上に文明が発達しているようで大変興味深い」

シリウス「ふむ、これはまた珍しい客だ……なぜ地球人以外の異性人がここに?」

さくら「ハイ、ソレには宇宙のエネルギー問題と先程の魔法少女が関係してくるので、少々説明させて頂きマス」

ざわっ…ざわっ…

\ソンナコトニナッテタノカ/ \オレモキイタコトガアルゾ/ \タイヘンソー/

さくら「そこで、試験中の例の装置をさんぷるの30人達成記念に、実用実験も兼ねてぷれぜんとしたいと思うのデス」

シリウス「……確かにいいアイデアかもしれないが、アノ装置を任せるにはまだまだ時期尚早ではないかね」

さくら「しかし、コノ短期間で友人の数は既に20人を超えておりマス……十分責任を持てる…信頼できると私は考えマス」

QB「僕らとしても、見せてもらったあの装置の有用性が証明されれば、
  より効率よくエネルギー回収ができるわけだから、お願いしたいところなんだけどな」

シリウス「うーむ…………いや、やはり早すぎる。せめて50人の友達を作るまでは見送ろう」

\ソウダソウダー/ \マダワカンナイシナ/ \ヤバンナシュゾクダッタラタイヘンダ/

さくら「……分かりマシタ……それでは、これにて報告は終了デス」

━現在友達21人━

それから数日後

今日は呉キリカについて調べるつもりだった
暁美さんの資料によると、私とクラスは別で、どうも不登校になっているらしい
様々な人に聞いてみたが、あまり期待した答えは返ってこなかった

放課後、帰り道

マミ「はぁ~、結局まともな情報はなかったわね」

さくら「一体ドノような情報をお求めだったのデスカ?キリカさんのお友達を探していたようデスガ」

マミ「呉さんのお友達なら呉さんのことをよく知っているでしょう?
   そこから友達になれるチャンスが出てきたかもしれないのに」

さくら「オヤ?マミさんは敵であるハズのキリカさんトモお友達になるおツモリで?」

マミ「正直、まだまだワルプルギスの夜に向けて戦力が足りないのも事実だもの……仲間になってくれれば心強いわ」

マミ「それに、鹿目さんが魔法少女にならないよう私達が動いてきたもの
   これであの二人の目的はなくなるわけだから、話せば分かってくれるはずよ」

さくら「フゥー…敵でアルと向こう側が認識してイル以上、ソウうまくいくとは思えマセンガ……」ヤレヤレ

マミ「やってみなくちゃ分からないでしょう?」

さくら「そういえば、私が今朝ぷれぜんとしたアレはお使いにならないのデスカ?」

マミ「ああ、『グループセット』機能のこと?タイミングがあればね……」

~~~~~~~~~~
パチン

マミ「はぁ~…腕が軽い……こんな気持ち久しぶり……!」

さくら「これでヨシっと……マミさん、もう一度腕を出してもらえマスカ?」

マミ「お風呂とか入る時も辛かったのよね…もう何もこわ――」パチン

さくら「トッテモお似合いデスヨ!ソチラのかうんたーが20人達成記念のぷれぜんととなりマス!」

マミ「せめて……せめてもう少し、夢を見せてくれたって……」グスン

マミ「それで、これは何が変わったのかしら?見た目は同じだけれど」

さくら「全くの別物デスヨ…今後のマミさんの試験の行方にも大きく関わる素晴らしい新機能がついておりマス」

マミ「グループセット…?」

さくら「ハイ、これまで一人ずつでしかせっとできなかったものが複数にん同時にできるようばーじょんあっぷされました」

さくら「経験上お気づきかもしれまセンガ、愛とは不変の確固たるものではありマセン
    マミさんのお友達の中には心変わりされた方もいるのではないでショウカ?」

マミ「そんなことないわ!今でもみんな大切なお友達よ!」

さくら「マアマア、怒らずに聞いて下サイ。これは唯の例え話デスカラ」
    時に流動し不安定な人の心……友情成立の機を逃さないためにコノ新機能が役に立つのデス」

マミ「……なんとなく分かってきたわ…あらかじめ複数人セットできれば、
   ある瞬間だけ友達になれたような人とのチャンスを逃さないってことね」

さくら「その通りデス。これでマミさんも一気にウッハウハデスヨ」

マミ「言い方がいやらしいわね……その機能、もう少し早く手に入っていれば星野さん達との成立も少しは楽だったわね……」

さくら「ヤレヤレ、いやらしいのはドチラなのデショウカ……」

マミ「うっ……ま、まあ、そんなことより学校があるんだから!早く準備しましょう!」
~~~~~~~~~~

マミ「仕方ないわね、今日は帰って――」

?「ぅああぁあぁあぁぁぁぁ!ないよ!ないよぅー!」

マミ(?何かしらあの子……!あの顔、もしかして)

?「どうしよう!ないよ!ないっよー!もう駄目だ生きていられない!さようなら私!」

マミ「ひょっとして……探し物はこ――」ヒョイ

?「あったー!会いたかったよ!もう離さないから!」

?「君!ありがとう!おかげで私の愛は死なずに済んだよ!お礼をさせてくれないかな、恩人?」

マミ「お礼なんてそんな……」

?「頼むよ!私の愛を見つけてくれたんだから!何かさせてよ!」

マミ「それじゃあ………私とお友達になってくれないかしら?呉キリカさん…?」

キリカ「!…………名乗った覚えはないけど……いや、それより、私に友達は必要ないよ」

マミ「あら、どうして?」

キリカ「興味がないんだ……くだらない友情ごっこや恋愛ごっこ…そんなくだらないものには、全部興味がない……
    ま、それは今の私になるまでの考えだけどね」

マミ「だったら」

キリカ「けど、やっぱり必要ないよね……只一人愛を傾けられる人がいればね」

マミ「そう……なら、その落し物は、それができる大好きな人からの贈り物か何かなのかしら?」

キリカ「……好きとか………そんな軽々しいものじゃない!愛は全てだ!!」

キリカ「好きだの大好きだの愛を単位で表わすような奴は愛の本質を知らない!君は何もわかっちゃいない!」

さくら「ホホゥ、興味深い意見デスネ…デハ、あなたの考える愛とは何なのデスカ?」

キリカ「教えてあげるよ恩人の友人……愛は、無限に有限なんだよ……だから、私は、彼女に無限に尽くす……それが愛だよ」

さくら「ナルホド…愛の形は人ソレゾレと申しマスシ、キリカさんのような考え方もやはり愛というものデショウカ……」

キリカ「へぇ…君は話が分かるね、恩人の友人……でも、恩人は知らないみたいだね」

マミ「そのために、誰かを殺すの?」

キリカ「!?」

その瞬間、私達の周りに魔女の結界が現れた
話していたとはいえ、魔女の気配に全く気付かなかった

そして、呉さんは魔女に取り込まれてしまった

vs猫の魔女

さくら「オヤ、飲み込まれてしまいマシタが……助けなくてヨロシイのデスカ?」

マミ「大丈夫なはずよ……彼女も魔法少女だもの」パアァン ヘンシーン

さくら「オォ、そうデシタネ」ポン

魔女を内側から切り裂き、呉さんが再び姿を現す
その姿はまさに、『黒い魔法少女』である

キリカ「これは驚いた……私が魔法少女だと既知なんだね…それに、どうやら恩人も魔法少女のようだ」

マミ「ご明察……だったらどうする?私を殺すの?」

キリカ「うんっ!恩人を故人にするのも、無限の中の有限にすぎないよ」

マミ「その行為に意味がないと知ってても?」

キリカ「!……どういう意味だい?私が魔法少女を殺す理由を恩人が知ってるとでも?」

マミ「えぇ……あなたはただ、美国織莉子さんの言いなりに動いているだけ」

キリカ「織莉子?…織莉子を知っているんだね?」

マミ「まあね。そして、この行為自体に意味はなくって、本当の目的はQBの気を逸らして――」

キリカ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」

さくら「随分と長いため息デスネ」

キリカ「もういいや殺そう」

マミ「!?ちょっと、まだ話は終わって――」

キリカ「黙れぇ!!!」

キリカ「恩人はもはや邪魔者だよ……消えて♪」ヒュン

呉さんの爪状の武器から繰り出される攻撃を受け止める
しかし待ったなしの攻撃は続き、こちらが攻撃する暇を与えない
動きが速すぎる……いや、確かこちらが遅くされているらしいのだったか

キリカ「次っ次々つっぎ次ぃ!どうしたの?反撃しないの?邪魔者のくせに慎み深いのかな!?あっははははあははははは!!!」

マミ「待って呉さん、話を聞いて!」

キリカ「うるさいなぁ!早くくたばっちゃえよ!あはは、はははははっ!」

魔法の相性は確かに悪いようだ
火力に分があっても私が狙いをつけ発射するまでに彼女は射線から逃れてしまう
拘束魔法もあの武器の前には無力だろう

キリカ「はぁ……飽きたなあ…ここまで死ななかった魔法少女は君が初めてだけど
    そろそろ死んでくれないかな?友人はどうっしよっかなー」

マミ「よそ見する余裕があるのかしら?まだ何の決着もついてないのに……結構子供っぽいのね」

キリカ「っ!……だ れ が ここ、子供だぁ!!!!」

マミ「事実でしょう?人の話も最後まで聞かないで、自分に都合の悪いことから目を逸らそうとして、嫌なことから逃げてるだけじゃない」

キリカ「うるさいぃ!!これで終わりだあああ!」

マミ「!しまっ――」

ガキィィン

キリカ「なっ、なんだぁ!?友人!?」

マミ「さくらちゃん!素手で武器を…!」

さくら「アノままではマミさんが死ぬことにナリそうダッタもので……」

キリカ「そっか……友人も魔法少女なんだね?だったら話が早いや…二人とも殺すよ?」

パシィン

キリカ「なっ…ぶったね!?今すぐころ――」

パシィィン

さくら「二度もぶった……親父にもぶたれたことナイのにぃ!」

マミ「そういうところが子供なのよ、呉さん……黙って話を聞きなさい!分かったら返事!!」

キリカ「!お、おぅ……」

さくら「教師の血が騒いでるようデスネ」

マミ「さくらちゃんもちょっと黙ってて!」

マミ「人の話は最後まで聞きなさい。生きていれば人と違う意見になることはしょっちゅうあるわ
   それを相手の意見を聞きもしないで自分の意見を推し進めようだなんて、まるで駄々を捏ねる子供のようね」

マミ「人の話を聞いて、そのうえで自分の意見を改めるなり貫こうなり考えていかなければならないの?そういう大人の余裕を持ちなさい」

キリカ「だからって――」

マミ「以上を踏まえたうえで私の話を聞いてもらうわよ?でも、その前に情報を整理しましょうか」

マミ「一つ、あなたと美国さんは見滝原に訪れる災厄を知っている
   それと同時に、鹿目まどかが最悪の魔女となることも知っている…そうね?」

キリカ「……知ってるよ」

マミ「二つ、魔法少女の正体を知っているあなた達は鹿目まどかを排除することにした……間違いないわね?」

キリカ「……」コクン

マミ「そこで、QBの気を鹿目さんから別のことに向けさせるために魔法少女を殺したりゆまちゃんの存在を教えたりした……」

キリカ「どうやら邪魔者は優等生らしいね……まるでストーカーだよ」

マミ「三つ、あなたは美国さんのためになんでもしてきた……これも間違いないわね?」

キリカ「君はネネちゃんのママの料理かい?……話が終わったんなら、早く続きをやろうよ…?」

マミ「これからが大事な話なの……ワルプルギスの夜は、倒せるのよ」

キリカ「へぇ……そんなわけないだろ?私は織莉子から聞いてるんだよ
    それはまさに絶望そのものだって…だからターゲットは契約するんだよ」

マミ「あなたは美国さんの言うことを信じるつもりね……
   今、この見滝原に何人の魔法少女がいるか知ってる?あなた達も入れて7人よ
   美国さんがどんな未来を見たのか詳しくは知らないけれど、戦力としては十分な数だと思わない?」

キリカ「くくっ、邪魔者は面白いことを言うんだね……もうじっとしてるのも疲れたよ…そろそろ動いていいかな?うん、いいだろ?」

マミ「そうね、いきなり信じてもらうのはちょっと無理な話よね……
   なら、信じてもらうために、まずは私とお友達になってもらえないかしら?」

キリカ「まだ言うんだ?言ったでしょ、私には必要ないって」

マミ「いいえ……絶対に呉さんとお友達になってみせる…セット!」カチッ

キリカ「君は随分酔狂な人だよね……私は魔法少女を殺してるんだよ?」

キリカ「そんな人間とお友達になろうだなんて、優等生というのは訂正した方がいいかな?」

マミ「呉さん…あなた、興味がないだなんて言って、ただ逃げ道を作ってるんじゃないの?
   本当は、もっといろんな人とお友達になってみたかったんじゃないの?」

キリカ「んぁ~?逃 げ て る……?くふっ、あははは、あはははははははあっははは!!!!!!!!!!!」

キリカ「あははははぁ~ぁ……………………やっぱり散ねっ!!!!」

呉さんは爪の数を増やし、私に再び斬りかかってきた
受け止めきれず、私は傷を負ってしまった

その瞬間、魔女の結界が一気に崩壊を開始した

キリカ「チッ……しまったなぁ、殺せなかったよ……

キリカ「結界外だと織莉子に迷惑がかかるからね、これ以上はやってらんないよ」シュパァン

マミ「うっ……ちょっと、話は途中だって」

キリカ「次は必ず殺すから、ぜひまた会ってほしいな?絶対、だよ…?」

そのまま走ってどこかへ行ってしまった

マミ「痛ッ……最後は全力の攻撃だったみたいね…ちょっと傷が深いかも……」

さくら「大丈夫デスカ?」

マミ「平気よ、これくらい魔法で……」

ゆま「てぇーい!マミ大丈夫?」パアァァ

マミ「えっ傷が…?ゆまちゃん、どうしてここに?」

ほむら「魔法少女としての経験を積ませるために私が指導していたのよ…ちなみに、さやかも同じように杏子に指導されてるわ」

ゆま「ゆまはキョーコに教えてもらいたかったのに……」

ほむら「近接武器同士の方が指導しやすいでしょう?」

ゆま「ゆまだって接近戦の方が得意なのに」ブツブツ

ほむら「それで、マミさんはどうしてここに?このあたりに魔女の反応があったのだけれど、魔女にやられたのかしら?」

さくら「イエ、コレはキリカさんの攻撃によるものデス」

マミ「さくらちゃん!」

ほむら「……どういうこと?どうして呉キリカと接触しているの?」

私達は事情を説明した

ほむら「なるほど……無駄なことをするのね」

マミ「暁美さんまで!呉さんだって悪い人じゃないはずなのよ……ただ、ちょっと道を間違えてるだけなの」

ほむら「とにかく、これで二人は危機感を覚えたはず……まずいわね、まどかの身に危険が迫ることになるかもしれないわ」

マミ「私の責任だもの……今から美国さんの家に行くわ。場所は暁美さんの資料に書いてあったところのはずね」

ゆま「そんな…無茶だよマミ!だって、二人とも悪い人なんでしょ!?危ないよぉ」

マミ「大丈夫、話せばきっと分かってくれるはずなの……彼女達の目的も、最終的には私と同じ、世界を救うことなんだもの」

ほむら「私達も行くわ。杏子とさやかにも連絡を取って、それから皆で――」

マミ「下手に大人数で行くと嫌われるわよ……私とさくらちゃんだけで十分」

ほむら「……ならせめて、外で待ってるから…危険があれば、迷わず呼んでちょうだい」

マミ「ありがとう……さ、行くわよさくらちゃん!」

さくら「合点承知の助でありンス!」

マミ「江戸っ子っぽいわよ」

マミ「ここね……」

随分と大きな屋敷だった
そして、その庭先で、彼女は優雅にお茶を嗜んでいた

織莉子「ようこそおいで下さいました」

マミ「あなたが、美国織莉子さんね?」

織莉子「そうです……あなた達が来ることは分かってましたわ」

マミ「初めまして、私は巴マミ。こちらが道明寺さくらさん…そして、それが未来を見る力、というやつなのね?」

織莉子「はぁ……キリカから聞いた通り、やっぱりあなた達は私達の邪魔をするのね」

マミ「邪魔とは失礼ね……私達の目的は同じところにあるのよ?世界を救う、ということはね」

織莉子「無理よ…ワルプルギスの夜、あの魔女は決して倒せない……そして、もし仮に倒せるとすれば、それは最悪の魔女となる彼女だけ……」

マミ「あなたの未来視、どこまでが確かだという自信があるのかしら?」

織莉子「あなた達が来るということは分かっていたと、最初に申しましたわ?確かだったでしょう?」

キリカ「おやぁ?こっれはこれはお早い再会だねぇ、邪魔者と邪魔者の友人さん?そんなに死にたかったのかい?」

織莉子「キリカ、少し静かにしていなさい。客人のお話は途中なのよ?」

キリカ「うっ……織莉子もそうやって私を子ども扱いするんだね!ひどいよひどいよ!そんな織莉子が……私は大っ好きだよ!」

さくら「相変わらず素晴らしい愛の振りまき具合デスネ、中々興味深いデス」

マミ「美国さん、単刀直入に言わせてもらうわ……鹿目さんから手を引いて」

織莉子「それは無理な相談よ、もはや彼女を始末するしか道は残されていないの…あれを世に解き放ってはいけないのよ」

マミ「今まで私達は、鹿目さんを魔法少女にしないよう様々な手を打ってきたわ     そして、ワルプルギスの夜を私達の手で倒してしまえば、それでいいでしょう?」

織莉子「無理だと言っているのに……あれはあなた達5人の力をもってしても倒せるものではないのよ?」

マミ「5人?おかしなことを言うのね、あなた
   さっき呉さんに言った通り、この街には私、暁美さん、美樹さん、佐倉さん、ゆまちゃん……」

マミ「そして、呉キリカさんと美国織莉子さんの、全部で7人よ」

マミ「あなた達は戦闘に参加しないつもりなのかしら?」

織莉子「………なるほど、言われてみればそうね。盲点だったわ」

マミ「なら、私たち全員で戦闘に挑めば勝てる確率は上がると思わない?」

織莉子「それはきっと無理よ……その場に私達がいる未来が見えないということは、私達はもうきっとこの世にいないのね」

マミ「それは……魔女になってしまうということかしら?」

織莉子「……それは分からないわ…でも、見えないということは、いないということに間違いないのよ」

キリカ「そんなぁ!織莉子が死んじゃったら私も死ぬよ!腐って果てちゃうよ!」

マミ「……どうしてそんなに簡単に未来を諦められるの」

織莉子「諦めてなんかいないわ……鹿目まどかは、必ず排除してみせる…例え私達がどうなろうと」

織莉子「それが私の生きる理由なのだから」

マミ「ふぅ……どうしても鹿目さんを殺すというのなら、私にも考えがあるわ」

キリカ「やれやれ…ようやく君と殺り合えるんだね?」

マミ「美国さん、私と…私達とお友達になりましょう?」

オリキリ「…………はい?」

さくら「マミさん、私最近思うのデスガ、そんな風に見境なく友達を迫るのは何と言いマスカ……
    いたいけな少女を狙う不審者みたいで不気味デスヨ?」

マミ「なっ、何言ってるの!?お友達に誘うくらい普通でしょ!?」

さくら「いえ、デスカラ誰かれ構わずというのがデスネ……」

織莉子「あなた……ひょっとしてどこか悪いんじゃないかしら?頭とか」

マミ「大きなお世話よ!」

織莉子「仮にも私達は敵のはずなのに、しかも魔法少女同士でなんて……どうすればそういう発想になるのか甚だ疑問だわ」

キリカ「織莉子、やっぱりこいつらやっちゃっていいよね?私は相手にするのが疲れるよ……」

マミ「あなたにだけは言われたくないわ……それに、まだ落とし物を見つけてあげたお礼、貰ってないわよ?」

さくら「自分で言い出しマスカ……ナントいうか、必死デスネ」

マミ「それは言わないで!」

織莉子「落とし物…?キリカ、どういうことかしら?」

キリカ「えっ!?いや、その、それはだね、織莉子、なんというか、あの、えっとね……」

織莉子「酷い人ね、私が差し上げたプレゼントを落として、あまつさえ私達の邪魔をする人に見つけてもらったなんて」

キリカ「織莉子ぉ~、そんなこと言わないでよぉ~…うぅぅぅうぅ……そっか……だったら邪魔者を消してしまえばいいんだね!」シュパアァ ヘンシーン

マミ「なんでそうなるのかしら」

織莉子「そうね、鹿目まどかのついでに消してしまいましょうか」シュパアァ ヘンシーン

マミ「交渉決裂ね……ところで二人とも、ソウルジェムが傷つくと私達も痛みを受けることは知ってたかしら?」

織莉子「なんとなくね……さあ、あなたも変身しないの?」

織莉子「――っ!?な、何!?あなた一体どういうつもりなの!?」

マミ「あら、私が何をしようとしたのか分かっちゃったのかしら」ポイッ

キリカ「なんだい?あっさり死んでくれるってことかい?ソウルジェムを手放すなんて」

さくら「よろしいのデスカ、アレを放り投げてしまって」

マミ「こうでもしないと私が敵意を持ってないことも戦う気がないことも、分かってもらえないでしょう?」

さくら「残念ながら、アノ距離デスと私の静止も間に合うか分かりマセンので、
    最悪地球は終末を迎えるというコトにナリマスがあしからず」

マミ「それも仕方ないわね……ここで二人とお友達になれずにワルプルギスの夜と戦っても、きっと勝てないわ」

マミ「そのままもし未来に帰ることができたとしても、私は後悔したまま生きていくことになるでしょうね
   多分、チャンスを生かせなかったことに絶望するわね」

さくら「まあ、私も努力はシマスが……」

キリカ「よく分かんないけど、壊すよ?バラよ?いいよね?いいんだよね!?」

織莉子「キリカ!!」

キリカ「っ!?」ビクッ

織莉子「ちょっと待ちなさい…………あなたは、一体何がしたいの?」

マミ「巴…巴マミよ」

織莉子「……巴さん、質問に答えてくださる?」

マミ「少なくとも、これで私があなた達の味方になりたいということは伝わったかしら?
   しまったわね、せっかくだからお茶菓子でも持ってくればよかったわ」

さくら「マミさん、ソレだと打算的に思われマセンカ?」

マミ「そ、そんなつもりじゃないのよ…?ただ、一緒にお茶できたらなってだけで……」

マミ「それに!二人のことをもっと知りたいなって思ったの!ほら、私ったら友達になりたいって言っておきながら、全然知らないんだもの」

織莉子「あら、でも私達の名前や目的は知っていたわよね?」

マミ「あれは例外よ!お友達になるのには、あんまり必要ないものだし……」

キリカ「私は君のことを知りたいだなんて思ってないけどね」

マミ「そうね……それはどうすればいいかまた考えましょうか」

キリカ「ここで壊れる人が何を言ってるんだい……?」

織莉子「…………あなたは、私のお父様がどんな人だったか知らないの?」

マミ「美国さんのお父さん?……知ってるけど、それがどうかしたかしら?」

織莉子「!……」

マミ「私は、今のあなた達と話してみたいの……それじゃ駄目かしら?」

織莉子「……ふぅ~………キリカ」

キリカ「おぅ……やっちゃっていいの?」

織莉子「返してあげましょう」

キリカ「なっ!?織莉子ぉ~、いいの?」

織莉子「少しこの人に興味が湧いたわ、今日のところは引き上げてもらいましょう」

キリカ「チッ……どうぞ、邪魔者」ポイッ

マミ「ありがとう……明日また来るわね」

さくら「学校はドウスルおつもりで?」

マミ「一日くらい休んだって変わらないわ……勉強に関してはね」

織莉子「ホントあなた変わってるわね……あっ、私もあのお店のチーズケーキ好きなの」

マミ「あら、また未来を見たのね?私がケーキを買ってくるっていう」

さくら「ただの催促ともとれマスガ」

マミ「さてと、今日はそろそろお暇しましょうか……帰りましょうさくらちゃん」

さくら「せっかくデスノデ、次は織莉子さんの愛を聞かせてもらいマショウ」

織莉子「さようなら」フリフリ

キリカ「いいーーーーっだ!!」


ほむら「大丈夫だったの?」

マミ「明日会う約束を取り付けたわ」

ゆま「マミすごっ!」

マミ「私達のことは気にしないで……少し、ほんの少しだけど、心を開いてくれそうだから」

ほむら「……分かったわ、彼女達のことは任せたわ。頼んだわよ、道明寺さくら」

さくら「善処しマショウ」

さくら「ちなみに、キリカさんの親愛度はいかほどなのデス?」

マミ「んー、2割といったところね……まあ、私の親愛度もそんなに高くはないけれど」

さくら「時間がかかりそうですね」

マミ「ワルプルギスの夜が来るまでに、なんとかなるといいのだけれど……」

さくら「マミさんはグループセットは使わないのデスカ?」

マミ「あっ……忘れてたわ」

さくら「ヤレヤレ、宝の持ち腐れトハせっかくの機能が泣いてしまいマス…正常に動作シテいるカ確認したいのデスガ」

マミ「明日ちゃんとやるわよ……そういえば、さっきのあれ嘘なんでしょ?」

さくら「アレ、とは?」

マミ「制止できるかどうか分からないっていうやつ……暁美さんに聞いてたけど、時間を止めれば余裕だったんじゃないの?」

さくら「……ナルホド、ソノ手がありマシタカ」ポン

マミ「あれ!?忘れてた…の?てっきり私の覚悟を理解してもらうために手を貸してくれたのかと」

さくら「カ、勘違いしないでよネ!別にあんたのタメに言ったコトじゃナイんだからネ!!」

マミ「どこかで聞いたことあるような台詞ね」

翌日、私達は学校を休み、美国さんのご希望通りにチーズケーキを買って行った

キリカ「流石織莉子の言った通りだ、ほんとに来たよ」

マミ「巴マミよ、呉さん」

さくら「道明寺さくらデスヨ、キリカさん」

キリカ「うへぇ…織莉子以外のことを覚えるのは御免なんだけどなぁ」

織莉子「私は覚えてるわ。キリカも覚えてあげなさい」

キリカ「織莉子がそう言うんなら……」

マミ「ほら、『U&me』のチーズケーキよ?他にもいろいろ買ってきたし、みんなで食べましょうか」

織莉子「ありがとう……キリカ、お茶を淹れるから手伝って?」

キリカ「分かったよ理解したよ、織莉子」

マミ「あ、私にも手伝わせて?でもその前に……美国さんにセット!」カチッ

美国さんが紅茶を入れ呉さんがケーキを切り分け私がお皿などの準備

さくらちゃんはじっと座って今か今かと待っていた

マミ「こんなところね」

織莉子「キリカ、紅茶に砂糖は何個入れる?」

キリカ「3個!それからジャムも3杯!」

マミ「まるでシロップを飲んでるみたいね……」

さくら「私もそれでお願いシマス!私も甘いのは好きデスヨ!」

キリカ「邪魔者の……ああー、あれだ、道明寺も分かってるね!」

マミ「ふふっ……さ、食べましょうか」

それから私達は以外にも普通にお話をした
美国さんとは話が合うし、さくらちゃんと呉さんも何やら相性が良さそうだった

ただ、私と美国さんが話していると呉さんに嫉妬深い目線を送られることもしばしばだったので、なるべく皆で話すようにしていた

さくら「ところでマミさん、親愛度のほうはいかがデスカ?」

マミ「さくらちゃん、声が大きいってば……」

織莉子「何の話?」

マミ「ううん、なんでもないのよ」

マミ「二人がいるから後で確認しましょう……ここでそんな話してたら怪しまれるわ」ボソボソ

さくら「仕方ないデスネ。まだ説明はできておりマセンガ、一応正常動作しているようですカラ良しとしマショウ」

マミ「だから声が大きいってば!」

それからもしばらく他愛のない話をしていたが、ふと口火を切ったのはさくらちゃんだった

さくら「オ二人はドノようにお知り合いになられタのデスカ?」

織莉子「……あなた達には関係ないわ」

キリカ「出合いだの別れだのをいちいち気にしてたら世界は回りまわって夜を迎えちゃうよ」

マミ「……さくらちゃん、デリケートな問題みたいだからあんまり聞かない方がいいわよ」ヒソヒソ

さくら「ソレデハ、ちょっと話しヤスクしてみマショウカ」ポチッ

織莉子「あれはこの間のことなんだけどね~、一人街を歩いていたらね~」ホワー

キリカ「私が織莉子を見つけてさ~、いつかのお礼も兼ねて話しかけたらさ~」ホワー

マミ「さくらちゃんまた毒電波を使ってるの?あんまり感心できないわよ?」

さくら「デハ消しましょうか?チナミニ強制させてるワケではありマセンよ?あくまで話しヤスイ気持ちにしただけデスノデ」

織莉子「私はびっくりしちゃってね~」ホワー

キリカ「それを言うなら私も驚いたよ~」ホワー

マミ「……ごめんなさい二人とも、もう少し見てみたいわ……」

マミ「そう……そんなことがあったの」

キリカ「あんまり言いたくなかったんだけどね~、道明寺がどうしても聞きたいっていうから仕方なくね~」ホワー

織莉子「うふふふ、あんまり面白くなかったかしら~?」ホワー

さくら「イエ、大変興味深いオ話しデシタ」ポチッ

織莉子「……あら?私、どうしてあなた達にあんな話を……」

キリカ「うっがああぁぁぁあーー!!!!!不覚不覚ふっかっくだああぁあああーー!!なんで私ががががが!!!」ガシガシ

マミ「落ち着いて二人とも!私は全然気にしてないから!」

キリカ「とぉおおおもえええぇええ!!それは私達の愛が粉々プリングルス以下の存在って言いたいのかい!?」

マミ「そんなこと言ってないから!!」

織莉子「キリカ、静かにしてちょうだい?」

キリカ「ぅぅううう……」

マミ「いい話だったわよ。二人の愛の深さがとても伝わってきたもの」

キリカ「フンだ、どうせ君にはそんな相手もいないさびしんぼなんだろ?」

さくら「失礼ナ!マミさんは確かニ一人で下校しタリ一人で魔女と戦っタリ一人で大きいけーきを買って食べタリしてきましたガ、
    決してさびしんぼではありマセンヨ!」

マミ「さくらちゃんの方がよっぽど失礼よ!?それに、今はもうそんなことないもの!」

キリカ「ふぅーん……あっそ」

マミ「……興味0ね」

織莉子「あなたは本当に酔狂よね、私達の正体を知っていて何をしてきたのかも知っていて、それでもなお私達に踏み込んでくるなんて」

さくら「エエ、コレも不器用なマミさんなりの愛情表現なのデス。許してあげて下サイ」

マミ「それ星野さんの台詞でしょ!」

織莉子「私はたくさんの人を殺してしまったの……今さら無駄にはできないわ
    なんとしてもあの災厄を断つ、それが私の生きる理由だもの」

マミ「美国さん……何でも一人で背負わないで?重すぎるものを持っているなら、私も持つから
   そうすれば、少しは楽になるでしょ?」

マミ「あなた達のやってきたことは間違っていたかもしれない……でも、まだ間に合うと思うの
   私も一緒に背負ってあげるから…だから、一緒に手を取って戦ってほしいの」

織莉子「…………へぇ、あなたはキリカと同じことを言うのね」

マミ「へ?」

キリカ「パクったなこのパクリ野郎!!パックリ頭から割ってやろうかぁあん!?」

マミ「待ってよ、わけが分からないわ!」

織莉子「キリカも言ってたわよね?」

キリカ「えぇ?……そりゃ、似たような言ったけど」

織莉子「キリカはね」

『重すぎる荷物を持ってるようなものかな?なら、私が半分持ってあげよう』

『だから、一緒に行こう』

織莉子「って言ってくれたのよ」

さくら「キャー!情熱的な告白デスネ!!」ヒューヒュー

キリカ「やめてよ織莉子ぉ~こっ恥ずかしいってば!」

マミ「それって私の台詞も恥ずかしかったってこと…?」

さくら「マミさん今さらデスカ?」

マミ「そんなに頻繁に言ってないわよ!?」

マミ「……でも、二人で持つより三人で持った方が軽くなるわよね?」

その時、私達の間に緊張が走った

この気配は、恐らく魔女がすぐ近くに――

vs鎧の魔女

マミ「白昼堂々人の家に登場なんて、いい度胸してるじゃない」

キリカ「ああ、前からあるといいなって思ってたんだよね、この家にあると言いなってさ
    ブルジョワは家に鎧を置くのがしきたりなんでしょ?」

織莉子「初耳だわ……」

さくら「ヤレヤレ、オ茶の邪魔はしないで貰いたいデスネ」ズズー

キリカ「フン、こんな奴私一人で十分だよ」

織莉子「えぇ、任せるわ」

美国さんは変身もせず、座ったままお茶を嗜んでいた

呉さんはというと一人で特攻し、凄まじい速度で魔女を斬り裂いていた
やはり攻撃に関しては流石と言うべきである

織莉子「――!キリカ後ろよ!」

マミ「危ないっ!!」

私はとっさに銃撃で、呉さんに迫っていた後ろからの攻撃を防いだ

キリカ「余計なことはしなくていいんだよっ!!!!

魔女はそのまま粉々に砕け散った

マミ「!!織莉子さん!」

織莉子「!」

魔女の欠片が危うくテーブルにぶつかりそうになり、私はリボンで縛り上げて落下を食い止めた

キリカ「全く、私達の邪魔をするなんてとんだ間女だよ」

マミ「さくらちゃんも怪我はない?」

さくら「大丈夫デス、けーきも無事デスヨ」モシャモシャ

織莉子「……ねえ、今」

キリカ「やっほー!グリーフシードゲットしったよー織莉子!」

マミ「やったわね!……私はいいから、キリカが使って?」

キリカ「?元よりそのつもりだけど、何を血迷っているんだい君は?」

マミ「……そこまで言われるほどかしら?」

織莉子「……巴さん…今私のこと、なんて?」 ピピピ

マミ「今…?……あっ!」

そういえば、どさくさに紛れてつい名前を呼んでしまったのだった

マミ「ごめんなさい、二人とも名前で呼び合ってるからつい……それにほら、このほうがお友達っぽいかなって」

マミ(実際名前とかあだ名で呼んだら仲良くなれた、ってこともあったものね)

キリカ「うわぁ、グリーフシードが黒くなっちった」

さくら「ちょっとソレを見せてくれマセンカ?」

キリカ「構わないよ、ほれ」ポイッ

さくら「ナルホド……これ貰っても宜しいデスカ?是非研究したいのデスガ!」

マミ「さくらちゃん、それを放っておいたら魔女が孵化するわよ?危険だからやめた方がいいわ」

キリカ「???いいけど、研究だなんて素人にできるわけないじゃん」

さくら「ご心配には及びマセン、母船に送って管理シマスので」シュイン

キリカ「へぇ、道明寺は手品師だったの!?そいつは凄い、是非巴もワンツースリーで消してみてくれないかな?」

マミ「どういう意味よ!!……まあ、さくらちゃん達なら大丈夫そうだけど」

織莉子「――!あっ…これは、まさか…………いえ、でも何かが違う……何かしら……」

キリカ「お、織莉子…?」

織莉子「…………未来が見えたの…ワルプルギスの夜が消滅していく結末……」

マミ「!それは……誰が倒したの?」

織莉子「………8人の魔法少女よ」

マミ「8人?」

さくら「現在この街にいる魔法少女ト数が合わないノデハ?」

織莉子「でも、誰も魔女にはならなかった……それに、1人だけ私達と違って何かがおかしかった」

キリカ「それより織莉子!そんな未来今まで見たことなかったんじゃないのかい!?」

マミ「そうよ、織莉子……それってつまり、私達と一緒に戦ってくれるつもりになってくれたのね」

織莉子「……それが私の運命となってしまったのなら、私は受け入れるつもりよ」

マミ「ありがとう織莉子!」

キリカ「そ、そんなぁ~」

マミ「キリカ」

キリカ「……なんだよ巴」

マミ「お願い、私達と一緒に戦って」

織莉子「キリカ……私と一緒に来て」

キリカ「えぇ~!?……ん~、あ~、え~…………」 ピピピピ

キリカ「分かったよ、織莉子がどうしてもっていうんなら、私も協力するよ、うん」ポリポリ

マミ「キリカ!ありがとう…ほんとにありがとう!」

キリカ「言っとくけど!手を組むだけだぞ!べっつに友達なんてもんになるつもりはないからな!!!」

ピカッ

キリカ「そこんとこ間違えるなよっ!!」

マミ「……そうね、それでもいいわ」

マミ(私の気持ちを受け入れてくれただけで、今は十分よ)

さくら「やりましたネマミさん。詳しい説明抜きにグループセットを使いこなすとはオ見事デス!!」

マミ「詳しい説明…?」

さくら「夢のはーれむにまた一歩近づきマシタネ」

マミ「そんなもの目指してないわよ!」

キリカ「巴……流石の私もそれは引くよ」

マミ「あなたねぇ!」

マミ「とにかく、二人ともありがとう……今度魔法少女の顔合わせ会をやりましょう」

キリカ「はぁ!?なんで私がくだらない慣れ合いを――」

織莉子「参加しましょう」

キリカ「織莉子ぉ!?ほんとにどうしちゃったんだよぉ……なんで急に乗り気なのさ?」

織莉子「協力するというのなら当然の選択よ、あなたも楽しみましょう?」

キリカ「うへぇ……」

織莉子「ねえ、そろそろお昼だけれど…軽いものを用意するから食べて行かない?」

マミ「いいの?……なら、お言葉に甘えさせてもらうわ」

それから軽い昼食を取った後しばらく雑談し、私達は帰ることにした

マミ「今日はありがとう。また連絡するから……それじゃあ、またね」

さくら「お邪魔しマシタ」

織莉子「さようなら」フリフリ

キリカ「フンだ」

織莉子「…………それにしても、あれはどういうことだったのかしら……」

マミ「そうだわ、暁美さん達に連絡しとかないと……」

さくら「予定より早くオ友達になれましたネ。順調過ぎて気持ち悪いくらいデスヨ」

マミ「そこまで言わなくっても……」

マミ「ところで、グループセットの詳しい説明って一体何なの?」

さくら「ンー……ソレはまたオ使いにナラレた時にした方がよいかト」

マミ「それもそうね」

暁美さんが言ったように敵になることもなく、無事に友達になることができた

もう私がいた世界とは何もかもが違う

最後に織莉子が言った8人という言葉も気になるけれど、きっとワルプルギスの夜も倒せるだろうと思う

いえ、必ず倒して見せる

━現在友達23人━

ワルプルギスの夜襲来、そのちょっと前の休日

さくら「本日はワザワザ電車を乗り継いで、ドチラにお出掛けなのデスカ?」

マミ「もうすぐワルプルギスの夜が来るじゃない?そうなったらいろいろと忙しくなりそうだから、その前に会っておこうと思って」

さくら「ホゥ、一体誰なんデス?もしや未来の旦那様を迎えに…!?」キラキラ

マミ「なんの話よっ!?相生先生よ、相生先生!
   本当は未来に一度帰ったあの日から会ってみたいと思ってたんだけどね」

さくら「なーんだ同性かよ…チッ、つまんね」

マミ「さくらちゃんそんなに口悪かったかしら…?」

私達は一度相生先生に聞いたことがあった記憶を頼りに、時定駅で降りた
このあたりの高校に通っていたらしいのだが

マミ「とは言っても、そう簡単には見つからないわよ――あっ」

\アリガトーゴザイマシター/
ゆっこ「フッフッフー……今の私にかかれば大工コーヒーでの注文など、所詮明日の私への踏み台でしかないのだよ……」ブツブツ

さくら「どうかしマシタカ?」

マミ「……いえ、流石相生先生だわと思って」

マミ「運よく見つけたと言っても、なんて声かけるべきかしら……いきなり近づくのも不自然だし」

さくら「驚きデス、マミさんにもソノような気持ちがあったのデスネ。すとーきんぐ行為は堂々としておられマスガ」

マミ「さくらちゃん、最近辛辣すぎない?」

マミ「知り合いならともかく、完全初対面の人に話しかけるのって難しいわね……」

さくら「いつまでもウジウジしないノ!勇気を出して告白しに行くのヨ!」バシバシ

マミ「痛ッ…今度は何キャラなのよ……」

さくら「コノ国には当たっテ砕けろ、トイウ素晴らしい諺があるトカ?」

マミ「砕けたら駄目じゃない!」

ゆっこ「おっ、ヒカルちゃんだー!スラマッパギー!!」

さくら「ア~ア、ドウヤラお知り合いと出会ってしまったようデスヨ。これでますます声がかけ辛くなりマシタネ!」

マミ「しまったわ……どうすればいいかしら……」

ヒカル「あらあら…珍しいこともあるのね……ゆっこ、後ろの人を見てみて」

ゆっこ「えっ?なになに?後ろの人がどうかしたの?」

マミ「あれ、もしかして私のこと?」

「…………」

ゆっこ「ああーーーーっ!!!!それっ!それー!!」

マミ「?………あっ!?」

相生先生の左腕に巻かれていたもの

それは間違いなく、私の身につけているものと同じ、『カウンター』だった

マミ「どういうことなの…?私以外にも、未来から来た人がいたっていうの……」

ゆっこ「良かったー!私以外にも未来から来てた人がいたんだねー!
    私一人だったら今頃地球は滅んでたかもしれないもんね!!握手握手!」

マミ「はぁ……そうね!まあ、なんにしても、また会えてうれしいです、相生先生!」

ゆっこ「あれぇ?私まだ名乗ってないのに……私達、どこかで会ったことありましたっけ?」

マミ「えっ?だって、私達二人で小学校で先生を……」

ゆっこ「えぇ!?そりゃ、私も学校の先生やってましたけど、あなたみたいな人はいなかったような……」

ゆっこ「あっ、もしかして荒井先生!?壮絶なイメチェンでもしたとかですか!?」

マミ「いや、私の名前は巴マミですけど……相生裕子さん、よね?」

ゆっこ「い、え~す!そうだよねえ、荒井先生男の人だしねえ」

マミ「誰と間違えられたのよ」

ゆっこ「……でもでも、これってなんかおかしくないですか?だって、あなたも未来から来た『レポーター』なんですよね?」

マミ「レポーター?」

ヒカル「ゆっこ、レポーターじゃなくて『リピーター』よ」

ゆっこ「そうだっけそうだっけ?ついうっかり……」

マミ「ちょっと待って、状況を整理しないと何がどうなってるのかさっぱり分からないわ……」

マミ「とりあえず自己紹介をしましょう。私は巴マミ。
   今は15歳だけれど、元の世界では30歳、桜井小学校で教員をしているの」

マミ「そしてある日、宇宙人達に友達を作れという試験を与えられて、タイムスリップしてこの世界に来たの」

さくら「私がマミさんの監視役デス。コノ世界では道明寺さくらと名乗っておりますので、さくらちゃんとでも呼んで下サイ」

ゆっこ「私は相生裕子、同じく未来だと31歳で、えーっと、私の場合は高崎小学校で働いてて……
    あっ、麻衣ちゃんは中村小なんだけど…って知らないかな?」

ゆっこ「未来から来た理由は一緒って感じかなー……そうそう今は時定高校に通ってるの!
    なんかねー、元々小学生まで遡るらしかったんだけど、変な都合で高校生になっちゃったんだってさ
    高校生は大変なんだから、そこんとこ気を使って欲しいもんだよね」

マミ「そ、そうね……」アハハ

ヒカル「私はヒカル、笹山ヒカル。ゆっこの監視役よ……ヒカルちゃんって呼んでね」

マミ「んー、とりあえず、ここで話すのもなんだから、どこか落ち着けるところに移動しない?」

さくら「出タ!マミさんの必殺、お茶しながらの勧誘とーく!!」

マミ「出たとか言わないでよっ!」

ゆっこ「いいねいいねー!ほんじゃあまあ、また大工コーヒーに行っときますか!」

ゆっこ「ねえねえどうだった?私の華麗なる注文っぷりは?見惚れるほど鮮やかだったでしょ!?」

マミ「え、えぇ、まあ……」

ゆっこ「流石は私……もはや救世主としての勢いはとどまるところを知らないってことかな!!」

マミ(未来でも自慢されたことあったけれど、一体何がそんなに自慢だったのかしら…?)

ゆっこ「で、何話すの?」

マミ「それなんだけど…相生先生の時の首相って誰だった?」

ゆっこ「えぇー?誰だっけなー……うーーーん………んーーーーー……」

マミ「……あの、質問変えようか?」

ゆっこ「見くびらないで!仮初にも、私だって何時までも馬鹿だったわけじゃないんだからね!」

マミ「そこまで言ってないのだけれど……」

ゆっこ「そうそう思い出した!確かウロフチ首相だよ!」

マミ「うーん、そこからすでに私がいた世界と違うわね……
   私の世界だと、その人は既に暗殺されちゃってアラフサって人が首相になってるのよね」

ゆっこ「何それ怖っ!!」

マミ「さくらちゃん達がいつだったか言ってたわよね……この時間を中心に無数のパラレルワールドが広がっているって」

さくら「ハイ、幾つもございマス。無駄に増やさぬようにしておりマスし」

ヒカル「私達はパラレルワールドの存在を認識しているの」

マミ「つまり、私と相生先生の時間軸は全く違うってことね」

ゆっこ「?…ドユコト?」

店員「お待たせしましたー」コトッ

店員に運ばれてきたコーヒーで一息入れ、説明を再開する

マミ「とある事情で数多くのパラレルワールドが出来上ってしまった……
   戻ってきたこの世界は共通していても、未来は二人とも別々の世界」

マミ「だから、相生先生が来た未来では私と面識がなくっても何ら不思議じゃない
   ひょっとしたら、私が既にいなくなっている世界なのかもしれないわ……」

さくら「見て下サイ、持ってきた角砂糖デたわーを作りマシタ!」

ヒカル「凄いわ、何十段あるのかしら」

ゆっこ「おおー!さくらちゃんスゴイ!」

マミ「私の話聞いてるの…?」

ゆっこ「ようするにー、私らは別々の世界だから知らない者同士なのは当たり前、ってことでしょ?」ズズー

マミ「そうね…いわば私達は無関係だから、多分どちらかが試験に合格しても互いの世界に影響はないってことよね」

ゆっこ「ブーーッ!!!」

マミ「ちょっ、相生先生大丈夫ですか!?」

ゆっこ「ゲホッゲホッ…だ、大丈夫……ちょっとびっくりしただけだから……しまったー!謀られたー!」

マミ「誰に…?」

ゆっこ「そっかー、結局私が頑張るっきゃないってことかー」トホホ

マミ「まあ、難しい話はこれまでにしておきましょう。今日は相生先生に会いに来てよかったわ」

ゆっこ「私に?なんでまた?」

マミ「未来だと、私達は同僚ってだけじゃなくってお友達だったから……この時代の相生先生にも会ってみたかったの」

ゆっこ「ふーん、そうなんだぁ……」

ゆっこ「よぅし!じゃあ、マミちゃんにセット!」カチッ

マミ「へっ?」

ゆっこ「未来の私が仲良くなれたんなら、きっと今の世界でも仲良くなれると思うわけですよ!」

ゆっこ「私と友達になりましょう!」バッ

マミ「あ、相生先生…!」

ゆっこ「もう、やだなー!せっかくだからゆっこって呼んでよー!皆そう呼んでくれてるんだしさ!」

マミ「そうね……ちょっと恥ずかしいけど……じゃあ、ゆっこにセット!」カチッ

マミ「私とお友達になってください!」

カッ カッ

ゆっこ「おおー!やっぱり私達、相性が良かったってことですね!?」

マミ「良かったわ……本当に」

ゆっこ「そういえばさあ、マミちゃんは何人友達ができたの?」

マミ「私はえっと、あい…ゆっこも入れて24人ね」

ゆっこ「うっそぉ!?凄すぎる!!!私なんかまだ9人だよ~…マミちゃんはモッテモテなんだねー」

マミ「いや、別にそういうことは……」

さくら「そうデスネ、男性のオ友達は子供を入れても二人しかおりマセン」

マミ「さくらちゃん!」

ゆっこ「いえす勝った!あたしは三人だもんねー!!ピースピース」

さくら「大丈夫デスよマミさん、男っ気で負けても女っ気では勝っておりますカラ」

マミ「棘のある言い方しないでよ……」

ゆっこ「ちなみに、1人目はヒカルちゃんだったんだよねー?」

ヒカル「そうだったわね」

マミ「あら、偶然ね。私の1人目もさくらちゃんだったの……お互い優しい宇宙人でよかったわね」

ゆっこ「そうなんだよね~」

~~~~~~~~~~
ヒカル「それじゃあ試験頑張ってね…あと、私のことはヒカルちゃんって呼んでね」

ゆっこ「なるほど……よし、ヒカルちゃん!友達になろう!」カチッ ピカッ
~~~~~~~~~~

ゆっこ「一瞬だったね」

マミ「早すぎない!?どれだけ相性抜群だったのよ!?」

ゆっこ「マミちゃんもセットしてみれば?私もさくらちゃんにセットしてみるからさ!セット!」カチッ

マミ「そうねぇ……じゃあ、ヒカルさんにセット」カチッ

カウンターを見てみると、私からは4割、ヒカルさんからは1割未満といったところだ

ゆっこ「おおー、私がもうちょいさくらちゃんを好きになれば友達になれそう!」

マミ「んー……私は、もう少し時間が必要かな…?」

ヒカル「ヒカルちゃんって呼んでね」

ヒカル「面白いことをするのねマミちゃんは……初対面なのにセットするなんて、
    普通に考えたらありえないわ?あと、ヒカルちゃんって呼んでね」

マミ「確かに短絡的かもしれないけれど、でも、ゆっこと相性の良かったあなたとなら、私ともお友達になり易いかと思って」

ヒカル「理解しかねるわぁ…人の友達と簡単に友達になろうなんて、そんなにうまくいくものかしら?」

ゆっこ「大丈夫だって!マミちゃんならすぐに仲良くなれるよ!」

ヒカル「それから私のことはヒカルちゃんって呼んでね……
    ところでゆっこ、この後あなた用事があったんじゃないの?」

ゆっこ「しまったー!!みおちゃん達となのちゃん家で宿題する約束してるんだったー!」ガタッ

マミ「あら、お友達と約束してたのね……じゃあ、私達はもう帰ろうかしら?」

さくら「オヤ、もう宜しいのデスカ?ヒカルさんともまだお友達になれておりマセンガ」

ヒカル「ヒカルちゃんって呼んでね」

マミ「でも、邪魔するのも悪いじゃない?」

ゆっこ「いいじゃん、マミちゃんも一緒に来れば」

マミ「へっ?」

みお「遅いよゆっこ!何時だと思ってんの!?……っていうか、笹山先生!?そして後ろの二人誰!?」

麻衣「初めまして」

待ち合わせ場所にいたのは髪を縛った小柄な少女と、綺麗な黒い長髪の眼鏡をかけた少女だった

ゆっこ「みおちゃん麻衣ちゃん、スラマッパギー!って言っても、結局この挨拶とはララバイしちゃってるんだけどね」

みお「いや、そんなのどうでもいいから!後ろの二人誰なの!?」

ゆっこ「紹介するね、私と同じく未来から来た巴マミちゃんと道明寺さくらちゃん!」

マミ「えっ!?それ言っちゃっていいの?」

ゆっこ「いいのいいの!二人ともなんとなく信じてくれてるからさっ!」

みお「ゆっこまだそんな馬鹿なこと言ってたの?」

ゆっこ「あれっ!?信じてくれてたんじゃないの!?」

みお「いや、ゆっこがまた変なこと言いだしたと思って華麗にスルーしてたと思うんだけど……」

ゆっこ「えぇー……トホホー、とんだピエロだよ……」

マミ「初めまして、巴マミです。あの、ゆっことはちょっとした知り合いという感じなので、そんなにお気になさらないでください」

みお「ああ、どうもどうも。私は長野原みおです」

麻衣「水上麻衣……よろしく」

さくら「ドウゾ宜しくお願いしマス」

ゆっこ「麻衣ちゃんは、さっきも言ってたように中村小で先生やるんだよ」

マミ「じゃあ、いつか一緒に働くこともあるかもしれないわね」

みお「ちょっとゆっこ、あんたこの人にまで変な遊び付き合わせないの」

ゆっこ「みおちゃんはすごいんだよー!なんせ未来の大漫画家なのですから!」

みお「ばっ、こんなとこで言わないでよ!」

マミ「長野原……ああ!ゆっこが何度か言ってた長野原大介さんね!」

みお「げげっ!?どうして私のペンネームまで…!?はぁー……ゆっこちょっとは自重してよねー、恥ずかしいんだから」

マミ「私も応援してますから、頑張ってください!ファンタジーって夢があっていいですよね!!」

みお「うわ~ゆっことおんなじこと言ってる……あんまり興味なかったけど、こりゃ本格的に取り組んでみようかな~……」

ゆっこ「んじゃぁ、早速なのちゃん家行こっか」

みお「え?みんなで行くの?」

ゆっこ「ん?そうだけど…?だいじょぶだいじょぶ、年下だけど、こう見えてマミちゃん勉強すごいから!なんせ将来は教師だもん」

みお「分かった分かった、ゆっこのそれはもういいから」

マミ「あの、軽い勉強なら教えられると思いますので……お邪魔してもいいですか?」

みお「……まあ、ゆっこの知り合いなら悪い人じゃないだろうし、笹山先生もいるなら私はいいけど…麻衣ちゃんもいい?」

麻衣「もーまんたい」

ゆっこ「よーし!それじゃあしゅっぱーっつ!」

━現在友達24人━

キリが一応良くなった?からすまないけど寝る
誤爆するほど朦朧としてる

さるさんなかったらサクサクいけるのにな……今多分三分の二くらい

おやすみ

保守ありがとう
ゆっくりになるかもしれんができるだけサクサク投下していきたい

マミさんは正義の味方可愛い

マミ「そういえば、ヒカルさんってもしかして教師なんですか?」

ヒカル「ええそうよ……彼女たちのクラスの副担任をしているわ。あとヒカルちゃんって呼んでね」

ゆっこ「結構生徒に人気なんだよー、授業もうまいしさー」

みお「うまいって…あんたいっつも寝てんじゃん」

ゆっこ「ふっふっふ、そういうのは感覚で分かるのだよ感覚で…どんとしんくふぃーるだよ」

みお「はいはい」

マミ「そうだわ、ここでグループセット使ってみようかしら」

さくら「いいデスネ。以前できなかった説明もできマスし」

マミ「長野原さんと水上さんに…セット!」カチッ カチッ

セットが終わると、カウンターに点滅している光が3つ並んだ

さくら「その点滅している光が、現在マミさんがせっとしている人数デス
    ソシテ新たに増えたぼたんを押すことでせっとした方々との各親愛度が表示されマス」

マミ「一人目がヒカルさんね……これが長野原さん、こっちが水上さんか……あれ?これ壊れてないわよね?」

さくら「ハイ、正常に動作しているようデスガ?」

マミ「水上さんからの親愛度が既に9割近いわ……長野原さんは3割程度なのに…
   そして相変わらずヒカルさんは1割だし……」

さくら「ヒュゥ~♪相変わらずモテマスネ~」

マミ「まだそれやってたのね……あら?まだボタンを押すと切り替わるわね」

さくら「それはセットされた方同士の親愛度になりマス。例えば今は1番と3番が点滅しておりますので、
    ヒカルちゃんと水上さんの親愛度を表示しております」

マミ「へぇー、ボタンを押すたびに切り替わっていくわね……でも、なんでこんな機能があるの?」

さくら「それは勿論、ソレらすべての組み合わせで友達を成立していただくためデス」

マミ「あぁ、それでこんな機能が…………」

マミ「ってえぇぇぇええええぇぇぇええ!?!?」

ゆっこ「うわぁおびっくりしたぁ!!!いきなりどったのマミちゃん?」

マミ「聞いてないわよそんなこと!」

さくら「今初めて申し上げマシタので……ぐるーぷせっとノ場合、全ての方々が友達にならないトかうんとされマセン」

さくら「めりっとが増え、試験の公正さヲ保つためニ考慮されたばらんす調整とでもオ考え下サイ」

マミ「宇宙人って……宇宙人ってどうして大事なことを後から後から言うのかしら……これで何度目なのよ!」

マミ「でも、織莉子やキリカにセットした時は!……あぁ、そっか、あの二人はとっくにお友達同士だったわね」

さくら「そういうことデスネ」

ゆっこ「マミちゃん大丈夫?なんかすごい落ち込んでるけど」

マミ「ゆっこ……ヒカルさんに、予めいろいろ聞いておいた方がいいわよ…後悔しないようにね」

ゆっこ「?よく分かんないけど、おぅ!任せとけ!」

さくら「マアマア、クヨクヨすんなよ!」バシバシ

マミ「さくらちゃん、今度いろいろと話し合いましょうか……」

みお「何やってんのみんな?もうすぐなのちゃん家着くよー?」

私達が着いたのは、大きな看板が屋根に乗せられていた平屋だった

マミ「東雲……研究所…?」

なの「はーい、いらっしゃい……ってあれ?笹山先生?それにえっと、初めましての人がいるみたいですけど」

はかせ「わぁーいゆっこだぁーー!あれぇ?この人たち誰?」

ゆっこが軽く事情を説明、とりあえず私達も部屋に入れて貰えることとなった
それにしても、いろいろと気になることがある

なの「すみません、散らかっちゃってて……私、お茶淹れてきますね」トテトテ

みお「私も手伝おうか?」

なの「ありがとうございます、助かります」

ゆっこ「宿題めんどくさー…高校時代の知識なんてもうほとんど忘れちゃったなー」

ヒカル「ゆっこってば未来から来たのに麻衣ちゃんに成績で負けてるのよね」

はかせ「ねえねえ、また鮫描いて鮫ー」

麻衣「いいよ」

マミ(誰も気にしてないわね……普通、なのかしら…あの背中のねじと白衣の少女って)

なの「お待たせしましたー、どうぞ……あ、自己紹介がまだでしたね?私は東雲なのっていいます」

マミ「巴マミです。今日はよろしくお願いしますね…こちらは道明寺さくらさん」

はかせ「はじめましてはかせです。なのを作りました」

マミ「えっ」

なの「ちょ!は、はかせ、なんで初対面の人に言うんですか!?」

はかせ「だって挨拶だから」

さくら「というコトは、ソノ背中のねじはろぼっとノ証なのデスカ!?」

なの「ちがっ!!これはそういうロボ的なものとかじゃなくてですね…?」

ゆっこ「まあまあ、細かいことはいいじゃん!気にしない気にしない!」

麻衣「これ見て落ち着いて」コトッ

さくら「コレハ…一体なんデスカ?」

麻衣「大威徳明王、手彫り」

さくら「オウ、最高にイカしてマスネ!!」

マミ「そう……なのかしら…?」

とりあえず、これ以上は交友関係を円滑に保つためにも詮索しないほうがよさそうだ


ゆっこ「マミちゃん暇があったらこっち手伝ってよー」

マミ「えぇ……分かったわ」

さくら「そういえばマミさん、他の方同士の親愛度はいかがデスカ?」

マミ「えっと……ヒカルさんから長野原さんへは1割未満、長野原さんからは8割ね。水上さんへは…10割!?
   水上さんからも10割で友達成立してるわ」

マミ「長野原さんと水上さんもお互いに友達成立してるみたい……
   ということは、二人の仲を取り持てちつつ、私の親愛度を上げればいいのね」

さくら「ソレにしても随分極端デスネ」

マミ「確かに……何か理由があるのかしら?」

なの「水上さん、ここの問題ってどうすれば……」

麻衣「どんとしんくふぃーる」

なの「えっ?それってどういう……あ、なるほどそういうことですね」スラスラ

はかせ「プププ、ヒカルじゃんけん弱すぎなんだけど」

ヒカル「この遊び……何が面白いのかしら」

マミ「……せっかくだから、東雲さんとはかせにもセットしておきましょうか」

さくら「大丈夫デスカ?ソレだけ友達を成立させルのは難しくなると思われマスガ……」

マミ「見たところ皆の仲はそんなに悪くないようだし、うまくいけば一気に増やせるわ」

マミ「まずは東雲さんにセット」カチッ

マミ「それからはかせにもセット……あら?セット!」カチッ カチカチッ

マミ「おかしいわね、はかせにセットできないわ……人数制限とかあるのかしら?」

さくら「それは恐らく、はかせのゴ家族がコノ中にいらっしゃるカラではないでショウカ」

マミ「家族?というと……東雲さんかしら」

さくら「この星では愛の種類は4つあるとされているそうデスネ」

さくら「男女間の愛エロス、家族愛ストルゲ、友愛フィロス、無償の愛アガペー……」

さくら「我々の愛の価値観にはこの中のストルゲは含まれておりマセン
    近親者への愛は己の幸福というエゴと密接につながり過ぎる為、純粋な愛ではナイと我々は考えマス」

さくら「以上の価値観を以って我々はかうんたーの対象設定ヲ…3親等以内無効とさせて頂いておりマス
    それは対象者同志にも規定されるのデス」

さくら「ご理解のホド宜しくお願いしマス……」フカブカァ

マミ「なんでそこだけ地球ルールなのよ!」
   いえ、それよりも……またそんな大事なことをあなたって人は……」

さくら「そんなコトより、東雲さん関係の親愛度はいかがデスカ?」

マミ「そんなことよりって……はぁー…………今さら何を言っても意味ないわね」

マミ「私からは3割、東雲さんからも同じくらいね。長野原さんと水上さんとはどちらも友達成立してるみたい
   ヒカルさんから東雲さんへは1割程度で、東雲さんからは9割近く」

さくら「コレまたやはり顕著デスネ」

マミ「何か訳があるみたいね、特にヒカルさんには」

ゆっこ「ねえねえマミちゃんマミちゃん、この問題ってどうやるんだっけ?」

みお「ちょっとゆっこ、いくらなんでも年下の人に聞いたって分かるわけないでしょ」

マミ「ここはこれを使えば……」

みお「できるの!?しかも当ってる!?」

なの「巴さんすごいんですね!」

マミ「これくらいなら私でも出来そうですから、遠慮なく聞いてください」

みお「うーん、こりゃ本格的に未来から…?いやいやそんなわけ……
   でも、次描く漫画にファンタジー要素入れるんなら、参考にしてみようかな」ピピピピ

はかせ「ねぇなのー、まだー?」

なの「はかせ、もうちょっと待っててくださいね」

はかせ「むーー……つまんないー!ゆっこ遊ぼうよー!」

ゆっこ「うー、遊びたいのは山々なんだけど……」

マミ「じゃあはかせ、私と遊ぶ?」

はかせ「えぇー、じゃあはかせこっちの人のほうがいいんだけど」

さくら「私デスカ?ソレでは遊んであげマショウ!ヒカルさんもどうデス?」

ヒカル「もちろん遊んだげるわ……あなたもヒカルちゃんって呼んでね」

マミ「…………いいの、まずはこっちのみんなと友達になれればいいんだもの……」ズーン

それからさくらちゃんとヒカルさんがはかせと遊んでいる間に、私たちはみんなの宿題を終わらせた

ゆっこはどうやら本当に忘れてしまっているらしかったが、それもらしいというものだ

ゆっこ「よっしゃあ!はかせ遊ぶぞー!」イエーイ

はかせ「おおー!またカッコイイもの対決やろー!」

ゆっこ「よしきた!」

なの「そうだ、私ロールケーキ切ってきますね。お茶も淹れ直します」

マミ「なら、今度は私が手伝うわ」

なの「すいません、ありがとうございます」

二人で台所に向かって東雲さんがお茶を淹れ、私がケーキを切り分ける
普段の台所とは違う、少し狭いけれどどこか懐かしい空間だ

なの「うわぁ、巴さん上手ですね」

マミ「慣れてますから…この家には二人で暮らしてるんですか?」

なの「はい、あとは猫の阪本さんがいるんですけど、今日は出かけてるみたいですね」

マミ「そうなの?大変なのね……私も両親はいないんだけど、友達がいてくれるから寂しくないわ」

なの「はい……こんな私にも優しくしてくれて、皆最高の友達です!」

マミ「あっ」

なの「えっ…あっ!」

背中のねじがクルクルと回っていた
即座に東雲さんは後ろを隠したが、音がまだ聞こえている

なの「いや、そのー…これはあれです!アクセサリー的なものでですね…?」
   時々というか、ちょっと嬉しいことがあると回るというかなんというかですね、その……」

マミ「……うん、いいんじゃないかしら」

なの「えっ…?」

マミ「人それぞれ、いろんな個性があるって言うじゃない?ここだけの話、実は私人間じゃないの……」

なの「えっ!?」

マミ「なんてね……気にしなくていいんじゃないかしら?それより、早く持っていきましょう」

なの「…は、はい!そうですね!」クルクル ピピピピ

みお「笹山先生は漫画とか読まないんですか?」

ヒカル「そうねえ、趣味じゃないわね。それと、いつもヒカルちゃんって呼んでって言ってるでしょう?」

みお「いやぁ、流石に先生をちゃんづけには……」

さくら「私は漫画好きデスヨ…少女漫画とか鳥獣人物戯画とかいいデスネ」

みお「好きな漫画に日本最古の漫画を持ってくる!そこに痺れないし憧れもしないよ!!」

麻衣「さくらちゃんはよく分かってる」

マミ「お待たせ、ケーキとお茶が準備できたわ」

みお「ありがとうマミちゃん…あっごめん、ついゆっこみたいに……」

マミ「いいんですよ、その方が私も嬉しいですから……ところで、ヒカルさんは何かお好きなものはあるんですか?」

ヒカル「私の好きなもの?そーねー……甘い物が好きよ。それとこの星の自然、特に木々が好き」

さくら「イイデスネ、私も桜餅好きデスシ」

マミ(甘い物ねえ……自然が好きなら、どこかみんなで出掛ける?いえ、もうすぐ夕方だしそんな時間は……)

ゆっこ「はいはーい!!ここで私が物真似やりまーす!」スクッ

はかせ「いえーい!!」

ゆっこ「うぐっ……な…なんじゃこりゃーーーっ!!!……ぐはっ……死にたくないぉ……」バタッ

はかせ「いえーい!」

みお「……あ、うん」

マミ(物真似……じゃ、ないわね)

ヒカル「プッ、アハハハアハハハハハ」

さくら「プフー、アハアハアハハハハアハ」

ゆっこ「おおーウケた!!やったよはかせー!」

さくら「な、なんで立ち上がったんデスカ…」ゲラゲラ

ヒカル「意味が分からないわ…」ヒーヒー

マミ「笑うポイントそこなの?」

ゆっこ「よっしゃあ、次はマミちゃんの番ね!はいどうぞ、一発ギャグを!!」 \ゲラゲラゲラ/

マミ「私!?私はなんにも芸とかできなくって……」 \ゲラゲラゲラゲラ/

みお「ちょっとゆっこ、マミちゃん嫌がってるよ」 \ゲラゲラゲラゲラ/

マミ「っていうか二人とも笑いすぎじゃない!?」

さくら「久々に壺に入りマシタ…プフー」

マミ(そっか…何かやってヒカルさんの好感度が上げることができれば……)

マミ「…オッケー分かったわ!それじゃあ……マジックを披露しますね
   東雲さん、大きめの段ボールとかないですか?」

なの「段ボールですか?ちょっと探してきますね」

持ってきてもらったのは人が一人すっぽり収まる程の、大きな段ボールだった

マミ「今からこれに入って……合図とともに衣装をチェンジして登場しますね」

みお「衣装をって……その衣装はどこにあるの?」

マミ「それも含めてのマジックです」

私は段ボールに入り、外から見えないようにしてもらう
後は魔法少女姿に変身をすれば着替え完了である

マミ「いくわよ~……3…2…1……ハイ!」キャルーン

ゆっこ「おおー!何それカッコいい!チョーカッコいい!!」

みお「いやいやいやいや、その衣装どっから出したの!?」

なの「巴さん、そんなこともできるんですね~!すごいです!」

麻衣「……」スッ

マミ「…電話?」

麻衣「……」スッ

マミ「……きつね?」

マミ(それより、ヒカルさんの反応はどうかしら?)チラッ

はかせ「ねーねーさっきのきつねのやつどうやるの?」

ヒカル「薬指中指を親指に合わせて小指と人差し指を伸ばすのよ」

はかせ「えー、難しくてよく分かんないんだけど……」

マミ「あなた達の血は何色なのよ!!!」

みお「でも凄かったよホント!そうですよね?笹山先生?」チラッ

なの「確かに素晴らしいです!ね?笹山先生?」チラチラッ

ヒカル「ごめんなさい、全くこれっぽっちも欠片も興味を引かれなかったわ」

みお「そこまで言わしめるほど!?」

麻衣「……ヒカルちゃん、本当?」

ヒカル「そりゃ、0って言ったら嘘になるかもしれないけど……」カー

なの「?…なんで赤くなってるんですか?」

マミ「はぁ……着替えてくるわね……」

マミ(……ヒカルさんとの親愛度はやっぱり変わってないわね…長野原さんと東雲さんはかなり上がってるんだけど)

ゆっこ「どんまいマミちゃん!たまたまヒカルちゃんのお眼鏡にかまわなかっただけだからさ!」

マミ「それを言うなら、かなわなかった、よ……ゆっこみたいに簡単に仲良くはなれないわね」

ゆっこ「なんでだろーねー?ヒカルちゃんいい人なのになー」

マミ(……そういえば……まだヒカルちゃんって呼んだことなかった…わ…………

マミ(あっ)

マミ「着替え完了よ」

みお「早っ!!10秒もかかってないよっ!そしてあの衣装はいずこへ!?」

マミ「ヒカルちゃん!私のマジックどうだった?」

ヒカル「そ、そーねー…まーまーだったんじゃないか、しら……」カー

みお「わーお意見がひっくり返っちゃったよ!一体どんな要因で手のひらを返しちゃったの!?」

マミ「ありがとうヒカルちゃん!やっぱり私達、お友達よね?」

ヒカル「えぇ、勿論」カー ピピピピピ

なの「なんで真っ赤なんですか…?」

麻衣「じょーじょーゆーじょー」

なの「えっ?」

マミ「二人とも、ちょっといいですか?」

みおなの「???」

マミ「私が思うに、ヒカルちゃん…笹山先生は、ヒカルちゃんって呼んで欲しいみたいなんです」ヒソヒソ

みお「あぁ、それで突然嬉しそうにしてたんだ」ヒソヒソ

マミ「だから二人も、是非ヒカルちゃんって呼んであげた方がいいと思うんです」ヒソヒソ

なの「な、なんか恥ずかしいですね……」ヒソヒソ

みお「なんで私達がそんなこと……」

マミ「お願いします!地球の命運がかかってるんです!」

みお「なんか突然でっかいもの背負わされちゃったよ!?……まあ宿題も手伝ってもらったし、それくらい別にいいけど」

なの「うぅ…やっぱり恥ずかしいですよぉ……」

マミ「お願い東雲さん…私達、もうお友達でしょ?」

なの「!…そうですね!友達のために私も一肌脱ぎます!」パアァ

マミ(うっ、な…なんて眩しい笑顔なの……それに比べて私ってば友達を利用しようとして……)ズキン

はかせ「ねーねーヒカルもカッコいいもの対決やろーよー?」

ヒカル「私は遠慮しておくわ」

みお「いやいや、私もひ、ヒカルちゃん…のカッコいいもの、見てみたいなー…なんっつって…?」

なの「そうですよ!せっかくだから、ひ、ひか…ヒカル…ちゃんにも、やって見て欲しいです!」

ヒカル「そ、そこまでみんなが言うんだったら……」カー

みおなの(わ……分かりやすー)

ゆっこ「ヒカルちゃんズルい!私達だってなのちゃんに名前で呼ばれたことないのに~!」

ヒカル「そうね……だったら私達の文化でも1つ教えてあげましょうか」

みお「文化…?」

さくら「エーいいんデスカー?」キャッキャ

ヒカル「アナタが反対なら言わないわよー」ウフフ

さくら「ヒカルちゃんがそういうナラー」キャッキャ

ヒカル「じゃあ言っちゃうわねー」ウフフ

マミ「あなた達仲良さそうで何よりね……」

ヒカル「はかせちゃん、何か固いものないかしら?」

はかせ「あーるよー!ちょっと作ってくるー」ドタドタ

マミ「作って…?」

はかせ「でーきたー!『カッチン鋼はかせバージョン手の平サイズ』です!」

マミ「はかせすごい!ってか早いわね!?」

ヒカル「そっちの4人は話半分に聞いててくれて構わないわ」

ゆっこ「あれ、私は真剣に聞いといた方がいい感じ?」

ヒカル「私達の全身のまわりおよそ数ミリには薄いまくがはられているの」

マミ「まく?」

ヒカル「ええ…こちらの言葉で『全てを拒絶する壁』と言うの。私達のテクノロジーの中で最も重要なものよ」

マミ「それで……さっき頼んだ固いものとなんの関係があるんですか?」

ヒカル「例えばよ……私はこのカッチン鋼を拒絶するわ」

そう言うとヒカルちゃんは思い切りそれを真上に放り投げた
勢いは止まらず天井も屋根も突き抜け、みるみる上空まで上がっていった

なの「て、天井がぁ!?!?」アセアセ

はかせ「ヒカルすごい!!」

そしてカッチン鋼はヒカルちゃんの頭に向かって落下してきた

マミ「ヒカルちゃん危なっ――」

バキィン

それはバラバラと頭上で砕けてしまった

ヒカル「御覧の通り……私達の体が頑丈なんじゃないの、私が許可するものだけがまくを通って私に触れることができるの」

ヒカル「皮肉なものよね…私達は全てを拒絶することによって、言葉のみで繋がる愛ある種族になったのよ」

マミ「……!」

私は一度暁美さんに聞いたことのある、さくらちゃんの凄さを思い出していた
時間を止め、凄まじいパワーを持ち、傷を一瞬で治すことができる

そして私達地球人では足元にも及ばないテクノロジーの数々……
何より、暴力のない彼女達は、私達が憧れる理想像の一つなのかもしれない

そう素直に思えるのだった

……が、いろいろと考えるよりも先に出てきた言葉は、実にシンプルだった

マミ「……すっ」

一同「すごーーーーーい!!!!」

ゆっこ「ヒカルちゃん凄いっ!めちゃくちゃ凄いじゃん!なんていうか…凄いねっ!」

みお「語彙力0かよ!いやいやそれよりも、さ…ヒカルちゃんもとんでもないマジック持ってたんだね!」

はかせ「今のもっかいやってもっかい!すごくかっこよかったよー!」

なの「確かに、今までに見たことない種類のマジックでしたね!あ、でも天井が……」

麻衣「奇跡も魔法もあったんだよ」

マミ「思わず感心しちゃったわ……本当、改めてあなた達ってすごい人たちよね」

さくら「良かったデスネヒカルさん、モテモテデスヨ」

ヒカル「あ……あり…………」

ヒカル「……アリガト」カー モジモジ

カッ

マミ「あっ!……やったわ、4人同時に友達成立……」

さくら「オオ!オメデトウゴザイマス!一時はどうなるコトかと思いマシタガ」

マミ「これはかなり疲れるわね……できればグループセットはもう使いたくないわ」

はかせ「ねーねー、今なんか光った?」

マミ「さあ、何かしらね?……はかせ、今度こそ私と遊ばない?」

はかせ「えぇーはかせはみんなでお絵かきしたいんだけど」

マミ「それでもいいわよ……その前に、今度こそはかせにセット!」カチッ

はかせ「何それー?なんの遊びー?」

マミ「知りたい?実はね……私は魔法少女なのよ」コショコショ

はかせ「何それ意味分かんないんだけど!」

マミ「はかせは知らないかもしれないけどね……魔法少女はカッコいいんだから!」

みお「魔法少女ね~…そのネタいいかも……」

麻衣「魔法少女は希望の存在」

マミ「えっ…?」

さくら「スイマセン、チョット私達は話すことがあるので少し失礼しマス」

ヒカル「あとはお若いもの同士でごゆっくり」

ゆっこ「そうなの?二人で内緒話なんてお熱いね~」ヒューヒュー

二人の宇宙人は立ち上がって部屋から出て行ってしまった
さて、皆で遊ぶとはいえ、何をして遊べばいいのだろうか

はかせ「みんなでお絵かきー!」

ゆっこ「おおー!」

━現在友達28人━

紙とペンを貸してもらって、みんなでお絵かきタイムが始まった
こういうゆったりとした時間が流れるのは随分久しぶりな気がする
たまには学校の授業に取り入れて見るのも楽しいかもしれない

はかせ「見て見てー!鮫です」

なの「ふふっ、上手ですよはかせ」

はかせ「えへへー、はかせはすごいのです」

はかせを見ていると、子供ができたらこんな感じなのかもしれないと思えてくる
どこか憎らしくも可愛らしい、一緒にいて楽しくなれる存在

もし私が結婚して子供を産んだら、どんな子供に成長するのだろうか……

ゆっこ「ねーねーみおちゃん、久しぶりに絵しりとりでもやらない?」

みお「別にいいけど、ゆっこと絵しりとりなんかしたことなんかあったっけ?」

ゆっこ「細かいことは気にしない気にしない!麻衣ちゃんもマミちゃんもやる?」

麻衣「弥勒菩薩彫ってるから」

マミ「んー…私ははかせ達と遊ぶつもりだから」

ゆっこ「ん?……あ、なるほどそうだったね。頑張ってねマミちゃん!よっしゃあ、私からいくよーみおちゃん!」

マミ「うん、ありがとう」

はかせと東雲さんに近付いてさりげなく会話を試みる

マミ「はかせは何描いてるの?」

はかせ「鮫ー」

なの「巴さん、ちょっとここお願いします。私、コップとか片付けてきますね」

マミ「ありがとう東雲さん」

はかせ「マミは何描けるの?」

マミ「私は……そうねえ、魔法少女のイラストなら……その、描いてた、こと…ある…から……」

自分で言って恥ずかしくなってきた
すでに処分してしまったあのノートには、そういうイラストもそこそこ描いてあったのだ

はかせ「何それ面白くなーい」

マミ「ぐっ…マジマジと言われると、中々辛いものがあるわね……」

マミ「じゃあ、私も鮫描いてみるわ」

はかせ「ホントに描けるのー?」

ざっと描いてみるとなかなかどうして、我ながら可愛く描けた気がする

マミ「どう?」

はかせ「ほわぁぁぁ、カッコいい!!」

マミ「カッコいい…?可愛いでしょ?」

はかせ「はかせはカッコいい鮫が好きだから、マミを許してあげます」

マミ「私何か許されないことしてたのかしら…?」

はかせ「ねーねーもっと描いてもっと!」

マミ「いいわよ」

はかせに喜んでもらえるのがなんだか妙に嬉しくなって、結局10枚くらい渾身の鮫を描いた

少し自分の趣味を織り交ぜすぎてしまったかもしれないが、
はかせが喜んでくれたので結果オーライと言うことにしておきたい

さくら「オヤオヤ、皆さん随分仲良くなったゴ様子で」

ヒカリ「楽しそうでなによりね」クスクス

ゆっこ「二人ともおっかえり~!」

マミ「あら、もうこんな時間……電車があるからそろそろ私達帰らないと」

みお「ほんとだ……ゆっこ、麻衣ちゃん、そろそろ私達も帰ろっか?」

はかせ「えぇー!?まだ帰っちゃやだー!」

なの「はかせ、わがまま言わないでください」

はかせ「うぅぅぅ……やーだやだー」バタバタ

なの「もう、駄々をこねないでくださいよ……」

ゆっこ「ほらほら泣かない泣かない、また今度遊びに来るからさ!今度は鮫カステラも買ってきてあげるよ」

はかせ「グスッ……だってぇ……」グズグズ

マミ「はかせ……」

マミ「ほら、私が描いてあげた最後の絵……これを見て」

はかせ「なんなの……ちょっとキラキラな鮫にしか見えないんだけど……」

マミ「今からおまじないをかけてあげる……はかせは、この絵を見るたびに少しだけ元気が出てくるの
   そういうおまじない」

マミ「ワン…ツー…スリー……ほら、元気が出てくるでしょ?だからもう泣かないで」

少しだけ、絵に魔法をかけた

はかせ「……うん、わかった」ゴシゴシ

マミ「また遊びに来るからね?」

はかせ「絶対だよ!約束だからね!!」

マミ「勿論!」

カッ

はかせ「あー、また光ったー!なんでなんでー?」

マミ「だから言ったでしょ?……私は、魔法少女なのよ」

はかせ「それ意味分かんないんだけど」

なの「今日は楽しかったです。また皆さんでいらしてください」

みお「じゃあまた、学校でね」

麻衣「バイバイ」

ゆっこ「まったねー」

さくら「オ邪魔しマシタ」

ヒカル「学校で会いましょう」

マミ「またね…!」

はかせ「ばいばーーーーーい!!!!」


みお「じゃあ私こっちだから」

麻衣「私は、こっち」

ゆっこ「私はマミちゃん達を送ってくるから、そんじゃまた明日ねー!」

ゆっこ「今日はありがとうマミちゃん、楽しかったよ!」

マミ「私もよ!本当に、会いに来てよかったわ…お互い頑張りましょう」

ゆっこ「おう!ガンガン友達増やしまくっちゃいますからねー!」

マミ「そういえば、さくらちゃんとは友達になれたの?」

ゆっこ「ナムサンッ!すっかり忘れてた!」

マミ「えー……」

ゆっこ「さくらちゃん、私たちもう友達だよね!?ね!?」

さくら「ンー、そう言われるとそうデスネ」

ピカッ

ゆっこ「やったー!ありがとうさくらちゃん!」

マミ「なんか……軽いわね」

ゆっこ「ま、何はともあれ……応援してるからね」

マミ「ありがとうゆっこ……必ず、生きてまた帰ってくるからね」

ゆっこ「何言ってんのもー、大地震が起きるわけでもあるまいしー!」

マミ「……そうね、また会いに来るわ。ヒカルちゃんも元気でね」

ヒカル「また会えるといいわね」

私達は握手を交わして別れた
新しくできた友達のためにも、絶対に次の戦いは負けられない

ふと、駅の裏側に嫌な気配を感じた

さくら「ドウカしましたか?」

マミ「ソウルジェムが反応してるわ……この町に魔法少女がいるのか分からないし、   電車が来るまで時間はあるから一応行っておきましょうか」

案の定魔女がいたので、退治することにする

vs委員長の魔女

マミ「大切なお友達ができたこの町に……勝手なことはさせないわよ!」

銃を構えた瞬間、大きな地響きが鳴り響き、後ろから巨大な影が現れた

マミ「なっ…魔女?いえ、でも、こっちにいるのが本体なんじゃ……」

しかし、どこかで見たことのある影だ……木製の牛に跨り木製の剣を持った木製の人
これはもしかして、

マミ「手彫りの……なんだったかしら?」

さくら「大威徳明王デスヨ」

麻衣「離れて」

マミ「その声は……水上さん!?」

さくら「コレは予想外の展開デスネ」

西洋の甲冑を身に纏い、手には錫杖を持っていた

麻衣「オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ」ペコリ

水上さんが手を合わせ何かを唱えてお辞儀をすると、木彫りの巨大な人形が剣を振り下ろした
その一撃で、あっという間に魔女は消え去ってしまい、巨大な人形も消えた

麻衣「大丈夫?」

マミ「私は大丈夫だけど……びっくりしたわ、あなたも魔法少女だったのね」

麻衣「みんなには、内緒」

マミ「最初から気付いてたの?」

麻衣「勿論…そっちも気付いてたと思ってた」

マミ「うっ…そうだったの……それで私に対する親愛度が高かったのね」

麻衣「無事で何より」

マミ「どうしてここに?」

麻衣「この町に魔法少女は私だけ……だから私が守る」

マミ「……そっか…水上さんは……今度来る、ワルプルギスの夜って知ってる?」

麻衣「知ってる」

マミ「一応聞くけど……私達と一緒に戦ってくれないかしら?あなたの戦力なら申し分ないのだけれど」

麻衣「……それは無理。私はこの町を守らないと駄目」

マミ「……そう言うと思ったわ。仕方ないわね」

マミ「この町にも少し被害があるかもしれないけれど、ここは任せたわ……必ず勝ってくるから」

麻衣「これあげる」

水上さんが渡してくれたのは、手彫りの像だった

麻衣「弥勒菩薩……役に立つ」

マミ「ありがとう……でも、どうやって使うの?」

麻衣「オン・マイタレイヤ・ソワカ…これを手を合わせて唱える、その後お辞儀…これで動く」

マミ「おんまれ…?ごめんなさい、もう一回言ってくれないかしら?」

さくら「大丈夫デスヨ、私が記憶しマシタ」

麻衣「頑張って」

マミ「えぇ……そうだわ!ひとつお願いしていいかしら?」

紙を取り出して私の住所と連絡先を書き記す

マミ「ワルプルギスの夜から3日以内に連絡してほしいの……実は、訳あって私の部屋に魔女がいて……
   もし私が死んでたら暴れ出すだろうから、その前に……退治して欲しいの」

麻衣「……」スッ

マミ「オッケー…?」

麻衣「……」スッ

マミ「…お釈迦様?」

さくら「マミさんは死なせマセンよ、大事な観察対象ですカラ」

マミ「……でも、流石に魔力を使い切ってしまったら、さくらちゃんにもどうしようもないわ」

麻衣「任せて」

マミ「えぇ、頼りにしてるわ……私達、もうお友達だものね」

私達は握手をして別れた
この町は、きっとずっと平和だろう……水上さんがいる限り、私の友達もずっと平和に過ごしてくれるはずだ

━現在友達29人━

時は 数日ほど前に遡る!!!

ほむら「まさか本当にあの二人と友達になるなんてね」

マミ「多分私達のことも信用してくれるはずよ」

ほむら「これで戦力は揃ったわね……あの二人がこちらについてくれるのなら、もう一度作戦を立て直さないと」

マミ「そこら辺は全部任せていいかしら?」

ほむら「平気よ、慣れてるから」

マミ「慣れてる、ね……頼りにしてるわよほむほむ」

ほむら「その名前で呼ばないで」

マミ「それから魔法少女顔合わせ会をやろうと思うんだけど、どうかしら?」

ほむら「顔合わせ?確かにその方が作戦もスムーズにいくとは思うけれど……危険じゃないかしら?」

マミ「危険?」

ほむら「杏子もさやかも、勿論私もだけど、あの二人にはいい印象がないもの
    喧嘩どころか殺し合いになるかもしれないわよ」

マミ「大丈夫だとは思うんだけど……そこは私が仲裁するしかないわね」

ほむら「平気なの?」

マミ「大人を舐めないでよ?」

ほむら「なら、もしものときはお願いね。それでなくても、あなたがいないと気まずい空気になるでしょうから」

マミ「それは私だけの問題じゃないわよ……とりあえず、場所はあなたの家でいいかしら?」

ほむら「え?……いえ、そうね…ワルプルギスの夜の資料もあることだし、少し狭いけれどうちにしましょう」

マミ「日付は明後日の放課後でどう?」

ほむら「私は問題ないわ。皆にもそう伝えておくから、あなたもあの二人に伝えておいてちょうだい」

マミ「えぇ、それでいいわ」

某日、魔法少女顔合わせの会

並びは暁美さんを中心に右サイドが鹿目さん、美樹さん、杏子、ゆまちゃん
左サイドに私、さくらちゃん、キリカ、織莉子である

そこは、振り子の音しか響かないほど静かで、気まずく重い空気がその場を支配していた

マミ「まずは自己紹介よね!といっても、大体皆分かってるかしら?」

さくら「ドウモドウモ、毎度お馴染み道明寺さくらと愉快な友達一号デス」

マミ「それって私のこと!?」

一同「…………」

マミ(沈黙が重いわ……鹿目さんはキリカと織莉子に睨まれてるし、それを三人が睨んでゆまちゃんが真ん中でオロオロしてるし)

さくら「マミさん、アレを使いマスカ?」

マミ「あれ?」

さくら「ナーニ、コノ装置を使えば一発デほんわかデスゼへっへっへ」

マミ「毒電波は禁止よ?」

マミ「ほらみんな!魔法少女同士、仲良くしましょう!ね?」

キリカ「二人違うのがいるよね」ボソッ

まどか「うっ…」ズキン

さくら「私もデスカ?」キョトン

織莉子「キリカ」

キリカ「チッ……ごめんよ織莉子」

さやか「ムッ…そっちじゃなくてまどかに謝んなさいよ!」

キリカ「なぁんで私がそんなことしなくちゃならないんだい?君に指図される覚えは欠片もないけどね」

さやか「なんだとぉ!?」

マミ「静かにしなさい!!!」バン

マミ「私達がいがみ合ったままで倒せるような敵ではないはずよ、ワルプルギスの夜は」

キリカ「でもさぁ、織莉子の未来視で勝てる未来が見えてたんならそれでいいんじゃないかなあ?」

織莉子「そうでもないわ……あの未来では魔法少女が8人いたし、それにさっき見えた未来では私達は負けていたわ」

さやか「なっ!?そんなの信じられれるか!」

織莉子「分かりやすく言えば……私達がこの場で仲睦まじくして心を一つに挑まなければ、勝つ未来が全く見えないということよ」

さやか「うっ……」

織莉子「あの時は協力してもいいのかもって思えていたのに……そこの人を見て少し考えがぐらついたわ」

まどか「あの、ご心配しなくても、私は魔法少女になるつもりは……」

織莉子「……そうは見えない…あなたはいざというとき自分を犠牲にする覚悟を持っている、そんな風に見えるもの」

ほむら「まどか、あなたを魔法少女には私がさせないから……美国織莉子、まどかはともかく、私の信念は揺らいでいないわ」

織莉子「そうね、あなたの方の覚悟はひしひしと伝わってくるわ……考えを改めるよう努力はするつもりよ」

杏子「うざったいねー、あんたのその偉そうな感じ……あたしら下に見てんのか?」

キリカ「フンッ、実際下なんでしょぉ?」

杏子「やんのか、おい……元々織莉子には借りがあるんだしな」

ゆま「キョーコ、仲良くしよーよ!ゆまは織莉子のこと嫌いじゃないよ!?」

キリカ「くくく、鬱憤晴らしにはちょうどいいよねぇ!?やるかい?」

さくら「イイゾーヤレヤレー!!」

マミ「二人ともそこまでよ!さくらちゃんも助長しないの!」

マミ「話が進まないから、少し静かにしていて……これから暁美さんにワルプルギスの夜についてと、それに対抗する作戦を決めてもらうわ
   暁美さんが、一番ワルプルギスの夜について詳しいものね?」

ほむら「そうね……ある程度の作戦は考えてきてあるから、みんなに聞いてもらうわ
    いいわね?」

織莉子「どうぞ。キリカも聞いてあげなさい」

キリカ「……分かってるよ」

暁美さんに話してもらったのは出現予測地、長い年月をかけて収集したワルプルギスの夜の情報
私達のポジションと攻撃方法など

そして、暁美さんの願いとその全てだった

ほむら「この作戦の要はとにかく攻撃を受けないこと……つまり、美国織莉子と呉キリカが重要になってくるわ
    あなた達二人が信頼してくれなければ、この計画は破綻する」

織莉子「あなたを……信用しろと?」

ほむら「私はあなた達を信じると決めたの……もう誰にも頼らない、誰も信じないと決めていたけれど、それも今日まで」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「幾度となく繰り返してきた時間の中で、何度も挫けそうになった……
    でも、たった一つしかなかった道しるべが、今はこんなにある」

ほむら「なんとなく分かるの……この機を逃したら、私はもう絶望して過去には戻れない……これが、最後のチャンスだと思う」

ほむら「まどか、何度も繰り返した時の中で、何度もあなたが死ぬところを見てきた……必ず、必ず今度こそ、あなたを救ってみせる
    いえ、今回はまどかだけじゃない……皆も一緒に…絶対に」

ほむら「だから…………」

ほむら「お願い!私を信じて欲しい!そして皆の力を貸して欲しいの!!!」

いつしか皆黙って聞いていた
暁美さんは顔を下げて、微かに肩を震わせているのが分かった
一番に口を開いたのは、美樹さんだった

さやか「分かった…ほむらがそこまで言うんなら、私もこの二人を信じるよ
    二人とも、いろいろ言ってごめんなさい……力を貸して下さい!」

ゆま「ゆ、ゆまからもお願いします!ゆまも、ほむらの力になりたいの!」ペコリ

杏子「………あたしはさ、ちょっと前にほむらが必死になってる理由聞いてたんだよ…
   そしたらいろんな世界で、世話になったみたいだし……だから今回だけほむらに免じて、あたしもお前らを信じてやるよ」

キリカ「……織莉子、私は魔法少女になってからずっと、君のために生きてきたんだ
    彼らのためが、巡り巡って君のためにもなるんなら、私は彼らに協力するのもやぶさかではないよ……
    なんだか、そうすることで、私は本当に生まれ変われる気がするんだ」

織莉子「失礼しちゃうわね、まるで私を鬼か何かのように……
    私は自分の運命を受け入れたの、当然協力するに決まっているでしょう」

まどか「ほむらちゃんは、私のために全部今まで一人で、頑張ってくれてたんだよね……ほむらちゃんはあんまり顔には出さないけど、
    やっとみんなと友達になれて、すごく嬉しそうだった……だから私は、皆を信じるほむらちゃんを、信じるよ」

マミ「ありがとう暁美さん……これで、心置きなくワルプルギスと決着をつけられるわね」

ほむら「っ!!ありがとう……本当に、ありがとう……!」

さくら「……素晴らしいデス!!これほどまでに愛に溢れているトハ……不覚にも涙しマシタ」ホロリ

マミ「さくらちゃん、ありがとう。あなたのおかげでよ、あなたがきっかけを与えてくれたからここまで来れたのよ!」

さやか「それを言うならマミさんのおかげですよ~、マミさんがいなかったらホント空気悪くなるんですから」

織莉子「それもそうね、みんなと共通の友達はあなただけだもの」

ゆま「そんなことないよ!ゆまはもう皆の友達だよっ!」

マミ「ゆまちゃんの言う通り、私達はすでにお友達よ」

キリカ「友達か……あの頃の私とは違う私に、もうなれたのかな……」

まどか「ところでほむらちゃん、私は当日どうしてればいいのかな…?」

ほむら「どうって……避難に決まっているでしょう」

杏子「変なこと考えないで、あたしらに全部任せとけって」

まどか「そうだよね……分かった、頑張ってね!」

さやか「ところでさー、せっかくだからチーム名考えない?」

杏子「何言ってんださやか」

さやか「あたしらは言わば、志を一つにした魔法少女隊でしょ!?チーム名があったほうが燃えると思わない!?」

ゆま「ゆまも賛成!可愛い奴にしようね!」

ほむら「そういうのはマミさんが得意よね」

マミ「あなた分かってて私を指名してるわよね!?」

さくら「私もマミさんが適任かと思いマス。ほら、この間のら・よだそ――」

マミ「それ以上言ったら……撃つわよ?」スッ

ほむら「さっきまで感謝していた人間の台詞とは思えないわね」

さやか「魔法少女が7人……7人の魔法少女ねぇ……」

さくら「私達はかうんとサレテおりマセンね」

まどか「まあ、仕方ないと言えば仕方ないよね……少し寂しいけど」

さやか「マミさん何かないですか?」

マミ「えぇー、結局私なのね……まあでも、確かに華は必要よね」

キリカ「巴はなんだかんだ真剣に考えるんだね」

さくら「こういうのがオ好きなのデショウ」

マミ「そうねぇ、7人、7つ……プレアデス…はなんとなくやめた方がよさそうね……」ブツブツ

マミ「……アルコバレーノというのはどうかしら?『虹』という意味なんだけど、曇り空が晴れた時に現れる姿は
   さながら、絶望を打ち砕いて光を取り戻した私達みたいでいいんじゃないかしら?」

さやか「よぅし!じゃああたしらは、今からチーム『アルコバレーノ』に決定!」

織莉子「素敵だと思うわ」パチパチ

まどか「私もすごくかっこいいと思います!」

ほむら「色は全然合っていないけれどね」

さくら「マミさんは、きっとこれからもこういうモノに手を染めていくのでショウネ」

マミ「何その予言」

さやか「それじゃあチーム名も決まったところで、円陣でも組みますかぁ!!」

ゆま「ゆまもやるやる!」

キリカ「私は別に……」

織莉子「いいわね、やりましょうか」

キリカ「織莉子ぉ!?君はなんだかんだとノリノリだよね、さっきからさぁ!?…まぁ、君がやるってんならいいけどさ……」

まどか「私もやるよ…一緒に戦えはしないけど、せめて皆の無事を祈ってるから」

ほむら「なら私も」

さくら「マミさんマミさん、ここで円陣を組むことにドノヨウナ意味があるのでショウカ?いまいち理解しかねるのデスガ……」

マミ「まあなんていうか、意気込みみたいなものよ。友情の確認、みたいな感じかしら?」

さくら「オォ!それは楽しそうデスネ!わたくしも参加しマショウ!」

マミ「ほら、杏子も」

杏子「あたしはいいよ……」

ゆまさや「や る の !!!」

杏子「……分かった分かった」

さやか「マミさん、音頭お願いしますね」

マミ「そう?……コホン、じゃあちょっとだけ……」

マミ「ほむら、まどか、さやか、杏子、ゆま、キリカ、織莉子、そしてさくらちゃん」

マミ「皆大切な私の友達になってくれたわ……もう誰にも悲しい思いなんかさせない…させたくないの」

マミ「だからワルプルギスの夜に……」


マミ「絶対に勝つわよ!!」

一同「おおおおーーーーーー!!!!!!!」


その日は今まで生きてきた中で、最高に嬉しかった

私はもう一人ぼっちじゃない

こんなにもたくさんの仲間がいてくれる

もう、何も怖くない

ワルプルギスの夜襲来前日、マミの家

マミ「あらQB、久しぶりね」

QB「確かに久しぶりだね……結局まどかは契約の意思を固めてくれなかったよ」

マミ「鹿目さんのところに行っていたの?無駄だったはずよ、私達の団結はちょっとやそっとじゃもう崩れないわよ」

QB「やれやれ、彼女が契約してくれれば僕らのエネルギー回収ノルマも一気に楽になったんだけどな」

マミ「せっかくだから何か食べる?冷蔵庫に何かあったと思うけど」

QB「いや、別に世間話をしに来たわけじゃないからね。僕は遠慮しておくよ……それにしても、マミだけだよ」

マミ「何が?」

QB「こうやってまともに話ができる相手が、さ。前にも言ったけれど、みんな僕を見ただけで殺気立ってるからね……困ったものさ」

マミ「フフッ、なんだか懐かしいわね……昔は普通に会話で来てたはずなのに、
   今じゃお互いに利害関係が一致しているから一緒にいるだけだなんて……」

QB「僕にとっては、そう遠い昔のことでもないけどね。ほんの一カ月ほど前の話だ」

マミ「……ねえ、その頃のあなたは私のことをどう思っていたの?」

QB「その質問の意図が分かりかねるね……今と変わらないよ、所詮君達は宇宙のエネルギー問題を解決するための手駒にすぎない」

マミ「はっきり言ってくれるわね…私は、本当に信頼していたのに……」

QB「どう思っていようとそれは君達の勝手さ…僕らには全く関係のない話に変わりはないよ」

マミ「んー……お酒があれば呷りたい気分だわ」

QB「やけ酒かい?」

マミ「勝負の前に気分を高めたいだけよ……さてと、お風呂にでも入ってこようかしら」

QB「……ねえマミ」

マミ「なあに?そういえば、何か用事があってうちに来たの?」

QB「彼女達の試験はどんな感じだい?今、君の友人は何人なんだい?」

マミ「どうしたの急にそんなこと……今は29人だけれど、あなた達には関係ないでしょう?」

QB「それが少しばかりあるんだよ」ボソリ

マミ「?……まあいいわ……お風呂入ってくるわね」

お風呂の中で、私は考えていた

キュゥべえとは本当に長い付き合いだ

私がいた世界で、唯一変わらなかったのはキュゥべえだけ……
結局一から百まで、彼らはエネルギー回収のことしか考えていなかった

私はずっとキュゥべえを遠ざけていた
真実を告げられ、騙されたことに気付き、キュゥべえの何もかもが信じられなくなり、
グリーフシードの回収の時に顔を合わせる程度

しかし、この世界でその関係は少し変わった
鹿目さん達に手を出さないよう頼んだり、シャルちゃんの世話を頼んだり、魔法少女殺しのことを少しだけれど教えてもらったり

些細なことだけど

しかし、確実に変わったと思う


キュゥべえは、私のことをどう思っているのだろうか?

マミ「愛は計算の外にあるもの……か……」

チャプン

マミ「ふぅー、いいお湯だった……あら?さくらちゃん、勝手に部屋に入らないでよ」

さくら「失礼しマシタ…急ぎノ用事と言われたものですカラ」

マミ「言われた?ひょっとしてQBに?」

QB「少し相談に乗ってもらっただけだよ……マミには関係ないことさ」

さくら「オヤ、宜しいのデスカ?」

QB「道明寺さくら、君は中立な立場であるはずだろう?余計なことは言わない方がいいんじゃないかな?」

さくら「勿論私は言いマセンが……てっきりあなたは言うのかト思っておりマシタ」

マミ「もう、なんなの二人して内緒話だなんて……そんなに私に聞かれるとまずい話なの?」

さくら「少なくとも、私の立場カラは何も申すコトはできマセンので」

QB「さて、僕はそろそろお暇させて貰おうかな…せいぜいマミの健闘を祈っているよ」

マミ「……ちょっと待ってQB」

QB「……何か用かい?」

マミ「QBは……今でも私のことを何とも思ってないのよね?」

QB「あぁ」

マミ「本当に本当なの…?」

QB「……あぁ」

マミ「私は……少なくとも私は、キュゥべえに感謝しているわ」

QB「感謝…?てっきり僕は、利用されていることに気付いて嫌悪を抱いているのかと思ったよ」

マミ「それはもういいのよ……あなた達はそういう生き物だものね」

マミ「…………ねえ、キュゥべえの本心を聞かせてほしいの」

QB「何を言ってるんだい?それならさっきから――」

マミ「いいから聞かせて!!」

QB「僕の……本心だって…?」

マミ「あなたの本心…つまり……こういうことよ!」カチッ

QB「なっ…!何をしているんだいマミ!?それがどういうことを意味しているのか分かってるのかい!?」

さくら「ナント」

マミ「私は死にたくないって常々思ってきたわ……一度ワルプルギスの夜に負けた時も生きたいと願ったし、
   未来でも最低限のグリーフシードは手に入れていた」

マミ「何より、私が魔法少女になったのは、生きたいと願ったから
   キュゥべえは云わば命の恩人だもの、あなたに感謝して生きていきたい……」

マミ「きっとこれが、私の本心」

QB「だからって僕にセットするのは正気とは思えないよ!君のせいで未来の地球は終わるかもしれないんだよ!!君の未来が!」

マミ「そうかしら?親愛度を確認してみるわね……」

私からの親愛度は10割近く、キュゥべえからの親愛度は――

マミ「私は、あなたのことをお友達だと思ってるわよ?」

QB「僕は…………僕は、マミのことなんか……なんとも思ってないよ……僕らに感情というものはないんだ」

マミ「……」

QB「一時の感情に流されて正常な判断を失う…君たち人類はいつだってそうだね、わけが分からないよ」

マミ「私はこれまで多くの人たちと係わってきたわ……その都度教えることもあったし、教えられることもあった
   何かしてあげることもあったし、されることもあった……キュゥべえも、他のみんなと同じよ」

マミ「あなたとも『ダール・イ・レゼベール』(ギブアンドテイク)の関係になりたいの
   私はこれからも、いろんな人とその関係を築いていきたいと思ってるわ」

さくら「ソレは……どういう意味なのデスカ?」

マミ「愛、よ」

さくら「愛…デスカ?」

マミ「お互いのためにできることをしてあげる……お友達として、当然じゃない?」

QB「それが……それが君達の愛だというのかい?」

QB「全く、君は僕が思っていたよりも頭が悪かったのかもしれないね」

マミ「ほっといてよ……」

QB「……借りなら…グリーフシードを回収してもらう際に返してもらってるじゃないか…………」

マミ「えっ…?」

QB「僕らはとっくに、その『ダール・イ・レゼベール』の関係だよ」

ピカッ

マミ「――っ!!キュゥべえ!!!」

QB「勘違いしないで欲しいな……僕のせいで君の未来が滅んでしまったら、それは僕の責任問題になるだろ?
  一瞬の気の迷いで成立するものらしいから、限界まで振り絞ったまでだよ」

マミ「……それでもいいわ…ありがとう、キュゥべえ」

さくら「ナルホド、コレが所謂つんでれというやつなのデスネ!」

QB「変な言い方は止してくれよ」

QB「くだらない茶番に付き合わされたものだよ……僕はこれで失敬するから、せいぜい明日は頑張ってくるといいさ」ピョイッ

マミ「あっ……もう行っちゃうなんて…ゆっくりしていけばよかったのに」

さくら「チナミニ、初期親愛度はどの程度だったのデス?」

マミ「私はほとんど最大限、キュゥべえは1割未満よ」

さくら「ホホゥ…私も彼らト何度か話をしてきマシタが、彼らはマルデろぼっとデシタヨ
    後先考えずにせっとするのは、私もドウカと思いマシタガ…結果おーらいデスネ」

マミ「本当に限界まで振り絞ったのね……人は誰でも悪霊になれる、ってことかしらね?」

さくら「感情のこんとろーるができるナラバ、気のこんとろーるも可能なのデショウネ」

マミ「何の話?」

さくら「デハ、私は少し用事ができましたノデ、これで失礼シマス」

マミ「ねえ、さくらちゃんは明日どうするの?」

さくら「私デスカ?」

さくら「勿論、危険が迫っているようデシタら助けには行きマスガ……いざとなったら私が魔女を倒しまショウカ?」

マミ「そうよね、さくらちゃん強かったわよね……お願い、していいのかしら?」

さくら「マア、依然申した通り、私は中立の立場ですノデ余計な手は出せマセンガ」

マミ「どっちなのよ」

さくら「地球人ノ問題は地球人が解決すべきことデスヨ」

マミ「言われなくても……さくらちゃんには頼らなくて済むように、頑張るわね」

さくら「………ソレデハ、私は部屋に戻りマスネ」

マミ「さくらちゃん」

さくら「ハイ、なんデショウ?」

マミ「必ず、生きて勝ってみせるから」

さくら「……期待していマス」

━現在友達30人━

保守ありがとう
キリがいいから飯にしてくる

ホントはマミさんが横に真っ二つにされながらも血の酒をQBに飲ませながら
愛を語ってもらう予定だったけど、冗長だと思って削った

すぐ戻ってくる

空は夜と勘違いしてしまいそうなほどに暗く、空気は湿って不気味な風が吹きつけている
やがて霧が出てきて、どこからともなく動物の鳴き声が鳴り響いてくる

さやか「さぁて、見滝原の平和は、あたしら『アルコバレーノ』が守っちゃいますからね!」シュパァァン



ゆま「ゆまも……ゆまもみんなの役に立つよ!」シュパァァン

杏子「いっちょやってやろうじゃん」シュパァァン



キリカ「なあ織莉子」

織莉子「なあにキリカ」シュパァァン

キリカ「今日はいい天気だよね」シュパァァン



マミ「必ず、運命を変えて見せる……」シュパァァン



ほむら「――来るっ!」シュパァァン

ワル夜「アハアハハハハキャハハハハハハハハハハハハハハハアアハハハハハハハ」

ワルプルギスの夜が、現れた

そう思った一瞬のうちに、ワルプルギスが爆炎に包まれた

その場に既に暁美さんはおらず、既に次の攻撃へと向かっている
迫撃砲が発射され、対艦ミサイルで廃工場まで飛ばされたワルプルギス

そして大爆発が起こり、炎と煙が湧きあがった

息もつかせぬほどの怒涛の攻撃だった

さやか「すっ、凄すぎる……あれでやられないなんて、ほんとにトンデモ級なんだね……」

ほむら「油断しないで」

織莉子「――!!皆、左右に散って!」

織莉子の声に反応してすぐにその場から飛び退く

その瞬間、黒い衝撃波が襲いかかってきた

~~~~~~~~~~
ほむら「一番初めは私が今までに準備してきた兵器を用いて攻撃するわ。巻き添えを食わないためにも、その間は皆手出し無用よ
    しかしその攻撃で倒せるとは思えない……ここからあなた達にも動いてもらうわ」

ほむら「まずは美国織莉子がワルプルギスの攻撃先を読んでさやか、杏子、呉キリカに指示を出して、近距離まで近づいてもらう」

織莉子「任せて」

ほむら「呉キリカが速度低下でサポート、さやかと杏子に攻撃をしてもらうわ」

キリカ「なんだいそりゃ?随分つまらないなぁ」

ほむら「隙ができればあなたも攻撃に参加していいわ。基本はヒットアンドアウェイでお願い、無理は禁物よ」

ほむら「使い魔たちは私とマミさんで排除するつもりよ。余裕があれば私達も攻撃するわ
    美国織莉子と千歳ゆまは私達の傍を離れないで」

ほむら「攻撃は美国織莉子と呉キリカの魔法で避けるてもらうわ……一発でも致命傷になりかねないから
    それでも傷付くことはあるでしょうから、その時は遠くから千歳ゆまが回復をお願い」

ゆま「分かった!」

杏子「それだと魔力が全然足りないんじゃねーのか?」

ほむら「心配しないで……私が今まで繰り返してきた中で余ったグリーフシードをストックしてあるから」
~~~~~~~~~~

織莉子「キリカは右から、二人は左から行って。後はテレパシーで指示を出すわ」

杏子「任せな!」

キリカ「くふはははっ、楽しいね織莉子!切り刻んでくるよおぉぉああははは!!!」

姿を見せたワルプルギスは、あれだけの攻撃を受けたにも拘わらずまるで無傷だった
分かっていたとはいえ、やはり最強の魔女ということか

三人は攻撃をかわしつつ、すぐにワルプルギスの近くに辿り着いた

キリカ「これで…どうだい!?」

キリカの魔法陣が展開され、ワルプルギスを取り囲んだ

さやか「なるほど、ほんとに相手の攻撃が遅く感じられる!おおりゃああああ!!」ズシャァ

杏子「ああ、避け放題じゃねーか!くらいやがれってんだあーー!」ザシュッ

キリカ「チッ、魔法を使いながらじゃ碌に攻撃できないや……私の分も残しとけよなぁ!!」

織莉子『キリカ後ろに使い魔が!』

キリカ「なっ!?」

バチューン

マミ「一発じゃ無理ね……なら、何発も撃ちこむまでよ!」ババンバンババン

ほむら「マミさん、魔力の消費には注意して」

さやか「ぐッ…!」ズバァ

杏子「さやか!?」

ゆま「ゆまに任せて!てぇーい!」パアァ

さやか『サンキューゆまちゃん、助かったよ!』

ゆま「ゆまも頑張るよ!」

ほむら「私達の周りにも使い魔が増えてきたわね」ババババババ

ゆま「こっちも任せて!えいやっ!」ポカッ

マミ「近付きましょう、暁美さん!ここからだと遠すぎるわ」

ほむら「そうね…皆、私に掴まって」

カチリ

織莉子「これは……へぇ、本当に時を止められるのね」

ほむら「手を離さないで、少し距離を縮めましょう」

マミ「ちょっと大きいの、くらいなさい!」ドシューン

カチリ

中型の砲台を作りワルプルギスに撃ち放つ…それでも傷を負ったようには見えない

キリカ「二人とも!ちょいっと魔法緩めるよ!」

キリカ「ひゃっはー!!!やっぱりこっちの方が、私の性に合ってるよねえぇぇ!?!?」ザザザザシュ

さやか「流石…キリカってば攻撃も申し分ないじゃん」

杏子「こいつは負けてらんねーな…まだまだいくぞ!」

ワル夜「キャハハアアハハハアッハハハハハハハ」

向かってくるビルの欠片を撃破し、使い魔を残らず掃射していく

ワル夜「アアハハハハアキャハハハアアハハハハ」

織莉子「うっ…くっ……」

ほむら「大丈夫?すぐにグリーフシードで魔力の回復を」ポイッ

織莉子「ありがとう、助かるわ」シュゥゥ

マミ「はぁ…はぁ……全く、ここまで強い相手だったかしら……」

いくら攻撃を続けても、その猛攻は止む気配を見せない

織莉子『――っ!まずいわ!!皆防御をして!!』

突如、ワルプルギスからドーム状の衝撃波が放たれた

軽く私達の距離まで届いたそれは、回避不可の強烈な一撃だった

全員がバラバラに飛ばされてしまった

マミ「うぐっ…まだこんな攻撃を残してたなんて……早くみんなと合流しないと…連携を崩されるのはまずいわ」

さくら「オオ、ちょうどイイところに吹っ飛んできましたネ」

マミ「さくらちゃん!?なんでこんなところに…QBも一緒に」

さくら「大切な観察対象に死なれるワケにはいきませんカラ」

マミ「だったらもう少し早く来てほしかったかも……とにかくみんなを探さないと」

さくら「ソレナラバ、少しですが傷を治しマショウ」ポワワー

マミ「……ありがとうさくらちゃん。借り、作っちゃったわね」

さくら「オ気になさらズ、オ進み下サイ」

マミ「ありがとう!」タッタッタ


QB「あの大荷物は使わないのかい?」

さくら「……モウ少し様子を見てカラにしマショウ」

マミ「はぁはぁ…みんなどこなの?」

ほむら「マミさん!こっちです」

マミ「暁美さん、織莉子にゆまちゃんも!無事で良かったわ」

織莉子「キリカ達は別のところに飛ばされてしまったみたいね……でも、三人とも無事みたいだわ」

ワル夜「アッハハハハハキャハハハハッハハハハハッハアアア」

ほむら「もう一度連携を取らないと……」

ゆま「でも、あの攻撃をまた受けるのは辛いよ!」

織莉子「確かに、あそこまで広範囲で高威力だと防御が精一杯よ」

ほむら「だからといって他に作戦を考えてる時間はないわ……もう、これしか」

マミ「そうだ!」

ほむら「な…なんですかマミさん?」

マミ「水上さんから貰ったあれを使いましょう」

懐に入れてあった木彫りの弥勒菩薩像を取り出し、水上さんに言われた通りの動きを実行する

マミ「えっと確か……オン・マイタレイヤ・ソワカ」ペコリ

呪文のようなものを唱えるとみるみる弥勒菩薩像は巨大化していき、その頭身はワルプルギスと同じ高さにまでなった

一同「……」ポカーーン

マミ「えっと、それからどうすればいいのかしら……?」

指示を出す前に勝手に動き出してしまったそれは、ワルプルギスに向かって手刀を一撃を与えた

ワル夜「アッヒャハヒャハアハハハハハヒャヒャヒャ????」

その一撃はワルプルギスの小さな歯車を一つ破壊し、さらに大きい歯車にもヒビを入れるほどの強烈なものだった
ワルプルギスはそのまま地面に叩きつけられ、大量の瓦礫と水を巻き上げた

杏子「おい、一体何なんだあれは!?あたしらが攻撃してもビクともしなかったあいつに傷を負わせたぞ!」

さやか「杏子待ってってば……おっ、みんな生きてたんだね!よかったよかった!」

キリカ「どうしたんだい織莉子、口を開けて見上げてさ?」

マミ「よかった、三人とも無事だったのね!」

ほむら「マミさん、あれはいったい何なの?あなたいつの間にそんな力を…?」

マミ「いや、あれはなんていうか……私のお友達の力、かな?」

ここまで強力なものだとは思っていなかったけれど

弥勒菩薩像はさらさらと消えていってしまった
どうやら、一撃与えると消えてしまうものらしい

もっとも、その一撃は大抵の魔女に対して必殺級のようだが

マミ「今がチャンスよ!暁美さん、全員で一斉に攻撃すれば倒せるんじゃないかしら?」

ほむら「……そうね、私もまだ銃火器は残ってる。みんな、それでいい?」

さやか「早いとこ片付けちゃおう!」

キリカ「ひひ、ようやく全力全開でブツ切りにできるってわけだね!?だね!!」

ゆま「みんなその前に、傷を治してあげる!」ホワア

ほむら「行くわよ…みんなで手を繋いで!」

カチリ

ほむら「ここね…!」

カチリ

たどり着いた先には、ワルプルギスが地面に横たわっていた
じりじりと上昇しようとしている

マミ「皆……いくわよ!」

美樹さんとキリカが高速で切り刻み、杏子が召喚した巨大な槍で一突きにする

そして申し訳程度にゆまちゃんがフルスイング

織莉子の武器である水晶体が連続攻撃を加え、皆が避難した後間髪を与えず、
暁美さんの銃火器が炎を噴きワルプルギスを爆撃していく

マミ「これで……これで終わってっ!」

巨大な砲台を召喚し、魔力のほぼ全てを注ぎ込み最大の一発を撃ち放つ

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」

狙い通りワルプルギスの頭に命中し、巨大なキノコ雲を上げた

さやか「はぁ……ぷはぁ…これで、どうだ!こんにゃろーー!」

杏子「チッ…魔力使いきっちまった……ほむら、グリーフシード分けてくれ」

ほむら「えぇ……!?いえ、まだよ……!」

ゆま「そんな、だってこれだけ攻撃したんだし……」

織莉子「――!まずいわ、早くここから離れて!」

素早く後退していく私達を追撃するように、黒い衝撃波が襲いかかってきた

その威力は今までとは比べ物にならず、魔力の残っていない私達は防ぐ手立てもなく、呆気なく吹き飛ばされてしまった

マミ「まだ、駄目だというの……これでも、届かないの…?」

キリカ「くっそ~…ぬかったかな~、結構痛いんだねーこれ」

ゆま「みん、な……ゆまが、今、治してあげ――」バタッ

杏子「無駄だよ…傷が治っても、魔力がほとんど残ってねーんだから」

ほむら「今グリーフシードを――っ!?」

マミ「暁美さん、足が!」

瓦礫に挟まれた足のせいで、暁美さんはまともに動ける様子ではなかった

ワル夜「フゥーハァハハハハハアアハハハハハハハハフアアハハッハハハハハハハハハ」

さやか「もしかして、絶体絶命ってやつ…?ははっ、やばいじゃんあたしら……」

織莉子「こんなはずは……こんなはずはなかったのに……私が見た未来は一体……」

マミ「まだよ……ここで終わらせるわけには…いかないの!!」

さくら「ハイすとっぷ!遺言はそこまでデスヨ」

マミ「さくらちゃん…!来てくれたの?」

さくら「改めましてマミさん、30人の友達成立オメデトウゴザイマス
    ソノ記念として、私からのぷれぜんとがゴザイマス」

マミ「何を、言ってるの?」

さくら「デデーン!ハイ、コチラ私達の技術と地球に存在する部品で作り上げた『愛の魔法少女誕生ましーん(仮)』でゴザイマス!」デデーン

さくらちゃんの横には、人が一人入れるほどの、まるで電話ボックスのような形をしたオレンジの箱があった

さくら「なんとデスネ、こちらのましーんは彼らの協力を得て遂に試験段階にまで完成したのでありマス!」

QB「やあ、どうやら状況は芳しくないようだね」バァン

マミ「QB…!?」

さくら「さて、ここで本題なのデスガ、マミさんに聞きたいことがありマス」


さくら「誰を魔法少女にしたいデスカ?」

マミ「どういう…こと?」

さくら「先程申した通り、コチラは『愛の魔法少女誕生ましーん(仮)』という名前ですカラ、誰かを魔法少女にすることができるのデス」

マミ「そんなこと、急に言われても……」

さくら「そう言うと思って既に連れてきておりマス。ハイ、ドーンと登場して下サイ!」


まどか「皆……来ちゃった……」ドーン


ほむら「まっ…まどか!?そんな、どうして……?」

さやか「まどか!?なんでここに!?」

マミ「さくらちゃん!鹿目さんを魔法少女にしちゃ駄目って、何度も言ってきたじゃない!」

さくら「ハァ~、ヤレヤレ……話を最後まで聞いて下サイ。コノ装置は多少彼らの力を借りた程度で、基本は私達の技術で作り上げマシタ
    彼らとの契約によって誕生スル魔法少女とは、根本が違うのデス」

さくら「マ、実際に使ってみせた方ガ早そうデスネ……さあマドカサン、このボックスに入って下サイ」

まどか「……ごめんね、私はやっぱり一緒に戦いたい」

ほむら「やめて……まどかぁーーー!!!」

杏子「まどか!あんたが戦う必要はないよ……あたしらが、何とかするから…さ」

まどか「杏子ちゃんも皆も、もうフラフラでしょ?……大丈夫だよ」

まどか「私は、さくらさんを信じて――」

さくら「早く入って下サイ」ドン バタン

マミ「最後まで言わせてあげてよ!」

さくら「中にアル受話器を手ニとって、あなたの願いを言って下サイ」

まどか「……私の願いは――」

中にいる鹿目さんの声は、なぜか外にまで聞こえていた

まどか「助けたい!!……私の友達を、助けたい!あの魔女から、皆を守りたい!!」

さくら「聞き届けマシタ……あなたの愛は、えんとろぴーを凌駕しマシタ!」

さくら「ココに、魔法少女鹿目マドカサンの誕生デス!」

ボックスの中が光に包まれ、電話のベルがあたり一面に鳴り響いた
数秒鳴った後、ガチャンと音を立てて光とともに消えてしまった

マミ「何が…起こったというの?」

ほむら「まどか……どうして……」

織莉子「やはり、あの時見た8人目の魔法少女は、彼女だったのね……
    あの時感じた違和感は、QBとの契約ではなかったから…?」

さやか「ちょっとみんな、それよりワルプルギスが…!」

ワルプルギスは、再び浮かび上がり、既に第二波の準備をしていた

先ほどの攻撃をもう一度喰らっては、今度こそ全滅だろう……

杏子「あーあ…ここまで、かな……」

マミ「まだ諦めては駄目よ……何か、手があるはずよ」

まどか「そうだよ杏子ちゃん」

ほむら「!まどかっ……やっぱり、あなたは!」

ボックスから出てきたのは、間違いなく魔法少女に変身した鹿目さんだった

マミ「鹿目さん……本当になってしまったのね、魔法少女に」

さくら「ドウゾ存分に戦ってみて下サイ。正直ココマデの愛をオ持ちとは思いませんデシタ」

QB「当然の結果さ。彼女の潜在能力は、既に星一つ消すのに十分なものにまで成長していた……
  そして君たちの技術が出てきたら、彼女は正真正銘の無敵だよ」

さくら「オォ、宇宙人もビックリ!」

まどか「いくよ…!」

圧倒的な力だった

一射目でワルプルギスの胸に風穴を開け、二射目で歯車を完全に破壊

三射目は頭を撃ち抜いた

まどか「これで……終わりだよっ!」

まどか「ディア・フレッチェ!!!!!!!」

ワル夜「アハハハヒャヒャヒャハハアアキャハハハアァァァァ……」

無数の矢がワルプルギスを貫き、身体はボロボロと崩れていく

不気味な笑い声はやがて消え、ワルプルギスの夜は、完全に消滅した

マミ「勝った……の…?」

さやか「勝った……勝ったんだ、あたしたち!」

キリカ「こいつは凄いや……思わず嫉妬しちゃうなぁ」

ゆま「う…んん……キョーコ!大丈夫!?」

杏子「起きたか……心配すんな、もう…終わっちまったよ」

ゆま「終わった…!?じゃあ、ひょっとしてここは……天国なの?」

杏子「アホか」ポカッ

ゆま「うぐっ…痛いよキョーコ……」

織莉子「8人の魔法少女によってワルプルギスの夜は倒された……問題はこの後ね」

しかし、結局私のいた未来と同じ……

鹿目さんは全ての魔力を使い切り、そして――

まどか「みんな大丈夫!?酷い怪我だよ、早く手当てしないと……あ、でもそれより魔力の回復を…!」

マミ「私達はまだ大丈夫みたい、だけど……それより鹿目さんは平気なの?」

まどか「えっ?平気ですけど」

マミ「……だって、魔力を使い切ったんじゃ……」

ほむら「…………結局、この時間軸でも駄目だった……もう、これだけやっても駄目なら……
    私のしてきたことは結局、無駄だったというの……?」

織莉子「……暁美さん、絶望するのはまだ早いんじゃないかしら」

まどか「ほむらちゃん!グリーフシードいっぱい持ってたよね!?早く皆に分けてあげないと
    ごめんねほむらちゃん、待ってて!後でこの瓦礫どけてあげるからね!!」

ほむら「何を言ってるのまどか……だって、あなたはもうすぐ魔女に…………えっ…?」

まどか「もう!どこにあるの!?あった、これだね!おーい皆、これで早く魔力を回復して!!」タッタッタ

ほむら「どういう、ことなの…?」

マミ「さくらちゃん、説明して頂戴」

さくら「……」ジーン

マミ「さくらちゃん!」

さくら「おっと、失礼シマシタ。マドカサンの宇宙を救わんばかりの愛に、つい心を撃たれておりマシテ」

マミ「どうして鹿目さんは魔力を使い切ったはずなのに魔女にならないの?」

さくら「勿論、愛の力デス」

マミ「説明になってないわよ」

QB「僕が代わりに説明してあげるよ。まどかはまだ魔力を使い切っていない
  彼女たちの作ったこの『愛の魔法少女誕生ましーん(仮)』はね、愛の力によって変身させるものなんだ」

QB「変身する少女の素質に加え、愛の力が大きければ大きいほどその力も凄まじいものになる」

QB「何よりこのマシーンの優れた所は、最も重要な条件である宇宙のエネルギー回収が何度でも可能なことなんだ」

マミ「何度でも、ですって?」

QB「僕らのテクノロジーでは第二次成長期の少女達の希望と絶望の相転移
  ソウルジェムがグリーフシードに変わる瞬間に最も効率よくエネルギーを生み出すことができた……」

QB「しかしそれだと一度限りだ。いくらこの星に何億という個体が生息しているとはいえ、それでは時間がかかる」

QB「ところが、彼女達の研究によって、人が誰かを思う愛のエネルギーそのものを、宇宙のエネルギーに変換することができるようになったのさ」

ほむら「愛のエネルギーを?」

>>636
>>1は何を血迷ったかと思っていたら
本能寺での信長のシーンだったのか(笑)

とよ田みのる・ラブやん・日常・へうげもの以外
の元ネタってあるのかな?

QB「人が生まれてから死ぬまでに生み出す感情エネルギー……特に、愛のエネルギーは生きている間常に生み出されていると言ってもいいだろう」

QB「その愛を他人に向けて最大限発揮した時、そのエネルギーは宇宙のエネルギーに変換される」

マミ「他人に向けてって……どういうこと?」

QB「この星の言葉で言うなら、誰かを愛する、ということさ」

マミ「それってもしかして」

さくら「ハイ、かうんたーと同じ仕組みデス」

QB「生きて誰かを愛し続けてさえいれば、何度でもエネルギーを手に入れられるわけだ
  誰かを愛すれば、それが宇宙のエネルギーになる」

QB「総合的に見れば僕らのシステムを上回るかもしれない
  魔力の問題などまだまだ不完全な面もあるけれど、新しいシステムが完成するかもしれないんだ」

さくら「要約すると、愛は無限に有限ということデス」

キリカ「おっ、流石道明寺は分かってるね」

QB「少々違う気もするけれど、そんなところさ」

マミ「魔力が尽きたらどうなるの?そこが一番大事なところでしょ?」

さくら「勿論死にマスヨ」

マミ「そんな!……って、あら?魔女にはならないのかしら…?」

QB「ソウルジェムが魂の容れ物というのは変わらないけど、グリーフシードに変化することはなくなったのさ
  まあ、魔女とかその辺の問題が山積みだから、これはあくまで試験段階なんだよ」

ほむら「じゃあ、まどかは……まどかは、これからどうなるの……結局、あなた達のモルモットにされて…まどかを弄んで!」

さくら「ゴ心配なさらずとも、今回はあくまデ実験ですノデもうすぐ元に戻りマスヨ」

QB「……えっ?」

マミ「……戻るの?」

さくら「改良を加えなくてはなりませんカラ。未完成品を世に送り出すのは、技術者失格デスヨ」

マミ「あなた研究者の方じゃないの?」

QB「聞いてないよ道明寺さくら!」

さくら「ハイ、聞かれませんデシタので言っておりマセン」

QB「ぐぬぬ……」

さくら「もしや、ずっと魔法少女として扱うつもりだったのデスカ?」

QB「……やれやれ、僕としたことが詰めを甘ったようだね」

ほむら「本当に、戻るの…?魔法少女でなくなるの?」

さくら「強制的に戻しマス。その分のえんとろぴーは今後を考えれば些細なものデス」

さくら「今の状況は、言うなれバ『もしも鹿目まどかが魔法少女だったら』トイウ世界を作ったヨウナものデス」

ほむら「信じていいの…?」

さくら「ダイジョブダイジョブ、宇宙人嘘つかナイ」

マミ「……ほんとかしら」

まどか「よかった、みんな魔力が回復したんだね」

さやか「もう大丈夫だよ……まどかありがとう、おかげであたしら皆助かったよ」

まどか「これで私も、みんなの仲間…に……あれ、なんだか…力が……」バタッ

さやか「まどかっ!?しっかり、まどか!!…って、変身が解けた!?」

杏子「おい、しっかりしろよ!!」

マミ「大丈夫よ二人とも、落ち着いて……すぐに良くなると思うわ」

さやか「ほんとですか?」

マミ「えぇ…さくらちゃんの言ったとおりね」

さくら「オメデトウゴザイマスマミさん!これで所謂はっぴーえんどトイウやつではないデスカ?」

マミ「……ワルプルギスの夜は倒したし、鹿目さんは魔女にならないし、みんな無事に生きてる………のよね」

ほむら「……私、もうゴールしても……いいんですかね……?」ホロリ

さくら「オ疲れオ疲れ!君はよく頑張ったヨ」バシバシ

マミ「さくらちゃん、軽すぎよ」

杏子「お疲れさん」ポンポン

ゆま「やったねほむら!」

織莉子「これで、全て終わったのね」

キリカ「愛の大勝利ってやつかい」

さやか「やったじゃんほむらぁー!ついにあたしら勝ったんだよ!やったんだよっ!!!」ダキィ

ほむら「あ…ぅあ、ああぁっ……」ポロポロ

マミ「暁美さん……おめでとう」

ほむら「――っ!!!ありがどうござびばずっぅぅぅううぅぅぅぁああぁぅっ…ぅあんん…うあぁぁあぁぁぁぁぁんんん!!!」

マミ「これで……運命に打ち勝ったのね、私達は…!」

ゆま「見て見て!虹だよ!」


雲の切れ間から射した光に反応して、虹は一際強く輝いていた


まるで、私達の勝利を祝福しているかのように……

さくら「マミさん、コレで終わりかのように思っておいでデスガ、残り70人友達を作らなけれバ、人類絶滅デスヨ」

マミ「分かってるわよ!少しくらい感傷に浸る時間があったっていいじゃない!!」

さくら「ソウイエバ、マドカサンも遂に必殺技名を叫んでおりマシタガ、アレはゴ自分でオ考えになったのでしょうかネ?」

マミ「……さくらちゃん、何が言いたいのかしら?」

さくら「イエ、デスカラ、マミさんの入れ知恵ではないかト――」

マミ「さ…さあ、どうかしらね?とにかく、今はそっとしておいて頂戴!」

以前お泊りをした時に一緒に考えた技だった……とは、到底言いたくはない

鹿目さんが目を覚ましたら、いろいろと感謝の言葉を述べて、それから……

言わないようにしてもらわなければ


なんにしても、今はこのようやく訪れた平和をただ享受しておきたい

という気持ちだけだった

ワルプルギスの夜を撃破して二日後、織莉子とキリカはこの街から出て行くと言った

マミ「もう行っちゃうの?もう少し落ち着いてからでも……」

織莉子「この街には辛い思い出も多いもの……それに、私達は許されないことをしてしまったわ」

キリカ「まあ、ギリギリ両手に収まる範囲だけどさ……でも、そういうことじゃぁないんだよね」

織莉子「数の問題じゃないの……何ができるかまだ分からないけれど、私達はここじゃないどこかで罪を償うの……」

キリカ「私は織莉子についてくだけさ……それが私なんだよ」

マミ「そう……寂しくなるわね」

織莉子「元々接点のなかった私達よ?数日の付き合いが終わって、元の生活に戻るだけじゃない」

マミ「でも、お友達だもの……また、いつでも帰ってきてね?
   一緒に背負ってるのは二人だけじゃないって、しっかり覚えててね」

織莉子「ありがとう…皆には適当に伝えておいてね……キリカ、行きましょうか」

キリカ「じゃあね……恩人さん♪」

ワルプルギスの夜を撃破して二週間後、杏子とゆまちゃんが隣町に帰ると言った

杏子「魔法少女がおんなじ街に何人も要らないだろ?…あたしらはまた元のシマに帰るとするよ」

ゆま「キョーコ、島じゃなくて街だよ?」

さやか「ぷぷー、ゆまちゃん、シマっていうのは縄張りって意味なんだよ!」

ゆま「!?し、知ってるよそれくらい!」

さやか「えぇー、ほんとに知ってたのー?」ニヤニヤ

ゆま「うぅ~……」ウルット

杏子「ほら、もう行くぞ……じゃあな、世話になったよ」

ほむら「ありがとう杏子……また、いつでも遊びに来て頂戴」

まどか「私達待ってるからね」

マミ「元気でね」

杏子「なんだよ、照れくさいな……じゃ、帰るとするかな」

ゆま「さやかにはお土産買ってきてあげないもんねーだ!」ベー

さやか「そんなのいいからまた遊びに来てよね!」

ワルプルギスの夜を撃破して、もうすぐ1か月が経とうとしていた
街の復興は進み、少しずつ元の姿を取り戻しつつあった

美樹さんは少し志筑さんと一悶着あったらしく、しばらくギスギスしていたようだが、今ではすっかり元通りになった
二人とも普通に接しているようだが、上手く和解できたのかはまだ聞いていない

鹿目さんはもう魔法少女になれないと知って少し残念がっていたが、これでよかったのだという暁美さんの説得で納得してくれた
きっともう大丈夫だろう

佐倉さん達はあれから一度だけこっちに遊びに来たぐらいで、あまり連絡はとれていない
彼女達のことだから、きっとまだまだ逞しく生きていると思う

暁美さんは時間停止の魔法が使えなくなってしまったらしく、さらに銃火器に頼った戦い方をするようになった
性格は相変わらずだけど、クラスのみんなとも打ち解けてきたようで、ようやく実現した時間を目一杯楽しんでいるようだった

何より、よく笑うようになった

私はというと、一度失った幸せを噛み締めながら毎日を過ごしていた

暁美さんほどではないけれど、本当に楽しんでいたと思う

こんな日がいつまでも続くような、現像を抱いて……

ピンポーン

マミ「さくらちゃん、まだ起きてないのかしら?早くしないと遅刻するっていうのに」

ガチャ

マミ「あっ、おはようさくらちゃ……あなた誰!?」

扉の向こうにいたのは、同い年ぐらいの少女だった
おでこを出して髪を後ろで二つに縛っている

?「ふむ、久しぶりだな」

マミ「久しぶりって……どこかでお会いしたことありましたか?」

?「この姿では分からんか……これでどうだ?」

そして彼女は変身した……もとい、元に戻ったと言うべきか

マミ「あぁ、確か一度パラレルワールドの説明に来てくれた……シリウス議長さん…だったかしら?」

シリウス「うむ、名前を覚えて貰っているとは光栄だ。しかし、私のことはうっしーと呼んでくれて構わんぞ」ポッ

マミ「は、はぁ……それで、さくらちゃんはどこに?」

シリウス「実はその件で話があるのだ」

シリウス「突然だが、彼女は裁判にかけられた」

マミ「裁判!?そんな、さくらちゃん何かやったの?」

シリウス「それについてはまた後で説明する。君には、証人として裁判に参加してもらいたい」

マミ「証人ですって…?」

シリウス「さっそくだが、マンションの下にバイクを止めてある。それに乗って行くぞ」スタコラ

マミ「ちょ、ちょっと待ってよ!」サッサ

早足で立ち去ったシリウスさんの後を追いかけ下まで降りると、オレンジっぽい色をしたバイクが止めてあった

四角いライトにモノコックなボディと丸みのあるお尻部分
そして、車体前部には「P!」のマークのシールが貼られてある

シリウス「ベスパ180ss、イタリアンイエローカラーだ」

マミ「そういえば、何かの映画で見たことあるような……」

シリウス「ちなみにマバセナンバーじゃ」

マミ「どこなのよそれ」

シリウス「さあ乗れ!ヘルメットは貸してやる」

マミ「乗れってそんな……あなたたち、宇宙人なんでしょう?裁判も宇宙船でやるのよね?」

シリウス「?当たり前であろう」

マミ「……これで行くの?半ヘルなんだけど……」

シリウス「ごちゃごちゃ言わずに早く乗らんか」

マミ「……大丈夫…よね」

ヘルメットを被り、シリウスさんの後ろに乗せて貰った

シリウス「しっかり掴まっておれ!!!」ブオオオオオオオオオオオオオオオン

マミ「きゃああぁぁぁああぁあぁあぁぁあ!!!!!!!」

エンジンは唸りを上げ、あり得ないスピードで発進した
公道に出てもスピードは一切緩まらず、むしろ上がり続けている

マミ「ちょっ、信号!前!!」

私の言葉一切を無視して交差点を突っ切っていく
キィキィと音と土埃を上げ右へ左へと走り、狭い道もお構いなしだ

マミ「どこまで行くのよ!?」

シリウス「どこか高そうなところじゃ」

マミ「へ!?」

向かった先は市役所だった
しかし、スピードを緩める気配は全くない

マミ「前ってば前!!今度こそぶつかるわよ!!!」

シリウス「心配無用!!!」

前輪を持ち上げウィリーのまま市役所の壁に突撃
そのままぐいぐいと壁を登っていく

そしてそのまま、私達は宙に放り出された……

わけではなく、まるで空に道があるかのようにさらに上昇を続けていた

やがて成層圏を突破した、そこは宇宙だった
そう、惑星や隕石やらが蠢く無限に広がる宇宙だったのだ

マミ「ってうちゅうううううううううううううううううううううううううううう!?!?!?」

マミ「普通に宇宙なんですけど!?あれ、でも息出来てる……ってそういう問題じゃないわよ!!」

シリウス「黙っとらんか、舌を噛むぞ」

どの辺まで来たのか分からないが、何やら惑星近くの母船らしきものに辿り着いた
船の扉が開かれ進入し、ようやく止まったかと思うと、ボウリングのピンの形をしたような宇宙人達がぞろぞろと並んで出迎えてくれた

マミ(……随分とシュールな映像よね、バイクで宇宙船だなんて
   それにしても、お尻が痛くなっちゃったわ)

シリウス「我々の母船にようこそ、地球の方!!長旅お疲れじゃったろう…さっそくじゃが、ついて参れ」

マミ「え、えぇ……分かったわ」

宇宙人1「よく来たぞ地球人!」

宇宙人2「君は魔法少女なんだってね!すごいな!」

宇宙人3「後でちょっと変身してみせてくれないか?」

宇宙人4「へぇ、君が本物の魔法少女なんだね」

\ワイワイ ガヤガヤ/

マミ「ど、どうもみなさん……初めまして、巴マミです」

マミ(何やら熱烈な歓迎を受けてしまっているわ……
   基本的には、ヒカルちゃんみたいに、思っていたよりもずっと人懐っこい人達なのね)

マミ(でも、さくらちゃんの姿が見えないわね?)キョロキョロ

彼らに案内された場所は、

マミ(ここって……魔女空間…!?)

今まで何度も見てきた魔女の空間にとてもよく似ていた
雰囲気は惑星や夜空などが用いられ、宇宙をモチーフに仕上げられているようだ

シリウス「どれ、皆の者も彼女が馴染みやすいように擬態してやれ。私も少し趣向を凝らしてみよう」シュゥゥゥゥン

マミ「擬態って……それもしかして、魔法少女?」

彼女(?)達は少女の姿に変身し、その格好は昔テレビで見たことあるようなものから
今もやってるのであろう魔女っ子たちのものまで、実に様々だった

ちなみに、シリウスさんはセーラー服っぽいものを着用していた

マミ(……なんていうか、この景色はどう見ても……コスプレ大会よね)

さくら「ドウモドウモマミさん!お手数をかけて申し訳アリマセン」

マミ「さくらちゃん!!無事だったのね!」

さくら「再会の記念にちゅーでもしマスカ!?」

マミ「馬鹿なこと言わないの」

マミ「……でも、元気そうでよかったわ」

シリウス「よーし、みんな席に付け。これより上映会を行う」

マミ「…上映会?裁判は?」

言われるがまま席に着くと、壇上にスクリーンが現れた



シリウス「これより、裁判を始める。被告人は前へ」



シリウス「まずは、告発人であるカシオ君製作の再現VTRを見て貰う」



カシオ「えっとぉ…それでは見てくださーい」

カシオと呼ばれた宇宙人は、ピンクのふりふりした衣装に身を包んでいた



マミ「これって、もしかして……」



マミ「アニメ…?」

オープニングから始まってどこなのか分からない提供会社の紹介
そして私達が繰り広げたワルプルギスの夜との戦いが、完全にアニメで再現されていた
たまによく分からないCMを流されつつも、1時間みっちり見せられた

そしてエンディングが流れ、私が瓦礫の上で黄昏ている場面で終わった

どこから見ていたのか再現は完璧で、私が喋ったことも一字一句間違わずに全て披露された
声まで私そのものである

それにしても、アニメ調になった自分の戦う姿や喋る姿をただひたすら見せられるというのは、
なんというか……

マミ(ものすごく恥ずかしいぃぃぃぃぃぃ!!!!)

マミ(何!!なんなの、この辱め!?なんでこんなもの見せられなきゃならないのよ!!!///)

カシオ「見ていただきましたぁ…それでは起訴状を読みまーーーす」

マミ(起訴状ですって?……ようやく裁判が始まるのね……)

カシオ「コホン……私、堪忍袋の緒が切れました!」

マミ「!?」ビクッ

カシオ「道明寺さんはぁ、中立な立場の監視役なハズなのにぃ、私達が開発している装置を勝手に持ち出してぇ、地球人に使わせましたぁ」

マミ「なんか、思ってたより軽いわ……」

マミ(それよりさくらちゃん、許可を貰わずに使ってくれたの…?)

カシオ「明らかにぃ監視役の域を超えててぇ、不公平でぇずるいと思いまーーーす」

シリウス「うむ、よろしい…証人、立って」

マミ「へぁ!?私?」ガタッ

シリウス「先のVTRの内容は真であるか?嘘を言ったら…月に変わって、お仕置きじゃ!」

マミ(!?ああ、その衣装って……)

マミ「えっと、それは……」

さくら「ハイ、全て事実デス」

シリウス「ムッ、証人に聞いておるのじゃ。被告人は黙っておれ」

さくら「オ言葉デスガしりうす議長、私は全ての罪を認めマス……証言は不要カト」

さくら「VTRを見て頂いた通り、私は議長ノ言葉を無視して、
    30人しか友達を成立していないにも拘らずアノ装置を与えマシタ」

マミ「あの!」

シリウス「何かな、証人」

マミ「あの、さくらちゃんが持ち出したあの装置って…そんなに大事なものなの?」

シリウス「それは勿論じゃ……そもそも、我々はまだ地球人を認められておらぬ
     にも拘らず、手を貸すとは不届き千万!」

シリウス「それでは決を取ろうと思う……道明寺さんがずるいと思う人~」

\ハーイ/ \ハーイ/ \ズルイズルーイ/ \テクマクマヤコン/

マミ(なんか、重要そうな事柄の割にはみんな軽いわね……これなら、罪も少しは軽くなりそうかしら)

シリウス「うむ、圧倒的多数で有罪決定じゃ。被告人は無に帰す」

マミ「…………え?あの、無に帰すって……それって殺すっていうこと!?」

宇宙人1「うん?違うちが――っと、その前に……コホン」

宇宙人1「パメルクラルク たからかに~!」

マミ「それ必要なの!?」

宇宙人1「我々はそんな野蛮なことはしないヨ。もっと人道的で世界の秩序を保つ効率的な罰なんダ
     『犯罪者がいなかったかも』、のぱられるわーるどに我々の世界が移行するんダ」

宇宙人1「その世界では、彼女はもともと存在しなかったことになるんだヨ」

宇宙人1「魔法少女にも似たようなことやってる人がいたみたいだけど、我々の技術の最たるはこうした可能性の可変であると――」

マミ「それって結局殺すっていうのと一緒じゃない!!!」

マミ「そんなの駄目よ!さくらちゃんは私達の命の恩人なのよ!!それなのにこの仕打ちはあんまりだわ!」

シリウス「少しうるさいな…フォマルハウト君、精神操作を」

フォマル「ハッ…少し、頭冷やそうか……」ピッ

シリウス「先程申したように、まだ他種族と認められていない地球人に、我々の技術を提供した罪は重い」

マミ「うふふふー、そうよねー、勝手にやっちゃったことだものねー」ホワー

シリウス「それに、彼女が消滅した世界では今とは可能性が全て書き換えられるのじゃぞ?
     そうなれば、そもそも君はテストに選ばれんじゃろう」

マミ「なるほどー、なら私は元の世界に戻れるのねー」ホワー

シリウス「ちと違うが…大体そんな所じゃ」

マミ「そうよねー、戻れるのよね…………」

マミ「それがなんだっていうのよ!!さくらちゃんが私達のためにってやってくれたことじゃない!!!
   テストだって続けるわ!」

マミ「装置の実験だかなんだか知らないけど、私達はそれでワルプルギスを倒せたの!!」

マミ「あの時さくらちゃんが鹿目さんを連れてきてくれなかったら、私達はもう死んでいたかもしれないの……
   それが罪になるだなんて、こんなの絶対おかしいわ!!!」

\ナンダナンダー?/ \ヤバンジンガサワイデル/ \マハリクマハリタ/

シリウス「どうした?精神操作が解けたのか?」

フォマル「イエ…全力全開!なのですが、それを上回る感情の嵐でして……」

さくら「未開人の戯言デス。彼女のような矮小な生物が我々の心の内を知るワケがありマセン……
    これにて閉廷すべきデス」

マミ「どうしてそんなこと言うのよさくらちゃん!あなたは、私の命の恩人なのよ!!!
   まだ何にも恩返しできてないじゃない!それに、あなたの気持ちだって分かってるわよ!!!」

マミ「お友達だもの!!」

さくら「……」ホロリ

さくら「……」ビッ

さくら「全て私の一存で勝手にやったこと……彼女達のことなど全く考えておりませんデシタ」

マミ「さくらちゃん!」

シリウス「フーーーーーム……」

シリウス「マミ君は道明寺さんが君達のためにやったことだと言い張るのかな?」

マミ「当たり前じゃない!!!さくらちゃんは、私達のために無理にあの装置を持ってきてくれたのよ!」

シリウス「道明寺君はそんなことは考えておらず、無に帰することを受け入れるというのじゃな?」

さくら「左様デス」

シリウス「……面白い、お互いを思い合うその様は、まるで愛ではないか」

シリウス「だがしかし、やはり罪であることには変わりはない」

シリウス「そこで、君達に執行猶予をやろう!」

マミ「……執行猶予?」

シリウス「我々が道明寺君のいない世界に移行する準備、そして移行装置のスイッチを押して装置が発動するまでの期間
     合わせておよそ10000ピコタ程ある……地球人の時間に換算しておよそ1カ月と少しじゃ」

シリウス「その間に君一人の力で地球人の愛を証明して見せるのだ!
     そうなれば君は他種族と認められ、君の意見を聞くこともできるようになる」

マミ「裁判に、勝てるかもしれないってこと?」

シリウス「その可能性もある、ということじゃが……まあ、裁判を取り消してやろう」

マミ「だったら――」

シリウス「じゃが、君が1カ月で友達を成立させた数は30人じゃったな?残り70人、二倍以上の友達を君一人で成立させねばならんのじゃぞ」

マミ「それくらい、どうってことないわ」

シリウス「本当にそうかな……世界を変えるのは、思っている程容易ではないぞ」

マミ「それでも……少しでも可能性があるのなら、私はやるわ」

シリウス「そもそも、なぜそこまでして苦労を背負うのじゃ?君のテストはここで終了するのじゃぞ」

マミ「……」

シリウス「まあ、それはよい……とにかく」

シリウス「1カ月で残り70人を友達成立……出来なかったら道明寺君は消滅じゃ」

マミ「……やります!やらせてください!」

\ワーワー/ \ガンバレー/ \イイゾイイゾー/ \ヤバンジンガンバレー/ \ラミパスラミパスー/

マミ「あなた達どっちの味方なの!?さくらちゃんを有罪にしたのに……」

さくら「マミさん……」

マミ「さくらちゃん、何も言わないで……私なら大丈夫だから」

シリウス「それでは、マミ君に一つ言わせて貰う」

シリウス「愛は何よりも尊いのじゃ!!!」

シリウス「大事なことなのでもう一度言おう!」


シリウス「愛は何よりも尊いのじゃ!!!」

シリウス「一応30人達成のプレゼントは渡してやろう。上手く使うがよい……何か質問はあるかな?」

マミ「いえ、大丈夫です」

シリウス「よろしい!ならば早々に試験会場に返してやろう」

マミ「はい」

シリウス「本当によいのじゃな?」

マミ「勿論よ!」

\ヒューヒュー/ \ガンバレー/ \ティロ・フィナーレ/

マミ「あなた達本当にどっちの味方なのよ……っていうか、今誰か何か言った?」

マミ「さくらちゃん」

さくら「……」

マミ「ちょっと、あなたと地球を救ってくるわね」

マミ「いってきます」

マミの家

マミ「帰ってきたわね……もう夜みたいだけど」

マミ「これから一人で70人……やるしかないわね」

QB「やあ、おかえりマミ。随分遅かったみたいだけど、どこに行っていたんだい?」

マミ「QB、いつもシャルちゃんの世話ありがとね…シャルちゃんも元気にしてた?」

シャルロッテ「……」コクコク

QB「どうかしたのかい?突然そんなことを言うなんて珍しいじゃないか」

マミ「ちょっとね……今のうちに言っておこうかなって」

ピー ピー ピー ピー

マミ「あら?カウンターから音が……変ねえ、こんな肝心な時に壊れたのかしら……」

ピンポーン

マミ「もうっ、こんなときに……はぁい、今開けます」ガチャッ

さくら「どうもマミさん、しばらくぶりデスネ」ペカー

マミ「さくらちゃん!?どうしてここに?」

さくら「イエ、せっかくのぷれぜんとを渡しておりませんデシタので、ソノ説明に参りマシタ」

マミ「そうだったの……なんか、カッコよく分かれたのにすぐ会うっていうのも変な感じよね」クスッ

さくら「ここデ会ったが百年目デスネ」

マミ「使い方間違ってるわよ……そうだわ!さっきからカウンターから変な音がするの!壊れたんじゃないかしら」

さくら「マミさん、ひょっとして1ヶ月間誰にもセットしていなかったのでは?」

マミ「へ?……そういえば、ワルプルギスも倒して少しのんびりしようかなと思って、誰にも……」

さくら「1ヶ月間誰にもセットしなければ、試験続行の意思ナシと見て強制終了されマス」

マミ「そんな!そういう大事なことはもっと早、く…………」

マミ「言ってたわね……」

さくら「ハイ、一度申し上げておりマスヨ?ぶっちゃけ残り2分を切っておりマス」

マミ「大変!すぐに誰かにセットしないと…あぁ、でも、この辺に知り合いなんて……」

さくら「仕方ありマセンネ…マミさんに友達30人達成の記念の、我々カラのぷれぜんとを使いマショウ」ドサッ

そう言ってさくらちゃんが取り出したのは、四角い旧式のラジカセのような箱だった

メーターやスイッチ、音量ゲージなどが装飾されており、上にある大きめのボタンが特に目立つ

さくら「ハイッ、コチラが謎のましーんデス!ナントこちら地球の部品の寄せ集めでできておりマス!
    コチラのましーんカラこーどをスルスルと出しまして……」

マミ「さくらちゃん、自分で時間ないって言ったの覚えてないの?説明はいいから早く!」

さくら「急かさないで下サイ。マミさんのかうんたーにましーんカラのこーどをせっと!」

さくら「後は適当に電波を飛ばすものを……」キョロキョロ

マミ「電波を…?なら、携帯があったような……」ゴソゴソ

QB「大丈夫なのかいマミ?話はよく分からないけれど、なにやら大変そうな――」

さくら「オォ!ちょうどイイデスネ、コチラにましーんカラのこーどを取り付けましょう」カプッ

QB「痛たたたたッ!?ちょっ、僕の耳にワニ口クリップを噛ませないでくれるかな!?」

マミ「QB…あなた電波飛ばしてるの?」

QB「で、電波!?テレパシーなら飛ばしてるけどいいい痛いってばこれ!!」

さくら「他のものになさいマスカ?あと30秒デ試験は強制終了されマスガ……」

マミ「QB!我慢してて頂戴ね」

さくら「ソレデハすいっちおん!」ガッション

さくら「何が出るカナ!何が出るカナ!」ウィンウィンウィン

マミ「踊ってる場合じゃないでしょ!」

チーーーーンッ

さくら「ハイッ!こんなん出まシタ!かうんたーをご覧下サイ」

マミ「えっと……あら、もう誰かにセットされてるのね?」

さくら「オヤ、一人デシタカ……」

マミ「何?一人じゃ駄目なの?」

さくら「イエ、グループセットされるコトも可能なのデスガ……」

さくら「ツマリ、この辺でマミさんのコトを慕っている人は、オ一人しかいないトイウことデスネ…可哀相なマミさん」オイオイ

マミ「ひょっとして私、今……馬鹿にされてる…の?」

さくら「ドンマイ!生きていれバいいことありマスヨ!」グッ

マミ「大きなお世話よ!」

さくら「ソレヨリ、ソノ人の親愛度をご覧下サイ」

マミ「親愛度って……あっ、私への親愛度がMAXじゃない!凄いわ、これなら後は私の気持ち次第ってことね!」

さくら「よかったデスネ~」

マミ「それで、この人はいったい誰なの?」

さくら「ハイッ!と言う訳で今回のぷれぜんとはコチラ!マミさんへの『最高親愛度探索器(まし~ん)』デス!!
    緊急でしたので急遽私がせっとさせて頂きマシタ」

マミ「ありがとうさくらちゃん……それで、この人は誰なの?」

さくら「ソレデハ、私はコノ辺で」スクッ

マミ「聞いてる?」

さくら「ソレはコノ生き物の電波が届く範囲のどなたかになりマス」

マミ「QBの電波が……で、この人は誰?」

さくら「デハ、頑張って下サイ!お邪魔しマシター」ガチャッ

マミ「待ってってば!この人は誰なのよ!?」

さくら「……サァ、ソコまでは私も」バタン

マミ「ええええぇぇぇえええぇええぇぇぇえぇええええ!?!?!?」

マミ「無責任すぎるわよ!!!!さくらちゃん!?」ガチャッ

扉を開けると、もうそこにさくらちゃんの姿はなかった

マミ「嘘でしょ……しばらく会えないっていうのに、こんな状態でお別れなんて……」

QB「マミ…それより早くこのクリップ取ってくれないかな?」

マミ「あぁ、ごめんなさい……もうっ、どうすればいいのよ……」カプッ

QB「ふぅ~……全く、彼女にも困ったものだよ。仮にマミの携帯電話に繋いでいたらどうなっていたことか」

マミ「確かに……ねえQB、あなたの電波の届く範囲ってどれくらいなの?」

QB「そうだね……テレパシーが届く範囲のことなら、ざっと半径100メートルくらいにはなるんじゃないかな?」

マミ「広いわね」

QB「広いね」

マミ「…………とりあえず、着替えてから考えましょうか」

マミ「なんとしても、1カ月で友達を成立させないと」

マミ(結局誰だか分からなかったわ……近所付き合いは確かに良い方とは言えないけれど……)

マミ「はぁ…範囲が広すぎて全然特定できないわ」

ルー「おっすマミ、何をブツブツ言っておるんじゃ」

マミ「あ、委員長…別に、なんでもないのよ」

ルー「……随分顔色が悪いようじゃが…今日はやめておくか?」

マミ「平気よ……気分転換にむしろ走りたい気分よ」

ルー「そうか?なら、今日も張り切って走るかの」

マミ「えぇ、頑張りましょ」

マミ「…………ねえ委員長……変なこと聞いちゃうんだけど」

ルー「なんじゃ?」

マミ「委員長の周りとか、この近所で私のこと慕ってる人知らないかしら?」

ルー「本当に変なことを聞くな……まあ知っとるが」

マミ「そうよね、そう都合よく見つかったりなんか…………えっ」

マミ「嘘っ、いるの!?誰なのそれ!?」

ルー「おお落ち着け……ほら、英語の早乙女先生が」

マミ「早乙女先生?」

ルー「知らんのか?早乙女先生の住んでるマンション、確かマミとおんなじじゃぞ」

マミ「そうだったの?全然知らなかったわ……」

ルー「私もこないだ知ったんじゃが……」

~~~~~~~~~~
ルー「ふぅ~、ジョギングも終わったし帰るか」

早乙女「……うぅ……ヒック」グスン

ルー「あれは……早乙女先生?」

早乙女「田丸さんのばっきゃろー!あんたが結婚するときにロリコン野郎って電報打ってやるんだから覚悟しやがれってんだーー!!!」

ルー「……触れん方がいいな」

早乙女「そこにいるのは誰っ!?」

早乙女「あらぁ…ヒック……あらた確か……三年何組だかの…委員長の……オェー」

ルー「えぇ!?ちょっ、大丈夫か!?」

早乙女「うっぷ…………無理……もうおうち帰りたい」

ルー「そんなこと言われても………」

早乙女「うぅ~…連れて帰ってよぉ、委員長~」

ルー「いやあんた先生じゃろが……はぁ、家はどっちじゃ?」

早乙女「えっとぇ~、あっち」

ルー「……まあ、行けば分かるじゃろ」


早乙女「そうそうここなのよ~、ここ」

ルー「ここって…確かマミが住んでおるマンションじゃな」

早乙女「へぇ~そうなんらぁ……巴さんイイ人よね~」

早乙女「らって、私の授業が上手らとか言ってくれたし~、こうしたらろう?ってアドバイスしてくれたのよ~」ニヘヘ

早乙女「それに、何か話し合うんよねぇ~…あの子大人っぽいっていうかなんというや……」

ルー「そ、そうか……じゃあ、私はこれで」

早乙女「ありがとねぇ委員長~」フリフリ
~~~~~~~~~~

ルー「と、いうようなことがあってな」

マミ「そうだったの……そういえば、何回かお話しに行ったことあったわね」

マミ(話が合うっていうのは、つまり私の中身が同年代だからってことかしら…?)

ルー「まあ、何かしら好意を抱いておった感じじゃったな」

マミ「へえ~……ありがとう委員長、参考になったわ」

マミ(早乙女先生なら私もすぐ好きになれると思うし……大丈夫よね)

委員長に早乙女先生の部屋番号を聞き、帰宅後シャワーを浴びてから、

私はさっそく早乙女先生の部屋の呼び鈴を鳴らした

早乙女「あら、あなた確か……どうしてうちに?」

マミ「夜分遅くにすいません」

マミ「実は先程、メテ・ルーさんに早乙女先生が私と同じマンションに住んでいるという話を聞いて、
   是非早乙女先生とお話ししたいと思いまして、突然ではありますが訪問させて頂きました」ペコペコ

マミ「もしよろしければ、お部屋にお邪魔させて頂いても宜しいでしょうか?」フカブカァ

早乙女「さすが三年生…中々礼儀正しいわね……親御さんは大丈夫なの?」

マミ「ご心配には及びません。うちの両親はすでに他界しており一人暮らしですので大丈夫なんです」

早乙女「そ、そんな…!!どうぞ入って入って!一人暮らしだといろいろ大変だものね!
    ちょっと散らかってるけど、ゆっくりしていってね!」

マミ「ありがとうございます!」

早乙女「今お茶淹れるわね。緑茶しかないんだけど、大丈夫?」

マミ「ありがとうございます」

早乙女「でも大変よね、その年で一人暮らしなんて……」

マミ「そうですね……女の一人暮らしは特に――」

早乙女「そうなのよ!女の一人暮らしは大変なの!!」

早乙女「だからこそ、責任感があって頼りがいがあって優しくって魅力的で、私の料理に文句も言わなくってそれから――」

軽く2時間ほど、独身女性の苦労話や恋愛話について話し合っていた
途中早乙女先生が一人缶ビールを開けてしまい、素面の私はついていくのに精一杯の状態だったけれど

早乙女「彼ったらひどいのよ……私が作ったお弁当食べてくれなかったの!!」

マミ「それはひどいですね!早乙女先生のお弁当なら美味しいに違いないのに」

早乙女「うっ……そんなこと言ってくれるのはマミちゃんだけよ……
    ありがとうね、マミちゃん」カッ

マミ「あっ……よかった、これで31人目ね」

早乙女「よしっ!今日は徹夜で飲み明かしましょう!」

マミ「えっ?悪酔いしすぎですよ早乙女先生……それに私は今は未成年ですし」

早乙女「今はって……そうやって若さにかまけてられるのも今のうちなんだから!!」グスン

マミ「そういうことじゃないんですけど……それに、明日も学校なんですよ」

早乙女「うぐぅ~……仕方ないわね…私ももう寝ようかしら」

マミ「その方がいいですよ。それじゃあ、私はもう帰りますから、鍵はちゃんと閉めておいてくださいよ」

早乙女「だぁいじょうぶらって、私は先生なんだからね!」

マミ「お邪魔しました」

そのまま家に帰宅して軽くシャワーを浴びた私は、これからのことをいろいろ考えるつもりだったのだが、
一日の疲れがどっと出てしまい、結局眠りについてしまったのだった

明日からもどんどん友達を探しに行かなくては

マミ「お友達100人できるかな……」

━現在友達31人━

キリがいいのとバイトがあるので一旦区切り
多分書けるのは九時前くらいか

ごめん、あと50レス分くらいで終わるので勘弁してくだせー

ただいま、そして保守ありがとう
マミさん無双が始まる前にお詫びと訂正と言い訳をば……

>>569
×さくら「私もマミさんが適任かと思いマス。ほら、この間のら・よだそ――」

○さくら「私もマミさんが適任かと思いマス。ほら、この間のえる・ぷさい――」

元々マミさんには「ラ・ヨダゾウ・スティアーナ」と言ってもらうつもりだった
その名残が上
でも、あのマミさんにそんなネットの言葉を…と思いなおして、急遽鳳凰院凶真さんからお借りしてきた
全部直したつもりだったんだけどここでお詫びを…

あと少しお付き合いお願いします

翌日、学校に行く前にQBに事情を説明してから策を練ることにした

マミ「と言っても、他にお友達になれそうな人なんているかしら……変よね、お友達ってこんな風に作るものじゃないはずなのに」

QB「事情は分かったよ。けど、残念ながら僕が深く手を出せる案件じゃないようだね」

マミ「えぇ…気にしなくていいのよ、これは私の問題なんだもの」

マミ「とりあえず、この『最高親愛度探索器』をうまく使わなきゃならないわね……
   グループセットもできるみたいだけど、当面は一人ずつにしないと」

QB「なぜだい?グループセットのほうが効率がよさそうなのに」

マミ「ほら、例えば二人私を友達だと思ってくれている子がいたとしても、その二人が仲がいいかどうかは、また別の問題でしょ?」

QB「なるほどね、その二人の仲を取り持つ時間はあまりないというわけか」

マミ「でも、やっぱり一人ずつだと間に合わないと思うから、いつかは使うことにもなるでしょうけど……」

QB「それで、今日はどうするつもりなんだい?」

マミ「そうねぇ……QBの電波ってもう少し小さくすることできない?」

QB「電波ではないんだけど……テレパシーの相手を限定することは不可能ではないね」

マミ「本当なの?なら、私が頼んだ相手だけに電波を飛ばして貰えれば、何人かはすぐに成立できそうね」

マミ「お願い!今日は一緒に学校に来てくれる?」

QB「僕は別にかまやしないけど、そこの大きい物も持っていくのかい?」

マミ「……この際仕方ないわね」

普段の鞄とは別に、もう一つ手提げの鞄をぶら下げて学校に向かった

氷室「あれ、今日なんか大荷物が必要な授業あったっけ?」

マミ「うぅん、別になんでもないのよ?」

QB『それで、どの子に向けて電波を飛ばせばいいんだい?』

マミ『とりあえず全員揃うまで待ちましょう』

やがて全員が登校してきてホームルームが始まる
こっそりと鞄から例の機械を取り出してコードをそれぞれセット
QBには耳のリングにワニ口クリップを噛ませる

QB「助かるよ、これなら痛みを感じないね」

マミ(そういえば何のためについてるのかしら、このリング……)

先生「はいじゃあ、これでホームルームを終わります」

担任の先生が出て行ったのを確認して、QBに一人ずつ電波を飛ばしてもらう

ボタンを押して、私に対しての親愛度が高ければセットされ、
あまりなければセットはされないという、非常に便利な機能だった

マミ『まずは大森くんにお願い』

QB『了解』

QBが電波を飛ばしたらしきことを確認して、私は大きなボタンを押す

マミ『…………駄目みたいね。次は……』

天野「ねえねえマミちゃん、それいったい何なの?時代を先取りしすぎて逆に退行しちゃったみたいな機械は」

マミ「へ?えっと、その……ラジカセ…?かしら?」

倉橋「なんで疑問形なの」

QB『もういいかいマミ?次の子にいくよ』

マミ『えぇ』ガッション

カッ

みのっち「うお!?今の何スか!?」

マミ「…!!」スクッ

ラブやん「マミちゃん…?」

マミ「ありがとう馬剃さん!私達やっぱりお友達よね!!!」

馬剃「え?うんまあ、そうなるのかな……急にどうかしたの?」

マミ(イケるわ…!この調子なら、残りもきっと…!!)

ラブやん「オォ…何やらマミちゃんが悟りを開いた顔に……け、賢者…!?」

みのっち「この短時間でいったい何があったんスか」

マミ「はぁ~……」

放課後、私は意気消沈して帰宅していた

QB「そう落ち込むことはないだろう?むしろ仕方のないことさ
  マミは魔法少女なんだから、今までクラスの皆と積極的に関わることはしてこなかったじゃないか」

マミ「そうだけど……やっぱりへこむわ、あれから二人…全部で三人しかお友達になれなかったなんて……
   危うくソウルジェムが濁りきるとことだったわ」

マミ「でも諦めないわ……明日も頑張りましょう」

QB「明日もこの大荷物を持っていくつもりなのかい?」

マミ「勿論よ」

翌日

マミ「今日は駄目だったわね……」

翌々日

マミ「はぁ……まだ駄目ね……」

1週間後

マミ「なんとか一人とお友達になれたけど……時間がかかってしまったわね」

QB「別の方法を思案した方がいいんじゃないかな」

マミ「そんなこと言われても……」

まどか「あ、マミさん今帰りですか?ついでにQBも」

マミ「あら、鹿目さんに暁美さんじゃない」

ほむら「どうも」

マミ「美樹さんと志筑さんは一緒じゃないの?」

まどか「二人とも上条君と一緒に帰っちゃって……」

マミ「その三人って…大丈夫なのかしら……?」

ほむら「それよりどうかしたの?今にも魔女化しそうな顔してるけれど……
    道明寺さくらがいないことと、何か関係が?」

まどか「喧嘩でもしたんですか?」

マミ「……実は――」

マミ「――というわけなのよ」

まどか「そんな…さくらさんが……」

ほむら「……それで、今は何人なの?」

マミ「今日で35人……でも、これから先誰にセットしていけばいいのか……」

まどか「マミさん……」

マミ「それじゃあ暁美さん、今日もパトロールに行きましょうか…悩んでいてもしょうがないわよね」

ほむら「……言うことはそれだけですか?」

マミ「…?それだけって?」

パシィン

マミ「……あ、けみさん…?」

ほむら「……っ!どうしてなんですか!!」

パシィィン

ビンタをされた
突然のことで意味がさっぱり分からなかった

マミ「あけ――」

パシィン

マミ「あ――」

パシィン

マミ「ほむ――」

パシィィン

マミ「……」

ほむら「はぁはぁ……」

パシィィン

マミ(何も言ってないのに!?)

まどか「ほ、ほむらちゃん、落ち着いて……」

ほむら「はぁ…はぁ……どうして……どうしてもっと早く言ってくれないんですか!」

マミ「…!」

ほむら「私達友達じゃないんですか!?そうやって何でも一人で抱え込まないでください!!」

マミ「暁美さん……」

ほむら「何でも相談してください…何でも頼ってください……もうすぐ、マミさんとお別れかもしれないのに……
    友達なら……友達なら、何でも言ってくださいよ……」

まどか「マミさん…私もほむらちゃんとおんなじ気持ちです。私たちにできることがあったら、何でも言って下さい」

マミ「二人とも…あ、ありがとぅ…」グスッ

マミ「さっそくだけど、うちに来て一緒に考えてもらってもいいかしら?」

まどか「勿論です!」

ほむら「当たり前じゃない」

マミ「おかげで目が覚めたわ!うじうじしてても仕方ないものね……暁美さんのおかげよ」

ほむら「……どうも…あの、叩いたりしてごめんなさい」

マミ「いいのよ、気にしないで」ニコッ

マミの家

マミ「ゆっくりしていってね」

ほむら「お邪魔します」

まどか「お邪魔しまーす。あ、シャルちゃんだ!元気にしてたー?」

シャルロッテ「……」コクコク

マミ「お茶淹れるわね」


マミ「どうしましょうか……もう教室の中でお友達になれそうな人はあんまりいないのよね」

QB「テリトリーを広げるしかないね」

まどか「テリトリー?」

ほむら「そうね…例えば塾に行くのはどう?あなたなら誰かに教えることもできるでしょうし、きっかけは作りやすいと思うわ」

マミ「塾ね……金銭的にはきついけど、確かにいい案だわ」

まどか「それでも100人は遠いよね……」

まどか「そうだ!再来週クラス別球技大会がありましよね!
    クラス別だから、2年生と1年生の人たちとも仲良くなれる機会があるんじゃないですか!?」

マミ「いいわね!今から練習を重ねていけばなんとかなるかもしれないし」

ほむら「まあ、中学生でやる気に溢れているのは極僅かだと思いますけど」ファサッ

マミ「どこか冷めてる人多いものね、中学生って」

まどか「わ、私はちゃんとやるよ!ほむらちゃんだって、ほんとは楽しみにしてるよね?」

ほむら「えっ!?ま、まあ、それは……」ゴニョゴニョ

まどか「皆で一緒にやるの初めてだもんね!」ティヒヒ

ほむら「……///」カー

マミ「ふふっ…そういえばあなた達とは敵になるのよね?負けないわよ?」

まどか「こっちこそ負けませんよ!!」

それからいろいろと話をして二人は帰って行った
他にも部活動や生徒会など、三年生では少々手遅れかもしれないが、うまくいけば人数を増やせるはずである

マミ(なんとしても……さくらちゃんを助けないと)

━現在友達35人━

残り3日

ゆっこ「やっほーマミちゃん、スラマッティロ~!
    なんつって、ちょっと変えてみたんだけどウケたウケた!?なはははー!!」

マミ「………はぁ……」ズーン

ゆっこ「あ、あれ?もしかしてなんか元気ない?」

マミ「ごめんね相生先生、突然呼んじゃったりなんかして」

ゆっこ「ゆっこでいいってば~!……それより、なんかあったの?」

マミ「えぇ…実は――」


ゆっこ「あー、それでさくらちゃんいないんだね……しかしもう47人かぁ、早いねマミちゃん」

ヒカル「ゆっこはまだ21人だったかしら?」

ゆっこ「うー、そうだけどさ……」

マミ「結局、後3日で残り53人……でも、諦めないわよ」

マミ「私、今になって友達成立に重要なことが分かった気がするの」

ゆっこ「そ、その極意とは…?」ゴクリ

マミ「それは、私の自己開示」

ゆっこ「……あ~!あれね!うん、あれだあれ!分かる分かるよ、うんうん」

マミ「えぇ……つまり、私の心が本当の意味で開いてないと、誰とも友達にはなれないってことよね
   私はようやくそのことに気が付けたの……」

ゆっこ「うんうん、私の想像通りだよ……しかしその極意を持ってしても100人には届かない、と」

マミ「それは……そうなんだけど……」

ゆっこ「うーん……ヒカルちゃんみたいに、皆ともすぐ仲良くできればいいのにねー」

マミ「ヒカルちゃんみたいに…?」

ゆっこ「そんな人中々いないもんねー……どうしたもんだろね?ヒカルちゃん分身とかできないの?」

ヒカル「分かってて聞いてるのよね?」

マミ「…………そっか…ひょっとしたら……」

ゆっこ「?……マミちゃん、どうかした?」

マミ「ありがとうゆっこ!あなたのおかげよ!!」ガバァ

ゆっこ「へ!?わ、私なんかマミちゃんの心打つようなこと言ったっけ!?」

マミ「やっぱりあなた達に相談して良かったわ!……もう、これしかないの」

ゆっこ「???なんだかよく分かんないけど、頑張ってね!」

マミ「本当にありがとう……ごめんね、せっかくこんなところまで来てもらったのに、あんまり時間なくって」

ゆっこ「いいのいいの、困ってる友達のために駆けつけるのがなんて言うか…うーん……友達でしょ?」

マミ「……そうね」

ヒカル「それで、一体どんな作戦が浮かんだの?」

ゆっこ「あっ、それ私も聞きたい!どんなのなの?」

マミ「多分…うまくといくと思うんだけど……」

私は説明した
起死回生となりうる、最後の手段を

ゆっこ「なるほど!なんかマミちゃんならうまくいく気がする!うん、絶対出来るよ!!」

マミ「これが、私に残された、たった一つの道しるべ……」

━現在友達47人━

残り1日

マミ「じゃあねシャルちゃん、QB、お留守番よろしく」

シャルロッテ「……」コクコク

QB「行ってくるといいよ」

私は家を出て学校には向かわず、隣町を目指して歩いた
その途中で、ちょっとした手紙をポストに投函しておいた

将来劇的な変貌を遂げるこの街並みを、今のうちにこの景色を目に焼き付けておこうと思い、私はゆっくりと歩き出した

そのうちに私は、古びた教会に辿り着いた

マミ「懐かしいわね……杏子に連れられて初めて来たのは何年前だったかしら」

この教会も、数年後には取り壊されてしまう
最前列の椅子に座って、ぼんやりと割れたステンドグラスを眺めていた

最後に、来ることができて良かった

杏子「あれ?マミなのか?」

ゆま「ほんとだ、マミだ!」

マミ「あ……杏子、ゆまちゃん」

会いたくないと思っていたのに出会ってしまった
会えばきっと辛くなるから……

杏子「珍しいじゃん、マミがこっち来るなんて」

マミ「うん、ちょっと久しぶりにね」

ゆま「あれ、でも今日平日だよ?」

マミ「ふふ、学校はいいのよ……昨日行ってきたから」

ゆま「???」

クラスの皆には、既に別れを済ませてきた
卒業式でもないのに涙ぐんだ私を見てみんな少し戸惑っていたが、それも仕方のないことだと思う

杏子「……どうかしたのか?なんか、言いたいことでもあるような…そんな感じだけど」

マミ「うん……本当は言わずにおくつもりだったんだけど……明日からの私にも、ちゃんと今まで通り接してほしいの
   どうなってるか分からないけど、きっと、私は私のはずだから」

ゆま「どういうこと?」

マミ「そのまんまよ……本当に、どうなってるのかしらね」

マミ「杏子、みんなと仲良くしなきゃだめよ?……なんて言わなくても、あなたならきっと大丈夫よね
   ゆまちゃんは、もっといろんな人と関わっていくといいわよ?いつか杏子離れできるようにね」

杏子「なんだよ急に……」

ゆま「うぐっ…分かってるよ!ゆまだって、いつまでも子供じゃないんだよ!」

マミ「そうね……いつかは皆、大人に…なるのかしらね」

杏子「ま、あたしら魔法少女がそこまで生きてられるかは分かんねーけどな」

マミ「大丈夫よ、私だってなれたんだもの」ボソリ

ゆま「え?」

マミ「何でもないわ……それじゃあ、私はそろそろ帰るわね」

杏子「もうかよ?何しに来たんだよ」

マミ「何かしらね……本当は二人に会いたかったのかもしれないわね」

杏子「はあ?」

マミ「二人とも……元気でね」

これ以上話していると泣いてしまいそうだった
私には最後の挨拶でも、二人にとっては何でもない一日の出来事になるのだろう

二人とは笑顔で別れたかった

残り1時間

まどか「マミさんおはようございます」

マミ「あっ……おはよう三人とも…ごめんね、今日は私学校行かないの」

さやか「制服なのにですか?サボりなんて優等生のすることじゃないですよ~?」

ほむら「マミさん……大丈夫なの?」

朝の通学時間、3人と偶然出くわしてしまった
制服を着ていたのは、これが着納めになると思ったからだ

マミ「えぇ……なんとかなりそうだから、心配しないでいいのよ」

ほむら「でも……」

その時、ちょうど背後からバイクの走ってくる音が聞こえた
見覚えのあるオレンジの車体が、私達の横に止まった

シリウス「ここにおったのか。審議の時間もある故もう出るが、準備はいいな?」

マミ「……少し、待ってもらえるかしら?」

シリウス「ふむ、少しなら構わん。済ませてくるがよい」

マミ「ありがとうございます」

私は心配そうな顔をしている3人に近づいた

マミ「ごめんね皆…私、ちょっとこれから世界を救ってくるわね」

さやか「世界って…マミさん、もしかしてどっか行っちゃうんじゃないですよね!?」

マミ「そんなことないわよ、明日からもちゃんといるわ」

マミ「……多分ね」ボソリ

まどか「でも…!」

マミ「大丈夫よ、ここからいなくなるわけじゃないんだから」

ほむら「……私、信じてますから……必ず、戻ってきてくださいね」

マミ「勿論よ……さあ、行きましょうかシリウスさん」

マミ(さようなら……皆、元気でね)

バイクは空を駆け抜け、やがて宇宙船へと入っていった
そして私は再び、魔女空間を模した場所へと案内されたのだった

マミ(さくらちゃん、久しぶりね……)

シリウス「さて、約束の時間まで残り15分となり再びマミ君を召還した…早速だが、友達成立した人数を教えてくれまいか」

マミ「……4…7人です……」

ざわっ…ざわっ…

さくら「……」

シリウス「……では、当初の予定通り被告人道明寺さくらを――」

マミ「待って下さい!!」

マミ「まだ少し時間があります……皆さんと話をさせてもらえませんか?」

シリウス「フム、構わんが……」

マミ「宇宙人の皆さん、この試験はある一つのことを証明すればよかったのですよね」

マミ「愛は何よりも尊いと」

マミ「地球人全員がそう思えるなら、きっとこんなテストはいらないのでしょう」

マミ「私は…テストを受ける前までの私は、心からそうは思っていませんでした
   愛が本当にあるのなら、誰も傷つくことはなかったのにと……」

マミ「でも、この世界に来てたくさんの人と触れ合って、再会していく内に、私は自分の中のある感情に気がつきました」

マミ「それはとても単純で本当に当たり前の感情なんです…誰の中にもあるはずだけれど、普段は忘れてしまっているだけ
   その気持ちがあれば、この先の私の人生全てに、約束することができます」

マミ「誰とでも本気で向き合います」

マミ「自分の定規だけで人を測りません」

マミ「愛しているが故に厳しくもします」

マミ「困っている人がいたら助けます」

マミ「助けられたら助けてあげます」

マミ「大きな障害も誰かと一緒に乗り越えていけます」

マミ「私はこの先、そうなろうと努め続けます」

マミ「私たちが生きているこの星は、そんなに酷い場所ではありません
   少なくとも、私はそう信じています」

マミ「気掛かりな魔法少女のことも、あなた達のおかげで希望を持つことができました」

マミ「私は、あなた達のことを信頼しています」

マミ「だから、少しでもいいから私を…私達を、私達の世界のことを信じて下さい!!」


シ・・・ー・・・ン・・・


シリウス「……残り10分を切った…話はそれで終わりかの?」

マミ「いいえシリウスさん、今のは私の自己開示よ」

シリウス「…?」

マミ「私はさっき言ったように、好意を持って信頼し、あなた達に私の本当の気持ちをさらけ出しました」

私は鞄の中から最高親愛度探索器を取り出してコードをそれぞれセットした

マミ「私はあなた達がとても優しい種族であることを知っています」

マミ「あなた達が、優しすぎてこの言葉を無視できないことも……」

さくら「マミさん…マサカ…!」

私は、機械のボタンを押した

マミ「私とお友達になってください!!!」


カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ

カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ


ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ


ボ ン ッ

マミ「カウンターが…壊れたわ……」

もくりと煙を立ち上げたカウンターがそこにはあった

シリウス「……我々の想定以上の友達同時成立をしたためだ…貸したまえ、ログを見て何人成立したか確かめてみよう」

そう言って私の腕からカウンターが外され、隣にいたフォマルハウトと呼ばれた人に渡されていった

マミ(ありがとうゆっこ……あそこであなた達に会えてなかったら、きっと思いつかなかった方法だわ)

フォマル「議長、結果が出ました」

シリウス「うむ」

フォマルハウトさんが耳打ちをし、何人友達が成立したかがシリウスさんに伝えられた

シリウス「なるほど……」


シリウス「マミ君の友達成立した人数は――」

翌日

マミ「リボンよし…スカートよし……髪の毛セットよし」

マミ「うん、完璧ね」

マミ「じゃあねシャルロッテちゃん!チーズはここに置いておくから、食べ過ぎないようにね?」

シャルロッテ「……」フリフリ

マミ「QBもシャルロッテちゃんのことよろしくね?じゃあ行ってくるわね」

QB「ああ、行ってくるといいよ」

ガチャッ バタン

QB「……マミ、君はもう――」

マミ「……」ドキドキ

ほむら「おはようございます、マミさん」

マミ「あ…おはよう……えっと、暁美さんよね?」

ほむら「そうですけど……マミさん?」

マミ「あの、鹿目さんや…美樹さん、達は一緒じゃないの?」

ほむら「……二人はまだみたいですけど」

マミ「そっか……うん、よろしくね……ほ、ほむほむ///」カー

ほむら「その名前で呼ばないでください」

マミ「う、うん……ごめんなさいね」

ほむら「……マミさん…?」

まどか「おはようございます、マミさん」

さやか「おっはよーですマミさん」

仁美「おはようございます」

マミ「お、おはよう……鹿目さんに美樹さん、それから志筑さん」

さやか「もう、どうしたんですかマミさん?昨日はあんなこと言ってたから心配してたんですよ?」

まどか「マミさん…ですよね?」

マミ「も、勿論よ?当たり前じゃない」

まどか「よかった~」ホッ

仁美「おかしなまどかさんですわ」

ほむら『……マミさん、後で本当のことを話してもらえませんか?』

マミ「え!?あっ、そっか、あなたもだったわね……」

仁美「どうかしました?」

マミ「ううん、何でもないのよ……」

マミ『じゃあ、お昼休みでいいかしら?』

ほむら『えぇ、いいわよ』

さやか「どうしたの二人とも、急に見つめあって押し黙っちゃって?」

仁美「まさか…二人は実は、既にそのような関係になってしまったのですね!いけませんわ女の子同士なんて!」

マミ「女の子同士?……!!違うの!別に私たちそんなんじゃないから!」

まどか「マミさん、必死になってるとますます怪しいですよ」ティヒヒ

ほむら「私もあなたとなんて嫌よ、マミさん」

マミ「そうよね!?ほら、ほむほむもそう言ってることだし――」

ほむら「その名前で呼ばないでってば!」

まどか「ほむほむ…?」

さやか「え…まさか、あだ名で呼び合う関係って……!?」

マミ「あ…ごめんなさい、他の人がいる時には呼ばないつもりだったんだけど」アセアセ

仁美「愛ですわね……」

ほむら「……巴マミ、後で話し合うことが増えたわ」

ラブやん「おっはよーマミちゃん」

みのっち「はよっス」

マミ「えぇっと……おはよう…ら…ラブやん…さんとみのっち…さん」カー

ラブやん「なぜに急に他人行儀に……昨日の風邪をこじらせちゃったのかしらね」

みのっち「いやいや、一昨日行ったアメリカンの後遺症じゃないっスか?」

マミ「あ、アメリカンは……また、行ってみようかなって思うから…また誘ってね」

ラブやん「今度は急にアグレッシブ?これは完全にアイトァー……ね」

みのっち「ホントにやられてしまったんスかね……」

ルー「よう三人とも」

マミ「あ、委員長……今夜もあそこで待ってるからね」

天野「なになに?二人で逢引でもしようっての?」

マミ「ちがっ、そういうんじゃないから……あ、天野さん」

倉橋「またマミの様子がおかしくなったの?」

氷室「みたいだね」

マミ(すごいわ……天野さん達とは元々友達だったけど、
   ラブやんさんやみのっちさん、それに委員長とも普通に話してる……)

マミ(なにより、魔法少女や後輩のお友達までいるなんて……)

マミ(あの人の言った通りだわ)

マミ(……私、本当にもう一人ぼっちじゃないんだ)

~~~~~~~~~~
シリウス「マミ君の友達成立した人数は……」

シリウス「99人だ!!!!」

マミ「そんな…!!」

シリウス「よって試験はここで中断!道明寺さくらは無に帰す!!!」

マミ「待って!まだ少し時間はあるはずよ!」

シリウス「ふむ、それもそうじゃの。まだ時間はあるわい」

マミ「えっ?」

シリウス「しかし困ったのー、ここにおる皆とはすでに友達になってしまったし、地球に戻るには時間が足りんしのー」

マミ「???」

シリウス「おお!そうじゃ、100人目にふさわしい友達候補がおる!なんという偶然じゃ
     道明寺さん、『彼女』の元にマミ君を連れていってはくれまいか」

さくら「分かりマシタ」

さくら「デハ参りましょうマミさん」スタスタ

マミ「え?ま、待ってよさくらちゃん!なんで急にそんなに優しくなったのよ…?」

シリウス「何故?地球人よ、宇宙の真理を教えてやろう」


シリウス「友達には優しくするものじゃ!!!」

━現在友達99人━

スタスタ

マミ「待ってってばさくらちゃん!速いわよ」

さくら「チョット準備がありますモノデ……あまり時間がないのデス」

マミ「準備?」

さくら「エエ、これからお会いする方とそのママでは問題がありマシテ……」

さくらちゃんが入ったスライド式の扉の向こうには、いつか見たSF映画に存在するような不思議な機械などが置かれていた

マミ「なんか…随分と胡散臭い部屋ね……あれ?」

目に入ったのは、透明なカプセルの様なものに浮かんでいる裸の人らしきもの

マミ「これって……私!?」

それは間違いなく、私だった

さくら「ハイ、チョットチクッと失礼しマス」ブスッ

マミ「――っ!?!?痛ッ!!!」

マミ「……あれ、頭が――」

私はそこで意識を失った

……テ…………キテ………

………オキテ…………!

?「起きて!起きてってば…!」

マミ「ん…あれ……私…?」

マミ(なんで私が私を起こしてるの……)

マミ「――!?元に戻ってるの!?」

私の体は、大人の時のそれになっていた

マミ「あれ、でも、あなたは一体……」

さくら「そちらもマミさんデスヨ。試験場所に存在するはずだったあの世界の、1週目のマミさんデス」

マミ1「あなたが、私の未来の姿なの?ひょっとして目は悪くなっちゃうのかしら?」

マミ「え、えぇ…まあ……」

さくら「やはり気になるのはソコなのデスネ」

さくら「少々取り乱しておりマシタガ、事情を説明すると、ワクワクすると言って納得してくれマシタ」

マミ1「だって、世界を救う英雄になれるんでしょ!?私、そういうのに憧れてたの!!」

マミ「あ、あぁ……そうだったわね」

マミ(我ながらこの頃は夢見がちというか…正義の味方に憧れてたのね……)

さくら「ソチラのマミさんと5分程オ話し下サイ。ソレで試験は終了となりマス」

マミ「終了って……私が100人目なのよね?話すだけでいいの?」

さくら「かうんたーは既に壊れてしまいマシタカラ……議長は100人目をさーびすして下さったのデス」

さくら「アナタが友達ダカラ」

さくら「マミさんの行動との矛盾を防ぐため係り合った人たちの最低限の知識は付加されておりマス
    ソレを踏まえた上で特別オ伝えしたいコトがあればオ話し下サイ」

さくら「チナミニ、周りの方々には私ニ関する記憶ナドガ修正されておりマス」

さくら「その後マミさんは試験場所に戻ることなく、元の世界に戻ることになりマス」

マミ「元の世界に……」

なんとなく、そんな気はしていた

もう私はあの場所に帰ることはできないのだ

念のために机の上に置いた私宛の手紙と、皆に送った感謝の手紙があるとはいえ、やはりとても心配していた

こんな形で、過去の私に助言ができることになるとは思ってもみなかったけれど

マミ「えっと……何から言おうかしら……」

マミ「とりあえず、私の机の上に手紙が置いてあるから、詳しくはそれを読むといいけど……そうだわ」

マミ「お肌と髪のお手入れはしっかりね!今から気をつけておけばきっと大丈夫よ!!」

マミ1「は、はぁ……」

マミ「コホン……それじゃあ、改めて……」

マミ「クラスのお友達の三人は、別にいいわね。もうお友達だったもの」

マミ「隣の席にラブやんとみのっちって子がいるでしょ?二人のことは苗字とかじゃなくってあだ名で呼んであげるといいわ」

マミ1「あ、あだ名で…?あの二人、ちょっとガサツそうなのに……」

マミ「そんなことないわ、二人ともいい人よ?確かにちょっと羽目を外しすぎる人たちだけど……一緒にアメリカンに連れて行ってもらうといいわ」

マミ1「アメリカンね……分かったわ」

マミ「それから、委員長のメテ・ルーさんとはいつも夜に一緒に走ってるの
   ダイエットのこと気にしてるみたいだから、あんまり言わないようにね?」

マミ「えっと、ゆっこのこととかもあるんだけど……時間がないから、後でしっかり手紙読んどいてね?」

マミ1「分かってるってば」

マミ「それから、魔法少女のお友達のことだけど……」

マミ1「そういえば魔法少女のお友達ができたのよね……って、ひょっとして佐倉さんもよね!?」

マミ「そうね、杏子ともまた仲良くなれたわよ。杏子、って呼んであげるといいわ」

マミ1「杏子……なんか、気恥ずかしいわね」

マミ「杏子と一緒にいる女の子は千歳ゆまちゃんっていうの
   たまにスカートめくられたりするけどきっとすぐ仲良くなれると思うから」

マミ1「そんな子と仲良く……できるのかしら?」

マミ「大丈夫よ、あなたは私なんだもの」

マミ1「そ、そうね……頑張るわ」

マミ「それから、2年生の美樹さんは私の家に遊びに来てもくれるし一緒に魔女退治もやってるの」

マミ「魔法少女じゃないんだけど、鹿目さんも一緒に遊びに来てくれるわ。健気で友達思いで、たまに…その……
   一緒に必殺技とか考えたりするんだけど、あんまりやり過ぎないようにね?絶対よ?」

マミ1「?えっと……善処するわ」

マミ「それから、織莉子とキリカは今はどこかに行ってしまったけれど……また会うことがあったら仲良くね?
   織莉子はともかく、キリカはちょっと大変かもしれないけど」

マミ1「そうみたいね……こんなに魔法少女の知り合いができてたなんて、なんだか夢みたいだわ」

マミ「後は暁美さんだけど……ちょっと頑固だったりクールで突っかかってくることもあるかもしれないけど、友達思いのいい子なのよ」

マミ「二人っきりになったらほむほむって呼んであげるといいわ。多分、呼ばないでって言うと思うけど、それも照れ隠しだから」

マミ1「ほむほむ……」

マミ「彼女は、多分……この世界で…いっ、一番の……おとも、だち…だと思う、から……」

マミ1「あ……泣いて…るの?」

マミ「み…皆、あなたの…大事なお友達だから……だから、もう、あなたは一人ぼっちじゃないのよ
   困ったことがあったらみんなに相談しなさい?きっと、力になってくれるから」

マミ1「はい……ありがとうございます」

マミ「ふふ、自分にお礼を言われるのって、なんだか変な気分ね」

マミ1「そうね……」

マミ「そういえば、魔法少女の真実……記憶はあるの?」

マミ1「……えぇ…正直、ショックだったわ」

マミ「そう……大丈夫よ……あなたがやってきたことは決して間違ってなんかいない
   それは私が保証済みよ?」

マミ1「私…生きてて……これからも生きてて、いいのよね?」

マミ「それが私の願いだったじゃない」

マミ「あなたは……人間なんだもの」


さくら「マミさん、そろそろ……」

マミ「えぇ……じゃあね、過去の私」

マミ「私は、帰るわ」

マミ1「頑張って下さいね、未来の私」

私は、自分自身と固い握手を交わした

~~~~~~~~~~

目を覚ますと、私は暗くなった小学校の屋上にいた

マミ「……戻って来たのね」

さくら「ソウデス。オ帰リナサイ」

マミ「ただいま……って、久しぶりに見たわねその姿」

さくら「モウ隠ス必要モナイカト思イマシテ」

さくらちゃんは、人間の姿をやめて、初めて会った時の姿に戻っていた

さくら「改メマシテ、友達100人成立オメデトウゴザイマス」

さくら「地球ノ各主要都市ニ配置サレタ我々ノ船モ撤退ヲ始メテオリマス
    地球ハアナタノ愛ニヨッテ救ワレマシタ!
    コレカラ地球ハチョット楽シイコトニナリマスヨ」

マミ「楽しいこと…?」

さくら「地球ハ『侵略』ノ対象ニハナリマセンデシタガ、『友達』トシテ認メラレマシタ

さくら「友好ガ始マルノデス」

さくら「第三次接近遭遇ト言うヤツデスネ。オ祭リ騒ギニナリマスヨ!!」

マミ「じゃあ、さくらちゃんも地球に?」

さくら「……ソレハ無理デショウ。私ハ侵略班ノ科学者ナノデ、マタ別ノ星ニ向カイマス」

マミ「そんな……じゃあ、もうお別れなの?」

さくら「マアマアクヨクヨスンナッテ、死ヌワケジャネーシ!」バシバシ

マミ「最後まで軽いわよ……」

さくら「ソレカラ、魔法少女ノコトモ恐ラク我々ノ技術班ガドウニカシテクレルデショウ」

マミ「それって……あの機械が完成したら、インキュベーター達に騙される子が出なくなるってこと?」

さくら「何年掛カルカ分カリマセンガ、キット何トカシテミセマスヨ」

さくら「友達デスカラ」

その時宇宙船から光が伸び、さくらちゃんの体が浮き始めた

さくら「アナタハ沢山ノ愛ヲ知リ、チョット優シクナレタハズデス」

さくら「ソレラヲ大切ニシテ下サイ。友達ニ優シクシテ下サイ」

さくら「宇宙人カラノオ願イデス」

さくら「ソウソウ、私ヲ助ケル為ニ頑張ッテクレテ本当ニアリガトウ!私ハマミサンノコトガ大好キデシタ」

マミ「ついでみたいに言わないでよ!もっと!あなたと――!!!」

さくら「離レテイテモ友達デスヨ……アナタガ愛ニ包マレマスヨウニ」

さくら「える・ぷさい・こんぐるぅ」

マミ「それは言わないでよっ!!!」

巨大な光に包まれて宇宙船は消え、さくらちゃんも消えてしまった

私は茫然としたまま扉を開け、階段を下り校舎を歩いていった

もう、あの時代には戻れない

私はまた、この世界で生きて行くのだ

鹿目さんも美樹さんも杏子も暁美さんも、この世界にはいないのだ

ゆまちゃんや織莉子、キリカはどうだろう……分からない

志筑さんや鹿目さんの家族は、今何をしているのだろう

水上さんは、まだ生きているのだろうか

QBは今どこにいるのだろう

クラスの皆は、そういえば元気にしているのだろうか

マミ「……うっ………皆……」グスッ

相生「いた!巴先生大丈夫!?」

マミ「ぅあ…ゆっこ……ゆっこ!!!」

相生「ちょっ、巴先生?」

私は泣いた

声が枯れるまで、目が腫れるまで

全てを出し尽くすまで泣いた

児童1「巴先生さようなら~」

児童2「さようなら~」

マミ「はい、さようなら」

皆下校したことを確認して、私は職員室に入っていった

相生「お、巴先生お疲れ~」

マミ「お疲れゆっこ」

相生「ん~、やっぱむず痒いねー、そうやって呼ばれるのは……巴先生っぽくないし」

マミ「あら、私は私よ」

相生「どうだった?1カ月ぶりの我が学校は!?」

マミ「そうね……あれから警察の人に連れて行かれたりテレビの取材に応じたり、
   世界中から人が押し掛けてきて大変からね……もうクタクタよ」

相生「今じゃ世界を救った英雄だもんね!私も鼻が高いよ!」

マミ「宇宙人達が圧力をかけてくれたおかげで、大分落ち着いてきたわ」

マミ「それに、ゆっこもきっと別の世界では英雄になってるわよ」

相生「ん?ドユコト?」

マミ「あら、これはまだ言ってなかったかしらね?じゃあ、今度教えてあげるわ」

相生「えぇ~?何何?気になるじゃんか~」

マミ「ふふ…今度よ、今度」

窓を開けて空を眺める

空は徐々に暗くなってきており、星達がちらちらと目につく

あの優しい宇宙人達は、今もどこかの星を侵略しようとしているのだろうか

あんなに優しい人達なら、きっと侵略なんてできないでしょうに

彼らはそうやって、愛だけを振りまいているのかもしれない

マミ(暁美さんは、幸せに暮らしているのかしらね)

マミ(今でもずっと、それを祈ってるわよ)

━現在友達100人━

とある宇宙にて

千べえ「謎の飛行物体接近中!大変だこりゃあ!!」

青べえ「まずいでゴンス!早く誰か何とかするでゴンス!!」


さくら「ドウモドウモ、私ゴ存ジトハ思イマスガ宇宙人デス。実ハ魔法少女ノコトデ話ヲシニ来マシタ」

八べえ「なんだと?どういうことでい?」

さくら「シカシソノ前ニ、アナタ方ヲ他種族ト認メネバナリマセン」

さくら「ソコデ、友達ヲ100人作ッテモライマス」

八べえ「友達ぃ!?」

さくら「デキナケレバコノ星ヲ滅ボシマス!」

八べえ「さらっと何を言ってやがんでぃ!?」

さくら「マサカ、証明デキナイノデスカ?我々ノ技術ヲモッテスレバ、コノ星ノ制圧ナド容易イモノデス」

八べえ「しかし、あっしら感情のない種族だからよ……他の奴にしてくれよ?」

さくら「仕方アリマセンネ……れっつ滅ボシたいむ、トイキマスカ!」

八べえ「おいおい、勘弁してくれよぉ!?」

さくら「トイウノハ冗談デ、一応議長ト相談シニ行キマショウ」

八べえ「そいつぁ助かるよ……って、あっしも行くのかよ?」

さくら「ツベコベ言ウト滅ボシマスヨ?」

八べえ「チクショウ!!」

さくら「全ク、早ク技術面ノ協力ヲシテ頂カナイト困リマス」

八べえ「なんだってそんなこと……」

さくら「ソレハ勿論、」

さくら「友達ノタメニデス」

過去の時間軸にて

マミ「――というわけなの」

ほむら「そう……あなたは、巴マミであって、もう私達の知っている巴マミではないわけね」

マミ「そう言われるとそうなんだけど……」シュン

ほむら「……でも、私達が友達であることには変わりないわよね」ファサッ

マミ「暁美さん!」パアァ

ほむら「ふふ……ほむほむでいいわよ、どうせさやか達にからかわれてそう呼ばれるようになってしまったもの」

マミ「え、えっとじゃあ……ほむほむ」カァ

ほむら「どうしてあなたが赤くなるのよ…さっきは普通に呼んでたじゃない」

マミ「さっきは焦ってたし…それに、その、あんまりこういうの慣れてないから……」

ほむら「これからもよろしくね、マミさん」

マミ「……うん、よろしくね」

マミ「ほむほむ」


おしまい

というわけで「まどか×友達100人できるかな」おしまいです

マミさんはぼっちじゃない!から考えていたらこんなことに……
完全に俺の趣味で選んだ登場人物達です
田丸キャラ、日常組、ラブロマ夫妻などなど

保守してくれて本当にありがとう!

こうしてみるとかなりネタ仕込んだ気がする…
誰にも気づいてもらえてなさそうなのもあるけどwww

>>871

大作ご苦労様です。

よろしければでいいのですが
いままで書いたSSなどありましたら
教えていただけませんでしょうか。

それにしても長かった…書きためなのにどうして一日以上かかったのか

友達100人できるかなの漫画はかなりオススメ
全5巻だし中身も面白い
思わずぐっときた場面もあるので、気が向いたら読んでみて

あとついでに田丸浩史の漫画もね

>>874
何それ恥ずかしい

でも読んで欲しいから教える
ラブやん「……魔法少女?」

さやか「上条王子」

まどか「QBに恋をさせてみたい」

まどか「魔法少女といえばステッキだよね」さやか「そうかな?」

まどか「さやcarちゃん一緒に帰ろー」さやか「いいよー」ガショーンブオーン

今北重産業

>>877
どうもありがと

ラブやんのが面白そう
ラブやんは見た事無いが
なんかグダグダ進行するイメージだ(笑)

あと>>639に書かれた以外の元ネタわかる人いる?


さやcarは書き溜めに行き詰ってストレス発散のために……
あれは楽しく書けたなー

>>880



×










俺ももう寝ゆ!

>>883
その…
気付いてもらえなくて寂しいから、解説してあげてもよくってよ…?

>>884
おやすみ

とよ田みのるは
ラブロマしか読んでなかったが
主人公カップルのボケ突っ込みは
久々楽しめました。

>>887
ありがとうしてくれると助かる。

俺が見て読んでたのは「まどマギ」「ラブロマ」
「へうげもの」だけで「ラブやん」「日常」などは
知っている程度なので。

ならば俺のオネイヌー垂れ流すなら今のうち……

氷室、馬剃(アルプス伝説) 天野(マリアナ伝説) 倉橋、西村(レイモンド)
ラブやん、みのっち、メテ・ルー、大森(ラブやん)

好きな作者田丸浩史のキャラ達、田丸さんも名前だけ

>>28最初の台詞やアメリカンはラブやんから

>>894
どんだけ田丸好きなんだよwwwww


たしかアルプス伝説は完全版出てるから興味でたら買いだよな?

>>895
うむ、買いだな

ゆっこ(相生先生)、みお、麻衣、なの、はかせ(日常)
群馬つながりで

ちなみに友達№33~35は名前出てないけどラブやんのシラとクロエと青木萌

名無しの幼女はほんとに名無し
数合わせ……

Magiaの文化云々はご存知エヴァのカオル君から

エル・プサイ・コングルゥの件は途中言い訳したとおり

ヴェスナ・エスタ・ホリシアは、ブレイブストーリーの有難いお言葉
オリジナルは、
ヴェスナ・エスタ・ホリシア 人の子の生に限りあれど 命は永遠なり

ケーキ屋「U&me」はうめてんてーから

ついでに言うと、ウロフチ(虚淵)首相とアラフサ(新房)首相

仮面ダイバーアクアは適当に考えた
でも、仮面ダイバーダウンはスタンドの「ダイバーダウン」から

首領・グラー→ドン・グラー→グラードン(ポケモン)

ゾーマ様の台詞はまあ分かるかな

ゆま、織莉子、キリカは「おりこ☆マギカ」から…ってこれは大丈夫か

パンツを云々はパンツじゃないから恥ずかしくないもん!で有名なあれから

地味ーに杏子の裸のくだりはエヴァを意識してた…駄目だったけど


星野根岸はとよ田みのるの「ラブロマ」

キリカをぶったとこは当然アムロの流れ

マミさんゆっこ麻衣ちゃんの働いてる小学校は、日常の先生達の名前(高崎、桜井、中村)

そうだ、あらゐさんも名前だけ出てたね


あなた達の血は~とかカッチン鋼は言わなくていいよね?

こんだけ長いのにだれてなかったな

今さらだけど麻衣ちゃんには可哀相な役を押し付けてしまったと思う
シャルちゃんの処理のためだけに魔法少女にしてしまって……

その変わり対魔女においては最強っぽくしといた


ダール・イ・レゼベールは「へうげもの」の信長さんから
身体真っ二つにされて~の流れをワル夜戦に入れてたんだけど泣く泣くカット

>>905
これでもちょっと削ってるんだ
削って正解だった

愛の魔法少女誕生まし~ん(仮)、見た目モデルは「もしもボックス」

宇宙人もビックリ、宇宙人嘘つかない、はインド人がどうたらってやつ


関係ない話だけど、愛の魔法少女システムが完成すると
まど神になった後の世界のように魔獣達が出現するのかなーと考えてた

ベスパは「フリクリ」から

フリクリは好きなアニメベスト3に入るくらい好きだから、カウンタックの代わりに詰め込んだ

コスプレ魔法少女達のネタは
セラムン、おじゃ魔女、HCプリキュア、なのは、その他昔の魔法少女の呪文とか

これまた全く関係ないけど、早乙女先生の弁当云々はエヴァのヒカリを意識してた

千べえ(アラレちゃん)、青べえ(おじゃる丸)、八べえ(水戸黄門)のイメージで

こんなところか?

>>894,896,898,901,904,906-907,910
いやどうもありがとうございます。

いやホントに知らない元ネタが多い(汗)
エヴァとかガンダムはかえって一般常識になって
スルーしてしまう。

ただやはりへうげものの所を気づけなかったのはくやしい。

基本は友達100人できるかなをベースにしてます
そっちは1カ月で30人なんて無茶はやってないwwwwもっとゆったりやってる

ワル夜さんのせいなのと、親愛度探索器を出すために無理矢理30人にしなきゃならなかった

もう脳内裏設定とかもないはず……


今度こそ寝ゆ!ぐだぐだと付き合ってくれてありがとう!
おやすみ!

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