まどか「あの……お風呂入りたいんですけど」マミ「だっ、駄目よ」(233)

まどか「へ? なっ、何でですか?」

マミ「あー……今ちょっと、汚れてるというか」

まどか「そんなの気にしませんけど……」

マミ「いや、その……結構ひどいのよ」

まどか「……良かったら、掃除しましょうか?」

マミ「だっ、駄目! 近づくのも駄目! もう足の踏み場もない程だから!」

               \_人__人__人__人__人__人__人__人_/  \_人__人__人__人__人__人__人__人_/
               <    ネ ッ ト リ や !!    > ..<      王 道 や!!     .>
               /`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´\  /`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´`Y´\

                   ,-、                              ,-‐ttーt‐ttーt‐、                ,-、
                    ノ 'ー'ヽ                       、/バ゙、::.   .::`゙バ\,             ノ 'ー'ヽ
                    / /7 r'                       、/ヾ、゙ ::     .`:.、゙ゞヾ,             / /7 r'
  ,、  ,-‐-、  ,--、     'ー' / /′      .,ヾーゞ-vーt、_,..     、/ゞ゙゙`:.     .::   ゙゙バヾ|、,         'ー' / /′
  〉ヽ'´ ,ヘ ゙ー'´,‐; ヽ.     ノ /        ;=:::::::::::::::::::::::::::::ーッ,   、/゙゙、:..           .::、゙゙ゞ〉、,           ノ /
  | ロ ゙ー゙ .|゙ヽ`´,一'゙  .</-'ヽ    .r゙:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゞ;、. ゙、|゙゙、` .::      .:..    ヾバv-、        </-'ヽ
  | lコ 〈! 'ー'´__.´ヽ  <二´ r‐'     /::::::::::::::;=‐ー=;::::::::::::::::::ヒ;.゙.、|゙..:::.. __  ‐ - , ' ;::  バ;/,ヾヽ.         <二´ r‐'
  ヽーィ rー'^ー; ヽ'  ) r‐一' '⌒)  ._ミ:::::::::::〈゙´:.   ``゙"=、::::::::;〉.〈゙    ‐- ‐ ー'  ::.`  ヾヾ‐'ヾ}}      r‐一' '⌒)
 ヽ二   二) .|  |^`'゙  ヽ一フ r' ̄  /=ヾ;::::;;=゙::..        `';::::;{ . ヽ :.   i :..  ,,,,,,__ ;' .::..゙ヾ、〉',ノ.        ヽ一フ r' ̄
  (二> '´ノ__|  |      / ノ.   .|-ヨ〉::r':: ::..    :...   ..   .:〉ミ'  .〉;;;,,,,,、_l ‐t=='''`__;゙ソ ::.  ト‐'          / ノ
  ヽ_,-‐'´``ーi__ノ     _〈/ ,--、 .〉ヾ/'゙ :. .:;-ー=、 ': ..   . .::;リ'   ゞ、___,ソー'ヾ`ー一'´、 .;::'  .〉  ノヽ (^`ヽ  _〈/ ,--、
        ,、. __..  〈   ̄,  〉 . ゙t〈::..   .:!、,_,, ゙>、_, .  _,,.ゾ     ゙(´"`;'l :.. 、i``、 ‐ ';;::.. ,'.|゙.〈,ィ〈ノ^)、ノ 〈   ̄,  〉
 〈ヽl`v'´ソヽ ヽヽ〉_ヽ. ..ゝー</ /   . !::ヾ:.. ´.`゙´,;ノ:.r'、_''""Y゙       .ヾ.: :. 〉 :;r'ヾ、 :: :: ノ;;;::' /  .ノ <_   .ゝー</ /
 ._ゝlゝ'´ <´ | [,、_´.   ヽ.  く     | : :: :`、 .._,;r'"' .;、 `゙"゙r'′         `ーイ、__,-;ノ ヽ /;;;::'´ / <,-'´ゞ、 _フ   ヽ.  く
  | ri '=' t‐'  r-、〉  .,-、ヽ__ノ    i: ..   ; '..:;;`"ー';'゙!:、;ノ           ヾ、ハヾ、:._ッ r;;'ノ   ゝ - l .r ノ   .,-、ヽ__ノ
  ゝ.'=' ゙三゙ノ`l  ヽ.    ヽ `ヽ. ,‐、 . ゙ヾ. .;:;;:-=≡=、_`、/゙ ./ ̄l . /`゙ナ──┐〉ー'一'´レ、 ,'/.   .| ニ | ト,ヽ.   ヽ `ヽ. ,‐、
. ヽテ=、 ,=.ソ ∧ ヽ.   ヽ-'/ /   .゙ヾ:;;.. !/`゚`ii´゚`ヾ) . |  .レ'" .,r'l´ .'ニ二"../`゚`ii´゚`、-'´    r'^ , | ト' |    ヽ-'/ /
  〈 _,-ッ _Y / ヽ. ヽ.  r一'′./     `ー-.( _⊂⊃, )'゙ |   .,rナ゙‐ニ=、  ,/ ( _⊂⊃, ).     ヽイ | |ヽノ  .r一'′./
.  ヽ `'´ 'r'_,ノ  ヽ ,!. ヽ、__,/         .〉   〈  |_,/ ゙ヽ、___,/゙  .〉   〈.       `ー|ノ ゙   ヽ、__,/
   `´ ̄      `

                       ク   チ   マ   ン   バ   ト   ル

まどか「そ、そうなんですか?」

マミ「あっ、後で掃除しとくから……今は、とにかく我慢して?」

まどか「あ、じゃあ、その……」

マミ「……何?」

まどか「あの……銭湯に行くのは……」

マミ「………言ったでしょ? 外出は一番駄目よ」

マミ「外は危ないんだから」

まどか「はあ……」

マミ「ドタバタしてて、もう三日くらい入ってないものね……女の子だし、入りたい気持ちはわかるけど……ごめんなさいね」

まどか「こ、こっちこそワガママいってすみませんでした」

マミ「いいのよ……明日には入れるようにしておくわ」

まどか「……はい」

マミ「じゃあ、私は学校に行ってくるわ。 お留守番お願いね」ガチャッ

まどか「わかりました。 ……いってらっしゃい」

マミ「はい、行ってきます」キィー……

まどか「…………」


バタン カチャカチャ ガチッ


まどか「はぁ……」

まどか「今日も一人か……気が滅入るなあ・・・・・・」

…………………

カチカチ カチカチ

まどか「………そこだっ………てやっ………」

ホアチャー イケソウカナー

まどか「……おっ、弱ってきた」

クーラーエ ヒッサツケン

まどか「あっ」

キャー コレジャワラエナイヨ

まどか「ああっ、もう……パフェ失敗とか……」ポイスッ

まどか「あーあ、サソリとか絶滅すればいいのに……」ボフッ


まどか「…………つまんないなー」


まどか(もう三日……でいいのかな? その前のことも考えるとどれくらいになるんだろ……)

まどか(というか何してたんだろ私……)

まどか(パジャマで公園に倒れてたってことしか、マミさんは教えてくれないし)

まどか(住ませてくれるのは嬉しいんだけど、ちょっと過保護っていうかなんていうか)

まどか「外は危ない、テレビは刺激が強い、直射日光が危険だからカーテン閉めっぱなし……」

まどか「赤ちゃんじゃないんだからもー……」

まどか「………………」

まどか「お母さん、お父さん、たっくん……さやかちゃん、ひとみちゃん……」



まどか「ほむらちゃん…………今頃どうしてるのかな」


………………………………

ガチャガチャ

マミ「ただいまー」

まどか「あ、おかえりなさい」

マミ「宅配便とか来た? 電話は?」

まどか「いえ、来ませんでしたけど」

マミ「そう? おかしいわね……発送メールは来たんだけどなあ……」

まどか「え? 何か頼んでたんですか?」

マミ「まあね……この様、とはよく言ったものだわ」

まどか「あ、いやそういうことじゃなくて……この部屋ってパソコン有るんですか?」


マミ「え? そりゃあ有るけど……あっ」

まどか「! あの、使わせt」

マミ「駄目よ! ネットなんて見たら悪影響が出るもの」

まどか「……………はい」

マミ「……昼間一人じゃ寂しいかもしれないけど、アドパで我慢してくれるかしら……」

まどか「で、でもGEBはあんまり部屋が……」

マミ「…………わかったわよ、今度モンハン買ってくるわ」

まどか「す、すみません」


マミ「言ってくれれば何でも買ってくるわよ……そのかわり、外に出ちゃ駄目。 わかった?」

まどか「はい…………あの」

マミ「何? 別にLoAでも構わないわよ?」

まどか「そうじゃなくて……みんな、どうしてるのかな、って……」

マミ「あ……そう、ね……美樹さんは、元気だったわよ?」

まどか「ほ、ほむらちゃんは!? ほむらちゃんは……元気ですか?」

マミ「うっ……まあ、多分、元気じゃないかしら?」

まどか「……何かあったんですか?」


マミ「いやその、彼女とはあんまり接点が無いというか……」

まどか「そ、そうですよね……すみません」

まどか「……あ、家族は……私の家の方は、どうなってるんでしょうか?」


マミ「…………言いにくいんだけど、今病院にいらっしゃるみたいなの」


まどか「………えっ?」

マミ「一家で事故にあったみたいで……今まで隠しててごめんなさい」

まどか「そっ………そんな! ど、どれくらいの怪我なんですか!? たたたたたっくんは!? まだ、小さいのに!」

マミ「お、落ちついて! ……みんな命に別状は無いそうよ」

まどか「……そうなんですか? でも、お見舞いに行った方が……」

マミ「駄目よ! ……まだ色々大変だろうし、私たちが行っても邪魔になるだけだから」

マミ「それに……まだあなたは外に出ない方が良いわ」

まどか「私は!……私はなんともありません」

マミ「それでも良くないの……今のあなたには……色々と、ショックが大きいのよ」

まどか「………何かあるんですか?」

マミ「まだ教えられないわ……でも、いつかは教える。 だから、今は言うことを聞いて」


まどか「……はい」

マミ「よし! じゃあ、お風呂の掃除してくるわね!」トテテテテ…

まどか「……ありがとうございます」


まどか(お母さん、お父さん、たっくん…………大丈夫かな)

まどか(それに、ほむらちゃん………)


まどか(何だろう、何か、嫌な予感がする……)



……………………


マミ「それじゃあ行ってくるわね」ガチャ

まどか「はい、いってらっしゃい」

キィー…

マミ「あっ、そうそう、昨日掃除を終わらせといたから、お風呂入っていいわよ」

まどか「本当ですか!? ありがとうございます!」

マミ「入浴剤も入れといたからね! ゆっくり使ってちょうだい」

まどか「え?……あ、はい……ありがとうございます」

マミ「じゃあ改めて、いってきます」

まどか「いってらっしゃい……」

バタン カチャカチャ ガチン

まどか「…………お風呂、入ろうか」


………………

カポーン

まどか「ふう…… 久しぶりに入ると気持ちいいなあ……」

まどか「でもマミさんったら……自分で入れない入浴剤に何の意味があるんだろう?」チャプン

まどか「もう…………」

まどか「…………」ジー…


まどか「小さい……」


まどか「こんなに小さかったっけかな……」サワサワ

まどか「……いや! 客観的に見れば、まだ……!」ザプン

まどか「…………って、あれ?」キョロキョロ

まどか「そういえば、鏡は?」

まどか「………あっ、破片」

まどか「そっか、割っちゃったんだ……」

まどか「なんで割っちゃったんだろ? ………酔っぱらってたとか? それとも、転んじゃったとか?」

まどか「…………ぷっ」

まどか「ぷふっ、あははははっ!」

まどか「あんなに必死になって隠さなくたっていいのに……」


まどか「意外とおっちょこちょいなんだなー……」ザプン

まどか「はあー……午後からはまたパフェ埋めでもするかなー」

ブクブクブクブクブク……

………………………



………………………


マミ「………はあっ! ていっ!」チャキッ バン! バン!

オオオオオオオオオ………

マミ「これでとどめよ……ティロ・フィナーレ!」シュルルルルル……ジャキンッ!

ズガァァァァン!!

オオオオオオ… ポトッ

マミ「はあっ、はあっ……これで、二つ目」

マミ「はあっ……結構、きついわね……」


杏子「………マミ? マミじゃねえか」


マミ「あ……佐倉、さん?」


マミ「ご、ごめんなさい……あなたのテリトリーだったかしら?」

杏子「あ、いや……そうじゃなくて」

杏子「その、二体同時に出たみたいだから……お前は近い方にかかりっきりになってるかと思ってな」

マミ「悪いけどそっちも……はあっ……私が、倒したわ」

杏子「お前……大丈夫かよ?」

マミ「心配してくれるの?……でも大丈夫、これくらい、何ともないわ」

杏子「そんなんじゃねえよ…………で? あいつはどうしてんだ?」

マミ「ああ……鹿目さんのこと?」

杏子「鹿目?……ああ、そうだったな。 そう、まどかはどうしてる?」

マミ「まだ、今のところは平気ね……外に出るな、っていいつけも守ってる。……ちょっと不満そうだけど」

マミ「家族のことも、気にしてた……事故に会った、って嘘ついてごまかしたけど……いつまで持つかしら」

杏子「いい気なもんだな……」


マミ「仕方ないわ……何があったのか、本人は覚えて無いんだもの」

杏子「まあそうかもしれないけど、自業自得さ……お前も変わってんな、あんなのの世話するなんて」

マミ「だって……ほっとけないもの」


杏子「……………」

マミ「あなたは、そういうの嫌いでしょうけど……でも、確かにそう思ったんだもの……自分に嘘はつけないわ」

マミ「自分を騙して生き延びても……後で後悔するだけよ。 それは多分、死ぬより辛い」

マミ「だから……今は辛くても、正義の味方でいたいの」

杏子「……そうかい」

杏子「………あー、一応言っとく。………さやかには気をつけろよ」

マミ「!………ありがとう!」


杏子「……………」

マミ「それじゃ、私はもう行くわね……あ、家にはいつでも来て良いのよ? 事情を知ってるのはあなたくらいだし」

杏子「………さっさと行け」

マミ「うふふ………またね」ヨタヨタ…

杏子「……………」



杏子「……言ってくれるじゃねえか……ったく」



……………………………


……………………………



カチカチ カチカチ

まどか「いけっ……あ、まずいかもっ……」

アットウテキナー キャー ノリワルイヨォ…

まどか「……なぜ見てるんです!」

リロードヨ!!

まどか「あー、もう……」ポイスッ

まどか「アドパアドパっと……」


ピーンポーン


まどか「へっ? お客さん?……あっ、荷物か」


ピーンポーン


まどか「はーい」トテテテテテ

ガチン ガチャッ キィ…

まどか「ちょっと待ってください、今ハンコを……って、あれ?」

???「あれ? あなたは……?」

まどか(うちの中学の制服だ……)

まどか「え、ええっと……私は、マミさんの後輩で、今ちょっと訳があって家で休ませてもらってたんです」

???「あ、そうなの? 私は巴さんのクラスメイトなんだけど……」


三年生「最近、巴さん休みだったから、溜まったプリントを届けに来たの」スッ

まどか「ありがとうございます……って、え? ……最近?」


三年生「ええ………三日か四日くらい出て無いじゃない? だから、様子見もかねて来たのよ。 今日は結構早く終わったし」


まどか「…………え? 四日……?」

三年生「元気なら良いんだけど…………どうかした?」

まどか「えっ? あ……いえ、なんでも、ありません」

三年生「そう?……じゃあ、私はこれで」

キィー… バタン


まどか「………………」

まどか(…………マミさんが、学校に行ってない?)

まどか(どうして……? じゃあ、何してるの?)

まどか(………なんで、私は外出禁止なの?)


まどか「…………!!」ダッ


ガチャッ キィー… バタン カチャカチャ ガチン


タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ

まどか「はあっ、はあっ……」

タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ

まどか(どこへ行こう…… と、とりあえず、家に行ってみよう!)

まどか(なんか、やな感じがする……)

タッ タッ タッ

ガシッ

まどか「へっ?」

マミ「あ………鹿目、さん…………!!」

まどか「あっ……あの、その、これは」

パシンッ

マミ「外に出ちゃ駄目だって言ったでしょう!!」

まどか「あ、ご、ごめん、なさい」

マミ「ほら、早く帰るわよ」

まどか「かえ、る?……どこへ?」

マミ「私の家に決まってるでしょう!」

まどか「で、でも! 私の家は……!」

マミ「今はあそこがあなたの家よ! だってあなたの……っ!」


まどか「私の、なんですか? 何があったんですか?」

マミ「……だから今は言えないって」

まどか「じゃあいつ教えてくれるんですか!」

マミ「………いいから帰るの!!」

まどか「いやっ! 放して下さい!」バシッ

マミ「あっ、駄目! それ以上――――」

――――ガッ、――――

     え?

――か―――だ――――っ?

―あ――み―――――――め―――――

――――――――――――――――――――――――…………………


……………………………


まどか「……………あれ?」

マミ「! ……目が覚めた?」

まどか「え?…………私、何があったんですか?」

マミ「……転んで、頭を打ったのよ……まだ足元がふらついてたのね」

まどか「…………すみません」

マミ「もう良いわ……学校に行ってないこと、話さなかった私にも非は有るもの」

まどか「…………」

マミ「プリント、受けとっておいてくれてありがとう。 ………でも、二度とこんなことが無いように、ね」

まどか「…………はい」


まどか「もう………外には出ないように、します」


…………………………



まどか「って言ってもなあ……」


まどか「やっぱり、余計気になっちゃうよ……」ピタッ

コッ コッ コッ  コッ   コッ  ………

まどか「よし……行った、よね」

まどか「さてと……まずはカーテン、かな」


…………………………


まどか「………………」

まどか「…………なに、これ」

まどか「窓が全部黒スプレーで塗りつぶしてある………」ガッ ガッ

まどか「しかも開かない……」

まどか「テ、テレビは!?」

ゴソゴソ…… プラン

まどか「は、配線が切られてる……PS3専用テレビって……」

まどか「……電話線も同じ……まあ携帯があればなんとかなるもんね……」

まどか「パソコン………は探すだけ無駄かなあ?」


まどか「グッバイレーニン…………こんなの絶対おかしいよ」



まどか(それにあの時……確かに私は転んだし、傷もあったけど、絶対あれはおかしいよ)

まどか(だって、気を失ったから転んだんだもん)

まどか(……じゃあなんで気を失ったの?)


まどか(それは多分………マミさんの、魔法)


まどか(私の目が覚めた時もやけに冷静だったし……意識が遠くなるのも、なんかおかしな感覚だった)

まどか(それに何より、怪しすぎるよ……こんな風に軟禁して)

まどか(何かおかしい……何かがあるんだ。 この部屋と、私に)

まどか「………パソコン、探してみよう……」


……………………………………………

バキッ ドカッ

???「くそっ、くそっ……!!」

ガシッ バシッ バキッ

???「どこに……どこに居るんだぁっ!!」


マミ「……何、してるの? 美樹さん」

さやか「はあっ……はあっ……ああ?……ああ、マミさんか」

マミ「何?それ……足元の……」


さやか「ああ、これに用があって来たの?……ほらっ」ゲシッ

テン テン テン ガッ ゴロゴロゴロゴロゴロ ピタッ

QB「う、うう……」

マミ「きゅ、キュウべえ!?」

マミ「だ、大丈夫!?」

QB「うあ……マ……ミ?」

マミ「……随分と荒れてるみたいね、美樹さん」

さやか「はんっ! ……何か悪い? 腹が立ってるのよ今!」


マミ「あなた……ソウルジェムの浄化、してる?」

さやか「してる、してるわよ……でもぜんっぜん足りないっ!」

さやか「あいつを……あいつを殺さなきゃどうにもなんないのよ」

マミ「……あいつって暁美さんのこと?」

さやか「……わかってるんだったら名前を出さないでっ!!」ブンッ!

ガシャーン!

マミ「……ごめんなさい」

さやか「謝んなくっていいからさぁ、あいつの居場所を教えてくれない?」

マミ「さすがに知らないわ……彼女とは、そんなに仲良くないから」


さやか「………本当に? かくまったりしてないでしょうね?」

マミ「するわけが無いでしょう……私の、魔法少女の友人は……鹿目さんとあなただけよ」

さやか「あっそ……ならいいわ、他当たるから」フラッ

マミ「……………」

QB「彼女が、荒れるのも……仕方ないさ」

マミ「キュウべえ! 大丈夫なの?」

QB「うん……いや、大丈夫、とは、さすがに言えないなあ……」

マミ「待ってて、今回復魔法を……」

QB「良いんだ、やめてよ……これは、ぼくの責任なんだ」


マミ「キュウべえ……」

QB「ははっ……処分なら想定していたけど、処罰が下るとは思ってなかったよ……」

マミ「……処罰?」

QB「ああ……『感情』さ。 疑似、だけどね………今ならわかるよ、これは無かったんじゃない、捨てたんだ」

QB「進化の途中で、どうしても邪魔になったから自ら捨てた……そして、それは正解だったと思う」

QB「地獄の苦しみ、という奴だね……胸が痛くて、頭がガンガンする」

マミ「あなた……どうしてこんなことに」


QB「当然さ……失敗したからだよ、任務に……だから最後の一匹まで減らされた後、処罰が下されたんだ」

マミ「失敗って……まさか、あの時のこと?」

QB「そうさ……ぼくは、知らなかったが……初めから、希望は一つしか無かったのかもしれないね」

QB「パンドラの箱、って言うのかな? ……自らが閉じ込めたものを、怖がって他人任せにしたから希望を取り逃がした……」

QB「そこから他に出てきたもの、それを背負う役がぼくってわけだ」

マミ「……随分詩的になったじゃないの? 感情があるっていうのも、悪いことばかりじゃないでしょう?」

QB「そう、かな……」

マミ「そうよ、まだ……あなたはやり直せる」

QB「……すまない、マミ……その提案には乗れない。 ……悪いことばかりじゃないから、なおさら」


マミ「…………そう、残念ね」

QB「……ありがとう、すこしは休まったよ。 もう、行かなくちゃ」

マミ「大丈夫? ……じゃないんだったわね」

QB「ふふっ、自分の足で歩けるくらいには大丈夫さ……じゃあね」ヨロヨロ

マミ「……………」


QB「ふぅ……ふぅ………うあっ」ドテッ

QB「くっ……まだ、死ぬわけにはいかない」



QB「ぼくは………暁美、ほむらの手で……殺される、べきだ」




……………………………………………


……………………………………………



まどか「うーん……」

まどか(なんだろう、この引き出し)

まどか(部屋中探して、もうここしか探す場所が無くなっちゃった)

まどか(多分、この中にパソコンがあるんだろうけど……)

まどか(なんか、変な感じがするなあ…… パソコンだけじゃない、気がする)

まどか(……なんとかしてあけられないかな)

まどか「…………えいっ!」ググッ

バキッ


まどか「えっ」

カラカラ……

まどか「うわあ……まさか本当に開くなんて……」

まどか(見た目重視で鍵選んだのかなあ……なんかマミさんの将来が心配になってくるよ……)

まどか「でもまあ、結果オーライかな」


まどか「じゃあ、見て、みよう」

…………ゴクリ


カラ………

カラカラカラカラカラカラカラッ



まどか「こ、これって……」


まどか「ほ、ほむらちゃんのソウルジェム!? な、なんでこんな所に……」



マミ「ただいまー……って、鹿目さん!?」

まどか「うわっ! あ、こ、これは……その」

マミ「人の引き出しを勝手に開けるなんて……!!」


まどか「で、でも! これはなんなんですか!? これ、ほむらちゃんのソウルジェムですよね!?」

マミ「あっ、そ、それは…………!!」

まどか「何だっていうんですか? おかしいですよこん……なの」



まどか「さ、さやか、ちゃん?」

マミ「!?」クルッ



さやか「やーっぱり嘘ついてたんだぁ……………マミさん?」チャキッ




マミ「くっ……! しっかりつかまっててっ!」ヒョイッ

まどか「へっ? きゃあっ!?」


さやか「やだなあ……逃げるつもり!?」ブンッ!

マミ「……!!」バン!

さやか「っ……!!」キンッ

マミ「はっ!」

まどか「きゃあああ!!」

パリーン

さやか「!?……窓から外に逃げたか……チッ」


さやか「…………絶対殺してやる!」


……………………


マミ「はあっ、はあっ……まけた、かしら?」

まどか「マ、マミさん……そろそろ下ろしてもらっていいですか……」

マミ「え? ああ……ごめんなさい、いきなり抱えたりして」

まどか「よいしょっと……さやかちゃん、どうしちゃったんですか……?」

マミ「……色々あったのよ」

まどか「……マミさん! いい加減教えてください!」

まどか「私と……ほむらちゃんに、何があったんですか!?」

マミ「……駄目よ、まだあなたに教えることは出来ない」

まどか「そんな……さっきのさやかちゃん、明らかに私を狙ってました。……ここまで来て、まだ駄目なんですか?」


マミ「……耐えられないと思うわ」

マミ「あれはあなたにとって……死ぬより辛いことだった」

まどか「そんなこと! ……わからないじゃないですか」

マミ「……あなたは……精神病院に入院してたのよ? あまりのショックで、まともに会話もできなくなって」

まどか「……!!」

マミ「病院から脱走して、倒れてた所を私が引き取ったの……記憶が無いでしょう? それが証拠よ」

マミ「あなたは絶対に、耐えられない」

まどか「そんな……」


マミ「……わかったら、早く逃げなさい。 そのソウルジェムを持って」

マミ「もうすぐ美樹さんが追い付いてくる……私が足止めするから、できるだけ遠くに逃げるの」

まどか「だ、大丈夫なんですか?」

マミ「ふふっ、平気よ……後輩に負けるつもりは無いわ」

マミ「……でも、もしものことがあったら……佐倉さんと、キュウべえを探して。……力になってくれるはずだから」


マミ「それに、今のあなたと彼なら……もしかしたら、全部良い方向に進むかもしれない」



まどか「?……どういうことですか?」

マミ「……そんな気がするだけよ。 さあ、行って!」

まどか「は、はい!」ダッ

マミ「…………これで、みんな」ザクッ




さやか「上手くいくと思った?」






マミ「っ………!!」ドパッ

まどか「さ、さやかちゃ……」

マミ「!? 駄目っ! 立ち止まらないで!!」

さやか「………死ね」ヒュッ

まどか「きゃあっ!!」


カッ!



まどか「…………………」

まどか「…………あれ?」

まどか「は、外れた……?」

まどか「……………って、あれ? 服、が」


まどか「なんで……私が、変身してるの?」


マミ「……っ!!」

さやか「チッ! いまいましい……時間を止めたってわけ?」

まどか「……どういう、こと?」

マミ「やめて美樹さんっ!!」

さやか「はぁー……ほんっとうに気持ち悪い」

さやか「あんたさー、いつまでそれやってるつもり?」

まどか「? それって……何のこと?」

マミ「やめてっ! 早く逃げて!!」



さやか「だから……いつまでまどかの振りしてるつもりなのよ、転校生!!」



まどほむ「…………………え?」



さやか「何しらばっくれてるの? 鏡で見てみなさいよ、自分の顔」

まどほむ「か、がみ……? 自分の、顔?」


―――そういえば、鏡は? ……割っちゃったのか


さやか「……声とか髪はなんとかごまかせても、顔を見たらさすがに気付いちゃうもんね? ……鏡、見てなかったんだ?」

まどほむ「……………………」


―――窓が全部黒スプレーで塗りつぶしてある………



さやか「……あんたって本当に最低よね。 自分がまどかの振りをすることで埋め合わせしてたってこと?」

まどほむ「……………いや」


―――あれはあなたにとって……死ぬより辛いことだった


さやか「………でもそんなこと許さない」

まどほむ「いや………いやぁ!」

さやか「あんたはっ………」チャキッ

マミ「くっ……もうやめて美樹さんっ!!」ダッ

まどほむ「いやああああっ!!!」



さやか「あんたはまどかを、私の友達を殺したんだからっ!!」ブンッ!

―――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――


ほむら「……どいて、まどか」チャキッ

まどか「や、やだよ……どうしてこんなことするの?」

QB「…………」

ほむら「……そいつは敵なのよ」

ほむら「美樹さやかの体を見たでしょう?……そいつは私たちを騙していただけよ」

まどか「でっ、でも……!」

まどか「もしかしたら、わかりあえるかもしれないし……」


ほむら「……その必要は無いわ」ギリッ……

まどか「待って! まだ……っ!!」

バン! キイン!

まどか「……へ? あ……」ダラダラ

QB「!? ……跳弾したのか」

QB「……なんてことだ」

まどか「ほ……むらちゃ……」ドサッ


ほむら「……まどか?」

ほむら「まどか、まど……」ユサユサ



ほむら「………………え?」

――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――


ガキィン!


マミ「くっ……」ギリッ

マミ「暁美さん……逃げてっ……今のうちに……」


まどほむ「いやっ……私が……殺し……まどかを」


さやか「………どうして邪魔するのかな………」

マミ「仕方ないでしょっ……正義の、味方なんだからっ!」ググッ…!

さやか「……くっだらないっ!」グググッ!


まどほむ「ちがう……私は、き、キュウべえを、撃とう、と……それで……それでっ……!」


マミ「うっ、ああっ……! 良いから早く逃げて! 暁美さん!」


まどほむ「それで?……死んだ?……誰が? ほむらちゃん? わたし?……まどか?」


マミ「………暁美さんっ!!」


ほむら「いやああああっ!! こないでえええっ!!」チャキッ



バンッ! バンッ! バンッ!


ピシッ…



マミ「………え?」

マミ「う……そ」フラッ

ドサッ

さやか「………ま、マミさん?」

さやか「え?……ちょっと」ユサユサ

ほむら「はあっ…………はあっ………」シュンッ

さやか「マミさん……マミさん!! マミさ………」

さやか「……………」

さやか「ど、こへ行った……」ズオオ…

さやか「暁美、ほむらああああっ!!!」ビシビシビシッ!!


……………………



杏子「おい……しっかりしろよ」

QB「………ん? ああ……」

QB「すこし、意識が飛んでたかな……」

杏子「お前、本当に大丈夫なのか? ……もうストックは無いんだろ?」

QB「大丈夫さ、一体でも残っていれば平気だ……と言いたいところだが、この体も……もう危ないみたいだ」

杏子「そんなんであいつに会うつもりかよ……休んでた方が良いんじゃないか?」

QB「……いや、彼女に、僕が一番苦しめた彼女に……謝らずに死ぬことは出来ない」

QB「もう長くないかもしれないなら……なおさら会いにいかないと」

杏子「そうかい……まあ、今のあいつは自分をまどかだと思い込んでるらしいからな……そんなに険悪にはならないかもな」

QB「やっぱり、自分で殺したという事実には、さすがに耐えられなかったのかな……僕を狙っていたとはいえ」

杏子「まあ壊れちまうのも無理は無いか……っと」

杏子「……魔女だ! かなり近い……」


QB「じゃあ、僕はもう下ろしてもらっていいよ……ありがとう、運んでくれて」

杏子「悪いな……行ってくる!」ダッ

タッ タッ タッ タッ…


QB「…………」

QB「ここからマミのマンションまで……持つかな」

………………………


………………………


杏子「はあっ、はあっ……ここか」

杏子「ん……? 人が倒れて、ってマミじゃねえか!」

杏子「! これは………おい、しっかりしろ! マミ! おい!」

マミ「………う、あ」

杏子「おい……大丈夫か!?」

マミ「さ、くらさん……暁美さんは……?」

杏子「ほむら? ……いねえぞ? なんか有ったのか?」

マミ「………死体が無いなら、生きてる、のかな……」


杏子「………それよりお前のことだ! ……ソウルジェムにヒビが入ってるぞ」

マミ「ああ………さっきの銃弾で………私、死ぬのね……」

杏子「馬鹿言うな! まだ死ぬって決まったわけじゃ……!」

マミ「ふふっ……いいのよ……やっぱり、これでよかった」

マミ「後悔なんて、ない……暁美さんを、守れたんだもの」

マミ「………全部、上手くいったわけじゃないかもしれないけど……それでも、彼女が生きていれば、必ずどこかに繋がっていく」

マミ「そんな、気がする………」


杏子「マミ……」

マミ「…………美樹さんの、こと……あなたに、任せ、たわ………」

杏子「さやか?……もしかして、あの魔女は……」

マミ「私の………可愛い、後輩を………たす、け…て…………」

パリンッ

杏子「……マミ? マミ!?……」

杏子「…………」スッ

杏子「…………さやか」



杏子「今、助けてやるからな」


………………………………………………



ほむら「はあ………はあ………」フラフラ

ほむら「まどかぁ………」フラフラ ドテッ

ほむら「ごめん……ごめんね………」


QB「………暁美、ほむら……どうして、ここに」


ほむら「!?……キュウべえ!」

QB「ほむら……聞いてくれ、その……」


ほむら「……寄るなあっ!!」ジャキッ


バン! バン!


QB「うあっ……」


バン! バン! バン! カチッカチッカチッ


ほむら「はあっ、はあっ……」

ほむら「………そう、だ」



ほむら「こいつが、悪いのよ……全部」

ほむら「逃げる必要なんて、なかったんだ」


ほむら「………もう、いい……時間を巻き戻そう、もう一度……いえ、何度でも」


ほむら「ごめんねまどか………もう迷わない………もう逃げたりしない」


ほむら「…………私が、絶対に助けるから」


ほむら「だから……帰ろう……あの時まで」


―――――――――――

……………



終わり

なんか色々すまんかった……これが深夜のテンションなのか

投げて無い……書きためだからな 駄目な俺を許してくれ

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