ユミル「ベルトルさんに『一生のお願い』の権利をやる」(988)

ユミルとベルトルトのお話。
訓練兵になって2年目のゆるい日常。
終盤47話と合流します。
47話までのネタバレあり。



ユミル「ベルトルさんはかわいいなぁ…」ジッー

ベルトルト「・・・・は?」


ユミル「ん?…あぁ思わず声に出しちまってた」

ユミル「別に深い意味はないんだが。ま、ちょっとこっち来て座りな」

ベルトルト「う…うん」

ユミル「同期の奴らがさ、最近みんな可愛くて仕方ない。なんでだろうな」

ベルトルト「さぁ…?どっか頭でも打ったんじゃないの?」

ユミル「ダハハ!惜しいな、打ったのは頭じゃなくてあ…ベルトルト「ねぇユミル」

ユミル「ん…なんだ?」

ベルトルト「今、僕のこと『かわいい』って言ったよね」

ユミル「あぁ…ベルトルさんは、かわいいよ」ニコッ

ベルトルト「具体的にどこら辺が?今までそんな事、誰にも言われたことないんだけど…」


ユミル「知りたいか?」

ベルトルト「うん」

ユミル「…じゃあ教えない。」

ベルトルト「…」

ユミル「って、なんて顔してんだよ。冗談だよ」

ユミル「気が向いたら教えてやる。だって、本人目の前にして説明するだなんて恥ずかしいだろ」

ベルトルト(自分から言い出したくせに…)






ユミル「なぁ、クリスタのかわいさなら今すぐ教えてやってもいいぞ。」

ベルトルト「それは別にいいよ。言わなくても」

ベルトルト(ライナーから毎日のように聞いてるし)

ユミル「…そっか、いちいち言わなくてもわかってるよな」

ベルトルト「まぁ…同期のアイドルだからね…」

ベルトルト(みんな彼女に興味を持ってるみたいだけど、僕にはさっぱりだ。毎日つむじしか見てない気がする。)

ベルトルト(これはユミルには言わない方がいいかな…怒られそう)


ユミル「ん~~~…あと同期でかわいい奴と言えば…」

ユミル「あぁ!サシャもかわいいな」

ユミル「まぁ、単純に顔だけならクリスタの方が100倍可愛いが…なんていうか、サシャは愛嬌がある。」

ベルトルト「へぇ」

ユミル「男子どもに陰で芋女なんて呼ばれちゃいるが、別に奴らが思ってるほど、あいつはがさつじゃねぇよ」

ユミル「ちっとばかし食い意地張ってるだけで存外臆病だし、バカだけどいい奴だよ。妙に勘が鋭いしな」

ベルトルト「なるほど…ていうか後半可愛いと関係ないよね?勘が鋭いとか」

ユミル「そうか?ま、それもひっくるめてサシャはかわいいってことで」



ベルトルト「ねぇ…」

ベルトルト「ユミルから見てライナーはどう見える?主に『かわいい』視点で」

ユミル「おい…なんでサシャからいきなりライナーなんだよ」

ベルトルト「さっきみんなかわいいって言ってたから…一応ライナーも含まれるのかなって」

ユミル「お前の振りには…いろいろ無茶があるな」


ユミル「ライナーな…」

ユミル「男子共には人望あるよな。何かと面倒事に首を突っ込んでは頼られてる感じだ」

ベルトルト(そこには僕らも困ってる)

ユミル「根は素直で純情じゃないか?浮いた話も聞かないし」

ベルトルト(純情は純情だけど男子寮では下ネタ多いよ…ライナー)

ユミル「食事の時なんかクリスタの向かい側に座りたそうにしてモジモジしてるな」

ベルトルト(えっ…そうだっけ?)

ユミル「そん時はちょっとかわいいなと思った」

ベルトルト「…」

ユミル「だが、もしクリスタに手を出そうとしやがったらただじゃおかねぇ」ギリッ

ベルトルト「いや、ライナーああみえて結構紳士だから大丈夫じゃない?(多分…)」



ベルトルト「あと、そうだなジャンとかはどう?」

ユミル「あ~…あいつなぁ」

ユミル「あいつさ、ミカサのこと好きだろ?」

ベルトルト「えっ?!あ、うん…そうみたい。いつも寮でミカサの話してるよ」(主にマルコ相手に)

ユミル「やっぱな。あれバレバレだもんな~」

ユミル「だけど、ミカサはまったく気付いてない…それどころか毎日、無自覚に幼馴染にべったりだ」

ユミル「ありゃどうみても悲恋だよなぁ…」

ベルトルト「うん…報われないね。ジャン…」

ユミル「でもそこがいい!ああみえて結構打たれ強いところとかギャップよくねぇ?」

ユミル「無駄に前向きっつーか。そういうとこかわいいよな」キラキラ

ベルトルト「」

ユミル「このまま地道に頑張ってきゃ、あいつにもいつか確変来るかも知れねぇし」

ベルトルト(絶対ないな…)

ベルトルト「ねぇそれ、本気で言ってる?」

ユミル「ははっ…ま、少年よ大志を抱けってやつだ。」




ベルトルト「はぁ…」

ベルトルト「ユミル、まるでおばあちゃんみたい」ボソッ

ユミル「あ?」

ベルトルト「僕も含めて回り全部を孫でも見てるみたいに…達観してるっていうか」

ユミル「おいおい、おばあちゃんって…ベルトルさんには私がそんなババアに見えんのか?」

ベルトルト「いや、普通に女の子に見えるけど」

ユミル「普通に返すなよ…。『女の子』に見えるならそんなしょーもないこと言い出すなって」


ベルトルト「そう言えば…ユミルっていくつだっけ?僕より年上だったよね」

ユミル「おい、女に歳を聞くのは失礼だぞ。ベルトルさんは15だったよな」

ベルトルト「うん」

ベルトルト(確か、ユミルはライナーと同い歳だったような)

ユミル「まだまだお互いこれからだなっ」

ベルトルト「何がっ?!」


ベルトルト「そう言えばユミルはコニーとよく口喧嘩してるけど、やっぱかわいいの?」

ユミル「あぁ、コニーもかわいいぞ。」

ユミル「あいつさ、詳しく聞いたことがないからよくわからないが、多分下に兄弟いるんじゃねぇか?弟か妹」

ベルトルト「あぁそういえば、前にそんな話を聞いた気がする。確か両方いたはずだけど…」

ユミル「ほぉ…私の勘もなかなかだな。あいつ面倒見がいいだろ。誰に対しても裏表ないし。バカだけどいい奴だよなぁ…バカだけど。」

ベルトルト(なんで2回も言ったんだ…)


ユミル「で、ああいう奴が早死にするんだよ。いざという時、多分仲間を見捨てられない」

ベルトルト「…」

ユミル「でもま、サシャ同様勘がいいから意外にしぶといかもな。今の成績維持できたら憲兵団への入団も夢じゃねえし」

ユミル「内地入っちまえばそうそう死なねえだろ。それこそ壁が破壊されない限り戦う機会もねぇんじゃねーの」ケラケラ

ベルトルト「…」

ユミル「どうした?ベルトルさん」

ユミル「急に静かになっちまったが、私の話は退屈か?」

ベルトルト「いや…そんなことないよ。続けて」


ユミル「そうか?…」

ユミル「えっと、コニーはまだこの世界で本当の絶望を知らない甘ちゃんだ。」

ユミル「正直、あいつは貴重な人材だと思う。見てて和む。存在がかわいいっていうかな」

ユミル「あ、本人にはいうなよ。内緒だからな」ニヤニヤ

ベルトルト(ユミルは内心、コニーの事悪くは思ってないんだな…喧嘩するほど仲がいいって奴か)

ベルトルト「絶望…か…」
ベルトルト(じゃぁユミルはどこまで本当の絶望を知ってるの?)

ユミル「おい。ベルトルさん、震えてるが…どっか具合でも悪いのか?」

ベルトルト「…大丈夫」

今日はここまで。

読んでくださってありがとう。
明日、夜にまた続きを投下します。

ここまでで1/3くらいです。スレタイはまだ先です。

これから投下します。

序盤は全キャラ「かわいい厨」のユミルを書いていたのですが、
今しがた、シガンシナ3人組だけ、辛辣に書き直しました。
ミカサもアルミン好きです。104期だと4番目ぐらいに。

コメ嬉しかったです。


ベルトルト「ユミルは、エレンやミカサ、アルミン達の事はどう思ってる?」

ベルトルト(彼らは絶望を知っている…)

ユミル「どう思うって、この流れから行くとかわいいところをあげなきゃなんねーんだよな」ウーン…

ユミル「エレンは真っ直ぐだな。なんか痛いくらいに。んで、駆逐バカだな」

ユミル「でも、そうなった理由はわからなくもない」

ベルトルト「4年前の…」


ユミル「ミカサは…あいつはなんか気持ち悪ぃな。完全無欠の超人類かよ…」

ベルトルト「…それは言い過ぎだよ」


ユミル「アルミンは頭良いのは認めるが、身体能力は並み以下のところが気に入らない」

ユミル「兵士はみんな、体力勝負だろ」

ベルトルト「でも、人には向き不向きがあるし…」


ユミル「不向きなら尚更、ここに居ちゃいけねぇのさ。誰かの足を引っ張る」

ベルトルト「ユミル…」

ユミル「いつか、ベルトルさんも足をすくわれるかも知れない」

ベルトルト「そんな事な…ユミル「現に、アルミンと同じ班になりたいと思ったか?」

ベルトルト「…」

ユミル「お荷物だと思ったんなら、あんたは正常だ」

ユミル「…いろいろ言ったが、3人揃って仲よくしてる姿を見るのは嫌いじゃないんだ。不思議と」

ベルトルト「ん…?あれ?」

ベルトルト「かわいいところ…あげてない…よね」

ユミル「はぁ…そうだな」

ユミル「あの3人は特殊ってか、ここでは異質だ。他の奴らと決定的に違う」

ユミル「『かわいい』もいいが、積極的に関わりたいとは思わないから雑になっちまった」

ベルトルト「彼らの事はかわいくない、と?」

ユミル「いや、そうは言ってない」

ベルトルト「?」

ユミル「三人で支え合っている姿は、かわいい…はずだ。三人でアニ1人分が今の私の限界」

ベルトルト「その表現の仕方だと、アニの評価って低めなのかな…」




ベルトルト(ユミルは彼らを異質として見てる)


ベルトルト(僕らだって、『異質』だけど…今のところは『兵士』をうまく演じられてるようだ)


ベルトルト(ユミルを騙せているうちは…大丈夫。誰にも、悟られない)


ベルトルト(しかし、アルミンにだけ何であんなに辛辣だったんだろう…怖い…)


ベルトルト「よく見てるんだね、ユミルは」

ユミル「…私にとっちゃ訓練兵なんて御身分も暇つぶしみたいなもんだ」

ユミル「暇でしょうがないから、クリスタの面倒見ながら、片手間で人間観察してる」

ユミル「そうだ、ベルトルさんも訓練生活に余裕ありそうだし、一緒に観察してみるか?面白いぞ」

ベルトルト「いや…僕はいいよ。ユミルが思ってるほど余裕ないし」

ベルトルト(それに…これ以上、彼らに深入りしたら決断する時に、迷う…)


ユミル「なぁ…ベルトルさんさ、突然だけど」





ユミル「アニの事、好きなのか?」

ベルトルト「えっ…」

ベルトルト「…!!!  は?…ちょっ…ユミル!!いや…あの…」


ユミル「ダハハハ!顔が赤くなってるぞ。図星だったか」ニヤニヤ

ベルトルト「」///

ユミル「やっぱそうだと思った。『よく見てる』もんな」

ベルトルト「?」

ベルトルト「…そんなに見てた?」

ユミル「自分で…気づいてなかったのか?」

ベルトルト「うん…」

ユミル「隠してるつもりならもっと上手くやらないとそのうちみんなにばれるぞ、あれは…」ハァ…


ベルトルト「そう…なんだ…気を付ける」

ユミル「なぁそう落ち込むなよ。別に誰が誰を好きになったっていいじゃないか」

ユミル「そりゃ私みたいなあんま親しくない奴に知られたのは恥ずかしかったかもしれ…ベルトルト「いつから?」

ユミル「は?」

ベルトルト「いつからそうだと思ってた?」

ユミル「…そう言われると、最近だな。ベルトルさん成績の割には目立たないからあんまり意識して見てなかったし」

ベルトルト(良かった…まだ、大丈夫。周りで一番先に気付くのはユミルしかいない)

ユミル「ま、気持ちはわかるな。アニはあぁみえて女の子らしいからな」

ユミル「どこがかわいいかなんて、私が言わなくてもベルトルさんが一番よく知ってるよな?」ニヤニヤ

ベルトルト(頬が熱い…)カァァァ




ユミル「おせっかいだけどさ、告白するなら早い方がいいぜ」

ベルトルト「えっ?」

ユミル「その…たまにアニの事も観察してるんだが、あいつは…その…なんだ」

ベルトルト「アニも誰かを見てる…とか?」

ユミル「あぁ…ま、そんなとこ」

ユミル「二人仲良く憲兵団に入れればチャンスはあるかも知れないが、早めに告って意識させといたほうがいい」

ユミル「多分アニの意中の奴は調…ベルトルト「ユミル!」

ユミル(ビクッ!)


ユミル「ばっ…バカ!急に大声出すなよ。みんなが見るだろ!」ヒソヒソ

ベルトルト「ごめん…。でもこれ以上はもう、聞きたくない…」

ベルトルト(わかってるよ…そんなこと。いちいち君に言われなくたって!)


ユミル「…悪かったよ。出過ぎた真似だったな」

ベルトルト「いや…僕も大声出してごめ…キース「そこで何をしている!」

ベルトルト(や…やばっ)

ベルトルト(すっかり忘れてたけど今は対人格闘訓練中だった…)

ベルトルト(どうしよう。僕が大声出したせいでサボってるのが教官にバレた!)

ユミル「キース教官申し訳ありません!」バッ!

ユミル「実は先ほどフーバー訓練兵との組手の最中に足を負傷して動けなくなってしまいました」

ユミル「只今、彼に医務室まで運んでもらうところであります!」

ベルトルト(ユミル…だめだよ。そんなウソ教官には通じない)


キース「ふむ、そうか…」

キース「どれ、その怪我とやら私に見せてみろ。もし嘘だったのなら、覚悟は出来ているのだろうな」

ベルトルト(ほら…やっぱり見抜かれてる!)ドキドキ

ベルトルト「教官!実は僕が…ユミル「ハッ!この通りです」ヨッ…ヌギヌギ

キース「こ・・・これは」

キース「馬鹿者!早く水で冷やせ。ひどい腫れだぞ」

キース「おい!フーバー訓練兵ぼさっとするな!こいつを担いで早く行けっ」

ベルトルト「ハッ!」

ベルトルト(…これって一体)

今日はここまで。

明日の夜、また続きを投下予定です。

ここまでちょうど1/2です。
スレタイは…明日か明後日です。

乙乙
気になるわー

おつー!!

うわー なんかドキドキするなー
なんでだろ?この二人普通に会話してるだけだよな??

>>33
>>34
なぜかコニーの声で再生してしまった…
普通に会話してるだけです

修正終わったので今から投下します。


タッタッタッ…

クリスタ「ユミル!!大丈夫なのっ?!」

クリスタ「その怪我ひょっとして、さっき…」

ユミル「おっとクリスタ、心配ないぞ。なーに大したことねぇよ。ベルトルさんが運んでくれるっていうしな」

クリスタ「ユミル…ごめん…」ジワワ…

ユミル「おい!泣くな!お前のせいじゃねぇって。なぁベルトルさん早く行こうぜ!」

ベルトルト「う…うん」ヨッコイショ…


ベルトルト「うわっ…ユミル重っ」

ユミル「うるせぇ!早く行け!どさくさに紛れて変なとこ触んじゃねーぞ」ゲシゲシ

ベルトルト「痛い!こら暴れるな!」






ユミル「ふぅ…なんとか切り抜けたな」

ベルトルト「どうなることかと思ったよ…」

ユミル「ははは…まったくだ、思ったより腫れちまってたから、なかなかブーツ脱げなくて、一瞬冷や汗かいちまった」

ベルトルト「そうじゃなくて!!」



ベルトルト「…ごめん」

ユミル「大声出したことか?」

ベルトルト「それもあるけど…」

ベルトルト「今日は、あんなにたくさんユミルと話してたのに」

ユミル「うん」

ベルトルト「僕はユミルの怪我の事、気付けなかった。本当にごめん…」

ユミル「いや、謝ることねぇよ。こっちだって言わなかったんだから」


ベルトルト「ねぇ…その足、どうしてそんな事に…」

ユミル「…クリスタと組手やってる時に派手にすっ転んで打っちまって」

ユミル「ほらすぐ医務室行くとあいつ心配するだろ?それに、一人じゃ動けねぇし…」

ユミル「そんな時、あんたの相棒が一人で退屈そうにしてたから、クリスタ預けてベルトルさん待ってた」

ベルトルト「そう…」

ユミル「ライナーにクリスタ預けるのはちょっと心配だったが、クリスタ狙ってる奴は大勢いるし」

ユミル「他の奴にまかすよりまだ安全そうだったからな」

ユミル「ま、運んでもらうには、ちっこいクリスタよりでっかい奴に頼んだ方がいいだろ」


ベルトルト「…」

ベルトルト「どおりで…」

ベルトルト「急いで戻ってきたらライナーがクリスタと組んでて…びっくりしたよ」

ベルトルト(ありえない光景に、こっちはまったく状況が呑み込めなかった)


ユミル「ははっ。どっから戻ってきたんだよ。便所でも行ってたか。ベルトルさん」

ベルトルト「トイレまで我慢できなくて、その辺の木陰でしたけどね…」

ユミル「」

ユミル「ちょっ…おま…ばっちぃ!」バシッ

ベルトルト「痛いっ!」

ユミル「絶対手洗ってねぇだろ!汚い!今すぐおろせ。私に触んな!」ジタバタジタバタ

ベルトルト「こらっ…暴れると本当に落ちるからやめ…

ベルトルト「確かに洗ってないけど…ちょっとつまんだだけだから大丈夫だって」ニコッ



ユミル「」


ユミル「今、突然…気が向いた」

ベルトルト「何が?」

ユミル「ベルトルさんのかわいいところ、教えてやる」

ベルトルト「…このタイミングで?」

ユミル「お前が小便から戻ってきた時、泣きそうな顔になりながらきょろきょろとライナーの姿を探してんの見てさ」

ユミル「まるで親の姿を探すひな鳥みたいだと思った」

ベルトルト「」

ユミル「んで、やっと親鳥を見つけたと思ったら何故かそいつはクリスタと組んでて、巨大ひな鳥は超焦ってた」

ユミル「近くには、一人ぽつんと座る私の姿」

ユミル「私を見つけた時のベルトルさんの顔と言ったら!いきなり駆け寄ってきた上に…」

ユミル「あぶれてないことにほっとしたのか嬉しそうに笑ったんだよ。私に向かって」

ユミル「ほっとんど喋ったことないのにさぁ」


ベルトルト「…」

ユミル「その顔が本当にかわいくて思わず声に出しちまった」

ベルトルト「!?」

ユミル「『ベルトルさんはかわいいなぁ』…って」

ベルトルト「」/// カァァ


ベルトルト「ユミルだって…ユミルだってその時、僕の顔を見て笑ったじゃないか」

ユミル「…そうだったかな。私も、ほっとしたのかもな。ベルトルさん見て」

ベルトルト「医務室まで運んでくれる相手が来たから?」

ユミル「う~ん…どうかな?そんな理由じゃなかった気もするが」

ベルトルト「…そっか」






~水汲み場~


ジャバババ ジャブジャバ…

ユミル「もういいよ、ベルトルさん」

ユミル「わりぃな。井戸の水汲みまでやらせちまって。おかげで腫れもだいぶ引いてきた」

ユミル「この忘れ物の洗濯桶、大活躍だな」ハハハ


ベルトルト「よかった。汲みたての水は冷たいからね」

ベルトルト「よく患部を冷やしたら、あとは医務室までユミルを運んで、手当てすれば僕の任務は完了だ」

ユミル「あぁ、ほんと助かった」

ユミル「他の奴なら肩は貸してくれても、こんな風におぶってもらえなかったからな。楽させてもらった」


ユミル「…あ!」

ユミル「よく手ぇ洗っとけよ!間違ってもその手で私とクリスタに触るな」

ベルトルト「」

ベルトルト「…ユミルひどい」





ユミル「もうすぐ医務室だな」

ベルトルト「そうだね」

ユミル「ベルトルさん知ってるか?私は借りは作らない主義なんだ」

ベルトルト「へぇ」

ユミル「弱みを握るのは楽しいが、握られるのはどうもな…」

ベルトルト「別に気にしないでいいよ。医務室まで運ぶことくらい、どうってことない」

ベルトルト「あ、でももし本当に僕に借りを作りたくないなら、…そうだな」

ベルトルト「サシャを水汲み係から解放してあげてほしいな…前に噂になってたから」


ユミル「あ~…あれは最初だけな。今はちゃんと自分で水汲みやってるぞ」

ベルトルト「そうなの?」

ユミル「あぁ。意地悪してるつもりはなかったんだが、何故か私がサシャを虐めてるって噂になっちまって」

ユミル「あいつ色んな奴から同情されてな」

ユミル「結果、サシャに話しかけてくる女子が増えて『ユミルのおかげで友達が出来ました!ありがとうございます』」

ユミル「…って嬉しそうに報告されたりなんかしたぞ」

ベルトルト「えぇぇ~…」

ユミル「逆に私はだいぶ女子から嫌われたが。…別に気にしちゃいないがな」

ベルトルト「そうだったんだ…」

ベルトルト「それは、意外だった」

ユミル「なにがだ?」


ベルトルト「ユミルも本当はかわいい人なのかもしれない」



ユミル「はぁぁぁ?」

今日はここまで。

3/4消化したので、次で最後です。
スレタイェ…

書き終わってるのはノーマルENDですが、
分岐でベルユミENDも書く予定です。

ふぉぉぉおおおつ!!!!

それはベルユミ派の俺に全裸になれということなのかい?
残念!もうなってる!!

ノーマルエンドも楽しみだー(*´∀`*)

楽しみだ
ベルユミエンドもみたいし、シガンシナの謎も明かして欲しい

今から投下します。
今日で完結しますのでしばしお付き合いくださいませ。

>>50 うぉぉ… エロ要素がなくて申し訳ない…
    風邪ひかないように暖かくしてくださいorz

>>51 シガンシナの謎とはアルミンだけきつめに書いた理由の事でしょうか?






~医務室~


ユミル「ありがとな。ベルトルさん」

ユミル「あとは自分でできるから戻っていいぞ」

ユミル「…って言っても、もう時間的に終わりだけどな」

ベルトルト「そうだね、じゃあ折角だからユミルを寝かしつけるまでここにいようかな?」

ユミル「…は?」

ベルトルト「だって寝かしつけるまでが任務だったでしょ?」

ユミル「ちげーよ!バカ」

ベルトルト「あれ?そうだっけ…。まあいいや」





ユミル「あの…さ」

ベルトルト「はい」

ユミル「さっきの話、なんだが…本当に借りを作るのは嫌いなんだ」

ベルトルト「だから気にしなくてい…



ユミル「ベルトルさんに『一生のお願い』の権利をやる」



ベルトルト「…なに、それ?」キョトン

ユミル「相当無茶なお願いでも、一生に一度だけなんでも願いを叶えてやるってことだ。私にできる範囲でな」

ベルトルト「」


ユミル「お金とかは無理だ。お互い財布の中身は知れたものだろ」

ユミル「あと『全ての巨人を駆逐しろ』とか、『誰かを生き返らせろ』とか、私にできそうもないことも無理だ」

ベルトルト「そんなお願いしないって…」

ユミル「そうだな…あとは…

ベルトルト「ちょ…ちょっと待って、ユミル。本当にいいからね。僕気にしてないから」

ユミル「でも私が嫌なんだよ。おまえに借りを作ったままとか、気持ち悪い」


ユミル「あ!くそっ」

ベルトルト「どうした?」

ユミル「しくじった。ベルトルさん、私にもベルトルさんに『一生のお願い』を使う権利をもらうぞ!」

ベルトルト「ふぁ?!…なななななんで?」

ユミル「いやな、ふと思いついたんだが…」

ユミル「ベルトルさんが今後アニに振られた後…」

ユミル「やけになって『一生のお願い』を使って私に『童貞卒業させて欲しい』とか言い出してきたら困ったことになると思ってな」

ベルトルト「絶対言わないから!それありえないから!!」///アワワ…

ベルトルト(てか、何の迷いもなく僕が振られるって言い切ったぞ!)


ユミル「いや、どうだかな。純朴に見えてもお前も男だし、念のため予防線を張らせてもらうか」

ベルトルト(ちょっと泣きたい…)

ユミル「万が一、ベルトルさんが私に身体目当てのお願いをしてきたとしても」

ユミル「私もベルトルさんに『一生のお願い』を使って、そのお願いを断ることができる」

ユミル「どうだ、完璧だろ」


ベルトルト「」



ハッ!


ベルトルト「でもさ!それって本末転倒じゃない?」

ベルトルト「だって元々ユミルが僕に借りを作りたくなくて『一生のお願い』を持ち出してきたんだよ?」

ベルトルト「それが、僕までユミルの『一生のお願い』を叶えてあげたら、結局これって意味ない事になるんじゃないの?」

ユミル「んー、そういえばそうだな。ま、ケチケチすんなよ。器の小さい男になるぞ」

ベルトルト「今からでもなれるもんなら、なりたいよ…」


ベルトルト「はぁ…もういいや、『一生のお願い』ね、覚えとくよ」

ベルトルト「どうせ『一生』使わないと思うけど」



ユミル「あぁ…ちゃんと覚えとけよ」

ユミル「人の命は短いんだ、権利があるのに使わないで死ぬなんて勿体ないだろ」ドヤァ

ベルトルト「ユミル…その顔、かわいくない」






※47話合流。 ネタバレあり。 未読注意。

1年と数か月後…
 
~巨大樹の森~


ユミル「何の因果だ…この状態」

ベルトルト「本当にね…」ヒュン

ベルトルト「こんな形で、また君を背負う事になるとはね」



ユミル「!?」

ユミル「信煙弾!?調査兵団が助けに来たのか!」

ライナー「クソ…もうこんな所まで」

ライナー「エレンが暴れてくれたおかげだな…」ヒュン

エレン「…」


ユミル「!?」

ユミル「ライナー!クリスタが来ている!私にはわかるっ!連れ去るなら今だ!」

ライナー「もしそうだとしても今は無理だ!別の機会にする!」



ユミル「…」

ユミル「ベルトルト!」

ベルトルト「…無理だ。すまない…ユミル」

ユミル「…くっ」




ユミル(ゴクッ)

ユミル「…なぁベルトルさん。あの時の会話を覚えているか?」

ベルトルト「?」

ユミル「『一生のお願い』の話だ…」

ベルトルト「!?」

ユミル「それを行使する。今、ここで!」


ユミル「クリスタも連れてってくれ。頼む!!」

ベルトルト「ユミル…無理だ。今は僕らだけでも逃げ切れるかどうか…」


ベルトルト「それに一生のお願いは『自分にできる範囲で』って事だったはずだろ」

ユミル「お前らなら出来るだろ!それに私も戦うから、今より逃げやすくなるからさぁ!」

ユミル「なぁ…頼むよ。どうせ私はお前らの戦士に食われて死ぬんだろ」

ユミル「私には先がない…。今使わなければもう二度と使う機会はない!私の『一生のお願い』だ!」



ベルトルト「…」

ベルトルト「ライナー…」

ライナー「すまんが本当に無理だ。…ベルトル、情に流されるな」

ベルトルト「それを君が言うかな…」




ベルトルト「ユミル…」

ユミル「…」

ベルトルト「わかった」

ライナー「!?」

ベルトルト「でも僕も今、ユミルに対して『一生のお願い』を使わせてもらう」

ユミル「なんだ?」

ベルトルト「もしクリスタ奪取に失敗したとしても…」

ベルトルト「君は僕らの故郷に一緒に来るんだ」

ユミル「…そんなことでいいのか?」

ベルトルト「うん」


ユミル「わかった。でも、クリスタは必ず連れて行く!…失敗なんかさせない」



ライナー「ユミル…行ったな」

ベルトルト「うん、行った」

ベルトルト「ライナー…ごめん。勝手に話を決めてしまった」

ライナー「…」

ライナー「仕方ない、ユミルにはウトガルド城で助けてもらったしな」ハァ

ライナー「よし、やるか!」


ベルトルト「あ!ライナー」

ライナー「ん?」

ベルトルト「ひとつ言い忘れてた」

ベルトルト「実はアニにはもう僕の気持ちは伝えてあるんだ…」

ライナー「」

ベルトルト「誰かさんのおかげでね」



ユミル「ベルトルさんに『一生のお願い』の権利をやる」

おわり

人生初のSSでしたが無事完結させることが出来ました。
コメくださった方、最後まで読んでくださった方、ありがとう。

あと、気になるので、自己満足ですが誤りを訂正します。
>>4 誤)バカだけどいい奴だよ
   正)素直で優しい奴だよ

コニーのところとセリフがかぶってたので


>>10誤)そう言えば 
   正)あの

冒頭が>>11とかぶってたので


>>51伏線を期待してくれたのに申し訳ない…。

ずっと『かわいい』で押してきたので単調になっていたのでちょっと

一服させたかったのと、アルミン批判は預言者ユミルの本編への

当て擦りです。


ベルユミENDは書き溜めがないのでしばらくかかります。

繋ぎに小ネタ、少し上げておきます。

おやすみなさい


幼馴染3人組 小ネタ① 


ユミル「おーい!ベルトルさん、ちょっとこっち来いやー!」フリフリ

ベルトルト「呼んだ?」タッタッタ…

ユミル「どうやらミカサが、こないだの私らの会話を『偶然』聞いていたらしい」

ベルトルト「えっ?!」

ユミル「ほら怪我した時の…」

ユミル(この地獄耳が…)チッ

ベルトルト「…ミカサ達、あの時かなり離れてたよね」

ユミル「なので、会話をやり直すぞ」

ベルトルト「…めんどくさい」


ユミル「一言だけでいいから…」




ユミル「…あ」

ベルトルト「ん?」

ユミル「…さっきミカサのこと気持ち悪いって言ったが、やっぱ撤回する」

ユミル「ミカサはエレンの事になると、途端に周りが見えなくなるな」

ユミル「すげぇ強いくせに。すげぇ弱い」

ユミル「わかりやすく弱点を曝け出すミカサはかわいいと思うぜ」

ユミル「…」



ユミル「こんな感じでどうだ?ミカサ」

ミカサ「…」

ミカサ「もう、許した」///テレッ

ユミル(…ちょろい)

※書き直し前は『気持ち悪ぃ』に対するフォローも入ってました。


幼馴染3人組 小ネタ②


ユミル「なぁ、ベルトルさん」

ベルトルト「何?」

ユミル「あれからミカサに『アルミンの悪口も訂正して』って言われているんだが…」

ユミル「正直、訂正したくない」

ベルトルト「…もう表面だけでも謝っちゃえば?」

ユミル「あの時は100m以上離れてたと思ったのに…勝手に盗み聞きする方が悪くないか?…なぁ」

ベルトルト「…もう伝令係とか要らないくらい情報通だね、ミカサは…」

ベルトルト(はぁ…ライナーやアニにもミカサには注意するように言わないと…)


ベルトルト「そういや、エレンの事は何も言われてないの?」

ユミル「あぁ、そうだな…」

ユミル「いやまて、確か『エレンのかわいさは私だけが知っていればいい』」

ユミル「『あなたの口からエレンを褒める言葉が出てこなくて良かった』」

ユミル「…と、ブレード持ちながら真顔で言われたな」ガクブル


ベルトルト「なにそれこわい」

分岐ルートが遅々として進まないので息抜きに投下

ユミル『かわいいランキング(暫定)について』 ①

クリスタ>>(越えられない壁)>>コニー
>サシャ>>ベルトルト>ジャン>>>アニ
>エレン>ライナー>ミカサ>その他>アルミン>ダズ

※SSでもナチュラルにマルコを省いていた…

ユミル『かわいいランキング(暫定)について』②

ベルトルト「異議あり!!」

ユミル「はい、却下」

ベルトルト「まだ何も言ってないだろ」

ユミル「どうせアニの順位の事だろ」

ベルトルト「う…」///

ベルトルト「そうだけど、ちょっと相対的に低くない?」

ユミル「だが、私の脳内順位だぞ…」

ユミル「誰に迷惑かけてるわけでもないし」

ベルトルト「だからって…駆逐バカ、エレン+気持ち悪いミカサ+お荷物アルミン」

ベルトルト「これ全部足してアニ1人分ってどうなの?!」

ユミル(珍しくはっきり言いやがった…)


ユミル「あのさ~ベルトルさん」

ユミル「文句を言うなら、アニの『かわいい』ところ、私に教えてみ?」

ユミル「共感出来たら順位を上げてやる」

ベルトルト「」

ベルトルト「うぅ…」/// カァァァ…

ベルトルト(どうする?主張したい『かわいい』ポイントは故郷にいた頃のアニの思い出ばっかりだ…)

ベルトルト(まずいか…?)

ベルトルト(でも言いたい、言おう!!)

ベルトルト「わ…笑った顔が年齢以上の大人の魅力でエ…エロかわいい!!」///


ユミル「…」

ユミル「…妄想乙」

※アニメ(23話)参考

補足を挟んでから本編投下します。


医務室までの会話 



ベルトルト「ねぇ…なんで僕の鼻先に、ユミルのブーツがあるの?」

ユミル「ブーツを持ちながら、こうやって背中からベルトルさんの首に手を回してるから」

ベルトルト「…臭いからブーツおろして」

ユミル「この方が楽だから嫌だ」

ユミル「てか、そう言うならベルトルさんがブーツ持てよ。これ結構重い」

ベルトルト「僕の両腕は、君の太ももと膝の裏を支えてるんですけど」

ユミル「じゃ、我慢して歩くんだな」

ベルトルト「」





ユミル「ベルトルさん…」

ユミル「思いっきり深呼吸してみなっ!」ガボッ…

ベルトルト「ンッ…?」

ベルトルト「もがっ…」ゲホゲホゲホゲホ…

ユミル「さっきは脱ぎたくても脱げなかったからなぁ~」

ユミル「汗もかいてたし、いい蒸れ具合だろ?」

ベルトルト「…め…しんじゃ…う…」ゴホ…


ユミル「はい、終わり」

ベルトルト「」ゲホッ…ゲホ… ハッーハッー


ユミル「どうだ?」

ベルトルト「どう…だ…っ…て…」

ユミル「女の靴の匂いって興奮するだろ?」


ベルトルト「……は?」

ユミル「ダハハハ!内地ではな、若い女が履き潰した靴やら、使用済みの下着とやらに大金を払う金持ちがいるんだよ」

ベルトルト「」

ユミル「上級者になるとな、匂いを嗅ぐだけで、イッちゃう奴もいるらしい…」

ベルトルト「…」

ベルトルト「まさか…ユミル…」

ユミル「わ、私は売ってないぞ!言っとくけど」

ベルトルト「…良かった」ホッ


ベルトルト(…ユミルのせいで新しい扉が開いた)


医務室後(>>60)から別ルート(ユミベルEND)

~ご注意ください~  

※色々やらかしている、前半のゆるい日常はもうない

※高確率で胸糞ENDかも知れない

※伏線もどきはなるべく回収したい



~雪山訓練中~


ユミル「ダズなら既に虫の息だ」

ユミル「こいつは評価欲しさに来ちゃいけねぇ訓練を受けちまった」

ユミル「このまま毛虫並みの速度で麓まで歩いてたら、ダズはもちろん私たちも助からねぇ」

ユミル「なぁ、3人一緒に死ぬか、ダズをここに置いていくか」


ユミル「クリスタ、お前…どうする?」


クリスタ「ユミルは先に行ってて」

クリスタ「私はダズを助けるし、あなたに迷惑はかけないから」

ユミル「そうじゃねぇだろクリスタ、本当にダズを助けたいのなら、なぜ私を頼らない?」

クリスタ「…」

ユミル「お前、このまま死ぬ気か?」

クリスタ「違う!私は…」




オーイ、ソコニダレカイルノカ~~!



ユミル「!?」
クリスタ「!?」


クリスタ「次の班だ!」

クリスタ「私たちが遅すぎたから、次に出発した班が追い付いてきたんだよ!」

クリスタ「良かった…ユミル。これでダズは助かるかもしれない…」ウルウル…

ユミル「…」

クリスタ「おーい!!こっちだよーー!」



ベルトルト「ユミル!それにクリスタと…ダズ?」

ユミル「…やっぱりベルトルさんか」チッ

クリスタ「ベルトルト、助けて!私たちの班、今ダズが大変なの!」

ユミル「!」

ユミル「おい…クリスタ…お前…」


ベルトルト「…」

クリスタ「ベルトルト?」

トーマス「はぁ…そっちもか…」

クリスタ「トーマス?」

ベルトルト「実は僕たちの班も、ミーナが…」

ミーナ「…」グッタリ

トーマス「吹雪の中に人影が見えたから、手伝ってもらおうと声をかけたんだけど…」

クリスタ「嘘…ミーナも…?」

クリスタ「ユミル、どうしよう、ミーナまで!」

ユミル「…ったく、知らねぇよ…」



ベルトルト「とにかく、口より足を動かそう。ここに留まったままだと僕ら6人凍えて死ぬことになる」

ベルトルト「じゃあ、ダズは僕が引っ張っていくから、ユミルはトーマスと一緒にミーナに肩を貸してあげて」

ユミル「…」

ベルトルト「クリスタは先頭を歩いて、安全ルートの確保」

クリスタ「うん」

ベルトルト「さぁ、行こう」


ユミル「…らねぇ…よ」

ベルトルト「ユミル?」

ユミル「お前の助けなんかいらねぇって言ってんだよ!!」

クリスタ「ユミル!」

クリスタ「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

クリスタ「このままじゃ、ダスもミーナも…私たちも死ぬかもしれないんだよっ」

ユミル「うるせぇ!余計なことすんな」

ユミル「よく聞け!この訓練はな、採点されている」

ユミル「訓練中に命を落とした奴なんて何人もいただろ?」


ユミル「トーマス!お前も憲兵団狙ってるなら死に物狂いで成績上げろ」

ユミル「私らに構わず行けよ!実際、体力だってもう限界のはずだ」

トーマス「…」

クリスタ「ユミル!」

ユミル「大体、お前もお前だ。クリスタ」

クリスタ「…え?」

ユミル「ベルトルさんにはすぐ頼ろうとしたくせに…何故私に頼らないんだ?」

クリスタ「そ…それはユミルに迷惑を掛けたくなかったからだよっ」

ユミル「じゃあベルトルさんたちの班には迷惑かけていいってのかよ?あっちはあっちで必死なんだぞ」


クリスタ「…それはそうだけど…」



ベルトルト「はぁ…もういいから」

ベルトルト「身体も冷え切ってる、急がないと本当に下山できなくなる。皆で行こう?」

ユミル「ちっとも良くなんかねぇよ、この暫定3位!」

ユミル「いいか?班長。あんたが責任持つのは自分の班だけだ」

ユミル「あんたはあんたの班の事だけ考えて下山しな、ミーナにとってもそれが一番いい」

ベルトルト「…」

ユミル「ダズの事は…チッ、私が何とかするっ…」


クリスタ「無理だよっ!いくらユミルだって…そんなの…」

ユミル「無理じゃない!」

ユミル「私には、できるっ、多分…大丈夫だ」

ユミル「クリスタ、お前はベルトルさんに付いて先に行け。後は私がやる」

クリスタ「そんなの嫌!!ユミルもダズも置いて行けない!」


ベルトルト「あのさ、お取込み中のところ本当に悪いんだけど、僕は誰も置いていく気はないから」



トーマス「…」フーッフー…

ミーナ「…」ゼェゼェ…

ダズ「…」


ベルトルト「それにトーマスも辛そうだし、ここで言い争ってても仕方ないよ」

ベルトルト「ユミル、意地張ってないで一緒に…


ユミル「ダメだっ!」


ベルトルト「早くここから動かないと本当にヤバいんだっ!ユミル」

ユミル「だから、私とダズは置いてけって言っている!」

ベルトルト「そんな事出来る訳ないだろ!!」

クリスタ「そうだよ、ユミル!」

ユミル「…」

ユミル「ここで使うぞ、アレを」

クリスタ「アレ…?」

ユミル「『一生のお願い』だ」

ベルトルト「ダメ!認めない。見捨てる事は僕には『出来ない範囲』のお願いだから」

ユミル「いいから黙って見捨てろ!私らは絶対死なない!!あーーもう面倒くせぇ!」

ユミル「クリスタ!貸せっ!」ダッ

クリスタ「あっ、ダズが…ユミルーーー!」



ズザザザザザザザーーーー

一同「!?」

クリスタ「あああああああああ!ユ…ユミルがダズを引きずったまま崖下に!!」

ベルトルト「あっ…今…」


クリスタ「ベルトルト、トーマス…ユミルが、ユミルが死んじゃったよぉ!そんな…私のせいだ」

クリスタ「私がユミルを追い詰めて、ユミルとダズを殺したんだ…」ワァァァァァ!!


ベルトルト(今、一瞬光った…)

ベルトルト(すぐに吹雪で搔き消されたけど…あれは…)

クリスタ「ヒック…ヒック…」

ベルトルト「クリスタ、泣いてる場合じゃない!すぐに下山してユミルを助けよう」

クリスタ「う…うん…ユミルゥ…」


ダッダッダッダッダッダッ…

ベルトルト(トーマスは一人でも大丈夫)

ベルトルト(ヤバそうなミーナを背負って斜面を駆け下りたけど…)

ベルトルト(驚きなのはクリスタだ。いくらミーナを背負っているとはいえ)

ベルトルト(僕と同じ速さで付いてくるなんて…)

クリスタ「ユミル…ユミル…」ダッダッダ…



~崖下 麓の山小屋~


ユミル「よう!遅かったな…」

クリスタ「ゼェ…ゼェ…ユミル!無事だったのねっ」ダキッ

ユミル「まぁな」ギュゥ…


クリスタ「ダズは?」

ユミル「無事だ、中で手当てを受けてる」

ユミル「あ…ベルトルさん」

ベルトルト「もう、無茶して…ハァハァ…君が無事で良かった」

ユミル「ああ、さっきは悪かったな…。ミーナも早く中に入れてやってくれ」


ベルトルト「うん…」


ユミル「そういやトーマスは?」

ベルトルト「もうすぐ来るよ」

ベルトルト「あのさ、ユミル…ユミル「どうやってここまでたどり着いたか?だろ。種明かしならしねぇぞ」

ベルトルト(もう種わかっちゃったんだけど…)


ベルトルト「この後、少し話せない?聞きたいことがあるんだ」

ユミル「話せない。こっちに用事はない」

ユミル「それより早くミーナ置いて、トーマス迎えに行けって!」

ユミル「『僕は誰も置いていく気はない』ってさっき大見得切っただろ!」


ベルトルト「…」

ベルトルト「わかった」


ベルトルト「ねぇユミル、僕から逃げないでよ」

ユミル「…」

ベルトルト「また話そうよ。くだらない事でも。あの時みたいに…話したいんだ」

ユミル「…」


ユミル「気が、向いたらな」ヒラヒラ

乙です
うわ!別ルートくるなんて!ありがとー
ベルトルさんまさか弱み握ってあんな事こんな事…ゲフンゲフン

>>1
ベルユミ分岐END舞ってる。

>>104
バラされたくなかったら、うんぬんですね。
やだ、なにその黒トルトさん…(´・ω・`)
だが、このベルさんからはダークサイドの片鱗が見えないので大丈夫……ですよね?

>>104 「弱みを握る」っていいなぁ…と思って少し入れてみたんですが
    早々にユミルさんがへたれてしまったので挫折しましたorz

>>105黒トルトさんいいですね!今後、クリスタに対してやってみます
    薄い灰色くらいかもしれませんが

思ったより捗ったので今から投下します




トロスト区襲撃、104期生(同期)の殉職
エレンの覚醒、調査兵団入団…そして今現在


旧調査兵団本部・古城付近 女子兵舎内

壁外調査まであと1週間


トントン…



ベルトルト「夜分にごめん、ユミルいる?」

ベルトルト「ちょっと急ぎの話があるんだけど」


クリスタ「はーい」

クリスタ「今、開けるね」

ユミル「クリスタ、無防備にドア開けんな」

クリスタ「ベルトルトだもん。大丈夫だよ~」



ガチャ・・・

ベルトルト「やぁ、ユミル、クリスタ…久しぶり」

ユミル「…」


ユミル「お前さぁ、わざわざこんな時間に来やがって…どういうつもりだ」

ベルトルト「ごめん、大事な話なんだ。今じゃないとダメだから…入ってもいい?」

クリスタ「いいよね?ユミル」

ユミル「嫌だ、話したくない。帰れ」

クリスタ「いいじゃない。わざわざ来てくれたんだし…ね?」

ユミル「…」

ユミル「チッ…明日も早いし、もうすぐ消灯時間だから、手短にな」

ベルトルト「ありがとう」



ベルトルト「クリスタ、悪いんだけど…少し席外してもらってもいいかな?」

ベルトルト「少しって言うか…もしかしたらちょっと長くなるかも知れないけど」

ユミル「おいっ!手短にって言っただろ」

クリスタ「うん、いいよ。大事な話なんでしょ?」

クリスタ「ユミル、私サシャの所に行ってるから、終わったら迎えに来てね」

ユミル「待て、行くな!クリスタ、お前もここに居ろ。って言うか居てくれ!」

クリスタ「もう、ユミルったら、照れちゃって~。素直じゃないなぁ」ニコニコ


ベルトルト「そうだ、クリスタ。さっきサシャを食糧庫の方で見かけたよ、そっち寄ってみたらどう?」

クリスタ「もぅ…サシャったら、また食べ物盗もうとしてるのかな」

クリスタ「ちょっと様子見てくる」

ベルトルト「先輩方に見つからないように気を付けてね」


クリスタ「はーい。ベルトルトもごゆっくりどうぞ」      …タタタタタッ




ギィィ・・・バタン


ユミル「ハァ…なんなんだ、今日のあいつは。変な汗出てきた…」

ベルトルト「他の人に邪魔されたくないから、一応鍵かけとくね」 ガッチャン…

ユミル「おおおおおお、おい!」

ベルトルト「変なことはしないよ」

ベルトルト(君の同意がなければ)


ユミル「…」


ユミル「用件を言え」

ベルトルト「君が避けるから、なかなか機会がなくて…一度じっくり話したいと思ってた」

ユミル「避けるも何も…別に。お互い、特別用事もないだろ」

ベルトルト「僕にはあるよ、君に伝えたいこと」

ユミル「こっちにはない」

ベルトルト「…」

ベルトルト「本当にないの?」

ユミル「…ない、しつこいな」





ベルトルト「…『一生のお願い』まだ僕は使ってなかったでしょ」

ユミル「あぁ…あれか」

ユミル「でも、お前言ってなかったか?『どうせ一生使わない』って」

ベルトルト「人の命は短いから使わないと勿体ないって言ったのはユミルだよ」


ユミル「…」

ユミル「使う事にしたのか?」

ベルトルト「うん」

ユミル「そうか、じゃ早く言え」



ベルトルト「その前に、報告したいことがあるんだ」

ユミル「私にか?」

ベルトルト「そう。まだ誰にも言ってない」

ベルトルト「あぁ、その報告の前に、伝えなきゃならないこと…が先だった」

ベルトルト「順番間違えると、君に引っ叩かれそうだから」

ユミル「引っ叩かれるって…何しでかしたんだよ、お前は…」


ユミル「ん、…ややこしいな」

ユミル「一生のお願いを口にする前に、報告したいことがあって、」

ユミル「報告の前に伝えたいことがあるって事か?」

ベルトルト「そう」

ユミル「…うざってぇ」ボソッ…


ベルトルト カチン…!


ベルトルト「大体、ユミルが悪いんだよ」

ベルトルト「理由もわからず無視され続ける方の身にもなってよ!」

ベルトルト「話しかけても嫌そうな顔するし、目が合えば舌打ちとか…」

ベルトルト「本当はもっと前からずっと言おうと思ってて…

ユミル「それ、長くなるか?もうとっとと言って帰ってくれよ」イライラ…


ベルトルト「…」



ベルトルト「ふぅ~~~~」カオナデナデ



ベルトルト「…よしっ!」パチン


ベルトルト「じゃぁ、ユミル聞いて」




ベルトルト「僕は、君が好きだ」




ユミル「…」

ユミル「…で?」


ベルトルト「『で?』って…思った以上に反応薄いね」ガックリ

ユミル「その冗談、笑えねぇな」

ベルトルト「冗談でこんなこと言う訳ないだろ…」

ベルトルト「…こっちはなけなしの勇気振り絞って告白したのに、この態度」


ユミル「…」

ユミル「何かの罰ゲームか?じゃなきゃ…アニにでも振られたのかよ、お前」

ベルトルト「…」


ユミル「あぁ…読めたぜ」

ユミル「それで、わざわざ夜に女の部屋まで来たんだな」


ユミル「で、『一生のお願い』とやらで私に慰めてもらおうと思ったとか?」

ユミル「はっ…馬鹿かよ。もしそうならお前って相当、アホで単純だな」



ベルトルト「…」ハァァ…

ベルトルト「そう言われる予感はしていた」

ベルトルト「やっぱり、話す順番を間違えたみたいだ」

ベルトルト「でも、違うよ。…いや違わないけど、違う」

ベルトルト「君の言い方って、本当にムカつくね」


ベルトルト「そうやって僕を煽ることに意味あるの?」

ベルトルト「『そうなるように』仕向けるためにわざわざ挑発してる?」

ベルトルト「だとしたら、そんなつもりじゃなかったけど…気が変わったよ」

ベルトルト「一応、同期の中では温厚だって言われてるんだけど」

ベルトルト「君がそんな態度じゃ、もう優しくできない」


ユミル「そうかよ、いくら頭にきてもな、その『お願い』は却下だ」

ベルトルト「ところが、そうはいかないんだ」ガシッ


ユミル「…痛っ、おい、腕を掴むな!」

ユミル「…私にっ…触るな…」



ベルトルト「ユミルは、もうわかってるんでしょ?」ジッ

ベルトルト「もし僕が今…本気で『君を抱きたい』って『お願い』したら、君は絶対に断れない」


ユミル「…何でそう思うんだ」

ベルトルト「ユミル自身がそう思ってるから」

ユミル「…」

ベルトルト「本当に、僕が君に『身体目当て』のお願いをしてきたとして…」

ベルトルト「ユミルにとってそれは『相当無茶な』お願いではあっても…」

ベルトルト「『自分に出来る範囲』のお願いだと認識してる」

ユミル「…」


ベルトルト「その証拠に、最初に言い出した時、『その願いは無理』って言えばいいのに」

ベルトルト「『断れない』と思い込んでるから」

ベルトルト「『それ』を『断るため』の『一生のお願い』を僕にも課した」

ユミル「…」

ベルトルト「でも、ユミルの分は雪山訓練の時、使っちゃったからもう残ってないよね?」

ベルトルト「だから、もう…断れない」

ユミル「…」


ベルトルト「ねぇ、一つ聞きたいんだけど…」

ユミル「なんだ?」

ユミル「と言うか、いい加減手を放してくれ…痛い」

ベルトルト「嫌だ。離せば、また僕から逃げるでしょ。それに僕は怒ってる」

ユミル「…」

ベルトルト「ユミルってさ、誰にでもしてるの?この『一生のお願い』ゲームを」

ユミル「…? どういう意味だ」

ベルトルト「相手にどんな無茶なお願いをされるかわからないのに…」

ベルトルト「誰彼かまわず吹っかけてるのかってこと!」


ベルトルト「大体、なんで雪山なんかで使っちゃったんだよ!断れる権利を」

ベルトルト「僕が、本当に『一生のお願い』を使って…」

ベルトルト「君をどうにかしたいって言うかもしれないって思わなかったの?」



ユミル「…思わなかった」

ユミル「あの時は、必死だった」

ユミル「クリスタが、私じゃなくてベルトルさんを頼ったことも悔しかったし…」

ユミル「何より、またお前に借りを作るのが嫌だった」


ベルトルト「…」

ユミル「それと、誰にでも『一生のお願い』の権利をやるわけじゃない」

ユミル「ただその場の思い付きで…ベルトルさんにやったのが初めてだ」

ユミル「今にして思えば、軽率だったと思う…もう二度としない」




ユミル「ベルトルさん、聞いてくれ」



ユミル「私は、生娘なんだ」

ベルトルト「…きむすめ?」


ユミル「…男性経験が、ないってことだ」

ベルトルト「!?」


ユミル「意外…って顔してるな」

ユミル「でも、本当だ。淑女には程遠いが、そういう事はきっちりしてるつもりだ」

ユミル「お前だって経験ないだろ?なら、最初の相手は本当に好きになった人の方がいい」

ユミル「これは、お前のために言ってる」


ベルトルト「僕が好きなのはユミルだよ」

ユミル「うそつけ。ただ罪悪感を薄めたいだけの言い訳だろ…」


ベルトルト「はぁ、どうしたら信じてくれるんだ…」


ユミル「どうでも女を抱きたいんなら、娼館にでも行ってくれ。頼むから、費用なら私が…

ベルトルト「ユミル!」

ユミル「ひっ…」ビクッ



ギュゥゥゥゥゥ…


ベルトルト「違うんだって!本当に」

ベルトルト「このままで聞いて。暴れないで…」

ユミル「…」ガタガタ…

ベルトルト(あのユミルがこんなに震えてる…)



ベルトルト「ここから、『報告』になるよ」

ベルトルト「今までは『伝えたいこと』だったから」

ベルトルト「そして僕の伝えたかったことは『君が好き』ってことだった」

ベルトルト「それはさっきちゃんと伝えたよね」

ユミル「…あぁ」


ベルトルト「報告は2つ」

ベルトルト「1つ目は…アニに振られたこと」

ユミル「…」

ベルトルト「勘違いして欲しくないんだけど、アニに振られたから、次は君だって訳じゃない」

ベルトルト「振られたのは1年以上も前」

ベルトルト「君に発破を掛けられてすぐの事だよ」


ユミル「…うん」


ベルトルト「まだ自分の感情も整理できてないのに、早く告白しなきゃって思い込んじゃって」

ベルトルト「結果はこの通り」

ユミル「そうか…」


ベルトルト「ほら、言う順番を間違えると君に引っ叩かれそうだって…」

ベルトルト「これの話」ハハハ…

ユミル「…」

ベルトルト「だから、本当に乗り換えたなんて、思わないでね」

ベルトルト「振られた後も、全然苦しくなくて…」

ベルトルト「頭に浮かぶのは君の事ばっかりで、変な気分だった」

ユミル「…」


ベルトルト「アニは好きな人がいるって言ってた」

ベルトルト「その人が誰かは、その時はわからなかったけど…今はわかるよ」

ユミル「…私が知ってる奴か?」

ベルトルト「うん、でもその話は後でね」

ベルトルト「アニには『私達は人を愛する資格はない』って言われたけど…」

ベルトルト「僕はそう思わない」

ベルトルト「ユミルが以前『誰が誰を好きになったっていいじゃないか』って言ってくれたの思い出して…」

ベルトルト「ユミルなら、僕を受け止めてくれるんじゃないかって…勝手に期待したりもした」


ユミル「アニはなんでそんなことを言ったんだ…?人を愛する資格がないなんて」

ベルトルト「その理由は、後で言う…それか、君が気付いてしまうかも」

ベルトルト「アニと僕と、ライナーは…共犯者なんだ」

ユミル「…」



ベルトルト「次は2つ目の報告だね」

ユミル「…うん」

ベルトルト「…その前に、キスしていい?」



ユミル「…ダメだ」

ベルトルト「何で?僕のこと嫌い?」

ユミル「嫌いじゃないが、何でも順序があるだろ」


ユミル「私は、ベルトルさんのこと…知らな過ぎる。キスは急ぎ過ぎだ」

ベルトルト「貞操観念が強いね。ますます僕好みなんだけど」



ベルトルト「でも…今の状況、わかってる?」

ベルトルト「部屋には鍵がかかっていて、君は僕に抱きしめられて身動きも取れない」


ベルトルト「どうするの?ユミル」


ベルトルト「チュッ」

ユミル「!!」

ユミル「ん…ぁ…はっ…」チュッ…

ユミル「…ゃだ…ぁ…んふっ…」チュパ

ベルトルト(やば…気持ち、良すぎて…)

ベルトルト「チュ……クチュ…」

ベルトルト(このまま押し倒したい…)

ガリッ

ベルトルト「い…っ!」

ユミル「…離せ…よっ!」

ユミル「キスだって…初めてなんだ!」

ユミル「何でそんなに急ぐんだよ…」

ユミル「遊びなら…本当に止めてくれ」

ベルトルト「遊びじゃない…って…」イテテッ…

ベルトルト(舌かまれた…)


ベルトルト「はぁ…」

ベルトルト「ユミル…よく見てて」ベロー


シュゥゥゥゥゥゥゥ…

ユミル「!」

ユミル「蒸気…それに噛み傷が…」

ベルトルト「これが、どういう意味か、君なら分かるよね」

ユミル「お前…まさか…」

ベルトルト「そして、僕は…君の秘密も知ってる」

ベルトルト「クリスタでさえ、おそらく知らない秘密を」


ユミル「」ゾクッ…


グッ…

ユミル「私から離れろ!」グググッ…

ユミル「もう帰れ!!何でもするから!身体が欲しいのなら、それもくれてやるから…」

ユミル「目を閉じているから…100数える間にさっさと済まして…帰ってくれよ…」


ベルトルト「ユミル…」

ユミル「帰ってくれないのなら…今、大声を出す!」

ベルトルト「…」

ベルトルト「そしたら、僕はこう言わなくちゃならなくなる『ユミルに誘われた』って…」

ユミル「それでもいい!」


ユミル「もう!何なんだ。なんなんだよぉ、お前は!」グスッ…

ベルトルト「…ごめん、こんなに動揺するなんて、思わなかった」ギュッ…

ベルトルト「ごめんね…ユミル、落ち着いて」ナデナデ…


ユミル「」ハァ…ハァ…

ベルトルト「こんな形になったけど、これが2つ目の報告…」

ベルトルト「さっきも言ったけど、これは誰にも言ってないし、今後も誰にも言うつもりはない」

ベルトルト「僕と、ユミルだけの秘密にしたいんだ」


ユミル「…」





ベルトルト「ねぇ、もう一回キスしちゃだめかな?」

ベルトルト「次は、噛まないで欲しいな」


ユミル「…やだ」

ベルトルト「ユミルは『ダメ』とか『嫌だ』とかばっかりだよね」

ベルトルト「どうしたら『うん』って言ってくれるの?」

ベルトルト「いつになったら『僕を好きだ』って、自覚してくれる?」


ユミル「…」


ベルトルト「僕は、ユミルが…巨人の力を持っているって知った時から」

ベルトルト「ずっと疑問に思っていたことがある」

ユミル「なんだ…?」

ベルトルト「足の怪我で君を医務室まで運んだでしょ?」

ユミル「うん」

ベルトルト「治癒…出来るんだよね?なんでしなかったの?」

ユミル「…」

ベルトルト「酷い打ち身だったとはいえ、骨が折れていた訳でも、切断したわけでもない」

ベルトルト「君なら…蒸気を最小限に抑えながら、短時間で回復させることが出来たんじゃないの?」


ユミル「それは…」

ベルトルト「でも、君はそれをしなかった」

ベルトルト「わざと」

ユミル「…やめろ」

ベルトルト「止めない。君はちゃんと自覚すべきだ」

ユミル「もう知ってる!だから…言うな」

ベルトルト「ダメ!逃げるのは許さない。言って」


ベルトルト「『僕を好きだ』って。僕と話したくて、わざと怪我を治さなかったって」


ベルトルト「君の口から聞きたいんだ」



ユミル「…その時は、まだこの気持ちの正体がわからなかったんだ」

ユミル「…そう、ただの好奇心で話してみたいと思ってただけだ」

ユミル「でも、ベルトルさんがアニを好きだと確認して…心臓がひどく痛んだ」

ユミル「全部、無意識だった。あの瞬間が来るまで」


ベルトルト「…それで、わざと避けてたの?…僕の事」

ユミル「もう、関わりたくなかった」

ユミル「自覚すればするほど、自分が自分じゃなくなるようで怖かったし、情けなくなった」


ベルトルト「…君は、まだ逃げ続けるつもり?」

ユミル「…いや」

ユミル「もう…逃げない」

ユミル「私は、ベルトルさんが…好きだ」

ベルトルト「…」

ベルトルト「…ありがとう。その言葉を聞きたかった。もうずっと前から…」ニコッ


今日はここまで。次回はエロ注意です。

更新遅いです。おやすみなさい


今から投下します。

童貞と処女なのであまりエロくないかもしれませんが、
楽しんでもらえたら嬉しいです。


ベルトルト「チュッ…」ホッペ

ユミル「…ん」

ベルトルト「仲直りのキス…かな」///

ベルトルト「これなら怖くないよね?」

ユミル「…」

ユミル「ふふっ お前、かわいいな」ニコッ

ベルトルト「」///カァァァ

ユミル「ベルトルさん、顔真っ赤だ」

ベルトルト「ユミルだって、そうだよ…」


ユミル「さっきは噛んで悪かったな…痛かったろ?ごめんな」

ベルトルト「いや…僕が急ぎすぎなのは自分でもわかってる。ユミルは悪くないよ」


ベルトルト「正直言うと、本当に時間がないんだ」

ベルトルト「もう少ししたら君と、ここを出なきゃならない」

ユミル「…何のことだ?」

ベルトルト(これからどう説得しようか…)


ユミル「…なぁ結局、なんだったんだ?」

ユミル「お前の『一生のお願い』ってのは、『私を抱きたい』でいいのか?」

ベルトルト「…うん」ボー

ベルトルト「えっ…いや、待って!それも勿論したいけど…」

ベルトルト「ユミルの場合、それを『お願い』として実行してしまうと、」

ベルトルト「…その1回で終わってしまうような気がするんだ」



ユミル「…そうだな」

ユミル「実際、その『お願い』には…脅迫に近いものを感じている」

ベルトルト「…」

ユミル「もし私達に次があるとしたら、それはもっと相手を知ってからだろうな」

ユミル「互いを知る過程で、私かお前が『違う』と感じれば1回で終わりだ」


ベルトルト「…だよね」ハァ…

ベルトルト「でも僕は欲張りだから…」

ベルトルト「1回じゃ嫌なんだ。何度も君が欲しい。だから僕のお願いは決まってる」

ユミル「…?」



ベルトルト「君の全部を、僕にちょうだい」


ベルトルト「その心も、身体も、声も…魂すら残らず欲しい…」

ベルトルト「一生、僕のそばに居てくれる?」


ユミル「!?」

ベルトルト「これが僕の『一生のお願い』だ」

ベルトルト「ダメかな…?最初は苦労させるけど、不幸にはさせないつもり」


ユミル「お…お前っ!」///カァァァー

ユミル「そんなのダメに決まってるだろ!」

ユミル「よっ、欲張りにも…程があるぞ!」

ユミル「…早い早いとは思ってたけど、詰め込み過ぎだ…」


ユミル「告白にキスにプ…プロポーズとか…この1時間ばかしの間にどれだけ詰め込むんだよ!」

ベルトルト「だって時間がないんだもの、言質を取らなきゃ!」

ユミル「おおっお、おちっ、落ち着けって!」

ベルトルト(ユミルがね…)

ユミル「冷静に考えろ。私がそのお願いに『うん』と言うと思うのか?」

ベルトルト「言うと思うよ」

ユミル「いやいやいやいや、無い。それは無い」

ベルトルト「どうして?」



ユミル「私は…今後もクリスタを見守りたい」

ベルトルト「…」


ユミル「彼女のそばに居てやりたいんだ」

ベルトルト「…ふぅん」

ユミル「異性ではベルトルさんが一番好きだ、が…クリスタは…その、別枠なんだ」

ユミル「だから、その願いは叶えてあげられない…」


ベルトルト「僕より、クリスタが好き?」

ユミル「あぁ、ベルトルさんより好きだ」

ベルトルト「…そう」


ベルトルト「でもクリスタは、こういう事はできないよね?」グィッ…



グイグイグイッ…パッ!


ドサァッ


ユミル「…っ…おい、いきなりなんだ!」

ベルトルト「…」

ユミル「ベルトルさん…重い」ミシッ…

ユミル「なぁ、本気でやめてくれ」

ユミル「このベットは、クリスタのベットなんだ…」


ベルトルト「クリスタにユミルが抱けるの?」

ベルトルト「…付いてないのに」


ユミル「私達は、そういうんじゃない!」

ベルトルト「じゃぁどういうこと?そんな関係、不毛だと思わない?」


ユミル「思わない。あいつは私がいないとダメなんだ」

ベルトルト「僕だって君がいないとダメだよ」

ベルトルト「君がいない人生なら、全部、壊してしまったっていいくらいだ。壁も世界も…」


ユミル「お前、何言ってんだよ…」

ユミル「なぁ…もう、次にしよう」

ユミル「ここは、クリスタの匂いがして悪い事してる気になる」


ベルトルト「…」

ベルトルト「悪い事ってなんだよ…」

ベルトルト「これじゃまるでクリスタが君の恋人で僕が浮気相手みたいじゃないか」

ベルトルト「君を手に入れたとしても、二番手に甘んじるなんて絶対嫌だ!」


ベルトルト「僕だけを…見てて欲しいのに」



プチン…



ユミル「…ボタンを外すな」

ユミル「ほら、今この場じゃなくたっていいだろ」

ユミル「何もベルトルさんとシタくないって言ってる訳じゃない…」


ベルトルト「…」プチン…プチン…

ユミル「おい…聞いてるのか?」

ユミル「ここはクリスタと私の部屋なんだ…できねぇだろ?普通」


フワッ…


ユミル「…っ」


ベルトルト「…ブラジャーしてないんだ」

ユミル「…あれは日中だけだ。寝る前は外している」


ベルトルト「なるほど、だからさっき抱きしめた時、柔らかかったんだな…」サワ…


ユミル「こら…ダメだって…そこに手を…入れ…るな…」

ユミル「…んっ!」チュッ…


ベルトルト「僕は…今したい」

ベルトルト「君の口から、『クリスタ』って言葉出てくるたび、イライラする…」

ベルトルト「クリスタより僕の方が君を愛してる」



ユミル「ベルトルさん…」




ベルトルト「ん…」チュッ…

ユミル「…ぁ…は……」ムチュッ…クチュ…

ベルトルト「…すごく綺麗だ…ユミルの肌、すべすべしてる」

ベルトルト(胸も大きくはないけど形が良くて柔らかい…)フニフニ


ユミル「そこ…だぁ…め…」

ベルトルト「ここ、摘むと反応がいいね…かわいい…」キュッ…

ユミル「あっ…」ハァ…ハァ…


ベルトルト「こっちの方が興奮するけど…」

ベルトルト「汚れると悪いから、ちゃんと服…脱がすね」

ベルトルト(簡単に畳んでベットの上端に寄せておこう…)


ユミル「ジロジロ見るなよ…恥ずかしい」

ベルトルト「だって綺麗なんだ。手で隠さないで。ちゃんと全部見せてよ」

ユミル「…変態かよ」ムスッ…

ベルトルト「男はみんなそうだよ」

ユミル「…お前は脱がないのか?」

ベルトルト「脱ぐよ…熱く、なってきた…」




ユミル「なぁ…ベルトルさん」

ユミル「悪ぃけど、怖くてたまらない…」

ベルトルト「…僕もだよ」

ベルトルト「もし失敗したら、と思うとね」


ベルトルト「君に嫌われる…」ハァー


ソッ…

ベルトルト(ユミルの両手が頬に…顔が近い)

ベルトルト(まつ毛長いなぁ…切れ長の目も好きだ)///


ユミル「嫌わない。そんなことじゃ嫌いにならないぞ、私は…」

ベルトルト「ユミル…ありがとう」

ユミル「でも、乱暴に扱わないでくれよ…女の身体ってのは繊細なんだ」

ベルトルト「うん…痛くしないように頑張る…」

ユミル「あぁ…お願いする」ニッコリ




ベルトルト「ねぇ…ユミル」

ベルトルト「そろそろ下も…触っていいかな」

ユミル「まだ、ダメだ…」

ベルトルト「そうじらされると、僕も辛いんだけど…」

ユミル「…ちょ…まだダメだって!おま…」

ベルトルト「もう、限界」スルッ…


ベルトルト「あぁ…すっご…」

ベルトルト「ユミルのここ…すごく濡れてる…」ピチャピチャ

ユミル「…声に、出すな…恥ずか…し」

ベルトルト ズリリッ…

ユミル「まてまて、心の準備が…」

ベルトルト「わかってる…僕も下着脱いだだけ。いきなり挿入はしないから、大丈夫」

ユミル「」ホッ…

ベルトルト(と言ってはみたけど、いつまで理性が持つか…)


ベルトルト(えっと、まずはそこを指でなぞって…)スィー

ベルトルト(窪みじゃない…もっと上の方にある小さな…)


ベルトルト「ここ…?」クチュッ…


ユミル「…ぃっ!」ビクッ!

ベルトルト「あ!」ビクッ!


ベルトルト「…ご、ごめん」


ユミル「…そこ…敏感だから、優し…く…して欲し…」ナミダメ…

ベルトルト「う…うん」///


ベルトルト(女の子の身体って難しい)




ベルトルト「さっきより…もっと濡れてきたね。ほら…」グチュグチュ…

ベルトルト「舐めてい…ユミル「ダ…メに決まってる…だろ…」ハァハァ

ベルトルト「ケチ…」


ユミル「ベルトル…さん」

ユミル「指…入れて」ンッ…

ベルトルト「」

ユミル「も…欲しくなってきた」ウルウル


ベルトルト(そんな潤んだ目で見つめられたら…僕だって我慢できない)///

ユミル「お願い…」


ベルトルト「ユミルは…ここに指入れたことある…?」

ユミル「ない…でもムズムズする…」

ユミル「その長い指で、中に入ってきて…」


ベルトルト「…」

ベルトルト「ダメ…」


ユミル「なん…で意地悪すんだよ…!」

ベルトルト「何も入ったことないなら、初めては僕のがいい…」

ベルトルト「なんか自分の指にさえ嫉妬しそうだから…」

ユミル「慣らしがなきゃ…痛いし、入んないぞ…」

ベルトルト「優しくする。それにゆっくりするから大丈夫だよ…きっと」

ユミル「じゃぁ、入るかどうかベルトルさんの見せてみろよ」


ベルトルト「わかった…ほら身体を起こして…」ヨ…ット…


ベルトルト「…見て」ガッチーン


ユミル「あ…ぁぁぁ…」////カァァァ…

ベルトルト(初めて見たのかな?…顔、真っ赤になってる…)


ユミル「これ、本当にお前のパンツに収まってたのか?」///

ベルトルト「普段はこんなに膨張してる訳じゃないよ…」


ユミル「…無理だ…怖い」

ベルトルト「ふぁっ!?」



ユミル「なぁ、触ってみても…いいか?」


ベルトルト「!?」


ユミル「下手だったら言えよ…」ソォッー


ベルトルト「あっ!ちょっと待って…んっ」クチュッ…クチュッ…

ベルトルト「あぁ…ちょ…ユミ…ぁっ…ぁっあ…ぅっ…」

ビュッビュルルドピュ…




ユミル「…え?」ヌルッ…

ベルトルト「もう…」ハァハァハァ…

ベルトルト「ハァハァ…なんで出るんだよ…わ…ユミルの胸に出し…えっとタオル…」アワアワ


ベルトルト「うわ…シーツにも飛んで…」


ベルトルト「あぁ…もう死にたい…」グスッ


ユミル「ベルトルさん…?」

ユミル「どうした…泣いてるのか?」


ベルトルト「我慢してたのに…ユミルに触られたら…もう間に合わなくて」ジワッ…

ベルトルト「今、死ぬほどカッコ悪い」


ユミル「そうか…」

ユミル「…じらしてごめんな」ヨシヨシ

ユミル「いっぱい我慢させたな」


ユミル「チュッ」

ベルトルト「!?」


ベルトルト(初めてユミルからキスしてくれた…)


ユミル「よくやったぞ…」ナデナデ

ユミル「ほら、だいぶ小さくなったから入りそうだ…」


ベルトルト「ユミル…?」

ユミル「折れないように根元押さえとけよ」

ベルトルト「ちょっと…!」

ベルトルト(え?…なんで…ユミルが僕にまたがって…)


ユミル「ここ…だな」

ゴクッ

ユミル「…んっ」ヌプッ…


ユミル「んんんっぁ…ぃっ…てぇ…!」ズプン…ズリュッ…


ギュゥゥゥゥゥゥ…

ユミル「あぁぁ…っ…たぃ…」ジワッ…


ベルトルト「ぁ…ちょっ…これ…キツ…」

ベルトルト(僕が…ユミルの中に…)

ベルトルト(なにこれ…気持ち良すぎる…奥を突き上げたい…)ハァハァ


ユミル「全部…入ったか?」イツツ…

ベルトルト「まだ…半分…くらい…?」ハァ…ハァ…

ベルトルト(ダメだ…我慢…ユミルが痛がる)


ユミル「嘘、だろ…?もう天井ついてるじゃねぇか…」

ベルトルト「ごめん…また固くなった…」


ユミル「…」


ユミル「…無理だ…悪ぃ…抜くぞ…」



ベルトルト「だめ…」ギュゥゥゥ…

ユミル「…は?」


ベルトルト「…押し倒すね」ドサッ…


ユミル「お前…無理って…言ったろ?」

ベルトルト「…このまま動かない方が、無理」


ユミル「…今、入り口がすごい痛い…中も…いっぱいに広がってる、お前ので」ハァ…ハァ…

ユミル「続けるつもりか…?」


ベルトルト「うん…。ごめんね、我儘で」

ベルトルト「でも今やめたら、失敗になっちゃう…僕も、自信がなくなる」

ベルトルト「ユミルにもまだ痛くて、怖い思いしかさせてないから、止める選択肢はない」


ユミル「…」

ベルトルト「今は無理でも…ユミルを気持ち良くさせたい」

ベルトルト「もちろん僕自身も…」


ベルトルト「…ゆっくり動くからね」…ヌチッ…

ユミル「…んっ」


ベルトルト「ねぇ、僕を見てよ…目を閉じないで」ヌチュッ…ヌチッ…


ユミル「無理言うな…恥ずかしくて…死にそうなんだ」///


ベルトルト(はぁ…すっごぃ…これ)


ベルトルト(理性なんか一気に飛びそうだ)


ユミル「あっ…ぁ…あぁ…はぁ…ぁ」


ベルトルト「ユミル…かわいい…」ギュッ

ベルトルト「突く…たびに…いやらしい声が漏れて…感じてくれてるの?」


ユミル「…ち…がっ…」

ユミル「おま…えのせいだ…ばか…」

ベルトルト「うん、全部…僕のせいだ」ハァ…ハァ…


ベルトルト「ハァ…ユミル…『うん』って言ってよ…さっきの返事…」


ユミル「こんな…ときに…何を…言いだすんだ、おまえは…」ハァ…

ベルトルト「…少し、ずるかった…?ごめんね…」チュッ…


ユミル「…はぁ…はぁ」

ベルトルト「あぁ…もぉ…ごめっ、全然持たない…出そう…」ヌチッ…ヌプ…ヌプ

ベルトルト「もう、ちょっと早く動くから痛かったら言って…ぅ…ぁぁっ…」

パチュン…パチュン…パチパチパチパチ…


ユミル「はぁ…ぁ…もし…中で出したら…んっ…大っ嫌いになる…から…な…」

ベルトルト「…そっちのが…ずるぃ…」




ベルトルト「…っ!はぁ…疲れた…」グタッ…


ユミル「ほら、タオルだ…」

ユミル「お前もよく拭いとけよ…あぁ、こんなに引っ掛けやがって…チッ」ゴシゴシ…

ユミル「太ももベトベトだ、胸の方はもう乾き始めてカサカサになってきてるし…」ジロッ


ベルトルト「」///

ベルトルト「もう…ごめんなさいとしか、言えません…」


ユミル「でも、中に出さなかったのは褒めてやる」

ベルトルト「だって…ユミルが『中で出したら大嫌いになる』って言うから…」


ユミル「はぁ…」

ユミル「あのなぁ…そうじゃねぇだろ…」

ユミル「もっと、よく考えてくれよ。ガキが、ガキ作っていいのかって事を」


ベルトルト「…」

ユミル「私に嫌われるとかじゃない。もっと命に対して真剣になれねぇか?」

ユミル「いくらお互い好きでもなぁ…ここじゃ産めねぇんだよ。お前も育てられない」

ユミル「『好き』だの『愛してる』だの言ってみたところで」

ユミル「身体は大人でも、私らは世間から見たらまだまだ子供なんだ…」



ユミル「…お前は勝手すぎる」


ベルトルト「…僕は、真剣だよ…子供だって君との子なら欲しいと思って…



トントン…



ユミル「!?」
ベルトルト「!?」


ユミル「だっ、誰だっ!」

ハッ!

ユミル「クリスタか?」


ユミル≪おい、お前…早く服着ろっ!≫ヒソヒソ

ベルトルト≪う、うん!≫ワタワタ


ユミル「悪ぃな、クリスタ!思ったより話が長引いちまって…」

ユミル「今開けるから少し、そこで待っていてくれ」


ユミル(くそ!シーツどうする…?とりあえず飲み物こぼしたことにして丸めておくか)

ユミル(ひとまず私のと交換して、後で洗わなきゃ…あぁピンク色の染みが付いてやがる)

ユミル(血、出てるな…想像すると痛くなってきた)


ユミル(って、そんな事は今はどうでもいい!!私も着替えないと!)




見回りの兵士「ユミル、クリスタは居ないのかい?」

ユミル「!」


ユミル「…ナナバさん?ですか」

ナナバ「あぁ、もう消灯時間はとっくに過ぎているのに」

ナナバ「灯りがついていたから念のためノックしてみたんだけど」


ベルトルト≪誰?≫ヒソヒソ

ユミル≪ナナバさん…私らの上官だ≫


ベルトルト≪…まずいね…非常に≫

ユミル≪あぁ…どう切り抜けるか…≫



ユミル「えっと…さっきまで部屋に同期が来ていまして…」

ユミル「もう帰ったので、クリスタをサシャの部屋まで迎えに行くところでした」

ユミル「消灯時間までに帰らせるつもりが、規則を破ってしまい、すみません!」

ナナバ「ふふ、こんなに遅くまで話し込んでいたのかい? 104期生達は仲がいいね」


ユミル「…はぁ」


ナナバ「でも、まぁ一応規則だからね。ここを開けてくれないか?」


ナナバ「この部屋、就寝の点呼はまだだろう?」

ナナバ「クリスタが居ないことは内緒にしててあげるから」

ナナバ「とりあえず、クリスタの荷物があることだけでも確認させて欲しい」


ナナバ「アルミンの件もあるしね…」

ベルトルト「…」


ユミル「はぁーー…」

ユミル「もう、無理だな…」ボソッ


ベルトルト「!?」

ベルトルト≪ユミル!僕を見捨てるの?≫ヒソヒソ

ユミル≪見捨てるも何も、私も同罪だ…壁外遠征間近だし、さすがに営倉行きはねぇだろ≫


ユミル(せいぜい…厳重注意かそこら…)

ユミル(しかし、噂になることは間違いない)

ベルトルト「…」


ユミル「あったま…痛ぇ…」

今から出かけるのでまた夜に来ます。
さきほど投下した分は2/3くらいで今日の分はあと1/3ほど残ってます。

あと、のちほど出てくるユミルの髪留めですが、シーナから盗んできた
設定は他のベルユミSS作者様の設定のパクリです…。
あまりにしっくりきたので使ってしまいました。前もっておわびします。

戻りました。続けて投下します


ナナバ「なーんてね、ちょっと意地悪しちゃったかな?」

ユミル「!?」


ナナバ「その部屋、男がいるな」

ユミル「違う!…いえ…違います…」

ナナバ「嘘はいけないな、ユミル」

ナナバ「実は部屋の前を通りかかったら、君達の話し声が聞こえてね」

ナナバ「ここは女子兵舎だから、男がいる訳はないんだけど…」

ナナバ「つまり、『そういうこと』なのかなぁと思ってさ」

ユミル「…」


ユミル「…はい…すいません」

ナナバ「素直でよろしい」ハハハ…


ナナバ「あと、1週間で壁外調査だ。ストレスでハメを外したい気持ちもわかるけど…」

ナナバ「ほどほどにしておかないと、明日の演習に響くよ」


ユミル「…はい」

ナナバ「そっちの君にも言ってるんだからね。早く自分の部屋に戻りなさい」

ベルトルト「…」


ナナバ「返事は?!」

ベルトルト「あ…はい!!」

ベルトルト「…あ」


ユミル「…バカ」

ナナバ「あっはっは!じゃぁクリスタを早く迎えに行ってやってくれ」

ユミル「ナナバさん、ありがとうございます」


ナナバ「いいよ、おやすみ。良い夢を」

カツ…カツ…カツ…


ユミル「っはーーーー。助かった…」

ベルトルト「ほんっとに…心臓止まりそうだった」

ユミル「…お前のせいだからな」

ベルトルト「…うん」



ユミル「よし、クリスタが心配だ」

ユミル「確か食糧庫だったよな…もう別れてから2時間は経ってるから」

ユミル「サシャの部屋に行ってるかな?」


ユミル「これから迎えに行って来るから、お前も見つからないようにして戻れよ?」

ベルトルト「…」

ユミル「どうした?」

ベルトルト「クリスタは…ライナーと一緒にいる」


ユミル「は…?」


ユミル「おぃ…冗談だろ?なんでだ?って言うか、何故それをお前が知っている?」

ユミル「…!」


ユミル「食糧庫にサシャが居るって言ったのお前だったよな…」

ベルトルト「…」

ユミル「おい!答えろよ!何考えてんだよ!!てめぇら」ガシッ!

ベルトルト「…大丈夫。ライナーは、僕と違って紳士だから…」

ベルトルト「『僕らみたいな事』はしてない」


ベルトルト「ただ、一緒に居るだけ…」

ユミル「…」

ユミル「どうなってやがる…お前を信用した私が馬鹿だった」


ベルトルト「ユミル聞いて!」

ユミル「うるせぇ!クリスタはどこだ!!早く言え!言わないと…」


ベルトルト「西側の兵舎裏…枯れ井戸のあたり…」

ユミル「チッ…ふざけんなよ…クリスタ、待ってろ」ダッ

ベルトルト「待って!」ガシッ

ユミル「ああ?離せよ!!」


ユミル「私に触るな!二度とだ!」


ベルトルト「ユミルも…クリスタも僕らと一緒に今夜ここを出る」

ベルトルト「…脱走するんだ」


ユミル「…」

ユミル「したきゃ勝手にしろよ。私達まで巻き込むな」

ベルトルト「…もう遅いよ。この計画は君達が居なくちゃ意味がないから」


ユミル「…」

ベルトルト「行き先はライナー達と合流してから説明する、いいね」

ユミル「よかねぇが…要はクリスタは人質なんだろ…私が逃げないようにって」


ベルトルト「半分当たってるけど、半分違う」

ユミル「…はぁ」


ユミル「まさか、アルミンみたいになっちまうとはな」

ベルトルト「…」

ベルトルト「とにかく、僕も隠していた荷物を取ってから向かうから、必ず来て!」

ベルトルト「荷物はトランク2つまで。クリスタの分も一緒に詰めてくれ」

ベルトルト「彼女はもう、ここには戻らないから」


ユミル「…」


ベルトルト「衣服は3日分くらいあればいい、日用品は最小限に。足りないものは後で買う」

ベルトルト「お金もすぐに必要なくなるけど…一応、財布と貴重品は持っていくんだ」


ユミル「わかった…」

ベルトルト「待ち合わせ時間は消灯の時間だったから、だいぶ遅れている」

ベルトルト「ユミルも10分以内に支度して枯れ井戸に向かってほしい」


ベルトルト「そこにクリスタもいるから」

ユミル「あぁ…わかってる」


ユミル「兵団の制服も…いらないんだな」


ベルトルト「…うん、僕らにはもう必要ないものだよ」

ユミル「…そうか、自由の翼、ここに置いていくのか」


ユミル「もう…私らはお前らに絡め捕られて…自由の無い身なんだな」

ベルトルト「…」

ユミル「はぁ…泣かねぇぞ、今日はもう。何回、お前に泣かされたか」


ベルトルト「…ユミル」


ベルトルト「…」


ベルトルト「今言う事じゃないとは思うんだけど、その髪留めも置いて行って欲しい」

ユミル「いつも着けてるこれか?」

ベルトルト「そう…えんじ色の…」


ユミル「なんでだ?」

ベルトルト「その色、あまり好きじゃないんだ。そんなくすんだ色じゃなくて、」

ベルトルト「ユミルには、もっと似合う色がある」


ユミル「…」

ベルトルト「街に着いたら僕が替わりの物を買ってあげるから、それは置いて行って」


ユミル「…これは、シーナで盗…借りてきたものだ。結構、高価なものなんだぜ」

ユミル「それに、私はこれを気に入ってる」


ベルトルト「でも、僕が嫌なんだよ」

ユミル「…」


ユミル「あーぁ、がっかりだな…」

ユミル「お前なぁ…一度抱いた女は、自分の物とか…思い上がってねぇか?」

ユミル「私は、お前の好みに合わせてこれから生きていかなきゃならないのか?」

ユミル「しかも明確な理由もなしに、自分の好き嫌いで相手を従わせようとする」


ベルトルト「…そんなつもりじゃない」

ユミル「でも、結果はそうだろ」


ベルトルト「…」


ユミル「なぁ、私らは生まれた年も、出身も、育った環境も違う」

ユミル「好みや思考も、違ってて当たり前なんだ」


ユミル「相手を尊重できないようじゃ、お前とは…1回限りだな」

ベルトルト「…ごめん、また我儘が出た」


ユミル「いいさ、どうせこの髪留めはここに置いていく」

ベルトルト「!」

ユミル「勘違いすんなよ。お前のためじゃねぇ」

ユミル「ここにはもう二度と戻って来られないんだろ?」

ユミル「これは、私の兵士としての人生と決別する証しにする」


ユミル「荷物用意したらすぐ行くから、クリスタには何もすんなよ。…逃げないから」

ベルトルト「…うん。待ってる」

今日はここまで。読んでくれてありがとう。
おやすみなさい。次はアルミン出るかな?


今から投下します。 アルミンはまだ先のようです




~西側の兵舎裏 枯れ井戸周辺~



ベルトルト「ごめん、ライナー!だいぶ遅くなった…」ハァハァハァ…

ライナー「遅いどころじゃないぞ、ベルトル!!1時間も遅れやがって…」

ライナー「俺はお前がどっかでヘマをして来れなくなったんじゃないかって」

ライナー「正直、気が気じゃなかったぞ…」


ベルトルト「ごめん…心配かけて」

ライナー「…で、ユミルは一緒じゃないのか?」

ライナー「まさか、お前…ユミルの説得に失敗したのか?」


ベルトルト「彼女は来る。必ず」

ベルトルト「僕と約束したし、それに…ここにクリスタが居るから…」

ベルトルト「…」


ベルトルト「それと、説得と言うか…」

ベルトルト「まだユミルにこの計画についての詳しい話はしてないんだ…」


ライナー「…」

ライナー「はーーーっ…じゃあお前はこの2時間、何してたんだよ!」

ベルトルト「…ごめん、それは…言えない」

ライナー「はぁ…まったく…」

ベルトルト「ねぇ、クリスタはどこ?」

ライナー「あそこだ、馬を繋いだ木にもたれて少し休んでる」

ライナー「ユミルに会いたい、部屋に戻りたいと泣くクリスタを」

ライナー「ここに留めるのは大変だったんだぞ…」ハァ…

ライナー「今やっと落ち着いたところだ」

ライナー「声はかけるなよ。早くお前は自分とユミルの分の馬を取ってこい」

ライナー「そしたら、出発だ」


ベルトルト「うん。急いで行ってくる」



ライナー「あぁ…ちょっと待て」

ベルトルト「何?」

ライナー「今夜の厩舎の見張りは…アルミンがいた班の班長、ネスさんだ」

ライナー「アルミンの事で、責任を感じてこうやって見張りをかって出てるらしい…」


ベルトルト「…そう」

ライナー「今度の壁外調査の陣形、彼の班は右翼側の次列四、俺のいる班は次列五でな」

ライナー「配置が近い関係で、演習なんかでネスさんともだいぶ親しくなったんだ」

ライナー「だから、疑われる事なく…」

ライナー「俺が持って行った眠り薬入りの差し入れを飲んでくれた」

ベルトルト「うん」


ライナー「しかし、当初の予定より時間が経っている。まぁ、杞憂だとは思うが…」

ライナー「もし、万が一だ。彼が途中で目を覚ましても…殺すなよ、ベルトル」


ベルトルト「…わかってる」

ベルトルト「でも、多めに盛ったんでしょ?薬」

ライナー「あぁ、勿論!でなきゃこんなところでお前とのんびり、話なんかしてられるか」ハハッ…

ベルトルト「だね…」クスッ


ベルトルト「ユミルが来る前に、戻ってくるよ」


ベルトルト(殺せば…僕らは追われる)


ベルトルト(その人に何の感情もないけど、面倒なのはごめんだ)



~同じ場所 前述より10分後~


ユミル「ライナー!」タッタッタッ…

ユミル「」ハァ…ハァ…


ユミル「クリスタはどこだっ!!」

ライナー「大声出すな!」シーッ

ライナー「クリスタならそこにいる」クイッ

ユミル「!?」

ダッ…

ライナー「待て!疲れて眠ってるだけだ」ガシッ

ライナー「少し、寝かせてやれ」

ユミル「本当か?何もしてないだろうな!」

ライナー「当たり前だろ!ちょっと落ち着け」

ユミル「…これが落ち着いていられるかっ!お前ら、だまし討ちみたいな真似しやがって」


ユミル「大体、どいつもこいつも気安く女の身体を触るんじゃねぇよ!」

ユミル「このスケベがっ…手ぇ離せ」ブンッ


ライナー「す…スケベってなぁ…!」/// パッ

ユミル「クリスタが…無事で…本当に良かった」ハーッ

ライナー「…」


ユミル「おい!ベルトルさんはどうした?」

ライナー「先刻、ここから脱出するための馬を取りに行った」

ライナー「すぐ戻ってくるだろ、それまで大人しくここで待ってろ…」

ユミル「…」


ユミル「クリスタと…」

ライナー「ダメだ!お前はベルトルが戻って来るまでここに居ろ!」

ユミル チッ…


ユミル(今から全力で走ってクリスタを抱え、兵舎内まで逃げ込めないか…?)

ユミル(ベルトルさんが居ない今がチャンスだ…よく考えろ、私)


ライナー「余計なことは考えるなよ、ユミル…」

ユミル(くそっ…こいつが邪魔だ)


ライナー「ベルトルまだかよ…」ボソッ

ユミル「お前、ベルトルさんの様子見に行って来いよ。待っててやるから…」

ライナー「…その手は食わんぞ。…逃げる気だろ」


ユミル「チッ…めんどくせぇな」



ユミル(だが、現実にはもう…逃げることは不可能だ)

ユミル(私はあいつに弱みを握られている…クリスタには私が巨人だと知られたくない)

ユミル(それに…ベルトルさん自身も巨人だ)

ユミル(何m級なんだ?あの身長だ、5~6m級じゃないだろ…じゃぁエレンと同じ15m級?)

ユミル(上官方は就寝中で…立体機動装置も付けてない、この状態で襲われたら調査兵団は壊滅)

ユミル(今、私が下手な真似をしてベルトルさんに暴れられたら困る…)


ユミル「…あ!」

ライナー「…?」


ユミル「あのさ、いきなりでアレだが…お前、巨人なのか?」

ライナー「」ブホッ!!

ライナー「おま…お前なぁ…」

ライナー「ベルトルはお前にどこまで話したんだ…」ハァ

ユミル「本人が、僕とアニとライナーは…共犯者だって言ってたから」

ユミル「ベルトルさんが『そう』ならお前も『そう』なのかなって」


ライナー「…」

ライナー「そうだな…認める」

ユミル(やっぱりか…巨人2人じゃ分が悪い。逃げられる気がしない…)


ユミル「はぁ…」




ユミル「あぁ、そう言えばお前、いつからここに居たんだ?」

ライナー「ん?」


ユミル「2週間前、アルミンが脱走したのは知ってるな」

ライナー「あぁ、同じ部屋だったしな」

ユミル「奴は立体機動装置2つ、兵団所属の馬2頭を盗んでどこかへ消えた」

ユミル「そのせいで規則が追加された」

ユミル「消灯時間に先輩が見回りに来て、ドアを開け、顔を見て、就寝の点呼を取る」

ライナー「そうだったな」


ユミル「ベルトルさんが、消灯時間に待ち合わせとか言ってたんだが、お前の所は平気だったのか?」

ライナー「まあな。うちのところは緩いんだ、点呼は取りに来るがドアまでは開けない」

ライナー「壁外調査までもう日がない。1週間後に自分が死ぬかも知れない恐怖、」

ライナー「みんなそれを忘れるために、夜遊びに勤しんでるからな」

ライナー「有って無いような規則だ。誰も守れてないし、先輩方もそんなに気にしちゃいない」


ユミル「何のための規則なんだか…ザルだな、そりゃ。ま、こっちも同じようなものか」


ユミル(ナナバさんは偶然通りかかっただけで、本来の点呼の担当兵士ではない)

ユミル(しかも見逃してくれた)

ユミル(私達以外にも…『そういうこと』は多いんだろうな。対応慣れてる感じだったし)


ライナー「そんな訳で、同室のジャンとコニーに代返頼んできた」

ライナー「ベルトルはユミルに…俺はクリスタに、今夜告白するから協力してくれってな」


ユミル「…」

ライナー「でさ、俺が『…勝負は今!ここで決める』って言ったら、」

ライナー「ジャンの奴、『夜這いすんなよ!』ってニヤニヤしながら送り出しやがった」ニマニマ

ユミル「…」


ユミル「笑えねぇ…」

ユミル「…で、お前らはコニーやジャンも騙して…脱走するんだな」

ユミル「もう、二度と会えないってのに…」


ライナー「仕方ねえだろ…もう決めたんだ」

ユミル「エレンも…きっと悲しむだろうな」


ライナー「…」


ユミル「なぁ、ライナー」

ユミル「ベルトルさん…さすがに遅すぎないか?」


ライナー「あぁ、そういやそうだな。だいぶ時間が経ってる」

ユミル「心配だからちょっと見てくるわ」ヒラヒラ

ユミル「言っとくが、クリスタには手を出すなよ!」クルッ

ライナー「出すならとっくに出してるぞ…」


ライナー「あ!その前にユミル、お前ベルトルと2時間も何してたんだ?」

ライナー「あいつ、教えてくれん」


ユミル「…」


ユミル「告白、キス、脅迫にプロポーズ、おまけにお互い初体験まで済ませた」


ライナー「…は?」


ユミル「…冗談だ。じゃ、行ってくる」




~西側の厩舎~(同時刻より少し前)



ベルトルト「失礼します…」ギギギッ…


ネス「…ンゴゴゴゴ…」ゴロン…

ベルトルト「本当だ、よく寝てる」

ベルトルト「今のうちに…」


ベルトルト(乗り慣れてきた自分の馬じゃなくていい)

ベルトルト(巨人に怯えず、足が速く、生還率の高い、若くて健康な馬…)

ベルトルト(よし!この2頭にする)


ネス「…ゴゴゴゴォ…ンガッ」ゴロゴロ


ベルトルト(大丈夫だよね…腹帯と鞍を付けて…っと、そーっと出よう)


ベルトルト「それにしても、このネスって人…寝相が悪すぎる…」ボソッ

ネス「ん…アルミンか…?やっぱり戻ってきたんだな…」


ベルトルト「」ビクッ!

ベルトルト(えっ!聞こえた?)

ベルトルト(まずいぞ)ドキドキ…


ネス「ふわぁ~ぁ…」

ネス「何だ…俺、寝ちまってたのか」ゴシゴシ


ベルトルト(やばい!)

ネス「…?…お前は…誰…だ…?」

ネス「!?」


ネス「お前、脱走す…ベルトルト「ごめんなさい!」ガッ!

ネス「ウグッ…グググ…!」


ベルトルト(このまま…スリーパーホールドで絞め落とす!)グググッ!

ベルトルト(気絶させるだけだ、殺さない)


ネス「こ…の…」シャラララ…

ベルトルト「!!」

ドスッ!

ベルトルト「がっ…あぁぁぁぁあああっ!!」


ベルトルト(ブレードが…右脚の太ももを貫通して…)


ベルトルト(声を…押し殺せ…。誰か来たら困る!)グググググッ


ベルトルト「もう…いい加減落ちてくれよっ!」ギリギリギリギリ


ネス「…」

ドスン


ベルトルト「…はぁ…はぁ…」

ベルトルト「力を入れ過ぎて…殺した…か?」


ベルトルト「あぁぁ…いったぁ…柄の部分までブレードが刺さってる…」

ズズズ…


ベルトルト「僕が、ユミルへの情欲に溺れたせいで…人が死んだ…」ハァハァ…


ベルトルト「もう1時間早ければ、彼は…」






???「ベ…トル…さ…!…ルトルさん!」

ベルトルト(誰…?すっごく眠いんだけど…)


ユ??「おい…しっかり…てくれ…!」

ベルトルト(あぁ、この声好き。ずっと聞いてたい)

ユ?ル「」ベチン!!


ベルトルト「痛っ!」ハッ

ユミル「…目ぇ覚めたか?」

ベルトルト「…ここは?」


ユミル「厩舎の中」


ユミル「あんまり遅いから様子を見に来た。そしたら…えらいことになってた」


ベルトルト「はは…血溜まりだね。大きな血管傷つけたみたい」

ベルトルト「失血で、気を失っちゃったんだね」


ユミル「…笑い事じゃねぇよ」イラッ

ユミル「私が、超硬質ブレード抜かなきゃな」

ユミル「お前、死んでたんだぞ!」

ベルトルト「…うん、ユミルは命の恩人だ」ニコッ

ベルトルト「刺さったままじゃ…回復出来ないもんね…ありがとう」

ベルトルト(血が、足りない…まだ頭がぼーっとする)

ベルトルト「ユミルの手、真っ赤だ…」

ベルトルト「それって僕の血…?」


ユミル「それもあるが、私の血だ」

ユミル「もう回復し始めてるから心配ない」

シュゥゥゥゥゥゥ…


ユミル「ブレードを折る時に、少し手を傷つけた」

ユミル「溝にそって力を加えれば…素手でも折れるんだな」

ベルトルト「…」

ベルトルト「僕のために…その手を血で汚したの?」

ユミル「…ん?そうだが。別に大したことじゃないさ」


ユミル「それよりここは危険だ。歩けるようになったら移動しよう」

ユミル「さすがにこの異様な光景だけは、どんな言い逃れも通用しそうにないからな」

ユミル「それに、お前を刺したその人が、またいつ起きるかわからねぇし…」


ベルトルト「!?」


ベルトルト「死んでないの?!」

ユミル「あぁ、気絶してるだけだ」


ベルトルト「はっ…あぁ…そっか、良かった」 アハハハ…


ベルトルト「ユミル…僕の手を握って」

ユミル「…こう、か?痛てっ…」

ベルトルト「ごめん、まだ回復中だったね」

ユミル「へ、い…平気だ」グッ


ベルトルト「はぁ…もう二度と触るなって言われたけど、ユミルが手を握ってくれた!嬉しい」ニコニコ

ユミル「!?」


ユミル「…おぃ、そんなくだらない理由なら手を放すぞ」///

ベルトルト「僕は離さない。このまま集中して傷を回復させるからもう少しこのままで…」

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

ユミル「…はぁ」



ベルトルト「僕はね、前にユミルを殺そうとしたんだ」

ベルトルト(まだ、頭がくらくらする)


ユミル「は…?なんだそれ」

ベルトルト「最近の話、だよ」

ベルトルト(こんなこと言うつもりじゃないのに)

ユミル「全然、気が付かなかった。どうやって殺すつもりだったんだよ…」


ベルトルト「僕が直接手を下すわけじゃない。『戦士』としての使命を遂行する過程で、」

ベルトルト「ついでに君が、巨人にでも食われてくれないかなぁ…って思った」


ベルトルト(…もう、楽になりたい、気持ちを吐き出したい)

ユミル「…」


ベルトルト「もし、君が死んだらね、僕は」

ベルトルト「自分もやっと死ねるって思ったんだ」


ユミル「!!」

ベルトルト「僕らに課せられた『任務』のことも、『故郷』への思いも…全部投げ出して」

ベルトルト「君の亡骸の隣で、僕も死のうかな…って」


ユミル「…そう…か」

ベルトルト「頭がおかしくなってたのかな」

ベルトルト「あの時は、君にまるで相手にしてもらえなくて、心が少し病んでたみたい…」

ベルトルト「僕が君と心中したいばっかりに、沢山の人の命を奪ってしまった…」


ユミル「もう…しゃべるなよ、回復に集中しろ…」


ユミル「何の事だかわからないが…お前はもう私と心中する気は無いんだろう?」


ベルトルト「…うん」


ベルトルト「僕は、ユミルと生きたい」

ベルトルト「それで君と幸せになりたい…」

ベルトルト「許されない事だけれど、長生きもしたい。君との子供も欲しい」


ユミル「…」


ベルトルト「だから、君が僕のお願いに『うん』って言ってくれるのを待ってる…」



ユミル「すぐに返事は、できない」


ユミル「…少し、時間が欲しい」


ベルトルト「うん…わかった」




ユミル「蒸気、出なくなったな…」

ユミル「ベルトルさん、立てるか?」

ユミル「クリスタとライナーが待ってる。もう、ここを出発しよう」


ベルトルト「そうだね。あぁ…その前に…」

カツン… …カツン…


ベルトルト「これ、2本貰っていく」

ユミル「立体機動装置のガスボンベ?」


ベルトルト「うん、これは絶対必要になるから。予備が多いに越したことはないよ」






~ウォール・ローゼ 南区~ 

真夜中 どこかの街道



ライナー「ベルトル、体力は持ちそうか?」

ベルトルト「心配ないよ。このまま行こう」


ユミル「クリスタ、寒くないか?」

ユミル「何が必要かわからないから多めに詰め込んできたが…その上着は薄かったかも…」

クリスタ「大丈夫だよ、ユミル。ありがとう」

ユミル「そうか、良かった…」


ベルトルト「…」




ライナー「今の速度を維持して、夜通し馬を走らせる」

ライナー「昼には大きめの街に着くから、そこで休憩を取ろう」


ユミル「追手は?」

ベルトルト「来てる気配はないけど…」

ベルトルト「今後は、各区・各街の憲兵および駐屯兵に照会はされるだろうね」


ライナー「お尋ね者…って訳だな」

クリスタ「…」


クリスタ「ねぇ、ユミル…どうしてこんな事になっちゃったの?」

クリスタ「私、理由がわからないよ」

クリスタ「食糧庫の前でサシャを探していたら…ライナーが居て」


クリスタ『ユミルが今から調査兵団を抜ける、俺達も付いてこう』って…」

ユミル(なんだその誘い文句は…)


クリスタ「でも、待てども待てどもユミルは来ないし…私、騙されているのかと思った」

ユミル(だから、騙されたんだよ!私ら2人は、こいつらに!!)


クリスタ「だけど…私、ユミルと一緒ならどこへだって行けるから!」

クリスタ「だから、置いていかないで…今度は、私にもちゃんと相談して、ね?」


ユミル「クリスタ…」

ユミル(クリスタは…ベルトルさんが私を連れだすために用意したエサなのか?)

ユミル(こいつらはクリスタまで連れてきて、何が目的なんだよ…)


ユミル「悪ぃなクリスタ…巻き込んじまって」

ベルトルト「…違うよ」

ベルトルト「僕らにも、クリスタは必要だったんだ」


ベルトルト「だってクリスタじゃなきゃ、ライナーが納得しないから」


ライナー「ベルトル、後にしないか?」


ライナー「俺はお前と違って、まだクリスタには言ってないんだよ…」



ユミル(何となく、意味がわかってきたが…)


ユミル(今はまずい、後でライナーに問い詰める!)



ユミル「なぁ、ライナー、私らまだ行き先を聞いてないんだが…」

ユミル「どこへ向かっているんだ?」


ライナー「…西だ」

ユミル「西?」

ベルトルト「正確には、北西だけどね」

ベルトルト「ウォール・シーナ西の突出区。『ヤルケル区』だよ…」

ベルトルト「アニが居るストへス区がシーナの東だからちょうど反対側にある区だね」


ユミル「アニか…」ハァー

ベルトルト「…」

ユミル「そこに行ってどうするんだ?」



ライナー「そこで、準備をする」


ライナー「生き延びるための…準備だ」

ユミル「じゃぁ、そこが最終地点じゃないんだな…」


ベルトルト「まぁ…ね」


クリスタ「どこに行くか、ユミルも知らないの?」

ユミル「あぁ、実は知らないんだ。全てはこいつらの手のひらの上だ…」チッ


ユミル「まさかとは思うが、おまえらの『故郷』とかじゃねぇだろうな…」


ライナー「お前、知ってるのかよ…俺たちの『故郷』がどこにあるのか…」

ユミル「知るか!さっきベルトルさんと話した時、故郷への思いがどうとか言ってたから…」


ベルトルト「『故郷』じゃないよ」

ベルトルト「僕は、ユミルと離ればなれになるのは嫌だから、絶対そこには帰らない」


ユミル「…そうか」///

ユミル(なんだ、この気持ち…すごく嬉しい)


クリスタ「…」


今日はここまで。読んでくれてありがとう。

次は更新遅めです。おやすみなさい


感想頂けて嬉しいです。励みになります。

仕事終わって一杯飲みながら読み返してたら、おかしいところが
多く見つかったので、少しだけ訂正させてください。

>>222 ネス班長は「アルミン」ではなく「アルレルト」呼びでした。すみません。

>>216 「巨人2人」じゃなくて「巨人2体」に訂正します

>>239 「故郷」について、ユミルがこの段階でベルとライナーが同郷と知ってるのは多分、
不自然なので、事前にコニーから聞いてたことにして下さい。
あと、待ち合わせ時間を消灯時間としたせいで、矛盾が生じ、いらない解説を付け加える
ことになりました…。就寝の規則うんぬん。

完結まで頑張ろうと思いますので、暇があったらまた覘いてみてください。

とりあえず、更新遅めと書いておくと安心する癖がついてしまった。


今から投下します。


ユミル「なぁ、今から独り言を言うが…誰も返事をしないでくれよ」

ユミル「恥ずかしいからな…」

ユミル「クリスタもそうだが、私は『あいつら』にお別れも言えず、連れて来られたんだ」


クリスタ「ユミル…やっぱり自分の意思で脱走したわけじゃないんだね」

ユミル「あぁ」

ユミル「お前が心配すると悪ぃから、こいつらと話を合わせておこうかとも思ったが…」

ユミル「やっぱ…そういう訳にはいかねぇよな…」フーッ


ユミル「私らは、ライナーとベルトルさんにさらわれた。これが真実だ。目的も不明」

クリスタ「なんとなく、そうじゃないかって思ってた…」

クリスタ「だってユミルが脱走を計画したのなら、行き先を知らないって…変だもの」


ライナー「…」


ユミル「だが、ここに来て一つ分かった事がある…」

ユミル「この二人は、私らを不幸にするために連れ去ったんじゃ無いって事だ」


クリスタ「…」

ベルトルト「…」

ユミル「あとで二人にはキッチリ、私らが納得出来るような説明をしてもらうから」

ユミル「クリスタ、安心しろ。何も心配はいらない」


クリスタ「ユミル…」


ユミル「で、やっとここから独り言が言える」

ユミル「念を押すが、誰も返事はするな」


ユミル コホン…「よし…!」

ユミル「なぁ…コニー、サシャ。私はお前らの天真爛漫でバカなところが好きだった」

ユミル「それを『かわいい』と思っていたし、」

ユミル「いつまでも変わらないでいて欲しいと願っていた」

ユミル「でも、あのトロスト区の一件から、お前らは変わった」

ベルトルト「…」

ユミル「…絶望。知ったんだな…とうとう」

ユミル「あんなに怯えて、笑顔が消えて、」

ユミル「私が知る、私が好きだった二人が居なくなっちまった…」

ユミル「もう、お前らはかわいくねぇよ」


ユミル「…お前ら、なんでアニみたく憲兵団に入らなかったんだよ…」

ユミル「私は、お前らに死んで欲しくないんだ」

ユミル「だから、次の壁外調査も…必ず生き残れよ」


クリスタ「…」




ユミル「次はお前だ、ジャン」


ユミル「なんだよ、その眼は。まるでエレンじゃねぇか」

ユミル「マルコの死がお前をそんな眼にしちまったのかよ?」

ユミル「お前って、そんな上等な人間じゃねぇだろ…」

ユミル「いつだって自分の事しか考えてこなかったろ?」

ユミル「なんで…なんでてめぇも憲兵団へ行かなかったんだよ…」


ユミル「命を、惜しめよ」

ユミル「お前も…もうかわいくねぇ…絶望を…勝手に知るんじゃねぇよ…バカ!」

ユミル「でもな、ミカサとの事だけは、世界中、誰が反対しても私は応援してるからな」

ユミル「エレンから、かっさらえ!…でもって、お前も、絶対死ぬな!」


ライナー「…」




ユミル「次はエレンとミカサだ」

ユミル「特別、仲が良かったわけでもねぇけど」

ユミル「私は、別にお前らの事…嫌いだったわけじゃねぇ」

ユミル「ただ、怖かった」

ユミル「エレン、お前の巨人を憎むその眼が」

ユミル「なんで怯えちまったか、詳しい理由はお前らには言えねぇな…」


ベルトルト「…」

ユミル「…シガンシナ区の、お前の生家まで、いつかたどり着けるといいな」

ユミル「今回の目的は、シガンシナ区へ大部隊を送るための補給路を構築することだから」

ユミル「まだ、お前らが『何か』を掴むのは先の事だろうけど…」


ユミル「頑張れよ、そんで、生きろ…」



ユミル「最後はアルミンだが…」

ユミル「お前にはもう、何言っても届きそうもねぇな、言いたい事はたくさんあるが」

ライナー「アルミンには…」

ユミル「おい!口を挟むなって言ったろ!」

ライナー「いや、言わせてもらう」

ライナー「アルミンにはまた会える」


ユミル「…は?」

ライナー「だから、言いたい事は本人に言え」

ライナー「お別れの言葉以外をな」



ユミル「お前…そりゃどういう意味だ…」



 

脱走から夜が明けて2日目・昼前

壁外調査まであと6日


~ウォール・ローゼ 南区~ 

街道沿いに栄える中規模の街




ベルトルト「ライナー…」

ベルトルト「あのさ、言いにくいんだけど…」

ベルトルト「何でこんな『それっぽい宿』しか取れなかったの?」

ライナー「…仕方ねぇだろ、今日はどこも混んでんだってよ」

ライナー「それに俺達は昼に入って夜にまた出発するんだから、」

ライナー「この宿の使い方としては、あながち間違ってない」


ベルトルト「…」


ライナー「普通の宿は、今日は無理だ。諦めてくれ…」


ベルトルト「はぁ…」

ユミル「だからって…連れ込み宿はねぇだろ!!」イラッ


ライナー「あのなぁ…この宿だって1部屋しか空いてなくてだな」

ライナー「本来は2人用だってのに、頼み込んで4人入れてもらったんだ!」

ライナー「仮眠をとるだけなんだから我慢しろ!文句言うな、おまえら」


クリスタ「…ユミル、連れ込み宿ってなに?」

ユミル「あぁ…あの…お前は知らなくていい…」///


ベルトルト「男女が愛を確かめ合うところだよ。このベットとか…」

ユミル「!?」

ベルトルト「朝方まで使ってた人達の温もりが、まだ残ってるかもね」ニコニコ


クリスタ「…やだ、私こんなところ!」ギュッ

ユミル「おまっ…何てこと言うんだよ!」

ライナー「そうだぞ!無垢なクリスタに変なことを教えるな!」


ベルトルト「はいはい、本当の事教えちゃってごめんね、僕が悪かったよ」


ライナー「…」


ユミル「クリスタ、大丈夫だ。シーツは替えてあるし、清掃も入ってる」

ユミル「安心して横になれ、ベットは硬いが床で寝るよりはましだ」


クリスタ「うん…ありがと…ユミ…」ウトウト…


ポスン…


ベルトルト「予想通りだけど、ベットって1つしかないよね…」

ライナー「俺らは…床だな」


ユミル「一応、ガウン2枚あったからお前ら、それ掛けて寝ろよ。風邪ひかないようにな」

ベルトルト「ありがとう、ユミルは優しいね」


ライナー「…どうもベルトルがおかしい」


ライナー「クリスタ、よく寝てるな…」


ユミル「疲れたんだろ…」


ユミル「今日のは実践演習よりキツかったし、あの小さな体じゃ無理もない」

ユミル「ここまで…時折り休憩は挟んだが、10時間以上駆けっぱなしだ」

ユミル「今、ベルトルさんが馬の給餌をしてくれてるけど、馬も相当疲れてるだろう」

ユミル「いくら調査兵団の馬って言っても、今回は強行軍過ぎる。さすがに可哀想だ」


ライナー「無理は承知だ…」

ライナー「地図がどれだけ正確かはわからないが、」

ライナー「俺は出発地からヤルケル区までおよそ530 kmと見ている」

ライナー「今ちょうど、その中間を過ぎた辺りだと思う」


ユミル「へぇ…」


ライナー「今後の予定としては、ここで夜まで休み、また夜通し駆ける」

ライナー「順調にいけば、明日の昼前にはヤルケル区の外門に着くはずだ」


ユミル「馬にとって辛い夜になるな」


ライナー「あぁ、俺たちにとってもな」


ガチャ…  ギギッ…


ベルトルト「給餌終わったよ、それで…」

ベルトルト「やっぱり貧血がひどくて、さっきの野戦糧食だけじゃ足りないから」

ベルトルト「この近くの食堂で食べてくるつもりだけど、ユミルも一緒に行かない?」


ユミル「そうだな…いや、私はいい。さっき貰った野戦糧食で十分だ」

ユミル「それに、今は食事より風呂に入りたい…」


ベルトルト「下の階に浴場があったけど、夕方からみたいだ。入ってから出発しようか」

ユミル「そうか…助かった。そう言えば、あの後、風呂入ってなかったもんなぁ」


ベルトルト「あの後…」


ユミル「…」


ライナー「何なんだ、この沈黙は」


ベルトルト「ライナーは行く?食事」

ライナー「いや、俺も十分だ。寝て起きたら、出発前に何か腹に入れる」

ベルトルト「そう…じゃぁ僕だけ行ってくるね。また後でね、ライナー、ユミル」


タン…タン…タン…


ライナー「はぁ…あの様子だと、お前らの方は上手く行ってるみたいだな」


ユミル「…!」

ユミル「バ…バカ。そ…そんなんじゃねぇよ、余計な詮索すんな」

ライナー「別に詮索してる訳じゃないが、何か色々とダダ漏れなんだよ…お前ら」


ライナー「平たく言うと、ベルトルが羨ましい…」ハァ…

ユミル「…」


ユミル「昨日から聞きたかったんだが、ライナーはクリスタにまだ告白してないんだよな」

ライナー「あぁ」

ライナー「こんな大それたことをしてもなお、勇気が出ない」

ユミル「本当に、純情なんだな」


ライナー「…悪いかよ」///カァァ…

ユミル「いや、褒めてる。何となくわかった。お前らが私らを連れ去った目的って」

ユミル「今回の壁外調査で、死なせないため…とかだろ?」


ライナー「…あぁ」コクン…

ライナー「でも、それだけじゃない」

ライナー「俺達は運命から逃れて…新しい人生を歩みたいと思った」

ライナー「人間として」


ユミル(…私と同じだ、こいつら)


ユミル「その人生を共に歩む相手として」

ユミル「ベルトルさんは私を、お前はクリスタを…選んだって訳か」

ライナー「そうだ…自分でも強引だとは思う。でも、今しかないと思った。すまない」

ユミル「お前、悪い奴じゃないよな」

ライナー「は?」


ユミル「クリスタをどうにかしたいなら、今まで何度もチャンスがあったのに…」

ユミル「あいつに指一本、触れてないんだろ?」

ユミル「見直したぞ、そして少し気に入った」

ライナー「褒められてるのか?俺は」


ユミル「クリスタにだって、選ぶ権利はある」

ユミル「だから手は貸せない、応援するつもりもない、でも…頑張ってみろよ」

ユミル「上手く行くかは、お前の努力次第だ」





トントントン…


ベルトルト「ユミル開けて~」


ユミル「…ん…べるとる…さんか?」フニ…

ベルトルト「は~や~く~!」

ユミル「ま、待て待て…静かに!あいつらを起こしちまう…」シーッ


カチカチ…

ガチャッ… ギギギッ…

ベルトルト「ただいまっ」ダキッ

ユミル「わっ!…なんだ急に!」


ユミル「お前、酔ってるのか…?」

ベルトルト「ん~…少し?」

ベルトルト「食堂兼酒場だったみたいで、隣のおじさんが一杯奢ってくれた~」


ユミル「お前、酒なんて飲める歳じゃないだろ…なんで断らねーんだ、しかも昼間から」

ベルトルト「だってぇ~…」

ユミル「はぁ…そろそろ寝とかないと、後が辛いぞ…ふぁ~」ムニムニ


ユミル「床で悪いが、もう寝よう。いい子だから…ほら」

ベルトルト「寝るよ~寝るから…その前に…」


ベルトルト「ユミルともう少しお話ししたい」


ユミル「…」

ユミル「悪いがこっちも眠い…今は無…ベルトルト「…やだ!」

ユミル「おい、子供かよ!」


ユミル「はぁ…わかったよ…」

ユミル(酔っ払い相手に何言っても仕方ねぇか)


ベルトルト「ユミル大好き…」ギュゥゥゥ

ユミル「…そこで二人、寝ているんだが」


ベルトルト「!?」

ユミル「今頃気付くな…」




ベルトルト「こうやって抱きしめるとわかる」

ユミル「何がだ?」

ベルトルト「すごくいい匂いがするってこと…」

ユミル「汗臭いだろ…風呂入ってないし」

ベルトルト「ううん、いい匂いだよ。ユミルの匂いは汗と交ると薫るんだ」


ユミル「うぇ…私そんなに臭うか…?」クンクン…

ユミル「自分じゃ、わからないな」


ベルトルト「最初に嗅いだときは、クリスタの匂いかと思った…」

ベルトルト「気付いたのが、クリスタのベットの上だったから」

ユミル「…」

ベルトルト「でもやっぱり、ユミルの匂いだ」

ベルトルト「甘い花の香り。…百合かな」

ユミル「百合は相当、匂いが強いぞ…」

ベルトルト「ここまで身体を密着させないと誰も気づかないよ。僕だけが楽しむんだ」


ユミル「はぁ…訳わかんねぇな」


ベルトルト「僕の匂いも嗅いでみて」

ユミル「ん…?」スンスン

ベルトルト「どんな匂いがする?」


ユミル「森の中にいるみたいな…森林の匂いだ。いや、樹木…かな?」


ベルトルト「そうなの?…この匂いは好き?」

ユミル「ははっ…どうしたんだよ?お前」

ユミル「ちょっと酔いすぎだ」


ベルトルト「ちゃんと答えて」


ユミル「…好きだよ。嫌いな匂いじゃない」

ユミル「嗅いでいると落ち着くな。不思議だ」


ベルトルト「酒場のおじさんが言ってた」

ベルトルト「匂いで、わかるんだって」

ベルトルト「相手と自分の相性が合うかどうか。本能で、惹かれあうんだって」


ベルトルト「僕は、また一つ。君を好きな理由を発見した!あぁ、最高に幸せ」


ユミル「…そうか、そりゃ良かったな」ハァ…

ベルトルト「うん♪」



ベルトルト「ねぇ…ユミル。髪留めの事、まだ怒ってる?」

ユミル「あー…色々あって忘れてたが、そんな事あったな」


ベルトルト「故郷と、開拓地と、訓練兵時代と少しばかりいた調査兵団」

ベルトルト「僕は、これしか世間を知らない」

ベルトルト「世間知らずで、我儘。自分の気持ちを上手く君に伝えることができない」


ベルトルト「君をないがしろにするつもりはなくて…」

ベルトルト「傷つけたくもないのに…いつも言葉選びに失敗している気がする」


ユミル「…」


ベルトルト「だから今後、僕が君に対して接し方を間違って、」

ベルトルト「君が不快に思ったり、疑問に思うことがあったら」

ベルトルト「また、昨日みたいに僕を叱って欲しい」


ユミル「叱って欲しいって…私はお前の母親かよ」

ベルトルト「違うよ、恋人だよ」


ユミル「なっ…さらっと言うな…」///カァァァ


ユミル「なぁベルトルさん、本当は酔ってなんかないんだろう?」


ベルトルト「ちゃんと…酔ってるよ」


ユミル「うそつき…」


ベルトルト「謝るきっかけがなくて…でも、うやむやにしたくなかったんだ」

ベルトルト「すれ違いがあったのなら、ちゃんと話し合いたい、今後もこんな風に」


ベルトルト「ごめんね…僕はもっとユミルの事、知りたい。考え方も好みも…もっと」

ユミル「そうか…私もベルトルさんの事、もっと知りたくなってきた」フフッ


ベルトルト「僕が急ぎすぎたせいで、順番が違う事になっちゃったけれど」

ベルトルト「これからは、ひとつひとつ積み重ねていこうね。普通の恋人みたいに」



ユミル「…」




ユミル「だったら…」

ユミル「私の秘密を聞いてくれるか?お前に知ってて貰いたい」

ユミル「それを知ったら、お前は私に幻滅して嫌いになるかも知れないが」


ベルトルト「知りたい。君の事なら何でも」


ユミル「そうか…ありがとう」


ユミル「前にベルトルさんに歳を聞かれたことがあった。嘘をつきたくなくて…」

ユミル「適当にごまかしてしまったが、私は確かに…『おばあちゃん』なんだ」


ベルトルト「…どういう意味?」


ユミル「『女の子』ではない、と思う」


ユミル「私が…アレだって事は知ってるな?」

ユミル「私がアレから人間に戻れたのは、今から約5年前。12歳の姿で戻った…」

ユミル「それまでは60年ほど、壁外を彷徨っていたんだ…」

ベルトルト「…」


ユミル「信じられるか?アレと人間、合わせて数えれば私は77歳を過ぎている」

ユミル「もっとも、60年間の記憶は、ほとんどないから私にその実感はないんだが」



ユミル「それでもお前は、私を『好き』だと言ってくれるのか?」


ベルトルト「…」


ベルトルト「…そんなの」

ベルトルト「嫌いになる理由にはならない」ギュゥゥゥ…

ユミル「…」


ベルトルト「誰が何と言おうと、ユミルはかわいい『女の子』だよ…」

ベルトルト「昨日も言ったでしょ、僕は君を『愛してる』って」


ユミル「…」グスッ…

ユミル「うぅっ…はぁ…ひっく…ふぐぅ…」

ベルトルト「ユミル!…安心して。もう何も怖くないからね」ナデナデ…


ユミル「どぅじて…ぞんなに…簡単に受け入れるんだよぉ…」ボロボロ…


ユミル「嫌いになれよ…みんな私を憎むぐぜに!私は世界に存在しちゃいけないんだ」ヒック…


ベルトルト「僕には、君が!必要なんだよ」


ベルトルト「世界に存在しちゃいけないなんて、二度と言うな!」


ベルトルト「僕にだって、人に言えない秘密がある。まだ君にも…言う勇気がない」

ベルトルト「だから君の気持ちが、わかるんだ。僕らは、似すぎている」


ユミル「んっ…」チュー

ベルトルト「ぷは…、大丈夫だから。ずっとそばに居るから」


ベルトルト「このまま抱きしめてるから、一緒に寝よう」ズズズズ…ペタン



ユミル「…う…ん」



ベルトルト(5年前…か)



クリスタ「…」






ユミル「あれ…?」

ユミル「ベットの中だ…」

ユミル「確かベルトルさんに抱きしめられて、」

ユミル「そのまま腕の中で眠ってしまったような気がしたんだが…」


ユミル「あぁ…外が暗いな。もう、夜か」


ユミル「ライナーは…まだ寝てるな」


ライナー「グォォォォ…」ムニュムニュ


ユミル「あ。クリスタ!…あれ、居ない?」


ユミル「ベルトルさんは?」キョロキョロ


ユミル「…居ないなぁ、どこに行ったんだ?」

ユミル「ふゎぁあ~…眠い」ウツラウツラ…


ユミル「これから、また馬に乗って250㎞の強行軍だ…」

ユミル「はぁ…最悪だ。昨日から股が痛い」



ユミル「お風呂、入ってこよ…」ネムネム


今日はここまで。読んでくれてありがとう。

次は更新遅めです。次こそアルミン…   おやすみなさい。

逃避行しながら少しっつ心が寄り添うなんてドラマチックだけど
5年前か
ってベルトルさんのモノローグがこの先どう関わるかちょっと怖い

>>106 クリスタとの直接対決で脅迫と宥和の二択があり、当初は
     「脅迫」でいこうと思っていたのですが都合で「宥和」に。
     なのであまり黒くなりませんでした…
     薄~く伏線もどきを入れていたので使い切れず残念

>>280 もう少し先で回収します。キリッ

今から投下します。



~連れ込み宿 裏手~

夕刻 細い路地を抜けた先



クリスタ(急がなきゃ…)タタタッ…

ベルトルト「待って!クリスタ」


クリスタ「」ビクッ!

クリスタ「…ベル…トルト」ガタガタ…


ベルトルト「そんなに急いで一体どこへ行くの?」

ベルトルト「もう少ししたら、出発の時間だよ」ニコッ

クリスタ「わ…私…そ、そうだ!お店に!」

クリスタ「ユミルが詰めてくれた荷物に足りないものがあって…」アトズサリ…

ベルトルト「そう、でもこんな遅い時間じゃ、お店はみんな閉まってると思うな」


ベルトルト「それに、明日には『ヤルケル区』に着くから…」

ベルトルト「こんな辺鄙なところで慌てて買い物しなくてもいいよ」

ベルトルト「ローゼより、シーナの方が上質の物が買えるのは君も知ってるでしょ?」

クリスタ「…」



ベルトルト「…ねぇ」

クリスタ「ヒッ!」ガタガタ…

ベルトルト「ひょっとして、自分一人だけで逃げるつもりだった?」


ベルトルト「…ユミルを置いて」

クリスタ「ち…違う!!」

クリスタ「私達は、あなた達に付いては行けない…」ボソッ


ベルトルト「…」


クリスタ「私と、ユミルは調査兵団に戻る」

ベルトルト「…戻れば6日後に死ぬだけだよ」

クリスタ「そんな事、わからないじゃない!」

クリスタ「私は、人の役に立ちたくて『調査兵団』に入ったんだよ?」

クリスタ「ここで兵士を辞めて逃げてしまったら、私の3年間は何のためにあったの?」

クリスタ「私は…自分の人生を生きる」


クリスタ「あなた達の言いなりには、ならない」


ベルトルト「…そう」

ベルトルト「じゃあ、今から戻れば?」


ベルトルト「僕は、止めない」


クリスタ「えっ…」

ベルトルト「でも、戻るのは君ひとりでね」

クリスタ「!?」


クリスタ「嫌っ!ユミルも連れて行く!!」


ベルトルト「ダメだよ。ユミルは僕の大切な人だから。君にユミルは任せられない」

ベルトルト「ユミルをここまで連れ出せたし…君は、もう必要ない。僕にとっては」

ベルトルト「ライナーはきっと悲しむだろうけど…君が嫌なら、仕方がないよね」



クリスタ「…」

ベルトルト「さぁ、今から宿に戻ろう。荷物を馬に括り付けるの、手伝ってあげる」

ベルトルト「君がエルヴィン団長に事の顛末を話し、追手が差し向けられる頃には、」

ベルトルト「僕らはもうヤルケル区を出ているから、何の心配もないしね」



クリスタ「…私が戻るって言えば、ユミルは私の方に来てくれる」


クリスタ「ユミルは!あなたには絶対渡さない!!」


ベルトルト「…そうかな?」

ベルトルト「僕は、ユミルが僕を選んでくれる自信があるんだけど」


クリスタ「…そんなの…嘘だ」ギリッ


ベルトルト「あのね…君と一緒に居たら、ユミルは早死にするよ」

ベルトルト「僕らが君達を調査兵団から連れ出した理由、まだわからないの?」


ベルトルト「ユミルは、もうわかってる」

ベルトルト「だから、大人しく僕らに付いて来てくれてるんじゃないかな」


クリスタ「…」



ベルトルト「君ってさ、口で言うほどユミルの事、信じてないよね」

クリスタ「!!」


クリスタ「それ、どういう意味!?」

ベルトルト「そのままの意味だよ」

ベルトルト「雪山の時だって、ユミルに助けを求めず僕を頼った。親しくもないのにね」

クリスタ「…っ」

ベルトルト「今回も…ライナーのいう事を鵜吞みにせず、ユミルに直接確かめていれば」

ベルトルト「こうやって連れ去られずに済んだかもね」


クリスタ「私はユミルを信じてる!」

クリスタ「ただ…私の意思や存在がユミルに迷惑を…掛けるのがわかってるから…」


クリスタ「怖くて…ユミルを頼れない…」


クリスタ「……ぐすっ」ゴシゴシ…


ベルトルト「そう、だから…今回も」

ベルトルト「彼女に相談もせず、勝手に憲兵を連れて来ようと思ったんだよね」


ベルトルト「君の計画では、僕らの情報を憲兵に売り、自分は保護してもらって、」

ベルトルト「ユミルと一緒に調査兵団に戻る」


ベルトルト「…そういう予定だったんだろ」

ベルトルト「もしユミルに相談すれば、彼女はきっと僕と君との間で板挟みになり、」

ベルトルト「彼女を苦しめると思ったから…って、そんなところかな?」



クリスタ「…」




クリスタ「私、あなたなんか大嫌い」


ベルトルト「奇遇だね、僕も君が嫌いだ」ニコッ



ベルトルト「でもね、それはしない方がいい」

ベルトルト「…この街の憲兵も…腐っている」

クリスタ「…?」


ベルトルト「お昼に食堂に行った時、ここの憲兵が店主にお金をせびってるのを見た」

ベルトルト「『みかじめ料』って知ってる?」

クリスタ「」ブンブン

ベルトルト「素行の悪い客に対処する見返りとして、金品を要求する事。定期的にね」

ベルトルト「給金はちゃんと支払われているんだから、本当はそんなもの必要ないのにね」

ベルトルト「だから、ここの憲兵は信用できない」


クリスタ「…」


ベルトルト「特に、君みたいに若くて、小さくて、か弱そうな女の子がこんな時間に行けば…」

ベルトルト「話を聞くどころか…薄暗い所に連れて行かれて」

ベルトルト「とても口じゃ言えないようなことを…されてしまうかも」


クリスタ「……ひっ」グスッ…


クリスタ「無理やり連れてきたくせに…」ズズズーッ

クリスタ「もう嫌だぁ…ユミルゥ…」グシュグシュ…


ベルトルト(ちょっと、脅かしすぎたかな?)

ベルトルト「とにかく、もう逃げようなんて考えないで」

ベルトルト「僕らは、本当に…君たちに危害を加えるつもりなんかないんだ」


ベルトルト「ただ…この破滅していくしかない世界で、ほんの少しの間だけでも」

ベルトルト「憎しみや、苦しみ、恐怖を忘れて…みんなで幸せに暮らしたいだけ…」




クリスタ「ベルトルトは…」ヒック…


クリスタ「ユミルが、好きなの?」



ベルトルト「うん…好きだよ」

ベルトルト「まだ、返事はもらってないけど…僕のお嫁さんにするつもり」


クリスタ「そう…正直だね」



ベルトルト「僕は、ユミルを君の『騎士』から『女の子』に戻したいと思ってる」

クリスタ「…?」

ベルトルト「彼女を『君を守る役割』から解放してあげたいんだ」

ベルトルト「それに君を守る役割なら…」

ベルトルト「僕らの近くに、本心からそれを引き受けたがってる人がいる」

ベルトルト「クリスタ、もっと強くなって!僕も、出来ることは協力する」


ベルトルト「ライナーも僕もユミルも…ちゃんと君を見てるから…付いて来てよ、僕らに」


クリスタ「…よくわからないけど、とりあえず『うん』って言っておく…」

ベルトルト「…ありがとう。君と話しが出来て良かった」




クリスタ「さっき、ユミル泣いてた…」

べルトルト「…」

ベルトルト「聞いてたの?僕らの会話」

クリスタ「…少しだけ。ユミルの泣き声で、目が覚めたの」

クリスタ「ユミルの泣く声、初めて聞いた」


クリスタ「いつも、ユミルは…明るくて、口は悪いけど優しくて、温かいの…」

ベルトルト「…うん」


クリスタ「私がそれを望むから、きっとユミルは今まで弱さを吐き出せず、無理をしてた」


クリスタ「私の前では、彼女は泣けないんだね…」


ベルトルト「…」


クリスタ「でもね、もうあんな…胸が痛くなるようなユミルの泣き声は…聞きたくないの」

クリスタ「彼女にはいつも笑っていて欲しい」

ベルトルト「…」


クリスタ「ひとつだけ…」

ベルトルト「…何?」


クリスタ「ユミルを…悲しませないって約束してくれる?これから先もずっと…」

クリスタ「ユミルを裏切らないって、言って」


クリスタ「そして、もう彼女を泣かさないで」


ベルトルト「…泣かさない約束だけは、出来ない」


クリスタ「どうして…?」

ベルトルト「だって僕は、これからユミルを幸せにして、」

ベルトルト「いっぱい嬉し泣きさせてあげたいと、思ってるから…」

クリスタ「…」


ベルトルト「でも、悲しませない約束は出来る」


ベルトルト「…約束する。僕は彼女を悲しませない、裏切らない、ついでに浮気もしない」


ベルトルト「僕を信用して。これからは僕にユミルを預けてくれる?」


クリスタ「だめ、全部は預けられない」

クリスタ「私もユミルが大切だから…」


クリスタ「まだ…あなたを完全には信用できない。これからユミルに相応しいか見定める」


ベルトルト「手厳しいね、さっきの仕返しのつもり?」

クリスタ「…もしこの先、ユミルを裏切るような事があれば、私はあなたのうなじを狩る」


ベルトルト「…えっ!」

ベルトルト「それって…どういう意味…?」


クリスタ「…そのままの意味だよ」

ベルトルト「…」



ダッダッダッ…


ライナー「ベルトル!クリスタ!」

ライナー「二人とも…」ハァハァ

ライナー「ほんっとに、探したぞ…」ハァハァ…


ベルトルト「あぁ、ライナー…ちょうどいいところに来てくれた!」

ライナー「…は?」

ベルトルト「今ね、クリスタが星を見たいって言ってたから、付き合ってあげていたんだ」

クリスタ「えっ!」

ベルトルト「ほら、夜道を女の子だけにしておくわけにはいかないし…」

ベルトルト「何かと物騒だからね」


ライナー「なんだ…そういう事か」ホッ


ベルトルト「まだ、出発までには時間がある」

ベルトルト「二人でもう少し散歩してきたらどうかな?君の荷物は僕がまとめておくよ」


ライナー「お…おい!お前…」

ベルトルト「じゃぁ、僕は戻るね。ユミルが待ってる」


クリスタ「ちょっと待って!ベルトルト…」


ベルトルト「無理強いするつもりはないよ、クリスタ」

ベルトルト「でも、ライナーの話…ちゃんと聞いてあげて」


ベルトルト「これから彼が言うのは、大事な話だから」


ライナー「…」



~連れ込み宿~


ユミル「お帰り、ベルトルさん」

ベルトルト「はい、ただいま!」


ユミル「ま、待て…抱きつくのは無しだ!」

ベルトルト「なんで?」


ユミル「そう1日に何度も抱きつかれたら、こっちの心臓がもたない…」

ベルトルト「そっか…じゃぁ我慢する…」


ユミル「あぁ、そうだ…クリスタとライナーを知らないか?」

ユミル「ライナーは私が風呂に行くまでは部屋に居たんだが…」


ベルトルト「知ってるよ」


ユミル「どこに居るんだ?」

ベルトルト「さぁね。でも何とかなりそうな予感がする」

ユミル「なにが?」

ベルトルト「きっと、上手く行く。だって彼はもう戦士も兵士も辞めたんだから」


ユミル「…は?」


ベルトルト「今度はきっと素の彼のまま、クリスタだけの騎士になるよ。忠実な」


ユミル「…」


ベルトルト「さて、僕もお風呂に入ってくるね。まだ時間があるし」

ユミル「あ、あぁ…」


ユミル(頭のネジが…飛んだのか?)




ベルトルト「あ…!ユミル」

ユミル「ん?」


ベルトルト「あの…昨日から気になってた」

ベルトルト「『そこ』…痛むの…?」


ユミル「そこ?」


ベルトルト「乗馬中、ずっと腰を上げてた。あんな無理な姿勢で何時間も駆けたら」

ベルトルト「君も馬も疲労して、目的地までたどり着けなくなるよ」

ベルトルト「実際、給餌の時…君の馬を見たら、だいぶ疲弊していたし」


ユミル「…」


ユミル「はぁ、バレてるのか…」

ベルトルト「そりゃね、君の事はよく見てるつもり…」


ベルトルト「それに、責任は僕にある…」


ユミル「痛いのは仕方ない。お前に文句を言うつもりはない」

ユミル「『初めて』ってきっと、みんなそうなんだろ。多分」


ベルトルト「…ごめん」


ベルトルト「治癒…した方が楽になるんじゃないかな…」



ユミル「それは出来ない」

ベルトルト「どうして?」


ユミル「治癒させるのは簡単だが、行為自体をなかったことには…出来ない」



ユミル「それに治してしまったら…その…処女膜まで再生してしまうような、気が…する」


ベルトルト「」


ベルトルト「あっ…あっ…あぁぁぁ…」///カァァァ…


ユミル「恥ずかしいな…この話は」///


ベルトルト「ごめ…っ…そう、だね」///


ユミル「だから…ちゃんと、昨日あった事の結果として、これは私の身体に残しておく」


ユミル「やり口はどうかと思うが…好きな男に抱かれたんだ、嫌な思い出じゃないさ」



ベルトルト「ユミル…」



ベルトルト「あーーーーもう!!」

ベルトルト「そんなこと言われて…欲情しない男が、この世界に居ると思う?」

ベルトルト「もうちょっと、危機感をもってよ!!僕を興奮させないで!」

ベルトルト「僕だって男なんだよ!しかも今は二人っきり。ここは連れ込み宿、わかる?」


ユミル「わかってる、わかってる」ハハ…


ユミル「だからちょっと、落ち着けって」





ユミル「私は、お前を信じている」


ベルトルト「」


ユミル「私を『好き』って言ってくれた事も」

ユミル「『一生そばに居て欲しい』って言ってくれた言葉も」

ベルトルト「…」

ユミル「全部、信じる事にしたんだ」



ユミル「どうやら私は自己評価が低いらしい」

ユミル「巨人から人へ戻った後は、生きるために何でもやった」

ユミル「詳細については一生秘密にしておく…。ずいぶんと心が汚れたからな」


ユミル「だが、どんなに困窮しても、身体だけは売らなかった。これは信じて欲しい」



ベルトルト「うん、それは僕が一番よく知っている」


ユミル「そうだな…ありがとう」


ユミル「私は本当にクソみたいな人間で、愛される価値などないと思っていた…」

ユミル「こんな私を『好き』だと言ってくれる奴なんて、」

ユミル「この世界に存在しないと、そう思っていた。つい、昨日まで」


ユミル「…クリスタ、以外には」


ベルトルト「…」



ユミル「今は、夢の中にいるみたいだ」

ユミル「幸せを感じるのが、怖い…」

ユミル「実は私はお前にからかわれていて…」

ユミル「ある日突然、」

ユミル「『今までのは全部、嘘だよ』って笑いながら言われるんじゃないかって、」


ユミル「ふと考えてしまう自分がいる」


ベルトルト「…そんな事、言うわけがない」

ユミル「そうだといいが…人の気持ちは変わりやすいんだ。男心と秋の空、ってな」

ベルトルト「…」



ベルトルト「ねぇ…ユミル、聞いて」

ベルトルト「僕はね、今さっき…クリスタと約束したんだ」


ベルトルト「ユミルを悲しませない、裏切らない、浮気はしない…って」

ユミル「何で…クリスタと?」

ベルトルト「クリスタが、ユミルを僕に託す条件として…かな?まだ信頼されてないけど」

ユミル「いつの間にそんな密約をしたんだ…」


ベルトルト「だから、ユミルとも約束する」


ベルトルト「僕は、ユミルを悲しませない、裏切らない、浮気はしない。絶対に!」



ユミル「ふふ、そっか…ありがとな」ギュッ…

ベルトルト「…!…ふっ…不意打ち?」///

ユミル「ははっ、いつもやられてるから」


ユミル「なぁ…処女膜再生しちまったら…次する時も、痛いんだろうな…きっと」ボソッ

ベルトルト「えっ…」


ベルトルト「次…あるんだ…1回限りじゃないんだ…」


ユミル「…期待するなよ、まだまだ先だ」

ユミル「私はまだ…ベルトルさんの秘密を教えてもらってな…

ベルトルト「あぁ!どうしよう!何か幸せすぎて僕も怖いよ!!」///ァァァァ…



ユミル「もう…うるさい!お前早く風呂に行けよ!」



脱走から3日目・昼

壁外調査まであと5日


~ウォール・ローゼ 西区~ 

ヤルケル区・外扉前の大通り



ユミル「なんとか、やってきたな…」


ベルトルト「ユミル、大丈夫?あの…」

ユミル「大丈夫、途中お前の馬と交換してもらったから、馬も私もなんとかたどり着いた」

ベルトルト「はは…良かった。その馬、よく見たらジャンの馬なんだよね…」


ベルトルト「盗んだ時は気付かなかったけど」


クリスタ「ちょっと気性が荒いけど、足も速いし…その子、良い馬でしょ、ユミル」

ユミル「あぁ、申し分ない。だがジャンには悪いことしたな…」


ライナー「無駄話はそれくらいにして、これから俺達は念願の『ヤルケル区』に入る」


ユミル「なぁ…それなんだが、どうやって入るつもりだ?」

ユミル「ウォール・シーナが持つ特権、またその生活水準の高さに惹かれて、」

ユミル「違法な手段で潜り込む奴も多くいると聞く…」

ユミル「私らみたいな脱走兵が、そう簡単に検問を突破できるとは思えないんだが…」


ライナー「心配ない、俺達にはこれがあるからな」ペラッ



ユミル「…商業活動を行うための『ヤルケル区』入区許可証?」


ユミル「何だこれは?」


ベルトルト「アニが偽造してくれたんだよ」

ベルトルト「これは一応、トロスト区の商会発行の許可証と言う事になってる」


ライナー「あんまり大きな商会の名前を大っぴらに使うと足が付きやすいが…」

ライナー「こういった中規模程度の商会は事業拡大のため…」

ライナー「販路と組合員をどんどん拡張させていく傾向にあるから割と足が付きにくい」


ライナー「ちょっとぐらい変なのが居たって、わかんないだろ?…とアニが言ってた」



ユミル「…」


ユミル「あのさ、お前ら…その情報、わざと私らに隠していたのか?」

ベルトルト「わざと?いや…許可証の事は別にいう必要が…ユミル「違う!」



ユミル「アニがこの計画に、一枚噛んでいたことだ!!」


ライナー「!?」
ベルトルト「!?」


ライナー≪おっ…俺はてっきりお前が言ってると思って…≫ヒソヒソ

ベルトルト≪いや…なんか全然そこまで頭回って無くて…知ってるものだと思い込んでた…≫


クリスタ「アニも…憲兵団を抜けてきたの?」


ライナー「はぁ…その手筈になっているんだが…」


ライナー「中に入ってみないと何とも言えんな…」


ベルトルト「アルミンは確実にいると思うけどね」


ユミル「…はぁ、アルミンの脱走事件は、お前らが仕組んだのかよ」

ベルトルト「まぁ、アルミンに協力を要請したのは僕らじゃなくてアニなんだけど…」



ユミル「あのさ、別にここではっきりさせておく必要もないんだが…」


ユミル「一応、今後のために確認させてくれ」


ライナー「なんだ?」


ユミル「アニの目的が、お前らと同じ目的だとしたら」


ユミル「一昨日、ベルトルさんが言ってた、アニの好きな人って…アルミンなのか?」


ライナー「…」

ベルトルト「…」


ベルトルト「うん…そうみたい」


クリスタ「えっ!!アルミンとアニってそういう関係だったの?」

ユミル「いや…違うと思うぞ、私らと同じ事情だとしたら…無理やり…」


ベルトルト「ねぇ、もう中に入らない?2日連続夜通し長距離を走って、馬も限界だし」

ベルトルト「そろそろお腹も空いたし、これから少し眠って、買い物もしたい」

ベルトルト「それに今夜の宿はもう決めてあるんだ、アルミンもそこに泊まってるはず」

ベルトルト「予定より早めに着いたから、驚くかな…アルミン」


ユミル「…」ジーッ


ライナー「あぁ…そうだな」アセッ


ライナー「まぁ、詳しい話は本人から聞いてくれ」


ユミル「はぁ…どうなってんだよ…」

ユミル「アニの好きな奴ってエレンかと思ってた」

ベルトルト「実は僕も…」


ユミル「アルミンなんて意外過ぎる選択だろ?…なぁ!」

ベルトルト「し…知らないよ!他人から見れば僕らだって、」

ベルトルト「意外過ぎる選択の結果なのかも知れないし…」


ユミル「まぁ、そうなんだけどさぁ…アルミンがねぇ…だってアルミンの好きな奴は…」


クリスタ「お~い!!検問所の人がここ通っていいって~!二人とも早く行こっ」

ユミル「今いく…」



ユミル「なんだよ、このもやもや感は」イラッ

ユミル(ベルトルさんが一度でもアニに惹かれたことが許せないのか?)

ユミル(なんでアニに会うのがこんなに憂鬱なんだよ…)


今日はここまで。読んでくれてありがとう。

次は更新遅めです。おやすみなさい。

もうアルミン出さなくてもいい気がしてきた


今から投下します。

…の前に、今回はアニとアルミンの過去編にしました
トロスト区攻防前後あたりまで話は戻ります。

今回からアルミン出てきます。
ヒヤっとされるとは…アルミンどんだけ腹黒いんだ…。

今回の更新で、この話の本当の黒幕がわかると思います。

あと、脱走を知ったエレンの心境は、語られることはないです。
ミカサについては、今後を読んでいただけたら…

ベルトルトとクリスタについては、良かったのかな…あれで
とまだ悩んでいますが、多分大丈夫でしょう、ありがとう!




時は解散式の夜に戻る


第104期訓練兵団解散式 当日の深夜 

人気のないどこかの場所





アニ「…本当にやるの?ベルトル」

ベルトルト「うん。この作戦の事は、何度も3人で話し合ってきたでしょ」

ベルトルト「決行は、明日」

ベルトルト「当初の予定通り、僕は午前中…隙を見て自分の班を離れ、」

ベルトルト「人類の領域と巨人の領域を隔てるトロスト区の開閉扉を…破る」

ベルトルト「そして…その混乱に乗じて、ライナーが内側の開閉扉を壊す」

ベルトルト「やり方は、シガンシナ区の時と同じだったよね」


ライナー「あぁ…」


ベルトルト「アニ、君は今回…巨人を引き連れて来なくていいよ」

ベルトルト「そのうちウォール・マリアから大量の巨人がなだれ込んでくるだろうし、」

ベルトルト「僕らもウォール・シーナへひとまず避難する時間が必要だから」


アニ「…そうだね。内側の開閉扉を壊したら」

アニ「巨人の進攻を食い止めるなんて、不可能だ。そうなれば訓練兵も駐屯兵も関係ない」

アニ「とにかくシーナに逃げるしかなくなる」


ライナー「ローゼが突破されたら、人類の生存領域はウォール・シーナまで後退する」

ライナー「ウォール・シーナの領土だけでは人類の半分も養えないだろう」


ライナー「俺達は、たった3人でこの人類の半数以上を滅ぼすことになるのか…」


ベルトルト「半数…か、まだ足りないね」

ベルトルト「僕達の目的はこの人類すべてに消えてもらうことだから」

ベルトルト「この作戦が成功したら、次に狙うのはウォール・シーナの南にある突出区」ベルトルト「エルミハ区の開閉門だね」


アニ「…」

ライナー「…」



ライナー「悪いが…俺は降りる」

ベルトルト「!?」

ベルトルト「ライナー、君は…!」


ベルトルト「前から三人で何度も話し合って決めたことじゃないか!!」

アニ「シッ!声が大きいよ、ベルトル」

アニ「もう少し、声を抑えな」

ベルトルト「…ご、ごめん、つい…」

アニ「…」


改行ミスすみません

貼り直します


ベルトルト「半数…か、まだ足りないね」

ベルトルト「僕達の目的はこの人類すべてに消えてもらうことだから」

ベルトルト「この作戦が成功したら、次に狙うのはウォール・シーナの南にある突出区」

ベルトルト「エルミハ区の開閉門だね」

アニ「…」

ライナー「…」


ライナー「悪いが…俺は降りる」

ベルトルト「!?」

ベルトルト「ライナー、君は…!」


ベルトルト「前から三人で何度も話し合って決めたことじゃないか!!」

アニ「シッ!声が大きいよ、ベルトル」

アニ「もう少し、声を抑えな」

ベルトルト「…ご、ごめん、つい…」

アニ「…」


アニ「あんたには悪いけど…」

アニ「私も…降りるよ、今回の作戦はやめにしよう」


ベルトルト「アニ…まで」

ベルトルト「二人とも、どうかしている…」

ベルトルト「ライナーがおかしくなっているのは、前から気が付いていた」

ライナー「…」

ベルトルト「君は、この生活に溶け込み過ぎたんだ。みんなに情が湧くのもわかる…」

ベルトルト「でも、アニ!なんで君まで!!…ここで止めてしまったら僕らは…」


アニ「…わかっている」ハァ

アニ「ねぇ、ベルトル。あんたには、ここで大切な人は…できなかったのかい?」

アニ「故郷に残してきた…しがらみや想いを超えて…」

アニ「課せられた任務や今の立場や、この命までも…捨て去ることが出来るような、」

アニ「そんな人には、出会えなかったのかい?」

ベルトルト「…」


ベルトルト「そんなのは、幻想だ」

ベルトルト「一時の気の迷いで、任務を放棄するなんてこと…僕には出来ない」

アニ「…一時の気の迷い、か」

アニ「そうだね。私もそう、思うよ…」

アニ「ライナー、あんたはどうだい?」


ライナー「俺は…お前らが知っての通り、クリスタが好きだ」

ライナー「もし、これからの人生を自分の好きなように生きられるとしたら…」

ライナー「俺は、クリスタと共に生きたい」


ベルトルト「…」

ベルトルト「クリスタは…君の事なんてどうとも思ってないよ」

ベルトルト「それに、彼女は同性しか愛せないのかも知れない…いつもユミルにべったりだし」

ライナー「別に、そうであってもいいさ」

ライナー「何もしないで、諦めたくないんだ。俺は」

ベルトルト「…」


アニ「…私も、好きな人がいる」

アニ「前に、ベルトルに言ったことがあるだろ。好きな人がいるって」


ベルトルト「あぁ、あの時…」

アニ「あの時、誰かは言わなかったけど、今正直に告白する。私は…アルミンが好きだ」


ベルトルト「!?」
ライナー「!?」

ライナー「おまえっ、それ本当か?」

アニ「な、なんだ?…そんなに驚くような事じゃないだろ…」///カァァ…


ベルトルト「…そう、なんだ。でもアニ…話が違うよ。僕には…」

ベルトルト「『私達は人を愛する資格がない』」


ベルトルト「…そう言ったくせに」


ベルトルト「自分は諦めきれずに、アルミンへの恋心を育ててきたって訳だね、ずるいよ」


アニ「…」

ベルトルト「本当に許されると思う?あんなことをしでかした僕らが」

ベルトルト「彼らが君たちの気持ちを知って、例えその気持ちを受け入れてくれたとしても、」

ベルトルト「僕らの本当の正体を知ったら…どう思うだろうね?」


ライナー「…」

アニ「…」

ベルトルト「そりゃ、もうひどい言葉を投げつけられて心が引き裂かれるばかりか、」

ベルトルト「刺されたり、殴られたり、命を狙われることだって想像に難くない」


ベルトルト「それだけのことをしでかしたんだよ!!僕らはっ!」


ベルトルト「アルミンの両親だって…僕らさえここに来なければ…」


アニ「やめて!」ガタガタ…

アニ「…だから、それもわかっているっ」ブルッ


ライナー「わかっていても、もう止められないんだ…」

ライナー「お前には、アニの気持ちがわからないだろう」


ベルトルト「…」

ベルトルト(わかるよ、僕にだって)

ベルトルト(僕は、ユミルが好きだ。誰にも、言ってないけど…)

ベルトルト(でも、ダメなんだ、僕らは。幸せになりたいなんて、思ってはいけない)


アニ「実は、ライナーには…以前から少しだけ相談していたんだ」

ベルトルト「…?」


アニ「私の計画。聞くかい?」

ベルトルト「計画…?今回のトロスト区襲撃の件じゃなくて?」

アニ「あぁ、あれはやめだ」

ライナー「ベルトル…もう、やめよう…」



ベルトルト「…ふざ…け…るな!」

ベルトルト「二人とも頭がおかしくなったの?!もう始めてしまったんだ!5年前に」

ベルトルト「今更、やめる訳にはいかないだろっ!!」グィッ…


ライナー「…落ち着け、ベルトル」パシッ

アニ「そう言うと思ってた。あんた、真面目だからね…良い意味でも、悪い意味でも」

ベルトルト「…」


アニ「あんたも、ユミルに想いがあるんだろ…」

ベルトルト「!?」

ライナー「おい、ユミルがどうしたって?」

アニ「ライナー、黙って」ジロッ


ライナー「…うむ」

ベルトルト「どうして…誰にも言ってないのに…」

アニ「あんたの様子、見てればわかるよ」


アニ「…ユミルは露骨に無視してる。あんたと…私を」

アニ「視界に入らないように、存在自体がないもののように…振る舞っている」


アニ「…たいした性悪女だよ、あいつ」チッ


ベルトルト「…誤解だ…ユミルはそんな…


アニ「なのに、あんたは必死になってあの女の気を引こうとする…話しかけてみたり、」

アニ「そばに寄ってみたり…いじらしいったらないね、見てらんないよ。まったく」


ベルトルト「…アニから見て、僕はそう見えるの?」


アニ「あぁ、そうだ。そして、まるで相手にされてないって事が丸わかりだ」

ベルトルト「…」


アニ「ま、あんたがそこまでする理由は一つしかないだろ」


アニ「…だから」



アニ「6人で、逃げないか?」


ベルトルト「…6…人?」


ライナー「…」

アニ「あぁ…」


アニ「私はアルミンと、あんたはユミルと、ライナーはクリスタと、これで6人だ」

ベルトルト「!?」

アニ「どうだい?悪い話じゃないだろ」


ベルトルト「逃げるだなんて…この壁の中に居る限り、逃げ場なんてないじゃないか…」

ベルトルト「それに、ユミルは僕を嫌ってる。僕と一緒に来てくれるはずがない…」

ライナー「ははぁ…お前、ユミルが好きなんだな。この会話を聞くに」


ベルトルト「ライナー…本当に黙っててくれ!」イラッ

ライナー「!?」


ベルトルト「本人の意向も聞かずに、無理やり連れて行くなんてこと、僕には出来ない」

アニ「じゃぁ、確認すればいい。連れて行く前に」

ベルトルト「そんなに簡単な話じゃないよ!」


アニ「まぁ、聞きなよ私の話を」

アニ「ずっと…考えていたんだ。何のために、私達は生まれてきたのかって」

アニ「私は、女だからね。あんたらとは考え方が違うかも知れない」

アニ「好きな人と結ばれて、愛し愛され、子供を産み、その子の成長を見守りながら」

アニ「衣・食・住の不足なく、何事にも縛られず、愛する家族とゆったりした時間を過ごす」

ベルトルト「…」


アニ「こんな、人生も…悪くないかと考えていた」

ライナー「…」


アニ「絵空事だと思いながら、毎日毎日、そんな幸せな世界を空想し、計画を練ったんだ」

ライナー「…本気なら、俺はその話に乗るぞ」


アニ「もちろん、本気だ」

アニ「…ねぇ、ベルトル」

アニ「あんたはどうする?この計画を聞く?」



ベルトルト「僕は…」

ベルトルト「その話には乗らない…」


ライナー「ベルトル…」

アニ「そう…それじゃ、一応計画の概要だけ今、軽く話しておくから」

アニ「気が変わったら、早めに教えて」


ベルトルト「…」



ベルトルト(僕は…ユミルと一緒に生きたいんじゃない)

ベルトルト(彼女と一緒に死にたいんだ)

ベルトルト(だからもし、彼女に僕の『一生のお願い』を伝える機会があったら)

ベルトルト(こう言うんだ。君に叶えて欲しいお願いは一つだけ)


ベルトルト(『ユミル、お願いだ。僕と一緒に…死んでくれ』)



ベルトルト「明日は、僕一人でも…やる」ボソッ









3日後 トロスト区内・某所




アニ「ごめんなさい…」

ライナー「謝っても仕方ないぞ…早く弔ってやるんだ」

ベルトルト(ミーナは、死んでしまった)チラッ

ベルトルト(何のために、僕は雪山訓練で彼女の命を救ったんだろう…)

ライナー「あんなに訓練したのにな…」


ベルトルト(ユミルは、まだ生きている)

ベルトルト(あれだけユミルが死んでくれる事を期待していたはずなのに…)

ベルトルト(心の奥底で僕は、彼女が死ななかったことに安堵している…)


ベルトルト「僕はまた、罪を、重ねた…」

ベルトルト(もう…心は偽れない)


ライナー「大丈夫か?ベルトル」

ベルトルト(今、全てわかってしまった)


ベルトルト「僕は、彼女と死にたいんじゃない…」ガクン

ベルトルト(どんな酷い言葉を投げつけられたとしても…)

ベルトルト「もっと前からわかっていたはずだ…」ギュッ

ベルトルト(ユミルから逃げない。この気持ちからは逃げきれない)


ベルトルト「生きたいんだ、本当は!彼女と一緒に。僕もアニと同じ夢を持って…」グスッ


ベルトルト「どうし…て、僕はこんな事を…」ボロボロ…


アニ「…」

アニ「まだ、間に合う…」

ベルトルト「…えっ」


アニ「逃げよう!みんな一緒に。幸いな事にあの3人は、まだ誰も死んでいない」

ライナー「そうだな、運が良かった」フー


ベルトルト「…僕も、入れてくれるの?この計画に」

アニ「あぁ」コクン…

アニ「あんたがいなきゃ、私達は幸せになれない」

ベルトルト「アニ…」


ライナー「じゃあ、俺が今夜にでもアニの計画について、詳しい説明をするから」

ライナー「全ての手順を忘れずに、頭の中に叩き込んでおいてくれ」

ベルトルト「うん」


ベルトルト(僕は、ユミルと逃げる)

ベルトルト(…泣かせても、怒らせても、脅しても…手段なんてどうでもいい)

ベルトルト(絶対、彼女を連れて行く)

ベルトルト(あの場所へ…6人全員、生存したまま。みんなで、幸せに暮らすために)




ソニーとビーン殺害事件後

訓練所の食堂兼広間



コニー「なぁ、アニ…俺も憲兵団にした方がいいかな?」

アニ「あんたさぁ…人に死ねって言われたら、死ぬの?」

コニー「…死なねぇよ」

アニ「なら自分に従ったらいいんじゃないの」


アニ「アルミン、あんたはどうなの?」

アルミン「僕は、そうしなきゃいけない理由が理解できたら、」

アルミン「死ななきゃいけない時もあると思うよ…嫌だけどさ」


アニ「そう…決めたんだ」

アルミン「うん」

アニ「あんた弱いくせに、根性あるからね」


アルミン「アニってさ、実は結構優しいね」

アルミン「だって僕らに調査兵団に入って欲しくないみたいだし、」

アルミン「憲兵団に入るのも何か理由があるんじゃないの?」


アルミン「…!」

アルミン(アニの立体機動装置って…)


アニ「そうだね…」

アニ「私は、あんたの事…助けたいと思っているよ」


アルミン「…」


アニ「…アルミン、この後少しいいかい?」


アニ「相談したい事があるんだ」

アルミン「…えっ!あぁ…なんだっけ…」

アルミン「そうだ…僕も、アニに聞きたい事ができたよ、たった今…ね」


アニ「せっかくだし…どっかでお茶でも飲みながら、ゆっくり話をしようか」


アルミン「…いや、もっと人目に付かない場所にしよう、君のためにも…」


アニ「…」








街外れ 木陰のベンチ


アルミン「単刀直入にいう、アニ…正直に答えて欲しい」

アルミン「どうして君が、マルコの立体機動装置を持っているの?」


アニ「…」

アルミン「わずかな傷やへこみだって、一緒に整備した思い出だから…僕にはわかった」

アルミン「生け捕りにした2体の巨人は、アニが殺したの?」


アニ「…」

アニ「…2体の巨人は同時に殺されたと聞いた、私が聞いた噂では」

アニ「2人以上の犯行だと…」

アルミン「…」

アニ「もし、私がそれをやったと言うなら、その理由を教えて欲しい」

アニ「そして、一緒に実行した相手の名前も」

アルミン「…」


アルミン「それは、僕にはわからない…」

アニ「あんたが知らなきゃ、私にだってわからないよ…」


アニ「この立体機動装置は…拾ったの」

アルミン「…」

アニ「トロスト区の巨人襲撃があってから、自分の立体起動装置の調子が悪くてね」

アニ「まぁ、壊してしまったんだけれど」

アニ「だから、拾ったこれを今回、替わりに出した」

アニ「壊したのがバレると、破損報告書に修理依頼書、とかく書類を作るのが面倒だからね」


アルミン「…苦しい言い訳だね」

アルミン「僕にその話を、信じろって言うの?」



アニ「あぁ…どのみち、アルミン…あんたはもう私を信じるしかない」

アルミン「…?」


アニ「あんた、調査兵団に入るんだろう?」

アルミン「うん…さっきもそう言ったよね」

アニ「その気持ちは、変わらないんだね」

アルミン「…うん。心配してくれるのはありがたいけ…


アニ「私は、あんたが好きだ」


アルミン「…え?…ア…アニ?」


アニ「あんたに、死んで欲しくない」

アルミン「まって!…話が見えないんだけど」

アニ「だから、あんたを死なせない事にした。この世界から、あんたを連れ出す」


アルミン「…アニは自分が何を言っているのか分かってる?僕には理解できない」


アニ「あぁ、全てわかっている」


アニ「分かってないのはあんただけだよ」

スッ

アルミン(…指輪をはめた)


アニ「見ててごらん」

パチン…ガリリッ


アルミン「ひっ…!ア、アニ…」

アニ ボタタタ…


アニ「今…私は、自分で自分を傷つけた」

アニ「でも、その傷も、一瞬で治すことが出来る」

シュゥゥゥゥゥ…


アルミン「…そ、そんな」


アニ「ほらね、もう傷跡も残っちゃいない」

アニ「綺麗なもんさ…」パッ


アルミン「…エレン」

アルミン「アニがまさか…エレンと同じ巨人の力を…」ブルブル…

アルミン「どうして…アニが…」


アニ「アルミン、このことは誰にも言わないで。私はあんたを信用して秘密を教えたんだ」


アニ「詳しい事は、まだ話せないけど…」

アニ「いずれ、全部教えてあげるから、ひとまず落ち着いて私の話を聞いて欲しい」


アルミン「…」コクン


アニ「新兵勧誘式が終わった後、あんたが所属する予定の調査兵団は」

アニ「1か月後に壁外調査を実施する」


アルミン「そうみたいだね、噂で聞いた」

アニ「私は、あんたを壁外へは行かせない」


アルミン「…え?」


アニ「あんたは、多分死ぬ。それが理由」

アルミン「アニ…君は…」


アニ「そこで本題だ。私は、『超大型巨人』と『鎧の巨人』両方と繋がりがある…」

アルミン「繋がりがあるって…どういうこと?」

アルミン「ま…待ってアニ!急な話に頭が混乱して…君が何を言っているのかわからない」


アニ「アルミン、あんたは重要人物なんだ。自分では自覚していないだろうけど…」

アニ(私にとって、大切な人…)


アニ「奴らが言った。アルミン、あんたを連れて来れば、もうこの人類を攻撃しないと」

アニ「私と共に来てくれたら、この壁の中の人達は…みんな助かるんだ!」


アルミン「…」

アルミン「そんな話、とても信じられないよ…」


アニ「でも、あんたは信じるしかない。盲目的に私を、私だけを信じて、頼るしかない」

アニ「さっきの私の力を見ても、信じられないって言うのかい?」

アルミン「…」


アルミン「どうして、僕なんだ…」


アルミン「僕が行けば、壁内の人類は救われるのか?もう誰も死なずに済むの?」

アルミン「マルコもミーナもトーマスもナックもミリウスも…フランツも」


アルミン「もう、帰ってこない」

アニ「…」


アルミン「僕が、犠牲になれば…もうこの悲劇は起きないの?アニ…答えてくれ!!」


アニ「起きない。少なくとも、シガンシナ区とトロスト区を襲った巨人は…」

アニ「もう二度と、人類を攻撃しない。それは約束できる、私が保証する」


アルミン「…君が、その巨人達とどんな繋がりがあるのか知らないけれど」

アルミン「僕はもう、アニを信じるしか…選択肢が残されていないんだね」


アニ「…あぁ」


アニ「あんたにとっては、不本意だと思う」

アニ「だけれど、これはあんたの為でもあるんだ。…きっと、未来は幸せになれる」

アルミン「わかった…」

アルミン「僕は、何をすればいい?」

アルミン「教えて、アニ。僕は君に従う」


アニ「…その前に」

アニ「あんたに誓う。私は絶対、あんたを不幸にしない。あんたの命を守る」

アニ「必ず、最後にはあんたに『幸せ』だと言わせてみせる。私のすべてを注いで…」

アニ「私はあんたのために命を懸けることもも厭わない!それだけは、忘れないでいて」


アニ「戦士に成り損ねた馬鹿な女の、生涯一度きりの頼みだ」

アルミン「アニ…」

アニ「これから、口頭で計画を伝える…紙には残さないから、今から全部覚えて」

アニ「ひとつも忘れることなく」

アルミン「…うん、わかった」


今日はここまで。読んでくれてありがとう
次回ですが、まったく本筋が進まないので、

①次もアルミン編(次の1回で終わります)をやってアルミンの行動を明らかにする。

②ヤルケル区での本筋を進めて、アルミンのその後は本人からポツポツ語ってもらう。

のどちらかにしようと思いますが、どうしましょう…


本当に、話が進まなくて申し訳ないです
次回も更新遅めです。おやすみなさい

あと、貼りミス申し訳ありませんでした。
ボジョレーヌーヴォー飲みすぎました…


誤字があったので訂正します。

>>353 誤)アニ「私はあんたのために命を懸けることもも厭わない!

     正)アニ「私はあんたのために命を懸けることをも厭わない!

次の更新は②でいきます。

自分が書きたいのも②ですし、今後の必要な要素は今回でほぼ、
盛り込めたと思うので。


今から投下します。
PCの調子が悪いので途中で中断したらすみません

更に訂正

>>350 誤)アニ「私は、あんたを壁外へは行かせない」
     正)アニ「私は、あんたを壁外調査へは行かせない」



時はまた今に戻る


脱走から3日目・昼

壁外調査まであと5日


~ウォール・シーナ西 突出区~

 ヤルケル区内


ユミル「なぁ、ベルトルさん」

ベルトルト「ん…なに?」

ユミル「お前、以前にこの街に来たことがあるのか?」

ベルトルト「ないよ」

ユミル「無いのに、『宿はもう決めてある』とか『アルミンもそこに泊まってる』とか…」

ベルトルト「あぁ、それね」


ベルトルト「旅行の手引書、持ってるから」

ユミル「旅行の手引書…?」

ベルトルト「旅行者必携の案内書だね。5年以上前に発行された本だけど」

ベルトルト「ウォール・シーナは巨人の脅威に直接、晒されたわけではないから…」

ベルトルト「5年前の情報でも充分使えると思って、その本を参考に宿を決めておいたんだ」

ベルトルト「古いお店も多いみたいだし、あまり内部は変わってないんじゃないかな」


ユミル「…なるほど。壁が壊される前は観光産業も盛んだったんだな」

ベルトルト「…うん、そうだね」


ベルトルト「その本はアニが見つけたんだ。アニは、もう穴が開くまで読み込んだから」

ベルトルト「あんたらにやる、って言って…僕とライナーにくれた」


ユミル(また、『アニ』かよ…)


ベルトルト「この旅行の手引書はさ、」

ベルトルト「ヤルケル区の事だけじゃなくて、ウォール・シーナ、ローゼ、マリアの…」

ベルトルト「3重壁の内部の区や街、産業、観光名所とかの詳しい説明も載ってるんだ」

ベルトルト「ご丁寧に詳細な地図まで付いて」


ユミル「へぇ」

ベルトルト「でね、これは『西側』のみに特化している本なんだけど」

ベルトルト「きっと、4種類あってさ…」

ベルトルト「北と、東と、南の手引書なんかもあるんだと思う」

ベルトルト「近くの街の本屋で探したんだけれど…結局、他は見つけられなかったな…」


ユミル「この街にあるかも知れないじゃないか、西以外の旅行の手引書」


ベルトルト「う~ん…あるかなぁ」

ベルトルト「もしあったとしても、もう買わないだろうな」

ユミル「なんでだ?…探してたんだろ?」

ベルトルト「うん、そうなんだけど…もう行けないから、他の地域の本はいらない」


ユミル「…そうか」


ユミル(そう言えばまだ、最終目的地…教えてもらってないんだよな、私とクリスタは)






ライナー「着いたぞ!この宿だ」

クリスタ「わぁ…大きい!こんな豪華な宿…大丈夫なの?ライナー」

ライナー「宿代の事なら心配は無用だが…」

ライナー「これでもこの宿はヤルケル区では中の上あたりでな、まだまだ上があるんだが…」


ベルトルト「僕ら身なりも良くないし、上流階級の人間が使う宿なんか取ったら、」

ベルトルト「悪目立ちしてしょうがないよ…それにこの宿は1階に食堂が併設されていて」

ベルトルト「料理がすっごく美味しいって書いてあったから、もうここしかないってば…」

ユミル「へぇ~…ベルトルさんはそれが目当てか、意外に食い意地が張ってるんだな」フフッ

クリスタ「美味しい料理か~…少し期待しちゃうね!ユミル」

ユミル「あぁ、そうだな!クリスタ。サシャも連れてきてやりたかったな…」


ライナー「そういや脱走してから、ろくなもん食ってないな…腹が減った」

ベルトルト「じゃ、受付済ませてからみんなでお昼食べようか」



~中流階級の宿屋~


ベルトルト「やっぱりアルミンはここに宿泊してるね。受付の人に確認した」

ライナー「そうか、じゃぁ計画は順調に進んでるんだな。アルミンに任せて正解だった」

ベルトルト「そうだね、でも彼はどこにいるんだろう…」

ライナー「夜には会えるだろ、心配するな」

ベルトルト「…だね、待つしかないか」



ユミル「…」


ユミル「なぁ、部屋なんだが…」

ユミル「アニがここにいるとして、アルミンとベルトルさん、ライナー、クリスタ、私」

ユミル「合わせて6人…どうやって部屋を割り振るんだ?1人、1部屋は無理だろ…」


ベルトルト「アルミンが取ってる部屋を2人部屋に替えてもらって、その隣に2部屋」

ベルトルト「つまり、2人部屋を3つ取った」


ユミル「…」

クリスタ「…」


ユミル「待て!それはまずい…」

ベルトルト「何が?」

ユミル「男3人に、女3人…つまり最低1部屋、男女で寝なくちゃいけない部屋が出来る」


ライナー「あー…そうだな…気付かなかった」

ベルトルト「それの何が問題なの?」

ユミル「何がって!大問題だろ!!」


クリスタ「ユ…ユミル。ちょっと声が大きいよ…みんな見てる…」チラチラ

ユミル「わ…悪ぃ、つい興奮しちまって…」

ライナー「ま、部屋割りは後でいいだろ…アニが来てなきゃ1人分空くんだし」


ライナー「荷物は1部屋に集めておいて、とにかく飯にしよう…はぁ、疲れた」


~宿屋1階の食堂~


クリスタ「想像していたより…ずっと豊か!」

クリスタ「食卓に色があるっていいね」キラキラ

ユミル「そうだな、シーナってさ…暮らすにはえらく金が掛かるが、物資は豊かだよな」

ユミル「サシャがあれだけ食べたがっていた肉も…ほら、普通に献立表に載ってる」

クリスタ「本当だ!でもすごく高いね…」ハァー

ユミル「うーん、ちょっと無理だな…」


ベルトルト「食べたかったら、注文してもいいよ。ユミルもどうぞ」ニコニコ

ライナー「そうだぞ、クリスタも遠慮するな」


ライナー「本職の料理人が作る料理を食べる機会はもうあまりない…好きなの食え」


ユミル「と言うかさ、宿代とか食堂の支払いとか…本当にお前らどうすんだよ…」

ユミル「財布の中身なんざ、私らとそう変わらないだろ…無理すんなって」

ライナー「心配は無用だと言っただろ。これから、俺らが乗ってきた調査兵団の馬を売る」


ユミル「!?」
クリスタ「!?」


ユミル「本気か?じゃあ今後の移動はどうすんだよ!!」

クリスタ「私の馬も…売っちゃうの?」

ライナー「いや、待て。クリスタと俺の馬は残す…残りの2頭を売るつもりだ」


クリスタ「良かった、でも…」

ユミル「ジャンの馬…売っちまうのか」ハァ


ベルトルト「ユミル、馬にとってはその方が良いのかも知れないよ」


ベルトルト「壁外調査に出て、誤って人と一緒に巨人に踏み潰されるより…」

ベルトルト「シーナに住むお金持ちに買われて、時々…娯楽としてのレースに出て」

ベルトルト「うんと褒めてもらって、質の良い餌を食べて…世話専用の使用人が付いて」

ベルトルト「命のやり取りをしなくていいんだもの。馬だってその方が幸せじゃない?」


ユミル「はぁ…なるほどな。幸せの在り方って、人それぞれだから一概には言えないが、」

ユミル「馬の事だけで言うならそれもありかもな…あくまでも馬の話だが」


ベルトルト「…」


ライナー「馬の中でもな、調査兵団の馬はウォール・シーナでも特に需要が高いんだ」

ライナー「王都の地下街でも高値で取引されている。対巨人用で足が速く、持久力もある」

ライナー「よく躾けられているし、所属兵士の士気も高いから、横流しなんかほぼ無い」

ライナー「滅多に手に入らないものほど価値があるんだ…馬自体、高価な生き物だしな」

ライナー「1頭売れればローゼで大きな家が買えるうえ、家畜まで付いてくるぐらいの金になる」


ユミル「なら1頭だけでいいじゃないか」

ユミル「何もジャンの馬を売らなくたって…」


ベルトルト「ユミル。ジャンには可哀想な事をしたけど、もう返せないんだ…諦めて」

ユミル「…」


ベルトルト「僕も1頭売れば十分だと思うけど…僕らの『生き延びるための準備』に、」

ベルトルト「一体いくらお金がかかるのか…ちょっと予想がつかないんだよね」


ユミル「まだ、秘密にしておくのかよ…」

ベルトルト「えっ?」


ユミル「お前らは一体、『何の準備』をするつもりなんだ?」

ユミル「何にも教えてくれないくせに…」


クリスタ「ユミル…」


ライナー「ま、まぁ気を取り直して…ほら、食べようか。だいぶ冷めてはいるが」

ライナー「うん!美味い。どんどん食えよ」


ライナー「給仕さん!4人分のデザートも追加で頼む、あとここに載ってる肉料理も4皿な!」


ユミル「…」



~宿屋の一室~


ベルトルト「さて、食事も済んだし…少し眠りたいところだけど…そう時間もない」

ライナー「店が開いてる時間は限られてるからな。ちょっと無理しても日中動くべきだ」

ベルトルト「そうだね、時間を大切にしないと…行かなきゃいけないところも多いし」


ベルトルト「ユミル、眠いのはわかるけど、ほら…もう出掛けよう?」

ユミル「ん…?どこへ…だ」

ベルトルト「買い物。僕とユミルの買い物」


ユミル「買い物?…そうだな」

ユミル「服は3日分しか持って来てないし、日用品も本当に最低限しか持って来てない…」


ベルトルト「あの時はごめん…。お詫びに色々買ってあげるからね」ナデナデ


ユミル「…ふぁ~っ…眠い…わかっ…た」


ベルトルト「って事で、僕はユミルと出掛けるから、ライナーはクリスタと…ってあれ?」

ベルトルト「クリスタは…?」


ライナー「ん…?いや、さっきまでそこに居たんだが…おかしいな」

ベルトルト「今更、逃げ出さないとは思うけど…あぁ、そうだ!昨日の結果どうだった?」

ライナー「結果?」

ベルトルト「ほら、星を見たんでしょ?クリスタと。あれだけお膳立てしたんだから、」

ベルトルト「ちゃんと告白したよね?」


ライナー「…そ、それがだな…悪ぃ、ベルトル。実は、まだ言えてないんだ…」


ベルトルト「はぁ?」

ベルトルト「じゃあさ、ライナーは…あの1時間半、クリスタと何してたの?」


ライナー「何って…星を見ながら、訓練兵の時の話とか、ユミルの話とか…してた」


ベルトルト「…」


ベルトルト「キスとか…抱きしめたりとかは?…まったく何もしてない訳?」イライラ

ライナー「おっ…お前なぁ…それは普通、告白してからだろっ。…いや…違うな」

ライナー「相手から良い返事をもらってからの話だ。そうじゃなきゃ犯罪だぞ…」


ベルトルト「は…犯罪?」

ユミル「ん、その理屈からいくと、ベルトルさんは完全に犯罪者だなぁ…ふゎぁ…眠…」

ベルトルト「ユ…ユミル、僕は違うよ!…だって僕らはお互い好きだったでしょ!」オロオロ



ライナー「惚気るのはそこまでにしとけ…」ハァ…


ライナー「よし!今夜、絶対告白する!絶対だ…今夜で決める!!」

ベルトルト「期待しないでおくけど…でも、ちゃんとクリスタにも選択権を与えてよ」

ベルトルト「そうじゃないと…彼女、自分の人生を生きられなくなる」

ライナー「わかってるよ、言われなくてもな」


ユミル「…」

ユミル(私には選択権はなかった気がするが…ベルトルさん多分、わかってねぇな)




ダッ ダッ ダッ…

ガチャガチャ!    バン!!


クリスタ「ユミル!ライナー!ベルトルト!」


ユミル「…?」ハッ

ユミル「クリスタ!どうした?」ガバッ!

クリスタ「今ね、今ね!アルミンがいた!!」


ユミル「アルミン…?」

クリスタ「ほら…」クルッ



アルミン「クリスタ…ちょっとまって…」ハァハァ…


ユミル「アルミン!!お前…生きてたのか」

ベルトルト「アルミン。久しぶり」ニコッ

ライナー「ほら、俺の言った通りだろ。また会えるってな」ニヤリ


アルミン「ライナー、ベルトルト…久しぶり!2週間ちょっと会わなかっただけなのに」

アルミン「もう何年も会わなかったような気がする…」

アルミン「それに、クリスタにユミルも…」


アルミン「懐かしい…そうか、教えてもらえなかった残りの2人の協力者って…」

アルミン「クリスタとユミルだったんだ!…あぁ、もう二度と会えないと思ってた」


クリスタ「アルミン…」


ユミル「協力者ってなんだよ…協力した覚えはねぇぞ!」

ユミル「こっちだってなぁ、無理やり連れて来られ…


ベルトルト「ユミル!」

ベルトルト「これから僕と出掛けるんでしょ」


ベルトルト「もう、行こう…」


ユミル「いや、まだだ。こいつには聞きたい事と言いたい事が山ほどあるんだ!」


ライナー「夜もあるだろ、話し込めば日が暮れる。今できる事をするべきだ」


クリスタ「そ…そうだね。後でゆっくり話そうね!アルミン」


クリスタ「ところでアニは一緒じゃないの?」

アルミン「あぁ、アニはね、ウォール・シーナ内部まで『酵母』を買いに行ってるよ」

アルミン「僕が用意した酵母が予定より少なかったみたいで買い足しに行ったんだ」

アルミン「この街でも買えるんだけど、ついでに調理器具なんかも揃えておきたいって」

ユミル(調理器具…?)


アルミン「シーナの中央近くの方が、流通している物の質が良いのはわかるけどね」

アルミン「夕方か夜には戻ると思うよ」


ベルトルト「そうか…アニに会うのも久しぶりだ」ワクワク

ライナー「だな、ちょっと楽しみだな」


ユミル(こっちは会いたくないってのに、そんな嬉しそうな顔すんなよ…ベルトルさん)


ユミル「…」ハァ


ライナー「あぁ、アルミン。これから馬を2頭売りたいんだが、この街に仲買人は居るか?」

アルミン「居ることには居るけど…王都の方が高値で買い取ってくれるよ」


ライナー「と言ってもなぁ…王都まで片道250kmはあるだろ。そこまでは行ってられん」

ライナー「それに俺たちの許可証はヤルケル区までだから内側の検問所は抜けられんし…」


アルミン「さすがに王都までは無理だけど、中央近くの街までだったら…」

アルミン「僕がアニと明日にでも行ってくるよ。で、帰りに幌付き馬車をもう1台と」


アルミン「荷引き馬を2頭買って来る」


ライナー「アニは今、病気療養中って事になってるんだっけな。まだ憲兵団所属だよな」

アルミン「そう」


アルミン「やっぱり憲兵団の肩書はすごいね。ライナーとベルトルトも憲兵団に…

ベルトルト「僕らは、ユミルとクリスタが所属するところに行こうって決めていたんだ」

ベルトルト「そうじゃないと、この2人を連れ出す事なんて出来なかったから」

ユミル(知らなかった、この計画を実行するために調査兵団に入ったのか…)


ベルトルト「ね、ユミルそろそろ行こう。もうこれ以上、時間を無駄にできない」

ユミル「あ、あぁ…」


ベルトルト「みんな、また夜にね」



~ヤルケル区 大通りの繁華街~



ユミル「…さすがウォール・シーナだ」

ユミル「人が多いな…見てみろよ、この市場の活気。野菜、果物、魚に肉まで売ってる」

ユミル「ローゼの田舎街とは大違いだ」


ベルトルト「ユミルはウォール・シーナで暮らしていたんだよね?」

ユミル「そうなんだが…こんな賑やかで清潔な街には来たことはないんだ」


ユミル「私が居たところは、寂しくて、寒くて、薄暗い所ばっかりだった」


ユミル「しばらく人の出入りがないような金持ちや貴族の別荘なんかで金品を借りたり、」

ユミル「王都の地下街でスリをしたりな…」


ユミル「こんな、明るい世界とは無縁の生活だったんだよ、訓練兵団に入るまではな」


ベルトルト「そうだったんだ…僕らが開拓地で辛い生活を送っていた頃、ユミルも…」




ベルトルト「ねぇ、手を繋ごうか…」

ベルトルト「ユミル、早く手を出して」ソッ


ユミル「えっ…」


ベルトルト「人が多いからさ、はぐれると困る」ギュッ


ユミル「あ…あぁ、そうだな」ギュッ


ユミル「手、温かいなぁ…血が通っている」


ベルトルト「…当たり前だよ。僕ら、『人間』だからね」フフッ



ユミル「…」

ユミル「そうだな、『人間』だもんな…」ニコッ







ベルトルト「ちょうど裾の長さがあうズボンが見つかって良かった」

ベルトルト「お気に入りのはブレードで貫かれて、穴が開いちゃったからね」

ベルトルト「シーナは裕福な人達が住む地域だから、特注品を扱う仕立て屋ばっかりで、」

ベルトルト「既製服を買うのがこんなに大変だとは思わなかったよ…」


ユミル「なぁ…穴が開いたズボン、捨てずにとっとけよ。お気に入りなんだろ?」

ベルトルト「…ん?」


ユミル「落ち着いたら、縫ってやるから…」

ベルトルト「ユミル…」


ベルトルト「ありがとう、裁縫は得意?」


ユミル「得意というほどでもないが、人並み程度には出来るつもりだ」

ユミル「ついでに、マフラーや手袋なんかも編んでやる。そっちは…実は得意だ」

ベルトルト「ふふっ、意外な特技だね。じゃぁ、あとで手芸屋さんにも寄ろう」


ベルトルト「でも、手袋はいらないかな」

ユミル「…なんでだ?」

ベルトルト「手が冷たくなったら、また手を繋げばいいじゃない」

ベルトルト「僕の手は大きいから、君の手ぐらいすっぽり入ってしまうよ」


ユミル「いや、それじゃダメだ。内側の私の手は温かくなるが、お前の手は冷たいままだろ」


ベルトルト「…」


ベルトルト「なんだか、涙が出そうだ…」

ユミル「どうした?悪いこと言ったか?」

ベルトルト「ううん。ただ胸が苦しくて…」


ベルトルト「今まで生きてきた中で、僕の事を心配してくれた人は、どれほどいたのかな」

ユミル「ライナーがいたんじゃないか?それに訓練兵団の同期だってみんな…」

ベルトルト「そっか…うん、そうだね」


ベルトルト「ユミル、ありがとう」

ユミル「…何もしてないぞ、私は」

ベルトルト「ユミルはさ…そばに居てくれるだけでいいんだ、ずっと僕のそばに」

ベルトルト「この手を、離したくない」


ユミル「…」


ベルトルト「ね、君の服はそれで足りそう?」

ユミル「あぁ、結構買ってもらった」

ベルトルト「下着も買ってあげようか?僕の好みになるけど…」

ユミル「それはいらない…店の場所は分かったから明日一人で買ってくるわ」


ベルトルト「ふぅん…残念だ」ショボン…


ユミル「そうだ…確か、ベルトルトさんと何か約束したよな」

ユミル「私に買ってくれるって言ってた物って…なんだったっけ…」


ベルトルト「僕は覚えてるよ!君に叱られたからね。それは明日以降に買ってあげるね」


ベルトルト「今日はまだ、君と一緒に行きたい店があってね…」


今日はここまで。読んでくれてありがとう。

中途半端ですがPCの調子が悪いので、消える前に今ある分を投下しました

おやすみなさい  次は10日以上空くと思います


すんません、一か所だけ…

>>387 誤)ユミル「そうだ…確か、ベルトルトさんと何か約束したよな」

     正)ユミル「そうだ…確か、ベルトルさんと何か約束したよな」

…何度も読み返してから投下しているはずなのに、なぜ見逃してしまうのか


あと、アニについての発言で矛盾を発見してしまったので、後ほど説明を
付け加えます。発見してしまった方は…ちょっとまっててね

来週一杯、仕事の都合で書けないのですが、書きたくてしょうがないので
なるべく早めに投下したいです。感想ありがとう、ほんっと嬉しい

PCはシステムの復元したらなんとかなったようだ!

今から投下します。10日も空かなくて良かった


ユミル「そうだ…確か、ベルトルさんと何か約束したよな」

ユミル「私に買ってくれるって言ってた物って…なんだったっけ…」


ベルトルト「僕は覚えてるよ!君に叱られたからね。それは明日以降に買ってあげるね」


ベルトルト「今日はまだ、君と一緒に行きたい店があってね…」

ユミル「私と行きたい店?」

ベルトルト「うん。この先の路地を左に曲がって少し歩いた先、小さいけれど有名なんだ」

ユミル「すごいな…お前。旅行の手引書の内容、地図ごと暗記してるのか?」

ベルトルト「まぁね。僕も穴が開くほど読み込んだから…興味がある場所は特に」


ベルトルト「でね、そのお店は…もし君が僕と一緒にヤルケル区まで来てくれたら」

ベルトルト「絶対、2人で行こうって前から決めてたんだ」


ユミル「思い入れがあるのか?その店に」

ベルトルト「行くのは初めてだから『思い入れ』は特にはないけど、その店にはある噂が…


ベルトルト「あ、ここだよ!もう着いた」

ユミル「!?」



ユミル「お…お前、ここ…宝飾店じゃねぇか!!」

ユミル「待て、血迷うな…。私は宝石とか装身具とかには興味がない。金の無駄だ」

ベルトルト「まぁまぁ、入ってみようよ」グイッ


ユミル「おい!引っ張るなよっ…」



ガチャッ…ギギギ…

カラン カラン


宝飾店の主人「ほぅ、いらっしゃい」


宝飾店の主人「おや…珍しいね、ずいぶん若い恋人同士がお見えだ」ハハハ

ユミル「違うって…私らはそんなんじゃ…」

ベルトルト「こら、違わないでしょ!照れないで」ギュゥ

ユミル「ベルトルさん…手、痛い」


宝飾店の主人「なんだか初々しいねぇ」

宝飾店の主人「もう、結婚するのかい?二人とも十代に見えるが…」

ベルトルト「実は彼女からまだ返事は貰えてないんですけど、この店の例の噂を知って、」

ベルトルト「どうしても貴方のお店で『指輪』を買いたくなったんです」

ユミル「!?」


ユミル「おっ…お前…指輪って…」

ユミル「ベルトルさん!!わ…私はまだ…その…『うん』って言って…ない…」


ベルトルト「わかってる。でも、ここで買い逃したら、もう買うことが出来なくなる」


ベルトルト「君が『うん』って言ってくれた時に、君に贈る指輪がないと困るんだ」


ユミル「…」



宝飾店の主人「なるほどねぇ」

宝飾店の主人「プロポーズはしたものの、まだそのお嬢ちゃんからは良い返事は貰えてない…と」

ベルトルト「うん、そうなんだ」

ベルトルト「それにこのお店の噂!」

宝飾店の主人「この店で結婚指輪を買った恋人同士は、絶対に別れない。…という話かな」

ベルトルト「そう!それ本当?」

宝飾店の主人「あぁ、本当だとも。私が結婚指輪を売った夫婦で別れたと言う話は聞かないね」

宝飾店の主人「まぁ…遠くへ行ってしまった夫婦についての検証は難しいけれどね」


ベルトルト「やっぱり…手引書の通りだ。ね、ここで正解だよ、ユミル!ここで買おう」


ユミル「…」




ユミル「…いらない」

ベルトルト「えっ…」


ユミル「どうして、外堀を埋めようとするんだよ…まだ返事もしてないってのに!」

ユミル「そうやってまた私に選択権を与えない。これじゃあの夜と同じだ…」


ベルトルト「ユミル…」


ユミル「どうしていつも相談もなしに勝手に話を進めようとするんだ、お前は」

ユミル「私は別に指輪なんかいらない。私がこの先、お前の『一生のお願い』に対して、」

ユミル「『うん』と言ったとしてもだ」


ベルトルト「また、僕はユミルを怒らせちゃった…?」


ユミル「ああ、そうだ。お前は私が喜ぶと思って連れてきたんだろうが、それは見当違いだ」


ベルトルト「…」


ベルトルト「すれ違いがあったのなら、ちゃんと話し合う。昨日、そう決めたよね」


ユミル「…あぁ」


ベルトルト「まず、勝手に話を進めたことは、謝る…。ごめんね、ユミル」

ユミル「…」


ベルトルト「僕は、『証し』が欲しい」

ベルトルト「『君は僕のもの』…と言うと、物扱いするなって叱られるかも知れないけど…」

ベルトルト「僕の大切な人であることを、周りにも証明して、認められたい」

ベルトルト「だから、僕には『指輪』が必要なんだ」


ユミル「証明が必要なのか…?私達が心の中で思っていればいいだけの話じゃないのか?」


ベルトルト「僕は…必要だと思っている」


ベルトルト「それは、君を縛り付けるものになるかも知れない…でも確かなものが欲しい」


ベルトルト「ねぇ、僕を好きだって…言ってくれたじゃないか…」

ユミル「…」


ベルトルト「ユミル…好きだよ、本当に愛している」

ユミル「お前っ…人前だぞっ!」///アワワ

宝飾店の主人「ふふっ」ニコニコ

ベルトルト「そんなの関係ない。君が指輪をはめてくれるまでずっと言い続ける…」


ユミル「はぁ…」

ユミル「お前は、本当に我儘なんだな…」

ベルトルト「うん、年下の特権だね」


ユミル「もう…わかったよ!」

宝飾店の主人「いや、若いっていいね!私も青春時代を思い出したよ」ハッハッハ


ベルトルト「」////カァァ…

ユミル「」////カァァ…



ベルトルト「…ユミル、ごめんね」

ユミル「もういいって…」




宝飾店の主人「さて、どんな指輪にする?」

宝飾店の主人「鋼に銀、金、プラチナ、宝石が付いた物も取り揃えてるよ」

ベルトルト「プラチナ?…プラチナもあるの!?すごい、希少金属じゃないか…」


ユミル「プラチナか…」

ベルトルト「あぁ…でもごめん。この値札を見たらさすがに血の気が引いた…」

ユミル「私らには不釣り合いだろ、これは金持ち用。見れただけでも眼福だったな」

ベルトルト「そうだね…馬を売ったお金があれば買えるけど、あれは別の用途に使う予定だし」


ベルトルト「第一、指輪は自分のお金で買うって決めてたしね」


ユミル「そうなのか?」

ベルトルト「うん、だって盗ん…ゴホゴホ馬を売って作ったお金で愛を誓いたくないでしょ」

ユミル「まぁ、確かに…」


ベルトルト「僕は本を読むぐらいしか趣味がないし、欲しいものも特にはなかったから」

ベルトルト「余るほどではないけれど、ちゃんと貯めておいたはずなのに…」

ベルトルト「さすがはウォール・シーナ、物価の高さはローゼの比じゃないね。はぁ…」


ユミル「私は金のかかる女じゃないぞ。それにプラチナなんて別に欲しくない」


宝飾店の主人「ははは、若い二人にはこれは無理だろうねぇ…」


宝飾店の主人「無難に『銀』とかどうだい?変色しやすいのが難点だが…金よりは安いよ」


ベルトルト「う~ん…変色しやすいってのがダメ。変色したら心変わりされちゃうかも」

ユミル「…しないって」


ユミル「ただ、銀は空気に触れているだけで酸化…ゴホン、えっと自然に色が黒ずむから」

ユミル「こういう用途には向かねぇな。これは着飾った時に付ける装身具の類に向いてる」


宝飾店の主人「まぁ、そうだね。確かに結婚指輪には向かないな…済まなかったね」

宝飾店の主人「君たちの予算がわからないものでね、安いものをと思ったんだが…」


ベルトルト「給金3か月分くらいかな…予算」

ユミル「3か月も居なかったじゃねぇか、調査兵団」

ベルトルト「訓練兵の時の給金もあるし」

ユミル「あぁ、毎月子供のお小遣いみたいな給金を貰ってたな…」

ベルトルト「でも3年分だよ?少しの日用品と、服と、本ぐらいにしか使わなかったから」


ベルトルト「プラチナ以外だったら、どれでも買えるんだけど…」

ユミル「なぁ、せっかく貯めたんだろ?…無駄使いしなくていいって…指輪はやめよう」


ベルトルト「ユミル、お金なんて持ってても意味ないんだ。もうすぐ必要なくなるから」


ユミル「それ、兵舎を出る時も言ってたよな」

ユミル「…どういう意味なんだ?そろそろ教えてくれてもいいだろ?」


ベルトルト「…」

ユミル「また、だんまりかよ…」ハァ…

ベルトルト「えっと、『金』にします」

ユミル「…おい!」


宝飾店の主人「『金』でいいのかい?ちょっとお高いよ」

ベルトルト「うん、大丈夫!予算の範囲内だから。それに金は変色しないのがいい」

ベルトルト「あと、錆びないところも…」

ベルトルト「ずっと綺麗なままだなんて、結婚指輪としては完璧じゃない?」


宝飾店の主人「ほぉ、分かってるね。お兄さん!」

ベルトルト「じゃぁ、それで…」

ユミル「ほらまた、勝手に決めようとする」


ベルトルト「!?」

ベルトルト「また…やっちゃった?ごめん」


ユミル ハァ…「お前のこと、誤解してた」

ユミル「主体性がない、受け身な性格だと周りはお前を評価していたような気がするが…」

ベルトルト「うん…」

ユミル「本当のお前は、自分勝手で強引だ」

ベルトルト「うん、そうかも…」


ユミル「私もつけるんだろ、指輪」

ユミル「私の意見は、聞かなくていいのか?」

ベルトルト「…」


ベルトルト「また、叱られた…」

ユミル「そりゃ、そうだろう。私が不快だったり、疑問に思う事があれば叱れって、」

ユミル「お前が言ったんだぞ」


ベルトルト「うん…そうだった。ごめんね」

ユミル「よし、分かればいい」


ユミル「で、私の意見だが…私は『鋼』がいい。これって鋼貨と同等の素材か?」

宝飾店の主人「いや、もっと上質だよ。これには複数のレアメタルが含まれているんだ」

宝飾店の主人「特殊な鋼でね、確か…兵士が持っている超硬質ブレードと同質の素材だ」


ユミル「えっ!」

ユミル「あれって製法は門外不出だろ」


宝飾店の店主「金属の精製方法はそうだろうけどね、金属自体は加工用として出回っているよ」

宝飾店の店主「丈夫でしなやか、粘りがあるからこの金属は加工がしやすいんだ」

宝飾店の店主「まぁ、とは言え『鋼』だからね…手入れを怠るとやはり錆びるけどね」


ユミル「…」



ユミル「ベルトルさん…」

ベルトルト「ん?」

ユミル「私は、これがいい…」

ベルトルト「超硬質ブレードと同じ素材の指輪?」

ユミル「うん」


ベルトルト「でも…錆びちゃうよ?鋼は」

ユミル「きちんと手入れすれば錆びない」

ベルトルト「そうだろうけどさ…でも…」



ユミル「気持ちも同じだと思わねぇか?錆びないものだと思い込むより、」


ユミル「錆びない努力をしていった方が、長持ちすると思うんだ…」


ベルトルト「あぁ…なるほど」


ユミル「それに、超硬質ブレードと同じ素材だと思うと、親近感が湧かないか?」

ベルトルト「全然湧かないんだけど…」


ベルトルト「でもユミルがそう言うなら、僕もこれにする」

ベルトルト「安っぽい感じだけど…本当にこの指輪でいいの?」

ユミル「値段や見た目じゃないんだって!」


宝飾店の店主「決まったかい?名前は無料で入れてあげるよ、どうする?」


ベルトルト「僕は入れたい!ユミルは?」


ユミル「じゃ、入れてもらおうかな」


ベルトルト「決まりだね、僕は『ベルトルト・フーバー』で、彼女は、『ユミル…

ユミル「私は名だけでいい、姓は不要だ」

ベルトルト「…」


宝飾店の店主「名入れに少々時間を貰うよ」

宝飾店の店主「その間、お嬢ちゃんは隣の店で暇を潰してきちゃどうだい?」

ユミル「…ん?」

ユミル「隣の店には何があるんだ?」


宝飾店の店主「化粧品を売っているんだ。良かったら是非見てってやってくれないか」

宝飾店の店主「実は私の妹の店でね」ハハ…

ユミル「化粧品ね…用はないけど行ってみるか。商売上手だね、おじさん」ニコッ


ベルトルト「ユミル、指輪の大きさキッチリ合わせてね、両方の薬指だよ」


ユミル「大丈夫だ、これピッタリだな!」

ベルトルト「僕もピッタリ…どうやったって落としそうにもないくらい。ちょっとキツイ」

ユミル「あまりキツイと外れなくなるぞ…」

ユミル「じゃぁ、隣の店覗いてくるわ」


ベルトルト「僕は支払を済ませて、指輪を受け取ってから行くよ。隣で待っててね」


ユミル「あぁ、わかってる」



カラン カラン バタン…



ベルトルト「よし、行ったな」

ベルトルト「ねぇ、お願いなんだけど…指輪に刻む名前…






~宝飾店隣、化粧品店~



ベルトルト「…ユミル?」キョロキョロ

ベルトルト「あの、すいません…ここに17歳くらいの黒髪の女の子来ませんでしたか?」


売り子の姐さん「んんっ?あんた、この娘の彼氏かい?」

ベルトルト「この娘…?」

売り子の姐さん「そう、この娘。今あたしが化粧してる娘」

ベルトルト「…?」ジーッ


ユミル「ん…遅かったじゃねーか。待ちくたびれた…ふゎぁあ…」


ベルトルト「…誰?」

ユミル「はぁ?」



ベルトルト「…ひょっとして、ユミル???」

ユミル「私以外と待ち合わせしてたのか?」



ベルトルト「えぇぇぇぇぇぇ!!!!」フラッ…


ベルトルト「ちょ…本当にユミルなの?変わり過ぎだよ!!本気で誰かわかんなかった!」


ユミル「宝飾店のおじさんの妹さん…つまり目の前に居るこの姐さんが、お遊びでね」

ユミル「私に化粧を施しやがった…」


売り子の姐さん「いや、客もいなし暇だったからさぁ…」

売り子の姐さん「兄さんの店で指輪買ってくれたんだって?そのお礼も兼ねてさ!ちょっとね」

売り子の姐さん「どうだい。見違えただろ?あんたの彼女。元は良いのにさぁ」


売り子の姐さん「化粧しないのは勿体ないねぇ…あんたなら王宮にだって上がれるかもよ」


ユミル「王宮?ないない!侍女にもなれねぇよ、私なんか。ダハハ!」

ユミル「貴族のお手付きになるのも勘弁だしな。あんまり持ち上げんなよ、姐さん」




ベルトルト「…」

ベルトルト「やだ…」



売り子の姐さん「…は?」


ベルトルト「ユミルには化粧をしてもらいたくない…」


ユミル「やっぱ私には似合わねぇよな」アハハ

ベルトルト「そうじゃなくて!…凄く、綺麗だから…他の男に見せたくないんだ、その顔」

ユミル「…?」


売り子の姐さん「へぇ…嫉妬深いんだね、あんたの彼氏。いや、未来の旦那さんかな?」

ユミル「そ、そんなんじゃねーよ…」///


売り子の姐さん「この娘は、肌が綺麗だから白粉はいらないくらいだよ。でもそばかすがね…」

売り子の姐さん「隠したいならこっちの品を勧めるよ、天然成分由来だから身体にも悪くない」

売り子の姐さん「目は切れ長、まつ毛も長い…瞼に少し色を付ければ大人の女の仲間入りだ」

売り子の姐さん「顔は元々整ってる、薄めの唇には厚めに紅を乗せて官能的にしたりね」

売り子の姐さん「あんたの彼女、本当にベッピンさんだよ、しばらく見ない上玉だ」



ベルトルト「褒めてくれるのは嬉しいけど…僕は元のユミルが好きだから…」


ベルトルト「化粧落としてもらえない?今ここで」


ユミル「…」


売り子の姐さん「あのねぇ…1時間もかけて顔を作ったってのにさ、落とせってあんた…」

ベルトルト「だって…その顔を見て、他の男がユミルを好きになったら…許せないから」


売り子の姐さん「お気に召さなかったようだけど、女には誰でも綺麗になる権利がある」

売り子の姐さん「あんたも彼氏だったら、彼女が綺麗になったことをもっと素直に喜びな」


ベルトルト「…」

ユミル「はぁ…もういいや」


ユミル「姐さんありがと。こいつはそういう奴だから、化粧は落としていく」

ユミル「せっかく頑張ってくれたのに悪ぃな、お詫びに何か買ってくわ」


ベルトルト「ユミル…」

売り子の姐さん「あ~ぁ、勿体ないねぇ…」


ユミル「そばかすは別に気にしちゃいねぇんだよなぁ…そうだな、口紅にしようかな?」


ユミル「兵士として生活していた頃は、化粧とは一切無縁だったから、今日は新鮮だった」

ユミル「姐さん、本当にありがとな!」

ベルトルト「ユミル、僕が買うよ…ごめんね」

ユミル「いや、これは自分で買う」

ユミル「なんか今日はお前に支払わせてばっかりだったし、」

ユミル「たまには私も女らしい買い物を楽しんでみたい…」

ベルトルト「…」



ユミル「お前知ってるか?」


ユミル「この口紅は『植物の根』と『黄土』と『特殊な色素を持つ虫』をすり潰し、」

ユミル「混ぜ合わせて出来ているんだ」


ユミル「化粧品って高価だろ?…これを作る女達は、この紅をつけることは一生ない」


ユミル「原材料はウォール・シーナから持って行き…製造工場は賃金の低いローゼに」

ユミル「で、主に購入していくのはウォール・シーナの上流・中流階級のご婦人方だ」

ベルトルト「…」


ユミル「まぁ、何が言いたいかって言うと、つけたくても、つけられない女もいることを」

ユミル「忘れないでいて欲しいんだ。だから、この紅を私が買ってつけられると言うことは」

ユミル「きっと幸せな事だから…、次につけた時は『落とせ』とは言わないでくれよ」


ベルトルト「ユミル…化粧したかったの?」


ユミル「…いや、シーナに居た時、娼婦が化粧をして男に媚びるのを見ていたから…」

ユミル「化粧も女も汚く感じて、今でもあまり好きではないんだが…」


ユミル「でも、ほらお前が…私を『綺麗だ』って言ってくれてさ、悪い気はしなかった」

ユミル「好きな男のために、綺麗になりたいって思うのは、女の本能なのかもな…」


ベルトルト「好きな…男…」

ユミル「ま、ベルトルさんは私が化粧しようがしまいが、あんまり変わらないみたいだが」


売り子の姐さん「そう思うと、良い彼氏なのかもね。外見の価値だけが全てじゃない」


ユミル「な~んか、複雑だけどな」

ベルトルト「…」


ユミル「さて、どの紅を買おう…」

ユミル「なぁ、ベルトルさん。どの色が好きだ?お前が決めてくれ」


ベルトルト「えっ…僕?」

ユミル「あぁ、私が決めてしまうとな…」


ユミル「また前みたいに『その色は嫌いだから置いて行って』って言われそうでな」ハハ


ベルトルト「!?」

ベルトルト「もう!…あの時はごめんねって…謝ったじゃないか!」ムスッ


ユミル(そういや、買ってもらう約束してたのは『髪留め』だったな)


ユミル(まぁ、ベルトルさんが覚えているなら、別に言わなくてもいいか…)


ユミル「あのさ、なんであの色嫌いなんだ?…その、髪留めのえんじ色」

ベルトルト「…」


ベルトルト「あの色は、古くなった血の色に似ているんだ…錆びた血液の色と言うか」

ユミル「…そうか」


ユミル「ひょっとして、血が怖いのか?」

ベルトルト「…」

ベルトルト「少しだけね…」


ベルトルト「今でも忘れられないよ…大量の血が流れる光景を、僕は上から見ている…」


ベルトルト「今も夢に見るんだ。そしてじっとりした汗をかき、恐怖に震えて目が覚める」


ユミル「…」


ユミル「ベルトルさん…こっちおいで」スクッ…

ユミル「ここに腰かけてくれ。ほら」

ベルトルト「…?」

ユミル「でないと、お前の頭を撫でられない」

ベルトルト「ユミル…」ストン…

ベルトルト「いっ…いいよ、ユミル!撫でなくても…ねぇ、お姐さんも見てるし…」


売り子の姐さん「構わないよ、どうぞ続けて」


ユミル「」ナデナデ…

ユミル「私がそうしたいんだ、付き合わせて悪ぃな…ベルトルさん」ナデナデ

ベルトルト「…」


ベルトルト(あぁ、だから僕は…ユミルが好きなんだ…)

ベルトルト(抱きしめて、何度もキスをしたいけど…ここだときっと怒られる)

ベルトルト(宿に戻ったらしよう。絶対)


売り子の姐さん「で、どの色を買うんだい?」


ベルトルト「えっと、この色でいい?ユミル」

ユミル「あぁ、いいよ。私に似合うと思って選んでくれたんだろ?」

ベルトルト「うん。ユミルの肌は白いから…きっとこの色合いの赤が映えると思う」

ベルトルト「綺麗だろうなぁ…」



ベルトルト「あぁ!忘れてた…ほら、指輪。名前入れてもらったから手を出して」

ユミル「右手だよな」スッ

ベルトルト「右手の薬指ね、『ベルトルト・フーバー』って僕の名前が入ってるから…」

ベルトルト「落とさないでよ」キュキュ…


ユミル「…ん?」キラッ

ユミル「名前って、私の指輪にお前の名前が入るのか?」


ベルトルト「そう、結婚指輪だから相手の名前が入るんだ」キュキュキュ…

ユミル「!?」


ユミル「ってことはお前の指輪には私の名前が入ってるのか?」

ベルトルト「そうだよ」キラッ


ユミル「そうか…知らなかった…。なんか恥ずかしいな」///


売り子の姐さん「あはは!紅筆おまけしてやるよ。あんた達、お似合いだ。気に入った」




売り子の姐さん「…で、化粧落としてく?」





ユミル「姐さん、色々ありがとう。化粧なんかしたの初めてでさ、楽しい時間だった」

売り子の姐さん「こっちも楽しかったよ。またおいでよ」


ベルトルト「そうしたいんだけど…僕達も時間がなくて3日後にはヤルケル区を出るんだ」

ユミル「…そうなのか?」

ベルトルト「うん」



ユミル「次はどこに行くんだ?」

ベルトルト「それはまた明日、説明する」

ユミル「…」ハァ…


売り子の姐さん「じゃぁ、これっきりかい?残念だね…」

ユミル「仕方ないな…姐さんも元気で」


売り子の姐さん「あいよ!あんた達もね」フリフリ



ユミル「いい人達だったなぁ…宝飾店のおじさんも化粧品店の姐さんも」

ベルトルト「そうだね」


ユミル「今日は本当にいい日だった。楽しかったよ、ベルトルさん」

ベルトルト「本当!?だとしたらすごく嬉しい!だって僕は、デートのつもりだったから…」

ユミル「そっか…そう言えば、デートなんてのも生まれて初めてだ。こんなに楽しいんだな」


ユミル「指輪も…綺麗だ」キラキラ

ベルトルト「ユミル、顔がにやけてる」

ユミル「…そ、そんなことねぇよ」///


ユミル「でも、嬉しいよ…やっぱり指輪、無いよりあった方がいいな。ありがと…」

ベルトルト「…うん」///

ユミル「もう、返せって言われても…絶対返さないからな…」

ベルトルト「絶対言わないよ、それはありえない…一生つけてもらうつもりだから」


ユミル「はは、一生ねぇ…あ、なぁ…」


ユミル「化粧、落とさなくて良かったのか?」

ベルトルト「うん、もう開き直って見せびらかすことにした」


ユミル「…は?」

ベルトルト「右手の薬指に指輪をはめている意味は、」


ベルトルト「『恋人がいます』、『婚約しています』っていう意味でね…」

ベルトルト「だからもう、僕が居るよってみんなにわかるから…君を見せびらかす」


ユミル「お前…意味わかんねぇよ…」


ベルトルト(なんで気が付かないかなぁ…すれ違う男はみんな君を見て振り返るのに)


ベルトルト(でも今…僕は、すっごく気分がいい!)


今日はここまで。読んでくれてありがとう。
おやすみなさい、次も1週間以内で…

ひたすらベルトルトが得する回でした

どうでもいいかもしれませんがどこかのサイトで調査兵団の新兵の
初年給は300万というのを見たので、ボーナスがないとしてベルが
提示した指輪の予算は75万ぐらいと予想(ペアリングで150万円)

ちなみに自衛隊の中卒の給料は約9万5千円くらいなので衣食住
まかなわれていた訓練兵団3年分はそうとう貯まってると思います

乙です

前回後半からの嬉し恥ずかし初デートが初々しくて身悶えした
かわええしリア充爆発しちまえ

ベルトルトが案外と押しが強いというか我が強くて
ユミルの「ついてけないゲージ」あげるんじゃないかと
老婆心ながらハラハラしてしまったよ

結婚指輪(だよね?)の予算…すげえぇ…
なんとなくベルトルトってシコシコ貯めてそうだけどw

次回の更新も楽しみに待ってるよ、乙でした


保守ありがとうございます

一区切りつくまでゆっくりしようかと思いましたが、そうなると多分
完結しないのでやる気があるうちに…

例のスレではコメントありがとうございました
意外にこのスレ見てくださってる人がいるんですね、嬉しいやら恥ずかしやら…

>>431 今回、ベルトルトの「我慢のゲージ」が振り切れてますよ!


今から投下します


ユミル「そうだ、ベルトルさん。鏡なんか持ってないよな?」

ベルトルト「えっ?…うん、持ってないけど」


ユミル「だよなぁ…実は姐さんが鏡を見せてくれる前にお前が来たから…」

ユミル「まだ、化粧した顔を見てなくて…自分がどんな顔をしているのか、わからないんだ…」


ベルトルト「!?」

ベルトルト「そうなの?」


ユミル「あぁ…でも、悪くはないんだろ?その…お前の反応を見るに」

ユミル「なんかさ、さっきから周りにジロジロ見られてる気がして落ち着かないんだよ…」

ベルトルト「じゃ、そこの店の金属製の看板に顔、映してみたら?」


ユミル「そうだな、どれどれ…」


ベルトルト「すごく綺麗だよ、ユミル」///

ユミル「…」


ユミル「なんだよ…これ…」

ベルトルト「…?」


ユミル「おっ、落とすっ!今すぐ落とす!!」アセアセ

ユミル「この近くに手洗い場か洗濯場はないか?!…最悪、噴水でもいい!!」

ベルトルト「ユミル、急にどうしたの?化粧変じゃないよ…似合ってる。かわいいよ」

ユミル「変とか変じゃないとかじゃなくて…これ、嫌なんだ!」

ベルトルト「どこが?」


ユミル「これは…3年くらい前に王都で見かけた、『高級娼婦』の化粧にそっくりだ…」


ベルトルト「高級娼婦…?」


ユミル「王族、貴族、商会や教会、法律家なんかの権力者達を相手に性を売る女の事だ」


ユミル「たった一晩で一般的な兵士の半年分は稼ぐ…その分彼女らに対する要求は高いが」


ベルトルト「そんな上位職があるんだ…」

ユミル「一見、上品な化粧に見えるんだが…ダメなんだよ…この紫のアイシャドウは!」

ユミル「唇も濃艶過ぎる…姐さん、遊び過ぎだ…初化粧がこれなんて最低だ…」

ベルトルト「あぁ、そう言えば『大人の女の仲間入り』とか『官能的』とか言ってたね」

ベルトルト「ユミルの魅力を引き出そうと思ったんだよ。悪意があった訳じゃないよ」


ユミル「まぁ、そうなんだろうけど…」

ユミル「はぁ…視線を感じた理由がわかった」


ユミル「こんな事は言いたかないが…ベルトルさん、お前私を買ったと思われてるぞ…多分」


ベルトルト「…え?いや、待って…それは無いって!!」

ベルトルト「僕もトロスト区でさ、夜の街に立つお姉さんを見かけたことあるけど…」

ベルトルト「みんなドレスを着てたよ」

ベルトルト「ユミルは普通の服だし…その化粧だって下品じゃない。娼婦には見えないよ」


ユミル「そ…そうだよな、さすがに考え過ぎだよな!」アハハ……ハァ…


ユミル「ま、お前の言うとおり…」

ユミル「白いブラウスに黒のカーディガンとズボンで歩いている娼婦は居ないよな…」

ベルトルト「うん、至って普通の格好だ」


ユミル「じゃぁなんでさっきから男どもがニヤニヤしながらこっち見てくるんだ?」ハァ


ベルトルト(一応、気付いてはいたんだ…)

ベルトルト(理由までは分かっていないみたいだけど…)


ベルトルト「あ!」

ユミル「ん…?」


ベルトルト「ドレス…」

ユミル「うん」


ベルトルト「指輪だけじゃ味気ない…やっぱりドレスも買おう…」

ユミル「…へ?」

ベルトルト「指輪が安かったから予算は充分」


ベルトルト「明日!明日買いに行こうね!ユミル。今日はもう日が暮れてきたから明日!」

ユミル「おい、また勝手に…」

ベルトルト「連れていく前に相談したでしょ、今。で、僕は買う事に決めたから!」


ユミル「結局、お前は自分の思い通りにするつもりじゃないか!それは相談とは言わな…

 
ドンッ!!


ユミル「…っ…いってぇーな!なんだよ!!」

ベルトルト「ユミル!!大丈夫?」


ユミル「大丈夫、突き飛ばされただけだ」

ユミル「…って、くそっ…あのガキ、私の財布をスって行きやがった…」

ベルトルト「今ぶつかってきた子供ってスリなの!?」

ユミル「あぁ、下手くそだなあいつ…あれじゃいつか失敗した時、痛い目見るぞ」

ベルトルト「そんな悠長な事ってないで、お追わなきゃ!!」


ユミル「チッ…仕方ねぇな!めんどくせぇけど追うか」


ダッダッダッダッダッ…



貧民街の子供 ハァハァハァハァ…


ベルトルト「待って!財布返して!」

ユミル ハァハァ…


ベルトルト「すばしっこい上に土地勘がある」ハァハァ…

ベルトルト「下手したら見失うかも…」


ユミル「なぁ…ヤルケル区ってなんでこんなに起伏が激しいんだ?坂が多すぎる…」ハァハァ


ベルトルト「シーナ内部の西側に高い山々が連なっているのは知ってるよね?」

ベルトルト「その影響をここは直接受けているから街全体で高低差があるんだ」


ユミル「あぁ…そうなのか」ハァハァ…


ベルトルト「シガンシナ区やトロスト区は平坦な土地に出来た街だったから」

ベルトルト「このヤルケル区は他の突出区と比べると特徴的だよ」ハァ…ハァ…


ユミル「…ん?」

ユミル(シガンシナ区の地形、何で知ってるんだ?アルミンかエレンに聞いていたのか?)


ベルトルト「だからって、子供の足に…元兵士が負ける訳にはいかないよね」ニヤッ

ベルトルト「ユミル、これ持ってて」ポシュン…


ユミル「は?お前、ちょっと…おい!」トットッ…


ベルトルト「すぐ捕まえる、手ぶらなら負けない!追いかけっこはもう終わり!!」



ダダダダダッ!!




貧民街の子供「…いたい!お願い、はなして!!」

ベルトルト「ダメ、放せない」

ベルトルト「まずはユミルの財布を返して」


貧民街の子供「いや…いやだっ…!」フルフル

ベルトルト「でもそれ、君の財布じゃないでしょ?嫌って言ってもダメなんだよ。返して」


ユミル「…ハァハァ…やっと追いついた」

貧民街の子供「…」ガタガタ…


ユミル「まだ、ほんのガキだな…」

ベルトルト「ほら、ユミルに謝って!財布を返すんだ!早く」


貧民街の子供「…やだ…だってお金がないとお母さんが…ひっく…うっ…っ…」グシュ


ユミル「…お前の母親、どうかしたのか?」


ベルトルト「聞かなくていいよ、ユミル」

ベルトルト「きっと嘘だよ、信じちゃだめだ」

ユミル「…」


ユミル「なぁ…お前、何歳だ?」


貧民街の子供「…8さい」

ユミル「父親はいるのか?親はいくつだ?」

貧民街の子供「お父さんはいない…お母さんは22さい…」


ベルトルト「22歳…って」

ユミル「14の時の子かよ…」

ベルトルト「仕込みは13くらいの時かな…」


ユミル「お前…仕込みとか言うなよ!バカ」


貧民街の子供「おっ…おかあさん病気なの、だから私がお金をもってこないとだめなの…」ズズズッ


貧民街の子供「お願いします…薬とパ…パンを買うお金、めぐんでください…」ヒック…

ユミル「…」


ベルトルト「いいよ、僕があげる」

ベルトルト「薬代まではあげられないけど、1週間分のパン代ぐらいならあげるよ」

ベルトルト「ちゃんとスープも飲めるように置いていくから、ユミルのお財布返してね」


ユミル「…いや待て。お前は甘すぎる」

ベルトルト「えっ…ユミル?」


ユミル「お前の家に案内しろ。母親に説教してやる。こんなガキを野放しにしやがって」


貧民街の子供「…」グスッ


ユミル「本当に母親が病気か怪しいもんだ…もし嘘だったら、てめぇを憲兵に突き出す!」


貧民街の子供「」ビクッ!


貧民街の子供「う…嘘じゃないもん!わたし、嘘なんかついてない」ヒック


ベルトルト「ユミル!それはやりすぎだ!!」


ベルトルト≪憲兵に突き出すって…僕らだって追われる身なんだよ?≫ヒソヒソ…

ベルトルト≪ここは少しばかりのお金を渡して早く帰ろう、もう関わらない方がいい≫


ユミル「…」


ユミル「そう言う訳には、いかないんだよ…ベルトルさん」ギリッ


ベルトルト「ユミル…」



~街外れ 貧民街~



コツ…コツ…コツ…


ベルトルト「信じられない…こんなに華やかで豊かで清潔そうな街にもこんなところが…」


ユミル「お前は本当に世間知らずなんだな」


ユミル「お前の持つ『旅行の手引書』にも、こんな闇の部分は書いてなかったろ…さすがに」


ベルトルト「うん」


ユミル「この貧民街はまるっと売春街になってるみたいだ…娼婦は売春宿に住んでいる」

ユミル「壁内ならどの街に行ってもこんな所があるんだよ。もちろん王都にだってある」


ユミル「春を売る商売は世界最古の職業だし、別段珍しいものでもないだろ…」

ユミル「職業に貴賤はない。これも立派な職業だ、必要だから商売として成り立つんだ」


ユミル「ただ、私自身はやりたくない…何があっても。それは偽りの無い本音だ」


ベルトルト「…うん」


ベルトルト「春を売るってさ、壁内の治安や秩序維持のための必要悪なのかな…」

ユミル「必要悪?…どうにもその言葉は男にのみ都合の良いごまかしに聞こえるんだが」


ユミル「女が身体を売る行為自体は別に悪じゃないと私は思うんだ、双方合意の上ならな」

ユミル「色狂いの女だけで、劣情を持て余す男の相手が務まれば世界は平和なんだろうけど、」

ユミル「実際は需要と供給があり、需要に対して供給が足りてない上、金にもなるから」

ユミル「自分の意思に反して生活のために身体を売らなきゃならない女が出てくる…」


ユミル「こんな所に住んでいるってことは、このガキの母親もそうなんだろ…」


貧民街の子供「…」


ユミル「あの歳で子供を産めば、もうこんな仕事をするしか生きる道はないんだ」

ベルトルト「…」


ベルトルト「子供が子供を作っていいのか…」

ベルトルト「命に対して真剣になれって、君の言葉を思い出したよ…」

ベルトルト「僕は、本当に子供だ…現実を知らな過ぎた。もう大人になった気でいた」


ユミル「…」

ユミル「確かにまだ大人じゃないが、兵士としての技術も、生きる知恵も持っている」

ユミル「だからこれから先、不幸な事にはならない…。お前がそう言った」


ユミル「私を不幸にはさせないって」

ベルトルト「うん、言った。僕はユミルを不幸にはさせない。…幸せにする」


ユミル「もう、自分で自分の人生を切り開いて行けるはずなんだ。私達は…」

ベルトルト「…」


貧民街の子供「この部屋に、お母さんが寝てるの…あの…おねえちゃん…」

ユミル「何だ?」


貧民街の子供「お母さんの病気、うつるんだって…別の階に住むおねえさんが言ってた」


貧民街の子供「だからあんまり近づかないで…おねえちゃんまで大変な事になるから…」

ユミル「…」


ユミル「そうか…お前は優しいんだな」

貧民街の子供「それと、お母さんは身体が弱っているから…私のことでいじめないで…」グスッ…ヒック…


ユミル「いじめやしねぇよ…」ポンポン


ユミル「ヨシヨシ…泣くなよ。私はお前を、助け出したいんだ…この底知れない闇から」


ベルトルト「ユミル…」



~薄暗い売春宿の一室~



ギギギッ…

貧民街の子供「今帰ったよ、お母さん…」

貧民街の子供「身体のちょうしは良くなった?」


貧民街の娼婦「あぁ…おかえり」ヨイショ…

貧民街の娼婦「昨日よりは少し熱が下がってね…楽になったよ、ありがとうね」ナデナデ


貧民街の娼婦「あら…この人たちは?」


貧民街の子供「…」


ユミル「この子が私の財布を拾ってくれたんだ。母親のあんたにもお礼を言いたくてさ」

ベルトルト「!?」


貧民街の子供「おねえちゃん…」


ベルトルト「…ユミル、ちょっと!」


貧民街の娼婦「まぁ…そうだったの…」ニコッ

貧民街の娼婦「良い事したね。いい子だったね…」ギュッ…


貧民街の娼婦「どんなに貧しくても他人様の物には手を出さない、ちゃんと約束守れてるね」

貧民街の子供「お…おかぁさ…うっ…うわぁぁぁぁ~ん…グスッ…」


貧民街の娼婦「お母さんすぐ病気治してまた頑張るから、もう少し辛抱してね…」



ユミル「…」

ユミル「なぁ、失礼は承知で聞く…なんでそんな若くしてこの子を産んだんだ?」


貧民街の娼婦「…」

貧民街の娼婦「…神様から授かってしまったからかな?経緯は色々あるけどね」


ユミル「父親は、いないのか?」


ベルトルト「ユミル!初対面なのに踏み込み過ぎだ…もっと遠慮しようよ!」


貧民街の娼婦「何でそんな事聞きたがるのかなぁ…あなたも娼婦なの?その化粧…」


ユミル「違うよ。でも、そうなっていてもおかしくなかった過去がある」


貧民街の娼婦「そう…あなたは幸運だったのね。父親はいないの、この子には私だけ」


ユミル「そうか…会ったばっかりなのに根掘り葉掘り聞いて悪かったな」


ユミル「あんたさ…言葉使いやしぐさに品がある。そして高い倫理観を持っている」

貧民街の娼婦「…?」


ユミル「お前、どっかの貴族か権力者の娘だろ…お嬢様って雰囲気がまだ残ってるしな」


ユミル「…枕元に置いてある本も教養がないと読めないものばかりだ」

ユミル「とは言え、その本は古くて汚れているから売っても金にはならなさそうだが」



貧民街の娼婦「…」

貧民街の娼婦「あなた…何者なの?」


貧民街の娼婦「父が私を探しているなら、戻る気は無いと伝えて!もう帰って!!」



ユミル「悪ぃ…勝手に推察しただけで、私はお前の父親と知り合いではないんだ…」

ユミル「私らは成り行きでこの子と知り合って、好奇心でここまで来ただけなんだよ」


ユミル「悪かった…本当に」


貧民街の娼婦「…」


ユミル「私は医者ではないけれど、お前と同じの症状の女なら今までよく見てきたよ」

ユミル「後頭部の脱毛、淡紅色の斑点、身体中の腫れ…全身の倦怠感、下がらない熱」


ユミル「どうだ?…違わないか?」


貧民街の娼婦「…」



ユミル「これは、梅毒の症状だ」

ベルトルト「梅毒?」


ユミル「悪質な性病の一種」

ユミル「長い時間をかけて、ゆっくりと身体が蝕まれていき…」

ユミル「いずれ確実に死に至る。自然治癒は、ほぼ無いと言っていい」


ベルトルト ゴクッ…



貧民街の娼婦「…私…死ぬの…?」



ユミル「いいや、死なない」

ユミル「ここはウォール・シーナだ。特効薬が買える…良かったな。治るよ、あんた」


貧民街の娼婦「無理よ…薬なんて買えない。だってそんな大金ここにはないもの…」フルフル


ユミル「じゃ、私が買ってくる」

貧民街の娼婦「えっ…」


ベルトルト「ユミル!」


ユミル「おいガキ!お前の母親、助けてやるからここから一番近い薬局の場所教えろ!」

貧民街の子供「…う、うん!!」


ベルトルト「はぁーーー…なんでこうなるんだ、もう…お人好しにも程があるだろ…」



~街外れ 貧民街~

日没間近の薄暗い路地



ベルトルト「ねぇ、ユミル…明日にしない?」

ベルトルト「今日はもう日が落ちて、お店も閉まり始めている…早く帰ろう?みんな待ってる」


ユミル「明日なんてダメだ、早い方がいい」

ユミル「それに、明日行ったって大通りの真っ当な薬局はめちゃくちゃ高いんだ…」

ユミル「私の財布じゃ、1か月分の梅毒の治療薬なんて買えない」


ユミル チラッ(…よし、今日の下着は黒だな、これならいけそうだ…)


ベルトルト「じゃあ僕のお金も使っていいから…」


ユミル「私が言い出したことだ、迷惑を掛けたくないんだよ!お前には」

ベルトルト「…」


ユミル「こういった貧民街にある薬局は貧しい奴らを対象にしているから…」

ユミル「真っ当な薬局より安く買えるが、効果のない偽薬も混ぜられていて性質が悪い」

ユミル「摘発を恐れて私らみたいな一見さんには売ってくれないかも知れないしな」


ベルトルト「詳しいね…」

ユミル「まぁな、どこも事情は同じだ。それに子供がいると舐められて足元を見られる」

ユミル「ガキも荷物も部屋に置いてきて身軽になったし…ここはひとつ、気合を入れるか」


ベルトルト「何をするつもり?ユミル」

ユミル「…」


ユミル「なぁ、ベルトルさん…ここから先は私一人で行かせてくれ、頼む…」

ベルトルト「ダメだよ、一人なんて。危ない」


ユミル「でもお前に見せたくないんだ…」

ユミル「これから私がすること…」


ベルトルト「危ないことをするの?」


ユミル「どうだろう…上手く手玉に取れればそう危なくはないんだが…」

ユミル「見よう見まねでな、初めてするもんだから上手く出来るかどうか…」

ベルトルト「…」


ユミル「今日ばかりは運命を感じてしょうがない…偶然の産物。この化粧と姐さんに感謝だ」


ベルトルト「僕も絶対一緒に行くから!!君、無茶をする気だろ?一人には出来ないよ」

ユミル「はぁ…後で泣くなよ」


ユミル「ベルトルさん…ここから先、何があっても手と口は出さないって…約束してくれ」


ベルトルト「ユミル…」


ベルトルト「…うん、わかった」



ユミル「なぁ…指輪、鳴らしていいか?」


ベルトルト「えっ!…あ、うん」


カチン…


ベルトルト(僕の指輪と、ユミルの指輪がぶつかって…あぁ…胸がドキドキする…)


ユミル「もう一回な」


カチン…


ユミル「指輪から…幸せな音がする」ニコッ

ベルトルト「うん、そうだね…」///



ユミル「私を信じてくれよ…こっちも気が進まねぇけど…やるしかねぇんだ」ハァ…


ベルトルト「…」



~貧民街近くの薬局~



ギッ…バタン!


ユミル「おい!まだ、開いているか?」

薬局の店主「あぁ、開いてるよ」


薬局の店主「ん?あんた、見ない顔だな…こんなベッピン、この街にいたかな」

薬局の店主「ふむ…客と来たのかい?なら、あんたも淫売か。避妊具なら他所で買いな」

薬局の店主「私は初見の客には売らない事にしているんだ」


ユミル「おいおい、この服だぜ。今は客を取ってないんだ。これからしけ込む訳じゃない」

ユミル「だが、『どうしても』ってこのガキが言うもんでね、」

ユミル「こっちがいくら『病気』だから相手が出来ないって言ってもこいつ納得しねぇんだ」


ユミル「だから私が『病気』だってのを証明するためにここに連れてきた」

ベルトルト(このガキって…僕のこと?)


ユミル「そんな訳でさ、梅毒の治療薬、1か月分売ってくれないか?頼むよ」


薬局の店主「さっきも言ったと思うが、この店は初見の客には薬を売らないんだよ」

薬局の店主「あんた高級娼婦なんだろ?その顔だ…今までたんまり稼いできたんだろ?」

薬局の店主「ならこんな場末の薬局じゃなくて、もっと真っ当な店をあたりな」


ユミル「そこを何とか頼めねえか?ちょっと訳ありでさ…」

薬局の店主「訳ありなんざこの街じゃざらだ。あんただけが特別じゃない」


薬局の店主「薬は売れないね。さぁ、帰ってくれ!」


ユミル チッ


ベルトルト「ユミル…もう帰…

ユミル「お前は黙ってろ!!」


ベルトルト「」ビクッ!



ユミル(こっから、仕掛ける!)



ユミル「なぁ、あんた…女房と子供はいるか?」

薬局の店主「な、なんだ…突然。もう帰れと言ったはずだ!」


ユミル「私は帰るとは言ってない…」

プチン……プチン…プチン…


ベルトルト(ユミルが…カーディガンのボタンを全部外した!)


ユミル パサッ…「もう、子供も大きいんだろ?」


ユミル プチン…プチン…

ベルトルト(ブラウスのボタンも2つ外して、キャミソールの隙間から黒いブラジャーが…)

ベルトルト(あぁ、胸の谷間が…あんなに露わに…もう見て、いられない…)グッ…


ユミル「最近、奥さんと愛し合っている?…ねぇ、おじさん」

パチン……ジジジーー


ベルトルト(下腹部を見せつけるように、ジッパーをさげた…黒い下着がチラッと見え…)


ベルトルト「ユミル!僕は嫌だ!!もう、やめ…

ユミル「うっせぇな!黙ってられねぇなら、お前帰れよ!ここからは大人の時間だ!」


ベルトルト「!?」


ベルトルト「…っ」グググ…


ユミル(もうちっと胸を寄せて、カウンターに座る…)トン…

ユミル(んで、キャミソールをまくり上げ、へそを見せながらゆったりと脚を組め)スッ


薬局の店主「…」


ユミル(次は思いっきり甘えた声で…)

ユミル「ねぇ、私が王都に居た頃は貴族の情婦だったこともあるんだ…」

ユミル「本当は安売りなんかしないんだが…」

ユミル「もしおじさんが薬を売ってくれたら…1か月後、病気を治してまたここに来る」


ユミル「そしたら、初回は格安で…うんっとご奉仕してあげるのになぁ…」


ベルトルト「」ギリッ…


ユミル「それでも…売ってくれないの?おじさん」



薬局の店主「そ、そうだな…考えてもいい」


薬局の店主「お前、歳はいくつだ?」

ユミル「じゅうなな…」


薬局の店主「そこのガキは?」

ユミル「さぁ?シーナ西方面駐屯訓練兵だって言うから…まだ15か16なんじゃないの?」


薬局の店主「兵士か…ふん!ガキのくせに生意気に女なんか買いやがって…」

薬局の店主「…悪い女だな、お前。ガキ相手に、本気になるまで誘惑してハメたんだろ?」


ベルトルト「…黙れよ」ギリギリ

ユミル「黙るのはてめぇだ、静かにしろ」


薬局の店主「でもどうすっかなぁ…初見の客には売らないのが俺の流儀なんだが…」

薬局の店主「でもあんた…若くて美人だしなぁ…」ナデナデ…


ベルトルト「!?」



ベルトルト「なに胸なんか触ってるんだよ!彼女に触るなっ!!ユミルは僕の恋…

ユミル「お前、出て行け…」ハァ…


ベルトルト「ユ、ユミル…」グスッ


ユミル「大人の時間だって言ったろ?我慢が出来ない奴は帰れ…」


ユミル「どうでもここに居たきゃ、四つん這いになって下を向いて耳を塞げ、犬みたいにな」



ベルトルト「……くっ」ガクン…ペタ…


薬局の店主「わはは!こりゃ驚いたね。よく躾けしてある…ゾクゾクするよ、その声」




ユミル(よし!もうひと押しだ…悪ぃな、ベルトルさん)



ユミル「こっちも時間がないんだ。薬を売るのか売らないのか…今、どっちか決めてくれ」


ユミル「なぁ、おじさん…欲しい…ん…だろ? 私が…」



ユミル(左手の中指を立てて…根元から丁寧に舐め上げる…淫らに…ふしだらに…)


ユミル(ねっとりと、見せつけながら…大丈夫、出来るはずだ。これは何度も見た光景だ)


ユミル ピチャピチャ…レレレレ…ムチュ…



薬局の店主 ゴクッ…



ユミル(後は唾液を溜めて、音を出しながら中指をしゃぶるだけ…)


ユミル ジュプ…クチュ…クチュッ……ジュボッ…ジュボッ…



薬局の店主「ハァハァ…あ…あぁぁ…いいね、悪くない…あんたいい女だよ…」


ベルトルト「…」ジーッ


ユミル「…ねぇ…欲しいの……ちょうだい…」


薬局の店主「あぁ!やるとも、今すぐに…ハァハァ…」 カチャカチャ…ジジジ…



ユミル「梅毒の治療薬、な…」


薬局の店主「あ…」///




ユミル「よしよし、上手くいったぞ。あのどスケベ…案外ちょろいな!」ニヤニヤ


ベルトルト「…」


ユミル「偽薬混ぜたら二度と来ないって脅してやったし、見たとこ大丈夫そうだ」

ユミル「しかもかなり値切れた!これであの母子もしばらくは生きていけるな!」


ベルトルト「…」


ユミル「…」


ユミル「なぁ、いつまで黙ってんだよ…」


ユミル「まだ怒ってんのか?怒鳴りつけたこと…いや、四つん這いにさせたことか?」

ユミル「悪かったよ…謝る。でも口を出さない約束を破ったのはお前だろ…」


ベルトルト「どうして…」

ユミル「!?」


ベルトルト「どうして僕の前であんな事を!」ガシッ…グイッ

ユミル「…ベルトルさん?」グイグイ…


ユミル「ダメだ、いくら暗がりだからって…誰かに見られ…

ユミル「んっ…」チュッ

ユミル「は…っ……んんっ…や、だ」クチュッ…チュッ…


ユミル「ぁ……っ…」ジュルッ…チュポン…



ベルトルト「はぁ…はぁ…さっきは…美味しそうに指舐めてたくせに…」ハァハァ…


ベルトルト「あんな、物欲しそうな女の顔…僕には見せてくれないくせにっ!」ギリッ


ユミル「だから、あれは演技だって!」


ベルトルト「わかってる!わかってるけど…許せないんだ!!」

ベルトルト「嫌なんだよっ…他の男にそんな顔見せるの!僕だけを見てくれなきゃ嫌だ!」


ユミル「はぁ…だから待ってろって言ったのに…」


プチン…プチン…

ユミル「は?お前何すんだよっ!こんなところで!!」


ベルトルト「もう二度と、ユミルが他の男に胸元を見せないように…ここに印つけとく」

ユミル「おい、ちょっと、バカやめろ!」


ベルトルト「少し痛いよ…我慢して」


ユミル「やめっ……ぃってぇ…」キチキチキチ…


ベルトルト「…っはぁ…はぁ…」


ベルトルト「キスマーク…つけた」

ベルトルト「これでもう、僕のものだ。誰にも見せない、触らせない!」ハァ…ハァ…


ユミル「ば…ばか、何してくれてるんだよ!」

ベルトルト「それ、消したらもっとキツくて痛いのつけるからね」

ユミル「ベルトルさん…」


ベルトルト「僕は今、すごく怒っている。大声で叫びだしたいぐらいに!」


ベルトルト「ユミルが無茶したこともそうだけど、傍観するしかなかった自分にも…」

ユミル「…」


ベルトルト「なんで僕に相談しないんだよ…あんな危険なこと、君にさせるくらいなら…」

ベルトルト「僕のお金なんていくら使ってもいいから、マトモな薬局で買うべきだったんだ!」

ベルトルト「君はまた僕に…『借りを作りたくない』って気持ちでアレをやったんだろ?」


ベルトルト「ねぇ、僕は…頼りにならない?ガキだから…?君より年下だからダメなの?」


ベルトルト「もっと甘えて欲しいのに…君こそ勝手に話を進めてさ!僕の話を聞かない」


ユミル「私が、悪かった。謝る…ごめん…」


ベルトルト「いい?叱る権利は君だけにあるわけじゃないんだよ?」

ベルトルト「僕だって君の言動を不快に思ったり、疑問に思う事があれば…君を叱る!」


ベルトルト「だって僕たちは、対等なんだ…どっちが上でも下でもないんだから!」


ベルトルト「僕は宿に戻ったら、いっぱい君を抱きしめる。で、キスもする。たくさん!」

ユミル「!?」


ベルトルト「今回は、それで許してあげる」


ベルトルト「嫌だなんて、言わせないからな…」ギュウゥゥゥ…



ユミル「あぁ…もう、本当に…バカだな、私は…」

ユミル「お前は、私が思う以上に…私を大切に思ってくれているんだな…」


ユミル「一緒に逃げてから、お前の私への執着心はどこから来るのか考えることがある」


ユミル「嫉妬深くて、強引で、我儘で、世間知らずで…でも絶えず燃え続ける炎のように熱い」


ユミル「いつか、私はお前のその熱量に焼き尽くされるんじゃないかなぁって思う…」


ユミル「灰も残らないくらいに焼かれて…お前と一つになって溶けてしまうんじゃないかな…」



ベルトルト「身を焦がす思いだよ、僕は常に」


ベルトルト「やっと想いを伝えられて恋人になれたのに…指輪も買ったのにまだ不安で…」


ベルトルト「誰かに取られやしないかって、僕の前から突然消えてしまうんじゃないかって…」



ベルトルト「怖いよ…怖いんだ…ユミル!」


ユミル「消えないよ、私はお前のそばに居る」



ベルトルト「うん、どこにも行かないでね…」





ベルトルト「ねぇ、ユミル…」


ベルトルト「もしあの子が嘘をついていたとして、母親が病気じゃなかったとしたら」

ベルトルト「本当にあの子を憲兵に突き出すつもりだったの?」


ユミル「いや…もし嘘だったら、その方がいいと思っていた」

ユミル「そしたらお前は1週間分、私は3週間分…合わせて1か月分のパン代を渡して」

ユミル「それでさよならすりゃいいと思っていたんだ…」

ベルトルト「…」


ユミル「あの子は、私だ」


ユミル「そうしなければ生きられなかった、5年前の私だ」


ユミル「母親の方も、クリスタみたいに思えて、放っておけなかった…」

ベルトルト(貴族の娘、か)


ユミル「私もさ、あんな風に他人の財布をスって命を繋いだ。最初はよくヘマをした」

ユミル「捕まって憲兵に殴られたこともある。はは、一生秘密にしようと思ってたのに」

ユミル「お前には隠しておけないんだな…何でか知らないがペラペラ喋っちまう…」

ユミル「さっきは、本当にごめんな…」ギュッ

ベルトルト「ううん…僕の方こそ、ごめん」


ユミル「なぁベルトルさん、もっと強く抱きしめてくれ。お前の匂いを嗅ぎたい」

ベルトルト「うん…」ギュウゥゥゥ…


ユミル「汚れてしまったか?私は…。さっきのアレで、お前は私を嫌いになったか…?」

ベルトルト「いや、全然…。ユミルはいつだってキレイだよ。僕が好きな君のままだ」

ユミル「そうか、安心した…」


ベルトルト「さぁ、戻ろうか。あの母子が君を待ってる」

 
今日はここまで。読んでくれてありがとう
長すぎてどうしようかと思った…

おやすみなさい

何か、いろんな思いが交錯して胸が痛くなった。
乙でした。

大量更新乙でした!ありがとう!

原作といいこのSSといい、なんて情深いユミル様…
人を助けることで自分の救いになること、あるもんネ。

読んでてハラハラするエピソードと共に、ベルトルトの激しい情動に揺さぶられて、
ユミルも彼への愛情を発露して、と丁寧な物語の進行にグっときてます。


読み返してたら誤字を発見したので訂正します。今回もすみません

>>446 誤)ベルトルト「そんな悠長な事ってないで、お追わなきゃ!!」
     正)ベルトルト「そんな悠長な事言ってないで、お、追わなきゃ!!」


>>486  あわわ…お大事に…温かいものを飲んで寝ましょう!

>>487 ありがとうございます。もう少し展開が早ければいいのですが
     こんなにダラダラ書いてても、一応…全部必要な展開というジレンマ…


前回出てきたヤルケル区の設定は捏造です

ユミルの財布は革製の巾着袋を想像してください

今から投下します



~街外れ 貧民街~

母子が住む売春宿の一室



ギギギッツ…

ユミル「ただいまぁ…戻ったぞぉ…」ハァー


貧民街の子供「あ!おねえちゃん、おにいちゃん、お帰りなさい!!」

貧民街の子供「あの…お薬どうだっ…

貧民街の娼婦「やめなさい!」


貧民街の娼婦「買えなかったでしょ?だってあの薬局のご主人…ひどく意地悪な人だもの」

貧民街の娼婦「この子が高熱を出した時だって…人の足元を見て高値を吹っかけてきたの」

貧民街の娼婦「そんな人だから、ましてや初めて会ったあなたに薬を売るはずもないわ…」



ベルトルト「2人とも安心して!ユミルがすっごく頑張ってくれたんだ…薬、買えたよ!」

貧民街の娼婦「…!」


ユミル「あぁ!ほら、この通り。身体を張り過ぎて…ベルトルさんに叱られたけどな…」

ベルトルト「あれは完全に君が悪い」ジトッ

ユミル「わかってるよ!もうしないから今後、この話を蒸し返してネチネチ絡むなよ?」

ベルトルト「本当に反省してるの?ユミル」



貧民街の娼婦「ふっ…ふふふっ!」アハハ

貧民街の娼婦「素敵ね、あなた達って…。私も、あなたみたいになりたかった…」


貧民街の娼婦「どこで人生を、間違えたのかしら…私」


貧民街の娼婦「この子を産んだことを後悔したことは一度もないけれど、かわいい娘に…」

貧民街の娼婦「毎日の食事も、教育も充分に与えてあげられないダメな母親になってしまった…」


ユミル「それなんだがな、あんた達にこれをやるよ、ほらガキ…手を出せ」

貧民街の子供「…?」ジャラン…


ベルトルト「それ、ユミルの財布…」


貧民街の子供「だ…だめ!受け取れないよ、おねえちゃん。他人様の物はお母さんが…

ユミル「いいんだよ、それ全部やるから…薬、だいぶ値切れて金が浮いたんだ、だから」

ユミル「節約すれば半年分のパン代にはなるはずだ。それでな、母親のあんたはまず…」

ユミル「この治療薬を1か月、キッチリ飲み続けて完全に梅毒を治すんだ」ポスッ


貧民街の娼婦「は…はい。…ありがとう…ござい…ます」ウルッ…

ユミル「そんで身体が良くなって、体力も戻ってきたら…その財布の金が尽きる前に、」

ユミル「トロスト区へ向かう商隊を見付けて、どうにか頼み込んで乗せてもらってくれ」


ベルトルト「ユミル…」


ユミル「トロスト区にはウォール・ローゼ南方面駐屯の訓練兵団の関連施設がある」

ユミル「そこに着いたら、調査兵団に連絡をつけてもらって、こう言うんだ…」


ユミル「『最近脱走した5人の居場所を知っている』って。上手くエルヴィン団長に会えたら」

ユミル「後は土下座でも何でもして、母子揃って住み込みで働かせてもらいな」

ユミル「仕事はいくらでもあるんだ、あそこは。雑務でも任務でも常に人材不足だからな」



貧民街の娼婦「…どうしてあなたは見ず知らずの私達にそこまで良くしてくれるの?」

貧民街の娼婦「だって…お金がなかったら、あなただって困るでしょ…受け取れない…」


ユミル「大丈夫だ。…なぁベルトルさん、もうすぐお金、必要なくなるんだろ?」

ベルトルト「あ…あぁ、うん!そう」


ユミル「…だってさ。それに今後の私の支払いは全部こいつが出してくれるから心配ない」


ベルトルト「えっ!そうなの?!」


ユミル「もっと甘えて欲しい、僕のお金なんていくら使ってもいい…さっきそう言ったよな?」ジロッ


ベルトルト「いっ、言ったけどさ…なんでここで言うんだよ…恥ずかしいじゃないか」///

ユミル「心配するな。ベルトルさん、私は金のかかる女じゃないって言ったろ?」


ベルトルト「じゃ、僕はユミルの『財布』になるから…ヤルケル区に滞在する3日間は…」

ベルトルト「ずっと僕の隣にいてね」


ユミル「そ、そうなるのか?…クリスタとも、あちこち見て回りたいんだが…」

ベルトルト「ダメだよ。僕と一緒!」


ユミル「はぁ…仕方ねぇな…」


貧民街の子供「おねえちゃん…おにいちゃん…ありがとう」ボロボロ…


貧民街の娼婦「本当に、ありがとう。なんてお礼を言えばいいのかしら…」

貧民街の娼婦「あなた達のおかげで、私…人生をやり直せそうな気がするの…ぐすっ…」


ユミル「もちろんやり直せるさ!」

ユミル「あんたの2度目の人生が最高にイカした人生になることを、心から祈ってる…」ニコッ



ベルトルト「ユミル、日没からだいぶ時間が経ってる…帰らなきゃ。みんな心配してるよ」

ユミル「あぁ…そうか…。あのさ、帰りは裏の井戸に寄ってく…化粧落として帰るわ…」


ベルトルト「うん、そうして…」


ベルトルト「もう他の男に、絶対その顔見せたくないから…例えライナーでも…」ハァ…


ユミル「そうだよなぁ…何言われるか分からないよなぁ…気まずい空気が流れそうだ」


ベルトルト(だから違うって!無いとは思うけど、思うんだけど…!!)

ベルトルト(うっかりライナーがユミルを好きなると困るからだよっ!…って言いたい)


ユミル「あ!最後にさ…もしあのどスケベ…もとい薬屋のオヤジがここを訪ねて来たら…」

ユミル「こう言ってくれ。『ユミルは一緒に居た若い兵士と駆け落ちしました』…ってな」


貧民街の娼婦「…ん?」

ユミル「居場所を教えないと薬を売らないとか言いやがるから、ここの場所教えちまった」

ユミル「…もしかしたら1か月後、ここに来るかも…はぁ…迷惑かけるな、すまない」


貧民街の娼婦「いいのよ!それくらい…あなたには恩があり過ぎるもの、些細な事だわ」

ユミル「化粧さえ落としちまえば、街ですれ違っても気が付かないと思うんだけどなぁ」


貧民街の娼婦「ふふっ。もし本当にここに来たら仕返ししちゃお♪ユミルちゃんはねぇ…」

貧民街の娼婦「あんたみたいに意地悪で、口が臭くて、脂ぎった親父より、背が高くて…」


貧民街の娼婦「若くて、優しくて、気前も良い、カッコいい彼が良いんだってさ!ってね」



ユミル「…」


ベルトルト「…」


ベルトルト「か…カッコいいだって!うわ…ユミル、本当?褒められてるよっ、僕…」///カァァァ…


ユミル「はぁ…帰ろう…今日は疲れた…」



~中流階級の宿屋~




ベルトルト「ただいま!ごめん、だいぶ遅くなった。アニもう来てる?」


ユミル(早く帰りたがってたのは、アニに会いたかったから…だな)ハァ…


ライナー「おう!遅かったな、心配したぞ。アニも今しがた戻ってきたところだ」

ライナー「ついさっき食堂に向かったから、一緒に飯でも食ってきたらどうだ?」


ライナー「お互い、積もる話もあるだろ?」

ベルトルト「うん!そうする」ニコッ


ベルトルト「1階の食堂は、夜は酒場も兼ねてるんだっけ?」

ライナー「あぁ、そうだ。酒も提供しているな…と言うか、飲むなよ…?ベルトル」

ライナー「明日も動かなきゃならないんだからな。深酒したら一日潰れるぞ…」


ベルトルト「わかってる。少しだけね…」

ユミル「少しでもダメだ!飲むな、絶対。お前弱いんだから…それに飲めない歳だろ!」

ユミル(見張ってないと勝手に注文してしまいそうだな…)


クリスタ「ユミル、おかえり!!遅かったね」

クリスタ「あのね…ユミルと一緒にお夕飯、食べようと思って待ってたんだけど…」


ライナー「すまんな。俺がクリスタを無理に誘ったんだ…で、先に夕飯済ませちまった」


ライナー「いつお前らが買い物から戻って来るかわからなかったからな…」


クリスタ「ごめんね。先に頂いちゃって…」


ユミル「いや、かえって良かった」


ユミル「こっちも色々あってな、なかなか帰れなくて…」

ユミル「クリスタを空腹のまま待たせなくて良かったよ。ライナー、ありがとな」


ライナー「そ、そうか…?そう言われると…まぁ、気が楽だな。怒られるかと思ってた」



ベルトルト「ねぇ、アルミンは何してるの?」

ライナー「部屋にいるぞ。一緒に飯食った後は、部屋にこもって本を読んでいるようだ」


ユミル「何の本を読んでいるんだ?」

ライナー「植物栽培の本だな…。あとは、各分野の高度な専門書。気象学とか、数学とか…」


ユミル「そんな本、買ってきてどうするんだ?」

ライナー「ん?どうするって読むんだろ?」


ユミル「今、ここで読む必要があるのか?」

ライナー「…さぁ?」


ライナー「放っておけばいいさ。寝るまでは各自、自由な時間なんだ。詮索は不要だ」

ユミル「…」



ベルトルト「ユミル、食堂へ行こう?あちこち歩き回ったし、走ったからお腹空いた…」

ユミル「確かに空腹だな…行こうか」


ライナー「その前に、二人ともその両手の荷物を自分の部屋に置いて行け」

ライナー「それでな、部屋割りなんだが…


クリスタ「私はユミルと一緒だよ!」

クリスタ「ふふっ。ユミルには窓際のベットをあげるね!今日買った物の報告もあるよ!」


ユミル「あぁ、そうだな!」


ユミル「クリスタ…一緒だからって油断するなよ?朝寝坊したらくすぐって起こすからな」ニヤッ…

クリスタ「うん!」



ライナー「ベルトル…その…部屋割りなんだが…食堂に着いたらアニにも伝えてくれ…」


ベルトルト「…ん?」




~宿屋1階の食堂兼酒場~



ベルトルト「アニ!」

アニ「ベルトル!久しぶりだね」ニィッ

ユミル「…」


ベルトルト「酵母は買えた?」

ベルトルト「あと明日、アルミンと一緒に中央近くまで馬を売りに行く話は聞いてる?」


アニ「あぁ、さっきライナーとアルミンから聞いた…。チッ…タイミングが悪かったね…」

アニ「あと一日、ここであんた達を待っていれば二度手間にならずに済んだのに…」

アニ「ま、今更なに言っても仕方ないけど…」


ベルトルト「アルミンから聞いていると思うけど、帰りはまた幌付き馬車を買うって…」

ベルトルト「今のうちにアニが好きなもの、いっぱい買ってきなよ。僕らの馬の代金でさ」

ベルトルト「彼が持ち出した2頭の馬を売ったお金も、そろそろ底をついてきた頃でしょ?」


アニ「あぁ、するどいね…。故郷の味が懐かしくて香辛料の種や苗を買い漁っていたら、」

アニ「あっという間に底をついてしまった」


ベルトルト「あれは高価だからね…香辛料は食べ物の味を良くするし、薬にもなるから…」


ベルトルト「明日、また可能な限り買って来てよ。香辛料以外にも野菜や果物の種子も…」


アニ「ふふっ!欲張りだね。わかったよ、ついでに買いそびれた雨具も4枚買ってくる」


ユミル「…」

ユミル(アニは…こんなにかわいい顔で笑うんだな。ベルトルさんはそれを知っていた…)

ユミル(ずいぶん仲が良いみたいだ…エレン達みたいな関係なのかな…おそらくライナーも…)


ユミル「はぁ…」


ベルトルト「そういえば…アルミンがここの宿泊台帳に記入していた名前…」

ベルトルト「『アルミン・レオンハート』って何?受付で吹き出しちゃったんだけど!」


アニ「変えるなら名の方だろ!って言いたいんだろ?でもこんなので案外、大丈夫なんだよ」

アニ「ここの憲兵もやる気がないからね…調査兵団の脱走兵なんて、興味がないんだ。奴ら」

アニ「だからそれは私のお遊び。すぐわかっただろ?アルミンが泊まってるって…」フフフ…



ユミル「…」

ユミル「そこのお姉さん!酒、持って来て!」


ベルトルト「!?」

ベルトルト「ユミル…どうしたの?僕には飲むなって言ったのに…」


ユミル「別に…」


アニ「ユミル…久しぶりだね」

ユミル「…」


アニ「ふぅ…また無視か。相変わらずだね」

アニ「ベルトルもこんなののどこがいいんだか…」ハァー

ユミル カチン!


ユミル「うるせぇな!私は、こいつに無理やり連れて来られたんだよっ!」

ユミル「クリスタを人質に取られてな!」

ユミル「お前が一緒だって分かってたら…私は…ここには来なかった!!」ドンッ!

ベルトルト「…」


アニ「へぇ~…えらく嫌われたもんだね、私も」

アニ「って言うかさ、私あんたに何かした?」

アニ「なんで1年半もあんたに無視され続けなきゃならなかったわけ?理由言える?」


ユミル「…言う必要はない」


アニ「あるよ!これからあんたと私は一蓮托生なんだ!!ずっと一緒なんだよっ」


アニ「…このままじゃ…ダメだろ、お互い…」



ベルトルト「アニ…落ち着いて、ユミルは今、疲れてるんだ…」

アニ「私だって疲れてる!あんたもね!ユミルだけが疲れてるわけじゃないんだ!」


酒場の給仕「お待たせしました」スッ


ベルトルト「あ!お姉さん。僕にも1杯…。ねぇ、いつもこんなに混んでいるの?ここ」

酒場の給仕「えぇ、夜は泊り客でない人も入れているの。賑やかでしょ?」

酒場の給仕「…三人さん、ゆっくりしてってね。お酒、追加で今、お持ちしますね」


ベルトルト(賑やかと言うか、うるさいくらいだ…隣の席の会話も聞こえないくらい…)


ユミル グビッ! ゴクゴク…


ユミル「…っ…ぷはっ」

ユミル「お姉さん!もう1杯ね」 ガン!


ベルトルト「ユ…ユミル、もうやめとこう?」

ベルトルト「ね?いい子だから…言うこと聞いて」ギュッ…


アニ「へぇ…私が居たら来なかったんだ?」

アニ「本当に?肩なんか抱かれて、よろしくやってるように見えるけど…」


ユミル「う…うるさい!…私なんか放っておけよ!2人で話してればいいだろっ」

ユミル「お前もうざったいな…離れろよ!」


ベルトルト「…嫌だよ、離さない」ギュゥゥゥ


アニ「あんた、ベルトルが好きなんだろ?」


アニ「…それで私を無視してた?違うかい?」

ユミル「…」ギリッ


ベルトルト「アニ、やめよう?ほら…せっかくの食事も美味しくなくなる」

ベルトルト「…って、僕らの注文はこれからだったね、ユミル何がいい?」


アニ「元々、ここの料理…美味しくないじゃないか…」ボソッ

ベルトルト「!?」


アニ「料理が美味しいって書いてあったからここにしたのに…期待外れもいいとこだ」

アニ「ベルトルはもっと塩を利かせた料理が好きだっただろ…」

アニ「壁内に来てから、食事が美味しかったことなんて一度も無かったはずだ」

アニ「もっともウォール・ローゼよりは若干マシでここは多少、味は付いているけど…」


アニ「…でもあんた、開拓地でも訓練兵の時でも、味に文句言ったこと一度も無かったね」

ベルトルト「…」


ベルトルト「あの本は…『旅行の手引書』は、5年以上前に発行された本だった…」

ベルトルト「本が発行された時はまだ、壁は壊れてなくて…」

ベルトルト「ウォール・マリアの西側には、岩塩の採掘工場がいくつもあったんだ」


ベルトルト「…そう書いてあったの覚えてる?」


アニ「あぁ、何度も読んだから覚えてる」


ベルトルト「『海』の無い壁内では『塩』は確かに高級品で貴重だけど…」

ベルトルト「5年前は今ほど塩事情もひっ迫してなかったんだよ…」


ベルトルト「僕らは味について文句を言える立場じゃない、アニならわかるでしょ?」


アニ「…」


ユミル「さっきから、何の話をしてるんだ?…って言うかお前らどういう関係だよ…」トロン…

ベルトルト「ユミル…もう酔ってる?」

アニ「幼馴染みたいなものだよ、気にしなくていい」


アニ「それよりユミル、まず私に謝りな…」

アニ「そうじゃなければ、私も話さないよ」

ユミル「…」


アニ「ねぇ…ベルトルが私を好きだったこと、そんなに嫌だったのかい?許せないほど」

ベルトルト「アニ!もういい加減に…

ユミル「…違う!」


ユミル「ただ…目障りだっただけだ。ベルトルさんもお前も…」

ユミル「お前らを見ているだけで苦しくなった。胸の中を引っ掻き回されているようで…」

ユミル「だから、自分を守るために見ないことにしたんだ。心の中で存在を消した…」


ベルトルト「ユミル…」


酒場の給仕「おまたせ!酒2杯ね。どうぞ」

ベルトルト「あ!料理、適当に2人分お願いします…少し軽めのものを、ここのお勧めで」


酒場の給仕「はいはい、了解」


ユミル ガシッ! グビッ…グビッ…グビッ…

ユミル「ぅ…ぷっ……」ハァハァハァ…


ベルトルト「ユミル駄目だって!もうこれで酒は終わりにしよう…」

ユミル「一昨日…初めて知ったんだ、ベルトルさんがお前に振られてたこと…ヒック」


アニ「ベルトルが頼んだ酒、貰うよ…」

ベルトルト「えっ!?」

アニ グッ! ゴクゴクゴクッ…


アニ「…ぷはっ…はーっ…きつい、これ」


ベルトルト「アニも、もうやめて…」オロオロ


アニ「ベルトルにも謝れ!ユミル!!」


アニ「あんたが素直じゃないせいで、どれだけこいつが傷ついていたか、わからないの?」

アニ「あんなに必死になって…バカみたいだったよ、こいつ。ずっとあんたら…」


アニ「…お互いを…好きだったんじゃないか…ひっく…この馬鹿!!」



ユミル「だって!何も知らなかったんだっ!私は…あの時、足を痛めたせいで…」

ユミル「座学以外の成績がガタガタ落ちて…3年目はクリスタの成績の底上げと、」

ユミル「自分の成績を元に戻すために必死で…周りを見る余裕なんか、なかったんだよ…」



ユミル「だから…ベルトルさんがお前に振られていたことも…」


ユミル「私を好きになってくれていた事も、本当に気が付かなかったんだ!!」



アニ「…」


ベルトルト「…」



ユミル「すまなかった…謝るよ…はぁ…今日は謝ってばっかりだ」グスッ…

ユミル「アニにもベルトルさんにも…嫌な思いをさせて悪かった…私はガキだった…」



アニ「はーっ…よし!これで手打ちだ!」

アニ「よろしく頼むよ、ユミル。私達はこれから『仲間』になるんだから…」


ユミル(まだ…分からない事だらけなんだが)

ユミル(こんなに隠し事ばかりされて…はたして『仲間』と言えるのか…?)



ベルトルト「僕は…気にしてないよ、ユミル」

ベルトルト「ほら、君とお揃いの指輪も買ったし…今はこれを眺めているだけで幸せだ」キラッ



アニ「!?」


アニ「あっ…あんた達、ちょ…ちょっと気が早いんじゃない?こっちが恥ずかしい…」///


ベルトルト「アニも買えば?明日にでもアルミンと一緒に選んできなよ」


アニ「馬鹿言ってるんじゃないよ…私達はまだそこまで…分かりあえていないんだ…」シュン…



ベルトルト(…ユミルはなんであの時の怪我を、その後もずっと治さなかったんだろう?)


ベルトルト(その気になれば、数分で治せる。そしたら成績を落とさずに済んだのに…)


ベルトルト(急に怪我が治るとクリスタが怪しむから…?機会があれば聞いてみようかな)


ユミル「お前…憲兵団を抜けてきたのか?」


アニ「あぁ。でもまだ籍は残っている」

アニ「今は病気療養中の身だ。まぁ、戻る気はないから私も脱走兵みたいなものだね」


ユミル「何の病気で?」


アニ「トロスト区を経験してるから、表向きは心の病ということで診断書を貰っている」

アニ「『気分転換に旅行にでも行って来い』と、上官からもお墨付きが出ているしね」

アニ「お言葉に甘えて、気楽に抜けてきた」


アニ「1頭、憲兵団所属の馬も借りているんだ。そして3日前からここに滞在している」


ユミル「アルミンは1人用の部屋を取っていたみたいだが…」

アニ「部屋は分けている。私達は、まだ一緒の部屋で寝れるほど、距離が近くないんだ」


アニ「ま、あんたらと合流したから、さっき私も取っていた部屋を引き払ったけどね」

ユミル「…」


ユミル「なぁ、アニ。お前はどんな甘言でアルミンをこの計画に巻き込んだんだ?」

ユミル「いや…甘言じゃなくて脅迫か?」


アニ「…脅迫、だね。何と言って引き入れたかは、まだあんたには教えられない」



酒場の給仕「おまたせしました。2人分の軽食です、お酒の追加はどう?」 コトン…


ベルトルト「お…お酒はもういいです…」

ベルトルト「僕、先に食べるよ…ユミルもほら食べてね」アセアセ



ユミル「あのさ、もう決まりきった質問で悪いが…」


ユミル「お前も、巨人なのか?」



ベルトルト ブホッ!……ゲホゲホ…「はーっ……はーっ…」

ユミル「おい!大丈夫かっ?…頬張りすぎると喉につっかえるぞ…」


ベルトルト「だ…大丈夫。あまりに唐突だったから、ちょっと動揺しただけ」


ベルトルト「ねぇ、ここでその話は…

アニ「誰も聞いちゃいないよ、ここは騒がしくて…内緒話にはかえって都合がいい」


アニ「静まり返った場所の方が、誰かに聞かれる可能性が高いってもんだ」


アニ「ユミル、あんたの想像通りだよ。ベルトルから聞いたのかい?」

ベルトルト「僕は言ってない!」


ベルトルト「だけど、僕が巨人だと言うのは…もう伝えた」


ベルトルト「でも、まだあの事はユミルには言えてないんだ、5年前の…」

ベルトルト「僕の…僕らの秘密を…」



ユミル(昨日言ってた、『人に言えない秘密』、『言う勇気がない』ってやつの事か?)


ユミル(そして、ベルトルさんは…アニとライナーと自分は共犯者だとも、言っていた)


アニ「でも…どのみち4日後にはバレてしまうってわかってるんだろ?…ベルトル」

アニ「だってクロルバ区の開閉扉を突破する方法を、私達は…まだ思いついていない」


ベルトルト「アニ、それはここじゃ言えない…その事もユミルには何も教えてないんだ…」

アニ「そんな呑気なこと言ってる場合じゃない!早くアルミンに相談したいのに…」

アニ「ライナーが…ダメだって言うんだ」


ベルトルト「どうしてライナーがアルミンへの相談を反対しているの?」

ベルトルト「何も思いつかなかったら、当初のアニの計画を実行しなきゃならなくなる」



アニ「その、私の計画が残酷すぎるからだ。もしアルミンがこの問題を解決できなかった場合、」


アニ「逃げ出してしまうんじゃないかって、ライナーは警戒している…」


ベルトルト「そんな事ない…アルミンは良くやってる。だから早めに相談した方がいい!」

アニ「私もそう言った!!でも…」


ユミル「待て、何の話かさっぱりわからない。…これは今後、私にも関係のある話か?」



ベルトルト「あぁ、ごめんね…」

ベルトルト「ちょっと白熱しすぎて、ユミルを置いてけぼりにしてしまった…」


ユミル「いや…それは構わないが…」

ユミル「私も、事情が知りたい」


アニ「今はまだダメだ。あんたも逃げ出してしまうかも知れないから」


ユミル「…」


アニ「恥ずかしい話だが…私の計画には、色々と穴があって、これもその一つ…」ハァ…

ユミル「穴?」


アニ「あぁ…どうにも妙案が浮かばなくてね…でももう動き出してしまった。止まれない」

ベルトルト「…」

アニ「あと4日…それまでに…」


ユミル「はぁ…なんだそりゃ…訳が分からん」

ベルトルト「…」



ベルトルト「ユミル、アニ、ごめん…。少し、外の風に当たってきていいかな…?」


ベルトルト「これからの事考えると、頭が破裂しそうで…ちょっとだけ外で深呼吸してくる」


ユミル「あぁ…行ってこい。ここで待ってるから…あと夜は冷えるから、風邪引くなよ」


ベルトルト「うん…ありがと。ユミル、君の優しい性格も大好きだよ」ナデナデ

ユミル「おい、やめろ…アニの前だぞ!」///


アニ「ベルトル…あんた性格変わったね…」ジーッ




ユミル「やっと行ったか…」


ユミル「なぁ…アニ」

アニ「ん…なんだ?」


ユミル「ベルトルさんが居る前では聞けなかったんだが…」

ユミル「お前、なんでベルトルさんを振ったんだ?アルミンを好きだったからか?」


アニ「…」

アニ「直球で来たね…」フゥ…

アニ「あんたが言う、『アルミンを好きだ』ってのは、まず、あるね。そこは否定しない」


ユミル「でも、あいつ…いい奴じゃないか?」

ユミル「顔も頭も悪くない…背も高いし、器用だし…全般的に能力が高すぎるくらいだ」


アニ「ふぅ…よく見てるね、ユミル」


ユミル「女の扱いだって下手じゃない。…夜の方の意味じゃなくて、態度が…だ」

ユミル「ちょっと強引で我儘なところがあるが、まぁ許容できる範囲だと思う…」


アニ「あんたたち…もうそこまでいってんの?はぁ…手が早すぎるだろ、ベルトル」

ユミル「いや…その…」アセッ


アニ「でも、あんたの許容範囲と私の許容範囲が同じだとは限らないんだよ。ユミル」

アニ「ベルトルと私は…恋愛できない。身長差がありすぎて目を合わすのも大変だし」


ユミル「は?…そんな理由でか?」

アニ「いや、これは冗談だけど…」


アニ「まぁ話はここからだ…よく聞きな…」


アニ「私達は、『罪』を共有している。私らの故郷では、それは『正義』と呼ばれ…」

アニ「ここでは『悪』と呼ばれる」


ユミル「…」


アニ「私も巨人だ、ベルトルも…ついでにライナーもだ。もう知っているだろ?」

ユミル「あぁ、知っている」


アニ「ベルトルは…許して欲しかったんだ。誰かに…自分の罪を」

アニ「全てを理解して、許して、慰めてくれる。そんな相手を欲しがっていたんだと思う」


アニ「そして同じ秘密を共有したがった」


アニ「同じ秘密ってのは…『罪』自体もそうだけれど、『巨人である』と言う事も含まれる」

ユミル「…」


アニ「たまたま、その条件が合うのが私だった、ってだけの話じゃないか?」


アニ「私は、そんなあいつの弱さが透けて見えてダメだったんだ。慰め役には、なれない」



アニ「あんたから見れば、アルミンは小さくて、ひ弱に思うかも知れないけれど…」


アニ「心が…強いんだ、とても。どんな逆境にも立ち向かって、活路を切り開こうとする…」


アニ「あんたは居なかったよね?トロスト区でエレンを守ろうとした時の命懸けの演説…」

アニ「カッコ良かったな…聞かせてやりたいくらいだよ、あんたにも」


アニ「訓練兵時代から、芯が強い奴だと思っていたけど…あの時また惚れ直したね」///フフッ



ユミル「ベルトルさんはアニが求める人とは違っていたんだな。至極、真っ当な理由だ…」


アニ「元々の考えとして、私らは『人を愛する資格』がないと思っていたのもあった」


アニ「『仲間』としてのあいつは好きだけど」



アニ「ベルトルとは、お互いに依存して倒れていくような恋愛はしたくなかったんだよ」


ユミル「…」


ユミル(なんだ?…何かが引っ掛かる)


アニ「でも良かった、ちゃんとベルトルは普通の恋愛が出来るじゃないか!」

アニ「あんたが『人間』で良かったよ…」


ユミル「!?」



ユミル(頭が、痛い…アニの言葉がグルグル回って…どす黒い何かが、溢れ出しそうだ…)


ユミル(『秘密の共有』…私もしたよな?)


ユミル(私が『巨人』であることは私自身とあいつだけしか知らない)



   【僕と、ユミルだけの秘密にしたいんだ】

ユミル(なんで急に思い出す?)


   【嫌いになれよ…みんな私を憎むくせに!私は世界に存在しちゃいけないんだ】

ユミル(なんだこれは…)


   【大丈夫だから。ずっとそばに居るから】



ユミル(私を許すのは…受け入れるのは…自分が受け入れてもらいたいからなのか?)

ユミル(私の知らない『罪』に苦しんで…)


ユミル(私が巨人だから、あいつは…私を好きになってくれたのか?)


ユミル(…自分が許されたいから、受け入れてくれそうな女が必要なだけだったんじゃ…)



ユミル(怖い…なんだこれ…私は『アニ』の代わりなのか?アニがダメだったから…)


アニ「ユミル、大丈夫かい?顔色が悪いよ」


ベルトルト「ただいま。外の空気吸ってきたら、だいぶ落ち着いたよ」


ユミル(気持ち、悪い…吐きそうだ…)


ドサッ…

アニ「ユミル!? ベルトル!ユミルが…」

ベルトルト「ユミル!!」


ベルトルト「ユミル!しっかりし…て…


ユミル(頭が、真っ白だ…意識が…飛ぶ…)


今日はここまで。読んでくれてありがとう

次回はエロ注意です

書き溜めを全部吐き出したので次は更新遅めです

更新キタ━(゚∀゚)━!乙!

私は誰かの変わりなの?って自分に自信ないと思いがちだ

途中で送信押してしまった…orz ので仕切り直して


更新キタ━(゚∀゚)━!乙!

私は誰かの代わりなの?って自分に自信ないと思いがちだから
それをベルトルさんに言える勇気と
アニの代わりじゃないってベルトルさん思ってるなら
そう伝えられるといいなぁって思う

次の更新、エロ含め楽しみにしてるよ


またしても訂正箇所が…

>>495 誤)ベルトルト(うっかりライナーがユミルを好きなると困るからだよっ!…って言いたい)

     正) ベルトルト(うっかりライナーがユミルを好きになると困るからだよっ!…って言いたい)


そのほか、『』の使い方間違い

>>527 誤)アニ「元々の考えとして、私らは『人を愛する資格』がないと思っていたのもあった」

    
     正)アニ「元々の考えとして、私らは『人を愛する資格がない』と思っていたのもあった」

>>530 誤)ユミル(怖い…なんだこれ…私は『アニ』の代わりなのか?アニがダメだったから…)

     正)ユミル(怖い…なんだこれ…私はアニの『代わり』なのか?アニがダメだったから…)

全部小さいことなのですが、気になったので訂正します
強調したいのは「アニ」ではなく「代わり」の方なんだ…またやっちまった


感想ありがとうございます。励みになります
そして表面上は一気に不信が解決するという超展開で申し訳ない

保守ありがとうございます

今から投下しますが、エロ注意と書いたのに配分間違えていて今回、エロありません
…アルミン出る出る詐欺をやってしまった時の事を思い出した



ユミル(ここは…どこだ?身体が柔らかく沈み込んで…海の中みたいだ…)


ユミル(壁内に海はないはずなんだが…)


ユミル(ベルトルさんやアニも…壁外から来たんだな…彼らは『海』を知っていた…)


ユミル(よく考えたら、私はベルトルさんの事…何も知らない…)


ユミル(塩味が好きだって言うのも…アニと幼馴染って言うのも…知らなかった)


ユミル(私が知っているのは…あいつが私を好きだと言うことぐらい…)


ユミル(でも、それすら今は疑わしい…)



ユミル「…ベルトル…さん…」ボソッ

ベルトルト「なに?ユミル…」


ユミル「…えっ!」


ユミル「なんでっ!?」ガバッ

ベルトルト「ま…まって、急に起き上がると…!」

ユミル「あっ…いってぇ…」ズキン…

ユミル(まだ、少し頭が痛い…)



ユミル「ここ…食堂、じゃないよな?」

ベルトルト「うん、僕が部屋まで運んできて、ベッドに寝かせた。急に倒れたから心配したよ」

ベルトルト「あれから2時間くらい経ったかな。気が付いて良かった…」ホッ


ベルトルト「さぁ、まずはゆっくり水を飲んで…。用意しておいたから」ソッ…

ベルトルト「ユミル、今回は君が失敗したね…あれは飲み過ぎ!」

ベルトルト「外で吐かせたけど…全部じゃない。まだ酒の成分が身体に残っているから…」


ベルトルト「しっかり水を飲んで成分を薄めないとね、明日に残るよ。身体にも悪い」


ユミル「…あぁ…そうだな」スッ…

ユミル ゴクッ……ゴクッ……ゴクン


ユミル「…はぁ…水が美味い…」コトン…

ユミル「ありがとう…迷惑、かけたな…」


ベルトルト「ううん、僕のせいだよ」

ベルトルト「もっと強く君を止めていたら…こうはならなかった」

ベルトルト「空きっ腹にきつい酒2杯も一気に入れたら…こうなるのは当たり前だよ」

ベルトルト「君をちゃんと見ていなかった僕の責任だ…ごめんね」ナデナデ…


ユミル「…」


ベルトルト「お腹空いてない?」


ベルトルト「君の分の食事は、給仕係のお姉さんに包んでもらった」


ベルトルト「向こうのテーブルに置いてあるから…食欲が戻ってきたら食べてね」

ベルトルト「クラブサンドって言うんだって。野菜とハムと卵が3枚のパンに挟まれている」

ベルトルト「この宿の名物料理なんだってさ」


ベルトルト「僕は先に食べたけど、美味しかったよ。『旅行の手引書』に嘘はなかった」ニコッ



ユミル「…なぁ」

ベルトルト「ん?」


ユミル「クリスタは…?」

ユミル「私は今日、クリスタと同じ部屋で寝る予定だったはずだが…」

ベルトルト「あぁ…部屋割りね、僕たちがいないところで勝手に決められていたやつだね」

ユミル「…」


ベルトルト「クリスタと代わってもらった」

ユミル「!?」


ベルトルト「ライナーが言っていたんだけど…」

ベルトルト「アルミンは、今夜自分に話しがあるから同室になりたいって頼んできて、」

ベルトルト「クリスタからも、どうしてもユミルと同じ部屋じゃなきゃ嫌だと言われて…」

ベルトルト「その結果、僕とアニが今日、同室で泊まることに決まったらしい…」


ベルトルト「食堂に行く前、それをライナーから聞かされてアニに伝えろって言われた時」

ベルトルト「ほんっと、どうしようかと思った…」ハァー


ベルトルト「…って言うか、君になんて言えばいいのか、きっと怒るだろうなぁって…」

ユミル「…そう…か」


ユミル「別に…いいんじゃないか?アニと同室でも…」

ベルトルト「ユミル…?」


ユミル「ここまで運んできてくれて助かったよ。吐かせてくれたおかげで身体も楽だ」

ユミル「ベルトルさんには感謝している…アニにも謝らないとな…迷惑かけた」ニコッ

ユミル「さて、私はこれから自分の荷物を持ってクリスタの部屋に行く…」

ベルトルト「!?」


ユミル「その代わりに、アニをこの部屋に連れてくるから、もう少し待っていてくれ…」


ベルトルト「ユミル!!」


ベルトルト「…なんで?僕は嫌だよ、それ!」


ユミル「…」

ユミル「私たちがこの宿に着いた時…私、言ったよな?」

ユミル「男3人に女3人、最低1部屋、男女で寝なくちゃいけない部屋が出来る…って」


ベルトルト「…うん」


ユミル「お前はなんて言った?」

ユミル「『それの何が問題なの?』…って言ったんだ、つまり…」


ユミル「お前にとっては、アニと一緒の部屋で寝ることは何の問題もないはずだ」

ユミル「だから私は、クリスタと同じ部屋で寝る。アニを呼んでくるから待ってろ…」


ベルトルト「…僕はそういう意味で、言ったんじゃない…」

ユミル「…」


ベルトルト「僕は、3日間…ユミルと同じ部屋で寝るつもりだったから…」

ベルトルト「男女同じ部屋で寝るのは僕達だけで、後は同性同士の組み合わせでいいって」


ベルトルト「そう思って言ったんだ…」


ユミル「…」


ベルトルト「僕たちは恋人同士だし、一緒の部屋で寝ることは『何の問題もない』でしょ?」


ユミル「私が嫌がるって思わなかったのか?」


ベルトルト「…嫌なの?僕と一緒の部屋」


ユミル「嫌だ」


ベルトルト「…」


ベルトルト「ねぇ、ユミル…怒ってるの?」

ユミル「…怒る理由がないだろ?お前は何もしていないんだから…だから怒ってない」


ベルトルト「あのさ…昨日、君が言ってたよね。僕たちの『次』はまだまだ先だって…」

ベルトルト「だから僕は、君が僕に…その…許してくれるまで…じっと待つつもり」

ベルトルト「君が『いいよ』って言うまで…無理やり奪ったり、押し倒したり…」

ベルトルト「そんなことは絶対にしない!」

ユミル「…」


ベルトルト「最初の…僕らの初めての時、僕は時間がなくて、とにかく焦っていて…」

ベルトルト「嫌がる君を押し倒して…その…無理やり奪ってしまったから…」



ユミル「そうじゃない…」

ユミル「あれはそうじゃないんだ!逃げようと思えば逃げられた、大声だって出せた…」


ユミル「私が許したんだ。だからそんな風に、言わないでくれ…」


ユミル「そうじゃないと…お互い、嫌な思い出にすり替わるだろ」


ベルトルト「…ごめん。君が僕と一緒の部屋で寝たくないって言うから…きっと…」

ベルトルト「きっと、この事が理由なのかなって思った…僕を信用していないのかなって」

ユミル「…」


ベルトルト「そうじゃなければ、さっき君が繰り返しつぶやいていた言葉…」

ベルトルト「あれが原因なの?」

ユミル「…?」


ベルトルト「『私はアニの代わりなの?』…って」


ユミル「!?」

ユミル「…そ、そんなこと言ってない!!」

ベルトルト「言った。君を1階から抱きかかえて、階段を上っていた時…」


ベルトルト「アニと一緒に、確かに聞いたんだ」


ベルトルト「僕は、アニがまた君に意地悪を言ったんじゃないかって思った。そしたら…」

ベルトルト「アニの方から謝ってきた。『私が無意識にユミルを傷つけたのかも知れない』…って」

ベルトルト「…アニはひどく青ざめていて、君が倒れたことの責任を感じているみたいだった」


ユミル「…違う、アニは…悪くない!」


ベルトルト「アニがクリスタに僕と部屋を替わるようにお願いしてくれた」

ベルトルト「もちろん、僕からも…。君をそのままにはしておけなかったし、」

ベルトルト「アニと同室になることで、君にいらない誤解をして欲しくないと思ったから」

ベルトルト「クリスタは、最初は渋っていたけれど…」

ベルトルト「君が繰り返し…つぶやく言葉に驚いたみたいで…」

ベルトルト「部屋を替わることを渋々承諾してくれた…」


ベルトルト「『明日は絶対、ユミルと一緒!』…って条件でね」

ユミル「クリスタにも…聞かれたのか…」



ベルトルト「…おいで」ソッ…


ベルトルト「怖くない…何もしない」ナデナデ… グィッ…

ユミル「…っ」ギュッ…


ベルトルト「すれ違いで傷つけ合いたくないんだ…火種の元は事前に消しておく」チュッ…

ユミル「…んっ…額…か…?」パチッ

ベルトルト「唇が良かった?」

ユミル「…」///カァァ…


ベルトルト「じゃぁ、思いっきり抱きしめてから…」ギュゥゥゥゥ…


ベルトルト「…唇に」チュ…

ユミル「…ん」


ベルトルト「軽めにね…ふふっ」

ユミル「意地悪だな…」ムスッ…


ベルトルト「アニの代わりなんかじゃない…」

ユミル「…うん」


ベルトルト「告白した時、ちゃんとそう言ったのに…」

ベルトルト「アニに会ったら急に不安になっちゃったんだね。ごめんね…」チュッ…

ユミル「…ん…っ」


ベルトルト「舌も…入れていい…?」

ユミル「なんで…わざわざ聞くんだよ…」

ベルトルト「だって君って僕がキスするたび、すぐ『嫌だ』って言うんだもん」


ユミル「そ…それは、お前がいつも突然キスするからだろ…」

ユミル「反射的に『嫌だ』って言っちゃうんだ…なんでか知らないけど…ちょっと怖くて」


ベルトルト「本当はそんなに嫌じゃない…?」

ユミル「…うん」

ベルトルト「…そっか、良かった」ホッ…

ベルトルト「ユミル、本当にかわいい…」

ユミル「もう…お前なんか、嫌いだ」///カァァァァ…

ベルトルト「僕は好きだよ、君が…」


ベルトルト「大好き…」チュ…

ユミル「……っ」


ユミル「…ぁ……ん…ふっ」チュッ…チュ…


ユミル「…っ…はぁ……っ…」チュプ…

ベルトルト「ん…」クチュッ…


ベルトルト「ハァ…ね……もっと…しよ…?」チュ…ッ

ベルトルト「…れ…?糸引いた…」ツッー


ユミル ハァ…ハァ…

ユミル「あぁぁ…もう、恥ずか…しいな…」


ベルトルト「誰も見てないんだから、いいじゃない…ハァ…ハァ」


ユミル「…それにしてもこのマットレス…バネが強すぎる…フカフカすぎて沈みそうだ…」

ベルトルト「ちょっと高い宿だからね、ベッドもマットレスも布団も品質はすごくいいよ」


ユミル「うん…お前の方が重いから、そっちにマットレスが深く沈み込んで…」

ユミル「身体が引き寄せられる…ずるい…」


ベルトルト「ずるい?」



ユミル「だって逃げられない」


ベルトルト「逃がさないよ」ニコッ…



ユミル「こうやって…抱きしめられると安心する…信じて…いいんだって、思えるんだ」

ベルトルト「うん…頭も撫でてあげよう」ナデナデ…

ユミル「…ありがと」


ベルトルト「他にも、あるでしょ?僕に聞きたい事…」

ユミル「…?」


ベルトルト「君がつぶやいた言葉は、一言じゃなかったから…」

ユミル「…」


ベルトルト「全部、答えるよ。君の問いに」

ユミル「うん…じゃぁ教えてくれ…」


ユミル「…ベルトルさんは、私が巨人だから…私を好きになったのか?」

ユミル「それと…お前の隠している『秘密』ってなんなんだ…?」


ユミル「アニが言うには、どうせ4日後にはバレてしまうんだろ…?」

ユミル「なら今、教えて欲しい…」

ユミル「どんな秘密でも、受け止めるから…」

ベルトルト「…」


ベルトルト「まず初めに、巨人だから好きになったって言うのは、間違っている…はぁ…」

ユミル「ため息つくなよ…」


ベルトルト「だってよく思い出して!ユミル」

ベルトルト「僕がね、ユミルが巨人だって気が付いたのは…あの雪山訓練の時だよ」

ユミル「…」

ベルトルト「君が僕と口論した後、ダズを引きずって崖から飛び降りた時に…見た」

ベルトルト(巨人化反応の光を…)


ユミル「あぁ…やっぱあの時か…」

ユミル「かなり吹雪いてたから大丈夫だと思っていたが…見られていたんだな」


ユミル「ま、人に戻ってから巨人化したのはあの1回だけだから、その時しかねーよな…」

ベルトルト「1回だけ?…そうなの?」

ユミル「あぁ、制約をかけているんだ。私が巨人になる条件…自分自身に課した誓約」

ベルトルト「それってどんな制約…?」


ユミル「大したことじゃないから言わない」

ベルトルト「そっか…」


ベルトルト「えっと…なんだっけ。それでユミルが巨人って知ったのは雪山訓練の時で、」

ベルトルト「その前からずっと…その…僕はしつこかったでしょ…?あの…」


ベルトルト「君と、話をしたくて…」


ユミル「あ!…あぁ…そうだ…本当だ」

ベルトルト「…良かった。思い出してくれて」


ユミル「ごめん…疑うのは簡単なんだな…」

ベルトルト「いいよ、これで解決した?」

ユミル「うん、大丈夫だ。…ありがとう」



ベルトルト「あぁ…あともう一つあったね…」

ベルトルト「僕の『秘密』については、僕はまだ…君を信用していないのかも知れない」

ユミル「…」


ベルトルト「伝えなきゃいけない瞬間が来るギリギリまで…言いたくない気持ちと、」

ベルトルト「早く言って楽になりたい気持ちと、」


ベルトルト「僕が言わなくても…君が自分で気付いてしまって…このまま…」

ベルトルト「何事も無かったかのように、今の関係を続けられたらって思う気持ちと…」


ベルトルト「そんな卑怯で、ずるくて、臆病な思いが僕の中で渦巻いている…」



ベルトルト「僕の秘密は…僕の正体は…『罪』そのものだから…」

ベルトルト「ずるいね、僕は」


ベルトルト「君が僕の『一生のお願い』に『うん』って言ってくれた後で…」

ベルトルト「僕の腕の中から、一生逃がさないように閉じ込めてから…言おうとしている」

ユミル「…」


ベルトルト「君が僕の秘密を受け入れざるを得ないように、逃げ道を塞いでから…」



ベルトルト「それだけ…重いんだ。この秘密は」


ベルトルト「君に…嫌われたら、君を失ったら…僕はこの先、生きていく自信がない…」

ユミル「ベルトルさん…」


ベルトルト「信用してない訳じゃないんだ!」


ベルトルト「君は優しいから…こんなに残酷な世界でも…君は他人の命に必死になるから」

ベルトルト「僕みたいなクズに…君は付いて来てくれないかも…って思うと…ぐすっ…」


ユミル「クズじゃ…ねぇよ。ベルトルさんだって、優しいじゃねぇか…」ナデナデ…


ユミル「あの子に、1週間分のパン、あとスープも飲めるように…お金を置いて行こうとした」

ユミル「それにいつも私を抱きしめてくれるし…私のことも、ちゃんと叱ってくれる」


ベルトルト「うん…」


ユミル「言いたくなきゃ、言わなくてもいいんだ…無理強いはしない。すまなかった…」


ベルトルト「ユミル…」


ユミル「人を…殺したんだろ…?たくさん」

ベルトルト「!?」

ユミル「脱走する時、馬を盗みに入った厩舎で…お前がそう言ってた…」

ベルトルト「あぁ…そっか…失血で意識が混濁していた時だね。…僕、言っちゃったんだ」



ユミル「…愛している、お前を」ギュゥゥゥ…

ベルトルト「!?」


ベルトルト「ユミル、まだ酔ってるの!?」

ユミル「うん…?少し…だけな」


ユミル「でも、本心だ。お前が好きだ…」


ベルトルト「ぼ…僕も…」///ギュゥゥゥ…


ベルトルト(今、キスしてしまったら…僕はもう止まれなくなる)

ベルトルト(君をどうにかしてしまうだろう…だから、我慢…ずっと、このままで…)



ユミル「あぁ…」

ユミル「熱い風呂に入りたい…酔いを醒ましたいんだ…この宿の浴場は別館だったかな…」


ベルトルト「部屋でも入れるよ。この宿には各部屋に浴室があって…」

ベルトルト「受付に言えばお湯を張ってもらえる」

ベルトルト「浴槽と掛け湯用の樽、熱湯を入れる湯足し樽にも。全部になみなみとね」


ユミル「でも…」


ベルトルト「またユミルが倒れると心配だから、別館まで行かせない。ここで入りなよ」

ベルトルト「今、受付の人にお湯張ってもらえるようにお願いしてくるから…」


ユミル「お、お前はどうするんだ?…風呂」

ベルトルト「えっ?僕はユミルが出た後、別館の浴場で入って来るつもりだけど…」

ユミル「…」


ユミル「まだ、酔いが醒めてなくて、足元がおぼつかないんだ…」


ユミル「悪ぃが…一緒に入っては…くれねぇ…よな…さすがに」

ベルトルト「!?」


ベルトルト「ちょ…ユミル…僕は嬉しいけど…それ、君が困るんじゃないの?」///アワアワ…

ユミル「あぁ…すごく困る、と思う…だから条件付きだ」


ユミル「お前がその条件を甘受できないなら…」

ユミル「フラフラの足で、別館まで行って入ってくる…この時間ならまだ誰かいるだろ」


ユミル「万が一倒れても、大丈夫な気がする」


ベルトルト「そんなの認められない…」

ベルトルト「君に万一の事があったら僕は…浴場で倒れたりしたら嫌だ」


ベルトルト「だから…どんな条件でも呑むよ…僕は君と一緒に入る」

ユミル「うん…ありがとう」



ベルトルト「あの…君はそんな女の子じゃないと思うんだけど…念のため確認していいかな?」

ユミル「うん?」


ベルトルト「僕を…試してないよね?…その、どこまで我慢が出来るか…とか」

ユミル「…」


ベルトルト「…ユミル…なんでそこで黙るんだよ…もしそうなら、怒るよ?」


ユミル「じゃぁ、別館の風呂に入ってく…

ベルトルト「待って、行かないでっ!!冗談だから…」


ベルトルト「はぁ…僕の恋人は小悪魔だったよ…ライナー」


~浴室~



ベルトルト(やっぱり思った通りだ。この宿は少し高級だから…)チャプン…

ベルトルト(そういう用途に使う人もいるとは思ってた…だって浴槽が明らかに広い)

ベルトルト(それでも、僕とユミルが二人で入れば狭いだろうな…僕が大きいから)

ベルトルト(これ試練だよね…絶対、手を出さない。もうキスとか抱きしめたら終わりだ)

ベルトルト(理性が決壊する音、聞きたくないし、嫌われたくない…あぁ…もう!)


ユミル「ベルトルさん…入ってもいいか?」


ベルトルト「あ!まだ、ダメ。もうちょっと待って!」


ベルトルト(ユミルの条件はまず、灯りを絞るんだったっけ…ランタンの炎を弱めて…)

ベルトルト(次に、浴槽に粉石けんを投入して泡立てる…だね、お湯の中が見えないように)

ベルトルト(あとは、ユミルが入る時と出る時は…僕が目を瞑っていること…)


ユミル「まだか~?体が冷えちまう…」

ベルトルト「も…もういいよ!」


ユミル「目、閉じてるよな?」


ベルトルト「うん…」///ドキドキ


ユミル「じゃぁ…入る…」ギギッ…

ベルトルト(こんな提案してくるなんて…ユミル、だいぶ酔ってる…)


ユミル ジャババババ…

ユミル「おぉ…お湯、熱いな」ジャババ…


ユミル「ベルトルさん…入るぞ…」チャプン…


ベルトルト(目を閉じてなきゃ…)ギュッ


ユミル「広いようで…やっぱ狭いな」ザバーーッ

ユミル「座りたいから、脚、開いてくれ」


ベルトルト「う…うん…あのさ、もう目開けていいかな?」


ユミル「あぁ、いいよ…」


ユミル「ジロジロ見るなよ…こっちも恥ずかしいんだ…」


ベルトルト「…」ソォォ……パチッ…


ベルトルト「目の前に、ユミルがいる…」

ユミル「当然だろ…幻じゃないぞ」

ベルトルト「うんうん…幸せだ…」


ベルトルト「僕が付けた、胸元の印もちゃんと残ってる…嬉しい…」ドキドキ…

ユミル「くそっ…思い出すだろ、ばか…」///


ユミル「指輪、つけっぱなしで良かったのか?…錆びそうで湯船に入れるの怖いんだが」

ベルトルト「僕も付けっぱなしだよ、ほら」ザバッ……キラッ…


ベルトルト「お風呂あがったら、錆びないように一緒に手入れしようか」ニコッ

ベルトルト「一番怖いのは、お風呂に入る時に外して、そのまま失くしてしまう事だから」


ユミル「あぁ…それは怖いな…」チャプ…チャプ…


ユミル「寄り掛かっても…いいか?」

ベルトルト「いいよ」

ベルトルト「このまま髪も洗ってあげる…これ万能粉石けんなんだよ」ナデナデ…

ユミル「うん…」


ベルトルト(最後の条件、お互いの身体の…敏感な部分には手を触れない…)


ユミル「ベルトルさん…やっぱりさ、指輪必要だったんだな。買ってもらって、良かった」

ベルトルト「ユミル…」

ユミル「お互いが好きであることを、周りに証明する必要はないと思っていた」チャプン…

ベルトルト「うん…」


ユミル「でも違うんだ…これは私たちのためなんだ。これを…指輪をはめている限り、」

ユミル「私は、自分の気持ちをお前に証明できる」


ユミル「そしてお前が指輪をはめていてくれる限り、私は…愛されているのだと、実感できる」

ベルトルト「…うん、そうだよ」


ベルトルト「ユミル…また泣いているの?」

ユミル「…泣いてなんか……ない…」


ベルトルト「あぁ…もう、限界…」ハァ…

ベルトルト「君を抱きしめる…」


ベルトルト「こんなに熱い湯船に入ってるのに…ユミルの身体、冷えてるよ」ギュッ…

ユミル「…お前が…待たせるからだろ…」

ベルトルト(柔らかい…ユミルの二つのふくらみが直に僕の胸に当たって…興奮する)

ベルトルト(寝かせると、ちょっとだけ減っちゃって勿体ないな…はぁ…触りたい…)


ユミル「ベルトルさん…硬いの…当たってる」

ベルトルト「えっ…」バシャッ


ユミル「いつも抱きしめられてる時、下腹部に硬いのが当たってるなぁとは思ってたんだ…」

ユミル「…今やっと、それの正体が分かった」


ベルトルト「!?」


ベルトルト「…ご…ごめん、あの…」///


ユミル「湯船で身体洗ってもいいか?」

ユミル「お前も洗ってやるけど…変なところは…触るな…」


ベルトルト「う…うん、大丈夫」


ユミル「終わったら私が先に出るから…また約束通り、目を閉じていてくれ」


ベルトルト「…わかった」


今日はここまで。読んでくれてありがとう

仕事が休みの間にもう一回更新したいな…

みなさま、よいお年を…


今から投下します

感想と保守ありがとうございます
新年のご挨拶は控えさせていただきますが、この話も今年度中には
終わると思いますので、もう暫らくお付き合い頂けましたら幸いです

そしてまたしても配分をミスって、今回もエロなしという…困ったな…




~宿屋の一室~



アルミン「ライナー…寝る前にちょっと聞いておきたい事があるんだけど…」

ライナー「あぁ…そう言えば話があるんだったな。なんだ?」


アルミン「家畜を買うのは3日後…ヤルケル区を出る当日でいいんだよね?」

ライナー「そうだ。家畜は維持管理…と言うか、世話があるからな…ギリギリの方が楽だろ」


アルミン「うん、そうだね。買うのは、仔牛、鶏、仔豚、仔ヤギのつがいで良かったっけ?」

ライナー「それなんだがな…途中で死んでしまう事もあるかも知れんし、」

ライナー「後の子孫の多様性を考えて、少し多めに連れて行きたいと思っている…」


ライナー「他の荷物や物資との兼ね合いもあって、幌馬車内の空間を圧迫するが…」

ライナー「連れて行く価値はある」


アルミン「そうだね…雌雄2匹だけだと、その次の代で終わっちゃうもんね…」

アルミン「近親交配で子孫を残す…ってのは、あまりに悲惨だ」

ライナー「…」


アルミン「家畜が死んだら…もう補充することは出来ない…」

アルミン「そんな場所へ行く。…僕の解釈で合ってるみたいだね、ライナー」

ライナー「あぁ…」



アルミン「明日はさ、アニと中央近くの街まで行ったら薬も買って来ようと思うんだ…」

ライナー「薬?…何のだ?」


アルミン「ヤルケル区でも買えるんだけど…」

アルミン「ほら、やっぱりシーナ内部の方が扱っている薬の種類も多いし、質も良いから…」

ライナー「風邪薬とか、痛み止めとかか?」


アルミン「それも勿論だけど…傷薬なんかもね…」


ライナー「傷薬…」


アルミン「あのさ、ライナーとアニと…ベルトルトの分の傷薬はさ…要らないんだよね?」


ライナー「…」



ライナー「…何が言いたい?アルミン」



アルミン「何となく、わかっちゃった…」

アルミン「今日、クリスタとユミルに会って」


アルミン「ユミルは…自分は協力者じゃない、って言っていた」

アルミン「それと、無理やり連れて来られたって…」


アルミン「彼女たちも、僕と同じなんだね…」

ライナー「…」


ライナー「…そうだな。騙して悪かった…」

ライナー「お前と、この計画の打ち合わせをした時、俺とベルトルの他に…」

ライナー「協力者が2人いるとお前に言ったのは嘘だった…実際は連れ去って来たんだよ」


ライナー「クリスタとユミルを…調査兵団の兵舎から、ここまで…な。有無を言わさず」



アルミン「…」

アルミン「僕はアニから、クロルバ区へ向かうまでの計画しか聞いていないけど…」

アルミン「君たちが…と言うか、僕らがどこへ向かおうとしているのか、」

アルミン「僕にはもう…察しが付いている」



アルミン「ねぇ、ライナー」

アルミン「僕の推測が正しいと仮定して話を進めるけどさ…」

アルミン「クロルバ区の外側の開閉扉…どうやって通り抜けるつもりなの?」

ライナー「…」


アルミン「トロスト区ほどじゃないにしても…クロルバ区だって巨人の襲撃に備えて」

アルミン「多くの駐屯兵を配置しているはずだよ」


アルミン「あの開閉扉からじゃないと、僕らが準備を進めている幌付き馬車3台と馬2頭は…」

アルミン「壁外へ…出ることが出来ない」


アルミン「僕らだけで50mの壁を越えるリフトを用意するのは不可能だ」

アルミン「動力のガスも、人手もない」

アルミン「仮に馬1頭が500kgとしても…幌付き馬車1台で10トン近くはあるからね…」

アルミン「馬2頭は乗馬用で、幌付き馬車を動かす荷引き馬は6頭もいるし…」

アルミン「リフトで持ち上げるのは、現実的じゃない…」


ライナー「…」


アルミン「ライナー…あのさ…

ライナー「仮に、お前の推測があっていたとしたら、お前はどうする?」

ライナー「お前なら…どうやってあの開閉扉をこじ開けて、押し通る?」

ライナー「無謀な挑戦だと言って…逃げるのか?」


アルミン「ライナー!…僕は!!」

アルミン「僕は…もっと情報が欲しい!」


アルミン「現状を知りたいんだ!この計画の真の目的も…どうして…僕だったのかも…」

アルミン「…」


ライナー「真の目的なんか、最初っから無い。お前の目に見えるものが全てだ」

アルミン「僕の目に…見えるものが全て…?」

ライナー「お前の目には…アニはどう映る?」

アルミン「…」


ライナー「本当はもう、お前は…分かってるんじゃないか?アニがお前を連れ出した理由」

ライナー「アニは何があっても、この計画に巻き込んだ以上、お前を死なせないだろう…」

ライナー「いや…お前と自分のために、この計画を立て、実行したと言ってもいい…」

ライナー「アニにとって、お前は取替えのきかない人間なんだ…唯一無二の存在と言える」

ライナー「最悪、全てが失敗したとしても、お前だけでも…何とか壁内へ戻すつもりだ」

アルミン「…」


アルミン「…どうして?アニがそこまで…」


ライナー「アルミン…俺から言うことじゃない事だとは分かっている」

ライナー「もしアニに知られたら、キツい蹴りをお見舞いされる事も分かってはいるが…」


ライナー「…」


ライナー「アニを…愛してはやれないか?」

アルミン「!?」


ライナー「なんだかな、俺はアニの事を…妹みたいに思ってる節があってな…」

ライナー「向こうはそう思っちゃいないんだろうがな…はぁ…心配なんだよ、あいつの事」


アルミン「僕だって…」

アルミン「アニは可愛い女の子だと思うよ…」

アルミン「口ではきつい事も言うけど、本当は優しいし、面倒見もいい…」

ライナー「だろ?」ハハハ…


アルミン「でも、…彼女をそんな目で…恋愛感情を持って見たことは、一度もないんだ…」

アルミン「彼女に比べたら、僕はあまりに弱くて、頼りない…主に体力面で、だけど」


アルミン「それに僕には好きな人がいる…」


アルミン「もう二度と…会えないだろうと思うけど…」


ライナー「…」

ライナー「急がなくていいんだ…アルミン」


ライナー「お前が俺達と一緒に居てくれる限り、『鎧の巨人』も、『超大型巨人』も…」

ライナー「もう二度と、この人類を攻撃したりはしない…アニとも約束したはずだろ?」

アルミン「…」



ライナー「時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり、好きになってやってくれよ…頼むから」

アルミン「僕は…

ライナー「おっと、悪いな。そろそろ行かないと…」

アルミン「えっ!?こんな時間にどこへ?」


ライナー「人の世話なんか焼いている場合じゃなかったんだよな…くそっ…緊張する」ハァ…


ライナー「クリスタは…確かユミルと同じ部屋だったな…よし、やるか!」パチン!



アルミン「ライナー…」

ライナー「悪いが話はまた今度だ!」


ライナー「それと明日の部屋割りは、お前アニと一緒の部屋だぞ?」

アルミン「えっ!!」


ライナー「二人で中央近くまで馬を売りに行くんだろ?宿に戻る時間が読めないからな」

ライナー「そうさせてもらった」


アルミン「ちょ…ちょっと待って!それはまずいって!ねぇ、ライナー!!」アセアセ…


ライナー「じゃぁ、行ってくる!!」



~隣接する客室~



トン…トン…


クリスタ「はーい!…ユミルかな?」

カチン…ガチャ… ギギッ……



酒場の給仕「失礼します…。アニ・アルレルト様のお部屋はこちらですか?」

クリスタ「アニ・アルレルト…?」


アニ「あぁ…そうだけど?」

クリスタ「…?」


酒場の給仕「先刻、ご一緒に食事をとられたベル…ごめんなさい…お名前を失念しました」

酒場の給仕「背の高いお連れ様から頼まれまして…クラブサンドを2食分包んできました」


アニ「クラブサンド…」

酒場の給仕「えぇ…この宿の名物ですの」

酒場の給仕「ご友人様が明日、日の出と共に外出されるので、朝食として2名様分、」

酒場の給仕「包んで欲しいと言われまして、こうして部屋までお持ちしました」ニコッ


アニ「はぁ…そうなんだ……ベルトル…」

酒場の給仕「どうぞお受け取りください」スッ…

アニ(アルミンと私の分だね…ベルトルの奴、気が利くじゃないか。相変わらずの性格だ)


酒場の給仕「明日は道中お気をつけて行ってらっしゃいませ。…では、失礼します」ウフッ


パタン…


クリスタ「アニ…良かったね!」

アニ「あぁ…朝食の事まで考えてなかった…」

アニ「確かに出発時間が早すぎて食堂は開いてないね…本当にユミルの言った通りだ」

クリスタ「…ん?」


アニ「あいつ、女の扱い方は下手じゃない。ま、夜の方は私にはわからないけど」


~別の部屋の一室~



パタン…

ベルトルト「あがったよ。ユミル、寝ちゃった…?」

ユミル「いや…起きてる。風呂、長かったな」


ユミル「お腹空いてテーブルの上のクラブサンド…?食っちまった。…美味しかったよ」

ベルトルト「うん、そっか。食欲出てきて良かった。ユミルが元気になると、僕も嬉しい」


ベルトルト「実は、浴槽にお湯を張ってもらうように受付にお願いしに行った時、」

ベルトルト「食堂に寄ってさ、このクラブサンド2食分包んでくれってお願いしてきた」

ユミル「ん…?まだ食うのか」

ベルトルト「僕じゃなくて、アニとアルミンの分ね」


ベルトルト「早朝、日の出と共に出発するみたいだから、食堂開いてないしね。朝食用に」

ユミル「ふふっ…すごい気遣いだな、お前」


ベルトルト「だってアニってこの宿の料理、美味しくないって言うんだ…」

ベルトルト「そんな事ないのにね…。君と一緒なら、何食べても美味しいのに、僕はね」

ベルトルト「アニもさ、アルミンと一緒に食べたらきっと美味しく感じると思うんだ」


ユミル「…」


ベルトルト「ねぇ、こっち向いて…ユミル」

ベルトルト「服はもう、着てるから」


ユミル「…う…ん?」クルッ…ギシッ…


ベルトルト「眠い…?脱走してからよく眠れてないもんね、昼も眠そうだったし…」


ベルトルト「もう、寝ようか…ランプの火、消すよ……いい?」ギシッ…


ユミル「あぁ…消してくれ」

ベルトルト「うん…」


カチリ……フッ…


ベルトルト(真っ暗だ…カーテンを閉め切っているから、月明かりも届かない)


ベルトルト(疲れているはずなのに、さっき抱きしめたユミルの感触を思い出して…)


ベルトルト(興奮して、しばらくは眠れそうもない……はぁ…)



ユミル「ベルトルさん…」

ベルトルト「ん?なに、ユミル」


ユミル「さっき、聞きそびれた」

ベルトルト「うん…」



ユミル「ベルトルさんは…慰めて欲しいのか?それで…」

ユミル「…許して欲しいのか?誰かに、自分の『罪』を…」


ユミル「同じ秘密を…『巨人』である秘密を持つ私に、その役割を求めたのか?」

ベルトルト「…」


ユミル「私を許すのは、自分が許されたいからなんだろう…?」

ユミル「お前は、私に依存したいんだ。そして私にも依存されたいと思っている…」


ユミル「違うか?違うなら…違うと言ってくれ」


ベルトルト「ユミル…そんな事を考えていたの?」


ユミル「あぁ…お前の事、もっと知りたくてな」

ベルトルト「そう…」


ベルトルト「今まで考えたこともなかった…」

ベルトルト「でも、君がそう感じたのなら、あながち間違いでもないんだろう、と思う」

ユミル「…」

ユミル(アニの受け売りだから、私がそう感じたわけではないが、共感できてしまった…)



ベルトルト「恋愛ってさ、何のためにするんだろうね?」

ユミル「…?」


ベルトルト「全部、相手のため…なんて答える人がいたら、その人は嘘つきだと思う」

ユミル「あぁ…そうだな」


ベルトルト「人を好きになる気持ちって、自分じゃ制御できないでしょ…?」



ベルトルト「僕と君が…そうだったように」

ユミル「…」


ベルトルト「最初は、自分のためなんじゃないかな…自分を満たすための欲。それが恋愛」


ベルトルト「許される事も、慰められる事も、信じる事も、依存する事も、される事も」

ベルトルト「お互い同じ秘密を持つ事も…自分を満たすための欲なんじゃないのかな」


ユミル「…私にも、欲が…ある。お前を満たしたい、そして満たされたいと思っている」


ベルトルト「ふふっ…じゃぁ小難しいこと考えなくても、僕らの利害は一致している」

ユミル「ははっ…そうだな」


ベルトルト「最初は自分のためにするもの…でも、そこを越えたら次は相手のため…」



ベルトルト「ユミルが苦しければ分かち合いたい…」

ベルトルト「悲しければ…手を取り、抱きしめて、慰めたいと思う…」

ベルトルト「寂しければ、ずっとそばに居てあげたい…そして居て欲しいと願う」


ユミル「…お前は、寂しいんだな」

ベルトルト「うん…」


ベルトルト「だから『一生のお願い』を使った…君に一生そばに居て欲しいと、願った」

ユミル「…」


ベルトルト「自分を捨てて、相手の事を完全に優先してしまうのは、もう恋愛じゃない」

ベルトルト「それは、対等な関係じゃない。限りなく純粋な愛情そのものか、従属関係か」

ベルトルト「僕はまだ、君と恋愛をしているつもり…そしてそれを楽しみたいと思ってる」


ユミル「うん…」


ベルトルト「でも最後に行く着く先は、純粋な愛情だ…きっとね、君のためなら死ねる」


ユミル「ばか…死ぬなよ…」


ベルトルト「死なないよ、君がいるもの…」

ベルトルト「僕は、幸せになりたい…君と」




ベルトルト「…愛してる」


ユミル「…」




ベルトルト「あのね…ユミル」

ベルトルト「僕の『一生のお願い』だけど…返事は、ヤルケル区を出る前までに欲しい」

ユミル「!?」


ベルトルト「焦らないつもりだったけど…」

ベルトルト「ヤルケル区を出ちゃうとね、もう君は逃げられなくなっちゃうから…」


ベルトルト「君の答えが、例え『いいえ』であっても…君は僕に付いて来るしかなくなる」

ユミル「クリスタだけじゃなく…私にも選択権を与えるつもりか?」


ベルトルト「うん…だって、ユミルと僕は対等だから…無理やりなんてね、本当はダメだ」

ベルトルト「僕は君が『うん』って言ってくれるって確信しているけどね…指輪もあるし」


ユミル「お前は…」

ベルトルト「…ん?」

ユミル「お前は、私を逃がす気があるのか?」


ベルトルト「わからない…その時になってみないと…」

ベルトルト「でも君が、どうしても嫌なら…ここに残していくしか、ないのかもね…」

ベルトルト「そうはならないと、信じているけど」

ユミル「…」


ユミル「ベルトルさん…」

ベルトルト「なに…?」


ユミル「そっちへ…行っていいか?」

ベルトルト「!?」


ベルトルト「駄目!絶対ダメ!!」

ベルトルト「もし…君が僕のベッドに入ってきたら…僕は…」


ベルトルト「君を、服を着せたままそっちへは返せなくなる…」


ベルトルト「ねぇ…そうやって僕を試すの、やめてよ…まだ酔ってるの?」ハァ…

ベルトルト「もう、これでも精一杯、頑張っているんだよ…?」


ベルトルト「これ以上、君に誘惑されたら…本当に我慢出来なくなる…」



ファサッ…

ソォッ… ギシッ…ギシッ…


ユミル フワン…スルリ…

ベルトルト「!?」

ベルトルト「ユミル!自分が何してるか分かってる?僕らの『次』はまだ先だって…


ユミル「分かっている…私が…したいんだ…」

ユミル「ダメか…?ベルトルさん…」



ベルトルト「抱いても…いいって事?」


ユミル「抱いて、欲しいんだ…って事だ」


ベルトルト「えぇっ…」///カァァァ…


ユミル「もう、酔ってない…シラフだから安心しろ…酔った勢いとかじゃないから…」


ベルトルト「もう…君ってば、小悪魔じゃないよ!!」

ベルトルト「…悪魔だよ、僕を誘惑する…サキュバスだ」

ユミル「サキュバス?」



ベルトルト「睡眠中の男を襲って、性交したくてたまらなくさせる女性の悪魔のこと…」


ユミル「したくて…たまんないのか…?」


ベルトルト「ん…チュッ……もう…したくてたまんない…ハァ…」ムチュ…カリッ…


ユミル「まてまて…耳を噛むな…んっ…はぁ…」


ユミル「急ぐなよ…服を脱いでからだ…」


ベルトルト「わかってる…全部…脱がすから…」


ベルトルト「ねぇ、ランプ…点けていい?」


ベルトルト「君の顔を見ながら、したいんだ」

ユミル「ダメだ…恥ずかしい…」


ベルトルト「でも点けないと…君が痛いのかどうか…わからないよ」

ベルトルト「最初の時、凄く痛がってたから…君の表情を見て、痛そうな時は腰を引いた」

ユミル「…はぁ…そんなに痛そうにしてたか?」

ベルトルト「うん…馬に乗っていた時も、痛かったんでしょ…そこ」


ユミル「あぁ…痛かった。してすぐだったし…まだお前が身体に残ってるようだった…」


ベルトルト「あぁ…」////カァァァ…


ベルトルト「あ!ランプじゃなくてロウソクにしようか?これならそんなに明るくないよ」

ベルトルト「1本だけ…ねぇ…お願い…」チュッ…


ユミル「…っ…1本だけだぞ…あんまりじっくり見るなら、途中で止めるからな」


ベルトルト「うん…ありがと…」




ベルトルト(ぼんやりと…ゆらゆら揺れる温かい光の中で…)


ベルトルト(僕はゆっくりと…ユミルの服を脱がす…相変わらず肌がすべすべだ…)


ベルトルト(湯上りのいい匂いがする…汗をかいたら、あの甘い香りが楽しめそうだ)


ベルトルト(服は、また畳んで端っこに置いておこう…脱ぎ散らかすと着る時大変だから)


今日はここまで。読んでくれてありがとう。

続きは書いてあります…もう少し推敲してから投下します
明日か、明後日か、明々後日には

おやすみなさい


今から投下します

一昨日、初体験を済ませたばかりの16歳と17歳の2回目のエッチだと
頭の片隅にでも置いておいてくれると助かる


ユミル「…ベ…ルトルさん…そこはまだ…ダメだ…」

ベルトルト「下着…?まだ脱がしちゃだめなの?」


ユミル「…あぁ」ハァハァ…


ベルトルト「どうして?またぐちょぐちょになって…汚れちゃうのに…」


ユミル「そういう事…言うなよ…ぁっ…」

ピチャ…ピチャ…


ベルトルト「ほら…もうこんなに濡れてる…」

ベルトルト「ユミルの身体も…僕のを欲しがってるよ…」クチュッ…クチュッ…


ベルトルト(初めての時、確かめた…ここが気持ちいいのは、もう知ってる…)


ユミル「まだっ…触る…な…ばかぁ……っ…ん…」クチュ…クチュッ…

ベルトルト「ユミルも我慢だよ、まだ指は入れてあげない…」ハァハァ…


ユミル「……ぅ…やだ…」ギュゥゥ…


ベルトルト「僕は、全部脱いじゃった…」

ベルトルト「ユミル……僕のも…触って…」


ユミル「お前の、大きいから…怖い…」


ベルトルト「怖くない…ほら…手を伸ばして」グィッ…


ベルトルト(少し震えるユミルの左手を掴んで…僕のそれに…軽く触れさせる…)

ユミル「…硬い…なんか…脈打ってるぞ…」


ベルトルト「うん…ユミル…しごいちゃダメだよ…」

ベルトルト「指先で軽く…なぞるだけでいい…」



ユミル「こう…か…?」スススススッ…

ベルトルト「」ビクッ!

ユミル「あっ…!」ビクッ!


ベルトルト「だ…大丈夫……興奮して…」ハァ…

ベルトルト(軽く触られただけなのに…刺激が強い…一瞬、意識が遠のいた…)

ベルトルト「次は軽く握って…ゆっくり擦って…優しくね…」ハァハァ…


ユミル「こ、こっちのは触らなくてい…っ…ぁ……やっ…」クチュクチュ…

ベルトルト「ほら、左手が止まってる…」

ベルトルト「ちゃんと擦らないと…指、入れてあげないよ…」


ユミル「んっ…」スリッ…スリッ…シュッ…シュッ…シュッ…

ベルトルト「あぁぁ…ちょ…っとまって!ユミル、止めて!!」ガバッ…

ベルトルト「そんなに強く擦ったら…すぐ出ちゃうって!!」ハァ…ハァ…

ベルトルト「君の『中』で擦って…イきたいから!だからもっと優しくして…」



ユミル「か…加減がわからないんだ…そんなに怒るならもうやめる…」ジワッ…


ベルトルト「止めるなら…もう入れるよ…」


ユミル「やだ…まだ…入っちゃだめ…だ」

ベルトルト「わかってる…」チュッ


ベルトルト「…もっと愛してから…可愛がってから……入るからね…」

ベルトルト「痛くしないから…優しくする…」

ベルトルト「最初の時と違って、時間はたっぷりある」



ベルトルト「好きだよ…今日はゆっくり、愛し合おうね…」チュー


ユミル「…んっ…ぁ…っ……」チュ…クチュッ…


ユミル「ぁ……はぁ…ぁふっ…」ムチュッ…


ベルトルト「ちゃんと、キスに集中して…ユミル…」


ユミル「ぁ…ん……だって…お前が下を触るから…んっ…ゃ…っ」ツツーッ

ベルトルト「ふふっ…よだれ垂れてる…」


ベルトルト「そんなにここが気持ちいいの…?」クチュ…クチュ…

ベルトルト「かわいいよ…ユミル…よだれ飲んであげるね…」ジュルルッ…



ベルトルト「下も…舐めたい…僕が触っているところ…いいよね?」クチュ…クチュッ…

ユミル「ゃ…汚…い…から…ダメ…だ」ハァ…


ベルトルト「なんで?汚くないよ…」


ベルトルト「ねぇ、ユミル…『いいよ』って言って…」


ユミル「…っ…ダメだって!」グスッ…


ベルトルト「じゃぁ…こっちにしようかな…」ムチュッ…チュッ…コリッ…

ユミル「んっ…ぁ…ゃめっ……ぁっ…」ビクッ!



ベルトルト(はぁ、こんなに…先端が硬くなって…)


ベルトルト(唇の先で摘むとかわいい声を漏らす…)


ベルトルト(指の間に挟んで突起を軽くしごきながら揉んでみようか…)


ベルトルト(ユミルをもっといじめたい…)クリッ…クリ…フニフニフニ…


ユミル「ぃや…それ嫌だって…ぁ…ん…っ」


ベルトルト「嫌じゃないでしょ?…身体はもっと欲しがってるみたいだよ…」


ベルトルト(もう……たまんない…早く…)

ベルトルト(でも我慢、ユミルに…おねだりさせてからだ…)


ベルトルト(あぁ、興奮で頭がおかしくなりそうだ…)



ベルトルト「下着…脱がすよ…」スルスル…


ユミル「だめだ!まだ…心の準備が…早い…」

ベルトルト「うん…大丈夫…まだ我慢できるよ、僕」



ベルトルト「身体を起こして…後ろから抱きかかえるから…」グィッ…スルッ…

ギュゥゥゥゥ……


ユミル「えっ…!」


ベルトルト「脚…開いて…もっとちゃんと、触りたい…」

ベルトルト「ユミルの敏感なところ…」クチュ…クチッ…


ユミル「おまえっ…さっきからそこばっかり…」


ユミル「嫌だ…ハァ…そこ…触られたく…ない…」

ユミル「おか…しくなる…から…」グスッ…



ベルトルト「ユミルを気持ち良くしたいんだ…」


ベルトルト「僕は触りたい…だめ?…ここ…触らせて」


ユミル「気持ち良くなるの…怖いんだ…」


ベルトルト「無理させないから…」

ベルトルト「僕だけ気持ち良くなるの嫌だ…ユミルも…」クチュッ…


ユミル「はぁ…もぅ…ばかぁ…」



ベルトルト「ねぇ、ユミルは自分でここ触って気持ち良くなったことある…?」


ユミル「…そんなこと…言えない…」


ベルトルト「言わなきゃ、終わらないよ。言うまで触るからね…」クチュッ…クチュ…

ユミル「ぁっ…んっ……くそっ…あるよ…」


ベルトルト「僕の事考えながら触ったの?」クチュ…クチュ…


ユミル「ぁ…っ…言わない」ハァハァ…


ベルトルト「言ってよ…ユミル…僕を想像しながら触ったんでしょ…?」チュッ…

ユミル「ゃっ…違っ……ぁ…ん…」グチュ…クチュッ…


ベルトルト「僕は…ユミルじゃないとダメなんだ、君以外じゃ抜けない…」チュッ…

ベルトルト「今も浴室で2回抜いてきた…」

ベルトルト「そうでもしないと…君を襲ってしまうかも知れなくて…」


ベルトルト「軽蔑する…?」


ユミル「…しない…よ…だって、恋人…同士…なんだろ?」クチュ…


ベルトルト「うん…ありがと…」

ベルトルト「…男の性は君が思う以上に凶暴なんだ…我慢できない…」



ユミル「ベルトル…さん…」ハァ…ハァ…

ベルトルト「なに?ユミル」


ユミル「弄られるの…辛い…悪いがその手付きじゃ…イけない…ごめん…」

ベルトルト「えっ!?」


ベルトルト「ど…どうすればいい?ユミル、教えて…」オロオロ…

ユミル「こう…するんだ…」ソッ…


ベルトルト(彼女の右手が…僕の右手の上に…)


ユミル「私の教えるとおりに、動かせよ…」


ベルトルト(僕の人差し指に自分の中指をあてがって…僕の指先を軽く叩く)

ベルトルト(…あぁ、指示に従って指を動かせってこと…?)


ユミル「あっ…っ…ぁ…んっ……」ビクビクッ…


ベルトルト「指使いが…激しいよ…ユミル」

ベルトルト(こんなに乱れたユミル初めて見る…)

ベルトルト(かわいい……空いた手で…ここも…)


ユミル「おまえっ……胸、触るな!…集中できない…ぐすっ…」

ベルトルト「…やだ、触る」フニフニ…


ベルトルト(ユミルの指示通り……円を描くように…優しく擦って…)

ベルトルト(あぁ…すごい…)


ベルトルト「ユミル…気が付いてる?すごい腰が動いてるよ」ヌチュ…

ベルトルト「…いやらしい女の子だね」



ベルトルト「僕の指に気持ち良いとこをグリグリ擦りつけて……淫乱だ…」クチュクチュ…


ユミル「や…だ…ちがっ…はぁ…ぁぁ…」///カァァァ…



ベルトルト「イきたい…?」


ユミル「う…ん…ぁ…イきた…い…」



ベルトルト「僕が好き…?」


ユミル「あぁっ…す…き……だい…すき…」


ベルトルト「あぁぁ!もう、たまんない!!」ギュゥゥゥ…


ユミル「もっと早く動かし…て…お願い…」

ベルトルト「うん…でもその前に…」グィッ


ユミル「え…!?な…なんだ…?」パフンッ…


ベルトルト(ユミルを引き倒して、僕が上に…)

ベルトルト「脚を開いて…よく見えるように」

ユミル「…ゃ…だっ!」パチン!


ベルトルト「じゃぁ…無理にでも開かせる」ググッ!


ユミル「うぅ…そういうの…嫌だって…」


ベルトルト「ハァ…ロウソク1本の灯りでも…」

ベルトルト「全部見えるよ…君の隠している場所が…」


ベルトルト「ヌルヌルだ…こんなに濡れそぼって…」

ベルトルト「こっちもよだれを垂らしてる…僕を食べたいって…」

ユミル「!?」


ユミル「見る…な…いやだぁ…ひっく…」///カァァァ…

ベルトルト「怖いことはしないから…泣かないで…大丈夫だからね…」チュッ…


ベルトルト(あぁ、張り詰めすぎて痛い…)


ベルトルト(まだ早い…ユミルを一度気持ち良くさせてから…)



ベルトルト「指…入れるね…」クチュ…


ベルトルト(指入れるの…初めてだ)ヌプ…


ベルトルト(…キツい……指1本でこれか…)

ベルトルト(ゆっくり奥まで…痛くないように…)ズプン…



ユミル「っ…ん……痛い…よ…だめ…」

ベルトルト「…よく僕のが入ったなってくらい…キツいよ……」ハァ…ハァ…


ベルトルト「もっと力を抜いて…痛くない…」

ヌプッ…ヌププ…


ユミル「あぁぁ!…ゃ…奥に当たってる…」


ベルトルト「あっ…ごめっ…ん…」


ベルトルト(僕の指が長いのか…?指でも奥まで届いちゃうんだな…)ハァ…ハァ…


ベルトルト「指…動かすから痛かったら教えて…」

ベルトルト「あと、触られて変に感じたところも…」


ユミル「…っ」ギュッ…

ベルトルト(かわいい…シーツを掴んで…恥ずかしさに耐えてる…)

ベルトルト(指じゃ嫌だ…早く僕のも…)


ベルトルト「ゆっくり…動かすよ…」ヌプッ…ズプッ…


ユミル「…ぁっ…あ…んっ……ゃ…っ…」


ベルトルト(同時に、親指で…さっきの敏感なところを擦る…)

クチュクチュ…

ベルトルト(…ユミルをイかせてあげたい)



ユミル「も…だめだって…そこ…ぁっ…」

ユミル「ゃだ…ぁ…ベルトルさ…んっ…あっ…ぁっ…ぁぁ…」ギュッッ…!


ベルトルト「えっ!!」ビク!

ユミル「~~~~っ…!!」ギリッ…


ベルトルト(ちょっ…なにこれ…すごい…)


ベルトルト(僕の指が…奥に吸い込まれて…キツ…波打って締め付けられる…)ドクン…



ユミル「ハァ…ハァ…もうやだ!痛ぇよ…」

ユミル「ベルトルさん!早く指抜けって!!」ムクッ…


ベルトルト「まだダメだよ!抜けない…」

ベルトルト「無理に抜いたら君の『中』を傷つける!」グイッ…


ベルトルト「落ち着いて、怖くないから…」

ユミル ハァハァハァ…「ぐすっ……」


ベルトルト(収まった…?)



ニュププ…ズッ…クチッ…


ベルトルト「指抜けたよ…大丈夫…」ハァ…

ベルトルト「ほら、身体を起こして…抱きしめてあげるから…」


ユミル「ん…」ギュゥゥゥゥ…


ベルトルト「よく頑張ったね…よしよし…」ナデナデ…


ユミル「なぁ、今の…なんだ…?」

ベルトルト「よくわからない…でもユミル…今、イったよね?」



ユミル「う…うん…そうみたいだ」コクン…

ユミル「…って、言わせるな…馬鹿…」////


ベルトルト「あはっ……嬉しい…あぁ…もう、幸せ!…ユミルありがとう!」チュッ…

ユミル「ぁっ…んっ…おまっ…何だよもう!」


ベルトルト「すごい締め付けだった…ただでさえキツいのに…あんなすごいの来るなんて」


ベルトルト「たった…指1本なのに…もしあれが僕のものを入れた時に来ていたら…」

ベルトルト「一瞬で絞られてた…。我慢なんて出来る訳ない…もう…興奮で身震いする」///


ベルトルト「早く経験したいけど…まだダメだね…抜けなくなるから中で出しちゃうし…」

ベルトルト「君との子供は欲しい…でも僕らはまだ生き抜く準備が出来ていないから…」

ベルトルト「僕らのそれはまだ先だ…不幸な子供は作らない…そう思った、今日の事で」


ベルトルト「結婚の約束もこれから…でも、…責任取りたい、取らせて。君と結婚したい」

ユミル「お前…さらっと求婚を混ぜるな」


ユミル「でも、良く出来ました!…だ。少し大人になったな…」ナデナデ…


ベルトルト「うん…」ギュッ…


ユミル「はぁ……ちょっと…休ませてくれ…」フゥ…

ユミル「悪ぃ…疲れた…」

ユミル「そっちはまだだってのに…10分だけな…ごめん…」チュッ…

ベルトルト「…ん」


ベルトルト「うん…僕も休憩…少し休む……疲れた…」パフッ…フワン…

ベルトルト(あぁ…もう、我慢のし過ぎで…)

ベルトルト(先っぽからトロトロと溢れてきてる…はぁ…)


ユミル「今日は本当によく頑張ったよ。ベルトルさん」

ユミル「ご褒美はもうすぐだ…」ニコッ


ベルトルト「これ…ご褒美なの?」

ユミル「うん…不満か?」

ベルトルト「不満なんてない…焦らされるのは辛いけど。ねぇ…毎日、ご褒美欲しい…」


ユミル「こら、調子に乗るな…」




ユミル「はぁ…」

ベルトルト「…ん?」ムクッ…


ユミル「ごめんな…正直に言う。お前とシても…私は、『中』ではイかないんだ…」


ベルトルト「うん?」


ユミル「まだ1回しかしたことないから…自分でもよくわからないが…」

ユミル「身体がこの行為に慣れてなくて…多分、あんまり感じない、と思う…」


ユミル「初めての時、声が出ちまって…お前に『感じてるの?』って聞かれたけど…」

ベルトルト「うん…」


ユミル「お前が…下から突き上げてくるから、押されて声が出るだけで…感じてなかった」


ベルトルト「…」


ユミル「がっかりしたか…?悪ぃな…」


ベルトルト「いや…それ知ってる…」

ユミル「!?」


ベルトルト「訓練兵の時、男子寮って…夜は猥談しかしないくらいの勢いだったから…」

ベルトルト「実は経験者の話を耳にすることも多くて…ぼ、僕は参加してないんだけど…」


ユミル「なんだ…知ってたのか…」ホッ…



ベルトルト「だから『外』ならどうかなって思って…さっきはそれでね…」


ベルトルト「最初に、ユミルに良くなってもらいたくて…僕ばっかりじゃ嫌だから…」


ベルトルト「ねぇ、大丈夫だよ…少しずつユミルを開花させるから、僕が」


ユミル「おっ、お前だって…初心者の癖に…生意気だな。…なんだよ…開花って」///


ベルトルト「僕は、ユミルが経験者だと思ってたから…その…初めてって聞いて驚いた」


ベルトルト「ごめん…だって以前の君は、斜に構えていて…他人を見下すような態度で…」


ベルトルト「何でも知ってるような顔をするから…何の疑いもなくそうなんだろうなって」


ユミル「…」


ベルトルト「別に、初めてでもそうじゃなくても、僕は構わなかったし…」

ベルトルト「君が、君でさえいてくれたら…そんなことはどうでもいいって思ってた」


ユミル「そっか…」


ベルトルト「…でも、正直に言うとすごく嬉しかった…。君の初めての男になれて…」

ユミル「あぁ…もう、恥ずかしいな…」///カァァァ…


ベルトルト「そして、僕が最後の男だ」

ユミル「…!」


ベルトルト「僕にとっても、ユミルは…最初の女の子であり、最後の女の子だよ」

ベルトルト「君も僕も、お互いの身体以外は…一生知らなくていい」


ユミル「そりゃまた…お前。嫉妬深くて強引で我儘なベルトルさんが顔を出したな…」


ベルトルト「僕だけじゃ嫌なの?」

ベルトルト「ユミルは何人も男を知りたい?僕以外と、これをしても平気?」


ユミル「…平気じゃない。第一、男が苦手なんだ…私は」

ベルトルト「ユミル…」


ベルトルト(そう言えば…最初に抱きしめた時、すごく震えていた…キスも初めてで…)


ユミル「5年前…人に戻った後、シーナでの生活は最低だった…生きるために必死で…」

ベルトルト「…うん」


ユミル「貧しい生活で寝る所もなくて…夜道を歩いているだけで暗闇に引っ張り込まれた」

ユミル「大人の男に…だ。何もできない子供だと思って…身体を狙われたんだ…12歳だぞ」


ユミル「そんな生活で、純潔を守るのがどれだけ大変だったか、想像してみろ…」ハァ…

ベルトルト「ユミル…」ギュッ……



ユミル「一番怖かったのは、まだスリが下手だった頃、憲兵に捕まって殴られたことだ」

ユミル「その瞬間、激痛が走ると共に顎の骨が砕ける音が聞こえた。殺される…と思った」

ユミル「巨人の力を使った…治癒しながら、その場を逃れた…大の男が12歳の女の顔に…」

ユミル「固い握りこぶしを、思いっきり振り抜いたんだ……怖かった…ひっく…」ブルブル…


ベルトルト「ユミル!もう…もういいから!」

ベルトルト「思い出さなくていいから!!」


ベルトルト「もう二度と…そんな怖い思いはさせないから…僕が守るから…」ギュゥゥゥ…


ユミル「…うん」グシュ…


ユミル「だから今でも男は苦手だ…大人の男に押さえ込まれるのが怖くて…」


ユミル「特に身体に触れられるのがダメでさ…すぐ『触るな!』って言葉が出てくる…」

ユミル「薬屋のオヤジに胸を触られた時は、言葉を抑えるのに必死だった…」


ユミル「でもお前が私の代わりに言ってくれて嬉しかったよ…ありがと」ニコッ

ベルトルト「ふふっ…そっか…」ナデナデ…




ベルトルト「…ねぇ、ユミル…あのさ…言いたくなかったら、それでもいい…」

ベルトルト「でも、教えてくれるなら知りたいんだ…ユミルのこと…」



ユミル「私の、何を知りたい…?」


ベルトルト「薬局でやった…男の誘い方とか…指舐める仕草とか…どこで覚えたの?」


ユミル「ん…っとな…あれは前にシーナで知り合った娼婦から教えてもらったんだ…」

ベルトルト「…」


ユミル「彼女は、『生きるための技術』だって言ってた…」


ユミル「実際使っているのを何度か見てて、この手は使えるって思い出してさ」

ユミル「やったのはあれが初めてだったんだが…自分でも上手く出来たと思う…」ハハ…

ベルトルト「ユミル…あれもうしちゃダメだからね!」ムッ


ユミル「あぁ…もうしないよ、悪かった…」


ユミル「その彼女も…梅毒で死んでしまったんだけどな…」

ベルトルト「!?」


ユミル「私と出会った時にはすでに発症していて、彼女は薬を買えなかった。私も…」


ベルトルト「ユミル…だからあの母子に…」


ユミル「根は良い人だった…病気にならなければ、違う人生もあったかも知れない…」


ユミル「男を取れて金が入った日は、特別優しかった。逆に取れない日は嫌な女だったよ」

ユミル「あんな風に…人生全てを男に依存するような女にはなりたくないと思った…」

ユミル「男は、金であり…生活であり…麻薬だったんだな…彼女にとって…」

ベルトルト「うん…」



ユミル「まだ、聞きたいことあるか…?今なら何でも答えてやる」



ベルトルト「じゃぁ、もう一つ…ユミルが得意って言ってた編み物は誰から教わった?」

ベルトルト「その彼女が教えてくれたの?」


ユミル「いや、それはウォール教がさ、奉仕活動の一環で浮浪児の自立支援をしていて…」

ユミル「信者が教会で編み物や裁縫を教えていたんだ…。そこで基礎を学んだ」

ユミル「でもスリの腕の方が上がっちまって…結局、そっちで稼いで身を立てたから…」

ユミル「編み物は、使わない技術になった」


ベルトルト「そうだったんだ…」


ユミル「あっ!でも落ち着いたらちゃんと編んでやるからな。お前のマフラーと手袋」

ベルトルト「うん…楽しみにしてる」フフッ


ユミル「私は、もう盗みやスリは二度としないつもりだ…もう12歳の無力なガキじゃない」

ユミル「あの時とは違う。体も大きくなって、知恵もついた…だから思うままに生きる…」

ユミル「偶然にも手に入れた、第2の人生を…自由に。不幸になる運命なんてない!」


ベルトルト「ユミル…」ジワッ…


ベルトルト「君は幸せにならなきゃ…」ギュッ…

ユミル「ベルトルさん…?」パフン……フワッ……


ベルトルト「休憩は、もういっぱいした」

ベルトルト「僕は…君を抱きたい…」


ベルトルト「僕は絶対、君と結婚するっ…それで幸せにするからっ!」


ベルトルト「…君が…好きで…好きで、愛しすぎて…気が狂いそうだよ…ひぐっぅ…」


ユミル「何泣いてるんだよ…お前…」



ベルトルト「だって!僕が幸せにしなきゃって!!思ったから…」


ユミル「今、結構幸せだぞ…お前のおかげで」

ユミル「ほら…指輪ももらったしな」キラッ


ベルトルト「う…うん…」ゴシゴシ…


ベルトルト「明日、避妊具も買ってくる…やっぱり僕らのやり方は完璧じゃないから」

ユミル「見たことあるのか?避妊具。あんなぶ厚いゴム着けてしても…」

ユミル「お前、全然気持ち良くないぞ…」


ベルトルト「そうなの…?見たことない」

ユミル「まぁ、今まで別に必要なかったしな…。お前も私も」


ユミル「私は、お前以外を自分の中に入れたくないんだ…」

ユミル「自分の指でさえも嫌だってのに…ゴムなんてもっと嫌だ…臭いし…」



ベルトルト「ユミル…僕がいいの?僕しか嫌なの…?僕が欲しいの?」ギュゥゥ…


ユミル「…落ち着けっ!重い!!」



ユミル「えっと…な…そ、そうだよ…」


ユミル「お前がいい…お前以外は嫌だ…お前が……欲しい…」




ベルトルト「うん…満足した…」チュッ…


ベルトルト「じゃ、再開だね……好きだよ…ユミル」クチッ…


ユミル「おい!いきなりかよっ…っ…」


ユミル「もうだいぶ乾いちまって…んっ…ぁ…まだ…ダメだって……」


ベルトルト「すぐ濡れるよ…ユミルはすぐ、びちょびちょになるもん…」ゴクッ…


ベルトルト(初めての時はユミルがしてくれたから…僕から入れるのは、これが初めて…)


ベルトルト「入れるね…」


ベルトルト(秘部を先端でなぞって…少しくぼんだ…吸い込まれそうな場所…ここ、だ)

グリッ…ヌュプ……


ユミル「ぁ…っ…ゃっ…指1本の慣らしじゃ…無…理…っ…いっ…てぇ!」ズプン…


ベルトルト「あぁ…っ!!」


ベルトルト(はぁ…最初の時よりもっと…気持ちいい……)


ベルトルト(さっきユミルが感じてくれたからだ…弾力と粘度が違う…)

ベルトルト(…これじゃすぐ出ちゃう…)



ベルトルト「ユミル…ゆっくりするから…怖くないから……んっ」ズププ…

ユミル「優しく…してく…れ…よな」ハァ…


ベルトルト「うん…精一杯、君を大事に抱くからね…」ヌプッ…ヌプッ…


ユミル「ね…根元ま…で…」

ベルトルト「…えっ!」


ユミル「…全部入れなきゃ…気持ち良くないだろ…?お前…」

ベルトルト「いいの…?」



ユミル「痛いから…ゆっくりな…」


ベルトルト「…うん」チュッ…


ベルトルト(もう…ユミルの奥に当たってる…あぁぁ…すごい…眩暈がする…)ヌプッ…


ベルトルト(僕の根元、結構太いから…ユミルを傷つけないように…ゆっくり…)

ズッププププ…グリッ……


ユミル「あぁ…っ…」ビクッ…

ベルトルト「…ごめっ…大…丈夫?」ハァハァ…


ユミル「大丈夫だ…私も…」

ユミル「お前に気持ち良くなってもらいたいんだ……ぁ…んっ…」ヌプッ…


ユミル「もっと腰…振っていいぞ…」


ユミル「私を愛してよ………好きだよ…ベルトルさん…」



ベルトルト「…!!…ユ…ユミル…」ドクン…


ベルトルト(あぁぁぁ!理性なんて…もう…)



ベルトルト「ユミル…ユミル…あぁぁあ…愛してる……大好きっ……んっ…」ズンッ…

ユミル「…ぃ…っ…!」ギュッ…


ベルトルト「はっ…ぁ…っ…あぁ…」ジュボッ…ジュボッ…


ベルトルト(脚を大きく開かせて…腰を抱いて逃げないように…もっと奥へ…)グイ…

ユミル「あっ…ゃ…っ…」ハァ…ハァ…



ベルトルト(根元まで一気に…激しく奥を突き上げる…)

ズブン!パン!パン!パン!……


ユミル「あぁ…激し…っ…ベルトルさ…ん…っ…」ギュゥゥ…


ベルトルト「ユミル…僕以外の男とこれをやったら……ぁぁっ…」ハァハァ…


ベルトルト「相手の男を…うっ…君の目の前で殺すから…っ…はぁ…」

ズプッ…ヌプッ…パン!パン!パン!…


ベルトルト(あぁ…気が狂いそう…腰が熱い…)

ベルトルト(ハァ…ユミルの全部が欲しい…あぁぁぁ…)


ベルトルト「例えライナーやアルミンとだって…僕は絶対に許さないっ…」ハァハァ…



ユミル「馬鹿っ…なん…で…あいつらっ…」

ユミル「…生々しいだ…ろ……んっ…!ぁぁ…っ」

ヌプッ…ジュボ…ジュボッ…


ベルトルト「甘い声が出てるよ…今日は気持ちいいの?」ハァハァ…



ユミル「わ…かんねぇよ…でも最初と違って…変なんだ…これ…」


ユミル「……ぁ…ん…奥…が欲し…い」


ベルトルト「うん…もっと奥が欲しいの?」


ベルトルト「…いっぱい…あげる…もっと僕におねだりして……」

グッ…ヌチッ…パン!パン!パン!…



ユミル「…は…っ……ぁっ…ぁ…ん……」

ズン…ズン…グチュ…グチュッ…



ユミル「ゃ…グリグリする…な……んっ……」


ベルトルト「ユミルも…すぐにこれが良くなるから…」ジュプッ…ズプン…


ベルトルト「あ…ぁ…だめだ…出そう…」


ベルトルト(この興奮と快楽に…脳がとろけて)

ベルトルト(…耐えられそうもない…なにこれ…すごい…)


ベルトルト「ユミル…早くてごめ…ん……ちゃんと外に出す…から……」ハァハァ…

ベルトルト「ねぇ、明日もしたい…また明日もしよう?約束して…」

ヌプ…ジュプッ…


ユミル「ダメ…だ……明日はクリスタと…

ベルトルト「だめ!君は明日もこれをするんだ…僕と…」


パチン…パチン…パチン……パチュン…

ユミル「あっ…ぁっ……っ……」



パチュン…パチ…パチ…パチ…パン!パン!パン!パン!…

ベルトルト「あぁぁ…ユミル…愛してる……もう…出…




ドン!ドン!ドン!…



ベルトルト「!?」
ユミル「!?」


ユミル「ベルトルさん!抜けっ!!」ガバッ!

ガツン…!


ベルトルト「!!…ぃっ…たい!」ヨロッ…

ユミル「うぅ…イテテ…」

ユミル(…っ、抜けたっ!)


ユミル「出すなっ!!」

ユミル「根元押さえろっ!」ギュッッ!


ベルトルト「いっ!」ビクッ!


ベルトルト(ユミルに押さえられた……ぐすっ…)ビクビクッ!


ユミル「だ…誰だっ!」

ユミル(なんだこの既視感は…つい最近、似たような事があったな…ナナバさん…)


ベルトルト「ユ…ユミル…どうして…」

ユミル「出せばバレるだろ…したってのが…その…精液の臭いで…」


ベルトルト「もう、バレたっていいじゃない…同じ部屋なんだし、むしろ自然でしょ…」




クリスタ「ユミルぅ…」

クリスタ「ここを開けて…具合悪いのは分かってるんだけど…お願い…」グスッ…


ユミル「!?」

ユミル「く…クリスタか…はぁ…良かった」


ベルトルト「良くないよ、断って!…まだ僕との時間だよ!!ユミル」

ユミル「クリスタ!あと5分待ってろ…すぐ支度するから…まだ頭が痛くてな、すまん」

ベルトルト「ユミルっ!!」


ベルトルト「僕とクリスタどっちが…

ユミル「待った!その質問はもう散々だ」


ユミル「ベルトルさん…好きだよ…」チュッ…

ベルトルト「ん……ユミル…」ギュッ…



ユミル「でも今はクリスタだ!悪ぃ…」パッ…

ベルトルト「ユミル!?」


ユミル「よし!下着あったぞ…うぅ…汚れてた…仕方ねぇな……穿かないで行くか…」


ユミル「服どこだ?…あぁ…畳んでくれてありがとな、おかげですぐ着れる…」


クリスタ「ユミル…まだ?…なんか口論してる声が聞こえたような気がしたけど…」


ユミル「あと1分で行く、口論なんかしてない、気のせいだ」ゴソゴソ…

クリスタ「そう…?」



ベルトルト「ねぇ、行かないで…お願い…」

ユミル「悪ぃな…この穴埋めはいつかするから…」


ユミル「あぁ!そうだ…靴!」

ユミル「代わりに靴、置いていくから…」


ベルトルト「靴…?」

ユミル「前に言ったことあるだろ?ほら、お前…匂いとか好きだし。もう忘れたか?」



ベルトルト「あっ!」


ベルトルト「待って!ユミル…僕は上級者じゃないってば!!」



カチン…ガチャッ…  ギギギッ…



ユミル「悪ぃ、クリスタ…待たせたな」

クリスタ「ううん…ごめんね、夜遅くに。具合も悪いのに…でもどうしても相談したくて」

ユミル「おう!構わないぞ。…談話室行くか?…ん?部屋のランタン持ってきたのか?」

クリスタ「うん…あのね…


パタン…



ベルトルト「ユミル…の…靴……」

ベルトルト「はぁ…もうこれでもいい…抜きたい…」クンクン…


ベルトルト「あ…!」

ベルトルト「そうだ…これって…



今日はここまで。読んでくれてありがとう
長かった…そしておやすみなさい…

次の更新は遅めです
ちなみに靴はここです>>84

乙です!

ベルトルトかわいそうに寸止めかい
クリスタ邪魔だ…馬にけられなけりゃいいね気をつけな と思ったw
ユミル本当に可愛い小悪魔だ

ふう…


今から投下します

前回、前々回と服畳んで待っててくれた方、アイロンの方ありがとう
クレッシェンドggrました。なるほど…

気恥ずかしいのと、投下が遅いのとで前回sageで落としてたのに
すぐコメントくださった方ありがとう

支援してくれてありがとう

>>659 人の恋路を邪魔するヤツは…ってのだね

>>661 上級者だな…

前置き、ウザくてごめん…今日も飲んでる

でもおかしいな、自分はベルユミを書いているつもりだったのだが、
今回なぜかクリユミを書いていたんだ


クリスタ「うん…あのね…今からちょっと暗い所に行くけどいいかな…」

ユミル「暗い所…?」


ユミル「…っておいっ!クリスタ、談話室はそっちじゃないぞ!」

クリスタ「談話室は…他の宿泊客がいつも居るみたいだから、そっちでは話したくない…」

クリスタ「誰にも聞かれたくない話だから、ユミル…こっちに来て!」グイッ…

ユミル「お、お前…どこ行くんだよ!」




クリスタ「着いたよ。この空き部屋の中に階段があって…屋根裏へ通じてる」ギシッ…

ユミル「!?」

ユミル「…こんな所、いつ見付けたんだ…?」


クリスタ「今日の昼頃かな…。みんなで昼食を食べた後、この辺を一人で探索しててね…」

クリスタ「アルミンを見付ける前に、屋根裏部屋を見付けちゃった…」


ユミル「見付けちゃったって…お前なぁ…勝手に入ると怒られるぞ…」ハァ…

クリスタ「ちょっとなら平気だよ!誰も来ないし。…ほら、ランタンの灯りもあるし…」


クリスタ「ユミルと二人だけで…誰にも邪魔されない場所で話したいの…ダメ?」

ユミル「別にダメじゃねぇけどさぁ…」

ユミル「はぁ、仕方ねぇな…こうなりゃどこまででも付き合ってやるよ!」

ユミル「…女神様の我儘に」ニヤッ


クリスタ「女神様って…何それ…」///カァァ…


ギシッ…ギッ…ギッ…



ユミル「屋根裏は物置になってるんだな…明り取りの窓から星が見える…綺麗だ」


クリスタ「うん…素敵だね…」キラキラ…


クリスタ「この部屋、毎日お掃除が入っているみたいで、屋根裏なのに床もキレイなの」

クリスタ「だからほら、靴に塵や埃が付いてないでしょ…ってあれ?」

クリスタ「ユミル…裸足なの?」


ユミル「えっ!…あぁ、うん…」

ユミル「その、慌てて出てきたもんでさ…履き忘れた。悪ぃな、みっともないよな」


クリスタ「ううん…そうじゃなくて、足…冷たいでしょ?ごめんね、ユミル」

クリスタ「こんな遅くに…私の我儘で叩き起こしてしまって…体調も悪かったのに…」


クリスタ「ねぇ…私の上着、足に巻いて…ユミル、風邪引いちゃうよ…」ファサッ…

ユミル「クリスタ!いらない、着てろっ!!」


ユミル「そんな事、お前はしなくていいんだ…これは…私の問題なんだ。それに…」

ユミル「こんな時間に突然お前が部屋に来るなんて、よっぽどの事があったんだろ?」

ユミル「もう身体は平気だ」


ユミル「…私は、お前が私を頼ってきてくれたのが嬉しいんだ…。だから気にするな」

クリスタ「うん…ありがと…」ジワッ…


ユミル「…椅子がねぇな、入り口にあるテーブルを椅子代わりに使うか」


ズリ…ズリ…ズリ…


ユミル「よし!窓際まで持ってきた。ちょっと冷えるけど外、見ながら話そうか?」ストン…

ユミル 「いって…!」ズキン…

ユミル(座ると痛ってぇ……ベルトルさん、派手にやりすぎだろ…ハァ…)

ユミル(誰だ…2回目は痛くないって言った奴は。ハンナだったか?くそっ…騙された)


クリスタ「ユミル…どうしたの?」


ユミル「い…いや、何でもない…」ズキズキ…



ユミル「ランタンここに置けよ。重いだろ?」

クリスタ「うん…」カタン…


ユミル「…ほら、クリスタも隣に座れ」グイッ… パスン…



ユミル「そう言えば、連れ去られてから…こうやって二人だけで話をするの初めてだな」


ユミル「今まで…心細かっただろ?一人にしてごめんな…。明日は一緒に寝ような」

クリスタ「うん…明日は絶対、ユミルと一緒に寝る。楽しみにしてるからね…」

ユミル「絶対だぞ、約束だからな」


クリスタ「うん、アニに頼まれても、ベルトルトに頼まれても…絶対に譲らないから…」


ユミル「あぁ、こっちもそのつもりだ…」ニコッ…


ユミル「…手、触ってもいいか?」ソォッ…

クリスタ「うん、契約の握手?」ギュッ…

ユミル「ん?…そうだなぁ…」


ユミル「ただ、お前に触れたいだけなんだが、そう言うことにしておこう」ハハッ…



クリスタ「あっ…ユミル、今日はお酒、飲み過ぎちゃったでしょ!アニから聞いたよ」

クリスタ「ねぇ、無茶しちゃだめだよ!私達はまだ…」

ユミル「飲めない歳!…ってんだろ?」ハハハ…

クリスタ「分かってるんじゃない!もう!」プクーッ


ユミル「クリスタの手も、温かいな…」

クリスタ「えっ?」


ユミル「…で、相談ってなんだ?明日じゃダメだから今、来たんだろ?」


クリスタ「…うん」


クリスタ「実は、さっきライナーが部屋に来たの…」

ユミル「そう、か…」


クリスタ「そのすぐ前に、宿の人がアニとアルミンの朝食を届けに来てくれていたから…」

クリスタ「またノックの音がした時、さっきの人かなぁ…って思って、ドアを開けたの…」

クリスタ「そしたらライナーが立っていて…真剣な顔で、今まで見たことがない表情で…」

クリスタ「部屋にはね、私の他にアニもいたんだけど…」

クリスタ「ライナーは部屋の入り口で、アニを一瞥してから…私の瞳を真っ直ぐ見て、」


クリスタ「私に…」


ユミル「うん…」


クリスタ「『ずっと好きだった』って…私と、『一緒になりたい』って…」


クリスタ「『大切にする、必ず幸せにするから、俺に付いて来てくれないか』って…」


クリスタ「彼は、そう言ったの」ウルッ…


ユミル「そうか…」

ユミル(今夜、告白するって言ってたもんな…やっと言えたんだな、ライナー)


クリスタ「一緒になりたいって…結婚したいって事だよね?」

クリスタ「私…そんなこと言われたの初めてで…まだお付き合いもしてないのに…」


クリスタ「ユミル…どうしよう…怖いよ……うぅっ…ぐすっ…」

ユミル「泣くことあるか…告白する方だってな、勇気がいるんだぞ…」ナデナデ…

ユミル「あっちもお前の返事が怖くて仕方がなかったんじゃないか?」


ユミル「…で、お前はあいつになんて返事をしたんだ?」

クリスタ「それが…どっ…どう返事をしていいか分からなくて…とっさに…」


クリスタ「『ユミルに聞いてみないと返事は出来ない!!』って答えちゃった…」

ユミル「!?」


ユミル「…はぁ」

クリスタ「呆れてる…?」


ユミル「いや…いきなりで混乱していたのは分かるから…理解は出来るが…」

ユミル(一番驚いたのはライナーだろうな…)


クリスタ「もう叫んだ瞬間、頭が真っ白になっちゃって…気が付いたら、」

クリスタ「ランタンを掴んで飛び出して…ユミルの部屋のドアを叩いちゃってた…」


クリスタ「すぐ隣の部屋だから距離もないのに…」

ユミル(ライナーもバツが悪かっただろうな。クリスタに逃げられて…)

クリスタ「しかもユミルがなかなか出て来てくれないから…」


クリスタ「ライナーったら、アニと二人でドア越しにこっちを覗いてるの!」


クリスタ「もう…恥ずかしいったらなかった!!」///カァァ…


ユミル(ははっ…場景を想像すると笑えるが、笑うとクリスタがまた泣きそうだ)


ユミル「そりゃ…すまなかった。こっちはこっちで、まぁ…その…色々あってな…」

ユミル「だが、ライナーも恥ずかしかったと思うぞ、アニもその場に居たんだからな」


クリスタ「…うん」



ユミル「…クリスタはさ、どうしたいんだ?」


ユミル「確かに私らは無理やり連れて来られたけど…実際は、本気を出せば逃げられた」

ユミル「馬での移動途中に、何度か休憩入れてくれただろ?あいつら…。その時にでもさ」

ユミル「いくらでもやりようはあったんだ」


ユミル「奴らは私らを縛らなかったし、自由にさせていた…その理由は、今なら解る」

ユミル「あいつらは、私らが逃げる選択肢も与えてくれていた…って事だ」

ユミル(とは言え、私達を『壁外調査で死なせない』のが第一の目的だったはずだから、)

ユミル(逃げようとしたら説得はされただろうけど…あ、やっぱ逃げられねえわ…ハハ…)


クリスタ「…」


クリスタ「私がここまで付いて来たのは、ユミルがそばに居てくれたからだよ…」

クリスタ「ユミルが居ない調査兵団に戻っても…仕方がないと思ったから…」


ユミル「クリスタ…」


クリスタ「ユミルはどうなの?」

クリスタ「もう…決めちゃったの?ベルトルトに付いて行くって…」


ユミル「はぁ、そうだな…このまま行けば、多分そうなると思う…」

ユミル「私もまだ返事はしてないんだが…」


クリスタ「そう…」シュン…

クリスタ「好きなんだね、ベルトルトの事」


ユミル「…あぁ、本気になっちまって…もう引けないところまで来ている」


クリスタ「私の事も、好き…?」

ユミル「勿論、クリスタの事も好きだ…。どっちも選べないくらい…好きだよ」


クリスタ「うん…嬉しい…」///フワフワ…


クリスタ「もっと強く手を握って…ユミル」

ユミル「…あぁ、いいよ」ギュゥゥ…


クリスタ「痛っ…!」

ユミル「悪ぃ!力、入れ過ぎたか?」ビクッ!

クリスタ「ううん…なんか指に硬い物が当たって……あっ、これ…指輪…?」


ユミル「あぁ…その……今日、ベルトルさんが買ってくれた…」

クリスタ「…」


ユミル「お前もちょっとはめてみるか…?」グッ……スポッ

クリスタ「えっ…い、いいよ、別に…」

ユミル「でも指輪とか、興味あるだろ?」


クリスタ「あるけど…何か悔しいから…」


ユミル「悔しい…?」


クリスタ「ベルトルトに先を越されて…私もユミルに指輪買ってあげれば良かった」ギリッ…


ユミル「…は?」


ユミル「えっと…」

ユミル「じゃ、はめなくていいんだな?」チラッ…


クリスタ「あっ!でも…はめていいなら、ちょっとだけはめてみたいな、興味はあるの」


ユミル「…あぁ、いいよ」ニコッ


ユミル「但し、ベルトルさんには内緒な」ススッ…

クリスタ「本当に、いいのかなぁ…」スルン…


クリスタ「あれ…?」クルリ…


ユミル「う~ん…やっぱな。お前は指が細い」


クリスタ「私はもう一回り小さいサイズかな…ユミル、手を出して。はめ直してあげる」

ユミル「右手の薬指な」スッ…


クリスタ「はいはい。…少しだけユミルと予行練習。結婚指輪をはめる、ね」グッ…

ユミル「あぁ、これ結婚指輪になる…予定だそうだ。内側にあいつの名前が彫ってある」


クリスタ「はぁ…やっぱり結婚指輪なんだ…それ」


クリスタ「じゃぁ…私と浮気しちゃダメじゃない、ユミル!!」

ユミル「う…浮気!?」


ユミル「浮気ってなんだよ…私は、その…性別を超えてクリスタが好きなだけなんだが…」


クリスタ(性別を超えて『私の事が好き』って本人の前で言う意味を…)


クリスタ(ユミルはまだ理解してない…)ハァ…


クリスタ「ユミル…私も、あなたが好き」

クリスタ「ベルトルトは、ユミルを大事にしてくれている?泣かされたりしてない…?」


ユミル「あぁ、今のところは」

クリスタ「良かった…。ユミルは今、幸せ?」

ユミル「多分…幸せ、だと思う」///


ユミル「もちろん、お前が居てくれるおかげでもある…。お前が居なかったら…」

ユミル「私もここには居られない…」


クリスタ「うん…私もそうだよ。ユミルが居なかったら、ここに用はないもの…」


ユミル「あのさ、ライナーは良い奴だと思うぞ…。お前の事が好きだってのは、」

ユミル「実はもう2年以上も前から気付いていたんだ…私は」


クリスタ「えっ!嘘っ…そんな前から?」

ユミル「あぁ…でも、あいつ純情で、お前に本気過ぎて…言えなかったんだな、今まで」


クリスタ「知らなかった…」

クリスタ「私のどこが好きなんだろう…」


ユミル「全部だろうな、きっと」

クリスタ「!?」


ユミル「お前はとっても魅力的だから…自分で気が付いていないだけで…」

クリスタ「…そ…そんなことないよ、からかわないで…」///カァァァ…


ユミル「なぁ…もっと、自信持っていいんだ。胸張って生きろよ…クリスタ」


ユミル「私が目を離すと、死んでしまいそうな気がしていた…」


ユミル「お前はいつも死に場所を探していた」


クリスタ「…」


ユミル「私は…お前が調査兵団に入ったのも、死ぬためじゃないかって、思っている…」


ユミル「人に褒められて、必要とされて…お前は死にたかったんだろ?」


ユミル「自分の生に意味を持たせるために、自分の死に立派な理由が必要だったんだ」


ユミル「例えばそう、『人の役に立つため』…とか、『人類に貢献するため』…とかな」


クリスタ「ユミル…私は…

ユミル「ライナーもお前の事をよく見ていたから、気が付いていたのかもな…その事に」


クリスタ「…」


ユミル「お前を死なせないために、一緒に生きていくために…連れ出したんだ。あいつ…」

ユミル「憲兵団にだって入れるのに、お前をさらう目的のためだけに調査兵団に入った」


クリスタ「うん…お昼にアルミンと合流した時、ベルトルトがそう言ってたね…」


ユミル「今まで言わなくて悪かったけど…少しだけ知ってるんだよ、お前の家の事情…」

クリスタ「!?」


ユミル「お前は自ら望んで訓練兵になった訳じゃないんだろ?クリスタ…」

ユミル「これは、お前の意思が介在していない取引だったはずだ。お前の3年間は…」

ユミル「兵士になりたくて、過酷な訓練をこなしてきた3年間じゃねぇんだよ…」


クリスタ「ユミルは…何でも知ってるんだね、私のこと…」


ユミル「クリスタ…お前は、幸せになるべきだ。兵士の人生だけが、お前の幸せじゃない」


クリスタ「…うん」


ユミル(ライナー…応援はしないつもりだったが、クリスタを幸せにしてくれるのなら…)


ユミル「ライナーの事、好きか…?」


クリスタ「…分からない」フルフル…


クリスタ「優しい人だと思う…男女問わず人気があって、信頼出来る人って印象だった」

ユミル「そっか…」


ユミル「今はどう思う…?」


クリスタ「私は…ユミルの意見を聞きたい!」

ユミル「ダメだ、お前が自分で決めないと!」


クリスタ「ユミルが付き合えって言ったら、付き合う事にする…」

クリスタ「ユミルの答えはいつも正しいから…」


ユミル「なぁ…それじゃ、ダメなんだって…クリスタ!」ガシッ!

クリスタ「…」


ユミル「そんな弱いこと言ってたら!私は、いつまでもお前を手放せない!!」ギュッ…

ユミル「ライナーに…お前を任せることが出来ない…」


クリスタ「…」グスッ…


クリスタ「私ね…ベルトルトに……ユミルをあげたの、半分だけ…昨日の夜にね…」

ユミル「…えっ?」


クリスタ「ベルトルトがユミルの全部を自分に預けて欲しいって言うから…」


クリスタ「全部は無理だけど、でも…色々と約束してくれたから…半分だけあげた」



クリスタ「だけど…気が付いたら、全部取られていたみたい…指輪もいつの間に…」

ユミル「クリスタ…お前…


クリスタ「…ひっぐ……ゆみるぅ…なんでそんなこと…いうの?」


クリスタ「…ライナーに私を…全部…あずけちゃうの……?」


クリスタ「もう、私のことなんて…どうでもよくなった?」


ユミル「クリス…

クリスタ「なんで!!…ベルトルトをえらんでっ……私じゃなくて……」


クリスタ「やだよ…行かないでよっ!……ずっと…私のそばにいてよ…」ギュゥゥゥ…

クリスタ「私だけの…ユミルでいて……うぅっ…どうしてっ…!!」ワァァァァ…!


ユミル「聞け!クリスタ…」ギュッ…

ユミル「私らはずっと一緒なんだ…これから先もずっと…共に生きていくんだ…」


ユミル「多分…これは、そう言うことなんだ」

ユミル「大丈夫、私も居るから…ずっと見守るから」


クリスタ「…ずっと一緒?」

ユミル「あぁ、そうだ」


クリスタ「…私ね…ぐすっ…ベルトルトにも言われたの『もっと強くなって』…って」


クリスタ「ベルトルトは…ユミルを『女の子』に戻したいって…」


クリスタ「『私を守る役割』からユミルを解放したいって、言ってた…」


クリスタ「だから、私が強くならないといつまでもユミルは…『女の子』に戻れない」


ユミル「…」


クリスタ「だって…ユミルはもう選んでしまったんだもの…私じゃなくて…ベルトルトを」


クリスタ「だったら…もう、ユミルに心配は掛けられないよ…私も頑張らなきゃ…」

ユミル「クリスタ…」


ユミル「そばに居るって言ったろ…近くにずっと居るから…」


ユミル「例え、隣に居なくてもいつもお前のすぐそばに居るからもうお前、心配するな…」



クリスタ「うん…」



クリスタ「私ね、ライナーの事…嫌いじゃないよ…」


クリスタ「今日の午後は、繁華街まで買い物に連れてってもらったの…楽しかった」

クリスタ「話も面白いの、今思えば…退屈させないように気を使ってくれていたんだね…」


クリスタ「何度も…何度も、謝ってくれた……騙して連れてきたこと…」


ユミル「うん…」


クリスタ「昨日、一緒に星空を見たの…今、ユミルとしているように…隣に並んで…」


クリスタ「寒いからって、自分の上着を掛けてくれてね…優しいなぁって思った…」


クリスタ「それで、少し胸がドキドキした…」



ユミル「そっか…あいつなかなかやるじゃねぇか」ニコッ


ユミル「私と一緒で、返事はヤルケル区を出るまでの間だな…この3日間の内に決めないと」

クリスタ「!?」


クリスタ「そ…そんなに早く返事をしなくちゃならないの?!」

ユミル「あぁ…」


ユミル「そうじゃないと、遠くへ連れて行かれるんだ…お前はもう逃げられなくなる」

ユミル(お前も、私もだ…)


ユミル「良い返事をしてもさ、急には何も変わらねぇよ…そっちは急がなくていい」

クリスタ「…そっち?」


ユミル「あぁ、ライナーはお前がその気になるまで、いつまででも待つと思うぞ…」


ユミル「手も繋がないし…キスもしない。多分な、内心はめちゃくちゃしたいだろうが」


クリスタ「キ…キスって…もう!」///カァァァ…


クリスタ「話が飛躍しすぎだよ!ユミル」



ユミル(それに比べてベルトルさんときたら…はぁ…やっぱ最初のアレは早すぎだろ…)


ユミル(あと気になったのはさっきの言葉だな…)


ユミル(私のために死ねるだって?…自分の命を軽く扱う奴は、他人の命も軽いんだぜ)


ユミル(色事の最中の妄言だとしても…私が他の男と寝たらそいつを殺すってのもなぁ…)


ユミル(はぁ…あんなに『罪』に苦しんでいるのに、死ぬだの殺すだの物騒な奴だ)



ユミル(…今後、再教育だな)


クリスタ「ユミル…ありがとう…お話しできて良かった。アニには言えない事ばかりで…」

ユミル「うん…こっちも良かったよ。クリスタと話ができて」


ユミル「さて夜も更けてきたし、今日はもう部屋に戻るか」


ユミル(あぁ…部屋に戻る前に、テーブルを元の場所に戻しておかないと)

ユミル(…勝手に屋根裏部屋を使ったのが宿の人にバレるとまずい…)


ユミル「明日は同室だから、またゆっくり話せるぞ。いっぱい聞いてやるからなっ!」

クリスタ「うん!わかった。じゃぁ、一緒に部屋まで戻ろ?」


クリスタ「あ!…そうだ、大丈夫だった…?」

ユミル「何が?」

クリスタ「その、ベルトルトと……私も聞こえちゃって…あの…ユミルのうわ言…」


クリスタ「『私はアニの代わりなの?』…って」


ユミル「あぁ…あれか…えっとあれは誤解だったんだ…」

ユミル「大丈夫、もう仲直りした。私の勝手な思い込みでさ、本人が否定してくれたよ」


ユミル「アニにも伝えておいてくれないか…お前は何も悪くないって。ごめんな…」


クリスタ「そっか、良かった…」ホッ…

クリスタ「ねぇ、ユミル…」


ユミル「…ん?」

クリスタ「もしこの先、ベルトルトがユミルを泣かせたり、悲しませたり、裏切ったり…」

クリスタ「アニと浮気したりとか…そんな事があったら、私はベルトルトを許さないから」


クリスタ「そしたら、今度は私があなたをさらうから!二人でどこまででも逃げるから!」


クリスタ「それだけは忘れないでね…」


ユミル「あぁ、クリスタ…覚えておくよ」



ユミル「なぁ、抱きしめて…いいか…?」

クリスタ「うん…いいよ」


クリスタ「ユミルになら、初めてのキスも…今、あげようか…?」ジッ


ユミル「いや、初めてのキスは、私以外に好きな人が出来た時のために大切にとっておけ」

ユミル「私はもう初めてじゃないんだ…勿体ないだろ?私にやるのは…」

クリスタ「…」


ユミル「あのさ…クリスタ。ライナーは、重い秘密を抱えている…」

ユミル「ベルトルさんも、アニもな」

ユミル(そして、私もだ。お前には絶対知られたくない…この秘密は、墓まで持って行く)


ユミル「近いうちに、その秘密は明らかになるらしい…」


ユミル「その時、お前はその秘密を受け止めきれないかも知れない…」

(あの3人は巨人であり、『罪』を共有する共犯者でもある)


ユミル「でも、あいつらを信じてやってくれ…」


ユミル「もう人を殺したくないんだ、あいつら…」

クリスタ「!?」


クリスタ「人を、殺す…?ユミル…それどういうこと…?ねぇ、何を言っ…

ユミル「いいか?何を打ち明けられても大丈夫なように、心の準備だけはしておくんだ」



ユミル「頑張れ…クリスタ…」ギュゥゥ…


クリスタ「ユミル…」ギュッ…



ユミル(これは、私自身にもよく言い聞かせなきゃならない言葉だ…)


ユミル(どんなに残忍で陰惨な『罪』でも…)


ユミル(正面から、向き合ってやる。ベルトルさん…)


今日はここまで。読んでくれてありがとう

次回の更新は遅めです…。雪が降らなければ1週間ぐらいで…

早速、訂正
>>691 誤)(あの3人は巨人であり、『罪』を共有する共犯者でもある)
    正) ユミル(あの3人は巨人であり、『罪』を共有する共犯者でもある)

名前がすっぽ抜けてました…  おやすみなさい


今から投下します

今回も本筋が進まなくて申し訳ない…


ユミクリ、クリユミ好きな人がいてくださって良かった…

前回からいきなり朝に飛ばして…遅れ気味の本筋へとも思いましたが、
もしや需要があるかも?…と勝手に判断して、まったく予定になかった
部屋に戻ったユミルとベルトルトの掛け合いを今回の更新分としました



~宿屋・客室前の廊下~



トントン…

ユミル(ベルトルさん怒ってるよなぁ…)


ユミル(うぅ…返事がない…)



ソォッ…ガチャッ…

ユミル(…ん?部屋の鍵、空いてる…)



ギギギッ… 

パタン……カチン…


ユミル「戻ったぞ…」ボソッ…


ユミル「ロウソク…まだ点いてる。芯もあんまり減ってない」

ユミル「思ったより時間は経ってないみたいだ…」


ユミル(ベルトルさんは…ベッドの中だな…)

ユミル(寝てる…のか?…はぁ…良かった)

ユミル「あぁ…足、洗わないと。このままベッドに潜り込むのはちょっと気持ち悪ぃ…」


~浴室~



ユミル「掛け湯樽と熱湯の湯足し樽のお湯を混ぜて風呂桶に溜める。気持ち熱めにして…」


ジャババババ… 

タプタプ… チャポン…


ユミル「あぁ…温かい…」ジワーッ


ユミル「結構、冷えてたんだな、足」ゴシゴシ…


ユミル「ん…?」


ユミル「ふぁっ!?」ハッ!

ユミル「な…なんだ!!なんで私の下着が干してあるんだ…?」


ユミル「わ、私がクリスタの相談を受けている間に洗ってくれたのか?ベルトルさん…」

ユミル「だいぶ汚してたからな…いや一応、ありがたいが…でも恥ずかしいな…」///


チャプ…タプ…


ユミル(はぁ…こうやって風呂桶に足を浸していると、あの時の事を思い出す…)


ユミル(足を痛めてベルトルさんに医務室まで運んでもらった時の事だ…)


ユミル(私もあいつもまだ訓練兵で、2年目の半ばだったか…お互い、子供だったな…)


ユミル(あの時はベルトルさんが井戸の水を汲んで、私の足を冷やしてくれたんだよな…)


ユミル(背負ってくれた時の事も覚えてる。当時はまさか、こんな関係になるなんて…)


ユミル「夢にも思わなかったよ…」

ユミル「多分、ベルトルさんもそうなんだろ?くっくっく…」アハハハ…



ユミル(はぁ…胸の奥から清らかな泉が湧いて出てくるようだ…どこまでも澄んでいる)


ユミル(この感情は多分『幸せ』と言う名前なんだろう…それで、ほんのりと甘いんだ)


ユミル(いつも、良い事があると、その分、あとで悪い事が起こるような気がして…)

ユミル(怖かった…幸せを感じるのが。今現在の自分が幸せであればあるほど…)

ユミル(不幸な境遇に落ちていってしまった時の絶望は、計り知れないだろ?)


ユミル(でも今回はきっと大丈夫だ…。私は、あいつを信じられる…不幸な事にはならない)


ユミル(だって今日繋いだ手は大きくて、温かくて、私を全部、包み込んでくれたんだ…)


ユミル(あの手をいつまでも離さなければ…私はこの気持ちのままで、いられるはずだ)



ユミル(私は、必要とされている…)



ユミル(私は、愛されている…)



ユミル(私はちゃんと愛される価値のある女で、)

ユミル(もし…また世界から憎まれても、疎ましがられても、ベルトルさんだけは…)


ユミル(絶対に私を裏切らない)

ユミル(今はそう確信している…)


ユミル(あいつは…私を、この世界に存在していてもいいのだと言ってくれる)



ユミル「夢、じゃないよな?」ツネッ…

ユミル「イテテ…信じて、いいんだよな?」


ユミル「はぁ…こういう性分だから仕方ねぇけど…疑り深いよな、私も」フーー…



ユミル「うん、大丈夫だ。全部上手くいく…そう信じて生きて行くしかないんだ」ニコッ


ユミル「今日はもう、寝よう」


ユミル(この先どうなるかだなんて誰も分からない…)

ユミル(明日の事は、明日考える)





パタン…



ユミル「ん…?」


ユミル「私の靴、磨いてある…。下着を洗ってくれていたのもそうだが、律儀な奴だ」



ギシッ…


ベルトルト スー…スーッ…


ユミル(ベルトルさん…よく寝てるな…)

ユミル(…枕に涙のあとが)


ソッ…ナデナデ…

ユミル「…さっきはごめんな」

ユミル「今日はありがと…おやすみ」チュッ…


パチッ… ガシッ!


ユミル「!?」


ユミル「お前、起きてたのかよ!!…って引っ張る…なっ…」グィッ… スルン……


ベルトルト モゾモゾ…ムキムキッ…


ユミル「おっ、おいっ!今日はもう寝るだけだって!!服を脱がすな…!」


ベルトルト「だって、まだ今日は日付変わってないし…」

ベルトルト「ユミルは休憩だったんだよね?クリスタとどっか行っちゃったってのは…」


ユミル「…休憩?」

ベルトルト「そう。だから僕は、ユミルの休憩が終わるまで待ってた…」モゾモゾ…

ユミル「いやいやいや、もう寝るだけだから。今日の分はもう終わり!」


ズリズリ……グルン! パサッ…

ユミル「…お、お前っ!とうとう全部脱がしやがったな…!!」サッ…


ベルトルト「今日はもう、君の服は畳まない!!だってまたノックの音がしたら…」

ベルトルト「君ってば「畳んでくれてありがとう」とか言いながら着て出て行くだろ?!」グスッ…


ユミル「…」


ユミル「はぁ…ごめん…クリスタの事は謝る…そんなに怒るなよ」ナデナデ…


ユミル「あっちも色々あったんだ、来るタイミングが悪すぎただけなんだ…」



ベルトルト「うん…あれは僕史上、かなり最悪の部類の入るタイミングだったよ…」

ユミル「…」


ベルトルト「でも…日付が変わる前に、君が戻って来てくれて、本当に良かった…」ギュゥゥ…

ユミル「ベルトルさん…」ギュゥゥ…



ベルトルト「だけど『クリスタ』って言葉は最低でもあと3日は聞きたくないから…」

ベルトルト「僕の前ではもう言わないでね!」


ベルトルト「もう僕は彼女の名前を聞くだけで本当にイライラして…」

ベルトルト「急に部屋の掃除を始めたくなるから!…何でだか知らないけど」ハァ…


ユミル(それで下着洗ったり、靴を磨いてたりしてたのかよ…)


ユミル「悪かったって…なぁ…機嫌直せよ」チュッ…


ベルトルト「…んっ」チュッ…

ベルトルト「もっと…して」

ユミル「はいはい…」チュー


ベルトルト「…っ…ぷは…っ」ギュゥゥッ…



ベルトルト「あぁ…ユミルの匂いだ…幸せ」グリグリ…

ベルトルト「でもユミルの身体…また冷たくなってるね……外へ出てたの?」


ユミル「いや、窓の近くに座ってただけだよ。靴履いてないんだから外へは出れないだろ?」

ベルトルト「うん、そうだった…」


ユミル「急いでて上着も持って行かなかったからな…足だけじゃなく身体も冷えたようだ…」ブルッ…



ベルトルト「ねぇ、女の子がさ…身体冷やすのは良くないよ…体調崩しやすくなる」


ベルトルト「二人で温め合わない?僕が君を温めてあげるから…今からもう1回しよう?」



ユミル「なんか、話の持っていき方が強引な気がするが…」

ベルトルト「と言うかね、最初から全部やり直したい…邪魔されて台無しになったし」


ユミル「…欲張り過ぎだぞ、それは」



ベルトルト「僕は…君の『気が向いたら』と『いつか』は信じない事にしてる」

ベルトルト「だから、さっき僕を置いて部屋を出ていった『穴埋め』は今して!!」


ベルトルト「だって君の事だから…僕らの3回目はいつになるか分からないでしょ…」


ユミル「あー…そうだな。明日は無理だ」

ユミル「3回目があるとするなら…うん…お互い、身辺をきちんとしなきゃダメだ…」


ベルトルト「身辺をきちんとする…?」


ユミル「私にとって…その…この行為は遊びじゃないんだ…」


ベルトルト「僕だってそうだよ…遊びじゃない」

ベルトルト「真剣に、お互いの愛を確かめる行為だと思ってるよ…」


ベルトルト「だって生涯、君としかしないって決めてる、君にもそれを強制するつもり」

ユミル「それはどうでもいいんだが…」

ベルトルト(どうでもいいって言われた…)


ユミル「3回目の前に…私はまず、お前の『一生のお願い』に返事をしなきゃならない」

ベルトルト「…うん」


ユミル「そしてお前は、自分の『罪』を、隠している『秘密』を…私に打ち明けるんだ」

ベルトルト「…」


ユミル「私らの3回目はその後だな…」



ベルトルト「えっと、言いたい事は分かった」

ベルトルト「でもこれは、2回目だからね?だってさっきのは、完遂できなかったし…」


ベルトルト「僕はこれくらいの我儘を言っても、今日は許されると思うけど?」


ベルトルト「だってユミル、頑張ったご褒美くれるって言ってたのに僕、まだ貰ってない」

ベルトルト「今日の分は今日、貰わなきゃ!」



ユミル「ほぼ最後までいったろ…?」ハァ…

ベルトルト「ほぼ…じゃだめ、達成感がない!!最後までやらなきゃ意味ないんだよっ」


ユミル「…」


ユミル「靴じゃダメだったか…?」

ベルトルト「ダメに決まってるでしょ!!僕は上級者じゃないんだから…」


ベルトルト「…って言いたいところなんだけど、」

ベルトルト「危うく君の靴の誘惑に負けるところだった…本当に危なかった…」ハァ…


ユミル「…そ…そうか…」


ベルトルト「でも、靴で抜くのは我慢した…すっごく我慢した…だって勿体ないもん」

ユミル「…ん?」


ベルトルト「待ち構えてれば君が戻って来るってのは分かってるのに…」

ベルトルト「ここで出すのは勿体なくって…」


ベルトルト「だって僕は、君の『中』で擦って…イきたいんだから…」

ユミル「…」


ユミル「さっき、お前が強く腰を打ち付けたから…その…痛いんだが、どうしてもか…?」



ベルトルト「…治癒する?」

ユミル「しない」


ベルトルト「それでも『したい』って言ったら…怒る?最後までちゃんと…君を抱きたい」

ベルトルト「ダメなら、明日でもいい…」


ユミル「だから明日はクリスタと…んっ…

ユミル「…ふぁっ……ぁっ…」チュッ…クチュッ…


ベルトルト「はぁ…はぁ…だから、その名前は聞きたくないって言ったよね?」


ユミル「……ごめん、悪かった」

ベルトルト「…うん」



ユミル「あのさ、ライナー…告白したんだ、やっと。それであいつ動揺しちゃって…」


ベルトルト「そっか…言えたんだ、彼…」


ユミル「こんな時間に来るなんて変だと思ったんだ…だから尚更、放って置けなくてさ」

ユミル「…クリスタを恨まないでやってくれよ…頼むからさ…」


ベルトルト「はぁ…」



ユミル ソォッ… サワッ……

ベルトルト「!?」


ユミル スススススッ…

ベルトルト「あっ…ぁぁ…ユミル…っ…!」ビクンッ!


ユミル「なぁ…今日、何回抜いた…?なんでまだこんなに元気なんだ…?」スリ…スリ…


ベルトルト「ユミルに握られて出せなかった分も合わせて3回。これからする分で4回目」

ベルトルト「だいぶ感度も落ちてるから、今回は長持ちだよ」ハァ…ハァ…



ユミル「…したいか?」スリスリ…クチュ…

ベルトルト「ぁっ!う…うん…したいっ、すっごく!」ハァハァ…


ユミル「私を愛してるか…?痛くしないか?」ギュッ…


ベルトルト「ぃっっ…!あ、愛してる…」


ベルトルト「さっきより優しくする…でも、最後はちょっと激しくなると思う…いい?」


ユミル「……うん…いいよ…」スリ…スリ…

ユミル「だが早めに寝かせてくれ…お前も私も疲れてるだろ…?」シュッ…シュッ…


ベルトルト「はぁ…しながら眠りなよ…あぁっ…」

ベルトルト「眠れるくらい優しく抱くから…ん…っ…」ビクッ…


ユミル「…眠れるわけないだろ、馬鹿!」

ユミル「…その…身体が…少しずつ反応し始めてきてるんだ…恥ずかしい事に…」

ベルトルト「!?」


ユミル「今すれば、多分さっきよりもっと…気持ち良くなっちまって…眠れるわけない…」


ベルトルト「ユミル…それ、本当!?」

ユミル「あ…あぁ」///コクン…


ベルトルト「あぁぁ!もうかわいい!!」 ガバッ!  ギュゥゥ……


ベルトルト「もっと君が感じてくれるように、これを好きになるように僕、頑張るから!」

ベルトルト「一番初めからやり直そうね。僕にたくさんご褒美ちょうだい?」チュッ…


ユミル「うん…とびきり甘いご褒美をやるよ」

ユミル「だから、今からする分は、私が上になってもいいよな…?ベルトルさん…」


ベルトルト「えっ!?」



脱走から4日目・早朝

壁外調査まであと4日


~ウォール・シーナ西 突出区~

ヤルケル区内 中流階級の宿屋の一室



チチッ… ピピピッ…

ユミル(ん…カーテンから光が漏れてる…もう朝か…眠い…)フワァァ…


ユミル「…ここ自分のベット…だ」モソッ…


ユミル(眠っている間にベルトルさんがまた運んでくれたんだな…)ゴシゴシ…


ユミル「…って、なんでベルトルさん、自分のシャツ、私に着せてんだよ…ふわぁ…ぁ」

ユミル「細身に見えるのにぶっかぶかだ…」ヒラッ…

ユミル(当たり前だが、男なんだよなぁ…)


ユミル「下…穿いてないな…でも身体はしっかり拭いてくれたみたいだ」クンクン…


ユミル「そこも…拭かれたな…くっそ、また見やがって、あいつ…はぁ…」


ユミル「そういうのはダメだって、後でちゃんと教えとかないと他の女とした時に…」

ユミル「…いや、それは無いか……」


ユミル「あぁ…指輪、ピカピカだ…」

ユミル(そっか、先に寝ちまったから私の分も手入れしてくれたんだな)


ユミル(脱ぎ散らかされた服も、私のベットの上にキレイに畳んで置いてある…)



ユミル「よっと…ベルトルさん…?」

ユミル(まだ、寝てるかな?)



ユミル(今のうちに着替えておくか…寝ぼけて襲われたらシャレにならん…)

ベルトルト「……ご…めんな…さ……うぅ…」ボソッ…


ユミル「…えっ?」

ベルトルト「トーマス…ミーナ…マル…コ……ナック…ミリ…ウ…あぁぁぁぁ…ぼく…は…


ユミル「ベ…ベルトルさん!!」

ダッ…ブワッ!!


ユミル(掛け布団を剥いだら…両膝を抱えて…ダンゴ虫みたいに小さく小さく丸まって…)

ユミル(寝ているんだよな…?この格好…)



ユミル「泣いて…る…のか…?」ソッ…


ベルトルト「ごめ…ん…なさ………だれか…僕を…助け……

ユミル「ベルトルさん!!起きろっ!」

ガシッ!ユッサユッサ…


ユミル「起きろってば!!」グシャグシャグシャ…

ベルトルト「…うっ…ん……あっ!!」



ベルトルト「え…?…ユ…ユミル…?えっと…ここ、どこ…?」

ユミル「はぁーーー…起きたな…」


ユミル「ヤルケル区内にある宿屋だよ、昨日この部屋で一緒に寝ただろ…覚えてるか?」


ベルトルト「うん、覚えてる…大丈夫…」

ユミル「汗かいてるな…怖い夢を見ていたのか?」


ベルトルト「…」


ベルトルト「いつもの、ことだよ…」


ベルトルト「最近、またよくうなされるんだ…開拓地に行ったばかりの頃もこんなで…」

ベルトルト「こんな日は目覚めが悪くて、君が起こしてくれて良かった…はぁ…」


ユミル「脱走してから、まともに眠れてないだろ?お前…昨夜だって…」

ユミル「私が寝てから色々、してただろ…私にシャツ着せたり、指輪の手入れしたり…」

ベルトルト「うん…」


ベルトルト「も…もう平気!まだ時間あるよね?着替えてみんなとご飯食べよう?」

ベルトルト「アニとアルミンはもうとっくに出発しちゃってるよね…えっと……」

ユミル「…」


ユミル「…まだ震えてるじゃねえか…お前」

ベルトルト「えっ…」


ユミル「怖かったんだろ…」ナデナデ…

ベルトルト「うん……少しだけ、このままでもいい?抱きしめて欲しい…」グスッ…

ユミル「言われなくとも…だ」ギュゥゥ…


ユミル「落ち着くまで…ここに居るよ」ナデナデ…

ベルトルト「ねぇ…ユミル。ずっと、ここにいてよ…こうやって僕のそばに…」


ベルトルト「早く、確約が欲しいんだ」



ユミル(もう気持ちは決まってるんだが…あとはクリスタだけだ…)


ユミル(私がこいつと行くと言ったら、クリスタもきっとライナーに付いて行くだろ…)


ユミル(こいつらの思惑通り…6人でこのまま駆け落ちすることになる)


ユミル(クリスタはそれで幸せになれるのか?)


ユミル(あいつがちゃんと自分で人生の方向を決めない限り、うかつに返事は出来ない…)



ユミル(ベルトルさんとはたった3日間、クリスタとは3年間だぞ…)



ユミル(男に溺れて…大切なものを切り捨てるなんて生き方は、私の生き方じゃないんだ)

ユミル「はぁ…辛い……」ボソッ…


ベルトルト「腕、痛くなった…?ユミル、ありがとう。もうだいぶ落ち着いたよ」

ユミル「…うん」


ユミル(でも…もし、クリスタがこいつらに付いて行かない決断をしたらどうする?)

ユミル(私はどっちに付いて行くつもりだ?)

ユミル(ベルトルさんとクリスタ…どちらか一方を選ぶなんて事、私に出来るのか?)


トン…トン…トン…



ライナー「ベルトル、ユミル、起きてるか?」

ベルトルト「起きてるよ、僕ら…今さっき起きたところ」


ライナー「そうか…ゆっくりだったな。アニとアルミンはもう出発したぞ」

ライナー「俺達は、1日だって無駄にする余裕なんかないからな?」

ライナー「みんなで朝食をとるぞ。5分で支度して食堂へ来い、俺は先に行ってる」


ライナー「ク…クリスタは、ユミル…お前が誘って連れてきてくれ…すまん…あの…

ユミル「事情は知ってる」


ユミル「てか昨夜、私が部屋から出てきた時、ドア越しに目が合ったじゃねーか…」

ユミル「ちゃんと連れて行くから、お前4人分の席取って置けよ!」


ライナー「あ…あぁ…わかった。その、よろしく頼む…」

ベルトルト「…」


ユミル「はぁ…5分で支度して、行くぞ」

ベルトルト「う…うん」


今日はここまで。読んでくれてありがとう

次の更新は、月末までに1回…したいな。ちょっと忙しくなるので…
「好き」と「愛してる」のバーゲンセールがようやく終わりました…

次回からやっと物語が進むよ。 おやすみなさい


この話の中で、エロは需要あるのかな?
ユミルがアンアンしか言ってないからリベンジしたい気持ちはあるんだけど

『5年前』はもう少し先…と言いながら現実時間で2か月半も経ってました
ど、どうしよう…でも本当に、もうすぐですよ!

彼シャツって名称がついていたとは知らなかった
これは一つのジャンルだったんですね。ひとつ賢くなった!ありがとう


今から投下します



~宿屋1階の食堂~


ユミル「ほら、クリスタ!」グイッ…

クリスタ「…や」サッ… ギュッ…


ライナー「…」


ベルトルト「はぁ…ユミル、こっち!」

ベルトルト「僕の隣ね」

ベルトルト「クリスタは…ライナーの隣!」


クリスタ「…嫌!」

ライナー「!?」ビクッ!


ユミル「ベルトルさん、お前そっちな!」

ユミル「クリスタは私の隣に座れ…いいな?」

クリスタ コクコク…


ベルトルト「なんなの?もう…」ムッ

ベルトルト「じゃ、クリスタ、この席どうぞ。僕は大人だからね!譲ってあげる」カタン…


ライナー「…はぁ」ショボン…


ベルトルト「ねぇ…空気が重いんだけど…」



ユミル「最初に言っとく、ライナーよく聞け」

ライナー「…なんだ?」

ユミル「クリスタの返事は…明後日、つまりヤルケル区を出る前までにする、待ってろ」

ライナー「!!…そ…そんなに早く返事をくれるのか?」ドキドキ…

ユミル「『そんなに早く』って事もないだろ?だってヤルケル区を出たら…」

ユミル「私たちは逃げられないってベルトルさんが言ってたぞ」

クリスタ「…」


ユミル「ここを出たら、逃げられない場所まで…連れて行くつもりなんだろ?お前らは」



ライナー「いや…俺は…」


ライナー「クリスタがどうしても決められないなら、置いていくことも…考えている…」

ベルトルト「…」


ユミル「無理強いはしないってか?」

ライナー「あぁ…」


ユミル「聞いたか?クリスタ…」

クリスタ「えっ!?」ビクッ!

ユミル「少し、安心したか?」


クリスタ「…う、うん」


クリスタ「ラ、ライナー…昨日はごめんね」

クリスタ「私…動揺してしまって、あなたを置いて…急に部屋を飛び出したりして…」


ライナー「クリスタ…」

ライナー「いや…謝るべきはこっちだ…遅くに突然部屋を訪ねて、その…すまなかった…」

クリスタ「…」


クリスタ「もう少しだけ、時間をください…」



ライナー「あぁ…大丈夫だ」

ライナー「まだ時間はある。よく考えて、決めてくれ…」


ライナー「お前の一生が、かかってるかも知れんし…いや、かかってる。確実に」


ライナー「でも、もし…俺に付いて来てくれるのなら…」

ライナー「俺は、命にかえてもお前を守る…」

ライナー「全ての災厄から、出来うる限り、俺が…死ぬまで…」


ユミル(ライナー…お前…)


クリスタ「…ありがとう。よく、考えます」


ユミル「胸が、痛ぇな…。こっちが苦しくなる…」

ベルトルト「…うん」


ベルトルト「えっ…えっと!!話を変えよう」

ベルトルト「4人揃ってから注文しようと思って待ってたけど…だいぶ遅かったからさ、」

ベルトルト「ユミルとクリスタの分も、僕らの分と一緒にさっき頼んでおいたからね!」

ベルトルト「ここのお勧めだよ!厚切りトーストの上にベーコンエッグが乗っていて…」

ベルトルト「あと、温かいスープと生野菜のサラダと…」

ベルトルト「旬の果物が少し…今日は切り分けたオレンジって言ってた」


ベルトルト「野菜は自家栽培なんだって!この宿が所有している農場で作ったらしい」

ベルトルト「トーストは蒸かしたジャガイモに変更できたけど…全員分、トーストにした」


ベルトルト「ほら…ジャガイモは、もう訓練兵の時に…散々、食べたからね…」

ユミル「…」


クリスタ「ジャガイモ、か…。サシャ…元気かな?何も言わずに兵舎を出たから…」

クリスタ「みんな心配してるね」

ライナー「…」グッ…


クリスタ「ナナバさんも…きっと私のこと、怒ってる…」

クリスタ「ここからまた調査兵団に戻ったって…」

クリスタ「裏切り者の私は、もう許してはもらえない」


ユミル「クリスタ!!」


ユミル「お前は!…兵士に、戻らなくていいんだ!!」


ユミル「昨日も言っただろ!?兵士の人生だけが、お前の幸せじゃないって!」



ユミル「お前が…どうしてもライナーと一緒には行けないのなら…私がお前を連れて…


食堂の給仕「お待たせしました!朝食セット4人分ね。他にご注文はある?」カチャカチャ…


食堂の給仕「あら…昨日のお兄さん?」カチャ…カチャ…

ベルトルト「あ、酒場の給仕さんだ。昨日はクラブサンドありがとう。アニ喜んでた?」

食堂の給仕「えぇ!もちろん」ニコッ


食堂の給仕「何てったって新鮮な野菜と卵、使ってるからね!ふふっ、ハムも上質よ」

ベルトルト「うん!確かにあれは美味しかった…2人とも今頃食べてるかなぁ…」



ライナー「何か頼むか?お前ら」


ユミル「レモン水2杯な、私とクリスタの分」

ベルトルト「僕はいらない、水で十分」


ライナー「俺もいらんな、レモン水2杯だけ追加で頼む」


食堂の給仕「はい。かしこまりました」


食堂の給仕「レモン水は美容にいいのよ、肌に栄養を与えるから。そこのお嬢さん方の…」

食堂の給仕「寝不足で出来た目の下のクマも…すぐにキレイになっちゃうからね♪」


ユミル「!?」

クリスタ「!?」


ベルトルト「ね…寝不足…?」///アワアワ…

ライナー「ベルトル、お前まで何を慌ててるんだ…」



ベルトルト「あ…」

ユミル「ん…?」

ベルトルト「クリスタ」

クリスタ「なに?ベルトルト」


ベルトルト「…君、僕に謝ること…あるよね?」


ベルトルト「昨日、急に部屋に来てさ、僕とユミルが愛…

ユミル「ベルトルさん!!」ガンッ!


ベルトルト「…いたっ!…足、蹴らないで」

ユミル「それは昨日、私が代わりに謝っただろ?!」


ユミル「しつこい男は嫌われるぞ!」

ベルトルト「うぅ、ごめん……ユミル…嫌わないでね…」グスッ


ライナー「いつの間にか、しっかり尻に敷かれてるのな…お前」ハァ…


ライナー「よし、温かいうちに食べようか…」



ユミル「むぐむぐ…ベルトルさん、ほら昨日化粧品の店でさ、」

ユミル「次の行き先は今日説明するって言ってたろ?…ごくっ…ん」


ユミル「それ、忘れないうちに聞いておこうと思ってさ」

ユミル「明後日、ヤルケル区を出て…私たちはどこへ行くんだ?」

ベルトルト「…」


ベルトルト「…クロルバ区、だよ」

ユミル「クロルバ区?」

ライナー「ウォール・ローゼ西の突出区だ」

ユミル「いや、それは知ってるよ」


ユミル「私たちが壁外調査で出発する予定だったカラネス区の反対に位置する突出区だろ」


ユミル「私が聞きたいのは…なぜそこに向かうのかだ」

ベルトルト「…」


ライナー「はぁ…」


ユミル「酔ってると思ったか?…いや、酔ってたけど…昨日、アニと話してただろ?」

ユミル「なぁ、ベルトルさん!」

ユミル「クロルバ区の開閉扉を突破する方法を思いついてないって…そう言ってただろ」

ユミル「ちゃんと、覚えてるんだからなっ!」


ライナー「ベルトル…」


ベルトル「…その話は、今はしたくない」


ベルトルト「僕らは、これから用意する物も含めて…幌付き馬車3台、荷引き馬6頭…」

ベルトルト「脱走する時に乗ってきたライナーとクリスタの馬2頭…それを持って、」

ベルトルト「明後日、つまり2日後の17時にヤルケル区を出てクロルバ区へ向かう」


クリスタ「明後日の17時…」


ベルトルト「移動手段は、船だよ」

ライナー「クロルバ区へは、街の中央を通る運河を利用して行く…船はもう、手配済みだ」


ベルトルト「船着き場に着いたら、手配した船に…15時には乗り込んでおく、馬と荷物も」

ベルトルト「遅れたら…もう、この計画は失敗に終わる。そうならないためにね」


ベルトルト「ここを引き払うのは14時頃かな」

ベルトルト「最後は、ここでみんな揃って昼食を取り、6人で船着き場まで行く予定だよ」


ライナー「ヤルケル区からクロルバ区までは約140㎞だ。何事もなければ14時間で着く」

ライナー「兵団施設から脱走した時みたいな強行軍じゃない。船を使う事にしたのは…」

ライナー「荷物の量が多すぎるのと時間の節約と、俺達と馬の体力を温存するためだ」


ユミル「…」


ベルトルト「ユミルはもう分かっちゃってるんじゃないかなぁ…」ハァ…

ライナー「アルミンもな…」ハァ…

クリスタ「…?」


ユミル(アルミンが読んでいたのは、植物栽培の本だったな…話が繋がってきた…)

ユミル(金が要らないってのは、金を払う相手がいないからだ…。私の想像通りなら…)


ユミル「ここに来る前に、倉庫番に許可を貰って…クリスタと一緒に…」

ユミル「アルミンが用意していた『生き延びるための準備』…を、見てきた」


ユミル「馬は宿の厩舎に預けて、荷物だけは別館の鍵付き倉庫に入れて置いただろ?」

ユミル「どれもこれも大切な物資だから…失くしたり、盗まれるわけにはいかないからな」

ユミル「鉄格子の隙間から少し覗いたぐらいで、中身まで確認してはいないが…」

ユミル「あの麻袋の中身が全て食糧だとしたら…結構な量を用意したもんだな…」


ベルトルト「…あれでも全然足りないと僕は思っているけどね」

ライナー「同感だな」


ライナー「だが馬を売った金でまた買い足すから、心配しなくていい。ベルトル」

ベルトルト「あぁ…分かってる」


ユミル「香辛料の種や苗、野菜や果物の種子、アニが今日、買い足してくるものだ…」

ユミル「おそらく家畜などの生き物もこれから買うんだろ?…出発の前日、または当日に」

ユミル「家畜は手間がかかるから、クロルバ区で買うのかも知れないな…違うか?」



ベルトルト「だから!その話は、今はしたくないんだっ!!ユミル…」ガタッ!


ユミル「…そんな逃げ口上、私に通用すると思ってるのか?…お前!」バンッ!!



ライナー「おい…周りの宿泊客がこっちを見てるぞ…チッ…座れっ!二人とも!!」

ライナー「いいから早く飯を食え!長居すれば食堂にも迷惑がかかるだろ?混んできたし」



食堂の給仕「遅くなってごめんなさい!」

食堂の給仕「レモン水2杯おまたせ、これ無料でいいよ。すっかり忘れてたもんだから」


食堂の給仕「あら…食事が進んでないね。ひょっとして、お口に合わなかった…?」

ユミル「いや…美味しいよ、だがなかなか喉を通らなくてな…」


ユミル「もう少しゆっくり食べててもいいのか?ここは」

食堂の給仕「えぇ、まだ平気よ。ごゆっくり」ニコッ


ユミル「…だ、そうだぜ。ライナー、ベルトルさん」



ベルトルト「今日、ユミルと出掛けるのは午後からだからね」

ユミル「ん?」

ベルトルト「僕はちょっと用事があるから…14時にこの宿の前で待ち合わせしよう」

ベルトルト「ユミル、ほら…昨日クリスタとも街を見て回りたいって言ってたよね」

ベルトルト「ちょうど良かったでしょ?」



ユミル「あぁ…まぁ…」 コトン…ゴクゴク…


クリスタ「今日はユミルと一緒?」パァァ…

ユミル「ぷはっ……酸っぱいな…」

ユミル「あぁ…そうみたいだ、クリスタ」ニコッ


ベルトルト「ユミルが使う分のお金は、さっきライナーに渡しておいたから」

ベルトルト「昼食の他に、雑貨でも、日用品でも好きなもの買ってもらうといいよ」


ライナー「あぁ、ベルトルからちゃんとお前の分の金、預かってるからな」

ライナー「…って言うかお前、着いた初日に財布落とすって、間抜けすぎるだろ…」


ユミル(私の財布は落としたことになってるのか…)



ユミル「なぁ、ベルトルさん…お前は14時まで何をするつもりだ?」

ベルトルト「買い物!でも…何を買って来るのかは内緒…楽しみにしててね!」ニヤッ



ユミル(何か、上手くはぐらかされたな…)


ユミル(最終目的地まで、一気に吐かせるつもりだったのに…)



ベルトルト「今日は14時にユミルを迎えに行って…」

ベルトルト「落ち合ったら、まず君の下着を買いに行くでしょ?…僕好みの」

ユミル「は?」


ユミル「いや…だから昨日、下着は自分で買うって……あっ!」

ベルトルト「ほら、僕はユミルの財布だから」フフッ…


ユミル「くそっ!」///


クリスタ「下着って…?何で…」


ライナー「…まさかとは思うが…昨日……いや、まだ早いだろ、ないない」ブツブツ…


ベルトルト「その後、ドレスを買いに行くよ。これは昨日、君に相談したよね?」

ユミル「もう、お前…やりたい放題じゃねぇか…」ハァ…


ベルトルト「でね、今日の最後に連れて行きたい場所があって…そこは、」

ベルトルト「ヤルケル区で有名な観光名所で、『恋人の聖地』って呼ばれてるんだ…」


ライナー「あぁ!それ知ってるぞ…。もしかしてあそこか?」

ライナー「旅行の手引書に書いてあった…高だ…

ベルトルト「ちょっ…!待ってよ、ライナー!!今話したらつまらないだろっ?!」


ベルトルト「僕はね、宝飾店もそうだけど…」

ベルトルト「前々から…ここは絶対、ユミルを連れて行こうって決めてたんだから!!」


ライナー「わ…悪かった、怒るなよ」


ユミル(デートね…こんな状況下なのに、いまいち緊張感がないんだよな、こいつは)


ベルトルト「だから14時まで時間を潰しててくれると嬉しいな。ユミル、愛して…

ユミル「わー!わーーっ!!わぁぁーーーっ!!!」アワワ…


ユミル「おっ、お前は馬鹿かっ!?」

ベルトルト「えっ?」

ユミル「いや、断言してもいい…お前は馬鹿だ…」///カァァ…


ユミル「いい加減、『時』と『場所』と『場合』を考えて発言しろっ!この馬鹿っ!!」



クリスタ「…」 カッ… ゴクゴクゴク! ダンッ!!

ライナー「…」


クリスタ「ぷはっ…ハァ…ハァ…ベルトルトがむかつくから、部屋に戻る!」ガタッ…


ライナー「あぁ…俺もそうする」ガタッ…


ライナー「そうだ、ユミル、クリスタ…午前中は俺も一緒に行動するぞ、よろしくな」

ライナー「なんせ、お前の分の金をベルトルから預かっちまったんだからな!」


クリスタ「えぇっ!?」

クリスタ「ラ…ライナーも一緒なの…?」オドオド…


ユミル「分かってるよ。じゃ、クリスタもライナーも、今から15分後に宿屋の前な!」


ベルトルト「何も、そんなに馬鹿って言わなくてもいいじゃないか…」グスッ…


ユミル「はぁ…じゃ、お前とは14時な」ガタッ…


ベルトルト「あ!ユミル」

ユミル「ん…なんだ?」フィ…

ベルトルト「今日のデートの時にさ、昨日僕が買ったスカートを穿いて来てよ」

ベルトルト「アレ、君が穿いているところ…早く見たいんだ、きっと似合うから」


ユミル「…」



ユミル(スカートで、デートか…。ちょっと苦手なんだよな、スカート。歩きづらくて)


ユミル(でもたまには、素直にこいつの言うことを聞いてやるか…)


ユミル「あぁ、いいよ」

ユミル「スカートなんて久しぶりだな…もし似合わなくても文句言うなよ?」ニコッ


ベルトルト「うん、大丈夫。絶対似合うから!」ニコニコ


ベルトルト「じゃぁユミル、また午後にね!」ガタッ!



今日はここまで。読んでくれてありがとう

次回更新も遅めです。おやすみなさい


なるほど、晒しじゃなくて荒らしだったのか。尺が足りないから困るな
何となく今日更新しなければエタる予感がしたので、酒飲んでテンション上げる

エロ需要がありそうで良かった。1回目、2回目は必須で、2.5回目は
予定がなかったものだから端折ってしまったんだけれど、続きがあればこうかな?
…ってのはあって、もし完結後に気力が残っていたらおまけとして書きたい
書けなかったらすまない。ベルユミだとオモイマス…このユミルに上は無理です


今から投下します



脱走から4日目・朝

壁外調査まであと4日


~ウォール・シーナ西 突出区~

ヤルケル区内 中流階級の宿屋前



クリスタ「ユミル…遅いな…」ソワソワ…


ライナー「…」


クリスタ「…」



ライナー「あのな…
クリスタ「あのね…


クリスタ「あ!あっ…あぁぁ…ラ、ライナーからどうぞ…」///

ライナー「い、いや…クリスタ、何だ?」


クリスタ「う…うん、その…さっきは、ごめんね…」

ライナー「ん?」


クリスタ「朝食の席、あの…隣、嫌って言っちゃって」


ライナー「あぁ、なんだそんな事か…」ホッ

ライナー(いきなり返事をくれるのかと思って緊張した)


クリスタ「そんな、こと…ね」シュン…

ライナー「いやいやいや!…もっと、深刻な話かと思ってな、すまん」


クリスタ「…」

クリスタ「昨日、ユミルに相談したの…ライナーが…その…告白してくれたこと」


ライナー「あぁ、そうだったな」


ライナー(「ユミルに聞いてみないと返事は出来ない!」って飛び出して行ったな)

ライナー(そういや、俺はあの部屋はアニとベルトルの部屋だと思ってたんだよな…)

ライナー(クリスタの部屋のドアを叩く前に、二人に発破でも掛けてもらおうと思ったら、)

ライナー(いきなり本人が出てきてなぁ…)

ライナー(こっちも気が動転して何をどうしゃべったか、半分記憶にないぞ…)


クリスタ「そしたらユミルに…『自分で決めろ』って言われた」

クリスタ「当たり前だよね…自分の事だもんね」

ライナー「…」


クリスタ「私、ユミルに頼りっきりでここまで来てしまった」

クリスタ「いつも彼女から守られていた。一昨日、ベルトルトにも言われた」

クリスタ「『もっと強くなって!』って…」


ライナー「クリスタ…」


クリスタ「そして、さっきライナーにも…」

クリスタ「また、『守る』って言われた」


クリスタ「私、ダメだね…守られてばっかりで…役立たずで…」

ライナー「違う!クリスタ…お前は、役立たずなんかじゃない!!」


ライナー「お前はいつも、誰に対しても、一生懸命に尽くして、相手を気遣って…」

ライナー「同期の奴らだって、みんな知っている!」


ライナー「お前がいかに慈愛に満ちていて、優しくて…その…愛らしいかを…」


ライナー「ずっと…見てきたんだ、俺は…」



クリスタ「…ありがとう」

クリスタ「私を…そんな風に思っていてくれていたんだね、知らなかった」


クリスタ「でもきっと、一緒に居たら、がっかりするよ…私はそんな人間じゃない」


クリスタ「必要とされたい、ここに居ても良いのだと誰かに肯定してもらいたい…」

クリスタ「そんな強い渇望が、常に私の中にあるの」

クリスタ「だから無意識に見返りを求めている。それで…」

クリスタ「いつか誰かの役に立って死ねたらいい…そう願う心も、同時に存在している」



クリスタ「私があなたに付いて行ったら…私は幸せになれるのかな?」


クリスタ「私は…あなたの役に立って、死ねるのかな?」

ライナー「ま…待ってくれ、クリスタ!」


クリスタ「この渇きは、いつ満たされるの?」

ライナー「死ぬなんて、言わないでくれ…」


ライナー「認めないぞ!!俺は!」

ライナー「何のために俺は…お前を調査兵団から連れ出したと思ってるんだ…」


ライナー「全員で、運命から逃げるんだ!!」



ライナー「生きて、生きて、生きるんだっ!!…クリスタ!!」

クリスタ「…」


ライナー「クリスタにとって俺は不足かも知れん…」

ライナー「俺は…人を愛する資格がない男だ」

クリスタ「どういう意味…?」


ライナー「それでも、付いて来て欲しい…」

ライナー「俺達は危ない所へ向かうが、俺は命を張る…お前を守りたい。この先もずっと」


クリスタ「守られるだけじゃ、嫌だよ…」

クリスタ「私もライナーを、ユミルを、ベルトルトを…守りたい」

クリスタ「アニやアルミンの事も…」


ライナー「じゃ…じゃぁ一緒に…


クリスタ「ユミルが、みんなと一緒に行くなら…いいよ、私も…」


ライナー「ほ…本当か!?なら大丈夫だ、ユミルも行くに決まってる!!」

ライナー(あいつらは上手くいってるみたいだからな)


クリスタ「ライナー…私ね、大人が怖いの。…あの人たちはずるいから」

ライナー「…?」

クリスタ「ライナーも体が大きいから、大人みたいで怖いよ…」

ライナー「!?」



クリスタ「あなたと一緒になるかどうかの返事は、まだ出来ない」


クリスタ「時間が足りなくて…」


ライナー「あぁ、それは承知している」



クリスタ「昨夜からずっと考えていたの…それでね、今、私が出来るお返事はこれだった」


クリスタ「あの…えっとね…」



クリスタ「ライナー、まずはお友達から始めましょう。全部は、そこからだから…」


ライナー「ク、クリスタ…」


クリスタ「…お友達からでも、いいかな?」


ライナー「あ…あぁ、構わない!少しずつでいい!!」

ライナー「もっと、俺の事も見て欲しい!俺の事も知って欲しい…友達からでいいんだ!」



ライナー「よしっ!よしっ!よーしっ!!神様はここに居やがった!!」グッ!


クリスタ「ライナー?…ちょ…ちょっと恥ずかしいよ…もう、大げさだよ…」///カァァ…




ライナー「俺は…俺の女神さまから、返事をもらったぞーーーー!!!」ウォォォォ…


ユミル「声が大きいぞ!ライナー」

ユミル「あんまり騒ぐなよ…目立つから」


クリスタ「ユミル!!」タッ

クリスタ「もう!遅いよ、待ちくたびれた」

ユミル「すまん、すまん」ハハ…


ユミル「スカートの試着をしていたんだ」

ユミル「腰回りのサイズだけで、あいつが決めて買ったもんでな。どんなもんかと…」

クリスタ「スカートの試着…?そっか午後から…ベルトルトと…」

クリスタ「でもそれ、ズボンに見えるけど…」

ユミル「あぁ、宿に戻ったら穿き替える。やっぱこっちが動きやすい」


ユミル「ライナー…顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」


ライナー「い、いや…その、もう行くか!」

ユミル「あぁ、そうしよう」



~ヤルケル区 大通りの繁華街~



ユミル「そういや昨日もここ通ったな、ベルトルさんと一緒に」


ユミル「おうおう!今日も人が多い。市場は昨日より盛況みたいだ。ま、朝だからな…」

ユミル「二人ともはぐれるなよ?」チラッ


ライナー ソワソワ…

クリスタ モジモジ…


ユミル「…」

ユミル「…なぁ、二人ともなんか変だぞ」


ライナー「ななな…何を言ってるんだ、ユ、ユミル…いつも通りだろ?」///

クリスタ「そ…そうだよ…」///

ユミル(私がいない間に何かあったのか?)



ユミル「手でも繋ぐか?クリスタ」

クリスタ「えっ?…手?…だっだめっ!!まだ、早いよ!!」///カァァァ…



ユミル「…いや、その…私と、だが…」


クリスタ「えっ…」

ユミル「ぷっ…」


ユミル「くくくっ…あはははは!!」


ライナー「ユ、ユミル…?」



ユミル「じゃ、こうしよう」ニヤッ


ユミル「私の左手は、クリスタ…ほら、手を貸せ…」


クリスタ「う、うん…」ギュッ…


ユミル「私の右手は、ライナー…お前、早く左手を出せ!」


ライナー「えっ…あぁ…いや、いい…」


ユミル「いいから早く出せよ!」ギロッ

ライナー「はぁ…」


ライナー オズオズ… ギュッ…



ユミル「ふふっ…ほら、繋がった」ブンブン


クリスタ「ふぇぇ…」///カァァ…

ライナー「ユミル…お前なぁ…」///



ユミル「二人の手も、温かいな…」


ユミル「はぁーぁ…困ったなぁ」

ライナー「何をそんなに困ってるんだ?」


ユミル「これ以上…お前らと一緒に行動したら、離したくないものが多くなり過ぎて困る」

ユミル「だんだん、欲張りになって…」

ユミル「全部、手放せなくなりそうだ」

クリスタ「…」



クリスタ「…いいじゃない、それで」

ユミル「えっ?」


クリスタ「全部両手に掴んだまま…みんなで、一緒に行けばいいじゃない…」

クリスタ「遠くへ、逃げたっていいじゃない」グスッ…


ライナー「泣くな…クリスタ」


クリスタ「私も、ユミルも…嫌な事は全部、壁内へ置いて行けばいいじゃない!!」ヒック…


ユミル「!?」


クリスタ「怖い事も、悲しい事も!辛い事も全部!!…だってこの世界には、何もない!」


ユミル「クリスタ!!お前…知ってるのか?」



ユミル「ライナー!てめぇ…」パッ…

ユミル「私がいない間に、あいつに何か吹き込みやがったのか?」


ユミル「おい!どうなんだよっ!!」グイッ!


ライナー「い…いや!俺は何も…

クリスタ「ユミル…ライナーは何も言ってないよ」


クリスタ「これは、私の願望」

ユミル「願望?」


ライナー「…」


クリスタ「私だって、馬鹿じゃない」


クリスタ「ユミルと一緒に、さっきアルミンとアニが集めた物資を見たでしょ…?」

クリスタ「植物の苗や種もたくさん積まれていた。だから、私たちは6人でローゼ内の…」

クリスタ「どこか広い土地を買って、これから農場を開くつもりなのだと、思った」

クリスタ「食糧はそこで栽培する作物が収穫を迎えるまで、私たちが生きて行くためもの」


クリスタ「…でも、そうじゃないんだよね、きっと」

クリスタ「クロルバ区の開閉扉の話は、入区許可証の事かなって思ったけど、」

クリスタ「ローゼ内からローゼ突出区への移動には別に許可証なんか、いらないもんね…」


クリスタ「むしろ、人口の流出を防ぐためにウォール・ローゼの突出区住民に対しては、」

クリスタ「他のどこより優遇措置を講じて、税を軽くしたり、塩を優先的に回したり」

クリスタ「住民を繋ぎとめるために王政府は躍起になっている。トロスト区がいい例だね」


クリスタ「自由に出入りできるのに、クロルバ区の開閉扉を突破する方法を探るだなんて」

クリスタ「ちょっと変だなって…誰でも思うじゃない?」


ユミル「…」



クリスタ「生活水準の高さを考えたなら…シーナの方が、ローゼより楽に暮らせるよ」

クリスタ「馬を売ったお金で…家を買って6人で細々と生活することも、出来たでしょ?」


クリスタ「私たちがローゼに戻る理由は、もっと遠くへ、行く必要があるからなのかな?」



クリスタ「…なぁんてね」ウフフ…

クリスタ「そうだったらいいな、って思って願望を口にしてみたんだ…」



クリスタ「でも、壁外なんて出たら、現実はすぐ巨人に食べられちゃうから無理だよね」


ライナー「…」


ライナー「はぁ…アニとベルトルは…素直だからなぁ」


ライナー「ユミルの前でうっかり何かを口走るなんてのは、致命的な誤りだ」

ユミル「お前も素直だろ…なんだよ、他人事みたいに」


ユミル「もう、この辺でいいだろ?ネタばらししてくれよ…」ハァ…


ライナー「まだ、駄目だ」


ユミル「いきなり連れて行きます!死ぬかも知れません!…じゃ、話にならないだろ!?」



ライナー「わかってる!!」ギリッ…



ライナー「今夜、話す…。ちゃんと、クリスタとアルミン、ユミル…みんな一緒にだ」


ライナー「6人全員が居る所で、きちんと計画を話すから…もう少し、待ってろ…」


ユミル「…」ギュウウウ…


ユミル「ふざけんなっ!またかよ!!」

ユミル「なんで…お前らはそうなんだよ…」

クリスタ「ユミル…」


ユミル「合流したら話す、明日話す、今夜話すってさ…いつも引き延ばしてばっかで…」

ユミル「いつもいつもお前らは隠し事ばっかだ!『罪』だの『秘密』だの…」

ライナー「…」



ユミル「そりゃ、私にだって隠し事はあるよ…」

ユミル「誰にも言えない…墓まで持っていかなきゃならない秘密が、ある!」

クリスタ「……私も、あるよ」ボソッ…



ユミル「でも、仲間じゃねぇのか?」

ユミル「私たちは、一蓮托生じゃねぇのかよ!?」


ライナー「ユミル、落ち着け…」


ユミル ハァハァ…

ユミル「全部知りたいとは言わない、全部教えろなんてのも言えない」

ユミル「でも…今回の行き先だけは、もっと早くはっきりさせておくべきだっただろ?」


ユミル「クリスタの命にもかかわることだ…」



ユミル「そりゃ自分の命も大事だ。こんなところで散らす気もない…」

ユミル「もし、お前らの計画が勝ち目のない勝負だったとしたら、私がそう判断したら…」

ユミル「クリスタを連れて、私は逃げる!」


ユミル「こんな事に、クリスタを巻き込めないだろ?」


クリスタ「ユミル…」



ユミル「それでもいいのかよ!ライナー!!」


ライナー「勝算は…ある!痛い事には目を瞑ってもらうが…クリスタの命は…」

ライナー「もう俺の命より、大事なんだ…」

ユミル「…」


ユミル「またそれかよ…」ボソッ

クリスタ「ライナー…」


ユミル「ベルトルさんもお前もっ!どうして自分の命より、私らが大事って言うんだ…」


ユミル「そんな、自分の命を削り取って見せつける愛情を…誰が欲しがるって言うんだ…」


ユミル「何で…死ぬだの殺すだの、何で平穏な幸せをクリスタに与えてあげられないんだ」

ユミル「お前も、私も……うぅ…ひっ…ぐ」


ライナー「俺達だってな、その『平穏な幸せ』ってやつが欲しくて…ここまで来たんだよ…」

クリスタ「ユ…ユミルを泣かさないでっ!!」


クリスタ「ライナー…私まで……涙が出ちゃうよ……」グスッ…


ライナー「クリスタ…俺のハンカチを使え…」ゴソゴソ… サッ…

ライナー「二人とも安心しろ、何とかする…」


クリスタ「ライナー…ありがとう……」スッ…


ライナー「ユミル、お前の分のハンカチは無い、涙は袖で拭け」


ユミル「馬鹿か、ハンカチぐらい、私も持ってるよ」ゴシゴシ…


ユミル「はぁ……ちょっとすっきりした」

クリスタ「も、もしかして…泣きたかったの?ユミル」


ユミル「少しな、今までもう何年も涙なんて流さなかったのに…」

ユミル「こいつらと脱走してから、私は泣いてばかりだ。…で、今は、泣きたい気分だ」


ライナー「すまんな…」

ユミル「…」




クリスタ「…あっ」

クリスタ「ねっ、ねえ!喉が乾かない?」

クリスタ「私そこで飲み物、買ってくる!」

クリスタ「二人とも、あそこのベンチに座って待ってて!」


ライナー「あ、あぁ…いや、いい!結構並んでるぞ、あの屋台」

クリスタ「大丈夫!すぐ戻るから…」


ライナー「あのなぁ、行列だけは自分の意思じゃどうにもならないんだぞ!」

クリスタ「もう!ライナーが引き止めるからまた並ばれちゃったよ!!」プクッ


ライナー「お…おう、そうか…」

ライナー「じゃ、金だけ渡しとくから…


クリスタ「いいってば!すぐ戻るよ!!」タッタッタッ…

ライナー「はぁ…」


ユミル「ダメだな…何やってんだ、私は。クリスタに気を遣わせてしまった」


ライナー「レモン水、一気飲みしてたからなぁ…クリスタ。喉なんか乾いてないだろう」

ユミル「あぁ、そうだな」フフッ…


ユミル「でも、あいつが買ってきたら飲まなきゃならんな」


ライナー「飲めなかったら、飲んでやるよ」

ユミル「…あぁ、頼む」



ライナー「なぁ、さっき手を握った時、気になっていたんだが…その指輪…」


ユミル「あぁ、これか…昨日貰った」


ライナー「ベルトルもしていたな。お揃いか?」

ユミル「うん」


ライナー「…結婚指輪か?」


ユミル「本人はそのつもりのようだ。名前も入れてある。ベルトルさんの」


ライナー「まるで所有物だな」


ユミル「お互いを所有するって事なら別に不愉快でもない、あっちも私の名前入りだ」

ライナー「なるほど」



ユミル「右手の薬指につけるのは、『恋人がいます』、『婚約しています』って意味だ」

ライナー「はは…知ってるよ、常識だ」


ライナー「左手の薬指につければ、『結婚しています』だろ?」

ユミル「あぁ、きっとそうなんだろ」



ユミル「自分には縁のない事だと思っていたが、こうやってつけて見ると嬉しくてな」キラッ


ライナー「お前、いつもそうやって笑っていれば、かわいいのになぁ…」


ユミル「ん…何か言ったか?」

ライナー「いや、少しベルトルの気持ちが分かったって言ったんだ」

ユミル「そっか…」


ユミル「指輪を買った店、知ってるか?『旅行の手引書』に載ってるらしいぞ」

ユミル「そこで指輪を買った恋人同士は絶対に別れないそうだ」


ライナー「あっ!あぁ、あの店か!!覚えてる…場所もなんとなく分かるぞ」


ユミル「お前も買って来いよ、クリスタとお前の分」

ライナー「!?」


ライナー「ユ…ユミル…」


ユミル「ここで買い逃すと、もう買えないんだろ?」

ユミル「…」


ユミル「応援はしないって、言ったけどな…」


ユミル「応援してやりたくなった」

ライナー「…」



ユミル「お前は、知ってるのか?クリスタの家の事…」

ライナー「…あぁ」


ライナー「俺だけじゃなく、アニもベルトルも知ってる」

ユミル「へぇ…情報通だな」


ユミル「全部知ってて、あいつを持ってくんだな、お前」


ライナー「クリスタを好きになった事と、彼女の素性の事はまったく関係がないんだが…」

ユミル「ふふっ、そうだろうな」


ユミル「お前にとって、クリスタが何者かなんて、関係ないよな」

ライナー「あぁ、その通り」



ユミル「指輪は『金』がいい。ちょっと高いが、それだけの価値はある」

ユミル「なんてったって錆びないからな、永遠の愛を誓えよ?」

ライナー「お前達の指輪の材質はなんだ?…それは金には見えないぞ」

ユミル「私の希望で、『鋼』だな」


ライナー「鋼か…錆びそうだな」

ユミル「錆びないように手入れするさ」



ライナー「よし分かった!買ってくる」

ライナー「しかし…クリスタは嫌がるだろうな…いくらなんでも気が早いだろう」

ライナー「俺も店まで連れて行く勇気が…


ユミル「心配するな!クリスタの薬指のサイズなら、知ってんだ」

ライナー「…は?」


ユミル スクッ…タッタッ… ヒョイ


ユミル「今、通った荷馬車から木炭がひとかけら落ちたのを見ててさ、思い付いた」

ライナー「それ、どうするんだ?」

ユミル「ライナー、さっきクリスタに貸したハンカチを出せ」

ライナー「…これか?」ゴソゴソ… スッ…


ユミル「白いハンカチの濡れていない部分に」

ライナー(ユミルが指輪を外した…何をする気だ?)

ライナー(指先で木炭をすり潰して…指輪のふちに木炭の粉を塗りつけた…)


ライナー「おっ、おい!指輪が汚れるぞ」


ユミル「こうやって…スタンプだ!」グリグリ…


ライナー「お前なぁ…俺のハンカチを汚すなよ…」


ユミル「指輪の大きさ、これで分かるだろ?」

ライナー「確かに、キレイに丸型の痕が取れているが…」ピラッ…


ユミル「昨日、クリスタにこの指輪、はめさせてみたんだ。そしたらひと回り小さかった」

ユミル「ひと回り半…ってところかも知れないが、まぁ成長するだろ。これから、指も」

ユミル サッ… フキフキ…  キラッ


ユミル「よし!指輪もキレイになったな」グィ…キュキュキュ…

ライナー「ユミル…お前…」


ユミル「そのハンカチ持って、あの宝飾店のおじさんに合わせてもらえよ、指輪」

ユミル「間違えずに、その痕よりひと回り小さいサイズの指輪を購入しろよ?」

ユミル「で、ついでに名前も入れてもらえ」

ライナー「ユミル…」



ライナー「どうして、急に俺を信用する気になったんだ?」


ライナー「まるで、俺とクリスタを結び付けようとしてるみたいだ」


ライナー「今までの経緯からして、今のお前の言動は信じられん…」



ユミル「それは、私がクリスタを好きだからだ」

ライナー「…」


ユミル「私がベルトルさんと一緒に行くなら、クリスタも一緒に付いて来てもらいたい」

ユミル「ずっとクリスタを私の近くに置いておきたい。目の届くところにな」


ユミル「ただそれだけだよ。自分の望みを叶えるために、お前に手を貸してやってる」


ライナー「はぁ…」


ライナー「…嘘だな」

ユミル「…?」


ライナー「そんな理由なわけあるか…」

ライナー「お前が、クリスタより自分の都合を優先するとは思えん」

ライナー「それにクリスタは、お前がベルトルと一緒に行くと言ったら…」

ライナー「俺の事なんか関係なく、お前に付いて行くと思うぞ…俺に手を貸す意味は無い」


ライナー「何か裏があるなら、早く言え」


ユミル「はぁ…」

ユミル「…本当の理由、言わせる気か?」


クリスタ「おっ…おまたせ!」ハァハァ…

タッタッタッ…

クリスタ「待った…すっごく待った…行列」ウルウル…

ユミル「おぉ…ヨシヨシ、さっすが私のクリスタ!!よ~く頑張ったな」ニコニコ


クリスタ「トレイとカップは後で返さなきゃならないの」


クリスタ「トレイだけ今、返してくるね!」ダッ…



ユミル「クリスタが頑張ったくれたから、こっちも頑張って飲むか」グィ… ゴクッ…


ユミル「はぁ…甘いな、オレンジジュース」

ユミル「でも半分は水だなこりゃ…レモン水よりはずいぶん濃いが」ハハハ…




ライナー「ユミル、さっきの話だが…

ユミル「その話は、終わりにしよう」


ユミル「別に、大した理由じゃないよ」

ユミル「ただ…いつも自分の非力さを呪っているだけの話だ」


ライナー「…」


今日はここまで。読んでくれてありがとう

今回も長かった…そして進まなかった。おやすみなさい


また訂正か…

>>795 誤)ユミル「クリスタが頑張ったくれたから、こっちも頑張って飲むか」グィ… ゴクッ…

     正)ユミル「クリスタが頑張ってくれたから、こっちも頑張って飲むか」グィ… ゴクッ…

読みにくいのでこっちも訂正

>>779 誤)クリスタ「生活水準の高さを考えたなら…シーナの方が、ローゼより楽に暮らせるよ」

     正)クリスタ「生活水準の高さを考えたなら…ローゼより、シーナの方が楽に暮らせるよ」


感想ありがとう。すっごく幸せだ!
前回はライクリ、今回投下分はアニアル、次回はまたベルユミです

今日中に投下したかったのですが…推敲が間に合わなくて、
最低でもあと2回は見直したいので、明日の夜(もう今日ですね)更新します

過去に投下した文章を見直していたら、2か月前に更新した分で
「宝飾店の主人」表記が、後半から「宝飾店の店主」になっている
のに気付いて、悶えまくり…いつも誤字、脱字、申し訳ないです



ライナー、クリスタ、ユミルが買い物に出かけたのと、ほぼ同時刻


~ウォール・シーナ西区~

王都へと続く主要街道



アニ「アルミン!」


アニ「そろそろ休憩にしよう…。日の出と共に出発してからもう3時間も駆けっぱなしだ」

アニ「ここらで休憩を入れないと、馬がへばるよ」

アニ「この馬は大事な商品なんだ」


アルミン「うん、そうだね…」


アルミン「そういえば、どこの街で馬を売るか、まだ相談していなかったね」


アルミン「ひとまず、あの木陰で休もうか…」

アルミン「だけど、僕らはあまり時間がない。休憩は30分だけにしよう。いいかな?」


アニ「あぁ…わかった」ググッッ…

アニ「どうどう…いい子だから、止まって…休憩だよ」ポンポン




アニ「アルミン、すまないね」

アルミン「ん?」

アニ「あんたに余分な馬1頭、押し付けてしまって…」


アルミン「あぁ…いや、構わないよ」


アルミン「次の壁外調査でさ、僕は予備の馬を連れていく役割だったから慣れているんだ」

アルミン「こうやって2頭、同時に馬を走らせる訓練をしていたからね。まかせて!」

アニ「そっか…」


アルミン「ジャンの馬、どう?…足、早いでしょ?」

アニ「あぁ!憲兵団の馬より早いよ、よく鍛えてある…。さすがは調査兵団の馬だね」

アルミン「高く売れるといいよね…ジャンには悪いけど」

アニ「そうだね…」


アルミン「ねぇ、僕が引いてきた…アニが憲兵団から借りてきた馬…」

アルミン「本当にこの馬も、一緒に売っちゃっていいの?」


アルミン「この馬を売ってしまったら、君はもう戻れなくなるよ、憲兵団に」


アニ「戻る気なんて最初からないよ」

アニ「後戻りなんてのはもう、出来ないんだ」


アルミン「アニ…」


アニ「さぁ、遅くなったけど朝食にしよう」

アニ「あの宿の名物料理、包んでもらったんだ。あんたと私の分」ガサガサ…


アルミン「わぁ…ありがとう!君はすごいね。朝食の事も考えてくれていたなんて…」

アルミン「そう言えば何も食べてなかった。僕はそこまで気が回らなかった…ごめん…」

アニ「い、いや…と、とにかく食べて」

アニ(ベルトル、ありがとう)


アルミン「うん!美味しい…栄養の塊だ。ハムの塩加減もちょうどいい」モグモグ…


アニ「…本当だ……美味しいね…」

アニ(美味しい…しっかり、味がする)


アニ「んっ…!」ゲホッ…

アルミン「アニ!ほら、水もちゃんと飲んで。パンは喉に引っかかりやすいから」サッ


アニ「ありがとう、アルミン」スッ…



アニ「あっ…!」

アルミン「どうしたの?」


アニ「いや…あのさ…これ、間接キ……いや、何でもない…頂くよ」キュポ…


アニ ゴク……ゴク…ゴクッ


アニ「――はぁ…、水も美味しい」



アルミン「…」


アニ「この先にある大きな街で、馬を売ろう」

アニ「いくら王都に近くっても、小さな街なら買い叩かれる…」

アニ「この辺りじゃ、その街が適当だよ」


アニ「ベルトルに『旅行の手引書』を借りて、昨夜…地図で再確認したから間違いない」

アルミン「君がそう言うならそれでいいよ」


アルミン「『旅行の手引書』で見たなら、それはきっと正しい情報だ」

アニ「…知ってるの?旅行の手引書」

アルミン「うん、僕の家にもあったから。僕が見た本は、南側の情報に特化した本だった」


アニ「そっか…あったんだ。ベルトルが探していたから、あいつに教えてやりたいね」



アルミン「まだ、僕の家の本棚にあるかも知れない…」

アニ「えっ…!」


アルミン「いつかさ、エレンと一緒にシガンシナ区へ戻れたら家の中から探し出して…


アニ「アルミン!!」

アルミン ビクッ!

アルミン「あ!…あぁ、そうだったね」


アニ「アルミン、ごめんなさい…」

アニ(シガンシナ区…あんたは戻りたいんだね。私らが故郷に戻りたかったように)


アルミン「ごめん…今の話は忘れて。僕はもうエレンとシガンシナ区へは帰れない」


アルミン「アニ…震えてるよ」

アルミン「風が冷たいね…汗が冷えたのかな。僕の上着、使って」ヌギッ… ファサァ…



アルミン「昨日、少しだけ…ライナーと話をしたんだ…」

アニ「…」


アルミン「ライナーにね、『君の分の傷薬は要らないんだよね?』って聞いてみた」

アニ「!?」


アルミン「彼は、素直なんだ…とても」


アニ「ラ、ライナーは何て…」


アルミン「『…何が言いたい?』って返されたけど…」

アルミン「この返答の仕方は、間違いなんだよ」

アルミン「この場合は、こう返すべきなんだ」


アルミン「『何の話だ?』…ってね」

アニ「…」ギュッ…


アニ「私が、憎いよね…アルミン」


アルミン「いや、憎いも憎くないも…僕はまだアニの事、よく知らないから…」

アルミン「君が…前に約束してくれた、『いずれ全部教える』って言葉が…」

アルミン「真実になる時を待っているよ」


アニ「…」



アニ「アルミン…何で、私を捕まえなかったの?」

アニ「あんたのところの団長なら、あんたの話…信じてくれそうなものなんだけど…」


アルミン「えっ?」


アニ「何しろ、外の世界と巨人殺しに関しては…あんたのところが一番、積極的だからね」

アニ「ガセでもいいから、巨人に関することならどんな情報でも欲しいだろ…調査兵団は」


アルミン「あぁ、言われてみればそうかも」

アニ「アルミン…」



アニ「私が、シガンシナ区を襲った巨人と繋がりがあるって話…あんたは信じてくれた」


アルミン「だって…アレを見たんだから、君を信じない訳にはいかないだろ?」


アニ「もっと…寄って集ってさ、私から情報を引き出そうとは思わなかったの?」

アニ「私を拘束して、拷問して、勢い余って殺したとしても、別におかしな話じゃない」

アニ「あんたは、それをする事ができた。そして、私の指示を無視する事もできた」


アニ「でも、あんたは今もこうして私の計画を手伝ってくれている…」



アニ「どうして、たった一人で…ここまで付いて来てくれたの?アルミン…」



アルミン「う~ん…」

アルミン「どうしてかなぁ…」


アルミン「隠さずに言うけど、君に他の『仲間』がいるかも知れないと思ったからかな…」


アルミン「人類に敵対する勢力が、すでに壁内に多数潜伏していると仮定してみた…」


アルミン「それだと君を捕まえたり、殺したりしても…何の意味もない。それどころか、」

アルミン「恨みをかっちゃってさ、壁内への総攻撃が始まったりして…」ハハハ…


アルミン「そしたら僕の大切な人達まで危険に晒すことになるかも知れないなぁ…」


アルミン「…なーんて、いろいろ考えたよ」

アルミン「それとまだ僕は、『超大型巨人』や『鎧の巨人』の正体も…知らないしね」



アニ「…」

アニ「アルミンらしい答えだね」


アニ「私に情があるから…なんて嘘を言われなくて、ほっとしたよ。ありがとう」



アルミン「ねぇ…アニ…」

アルミン「…君とは3年間、訓練兵団で共に過ごした仲間だと、僕は思っている。今でも」


アルミン「君の事情は知らないけど、君の正体が巨人だからと言って…」

アルミン「早急に拘束したり、殺したりするやり方は、違うと思う…エレンの例もある」

アニ「…」


アルミン「アニこそ、なんで『僕』だって話だ…僕じゃなくても…

アニ「嫌だっ!!」


アニ「私は、アルミンじゃなきゃ嫌だ…嫌なんだ…」

アニ「アルミンじゃなきゃ、ここまではしなかった…あんたじゃなきゃ…私は…」

アニ「あんたにさえ出会わなければ!私は戦士でいられたのに…全部あんたのせいだ!!」


アルミン「アニ…」


アルミン(ライナーに、言われたな…『アニを愛してはやれないか』だなんて)


アルミン(僕は、人類のためにここにいる…。僕さえ犠牲になれば、そう思っていた)


アルミン(ライナー、僕の目に映るアニは…とても巨人とは思えない。普通の女の子だよ)


アニ「アルミン、これ…」スッ…


アルミン「ん…?これ、仕掛け指輪…」

アルミン「あの時見せてくれた、君の指輪?」

アニ「そう…」


アニ「私も…指輪が欲しくなった。ベルトルが羨ましくて仕方がなかった…」

アルミン「…?」

アニ「それ、つけてみて…細工も見ていいから」

アルミン「う、うん…」


アルミン「すごい…壁内の技術で…作れるのかな、これ」キラキラ

アルミン「ここでかぎ爪を出して…こう…引っ掻いたんだね…うん…やっぱりすごい!」

アニ「アルミン…子供みたいだ」フフッ


アルミン「僕の人差し指じゃ、全然奥まで入らないね…君の指は細いんだ」

アルミン「いつも強くてたくましい君だけど、こんな時は女の子だって事を強く感じるよ」


アニ「…」


アニ「アルミン…駄目だよ、そんな事を言っちゃ…」


アニ「女は、みんな乙女なんだ…私もそう。強がってはいるけれど、傷つくよ、その言葉」



アルミン「ご…ごめん…」



アニ「この指輪じゃ、アルミンの指のサイズはわからないね」


アルミン「ん?」



アニ プチン


アニ「じっとしてて…」


アルミン(髪の毛?僕の薬指に巻き付けている…。どんな意味が…)


アニ「このまま、こよって外すからね」


アルミン「う、うん」



アニ「よし!切れずに取れた。ハンカチに包んで…」

アルミン「アニ、何してるの?」



アニ「これは私の自己満足だよ…買ったら、いつか渡すね、アルミン」



アルミン「え…あ、うん…」




~ウォール・シーナ西区~

街道沿いの物流の拠点・商業都市




アニ「一人で大丈夫かい?アルミン」

アルミン「大丈夫、交渉なら任せて」


アルミン「少しでも高く、3頭の馬を売ってくる。コツは掴んであるから!」ニコ

アルミン「早めにこの街に決めたから、まだ10時前だ…時間に余裕もある」

アルミン「この馬を至急手放して、荷引き馬と幌付き馬車を買って…」


アルミン「あ!後は薬も買ってくる。多めにね。この先、何があるかわからないから…」

アルミン「僕らはおそらく…薬も手に入りにくい所へ向かうだろうしね」

アニ「…」


アニ「あんたは賢いね。もう、分かってるんだろ…私らの行き着く先を」


アルミン「ほぼ確信はしてるけど…きちんとした説明は欲しいところだね」


アニ「馬の処分が難航しない限り、今日中に宿に帰れるよ。宿に戻ったら説明する…」


アルミン「うん…ありがとう、アニ」


アルミン「アニはこれからどうするの?」

アニ「私は…これから少し寄る所があって、その後、あんたと合流する」


アルミン「待ち合わせ場所は…そうだな、あの時計塔の下でいいかな?」


アニ「あそこだね、良い場所だ。この街からならどこだって見える」


アルミン「今後の旅に必要なもの、予約して押さえておいて…お金はすぐに用意する」

アニ「分かった。あぁ、あと雨具を4枚揃えておかないと…薄手で動きやすい物を…」

アニ「ユミルとクリスタの分は厚手の外套を買ってやらなきゃ…身体を冷やさないように」


アニ「待ち合わせ時間は…ま、なんとなく分かるよ。決めないでもいいか」

アルミン「何となく…分かっちゃうの?僕の事なら何でも知ってるみたいだ、アニは」


アニ「心が通じ合ってる?私たち」

アルミン「ふふっ…だと良いね!」


アルミン「じゃ、僕は行くよ。またね、アニ」


アニ「冗談で、言ったわけじゃないんだけど…」ハァ…




~大通りの薬局~



アルミン(馬…売れたは良いんだけど…)

アルミン(ジャンの馬だけ売れ残ってしまった…)

アルミン(足も早くて良い馬なんだけどなぁ…ちょっと臆病な所があるんだよね…)

アルミン(まさか、試乗の際に仲買人を振り落すとは思わなかったよ…アニに何て言おう)



薬局の店番「お兄さん、何を買うか決まった?」

薬局の店番「使い方が分からない薬があれば何でも聞いてね?」

アルミン「うん!ありがとう。親切だね」


薬局の店番「へへへ…実はね、このお店パパの店なの。私、跡継ぎ娘でね。今修行中…」

アルミン「そうなの?じゃ、薬は詳しい?」


薬局の店番「まぁね、小さい頃から薬に囲まれて育ってきたから」


アルミン「そっか…僕より少し年下に見えるけど、しっかりしてるんだね」ニコッ

薬局の店番「ふっふっふ、おだてても、値引きはしてあげられません!」

アルミン「分かってるよ。今だけは僕、お金持ちだから値引きはいらないよ!」アハハ


アルミン「まず、傷薬だね…大量に欲しい。出来れば使用期限が長い物。包帯もね」

アルミン「あと、やけど等に効く外用薬、胃薬や目薬、気付け薬、手を洗浄する消毒液」

アルミン「傷口を縫う針と糸に、歯の治療薬と…えっと、それから…


薬局の店番「ちょ…ちょっと待って!そんないちどきに言われても分かんないって!!」

アルミン「あ…あぁ、ごめん…」


薬局の店番「あなたすごいね、そんなにたくさんのお薬どうするの?うちで買ってくの?」

アルミン「うん、そのつもりだよ」


アルミン「この店、親切で品ぞろえが豊富だって通りの人に聞いて来たから」

薬局の店番「そっか…」


薬局の店番「わかった!全部揃えるから、ゆっくり言って…」

アルミン「はいはい。こっちも了解」


アルミン「ん…?」

アルミン「ねぇ、そこの棚の小瓶…何の薬?」


薬局の店番「あー…えっとね、あれは、その…安楽死用の薬かな…」

薬局の店番「毒を持つある植物から成分を抽出して…濃い液体にしたものだよ」

アルミン「人を死に至らしめる…毒薬…」

薬局の店番「そう、病気とかでね、死期が近い豪富が買っていくの…一般の人もいるけど」

薬局の店番「薬が薬だけに、身元がはっきりした人じゃないと売らないの」


アルミン「そりゃ…毒だもんね。悪用されたら君たちも困るだろうしね」


薬局の店番「そうなの。しかもこの薬は良く出来ていてね、無味無臭で…」

薬局の店番「苦しいのは一瞬だけ、あっという間に心臓をマヒさせて鼓動を止めてしまう」

薬局の店番「うちだけしか売ってない、我が家に伝わる秘伝中の秘伝の薬なんだ」


アルミン「…」


アルミン「ねぇ…」


アルミン「その薬、いくら?」


薬局の店番「…えっ」

アルミン「少し高くても、買うよ」


薬局の店番「お兄さん…まさか、自殺する気?」


アルミン「ははっ、まさか…そんなつもりは今の所ないんだけど…」

アルミン「この先、すごく怖い思いをするかも知れなくてね…お守りに欲しいんだ」


アルミン「4人分の致死量の薬が欲しい」



薬局の店番「…駄目よ」

薬局の店番「あなたに、この薬は売れない」


アルミン「悪用は絶対にしない!誓ってもいい…」


アルミン「僕は、シガンシナ区出身…アルミン・アルレルト」

アルミン「現在、調査兵団に所属していて、王に心臓を捧げた兵士だ」

アルミン「身元はしっかりしている。なんなら兵団に照会してもらっても構わない!」


アルミン「お願いだ、僕にその薬を売ってくれ!!」



薬局の店番「だ…駄目だったら!知らない人に売ったらパパに怒られちゃうよ…」


アルミン「じゃあ、この棚の上から下まで、全部の薬を買う!どうだい?これでもダメ?」


アルミン「君は…パパが帰って来た時、ものすごく褒められるよ」

アルミン「こんなにたくさんの薬を売ってくれた出来た娘だって…」


アルミン「もし君がこの薬を売ってくれないのなら…僕は何も買わずに店を出る」


薬局の店番「…」


薬局の店番「悪い事には…使わない…?」



アルミン「うん…僕がこの薬を使う時は、ただ一途に…」

アルミン「この先の人類の平和を願う時のみだ」


アルミン「君に誓うよ!悪用はしない。約束する」 バッ!



薬局の店番「綺麗な姿勢…これ、敬礼だね」

薬局の店番「…」


薬局の店番「あぁ、もう!…面倒な事になっちゃったなぁ」

薬局の店番「わかったよ!もう、いいよ…私、あなたを信用するから」

薬局の店番「でも、後で兵団にも照会します。あなたの言っている事が、本当かどうか」