望「運命石の扉なんて木造のしみったれた扉!不良の蹴り一発で吹っ飛びます!」 (17)

七月二十八日

望「フフフ………」

望「おっと、それどころではありませんでした」ピッ

望「私です、現地に到着しました、そうです、これから会議に潜入します」

望「ドクター中鉢にはまんまと出し抜かれてしまいましたがわざわざ記者会見を開くとは……」ピタッ



ゲッペル望『……………』ジーッ



望「(こんな大通りで何やってんだろう……俺……)」

望「そ、そそそ、そっ、そうなんですか!それが運命石の扉【シュタインズ・ゲート】の選択なんですね!そうですか!!エル・プサイ・コングルゥ!!」ピッ

望「ハァ……」

プー、クスクスクスクス

望「(遅かったか………)」

望「絶望した!!秋葉原で他人を嘲笑出来る程自分に余裕があると思い込んでる人の多さに絶望した!!」

可符香「先生、どうしたんですか?こんなところで」

望「おや、可符香さんじゃないですか、今日はドクター中鉢のタイムマシンの記者会見があるんですよ」

可符香「そういえば発表会があるって言ってましたね、でも発表会は大ビルだと言ってませんでした?また発明家に二番煎じのアイデアばっかり出すなとか言って追い出されたんですか?」

望「発表会ではなく記者会見です!あとドクター中鉢の記者会見は向かい側の無線館です!追い出されたりもしていません!あとそれから、」

望「私は先生ではありません!世界に絶望をもたらさんとするマッドティーチャー、ビックバン絶望です!」



可符香「ティーチャー、ってモロに先生って自称してるじゃないですか」

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~~無線館内~~

可符香「そうですか、ここで記者会見があるんですね」

望「私の言葉は最初からスルーでしたかそうですか」

可符香「あれ?その人って確か醤油の……」

望「それはきっと違う世界の人です」

可符香「そうでしたか、おかしいとは思ってました!バネ靴や携帯手袋を作るイロモノ発明家がタイムマシンを作るなんて神の祝福があったとしか思えなかったんです!」

望「発明家の皆さんは苦労をして色々なモノを作っていますが、天才と呼ばれる人間は苦労というか面白半分で歴史に名を残すんですよね」

可符香「それにしても………」



シーン……



可符香「記者会見なのに記者と皆さんが全くお見えになりません!これはうるう記者の皆さんが頑張っているということでしょうか!」

望「まあ大体合ってますね」



キィィィィィィィィィ…………



望「ん?」



ズズゥン!!



望「じ、地震……でしょうか?」

可符香「多分震度二くらいですね、あ、そういえば震度とマグニチュードってどう違うんでしたっけ?」

望「キムチとチゲみたいなものでしょう、そんなもの気分で使い分ければ良いんですよ!」

可符香「適当ですね」

望「ああもう、とにかく!可符香さんはここに居てください!死んだらどうするんですか!」

可符香「大丈夫ですよ、尊い命がこんなところでいともあっさりと消える訳が……」

可符香「あっ、行ってしまった」

~~屋上~~

望「これは………」

望「人工……衛星……?」

望「ドクター中鉢の出し物でしょうか……とりあえずどんなモノなのでしょう…」



「感電するヨ!危険だからそれ以上近寄ったらダメヨー!」


望「えっ」ビクッ

望「か、感電……よく出来てますねえドクター中鉢の発明なんておもちゃ同然だと思ってましたが」



「詳細は会場でお願いシマース!誘導に従ってヨー!」



望「うーむ、どうやら雰囲気からして出し物ではないようですね………ガッカリです」

望「しかし随分小柄な女性ですね……外人なんでしょうけど無駄に日本語が流暢です」

~~無線館階段の踊り場~~

望「…………」ピッ

望「私です、どうも嫌な予感がします、私達が知らない所で何かが起こっているようです……無茶なんてしませんよ、死んだらどうするんですか!エル・プサイ・コングルゥ」ピッ

望「ふーっ、人通りの少ない所なのでゲッペルさんが出ること無く『報告』が終わりました……」

望「さて、それでは可符香さんを探しに行かないといけませんね」

~~無線館七階 いかにも怪しい感じの店の前~~

可符香「………」

望「ああ、ここに居たんですね、どこにいるか見当はついていましたがこの辺は宗教関連の店が少ないので探すのに苦労しましたよ」

可符香「あ、先生、シールが欲しいと思ってまして」

望「シール?女子高生がシールを……ですか?」

可符香「ええ、ポロロッカ星の神の姿が描かれている『神シール』ですよ、この無線館の店ではガチャガチャ形式で買えるんです」

望「ありますよね、そういうシールとかカードとかのガチャガチャ、やりたいならやれば良いじゃないですか」

可符香「でも百円玉を切らしていまして……だから先生から借りようかと」

望「しょうがないですね……良いですよ、百円くらい」

可符香「ありがとうございます」

望「大体こういうシール系のガチャガチャなんて最初からまともなモノは出ないんですよ、コモンのダブリがあらかじめ沢山入れてあるのは目に見えてます」

可符香「そんな駄菓子屋のクジ引きとか秋○書店の応募者サービスじゃないんですから…ツキを大人の都合で片付けるのは辞めましょうよ」ガチャ

ガガガガガガガガ……

ガガガガガガガガ、ジー、ジー

可符香「おや、二枚出てきましたね」

望「まあ、別に悪いことじゃありません、貰っておきましょう」

ズシッ

望「って、なんか妙に重量感ありますね、所詮貼って汚くなって削って捨てるだけのシールの癖に」

可符香「あっ、これは『神』ですよ!それもメタルの神です!」

望「シールがメタルって意味あるんですか!?」

望「でもなんでもかんでもメタルにしてしまえばレアっぽいですよね某カードゲームでは実際に雑魚カードでもメタル化にしてプレミアっぽくしたらしいですし」

可符香「ちなみにこれはおこぼれを司る神、バルボラ三世のシールです」

望「おこぼれを……あっ、二枚ってそういう……」

可符香「で、もう一枚は……」

望「……なんですかね、このグニャグニャした塊は」

可符香「これは祝い事の神様、コングラッチュ霊神ですね、私はシールシリーズだったらブル魔が好きです」

望「せいっ!」ブンッ

可符香「ああっ、神が!!」

可符香「いくらシールと言えど祝い事の神様を投げ捨てたら罰が当たりますよ!」

望「いや、だから私は絶望をもたらすマッドティーチャーですから!祝い事とかどうでもいいです!」



「本日は、ドクター中鉢によるタイムマシン発明成功記念会見にお集まりいただき誠にありがとうございます、ただいまより当館八階、イベントスペースにて記者会見を行いますのでご参加のかたは……」



望「ほら、行きますよ、可符香さん」

可符香「待ってください、今シールに名前を……」

望「神を投げ捨てるのはアウトで神に自分の名前を書くのは良いんですか……」

望「もう、先に行ってますよ!」

~~無線館八階 イベントスペース~~

望「絶!望!し!た!!!」

甚六「な、なんだね君は!!」

望「私が誰か?どうだっていい!それより貴方が語ったのタイムマシン理論は何ですか!専門板のクソコテのパクリじゃないですか!!よくそんなものを記者会見で発表出来ますね!」

甚六「おい、誰かそいつを摘まみ出せ」

望「貴方が発明界から出ていけ!専門板のクソコテなんて世間から見ればただのキ○ガイですよ!そんなキチ○イの言うことをパクるなんて正気の沙汰とは思えませんね!」

甚六「黙れ!生意気な若造めが!!」



「あの……ちょっと」グイ

望「離しなさいッ!邪魔をしようものならこの左手の薬指に宿った……ん?」

望「(アレ?この娘……どこかで……)」

「とにかく、こっちに、」

望「え?あ、ああ、はい」

~~無線館のどこか人通りの少ないところ~~

望「(誰だっけこの少女……確かどっかで……)」

望「(ああ!そうだ!確か訴訟のスペシャリストと名高い木村カエレという少女!)」

望「(脳内で説明口調も難ですが、彼女は確かアメリカで気に入らない相手に訴訟を起こしては社会的に抹殺した上に金まで絞り取る!
  訴訟では未だかつて負けた事の無い上に勝ち取った賠償金で豪遊するという極悪非道の17歳!
  あとついでにヴィクとル・コンドル大学に通えるくらい頭が良いと……)」

望「(そして私はこの訴訟大好きっ娘に連行されている……これはつまり……!)」

望「そっ、訴訟だけは勘弁してください!!こ、この通り!!」バツ

望「ど、どうか!こんな公務員の頭なんか下がっても貴女の溜飲が下がるか分かりませんがどうか!この通り!!」

木村「ふざけてないでちょっとこっち来てください」

望「YES」

木村「………貴方、さっき何を言おうとしたんですか?」

望「長かったですか?えーと、頭なら幾らでも下げますので訴えないで下さい、って」

木村「は?訴える?」

望「(も、もしかしてこちらに罪を自白させる気でしょうか……いやしかし私には何ら身に覚えが無いわけですし……)」

望「(そ、そうだ!こんな時の為に友達が少ないのに携帯を買った意味が……こんな所ならゲッペルさんも出ませんし)」ピッ

望「わ、私です、『機関』のエージェントに捕まりました、ええ、なんとかボロを出さずに和解を申し入れて見せま、」

木村「人の話を聞いて下さい!!訴えますよ!!」パッ

望「わああ!!ですから訴訟だけは……」

木村「あれ?この携帯電源が入ってませんが……」

望「(ゲッペルさんには見られなかったけど面倒臭い人に見られた)」

木村「誰と喋ってたんです?」

望「貴女に答える権利はありませんが教えてあげましょう、それは私以外が触ると電源がOFFに」

木村「ああ独り言ですねはいはい」

望「Exactry」

木村「それで?改めて聞きますが貴方は何を言おうとしたんです?」

望「さっきと言われましても……木村さんに会ったのは今が……」

木村「十五分くらい前です、会見が始まる前」

木村「私に何か言おうとしませんでした?」

木村「泣き出しそうな、辛そうな顔で何かを訴えかけるような……」

望「(やっぱり私は訴えられるのか?それで私の守護霊が必死に……)」

木村「ところでなんで私の名前を?」

望「わ、私のメガネはなんでも見えるんですよ……ははは……」

望「では、さらばです訴訟少女!!次に会うときは敵同士です!」

木村「法廷で一丁殺り合うんですか?良いですよ」

望「冗談ですよフゥーハッハッハッ!!」

望「(顔を覚えられない内に全力ダッシュで逃げよう)」ダッ

~~無線館三階らへん~~

望「(さて、見るものは見たしこのまんま逃走してしまおう……)」

望「(って、しまった!可符香さんを忘れて来てしまった!!)」

デンドンデドンデンドンドンデンドンデンドンデンドンデンデンデドンドン

望「おや、メールが、友達なんと片手で数えれるくらいしか居ませんしどうせチェーンメールでしょうけど一応見ますか」ピッ

望「って、よりによってムービーメールですか、容量喰うから面倒なんですよねこれ」ピッ

望「ひとつ目は砂嵐のメール……井戸が浮かび上がったりするんでしょうか?」

望「二つ目は黒画面に無音……よくネットである定番の『化物が写る画像』のネタでしょうか」

望「まっ、まさかこれが『機関』の攻撃……!?いや、私は自分の顔では絶望しませんよ!失礼な!」



望「そうだ!可符香さんの電話番号なら登録してあるし可符香さんに電話を掛ければ良いんだ……すっかり忘れていた……」

ピッピッピッピッ……プルルルルル、プルルルルル……

望「で、出ない!!こういう時に限って……!」

望「はっ、もしかして木村さんは可符香をターゲットを訴訟を……」

望「そ、それが『機関』のやり方だというのですか……!!なんて残酷な……!!」



ゲッペル望『…………』



望「すいません」

~~会場~~

可符香「あ、先生、バルボラ三世が何処かに行ってしまわれたので探してたんですよ」

望「そうですか、『行ってしまわれた』んですか」

可符香「神はとても気まぐれだからまた新しいおこぼれに行ったのかも……」

望「まあまあ、シールなんてまた当てれば良いじゃないですか」

可符香「当たりませんよ!神は千年に一度一万円分の百円玉ををご奉仕し続けてやっと当たるかどうかって言う信者の統計も出てるんです!」

望「『その後彼等の行方は誰も知らない』で終わる小説並に胡散臭い話ですね……」

可符香「神よ、チャーハンライスと梅おにぎりを用意してますよ、出てきてください」

望「こんな糞暑い日にそんな米を沢山押し付けられても!」



「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



望「!?」

可符香「悲鳴……ですか!?」

望「可符香さん!貴女はここにいて下さい!何処にも行かないでくださいね!」

~~声がした所(推定)~~

望「(さっきの声……あれはもしや……いや、そんな事を考えるのは今は止めましょう)」

望「えーと、確かここらへんで悲鳴が……」

望「……………え?」



木村「」プラーン



望「(ど、どうして……!)」

望「(じ、自殺?何故?さっきまで話してた彼女が……自殺?)」

望「う、う、嘘だ……嘘だ……!!」

係員「一体何の騒ぎ……うわっ、何鼻血垂らしながら首吊ってんだコイツ!」

係員「警察だ!警察を呼べ!!」

望「と、とにかく可符香さんの所に戻らねば……!」

~~会場~~

可符香「あっ先生、一体何があったんで……」

望「はっ、早く!出ますよ!」

可符香「えっ?ああ、はい」

~~~

可符香「何があったんですか?顔色が凄く悪いですが……」



望「人が……死んでた」

可符香「………えっ?」



望「(外に出た……が、私の気持ちは一向に落ち着かない)」

望「(何故あんな事に……何故自ら命を……)」

望「(まあ自殺の理由なんて他人の事情ですからそこまで踏み込めませんし踏み込むつもりもありませんが)」

望「(しかし……こんな時どうやって自分を落ち着かせれば……)」

望「(そうだ!木村さんの事を教えてくれた彼にメールをしましょう、あまり気は進みませんが)」

[日付]七月二十八日
[内容]木村カエレが自殺したみたいだ。何故かは知りませんが。ヤバイ。死んでる

望「(鼻血垂らしながら首を吊ってるんです、大丈夫な訳がありませんし確実に死んで……)」

望「(いや、アレは『死』なのでしょうか?首を吊るくらい私もしょっちゅうですし可符香さんも良く『魂の解放』とか言ってますし……)」

望「(まあいいでしょう、早くこれを送って後は終わりにしたいものです……)」

望「(これが、運命石の扉【シュタインズ・ゲート】の選択……か)」



ピッ



望「(次の瞬間、私は気が付くと)」

望「(無人と化した秋葉原に、私一人で立ち尽くしていた)」

1.2266666*111→0.3333*44466666*111

投下終わり
途中で可符香呼び捨てたりたった十数レスに二時間も掛けてしまった
書き溜めせずにSS書くのは良くないね
それでも書き溜めしないけど

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