アニ(8)「身長ちょうだい」 ベルトルト(8)「えぇー…」(86)

ネタバレ・捏造あり


【故郷】


ベルトルト「無理だよ…」

アニ「…ケチ」

ベルトルト「ケチって……。なんで急にそんなこと」

アニ「理由なんてどうでもいいでしょ。いいじゃないか、私より大きいんだし」

ベルトルト「アニと僕、そんなに背変わらないよ…? 欲しいならライナーに頼みなよ。僕より高いよ」

アニ「」ピクッ

アニ「今ライナーって言った…?」ゴゴゴ

ベルトルト「え」ビクッ

アニ「ぜったいやだ!!」

ベルトルト「ど…どうして?」

アニ「だって、あいつが私のことっ……!!」ハッ

ベルトルト「私のこと…?」

アニ「なんでもない」フイッ

ベルトルト「ええ!教えてよ!ライナーがどうしたの?」

アニ「なんでもないってば。いいよ、もう。身長くれないなら帰る」クルッ

ベルトルト「えっ、アニ、ちょっと待っ」

アニ「じゃあね。また明日」スタスタ

ベルトルト「あ……バイバイ…」

ベルトルト「………」

ベルトルト「行っちゃった」ポツン…

ベルトルト(身長あげられたら、アニは喜んでくれたのかな)

ベルトルト(それにしてもライナー、一体何を…)モンモン


ライナー(9)「おーい、ベルトルト!」タッタッタ

ベルトルト「あ、ライナー」

ライナー「よぉ、アニ見なかったか?」

ベルトルト「さっきまでここにいたよ。……ライナー、アニと何かあったの?」

ライナー「うっ」ギクッ

ベルトルト「アニ怒ってたよ。一体何したの?」

ライナー「実はだな…」

―回想―


ライナー(お、アニだ)テクテク

ライナー『アニ!』

アニ『ライナー』

ライナー『また稽古か?』

アニ『まぁね。今は休憩してるの』

ライナー『大変だな』

アニ『別に』

ライナー『なあ、また何か教えてもらったんだろ? 技見せてくれよ』

アニ『休憩してるって言ったじゃん』

ライナー『つれないな』

アニ『…まあいいけど。でも相手がいないと出来ないよ』

ライナー『俺にしていいからさ』

アニ『本当に?痛いよ?』

ライナー『お前の蹴りくらい大してダメージもねぇよ』ハハハ

アニ『……』

アニ『わかった、やってあげる』

ライナー『よし、来い!』

アニ『…』スッ

ライナー『!?』

アニ『…』ゲシッ!!ダンッ!!

ライナー『ぐっ…!?』ゴロン

アニ『はい、これが今日教えてもらったやつ』

ライナー『おまっ…いってー…』

アニ『私の蹴りなんてダメージないんじゃなかったの?』フン

ライナー『これは反則だろ!』

アニ『うっさい』

ライナー『ったく………チビのくせによくやるよな』ボソッ

アニ『』ピクッ

アニ『今なんて…?』

ライナー『べつに。なんも言ってねぇよ』

アニ『うそ。チビって言ったでしょ』

ライナー『さぁな』

アニ『言った!絶対言った!』

ライナー『じ…事実だろ!』

アニ『やっぱり言ってるじゃん!せっかく見せてやったのに!ライナーのばか!』ダダッ

ライナー『ばっ…お、おい!アニ!』



ライナー「…というわけだ」

ベルトルト「ライナーが悪い」

ライナー「わかってる………ちょっと悔しかったんだよ。今はもう反省してる。だから謝ろうと思ったのに。あいつ、何か言ってたか?」

ベルトルト「僕に身長くれって言ってきたよ…」

ライナー「なんだそれ…」

ベルトルト「はやく謝りに行きなよ。さっき休憩中って言ってたんでしょ?だったらもう家に戻ってるんじゃないかな」

ライナー「ああ、そうする」

ベルトルト「また余計なこと言っちゃダメだよ…?頑張ってね」

ライナー「おう、じゃあさっそく行くか」ガシ

ベルトルト「えっ。なんで僕まで」

ライナー「俺一人じゃ話を聞いてもらえる気がせんからな」

ベルトルト「えー……(怒ったアニ怖いのに…)」

道中


ライナー「しかし、なんて言って謝ろうか」テクテク

ベルトルト「普通にごめんでいいんじゃないの?」テクテク

ライナー「許してくれるかな」

ベルトルト「ちゃんと言えば大丈夫だよ。あとは身長あげれば許してくれるんじゃない?」テキトー

ライナー「うーむ………あっ」ピタッ 

ベルトルト「いてっ」ドシッ

ベルトルト「急に止まらないでよ、ライナー…どうしたの?」

ライナー「ほら、あそこ」

ベルトルト「! アニだ。何やってるんだろう?」



アニ「」プラーン



ライナー「木の枝に…ぶらさがってるな…」



ベルトルト「(…もしかして、あれで身長伸ばそうとしてるのかな)…声かける?」

ライナー「そりゃあな」

ライナー「おい、アニ!」

アニ「っ!? あっ」パッ ドシン

ライベル「!!」

ベルトルト「ア、アニ!!大丈夫!!?」

アニ「いった…」

ライナー「おい、大丈夫か!?」

アニ「うん…」

ベルトルト「ほんとに?どこか痛いとこない?」オロオロ

アニ「…このくらい平気」

ベルトルト「よかった…」ホッ

ライナー「ごめんな、急に声かけて」

アニ「ううん。心配してくれてありが……って、ライナー」

ライナー「…おう」

アニ「…何?」プイッ

ベルトルト「ほら、ライナーはやく」ヒソヒソ

ライナー「…その、アニ。さっきは悪かったよ…お前があんまり強いから、ちょっと悔しかったんだ。すまなかった」

アニ「………」

アニ「………いいよ。私も…あんな技かけてごめん」

ライナー「いや、すごかったよ。よかったら、今度俺にも教えてくれ」

アニ「…考えとく」

ベルトルト「よかった。これで仲直りだね」フー…

アニ「言っとくけど、今度ああいうこと言ったらまたアレくらわせてやるからね」

ライナー「わかってるよ」


ライナー「そういえば、お前稽古の休憩中だったんだよな?戻らなくていいのか?」

アニ「あ」

ベルトルト「忘れてたの?」

アニ「あー…うん。お父さん怒ってるかな…」

ベルトルト「どうだろう。でも、アニのお父さんって厳しいよね」

ライナー「そのときは俺たちも一緒に謝るよ。早く戻ろうぜ」

ベルトルト「そうだね、心配してるかもしれない」

アニ「うん」

ベルトルト「走ろう」タッタッタ

ライナー「ああ。しかしアニお前、さっきそこで何してたんだ?」タッタッタ

アニ「さっきって?」タッタッタ

ライナー「ほら、枝にぶら下がってたじゃないか」

ベルトルト「ライナー、それは…(聞かないほうが…)」

アニ「…運動してただけだよ」

ライナー「何の運動だよ」

アニ「あんたには関係ない」

ライナー「ふーん…。まあいいけど」

ベルトルト(ほっ…。ライナー余計なこと言わなくてよかった)

ライナー「あ、そういや…。アニ、身長が欲しければいつだって俺に言えよ!」

アニ「…は?」

ベルトルト(おい!?ライナー!!?!?)

ライナー「何か分ける方法があるかもしれないからな!」キラキラ

ベルトルト(だからその話題は…!!)

アニ「…仮に分ける方法があったとしても……」

ライナー「ん?」

アニ「あんたからなんて死んでももらわないから!!」ゲシッ!!!!

ライナー「ごふっ」

ベルトルト「ラ…ライナーー!!!」

アニ「ふん…」

アニ「もういいよ。やっぱり一人で帰る。あ、ベルトルトは身長分ける方法思いついたらちょうだいね。じゃ」スタスタ

ベルトルト「あ、うん…」

ライナー「」チーン

ベルトルト「………」

ライナー「うぅ…」

ベルトルト「ライナー、大丈夫?」

ライナー「ああ…。だけどなんで俺は蹴られたんだ…」

ベルトルト「身長の話題だすからだよ…」

ライナー「チビとは言わなかったぞ…?それにお前だってさっき、身長あげれば~とか言ってたじゃないか」

ベルトルト「あれは冗談だよ……」

ライナー「…俺はよかれと思ってだな…」

ベルトルト「ライナー…君は蹴り技の前に、女の子との話し方を教えてもらうべきだね…」




おわり

ちょっとライナーがあほすぎた
読んでくれた方ありがとう

>>1です
乙ありがとうございます

おわりと言ったけどなんとなく思いついたので続き
だいぶベルアニ(というかベル→アニ)かも

【壁内・訓練所】

人気のない倉庫裏


ベルトルト「そんなこともあったね」

アニ「あの後は結局お父さんにも怒られたし散々だった」ジト

ベルトルト「はは……でも、なんで今その話?」

アニ「……対人訓練の時にさ、ライナーが…」

ベルトルト「ライナーが?」

アニ「……そういえばあいつ遅いね」

ベルトルト「(あ、話逸らされた)そうだね」

アニ「ちゃんと集まるって伝えた?ていうか一緒に来ればよかったのに」

ベルトルト「そんな、僕だっていつもライナーと一緒なわけじゃないよ」

アニ「ふぅん、昔はいつもライナーの後ろでメソメソしてたのに。あんた達も変わったね」

ベルトルト「メソメソって…。ここに来るところを見られたらいけないし、ちょっと手間取ってるのかも。そのうち来るよ」

アニ「それもそうか。まあ、今日は特に緊急なわけでもないしね」

ベルトルト「ああ。で、そのライナーがどうしたの?」

アニ「……………。思い出したらイライラしてきた。ほんと腹立つ」ゲシ

ベルトルト(よくわからないけど、また君は何か余計なこと言ったんだな、ライナー…)

ベルトルト「…壁、あんま蹴らないほうがいいよ。この倉庫古いって聞いたし」

アニ「そうなの?じゃあ思い切り蹴ったら崩れたりしてね」ゲシゲシ

ベルトルト「………そうなったらアニが怪我するよ。やめなよ」

アニ「その反応、私の蹴りで倉庫崩れるかもって本気で思ってる?」

ベルトルト「まさか」

アニ「よかった。じゃなかったらあんたを蹴ってた」

ベルトルト「……けど、そうやって蹴ってたらつま先痛めそうだし、やめてほしいとは…思ってる」

アニ「…そんな全力でやってるわけないだろ。心配性だね」…ピタ

アニ「痛めようが怪我しようが、どうせすぐ治せるのに」

ベルトルト「治せたって痛いものは痛いだろ。アニの苦しむところなんて、僕は見たくない」

アニ「……苦しむって、あんた大げさ」

ベルトルト「ごめん」ウツムキ

アニ「はぁ…どうせなら痛みも消せたら良かったのに。なんてね」

ベルトルト「…どうだろう。仮にそうだったなら、僕たちは本当に人間で無くなってたかもしれない」

アニ「そんなの今更だね。今だって、もうじゅうぶん化け物だ」

ベルトルト「そう…なのかな」




アニ「…………」

ベルトルト「…………」

アニ「どうすんのこの空気」

ベルトルト「ごめん、もうこの話はやめよう。なんだっけ、そうだ。ライナーだ。ライナーがどうしたって?」

アニ(……こういうとこ結構無理やりだね、ベルトルトは)

アニ「ライナーにね………身長のことでからかわれた」

ベルトルト「えっ!?(あの時以来、アニの身長の話はほぼタブーだったのに…)」

アニ「しかもあのエレンを連れてだ」

ベルトルト「エレンを……」

アニ「そう。二人仲良くペアで組んでると思ってたら、急に私のところに来てね。喧嘩ふっかけてきたから買ってやったよ」フン

ベルトルト「……一応聞くけど、どんなふうに?」

アニ「そりゃ、約束どおりあの技を」

ベルトルト「そ、そう…」


アニ「…………私ってそんなに身長低い?」

ベルトルト「え、ええっと」タジッ

アニ「…ごめん。本当はわかってるんだ。私が一般的に見ても、随分小さいことなんて」

ベルトルト「……別に、小柄なのが悪いこととは思わないけどな。僕は、だけど」

アニ「ま、あんたみたいなデカブツには分からないだろうね」

ベルトルト「ひどいな。僕だって好きで大きくなったわけじゃないのに」ムッ

アニ「へぇ…あんた縮みたいんだ?それなら少しわけてよ」

ベルトルト「出来るものならそうしたいけど、こればっかりはね…」

ベルトルト「というか、さ…前から聞きたかったんだけど」

アニ「何?」

ベルトルト「アニは、どうしてそんなに身長がほしいの?」

アニ「……………………」

ベルトルト「い、いや、答えたくないならいいんだけど(なんとなく雰囲気で聞けるかと思ったけど、やっぱりダメか)」アセアセ

アニ「……………………高くなりたいわけじゃない。人並みになりたいだけ。色々と面倒だから」

ベルトルト「そ、そっか」

アニ「あと…………。………………………………私だけ、だから」ボソッ

ベルトルト「え?」

アニ「…………私だけ低いから」

ベルトルト「?? ひ…小柄なのはアニだけじゃないと思うけど。ほら、クリスタとか」

アニ「~~~壁内の人類と比べてどうするんだ!」グイッ

ベルトルト「うわっ(ち、近い!顔近い!)」

アニ「…………ほら、こうでもしないと視線さえ合わない」

ベルトルト「ア、アニ、あの//」

アニ「あんた達ばかりデカくなって、話す時だって私の頭上でベラベラと………ってベルトルト?聞いてる?」

ベルトルト「あっ、えっ、うん。聞いてる聞いてる」ドキドキ

アニ「怪しい。別に聞いてなくていいけど」パッ

ベルトルト「本当だって、聞いてたよ」

とりあえずここまで

ベルトルト「……アニ、自分だけおいてかれたみたいでいやだったんだ?」

アニ「……あんたがそう思いたいならそれでいいんじゃない」

ベルトルト「じゃあ、そう思っとく」

アニ「勝手にしな。……何屈んでんの?」

ベルトルト「こうしたら目線同じかな、って」

アニ「……なんかムカつく。あとニヤニヤすんな」ストン

ベルトルト「あっ。アニ、そんなとこ座ったら服汚れるよ」

アニ「いいの。どうせ後から着替えるから」

ベルトルト「まだお風呂入ってないの?」

アニ「…シャワーは浴びた。また後でちゃんと入る」

ベルトルト「………そう(この後…ふーん…)」

アニ「…あんたさ」

ベルトルト「ん?」

アニ「他の女子にもそういうこと簡単に聞いちゃうわけ?」

ベルトルト「何が?」

アニ「はぁ…風呂がどうこうとか、あんまり気軽に言うのやめときなよ。一日中訓練で汗かいてさ、女はそういうの気にする奴が多くて面倒だからね」

アニ「まあ、あんたに女子とそういう会話する機会があるのか知らないけど…」フイ

ベルトルト「そっか…ごめん。今度から気をつけるよ」

アニ「どうして私に謝んの」

ベルトルト「アニだって女の子じゃないか」

アニ「……」

間開いてしまって申し訳ない

以下続き

ベルトルト「アニ?」

アニ「何」ジロ

ベルトルト「その。いきなり顔伏せるから」ビクッ…

アニ「伏せたらいけないの?」

ベルトルト「そんなことはないけど」

アニ「じゃあほっといてよ」

ベルトルト「わ、わかった…(急にどうしたんだ…)」

アニ(なんなんだよベルトルトは。私は…私たちは、そんなんじゃないだろ。幼馴染で性別なんて関

係なく過ごしてきたのに)

アニ(なんでそういうこと言うんだ。ていうか、そう思ってるんなら普段からもっとそれらしく接

して……ん?私はそういうふうに扱われたいのか?)

アニ(…違う、私は二人と違うのがいやで、私だけ混ざれないのが悔しくて、それで)

アニ(ああもうわけがわからなくなってきた。考えるのやめよ…)ブンブン

ベルトルト(僕何かまずいこと言ったかな…とりあえず今は黙っといたほうが良さそうだ)

ベルトルト(それにしてもライナー遅い。何してるんだ?まさか忘れてたり?)

ベルトルト(いや、ライナーに限ってそんなこと。もう少し待ってれば来るよね……)ズルズル ストン

アニ「えっ」

ベルトルト「えっ?」

アニ「なんであんたまで座るの?」

ベルトルト「立ちっぱなしで疲れたから…」

アニ「さっき私に服汚れるとか言ってなかったっけ?」

ベルトルト「これくらいなら別に…」

アニ「人の服の心配はするのに自分のはどうでもいいんだ」

ベルトルト「僕は、まあ。はたいとけばいいから」

アニ「他人のは気にして自分はいいって、よくわからないね」

ベルトルト「……さっきのは、アニだったから言っただけだよ」

アニ「ますます意味分からないんだけど」

ベルトルト「あはは…(わからなくていいかも…)」



アニ「………暇だね」

ベルトルト「うん」

アニ「眠くなってきた」ゴシゴシ

ベルトルト「最近の訓練、結構ハードだからね」

アニ「さっさと戻りたい。そして寝たい」

ベルトルト「僕も…あ、でも座学の課題がまだ終わってないんだった」

アニ「誰かに見せてもらえば?」

ベルトルト「ならアニのを見せてよ」

アニ「無理だね。何のために他人のフリしてるんだか」

ベルトルト「…ごめん、冗談」

アニ「今のが?」

ベルトルト「一応」

アニ「わかりにくいよ」

ベルトルト「ごめん」

アニ「すぐ謝るのやめて」

ベルトルト「ごめ……あ、いや、うん。はい」

アニ「…あんたさ、メソメソはしなくなったけどオドオドしてんのは変わらないね」ハァ

ベルトルト「…直したほうが、いいかな」

アニ「困らないんならそのままでもいいんじゃないの」

ベルトルト「アニは、その、どう思う?」

アニ「あんたがオドオドしてること?」

ベルトルト「う、うん」

アニ「別に…見慣れてるから今更なんとも、ね」

ベルトルト「そっか…」

>>1です
レスありがとう
以下続き

アニ「でも」

ベルトルト「でも?」

アニ「あんたはそのままでいいよ。いきなり変わられても、ライナーみたいになっちゃったんじゃないかって不安になるからね」フッ

ベルトルト「……僕は兵士にはならないよ」

アニ「根拠は?」

ベルトルト「ライナーがああなったのはきっと頼りない僕のせいだ。そのせいで彼も苦しんでる。だから、僕がちゃんと彼を戦士に戻してあげないといけないんだ。そのためも、僕は兵

士になんて絶対にならない」

アニ「大した自信だね」

ベルトルト「それに」グッ

ベルトルト「僕まで兵士になったら君が一人になってしまう」

アニ「そのときは私が蹴り倒してでも二人まとめて戦士に戻してやるさ」

ベルトルト「お、お手柔らかに頼むよ」

アニ「蹴ること自体には反対しないんだ」

ベルトルト「そんな機会なんてないから。……たぶん」

アニ「……そ、頑張って」

ベルトルト「だから……えっと……」ゴニョゴニョ

アニ「何。言いたいことがあるならはっきり言ってよ」

ベルトルト「き、君を置いてはいかないから」

アニ「は?」

ベルトルト「その、僕はずっとアニの味方…だから、というか。………本当は、僕が守るとか、言えたらいいんだろうけど」

アニ「…どちらかというとあんたは守られる側だね」

ベルトルト「情けなくて、ごめん」

アニ「また謝った」

ベルトルト「あっ」

アニ「いいよ、代わりに私が守ってあげるから」

ベルトルト「(好きな子に守られるって…)それはちょっと複雑だな」

アニ「だったらもっとしゃきっとしてよ」バシバシ

ベルトルト「えっ。いたい。痛いよアニ」

アニ(味方、か)

アニ「……ふっ…」クスクス

ベルトルト「!(久しぶりにアニの笑顔見た)」

アニ「どうかした?」

ベルトルト「な、なんでもない(やっぱり、笑ってるほうがずっと可愛い)」ブンブン

アニ「…はぁ」コテン

ベルトルト「え(も、もたれてかかってきたっ!?)」ビクゥッ

アニ「なんだか久々にたくさん喋って疲れた(もうこのまま寝てしまいたい…)」

ベルトルト「そ、そう(アニどうしたんだ!?というか僕はどうすればいいんだ!?)」

アニ「たまにこうしてあんた達と集まる以外大して話す機会も無いからね(座ってても大きいな、こいつ…。肩の位置が高すぎて届かない)」

ベルトルト「話し相手いないの?(落ち着け、僕!)」

アニ「……。いないこともないけど。でもあんた達と話してるほうがよっぽど楽」

ベルトルト「じゃ、じゃあ、集まる回数増やそうか」

アニ「別にいいよ。リスクが増えるだけだ」

ベルトルト「それもそうか」

アニ「話なら故郷に帰った後いくらでもできるしね」

ベルトルト「そうだね。絶対に帰って、いっぱい話そう。三人で……」

アニ「……」

アニ「三人か…」

ベルトルト「……」

アニ「ねぇ、あえて言わなかったけどさ」

ベルトルト「うん」

アニ「もしかして集まること忘れてるんじゃない。あいつ」

ベルトルト「…そんなこと、ないよ」

アニ「言い切れる?」

ベルトルト「……」

アニ「期待したいのは分かるけど。あんたさっき言ってたじゃないか。僕が戦士に戻してあげないとって。だったら…」

ベルトルト「……」

ベルトルト「……僕、呼びに行って来るよ」

アニ「ここに来るの見られないようにね」パッ

ベルトルト「(あ、離れちゃった。しょうがないけど少し寂しい)一人で平気?」スクッ

アニ「こんなところ誰も来ないよ。仮に来たって一人ならいくらでも言い訳できる」

ベルトルト「そうじゃなくて、襲われたりとか」

アニ「何に?巨人に?大丈夫、何が来たって返り討ちにしてやるよ」

ベルトルト「いや、アニは女の子だから他にも色々と」

アニ「そんなに心配だったら早くライナーを連れて戻ってくることだね。そもそも今日だってあんたを待つ間一人でいたのに、今更何言ってるんだか」

ベルトルト「たしかに…今度からもっと早く来るから」

アニ「わかったわかった。早く行って来て。入浴時間が終わっちまう」

ベルトルト「ああ、じゃあ「ベルトルト!アニ!」

ベルトルト「!!」

アニ「!!」

ベルトルト「ライナー!」パアア

アニ「やっと来たか。遅いよ」

ライナー「すまんすまん。ちょっと教官に手伝いを頼まれてな」

ベルトルト「いいんだ。気にしないでくれ。こうしてちゃんと来てくれたんだから(よかった!今のライナーはちゃんと戦士だ!)」ニコニコ

ライナー「お、おう?」

アニ「ほら。さっさと始めるよ」フフッ

ライナー「?? お前ら変わってるな…」

ベルトルト「え?なにが?」

ライナー「いや、後で話す。アニの言うとおりだ。早く始めよう。じゃあまず―――」






アニ「――と、まあ、私から話すことはこれくらいだね」

ベルトルト「僕も。もう特にないよ。ライナーは?」

ライナー「俺もだ」

アニ「じゃあ解散でいいかい?ちょっと急ぎの用があってね」

ベルトルト(お風呂か)

ライナー「ああ。いいぞ」

アニ「どうも。…ベルトルト、ちょっと」グイグイ

ベルトルト「えっ、え?」

アニ「さっきのこと、ライナーに話すんじゃないよ」ヒソヒソ

ベルトルト「さっきってどれ?」ヒソヒソ

アニ「……私が身長欲しがってた理由、とか、色々」

ベルトルト「あれか。どうして?」

アニ「あいつ知られたらまたからかわれるに決まってる」

ベルトルト「そうかな。ライナーも嬉しがると思うけど。アニが僕らとの距離を気にして…」

アニ「」フミッ

ベルトルト「いてっ」

アニ「それはあくまであんたの推測。いいから、話さないで」

ベルトルト「了解…」ズキズキ

アニ「私行くから。じゃあね。ライナーも」ヒラヒラ

ベルトルト「ああ、また明日」

ライナー「またな」

ライナー「アニなんだって?」

ベルトルト「大したことじゃないよ」

ライナー「…ほう」

ベルトルト「僕らも早く戻ろう」

ライナー「そうだな」

ベルトルト「そういえば、さっき後で話すって言ってたのはよかったの?アニ行っちゃったけど」テクテク

ライナー「いや、元々お前にだけのつもりだったからいいんだ」テクテク

ベルトルト「そっか。何?」

ライナー「お前、あんなふうにアニを自分に寄りかからせて、一体何話してたんだ?」

ベルトルト「…………え?」ピタッ

ライナー「ついに告白でもしたのか?」ニヤニヤ

ベルトルト「ちょっと待ってくれ。なんでライナーが知ってるんだ?」

ライナー「おおっ!?まさか本当に告ったのか!?どうだった?」

ベルトルト「違う違う違う告白なんてしてない」ブンブンブン

ライナー「なんだ、もったいない」

ベルトルト「そういう問題じゃなくて。ライナー、君、教官の手伝いしてたって言ってたよな。アレ嘘だったの?」

ライナー「いいや。本当だぞ」

ベルトルト「じゃあなんであのこと知ってるんだよ!」

ライナー「見てたからだ」

ベルトルト「」

ライナー「いい雰囲気ぽかったから、ちょっとな」

ベルトルト「…………いつから?」

ライナー「ん?」

ベルトルト「いつから見て、いや、覗いてたの……?」

ライナー「さぁ、話の内容までは聞こえなかったけど、俺は来たときには二人仲良く座り込んでたな」

ベルトルト「………」

ライナー「す、すまん。つい好奇心で」

ベルトルト「どうして声かけなかったんだよ…僕らずっと待ってたのに……」

ライナー「それは本当に悪かった。だが、邪魔しちゃ悪いかと思って」

ベルトルト「邪魔って何の?」

ライナー「お前とアニの」

ベルトルト「僕とアニはそういうのじゃないから!」

ライナー「すまん。悪かった。この通り!」パンッ

ベルトルト「もう……」

ベルトルト「心配して損した」ムスッ

ライナー「心配って、俺のか?」

ベルトルト「ああ。あんまり遅いから、約束忘れてるんじゃないかって」

ライナー「忘れる?そんなことあるわけないだろ」

ベルトルト「……そうだね。これからも忘れないように頼むよ。約束だけじゃなくて、使命も、故郷のことも」

ライナー「……勿論だ」

ベルトルト「それと、もう覗いたりしないでくれよ」ジト

ライナー「お、おう」

ベルトルト「まったく……明日アニにも謝ってよ。彼女も心配してたんだから」

ライナー「へぇ、アニが?珍しいな」

ベルトルト「当たり前だよ。僕もアニも、君に置いていかれないか不安なんだ」

ライナー「なんだよそれ。俺はお前たちを置いていったりなんてしないぞ。三人で帰るんだからな」

ベルトルト「ああ。三人一緒が一番いい」

ベルトルト「だから…二人でいたって、気を遣わなくていいからね」フイ

ライナー「ああ。今度からな。で、」ズイッ

ベルトルト「?」

ライナー「あの時何話してたんだ」

ベルトルト「は!?」

ライナー「さっきは誤魔化されたし待たせたことも覗いたことも本当に悪かったと思ってるが、それとこれとは話が別だ」

ベルトルト「そ…そういうのじゃないって言っただろ」アセアセ

ライナー「そういうのじゃないわけあるか。あのアニが甘えてたんだぞ?」

ベルトルト「!?(あ、あれは甘えてたのか!?)」

ライナー「さあ教えろ」

ベルトルト「い、嫌だ」

ライナー「もったいぶるなよ」

ベルトルト「…………無理だ。あんな可愛いアニ、ライナーには教えられない」ボソッ

ライナー「お、ノロケか??やっぱり何かあったんじゃないか」

ベルトルト「そんなに聞きたいならアニに聞いたら。僕は絶対言わないから」

ライナー「それは…困難の極みだな」

ベルトルト「なら諦めてくれ」

ライナー「しょうがないな。じゃあ、故郷に帰ったら教えてくれよ」

ベルトルト「えー…」

ライナー「…お前とアニの馴れ初めの一部として」ボソッ

ベルトルト「は…はぁああっ!?な、なに言ってるんだライナー!!そんなのありえないから!!//」カァッ

ライナー「だったら実現できるように今から頑張れよっ」ハハハ

ベルトルト「っ~~~ライナーっ!!」




おわり

途中間開いちゃったりしたけどレスとか見てくれてた人とかありがとう
全体的にライナーの扱いにちょっと反省

ではおやすみなさい

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