櫻子「ま、まちがえた!」(129)

向日葵「櫻子、櫻子」ユサユサ

櫻子「……ん……?」パチッ

向日葵「もう朝ですわよ。起きなさい」

櫻子「ん~……」ノソッ

向日葵「ほら、遅くならない内に顔を洗っ」

櫻子「ん」

ちゅー

向日葵「@∥∀〒▲∂♀〆$!?」

櫻子「んー♪」

向日葵「さ、さささ、櫻子っ!?」グイッ

櫻子「……ん?」

向日葵「……っ」

櫻子「……」

櫻子「あ」

櫻子「ま、まちがえた!」

向日葵「は……はあああああああああああああああああっ!!?」

櫻子「ご、ごめん向日葵! まちがえた!」

向日葵「な、なんっ……間違え、えっ、はあああああ!?」

櫻子「ほんっとごめん! このとーり!」フカブカー

向日葵「あ、謝って済む問題じゃ……! だいたい、間違えた……って、だ、誰と間違えたんですの!?」

櫻子「え?」

向日葵「なんですのその白々しい顔は! 私は誰と間違ってファーストキスを奪われたのか、聞く権利くらいはあるでしょう!?」

櫻子「ち、ちが……そうじゃなくて!」

向日葵「……ああそう。そうですの」

櫻子「向日葵……?」

向日葵「私には言えない相手ですのね! 無理矢理キスまでしておいて!」

櫻子「や、だからちがうって――」

向日葵「もう結構です! 櫻子なんて知りませんから! ばかっ!」ツーンッ

バタンッ!

櫻子「……向日葵……」

ズカズカズカズカズカズカズカ

向日葵「(なんですのなんですのなんですのなんですのなんですの櫻子のばか!)」プンプン

向日葵「(あんな、心の準備もできてない内に無理矢理……だなんて、最低ですわっ!)」

向日葵「(しかも、まさか、こともあろうに!)」

向日葵「……まちがえた……」ポツリ

向日葵「(って! なんですのなんですのなんなんですの!?)」

向日葵「……」

向日葵「(本当、誰と間違えられたのかしら)」

向日葵「……」

向日葵「(櫻子が間違えて私にキスをするような相手)」

向日葵「(想像もつきませんわ……)」

向日葵「(……というか、想像したくな)」

向日葵「」ブンブンブンブンッ

向日葵「……」ゲフンゲフン

向日葵「(被害者として、このまま泣き寝入りは出来ませんわね)」

向日葵「(これでもし、どこかでこっそりエサをやってる捨て猫とまちがえた、とかだったら)」

向日葵「……」

向日葵「(櫻子のやろう、ただでは済ましませんわ)」ギリッ

向日葵「(櫻子の……本来の……キスの相手)」

向日葵「(やはり見当もつきませんが……いるなら同じ学校の生徒、ですわよね)」

向日葵「(知らない人や顔見知りまでは除外するとして)」

向日葵「(親しい間柄の人間をしらみ潰しに探してみましょう)」

向日葵「(そうと決まれば)」

向日葵「急GO!!」ダッ

~教室~

向日葵「おはようございますわ」ガラッ

オハヨーオハヨー

向日葵「(さて、まず一番身近な容疑者は……)」キョロキョロ

向日葵「!」

向日葵「」テクテク

向日葵「……」ジッ

ちなつ「?」

向日葵「……」ジー

ちなつ「あ、向日葵ちゃんおはよー」

向日葵「……」ジィー

ちなつ「向日葵ちゃん?」

向日葵「ガチ川さん!」

ちなつ「ガチ川さんって言うのやめて」

向日葵「あ、はい」

急GO!!は別のスレで見たのがえらく気に入ったからパクっただけだよ!!!

ちなつ「で、どうしたの?」

向日葵「ええ、実は……」ハッ

向日葵「(実は……なんですの?)」

向日葵「(一体なんといえば……)」

向日葵「(『HEYガチ川さん! YOU、櫻子とキスしちゃってんの!?』)」

向日葵「(ないわーですわ)」

向日葵「(ここはとりあえず、無難な世間話から……)」

向日葵「ええと……」

ちなつ「?」

向日葵「ガチ川さん、ガチでしょう?」

ちなつ「うん」

向日葵「ですわよねー」

向日葵「(ってそりゃそうですわ! だってガチ川さんですもの!)」

ちなつ「えーっと……?」

向日葵「あ、ご、ごめんなさい! ええと、そうではなくてですね……」アセアセ

向日葵「(うう……なんて無様ですの、古谷向日葵)」

向日葵「(次期生徒会副会長を志すものなら、もっと柔軟な発想で乗り切るべきですわ!)」

向日葵「!」ピコーン

向日葵「(そうですわ、何も最初から櫻子の名前を出す必要なんてないですの!)」

向日葵「(まずはキスのみに狙いを絞って……)」

向日葵「ガチ川さん」

ちなつ「ガチ川さんって言うのやめて」

向日葵「あ、はい」

ちなつ「で、なに?」

向日葵「ガチ川さんって……キス、したことあります?」

向日葵「(この質問にNOと答えれば容疑者からは除外されますの!)」

ちなつ「え、あるよ?」

向日葵「えっ」

ちなつ「やだな~向日葵ちゃん、13歳にもなったらキスの10や20誰だって……」

向日葵「(け、ケタが違う!!!!)」

ちなつ「……え、もしかして向日葵ちゃん……?」

向日葵「っ!?」

向日葵「ま、マサカー! 私だって、キスの……ひとつや、ふたつくらい……ありますわ!」

ちなつ「なーんだ」ホッ

向日葵「(誤爆ですけど……)」ズキッ

ちなつ「で、キスがどうかしたの?」

向日葵「ええ、実は、その……」

向日葵「(うう、言葉にするのは少し恥ずかしいですわ……)」

向日葵「……ガチ川さん的には、キスってどういうものですの……?」

ちなつ「え?」キョトン

向日葵「えっと、つまり……誤解を恐れずに言うと、遊び半分でもキス出来る人ですの? という意味ですわ」

ちなつ「遊び半分で!? そんな、出来るわけないじゃない!」

向日葵「!」

ちなつ「いい、向日葵ちゃん? キスはね乙女の最強の武器なの」

ちなつ「それを遊び半分で本命以外の相手にするなんて、いけないことだよ!」

向日葵「そ、そうですわよね! 私もそう思いますわ!」

向日葵「(よ、よかったですわー!)」ホッ

向日葵「(ガチ川さん、ガチはガチでもガチなりにガチな方でしたわ!)」

向日葵「(このくらい常識をわきまえていれば、櫻子がその毒牙にかかっているということもなさそうですわね)」

向日葵「(なにせガチ川さんの意中の女性は船見先輩ですし……)」

向日葵「……」

向日葵「(……あら? だとしたら、ガチ川さんの10や20のキスはどこで……)」

ガラッ

あかり「おはよー」\アッカリーン/

ちなつ「!」ガタッ

スタスタスタ

向日葵「?」

あかり「あ、ちなつちゃ――」

ちなつ「――」

ズギュウウウウウウウウウウウウウウウウン

向日葵「!?」

あかり「んむっ!? むぅ、んーーーーーーーーーーっ!?」ジタジタ

ちなつ「くちゅんぱむむにゅぷぐちょるちゃれちょるっるっふぉかぬぽぅ」ヂュー

あかり「」

向日葵「」

ちなつ「っふう」チュポンッ

あかり「」チーン

向日葵「」

スタスタスタ

ちなつ「」ストン

向日葵「……」

ちなつ「で、なんの話だっけー」

向日葵「最強の武器ィーーーーーーーーーーー!!!」

なんかえらい気が散って遅筆遅筆

ちなつ「!?」ビクッ

向日葵「ガチ川さん!!!」

ちなつ「ガチ川さんって言うのやめて」

向日葵「あ、はい」

向日葵「じゃなくて!」クワッ

ちなつ「?」

向日葵「ど、ど、どういうことですの、今のは!?」

ちなつ「今の……?」

向日葵「キスですの、キス!!!」

ちなつ「あー」

向日葵「ほら、赤座さん放心状態ですわ! 登校早々あんなねちっこいキスをされて魂が抜けてますわ!」

あかり「」\アッカリーン/

ちなつ「大丈夫大丈夫、あかりちゃんならいつものことだから」

向日葵「!?」

向日葵「い、いつもって……どういうこと、ですの……?」

ちなつ「そのまんまの意味だけど?」コクビッ

向日葵「小首を傾げられても! ごめんなさいガチ川さん、全然わかりませんわ!」

ちなつ「ガチ川さんって言うのやめて」

向日葵「あ、はい」

向日葵「じゃなくて……え、ええ……?」

ちなつ「どうしたの?」

向日葵「どうしたもこうしたも……だって、さっき言ったじゃありませんの」

ちなつ「なにを?」

向日葵「キスですわ! 遊び半分で本命以外の相手にするなんていけないこと、じゃなかったんですの!?」

ちなつ「うん。でもあかりちゃんは別だよ?」

向日葵「え……?」

ちなつ「だって練習台だもん」

向日葵「」

あかり「」\アッカリーン/

ちなつ「今日のはねー【結衣先輩としてみたいキスのシチュエーションNO.53:朝の出会い頭に濃厚な一発】!」

向日葵「ぇ……ぁ……?」

ちなつ「朝から強烈なのをお見舞いすることでその日一日、結衣先輩の頭の中をチーナでいっぱいにするの! キャッ!」キャルーン

向日葵「ぁ……ぁぁ……」

ちなつ「でもでも、まだ実行に移すには不安だからあかりちゃんで練習するの! へけっ!」キャルルーン

向日葵「ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ちなつ「シチュエーションごとに最低10回、目指せ目標NO100!」キャルルルーン

向日葵「(が)」

向日葵「(ガッチーナ……!!!)」ガタガタガタ

NEMUI……

向日葵「(ダメですわ)」

向日葵「(ダメですわ!)」

向日葵「(彼女の言葉から信憑性の3文字が跡形もなく消え去りましたわ!)」

向日葵「(練習の名の下に好きでもない人の唇を蹂躙するガチモンスター)」

向日葵「(ガチ川ちなつ……!)」

向日葵「!」ハッ

向日葵「(もしかしたら、櫻子もすでに……!?)」ワナワナ

向日葵「……!」ググッ

ちなつ「向日葵ちゃん?」

ガラッ

向日葵「!!!」

続きは寝て起きてからっつったらやっぱ落ちてるかなぁ……

とりあえず2,30分ばかし寝かせて

櫻子「ふぃー間に合った~」

向日葵「さ、櫻子!」

櫻子「へ? あ、向日葵! よくも置いてけぼりにしたな!」

向日葵「……」

櫻子「って……向日葵?」

向日葵「さ、櫻子……」

櫻子「な、なに?」

向日葵「あ、あのっ。あなたが……その、まちがえた、相手って……」

櫻子「……!」

ハーイセキツイテー

櫻子「あ、せ、先生だ!」

向日葵「――」

櫻子「ほらほら向日葵、さっさと席つかないとっ」

向日葵「……」

向日葵「いや、ですの」

櫻子「いやって……でも先生が」

向日葵「それでもいやですの!」

櫻子「!」

向日葵「……」

櫻子「向日葵……?」

向日葵「……私、もう我慢できませんわ」

向日葵「あんなことをされて、あんなことを言われて」

向日葵「それで気にせず普段通りに振舞えだなんて、無理ですの!」

櫻子「向日葵……」

ちなつ「(あんなこと……?)」

ちなつ「(されて……言われて……)」

ちなつ「……」

ちなつ「(ピーーーーーーーーー)……?」

あかり「」\アッカリーン/

向日葵「ねえ、櫻子……」

櫻子「!」

向日葵「お願い、教えてください……」

向日葵「いったい、誰とするつもりだったのかを」

向日葵「ねえ……櫻子――」

櫻子「――」

フルタニサーン、オオムロサーン、セキニツキナサーイ

「「!」」

櫻子「ぁ……せ、先生! 気分が悪いので保健室に行ってきます!」ズビッ

向日葵「さ、櫻子っ!?」

櫻子「ごめん向日葵っ、どうしても言えないの! 向日葵だけには特に!」

向日葵「そんな……!」

櫻子「じゃねっ!」ダッ

向日葵「あっ、櫻子っ!」

向日葵「櫻子ーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

~???~

向日葵「さーちゃん、さーちゃん」ユサユサ

櫻子「……ん……?」パチッ

向日葵「もう朝ですわよ。起きましょう?」

櫻子「ん~……」ノソッ

向日葵「あっこら、布団を被らないで」

櫻子「まだねむいんだもーん……」モゾモゾ

向日葵「またそんなこと言って……あんまり困らせないでくださる?」

櫻子「……」

向日葵「……さーちゃん?」

櫻子「ひまちゃん」

向日葵「なんですの?」

櫻子「私のこと好き?」

向日葵「好きですわよ」

櫻子「大好き?」

向日葵「大好き」

櫻子「大大大好き?」

向日葵「だいだいだーい好き」

櫻子「……どのくらい?」

向日葵「え?」

櫻子「どのくらい?」

向日葵「どのくらいって……難しいことを言いますのね、さーちゃん」

櫻子「ねー、どのくらい?」

向日葵「……」

櫻子「……」ソワソワ

向日葵「……」

櫻子「……」モゾモゾ

向日葵「さーちゃん?」

櫻子「っ」ピクッ

向日葵「ひょっとして、具体的にどうこうして愛情を表わせ、って論法じゃありませんわよね?」

櫻子「ぎくり」

向日葵「口に出てますわよ」

櫻子「ぅ……」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「……えへ?」

向日葵「まったく……」ハァ

櫻子「いやーバレちゃったかー」テヘヘ

向日葵「さーちゃんってば……それで、何をして欲しいんですの?」

櫻子「……えとね。んーっとね……」モジモジ

向日葵「?」

櫻子「そのぅ……ちゅー、してほしい……なんちて」キャッ

向日葵「……」

櫻子「……だめ?」

向日葵「だめ……」

櫻子「」ガーン

向日葵「……なわけ、ないでしょう?」ニコッ

櫻子「」パァッ

向日葵「そんなのお安い御用ですわ」

櫻子「えへへへへへへへ」

向日葵「いきますわよさーちゃん。目、とじて――」スッ

櫻子「んー♪」ムチュー

~保健室~

櫻子「ぶちゅー……」ガバッ

櫻子「」ハッ

櫻子「……」キョロキョロ

シーーーーーーーーン...

櫻子「……」

櫻子「…………」

櫻子「………………」ハァ

櫻子「…………」

櫻子「……」

櫻子「やっぱり」

櫻子「言えるわけないよねぇ……」

はいオチた!今たしかにオチたよ!                                                                正直ゴメン

オチたっちゅーに

オチてるっちゅーに

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