範馬勇次郎「フン・・・海賊王とは・・・」 (50)

その男の立ち位置は、常に強者の前と決まっていた。
その男の背後には、弱き民、貧しき民がいた。
世は大航海時代!!今まさに「地上最強の生物」の船出の時ッ!

勇次郎「・・・退屈せずにはすみそうか」

「地上最強の生物」
この名がどれ程の意味を持つのか、知らない者はいない。
世界中の民は畏怖と尊敬の意を込めて、彼をこう呼んだ。
「オーガ」と。

勇次郎「ふん、船出には丁度良い餌が現れてくれたわ」

オーガの前に悠然と立ちふさがる、近海の主の姿がそこにはあった。
知性の無い彼らは本能により強者の存在を知る。
絶対的で絶望的な力の差を感じ取るや否や、近海の主はきびすを返そうとした。
その時であるッ!!

勇次郎「野生とはいえ、捕食者が被捕食者を前に背を向けるとはッ!!恥を知れッ!!」

邪ッ!!!
轟音が鳴り響くと共に、過去「近海の主」と呼ばれた骸、その姿は正に一刀両断。
既に事切れ、餌と成り果てたその物体を片手にオーガは再び帆を張る。

勇次郎「この世の全てか・・・面白い」

三日程流れたであろうか、オーガは悠然と歩いていた。

勇次郎「賞金首…・・・、腑抜けが管を巻きおって」

エフッエフッという笑い声と共にオーガは森へ入って行く。
絶対的強者として君臨するオーガに、ある者は怯え、ある者は立ち向かった。
しかし「地上最強の生物」の前には、皆等しく餌となり糧となった。

その時、怒号が森の中へなり響いた。

アルビダ「何やってんだいッ!!コビーッ!!」どん!!

コビー「はい、すみませんッ!すぐに掃除を終わらせますから!!」

トゲのついた金棒を片手に醜く肥えた女の姿がそこにはあった。
彼女の名はアルビダ、賞金首の海賊である。
彼女は自らを美しい者と捉え、部下達には事あるごとにこう聞いた。

アルビダ「この世で一番美しいのは誰だいッ!?」
部下「はい!もちろんアルビダ様でございます!!

醜い脂肪の塊はさも満足げに、そして笑うのであった。
その時、全身の毛が逆立つ。
背後から日本刀で貫かれたような衝撃がアルビダを襲った。

勇次郎「ほう、このようなところで賞金首に出会えるとは。ついている」

アルビダの部下達は、悟った。
これこそが噂に聞く「地上最強の生物」である、と。
当然のことながら、人物像を知っていたわけではない。
彼らの種としての本能が教えるのだ、これが「オーガ」であると。

しかし、醜く肥え傲慢に、我侭に振舞ってきたアルビダは叫んだ。

アルビダ「だ、誰だいアンタッ!突然現れやがってッ!」

勇次郎はすかさず答える。

勇次郎「フンッ。名が知れたとは思ってはおらぬが、犬畜生でも本能で引き際というものを知る。」

アルビダの部下達は、気がつくと互いに互いを殴り始めていた。
何故そうするのか、本人達にも理解ができない、が、本能がそうさせていた。

勇次郎「お前の部下は、どうやら正しい」

脂肪は意に介さず再び叫ぶ。

アルビダ「何だってんだいッ!お前達ッ!!」
アルビダ「こんな男、こうやってのしちまえばいいのさっ!!」どん!

勇次郎「造作も無い」

直撃、したはずだった。
脂肪は自らの武器と腕力に自信を持っていた、そのため眼前の光景を理解できなかった。
否、理解することを拒否した。

アルビダ「直撃したはずだよ!?なんともないってのかい!!」

オーガは悠然と立ち振る舞う、その姿には一種の神がかった美しさすらあった。

勇次郎「この程度の打撃、かわすまでもない。しかし、この俺を前に武器を振るう愚かさ…。救えぬ」
勇次郎「身を持って知れッ!!」

轟ッ!!!一筋の風が吹いた。
男は去り際に一言、「お前達は正しい、が、上に立つ者の資質は見抜けなかったようだな」

後には、脂肪の残骸、肉塊と化した「自称美人」の海賊アルビダが転がっていた。

当然のことながら、オーガはアルビダの元へ向かったわけではない。
強者であるが故、肉は不運であった、それだけのこと。

勇次郎「ふむ、ほう、ふむ」

オーガが道中立ち寄ったレストラン、その名も海上レストラン何とか。
乱暴、横暴、暴力によって成り立つレストランである。
オーガは後に「黒足の惨事」と呼ばれるコックの蹴りを悠然と受けていた。

サンジ「羊肉シュートッ!!」どん!!
勇次郎「小賢しい真似を・・・相手との力量さすら見抜けぬとはッ間抜けがっ!!」

かろうじて絶命は免れたものの、瀕死の状態で横たわるコックにオーガは告げる。

勇次郎「まだ俺の餌となるには早すぎる、圧倒的弱者、命まで取る意味は無い」

金を払わず、勇次郎は次なる航海へと旅立った。

ゼフ「だからやめておけと言っただろう」
サンジ「・・・う・・る・・せぇ・・・じじぃ・・・」

その後、サンジは麦わらと呼ばれる海賊団の一員となる。

鮫がいる町、さして興味も無いオーガはグランドラインへと続く道を見上げていた。
最強であるが故、苦戦することが無い、退屈さを紛らわせるため強者へと続く道。

勇次郎「この程度の海流に呑まれる航海術、小細工などいらぬ」

オーガは船を背に得意のバタフライでグランドラインへと続く海流を見事に制覇した。
途中で五月蠅かった鯨は屠り去って食した。

オーガは、自らを絶対的強者であると知っていた。
故に、この海域で不可欠とされる「ログポース」など必要無し。
「地上最強の生物」に立ち向かえる天候などありはしない。

道中、100人の会社員や、悪魔の実とやらを食した人間を相手にしたが
彼らには抗う術も無く、皮を剥がれ、目をくり貫かれ惨殺されていた。

勇次郎「先程からどんどんどんどんと、小賢しいッ!!」

どん!さえあれば何とかなっていたと思われる名だたる海賊達。

その全ては地上最強の生物の前に屠りされられていた。
オーガに抗える者無し、と判断した世界政府はオーガ個人と友好条約を結んだ。
これは「世界最強」と呼ばれる白ヒゲでさえも立ち入ることのできなかった領域である。
否、海賊であるが故に立ち入ることができなかったと言い換えることもできるであろう。

しかし。

勇次郎「空島か、興味はある」

勇次郎は次なる航海へと旅立っていた。
栗のような頭をした初老の男性、サルの残骸を背にオーガは旅立った。

勇次郎「この辺り、ふむ。」

突如、海面がせり上がる!
生き残る確率は0か100、何とかストリームとか呼ばれる現象である。
しかし、0か100?さらさらノン。
オーガの前には100以外に存在しない。

空島についたオーガは、その光景を眺めていた。

勇次郎「ふむ、雲の上に乗るとは。初めての体験、とはいえ造作も無い」
勇次郎「通るぜ」

謎の婆が何か語りかけるが、オーガの耳に届くはずもなし。
オーガは「神」と呼ばれる者が支配する島へと向かった。
強者であるが故の必然、道中妙な仮面を被った何者かに襲われはしたが無残にも散った。

オーガが空島へと旅立つその頃、麦わらの海賊団と呼ばれる彼らは・・・。
後に「ナミ屋」と無理がある名前で呼ばれる女を救うため魚人と戦っていた。

が、オーガにはそんなことはどうでもいいことである。
アラバスタと呼ばれる国に戦争が起こっていることにも関心は無い。
たかが軍事力等既にオーガの領域には踏み込めるはずも無し。
そう悟っているオーガは振り返ることなく「神」へと歩を進めていた。

「ヤハハハハハ」

無理矢理変な笑い声で個性を強調しているつもりかもしれない、自称「神」を前にオーガは悠然と立っていた。
「神」を守る者、大蛇、その全てはオーガの糧となっていた。

悪魔の実、最強種「自然系」、オーガの興味はそれに尽きる。

勇次郎「聞いてはいたが、実際にこの目で見るとは。これは興味深い」

変な笑い声といえば「エフッエフッ」も同じだろう。

神「我が名はエネル、まさかここまで辿り着くとは思いもよらなかったぞ」

エネルは自身の部下にそれなりの信頼はあった。

だが数々の「試練」などオーガにとっては整備された歩道を歩くも同然。

「鉄の試練」であろうとオーガの肉体には傷ひとつつけることさえ敵わなかった。

勇次郎「最強種自然系、その中でも最強と聴く『ゴロゴロの実』」
勇次郎「所詮小細工、俺以外の全てがそれを弄して使えばいい」

オーガの絶対的な自信は揺るがない、例えそれが「神」の前であろうとも。

エネル「ヤハハハハ、これは面白いことを言う」
エネル「そうだな、5分やろう。その間手は出さんから安心しろ。好きにするがいい」

オーガを前に、之ほど不用意な発言があっただろうか。
ぐにぃ、とオーガの周囲の空間が奇妙に歪む。
オーガにとって、力の解放こそカタルシス。

勇次郎「そうか、ではお言葉に甘えてそうさせて貰うぜ」

邪ッ!!轟音が鳴り響くと共にエネルは彼方後方へと吹き飛んだ。
最強種であり、通常の打撃など効くはずも無い。
そう信じていたエネル最大の誤算がそこにあった。
空島へ住むが故、エネルには地上の知識が足りなかった。
不足していた、侮っていた、地上最強の生物を。

エネル「馬鹿なッ!!貴様ごときに何故ッ!!」

勇次郎「妙な小細工等必要無い、屠り去るのみ。この俺を前にして立ちはだかった傲慢、許す程寛容では無いのでな」

エネルは生まれて初めて恐怖した、彼の自尊心は激しく傷ついた。
しかし、逃げるわけにはいかない。
彼の神として、それまで絶対的な恐怖で服従させていたというプライド。
その全てが彼を奮い立たせた。
そう、相手はたかが生身の人間。自身の攻撃を食らって無事で済むはずがない。
そう考えるエネルに、オーガが自身の「天敵」であるという考えに至るはずも無かった。

エネル「ヤハハハハ、10億Vヴァーリー!!」どん!
放電という攻撃を続け、続け、続け、全力を出した。
オーガといえど、ただでは済むまい、これで勝利を確信したその時である。
オーガは、平然と、悠然と立っていた。

落雷の直撃を受けても平然と歩くことの出来る勇次郎には
例え最強種、ゴロゴロの実の能力など効果があるはずもなかったのである。
エネル、シリアスな場面でここにきて渾身のギャグ顔。

場にそぐわぬ妙なギャグを合間合間に挟まれ、オーガは辟易していた。

勇次郎「最早こんな所に用は無い、好きにするがいい」
勇次郎「決着はつけさせてもらったぜ」

空島の住民はエネルからの恐怖から解放され、再び大地を手にした。
弱き民は敬意を込めて、彼のことを「オーガ」と呼び
その後、麦わらの海賊団が到着する頃にはすっかり平穏を手にしていた。
そこには黄金によって作られたオーガの像があった。

黄金像の下にはこう彫られていた

「TAWAKE」

勇次郎の旅は続く。

インペルなんとか、ドクドクの実。
癌細胞ですら敵わぬオーガの敵ではなかった。

その後起こった、戦争はものの数分で片付いた。
凍らせようが、マグマで焼き尽くそうが、ビームを直撃させようが
オーガの身に傷ひとつ付けられなかった。
政府が友好条約を結ばざるを得なかった理由がここにある。

オーガにとって、一国の戦争など児戯に等しい。

オーガの「放してやれ、直迎えがこよう。見逃してやれ」
鶴の一声でポートガスなんとかは処刑を免れ
平気で遅れてやってきた白ヒゲ一味は唖然とする一方であった。

白ヒゲ「オーガ・・・これ程までとは」

「世界最強の男」と呼ばれる男でさえ、オーガに畏怖した。
「世界最強の『男』」と「地上最強の『生物』」、比べるまでも無い。

オーガの前に次々に現れる「餌」、屠りさるオーガ。

そのおかげで、人々は歓喜した。
海賊王でさえ処刑する権力者は腕力家に敵わず
序盤で近海の主が殺されていたおかげでシャンクスの腕も無事。

その後、麦わらの海賊団とオーガとの激闘が行われたが
麦わらはゴムなので所詮相手にならず、骨風船とかいう謎理論も無意味。
サンジの両足はへし折られ、骨は粉々になり、ロボットは機能停止。
折れるはずのない刀は見事にへし折られ、「口に刀を咥えるなど論外」と諭された。
ロビン、ナミは頬をはたかれ悲鳴を上げた。
オーガにとって「所詮メスはメス」とされ、ロビンとナミは妊娠した。
後に範馬の血を継ぐ者として、オーガの餌と成長することが期待される。

オーガは「良き時間を過ごした、後は海賊王とやらになるがいい」

残った鹿は捕食され、死屍累々。

そう、ワンピースとはオーガのことであった。
「一つなぎの秘宝」とは、背中で哭く鬼の貌の象徴だったのだ。
「一つなぎの秘法(ヒッティングマッスル)」の存在を知る者は数少ない。

完。

追記しておくが、グランドラインは全て船を使わずバタフライで泳ぎきっています。

次回予告

範馬勇次郎、学園都市へ

Lv5と呼ばれる面々を次々に屠り去る勇次郎。
序盤で上条はウザい説教をしてる途中で頃され、各ヒロインは全員妊娠します。
次回は妊娠描写を丁寧に書くつもりです。

>>39
これなにが面白いの?

妹達(シスターズ)も一応全員(2万人)妊娠します。
打ち止めも番外個体も然り。

>>45
まじめに期待してるからな

>>44
面白いというより、範馬勇次郎なら当然である、という追記です。
「地上最強の生物」がグランドラインごとき船を使うまでもないので
航海術を使って渡りきったと誤解されては困るからです。

一方通行には「ドレス」を使います。
美琴の電撃なんて効くわけがありませんし
「ダークマター」も勇次郎の前には無意味ですからね。

>>46
R-15指定レベルの描写は入れたいと思っています。
一応ワンピースは少年漫画なので省きました、体型が気持ち悪くて気に入らないのも理由の一つですが。
今後もムカつく作品にはどんどん勇次郎を介入させたいと思います。
進なんとかの巨人とか、あの辺相手に無双させる予定です。

以下、「くぅ~つか」コピペ

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