男「恋人のふり?」先輩「あ、ああ……」(196)

男「いきなりどうしたんですか?」

先「頼む、私を助けると思ってだな」

男「まぁ他ならぬ先輩の頼みですし、別に構わんですけど」

先「そ、そうか! 助かる!」

男「でも、どうしてそんな必要が?」

先「うっ……実は……」

男「……なるほど、つまり兄妹に彼氏がいると自慢したと」

男「二人とも恋人がいるのに自分だけいないのが恥ずかしかったと」

先「そういうことになるな……うん」

男「バカですか」

先「ば、バカとか言うな!」

男「つまらない見栄はるから」

先「うぅ……」

男「そんなんだから先輩は馬鹿なんですよ」ドゴォ

先「うぐっ…」

男「馬鹿の分際で俺に頼みごとですか?図に乗るのもいい加減にしてください」ドガバキ

先「や…やめ……」

男「大体あなたキモいんですよ。ジャイ子みたいな顔して」

先「だって! 兄も妹も最近彼氏彼女の話ばっかりしててうるさいんだ!」

先「兄に至っては『あ、わりーお前彼氏いねーもんな、話についてこれねーか、はは』」

先「とか言ってくるんだぞ! 私だって頭にくる!」

男「それはさすがに怒りますけど……」

先「ともかく、君には私の彼氏役をやってもらうからな」

男「はいはい、りょーかいです」

先「これであの二人を見返してやれる……」

男「にしても、なんで僕なんです?」

先「へっ?」

男「いや、彼氏の役ですよ」

先「……人は存在しない人物をイメージしようとすると、それのモデルになる人をまずイメージするらしい」

男「それが僕だったと」

先「なんというか、すまない……」

男「いいですよ、真っ先に僕を思ってくれたのは嬉しいですから」

先「……そういう台詞をさらっと吐けるのは凄いと思うよ」

男「それだけ友人として信頼されてるってことですもんね」

先「それでその鈍感さがなければなぁ……」

男「それで、僕は何をすればいいんです?」

先「そ、そうだな……君には、私の家に来てもらいたいんだ」

男「いきなり家ですか。でも兄妹に見せなきゃいけないから仕方ないのか」

先「ま、まぁそんなとこだ」

男「それで、いつ頃行けば?」

先「週末の日曜日だ」

男「分かりました、日曜ですね」

先「ああ、頼むぞ」

男「任せてください。では、また日曜日に」

先「……よしっ」

妹「うまくいった? お姉ちゃん」

先「あ、ああ……たぶん」

妹「たぶんって何よ、絶対成功させなきゃいけないんだからね?」

先「ま、待て! 別に今回ので付き合おうなんて大それたことは考えて……」

妹「考えてないの?」

先「……考えたりは、したが……さすがに早すぎはしないか」

妹「いつまでも仕掛けないんじゃ永遠に無理だよ、覚悟決めて!」

先「う、うん……」

先「き、今日はよく来てくれたな。さささ、さあ、早くあがるといい、ぞ?」

男「緊張しすぎですよ、そんなんじゃバレますよ?」

先「す、すまない……」

男「それじゃ、お邪魔します」

妹「へぇ、ホントに彼氏いたんだ」

男「あ、はじめまして」

先「ふふん、嘘ではないと言っただろう」

妹「はいはい、じゃあ頑張って」

男(頑張る?)

兄「……」

先「あ、兄か、どうした」

兄「……彼氏?」

男「あ、はい、はじめまして。彼女とお付き合いさせてもらっています」

兄「……けっ」スタスタ

先「?」

男「……どうしたんですか?」

先「私にもわからん……」

妹「フラれたんだってさ」

男「ああー……」

先「ふふ、私をバカにしてばかりいるからだ」



    /   /,//////////           ,    //////////∧
                     / / ///////////            ,   ////////////∧
                 ///////////////          ′ //////////////∧
                   ////////////////               ∨///////////////∧
          〈\     //////// x==ミ///     ______/\∨///////////////∧
.          \\_/∨/////     \へ /\       \  ∨///////////////∧
             \\\ ∨//´ ̄`丶   }\\  :}      \ ∨///////////////∧
.           // \\ ∨        ', ,/  } :} ,′     / ̄//////////////////∧
.        _|「:|     \\       } }/⌒/ / // ̄ ̄ ̄ヽ//////x======ミ///////∧
.     /   {L{_/  /\\    ,./ }__,/ ∧/  / ̄ ̄ ̄∨//// / -┐  \ /////∧
     /  /:::::::{L}|___〈ニ{ \」 // }ア´   { \ ,/        ∨// く   E V A   V/////∧
    ム=ミ─=ミ/  /  /ハ\__,/二/ / ̄\ 「\ 「| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}/{   \  ┴   /V,/////∧
   / {__/    ',/   /{_ \V_ ,. -┬く二二>‐┘:|:|_____}/ \   ー─=彡 \ /////
  {/    V}  }    ,′ 〕:.{」∟ハ//  |    |   :|::\        |//∧        /´ ̄`\/
  「\ \_,ノ /   {   |/|{_/ /  :| ,. ─┴─ \:::\     :|///∧      // ̄ ̄ ̄`ヽ  「 ̄ ̄\
  \_\_ノ /     ∨/\:} {  / \_/   ____ /\::|      |////∧   ///´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`丶    \
.     ̄`¨´      〈  :|/ /\    / /C /  |:| ̄ ̄ ̄|///// {  / /:::/             \     ̄|
                 \_{/⌒ヽ} ̄{ ̄ /C  ,/    {:{____,/\///∧/ /:::/{__            }    │
                   \〈/⌒} ̄ / ̄ ̄\           /\ノ二二∨::::{:::::::::::::::::::`丶 ∠二ヽ   /\   ,′
                          {:::::|::\__|     \     / }      \/::::::::::::::::::::::::/    \}/::::::::}  /
                       \|::::::::::::\___ノ─=彡 /       厶======- ´         ∨ ̄\ /
                         |`\::::::::::::::::/    /  /  /      /        {    /      │    |{
                     /| │|\:::::/ / ̄   /_/    ,.  ´         \ :{      |    |⌒ヽ
                       / :{ |/ ̄ ̄,/   _// / _,.  ´              丶     丿\_j   |`丶

ナズェノコッテルンディス

先「は、入ってくれ」

男「お邪魔しまーす……うおお」

先「な、なにか変だろうか?」

男「凄い量のぬいぐるみですね」

先「……やっぱり変だろうな、こんな可愛げの欠片もない女が」

男「いやいや、そんなことないですって」

先「ぬいぐるみ全部に名前をつけて毎晩話しかけているなんて気持ち悪いと言いたいのだろう!」

男「まだ何も言ってないですって」

先「ふ、ふんっ、笑えばいいさ」

男「僕は可愛いと思いますよ? ぬいぐるみとお喋りする女の子」

先「……そうなのか?」

男「はい」

先(それは、私を可愛いと言ってくれたのか、そんな女の子を可愛いと言ったのか……)

男「ぬいぐるみ全部に名前をつけるなんて凄いですね、僕はこんなに覚えてられないですよ」

先「そうでもないさ、愛着があればそれくらい簡単だ」

男「じゃあ、この熊はなんて名前なんです?」

先「その子は、熊の男の子だからクマキチロウくんだ」

男「こっちの凄い目したウサギは?」

先「可愛いだろう? ウサミーちゃんと言ってだな、クラスで一番の美人さんだ」

男「このマリモみたいなのは?」

先「森の妖怪、森ZONEだ。人間と共存しているいい妖怪だ」

男「次は……あれ、僕のあげたコイツ、一緒に寝てくれてるんですか」

先「そ、それか? ああ、ふかふかしてて気持ちよくてな。うん、いいものだぞ」

男「コイツはなんて名前なんです?」

先「うえ!?」

男「これに毎晩話しかけているんですよね?」

先「あ、ああ……そいつの名前だな、名前……」

先(君の名前だよ♪ なんて言えるか!)

先「……大五郎だ」

男「だ、大五郎ですか……こいつ猫なんですけど」

先「何か文句でもあるのか?」

男「熊のクマキチロウだったりウサギのウサミーだったりしたのに猫の要素がないですけど」

先「うぐ……べ、別にいいだろう、私のぬいぐるみなんだから」

男「駄目とはいいませんけど」

男(大事にされてるからいいか。変な名前つけられてたけど)

男「……」ニコニコ

先「……」

先(か、会話がない!)

先(どうしたらいい、何を話せばいいんだ? 身近なものからヒントを!)

男(あたふたしてて面白いなぁ)

先(ぬいぐるみ……はさっき自分で禁止したじゃないか! あとは……そうだ!)

先「DVDでも見ないか? 昨日映画を借りてきたんだ」

男「あ、いいですね、見ましょうよ」

先(ありがとう妹、出来た妹を持ってお姉ちゃんは幸せだ)

妹「ちゃんと見てるかなお姉ちゃん」

妹「後で様子見に行ってあげよ」



先「……」

男「……」

先(なぜ恋愛もの!? こういうのは苦手だというのに!)

先(妹のやつめ! お姉ちゃんを罠にかけるとは許さん……!)

先(う……キスシーンが始まってしまった……)

先(うわー……ひゃー……あー……)

先(……男はどうなんだ)チラッ

男「ん?」

先「っ!!!」サッ

先(な、なぜ私を見ているんだ!)

男(顔真っ赤にして見てる先輩を見てるほうが面白いな)

先(こ、これはまさか、そういうことか!?)

(男『先輩……俺たちもしませんか……?』)

(先『だ、駄目だ! 私たちは恋人のふりをしているだけであって!』)

(男『じゃあ、本当になればいいんですね』)

(先『え? それはどういう……あっ』)

先(ということなのか!? どうなんだ教えてくれおとにゃん!)ギュウウ

ぬいぐるみ「ぶにゃーお」

男「先輩?」

先(私としては構わないんだ、むしろ全力で来てほしいくらいなんだ!)

男「せーんぱい?」

先「ふ、ふつつかものですが!」

男「え? あの先輩、映画終わりましたけど」

先「えっ」

妹「そろそろ様子を伺ってみますか」

妹「まさかまだDVD見てないとかないでしょーねお姉ちゃん」



先「ま、まあまあだったな」

男「そうですか? 僕はけっこう楽しめましたよ」

先(全然話覚えてない……)

男「DVD取り出しますね」

先「わ、私がやるからいいぞってきゃあ!?」ズルッ

男「うおっ!?」

妹「飲み物とお菓子持ってきたよー、お姉ちゃんったらこれくらい自分で……」

男「だ、大丈夫ですか……?」

先「あ、うう……」カァァ

妹(床に倒れ混んでる男先輩、その上に覆い被さって顔が赤いお姉ちゃん)

妹「って逆でしょー!?」

男「えっ?」

妹「取り乱しました、失礼します」

男「はぁ」

妹「……お姉ちゃん」

先「な、なんだ」

妹「お母さんたちはいないけど私はいるんだからね? お兄ちゃんは出掛けたみたいだけど」

先「な、なにを言ってる!」

妹「音楽かけてるから大体聞こえないけど、あんまり激しいのはよしてね」

先「ば、ばっ!」

妹「男先輩も避妊はしてくださいよ」

男「あはは、りょーかいです」

先「なぁ!? き、君まで何を!?」

妹「んじゃ、ごゆっくりー」

先「き、君と私はあくまでもフリなんだからな! そーゆことはいけないと思います!」

男「落ち着いてくださいよ、冗談ですから」

先「う、ぅぅ~……! 冗談でもそんなことをいうのは良くないぞ……」

男「お邪魔しました」

先「うん、また来てくれ」

男「はい、さようなら」

先「……ふー」

妹「男先輩帰ったの?」

先「ああ」

妹「……今日はどこまでいったの?」

先「ど、どこまでとはなんだ」

妹「キスとかしなかったの?」

先「す、するわけないだろ! 本当に付き合ってるわけじゃないんだから!」

妹「はぁー……だから駄目なのよお姉ちゃんは」

先「いきなり駄目と言われても……」

妹「押しに弱そうな男先輩ならちょっとくらい強引でもいいのよ」

妹「むしろこっちからどんどん行かないと!」

先「う、ううむ」

妹「本当は年上のお姉ちゃんがリードしてほしいんだけどお姉ちゃんヘタレだからなー」

先「へ、ヘタレ……」

妹「とにかく、お姉ちゃんにはもっと頑張ってもらわないとね」

先「善処します……」

妹「じゃあ早速来週デートしてきてね」

先「い、いきなりだな」

妹「お姉ちゃんが遅いの、ほら作戦教えるから早く来て」

先「妹に恋愛相談してる私って一体……」

妹「何をいまさら。駄目なお姉ちゃん持つと苦労するねー」

男「ただいまー」

猫「にゃー」

猫2「なーお」

猫3「みー」

男「はい、ただいま帰ったよ」

姉「ほーれミヨー、万歳」ビョーン

猫「にゃー」

男「何してんの姉ちゃん」

姉「息抜き」

男「ミヨいじって遊ばないの。早く部屋引きこもって文書いてなさい」

姉「ミヨー弟が冷たいぞー」ワサワサ

猫「うにゃーん」

弟「飯作るからちょっとみんな連れて向こう行ってて」

姉「はーい。いくぞ一夏、ニーナ、三夜」

猫「にゃー」

ミスった 弟だけど男だ


姉「今日はどこ行ってたん?」

男「先輩の家にお呼ばれしてた」

姉「ああ、あんたが好きな先輩ね」

男「うーん、好きなのかねぇ」

姉「あれ、違うの」

男「こっちも向こうも仲のいい友達くらいにしか思ってないような」

姉「ふーん……あ、これミヨ机に乗るな」

男「やっぱ好きなんかねぇ……なんか違う気もするけどねぇ……」

姉「はっきりしないやっちゃなー」

男「先に風呂入るぞー」

姉「はいはーい」

ピピルピルピルピピルピー

姉「おろ、男のケータイ」

姉「……」ニヤ



先「は、早く出てくれ……緊張してきた」

姉『もしもし』

先「も、もしもし? 私だ……って、え?」

姉『はぁーい、あなたが男の先輩さん? はじめまして、男の姉の』ブツッ

姉「あれ、切れた」

妹「男先輩のケータイから女の人が出たと」

先「えうっ、ぐすっ……う、うん……」

妹「彼女だと思ってとっさに切ったと」

先「うん……えぐっ……」

妹「泣かないの、もしかしたら家族かもしれないでしょ」

先「で、でももし彼女だったら……うぅぅぅ」

ティロロロロ ティロロロロ

妹「ケータイ鳴ってるよお姉ちゃん」

先「で、でだぐない」

妹「あーもう世話のやける……もしもし」

男『あれ、先輩じゃない?』

妹「あら、男先輩」

先「っ!」

男『さっき姉さんから電話があったって聞いたんだけど、先輩は出られないですか?』

妹「あぁいえ、今かわりますね」

妹「ほらお姉ちゃん、さっきの人は姉だってさ」

先「……ほんと?」

妹「知らないわよ、ほら男先輩待たせないの」

先「……も、もしもし」

男『あ、先輩、うちの姉がなんか言ったんですか? すみません』

先「い、いや、そうではないんだ、私が驚いてしまって……」

先(違った……よかった)

男『それで、用件は?』

先「そ、そのだな、来週も予定はないか? 買いものに付き合ってほしくてだな」

男『すいません、来週は既に予定が入ってまして』

先「あ……いや、いいんだ、予定があるなら仕方ないな、うん」

男『その次の週なら大丈夫です、その日はどうですか?』

先「う、うん、大丈夫だ! じゃあ再来週だな!」

男『りょーかいです。では、お休みなさい』

先「ああ、お休み」

先「……ふふ」

先(さっきのお休みのやりとりなんてそれっぽかったのではないか?)

先(しかも……で、デートの約束まで取り付けてしまった!)

先「ふふ……んふふ」

妹「お姉ちゃん気持ち悪いんだけど」

先「んふふ……くふふっ……」

妹「だめだこいつ」


先「おはよう」

男「おはようございます先輩、今日は少し遅いですね」

先「ちょっとね、身支度に手間取ってしまった」

男「女の人って大変ですね、男の僕は身支度に10分もかからんですが」

先「この髪がね。くせっ毛なのが災いして朝は酷いことになったりする」

男「あー、確かに髪は時間かかりますねー」

後「せっんっぱーい!」ドガッ

男「ぐはっ!」

後「朝から先輩に会えるなんてラッキーです! これは運命感じますねー!」

男「お、お前……」

後「どうしたんですか先輩? 随分辛そうな顔してますけど」

男「誰のせいだと……」

後「ささ、早く行かないと遅刻しますよ先輩!」

先「……相変わらず朝から騒がしいね君は」

後「あれ、いたんですか女先輩」

先「君が邪魔しに来る前からずっといたよ」

後「では、僕と先輩は先に行くので、失礼します」

先「待て幼女」

後「……なんですか巨人」

男(相変わらず仲悪いなこの二人……)

先「全く、何なんだあの子供娘は……日直だとか言って結局は先に行って」

男「まあまあ、仲良くやってください」

先「君には悪いが無理だ」

男「なんでですか」

先「……(恋)敵だからな」

男「なんか重いですね!?」

先「あと、性格が違いすぎる。無理だ」

男「まぁ、騒がしいですからねアイツは」

先「君くらい落ち着いてくれていれば……やっぱり無理だ」

男「あはは……」

先「ひとつ聞いておくが」

男「はい、なんでしょう」

先「君は背の高い女の子は好きか?」

男「どうしたんですいきなり」

先「彼女のサイズを見て考えていた。で、どうなんだ?」

男「まぁ……僕より大きいとなるとさすがにあれですけど、同じくらいってのは良いと思います」

先「……よし」

男「? 何か?」

先「いや、こっちの話だ」

男「おはよう」

友「はよーっす、なんだなんだ? 朝から疲れた顔して」

男「元気のかたまりに遭遇してきたから」

友「あーお前の大好きな後輩ちゃんね、相変わらず朝から絶好調なのか」

男「こっちの元気まで吸収して発散するやつだからね、油断できないよ」

友「だからおせっかい君はついつい構っちゃうんだよな」

男「そうなのかな」

友「好きなんじゃねーの? あの子のこと」

男「それは違う気がする」

友「だよなー」

後「せんぱい!」タタタ

男「危ないから走らない、お前は間違いなく転ぶから」

後「そんなわけわきゃっ!」

男「おっと!」サッ

後「あ、ありがとうございます……」

男「だから言ったろ? ちゃんと気をつけろって」

後「うー……分かりました」

男(これでタックル地獄から解放される)

後「今度から抱きつくことにします」

男「駄目」

後「そんな! ならばこの沸き上がる突進欲をどう発散すれば!?」

男「我慢しろ」

後「いーやーでーすー」グリグリ

男「抱きつくなっての!」

後「だいひゃいれふね、ひぇんはいはもっほわらひにれれるえきあんれふよ!」モグモグ

男「口に物入れながら喋らない。あとデレないから」

後「んっく……なんでですか、センパイはまだデレが1割程度です、もっと優しくするです」

男「これ以上甘やかすと大変そうだから」

後「センパイがいつでも私のことを見ていれば問題ないです!」

男「そんな時間ないよ」

後「うぬぬ……さりげなさすぎて完全にスルーされました」

男「?」

後「まぁいいです、それよりも終末の予定忘れないでくださいね!」

男「大丈夫だよ、ちゃんと覚えてるから」

後「ならいーです、ごちそうさまでした」

後「打ち合わせ通りやってくださいよ?」

男「頑張ります」

後「では、僕は先に」

一人称がカオス ミスって送信するし

先「やあ」

男「!?」ビクッ

先「随分と楽しそうだったね」

男「な、なんだ先輩か……驚かさないでくださいよ」

先「いや、すまないね。仲睦まじい二人に割って入るなんてこと私にはできなかったよ」

男「後輩とはそんなんじゃないですから」

先「さっき約束をしてたじゃないか」

男「ああ、あれは先輩と同じですよ」

先「え?」

先「中学の頃の同級生に自慢したのか……」

男「はい、高校生なんだから彼氏くらいいます! っていい放ったらしいです」

先「他人事として聞くと途端に恥ずかしいな……」

男「で、週末はその同級生を呼んで僕とデートしてるとこを見せるらしいです」

先「む……」

男「見世物みたいで気が進まんですが、ほっとくわけにもいかんですし」

先「……そうだな、君はそういうやつだからな、仕方ない」

男「先輩? どうかしました?」

先「別に」ムスッ

男「終末の日が訪れた」

後「日曜日は確かに週末ですね」

男「待たせちゃったか、ごめん」

後「いえいえ、たいして待ってませんから大丈夫です」

男「そう言ってくれるとありがたい」

後「それに、一度こんなやりとりしたかったですから」

男「そりゃよかった」

後(好きな人にできてよかったです)

後「!」ギュッ

男「……腕痛いんだけどどうした?」

後「いました。後ろについてます」

男「ああ、例の同級生ね」

後「……なんか、ごめんなさいです。こんなことに付き合わせちゃって」

男「いきなりどうしたのさ」

後「なんとなくです。センパイにはいつも僕のワガママに付き合ってもらってるから」

男「……まぁ、そうだね。でも面倒だと思ってるわけじゃないから」

後「そう、ですか?」

男「うん、僕がやりたいからやってるだけ。後輩は大人しくワガママ言ってればいいよ」

後「……ありがとうございます!」

男「あれ、どうした? 顔赤いけど」

後「センパイの優しさにあてられました」

男「あはは、惚れるなよ? 冗談でもうれしいけどさ」

後(もう惚れてます。大好きですから)

後「ささ、みんなに怪しまれないようにどんどん行きましょう!」

男「うん、行くか!」




妹(……マジですかー)

妹(あの子の彼氏って男先輩!? 非常事態なんですけど!?)

先「……」ビクビク

妹「略奪よ」

先「は、はひっ」

妹「こうなったら略奪するのよ! 名付けて『愛をとりもどせ!』作戦!」

先「世紀末!?」

妹「そんなツッコミどうでもいいわ! 男先輩に彼女いるかもしれないんだから!」

先「な、なに!?」

妹「あのつるぺたちんまい娘が……いつの間にか彼氏作って私より胸大きくなってるとか……」

先「そ、そんな……だって彼女いないってこの前」

妹「それらしい人物が居たのは確かなの! いよいよもって急がないと!」

男「ただいまー」

猫「うなー」

男「お出迎えありがとなイチ」ナデナデ

猫「なーお」

姉「あらおかえんなさい」

男「ただいま、昼飯ちゃんと食べた?」

姉「美味しかったよ」

男「そりゃよかった、晩飯用意するね」

姉「お手伝いします旦那」

男「どういう風の吹き回しで?」

姉「ネタに詰まった」

男「なるほど、話を聞きたいと」

姉「いやはやすまんねー」

男「あんま話したくないんだけどねぇ」

男「てな感じでまた偽彼氏やってきた」

姉「モテモテだねぇ」

男「頼りにされてるのは嬉しいから」

姉「早くどっちかに決めなよ」

男「何を?」

姉「……本気で言ってる?」

男「だから、何が」

姉「駄目だこりゃ、重症だわ、末期だ。ラノベの主人公じゃん」

男「変な姉ちゃんだ。なぁニーナ?」ナデナデ

猫「ふにー」

男「イテキマー」

姉「いってらー」

後「せ、センパイ!」

男「おお、今日は早いな」

後「よ、よかったら一緒に行きませんか?」

男「そんなかしこまらなくても」

後「そ、そうですよね」

男「ほら、行こう」

後「はい!」

姉「……誰がどうみても分かるわよねえ……なんで気づかないのかしら」

姉「育てかたを間違えられたのか、頭おかしいのか」

後「……」ソー

男「ん?」

後「!」サッ

後(て、手を……!)

男「……なんかもじもじしてない?」

後「あ、いえ、あの……て、てを……」

男「ててお?」

後「ち、違います! あの、手を……」

男「あれ、先輩」

後「!?」ビクゥッ

先「やあ、男くん……とチミ子」

後「だ、誰がチミ子ですか! この巨人!」

先「君に大事な話があるんだ、昼休みは空けておいてほしい」

男「構いませんけど」

先「そうか、ありがとう。では行くか」ダキッ

男「……なにナチュラルに腕組んでるんですか」

先「駄目か?」

男「どっちかというと駄目です」

後「な、なら僕も!」

男「いや駄目って言ったんですが」

先「ほら、チミ子は駄目だと言われてるだろう」

男「先輩にも言いましたよ!」

男「朝は周囲の目が痛かったなぁ……」

男「二人とも自分の良さを自覚してないから困る」

男「っと、そうこうしてるうちに昼休みじゃん、先輩待たせちゃマズイ」



男「どうしてこうなった」

先「くっ……」

後「むむむ……」

先「オチビから話は聞かせてもらった、昨日は大変だったみたいだな」

後「なんですか! 女先輩だって同じことさせてたくせに!」

男「いえ、好きでやったことですから」

先「そうか、好きでやったことか……」

先「なら、私も好きにやらせてもらうとしようか」

男「はぁ……?」

後「だ、駄目です! センパイは僕のです!」

先「知らん、先に取ったもの勝ちだ」

後「」

またミスる

後「せ、センパイ! 実はボク!」

先「君のことが好きだ。付き合ってほしい」
後「センパイのこと好きです! ボクと付き合ってください!」

男「……えっ?」

先「……」ドキドキ

後「だ、駄目ですか……?」ドキドキ

男「えっと……冗談とかでは……」

先「ない」

男「ですよね、ごめんなさい……」

後(女先輩がいきなり告白とかするからボクも勢いでしちゃったよ!)

後(もっとちゃんと告白したかったのに……)

先(……あまりにも突然すぎるだろう!何してるんだ私は!)

先(妹に急げ急げと言われ過ぎて頭がおかしくなったか!?)

先後男(……どうしよう)

男(すごく嬉しいことなんだろうけど、どうしたらいいんだこの状況……)

キーンコーンカーンコーン

男「あ、チャイム」

先「……そうだな、早く戻らないと遅刻だぞチミ子」

後「そうですね、女先輩も早くしないと遅れますよ?」

男「じゃあ僕も……」

先「……まってるからな」

男「は、はい……」

後「センパイ、ボク……やっぱなんでもないです」

男「……どうしよう」

男「……放課後が来てしまった」

先「失礼します」

男「え、先輩?」

先「さ、帰ろうか」グイッ

男「え、ああの、ちょっ」

後「あー! 逃がしませんよー!」

先「チッ」

先「……」ムギュウウウ

後「うー……」ギュッ

男「う、腕の感覚が……」

先「だそうだ、離してあげたらどうだ」

後「嫌です」

男「ご、ごめん……二人とも離して」

先「むぅ」

男「ふぅ……」

後「センパイ、うちに寄っていきませんか? お話したいこといろいろあるんです!」

先「駄目だ、彼はこれから私とうちに挨拶に行かなければならないからな」

男「なんと」

後「な、なんですかそれ! センパイが行くのはうちなんです!」

先「いいや、君は帰れ」

後「嫌ですー!」

先「うちは既に家族公認(兄妹のみ)だからな、ふふん」

後「ううー……ず、ずるいです」

先「ずるも何もないだろう、元からそういう関係だったというだけだ」

後「あうー……じゃあやっぱりうちに来ましょうよセンパイ! ボクのお母ちゃんに紹介します!」

男「え、あ、うん?」

後「今うんって言いました! さあ行きましょう!」

先「させるか!」

後「させてください!」

お母ちゃんだと……なぜお母さんにならない予測変換……


男「……で、どうして僕の家になったのか」

後「わあー……センパイの家初めて来ました」

先「ふっ、私は既に一度入ったことがある」

男「いや、たった一回でしょうに」

後「くっ……負けた」

男「すごい悔しがってるし」

男「ただいま」

猫「にゃーん」

姉「あら、おかえんなさい」

後「ね、ねこちゃん……!」

猫「なー」

姉「まぁゆっくりしていって」

先「お、お邪魔します」

後「お、おいでー……」

猫「にゃー」トトト

後「はぅうう……」

後「おぉ……ここがセンパイの部屋ですか」

男「大した部屋じゃないけど」

先「……」モフモフ

猫「ぶにゃ……」

後「ねこちゃん抱えたままうずくまって動きませんけど」

男「この前来たときもあんなになってたよ」

後「よっぽど好きなんでしょうね……」

先「一夏ちゃんかわいい……」モフモフ

猫「にゃあ……」

後(……女先輩がねこちゃんに夢中になってるのはチャンスなのでは?)

後「せ、センパ……!」

猫2、3「うにゃ」

男「ん、どうした?」

後「あ、あうあう……ねこちゃん……かわわ」

男「後輩?」

後「きゃわいい!」ガバッ

男「おおっ!?」

後「駄目ですーもうモフモフしか見えないですー」モフモフ

猫「にゃにゃー!」

先「もふ……ふふふふふ」

男「ふ、二人とも猫好きなんだな」

先「男、一夏ちゃんくれ」

男「駄目ですよ、うちの猫なんですから」

先「じゃあここに住む」

男「自分の家に帰ってください」

先「うむむ……一夏ちゃん、お前の飼い主が私を苛めるぞ」

猫「にゃあ」

先「そうかそうか、やはりお前はわかってくれるか」

男「なに猫と会話してるんですか」

後「にゃー」

猫「にゃー」

後「ボクもだにゃー」

猫「うにゃー」

後「ふふふ、可愛いなぁ」ナデナデ

猫「ゴロゴロ」

男「あれ、ミヨがなつくなんて珍しい」

後「そうなんです?」

男「姉ちゃんと僕以外に触られてるの初めて見るよ」

姉「決まったわね」

男「うわっ、姉ちゃん!?」

姉「あなた、私の妹になりなさい」

後「えっ! そ、それってつまり……」

後(センパイのお嫁さんに!?)

男「いやいや姉ちゃんなに言ってるの」

姉「うちに嫁ぎたいならこの三匹を説得してからって決まってるのよ」

男「初めて聞いたよそんな話!」

先「み、ミヨちゃーん……」

猫「にゃー」トトト

先「や、やった! 私も触れたぞ!」ナデリナデリ

姉「とりあえず合格ってラインね」

先「とりあえず!?」

姉「最低ラインに届いてる程度だから、この子のほうが有利ね」

後「お、お嫁さん……夢のお嫁さんです……」

先「うぎぎ……」

先「どうすればいい? どうすれば私も認められるんですか?」

姉「そうね……まずは家事洗濯」

先「任せてください、自信あります」

姉「料理も上手くないとね」

先「精進します!」

姉「私の身の回りの世話」

先「義姉さん!」

姉「よし合格!」

先「やった!」

男「姉ちゃんが家のこと押し付けたいだけでしょ」

姉「バレたか」

後「ぼ、ボクだってそのくらいできます!」

姉「ほう、それでは難しいなぁ」

猫「なー」

先「い、一夏ちゃんまで……」

姉「仕方ない、ここは男にえらんでもらうしかないね」

男「ここで返ってきたか!」

後「センパイ! ボク、一生懸命ご奉仕します! だからボクを!」

先「わ、私だって君のためなら!」

男「え、ええ!?」

後「さあセンパイ!」
先「どっちを選ぶ?」

おわり

乗っ取りに期待

>>194
そうだな、誰か>>1より上手い奴が書いてくれるのを待つか
正直1より上手いいやつなんていくらでもいるだろ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom