音無「オペレーション・エンジェルトーカー…?」(133)

――朝――


音無「………あ、靴紐が全部切れてる」

音無「仕方ない、ローファーで行くか」



――登校中――


音無「………黒猫が五匹連続で横切った」



――校門前――


音無「うわっと!? ……鳥の糞に危うく当たるところだった」


音無「一体なんなんだ、見えざる何かが俺を学校に来させまいとしているみたいだ…」

日向「うーっす、おはようさん!」

直井「音無さん、おはようございます!」

音無「ああ、おはよう。 お前ら二人揃っての登校とか珍しいな」

日向「ただ校門前で鉢合わせただけだっつの」

直井「そうですよ、偶然でも働かない限り誰がこんな愚民と肩を並べて歩くものかと」

日向「んあぅ!? なんだよその言い草、こっちだって願い下げだっつーの!」

直井「今の貴様の考えとは息が合うが、貴様と同じ場で息を吸いたいかと言えば話は別だ」

日向「あーそーですか! だったらお前一人でさっさと前歩けばいいじゃねぇかよ!」

直井「全く、これだから愚民は…。
   爽秋の可憐さを背負う音無さんと登校したくて僕は校門前で待っていたんだぞ。
   当の目的を達する前になぜ僕が一人で行かなければならないんだ」

日向「待ち伏せてたのかよ!」

直井「この神たる僕がここまで説明しないと分からんとはアホか貴様。阿呆だな貴様、救いがたき阿呆だ」

日向「これ見よがしにアホアホ畳み掛けるように言ってんじゃねぇよ!
   チクショウ、お前なんか気まずい空気を小一時間くらい吸って人知れず悶えてろ!」

音無「なんだその絶妙に陰険な捨て台詞は……」


http://www.youtube.com/watch?v=YtWhi85QE1s&NR=1


【初見の方向けのあらすじ】

クジで擬似カップルを作ったり、王様ゲームを楽しんだり、
果てはラジオやバレンタインデーも全力で満喫している死んだ世界戦線。
天使や神の事さえなければいつ成仏してもおかしくないくらい学園生活を楽しむ面々は
今日もまたリーダーを筆頭にアホな日々を過ごしているのだった…


お時間ある方は暇つぶしを兼ねて過去スレでもどうぞ。
このスレから見始めても何の問題もありません。


関連スレ
音無「オペレーション・ラブエクストリーム…?」
音無「オペレーション・スレイブオブマイン…?」
音無「オペレーション・ラブエクストリーム2…?」
音無「オペレーション・ラジオウェイブトーキング…?」
ゆり「オペレーション・スイーツフォワード!」


ブログ等での紹介、誠にありがとうございました。


音無「しっかし、最近はなんだか少し肌寒いな」

日向「紅葉は見えないけれど、シーズン的にはもう秋って感じだよな」

直井「ふん…年中頭の中が春真っ盛りな貴様が季節を語るか」

日向「んだと! お前だって不治の病に限りなく近い厨ニ病を年中患ってんじゃねぇか!」

直井「馬鹿を言うな。神である僕がそんなものを患っているわけがないだろう」

日向「へーへー、自称神様は言うことが流石ですね」

直井「貴様…愚民であるにも関わらずその口の軽々しさ、万死に値するぞ。
   どうやら今日は消しゴムカバーの有能性に気づきたいようだな」

日向「ちょ、待てって! 催眠術は反則だろオイ!」


音無「相変わらず仲が良さそうだな」

日向・直井「「どこが(ですか)!?」」

音無「……そういう所が、だよ」

日向「そうだ、音無! 昼飯どうするか決めてっか?」

音無「いや、まだ何も予定は無いな」

直井「丁度良かった。でしたら僕と一緒にお昼を過ごしませんか?」

日向「なんでだよ! 会話の流れからしてどう見ても俺が誘う流れだったろうが!
   それが何でお前しれっと何食わぬ顔して本題をインターセプトしてるワケ!?」

直井「朝から喧しいぞ愚民。貴様はあの頭がピンクの輩と一緒に食べていればいいだろう」

日向「ユイ!? それってユイの事!?
   『頭がピンク』って全然別の意味合いに聞こえて仕方ないんですけど!」

音無「あー、はいはい。いつもどおり三人で一緒にメシ食べようか」


音無(今日もどうやらいつもどおりの一日になりそうだ)



~~♪ ~~♪


音無「!?」

直井「……校内放送のチャイム、だな」

日向「どっかの誰かさんの所為でチャイム音に緊張感しか覚えなくなっちまったよ……」


『あ~、1年の佐山。もし登校していたら職員室に来るように』


~~♪

音無「……ふぅ」

直井「普通の放送で何よりでしたね」

日向「しかして、NPCとは言え朝っぱらから呼び出されるとは災難だな」

音無「朝からの呼び出しなんてロクな事が無いって相場は決まっているからなぁ」

日向「ははっ、そりゃ言えてら!」

直井「……ええ、それは確かに言えてますね」

音無「……だろ?」

日向「……なんで朝からチャイム音で一喜一憂しなくちゃならねぇんだっての!」


~~♪ ~~♪


直井「またチャイムか」

日向「どうせまたNPCの呼び出しってんだろ」

直井「この学園のチャイムは、福音のような響きで当初は好ましく思っていたのだが。
   その感情のベクトルが逆を向き始めたのはいつからだったか……」

日向「悪りぃな、うちのリーダーが呼び出し音みたいにしてっから……」


『SSSのメンバーに告ぐ! 繰り返す、SSSのメンバーに告ぐ!』


音無「…………福音の後に、終末に吹かれるラッパのような声が聞こえてきたぞオイ!」

直井「そうだ、そういえば僕は今日は熱があったのに無理に学校に来ていたんだ。
   生徒会副会長の任があるとはいえ、流石に資本である体に無茶をさせてはいけないな」

日向「あ痛たたたたたた! なんか知んねぇけれどすっげぇ腹痛が襲ってきた!
   盲腸まで三歩手前のこの痛さ、こりゃ直ぐに帰って自宅療養しないとやべぇ!」


『ガルデモ含め戦線精鋭は全員集合! 時間は本日の9時とする!』


音無「集合時間まであと30分もあるのか」

直井「くっ……非常に不本意だが、神である僕の体が悲鳴を上げているという一大事につき
   今回の件に関してはあの女のミッションに参加できそうにない」

日向「俺も野球で培っていた筈の健康優良ボディが痛みを訴えているからな…。
   へへっ、すまねぇ、音無…俺たちの事は置いて先に行ってくれ!」

音無「サボり二名としっかり伝えておくぞ」


『もし来なかった人は、その人の秘密を集まったメンバー全員に伝えるからね。
 遊佐さんのネットワークを軽んじて見ている人は無理に集まらなくてもいいのよ♪』


日向「そんなん言われたら集まるしかないじゃねぇかチクショウ!」

直井「あの女、悪魔か……」

~ 一方その頃、別サイド ~


ひさ子「またしても例のオペレーションが始まるのか……」

関根「久々にガルデモ5人で登校できたと思った矢先にコレですよ!」

入江「なんか最近は私たちもよく呼ばれるよね~」

ユイ「練習にライブにオペレーション! 引っ張りダコ状態で売れっ子気分ですね☆」

ひさ子「願わくば前者二つくらいで留めてもらいたいんだがなぁ……」

岩沢「~~♪ ~~♪」

ひさ子「おーい、音楽キチ。 イヤホン外してアンタも放送聞いといた方がいいぞー」


『でもね、私も毎度こうして突然呼び出すことに申し訳なさも感じているわ…。
 だから今回は一番最初に来た人には特別サービスでもしちゃおうかしら!』


ユイ「なんか露骨に『申し訳なさを感じている』って部分で、声に抑揚をつけてきましたね」

ひさ子「ありゃ詐欺師の喋り方に限りなく近いアレだな」

入江「ごめんなさいっていう風に思っているのが伝わってくるねぇ~」

関根「…みゆきちは少し人を穿って見る視点を覚えよう、うん」

岩沢「~~♪ ~~♪」



『そのサービスの内容は……岩沢さんの恥ずかしい秘密をこっそり教えるわ!』



岩沢「~~♪ ~~♪」

岩沢「~~♪ ………」


岩沢「………は?」

『では、本日の9時に対天使作戦本部で待っているわね♪』


ひさ子「こうしちゃいられないぞ、ユイ!」

ユイ「合点承知!」

関根「私たちも走るよ、みゆきち!」

入江「あ、待ってよしおり~ん!」


岩沢「え、あ、ちょ、ちょっと待てお前ら!!」


――午前九時 対天使作戦本部――


ゆり「みんな、ご苦労様。よく集まってくれたわね」

音無「おい、ゆり…」

ゆり「何よ?」

音無「何よ、じゃないだろ! 一般生徒が血眼になってこの作戦本部を探してたぞ!」

高松「どこぞの紛争地帯を彷彿とさせる混沌ぶりでしたね」

松下「放送からたった30分の間に、学園全体が修羅の国みたいになっていたからな」

野田「ああ、俺のハルバードが唸りを上げて共振していたぜぇ!」

大山「『お前知らないか、知らないのか!?』って血相変えてNPCが来たときは
   ホントもうどうなっちゃうんだと思ったよー」

藤巻「しかも男だけならまだしも、女まで躍起になってやがったぞ…」

日向「ガルデモの認知度を朝からまざまざと体験させてもらったぜ…」

TK「I Hate Folk,A DAY IN THE GIRL'S LIFE~♪」

椎名「あさはかなり」

岩沢「それで、教えたのか……?」

ゆり「何を?」

岩沢「その、アタシの、その、あれをだ……」

ゆり「ああ、教えたわよ」

岩沢「一体誰にだ!?」


ゆり「遊佐さんよ」

遊佐「いぇい」

岩沢「なん……だと……」


ゆり「安心して頂戴。遊佐さんには最初から作戦本部でスタンバイしてもらっていたから、
   結局は誰にも秘密を暴露することは無かったってワケよ」

岩沢「いや、結局はそのふわふわした奴に教えているじゃないか!」

遊佐「私が調べた秘密ですので、知っているのは私と貴方だけです。ご心配なく」

岩沢「そ、そうなのか……だったらいいのかな」

音無「おい岩沢! なんか上手い具合に言いくるめられているのに気づいてくれ!」

ユイ「ね、ねぇ、ひさ子、さん………」ゼェー ゼェー

ひさ子「しゃ、喋りかけるな、呼吸が乱れる……」ゼェー ゼェー

ユイ「アタシね、実は、生前って寝たきりだったん、です、よ……」ゼェー ゼェー

ひさ子「だったら、寝たきりの、奴が、なんで、スプリンターみたいな走り方、出来るんだよ…」ゼェー ゼェー

ユイ「走り方の技法くらい、気合と、根性で、何とか、なりますよ☆
   人間、やる気になれば、不可能は……げぇっほ!げほ、ごほ!」 ゼェー ゼェー


大山「ねぇ、この人たちはなんでこんな事になっているの?」

関根「最初は岩沢さんの秘密を知ろうとしてただけなんだろうけれど…。
   途中から『どっちが早く着くのか競争』みたいなテンションになっちゃいまして」

入江「二人とも芯が意固地だから、ついつい本気出しちゃったんだろうね~」

日向「いや、だからといってコンパクト酸素吸引機を使うほど本気にならなくても……」


ユイ「よ、要するに、アホ、ですねっ!」ゼェー ゼェー

日向「お前どんだけ自分にブーメラン返す気なんだよ!」

ゆり「さて、アホは放っておいて今回のミッションについて説明するわ」

野田「ゆりっぺ、そろそろ天使との全面戦争を始めるんだな! 俺には分かる、分かるぞォ!」

ゆり「アホは放っておいて今回のミッションについて説明するわ」

大山「全力でスルーした!?」

藤巻「しかも二回目は『アホ』を強調したな」

野田「……おぅ!」

日向「おぅ! じゃねぇよ!!」

ゆり「今回のオペレーションの内容を説明するわ」


『我々の目標である神の討伐。それに立ち向かう為の登竜門である天使の存在。
 天使を倒さなければ先は見えないが、肝心の天使に関する情報が不足している。
 ならば、実際に本人と話をして情報を収益してみるべきではないのか。
 その上で天使にこちら側との意思疎通が可能であれば、出来うる限り親密になってみる』


ゆり「以上、大まかな概要よ」

遊佐「……つまり?」


ゆり「天使と喋ってあっちから情報を引き出そうって寸法よ。
   武器持ってたり敵対心を抱かなきゃ無害ってのは、もう過去の実績で分かってるしね」

遊佐「分かりやすいご説明ありがとうございます」

音無(ゆりが天使と和解を求めている、だと…!?
   これはまたとない誤解を解くチャンスじゃないのか!)

直井「音無さん、どうかされたんですか? 何か思いつめるような顔をしていますが」

音無「あ、ああ。すまん、何でもない」


音無(上手く俺が立ち回れたら、奏は戦線メンバーと仲良く出来るかもしれない…!)


音無「なぁ、ゆり。ちょっと聞きたい事があるんだが」

ゆり「発言を許可するわ」

音無「今回のミッション、立候補制とかじゃダメなのか?」

ゆり「…それはどうして?」

音無「天使との対話を望む奴なんてそうそう居ないだろ。
   中立的立場として気楽にあいつと喋れるのは、俺か直井くらいだ」

直井「いえ、僕は別に……」

音無「だからこそ、ここは俺が一つ矢表に立ってそのミッションを引き受けてやる!」

ゆり「音無くん、その心意気は流石ね」

音無「だったら…!」

ゆり「でも、ゴメンなさい。意見には感謝するけれど、その案は却下よ」

音無「な、それは一体なぜ!?」

ゆり「貴方は中立的と言ったけれど、私の直感としては
   天使側に比重がやや向いているような気がするの」

音無「ぐっ……」

ゆり「だから、やきもきした気持ちのままで作戦を任せるのは、ちょっと、ね…」

音無「…そりゃ仕方ない、か。無理な事言って悪かったな」

野田「そうだぞ貴様、一人でしゃしゃり出ようとは笑止千万だな!」

日向「お前が出てきたらややこしくなるから下がってろっつーの!」


ゆり「それにね………」

音無「それに?」


ゆり「作っちゃったの、新しいクジ引き用の箱……」

音無「お前絶対それ試したいだけだろ!!」

ゆり「ええい、うっさいわね!
   折角こうして作ったクジ箱を有効活用しない手はないでしょ!」

大山「むしろこの手のオペレーションでしか効力を発揮してないよね、ゆりっぺ!」


ゆり「ちなみに今回は、一度に何人もというワケにはいかないわ。
   さすがに複数人で向かうと警戒されるだろうし、
   一日につき一人という形を取らせてもらうわ」

松下「ということは、数日に分けて行なわれるミッションというのだな」

ゆり「正解よ。そしてミッションを遂行する人員は一日ごとに交代。
   だいたい三日を予定として、内容次第で期日は前後するのを念頭に入れておくように」

野田「分かったァ!」

高松「了解です」

藤巻「へーへー、了解」

ユイ「はいはいはーい、質問でーす!」

ゆり「質問を許可するわ」

ユイ「あざっす!  えっとですね、具体的に天使と何を喋ればいいのか分からないんですが…」

ゆり「それは完全に遂行者に任せるわ。
   下手にこっちが指示を出して、天使に訝しまれたらアウトだからね」

ひさ子「なんつうか、ファジーな感じだなぁ…」

ゆり「別に何でもいいのよ。天気の話題やら好きな人の話、それこそ雑談でOKなの。
   その雑談の最中に『神』についての切れ味鋭いネタを盛り込めれば御の字って所ね」

関根「な、なんだか高い会話術を求められてるね」

入江「そうだね~。すごく難しそうだね~」

関根「……みゆきちが選ばれたら、天使と蝶を眺めるだけで一日が終わっちゃいそうだなぁ」

音無「ま、今回は結構気楽に構えてられるな」

直井「そうですね」

日向「あの天使と対話ってのに、よくお前らは悠長に構えてられるよな」

直井「ふっ、愚民が。貴様と爽涼たる精神を持つ音無さんを一緒に捉えるんじゃない」

高松「ですが、実際どういうタイミングであの両手の剣で切り刻まれるのかを考えると
   あまり気乗りしないという点では日向さんと同意見です」

野田「ふっ…ゆりっぺが望むのならば全力を尽くすだけだ!」

大山「今回はあまり喋れなくても問題なさそうだしねぇ~」


ゆり「あ、ちなみに何も情報得られなかった人は10日間不眠だから」


日向「いきなり洒落にならない罰を言い出しちゃったよこのリーダー!?」

大山「……意地でも情報を聞き出さなくちゃならなくなったね」

直井「音無さん……僕に任せれば、あの女を成仏させることも可能ですよ!」

音無「くそぅ、ちょっとだけ『宜しく頼む』と言いそうになった自分が悔しい!」

関根「えーと、つまり…240時間も起き続けなくちゃいけないんですね」

岩沢「60時間寝ないだけで精神に若干の支障が生じ始めると聞いた事があるぞ」

ひさ子「私が生きていた頃は、確かギネス記録が11日間不眠だったと思うんだが…」

ユイ「死ねって事ですよ言わせないでください恥ずかしい☆」


※ちなみに、今はギネスに不眠の枠はありません


遊佐「ゆりっぺさん」

ゆり「どうしたの?」

遊佐「鬼ですね」

ゆり「こんな可愛い顔の鬼なんているわけないでしょ」

日向「あれ? そういや竹山の奴はどこに居るんだ?」

ゆり「竹山くんは天使の行動を調べるために、今別室でPC作業中よ」

日向「んだよ~、じゃあ竹山は作戦不参加ってか。
   俺もコンピュータの使い方を覚えて裏方に回ってみっかなー」

直井「ふん、貴様がパソコンを使えるなんぞ何百年かかっても無理だろうな」

ユイ「そうだそうだー! 自称神様の言うとおりっすよ、ひなっち先輩! アンタにゃぁ早すぎる代物ッスよ!」

直井「だから僕は自称でもなく歴然とした神だと何度……」

ユイ「サーセン、ちょっと間違えちゃいました☆」

直井「ふん、まぁいい。その殊勝な言葉に免じて許してやる」

ユイ「それで自称神様は今回のミッションに自信あるんですか?」

直井「貴様…ワザとだな? いいだろう、歯磨き粉のチューブの有能性をそんなに知りたいようだな…!」

ユイ「おおぅ、このユイにゃんとやろうってのか!? アンタもギターペグの有能性を知りたいみたいっすねぇ!」

岩沢「いや、アレは有能どころの話じゃないだろう」

ひさ子「アンタが出張ると話がややこしくなるから自重してくれ」

日向「……え、俺ただ罵倒されて放置プレイ!? ホワァァァァァァァイ!?」

ゆり「よっし! それじゃあ、ちゃっちゃと引いちゃうわよー!」


松下「むぅ…相変わらずの緊張感だな」

TK「Gia corn fillipo dia~♪」

椎名「あさはかなり」

高松「さてさて、第一日目の犠牲者は誰になることやら…」

音無「ま、なるようになるさ」

直井「フッ…神は当たらない」

ユイ「おおぅ!? ひなっち先輩、ブルってんのかァ~!?」

日向「ざっけんなっつーの! お前だって小悪魔風の尻尾がヨレヨレしてんぞ!」

岩沢「~~♪ ~~♪」

ひさ子「…こんな時でもギター弾けるアンタの余裕はどこから湧いてんだか」

関根「貫禄の音楽キチですね!」

ゆり「どっせえええええええええええええいい!!」



今回の犠牲者その1
>>40

音無と岩沢(一緒に引っかかって出てきた)

>>40


ゆり「…………って、あれ?」

藤巻「おい、ゆりっぺ。なんか紙切れ二枚ついてんぞ」

大山「ホントだ。 なんかくっついて出てきちゃってるね」

日向「どうすんだよ、ゆりっぺ。 いくらなんでもこりゃ引き直しだろ」

ゆり「……うーん、どうしようかしら」

高松「流石のゆりっぺさんもこの事態は想定外のようですね」

ゆり「……よっし、決めたわ」

大山「何を?」

ゆり「この二枚の紙に書かれている人たちを、タッグでオペレーション参加させましょ!」

ユイ「お、横暴なリーダーやでぇ……」

日向「ふっざけんなああぁぁぁぁぁ!
   大体な、こういう場合って何故かいっつも俺に貧乏くじがついてくるんだよ!」

大山「日向くん、それはいくらなんでも被害妄想だよ…」

日向「俺は引き直しを要求するぜ、ゆりっぺ!」

野田「貴様ァ! ゆりっぺが決めた事柄に口を出す気かァ!」

日向「おーよ! 口でもなんでも出してやらぁ!」

遊佐「日向さん……今の発言はセクハラです……」

ユイ「うっわぁ……大声で『口に出す』とかエロエロすぎますよ、ひなっち先輩……」

関根「普段は好青年ぶっていても、やはり獣の本性は隠しきれないんですね……」

入江「ひゅ、ひゅーひゅー! えっちー!」 ←よく分かってない

日向「たった一言二言喋っただけなのに、なによこの袋叩きっぷり! ホワァァァァァイ!?」

日向「くっそぅ…なんで俺いっつもこんなポジションなんだよ……」

音無「ま、まぁまぁ。 皆から愛されてるって証拠だろ。 ミッション終わったらコーヒーくら奢ってやるから元気だせよ」

日向「音無…お前はこの戦線メンバーで数少ない良識人だぜ……」

直井「良かったな愚民。音無さんから直々に慰めの言葉をもらうなぞ滅多に無いぞ。光栄に思うんだな!」

日向「何でそこでお前が偉そうに出てくんだよ!」

音無「しかも今の言い方だったら、俺って普段どれだけ色々蔑ろにしている奴なんだって感じだな…」

直井「ああ違うんですよ音無さん! 僕はただ音無さんから褒めてもらえるのが如何に凄いことなのかを伝えようとしてですねー」

日向「ホント相変わらずだな、コイツは……」

音無「しっかし、二枚の紙切れに引っ付いて選ばれた奴も災難だな」

日向「ああ。 手探り感の半端ないミッションでタッグ行動は逆にやりづらそうだぜ」

直井「音無さん! きっとこれは僕と音無さんが共に行動できるっていう思し召しですよ!」

音無「あ、ああ。 そうだったらいいな…」

直井「はい!」

日向「音無もドえらいのに好かれちまったなぁ」

直井「貴様のことなんぞミドリムシ程度にしか歯牙をかけていないから安心しろ」

日向「何その曲解! そういう意味で言ったんじゃねぇよ! アホか、アホなんだなお前!」

直井「ほぅ……神に向かってそういう口を聞くか。 どうやら踵を踏み潰した上靴の有能さに気づきたいようだな…」


ゆり「おーい、そこの三馬鹿さん。 そろそろ発表してもいいかしらー?」


ゆり「まず、最初の一人目は………ダララララララララララ……」


大山「セ、セルフドラムロール!?」

ひさ子「なんでゲーム形式で盛り上げようとするんだろうね」

藤巻「さぁな。うちのリーダーの遊び心、斜め上を飛び越えてカタパルトみたいになってっからな」


ゆり「ダララララララララララ……ジャン! なんと、最初の一人は……音無くんよ!」


音無「へー、俺か。珍しいな。 ……ん?」


音無「俺、俺か!?」

ゆり「音無くん、正直言ってかなり期待しているわ」

音無「あ、あぁ…その期待がやや重過ぎるようにも感じるんだが」

ゆり「もし期待を裏切られちゃったら……ね♪」

音無「漠然とした返事が怖い!」


直井(……これはチャンスか!?
   神たる僕が音無さんとミッションを遂行することで、深まる絆。そして、そしてゆくゆくは……!)

日向「直井、言っとくけど悪そうなこと考えてんのバレバレだかんな」

ゆり「それじゃあ二人目の発表をします」

ひさ子「あいよ」

関根「センパイと組めるのかぁ、誰が来てもオイシイなぁ」

入江「美味しいって何が?」

関根「君にはまだ早い考えだよ、入江たん」

入江「えー! しおりん一体何を考えてたのー!?」

ユイ「岩沢さん、岩沢さん! センパイが引き当てましたよ! キョーミ無いんすか!?」

岩沢「~~♪ ~~♪」

ひさ子「ダメだ、完全に自分の世界に浸透してる…」

ユイ「安定の音楽キチっぷりですね☆」

ゆり「タッグを組む二人目は……岩沢さん、貴方よ!」


松下「む?」

大山「ゆりっぺ、ドラムロールは?」

ゆり「そんなモン一発目で飽きたわよ。一発ネタを二回やるなんて正気の沙汰じゃないわね」

高松「凄い言い様というか、えらい言われ様というか…」

野田「それでこそゆりっぺだァ!」


ゆり「岩沢さん、音楽ストップ」

岩沢「んぅ? なんだ、今ようやくリフレインの神が舞い降りてきそうだったのに……」

直井「神、だと…!?」

日向「お前は余計なところに反応しなくていいっつーの!」

ゆり「岩沢さん、今回のミッション第一発目は任せたわね」

岩沢「なんだ、アタシになったのか。ま、天使と話すだけなんだろ。気楽にやってみるよ」

ゆり「ええ、音無くんと一緒にね」

岩沢「………は?」

岩沢「え、いや待て。 今回は天使と喋るだけだろ。 なんで記憶無し男が一緒なんだよ」

ひさ子「…ちなみに、どこから話を聞いてなかったの?」

岩沢「ん~とだな、今回のオペレーションの概要を聞いてからは曲作りに没頭してた」

ユイ「さっすが岩沢さん! 周りの喧騒なんてなんのその!
   音楽に夢中になるってのに場所は関係ないんですね!」

関根「そこにシビれる!」

入江「憧れるぅ~♪」

ゆり「えぇい! ややこしくなるからアンタ達は下がってなさい!」

三人娘「「「はぁ~い……」」」

ゆり「いいこと、実はクジ引きの際に……」

岩沢「ほぅほぅ、かくかくしかじかで」

ゆり「とらとらうまうま、というワケなのよ」

岩沢「OK、大体分かった」

ゆり「理解が早くて助かるわ」


音無「よぅ、岩沢」

岩沢「またアンタと一緒か」

音無「なんだよ、不服か?」

岩沢「……別に嫌ってわけじゃないけどさ」

音無「変な奴だな。 まぁ、変則的になっちまったが今日は一つ宜しく頼む」

岩沢「ああ、こちらこそ」


ゆり「む~、時間的にも微妙になってきたわね」

大山「ゆりっぺ、どうしたの?」

ゆり「本来なら既にオペレーションを始めている時間帯なんだけれど、時間が大分押してるのよ…」

野田(ゆりっぺ、悩んでいる顔も綺麗だな…)

藤巻「んぁ? なんでぇ野田、デレデレした締まりねぇ顔してんなぁ」

野田「気のせいに決まっているだろうが貴様! そう見えるのは鍛錬が足りないからだ!」

ゆり「うっさい、そこの男子二人」

野田「す、すまんゆりっぺ!」

藤巻「なんで俺まで怒られんだよ……」


ゆり「話を戻すわね。 『一日につき一人』なんて言っちゃったけれど、今回は趣向を変えて
   一日二組を天使に宛がって様子を見てみましょう」

関根「それじゃあペアをもう一組作っちゃうってことですか?」

椎名「あさはかなり……」

ゆり「そうね、今回はもう一組くらい作ってみましょ。
   何か成果が上げられそうだったら、次は一人ひとりを向かわせてみるのが良いかしら」

日向「お試し感がとんでもねぇミッションだな…」

高松「しかも成功したら次もある、みたいな事を匂わせる発言のおまけつきです」

野田「何であろうと俺はゆりっぺの任務を遂行するだけだ!」

TK「We are just creatures on the earth~♪」

椎名「あさはかなり」



ゆり「それじゃ、二組目の片割れを引いちゃいましょうか!」

ゆり「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇええええいい!」


二組目の一人目
>>70

入江

今北
しぇ

「休みのところスマン」という職場からの急な呼び出しで、何故か出勤に…
またしても…またしてもAB!SSのスレを落とすことになるのか……!

忙しい合間を縫ってのSSはやはり難しいですね
しばらくは安価形式ではなく、しっかり書き溜めて3時間弱で終えるようなスレにしてみます
久々に見て頂いた方々には本当に申し訳ありませんでした
願わくばAB!SSがもっと増えることを祈って……解散!

関根「おおっ!やったねしおりん!久々に出番だよ!」

入江「えっ……?えぇぇっ?!」

ひさ子「こりゃ、ペア次第では本当に、関根が言ってたみたいに蝶眺めて終わるかもしれないな」

ゆり「そうなったら入江さん……わかるわね?」

入江「ひっ……」

関根「みゆきち、例えヨナクニサンが飛んでいようとも無視、無視を決め込むんだよ! 」

ユイ「ヨナクニサンって沖縄の与那国島に生息してる日本最大の蛾じゃないですか」

日向(お前はなんでそんなこと知ってんだよ……キャラに合わない博識っぷりでツッコミになってないぞ)

ゆり「さて、ちゃっちゃとペアのもう一人を決めるわよ」

藤巻「……」ゴクリ

ひさ子「……なに生唾飲んでんだ、お前」

藤巻「い、いや何故だか緊張してだな……!」

ユイ「ムッツリスケベですね!」

藤巻「なっ?!いや違っ……!!」

日向「ま・入江もなんだかんだで人気あるからなぁ。ペアを組めるかもと妄想するアホの気持ちもわかる」

藤巻「だから違うっつってんだろうが!!」

ゆり「はいはい、アホなこと言ってないでさっさと引くわよー」

ゆり「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇええええいい!」

二組目のもう一人>>90

遊佐

ゆり「……というわけで、入江さんとペアを組むのは遊佐さん、貴女よ!」

遊佐「……了解しました」

大山「へえぇ、なんだか珍しいペアになったね」

松下「ふむ。彼女ら二人と天使、並べば普通の友達同士のようだな」

日向「お似合いといえばお似合いなのかもな。……でもよ、三人とも性格は大人しい方だろ?会話が弾むとは思えないんだが……」

ひさ子「岩沢よりマシだとは思うけどね。コイツ音楽の話以外は本当にからっきしだから」

ゆり「そこは天使と親しい音無くんのフォローに期待しましよう。さておき、日向くんの言うことにも一理あるわね。会話が途切れたら、恐らく天使はすぐに席を外そうとするわ。そうならないように入江さんと遊佐さんの二人は、事前に何か話題を考えておいて」


入江と遊佐が思いついた話題
>>95-110までのレスから5つ採用

髪型

5つはちょっと多かったかな、ここで締め切ります。
アイディアくれた方ありがとうございます、3つか4つ採用させていただきます

入江「……こんな感じかな?」

遊佐「了解しました、ゆりっぺさん


ゆり「岩沢さんには音無くんがいるから問題ないわね。四人とも、期待しているわよ」

音無「おう」

岩沢「ん」

入江「はいっ!」

遊佐「……はい」

ゆり「それじゃ……オペレーション・エンジェルトーカー、スタート!!」

ゆり「竹山くん、現在の天使の位置は?」

竹山「天使は現在登校中。ちょうど靴箱のあたりにいます」

日向「よう竹山。いたのかお前」

竹山「はい。しかし僕のことはクライストと」

ゆり「さぁ、もたもたしてたら天使が教室に着いちゃうわよ。第一陣、音無くんと岩沢さん、行ってきなさい!」

音無「おう」

岩沢「了解」

~~~~昇降口・下駄箱付近~~~~

音無「よう、奏」

天使「おはよう、結弦」

音無「き、今日もいい天気だな!」

天使「?……そうね」

岩沢「……おい」ボソ

音無「す、すまん……ミッションだと思うと変に緊張しちまって……」ボソ

天使「今日は、彼女が一緒なのね」

音無「え?あ、ああ……、か、彼女?!」

岩沢「……」

音無「い、いやいや違うぞ奏!!コイツは別に俺の彼女とかじゃなくて……えーと、たまたまそこで会ったから一緒に登校するかってことになって……!」

岩沢「……必死だなお前」

天使「……なにを誤解しているの?彼女っていうのはそういう意味じゃなくて、あっち……代名詞のほうなんだけど」

音無「へっ?あ、ああ、そっか……はは……」

岩沢「はぁ。もういいよ記憶無し男、後はあたしがやる」

音無「へ?い、岩沢……?」

音無(大丈夫なのか……?)

岩沢「よ、生徒会長」

天使「おはよう……ええと」

岩沢「岩沢だよ。岩沢まさみ」

天使「そう。おはよう、岩沢さん」

音無(あれ、あんがいイケる……?)

岩沢「ところでさ、あんた」

天使「?」





岩沢「ツェッペリンだとどのアルバムが好き?」

音無「……おい!!」

岩沢「……なんだよ」

音無「お前も自然な会話できるんだなーとか思った俺がアホだった!あいつがレッドツェッペリンとか知ってるワケねーだろ!」

岩沢「え……知らないの?おかしいなぁ、そんなヤツいるのか」

音無「おかしいのはお前だからな……」



音無「わ、悪かったな奏、変なこと聞いて……」

天使「ううん。レッドツェッペリンがなにかはよく知らないけど、気にしてないわ」

音無「そ、そうか……」

岩沢「よかったら今度アルバム貸そうか?」

音無「だから待てってお前!」

岩沢「だからなんでダメなんだよ。私はただ、音楽の話がしたいだけだぞ」

音無「だからってあいつ相手にツェッペリンから入るヤツがあるかって……もっと歩み寄れよ」

岩沢「なんだよ、小難しいこというなお前」

音無「もっとこう……例えば、どんな音楽が好きなんだ、くらいでいいじゃないか。それなら相手も困らないだろ」

岩沢「あー、なるほどな」



岩沢「ねぇアンタ」

天使「……?」キョトン

岩沢「UKロックだとどんな音楽が好き?」

音無「だからジャンルを絞るなっつーの!!」

音無「い、今のは気にしないでくれ!なぁ奏、普段はどんな音楽を聴くんだ?」

岩沢「……ちぇっ、なんだよもう」

天使「音楽……そうね、最近はこんなのを聞いているわ」

http://www.youtube.com/watch?v=_2p5xDZmejA&feature=youtube_gdata_player

音無「へぇ、いい曲じゃないか」

岩沢「ああ。この曲……影の主役はリズム隊だな。Aメロのベースがうねってていい感じだ」

音無「奏はよくこのアーティストの曲を聴くのか?」

天使「そうでもないわ。他に知っているのは、2、3曲くらい」

岩沢「ふぅん、雑食なのはいいことだよ。ジャンルに縛られない発想ができる」

音無「じゃあ、好きなアーティストとかはいないのか?」

天使「そうね、聴く曲もまちまちだわ。……だけど」

音無「だけど?」

天使「貴女たちの演奏は、とても好き」

音無「奏……」

岩沢「……そっか、ありがとう」

天使「……校則さえ守ってくれたら」

音無「……ぐ」

岩沢「あはは、ごめんごめん」

天使「……そろそろいいかしら。授業が始まるわ」

音無「おっと……もうそんな時間か。引き留めてすまなかったな」

岩沢「そんじゃね、生徒会長。楽しかったよ」

天使「私も……楽しかったわ。さようなら、二人とも」

音無「おう。またな」

岩沢「またな」

岩沢「こんなもんで良かったのかな」

音無「うーん、収穫があったかと言われると微妙だが……」

岩沢「でも思ってたより楽しいヤツだな、あいつ。音楽の趣味もいい」

音無「……そっか。お前が奏と親しくなれたんなら、それなら良いのかもな」

岩沢「はは、なんだそりゃ。あいつの父親か、お前」

音無「うぐ……誰かに同じようなこと言われた気もする」

音無「さて、そんじゃ本部に戻るか」

岩沢「うん、まあそれでもいいけど……」

音無「?」

岩沢「どっか寄ってかないか?どうせ戻ったって退屈だぜ」

音無「確かに……次に動けるのは昼休みだろうしなぁ……」


①岩沢と寄り道
②本部に帰る


安価>>135

と、ここで少し席を外します。
再開は8時以降になりそうです

それまでに>>1さんが戻ってきたら、僕の部分はなかったことにして元のSSを再開しちゃってください!

それでは一旦小休止

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