春香「今日は何の日っふっふー!」 (45)


春香「はーい、というわけで響ちゃん!」

響「ん?」

春香「突然ですが、今日は何の日でしょーかっ!」

響「今日?今日は自分の」

春香「あれれー?響ちゃん、ひょっとして分からないのかなー?」

響「いや、だから今日は自分の」

春香「もう響ちゃんホントに分からないの?ダメダメだなぁー!」

響「だから春香、人の話を腰を折らないでってば」

春香「しょうがないなぁー、そんな響ちゃんに春香さんが答えを教えてあげましょう!」

響「話を聞けーっ!」

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春香「というわけで今日は響ちゃんの誕生日ですっ!いぇいっ!」

響「うん、知ってる、さっきまで事務所で誕生日パーティーしてたからね」

春香「はーい、おめでたいですね!拍手っ!」

響「えっ」

春香「……拍手!」

響「いや、ちょっと春香ってば」

春香「……響ちゃん?」

響「な、なに…?」

春香「ノリが悪いよっ!」

響「なんで自分怒られなきゃならないんだ、理不尽だぞ」


春香「はい、響ちゃん!拍手!」

響「……」パチパチパチ

春香「音が小さいよ!もっと気合い入れてっ!」

響「えぇぇぇー……」

春香「はい、それじゃあTake2!いってみよう!」

響「……」パチパチパチッ!!

春香「うん、まだちょっと物足りないけど、まぁいいかな!というわけで響ちゃん!」

響「……なんだ?」

春香「あらためてお誕生日おめでとう!」

響「う、うん…ありがとう、すっごく微妙な気分だけど」


春香「そんなわけで私たちは今、もぬけの空となった事務所に戻ってきたわけですが!」

響「やけに説明的な口調だな……っていうか春香」

春香「なにかな?」

響「今更だけどどうして自分、わざわざ事務所に呼び戻されたんだろう?」

春香「それはねー……なんとっ!」

響「うん」

春香「なんとーっ!」

響「うん」

春香「な、なななんとですねーっ!」

響「早く言え」


春香「まったくもう、響ちゃんはせっかちだなぁー」

響「春香が無駄にひっぱり過ぎなんいなだってば」

春香「引っ張ると言えばですね、私のこのリボン、引っ張るとどうなるかご存じですか?」

響「そんなの、分かるわけないぞ」

春香「これをね、こう引っ張ると……」

響「うん」

春香「はいっ!ぼよよーん!」

響「……」

春香「だだ滑りやないかいっ!」

響「そうだな、とりあえず話を先に進めてくれるかな?」


春香「あぁん響ちゃん冷たいよー!もっとイジってよー!」

響「なんなんだ今日の春香、すっごく絡みづらいぞ」

春香「せっかく春香さん渾身のギャグだったのに」

響「それで渾身って、クオリティ低いなー…」

春香「ちょっと響ちゃん!」

響「ん?な、なんだ……?」

春香「そんなこと言ったら本家本元に失礼だよ!」

響「えっ、元ネタあったの?」

春香「もちろんだよ!パクったものの、だだ滑りだよ!どうしてくれるの!?」

響「春香が一番失礼だよ」


春香「まぁ、話を戻そうか…簡単に言うとね」

響「うん」

春香「春香さん個人的にね、響ちゃんのお誕生日をお祝いしたかったの!」

響「えっ…そ、そうなんだ」

春香「どうしたの響ちゃん?」

響「いや、なんていうか……ちょっと意外だぞ」

春香「意外?」

響「春香がそんな風に言ってくれるなんて思ってなかったから…ちょっと驚いた」

春香「そうかな?これでも私は結構響ちゃんのこと大好きなんだけどね!」

響「んがっ!?い、いきなり何を言い出すんだ春香ぁーっ!」


春香「あれれー?響ちゃん、ひょっとして照れてるのかなー?」

響「べ、別に照れてなんかいないぞ!」

春香「とか何とか言って真っ赤になっちゃってー!」

響「うえぇっ!?う、嘘っ…自分、顔赤くなってる?」

春香「うん、真っ赤だよ!真っ赤な誓い並だよ!」

響「……はい?」

春香「こぉーのー手を離すもーんかぁーっ!真っ赤な誓いぃーっ!」

響「……」

春香「……なんか、ゴメンなさい」

響「うん、おかげ様で一気に熱が冷めたよ」


春香「でも響ちゃん、さっきまでホントにお顔が真っ赤になってたよ?」

響「春香が急に変なこと言ってからかうからだぞ!」

春香「別にからかっているつもりはないんだけどなぁー」

響「そ、そうなのか?」

春香「そうだよ!響ちゃんが思ってる以上に春香さん、響ちゃん大好きだからね!」

響「そ、そんな面と向かって言われると恥ずかしいぞ……でも、ありがとう」

春香「やっぱり照れてるじゃーん!あぁもう響ちゃんかわいいなぁー!」

響「ち、茶化さないでよ春香ぁー!」

春香「やっぱりかわいいなぁー、持ち帰りたいなぁー!家に持って帰りたいなぁー!」

響「うん、今なんか不穏な発言が聞こえた気がしたけど聞かなかったことにしておく」


春香「うふふ、照れてる響ちゃんかわいかったなぁー!」

響「うぅぅ……な、なんか無性に悔しいぞ、よーしこうなったら!」

春香「ん?どうしたのかな?」

響「自分も反撃してやる!仕返しだぞ!倍返しだっ!」

春香「おっ、何をするつもりだい?」

響「春香!」

春香「んー?」

響「じ、自分も春香のこと…だ、大好きだぞっ……!」ガバッ

春香「ふぇっ?……えぇぇっ!?ひ、響ちゃんいきなり何を……!」

響「抱き付き攻撃だぞ!さすがの春香もいきなりこんな事されたら驚くだろっ!」


春香「お、おおお驚くも何もいきなりそんなことされたら恥ずかしいでございますよ!」

響「テンパりすぎて口調がおかしなことになってるぞ」

春香「そ、そりゃなりますともさ!……ちょっと響ちゃん、か、顔が近いよ…」

響「あっ、ひょっとして春香照れてるのかー?ふふん、リベンジ成功だぞ!」

春香「べ、別に照れてへんっちゅうねん!」

響「なんで関西弁!?」

春香「あぁ、それにしても響ちゃん柔らかくて気持ちいいなぁ」

響「うぇっ!?ちょ、春香……?」

春香「それにいい匂いもするなー、落ち着くなぁー……くんくん」

響「うぎゃー!春香が変態になっちゃったぞー!?離せーっ!今すぐ離せーっ!!」


春香「響ちゃーん、よりにもよって変態扱いだなんて、ちょっとヒドくないかな?」

響「あんな気持ち悪い台詞言うからだぞ」

春香「そもそも抱き付いてきたのは響ちゃんの方じゃない」

響「それはそうだけど……それにしたっても限度っていうものがだな」

春香「ゴメンね、ついつい響ちゃん好きすぎて暴走しちゃってさ」

響「う、うぐっ……す、好きって」

春香「んー?どうしたの響ちゃん?」

響「そんなストレートに言われると怒るに怒れないぞ……」

春香「響ちゃんってばいちいち照れるんだから、ホントもうかわいいなぁー!」

響「……うん、次からは怒ることに決めたぞ」


春香「まあ、ちょっとばかり話が脱線しちゃったね」

響「うん、ちょっとどころの話じゃないけど」

春香「というわけで、ささやかではありますが!」

響「うん」

春香「二人っきりで誕生日パーティーを開きたいと思いまーす!」

響「嬉しいような、嬉しくないような」

春香「えっ……う、嬉しくない?」

響「だって今日の春香、なんかテンションおかしくて絡みづらいんだもん」

春香「……」

響「あれ、春香?急に黙っちゃってどうしたんだ?」


春香「ぐすっ……」

響「!?」

春香「ひ、響ちゃん……春香さんに誕生日祝ってもらうの、嬉しくないんだ」

響「い、いや…決してそういうわけでは」

春香「でもさっき言ってたじゃん」

響「あ、あれは……別に本気で言ったわけじゃ」

春香「テンションおかしくて絡みづらいとか、ど変態とか、うざリボンって……」

響「言ってない!そこまでヒドイことは言ってないから!」

春香「ゴメンね、こんな無個性普通ダメダメゴミリボンは穴掘って埋まってるから」

響「落ち着いて!春香落ち着いて!ネガティブになりすぎだから!」


春香「でもだって響ちゃん、春香さんのこと迷惑に思ってるんでしょ?」

響「思ってない!思ってないから!」

春香「でもさっき言ってたもん……」

響「冗談だから!ほんの冗談、取り消し!あんなの無効だぞ!」

春香「……ホント?」

響「全然思ってない!少しも思ってないぞ!」

春香「じゃあ春香さん、響ちゃんのお祝いしてもいいの?」

響「うん、いいぞ!全然オッケーだぞ、いやぁ自分うれしいなぁー!」

春香「えへへっ……よかったぁ」

響「泣き顔のあとにこの笑顔、正直反則的だと思うぞ……」


春香「はーい、それじゃあ改めて響ちゃんお誕生日おめでとうっ!」

響「うん、ありがとう!」

春香「それじゃあ早速だけど、プレゼント渡しちゃおうかなぁー」

響「あれ、春香のプレゼントならさっきのパーティーで貰ったはずだけど」

春香「あぁ、あれ?あれまだ中身開けてないよね?」

響「うん、家帰ってから開けてって言ったの春香の方だし」

春香「まあせっかくだし、ここで開けてみようか!」

響「ここで?まぁ、いいけど……ん、中に何か紙切れが」


『ふははははっ!たまされたな、これはニセモノだ!』


響「…………」


春香「ふふーん!それはこの時の為に用意したダミーなのだ!」

響「……」

春香「ねえねえ響ちゃん?いまどんな気持ち?いまどんな気持ち?」

響「う、うざすぎるぞ……ん、あれ」

春香「どうしたの響ちゃん?悔しさのあまり言葉も出ないかね!」

響「春香、『だまされた』が濁点抜けて『たまされた』になってるぞ」

春香「えっ……いやぁぁぁ!ホントだぁーっ!」

響「あはははっ!何やってるんだよ春香ってばドジだなぁー!」

春香「うぅ恥ずかしいよぅ、春香さん赤面だよぅ、穴掘って埋まりたいよぅ」チラッチラッ

響「なんでこっちチラ見してんの?なんかもう反応あざとすぎるんだけど、ワザとか?」


春香「気を取り直して、本命のプレゼントはこっちだよ!」

響「本当に大丈夫か?またさっきみたいな紙切れとか入ってるんじゃ……」

春香「もー!響ちゃんは疑り深いなぁー!そんなことしないってば!」

響「なんだか受け取るのがものすごく不安だぞ」

春香「えっ……い、いらないの?」

響「いや、別にそういうわけじゃ……あれ、この流れはさっきと似て」

春香「響ちゃん、春香さんのプレゼントいらないんだ……ぐすっ」

響「あぁぁ嘘っ!嘘だから!春香それ欲しいぞ!自分、超欲しいぞ!」

春香「えへへっ、しょうがないなぁ…はいっ、あげる!」

響「正直その涙目はズルすぎるだろ……」


春香「ねぇねぇ響ちゃん!開けてみて?」

響「何が入ってるんだろうなー」ガサガサ

春香「ねぇねぇどうかな?どうかな?」

響「ちょっと待ってってば、まだ包装紙取ってるとこだから」ガサガサ

春香「どう?春香さんのプレゼントどう?どうだい?」

響「だから待ってって、今から箱開けるところだから」

春香「響ちゃーん!はーやーくーっ!感想はやくってばー!」

響「だからまだ開けてないって……春香、ひょっとしてワザと言ってるだろ?」

春香「モチのロンだよ!」

響「なに堂々と言ってんだよ……」


春香「ほらほら響ちゃん、早く開けってばー!」

響「分かったから、分かってから……あっ、これって」

春香「ふふん、どうかな?」

響「わぁ……すっごくかわいいリボンだぞ!」

春香「ほんと?」

響「うん、すっごいかわいい!でもこれって市販のじゃなさそうだな…ひょっとして」

春香「ちょっと頑張って作ってみたんだ!」

響「これ春香の手作りなのか!?すっごいなぁー!自分、うれしいぞ!」

春香「もう大変だったよ、一から生地を作るところから始めたからね!」

響「なんか今日の春香が言うと、どこまでが冗談なのか分からなくなるよ」


春香「とにかく、気に入ってもらえてよかったよ!」

響「うん、すっごく気に入った!」

春香「春香さんのお手製だから、大事にしてあげてね?」

響「当たり前さー!ちゃんと大事にするからね!」

春香「何なら神棚に飾ってもらってもいいんだよ?」

響「なんでだよ」

春香「もしくは御神体として崇め奉ってくれてもいいよ!」

響「だから何でだよ」

春香「もしくはそれを春香さんと思って毎日話しかけてもいいくらいだよ!」

響「いやいや、それ恐いよ」


春香「というわけでプレゼントのお渡しは終了ということで、次!」

響「ん、まだ何かあるのか?」

春香「あるよ、もちろんあるよ!むしろここからが本番だよ!」

響「ずいぶんと気合い入ってるなー」

春香「お次は春香さんがこの日のために考えてきた渾身のギャグを披露します!」

響「なんかもう色々とおかし過ぎてどうツッコんでいいか分からない」

春香「えっ、ツッコミ?響ちゃんは漫才がしたかったの?」

響「いや、そういう意味で言ったわけじゃないから」

春香「でもそれなら残念だけど春香さんがツッコミだよ!ボケは響ちゃん担当で」

響「うん…自分、ぶっちぎりでボケ担当は春香になると思うんだ」


春香「では春香さん渾身のギャグ、いきまーす!」

響「まぁ、張り切ってるみたいだし見るだけ見てみようかな……」

春香「この春香さんのリボンをね、こう持つとね」

響「…んっ?」

春香「はい、これをこう……ぼよよーんっ!」

響「……」

春香「ぼよよーん!リボンがぼよよーん!」

響「……春香」

春香「何かな?」

響「それ、さっきやったよね」


春香「響ちゃん?」

響「ん?」

春香「最初のアレは、無かったことにしていただけませんか」

響「えぇぇぇー……」

春香「さも、これが初見であるかのように振る舞ってくれると助かるんだけどなー!」

響「いや、仮にそうであったとしてもな……春香」

春香「なんだい響ちゃん?感想かな?感想があるなら聞きますよー!」

響「いや、初見であろうとなかろうと面白くはないぞ」

春香「うん知ってる、だだ滑りだよね、完全にパクり損だよこれ」

響「勝手にパクった上のその暴言、ひどすぎだろーっ!」


春香「まぁギャグは失敗に終わったけど、次は大丈夫だから!」

響「今度は何のギャグだ?」

春香「次はギャグじゃないよ、歌ですよ!歌っ!」

響「……歌?」

春香「うん、響ちゃんのためにバースデーソングを歌っちゃいます!」

響「おぉぉー、それはちょっと良いかも」

春香「でしょでしょ!この時のためにアイデアを練りに練って作ってきたのさ!」

響「……えっ、作る?」

春香「作詞作曲、天海春香だよ!春香さん自作の歌だよ!」

響「なんか一気に不安になった、大丈夫かこれ」


春香「それではいきます……おほん」

響「ホントに歌うんだ」

春香「ピザ・モッツァレラ♪ピザ・モッツァレラ♪」

響「……」

春香「レラレラ、レラレラ♪レラレラ、レラレラ♪」

響「……」

春香「ピザ・モッツァレラ♪……という歌なんですが」

響「あぁ、うん……」

春香「タイトルは『チーズの歌』だよ!」

響「そ、そっかぁ……」


春香「ちなみに二番はね!」

響「二番もあるのか……」

春香「歌詞を『ゴルゴン・ゾーラ』で繰り返しだよ!ゾラゾラゾラゾラ♪」

響「……」

春香「……」

響「あの、えっと……春香」

春香「響ちゃん」

響「な、何だ……?」

春香「やっぱり聞かなかったことにしてもらっていいかな?」

響「あっ、うん……分かった」


春香「いやぁ、プレゼントを渡してから一気に時間が飛んだ気がするね!」

響「……さっきの出来事はホントに春香の中から抹消されてるんだな」

春香「ところで響ちゃん」

響「今度は何だ?」

春香「お腹すいてない?」

響「さっきパーティーでたらふく食べたし、別に空いてないぞ」

春香「……」

響「……春香?」

春香「響ちゃん、お腹すいてない?」

響「さっきすいてないって言ったよね!?なんでまた聞いてきたの!?」


春香「いやいや、きっと響ちゃんはお腹すいてるはずだよ!」

響「だからすいてないってば、お腹いっぱいだよ!」

春香「そこを何とか!」

響「どういうこと!?」

春香「響ちゃん、胃袋にスペース作って今すぐに!」

響「無茶を言うなーっ!」

春香「本当にどうにもならないんですか?」

響「っていうか春香が何を言いたいのかサッパリだぞ」

春香「それでも、きっとケーキ一個分くらいは……」

響「えっ?なんでケーキ?」


春香「ケーキ一個くらい……食べられるはずだよ」

響「……あぁ、そういうことかぁ」

春香「ぐすっ……響ちゃん、本当にお腹すいてないの?」

響「また泣き出したし……あぁもう分かったよ!分かったってば!」

春香「……ふぇ?」

響「お腹すいてるよ!ケーキ一個分くらいなら全然食べられるよ!」

春香「……ホントに?」

響「うん、ホントだぞ」

春香「えへへっ……そんな響ちゃんのために、実は今日はケーキを作ってきましたー!」

響「それならそうと最初から言えば……というかその涙目はホントに反則だぞ」


春香「あまり時間無かったから本格的なのは作れなかったんだけどね」

響「それでも春香のお菓子だったらきっと美味しいに決まってるぞ」

春香「そんなにハードルあげないでよー!ちょっと待ってね、今取ってくるから!」

響「……今なんかすごく嫌な予感がしたけど、まさかな…」

春香「響ちゃーん!お待たせー!」

響「あぁ、春香っ!そんな走ったりしたら危な……春香ぁっ!?」

春香「うわぁっ!?……わっ、きゃぁぁっ!?」

響「は、春香ぁーっ!?」


ドンガラガッシャーン


響「嫌な予感的中だぞ……まさか本当にこんなお約束なことになるなんて」


春香「うぅぅ……いたた、転んじゃったぁ」

響「春香、大丈夫かー?」

春香「うん、大丈夫だいじょ……あっ」

響「ん?」

春香「ケーキが……」

響「あぁー……箱、真っ逆さまに落ちちゃってるな」

春香「中身、大丈夫かな……」カパッ

響「……」

春香「形、崩れちゃってるね……」

響「……うん」


春香「……ぐすっ」

響「また!?もーっ、今日の春香はちょっと泣きすぎだぞー!」

春香「せっかく作ったのに……崩れちゃった」

響「いやいや!崩れたって言っても少しじゃん!全然きれい、問題ないぞ!」

春香「ダメだよ、こんなの響ちゃんにあげられないよ…」

響「は、春香ぁ…」

春香「こんなみっともないケーキ、響ちゃんの誕生日には相応しくないよ…」

響「……っ!は、春香!」

春香「な、なに…?」

響「そ、そんなことないぞ!」


春香「えっ…な、何が?」

響「みっともなくなんかないぞ!」

春香「響ちゃん……?」

響「春香が自分のために作ってくれたケーキなんだ!形なんて関係ないっ!」

春香「……」

響「どんなに形が悪くなっても真心がこもっているんだ、自分にはとても立派に見えるぞ!」

春香「響ちゃん……」

響「だから、そんな風に言わないでよ春香!」

春香「響ちゃんありがとう、すっごく恥ずかしい台詞だったけど春香さん嬉しいよ」

響「うん、そういうこと冷静に言わないでくれるかな?言ってて自分も恥ずかしくなってきた」


春香「それじゃあ響ちゃん、こんなになっちゃったけど、食べてくれる?」

響「うん、喜んで食べさせてもらうぞ!」

春香「はい、それじゃあ響ちゃん、あーん」

響「……なぬ?」

春香「だから響ちゃん、あーんってば」

響「えっと……なんで?」

春香「なんでって、ケーキ食べるんだよね?だから、あーん」

響「いや、そんなのしなくても…ケーキくらい一人で食べれるから」

春香「ダメだよ!響ちゃん、ここは流れ的に春香さんに食べさせてもらうところだから!」

響「いやいやいや、何言ってんの?」


春香「ここは流れ的にこうするべきだって思いますよ!」

響「いや、でもさすがにそれは恥ずかしいというか…」

春香「でも今ここには誰もいないよ?」

響「そ、そういう問題じゃ……」

春香「それとも響ちゃんはアレなのかな…」

響「ん?」

春香「春香さんに食べさせてもらうのが、イヤなのかな……」

響「べ、別にイヤってわけじゃ……ただちょっと恥ずかしいってだけで」

春香「ウソだよ、きっとイヤなんだよ……そうに決まってるよ……ぐすっ」

響「またか!どんだけ春香は涙腺緩いんだよ!」


春香「そうだよね、ゴメンね響ちゃん…春香さんウザいよね」

響「だからそこまで言ってないってばぁー!あぁ、もう分かったから!」

春香「……えっ?」

響「春香、ケーキ食べさせてよ!」

春香「……いいの?」

響「いいよ、でも恥ずかしいから一口しか食べないぞ!」

春香「えへへっ、ありがとう響ちゃん……それじゃあ、あーん」

響「あ、あーん」

春香「はい、どうぞ……どう?おいしい?」

響「むぐっ……うん、おいしい…さすがは春香だな」


春香「あっ、響ちゃんお顔が真っ赤だよー?」

響「えぇぇっ!?う、嘘っ!」

春香「あれれー?ひょっとして照れるのかなー?」

響「べ、別に照れてなんかないぞ!」

春香「でもこういうのって何だか恋人同士みたいだよね!」

響「んがっ!?は、春香いきなり何を……!」

春香「たかがあーんくらいで照れまくる響ちゃん、超かわいい!」

響「だ、だから茶化さないでってばー!」

春香「あぁもうかわいいなぁー、持ち帰りたいなぁー、欲しいなぁー」

響「なんか今ものすごい発言が聞こえた気がするけど、きっと気のせいだな、うん」


春香「あっ、もうこんな時間、お外真っ暗だねー」

響「ホントだな、結構時間経ってたんだな」

春香「そろそろ帰ろっか」

響「うん」

春香「響ちゃんとの時間をこれで終わらせるのは名残惜しいですけどね!」

響「もう、そういう台詞面と向かって言われると恥ずかしいぞ……」

春香「でもホントだよ?」

響「それならこれから自分の家にでも来るか?別に来てもいいけど」

春香「んー、魅力的な提案だけどそれは次回にしておこうかな!」

響「そ、そっか……」


春香「あっ、ひょっとして響ちゃんも寂しいのかな?」

響「ち、違うぞ!そんなことないぞ!」

春香「まぁまぁ、今度必ず響ちゃんの家に遊びに行かせてもらうから」

響「うん、分かった、いつでも来ていいからね?」

春香「お菓子いっぱい作って持っていくね!」

響「まぁでも、ちょいちょい妙な流れではあったけど…今日は自分、楽しかったぞ」

春香「ホントに?楽しんでもらえた?」

響「うん!すっごいすっごい楽しかった!ありがとうな春香!」

春香「あぁ、もうその笑顔めちゃくちゃかわいい!欲しい!今すぐにでも!響ちゃんが欲しい!
   ねぇねぇ響ちゃん、やっぱり響ちゃんの家行ってもいいかな?もう春香さん我慢できないよ!」

響「やっぱ来るなーっ!変態はおことわりだーっ!」




おわるん

はい、そんな感じでギリになったけど響ちゃんお誕生日おめでとう、ありがとうございました

ひびきおつ

乙乙
春香さん、そのネタ関西人にしか通じないと思うの

P「リボン…明日から来なくっていい。クビだ」

春香さん響のこと好きすぎだろ…
もっとやれ

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