P「返せ……返せよッ!」 (40)


かの人は言う

求めなければ与えられることはないのだと。

かの人は言う

尋ねなければ見出すことはできないのだと。

かの人は言う

門を叩かなければ扉が開かれることはないのだと。

ならば、問おう

与えられるものが、求めたものであるのか。と

ならば問おう

見出したものが、邂逅すべきモノであったのか。と

ならば問おう

開かれしその扉は……開くべき扉であったのか。と

お答えできないのであれば……私は否定する

私は言おう。

求めるだけでは与えられはしないのだと

私は言おう。

尋ねてはならないものがあるのだと。

私は言おう。

閉じられているのは、開くべきではないからだ。と

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1381334447


「春香、やはり帰るべきでは?」

「あはは……怖がりだなぁ。貴音さんは」

「そういう問題では……」

嫌な予感がすると、

私はすでに何度も言っていたはず。

なのにもかかわらず、

肝試し紛いのことを行ってしまった

「大丈夫ですよ。ちゃんとお祓いも、お清めだってしたんですから」

「し、しかし……」

当然、春香一人で行かせるわけにもいかずについてきてしまったわけで、

正直……怖くて仕方がなかった

「大丈夫ですよ、いざって時は私がいます」

そんな私の腕を春香はつかみ、

元気な笑顔を見せてくれた

「春香……」

でも、不安と恐れは拭えず、

表面上だけを取り繕った私の笑顔をあざ笑うかのように、

風が廃校のがらすを撫でて奇怪な音を響かせていた


「特に怪奇現象とかは起きないですね」

「起きる必要などありませんっ」

怪奇現象が起きるかどうかの検証をいくつか行うだけという簡単なものではあった

しかしながら、

そのいくつもの儀式と呼べるような調査の間も、

怪奇現象は起きずとも嫌な気配だけは消えることがなかった

とにかく警戒を――……

「……? 春香」

「はい?」

「りぼんは……どこへ?」

「え?」

春香の髪を結んでいた右側のりぼんが消えていた。

いつ?

前回の検証時は?

「すたっふの方! 春香が映っている部分を!」

「は、はい」


確認した結果、

前回の検証からここへの移動中も紛失してはおらず、

それどころか、

春香を一時的に移さず、

私へとカメラなどの意識が全て向いたその一瞬。

その刹那で消えていた

「……霊媒師の方、なにか感じましたか?」

「何も感じてないねぇ……」

「ど、どっかで落っことしちゃったんだよ……多分」

「春香、映像上では【ここに来るまであったのですよ】確実に」

その言葉が、

春香はおろか、すたっふ達みなの動きを止め、

夜の廃校という禍々しい空気の乱れを止めてしまった


「お、おい、どうするんだ?」

「どうするって……」

ただの遊びのようなことをしたせいであることは明白だった

開けてはならない門を開き、

尋ねてはならないモノを尋ねてしまった

「今すぐ……中止です」

「け、けど……番組に穴があいちゃうぞ」

「そのようなこと、気にしていられる場合ではありません!」

だから嫌だった

こうなるかもしれないと思ったから。

けれど、

安眠を妨げた私達に憎悪の火を燃やす廃校は、

どこからともなく突風を巻き起こし、

私達のあいだではなく、体を駆け抜けていき、

「ぅ……ぉぇっ……」

「春香!」

「す、すごく……さむっ……」

春香の意識を奪い去っていった

くけけけけけけけけけけけけけけ


その結果、番組は別のものとさし代わり、

倒れた春香も、

廃校からでて病院へと向かう途中、

何事もなかったかのように目を覚ました

くわえて、

お祓いとお清めを再度したということで、

みな平気なのだと思い込んでしまった

もちろん、

私はそれでも警戒は怠らなかったつもりだった

でも、だけれど。

翌日事務所に向かった私を待ち受けていたのは、

豹変した春香だった

寺生まれのPさん?


「おっはー、ひめちゃん」

「春……香?」

「うん? どったのかなぁ? ひめちゃん」

ひめ……ちゃん?

いえ、そうではなく。

どこからどう見ても春香であることは間違いない。

容姿も、声も。

春香であるはずなのに……何かが違う

「春香、ですよね?」

「そっだよー?」

「その、ひめちゃんというのは?」

「ひめちゃんはひめちゃんだよ。貴音ちゃんはお姫様みたいだから、ひめちゃん」

真美か亜美の悪戯?

それとも、まさか昨日の?

不安と恐怖が蘇ってくる……

緊張走る私の表情を下から眺めていた春香が不意に笑った

>>6
ビクってなっただろ!


「アハハハハハハ」

「っ!」

あまりにも強すぎる嫌悪感。

その声も、表情も、容姿も

何もかもが春香でありながら、

春香ではない何かであるような錯覚……錯覚?

「貴音さん?」

「ひっ」

「えっ、ちょ……や、やりすぎたかなぁ?」

思わず後ずさった私を見る春香は、

申し訳なさそうに頭をかき、私を見つめていた

「あーっはるるんなんで止めちゃうのさ!」

「そうだよ、もうちょっとでおひめちんの貴重な泣き顔が見れたのにーっ」

亜美、真美……?

その手に握られた自作のドッキリプレート

「貴音さんがすごく不安そうだったから……亜美、真美もちゃんと謝って」

「「おひめちん、ごめんね→?」」

「ごめんなさい、貴音さん」

ただの冗談?

本当に……?

3人の弁解を聞いても、かかったモヤが消えることはなかった


とりあえず中断

この時点で既に予定を逸れました

このまま貴音主役、はるるんヒロインで行くことになりそうです

スレタイがPなのは伏線?
ホラーものは季節外れだけど期待
たかはるでもはるたかでもいいピヨ



たまにPは出番がタイトルだけの時があるからな……。

P「たった一人の弟なんだ…!」

とか

P「持って行かれたぁぁ!!!」

かと思った


「今日の春香ちゃんは一段と元気だねぇ」

「あはは、元気が取り柄ですから」

「……………」

春香は普通だった。

まるで、昨日は【何事もなかった】かのように。

もちろん、

それは願ったり叶ったりなこと

しかしながら、【順調に行き過ぎる】ということは、

あまりにも恐ろしい

「……春香、貴女は本当に春香なのですか?」

その呟きが届いたのかそうでないのか、

すたっふと会話する春香は振り向き、

その笑顔を私に見せてくれる……けれど

『「アハハハハハハ」』

「ッ!」

言葉では形容し難い悪寒が神経を駆け巡り、

冷凍庫にでも閉じ込められたかのような寒気に包まれる

「た、貴音さん!」

「春……香……?」

>>16
俺もハガレンかとおもったわ


「貴音さん、大丈夫ですか?」

「っ……え、ええ」

春香に支えられてようやく、

倒れかけていたことに気づくとは、

感覚が鈍っているとしか――っ

鈍い痛み、発汗作用でもあるのか、

冷や汗のようなヌメっとした感覚が全身から伝わってくる

「少し横になった方が」

「その必要は……ありま、せん」

体が重く、動くことが気怠く感じる

言葉がなかなか出てこない。

頭が働かなくなっていく

「ダメ、無理しちゃダメだよ。貴音さん!」

「問題、など……」

私の意識はそこでと切れ、

しかし、痛みなど感じることはなく、

むしろ柔らかく、温かな感覚に包まれた


「38度、熱出してるじゃない。加えて密室のような撮影所だったせいもあって、一時的に悪化したのね」

「……すみません」

「アイドルなんだから、体調管理はしっかりしないとダメよ?」

「はい」

今朝はそうでもなかったはず……

しかし、それゆえに気付けず悪化してしまった。と?

「くっ……」

体を起こそうにも、

重い体は自由が効かず、すぐにベッドへと倒れ込んでしまった

「あー動かない動かない、余計悪くなるわよ」

「……医務の方、少々お尋ねしたいことがあるのですが」

「ん?」

「春香は……どこに?」

「あーあの子ね。残るって渋っていたけど、伝染るからって追い出しちゃったわ」

さらっと悪いことを言った気がするが、

確かに熱を出している以上、近づくことはできない


「しかし、私はこのあとどうすればよいのですか?」

「プロデューサー呼んで貰ったから、直帰しなさい」

「……直帰、春香は?」

「あの子はまだ撮影残ってるからねぇ。終わってからじゃないと」

春香を一人にするのは気が引ける……かといって、

病人である以上、駄々をこねて残ることも叶わない

「仕方がありません……ね」

昨日から今日にかけての春香の豹変は、

まだ疑いが残るとは言え、真美達による悪戯であったわけで、

先ほどの寒気も、

自身の体調管理のいい加減さが生み出した錯覚だとすれば、

一応の納得は出来る

「ひとまずは様子を見る他ありませんか」

そう決めはしたものの、

やはり春香を待ちたいと駄々をこねた結果、

強制送還に近い形で撮影所を去ることになった

ちょっと中断

中断長いよ!何やってんの!

千早の胸が持ってかれて72になったお話かと

リボン=春香(本体)

リボン紛失=魂紛失

  う し ろ に い る の は

    ホ ン モ ノ か ?

失敬、Sagaのままだった


「珍しいな、貴音が体調管理怠るなんてさ」

「……弁解の余地もありません」

「いや、怒ってるわけじゃないんだから」

体調管理は己の責務

それを怠ったつもりはないとは言え、

微熱から熱へと悪化することさえ許してしまったのは、

言い逃れする余地のない事実

「申し訳ありません」

「……どうした?」

「いえ」

プロデューサーを不安にさせてしまうのは申し訳ない

ゆえに、

春香の状態を伝えるわけにもいきませんね……

それが判断ミスにつながる可能性も無きにしも非ず

しかし……そうするしかないのもまた事実


理由は言うまでもなく、

プロデューサーはいくつもの仕事を抱えている

だからこそ、

いまだ不明瞭な春香の件は、

出来るならば事を知る私自身の手で終わらせたい

「そういえば、昨日は済まなかったな」

「いえ……問題はありません」

「俺の監督不行届だ」

……昨日の件。

やはりプロデューサーは責任を感じてしまっている……

「ただの撮影のはずだった。何も起こらないはずだった。偶発の事故、プロデューサーの責ではございません」

「ははっ……貴音は優しいな」

「ゆえに、背負い込まぬよう。何卒……よろしく、お願い……致し――……」

痛む頭、霞んでいく思考、歪む視界

「貴――丈―――い」

プロデューサーが何かを言っている

でも、声は聞き取れず、

私は意識を失った


見えるのは星空

風に揺れる草花を絨毯として横たわる私

それは夢とわかる夢

『貴音さん』

『春香、ですか』

そんなところに私といるのは春香だった

春香のことを思って眠ってしまった……というよりも、

意識を失ったせいだろうか。

『大丈夫ですか?』

『ええ、問題はありません』

『ならいいけど……貴音さん』

『はい?』

不意に聞こえた春香の緊張した声

視界に映る春香は反対側を向いているせいで表情は見えなかった

『貴音さん……無理は。しないでください』

その笑顔は正しく春香のもの

私が知っている春香の笑顔だった

それに触れたくて手を伸ばす

けれど、そこはやはり夢

春香の体を突き抜けて空を切り、

次第に景色は歪み、崩れては消えていく

『また、会えますよ』

『……春香』

笑顔のままの春香

彼女もまた、形を崩して、そして――消えていった


中断

ザビーゼクタースレと思ってたのに


あんまり面白くないからもう書かなくていいよ
てか、一生中断してろ

>>32
お前が人生中断すれば良いんじゃね?
どうせもう終わってんだろ?

そいつ ◆Oco32c1Rxk という鳥付きの荒らしっぽいね
他のスレにも湧いてたわ

春香さんがおかしいのではなく貴音がおかしくなってるとか…


目を覚ました私を見つめるひとりの少女

「おっはー、ひめちゃん」

「春……香?」

「うん? どったのかなぁ? ひめちゃん」

ひめ……ちゃん?

いえ、そうではなく。

どこからどう見ても春香であることは間違いない。

容姿も、声も。

春香であるはずなのに……何かが違う

「春香、ですよね?」

「そっだよー?」

「その、ひめちゃんというのは?」

「ひめちゃんはひめちゃんだよ。貴音ちゃんはお姫様みたいだから、ひめちゃん」

真美か亜美の悪戯?

それとも、まさか昨日の……昨日?

おかしい。

なにかがおかしい


私はいつ、この光景を見たのですか?

昨日? 一昨日? それとも、今日?

思考がループする

「た、貴音さん?」

「春香、貴女は……春香ですよね?」

「えっ、ちょ……や、やりすぎたかなぁ?」

思わず口走った問いへの答えは、

正しいようで正しくない曖昧な答え

そして、申し訳なさそうに頭をかき、私を見つめる

「あーっはるるんなんで止めちゃうのさ!」

「そうだよ、もうちょっとでおひめちんの貴重な泣き顔が見れたのにーっ」

そんな声と共に現れるのは、

悪戯が好きな亜美と真美

その手に握られた自作のドッキリプレート

「貴音さんがすごく不安そうだったから……亜美、真美もちゃんと謝って」

「「おひめちん、ごめんね→?」」

「ごめんなさい、貴音さん」

解らない。解らない

ワカラナイ、ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ

なにがそうなってこうなってそうなってててててて……


気づけば、いつの間にか春香と一緒に撮影所へと着ていた

「今日の春香ちゃんは一段と元気だねぇ」

「あはは、元気が取り柄ですから」

そんな春香と監督の会話と遠めに見る私は、

変に体が重く、動くことが気だるく感じた

「……………」

思い返すいつかの声

『「アハハハハハハ」』

それは春香のものだったような、

いや、春香のものではなかったような。

「た、貴音さん!」

「春香……?」

春香の声で引き戻されていく意識

斜めに倒れていく視界

私は【また】倒れるのですか?


私は高熱を出していたらしく、

呼ばれたプロデューサーと共に帰宅することになってしまった

「珍しいな、貴音が体調管理怠るなんてさ」

「……弁解の余地もありません」

「いや、怒ってるわけじゃないんだから」

体調管理は己の責務

それを怠ったつもりはないとは言え、

微熱から熱へと悪化することさえ許してしまったのは、

言い逃れする余地のない事実

「申し訳ありません」

「……どうした?」

「いえ」

……これはでじゃぶというもの?

私はこれをついさっきも【見た】覚えがある

……見た? 経験したのではなく?


中断

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