響「今日だけ」 (47)

P「花の30連勤お疲れ様、俺っと。ただいま」ガチャ

P「さて酒………うわ……まともに整理もしてなかったからな……何時のつまみだこれ……ま、いいか」ガサガサ

P「…………」カシュッ

P「…………」グビグビ

P「………ふー……ん?そういや最近吸えなかったからカートン買ったの忘れてたな……一箱しか空いてない」

P「……ライターライター……あった」シュボッ

P「………………」

P「湿気ててマズい……」グリグリ



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P「…………」

P「…………ダメだ、身体が休み方忘れてる。気がついたらいつの間にかPC立ち上げてら」

P「……良いや。あの企画書纏めちまおう……ん?」

ピンポーン

P「誰だ?こんな時間に……もう日付変わるってのに……」

ピンポーンピンポーンピピンポンピンポーン

P「……今行くから静かにしろっての……はーい?」ガチャ

響「は……はいさい、プロデューサー」

P「…………響?」

P「お前、なんでここに?いや、それより……なんだ?その荷物……」

響「……ちょっとハム蔵達と喧嘩しちゃって……家を追い出されちゃったんだ」

P「……それは……酷いな。少し騒がしくしただけだろ?今からでも俺が管理人に言って」

響「ハム蔵達に」

P「そっちか……まあ、多勢に無勢だもんな……って何納得してんだ俺」

響「明日には仲直りするさー……だからプロデューサー、今日だけ泊めて?」

P「…………え?は?いや待て待て」

響「お願い!携帯家の中に忘れて来たから誰にも連絡取れないんだ!だから……」

P「だからと言ってな……流石にアイドルが夜、しかも夜中に男の家に入るのはマズいだろ……」

響「……プロデューサー」

P「ちょっと待ってろ、今音無さんに連絡してくるから…………!?」

響「…………行かないで」ギュッ

P「……行かないでったって……あのな?何度も言うが俺の部屋に入れるのは……」

響「プロデューサー言ったじゃないか!困った時はなんでも俺に言えって!何時でも支えになるって!あれは嘘だったのか!?」

P「……嘘な訳ないだろ。だけど……」

響「……だったら……今、助けて欲しいさー……」

P「響……」

―――――――

P「………………やっぱり出ないな……」ピッ

響「ピヨ子?」

P「ああ。あと一応貴音にも連絡したんだが……例によって自宅はトップシークレットだからダメだと」

響「じゃあ……」

P「……仕方ないから、今日は家に泊まってけ。だが」ガチャ

響「……?…………」

P「……こんな見苦しい部屋で良ければ、だけどな」

響「こんなこと言ったらなんだけど……ちゃんと掃除してるのか?」

P「仕方ないだろ……殆ど事務所に缶詰でここに帰って来たの一月振りぐらいだったんだから」

響「あ……ごめん……そ、そうだった……」

P「ん?」

響「プロデューサー、明日……もう今日か。オフだったんだな……」

P「まあ、どっちにしろ結局仕事して寝て終わりの一日だったろうけどな」

響「それ、普段と変わらないじゃないか」

P「はは、それもそうだな」

響「そ、そうだ。………言い遅れたけど」

P「なんだ?」

響「不束者だけど、『今日一日』お願いするさー」ペコッ

P「……なんと言ったら良いのやら。取り敢えず上がれ」

響「お、お邪魔するぞ!」

P「これはこっちで…………とりあえずクッション置いたから座っててくれ」

響「ありがと」チョコン

P「ウーロン茶で良いか?」

響「あ、うん。貰う」

P「…………」トクトク

響「…………」キョロキョロ

P「ほら」

響「ありがと……ん……」コクコク

P(今さらだけど……響と二人きりで家の中か……出すとこ出されたら間違なく塀の中だな……)

響「…………?」

P(いつも明るい響がこんなに静かで……これが借りて来た猫って言うんだろうな)

響「……プロデューサー?立ったままどうしたんさー?」

P「あ、ああ。少しぼーっとしてた……よっと」

響「…………」

P(無意識に向かい合わせに座ってしまった……)

響「ねえ、プロデューサー」

P「な、なんだ?」

響「タバコ、吸うんだな」

P「あ、ああ。もちろんお前達の前では吸ってないけどな」

響「全然知らなかったぞ……」

P「最近吸う暇もないからな……持ち歩いてもなかった」

響「……あ、今吸う?」

P「いや、やめとく。湿気ててマズかったし、何より響に悪影響だしな」

響「実家でもにぃにが吸ってたから別に気にしないぞ?」

P「それでもだよ。プロデューサーとしてダメだ」

響「むー……残念さー」

P「何がだよ?」

響「自分が知らないプロデューサー、見てみたかったのにな……」

P「……!」ドキッ

響「だって事務所の皆も知らないんだよね?」

P「あ、ああ……知ってるとしたら社長くらいだな」

響「だったら、アイドルだと自分だけが知ってるプロデューサーの秘密ってことだよね?」

P「……そうなるな」

響「だから残念なんさー……」

P「でもな、響……」

響「ん?」

P「…………いや、なんでもない」

響「な、なんだよ途中で!気になるぞ!」

P「いーや!絶対に言わない!」

響「うがー!吐いて楽になるさー!」

P「こら揺さぶるな響!やめろって!」

P(一番秘密だろ。この状況……)

響「けほっけほっ……うう……」

P「だからやめろって言ったのに……埃立ったろ……」

響「うがー……気持ち悪い……シャワー借りても良い?プロデューサー」

P「ああ。出てすぐ左だ。バスタオルは洗面台の棚の中に畳んであるから」

響「分かったぞ」ガチャ

パタン

P「…………やれやれ……ん、まだちょっと残ってたな……」グイッ

P「…………ぬるい」

パサッ
カタッ

P(ワンルームだからな……って何言ってんだ俺……)ブンブン

P「…………」ガラッ

P「…………」シュボッ

P「…………」フー

P(ああは言ったが、今はコイツが無いと落ち着けそうもないな……ベランダなら大丈夫だろ)

P「……とんだオフになりそうだな……」

――――――

P「結局二本吸ってしまった……響はそろそろか?」

<……オーイ、プロデューサー……!

P「?……なんだー?」
<…………ウガー……

P「ど、どうしたんだー?」ドアニミミアテ

響「…………あの……着替え入ったバッグ、そっちに置きっ放しで……」

P「……oh」

響「…………」

P「……着替え全部?」

響「……うん」

P「…………風呂場に入っててくれ。ドアの前に置いとくから」

響「お願いするぞ……」

……バタン

P「……これか。うわ、結構重いな……」

P(……この中に響の着替え……下着もだよな……)

P「……って何考えてんだ……!相手は担当アイドルでしかも子供だぞ……!」

P(平常心……平常心だ……深呼吸して…………)

P「……………よし」

P(サッと持ってポッと置いてダッと戻ってhaaaan、これで良い)

P「考えて見れば全然なんくるないな……おーいひびk」ガチャ

響「くしっ!プロデューサー、まだなのか?少し寒い…………」ガチャ

P「……き」

響「……っ!?」

P「」

響「う……」

ウギャー!

ウギャー……

ギャー……

ャー……

――――――

P「本当にすまん」ドゲザ

響「……」ムスッ

P「弁解のしようもなく俺が悪い。……考えが甘かったよ」

響「……変態プロデューサー……全部見られたぞ……//」

P「…………」

P(風呂上がりで上気した肌……身長に似つかわしくないワガママボディ……髪を下ろした新鮮な響……だから何考えてんだ俺はぁ!!!)

響「だけど……じ、自分が着替え持って行かなかったのも悪いんさー。だから……自分にも責任はあるぞ」

P「だけどな……」

響「良いって言ってるさー!……はいはいやめやめ!この話終わり!」

P(……また事務所の皆には言えない秘密が増えてしまった……)

響「そ……そうだ!プロデューサー、お腹空いてないか!?」

P「え?……うん、まあ少しは……」

響「泊めて貰うお礼さー。変な時間だけどご飯作ってあげるぞ」

P「それはありがたいけど……冷蔵庫何もないぞ?」

響「どれどれ?……サバの缶詰とチーズと……お、パスタがあるぞ……大丈夫そうだな。台所借りるね?」

P「おう。響の腕に期待して待つ事にするよ」

響「自分完璧だからな!安心して待ってるさー!」

――――――

響「お待たせ」

P「おお……凄く美味そうだな……良い匂いだし」

響「温かい内に食べちゃうさー」

P「そうするよ。……頂きます」

響「…………」ジーッ

P「………………美味い。驚いたな……」

響「………やったぞ」グッ

P「それにしても美味いな……響は食べないのか?」

響「こんな時間に食べたら太っちゃうぞ」

P「……俺は太っても良いのか」

響「プ、プロデューサーは痩せ過ぎだから良いんだぞ!」

P「はは……そう言えば健康診断でも似たような事言われてたな」

響「痩せ過ぎって?」

P「うーん……ちゃんと食べてるのか、みたいにな」

響「…………」

P「ま、響がこうやって毎日飯作ってくれるんならそんな心配もないけどな……なんて」

響「……良いぞ」

P「そうはいかないもんな……はは……って今なんて」

響「このままだといつかプロデューサー倒れちゃうんだろ?なら……自分は良いぞ」

P「冗談だよ。そんな大袈裟な……」

響「オフが一ヵ月に一回!医者にも心配されてる!これの何処が大袈裟なんさー!」

P「……おい響抑えろ。夜中なんだから……」

響「それとも!自分はプロデューサーの心配しちゃいけないのか!?」

P「…………」

響「今のだって、また隠し事だろ?そんなに信用ないのか?自分達は……」

P「……響」

響「分かってるさー……言ったってどうしようもない事だって。隠さないといけない事だって」

P「……ごめんな。余計な事言って」

響「……それは違うぞ」

P「……?」

響「……さっきの、自分だけには聞かせてくれて……嬉しかったぞ。それに、嘘でも頼りにしてくれたし」

P「……はは、いつの間にか立場逆転してるな……」

響「だから」

P「……なんだ?」

響「本当の本当に必要なら……自分は何時でもご飯作りに来るからな」

P「……ありがとな」

――――――――

P「ご馳走さま」

響「…………んー……お粗末様だぞ……」

P「眠いか?」

響「うん……」

P「ベッド使って良いぞ。俺は適当に横になるから」

響「…………!!それはダメだぞ!」ガバッ

P「遠慮しなくていいぞ」

響「するさー!押しかけた自分がベッドで寝るなんて出来る訳ないだろ!」

P「だからって響を床に転がす訳にもいかないし、ましてや一緒に寝るなんて出来る訳ないだろ?」

響「ゔ………」

P「分かったら寝ろ。俺は明日何時でも寝れるからさ」

響「……………別に一緒に寝たって良いのに」

P「……?なんか言ったか?」

響「なんでもない!じゃあお言葉に甘えて使わせて貰うぞ!」バッモゾモゾ

P「は、早い……」

――――――

響(…………プロデューサーのベッド……良い匂いがする……)チラッ

P「…………」カタカタ

響(……あーもー……せっかくハム蔵達にも手伝って貰ったのに……どうして……こうなるんさー……)

響(……プロデューサーは………気付いてないみたいだし…………)

響(自分……の……誕生日…………すー……)

――――――

P「……………」カタカタ

響「…………」

P(響は寝たか……)

P(しっかしとんだ夜になったな……響がいきなり押しかけて来て、話して、飯作って貰って………………)

P(……いかん。あれは忘れよう……あ)ピッ

<サテ、ヒヅケハカワリマシテ……

響「……うーん……」モゾモゾ

P(やばいやばい……早く消さないと)

『10月10日、木曜日のニュースをお伝えします』

P「………………あ……!」

―――――――

響「………んー……」ムク

響(まだ真っ暗だな……4時……か)キョロキョロ

P「ん…………」

響「……ずっと仕事してたのか」

響(こんなんじゃ………本当に倒れちゃうぞ)

P「きしっ!…………」

響「全くもう……仕方ないさー……」バサッ

P「…んー…………」

響(……布団だと少し重たいかな?……ちょっと苦しそうだぞ……)

響「…………毛布はあるけど、冷えちゃってる」

響「…………」

響「……良いよね、今日くらい…………」

響(…………毛布かけて……)

響「じゃ、じゃあ…………お邪魔するぞ……」

P「…………」

響「……これなら暖かいはずさー……」ギュッ


響「自分も凄く暖かいもん…………」

―――――――

P「…………ん……」

響「あ、目が覚めたのか」

P「あー……俺あのまま寝ちまったのか……あれ、毛布……」

響「全く、自分がかけてあげなきゃ風邪引くとこだったぞ?」

P「面目ない……うわ、変な姿勢で寝てたからかな……頬に跡ついてる」

響「!!……そ、そうだぞ!すごく変な体勢で寝てたからな!跡ぐらい付いてもおかしくないぞ!」

P「……自分の事ながら不安になってくるからやめてくれ」

響「う……うそうそ!これ以上ないくらい完璧な寝相だったさー!」

P「どっちなんだよ」

響「それより朝ご飯さー!昨日の余り物で悪いけど!」

P「うーん……まあいいか。じゃあ遠慮なく頂くよ」

響「い、今持って来るからな!」ガチャ

P「おい狭いんだから走ると……」

<ウギャーー!?
ドンガラガッシャーン

P「いわんこっちゃない……」

響(うう……痛いけどなんとか誤魔化せたよね……)

響(あのまま寄り掛かって寝ちゃったなんて恥ずかし過ぎて言えないさー……//)

――――――

P「ご馳走さま」

響「お粗末さまだぞ」

P「食器はそのままシンクに放り込んでていいからな」

響「ううん、ついでだから洗っちゃう」

P「おいおい、そこまでしなくていいって」

響「気にしなくて良いぞ、好きでやってるんだからな。それに」

P「それに?」

響「残さず美味しいって食べてくれたお礼だからな!」ニパッ

P「……朝からとんでもない贅沢した気分だ」

響「何が?」

P「いや、家でこんな会話しながら飯食うのとか久々だからな。あまつさえ喜んで片付けまでしてくれるなんて」

響「プロデューサーは今日オフなんだから気にしなくて良いぞ?どっしり構えてればいいさー」

P「遠慮なく。じゃあ昨日の続きやっちまうか……」パカ

響「それはダメだぞ!」

P「……今どっしり構えてればいいって」

響「それとは話が別!なんでせっかくの休みにまで仕事するんさー!」

P「……暇だから?」

響「休んでないよね?」

P「そう、だな」

響「…………」

P「…………」

響「決めたぞ」

P「……何を?」

響「今日一日、ちゃんとプロデューサーが休んでるかどうか監視する!」

P「……あの響さん、それはどういう……」

響「聞いた通りだぞ!今日は自分がずっと一緒に居るからな!仕事なんか絶対させないぞ!」

P「……朝になったら家に帰るんじゃなかったのか?」

響「ちっちっち……プロデューサー、自分は朝になったら帰るなんて言ってないぞ」

P「は?」

響「昨日自分は『今日一日お世話になる』って言ったんだぞ?」

P「な、なんて屁理屈を……」

響「じゃあその屁理屈を理屈で返してみるさー」

P「…………分かったよ、安請け合いした俺の負けだ。響の言う通り誰かに見られてないと結局休みに疲れ溜めそうだしな」

響「良いのか?」

P「ああ。………というかそれは俺の台詞なんだけど」

響「……なんで?」

P「『今日』、俺と居るって事は……」

響「…………」

P「……いや、やっぱりなんでもない」

響「……うん」

P「…………」
響「…………」

P(これって……やっぱりそう言う事か?)
響(……プロデューサー、気付いてたのかな……誕生日……)

P「……響」

響「な、なんだ?」

P「買い物がてら、散歩でもしないか?」

響「う、うん。良いぞ」

――――――――

P「今日は暖かくて良いな」

響「そうだな……お弁当とか作って外で食べたら気持ち良さそうだぞ」

P「そうだな……何処行くか……公園でも歩くか?」

響「うん……ねえ」

P「ん?」

響「手、繋いで良い?」

P「……響?」

響「……『今日』だけで良いから」

P「………………」

響「………………」

P「…………行くぞ」ギュッ

響「あ…………」

P「『今日』だけだからな」

響「うん……『今日』だけでも嬉しいぞ……」ギュッ

P「響……」

響「プロデューサーの手、暖かい……」

P「……響のもな」

響「……うん、ありがと」

P「……なあ、響」

響「……なに?」

P「……さっき言いかけた事だけどさ」

響「……うん」

P「『今日』一日俺と居るって事は……」

響「…………」ギュッ

P「自惚れても……………………」

ピリリリリピリリリリ

P「…………誰だよ、こんな時に……!……ちょっとごめんな、響」パッ

響「……………あ……」

P「……律子か?どうした?………なんだって!?……だけど…………ああ、分かった……今から向かう」

響「………!!」

P「…………」ピッ

響「……律子か?」

P「ああ……少し厄介な事になったらしい……先方が何故か俺を指名してきたらしくてな」

響「……うん」

P「……それで、行かなきゃいけない」

響「………うん」

P「……ごめんな」

響「………………」

P「……?」

響「た、大変じゃないか!早く行かないと!ほら、こんなとこでぼーっとしてる場合じゃないぞ!」

P「…………響」

響「だ、大丈夫だぞ!自分完璧だから!『今日』一日一緒に居れないくらいなんでもないぞ!」ポロポロ

P「…………ごめんな」ギュッ

響「…だから……こんなこと……抱き締めてる場合じゃないぞ……!早く行ってよ……!行ってってば……!」ドンッ

P「……!」

響「…………」

P「やっぱり俺は嘘つきだったな」

響「……そんなことない」

P「だったら……なんで俺は今の響を助けてやれないんだよ……」

響「ううん……いいんさー……ごめん、困らせちゃって……」

P「結局……俺が助けられるのはアイドルの響だけなんだな……」

響「そんなことないってば!」

P「だけど……現に今」

響「自分、プロデューサーが好きだから!」

P「……!?」

響「ずっと自分達を気にかけてくれてるプロデューサーが好き」

P「……ひび……き?」

響「こうやって大変な時にも自分の事を考えてくれるプロデューサーが好き」

P「…………」

響「……何も言わずに『今日』自分のわがままに付き合ってくれたプロデューサーが好き」

P「…………」

響「……今日のうちに言えて良かったさー…………っ……!」ダッ

P「響!!」



――――――――

響「……………」トボトボ

響「……バチが当たったのかな……わるだくみするから……」

響「…………手……暖かったな……」

響「……っ……思い出したら……また……」グスッ

貴音「おや、響……このような場所で奇遇ですね」

響「!!?たたた貴音!!………っ……!はいさい!偶然だなー!」

貴音「…………なるほど」

響「ど、どうしたんさー貴音?じっと見たりして……何か変か?」

貴音「まるで泣きはらしたように目が赤くなっておりますが……私の気のせいだったようですね」

響「そうだぞ!気のせいさー!貴音も変な事言うなー……あははは……」
貴音「……さておき、私は響を探しておりました」

響「……自分を?」

貴音「主賓が来ないのでは何時までも宴を始められませんからね」

響「あ……」

貴音「皆より先に言わせて頂きます。誕生日おめでとうございます、響」

響「うん……ありがとう、貴音」

貴音「このような往来で立ち話もなんですね。事務所へと参りましょうか」

響「……事務所?」

貴音「皆、貴女を待って居ますよ」

響「…そっか……楽しみだぞ!じゃあ行こう貴音!」

貴音「ああ、響は先に向かっていて下さい。私は後から参りますので」

響「なんでさー?」

貴音「少々、野暮用があるのです」

響「???……良く分からないけど先に行ってて良いんだな?」

貴音「ええ、もちろん構いませんよ」

響「じゃあまた後でな!」ダッ

貴音「…………」

貴音「…………」ポ……パ……ピ……プ……ペ

貴音「律子嬢ですか?」

貴音「こちらはみっしょんこんぷりぃとにございます」

P「律子が言ってた場所は……………………アクセサリーショップ?」

律子「あ、来た来た!こっちですよプロデューサー殿!」

P「律子……一体何したんだ?俺が呼ばれるなんて……」

律子「ああ……あれは嘘ですよ。だから心配なさらず……おっと、失礼しますね」ピッ

P「なんだって?嘘……!?おい律子!!」

律子「貴音ね。……………………了解よ。こっちもオーケー。ええ、後は手筈通りに……それじゃ」ピッ

P「おい律子!!事と次第によっては……!!」

律子「その話は後で聞きますから、今は選んで下さいよ」

P「何を!!」

律子「当然、響へのプレゼントです」

P「……あ!!」

律子「……昨日から誕生日の話題に触れないなと思ったら、本当にど忘れしてたんですね」

P「う……め、面目ない」

律子「その調子だと思い出して……って、そうじゃなきゃあんな事もしない、か」

P「!?……一応聞くけど……見てたのか?あれ……」

律子「ええ、貴音が」

P「」

律子「今の電話はそれです」

P「」

律子「……さて、おふざけはこの辺にしときますか」

P「そうしてくれ……というか、なんで律子がそんなに事情知ってるんだ?」

律子「昨晩、貴音に電話しましたよね?響の件で」

P「…………そこから?」

律子「ええ」

P「……もういいや。響はどうしてるんだ?」

律子「今頃事務所で皆とパーティーしてると思いますよ」

P「……よし、俺も見繕ったらすぐに合流しないとな」

律子「……何言ってるんですかプロデューサー殿?」

P「は?その為に呼んだんだよな?」

律子「……やれやれ。良いですか?一度しか言わないですよ?それで察して下さい」

P「なんだよ」

律子「主役が前座に出しゃばってどうするんですか?」

P「……すまん、良く分からん」

律子「じゃあ……プロデューサー殿はアンコールまでお待ち下さい、にしておきましょうか」

P「……それって」

律子「トリは任せましたからね?」

P「…………分かった。今日のステージ、俺が決めてやる」

律子「……じゃあ、私は戻りますからね」

P「ああ。あと……ありがとな」

律子「気にしないで下さい。面白そうだから協力しただけですから」

P「……面白そうって」

律子「……私達をフったんですからくっつかないと許さないですからね?」

P「……律子?」

律子「それじゃ!」

P「…………」

P「……ありがとな」

――――――

響「はー……楽しかったなー……」

貴音「ええ、良きものでした。終わるのが惜しい程に」

響「……うん。終わっちゃったな、誕生日」

貴音「…………」

響「どうしたんさー?貴音」

貴音「そう言えば私、響にまだぷれぜんとを渡していませんでしたね」

響「……何言ってるんだ?さっき貰ったじゃないか」

貴音「響」

響「?」

貴音「今日は……まだ終わっておりませんよ?」

響「……?」

貴音「貴女が始まりの一分一秒を惜しんで彼と共にありたかったように、彼は終わりの一分一秒を惜しんで貴女とありたいと思っております」

響「……!」

貴音「では、私はこれにて。ぷれぜんとは元の場所に返して置きました」

響「……ありがとな貴音!自分行ってくる!諦めるなんて自分らしくなかったな!」ダッ

貴音「ええ。どうぞ末永く」

貴音「……真、損な役を演じたものですね」クスッ

―――――――

響「……はあ……はあ…着いた……」

P「……良かった、合ってたみたいだ」

響「……プロデューサー」

P「貴音から、御返し致しますって言われてな。ここだと思って待ってた」

響「待ってたって……何時から?」

P「昼前かな……別れて2時間したらここに居たからな」

響「……律子は大丈夫だったのか?」

P「ああ。逆に助けられた。……響」

響「……なに?」

P「大分遅くなったけど言わせてくれ」

響「うん、聞かせて欲しい」

P「誕生日おめでとう。……一番最後になっちまったな」

響「ううん……順番なんか関係ないぞ。言ってくれただけで幸せさー」

P「そう言ってくれると助かる……あと、これプレゼント」

響「わあ……ありがと……開けても良いか?」

P「ああ」

響「箱?……えぇ!?」

P「結構悩んだけど、それにした。……ピンキーリング」

響「…………」

P「二つ、それに約束したいんだ」

響「約束?」

P「アイドルの響だけじゃなくて、一人の女の子の響も支えたい」

響「それって……」

P「もう一つは……響に先に言われたけど、俺も言う」

P「俺も響が好きだ」

響「!!」

P「………身勝手だよな、散々プロデューサーとして、プロデューサーとしてって……気持ちに気付いて手の平返すなんてみっともないのも分かってる」

響「嬉しい……!プロデューサー!」ギュッ

P「うわっ!最後まで言わせてくれよ……でもアイドルしての響も見捨てられない、だから今は小指で……って聞いてないなこりゃ」ギュッ

響「夢みたいだぞ……こんなプレゼント……えへへ……!」

P「…………響が全部に満足して、俺の隣に来ても良いってなったら、その時改めて指輪持って迎えに行くから」

響「……今度は嘘ついちゃやだぞ」

P「誓うよ。絶対に」

響「……じゃあ、指輪はめて欲しいぞ」

P「洒落てるな。指輪に誓いを立てる、か」

響「……そうだな」クスッ

響「う……なんかやっぱり恥ずかしいぞ……」

P「予行練習だろ?……俺の自惚れじゃないなら」

響「ううん、自分が『今日』一日一緒に居たかったのはプロデューサーだし、自分の薬指もプロデューサーで予約済さー」

P「そりゃ良かった…………よし、ピッタリだ」

響「よくサイズ知ってたな?」

P「プロデューサーだからな」

響「あはは、そうだな!」

P「……さて、寒くなってきたし帰るか」

響「………………そうだな、もう遅いもんな」

P「今日は何を作ってくれるのか楽しみだな」

響「……え?」

P「おいおい、響から言い出したんだろ?今日一日お世話になるって。まだ今日は終わってないぞ?」

響「!」

P「しかもこう寒いと送るのも億劫だしな……響がそのまま泊まってくれれば楽できるんだけどなあ?」

響「うん……うん!泊まる!ちゃんと休むか監視しないとな!」

P「そうと決まれば帰るか……俺ん家に」

響「……うん!ね、プロデューサー!」

P「なんだ?」

響「手、繋ご?」

P「ああ。もちろん」

響「えへへ……うわ!手、冷たいぞ!」

P「ずっと外に居たからかな……響の手は暖かいぞ」

響「任せて!いくらでも暖めてあげるさー!」

P「ありがとな……」

響「……なあ、プロデューサー。ここも寒そうだぞ?」

P「……ん?………んっ!?」グイッ

響「………ん…………」

 
 
 
 
P「響……お前……」


響「……プロデューサーにはいっぱい貰ったから、少しはあげないと気が済まないぞ」

響「……ファーストキス、とか」

P「……あんまり可愛い事言い過ぎるなよ」

響「もう開き直るさー。どう転んだって自分はプロデューサーの事が好きだからな」

P「……反則だ」

響「プロデューサー!かなさんどー!」

P「あー……くそっ!俺もかなさんどーだよ響!」

響「今日だけじゃなくてずっと自分と一緒に居てね!」


おわり

お粗末様でございました。

何をどうしたらそうなるのか分からないけど中盤のりっちゃんの「前座に主役~」のセリフが一番最初に来て、そこからこのSSを組み立ててました。

誕生日成分は申し訳程度、駄文乱文ではありますがこれにて響の誕生日SSとさせていただきます。

最後に、響、かなさんどー!!

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