マミ「ずっと一緒……」(497)

QB「暁美ほむら」

ほむら「……」

QB「いい加減無視はやめてくれよ。君に話があるんだ」

ほむら「はぁ……」

ほむら「……何かしら」

QB「話を聞いてくれるんだね。ありがとう。暁美ほむら」

QB「さっきから反応がないから、耳が遠いんじゃないかと思っていたよ」

ほむら「……」

ほむら「……さっさと話して、疲れてるの」

ほむら「一日中、喋る気持ちの悪い淫獣に追い回されていてね」

QB「それは大変だったね。ご愁傷様」

ほむら「……」チッ

ほむら「……で、何よ」

QB「そうだね。君に話したい事は……」

QB「マミが重い人間だってことさ」

ほむら「……」

ほむら「体重的な意味で……という事かしら」

QB「違うよ。そもそもマミは太っていないじゃないか」

ほむら「ふん……ならどういう事なのかしら。私はそれ以外に見当がつかないのだけれど」

QB「君もなかなか酷い事を言うね」

ほむら「あなたほどではないわ」

QB「ん?そうかい?僕は酷い事を言ってきた覚えはないのだけれどね」

ほむら「……そうね。あなたたちはそういうやつらよね」

QB「僕たちの理解が良くて助かるよ」

ほむら「……まあいいわ。それで?どうしていきなり巴マミが重いなんて?」

QB「そうだね。はやく本題に入らなくてはね」

QB「ただでさえ君は話が通じないのだから」

ほむら「……無駄口はいいわ。早く話しなさい」

QB「そうだね。うん。一言で言うと」

QB「忠告だよ」

ほむら「忠告?」

QB「そう。最近君はマミと仲が良いだろう?」

ほむら「言うほどではないわ」

QB「そうかい?まぁ、僕はどちらでも構わないのだけれどね」

QB「でも君とマミとの距離が近い事は事実だ」

ほむら「……それがどうしたというの」

QB「それが問題なんだよ」

QB「君が話を反らさせたんじゃないか。僕はそれに答えただけだよ」

ほむら「……口の達者な……」

QB「なにか言ったかい?」

ほむら「くたばれ淫獣って言ったのよ」

QB「ひどいな」

ほむら「ふん……それで私と巴マミが距離が近い事と、巴マミが物に対する思い入れが強い事」

ほむら「この二つがどう忠告とつながるのかしら?」

QB「うん。それはね、その思い入れの対象に君も含まれつつあるっていうことが僕が忠告した理由だよ」

ほむら「……」

QB「……何か嬉しそうだね?」

ほむら「気のせいよ」

QB「そうかい。まぁいいや、話を続けよう」

QB「彼女は気に入ったものにはとことん執着して、その対象を自分だけのものにしようとする」

QB「その対象にされたものの意志も何も関係なくね」

QB「だから君も気をつけた方がいい」

ほむら「……経験者は語るって奴かしら?」

QB「そうだね。だから……」

ほむら「話は終わったでしょう?ならもう消えてくれないかしら」

QB「いや、まだ……」

ほむら「消えてくれないかしら」

QB「はぁ……やっぱり君は話の通じない魔法少女だね」

ほむら「自分で消えられないのなら手伝ってあげてもいいわ」

QB「……わかったよ。それなら僕は消えるとしよう」

QB「個体を失うのは嫌だからね」

ほむら「……」

QB「忠告はしたよ。でも巴マミから離れるのも、そのまま近くにいるのも君の自由だ」

QB「それじゃあね。暁美ほむら」

ほむら「……」

ほむら「ようやく行ったわね……」

ほむら「……それにしてもあの淫獣が忠告なんてね」

ほむら「……」

ほむら「あいつは嘘はつかない……癪だけど注意した方がいいのかしらね」

ほむら「……でも、これもまどかと契約するための計画の一部かもしれない」

ほむら「それに……」

ほむら「……」

ほむら「……何を考えてるの、インキュベーター」

~♪

ほむら「ん、メール……巴マミから?」

[美味しいケーキが手に入ったの。良かったら食べにこない?]

ほむら「……ケーキ」

ほむら「……」カチカチ

マミの家

ピンポーン

マミ「はーいっ」

ガチャ

マミ「あっ暁美さんっいらっしゃいっ!待ってたわ」

ほむら「……こんばんわ」

マミ「ふふ。こんばんわ」

マミ「さ、入って入って。寒かったでしょ?」

ほむら「そうでもないわ」

マミ「そう?でもとりあえずお茶、入れるわね」

ほむら「……ありがとう」

マミ「ふふふっいいのよ」

マミ「適当にくつろいでていいからね?今、お茶の用意してくるから」

ほむら「……わかったわ」

マミ「ふふっ」

ほむら「……」

ほむら(巴マミの部屋……いつ来ても綺麗ね)

ほむら(それと……いつもとは違う……いい匂いがする)

ほむら(……なにかしら)

ほむら スンスン

マミ「あら?暁美さん?」

ほむら「……良い匂いがするわね」

マミ「あ、気付いてくれた?」

ほむら「ええ」

マミ「ふふっ!今日はね、アロマ焚いてみたの。いつも同じ匂いじゃ味気ないなーって思って」

ほむら「うん。とても良い香り……落ち着くわ」

マミ「ありがとう。買ってきたかいがあったわ」ニコ

マミ「あ、そうだ。はい。お茶入れたわ」

マミ「暁美さんはダージリンで良かったわよね?」

ほむら「ええ」

マミ「暁美さん。これが一番好きだものね」

ほむら「そうね。……巴先輩は、何飲んでるの?」

マミ「私もダージリン。おそろいね」

ほむら「……」

マミ「あ、お茶だけじゃダメよね。ケーキ用意しなきゃ」

マミ「ちょっと待ってて」

ほむら「あ……」

マミ「ん?」

ほむら「……私も手伝うわ」

マミ「だーめ。暁美さんはお客さんなんだから座ってなきゃ」

ほむら「でも、ご馳走されてばっかりは悪いわ」

マミ「ふふ、いいのいいの。私はあなたとお茶できるだけで嬉しいし十分なんだから」

ほむら「でも……」

マミ「……うーん……そうだ。それなら、お皿と、フォークを出してくれないかしら?」

マミ「そこの棚に二つとも入ってるから、ね?」

ほむら「……解ったわ」

マミ「ふふ、ありがとう」

ほむら(……)

ほむら(いつか本当にお返ししないといけないわね……)

マミ「それじゃあそこにお皿置いて。……うん。ありがとう、暁美さん」

ほむら コクリ

マミ「それじゃあ本日のケーキの登場ですっ」

マミ「今日のケーキは……じゃーん!モンブランよっ!」

マミ「わーおいしそー!」

ほむら「……」

マミ「な、なによ……そんな目で見ないでよ……」

ほむら「だって……じゃーんって」

マミ「いっ良いじゃない別に言ってもっ!」

ほむら「ぷっ」

マミ「わ、笑わないでっ!」

マミ「は、はいっ暁美さんの分っ!」

ほむら「ふふっ……ありがとう」

ほむら「いただきます」

マミ「……どうぞっ」

ほむら「ん……」パク

マミ「……どう?」

ほむら「……美味しいわ。とっても」

マミ「そうっよかったっ」ニコ

ほむら「どこで買ってきたの?こんな美味しいモンブラン初めて食べたわ」

マミ「駅前に新しく出来たケーキ屋さん。そこで買ってきたの」

ほむら「へえ……今度行ってみようかしら……」

マミ「そ、そう?」

マミ「そ、それなら今度行くなら私も……誘ってくれる?私もまた行きたいって思ってたから……」

ほむら「ええ。もちろん」

マミ「ほんとっ!?ありがとうっ暁美さんっ!」

マミ「じゃあいつ行く?私その日は開けておくからっ」

ほむら「と、巴先輩……ち、近い……」

マミ「あ、ご、ごめんなさい……」

ほむら「……ふう」

ほむら「いつ行くかは決めてないけれど……行く時は必ず声を掛けるわ」

マミ「……うん。わかったわ」

マミ「……ごめんなさいね。取り乱してしちゃって」

マミ「暁美さんと行けると思ったら嬉しくって……あはは」

ほむら「……いいわ。気にしてない」ぷい

マミ「……ありがとう」ニコ

ほむら「……」

ほむら「……」もくもく

――――――――――

ほむら「ごちそうさま」

マミ「はい。おそまつさまでした」

マミ「……あら?」

ポツポツ

ほむら「……雨ね」

ザ―

マミ「わ……結構降ってきたわね」

ほむら「そうね……」

セリフが紅い蝶に思えたほむっほむっ

ほむら「これ以上ひどくなる前に帰るわ」

マミ「そ、そう……」

ほむら「今日はご馳走様でした。このお返しは必ずするわ」

マミ「え、ええ……」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「……何か言いたい事があるのかしら?」

マミ「え、ええ……その」

ほむら「……」

マミ「良かったら……今日は、お泊まり……していかない?」

ほむら「お泊まり?」

キュゥべえ「やったー!」

マミ「ええ。外はこんなに雨が降ってて……もう暗いし……明日は……休日だし」

マミ「……ダメかしら?」

ほむら「……」

ほむら(まどかの付近の見回りがあるのだけれど……)

ほむら(……今日ぐらいはいいかしら。統計的にも今日は……インキュベーターは動かない)

ほむら(それに……)

マミ「……暁美さん?」

ほむら「……いえ。……お泊まり、お願いしてもいいかしら?」

マミ「もちろんっ!ありがとうっ暁美さんっ!」

ほむら「いえ……むしろお礼を言うのは私のほうじゃない?」

マミ「そ、そうね……ふふっ。そうよね」

マミさんお泊りしてくれて喜んじゃうかわいい!

ほむら「くすっ……それじゃ今日はお願いするわ」

マミ「ええ。喜んで」ニコ

ほむら「それと」

マミ「……?」

ほむら「今日は泊めてくれてありがとう」

マミ「……ふふっ」

ほむら「な、なんで笑うのよ……」

マミ「いえ、よくわからないけど……なんか可笑しくって……ふふっ」

ほむら「……ふふ」

マミ「はー……それじゃあ、狭い家だけどゆっくりしていってね」

ほむら「ええ。お邪魔するわ」

キュゥべえ「はい!」

―――――――――

ほむら(お泊まりするって言ったものの……)

ほむら(今まで人の家にお泊まりなんかしたことないから……何したらいいのかしら)

ほむら(必要なものとか……何か)

マミ「あの、……暁美さん?」

ほむら「……ん、なにかしら」

マミ「あのね……私、今まで魔女退治ばっかりで……その、恥ずかしいんだけど……」

マミ「人を家に泊まらせた事ってないの……」

マミ「えと、何を、したらいいのかしら……」

ほむら「……」

ほむら(そっか……巴マミも私と同じ……)

ほむら「……色々な事を話したり、遊んだりすれば良いんじゃないかしら」

> マミ「えと、何を、したらいいのかしら……」

このセリフのマミさんかわいい!!

マミ「話したり……遊んだり?」

ほむら「……ようは私が来てる時といつも通りの事をすればいいのよ」

ほむら「それにプラスしてご飯作ったり、お風呂入ったり……とか」

ほむら「そんなに深く考えることはないと思うわ」

マミ「そう……よね。いつも通り。それでただ、暁美さんがいるってだけなんだよね」

ほむら「そうよ」

ほむら「……たぶん」ボソッ

マミ「そっか……うん」

マミ「……ふふふっ。なんだか暁美さんには私の恥ずかしい姿ばっかり見せちゃうな……恥ずかしい」

マミ「先輩らしくしなくちゃいけないのにね」

ほむら「……いいんじゃないかしら」

マミ「え?」

良いと思うよ

ほむら「私たちは……その、仲間、なんだし」

ほむら「そんな姿も見せてもいいと思うわ」

ほむら「それに……肩肘ばっかり張ってると、巴先輩も疲れるでしょうし」

ほむら「……私も疲れるわ」

ほむら「だから……もっと巴先輩は巴先輩らしく……したらいいんじゃないかしら」

マミ「……」

ほむら(我ながら臭いセリフね……)

こんなほむらならマミさん惚れちゃうほむっほむっ

マミ「……ありがとう。でも、ダメなの」

マミ「暁美さんに迷惑をかけれないし……」

マミ「そんなことしたら、私、甘えちゃってダメになっちゃう」

マミ「だから、ダメなの」ニコ

ほむら「……どうして?」

マミ「……どうしてって……私は……」

ほむら「ダメになるなんて決まってないじゃない。それに……」

ほむら「甘えられるのも……やぶさかじゃないわ」

マミ「暁美さん……」

マミ「……いいの?私……」

ほむら「……いいわ」

ほむほむ

マミ「暁美さん、年下なのに……私の方が先輩なのに……」

マミ「……そんなこと言われたら……私、甘えちゃう……」

ほむら「……我慢するのは慣れてるわ」

マミ「……」

マミ「……ああ……やっぱり私ダメな子だ……」

マミ「暁美さん……ちょっとだけ……ちょっとだけ甘えても……いいかな……?」

ほむら「……ええ」

マミ「…………ありがとう……」

ギュッ

ほむら「……巴先輩?」

マミ「……」グス

ほむら「……」

ほむら「……」ナデナデ

ほむっほむっ

マミ「そうだ。暁美さんお腹空かない?ご飯作ってあげるっ」

ほむら「いいの?」

マミ「もちろんっ暁美さんは大事なお客様だものっ」

ほむら「そう……じゃあ私もせめて手伝うわ」

マミ「いいの?ならお願いっ」

マミ「あ、暁美さん何か食べたいものある?」

ほむら「なんでもいいわ。先輩の作りやすいもので良い」

マミ「えーせっかく作るんだもの。暁美さんの好きなものが良いわっ」

ほむら「ええと……それなら……パスタがいいかしら」

マミ「パスタねっ!味は……ボンゴレとミートソースの基があるけどどっちがいい?」

ほむら「それじゃあ……ミートソースで」

ミスった >>57のひとつ前

―――――――――――――――

ほむら「大丈夫?」

マミ「……ごめんなさい。……もう大丈夫」

マミ「ごめんなさいね。なんか湿っぽくしちゃって」

ほむら「全くよ。これからは止めてほしいわ」

マミ「……うん。わかったわ」シュン

ほむら「……」

ほむら「……たまになら良いけど」

マミ ぱぁあ

マミ「うんっ」

まみまみ

マミ「わかったわ。それじゃあ私はソースを作るから、暁美さんはパスタを茹でててくれないかしら?」

ほむら「……わかったわ」

マミ「ありがとう。お鍋とパスタはさっきの棚の下にあるから。お願いね」

ほむら「……ええ」

ほむら「……」

ほむら(引き受けたは良いものの……やったことないのよね……)

ほむら(これかしら……)

ほむら(何これ?細いぼっこ?これを茹でるの?)

ほむら(あ、折れた)ポキ

ほむら「……」

ほむら「……巴先輩」

ほむほむ

マミ「ん?なに?」

ほむら「……これを茹でるのよね」

マミ「え?そうよ?」

ほむら「……そうよね。ありがとう」

マミ「……暁美さん」

ほむら ピク

マミ「まさか、作った事ない……とか?」

ほむら「……」

ほむら「あ……あるわ……」

マミ「……ホントに?」

ほむら「……ええ」

マミ「……嘘でしょ」

ほむら「……う」

マミ「ふふふっやっぱりっ」

マミ「作ったことないんなら言ってくれればいいのにっ」

ほむら「だって……恥ずかしいじゃない……」

マミ「ふふ、これは確かに、ね」

ほむら「くぅ……」

マミ「……それじゃあ私が見本見せるから、暁美さんは見てて」

ほむら「……ええ」

マミ「でも意外だわ。暁美さんなんでもできそうなイメージあったから」

マミ「料理も得意だと思ってたわ」

ほむら「……仕方ないじゃない、魔女退治ばかりやってきたんだし」

ほむら「食事なんてインスタントとか、弁当で十分だったのよ」

マミ「駄目じゃない。そんなものばっかり食べてたら。ちゃんと作って食べなきゃ」

ほむら「……面倒なのよ」

マミ「もう……それじゃ魔法少女になる前は?料理の練習しなかったの?それなら今は……」

ほむら「……病院に入院してたりしてそんな暇なかったわ」

マミ「……入院してたの?」

ほむら「魔法少女になる直前までね。……ちょっと体が弱くて」

マミ「……そうだったの……魔法少女になったのも、それで?」

ほむら「……いえ。違うわ」

マミ「そうなの?だったらどうして……」

ほむら「……」

マミ「……聞かない方がいいかしら」

ほむら「……」

ほむら「いつか話すわ」

マミ「そう……わかったわ」

ほむら「……あまり期待しない方がいいわよ」

マミ「期待して待ってるわ」

ほむら「……ふっ」

マミ「何よー鼻で笑うことないじゃない……」

ほむら「……パスタ、大丈夫なの?」

マミ「……あっいけないっ!」

マミ「……」

マミ「あー……」

ほむら「どうしたの?」

マミ「茹ですぎちゃった……ごめんなさい。暁美さん」

ほむら「いいわ。気にしないで」

ほむら「お腹に入ってしまえば同じよ」

マミ「またそういう事言う……」

ほむら「だってそうでしょ?」

マミ「もう……」

ほむら「それよりもう出来たなら食べましょ?ソースももう出来てるんでしょう?」

マミ「あ、ちょっと待って」

マミ「~♪」

ほむら「……醤油?」

マミ「そうよ。ミートソースに醤油を入れると深みが出て美味しくなるのよ?」

ほむら「ミスマッチに思えるけど……」

マミ「これが美味しいんだからっ。……さ、出来た」

マミ「暁美さん。お皿、出してくれないかしら?」

ほむら「皿もケーキの皿と同じ場所?」

マミ「ええ。お願い」

ほむら「わかったわ」

ほむら「これね……はい」

マミ「ありがと。それじゃあおゆはんにしましょうか」

食卓

マミ「それじゃあ……いただきまーす」

ほむら「……いただきます」

ほむら「……」モグモグ

マミ「美味しい?」

ほむら「……美味しいわ。……ソースは」

マミ「あはは……パスタは……ごめんなさい」

ほむら「でも、ソースはホントに美味しいわ。……こんなに醤油が合うなんて思わなかった」

マミ「でしょう?私の自信作なんだからっ」

マミ「さ、私も……」モグモグ

マミ「うんっ美味しいっ!」

マミ「ソースは」

ほむら「ふふっ」

マミ「ふふふっ」

マミ「……それにしても、誰かとおゆはんを一緒にするなんてほんとに久しぶり」

マミ「……なんだか嬉しい」

ほむら「……私も」

マミ「え?」

ほむら「私も、誰かと食べるなんて……久しぶり」

マミ「暁美さんも……かぁ」

マミ「同じね、私たち」

ほむら「……ええ」

ほむら「不本意だけれどね」

マミ「あっひどいわ。暁美さんっ」

ほむら「ふふっ」

マミ「ふふふっ」

マミ「……」

マミ「……ねえ、暁美さん」

ほむら「なにかしら」

マミ「今度もまた……機会があったら、おゆはん一緒にしない?」

マミ「二人で食べた方が美味しいでしょうし……きっと楽しいわ」

マミ「それに……暁美さん、ほっといたら碌なもの食べなさそうなんだもの」

マミ「……駄目……かしら」

ほむら「……」

ほむら「私は……その、嬉しいけれど……」

ほむら「……巴先輩の負担にならないかしら」

マミ「全然そんなことないわっ」

マミ「一人分作るのも二人分作るのも大して変わらないもの」

マミ「それに……自分の為だけにご飯を作るのホントはちょっとさびしいの」

マミ「だから……」

ほむら「わかったわ……それじゃあたまにお願いしてもいいかしら」

マミ「もちろんっ!毎日来てくれたっていいのよっ?」

ほむら「流石に毎日は気が引けるわ……」

―――――――――

ほむら「ご馳走様」

マミ「はいっお粗末さまでした」

ほむら「美味しかったわ。本当にありがとう」

マミ「いいのよ。あなたが美味しく食べてくれたなら、それだけで私は十分よ」

ほむら「……先輩。結構恥ずかしい事、平気で言うわよね」

マミ「……そうかしら?」

ほむら「……自覚がないのならいいわ」

マミ「そう……?」

マミ「あ、そうだ。私お風呂沸かしてくるわね」

マミ「沸いたら暁美さんも入っていいから」

ほむら「いいの?そんな事まで……」

マミ「女の子は毎日お風呂入らなくちゃ、ね」

マミ「だから遠慮しないで」

ほむら「……ありがとう」

マミ「どういたしまして。じゃあちょっと行ってくるわね」

マミ「あ、好きにくつろいでて良いからね?」

ほむら「ええ」

タタタ

ほむら ゴロン

ほむら「……」

ほむら(ご飯……美味しかった……)

ほむら(それに……こんなに食事が楽しいなんて、ホントに久しぶりだったわ……)

ほむら(……たまにはこんなのも良いかも知れないわね)

『忠告はしたよ』

ほむら「……」

ほむら(今のところ、淫獣が言っていたような傾向は巴マミには見られない)

ほむら(はったりだった?……いや)

ほむら(あいつは嘘は吐かない……その線はないわね)


ほむら(という事は……私は巴マミにとってそれほど大事な存在ではない……って事かしら)

ほむら(……)

ほむら(……なにもやもやしてるのかしら。私は)

ほむら(……無駄な……無駄になるかもしれない関係を望んでも意味はないのよ)

ほむら(私は……まどかを救わなければならないんだから)

ほむら「……絶対に」

ほむら(……)

ほむら(それにしてもあの淫獣どうしてあんな忠告を……)

ほむら(……私の予想通り、まどかと契約するための計画?)

ほむら(そうだとしたらあの淫獣は、巴マミの忠告で言っていた性質を利用して、邪魔な私を封じようとしている?)

ほむら(それなら忠告などする必要なんかない……むしろ私たちの仲を奨めるはず)

ほむら(……何を考えているの)

ほむら(……)

ほむら(……とりあえずまどかの周囲の監視は継続して行って……様子を見るしかないわね)

ほむら(いえ……むしろ監視を強化……)

ピタ

ほむら「きゃんっ!」

マミ「ふふふっ!ビックリした?」

ほむら「こっコップ……巴マ……先輩っ!何するのよっ!」

マミ「なんだか考え事に夢中になってたみたいだから驚くかなーって思って」

ほむら「……ええ。心臓が止まるかと思ったわ」

マミ「ふふっそんな顔しないで。はい、どうぞ」

マミ「あ、冷たい麦茶って大丈夫だった?」

ほむら「はぁ……ええ。ありがとう」

マミ「どういたしまして。……それで何考えてたの?とても難しい顔してたけど……」

ほむら「なんでもないわ。ちょっとした考え事よ」

マミ「そう……」

マミ「……なにか悩みごと?だったら力になるわ」

ほむら「……いえ。あなたに言うほどの悩みではないわ。だから大丈夫」

マミ「ホントに大丈夫?一人でダメそうだったら……」

ほむら「大丈夫よ。心配はいらないわ」

マミ「そ、そう……わかったわ……」

マミ「……」シュン

ほむら「……」

ほむら「……どうしようもなくなったら、お願いするわ」

マミ「……ええ!任せて!」ニコ

ほむら「……ところでお湯入れるだけなのに結構時間がかかってたわね。何かしてたの?」

マミ「ああ、お皿洗ってたのよ」

ほむら「え、そうなの?……早くやっておけばよかったわ……」

マミ「あら?洗ってくれるつもりだったの?」

ほむら「ええ。……ご馳走になったのだからそれぐらいはやろうって思ってたのよ」

マミ「ふふっ気にしなくたって良かったのよ?暁美さんはお客様なんだから」

ほむら「でも……」

マミ「いいのいいのっ」

ほむら「……すまないわね……」

マミ「気にしないで。……あ、そろそろお湯が沸くわね」

ほむら「……もう?」

マミ「もうって……あれから15分くらいたってるわよ?。お湯くらい沸くわ」

ほむら「そ、そう……」

ほむら(結構考え耽ってたのね……気付かなかったわ)

マミ「ね、暁美さん」

ほむら「ん、なに?」

マミ「お風呂一緒に入らない?」

ほむら「……」

ほむら「……はい?」

マミ「だから一緒にお風呂入らないって」

ほむら「……ど、どうして?」

マミ「うーん……暁美さんの髪、綺麗だからどんなふうにケアしてるのか見たいなって思ったからかしら」

マミ「それに、せっかくお泊まりしてるんだから、こういうイベントもあった方が良いかなって思ったの」

マミ「どうかしら?」

ほむら「う……」

ほむら(巴マミとお風呂……嫌よ……だって……)チラッ

マミ「?」

ほむら(私の体の貧相さが……)

ほむら(でも、色々してくれた恩もあるし……)

マミ「あ、嫌なら良いのよ。無理強いするのは……嫌だし」シュン

ほむら(……またさっきの顔……)

ほむら(はぁ……)

ほむら「……わかったわ。いいわよ」

マミ「ホント?ありがとうっ暁美さんっ!」

マミ「あ、でも嫌なら……」

ほむら「嫌じゃないわ……ただ……恥ずかしいのよ」

マミ「恥ずかしい?どうして?」

ほむら「……なんでもないわ。いきましょ」

マミ「え、ええ……?」


脱衣所

ほむら(来てしまったわ)

マミ「暁美さん?脱がないの?」

ほむら「脱ぐわ……」

マミ「早くしましょっ……っしょっと」

そう言うとマミは、ぷち、と音を立て、制服のスカートのボタンを外した

それと同時にスカートが腰から滑り、パサリと音を立てて、脱衣所の冷たい床に落ちた

するとマミの張りがあり、すべすべとしたラインの整っている、色気のある太股と、

その太股の色香とは裏腹な、恥部を隠す白く地味な大人しめのショーツが外気にさらされる

ほむら「……」

ほむらはそれを横目に、自分も制服のスカートに手を掛けボタンを外し、スカートを脱ぎおろす

スカートに隠されていた下着と、太股が晒される。

張り、肉感ではマミには劣るが、脚の細さ、美しさではほむらの方に分があり、十分な魅力があった

恥部を守るショーツは黒く、大人っぽいものを着用しており、ほむらの穿くタイツと相まって妙な色香を引き出していた

マミ「わぁ……大人っぽいもの穿いてるのね」

ほむら「……ほっといて」

マミの感想に、恥ずかしさから顔をそむけるほむら。

マミはその姿に首を傾げつつも、脱衣を続けた

次にマミは自分のブラウスのボタンを上から順に一つ、二つと外していった

ぷち、ぷちとボタンが取れる音が立つたびにマミの上半身の素肌が晒されていく

鎖骨、ブラに包まれた中学生とは思えない豊満な胸、くびれのある細い腰、小さなへそ……と順にその姿を晒していった

そして全てのボタンを外し終えると、ブラウスを脱ぎ、マミは自分の陰部、乳房を隠す下着のみとなった

ほむら「……!!!」

ほむらはマミの脱衣の一部始終をその目に納めていた

初めはチラチラと、だがブラウスを脱ぐときには、食い入るようにその姿を見つめていた

そのほむらの見つめる目には驚きと嫉妬の色が広がっていたとい

ミス

色が広がっていたとい→×

色が広がっていたという→○

マミ「ん?どうしたの?」

あまりにも見つめていたせいかマミはその視線に気づき、ほむらに首を傾げる

ほむら「……なんでもないわ……」

マミの問いかけにほむらはげんなりと首を振り、自分の脱衣に専念し始めた

マミはほむらの姿に首の傾げる角度をさらに深くする

ほむらはそんなマミを尻目に、ブラウスのボタンに手を掛け、

マミとは逆に下から順にぷち、ぷち、とボタンを外していった。

ほむらの白くきめ細かい素肌が晒されていく。

細く折れてしまいそうな腰、マミよりも少し大きいへそ、そして黒い下着に包まれた、ささやかな胸

それらが全て晒されるとほむらもブラウスを脱ぎ、綺麗にたたんだ

マミ「……えいっ」

ほむら「ひゃあっ!」

ほむらがブラウスをたたみ終わるとマミは突然、ほむらのわき腹を突っついた

いつものほむらからは考えられない、まさに少女のような悲鳴をあげ、ほむらは体を跳ねさせた

ほむらはマミの突っつきに抗議の視線をぶつけようと、マミの方を見ると

そこには悪戯が成功した子供のような無邪気な笑顔を浮かべていた

見た事のないマミの笑顔にほむらはしばし目を奪われ、呆けたが、マミの問いかけに気を取り戻す

マミ「ふふっ驚いた?」

ほむら「……ええ。とっても」

マミ「ふふふっ!」

何か一言言ってやろうとほむらは思っていたが、マミの笑顔に完全に毒気を抜かれてしまっていた

ほむら「はぁ……あなたって……結構子供っぽい事するのね」

マミ「えっ……そ、そう?」

ほむら「……自覚なかったの?」

ほむらの指摘にマミは動揺し、軽く頬を赤に染める

マミ「……えっと……あはは……」

ほむら「……お風呂入りましょ」

マミ「ええ……」

じゃれ終わった二人は残りの下着を脱ぎ、浴室へと入って行った

浴室

ほむら「……」ジー

マミ「……ど、どうしたの?暁美さん……さっきから見て来てるみたいだけど……」

マミ「流石に裸をジッと見られるのは……恥ずかしいわ……」

ほむら「……なんでもないわ」

マミ「……ホント?」

ほむら「ええ」

ほむら「ええ」

マミ(なんで二回言ったのかしら……)

ほむら「……お風呂、入りましょう。巴先輩、先、湯船どうぞ」

マミ「え?」

ほむら「えって……まさか二人で入るわけではないでしょう?」

マミ「違うの?」

ほむら「……え?」

マミ「入らないの?」

ほむら「だって、二人も入ったら狭いじゃない」

マミ「狭いのも、楽しそうじゃない?」

マミ「それに私てっきり二人で入るものだと……」

ほむら「……どうしてそうなるのよ……」

ほむら「はぁ……わかったわ。一緒に入りましょう」

マミ「ええ!」

湯船の中

マミ「……狭いわ」

ほむら「……そりゃそうでしょう」

マミ「でもなかなか楽しいわねっ」

ほむら「……そうね」ドンヨリ

マミ「でもホントに狭いわ……あ、そうだ」

マミ「暁美さん、ちょっとこっち来て」

ほむら「こっちって……もう行くところがないじゃない」

マミ「んっ……と……ほらっ」

マミは足を風呂の底の縁に沿う様にして開き、スペースを作ってほむらに手招きをする

ほむらはそれに信じられないといった表情を浮かべた

ほむら「……そこに来い……と?」

マミ「ええ!」

マミは満面の笑みでほむらに頷く

ほむらは既に諦めの境地に達しており、半ば投げやりな気持ちでマミの提案に従った

マミに背を向けて、ほむらはマミの開けたスペースに腰を下ろす

ほむら「これで良いでしょ……って巴先輩っ!?」

マミ「え?ダメ?」

ほむらが腰を下ろすとマミはすぐにほむらに後ろから抱きつくような格好になる

マミが後ろから抱きつく事でほむらに豊満な胸や、色々なところが押しつけられた

ほむら「ダメじゃ……ないけど」

マミ「ならいいじゃない」

ほむら「……」

ほむらは自分と、巴マミとの圧倒的戦力差に絶望を感じていたとか、感じてないとか

その後、ほむらとマミはポツポツと他愛もない話をしていった。髪のケアの事。料理の事……様々な事を

最初の内、ほむらは抱きつかれている事に体をこわばらせていたが、次第にそれは薄れていった。

やがてほむらはマミに完全に身を委ねることにした

体の力を抜き、マミに寄りかかる。そうするとほむらの心は不思議と安心し、穏やかな気持ちに包まれていった

マミはほむらが力をぬくと抱きしめる力を少しだけ強め、ほむらのうなじに顔を埋め、呟いた

マミ「気持ちいいわね……」

ほむら「ええ……」

そして訪れる沈黙。

ほむらにとってこの沈黙は嫌なものではなかった。むしろ心地よいもので、眠気すら呼び込むほどだった

ほむら「ふあ……」

マミ「ふふ。……退屈で眠くなっちゃった?」

ほむら「そうじゃないわ……」

ほむら「ただちょっと……眠くなっちゃっただけよ」

マミ「そっか。それじゃあ早く体洗ってお風呂、出ましょうか」

そう言ってマミはほむらへの抱きつきを止め、一人湯船から立ち上がる

ほむらはその姿を湯船に入ったまま名残惜しそうにに見ていた。

マミ「あら?暁美さん体洗わないの?」

マミは湯船から自分を見つづけるほむらに首を傾げた

ほむらはそれに呆れの入った表情を返す

ほむら「二人で洗うのは流石に無理でしょ……私は巴先輩が終わったら洗うわ」

マミ「……大丈夫よ。何とかなるわ」

ほむら「無理よ」

マミ「大丈夫。それに私、暁美さんの髪の毛も洗ってみたいと思ってたの」

ほむら「……本気?」

マミ「ええ!だから暁美さんも、ね?」

ほむら「はぁ……」

ほむら「……わかったわよ……」

マミ「いらっしゃーいっ」

――――――――――

リビング

体を洗い終えた二人は、寝巻に着替え、リビングに来ていた

ほむら「悪いわね……パジャマまで貸して貰っちゃって……」

マミ「ふふ。気にしないで」

マミ「でも……その代わりって言っちゃなんだけど」ゴソゴソ

マミ「じゃーんっドライヤー!」

ほむら「……」

マミ「暁美さんの髪っこれで乾かさせてくれないかしらっ」

ほむら「……いいわ」

マミ「ふふふっやったっ」

マミ「じゃあこっち来て?」

ほむら「……ええ」

マミ「ありがとうっ。ふふふ……こんなに長いと乾かしがいもあるってものねっ」

背を向けて座ったほむらに、マミはドライヤーのスイッチを入れてかけ始める

ほむら「……そうね。乾かしがいがありすぎて最近面倒になってきたぐらいだわ」

ほむら「いっそ切ってしまおうかしら」

マミ「あら、ダメよ?こんなに長くのばして綺麗にしてるんだもの……もったいないわ」

ほむら「本当に邪魔なのよ……」

マミ「だーめっ」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「……」

マミ「……ねえ、暁美さん」

ほむら「なに」

マミ「私とこうしてるの……嫌じゃない?」

マミ「面倒じゃない?」

ほむら「……」

マミ「……」

マミ「……ごめん。なんでもないわ。忘れてっ。私ったら変な……」

ほむら「嫌じゃないわ」

マミ「……ホント?」

ほむら「ええ」

ほむら「……嫌だったら……させてないわ。……こんな事」

マミ「……」

マミ「……そっか……うん……そっかぁ……」

マミ「……ありがとう……」

ほむら「……お礼を言うのは私の方よ。こんなに色々して貰ってるんだから」

マミ「……うん」グス

ほむら「…………………泣き虫」ボソ

―――――

マミ「……はい。終わったわ」

ほむら「貸して」パッ

マミ「あっ」

ほむら「私も髪、乾かしてあげるわ」

マミ「で、でも……私……」

ほむら「いいから」

そうしてほむらはマミの降ろしてある髪に手を掛け、ドライヤーをかけ始めた

マミ「あ……」

マミ「……ありがとう」

ほむら「……」ぷいっ

――――――――――

深夜

マミ「あら、もうこんな時間」

ほむら「気付かなかったわ……」

マミ「お話に夢中になっちゃうと駄目ね……それじゃあそろそろ寝ましょうか?」

ほむら「ええ」

ほむら「それで私は……どこで寝ればいいのかしら」

マミ「……あ」

ほむら「……寝る場所、ない?」

マミ「ごめんなさいっ!お泊まりなのに肝心なところが抜けてたわ……」

ほむら「……いえ。気にしないで。私は適当に床で寝るわ」

マミ「でも、それじゃ……」

ほむら「大丈夫よ。だからなにかクッションとか貸してもらえるかしら」

マミ「あっ、私が床に寝るわ。それで暁美さんが私のベッドを使って……」

マミ「ん……私のベッド……そうだっ」

ほむら(嫌な予感がする……)

ほむら「……どうかしたの?」

マミ「……ねぇ、暁美さん」

ほむら「な、なに?」

マミ「一緒のベッドで……寝ない?」

ほむら「……やっぱり」

マミ「やっぱり?」

ほむら「なんでもないわ」

マミ「そ、そう?……ならどうかしら、今日は寒いし、お泊まりだし……あと」

ほむら「いいわ」

マミ「……いいの?」

ほむら「ええ。……今日は確かに寒いから」

マミ「……うんっ!それじゃあ一緒に寝ましょうっ」

ほむら「ええ」

マミ「それじゃあ、どうぞ」

先にベッドに入ったマミは、ベッドの奥の方に寄り、ほむらを寝させる為スペースを作ると

掛け布団を少し開け、手招きをする

ほむら(なんだか……ちょっと恥ずかしいわね)

心でそう呟きながら、部屋の電気を消し、ほむらはマミの開けたスペースに身を滑り込ませる

ほむらが滑り込んでくると、マミは掛け布団を閉めニッコリとほほ笑んだ

マミ「いらっしゃい」

ほむら「……お邪魔するわ」

マミ「……」

ほむら「……」

マミ「やっぱり、狭いわね」

ほむら「……ええ」

マミ「でも……あったかい」

ほむら「……ええ」

マミ「……」

ほむら「……」

マミ「今日は……楽しんでくれた?」

ほむら「……」

ほむら「……楽しかったわ」

ほむら「……とっても」ボソ

マミ「そう……よかった」

マミ「また、泊まりに来てくれる?」

ほむら「……あなたが良ければね」

マミ「私はいつでも大歓迎よ」

ほむら「そう……それならまたお願いしてもいいかしら」

マミ「もちろん」

ほむら「……ありがとう」

マミ「……」

ほむら「……」

マミ「ねえ、暁美さん」

ほむら「……ん?」

マミ「その……抱きしめても……いい?」

ほむら「……あなた、お願いばっかりね」

マミ「……ごめんなさい」

ほむら「……」

ほむら「……いいわ。でも、あんまり強くは止めて」

マミ「……」ギュッ

ほむら「……」

マミ「……暁美さん?」

ほむら「ほむら」

マミ「え?」

ほむら「ほむらでいいわ」

マミ「……」

マミ「……ほむら……さん」

ほむら「なに」

マミ「……!」

マミ「……」

マミ「おやすみ……なさい」ギュッ

ほむら「……ええ。おやすみなさい」

――――――――――――――

ほむら「ん……」ムク

ほむら「……喉乾いた……」

マミ「すー……すー……」

ほむら(起こさないように……)

ギュッ

ほむら「……放しなさいよ……」

マミ「……で」

ほむら「え……?」

マミ「…………行かないで……」

ほむら「起き……」

マミ「……お母さん……お父さん……」

ほむら「……」

ほむら「……寝言……」

ほむらを離さぬようにと強く抱きしめるマミの寝顔は、酷く悲しげだった

ほむらはベッドを離れる事を止め、自分を強く抱きしめるマミに、ほむらも胸に顔を埋めるように強く抱きしめ返した

マミ「……」

途端、マミの抱きしめる力は弱まり、寝顔は悲痛なものではなく、安心に包まれたような穏やかなものへと変わる

ほむらはそれを見届けると、ゆっくりと瞼を閉じた

ほむら「……おやすみなさい」

そうしてほむらはマミを抱きしめ、そして抱きしめられながら眠りに落ちて行った

理由の解らない安心感に包まれながら

―――――――――――

QB「暁美ほむら。やっぱり君はマミと一緒にいる事を選んだんだね」

QB「とても良い……為になる判断だと思うよ」

QB「……さ、僕はもう少し様子を見てから……行動に移ろうかな」

QB「……君には期待してるよ。暁美ほむら」

QB「僕たちのエネルギー回収の働きにね」

――――――――――――



ほむら「ん……」

ほむら「……ここ……?」

ほむら「そっか……私……巴マミの……」

ほむら「あれ……巴マミが……いない?……どこへ……」

マミ「あら、起きたのね」

ほむら「巴……先輩……」

マミ「おはよう。ほむらさん」

ほむら「……おはよう」

マミ「朝ごはん、もう出来てるから。よかったら食べてね?」

ほむら「……うん……」

タタタ

ほむら「……」

ほむら「……眠いわ」

ほむら「……」トサ

ほむら(起きなきゃ……でも……)

ほむら「……」

ほむら(巴マミの匂い……)スンスン

ほむら「……」

ほむら「……なんでこんなに安心するのかしら……」

ほむら「……」

ほむら「すー……す―……」

数分後

マミ「ほむらさん?まだ起きて……」

ほむら「すー……すー……」

マミ「……二度寝しちゃったのね」

マミ「……」スタスタ

マミ「んしょ」トサ

マミ「……ふふ。添い寝……」

マミ「……」

ギュッ

マミ「……」

マミ「くー……くー……」

眠い……保守……お願いしていいかな……

3時間ぐらい寝たらもどってきまふ

おやすみなさい……

ほむっほむっ

マミさんの身体触っちゃ駄目だよ

マミさん

キュゥべえがこのスレにいるほむ



ほむら「ん……私……」

ほむら「……」

ほむら「……胸?」

マミ「くー……くー……」

ほむら「……」

ほむら「なんなの……この状況」

ほむら「巴先輩、起きて。巴先輩」

モミっ

マミ「ん……」

ほむら「……」

ほむら「やっぱり大きいわね……」

モミモミ

ほむら「起きて。巴先輩、先輩」

モミモミ

マミ「んう……ほむら……さん……?」

ほむら「おはよう。巴先輩」

マミ「……おはよー……」ギュッ

ほむら「ちょっ離しなさい」

マミ「……んー……」ぎゅうう

ほむら「苦し……うぐぐ……」ぺチぺチ

マミ「ん……あれ?」

マミ「……ほむらさん?」

マミ「ごっごめんなさいっ」パッ

ほむら「……窒息するところだったわ」

ほむら「それで……どうしてこんな事になってるの」

マミ「ええと……なかなかほむらさんが起きてこないから、どうしたのかと思って見に来たら……」

ほむら「そこでまだ寝てる私を見て、一緒に寝ちゃった……ってとこかしら」

マミ「ええ……気持ち良さそうだったから、つい」

ほむら「つい、ね。……まぁいいわ」

ほむら「ところで今何時?」

マミ「ん……あっもうお昼だわっ」

ほむら「結構寝てたのね……」

ほむら(知らないうちに疲れ、溜まってたのね……)

マミ「ごめんなさい。こんな時間になっちゃって……何か用事とかあった?」

ほむほむ


ほむら「特に何もないわ。だから気にしないでいいわ」

マミ「そう……よかった」

マミ「あ、……もう冷えてると思うけど……朝ごはん、食べる?」

ほむら「喜んで頂くわ」

マミ「ふふっ。どうぞ」

―――――――――――

朝食兼、昼食を食べ終わると、ほむらはマミに感謝と、自分の家に帰るという事を告げた

マミは寂しさに顔を歪めたが、約束を交わしたことで、その顔は笑顔に変わる

これからもマミの家に来るという約束を

それからほむらは約束通り、何度となくマミへと足を運んだ

会話を交わし、一緒に食事をとり、時には、眠りを共にし、共に魔女を討つ

ほむらは表情にさえ出さなかったが、巴マミと合える時間を楽しみにしていて、時間が許す限り、マミへと足を向けた

時にはマミに予告なく足を運ぶこともあった。それほど、ほむらは巴マミと過ごす時間を楽しみにしていたのだ

ほむ

ほむらは多様な時間軸を巡ってきて、この時間軸ほど穏やかな時間軸はないと感じていた

インキュベーターもあれ以来姿を現さず、まどかに契約を迫るそぶりもない、マミと過ごす穏やかな日々。

ほむらは、この時間軸がこのまま続いてくれるんではないかと、思い、願った

だが、その願いが壊れてしまうかもしれない、そんな不安がいつもほむら付きまとっていた

なぜか、それは時間軸の流れが、いままで繰り返し来たものと、全く違っていたからだった

マミと深く接触し、かわりにまどかとの接触が少なくなってしまっている事、そしてインキュベーターの忠告と行動、魔女の出現率の低さ

それらは、ほむらに不安を与えるには十分な要素だった

喜びと、不安を抱え送る日々、そんな、ある日

ほむら「……魔女……ね」

マミ「久しぶりね。ここ最近は出てなかったのに」

ほむら「ええ……」

ほむら(こんな魔女空間……見たことない……注意した方がいいわね)

マミ「……怖い?」

ほむら「……怖くないわ」

マミ「……そうなの?」

ほむら「ええ」

ほむら「……もっと怖いものを知ってるもの」

マミ「そっかぁ……ほむらさんは強いわね」

マミ「私、今、とっても怖いもの」

ほむら「……」

ほむほむ

ミ「……何かあったら助けてくれる?」

ほむら「ええ。もちろん」

マミ「……ありがとう」

ほむら「……」

マミ「……近いわ。気をつけて」

魔女「――――――――――」

マミ「来たわ」

ほむら「ええ」

ミほむほむ

―――――――――――――――

魔女「――――― ――――――― ――――――――――」

マミ「もう一息……かしらね」

ほむら「そうね。とどめ、任せ……」


「どこ?ねえっ!誰なのっ!」


ほむら「この声……っ!」

ほむら「まどか!!」

まどか「誰?私を呼んでるのはっ!どこにい……」

魔女「―――――――」ギロ

まどか「ひっ」

ほむら「っ!まどかっ!!」

マミ「ほむらさんっ!?」

魔女「――――――――!」

まどか「きゃあああっ!!!」

魔女が手らしきものを鋭くとがらせ、まどかを貫かんと風切り音を立てながら高速で伸ばしていった

ほむら「くっ!」

鋭い腕がまどかの胸を貫こうとする瞬間、ほむらは腕の盾を展開させた

するとその途端、ほむら以外の動きが止まり、沈黙が訪れた

そんな異常な空間の中、ほむらは躊躇うことなくまどかの元へと全力で駆けていった

そうしてまどかの元へと辿り着くと、ほむらは魔女の腕にほぼゼロ距離で一発鉛玉を放った

ほむら(これで、追撃を止めるっ!)

打った直後鉛玉は動きをとめる。それを確認するとほむらはまどかを抱きとめた

その瞬間まどかが動き始める。まどかは自分とほむら以外の動きが止まっている事にきょとんとした表情を浮かべていた

まどか「え、暁美、さん?」

ほむら「捕まって!早く!」

まどか「う、うんっ!」

ほむらはまどかを連れ、十分な距離を開けると、腕の盾の展開を閉じる

ほむほむ

魔女「――――――――!!!!!」

その直後全ての物体が動き始めた。

当然ほむらの放った鉛玉も動き始め、勢いよく魔女の腕をえぐり、貫く

その衝撃に魔女は悲鳴のような叫び声をあげ、痛みからか、腕を血のようなものを撒き散らしながら大きく振り回し始めた

マミ「……こんなところに、どうして」

ほむら「っ!マミっ!!」

マミ「がっ!」

振り回された腕がマミに直撃し、マミは勢いよく壁にぶつけさせられた

ほむらの追撃を止める為に行った射撃が、仇になった瞬間だった

ほむら「マミっ!マミっ!!」

マミ「く……」

ほむらが悲痛な声をあげ、マミの身を案じた。その声にマミはふらふらと体勢を立て直し、顔を上げる

だが、その視線の先は、魔女ではなく、ほむらとまどかだった

ほむぅ……

虚ろな暗い目、ほむらはその視線にゾクリと身を震わせた

ほむら「マミ……?」

だが、すぐにマミはその目を魔女に向ける

そして巨大な大砲を出現させ、吼えた

マミ「あああああああああ!!!」

直後、大きな破裂音と共に大砲から、弾が射出され、魔女を貫く

魔女は体に大きな風穴を開けられると、音もなく崩れ去った

マミ「……」

マミはその光景をただ無表情で見つめていた

魔女に勝ったというのに、ほむらは喜びを感じられず、そのマミの姿に違和感を感じていた

ほむぅ……

ほむら「魔女空間もなくなったわね……」

マミ「ええ」

ほむら「……大丈夫なの?」

マミ「ええ、もちろんよ」

マミ「このくらいで私は怪我しないわ」ニコ

ほむら「そう……よかった」

ほむら「……ごめんなさい。あの時、咄嗟の事だったから……」

マミ「気にしないで。それならしょうがないわ」

マミ「それより……」

まどか「……」

マミ「どうしてあなたはあんなところにいたの?」

まどか「え、えっと……」

マミ「今の所は危ない場所だったのよ?一歩間違えていたら死んでいたわ」

まどか「あ、あの……」

マミ「ほむらさんと私がいたから良いものの……もしいなかったら」

ほむら「……巴先輩。やめなさい」

ほむら「責めるより、事情を聞くのが先でしょう?」

マミ「……そうね」

ほむら「……大丈夫?怪我はない?」

まどか「う、うん……大丈夫……ひゃっ」ふら


ほむら「まどかっ!……大丈夫っ?」

まどか「う、うん……あ、安心したから……腰が抜けた、だけ……てぃひひ……」

ほむら「……ここじゃ話すのも難だわ……巴先輩。お家、借りて良いかしら」

マミ「……」

ほむら「……巴先輩?」

マミ「……ええ。いいわ」

ほむら「ありがとう。……さ、立てる?」

まどか「う、うん……わっ」フラッ

ほむら「……大丈夫?」ギュッ

まどっちてぃひひかわいい!

まどか「あ、ありがとう……暁美さん」

ほむら「ほむらでいいわ」

まどか「え、あ……」

まどか「……ほむら、ちゃん」

ほむら「いいのよ」ニコ

まどか「……」

ほむら「……どうしたの?」

まどか「なっ何でもないよっ何でもっ!」

ほむっほむっ

ほむら「……そう?……歩ける?」

まどか「う、うんっ……あっ」ヘニャ

まどか「ち、力が……」

ほむら「……背中に」

マミ「大丈夫?……ほら、背中にどうぞ」

まどか「え、で、でも……」

マミ「気にしないで。……それにさっきは言い過ぎちゃったから、それのお詫びも込めて、ね?」

まどか「あ、えと……ありがとう、ございます……」

マミ「いいのよ。それじゃあ……」

まどか「あっ!まっ、待って下さいっ!」

まどまど

ほむら「どうしたの?」

まどか「あのねっ!さっきまで私を呼ぶ声があったのっ!助けてって!」

ほむら「……」

ほむら(インキュベーター……!)

ほむら「ただの気のせいよ。忘れなさい」

まどか「でもっとっても苦しそうで……」

ほむら「忘れて!」

まどか「あ、う……」

ほむら「っ!ご、ごめんなさい……大きな声出しちゃって……」

まどか「い、いいよ、気にしないで」

『まどか……』

まどか「……え……?」

ほむら「……まどか?」

まどか「……聞こえる……そっち?」

ほむら「っ!そんな声に耳を貸さないでっ!駄目よっ!」

マミ「……この声……きゅうべぇ?きゅうべぇなのっ!」

マミ「今行くわ!」タッ

ほむら(マミにも……!)

ほむら「巴先輩っ!」

ほむら「くっ時間を……」ガチッ

ほむら「止まらないっ!?……魔力が足りないのっ!?」

ほむら「間に合って……っ!」タッ

マミ「聞こえなくなった……あなた、まだ聞こえる!?」

まどか「は、はいっ!……あっちみたいです!」

マミ「オーケー!飛ばすわよ!」

まどか「きゃっ」

マミ「どこにいるの、きゅうべぇ!」

まどか「あの子から……?いました!」

マミ「……あれね!きゅうべぇ!」

タッ

QB「……」

まどか「酷いケガ……大丈夫っ!?」

マミ「ちょっとどいてて!」

マミ「んっ……」

QB「うう……」

まどか「凄い……怪我がどんどん……」

タッタッタッ

ほむら(あれは……くっ……間に合わなかった……)

ほむら(すぐにここであいつを始末すれば……)

ほむら(……ダメ。今あいつを始末すれば、まどかに反感を抱かれてしまう)

ほむら(それに巴マミにも……)

ほむら(……)

ほむら(せめて時間が止めらていれば……口惜しい)

止めらてほむっほむっ

QB「……ん……」

まどか「傷が治った……」

マミ「……もう大丈夫。でも気絶してるみたいね……」

まどか「……大丈夫なんですか?」

マミ「多分ね。……とにかく私の家に連れていきましょう。まずは落ち着かないと……」

ほむら「その必要はないわ」

まどか「あ、ほむら……ちゃん」

マミ「どうして?この子は気絶してるのよ?見てやらないと」

ほむら「コイツは見た目以上に丈夫よ。だからほうっておいても問題ないわ」

マミ「そんな……」

ほむら「それに魔女空間の奥までまどかは正気で迷い込んできた、それは魔法少女の才能があるということだわ」

ほむら「い……きゅうべぇは起きたらまどかに契約を迫るかもしれない。……いえ、絶対に迫るわ」

ほむら「あなたが言っていた一歩間違えば死ぬかもしれない。そんな場所にまどかを送り出すことになるかもしれないのよ?」

ほむら「そんなの……私が許さないわ」

マミ「……」

マミ「行きましょう。……あなた、もう歩ける?」

まどか「は、はい……」

ほむら「巴先輩っ!」

マミ「……」

マミ「……まどかまどかまどか……なにが……!」ボソ

スタスタ

マミさんとまどっちはちょっと病んでた方が最強にかわいい

まどか「え、えと……」オロオロ

ほむら「……」

まどか「ま、待ってくださいっ!」

まどか タッ

ほむら「まどか……」

ほむら「くっ!」

ガンッ!

くるす

マミ宅

マミ「……」

ほむら「……」

まどか「……え、えっと」オロオロ

まどか「あの……それで……さっきの事なんですけど……」

マミ「え、ああ……そうね」

マミ「その前にあなたの名前、聞いても良いかしら?いつまでもあなた、じゃ呼びにくいし……」

まどか「は、はい。私、鹿目まどかっていいます」

マミ「鹿目さん……ね。私は巴マミ。あなたと同じ中学の三年生よ」

マミ「……よろしくね」

まどか「は、はいっよろしくお願いしますっ!」

マミ「それで、彼女のことは……もう知ってるみたいね」

まどか「はいっ。同じクラスメイトですから」

マミ「……それだけ?」

キュゥべえ「いいえ!」

まどか「え?」

マミ「……何でもないわ」

マミ「そうね……さっきの事をお話しする前に、お茶を用意するわ」

マミ「体も冷えちゃったしね」

まどか「い、いえっそんなお構いなくっ」

マミ「いいのいいの。お客様にはお茶をお出ししないと」

マミ「ちょっと待ってて」

まどか「あっ……」

マミ「……ほむらさんは、ダージリンで良いわよね」

マミさんかわいい!

そしてかわいい!

ほむら「……ええ」

マミ「わかったわ。それと、これ」

ほむら「グリーフシード……」

マミ「さっきの魔女のものよ。……結構消耗しているでしょう?早く使ったほうがいいわ」

ほむら「……巴先輩は?」

マミ「もう使ったわ。だから、ね」

ほむら「……ありがとう」

マミ ニコ

スタスタ

ほむら「……」シュウウ

ほむら(……随分とマズい状況になった……)

ほむら(今まで動いていなかったインキュベーターが動き出し、まどかに接触した……)

ほむら(これは間違いなく、まどかに契約するためと考えていいわね……)

ほむら(でも、何故このタイミングで?)

ほむら(まどかと接触するチャンスはいくらでもあった……)

ほむら(……今はこれはどうでもいいわね。それよりこの状況を何とかしないと……)

ほむら(排除しようにも……巴マミには私の能力がバレている……突然インキュベーターが消えたりしたら私のせいだと確信されてしまうわ……)

ほむら(これ以上巴マミの反感を買いたくない)

ほむら(……共にアレを乗り越えるためにも……)

ほむら(でも……このままではまどかに……)

まどか「あ、あの……」

ほむむ?

ほむら「……なにかしら」

まどか「……よくわからないけど、あの時、ほむ、らちゃんは助けてくれたんだよね?」

まどか「それで……あの……えっと、あ、ありがとうございましたっ」ペコ

ほむら「……」きょとん

ほむら「……ふふっ」

まどか「え、え?」

ほむら「……あの時のことは気にしないでいいわ。人を助けるのは当然の事だもの」

まどか「で、でも……なにかお礼……」

ほむら「いいの。ま……鹿目さんはそんなこと気にしなくていいわ」

まどか「だ、駄目だよっお礼はちゃんとしないとっ!」

お礼ちゃんとしようとするまどっちまどまど

ほむら「……そうね。だったら1つお願いがあるわ」

まどか「お願い?」

ほむら「ええ。それはね……」

マミ「お茶が入ったわ……って、あら?なにかお話ししてた?」

ほむら「……ちょっとね」

マミ「邪魔しちゃった……かしら?」

ほむら「いえ。……そんなことないわ」

まどか「えと……」

マミ「……」

マミ「そ。よかった」

マミ「はい。二人ともどうぞ」

ほむら「頂きます」

まどか「わぁ……おいしそう……いただきますっ!」

マミ「粗茶ですが……ってね」ニコ

マミ「あ、お茶受けが無いのは許してね」

ほむら「珍しいわね」

マミ「ええ。ちょうど切らしちゃってね」

マミ「それで、どうかしら鹿目さん。美味しい?」

まどか「はいっ!こんなに美味しい紅茶飲んだのは初めてですっ!」

マミ「そう。それはよかった」

マミ「ほむらさんはどうかしら?」

ほむら「……いつも通りよ」

マミ「よかった」ニコ

マミ「それで……さっきの場所の説明だったわね。あれは……」

「それは僕が説明するよ」

マミ「きゅうべぇっ!」

まどか「ほ、ホントに喋ってる……」

ほむら「……」

マミ「もう大丈夫なの!?どこか痛くない?フラフラしない?」ギュッ

マミ「しばらく見ないと思ったらどうしてあんな所に……」

きゅうべぇ「離してよ。 巴マミ」

きゅうべぇ「それに随分馴れ馴れしいんじゃないのかい?」

きゅうべぇ「『僕』と君は初めて会ったって言うのに」

マミ「え……」

マミ「な、何を言ってるの?私たちあんなに」

QB「それは僕じゃない個体じゃないのかな?」

マミ「……え……?」

QB「僕たちはね、魔法少女と契約し、サポートする存在。その数は一つ限りではないんだよ」

QB「『僕』という個体は君と共に過ごした事はないよ」

マミ「じゃ、じゃあ……あの子は?」

QB「あの個体かい?そうだね……確か……」

QB「巴マミ。君に嫌気が差して、逃げ出したって」

マミ「う、嘘……」

QB「どう思うのも君の自由だ。でもあの個体は君の傍からいなくなった。それは事実だよ」

マミ「……え……?……え?」

ほむら「お前……!」

QB「大丈夫かい?巴マミ。ずいぶんと辛そうだけど」

ほむら「っ巴先輩……?」

マミ「……」

ほむら「先輩っ!」

まどか「だ、大丈夫ですかっ?」

マミ「……だ、大丈夫……大丈夫……」

強く、駆け寄ってきたほむらの手を掴む。その手は小さくカタカタと震えていた

QB「巴マミも大丈夫と言っているんだ。話を続けよう」

まどか「で、でも……」

ほむら「この……!」

QB「僕は事実を言っているだけだよ。だからそんな顔をされても困る」

ほむら「淫獣が……!」

まどか「ほ、ほむらちゃん……」

QB「それで鹿目まどか。さっきの場所の説明だったね。あれは……」

そうしてインキュベーターはまどかに先程の場所、それを作り上げ、まどかを襲ったものの存在、

そして魔女と戦う者たち、魔法少女の説明をし始めた

当然肝心な所をはなさずに

ほむらは何度も、その明かされない部分を、話し、インキュベーターの説明を阻止しようと思った

だが、隣にマミがいて、その上精神的にかなり弱っている。そんな状況で秘密を明かすわけにはいかなかった

時を止め、始末する事も考えた

だが不安定なマミを前にして、インキュベーターを消す。それがどんな結果を生み出すかわからない以上、手を出す事が出来なかった

ほむらはどうする事も出来ない悔しさから歯噛みする。

そして――――――――

QB「わかったかい?これが魔女と魔法少女の秘密さ」

まどか「う、うん……」

QB「そして鹿目まどか。君には才能がある」

まどか「私に……?」

QB「うん。凄い才能だよ。その才能ならどんな願いもかなえられる」

QB「それに魔法少女にさえなれば、ベテランである巴マミよりもずっと強くなれるよ」

その言葉を聞いた瞬間、マミの手に震えが走る。ほむらその手を強く握りしめた

QB「ここの二人の助けにもなれるはずだ」

まどか「助けに……」


ほむら「不要よ」

ほむら「戦いは私たちだけで十分。それにグリーフシードを三人で分けるには、魔法少女が多すぎるわ」

QB「そうかい?三人いれば一人当たりの魔法消費量、回復量も少なくなって効率良くなるんじゃないのかな?」

QB「それにさっきも言ったけどまどかの力は強大だ。魔女に負けることなく、安全性も増し、絶対に効率も良くなる筈だよ」

ほむら「チームワークが乱れるわ。それに何より危険よ。いくらまどかの力が強くても万が一があるかもしれない」

QB「チームワークはこれから培っていけばいい。それだけの価値がまどかにはある」

QB「それに万が一が無いよう、君たちがそのリスクを減らせばいい」

ほむら「不確定よ。いくらリスクを減らしても万が一が無くなるわけじゃない」

ほむら「だったら私たちだけで十分よ」

QB「……水掛け論だね。きりがない」

ほむら「あなたが諦めれば良いだけの話よ」

QB「はぁ……どうしてそんなに君はまどかに拘るんだい?」

QB「鹿目まどかは君の大切な人なのかい?」

ほむら「……」

QB「まどかがいれば君の危険性も減る。君と仲良くしている巴マミの危険性も減るじゃないか」

QB「君の大切な仲間を危険にさらしてまで、まどかを魔法少女にしない理由があるのかい?」

ほむら「……あるわ」

QB「そうか、よっぽどまどかが大切なんだね。隣にいる巴マミより」

ほむら「……」

マミ「……」

QB「でも魔法少女になるかどうかを決めるのはまどかだ」

まどか「……」

ほむら「まどか。そいつの話を聞く必要はないわ」

QB「まどか。ひとつ教えてあげるよ」

まどか「……なに?」

QB「もうすぐこの街に強大な魔女が来る」

まどか「魔女が……」

ほむら「嘘よっ!」

QB「その魔女は恐らく……いや、絶対にこの二人では勝てないだろう」

ほむら「なにをでたらめをっ!」

QB「僕らは個々の個体と連絡が出来るんだ。その仲間の話によるとね」

QB「ワルプルギスの夜が来るって連絡があったんだよ」

まどか「ワルプル……ギス?」

ほむら「く……」

QB「そう。何百年と生きている魔女中の魔女さ」

QB「かつて何人もの魔法少女がその魔女に挑んだ。でも誰一人として勝つ事が出来なかったんだ」

QB「それが……もうすぐここに来る」

まどか「それがここに来ると……どうなっちゃうの……」

QB「……恐らく、最低でもこの街は壊滅だ」

QB「この二人は戦って間違いなく死んでしまうし、君の親友も、両親も皆死んでしまうかもしれない」

まどか「そんな……」

QB「そう。でもまどかならそいつを倒す事が出来る。だからそいつを倒すために」

QB「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!」

まどか「……!」

まどか「……うん。わたし」

ほむら「……黙りなさい」

まどか「ほむらちゃん……でも、わたしっ!」

ほむら「黙って!!」

まどか「……!!」ビクッ

QB「はぁ……暁美ほむら。人に物事を強制するのはいけない事だよ」

ほむら「黙りなさい」

QB「暁美」

ほむら「黙れっ!!」

大きな叫びと共にほむらは机を強く叩く

その姿をまどかは驚きと恐怖の表情で、マミは感情の読めない色のない瞳で見ていた

ほむら「黙れないのなら……黙らせてあげても良いわ……!」

QB「やれやれ……話の通じない……」

QB「話にならないみたいだし、僕は退場するとしよう」

QB「じゃあね。まどか」

QB「気が向いたらいつでも僕を呼んで。すぐに君の元へ向かうよ」

QB「皆を……助ける為にね」

そう言うとインキュベーターはどこかへと消えていった

そして訪れる沈黙

重い空気にしばらく誰一人として声を出すことは出来なかった

ほむら「……まどか……送るわ」

ほむらが落ち着きを取り戻すと、重たい沈黙を破りぽつりと呟く

まどかはその言葉に小さく頷き、マミは震える手で強くほむらの手を握り締めた

ほむら「……すぐ戻ってくる」

マミの手を優しく握り返し、そうマミにだけ聞こえるように優しく囁く

その囁きにマミは手を震わせながらも離し、小さく頷いた

ほむら「……行きましょう」

まどか「……うん」

ゆっくりとほむらは立ち上がり、座っているまどかに手を差し伸べ、立ち上がらせる

そしてまどかの荷物をまとめる手伝いをし、まどかと共に玄関へと歩いて行った

その後ろを今にも泣きそうな表情でマミが付いて行く

ほむら「いってくるわ」

玄関で靴を穿き、振り返ってマミに声を掛ける

マミはそれに微かに頷いた

玄関を開け、外に出る

その際、まどかはマミに小さくお辞儀しさよならを告げたが、マミはそれに目も向けず、ただほむらを見つめていた

やがてドアが閉まっていき、二人と一人の間に壁を作っていく

マミはそれに突然強い焦りを感じ、無意識にほむらに手を伸ばした

だが、マミの手がほむらに届く前に扉は閉まり、マミは一人、部屋に残されてしまう

マミ「……ほむら……さん……」

その場にへたり込み、ぽろぽろと涙を流す

マミに残るのは強い焦りと、どうしようもない不安と、寂寥感だった

一区切り

休憩くらさい

――――――

ほむら「……」

まどか「……」

まどか「……ねえ」

ほむら「……うん?」

まどか「どうしてほむらちゃんは……あんなに私ときゅうべえとの契約を止めようとしたの?」

まどか「私が契約すれば……二人の助けにもなるし、あと……ワルプルギスの夜も……」

まどか「それに願いだって叶う……ダメなところなんて一つも……」

ほむら「あるわ」

まどか「え?でもきゅうべえは一度もそんなこと……」

ほむら「確かに言ってはいないわね」

まどか「なら、どうして……」

ほむら「言っていないだけ……本当はあるのに」

まどか「……それって……?」

ほむら「それは、魔法少女になる事の意味と、その後」

まどか「……」

ほむら「魔法少女はね……ただ願いをかなえた代わりに魔女と戦うわけじゃない」

ほむら「願いをかなえたから、魔女と戦わなければならないの」

まどか「どういう事……同じじゃないの……?」

ほむら「……魔法少女になるとその証であるソウルジェムが与えられる、そうあいつは言っていたわよね」

まどか「う、うん……」

ほむら「与えられるんじゃなくて……その人自身がソウルジェムにされてしまうの」

まどか「へ……?」

ほむら「これが私」

そう言ってほむらはまどかの目の前に自分のソウルジェムをかざす

ほむら「まどか……それを思いっきり握ってみて」

まどか「え、え?」

ほむら「いいから」

まどか「う、うん……」グッ

ほむら「……!!」

まどかがほむらのソウルジェムを握った途端、ほむらは首を押さえ激しく苦しみ始めた

ほむら「あ……っ……がっ……!!」

まどかはそれに驚き、すぐに握っていたソウルジェムを放す

まどか「ほ、ほむらちゃん!?大丈夫っ!?」

ほむら「はぁ……はぁ……」

ほむら「そういう事よ……」

ほむら「超人的な力を手に入れられて……願いを叶える代わりに……その人の魂、命をその中に入れられてしまうの」

ほむら「……信じられないなら、もう一度握ってくれていいわ」

ほむら「私がそれで気を失えば……まどかも信じてくれるわよね」

まどか「信じるっ信じるよっ……!だから……」

ほむら「……やっぱりまどかは優しいわね……」

ほむら「すー……はぁ……」

ほむら「……魂はそのソウルジェムに移され……契約した人は、人でなくなる」

ほむら「その上、そのソウルジェムはすぐに濁る」

まどか「濁ると、どうなるの?」

ほむら「あいつが言っていた通り……初めは魔法が弱くなる。それだけならまだいいわ。でも濁り切ってしまうと」

ほむら「……魔女になってしまうわ」

まどか「ま、じょ……え?」

ほむら「事実よ。私はその場面を何度も見てきたわ」

まどか「そ、そうなら……ほむらちゃんも……巴先輩も……」

ほむら「……いずれ、魔女になる」

ほむら「魔法少女が倒すべき、魔女に」

まどか「……」

ほむら「……信じられない?」

まどか「信じたく……ないよ……」

ほむら「信じて。すべて事実よ」

まどか「……そんな……」

ほむら「これが……魔法少女たちが、魔女と戦わなければいけない理由」

ほむら「願いをかなえたから、魔女と戦わなければならない理由」

ほむら「だから……私はあなたを魔法少女にしたくなかったの」

ほむら「それでも……あなたは魔法少女になりたい?」

まどか「……」

まどか「でも……」

まどか「……でも、私が魔法少女にならないと、ワルプルギスの夜が来て、みんな死んじゃうんでしょ?だったら……」

ほむら「……ワルプルギスの夜が来るのは事実よ」

まどか「だったら!」

ほむら「でも、負けると決まったわけじゃない」

まどか「でも、きゅうべえはっ」

ほむら「あれは可能性を示唆しただけ。それを大げさに言っただけにすぎないわ」

ほむら「だから、あなたが心配する事は何もないのよ……」

まどか「……」

ほむら「私たちは絶対に勝つ……まどかはそれを見てて」

まどか「……」

まどか「……ねえ」

まどか「……どうしてほむらちゃんはそこまで私に優しくしてくれるの?」

まどか「初めて会って……そんなに時間が経ってないのに……」

ほむら「……私はずっとあなたの傍にいたわ」

まどか「……え?なに?聞こえな」

ほむら「あなたが私の友達だった人とよく似てるから」

ほむら「ただそれだけよ」

まどか「……それだけで……」

ほむら「……ついたわね。あなたの家」

まどか「えっ、ほ、ほんとだ……」

ほむら「まどか」

まどか「……何?ほむらちゃん」

ほむら「どんな事があっても絶対に契約しないで。契約してしまえば、命が無くなってしまえば、悲しむ人がいるってこと、忘れないで」

まどか「……うん」

ほむら「ありがとう……じゃあね」

ほむら「まどか」

まどか「……」

まどか「……ほむらちゃん……」

――――――――

ほむら「……少し遅くなってしまったわね……何時になってるのかしら」

ほむら「……ん、メール?サイレントにしてたから気付かなかったわ……」

ほむら「巴マミから……」

どのくらい時間が立ってしまったのかを確認しようと携帯を開くと、ほむらはそのディスプレイに写された文字に驚愕する

ほむら「着通……76件!?」

送信元は全て巴マミで内容は

[まだ?][怖いよ][もう来ないの][ごめんなさい][怖い][寂しいよ][怖い][ひとりはいや][はやくきて][嫌になっちゃた?][寂しいよ][助けて]

[怖い][寂しいよ][怖い][ひとりはいや][はやくきて][もう来ないの][ごめんなさい][怖い][寂しいよ][ほむらさん][まだなの?][あいたい]

[まだ?][怖いよ][もう来ないの][ごめんなさい][怖い][寂しいよ][怖い][おいていかないで][捨てないで][一人にしないで][あけみさんはやく]

[はやくもどってきて][へつりはいや][はやく][あやまるから][ひとりっぼちはいや][けわあの][はやき][まだ?]―――――――――――

といったもので、送られてきたものが新しいものほど、誤字や脱字が目立つようになっていた

ほむら「……」

ほむらは事態の深刻さに焦りを隠せず、巴マミの家へと足を急がせた

マミ宅

マミ「……」ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッ

ガチャ

ほむら「巴先輩っ!」

マミ「……」ピッ……

マミ「……ほむら……さん」

マミ「……ほむらさん……!」

マミはほむらの姿を見ると自分の操作していた携帯を投げ捨て、勢いよくほむらへと駆けだす

そしてほむらの元へと辿り着くと、思い切りその体を抱きしめた

マミ「……もう……来ないと思った……捨てられたと思った……」

マミ「一人ぼっちに……なったと思った……」

グズグズと鼻をすすり、ほむらに縋り付く

ほむらはそんなマミを優しく抱きしめ、頭をなでた

ほむら「……するわけないでしょう」

マミ「ぐすっ……ぐすっ……うん……」

ほむら「とりあえず……リビングにに行きましょう?」

ほむら「ここじゃ……落ち着けないわ」

マミ「うん……ぐすっ……」

ほむら「……」

ほむら「泣き虫」

マミ「……ごめん……なさい……」

ほむら「……泣き虫」ギュッ

リビング

ほむら「……落ち着いた?」

マミ「ぐすっ……ぐすっ……」

ほむら「……」

ほむら「ちょっと待ってて」

マミ「っ!……いやっ!!」

ほむら「……すぐ戻るから。ね?」

マミ「いや……いっしょにいく……」

ほむら「……わかったわ。ちょっときて」

マミ「……?」

ほむら(あの巴マミがこんなになってしまうなんて……よほどインキュベーターの事が響いてるのかしら)

ほむら(それとも……あの状態でマミを放っておいてしまったから……?)

ほむら(マミ……)

キッチン

ほむら「紅茶、ここにあったわよね」

マミ「……うん」

ほむら「紅茶の勉強したのが、こんなとこで役にたつとはね」

マミ「……?」

ほむら「ホントはもっと、ゆっくりと飲みたかったけど……」

マミ「……」

マミ「……」ギュッ

ほむら「……抱きつかないで。上手くできない」

マミ「……」

ほむら「……はぁ」

マミ「っ!ごめんなさい……だから……」

マミさんを何度もビンタして泣かせた後泣き止ましてまたビンタしたい

ほむら「……怒ってるわけじゃないわ」

マミ「ホント……?」

ほむら「ええ」

マミ「……」

マミ「……」ギュッ

ほむら「……」

ほむら「出来たわ。さ、一緒に飲みましょ」

マミ「うん……」

リビング

ほむら「ほとんど初めてのやつだけど……どうぞ」

マミ「……うん」

ほむら「……ねぇ、せめて……ちょっとだけ離れてくれるかしら?」

ほむら「どこにも行かないから」

マミ「……うん」

ほむら「ありがとう」

ほむら(それでも手は離さないのね……)

ほむら「頂きます」

ほむら「……ん」

ほむら「……」

ほむら「……まずい」

ほむら「やっぱり巴先輩が作った方が美味しいわね」

マミ「……ん」

マミ「……そんなことないわ、とっても美味しい……」

ほむら「……そう?なら、よかった」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「ちょっとは、落ち着いた?」

マミ「……ええ……もう……大丈夫……」

ほむら「そう……よかった」

マミ「……ごめんね……迷惑ばっかり掛けて……」

ほむら「……もうあなたに迷惑かけられるのは、慣れたわ」

マミ「……ごめん……なさい……」

ほむら「……今日はもう寝たほうがいいわ。魔女退治もあったから、つかれたでしょう?」

マミ「……うん……」

ほむら「それがいいわ」

マミ「……」

マミ「ほむらさん……帰っちゃうの……?」

ほむら「……」

ほむら(まどかには契約の危険性を多分解ってもらえた……少なくとも今日は大丈夫よね)

ほむら「……今日は泊まっていっていかしら。私も疲れたわ」

マミ「うん。……お願い」

ほむら「パジャマ持ってくるわ。……一緒に寝ましょう」

マミ「うん……ごめんね……」

ほむら「待ってて」

マミ「……うん」

別室

ほむら「……」

ほむら(あんなに弱々しくなった巴マミ……初めて見たわ……)

ほむら(どうにかして、元に戻ってくれるといいんだけど……)

ほむら(あれ?ここにパジャマなかったかしら?)

ほむら(違ったかな……)

マミ「……ほむらさん?」

ほむら「ん、どうしたの?なにかあった?」

マミ「……ちょっと……遅いなって思って……どうしたのかなって……」

ほむら「……」ふー

ほむら「……大丈夫よ。どこにも行かないわ」

マミ「……」

ほむら「ねえ、巴先輩。パジャマここで良かったわよね?」

マミ「……そこの一つ上」

ほむら「あ、そっか。ありがとう」

マミ「……うん」

ほむら「あった。それじゃ、着替えて寝ましょう?」

マミ「……うん」

ほむほむ

――――――

ほむらは先にベッドにマミを寝かせると、電気を消すため一人立ち上がる

ほむら「それじゃ、電気消すわね」

マミ「うん……」

ベッドの中から顔だけを出し、コクリと頷くのを見ると、ほむらはスイッチを切り電気を消す

途端部屋に暗闇が訪れ、二人を包む

マミは暗闇とほむらの見えなくなった不安からソワソワと周りを見渡す

マミ「ほむらさん、どこ……?」

ほむら「目の前にいるわ」

マミ「……あ……」

ベッドに入り落ち着かないマミにほむらは優しく声を掛ける

マミはその声と温もりを頼りに、すぐにほむらに縋り付いた

マミ「ほむらさん、どこ……?」

俺「目の前にいるわ」

カタカタと体を震わせるマミをほむらはゆっくりと抱きしめる。するとマミの震えはみるみる内に収まっていった

暗闇に慣れてきた目で、そっとマミの顔を窺ってみると、その顔は安堵に染まりきっていた

ああ――――

ほむらは心で嘆息する、もう、この人は私なしではダメかもしれないと

優しくマミの頭をなでる。マミはそれにニッコリとほほ笑んだ

そしてしばらくの沈黙。

それを先に破ったのはマミだった

マミ「ね……ほむらさん」

いつもではマミでは考えられない、自分に自信のないオドオドとした声

それにほむらは優しく応える

ほむら「……何?」

マミ「私より……鹿目さんの方が大事?」

ほむら「……どうして?」

マミ「だって……きゅうべえと話してた時……」

ほむら「ああ……あれね」

マミ「うん……私より、大事?」

ほむら「昔は、ね」

マミ「……今は?」

ほむら「同じくらい大事よ」

マミ「同じ……」

30分ほど離席します

マミ「……」

マミ「どうして……大事なの?ただのクラスメートじゃないの?」

ほむら「そうね……今のまどかとは、ね」

マミ「……今の?」

ほむら「うん。ふふっ……意味わかんないよね」

ほむら「私、未来から来たの」

マミ「え……?」

ほむら「信じてくれないかもしれないけど、本当なの」

マミ「……」

マミ「……どうして、未来から?」

ほむら「信じてくれるの?」

マミ「ほむらさんの……言う事だから……」

ほむら「……そう」

一瞬ほむらはマミの言葉に悲しげに顔を歪める

ほむら「どうしてかって言うとね……まどかを救うため」

マミ「鹿目さんを……」

ほむら「そう。最初にね、魔女に襲われているところで、魔法少女のまどかに助けて貰ったの」

ほむら「自信も、取り柄も、なにもなかった私を……」

ほむら「私、入院してたって言ったでしょう?だから運動も、なにも出来なくて……」

ほむら「だから、友達も出来ずにいたの。……そんな中」

ほむら「まどかは友達になってくれた」

ほむら「うれしかった……。初めての友達だったから」

ほむら「とっても楽しかったわ。友達のいる毎日は……でも……」

ほむら「まどか、死んじゃったんだ」

ほむら「もうすぐここに来る、ワルプルギスの夜に負けて……」

ほむら「そこで私は願ったの。イン……きゅうべえに」

ほむら「もう一度やり直したいって。まどかとの生活を。そして、まどかを助けたいって」

ほむら「そこで私は……魔法少女になった」

ほむら「そこから私の戦いが始まった。まどかをどうにかしてワルプルギスの夜から生き残らせれるようにって」

ほむら「でも……今まで全部失敗」

ほむら「繰り返してきた時間みんな。まどかは……死んでしまったわ」

マミ「……」

マミ「……辛くはないの?やめたいって……思わなかったの……」

ほむら「辛いとは何度も思ったわ、でもやめたいなんて一度も思わなかった」

ほむら「……まどかを救う。それが私の希望だもの」

ほむら「まどかさえ……救えれば……私は……」

マミ「……」ギュッ

ほむら「……ふふ。初めて人に話したわ……」

ほむら「まぁ、こんな話、話しても信じてもらえるはずもないんだけどね……」

マミ「……」

ほむら「ふあ……眠たくなっちゃった……先に、眠らせて貰うわね……」

ほむら「……お休みなさい……」」

ほむら「……」

ほむら「…」

ほむら「……すー……すー……」

マミ「……」

マミ「やっぱり……ほむらさんは……鹿目さんの方が大事なんだ……」

マミ「ワルプルギスの夜が来たら……私、一人ぼっちになっちゃう……」

マミ「……いや、そんなの……」

マミ「いや……!」

そうほむらの胸の中で呟くと、巴マミはその姿を魔法少女へと変えた

―――――――――

まどか 自室

QB「まどか!起きて!起きて!」

まどか「ん、ん……きゅ、きゅうべえ!?ど、どうして私の上に!?」

QB「そんな事今はどうだっていいんだ!」

QB「ほむらとマミが大変なんだよ!」

まどか「え……ほむらちゃんと巴先輩がっ?」

QB「うんっ!助けられるのは君だけなんだ!早く来て!」

まどか「え、ほ、ホントなの?何があったの!?」

QB「説明している暇はないよ!急いで!」

まどか「う、うん!!」

まどか(何があったの……ほむらちゃん……)

マミ宅 前

急いでまどかとインキュベーターがマミの家の前まで辿り着くと、インキュベーターは深刻そうな声をまどかに送った

QB「凄い魔力の奔流だ……このままじゃ二人が危ない」

まどか「そ、そうなの?」

QB「うん……まどか、もしかしたら君が二人を助ける為に魔法少女になる必要があるかも知れない」

QB「その時が来たら……お願いできるかな」

まどか「……」

『約束して』

ほむらの声が心に響く

まどか「とにかく……行こう」

まどかはその声を胸に、インキュベーターと共にマミの部屋へと向かっていった

飯食ってきますよ

まどかがマミの部屋へと向かっている間、マミの部屋は異常の体を様していた。

巴マミの具現させるリボンが部屋中を埋め尽くし、ほむらと、マミを取り囲む

ほむら「どうして……巴先輩!」

そんな中ほむらは、マミのリボンにプレゼントを縛られるように後ろ手で固く拘束されていた

その姿をみて満足そうにマミは笑みを浮かべ、拘束されているほむらの体に抱きついた

マミ「これで……ずっと一緒……」

ほむらの頭にインキュベーターの忠告が蘇る。

『彼女は気に入ったものにはとことん執着して、その対象を自分だけのものにしようとする』

『その対象にされたものの意志も何も関係なくね』

なんとかしてほむらは拘束を逃れようともがくが、逃れられる気配は全く無かった

ほむら「こんなことして何になるっていうの!?」

ほむら「何の意味もないでしょう!?」

必死と声を荒げるほむら。だが、それにマミは全く意に介せず、抱擁をただ続けていた

声の届く様子のないマミに、ほむらは首を力なくうな垂れさせる

ほむら「どうして……あんなに私たち……」

マミ「……それをずっと続けるの……」

ほむらの呻きにマミはボソ、と呟き、そのまま言葉を続ける

マミ「こうしていれば……ほむらさんはどこにも行かないわ」

マミ「ずっと私の傍にいる」

マミ「ワルプルギスの夜が来ても……鹿目さんが死んでも……」

マミ「……ずっと……ずっとっ!」

ほむら「マミ……」

続ける言葉を終えると、マミは満面の笑顔をほむらに向けた

頬に二本の涙の後を付けながら

ほむら「どうしてよ……マミ……」

ほむら「こんなことしなくても……私は……」

悲しみに顔を歪め、ほむらがそう呟いた時、部屋の中に扉が叩かれる音が響く

そして続く、少女の声

「ほむらちゃんっ!!巴先輩っ!!大丈夫!?」

ほむら「……まどか!?どうして!?」

マミ「……鹿目……」

まどかの名前を聞いた瞬間マミは悲痛な笑顔を凍りつかせ、その笑顔を無表情へと変える

その表情を見てほむらは嫌な予感に体をざわつかせた

ほむら「何をする気なの……!」

ほむらの怒気の孕んだ声にマミは無表情を一瞬で満面の笑顔に変え

マミ「お仕置き」

マミ「ほむらさんを苦しめる人に、お仕置き」

マミ「ふふっふふふふっ」

そう応えるとゆっくりと玄関に向かっていった

ほむら「やめて……お願いだからっ!!」

ほむら「巴先輩っ!!」

マミを止めようと拘束のなか必死にもがくが、解ける様子は全くない

ほむらは拘束から逃れる事を諦め、その代わりまどかをここから離すため大きな叫び声をあげた

ほむら「来ないで……まどか!!」

まどか「え……ほむら……ちゃん?」

QB「マズイ……まどか、危険だ!」

まどか「わ、解るの?」

QB「ほむらを危険にさらしているやつがここに向かってる!このままじゃ……」

QB「まどか!!早く契約を!!」

まどか「え……」

信じられないとインキュベーターからドアに視線を移した瞬間、そのドアがゆっくりと開けられる

そこから出てきたのは、魔法少女の姿をした

満面の笑みを浮かべる、巴マミだった

マミ「いらっしゃい」

まどか「あああっ!」

ほむら「まどか!!」

まどかを満面の笑みで迎えた瞬間、マミはまどかの腕を掴みそのままリボンで包まれた部屋に放り投げた

投げられたまどかは床に叩きつけられると、ごろごろと床を転がり、壁にぶつかるとその動きを止めた

まどか「げほっ……あ……げほっ……」

ほむら「まどか!!まどか!!」

まどかは壁にぶつけられた衝撃に咳を吐き、ぶつかった痛みと、投げられたことで外れた肩の痛みに目を閉じ顔を歪ませた

ほむらはそんなまどかに駆け寄ろうとリボンの中必死にもがく。だが拘束は解けず、まどかには届かない

マミ「……鹿目さん」

まどかは痛みに瞑っていた目を、ゆっくりと開け、声のかけられた方を見た

そこには、無表情のマミが、床に倒れ伏す自分を見降ろしていた

まどか「あ……っぐ……」

ほむら「やめて!やめて!お願いっ!!」

ほむらの叫びを無視し、マミはまどかの襟首を片腕で掴みゆっくりと持ち上げた

まどかは苦しさから逃れようと肩の外れていない方の腕でマミの腕を引き離そうとする

が、まどかの非力な腕では、魔法少女のマミの腕を引きはがす事は叶わなかった

ほむら「どうして!?まどかは何もしていないでしょうっ!?」

マミ「したわ」

ほむらの叫びを聞いた瞬間マミは顔を怒りに歪め、まどかを壁に押し付けた

まどか「ああああ……!!」

まどかは押し付けられる痛みに、絞り出すような悲鳴を上げる

苦悶の表情を浮かべるまどかを、怒りの表情で壁に押しつけながらマミはボソボソと呟き始めた

マミ「なんなの……あなた」

マミ「いきなり出てきて……私たちの邪魔して」

マミ「ほむらさんに助けられて、きゅうべえにちやほやされて、私より強いっていって」

まどか「わたしは……そんな……ぁ……!」

反論しようとするまどかを、更に強く壁に押し付け、黙らせた

ミシミシと妙な音が部屋に響く

ほむら「まどか!!……くっ」

ほむらはマミを止める為に、盾のスライドの中から一本のナイフを手に滑り落とし、魔力を込め始めた

ほむら(間に合って……!)

自分の溜めていた気持ちを吐きだし始めた事により、興奮を抑える事が出来なくなり、感情が暴走し始める

いつしかマミのソウルジェムは少しづつ濁り始めていた

マミ「ほむらを苦しめて……!辛い目に合わせて!」

マミ「私よりいつもほむらに優先されて!!ほむらの一番大切な人で!!」

段々とマミの声に熱が入り始め、まどかを押しつける手が激しく震え始める

マミ「……取らないで……」

マミ「私からほむらを取らないでよぉッ!!!」

マミの目からはいつしか、涙が溢れだしていた

その涙の意味が、怒りなのか、悲しみなのか。本人にも解っていなかった

マミ「私を一人ぼっちにしないでよっ!!私に怖い思いをさせないでよっ!!」

マミ「もう一人は嫌っ!!嫌なのよぉッ!!!!」

まどか「ああああああああああああ!!!!」

ほむら「まどかぁッ!!」

更にマミは腕の力をいれ、まどかを押し潰さんとばかりに壁に押し付ける

まどかに想像に耐えない痛みが襲い、その痛みに悲鳴を上げさせられる

マミ「あんたなんか居なくなってよぉおおおおおおっ!!」

ついに興奮しきったマミは小型の拳銃を、まどかの命を消そうとすべく、具現させた

ほむら「マミぃっ!!」

直後、ほむらは魔力が溜まったナイフをで操作し、拘束する全てのリボンを断ち切った

そしてすぐさま盾のスライドから拳銃を取り出し、その銃口をマミに向けた

ほむら「それ以上やるなら撃つ!!」

マミ「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

ほむらが自分に銃口を向けた姿を見た途端、

マミは悲しみに顔を大きく歪めて大粒の涙を零し、大きな咆哮あげた

ほむらはその時、マミのソウルジェムが濁りきってしまうのを、見てしまった

そしてそのままマミが小型の銃でまどかの胸を打ち抜こうとした、そのとき


一つの乾いた銃声が響き、そして寸瞬遅れてもうひとつの銃声が部屋に鳴り響いた

ほむら「まどかっ!!まどかぁっ!!」

二つの銃声が鳴り響いた後、部屋に残るのは、

無傷のほむらと、

ソウルジェムを砕かれ、絶望に顔を染めたまま横たわる、マミの亡骸と

腹部から大量の血を流し、弱々しい呼吸をするまどかだけだった

まどか「はぁ……はぁ……」

ほむら「まどか、今っ!救急車呼ぶからっ!!」

まどかの腹部に手を当て、何とか止血しようとしながらほむらは携帯電話を探す

だがなかなかに携帯は見つからない

まどか「いたい……いたいよぉ……」

ほむら「ごめん……!ごめん……!まどか、こんなこと……待ってて……!」

キョロキョロと周りを見渡す、するとそこに


ほむらの携帯を咥えるインキュベーターの姿があった

ほむらは怒りに目の前が真っ白になりそうになったが、

何とかそれを耐え、インキュベーターに声を掛ける

ほむら「それを寄越して……!」

ほむらの必死の声に、インキュベーターは呆れた声で返す

QB「良いけど、救急車を呼ぶ時間なんてあるのかい?」

QB「それまでにまどかはもたないよ?」

ほむら「でたらめ言わないで……!」

QB「僕が今まで嘘を言ってきた事があったかい?」

ほむら「……」

QB「……暁美ほむら。まどかを助けたいかい?」

ほむら「……契約でしょう」

苦々しく吐き捨てる

QB「察しが良いね。その通りだよ」

QB「彼女が生きたい。とさえ望めば、すぐにでもまどかを助けてあげられるよ?」

ほむら「……っ」

QB「このままじゃ、巴マミを殺してまでまどかを助けたっていうのに、それすら無駄にしてしまう」

QB「それで君は良いのかい?」

ほむら「……」

QB「……」

QB「どうだい?まどか」

QB「生きたくはないかい?」


まどか「はぁ……はぁ……」

まどかの頭にほむらとの約束がよぎる

QB「魔法少女になって人でなくなる事に恐れているのかい?」

QB「どっちにしろこのままでは君は人ではなくなってしまうよ」

QB「だったら、魔法少女にになって、ほむらの手伝いをした方が良いんじゃないのかな?」

QB「その方がよほど建設的だと思うけど」

まどか「で……も……」


ほむら「……契約して……まどか」


まどかがほむらに目を向ける、するとそこには悔しさと、悲しみに涙を流す姿があった

ほむら「お願い……!」

顔を伏せて、体を震わせるほむら。それを見てまどかは、決心した

インキュベーターとの契約を

『生きる事』を願いにして

―――――――――――――

ワルプルギスの夜 戦後

QB「やっぱり僕の目に狂いは無かったね」

QB「まどかはワルプルギスの夜を一撃で倒し、塵へと変えた」

QB「でも……代わりに魔力を使い果たして魔女になってしまったけれど」

ほむら「……」

QB「戦わないのかい?」

ほむら「私の戦場は……ここじゃないわ」

QB「……」

QB「……!暁美ほむら……君は」

ほむら「……最後に……聞きたいのだけれど」

QB「……なんだい?」

ほむら「どうしてあなたはあの時……私に巴マミの忠告をしたの」

ほむら「忠告なんてしなくても……問題なかったはずでしょう?」

QB「そうだね。確かに」

QB「でも、確実性を増したかったんだ」

ほむら「確実性……?」

QB「そう、人間って言うのは……」

QB「嫌いなものから勧められたものはやりたく無くなるだろう?」

QB「そう言う事だよ」

ほむら「……そう」

ほむら「そんな理由で」

そう一言だけ残し、ほむらはその場から消え去った




QB「時間遡行者、暁美ほむら」

QB「君は無駄な事を何度繰り返すつもりだい?」


エピローグ

時間遡行を終え、病院のベッドで目が覚めたほむらは、

すぐさま見滝原中学校の屋上へと足を向けていた

あの人に会うために

何故こんなにもあの人に会いたいのかほむら自身にも解っていなかった

だが、あの人に会いたい。その気持ちだけは確かにそこにあった

やがてほむらは学校に到着し、屋上へと続く階段に足を踏み出す

一歩、また一歩と階段を上っていく

焦る気持ちを抑え一歩づつ、ゆっくりと

そうしてほむらは屋上へと続く扉へ辿り着いた

そしてドアノブに手を掛け、ほむらはゆっくりと扉を開けていった

開けていく扉の隙間から夕暮れの光が段々と入り込む

それがほむらの影を照らし出すほど大きくなると、ほむらはその光の中に足を踏み出した

「……」

踏み出した先、そこは眩しいほど夕暮れの光が降り注ぎ、あたりをまばゆく照らしていた

あまりの眩しさにほむらの目が眩惑される

ほむらはこれ以上光に目が中てられないようにと咄嗟に腕で瞳を庇い、光を遮った

そして光を遮り、見えてくる景色。そこの中心に一人の少女がいた

柵に片手を掛け、寂しげな背中を見せる、髪を柔らかく巻き、二つにまとめた一人の少女

その少女を見た瞬間、ほむらは喜びに笑みを漏らしていた

一歩づつほむらはその少女に近づいて行く

近づく度に思い出されていく、思い出。そしてその時感じた想い


「あなた、こんな時間に屋上で何してるの?」

「夕暮れと……見つめ合っていたのよ」

「……」

「そ、そんな目で見ないでよっ!い、いきなり声かけてきたと思ったら失礼なっ!」

「あ、あなた!名前はなんなのよっ!」

「暁美ほむら」


ああ――――

ほむらは心で嘆息する

大事な人が傍に居なくてはダメ。それは私も同じだったのだ、と

(でも――――――)

繰り返してしまうわけにはいかない



そしてほむらはその少女の近くまで辿り着くと、

心にためてきた一言だけその少女に声を掛け、その場から立ち去った


「ごめんなさい」


それだけを





終わり

はい、皆様お疲れさまでした。これでこのお話はおしまいです

一言だけ。廚二病過ぎ笑えない

今度はラブラブ書きたいのう

それではさいならー

ほむ

(´;ω;`)

乙乙乙乙

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