気づいたら目の前に死んだはずの親友がいた(11)

※若干の百合表現あります

「遅かったね。どこいってたの?」

帰宅したらすぐにソファーに倒れ込んだ。
今日も一日とても充実したものだった。
だからこそとても疲れていた。

父は仕事で帰ってくるのが遅い。
母はとうの昔に亡くなったので制服のまま寝っ転がっても咎める人は誰もいない。

今日の夕飯はコンビニの弁当を買ってきたし食べる前に少し寝ようかな。
そう思って目を閉じていたら突然腹部に重みを感じた。

なんだろうと思って目を開けてみるとそこには忘れたくもないし忘れる予定もない親友の顏。
私が呆気にとられていると彼女は満面の笑みで冒頭の言葉を言い放った。

磯野ー呼吸しようぜ…

「は?」

思わず低い声が出た。
私は驚くとつい高い声よりも低い、親友曰く誰かを殺せるくらい怖い声を出してしまう。
私の声を聞いた親友は
「その声やっぱり怖いよー」と言いながらケラケラ笑っている。

それを見て、あぁ、こいつは本当に私の親友だな、そう思った。
予想外すぎる展開に泣きそうになった。

「何で泣きそうな顔してんの?超うける」

そんな私の顔を見て親友が笑うものだから私は思わず近くにあったカバンを思いっきりぶん回してしまった。

「あ、愛が痛いよ」

見事にお腹に的中したらしく親友お腹をおさえながら丸まってしまった。

数秒後にまた元気に立ち上がった親友と少し話をした。
こういっては何だが私は夢の中で話している気分だった。
だって彼女がここにいるわけがないし。

もう死んでから数年経ってるのに今更こんな夢見るとか……
そんな気分のまま彼女の話を聞いてた。

「と、いうわけで体を貸して欲しいのです!」
「嫌だ」

元気に笑顔で言い切った彼女に私も笑顔で言い返した。
適当に相槌をうっていたら、到底了承の出来ないことを言われた。

「何がというわけ、なのさ」
「あれ?今までの私の話聞いてたよね?」
「ううん」
「聞いててよ!」

そういうと彼女はまた一から説明し始めた。
ああ、この感じ懐かしいな。
私がどんなに理不尽なことしたって受け入れてくれる。

一生懸命一から説明している彼女の話を今度はちゃんと聞いてあげた。
曰く、まだこの世に未練があって成仏出来ずにいる。
成仏はしたいけれどその為には自分の願いを叶えなければいけないようだ。
だから体を貸して欲しい。

基本話がすぐ脱線してしまう彼女の言葉をまとめるとこうだった。
実に簡単な内容なのにこれを伝える為に数十分かかっていた。
この数十分間一度も止まることなくひたすら口を動かし続けていたのだからすごい。
私には到底出来ない。

とまぁ、まとめるとこういうことらしく親友は私の返事をじーっと待っている。
とても断るとは考えてなさそうなアホっぽい笑顔を浮かべたまま。

そんな彼女に私は言い切った。

「絶対やだ」

えええええええええええ!!!
断られるとおもっていなかった

断られると思っていなかった彼女の不満そうな声が上がる。
というかどうして断られると思っていなかったのだろうか。

「大体なんに使われるかわからないのに自分の大事な体を貸すわけないでしょ」
「親友の私より自分の体が大事なの!」
「私にとっては親友よりも今日の夕飯の方が大事だよ」
「私ご飯以下!?」

悲しい!と泣き真似をしてる親友を置いて買ってたお弁当を電子レンジに入れる。
眠気も覚めたししんゆうのはなしも

断られると思っていなかった彼女の不満そうな声が上がる。
というかどうして断られると思っていなかったのだろうか。

「大体なんに使われるかわからないのに自分の大事な体を貸すわけないでしょ」
「親友の私より自分の体が大事なの!」
「私にとっては親友よりも今日の夕飯の方が大事だよ」
「私ご飯以下!?」

悲しい!と泣き真似をしてる親友を置いて買ってたお弁当を電子レンジに入れる。
眠気も覚めたし親友の話も飽きたし。
何だかんだで食欲は何よりも勝るのだ。
私はご飯を食べながら親友の話を聞くことにした。

「で、何のために体貸してーなんて言ってんの?」
「何だかんだで話しを聞いてくれるんだー!やっぱツンデレだね!」
「あ、包丁向こうに置いてた」
「待って!包丁持ってきてなにする気!?」

ごめんよーと泣きつく親友を一回蹴って私はお弁当の前に座った。
親友は蹴られた所をおさえながらヘラヘラしながら話してきた。

「私幽霊になっちゃったから怖がられるかと思った」
「アホ面の幽霊なんか誰も怖がんないよ」
「私アホ面じゃないもん」

弁当を少し食べる。
やっぱり弁当よりも自分で作った方が美味しいな。
明日は自分で作ろう。

そんな決心をしてる私の心うちに気づかず親友は話し続ける。

「いやね、多分私の未練って好きな人に告白できてないことだと思うんだよねー」

「え、好きな人いたの?」

「うん!親友にすら話してなかったけど実はいたのでしたー」

「へぇ、養豚場にいるの?」

「人間だから!」

へー、なんて流してるふりをしながら少し胸が締め付けられてる感覚がした。
彼女にも私に秘密にしてることがあったんだな。

何でも、別に聞きたくもないことまで話す彼女にひみつにされてることなんてないとおもっえた

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