まどか「あっ、マミさんがタバコ吸ってる・・・」(154)

 

マミ「鹿目さん……」

まどか「あ、あのあの」

まどか「……それってタバコだよね、マミさん」

マミ「……」

まどか「マ、マミさん」

マミは無言で財布を開き、お札を取り出した

マミ「鹿目さん……みんなには黙っててもらえない」

差し出される二千五十円!

まとか「う、受け取れません!そんなの…」

マミ「……少ない?」

まどか「違います!」

マミ「みんなには知られたくないの」

マミ「5050円、鹿目さんのお小遣いって2000円よね?
これで見なかった事にして欲しいの……」

まどか「…そういう事じゃ!」

マミはまどかにお金を無理やり渡し、そっと耳元で囁く

マミ「悪いもの見せっちゃったわ……お金あげるから黙ってて」

マミ「……酷い目には合いたくないよね?」

キンコンカンコーーーン!
マミ「ほら、授業始まるから戻りなさい」

まどか「……マミさんは?」

マミ「……私は保健室に行ってる事になってるから気にしないで」

まどか「ダメだよマミさん……教室に戻ろう?」

まどか「こんなの良くないよ……」

マミは吸い殻を携帯灰皿に捨て
ポケットから新しいタバコを取り出し火を点ける
まどかはその様子を悲しそうに見つめている。

プハー
マミ「悪い事よ……わかってやってるの」

マミ「遅刻しちゃうよ?ほら急いで戻りなさい」

まどか「……」

無言で抗議するまどか
その目から強い意思を感じとったマミ

マミ「……鹿目さん、あなたにここに居られると誰かが探し来てしまうわ」

マミ「教室に行ってもらえないかしら……」

キツ目の口調でまどかに語りかける。

マミ「鹿目さん、さっきのは脅しじゃないの」

マミ「いい子だから……」

まどか「……」

強い!強い!!強い意志!!!
どうするカ……マミ!

マミ「……」

まどか「マミさん、戻りましょう……」

マミ「(ハァハァ…どうしよう何処に出そう…!)」シコシコシコ

マミ「(駄目!…このまま出したら大変!)」シコシコシコ

マミ「(ハァ…ハァ…一回休憩…)」シコ……シコ…

マミ「(んっ…ハァハァ…!ハァハァ!!)」シコシコ…シコシコシコ!

マミ「(あっ止まらない…!このまま手の平に…ティロ・フィナーレ!)」シコシコ…ドピュッ!びゅるびゅるるる!

マミ「…グスン…洗濯しなきゃ…」

まどか「おかしいもん!マミさんはそんな人じゃない!」

まどか「マミさんはみんなを守る正義の味方だよ!
こんなのおかしい……」

声が震えだす

まどか「わたし、ヤだよ…」

純粋なまどかに良心が痛んだのか
マミはタバコを捨て立ち上がった

マミ「わかりました……戻るわ」

まどか「……マミさん」ゴシゴシ

マミ「はぁ」

とマミは振り向かずに歩いて行ってしまった。

まどか「ま、待って!わたしも戻ります」

乱暴に教室の扉を開けた、教師はすでに授業を始めていた

先生「巴さん?もう体調はいいの?」

マミ「……はい」

先生「それは良かった、今始まったばかりよ席について」

マミは席に向かう途中に女生徒にそっと手紙を渡す

女子A「約束のお金……」

女子Aは手紙を読み内容を反芻している

マミ(鹿目さんったら……困った子だわ)

放課後を告げるチャイムが鳴り響く

周りはぞろぞろと下校して行く


まどかはマミの事を考え、表情が安定しない

さやか「おーい、もう帰りだぞぉ?」ポンポン

まどか「え!?」

さやかは仁美と顔を見合わせる

さやか「変なまどか」

仁美「あら?教科書も出したままではありませんか」

さやか「何かあったの?」

ショートピースのマミさん

怖かった訳じゃない、みんなに誤解して欲しくなかっただけ…

まどか「ううん、何でもないよ、お腹が空いたなって……」

さやか「腹減ってただけかい!」

仁美「まぁ、うふふ」

さやか「なら何か食べてこっか」

仁美「あらいけませんわさやかさん」

さやか「なぁに~まどかが空いたと申しておるのだぞ!」

まどか「あはは、さやかちゃんたら」

空き教室

マミ「ありがとう、来月もよろしくね」

マミはクラスメートから3100円を受け取り
無造作にポケットにしまい込んだ

女子A「巴さん…もうやめちゃダメ?」

マミ「…どうしてかしら」

女子A「お小遣いが…その…私もいろいろと買いたい物とか」

マミ「私は構わないけど、いいの?」

マミ「また虐められちゃうよ?
私が友達って事になってるから大丈夫なのに」

女子A「でも、お友達できたから……もう大丈夫……」

マミ「そう……ならそうしましょうか」

女子A「ごめんなさい巴さん……」

マミ「気にしないで……対価はもらってたから
もう、一人じゃないんだ……良かったね」

女子A「……巴さんさえ良かったら、普通のお友達で」

マミ「ふふ、疲れるから遠慮するわ」

マミ「お金、ありがとう。じゃあね」

ガラガラ、ピシャ

校舎裏に向かう

「でよ?あいつが殴ってきたわけよ」
「やっちまたのか?あいつうぜぇもんな」

複数の男子の声、マミは反転し帰路につく

マミ(今度から場所変えよう)

マミ(鹿目さんなら言わないとは思うけど
はぁ…今日はついてないな)

財布の中身を確認し、俯いたままとぼとぼと歩き出した。

まどかはいつも明るく微笑んでいたマミと
今日、学校で見た顔の落差に思考を巡らせていた。

さやかの笑い話もまるで聞こえていない
さやか「お~い!お~い!!聞こえてますか?」

まどか「……」

さやか「なんだこりゃ」

さやか「壁に話してるんじゃないんだぞ」

軽く頬を叩く

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「何を考えてたの?こちとら独り言に夢中って事になってたぞ」

まどか「ううん何でもない……」

さやか「やれやれ」

まどか「タバコって美味しいのかな……?」

さやか「どうしたの?」

まどか「美味しいから吸うのかな?……お、大人の人って」

さやか「ん~どうなんだろうね
まどかは興味あんの?」

さやか「でも好奇心で吸おうとしたら許さんぞ
あたしの嫁には必要ないのだ~」

まどか「もぉさやかちゃんは……」

まどか「もし、もしだよ?隠れてわたしがタバコを吸ってたらどうする……?」

さやか「……まあ、そうだな」

さやか「止めろって言うかな。不良みたいに思われちゃうし体にだって良くないしさ」

まどか「うん」

さやか「何?お父さん吸うようになったの?」

まどか「え!?…うん、そうなの!だからね?
あんまり吸って欲しくないなって……」

さやか「堪らん!なんていい子なのかしら」ナデナデ

無邪気なさやかにまどかの心の重荷が軽くなる。


……片方は一層重くなっていく。

まどか「ガラムうめぇー」スパー

ほむら「ま、まどか……?」

パトロールの時に偶然手に入れたtaspoを慣れた手付きで操作する。

マミ「今度はどれにしようかな」

マミ「七個ぐらいかな……高いわ」

購入したタバコを学生鞄にしまおうと
腰を下ろし手を伸ばした拍子に傾いた鞄からノートが落ちてしまった

マミ「……いけない」

マミはお節介さんが嬉しそうに書いてくれた自分の似顔絵を見て心が痛む。

マミ「鹿目さんには見つかりたくなかったな……」

マミは近くにあったゴミ箱にノートのページを破り放り込む。

マミ「ふふ、これはもう見たくないかな」

マミ「……一服吸ってこう」

人気のない所を見つけると
マミは一連の動作を済ませる。

プハー
マミ「美味しいな……」

QB「良くもまあ毎日飽きないものだね」

マミ「一つどう?」

QB「いいよ、全然良さがわからないから」

QB「近くに結界だよマミ」

マミ「ふぅ」プハー

QB「マミ?」

曇り空が一層どんより感じる。

マミ「さ、行きましょうキュゥべえ」

表の仮面付け走り出す

マミ「こんなのでしか解放されないのは寂しいわ」

呟きは風に消える。

まどかは家に付くと着替えもせずに鞄を置き走り出す。

まどか「ちょっと出掛けて来るね!」

知久「いってらっしゃい」

手には始めての体験コースで見せたノートを持って。

まどか(お金も返さないと)

まどかには根拠はない
ただ笑ってた……

それしか考えていなかった。

当然家には誰もいない。
応答があるはずもなく、息を切らしながらその場に居るしかなかった。

まどか「まだ帰ってないんだ……」

まどかはノートを読み返しながら笑顔がこぼれる

まどか「えへへ、今見ると変かも」

まどか「……書くもの持ってくれば良かったな~」

日が暮れだし辺たりに灯りが点き始める。

まどか「……」

マミは帰って来ない、まどかはマミの家の前から辺りを眺めている。

まどか「高い所から見る景色って綺麗だな……」

自分の知っている場所を指差し名前を思い出す
ちょっとしたクイズ

暇を持て余す。



結局まどかはマミに会うことなく家路につく。

マミ(イライラする……)

QB「まさかこんなに掛かってしまうなんてね」

マミ「ええ、狙いが安定しなかったわ
もぉ、ダメだなぁ私……」

顔には出ないが、恐怖に似たものを感じていた。

マミ(魔女が怖かった訳じゃない…)

戦いの最中にふとまどかが周りに言いふらしている想像をしてしまい手が震えている。

マミ「怖い…恐い…」

心を落ち着ける為にタバコに火を点ける

QB「やれやれ、僕は退散させてもらうよ」

空になった箱をしまい
新しいタバコを取り出す

マミ「静かね……」

キュゥべえが居なくなり沈黙が訪れる。

マミ「……Aさんが羨ましい」

歪んだ絆、そんなものでも少しだけ楽しかったのか
マミは少ない思い出を味わう

ハー
マミ「でも、友達になんてなれないんだ」

マミ「私、こんなだから……
あんまり近くに居て欲しくない」


苦い味も彼女にはとても甘い

ガチャ
朝のままの部屋
洗い物も服も飲みかけの紅茶も変わらない

マミ「早く横になりたいのに……面倒ね」

溜めると後が大変
経験からテキパキと済ませていく

シャワーだけにし、早めに床につく。

いつもなら疲れているからすぐに眠れる
今日は早く布団にくるまりたかっただけ……

マミ「……明日なんかこないといいのに」

無用な心配に心が揺れ、明日を拒む。

まどかは朝一番にマミのマンションに向かう

呼び鈴を押すと暫くして制服姿のマミが出てきた。

マミ「……鹿目さん、どうして家に?」

まどか「あの…」

マミ「……ちょっと待っててもらえる?すぐに準備してくるから」

まどかは後ろでにノートを握りしめ、いつ見せようかと考えいる。

マミの表情は柔らかく明るく見える

昨日の話題は出さない様に注意し
マミの機嫌を良くしようと話す。

まどか「さやかちゃんたらね、マミさん」

まどかは気付いていないが
さやかさやかと話題は一様だった

マミ「うふふふ」

マミ(もしかしたら美樹さんに言ってしまったの……?鹿目さん)


さやか「おはよう、マミさんが一緒とは珍しいね」

マミ「おはよう美樹さん」

さやか「おはようございます!」

さやか「昨日早速言ったの?禁煙の事」

まどかとマミの表情が強張る
がマミはすぐに取り繕う

マミ「……何の話しなのそれ?」

まどか「パパにはまだ言ってないよ!!」

遮る様に大きな声で答える

さやか「…びっくりした」

マミはまどかに視線を向ける
まどかは合った目をすぐに逸らしさやかに話し掛ける。

まどか「さやかちゃんその話しは止めよう」

さやか「どうせならマミさんにも相談したら?
ねぇ、マミさん的には禁煙を勧めますか?」

マミ「そうね……」

マミ「止めるべきだと思うわ、個人的にはね」

まどか「じゃあ!」

目で口を閉じさせる。

まどか「……」

マミ「最終的には本人が決める事だからね
でも、鹿目さんには小さい弟さんがいたわねよね」

マミ「止めてくれるんならそうしてもらった方がいいんじゃないかしら」

さやか「マミさんの加勢がついたよまどか!」

まどか「あはは……うん」

マミ「……無理に止めるのはお勧めしないわ」

マミは知久の事ではなくまどかに話し掛ける様に口を開く

マミ「本人の意思も尊重してもらいたいし
あんまり詮索して欲しくないものだから」

マミ「吸いたいって言ったら黙認して欲しい……」

まどか「……」

ただ茫然とマミを見ている

マミ「私は…ね」ニコ

マミ「心配してくれるのはいい事だよ」

マミ「でもね?広げないでね…」

まどか「…」

さやか「?」

マミは語るのを止めさやかの話に笑顔で答える。
まどかは黙ったままさやかの後ろに付いて行く。

無理寝る

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