ちなつ「京子先輩は私とあかりちゃんの片方しか助けられないなら」(116)

ちなつ「どちらを助けるんですか!?」

京子「それはもちろん、ちなつちゃんだ」

あかり「ええっ、即答!?」

京子「残念だったな、あかり。ちなつちゃんのために犠牲になってくれ」

あかり「ふぇええん、ひどいよぉ!」

―――

結衣「京子」

京子「なに?」

結衣「さっきの答え―――本当にちなつちゃんを助けるのか?」

京子「違うよ、あかりに決まってるだろ」

結衣「だよな」

京子「結衣とあかりなら迷うかもしれないけどな」

結衣「……馬鹿」

京子「結衣とあかりは親友だ。どちらかが欠けるなんて考えられない」

結衣「ちなつちゃんは?」

京子「かわいいよね。あと、ミラクるんに似てる」

結衣「それだけ?」

京子「それだけ」

結衣「京子がそんな薄情なやつだとは思わなかったよ。友達に優劣をつけるなんて最低だ」

京子「え、結衣ぃ……?」キョトン

結衣「……冗談だよ、落ち込んだ顔を見たかったんだ」

京子「うう……馬鹿ぁ……!」

結衣「ごめんごめん、ラムレーズン買ってあげるから泣きやんで」

まぁ短期間で並ぶような友情じゃ逆に薄情だよな

京子「ラムレーズン、ふたつ」

結衣「わかったよ、さっきのは私が悪かったしな」

京子「わーい、結衣様大好き」

結衣「こらっ、抱きつくなって!」

京子「このままスーパーへゴー!」

結衣「まったく、しょうがないな……ん?」

京子「どうしたの?」

結衣「あそこにいるの、あかりとちなつちゃんじゃないか?」

京子「本当だ、男の人もふたりいる……」

―――

男1「ねえ、君たち中学生?」

男2「服とか欲しくない?お兄さんが買ってあげるよ」

あかり「け、結構です」

ちなつ「そうです、それに私たち急ぐんです!」

男1「じゃあ家まで送ってあげるよ。こんな方まで来るってことは、家遠いんでしょ?」

あかり「い、いいえ。すぐそこですから、歩いていけます」

男2「だったら、ちょっとくらい寄り道してもいいじゃん」

京子「なあ、あれってやばくないか?」

結衣「ああ、警察に通報したほうが……」

京子「でも、私携帯持ってないし、この辺には公衆電話もないし……」

結衣「一旦学校へ戻って、先生に……」

京子「それじゃ間に合わない!」ダッ

結衣「おい、京子!無茶するな!」

京子「―――おい、うちの部員に何してる!?」

あかり「京子ちゃん!?」

ちなつ「京子先輩!?」

男1「あぁ?なんだこいつ」

中1ナンパとかすげぇな

>>27
ババ専とか引くよね

京子「嫌がってるじゃないか!帰してやりなよ!」

男1(ちっ………女相手とは言え、3人は面倒くせえな)

男2(どうする?)

男1(大声出されると厄介だ、アレ出せ)

男2(アレはまずくないか?)

男1(べつに本当に刺すワケじゃねえからかまわねえよ)

京子「何ひそひそ話してんだ!早くふたりを……」

男1「うるせえ!大声出すんじゃねえ!こいつらがどうなってもいいのか?」

あかり「ふぇぇっ、ナイフ!?」

ちなつ「やだ、まだ死にたくないぃ」

京子「お前ら、卑怯だぞ!!」

男1「お前さっき、うちの部員っつってたな?じゃあ、部長さんに免じて片方だけ助けてやるよ」

ちなつ「!」

京子「ふざけるな!じゃあ、私が人質になるから、その二人を解放しろ!」

あかり「京子ちゃん……」

男1「それは駄目だ。お前ら立場わかってんのか?一人見逃してやるってだけでも、十分情け深いだろ」

ちなつ(あれ?これ私助かるんじゃね?)

あかり「京子ちゃん!私はいいからちな……むぐっ!?」

男2「ちょっとお前うるさい」

男1「……さあ、どっちか選びな」

京子「どっちか……」

ちなつ(京子先輩……私、京子先輩のこと誤解してた、大好きです京子せんぱ……)

京子「あかりを解放してくれ」

ちなつ「やだ、京子先輩ったら!私よりもあか……えっ?」

あかり「いつから私がそこにいると思っていた?」
不良「なん……だと?」

男2「どっちがあかりだ?」

京子「そっちのお団……」

ちなつ「はい!はい!私があかり、赤座あかりです!!」

男1「おい、こっちでいいのか?」

京子「いや……」

ちなつ「そうです!私があかりです!その証拠に、私のほうが髪の色が明るいでしょ!?」

男1「まあ、いいや。そっちのピンクを解放してやれ(うるさいし……)」

京子「えっ……」

ちなつ「ふぇぇっ、京子せんぱぁい、あかり怖かったよぉ……」ダッ

ちなつ「じゃあ、お兄さんたちと仲良くしてね、ちなつちゃん!」ニコ

京子「……」

あかり「……うん、助かってよかったね、あかりちゃん」ニコ

ブロロロロ

京子「あかりィィィィィィィィィィ!!?」

ちなつ「ふぅ、助かった。京子先輩ありがとうございました。じゃあ私、これで帰りますね!」

京子「あ、ああ……」ボーゼン

ウーン ウーン

そこの車、止まりなさい!

京子「……警察?」

結衣「なんとか間に合ったみたいだな」

京子「結衣!」


結局、私が時間を稼いでいる間に、結衣が警察に通報してくれたおかげで、あかりは無事に救出された。
ふたりの男は一連の行為の常習犯だったらしく、結衣が位置を伝えただけで、警察はすみやかに犯人の車を特定し、男たちは逮捕された。
―――その翌日から、裏切り者の腹黒ピンクが、ごらく部から永久追放になったのは、言うまでもない。


おわり

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