兄「こんな金髪ロリ可愛い妹がいたなんて」(907)

兄「妹?」

母「あんたとは異父兄妹になるかな、別れてから不幸があって、こっちが引き取ることになったのよ」

兄「へぇ、カーチャンも大変だな、がんばれよ」

母「あんたが育てるのよ」

兄「へ?」

母「だってほら、こんなクソ田舎で実家一人暮らししてるんだし、妹の1人もいたほうが寂しくなくていいでしょ」

兄「いや、その理屈はおかしい、カーチャンの子だろ」

母「あたしは自由に生きるの、妹ー、入ってらっしゃーい」

ガラッ

妹「……こんばんは」

兄「金髪?」

母「うん、今回の旦那はドイツ人だったから」

兄(やべぇフェイトちゃんじゃんいもペロ)

兄(ほんとに行っちまいやがった)

兄「……」

妹「……」モジ

兄(やべーうつむいてるよ、どうすんだこれ)

妹「……」

兄(麦茶でもてなすか……いや、明らか都会の子なのに麦茶とか飲むのか)

妹「……」

兄「はぁ」

妹「……」チラ

兄「腹割って話そうか」

妹「……腹?」

兄「思ってる事、言い合うっていうか、自己紹介から、しよう」

妹「……分かった」

―――トクトクトク


兄「麦茶、飲むか?」

妹「うん」

トン

兄「ど、どうぞ」

妹「……ごく」

兄「ふぅ……よし、俺はここで農家やってる、ハタチ、お前の兄貴にあたるらしい」

妹「農家?」

兄「うん、えっと、このキュウリとか俺が作ったんだ」

妹「……キュウリ作ってるんだ」

兄「まぁ他にもトマトとかスイカとかいろいろな」

妹「うん」

兄(不安そうだな、まぁこんなド田舎にいきなり連れてこられて知らん男と2人暮らしとか)

兄「……俺ならグレるな」

妹「なに?」

兄「で、この家でばーちゃんと2人で暮らしてたんだけど、死んじゃったから2人暮らし」

妹「……」

兄「まぁ、その、大体こんなもんかな……」

妹「10」

兄「ん?」

妹「10歳、東京から」

兄「お、おぉそうか」

妹「名前は妹」

兄「安易な名前だよな、俺も兄だし」

妹「兄」

兄「うん、お兄ちゃんでいいんだよ」

妹「……兄」

兄(10歳に呼び捨てにされる兄貴……)

兄「こんなもんか、なんか質問とかある?」

妹「……」

兄「な、ないならそれで」

妹「私は」

兄「うん」

妹「……こ、ここにいてもいい?」

兄「お、おおもちろんだぜ」

兄(あー、カーチャンとの会話聞いてたのかな)

妹「……ひっく」

兄「え?なんで泣いてんだ」

妹「お、お部屋ある?」

兄「おお!どこがいいかな!えーっと!」

妹「……」

妹(慌ててる……)

兄「よし、布団敷いたぜ、ここが妹の部屋だ」

妹「……」キョロキョロ

兄「蚊帳つっとくか、えっと押入れにしまったんだけど」

妹(畳だ)

兄「よいよいっと、これでいいぜ、お姫様の天蓋付きベットだ!」

妹「……」

兄「風呂は1階な、あと、冷蔵庫に入ってるもんはなんでも食っていい」

妹「……分かった」

兄「っと、あ、そうだビールはダメだぜ、未成年だからなははは!」

妹「お酒まずい」

兄「お?飲んだことあるのか?カーチャンに飲まされた?」

妹「……」フルフル

兄「親父さん?」

妹「……うん」

兄(娘と晩酌したいタイプだったのかな……嫌なもん飲ませるこたないとは思うけど、ううん)

―――居間


プシュッ

兄「んぐんぐんぐ……プハッ」

兄「あー、えらいことなったな……」

兄(明日からどうすっかな)

兄(荷物昼に届くって言ってたから、昼まで畑して、戻って)

兄(学校には明日から登校だから……)

ガタッ

兄「ん?」

兄(おほ、バスタオル1枚)

妹「……しゃ、シャワー熱湯だった」

兄「ああ、ごめん!湯と水で調整するんだ、あー、教えとくべきだったな」

妹「……」

兄「行くよ、実際に見せるから」

兄「こうやってな、湯と水両方ひねって」

キュッ ザァァァ

妹「……」

兄「で、丁度いい熱さにするわけさ」

妹「……わかった」

兄「ごめんな、火傷とかしてない?」

妹「大丈夫、ありがと、兄」

兄「へへ、いいってことよ、兄ちゃんだからなんでも頼っていいんだぞ」

妹「……」

兄「ん?」

妹「……お風呂入るから」

兄「はい、出ていきます」

兄「ふぅ、ラッキーなハプニングだった」

兄「ぐびぐびぐび……ああ、うめぇ」

兄(……腕になんか打ちつけたみたいなアザがあったな)

兄「ぐび、ああ、怖い想像を酒で追いやる」

兄「んー、ツインテールにしてくんないかな、うん」




ガラ

兄「あ、スイカ食うか?」

妹「……うん」

兄「へへ、兄ちゃんスイカ切るのうまいぜ」

ザクザク

兄「ほれ、とんがっててスイカバーみたいだろ」

妹「はむ」

兄「どうだ?」

妹「……甘い」

―――兄の寝室

スゥゥ

妹「……」

兄「ぐおお……すぴ」

妹(8時なのに、もう寝てる)

兄「むにゃ……フェイトちゃん」

妹(フェイト?)

妹「……」ジッ

妹(ばかみたいにのんびりした顔してる……)

妹「テレビ、見ていい?」

兄「むにゃむにゃ」

妹「……おやすみなさい」

スゥゥ バタン

―――翌朝4時


兄「ふぁ……ああ、いい朝だ」



キッチン


兄「んー、昼飯は帰ってから作ればいいか」

兄「飯炊いてあるし、お茶もある、梅干しもある」

兄「……パンとかのがいいのかねぇ」

兄「ま、いいか」

兄「えっと、畑仕事に行ってきます、朝ご飯は炊飯器の中です、お昼には帰ります、っと」サラサラ

兄「これでいいか、ああ、なんか家の中に人いるのって久しぶりだ」

兄「……」

兄(悪くないな、この感覚)

ズボッ ドサッ


兄「ふぃ、熱い」

兄「今年は結構いいな」

兄「この大根で味噌汁でも作ってやるかな……」

兄「んしょ」ズボッ



ドカッ

兄「うし、満タンなった、帰るか」

バタンッ ブロロロッ

兄「軽トラは最強」

兄「あ、そうだ、電話しとくか」

兄「あ、もしもし、うん、俺、ちょっと相談したい事あって昼から――」



ガラッ

兄「ただいまー」

トントントン

妹「……おかえり」

兄「よぉ、朝飯食ったか?」

妹「うん」

兄「今昼飯作るわ」

妹「……手伝う?」

兄「お?できるのか?」

妹「うん」

兄「すげーな、俺が10の時なんかなんもできなかったぞ」

妹「……ん、早く」グイ

兄「お、おお」

兄「ほれ、大根、味噌汁にするけど切れる?」

妹「貸して」

兄「うん」

妹「んっ……」ググ

兄「あー、あぶなっかしいな、へへ、俺が切り分ける」

妹「……」スッ

兄「やっぱまだ身長もたりてねーしなぁ、うん」

ザク ザク

兄「ほい、ピーラー」

妹「いい、大根かして」

シュルシュル

兄「おぉ……あざやかなもんだ、皮むけるのか」

妹「うん」

―――居間



兄「いただきます!」パン

妹「いただきます」

兄「茄子と豚肉の煮付け、大根の味噌汁、飯、ほうれん草のお浸し、うーん、結構豪勢になった」

妹「……」

兄「ん?どうした?食わないのか?」

妹「人は見かけによらない」

兄「10歳にしちゃ難しい言葉知ってんなぁ、ははは!」

妹「料理ができるなんて思ってなかった」

兄「お、おぉ」

兄(この子から見て、所帯染みてないように見えてると喜ぶべきか……ううむ)

妹「ぱく……美味しい」

兄「はは、まぁ新鮮だしな」

カチャカチャ


兄「んでよ、えっと、昼から2人で行きたい場所あるんだけどいいか?」

妹「どこ?」

兄「神社」

妹「……」

兄「知り合いがいるんだ、妹も明日から学校だし、ちっと相談をな」

妹「もぐ……」

兄「もぐもぐ」

妹「ごくん……分かった」

兄「よし、あ、麦茶なくなってんぞ、ほら」

妹「ん」

トクトク

玄関


兄「出かけるぞー、日差し強いからなー、なんか帽子あるか?」

妹「ない」

兄「そうか、んじゃ兄ちゃんの帽子かぶっとくか、ほい」

妹「うん、麦わら帽子」

兄「そうだぜ、夏の風物詩」

妹「うん」ポス

兄「おぉ、似合う似合う」

ガラッ

兄「近所だから自転車で行こう」

妹「え?」

兄「あ、まさか」

妹「……乗れない」

兄「……」

ミーンミンミン ギーコギコ


兄(まぁ、軽いからね、いいさ)

兄「妹のためにひーとこぎ」ギッ

妹「なにそれ」

兄「兄の歌だぜ」

妹「……」

兄「えーんやこら」ギッ



―――10分後


兄「到着、この階段の先だ」

妹「こ、これ登るの?」

兄「うん、100段」

妹「うぅ」

階段 中腹


妹「はぁ……はぁ」

兄「おい、いくらなんでも体力なさすぎじゃね?」

妹「も、もうだめ、兄、先いっていい」

兄「そうは言ってもな、お前がいてくれないと……よし、ほら」スッ

妹「?」

兄「おんぶ、妹なんか軽いしなんてこたない」

妹「……」

兄「あー、兄ちゃんの背中は嫌?」

妹「……そんなことは、ない」

ドサ ギュッ

兄「うし、行くか」

妹「……」

頂上 神社


ザッザッ


巫女「はーあ、今日も参拝の人ぜーんぜんこないわ」

巫女「あっついわねぇ……あれ」

巫女「おーい、兄」

兄「おお、おっす巫女」

巫女「ひひ、あんたコブ付きになったんだ」

妹「……」

兄「まーな、可愛いだろ?」

巫女「うん、やばいね、あんたと兄妹なんて信じられないよ」

巫女(うーん、兄の背中に隠れてめっちゃやぶにらみで観察されてる……)

兄「妹さんいるか?」

巫女「うん、社務所いる、行こっか」

巫女(小動物的な警戒って感じ?うーん、同じ10歳でも色々あんのね)

ザクザク


巫女「へぇー、異父兄妹?」

兄「ああ、これでバツ3だよ」

妹「……」

巫女「おばさんすごいわねぇ、なんていうか圧倒されちゃう」

兄「憧れるか?」

巫女「うーん……あ、あんまり?」

兄「そか」

妹(どういう関係なんだろう……)ギュッ

巫女「はーい、つきましたっと」

ガラッ

巫女「おーい、友妹いる?」

「はーい!なになに?お姉ちゃん!」

友妹「あ、お兄ちゃんじゃん!おーっす!」

兄「おーっす、相変わらず無駄に元気だな」クシャクシャ

友妹「へへ、まーねー!」

妹「……」グイッ

兄「ん?」

妹「お、降ろして……」

兄「あ、ああそうだった!よっと」

妹「んっ……」スト

巫女(あ、パンツ見えた白)

友妹「こんにちは!友妹です!」

妹「あ、あの、兄、この子?」

兄「うん、妹と同じ学年なんだ、明日から学校行く前に友達作っといたらいいかと思って」

友妹「ねね、お名前は!?」

妹「い、妹」

兄(適役だろうしな、うん)

友妹「すごーい、髪が金色でキラキラしてる!」

妹「う、うん」

友妹「さわってもいい??」

妹「……いいよ」

巫女「こーら、あんまり困らせるんじゃないわよ」

友妹「へへ」

兄(こっちは大丈夫そうだな)



兄「そうだ、これ」

巫女「あ、トマト?わーありがと!みんなきゅうりばっかりくれるのよね、有難いんだけど」

兄「作りやすいしなぁ」

巫女「そうなんだ、あんたもお百姓さんになってきたねぇ」

兄「うん、ばーちゃんに仕込まれたしな」

巫女「……お婆さん、残念だったね」

兄「歳だよ、病気のせいだけじゃないさ」

友妹「バイバーイ!また明日学校でね!」ブンブン

巫女「またいつでも遊びにおいでよー」

兄「おう、明日から頼むぜー」

妹「バイバイ」

ザクザク

兄「さてと、降りようか」

妹「……兄」

兄「うん?」

妹「あの子毎日ここ登り降りしてるの?」

兄「おう、あっこに住んでるしな」

妹「神社の中に?」

兄「ちっと離れたとこに住むとこあんだよ」

妹「そうなんだ……はぁ、友達になっても遊びにくるの大変」

兄「はは、体力つけりゃ毎日でも遊びにこれるさ、ああ、自転車も覚えないとな」

妹「うん」

ギーコギコ


兄(友達できたせいか、ちょっとは饒舌になってくれたかな)

妹「……」ギュ

兄「ん?」

妹「風が強いから」

兄「そっか」

兄(そういや女の子と二人乗りするの始めてだな)

妹「背中、汗でべっとり」

兄「暑いからな」

妹「喉乾いた」

兄「おお、店よってくか」

妹「店?」

ミーンミンミンミン


兄「おーっす、婆ちゃん」

婆「あら、兄ちゃんかい」

兄「うん、今日は妹連れてきた」

妹「ん……」

婆「あら、外人さんみたいだねぇ」

兄「ハーフだぜ、ハーフ、かっこいいだろ?」

妹(かっこいい?)

婆「そうだねぇ」

兄「えっと、チョコバーとラムネ2つでいいか、妹、なんか欲しいのあるか?」

妹「……選んでいいの?」

兄「おう、晩飯入るようにくいすぎんなよ」

妹「う、うん……それじゃ――」

―――店前のベンチ


兄「もぐもぐ……うん、やっぱりアイスはチョコだな」

妹「もぐ……もぐもぐ」

兄「ラムネ、知ってるか?開け方あるんだぜ?」

妹「?」

兄「よし、やってみるか」

妹「うん」

兄「まず頭のとこのビニルをこうやって外す」ビリッ

妹「……」ビリッ

兄「で、中のこいつでビー玉を中に押しこむわけさ、いよっと」ボン

妹「ん……」ギュッ

兄「そうそう、あ、もうちょい力いれないと」

妹「あっ」シュワシュワシュワ

兄「がはは!あー、妹は力ねーなぁ、ずいぶんこぼれちゃったぜ」

妹「うぅ……」

兄「ほら、タオル、手拭いて」

妹「……うん」ゴシゴシ

兄「兄ちゃんのとかえてやるよ、実はあんまり喉かわいてないんだ」

妹「え……」

兄「妹があけたラムネはプレミア価値があるしな、へへ、ぐびぐび」

妹「……」

兄「どうした?飲まないのか?」

妹「ううん、ごく」

カラン

兄「……ビー玉はめ込んで飲めなくなるの期待したんだが、ううん、上品すぎる」

妹「?」

ダメだ寝よ、頭が働かない

エース「俺の部下である黒ひげが仲間を殺したんだァ!
     隊長の俺が責任を持ってぶっ殺す!」
周り「やめろ!」「黒ひげは追わなくていい!」「早まるな!」
エース「黙れ黙れ、俺が責任を取って黒ひげを倒すんだー!」

エース「ゆくぞ!黒ひげー!」
黒ひげ「ヤミヤミフルパワー全快!!」
エース「ぐぎゃー、やられたー!」

白ひげ「エースを助けにいくぞー!」周り「おー!」
周り「うぎゃー」「痛ぇ!」「死ぬー!」「いやだ、しにたくな…」
ドッカンバッキン
エース「皆……すまん!!今になって命が惜しい」

ルフィ「やった!!ついにエースを助け出したぞ!!」
周り「ばんざーい!ばんざーい!」
赤犬「お前の父ちゃんバーカ」
エース「んだとコラァ、もっぺん言ってみろ焼き殺すぞ!!」
赤犬「はいはい、メガトンパンチ!」
エース「ぐぎゃああああああああ!!悔いはない!!」

ポートガス・D・エース死す

すいません、起きました、おはようございます

―――家



兄「ふぅ、暑かった」

妹「……部屋で休む」

兄「おう、おやすみ、飯になったら起こすわ」

妹「……」

兄「ん?」

妹「気、使ってくれて……ありがと」

兄「おう」

妹「……おやすみ」

バタン

兄(お兄ちゃんらしいことできてるかな……)

兄(それにしても、都会っこだからか体力ねぇな)

兄(子供ってのは無尽蔵の体力で走りまわるイメージだったけど……)

妹の部屋


妹「はぁ、疲れた……お、お布団」

ボフッ

妹(柔らかい……)

妹(こんなに歩いたの久しぶり、だから、体が泥みたいに重い……)

妹「すぅ……すぅ……」



キッチン

ガチャッ

兄「豚肉がまだある」

兄「スタミナ料理にするか」

兄「子供ならきっと肉好きだろうし、ここは豚のしょうが焼き」

兄「うん、キャベツの千切りとトマト、あとやっぱり味噌汁」

兄「ああ、腹へってきた」

兄「よし完成した、うん」

兄「レパートリー増やさないとな……一人の時は割りとどうでも良かったけど」

兄「……」


妹の部屋

ガチャッ

兄「おーい、飯でき……」

妹「え?」

兄「えっ?」

兄(パンツ一丁じゃねえか!)

妹「あ……あ、あ!」

兄「す、すみません!」

妹「で、出て行けー!変態!」

兄「はい」

バタン

妹(はぁ……裸見られた)ガク

バタン

兄「はぁ」

兄(汗かいたから着替えてたのか)

兄「なんてこった……せっかく打ち解けてきたのに」

兄(ラッキースケベで帳消しとは……)

兄「はぁ、ノックすりゃ良かった」


―――居間



兄「い、いただきます!」パン

妹「……」ジト

兄「あ、あれは事故なんだからね!小学生の裸とか別に……」

妹「ばか」

兄「はい」

妹「……いただきます」

妹「もぐもぐ……」

兄「おかわりもあるからな、もぐもぐ」

妹「うん」

兄(食うことは食うんだよな)

妹「お味噌汁まだある?」

兄「おう、入れてくるよ」

妹「いい、自分でするから」

兄「そっか」

トコトコトコ ジャバ

妹「……兄はお味噌汁上手」

兄「味噌も自家製なんだ、香りがいいだろ?」

妹「うん……お味噌って作れるんだ」

兄「ああ、今度見せてやろうな」

妹「うん」

ジャー カチャカチャ


兄「ごしごしっと、はい」

妹「うん」フキフキ

兄(洗い物まで手伝ってくれるとは……俺が子供の時はシンクに持って行きすらしなかったなぁ)

妹「兄」

兄「ん?」

妹「美味しかった」

兄「おうよ、こんな適当な料理でよかったらいくらでも作ってやるからな」

妹「……ありがと」

兄「へへ、妹痩せてるからもうちょい飯食わないとな」

妹「……」

兄(あれ、うつむいちまった……ああ、会話って難しいな)

父「おら、妹!!!飲め!!!」

妹「……嫌」

父「俺のいうことが聞けねぇってのか!!悪い子だな!!」

妹「やだ……縛らないで…痛い!」

父「くそ!暴れんな、よし…しばらくこれで反省してろ!!」
父「ついでにこれもつけておくかw」

妹「え!?やだやだ!変態親父!やめて!!」

父「うるせぇな…猿轡もしとくか、じゃあ俺はしばらく帰らないからな、それまでおとなしく反省してんだぞ」

妹「むー!!むー、むー!!」ブブブブブ

兄「はい、これで最後だぜ」

妹「ん、終わった」トン

兄「お茶でもするか、緑茶飲める?」

妹「うん」


コポコポコポコポ


兄「ほい」トン

妹「ん……ふーふー」

兄「ずず……」

妹「ずず……」

兄「えっと、明日朝8時前に友妹ちゃんが迎えに来るから」

妹「うん」

兄「で、えっとあと、教科書なんかは2・3日で届くって」

妹「……わかった」

翌朝4時


ギュッ ギュ

兄「おにぎりでいいよな」

兄「ええっと、朝ごはんは冷蔵庫の中、お昼は給食が出ますっと」サラサラ

兄(うーん、なんか書き足すものあるかな……)

兄「学校頑張れよっと、うん、兄貴らしい」カキカキ

兄「うっし、行ってきます」

ガラガラ ピシャ

兄「う、今朝はちっと涼しいな」

バタン

兄「妹がいると思えば仕事にも身が入るってもんだな」

キュル ブロロン

―――7:30


妹「くぴ……すぅ」

ピピピピピ

妹「んんー……」

ピピ パン

妹「……ぐぅ」


―――7:40


ガラガラッ


友妹「妹ちゃーん!学校いこー!」

友妹「へんじがない……ただのしかばねのようだ」

友妹「あれ?いないのかな」

友妹「うーん、お邪魔します!」

ドタドタ

妹友「いるならどこの部屋かな……空いてるのって2階くらいかな」

妹友「へへ、この家は全部知ってるもんね」

スゥ

妹友「……いない、こっちかな?」バタン

ガチャ

妹友「いない……」

ガチャ

妹友「いた!」

妹「すぅすぅ……」

妹友「うわー、寝てる!」

妹友「はぁー、綺麗だなぁ、ふわふわの髪でお人形さんみたい……」

妹「むにゃ…・・」ゴロ

妹友「お邪魔します!」

ゴソゴソッ

妹「ん……」

妹「!?」

妹友「えへへ、あったかーい、いい匂いがする、ぎゅー」

妹(目が覚めたら、昨日の子が張り付いていた……)

妹「……あの」

妹友「はぁ、ちょっと寝ちゃお、超ここちよい」

妹「……」

妹友「くぅ……」

妹「こら」ポカッ

妹友「あいたっ!」

妹「なんでここにいるの」

妹友「え?迎えに来たんだよ?」

―――台所


妹「びっくりした」

妹友「えへへ、ごめんね?」

カパ

妹「いい、けど……あ、朝食おにぎりだ」

妹友「おー!お兄ちゃんが作ったの?」

妹「うん……なんで兄の事お兄ちゃんって呼んでるの」

妹友「うーん……なんでだろ」

妹「なにそれ……」

妹「もぐ……」チラ

妹友「じー……ごく」

妹「い、一個食べる?」

妹友「い、いいの?妹ちゃんのご飯だし……」

妹「いいよ、そんなに朝食べないし、兄のおにぎり大きいし……」

妹友「えへへ、いただきます!ぱく!おかかだ!」

妹「私梅干し……」

妹友「交換する?」

妹「……うん、はい」

妹友「はい、ぱくっ、うーん、この梅干しはお兄ちゃん自家製だね!美味しい!」

妹「梅干しも作ってるんだ……でもすごく酸っぱい」

妹友「これが元気のモトだよ!はい、あーん」

妹「え?」

妹友「あーん!」

妹「……あ、あーん」

その頃の兄

ブチ

兄「やべー、草生えるの早すぎだろ」

ブチ

兄「夏場はきちーなほんと、ふぅ」

ブチ

兄「妹上手くクラスに馴染めたらいいんだけどなぁ」

兄「妹友ちゃん、君だけが頼りだぜ……」



―――学校


先生「それでは転校生の女の子を紹介します!」

先生「えっと、○○さんの妹さんね、今回引っ越してくる事になったんだって!」

先生「それではどうぞ!」

ガラ

妹(すごい緊張する……先生テンションたかいよ……)ドキドキ

知り合いが日本人同士の両親なのに、まるで染めてるような茶髪だったな

妹「……」

妹(あれ?5人しかいない……)

先生「どうしたの?緊張しちゃったかな?」

妹「ん、大丈夫……です」

妹「○○妹といいます、こちらに住んでいる兄に預けられることになりました、よろしくお願いします……」ペコ

オオー パチパチ カワイイ! キンパツ!

妹(はぁ、目立ってる……うぅ)

先生「はい!よくできました、えっと席は……」

「先生、ここ!」

先生「うん、妹友ちゃんの隣がいいかしら」

妹「えっ?」

妹友「へへー、妹ちゃん!こっちこっち!」ブンブン

先生「はい、それではホームルームを終わります、転校生が珍しいからって質問攻めにしちゃダメよ?」

ハーイ

妹友「はーい!」

妹(良かった……ぼっちは避けられた……はぁ)

先生「よろしい、一時間目が始まるまで大人しく席に座っていること」

ガラガラッ ピシャ

ドヤドヤッ

「ねぇ、どこか来たの!?」

「すごい金髪!外国の子??」

「肌きれい!さわっていい!?」

妹「あ、えっと……」

妹友「はぁーい、どうどう、質問は一人づつね!」

―――その頃の兄

ザクッ

兄「追肥して……ちっと耕しとかないとな……」

ザクッ

兄(妹帰ってくるのはやくても3時は越えるだろうし、今日は午後も仕事しよ)

ザクッ

兄「あちぃ、お茶お茶」

兄「……んぐんぐんぐ、ぷはっ」

兄「あー不安だ、授業参観とかダメだよなぁ」

兄「心配しすぎか……でもあの容姿ここじゃめっちゃ目立つしなぁ」

兄「やんちゃなガキも多いし……」

―――午後


ガラガラッ

兄「ただいま」

兄「……」

兄(今日は出迎えないか、寂しいけどしょうがないね)

トントントン

兄(あんまり干渉しすぎると鬱陶しいかな……いや、まだ10歳なんだし放っておくわけにも)

コンコン

兄「帰ってるか?」

ガッチャ

兄「入るぜーダメならダメって言うんだぜ」

兄「……」

妹「ぐぅ……ぐぅ……

兄(ぐっすり寝てる、初登校だもんなぁ、そりゃ疲れるか)

兄「ピポパっと」

プルルルルルッ

兄「あ、うん、俺俺、兄だけど」

兄「あのさ、妹友ちゃんいる?」

兄「へ?あ、いや、違うよ、今日うちの妹どうしてたかと思って」

兄「うん、代わって、頼むわ」

兄(仲良くなれたかな、まぁ少人数だし、大丈夫とは思うが……)

兄「お、もしもし、うん、お兄ちゃんだぜ」

兄「うん、妹、どうだった?」

兄「大丈夫?ああ、そう」

兄「そっか、うん、うんうん、明日も?おお、それは助かるなぁ」

兄「ああ、いいよ、どこがいい?ジャスコ?映画?はい、はいはい」

兄「了解です、それじゃ」

チン

兄「まぁ多少の出費はね、うん」

兄「カーチャンから毎月8万づつ来るし」

兄「4時……ビールやな」



プシッ

兄「ぐび……うん」

兄「あー、汗かいたあとの一杯、これの為に仕事してるようなもんだ」

兄「ついでに、妹と」

兄「いつかは妹も俺に心を開いて……」


――えへへ、お兄ちゃん?大好き!


兄「……」

兄「ないな、うん」

兄「ぐびぐびぐび……」

―――夕食



兄「もぐ、今日は秋刀魚なんだぜ」

妹「うん」

兄「大根おろし、もっとかけようぜ、ほら」

妹「ん」

兄(なんという無口系)

妹「兄」

兄「ん?」

妹「文房具、買いに行きたい」

兄「おお、飯食ったらジャスコ行くか!」

妹「……ジャスコあるの?」

兄「あるぜ、ジャスコ」

イオンモールヘヨウソコ



妹「ああ、文明……」

兄「うん、涼しいな、うん」コロコロ

妹「……」

兄「っと、このへんかな、好きなもん選んでいいよ」

妹「えっ?」

兄「好きなやつ、選んで」

妹「……いいの?」

兄「もちろんだぜ、ほら、こっちのキティなんてどうだはは!」

妹「じゃ、それで……」

兄「いや、別にこれでなくても好きなやつで」

妹「……選ぶ」ストン

兄(中腰で座っちまった、ああ、スカートが床に……)

兄「お、ガンプラ懐かしいな……」

兄「キュベレイとか作ったっけ……」

「お、外人さんじゃん」

「すげー、可愛い」

兄「ん?」

高校生「へへ、小学生がなにしてんだこんなとこで」

高校生2「お兄さん達と遊ぼうぜ?カラオケとか好き?ん?」

妹「……」

兄「おい」

高校生「あ?なんだよおっさん」

兄「お兄さんだ、妹、選べた?」

妹「……」ササッ

兄(おお、俺の後ろに隠れた、これは頼られてる系か)

高校生2「チッ、行こうぜ」

兄「ごめん、夜は時々ああいうのがいるんだ」

妹「ばか」

兄「兄ちゃん男だし、体でかいからあんまり絡まれなくてうっかりしてた、ごめん」

妹「……これ」

兄「おお、選べたか」

妹「うん」

兄「ちっと肉とか買い足してもいい?」

妹「うん」

兄「よし、行こうか」

妹「……」グイ

兄「ん?」

妹「あ、足が震えてるから……」

兄(なんという豆腐メンタル……)

兄「カートはダメ?」コロコロ

妹「……無理、子供じゃないし」ギュッ

兄(妹背負ってカートおすはめになるとは、子連れ狼状態か……)

妹「兄」

兄「ん?」

妹「お父さんより、背中広い」

兄「農家してるとマッチョになるんだぜ?」

妹「……安定する」

兄「安定か……どうでもいいけど首が苦しい」

妹「外したほうがいい?」

兄「いや、いいよ、もうちょい緩めてくれたら」

妹「ん……」

コロコロ コロコロ


兄「この大量の切り落とし肉はどこから切り落としたんだろうな、売り場の1/3はこいつだけど」

妹「知らない」

兄「ですよね、よし、ちょっと奮発して牛肉も買っちゃうぜ」

妹「……」

兄「卵は、近くで買えるし……」

妹「兄」

兄「ん?」

妹「ア、アイス……」

兄「おお、アイス食おう、よーし一直線だ!」

妹「……うん」

アイス売り場


妹「……」

兄「どれがいいんだ?ピノ?チョコモナカジャンボ?」

妹「……選んでいいの?」

兄「あー、それ一々聞くなよ」

妹「え?」

兄「兄妹で遠慮してどうすんだ、欲しけりゃ、これって言えば買ってやるって」

妹「……じゃ、これ」

兄「指先からてんてんてんっと……アイスの実?」

妹「うん」

兄「じゃ兄ちゃんはピノにするよ」

酒売場


兄「へへ、あとはビールだな」

妹「……」ギュゥゥ

兄「ん?どうした?」

妹「飲まないで」

兄「あー、酒の匂いとか嫌い?」

妹「お酒、嫌い」

兄「んー、でも兄ちゃんの唯一の楽しみだからなぁ」

妹「……」

兄「妹が毎日一緒にお茶してくれるならいい、なんつって」

妹「わかった」

兄「へ?」

妹「お茶、するから……」

兄「……そ、そんなに酒嫌いか」

イオン前 ベンチ


兄「はむ、もぐもぐ、うん、ピノうめぇ」

妹「はむ……」

兄「……」

妹「はむ……甘い」

兄「ピノ、一個あげようか」

妹「いいの?」

兄「ほれ」

妹「あ……」

兄「ん?ああ、俺の使った棒はあれだな」

妹「ん……いい、ぱく」

兄(おぉ、食った、小鳥かなんか餌付けしてるみたいだな)

妹「ピノも、美味しい、はい」

兄「お、くれるのか」

妹「うん」




コポコポコポ

兄(ううん、強引にお茶タイムにされてしまった)

妹「どうぞ」

兄「い、いただきます、いやー、さすが妹、お茶入れれるんだなぁ」

妹「……ばかにしてる?」

兄「しっしてない、してないから」

妹「……」ジト

兄「ずず……ああ、妹の淹れたお茶は一味ちがうな」

妹「ふー、ふー」

兄(味気ねぇ、まぁ一人の晩酌よりかは潤いがあるか……)チラッ

妹「ずずず……」

兄(これで髪リボンで縛ったら、フェイトちゃんなんだよなぁ、今でも可愛いけど、もっと可愛いだろうなぁ)ニヤニヤ

妹「な、なにニヤけてるの……」

寝言のフェイトちゃんを聞いててフェイトちゃんって誰?ッ手流れに

翌朝 4時

チュン チュン


兄「ああ、朝か……」

兄「飲まなくても、意外と寝付けるもんだな」

兄「うしっ」

ガチャ


兄「今日も卵かけご飯でいいか」

パカフワコンパカ グッチャグッチャ

兄「丼で卵2個の大盛りなんだぜ、はふっ、はふはふはふっ」

兄「……ああ、妹と飯くいてぇ」

兄「いくら無愛想でも女の子がいる食卓ってのは華があるやな」

兄(出かける前に顔くらい見ていってもいいだろうか……)

妹の部屋


兄(ノックは……いや、起こしたら可哀そうだし)

兄(この時間帯なら寝てるだろう、うん)

兄「ちょっと出かける前に妹の顔を見るだけ」

兄「やましい気持ちはない」

ガチャ キィィィ

兄「ゴクリ」

兄(鼻腔に広がる女の子臭、野郎の一人暮らしだったからか感動すら覚えるね)ジーン

兄(シャンプーの匂いではないのだ、断じて違う、これは女の子臭)

兄「……」

妹「くぅ……くぅ……」

兄(おぉ、超寝てる)

妹「ん……お、おと、さん、やめて……」ゴソゴソ

兄(!?)

妹「……いたいよ……あつい……」

兄「……」

妹「……ぶたない……で」

兄(虐待……?)

妹「ごめん、なさい……おと、さん……」

兄(なんてこった……ああ、どうりゃいいんだ)


兄「えっと……こういう時は
  にア 手を握る
     頭をなでる
     急いで部屋から逃げる」

兄(なんというゲーム脳、選択肢が見える)

兄(くそっああ、セーブしてぇ、リアルタイムすぎるだろ)

兄(ぶっちゃけ逃げたいけど)

兄「額に汗かいてるな……」

兄「俺のタオルじゃ嫌かもだけど……」

ゴシゴシ

妹「うう……ん」ガシ

兄(やべぇタオルとられた……)

兄(まぁいや、タオルくらいなんてこたないだろ)

妹「んん……やめ……」

兄「大丈夫、大丈夫なんだぜ」

兄(タオルケットかけ直して……髪直しとくか……)

妹「ん……」ガシ

兄「……」

兄(手もとられた……なんてこった、この子眼前のもの掴みすぎだろ……)

妹「うぅ……ぐしゅ」

兄「はぁ……こういう時にカーチャンがいればな……」

―――10分後


妹「くぅくぅ……」

兄「落ち着いたか……はぁ、疲れた」

妹「すぴ……」

兄「手は抜けたけど、タオルは完全に布団の中にもっていかれた……」

妹「むにゃむにゃ……」

兄「よく眠れよ、ここには……あんまり頼りにならないヘタレ兄貴くらいしかいないから怖くないし」


バタン


兄「はぁ……5時か」

兄「時間にフレキシブルなのがいいとこだな、うん」

7:30


ピピピピピ


妹「ふ……」

パン

妹「む……眠たい……けど」

妹(なんだか今日は結構眠れた……)

妹「……ん」ゴソ

妹「タオル?」

妹「くんくん……くさ、兄の汗の匂い」

妹「……」

妹(これのせいで眠れた?ていうか部屋に来た?)

学校


先生「えー、ここ分かる子いるかな?」

妹「……」カリカリ

妹友(妹ちゃん今日は特に静かだなぁ……)

先生「誰も手上げないなぁ、えっと、妹ちゃん、やってみる?」

妹「……はい」

ストストスト

妹友「おぉ……妹ちゃん分かるのかな」

妹「……」カツカツカツ

先生「はい、正解です!戻っていいですよ」

妹友(あれ、妹ちゃんの机からなんか出てる……タオル?)

妹「……」ストン

―――その頃


兄「やべぇお茶忘れた……」

兄「まぁいいか、昼には一回帰るし……」

ブチ

兄「田んぼに水いれたら、ちょっとは時間できるな……」

兄「うーん、海……映画、買い物……」


―――学校 プール掃除


妹「あ、つ……」ゴシゴシ

妹友「あはは!見てみて、スケート!」スィー

妹「……転ぶよ」

妹友「だーいじょうぶ!きゃっ!」ガバ

妹「えっ?」

妹友「あいたたた……ごめん、転んじゃった……」

妹「はぁ……水浸し……」




ガラガラ


兄「ただいま」

トコトコトコ

妹「……」

兄「おお、出迎え?」

妹「……」ジッ

兄(ああ、朝のタオルの事詰問されたりして……)

妹「お茶」

兄「へ?」

妹「はやく」グイグイ

兄「お、おう」

兄(ふぅ大丈夫か……まぁ、タオルなんてどれも一緒だしな)

コポコポコポ


妹「ふー、ふー」

兄(うーん、あんな約束きちっと守ってるんだな……)

妹「ずず……」

兄「ずず……」

兄(しかし、小学生4年生が毎日直帰、遊びにいかないとはいかがなものか……)

妹「美味しい?」

兄「はい」

兄(まぁ無理に遊べとは言わないけどね、うん、神社まで自転車乗るのも大変だし……あ)

兄「自転車練習するか?」

妹「うん」


超簡易家系図

旦那A┳母┳旦那C
    兄 妹

ガレージ


妹「……なにこれ」

兄「補助輪付きだぜ、まずはこれで練習だな」

妹「……子供じゃない」

兄「誰でも最初はこれついてるもんさ」

妹「ん……」



キコキコ

妹「……」

兄「上手い上手い、その調子だ!」

妹「はぁ……」

兄(すげー不機嫌そうだ)

妹「兄」

兄「ん?」

妹「外して」

河川敷公園



兄「よし、行こうか」

妹「は、離さないで」ヒシッ

兄「うん、大丈夫だから、足つけて歩く練習だから、ちゃんとハンドル持って」

妹「……」カラカラ

兄(普段の様子運動音痴ってわけでもなさそうなんだけどなぁ、単純に筋肉が萎えてるのか)

妹「んっ」キコ

兄「おっ」

妹「あっ……」グラッ

兄「お、おぉ、大丈夫大丈夫、よいしょ」ヒョイ

ガシャーン

妹「こ、怖い」ギュゥ

兄(抱きつかれるのいいな……って違う違う)

兄「ほれ、もう一回」

1時間後

妹「乗れた……」キコキコ

兄「うーん、飲み込みはえーな、ひょっとしたら運動神経いいのかな」

妹「……」キコキコ

兄「ちょっと一人でそのへん走ってみるか?」

妹「……うん」

兄「行ってらっしゃい」

妹「行って……きます」

キコキコキコキコ

兄「ふぅ、ああ、いい風が吹くな……」ゴロン

カァ カァ

兄「カラスがないてやがる……ん、戻ってきた」

キコキコキコ

兄「どした?」

妹「足疲れた」

カァ カァ


妹「……涼しい」

兄「妹の音の上げっぷりに兄ちゃんびっくりだよ」

妹「……1時間も練習したもん」

兄「ああ、そうだったっけか」

妹「兄は体力ばか」

兄「そうだぜ、兄ちゃんは体力バカだ」

妹「……家についたら起こして」

兄「おいおい、しっかり掴まってろよ」

妹「うん……」ウツラウツラ

兄「手、離して落ちたらおいてっちゃうからな」

妹「ん……」ギュッ

兄(うーん、密着するればささやかな柔らかさがある)




兄「よーし、今日はチンジャオロースーだぜ!」

兄「って……」

妹「すぅすぅ……」

兄「机に突っ伏して寝てやがる」

妹「むにゃ、お、お腹、すいた……」

兄「ああ、そうだろうそうだろう、ほら、起きろ」ユッサユッサ

妹「ん……兄」

兄「兄ちゃんだ、飯食って、風呂入って、歯磨いたら寝ていいからな」

妹「……うん」

兄「ほら、チンジャオロースーだ」

妹「ちんじゃお……」ウツラ

兄「おい、寝るな」

ゴシゴシ


兄「生ごみおk、シンクも拭き上げおk」

兄「……ああ、酒があればなぁ」

兄「水で我慢するか」

ジャー

兄「ごく……」

ガタッ

兄「ん?」

妹「兄」

兄「はい」

妹「……」ジー

兄(観察されてる……ポーズとかとったほうがいいのか)

妹「おやすみ」

兄「おう、たくさん寝てボインになれよ!」

妹「……ばか」

           /,    ヽ \
             ,'.,       `、ヽ,
         //-─'''''''─-、,!.  ', _,,,..-‐''''",二ニ‐-、
     _,,,.-''"   ._      `ヽ!,,.-‐'''"      ,','
    |,.  _  i'"::::::L,,,!::`i__,,i''''ヽ, ヽ、      ,r'
   く   (::::::L,,/::;'::::;':::;:::::::;':::::::::::;':L,,,,_\     ,r'
     `y'`'"/::::/::;':::::;'::/::::::;':::::::::::;'::::::::::::;} .`、 /
    /:::::;:'::::::;!-;'─-/|::;':;':::::::::;:'::::::::::::く,,,_ Y

   .,r':::::;:'::r-!::'ーr、;;;;/ .|::;':::;'::::::::::::::::/::::::r` ``ゝ
  ,r'::::::;:':::::i .,!::::::|_,,,,_  ``'''-、;::::::メ/::::;'::::'ーi  「
,..--─--、;::`i:::::;::!  `ヽ    ,.-==,く`ソ:::::;':::i`''"
       `|:::::;::|       !;;oソノ ./\:::/リ
        |::::::;::|   !ー、_,'  `''" /:';:::::`!     非常に興味深いスレですね
         |:::::::;::|.  'ー     ./:;;:-''"`\
       .|::::::;;:::|ヽ、,,,,...... -‐''i:::;r'" `'''`ヽ,ヽ
     ,.-┴''"ヽ``,`'、  !.,'  '/   /`ニ=_,ノ!
    .,r'   ヽ、`i !ノ  ','   i'    _,フ'-:'":、
   /  '" `i i .ノノ-' ', !  i    「  ';::::::::::::`、

妹の部屋


妹「鞄の中に……」

妹「あった」ゴソ

妹(なんとなくだけど、たぶん)

妹「くん……う、あせくさ」

妹「すぅ……」

妹(ちょっとだけ落ち着く匂い?)

妹「……ふぁ」

妹「すぴ……くぅ……」

翌朝 妹の部屋前


兄「うーん」

兄(妹が心配なのが半分、出かける前に顔見たいのが半分)

兄「いいや、入ろう」

ガチャ キィィ

兄「お邪魔します」コソコソ

妹「くぅ……くぅ……」

兄(おお、うなされてない)

妹「ん……兄」ゴソ

兄「兄ちゃんだぜ……ん?タオルまだここにあったのか」

兄(回収、回収)

グイ

兄(ぐぬぬ、離さない子だ全く、将来守銭奴になるねきっと)

妹「くぅ……」

兄(無理にとったら起こしかねないな……)

脱衣所


ゴソゴソ

兄「洗濯物増えたなぁ、一気に」

兄「黒白灰色みたいな地味な洗濯物がいっきにカラフルに……」

ゴソゴソ

兄「なんか小さい布もあるけど、見ない気にしない」





チュンチュン

兄「ちゃあんと干さないとな」

兄「パンパン叩いてシワ伸ばして……こ、これは」

兄「…・・うん、パンツだね」ビローン

兄「邪心を捨てろ、俺はロリコンじゃないはず」

パチ パチ

キッチン



兄「えっと、バスタオルはソファの上に畳んでありますっと」カキカキ

兄「あんまり伝言することもなくなってきたな」

兄「手がかからないのはいいことさ、うん」

兄(白地に黒とピンクの水玉か……)

兄(そういや一回ほぼ全裸見てるんだよな……)ポワワン

兄「……アホか俺は」ゴツン

兄「はぁ、ションベンしてから行こう」


トイレ

ジジジ

兄「おいおい……」

兄「これじゃトイレどころじゃないんだよなぁ」

兄「ぐぬぬ親不孝者め」

兄「……」



パチン パチン

巫女「お、おーい!兄!」

兄「お、おう……」

巫女「何あんた暗い顔して……」

兄「い、いやなんでもないんだ、うん」

巫女「……妹ちゃんに嫌われたとか?」

兄「えっ?いや、どうだろう、一般的な兄妹程度には仲いいと思うけど」

巫女「じゃ、なんでそんな暗い顔してんのよ」

兄「……自己嫌悪ってやつかな」

巫女「はぁ?」

兄「そうだ、ほら、ナスもってけ」

巫女「あ、うん……っていうかなんか包むものとかないの?」

兄「ん……新聞でいい?」

巫女「うん、ごめんね」

学校


妹友「はー!今日からプールだよプール!」

妹「うん、そう、プール」

妹友「あ、結構ノリ気?」

妹「……ずっと水に浮くだけなら得意」

妹友「うーん!なんか今日はちょっと元気?」

妹「ん、そうだね」

妹友「田舎のご飯食べると元気になるんだよ!」

妹「うん、それもあるし……よく、眠れた」

妹友「普段はあんまり眠れないの?」

妹「……」


プール


ピー!


先生「はーい、ちゃんと準備運動して!」

妹友「とりゃー!」

ドボーン

妹「うわっぷ……」ビシャ

先生「こらー!」

妹友「だって、先生!あついんだもん!」

先生「先生だって熱いのガマンして笛ふいてんのよ!」

妹「はぁ……日焼けしそう」

妹友「妹ちゃんもー!」

妹「うん」

先生「いや、うんじゃないからね?ほんと、普通の子は足つりかねないから」

妹「はぁ……」プカプカ

妹友「おお、ビート板2枚で浮いてる!」

妹「この1時間は浮いて時間にする……」

妹友「ど、どうだろう、泳がない?」

妹「疲れる……」プカ

妹友「な、なんか、うちのばーちゃんみたいだね……」

妹「……」バシャ

妹友「おっ!」

妹「……ちょっとだけ」バシャバシャ

妹友「うんうん、ビート板引っ張ってあげるね!」




ガラッ

兄「ただいま」

ドタドタドタ

妹友「お兄ちゃんおかえり!」

兄「お、来てたのか」

妹「……おかえり」ノソ

妹友「一緒に宿題してるの!」

兄「そうかそうか、うんうん、わからないとこあったら兄ちゃんに聞いていいんだぜ」

妹「その必要はない……」

兄「へ?」

妹「教える」

妹友「うん、妹ちゃんすごいんだよ、全部知ってるんだから!」

兄「そ、そうか……」

兄(年上の威厳が……)

キッチン


兄(保護者として、たとえ妹友ちゃんでも特別ゲストとしてもてなさないとな)

ザクザク

兄「まぁ、スイカくらいしかないさ、うん」


ガラッ

妹友「うーん、うーん……」

妹「ここは、こうして……」

兄(おぉ、優等生っぽい……兄ちゃん鼻が高いけど寂しい)

妹「兄、それ」

兄「おう、スイカと麦茶」

妹友「やった!休憩だ!」

兄「うんうん、いっぱい食べろよー」ナデナデ

妹友「うん、へへ」モジモジ

妹「……」

妹友「シャクシャクシャク!」

兄「おお、がっつきがいいな」

妹「シャリ……」

兄(ああ、もっと小さく切れば良かった、食いにくそうだ)

妹友「もっちゃもっちゃ」

兄「ん、種ついてんぞ」

妹友「え?どこ??」ゴシゴシ

兄「ああ、手汚れるから、ほらここ」ゴシゴシ

妹友「んー……ありがと!お兄ちゃん!」

兄「いやなんの」

兄(妹友ちゃんも可愛いけど、元同級生の妹(幼女)だからなぁ)

妹「……兄」

兄「ん?」

妹「えっちな顔してる」

兄「へっ?し、してねーよ、全然」

妹友「けぷっ……お腹いっぱい」

兄「ひのふの……おお、いっぱい食ったな」

妹「ずず……」チラ

妹友「眠くなっちゃた……お兄ちゃん、腕枕して!」

兄「お?あー、昔はやったけど……」チラ

妹「……」ジトッ

兄「無しで」

妹友「えー!なんで!?」

兄「もう4年生なんだから、いろいろ勘違いされちまうんだぜ」

妹友「どんな?どんな勘違いされるの??」ズイ

妹「……兄、近い」

兄「いや、俺は寄ってないんだけど……」

夕方


妹友「バイバーイ!またね!」

妹「うん、また」

兄「いつでも遊びにこいよー!」

妹友「はーい!」

タッタッタッ


兄「ふぅ、騒がしかったな」

妹「……」

兄(なんという不機嫌オーラ、ダメ兄が大事な友達と仲良くしたから怒ってるのか)

妹「お茶」

兄「お、おう」

妹「……」グイグイ

コポコポコポ


妹「ふー、ふー」

兄「ふーふー……」チラ

妹「ずず……ず」

兄(そういや、金髪幼女が湯のみで緑茶すすってるのも中々シュールだな)

妹「ごく」

兄「あ、あのよ」

妹「何?」

兄「妹友ちゃんは昔よく巫女と一緒にここに遊びにきててさ」

妹「……」

兄「その、お兄ちゃんとか言われてるけど、まぁつまり幼馴染みたいなもんっていうか」

妹「はぁ」トン

兄(お、怒ってらっしゃる?っていうか10歳児の顔色伺うハタチの兄貴なさけねぇ……)

妹「兄、寝転んで」

兄「へ?」

兄(なんだこりゃぁ……)

妹「……」ジッ

兄「う、腕かたくねぇか?眠り心地どう?」

兄(何聞いてんだ俺)

妹「多分、普通……」

兄(腕枕とか、いつのまにこんな好感度上がったんだよ)

妹「寝るから」

兄「はい」

兄(大事なお兄ちゃんを友達に取られそうになって競争してる……というか)

妹「ん……」

兄(いきなりの田舎で頼れる人が他にいねーから、不安になってるのか……)

妹「ご飯なったら、起こして……」

兄「お、おう」

兄(ああ、腕枕じゃなくて正面から思い切り抱きしめて、スカートの上から尻を……じゃなくて)


兄「……俺が寝てたら誰が飯作るんだよ」




兄「というわけで、時間なかったから飯と味噌汁と鮭の焼いたやつだけだぜ」

妹「……」

兄「梅干しもある」

妹「そっち」

兄「ん?」

妹「そっちの切り身がいい」

兄「あ、おお、交換しようぜ、ほい」

妹「……」ジッ

兄(なんだろなー、時々じーっと観察してくるんだよな……)

妹「……いただきます」

兄「おう、いただきます!」パン

<打ちましたホームラン!


兄「うおおおお!!所詮他人の祭りだが!うおおおお!」

ガタッ

妹「兄」

兄「はい」

妹「お風呂上がった」

兄「そうか、んじゃ次行くわ」

妹「……」ジッ

兄(まーた観察してる、こうじっとみつめられると悪戯したくなるな)ウズウズ

妹「……」ジィ

兄「ワン!」ガバッ

妹「きゃっ!」ペタン

兄「ひひ、わりぃわりぃ、いやー、いい反応だな!」

妹「兄、こ、腰ぬけた……」

兄「あ、すいません……」

妹の部屋

ガッチャ ギィ


兄「はい、着きましたよお姫様」

妹「布団まで」

兄「承知しました、姫」

兄(おぶって部屋まで運ばされた……ああ、風呂上りのほかほか妹が背中にあったけぇ)

妹「……」

兄「はーい、降ろしまーす」

妹「うん」

ポスッ

妹「兄」

兄「ん?」

妹「は、反省すること……」

兄「はい」

脱衣所


兄(まさかあんなにびっくりするとは……)

兄「なんで俺はこう考えなしかな……」

シュル バサッ

兄「ん、三角筋がいい感じになってきたな……」

シュル バサ

兄「脱衣かごにいれてっと……ん、これは」

兄「……うん、まぁパンツだよね」


―――

天使「なにを躊躇っているのです、はやくかごにしまいなさい!」

悪魔「おいおい、男だろ?くんかくんか!はよ!」

―――


兄「ぐぬぬ、いや、まてまて、妹には今俺しか保護者いないんだ、変態的なことはやめとこう……」ポイ

パサッ


妹の部屋


妹(まだ心臓がバクバクしてる……)

妹(兄は、大丈夫、分かってるのに……)


―――何度言ったら分かる!このっ!


妹「うぅっ!」

妹「はぁ……はぁ……」

妹(そうだ……タオル)

ゴソゴソ

妹「あった……くん」

妹「くん、くん……」

妹「……はぁ」

妹(ちょっと、落ち着いた……)

翌朝 キッチン



兄「はふっ、はふはふはふっ」

兄「うーん、今日はどうすっかなぁ」

兄(様子見に行って、うなされてたら……)

兄「俺のせいだよなぁ、トラウマを刺激した的な」

兄「はぁ、心配のせいか大好きな卵かけご飯なのに味気ない」

兄「あ……醤油いれてねぇ」

トクトク

兄「えっと、昨日はごめんなさいっと」カキカキ

兄「これでいいべ、うん」

兄「いや、ダメかな……やっぱり見に行こう」

妹の部屋


ガチャ ギィィィ


兄「勝手知ったる妹の部屋……このフレーズは外聞が悪いな」

兄「さて、妹様のご尊顔は……」

妹「……」パチッ

兄「お、おはようございます」

妹「……おはよ」

兄「いや、違うんだよ、その、つまり」

妹「何?」

兄「はぁ、ごめん、仕事行く前に妹の顔が見たかった」

妹「はぁ、こんな顔見てもしょうがない……」

兄「いや、そんなことないって、元気になるもん」

妹「寝るから、見るなら勝手に見て……」

兄「お、おう……まだ四時半だもんな、ごめん、起こして」

カッチ カッチ


兄「……」モジモジ

兄(ああ、秒針うるせぇ、やべぇ睡眠妨害してるし)

兄「そ、それじゃ兄ちゃん畑行ってくるから」

妹「……」

兄「よいしょっと……」

妹「……兄」

兄「ん?」

妹「手、握って」

兄「は、はい」ギュッ

兄(なんだこれ、小さい!ぬくい!柔らかい!)

妹「……兄の手硬い」サワサワ

兄「あ、すいません、まぁ毎日色々してるからね、うん」

兄(さわさわされてる……妹の指こそばすぎわろた)

妹「すぅ……」

兄(深呼吸、なんかくるのか)

妹「はぁ」

兄(吐いた、くるか)

妹「……」

兄(黙るのかよ)

妹「あ、兄はさ」

兄「うん?」

妹「た、叩いたり、しない」

兄「うん、兄ちゃん死んでも妹叩いたりしない」

妹「うん……」

兄「あ、あのさ、親父さんが」

妹「ひっ……」

兄「いや、ごめん……」ナデナデ

妹「すぅ……はぁ……」

妹「だっこ」

兄(だっこ?)

妹「は、はやく……泣きそう」

兄「お、おう、ちょっとまってろ、こ、こんでいいですか」ゴソゴソ

妹「はい……いいです」

兄(なんで敬語)

妹「すぅ……」

兄(俺の胸で深呼吸してる……ああ、朝風呂しとくべきだった)

妹「お、お父さんは」

兄「うん」

妹「お酒……飲んだら、よく怒って……叩いた」

兄「酒のんで暴れる男はサイテーだな」

妹「……時々はその、優しかった、けど」

兄「うん」

妹「うん……」ゴソ

兄「ごめんな、昨日」

妹「……反省」

兄「うん、した」

妹「……こ、怖かったし」

兄「ごめん」

妹「罰……」

兄「うん」

妹「お、起きる時間まで、このまま」

兄「マジか」

妹「罰だから……」

兄「はい」

兄(うーん、多少畑で黒焦げになる時間が伸びる程度で仲良くなれるならいいか……)

妹「ぐしゅ……」

7:30


ジリリリリリン! パン


兄「ん、時間だぜ」

妹「……」ムク

兄「朝飯、一緒に食うか」

妹「うん」

兄(まぁ俺は済ませてるんだけど)



妹「もっちゃもっちゃ」

兄「おお、結構豪快に食うな」

妹「泣いたらお腹すいた」

兄「そっか、ほら、お茶飲め」

妹「うん」

7:45


ガラッ

妹友「いーもうとちゃーん!がっこいこー!」


兄「お、きたか」

妹「うん」

兄「頑張ってこいよ」

妹「……」ギュッ

兄「!?」

妹「ハグ」

兄「欧米か!ああ、欧米だった、半分は、ぎゅー」

妹「ん……行ってくる」

兄「おう、気つけてな」

妹友「あー!お兄ちゃんだ!」

兄「あ、ああ、おはよ」パッ

―――通学路


テクテクテクテク


妹友(うーん!抱きしめあってたよね!)チラッ

妹「……」

妹友(もう仲良しになったのかな……?)

妹「……ふ」

妹友(うわ、ちょっと笑った!しゃ、写真写真!)ゴソゴソ

妹「……何やってるの?」

妹友「えっ!せっかくだから写メ……あ」

妹「写メ?」

妹友「えへへ、写メとろ!はい、ぴーす!」

妹「……ぴーす」ブイ

パシャ

プールの時間


バッシャバッシャ


妹「はぁ」プカプカ

妹友「また浮いてるの?」

妹「うん」

妹友「へへ、私もビート板もってきた!よいしょ!」ノサッ

妹「あ」

妹友「あ!」グラッ

ドポン

妹友「ぶくぶくぶく」

妹「……」

ザバッ

妹友「ぷはっ!あははは!」

妹「はぁ、元気だ」

――夕飯時


兄「へー、一緒に写真とったのか」

妹「うん」

兄「美少女×2、これはいいものだ、ぽちぽち、お、スク水!あの、これ兄ちゃんに送ってください!」

妹「……やだ」

兄「くぅ」

妹「兄」ソッ

兄「ん?」

妹「ぴーす」

兄「お、おお、ピース!」ブイッ

パシャ

妹「ん……」

兄「どうだ?イケメン?」

妹「ふ、目、閉じてる」

兄「……」

ジャスコ


兄(うーん、おて手つないでジャスコはちょっと恥ずかしいな)

妹「兄、ぶどう食べたい」

兄「おう、かごに入れな」

妹「うん」

兄(ちょーっと笑うようになってきたなぁ、ああ、可愛いいもペロ)

妹「……」キョロキョロ

兄「キョロキョロ妹も可愛い」

妹「何?」

兄「なんでもない、心の声だから」

妹「あやしい」ジッ

兄「怪しくないよ」

妹「ほんとかな……」

雑貨コーナー


兄(リボンがある……黒のリボンが……)

妹「……」

兄「なんか、欲しいのあるか?リボンとか、リボンとか」

妹「……なんでリボンプッシュなの」

兄「いや、ほら、髪まとめたほうがいいかと思って」

妹「……この髪留めがいい」

妹「おお、可愛いな、この意匠はバラかなー」

妹「あと、兄が好きなリボン」

兄「……」

妹「嫌なら、別に……」

兄「こ、この黒のでもいいですかね?」

妹「……うん、子供っぽいけど」

妹(兄に期待されてる……なんだかちょっとだけ……)





兄「ふぅ、田舎もそんな悪くないだろ」

妹「……すごい人にみられる以外は」

兄「妹は目立つからね、どうしてもみんな気になるんだよ」

妹「はぁ……普通に産まれたかった」

兄「……俺は」

妹「何?」

兄「妹が、可愛くて嬉しい……って安直すぎるか、ごめん」

妹「……」

兄(ああ、気の効いたことの1つも言えればな……保護者って大変だな)

妹「兄」

兄「ん?」

妹「袋開けて、中身ちょうだい」

兄「お、おお」

兄「行ってしまった」

兄(ああ、人生経験豊富な奴だったら、なんかこうポジティブになれるような事言えるんだろうけど)

兄「はぁ、テレビでも見るか」

兄(酒がないと、テレビと妹と新聞しか娯楽がねぇな、そういや)

兄「いいけどね、畑で忙しいし」

ピッ

<今回の台風での被害は~

兄「結構えげつないことなってるな……」

ガタ

兄「ん……おぉ!?」

妹「……」

兄「リボン妹!」

妹「変な呼び方……」

兄「可愛いな……アップにした髪に黒いリボンがすごい似合ってる」

兄(さすがにツインテールは選ばないか……うん、いやこれはこれでナイスだ)

妹「兄の上に座る」

兄「お、おう、伏せたらいいんですかね?」

妹「……そのまま」

兄「あぐらで?」

妹「うん」

ポス

兄(なんじゃこりゃ……デレ一辺倒か)

妹「腕……んっ」ググ

兄「おぉ」

妹「重い、ちゃんと捕まえて」

兄「はい」ギュッ

妹「はぁ……」トサ

兄(妹の重さが心地よい……なんかいい匂いするし、たまらん)

<駅長として一躍有名になった猫の情報です


妹「兄、猫欲しい」

兄「ペット禁止です」

兄(なんだろうな、このデレっぷり、男女のそれじゃないんだろうな……)

妹「……ケチ」

兄「神社に行けば猫触り放題だぞ」

妹「う……遠い」

兄「せっかく自転車乗れるようになったんだから、運動がてら行ってくるといいよ」

兄(多分、育児放棄なカーチャン、暴力ふるう親父、そんな大人の中で育ったから……)

妹「乗せて行って」

兄「はぁ、しょーがねぇな、可愛いリボン妹のためだもんな」

妹「リボン妹……」

兄(始めて背中預けられる家族に甘えてる……依存してる、子供だからそれでいいけどな、つまり)

兄「始めてこれで兄妹ってことか、うん」

妹「……いきなりなに言ってるの」ジトメ

―――妹の部屋


妹「兄」

兄「ん?」

妹「タオルケットかけて」

兄「おう、ん、こんでいいか?」

妹「うん、大体」

兄「よく寝れよ」

妹「兄」

兄「ん?」

妹「……眠くないから、なんか話して」

兄「なんだそりゃ、絵本なんかないぞ」

妹「兄の子供の頃の話がいい」

兄「……そうだな」ポスッ

兄「俺は産まれてすぐこっちのバーちゃんに預けられて……」

妹「……」

――少しして


妹「くぅ……くぅ」

兄(普段は大人ぶってるのに、寝顔はほんと幼いな……)

兄「おやすみ」

パチッ

バタン

兄「さてと、かーちゃんと話しねーとな」

兄「聞きたい事が山ほどあるし」

兄(電話番号かわってないよな……はぁ)

プルルルル ガチャ

『……珍しいわね、兄が電話してくるなんて』

兄「ああ、聞きたいことができたから」

『ふぅん、あの子はどう?仲良くやってる?』

兄「少しは懐いてくれたよ」

『そう――で、聞きたいことって?』

兄「妹の親父の事」

『……あんまりいい話じゃないわ』

兄「知ってる」

『どの程度?』

兄「妹が虐待されてたってことは聞いた」

『へぇ、あの子が話したの?あんた案外いいお兄ちゃんね、信頼されてるわ』

兄「他に頼れる大人がいないから」

『うーん……それだけでもないと思うけど、さてどこから話そうかな』

『あの人もね、事業が失敗するまでは本当にいいお父さんだったの』

『でも、会社が立ち行かなくなって、失業、再就職も決まらない日々に』

『段々と酒浸りになって、そのうちに日常的に私とあの子に暴力を振るうようになったわ』

兄(やっぱりか……酒と怖い大人、妹が一番嫌がる物)

『私ね、ほとほと嫌気がさして、逃げたの』

兄「なんで妹も連れていかなかったんだよ」

『だって、あの子も連れていったらきっと地の果てまでおいかけて、殺されてたわ』

兄「分かってると思うけど、そんなの言い訳にならない」

『うん、育児放棄』

兄「……」

『それから3ヵ月くらいしてかな、一本の電話がきてね』

『あの人が自殺したって』

兄「……」

『首を吊ったあの人の傍でぼーっと座ってたらしいわ、あの子』

兄「そうか……」

『あの人の最後の良心だったのかな、あの子は連れていかなかったし』

『遺書にはね、私にあの子を任せるって書いてあった』

『あとは知っての通り、あんたが一人暮らししてたから押し付けたわけ』

兄「……」

『ま、大体そんなところかな、よくある話よ』

兄「ねーよ……そんなのが日常的にあってたまるか」

『他に聞きたいことは?』

兄「なんで俺に任せた?」

『どうしてかな、預けられる候補が他になかったのもあるし』

兄「……」

『あんたは、お祖母ちゃんに似て、馬鹿みたいに優しいから』

兄「ふざけんなよ……」

『もう、会うきもないし、お金は送るし、育てて、お願い、じゃあね』

兄「……」

ツー ツー

兄「クソ女」

ガチャン

兄「はぁ……なんだよ、救いがねぇ」

兄「ちょっとは愛とかそういうのあると思ったんだけどな……」

兄「あー……まぁ分かってた事か」

兄「ばーちゃん生きてたらなぁ」

兄「なんつうか、つまり……俺しかいないんだ」

兄「もっと勉強しとけば良かった、どうしていいかわかんねぇ」

兄(どっかで期待してたんだろうな……カーチャンが泣きながら妹に抱きついて)

兄(ごめんなさいって謝って、妹がカーチャンを……許すっていうかそういうの)

妹の部屋


ガチャ


妹「くぅ……くぅ」

兄「……」

妹「くぅ……兄……」

兄「兄ちゃんはここにいるから、大丈夫」ギュ

兄(こいつが頼れるのは俺しかいなくて、俺は、ここで農業やってるだけで、カーチャンは帰ってこなくて)

兄(ああ、一人でいる時には全然気づかなかった)

兄「孤独なんだ、すげー孤独」

兄「グスッ……う……」

妹「ん……兄?」

兄「お、おお、ごめん、起こしたか」

妹「どうして……泣いてるの?」

―――翌朝 4:30


ジリリリリ パン


兄「……」ムク

兄(センチメンタルに浸る間も草は伸びるしな……)

兄「仕事は当たり前のようにやってくる、体がおもてぇ」

トントントン

兄(今日も卵かけご飯……食うと戻しそうだ、お茶漬けか)

ガラッ

兄「ん?味噌汁の匂い」

妹「あ、兄、おはよ」

兄「……なにやってんのお前」

妹「なにって……朝ごはん」

兄「……お、おお」

兄「……」

妹「お味噌汁とご飯」

兄「お、おう、ありがと」

兄(昨日泣いてたから、心配させたのか……)

妹「……食べて」

兄「はい、いただきます……」

兄(なんつう頼れない兄貴……妹に心配かけて、ああ)

兄「ずず……」

妹「お、美味しい?」

兄「ん……出汁とってねぇなこれ」

妹「だし?」

兄「いやでも見よう見まねでここまで作ったのは凄いよ、うん」

妹「……」

兄「今度、一緒に味噌汁作ろうか」

妹「うん」

玄関


兄「ご馳走様、行ってきます」

妹「うん」

兄「ごめんな、早起きさせて、しっかり寝てくれ」

妹「……兄」

兄「ん?」

妹「元気、出た?」

兄「あ、ああ昨日はなさけないとこ……」

妹「私の顔、見たら、元気に……」

兄「あ……」

妹「はぁ、早起きして損した……なんで上向いてるの」

兄「いや、その……」

兄(まだ涙腺が緩んでるのかな……ああ、なさけねぇ、こいつは10歳俺は20……何甘えてんだ)

兄「ズズッ……ああ、なんか鼻水でる、行ってきます」

妹「……行ってらっしゃい、兄」

7:45


ガラッ

妹友「おーはよー!ございます!」

妹友「……靴、ある、妹ちゃんの気配……ある!」

妹友「おじゃましまーす!」



妹の部屋


妹友「フライング巫女ブレス!!」

ドーン

妹「へぐっ……」

妹友「うわ、すごい声出た」

妹「う……ば、ばか」

妹友「えへへ、おはよー!ぎゅー!」

妹「うー、暑苦しい……」

学校 やっぱりプール


妹「……」バシャ バシャ

妹友「おおっ!妹ちゃんがプールで動いてる!」

妹「……ウォーキング」

妹友「どーしたの!?雪がふるの!?」

妹「今日は歩きたい気分」

妹友「へぇー!じゃあたしも歩く!」バシャ バシャ

妹(体力つけて、兄を心配させないようにしよう……)

妹「はぁ、情けないんだから」

妹友「へ?」


先生「うん、まぁみんな泳げるし、別に遊んでもいいんだけどね、ああ、あたしも泳いじゃおう……」

バシャバシャ

月たったの8万でいざって時に母親面されたらたまんないね
男に何かあって金持ちになった時とか、自分が病気になって介護が必要になった時とか




巫女「で、すっかり影の薄くなった私なんですが」

兄「……」

パチン パチン

巫女「あーあ、来る度に落ち込んでるね、この男は」

兄「……」

パチン パチン

巫女(よし!気づくまで、一緒に収穫しよう!)グッ

パチン パチン

兄「……」

巫女「……」パチ パチ

巫女(……えっ?ほんとに気づいてない?影薄すぎ?)

お昼休憩



巫女「あっつー!巫女服じゃないから良かった!」パタパタ

兄「ごめん」

巫女「いやいいよ、っていうか、なんで今日はそんな素直に謝るの?」

兄「いや、その……」

巫女「んん?うーん、女難の相がでておる!」

兄「ああ、うん、それは町がないない」

巫女「よし、お祓いを……」

兄「結構です」

巫女「むー」

兄「なぁ、俺って情けないかな」

巫女「何よ唐突に、まぁ、そうね、生活力に溢れてますって感じじゃないかな」

兄「だよな……」

巫女「はー、辛気臭!ちょっと顔見せて!」

兄「はい」

巫女「……うん、この顔は、女難の……」

兄「いや、それはもう聞いたって」

巫女「なんてね、自分が保護者失格だーって悩んでる顔だ」

兄「!?」

巫女「おー、図星図星、すごいびっくりした顔!珍しいなー!カメラカメラ……」

兄「よく分かるな」

巫女「うん!まぁ付き合い長いしね……あのさ」

兄「うん」

巫女「あんまりさ、仰々しく考えなくていいんじゃないかな」

兄「……」

巫女「大事なのは、自分のこと大切にしてくれる身内が近くにいるってことだと思うし」

兄「……そうだな」

巫女「分かってない」

兄「ん?」

巫女「妹ちゃんだけじゃないよ、あんたも」

兄「俺?」

巫女「お婆さん亡くなってから、あんたずーっと同じ場所で足踏みしてるじゃん」

兄「……」

巫女「あんたが妹ちゃんを大事にするように、あの子も多分あんたを大事にするよ、そういう人が必要なんじゃないかな」

兄「……ありがとう」

巫女「はー、なんか説教臭くなっちゃった!じゃねー!またあの子連れて遊びにくんのよ!」

兄「おう、ありがとな!」




巫女「ったく世話焼かせるんだから」

巫女(ま、できれば、私がその大事にしてくれる人になりたかったけど)

巫女「ああー!今日もいい天気だ!やっぱ若さにゃ適わない!」




妹「はぁ、ただいま」

ノタノタノタ

兄「おう、おかえり」

妹「……早かった」

兄「うん、巫女が収穫手伝ってくれたから」

妹「あ、うん……あの人と仲いいね」

兄「こっち預けられてからの付き合いだしな、知りあってもう十数年」

妹「……」

兄「お茶するか」

妹「うん」

コポコポコポ


兄「お、髪留め使ってるんだな」トン

妹「うん……リボンのほうが良かった?」

兄「いや、そっちのが可愛いな」

妹「……ふー、ふー」

兄「ごく」

妹「ずず……」ジッ

兄「ん?」

妹「元気になった」

兄「おう、兄ちゃんは元気がとりえだぜ」

妹「うん」

兄「んっと明日休みだよな?」

妹「うん、そう」

兄「どっか遊びにいこうか」

妹「え?いいの?」

―――翌日


玄関


兄「準備いいか?」

妹「ま、まって、えっと、ハンカチと……」

兄「がはは!妹の準備につきあってたら日が暮れちまうぜ」

妹「そんなことない……終わった」

兄「おし、行くか」

妹「どこにいくの?」

兄「アウトレットで服見て、んで映画館そばにあるから映画だな」

妹「意外とまともなコース……」

兄「意外とって、どこ連れてかれるとおもってたんだよ」

妹「ジャスコ」

兄「……それは遊びじゃなくね?」

海沿いの道路


ブロロロロ


兄「悪いな、せっかくのお出かけなのに軽トラで」

妹「……いいよ、兄は軽トラのイメージだし」

兄(なんという泥臭いイメージ……)

妹「窓、どうやってあけるの?」

兄「ああ、その手元のレバー回すんだ」

妹「ん……」

ギコギコ

妹「はぁ、風が気持ちいい」

兄「ほんとだな、海風がなんか夏って感じだ」

妹「うん」

アウトレット


妹「わぁ、広い……」

兄「うん、ここは結構いい店いっぱいあるから、好きなとこ入っていいよ」

妹「ほんとに?」

兄「ああ、高級ブランドは避けろよ」

妹「……」


とある服屋


妹「これ、兄に似合う」

兄「ん、そうか?」

妹「うん」

兄「てか俺の服はいいんだよ」

妹「……兄も少しは服に気を使って」

兄「はい」

兄(ちょこちょこ歩きまわって俺に服を合わせる妹……)

兄(案外世話好きなのか……それともかっこわるい兄貴とは歩きたくないか……)

妹「……買ったら、着替えて」

兄「はい」

兄(後者だった)


店「合計で6280円になります」

兄「カードで」キリッ

店「畏まりました」



兄「はぁ、買ってすぐ着替えるとか、中学生並だな」

妹「でも、かっこよくなった」

兄「そ、そうか?兄ちゃんかっこいい?」

妹「……普通、兄、腕」

兄「ん?」

妹「……疲れたから、腕につかまる」ギュ

すいません、夕飯作ってきます

とある服屋


兄「よし、今度こそ妹の服を選ぼう」

妹「……」

兄「なんか、こう、こういうのがいいとかないのか?」

兄(普段ワンピースとかロングスカートとかのお嬢様スタイルだしなぁ、きっと)

妹「……これ」

兄「へ?ショ、ショーパン?」

妹「……これがいい」

兄「お、おう、アクティブな服だな」

妹「だめ?」

兄「いや、いいよ、うん、似合うと思う」

兄(うーん、想像すると……ああ、真っ白い太ももがむきだしか、俺は嬉しいけど、人にみられるのか……)

妹「お父さんは、こういうのダメって言ってた……」

兄「そっか」

兄(ひょっとしたらお淑やかに育って欲しかったのか、でも妹、実は結構アウトドア向けの性格だと思うんだよな)

店「合計1万3800円になります」

兄「カ、カードで」

店「畏まりました」





兄(ふぅ、財布が少し寂しくなった、いや口座がというか)

妹「兄」

兄「ん?」

妹「あ……ありが、と」

兄「お、おお!安いってこんなもん!なに遠慮してんだよ!」

兄(おほ、照れてる、かわゆす……このくらいの出費痛くねぇなほんと、うん)

妹「……兄」

兄「ん?」

妹「き、着替えてくる……」

兄「お、おお」

^q^「ほぅ……………」
キモオタ「ドゥフフwwww」

妹「……おまたせ」

兄(こ、これは……)

妹「おかしい?」

兄「い、いや、なんつうかこう普通に着こなしててびっくりした」

妹「普通の服だし……」ギュ

兄「素材がいいからかねぇ……」

兄(周りの人からどう見えてんのかな……恋人同士はないか、兄妹?ホストファミリーと留学生?)

妹「兄?」

兄「あ、ああごめん、昼飯いこうか」

妹「うん」

兄「ピザでいい?」

妹「うん、ピザ結構好き」

お前ら「いれるよー!」

ズボッ

妹「いやっ、痛い!!抜いて!!」

お前らェ……

兄「はふはふ」

妹「兄、口にソースついてる」

兄「ん、このへんか?」

妹「ここ」ヒョイ

兄「サンキュー、はふはふ」

妹(兄は集中して食べてる……)

妹「ん、ちゅ」

兄「はふはふっはふ」

妹(トマトソースの味だ……)

兄「ん?食わないの?」

妹「ううん、食べる」

映画館


兄「どれ見たい?ワンピース?」

妹「これ」

兄「ん?どれどれ」


『僕は妹に恋をする』


兄「え?」

妹「これが見たい」

兄(これ俺が中学の時のだろ、なんでこんな古い映画やってんだ……)

兄「いや、どうだろう、他のにしようぜ」

妹「これがいい」

兄「あんまり面白く無いぜ?」

妹「これが、いい」

兄「……」

映画館 中


『頼……』

『郁……』


兄(なんだこの緊張空間、ポップコーンでもくわんとやってらんねぇ)

兄「ぽりぽり」チラッ

妹「……」

兄(すげぇ集中してるよ、ガン見だよ……ああ、妹と見る映画のチョイスとしては最悪だろ)

妹「……兄」

兄「は、はい」

妹「静かに食べて」

兄「すいません……」

兄(やべぇキスシーンくるぞ、おい、どうすんだ、目隠すべきか……ん?)

妹「……ん」ギュ

兄(手ぇ、握られちゃったよ!おい!どうすんだこれ!)

兄(の、喉がからっからだ、コーラ)

兄「ズソソッ」

妹「兄」

兄「すいません」

妹「……見るの嫌?」

兄「いや、その嫌っていうか……分かるだろ?」ヒソヒソ

妹「……わからない」プイ

兄(あ、やべぇこれキスシーンくる)

兄(ああ、中学の時はこれで感動した……ん?)

妹「……」ジッ

兄(な、なんで俺の顔見てんの)

兄「……」ゴクリ

妹「あ……」プイ

兄(目あったらそっぽ向くし……ああ、試されてるのか、誰にって神様に)

ガヤガヤガヤ


兄(地獄のような天国が終わった……)

妹「……ぐす」

兄「ん?泣いてるのか?」

妹「……」ジッ

兄(この目は……なんだ、なにを言えばいい、俺たちは大丈夫だよとかか、いや、兄妹物の映画見せてごめんか……)

妹「兄」

兄「は、はひ!」

妹「帰ろう」

兄「お、おう、っとその前に」

妹「?」

兄「トイレ」

妹「はぁ……」

男子トイレ



兄(はぁ……なんで元気になってんだよ息子)

兄(もうお前にはがっかりだわ)

兄(誤作動ってレベルじゃないからな)

兄(とりあえずトイレットペーパーでカウパーだけでも処理しとくか……)

兄(これはどういうことだ……半分とはいえ血の繋がった妹をどうこうしたいとか頭で思ってるのか)

兄「ああ、兄貴ってのはほんとどうしようもない生き物だよな」


カランカランカラン ワシワシ


兄(っていうか10歳か、シスコンでロリコンとか……)


ポイ ジャバァ


兄「ふぅ、行くか」

兄「ん、あれは……」


高校生「なぁ、いいだろ?ここで会ったのも運命だって」

高校生2「涼しいとこいこうぜ?ヒヒ」

妹「……」


兄(なんという絡まれやすさ、1人にすると確実にナンパフラグが立つとか)

兄「おい」

高校生「なんだ、またあんたかよおっさん」

兄「お兄さんだ」

タタタッ

妹「……」ギュ

高校生2「チッ、あんたその子のなんなのよ」

兄「なにって、そりゃ……」

妹「か、彼氏」

兄「へ?」

高校生「あ?マジ?こんなおっさんと?」

兄「お前ら、言っとくけど俺はまだハタチだからな」

高校生2「てめーみたいなハタチがいるかよ、ちょっとこいよ」

兄「はぁ、しょうがないな」

妹「……」ギュ

プチプチプチ バサッ

高校生「えっ?」

兄「みろよ……この大胸筋、まだ喧嘩する気か?」

高校生2「なんだこのおっさん……引くわ……」

妹「えっ?」


兄「ふぅ、体鍛えといて良かった」

妹「兄」

兄「ん?」

妹「服着て……」

警備員「ちょっと君、いいかな」

警備員室



警備員「うん、まぁそういう事情なら……今回だけは」

兄「ありがとうございます!」

妹「ばか……ばか……ばか」

警備員「でも今度やったら出禁ね」

兄「はい」



駐車場

バタン

兄「ふぅ、ごめんな、一人にして」

妹「……怖かったって言うつもりだった」

兄「2枚目は似合わない兄貴なんだ」

妹「はぁ……」

海沿いの道路


ブロロロロロ


兄「うーみはひろーいなっと」

妹「……兄」

兄「はい」

妹「……彼氏って言われて、嫌だった?」

兄「!?」

兄(究極の選択肢か……YESかNOか、いやまてこれならまだいける)

兄「ま、嬉しいっちゃ嬉しかったかな、こんな可愛い妹滅多にいないしよ」

妹「そ、そう……」プイ

兄(そっぽ向いちまった、BAD COMMUNICATION!)

妹「……」パタパタ

兄(うーん、潮風になびく金髪が、夕日を浴びて……これが俺の妹ですって自慢したくなるな)

兄(しかしよー喋るようになったなぁ……このままならそのうち)


―――えへへ、お兄ちゃん?大好き!


兄(これも夢じゃなくなってきたかもしれんね……)

妹「兄」

兄「はい」

妹「……本当に」

兄「うん」

妹「……そうなる?」

兄「……」

兄(そうなる?どうなるってんだ?いや分かってる頭では分かってるけど、わかっちゃいかんというか)

妹「……」

兄(あああああああ、答えるべきか?とぼける?それとも……)




バタン


妹「……」スト

兄(はいヘタレた、分かってるヘタレたよ)

妹「はぁ」

兄「はぁ……」


ガラガラガラッ


妹「……」

兄「た、ただいまー」

妹「……おかえり」

兄「お、おう、おかえり」

妹「……ただいま」

コポコポコポコポ



妹「……」

兄(やべぇふーふーしねぇ……)

兄「ずず……」

妹「ずず……あつっ……」ポロ

バチャッ

兄「あちっ!?」

妹「兄!ごめん……なさい」

兄「いや、大丈夫!ちーっと冷やして来る」

妹「……」

兄(やべぇ超あちぃ!)

ダダダ

妹「……」ガタ

キッチン

ザァァァァ


兄(はぁ……冷たくて気持ちいい)

兄(ああ、どうすりゃいいかな……倫理的にはNOなんだけど)

兄(個人的に全力で受け入れたいというか、うん、そういうどうしようない部分が……)

ガチャ

妹「兄」

兄「は、はい」

妹「腕、大丈夫?」

兄「問題ないぜ?こんだけ冷やしたらもう大丈夫だけど、兄ちゃん用心深いから余分に冷やしてんだ」

妹「……」

トコトコ

妹「……ごめん、兄」ギュ

兄「いいってことよ、左手だと頭なでにくいな」ナデナデ

兄(もういいかな)

キュッ

兄「ほら、もうあんまし赤くもないし」

妹「……」

兄「そんな顔するな、足折った時なんかもっと痛かったぜ」

妹「あ、足折ったの?」

兄「うん、あん時もうなんていうか、痛いっていう吐き気がして参った」

妹「……」

兄「どうってことない」

妹「兄、腕出して」

兄「……ん」ス

妹「……ん、ちゅ、れろ」

兄「!?」

妹「舐めたら、治る?ちゅ……」

兄「ど、どうだろう、火傷舐めて治すとか聞いたこと無いな……」

兄(にしても……これは……)

妹「ぺろ……」

兄(フェラチオは征服欲を満たすっていうけど、なんか分かるような、いやチンコじゃないけど)

妹「ん……兄?」

兄「ん?」

妹「腕、どう?」

兄「あ、ああ、気持ちいいかも」

妹「ん……ぺろ」

兄(金髪ロリ可愛い妹が俺の腕舐めてるかと思うとなんとも……うん)

妹「ん……はぁ、ちゅ」

兄(てか、顔色赤いような……エロいような……)

兄「も、もういい、十分」ガバ

妹「ん……」

兄(これ以上されると変な気持ちになりそうだ、なってるけど)

妹「兄」

兄「うん?」

妹「ん……ちゅ」

兄「んん!?」

兄(い、妹の顔が目の前にある……いやカマトトぶるつもりはない、これはキス)

妹「ちゅ……ちゅ」

兄(やべぇ……ああ、脳内が痺れる……)

妹「兄?」

兄(なんだよその目……ああ、腰に手回して思い切り抱き寄せて舌で妹の口のなか蹂躙してぇ)

兄「妹……」

兄(頑張れ理性)

兄「……やめてくれ」

妹「っ……!」

兄「……妹」

妹「……」

兄「兄ちゃんな、妹が大事だよ」

妹「……うん」

兄「ほんと、短い間だけど、妹の事一生懸命面倒みてきたつもりだ」

妹「して、もらったよ」

兄「だから、妹が俺を頼ってきてくれた時、すごい嬉しかったし、これからも大事にしたい」

妹「うん」

兄「でもな肉親を頼る気持ちと、異性として好きだっていう気持ち、混同してないか?」

妹「……してない」

兄「……まだ10歳だろ、恋とか愛とか早すぎるんだって」

妹「してない!」

妹「兄、私兄が好き」

兄「俺も好きだよ、ぶっちゃけた話、たぶん異性としても魅力的に感じてる」

妹「……だったら」

兄「でもさ、ほらまだ10歳なんだし、あせるこたないって」

妹「……」

兄「そうだな、あと6年経って、今みたいに仲良く暮らしてて」

妹「うん」

兄「それでも好きだったら、籍入れるか」

妹「……せきいれる?」

兄「結婚」

妹「!」

兄「そのへんが落とし所だと思うんだ」

妹「……分かった」

兄「よしいい子だ、んじゃこれで終わり、風呂入って寝てこい」

妹「うん」

兄(なんという光源氏計画……まぁそのうち気持ち変わるだろ、悲しいけど)

妹「兄」

兄「ん?」

妹「ちゅ……」

兄「!?」

妹「お風呂、行ってくるね」

兄「お、おお……」

兄(なんで流し目なんだよ……理性持つかな)

翌朝 4:00

ジリリリリ

兄「ん……」

パン

兄「ん?」

妹「ふぁ……もう朝」

兄「え?なんでここで……」

妹「だって、昨日約束した

兄「な、なにがですかね……」

妹「許嫁にしてくれるって!」

兄「なん……だと」

妹「許嫁なら、恋人より上だよね……」

兄「だからってお前」

妹「兄、大好き」ニコ

兄「お、おぉ……あの俺も割りと……」
                                    Fin

あああああ、疲れたもおおおおおお
よく考えたら結婚できねぇや、まぁ法律なんていいよね、紙切れなんて
エロ入れるかどうか最後まで迷った
雑談は構わないです、公開オナニーみたいなもんなんで、伸びればたくさんの人が見てくれる

おわり

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