翠星石 「金色の窓ですよ」 (40)

ローゼンの世界 深夜

翠星石は今日もあんまり眠れませんでした

翠星石 「ああう… あんまり眠くないですう…
    しんくぅ…」

真紅 「なあに… まだ夜中なのだわ…」

翠星石 「本読んでえ しんくぅ」

真紅 「ええ… 折角眠るところだったのに…
   はあ 仕方ないのだわ…」ごそ

真紅は積んである本の中から
一冊を取って開きました

翠星石 「何が出るかなっ ですぅ!」わくわく

真紅 「ええっと… こほん…なのだわ
   これはビアールという人が書いた童話なのだけれど…」

***金色の窓***

蒼星石の家は農家でした
あまり裕福ではなかったので
蒼星石は毎日お父さんのお手伝いをしていました

農家は日曜日でも休めないですから、
毎日夕方に少しだけ時間を貰って、
好きな事をして遊んでいました

蒼星石 「今日は丘の上に行ってみようかな…」

遠くの山はオレンジ色に染まり、
影になった丘がずっと続いていました

するといくつもの丘を越えたずっと向こうに
キラキラと金色に輝いている窓がついた家が見えました

蒼星石 「あの金色の窓は何なのだろうか?」

その窓は夕焼けの空の中に
まるで宝石を散りばめて作ったように
美しく輝いていました

蒼星石 「きっとあれはお城か何かなのかもしれないな
    どんな人が住んでいるんだろう

    何処かの王様だろうか それともお姫さま
    そうだ きっと綺麗な服を着た
    素敵なお姫さまだろうな…」

         ィ´: :∠       ヾ i! 〃 `ヽ
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     /: : : r´ =   =   _〃- ‐ - ._    ヽ
    /: / r'   〃 i! ヾ, -'~: : : : : : : : : : : ` ヽ   ヽ
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/: : : : : :r'ヾ i! 〃{ : : : : :./: : : : :/ : : : : /: : : : : : : ヽi! |
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: : : : : :.{  〃 i!ヾ{斗匕_ノ ー=彡' : : : /.: : : : : : : :/ : : : : .,!
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/: :{ ヾ i! 〃 ト           ,   辷::ソ ノ/: : : :./
: : : .:{=  = { ヽ    c、       ¨´/イ彡ィ,イ       きっとこんな感じかもしれないな
: : :/}〃i! ヾ {、. :.       l/l/l/イ   イl!: :.,'
:/: /{     {. ヽ `ー --- -ェσ´ヾ i! 〃 /: : : ,
-‐''" ノ    }  ゝ、>-、  / { =  = /: : : :,
   {ヾ i! 〃}   /.  !ヽ-'¨ヽ 〃 i! /: : : : i
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   } 〃 i! ヾ {. | r‐っ    ',  .)   }: : : : :.l
  /        }´ゝ'.  し'ヽ   l  l i! 〃{: : : : :.l
 /       )~ ~ ~ ~`ミ ゝ-、ノ ノ  = ヽ: : : : l
./ ヾ i! 〃  )ヽー'ヽ_ノヽ ミ )¨ / i! ヾ  ヽ: : :.l

その次の日も また次の日も
夕方になると丘に登って金色の窓を眺めました

蒼星石 「きっとこんなふうなかわいいお姫様だろうな…」

いつしか蒼星石はあの窓のあるお城へ行ってみたいと
思うようになりました…

ある日の事 お父さんは朝ごはんの時に言いました

結菱かずは 「ちょうど畑仕事の区切りがついた…
      今日は一日、おまえの好きな事をして遊んで来るといい…」

蒼星石 「ほんと、何をしてもいいの…?」

かずは 「いいとも だがこの一日は神様が下さった、ありがたい一日だ
    何か良いことをして過ごしなさい…」

蒼星石 「よし 今日こそあのお城へ行ってやろう」

蒼星石はパンを貰って、家を出ました

空は晴れ渡って、どこまでも澄みきった秋の終わりの空気が広がっていました
低い丘を二つ越えるともうお昼でした

蒼星石 「ここらへんでお弁当でも食べよう
    お姫様は今頃どんなお昼ごはんをたべているのだろう」

                                           ___
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                 ン~;: ,,:' ,,,:::,':,;'::゙;;';;:...:::.'';::.,;:: ,r'~ `". ;:... .::::;;,;::,:'.:,,,;;;}い,}二)   こんなのかな?
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..:. ::.人,;;__;;;ソ;;;..:_ `-、`ヾ、ッニ士t),;豆ZY)亘ミメX)rYt川广}ハir、tわ&YO,,=-'~,,-''~  i'  (,_ 々(コ/´ ::;}J  ,; .゙i
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          γ`;v;´;γ;ヽ;.-.、            .|)(_)(_)(_)(__|r^ヽ     あるいはこんなのかもしれない
         γヽ'^γヽ^γヽ;'γヽ          | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ||
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  ノ:. /:ヽ、\  l| | | l             l:.::::::/ / ' /:l.: / ./
 ':.:./: / ヘ ̄`             (  `ー´ // /:. .: /
 ::/: /:/::.lヽ.           _   /  l | l ///: / :/     翠星石はっ 翠星石は
 /:./:. :. :l  ヽ       /  `>     、/ /.:. /      そんないっぱいたべないですぅ!
 ::/:./:.:.:l   :ヽ、     ー‐      / ヽ= ― ´)
 /:.:. :.:/ __:.::_\    ___ -┬ ´|   ※  l        あらあら 起きちゃった?翠星石…
 ^ ̄ , ‐,.ニニニ、\:. ̄::.__|_ ::.l::.|.:.|.      )     さ 続けるのだわ

  //      \l ̄l ‐,ニニニニ、ヽ┴- 、 ※  |
  | |         ./|_|<      \\  `ヽ、  `)
  | |     // l | \\     | |    \  l
  | l     /// ./)(| | \\    l |     (l\ )
  L ニニ´/ / / )(| |   \\__l |     (l  ヽl
         / /)()(| |    \___/      (l   \

そして、とうとう目指すお城の立っている丘の麓までたどりつきました

蒼星石 「あれっ」

蒼星石はびっくりして立ちすくみました
こうして良く見ると、それはお城でも何でもなく
ただのお百姓さんの家でした

蒼星石 「変だなあ でも確かにこの家に違いない…」

蒼星石は丘を駆け登り、家の前に着きました
蒼星石の家と同じように、貧しそうな古ぼけた家に過ぎなかったのでした

窓にはただのガラスがはまっているだけで
金などはどこにも施されていません

蒼星石 「あのキラキラと輝いていた、金色の光は
    いったいなんだったのだろう…」しょぼん…

蒼星石は内心がっかりして
少し悲しくなりました

そのときでした どこかから声がしました

翠星石 「だ… だれ…?」

家の戸が半分開いて、中からかわいらしい女の子が
すこしこわがっている様な顔をして覗いていました

    -‐ フXXXXXXXXXXXXXXXXX`丶、
 /   /XX>¬冖冖¬‐<XXXXXXXXX\
 \ /X>.:'´::.::/::.::.::.::.:_::_.:.:.::`::くXXXXXXXハ丶
   Y/::/:/::. :. .;:.:'´::.::.::.::.::.::.:.:└くXXXXXX} `、
  〃:/:/::.::.::.:/::.::,:.:-‐::.::.::.::.::}::.::(XXXXXX) ヽ

  /::/::.:/::/:::/::.::/:::.:. .::/.:.::/l::.:::{XXXXXX)   、
 ::.:/::.:/;:.::.:/::.::/ .:.:.:/::.::,ィ::/.:l|::.:.:(XXXXXXL   \
 |::'::.://:-;―‐-::.:::=彡::.::://:/|:.:|l:.:l:::[XXXXXXメ , -┘

 |:|:://:::///::.::-=:_:彡' 冫く」::.|l:.:|:::[XXXXXく /
 lリ:l::l:::/イなメく-‐ ´   /   l「:ト、|:::|XXXXX「|
/八{::|:ハ {イ:.:rハ   /, 孑=ミヘ::kく:/ XXX厂:|:|        だれ…?

/_`ソX ! `゙゙´      ^!{::.::rーハ:ト、XヽX/: !::.|:l
l K ヽ_ム    、.    ヾ二シ '八 \/7::.::.::|:::l:|
| !| ト、 `ヽ   、      u (XXX//:;l::.::.:|:::|:|
Lノニー仁〕 |ヽ、       _ ィ´xXX/;'::.:l|::.::.:!::.|:!
三三三仝r仁三二>'´ , └┴くXXi::l::.::l:l::.:::|:.::!|

三三三三三三三└‐く_ -‐ ,二ヽ|::|::.::|:!::.::|:.:::|
ニ三三三三三三三三三二て r‐=≦>xヘヽl::.::{

蒼星石 「僕は蒼星石 君はこの家に住んでいるのかい」

翠星石 「そ そうですぅ…」

女の子は外へ出てきました
粗末な服を着ていましたが、緑と赤の色違いの瞳と長いまつ毛の、
それはそれはかわいらしい女の子でした

          , .:クー-r‐'7フ┐XXXXXXXXXX>、 \

          //::.::.::/::/:/::.:/:`7^ヽXXXXXXXX7 /
          ,:' ,:':::/::/::/::/:/::.:/::.:/:://!(XXXXXXXメく
       ///:;:/::/::/::/::'/::/ :::/ //∧:`くXXXXX)、 \
        // ':/::.:/::/::/:::/::/::.::/://:ハ::.:、:::\XXXX)   >
       〃 i::|::l::i::.:l::/:::/;:イ::.::/:/// >く::\::.:VXXX) イ
      |  | |::l::|:::<:/j/::.:/イ:/ '´,ヱ、)\::ヽ∨XX }:!::|
        ! '.:い::,:イlうミ/ // ,ヘ:、::j:}》ヘ::Y::ハXX/::l::|  それはそれはかわいい女の子だったのですう!
        ヽ>く:::爪ノr个 /    ゙ー ′/::ノ:/XX/::.::|::|
          ` }ヽ::.:` ゙ ''′  、    '"ー=彡'XX / ::.:::l::|   ちょっと翠星石… ばたばたしてたらいつまでも
         /:l|:::|l:ヘ.'″  r ^,    ,.イXXXX{::.::.::.:|::|   眠れないのだわ…?
          /::.;'::.:リ::|X> 、  `    / ノ XXXX)::.::.::|::|
        ,厶/:_::/::;'XXXX7¬‐ '´ /XXXXX}i::.::.::.:|::|
        / /`ヽ)/XX, -_‐=ミノ_r┴<XXXX7:l::.::.::.:l::|
      八  '´_ ⊥7}{ {  ,ィ::(/'⌒ヽ`YXx/::.:|::.::.:::|::|
     '::.::ヽ    r、){ ヽ)//:;ノー 、`  八X|7う、::.::.:!::|
     /::.::.:)'^う`)ヘJく)    /:/>'´   , 'XXx|[_): :l::.::.:l:::!
   /::.:/; てh_n_n_}    /:/r{_r(_r、∠XXXx|ノ: : :ト、:::|:::l
 /:,::/ :/: :r′   !_)  /:/)ヘn_n_n_JXXX7: : : : : i::l ::|
/:://: : / :_;ノ    |_}  l:::l「_)| / / (XXXX!: : : : : :|::|::.:、
::/:::{: : : : : :)    ノ しヘ|:::|lり !     /XXXX|: : : : : ;ハ:|l::.:ヽ

蒼星石はさっそく金色の窓の事をきいてみました

蒼星石 「僕はきっとお城に違いないと思ったんだ
    確かめようと思って、朝からここまで歩いて来たんだよ」

すると女の子が言いました

翠星石 「え…? 金色のまど…?
     それって翠星石も毎日見てるですよ
     ほら あれですぅ…」

蒼星石 「えっ どこに…」

翠星石 「こっちですぅ!」

女の子は蒼星石の手をとって小高い丘の上につれてきました

いくつもの丘を越えたその向こうに、キラキラと金色に輝く窓が見えたのでした

蒼星石はびっくりしました

蒼星石 「あれは… 僕の家だ…」

しずんでゆく夕日を浴びて、古い貧しい蒼星石の家は
まるでお城のように、美しく輝いていたのでした

蒼星石は、ポケットにもう何年も大切に持っている、
宝物の小さな石を女の子にあげました

翠星石 「うわあ… ふしぎですぅ…
    しましまもようですぅ」

女の子は走って家の中に入ると
大きなりんごを一つ持ってきて蒼星石にくれました

翠星石 「その… おかえしですう!」

   ρ
  /⌒⌒\
 | (゚Д゚)  りんごって、こんなのかい?

 |(ノ  |
  \__/  それちゃーあうですぅ!
   ∪∪

***

真紅 「…そうして二人は友達になりました
    これでお終いなのだわ どうだった…? 翠星石…」

翠星石 「むむ… 蒼星石ぃ…」むぐむぐ

真紅 「あら… もう眠っていたのだわ
    おやすみなさい 翠星石 おしまいだわ」

おわり

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