あかり「もう、みんななんて大嫌いっ!」(173)

あかり「影が薄いとか言って空気扱いしたり、初めてのキス奪ったり」

あかり「ねんどであかりの生首作って壊したり……もうたくさんだよっ!」

結衣「お、落ち着いてあかり」

京子「うんうん。あれは私たちなりの愛情表現であって……」

あかり「愛情表現なんてものじゃないよ! やられる側からしたらすごくショックなんだよ?」

ちなつ「キスのことはごめんね。反省してる」

あかり「反省したても、あかりのファーストキスの相手がちなつちゃんだってことは変わらないんだよ」

結衣「あかり、深呼吸しよう」

あかり「ふんだ。そもそもあかりをバカにする原因作ったのは結衣ちゃんなんだよ!」

結衣「え……?」

あかり「アッカリーン、なんて言葉を作るから……」

結衣「そ、それは……確かに私が原因だな。ごめん」

京子「ど、どうすれば許してくれるのかなぁ、あかりさんや?」

あかり「今さら何しても許さないもん」

結衣「許さないって、具体的に言うと?」

あかり「う、うーん……えっと」

ちなつ「考えてなかったんだね」

あかり「か、考えてあるもん!」

京子「ほほーう、では聞かせてもらおうじゃないか」

あかり「金輪際みんなとは口を聞きません!」

みんな「!」

あかり(ここまで言えばみんな必死に謝ってくるよね……)

京子「それ今とあんま変わんなくない? あかり無言でも会話成り立……」

結衣「バカ!」

京子「あ」

あかり「うっ……ううっ……うぇえええんっ! もう本当に口きかないんだからぁあああっ!」

ちなつ「ま、待ってあかりちゃん!」

結衣「行っちゃった。おい京子、お前なんてことを」

京子「ごめん。つい」

ちなつ「つい、じゃないでしょう……どうします?」

結衣「明日みんなで謝ろう。簡単に許してくれるとは思えないけど、そうするしかない」

ちなつ「あかりちゃんの台詞から考えると、最初は本気じゃなかったんでしょうね」

結衣「どこぞのバカのせいで本気になってしまったみたいだけどな……」

京子「は、反省してます。はい」

結衣「こんな空気じゃ部活する気にはなれないな。悪いけど、今日はもう帰るよ」

ちなつ「結衣先輩がそう言うなら、私も!」

京子「そっか、じゃあ解散ってことで……」

あかり(最初は本気で言ったわけじゃなかった)

あかり(みんな最近あかりのことネタにしすぎだよー、って言うぐらいの気持ちだった)

あかり(でも、でも、京子ちゃんが……あかりのことをそんな風に思ってたなんて)

あかり(きっと結衣ちゃんやちなつちゃんも同じような感じなんだろうな)

あかり(影でずっとあかりのことバカにしてきたんだ)

あかり(なら、もうお話しなんてしたくないよ)

あかり(…………)

あかり(夢だったらいいのにな)

次の日――

京子「あかり遅いなー」

結衣「昨日あんなことがあったんだし、今日はこないんじゃないか」

ちなつ「家まで行ってみます?」

結衣「そうだね、行ってみよう」

京子「あかりが扉を開けた瞬間に土下座かな」

結衣「それは……どうなんだろう。逆にバカにされてると思うかも」

ちなつ「まずは普通にごめんなさいですよね」

結衣「うんうん。そして一緒に登校しようと誘って、歩きながら弁解する」

京子「まー、無難なほうがいいか。今回ばかりは」

赤座さぁぁぁぁん
http://beebee2see.appspot.com/i/azuYzIu_BAw.jpg

女の子は誰でも素敵な魔法使い!

あかりの家――

京子「ピンポーン」ピンポーン

ちなつ「口に出す意味ってあるんですか?」

京子「ない!」

結衣「そんな張り切って言われても困る」

あかり母「はいー、あら京子ちゃんに結衣ちゃん、それにちなつちゃん。おはよう」

京子「おはようございます。あの、あかり居ますか?」

あかり母「あら、一緒じゃないの? もう学校に行ったのだけれど……」

結衣「そ、そうですか。待ち合わせ場所間違えたのかな、あはは……お邪魔しました」

ちなつ「お邪魔しましたー」

ちなつ「一人で学校行っちゃんだ、あかりちゃん」

結衣「うーん、休み時間にあやまるしかないな。学校着く前に何とかしたかったんだけど」

京子「学校ねぇ……結構ギリギリに着きそうだから授業前に謝るのは無理そうだし、私と京子は2時間目体育だぞ」

ちなつ「私のクラスは3時間目が体育ですね」

結衣「みんなそろって謝れるのはお昼ってことか」

京子「うーん、昼ご飯速攻で食って……いや、待てよ? いいこと思いついた」

ちなつ「嫌な予感しかしないんですけど」

結衣「うんうん。不安だ」

ちなつ「とりあえず、午前中は私の方で話しかけてみます」

結衣「お願いね、ちなつちゃん」

ちなつ(ゆ、結衣先輩からお願いされちゃった! キャーッ! チーナが絶対に何とかしてみせます結衣先輩っ!)

教室――

ちなつ「間に合ったぁ……おはよう、あかりちゃん!」

あかり「…………」

ちなつ「き、昨日はごめんね」

あかり「…………」

ちなつ(うぅ、本当に口きいてくれない。でも諦めないんだからね、結衣先輩とも約束したんだから!)

ちなつはあかりから少し距離を取ると、その場で華麗に回転をし始め……かっこよさそうなポーズをして止まる。

ちなつ「魔法少女ミラクルん、華麗に参上! あかりちゃんのハートにドッキューン♪」

あかり「…………」

クスクス ナニアレー

ちなつ(こ、こんなに痛いことしたのに無反応!? むしろあかりちゃんの表情が暗くなってる!?)

ちなつ(なんでなの……?)

先生「おい授業はじめんぞ。吉川、次に変なポーズしたら爆発な、爆発」

休み時間――

櫻子「ちなつちゃん、朝のあれ何? ミラクルんのマネ?」

ちなつ「うぅ、忘れて……」

向日葵「どこかで聞いた台詞だと思ったのですけれど……確か赤座さんが自己紹介で言ってましたわね」

櫻子「あぁ、あの痛さのあまり教室中が凍ったやつか」

ちなつ(やってしまったぁあああっ! トラウマを掘り返すなんて嫌がらせ以外の何者でもない!)

ちなつ(私のトラウマであるミラクルんと、あかりちゃんのトラウマの台詞をくっつけてダブルトラウマ!)

ちなつ(って何を意味のわからないことを言ってるのチーナ!)

向日葵「吉川さん、赤座さんと何かありましたの?」

ちなつ「へ?」

向日葵「いつもなら休み時間ずっとお話ししてらっしゃるのに……今朝も様子が変でしたし」

ちなつ「えっと、その……ちょっとケンカ、したっていうか、そんな感じ」

櫻子「あかりちゃんとちなつちゃんがケンカぁ? 想像できないんだけど」

向日葵「櫻子と同意見ですわね。あんなに仲よかったのに」

ちなつ「まぁ、私たちが一方的に悪いんだけどね……」

櫻子「私たち?」

ちなつ「あ、なんでもないよ!」

向日葵「? まぁ、いいですけれど……」

櫻子「私あかりちゃんのところ行ってくる!」

ちなつ「え、ちょっ……」

向日葵「櫻子ったら、まったく」

ちなつ(お昼まで下手な行動はやめておこう。ごめんなさい結衣先輩……)

櫻子「ねぇねぇあかりちゃん」

あかり「なに、櫻子ちゃん?」

櫻子「ちなつちゃんとケンカしたってホント?」

あかり「あはは、ちょっとねー」

櫻子「何があったかは知らないけどさ、早めに仲直りしたほうがいいよ」

あかり「そう、だね……。ありがとう、櫻子ちゃん」

櫻子「いいっていいって。二人とも大事な友達だし! じゃね」

あかり「うん」

櫻子「話した感じではいつものあかりちゃんだと思った」

向日葵「そりゃ、別に櫻子とケンカしたわけではありませんし」

櫻子「あ、そっか。私とケンカするのなんて向日葵ぐらいだね」

向日葵「そうそう……って別にケンカしたいわけじゃありませんわよ。櫻子が……」

櫻子「何をー、私だって……」

ギャーギャー


ちなつ「…………」

ちなつ(あかりちゃん、私以外とは普通に話すんだ……ってそりゃそうだよね)

昼放課――

ちなつ(京子先輩が何か思いついたみたいだけど、何するんだろう?)

ちなつ(ん? メール……京子先輩からだ)

ちなつ「…………」

ちなつ(なるほど、これなら!)

ちなつ(さすがは京子先輩……少し見直しましたよ)

ちなつ(では、作戦を開始するとしますか)

櫻子「あかりちゃん、ご飯食べよ」

あかり「う、うん……」

櫻子「向日葵とちなつちゃんも早くー」

向日葵「はいはい、少しは落ち着きなさい」

櫻子「だってお腹減ったんだもん。しかも今日は竹輪の磯辺揚げだよ?」

ちなつ「櫻子ちゃんは本当にそれ好きだね。あ!」

向日葵「どうしましたの、吉川さん?」

ちなつ「お箸、忘れちゃった……」

あかり「!」

向日葵「あらあら、櫻子みたいですわね」

櫻子「ちょっと向日葵、それどういう意味?」

向日葵「言ったままの意味ですわ。あなた、週に一回はお箸忘れてるんだもの」

櫻子「ムキーッ、別にいいもん! あかりちゃんがいるから」

向日葵(あら、吉川さんのかばんから箸袋が……なるほど)

あかり(割り箸あげたい、割り箸あげたい、割り箸あげたい……)

あかり(でもだめ。ちなつちゃんとはお話ししないって決めたんだもん! うう、でも手が……)

向日葵「あ、赤座さん。手がプルプル震えてますわよ」

あかり(だめ。あかり、我慢できな……)

櫻子「あれ? ちなつちゃん、かばんから箸袋はみ出てるよ」

向日葵(櫻子のバカ……)

ちなつ(急いで隠したからはみ出ちゃったんだ……せっかくの作戦が)

あかり「ウソ、ついたんだ」

ちなつ「そ、そんなつもりじゃ……」

あかり(どうせ割り箸を持ち歩いてるあかりをバカにしたかったんだよね。ちなつちゃんも大嫌い!)

放課後――

ちなつ(結衣先輩に合わせる顔がない。京子先輩もせっかくいい作戦思いついてくれたのに)

ちなつ(櫻子ちゃんが悪いわけじゃない。あんな風にはみ出てたらあかりちゃんが気づいたかも)

ちなつ(全部私が悪いよね……はぁ)

ちなつ(…………)

ちなつ(だめよチーナ、まだチャンスはあるはず。とりあえず、あかりちゃんを部活に誘ってみよう!)

ちなつ「あかりちゃん、部室いかない?」

あかり「…………」

ちなつ(やっぱだめかー。仕方ない、一人で行こう)

ちなつ(電話? 櫻子ちゃんから)

櫻子『あ、ちなつちゃん? お昼はごめん!」

ちなつ「ううん、予め言っておかなかった私が悪いよ」

櫻子『あとで櫻子に怒られたよ。あかりちゃんと仲直りするための作戦だったんだ』

ちなつ「卑怯なことやっちゃだめってことだよ、きっと。向日葵ちゃんは気づいてたんだ」

櫻子『うん……ひま、え、変われ? 分かったよ……向日葵に変わるね』

向日葵『結構深刻そうですわね……一体何があったんですの?』

ちなつ「実は……」

向日葵『なるほど、事情は分かりましたわ。しかし、なんというか……』

向日葵『いろいろ原因があるとは言え、歳納先輩の言葉が強烈でしたわね』

ちなつ「もちろん私も悪いんだけど、あれはキツかったと思う」

向日葵『今日、ごらく部には行きますの?』

ちなつ「うん。どうすればあかりちゃんが許してくれるか、みんなで話しあおうと思ってる」

向日葵『私と櫻子も行ってよろしいかしら』

ちなつ「そんな、迷惑じゃ……」

櫻子『大事な友達がケンカしてるんだよ、迷惑とかそんなの関係ない! てか私も迷惑かけちゃったしさ』

向日葵『櫻子の言うとおりですわ、お友達でしょう?』

ちなつ「櫻子ちゃん、向日葵ちゃん……ありがとう」

ごらく部――

京子「おーっすちなつちゃ……あれ、櫻子に向日葵?」

櫻子「お邪魔しまーす!」

向日葵「失礼致しますわ」

ちなつ「ごめんなさい、二人に昨日のこと話しました」

結衣「別に謝らなくてもいいよ。隠すことでもないしね」

櫻子「私と向日葵も一緒に作戦考えようと思って来ました」

京子「おー、それは助かる」

向日葵「単刀直入にお聞きします。歳納先輩、赤座さんが居なくても会話が成り立つというのは本心ですか?」

京子「ほ、ほんとに単刀直入だねぇ」

向日葵「ここははっきりさせておかないと、いけないと思いまして」

京子「うーん、そうだなぁ……」

京子「本心じゃないよ。いつものノリで、つい言っちゃった」

京子「あかりを空気な子としていじるのが当たり前になっててさ……」

向日葵「まず、普段からそう言った扱いをするのがよろしくないのでは?」

京子「それは分かってるんだけどね。でもあかり、結構本気で悩んでたみたいだから」

櫻子「悩み……?」

向日葵「影が薄いとか、そういうところ」

向日葵「ではなぜ、そんなところを突くようなマネを?」

京子「特徴ないのが特徴。短所を長所に変えられないかなって思ったんだよ」

櫻子「影が薄い、だけどそれがあかりちゃん! 影が薄いあかりちゃん可愛い、みたいな?」

京子「そそ」

結衣「私も京子の考えにのっかってみようと思ってさ……でも、最近はちょっとやりすぎたかもしれない」

ちなつ「ねんどチョップはまずかったですね」

京子「あれは反省してます、マジで」

向日葵「そういう考えがあった……ということを赤座さんにお話するのはどうでしょうか」

京子「だめ、だめだよ。そんなことしたらたぶん、あかりもっと悩みこむと思う」

結衣「そんな風に考えていてくれたのに無視しちゃった……どうしよう、とかあかりなら考えそうだな」

櫻子「ああ、もう! どうすればいいのさぁあああっ!」

向日葵「落ち着きなさいな櫻子。どうするかを考えているんでしょう、今」

ちなつ「押してだめなら引いてみる……こっちも無視するとか?」

結衣「うーん、それもだめじゃないかな。あかりが学校に来なくなる気がする」

ちなつ「ですよね……」

数日後――

京子「今日もだめだったかー」

ちなつ「毎日毎日作戦を実行してるのに……かなり厳しいですね」

結衣「今日んあて大室さんと古谷さんにも協力してもらったのに……ごめんね」

櫻子「そ、そんな。気にしないでください」

向日葵「そうですわ。しかし、これで私と櫻子も嫌われてしまったかもしれませんね」

ちなつ「これってかなりマズいような。あかりちゃんがすごく仲の良い子が全滅……」

京子「こ、これじゃあかりがそのうち登校拒否に……?」

結衣「やめろ、本当にそうなったらどうするんだ」

櫻子「うーん、早く何とかしないと」

京子(はぁ、何かこの数日は変な感じだな。あかりが居ないだけで、こんなに変な感じになるのかぁ)

京子(あかりは別の意味で空気ってことだったのかも。ないと生きていけないってのはちょっと大げさだけど、近くに居て欲しい)


結衣(あかりのキャラを濃くするために空気キャラ扱いとかしたけど、そんな必要なかったな)

結衣(この数日あかりがいないだけで、なんだか違和感がある。あかりは影が薄いなんてことはなかった)


ちなつ(あかりちゃんのこと、影薄いって言ったりしたけど、居ないと何か違うっていうか……)

ちなつ(結衣先輩も京子先輩も何だか変な感じだし……もちろん、私も)


櫻子(もー! いつになったらあかりちゃんは許してくれるんだろ)

櫻子(休み時間つまんないよ、あかりちゃんがいないと。割り箸ももらえないしさ!)


向日葵(入学してからずっと櫻子、赤座さん、吉川さんの四人で居たのが当たり前だったのに……)

向日葵(なくしてから気づくのですね、当たり前の大切さは)

あかりの部屋――

あかり(どうすればいいんだろう……)

あかり(毎日みんながいろいろな方法で謝ってくれるのに、あかりは許してあげられない)

あかり(だって、怖いだもん。何日も無視しちゃったんだよ。今さらどうやって話せばいいのか分からないよ……)

あかり(きっとその内みんなも諦めて、あかりに話しかけなくなるんだろうなぁ)

あかり(あはは……本当に空気になっちゃっうんだね、あかり)

あかり(アッカリーン、アッカリーン……)

あかり「うぅ、ううっ……うわぁあああああんっ!」

コンコン

あかり「だ、だれっ!」

あかね「私よ。入ってもいいかしら」

あかり「お、お姉ちゃん!? い、いいよ」

あかね「お邪魔しまーす」

あかり「何か用かな?」

あかね「あかり……」

あかねはあかりにゆっくりと近づく。
そしてあかりをそっと抱きしめながら、頭に手を載せて優しくなでる。

あかり「お、お姉ちゃん……?」

あかね「何があったかは分からないけれど、泣きたい時は泣いたほうがいいわよ?」

あかり「べ、別に何もない、もん……」

あかね「無理しないで、ね?」

あかり「あかり、無理なんてして……ううっ。無理なんて、してないもんっ……」

嗚咽を漏らしながら強がり続けるあかりを、あかねはずっと抱きしめていた。

あかね「落ち着いたかしら?」

あかり「う、うん……ありがと」

あかね「明日、許してあげましょ? あと、無視したことを謝らないとね」

あかり「でも、あかり……謝ったあとにどうやって接すればいいのか、分からない」

あかね「お友達、信じられないの?」

あかり「そ、そんなことないもん! 京子ちゃんも結衣ちゃんも、ちなつちゃんも櫻子ちゃんも向日葵ちゃんも大切なお友達だもん!」

あかね「それなら、ね?」

あかり「うん。明日、許したあとに謝ってみる……ありがと、お姉ちゃん」

あかね「大切な妹のことですもの、当然よ。ふふ……それじゃ、おやすみなさい」

あかり「おやすみなさい」

あかり(あれ? あかり、お姉ちゃんに何も話してないんだけど……まぁいっか)

次の日――

京子「今日はとうとうあの作戦に出るわけか……」

結衣「これはかなりの賭けだな」

櫻子「うー、緊張する!」

ちなつ「確か、この作戦は向日葵ちゃんが思いついたんだっけ」

向日葵「えぇ……」

京子「しっかし眠いなぁ。朝7時からあかりの家の前で貼り込むのはキツい」

結衣「まさか京子、夜更かししてたのか?」

京子「いや、さすがにすぐに寝たよ。でも普段はこの時間ぐっすりなわけで」

櫻子「ふわぁ……眠いよぉ」

向日葵「しっかりなさいな櫻子」

ちなつ「というか、この作戦は別に朝から張り込む必要なんてあるんでしょうか?」

京子「ない! でも思い立ったが吉ってやつだよ。早いに越したことは……ふわぁあっ」

結衣「かっこつけた台詞の途中であくびをするなら、まったく」

そんなことをしている間に、あかりの家の扉が開く。

京子(きたぞ、あかりだ!)

櫻子(あかりちゃん!)

京子「あかり、話なんて聞きたくないだろうけど聞いてくれ、五秒だけでいい!」

櫻子「あかりちゃん、ほんの少しだけ耳貸して!」

あかね「?」

京子「!」

櫻子「!」

結衣(あの二人……)

向日葵(何をやってますの櫻子……)

ちなつ(これ不審者にしか見えないような?)

あかね「あら、あかりのお友達かしら?」

京子「は、はいっ!」

櫻子「クラスメートです!」

あかね「そう。よければ上がってちょうだい。そこに隠れてるみんなも、ね?」

結衣(ば、ばれてる!?)

向日葵(何者ですの?)

ちなつ(一瞬心臓止まった……)

あかり「ふわぁ……眠いなぁ。顔洗ってこ……ってえぇ!?」

京子「お、おはよう。あかり」

結衣「おはよう」

あかり(え、なんでみんなが家の中に!?)

ちなつ「あかりちゃん……」

櫻子「少しだけでいいから、話聞いて!」

向日葵「聞いた上でどうするからは、赤座さんにお任せしますわ」

あかり「…………」

あかりは黙ってうなずき、部屋に来るように合図を送った。

あかりの部屋――

京子「あかりをさ、空気扱いとかしたりしてごめん!」

結衣「許してくれなんて言われて許せることじゃないけどさ……これにはそれなりの理由があったんだ」

ちなつ「あかりちゃん、影薄いっていうのは自分でも悩んでたでしょ?」

ちなつ「それで京子先輩がある日、あかりをちゃんの空気キャラを強調してみようとか言い出したの」

結衣「何いってんだって最初は思ったけどさ、空気キャラっていうのを利用して、あかりを目立たせようってことだったんだ」

向日葵「私は正直どんな発想だよって思いましたけれど、みなさん一生懸命考えた結果なのだと思いますわ」

結衣「でも、最近はちょっとやりすぎだったと思ってるんだ」

京子「ねんどであかり作ってチョップしたりとか、あかりが作った猫いじったりだとか」

ちなつ「私も、あかりちゃんをキスの練習に使おうとしたり……」

あかり「…………」

あかり「あかりのため、だったの……?」

結衣「うん。そのはずだったんだ」

京子「でもどんどんエスカレートしていって……いつしか最初の目的とは逸脱していっちゃった」

あかり「京子ちゃんが言った、無言でも会話が成り立つっていうのは?」

京子「もちろん本心じゃない。でも、あかりをそういうふうに扱うのが普通だったから……そう言っちゃった」

あかり「そうなんだ……よかった」

結衣「いや、よくはないような……空気扱いが普通って」

あかり「でも、それはみんながあかりのこと真剣に考えてくれた結果だよね」

あかり「うれしいよ……すごく」

櫻子「あかりちゃん、人良すぎじゃない? そのうち悪徳商法に引っかかりそう」

向日葵「ちょっと櫻子!」

あかり「うーん、そんなときはみんなに頼っちゃおうかな?」

京子「おう、任せとけ!」

結衣「お前はむしろ騙す側だな……」

ちなつ「ですねー」

京子「ちょっとそれどういう意味さー。心外だなぁ」

結衣「日頃の行いを振り返ってみるといいぞ、京子は」

京子「ブー。とにかく、何十回目か分からないけど謝るぞ! ごめんね!」

結衣「ごめんね、あかり」

ちなつ「ごめんなさい、あかりちゃん」

向日葵「申し訳ございません、赤座さん」

櫻子「ん? 私と向日葵は別に謝らな……」

向日葵「空気を読みなさい!」ボソッ

櫻子(ひ、向日葵の顔が怖すぎる!)

櫻子「ご、ごめんね!」

あかり「そんな……もういいってば」

あかり「よし、今度はあかりの番だね」

櫻子「ん?」

向日葵「赤座さんの番とは一体……」

あかり「この数日間、みんなを無視し続けてごめんなさい」

京子「あー、そういうことか。全然気にしてないよ!」

結衣「またまた。私の家に泊ったとき寝言で、あかりー、あかりーって言ってたぞ」

京子「ちょっと結衣、寝言バらすなんてプライバシーの侵害だぞ!」

ちなつ「結衣先輩にはプライバシー侵害されたぁい! ……じゃなくて私も気にしてないよ、あかりちゃん」

櫻子「私と向日葵はまだ無視されてないね」

向日葵「そうですわね……作戦に参加したのは昨日ですもの」

京子「それじゃ、これでみんな仲直りってことで!」

あかり「よかった、うっ……うぇえええんっ!」

結衣「よしよし、よく頑張ったねあかり」

ちなつ「うー、結衣先輩になでられるなんて、羨ましすぎるよあかりちゃん」

京子「よーし、ちなつちゃんは私がなでてあげよう!」

ちなつ「お断りです」

京子「がーん!」

あかり「うぅ、ぐすっ……あ、ありがとう結衣ちゃん」

結衣「あかりの頭撫でるなんて久しぶりだね。髪、すごく触り心地いいよ」

あかり「そ、そうかな。なんだか恥ずかしいよ、えへへ」

ちなつ「うぅ、もしかして結衣先輩って……」

櫻子「?」グーギュルル

向日葵「ちょっと櫻子……」

櫻子「しょうが無いじゃん、朝ごはん食べる時間なかったんだもん」

あかり「そうなの? それじゃ、あかりの家でみんなでごはん食べよっ!」

向日葵「そんな、悪いですわ」グーキュルル

櫻子「今、向日葵のお腹が鳴ったよね。これでおあいこだね」

向日葵「き、気のせいですわ。そう、空耳! 私が人様の家でお腹を鳴らすなんて……」

京子「残念ながら私の耳にもバッチリ聞こえたよ」

向日葵「そ、そんな……歳納先輩まで」

櫻子「あかりちゃんがいいって言ってるんだし、ごちそうになろうよ向日葵」

向日葵「む……分かりましたわよ。強引なんだから」

あかね「ちなつちゃん、だったかしら?」

ちなつ「? はい」

あかね「すぐ済むから、ちょーっとこっち来てくれるかしら」

ちなつ「はぁ……分かりました」

櫻子「先にリビングに行ってるよ、ちなつちゃん」

ちなつ「はーい」

あかね「ちなつちゃん、あかりとキスしたって本当かしら?」

ちなつ「な、なんでそれを?」

あかね「あかりの部屋の前を歩いてる時にちょうど聞こえちゃったのよ」

ちなつ「外まで聞こえたんですか……恥ずかしいです」

あかね「それで、本当なの?」

ちなつ「は、はい……」

あかね「ふふ、分かったわ。それじゃ、いただきまーす」

ちなつ「へ、ちょっ……」

有無を言わさずちなつの唇を自分の唇で塞ぐあかね。
舌をちなつの口に入れ、ちなつの舌をひたすら舐める。

あかね(ふふ、あかりの舌と絡め合ったちなつちゃんの舌……おいしい、おいしいわ!)

ちなつ「んっ、んぐっ! んんんーっ!」

数分後――

ちなつ「はぁ、はぁ……」

ちなつ(ごめんなさい結衣先輩。私、汚されちゃいました)

あかね「ごちそうさま。もうダメよ? あかりをキスの練習台になんてしちゃ」

あかね(あかりと関節キスができるという点では、とても魅力的なのだけれど)

あかね「無理やりキスされることの辛さ、少しは分かってくれたかしら」

ちなつ「は、はい……」

あかね「このことはあかりには内緒よ? でないと……」

ちなつ「もちろんです! 誰にも言いませんっ!」

あかね「ちなつちゃんが賢い子でよかったわ。あかりの友達に、あまりひどいことはしたくないもの」

ちなつ(あかりちゃんに舌は入れてないということは黙っておこう……)

京子「遅いぞー、ちなつちゃん」

ちなつ「す、すみません」

向日葵「吉川さん、このお皿持って行っていただけますか?」

ちなつ「う、うん……」

櫻子「大丈夫、ちなつちゃん? あかりちゃんのお姉さん、何のようだったの?」

ちなつ「えっと、あかりちゃんをこれからもよろしく、みたいな」

結衣「ふーん……?」

京子(あの部屋を見る限りお姉さんってアレだよな。つまり……いや、考えすぎだよね?)

あかね「おまたせ。ふふ、今日は朝から豪華ね」

あかり母「こんなに大勢いるもの。みんな手伝ってくれて助かったわ」

あかり「それじゃ、いただきま……」

京子「いただきまーす!」

みんな「いただきまーす」

あかり「ふぇえええんっ! 京子ちゃん、あかりの台詞を取らないでよぉおおお!」


                                                  おわり

あかねはアニメに出てなかった。アニメに出てないキャラは出さないように書いてたのに……すまんこ
放課うんぬんは愛知だからですよ。これも使用を避けるようにしてたのに途中で忘れてた
おかげで放課と放課後両方使ってしまってるからおかしいことに

こんな時間までお疲れ様でした!

このスレとは全く関係ないんだが、少し前に書いたSSに投下忘れが合ったからここに貼ってみる。まったく意味のない行動だけど

櫻子「向日葵のおっぱいの大きさは有罪だ!」

上記スレの>>21>>24の間


櫻子「何かさ、今日の向日葵ちょっとヘンじゃない?」

向日葵「いきなり人のことをヘンだなんて……櫻子って本当に失礼ですわね」

櫻子「だってさ、めちゃくちゃ仕事遅いんだもん。人の話も聞かないしさ」

向日葵「あ……。あれは、悪かったですわ……迷惑かけましたわね」

櫻子「普段は私が手伝ってもらいがちだから別にいいけどさ。何かあった?」

向日葵(櫻子のことを考えていたら……なんて言えるわけないじゃない)

向日葵「ちょっと考え事してただけ。それより、櫻子こそ何かありましたの?」

向日葵「先輩たちにまで胸の話を振るだなんて、想像すらできませんでしたわよ」

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