凛(おかしい……間違って召喚したかも) カービィ「ぽよ」 (1000)

凛「えっと、クラスはなんなの?」

カービィ「ぽよ!」

凛「……あんたの名前は?」

カービィ「ぽよ?」

凛「」


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王の軍勢をコックで調理し、それをイスカンダルに無理やり食わせるピンクの悪魔っぽい展開はよ。

こうやって争うのを見るとお前らダークマターに乗っ取られてるんじゃないかと思うわ
まあ大丈夫だろうダークマターならカービィが倒してくれるし
そしたら勝手にスレが埋まる事も無くなるよね? ね?

書いてく

夢を見た。

遠い銀河の話だった。

星の形をした惑星、ポップスター。

そこは長閑で、だけど度々災厄に見舞われた。

なのに平和が続いたのは、ピンク色でまあるいヤツが守っていたから。

自由気ままで、食べる事が大好きな。

時々他人に迷惑をかけてしまうけれど、それでも皆に愛された。

そんな。そんな英雄の名は――――



凛「……ゆ、め…………」

カービィ「ぴょすー……ぽよー……」スピー

凛(夢を見た。マスターはサーヴァントと繋がっていると、その過去を夢として見る事がある)

凛(きっとそれだと思う。あれは、ぽよぽよが生きていた時の……記憶)

凛(でも、断片的で、ポップスターと、それとぐちゃぐちゃに切り貼りされたぽよぽよの勇姿)

凛(それだけで、ぽよぽよに関する事は、何も分からなかった。名前も、聞こえなかった……)

凛(……遠回しに、私はマスターに向いていないって言われているみたいで、癪ね)

凛「まあ、それはそれとしてね、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ?」

凛「どうして、昨日負った傷が浅かったとは言え、こうもあっさり癒えているのかしら?」

凛(私の見立てでは、一日で治るものじゃなかった。少なくとも、明日明後日は戦闘を見送ろうと思っていたのに)

カービィ「ぽよ? ――――スリープ!」

凛「……スリープ?」

カービィ「スリープ!」

凛「……寝れば、治るって?」

カービィ「ぽよ」エッヘン



凛「――――何よ、私の心配、返しなさいよ!」



カービィ「ぽよっ……」

凛「勝手にいなくなっちゃって、ぽよぽよはどうだか知らないけど、私が知るぽよぽよは、弱いサーヴァントなんだから!」

カービィ「ぽよ……」

凛「……これからは、もうあんな事をしちゃ駄目よ。行く時は、私も一緒なんだから」

カービィ「……ぽよ!」

凛(やっぱり私は……マスター失格なのかもしれない)

セイバー「ぽよぽよ! 傷は、大丈夫なのですか!?」

カービィ「ぽよ! ぽよぷい!」ポヨンポヨン

セイバー「……昨夜は、私が……あのような真似をした所為で」

カービィ「ぽよ」

セイバー「あなたを、傷付けさせてしまった。申し訳ありませんでした」

カービィ「ぽよ! ぽーよ、ぽよ! ぽよ!」

セイバー「……相変わらず、何を言っているのかさっぱりです」

凛「自分だって挑発に乗ったんだから、セイバーばかりが悪いわけじゃないって言ってるんじゃない?」

セイバー「なるほど! そうなのですか、ぽよぽよ?」

カービィ「ぽよ」ウナズキ

セイバー「ぽよぽよ……あなたの心の広さに対して、私は何と狭量だった事でしょう!」

セイバー「シロウに黙って突撃し、あなたまで巻き込んでしまうなんて……」

カービィ「ぽーよ」ポンポン

セイバー「ぽよぽよ……ぽよぽよ!」ガシッ

カービィ「ぽよっ!?」

セイバー「私はあなたを心から尊敬します、ぽよぽよ!」ギュー

カービィ「ぽよ~!」モガモガ

凛「完治したとはいえ怪我してたんだからやめなさい」

凛「さて……藤村先生たちが来る前に、昨日の事をまとめておきましょうか」

凛「セイバー。柳洞寺には、アサシンのサーヴァントもいたのね?」

セイバー「確かに。この私と、ぽよぽよが奴の名を聞きました」

カービィ「ぽよ!」

士郎「と言う事は、柳洞寺には、二人のサーヴァントとマスターが?」

凛「まあ、そう言う事になるでしょうね。キャスターのマスターに、アサシン側が擦り寄ったと考えるのが妥当かしら」

セイバー「アサシンのサーヴァントは、私の剣技が及ばないほどの手錬れでした」

セイバー「あの場では、私一人では勝てなかったでしょう……それだけに、キャスターと組む理由が分かりません」

凛「理由なんて何だって良いのよ。そっちの方が聖杯戦争を有利に進められると双方が思えば、組むわ」

カービィ「ぽよい!」

凛「私たちみたいにね」

セイバー「確かに、ぽよぽよがいれば聖杯戦争を有利に進められるでしょう」

凛(どちらかと言えば、セイバーがぽよぽよ目当てのように見えるけどね)

士郎「っと、そろそろ桜が来るな。朝食の準備しなきゃ」

凛「いってらっしゃい。……セイバー、昨夜の事、ちゃんとシロウに謝っておくのよ?」

凛「サーヴァントとして戦いたいのは分かるけど、マスターを蔑ろにするのは、ね」

セイバー「既に、謝罪しました。私は、私が間違っていたと思えない。しかし……」チラリ

カービィ「ぽよ?」

セイバー「私の独断にぽよぽよを巻き込み、結果傷付けさせてしまったのは事実です」

セイバー「結果を見れば、私は間違えてしまった。謝罪するのが、道理でしょう」

凛「うーん、ちょっと反省が見えないけれど、まあそれは士郎と話しあっていけばいいか」

セイバー「反省はしています。もう二度と、ぽよぽよを傷付けるような真似はしません」

カービィ「ぽよー」テケテケ

凛「それもそうだけど、あなた自身もね、セイバー」

セイバー「……リン。昨夜の事で、シロウが、この私に自分を鍛えてくれと申し出ました」

凛「なにあいつ死ぬ気なの?」

セイバー「私が独断で飛び出したのは、シロウが不甲斐ないからだ、と」

セイバー「私を守る事はできなくとも、せめて私の足手まといにはならないように」

セイバー「そうすれば……私の気も、楽になるだろうと」

凛「ハァ……あいつらしい、何考えてるんだか分からない事を」

凛「いいんじゃないかしら、この際、サーヴァントの恐さを叩き込んだら?」

凛「憶えたら、もう二度とバーサーカーに突っ込むような真似はしないでしょ」

士郎「聞こえてるぞ、遠坂!」

セイバー「そうですね。私も、何度もあんな真似をされては堪りません……ぽよぽよ、こちらに」

カービィ「ぽよ? ぽよ」テケテケ

ひょい ぽん

セイバー「このように、その度にぽよぽよで癒されなければなりません」

凛「それはぽよぽよが大変ね。士郎だって学ぶわ」

ピンポーン

桜「先輩、おはようございます」

士郎「おう、上がってくれ」

桜「ぽよぽよちゃん、おはよう」

カービィ「ぽよ!」


ピンポーン

大河「しっろおー! おはよーご飯食べに来たよーん!」

士郎「朝くらい静かにしろよ藤ねえ、今は人も多いんだから」

大河「む、士郎のくせに生意気ー。でもそれもそっか。ぽよぽよちゃん、おはよー」

カービィ「ぽよ!」


凛(……思い返せば、どうしてぽよぽよはあっさりと受け入れられているんだろう?)

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよ!」クイクイ

凛(……まあ、可愛いからか)

凛「引っ張らなくても行くわよ、はいはい」

カービィ「ぽよい!」テケテケ

大河「士郎! 学校休むってどーゆー事よ!」パクパク

士郎「藤ねえ、食うか喋るかのどっちかにしろよ」

大河「士郎ぴんぴんじゃん! どうして休む必要があるのよう」パクパク

士郎「その、古傷が」

カービィ「ぽよ!」

桜「おかわりですね、はい。どうぞ、ぽよぽよちゃん」

カービィ「ぽーよ!」モシャモシャ

士郎「傷むって言うか」

セイバー「私にもお代わりを、サクラ」

桜「はい、セイバーさん。ちゃんと噛んで食べなきゃだめですよ?」

セイバー「百も承知です。よく噛んで食べる事は、料理への感謝です」モグモグ

士郎「寒くなると、昔の傷が」

大河「桜ちゃーん! 私もおかわりー!」

桜「はい、藤村先生」

大河「ありがっとー!」パクパク

士郎「……藤ねえ、この話後でいいか?」

大河「駄目よ! そんな逃げる事なんて許さないわ」パクパク

カービィ「ぽよぽよ!」

桜「えっ、もうお代わりですか?」

士郎「無理があるって藤ねえ……」

士郎「頼むよ藤ねえ。今は、学校よりも大切な事があって、そっちを優先したいんだ……」

大河「……んもう、士郎ってば昔からそうやっていつも誤魔化して。そんな時は本当に大事な事ばかりなんだから」

士郎「ごめん、藤ねえ」

大河「用事が住んだら、ちゃんと学校に来るのよ。行こ、桜ちゃん、遠坂さん」

桜「先輩、行ってきます」

大河「いってきまーす!」

凛(……ぽよぽよ、私は先に行くけど、ちゃんとくるのよ)



カービィ「ぽよ、ぽよ!」ジタバタジタバタ

セイバー「ぽよぽよ! どうして私の腕の中では暴れるのだ!」

AM 08:24

カービィ「ぷー……」フワフワ


セイバー『ぽよぽよ、どこに行くと言うのです! 外は危険です、ぽよぽよ、戻ってきなさい!』

セイバー『ぽよぽよおおおおおおおおお!』

士郎『セイバー! 近所迷惑だからやめろ!』


カービィ「ぷーよ」フワフワ

オイマタアノUMAダ! イヤアタマニフライパンヲノセテナイカラアレハタダノフウセンダロ


AM 08:39

穂群原学園屋上。

カービィ「ぷー」フワフワ ポヘッ

カービィ「ぽよ」


AM 09:21

カービィ「スピー……グー……」



凛(さっき、ちゃんとぽよぽよが飛んでくるのが見えたし……サーヴァントが襲ってきても大丈夫ね)

AM 10:52

カービィ「ぽよー……ぺぷー……」スピー

ヒュゥ……カサ

カービィ「ぽ、ぽよ……ぺぷっ!」クシュン

カービィ「ぽよ……?」ムク


AM 11:08

カービィ「ぽよ……」ジー

パタパタパタパタ……

カービィ「ぽよ!」チキン!

カービィ「すぅうううううう」プクー

ふわふわ

カービィ「ぽよー」フワフワ


AM 11:12

カービィ「ぷー」フワフワ

パタパタパタパタ……

カービィ「ぷー!」フワフワ

ヒュウ……ビュウウウウウウ!

カービィ「ぽよっ!? ぽよーーーー……」ピュー

新都・某所。

ヒュウウウウウウウウ……ポト

カービィ「ぽえっ」

カービィ「ぽよ……ぽよ」フルフル

カービィ「ぽよ?」キョロキョロ

カービィ「ぽよよ……ぽよ」

「まあ待て雑種共。先ずは王である我から読むべきであろう。それをお菓子はちゃんと分け合って食べるのだぞ」

カービィ「ぽよっ! ぽよ、ぽよ……!」テケテケ

「む……ふん、動物風情か」

深山町・公園。

ふわふわ……ぽへ

カービィ「ぽよぽよ……」

リズ「……ピンクの」

カービィ「ぽよっ!」

リズ「また、会った」

カービィ「ぽよ! ぽよー!」

リズ「…………迷子?」

カービィ「ぽよー……ぽよ、ぽよよー、ぽいう……」

リズ「穂群原学園なら、たぶん、あっち」

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよ」

リズ「どう、いたしまして。あと、これ」

カービィ「ぽよ?」

リズ「鯛焼き。美味しいと、思う」

カービィ「ぽよっ! ぽよ!」パクパクモグモグ

リズ「……じゃあ、気を付けて」

カービィ「ぽよよーい!」フリフリ

AM 12:12

フワフワ……ポヘ

カービィ「ぽよっ。ぽよー……」ヘタリ

リズ『焼き芋。美味しいと、思う』

リズ『鯛焼き。美味しいと、思う』

カービィ「ぽよ……? ぽよー」


AM 12:16

凛「ぽよぽよー、ご飯にしましょ」

カービィ「ぽよー!」


AM 14:24

カービィ「ぽよ……ぽよー……」スピー


AM 17:11

凛(ぽよぽよ、帰るわよ)

カービィ「ぽよー」スゥウウウウ

カービィ「ぷー」フワフワ

凛(……ちょっと待って、ぽよぽよ。戻ってきて)

カービィ「ぷー?」フワフワ

凛(予定が変わったわ。屋上に戻ってきて。ライダーのマスターと話す)

カービィ「ぷー!? ぷー!」フワフワ



凛「……で、話って何よ、慎二」

慎二「分かってんだろ、遠坂。僕と組めよ、僕とお前なら絶対に勝ち抜ける」

凛「それで?」

慎二「おいおい。遠坂なら、柳洞寺のマスターやバーサーカーの事を知ってるだろう?」

凛(士郎から聞いたからね)

慎二「どちらも、僕一人、遠坂一人じゃ倒せない相手だ。だから共闘しようって言うんだ」

凛「言っておくけど、私はお断りよ」

慎二「そう言うなって、もう少し考えてから……」

凛「私が嫌なんじゃなくて、あなたが嫌がるからよ」

慎二「……僕が?」

凛「だって私のサーヴァントは――――」

カービィ「ぷー!」フワフワ

凛「あれ、だもの」

慎二「――――――――」

衛宮邸・居間。

凛「ただいまー。いい匂いねー」

カービィ「ぽよー。ぽよ!」テケテケ

士郎「お帰り、遠坂。遅かったな」

凛「まあね、色々あって」

カービィ「ぽよ~……」キラキラ

凛「摘み食いしちゃダメよ、ぽよぽよ。今日ね、慎二に手を組まないかって誘われたわ」

士郎「ええっ!? そ、それでなんてっ?」

凛「断られたわ」

士郎「そうか……え? 断ったんじゃなくて、断られた?」

凛「まあ、私に意訳させれば断ったも同義なだけなんだけど。その前に、私は断る気だったし」

士郎「どう言う意味だ……?」

凛「あいつ……ぽよぽよを見るや否や」


慎二『とっ遠坂ぶひゃはははははあはァ! おま、ひひ、お前のサーヴァント、それかよ、ひひゃはははは!』


凛「あまりに腹立ったから思いっきりぶん殴っちゃった」

士郎「ううむ……同情はできんが、哀れな奴……」

凛「衛宮くんと手を組んだって事も言ったから、それも合わせてもう話しかけてこないと思うわ」

士郎「大丈夫なのか? そんな事して」

凛「どうにかできる度胸があるなら、最初から何かしてると思うけどね」

凛「そう言えば殴って地面に倒れた直後、なんか「タンマタンマ!」つってタップしてたけど、あれ何かしら?」

カービィ「ぽよー……」ジュルル

凛「さて、士郎。あんたが得意とする魔術は強化魔術と、しょぼい投影魔術。間違いないわね?」

士郎「ああ、そのはずだ。親父が……と言っても、育ての親なんだけど。その人が、そう言ってた」

凛「じゃあ試しに。このランプを強化してみて」

士郎「ああ」スッ

キィイイイイイン……

カービィ「ぽよ?」

凛「ぽよぽよ、邪魔しちゃダメよ」ギュ

キィイイイイイイイイイイ――パリン!

カービィ「ぽよっ!?」ビクッ

士郎「わっち……あー、ごめんな、ぽよぽよ」

凛「呆れた。魔術回路を上手く起動できていないのね。出鱈目なはずだわ」

凛「って言うか、それ以前に集中できていないし。何かあったの?」

士郎「いや……」

カービィ「ぽよ……」


セイバー『シロウが入浴したい意思に気付かなかったのは、私の落ち度でした。しかし今後は、このような事が……』

士郎『す、すまなかったセイバァー!』タタタ


カービィ「ぽよ?」

凛「まあ、大体思った通りよ」ゴソゴソ

凛「はい、これ呑んで士郎」

キラキラ

カービィ「ぽよっ!」

士郎「なんだこれ? 飴か?」パク カリカリ

凛「噛まずにそのまま呑んで」

士郎「んグッ……ぐえ! マズゥ、なんだこれ……」

凛「宝石よ。魔力を籠めた」

士郎「宝石――――う」クラリ

凛「苦しいでしょうけど、我慢して。魔術師と人間の違いは、魔術回路をオン・オフ……」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」

凛「ああ、こら、ちょっとぽよぽよ! これは食べ物じゃないの、宝石、食べても美味しくないのよ!」

凛「こら、ぽよぽよ! 令呪を使うわよ、やめなさい!」

カービィ「ぽよー……」

俺「ぽよー……」

凛「気分はどう?」

士郎「ちょっと、気持ち悪いな……」

凛「そうでしょうね。士郎は魔術を使う度に、魔術回路を一から作り直してるみたいだから」

凛「今呑ませたのは、体の中で閉じている魔術回路のスイッチを、強制的にオンにする効果があるの」

凛「それが自分でできるかどうかが、魔術師と人間の違いなの」

士郎「スイッチって……?」

凛「もうすぐ分かると思うわ。「スイッチ」をイメージできれば、それのオン・オフを自分でできるようになるから」

凛「そうすれば、魔術回路もすぐに開けるようになる」

士郎「スイッチ、か……」

凛「さて、続けましょう。大体強化魔術なんて初歩中の初歩なんだから、すぐにマスターしなくちゃだめよ」

凛「えっとランプらん……」

カービィ「ぽよー」ゴソゴソ

凛「こら! ぽよぽよ! バッグの中を探しても宝石は出てこないの、やめなさい!」

カービィ「ぽよー!」

凛「んもう、セイバー! ぽよぽよのお守をお願い!」

セイバー「任されました」

士郎「うわっセイバー! お前いつの間に……」

セイバー「行きましょう、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよー……」

凛「全く。流石に、士郎との訓練の時まで連れて来るべきじゃなかったわね」

士郎「……セイバー、ぽよぽよ絡みだと素早いな」

衛宮邸縁側。

士郎「ふう……」

士郎(遠坂のやつ、もう少し緩めてくれたって良いのに……初日からこれじゃ、思いやられるな、俺)

士郎(でも、まあ、遠坂には感謝するべきなんだろうな。同盟を組んでいるからって、ここまでしてくれるなんて)

士郎(ただ、セイバーとの特訓から、夕食を挟んで遠坂のこれじゃあ、身が持たん)

カービィ「ぽーよ」テケテケ

士郎「おっ、ぽよぽよ。どうした? セイバーや遠坂は一緒じゃないのか?」

カービィ「ぽよ」

士郎「そっか、いないんだな。珍しい」

カービィ「ぽよ」ポテ

士郎「……そう言えば、ぽよぽよと二人きりになった事って、無かったよな」

カービィ「ぽよ?」

士郎「いや、一度だけ。ライダーと接触した時があったな」

カービィ「ぽーよう」

士郎「あの時、びっくりしたぜ。ぽよぽよがまさか、あれだけ戦えるなんて」

カービィ「ぽよ!」

士郎「この家の中で、まともに戦えないのは俺だけだ……」

士郎「早く……もう、セイバーにあんな真似をさせないくらいには、強くならなくちゃ」

カービィ「ぽよ。ぽーおぽーよ、ぽやっ」

士郎「ははは。励ましてくれてるのか? ありがとな」

カービィ「ぽよ……」

凛はカービィを召喚する際に例の宝石を使用したな……。
本来、アーチャーが出るところにカービィが出てきたということは……。
間違いない、カービィは士郎にとってのもう一つの可能性、カービィは未来の士郎だったんだ!

翌日。

衛宮邸・居間。

士郎「休む!? 遠坂まで、学校を休むって!?」

凛「当たり前じゃない。ねえ士郎、今の自分のレベルがどの程度か、把握してる?」

士郎「え? いや、それは……まったく」

凛「私に言わせればずぶの素人に加えてへっぽこ魔術師よ」

士郎「へっぽこ……」

カービィ「ぺっぽぽ?」

凛「一度でも師となったからには、私だって手を抜かないわ。セイバーとの訓練と交代で、ぶっ通しでアンタをシゴく!」

士郎「うええっ」

凛「まあ、それとは別に、そろそろぽよぽよを隠すのも辛くなってきたのよね」

カービィ「ぽよ?」

士郎「ああ……今や冬木中に「空飛ぶフライパンを被ったピンクの風船型UMA」として広まっちゃったからな」

凛「どうせ慎二にはマスターだってばれちゃったし、だったらもう隠す必要もないわ。大丈夫よ」

士郎「……でも、俺ならまだしも、藤ねえをどうやって説得するんだ? 流石に……」

凛「それを考えていない、私だと思って?」

士郎(よし、これで遠坂の訓練を回避する望みは潰えたな……)

士郎「ぽよ。ぽーおぽーよ、ぽやっ」

凛「……と言うわけで、今日から私も、学校を休みたいと思います」

大河「ううむ、そう言う理由なら……まあ、仕方ない、かな?」

カービィ「ぽよ! ……ぽよ?」

士郎「どうした? ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ」

凛「ああ、お代わりが欲しいのね。いつもは間桐さんが、仕草で察してやってくれるから」

士郎「ああ、そっか。ほら、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ!」モシャモシャ

大河「そうねえ、桜ちゃんも心配よねえ。今日は、休むんだって」パクパク

大河「なーんか寂しくなっちゃうなー。士郎ぉ、早く戻ってきてよー」

士郎「ああ、いつかな、いつか……」

セイバー「シロウ、私にもお代わりをください」

士郎「ああ、ちょっとまってくれ。はい、セイバー」

セイバー「ありがとうございます」モグモグ

桜と違ってぽよぽよ出来るほど無いだろ、凛には

衛宮邸・道場。

士郎「いやああああ!」ブン

セイバー「振りが、荒い!」ヒュ

バシッ!

士郎「ぐわ! くっ……ッハァ!」ゼェゼェ

凛「……三時間ぶっ続けで、士郎はセイバーに一本も取れず、セイバーは眉一つ動かさず」

凛「まあ、大したものだわ、両方。まあ、特にセイバーの方が、だけど」

凛「やっぱりそれって、女が戦場に立つ為の基本の心構えなのかしら?」

セイバー「それは違います。私は、生まれてから一度も自分を女だと思った事はない」

士郎「…………」

セイバー「それに、私は戦う為にこの時代に来た。性別など、意識するのは無意味と言うものです」

凛「さて、じゃあ次は私の番ね」

士郎「ま、待ってくれ。セイバーにしばかれたばかりで、もうへとへとで……」

凛「何甘ったれた事言ってんのよ。今は一分一秒だって時間が惜しいのよ! せっかくぽよぽよが寝てる時間なんだから!」



カービィ「ぽぴー……ぺぽー……」スピー

衛宮邸・凛の部屋。

士郎「遠坂の奴、どれだけ強化用のランプ持って来たんだ……部屋一面埋まるじゃないか」

凛『ちょっと出てくけど、戻るまでには全部終わらせておく事ね』

士郎「これだけあっても、足らないって思ってるんだろうな……よし、昨日の感じを思い出して!」キィイイイイン


衛宮邸・土蔵。

凛(ここが、士郎の『工房』ね。魔術師は基本、自分の魔術を執行し易い環境、『工房』を作る)

凛(士郎はここで、よく魔術の練習をしたと言っていた……まあ、十中八九ここは工房化してる)

凛「んっ、しょ……」

ギギギ……

凛(……土蔵だから仕方ないけど、埃っぽいわね。――――これは)

凛(乱雑に置かれたやかん、竹刀、缶の箱……微かに感じる魔力。士郎が魔術で作った物。だけど、これは)

セイバー「リン。なにをしているのですか?」

凛「……あいつ、何者よ。セイバー、この事は知っていたの?」

セイバー「いいえ、私は騎士ですから、魔術の事は」

凛「……魔術って言うのはね、等価交換なのよ。そこにある物と交換して奇跡を生み出すに過ぎない」

凛「だけど、これは……ここにある『モノ』は、違う。士郎は、何処にもない物をこちらに持ってきている」

凛「何も交換せずに、この『奇跡』を生み出している……強化、投影、あいつはそれに特化した魔術の化身!」

セイバー「シロウは、この事を」

凛「気付いていないでしょうね、あの有様じゃあ」

凛(対価無しに奇跡を魔術で生み出すのは不可能。世界の何処も削らないなら、自分の身を……)

衛宮邸・凛の部屋。

士郎「……全滅か、参ったな。遠坂にどやされる」

士郎(でも、感覚は掴めてきたような気がする……何かが、足りないんだ)

プルルルルルル……プルルルルルル……

士郎「ん、電話か……よっと」


衛宮邸・居間。

カービィ「ぷい……ぽや……」スピー

プルルルルルル プルルルルルル

カービィ「ぽよっ!? ぽよ?」キョロキョロ

カービィ「ぽよ……」テケテケ

士郎「……なんか用か。……俺に教える? ……いや、今はいない。少し、席を外している」

士郎「遠坂に? 慎二、お前は……。切りやがった……今から、学校に?」

カービィ「ぽよ……」コソ

凛(……暫く調べ回したけど、やっぱりそう。士郎の投影魔術は、投影であって投影でない)

凛(投影魔術は、イメージしたものを一時的にこの世界に具現化するだけ。長時間維持する事はできない)

凛(だけど、ここにある士郎が投影した道具たちは、どれだけの間放置されてきたか)

凛(士郎の投影で生み出されたこれらは、この世界に存在を固定されている)

凛(士郎のお養父さんは、どうしてそれを教えなかったの! 魔術師なら、それくらい……!)

セイバー「リン、ぽよぽよを見ませんでしたか?」

凛「ぽよぽよ? 居間で昼寝してないの?」

セイバー「居間には。シロウの部屋も、リンの部屋も探しましたが、いませんでした」

凛「まあ、昨日の今日だから、ぽよぽよも勝手にどっかに行くなんて事はしないでしょ」

凛「って言うか、いたとしても、せっかく眠ってるんだから放っておきなさいよ」

凛「それに、私の部屋に行っても、士郎の鍛錬の邪魔になるんだから……」

セイバー「士郎なら、いませんでしたが?」

凛「は?」

セイバー「壊れたランプばかりの部屋にガラス片が散らばってるだけでした」

凛「…………いやいやいやまさか」

士郎がサーヴァントの武器投影→それをカービィがコピー

穂群原学園。

士郎(ここに来るのも。久しぶりだな。って言っても、一日休んだくらいだけど……)

カンカンカン……

士郎(……おかしい)

カンカンカン……

士郎(今は、休み時間のはずだ。どうして、誰もいない?)




 ぎゅる。

士郎「――――ぐ、う」

士郎(なんだ、この、気だるい、感覚は。吸い取られるような、気分が悪い……)

士郎「あ……あ……」

士郎(窓の外。学校を、覆うように、赤い枝分かれした線が、空に浮かんでいる)

士郎「これが、遠坂の言っていた、結界か……!」

士郎(まだ、この時間には生徒が……教室に……)ガラッ

「うう……」

「はあ……はあ……」

「あが、が、あ……」


士郎「う、うぶ――――」

士郎(まるで死体が並ぶように、学校中の人間が倒れ伏し、呻いている)

士郎(くそ、思い出す)ダッ

士郎「う、ふう……くそっ!」


慎二「よお、衛宮ァ」


士郎「ッ……慎、二」

士郎(慎二の持っている本……あれが、マスター権を譲渡するっていう本か!)

慎二「思ったより元気そうで何よりだぜ。どう、僕が凝らしたこの趣向は?」

士郎「これは、お前の仕業か、慎二!」

慎二「そうだとも」

慎二「お前が校舎に入ってくるのが分かったんでねえ。すぐに結界を発動させたんだ」

士郎「テメェ……!」

慎二「これでもタイミングには苦労したんだ。早すぎると衛宮に逃げられるし、遅すぎると僕と鉢合わせる」

慎二「僕としてはこの惨状を見た衛宮が顔面蒼白になる所を見たくってさあ」

慎二「ただ結界を発動するだけじゃあ、面白くなかったんだよね!」

士郎「話があるって言うのは、嘘だったのか!」

慎二「話は、ここからさ。僕とお前、どちらが優れているのか、遠坂に思い知らせるんだ」

慎二「へへへへえひゃ……はっははははははははは! ……お前と、遠坂が悪いんだ!」

慎二「一緒に戦おうって誘ってやったのに、断ったりするから!」

士郎「戦う気が無いって言ったのは!」

慎二「僕だってできれば、こんな物は発動させたくなかったさ」

士郎「今すぐ、結界を止めろ! 何をしているのか分かっているのか!」

慎二「何、僕に命令しちゃってるわけ! 全く、藤村と言いお前といい、土下座くらいするのが筋じゃないの?」

士郎「藤村……藤ねえが、どうしたって!」

慎二「あいつ、この結界ができて結構しぶとく動いてたんだよね。僕に縋ってさ、「救急車を呼んでぇ」って」

慎二「ははは、すごいよね、他の奴らがバタバタ倒れる中さ。でも僕だってそんな物呼ぶわけにもいかないじゃん?」

慎二「それでもうるさいから、鬱陶しくなってさ。一発蹴りいれたら、ひひ、ぴくりとも動かねえでやんの!」

慎二「あの分じゃ真っ先に死んだんじゃねえの! はははははは、ひゃははは!」

士郎「……結界を止めろ、慎二」

慎二「そんなに気に食わないならさあ、力尽くでやってみろよ!」

士郎「なら、そうしてやる!」ダッ


慎二「ホントにお前は、馬鹿だね!」スッ

ヒュンヒュンヒュン!


士郎(あの本、あれ自体が魔力を持っている! ある程度の魔術も使えるのか!)

士郎(歪んだ空間から、地を這う黒い三本の爪! だけど、その間を――――)

グオォ!

士郎「ぐっ! ……くう!」

慎二「ば、馬鹿な!」

士郎「……慎二ィ!」

慎二「ヒィ! ら、ライダー!」


――――――――じゃららららららら!

士郎「この音!」

ブスリ!

士郎「ぐ、うおおお!」

士郎(腕に……何かが!)

スタ……

ライダー「…………」

慎二「い、いいぞぉ、ライダー! そのまま、衛宮を殺しちまえ!」

士郎「くそぉ、ライダアー!」

ライダー「…………」クン ヒュ


士郎「うおわあああ!」

士郎(腕に刺さった暗器、まるで返しが付いているように離れない! 引っ張られる!)


ライダー「フッ!」ビュン

じゃららららら! ブズ!

士郎「ぐう!」

ライダー「…………」ビュン ビュン

ザク! ブス!

士郎「が! あああ!」


慎二「ははは、衛宮風情が、この僕に逆らうから、こうなるんだア!」

「ぽよ!」

ポヘ。


ぱりん!

慎二「へぇっ!?」

ライダー「あ…………」

士郎「お、お前……!」


くるくる ぽよん すたっ

カービィ「ぽよ!」


士郎「ぽ、ぽよぽよ! どうしてここに!」

カービィ「ぽよ! ぱーやう! ぽよぽよ!」

士郎「な、何を言ってるのか分からんが、怒っているのは分かる」


慎二「……ふ、はははは。おっもしろいなぁ衛宮! ピンチなお前を助けに来たのは、くく」

慎二「こんな、ちっちぇえ弱そうな遠坂のサーヴァント! あはははは、あはははははははははは!」

慎二「丁度良いや、この際、衛宮と一緒にそのボールもぶっ殺してやるよ!」

慎二「やれ! ライダー」


ライダー「…………」


慎二「何をしている! やれって言ってるだろ、ライダー! おい!」


ライダー「……覚悟を、サーヴァント」ジャラ

カービィ「ぽよ!」

カービィ「ぽよ!」

ライダー「フッ!」ヒュン ヒュン

じゃらららららら! じゃららららららら!

カービィ「ぽよ!」クルン

カービィ「ぽお、よっ!」ガシッ!

ライダー「その鎖を掴んでも、私は捉えられません」

カービィ「ぽよ!」

ライダー「あなたより、私の方が力が上です」クィ


カービィ「ぽよっ!」ギシ!


ライダー「なっ……私の怪力と、拮抗すると言うのですか」

カービィ「ぽよ!」グイグイ


ライダー「しかし、これなら――」ジャラ ビュン

じゃらららららら!

カービィ「ぽよっ!? ぽよ、ぽよっ!」ピョン

じゃらら、ズガン

カービィ「ぽよよっ」ポヨン

コロコロ……

カービィ「ぺふっ」ムクッ


ライダー「うっ…………」

カービィ「ぽよ! ぽよー!」テケテケ

ライダー「……フッ!」ヒュン

タタタタ……

士郎「待て、慎二!」

慎二「ひあはっ……来るな、来るなア!」ゲシッ

がらんがらんっ!

慎二「ひえへえ! ひあ、ひは」ヨロッ タタタ

ヒュンヒュンヒュン!

士郎(さっきの攻撃魔術! 走りながらでも発動できるのか!)

士郎「だったらこっちも!」カラン

士郎「使いやすい長さに折って!」バキッ

士郎(さっき慎二が蹴飛ばした掃除用具、その中のモップを、強化する!)キィイイン バチバチッ!

士郎(構成材質、解明。基本骨子、解明。トレース、オン!)

キィイン!

士郎「うおおおおおおお!」

グオ

士郎「ああああ!」ブンッ!

ギチッ ヒュゥゥ……

士郎(素人魔術なら慎二も同じ! 簡単に、消える!)

慎二「ひ、ひいいいいい! うあああ、ああああ!」バタバタ

じゃらん!

カービィ「ぽよ!」ヒョイ

ライダー「避けても、次を!」ビュン

カービィ「ぽよよっ!」ヒョイ


ライダー「くっ…………」クイッ

じゃららららららら!


カービィ「ぽよ……ぽよ!」ガシッ!

ライダー「なっ!」

カービィ「ぽよー!」

ライダー(引き戻す鎖に掴まって、私に接近を)

ライダー「近寄らせない!」ビュン

カービィ「ぽよっ!」プクー フワフワ

じゃらららららららら…………

ライダー(その場で浮いて回避……!)

カービィ「ぷー!」フワフワ

ライダー「しかしその状態では、攻撃も――――」


カービィ「ぽよ!」ポヘ


ライダー「空気弾――――ウッ!」パンッ

カービィ「ぽよー!」キック

げしっ

ライダー「うぐっ、くう!」

スタッ

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよ、ぽーよー!」フリフリブンブン

ライダー「うく…………この期に及んであなたは、話し合いが、通じると……」

カービィ「ぽーよ! ぽよぽよ! ぽよ!」フリフリクイクイ

ライダー「…………私には――――」

タタタタ……

慎二「ライダー! 何をやっているんだライダァー!」

士郎「逃がすかよ!」


慎二「はあっ、はぁ、ひい、はぁ! あ、はああ、ああ、なんで、どうして行き止まりなんだよ!」

士郎「慎二!」ポイ カランカラン

慎二「え、衛宮ぁ……くそ、どうして、なんで、僕の思い通りに事が進まないんだよ!」

士郎「慎二ィ!」ブン

バキッ!

慎二「……ぶえっ!」

士郎「慎二! 結界を止めろ!」グイ ダンッ

慎二「ぐ、く、かはっ! ふ、ふざけるな、誰がお前なんかの……ぐ、うぐうう」ギリギリ

士郎「なら、お前をこのまま、絞め殺すだけだ!」ググ

慎二「うぐあ! で、できるかよ、衛宮、よりにもよってお前が……!」

士郎「慎二、俺もお前も魔術師としては半人前だ! だけどな、一つだけ確かに教わった事がある」

士郎「どれだけ取り繕っても、魔術は自分を殺し、人を傷付ける術なんだと!」

士郎「だから、魔術師は、魔術師を殺す事を一番に覚悟している……」

士郎「それが、半人前同士であっても!」グググ

慎二「ぐあ、かぁっ……」

士郎「お前はそれを、誰にも教わらなかったんだな……」

慎二「わ、分かった、結界を止める、止めるから、手を、ぐええっ!」ギリギリ


慎二「ライダー! 結界を止めろ! 『ブラッドフォート』を止めろおおおお!」


ライダー「…………私は、あなたの言葉が、分からない!」ジャラ

カービィ「ぽよっ……」


慎二「ライダー! 結界を止めろ! 『ブラッドフォート』を止めろおおおお!」


ライダー「ッ…………」

カービィ「ぽよ……ぽよ」


慎二「今すぐだライダー! 早くしろよ! 僕が殺されても良いのか、ライダー!」


ライダー「…………」キン

カービィ「ぽよっ。ぽよ、ぽよ」

ライダー「…………くっ」ヒュン


カービィ「ぽよ……ぽよ! ぽよぽよ!」テケテケ……

慎二「結界を止めた、な? 衛宮、これで良いだろ?」

士郎「まだだ! 令呪を、その本を捨てろ。そうすれば、二度と争う事もない!」

慎二「ふ、ふざけるな、いくらお前だって……!」

慎二「令呪が無くなってしまったら、ライダーを……サーヴァントを従えられない!」

慎二「そうなったら、僕は……!」

士郎「冬木教会……言峰教会に、行けばいい! あそこなら、敗れたマスターを保護してくれる!」


ひゅ


士郎「ハッ――――」ダッ


ライダー「…………」ジャラン……

士郎「ライダー……!」

慎二「げほっ、げほ……ライダー、お前ェ! 僕が、死んでも、良いのか!」

ライダー「この場から離脱します」

慎二「なっ……に、を勝手な事を! 遠坂の、あんな、あんな!」ワナワナ


カービィ「ぽよー!」テケテケ

士郎「ぽよぽよ! 無事だったか!」

慎二「あんなサーヴァントにさえ見えない弱っちい奴に負ける癖に! 余計な真似しやがってッ!」

ライダー「…………」ピクッ

カービィ「ぽよ!」ジリ

ライダー「……ご安心を。私のクラスはライダー。私の宝具は他のクラスのそれを凌駕しています」

慎二「なにィ……!」

ライダー「何者であろうとも……」

カービィ「ぽよ?」

ライダー「我が疾走を妨げる事はできない」スッ……

ドスッ! ブシャアアアアア……

士郎「じっ、自分の武器を、自分の首に突き刺した……!」

カービィ「ぽよ……!」

慎二「ひぃ、ひぃい!」

キン……シュウウウウウウウウウウ

士郎(な、なんだ。飛び散った血が空中で留まって、円を描くように……!)

士郎「魔法陣、これは……!」

シュウウウウウウウウ……

士郎「うおわ! な、なんだこの魔力……!」

カービィ「ぽよ……ぽよ! ぽよよ!」クイクイフリフリ

士郎「ぽよぽよ! なに、しゃがめって!?」

カービィ「ぽーよー!」

士郎「わ、わかった――――」



――――カッ

カービィ「ぽよ、ぽよ」ペチペチ

士郎「う、く……ああ」ムク

カービィ「ぽよ」

士郎「ぽよぽよ、無事だったか…………」



士郎「なんだ、これ」

ヒュウウ…………

士郎「天井が、ない。窓も全部、横薙ぎに……反対側の廊下の突き当たりも、壁に穴が……」

カービィ「ぽーよ」

士郎(まるで何かが突き抜けたような傷跡。何か? そんなもの、決まっているじゃないか)

士郎「慎二とライダーが、いない」

士郎(最後に見えた発光。俺とぽよぽよの真上を、通過していったあれは……ライダー、なのか?)

士郎「……う、ぐ……」フラリ

カービィ「ぽよっ!? ぽよ! ぽーよ!」ペチペチ

カービィ「ぷー」フワフワ

士郎「…………」

カービィ「ぷー」フワフワ


衛宮邸・庭。

凛「さっきの光……ううん、そんなはずない。だってぽよぽよには、ちゃんと言いつけたんだから」

カービィ「ぷーうー」フワフワ

凛「ぽよぽよ!? どこ、ぽよぽよ!」

カービィ「ぷー」フワフワ

凛「ぽよぽよ! ぽよぽよ、どこに行ってたの! 探して……士郎? ちょっとアンタも何してんのよ!」

士郎「…………」

凛「まさか、あんたたち! ……いえ、怒るのは後ね。セイバー、手伝って!」

セイバー「リン! ぽよぽよが見つかったのですか……シロウ!」ダッ

凛「こいつの部屋に運んでおいて」

セイバー「分かりました。シロウ……」

カービィ「ぽよ」ポヘ

凛「さて……」

凛「ぽよぽよ。どうして勝手にどこかへ行ったの。もうしないでって、言ったじゃない!」

カービィ「ぽよ……。ぽよ、ぽよよ、ぽよ」

凛「なっ……んもう、アンタと来たら!」

凛「本当に、やっぱり! 何も考えていないのね! 心配する私が馬鹿だわ!」

カービィ「ぽよ、ぽよ」シュン

凛「ぽよぽよ。次は、次こそは、私も一緒に行くんだから」

凛「サーヴァントばかりに働かせていたら、駄目なマスターだって思われる」

凛「私たちは、マスターとサーヴァントで一つなのよ。だから、もう勝手に、何処にもいかないで」

カービィ「……ぽよ!」

凛「本当に、分かった?」

カービィ「ぽよ!」

凛「もし、次、勝手にどこかへ行ったら、暫く夕食抜きにするから」

カービィ「ぽよ! ぽよぽよ、ぽよ!」

凛「嫌なら! もうしない事!」

衛宮邸・士郎の部屋

士郎「…………」

凛「目が覚めた?」

士郎「……遠坂。いたのか」

凛「ずっと看病してくれた人間に随分ね! 本当だったら、シロウなんか気にしてる場合じゃないんだから」

士郎「そうか……ありがとう。また、お前の世話になっちまったな……」

凛「まあ、そんな大した事じゃないんだけど。あんた、また傷が勝手に治ってるみたいだし」

士郎「傷が?」

凛「バーサーカーの時と同じ。傷を塞ぐだけなら、放っておいても大丈夫なくらい」

凛「だけど、あまり調子に乗らない方がよさそうね。それ、たぶんセイバーのおかげだから」

士郎「セイバーの……?」

凛「士郎からは、満足な魔力供給はない。逆にセイバーから魔力を吸い取って、それで回復しているのかも」

凛「どう? これでもまだ無茶な真似ができそう?」

士郎「うっ……」

凛「ま、いじめるのはこのくらいにしてあげるわ。あとでセイバーからたっぷり叱られるでしょうから」

士郎「セイバーも、怒ってるよな……」

凛「私なんか比じゃないわ」

士郎「そうだ、学校は! あの後、どうなったんだ?」

凛「学校の方には綺礼が行ったわ。言峰教会の」

凛「病院に運ばれた生徒は多いけど、とりあえず命に別状はない」

士郎「俺は、どうやってここまで帰って来たんだ?」

凛「ぽよぽよがあんたを背中に乗せて帰って来たのよ」

士郎「そうか……ぽよぽよが」

凛「士郎、あんたねえ。人のサーヴァントこき使って「そうか」の一言で済まされると思ってるわけ?」

士郎「いや、だってそれはぽよぽよが勝手についてきて……」

凛「追い返すなり、自分の令呪を使ってセイバーを呼ぶなりすればいいでしょうが!」

士郎「それはそうだけど、それどころじゃ無かったって言うか……」

凛「もう。戦闘に続いて、意識の無い士郎を背中にここまで飛んできて。今、疲れて眠ってるわ」

士郎「じゃあ、ぽよぽよの方には怪我とかないんだな? よかった」

凛「不幸中の幸いだけど、ね」

衛宮邸・道場。

凛『セイバーなら道場にいるわ。早い内に、行っておきなさい』

士郎「軽い死刑宣告を受けた気分だ……ええい」

士郎「セイバ……」


セイバー「 シ ロ ウ ! 」


士郎「うぎっ!」

セイバー「座りなさい、ここに!」

士郎「は……はい」

セイバー「シロウ! あなたには言いたい事が山ほどある!」

士郎「できれば二つほどで」

セイバー「私を置いて敵の誘いに乗った事! 一人で戦おうとした事! 自分の体を気遣おうとしなかった事!」

セイバー「あれほど言ったのに私を令呪で呼ぼうとしなかった事! ぽよぽよを連れていった事!」

セイバー「分かっているのですか、シロウ! そのどれもが死に直結する愚行です!」

士郎(他はまだしも最後のはただの私怨だろ……)

セイバー「 分 か っ て い る の で す か ! 」

士郎「はい!」

セイバー「こうやって私を追い詰めて、何が楽しいのです……!」

士郎「いや、その……」

セイバー「今日という今日は、あなたの考えている事をとことん聞かせてもらいます!」

士郎(でも、確かに……俺は、一人で先走った。あの時のセイバーの事を、言えない……)

士郎「すまない! 俺が……馬鹿だった」

セイバー「全くです! 今回は引き分けに持ち込めたからまだよかったもののぽよぽよに何かあったらどうするつもりなのですか!」

セイバー「大体ぽよぽよはリンのサーヴァントであり、あなたのサーヴァントはこのセイバーなのです!」

セイバー「あなたの身を万が一の時に守れるのは私だけで、それをどうしてぽよぽよぽよぽよ…………!」

衛宮邸・凛の部屋。

凛「…………」

カービィ「ぷぴー……ぺぷー……」スピー

凛(ぽよぽよは私の指示も無く、アサシンのサーヴァントに『魔法』・宝具級の奥義を使わせた)

凛(士郎曰く、慎二にライダーの結界を解除させるまでの時間を稼いだ)

凛(ぽよぽよは、私がいない方が動きやすいの? そっちの方が、ぽよぽよは強いの?)

凛(……そうよね、所詮サーヴァントは戦い、マスターは後ろで隠れるだけ)

凛(その時、せめて死なないようにする術を身につければいい。戦う必要なんて、ないのよ)

カービィ「ぽよ……ぽよ……」スピー


凛(じゃあ、私は、私は……)



凛「ぽよぽよにとって私は、必要ないの……?」

カービィ「ぽよ……ぽよ……」スピー



凛(どうなのよ、ぽよぽよ…………!)

……………………オオオオオオオオオオオ

次回、「カービィ天空を呑む」。

風呂入る、気が向いたらそのまま続き書く

そうそう、なんかこのSSで質問有ったら書いてください
擬音だらけだから「ここどう言う状況?」とか「なんか凛キャラちがくね?」とか

次にコピー能力が発現するまでまだ結構かかる?
逆に本気っぽくていいけど、カービィ使ってここまでコピー出ないのは新鮮だ

原作知らないから原作準拠で皆分かってる事なのかもしれんが

戦闘シーンでは
カービィがライダーを足止めしてる間に士郎が敵のマスターを追い詰めて結界を解除させた後
ライダーが敵のマスターと一緒にすごい逃げた
みたいな感じ?

>>168
これ
コピー使わないようにしてる理由あんの?
コピーがカービィの基本戦術だと思うけど

ワープスターやスターロッドとかは宝具として登録されてるかが気になる。
あと、このカービィはゲーム準拠の「わかもの」?

>>168
いつ出るんだろうね。知っての通り即興で書き始めてぶっちゃけ今もそうだから俺にもわかんない

>>169
そんな感じ。分かり辛くてごめんよ

>>170
出さないようにしてるのはある。だって毎回毎回違うの出せる状況なんてありませんよ
凛もまだ、カービィの特性に気付いていないし

>>174
宝具設定とか俺の方が聞きたいくらいだわ。最初にスレ立てた奴は何を宝具にしようとしてたんだ
基本設定はアニメだけどゲームから色々摘んでる感じ
だからわかものかわかものじゃないかと言われたらわかものじゃないかもしれない

夜・新都某所。

慎二「チクショウ……衛宮の奴、僕の邪魔しやがって……なんで僕の思い通りに、ならないんだよ……」フラフラ

慎二「全部、全部、全部、全部、全部、全部……」

ワイワイキャハハザワザワ……

慎二「全部、全部、全部、全部……」

ザワザワガヤガヤ……

慎二「ぶっ壊しちまえ……!」

慎二「衛宮の野郎も、あのピンクのサーヴァントも!」

ガシャアアン!

慎二「はあ、はあ、はあ!」

「え、なに……?」

「しらね。あいつ、いきなりゴミ箱を蹴り倒しやがった」

慎二「くそっ! どいつもこいつも、僕の事、馬鹿にしやがって……!」

慎二「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」


ウオオオオオオオオ……ヒュウゥウウウウ……

ライダー「…………」

カービィ『ぽよ!』

ライダー「…………ぽよ、ぽよ」ポツリ

翌日。

衛宮邸・凛の部屋。

カービィ「ぽよ……ぽよ……」スピー

凛「ぽよぽよ、起きて」ポヨン

カービィ「ぽよ、ぽよ……」ムク

凛「作戦会議よ。ライダーの事で」

カービィ「ぽよ!」

凛「そう。戦ったのは、ぽよぽよと士郎。だから参考までに話を聞きたいの」

カービィ「ぽよ?」

凛「まあ、ぽよぽよはいるだけでも良いわ。来て」

カービィ「ぽよ!」テケテケ



凛「……………………」

衛宮邸・居間。

カービィ「ぽよ、ぽよ」フラフラ

士郎「それで、学校の生徒たちの方はそのまま問題無いらしい。藤ねえも、もう病院食のお代わりを要求するくらいだとか」

凛「そう、それはよかったわ。で、士郎は慎二とライダーをどうしたいのかしら?」

士郎「探す。あれだけの事をしたんだから、慎二には責任を取らせる。ライダーは、倒す」

セイバー「しかし、士郎の体は、まだ完全には癒えていません。今は休息を取るべきでは?」

士郎「いや、放っておけば、慎二の奴はまた何をしでかすか分からない。今度は、もっと恐ろしい事をするかも……」

凛「そうね。まあ、早い内に討っておくのは正解かも」

セイバー「……そうですか。マスターであるシロウの言葉なら、私も従いましょう」

士郎「分かってるって。今度は、無茶はしないから」

セイバー「……それなら、良いのです」

凛「……で、ライダーの強さって言うのはどんなもんなのよ」

セイバー「それは私も聞きたい。場合によっては、今度はライダーと交戦していない私が戦うべきでしょうから」

士郎「そうだな。……ライダー自身は、それほど強くないように思えた」

士郎「暗器……鎖のついた短剣を使うけれど、セイバーみたいに一つの武器に特化しているわけじゃない」

士郎「ぽよぽよが一人で相手できていたから、真正面から戦えばセイバーでも勝てると思う」

凛「真正面から、ね……どうなの、ぽよぽよ?」

カービィ「ぽよ? ぽよ、ぽーよ」

凛「そう、ライダーと戦うの。で、セイバーでも勝てそうな相手かって」

カービィ「ぽよ……。ぽよ」ウナズキ

凛「そう、ありがと、ぽよぽよ。となると、やっぱりセイバーをぶつけた方が良いのかもね」

士郎「でも、問題は……「宝具」」

凛「宝具?」

士郎「あいつは、「宝具」って言ってた。たぶん、それを使ったんだと思う」

士郎「ライダーがいた場所から一直線上が、全部、消えるように破壊されていた……」

凛「それが、セイバーをぶつけるにあたり引っかかるのね。聞くと確かに、単体相手に使うような宝具じゃなさそうね」

セイバー「広域殲滅を目的とした、『対軍宝具』ですか」

凛「そうでしょうね。宝具は通常『対人宝具』。単体を相手に使う事が多い」

凛「でも対軍宝具は、射程範囲内にある物をなんでも消し去る……人でも岩でも、全てが対象よ」

士郎「宝具はその英霊を象徴する概念を模した必殺技みたいなもの、だよな?」

凛「ええ。それを発動されたら、セイバーでも危ないって言うんでしょ?」

士郎「安全とは言えない」

セイバー「それならば、宝具を発動される前に倒します」

凛「それが良いかもしれないわ。何より、ライダーはセイバーと戦っていない。だけど、セイバーにはライダーの情報がある」

凛「アドバンテージはそこよ、活かして、速攻で倒すしかないわ」

凛「士郎、他にライダーの特徴は――――」

凛「……まあ、ライダー対策はこんなものね」

士郎「慎二の性格上、俺たちへの復讐を考えているはずだ」

凛「件の結界を張るならそこへ行き、襲ってくるなら迎撃。とりあえず、結界を張っていないかどうか、歩き回って調べる」

士郎「探す当ては無いけれど、それしかない。でも、慎二ならすぐに襲ってくるはずだから」

凛「まあ、私は慎二探索隊には参加しないけどね」

士郎「えっ、どうして?」

凛「悪いけど、私は私でやりたい事があるのよ。良い結果、期待してるから」

カービィ「ぽよ! ぽよ!」グー

凛「……まあ、その前にぽよぽよのご飯を作って良いかしら」

士郎「ああ、そう言えばぽよぽよはまだだったな。確か、冷蔵庫に今朝の余りがあるはずだから」

凛「ん、分かった」

セイバー「そう言えば、今朝もサクラは来ませんでしたね

士郎「ああ。まあ、慎二の事もあるから……あいつに寄るなって、言われてるんだろ?」

セイバー「サクラとライダーのマスターは、兄妹なのでしたね」

士郎「これがまた全然似てないけどな。髪の毛と目の色くらいだ」

凛「…………おいで、ぽよぽよ」

カービィ「……ぽよ!」

カービィ「ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

凛「美味しい?」

カービィ「ぽよ!」モシャモシャ

凛「そう、よかったわ」

凛(士郎たちは、早速慎二を探しに出かけた。まあ、私の予想だと動くのは夜……)

凛(でも慎二、馬鹿だからなあ……真昼間から士郎たちと鉢合わせちゃったりして)

カービィ「ぽよぽよ」モシャモシャ

凛「……………………」ジー

カービィ「ぽよぽよ」モシャモシャ

凛「……………………」ジーー

カービィ「ぺふ」カチャ

凛「はい、お粗末様」

カービィ「ぽよ? ぽよ、ぽよ」

凛「え? ああ、うん。ぽよぽよがご飯を食べてから、やろうと思って」カチャカチャ

凛「余計な真似をされたら、私の責任だしね」

カービィ「ぽよ!」

凛「どうかしら。今まで私の言う事聞かず、勝手に飛び出した数は何回?」ザー

カービィ「ぽよ……」

凛「冗談よ。ちょっと部屋に籠るから、屋敷の外に出なければ好きにしていて良いわよ」ゴシゴシ

カービィ「ぽよ!」テケテケ


凛「……………………」

ザー…………

間桐邸。

セイバー「…………ここには、誰もいないようですね。結界の類も感じられません」

士郎「そうか。今なら、家で何か企んでいると思ったんだけど」

セイバー「ここは、サクラの家でもあるのですね」

士郎「ああ。そう言えば、桜も今いないんだな。買い物にでも、出かけているのかも」

セイバー「いれば、一言挨拶していくのも良かったのかもしれません」

士郎「……いや、しない。行こう、桜が帰ってくる前に」

セイバー「何故です?」

士郎「戦いに巻き込みたくない。桜には……普通で居て欲しいんだ」

セイバー「なるほど、確かに、それはそうです。分かりました、行きましょう」

士郎「ああ! 家にいないとなると、新都の方かも知れない。急ごう」



桜「…………先、輩」ギリ

夕暮れ時。

新都・某所。

士郎「どうだ、セイバー?」

セイバー「……いいえ、ここにも何も」

士郎「そうか。よし、次に…………う、く」フラ

セイバー「シロウ? どうしました、シロウ!」

士郎「いや、なんでも……」

セイバー「まだ傷が癒えていないのに、無理をするから……来なさい、シロウ」グイ

士郎「あ、おい、まだ探してない所が……」


新都・公園。

セイバー「ベンチがあります。休憩するのです、シロウ」

セイバー「あなたは疲れている。その状態でライダーのマスターを探しても、後々足手まといになるだけだ」

士郎「足手まといって、お前……」フラ

士郎「……あ、れ」ドサ

セイバー「それが今のシロウの状態です。まだ昨日の傷が癒え切っていないのですから」

士郎「ごめん……すぐに、動けるようにするから」

セイバー「……あなたという人は。隣、失礼します」

士郎「ああ、うん……」

セイバー「私も休憩しましょう。それならば、シロウも休んでくれますね?」

士郎「う……分かったよ、休めばいいんだろう、休めば」

士郎(……ここにいると、気分が悪くなるんだ。昔の事を、思い、出しそうで…………)ウツラウツラ

ザー…………

(誰もいない。みんな、焼けて死んでしまったんだ。雨が、雑音のようにうるさい)

フラリ、ドサ……

(おれも、このまま、死ぬんだろう)

ピチャ、ピチャ……

(誰か、来た……誰が……)


士郎「…………ハッ!」ガバッ

セイバー「シロウ、起きましたか」

士郎「セイバー……って! もう真っ暗じゃないか! 俺は、一体どれだけ……」

セイバー「一時間ほどです。休息はきちんと取らねば、後に響きます」

士郎「でも! ……分かったよ、ありがとうな、セイバー。でも今は、時間も惜しいんだ」

セイバー「うなされているようでしたが、どうかしたのですか?」

士郎「……ここには、ちょっとな。言ってなかったっけ? 昔、この辺に住んでいたんだ、俺」

士郎「だけど大きな火災があって、全部燃えちまって、俺だけ生き残った」

士郎「もうすぐ死ぬんだろうなって時に、「親父」に拾われて、そのまま養子になった」

セイバー「……それは」

士郎「ここで、聖杯戦争があったんだ。それで生き残った俺が、今にマスターなんて……皮肉というか」

士郎「思い出して、夢に見たんだ。さっき」


士郎「行こう、セイバー。慎二を探すんだ」

セイバー「…………はい」

新都・某所。

セイバー「主だった建物は、全て回りましたね」

士郎「結界を張るなら、人が多く入りそうな場所にすると思ったんだがなあ」

士郎「今度は、工場とかの場所を探してみよう。結界が無いなら、潜んでるかもしれない」

セイバー「そうですね――――」



セイバー「……シロウ」

士郎「ああ、サーヴァントだ。近くにいるのか?」

セイバー「いいえ。しかし、確実に見られています。真っ直ぐに……これは私たちに対する挑戦でしょう」

士郎「慎二の挑発か!」

セイバー「魔力を追います。シロウ、気を付けるように」

士郎「ああ。待ってろよ、慎二!」

セイバー「この辺りに……」

士郎「……セイバー、何か変だ」

セイバー「ええ、人がいない。静か過ぎます」


じゃらららららら!


セイバー「――――シロウ、危ない!」バッ

ガキンッ!

士郎「この鎖の音……ライダーが近くに!」

セイバー「あそこです! ビルに張り付く、女!」


ライダー「…………フフ」


士郎「ライダー! セイバー、あいつだ!」

セイバー「追います、シロウはここにいてください!」ヒュン!

バシュウッ!

セイバー「ハァアアアッ!」ブン

ライダー「…………フッ!」バッ


士郎「ライダーが屋上に……」

士郎(慎二は高みの見物が好きな奴だ。そのくせ、間近で見たがる。なら、慎二は屋上に!)

衛宮邸・凛の部屋。

カービィ「ぽよ、ぽよ!」

凛「なに、どうしたのぽよぽよ?」

カービィ「ぽよ! ぽよゆい、ぽーよ!」クイクイフリフリ

凛「新都の方で、ライダーが? 士郎たちが発見したのね……」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」

凛「どうして行く必要があるのよ。セイバーに任せても、勝てるはずよ?」

カービィ「ぽよ…………ぽよ!」

凛「理由は言えないのに、行きたいの?」

カービィ「ぽよぽーよお! ぽーよー!」クイクイブンブン

凛「ライダーを止める? ちょっと、ちゃんと説明しなさいよ、ぽよぽよ!」

カービィ「ぽよ……」

凛「……隠し事、この私に?」

カービィ「…………ぽよう」

凛「……いいわよ、もう、何処へでも行きなさいよ!」

カービィ「ぽよっ」ビク

凛「知らないわよ、ぽよぽよなんて!」

カービィ「ぽよ……」



カービィ「ぽよ! ぽよー!」テケテケ

セイバー「でやあっ!」ブン

ライダー「セイバー……高い所は苦手ですか?」ヒョイ

セイバー「クッ……」

セイバー(ライダーは身軽だ。こう言った場所に潜む事に慣れている! ビルの壁に文字通り張り付きながら戦っている!)

セイバー(しかし私は、掴まれそうな場所に手を掛けてぶら下がるのが精いっぱい)

セイバー(壁を駆ける事も可能だが、空中の制御となるとライダーに劣る!)

セイバー「だが!」ヒュオ

ライダー「フッ!」ジャラ ビュン

じゃらららららら!

セイバー「この程度!」ギン

セイバー「ハアッ!」

ライダー「フッ!」ヒュン


セイバー(私の風王結界に隠された剣は、ライダーは知らない! アサシンとは異なり、剣に長けているわけでもない)

セイバー(距離を置いてかわし続けなければならないライダーは、屋上に追い詰められる。平地なら!)

飯食ってくる

衛宮邸・凛の部屋。

凛(ぽよぽよの事なんて、もう、知らないんだから……マスターの私に隠し事までして)

凛(ライダーを説得するなんて、変な事を言うんだから。だってライダーは、敵よ)

凛(そんな事、士郎だって、セイバーだって、許さないわ。無駄な事なのに……)



凛「ええい、もやもやする! 何よ、行けばいいんでしょ、行けば!」ガタッ

凛(こんなところでウジウジしている方が、私らしくないわ! それに私はぽよぽよのマスター!)

凛「サーヴァントに好き勝手させてたら、マスターの品格が疑われるのよ!」


新都・ビル屋上。

セイバー「ハアッ!」グオッ

ライダー「…………」ヒョイ

スタ         スタ……

セイバー(ようやく屋上に追い詰めた……しかし、ライダー。元々ここに来るつもりだったように感じる)

ガァン!

士郎「――――セイバー!」

セイバー「なッ……シロウ! 何故ここに!」

士郎「慎二はここにいる! 俺が相手をするから、ライダーを!」

セイバー「駄目だ、戻ってくださいシロウ!」

慎二「ライダー! さっさと宝具を使って、その女を殺しちまえ!」



士郎「この声……慎二、何処だ!」


慎二「衛宮、来たか。良いタイミングだよ、お前ぇ。お前を、一番に殺したかったんだよねえ!」

慎二「本当はあのふざけたサーヴァントも一緒なら良いんだけどさ、この際衛宮とその女が殺せればいい!」

慎二「はっはははは、ひゃははははは! 知らない仲じゃないんだ、苦しまないように一瞬で殺してやるよォ!」


士郎「くそ、どこで見ていやがる!」

セイバー「シロウ、早く戻って! ライダーが宝具を使ったら、守れる保証は有りません!」ダッ!

ライダー「…………」スッ……

士郎「あれは、あの時のっ……セイバー、早く止めろ!」

セイバー(くっ……間に合わない!)


カービィ「ぽよー!」ヒュー


ライダー「…………!」

カービィ「ぽよっ」ポヨン スタ

セイバー「ぽよぽよ……!?」

士郎「どうして、ここに!」

カービィ「ぽよ、ぽよぽよ、ぽーよー!」フリフリクイクイ

士郎「な、何を言っているんだ?」

セイバー「ぽよぽよ、ライダーとの間に入るとは何事です。そこをどきなさい!」

カービィ「ぽーよー!」

カービィ「ぽよい、ぽよぽよ!」クル

ライダー「…………あなたは、まだ」


慎二「来たな、遠坂のサーヴァント……お前が、お前が、一番許せないんだよ!」

慎二「そんな適当な見た目してるくせに、だったら僕に負けろよ、僕に勝つんじゃない!」

慎二「ライダー!」


ライダー「…………」ピク


慎二「宝具を使え、そいつら全員、ぶっ殺しちまえ!」


カービィ「ぽよ!」フリフリ

ライダー「…………」ギリ

ヒュ…………ザクッ

セイバー「じ、自分の首を!」

士郎「しまった!」


――――カッ!

バサッ、バサッ!

士郎「う、う……? あ、あ……これは」

バサッ、バサッ!

セイバー「翼の生えた馬……幻想種の、ペガサス!」

カービィ「ぽよ……」


ライダー「…………ぽよぽよ。あなたを、立ち切る」

セイバー「ペガサスが、貴様の宝具か、ライダー!」

ライダー「我が宝具はこの「手綱」。この子は優しすぎて、戦いには向かない」

ライダー「こんな物でも使わなければ、その気になってくれないのよ」


慎二「何をぺちゃくちゃ喋っているんだ! ライダー、さっさと!」


ライダー「…………」

カービィ「ぽよ……」

セイバー「ぽよぽよ、後ろへ! あなたでは止められない!」

カービィ「…………ぽよ!」ジリ

セイバー「ぽよぽよ、何をしているのです!」


カービィ「ぽーよー!」フリフリ

ライダー「……ハッ!」パシン!

ヒヒィーーーーーン!

グオオ!

士郎「ペガサスで突進を……ぽよぽよ、逃げろ!」

カービィ「ぽよ!」

セイバー「ぽよぽよ!」ダッ

カービィ「ぽよっ――――」ギュッ


ジュ――――――――


士郎「セイバー、ぽよぽよ!」



セイバー「くっ!」ゴロゴロ

カービィ「ぽよ、ぽよっ……!」

セイバー「間一髪……、あなたを抱えて避ける事ができました」

カービィ「ぽよ!」

セイバー「しかし、次はありません。ぽよぽよ、ここは私に! もうあなたを傷付けさせるわけには!」

カービィ「ぽよ!」

セイバー「……なにか、策があるのですか?」

カービィ「ぽよ……ぽよ!」クビフリ

セイバー「無いけど、どうにかすると? そんな事……」

ライダー「…………ハァ!」パシン!

ヒヒィーーーーーン!


セイバー「また……!」

カービィ「ぽよっ!」モゾモゾ モキュ

セイバー「ぽよぽよ! ダメです、行っては!」


ライダー「…………あ」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」ブンブン

ライダー「…………かかってこいと、言うのですね」

カービィ「ぽーよー!」ブンブン

ライダー「あなたの意図は伝わりました。ならば、あなたから!」パシン!

ヒヒィーーーーーン!

カービィ「ぽよ!」テケテケ


士郎「逃げても、追い付かれる!」

セイバー「今からでは間に合わない……!」


グオオオ!

ライダー「死になさい!」ギュオ

カービィ「ぽよっ!」ピョン

ジュ――――――――

カービィ「……ぽへっ」ポヨン


士郎「咄嗟に、横へジャンプして避けた……」ホッ

セイバー「クッ……もう、このままでは……」


パシン! ヒヒィーーーーーン!

カービィ「ぽよ、ぽよ……!」テケテケ

グオオ!

カービィ「ぽよ!」ピョン

…………バサッ、バサッ!

ライダー「…………避けるばかりでは、どうにもなりませんよ」

カービィ「ぽよ……ぽよ!」

ライダー「……どうして、あなたは」

カービィ「ぽよ、ぽよ……ぽよ!」フリフリブンブン


カービィ「ぽおよ……! さくら!」


士郎「えっ!」

セイバー「今……」

ライダー「…………桜」ピクッ

ライダー「…………そう、そうだったのですか」

ライダー「セイバーのマスターを通じて、桜の事を……あなたは、最初から」

ライダー「案じていたのは……私だけでは、無いのですね」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」


慎二「いつまで遊んでるんだよ、ライダー! さっさと、『ベルレフォーン』で仕留めろ!」


ライダー「…………」パシン!

ヒヒィーーーーーーーーーーン!

ギューン…………!


カービィ「ぽよっ……」

セイバー(ライダーの魔力が……しかしここでは、ぽよぽよを巻き込んでしまう!)

士郎「上空へ高く……勢いを付けて戻ってくる気だ! くそ、慎二ィ! どこだ!」

セイバー「ぽよぽよ!」

ライダー「ハアアアアアアアアア!」

時は遡り少し前。

凛(隣のビル屋上で戦闘が行われている。あの輝き、魔力の放出! セイバーのとは違う、あれはライダー!)タタタ……

凛(なら、あそこにもぽよぽよがいる! まったく、なんであんな所に!)タタタ……

凛(さっき、ずっと、ぽよぽよの能力に付いて考えていた。今ある情報全てで、考えられる可能性を!)タタタ……

凛(コック化する時。フライパンを吸い込み、飲み込んで、ぽよぽよはコック化する)タタタ……

凛(柳洞寺のあの時。見る事はできなかったけど、あの木の葉の竜巻はぽよぽよの仕業)タタタ……

ガァン!

凛(ぽよぽよが、いつもより強い吸い込みをした。そして、コック化した時と同じように魔力を消費した)

凛(ぽよぽよは何かを吸い込む、そして強くなる!)ザッ


凛「ぽよぽよーーーーーー!」


カービィ「ぽよ!?」

セイバー「……リン!」

凛「これを――――」ブン


キラン。


凛「――――吸い込んで!」

セイバー(隣のビルから……あれは、宝石を、投げた?)


カービィ「ぽよー!」スゥウウウウウウウ

カービィ「ぽよ!」ゴクン


凛(ぽよぽよにとって吸い込む事は手段。飲み込む事は、必要工程。その結果ぽよぽよが得るのは)


カービィ「――――ストーン!」ゴワッ


凛(ぽよぽよの独自解釈による、飲み込んだ物の性質のコピー! それが、ぽよぽよの真価!)

慎二「ひひひ、ひゃあはあははは! 石になってどうするのさ! ライダー、轢き殺せ!」


凛(対するは英霊の対軍宝具。勝てる見込みは、薄い……)


                        ベルレフォーン
ライダー「――――――――騎英の手綱!」


凛(だから、なんだってのよ! ここまで来たら、行くしかないじゃないの!)


セイバー「く……シロウ、退避します!」バッ!

士郎「うわっ……ぽよぽよー!」


凛(サーヴァントのサポートを精いっぱいするのが、マスターの努めなんだから!)


ゴオ――――――――

凛(ビルの屋上の殆どが、削げた。丁寧に、残っているのは、たぶん、慎二がいる場所)

凛(屋上を削いだライダーは、Uターンして、今は上空で留まっている)


ライダー「――――――――何故」


凛「何を驚いているのかしら、ライダー」


カービィ「ムシッ……」カチカチ


凛「うちのぽよぽよが生きている事が、そんなに不思議?」


カービィ「……ぽよっ」パッ


ライダー「ぽよ、ぽよ……」

カービィ「ぽーよ」

慎二「な……な、なに、やってるんだよぉ、ライダー!」

慎二「宝具まで使って、なんで倒せていないんだよ……くそ、クソ!」

慎二「もう一度だ、もう一度――――」

「やめておけ、慎二」

慎二「うっ……」ビクッ

「あやつにする気が無いと言うからお前に任せてみたが、やはり失敗だった用じゃの」

慎二「お、御爺様……どうして、ここに」

「やはりお前には、間桐の名は相応しくないな。それは」


「没収じゃ」

ボウッ――――


慎二「あつっ! あ、ああ! 本が! 本がァ! 令呪が、サーヴァントを従える令呪が燃えちまう!」

「慎二よ、お前には暇を申し渡す」

慎二「へ……?」

「達者で暮らせよ。カッカッカ――――」

慎二「ま、待てよ、どう言う」


イリヤ「みーつけた」

カービィ「ぽよ」

ライダー「……あなたには、負けます」スタ……

カービィ「ぽよ、ぽよ」

ライダー「あなたは小さくて愛らしいだけでは無くて……とても優しくて、勇敢で」

ライダー「私の、曇った眼を、癒してくれました」

シュゥウ――――

カービィ「ぽよっ!」

ライダー「時間がありません。ぽよぽよ、桜の事を、どうかお願いします」

ライダー「全てに気付けるあなたならば、きっと……」

シュゥウ――――

カービィ「ぽよ、ぽよ……」オロオロ

ライダー「それと、もう一つ……もう一度だけ、石になってくれますか?」

カービィ「ぽよ……ぽよ」ゴワッ


ライダー「…………」スッ……カチャ


カービィ「…………?」カチカチ

ライダー「……ああ、安心して素顔を見せられるのは、いつぶりでしょう」

シュゥウ――――キラキラキラ

カービィ「……………………ぽよっ」パッ

キラキラキラ

カービィ「……ぽよっ」スゥウウ

キラキラ……ヒュウ

カービィ「ぽよ」ゴクン


カービィ「――――らいだー」

ウウウウウウウウウウウウ……ピーポー……

凛「後の事は、綺礼がどうにかしてくれると思うわ」

セイバー「……申し訳ありません。ぽよぽよを、守り切る事ができませんでした」

凛「いいのよ。私が無責任に、勝手にしろって言っちゃったんだから。私こそ、ごめん」

士郎「……慎二は、どうしただろう」

凛「さあね。ライダーが宝具の範囲を上手く調整して、死なないようにしていたけど」

凛「今頃、自宅に逃げ帰っているんじゃないかしら」

セイバー「ぽよぽよは、どうしてあんな危険な真似をしたのでしょう。いくら、なんでも」

凛「助けたかったのよ、きっと」

セイバー「……助けたかった、とは?」

凛「……ぽよぽよにしか分からない、色々な事よ」

士郎「遠坂……」

凛「帰りましょう。今、誰もいないから、襲われたらひとたまりもないわ」

セイバー「はい」

士郎「結局、今回もぽよぽよに助けられちゃったな」

凛「私からすれば最悪よ。あの時、他に物が無くてうっかり宝石投げちゃったし。あれ、高いんだから!」

凛「……でも、まあ」


カービィ「ぽよ……ぽよ……」スピー


凛「お疲れ様、ぽよぽよ」

次回「暗黒の欠片」

ちょい休憩。

そこら辺の適当な石でもストーンになれることを知った時の凛を想像すると泣ける

SS速報だと落ちないからゆっくりやってもいいし
次スレ立ててもそんなに怒られないし
ちょっとなら無駄口叩いても怒られないからいいね

って言うか型月Wikiが開けなくて困ってるんだけどどうしよう

>>291
【コピー・ストーン】。
石、岩を呑みこむ事でコピー可能。通常形態から石の体に変身、元に戻る、を自由意思で行える。
石が小さすぎたり、瓦礫など概念上微妙なモノは呑み込んでも変身できない。カービィ的に無理らしい。
基本的に敵からの攻撃には無敵だが、掴まれたら何もできない。また、宝具級の攻撃は流石に耐えられない。
ライダーとの戦いでは、ただの石ではなく、凛の魔力が籠った宝石でのストーン化だった為に、通常を越える硬度を獲得した。

こう言う事にしてください。聖杯戦争は概念の戦いだから言ったモン勝ちなんだよ!

休憩って言ったけどやっぱ続きは明日にしてください
今まではアニメ展開まる写しだからどうにかなってたけどね……

お前らカービィの話で盛り上がりたい気持ちは分かるけどいい加減にしとけ
俺ですら「続き来てる」と思ったじゃねーか
そしてSS速報で俺以外がageんのやめろ
俺ですら「続き来た」と思ったじゃねーか
もうくどいか、でも郷に入れば郷に従え

続き書く

オオオオオオオオオオオオ…………

凛『なに、ここは……暗い。体の底から凍えるように、寒い……』

満たせ…………。

凛『誰!』

欲望…………。

凛『どこから……!』

我が暗黒の世界を作れ…………。

凛『出てきなさい!』

星の戦士を倒せ!



凛「う、う…………」モゾモゾ

カービィ「ぽよ、ぽよ」ペチペチ

凛「…………ぽ、よ……」

カービィ「ぽよ」

凛(いやね、夢でうなされるなんて。見られたのがぽよぽよで良かった)

カービィ「ぽよ?」

凛(まあ、良くないんだけど。昨日みたいにぽよぽよの過去なのかと思ったけど、私が出てきたし、違うのね)

凛(じゃあ私自身の夢か……この歳になって悪夢なんて、恥ずかしい。最近ストレス溜まってるのかしら)

凛(しかも内容が「暗黒の世界」だとか「星の戦士」だとか……何言ってんだっていうの)

凛「はあ……朝から憂鬱」

カービィ「ぽよ、ぽよぽよ」

凛「ああ、心配要らないわ。人間なら偶にあるから」

カービィ「ぽよ」

凛「……ぽよぽよには、分からないでしょうけど」

衛宮邸・居間。

凛「おはよう、シロウ、セイバー」

士郎「ああ、おはよう遠坂。おはよう、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ!」

セイバー「おはようございます、リン。ぽよぽよ、おはようございます」ヒョイ

カービィ「ぽよ?」

セイバー「ぽよぽよ、まるであなたはシロウのようですね。これと思ったら、他人を振り切って突き進もうとする」

カービィ「ぽよ」

セイバー「一つ違うとすれば、ぽよぽよは愛嬌がある分まだ許せますね」

士郎「それ、差別って言うんじゃないのか」

セイバー「愛らしさに与えられるべき正当な報酬です」

士郎「これだから……ぽよぽよに、問題はないのか?」

凛「無さそうよ。昨日の石化能力だって、なんだか初歩的なものだったらしいし」

カービィ「ぽよ!」

士郎「すごいな、ぽよぽよ。色々な事ができるんだな」」

凛「みたいね。私には、何も分からないけど……」

士郎「……どうした、遠坂?」

凛「え? 何が?」

セイバー「ぽよぽよは昨日の事で疲れていますから、このくらいで我慢しましょう」ヒョイ

カービィ「ぽよ」

凛「さ、ご飯にしましょ」

カービィ「ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

士郎「それで、学校があんなんだから、暫くは休みだろうってさ」

凛「まあ、それが妥当でしょうね。これで心置きなく、士郎に時間を注げるわけか」

士郎「……お手柔らかにお願いします」

凛「それは士郎次第ね」

セイバー「士郎、お代りをお願いします」

士郎「ああ。……はい、セイバー」

セイバー「感謝します」モグモグ

カービィ「ぽよ!」

士郎「ぽよぽよもか。はい」

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

凛「…………昨夜、ぽよぽよはどうだった?」

士郎「え? どうって?」

凛「邪魔しなかったかって。ほら、昨夜はぽよぽよの看病で、そう言う話できなかったでしょ」

士郎「邪魔か邪魔じゃなかったかで言えば……まあ、邪魔だったかな。セイバーも、動き辛そうにしてたから」

セイバー「そんな事はありません。確かにライダーからぽよぽよを守るのに気を取られたり」

セイバー「ライダーの宝具に対し宝具を発動しようとするとぽよぽよが危険が及ぶので発動できたりしませんでしたが」

凛「ごめん、謝るからもう止めて。マスターである私の責任になるから」

士郎「予想してたなら聞かなきゃいいのに……」

衛宮邸・凛の部屋。

凛「ねえ、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ?」

凛「ぽよぽよは本当は喋れるの?」

凛(さっき、士郎とセイバーから聞いて驚いた。二人は確かに、ぽよぽよが「さくら」と言ったのを聞いたと言う)

凛(桜の事。それを、ライダーに言ったらしい。見た目に似合わず、鋭いんだから)

凛(慎二に魔力は無い。魔術を行使するのは勿論、サーヴァントを使役する事なんてとても)

凛(できるとすれば、第三者が魔力の供給を補助、もしくは丸々請け負っている……)

凛(……いえ、考えるのは無駄よ。心の贅肉。こっちは遠坂で、『相手』は間桐。もう、関係無いんだから)

凛(そう、今はぽよぽよは喋れるかどうか。セイバーは以前「りん」と言ったのを聞いている)

凛(あの時は信じなかったけど、嘘じゃないなら……)

凛「どうなの、ぽよぽよ?」

カービィ「ぽよ……」

凛「ぽよぽよ。コピー能力のあれは、普通に喋ってるじゃない」

カービィ「ぽよ? ぽよ、ぽよぽよ」

凛「……私に、隠してるの?」

カービィ「ぽよ! ぽーよ、ぽよ」

凛「……分かったわよ。もう、良いわ」

カービィ「ぽよ……」

凛(ぽよぽよは普通にしているだけと言い張ってる……どうだか)

凛(次は、ぽよぽよの性質模写能力。ぽよぽよは一体、どれだけの物の性質をコピーできるのか)

凛(たとえば今まで把握できているのは、フライパンからコック、葉っぱから……何か、宝石からストーン)

凛(独自解釈と言っても原理は単純だから、料理器具なら大体の物を吸い込んでもコックになれそうね)

凛(ストーンは、宝石に限らず、たぶんその名の通りなら石であれば基本何でもいいはず)

凛(……ああ、なら昨夜、宝石なんて投げるんじゃなかった。なんか適当な石でも投げていれば……)

凛(いえ、過ぎた事は仕方が無いわ…………)

凛「…………ねえ、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよっ」ピシ

凛「……別に、何か問い詰めようってわけじゃないから緊張しなくていいわよ」

凛「昨日呑み込んだ宝石……吐き出せる?」

カービィ「ぽよ? ぽーよ」クビフリ

凛「まあ、そうよね……はあ」

凛(過ぎた事は仕方が無いわ、うん)

凛(で、何を呑み込めば、何になれるか。それが、目下知りたい所)

凛(ただ、私物を放りこむのだって断腸の思い……今まで散々吸われてるし)

凛(その辺にあるもので適当に試すのが一番だけど、「拾い食い」って思うとちょっと嫌だわ……)

凛「…………私はぽよぽよの飼い主かっ!」バンッ

カービィ「ぽよいっ」ビクッ

衛宮邸・庭。

凛(まあ、とりあえずは五大元素を食わせてみましょう。それくらいなら……)

凛(魔術で起こした火でも、他のものに引火させれば普通の火と同じ)キィイン……ボッ!

スッ……ボォオオオ

凛「ぽよぽよ、ちょっとこの炎を吸い込んで貰える?」

カービィ「ぽよ!」スゥウウウウウウウウ

凛(躊躇い無く吸った……)

カービィ「ぽよ!」ゴクン



カービィ「――――ファイア!」ボオオ



凛「火を吸い込むとファイア、ね……」

凛(でも、火を持ち運ぶって難しいのよね。その辺に火を付けて放火魔になるのは嫌だし)

凛(これは、局所的になるかな)

凛「はい、ファイア解除」パンパン

カービィ「ぽよっ」キュン チチンチチン……パキンッ

凛(コピー能力を解除した時のあの星も、何なのかしら……魔力の塊のように見えるけど)

凛「次、これを吸い込んで」たぷん

凛(タライ一杯の水。ぽよぽよも普段水を飲んでるだけに、これは意味があるのかどうか分からないけど)

カービィ「ぽよっ!」スゥウウウウウウウウ

ゴォ――――

凛(当然のようにタライごと吸い込んだ……)

カービィ「ぽよー!」ゴクン



カービィ「――――ウォーター!」バシャー



凛「水を吸い込むとウォーター、と。これ、必要量とかあるのかしら」

カービィ「ぽよ?」

凛(……ぽよぽよの意思次第って所かしら。まあ、水なら水筒にでも入れれば持ち運びも可能だし)

凛(コップ一杯分より多く持って行けば大丈夫でしょう)

凛「これで地はストーンとして、火がファイア、水がウォーター……風は吸わせようもないし、エーテルはぽよぽよ自身」

凛「今の段階で確かめられるのは、これくらいかしらね。後は実戦次第か」

凛(今更になってようやくぽよぽよの能力を確かめるなんて。駄目なマスター……)

カービィ「ぽよー」ピュー

凛「わー、上手な水芸ー」パチパチ

士郎「どうだ、遠坂。ぽよぽよの能力は」

凛「士郎。まあ、ある程度はってところ。見た所は、五大元素は扱おうと思えば扱えそうなくらいね」

士郎「……それって、すごいのか?」

凛「キャスターでもなければ、あまり関係の無い事かもね。他のサーヴァントが全部判明したから、アーチャー確定だし」

士郎「アーチャー……」

カービィ「ぽよー」ピュールルルルル

士郎「……アーチャーのクラスは、芸達者なんだな」

凛「殴るわよ。セイバーは、見に来ないのね」

士郎「ああ、「他のサーヴァントの技を盗み見るのは騎士の礼に反する」とかなんとか。興味津津らしいけどな」

凛「一応は同盟を組んでいるんだから、味方の能力は把握してもらいたい所だけど」

凛「まあ、隠し合うのも聖杯戦争だし、セイバーはその辺がきっちりしていて良いわね」

士郎「良いのか、本当に?」

凛「羨ましいくらいよ。まあ、今になってぽよぽよを他のサーヴァントと交換なんて、お断りだけど」

カービィ「ぴょー」ピュルルルルピュー

凛「綺麗よぽよぽよー」パチパチ

衛宮邸・居間

凛「そうだ、士郎、セイバー。伝えておくことがあるわ」

士郎「珍しいな」

セイバー「なんでしょう、リン」モグモグ

カービィ「ぽよ、ぽよい」モシャモシャ

凛「新都の方で、結構前から謎の昏睡事件が多く発生しているでしょう?

士郎「ああ、そうだな」

凛「それ、この聖杯戦争が絡んでいそうなの」

士郎「なんだってっ!」

凛「落ち着いて聞きなさい。前から、土地の管理者としてどうにかしたかったんだけど」

凛「相手がサーヴァントだと私一人じゃどうにもできないし、肝心の私のサーヴァントあんなだったから」

凛「でも私も、やっとぽよぽよの真価に気付けたし、ぽよぽよの扱い方も分かったから」

凛「今夜、新都の方に行くわ。何が起きているか、見に行く」

カービィ「ぽよ! ……ぽよ?」

士郎「ああ、お代わりか、ちょっと待ってくれ。……はい」

カービィ「ぽよ! ぽよぽよ……」モシャモシャ

士郎「それなら、俺とセイバーも」

凛「これはウチの問題なの。それに、士郎とセイバーが離れたら誰がここを守るのよ」

セイバー「リンの言う通りです、シロウ。私もぽよぽよが心配な気持ちを抑えますから、どうか」

士郎「不純だぞ、セイバー……わかったよ。気を付けろよ、遠坂」

凛「言われなくても」パク

カービィ「ぽよっ」モシャモシャ

その夜。

衛宮邸・庭。

凛「じゃあ、行ってくるわ」

士郎「ああ」

セイバー「お気を付けて。ぽよぽよ、ご武運を」

カービィ「ぽよ!」

凛「ぽよぽよ、お願い」

カービィ「ぽよ!」スゥウウウウウウウウ

カービィ「ぷー」プクー

凛「よ、っと……新都は、分かるわね?」

カービィ「ぷよー」フワフワ

士郎「行ってらっしゃーい」

セイバー「ぽよぽよー

凛(……なんか、締まらないわねー)

カービィ「ぷーうー」フリフリ

新都。

凛(……昨日より、魔力が濃い。昨日はライダーが暴れたから、勝手するにもできなかったってとこかしら)

凛「ぽよぽよ、あのビルよ」

カービィ「ぷー」フワフワ……


フワ……スタ


凛「よっと」

カービィ「ぽよ」ポヘ

凛「ぽよぽよ、戦闘の準備。これ、呑み込んで」キュッ

チョロチョロチョロ……

カービィ「よー」アー

カービィ「ぺふ」ゴクン

凛「どう?」



カービィ「――――ウォーター!」バシャー



凛「良し。行くわよ」

カービィ「ぽよ!」


新都・ビル内。

凛(魔力……結界が張られていて気付かなかったけど、すごい量だわ)

凛(誰かがここに来て、直接魔術を使っている)

凛(誰だか知らないけど、私の管轄で嘗めた真似をしてくれるじゃない)

カービィ「ぽよ、ぽよ」テケテケ

凛(ぽよぽよ、静かに)シー

カービィ「ぽっ……」コクコク



凛(近い。ぽよぽよ。あなたが先行して水流を一気にぶちまけて。できる?)

カービィ「ぽ…………」コク

凛(行くわよ……3、2、1、行って!)

カービィ「ぽよ!」ピョン



カービィ「ぽよーーーーーーーー!?」


凛「ぽよぽよ!? どうしたのっ――――」バッ

がちゃがちゃ……がちゃがちゃ……

凛「な、なにこれ、骸骨の戦士だらけ!」

カービィ「ぽよ、ぽよ……」

がちゃがちゃ……がちゃがちゃ……

凛「くっ……怯んじゃダメよ、ぽよぽよ!」

カービィ「ぽよ! ぽーよー!」ブー!

バシャア!


がちゃ、がちゃ……


凛「この程度なら、私のガンドでだって!」キィイン……ドキュンドキュンドキュン!

バシャア! ドギュンドギュンドギュン…………



凛「ふう……やっと、全滅したわ」

カービィ「ぽよ……ぽよお」ヘタリ

凛「お疲れ様。このビルに施された魔術を、解除して……」

キン!

凛「……こんなのが、あと幾つあるのかしら」

カービィ「ぽよー……」

凛「次、行くわよぽよぽよ」

カービィ「ぽよ!」ピョン

ドギュンドギュンドギュン!

バシャア!

ドギュンドギュンドギュンドギュン!

ぽよー!

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン…………



新都・某所。

カービィ「ぽよ、ぽよ……」

凛「これで、暫くは大丈夫なはずよ。でも、また作ってくるでしょうね……」

カービィ「ぽよ……」キュン チチンチチン、パキン!

凛(疲労が溜まると、コピー能力も自然に解けてしまうのね。やっぱり、限度はあるか)

凛「帰りましょう。今の時間なら、そんなに人もいないでしょうから。歩きでも大丈夫」

カービィ「ぽよ」


カービィ「……ぽよ、ぽよぽよ」テケテケ

凛「なに、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ……ぽよ」テケテケ

カービィ「ぽよよ、ぽよ、ぽやう」

ぴた。

カービィ「……ぽよ?」



凛「…………桜を、救いたい、ですって」

カービィ「ぽよ。ぽーよー」フリフリ

凛「ライダーとの約束で」

カービィ「ぽよぽよ、ぽよ」

凛「桜は今、困っているから」

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよ」

凛「私の、妹だから、助けるべきだって」

カービィ「ぽよ」


凛「できるわけないでしょ、そんなの!」


カービィ「ぽよ……」

オオオオオオオオオオオオオ…………

凛「あんた、反省、なにもしていないのね。また、勝手に、やらかすつもりなのね」

凛「ライダーとの約束? そんなの、守る必要なんかないじゃない。だってあいつは、敵なんだから」

凛(……あれ。私、何を言ってるんだろう)


凛「桜の事だって、仕方が無いのよ。だって、そうしなきゃあの子は死んでいたんだから」

凛「どうせ心配したって、手の届かない所なんだから、無駄なんだから」


凛(こんな事、言うつもり、無かったのに……)


凛「ぽよぽよ。あんた、分かってて言ってるんでしょう? そんな事、私を困らせる為に」

凛「そう、また、そうするつもりなんだ……」


凛(でも……まあ、良いか)


凛「あなたはサーヴァントで、私がマスターなのに……」スッ……

カービィ「ぽよっ……」

凛「少し、立場ってのを、分からせないといけないみたいね」キィイイイン……


凛(悪いのは、ぽよぽよの方なんだから)


オオオオオオオオオオオオ…………!

オオオオオオオオオオオオ…………!


カービィ「ぽよっ!」

凛「……なに、ぽよぽよ」オオオオオオ……

カービィ「ぽよ…………」



カービィ「ぽよ!」ジリ

凛「――――その、反抗的な目が気に入らないのよッ!」ドギュン!

カービィ「ぽよ!」ピョン


ズガン! バキャッ!


カービィ「ぽよっ!?」ポヨン


凛(ああ、なんだかガンドの威力が上がってるみたい。魔術回路に、面白いくらいに魔力が通う)

凛(すごく気分が良い。これなら、ぽよぽよの『躾』もできそう)


カービィ「ぽよ……!」

凛「謝っても、もう遅いんだから!」

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよっ……」ヒョイ ヒョイ

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!

カービィ「ぽよっ、ぽよ……!」ヒョイ ヒョイ ヒョイ

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!

カービィ「ぽえっ……ぽおよ……!」ヒョイ ヒョイ

ドギュン!

カービィ「――――ぽよっ!」ガスッ


ぽて。


カービィ「ぽ、よ……」プルプル

凛「思ったより、避けたわね。でも次からはどうかしら……」キィイイイイン

オオオオオオオオオオオオ…………

カービィ「ぽよ…………」


凛『勝手にいなくなっちゃって、ぽよぽよはどうだか知らないけど、私が知るぽよぽよは、弱いサーヴァントなんだから!』


カービィ「ぽよぉ……」


凛『本当に、やっぱり! 何も考えていないのね! 心配する私が馬鹿だわ!』


カービィ「ぽよ……」


凛『私、ぽよぽよの事を、何も知らないのね。今日、勇敢なぽよぽよを見て、びっくりしたわ』


カービィ「ぽよっ」


凛『ぽよぽよ、私の事を助けてくれる?』


カービィ「ぽよ……!」

凛「ぽよぽよ……」オオオオオオオオ…………

カービィ「……ぽよ! ぽよ、ぽよぽよ!」

凛「そう、まだ、逆らうつもりなのね」

カービィ「ぽよ!」

凛「でも、どうするつもりなのかしらッ!」

ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!

カービィ「ぽよ!」

カービィ「すううううううううううううううううううううう」


凛「す、吸い込み……! 魔力でできたフィンの一撃が、吸われる!」


カービィ「すううううううううううううううううううううう」

もきゅもきゅもきゅもきゅ……

カービィ「ぽよ!」プク


凛「ぽよぽよ……いい加減に――――」


カービィ「ぽよー!」プッ!

ぴゅん――――――――


凛「ッ、流星弾……!」ピョン


キラキラキラ…………ばしんっ!

カービィ「ぽよ……!」



凛「……危ないじゃないの、ぽよぽよ。あんなの当たったら、どうするのよ」

      ダークマター
凛「この 『 私 』 に、当たったらァ!」オオオオオオオオオオオオ!

カービィ「ぽよ!」

凛「ぽよぽよおおおお!」キュン!


ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!
ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!
ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!


カービィ「ぽよ、ぽよっ!」ヒョイ ヒョイ ヒョイ

凛「ああああああああああああ!」


ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!
ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン!


カービィ「ぽよ! ぽよいっ、ぽよっ」ヒョイ ヒョイ ヒョイ

凛「ああああああ……!」


ドギュンドギュンドギュンドギュンドギュン……


カービィ「ぽよっ、ぽよー!」ヒョイヒョイ


ドギュン!


カービィ「ぽよ!」スゥウウウウウウ


凛「はぁ、はあ、ハァッ……」

凛(最後の一発を、吸い込まれた……避ける事も、できない)


カービィ「ぽよー!」プッ


ぴゅん――――――――ばしん!

凛「――――あ、う」

ぱたり……


カービィ「ぽよ!」テケテケ

凛「ぽよぽよ――――」ガク

カービィ「ぽよ……ぽよっ!?」


スゥゥゥゥ…………オノレ、オノレ……


カービィ「ぽよ!」


コノセカイヲアンコクニ……ワガシハイノセカイニ……


カービィ「ぽよ!」スゥウウウウウウウウウ


オノレ『星』ノ『戦士』……ワレラハ……

ワレラハ『ダークマター』……!


もきゅ。

カービィ「ぽよっ。ぽよ!」プッ

ぴゅん――ばしん!

カービィ「ぽよ……」

凛「すう、すう…………」

カービィ「ぽよ……ぽよ」



カービィ「ぷー」フワフワ

凛「すう、すう……」

カービィ「ぷー……」フワフワ


衛宮邸・庭。

セイバー「おかえりなさい、ぽよぽよ……どうしたのですか、リン!」

カービィ「ぷー」プクー

セイバー「リンを、下ろします……大丈夫ですか」

凛「う、うう……」

セイバー「大した怪我ではないようですね、シロウ!」

カービィ「ぽよっ」ポヘ

士郎「どうした、セイバー! と、遠坂!」

セイバー「気を失っているようです。一体、何が……」

士郎「とにかく、部屋に運ぼう」

カービィ「……ぽよ」

衛宮邸・凛の部屋。

セイバー「凛の様子は、どうですか」

士郎「ああ。気を失ったまま寝ちゃったみたいでさ。暫く、起きそうにない」

セイバー「そうですか……」

士郎「寝かせてやろう。起きたら、自分から話してくれるはずさ」

セイバー「分かりました」

カービィ「ぽよ……」

士郎「ぽよぽよ。一体、何があったんだ? ……って、お前に聞いても、俺たちは分からないよな」

セイバー「ぽよぽよ。リンの傍にいてやると良いでしょう。サーヴァントのあなたであれば」

カービィ「ぽよ」

士郎「じゃあ、後は頼んだ。ゆっくり寝かせてやってくれ」

セイバー「お休みなさい、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ」


凛「すう、すう……」

カービィ「ぽよ……」

凛「ううん……ぽよぽよ……」

カービィ「ぽよっ……。ぽよ……」

同時刻。

柳洞寺山門。


バキ――――バキ!

アサシン「フ……これもまた、定めと言うものか」

バキバキ!

アサシン「許せよ、セイバー。約束は……果たせなんだ」

バキ――――



「おぎゃあああああああああああああああああああ――――――――」

次回、ちょっと考えてくる。休憩。

今回の展開は無理矢理だったと思う正直すまんかった

ダークマターってことはグーイも出る?

だいたいFateってどのルートもサーヴァントの内一人二人は大した活躍も無く消えるんだよな
何が言いたいかって言うとキャスター出さずに殺して進めたいめんどい

あと開始前にあんな事言っておいてあれだけど雑談はしても良いと思うよ、ageなければ
まあSS速報のマナー的には雑談もあまり良くないんだけどさ
っていうか雑談がアイデア提供にも繋がるから助ける意味でも是非してください

>>400
予定が狂えば出る

分かったこのスレで雑談する事ただそれだけでこれだけ揉めるなら雑談スレを立てようじゃないか
SS速報のマナーを逸脱した俺が悪かったからもう止めてくれ

これで立ったはずだから後の文句はここで聞く。スレタイにまで気は回らんかった

>>446こんなんで良かったのかさっぱりだけどとりあえず続き書く

翌日。

衛宮邸・居間。

凛「……その時の事は、あまり、憶えていない。ただ……ぽよぽよが、ものすごく腹立たしく思えて」

凛「その怒りのままに、動いた気がする……」

士郎「そんな、事が……」

セイバー「リン、どうしてそんな事を! あなたは冷たいように見えて、私以上にぽよぽよを愛でていたではありませんか!」

凛「そんな事、私の方が聞きたいわよ!」

カービィ「ぽよ」

士郎「どうした、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ、ぽよよ、ぽよ」フリフリ

士郎「……さっぱり分からん」

凛「……疲れていただけで、あと自分……ぽよぽよの勝手が原因だ、って」

カービィ「ぽよ……」

士郎「ううん……だとすると、俺たちには手が出せない問題だ」

セイバー「そうですね。マスターと、サーヴァントの事ですから……」

凛「……部屋に、戻るわ。来なさいぽよぽよ」

カービィ「ぽよ」


士郎「……大丈夫かな、あいつら」

セイバー「大丈夫であって欲しいです。リンと、ぽよぽよの為にも」

衛宮邸・リンの部屋。

凛「ぽよぽよ。昨夜の事を、正直に話して……?」

カービィ「ぽよ……」

凛「自分でも、分かっているのよ。これでも、魔術師だから。あの時の私は、少し私でなくなっていた」

凛「もっと恐ろしい、黒いものに支配されていた……士郎とセイバーには、説明できないと思うけど」

カービィ「ぽよ……。ぽよ、ぽよ

凛「……そう、ぽよぽよにもよく分からないの」

カービィ「ぽーよぽーよ、ぽよ」

凛「ただ、恐ろしい物と言う事だけは……うん。ありがとう、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ」


ギュッ

カービィ「ぽよ?」

凛「ごめんなさい。私は、自分の事しか考えていなかった」

凛「私はこんなに心配しているのに、ぽよぽよは私の事なんか考えてくれないと、そればかり思っていた」

カービィ「……ぽよ」

凛「でも、違うのよ。それは、私が勝手に期待したから、そう思えただけ」

凛「ぽよぽよは、ずっと最初から。自分の興味のある事にしか動かない奴だった」

凛「でも、頼まれたら馬鹿正直にどんな事でもやり遂げようとしちゃうやつで」

凛「自分の身の程とか、そう言う難しい事は全く考えない」

凛「自由気ままで、少しだけ正義感に溢れた、食いしん坊の優しい奴」

凛「ごめんね、ぽよぽよ。私はあなたを弱くしていた。私の所為で、ぽよぽよは……」

凛「でも、それとこれとは話が別よ?」ニコ

カービィ「ぽよ? ――――ぺぅ」ビヨーン

凛「勝手な事を多くしたのは事実だし、私のサーヴァントっていくら言っても聞かなかったのも事実よね?」

カービィ「ぺぅー……」ビヨーン

凛「だからそれは、反省しなさい。ちゃんと、私のサーヴァントとして!」

カービィ「ぷゃーい……」ビヨーン

凛「よし」パッ

カービィ「ぽよっ」

凛「……ぽよぽよは、ライダーとの約束を守りたいのよね」

カービィ「ぽよ? ぽよ!」

凛「桜を、助けに」

カービィ「ぽーよ!」

凛「でもね。それは、生半可な事じゃないわ」

凛「間桐の家は腐っても御三家。その才能は慎二の父の代から枯れているけど、未だに残っている奴がいる」

カービィ「ぽよ?」

凛「間桐臓硯――慎二の『祖父』と言う扱いの、化け物よ」

凛「間桐にはそれがいる。それがいる限り、手が出せない」

カービィ「ぽよ」

凛「セイバーの力を借りられたなら……いえ、これは『遠坂の家の問題』だから、それはできないわ」

カービィ「ぽよ?」

凛「魔術師の家って言うのは色々と窮屈なのよ。聖杯戦争の事もあるし、難しいわ……」

凛「サーヴァントは手に持っておきたいから、狙うのは聖杯戦争が終わる間際」

凛「ぽよぽよとセイバーと、敵サーヴァント残り一体の時。それが、間桐に攻め入るチャンス」

凛「いい、ぽよぽよ。その時が来るまでは、ひたすらに我慢するのよ。桜の事を考えるなら、絶対に」

カービィ「ぽよ!」

凛「……それにしても、どうしてぽよぽよは、桜にこだわるのかしらね」

凛「ただ朝と夜に一緒にご飯を食べて、それも二、三日の間の関係だって言うのに」

凛「私の妹である事を考えても、桜が召喚したライダーまで守ろうとするなんて」

カービィ「ぽよ!」

凛「え?」

カービィ「ぽよ、ぽよー!」

凛「……ぷっ、ふふ。あはははは!」

カービィ「ぽよ?」

凛「おっかしい、だって。「お代わりをよそってもらったから」って、それが理由なんて」

凛「ぽよぽよ。本当に、あなたらしい理由だわ」

カービィ「ぽーよー!」

衛宮邸・居間。

凛「待たせたわね」

カービィ「ぽよ」

士郎「お前ら……大丈夫なのか? その、色々……」

凛「心配する事無いわ。まあ、ちょっと気負い過ぎたのは認めるけど」

セイバー「ぽよぽよ。リンにいじめられはしませんでしたか?」

凛「あらあらそこのセイバーさん、本人を目の前に何を言っているのかしら?」

セイバー「私だってぽよぽよを愛でるのですから、この程度の確認は正当な権利です!」

凛「なあにが権利よ」

セイバー「それでぽよぽよ、リンは……」

カービィ「ぽよい!」

セイバー「……ぽよぽよの笑顔に、偽りはあり得ませんね。信じましょう」

士郎「堅物セイバーも、ぽよぽよの前だと形無しだな」

セイバー「シロウ、その言葉は撤回して頂きたい。私を堅物と呼ぶのであれば、それはシロウの方に問題がある」

士郎「お、言ったな」

凛「なあに、ちょっと。今度はそっちで喧嘩? やめてよね。もう私たちはこっちで飽きてるんだから」

カービィ「ぽーよ」

セイバー「む……分かりました。仕方がありません」

凛「じゃ、作戦会議と行きましょう。今残ってるサーヴァント、士郎、言ってみて」

士郎「えっと……ライダーが倒れたから、残り六体で」

士郎「セイバーと、ランサーと、ヘラクレスのバーサーカーと、アサシンと、キャスターと……」

カービィ「……ぽよ?」

士郎「…………アーチャー」

凛「いい加減認めるしかないでしょうが。残ったもんは残っちゃったんだから」

士郎「ううん……思っても、中々割り切れん」

凛「まあ、そうよ残るサーヴァントは私たちを除いて四体」

凛「ランサーは暫く姿を見せず、アインツベルンからのアプローチもない」

凛「前者は居場所が分からなくて、後者は居場所が分かっても対処が難しいから除くわ」

凛「つまり、行く場所は」

セイバー「キャスターとアサシンによる同盟、ですか」

凛「その通り。消去法だけど、そこしかないわ」

士郎「でも、大丈夫なのか? ぽよぽよはアサシンに一度負けているし、キャスターだって正体不明だ」

凛「その辺はぶつかっていくしかないじゃない。このまま放っておいても、霊脈から力を得るばかり」

凛「他に敵がいないからこそ、今こそ討つ」

セイバー「良いでしょう。元より、私もそのつもりでした。それが先送りになっただけの話」

士郎「……でも」

セイバー「それに、士郎も自分の身をある程度守れるようになってきました。今ならば、連れて行けます」

士郎「あ……そう」

凛(褒め殺しなんて上等テク身につけちゃって、セイバーってば)

凛「それじゃ、各自夜まで自由行動。ただし士郎、あんたは後に響かない程度に限界まで鍛え抜くわ」

士郎「待て、今日だけは無しだろう、流石に」

セイバー「何を甘えた事を。私も、まだまだシロウの動きには納得できない所が多い。可能な限り、徹底的に」

士郎「セイバーまで……! あ、ぽよぽよ!

カービィ「ぽよ?」

士郎(助けてくれ、頼む……俺の念よ届け!)

カービィ「…………ぽよ? ぽよ」テケテケ……

士郎「あああー……ぽよぽよ」

凛「ぽよぽよに縋るようじゃ人間お終いね」

セイバー「さあ行きましょうシロウ。時間は無いのですから」

士郎「…………なんでさ」

衛宮邸・凛の部屋。

凛「成功した強化は約十個に付き五個……まだまだね。不安が残るわ」

士郎「遠坂……俺がセイバーにボコボコにされた後だから疲れてるって、分かってて言ってるか?」

凛「魔術師にそんな事は関係無いわ。にしても、本当にあれね、士郎」

士郎「……あれって、何さ」

凛「いや……つくづく、魔術師に向いていないなって」

士郎「ほっとけ」

凛(でも、あの土蔵の投影品の事とかを考えると、必ずしも不向きってわけじゃないのよね……)

凛(私にその知識があれば、教えられたんでしょうけど……)

凛「きっかけが欲しいわね」

士郎「きっかけ?」

凛「ほんの些細な事で大成する魔術師って、少なくないのよ」

凛「結果大成するかしないかに関わらず、きっかけがあれば目覚める魔術師が多いのは事実なの」

凛「だから、士郎もそのパターンなのかもしれないわ」

士郎「ふうん……きっかけ、か」

凛(投影のきっかけって、どこで掴めるのかしら)

衛宮邸・庭。

カービィ「ぽよー!」ズサー

カービィ「ぷい!」ズサー

セイバー「精が出ますね、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ? ぽよ!」

セイバー「それは、『スライディング』ですか?」

カービィ「ぽよ」

セイバー「なるほど小さな体で勝つには『柔』の技、と言う事ですか」

カービィ「ぽよ?」

セイバー「ぽよぽよは恐らく、本能的にそれを理解しているのでしょう。続けてください」

カービィ「ぽよ!」テケテケ

ズサー! ズサー!

セイバー(ああ、こうして頑張るぽよぽよは何と愛らしい事でしょう……)



セイバー(……ぽよぽよを相手に、私は戦えるのだろうか)ギリ

深夜。

衛宮邸・庭。

凛「……そろそろ、時間ね」

士郎「この家、空けて大丈夫なのか?」

凛「攻め込むのは魔術師の本陣よ。帰る家の心配よりも、帰れるかどうかの心配をしなさい」

セイバー「魔術師の本陣は、そのクラスの能力により、通常よりも強固なものになっていると聞きます」

セイバー「手強い相手です、士郎」

士郎「そう、なのか」

凛「今更怖気づいたって仕方ないわ。行くわよ」

カービィ「ぽよ!」



「ふふふ……ようやく、動き出したわ」

「早くおいでなさい、セイバー。そして…………」

「えっと…………アー、チャーのサーヴァント……?」

柳洞寺山門。

セイバー「……おかしい」

カービィ「ぽよ!」

士郎「どうした、セイバー、ぽよぽよ」

セイバー「……アサシンが、いません」

凛「姿を消しているんじゃないの? アサシンのサーヴァントは、隠密に長けた能力を持っているはずよ」

カービィ「ぽーよ。ぽよ、ぽよ」

凛「でも、それじゃ……」

士郎「遠坂、俺にも通訳」

セイバー「恐らく、私の言いたい事と同じです。アサシンは自ら名乗りを上げる武人」

セイバー「私とぽよぽよが訪れた時にも、すぐに姿を現しました」

士郎「マスターの意向とかじゃ、ないのか?」

セイバー「しかし、攻撃を仕掛けてこないのは変です……」

凛「既に、討たれたと考えましょう。このままキャスターまで突っ切れるなら御の字よ」

セイバー「……アサシン」

カービィ「ぽよ……」

凛「行きましょう。名残惜しいのは分かるけど」

セイバー「……先行します。ぽよぽよ、二人の守護を!」バッ

士郎「俺たちも続くぞ!」

柳洞寺境内。

「ウフフフフ……待っていたわ、セイバー」

セイバー「貴様がキャスターか!」

キャスター「歓迎するわ、そして」


ヒュッ――――ガッ!


セイバー「かっ…………!」

「…………」グググ

セイバー「は、あッ……!?」ギリギリ

キャスター「さようなら」



士郎「セイバー! 『剣を振れ』ェ!」キィイイン



セイバー「ぐぐう……アアアアアッ!」ブンッ

「ヌ…………」パッ ヒョイ


セイバー「――――ハァッ! ゲホッ、げほ、はあ、はあっ!」

士郎「セイバー、大丈夫か! ……あ、アンタ……」

カービィ「ぽよー! ぽよ?」

凛「……そう、なるほどね。私、士郎、慎二と生徒ばかりがマスターだったモンだから、アンタに気が回らなかった!」

士郎「く、葛木……」


葛木「衛宮、遠坂、か。まさか、お前たち二人と戦う事になるとはな」

カービィ「ぽよ?」

凛「ぽよぽよは知らないでしょうけどね、あいつは私たちの学校の教師で、私の担任よ」

凛「平たい話が、自分は関係無いですよって澄まし顔してたペテン師!」


葛木「済まない、キャスター。仕留め損ねた」

キャスター「構いませんわ。マスター。今の一撃でセイバーの戦闘力は削ぎました」


士郎「葛木、どうしてアンタが!」

葛木「その疑問は不確定過ぎるぞ、衛宮。聞きたい事に対し、正しい質問を述べろ」

士郎「なんだって、魔術師でも無いあんたがマスターをやっているんだ!」

葛木「それは、理由が必要な事か、衛宮?」

葛木「私はキャスターと出会った。そして、マスターとなった。その因果関係に。理由は必要かと聞いている」

凛「士郎、無駄よ。もうあいつは、私たちを敵として認識している」

セイバー「シロウ……下がって。げほっ!」

カービィ「ぽよ!」

凛「士郎、気持ちは分かるけど、セイバーに加えた一撃を見たでしょう」

凛「あんなの、人間の私たちじゃ死ぬわ……確実に!」

凛(予想外……予想外過ぎる! まさか、キャスターを補うためにマスターが前線に出るなんて!)

凛(あり得ない話じゃない……だけど、そのマスターが強過ぎる!)

キャスター「マスター、あなたも後ろへ。……お喋りはここまでよ。あなたたちはもう――――」

ガラガラガラ……ガラガラガラ……

士郎「な、なんだ! 境内の土から、骸骨が!」

凛「こいつら、新都で見た骸骨の戦士!」

カービィ「ぽよ!」

セイバー「シロウ、リン!」

がちゃがちゃ……がちゃがちゃ……

キャスター「罠の中にいるのだから」


凛(今になって、今になって合点が行った! 最近の昏睡事件を引き起こしていた魔術師は、キャスター!)

凛(街中の人間から魔力を集めて、何をしでかすかは分からないけど、なんかヤバい事をやろうとしていた!)

凛(サーヴァントのする事だから、尋常じゃない……って、今はそんな事!)


士郎「トレース、オン――――よし! どうする、遠坂!」

凛「…………撤退! 逃げ切れば、勝ちよ! セイバー、ぽよぽよ!」

セイバー「命に代えても!」

カービィ「ぽよ!」

凛(ここまできて惜しいけど、逃げるしかない!)

キャスター「逃がすものですか! 竜牙兵!」

がちゃがちゃ……!

士郎「遠坂、こいつらは!」

凛「殴ってなさい、どうせそれしかできないんだから!」ドギュンドギュンドギュン!

がちゃがちゃ……グオ!

士郎「適当な――――」ブン

がしゃん! バラバラ……

士郎「事言って!」


セイバー「ハアッ! ぽよぽよ!」

カービィ「すうううううううう!」

もきゅっ

カービィ「ぽよ!」プッ

ぴゅん――――ばしん! バラバラ……

                                                  ア エ ロ ー
キャスター「竜牙兵ばかりに気を取られていると……―――Αερο―――」

キュンキュンキュンキュンキュン!

セイバー「高速魔力弾……! フッ!」

チュイン!

セイバー「キャスターの魔術は私が無力化します!」

凛「頼むわ!」

凛(門まで……遠い!)

セイバー「でやああああっ!」ブン

がしゃん! バラバラ……

葛木「――――フ!」ギュン

セイバー(しまった、いつのまに――――)


カービィ「ぽよっ!」タタタッズサー


葛木「む――――」キュ ヒュウ

セイバー(ぽよぽよに気付き、咄嗟に身を引いて骸の中に隠れたか……)

セイバー「感謝します、ぽよぽよ!」

カービィ「ぽよ! ぽよー!」スゥウウウウウウウウウ

セイバー「キャスターのマスターは、骸の兵の中に隠れて奇襲してきます!」

士郎「こんな中で、葛木にまで気を払うなんて!」

凛「四の五の言うなー!」ドギュンドギュンドギュン!

凛(あと、少しで……!)


がちゃがちゃ――グオ!


凛(あ――――)


士郎「うおおおおおおおお!」ブン

がしゃん! バラバラ……

士郎「大丈夫か、遠坂!」

凛「あ、う、ん。平気よ!」ドギュン!

凛(届いた!)

凛「ぽよぽよ、『今よ』!」キィイイイン

カービィ「ぽよ!」ピョコン


カービィ「ぽーーーーーよーーーーーー!」スゥウウウウウウウウウウウウウウウウウ

がちゃがちゃ……バラバラ

セイバー「これは、広範囲への強力な吸い込み! シロウ、リン!」バッ

がちゃ……バラバラバラ

キャスター「これは……総一郎様!」

バラバラバラバラ……

カービィ「ぽーーーーよーーーー!」スゥウウウウウウウウウウウウウウウウウ


葛木「むううう!」

キャスター「済まん……」

シュウッ……

凛(あれは、キャスターの空間転移術!?)

バラバラ……

カービィ「ぽよー!」スゥウウウ

カービィ「ぽよっ!」ゴクン



カービィ「――――ソード!」

凛(ぽよぽよには退くと伝えて置いて、念話では皆が門に付いたら令呪で命令すると言っておいた)

凛(本当は、コックがあれば骸骨兵なんか全部料理にしちゃったんでしょうけど……贅沢は言えないわ)

凛「ソード……骸骨兵の持っていた剣を吸い込んだから!」

カービィ「ぽよ!」

セイバー「お揃いですね、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよい!」

士郎「これで、骸骨は全部片付けたか?」

凛「でも、キャスターには逃げられた……」

セイバー「まだ、近くにいます。追いますか?」

凛「……追うわ。ぽよぽよも新たな能力を獲得した。相手の作戦を崩せる」

セイバー「了解しました。こちらです!」

カービィ「ぽよー!」テケテケ

凛「士郎、私たちも……」

士郎「…………」

凛「士郎!」

士郎「何か……いたような」

凛「え?」

士郎「……気のせいだ。行こう!」


「…………ギギ」

柳洞寺裏・池。

葛木「……追ってきたか、衛宮、遠坂」

キャスター「宗一郎様……」

セイバー「キャスター、もう逃がさんぞ」

カービィ「ぽよ!」

士郎「待ってくれ、セイバー」

セイバー「……シロウ?」

士郎「葛木、最後に、聞かせてくれ」

葛木「……答えよう」

士郎「あんたは、本当にどうして、聖杯戦争なんかに参加したんだ。どんな望みがあって」

葛木「……私に望みなどありはしない。ただキャスターと出会い、流れるがままに身を任せただけだ」

士郎「望みが、無い?」

葛木「恐らくは、お前と同じだろう」

士郎「……葛木、アンタ」

凛「士郎! 今までの昏睡事件の犯人は、キャスターよ! 同情なんて、抱いちゃダメ!」

士郎「何?」

凛「士郎。あいつはもう私たちの教師じゃない。マスターとして私たちに攻撃してきた、聖杯戦争の参加者よ」

士郎「…………クソッ!」

葛木「キャスター、もう一度拳に強化魔術を」

キャスター「はい……」

カービィ「ぽよ!」

セイバー「来るか……キャスターのマスターよ」

葛木「キャスター。お前は、衛宮と遠坂の相手をしろ」

キャスター「ええ。さあ、私が相手よ、お嬢さんたち」


セイバー「待て、キャスター! 貴様の相手は私が……!」


葛木「常に望む相手と戦えると思うか?」ヒュ

ズドッ!

セイバー「ぐっ!」

カービィ「ぽよ!」ビュン


葛木「筋は良いが……」ス


カービィ「ぽよっ!?」

ギュル――ゴッ!

カービィ「ぽえうっ!」

葛木「及ばぬ事もある」


                 ア ト ラ ス
キャスター「―――Ατλασ―――」

凛「避けて、士郎! 宝石よ――――!」カッ

士郎「ウオッ……く! おらあああああ!」ダッ

凛「あ、馬鹿っ!」

キャスター「馬鹿な子……―――Αερο―――」

キュンキュンキュンキュン!

士郎「こな、くそっ!」バッ!

キャスター「一度避けても、まだあるわ!」

凛「こうなったら、全部使い切る勢いで!」カッ


ズガガガガガガガガガガガガッ!


士郎「ふうっ。サンキュ、遠坂!」

凛「もうちょっと慎重にやりなさいよ!」

キャスター「驚いた、大した魔術師ね。是非、弟子にしたかったわ」

凛「お生憎様、あんたから教わる事なんて無いわ!」

セイバー「――――ぽよぽよ!」

葛木「気を取られている場合か」ヒュオ!

セイバー「クッ!」

セイバー(この男の拳、まるで蛇のように唸る! かと思えば、恐ろしく鋭く!)

セイバー(キャスターの強化魔術と合わせて、なんて殺傷能力だ……!)

カービィ「ぽよっ!」ギュン!

葛木「フン!」グン


ガキン!


カービィ「ぽよお!」ググ

葛木「ぬうっ!」ググ


セイバー「キャスターのマスターよ、貴様の言葉通りだ」スラ


――――――――ザシュ


葛木「……ぐ、う」

セイバー「筋が良くとも、及ばぬ事もある」ヒュ

葛木「……そう、だな……」

ドサ……

キャスター「現代の魔術師が、この私に敵うと思って?」

キュンキュンキュンキュンキュンキュンキュンキュン!

凛「やばっ……この!」カッ カッ


ズガガガガガ!


士郎「遠坂、これじゃあ、近寄れない!」

凛「うるっさいわね! 私だって精一杯やってるでしょう!」

キャスター「フフフ、二人仲良く――――」


ドサ……


キャスター「……宗、一郎……様……」


士郎「え……?」

セイバー「シロウ!」バッ

カービィ「ぽよ!」テケテケ

凛「セイバー、ぽよぽよ!」


キャスター「……死んで、しまわれたのですね。宗一郎様」スゥ

士郎「葛木……。これで、キャスターも消えて……」

凛「いいえ、まだよ!」


キャスター「マスターが死んだ所で、終わりだと思わない事ね!」

グオオオオ!


カービィ「ぽよっ!」

セイバー「広げたマントが、まるで羽のように……」

凛「柳洞寺から、魔力が……まさかキャスターの奴、今までに集めた魔力を、全部ここに溜めこんで!」

士郎「すると、どうなるんだ!」

凛「それを全部、自らの存命に使っていた魔力まで、残らず攻撃に使うつもりよ……」


キャスター「死になさい!」ズオ――――


カービィ「ぽよ!」

凛「ぽよぽよ!?」

カービィ「ぽーよ!」

凛「宝石を、ぽよぽよのソードに? ……ええい、なるがままよ!」カッ

キィイ……ギュオン!

セイバー「ぽよぽよのソードに、大量のエネルギーが……」

カービィ「ぽよ!」テケテケ


キャスター「マキア――――」



カービィ「――――ソード」チャキ



キャスター「……ヘカティック・グライアー!」

キュオン――キュキュキュキュキュキュキュキュン!


カービィ「――――ビィーム!」ブン

キラキラキラ――――ギュン!

――――――――ヒュー



キャスター「……がはっ」バチャン


凛「今、何が……?」

セイバー「ぽよぽよの剣から放たれた光線が、キャスターの魔術を打ち破りました……」

セイバー(まるで、私の宝具に匹敵するほどの輝き……宇宙のような、煌めきを)


キャスター「ああ……宗一郎様……」

シュゥウウ――――

凛「キャスターが、消えるわ。魔力を全部、使ってしまったから」

カービィ「ぽよ……」


キャスター「……私も、お傍に――――」


ガサガサッ バッ!

「ギッ!」


カービィ「ぽよっ!?」

士郎「あ、あいつ!」

セイバー「あれは……!


「ギギギ!」ヒュッ

ドズ!

キャスター「あ、ああ……」ギチッ

「ギ!」グイ

ブチブチ ピチャ、ピチャ……


凛「――――キャスターの心臓を、抉った……?」


「ギギ、ギ!」バッ!


士郎「は、あ。……ま、待て!」

セイバー「シロウ! もう、消えました……」


キャスター「あ、あ…………」

シュゥウウ――――キラキラキラ



士郎「遠坂。一体、何があったんだ。あいつは、あの黒いのはなんなんだ!」

凛「そんなの、私の方が聞きたいわ……! 何が起きたのか分からず、呆けていたなんて!」

セイバー「……帰ってから、話しましょう」

カービィ「ぽよ……」

凛「……なによ、セイバーもぽよぽよも、訳知り顔じゃない……」

凛「分かったわ。でも、その前に、柳洞寺の人たちの記憶から、今までの事を消さなくちゃ……」

衛宮邸・居間。

セイバー「突然現れた、黒いあれは……アサシンのサーヴァントでした」

士郎「やっぱり、隠れて見ていたのか」

カービィ「ぽよ!」クビフリ

凛「違うって、どう言う事?」

セイバー「あれは……私とぽよぽよが見た、アサシンのサーヴァントとは違います」

セイバー「しかし間違いなく、以前に見たアサシンも、奴も、アサシンのサーヴァントなのです」

凛「…………事態は、ややこしいわね」

セイバー「申し訳ありません、リン。私も、それ以上の事は何も……」

カービィ「ぽーよ……」クビフリ

士郎「……そうか」

凛「なんだか、腑に落ちない勝利ね。せっかく、柳洞寺のサーヴァントを落としたって言うのに……」


士郎「…………俺、部屋に戻るよ」

セイバー「シロウ。気分が悪いのですか?」

士郎「ああ、少し、な……先に、寝かせてくれ」

セイバー「……では、私も失礼します。シロウが、心配なので」

凛「ええ、お疲れ様、セイバー」


凛「きな臭い事に、なってきたわ」

カービィ「ぽよ……」

深夜。

新都・某所。

「助けて、だれか、助けて……!」


オナカガスイタヨウ。


「誰か、誰かぁ!」


オナカガスイテシカタナイノ。


「いや、いや……いや……」


タベナキャ、イッパイ、タベナキャ。


「いや――――――――」ヒュ




マダ、オナカイッパイニナラナイ。


モット、タベナキャ。モット――――。

次回、「ただ、狂うように」。

次回予告は当てにならない。寝る。


能力ミックスはしない設定なのか
ソードの変換効率はほぼ100%みたいだし凄いなぽよぽよ伊達に星の勇者やってない

>>1
とりあえずwiki作ってみた
はじめてだからみんなで加筆訂正してくれると嬉しいのよ

キャスター「済まん」の誤字は、名前を間違えたのか、「キャスター、済まん」のセリフなのか

ともあれ乙。続き期待してる

>>483
してもよかったんだけど、あの状況でキャスターの「ヘカティック・グライアー」を相殺できるのはソードビームかなって
まあ食ってんの竜牙兵だけだし、もしかしたらスカを集めまくったらソードになったのかもしれない

>>485
なにこれ超うれしいありがとう

>>488
夜明け前だから寝惚けて間違えてるね。正しい流れはこんな感じだった


葛木「むううう!」

キャスター「宗一郎様、こちらへ!」

葛木「すまん……」

シュウッ……

凛(あれは、キャスターの空間転移術!?)

そう言えば星型弾の事を>>379で流星弾って言ってたね、これ本当は「星型弾」って言ってた事にしてください
ところでバーサーカーが強すぎるんでもう一日考えさせてくだし

夢を見た。

ピンク色の自由気ままな英雄が、空を飛ぶ小さな乗り物に乗る姿。

草原、荒地、砂漠、氷上、火山、大空、機械要塞、果てには宇宙まで。

エアライドマシンを乗りこなし、大勢の誰かと競い合った。

ただ乗り物は食べ物でなかった為に、英雄の興味をいまいち引けなかった。

今もどこかで、再び誰かがその背に乗る事を待っている。

そのマシンの名は白鳥のように。

「ウィングスター」と、言った。



凛「……………………」ムク

チュンチュン……

カービィ「すぴー、ぐー……」

凛「…………マシン……?」

大河「いやー、士郎のご飯はやっぱり美味いっ!」パクパク

セイバー「まったくです。しかしタイガ、分量を考えなければすぐに無くなってしまうので考えて頂きたい」モグモグ

カービィ「ぽよ、ぽよっ」モシャモシャ

士郎「藤ねえとセイバーとぽよぽよがいれば、こっちも作り甲斐があるよ、ああまったく」

凛(…………マシンって、時代背景狂い過ぎでしょ)

大河「それにしてもウチの学校でもガス漏れにガス爆発なんて。あんな所にガス管って通ってたんだねー」パクパク

士郎「な、なあ。怪我人がいなくて本当に良かったよ」

大河「そう言えば、桜ちゃんはまだお休み? 桜ちゃんの料理も早く食べたいなあ。ちょっと士郎アンタ連絡しなさいよ」パクパク

凛(……桜)

士郎「ああ、後で連絡してみるよ」

凛「やめておきなさい」

士郎「え?」

大河「どーして、遠坂さん?」パクパク

凛「あ、いえ……来られないならば、それなりの理由があるはずですから。今は、そっとしてあげる方が良いと思うので」

大河「あー……それもそうね。あー、桜ちゃんのご飯が恋しい!」パクパク

士郎「藤ねえ、人に物を尋ねる時くらい食うのをやめろよ」

カービィ「ぽよっ!」

士郎「ああ、お代わりか? はい、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ。ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

>>526の先にこれが入るはずだった

朝。

衛宮邸。

大河「しっろおー! おはよー、ご飯食べにきたよん!」

士郎「うわ、藤ねえ!」

カービィ「ぽよ!」

大河「む、士郎! 大好きな私に向かって「うわ」とは何よう。あ、ぽよぽよちゃん久しぶりー」

カービィ「ぽよ」

士郎「だってなあ……もう退院したのか?」

大河「そうよ、いつまでも寝ていられませんからね。まあ、学校が再開するのは、まだ当分先だそうだし」

大河「まだ入院しなきゃいけない生徒も多いし、安心はできないんだけどね」

士郎「そうか……。まあ、無事でよかった。お帰り、藤ねえ」

大河「うん、ただいま士郎」

セイバー「タイガ。体の方は、大丈夫なのですか?」

大河「あ、セイバーちゃんおはよう。うん、士郎のご飯が食べられると思ったらいても立ってもいられなくて……」

大河「あ、そうそう士郎! お腹空いたー、ご飯できてる?」

大河「学校は休みでも、私のご飯は作ってもらいますからねっ」

士郎「……今作ってる。セイバーとぽよぽよと一緒に、待っててくれ」

大河「はぁーい。いこ、ぽよぽよちゃん」

カービィ「ぽよ!」テケテケ

『――――で、会社員の○山○美さんが行方不明になっており』

『○山さんが最後に目撃された付近では血痕のような物が見つかっている事から、警察は殺人も視野に入れて――――』

大河「ガス漏れの次は殺人事件かー。新都の方、最近こわいね。遠坂さん、気を付けてね?」

凛「はい。いざという時は、衛宮くんに頼ります」

士郎「俺かよ……って言うか、俺は良いのかよ、藤ねえ」

大河「だって士郎は男の子だしー。ねえ、ぽよぽよちゃん?」プニプニ

カービィ「ぽえー」

セイバー「タイガ、そろそろ私にもぽよぽよを……」

凛(マズったわね、まさか藤村先生が真昼間からここに入り浸るなんて)

凛(作戦会議が遅れるのは勿論、サーヴァントの襲撃があったら……特に、新たに現れたって言うアサシンが)

凛(セイバーの話によると、以前までのアサシンとは別って……どう言う事よ)

凛(まあ、今は別の事を考えましょう)

凛「藤村先生。少し、ぽよぽよを返してもらっても構いませんか?」

大河「えー! むう、しょうがないなあ。行ってらっしゃい、ぽよぽよちゃん」

カービィ「ぽよっ」ピョン

凛「おいで、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ」テケテケ

セイバー「ああ、ぽよぽよー……」

衛宮邸・凛の部屋。

凛「さて、と」

カービィ「ぽよ」

凛「ぽよぽよ。『ウィングスター』って、聞き覚えある?」

カービィ「ぽよ? ぽよ!」

凛「あるのね。それって、一体なんなの?」

カービィ「ぽよ!」

凛「いや、乗り物なのは分かってるんだけど……何に使うのかって」

カービィ「ぽよ、ぽーよ」

凛「……まあ、良いわ」

凛(夢に見たあれは、ぽよぽよに関連した話だと言う事は分かった)

凛(マシンって……もうちょっと英霊らしいと言うか、古臭い乗り物じゃダメなの?)

凛(ぽよぽよの世界がよく分からない……まあ、そんな事を言ったらぽよぽよ自身も、よく分からないんだけど)ツンツン

カービィ「ぽよ」プニプニ

凛「それって、今も使えるの? 召喚みたいな形で?」

カービィ「ぽよ? ……ぽよー」

凛「使えるような、使えないような? 曖昧ねえ……」

凛(今まではそんな話もしなかった事から、使えなかったんだと思う。ぽよぽよがすっとぼけてたなら話は別だけど)

凛(何かがきっかけで使えるようになって、パスが繋がっている私がそれ関連の夢を見た)

凛(そう考えるのが妥当かも。今すぐにでも実験したい所だけど、藤村先生の目がある内はやめておきましょう)

凛「じゃあ、あのサーヴァント。本当に、見覚え無いの?」

カービィ「ぽよ」クビフリ

凛「でも、確かにアサシンのサーヴァントなのよね?」

カービィ「ぽよ」

凛「むう……どう言う事なの。アサシンであって、アサシンでない……本当に、別のサーヴァントって事?」

カービィ「ぽよ」

凛「間違いない……。聖杯戦争のルール上、それはあり得ないわ。だって既に、クラスの席は埋まっているんだから」

凛「誰かがルール違反をした? 誰が……既に敗走したマスター……」

凛「慎二と、葛木と……そうよ、サーヴァントが変わったって事は、そもそもアサシンのマスターは?」

凛「キャスターと手を組んでいたって言う、アサシンのマスターは何処へ行ったの?」

凛「昨日柳洞寺に行った時、それらしい姿は見なかった……ぽよぽよは?」

カービィ「ぽーよ」クビフリ

凛「そう……。行方の知れないアサシンのマスター……そいつがルール違反を犯し、サーヴァントの二重召喚を行ったのかしら」

凛「ああ、もう! まるで分からない!」

カービィ「ぽよ、ぽよ」

凛「……そうね、考え過ぎるのは、良くない。誰が何とか、今は考えても分からないんだから」

凛「アサシンが入れ替わり、マスターは逃げ果せた。それが事実」

凛「これで残るサーヴァントはアサシン、ランサー、バーサーカー……」

凛「……次は、バーサーカーかしらね、いよいよ」

カービィ「ぽよっ!」

衛宮邸・台所。

凛「士郎、ちょっと良い?」コソ

士郎「ん? どうした、遠坂?」コソ

凛「ちょっと、これから出かけてくるわ。ぽよぽよも一緒に」

士郎「こんな時間から? 何処に」

凛「ちょっとね。そんなに遅くならないわ」

士郎「分かった。藤ねえには、上手く言っておく」

凛「ありがと。それと、水を汲ませてもらえるかしら。ぽよぽよの、能力用に」

士郎「ああ。好きにしていいぞ」

凛(今の所、こうやって怪しまれずに持ち運ぶには水筒の中に水を入れるしかないのよね)

凛(そこら辺の石を食べさせても良いんだけど、お腹壊されると嫌だし、それにあれって防御向きの能力みたいだから)

凛(……まあ、ぽよぽよにお腹を壊すと言う『概念』があるのかどうか、甚だ疑問だけど)

凛(食べられない物も、これと言って無さそうだし。って、そうじゃなくて)

凛(魔力で作った炎を食べさせても良いんだけど、それで他のサーヴァントを引っ張りこんじゃうと恐いのよね)

凛(まあ、だんまり決め込んでるランサーが釣れるなら、それも良いとは思うけど)

凛「よしっ。じゃあ、行ってくるわ」

士郎「ん、気を付けてな」

カービィ「ぷー」フワフワ



凛(周りの様子を見る限り、一瞬は怪しむけれど、「フライパンを被っていないからUMAじゃない」ってなるのが多いのね)

凛(……おかしいでしょう、普通に考えて。いや、まあ、そうなってくれるなら私としてはありがたいんだけど)

凛(こんな時間に歩き回るのなんて、聖杯戦争中に初めて。きっとまともなサーヴァントなら、隣にいて)

凛(私が念話で話しかけたら、胡散臭い冗談でも飛ばしてくるのかしら。想像できない)

凛(……まともなサーヴァントだったら、そもそもこんなに苦戦しないっつーの!)

凛(べつに、ぽよぽよが悪いってわけじゃないんだけど……でも、サーヴァントレベルで見たら、低いと思うし)

凛(ぽよぽよは、存在理由の半分が可愛さでできているようなものだから。認めちゃうと、否定できないのよね)

凛(サーヴァントとしてはハズレだけど、いる中では大当たりじゃないかしら)

凛(だって、ウチのぽよぽよが今の所一番可愛いし)

凛(違う違う! サーヴァントと聖杯戦争をそんな目線で見ない!)

凛(気が抜けてるわ、遠坂凛。今からあなた、どんな所に行くと思ってるのよ)

凛(その為に、こんな人目のある時間から霊体化できないぽよぽよを連れていくんじゃない)

凛(私が向かう場所、それは――――郊外にある……アインツベルンが拠点にしているだろうその場所)

凛(アインツベルンの森、その中のどこかにある冬の城、『アインツベルン城』)

冬木市郊外・アインツベルンの森前。

カービィ「ぽよ?」ソー

凛「入らない方が良いわ。指一本でも侵入したら、バーサーカーがすっ飛んでくるから」

カービィ「ぽよっ」

凛(アインツベルンの森……深山町西郊外に広がる広大な森。それ一体が、アインツベルンの敷地)

凛(バーサーカーに喧嘩を売るなら、ここで戦う羽目になるでしょうね、きっと)

凛(まさか、バーサーカーと遭遇するまでその他を歩き回るわけにもいかないし)

凛(そうしても良いんだけど、心の準備がね……突然あんなのに会ったら、心臓が止まるっていうの)

凛「下見は、こんなものね。帰りましょう、ぽよ……」

リズ「大判焼き、美味しい?」

カービィ「ぽよ!」パクパク






凛「は?」

凛「ちょっと、あなた」

リズ「……なに?」

凛「いや、そんな自分は間違っていないと確信している顔をしないで。何をしているのかしら?」

リズ「大判焼きをあげてる」

カービィ「ぽよ、ぽよ」パクパク

凛「見りゃ分かるって言うの! だから、なんで勝手に餌付け……」

凛(……怒りに気を取られて一瞬気付かなかったけど、こいつ……人間じゃない)

リズ「だって、前から、そうしてる」

凛(まさか、こいつ……)

凛「って、前から?」

リズ「焼き芋、あげて、鯛焼きも、あげた」

カービィ「ぽよ!」パクパク

凛「……それ、いつ?」

リズ「…………結構、前?」

凛「へえ、そう」

リズ「あ、帰らなきゃ。ばいばい」

カービィ「ぽよっ!」

凛(森の中に入って行った……やっぱり、アインツベルンのホムンクルス……)



凛「……………………ところで、ぽよぽよ?」ガシッ

カービィ「ぽよっ」ギク

凛「勝手に、出歩いたのね?」ブニー

カービィ「ぽよー!」ジタバタジタバタ

カービィ「ぷー……」フワフワ ズキズキ



凛(まったく、ぽよぽよってば、やっぱり勝手にどこかに行っていたのね)

凛(言っても聞かなかったでしょうから、いいんだけど。今まで良く見つからなかったモンだわ)

リズ『だって、前から、そうしてる』

凛(って、普通に見つかってるじゃない……躾、ちゃんとしないとダメ?)

凛(サーヴァントに躾って、マスターとして複雑……まあ、それはそれとして)

凛(結構、まずいわ。さっきの奴は、アインツベルンの身内。私たちが下見に来た事もばれてる)

凛(奇襲しようと思ったけど、これで待ち伏せされる可能性が高くなった。今日中は、やめておくべき?)

凛(と言っても、当てもなくランサーとアサシンを探すのも……)

凛(そこは、士郎とセイバーとに相談しましょう)

>それで他のサーヴァントを引っ張りこんじゃうと
つまりどういうことだってばよ
鯖の魔翌力に反応しないで凛の魔術に反応する・・・?

衛宮邸・居間。

凛「ただいまー。あれ、藤村先生は?」

カービィ「ぽよー」ズキズキ

士郎「お帰り、遠坂。藤ねえならさっき、用事があるのを思い出したって言って帰ったよ」

セイバー「お帰りなさい。さあぽよぽよ、こちらへ」

凛「忙しいわね、先生」

士郎「まあな。学校の事とかで、色々あるんだろ。だったらこんなところに寄ってるんじゃない、って思うけどな」

凛「そうね。丁度良いわ、話があるの」

士郎「話?」

セイバー「ぽよ……リン! ぽよぽよの頭頂部に不可解な手の痕が!」

士郎「手の痕? ……本当だ、まるで力強く握り潰されたかのように手の痕が……遠坂、知らないか?」

凛「さあ、天罰じゃない?」

カービィ「ぽよ……」

セイバー「可哀想に、ぽよぽよ……私が撫でれば元に戻るでしょうか」

士郎「それで、話って?」

凛「残りのサーヴァントはアサシンとランサーとバーサーカー……内、アサシンについて」

凛「私は一応、アサシンのマスターがルール違反で、アサシンのサーヴァントを召喚し直したと考えてる」

士郎「そんな事、あり得るのか?」

凛「あり得ないわね。でも、今回の聖杯戦争は色々と常識が通用しないし……」チラ

カービィ「ぽよ?」ズキズキ

セイバー「痛くないですか、ぽよぽよ」ナデナデ

士郎「ううむ……聖杯戦争は詳しくない俺だけど、納得できる……」

凛「で、セイバーはどう思う?」

セイバー「考えられません。凛の言う再召喚とは、一度召喚されたサーヴァントを英霊の座から降ろすと言う事です」

セイバー「それを可能にするには、聖杯に直接手を加えなければならないでしょう」

セイバー「仮に聖杯に触れられたとしても、それを行うには、高位の魔術師でも難しいと思われます」

凛「そう……そうなのよね。元々、どこかに不備が無いと、そんな歪みは発生しない」

凛「だから、まるで分からない……」

士郎「歪み……既に、誰かがルール違反を犯していたとか?」

凛「だとして、誰がどうとか、分かりっこないんだけど」

凛「まあ、アサシンの事は、その時になればいいわ。監督役に綺礼もいるんだし」

士郎「大丈夫なのか、あいつに任せて……」

凛「今までマスターの尻拭いは幾つでもしてきたわ。学校の時も、ライダーの時も。信用はできないけど、仕事はするはずよ」

凛「で、次は何処のサーヴァントと戦うか」

士郎「アサシンとランサーとバーサーカー……ランサーは、ずっと姿を見せない」

セイバー「既に倒された可能性もあります」

凛「楽観視はできないけれど。居場所が分からないのは事実なのよね」

士郎「アサシンはどうなんだ?」

セイバー「アサシンのサーヴァントは隠密行動に長けています。他のサーヴァントより勝るそれを、感知するのは難しいでしょう」

士郎「となると、消去法で……」

凛「やっぱり、バーサーカーになっちゃうのよね」

士郎「あいつか……あと、イリヤ」

凛「……イリヤ?」

士郎「ああ、いや、なんでもない」

凛「……実はさっき、下見に行って来たのよ。恐らく戦う場所になるだろう、アインツベルンの陣地に」

セイバー「それで、先ほどはいなかったのですね」

凛「結論から言うと、アインツベルンの身内に知られたわ。待ち伏せされるかも」

士郎「何やってんだよ遠坂」

凛「うっさい! 予想外の事があったのよ!」

カービィ「ぽよ……」ズキズキ

飯食う

>>537
凛がカービィの事をまともなサーヴァントとして見た数は片手で足りる
あとは凛のうっかり、つまりそう言う事だっていう

凛「バーサーカー……英雄ヘラクレス。十二の試練を越えた英雄中の英雄」

士郎「聞くだけで、ヤバいのが分かるな……」

セイバー「しかし、退くわけにはいきません。いずれ戦わなければならない相手なのですから」

凛「勢力の片割れであったキャスター勢が崩れた今、勝手に退場するのも期待できないもの、仕方ないわ」

士郎「勝てるのか? だって、確か、セイバーの攻撃も通じなかったじゃないか」

凛「勝つしかないのよ」

セイバー「元より、相手の事が分からないのが当然です。正体不明の敵と戦うと考えれば、普段と変わりありません」

カービィ「ぽーよ」ズキズキ

凛「まあ、考えられる能力と言えば、その「十二の試練」関連でしょうね。それが、どのように与えられているか」

士郎「……十二の攻撃手段を持つ、とか?」

凛「あり得るけれど……セイバーの攻撃が通用しなかったのが、引っかかるのよね」

凛「防御系に変換できるような伝承が、ヘラクレスにあったかしら……」

セイバー「後は、シロウとリンに任せましょう。ぽよぽよ」ナデナデ

カービィ「ぽよ」ズキズキ

士郎「そうだ。これ、返さなくちゃな」チャリ

凛「それ……」

士郎「宝石がついたペンダント……遠坂のだろ?」

凛「そうだけど……まあ、一応返してもらうわ」

士郎「ん。ほら、遠坂って、宝石を使った魔術を使うんだろ?」

凛「ああ、そう言えば言って無かったっけ? そう、おかげで費用がかさんでかさんで……」

士郎「あの時……一度俺が、ランサーに殺された時。うっすらと、見えたんだ」

士郎「助けてくれたの、遠坂だよな。その、宝石魔術を使って。だから、傍にあったこれも、遠坂のじゃないかと思ったんだ」

士郎「ありがとう、遠坂」

凛「……ええ、どういたしまして。ただ、次は無いんだから、本当に無茶はやめてよ?」

凛「これだって、もう魔術になんか使えない。って事はないんだけど、魔力を籠めるのに何年かかる事やら」

士郎「ああ、気を付けるよ」

凛「本当に分かってるんだか……」

セイバー「中々痕が消えませんね……」ナデナデ

カービィ「ぽよー……」ズキズキ

衛宮邸・庭。

凛「ぽよぽよ、何をするか、分かってるわね?」

カービィ「ぽーよ!」

凛「そうよ、ぽよぽよが使っていたって言う乗り物、エアライドマシン……「ウィングスター」を召喚する」

凛(ぽよぽよはライダーとの戦いの直後、消滅するライダーの残り滓を吸っていた……気がする)

凛(正直今まで見間違いだと思っていたけど……もしかしたらあれで、「ライダー」の特性を獲得していたのかもしれない)

凛(今朝の夢、そしてぽよぽよの「使えるような、使えないような」と言う曖昧な返答……)

凛(偶然で片付けるには、もったいない。だから)

凛「ぽよぽよ!」

カービィ「ぽよ! ぽーよー!」

カッ――――――――ズシャ



凛「う、う……なに、今の光……」

カービィ「ぽよ!」

凛「ぽよぽよ……こ、これ」

凛(白と青のツートンカラーに白鳥のように鋭いフォルム、三つに別れた尾のようなブースト部分は、私が夢で見た……)

カービィ「ぽーよ!」

凛「ウィングスター……?」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」

凛「機械の召喚……できるとは思わなかったけど、これが」

凛「異文明の飛行機……これ、触っても大丈夫?」

カービィ「ぽよ?」

凛「……やめとくわ。私、機械音痴だから……」

凛(召喚には成功した。サーヴァント召喚と同じくらいに緊張したわ、私は何もしてないけど)

凛「問題はここからよ。これを、「まともに扱えるのか」」

凛(ぽよぽよが動かせるのが前提。魔力消費量や、その出力、周囲への干渉がどの程度か)

凛(或いはこれが、バーサーカー打倒のヒントになりえるかもしれない)

凛「ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ!」ピョン

ブゥン ブオォワ……

カービィ「ぽー、よっ!」グイ

ドワオ!

凛「あっつ!」

ヒューン

凛「……飛んだ」

カービィ「ぽーーよーー!」フリフリ

凛(早い……あのサイズで相当の早さを出しておきながら、ぽよぽよの平然としている)フリフリ

凛(ウィングスターの周囲に、パイロットを保護する特殊な力場が発生しているのか、ぽよぽよが頑丈なのか……)

凛(……ウィングスターの為の、開けた場所を森の中で探す必要があるわね)

>>550気付いた誤字脱字や気になる表現は修正する方針ってどうなんだろう

>凛(早い……あのサイズで相当の早さを出しておきながら、ぽよぽよの平然としている)フリフリ

凛(早い……あのサイズで規格外の早さを出しておきながら、ぽよぽよは平然としている)フリフリ

士郎「飛ぶなぁ、ぽよぽよ」

セイバー「ぽよぽよ! 危険だ、早く降りてくださーい!」ブンブン


カービィ「ぽーよよーい!」フリフリ


セイバー「手を離さないでくださいいいいいい!」ブンブン

凛「士郎、セイバー」

士郎「ぽよぽよ、あんな事もできたんだな」

凛「みたいね。私が知らないだけで、他にも色々できると思うわ」

士郎「すごいな。あんなに小さいのに」

凛「私は複雑よ。隠されているみたいで、信用されていないみたいで」

士郎「遠坂だって、分かってるだろ。ぽよぽよは……」

凛「ただのバカよ。そう、自分が何を分かっていて何を知らないか、自分ですら知らないんだから」

士郎「うーん……俺は、そこまで言うつもりはなかったけどな」

凛「じゃあ他に、なんて言えって?」


カービィ「ぽよー!」フリフリ

ギューン!

凛「うわっと。気をつけなさい――――」

どっかあああああん

士郎「…………家の土蔵がああああああああ!」

セイバー「ぽよぽよおおおおおおおおおお!」

凛(……私の所為じゃないよね)



ガランガラン ガシャン

カービィ「ぽへっ。ぽよ……」

凛「まあ、これでバーサーカーに対して少しくらいの余裕はできたわ」

カランカラン

士郎「セイバー召喚の時に散らかったの、折角片付けたのに……」

カランカラン

凛「ダメージを受けると分解して、消えてしまう事も都合良く判明した」

カランカラン

カービィ「ぽよ、ぽよ……」

カランカラン

凛「つまりバーサーカーの攻撃を受けないように回避……遊撃が可能になる」

カランカラン

セイバー「シロウ、ここに穴が……」

士郎「後で塞いでおくよ……」

凛「悪かったわよ! 片付け終わったら私が塞ぐ!」

カービィ「ぽよ、ぽよ」カチャカチャ

夜。

アインツベルンの森。

凛「準備は良い? 士郎、セイバー」

士郎「ああ」

セイバー「既に」

カービィ「ぽよ!」

凛「……森に入れば、アインツベルンには気付かれる。待ち伏せしているなら、迎撃も早いでしょう」

凛「死んでも、恨みっこ無しよ」

士郎「遠坂。馬鹿な事を言うな」

セイバー「あなたたちは私とぽよぽよが命に代えても守りましょう」

カービィ「ぽーよい!」

凛「……行くわよ!」

ザザザ……



イリヤ「……来たわ。行こう、バーサーカー」

バーサーカー「――――――――」

イリヤ「ぽよぽよの事は惜しいけれど、敵サーヴァントだもん、仕方ないよね」

イリヤ「みんな、生きてこの森からは出さない」

ガサガサ!

凛「――――ここよ」

士郎「森の中にある開けた場所……確かに、ここなら」

セイバー「ぽよぽよのウィングスターを活用できると言うわけですね」

凛「それだけじゃない。私と士郎が戦況を見る事が出来て、ぽよぽよとセイバーが私たちを見る事ができる」

凛「敵の視界も同じである事を考えても、アドバンテージはでかいはず」

カービィ「ぽよ!」

凛「作戦通りに行くわ。士郎、セイバー!」

士郎「ああ。行くぞ、セイバー」タタタ

セイバー「このような戦い方は好みませんが……止むを得ないでしょう」バッ

凛「よし……。ぽよぽよ、ウィングスターを!」

カービィ「ぽよ! ぽよー!」


カッ――――――――ズシャ


カービィ「ぽよっ」ピョン

ブゥン…………

凛「今の光で、アインツベルンは私たちの居場所に気付いたわ。真っ直ぐにこっちに向かってくる」

凛「そして奴らは私たちを見つけて――――」



イリヤ「こんばんわ、リン」

バーサーカー「――――――――」


カービィ「ぽよ……!」

凛(見下すように、対面する……!)

イリヤ「……四人で来たはずよ。シロウと、セイバーはどうしたの?」

凛(まずは、この場にいない二人の確認。見えるはずないわ、二人とも近くにいても、潜んでいるんだから)

凛「さて、どこに行ったのかしら」

イリヤ「まあいいわ。どうせ二手に別れたんでしょう? サーヴァント一騎で、私のバーサーカーに勝てると思っているのかしら」

イリヤ「何体掛かりでも、私のヘラクレスを倒す事はできないけれど」

凛「それはどうかしら」

イリヤ「ぽよぽよも、新しい玩具を手に入れたみたいだけど……関係無いわ」

イリヤ「せめてぽよぽよは、痛くないように殺してあげる」

凛(来る!)

カービィ「ぽよ!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」ガッ

ズダン! ズダン! ズダン!

凛(地面を踏み砕きながら、バーサーカーはぽよぽよ目掛けて一直線に来る。ぽよぽよはそれを、ウィングスターの速さで回避)

カービィ「ぽよー!」

ブオォワ……ドウン!

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」

凛(離脱したぽよぽよに気を取られて、バーサーカーはその方を向く、その時!)


ガサッ


セイバー「でやああああああああああ!」ブオン

イリヤ「セイバー!?」

凛(潜んでいたセイバーが、バーサーカーを斬り付ける!)

注・このカービィはすっぴん

イリヤ「やっぱり隠れていたのね……でも無駄よ、バーサーカーにそんなのは効かない」

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」

セイバー「くっ」バッ

凛(そんなのは百も承知よ。ここからは、その場その場のコンビネーション!)


カービィ「ぽよ!」ギュン

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」グオ

カービィ「ぽよっ、ぽよ!」ヒョイ


セイバー「はあっ!」

――――ザン!

セイバー「フッ!」ヒュン


凛「アインツベルン……覚悟!」ドギュン!

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」ズサ バッ

キン!

凛「チッ……やっぱりぴったりと、アインツベルンを守ってくる!」

凛(でもこれは、まだチャンス! イリヤスフィールを守りながらサーヴァント二体を相手にするのは至難!)

凛(如何にバーサーカーが強くとも、時は来る!)

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」

イリヤ「何をしているの、バーサーカー! 早く殺しなさい!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」

ド――――ガガガガガガ

カービィ「ぽよっ!?」ギューン

セイバー「バーサーカーの動きが……!」

凛(イリヤスフィールの命令……その一つ一つが、まるで令呪のように!)

凛(狂化したバーサーカーとイリヤスフィールの間に産まれた、純然たる信頼関係だとでも言うの!)


バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」

セイバー「だが……! まだァ!」ヒュ

ズバッ

カービィ「ぽよ!」ギューン

バーサーカー「■■■――――■■■■■■■■■■■――――!」

イリヤ「バーサーカー! ぽよぽよは後でも良いわ、セイバーを殺しなさい!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」ギュオ

ズガン!

セイバー「クッ……!」



凛(――――――――来た!)

凛(ウィングスターの軌道に追い付けないバーサーカーは、セイバーに狙いを定める)

凛(それは、如何に優れた英霊であろうとも、ぽよぽよに対する注意がおざなりになると言う事!)

凛(なんでもいい、バーサーカーの一瞬の隙を作れたなら……)


バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」グン

セイバー「いィやああああああッ!」ブン

ギィンッ!

セイバー「グッ!」ギチ

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」


カービィ「ぽーよー!」ギューン

ゴン

カービィ「ぽよよっ……!」グラッ……ギューン

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」グググ……

セイバー(ぽよぽよのウィングスターによる背後からの突撃にも無反応……ならば!)グイ

バーサーカー「■■■■■――――」

ズドン!

セイバー「フッ!」ビュン

スタ

セイバー「――――――――」チャキ

凛(セイバーは離脱し、バーサーカーと距離を置く)


カービィ「ぽよー!」ギューン

セイバー「フン!」ヒュン

カービィ「ぽよ!」ガシッ


凛(そのセイバーを、Uターンしたぽよぽよが回収!)


バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」


凛(バーサーカーがセイバーを発見する頃には…………)


ギューン――――――――

カービィ「ぽよーーー!」

セイバー「ハアアッ!」ブン

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――」

ゾンッ!


凛(ウィングスターの加速と共に、剣を振り被ったセイバーの一撃がバーサーカーの首を落とす!)

イリヤ「―――――――――クス」



凛(え……今、アインツベルン、笑った……?)

凛(たった今、サーヴァントの首を落とされたって言うのに、どうして)


バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」グオ

カービィ「ぽよっ!?」

ガシッ

セイバー「馬鹿な――――ぐあッ!」

セイバー(掴まれた! このままではぽよぽよ諸共……)パッ

ギューン……

カービィ「ぽよーーーー!」


セイバー「く……首を完全に落としたはず……。なのに、何故、生きている……」

バーサーカー「――――――――」



凛「…………え?」


イリヤ「驚いたわ、セイバー。まさか宝具を使わず、一度でもバーサーカーを殺してみせるなんて」

イリヤ「ヘラクレスは十二の試練を乗り越えて、その試練の数だけ神から命を与えられたのよ」

イリヤ「ヘラクレスの命は十二個、命のストックを十一個持っている。神の祝福……」

                               ゴ ッ ド ハ ン ド
イリヤ「それがバーサーカーの宝具、『十二の試練』」


セイバー「ゴッド……ハンド――――ぐうううううう!」ギリギリ

士郎「や、やめろおおおおおおお!」バッ


凛「バカっ、出てくるなって……!」

イリヤ「あっ、シロウ」


士郎「セイバーをおおお、離せェ!」キィイン ブン

ギン――――バキッ

士郎「ぐわっ! くそ、硬すぎる……枝を強化した程度じゃ、駄目だ!」

セイバー「シ、ロウ……逃げて……!」ギリギリ

士郎「セイバー! ……イリヤァ!」


イリヤ「なあに、シロウ?」

士郎「やめてくれ、こんな。こんな事!」

イリヤ「先にやってきたのはそっちでしょう? それに、バーサーカーはもう一回死んじゃってるんだから」

イリヤ「そっちも何かが死ななくちゃ、不公平じゃない? ねえ、エミヤシロウ?」

士郎「そんな……」

ギューン!

カービィ「ぽよー!」


凛「ぽよぽよ! ダメ、今のバーサーカーは、あなたを……!」


バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」グン

カービィ「ぽよっ!」ヒョイ


イリヤ「バーサーカーの澄ました一撃を!?」

凛「かわした!」


カービィ「ぽよー!」ギュン

ごんっ

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」

カービィ「ぽよっ!」フラ ギューン


イリヤ「バーサーカー! セイバーはもういいわ、その辺に放りなさい!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」ブン

セイバー「ぐ、ああああ――――」

ドガッ! ドサ……

士郎「せ、セイバー!」タタタ……


カービィ「ぽよー!」ギューン

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」

凛「ぽよぽよ! 一旦離れて!」

カービィ「ぽよっ!」ギュン

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」グオ

カービィ「ぽよっ、ぽよ!」ヒョイ ヒョイ

凛(退かない。どうして……ダメージも与えられない、あと、十一回もあんな攻撃をしなくちゃいけない相手なのに)


士郎「おい、セイバー!」

セイバー「シロウ……がはっ」


凛(セイバーが倒れているから、士郎がいるから、私がいるから)


カービィ「ぽよお!」ギュン


凛(まだ、望みを捨てていないから!)

士郎「セイバー、しっかりしろ、セイバー!」


セイバー「シロウ……ぽよぽよは……」

士郎「戦っている、今も!」

セイバー「……シロウ、宝具を、使います」

士郎「宝具!? でも、お前、そんな状態じゃ……」

ギシ ガチャ……フラリ、ガチャ

セイバー「……以前、ぽよぽよによって、私は助けられました」

セイバー(そう、きっと、これを使えば私は……)

セイバー「命を賭す事など、容易い事では無いのに、それでも」


カービィ「ぽよ、ぽよ……!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」

イリヤ「そんなの、さっさと叩き潰しちゃいなさい!」

凛「ぽよぽよ、避け続けるのよ!」


セイバー「今度は、私の番です……!」

セイバー「シロウ……許可を」

士郎「……頼む、セイバー!」

セイバー「この剣に、誓おう」

セイバー(ぽよぽよ、今、参ります!)

カービィ「ぽよ、ぽよっ……」ヒョイ ヒョイ

凛(ぽよぽよに疲労が溜まっている……無理もない、あんな攻撃を連続で引きつけてかわすなんて!)

凛(あと少ししか持たない……どうすれば、どうすれば!)

士郎「おい、遠坂!」

凛「ッ、士郎! セイバーは!」

士郎「無事だ。それより、セイバーは宝具を使うつもりだ」

凛「宝具を?」

士郎「チャージに時間が掛かる。どうにかバーサーカーを引きつけて欲しい。それと射線上から、ぽよぽよを離れさせて欲しい」

凛「そんな、無茶…………分かったわ、伝えてみる!」

士郎「頼む! ……イリヤ、いい加減に――――」

凛(きっとぽよぽよは、これを待っていたんだ。信じて、勝利を、明日に吹く風を)


凛(ぽよぽよ、聞こえる?)

カービィ「ぽよっ!」ヒョイ

凛(セイバーが宝具を使うわ、タイミングが来るまでバーサーカーを引きつけて!)

カービィ「ぽよ、ぽよっ!」ヒョイ ヒョイ

凛(頼むわよ……!)

カービィ「ぽよ…………」


カービィ「ぽよ!」

イリヤ(おかしい……ここまでやって、どうして誰の戦意も落ちないの?)

イリヤ(ぽよぽよは避け続けている。シロウは私の説得を止めない。リンも、諦めていない)

イリヤ(セイバーは……)キョロ


セイバー「…………」ヒュウゥ……


イリヤ(風を集めて……そう言えば、セイバーの宝具は……!)

イリヤ「バーサーカー! セイバーよ! 宝具を使うつもりだわ! セイバーを……!」

キィイイン!

イリヤ「『殺しなさい』!」


バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」グオ

カービィ「ぽよっ!?」


凛「しまった、気付かれた!」

士郎「せ、セイバー!」



セイバー(大丈夫。まだ、ぽよぽよのウィングスターはエンジンを吹かしている)

バオン――――

セイバー(ウィングスターはまだ、風を切っている)

ギューン――――

セイバー「――――夜天に舞うあの星を見るがいい、バーサーカー!」

イリヤ「夜天……?」

ガシン! ギチ、ギシ、ガン!

士郎「星……」

ガシュウゥン! ガチャ、ガチャン!

凛「ぽよぽよ、それは……その手綱は……、そのマシンは……」

バシュウ――――ギュオン!


凛(まるで、夜空を掛ける流星の竜のように……白く禍々しくもあるその竜を手綱で操るように)


バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」


凛(機構変形を果たしたウィングスターは、手綱を引くぽよぽよを背に乗せて、真っ直ぐに下降する)


凛(私の聞き違いでなければ、ぽよぽよは間違いなく、そう言った)


                       ベルレフォーン・ドラグーン
カービィ「――――――――『 騎 英 の 手 綱 』!」

ズオ――――――――――――――――

シュウウウ…………

士郎「地面ごと、バーサーカーを……」

凛「魔力を吸われた……アレは、ライダーの宝具……」


バーサーカー「――――■■■■■■■■■■■■■■――――!」

グオオ!


凛「そんな、あの攻撃を受けてっ!?」

イリヤ「そうよ、バーサーカーは止まらない! まだまだ、死なないんだから!」

イリヤ「やっちゃえ、バーサーカー!」

士郎「セイバー、逃げろおお!」


セイバー「充分です。ぽよぽよ」

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」

セイバー「既に圏外へと脱出した……シロウもリンも、範囲にいない。もはや、憂いもない!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■――――!」

                 エ ク ス カ リ バ ー
セイバー「――――『約束された勝利の剣』!」

ゴウ……カッ――――――――

シュウウウウウウウウ……

ズゥウン……

イリヤ「そ、そんな……」

バーサーカー「――――――――」

凛「なんて、化け物よ……!」


セイバー「…………あ、く」ガク

士郎「セイバー!」

セイバー「シロウ……逃げて、ください。奴はまだ、あと、一つ…………」


バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」

凛「あれだけくらって、まだ生きているなんて!」

イリヤ「バーサーカーの命を、あと一つにまで追い詰めるなんて……」

イリヤ「でももう、セイバーも虫の息よ! ぽよぽよも宝具を使った、これで……!」


ぽて。


カービィ「ぽよっ!」

凛「ぽよぽよ!?」

カービィ「すううううううううううううううう」

イリヤ「す、吸い込み!? バーサーカー、踏ん張りなさい!」

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」ギッ!


凛(今のバーサーカーなら吸い込めるかもしれない……いえ、無理よ! だって、微動だにしていない!)

カービィ「すううううううううううううううううううう」


カタカタ……


凛(……あ、バーサーカーが持っていた、斧剣が――――)

イリヤ「そうよ、バーサーカー! ぽよぽよが疲れたら、今度こそ……!」

カタカタ……ヒュン

イリヤ「あ…………」

凛(ぽよぽよに、吸い込まれていく)

カービィ「ぽよっ」

イリヤ「む、無駄よ! バーサーカーは一度死んだ攻撃じゃ死なない!」

イリヤ「第一、前にやったその攻撃でも、バーサーカーは死にも――――」


カービィ「ぽよっ」プッ

ギョン……ぴゅん――――――――


凛(その時、私が見た物が、見間違いでなければ)

凛(ぽよぽよの口から出たのは、決して星と呼べるような物でも、バーサーカーの斧剣でもなかった)

凛(あれは、言うなれば)


凛(螺旋の刃を持った、一本の剣)


イリヤ「え――――」


凛(それは、未だ勇猛に迫るバーサーカー目掛けて迫り、その直前で)


バーサーカー「■■■■■■■■■■――――!」


凛(また、私の聞き間違いでなければ――――)

                  ブロークンファンタズム
「――――――――『 壊 れ た 幻 想 』」


凛(確かに、何者かのその声が聞こえた)


ズ……ガガガガガガガガガガ!

バーサーカー「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――!」

シュウウウウウウ…………

バーサーカー「――――――――」

カービィ「……ぽよ」ポテ


イリヤ「うそ」


士郎「バーサーカーが……」

セイバー「沈黙、しました……」


イリヤ「嘘よ、嘘よ、嘘よ! バーサーカー! バーサーカー!」タッ

イリヤ「バーサーカー! バーサーカーは最強のサーヴァントだって言ったじゃない!」

イリヤ「絶対負けないって、絶対死なないって、言ったじゃない!」

イリヤ「いやだ、消えないで、死なないでバーサーカー! バーサーカー――――」

スッ……

イリヤ「あ…………」


バーサーカー「――――――――」ナデナデ

シュゥウウ――――

イリヤ「……バー、サーカー」


バーサーカー「――――見事な戦いであった。セイバー。そして、アーチャーのサーヴァント……」

バーサーカー「……いや、星の戦士よ。叶うのならば、我が全力を以って戦いたかったぞ」

シュゥウウ――――キラキラキラ

次回、「影、そして影」。ちなみに今回のサブタイは変更して「天の星と壊れた幻想」に。

今日はこんなもん、おやすみ。

荒らしだかなんだかと思われているのか知らないけれど
折角立てたんで雑談の類はこちらでお願いします

凛ぽよ雑談スレ

それといい加減考え無しに展開進めるとアレだから時間くれ

カービィ側しか知らず、Wikiを見るのも億劫で、昨日の戦闘の『 』内の技がよく分からなかった人の為の解説。

十二の試練-ゴッドハンド
バーサーカー(ヘラクレス)の宝具。分かり易く言うと12個の残機持ち。
蘇生魔術を重ね掛けする事で、それを可能としたとかなんとか。
しかも既に知っているダメージ(殺された事がある方法)には耐性を持ち、つまり12回別々の方法で殺さなければならない。
「残機」と言う表現も強ち間違いでなく、上限11個までマスターの魔力を使って回復できる。
並みの魔術師なら一生かけても1個がせいぜいな所、イリヤなら三日で6個の命を回復できるとか。
しかし残機と言いつつも、大き過ぎるダメージを受けるとその分だけ複数の命を失う。

↓つまりバーサーカーの最大HPがこれくらいとして(上)
■■■■
■■■■■■■■■■
↑受けたダメージがこれくらいなら(下)

     これで1個   2個
        ↓        ↓
■■■■|■■■■|■■


と言う事で命を2個無くす。残った超過ダメージはさらにHPを減らすのかどうかは知らん。
カービィ版『騎英の手綱』と『約束された勝利の剣』はそれだけのダメージを与えたと言う事だね。

まあそれもそうか。知りたければ自分で調べられるし

一昨日のアレだと中途半端なのでやっぱり解説続行。なんか大体こんなはず

騎英の手綱-ベルレフォーン・ドラグーン
『騎英の手綱』とはライダーの宝具だが、そもそもこれは突進技では無く「手綱」自体である。
その効果は使用者の騎乗能力の上昇と、手綱を掛けた対象の性能を引き上げると言うもの。
ライダーは召喚したペガサスの能力をこれで上げて、時速400kmを越える速度での突進攻撃を行った。
カービィも同じだが、ウィングスターの能力を引き上げるくらいならドラグーンを出した方が盛り上がると思った。
なお名前の後ろに「ドラグーン」と付いたのはFate世界での命名のお約束。

約束された勝利の剣-エクスカリバー
カービィで言うとアニメの宝剣ギャラクシアを使ったギャラクシアソードビームをすごくした感じ。超強い。

壊れた幻想-ブロークンファンタズム
宝具を破壊し、その時に発生した神秘の崩壊を超ダメージとして相手にぶつける技。
火薬が弾けると火花が散るように、サーヴァントの宝具が破壊されると同じように神秘の爆発が発生する。
ただし宝具は破壊してしまうと二度と手に戻らず、一つしかない為にこれを行う英霊はいない。
元々は、本来召喚されるはずだったアーチャーのサーヴァントが使用する技。
彼は投影魔術を得意とし、いくらでも宝具を投影し複製できる為、躊躇い無く使える。

そして催促されると弱いので続き書く

修復に莫大な魔翌力と時間が必要なだけで宝具の修復は可能なんじゃなかったっけ?

シュゥウウ――――キラキラキラ

イリヤ「バーサーカー……」


カービィ「ぽよ……ぽよっ」ピョン テケテケ

凛「ぽよぽよ? ちょっと……」

イリヤ「ぽよぽよ……」

カービィ「ぽよ」スゥウウウ

キラキラ……ヒュウ

凛「ちょ」

カービィ「ぽよ」ゴクン

イリヤ「…………バーサーカー、食べちゃった?」

カービィ「ぽよ」

イリヤ「……なんで、そんな事するの?」

カービィ「ぽよ……」フイ

凛(顔を逸らすくらいに悪い事をしたと思っているなら最初からするなっ!)

……ドサ

士郎「お、おい! セイバー! セイバー、しっかりしろ!」

凛「何よ、そっちは!」

士郎「分からない、セイバーが急に倒れて……セイバー!」

セイバー「…………」

イリヤ「返して! バーサーカーを返してよう!」ユサユサ

カービィ「ぽよ、ぽよっ」ブンブン

>>639
ちょっと心折れるわ……ちゃんと調べたと言うのに間違えるとか

翌朝。

衛宮邸・居間。

凛「あふあ……」

士郎「ありがとう、遠坂……こんな時間まで、付き合ってもらって」

凛「全くよ……って、言えないんだけれどね。ちょっとくらいは、私の責任でもあるし」

凛(セイバーが倒れた原因は魔力不足。宝具の使用に必要な魔力を、自分の魔力で補ったから)

凛(ちゃんと魔力供給をできていなかった士郎とセイバー。あのままだと、セイバーは下手すれば消えてしまう)

凛(パスが甘かった時点でそれに気付くべきだったから、まあちょっとは私の責任)

凛(そこで、士郎の魔術回路をセイバーに移植する事で、士郎が生み出す魔力を直接セイバーに流し込む事にした)

凛(魔力を作る事自体はできていたみたいだから、問題はなかった。士郎の体以外は)

凛(魔術回路は、言うなれば内臓。失えばそれだけの欠陥を抱える。魔術師としての生命だって危うい)

凛(だって言うのにこのバカはちっとも聞かず、「すぐやろう」って……)

凛(まあ、結果で言うなら成功した。少しすれば、セイバーも元に戻るはず)

凛「でも、少なくとも今日中の戦闘は避けるべきね。士郎だって、前のようにはいかない」

凛「初歩の強化魔術すら、もうできないかもしれないんだから……」

士郎「だからって、セイバーをあのままになんてできない」

凛「分かってるわよ。まあ、一段落したところで……」

イリヤ「すう、すう」

カービィ「ぽよ……ぽよ……」スピー

凛「どうするのよ、イリヤスフィール」

士郎「どうって、言ってもなあ……」

魔術刻印ですらなく回路の移植?
何事かと思ったら旧アニメ版がこんなかんじだったのかな

凛「これだから……なにも考えていないのは、分かっていたけど」

士郎「酷いな、遠坂」

凛「あんた、昨夜に自分が言った言葉、憶えてるの?」


士郎『イリヤ。家に来ないか?』


凛「気絶したセイバーを抱えたままあんな事言って、こっちはあらゆる意味で度肝を抜かれたわよ」

士郎「だって、イリヤもあのままにしておけないだろう?」

凛「敵マスターを自分の陣地に招く事がどれだけ危険か、分かってないからそう言えるのよ」

士郎「イリヤはもうバーサーカーを失ったし、それに敵マスターって言ったら遠坂だって……」

凛「ねえ士郎。私が良しと言えば、ぽよぽよは今すぐにでもこの家全部を呑み込むんだけど?」

士郎「冗談じゃないか……。でも、サーヴァントのいないマスターなら、別に」

凛「そうでもないわ。聖杯戦争を始めた御三家はね、無償で現界するサーヴァントと再契約できる特権があるのよ」

凛「それがマスターを失ったサーヴァントであろうと、他人のサーヴァントであろうと……殺してしまえば」

凛「もう説明したけど、本当なら、士郎の魔術回路を移植なんてしなくても良かった。優秀な魔術師が一人いれば」

凛「たとえばイリヤスフィール程の魔力の持ち主なら、士郎とパスを繋いで、それでセイバーに魔力を補給できた」

凛「それをせずに無理を承知であんな真似をしたのは、それだけこいつが信用できないって事なのよ」

士郎「イリヤが、そんな事をするって言うのか?」

凛「しないと言えるの? こいつはセイバーを殺そうとした、私たちを殺そうとした。アインツベルンのマスターとして」

凛「士郎の寝首を掻いて、セイバーを奪い取る事なんて……見た目に寄らず、マスターとしては私よりも優秀なんだから」

イリヤ「そんな事しないわ」ムク

士郎「イリヤ、起きていたのか」

イリヤ「さっき。リンが、自分の事を棚に上げて私の事をこき下ろすのが聞こえたから」

凛「減らず口を……本当の事よ。あどけない振りして、とんだ悪女のくせに」

イリヤ「まあ、レディーとして恥ずかしい。きっと人前でも構わず大口開けて欠伸なんかしちゃったりしてるんだわ」

凛「士郎、今すぐこいつを蹴り出す。どうせ追い出してもアインツベルンに帰るんだから、問題無いわ」

士郎「遠坂落ち着けって」

イリヤ「敗退した私に、アインツベルンはマスターとしての価値を求めていないわ……それに」

イリヤ「私は、バーサーカー以外のサーヴァントと契約する気なんて無い……絶対に、嫌」

士郎「……遠坂、頼むよ」

凛「……信用なんて、できない」

イリヤ「結構よ。この家の主はシロウなんだから、シロウの許可が取れれば良いんだもん」

凛「可愛くないし……! 言っておくけど、私があんたをここにいる事を許可しているのは!」

凛「そこで呑気に寝転がっているぽよぽよが、イリヤスフィールは大丈夫だって言ったからなのよ」

イリヤ「そうだ、もしシロウかリンが死んだら、私がサーヴァントを貰ってあげる。それなら、いいよ」

イリヤ「ぽよぽよの中には、バーサーカーがいるから……」モニモニ

カービィ「ぷえ……ぽよ……」スピー

凛「ぽよぽよは私のサーヴァントよ。あんたもマスターが徹夜してる隣で寝てんじゃないわよ!」ゲシ

カービィ「ぶにゅうっ!?」

士郎「八つ当たり……」

カービィ「ぽよ……?」グシグシ

凛「まったく……私は少し、寝てくるわ。士郎、悪いけど、今日は藤村先生追い返しておいてくれない?」

士郎「藤ねえを? なんで、また」

凛「イリヤを家に置いとく言い訳、誰が考えると思ってるわけ?」

凛「私があんたの魔術回路をセイバーに移植している間、ずっと眠りこけてたのは誰? じゃ、頼むわよ」

士郎「……はい」

凛「ぽよぽよ、おいで」

カービィ「ぽよっ」テケテケ……


イリヤ「だめなんだから、シロウ。あんなのの言う事、聞いちゃ」

士郎「とは言っても、遠坂には世話になりっ放しだからな。これくらいは、してやらないと」

イリヤ「ふうん。そうだ、この家の中、案内してよ!」

士郎「良いけど、その前にご飯にしないか? 食べるだろう?」

イリヤ「シロウ、ご飯作れるの?」

士郎「腕には自信がある方さ」

イリヤ「じゃあ、食べる!」

衛宮邸・凛の部屋。

凛「ふああ……。こんなに起きていたの、いつぶりかしら……」

カービィ「ぽよ」

凛「……ねえ、ぽよぽよ。あなた、自分がライダーの宝具が使えるようになっていたの、知ってた?」

カービィ「ぽよ? ぷい」クビフリ

凛「そう……本能的に理解した、って言うのかしら。ぽよぽよだったら、そうかも」クス

凛「だとすると、もしかしたらバーサーカーの『ゴッドハンド』も……って、それは欲張り過ぎか」

凛(もしそうなら心強いけれど、ぽよぽよの事は分からない事ばかり。期待は、しない方がいい)

モゾモゾ

凛「ぽよぽよ、お休み……。起きてるなら、士郎によろしく言っといて……

カービィ「ぽよ!」

凛「…………すぅ、すぅ」

カービィ「ぽよ……ぽよ」

ピンポーン

カービィ「ぽよ? ぽよっ」テケテケ……


夕方。

凛「…………ん、ん」モゾ

凛「………………もう、こんな、じかん……」モゾモゾ

凛(…………ぽよぽよ、いない……)

衛宮邸・居間。

イリヤ「ちょっと、リズばっかりずるい! 私にもぽよぽよー!」

リズ「最初にこの子に目を付けたの、私だから。イリヤでも、だめ」モキュモキュ

セラ「イリヤスフィール様! 何度も申しておりますが、そのようなものに気を許してはなりません!」

カービィ「ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

リズ「美味しい?」

カービィ「ぽよ!」

イリヤ「あー、あー! 私が食べさせるのー!」

セラ「リーゼリット! あなたには侍女としての自覚と言うものが……」

わいわいきゃっきゃ……

凛「……………………」フラフラ

イリヤ「あら、リン。起きたの?」

凛「…………」フラフラ

ガチャ ゴト バタン コン コポコポコポ ドン

凛「…………」ゴキュゴキュゴキュ

ゴン!

凛「ふぅー…………」

士郎「ふう、そろそろ夕食の準備でも……あ、遠坂。起きてきたのか」

凛「説明をしなさい、士郎」

士郎(あ、これは誰かが踏んだ地雷の身代わりにされたな)

凛「私が寝たすぐ後にアインツベルンの使用人二人が来て、イリヤスフィールの傍に居させてほしいと」

士郎「はい……」

凛「イリヤスフィールの使用人ならば仕方が無いと、家に上げたと」

士郎「そうです……」

凛「ぽよぽよを餌にしたら思いの外喜んでくれたんで、これはいいやとそのまま放置したと」

士郎「いや、それは俺じゃなくて、ぽよぽよが勝手に近付いてって……」

士郎「それに俺も寝不足だったから、少し昼寝をしたくて……」

凛「藤村先生への言い訳を考えるのは誰なのか言ってみろー!」ギリギリギリ

士郎「ぐおおおお、遠坂です遠坂だからもうヘッドロックは止めてくれえええ……!」

イリヤ「いやね、ぽよぽよ。ああやって誰かに八つ当たりばかりする人って」

カービィ「ぽよー……」

凛「イリヤスフィール! あんたがここにいる事を許したのは認めるけど」パッ

士郎「いたたた……寝起きのどこにこんな力が……」

凛「そのホムンクルス二人まで良いとは、一言も言っていないわ」

イリヤ「だから、シロウが良いって言ったのよ。何か文句があるかしら?」

凛「士郎! これ以上敵を招き入れるような真似をするなら、私はアンタとの同盟を……!」

カービィ「ぽよ」

凛「……ぽよぽよ、でも」

カービィ「ぽよ、ぽよ、ぽーよ……」

リズ「おお、ぐっどな説得」

凛「ぐ……わ、分かったわよ」

士郎(ぽよぽよ、何を言ったんだ……?)

イリヤ「ねえリズ、今なんて言ってたの? ねえ?」

リズ「ひみつ」

イリヤ「ぷー!」

イリヤ「ぽよぽよは柔らかくて気持ちいいねー」

カービィ「ぽよ」

リズ「特に、このお腹の部分がたまらん」プニプニ

イリヤ「えー、ぽよぽよのお腹ってどこー?」

凛「…………」

士郎「それで、ここをこうすると……」

セラ「あなたの助けなど不要です。私一人でもできます」

士郎「そうか? じゃあ俺はこっちを」

凛「士郎。鬱陶しいから視界の隅でいちゃいちゃしないで」

士郎「いちゃいちゃって……」

セラ「不愉快極まります」

イリヤ「嫉妬って醜いわよ、リン。どっちにしているのかしら、ね?」クスクス

リズ「見苦しい女ってやつ」

凛「…………ぽよぽよ、おいで」

カービィ「ぽよ。ぽよっ」ピョン テケテケ

イリヤ「あ、ぽよぽよ!」

カービィ「ぽよ!」

凛「良い子ねー、誰が飼い主かよく分かってる」ナデナデ

士郎「おいおい、遠坂……ぽよぽよはペットじゃないんじゃなかったか?」

イリヤ「ぐぬぬ……」

リズ「独占はんたーい」

セラ「イリヤスフィール様。どうしてそんなピンクボールに……」

士郎「……そろそろ飯に」

ガタッ

セイバー「士郎、お腹が空きました」グー

士郎「……今、作るよ。セラ、手伝ってくれるか?」

セラ「不服ですが、仕方ありません」

カービィ「ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

セイバー「イリヤスフィール! それは私の肉団子だ!」モグモグ

イリヤ「早い者勝ちだもーん」

リズ「流石イリヤ、欲しい物は奪い取るすたいる」

セラ「そんなはしたない真似、お止めくださいイリヤスフィール様!」

凛「アンタらもう少し静かに食べられないの?」パク

カービィ「ぽよ、ぽよ……ぽよ!」

士郎「…………」

カービィ「…………ぽよ?」

セイバー「シロウ、どうしました?」

士郎「……あ、ああ、ごめん。はい、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ!」モシャモシャ

凛「どうしたのよ、珍しいじゃない」

士郎「いや……こんなに賑やかなのは、久しぶりだと思ってさ。そんなに、昔の話じゃないはずなのに」

士郎「昔よりも人が多いはずなのに……どうしてだろうな」

凛(……前は、藤村先生と、桜と、士郎で三人だけだった。今は、藤村先生も桜もいない)

凛(代わりに増えたのは、士郎の日常を壊した聖杯戦争の繋がりだけ。士郎は、日常を求めているんだわ)

凛(…………桜)パク

食後。

凛「さて、イリヤスフィール。せめて情報提供くらいはしてほしいものだけど、構わないかしら?」

イリヤ「ええ。あなたはともかく、シロウが死んでしまうのは嫌だから」

士郎「おーい、イリヤ、勝手に殺すな」

セラ「黙って食器を洗いなさい。まったく、あなた風情が話しかけて良い相手では……」ブツブツ

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよ!」

イリヤ「怒らなくても大丈夫よ。リンが死んだら私がマスターになってあげるんだから」

セイバー「イリヤスフィール。ぽよぽよは皆の宝です。それこそ独占など許されません」

凛「だから私のサーヴァントだって言うの。……今いるだろうサーヴァントは、セイバー、ランサー、アサシン、ぽよぽよ」

凛「その内アサシンは、以前までのアサシンと異なるサーヴァントらしいわ。セイバーと、ぽよぽよ曰く」

凛「私は、アサシンのマスターが何かをしていると睨んでるんだけど」

イリヤ「あら、リンは知らないのね。アサシンのマスターは、キャスターのサーヴァントだって」

凛「…………え?」

セイバー「イリヤスフィール。今、アサシンのマスターは、キャスターだと……?」

イリヤ「ええ、確かに言ったわ」

凛「そんな、サーヴァントがサーヴァントを召喚なんて……いえ、考えられない事じゃないわね」

イリヤ「そう、サーヴァントと言ってもキャスターは魔術師。サーヴァントを召喚する権利は持っているのよ」

凛「……それが、ルール違反の歪みか……」

イリヤ「それで、アサシンのサーヴァントだけれど……残念だけど、私も以前のアサシンしか知らないと思うわ」

イリヤ「青い和装の、サムライだったでしょう? セイバー」

セイバー「はい、間違いありません」

イリヤ「でも、時期を考えれば誰が犯人か、察しはつくんじゃないかしら」

凛「時期? ……アサシンのサーヴァントを確認したのは、キャスターを攻めた直後」

凛「最初に脱落したサーヴァントはライダー。新たなアサシンを確認する二日前……その間にサーヴァントは脱落していない」

イリヤ「ライダーは間桐のサーヴァントだった。ランサーが倒されている事を考えても、外からの魔術師が無茶なんてするかしら」

凛「間桐がアサシンを召喚し直したって言うの?」

イリヤ「さあ。でも、間桐も手駒は欲しいんじゃないかしら?」

凛(どうやって……いえ、それは分からないから考えなくてもいい。でも、なら誰が……まさか、桜……)

セイバー「それが事実にせよ事実でないにせよ、これからは、間桐も敵として視野に入れておくべきでしょうか」

イリヤ「そうした方が、無難だと思うわ」

凛「……そうね」

凛(こんな形で、未だに絡んでくるのね、因縁って言うのは)

『……連続行方不明事件ですか。恐いですねー。昨日の時点で、判明しているのは何人でしたっけ?』

『えーっと、既に十数人に上ると言う事でして、被害届が出ていない事を考慮すると、もっと……』

士郎「また、行方不明か……」

凛「流石に、怪しいわね。イリヤスフィール、なにか知らない?」

イリヤ「知らなーい」プニプニ

カービィ「ぽよ、ぽよ」

凛「イリヤスフィールでも、知らない……? 調べてみる必要がありそうね」

士郎「行くなら、俺も……」

凛「士郎は、ここで待つの。セイバーだってまだ本調子とは言えないんだから」

士郎「むぐ……」

凛「前ならまだしも、今はイリヤスフィールがいるし、下手にここを空けるわけにはいかないでしょう?」

凛「もし、聖杯戦争が関係しているなら、それなりの事を発見してくるから」

士郎「…………分かった、頼む」

凛(士郎のくせに、物分かりが良いわね……色々と、学んだのかしら)

イリヤ「ぽよぽよって、無心で触りたくなるのよねー……」プニプニ

リズ「同感」ナデナデ

セラ「…………イリヤ、私も」

凛「はいはいぽよぽよは玩具じゃないのよそこまでー」

カービィ「ぽよー……」

ちょっと早いけどアイキャッチ的な感じで今日はここまで。ねむい
HFって色々複雑なのよね、なんでやろうと思ったんだろう俺

>>643
カービィの雰囲気に合わないと思ったから全年齢版にした

凛「まったく、みんな人のサーヴァントを何だと思っているのかしら」

カービィ「ぽよ」

イリヤ「独占行為はんたーい!」

リズ「はんたーい」

凛「はいはい」

士郎「遠坂。少し、良いか? ちょっと、廊下に」

凛「ええ、良いわよ。セイバー、ぽよぽよをお願い」

セイバー「任されました。ぽよぽよ、こちらへ」

カービィ「ぽよ」ピョン

イリヤ「ちょっと! どうしてイリヤたちはダメでセイバーは良いのよ!」

セイバー「私の方がぽよぽよとの付き合いは長い。当然の采配です」

イリヤ「大事なのは時間じゃないんだから!」

セラ「イリヤスフィール様、マスターの意向です。諦めましょう」

リズ「あ、セラ、触れない言い訳ができたから意気揚々と乗っかってる」

凛「それで、話って?」

士郎「……昨夜のバーサーカーとの戦い。俺だけ、何もできなかった」

凛「気にしてるのね。仕方ないわ、あんな化け物と張り合える方がおかしいのよ」

凛「私だって、指示をしているように見えて、ただ突っ立って見てるだけだった……」

士郎「だけど、真の意味で、俺は何もしていなかったんだ……セイバーを、助ける事すらできなかった」

凛「で? だから、どうしたいってのよ、士郎は」

士郎「……さっぱりしているな、遠坂は」

凛「士郎が夢見過ぎなだけ。要するに、セイバーの役に立ちたいって言うんでしょ?」

士郎「う……ああ。今までセイバーが苦しんできたのは、全部俺が悪かったからだ。せめて、一度くらいは……」

凛「そう言う思考は、セイバーに怒られるわよ。まあ、でもね……」

凛「もし、士郎がそうしたいって言うなら……投影魔術を、どうにかする事ね」

士郎「投影を?」

凛「魔術回路を幾つか失った今の士郎じゃ、無駄な足掻きとは思うけど」

凛「士郎の投影は、普通のとは違うのよ。言うなれば士郎は、それだけに特化した体……魔術回路そのもの」

凛「ただ、そんな物は私じゃ教えられない。だから今まで教えなかった」

凛「そのままで済むならそれで良かったんだけど、このままだと士郎が無茶して死んじゃいそうだから」

士郎「遠坂、お前……俺の事を何だと思ってるんだ?」

凛(人の為なら自分の事も考えないイカレた奴。だから、投影の事は教えるべきではなかったのかもしれない)

凛(士郎の投影は人の身を越えたモノ……身に余る力は、自身を滅ぼしかねないから)

凛(ああ、私は師匠として失格だ。そんな魔術を、士郎に与えようって言うんだから……)

衛宮邸・庭。

凛「じゃ、行ってくるわ」

士郎「ああ。気を付けてくれ」

セイバー「ぽよぽよ。アサシンのサーヴァントは隠密に長けています。不意打ちにご注意を……」

カービィ「ぽよ!」

イリヤ「ねえ、リン」

凛「あら、お出迎えなんて殊勝じゃないイリヤスフィール。で、何よ?」

イリヤ「あなたの見送りなんて気が向いたってしないわ。どうしてぽよぽよは……頭にフライパンを乗せてるの?」

リズ「それは、あれだよ。出先でお腹が空いたら、料理をするために違いない」

凛「そんなわけ……………………ないじゃない」

リズ「なら、今の逡巡は、一体」

凛「ぽよぽよ!」

カービィ「ぽよっ」スゥウウウウ

カービィ「ぷー」プクー

凛「よっと。新都まで、道は分かるわね?」

カービィ「ぷー」フワフワ

士郎「ぽよぽよをまるでタクシーのように……」

新都。

凛(不気味な雰囲気……上空から見下ろすだけでも、かつての活気が無いのが分かる)

凛(みんな、最近の事件に怯えて家に籠もっているんだわ。そっちの方が、やり易いかもしれないけれど)

凛「ぽよぽよ、このまま下に降りて」コンコン

カービィ「ぷー」フワフワ

凛(こうやってフライパンを持って行くのも久しぶりね。そんなに、使い勝手の良い能力じゃないから)

凛(最初に使ったあれっきり、まともに使えていないけれど……たぶん一発限りの、言わば『大砲』)

凛(それにフライパンだってタダじゃないし……これを持ち出す為に、いくらか持ってこられなかったくらい)

凛(サーヴァントに通用するかなんて分からないし、使うのは慎重にしたかったけど、まあ、持って行くだけなら)


フワフワフワ……スタ ポヘ。

凛「…………不穏ね」

カービィ「ぽよ……」

凛「血痕が発見されたって言う場所に行きましょう。警察が立ち入り禁止にしているから、すぐに分かるわ」

カービィ「ぽよ」

凛「ぽよぽよは上に。周囲の警戒をお願い」

カービィ「ぽよ!」プクー フワフワ……

凛「……さて」

新都・事件現場。

凛(野次馬がいないのはまだしも、警察までいない……まだそんなに遅くないのに)

凛(命は惜しいって事かしら。賢明な判断ね、明らかに異常事態だから)

凛(いないならいないで、勝手に探るのに都合がいいから、良いんだけど)


カービィ「ぷー」フワフワ


凛(ぽよぽよはちゃんと上で見張ってる……大丈夫そうね)

凛「キープアウトのテープ……まあ、潜れば」

凛(……酷い。惨殺と言うより、まるで捕食の後のよう。そう思えるくらいに、血痕が出鱈目に散らばっている)

凛(サーヴァントだって、魔力が欲しいならこんな真似はしない。ライダーやキャスターがやったように、効率的に集められる)

凛(なら、これはただの異常犯罪者の犯行……だったら、良かったんだけど)

スッ……キン!

凛「魔力が漂っている……とてもどす黒い、見たくもないような……」

凛(やっぱり、魔術師が関係している。タイミング的に、聖杯戦争のマスター……)

凛(ランサーのマスターか、新たなアサシンのマスター……間桐の仕業か)

凛(土地の管理者のお膝元で、結構な真似をしてくれるじゃない)

凛「そうよ私はライダーに結界を張らせてキャスターに市民の魂を吸わせたダメな管理者よ!」

ガスッ!

凛(絶対にとっ捕まえて、私を虚仮にした罪の重さを思い知らせてやる……!)ゴゴゴゴゴ

凛(ここは一昨日に「食われた」人の現場。魔力を追うのは難しい)

凛(今だって、神経を研ぎ澄ませてようやく掴んだくらい。でも、今夜も犯人が歩き回っているなら)

凛(魔力を感じ取って、向かう事ができる)


凛(ぽよぽよ、移動するわ。ついてきて。変なものを見つけたら、私に報告するように)

カービィ「ぷー」フワフワ


凛「よし……後は、足での勝負ね。今日中に見つかれば良いんだけど……」


衛宮邸・居間。

士郎「遠坂、大丈夫かな……」

イリヤ「心配?」

士郎「そりゃあ……」

セイバー「リンは優秀な魔術師です。他のマスターに後れを取るような事はないでしょう」

イリヤ「そう言う事。さ、リズの番よ。イリヤは、ハートの8を出してほしいな」

リズ「やだ。スペードの3」スッ

セラ「くっ! リズ、あなた、私が出せない所を狙って……!」

セイバー「この七並べと言う遊び、単純に見えてなかなか奥が深い……」

士郎(何より、遠坂が頑張っているだろうその時にトランプ遊びに興じていた事がばれるのが恐ろしい……)

士郎(心配はしていたと、言い訳は作っておこう。うん)

凛「……近いわ」

凛(思ったよりあっさりと捕捉した。魔術師なら、もう少し分かり辛いようにすると思ったのに)

凛(素人知識のマスターか、それとも、またバレても構わないって? 嘗められ過ぎでしょう、私……)

凛(ぽよぽよ、降りてきて。すぐに接触すると思うから)


カービィ「ぷー」フワフワ……

フワフワフワ……ポヘ。

カービィ「ぽよっ」

凛「コックはまだ温存。ぽよぽよがまずいと思ったら、コピーして」

カービィ「ぽよ」

凛「行くわよ」ダッ

カービィ「ぽよっ」テケテケ

凛(臭うほどの魔力は、すぐそこの路地裏から漂う)

凛(きっとそこに、少なくとも近くに。まだ…………)


ザワ――――


凛「うっ…………」

カービィ「ぽよ!?」


「――――――――」

凛(なに、この、黒い奴は……アサシンじゃない。そもそも、サーヴァントじゃない!?)

凛(深淵のような、影のような、黒いこいつは……分からない、一体!)


「――――――――」モゾモゾ


凛(蠢いている……その足下にあるのは、人の、手……)ゾク


ずる…………


凛(影が、手を、吸い込むように取り込んだ。まさか、こいつ、人を食っていた……?)

カービィ「ぽよ……」


「――――――――」ヌゥ


「気付かれた!」


「――――――――」ヒュン


凛「触手! ぽよぽよ、回避!」ダンッ

カービィ「ぽよ!」ピョン

>>686
「気付かれた!」は凛のセリフ。

ヒュウ……ギュン

凛「追尾! くっ……!」

カービィ「ぽよー!」ピョン

バシッ

カービィ「ぽよっ」

凛「助かったわ、ぽよぽよ……」スタ


「――――――――」ズルリ……


凛(体の一部を触手のように伸ばして、自由に攻撃ができる……遠距離の攻撃は、却って不利!)

凛(でも、あの姿は異様! 一目で分かる! 触れたら、私の体がそのまま食われてしまいそう……!)

凛「ぽよぽよ。私の身は私自身で守れる。援護はするわ、頼めるかしら?」

カービィ「ぽよ!」テケテケ

凛(サーヴァントだからか、ぽよぽよは触れても大丈夫だった……ぽよぽよに任せる他ない)

凛「でも私だって……『炎よ』!」ボウッ

ゴオオオオッ!

「――――――――」ズル

ボワッ!


凛「引火した! 今よ、ぽよぽよ、吸い込み!」

カービィ「ぽよ!」スゥウウウウウウウウウウウウ

「――――――――」ググ…………ヒュー

もきゅ

カービィ「ぽよ――――」プクー

(――――――――憎い)

カービィ「ぽよっ!?」ペッ

ぴゅん――ばしん!

カービィ「ぽよっ……ぽよ」


凛「ぽよぽよ! 大丈夫、なんとも無い?」

カービィ「ぽーよ……」ウナズキ

凛「そう……あんなもの食べさせて、大丈夫かなって思ったけれど、ちゃんと星になって吐き出せたわね」

凛「……しまった! 人じゃないからって、手加減無しに倒しちゃった……せっかくの手掛かりだってのに」

カービィ「ぽよ……ぽよ!」

凛「でも、本当に何だったのかしら。あんなの、今まで見た事も……え、なに?」

カービィ「ぽよ、ぽよ」

凛「あいつの正体が分かった……えっ、なんで!?」

凛「いえ、そんな事は後でもいいわ。ぽよぽよ、あいつは何なの?」

カービィ「ぽーよー……」

凛「確証なんて無くても。どうせ手探りなんだから、ある程度の推測があった方が良いわ」

カービィ「ぽよ……。ぽよ、ぽよ、ぽよ……」



凛「――――あれが、桜って、どう言う事?」

やばいまとまらない。また考える今日はここまで

カービィ「ぽよよ、ぽーよ、ぽよ」

凛「……あれは、あの黒いのは……桜の魔力で作られたもので」

凛「あいつを吸い込んだ時に、桜の声が聞こえて……思わず、吐き出すくらいの練り込まれた憎悪が」

カービィ「ぽよ」

凛「じゃあ、今までの行方不明事件は、全部……桜がやったって」

凛「桜が、人を殺したって……そう、言うの?」

カービィ「ぽよ……」

凛「ま、待って……」

凛(ぽよぽよは、嘘を付かない。自分でも分かっていない事が多いだけで、分かっている事は、私に言ってくれる)

凛(じゃあ、本当に……? こんな事を、桜ができる? そうか、間桐の爺の差し金……)

凛(……いえ、大事なのは事実。桜がやったかどうか、それだけ)

凛(ぽよぽよは魔力に関してはバカだけど、妙に鋭い所がある。だからこれは、間違いなく本当)

凛(……私は魔術師。魔術師は常に、その思考で動かなければならない。それの前で、肉親の情なんて無価値)

凛(もし、桜が本当に、この事件を引き起こしているなら、私は――――)

凛「……………………ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ?」

凛「間桐に、向かうわ」

凛「事実を、確認する。遅かれ早かれ、桜を助ける為にいつかは間桐を攻めるんだから」

凛「アサシンがいるなら、理由もある。今すぐ、行くわ」

カービィ「ぽよっ……ぽよ、ぽよ!」

凛「行くって言ったら、行くのよ!」

カービィ「ぽよ……」

スゥウウウウウウ プクー

カービィ「ぷー……」フワフワ

凛「よいしょ……私が指示する方向に行くのよ、ぽよぽよ」

カービィ「ぷー」フワフワ

間桐邸。

桜「……姉さんが、来る」

桜「ぽよぽよちゃんも一緒かあ……ちょっと、邪魔だな」

桜「お爺様。アサシンを使って、姉さんを迎えに行ってくれませんか?」

ギチギチギチギチギチ……!

臓硯「――――桜よ。お前にここまでの自由を許した覚えは無いぞ」

桜「ごめんなさい、お爺様。でも、マスターが減るのであればお爺様も喜ぶでしょう?」

桜「聖杯への到達はお爺様の悲願なのですから……誘い込んで頂ければ、お手伝いができると思います」

桜「姉さんさえ連れて来てくれたのなら、サーヴァントの方は倒さずとも私がどうにかしますから」

臓硯「……ふん、まあ良かろう」

ギチギチギチ……


桜「……そうだ、姉さんが来るなら、衛宮先輩も呼ばなくちゃ」

桜「そうしたら、セイバーさんもくるよね。ぽよぽよちゃんと一緒に食べちゃえば」

桜「うふふ、ああ、お腹が空いてきちゃった、あはは」

桜「待っていてくださいね、先輩……私もお迎えに行きますから」

…………オオオオオオオオオオオオオオオオオ

新都・上空。

凛(桜……)

凛「……ぽよぽよには、ちゃんと話しておかなくちゃね」

カービィ「ぷー?」フワフワ

凛「私と桜は、実の姉妹。それは、前にぽよぽよが気付いた通りよ」

凛「魔術師の家系って言うのはね、後の争いを生まない為に、一人の子供にしか魔術を継承しないの」

凛「子供が二人産まれた場合、片方どちらかは魔術とは関係ない家に養子に出すのが通例」

凛「お父様は、私に魔術を継がせる事を選んだ。桜は養子に出される事になった」

凛「でも、桜は優秀な魔術の素質を持っていた。普通の家で暮らす事は、難しいくらいに」

凛「……まあ、そこを詳しく話してもぽよぽよには分からないでしょうけど」

凛「その時、間桐が話を持ちかけてきた。桜を養子として引き取る、ってね」

凛「間桐は、その時にはもう魔術の素質に枯れていた。桜の素質があれば、それを起点にって魂胆でしょうね」

凛「他に魔術師の引き取り手も無かったお父様は、桜を間桐へ養子に出した……どうなるか、分かっていても」

凛「桜の髪や瞳の色はね、昔は私と同じだった。黒くて、可愛くて……だけど今は、間桐の色に染められてしまった」

凛「間桐の魔術によるものよ。体も、魔術回路も、全部間桐の魔術に都合の良いように作り変えられた」

凛「桜がどれだけ辛かったのか、見れば分かった……だけど、私は、見て見ぬ振りをした」

凛「既に桜は間桐の人間で、その話は今から十年前に終わっていて、そして間桐は魔術師としての同盟相手」

凛「脅威である事も含めて、個人的な感情で簡単に手出しできる事じゃなかったのよ……」

凛「……ねえ、ぽよぽよ」コンコン

カービィ「ぷー」フワフワ

凛「本当に桜があの黒いのを使って人を殺していたら、私は魔術師として対応しなくちゃならない」

凛「もしも桜の意思でこの事件を引き起こしたなら、私はこの手で桜を殺す」

凛「その時、邪魔をしないでね、ぽよぽよ……」ナデナデ

カービィ「……ぷー」フワフワ

凛「ありがとう。本当に、腹立つくらい察しが良いんだから」

カービィ「ぷー」フワフワ


――――キラ


カービィ「ぷ!? ぽよっ!」ポヘ

凛「えっ、ちょ、こんなところで……!」

ギュン…………!

凛(え? 今、何かが脇をすり抜けていった?)ヒュー

凛「って、それどころじゃなーい!」ヒュー

カービィ「ぽーよー!」ヒュー

凛「さ、サーヴァントですって! こんなタイミングで……」ヒュー

カービィ「ぽよ、ぽよよ!」ヒュー

凛「ええ、アサシンでしょうね、こんな暗殺めいた真似するやつ!」ヒュー

凛「くっ、もうすぐ落ちる……! 『軽量、重圧。重葬は地に還る』!」キィイン

ヒュー……ブワ!

凛(軽量化と重力操作の魔術! これで一先ず着地すれば……!)


――――キラン


カービィ「ぽよ! ぽよー!」ヒョイ

ギュン ガギギ……ばこんっ!

カービィ「ぽえっ!」

凛「えっ!? ぽよぽよ!」スタ

カービィ「ぽよっ」ポテ

凛(ぽよぽよが着地直前にフライパンを構えたと思ったら、そのフライパンに穴が開いた!)

カラン……

凛「……短剣? まさか、これを投げてきたって……!」

凛(目に見えない速度で放たれた短剣、まるで弾丸のように! こんなのが当たったら!)

カービィ「ぽよ!」ピョン クルン スタ

凛「ぽよぽよ、どこにいるか分かる?」

カービィ「ぽーよ……」フリフリ

凛「そう……やっぱりね」

凛(アサシンのサーヴァントは『気配遮断』のスキルを持っている。生半可な事じゃ見つけられない)

凛(加えてこっちはフライパンをゴミにされた。もうコックのコピーには期待できない!)

凛「ぽよぽよ、次に何か飛んできたら……」

カービィ「ぽよ!」


――――キラ


凛「何でもいいから、吸い込んでしまいなさい!」

カービィ「ぽよー!」スゥウウウウウウウウ

ギュン……もきゅ。

カービィ「ぽよっ」ゴクン



カービィ「――――ニンジャ!」ドロン!

カービィ「ぽよ!」

凛「でかしたわ、ぽよぽよ! 一か八かだけど、コピー成功!」

凛(見えなかったけれど、ぽよぽよが吸い込んだのは、たぶんさっき投擲された短剣と同じもの)

凛(それはアサシンから投げられた物だから、性質の近い「ニンジャ」って事ね)

カービィ「ぽよっ」ジャキン

凛「それは、クナイ?」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」ヒュンヒュン

――――キン! キン!

カラン カラン……

凛(ぽよぽよが投げたクナイが空中で何かに当たった! 落ちたのは……やっぱり、短剣!)

凛「あっちに、アサシンがいるのね!」

カービィ「ぽよ!」ジャキン ヒュンヒュンヒュン

キン! カラン……

ニンジャで投げるのはクナイじゃなくて手裏剣ですた

凛「方向が分かればこっちのモンよ! ぽよぽよが狙う方に合わせて、ガンドを!」キィイン ドギュン!

凛(投げられる短剣はサーヴァントの武装だけれど、魔力で作られているわけじゃない。つまり、有限!)

凛(対してぽよぽよの手裏剣は、見事に私の魔力から作られている。つまり、私の魔力が続く限り無限!)

カービィ「ぽよ!」ヒュヒュヒュン

キン! キン! カラン カラン……ドギュンドギュン!

凛(今のぽよぽよはニンジャの能力でアサシンとほぼ同等。相手の位置も把握している状態)

カービィ「ぽよぽよぽーよー!」ヒュヒュヒュンヒュン

凛(逃げ場を無くすように、無限の手裏剣投擲を続ければ、相手も短剣で迎え撃たなければならない)

カービィ「ぽよー!」ヒュンヒュン

キン! カラン……ドギュンドギュン!

凛(やがて手持ちの武器が無くなったアサシンは逃走するか……)

カービィ「ぽよ!」ヒュン

凛(反撃を続行する為、短剣の回収を試みる!)


「ギィ!」ヒュオ


凛「そして、私たちの前に姿を現す!」ドギュン

カービィ「ぽよ!」ヒュン

真アサシン「フッ!」ヒョイ

スタ チャキチャキ

凛(ガンドと手裏剣のクロスアタックを空中で回避したばかりか、短剣の回収を許した……!)

真アサシン「…………」

カービィ「ぽよ……」ジリ

凛「あいつ……確かに、柳洞寺で見たアサシンのサーヴァント」

凛(……だけど、あの時とは違う。あの時は獣のようだったのに、今はそれなりの理性があるように見える……)

凛(それに、あの右腕……以前には無かった包帯を巻いて隠している、異様に太い腕。怪しすぎる!)

凛「ぽよぽよ。あの腕に気を付けて。何か、絶対にある」

カービィ「ぽよ!」ジャキン!

真アサシン「……ジャアッ!」グオ――――

凛「き、消えた!」

カービィ「ぽよ!」ヒュン

ギュン――キン! カラン……チャキ

凛「後ろから!?」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」ヒュヒュン

キン! チャキ チャキ

凛(アサシンの奴、短剣を回収しながら戦っている! そんな事をしてるって言うのに、姿がまるで見えない!)

カービィ「ぽよっ!」ヒュンヒュンヒュン!

キン! キン! ギュオ――――

カービィ「ぽよ!」ジャキン ブン

キン! チャキチャキチャキ

カービィ「ぽよ……ぽよー!」ヒュンヒュン

キン! チャキチャキ

凛(何もできない! 下手に魔術での援護を試みれば、ぽよぽよの邪魔になる危険性だってある!)

凛(ぽよぽよは手裏剣投擲に加えてクナイで弾いて、上手くかわしている。でも、いつまで続くか……)

凛(せめて、アサシンの姿が捕捉できれば……いえ、それは考えない!)

凛「ぽよぽよ、踏ん張りなさい!」

カービィ「ぽよ!」キン ヒュンヒュン

キン ギュン!

カービィ「ぽよ!」キン

ギュンギュンギュン! チャキチャキチャキ

カービィ「ぽよ、ぽよい!」キンキン ヒュンヒュン

ギュンギュンギュンギュン! チャキチャキ

カービィ「ぽよ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン

ギュン!

カービィ「ぽよっ!」ヒュン!

――――キン!



――――ギュン!

――――ギュン!


カービィ「ぽよっ……」キン

ハラリ……

真アサシン「オオアァッ!」グオ

凛(見えた……! けど、腕の包帯が取れて……そうか、アレは太い腕じゃない)

凛(折り畳まれた、恐ろしく長い腕だったんだ! 遠くからでも、相手に届くように……)

凛「――――ぽよぽよ!」


ひたり。


カービィ「ぽよ……」ビク

                          ザバーニーヤ
真アサシン「――――――――『妄想心音』」

ギュ……ぐしゅ。


カービィ「ぽ、よ……」キュン ポテ

凛「ぽよ……ぽよ!」

チチンチチン パキン!

凛「この――宝石よ!」カッ

真アサシン「ハッ!」シュン

チャキチャキチャキチャキ

凛「くっ……ぽよぽよ!」ダッ


真アサシン「…………ム」チャキチャキチャキ

カービィ「ぽよ……」

凛「良かった、生きてる!」

ギュン ズガッ

凛「ウッ……!」

真アサシン「この宝具を受けて生きているとは……心臓の位置がいまいち分からなかった事もある、欲をかかない方が良さそうだ」

凛「何を」

真アサシン「…………」グオ

凛「くっ――――」

ザッ チャキ ビュン

凛「…………え?」

凛(何? 今、私、アサシンに抱えられて……)

凛「ちょっと、何するのよ! 離しなさい!」ジタバタ

真アサシン「暴れるな。お嬢様は、お前を無傷で連れてくるようにと命じられた」

凛「何が……! ぽよぽよ、ぽよぽよー!」



カービィ「……………………ぽよっ」ハッ

カービィ「ぽよ」キョロキョロ

カービィ「ぽよー!」

カービィ「…………ぽよ」

凛(ぽよぽよ、助けて……!)

カービィ「ぽよ! ぽーよー!」

カッ――――――――ズシャ

カービィ「ぽよっ」ピョン

ブゥン ブオォワ……バオン!

カービィ「ぽよー!」


遡る事、少し前。

衛宮邸・居間。

セイバー「これで、私も上がりです」スッ

イリヤ「はい、これでセラの三回連続負けー」

リズ「セラよっわー」

セラ「お黙りなさいリーゼリット! カードゲームなど時の運です、七並べのようなルールとなれば尚更……」シャカシャカ

士郎「まあ、確かにこれは運の要素が強いからな。気にしない方が良いぞ」

セラ「くっ、あなたに慰められるなんて……」

セイバー「しかしセラ。あなたは出し惜しみが過ぎるようだ。もう少し――――」

ザワ…………

セイバー「…………シロウ」

士郎「ああ……何か来る。セイバー、「これ」がなんだか分かるか?」

セイバー「……はい。私は、この感覚に憶えがある」

イリヤ「私もよ、シロウ。でも、私が知っているのじゃない……とてもイヤなモノ」

士郎「サーヴァントじゃ、ないのか?」

セイバー「もっと恐ろしい物です。シロウ、イリヤスフィール、下がって!」バッ チャキ

リズ「イリヤ。私が守るから大丈夫。セラ、お願い」

セラ「ええ。イリヤスフィール様、こちらに……」

…………オオオオオオオオオオオオオオオ

「うふふふふふ、うふふふ……」

士郎「え……この、声……」

セイバー「そんな……まさか、あなたは」


桜「お久しぶりです、せんぱい」


イリヤ「わあ、すごい格好」

セラ「見てはいけません、イリヤスフィール様」

リズ「これが噂の露出狂か」

士郎「さ、桜……なんで、どうして。その格好は、一体……」

桜「ああ、これですか? さあ、なんでしょう。気が付いたら、こうなっちゃっていました」

桜「そんな事よりも、せんぱい……」ス……

セイバー「待て、サクラ!」

桜「……セイバーさん。サーヴァントが私に触れると、「泥」に飲まれてしまいますよ?」

士郎「サーヴァントって……桜、そんな。お前は、魔術と関係無い筈じゃあ……」フラ

セイバー「シロウ! 気を、しっかり」

桜「――――セイバーさん、あまり先輩に触らないでください。食べちゃいますよ?」

セイバー「グ……」

桜「そう、先輩。その事でお話があるんです」

士郎「話……?」

桜「少し恥ずかしい事なので、私の家まで、来てくれませんか? 先輩一人だけで」

セイバー「一人だと! シロウ、聞いてはなりません! 魔術師の拠点に乗り込む恐ろしさは知っているはずでしょう!」

士郎「……分かった、行くよ」

セイバー「シロウ!」

士郎「許してくれ、セイバー。でも、俺……ごめん」

桜「ふふ……そうです、先輩。ぜーったいに、一人じゃないと嫌ですよぉ?」

桜「でないと、今すぐにでも遠坂先輩を殺しちゃいますから」

士郎「な、に。桜、今なんて……!」

桜「待ってますからね、先輩……」

ドロドロドロ……

士郎「桜……。遠坂を、殺すって……一体、どうなってるんだ」

セイバー「シロウ……」

士郎「……セイバー。いざとなったら、令呪で呼び出す。だから、待っていてくれ……」

セイバー「危険です!」

士郎「遠坂を見殺しにしろって言うのか!」

セイバー「しかし、あなたの身は……」

士郎「セイバー、家を頼む!」ダッ

セイバー「シロウ! ……桜、一体あなたに何があったと言うのだ」

イリヤ「行かないの、セイバー?」

セイバー「……シロウは、令呪で私を呼ぶと約束しました。必ず、呼ぶでしょう」

イリヤ「知ってるくせに、セイバー。知り合いだかなんだか知らないけれど、あの子はもう人間じゃないわ」

イリヤ「完全に、聖杯に飲まれてしまっている。マキリもやらかしてくれたものね」

セイバー「やはり、アレはまだこの世に残っているのですね……」

イリヤ「きっとシロウ、セイバーを呼ぶ隙も与えられずに殺されちゃうわ」

イリヤ「だから、行きなさい、セイバー」

セイバー「イリヤスフィール」

イリヤ「大丈夫よ。この家を取ったりなんかしないから。もしそうなっていたら、私を斬っても良い」

セイバー「……この私に、あなたはそのような事を言うのですか」

イリヤ「ねえ、セイバー。本来なら、私とあなたはもう二度と会うはずもなかった」

イリヤ「今更、何の情を抱く必要があるの? そう、あのサクラって子にも」

イリヤ「何のために二度も聖杯を縁に現界したのか、忘れない事ね」

セイバー「……留守を、頼みます」

イリヤ「ええ。帰ったら、キリツグの事をシロウに話しましょう。まだ、言ってないんでしょう?」

セイバー「……そうですね」

バシュウゥン! シュウゥ……

セイバー「……フッ!」バッ


イリヤ「……セラ、リズ。もしもその時が来たら、お願い」

セラ「かしこまりました、イリヤスフィール様」

リズ「大丈夫だよ。ぽよぽよがいるから」

イリヤ「……うん、そうだね」

久々の更新は真アサシン戦で終了。次回、「虹の剣・改」。

マキリじゃなくてマトウじゃなかった?乙ー

>>740
その>1が雑談は別スレでやってくれと言ってるから…

>>741
「マキリ」の方が変換の時に楽なんだよ(棒)
あのシーンではどっちでも良かったと思うけど

続き書く

間桐邸・地下。

凛(アサシンに連れ去られて、着いた場所は間桐邸……やっぱり、アサシンのサーヴァントは間桐が)

凛(一つの家でサーヴァントを二体所有するなんて、やってくれるじゃない)

凛(でもそうなると、やっぱり……桜も)

凛「……くそ、アサシンに縛られた縄が食い込んで痛い……」

凛(この程度なら魔術でどうにでもできるんだけど……見張られている気がする)

凛(まるで全方向から狙われているような。気分が悪いわ。って言うかここどこよ、地下みたいだけど)

凛(ぽよぽよは何をしているの……。ぽよぽよ、助けて……!)

ガチャ……

凛(誰か来た!)

カツン カツン カツン カツン……

桜「――――気分はどうですか、遠坂先輩?」

凛「アンタ……こんな真似して、タダで済むと思ってんの!」

桜「遠坂先輩、恐い……ふふ、でも、今の遠坂先輩に、何ができるんですか?」

桜「令呪は残り一つでサーヴァントも呼べない。アサシンが恐くて逃げ出す事もできない」

桜「違いますか?」

凛「くっ……」

桜「もっとも、ぽよぽよちゃんが来ても何をできるのか、と言う話ですが……うふふ」

凛「ぽよぽよがサーヴァントだって……気付いていたのね、最初から!」

桜「あんな生き物が地球上にいるわけないじゃないですか。騙されるのは藤村先生くらいです」

桜「でも、もうすぐでお別れです……セイバーさんと一緒に」

凛「セイバーも……?」

桜「さっき、衛宮先輩を呼んだんです。ここに来るようにって」

凛「馬鹿ね。衛宮くんは引っかかっても、セイバーが許すわけないじゃない」

桜「大丈夫ですよ。私の分身を送って誘いましたし、遠坂先輩を人質に取った旨も伝えましたから」

桜「早く来ないと遠坂先輩を……」

ザワ……ヒュン

桜「殺しちゃうって」

凛「く……」

凛(あの黒いやつの触手を、自由に操ってる。格好からそうだと思っていたけど、本当に桜が人を……)

桜「衛宮先輩は必ず来ます。セイバーさんも、あの人の事だからきっときます」

桜「そうしたら、セイバーさんもぽよぽよちゃんも、みんな私が食べちゃうんです」

桜「衛宮先輩は、大事に、ゆっくりと、殺しちゃいます」

凛「そんな! アンタ、あんなに士郎の事を……!」

桜「何が!」

ガスッ!

凛「うぐっ!」ドサ

桜「士郎って、先輩の事を気安く呼ばないでくれませんか? 思わず蹴っちゃったじゃないですか」

凛「さ、桜ァ……」ググ

桜「もう。顔を蹴られた程度で被害者面しないでくださいね? いらいらします」

桜「先輩が来るまで、もう少し時間が掛かりますね。ぽよぽよちゃんも、すぐには来ません」

桜「だから、久しぶりに姉妹二人で話しましょうよ、『姉さん』」

凛「……まさか、今のアンタからそう呼ばれるとは思わなかったわ、桜」

桜「もはや肉親も他にいない、この世でたった二人きりの姉妹じゃないですか、冷たいなあ」

桜「あ、姉さんからどうぞ。聞きたい事も、いろいろあるでしょうから」

凛「……新都で起こっている、行方不明事件。あれは、桜がやった事?」

桜「正解です」

凛「どうしてそんな事を! サーヴァントに魔力を与えるでもなく、桜が!」

桜「だって、お腹が空くんです。仕方ないじゃないですか。あ、でも、二人くらいはお爺様が殺したのかな?」

桜「アサシンも動かさないくせに食べるのだけは一丁前で、もう歳なんだから早く死んじゃえばいいのに」

凛「アサシンのマスターは、間桐臓硯ってわけ?」

桜「はい。まあ、全部私任せで最後の最後まで観戦を決め込むみたいですよ」

凛「なら、ライダーは……」

桜「私が召喚しましたが、兄さんにマスターの権利を譲渡しました。あの時は、聖杯戦争なんて参加するつもりが無かったから」

凛「そんなに気弱だったアンタに、よくもこんな真似ができたものね」

桜「本当ですね。でも、最近調子が良くて……! その代わり、お腹がすいてしまうんです」

桜「……姉さん。久しぶりの姉妹の会話なのに、どうして聖杯戦争の話ばかりなんですか?」

凛「私が魔術師で、アンタも魔術師だからよ、桜」

凛(そう、ただそれだけの事。桜が妹だとか、そんな事は、言い訳にもならない)

凛(越えてはいけない一線を越えた魔術師として、私は桜と向かい合わなければならないんだ)

桜「……そうですか。所詮、姉さんにとってはたかがそれだけの十年間だったと言う事なんですね」

凛「十年……?」

桜「私が養子に出されたあの日以来……私がどんな目に会って来たか、姉さんに分かりますか?」

桜「間桐の魔術特性は蟲です。私はその蟲に馴染むように、毎日、蟲に体を侵されました」

桜「姉さんが不自由無く学校に通って、優等生として過ごしている間、私はずっと、暗い蟲蔵の中……」

桜「偶に『外』に出られたと思えば、兄さんに処女を奪われたりしました。ずっと、そんな毎日でした」

凛「あのワカメ頭がっ……いえ、だからなんだって言うのよ」

桜「衛宮先輩と会いました。先輩はとても輝いていて、どんな事にも一生懸命で……眩しい、憧れでした」

桜「先輩と、藤村先生と、私。あの家にある居場所は、それでいっぱいいっぱいだったんですよ?」

桜「なのに……聖杯戦争が始まって、セイバーさんが来て、姉さんとぽよぽよちゃんが来て」

桜「私の居場所がどんどん奪われていく! どうして私から何もかもを奪うんですか、みんな!」

桜「先輩も先輩です! そうやって、私の気も知らないで、私を遠ざけてばかり!」

桜「愛しいのに殺してしまいたい、その気持ちが姉さんに分かりますか……?」

凛「そんなの分かるわけ……」

凛(あれ、どうしてだろう。前に一度、そんな事があった気がする)

桜「……そうですよね。姉さんに、分かるはずがないですよね」

桜「姉さんみたいに、何でもできる人に、私の気持ちが!」

ドガッ!

凛「ぎゃっ!」

桜「才能があって、みんなにちやほやされて、私の居場所を奪ってしまうような姉さんに!」

ゲシ バキ

凛「ぐ、うぐッ……!」

桜「どうしてそんなに私をいじめるんですか、みんな! 私は悪くないのに、私ばかり!」

桜「だから嫌い! 何も知らずにのうのうと生きているみんなが! 私を見捨てた姉さんが!」

桜「私の居場所にずかずかと入り込んでくるセイバーさんが、ぽよぽよちゃんが!」

桜「気付いてくれない藤村先生も、先輩もぉ!」

凛「つぅ……。それで、何もしなかった自分の弱さを棚に上げて、八つ当たりってわけ?」

桜「――――姉さんは!」グイ

凛「うっ……」

桜「私の『目』を見て、『姿』を見て、そんな事が二度と言えるんですか!?」

凛「……くっ」

桜「……みんなみんな、死んでしまえば良い。私をいじめる世界なんて嫌い。壊れてしまえばいいんです」

桜「希望も夢もない、絶望の――――暗黒に支配の世界になってしまえば」

オオオオオオオオオオオオオオオオ…………

桜「……そろそろ、時間ですね」

凛「時間って……まさか」

桜「先輩が来たみたいです。セイバーさんも一緒だから、結構早かったですね。急いでお出迎えしなくちゃ」

凛「待ちなさい、桜……!」

桜「大丈夫ですよ、姉さんは最後に殺してあげます。だって、一番憎い人だから」

凛「……そう簡単に、殺せるかしら」

桜「はい、そう簡単には殺しません。私が苦しんでいる間、楽しそうに生きていた姉さんには罰として」


桜「今まで私がされてきた事の全てを一から、姉さんにもしてあげます」


凛「…………え?」

桜「間桐の蟲は乱暴ですよ。暴れると噛みつかれたりしてとても痛いけれど、すぐに受け入れたら面白くないです」

凛「さ、桜……それ、どう言う意味よ……」

ギチギチギチギチギチ……

凛「ひっ……蟲が、至る所から……!」

桜「次に会った時、姉さんどうなってるかなあ、楽しみだなあ」

凛「桜ぁ!」

桜「うふふ――――あはははははは」

ギィ……バタン

ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ――――

凛「あの子、本気ね……くそ、こんな縄!」キィイイン ブチッ

ギチギチギチギチギチ……ゾワゾワゾワ

凛「魔術の蟲って言っても、ただの害虫よ! 宝石を持たせたままにしたのを後悔する事ね、桜!」カッ!

ズガガガガガ――――ギチギチギチギチギチ

凛「もういっちょ……!」カッ!

ズガガガ――――ギチギチギチギチギチギチギチ

凛「き、キリが無い! このままじゃあ…………出口!」

凛(この地下の出口は一つしかない! 階段を上った先にある、あの上の扉しか!)

凛「あそこまで行けば……!」ダッ

ギチギチギチ

凛「ついてくるんじゃ、ない!」カッ

ズガガガガガガガ――ギチギチギチ

凛「捕まるもんですか……!」

凛(階段まで来た、あとはここを昇ればすぐに……!)

ぼと

凛「え……?」

モゾモゾ

凛「む、蟲が……上から!」

ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ――――ぼとぼとぼとぼと

凛「この、突っ切ってやる!」

ギチギチ ボトボトボト

凛「邪魔ァ!」カッ

ズガガガガ

凛(あと、もう少し――――)ガッ

凛(え? うそ、こんなところで蹴っ躓くって……)グラ

凛(このままじゃ、下に落ちちゃう)

ヒュー ドサ

凛「うぐっ! う、が……」


ギチギチギチギチギチ


凛「あ、あ……」

ギチ

凛(完全に囲まれた。逃げられない……この地下こそ、「蟲蔵」だったんだ。床も、壁も、天井も、蟲ばかり)

凛(蟲が、体をよじ登ってくる)

凛(令呪を……いえ、ダメよ。これは最後の令呪。これが無くなったら、マスターの権利が消失してしまう。それだけは!)

凛(桜は、私を殺すつもり。だけど、それは桜が味わった苦しみ全てを味わわせてからのはず。すぐには殺さない)

凛(ぽよぽよさえ来てくれれば、まだチャンスはある。士郎がセイバーと一緒に来ているなら、すぐに助けに来る)

凛(それまで、私が我慢すれば良いだけの話。魔術師なんだから、これくらい)

ギチギチギチギチギチギチギチギチ

凛「いや、いやあ! 来ないで!」

凛「『宝石よ』! 『宝石よ』! 『宝石よ』! 『宝石よ』…………」

凛「あああ……早く来て、助けてぽよぽよぉ! 士郎! こんなのイヤ! こんなの!」

凛「もう止めて桜! 私が悪かったから、謝るから、助けて! 桜ぁ!」

凛「痛っ! 痛い、桜、痛い! 桜ぁ……!」

凛「ぽよぽよ、ぽよぽよぉ!」














カービィ『――――――――ぽよっ!』ピョーイ






凛(この声……やっぱり、来てくれた!)

凛「ぽよぽよ――――」



刻印蟲「――――――――!」グワッ



凛(ああ、そっか。こんなところに、誰が助けに来るんだろう。誰も、来ないんだ)

凛(桜も、ずっと、こんな気分だったんだろうな。蟲とぽよぽよを見間違える幻を見るような、そんな)





凛「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

少し前。

冬木市・某所。

タタタ……

士郎「桜……遠坂!」

士郎(あれは、本当に桜だったのか、それさえ分からない。だけど、違うって、言い切れるのか?)

士郎(遠坂を殺すって言っていた……桜が、そんな事をするはずが無い!)

士郎(なのに、この嫌な予感は何なんだ! くそ、桜!)


セイバー「――――シロウ!」


士郎「えっ……セイバー!?」

セイバー「シロウ、やはり一人では無謀です!」バッ

士郎「どうして……! 桜は、遠坂を殺すって言ったんだぞ! もし、それが本当なら」

セイバー「私にとってシロウより大事なものなど他にない! どうしてそれを分かってくれないのです!」

士郎「……セイバー」

セイバー「確かに、あのサクラは尋常ではない。あなたも感じ取ったのではありませんか? 危険だと!」

士郎「……ああ。嫌と言うほど、感じた。この世の憎悪と絶望を煮詰めたような、冷たいあの感覚……」

セイバー「私は不安なのです。シロウは、サクラを前にして正常な判断ができますか?」

士郎「正常な、判断って……」

セイバー「あなたは、サクラを敵に回す事ができるのか、と尋ねているのです」

士郎「そんなこと!」

セイバー「甘い考えで挑めば、令呪で私を呼び出す前に殺されてしまうかもしれないのです!」

セイバー「故に私はここに来た。サクラは既に、私におかわりをよそってくれた以前の優しいサクラではない!」

セイバー「シロウ。覚悟を決める時が来たのです。理想ばかりでは、この戦いを生きて行けない」

セイバー「私は可能な限り、あなたの全てを守ろう。しかし、決別の時を迎える覚悟をしてください」

士郎「桜を……殺せって言うのか」

セイバー「……参りましょう。時間が無い!」グイ バッ

士郎「うおっ! ま、待て、セイバー……!」

セイバー「シロウが走るより、私がシロウを抱えて跳んだ方が早い!」

士郎「それは、そうだけど……セイバー」

セイバー「はい」

士郎「ごめんな、ずっと、勝手な事ばかり言って……理想って言われて、目が覚めた」

士郎「俺にとって桜は、平和の象徴みたいなもんだったんだ。聖杯戦争に巻き込まれて、ずっと」

士郎「周りは全部、聖杯戦争の物と入れ替えられて、その中で桜と、あと藤ねえもだな。その二人は、前と変わらなかった」

士郎「だから……意地でも、それを守りたかったのに……」

セイバー「……サクラとタイガを戦いに巻き込むまいと言う士郎の気持ちは、痛いほど理解できました」

士郎「……藤ねえは、ライダーが張った結界に巻き込まれて入院しちまって……今度は桜が」

士郎「俺は今まで、何をしてきたんだろう。確かに、理想だけで、戦って来たのかもしれない」

士郎「……もし、俺が桜と戦えなかったら、その時は、頼む」

セイバー「承知しました、マスター」

間桐邸近く。

セイバー「着きました、シロウ!」スタ

士郎「ああ! 俺が先に行く。セイバーは様子を見てくれ」

セイバー「はい。ただし、シロウに危険が及んだ場合は、独断で行動します」

士郎「それでいい」

セイバー「ご武運を……!」

士郎「ああ……!」ダッ


間桐邸・敷地内。

士郎「桜! 俺だ! 約束通りに来たぞ! どこにいるんだ!」


桜「せんぱい」


士郎「さく……ら……?」

桜「はい。間桐桜です」

士郎(桜は、やっぱり、あの黒い姿だった。まるで令呪のような模様を、肌の上に走らせて)

士郎「どう、して……慎二は、桜は魔術と関係無いと言っていたのに」

桜「兄さん、プライドが高いから。私をどうしても自分の下に見たかったみたいなんです」

桜「とても鬱陶しくて、死んでせいせいしました」

士郎「し、死んだって……慎二が……?」

桜「あれ? 知らなかったんですか、先輩。ライダーが倒されてすぐに、他のマスターに殺されちゃったみたいですよ」

士郎「……どうして、そんなに平気で居られるんだ……唯一の、兄弟なのに!」

桜「…………ふふ、あはは、あはははははははは――――」

士郎「桜……?」

桜「先輩。私は、昔この家に貰われたんです。兄さんとは血が繋がっていないんです」

桜「あと、ずっと昔に、兄さんに犯されました。何度も体を求められました。そんな人、兄と思えますか?」

桜「あ、先輩、顔色が悪い……でも、全部事実なんですよ。私、処女じゃないんです」

桜「本当は、先輩と一緒にいる事すらおこがましい、穢れた女なんですよ……」

士郎「そん、な……」

桜「でも、それでも先輩のおかげで、私は頑張れました。それも、本当です」

桜「ずっと、今まで、自分の価値なんて無くて、虚無みたいなものだと思っていたけれど……」

桜「先輩が、私を救い出してくれたんです」

桜「そう、思っていたのに……先輩は、私の事を見てくれなくなった」

桜「聖杯戦争が始まって、セイバーさんや、遠坂先輩や、ぽよぽよちゃんの事ばかり……」

士郎「違う! 俺は、桜を戦いに巻き込みたくなくて……」

桜「私は先輩に見てほしかったのに! ずっと、待っていたのに……あの時だって、待っていたのに」

桜「先輩はそのまま帰ってしまった。あの時、私は確信したんです。やっぱり、私に『味方』はいないんだって」

士郎「ここにいる! 俺は、桜の味方だ、絶対に……」

桜「これを見てもそう言えますか?」


ドロドロドロ……ぶよん


士郎「――――――――うぐ」

士郎(なんだ、あの黒いのは……家に現れた桜と、似ている。絶望と憎悪を集めたような、感じ)

士郎(まるで、十年前の大火災で見た、黒い太陽のように……いや、それよりも酷い!)

桜「ああ、そっか。先輩、『これ』は本当に駄目なんだった。ごめんなさい、でも見なくちゃダメですよ?」

セイバー「シロウ!」バッ

士郎「せ、セイバー……」

桜「ああ、やっぱりいたんですね、セイバーさん。いないから、変だなあと思っていました」

セイバー「無事ですか、シロウ」

士郎「ああ……」

セイバー「サクラ……どうして、そんな物を!」

士郎「ぐ……それ、なんだ……?」

桜「これですか? セイバーさんは、知っているみたいですね」

桜「……私は、三度目の聖杯戦争で顕現した聖杯の欠片を、この身体に埋め込まれています」

桜「その欠片を通じて、聖杯から流れ込んだものが、これ……のはずです。たぶん」

セイバー「やはり……しかし、そんな物を人の身で扱えば!」

桜「だから、私の体はもう人間じゃないんです。ずっと昔から、狂っているんですよ」

士郎「……それが、その黒いのが何なんだってんだ、桜」

桜「私はこの「影」を使って、新都で人を殺しました。何人も、何人も、いっぱい、殺しました」

士郎「な、に――――」

桜「『空腹』を満たす為に多くの人を殺しました。今日も、殺しました。きっと、明日も殺します」

セイバー「何と言う事を……」

桜「紛れもないその事実を前に、先輩はまだ、私の『味方』でいられますか?」


桜「正義の味方に憧れている先輩が、この私の味方でいられますか?」


士郎(これが――――セイバーが言っていた、理想との決別か)

士郎(そうだ。俺は正義の味方になりたかった。みんなが笑っていられる、そんな世界を作る正義の味方に)

士郎(かつて見た、切嗣のあの救われた顔が羨ましくて、憧れて……)

士郎(切嗣が憧れたって言う、それになりたくて……俺は今まで、僅かでも頑張ってきた)

士郎(だけど、俺は)


桜「どうなんですか? 先輩」


士郎(本当に守りたい物を、守れていなかったんだ)

桜「……やっぱり、そうなんですね。そうですよね、私なんか……先輩にとっては」

士郎「あ……ち、違うんだ、桜……!」

桜「何が違うんですか! 言葉に詰まったのが、何よりの証拠じゃないですか!」

桜「やっぱり、先輩は私の事なんてどうでも良いんだ。私がどんなに苦しんでいても、辛くても――――」

桜「私の事を見捨てるって言うなら、最初からそう言えば良いのに……期待させて、酷い人なんだから」

士郎「桜、話を聞いてくれ!」

桜「うるさい! 先輩はもう、私をどうする事もできないんです。だって先輩は、もう私をおいてけぼりにしちゃったんだから」

士郎「俺にとって桜は大事な存在だった! だから、壊されたくなかったんだ!」

桜「だったら、近くで大切にしていればよかったのに! 本当に大事なら、近くで……」

士郎「それが、できなかった……俺はこの聖杯戦争で、守られてばかりだ。セイバーや、遠坂や、ぽよぽよに」

桜「……また、姉さんたちの事を」

士郎「え……?」

桜「さっきも、私なんか放って、セイバーさんと……ああ、そっか。そうだよね」

桜「期待するのが、間違っていたんだ」ザワ

セイバー「サクラ、何をするつもりです!」

桜「もう、こんな世界なんて不要です。全部、壊します。みんなみんな、殺して、殺して」

桜「先輩を殺したら、すっきりするから、その後にセイバーさんと、ぽよぽよちゃんと」

桜「藤村先生と、学校のみんなと、街の人たちと、外の人もみんな――――最後に、遠坂先輩も殺すんです」


士郎「……桜。遠坂は、どうした?」

桜「…………ああ、遠坂先輩、ですか。うふふ……」

士郎「無事なんだろうな、桜」

桜「遠坂先輩は今……蟲と、遊んでいますよ」

士郎「蟲、だと?」

桜「ずるいですよね。なんでもかんでも上手く行って、器用な人って……あの人、そう言う人じゃないですか」

桜「私はずっと、地下で蟲に侵されていたって言うのに……不公平ですよね」

桜「だから今、罰を与えているんです。遠坂先輩には」

士郎「罰……?」

桜「私が間桐の魔術に馴染むようにと、体を弄ばれたのと同じ事を、今、遠坂先輩にさせています」

桜「さっきまで威勢が良かったんですけれど、捕まった途端に助けて、助けてーって」

桜「助けてぽよぽよ、助けて士郎、許して桜、って。あ、今、蟲に囲まれました」

桜「ああ、見せたかったなあ、先輩にも。泣き叫ぶ姉さんの姿を……あははは」

桜「今からでも見ますか? 遠坂先輩が、蟲に犯されている様子を」


士郎「――――桜ァアアアアアああああああ!」

桜「大丈夫ですよ。もう、そんな事で怒らなくても良いんです」

桜「今から私が、先輩を……」ザワ


ブクブクブクブク

「――――――――」ブク

「――――――――」ブク

「――――――――」ブク


セイバー「あの影を、幾つも操れるのか! シロウ、下がって! あれに触れれば、人は……!」

士郎「どうして、そんな事を、桜ア!」

セイバー「シロウ!」


桜「殺してあげますから」



カッ――――――――ズオ!

士郎「うおっ!」

桜「えっ――――」

セイバー「この輝きは……まさか!」


ドゴ――――ガガガガガガガガガガ……


士郎「屋敷の裏に、何かが落ちた!?」

セイバー「いえ、シロウ。これは、この音は」

桜「………そう、とことん、邪魔をするって言うんですね」


―――――ガガガガガガガガガガ!


桜「そんな物まで使って、この『私』の……」

士郎「近付いてきてないか!」

セイバー「シロウ、巻き込まれます、こちらへ!」バッ




ガオン! バシュウ――――ギュオン!


カービィ「――――ぽよ!」ギューン



桜「『邪魔をするんですか、星の戦士!』」

―――
――――――
―――――――――

間桐邸・蟲蔵(地下)


ギチギチギチギチギチ……


凛「うあ、ああ、ああああ……!」

ギチギチギチギチギチ……

凛(心を折るように、肉体を蝕むんだ。体の穴と言う穴から入って、体を支配する)

凛(魔力で弾いているけれど、それすら食われていく。もう、持たない)


凛「ぽよ、ぽよ……!」

ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ

凛「うぐあ、ああああ!」


                 ベルレフォーン・ドラグーン
「――――――――『騎 英 の 手 綱』!」


凛(ああ、また、幻聴か……無理よ、ここは地下。衝撃を受けると自壊するエアライドマシンで来れっこない)


ドゴ! ガガガガガガガ


凛(……なら、この音は何? 今、吸われた魔力は何?)

ガガガガガガガガガガガ!

凛(蟲が蠢く音さえ掻き消す、すぐそこまで来ている、この音は)

凛(ああ、間違いないんだ。だってあいつは、いつもそう言うやつだから)


凛「―――――ぽよぽよー!」ガバッ

ドガン!

カービィ「ぽよい!」

カービィ「ぽよー!」ギューン


凛「この、邪魔よ虫けら共っ!」ペシ


カービィ「ぽよぽーよ!」

凛「合わせて! ふんっ!」ピョン

カービィ「ぽよっ!」ガシッ


ギューン ズガ――――ガガガガガガガ!

凛「魔力でできた力場で地面を抉って、突き進んでいる……やるじゃない、ぽよぽよ!」

カービィ「ぽーよっ」

凛「……桜を探すわ! 俄然、やる気が出てきたんだから!」

カービィ「ぽよ!」


ガガガガガガガガガガ

ガオン! バシュウ――――ギュオン!


カービィ「ぽよ!」


桜「『――――星の戦士ィ!』」

今日はここまで。カービィ久々の出演

よく読めない状況なんだけどハイドラかレックスウイリーで突っ込んできたの?

凛「いたわ! 士郎とセイバーも! ぽよぽよ、周辺の黒いの、『ドラグーン』をぶつけて消しなさい!」

カービィ「ぽよー!」グイ

ギューン


桜「そんなもの――――」

「――――――――」グオ


凛「来たわ、飛んで!」ピョン

カービィ「ぽよい!」ピョン プクー


桜「マシンから飛び降りて……でもぉ!」ザワ ヒュオ


ギューン ズシャ! カッ――――ズガガガガガ!


カービィ「ぷー」フワフワ

スタ ポヘ

カービィ「ぽよっ」

凛「……エアライドマシン・ドラグーンによる『騎英の手綱』の突進と、それの崩壊で発生した神秘の炸裂」

凛「それを受けて、普通なら立っていられないわ」


桜「危ない――――咄嗟に防がなければ、私も巻き込まれてやられてしまうところでした」ヒュン

桜「でも、出した影たちは全滅かあ。つくづく、邪魔ばかり……」


凛(普通なら、ね……)

セイバー「ぽよぽよ、リン!」バッ

士郎「遠坂! 無事だったのか……!」

凛「ええ、危ないところだったけどね。ぽよぽよのおかげで」

士郎「そうか……良かった、本当に!」

セイバー「――――シロウ。安心するにはまだ早い」


桜「ああ、また、上手くいかなかったな。どうして、いつもこうなんだろう」オオオオオオ……


カービィ「ぽよ、ぽよ!」

士郎「桜……もう止めるんだ! こんな事、それこそお前が望んでいる事じゃないはずだ!」

カービィ「ぽーよ、ぷい!」

桜「いいなあ、二人とも。そうやって理想ばかり翳して、話が通じると思っていて……羨ましい」

カービィ「ぽよ……」

桜「困った顔しても何が言いたいのかさっぱりで腹が立ちます。そうしていればみんなに愛されるんだから」

セイバー「サクラ、なんて事を言うのです!」

桜「うるさい! サーヴァントのくせに、サーヴァントのくせに……姉さんまで助け出して……!」

桜「ぽよぽよちゃん……どうして私の邪魔ばかりするんですか? そんなに、私の事が嫌いなんですか?」

カービィ「ぽよ! ぽよよ、ぽーよー」フリフリ

桜「でも、却って都合がいい……なにも考えずに、期待もせずに、纏めて殺せるから」ザワ

ブクブクブクブクブク

士郎「ま、また、あの黒いのが……!」

セイバー「シロウ、リン! アレに触れれば、飲まれてしまいます!」

凛「……桜。そこまでするんだから、もう覚悟はできているのよね」

桜「もう、とっくの昔に済ませていますよ、姉さん。だって私、最初からそうだもの」

カービィ「ぽよ!」

桜「――――この際だから、言いますけれど……ぽよぽよちゃん」


ブクブクブクブク……ぶきゅり


カービィ「ぽよっ……! ぽーよ、ぽよ!」

凛「……それは駄目だって、何が駄目なの、ぽよぽよ!」

士郎「お、おい、遠坂……どんどん大きくなっていくぞ!」

凛「何よ――――え?」


ブクブクブクブクブク……もきゅもきゅ


セイバー「影に、赤い球体が幾つも……!」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」テケテケ

凛「あ、こら! ぽよぽよ、勝手に突っ込んじゃ……!」


桜「私は最初から、あなたの事が」


ぶきゅ、もきゅ――――ギョロリ


カービィ「ぽよよー!」

桜「大嫌いだった」



ダークマター「■■■■■■■■■■■■」

士郎「か、影に……目玉が! 一つ目の巨人みたいに!」

凛「…………ダーク、マター……!」

士郎「知っているのか、遠坂!」

凛「知らないわ……だけど、知っている!」

凛(暗黒の支配者、その性質を持った『闇の物質』! しかも、あの時よりももっと支配に適した形に進化している!)

凛(桜は『虚数』の属性の素質を持っていたはず。それが黒い影と共に適応して、あんな姿になったんだわ……)

凛(もし、桜がこれを自由に操れるのだとしたら……だから、ぽよぽよは「駄目だ」って)


カービィ「ぽよー!」


セイバー「リン! ぽよぽよが、あのままでは!」

凛「……いえ、大丈夫よ!」


カービィ「ぽよっ!」ピョン

桜「姉さんと揃って、馬鹿みたい……そのまま、死んじゃえ」

ダークマター「――――――――」ギュオ


凛(そう、大丈夫。ぽよぽよは馬鹿で無謀でも、なんとかできなかった事は一度だって無い!)

凛(ライダーの時だって、さっきの私の時だって、「救う」事ならなんだって成功してきたんだから)

凛(今だって、そうでしょう……ぽよぽよ!)


カービィ「ぽよ!」キィイイン!

キュオ――――キラキラキラ

桜「何……?」

士郎「投、影――――」

凛(虹が、ぽよぽよの手に集まっていく)


シュオオオ……キュイン
                        ナインライブズ・ブレードワークス
カービィ「――――――――『 是 ・ 射 殺 す 百 頭 』!」


凛「『是・射殺す百頭』……あれは、虹色の剣?」

桜「そんな玩具で、私が止められるとでも」ザワ


ダークマター「――――――――」

グオオオ!

カービィ「ぽー、よっ!」ヒュン

ズバッ!

ダークマター「――――――――!」

桜「腕を斬り落としても無駄ですよ。それくらいなら、すぐに修復できます」

ダークマター「――――――――」モキュモキュ キュンキュン!


士郎「体の球体を飛ばした!?」

セイバー「こっちにも来る、回避を!」チャキ


ビュン! ビュン!

カービィ「ぽよっ、ぽよー!」ヒョイ ブンブン

パカン ピリョロロロ!

ダークマター「――――――――!」


士郎「う、打ち返したぞ!」

凛「僅かにでもダメージが通れば何だってアリよ!」

セイバー「はあっ!」ビュン

ザンッ ポトポト ブクブクブク……

セイバー「どうやら、私の剣が斬ろうとしても、あのようにはならないようですね」ブン

凛「やっぱり、そう言う事か……」

凛(体のサイズ差を埋める為か、あの剣から飛行能力も与えられている。ダメージも、通っている)

凛(恐らく、ぽよぽよのあれは、あの『ダークマター』を倒す事に特化した兵装。少なくとも、それに近しい武器なんだわ)

凛「キーはゲットしたわ! セイバー、士郎の守護を! タイミングが合えば「宝具」をぶっ放しても良い!」

士郎「待て、遠坂! 俺だって……」

凛「戦えるわけないでしょ、アンタがあの子を相手に!」

士郎「うぐっ……」

セイバー「リン、あなたは?」

凛「宝石、一個だけ使わずにとっておいた……これが切り札よ。決着を付けるなら今しかない」


桜「ちょこまかと……この!」

カービィ「ぽよー!」ヒョイヒョイ


凛「……機を見て、桜の所まで行く。私が、あの子を倒す」

桜「大人しく倒されればいいのに――――どうして逆らうんですか」


ダークマター「――――――――!」グオ

カービィ「ぽよっ。ぽよ!」ヒョイ ズバッ!


桜「イライラするんです。無条件で愛されてしまう、あなたが……まるで、姉さんみたいに!」


ダークマター「――――――――」ピュンピュン

カービィ「ぽよ、ぽよっ!」ヒョイ パコン


桜「私の邪魔ばかりするのに、私を救うだなんて、笑わせないで……誰も、私を救ってくれないんだから!」

桜「今更そんな虫の良い事言ったって、もう手遅れなのに。もう、戻れないのに……」

桜「だから、必要無いんです。私を救ってくれない人たちは……あなたたちはぁ!」


ダークマター「――――■■■■■■■■■■■■」グオ

カービィ「ぽよっ!? ――――ぷえっ!」ドガッ!

凛「ぽ、ぽよぽよ!」

ヒュー……ポテ コロコロ……

セイバー(クッ……サクラがアレを操る以上、シロウたちを置いて加勢に向かう事もできない!)

士郎「や、やめろ、桜! もう……!」


桜「先輩だって、ぽよぽよちゃんだって……苦しんでいた私を救ってくれなかったじゃないですか……!」

桜「救世主なんて、不要なんです……この世界を壊す為に、邪魔になるだけなんですから」

士郎(どうにかしたい……でも、どうにもできない。俺には、その力が、無いんだ)

士郎(無闇に突っ込んだって、セイバーや遠坂の邪魔になるだけ……桜を止める事だって、できない)

士郎(投影魔術。遠坂が言っていたそれを使えば、どうにかできるのか?)

士郎(ぽよぽよの、あの虹色の剣……あれは、投影の魔術で作られたものだ)

士郎(たとえばアレを、俺も投影する事ができたなら――――)


桜「すぐに、みんな……先輩も、殺してあげますから」

            トレース  オン
士郎「…………同調、開始!」キィイン……

士郎(躊躇っている場合じゃない。桜を止めなければ、多くの人が死ぬ。今の桜なら、やりかねないんだ)

士郎(理想との決別……正義を貫くなら、それを覚悟しなくちゃならないって言うのか!)

士郎(桜が多くの人間を殺すから、桜を殺して解決しようって……そうしなくちゃ、いけないのか!)

バチバチッ……パキン!

士郎「ぎッ……!?」

セイバー「シロウ!?」

凛「な、何してんのよこんな時に!」

士郎「……クソッ!」

士郎「俺には……桜を止められない……!」

士郎(大切な人も守り切れず、大切な信念に徹する事もできない! 俺は、無力だ……)

カービィ「ぽよっ……ぽよ」ムク フルフル

ダークマター「■■■■■■■■■■■■」ズズ……

カービィ「……ぽよっ!」ピョン キラキラキラ


桜「……どうして、諦めないんですか?」

カービィ「ぽよ、ぽよ!」

桜「それが、私の為になると、信じて……?」

桜「そっか……ぽよぽよちゃんは、まだ希望を持っているんだ。どうして?」

桜「ああ、先に姉さんたちを殺してしまえば、そんな気も無くなりますよね。じゃあ、そうしましょう」ゾワ


ビュオ――――


凛「触手攻撃! セイバー!」

セイバー「はい! フッ!」ブン

ギチ――ギィン! ギャン!

セイバー「硬、い――――だが!」

ガシャン! シュルシュル……

セイバー「ぽよぽよ! 二人は必ず守ります! あなたはソレを倒す事にのみ集中してください!」

ギギン ビュン ギチ……!


カービィ「……ぽよ!」キラキラキラ……

カービィ「ぽよー!」ブンブン

ズバッ!

ダークマター「――――――――!」モキュモキュ ビュン!

カービィ「ぽよっ、ぽよ!」クルン ぱかん!

ピリョロロロ!

ダークマター「■■■■■■■■■■■■」

カービィ「ぽーよっ!」ブン ザクッ

ダークマター『――――オ、オ……星ノ戦士……!』モキュモキュモキュ ビュン!

カービィ「ぽよっ!」ヒョイヒョイ

ダークマター『ドウシテコノ世界ヲ守ロウトスル? コノ世界ニ何ノ価値ガ有ル!』グオ

カービィ「ぷい!」ブンブン

ズババン!

ダークマター『コノ世ノ全テノ悪ヲ一人ニ押シ付ケル、欲望ト暗黒ノ世界ダト言ウノニ!』

カービィ「ぽよ、ぽよい!」キラキラ……ピュン

ダークマター『ソウシテマタ誰カヲ苦シメルノカ! オ前ハ誰モ救ッテイナイノダ!』モキュモキュモキュ ビュウン!

カービィ「ぷ、やあ! ぽえいっ!」キン! クルン

ブン!

ダークマター『ソレガ……答エダト言ウノカ! 星ノ――――』

ズ――――ザンッ。


『なるようになるならなんとかしてみな、桃色ボール。実はな、嫌いじゃないぜ、そう言うの』


ダークマター「――――――――……」ズズン……

ズズン……

凛「やった! ぽよぽよがダークマターを!」


桜「……『私』の分身が、倒されるなんて。でも――――」ザワ

ブクブクブク……

カービィ「ぽよ……」

桜「残念でした。『私』の分身は、いくらでも、作れるんですよ……もっと多く、もっと……!」


凛(桜がダークマターの修復に入った……でも、おかげで私たちに対する攻撃が弱まっている。攻めるなら、今しかない!)

凛「セイバー、士郎を頼んだ!」ダッ

セイバー「承知しました!」ギギン! ヒュン

士郎「……遠坂、頼む!」


凛(言われ、なくても)

タタタ

桜「姉さん――――柄にもなく、無謀ですよ」ザワ……ギュン!

凛「だったらアンタは、ワンパターンなのよ!」

ギュオ――――

カービィ「ぽよっ!」ピョン ブンブン

ズバッ バシュッ

桜「ぽよぽよ、ちゃん……!」

カービィ「ぽよっ」キラキラ……ヒュウ

凛「行くわよ、ぽよぽよ! 『宝石よ、闇を払う力を!』」キィイン……カッ

桜「まだ、私はァ……!」ザワ……ズオ

凛「影で壁を作っても!」


キラキラキラ……ヒュン

カービィ「ぽよ!」ズバババン!


桜「あ――――」

凛「桜あああああッ!」


ザッ――――

凛(狙うは腹……とびっきり重いのを、ぶつければ!)

桜「姉、さ」


ドガッ


桜「あ、がっ……!」

凛「『力よ――――爆ぜろ』!」キィイン!



――――スゥゥゥゥ……オオオオオオオオオオオオ!

カービィ「ぽよっ!」

凛「やっぱり……! 『打ち消し、力は霧散する!』」

シュウゥ……パキィン!

桜「う、あ……」ガク

凛「桜!」ダキ


「ニンゲンフゼイガ、ワレラノジャマヲ……!」


凛「桜ごと吹き飛ばされるのを恐れて、のこのこ出てきたわ……ダークマター!」

凛(魔術の素質があっても、刻印蟲を埋め込まれている桜があんなものを使役できるはずが無い!)

凛(私の時みたいに、足りない魔力を肉体改造で補っていたんだわ!)


「イマワシキ『虹』ノカガヤキ……『星ノ戦士』トトモニ、ケシテクレル!」

モキュモキュモキュモキュモキュモキュ ビュンビュンビュン!


カービィ「ぽよ!」ピョン キラキラ

ぱかんぱかんぱかんぱかん! ヒュンヒュン!

凛(取りこぼした球体がこっちに……!)


セイバー「やああああっ!」ブン

ザン ズバッ!

セイバー「これが……サクラを操っていたのですね」

凛「セイバー!」

士郎「桜!」タタ……

凛「……ちょっとは私の心配をしても良いんじゃないの、士郎?」

士郎「あ、いや…………これが、『ダークマター』の正体か」

「オオオオオオオオオオオオオオ!」

モキュモキュモキュ ビュンビュン!

「キエサレェ!」ギュン!


凛「球体飛ばしに加えて、突進!?」

士郎「セイバー! ぽよぽよの補助だ!」

セイバー「はい! ぜやあああ!」ヒュ

ズバンズバン!

セイバー「ぽよぽよ、今です!」ザン!

カービィ「ぽよ!」ピョン キラキラ


「『星ノ戦士』イイイ!」グオオオ

カービィ「ぽよー!」キラキラ チャキ


ドスッ!


「オ、ア、ア……『虹』ガ、希望ガア……!」シュオオオ……

カービィ「ぽー、よ!」ググ ブスリ

「■■■――■■――――■■■■■■■!」シュオオオ……



マタシテモ……マタシテモワレラハヤブレルノカ……

ダガ……テニイレタゾ……アンコクノチカラヲ!

『コノ世全テノ悪』ヲ――――――――


シュオオオオオオ……キラン

カービィ「ぽよっ」ポテ


士郎「……倒した、のか?」

凛「……たぶん」

セイバー「あの気配は、もう感じません。ぽよぽよによって、完全に倒されたようです」


カービィ「ぽよー」キラキラキラ……

キラキラ……パキンッ!


凛「ぽよぽよの剣が……ダークマターがいなくなったから、そこにある理由も消失したのね」

セイバー「せっかく、再びお揃いになったと言うのに……残念です」

カービィ「ぽよ」

士郎「……そうだ、遠坂! 桜は、大丈夫なのか?」

凛「大丈夫よ。あんたの、愛しの後輩は!」

士郎「そ、そんなんじゃない」


凛「まったく……本当に」

桜「う、ん……」

凛(本気で殺すつもりだったのに……ダークマターが体から抜け出たのを見て、つい、止めちゃった)

凛「妹可愛さに助けちゃうなんて、魔術師失格だわ……」ナデ



――――ぶきゅ。

アンリマユ桜の中にいるの?

桜「……ぐ、う。うが、あ、あ――――」

カービィ「ぽよ!」

凛「さ、桜? どうしたの、桜!」

士郎「な、なんだ!?」

桜「あ、ああ、あああああ!」モゾ……

セイバー「……皮膚の下で、何かが蠢いている」

凛「これは……しまった、刻印蟲が!」

カービィ「ぽよっ!?」ブルッ

士郎「刻印蟲!?」

凛「平たく言えば、間桐の魔術特性よ。間桐の魔術師はこの蟲で魔術を習得する……」

凛「同時に、間桐に忠誠を誓う枷でもある! 間桐に仇為す存在になった時、刻印蟲が宿主の体を食い尽くしてしまう」

凛「今まではダークマターが桜の体を乗っ取っていたから、それが抑えられていた……でも、今は!」

士郎「それって……」

凛「このままだと、桜は死ぬ……」

士郎「そんな……! なんとか、できないのか!」

凛「一人だけ、心当たりがある……だけど、もう、今からじゃ間に合わない……」

桜「ぐ、あう……ああああ、がああ!」

士郎「嘘、だ……桜……桜」

セイバー「シロウ……」

士郎「桜……うおおお……!」

カービィ「……ぽよ、ぽよぽよ!」フリフリクイクイ

凛「な、何? 桜を、寝かせろって?」

カービィ「ぽよ!」

凛「わ、分かった!」

士郎「遠坂! ぽよぽよは、何をするつもりなんだ!」

凛「知らないわよ! だけど……!」

す……。

桜「ぎあ、はあっ、ぐうう……!」ギチギチ

カービィ「ぽよ!」

凛「ええ! みんな、ぽよぽよの後ろに!」

士郎「……桜、頑張れ。今、ぽよぽよが助けてくれるから!」

桜「あ、あ……せ、んぱ…………アアアア!」ギチギチ


凛「いいわ、ぽよぽよ。お願い!」

士郎「頼む……桜を、助けてくれ……!」

セイバー「ぽよぽよ……」

カービィ「ぽよ……」


カービィ「すぅうううううううううう」

もきゅ

カービィ「ぽよっ」ゴクン


凛「――――ぽよぽよ。何を、しているの?」

士郎「ぽよぽよ……今、何をした?」

凛「何をしたかって、聞いているのよ、ぽよぽよ」


カービィ「ぽよ……」


凛「桜、吸い込んじゃって、こんな時まで食い意地優先って、嘘、でしょ?」

士郎「なんで、そんな事を――――せっかく、助けたって言うのに」フラ

セイバー「シロウ、リン。ぽよぽよにも、何か考えが……」

凛「黙ってセイバー! 吐き出しなさい、ぽよぽよ。今すぐ!」ガシ

カービィ「ぷえっ」

凛「出しなさい、出しなさいよ! 今すぐ、桜を吐き出しなさい!」

凛「どうして、よりにもよって、そんな事を……! ならせめて、人として死なせてあげてよ……!」

凛「あんたに食われるくらいだったら、私が、殺した方が……!」

凛「吐き出しなさいぽよぽよ! ぽよぽよぉ!」

カービィ「ぽよ……」

???・コピーの素の空間。

桜「…………う、あ……」

桜「ここ、は……」


ミョーンミョーン……ギュインギュイン……ヒョーロロロロロロ……ボエーンボエーン……


桜「……この世じゃ、ない……のね。魔力を、感じない……分身も作れない……」

桜「あれ……さっきまで、蟲が暴れていたと思ったのに……変だな。もしかして……」

「目が覚めたましたか、桜」

桜「誰……? その声、ライダーに似てる……。でも、ライダーはもう、消えてしまった」

「そうですね。でも、私は確かに、あなたによって召喚されたライダーです。桜……」

桜「ライダー……ああ、やっぱり、そっか。私も、死んじゃったんだ……」

ライダー「それは……」


「それは早とちりと言うものだよ、桜」


桜「……あなた、は?」

「名など、忘れてしまった」

桜(どうしてだろう。この赤い外套の男の人を、知らないのに、知っている気がする)

桜(とても大切な、誰か、だったような――――)

「残念ながらここは、君が望む「あの世」と呼ばれる場所で無ければ、「この世」でも無い」

「ここは、君たちが「ぽよぽよ」と呼ぶサーヴァントの体内だ」

桜「ぽよぽよちゃんの? 体内と言うには、とても綺麗……宇宙のような、宝石のような……」

ライダー「ぽよぽよの肉体は、法則では語れないようです。例えるなら、別次元の小宇宙を内蔵している」

「考えるだけ無駄と言う事だ。それより、君の事だ、桜」

「十年前、君は間桐に養子に出された。その時、間桐の蟲によって体を改造された」

「時を同じくして行われた聖杯戦争で発現した聖杯の欠片を、間桐臓硯によって体に埋め込まれ」

「そして今、ダークマターと呼ばれる暗黒の支配者が、君の体を支配した……」

「君は間桐の蟲と、汚染された聖杯、ダークマターに侵され、その身は既に人外の物となっている」

桜「私の事なんて、もう」

ライダー「このまま放っておけば、人の身に戻れなくなるでしょう」

桜「……どうせ、元からそうなんだから。最初から、私は……」

「このまま放っておけば、の話だ。だから、救う。その為に、君をここに『呼んだ』のだ」

桜「何を言っているんですか……?」

「桜。これは、私の我が儘だ。この私より、星の戦士の方が多く救えるからと言って全てを丸投げし……」

「そのくせ、本当に守りたかった君だけは、この手で救いたいと言う。我ながら、情けない限りだ」

桜「私を、守りたかった……あなたは、一体」

「……そんな事、今はどうだっていいんだよ、桜」

「君の体を蝕み続ける蟲と聖杯とダークマター……内、ダークマターは星の戦士が取り除いた」

「今度は私の番だ」キィイン キン!

ライダー「その剣は?」

「以前、ライダーには理論のみを説明したな。星の戦士は、数多くの伝説の武器に関する伝承を持っていてね」

「そのいずれも、形は違えど『救済』という行為に使われ、その概念を与えられている」

「これは、その全てを覗き見た私が、それら全てが集まるようにアレンジを加えて投影したものだ。故に、名は無い」

「敢えて名付けるのであればこの剣は――――『虹の剣・改』と言ったところか」

桜「虹の剣・改……? それって、ぽよぽよちゃんが、使った」

「……構わんな、ライダー?」

ライダー「お願いします。どうか、桜を……」

桜「何を……するんですか?」

「桜。少し痛いだろうけど、我慢してくれ」


ざく。


桜「あ……え……?」

ザワ…………ブクブクブク!

桜「あ――――――――ああああああああああああああああああああああああああ」

ライダー「桜の体から泥が……桜!」

「ライダー、止めるな!」

ライダー「う……!」

「本来なら刻印蟲によって魔力不足だったこの体は、ダークマターの肉体改造によって維持されていた!」

「それが失せた今、やめてしまえば刻印蟲が暴れ、その時こそ桜の体は食い尽くされてしまう!」

ライダー「しかし……!」

「どの道これを越えられなければ、桜に明日はない……!」


桜「あああああああ、あああああああああああああああああ!」


ライダー「……桜、気を確かに。私は、ここにいます……」ギュ

桜「ああああああ……ライ、ダー……!」

「そうだ、桜。見出した光を、忘れるな! あの安らかな日々を……!」

桜「あああああああ、ああああ……!」

「お前の為に動く者がいる! その手を、掴んでくれる者がいる! 不安を喰らってくれる、奴がいる……!」


桜「せん、ぱい――――」


「もう遅いなんて、言わないでくれよ……だから、桜!」

ライダー「桜……!」

桜「うわああああああああああああああああ!」

ブクブクブクブクブク……ゴポッ……

ギチギチギチ……ギチ……シュウウウ――――


桜「――――あ、あ……」フラッ


スッ……


ライダー「よく、我慢しましたね、桜……」

桜「う、う……」


「成功だ。聖杯の欠片、その泥、そして間桐の蟲の全てを除去した。一切の問題はない」

「正義の味方を気取った私の、理想混じりの贋作と思ったが、予想以上の結果だな」パキィン……

「……いや、これも『救星主』とさえ呼ばれる、こいつ自身の力とも言えるか。意図しようと、しまいと」

ライダー「これで、桜は助かるのですね」

「それは、これからの桜自身が決める。過去、そしてこれまでの罪を背負い、それでもなお眩い光を見続けられるか」

ぐず――――キュイン。

「『吐き出す』ゲートが開いた――――我々ができるのは、ここまでだ。ライダー、桜を帰そう」

ライダー「はい。桜……世界には、あなたの味方がたくさんいる事を、忘れないでください」ナデ

桜「ん、う……」


ずる……ずるる

もきゅん。


ライダー「……お元気で、桜……」

間桐邸・庭。

凛「うっ、うっ……」

士郎「…………」

セイバー「……ぽよぽよ。どうして、あんな真似を?」

カービィ「……ぽよ」

凛「やめて、セイバー! 聞いても無駄よ、答えて、くれないんだから……!」

凛「それに、桜も戻ってこない……ぽよぽよが呑み込んだものは帰ってこないし、吐き出したものは星型弾になって出てくる」

凛「……元あるべき姿に、戻っただけなんだから……」


カービィ「……ぽよっ」プク


セイバー「ぽよぽよ? どうしました……」

カービィ「よー」アングリ


キュイン――――ドサ

桜「う……」


セイバー「……サクラ?」

凛「え? ……え?」

士郎「……さく、ら」フラ

カービィ「ぽよ」

おじいちゃん・・・

凛「さ、桜……桜ぁ!」

士郎「桜! おい、桜!」ユサユサ

桜「ん……」プルン

凛「裸っ……見てんじゃないわよ変態士郎!」バキャ!

士郎「おげっ!? す、スマン!」

凛「桜、桜……」

桜「うう、ん…………遠坂、先輩……」


セイバー「これは……ぽよぽよ、あなたがやった事なのですか?」

カービィ「ぽよ?」

セイバー「……いえ、あなた以外に、このような奇跡を起こせる者はいませんでしたね」


凛「桜……大丈夫?」

桜「…………は、離してください!」バッ

凛「あっ……桜。憶えて、いるのね」

桜「……はい。全部……何を、してきたのか……」

凛「桜。体はどう? おかしな所は、無い?」

桜「やめてください! やめてください、遠坂先輩……」

桜「私、だって……遠坂先輩に、あんなひどい真似をして……衛宮先輩にも、ぽよぽよちゃんにも」

桜「人だって、一杯、殺して……それで、心配される権利なんて、無いんですから」

士郎「そ、それは違うぞ、桜!」

桜「え、衛宮先輩っ? や、やだ、見ないでください!」

士郎「……すまん。もう、見た」

桜「~~~~!」

士郎「でも今は見てない、見てないから!」

士郎「……桜は、正義の味方に憧れる俺に、桜の味方ができるかって言った事、憶えてるか?」

桜「…………はい」

士郎「……違うんだ、俺は。ただ、中途半端だった。憧れているだけだったんだ」

士郎「具体的に何かができたわけでもない、今もできるわけじゃなかった……」

士郎「正義の味方に憧れているのはそうだ。だから、桜がやった事は、見過ごせない」

桜「……分かっています」

士郎「だけど! ……桜を認めてやれなくて、正義の味方に、なれるのか?」

桜「え……?」

士郎「多くの為に一つを見捨てて、それは本当に、正義の味方なのかって、思って」

士郎「桜を受け入れずに正義の味方を気取っても、それは、俺が憧れるものとは大きく違うんだ……」

士郎「桜がした事は、許される事じゃないって言うのは分かっている。でも、それでも」

士郎「――――いや、だったら俺は、大切なものの為に正義を曲げる。俺は、桜の味方になる」

桜「先、輩。駄目です、そんな!」

士郎「この聖杯戦争で俺が本当に守りたかったのは、桜、お前の笑顔なんだよ」

桜「そんな……事、言わないで……」

凛「ねえ、桜」

ぎゅ。

桜「遠坂先輩……?」

凛「さっき、桜に蹴られて、とても痛かった。いつの間に、あんなに強くなっちゃったのね」

桜「……ごめんなさい」

凛「でも、嬉しかった……あんな状況だけど、すごく。ああ、元気なんだなって」

凛「私ね、頑張ってる奴が、その分だけ報われないと気が済まない性質なのよ」

凛「だから、桜が辛いのを知っていて……その上で、私も頑張れば、魔術師としても、表の生活も誰にも負けないようにすれば」

凛「きっと、いつか、桜も救われると信じていた……だけど、結局はこうなっちゃった」

桜「そん、な……」

桜(辛かったのは、私だけじゃなかった? なのに、私はそれを、壊そうとした……?)

凛「このリボン――――ずっと、付けていてくれてたのね」

桜「あ……」

凛「ずっと昔に、私があげたリボン……それがあるだけで、それを付けている桜を見るだけで、私は頑張れた」

桜「遠坂、先輩」

凛「やっと、迎えに来れた」

桜「……姉、さん」

桜「でも、私――――私、は……」

カービィ「ぽーよ」

桜「ぽよぽよ、ちゃん」

カービィ「……さくら!」

凛「あっ」

桜「今……」

士郎「また、桜って!」

セイバー「確かに……」

カービィ「ぽよい!」

凛「……あーあ、先、越されちゃった。私だって、呼ばれた事無いのに……」

桜「姉さん」

士郎「……桜、分かるだろ、もう。お前の罪は、俺も、一緒に背負うから……」

桜「先輩」

セイバー「私はまた、あなたの手料理が食べたい。作ってくれますか、サクラ?」

桜「セイバーさん」

カービィ「ぽよ!」

桜「ぽよぽよちゃん……」

ライダー『お元気で、桜』

桜「そう、だったんだ……私の居場所、ずっと、あったんだ……」



凛「お帰り、桜」


桜「ただいま……姉さん」

初めての書き溜め終了。次回、決めてねえ

>>786
遅ればせながら。間桐の蟲蔵は地下にあるのね
カービィはドラグーンに、魔力で作ったドリルのベールみたいなものを纏わせて、地面を抉りながら蟲蔵へ一直線
凛を回収した後、また地面を抉って地上に出た……っていう流れ

>>811
いたかもしれないし、いなかったかもしれない

>>821
爺の本体って桜の中だったし、どうしようしれっと殺しちまった
もう真アサシンの口調も忘れてるし色々アレ

カービィの体内・コピーの素の空間。

「これからどうするつもりだ、ライダー? 君のマスターは救われ、ここにいる理由は無くなった」

ライダー「しかし私の『力』はぽよぽよに使われ、遠からず桜を守ります。まだ、ここにいましょう」

「……そうか」

バーサーカー「――――――――」

「バーサーカーのサーヴァントか。すまなかったな、隠れてもらって。時間が無かったんだ」

バーサーカー「――――――――……」

「安心したまえ、バーサーカー。君の主は、必ず「こいつ」が守るだろう」

「君の宝具も、無事扱えているようだ……方や私の力ありき、ではあるが」

ライダー「……それにしても。あなたも、相当意地が悪いですね」

バーサーカー「――――――――」

「私の事など、桜が知らなくても良かった事だ。こいつの名も、その内自ら名乗る」

ライダー「ですが」

「もう次の機会などない。考えるのは、無駄と言うものだよ」

ライダー「……そう、ですね」

「我々はただ、星の戦士に力を与えれば良い。……カービィが風の向くまま、救う為に必要な力を」

ライダー「ええ」

バーサーカー「――――――――」

「……頼むぞ、カービィ」



ライダー「ところで――――無断で桜の裸を見た事に関して、覚悟はできていますか?」

「…………バーサーカー貴様、こうなる事を分かっていてさっさと隠れていたな!」

バーサーカー「――――――――」

睡眠の秋に感化されたのか最近眠くて眠くて仕方なかったんや……
まじすまんかった、続き書く

臓硯「桜め……失敗しよったわ。まあ良い、元より期待など無かったのだからな」

臓硯「わしでさえ持て余す暗黒の力、この際消えて良しとしよう……」

臓硯「しかし、あのサーヴァントに全てを覆されるとは。我が魂を保存した蟲も、諸共に消されてしまった」

臓硯「……なるほどこのわしが、慄くわけじゃ。欠片とは言え、『相性が悪い』」

臓硯「魂を無くした今、もはやこの身も、『どちら』の物か。カッカッカ――――」

臓硯「行くぞアサシン」

アサシン「は……」

臓硯「わしの庇護の下から離れて、どれだけ生きてゆけるかのう、桜よ」



翌朝。

衛宮邸・凛の部屋。

ゴソゴソ

凛「…………ん……」ムク

桜「あ、姉さん。ごめんなさい、起こしちゃった?」

凛「…………ああ、そっか」

桜「どうか、しました?」

凛「……ううん。おはよ、桜……」

桜「……はい。おはよう、姉さん」

カービィ「ぷーひゅるるる……すぴー」

衛宮邸・居間。

士郎「お。起きてきたか」

セイバー「おはようございます。リン、サクラも」

桜「おはようございます」

凛「おはよう。イリヤたちは、まだ寝てる?」

士郎「みたいだな。ぽよぽよもか?」

凛「ええ。昨日、一番頑張ったから。相当疲れているみたい」

桜「あ……ごめんなさい、姉さん。私の所為で……」

凛「もういいのよ。昨夜も言ったけど、あの時桜を救えないのなら、私は殺すつもりでいたし」

凛「助けたのは、ただのお節介。だからそんなに責任を感じなくてもいいの」

士郎「そんな事言って」

凛「何?」

士郎「いいえ、なんでも」

凛「ふん。……まあ、一番頑張ったぽよぽよだって、気にしていないと思うわ。だってぽよぽよだし」

桜「その言い方は……」

セイバー「ですが、本当にぽよぽよは頑張ってくれました。ぽよぽよ無くして、サクラを救う事は叶わなかったでしょう」

凛「まあ、その辺はね……だから、本当に自分の所為だと思っているなら、ちゃんとぽよぽよに感謝しなさい」

桜「……うん、姉さん」

凛(昨夜、私たちは桜を間桐から救い出した。真の意味での救出に成功した)

凛(桜曰く、蟲も「聖杯」も感じないらしい。ぽよぽよの体内で会ったと言う、謎の男に救われたって)

凛(白い髪に赤い外套を羽織った男。そいつが救済剣『虹の剣・改』を造り出して、桜を助けたらしい)

凛(原理は不明だけど、それもぽよぽよの力だとか……ぽよぽよってば、何がどうなっているのかしら)

凛(一応、その男についてぽよぽよに尋ねてみたけど、「ぽよ?」と言われたので諦めた)

凛(……気になると言えば、気になるのよね。桜は、一緒にライダーとも会ったって言うんだから)

凛(それは後で考えるとして。アサシンや間桐臓硯の事を考えて、急いであそこから帰った)

凛(結局姿を見せなかったとは言え、油断はできなかったから。で、帰ってきた私たちを迎えたのが置手紙)

『イリヤ共々活動限界が来たので寝ます。りーぜりっと』

凛(留守番任されて嘗めてんのか! まあ、そのおかげで茶々を入れられずに話せたんだけど)

凛(戻ってから、士郎とセイバーと、一応ぽよぽよにも、改めて私と桜の事を話した)

凛(養子に出された事、桜の今までの境遇。魔術師の視点から、桜と一緒に伝えた)

凛(士郎は納得できなかったみたいだけど、理解はできたらしい。ぽよぽよは、最初から全部気付いていたから)

凛(なんで気付けたのかしら……体内にいるって言う「男」が事情通みたいだから、そいつから聞いた?)

凛(それが、ほんの数時間前の話。念の為、私と桜は一緒の部屋で寝て……ちょっと、話し込んだ)

凛(寝付くまでの数分の間だけど、久しぶりに「姉妹」で話せた……それだけで、まあ、満足かな)

桜「……姉さん、どうしました?」

凛「ううん、なんでも」

ぐう。

セイバー「シロウ、お腹が空きました」

士郎「ん。セイバーの腹時計も鳴ったし、そろそろ朝飯つくるか」

桜「あ、私も手伝います」

士郎「ああ、頼む」

凛(ああ、なるほど。起きるのが早いなと思ったら、そう言う事か)クス

士郎「……なんだか、懐かしいな」

凛「なにが?」

セイバー「私もです。こうして、桜が朝食を作る姿を見るのは」

士郎「大した事じゃないはずなのに……なんだか」

桜「先輩……」

凛「へえー、ふーん、そおー」ニヤニヤ

桜「ね、姉さん! そんな顔で見るのはやめてくださいっ」

士郎「……なんだよ、遠坂」

凛「別にー。微笑ましいな、って」

セイバー「リンが無理矢理乗りこんできて以来、サクラはこの家を離れてしまいましたから」

士郎「……遠坂。気まずいのは分かるけど、顔を逸らして誤魔化すのはやめろ」

桜「そうですよ、姉さん。私も本当はものすごおー…………く、怒っているけど、許してあげるって言ったじゃないですか」

イリヤ「ふああ……あら、もうみんな起きていたのね」

凛「イリヤスフィール! 何よ、この置手紙は!」

士郎(まるで救いを見つけたかのように噛みついた……)

イリヤ「どう見ても、帰りが遅くなる士郎たちへの手紙だけど?」

凛「留守を任されてる分際で良い身分じゃない。寝てんじゃないわよ!」

士郎「……桜、ちょっと頼む」

桜「はい、先輩」

イリヤ「駄目ね、リン。夜更かしは肌の天敵なのよ、それに気が回らないようじゃレディー失格なんだから」

凛「バーサーカーを失うまで深夜徘徊を繰り返していた不良娘がレディーを語るとは思いもしなかったわ」

セイバー「申し訳ありません、リン。イリヤスフィールに留守を任せたのは私です、責任は私に」

凛「その時任せろって言ったのはイリヤでしょう。それで残ったのがこの紙一枚なのよ?」

士郎「まあまあ、遠坂。俺たちと違ってイリヤは子供なんだから、寝かせてやるくらい」

イリヤ「あー、シロウ! またイリヤを子供扱いした!」

凛「ホムンクルス二人も一緒に寝た事については?」

士郎「……大人がちゃんとしないと、示しが付かないじゃないか」

凛「ハッ……。まあ、分かったわよ」

セイバー(鼻で笑った……)

凛「子供だからおねむの時間になったら寝ちゃうのは仕方ないものねえ?」

イリヤ「麗しい姉妹の絆だこと。魔術師なのに「つい」助けちゃうなんて」

士郎「はいはいそこまで! まったく、朝からお前たちは」

凛(……アインツベルンのホムンクルスとは言え、完全に人間と一致した生命体であるわけじゃない)

凛(人工で作った命である以上、何か綻びがあるもの。「活動限界」って事ね)

凛「ま、黙っといてやるわ」

イリヤ「それはどうも、トオサカリン」

桜「…………」ジャー カチャカチャ

士郎「まったく……悪かったな、桜」

桜「あ、いえ」

士郎「あの二人ももう少し仲良くなってくれたら良いのに」

桜「仕方がありません。どうしても、気が合わない人っていますから……」

士郎「でも、あれはあれである意味仲が良いのかもな」

桜「ふふ、そうですね」

士郎「でも、一緒に暮らす以上は、静かになって欲しいよ」

桜「一緒に、ですか……」

士郎「ああ、そう言えば、桜はまだだったな。イリヤと話すのは」

桜「……はい」

士郎「こっちは俺だけでも良いから、話して来たらどうだ?」

桜「え? ……でも」

士郎「桜もさ、一緒に、この家で暮らすんだから……」

桜「あ……」

イリヤ「見て、トオサカさん。あの二人、まるで新婚の夫婦みたいではありません?」

凛「ホントねアインツベルンさん、嫉妬してしまうくらいですわ」

士郎「おいっ!」

桜「ふ、夫婦……」

イリヤ「ふうん。あなたが、リンとシロウが助けたかったマスター」

桜「…………昨日ぶり、ですね」

イリヤ「そうね。挨拶が遅れたわね。初めまして、マトウのマスター。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

イリヤ「長いならイリヤで良いわ」

桜「間桐、桜、です」

イリヤ「……良かったじゃない、『綺麗になって』」

桜「っ……」ギリ

イリヤ「お互い、大変ね。まあ、あなたの方が大変だったとは思うけれど」

桜「…………」

イリヤ「過ぎた事をいつまでも気にしない事ね。今得た物を、泥の中に捨てるつもりでも無ければ」

イリヤ「シロウがどんな人間か分かっているなら、尚更」

桜「イリヤちゃんは……どうして、この家に」

イリヤ「シロウにお呼ばれしたから。でも、根本的な理由は、あなたとは違うと思うわ」

桜「それって……」

イリヤ「心配の必要は無いわ。どう見ても、ね」


凛「桜……」ソワソワ

士郎「落ち着け遠坂。イリヤをなんだと思ってるんだ。あとセイバー、摘み食いは駄目だぞ」

セイバー「お腹が……」グー

衛宮邸・凛の部屋。

カービィ「ぷしゅー……すぴー……」

プゥ~ン……

カービィ「ぽよ……ぽよ……」グー

カービィ「ぽよっ」ムク

カービィ「ぽよ……ぽよぽよ」クシクシクンクン

カービィ「ぽよ! ぽよいっ」ピョン

カービィ「ぽよっ……!」テケテケ


衛宮邸・居間。

士郎「桜。イリヤは、どうだった? やっていけそうか?」

桜「はい。大丈夫だと思います。それに、私だけ我が儘を言うわけには、いきませんから」

士郎「そうだな。でも、よかった。これで遠坂みたいに「犬猿の仲!」ってなったら……なあ」

凛「はいはい、どうせ私はこの家だとアウェイですよー、だ」

士郎「拗ねるなよ。桜、先に皿を並べて置いてくれ」

桜「はい」

イリヤ「そう言えば、ぽよぽよは? まだ起きてこないの?」

セイバー「もうすぐ朝食なので、すぐに起きてくるでしょう」

イリヤ「あー、早くぽよぽよに触りたーい!」

セイバー「しかし、ぽよぽよはきっと疲れている。やんわりと愛でましょう」

凛「アンタら人のサーヴァントを……」


カービィ「ぽよ!」ガラ

桜「ぽよぽよちゃ」

イリヤ「ぽよぽよー!」バッ

セイバー「くっ、出遅れた――――」

カービィ「ぽよ?」

イリヤ「げっとぉ!」ガバッ

カービィ「ぷえっ」

セイバー「ぽよぽよーーー!」

士郎「こらセイバー、イリヤ! あまりバタバタするんじゃないぞ」

凛「叱る所はそっちじゃないでしょーが」

イリヤ「元気そうで何よりだわ。リンに阿漕な使い方をされなかった?」ナデナデ

カービィ「ぽよ……ぽよ?」

士郎(阿漕なんて言葉、どこで憶えたんだ……?)

セイバー「イリヤスフィール! ぽよぽよの独占は大罪に値する、今すぐに解放するのだ!」

イリヤ「早い者勝ちだもーん」プニプニ

桜「…………」

カービィ「ぷい、ぷい……ぽよー!」ジタバタ

イリヤ「わっ! な、なに、どうしたのぽよぽよ?」

セイバー「ほら、ぽよぽよもあなたの腕の中は不服だと言っているではありませんか」

凛(セイバーの腕の中に行ってもどの道不服のはずなんだけど……どうしたんだろ、ぽよぽよ)

カービィ「ぽよっ!」ジタバタ ピョン

イリヤ「あっ、ぽよぽよっ」

セイバー「さあぽよぽよこちらへ!」

カービィ「ぽよ」テケテケ

セイバー「ぽ、よっ……」

凛(スルーされた……)

士郎(哀れなりセイバー……)

カービィ「ぽよ!」

桜「え……私?」

カービィ「ぽーよ、ぽよ」フリフリ

桜「え、えっと……姉さん、なんて言っているんですか……?」

凛「「大丈夫?」だって。ぽよぽよってば、本当にずっと桜の事ばかり心配していたから」

カービィ「ぽよ!」

桜「ぽよぽよちゃん……」

す……。

桜「ごめんなさい。私、ぽよぽよちゃんに、あんな酷い事を言ったのに……」

カービィ「ぽーよ。ぽよいっ」

凛「一宿一飯の恩義は忘れないってさ。言ったじゃない、気にしていないって」

カービィ「ぽよ」コク

桜「……ぽよぽよちゃん。うん、私は、大丈夫です。心配してくれて、ありがとう」ナデナデ

カービィ「ぽよー」

セイバー「何故、この私まで……」

イリヤ「うわーん! サクラにぽよぽよを取られたー!」

凛「どう、桜。これでもまだ、ぽよぽよの事は嫌いかしら?」

桜「もう、姉さんってば……! 昨日は、本当に、頭がおかしくなっていたんですっ」ナデナデ

カービィ「ぽよ!」

凛「分かってるわよ。ちょっと、意地悪だった」

イリヤ「うー……ずるい」

セイバー「我慢です、イリヤスフィール。ぽよぽよの為ならば、今は待ちましょう」ギリギリ

桜「……今は、違います。心から可愛いと思っていますし、それに」

カービィ「ぽよ?」

桜「……ぽよぽよちゃんの中には、ライダーがいますから」ナデ

凛「……どっかで聞いた言葉ね、それ」

イリヤ「はいはいはい! ぽよぽよの中にはバーサーカーもいるもん!」

セイバー「ぽよぽよの心の中には私がいるはずです!」

凛「ぽよぽよの中に誰がいようとも私のサーヴァントだって何回言えば分かるのよアンタたちは!」

カービィ「ぽよー……」

日常回と言う名の尺稼ぎ。暫くこんなんのつもりだから明日も更新したい

別になんか話すほど進んでないけど雑談スレはここ

違うねん急にスリープをくらってry
新作発売までに終われるかなあ……続き書く

凛「ぽよぽよ。凛って、言ってみなさい」

カービィ「ぽよ?」

士郎「おーい、桜……遠坂は、何をしているんだ?」

桜「あ、ごめんなさい先輩。今、行きますから」

士郎「いや、それはいいんだけどさ。あれ、新手の遊びか?」

桜「昨夜、ぽよぽよちゃんが私の名前を呼んだ事を思い出したみたいで……自分の名前を呼ばせようとしています」

凛「り、ん」

カービィ「ぽ、よ」

凛「りー、ん!」

カービィ「ぽー、よ!」

凛「あんだけ喋っておいて今更ブっても無駄よ……!」グニー

カービィ「ぺぅ」ビヨーン

イリヤ「あ、リンがぽよぽよをいじめてるわ」

桜「姉さん……」

士郎「無理はさせるなよ、遠坂。両頬を引っ張ったって出ないものは出ないぞ」

凛「未だに名前を呼んでもらえないマスターの気持ちなんか、アンタたちには分からないのよ」グニ

カービィ「ぺぅー……」

セイバー「リンの名ならば、以前に私が呼んだのを聞きましたが」

凛「だったら今言えるでしょうっていうの。それともぽよぽよは、マスターの私よりおかわりをくれる桜の方が好きなのかしら?」

カービィ「ぷい、ぷい!」ジタバタ

士郎「こればかりは、好き嫌いの問題じゃないんじゃないか?」

凛「……もう! コピー能力や宝具発動の時はあれだけ喋ってるって言うのに!」

士郎「え?」

凛「何よ、士郎。喋ってるじゃない、いつも。「ストーン」とか、「ベルレフォーン・ドラグーン」とか」

凛「昨日だって「ナインライブズ・ブレードワークス」って。桜も、聞いたでしょう?」

桜「私が言える事ではないと思うけど、姉さん、それは……」

イリヤ「そうだったかしら。どうなの、セイバー?」

セイバー「私には、ぽよぽよは普段通りに喋っているように聞こえていました」

士郎「俺もだ……あのコピーした能力の名前は、いつも遠坂が命名しているんだって、思ってたから」

凛「……え?」

カービィ「ぺぅー」ビヨーン

凛(ぽよぽよのあの声は、私にしか、聞こえていなかった?)

イリヤ「聞き間違いよ、リン。哀れねー、女の執着って」

士郎「こら、イリヤ」

凛(聞き間違い……いえ、そんなはずはない。確かに、ぽよぽよは言っていたんだから)

凛(でも、それなら士郎たちに聞こえていない理由が……)パッ

カービィ「ぽよっ」

凛(……分からなくても、いっか。ぽよぽよだし)

イリヤ「あ、引っ張ったのが痕になってる」

士郎「これとこれはセラとリズの分で……よし、出来たぞー」

カービィ「ぽよー!」

イリヤ「わーい! ぽよぽよ、私と一緒に食べましょ」

セイバー「待ちなさいイリヤスフィール。食事の時くらいは、ぽよぽよの自由にさせるのです」

凛「そうよイリヤ。さもないと腹を立てたぽよぽよがアンタを食べちゃうんだから」

イリヤ「うわ、安っぽい脅し。むー、しょうがないなあ」

士郎「ほら、桜も」

桜「はい、先輩」

士郎「ん。みんな揃ったな。じゃ、いただき――――」


ガラッ

大河「しっろおー! ご飯食べにきたよん! お、良い匂いだあー」


士郎「…………ま、待て、藤ねえちょっと待てー!」ドタバタ

大河「美味しい朝ごはんが迎えてくれる限り待てないのだ! フン!」バンッ


大河「……お?」

イリヤ「……何?」

カービィ「ぽ、よ……」ジュルリ

カービィ「ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

大河「へぇー、遠坂さんの親戚の子ねえー。急に海外からいらっしゃって」パクパク

凛「はい……でも、ご存じの通り家は今改装中ですから、泊める場所もなく……」

イリヤ「シロウに我が儘を言って、使用人二人と共にここに身を置かせてもらっているのです」

士郎「そ、そう言う事なんだ藤ねえ!」


凛(なんて、でっち上げも良いところだけど……咄嗟でも話を合わせるなんて、流石だわアインツベルン)

イリヤ(話、合わせないと面倒だからね。ま、リンには一つ貸しって所かしら)


大河「そっかそっか。てっきりまた士郎が、今度は小学生を連れ込んだのかと思ったけど」パクパク

士郎(当たらずも遠からず……)

大河「なら仕方ないわね。よろしくねー、イリヤちゃん」パクパク

イリヤ「はい、タイガお姉様」

カービィ「ぽよ!」

桜「お代わりですか? はい、どうぞぽよぽよちゃん」

カービィ「ぽよ。ぽよ、ぽよっ」モシャモシャ

セイバー「サクラ、私もお願いします」

桜「はい。……どうぞ、セイバーさん」

セイバー「感謝します」モグモグ

大河「それにしても、一気に賑やかになったねえ。桜ちゃんも戻ってきたし。あ、体の方は大丈夫なの?」パクパク

桜「えっ……」

大河「ずっと休んでいたじゃない? 何か病気だったんじゃないの?」パクパク

桜「あ、はい。みんなのおかげで、すっかり、良くなりました……ご心配をおかけしました」

大河「良いのよ、桜ちゃんが元気になってくれたら。桜ちゃん、私もお代わり!」

桜「……はい、藤村先生っ。……どうぞ!」

大河「ありがとー! うーん、やっぱり士郎と桜ちゃんが作る料理は美味しいなー」パクパク

セイバー「それには同感です。やはり、サクラの料理は美味しい」モグモグ

カービィ「ぽよ!」モシャモシャ

凛「ぽよぽよもそうだってさ。あ、ごめんなさい士郎。交代制だって言うのに、またやらせて」

士郎「別にいいさ。今日くらいは」

カービィ「ぽよ……ぽよ!」

桜「うん、ぽよぽよちゃん……はい、どうぞ」

カービィ「ぽよ! ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

士郎「おいおい、食べるペースを落とさないと桜が食べられないだろ」

桜「大丈夫ですよ、先輩。私、今、嬉しいんです……」

士郎「……そうか」

桜「先輩も、ですか?」

士郎「……ああ」

イリヤ「ぽよぽよ、あーん」

カービィ「ぽよー」アーン

凛「こらぽよぽよ!」

大河「はー。食べた食べた。お腹いっぱいだー」ゴロン

カービィ「ぽよー」コテン

士郎「だらしないぞ、藤ねえ。ぽよぽよも真似してるじゃないか」

大河「いーじゃん、けちー。ぽよぽよちゃん、おいでー」

カービィ「ぽよっ」ピョン テケテケ

イリヤ「何故っ!?」

セイバー「そんなどうしてタイガにまで……」

大河「よしよし良い子だ。しろー、お煎餅出してー」

士郎「片付けで忙しいから無理だ!」

桜「どうぞ、藤村先生。ぽよぽよちゃん」

カービィ「ぽよ!」

大河「キター! 桜ちゃんは士郎と違って気が利くわぁ」ヒョイ バリボリ

大河「はい、ぽよぽよちゃんもー」ヒョイ

カービィ「ぽよい!」モシャモシャ

士郎「まったく……」

桜「ごめんなさい、先輩。でも、出さないときっと、ずっとあのままだから……」

士郎「そこなんだよなあ……ぽよぽよは静かだって言うのに」

大河「士郎、お茶ー」

カービィ「ぽよ、ぽよ」モシャモシャ

イリヤ「むー、私もぽよぽよにお煎餅あげたい……」

セイバー「タイガやサクラと私の、一体何がどう違うと言うのですか、ぽよぽよ……」

凛「餌付けじゃない?」

士郎「だいたい藤ねえ、今日は暇なのか?」

大河「あっ、そうだった! 学校の事で朝から色々忙しかったんだ!」ヒョイ ぽふ

カービィ「ぽよ」

士郎「これだから……」

大河「じゃあね、ぽよぽよちゃん。桜ちゃん、また晩御飯に!」

桜「はい、藤村先生」

大河「遠坂さん、セイバーちゃん、イリヤちゃん。士郎になんかされたら、私に言うんだからね?」

凛「ええ、必ず。その時があればですが」

セイバー「問題ありません。お気を付けて、タイガ」

イリヤ「大丈夫ですわ、シロウはとても優しい人ですから」

大河「士郎、ご飯美味しかったよー!」

士郎「ん。遅れない内に早く行けよ」


ドタバタ……


士郎「……藤ねえは、相変わらずだな」

桜「そうですね……手伝います、先輩」

士郎「ああ。今日は特に多いからな」

イリヤ「ぽよぽよ、あーん!」

セイバー「いいえぽよぽよ、こっちのお煎餅の方が美味しいはずです、さあ!」

カービィ「ぽよー!」

凛「はい餌付けタイム終了ー」ヒョイ

早すぎるけど今はここまで。「ゆっくりやっても大丈夫」と言う気になるのはSS速報の魔力に違いない

セイバー「ああ~、そんな殺生なリン……」フラ

イリヤ「ぶー! ……まあ良いわ。セイバー、少し良いかしら」

セイバー「うう、ぽよぽよ……」

カービィ「ぽーよー」フリフリ

セイバー「行ってきますぽよぽよ。なんでしょう、イリヤスフィール」


イリヤ「『あの事』、いつ話すつもり?」

セイバー「…………今は」

イリヤ「今のシロウに、それを告げるのは酷だと言うの? よりにもよって、あなたが」

セイバー「果たして、必要な事なのでしょうか」

イリヤ「全てを話す必要はないわ。ただシロウは、この聖杯戦争での自分の立ち位置を、もう一度理解した方が良いと思うの」

イリヤ「改めてどんな思いで対すれば良いのか……それをね」

セイバー「サクラを助けた今、シロウは安寧に身を委ねている……」

イリヤ「それでも必要無いと思うなら、しなくても良いんじゃないかしら。とりあえず、私からは何も言わないわ」

イリヤ「それが一番筋が通ると思うし」

セイバー「……あなたは、構わないのですか?」

イリヤ「ええ」

セイバー「分かりました。ならば私も、覚悟しましょう」

イリヤ(まあ、それはセイバーにも言える事なんだけど……)

士郎「ふう……これで終わりだな」

桜「お疲れ様です、先輩」

士郎「いや、これくらい……でも、助かったよ桜」

桜「私こそ。好きで、やっていますから……」

セイバー「シロウ」

士郎「ん? どうした、セイバー」

セイバー「話があります。サクラ、構いませんか?」

桜「え、あ……はい。私が決める事ではありませんから……」

士郎「なんだ急に。ここじゃあ……駄目なんだろうな。分かった」

セイバー「感謝します。では、移動しましょう」

士郎「ああ、桜。もしセラとリズ……イリヤのメイド二人が起きてきたなら、作り置きを食べさせてくれ」

桜「はい。分かっています」

士郎「ん、頼んだ」

桜「…………先輩」

凛「急にどうしたのかしら。セイバーの顔、ただ事じゃないみたいだけれど」

イリヤ「さあ。でも、あまり気にしない方が良いんじゃないかしら?」

凛「そうね。あの二人の話って事は、マスターとサーヴァント間の相談って事だろうし」

凛(今まで話すに話せなかったけれど、セイバーってば、あのアーサー王なのよね)

凛(まあ、歴史的曲解っていうのは間々ある事だから女の子だったって言うのは置いといて)

凛(士郎は……たぶん、とっくに知ってるか。だったら尚更、私は介入しない方が良い)

凛(残るサーヴァントの数を思うと……もう、同盟も厳しいか。元々対バーサーカーの為に組んだから)

凛(いい加減、二人を敵として再認識した方が、良いのかもね)

カービィ「ぽよ、ぽよ」バリボリモシャモシャ

凛「……呑気なんだから、いつだって」

カービィ「ぽよ?」

凛「なんでも」

イリヤ「それよりもトオサカさん。あのニイヅマをどうにかした方が良いのではなくて?」

凛「さっきも思ったけどアンタ、どっからそう言う知識を得るわけ?」

桜「…………駄目、これからもずっとこうなんて。また、幸せが崩れちゃう」

桜「私が我慢しないと……私も我慢しないと……」

カービィ「ぽよ」テケテケ

桜「……ぽよぽよちゃん。どうしたの?」

カービィ「ぽよ!」クイクイ

桜「あっち……?」


イリヤ「正に、夫の帰りを待つ女、と言う感じね?」

凛「浮気や不倫が心配で堪らない……でも信じる事しかできない哀しい女の性!」


桜「い、イリヤちゃん! 姉さんまで……!」

凛「見てるこっちの身にもなれっていうの。誰も士郎を取ったりしないわよ」

桜「そんな事――――」

凛「ま、士郎は士郎で馬鹿だから。そこは大目に見てあげるべきじゃない?」

イリヤ「貞淑な妻路線でシロウを落とすのだー!」

桜「~~~~、もう! そんな事ばかり言うと!」ヒョイ

カービィ「ぽよっ。ぷゆ」ムギュ

桜「ぽよぽよちゃんを没収しますよ!」

凛(…………何かしら。妙に、腹の立つ光景ね)

イリヤ「イリヤは関係無いもんイリヤにはまだ将来性と言う希望が……」ブツブツ

カービィ「ぽよ、ぽよ……」ズズズ……

凛「まあ随分と適応しちゃって……」

イリヤ「ふう……ちょっと渋いわね」ズズ……

桜「あ、ごめんなさい。子供のイリヤちゃんにはまだ早かったですね」

イリヤ「…………」

凛「そんな恨めしそうな顔で私を見られても困るんだけど。そう言えば、アンタのとこのメイド二人。まだ寝てるの?」

イリヤ「リズはね。でも、そろそろ起きてくるんじゃない?」

ガラッ

セラ「イリヤスフィール様。リーゼリットが…………目覚めました」

イリヤ「ほら、噂をすれば」

リズ「おはよ、イリヤ。ぽよぽよー」

カービィ「ぽよ!」フリフリ

セラ「うっ……イリヤスフィール様。またそのピンク玉と戯れていたのですか?」

イリヤ「イリヤを引き込もうったって無駄だもーん。ねー、ぽよぽよー」

カービィ「ぽよ?」

セラ「ぬぐ……」

カービィ「ぽよ、ぽよ……」ズズズ……

凛「まあ随分と適応しちゃって……」

イリヤ「ふう……ちょっと渋いわね」ズズ……

桜「あ、ごめんなさい。子供のイリヤちゃんにはまだ早かったですね」

イリヤ「…………」

凛「そんな恨めしそうな顔で私を見られても困るんだけど。そう言えば、アンタのとこのメイド二人。まだ寝てるの?」

イリヤ「リズはね。でも、そろそろ起きてくるんじゃない?」

ガラッ

セラ「イリヤスフィール様。リーゼリットが…………目覚めました」

イリヤ「ほら、噂をすれば」

リズ「おはよ、イリヤ。ぽよぽよー」

カービィ「ぽよ!」フリフリ

セラ「うっ……イリヤスフィール様。またそのピンク玉と戯れていたのですか?」

イリヤ「イリヤを引き込もうったって無駄だもーん。ねー、ぽよぽよー」

カービィ「ぽよ?」

セラ「ぬぐ……」

リズ「セラも素直になれば良いのに……お?」

桜「あ……おはよう、ございます」

リズ「誰かと思えば昨夜のマッパの露出狂」

ゴンッ。

リズ「――――セラが無言でどついた。いたい」

セラ「無礼をお許しください。ほら、あなたも謝るのです」

リズ「暴力反対、ブラック企業だー」

セラ「リーゼリット! あなたが言葉を選ばないからイリヤスフィール様はどんどんと変な言葉を憶えていくのよ!」

桜「あの、私は構いませんから……夜遅くにあんな訪ね方をした私に非があります」

イリヤ「セラ。人前で騒ぎ立てる方がみっともないわ。やめなさい」

セラ「……それもそうですね。リーゼリット、あなたには後で話があります」

リズ「ぽよぽよ、おせんべ」

カービィ「ぽよー!」モシャモシャ

イリヤ「あー、あー! またイリヤよりリズを選んだ!」

リズ「これぞ選ばれた者の特権。ぶい」

セラ「人の話を……!」ワナワナ

凛「なんとなく、イリヤが誰から何を学んでいるのかを知ったわ」

桜「姉さんと似ていますね、ある意味」

衛宮邸・廊下。

士郎「…………爺さん、どうして黙っていたんだ……」


セイバー『私は、前回の聖杯戦争で召喚されました。あなたも知る男……衛宮切嗣のサーヴァントとして』

セイバー『あの日、聖杯戦争が終わったその日。聖杯から溢れ出た泥によって、街は火に包まれました』

セイバー『その中で私と残ったサーヴァントは聖杯を求め争い……しかし、切嗣は最後の最後で、私に聖杯の破壊を命じた』


士郎「いや、そんな事はどうでも良い……あの火災の原因が聖杯にあるのなら」

士郎「それを求めるなんて、間違っているじゃないか。なのに、どうして……!」


セイバー『私は何としてでも、聖杯を手に入れなければならない。たとえ、それが邪悪の塊であっても』

セイバー『そうしてでも叶えたい願いがある。それが我々英霊、サーヴァントなのです』

セイバー『その為ならば、たとえぽよぽよが相手でも斬り伏せましょう』

セイバー『かつて得られなかった聖杯を手に入れる……今度こそ、誰にも邪魔はさせません』


士郎(間接的にでも街を焼いた聖杯、セイバーはそれが欲しい……)

士郎「そこまでして叶えたい、セイバーの願い……王の選定のやり直し……」


セイバー『シロウ。あなたが私を召喚したあの日、あなたが誓った事は、そう言う事なのです』

セイバー『……シロウ、先に戻っていてください。今の私は、あなたの怒りを逆撫でするだけでしょう』


士郎(俺はどうしたらいい……俺は、どうしたいんだ?)ガラッ

イリヤ「あー……ぽよぽよ癒されるー……」ナデナデ

リズ「触るだけで怒りと言う怒りが中和されていく……」ムニムニ

カービィ「ぽよ、ぽよ」

セラ「リーゼリット、食事中です。その時くらいはお止めなさい」

リズ「ぽよぽよ、あーん」

カービィ「ぽよー」アー

桜「ああっ、ぽよぽよちゃんがお昼を食べられなくなっちゃうから駄目ですよ!」

カービィ「ぽよっ!?」ガーン

桜「この世の終わりのような顔をしても、駄目なモノは駄目です」ヒョイ

カービィ「ぽよー……」

セラ「諦めなさい、リーゼリット。せめてこれを食べ終わるまでは!」パク

リズ「むう。うるさいなあ、セラは。嫉妬するくらいなら、自分だって触ればいいのに」

セラ「誰が嫉妬なんか……私はイリヤスフィールの教育係として、その見本となるべき姿を……」

桜「さ、ぽよぽよちゃんはこっちに行きましょうね」

イリヤ「待ちなさい、サクラ。どさくさ紛れに攫おうとしていないかしら?」

桜「えっ、そ、そんな事は……」ムニムニ

カービィ「ぽよ……」モニモニ

凛「言葉と行動が一致していないわよ、桜。散々お煎餅を食べさせた後だから説得力もないし」

士郎「……………………」

桜「あはは、えっと……あ、先輩。お帰りなさい」

カービィ「ぽよ? ぽよ!」フリフリ

凛「なんだ、いたの? セイバーは?」

士郎「ああ、うん……いや、一人で考えたいって。……ぽよぽよ、取られてるぞ」

凛「こうなってもう私にどうしろってわけ?」

士郎「そこで俺に怒るなよ」

士郎「……そうだ、桜。後で買い出しに付き合ってくれ」

桜「あ、はい。もう、冷蔵庫の中にまともなものは殆ど残っていませんからね」

士郎「そう言う事。遠坂、セイバーと一緒に留守番頼めるか?」

凛「桜を無事に連れて帰れるのならもう何処へなりとでもどーぞ。でも、気をつけなさいよ」

士郎「分かってる」

イリヤ「サクラ、パス! ぽよぽよパス!」ブンブン

桜「じゃあ……よいしょ、っと」ポフ

カービィ「ぽよ?」

桜「姉さんとイリヤちゃん、好きな方にどうぞ。先輩、今日の献立は……」

士郎「それは、行ってから決めようかと思って……」

カービィ「ぽよー……」

イリヤ「……ぽよぽよ、かもん!」パンパン

凛「好きにしたら?」ジー

カービィ「ぽよ。…………ぽよっ」テケテケ

ぱふっ

凛「……まったく。いっそ本格的に逆らってくれたら、まだ気も楽なのに」ナデナデ

カービィ「ぽよ、ぽーよ!」フリフリ

イリヤ「んもう、マスターに勝てるわけないじゃない! インチキだわ!」

リズ「残念だね、イリヤ。セラも」

セラ「私は関係無いでしょう」パク

士郎「……桜、こうなる事が分かっててやったか?」

桜「え? 何の事ですか? うふふ……」

セラ「ごちそうさまでした」カチャ

リズ「ごちそうさま。おいしかった」

士郎「お粗末様。食器は、俺が」


セラ「いえ、自分でやります。せめて、今朝に手伝えなかった分は働きます」カチャカチャ

士郎「そうか? でも、二人は客だし」

セラ「ご心配無く。イリヤスフィール様のお世話、ならびに家事こそが私たちの仕事なので」

リズ「これも、その延長線。だから大丈夫」

士郎「……すごいな。わかったよ、なら頼む」

セラ「頼まれるまでもありません」

リズ「じゃ、はい」ヒョイ

セラ「あなたは自分でやりなさい!」

リズ「私にはイリヤを守ると言う仕事がある。役割分担」

セラ「くっ、こんな時ばかり口の回る……寄こしなさい」

リズ「はい。わーい、ぽよぽよー」

セラ「…………」プルプル

士郎「その……手伝おうか?」

セラ「結構、です……!」

イリヤ「だめよ、リズ。ちゃんと自分でやらないと」プニプニ

リズ「うん、あとでやる」モニモニ

今日はここまで。進行鈍くてすまん、でも日常回ってむずいのです。

ガラッ

セイバー「……ただいま戻りました」

カービィ「ぽよ」モニモニ

イリヤ「おかえりなさい、セイバー」

凛「おかえり。考え事だなんて、悩み?」

セイバー「大した事ではありません」

凛「ふうん、セイバーでも悩む事があるのね?」

セイバー「私も万能ではない。叶わなかった事、果たせなかった事などいくらでもあります」チラ


士郎「う…………」

桜「先輩……どうしました?」

士郎「いや、なんでも……」


セイバー(過去も……そして、今でさえも。だからこそ私は)

カービィ「ぽよ、ぽよ」モニモニ

セイバー(ぽよぽよと、戦わなければならない……!)

凛「……そうなんだって。大変ねー、ぽよぽよ」

カービィ「ぽよー?」ムニムニ

セイバー「……ぽよぽよ」

カービィ「ぽよ」モニモニ

セイバー「…………」フルフル

凛「セイバー、大丈夫? 手、震えてるけど……」

セイバー「こ、これは……」フルフル

カービィ「ぽよ?」モニモニ

セイバー(私は、ぽよぽよの敵になると誓ったのだ……聖杯を求めよう、ならばぽよぽよを斬り伏せると)

カービィ「ぽーよ」ムニムニ

セイバー(これ以上ぽよぽよと慣れ合うなど、以ての外で……)

カービィ「ぽーゆぃ……」モニモニ

セイバー「…………」プルプル スッ

つん。

カービィ「ぷい……ぽよい!」キャッキャ

セイバー「ふふ………………ハッ! わ、私は一体何を……」

桜「セイバーさん、何か思いつめているみたい……」

士郎(セイバーの覚悟も捻じ曲げるぽよぽよの禁断症状……か?)

セラ「ああっ! イリヤスフィール様とリーゼリットが妙に静かだと思ったら、黙々とピンクボールを触っていた!?」ガビーン

衛宮邸・玄関。

士郎「じゃあ、セイバー。留守は任せた」

桜「お願いしますね、セイバーさん」

セイバー「お任せください。お気を付けてシロウ、サクラ」


セラ「お待ちくださいっ。お買い物でしたら私が……むぎゅ」

リズ「セラ、空気読む」グイ ズルズル

イリヤ「セイバーですらああなんだから」

セラ「し、しかしメイドとしての立場が……むぐぐ」

リズ「そう言うことばっかしてると嫌われちゃうよ」ズルズル

イリヤ「ほら、こっちで一緒にぽよぽよと遊ぶのっ」グイグイ

セラ「もごもごっ……」


士郎「騒がしいな……どうしたんだ?」

桜「せ、先輩。早く行きましょうっ」グイ

士郎「桜まで……分かった、引っ張るなって。セイバー、行ってくる!」

セイバー「はい」

ガラッ ピシャリ



セイバー(……ついて行くつもりだったのに、つい、見送ってしまった)

衛宮邸・庭。


カービィ「――――リーフ!」


イリヤ「きゃー! すごーい、こんな事もできるなんて!」

カービィ「ぽよ! ぽよー!」ブワ

イリヤ「あれっ? ぽよぽよがいなくなっちゃった!」

リズ「おー、すごい。セラ、分かる?」

セラ「……イリヤスフィール様、すぐそこにいます」

イリヤ「どこどこ、この辺?」キョロキョロ


凛「……やっぱり、言ってるわよ」

セイバー「リン? 何か、言いましたか?」

凛「別に」

セイバー「そうですか」

凛「あいつ、本当に好かれるわね」

セイバー「それがぽよぽよと言う存在なのでしょう。……セラは、嫌っているようですが」

凛「あれはただのプライドでしょーね。敵とじゃれつくのは嫌って言う」

セイバー「……その通りだ。志を同じくしても、気が合おうとも、敵は敵なのです。……なのに、私は」

凛「まあ、悩むのは勝手よ。私だって魔術師なんだから、セイバーの気持ちは分かる」

凛「でもね……じゃあ、ぽよぽよはどう考えてると思う?」

セイバー「ぽよぽよは――――」


イリヤ「ぽよぽよどこー」

セラ「もう少し左です。そう、その近くですよ」

リズ「じゃあ、この辺?」

カービィ「ぽよっ」バサッ

リズ「お、みっけ」

イリヤ「いたー!」

カービィ「ぽよっ」テケテケ ブワッ

セラ「イリヤスフィール様、そのまま真っ直ぐ進めば……」


凛「まあ、十中八九アレは何も考えていないわね。ごめん、質問が悪かったわ」

セイバー「……いえ。それで、良いのだと思います」

凛「ふぅん、どうして?」

セイバー「ぽよぽよは、何も区別はしない。全てを受け入れる」

セイバー「私も、アインツベルンの者たちも、あのように受け入れる」

セイバー「……それを拒む必要は、あるのでしょうか」

凛「拒むべきよ。ぽよぽよに会う前のあなたであれば、絶対にそう言っている」

セイバー「そう思うのは、あなたもそうだからではありませんか、リン?」

凛「……どうでしょうね。もう、分かんなくなっちゃった」

イリヤ「こっちにはセラと言う探知機がいるのだ、ここだー!」ピョン

すかっ。

イリヤ「おろ?」

セラ「イリヤスフィール様、通り過ぎました」

イリヤ「むむ、こっちかー!」

カービィ「ぽよっ! ぽよ……!」バサッ テケテケ

イリヤ「逃げた! リズ、そっちよ!」

リズ「がってん。ぽよぽよ、かくごー」

カービィ「ぽよ、ぽよ……」テケテケ


スッ……

セイバー「…………」


カービィ「ぽよ?」

リズ「セイバー」

セイバー「…………」ス ヒョイ

カービィ「ぽよ」

セイバー「ぽよぽよは頂いた! もはやあなたたちの好きにはさせない!」ダッ

リズ「なんと」

イリヤ「よ、横取りよ! セラ、リズ、追って!」


ワーワー キャーキャー ポヨー

凛「……まあ、今はそれでも良いんじゃないかしら。どうせ嫌でも戦うなら……ね」


セイバー「ぽよぽよの魅力に最初に気付いたのは私なのだ!」

イリヤ「うそつけー!」

カービィ「ぽよ」

衛宮邸・玄関。

桜「ただいま戻りましたー」

士郎「ただいまー。セイバー、遠坂」

シーン……

士郎「……あれ?」

桜「静か、ですね……どうしたんでしょうか」

士郎「分からん……セイバーまで反応しないのは、変だな」

桜「とりあえず、上がりましょう」

士郎「そうだな……」


衛宮邸・居間。

士郎「セイバー? いるか?」

セイバー「シロウ。戻っていたのですね」

凛「おかえりなさい。なんとも無かった?」

士郎「ああ」

桜「姉さん、どうして返事を……。ああ、フフ……そう言う事ですか」

士郎「……なるほどな」


イリヤ「すぅ、すぅ」

カービィ「ぽよ……ぽよ……」スピー

リズ「しー」

セラ「静かに……」シー

今日はここまで。これまじ新作発売までに終われるんかいな

凛「さっきまで、はしゃぎまくって」

士郎「テレビすら点けていないのか……これじゃあ確かに、大きな声は出せないな」

桜「でも、このままにしておくとお昼も作り辛いですね……」

凛「ほっときなさい。どうせその時になったら起こすんだから」

リズ「だいじょうぶ。イリヤは、向こうに運ぶから」

士郎「できるか? なら、頼む」

リズ「うん。まかせて。イリヤ、ちょっとだけ、ごめんね」スッ

イリヤ「んむ……すぅ」

セラ「リーゼリット、静かに、静かに……」

リズ「はい、はい。もしよければ、ぽよぽよも一緒に連れていくよ」

凛「あげないわよ」

リズ「ちぇー……シロウ、そこどいて」

士郎「ああ」

士郎「……はしゃいで疲れて眠って、か。やっぱり、普通の子供じゃないか」

凛「ああしてる分にはね」

セイバー「セラ、あなたは行かなくても良いのですか?」

セラ「お、お嬢様にはリーゼリットが付いているので」

セイバー「そうですか。それはそうとして、どさくさ紛れにぽよぽよに触れようとしてませんか?」

セラ「ぎく……」

カービィ「すぴー……ぷすー……」

士郎「そう言えば、何をして遊んでたんだ? はしゃぐって言うんだから」

セラ「うっ」

士郎「……嫌な予感がするぞ。どうしてセラが反応したんだ」

セイバー「…………」スッ

士郎「セイバー、さりげなくぽよぽよを庇うな」

セラ「その、あの……イリヤスフィール様だけは、お見逃しください」

士郎「一体何をして遊んでいたんだ……」

凛「庭に行ってみれば分かると思うわ」

士郎「庭?」

桜「先輩、荷物を預かります。戻ってくるまでに準備しておきますから」

士郎「頼む」


衛宮邸・庭。

士郎「……庭に、見覚えの無い季節外れの葉っぱの山が……本当に山が」ガクッ

セラ「なんと詫びたら良いものか……一応、掃いて一ヶ所に纏めておいたのですが」

セイバー「簡易的なかくれんぼの弊害です。気付いたら葉っぱがこんな事になっていました」

セラ「あのサーヴァントの魔力で作られた葉っぱならばすぐに消えるだろうと思っていました……」

セイバー「低燃費のようです」

士郎「いや……一つに纏めてくれたのなら、それで十分だよ」

セイバー「シロウの背中にこれほどの悲壮感を感じたのは初めてだ……」

セラ「本当に申し訳ございません!」ペコペコ

士郎「それにしても……よくこんなに出せるもんだな。ゴミ袋、幾つあれば良い?」

セイバー「焼き芋が何回できるでしょう」

士郎「飯はまだだぞ。って言うか、セイバーも一緒に遊んだのか?」

セイバー「はい。時には心を休め、戯れる事も必要かと」

士郎「それをさっきのセイバーに聞かせてやりたいよ」

セイバー「さっきはさっき、今は今です」フイ

士郎「都合が良いな……ん?」ヒョイ


士郎「これは――――」


セイバー「シロウ? その葉っぱが、どうかしましたか?」

士郎「……二人とも。これは確かに、ぽよぽよが出したんだな?」

セラ「え? ええ、確かに。あのサーヴァントが生み出したものです。どのような魔術を用いたのかは分からないけれど……」

セイバー「間違いありません。以前にも見ましたが、それと同じく、ぽよぽよが出した葉っぱです」

士郎「そうか……じゃあ、やっぱり」

士郎(葉っぱの山を見た衝撃でパッと見気付けなかったけど、この葉っぱは…………投影で作られている)

士郎(ぽよぽよが昨夜、あの剣を造った魔術も投影だった。そして、この葉っぱも、違うかもしれないけれど、同じ魔術)

士郎(少なくとも、投影に近しい手段で作られた。投影とは違っても、実質的に似た魔術で)

士郎(きっかけ、投影魔術――――ぽよぽよが、それを与えてくれるのか?)

シュウゥ……

セラ「……葉っぱが、消えていく?」

シュウゥ……

士郎「セラの言った通り、所詮は魔術で作られた物だ。世界に留まる時間が特別長かっただけで、結局は消えるんだ」

セラ「役割を果たすまでの時間、留まるだけだったのですね……良かった」ホッ

シュウウゥ……キラキラ

セイバー「葉っぱが全て消えた……これでゴミ出しをせずに済みますね」

士郎「ああ。こんなの大量に出したら、近所の目がどうなるか」

士郎「…………それに、何かが分かったような気がする」

セイバー「何かが? ……いえ、そうですか」

士郎「ああ」

セイバー「…………待ってください、この葉っぱが全て消えてしまったと言う事は」ゴソゴソ

セイバー「……ああ、やっぱり消えてしまっている! 一枚だけでもと思ったのに……」

士郎「セイバー……お前、何かを見失っていないか?」

セイバー「たった今、ぽよぽよの葉っぱを失いました……」

士郎「そうじゃなくて」


セラ「…………」ゴソゴソ

カサ

セラ「あ…………フン」

衛宮邸・居間。

桜「うーん、やっぱり…………あ、先輩」

凛「どう、庭の様子は。手が付けられそう?」

士郎「いや、それならどうにかなった」

凛「ああ。やっぱり、消えたのね。まあ、魔術で作られたものだからいつかはって思ってたけど」

凛「でも、あの様は一度は士郎に見せてやりたいじゃない? 間に合って良かったわ」

士郎「……遠坂、性格悪いな」

凛「ありがとう。お礼にどこをどついたら良いのかしら? ぽよぽよが起き次第すぐにやってあげるから」

士郎「遠慮します……。桜、待たせた」

桜「先輩、今確認したら…………」

カービィ「ぽよ……」スピー

セイバー「ぽよぽよは、まだ起きませんか」

凛「ええ。お昼になれば、すぐに起きるでしょうけど。なんだかんだで、あまり寝ていないみたいだし」

セイバー「同じサーヴァントでありながら、まるで今も生存する生き物のように生活する……」

セイバー「優先的に食事を取る事も、睡眠を取る事も、受肉した英霊とは思い難い行動ばかりです」

凛「……言われてみれば、ね」

セイバー「『星の戦士』……度々耳にするその言葉。それと、関係があるのでしょうか」

凛「まさか――――『星』って、こいつが? 使者だとでも言うの?」

カービィ「ぽよー……ぺぷー……」スピー

セイバー「どうだって良いんじゃないでしょうか」

凛「いくらなんでもあまりにも雑ね。珍しく真面目になったのに」

士郎「む……参ったな。無いなら無いで、他のものを作れば良いけど」

桜「でも、結構使うものですから、どちらにしても近い内にいつかはもう一度買いに行かないと……」

セラ「どうかしましたか?」

士郎「ああ、実は、買い忘れた物があって……今すぐ必要ってわけじゃないんだ」

セラ「そうですか……もし問題が無ければ、今から私が行きましょう」

士郎「え? でも、セラはお客さんだろ。それに、イリヤの護衛だって言うんだから離れたら……」

セラ「イリヤスフィール様にはリーゼリットが付いていますので。それに、働かずにいるのは性に合わないのです」

桜「先輩。こんなに言ってくれている事ですし、折角ですから……」

士郎「うーん……お客さんを働かせるのは、あまり気が乗らないけれど……なら、頼めるか?」

セラ「お任せください。それで、何が足りないのでしょう?」

桜「えっとですね――――」

士郎「――――だから、あまり急がなくても良いぞ」

セラ「ええ。では、お任せください。もしも私の外出中にイリヤスフィール様が起きるようであれば」

士郎「ああ、伝えておく」

セラ「お願いします」

セイバー「セラ、外出ですか」

セラ「ええ」

セイバー「ではついでに、ぽよぽよへのお菓子でも買ってきては」

桜「セイバーさん?」

セイバー「出来心です。だからそんな「今日はお昼抜き」と言わんばかりの笑みに見せかけた形相は止めてください」

士郎「さて、と……時間が空いたな」

凛「なら、ちょっとは休憩しなさいよ。朝からずっと働き詰めじゃない。流石にどうかしら」

セイバー「賛成です。特にシロウ、あなたはマスターなのですから。疲労を溜めて戦いに支障が出たら困ります」

士郎「分かってるよ。なら、そうしよう」

桜「はい、先輩」

凛「言われなきゃ、やらないんだからこの二人は……」

士郎「よっこいせ……何か言ったか?」

凛「べつにー」プニプニ

カービィ「ぷゆ……」スピー

セイバー「リン、起こしてしまいます」

凛「起きやしないわよ、これくらいじゃ。桜、テレビ点けてー」

桜「雑ですね、姉さん……はい」ピッ


『――――木市で発生する連続猟奇殺人事件。通り魔的犯行から推測できる、犯人像とは? 専門家は』


桜「あ――――」

凛(げ…………)

士郎「桜、リモコン貸せ」

桜「……あ、は、はい」

『三日で三〇人超を殺害、と言う事から複数犯の――――国家ぐるみの場合は犯罪にならんゾイ!』

凛(……最悪なタイミング。こんな時間までニュースやってんじゃないわよ)

カービィ「すぴー」

桜「…………」

士郎「…………」

セイバー「…………」グー

カービィ「すぴー……ぷすー……」

凛(…………沈黙が耳に痛い。ぽよぽよの寝息だか寝言だかと変な雑音だけが聞こえる。空気、重すぎ)

凛(アインツベルン連中がいないのは、不幸中の幸いね。あの空気読まない二人が何を抜かすか分かったもんじゃ……)

凛(って、今はそんな事! どうしよう……こう言うの、苦手なのよね。士郎、ガンバ)

桜「……私、ちょっと」

士郎「桜」

ガシッ

桜「っ……先輩」

士郎「大丈夫だから。俺も一緒に背負うって、言ったじゃないか……」

桜「……ぐす。はい……」ヒシ

士郎「無神経かもしれないけれど……俺を、おいて行かないでくれ」ギュ


凛「あらまあ……どう思う、セイバー」コソ

セイバー「安心しました」コソ

凛「そうね。私たちを蚊帳の外にできるなら大丈夫だわ」コソ

今日はここまで。デデデのセリフはただのパロ

桜「先輩…………」ハッ


凛「…………」ジー

セイバー「…………」グー


桜「あ、あの、その……」

士郎「桜? ……あ」

凛「さてと。ぽよぽよも寝てるし、どうやら私たちはお邪魔みたいだから、部屋にでも戻ろうかな」

セイバー「なんだか急にぽよぽよとお昼寝をしたくなりました。リン、私もお供します」

士郎「おいっ」

カービィ「ぷえっ。……すぴー」

凛「ほら、でかい声出さない」

士郎「いや……ごめん」

凛「まあでも、私は概ね士郎に同意よ。桜、一緒に背負うって意味、間違えちゃダメよ」

桜「姉さん……はい。分かって、います」

凛「辛くなったら、ぽよぽよ貸してあげるし」

士郎「ぽよぽよは癒しグッズじゃないだろ」

セイバー「何を言いますか。ぽよぽよの癒し効果は、そこらの玩具など比べ物に」


カービィ「すぴー」

桜「……くす」

冬木市・商店街。

セラ「ふう。これ、で良いのよね。うん」

セラ(頼まれていた物も無事買えた。早く、帰らないと……)

セラ「…………あ」


「さあ! ケーキ食って気力の補充完了! 探索再開!」

「蒔の字、流石にうるさいぞ」

「それにしても、噂のピンクのUMA、やっぱりいないねー……」


セラ(ケーキ……美味しそうだわ。はっ、いけない! 今はすぐにでも帰らないと!)

セラ(イリヤスフィール様に買っていくならまだしも……いえ、それも駄目よ。主人であっても、甘やかしちゃ!)

セイバー『ではついでに、ぽよぽよへのお菓子でも買ってきては』

セラ(……だから、どうして私が、あんなピンクボールなんかの為に)


数分後。


「ありがとうございましたー」

セラ(……買ってしまうのでしょう、私)カサ

セラ「…………もう」


衛宮邸。

セラ「ただいま戻りました」

セラ(思わず買ってきてしまったこれ……とりあえず、誰にも気付かれないような場所に隠して)ガサガサ

リズ「おかえり、セラ」

セラ「ひえっ!」ビク

リズ「どしたの?」

セラ「な、何でもありません……」

リズ「セラ、その袋何?」

セラ「そんな事より! あなた、イリヤスフィール様の傍を離れるなんて、どう言うつもりなの!」

リズ「…………あ、分かった。そっか、そっか」

セラ「な、なによ……」

リズ「そっち、貸して。『お使い』の方。私がシロウに渡しておくから」

セラ「リーゼリット?」

リズ「良いと思う。ほら」

セラ「……お願い、するわ」

リズ「じゃ、代わりにイリヤをお願い」

セラ「ええ」

セラ(感謝するべき、なのかしら……)

士郎「お帰り。あれ、セラじゃないのか?」

リズ「ばとんたっち。はい、これ」

士郎「ん。セラ、どうかしたのか?」

リズ「べつに。心配無い」

士郎「そうか。じゃあ、そろそろ昼飯作るか」

セイバー「やっとお昼ですか」グー

桜「……そうですね。あ、ぽよぽよちゃんは」

凛「どうせ勝手に起きるんだから、大丈夫よ」プニー

カービィ「ぷー……」スピー

士郎「遠坂、起こすならいっそ起こしてやれよ」

セイバー「いけませんシロウ。飽くまで起こさず、そのままぽよぽよを愛でるのが至高なのです」

リズ「セイバー、それはどん引き」

凛「ちょっとセイバー、暫くぽよぽよに近付かないでよ」

セイバー「シロウ、サクラ! 二人が揃って私をいじめます!」

士郎「何の話だって。あと声、でかいぞ」

セイバー「はっ。あぶぶ……」チラ

カービィ「ぽよ……ぽよ……」スピー

セイバー「ほっ……ここまでやって起きないなら何をしても起きませんね。いえ、変な意味ではありませんそんな目で見るのは」

衛宮邸・アインツベルン組の部屋。

セラ(魔術で一時的に保存……これで、味が落ちないようにして)

セラ「……はあ。本当に、自分でも分からないわ……」

セラ(まあ、あの見た目が魅力的なのは認めますけれど。魅力的なら、敵と戯れて良いのかと言う話で)

セラ(敵……あの子は、本当に敵に見えるの? いえ、私がどう見るかなんて!)

セラ(……私、どうしてしまったのだろう)

イリヤ「んむー……」ムク

セラ「ハッ!」コソコソ

イリヤ「……あれ、セラ? どうしたの、そんなところで……」

セラ「い、いえ……お目覚めになられたのですね、イリヤスフィール様」

イリヤ「うん。んー……はあ、いつの間に、寝ちゃってたのね」

セラ「はい……今はお昼前、と言った時間です」ドキドキ

イリヤ「そう……じゃあ、ぽよぽよとあそぼ」

セラ「ですが、あのサーヴァントは今も眠っているかと……イリヤスフィール様と同じ頃に寝ていましたから」

イリヤ「よし、じゃあ寝てるぽよぽよで遊ぼう」

セラ「……イリヤスフィール様。あまりあのサーヴァントと」

イリヤ「セラってば、そればっかり。さっき、一緒に遊んだくせに」

セラ「ですが……」

イリヤ「ほら、セラも行こうよ。セラだけ、まだぽよぽよ触ってないんだから」グイ

セラ「わ、私は別にっ……!」

パタパタ

次スレ凛(おかしい……間違って召喚したかも) カービィ「ぽよ」 - SSまとめ速報
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新スレ立てなきゃなんねえほどノロマになってごめんなさい。続きあっち

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月25日 (火) 21:58:39   ID: pmIJpq9m

カービィは元の世界に返りたいとかき思わんのかな

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