鬼灯「くねくねですか?」(26)

某県某市某村

鬼灯「今回も良い廃墟がたくさんでしたね」

シロ「俺には良さがよく分からないや」

鬼灯「人の趣味って大抵そういうものですよ」

シロ「へ~」

鬼灯「それよりいいですか?前から言ってますけど人前では喋ってはいけませんよ?」

シロ「うん、地獄で留守番してるルリオと柿助の分までしっかりしなきゃだもんね」

鬼灯「さすがに猿と雉は連れてけませんからね……さあ、宿屋が見えてきましたよ」

宿屋

老婆「お酒をお持ちしました」ガラッ

鬼灯「ごちそうさまでした」ペコッ

老婆「いえいえ、しかしお客さんなんて何年ぶりでしょう……」

鬼灯「人が来ないんですか?自然が綺麗でなかなか良い土地だと思うんですけど」

老婆「ええ、少し昔は観光地としてそこそこ賑わっていたんですが……あの噂が…」

鬼灯「噂ですか?」

老婆「あっ、気にしないで下さい…下らない怪談なので…」

鬼灯「教えていただけませんか?」

老婆「御気分を悪くされるかもしれませんよ?」

鬼灯「構いません」

老婆「…あの噂は数年前突然流れ始めたものでした、この辺り『くねくね』という化け物がでるという噂……」

鬼灯「くねくねですか?」

老婆「ええ、しかしそんな噂は今までこの村で聞いたことが無かったので誰も信じませんでした」

老婆「ある日、とある畑の脇道で一人の観光客の方が倒れてるのが見つかりました」

老婆「すぐに病院に運ばれ体に異常はなかったそうなのですが……その方は発狂してしまっていたそうです」

鬼灯「発狂ですか」

老婆「はい、それを皮切りに次々と同じような人が増えていきました」

老婆「そうして誰かが言いました『くねくねの仕業だ』と」

老婆「それが世間に広がって、今ではこの土地はすっかり呪いの地扱いです」




シロ「妖怪の仕業かな?鬼灯様?」

鬼灯「さあ…だとしたら私の管轄ではないのですが…」スッ スッ

シロ「ですが?」

鬼灯「情報が少なすぎて判断しかねます、一度烏天狗警察に連絡をとってみましょう」スッ スッ

シロ「で、鬼灯様は今何をしてるの?」

鬼灯「『くねくね』について調べてるんですよ」

シロ「何か分かった?」

鬼灯「どうやらネットで広がった都市伝説に近いものらしいですね」

シロ「? 嘘ってことなの?」

鬼灯「少し複雑なのですが……まあ簡単に言うと人間が恐れる気持ちからこういった妖怪は生まれるものなのです」

シロ「??」

鬼灯「まあ理解しなくていいですよ、とにかく『くねくね』は実在します」

シロ「『くねくね』って見た人間が発狂するんでよね?犬と鬼神も発狂するのかな?」

鬼灯「妖怪は特定の場所では無敵だったりしますからね、多分してしまうでしょうね」

シロ「怖いなぁ~、妖怪って」

鬼灯「貴方は鬼を倒しているでしょうが」ピッ ピッ プルルルル

シロ「電話?誰にかけてるの?」

鬼灯「アホ大王」プルルル

地獄

閻魔「あっ、鬼灯くんから電話だ」ピッ

閻魔「もしもし?どうしたの?」

鬼灯『ちょっと用があるので座敷童子達に代わってもらっていいですか?』

閻魔「直接かければいいじゃないか……」

鬼灯『あの子達、携帯持ってないんですよ』

閻魔「分かったよ、探してくるからちょっと待っててね」




座敷童子『何か用?鬼灯様』

鬼灯「もし知っているなら『くねくね』という妖怪について教えて欲しいのですが…」

座敷童子『あの畑にいる白い奴?』

鬼灯「多分それです」

座敷童子『喋ったことないからあまり知らないけど、自我は持ってなさそう』

座敷童子『ただ畑でクネクネしてるだけ、だけど下手な妖怪よりもかなり危険』

鬼灯「そうですか、自我はありませんか……」

座敷童子『地獄にスカウトするの?』

鬼灯「ええ、少し考えていたのですが自我が無いのなら無理そうですね」

鬼灯「ああ、あと一つ伝言を頼みたいのですが……」

翌朝 畑付近

シロ「ねえ?朝っぱらから妖怪って出るの?」

鬼灯「ここに鬼神がいるじゃないですか」

シロ「そういうことじゃなくて」

鬼灯「噂によると出現に時間は関係ないようです、とにかく張り込むしかないですね」ムシャッ

シロ「だからあんパンなの?」

鬼灯「儀式みたいなものです」モグモグ

シロ「一口頂戴」

鬼灯「犬に餡子は良くない、牛乳だけにしときなさい」スッ

シロ「そういえば発狂の対策はできたの?」ペチャ ペチャ

鬼灯「精神を安定させる秘薬を飲んできました」ムシャムシャ

シロ「俺のは?」

鬼灯「牛乳に入ってます」

数時間後

鬼灯「……暇ですね」

鬼灯「……」

ユラッ ユラッ ユラッ

鬼灯「……来ましたか」スクッ

鬼灯「この距離からは大丈夫みたいですね」

鬼灯「しかし不思議な動きだ」

鬼灯「…石でも投げてみよう」ブンッ

鬼灯「すり抜けた…」

鬼灯「おや?近づいて来る」

鬼灯「とりあえず逃げときますか」スタスタッ

鬼灯「あっ……シロさん忘れてた」クルッ

シロ「zzz」

クネッ クネクネッ クネッ

鬼灯「シロさんが囲まれてしまった」

鬼灯「助けにいかなければ不味いですね」スタスタッ

鬼灯「おや?体が動かない」

クネクネクネクネクネクネ

鬼灯「うわー、やられるー」

ズバァッ

桃太郎「ぜぇ…ぜぇ…」

鬼灯「遅かったですね、さすがヒーロー」

桃太郎「アンタわざとやってただろ!!さっきから大声で棒読みで下手な実況しやがって!!」

鬼灯「いえ、ただ遠くに桃太郎さんがいるのが見えたので走らせてみたくなって……」

桃太郎「危機的状況で遊ぶな!!」

鬼灯「まあまあ、今回の件はちゃんと報酬も出しますから」

シロ「うん?…なんで桃太郎いるの?」ムクッ

鬼灯「桃太郎さんが『くねくね』を倒したんです」

シロ「ええ!?そうなの!?桃太郎すごいね!」

桃太郎「ただ斬っただけだけどな」

鬼灯「桃太郎さんには妖怪の呪いなどが効きませんからね、助っ人に来てもらいました」

シロ「なるほど」

桃太郎「で、結局コイツ何者ですか?」

鬼灯「さあ?地獄に帰って研究するしかありませんね」

シロ「宇宙人だったりして」

桃太郎「どっかの神が零落したのかも……」

鬼灯「どの可能性もあり得ます、世界には分からないことがまだまだ有るのです」

~ミステリーハンターシロ 某村『くねくね』の謎に迫る!~ 終

鬼灯「…と、こうような番組で地獄の住民に現世をよく知ってもらおうと……」

閻魔「どこまでが事実なの?と言うか君が主役じゃないんだ」

鬼灯「私はずっとカメラを回していたもので……」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月13日 (金) 23:20:14   ID: GRfQVj_H

鬼灯の冷徹 自分も好きです!

2 :  SS好きの774さん   2013年12月19日 (木) 23:27:00   ID: 04PGjX3p

GS美神ってタグ何?

3 :  SS好きの774さん   2014年05月08日 (木) 20:13:36   ID: YnDwJ5Qu

原作っぽくて面白かった!

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