靖子「私にリザーバーチームの監督になって欲しい?」恒子「はい♪」 (16)

恒子「最近試合中に無理をしたりショックを受けたりして倒れる選手が増えているでしょう?」

恒子「だからそれ以上継続できなくなったチームが出た時のために、リザーバーチームを用意することになったんです!」

靖子「それで私にそのチームの監督になって欲しい、と」

恒子「はい♪ 藤田プロ、どうせ地区大会が終わって今暇ですよね?」

靖子「確かに予定はないが……失礼な奴だ。もうチームの人選は決まっているのか?」

恒子「ええ、団体戦を地区大会で敗退した選手のうち、個人戦で全国に来ている人の中から5人がピックアップされています!」

恒子「それでは早速最初の方に入っていただきましょう!」

靖子「なっ、もう来てるのか!?」

恒子「もちろんです。善は急げですから!」

恒子「昨年は一年にして個人戦二位という大活躍を見せました! 北大阪地区一位、三箇牧高校の荒川憩選手です!」



憩「おおきにー♪」ガチャ

靖子「おおっ」

恒子「? どうかしましたか?」

靖子「いや、いきなり大物が来たなと……」

恒子「確かに大物ですねー。ひょっとしたら藤田プロより強いかもしれませんし」

靖子「さすがに高校生に負けるつもりなどない! ……と断言できないのが辛いところだな」

憩「いややわー、そんな謙遜せんといてくださいな……。今回は藤田プロに直接ご指導頂けるというのが引き受けた理由のひとつなんですよ?」

靖子「そ、そうなのか?」

憩「はい♪ 先日のハートビーツ大宮との試合見てましたよー? 相手の読みを完全に読み切った上での逆転劇、最高に痺れました!」

靖子「そうか……そう言ってくれると嬉しいな! もちろん全て狙った結果であることには違いないが、
   正直あそこまで上手く行ったのは運がよかったからで……」ペラペラ

恒子(この子上手いなー)

恒子「柄にもなくデレ期に入った藤田プロは放っておいて、次の選手に行きましょう!」

靖子「お、おい! どういう意味だ!」

恒子「二人目は長野県一位、風越女子高校の福路美穂子選手です!」



美穂子「よろしくお願いします」ペコ



靖子「福路か。強化合宿で会って以来だな。こちらこそよろしく頼む」

恒子「福路選手のことは同郷でよくご存じなんですよね。そんな藤田プロから見て福路選手はどうですか?」

靖子「そうだな……しっかりとした基礎力と冷静な観察眼から来る的確な試合運び、プロでもああ上手い麻雀を打てる奴は多くないだろう」

美穂子「あ、ありがとうございます……///」

靖子「ただ去年はあまり本調子ではなかったようだな。今年の個人戦では活躍してくれることを期待しているよ」

恒子「それではどんどん行きましょう! 続いて三人目の選手です!」

恒子「全国でも屈指の全国出場回数を誇る奈良の王者晩成のエース! 奈良県一位、晩成高校の小走やえ選手です!」



やえ「お見せしよう、王者の打ち筋を!」ガチャ



靖子「ふむ、晩成高校の小走か……層の厚いことで知られる晩成の中でも一人抜けているな。去年も二年生にしてはなかなかの活躍だった」

やえ「まだまだ精進中の身です。勿体ないお言葉」

靖子「いや、特にイレギュラーな事態に対する対応力には目を見張るものがあった。これからが楽しみだよ。……しかし今年は残念だったな」

やえ「なあに、後進がきちんと育って来てくれています。来年こそは晩成の快進撃をお見せしますよ」

恒子「残すところもあと僅かになって来ました! 四人目の選手です!」

恒子「一昨年は九州の超新星として注目を集めました! 鹿児島県二位、九州赤山高校の藤原利仙選手です!」



利仙「神代小蒔……今度こそ殺す……」ブツブツ



靖子「…………」

恒子「うわぁ……」

利仙「はっ! こ、これはお恥ずかしいところを……///」

靖子「いや、気にすることはない。意気込みがあるのは悪いことじゃないと思うぞ」

恒子(意気込みで済ませていいのかなぁ……)

靖子「同じ県に強い打ち手が現れれば意識してしまうのも仕方がない。是非これからも切磋琢磨してお互い強くなっていってくれ」

利仙「は、はい……///」

恒子「それではいよいよ最後の一人に入っていただきましょう! 西東京地区三位、松庵女学院の多治比真佑子選手です!」



真佑子「な、なんですか? 私どうしてここに呼ばれたんですか……?」カタカタ



靖子「……なんで彼女はこんな怯えてるんだ?」

恒子「なんか決勝戦があってからずっとこの調子らしいですよ」

靖子「ああ、あの試合か……」

恒子「藤田プロ見てたんですか?」

靖子「王者白糸台のいる地区だからな。地区大会とはいえ見ていたプロは多いと思うぞ」

靖子「大星淡の能力はプレッシャーが強い。それに加えて彼女は危機察知能力に優れた打ち手らしく、もろに影響を受けてしまったんだろう」

恒子「大丈夫なんですか……?」

靖子「問題ない、麻雀にはよくあることだ。もちろんそれで潰れてしまう選手もいるが、その後の個人戦も勝ち抜き、
   この招集も引き受けたんだ。全く心配は要らないだろう」

靖子「むしろ強いプレッシャーを受けたことで能力が高まっている可能性さえある……」

真佑子「…………」カタカタ

恒子「以上がリザーバーチームのメンバーです! それでは靖子さん、監督お願いしますね!」

靖子「ああ……しかし、本当にこの人選でいいのか?」

恒子「? と、言いますと?」

靖子「どの選手も全国でエースを張れそうな選手ばかりじゃないか……。リザーバーがこんなに強くていいんだろうか」

恒子「だーいじょうぶですって! 白糸台だってナンバー5でもそこらの県代表エースを凌ぐらしいですし!」

恒子「それでは宿を取ってありますので、そちらへ移動してチームの親睦を深めていただきましょう!」

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