永沢「ひとりかくれんぼしないかい?」(103)

藤木「ええっ…でも…」
永沢「ウチの家族が明日旅行でみんな家を空けるんだ 明日ウチに止まってやらないかい?」
藤木「でもアレって…」
永沢「藤木くん怖いのかい?」
藤木「怖くないよ!」
永沢「じゃあ明日ね」
藤木「…」

翌日 永沢宅前(CV:あの声)

藤木「永沢くーん」
永沢「ほんとに来たんだね」ガチャ
藤木「うん…」
永沢「まあ入ってよ 用意はもう済んでるんだ」
藤木「うん」

藤木「それでぬいぐるみは何を使うんだい?」
永沢「これだよこれ」
藤木「え゙っ!?」
永沢「フフフ…驚いたろう?」
藤木「でもそれって日本人形…!」
永沢「こっちのほうがスリルありそうだからね」

藤木「ちゃんと塩とか色々用意してるんだよね!?」
永沢「勿論さ 僕を誰だと思ってるんだい?」
藤木「ならいいんだけど…」
永沢「ここ隠れる場所ね」ガラガラ
藤木「お、押入れ…」
永沢「下段は君、上段は僕ね」
藤木「うん…」

永沢「お、もう7時だ カップ麺でも作ってくるよ」
藤木「うん…」
永沢「そうだ、スリルをもっと増すために僕にいい考えがあるんだ」
藤木「?」
永沢「爪と一緒に髪の毛や肉片も入れようと思う」
藤木「そうかい…ってえ!?」

永沢「肉片といっても大したもんじゃないよ 爪の先の肉をちょっとかじっていれるだけさ」
藤木「え…うん…」
永沢「まぁ話は2時前になったらするよ カップ麺作ってくるよ」
藤木「…」

そして来る午前2時(キートン山田)

永沢「そろそろテレビ切って」
藤木「え…もう時間かい?」
永沢「そうさ じゃあさっさと人形の用意を終わらせよう」
藤木「日本人形…」

永沢「ところで藤木くん ちょっとそっち向いてみて」
藤木「? こうかい?」
永沢「ふん」ピッ
藤木「痛!」
永沢「髪貰っとくよ ついでに爪の肉もいれてくれないかな」
藤木「な、永沢くん…」
永沢「はやくしてよ」

藤木「こうなるとは思ってなかったよ…僕はやめるからね」
永沢「別にいいんだよやめても」
藤木「えっ…?」
永沢「じゃあ帰ってくれよ 今すぐに」
藤木「」
永沢「ほら爪の肉早く」

藤木「これだけでいいよね?」
永沢「うん、十分さ これを縫って…」
藤木「ゴクリ」
永沢「さ、人形の完成さ 風呂場に行こう」

永沢「そういえば重要なことを忘れてたな」
藤木「え、何?」
永沢「名前だよ、名前」
藤木「あぁ…」
永沢「そうだなぁ… 名前は藤木くんでいいな」
藤木「」

永沢「どうだい藤木くん、藤木くんの出来は?」
藤木「やめてよ…」
永沢「じゃあ改めて風呂場に行こう」

永沢「蓋をとってっと…」
藤木「ねえ永沢くん…やっぱりやめない?」
永沢「はぁ…?」
藤木「なんだかすごい嫌な感じがするんだ」
永沢「何をいきなり臆病風に吹かれてるんだい?」ポチャン
藤木「ああ…」
永沢「さ、藤木くん 早く言ってよ」

藤木「僕がかい…」
永沢「ほら早く」
藤木「最初の鬼は藤木だから 最初の鬼は藤木だから 最初の鬼は藤木だから」

永沢「部屋に戻ってきたよ」
藤木「うん」キョロキョロ
永沢「テレビをつけてっと」ポチッ ザーザー…
藤木「」キョロキョロ
永沢「それじゃあ10数えようか」
藤木・永沢「1…2…3…4…...」

永沢「はい これ」
藤木「ペットボトル…?」
永沢「塩水だよ 早く押入れに入ろう」
藤木「うん…」ガラガラ

永沢(塩水を口にっと)
藤木(は、早く口に)
永沢「…」
藤木「…」

永沢(外の様子見たいなぁ ちょっと襖あけようか)ガラッ
藤木「ヒッ!」ブッ

永沢(藤木くん、ビビっちゃってるな 襖をガタガタ言わせてみるか)ガタガタガタ
藤木「ひ、ひえー!」ブーッ
藤木「な、永沢くんだよね今の!」
永沢(…フフフ)
藤木「ね、ねえ返事してよ!」

藤木「ねえってば!」
永沢「…」
藤木「な、永沢くぅん!」
永沢「…」
永沢「…」
永沢「…?」
永沢(藤木くんの声がしなくなったな)

永沢(僕はオカルトの類は信じないけどまさか…)
ガラガラガラッ!
永沢「う、うわぁ!」ブーッ
藤木「やっぱり永沢くん僕を驚かそうとしてたんだね」
永沢「ゲホッ 藤木くん…君ってやつは卑怯だね…ゲホッゲホッ」

コンコン コンコン
藤木「え」
永沢「え」
藤木「ノ、ック?」
永沢「き、気のせいだよ!」
コン コン コン
永沢「は…は、やく押入れに…」
藤木「う、う、うん!」ガララ ドン

コン コンコン
永沢「し、塩水忘れるなよ!」
藤木(…)
永沢(…)

藤木(こ、ここには誰もいないよだから早く)
コンコンコンコンコンコンコンコンコン プチッ
永沢(テレビが消える音…?)
藤木(な、何いまの音…)
永沢(ほんとに消えたのか…?)ガタッ
藤木(やめてよ永沢くん…僕は外なんか見たくないよ…!)

コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン
藤木(ひぃぃぃぃぃぃ…)
永沢(………ゴクリ)
コン コン コン 
ガチャ キィー バタン
藤木(!)
永沢(!)

藤木(ひひ、ひぃぃぃぃ…)ギィィィィ
永沢(ふ、藤木くんの馬鹿… 音を建てるなんて…!)
藤木(いやだいやだいやだ外が見えないところに)
永沢(何だ… いったい何がいるんだよ…)
ヒタヒタヒタ

永沢(暗くてよく見えないけど…何かいる…?)
永沢(ブ、ブリッヂしてる子供?)
永沢「ウッ」
永沢(あ、危ない 吐きだすところだった)

永沢(駄目だ…覗いてるのがバレたら…)ブンブンブン
永沢(ふ、藤木くんは大丈夫なのか?)
藤木「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

藤木(いやだ…もういやだ…)ブッー
藤木「あああああああああああああ」ガラガラ
永沢「うわああああああああああああああ!」ブッー
永沢「あれ…?子供がいない?」
藤木「もう嫌だもう嫌だ… 暗くて怖い夜道でもいい…僕は帰るよ…!」

藤木「あああああああああああああああ」ダッダッダ
永沢「ふ、藤木くん待ってよ!」
藤木「玄関…!玄関…!」

藤木「はやく…早く外に…!」ガチャガチャガチャガチャ
永沢「何をしてるんだい藤木くん!」
藤木「開かない…開かないんだよぉ…!」
永沢「居間… 今の窓から出よう…!」クルッ
子供「あー」
永沢「ひ、ひゃああああああああああ」ドン
藤木「どうしたの永沢くん!」

永沢「子供…子供が…」
藤木「な、何もいないよ… 緊張してるんだよ永沢くん」
永沢「あ、あぁ… 早く居間にいって…」
藤木「うん…」

藤木「え… …え?」
永沢「どうしたんだい…?」
藤木「ね、ねぇあれ」カタカタカタカタ
永沢「うん?あれは窓だよ」
藤木「ち、ちがう ちがうんだ… 窓のすぐ下…」カタカタカタカタカタカタカタ
永沢「あ、あの人形…」

藤木「ね、ねえ とりあえず電気つけようよ ねえ?」
永沢「あ、あぁそうだね…」カチッカチッ
永沢「ん?」カチッ
藤木「つ、つかないの…?)
永沢「…」

永沢「こ、こんな人形がなんだっていうんだい!」ガシッ
藤木「ひ、ひっ」
永沢「こんなもの!」ブン
藤木「…」
永沢「もしかして全部藤木くんのイタズラじゃないのかい!?」
藤木「え?」
永沢「藤木くん隠れてるとき1回反応無くなったじゃないか!その時に人形の位置をいじったんじゃないのかい!?」
藤木「そ、そんなことするわけないじゃないか…」
永沢「いいや嘘だね こんな時にまで嘘をつくなんて藤木くんは本当に卑怯だね」
藤木「え…?」カタカタカタカタ

永沢「なんだい急に!わざとらしい…」
藤木「そ、そこ… それ…」
永沢「ん?」クツッ
藤木「な、永沢くん今投げたよね…」カタカタカタカタカタ
永沢「う、うわぁっ!」

永沢「こ、こんな人形はもういい!早く窓を」ガシッガシッ
藤木「は、早くしてよ!」
永沢「あ、開かないんだ…!」

藤木「そ、そうだ!この人形に塩水をかけないと」
永沢「ペ、ペットボトルは?」
藤木「僕は持ってきてないよ!」
永沢「くっ… 僕が部屋まで取りに行ってくるよ」ドッドッド
藤木「あ、待ってよ!」
藤木「…」
藤木「こ、この人形と二人きり?」

藤木「…」
藤木「ね、ねえ人形さん 僕たちが悪かったからもうやめてよ」
人形「…」
藤木「返事、あるわけないよね…」
ガタッ
藤木「ひっ!」キョロキョロ
藤木「何も落ちたりしてない…?」
藤木「え… 人形が無くなってる…」

藤木「でもおかしいな… なんで子供の幽霊が僕には見えないんだろう…」
藤木「もしかして僕が入れた爪と髪の毛と肉片に何か…」
藤木「そうだ… あの時僕は永沢くんを恨めしく思いながらいれたんだ… まさか…」

永沢の声「ぎゃあああああああああああああああ」
藤木「な、永沢くん!」

藤木「今は…」キョロキョロ
藤木「4時…!もう少しで日の入りで明るくなる…!」
藤木「永沢くん!返事して!今すぐそっちに行くから…」ダッダッダ

永沢「これは夢だ… 夢なんだぁ…」
藤木「永沢くん!」
永沢「藤木くん…!初めて君を頼もしいと思ったよ…」
藤木「はやくペットボトルを…ってえ゙っ?」
永沢「どうしたんだい藤木くん… …!?」
藤木「ペットボトルの中身が、両方空っぽ…?」

永沢「はやく台所に… 新しい塩水を…」
藤木「駄目なんだ… 違うんだ永沢くん…」
永沢「な、何が違うって言うんだい?」
藤木「あの、人形… 僕が見た時にはもう無くなってたんだ」

コン コン
藤木・永沢「!」
コンコンコンコン
永沢「かくれ、か、隠れよう」
藤木「だめだよ… もう塩水がない…!」
永沢「じゃあどうしろっていうんだよ!」
藤木「ドアノブを押さえよう…!」

コンコン コン コン
藤木「…」
永沢「…」
コンコン コンコンコン コン
藤木「…」
永沢「…」
コンコンコンコンコン
永沢「…もう嫌だ ここは僕の家だ!早く!早く出て行け!」
藤木「な、永沢くぅん…」

永沢「ノックが収まった…?」
藤木「ほ、ほんとだ」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!

ドンドンドンドン ギギギギギギ
永沢「す、すごい力でドアノブが、がぁ…」
藤木「がんばって永沢くん!もう少しで日の入りだよ!」
永沢「手、手がとれそうだよ…!」

永沢「うっぐっ…」
藤木「永沢くん!」
永沢「も、もう無…理、」ドン
ガチャリ キィー

日の入り…

藤木「何も、いない…?」
永沢「ほ、ほら やっぱり幽霊なんて存在しないんだ!ハハハハハ!」
藤木「外が明るい… 日の入りで幽霊が逃げたのかな…」

>>83
ごめん今気づいた

藤木「はぁ… 終わったみたいだね」
永沢「あんなの全部気のせいだよ 藤木くんもしかして本当にビビってたのかい?」
藤木「そ、そんなの… うん、まぁもう帰るよ…」
永沢「帰り道気をつけなよ」

しかし、幽霊に打ち勝ったという達成感と脱力感、そして朝が来たという安堵感で僕たちは気づいていなかった
人形に塩水を吹きかけるどころか、人形の居場所すらわからなかったのだ

そしてその日の昼
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おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月14日 (金) 16:03:29   ID: GELuc38c

な・・なな何があったというんだ…!!

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