コニー「憲兵団になって母ちゃん喜ばす」(91)

ネタバレがあります。
グロも少しあります。
ハッピーな話ではありません。
ご注意ください。

―845年・ラガコ村・コニーの家―

コニーの父親「ただいま」

コニーの母親「あなた、おかえりなさい。どうだった?」

父親「ああ。子供たちは?」

母親「今寝かしつけたわ。それで・・・壁が壊されたって本当なの?」

父親「・・・・・・」

―――――
――――
―――

コニー(ん・・・しょんべんしたい・・・)ムクッ

トテトテ

父親「・・・子供たちは?」

コニー(あ、父ちゃん帰ってきたんだ)

母親「今寝かしつけたわ。それで・・・壁が壊されたって本当なの?」

コニー(かべ?)

父親「ああ。シガンシナ区の壁が壊されて、ウォールマリアの扉が破られたそうだ」

コニー(えっ・・・)

母親「そんな・・・」

父親「人が沢山入ってきたし、この辺にも移住してくるだろう。これからもっと食糧難になるだろうな」

母親「コニーたちはまだ小さいのに・・・なんてことなの。それに、いつ次の壁も壊されるかわからないわね・・・」

父親「おい、泣くな。今のうちに備蓄の食糧を確かめておこう。それからこれからの耕作も工夫が必要だな。大丈夫、俺がいるから。お前たちのことは俺が守る。な。お前が笑ってないと子供達も心配するぞ」

母親「ええ・・・そうね・・・そうだわね」

父親「ああ・・・」

コニー(母ちゃん、泣いてるのか・・・)

コニー「母ちゃん・・・」ギイイ

母親「コニー!あら、やだ。起きてたのかい?おしっこ?」

コニー「なんで泣いてるんだ?母ちゃん」

父親「コニー、こっちにおいで」

コニー「なんだ?父ちゃん」

父親「これから、今までより生活が大変になるかもしれない。なあ、コニー。お前は父ちゃんの自慢の息子だ」ナデナデ

コニー「うん?」

父親「お前は、サニーやマーティンの兄貴として、父ちゃんがいなくなったら、母ちゃんや家族を守らないといけない」

コニー「俺が?」

父親「そうだ。できるな?」

コニー「うーん、よくわかんねぇけど、できるぜ!俺は天才だからな!」エッヘン

父親「はっはっは!見ろ母ちゃん!コニーがいるから頼もしいな!心配することなんてないぞ!」

母親「そうね、コニーはいいお兄ちゃんね」ギュッ

コニー「なんだよ、母ちゃん」

父親(そうだ、俺達はこの、小さな希望のために生きなくてはいけない。今、泣いてる暇は無い・・・)

コニー(なんだ、父ちゃんも母ちゃんも変だな。・・・俺、何かできることねぇのかな・・・)


―846年・ラガコ村・人知れぬ森の中―

俺はコニー・スプリンガー。11歳。
この村一番の天才とは俺のこと・・・。
未来の憲兵団長間違いなしの俺だが、毎日の鍛錬は欠かさない。
今日も人知れず、自らに課せた厳しい特訓をしている・・・。

コニー「ぐがああああ、スピイイイイ」

サニー「おにいちゃあん・・・コニー兄ちゃあん」タッタッタ

コニー「むにゃむにゃ・・・俺は憲兵団長だ・・・」

サニー「おにいちゃあん!起きてよ!起きてってば!」

ユサユサ

コニー「んあ?なんだ、サニーか。どうした?」ボーッ

サニー「マーティンが、マーティンがあああ。うええええええん」

コニー「なんだ?泣いてちゃわかんねぇだろ?マーティンがお前のおやつでもとったのかよ?」

サニー「違ううう。私のお人形、いじめっ子に盗られたの、マーティンが取り返すっていって追っかけて行っちゃったよおお」

コニー「は!?あいつ喧嘩弱いだろ!どこだ!?マーティンは!」

サニー「わかんないいい!うわあああん」

コニー「お前がこっち来たのと一緒の方向か?逆か?」

サニー「うっ、うっ、ぎゃ、逆・・・ヒックヒック」

コニー「わかった。後は俺にまかせろ。お前は帰って母ちゃんの手伝いしてろ。いいな?」

サニー「私も行く・・・ウッウッ」

コニー「あぶねぇからダメだ!兄ちゃんにまかせとけ!」

サニー「で、でも・・・」

コニー「大丈夫だ!今まで兄ちゃんがお前と約束して、できなかったことあるか!?」

サニー「・・・無い」

コニー「な?お前の兄ちゃんは天才なんだから、なんにも心配せず待ってろ!わかったな?」

サニー「うん。でも、あいつ、背がおっきいから兄ちゃん気をつけてね」

コニー「またあいつか。大丈夫だ!あんな図体だけでかいやつ、俺様の敵じゃねぇ!じゃ、行ってくるからな」タッ

コニー(ったく、マーティンのやつ、なにやってんだ・・・!)タタタタタッ・・・

――――――
―――――
――――

―ラガコ村・馬小屋の裏―

マーティン「返せよっ!その人形はサニー姉ちゃんのだぞ!返せっ」ピョンピョン

でかいガキ「へっ。クソちびのくせに、生意気なんだよ。ほ~ら、俺の手から取れるもんなら取ってみろ!」

腰巾着なガキ「やーいやーい!マーティンのチビ!お前の背で届くもんか!」

マーティン「黙れ!僕はチビでも、お前らなんかに負けないぞ!」ピョンピョン

マーティン(僕も、兄ちゃんみたいに、ちっちゃくても負けないんだ!)

――――――
―――――
――――

―ラガコ村・コニーの家の近く―

コニー(サニーはいつもこの辺で遊んでるから、こっから向こうに向かったとしてもそんなに遠くには行ってねぇだろ・・・)キョロキョロ

馬「ブルルルルル!ヒヒ~ン!」

コニー(ん?なんか馬が興奮してるみたいだな?馬小屋のほうに行ってみるか!)タタタタタ・・・

――――――
―――――
――――

―ラガコ村・馬小屋の裏―

でかいガキ「しつこいんだよ!弱虫マーティン!」

ゲシッ

マーティン「あうっ!」ドサッ

腰巾着なガキ「わーい!弱虫マーティンつまんで捨てろ!つまんで捨てろ!」

マーティン「ううっ、痛いよお・・・うっ、うっ・・・にいちゃあん・・・!」

でかいガキ「へっ!また兄貴かよ!なっさけねぇな!」

マーティン「うえええええええん!」

でかいガキ「うるせえな!泣いてもお前のチビ兄貴はこねえよ!」

コニー「とおおおう!天才憲兵団長参上!」バッ!

腰巾着なガキ「!?」

コニー「くらえ!立体機動キーック!!」シュバッ

バキッ!!

腰巾着なガキ「ぎゃんっ!」ズザーッ

でかいガキ「!?」

マーティン「兄ちゃん!!!」

コニー「シュタッ!どうだ!天才による立体機動キックを思い知ったか!」

腰巾着なガキ「た、ただのジャンプキックだろ!うわああん、鼻血でたよおおお」

でかいガキ「不意打ちするとか卑怯だぞ!」

でかいガキ(くっそ!コニーのやつチビのくせにすばしっこいからな!兄貴を呼ぼう)チラッ・・・クイクイ

腰巾着なガキ(あ、兄貴を呼んで来いって?わかった!)タッ

コニー「うるせー!卑怯じゃなくて隙を突いただけだ!バーカ!おい、マーティン、こっち来い!」

マーティン「うん!」タタタッ

コニー「お前は向こうに隠れてろ」

マーティン「うん!兄ちゃん!あいつ、サニー姉ちゃんの人形取ったんだ!やっつけちゃって!」

コニー「よし、任せとけ!」

でかいガキ「またボコボコにされたいのかよっ」

コニー「どっちがだ!お前みたいなやつはこの天才が痛い目見せてやるぜ!」

マーティン「兄ちゃん頑張れ!」

でかいガキ「ぶっつぶしてやるうううう!」ドスドスドス

コニー「へっ、そんな鈍い動き、あくびが出るぜ」ヒョイ

コニー(避けたついでに足引っ掛けて転ばせてやる!)

ガッ

でかいガキ「うわっ!」グラッ

コニー「とおうっ!憲兵団長体当たり!」

ドシンッ

でかいガキ「ぬおっ!」ドッテーン

マーティン「あはっ!やったああ!兄ちゃんは強いなあ!」

でかいガキ「うっ・・・うわあああああん、痛いよおおお!うえええええっ!」

コニー「でかいくせに情けねぇなあ。ほいっ、サニーの人形は返して貰うぜ」ヒョイッ

マーティン「兄ちゃん!」タッタッタ

コニー「あ~あ。人形汚れちゃったな。マーティン、帰るぞ」

マーティン「うん」

でかいガキ「うあああああん!兄貴ぃぃぃ!うえええん!」ビービー

コニー「うるせぇなあ」

マーティン(・・・やだな///・・・さっきの僕だ・・・)

腰巾着なガキ「こっち!こっちだよ!」タッタッタ

でかいガキの兄貴「おい!コニー!てめえまた俺の弟いじめやがったのか!」

コニー(げっ!こいつの兄貴だ!くっそ~!)

コニー「おい、マーティン、お前は先に帰れ・・・!」

マーティン「えっ、でも」

でかいガキ「兄貴!僕の人形だ!僕の人形、コニーが取った!」

兄貴「なにぃ~!?このクソガキィィ!」ザッザッザ

コニー(まずい!)

コニー「マーティン!走れ!逃げるぞ!」グイッ

マーティン「うわっ!」

コニー(あいつの兄貴、弟の倍くらいでけーから勝ったことねぇんだよな!マーティンもいるし、ここは逃げるしか・・・)ダダダダ・・・

マーティン「ハアハア・・・兄ちゃん、兄ちゃん、僕、そんな速く走れないよ・・・!」

兄貴「待てコラー!」ダダダダ

コニー(ちっ、俺だけなら余裕で逃げれるけど、駄目だ。マーティンは追いつかれる!今更おんぶしてる暇も無いし)

コニー「マーティン、お前兄ちゃんのこと信じてるよな!?」

マーティン「う、うん」

コニー「俺も、お前を信じてる、いいか、いちにのさんで、全速力で家に走れ!いいな!」

マーティン「で、でも兄ちゃんは!?」

コニー「俺は未来の天才憲兵団長だからな、心配すんな!いいか、いくぞ!?いち、にの・・・」

マーティン「!!」

コニー「さんっ!!」バッ

マーティン「うわああああ!」ダダダダダ

コニー「うおりゃああああ!立体機動キーック!」

ダシッ

コニー(あ・・・駄目だ。当たったけど全然効いてねえ・・・)スタッ

兄貴「・・・は?なんだそりゃ」

コニー「未来の憲兵団長様の立体機動キックだ!」

兄貴「お前みたいなチビが憲兵団になんか入れるかよ!弱っちい癖に生意気だぞ!今日も捕まえてボコボコにしてやる!」ガッ

コニー「へっ!誰がお前みたいなウスノロに捕まるかってんだよー!おしりぺんぺん!」

兄貴「コニーィィィ、いい気になってられんのも今のうちだぞ、このチビガキがああ」ピキピキ

コニー(うひー、怒ってる怒ってる。でもマーティンは逃げれたみたいだし後は隙を見て俺も逃げる・・・)

コニー「!!」

兄貴「?」

コニー(はっ、サニーの人形どこだ!?)キョロキョロ

兄貴(なんだ?急に焦りだして・・・何探して・・・)キョロキョロ

兄貴「!!」

コニー(あっ!マーティンと別れたとこに落ちちまってる!)バッ

兄貴「探し物はこれかっ!」バッ

コニー「あっ!(しまった!取られた!)」

兄貴「ふん、人の弟の人形とろうだなんて、このドロボウ野郎!」

コニー「違う!そりゃ俺の妹の人形だ!」

兄貴「俺の弟が自分のだと言ったんだ!嘘つくな!チビ!」

コニー「嘘じゃねえ!」

でかいガキ「はあはあ、兄貴ぃ~」ドッスンドッスン

兄貴「おい、こりゃお前の人形なんだろ?俺が取り返してやったぜ」ポイッ

でかいガキ「やったー!流石兄貴だぜ!」パシッ

コニー「返しやがれ!」バッ

でかいガキ「嫌だ!これは僕んだ!兄貴!コニーがいじめるよ!」

兄貴「コニー!弟に手を出したら許さねぇぞ!」

コニー「うるせえええええ!返せえええええ!」ゲシッ

でかいガキ「いたっ!なにすんだよ!」バシッ

コニー「いでっ!このやろう!」ドンッ

でかいガキ「うわあああん!兄貴ぃぃぃ!」

兄貴「コニー!てめえ!」バキッ

コニー「うぐっ!」フラッ

でかいガキ「兄貴!助けて!(やったやった!殴られた!殴られた!ざまーみろ!)」

兄貴「コニー!弟に謝れ!」ガッ

コニー「くっ・・・!」ドテッ

コニー(ちくしょお・・・力の差がありすぎる。た、立てねぇ・・・けど、けどサニーの人形取り返さねぇと)

コニー「返せ・・・サニーの人形・・・」フラフラ

でかいガキ「うわっ!しつこいな!」

コニー「返せっ!」ガシッ

でかいガキ「うひい!鼻血が服についたじゃねぇか!この!人形離せよ!」ゲシッ!ゲシッ!

兄貴「てめえ!いいかげんにしろ!」ドカッ

コニー「かえせ・・・」グラッ

コニー(駄目だ。倒れちゃ駄目だ。サニーの人形、未来の憲兵団長の俺様が・・・)

でかいガキ「離せ!チビ!チビコニー!」ゲシッゲシッ

コニー「ううっ・・・絶対はなさねぇ・・・」

兄貴「このチビ!蹴り飛ばしてやる!」ドガッ

コニー「うぎゃっ!」ゴロゴロ

ビリッ・・・!ボトッ

コニー(ああっ・・・サニーの人形、壊れちまった・・・ちきしょう・・・)

でかいガキ「ああー!半分ちぎれちまったよおお!」

兄貴「そんな汚ねぇ人形捨てちまえ」

でかいガキ「でもぉ」

兄貴「俺が憲兵団に入ったら、上等な人形買ってやるから」

でかいガキ「ほんとぉ!?兄ちゃん大好き!でも兄ちゃんが訓練兵になったら僕さみしいよお」

兄貴「なぁに、たったの3年だ。すぐお前も内地に呼んでやるよ。よしよし。帰るぞ」

でかいガキ「うん!」

コニー(あいつ、訓練兵になるのか・・・)

でかいガキ(コニー、あっかんべー)ベロッ

コニー(くっそおー!あのやろー!見てろ、俺も・・・俺も来年は訓練兵になる、お前の兄貴より強くなって、偉くなって、お前ら見返してやるからな・・・)

―――――
――――
―――

―コニーの家―

サニー「お兄ちゃん遅いね」

マーティン「うん・・・でも大丈夫だよ。僕らの兄ちゃんは無敵だもん!」

サニー「そうだね!」

母親「ほら、二人共、テーブルの上片付けて。ご飯並べるからね」

サニー「はーい」

マーティン「わーい!ご飯だご飯!」

コニー「ただいま」

サニー「あ!兄ちゃんだ!おかえり!」

マーティン「おかえり兄ちゃあーん!」

母親「コニー、おかえり。遅かったわね」

コニー「うん」

母親「!?・・・どうしたのその顔!それに服も真っ黒じゃない!」

コニー「森で憲兵団ごっこしてたら木から落ちちまったんだ。母ちゃん、服汚してごめん・・・」

母親「しょうがないねぇ、アンタは。ほら、こっちおいで、綺麗にして手当しないとね」

コニー「うん」

マーティン「兄ちゃん、サニー姉ちゃんの人形は・・・」

コニー「しっ。母ちゃんにケンカしたの聞かれたら駄目だ。後で渡すから、サニーにはちゃんと取り戻したってだけ言っとけ」ヒソヒソ

マーティン「うん!やっぱ兄ちゃんはすごいな。僕も、兄ちゃんみたいになりたい」

コニー「おう、父ちゃんや俺がいなくなったら、お前がサニーや、母ちゃんを守らねぇといけないからな」

マーティン「うん、僕強くなるよ!でも、兄ちゃんとずっと一緒にいたいな。僕・・・」

コニー「そっか。ありがとな」ナデナデ

マーティン「へへっ」


母親「コニー!さっさとおいで」

コニー「あ、うん!」タタタ・・・

母親「全く、今日もケンカしたのかい?」

コニー「えっ!?し、してねぇっ!してねぇよっ!」

母親「母ちゃんはお見通しだよ。アンタが元気なのはいいけど、怪我されると心配だわ」

コニー「・・・だって、あっちが悪いんだ!でも俺は負けなかった」

母親「そうかい。そうだね。多方マーティンたちのために戦ったんだろ。小さいけど強く育ってくれて母ちゃん嬉しいよ」

コニー「小さいは余計だろ、俺これからもっとでっかくなるし、たぶん」

母親「あっはっは、ごめんごめん」

コニー「なあ、母ちゃん。今日ケンカしたやつ、訓練兵になるって言ってたぜ」

母親「そうかい。そういやあの子は12歳になったんだね・・・」

コニー「俺も12歳になったら訓練兵になる」

母親「何言ってるの、厳しい訓練するんだ。アンタ去年から突然憲兵団になるって言ってるけど、思ってるほどそんな簡単なことじゃないよ」

コニー「わかってるよ。でも、俺なりたい」

母親「ここで狩りして、畑作って暮らせばいい」

コニー「いやだ!一番外の壁がでっかい巨人に壊されて、人がいっぱい入って来たんだろ!狩りしても、畑作ってもそのうち食料が足りなくなって生活できなくなるんだろ!」

母親「コニー・・・」

コニー「それに、父ちゃんが言ってたぞ。この間、人を減らすために兵士じゃない人たちが巨人を倒しに行って、いっぱい死んだって。俺たちも、これからそうなるかもしんねぇだろ。そんなの・・・そんなのやだよ!」

コニー「俺は、強くなって、憲兵団になって、父ちゃんと母ちゃんと、サニーとマーティン連れて内地に行くんだ!」

母親「アンタがそんなこと心配しなくていい」

コニー「俺は兄貴なんだ。サニーや、マーティンを守らなくちゃいけないんだ!だから・・・」ウルッ

母親「母ちゃんは、家族一緒で暮らせたらそれでいいんだよ」ギュッ

コニー「いやだ。俺は、父ちゃんや母ちゃんやサニー、マーティンを絶対守るんだ・・・憲兵団になるんだ・・・うっ・・・うっ・・・」

母親(ああ、神様。どうしてこんな小さな子が辛い思いをしないといけないんですか)ウルッ

コニー「父ちゃんはなってもいいって言ってくれたんだ。俺、絶対、がんばるから・・・!だから母ちゃん心配しないでくれよ」

母親「わかったよ。アンタも知らない間に成長してたんだね。母ちゃんは嬉しいよ」ナデナデ

コニー「じゃあ・・・!」

母親「ああ。アンタのしたいようにしたらいい。ついでにアンタをバカにする奴らも見返してやんな」ニコッ

コニー「おうっ!見てろ母ちゃん!俺、強くなる!強くなるからなっ!」

母親「うんうん。アンタならできるよ。ほら、手当するから、顔拭くよ」

―――――
――――
―――

サニー「コニーお兄ちゃん、大丈夫?」

コニー「ん?大丈夫だ!兄ちゃんは無敵だからな!」

サニー「ねえ、私のお人形取り返してくれたの?マーティンが言ってたよ」

コニー「おお、じゃーん!」

サニー「あれぇ?お人形のお洋服が新しくなってる!お花の刺繍がしてあるよ!」

コニー「えっ、ほんとか!?サニーがいい子で待ってたからじゃねぇか!?」

コニー(ちぎれたとこ上から布くっつけて直したのは上手くできたからバレねぇと思うけど。刺繍っつっても、見よう見まねだから簡単なもんだし下手くそなんだよなあ・・・がっかりすっかな?)

サニー「うわぁ!!!可愛い!可愛いい!きゃあああ!」ドタバタ

コニー「お、おい。走り回るなよ」

サニー「マーティン!見て!見て!可愛いでしょ?」

マーティン「ん?ああ、ほんとだね!良かったね姉ちゃん」

サニー「コニーお兄ちゃんありがとう!大好き!」チュッ

コニー「えっ、へへへ、そっか!マーティンが最初に取り返してくれたんだから、お礼言えよ!」ナデナデ

サニー「うん、マーティンもありがとう!」チュッ

マーティン「えへへ・・・僕なんにもしてないよ」

サニー「私、大きくなったらコニーお兄ちゃんのお嫁さんになるんだ」

マーティン「バカだな、姉ちゃん。兄妹は結婚できないんだよ」

サニー「うるさい!結婚するの!」

コニー「あのなあ・・・。なあ、サニー、マーティン」

サニー「なに?」

マーティン「・・・・・・」

コニー「兄ちゃんはな、ずっと家にいるわけじゃねぇんだ。来年、俺は訓練兵団に入る」

サニー「出て行っちゃうってこと?」

コニー「そうだ。サニーは母ちゃんのこと手伝ってやれよ」

サニー「なんで出て行っちゃうの?」

マーティン「コニー兄ちゃんは憲兵団長になるんだよ」

サニー「なんでぇ?出てっちゃやだよ・・・」

コニー「すぐ帰って来るって。なーんも心配することねぇよ」

サニー「コニー兄ちゃんがいないと嫌だああ」

マーティン「姉ちゃん!兄ちゃん困まらせるなよ!僕だって、僕だって・・・」

コニー「おいおい、泣くなよ。ったくお前らはしょうがねぇなあ。それに来年の話だぞ?まだ時間はいっぱいあるんだから、いっぱい遊ぼうな!」

サニー「うん・・・」ギュッ

マーティン「うん」ギュッ

コニー「なんだよ、くっつくなよお前ら!暑いじゃねぇか!ったく・・・へへへ!」

―――――
――――
―――

コニー(今日はあいつの兄貴が訓練兵団に行く日か)キョロキョロ

でかいガキ「いやだあああ!兄ちゃん兄ちゃん!」ビイイイイ

兄貴「泣くな!男だろ!憲兵団に入ったら内地に呼んでやるからな!」

でかいガキ「う、うん・・・」メソメソ

兄貴(ん?あそこにいるのはコニー・・・)

コニー(お、目が合っちまったな)スタスタ

コニー「よ、訓練兵団、俺も来年行くぜ」

兄貴「はっ、お前が?笑わすなよ。お前みたいなチビに兵士は無理だ。村の皆言ってるぜ?」

コニー「けっ、この天才の隠された能力に気づいてない奴らにはわかるまい・・・」

兄貴「はあ?なにが天才だ。バカの天才だろ、お前はよ!まあ見とけ。俺は訓練兵団で10番内に入って憲兵団になる」

コニー「俺もなる」

兄貴「お前にゃ無理だ」

コニー「んなのやってみねぇとわかんないだろ。俺はなるね。絶対なる。そんでもって、お前らにギャフンと言わしてやる」

兄貴「ふん。どうせ口だけだ。ま、もし訓練兵団卒業できたら褒めてやるよ。ま、無理だろうがな。じゃあな」ポンポン

コニー「触んじゃねえよ」バシッ

兄貴「けっ・・・」スタスタ

でかいガキ「あにきぃぃぃぃぃ!!!」ビエエエエエエ

コニー(うっせ・・・)

―――――
――――
―――

―847年・ラガコ村―

コニー(今日でこの村としばしお別れか。さみしくなるな・・・)

サニー「兄ちゃん。手紙書いてね」

コニー「ああ。サニー、母ちゃんを助けてやれよ」

サニー「うん」

マーティン「僕も、大きくなったら訓練兵団に入る。待ってて兄ちゃん」

コニー「ああ。父ちゃんのこと手伝って、サニーと母ちゃん守ってくれな。強くなれよ、マーティン」

マーティン「う、うん・・・」

父親「コニー、お前は背は小さいが、父ちゃんに似て筋肉質で俊敏だから、きっといい兵士になれる。それに、お前はサニーやマーティンの面倒をよく見るいい兄貴だ。それは自分のことだけじゃなく、周りのことをよく見て、心配して、守ることができる男ってことだ。父ちゃんはお前のそういうところを尊敬しているし、信じてる。だからそれを忘れずがんばれよ」

コニー「うん、ありがとう、父ちゃん。俺も父ちゃんみたいにかっこいい男になるよ!」

母親「コニー・・・体に気をつけて」

コニー「うん」

母親「アンタはバカなとこあるから、ちゃんと人の話聞いて、間違わないようにするんだよ」

コニー「わかってるよ。なんだよ息子のことバカって言うなよなー」

母親「それから、ここでしてたみたいにケンカばっかしてちゃダメだからね」

コニー「しねぇよ」

母親「寝る前にはちゃんと歯を磨いて・・・」

コニー「うん」

母親「服もちゃんと洗って綺麗に使うんだよ」

コニー「ああ、わかってるって」

母親「ご飯もちゃんと食べて・・・」

コニー「・・・・・・」

母親「それから・・・それからね・・・」

コニー「もう、泣くなよ・・・母ちゃん・・・」

母親「ああ、ごめんね。ダメだね、母ちゃんは」ゴシゴシ

コニー「もう会えねぇわけじゃねぇんだし」

母親「そうだね。コニー、・・・怪我するんじゃないよ。無事で・・・無事で帰っておいで」

コニー「うん、心配すんなよ」

母親「心配だよ、だって、アンタはいつまでもあたしの子供なんだから・・・」ギュッ

コニー「母ちゃん、痛いって・・・」

母親「母ちゃんはずっと、ずっとここにいるからね。辛くなったら帰っておいで」

コニー「うん。ありがとうな、母ちゃん」

母親(コニー、あたしの可愛い息子。アンタがいつ帰ってきてもいいように、母ちゃんはずっと待ってるからね。いつもみたいに「おかえり」って、アンタを迎えてあげるからね・・・。だから、アンタが万が一にも巨人と戦ったり、命の危険に見舞われることがありませんように・・・)

コニー(母ちゃん、俺、絶対帰ってくるぜ。父ちゃんもサニーもマーティンも、皆と笑顔で会えるように、俺・・・がんばるよ)

―――――
――――
―――

―第104期訓練兵団・入団式―

コニー(とうとう来たぞ!なんか・・・俺よりでっかいやつばっかだな・・・)チラッ

ベルトルト「・・・・・・」

ライナー「・・・・・・」

コニー(うわっ、何だあいつら。で、でっけええ~!!!・・・あのムカつく野郎の兄貴もでかかったけど、あんなでかいやつ見たことねぇぜ。ああ、なんか自信なくなってきた・・・)


キース「次!次は貴様だ!」ザッザッザ

コニー「!!」ビクッ

キース「貴様は何者だ!」

コニー(お、おっかねええええ!)

コニー「コニー・スプリンガー!ウォール・ローゼ南区、ラガコ村出身です!」バッ

コニー(えっと、えーと、敬礼はこれで合ってるよな!心臓の上に手を置く!)ドキドキ

キース「・・・・・・」

ガッ

コニー「!?」

キース「逆だ・・・コニー・スプリンガー」ギリギリギリギリ

コニー「がっ・・・あががっ・・・(いででででででででっ!!!)」

キース「最初に教えたはずだ。この敬礼は公に心臓を捧げる決意を示すことを表すものだと・・・!」ギリギリギリ

コニー(いでででででででで!!!)

キース「貴様の心臓は右にあるのか・・・」

サシャ「モグモグモグモグ」

キース「・・・っ!?」

ドサッ

コニー(うぎゃあああ!痛かったああ!!)

コニー(た、助かったけど・・・なんだあの芋食ってるやつ・・・すげぇバカもいたもんだな。まああんなの、天才である俺とこれから関わりあうことはないだろうけどな)

―――――
――――
―――

―時は流れ・・・―
―第104期訓練兵団・解散式―

ガヤガヤ ザワザワ

コニー「やったー!これで俺も憲兵団だ!」

サシャ「もう食べ物に困りませんね!」

コニー(なんだかんだ、サシャとは一番仲良くなっちまったな。しかし、俺はがんばった!がんばって10位以内なった。これで、これで皆を内地に呼び寄せて、暮らせるぞ!)

トーマス「勝てるわけないっ!!!」

コニー「!?(なんだ?トーマスか?エレンと話してるのか・・・。一体なにが・・・)」

シーン・・・

トーマス「エレン、お前だって知ってるよな?今まで何万人食われたか」

エレン「・・・・・・」

トーマス「人口の2割以上を失って、答えは出たんだ・・・人類は・・・巨人に勝てない」

コニー(・・・そ、そりゃ・・・そりゃそうだろ。だから皆憲兵団目指してんだ。勝てないから、守るしかないだろ)

エレン「それで・・・?」

コニー(?)

エレン「勝てないと思うから諦めるのか?・・・確かにここまで人類は敗北してきた。それは、巨人に対して無知だったからだ」

エレン「巨人に対して物量戦は意味がない。・・・負けはしたが戦いで得た情報は確実に次の希望に繋がる!」

エレン「俺達は、何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、大人しく巨人の餌になるのか!?冗談だろっ!?」

エレン「俺はっ!巨人を一匹残らず駆逐して、狭い壁の中から出る!それが俺の夢だ!人類はまだ、本当に敗北したわけじゃな

い!」

コニー(あいつ・・・)

エレン「くっ・・・」ダッ

コニー「・・・俺、憲兵団でほんとにいいのかな・・・」

サシャ「コニー・・・」

コニー「もし、ウォール・ローゼが壊されちまったら、俺の村も巨人に襲われる・・・」

サシャ「私の村もです・・・」

コニー「それに運良くシーナの中に逃げ込めたとしてもよ。お前覚えてるか?領土奪還作戦・・・」

サシャ「ええ。領土奪還作戦が行われたらローゼの住人が真っ先に犠牲になりますね」

コニー「・・・憲兵団に入ってても、家族を最後まで守れるかわかんねぇな・・・」

サシャ「そうですね・・・」

コニー(バカな俺でも、調査兵団はヤバイってわかるぜ。あんなとこ、死にに行くようなもんじゃねぇか・・・でもよ。でも・・・俺は上位10位内だぞ?巨人を倒す力が他のやつらよりあるってことだ。そんな俺が、弱いやつらをほっておいていいのか?)

コニー(自分より弱いやつらを守るために戦うのが兄貴なんじゃねぇのかよっ。俺はいつも自分よりでかいやつ相手でも立ち向かっていってたじゃねぇか。なのに・・・なんで忘れてたんだろう・・・。カッコ悪ぃな・・・。エレンの言う通りだ。大人しく餌になるなんかまっぴらごめんだぜ。戦って勝てば、村も、家も守れるんだ)

コニー「俺・・・調査兵団にする・・・」

サシャ「え、ええっ!?コニーもですか!?」

コニー「って、お前もかよ!」

サシャ「はい、さっきのエレンの演説・・・ぐっときちゃいました」

コニー「単純だなー、お前は。ま、俺もだけどな」

サシャ「でも、憲兵団に入って、家族を呼び寄せなくていいんですか?」

コニー「皆が戦ってるのに、引っ込んでる兄貴なんてカッコ悪いだろ?」

サシャ「どっちが幸せなんですかねぇ」

コニー「まあ、俺はバカやってると思うぜ。でも、勝てばいいんだ・・・勝てば」

サシャ「そうですね。勝てばいいんですよね!」

コニー(そう、勝てばいい!)

――――――
―――――
――――

―ウォールローゼ南城塞都市トロスト区・戦場跡―

コニー(・・・なんて思って調査兵団にする!って思ったけどよ・・・。まあ、確かに人類は・・・俺達は初めて巨人に勝った・・・けどよ・・・俺は甘かった)

コニー(ああ・・・ひでぇな。ひでぇよ・・・。なんだこの地獄は・・・)

サシャ「うぇっぷ・・・」

コニー「おい、大丈夫かよ?」

サシャ「は、はい・・・皆もがんばってるんですから、私も。でも、でも・・・私たちもいつかこうなっちゃうんですかね?」ウルッ

コニー「んなの・・・考えてもわっかんねぇだろ。バカ言ってねぇで、はやく皆を見つけてやろうぜ・・・」

サシャ「そうですね。うっ、ううっ・・・」

コニー「泣くなって・・・」

サシャ「だって、だって・・・」

コニー「ほら、しゃきっとしろよ」

サシャ「ふううっ・・・」トボトボ

コニー(あいつ大丈夫かな・・・。もう調査兵団なんか入らねぇだろうな。俺も・・・俺もこんなことになるなら、やっぱり憲兵団にしよう。まだ間に合う。なんたって10位なんだからな、俺は・・・)

コニー「・・・・・・」トボトボ

兵士「・・・・・・ううっ」ユラッ

コニー(!?あれっ?あそこの人、動かなかったか!?)

コニー「おいっ」ダッ

兵士「・・・あう・・・」ユラユラ

コニー「おいっ!大丈夫か!?」

兵士「う、うう・・・ふうふう」

コニー「!!」

コニー(うっ、下半身がぐちゃぐちゃにっ・・・すごい血だ。でも、い、生きてるぞ!?)

コニー「ちょっと待ってろ、今手当して・・・!」バッ

コニー(ああっ、手当ったって、こんな・・・どうすりゃいいんだよ!?)

コニー「おおい!誰か!!衛生班!こっちだ!生きてる!生きてるぞ!来てくれぇぇぇ!!」

兵士「だ・・・え」

コニー「え?」

兵士「だえ・・・あ」

コニー「え?なに・・・」

コニー(!?・・・あれっ、この顔・・・どっかで見たことあるような・・・)

コニー「そうだ、な、名前は?」ドキドキ

兵士「なあえ・・・」

コニー(まさか・・・まさかな・・・いや、でも、たぶんそうだ・・・駐屯兵団のエンブレム・・・)チラッ

兵士「あう・・・ふうふう」

コニー「あんた・・・もしかして」

兵士「・・・だえだ」

コニー「俺だよ、コニーだよ」

兵士「あ・・・ああ、こに?おい、おとおと・いじめんな・・・この・・・」

コニー「やっぱ、あいつの兄貴だな?あんた・・・!おい、しっかりしろよ」

兵士「な、こに・・・あ、ここは、ふうふう・・・ここ・・・むあ・か」

コニー「は?いや、ここは・・・」

兵士「ラガコむあ・・・かえてきたか、はは・・・とおさん」

コニー「・・・・・・」

兵士「かさん、おえのおとおと・どこ・・・ああ・・・なつかしな・・・かえてこれて・・・」ジワッ

コニー「お、おい(あ、な、泣いてるのか・・・!?)」

兵士「よ、よ、よか―・・・」

コニー「・・・あ・・・」

兵士「・・・・・・」

コニー(し、死んだのか?・・・俺の、同郷の・・・死・・・)

コニー「うぐっ」

コニー(くっそお。なんで、なんでこんなとこで、出会わないといけねぇんだよ!俺は、俺はお前らを見返すためにがんばってがんばって10番になったんだ!憲兵団に入って、お前探して、村に胸張って帰って、ざまあみやがれって、言ってやるつもりだったのに・・・なんで、なんでこんな・・・)

コニー「こんなとこで死んじまってんだよおおおおお!!」

コニー「お前、俺よりでかいのによ!俺が!俺が・・・でっかくなって、強くなって、お前らのことぶっ倒してやるって思ってたのに・・・、あんなに強かったのに・・・こんなあっさり死んじまうもんなのか!?なんで・・・なんでだよおおおおお・・・!!」

コニー「ちくしょう、ちくしょう、死んじまったら・・・死んじまったら・・・」

コニー(父ちゃん、母ちゃん・・・サニー、マーティン・・・)

コニー「もう・・・誰にも会えないだろ・・・」

コニー「うぐっ・・・うっうっ」

衛生兵「おい、何してる。さっき呼んだのはお前だな?」

コニー「うっ・・・うっ・・・」

衛生兵「邪魔だからとっとと立て」

コニー「うっうっ・・・はい・・・」スクッ

衛生兵「この兵士の名前はわかるか?」

コニー「はい。俺の、同郷のやつです・・・」

衛生兵「そうか」

コニー「俺より、でかくて、強かったのに・・・死んじまいました」

衛生兵「余計な話はしなくていい。時間の無駄だ。名前は」

コニー「名前は・・・です」

衛生兵「ふむ。わかった」

コニー「村に連れて帰ってやりたい・・・」

衛生兵「無理だ。さ、戻れ」

コニー「・・・・・・」

衛生兵「おい」

コニー「・・・・・・はい」

衛生兵「・・・エンブレムを切り取っていけ」

コニー「え?」

衛生兵「駐屯兵団のエンブレムを切り取って、消毒洗浄して、お前が帰る時に一緒に持って帰ってやれ」

コニー「いいんですか?」

衛生兵「他は全部燃やす。持って帰れるのはそれだけだ」

コニー「・・・・・・」

衛生兵「早くしろ。さっさとしないと取り消すぞ」

コニー「もっ持って帰ります・・・」

ビリビリ

コニー(捧げた心臓の上のエンブレムは、俺たちの選んだ道で・・・生き様で・・・。この薄っぺらい布っきれが、兵団に入って戦う俺たちの心臓なんだ・・・。俺はよ、お前と仲良くできなかったけど、同じ兄貴として、弟を信じて守るお前のこと嫌いじゃなかったぜ。絶対連れて帰ってやるよ。絶対・・・!一緒に、村に帰ろうな。俺たちを待ってる弟たちに会おうな!)

コニー(俺・・・帰れるのかな・・・)

コニー「とにかく、兵団は憲兵団だ。俺は憲兵団に行くぜ・・・」

――――――
―――――
――――

そして、俺は結局、調査兵団になった。

まだ、選べたはずなのに動けなかったんだよな。

エレンの演説やジャンの決意表明に気持ちが動かされたのかもしんねぇ。

兄貴たるもの、守るもののために率先して危ないとこに飛び込んで戦うもんだって気持ちからかもしんねぇ。

なんかもう最後はどうでもよくなってたけど・・・。

父ちゃん、母ちゃん、サニー、マーティン・・・皆どう思うだろ。

やっぱ憲兵団だったほうが喜ぶのかな・・・。

まあ調査兵団なんて、母ちゃんは悲しむに違いねぇが。

村、帰りてぇ・・・。

いつもみたいに母ちゃんに「おかえり」って迎えて欲しいなぁ・・・。

――――――
―――――
――――

―ラガコ村―

コニー「うそだろっ・・・誰かっ・・・!?誰かいないかっ!?」

コニー「俺だ!コニーだ!帰ってきたぞ!!」

シーン

コニー(俺の家・・・!父ちゃん・・・母ちゃん・・・サニー・・・マーティン・・・)

コニー(あそこだ!あそこに俺の家が・・・!)

コニー「!?」

コニー(・・・なんだ・・・巨人?)

ライナー「コニー下がれ!」

コニー「お・・・俺の・・・家だ・・・。俺の・・・」

――――――
―――――
――――

コニー(結局だれもいなかった・・・いたのは俺の家で寝転んでる巨人だけ・・・血の跡がねぇから、皆逃げたみたいだけど・・・皆・・・無事なのか、一体どこ行っちまったんだよ・・・)

ゴソッ・・・

コニー(あいつのエンブレム・・・悪ィな。せっかく村に帰ってこれたのに、お前の家も誰もいねぇんだ。でも、村には帰ってきたんだ。おかえり。せめて俺がここに埋めて帰ってやるよ・・・)

ザクザク・・・

コニー「これでいいか。ゆっくり眠れよ」

ゲルガー「松明はもう揃ったな。これより壁の破壊箇所を特定しに行く。出発するぞ」ザッ

コニー(ああ、これでもうラガコ村ともお別れか・・・)

コニー「・・・・・・」チラッ

コニーの家・巨人「・・・・・・」ジーッ

ゲルガー「行くぞ、コニー」

コニー「ハイ」タッタッタ

コニー(うじうじ考えてても仕方ねえ。先輩たちの言うとおり、きっと皆無事なんだ。今は兵士の役目を・・・)カシッ

コニーの家・巨人「オ・・・アエリ・・・」

コニー「!?」クルッ

終わり

サニーとマーティンがもしかしたら妹弟逆の可能性もありますが。

そしてタイトルは『コニー「ただいま」』の方が良かったかもしれん・・・。

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