苗木「僕の好きな人?」 舞園「ええ、教えてください」 (831)

苗木「は、はずかしいよ」

舞園「いいじゃないですか」

苗木(言えない。舞園さんだなんて言えない)

舞園「ヒントだけでも教えてください」

苗木「仕方がないなあ。みんなには秘密だよ」

舞園「はい!」

苗木「虫も殺さないような清らかな心を持っていて」

舞園「……はい」

苗木「他人に罪をなすりつけようとしないで」

舞園「……」

苗木「清楚で身持ちが固い人かな。あはは、ここまで言えば誰のことかわかっちゃたかな」

舞園「………………」

舞園「苗木君……」

苗木「う、うん」

舞園「……ごめんなさい」

苗木「え?」

苗木(あっという間のできごとだった)

苗木(舞園さんは瞳をうるませ……そのまま走り去ってしまった)

苗木「そんな……」

苗木(そんな……なくほど嫌だったなんて!?)

苗木「うわあああああああああああああああああああああああああ」

↓以下、舞園、自室

舞園(少しでも人を殺そうとしていた自分が情けない……)

舞園「合わせる顔がないです……」

乗っ取っていいよね?

舞園「もしかして、苗木君は分かっていたんでしょうか?」

舞園「私の考え方が悪い方へとどんどん変わっていることを……」

舞園「すごいなぁ……苗木君は……本当にエスパーみたいです」

舞園「警告なのかな……」

舞園「一切責めようとしませんし」

舞園「……うん、明日謝ろう」

舞園「許されなくても……」

舞園「あ……苗木君……」

苗木「あ……」

舞園「え……?」

舞園(目を逸らされた……?)

苗木(どうしよう……きまずい)

苗木(フラれた方はどう接するのがいいんだろう?)

舞園(そうですよね……私なんかとはもう話すのもいやですよね)

舞園「……」

苗木「……」

苗木「えっと……おはよう……舞園さん」

舞園「……はい、苗木君」

苗木「きょ、今日もい……脱出できる手段を探そうね」

舞園「……はい」

苗木(思わず、今日もいい天気だねとか言いそうになっちゃったよ)

舞園(やはり昨日のは忠告ですね。悪い考えを持たずに、脱出の手段を探そうって)

舞園「苗木君は責めないんですね……私のことを」

苗木「……え、え、責めるって? 僕が……?」

舞園「だって、私は責められても仕方がないことを」

苗木「それは違うよ!」

舞園「!?」

苗木「僕はそんなことで君を責めたりなんかしないよ」

苗木「僕が悪いんだよ」

苗木「僕は何の才能もなくて頼りない」

苗木「そんな僕じゃ……当然の結果だよ」

苗木「友達……止まり……」

舞園「そ、そんなことはないですよ」

舞園「苗木くんはいつだって前向きで……」

舞園「いつも私の背中を押してくれます!」

苗木「……舞園さん」

舞園「……苗木君」

苗木(フッた僕のことまでこんなにフォローして……なんて優しいんだ)

舞園(苗木君は本当にすごいです……自分を裏切ろうとした相手にまでこんなに優しいだなんて……)

苗木(けど、こんな閉鎖環境で異性として好きでもない相手に付きまとわれても困るよね)

舞園(うん……ここから脱出するために……苗木君のためになんでもしましょう)

苗木「けど、舞園さんも気を使うと思うし……、しばらくは別行動しようか?」

苗木(何を言っているんだ、ボクは? こんな言い方したら……舞園さんも断りにくだろう)

苗木(未練か……未練なのか?)

舞園(すごい渋い顔をしています。やはり具体的にどうすればいいのか困っているみたいです)

舞園「…………」

舞園「……私はもう覚悟ができました」

苗木「え? 覚悟?」

舞園「はい……苗木君へのせめてもの罪滅ぼしです」

舞園「この学園内にいる間、苗木君の言うことなら何でも聞きます」

苗木「!?」

苗木(ちょ、あれ、今、なんでもって)

苗木(なんでもって、なんでもだよね?)

苗木(ボクもいちおう男なんだけど!?)

舞園「これ以上、苗木君のことは絶対に裏切りません」

苗木(な、なんて真剣な目だ……)

苗木(やましいところなんて何もない)

苗木(ボクがそんなことをしないって心から信頼している目にしか見えない)

苗木「……」

苗木(いやいやいや、まだ、そもそも冗談の可能性も……)

苗木「ま、舞園さん、なんでもって……」

舞園「冗談じゃないです」

苗木「え、なんで分かったの?」

舞園「エスパーですから……」

舞園「本当に冗談じゃないです」

苗木(こ、これは圧倒的な期待……)

苗木(そうか……ボクは異性としてはだめだったけど)

苗木(舞園さんの信頼を得ることは出来ていたのか)

苗木(うん、それなら……今はそれでいいかな)

苗木「分かったよ。舞園さんの期待に恥じないようにするよ」

舞園「そんな……私こそ頑張ります……苗木君の信頼にあたる助手になれるように」

苗木「!?」

苗木(手を握りしめられた……無防備すぎるよ、舞園さん!?)

舞園(苗木君の手……あったかいな)

苗木「……」

舞園「……」

苗木「……」

舞園「……」

石丸「君たち!! もうすぐ朝食会が始まるぞ!」

苗木「うわぁっ!」

舞園「キャッ」

石丸「友情を確かめ合うのは結構だが、時間は厳守するように!」

苗木(友情……)

舞園「す、すみません」

葉隠「あれって友情だべか?」

山田「いえ、あれは明日にでも爆発するべきでありましょう、常識的に考えて」

桑田「アポ?」

朝食会後、廊下

苗木(なんか前にもこんな風に邪魔されたような)

苗木(……うん、けど気にしても仕方ないし、頑張ろう)

舞園「そうですね。頑張りましょう!」

苗木「ま、舞園さん!?」

舞園「はい!」

苗木「なんで……」

舞園「苗木君は頑張ろうって思ったとき、右手を握りしめるんですよ」

苗木「は、はじめて知ったよ」

舞園「エスパーですから、苗木君のことなら何でも分かるんです」

苗木(ははは、まだまだ舞園さんには勝てないな……)

苗木(もっと成長しないと)

舞園(あ、また右手を……)

1時まで風呂
高速で入ってくる
はよ、入れと、親キレる

ただいま
今から再開します

苗木「うん……じゃあ、今日も脱出のために頑張ろう!」

舞園「はい!」

苗木(けど……調べられるところは調べちゃったんだよな)

舞園「……」

舞園「そうだ!」

舞園「他の人たちの話を聞きに行きませんか?」

舞園「ひとつひとつの話は小さくても、まとめれば、もしかしたら何か見えるかもしれません!」

舞園「それに、もしかしたら、私みたいに……良くないことを考えている人もいるかも……」

舞園「そんな人たちの不安を苗木君なら晴らせるかもしれません」

苗木「え、そんな大げさだよ!?」

苗木「現に舞園さんはそんなそぶりを見せてないじゃないか!」

舞園「な、苗木君……」

舞園(もう言うなってことですか?)

舞園(少なくとも、苗木君はもう聞きたくないんですね)

舞園(過剰な自虐は嫌い……苗木君なら当たり前のことでした)

舞園(助手としてまだまだです……)

苗木(それとも……舞園さんも追い詰められていたのか……)

苗木(ボクが気づかなかっただけで……)

苗木(なんてことだ……もっとしっかりしないと)

苗木(……うん)

苗木(少しでもボクが舞園さんの希望になれるなら……)

苗木(恋人じゃなくてもかまわない!)

素晴らしいではないか!
保守は任せたまえ、兄弟!

苗木「舞園さん……」

舞園「な、苗木君……」

舞園(手を握りしめて……)

舞園(やっぱり……あったかいな……)

苗木「舞園さん、もう一回言うね……」

苗木「いや、それは違うね」

苗木「ボクなりの新しい決心を聞いて」

苗木「ボクがキミをここから出してみせる!」

苗木「キミの期待に応えて、キミが幸せになれるように」

舞園「苗木君……信じます。私、その言葉絶対に信じます」

舞園(苗木君なら人を殺さずにここを出る方法を見つけてくれるって……)

舞園(私はこの学園にいる間は超高校級のアイドルじゃない)

舞園(超高校級の助手です!)

舞園「じゃあ、先生!」

苗木「先生!?」

舞園「はい、私は助手で、苗木君はそれを使う人ですから」

苗木「そ、そんな使うなんて……苗木のままでいいよ」

舞園「そうですか……?」

舞園「残念です……」

苗木(舞園さんが悲しそう……!)

苗木「ま、舞園さん……どうしてもそう呼びたいなら……)

舞園「なーんて、もちろん冗談ですよ!」

舞園「苗木君は苗木君です」

舞園「誰よりもかっこいい苗木君です」

苗木「……」

苗木(これも冗談だよね……?)

苗木「あ、えっと、そうだね、とりあえず、誰のところ行こうか?」

舞園「そうですね……あいうえお順なんてどうですか?」

苗木「そうだね、いいかも。じゃあ、まず朝日奈さんだね」

舞園「はい! きっとまだ食堂にいるはずです」

※他の女の子が出ても、苗木くんと恋仲になることはありません
※他の女の子と仲良くなりたい方は、10月10日に出るダンガンロンパリロードを買い、
※スクールモードをやりましょう

舞園「あ、いました、朝日奈さ~ん!」

朝日奈「あ、舞園ちゃんと苗木じゃん、2人とも今日は朝からずっと一緒だね」

大神「うむ……このような状況だ……友となる人物はひとりでも多い方が良いだろう」

大神「……いや、いまのは失言であったかもしれぬ。そうならば、すまぬ」

苗木(ボクの顔を見て、一瞬だけ、大神さんが申し訳なさそうな顔をした)

苗木(情けない……まだ顔に出ていたらしい)

苗木(いや、けど、大丈夫。友だちだろうと……決意を決めたんだから!)

苗木「うん……大丈夫だよ! ボクたちは絶対に協力してここから出るんだ」

苗木「友だちかそうでないか以上に、ボクたちは運命に立ち向かう仲間なんだ!」

大神「うむ……良い目つきだ」

大神(しかし、恋仲ではないのだな……。苗木と舞園の距離が昨日に比べて明らかに縮まっているが)

大神(難しい。我も真っ先に色恋で物事を考える女子にすぎないということか、鍛錬が足りぬ)

舞園「ところで、お二人はこのあと何をするつもりでした?」

朝日奈「んーとね。怒らないでほしいんだけど」

朝日奈「昨日は、DVDのせいで怖くて眠れなかったんだよ」

朝日奈「だから、今日は息抜きしようって」

大神「我が最初に言ったことだ」

大神「長丁場をになるのなら、身体を万全の状態に保つべきだ」

大神「幸い、体育館という身体を動かせる場が用意されている」

大神「そこで今日は朝日奈と2人、共に鍛錬に励もうと話していた」

朝日奈「うん!」

苗木(寝不足でも運動はするんだ……?)

舞園「仲が良いんですね」

朝日奈「そうだね。けど、2人も仲がいいよ」

舞園「……はい。これからもっと仲良くなりたいと思ってます」

朝日奈「元々、知り合いだったんだよね?」

舞園「はい、同じ中学校なんです!」

朝日奈「すごーい、映画みたいだね」

舞園「あはは、再会の場所がここじゃなければ、もっと良かったんですけどね」

舞園「おふたりは元々知り合いだったわけじゃないんですよね?」

大神「うむ……この場ではじめて出会った」

大神「この学園に来てから存在した数少ない幸運であろう」

朝日奈「案外、苗木あたりが運んできてたりしてね」

苗木「ははは……超高校級の幸運っていってもクジ運が良かっただけだよ」

苗木(それすらも希望ヶ峰学園の入学だけなんだけどね……)

舞園「そんなことないですよ!」

舞園「少なくとも、私にとって苗木君は幸せを運ぶ青い鳥さんです」

舞園「きっと、みんなを幸せにしてくれます」

朝日奈「わー、舞園ちゃん、すごい」

大神「うむ」

苗木(い、言われた方が恥ずかしいな)

苗木(朝日奈さんものろけと勘違いしたのか、赤くなってるし)

苗木(け、けど……)

苗木「うん、みんなが幸せになれるように頑張るよ、舞園さんのためにも!」

朝日奈「きゃーきゃー」

苗木(完全にのろけと勘違いしてる)

朝日奈「ねぇ、ねぇ、2人はどんな風に知り合ったの?」

舞園「実は、まともに話したのはここに来てからなんですよ」

朝日奈「そうなの……!?」

舞園「けど、私は前から苗木君のこと、知っていたんですよ」

朝日奈「あ、雨の日に捨て猫を拾ってたとか?」

舞園「鶴です!」

朝日奈「鶴!? 鶴を拾ったの?」

舞園「うふふ……違いますよ。苗木君が学校に迷い込んだ鶴を外に逃がしてくれたんです」

舞園「すごいそれが印象的で……」

朝日奈「それで!? それで!?」

…………

苗木(それからボクは3人の話を黙って聞いていた)

苗木(主に舞園さんが朝日奈さんの質問に答え、恋バナになると、大神さんに朝日奈さんが話を振るという感じ)

苗木(大神さんもあまり熱心に話そうとはしないが、会話の合間合間に乙女心が見え隠れしていた)

苗木(ボクがいなければ、女の子3人でもっと話は盛り上がったのではないかとも思うが)

苗木(一応、これは今後のための聞き込みだから、悪いけどお邪魔させてもらった)

朝日奈「すごいね。2人とも大人だね!」

大神「いや、まだまだだ」

舞園「うふふ、そうですね、私たちもまだまだです」

苗木「ははは……、けど3人ともボクに比べたら、十分大人だよ」

朝日奈「えー? なにそれ? 謙遜なんかしなくていいよ」

朝日奈「私なんて恋したこともないんだよ!」

大神「朝日奈ならば、すぐに良き相手が見つかるだろう」

舞園「そうですよ」

苗木(あ、また話が戻る……)

苗木「そういえば、体育館で運動はしなくていいの? だいぶ時間が経っちゃったけど大丈夫?」

朝日奈「あー、本当だー。そろそろ行って運動しないと、3時にドーナッツをおいしく食べられないよ」

大神「うむ……すまんな、苗木、舞園。たいした話ができなかった」

舞園「そんなことはないですよ。おふたりのことがよく知れました」

大神「……そういえば、話しているうちに思い出したことがあった」

舞園「え?」

大神「一昨日、2階に続くシャッターについて、モノクマに聞いたことがある」

大神「なぜ、閉じているのかと」

大神「どうすれば開くのかを」

大神「奴はイベントの後、皆がまだ絶望していなければ開くと言った」

大神「おそらくイベントというのは……」

苗木「誰かが誰かを殺したとき……」

舞園「……そうでしょうね」

朝日奈「……」

大神「絶望というのも何かの比喩なのではないかと思う」

大神「おそらく『自分がクロだと他の生徒に知られてはいけない』……これに関連するのではないかと思うのだが」

大神「我には検討もつかぬ」

苗木「殺しただけでは無理ってことかな……」

大神「すまぬ……もう少し我にも考える力があれば……」

舞園「いえ、そんなことはありません」

舞園「私、ずっと考えていたんです……」

舞園「自分がクロだと他の生徒に知られてはいけない……ってどういうことなのか」

舞園「ひとりも知られてはいけないのか、それとも知った誰かが黙っていてくれればいいのか」

舞園「犯人が特定されない状態で何日か経てば、それで外に出してもらえるのか」

舞園「共犯した人も一緒に外に出られるのか」

舞園「けど、モノクマさんのその言葉を聞いて少し分かりました」

舞園「殺させるだけじゃなくて、さらに私たちに何かさせるつもりなんです」

舞園「そうじゃなきゃ、「みんな」が絶望しなければ……なんて言葉使わない……」

舞園「きっと……残った人たちに犯人を無理やり捜させるんです……」

舞園「殺し合い自体もその前座にすぎないんだ」

苗木「舞園さん!」

苗木(舞園さんが何かに気付いたのか……肩を抱くようにして震え始めてる)

苗木(ボクは……)

苗木「舞園さん……大丈夫……。こんなふざけたことする奴にボクたちは負けない」

苗木(ボクは……自分から舞園さんを抱きしめた)

苗木(あのとき、あの教室では舞園さんからボクに抱きついてきた)

苗木(今度は逆だ……)

苗木(この変化が何を意味しているのか、自分でも分からないけど……)

苗木(ボクは! 舞園さんを守りながら前に進むんだ……!)

大神「朝日奈……」

朝日奈「うん、さくらちゃん、私たちは邪魔にならないように行こうか」

苗木(大神さんと朝日奈さんはゆっくりと去って行く)

苗木(朝日奈さんは、ボクに対して「しっかりやれよ」とジェスチャーを出した)

苗木(大神さんは、舞園さんの様子をジッと見た後、考え事でもする様子を見せつつ退室した)

舞園「苗木君……ごめんなさい。こんなに取り乱しちゃ、助手失格です」

舞園「せっかくいい話が聞けたのに、話を続けられなくして……」

苗木「違うよ……それは違うよ……」

苗木「舞園さんはボクに教えてくれたんだ」

苗木「ボクはどこかで……こんなことで人が人を殺すなんてありえないって思ってた」

舞園「……ごめんなさい」

苗木「けど、違ったんだ。こんな場所に押しこめられたら、人はおかしくなっちゃう」

苗木「おかしくなるのが普通なんだ」

苗木「殴られたら逃げたくなる。泣きたくなる。どうにかしたいと思ってしまう」

苗木「同じなんだ。これは、精神的な暴力……いや、一方的な精神的殺人なんだ」

苗木「そんなものを受けて、おかしくならない人なんていない」

苗木「誰でも加害者になりえるんだ……」

苗木「ボクはにぶいから……なんとなく耐えてれば、誰かが助けてくれるんじゃないかと思ってた」

苗木「凡人すぎて、実感がわかなかったのかも……」

苗木「舞園さんは頭がいいから、いろんなことに気付いて、いろんなことに悩んでいるのに……」

苗木「けど、今、舞園さんのおかげで分かったんだ」

苗木「目を背けない」

苗木「つらいことも全部まとめて背負って前に進むんだ!」

苗木「舞園さんが何を言っても、何を考えても、ボクは軽蔑したりしない」

苗木「だから、ボクをもっと頼っていいよ」

苗木「だって、キミはボクの超高校級の助手なんだから!」

苗木「だから、ボクをもっと頼って!」

舞園「苗木君――」

苗木(舞園さんとボクはしっかりと抱きしめあった)

苗木(とってもあったかく、嗅いだこともない良い匂いがした)

苗木(身長の低いボクは抱きかかえられるような形で、舞園さんの涙を感じた)





舞園「……大好きです。苗木君」

苗木「ボクに考えがあるんだ」

苗木(次の日、朝食会終了直後、みんなに言った)

十神「わざわざ、俺を呼び止めたんだ。有益な話でなければ……分かっているな、苗木?」

苗木(全員に聞いてほしいことがあるから、朝食後すぐに帰る十神クンを呼び止めた)

苗木(……緊張する。もしかしたら、さらなる現実を見て、この均衡状態が崩れるかもしれない)

苗木(けど、最初の殺人を予防するには、この情報が絶対に必要なんだ)

苗木「モノクマーーーーーーーーーーーー!! 話があるーーーーーー!!」

…… ………… ……………… ……………………

苗木「……」

十神「フン……」

パンパン

苗木(気まずい空気になり始めたとき、十神クンが手を叩いて、呼び出しの合図をしてくれた)

苗木(ちょっとだけ十神クンがいい人に思えた……)

モノクマ「へへー、お呼びですか! お呼びですよね!?

モノクマ「十神家の坊ちゃん……となんか昨日から不純異性交遊に明け暮れてる凡人(笑)の苗木君!」

十神「チッ……用があるのは俺じゃない。こいつだ」

モノクマ「はぁ……」

苗木「モノクマ……校則についてだ」

モノクマ「なんだい苗木君……? 他の部屋でも、個室である限り故意の就寝はOKだよ」

モノクマ「防音だから、壁ドンされる心配もないし、いくらでも舞園さんといちゃつけばいいじゃないか」

苗木「ちゃかすなよ……。舞園さんとはそんな関係じゃない……」

苗木「今したいのは、もっとまじめな話だ」

苗木「お前が望んでいるものだよ」

山田「の、望んでいるものですとーーーーそれって殺しの相談ですかーーー」

山田「は……それとも世にいうおめでた……」

桑田「うっせ、ブーデー。いまそういう空気じゃねぇから」

葉隠「ちょ、苗木っちも桑田っちも殺る気満々だべ! 怖いべ。俺は逃げていいべ?」

朝日奈「葉隠もちょっと黙ってて!」

モノクマ「苗木クン……もしかして、ついに卒業したくなった? 外に出たくなった」

苗木「外に出たくなったのは確かだよ……」

苗木「けど、その卒業ってなんだよ。何をしたら卒業なんだよ?」

モノクマ「だから殺したらって言ってるでしょ? 困るなぁ~ゆとり世代は~読解力が足りないよ?」

苗木「自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません」

苗木「これって、具体的にはどういう状況を言うんだ?」

モノクマ「えー、苗木クンは学園の秩序を乱したいの? 乱した人が出たら教えるよ」

モノクマ「キミ達は日本の第ホニャララ条って具体的に言われて分かる? 分からないでしょ?」

モノクマ「実際に自分が巻き込まれて、はじめて勉強するものでしょう?」

モノクマ「難しい話は後回しにして……みんなで楽しい学園ライフを満喫!」

モノクマ「それが一般的な高校生の過ごし方だよ」

苗木「言いたくないってことか。殺した後も、ボク達を苦しめるような何かがあるんだな?」

モノクマ「いえいえ、みんなお楽しみの楽しいイベントだよ、うぷぷぷ~」

苗木(こいつ……何があっても言わないつもりだ)

苗木(どうすれば……)

モノクマ「いいかな、いいかな、質問もいいけどまずは自分で学習しないとね!」

苗木(ク……)

モノクマ「じゃあ、バイバ」

霧切「待って」

霧切「その楽しいイベントというのは……みんな平等なの?」

モノクマ「は、なにそれ? みんなで仲良く一着ゴールインとかそういうのはないよ」

モノクマ「今は競争社会なのです。悲しいクマね」

霧切「競技だとするなら、第1レーンを走る人も第5レールを走る人も同じ条件じゃないといけないでしょ?」

モノクマ「……」

セレス「そうですわね……。最初に人を殺すより、2回目以降に人を殺す方が情報が多い分、有利……」

セレス「そんなものは、ゲームとしてとても不平等でしょう」

セレス「特に1回目は、ゲームマスターが後付けでいくらでもルールを改変できますし……」

十神「誰かが実験台になればいい」

十神「案外、初回の方が有利なルールかもしれんぞ」

モノクマ「そ、そうだよ、やっぱり、何ごともはじめてって大事だよ」

モノクマ「同じことをするにしても、褒められるのは最初だけ」

モノクマ「そして、最初は何も分からない。ボクの祖先のクマもはじめて北極から出てきたとき……)

苗木(十神クンが楽しそうに笑っている)

苗木(何人かが眉をひそめているけど、気にしてる様子はない)

苗木(けど、モノクマごと打ち破らせてもらう)

苗木「それは違うよ!」

十神・モノクマ「何ィ……」

苗木「本当に最初に殺人をすることで、その人に有利になるなら、モノクマが言わないはずがないんだ!」

苗木「学園の秩序を乱したら……なんて言ってるけど、こいつが殺し合いを望んでいることは明らかだ!」

苗木「そんなこいつが、人殺しを後押しできることを使わないはずがないんだ!」

苗木「昨日のDVDの時点で、それを示せば……、もしかしたら今日にでも殺人は起きていたかもしれない!」

苗木「この人の弱みに詳しそうな黒幕が……そんな絶好の機会を見逃すはずがないんだ!」

舞園「そうです……。モノクマさんを操っている人は、監視カメラで私たちの様子を見ているはずです」

舞園「私はあのDVDを見た後、みっともないくらいに取り乱しました」

舞園「……人を殺そうと考えました。何度も何度も考えました。声にも出しました」

「「「「「「………………」」」」」

苗木(舞園さんが悲痛な声を上げている)

苗木(場の流れが完全にこちらのものになっている)

苗木(ありがとう……舞園さん)

舞園「そんな私にモノクマさんは何も言ってきませんでした」

十神「チッ……つまらん」

十神「余計な恥をかかせてくれたな、モノクマ」

モノクマ「えー」

モノクマ「あぁ、そうだ?」

モノクマ「誰も舞園さんの殺人未遂カミングアウトには興味ない系ですかー?」

モノクマ「やっぱり、空気に流される若者なんですか、みなさんはー!?」

モノクマ「先生、みなさんがそんな軟弱な子に育って悲しいです……」

苗木「……高みで見物してるお前はこの状況を体験していないから分からないんだ」

苗木「こんな場所だと誰でも間違える可能性がある……そんなことすらも……」

苗木「この場にいる皆が感じている当たり前の感覚すら……お前には理解できないんだ」

モノクマ「……」

十神「……フン、間違えるのは愚民だけだ」

苗木「いい加減に教えろ! モノクマ! 話を逸らすな!」

苗木「人を殺させた後、何をさせるつもりなんだ!?」

モノクマ「……」

スッ

苗木(……消えた?)

ピンポンパンポーン

「校則が追加されました」

「7.生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。」

「8.学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。」

「9.学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、クロだけが卒業となり、残りの生徒は全員処刑です。」

「では、朝礼はこれにて終了です」

「今日も明るく元気に学園生活を楽しみましょう」

苗木「なっ……」

舞園「そんな……全員……」

苗木(その場にいるみんなが耳を疑った)

苗木(顔面を青くする人、冷や汗をかくにとどまる人、様々だったけど……)

苗木(誰もがこの学級裁判という存在に恐れを感じたのは明らかだった)

苗木(もちろん……恐れを感じたうえで、それでも挑む人はいるかもしれないけど……)

苗木(学級裁判の存在が殺人に歯止めをかけるのは明らかだ)





苗木(しかし、本当の驚きはまだこれからだった……)

「あーテステス」

「言い忘れてました」

「ボクもクマの子ですから、イラっと来ることはあるのです」

「あ、といっても苗木クンとかをどうこうとは思わないよ」

「生徒の成長を喜べないようでは、教育者としては失格ですからね」

「反抗的な行動、ロックでたいへんすばらしいと思います」

「けど、一見、従順なふりをして……ボクとの秘密の話をばらす人は最低ですね」

「裏切り者は可愛い女の子(笑)でも許されないんです」

「シャッター、イベント、絶望……ぺらぺらと喋っちゃって……」

「許しませんよ! 大神さくらさん!!」

「内 通 者 の 大 神 さ く ら さ ん !」

「聞こえてますか~? 至急、職員室に……」

「来れるなら来てください」

「モノクマでした」

苗木「……え?」

苗木(場の空気が凍りついた)

苗木(みんなが視線だけを大神さんに向けている)

苗木(いや、たまたま大神さんの真横にいた葉隠クンだけは尻餅をついて命乞いしてるけど……)

苗木(その行動の理由はみんな共通している)

苗木(疑惑と恐怖……)

大神「……」

朝日奈「さくらちゃん……嘘だよね?

大神「すまぬ……朝日奈」

朝日奈「さくらちゃん!?」

バッと何人かが大神さんから距離を取った。

朝日奈「み、みんなひどいよ……さくらちゃんはまだ何も……」

大神「いいのだ……朝日奈……」

大神「全て事実だ……」

大神「殺し合いが膠着化したとき、その膠着を解くことを求められていた」

朝日奈「なんでそんな……」

大神「身内の者たちの命を握られている

十神「ハッ……それは今もだな」

大神「否定はせぬ」

大神「だが、信じてはもらえないかもしれぬが、今回のモノクマの一連の行動……」

大神「それを見て、我は奴と袂を分かつつもりであった。奴は信頼できる相手ではない」

十神「そんなこと、最初から分かっているだろう?」

十神「なぁ、苗木?」

苗木「……うん、けど……」

十神「その上で、奴の話に乗るか乗らないか……ただそれだけだ」

十神「乗ったやつが責任を負う……当たり前の話だ」

苗木「それでも……」

十神「誰でもこの状況なら仕方ないとでも言うか?」

十神「馬鹿が……。こいつの持っている情報全てがあれば、今回の一件もスムーズに解決できたかもしれない」

十神「今、この瞬間でさえ、こいつは黒幕の不利になる情報を何も言わない」

十神「それは、身内の命と引き換えに、俺たち全員を売る可能性が残されているということだ」

朝日奈「……そんな言い方」

十神「存在している以上、この可能性は無視できるものではない」

十神「しかも、俺たちの中で最も戦闘能力の高いのはこいつだ」

十神「爆弾なんかと一緒にいられるか」

朝日奈「……こいつ!」

苗木「朝日奈さん! 落ち着いて!」



舞園「……みなさん、待ってください」

舞園「みなさん全員の話を聞いてみてはどうでしょうか?」

十神「……何故だ?」

舞園「十神君は知らないかもしれませんが、私たちほんのわずかな時間とはいえ朝食会などで友好を深めました」

舞園「大神さんを許すか、許さないかは、まず私たちが考えるべきです

苗木(ぼくにしか分からないけど……)

苗木(舞園さんの足はわずかに震えていた)

苗木(きっと自信がないのだ)

苗木(みんなの話を聞いたところで……大神さんを非難する流れは変わらないかもしれないからだ)

十神「なるほど……」

苗木(十神君が笑っている?)

十神「愚民どもの馴れ合いの果てを見てやろう」

十神「舞園……ここは茶の間でない。凡人の書いたつまらぬ脚本は通用しないぞ」

苗木(そう言って、十神クンは離れたテーブルに歩いていき、そこに座った)

苗木(ここから先は聞くだけのつもりだ)

「「「「「…………」」」」」」

苗木(みんなが考え込んだ)

苗木(だけど、このままじゃだめだ……)

苗木(考えれば考えるほど、大神さんが内通者だったという事実にも目を向けないといけない)

苗木(そして、大神さんを信じられる人だと判断できるエピソードは限りなく0だ)

苗木(過ごした時間が少なすぎる)

舞園(苗木君……)

苗木(舞園さん……)

苗木(舞園さんがわずかにこちらに視線を向けた)

苗木(その視線はボクにやってほしいというものに感じた)

苗木(先ほど、十神クンに論破されて、何も言い返せなかったボクを舞園さんはまだ信頼してくれるのか?)

舞園「……はい」

苗木(小声だけど、ボクには届いた……それなら期待に応えないと)

苗木「ボクが今回、学級裁判に気付いたのは大神さんのおかげなんだ」

苗木(ボクは大神さんのおかげで今回学級裁判に気づけたことを話した)

苗木(黒幕との話をしてくれたからこそ分かったということ)

苗木(実質的に、あそこで黒幕と縁を切ったとも言えること)

苗木(ヒントにすぎないかもしれないけど、本当に黒幕に屈していたのなら、それすら出さないだろうということ)

苗木(そんなことを話した)

苗木(そして、そんな話をしながら、次にバトンを回すべき相手を必死に考えた)

苗木(特に動揺もなく冷静に話を聞いている霧切さんやセレスさんか?)

苗木(動揺しているが、どちらともいえない顔をしている大勢の人たちの中から選ぶか?)

苗木(それとも、あえて嫌悪感や恐怖が前面に出ている葉隠クンや腐川さんに先に回すか?)

苗木(いや、霧切さんやセレスさんはダメだ)

苗木(きっと場をコントロールしてくれるだろうし、この場を上手く収めてくれるかもしれない)

苗木(今までのやり取りから、頭の回転がはやいことも冷静さが常人離れしていることも分かる)

苗木(……それは分かる)

苗木(けど、それは、きっと大神さんに対しての恐怖心を持った人が表向き何も言えなくなるだけだ)

苗木(きっと、葉隠クンや腐川さん……それにまだ顔には出していないけど、内心で恐怖を感じている人たちは……)

苗木(心から納得しない)

苗木(……じゃあ、葉隠クンや腐川さんに回すのも、結局は同じだ)

苗木(きっと、ボク自身がそれを論破したくなるだろう)

苗木(無理やりに……)

苗木(理屈じゃだめなんだ理屈じゃ……)

苗木「……ということだったんだ。だから、大神さんはそもそも黒幕に逆らわなければ……)

葉隠「つっても、けっこう昨日、一昨日ですげー仲良くなってるべ! 苗木っちたちは!」

腐川「そうよ……! 水泳バカと同じで身内よ身内!」

苗木(石丸クン、江ノ島さん、大和田クン、桑田クン、不二咲さん、山田クン……)

苗木(おそらく中立の6人……)

苗木(一番、感性が中庸で、どこか極端にずれていない人……)

苗木(交流がまだ少ない……)

苗木(けど、思い出せ……、結局最後は勘になるとしても……)

苗木(その勘のよりどころとなる記憶を……)

苗木「そうかもしれない……。けど、ボクから話せるのは以上だよ……」

苗木(……決まった)

苗木「だから、あとはみんながどう思うかだよ……」




苗木「例えば、桑田クンはどう思う?」

桑田「ちょ、え、オレ?」

苗木(江ノ島さんにしようと……ほんの口に出す直前までは思っていた)

苗木(けど、口から出たのは桑田クンだった)

苗木(ほんのわずかな違和感がボクの言葉を変えた)

苗木(江ノ島さんは高校級のギャルにして一般的でとても話しやすい)

苗木(他の仲間の変な行動にツッコミを入れている姿なども覚えている)

苗木(けど、食堂での記憶を辿りに、答えを出そうとしたら、江ノ島さんが候補から急に外れた)

苗木(頭の中で急に見えなくなったんだ……)

江ノ島「……」

苗木(迷っているかのように、視線をさまよわせている)

苗木(その姿はボクの目には好ましく映っているはずなのに……)

桑田「ちょ、苗木? 苗木さーん? この難しい状況でオレなん?」

苗木(ごめん……桑田クン。気を取られてた……)

苗木「桑田クンが一番率直に言ってくれるからだよ!」

苗木(……たぶん)

舞園「………………え?」

苗木(舞園さん……反応が遅すぎるよ……)

苗木(あと、あんまり聞きたくなかったよ、その驚きの声は)

舞園(苗木君には考えがある……のかな?)

苗木(今までで一番不安そうな視線を向けてきてる……)

苗木(ボクだって、根拠はないから不安だよ!)

舞園「…………ッ!」

舞園(ごめんなさい! 信じます! 応援!)

苗木(なんか分からないけど、目つきが変わった! ありがとう!)

苗木「あと、大神さんとの仲も極端に良いとか悪いとかないし、なんだかんだでムードメーカーだからかな」

桑田「ムードメーカー? そっか、へへ、見てるやつは見てるってこったな」

桑田「うっすーーそうだな。大神だろう? なんつーかさ、大神ってこわくねぇ?」

苗木(うぐ……(汗))

舞園(苗木くーん(泣))

朝日奈「はぁ……(怒)」

大神「……」

桑田「いや、ぶっちゃけ、中身はワカンネェけど……見た目の時点で損してるっていうかー。
オレも昔、髪型のせいで、真面目に見られて、女の子が寄ってくる数減っちまったわけよ。
あと、なんつーか、まじめなマルコメ君を好きな奴がオレに会って、会わなかった方がいいとか言ってくるんだな、これが」

大和田「……チッ。ナンパやろーが」

石丸「大和田君、駄目だぞ! 人の話を聞くときに舌打ちなど!」

大和田「うっせ、あとでしめんぞ、コラァ」

石丸「しめる? 何を閉めるかは分からないが、あとでいくらでも付き合おう!」

大和田「上等だ。コラァ」

苗木(だんだん、場がよくわかんなくなってきたぞ……)

桑田「だからよー。大神もさ、とりあえず見た目と中身ってけっこう違うんじゃね? ってオレ、思うわ」

桑田「へへ、オレ、いいこと言ったんじゃね?」

舞園「えぇっと、大神さんを怖いと思うのは……まず容姿に関して色眼鏡で見てるからってこと……ですよね?」

桑田「まぁ、たぶんそんな感じーーさっすが、舞園ちゃん♪」

舞園「あはは……」

葉隠「ちょっと待つべ、桑田っちも買収されてるべ! 俺の占いは3割当たる!」

腐川「そうよ、アイドルなんて男に色目使ってるんでしょう……?」

舞園「そんなことしてません!」

山田「しかし、大神さくら殿の容姿に関しては桑田怜恩の言に一理ありますぞ」

苗木「山田クン?」

苗木(さっきまで、中立だけど大神さんを怖がっていた方なのに……)

山田「ギャップ萌え」

苗木(…………)

山田「そう! ギャップ萌えですぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

山田「セーラー服を着た鬼のような体躯の女格闘家……」

山田「不器用ゆえに他者との関わりにおいて筋肉という鎧を着続け、普通の少女のような恋愛もできない」

山田「だけど、その中には女神のような清純な魂を持った白髪ロングの美少女がいるんですな!」

山田「ちょっと弱音を吐いたりすることも慣れておらず、普通の少女のような私服も持っていない」

山田「しかし……ついに、そんな彼女の内面を見てくれる……」

桑田「うっせぇ、ブーデー! エンドレスなファンタジー世界から帰ってこいや」

山田「はっ……失敬。とにかく、外が怖いから中も怖いとは限らないんですぞ。むしろ、二次元では逆の方が圧倒的に多い!」

桑田「まぁ、二次元はよくワカンネェけど……。逆のこともよくあるんじゃね?」

大神「フッ……」

苗木(あれ、大神さん? 今少し笑った?)

桑田「てかよ、見た目でこえぇって言ったら、まず大和田っしょ」

大和田「アァ?」

桑田「むしろ、見た目で威嚇するのが仕事じゃん? そのプロから見て、大神はどうなわけ?」

大和田「女にコエーとか思うはずねぇだろ!?」

大和田「大神が暴れたら、オレがステゴロで勝負してやるって

葉隠「せめて、鉄パイプを使った方がいいべ!」

大和田「んなもんいるかボケッ! なんならハンデで3発先に殴らせてやるよ!」

大神「クッ……」

葉隠「今、オーガが笑ったべ! 怖いべ ぶち切れてるべ」

石丸「何を言うんだ、葉隠君! どう見ても友好の笑顔じゃないか!」

石丸「なお、僕は大神君が人を殺さないと約束するなら、それを信じる。約束しよう!」

大神「無論だ……。約束しよう。しかし……」

苗木(大神さんがすごいうれしそうだ)

大神「こんな扱いをされたのははじめてかもしれぬ。ほとんど初対面の我をほとんど恐れず、ここまで言い募るとは」

大神「殺し合い学園生活などでなければ、良き青春をともに送れただろう……」

不二咲「これからやればいいんだよぉ……みんなでここを出て、本当の希望ヶ峰学園に行こう!」

苗木(ここまでオドオドしていただけの不二咲さんが……!)

不二咲「私も大神さんが悪い人だとは思えないよぉ」

不二咲「だって、黒幕のことをばらすなんて、勇気がないと無理だもん」

不二咲「それができる大神さんは強い人なんだよ……」

不二咲「今だってぇ、いろんな悪口や批判を受けても、黙って静かに聞いてるしぃ……」

葉隠「なんかだんだんと、オーガがいい奴に思えてきたべ」

腐川「何よ! 主体性がないわね!」

苗木(大神さんをほとんどの人が怖がらなくなり始めた……)

苗木(不満を表にしているのは、腐川さんくらい)

苗木(きっと、彼女は不満を出すのをやめないだろうから、表には見えないけど……ってのは起こらなさそう)

十神「茶番だ」

苗木(今、不機嫌そうに帰った十神クンもほぼ腐川さんと同様だ)

苗木(十神クンが単独行動を好むのは、大神さんとは関係がないから置いておこう)

苗木(霧切さんとセレスさんは基本的に無関心……いちおう話は聞いているが、これ以上は、もうどうなっても構わないという感じ)

苗木(これも以前と変わらない)

苗木(変わったのは……)

舞園「苗木君……」

苗木(ボクの視点の先を見て、舞園さんが小声で心配そうな声をあげた)

視点→視線
でした

江ノ島「……」

苗木(ばつの悪そうな顔をしている)

苗木(大神さんが怖いわけでも、大神さんに嫌悪感があるようでもない)

苗木(ただ、どうするべきか悩んでいる……)

苗木(そんな感じだ)

苗木「舞園さんは、どう思う?」

舞園「……様子がおかしいですね」

苗木「やっぱりそう思う?」

舞園「……はい」

苗木「話しかけようか」

舞園「そう……ですね」

苗木(ボクたちは大神さんの周りに起きてる喧噪から離れるようにして、江ノ島さんのもとに向かった)

舞園「江ノ島さん?」

あはははははっ、どんどん希望が大きくなっていく!いいね、最ッ高だよ!!

江ノ島「え、えっと……なに?」

苗木「大神さんのことはいいの?」

苗木(ボクがそう聞くと、江ノ島さんは目を逸らした)

江ノ島「んー、アタシ、まだうまくまとまらないんだよね」

江ノ島「あ、けど、大神のこと嫌いじゃないよ」

江ノ島「けど……ほら、モノクマが望んだものって何かなーと思ってさ」

江ノ島「この人数で、まだ人も死んでないのに、内通者を教えてもさ」

江ノ島「ぶっちゃけ、あんま意味なくない?」

江ノ島「もっと人数が減ってからでしょ、普通」

江ノ島「もっと人数が減って、ひとりひとりの互いに関わる時間が増えちゃえば」

江ノ島「いやなところもいろいろ見えるしね」

江ノ島「人数が減れば減るほどいやでも付き合わないといけない相手も増えるじゃん」

江ノ島「例えば、人数の少ない部隊ほど、直接命令する人との相性が重要なの」

江ノ島「で、普通ならそれくらい黒幕も分かってると思うわけ」

苗木「普通……?」

苗木(部隊……って普通のギャルが例えにはあまり出さないよね?)

江ノ島「あ……? あぁ、部隊ってのはさ)

苗木(ボクはそう思い、その箇所を質問しようとしたが、江ノ島さんはすぐさま言葉を続けた)

江ノ島「アタシ、ホームレスをやってたときがあるんだけどさ」

舞園「……え?」

江ノ島「そのときの寄合みたいなもん。場所を分割してみんなで手分けしてものを拾ったり、ホームレス狩りに仲間が襲われたら、みんなで助けるの」

舞園「ホームレスの世界もすごいんですね!」

江ノ島「まじ、ホームレス舐めない方がいいよ。やけどするよ」

舞園「なにかすごい特技を持っている人とか……?」

江ノ島「ごろごろいるよ」

舞園「すごい! エスパーとかもいるんですか?」

江ノ島「そりゃ、エスパーじゃない奴には教えられないよ」

舞園「私、エスパーなんです」

江ノ島「うそぉ!?」

苗木(江ノ島さんの話もすごいけど、それとテンションを合わせられる舞園さんもすごい……)

…………

苗木(大神さんの話も解決し、朝食会も無事終了したが、舞園さんと江ノ島さんはまだ喋っている)

苗木(しかもすごい盛り上がっている)

苗木(どういうことなの?)

苗木(しかも……)

舞園「そのとき苗木君が……」

江ノ島「それでそれで?」

…………

苗木(なぜか話題がボクのことばかり……)

舞園「ここに入ってからの苗木君も昔と変わってなくて……」

苗木(舞園さんは、中学時代のボクも忘れてたようなことを色々話すし)

江ノ島「そういえば、苗木ってこんなん似合いそうだよね」

苗木(江ノ島さんはまるでパラレルワールドのボクでも見てるかのように、ボクに似合いそうな服やシチュエーションを言ってくる)

苗木(なにこれ恥ずかしい……)

江ノ島「なんか久しぶりに女子会やったって感じだわ」

苗木「いちおうボクもいたけどね……」

江ノ島「苗木は女の子扱いでいいよ」

苗木「それは違うよ! 絶対!」

舞園「ここに来てからまだ1週間も経ってないのに、すごい長い間、ここにいるような気がしますよね」

苗木(スルー!?)

江ノ島「そうなんだよねー。やっぱ、ここは暇すぎるわ」

江ノ島「朝食会だけじゃなくって、1週間に1回くらいなんか宴会でもやる?」

舞園「私もお手伝いしますよ!」

江ノ島「よっし、じゃあ、明日の朝にでも、他のやつら誘うか!」

苗木(舞園さんと江ノ島さんは明日の朝のことで盛り上がっている)

苗木(大神さんに関しての話をしていたときのような、迷っている様子は今の江ノ島さんにはなかった)

苗木(江ノ島さんも普通の女の子だ……ちょっと軽そうに見えても、黒幕のことが怖いということもあるんだろう)

江ノ島「じゃあねー」

苗木(結局、一緒に昼ご飯を食べ終わった後、江ノ島さんはやることがあると部屋に戻った)

舞園「面白い人ですね。江ノ島さん!」

苗木「うん、超高校級のギャルって肩書きから想像するのとはだいぶ違うけどね」

舞園「きっと人柄で選ばれたんですよ。発言がどれもユニークです!」

舞園「雑誌モデルとしてだけじゃなく、芸能人としても、あのキャラなお茶の間で1ブーム起こせますよ!」

舞園「あ、けど、そういうのに興味がないから……あのキャラを保てるのかもしれませんね……難しいところです」

苗木(舞園さんが真剣な顔をしている……)

ジィ……

舞園「な、苗木君……そんなに見つめられると恥ずかしいです」

苗木「は……ご、ごめん?」

苗木「…………」

舞園「…………」


「「……………………」」


霧切「悪いけど、ちょっといいかしら?」

苗木「うわぁ」
舞園「きゃぁ!」

うっはー!誠ちゃんとさやかちゃん、いい感じっすね!もっとやれー!

すまぬ
そろそろ朝ごはんを作る時間をください
徹夜でお腹がすいているんです
たぶん、遅くても2時くらいに戻ります

花村「呼んだかい?」

すみません
けっこう時間をかえてしまいました
作業再開します

苗木(いつの間にかに、霧切さんがすぐ近くに立っていた)

霧切「けっこう前からいたんだけどね……そんなに驚かれるなんて」

霧切「失礼ね」

苗木「ごめん、ボクたちに何か用だった?」

霧切「あなたたち……というよりも、江ノ島さんに用があったのだけど」

舞園「えっと……それならもう江ノ島さんは自室にお帰りになりましたよ」

霧切「次に江ノ島さんと一緒に何かするのはいつ?」

舞園「明日……他の人たちを誘って、宴会か何かを一緒に用意しましょうという話はしています」

霧切「そう……」

舞園「あの、それが何か?」

霧切「江ノ島盾子には気をつけなさい」」

霧切「黒幕の内通者が1人とは限らないわ」

苗木「……そのもうひとりの内通者が江ノ島さんと思うのはどうして?」

霧切「ひとつは、大神さんの一件での態度がいつもと違ったこと」

霧切「もちろん……いつもと言っても、私は彼女とそれほど話したことはないのだけどね」

霧切「むしろ、今日、長い間話していたあなたたちが江ノ島さんについては一番詳しいと思うわ」

舞園「江ノ島さんが内通者とは思えません……」

舞園「内通者ならもっと自分を取り繕うと思います」

舞園「少し変わっているのかもしれませんが、もしも内通者ならもっと内通者らしい行動を取るんじゃないでしょうか?」

舞園「モノクマさんに反抗的な態度を取るか、その逆に、モノクマさんの利益になる行動をするか……」

舞園「いまのところ、江ノ島さんにそういう目的意識に基づいた行動はないように思えました」

霧切「そう……苗木君、あなたはどう?」

苗木「舞園さんと似た意見かな……」

苗木「ただ……どこかに違和感もあるかな」

苗木「それが何なのか、江ノ島さんに対するものなのかは分からないんだけど……」

霧切「そう……私も確証があるわけではないから、これ以上は言わないでおくわ」

霧切「ただし、2人目の内通者とは関係なしに、今、もっとも命が危ないのは、あなたたちよ」

苗木「ボクたちが……!?」

霧切「それはそうでしょう。学級裁判と大神さん……2回も黒幕の意にそぐわぬ行動を取ったのよ」

霧切「黒幕がこのままにしておくわけがない」

舞園「もしも私たちの中から優先して、消してしまいたい相手がいるなら……」

苗木「ボクたちってことだね」

霧切「そういうこと……」

霧切「あなたたちを殺して、その罪を大神さんになすりつける……」

霧切「仮にその目論見が外れても、この学園の空気は一気に黒幕の望む方向に傾くの」

霧切「決して誰も信じるなとは言わないわ。けど、気を付けて」

霧切「自分たちが死んだら、ここにいる全員が死ぬかも……それくらいの気分でいてほしいの」

霧切「今、ここが平和である原因の一端は間違いなく、あなたたちが担っているわ」

苗木「分かった……気をつけるよ」

舞園「わざわざどうもありがとうございます」

霧切「大神さんを内通者として公開したことを有効に活用するつもりなら、今日か明日にでもしかけてくる可能性があるから」

霧切「本当に、気を付けて……」

苗木(霧切さんはそう言い残すと、その場を離れようとした)

苗木(しかし、それを舞園さんが呼び止めた)

舞園「あの……霧切さん? よかったら、今日の夜ご飯一緒に食べませんか?」

霧切「……?」

舞園「一緒におしゃべりしましょう。今日の夜6時半から8時まで食堂にいますので、お時間があえば……」

霧切「考えておくわ……」

苗木(そう言って、霧切さんは立ち去った)

舞園「不思議な人ですよね。霧切さんって」

苗木「そうだね」

舞園「自分の才能に関してはずっと隠しているんですよね?」

苗木「うん……聞かれたくないみたい」

舞園「ミステリアスですから、超高校級のエージェントとかですかね?」

苗木「うーん……ボクには検討もつかないよ」

舞園「うふふ……夕食に来てくれるといいなぁ」

苗木(舞園さんが生き生きしている)

苗木(朝日奈さんや大神さん、江ノ島さんと話しているときも楽しそうだったし)

苗木(舞園さんの笑顔がたくさん見れて、うれしいよ)

…………

夜7時、食堂

苗木(どうしてこうなった?)

舞園「ええっと……お味はどうですか?」

苗木「超高校級のアイドルの手料理を食べられるなんて最高だよ!」

霧切「そうね……」

江ノ島「おいしいよ……」

霧切・江ノ島「…………」

舞園「お、おかわりありますからね!」

苗木(霧切さんと江ノ島さんがほとんど同時に食堂に来た)

苗木(江ノ島さんは今夜一緒に食べる約束はしてなかったんだけど……)

苗木(わざわざ距離を開けて、食べるというのもおかしな話であるため、一緒に食べている)

苗木(江ノ島さんは霧切さんの前だと借りてきた猫のようにあまりしゃべらず)

苗木(霧切さんは態度にこそ出さないものの江ノ島さんを警戒しているようだ)

苗木(舞園さんがはやめに来て、料理をしてくれたというのに、なんか気まずくてあまり味が頭に入ってこない)

苗木(しかも、分かってはいたことだけど、霧切さんは自分のことについて話そうとしないし)

苗木(江ノ島さんは昼間とは違って、あたりさわりのないことしか言わない)

苗木(結局、ボクや舞園さんが喋っていることになる)

苗木(幸い、霧切さんも江ノ島さんもこちらの話に対して、質問とかはしてくれる)

苗木(ただ……自分たちのことを言わず、自分のことを相手に知られないようにすることに力を注いでいる感じ)

苗木(それでいて、2人とも相手の動きを探ろうとしている)

苗木(もっとも江ノ島さんはすぐに黙ったり、忘れたと言うことも多いんだけど)

霧切「江ノ島さんはいつから……ギャルになったの?」

江ノ島「はー? ギャルって気が付いたらなってるもんじゃん?」

霧切「そうなの?」

江ノ島「そうよ!」

霧切・江ノ島「「………」」

舞園「クラスの中で、いわゆる清楚系とかギャル系に分かれるんですよ」

舞園「何か申し合わせたわけでじゃないのに、気が付いたら、グループができてて……」

舞園「服装とかもそれに合わせたものに自然になるんです」

舞園「……といっても、私もクラスにいるよりも芸能界が優先だったので、それほど詳しいわけじゃないんですが」

舞園「だいたい……そんな感じですよね? 江ノ島さん」

江ノ島「え?」

舞園「え?」

江ノ島「……あ、ほら、アタシ、基本的にストリートにいたからさ。クラスとか行かなくても、余裕でギャルだし」

舞園「そうですね! 江ノ島さんは超高校級のギャルですから、クラスとか関係なく、ギャルになれたんですよね!」

霧切「……で、そのギャルとしてのアイデンティティーはどこから得たのかしら?」

江ノ島「う……生まれたときからよ」

苗木(それは違うよ……)

江ノ島「おぎゃーって生まれたときには爪、デコってたし!」

江ノ島「顔もナチュラル(生まれつき)メイクってやつだよ」

舞園「あはは、ナチュラルメイクってそういう意味じゃないですよ!」

苗木(舞園さんにとってはありえなさすぎてギャグに聞こえるんだろうけど)

苗木(ボクには本気でそう言ってるように聞こえるよ」

霧切「…………」

苗木(霧切さんはめっちゃジト目で江ノ島さんを見ている……)

霧切「……才能を忘れてる? それとも何か別の?」

苗木(小声だから何を言っているのかは聞こえないけど……眉間に皺を寄せてるところから、すごい悩んでることは分かる。もしくは困惑といったらいいのか……?)

苗木(霧切さん、こんな表情するんだ……)

苗木(悩んでいる霧切さんをしり目にボクはもう一度江ノ島さんを見た)

苗木(江ノ島さんの発言をその都度フォローする舞園さんの姿がちょっとシュールだった)

苗木(うーん、江ノ島さんはきっとあれだ)

苗木(テレビでたまに見るおバカタレント……)

苗木(それも、演技なし、誇張なし、やらせなしの正真正銘……)

苗木(能力や顔じゃなくて、本当に性格で業界の人に愛される人……)

苗木(フォトショの整形を一般の人が全然知らないのも、リークされないほど業界の人に愛されているのかもしれない)

苗木(……)

苗木(…………本当かな?)

江ノ島「あ、そうだ!!!」

苗木(江ノ島さんが話を無理やり打ち切らせるように、大声を出した)

江ノ島「今日の昼からずっと聞きたかったんだけど……」

江ノ島「苗木と舞園ってやっぱ付き合ってんの?」

舞園「……え?」

苗木「……え?」

苗木(ボクは一度フラれた……。あのときのボクは情けなかったからだ)

苗木(あのときより舞園さんとの仲は良くなっている……)

苗木(以前よりは頼りにされていると思う……)

苗木(けど、あくまでも友だち……なのかな)

舞園(苗木君は優しいです)

舞園(いま、ここで言えば……もしかしたら……)

舞園(けど……いいんでしょうか? 苗木君の優しさに甘えることになっちゃうんじゃ……)

江ノ島「え……何この空気やっちゃった?」

苗木「ま、舞…」

舞園「な、苗…」

苗木・舞園「「あ、先いい(です)よ」」

苗木・舞園「「…………」」

江ノ島「……」

霧切「……フゥ」

…………

苗木(そのあとボクと舞園さんが黙りがちになってしまったため、いよいよ食事の空気は停滞した)

舞園「ごめんなさい、苗木君。今日は先に部屋に戻りますね……また明日には笑顔でいますから……」

苗木「うん……」

舞園「では……」

江ノ島「なんか今日はいろいろごめん。明日からはないようにするか……」

苗木(舞園さんが退出したのに続くように……江ノ島さんも食堂から出て行った)

苗木「……」

霧切「苗木君……」

苗木「あ……ごめん、霧切さん。なんか変なことになっちゃって」

霧切「いいえ、気にしてないわ。むしろ、こんな体験したことがないから、少し興味深いわ」

苗木「……ははは」

苗木(本当に気にしてなさそうだ……。むしろどうでもいい?)

霧切「お礼と言ってはなんだけど……」

苗木「?」

霧切「相談に乗ってあげるわ」

苗木「……霧切さんが?」

霧切「といっても、恋愛相談は無理だけど……愛憎がもつれて殺人事件に発展することを防ぐ方法なら、少し詳しいわ」

苗木(……何それ?)

霧切「どうする?」

苗木(霧切さん自身はどっちでも良さそうだ……。本当に、単なる気まぐれか親切心なんだろう……)

苗木(けど、せっかくなら……)

苗木「お願いしようかな」

寄宿舎 廊下

舞園(……明日はどうしよう?)

舞園(苗木君に心配をかけたくないな)

舞園(うん……ここを出るまで……私は苗木君の助手なんだから)

舞園(けど、ここを出たら……?)

舞園(私はアイドルじゃなくってるかもしれない……)

舞園(いつも助けてくれたグループのみんなだって、もしかしたら……もう……)

舞園(アイドルでも助手でもなく、仲間もいない私なんて……)

舞園(価値があるのかな……)

舞園(少なくとも、苗木君の隣にいる資格は……)

舞園「……考えちゃだめだよね」

舞園(ここに来てから、ひとりになるといつも考えてしまいます)

舞園(今まで積み上げたものが足元から全てなくなる瞬間)

舞園(心の中を染め上げる黒いもの)

舞園(……絶望を)

舞園「ダメです!」

舞園「明日になれば……また私の隣に苗木君がいてくれます!」

舞園(だから、つらくても耐えられる……)

江ノ島「舞園……?」

舞園「きゃぁ、江ノ島さん!?」

江ノ島「なんか、ごめん、今日はアタシのせいで」

舞園「いえ、私の方が……!」

江ノ島「いやいや、アタシのせいで」

舞園「いえいえ、私の方が」

江ノ島「いやいや」 舞園「いえいえ」

江ノ島「いやいや」 舞園「いえいえ」

舞園・江ノ島「プッ……」

舞園「本当に面白い人ですね、江ノ島さんは」

江ノ島「舞園もけっこうなもんだよ」

舞園(江ノ島さんはひとしきり笑った後に、あらためて言いました)

江ノ島「良かったらさ、2人で話さない……?」

舞園「……?」

江ノ島「苗木の愚痴くらい聞くよ」

舞園「そんな、苗木君に対して愚痴なんてないですよ」

江ノ島「いいからさ、ちょっと裸の付き合いでもしようぜ、大浴場にでも行こう」

舞園「大浴場って立ち入り禁止じゃなかったですか?」

江ノ島「それがさ、別にテープの下をくぐれば入れるし、校則違反になるわけでもないんだよね」

江ノ島「夜時間はさすがにダメみたいだけどさ…」

江ノ島「内緒の話とか、密会とかにいい感じだよ、あそこ」

舞園「うーん、そうですねぇ」

江ノ島「なんかさ、舞園はさ、他人には思えないんだ」

江ノ島「性格とか全然違うのにさ……」

舞園「江ノ島さん……」

舞園(霧切さんは江ノ島さんがもう一人の内通者なんじゃないかと言っていました)

舞園(けど……私にはそう思えません)

舞園「行きましょうか……お風呂」

舞園「私、立ち入り禁止の場所に入るなんて初めてです」

舞園「私も不良の仲間入りですね」

江ノ島「言っとくけど、ギャル=不良じゃないからね」

舞園「大丈夫です。江ノ島さんが不良になんか見えませんから!」

江ノ島「それ、褒めてんだよね?」

舞園「……どうでしょう?」

江ノ島「はぁ…?」

舞園「なんて、冗談です!」

……

舞園「本当です。入れましたね」

江ノ島「入口近くの監視カメラに映っても何も言わないしね」

江ノ島「……あ、そういえば、この中には監視カメラがないから」

江ノ島「本当に何でも聞かれたくない話とかできるよ」

江ノ島「浴室に入る前にこの辺でのんびりしよ?」

舞園「えー、普通は入った後にのんびりするんじゃないんですか?」

江ノ島「まぁーいいじゃん。たまにはそういうのも」

舞園「うふふ……まぁそう言うなら……

舞園(ロッカーの近くにあるベンチに私たちは座りました)

江ノ島「……ねぇ、ちょっと重い話かもなんだけどさ」

江ノ島「アンタはさ、なんでこの学園に来たの?」

江ノ島「もうアイドルとして、これ以上ないくらい成功してるじゃん」

江ノ島「アイドルってやっぱりたいへんなの?」

舞園「……たしかにたいへんですね。けど同時にすごい楽しいんです」

江ノ島「だったら……」

舞園「でも、楽しいからこそ、怖くなるんです」

舞園「同じグループの仲間は本当に素敵で、みんなと仕事ができることがすごく幸せなんです」

舞園「でも……いつか世間に飽きられたとき、私たちはどうなっちゃうんだろうって」

舞園「仕事がなくなって、バラバラになって……そうならないために私はこの学園に来たんです」

舞園(この話をする相手は2人目でした)

舞園(江ノ島さんは苗木君と同じように真剣に聞いてくれました)

舞園(そして、聞き終わると同時に……彼女もポツポツと語り始めました)

江ノ島「私も同じような感じかな……」

江ノ島「いや、舞園みたいに、明確な目的があったわけじゃないんだけど」

江ノ島「超高校級とか呼ばれて、調子に乗って、突っ走って来たけどさ……」

江ノ島「なんか、これでいいのかなーって思う自分がいたんだよ」

江ノ島「夢ってさ…成長するごとにコロコロ変わるモンじゃない?」

江ノ島「幼稚園、小学校、中学校、高校…その時に応じてさ…」

江ノ島「けど、あたしって自分の夢に迷ったことがないんだ」

江ノ島「自分の夢だけを見て……その狭い世界だけしか信じてこなかった…」

江ノ島「けど、それって色んな可能性を捨ててるわけじゃん」

江ノ島「だから、不安って言うか……」

江ノ島「やっぱ、ごめん、舞園に比べたら、全然甘えているだけだった……」

舞園「そんなことはないですよ……」

舞園(そのとき……不思議なことに、ふと苗木君が言いそうなことが頭に浮かんだ)

舞園「今の夢を追っても、別の夢を追っても……」

舞園「結局のところ、どこまでも何かを探しに行かないといけないんですよ」

舞園「大人になっても……」

舞園「ずっと不安は残ります」

舞園「……けど、探し続けてることが大事なんだと思います」

舞園「私も偉そうなことを言ってますけど、すぐ不安になっちゃいます」

舞園「けど、それでも探し続けることが大事なんじゃないかなと……とくにここに来てから、そう思うことが増えました」

江ノ島「……舞園」

舞園「江ノ島さん……ここを出て、一緒に夢を追いましょう……」

舞園「支えあいましょう。私たちは夢に関しては同じです。他人じゃないです」

江ノ島「……ありがとう」

江ノ島「うん、けど、やっぱ、ごめんね……」

江ノ島「アンタの愚痴を聞くどころか、あたしが慰めてもらうなんて……」

舞園「いえ、私もすっきりしました」

舞園「ありがとうございます!」

江ノ島「この学園生活が始まって、楽しいことなんて何もないって思ってたけどさ」

江ノ島「アンタたちに会えて良かったよ」

舞園「……たち? って苗木君もですか?」

江ノ島「……うん。アンタは苗木のことどう思ってるの?」

舞園「苗木君は、今の私にとっての希望なんです」

舞園「夢を追い続けることが大事……それは苗木君を見てると特にそう感じます」

舞園「苗木君にはまだ夢がありません。探している最中です」

舞園「けど、苗木君は輝いています」

舞園「昨日も今日も……、苗木君を見ていたから頑張れたんです」

舞園「もちろん、男の人ととして好き……というのもあるんですが……」

舞園「……対等な恋人として、私は相応しくないんじゃないでしょうか?」

江ノ島「いや、冷静に考えて、超高校級のアイドルで相応しくないとか……ありえないでしょ」

舞園「その……江ノ島さんだから、こっそり教えるんですが……私は……」

……

舞園(私は人を殺そうと考えて、苗木君に未然に止められたことを話しました)

江ノ島「な、なるほどね……。けど、あの苗木がね……。なんかの勘違いじゃないの!?」

舞園「苗木君は……やるときはやる人なんです」

舞園「エンジンのかかるタイミングがたまに遅かったりしますが……」

希望は絶望に負けないんだ!だからさあ、もっと希望をみせてよ!

江ノ島「けど……どちらにせよ、苗木は気にしてないんじゃない?」

江ノ島「だって、苗木だし……」

舞園(そんなてきとうな……)

舞園「苗木君もあぁ見えて普通の男の子なところもありますから……」

江ノ島「めんどくさいなぁ……そんなこと言ってると、あたしがとっちゃうよ」

江ノ島「苗木ってけっこうタイプなんだよね」

舞園「ええええーーー」

江ノ島「夢だけじゃなくて、好きな男まで同じ……やっぱり、他人には思えないわ」

舞園「だ、だめです……。いくら、江ノ島さんでも……そればっかりは?」

江ノ島「はぁ? なに、あたしにはそんな資格ないの?」

舞園「そんなことはないんです……けど……」

江ノ島「んー、なんていうかさ。恋に対する今の舞園の悩みって贅沢なんだよね」

江ノ島「なんか理想的な自分になってからアタック……みたいな感じがするんだよね

江ノ島「知り合いの肉食系女子が言ってたんだけど……」

江ノ島「競争相手がいたら、そんなこと言ってる場合じゃないから!」

ちなみに僕の好きなものは希望だよ!

舞園「……私は」

舞園(今、江ノ島さんが苗木君をお姫様抱っこしてバージンロードを歩く姿を想像しました)

舞園(私は……式場のすみっこで無表情のまま拍手を……)

舞園(…………)

舞園「私は苗木君を取られたくありません!」

江ノ島「よく言ったじゃん!」

舞園「ここから脱出したら……即、告白です」

江ノ島「脱出してから? 中にいる間に誰かに取られちゃうかもしれないけど?」

舞園「……それはいやですけど」

舞園「最低限のけじめですね。苗木君に迷惑をかけないための」

舞園「理想かもしれないけど、苗木君の同情に甘えるのは嫌なんです」

舞園「私は苗木君の超高校級の助手ですから!」

僕は超高校級の幸運だよ!こんなゴミクズみたいな才能、誰も羨ましくなんかないよね!!

江ノ島「舞園ー!」

舞園「江ノ島さんー!」

舞園(江ノ島さんは、まるで姉が妹にでもするように私の頭を抱きしめてくれました)

江ノ島「じゃあ、この中にいる間、苗木に悪い虫がつかないようにするの手伝ってあげるよ」

舞園「江ノ島さんは、苗木君が本当に好きなんですか? それともさっきのは冗談ですか?」

江ノ島「本当に好きなんだ。実は前にも会ってるし。あっちは覚えてないけど」

舞園「そうなんですか!?」

江ノ島「うん、そうなの」

江ノ島「だから、私もここから出る事ができたら……そのときの話ついでに告白のひとつでもしてみよって思ってる」

江ノ島「けど、アンタに最初の告白は譲ってあげるから、安心して」

舞園「そんな……正直、ちょっと嬉しいんですけど……本当にいいんですか?」

江ノ島「うん、いいよ」

舞園(江ノ島さんは、ちょっと悲しそうな顔をしながら言っている)

舞園「そんな顔しながら言われても……まったく説得力が……」

江ノ島「いや、いいの」

舞園「……?」

江ノ島「だってね……」

江ノ島「私はもう出れないかもしれないんだよ、舞園さん……」

舞園「……ぁ」

舞園(バチリと何かが光って、私の体は崩れ落ちました)

舞園「え……の……しま……さ……ん?」

舞園(右手に金色のウィッグ、左手に大きな警棒のようなもの、髪の毛はクロ……)

舞園(……誰?)

舞園(苗木君に……伝えないと……)

戦刃「本当に……ごめんね、舞園さん」

これは……新たな希望が生まれる兆しなのかな?あははははは、楽しみだなぁ

モノクマ「ひゃっほう、ついに汚名返上だね! 戦刃さん!」

戦刃(モノクマが大浴場のほうから歩いて出てきた)

戦刃(ずっと……隠れていたみたい)

戦刃(機械なのに汗をかいている)

モノクマ「これで、残姉なんて、誰にも言わせないね」

戦刃「うん……やったよ、盾子ちゃん……」

モノクマ「けど、サービスシーンの前に気絶させちゃったから、視聴者のみなさんからは非難殺到だよ」

戦刃「そうなの? ごめんね……」

モノクマ「はぁ、そこは、大浴場にカメラなんてないでしょってツッコミを入れないと」

モノクマ「これだからむくろくんは~」

戦刃(モノクマから聞こえてくる声は、いつもより楽しそう……)

戦刃(盾子ちゃんも喜んでいるんだ……)

戦刃(……けど)

舞園「……」

戦刃(なんでだろう……いつもより私は嬉しくない)

戦刃(いや、こういう仕事はそもそもそんなに嬉しくないんだけど)

戦刃(今日は特に……)

モノクマ「じゃあ、運ぼっか?」

戦刃「うん……」

戦刃(私は舞園さんを肩にかついで歩き始めた)

戦刃「ねぇ、盾子ちゃん……?」

モノクマ「何? 戦刃さん? 一応モノクマって呼んでね」

戦刃「舞園さんを、このあとどうするの?」

モノクマ「えー、どうしてそんなこと聞くの?」

モノクマ「もしかして、残姉ちゃん、いっちょまえに絶望してるの?」

モノクマ「仲良くなった相手を裏切って……」

モノクマ「足元が崩れ落ちそうな感覚……味わってる?」

戦刃「……うん」

モノクマ「へー、ボクたちってやっぱり姉妹なんだね」

モノクマ「戦刃さんは、ただのシスコンだと思ってたよ」

戦刃「それで、舞園さんは結局どうなるの?」

モノクマ「拉致して、やるっていったら、改造手術でしょ!」

モノクマ「あの前向きすぎて気持ち悪い苗木クンにとびっきりの絶望をプレゼントするんだ」

モノクマ「うぷぷ……仲良し二人に訪れる突然の試練……絶望的だね」

戦刃(そうしゃべっているうちに、私たちは隠し部屋のひとつにたどり着いた)

戦刃(中は、研究室のようにも……牢屋のようにも見えた……)

ちょい、ごはん行ってきます
保守お願いします

この絶望が希望に変わる瞬間を楽しみにしてるよ!!あはははははっ!!

ただいま
書くのを再開します

モノクマ「ご苦労さま……戦刃さん」

モノクマ「もう帰っていいよ」

モノクマ「あとの仕事は任せたよ」

モノクマ「得意でしょう?」

モノクマ「単純にモノを壊したり、殺したりするのは?」

モノクマ「もうしゃべらなくていいし、変装もしなくていい」

モノクマ「いや、していいじゃだめだね」

モノクマ「この学園にいる間はもう喋らないでね」

モノクマ「ボロ出しっぱなしだもん? それくらい当然だよね?」

戦刃「分かった……」

戦刃「けど、舞園さんが起きるまで……ここにいていい?」

モノクマ「ふーん……? いいけど、責められたいの? 馬鹿なの?」

戦刃(そんなの分からないよ……盾子ちゃん……)

戦刃(舞園さんは手術台のようなところに横たえられている)

戦刃(近くにはまるで体感ゲーム機に使いそうなヘルメットやコード類が置いてある)

戦刃(たしか記憶を操作したり、仮想世界をシュミレーションできる機械だったはず……)

モノクマ「舞園さんーーはやく起きてーーそろそろ個室で寝ないといけない時間だよーー」

モノクマ「はやく起きないと、おしおきしちゃうぞ。ウププ……」

戦刃(盾子ちゃん……じゃなかった。モノクマが舞園さんの手足を手術台に縛り付けている)

戦刃(もう……これで逃げられない……)

戦刃(私は舞園さんを見続けた……)

戦刃(そして……)

舞園「……ここは? ……どこですか?」

モノクマ「やぁ、舞園さん……ダメだよ……勝手に立ち入り禁止区画に入ったり、個室以外で寝たりしちゃ」

舞園「いやあああああーーーーーー」

モノクマ「ひどいクマ。まるで森で急にクマに出会ったみたいな声出しちゃ。ボクの繊細な心がブロークンするクマ」

舞園「やめてッ!! 離して! ここから」

戦刃(必死に動こうとするが舞園さんは動けない)

戦刃(そんな中、彼女の瞳が私を映した)

舞園「…………江ノ島……さんですか?

戦刃「…………」

舞園「なんでこんなことを……」

舞園「人質……ですか?」

戦刃「…………」

モノクマ「……ウププ。これから仲間になる舞園さんのために特別に教えてあげるよ」

モノクマ「ボクの中の人はここにいる偽・江ノ島盾子さんこと戦刃むくろさんと――」

モノクマ「双子の姉妹なのです! 双子の姉妹なのです! 双子の姉妹なのです!」

モノクマ「オーケーですか?」

舞園「そんな……今日話した内容も……」

舞園「全部嘘だったんですか?」

戦刃「嘘じゃないよ……」

舞園「なら……」

モノクマ「すとーっぷ! なにやってんの。残姉ちゃん! おしゃべりは禁止でしょ!」

戦刃「……盾子ちゃん」

モノクマ「ダメダメ、規則に例外はつきものですけど、約束は守らないといけません!」

モノクマ「人間社会での信用を失っちゃいますよ」

舞園「ふざけないでッ!!」

モノクマ「およ?」

舞園「……一方的にこんな生活を押し付けて」

舞園「……私たちが何をしたっていうの!? どうしてこんなひどいことをするの!?」

舞園「私たちをここから出してよッ!」

モノクマ「いやーアイドルとは思えないくらいの絶叫。またまたありがとうございます」

モノクマ「前回の絶叫は中々の視聴率を稼いでくれました」

モノクマ「この部屋はテレビ中継されていないのが、残念ですね」

舞園「テレビ中継……?」

モノクマ「あぁ、ボクは学園長とテレビ局の番組プロデューサーを兼業しているんです」

モノクマ「だから、超高校級のアイドルである舞園さやかさんにも特別ゲストとして番組を盛り上げていただきたく……このたびこうしてお呼びしたわけです」

モノクマ「もちろん、番組の内容に関しても、チェックを入れていただきたいと思います」

モノクマ「一緒に、素晴らしい絶望的エンターテインメントを世界中に提供しましょう!」

舞園「テレビって……そのモニターに映ってるのって……」

舞園(テロップ付きの映像……。映像は食堂などのもの……)

舞園(監視カメラの映像じゃなくて、外から電波を受信しているの?)

舞園「なにがなんなのか分からないです……」

舞園「助けて……苗木君……」

苗木クンならこの絶望を希望に変えてくれると信じてるよ!

モノクマ「ここって、学園の地図にも書かれてないし、監視カメラもついてないから無駄だよ」

モノクマ「あきらめて――」

モノクマ「ちゃちゃっと注射を終わらせましょう」

モノクマ「痛くないですよー」

モノクマ「1兆回くらい絶望するかもしれませんが、基本的にあっという間に終わりますからー」

モノクマ「以上、学園長 兼 プロデューサー 兼 ドクター モノクマでした」

舞園(ヘルメットが近づいてきます……)

舞園(それが良くないものだと……いやでも分かりました……)

舞園(お願い……苗木君……いつか私をここから出して……)

舞園(信じてますから……)





モノクマ「まぁ、無駄だったけどね(笑)」

それは違うよ……(ネットリ

次の日の朝 自室

苗木「あれ……今日はモノクマの放送がなかったのかな?」

苗木(もうすでに7時を過ぎているのに、放送は鳴らなかった)

苗木(寝ぼけて、聞き逃したのか?)

苗木「とりあえず、行こうか……」

苗木(ボクは部屋を出た)

苗木(そして、すぐ隣の舞園さんの部屋を見た)

苗木(霧切さんからのアドバイスを要約すると……)

苗木(素直になって、誤解がないように、言葉を選ぶこと)

苗木(そうすれば、悲しいすれ違いによる殺人は起きらない……らしい)

苗木(元々恨みを持たれてたりしたら別だけど……)

苗木(クローズドサークルでは、些細な言葉の選び間違いで、一気に険悪な関係になることも珍しくないから、よくよく注意しないといけないようだ)

苗木(一から好意を伝えよう……ダメだったら、ここから脱出するまで、告白とかは一回やめる)

ピンポンパンポーン

「おまえらー。急いで体育館に集合しろ。今日は進路希望を出してもらうから」

苗木「はぁ?」

苗木(進路希望……?)

苗木(急にどうしたんだ?)

苗木(ボクは不安な気持ちのまま……体育館へと足を運んだ)

苗木(すでに生徒のほとんどは集まっていた)

苗木(ただし……その中に、舞園さんの姿は見当たらなかった)

苗木(他にも江ノ島さんの姿が見えない……)

苗木(嫌な予感がした……)

苗木(あの後、何かあったのか……?)

苗木「ちょっと、ボク、部屋に様子を見に行くね」

苗木(近くにいた生徒にそう告げて……ボクは寄宿舎に戻ろうとした)

苗木(けど……)

???「きゃぁ」

苗木「あ! ごめん!」

???「あはは、おっちょこちょいですね」

???「苗木君は……」

苗木「よかった……」

舞園「何が良かったんですか?」

苗木「なんでもないよ……おはよう舞園さん」

舞園「はい……」

舞園「お は よ う ご ざ い ま す 、 苗 木 君」

メカ舞園かと思った

苗木(……?)

苗木(……なんだろう? 一瞬だけ舞園さんの姿に他のものがかぶって見えた?)

舞園「どうしました苗木君?」

苗木「……ん? なんでもないよ」

苗木(そう、もう特になんともない)

苗木(気のせいだったみたいだ)

舞園「おかしな苗木君ですね」

苗木「なんか嬉しそうだね、舞園さん……」

苗木(進路調査なんてものがあるのに、不安に感じている様子はほとんどない)

舞園「怖くないですよ。苗木君がいますから」

舞園「苗木君がいるだけで私は幸せなんです」

苗木(にこにことボクのこと舞園さんは見ている)

苗木(ボクの顔が熱くなるのが分かる)

苗木「あのさ、これが終わって余裕があったら時間がほしいんだけど?)

舞園「もちろん、いいですよ!」

たいへん申し訳ないのですが、車で駅に人を迎えに行ってきます
短くて30分くらいです

狛枝「さすがの僕も許すわけにはいかないな」

>>415

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モノクマ「あーあーあー、みなさん、おはようございます」

モノクマ「今日から、希望ヶ峰学園の理事長になりましたモノクマと申します」

モノクマ「本日はお日柄もよく……」

十神「要件をさっさと言え――」

モノクマ「これだから最近の若者は……」

モノクマ「まぁ、いいでしょう……。今日のボクは気分が良いのです」

モノクマ「あまりに気分がいいので、オマエラに卒業に必要な全ての単位をあげてもいいかなと思っています」

モノクマ「お前ら全員が……」

舞園「ちょっとまってください!」

苗木(舞園さんがおそるおそるといった具合に手を挙げた)

舞園「江ノ島さんがまだ来ていません」

苗木(舞園さんの笑顔を見ると同時に、あいつの声が体育館に響いた)

モノクマ「あーあーあー、みなさん、おはようございます」

モノクマ「今日から、希望ヶ峰学園の理事長になりましたモノクマと申します」

モノクマ「本日はお日柄もよく……」

十神「要件をさっさと言え――」

モノクマ「これだから最近の若者は……」

モノクマ「まぁ、いいでしょう……。今日のボクは気分が良いのです」

モノクマ「あまりに気分がいいので、オマエラに卒業に必要な全ての単位をあげてもいいかなと思っています」

モノクマ「お前ら全員が……」

舞園「ちょっとまってください!」

苗木(舞園さんがおそるおそるといった具合に手を挙げた)

舞園「江ノ島さんがまだ来ていません」

モノクマ「江ノ島さんですか? 昨日の夜から体調不良でお休みです」

モノクマ「ボクのほうから別に連絡をしておきますので、安心してください」

モノクマ「オマエラも身体には気をつけるんだよ」

モノクマ「じゃあ、いいかな、もう話をさえぎらないでよ?」

舞園「……あとでお見舞いに行かないと……」

モノクマ「友だち思いって素晴らしいね!」

モノクマ「じゃあ、話を戻すけど……」

モノクマ「ボクは、オマエラ全員が卒業を希望して外に出る事を選んだのなら、外に出してもいいと思いました!」

「「「「「「「…………ッ?」」」」」」」」

モノクマ「いやー、オマエラはガッツありすぎるんだよね、ゆとり世代のくせに」

モノクマ「本当だったら……もう3,4人は死んでておかしくないんだけどね」

モノクマ「計画が崩れて、テレビの前のみんなもつまらないってさ!」

モノクマ「プロデューサーも飽きっぽくて、もういいや、この番組なかったことにしようって……」

モノクマ「あんなに苦労してルールや舞台を作った学級裁判も……結局、日の目を見ることなく終わるのでした」

十神「具体的には……どうすればいい?」

モノクマ「学級裁判のために作った舞台を流用します」

モノクマ「そこで一定時間、議論をします」

モノクマ「その後、外に出るか、出ないかを投票してもらいます」

十神「誰かが卒業を望まないときはどうなる?」

モノクマ「学園にひとりだけってのも悲しいからね……」

モノクマ「そのときはみんな仲良く留年してもらいます」

モノクマ「あ、けど……失敗しても、誰かが死んだりということはないから安心してね」

モノクマ「この進路調査も一か月ごとに行うので、何回でも受けられます」

モノクマ「この進路調査の100%はボクの善意でできてます」

モノクマ「校則にもちゃんとそう書いておいたから!」

苗木(本当だ……学級裁判の後に、進路調査について書かれた項目が出来てる」

苗木(モノクマの言ったとおりの内容だ)

モノクマ「じゃあ、3時間後に始まるからね」

モノクマ「よろしくー。15人全員の……」

霧切「待って……」

モノクマ「……何かな? 霧切さん?」

霧切「……もし、あなたが誰かの家族を人質に取るなどしたら」

霧切「とてもじゃないけど、公平とは言えないわね?」

霧切「善意だというなら、もうこれ以上そういうことはしないわね?」

モノクマ「うーん……なんのことかよく分からないけど、約束しとくよ」

霧切「あと……元々、あなたの身内が混じっている場合、それも除外してくれるの?」

モノクマ「そんなこと言って、卒業に賛成しない人をかたっぱしからボクの身内に認定するつもりだろう? いやだなーその手には乗らないよ」

モノクマ「ボクの妹だって、同じ釜の飯を食った仲間だって、もしオマエラの中にいたら、そいつはボクにとって大事な生徒だからね」

霧切「たかが15人しかいないのよ……その中にあなたと元々知り合っている人間がいたら、フェアとは言えないわ」

モノクマ「分かった、分かったよ……。じゃあ、ボクとボクの中の人が希望ヶ峰学園入学前に知り合っていた場合、そのことを証明できたのなら、そいつの票は無効にしてあげましょう」

モノクマ「今、言ったことは校則にも追加しといらから」

モノクマ「じゃあ、そういうことで、よろしくお願いします」

モノクマ「第1回進路調査は3時間後に15人で行います。事件厳守で来てください!」

モノクマ「じゃ、さいなら」

苗木(そう言って、モノクマは消えた。あとにみんなの沈黙を残して)

「「「「「「「…………」」」」」」」」

桑田「普通に、みんな外に出るのを選ぶんじゃねーの?」

朝日奈「そうだよね。だって、人質も取らないんだもん」

石丸「しかも何度でも挑戦できるなら、モノクマが不正を働いていようとも容易く特定できるだろう」

セレス「しかし、投票に関しては誰が何に投票したかをモノクマが明かさない可能性もありますわ」

セレス「誰が第2の内通者なのか、いつまでも分からない可能性も出てきます」

苗木(それでみんなを疑心暗鬼にさせるのが、黒幕の目的……?)

舞園「苗木君……」

苗木「舞園さん……」

苗木(舞園さんが不安そうにこちらを見ている)

苗木「アイドルにとって、1か月は重要だよね……」

苗木「この1回で成功させよう」

舞園「いいえ……大丈夫です。苗木君」

舞園「苗木君と一緒なら何か月でも耐えられます」

苗木「……舞園さん。……ありがとう」

苗木(舞園さんの気遣いが嬉しい)

舞園「そういえば苗木君……さっき、時間があるかって話をしてましたけど……?」

苗木「ううん……今は進路調査の方が大事だから

苗木(あと3時間……きっと、黒幕は何か罠を用意しているに違いない……)

苗木(それを見つけないと……)

……

苗木(だけど、それは意外な形ですぐに見つかった)

舞園「ありがとうございます。全てを話してくれて」

戦刃「…………」

霧切「…………」

苗木(江ノ島さんの部屋に行ったら、戦刃さんという人がいた)

苗木(いや、戦刃さんが、ボクたちの知っている江ノ島さんなんだけど……)

苗木(なんでも2人目の内通者で。最初から変装して、ここにやってくることを黒幕に命じられていたようだ)

苗木(けど、舞園さんと話しているうちに罪悪感が勝って……ということらしい)

苗木(黒幕とはここに来る前からの知り合いらしいから……投票権はなくなるようだ)

苗木(ちなみに、霧切さんは戦刃さんが内通者の可能性が最も高いと考えて、張り込んでいたらしい)

苗木(ちなみに、ボクも霧切さんも戦刃さんとは話していない)

苗木(彼女は小声で舞園さんとしかしゃべらないのだ)

霧切「ひとまず、モノクマを呼びましょう」

霧切「モノクマー!」

モノクマ「なにー? ってまぁ、監視カメラで見てればだいたい分かってるんだけど」

モノクマ「本当に残姉クマ。投票権は無効クマ。なんというか……こっからどうすればいいクマ?」

モノクマ「はぁ、チキンがいることを願うよ。クマだけど」

苗木(わけのわからないことを言いつつも、投票権の無効をモノクマは約束した)

苗木(終始、モノクマは戦刃さんのことを馬鹿にしている様子を見せていた)

舞園「ここから出たら……一緒にどこかに行きましょうね」

舞園「では、またいつか……」

苗木(さびしそうな様子の戦刃さんを残して、ボクたちは部屋を出た)

苗木「……あと2時間と少し。黒幕の仕掛けた罠は他にもあるのかな」

舞園「そうですね……可能性はあります」

霧切「ちょっといいかしら?」

苗木(霧切さんがボクたちに話しかけてきた)

霧切「舞園さん……あなたは戦刃さんが内通者だといつから気づいていたの?」

舞園「ついさっきです。びっくりしました!」

霧切「とてもそう思えないわ……」

すまん、一瞬意識が飛んだから、1時間半の仮眠を取ります
保守してくれるとありがたいです
最悪、寝てる間に、スレが落ちた場合は、SS速報にでもスレ立てます
なお、少しで完結する模様……

ごめん、今起きました
7時半くらいから再開します

希望は前に進むんだ!

霧切「あなたが江ノ島……いえ、戦刃さんとどれくらい仲を深めたかは私には分からない」

霧切「けど、あれほどの事実を顔色ひとつ変えずに、淡々と聞けるものかしら?」

霧切「あなたはそういう人だった?」

霧切「怒りや動揺がなくても、急に変わってしまった距離感に戸惑うのが普通じゃない?」

舞園「……そんなことを言われても」

舞園「……困ります」

苗木(舞園さんが霧切さんと目を合わせることができず、顔を下に背けてしまった)

苗木「……」

苗木「霧切さん……舞園さんはアイドル活動が長いから、」

苗木「他の人の前だと……そういう負の感情を抑えるのが得意なんだ」

苗木「……ねぇ、舞園さん? 別に動揺がないわけじゃないよね?」

舞園「……はい」

霧切さんの危険信号が輝いてる

苗木(人前で弱音をあまり見せないタイプ……)

苗木(一見、そう見えないかもしれないけど)

苗木(ここに来てからの生活で、舞園さんにはそういう側面があるって知った)

苗木(だから今回もそう)

苗木(……だよね、舞園さん?)

舞園「……ここで動揺することこそが、黒幕の狙いなんだと思います」

霧切「そう。超高校級のアイドルとしての活動の賜物なのね?」

舞園「いえ……、超高校級の助手としての意地です」

苗木(そう言うと、舞園さんはわずかにほほ笑んだ)

苗木(どこか儚げだけど、覚悟のようなものが見え隠れした)

霧切「悪かったわね……」

霧切「また、あとで会いましょう」

苗木(そう言うと、霧切さんは立ち去った)

……

エレベーター 投票の場までの間

苗木(その後、みんなで色々な可能性を探ったけど……)

苗木(他に新しい内通者が見つかったり、ルール上の穴を見つけることもなかった)

苗木(……しかし、そのことが逆にボクたちを不安にさせた)

苗木(何か、得体の知れないもの…)

苗木(蜘蛛の巣に絡み取られているような……)

苗木(そんな居心地の悪さがあった)

舞園「……苗木君」

苗木(舞園さんの左手がボクの右手を握った)

苗木(その手は暖かい)

舞園「苗木君なら大丈夫ですよ」

舞園「苗木君なら大丈夫ですよ(苗木君以外は殺しますけどね)」

に見えてヤバい

苗木「ありがとう、舞園さん。キミのためにも、ボクは頑張る」

苗木(そう決意を固めたころ、ついにボクらは法廷のような空間……)

苗木(決戦の場に到着した)


モノクマ「にょほほほ! やっと来たね!」

モノクマ「学級裁判はなくなったけど、この場所を使うことが出来て良かった!」

モノクマ「どう? これっていかにも裁判場ってカンジじゃない?」

モノクマ「しかも、たまたま円形にしてたから、会議の場所としても盛り上がるね!」

モノクマ「じゃあ、まず進路調査についての説明をもう一回するね」

モノクマ「今から、オマエラには最大3時間、議論をしてもらいます」

モノクマ「三時間後、もしくはオマエラがもう議論はいいと決めたとき、」

モノクマ「全員に『外に出る』か『中に残る』を選択してもらいます」

モノクマ「全員が『外に出る』を出るを選んだ場合、オマエラは晴れて卒業……みんなで外に出られます」

モノクマ「誰かひとりでも『中に残る』を選んだ場合、オマエラは全員仲良く留年……現在と同じくモラトリアムを楽しんでもらいます」

モノクマ「なお、投票の内訳は非公開なので、」

モノクマ「みんなと意見が違くても……安心して自分の取りたい道を選んでください」

モノクマ「民主主義の原則ですね」

モノクマ「なお、オマエラの呼ぶ黒幕……ぶっちゃけ、江ノ島盾子というんですが……」

葉隠「今、さらっとすごいこと言ったべ!」

モノクマ「彼女はオマエラやオマエラの家族の命を危険にさらすことはしていません」

モノクマ「また、彼女と希望ヶ峰学園入学前に知り合っている人は、彼女の身内とみなします」

モノクマ「身内の投票は無効となります。現在、戦刃むくろさんの投票の権利がはく奪されています」

モノクマ「なお、現在、戦刃むくろさんは江ノ島盾子さんと一緒にみなさんをモニターで見ています」

モノクマ「何か一言ある? ……ない? ……そう」

モノクマ「なら、今からお待ちかね……進路調査開催です!」

最初の行は訂正です

モノクマ「なら、今からお待ちかね……進路調査開始です!」


石丸「よし、まずみんなで手をあげよう!」

石丸「全員が『外に出る』を選べば、全て解決だ!」

十神「馬鹿か……貴様は……」

セレス「嘘をつく人がいたら、結局のところ、意味はないのですわ」

桑田「つってもさ……どうやって、何を議論すればいいわけ?」

腐川「もしかしたら、黒幕の内通者がまだいるかもしれないんでしょ……!」

腐川「そうやって、あたしをまた騙すつまりなんだわ!」

葉隠「そうだべ、こんな上手い話、裏があるに決まってるべ」

葉隠「ただほど高いものはないべ。俺も昔、場代無料の店でひどい目にあったべ!」

霧切「落ち着いて、みんな……」

霧切「最悪の場合でも、死にはしない。黒幕の狙いは分からないけど」

霧切「まずは、疑わしい場所を探すより、信じられるものを見つけるべきじゃないかしら?」

苗木「そうだよ――こうやって疑わせること自体が黒幕の罠かもしれない」

苗木「ボクたちは外に出たいという思いはみんな持っていたと思うんだ」

舞園「それに賛成です! 私たちはここに閉じ込められて最初に思ったことは恐怖や不安だったはずです」

舞園「もし変わったとすれば、それは大きな心の変化のはずです」

舞園「仮にそんな大きな変化があるなら、今この場所で分からなくとも、」

舞園「1か月ともに過ごせば、ばれてしまうと思います」

舞園「だから、今この場所では……自分の決意表明をしましょう。外に出たい理由とその思いの強さを!」

苗木(そう舞園さんが言うと、特に反対意見はなく、みんなが次々に言葉を紡いだ)

苗木(まぁ……十神クンなどは「茶番」と言っていたけど)

苗木(舞園さんが時計回りで隣にいた石丸クンに発言してくれるようジェスチャーで合図をした)

石丸「僕は努力によって、祖父以上のことを成し遂げたい! だから、ここで終わる訳にはいかないんだ!」

大神「我には最強を目指す理由がある……この閉ざされた空間ではその座に至れぬ」

苗木(石丸クンと大神さんは最初の一言を皮切りに次々と外への思いを語った)

苗木(しかし、3人目の霧切さんで問題が起きた)

霧切「……詳しくは喋れないの」

「「「「「「……………」」」」」

十神「そもそもが茶番で気に入らないが、一応聞いてやろう」

十神「どういうことだ、霧切? 説明しろ」

霧切「隠していたことは謝らないわ」

霧切「私は自分の才能も含めて、ここに来る前の記憶がないのよ……」

霧切「だから、ここから出たいという思いはあっても、それを理由づけすることはできない」

霧切「何かを解き明かしたい。何かを知りたい。そういう思いはあるのだけど……」

十神「つまらぬ言い訳だ……。記憶喪失だと? そんな都合の良いことが起こってたまるか」

十神「……喜べ、苗木、舞園。はやくも間抜けは見つかったようだ」

霧切「…………」

舞園「……それは違うと思います」

十神「ほう……何故だ? 言ってみろ?」

苗木(舞園さんがアイコンタクトでボクに合図をした)

舞園「上手くは言えないんですけど、それなら、記憶喪失であると語ること自体がおかしいんじゃ?」

十神「何……?」

苗木「……つまり、舞園さんが言いたいことは、こういうことだよ。十神クン」

苗木「偽るにしても、わざわざ記憶喪失を選ぶ理由がないんだ」

苗木「疑われるだけだからね」

十神「……そう思わせることが狙いかもしれんぞ」

十神「それに記憶喪失だと言っておけば、語る設定に矛盾が生じにくい」

十神「多少のことは、記憶喪失だからで済ませられるからな」

霧切「信じてもらえるかは分からないけど、少しずつ思い出してきてはいるの……」

霧切「だから、今回は無理でも次回の進路調査には間に合うかもしれない」

セレス「上手に嘘をつけるなら、記憶喪失であろうと、財閥の御曹司であろうと関係がありません」

セレス「人は多かれ少なかれ嘘をつくものですわ」

セレス「うふふふ……」

石丸「まずは全員に一度発言をさせようではないか!」

石丸「問題のある発言はあとでまとめて検討する!」

石丸「僕は小学校時代、帰りの会ではいつもそうしていたぞ!」

十神「……フン。好きにするがいい」

苗木(その後、再び、時計回りでみんなが発言していった)

大和田「暮威慈畏大亜紋土を終わらせるわけにはいかねぇ。いずれチームを卒業するにしても、それはけじめをつけてからだ」

朝日奈「水泳したい! もっと熱くなりたい! ドーナツ食べたい! ラーメン食べたい! あ、けど最近太り気味だから、ダイエットもしたい……えっと、これでよかったのかな?」

葉隠「どっちでもいいべ! というか、実はわりとまだ実感がないべ! 一番怖かったのは深刻な顔してたときのオーガだべ!」

不二咲「みんなのために作りたいプログラムがあるんだぁ。今、作りかけでねぇ、まずその続きがしたいかなぁ」

十神「愚民が……俺がここにいることでどれだけ社会全体の損失が広がっていると思う?」

セレス「適応すべき……とは言いましたが、外に出れるなら出たいですわね。私にもささやかな夢くらいありますし」

桑田「野球がしてぇ。ここに入って分かったんだよ。音楽もいいけど、野球もしてぇよ」

腐川「白夜様に従うわ。……あたし自身の決意表明? どうせ言ったら馬鹿にするんでしょ?」

山田「こんなところで満足できるかーーーーーーーー。漫画、アニメ、ラノベ、ゲームを買わせろーーーーーーーー。イベントに行かせろーーーーーーーーーーーー」

苗木(そして、ボクと舞園さんの番になった)

苗木「ボクにはまだみんなと違って、大きな夢はないけど……」

苗木「それでも、夢を探していきたいし」

苗木「ここからみんなと一緒に出たい」

苗木「それに、ボクは舞園さんに約束したんだ」

苗木「絶対に、舞園さんをここから出してみせるって」

舞園「苗木君……」

舞園「……みなさん、決意表明とは違いますが、聞いてください」

舞園「私には好きな人がいます」

苗木(舞園さんがボクを見た……!?)

苗木(そして、ウィンクして、頷いてくれた)

苗木(カーッと顔が赤くなるのを感じる)

苗木(よく見れば、舞園さんの顔も赤味が増している)

舞園「この一件が終わったら、私は彼に告白したいんです」

桑田「苗木ーーーーーーーーーー。オレも舞園ちゃんを狙ってるって言っといただろう!」

桑田「はぁ……。もういいけどさ……」

桑田「あ、けど、舞園ちゃん経由でかわいい子紹介するくらいはしてくれよ!」

山田「何度でも言いましょう」

山田「リア充爆発しろーーーーーーーーーーーーーーーー!」

苗木(ははは……)

苗木(いろんな顔の人がいるけど……)

苗木(基本的に、みんな毒気を抜かれているという点では同じだった)

舞園「アハハ……なんかごめんなさい」

苗木(舞園さんも苦笑いでごまかしている)

苗木「えっと……、そういうことだから……、みんな、協力してくれると嬉しいな、ハハハ……」

苗木(笑い声が響いた。場の緊張が一気にほぐれた感じだ)

苗木(話し合いは円滑にまとまりそうだった)

苗木(桑田クンが野球を好きになっていることを誰かが指摘したり……といった些細なことはあったけど)

苗木(その都度、誰かがそれをフォローし、心変わりのきっかけを証明できた)

苗木(だから、まだ時間は1時間と少ししか経っていないけど、投票に移ろうという空気になった)

舞園「じゃあ、みなさん、そろそろ投票に移ります?」

モノクマ「あれ、もう移っちゃうの? 議論に山場がなくて、本当につまらなかったよ!」

モノクマ「十神くん、もう疑わないの? いいの? そんなんで? 眼鏡キャラとしての意地は見せないの?」

十神「黙っていろ……」

十神「こんな緊張感のない話し合いなど、さっさと終わらせた方がましだ」

モノクマ「えええーーーー。うん。じゃあ、しょうがないなぁ……。そろそろ見せようかな?」

モノクマ「あ、ボクの見せる映像は議論時間にカウントしないんで!」

舞園「みなさん! ダメです! 見ちゃダメです! DVDを思い出してください! 見ない方がいいです!」

モノクマ「はああああああああああ?」

舞園「今すぐ、投票に行きましょう! このままだとダメだということが黒幕の江ノ島さんには分かっているんです!」

舞園「だから、焦っているんです!」

石丸「みんな、舞園君に続け!」

大和田「おうよ、兄弟! 他の奴らもいいな!」

「「「「「「「おーーーーーーーーーーー」」」」」」」

十神「チッ……」

セレス「うふふ……」

苗木「お前の好きにはさせない!」

モノクマ「ちょ、おま、そんなしょうもない手でーーーーーーーーーーーーーーー」

モノクマ「絶望的ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

苗木(まるで特撮のやられ役のような動きをするモノクマをしり目にボクたちは手元のボタンを押そうとした!)

苗木(だけど……そのとき……)





霧切「待ちなさい!」

苗木「霧切さん……?」

霧切「映像を見ないことには賛成してもいいわ」

霧切「その映像が嘘か本当かは分からないけど、どちらにせよろくでもないことは確かでしょうし」

霧切「けど、気のせいかしら?」

霧切「舞園さん……あなた、さっきから投票を急かしている気がするのだけど?」

舞園「……そんな? 私は……みんなのためを思って……」

霧切「それに舞園さん……、さっきから会話の切り口、言葉の選び方……どこかおかしいわ」

霧切「舞園さん、今日になってから、あなた……」

霧切「一度も『外に出たい』って言ってないわ」

おかしい…まるで霧切さんが探偵のようだ

霧切「さっきも……」

   舞園「それに賛成です! 私たちはここに閉じ込められて最初に思ったことは恐怖や不安だったはずです」
   舞園「もし変わったとすれば、それは大きな心の変化のはずです」
   舞園「仮にそんな大きな変化があるなら、今この場所で分からなくとも、」
   舞園「1か月ともに過ごせば、ばれてしまうと思います」

霧切「……なんて、あらためて聞くと妙な言い回しだと思わない?」

霧切「まるで自分のことを説明しているみたい……」

桑田「いやいやいや! 難癖すぎるだろう!」

霧切「他にも朝、苗木君との会話で、耐えることを前提とした話をしていたわ」

苗木「それはたとえ話だよ! 仮にそうなっても、ボクのせいにしないっていう……舞園さんの気遣いだ!」

霧切「さっきの決意表明も、告白なんて……周りくどいやり方をしている」

霧切「私の勘違いだったら、いくらでもあとで謝るわ」

霧切「もう一度、決意表明してくれる?」

舞園「分かりました。みんなのために言いますね……」

霧切「いいえ、違うわ」

霧切「みんなのために歌う超高級のアイドルではなく……」

霧切「超高校級の助手として、苗木君に対して言いなさい」

舞園「…………」

舞園「……………………」

舞園「……………………………………………………」

舞園「………………………………………………………………アハ」

舞園「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

苗木「ま、舞園さん……?」

苗木(舞園さんが嬉しそうに笑っている……)

苗木(ご褒美をもらえた子どものように、無邪気に笑っている)

舞園「ウフフ……、なんかお父さんのことを思い出しちゃいましたよ」

舞園「お留守番してたら、たまにぬいぐるみを買ってきてくれたんです

葉隠「おう、なんか……語りだしたべ」

朝日奈「舞園ちゃん……どうしたの?」

舞園「霧切さん……いや、響子ちゃん、さすがです! そう言われたらごまかせないじゃないですか!」

霧切「……ッ!?」

苗木(まるで、舞園さんが昔ながらの旧友に話しかけるかのように……霧切さんに笑いかけてる)

エノジュンも機関も>>1も松田の遺産を有効活用しすぎ

舞園「はい、みなさーーん! 決意表明します!」

苗木(舞園さんはみんなに向かって、手を振った)

舞園「私は絶対に『中に残る』を選択します!」

石丸「な? 何を?」
大神「ぬぅ?」
霧切「……」
大和田「はぁ? ざけんな、コラァ」
朝日奈「えーーー!?」
葉隠「どういうことだべ!」
不二咲「えぇ、どうして? そんなぁ……」
十神「屑が……」
セレス「……事情を説明していただけますか?」
桑田「ちょ、冗談きついぜ……え? 冗談じゃない?」
腐川「い、い、意味不明だわ」
山田「逆ギャップはいけませんぞーーーーーーー」

苗木「どうしちゃったんだよ、舞園さん!?」

舞園「……私、分かっちゃったんですよ、苗木君」

苗木「……え?」

舞園「やっぱり、苗木君が私の希望なんだって」

松田が使ってた時点ではまだ不完全な代物だったし
妹様の才能が物凄かったんだろうな……

>>584
あーそうそう補完したんだったね
エノジュンが知性に特化してて残姉が戦闘に特化してるって感じでバランスとれてるよなあの姉妹
戦闘いらずの無印のコロシアイ(知性のみが機能するコロシアイ)になったから残姉ポイ捨てられたと考えるとまた面白い

モノクマ「うーん、そろそろこの学園生活の全貌と真相をボクの方から提示させていただきますね!」

モノクマ「その方が、理解もはやいでしょうから……ウププ」

苗木(人類史上最大最悪の絶望的事件……テレビ中継……希望の残党……記憶の操作……)

苗木(信じられないような事をモノクマは次々に語りだした)

苗木(もちろん、ボクらのほとんどはそれらの事実をすぐには信じなかった)

苗木(だけど…………)

舞園「……ってことがあったんですよ、たえちゃん!」

セレス「この腐れアイドルがあああああああああああああああああああああ!!」

セレス「その名前で呼ぶなっていってんだろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

舞園「あのときも山田君に……」

苗木(彼女が……)

舞園「不二咲くん!」

不二咲「……ッ!」

苗木(次々にボクらの秘密やかつて生活……それらを暴露し、肯定していく)

苗木(矛盾が見つからない……)

ちょっと朝ごはん行ってきます
すまん

>>586
でも普通に妹様も戦ってたよな斑井とか普通に倒してたし妹様ハイスペックすぎだな

>>1乙!

>>591
回避行動しまくって罠にハメる前提だから汎用的じゃ無いのが厳しいね
残姉は素手でも勝てたけどエノジュンが道具頼みだったのはそういうこと
でも斑井がエノジュンに勝てる姿は確かに想像できないwwwwww

霧切「……たとえそうだとしても、ここがいいとは限らない」

舞園「そんなこと言っちゃうんですか……響子ちゃんのお父さんも悲しみますよ」

舞園「……霧切仁さんが」

霧切「……ッ!? ィ?」

苗木「霧切さん!?」

苗木(霧切さんが痛みに耐えるように、頭を押さえた……)

舞園「超高校級の探偵……霧切響子さん……」

霧切「……ぅ」

苗木「やめて! 舞園さん!」

苗木(ボクは隣の席にいる舞園さんにつかみかかる)

舞園「きゃぁ……嬉しいですけど……またあとでお願いします♪」

苗木(しかし、舞園さんはボクのことをひょいっとかわすと……)

苗木(……戦刃さんのものでもない……16番目の空席に向かった)

きたか!ガタッ

苗木(……ちょうど対面の席で、舞園さんはボクに笑いかけた)

苗木(すると、すぐに霧切さんに話しかけ始める)

舞園「急に記憶を取り戻すと痛いんですか?」

霧切「……くぅ。はぁ……思い出させたことを後悔させてあげる……」

霧切「江ノ島盾子にとって、私の才能は危険だったはず……」

霧切「その意味をもう一度……思い出させて……」

舞園「江ノ島盾子さんと私は仲間じゃないんで……別にいいですよ」

霧切「……どういうこと?」

モノクマ「一時的に協力関係を結んでいるだけだよね!」

モノクマ「なんか面白そうだから、色んな権限をあげたんだ!」

モノクマ「今はただ……より良い学園生活のために、一丸となってるけど!」

モノクマ「本来は別派閥なんです……大人の世界って汚いクマね」

苗木(舞園さんが名札のようなものをポケットから取り出した)

苗木(名札のようなもの……というのは、カード型の電子端末のなっているからだ)

苗木(片面には文字が……もう片方にはボタンやカメラやマイクが取り付けられている)

苗木(名札側には『モノクマ』と書いてある)

舞園「今日から、私はアイドル 兼 助手 兼 学園長 兼 芸名『モノクマ』のタレントです!」

モノクマ「だから、ボクは理事長なんだ!」

葉隠「そんなのありだべかあああああああ!?」

桑田「めちゃくちゃすぎんだろおおおおおおおおおおおお!?」

モノクマ「別に学園長が2人になったわけじゃないからいいだろう! ルールには沿ってんだから!」

モノクマ「大人の世界は建前さえありゃ大丈夫なんだよ! 汚いって言っただろ!」

主人公じゃなくヒロインがジョブチェンジするとか斬新だなwww
ロンパ3で使われそう

苗木(舞園さんがボタンを押すと、他にもモノクマが出てきた)

苗木(モノクマたちはボクらの周りに円になって、ぐるぐるとまわりだした)

苗木(かごめかごめのように……)

苗木「……クソッ!」

苗木「舞園さん!」

舞園「はい、なんですか! 苗木君!?」

苗木「仮に……外の世界が絶望だとして、過去のボクらがこの中を選んだとして……」

苗木「それでも、ボクらはこの中に一生いるつもりだったの?」

苗木「こんなところに居続けるなんて、そんなの生きてるって言えないよ!」

舞園「…………違いますよ」

舞園「私だって、みんなを外の世界に出してあげたいですよ」

舞園「けど、ダメなんです……」

舞園「私、見ちゃったんです……」

舞園「別の世界の記憶を……」

葉隠「なんか受信し始めたべ……。やばいべ」

山田「これ以上属性を追加するのはやめなされ……」

舞園「その世界で、私は桑田君を殺そうとするんです」

桑田「ホァッ! ちょ、なんで、いきなりオレ?」

舞園「……ごめんなさい。桑田君」

苗木(嘘とは思えないほど、真剣な様子で舞園さんは語りだした)

苗木「……舞園さん」

舞園「けど、結局、私は殺されちゃって……」

舞園「それを皮切りに、次々と殺し合いが起きて……」

舞園「……最後は5人になっちゃうんです」

舞園「最期の瞬間まで、苗木君は頑張ってたんです」

舞園「けど、結局、プレスで苗木君は……」

舞園「足りなかったんです……希望が……。あと少しでみんなの心に届いたのに……」

舞園「江ノ島さんに負けてしまったんです」

舞園「希望が足りなかったんです……」

舞園「あと少しだけ……!」

舞園「だから、私は守ります!」

舞園「みんなが絶望に負けなくなるまで!」

舞園「これは江ノ島さんとの賭けなんです」

舞園「江ノ島さんはあざ笑ってますけど……」

舞園「みんなが絶対的な希望になれるのを私は信じてますから!」

??? モニターの前

江ノ島「最高だよ! 舞園! ただのお豆腐メンタルじゃなかったんだね!」

江ノ島「ぎりぎりのところですがりつける希望を見つけてやがる!」

江ノ島「中途半端にある希望が、無自覚の絶望を引き立たせてる!」

江ノ島「自覚のない絶望を無差別にまき散らす無自覚の絶望!」

江ノ島「まじ絶望的ーーーーーーーーーー」

江ノ島「今の舞園はただの雑魚じゃない」

江ノ島「ちょっとすごい雑魚だ!」

戦刃(盾子ちゃんがキャラを変えることも忘れて楽しそうにしてる……)

戦刃(モニターの向こうでは、舞園さんが見たこともないほど鬼気迫る表情でしゃべっていた))

江ノ島(まじすげえよな?)

戦刃(……え? 直接、心に!?)

モニターの舞園「あの世界で苗木君は死んだ私の部屋を見て、何度も悲しんでいました」

モニターの舞園「苗木君は全てを引きずって行きました」

モニターの舞園「これ以上、苗木君にそんな悲しい思いをさせたくない」

江ノ島「まぁ、それは冗談だけど……むくろ姉ちゃん?」

戦刃「……」

江ノ島「どういうことか疑問に思ってる?」

戦刃(私は頷く)

江ノ島「あの機械はただ記憶を戻すだけじゃなくて……」

江ノ島「仮想現実ってか、すごい現実感の夢を見せられるんだー」

江ノ島「いわゆるバーチャルリアリティってやつ?」

江ノ島「それで、舞園の考える殺し合い学園生活を再現したんだ」

江ノ島「細かいところは私が超高校級の分析家として集めた知識を利用したけどね」

江ノ島「まぁ、苗木なんかにあそこまで追い詰めらるとか……本当はあり得ないけどね!」

江ノ島「舞園マジ乙女。美化されすぎでしょ! 盾子ちゃん、マジ激おこ!」

江ノ島「だから、最後だけちゃんと現実を見せてあげました!」

VR技術キタ━(゚∀゚)━!!!!

江ノ島「おかげで見てよ……お姉ちゃん……」

江ノ島「苗木の希望を捻じ曲げる……舞園さんの姿を」

戦刃(舞園さん、苗木くん……)

戦刃(もし、ここに一生住むことになったら、不自由はさせないから……)

戦刃(それくらいはするよ……)

江ノ島「お!」

江ノ島「すげぇ、今の舞園は、超高校級の助手とかそんなチャチなもんじゃねぇ」

江ノ島「超高校級の苗木キラーだ!」

江ノ島「おそろしいものの片鱗を味わったぜ!」

苗木「希 望 を 捨 て ち ゃ ダ メ だ ! !」

苗木「希 望 を 捨 て ち ゃ ダ メ だ ! !」

苗木「希 望 を 捨 て ち ゃ ダ メ だ ! !」

苗木「希 望 を ………「それは違います……」   」

舞園「苗木君……みんな希望を持ってないわけじゃないんですよ」

舞園「みんな心の中に持っているんです」

舞園「絶望に屈しているわけじゃないんです」

舞園「けど……それ以上の不安が、その足を止めるんです」

苗木(そんなこと……)

舞園「ないと言い切れますか?」

苗木「………ぅ。なんで」

舞園「エスパーですから」

苗木(誰かの希望を取り戻そうとしても、舞園さんがそれを防いでしまう」

苗木(まるで頭の中をのぞかれているみたいだ……)

舞園「私、苗木君のことならなんでもお見通しなんです」

舞園「ねぇ、苗木君……みんな静かですけど……全員が絶望していると思います」

苗木(そう言われて、ボクは周囲を見回した)

苗木(絶望に侵されている者、冷静な者、展開についていけない者……)

苗木(温度差がある……)

苗木(全体が絶望に向かおうとしているのに、足並みはそろっていない)

苗木(頑張っても頑張っても、から回っているような感覚……)

舞園「ねぇ、セレスさん?」

セレス「……なんでしょうか?」

舞園「絶望してますか?」

セレス「……いえ。してませんよ」

苗木(それはきっと本心だ……。希望にあふれているわけではないが、絶望しているわけでもない)

苗木(ただ……勝算が見込めないから勝利を降りようとしている)

苗木(ただ、冷静に判断しているんだ。進路調査は何回でもできるから……)

苗木(けど……そういう人がいる反面……)

十神「馬鹿な……十神が……滅亡など……」

苗木「……十神クン」

苗木「希 「十神君、希望を捨てちゃダメです……」」

苗木「な……」

舞園「まだ十神君がいるじゃないですか」

舞園「私たちは仲間です」

舞園「復興のお手伝いしますよ」

舞園「私たち、みんな、2年間の生活では本当に仲が良かったんですよ」

舞園「十神君が外の世界で十神家復興をする自信がつくまで……」

舞園「このシェルターの中で……揺るがない希望を身に着けるまで……」

舞園「みんなで支えあいましょう」

苗木(ボクが何かを言おうとしても、それをさえぎり)

苗木(ボクが言おうとしていたことに近いけど、何かが違う……)

苗木(そんな言葉を舞園さんはしゃべりだす)

桑田「つーかさ……」

桑田「どちらにせよ……舞園が『外に出る』って言わなければ……」

桑田「外に出れないんだろう?」

苗木「く、桑田クン……」

苗木(舞園さんに殺そうとした……と言われてから、)

苗木(絶望ではなく、怒りや失望に満たされた桑田くんが次々にしゃべりだす)

苗木(その言葉が……周囲に伝染する)

苗木(少し前に、大神さんを評したときのように……)

桑田「オレたち……今、ここにいるだけ無駄じゃん……」

桑田「どうせ、舞園は苗木の言葉しか聞かねーし」

桑田「むしろ、ネガティブな気分をうつされるだけじゃん」

「「「「……」 」」」

苗木(中立の立場にいる人たちもだんだんと……この場にいる気力をなくしていく……)

苗木(誰も何もまだ失っていない)

苗木(少なくとも、失っている自覚がない)

苗木(誰かが言ったな……)

苗木(「まだ実感がないって……」)

苗木(本当だ……)

苗木(明日になれば、どうにかなるかもしれない……

苗木(そんな空気が生まれつつある……)

舞園「みんなの発言も少なくなってきましたし……」

舞園「ここで第一回進路調査は終わりにしましょうか?」

苗木(クソッ……)

苗木(舞園さん……キミは本当にこれでいいのか?)

助けて霧切さん!

苗木(だけど……舞園さんに何を言えばいい……?)

大神「待て」

苗木「……?」

苗木(大神さんが全員に聞こえるように声をあげた」

大神「舞園……お主に何があったのか……何を見たのか……」

大神「それを理解することは我には叶わん」

大神「苗木と道を違える覚悟があるというのなら、我から言うことは何もない」

舞園「……はい」

大神「だが……他の者たちよ」

大神「今、お主らが押そうとしているのは『外に出る』か『そうでない』かではない」

大神「『外に出る』か『中に残る』かだ」

大神「覚悟がない者は押すべきでない……」

大神「我は、お主らに救われた、許された」

大神「以前の我は未熟であった……流されるだけの人間であった」

大神「だが、同じ過ちは繰り返さぬ」

大神「今こそ、あのときの恩を返すべき」

大神「お主らが流されていくというのなら、我はこの身を持って、お主らを繋ぎ留めようぞ」

大神「苗木よ……。我は貴様についてゆく……」

大神「貴様と舞園が共に笑いあい、我や朝日奈とともに語らっていたときの姿と……」

大神「今、ここで舞園が見せている姿……」

大神「我には、以前、お前たちの見せた姿の方が魅力的に見える」

苗木「大神さん……」

舞園「……申し訳ないんですが、もうそろそろ時間がありません」

舞園「議論のための時間は、30分を切りました」

舞園「どうしますか、苗木君?」

舞園「私は折れませんよ」

舞園「1か月あれば別かもしれませんが……」

苗木(正直、きつい……)

苗木(現実的に考えるなら、1か月かけて説得したほうがいい……)

苗木(けど……何かが違うともささやいている)

苗木(目まぐるしく回る選択肢の中で……)

苗木(ボクは……)

→現実的に考えて、1か月かけて説得する

苗木(ボクは……この場は耐えることにした)

舞園さんとはその後の30分も話し合ったが……やはり、決着はつかなかった。

そして……次の日から、舞園さんが取り仕切る学園生活が始まった。

ボクと舞園さんは孤立していた。
舞園さんはみんなに対して、変わらない態度を取るけど……。
みんなは舞園さんに対して自分から近づこうとはしなかった。

ボクは舞園さんと何度も話し合った……。
けど、何も変わらない……。
平行線のまま、ボクたちは何度も進路調査に臨み、何度も負けた。

舞園さんと、(事務員になった)戦刃さんは、
生徒のみんなに優しく……用意できるものは何度でも用意してくれた。
そうして、みんな牙をなくしていった。

あるとき、誰かが舞園さんを殺そうとした。
けど、校則のせいで、それは許されなかった。
舞園さんは学園長だから……。

いや、それどころが生徒でもあるから、舞園さんを殺すと学級裁判が開かれるらしい。
それを聞いて、誰も舞園さんに対して何もしなくなった。

「苗木君にだったら、殺されてもいいですよ?」
「私を乗り越えていくことが、苗木君の希望なら……」

あるとき、舞園さんはそんなことを言った。
ボクの手は舞園さんの首にかかっていた。
けど、締めることはできなかった。

ボクは今日も収穫されることなく、熟れて、腐ってしまった希望の実を持ちながら、学園生活を送っている。

舞園「苗木君……苗木君が超高校級の希望になれるその日まで」

舞園「私はずっと一緒にいますから……」

狛枝「希望である君たちの踏み台になるよ!」

舞園「私を苗木くんの希望を大きくするための踏み台にしてください!」

オリジナルよりはるかに興奮する不思議! 性的な意味で

セレス「戦刃さん……でしたっけ?」

戦刃「うん……」

戦刃(目の前には……顔の左半分に包帯を巻いたセレスさんがいる)

戦刃(昨日、舞園さんを殺そうとして左目を奪われたんだ)

戦刃(私は、その看護をしている……)

セレス「以前、何かで見たのですけれど……」

セレス「七つの大罪という考え方がキリスト教圏にありまして、そこに怠惰というものあるんですよ」

セレス「怠惰っていうと、恰好があまりよろしくないですが……」

セレス「恰好よく言うならば、無気力や虚無感とかいうのかもしれません」

セレス「で、さらに俗説なのですが……七つの美徳というのがあり、」

セレス「怠惰の対になるものは、希望なんですよ」

セレス「なぜか……急に思い出して、わたくし……笑ってしまいそうで」

セレス「案外、希望の天敵というのは、わたくしたちが誰でも持っている」

セレス「そんなつまらないものなのかもしれませんよ」

戦刃(牙の折れていなかった……最後の一人がそう言って……静かに涙を流した……)

エピローグ(非)完

セレスさんらしい比喩でグッときたべ

乙(?)

→現実的とかは置いて、今やろう
→やるべきだ

苗木(……今、ボクは何かを見た)

苗木(……白昼夢のような何かを……)

苗木(……誰も笑っていなかった)

舞園「どうしました? 苗木君?」

苗木「いや、ボクも何か夢を見たよ……」

葉隠「ひーーーーーー。ついに苗木っちのアンテナが本物のアンテナになったべ!」

葉隠テメェwww
電波受信ってことかwwwwwwww

舞園「……?」

苗木「おそろいだね」

舞園「は、はい……?」

苗木(……とはいえ、どう言えばいいのかはまだ分からない)

苗木(だけど、今この場で舞園さんを説得しなければ……)

苗木(何かが終わる……)

苗木(そんな予感があった……)

苗木(ボクはしっかりと背を伸ばして、舞園さんを見る)

「「「「「「…………」」」」」」

苗木(場の空気が変わる気配……)

苗木(だが、まだ分からない。どこに向かって、飛び込むべきか)

苗木(舞園さんの言葉か、思想か、感情か……それとも他の誰かか……)

霧切「……苗木君」

苗木(セレスさんと同様に沈黙を保っていた霧切さんが急に口を開いた……)

霧切「記憶と一緒に急に思い出したことがあるわ」

霧切「推理も思考も行き詰ったら……」

霧切「最初からやり直すべきよ」

霧切「焦ってはダメ……今、本当に言いたいこと、証明したいことを言うの」

苗木「霧切さん……」

霧切「……昔、そんな風にして事件を解いたことがあるわ」

霧切「……感情も同じように解けるかもしれない」

霧切「私に記憶を取り戻させたことを……彼女たちに後悔させてあげて」

苗木「分かったよ……」

苗木(ボクの原点……)

苗木(……それは希望でもなく、幸運でもない)

苗木(ずっと勘違いしていた)

苗木(ボクの長所は……)


   舞園「苗木くんはいつだって前向きで……」

   舞園「いつも私の背中を押してくれます!」


苗木「人より少しだけ前向きであることだよ」

苗木(ボクは真正面に立つ舞園さんへと視線をぶつけた)

苗木(江ノ島盾子……舞園さんの席をボクの正面にしたことも一緒に後悔してもらうからな!)

苗木「……そういえば、この学園に来てから……ずっと、後回しにしてきたものがあったよ」

苗木「進路調査に関係があるのか、ないのかは分からないけど」

苗木「せっかくだから、みんなの前で言いたいんだ」

苗木「いいかな……舞園さん?」

舞園「……時間がなくなってもいいのなら」

舞園「……けど、苗木君が何を言っても、みんなの心は簡単には動きません……もちろん、私もです」

苗木「……そう。じゃあ……行くよ」

舞園(苗木君が深呼吸をしています……もしかして、今から言うのが最後の策なんでしょうか?

舞園(それが現在の苗木君の持つ最大の希望……?)

舞園(江ノ島さんに通じるのなら……いいんですが……?)

苗木「舞園さん――」

舞園(……? 苗木君なんか顔が赤いな。どうしたんでし……)



苗木「好きだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


舞園「はえ……?」

や…やった!さすが苗木!俺たちに出来ない事を(ry

ふえ……?

ぴよ……?

??? モニター前

江ノ島「ブフッ…………」

戦刃「じゅ、じゅ、盾子ちゃん……大丈夫?」

戦刃「はい、ティッシュだよ」

戦刃「ペットボトル口に付けながら、パソコン見るのは、こういうことがあるからあんまりよくないよ」

江ノ島「いや、そんなんどうでもいいんだよ!」

江ノ島「なんで、苗木、こんなこと言ってんの?」

江ノ島「……は? 意味わかんね……」

戦刃「え……どうして?」

戦刃「苗木君が舞園さんのこと好きなのは前から分かっていたことでしょ?」

江ノ島「いや、だからそんな場合じゃないって……」

戦刃(変な盾子ちゃん……)

戦刃(けど、苗木君……ついに言ったんだ……)

戦刃(すごいなぁ……)

戦刃(……? …………今、私、安堵したのかな?)

「「「「「「おおおおおおおおおおおおおお」」」」」」

舞園「え、ちょ、苗木君……何言ってるんですか!?」

舞園「み、みんなの前で恥ずかしいですよ」

苗木「それは違うよ!」

苗木「ボクだってはずかしいよ!」

舞園「それ、違くないですよ!」

舞園「そ、それに……わ、私なんかでいいんですか?」

舞園「私なんて、助手ですよ!」

舞園「せいぜい、苗木君がもっと輝けるようにスポットライトを炊くのがせいぜいで……」

舞園「苗木君に全然ふさわしくないですよ!?」

舞園「わ、私から告白することはあっても……」

苗木「今度こそ――! ――それは違うよ!」

苗木「舞園さんはボクにとって永遠のアイドルだよ!」

苗木「スポットライトを焚くのは、ボクの役目だ!」

苗木「誰にも渡さない」

舞園「同情とか……この場をしのぐための嘘ですね! 騙されません」

舞園「もう耳をふさぎます! いいです……苗木「好きだあああああああああああああ」きゃあああああ。もう恥ずかしいぃぃぃぃ――」

苗木「よく聞いて! 舞園さん!」

苗木「前にも言った……ボクの好きな人の特徴――」

苗木「今まで隣で見てきて、少し変わったから……」

苗木「それを聞いて、もう一回、ボクを恋人にするかしないかを考えて!」

舞園「もう一回って、なんですか!? 私、どこでその一回聞き逃したんですか!?」

ポゥ

>>707
某エロゲの部族さん思い出した

駄目だこれ読んでる方が恥ずかしくなってくる
なんで俺にはこんな風に恥ずかしい青春が訪れなかったんだ

誰か>>709に《希望》のコトダマ撃ち込んでやれ

>>709
リアル未成年の主張を学校でやって交際したのに三ヶ月後に寝取られた俺よりマシさ

なんだよこの糞展開!!
ふざけんな!枕死ね!




霧切「よし、書き込み…」カタカタ

>>713
矢吹に比べたらまだましだな



どっちにしろ悲惨だけど

苗木「虫も殺さないような清らかな心は持っていないかもしれない……」

モノクマ「不純異性交遊禁止! ラブコメ禁止!」

石丸「いや、これは不純ではない――」


舞園「……う」

モノクマ「さむいさむいよー」

腐川「げ、現実にこんな小説みたいな恋愛があるなんて――」



苗木「けど、悪いことを悪いと思って、悩む心を持っている……!」

モノクマ「ばっくはつ! ばっくはつ!」

山田「爆発しろとか言ってる場合じゃねェ……はやく乗らねばこのビッグウエーブに――」


苗木「そして、その悪いことを恥じてきた……」

モノクマ「桑田君、舞園さんの悪口はよ」

桑田「さっきは悪かったな……お前らマジパネェ――」

苗木「そんな人間味あふれる真面目で責任感のあるキミが好きだ!」

モノクマ「クソーー、オマエラーー、怒るぞーーー」

朝日奈「これが大人の恋愛なんだね……!?」

モノクマ「それは違うよ!」


苗木「キミは確かに悪い事をしそうになったことがあったのかもしれない」

葉隠「オレもそういうことあるべ」

モノクマ「オマエはいつもだろ!」


苗木「けど、その根底にはいつだって、大切に思っている誰かがいる」

モノクマ「どうしてこうなった! どうしてこうなった!」ヨヨイノヨイヨイ

不二咲(すごい、どうやったら、あんなに器用に機械の関節を動かせるんだろう?)



苗木「アイドルになろうとした舞園さん……」

大和田「オレもこうやりゃ……彼女できんのかな」

モノクマ「……は? 絶望?」

モノクマうるせえwww

苗木「グループの仲間の命を聞いて慌てる舞園さん……」

セレス「わたくしもAランクのナイトにはこれくらい言わせましょう」

モノクマ「……たえちゃんには無理でしょう」

セレス「このビチグソがああああああああ!」

モノクマ「叩いたな!?」


苗木「そして……今だって!」

モノクマ「よくもやったな。八つ当たりしてやる! グングニ…………あれ?」

十神「馬鹿が……貴様、今、学園長じゃないのだろう? 校則は適応されん」


苗木「そんな思いつめがちだけど、真面目で責任感のある君が好きだ!」

大神「ふむ…………」

モノクマ「暴力反対!」


苗木「だから……ボクで良かったら……付き合ってほしい――」

モノクマ「…………」

霧切「みんな、うるさいわね……」

>モノクマ「ばっくはつ! ばっくはつ!」

この場で爆発出来るのお前くらいだろ……

モノクマのガヤをサイレンサーなしで突破する苗木くんの漢気

>>731
モノクマの だいばくはつ!

舞園「苗木君……」

舞園「本当に……私でいいんですか……?」

苗木「もちろんだよ……!」

舞園「……それでも、私は『中に残る』を選びますよ」

苗木「いいよ、ボクには希望ってなんだか分からないけど……」

苗木「いつか……舞園さんの考える希望よりもすごい人になるよ」

苗木「そしたら、一緒に出てくれるんだよね?」

苗木「それに……もしかしたらって思うんだ」

苗木「今回、この中でボクはみんなに出会った……

苗木「舞園さんにも出会った……」

苗木「絶望の中にもいろいろあるんじゃないかなって……」

苗木「ボクはみんなのような夢を見つけたいなって思ってるんだけど」

苗木「……もしかしたら、こういう場所にも転がっているのかも」

舞園「……そうなんでしょうか?」

苗木「うん……」

苗木「例えば、舞園さんも知ってる……」

苗木「超高校級の絶望だっけ……?」

苗木「本物の江ノ島盾子には会ったことがないから分からないけど……」

苗木「戦刃さんには、絶望でも軍人でもない才能があったじゃないか」

苗木「舞園さんも言ってたよね」

苗木「芸能人としても1ブーム起こせるって……

苗木「それは立派なみんなを楽しませてくれる才能だよ!」

苗木「絶望の中にも絶望以外のものはあるんだよ」

苗木「誰かとの関わり合いで、それが大きくなったり、小さくなったりする」

苗木「それらを探すこと……それが希望じゃないのかな?」

このSSでところどころ見かける解釈がスゴく好きだ

??? モニター

江ノ島「むくろお姉ちゃん……行ってきて……」

江ノ島「いくらでも武器を持ってっていいから……」

江ノ島「こんなの納得できない!」

江ノ島「こんな、失敗したことを絶望的に悲しむ気にもなれない……気の抜ける終わり方……」

江ノ島「もう一回、全員の記憶を消して……やり直す!」

江ノ島「だから…………? むくろ? お姉ちゃん?」

戦刃(私の中にも……人を楽しませる才能があるの……?)

戦刃(軍人だけじゃなくて?)

戦刃(舞園さんがすごいと思うほどの……?)

江ノ島「…………ねぇ?」

戦刃(私は盾子ちゃんを見た……)

戦刃(盾子ちゃんの好きなものは絶望……きっとそれは変わらない)

江ノ島「…………」

戦刃(けど、もしかしたら、盾子ちゃんが知らない絶望や……)

戦刃(絶望以上に好きになれるものが……)

江ノ島「…………」

戦刃「……ねぇ。盾子ちゃん」

江ノ島「…………なに?」

戦刃「……私、分からなくなっちゃったよ」

江ノ島「…………………………………………そう」

江ノ島「実の姉の残念具合に……アタシも絶望的に分けがわからないよ」

戦刃「……ごめんね」

江ノ島「……もういいかな」

江ノ島「元々、同じことを何回もやるなんて……キャラじゃないしね」

舞園「苗木君……」

苗木「……時間はあともう少しだね。今回は舞園さんの勝ちでいいよ」

苗木「……けど、ボクはあきらめないから」

苗木「何回だって……ボクは前を向いて歩くよ」

苗木「キミはボクの中に希望を見出すことができないのかもしれないけど」

苗木「ボクはキミの中に希望を見ているよ」

舞園「…………」

苗木「――キミがボクの希望なんだ」

舞園(そのとき、私には見えました)

舞園(苗木君の言葉が……)

舞園(まるで弾丸のように私の心を撃ちぬきました)

舞園(地面に足がつく感覚……)

舞園「私は苗木君の……いえ、苗木君の希望に恥じないくらいのアイドルに……」

舞園「もう一回なってみようと思います」

舞園「……だから、ずっと見ていてくださいね」

舞園(私は呼吸を整えて……言いました)

舞園「私は苗木君と一緒に『外に出たい』です」

くっさ
糞展開すぎ。作者氏ね
枕キモ



霧切「書き込み…書き込み…書き込み…!」カタカタ

……

…………

……………………

舞園(その後、外に出た私たちは希望ヶ峰学園のOB・OGが組織する、とある機関に保護されました)

舞園(世間を騒がす絶望の残党は……まだ世界にいっぱいいるらしいですが)

舞園(彼らにとってのカリスマである江ノ島さんが急に姿をくらませたため、)

舞園(その多くは、江ノ島さんの行方を追うことに執着し、)

舞園(事件をほとんど起こさなくなったらしいです)

舞園(といっても、どこに絶望に染まった人がいるかは分からず……油断はできません)

舞園(ちなみに、戦刃さんですが、彼女も江ノ島さんと一緒に姿を消したみたいです)

舞園(彼女が江ノ島さんとして使っていた部屋には、彼女が残したと思われるメモがありました)

「みんな、ごめんね――特に舞園さん」

舞園(あんなことをされたあとなのに、不思議と彼女を恨むことはできません)

舞園(超高校級の絶望……それは、私の中にあるもうひとつの未来なのですから)

舞園(なお、私にとって一生の黒歴史となった……進路調査での光景は……)

舞園(全国に放映されていたため……)

舞園(私のアイドル活動再開は絶望視されています)

舞園(そもそも……世界がそれどころでもないかもしれませんが)

舞園(全てが解決しても……ダメかもしれない……というのは少し悲しい気分になります)

舞園(この前も知らない人から、「枕」って言われて、石を投げられました……)

舞園(けど…………!)

舞園(負けません!)

舞園(アイドルに戻れなくても……平和な世界で……)

舞園(お茶の間を楽しませる才能が私の中に他にもあるかもしれません)

舞園(だから、舞園さやかは今日も頑張れます)

石投げたのは変装した霧切さん

舞園(ちなみに……苗木君の方はどうかと言いますと……)

山田「――キミがボクの希望なんだ」(キリッ)
桑田「――キミがボクの希望なんだ」(キリッ)

苗木「ちょっと、やめてよ!」

桑田・山田「「なんか、しばらくしたら少し腹が立ってきたんだよ(ですぞ)」」

セレス「あらあら……」

舞園(食堂とかに何人かが集まると……定期的にこんな出来事が繰り広げられます)

舞園(苗木君の告白も全国生中継でしたから……)

舞園(たぶん……一生人々の記憶に残るでしょう)

カチッ『霧切さん』
カチッ『キミがボクの希望なんだ』

霧切「私も、あなたが私の希望よ」

カチッ『霧切さん』
カチッ『キミがボクの希望なんだ』

霧切「嬉しいわ、苗木くん」


霧切「……ぐすっ」

>>776
諦めちゃダメだ!
希望は前に進むんだ                クマ

セレス「……今日もにぎやかですわね」

舞園「そうですね……」

舞園(他の78期生もみんな元気です)

舞園(あの後、みんな記憶を取り戻し、それぞれの得意の分野や興味のある分野で働いています)

舞園(……なぜかセレスさんは食堂に来るといつもいるような気がしますが)

セレス「……そういえば、舞園さん。ふと思いついたことがあるのです」

舞園「……はいなんですか?」

セレス「希望と絶望の話です」

セレス「有名な逸話ですが、パンドラの箱というものがあるでしょう」

セレス「絶望の中にある他のもの……有名ですから分かりますね?」

舞園「希望……ですね」

セレス「あのとき、苗木君があなたに言ったことみたいでしょう」

話を上手い事持っていくな
本当凄いわ

舞園(そう言うと……セレスさんは立ち去りました)

舞園「絶望の中ので見つかるもの……ですか」

舞園(絶望した人たちの中から希望を掬い上げて……その人に見せる)

舞園(そんなことができるといいですね……)

苗木「ふー……。今日もひどい目にあった」

舞園「お疲れ様です♪」

苗木「夢を探すどころじゃなくなっちゃうよ、まったくもう……」

舞園(そう言いつつも苗木君はちょっと嬉しそうでした)

舞園(日常の些細なことに幸福を感じられる)

舞園(……それが苗木君の超高校級の幸運なのかもしれませんね)

舞園(そんな苗木君なら、希望を絶望に落とした江ノ島さんのように)

舞園(絶望を希望に戻せるかもしれませんね)

舞園(今度、相談してみましょう……)

舞園(けど、その前に……)

舞園「じゃあ、お疲れ様のご褒美です」チュッ

苗木「ま、舞園さん……いきなり!!」

舞園「うふふ、大好きですよ、苗木君」



舞園(いつまでも一緒にいてくださいね、私の希望の苗木君……)

エピソード(正) 完

いやー面白かった
長時間お疲れ

このスレが言及されてるw

霧切「苗木君、今日は私の誕生日よ」
霧切「苗木君、今日は私の誕生日よ」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1381055659/)

1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2013/10/06(日) 19:34:19.36 ID:hmTzuiXWP

苗木「そうなんだ、おめでとう」

霧切「ありがとう。でもおかしい事があるの」

苗木「おかしい事?」

霧切「えぇ、だって誕生日ってその人にとって、それなりに重要なイベントよね?」

苗木「うん、まぁそうだよね」

霧切「それなのに、ナエギリ純愛物のSSが一つもないのよ」

苗木「……そ、そう」

霧切「しかも当て付けのように枕……いえ、舞園さんの純愛SSはあるのに」

苗木「えーと、つまり?」

霧切「つまり、あなたにナエギリSSを書いてほしいのよ」

苗木「やだよ、ボクはセレスさんが好きだし」

霧切「…………」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月10日 (木) 08:57:00   ID: q61KJZm5

正直外に出るルートは蛇足
そこまであった説得力の欠片もないし

2 :  SS好きの774さん   2013年11月08日 (金) 22:22:44   ID: rxO1AwyH

好きだったぜ、このスレ

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