まどか「ほむらちゃんは私が好きなの?」(1000)

みたいな

ほむら「また……ダメだった」

ほむら「私はいつまで、まどかが苦しむ所を見続ければいいの?」

ほむら「もうダメ……私は……もう」

ほむら「ごめんなさい、まどか……ごめんね……」

……………………

………………

シャルロッテ「新しい魔女の誕生なのさ!」

魔女ほむら「? ……ここは」

シャルロッテ「魔女のお茶会へようこそなのさ」

魔女ほむら「……そうか……私は心が折れて魔女に」

魔女ほむら(でも魔女になっても魔法少女だった時の記憶や意識を保っている? この時間軸では誰かがそれを望んだ?)

シャルロッテ「ところで、シャルロッテはスモークチーズが好きなのさ!」

魔女ほむら「ごめんなさい、持ってないわ」

シャルロッテ「しゃろ~ん」

魔女ほむら「でも何で私はここに?」

シャルロッテ「チーズを探しに行った部下が孵化直前の魔女を見つけたのさ! だからお茶会に誘ったのさ!」

魔女ほむら「だから何で?」

シャルロッテ「気まぐれさ!」

魔女ほむら「ああ、そうなのね」

魔女ほむら(話は通じるし、何というかマイルドな感じになってるわね)

魔女ほむら(まあ、そのおかげで私も意識を保ってられるのだろうけれど)

魔女ほむら(それに……もしかしたら今度こそまどかを助けられるかも)

魔女ほむら(皮肉なものね。すべて諦めてから新しい希望が見つかるなんて)

シャルロッテ「それじゃ、さよならなのさ!」

魔女ほむら「あら、まだそんなに時間が経ってないじゃない?」

シャルロッテ「飽きたのさ!」

魔女ほむら「そう、また会えるかしら?」

シャルロッテ「魔女は馴れ合いを嫌う孤高の存在なのさ! でもチーズを持ってきたら、また話をしてやるのさ!」

魔女ほむら「そう、じゃあさよなら」

シャルロッテ「ばいばいなのさ!」

魔女ほむら「さて、シャルロッテとも別れたし、私はいったいどうしたらいいのかしら?」

魔女ほむら「まどかの様子を見に行きたいけれど……」

奇跡的に姿は魔法少女の時とほとんど変わらない。
だが、背中には砂時計やら車輪やらをモチーフにした羽らしきものが生えている。

魔女ほむら「……取り外せるかしら?」

ガタガタ、ボトッ

魔女ほむら「いけた……自分でやっておいてアレだけど、ガンプラじゃないんだから……」

魔女ほむら「でも、会いにいくのが少し怖いわね」

魔女ほむら(私が魔女になったということは、まどかを助けることを諦めて絶望に身を落としたという事)

魔女ほむら「…………」

魔女ほむら「いや、一度は諦めたからこそ。今度こそは絶対に諦めない!」

魔女ほむら「ということで、いつも通りに転校生として」

?「サーセン、マジサーセン」

魔女ほむら「誰!?」

使い魔「サーセン、サーセン」

魔女ほむら「……盾が浮いてる」

だが、魔女になったほむらは瞬時に理解した。
目の前に浮かぶ盾は自分の使い魔だと。

魔女ほむら「盾の中央に目玉……私のやりたい事、求める事の手助けのために、私が無意識に創りだした存在」

魔女ほむら「…………」

魔女ほむら(まどかを見守る、という事かしら……ふふ、私もまだ腐ってないわね。魔女だけど)

使い魔「サーセン、マジサーセン」

魔女ほむら「でも、この鳴き声はどうにかならないの?」

あまりの眠さに意識が手ぶまくってござる。

~数日後の学校~

魔女ほむら「暁美ほむらです。よろしく」

魔女ほむら(魔女は常人には見えないと思っていたけれど、『見せよう』とすれは認識させる事も可能なようね)

魔女ほむら(……まあ、魔女にはメリットがないし、する意味が無いだけなのだろうけれど)

魔女ほむら(とにかく、今度こそアナタを助けるわ。まどか)

まどか「……?」

さやか「転校生と知り合い? めっちゃガン飛ばされてたけれど」

まどか「う、うん。知ってる人というか、見たことがある人っていうか」

魔女ほむら「…………」

魔女ほむら(ふう、特に変わりは無いようね)

魔女ほむら(なら、後は今まで通りに……)

まどか「……?」

ほむらの視線に気付いたまどかが苦笑いを浮かべる。

魔女ほむら「……っ!!」

いつもならば、ほむらは胸を痛めながらも、まどかを遠ざけるために冷たくあしらってきた。

だが、魔女化して倫理観だの自制心だのが希薄になったほむらにはまどかの笑みを無視する事は出来なかった。

魔女ほむら「…………」スタスタ

まどか「え、あの……」

ほむらがまどかの席の前に立つ。

まどか「あ、暁美さん?」

魔女ほむら「ほむらでいいわ、鹿目まどかさん」

まどか「あ、うん……」

魔女ほむら「ふぅ」

そしてほむらは一息つくと、まどかに右手を差し出した。

魔女ほむら「これからよろしく」

まどかは困惑した表情を浮かべるがそれも一瞬。
その意図をすぐに察すると満面の笑顔に変わって、ほむらの右手を握りしめた。

まどか「うん、よろしくね。ほむらちゃん」

魔女ほむら「……っ!!」

まどか「えっ?」

魔女ほむら「う、うぅ……ぐすっ……」

さやか「まどかが転校生を泣かした!」

まどか「えっ違うよ! さやかちゃん」

まどか「ほむらちゃんどうしたの? どこか痛いの? 私、保健委員だから保健室までついていくよ」

魔女ほむら「ううぅ……」

魔女ほむら(ありがとう、まどか……今度こそ、今度こそ絶対に守ってあげるからね……)

さやか「泣くなよ~、転校生~」

~放課後~

さやか「CDを買いに行くから一緒に~」

まどか「あっ! ほむらちゃんも一緒にどうかな?」

魔女ほむら(確かキュゥべえと接触するのがこの後ね)

魔女ほむら(なら先回りして、排除すれば)

魔女ほむら「えぇ、一緒に行こうかしら」

まどか「わ~い」

魔女ほむら(口が勝手にぃっ!? 魔女化のせいなの!?)

魔女ほむら(し、仕方ないわ。せめて可能な限り危険から遠ざける方向で、アドリブ同行するしかないようね)

眠くて頭がティロティロするけど支援

仁美「新しいのが結構と……」

まどか「あっ試聴出来る、ふんふ~ん~」

魔女ほむら「…………」

魔女ほむら(可愛いわ、ヘッドホンまどか)

魔女ほむら「いとおしいわ、思いっきり抱き締めてあげたい」ブシュー

さやか「心の声と鼻血が噴き出してんぞ、転校生」

さやか「ってあれ? まどかがいない?」

魔女ほむら「…………あっ」

魔女ほむら(し、しまった!? まどかのあまりの可愛らしさに我を忘れてトリップしてしまうなんて……!)

魔女ほむら「このままではまどかが危ない!」ブシュー

さやか「とにかく鼻血を拭こうや」

まどか「誰? 誰なの?」

?「タスケテータスケテー」

まどか「ここにいるの?」

さやか「ちょーっと待った!」

魔女ほむら「やっと追いついたわ」

まどか「あっ、2人とも」

さやか「何も言わずにどっか行くなんてひどいぞー」

まどか「ご、ごめん。でも誰かが私を呼んでるの」

さやか「? 何も聞こえないぞ?」

まどか「ほ、本当だよ!」

魔女ほむら「……」

               /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
=|=           /:/r三三三三三|:::::Vヘ::::::.ヘ

c'-             /::::〃::j::::::ト::::::::、ュヾ-‐:::::::Vヘ:::::::ヘ
ヽノ ''          /:::::::::l::/ヾ::|`¨¨j斗七ヾ::::::::Ⅵ:::::::::ハ
‘ー           /::::::::/lて ヾ  ¨|lllllllll  |:::::::::l|/ヽ::::::::,
_j__丶          /:::::::::| TlllT    |lllllllllO |::::::::::|┐ }:::::::::,
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           /:::::::::::::j//////         |::::::::::|‐'´:::::::::::::ヘ
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 │       /:::::::::::::::\"    `¨¨´|!  ,イ:::::l::::!ニニヾ::::::::::::::::::\
 │      /::::::::::::::::::/`ーr-  _||-‐´j:::::/::/ ヽ`ヽ:::::::::::::::::::::\
  ・     /´|:::::::::::/    j::::::::::::::r'ハlll/::/;イ    l  \:::::::::::::::::::
  ・     /  |::::::::/     /::::::r‐-.|/ll/::/lll|:.| /  |/    \:::::::::::::
  ・         l:::::/    /::::::::::}三ジ/イl:.V:..!/   |     \::::::::
          ゞ/     /:::::::::::::/  〃..Vll|:..:..:/   .|       \:::

魔女ほむら(ここでキュゥべえとの接触を避けられたら、まどかが危険に巻き込まれる確率も激減するわね)

魔女ほむら「とにかく、仁美さんも店に1人っきりだし、早く帰りましょ」

まどか「で、でも」

魔女ほむら「それに、勝手に入っちゃダメでしょ? 不法侵入よ」

まどか「う、うん……そうだね」

まどかは後ろ髪を引かれるような目で建物を見ていたが、友人を待たせている事につけて不法侵入という言葉が効いたらしい。
まどかはゆっくりと建物から離れていく。

魔女ほむら(よし、これで……)

マミ「あら? どうしたの貴女たち?」

魔女ほむら(ほんと、いいタイミングでしゃしゃり出てくるわね、こいつッ!!)

まどか「かくかくしかじか」

マミ「なるほど、貴女もキュゥべえに……」

まどか「キュゥべえ?」

マミ「私の友達よ。そうね、一緒に来るといいわ」

魔女ほむら「ちょ、ちょっと何を勝手に話を進めているの!」

ほむらが話に割り込む。
だが、いろめき立つほむらにまどかが懇願するような顔を見せた。

まどか「お願い、ほむらちゃん。どうしても気になるの」

魔女ほむら「仕方ないわね」ブシュー

さやか「鼻血出てるって」

上目遣いにお願いしてくるまどかに思わず即答。
5秒とかからず陥落するほむらの思考だった。

支援

マミ「大丈夫? キュゥべえ」

キュゥべえ「た、助かったよマミ」

さやか「人形? それとも小動物? しかも何でしゃべってるの?」

まどか「あなたが私を呼んでたの?」

キュゥべえ「うん、そうだよ。まどか」

まどか「! 何で私の名前を?」

キュゥべえ「キミだけじゃないよ、そっちの娘はさやかで、そっちの娘は……」

魔女ほむら「?」

キュゥべえとほむらの視線が交差する。

キュゥべえ「……」

魔女ほむら「……」

キュゥべえ「…………」

魔女ほむら「……あっ!」

キュゥべえ「マミ! こいつは魔女だ!」

マミ「!」

まどか「え? 魔女?」

マミ「2人とも離れなさい!! 変・身!」チャラーラー

さやか「えっ? えっ?」

突然の事に慌てふためく2人をかばうようにマミが一歩、前に出る。

マミ「まさか結界から出歩く魔女がいるなんて」

キュゥべえ「確かに驚きだよ。でも間違いない、こいつは魔女だ」

魔女ほむら「くっ!」

魔女ほむら(自分が魔女だという事を失念してたわ! 最悪ね……どうしたら)

魔女ほむら(戦ってもいいけれど、後々まどかとの関係に響いてきそうだし……ああ! もう!)

まどか「ち、ちょっと待って下さい! えっと」

マミ「巴マミ、マミでいいわ」

まどか「マミさん! ほむらちゃんに何をする気ですか!」

マミ「彼女はもう人間じゃない。絶望を振り撒く魔女になったのよ」

さやか「いや、魔女って言われても」

マミ「ほ、本当よ!」

魔女ほむら(……相変わらず打たれ弱そうなメンタルね)

魔女ほむら(これならいけるかしら?)

魔女ほむら「マミさん、落ち着いて」

マミ「触らないで!」パシーン

魔女ほむら「あ、握手しようと思っただけなのに……ひどい」

マミ「うるさいわよ魔女!」

さやか「うわぁー、この人ひくわー」

まどか「……マミさん」

マミ「な、なに? 私は悪くないわ! こいつは魔女なのよ!」

さやか「…………」
まどか「…………」

魔女ほむら「うっ……うぅっ……」

マミ「キ、キュゥべえっ! あいつは魔女なんでしょ!?」

キュゥべえ「間違いない、魔女だよ」

マミ「ほれ見たことか!」

さやか「仁美が待ってるし、帰ろう」

まどか「うん。泣かないでほむらちゃん」

魔女ほむら「……うん」

マミ「…………」

マミ「うっ……」ブワッ

支援っ!!

仁美「みんなどこ行ってたの!」

さやか「危ないヤツに絡まれてなー」

まどか「電波系って言うんだっけ?」

さやか「あー、やだやだ。あんなのとは関わりあいになりたくないなー」

魔女ほむら「……」

魔女ほむら(許せマミ)

魔女ほむら(でも結果だけ見れば、最高だわ)

魔女ほむら(このまま行けば……もしかしたら本当にまどかを……)

魔女ほむら「いや、まだ敵対する魔女を倒せるとは」ブツブツ

さやか「さっきのまだ気にしてるのか?」

魔女ほむら「えっ? いえ」

まどか「あんまり深く考えちゃダメだよ、ほむらちゃん」

魔女ほむら「まどか……!」ブシュー

仁美「まさか2人は!?」

さやか「片方は外れていない」

ほむっ

~深夜~

魔女ほむら「お邪魔するわ」

シャルロッテ「お邪魔なら帰れなのさ」

魔女ほむら「スモークチーズを持ってきたわ」

シャルロッテ「用件を聞くのさ」

魔女ほむら「率直に言うわ、手を組まない?」

シャルロッテ「手に持ってるチーズをくれたら考えるのさ」

魔女ほむら(チーズを渡した瞬間に裏切るわね、こいつ)

魔女ほむら「でもいいわ、あげる」

シャルロッテ「わ~い、なのさ」

魔女ほむら「手を組んでくれるわね?」

シャルロッテ「考えるとは言ったけど(ry」ムシャムシャ

魔女ほむら「ちなみに、そのチーズは液化爆薬を染み込ませた物でね。私のスイッチ1つでボンッ、よ」

シャルロッテ「しゃろ~ん」

シャルロッテ「……そして結界を張ると、結界ごと移動するのさ」

魔女ほむら「ふむふむ」

シャルロッテ「弱った人間の多い病院やら、生命力をがぶ飲み出来る場所がオススメなのさ」

魔女ほむら「殺しても良心の痛まない連中が集まる場所ってどこかしら」

シャルロッテ「結界は魔女の城なのさ、有ると無しでは大違いなのさ」

魔女ほむら「どうやって創りだしたらいいのかしら?」

シャルロッテ「普通は無意識が働いて勝手に出来上がる物なのさ、自分で考えろとしか言えないのさ」

魔女ほむら「そう」

シャルロッテ「あと、お前の置いていったパーツが邪魔なのさ。ちゃんと持って帰るのさ」

魔女ほむら「あら、背中の……忘れていたわ」

魔女ほむら「背部アーマー装着!」カシャーン(アルミ缶を踏み潰したような音)

魔女ほむら「さて、結界を創りましょう」

魔女ほむら「でも、どうやれば」

使い魔「サーセン、マジサーセン」

魔女ほむら「あら、お久しぶり。アーマー装着をしたからかしら?」

魔女ほむら「待って……使い魔の形も無意識を参照する」

魔女ほむら「なるほど、わかったわ」

魔女ほむら「私が望む世界は今も昔も変わらない。例え魔女になっても」

魔女ほむら「THE WORLD これこそ私の世界よ」

ほむらを起点に世界が変質していく。
壁がうねり、大地が裂ける。

やがてすべてが元の静寂を取り戻した時、新しい世界がほむらの前に形成されていた。

魔女ほむら「あら」

球形の白い部屋。
白い壁面には写真や新聞紙を模した、哀愁漂う記憶の欠片。
そのほぼすべてが、まどかと関わりがある事象を映している。
そして空にはどこかで見たような風景が絶えず流れていた。

魔女ほむら「うわぁ……すごく居心地がいい……ってあら? あの部屋の隅にある黒い一角は何かしら?」
黒い一角のアイテェム一覧
・ダブルベッド(どぎついピンク)。
・電マ
・双頭バイブ。
・三角木馬。
・ムチとローソク。
・分娩台

魔女ほむら「…………」

魔女ほむら「まあ……アリかしら?」

使い魔「サーセン、マジサーセン」

>>69追加

・まどか人形(等身大)

魔女ほむら「でも、この結界と使い魔だけじゃワルプルギスの夜には及びもしないわね」

使い魔「サーセン」

魔女ほむら「まだ手札を増やす必要がありそう……どうしたものかしら?」

……………………

魔女ほむら「来たわ」

シャルロッテ「来ないで欲しいのさ!」

魔女ほむら「チーズ」

シャルロッテ「ムシャムシャ」

魔女ほむら「爆破スイッチ」

シャルロッテ「しゃろ~ん」

魔女ほむら「あっという間に結界や力を強化する方法を知らないかしら?」

シャルロッテ「そんなの聞いたこともないさ」

魔女ほむら「……困ったわね」

魔女ほむら「そういえば、ワルプルギスの夜はいくつもの魔女の集合体だったわね」

シャルロッテ「魔女は孤高なのさ、多分無理やり取り込まれているのさ」

魔女ほむら「私にも出来るかしら?」

シャルロッテ「もしやるとしたなら、ボコッて抵抗力を奪った後にジワジワと結界ごと取り込むのがベストなのさ」

シャルロッテ「それよりも……目が怖いのさ!」

~翌日、学校~

まどか「果たし状?」

さやか「いったい誰からだよー、ほむらー」

魔女ほむら「……巴マミ」

さやか「うわっ」

まどか「いた! 窓の隙間からこっちを見てる!」

マミ「!」

3人「かーえーれッ! かーえーれッ!」

マミ「うぅ……」ダッ

さやか「あんま気にするなよ?」

魔女ほむら「そうね」

魔女ほむら(でも、彼女は戦力になるわ。どうしようかしら?)

お昼・屋上

マミ「る~らら~る~」

マミ「今日のご飯はゆでたまご~」

マミ「うふふ、しょっぱい。塩をかけてないのになぜかしょっぱいわ」

マミ「うぅ……」

魔女ほむら「お隣いいかしら?」

マミ「あ、はい…………っ!?」

マミ「貴女は!」ガタッ

魔女ほむら「探したわ、巴マミ。とにかく座りなさい」

マミ「ま、魔女が何を……」

魔女ほむら「目立つと聞こえてくるわよ? ヒソヒソ話が」

マミ「……うぅっ! 座ればいいんでしょ!」

多分、SS書いてた人は1~3話までと最終話近辺しかしらない人だと思うの。
そしてこのまま書き続けると、
↓みたいになると思うの。

ほむら「丸太は持ったか!」

魔法少女たち「おう!」

マミ「で、何の用かしら!」

魔女ほむら「昨日、私たちが帰った後に魔女が孵化したはずよ、倒せた?」

マミ「貴女には関係ないわ!」

魔女ほむら「逃がしたのね。まあ、そうでしょう」

マミ「ぐぬぬ!」

魔女ほむら「聞きたかったのはそれだけ。じゃあ」

マミ「ま、待ちなさい!」

その言葉に、ほむらはマミを背にしてほくそ笑む。
会話を続けようとした時点で、マミはほむらの策略に乗せられていた。

魔女ほむら「なにかしら?」

マミの隣に腰を戻すほむら。

マミ「うっ!」

ほむらを呼び止めた形になるマミは、もう追い返す事も逃げる事も出来なくなった。

マミ「え、えっと貴女は魔女……でしょ?」

魔女ほむら「そうなるわね」

マミ「や、やっぱり!」

魔女ほむら「でも、世を怨んで呪いを振りまくような事はしてないわよ?」

魔女ほむら(とはいえ、名も知らぬ魔法少女の祈りがこの時間軸に働いていなければどうなっていたか)

魔女ほむら(それに、魔女化して生まれた新たな可能性でまどかを救うという、欲望で動いているわけだし)

魔女ほむら(……それで人を襲うという優先順位が激下げされてるだけかもしれないわね)

マミ「良い魔女ですって!? そんなバカなこと!」

魔女ほむら「自分を善人と言うつもりは無いわ。それで貴女は自分を善人と言えるの?」

マミ「言えるわ!」

魔女ほむら「うわっ」

マミ「うわっ、て何なのよ!?」

魔女ほむら「まあ、いいわ。それで本題なのだけれど」

マミ「話を逸らした!?」

魔女ほむら「私と共闘しましょう」

マミ「勝手に話を進めないで! って、何で魔女なんかと一緒に戦わないといけないのよ!」

魔女ほむら「近い内に凄まじい災厄を撒き散らす魔女が出現するわ」

マミ「……それがいったい」

魔女ほむら「話は最後まで聞きなさい。それでその魔女の犠牲者が大量に出るの」

マミ「…………」

魔女ほむら「私はこの街(にいるまどか)を救いたい。それが魔女になっても消えない私の祈りよ」

魔女ほむら「信じてもらえるとは思ってないわ、でもせめて」

マミ「いえ、信じるわ」

魔女ほむら「マミ! ……なら、一緒に!」

マミ「だが断るッ!! この巴マミはお前みたいな優等生キャラの鼻っ柱をへし折るのが好きなんでねッ!!」

魔女ほむら「調子こいてっと首もくぞ」

魔女ほむら「とにかく私の意志は伝えたわ」

マミ「待ちなさい、私の出した果たし状は覚えているかしら?」

魔女ほむら「果たし状、ええ覚えているわ」

マミ「それが私の意志よ。どんなに取り繕っても魔女は人に呪いを振りまくわ。貴女も裏では人を苦しめているんはずよ」

魔女ほむら「まったく、疑り深いわね。私は人畜無害な魔女なのに」

マミ「本当に?」

魔女ほむら「本当よ」


一方その頃、ほむらたちから遠く離れたホストクラブ

ホスト1「」
ホスト2「」
ホスト3「」

使い魔たち「サーセン、マジサーセン」

ほむらの使い魔たちが飛び回る。
ホストたちはプロシュート兄貴にグレイトなフルデッドを食らったような状態になるまで生命力を搾られていた。

マミ「まあいいわ、私のやることは変わらない。今夜、この屋上で果たし合いよ!」

魔女ほむら「今夜? ここで?」

マミ「ええ、それまで貴女には手を出さないわ。最後の1日を心して過ごしなさい!」

魔女ほむら「少しいいかしら?」

マミ「なにかしら?」(ドヤ顔

魔女ほむら「今日は少し遅れるかもしれないわ、……深夜くらいまで」

マミ「あ、あらそう。でも待っていてあげましょう!」

魔女ほむら「絶対に行くから、逃げないでね、動かないでね」

マミ「もちのろんよ!」

魔女ほむら「ありがとう」

~~深夜~~

魔女ほむら「多分、マミって転がる一円玉を追い掛けて地雷原に突っ込む人種ね」

魔女ほむら「マミは来ないだろうし、魔女を取り込むチャンスかしらね」

シャルロッテ「何で自分も連れてこられてるのかなー?」

魔女ほむら「肉盾」

シャルロッテ「しゃろ~ん」
魔女ほむら「とか言ってるうちに……いたわよ!」

結界内を歩き進んできた2人の前に、人の姿とは程遠い姿の魔女が見え始める。
イバラと蝶の羽でつくられた魔女の姿はグロテスクそのもの。

醜悪なその姿に、魔法少女の頃のほむらならば嫌悪感の1つでも湧いてきただろうが、今は何の感情も浮かんで来なかった。

魔女ほむら「話せる相手かしら?」

シャルロッテ「話してみたらわかるよー!」

魔女ほむら「じゃあ行きなさい」

ほむらがシャルロッテの背中を蹴飛ばした。

シャルロッテ「あっ」

「ゴロゴロゴロゴロ」(シャルロッテが転がっていく音)

「ゴンッ」(シャルロッテが魔女にぶつかる音)

「ゴシカァンッ! ゴシカァンッ! ゴシカァンッ!」(シャルロッテが魔女に凹られている音)

「ギュギュー! ブチブチィ!」(シャルロッテがシメられている音)

「ニュニュ~ドキューン」(シャルロッテの中身が飛び出す音)

「バクゥ! モリモリモリモリ」(マミる音)

魔女ほむら「結果オーライ……でも急がないと結界が消えてしまうわ」

魔女ほむら「シャルロッテの中の人、この魔女はどうやったら取り込めるのかしら?」

シャルロッテ「私には分かりません。ですが、生命力を取り込むのとやり方は変わらないと思います」

魔女ほむら「なるほど、ありがとう」

魔女ほむら「はぁぁぁッ!」

結界が揺らぎ、それを構成する力がほむらの体へと流れ込んでくる。

シャルロッテ「うんしょ、うんしょ」スルスル

魔女ほむら「ザ・ニューほむら誕生!」

シャルロッテ「わーお、すごいのさー!」

魔女ほむら「そうかしら?」ゴゴゴゴゴゴ

シャルロッテ「フィギュアで真似したらバランスが悪くて自立出来そうに無いポーズだよー!」

魔女ほむら「そんなに褒めないで欲しいわ」

魔女ほむら「さて、やる事をやったし帰りましょうか?」

シャルロッテ「シャルロッテはスモークチーズが好物なんだよ」

魔女ほむら「今回は助かったわ、スーパーで買ってきてあげるわね」

シャルロッテ「やったのさ!」

~屋上~
マミ「少し寒いかしら?」

マミ「巌流島の武蔵作戦かしら? 魔女というのは卑劣ね」

マミ「それとも怖じ気づいたのかしら? ふふふ」

マミ「でも私は待ってあげるわ、貴女の最後の日だものね」

マミ「………………」

マミ「あら、バイクの音。新聞配達のお兄さんかしら?」

マミ「それに公園からうっすらとラジオ体操も聞こえてきたわね」

マミ「よーし、マミさんも一緒に運動しちゃおうかしら?」

マミ「でも無理ね、顔を直上から動かすと汗がこぼれちゃうわ」

マミ「そう、汗。これは汗なのよ」

マミ「うふふ……うふふ……」

マミ「昇り始めた朝日がまぶしいわぁ……」

マミの頬を一筋の雫が流れ落ちる。
唇近くに通ったそれをマミが舌で舐めとった。

とても、しょっぱかった。

              .,-'''''~~~ ̄ ̄~~''' - 、
 \      ,へ. 人 ゝ __ ,, .--──--.、_/              _,,..-一" ̄
   \  £. CO/ ̄            \       _,,..-" ̄   __,,,...--
 ・   ∫  /        ,、 .,、        |,,-¬ ̄   _...-¬ ̄
 ・   イ /    /   . _/ / ノ  \ 丿    ..|__,,..-¬ ̄     __,.-一
 ・   .人 | / ../ - "  ̄      ||  | 丿 /  ).  _,,..-─" ̄   ._,,,
 ・    .ゝ∨ /  ||           "  丿/ノ--冖 ̄ __,,,,....-─¬ ̄
 ・     ( \∨| "     t-¬ ,,... -一" ̄ __--¬ ̄
 ・  ⊂-)\_)` -一二 ̄,,..=¬ 厂~~ (_,,/")

     .⊂--一'''''""  (ーー<>ーー|_   (/
   /  ( /        冫ー<>ー-人`、 `
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                .  ト─-----イ |
                  ∪       ∪

翌朝~学校~

魔女ほむら「おはよう」

まどか「おはよう、ほむらちゃん」

さやか「おっすー」

まどか「それより、今日はなんだか寒いね」

魔女ほむら「そうかしら?」
さやか「うん、それに何だか誰かに見られているみたい」

魔女ほむら「誰かに見られている?」

マミ「…………」

まどか「ひぃっ!?」

さやか「目の下にスゴいクマ! それに何だか鬼のような形相でこっちを見ている!!」

魔女ほむら「ぼっちよ、手を出さなければ悪さはしないわ」

まどか「はぁ……あんなのにつきまとわれて大変だね、ほむらちゃん」

マミ「……くうっ!」ブワッ

~放課後~

マミ「…………」

さやか「教室を出てからついてくるぞ」

まどか「どうしよう、ほむらちゃん? 先生をまた呼ぶ?」

魔女ほむら「大丈夫よ、それにあの人と少し話してみたいから2人は先に帰っていて」

さやか「おいおい、大丈夫かよ!」

まどか「やめた方がいいよ、ほむらちゃん」

魔女ほむら「任せておいて、それじゃ」

ほむらはマミと2、3言はなすと屋上へと登り出す。

まどか「ど、どうしよう?」

さやか「1人で置いていけないだろ! 変な事が起きないように、こっそり様子を見よう」

まどか「そ、そうだね。そうしよう!」

~屋上~

マミ「何で来なかったの?」

魔女ほむら「いきなりね」
マミ「何で来なかったの?」

魔女ほむら「今日と明日を間違えちゃったのよ」
マミ「何で来なかったの?」
魔女ほむら「……」

魔女ほむら(怒りで我を忘れているわね、でもそのぶん冷めた時の落差が大きくなる。好都合だわ)

魔女ほむら「待てないなら、ここで始めましょうか? 人もいないし」

マミ「願っても無いわ……でも」

魔女ほむら「私の結界をここに創るわ、そこで戦えば問題無いでしょう」

マミ「のったわ!」

魔女ほむら「やっぱり、一円玉を追い掛けて地雷原に突っ込むタイプ……満面の笑みで光に包まれる人種ね」

魔女ほむら「それじゃ、周囲に結界を創るわね」

マミ「はよせい!」

魔女ほむら「はいはい、アーマー装着!」カシャァァン(アルミ缶を踏み潰したような音)

まど・さや「……!?」

魔女ほむら「あら?」

マミ「どうした魔女」

魔女ほむら「……いえ、気のせいね。結界を創るわ」

ほむらが指を鳴らすと、周囲の空間が変容していく。

気がつけば2人は一瞬で、ほむらの結界内へと放り込まれていた。

マミ「ここが貴女の結界ね」

魔女ほむら「先日、バラ園がひっそりとオープンしたわ、どう?」

白い部屋の片隅に今までは無かった木の扉が出来ている。
その扉を指差すほむらだったが、マミは言葉を発する代わりに銃弾を扉へと打ち込む事で返答とした。

マミ「私はたくさん待ったわ、もう無駄に時間を使いたくないの。わかるわよね?」

いつの間にか変身していたマミがマスケット銃を肩にポンポンと当てている。

魔女ほむら(皮肉の1つでも言って、興奮させておこうかしら)

ほむらがそう口を開こうとした時だった。

まどか「き、きゃあぁぁ!」

ほむら「!?」

閉じられた結界の中に、いるはずがない人物の声が響き渡った。

………………………

わかりやすいほむらのさくせん

①戦う。
②マミ優勢で進める。
③シャルロッテ乱入。
④危うし、マミ。
⑤ほむら「ぐはぁ!」
⑥マミ「……何でこんな!」
⑦ほむら「何でかしらね……ただ、貴女は殺させない」
⑧マミ「ほむらさん……力を合わせましょう!」
⑨ほむ・マミ「愛と友情のツープラトン!!」
⑩シャルロッテ粉砕!やった!

シャルロッテ「私が死んでるよー?」

ほむら「必要経費」

シャルロッテ「しゃろ~ん」

………………………

魔女ほむら「という予定だったのに! 何でまどかが!」

使い魔「サーセン、マジサーセン」

さや・まど「きゃああぁぁッ!」

魔女ほむら「落ち着いて! そいつは味方よ!」

キュゥべえ「それはどうかな? 相手は魔女だから保証できないよ」

魔女ほむら「なっ、キュゥべえ!?」

マミ「うふふ」にやぁ~

魔女ほむら「巴マミ! まさかあなたが!」

マミ「お腹の服の下に隠していたのよ」

魔女ほむら「まったく気づかなかったわ」

マミ「……うっ」ブワッ

キュゥべえ「僕と契約したら……」

魔女ほむら「ああ! こんな事している間に暗黒セールスが!」

まどか「魔女? ほむらちゃんが?」

キュゥべえ「そうさ、その本質は……」

魔女ほむら「ダメよ! まどか聞いちゃダメ!」

まどかの元に駈けつけたいほむらだが、マミの鋭い眼光と大量のマスケット銃に背中を向けるのはマズい。

魔女ほむら(時間を止めて接近したら、キュゥべえの話が真実味を帯びて与太話として潰せなくなるし……もう!)

キュゥべえ「そして、契約したら代わりにどんな願い事でも叶えてあげるよ」

さやか「どんな願い事でも?」

魔女ほむら「青のフラグが立っちゃったッ!?」

マミ「うふふ」

魔女ほむら「何を笑っているの! 巴マミ!」

マミ「あなたも今日からぼっちよ」

にへら~と暗い笑みを浮かべるマミ。

魔女ほむら(ストレスをかけ過ぎた!? コレだからメンタルの弱い女は!!)

キュゥべえ「というわけなんだよ」

まどか「そんな」

さやか「ほむらが」

魔女ほむら「う……くぅ……」

ほむらを見る、まどかの不安そうな顔。
まどかの『そうじゃないよね?』『信じてるよ』という心の声が聞こえて来そうな表情。

魔女化したほむらにはそれを裏切るのが一番つらく、その苦痛を甘受するぐらいならと、理性も軽く吹き飛んだ。

魔女ほむら「まどか~っ!!」

マミ「ぐべらっ!!」

スモーのスカート分離よろしく、ほむらの背部魔女パーツがマミに直撃した。

魔女ほむら「まどかーっ!!」

そして、ほむらはダッシュでまどかの元へと走り寄る。

まどか「ほむらちゃん!」

魔女ほむら「信じて! 私を信じてッ!!」

「信じてッ!! じてッ!! てッ!(エコー)」

まどか「……!! わかった! わたしほむらちゃんを信じるよ!」

マミ「ゲェェェッッ!? この圧倒される現実の前に、ちっぽけな友人の言う事を信じるだと!? 私の言う事なんか誰も信じないのにッ!!」ドドドドドド

魔女ほむら「巴マミ、銃を下ろしなさい」

マミ「そ、それ以上私に近寄るなァァァァッッ!!」

震える手でマスケット銃を構えるマミ。
さすがに人と変わらない姿のほむらを撃つのには躊躇があるようで、銃口が微妙にほむらからそれている。

魔女ほむら「よく聞いて巴マミ、あなたが銃を下ろしてくれたら……私たちは今から友達よ!」

マミ「……えっ?」

魔女ほむら「どう?」

マミ「とも……だち?」

魔女ほむら「イエス」

マミ「…………」
ざわ……

キュゥべえ「だまされちゃダメだ! マミ!」

まどか「黙ってて!」ギュッ

キュゥべえ「むぎゅ……ふがふが……」

マミ「は……はは、言うに事欠いて友達? 魔女なんかと友達にはなれないわよ」

パプワくんにもなんかこんなのが

死んだほむほむになり代わってループするまどかの続きを読みたい

魔女ほむら「確かに魔女と魔法少女は相容れない存在」

魔女ほむら「でも、そんな事さえも越えるのが友情の力よ」

マミ「……友情パワー」

マミの脳裏に様々な友情の場面がよみがえる。
ラスボス戦でかばってくれたり、体力を回復してくれる友情パワー。
超人強度を上げてくれるミラクルな力。
世界中からの元気。
ケンシロウは種モミを投げ捨てた。
誕生日イベント。
日程で埋まるカレンダー。
マミ「…………」
ざわ……ざわ……

魔女ほむら「返答はいかに! 巴マミ!」

まどか「ああ、マミさんの背後に『勝利』『友情』『努力』の文字が!」

さやか「『友情』の文字だけが巨大になっていくぞっ!?」

まどか「ああっ!! 『勝利』と『努力』がっ!」

さやか「『友情』の放つ熱量の前に、はだしで逃げ出したッ!?」

マミ「ほむらさんッ!!」

マミがほむらに右手を差し出す。

マミ「今までの私を許して!!」

魔女ほむら「マミさんッ!」

ほむらがマミの手を取って握り反した。

魔女ほむら「ありがとうッ!!」

まど・さや「ウワ~~~~ッッ!!」

まど・さや「よかった!!」

~屋上、結界外~

まどか「一時はどうなるかと思ったよ」

ほむら「そうね、でも新しい友達が出来たわ」

マミ「えっと、よろしくね」

さやか「私は美樹さやか、さやかでいいよ。で、こっちは」

まどか「鹿目まどかです。まどかって呼んでください」

マミ「私は巴マミ、マミでお願いね」

魔女ほむら「じゃあ私も、暁美ほむら、ほむらでいいわ」

シャルロッテ「シャルロッテなのさー、スモークチーズが好きなのさー」

キュゥべえ「僕はキュゥべえ、というか魔女×2を放置するなんて……」

マミ「友達だから仕方ないわよ」

キュゥべえ「見た目にだまされちゃダメだよ、マミ」

>>123です

杏子を出せないのは痛い。

一言だけでもあんこちゃんを

平等院鳳凰堂極楽鳥の舞!

>>337
一人称教えろゴルァ

わっち

さやか「……ね、ねぇキュゥべえ?」

キュゥべえ「? なんだい?」

帰宅するみんなから少し遅れて、さやかがキュゥべえに話かける。
そしてさやかは少し口ごもりながらも、キュゥべえに話を続けた。

さやか「魔法少女になったらさ、どんな願い事でも叶うんだよね?」

キュゥべえ「……そうだね、約束するよ」

さやか「それってさ、自分以外の人にも効果あるかな?」

キュゥべえ「もちろんさ、どんなことだって叶えてあげるよ。魔法少女になってくれるのかい?」

さやか「あ、いや。聞いただけだからあまり期待しないで、ごめんね」

キュゥべえ「ちぇーっ」

さやか(そうか、そうなんだ……なら恭介の腕も)

                 f'´   f'´  f'´   f'´
                 易   姓  革   命
                 |\ ∧  ∧   /|_
               ,.<三二Λ ト、| | | |// ////>、
            /////////Λ|ム|_.iM|_.|//_∠///////ヽ
         /////////// / : : : : : : : : : : : : : ヽ、////\  
         ,'///////// , ´ : : :i : : : : : : : : : : : : : :.`、////∧   
           {////////// : : : : :l : : : : : : ',: : :\: : : : .∨///∧  これ…とうとうきちゃったかな!
           {////////,' : : : :/iΛ : : : :ト、 ',\ : :Y7 : : i/////} ____
         V//////ノ : ::i イ/{≧ト、: : i ヽ}=≦ミ| : i7i :i////∠三二ニ二三ミ、
            ∨/////イ : :|: { {::心 \{  {:::心 i : :| :i :|///仁二二二二三ヨュ.  
           ∨/////| : :| ヘ弋少  ,`  弋少 | : :| :i :|//γニミ黄三ミ、γ蒼ミミ
           \////VΛ:ハ ,,,,        ,,, | : :| :| :}// {{;;il天{;;illllli;;}}天lli;;}}               
            `<//}从:込、   `     ,ィノハイ从// {{;;;ili當{{;;li;;;}}{{;;己i;;}} 
                `<//rー ,、≧=-=≦=ー┐/>´  'ゞ=立彡ヘ死ゞ=彳
                  `>{;;;;;;;;;;;;≧{;;;}≦;;;;;;;;;;;;;}≦、    Vr==ニ二ミV/
               / ゞ:;;;;;;;;:ィ;;|ト、ヾ:;;;;;;;;;;ノ   `ヽ、  圷iil}.{lll}.{ll}.{iiメノ
              /    `ー'´ .|;;|.iΛゞ` -'´     `、  `=ニ(\\='´
                i、         |;;|ハ ヾ;\       /  ヽ、   (\、ヽi 
                l ヽ、       i;;|llllヽ \;;\  /    \  (\  }
                 |   \     /|;;|llllllΛ  VΛ         \入  ノ

~マミの家~

魔女ほむら「というわけよ」

まどか「……ワルプルギスの夜」

さやか「街の住人皆殺しって……そんな!」

マミ「どうにかならないの?」

魔女ほむら「私が魔女を片っ端から取り込んでいけば、少しは抵抗出来るかもしれない」

マミ「取り込む? そんなことが」

魔女ほむら「出来る、というより出来た。というべきね」

まどか「じゃあ、もう」

魔女ほむら「一体ほど取り込み済みよ」

マミ「ならワルプルギスの夜が来る前に、街の魔女を取り込ませてほむらさんを限界まで強化出来たら」

さやか「……勝てるってこと?」

魔女ほむら「確約は出来ないわ」

まどか「すごいよ! ほむらちゃん!」

魔女ほむら「ま、まどか?」

まどか「私は何の取り柄もないし、役に立たない。だけどほむらちゃんは戦って、皆を助ける力を持ってる! すごいよ!」ギュッ

魔女ほむら「ああ、まどか。もっと強く抱き締めて、ぷにぷにほっぺたも強くくっつけて」ブシュー

マミ「ちょっ、床が鼻血で!」

まどか「もう、ほむらちゃんったら」

魔女ほむら「ふふふ」ブシュー

さやか「…………」

さやか「あ、あのさ」

ほむ

魔女ほむら「どうしたの、さやかさん?」

さやか「私も……魔法少女になろうかな、て」

魔女ほむら「やめなさい」

さやか「!」

魔女ほむら「終わらない戦いの中に、身を投じるような真似はやめた方がいいわ」

さやか「せ、戦力は多い方がいいだろーし」

魔女ほむら「その場の考えで安易な選択をするのは止めた方がいいわ。それじゃあ、いつか破綻する」

さやか「…………」

さやかは拳を握ると、わなわなと身を震わせた。

さやか「……そ、そんな冷たく突っぱねることないじゃないか!」バァンッ

まどか「さやかちゃん!」

マミの家から飛び出したさやかの背中にまどかが声を上げる。
しかし、さやかは振り返る事もなく走り去っていった。

さやか「私だってみんなの事を考えてるんだ、それなのに……!」

キュゥべえ「僕と契約するかい?」

さやか「キュゥべえ!? 今までどこに?」

キュゥべえ「シャルロッテと一緒に外に放置さ。ひどいよみんな」

シャルロッテ「帰っていいかなー?」

さやか「あー、そうなんだ」

キュゥべえ「ところで魔法少女になるなら、僕はいつでもウェルカムだよ!」

さやか「でも」

キュゥべえ「さやかの願いは、他人に止められたからって諦めきれる程度の願いなのかい?」

さやか「そんなこと無い!」

キュゥべえ「なら悩む必要なんてないじゃないか、さあ」

さやか「そう、だね。……うん」

さやか「あっ、でもワルプルギスの夜に負けたら台無しだよね? 戦闘力もつく願い事だったらみんな私を見直すかも……」

キュゥべえ「早くしてほしいよ」

キュゥべえ「キミの願いは聞き届けられた」

キュゥべえ「さあ、受け取るんだ」

さやか「コレが……魔法少女の証!」

さやか「そ、そうだ。さっそく恭介の所に行ってくる」

キュゥべえ「ま、待ちなよ! ……やれやれ」

シャルロッテ「何を叶えたにょろ?」

キュゥべえ「うわっ!? いきなり現われないでほしいな」

シャルロッテ「何を叶えてあげたにょろか?」

キュゥべえ「人体の治癒も可能な拳法修得だよ! まったく、僕はさやかを追い掛けるよ、それじゃ」

シャルロッテ「ばいは~いなのさ~!」

老人「は~肩がこるのぅ~」

さやか「そうだ、恭介に使う前に他の人で試してみよう」

さやか「おじいさん、肩を叩きましょうか?」

老人「お、おお……すまないねぇ……」

さやか「それじゃ」コホン

さやか「アーッ! タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッ!」

さやか「フォワタァッ!」バシィーッ!

老人「お、おお……うおぉぉッ!!」

老人「バカな、背筋が伸びて筋骨隆々! 全盛期の体が……いや、その倍ほどに膨らんで戻ってきおったぁぁッ!!」

さやか「す、すごい!」

老人「娘よ、感謝する」

さやか「は、はい!」

さやか(や、やった! これならみんなの役にも立つし、恭介も)

老人「……む?」

老人「べ」

さやか「べ?」

老人「べぶらばっ!!」ドバァンッ

老人が血肉を撒き散らしながら、風船のように割れ飛んだ。

さやか「ひ……ひぃぃーっ!」

キュゥべえ「うわーひどいねコレはミンチよりひどいよ(棒読み)」

さやか「キ、キュゥべえ!? コレは?」

キュゥべえ「人体が耐えられなかったのさ。老体の限界なんてこんなモノだよ」

キュゥべえ「そもそもキミが望んだモノは、この世界の理を逸脱するモノだったんだ」

キュゥべえ「当然と言えば当然の帰結だよ」

さやか「だ、騙したのか!」

キュゥべえ「だます? 遠目からしか見えなかったけど、確かにこの老人は元気になっていたと思うよ。とても短い間だったみたいだけれどね」

さやか「そ、そんな! それじゃあ恭介の指は……」

キュゥべえ「使ったら1週間って所かな? 体が耐えられるのは」

さやか「う、うぅ……」

ひでぶ

さやか「恭介、お見舞いに来たよ」

恭介「…………」

さやか「…………」

さやか(はぁ、どうしよう)
さやか(本当に私って……)

恭介「……もしも」

さやか「えっ?」

恭介「もしも、もう一度ヴァイオリンが弾けるなら、この命を捨てるのだって惜しくないのに…………クソッ!」

さやか「…………」

さやか「……恭介!」

恭介「なんだい、さやか?」
さやか「あるんだよ、指を治す方法は……あるんだよ!」

恭介「なにぃ! 教えてくれ! 頼むッ!!」ガバッ

さやか「でも、そうしたら恭介が」

恭介「ヴァイオリンが弾けるなら死んでもいい! 頼む!」

さやか「恭介!」

ほむほむ

さやか「行くよ!」

恭介「頼む!」

さやか「アーッ! タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッ!!」

恭介「ぐ、うおおおっっ!」

さやか「ホワタァッ!」ビシィッ

さやかの拳は一打ごとに形を変えて恭介の腕を打ち貫いていく。
そしてさやかの拳がつくる残像が清かな風を残して消えた時、恭介の腕に奇跡が舞い降りた。

恭介「……う、動く」

さやか「えっ?」

恭介「指が動くぞおぉぉッッ!!」

さやか「恭介ッ!!」ガバッ

恭介「しかし、何だァァッッ!! この全身を襲う地獄の激痛はァァッッ!!」

さやか「ああ、恭介の髪の毛が真っ白に!!」

恭介「さやかぁぁッ!! 説明を頼むぅぅっ!!」

さやか「実はかくかくしかじか」

恭介「なにぃッ!! あと1週間の命だとッッ!!」

さやか「ご、ごめんね?」

恭介「それどころじゃねぇッッ!! 荷車を!!大八車を持って来てくれェェッ!!」

さやか「恭介! ヴァイオリンを持って何を!」

恭介「さやかぁぁッッ!! お前の力を貸してくれぇぇッッ!!」

さやか「貸すよ! いくらでも貸す! 返さなくていいからっ!!」

恭介「あありぃがとおォォォッッ!! さやかァァッッ!!」

夕暮れにチャイムの音が響き渡る。

斜に差してくる夕陽は人々の陰影を地に大きく落とし、どこか物寂しいメロディと相まって哀愁漂う情景を創りだしていた。

街人「うん?」

肩を落とし、帰宅の途についていた街人が顔を上げる。
それはただ、ヴァイオリンの演奏が聞こえたからとい動き。

しかし音が近づき、土煙を上げて爆走する荷車が見え始める頃になると、街人は指一本すら自分の意思で動かせなくなっていた。

夕暮れのメロディを塗り潰す華麗にして荘厳な調べ――
人の技では決してなし得る事の出来ないだろう、ヴァイオリンの境地がそこにあった。

街人「あ……ああ」

命を懸け、情熱を燃やし、魂をぶつけてくる、荷台に立った若者。
それを支えるは一途に荷車を押し進める少女。

すれ違う、わずか数瞬の出来事は、しかし無限の時のようであった。

その威力たるや、やがて太陽が沈み切っても感慨冷めやらぬまま動けぬ人の柱が街の至るところに残っているほどだった。

さやか「恭介!」

恭介「まだだぁぁッッ!! まだ行けるぅぅッッ!!」

恭介「限界まで、いや限界を越えるぞーッッ!! さやかァーッ!!」

さやか「! うんッ! 私も全力を出し続けるッ! 一緒に限界を越えようッ!!」

恭介・さや「うおぉぉッッ!!!!」

荷車は爆走を続ける。
やがて街を飛び出した荷車はどこを目指す事もなく、だが確かな意志を持って走り続けた。

さやさや

疲れているのかなオレ


    , -─-、
   ,マミ-─-'、     
  ν*(ノノ`ヽ)      サールティー ロイヤーリー タマリーエ パースティアラーヤー レースティングァー
  ξゝ´ ヮ`ノξ    サールティー ロイヤーリー タマリーエ パースティアラーヤー レースティングァー

  γU~''ヽヽ     (ホァ)グーリーーターリーィヤ ピーラーリーフー サーファリーハー

   !  C≡≡O=亜   (ュイ)ヤーソーリーィヤ (ィル)ゼェーイ ファーリーヤー(サールティー ロイヤー) サールーティー オーーアネー
   `(_)~丿      
       ∪
    , -─-、 ♪

   ,マミ-─-'、  ♪
  ν*(ノノ`ヽ)      サールティー ロイヤーリー タマリーエ パースティアラーヤー レースティングァー
  ξゝ´ ヮ`ノξ    サールティー ロイヤーリー タマリーエ パースティアラーヤー レースティングァー

 ((と    つ      (ホァ)グーリーーターリーィヤ ピーラーリーフー サーファリーハー
(( ⊂,,  ノ゙       (ュイ)ヤーソーリーィヤ (ィル)ゼェーイ ファーリーヤー(サールティー ロイヤー) サールーティー オーーアネー
    (_,/,,
   , -─-、
  ,マミ-─-'、
. ν*(ノノ`ヽ)∩     ミーティアリーチョ ソルイージョーォ サーイーリョー (ホァ)ミートーイレージョ ノイチャヒュイアーレー
 ξゝ ゚ ヮ゚ノξ彡    ミーティアリーチョ ソルイージョーォ サーイーリョー (ホァ)ミートーイレージョ ノイチャヒュイアーレー
  (   ⊂彡      (サールティー ロイヤー) サールーティー オーーアネー
   |   |        サールティー ロイヤーリー タマリーエ パーッティアライアーリーーィヤーー
   し ⌒J

まみまみ

魔女ほむら「というわけで、さやかさんがリタイアしたわ」

まどか「そんな!」

マミ「彼女が望んだ事よ、誰も止められなかった」

まどか「…………」

マミ「私たちに出来ることは彼女たちの旅の行方に幸あらん事を祈るだけよ」

魔女ほむら「ふう、さやかさんの事は気がかりだけれど、ワルプルギスの夜への対策も進めないと」

マミ「その事だけれど、戦力になる魔法少女に心当たりがあるわ」

魔女ほむら(佐倉杏子の事ね)

マミ「佐倉杏子っていう娘なんだけど……」

魔女ほむら「素行に問題でも?」

マミ「悪い娘じゃないとは思うのよ、ただ集団行動は苦手かなーって」

魔女ほむら「とにかく、会いに行きましょうか?」

あんあん!

~翌日土曜日、隣町~

マミ「着いたわ」

魔女ほむら「この町のどこかに佐倉杏子さんがいるのね」

まどか「町のどこかって……どこ?」

魔女ほむら「ゲーセンかしら?」

マミ「そうね、しらみつぶしって訳にもいかないし、顔を知ってるのは私だけだから」

魔女ほむら「多分ゲーセンよ」

まどか「ほむらちゃん、ゲーセン好きなの?」

魔女ほむら「いえ、ただ……いる気がするわ」

マミ「ふふ、ならゲーセンに行ってみましょうか?」

~ゲーセン~

杏子「ふっ……はっ……」スタタンスタタン

マミ「ほ、本当にいたわ……」

あんあん!

杏子「あん? なんだぁ、マミじゃねえか、まだ生きてやがったな」

ステップタイプの音ゲーから降り、杏子はずかずかとマミに近寄っていく。
言葉使いは乱暴な感じだが、旧知の相手に接する態度の節々からは、どこかアネゴ肌のような気質を感じさせる相手だった。

マミ「久しぶりね、杏子」

杏子「で、何だ? 縄張り荒らしに来たってんなら容赦しねぇぞ?」

ガムをふくらませながら杏子が言う。

マミ「違うわ、今日は頼みがあって来たのよ」

杏子「頼み? それに後ろのヤツらは何だ?」

マミ「私の友達よ」
杏子「ウソだな」

杏子即答。

マミ「ふふふ、少しグサリときたけど……真実だから……これ、真実だから!」

魔女ほむら「ええ、真実よ(契約上)。私が保証するわ」

マミ「ともだちっていいな」

杏子「ふぅん。で、あたしに何のようだ?」

魔女ほむら「私から話すわ」

魔女ほむら「実はワルプルギスの夜という魔女が……」

……………………

杏子「ふーん、それであたしに戦えってか? 嫌だねバカバカしい」

魔女ほむら(まあ、そうなるでしょうね)

まどか「協力してくれないんですか?」

杏子「こっちは慈善事業じゃないんだ、得るモノと失うモノの釣り合いが取れてねぇんだよ、それ」

マミ「無理強いはしないわ。今日は伝えに来ただけだから」

杏子「次来ても変わらねーぞー」

魔女ほむら(彼女も基本的に悪い人じゃないわ、話して打ち解ければ……でも隣町という条件が面倒ね)

魔女ほむら(彼女を町に引き寄せる手立て、彼女の性格を考えると)

あんあん!

魔女ほむら(彼女だって街を滅ぼすほどの大量虐殺は止めたいはず)

魔女ほむら(理性の後押しがあれば手を組んでくれるだろうけど……)

魔女ほむら(ここは乱暴だけどしょうがないか)

魔女ほむら「佐倉杏子さん、私と勝負しませんか?」

杏子「勝負だ?」

マミ「何を言ってるの? ほむらさん?」

魔女ほむら「いいから任せて、マミ」

魔女ほむら「私が勝ったら、ワルプルギスの夜を退治するのに貴女が手を貸す」

杏子「あたしが勝ったらどーなんだよ?」

魔女ほむら「貴女が勝ったら、私たちは持っているグリーフシードを貴女にすべて渡すわ。そして定期的にグリーフシードを貴女に届け続ける。どうかしら?」

マミ「ちょっと!? それ、実質的な被害は私1人だけじゃないかしらっ!?」

杏子「へぇ、それで勝負の方法は?」

魔女ほむら「変身後の戦闘で」

杏子「よっしゃ、のった!」

ほむ

ほっほむー

さやさや

ティロティロ

ティロティロ

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

杏子「ここでか?」

魔女ほむら「ええ、人もいない廃墟よ」

杏子「あー、なんつーか予想と違う感じというか。戦うには狭すぎるっつーか」

魔女ほむら「アーマー装着!」カシィィン(アルミ缶を踏み潰した音)

魔女ほむら「じゃあ始めるわね?」

杏子「おい? 人の話を」

パチンッとほむらが指を鳴らすと、周囲が揺らぐ。
そして現れたのは白く広がるほむらの世界。

杏子「な、なんだよ! 魔女の結界か!?」

魔女ほむら「THE WORLD 私の世界よ」

杏子「結界を創りだす魔法少女……おもしれぇ!」

杏子「熱くなってきたぜぇーッ!」

杏子のソウルジェムが光を放つ。
そしてその光が杏子の体を包み込み、戦衣へと姿を変えた。

杏子「さあ、おっぱじめるとするか!」

あんあん!

魔女ほむら(時を止めてボコるよりも、正々堂々と力のぶつかり合いに勝利した方が後腐れ無いわね)

魔女ほむら「それじゃあ、みんなお願いね?」

使い魔「サーセン」

杏子「お、使い魔も召喚出来るのかよ!」

杏子「って、完全に魔女じゃねーかっ!!」

魔女ほむら「確かに私は魔女よ、でも」

杏子「よくわからねぇが、魔女なら手加減いらねぇな! 行くぜ!」

杏子が槍を構え、ほむらに突進。
しかし、横一列に並んだ使い魔たちの壁に弾かれる。

使い魔「マジサーセン」

杏子「か、硬てぇ!?」

魔女ほむら「私の使い魔は直接の戦闘能力は皆無だけど、防御能力には自信があるわ」

杏子「なら、からめ手でいかせて貰うまでだ!」

ほむほむ

>>571
乳首だっておっぱいだぜ

>>571
乳輪と乳首さえあればおっぱいなのさ

>>572「サーセン」
>>573「マジサーセン」

魔女ほむら「なにっ!?」

杏子の生み出した鎖が前後左右、縦横無尽にほむらの結界の中を動き回る。

そして壁や床へと至った鎖はそのまま突き刺さり、楔を打ったように固定された。

魔女ほむら(足場? いや、こちらの戦力の分断も出来る)

杏子「使い魔は硬いが、お前自身は硬くなさそうだよな?」

宙の鎖を足場に、杏子がほむらを見下ろしながら言い放つ。

魔女ほむら(鎖の足場で縦横無尽に動き回られたら辛いわね……仕方ない)

杏子「覚悟しろよっ!」

杏子が身をかがめ、脚に力を入れ――

魔女ほむら「THE・WORLD 私の世界よ」ドォォォォン

時が止まった。

かっこいい!

魔女ほむら「この子をここに、この子は少し下げて……よし」

魔女ほむら「そして、時は動き出す」

杏子「はっ!? うわわわっ!!」

足場の鎖が喪失し、杏子は落下。

杏子「あぐぅっ!?」

飛び掛かろうとしていた体勢もあだとなり、床に盛大なしりもちをつく杏子。

杏子「い、痛てて……うおわっ!」

使い魔「サーセン!」

杏子「か、囲まれて……!」
使い魔「サーセン!」

杏子「うわぁぁっ!?」

全方位から使い魔たちが杏子に殺到した。

魔女ほむら「ピタゴラスイッチ・ミニね」

あんあん!

使い魔「サーセン!」

盾が四方八方から杏子にぶつかる。

杏子「いて、痛てぇって!」
魔女ほむら「降参するかしら?」

杏子「だ、誰が降参するか! それより戦闘能力は皆無じゃねーのかよ! ……痛ててっ」

魔女ほむら「最強の盾は最強の鈍器たる資格を得るのよ」

杏子「意味がわかんねーよ! ……あと、痛いっつってんだろうが!」

使い魔「サーセン!」

杏子が使い魔をはねのけるが、すぐに違う使い魔が殺到する。

魔女ほむら「我ながらひどい光景ね」

杏子の周りには使い魔たちが積み重なって、小高い山のようになっていた。

魔女ほむら「降参する気になったら読んで、のんびり待ってるから」

杏子「だ、誰が降参するかよ! ……いた、痛いって!」

あんあん!

~3分経過~

使い魔「サーセン!」ガンガン

杏子「こ、このっヤロウ! 痛てて」

~5分経過~

使い魔「サーセン!」ガンガン

杏子「く、この……」

~10分経過~

使い魔「サーセン!」ガンガン

杏子「痛い、ちょっ……痛いって!」

~15分経過~

使い魔「サーセン!」ガンガン

杏子「やめろ! やめて!」

魔女ほむら「佐倉杏子さん、降参する気はあるかしら?」

杏子「だ、誰が!」

魔女ほむら「よかった。長丁場になりそうだから、外の皆に少し会って来るわね」

杏子「えっ?」

魔女ほむら「すぐに戻ってくるから、それじゃ」

杏子「お、おい! マジ!? 冗談やめろよ!!」

杏子「おい! おーい!」

杏子「…………」

使い魔「サーセン!」ガンガン

杏子「痛いっ、痛いっ」

なんかエロい

まどか「あっ! 戻って来た」

マミ「佐倉さんはどうしたの?」

魔女ほむら「彼女の事は大丈夫よ、任せておいて」

まどか「ほむらちゃんが言うなら大丈夫だね! ……あう」

ぐうぅ~という、お腹の音が鳴る。

マミ「あらあら、まどかちゃんったら」

まどか「ティヒヒ」

魔女ほむら「それじゃ、みんなでご飯でも食べに行きましょうか?」

まどか「うん!」

マミ「賛成よ」

ほむほむまどまど

まどか「オムライス、遅れてイチゴパフェを」

魔女ほむら「うどん、遅れてチョコパフェを」

マミ「ハンバーグ定食とカツカレーとウナ重とライス単品で五杯、食後にカツ丼を」

まどか「でも不思議」

魔女ほむら「なにがかしら?」

まどか「魔法少女とか魔女とか、1週間も前は普通の中学生だったのにね」

魔女ほむら「ごめんなさい、私が屋上で巻き込まなければ……」

まどか「ち、違うよ! ほむらちゃんのせいじゃないよ」

マミ「そうね、私が下手にほむらさんを敵視していたから、私にも責任があるわ」

まどか「だ、だから……そうじゃないよ!」

まどか「もし、ほむらちゃんやマミさんがいなければ、私は魔女や街の危険とか知らずにいたと思う」

まどか「でもこうやって、ほむらちゃんやマミさんと一緒に行動して」

まどか「私みたいな取り柄のない人間が街を救う事に少しでも役に立つなら、その……嬉しいなって」

ほむら「……まどか」

ほむら「大丈夫、あなたは取り柄の無い人間なんかじゃない、私たちの」
マミ「料理が来たわ。話は後にして冷める前に食べましょう」

まみまみ

店員「パフェ2つとカツ丼です」

マミ「ありがとう」

まどか「んーっ! おいしい!」

魔女ほむら「あら、おいしいわね」

マミ「食べ合いっこしてみる?」

まどか「するするーっ! はい、ほむらちゃん、あーんっ!」

魔女ほむら「えっ?」

魔女ほむら(これって、まどかと間接キス)

まどか「ほらほら~」

魔女ほむら「あ、あーんっ……んっ」

まどか「どう、おいしい」

魔女ほむら「……うん」

~ボウリング場~

パッカァーンッ

まどか「ストライク! ほむらちゃん、すごーい!」
マミ「やるわね」

~ゲーセン~

マミ「ふ、はっ」

ズガガガガァン

まどか「マミさんすごい!」

魔女ほむら「銃を武器にするだけはあるわね」

マミ「うふふ」

~夕方~

マミ「もう遅いし、帰りましょう」

魔女ほむら「こんなに遊んだのは、ほんと久しぶりだわ」

まどか「あれ、そう言えばなんで隣町まで来たんだっけ」

魔女ほむら「……あ」

あんあん……

~拘束から5時間12分後~

魔女ほむら「ごめんなさい、待ったかしら?」

杏子「…………」

使い魔「サーセン、マジサーセン」ガスガスッ

魔女ほむら「佐倉杏子さん?」

杏子「……うっ」ブワッ

杏子「うっぐ……おまえよぉ……ぐすっ……やりすぎなんだよぉ……うぅぅ」

杏子「何時間放置するんだよぉ……ひでぇよ……うっうぅぅ」

使い魔「サーセン、マジサーセン」ガスガスッ

杏子「いた、いたいって……もうやめてくれってば……」

魔女ほむら「じゃあ降参するのね?」

杏子「するから、もう降参するから」

魔女ほむら「わかったわ、どきなさいあなたたち」

使い魔「サーセン!」ズササッ

杏子「お前鬼だよ、畜生だよ、悪魔だよ」グスッ

あんあん!

魔女ほむら「説得出来たわ!」

マミ・ほむ「やったぁ!」

杏子「…………」ムスッ

まどか「なんかふてくされているよ」ヒソヒソ

マミ「彼女は素直じゃないから」ヒソヒソ

魔女ほむら「じゃあ、今日から私たちは協力関係よ、よろしくね佐倉さん」

杏子「ったく、気に食わない所だらけだけど、勝負に負けたのはあたしだからな」

マミ「よろしくね、杏子」

まどか「鹿目まどかです、これからよろしく、佐倉さん」

杏子「ふぅ、しゃあないか。よろしくなーっと」

魔女ほむら「本当はここにもう1人いるんだけど」

マミ「彼女は愛を知り、愛に生き、愛に死んだわ」

杏子「?」

さやさや

~夜~

恭介「どうやら、限界のようだ」

さやか「そんな!? まだ2日しか経ってないのに!」

恭介「命を限界までしぼりだした、だから2日が限界だったんだろう」

さやか「そんなっ!?」

恭介「だけど、感謝している。ヴァイオリンを弾けたんだ、命の限りに……もう悔いはない」

恭介「カハッ!」

口や全身から鮮血を噴き出す恭介。

さやか「恭介!」

恭介「もう、本当に限界のようだ。さやかに死の瞬間は見せたくない、あの油が撒かれた小屋がオレの最後の場所だ」

さやか「まさか、恭介!」

さやさや……

恭介「今までありがとう、さやか」

さやか「最後に……最後に何か望みはないの? 私、恭介のためならなんだってしてあげるよ!」

さやか「だって、だって私は恭介のことが……恭介のことが……」

恭介「……さやか」

恭介「どうしてかな、丸二日ヴァイオリンを弾いていて、ずっと気に掛かっていた」

さやか「えっ?」

恭介「死の現実に挫けそうになる時、さやかの背中を見ていたらヴァイオリンを弾く指に、体中に力が湧いてきた」

恭介「だから、ヴァイオリンを弾き続けられたんだ」

さやか「……」

恭介「さやか、最後に頼みたいことがある」

小屋の中からヴァイオリンの音色が響いてくる。
そのヴァイオリンの旋律を聞く観客はただ1人。

さやか「…………」

さやかは燃え盛る松明を片手に、瞳を閉じて耳に意識を集中する。

『さやかに最後までヴァイオリンを聞いていて欲しい。他の誰でもない、さやか1人だけに』

『そしてヴァイオリンの音が聞こえなくなったら、松明で小屋に火を放ってくれ』

それが恭介の最後の願い。

ほむぅ……

さやか「恭介、ちゃんと聞こえているよヴァイオリン」

瞳を閉じたまま、つぶやく。

さやか「自分の事を忘れさせるために、火を放つ役目を私に頼んだんだよね?」

答えは無く、ヴァイオリンの音色だけが響いてくる。

さやか「でも私は忘れないよ、絶対に……どんなことがあっても!」

さやか「大好きだよ、恭介ぇ!」

閉じられた瞳から涙が溢れだし、頬を流れていく。

美しくも物悲しいヴァイオリンの旋律が闇夜の風となり、消えていく。
やがて辺りが無音の静寂に包まれた時、赤い炎がその意志を受け継ぎ、代わりに闇夜の中で演奏を始めた。

さやか「恭介」

燃え盛る小屋を瞳に焼け付ける。

さやか「私、絶対に諦めないから!」

そしてさやかは小屋に背を向けると、静かに歩きだした。

――さやかの帰りを待つ、仲間がいる街を目指して。

さやさや……

~翌日、日曜日・マミ部屋~

魔女ほむら「さやかさんが帰って来たわ」

まどか「ほんとうっ!?」

マミ「でも、1人よ」

魔女ほむら「恭介君は、もう」

まどか「そう、なんだ」

杏子「話についていけないぜ、さやかって誰だよ?」ムシャムシャ

マミ「ああ、言ってなかったわね、私たちの仲間で3日前に魔法少女になったばかりの新人よ。仲良くしてあげてね」

杏子「誰彼かまわず仲良くして、いい事なんか何にもねーだろーが」

マミ「もう、杏子ったら」

魔女ほむら「あら、うわさをすれば……さやかさんが来たわよ」

さやか「おいーっす! 久しぶり、みんな元気だった」

魔女ほむら「3日ぶりね」

まどか「……さやかちゃん」

さやか「どーした、まどか! 久しぶりの再会なんだ、暗い顔はやめよう」

まどか「そう、だね! さやかちゃん!」

さやか「そうそう、その感じその感じっと……あり? 知らない人が増えてるけど」

杏子「今ごろ気づいたのかよ」

マミ「彼女は佐倉杏子、新しい私たちの仲間よ」

杏子「おいーっす、よろしく」

さやか「こっちこそよろしくー」

マミ「魔女は足で探すものよ」

魔女ほむら「2人1組で行動しましょう」

魔女ほむら「まどか、一緒に行動しましょう」

まどか「うん、ほむらちゃん」

さやか「じゃあ、新人の佐倉さんと」

杏子「杏子でかまわねぇよ、あとあたしはベテランな方だ新人」

シャルロッテ「えい、えい」
キュゥべえ「やめてよ、やめてよ」

魔女ほむら「じゃあ、各自で魔女を探しに行きましょう」

全員「おー」

魔女ほむら「さて、ぐるりと街を回っていこうかしら」

まどか「うん、わかった」

魔女ほむら「とりあえず、病院や負のオーラが集まる場所をメインにしていきましょう」

まどか「うん、でも2人っきりだと何だかデートみたいだね?」

ドキュウゥゥゥンッ!
と、まどかの言葉がほむらの胸を貫いた。

魔女ほむら「で、デート……」

まどか「あ、ご、ごめんね。つい思った事を口に出しちゃった」

魔女ほむら「デート、だとしたら行くところに華が無さすぎるわね」

まどか「そ、そうだよねー。なに言ってるんだろ私」

恥ずかしさのあまりに顔を赤らめて、しきりに首を動かすまどか。

魔女ほむら(ああ、可愛いわまどか)

まどか「きゃっ!」ドンッ

魔女ほむら「まどか! 大丈夫!」

まどか「ティヒヒ、人とぶつかっただけだよ、ほむらちゃん」

魔女ほむら「休日はさすがに人が多いわね」

まどか「人が多いし、手をつなごっか?」

魔女ほむら「!?」

まどか「だ、ダメかな? やっぱり子供っぽすぎるよね……ティヒヒ」

魔女ほむら「いえ、いいアイデアだと思う……繋ぎましょう」

そう言ってほむらが右手を差し出すと、まどかは迷わずその手を取った。

魔女ほむら「あっ……」

まどか「こうなっちゃうと本当にデートしてるみたいだね? ティヒヒ」

魔女ほむら「……ええ、そうね」

柔らかい笑みを浮かべてほむらが頷くと、まどかも屈託の無い笑顔を返す。

そして2人は手を繋いだまま人ごみをかきわけて進み、魔女探しを再開した。

ほむほむ

こっちも落ちるぞオイ

保守

~歓楽街~
マミ「負のオーラのたまり場みたいだけど、中学生が複数人で歩いていたらすぐに補導されちゃうからね」

マミ「さて、魔女を」

ホスト「た、助け」ガクッ

目の前の店からホストが出てきて、マミの眼前で倒れた。

マミ「! 干からびたミイラみたいなひどい状態! かろうじて生きてるけれど、これは間違いなく魔女の仕業!」

マミ「あの店……あそこに魔女が」

マミ「とにかく、このホストを口実にして店内をチラ見してみましょう」

マミはホストに肩を貸して、店の扉をくぐった。

マミ「し、失礼しまーす」

使い魔「サーセン、マジサーセン」

マミ「…………」

使い魔「マジサーセン」

マミ「拾ったのでここに置いていきますね」

使い魔「サーセン」

マミ「失礼しましたー」

さやか「何でゲーセンなんだよ」

杏子「あん、こういうの嫌いなクチか?」

さやか「魔女探しに行くはずだったろ!」

杏子「被害が出始めたら否応なしに、魔女がいるってわかるさ」

杏子「それに、使い魔が人間を食ってグリーフシードを孕むまで待った方が、あたしらには得だろ?」

さやか「な、なんだよ、それ! 最低のゲス野郎がやる事じゃないか!」

杏子「んだと、てめぇ! もっぺん言ってみやがれ!」

さやか「何度でも言ってやる、ゲス野郎!」

杏子「こ、この野郎!」

さや・杏「ぐぬぬぬぬ」

?「ガサガサガサガサ」

さやさやあんあん!

杏子「あれは! 走るダンボール?」

さやか「使い魔だ! 倒すよ、奥義・天帝闘友気」

杏子「待ちな!」

さやか「ぐえっ!? な、何するんだよ! 邪魔するのか!」

杏子「そうじゃない、ヤツは移動している。魔女の居場所を知るチャンスだ」

さやか「そうか、後を追えば!」

杏子「行くぞ」

使い魔を追う2人だったが、気がつけば同じ所をグルグルと回っていた。

杏子「うげ、結界に入っちまったか。面倒くせえ」

さやか「どうする?」

杏子「戦うしかねーだろ、グリーフシード育成を待てないのは、もったいない気がするけどよ」

杏子「で、お前はどうすんだよ? 仲間が来るまで待ってんのかよ?」

さやか「バ、バカにすんなー! 私も魔法少女なんだぞ!」

杏子「じゃあ……っ!? あぶねぇっ!!」

さやか「う、うわ!」

杏子がさやかを押し倒す。
それと同時に、さやかのいた場所を黒い塊が鋭い風切り音を上げて横切った。

さやか「う、うわわっ!」

杏子「ボサッとしてんじゃねぇ! 変身すっぞ!」

さやか「あ、ああっ、うん!」

さやさや

変身略

杏子「お前、武器は?」

さやか「拳」

杏子「マジかよ……と、来るぞ!」

2人のいる空間は大規模のエントランスホールを模した作りで、ドーム球場並みの広さがある。
2人を囲むように、無数の鎧がそのホールの外周にぐるりと並んで姿を現した。

杏子「全身鎧を着たような使い魔だな」

言いながら杏子が槍を投げつける。
槍は使い魔の胴を鎧ごと貫通するが、使い魔は平然と立っており、なおかつ2人に向けて歩き始めた。

杏子「面倒くせえヤツだな、おい!」

さやか「危ないっ!!」

杏子「うおわっ!」

さやかが杏子を突き飛ばす。
さっきまで杏子の立っていた(ry

さやか「またさっきの黒い塊!」

杏子「痛つぅ、狙撃しているヤツがいるのか!」

杏子「あきらかに攻撃の質が違いやがる。魔女本体だな!」

さやか「じゃあ、銃弾が飛んできた方向に魔女が!」

杏子「だが、使い魔が道をふさいでやがる」

さやか「私が奴らをひきつける」

杏子「おいおい、狙撃されながら1人で戦う気か。バカな考えはやめろ」

さやか「代わりにアンタが魔女を仕留めて、それで貸し借りは無しだから」

杏子「……おまえ」

さやか「変な顔しない! 魔女の方が強いし、考えてみるとアンタの方が貧乏くじじゃないかな?」

さやか「それとも魔女に勝つ自信が無いのー?」

杏子「ほざいてろ!」

さやか「じゃ、道を開くから一気に駆け抜けて。奥義・天将奔烈!」

使い魔たち「あぶべらッ!」

さやかの闘気がすべての使い魔を消し飛ばした。

さやか「…………」

杏子「…………」

さやか「一緒に魔女を倒しに行こう!」

杏子「あ、ああ」

さやさやあんあん!

さやか「魔女だ」

杏子「魔女だな」

魔女「ウネウネウネウネ」

ほふく前進する人間の背中に大砲が付いたような魔女だった。

杏子「あー、なんかわかった」

杏子は視界の端に捉えたダンボールの使い魔に槍を浅く突き刺す。
ダンボールに目が付いた使い魔は数センチ槍が刺さっただけで絶命し、消え去った。

さやか「なにが?」

杏子「前衛壁に、紙装甲の偵察。本体は芋砂か」

さやか「?」

杏子「いや、わからなくていい」

杏子「じゃあ倒すか」

さやか「ちょっと待って、ほむらに吸収させないと」

杏子「魔女がどんな攻撃手段を持っているか分からねーんだ、こーやっている今もあぶねぇんだぞ」

さやか「私に任せて」

杏子「?」

さやか「胸椎にある……よし」

さやか「醒鋭孔!」

魔女「あぎゃあァァァァァァァァッッ!!!!」

さやかの拳が魔女を打ち貫くと同時、絶叫の雄叫びが上がった。

杏子「ひぃっ!?」

さやか「ほむらを呼ぼう」

杏子「いや、お前……コイツに何を?」

さやか「ほむらを呼ぼう」

杏子「わ、わかった」

このさやかは闘気で遠距離もこなせるな
最強じゃね?

魔女ほむら「ふぅ……」

まどか「大丈夫? ほむらちゃん?」

魔女ほむら「ええ、大丈夫よまどか」

魔女を取り込んだほむらが深呼吸する。

魔女ほむら「2人ともありがとう、助かったわ」

さやか「2対1だったらさすがに余裕っすよ! ね!」

杏子「あ、ああ」

魔女ほむら「?」

マミ「ところでさやかさんの力はどうだったかしら? 戦っていけそう?」

杏子「問題ない。いや、問題はあるんだが問題ないというか」

杏子「少なくとも、世紀末は生き抜けられるだろ……」

魔女ほむら「??」

ワルプルギス登場って



雨足が強くなる

避難警報

出現

だっけ?

出現と同時になんかヤバイ事が起きたっけ?

魔女ほむら(それから数日間、魔女を探して倒し、取り込む。そんな日々が続く)

魔女ほむら(だが、果たしてこのままでいいのか? という焦燥感に似た危機感も湧いてきた)

魔女ほむら(ワルプルギスの夜は強い。魔女を取り込んで強化したとはいえ、今の私の力で果たして勝てるだろうか?)

魔女ほむら(ワルプルギスの夜が現れる日も、もう間近だった)

魔女ほむら「お泊まり合宿?」

まどか「そう、みんなで私の家に」

マミ「へえ、面白そうね」

杏子「タダ飯食えたら文句ねーよ」

さやか「いくいくー!」

シャルロッテ「シャルロッテもいいかい?」

まどか「もちろんだよ!」

シャルロッテ「やったのさー!」

キュゥべえ「他人の家に泊まるだけで、なにが楽しいんだか……理解に苦しむよ」

さやか「ちゃっかり他人の家に居着く、根なし草みたいな存在が何を言ってるんだよ」

さやかがキュゥべえをヘッドロック。

キュゥべえ「痛い、痛いよ! 助けて、マミ!」

マミ「あらあら、うふふ」

まどか「来てくれるかな、ほむらちゃん?」

魔女ほむら「……ええ、わかったわ」

~翌日・夕方・まどかの家~

魔女ほむら「……」

チャイムを鳴らして待つこと数秒。
ドタドタと慌ただしい足音の後に扉が開かれた。

まどか「いらっしゃい、ほむらちゃん、待ってたよ」

魔女ほむら「え、ええ」

まどか「もうみんな集まっているから、早く上がって上がって」

魔女ほむら「それじゃ、失礼させてもらうわ」

マミ「あら、遅かったわねほむらさん?」

さやか「おっすー! あんまり遅いから先にケーキ切り分けておこうかと思ってたよー」

シャルロッテ「シャルロッテならいくらでもケーキを生成できるよー」

杏子「なにその素晴らしい能力」

タツヤ「シャー、シャールー」

シャルロッテ「髪を引っ張られたら痛いのさー!」

知久「こらこら、タツヤ。壁を叩いたらいけないよ」

魔女ほむら「……」

まどか「えっと、あの子供がタツヤで、そしてこっちがお父さんの」

知久「知久です。よろしく」

魔女ほむら「ほむらです。今日は失礼させてもらいます」

知久「かしこまらなくてもいいよ、ゆっくりしていってね」

知久「それに、君の事はよくまどかから聞いているよ。ほむらくん」

魔女ほむら「私の事を? まどかから?」

知久「うん、それはもう本当に楽しそうにね」

まどか「ちょっと、お父さん!?」

知久「ははは、ごめんごめん」

まどかが顔を赤らめて頬を膨らませると、知久はそそくさと退散した。

まどか「もう、お父さんったら」

魔女ほむら「……」

魔女ほむら(まどかが私の事を……楽しそうに……)

まどか「え、えへへ。忘れていいよ、今の話」

魔女ほむら「覚えておくわ、しっかりと」

まどか「ええっ!?」

魔女ほむら「……ふふふ」

まどか「! も~ほむらちゃんったら!」

さやか「よ~し、ほむらも来たし、ケーキ入刀は専門家の私に任せなさい!」

杏子「手刀はやめろって!」

マミ「じゃあ私が、うーん? 何等分かしら?」

杏子「さや、マミ、ほむ、まど、あたし、シャル、キュゥ、まどパパ、まどママ、まど弟、十等分な」

マミ「……難しいわね」

シャルロッテ「ケーキよりチーズの方が嬉しいよー」

杏子「中層部分はチーズケーキっぽいぞー」

シャルロッテ「やったー!」

魔女ほむら「……賑やかね」

まどか「ママ……お母さんが帰って来たら、もっと賑やかになるかなー、ティヒヒ」

詢子「一家の大黒柱が帰って来たぞー!」

魔女ほむら「噂をすれば、ね」

詢子「よし、飲め飲め!」

杏子「あっ、どうも」

さやか「お酒!?」

詢子「アンタたちの分はジュースだよ、ちゃんと未成年だって事は心得ているさ」

さやか「じゃあ自分も頼みまっすー」

詢子「おお、飲め飲め。そっちの娘も来い来い」

マミ「あら、それじゃお呼ばれして」

魔女ほむら「何というか、スゴい人ね」

まどか「え、えへへー」

詢子「そこの2人も来い来い」

魔女ほむら「お呼ばれしてしまったわ?」

まどか「お母さんったら、もう」

まどか「でも、みんな集まってるし、行こうか? ほむらちゃん?」

魔女ほむら「そうね、水を差すのも気が引けるし」

2人は立ち上がって、みんなの作った輪の中に入って行った。

詢子「やっべ、酒だコレ」

杏子「らから! わらひらってわかっへいひぇ!」

マミ「る~ら~ら~、る~」

さやか「愛を知り、愛のために戦う……」

魔女ほむら「目が座っているわ、さやかさん」

まどか「ほむらちゃんも顔真っ赤だよー! えへへ~!」

キュゥべえ「魔法を使えばアルコール除去ぐらい簡単なのに、何でしないんだい?」

魔女ほむら「さあ? みんなに聞いてみたらどうかしら?」

キュゥべえ「能力の低下しか効能がないモノを好んで嗜むなんて、ホント理解に苦しむ生物だよ」

知久「おいおい、詢子。ダメじゃないか」

詢子「すまーん、まだ早いが寝床の準備を手伝ってくれ知久」

知久「ふう、わかったよ詢子」

詢子「布団をリビングに並べて、眠ってる連中は私が」

魔女ほむら「……」

てきぱき動く大人2人を、ほむらはぼんやりと見続ける。

まどか「ほむらちゃ~ん、一緒に寝よ~よ~! 一緒に~!」

魔女ほむら「……一緒に?」

酔った頭はぼんやりとして、それに、ほむらはその言葉を否定する意味も無い気がした。

まどか「ママ~! 私、ほむらちゃんと一緒に寝る~!」

詢子「ん? じゃあ布団持って行け」

まどか「ん~ん? 一緒にベッドで寝る! 行こ! ほむらちゃん!」ドタドタ

魔女ほむら「ん」スタスタ

詢子「いや、狭いだろ。って、行ってしまいやがったか」

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

まどか「んしょ、んしょ、ほむらちゃんはこっちね」

寝転がったままベッドを移動したまどかが空いたスペースを叩いて、ほむらの場所だと伝える。

魔女ほむら「ん」

酔いとまどろみに支配されたほむらは抵抗する事無く、その場所に腰を下ろす。
そしてそのまま着衣を脱いで下着姿になると、ベッドの上で横になった。

まどか「ほむらちゃん、おやすみなさ~い」

魔女ほむら「おやすみなさい、まどか」

まどかの部屋、同じベッドの掛け布団の中で目を閉じる2人。

魔女ほむら(……まどかの匂いがする)

想い人の香る布団に包まり、隣にぬくもりを感じている内に、自然とほむらの意識も薄れていった。

残り170で完結させろ、だと……!?

~翌日、早朝~

魔女ほむら「昼前に再度集合。ワルプルギスの夜を迎え撃つわ」

魔女ほむら「各自、悔いの無いように準備をして」

さやか「あ、あのさ、ほむら。隣町まで少し行って来ていいかな?」

魔女ほむら「……構わないわ。これから先、お互いに『準備』に干渉しあわない」

魔女ほむら「遅れた人がいても、その場に集まった人だけで戦いに赴く。みんな、いいかしら?」

杏子「……なるほどな」

マミ「私は一向に構わないわ」

まどか「あ、あはは。私は何をしたらいいのかな?」

魔女ほむら「そうね……私たちの勝利を祈っていてくれたら助かるわ」

まどか「……ごめんね、役に立たないね、わたし」

魔女ほむら「そんなこと無い。まどかはみんなの支えになっているわ」

マミ「そうね。まどかちゃんを見ていたら、戦おう、逃げちゃダメって気になるわね」

杏子「どこか抜けてる所が保護欲を誘うってか?」

さやか「あーわかる気がするー」

まどか「ひ、ひどいよ。みんなー」

情けないまどかの声に、どっ、と笑いが巻き起こる。

魔女ほむら「うふふ、それじゃ、これで解散! 後は独自の判断で動いて」

ほむらは目尻に浮かんだ涙をこすりながら、笑いが収まる前に解散の号令を出した。

マミ「なんで一緒のお風呂に入っているのかしら?」

杏子「やる事ねーしなー、ゲーセンに行くのも何だし、昨日は風呂に入りそびれたからなー」

マミ「だから私の家で、連れ風呂とシャレこんでるのかしら?」

杏子「……イヤって言うなら出て行くけどよ」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

マミが自分のおっぱいを左右からつかみ、勢い良くぶつけ合わせた。

杏子「ぶはっ! 何をしやがんだ、こら!」

飛び散ったお湯のしぶきを浴びた杏子が抗議の声を上げるが、マミは勝ち誇った顔で何も言わない。

杏子「そのドヤ顔、相変わらずむかつくな」

杏子は両手を組み合わせると、それをマミに向ける。
そして勢いよく、風呂のお湯をマミ目掛けて射出し始めた。

杏子「倍返しだ、おらぁ!」

~とある街~

さやか「恭介」

さやかは焼け落ちた小屋の前で、誰にでも無く話し掛けていた。

さやか「皆には黙っていたけれどさ、見えていたんだ、私」

さやかは北の空を見た。
北斗七星がある場所の横に、うっすらと星が浮かんでいる。
死の定めを負った人間だけに見える星が、さやかの視界には瞬いていた。

さやか「死兆星かー、ちゃんと迎えに来て欲しいな、恭介」

だが、力無くさやかがつぶやいた所で奇跡が起きた。

さやか「え? ……死兆星が……消えていく!?」

恭介「…………」

さやか「恭介!」

空に浮かんだ恭介はさやかにほほえむと、静かに消えていった。

さやか「ありがとう、恭介!」

さやかの両目からとめどなく涙が溢れてくる。

愛が奇跡を起こした瞬間だった。

~ほむら結界~

魔女ほむら「計算は出来ているわ、後は軍の施設から奪って隠しておくだけ」

シャルロッテ「それは何なのさー?」

魔女ほむら「ワルプルギスの予測進路、武器や兵器の弾道を計算した紙。それと」

シャルロッテ「も、もういいのさー!」

魔女ほむら「あら、そう」

シャルロッテ「そんなのより、シャルロッテと遊んで欲しいのさー」

魔女ほむら「ごめんなさい、時間が無いの。帰ったら必ず遊んで」

シャルロッテ「ウソ、ですよね?」

魔女ほむら「……!?」

シャルロッテ「私にはわかります。貴女の背中には、ただ終わらせようとしている気持ちしか見えません。帰ろうという気持ちなんて微塵も見えない」

魔女ほむら「……」

シャルロッテ「でも、シャルロッテはずっとほむらを待っているのさー! だから早くここに帰って来て欲しいなー!」

魔女ほむら「……ありがとう、シャルロッテ」

ほむらはシャルロッテを胸に軽く抱き締め、数秒の間を置いて静かに離れる。
そしてほむらは結界の外に向けて、力強く歩き始めた。

急に泣き出した空は瞬く間に雨足を強め、もはや暴風雨という様相を呈していた。

魔女ほむら「みんな、集まったわね」

予定していた集合地点、廃ビルの中に皆が集まっている。

杏子「さやかが来てないけどなー」

マミ「さやかさんは街の外に行くと言っていたから、天候悪化の煽りを受けたのかもしれないわね」

魔女ほむら「どちらにせよ、待っている時間は無いわ」

杏子「だな」

マミ「じゃあ、行こうかしら?」

皆で視線を合わせ、うなずき合う。
思い思いの意志を胸に、3人は歩み始めた。

入り口の帳をくぐり抜けた3人の横を、カラフルな象の群れが通り過ぎていく。
象たちはその体に縄を巻き付け、皆一様に『何か』を引っ張っていた。
まるで、その『何か』を立て起こすように。

魔女ほむら「……」

先頭を歩くほむらが手を立て、背後の2人を止める。

同時に白煙が辺りに吹き出し、何か巨大な装置が動き出したような、歯車の噛み合う硬質な音が鳴り渡り始める。

魔女ほむら「来るわ」

皆が固唾を飲み、鋭い視線をさらに研ぎ澄ます。
空気を伝わって感じる純然たる悪意の存在が、否応なしに皆の心臓の鼓動を早めている。

肌を切り裂くような緊張が支配する世界。
だが、全員の注目を限界まで引き付けた舞台の幕は沈黙の世界を一蹴するように、3人の眼前で悠然と上がっていった。

巨大な歯車が宙に舞う。
無限の運行を示唆するように回り続ける歯車の下には、一体の人形が逆さまに吊り下げられていた。

マミ「コレが……」

杏子「……ワルプルギスの夜」

同時、ワルプルギスの夜から甲高い叫び声が放たれる。
対峙した者を嘲笑する悪意の塊が吹き荒れると、象、立て起こす縄、幕、すべてが役目を終えたように、一瞬にして焼け落ちる。

そして、それが戦いの合図となった。

魔女ほむら「行くわよ! みんな!」

杏子「おう!」

マミ「ええ!」

魔女ほむら「整列、三段に構え!」

使い魔「サーセン!」

魔女吸収の末に射撃能力を獲得した使い魔たちが隊列を組み、ワルプルギスの夜に目がけて射撃。
盾の上に取り付けた砲身は赤熱し、一時的に射撃能力を喪失するが、使い魔は後方の使い魔とシフトチェンジ。
断続的に段幕を張り続ける。

マミ「行くわよ!」

マスケット銃を無数に召喚し、一斉射撃。
銃撃は曇天の空に紅い閃光を瞬かせ、ワルプルギスの夜に突き刺さる。

杏子「逃がすかよ!」

厚い射撃の前に体勢を崩したワルプルギスの夜を無数の鎖が捕らえ、そこに数多の槍が殺到する。

3人の攻撃は爆音と閃光となり、破壊の猛威となって吹き荒れた。

魔女ほむら「……まだよ」

甲高い嘲笑と共に、爆煙が拭い去られる。

傷1つ負う事なく、ワルプルギスの夜は現れた時の姿のまま空に浮いていた。

杏子「ウソだろッ!?」

マミ「アレだけやって無傷なんて……」

魔女ほむら「……っ!! みんな! 避けて!」

ワルプルギスの夜が放った見える悪意が、黒い光条となって襲い掛かる。

杏子「うおっ!?」

マミ「きゃっ!」

使い魔「サー」

3人は飛び退き、走り抜け、かろうじて回避するが機動力皆無の使い魔は間に合わない。

頑強さが自慢の使い魔たちは紙細工のように貫かれ、ひしゃげ、押しつぶされた。

魔女ほむら「第2班!」

使い魔「サーセン!」

周囲に並び建つビルの最上階から砲撃が開始される。

魔女ほむら「THE・WORLD 私の世界よ」

砲撃に揺らぐワルプルギスの夜を前に、ほむらが時間を止める。

魔女ほむら「食らいなさい!」

繋いだ結界から無数のロケット式推進榴弾を召喚。
ほむらはそれの1つを手に取ってワルプルギスの夜へと発射。
そして続けて別の1つを発射。
空中に止まった榴弾に後続の榴弾も追い付いて、浮いた榴弾で1つの面が空中に作り出される。
止まった時間の中で次々に重なる榴弾。
ほむらが最後の一発を放つと同時に、ほむら背部アーマーの砂時計が閉じられた。

魔女ほむら「そして時は動き出す」

榴弾のつぶてが一斉に牙を剥いた。

魔女ほむら「まだ終わらない!」

バズーカ、迫撃砲、タンクローリー、果ては対艦ミサイル。

この日のために調達した武器や兵器を、止まった時間の中でワルプルギスの夜へと叩き込み。
この日のために計算し、練りに練った策略を惜しみなく発動していく。

だが、ワルプルギスの夜は甲高い嘲笑と共にそれらを払い退け、ほむらたちの頭上に在り続けた。

魔女ほむら「くっ!!」

マミ「ほむらちゃん!」

魔女ほむら「マミ、杏子」

杏子「さっきからの攻撃は何なんだよ? ほむらの力なのか?」

魔女ほむら「ええ、言っていなかったわね。簡単に言うと時を止めるのよ」

杏子「反則だな」

魔女ほむら「でも、効いていない……まったく」

宙に浮かぶワルプルギスの夜は、健在であった。

ワルプルギスの夜が再び、見える悪意を飛ばしてくる。

魔女ほむら「避けて!」

杏子「ふっ!」

マミ「はっ!」

攻撃を避けた3人に突然、暗い影が落ちる。

杏子「……んなっ!?」

見上げた空、根元から引き抜かれたビルがすぐそこまで迫って来ていた。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

大砲一発では焼け石に水。マミも分かってはいるが、一縷の望みに縋って攻撃の手をゆるめない。

魔女ほむら「時間を……ダメ、間に合わない!」

杏子「く、くそぉっ!」

空が今まさに落ちてくる中で、魂みなぎる雄叫びが上がった。

さやか「天・将・奔・烈ぅぅッッ!!」

闘気の奔流がビルを弾き壊し、ワルプルギスの夜へとぶち当たった。

杏子「こ、この攻撃は!」

さやか「待たせたな、ひょっこ共!」

マミ「さやかさん!?」

魔女ほむら「来てくれたのね、さやか」

さやか「あったりまえだろ、私がいないと始まらないだろうし」

杏子「でも、効いてないみたいだぞ、さっきの」

さやか「ウソ!? フルパワーだったのに!?」

ワルプルギスの夜はわずかによろめいたが、まだ空を飛んでいる。
しかし、思わぬ相手に面食らったのか、ワルプルギスの夜は4人をその場に置いて彼方へと飛び去り始めた。

マミ「あの方向は!!」

ワルプルギスの夜が向かう先。
そこにいる大切な存在が頭に浮かび、ほむらは思わず叫び声を上げた。

魔女ほむら「まどか!!」

1人、時を止めてワルプルギスに追い縋るほむら。

魔女ほむら「放てッ!!」

使い魔「サーセン!」

新たに召喚した使い魔がワルプルギスの夜に射撃を行う。
しかし、ワルプルギスの夜は止まらない。

魔女ほむら「砲身が焼け落ちるまで打ち続けなさい!!」

使い魔「サーセン!」

使い魔の砲身が赤熱、溶融、爆散を始めてもなお、ワルプルギスの速度は落ちない。

魔女ほむら「どうすれば! どうすればいいのよ!!」

もはや打つ手は無い。

ほむらがそう絶望しかけた時だった。

魔女ほむら「……!」

ほむらの頭の中に、ある記憶が閃きとなってよみがえってくる。

シャルロッテ『結界は城なのさー!』

シャルロッテ『例え寄り集まっていても、無理やり強い力に……』

魔女ほむら(ワルプルギスの夜には結界が無い! つまり、代わりの城壁がある!)

魔女ほむら(それは、寄り集まった魔女たちで間違いない!)

魔女ほむら(なら、それらを引き剥がせば!)

そして、その手段を魔女になったほむらは持っていた。

魔女ほむら「THE・WORLD 私だけの世界よ!」

ワルプルギスの夜が高層ビルの横に差し掛かったタイミングで時を止める。

ほむらは停止した時間の中で高層ビルを駆け登ると、ビルの屋上からワルプルギスの夜へと飛び移った。

魔女ほむら「そして、時は動き出す……くっ!」

動き出した時間の中で暴風雨にさらされながら歯を食い縛る。

ほむらは体を上手くワルプルギスの夜に固定すると、静かに目を閉じた。

魔女ほむら「悪いわね。貴女の城壁……喰い破らせてもらうわ!」

ほむらの結界が広がり、ワルプルギスの夜を包み込んでいく。
ワルプルギスの夜は末端の魔女が取り込まれ始めてからやっとほむらの企みに気付き、甲高い叫びで嘲笑した。

魔女ほむら「どうかしら? やってみないと分からないわよ?」

魔女ほむら「さすがに、強いわね!」

世界を信じて裏切られ、やがて絶望の中で祈りは呪咀の言葉へと変わる。

世界を呪った魔女たちの怨念が渦巻くワルプルギスの中はまさに悪意の坩堝であった。

魔女ほむら「でも、負けないわ」

魔女ほむら「マミ、さやか、杏子、シャルロッテ……そして、まどか!!」

魔女ほむら「私を信じてくれたみんなのために、私が信じるみんなのために」

魔女ほむら「私は負けない!!」

ワルプルギスの夜は嘲笑を浮かべて、その行為を見ていた。

無力を自覚した時、持っている力や希望が大きいほど、絶望は深く色濃いモノになる。
何より、絶望に苛まれる相手が苦しむ所を見ることこそが、その悪意の行動理由であった。

だが、それが致命傷となった。

ほんのわずかな、本当に些細な抵抗だった。
しかし、気が付けばそれは1つの流れを生み出し、さらに細かく分岐してワルプルギスの夜全体に広がっていく。
ワルプルギスの夜の嘲笑が消え、奪われた魔女を取り戻そうとしたが、それが逆に傷口を広げた。

ワルプルギスが奪われた魔女ごとほむらを排除しようと決断に至った時、その城壁は見るも無残に崩れ去っていた。

ほむらの前にワルプルギスの悪意が振り上げられた。

魔女ほむら「あら、遅かったわね?」

歯車は錆付き、軋んだ音をあげ、もはや回転はおろか満足に動かすことも出来ない。
ワルプルギスの夜の外壁は崩れ、内部の部品を構成する魔女たちはほぼすべてが脱落してしまっていた。

魔女ほむら「コレでいいわ、コレで」

眼前に迫る悪意に、しかし、ワルプルギスの夜と繋がっているほむらは動けず、やがて――

――ワルプルギスの夜の悪意がほむらを叩き潰した。

ほむらがワルプルギスの夜から落下していく途中、数多の光が迫ってくるのが目に映った。

魔女ほむら「後は……頼んだわ……みんな」

銃弾と砲弾、槍と鎖、闘気。
三者三様の攻撃は、ほむらの頭上、半壊したワルプルギスの夜に迫る。
そして炸裂音と閃光、嘲笑から断末魔へと変わった絶叫が響き渡った。

最後にそれを見届けたほむらは静かに目を閉じ、雨雲の切れ間から覗く光を浴びながら光の粒子になって消えていった。

まどか「……! ほむらちゃん?」

両手を組み、静かに祈っていたまどかは思わず立ち上がった。

詢子「こんな嵐の中をドコに行く気だい!」

まどか「はなして、私が行かなきゃダメなの!」

肉を打つ、乾いた音が響き渡った。

詢子「アンタは! 自分がどれだけ大切に思われているのか分かってるのかい!?」

詢子の厳しくも、優しさを孕んだ瞳。
まどかは赤くなった頬をそのままに、その瞳を見ながら迷わず答えた。

まどか「わかってる。わかってるつもりだよ」

まどか「だから、応えたい! その思いに! 私を信頼してくれる大切な人にこの気持ちを伝えたいの!!」

詢子「…………」

まどか「…………」

詢子「……行きな!」

まどか「お母さん!」

詢子「伝えてやりな! アンタの気持ちを!」

まどか「うん!」

曇天の空に陽光が戻ってきた。

杏子「ワルプルギスの夜が崩れていくぞ!」

さやか「勝った! 私たち勝ったんだ!」

マミ「ところでほむらちゃんはどこかしら? 姿が見えないのだけれど」

杏子「まったく、胴上げでもしてやるかー? アイツが何とかしてくれたんだろうし」

さやか「よーし、月まで飛ばしてやるー!」

杏子「おめぇのはシャレになってねーよ」

マミ「あらあら……あら? まどかちゃん?」

まどか「はぁ、はぁ」

さやか「どうした? まどか?」

まどか「ほむらちゃんは」

杏子「いやぁ、いないんだよどこにも、多分どっかに」

まどか「ほむらちゃーん!」

マミ「まどかちゃん?」

まどか「ほむらちゃーん!」

まどかの必死な様子が3人に不吉な予感を駆り立てる。
そして冷静に考えて、なぜワルプルギスの夜を倒してもほむらが出てこないのかと考えたら、やはり不吉な予感にしか行き着かなかった。

マミ「ほむらちゃーん!」

杏子「ほむらー! 出て来ーい!」

さやか「ほーむーらー!!」

やがて皆でほむらを探し始めた。
そしてそれから数十分。

やはりほむらは見つからなかった。

杏子「……ウソだろ」

マミ「そんな……ほむらちゃんが」

さやか「ウソだ! みんな、あきらめちゃダメだよ!」

まどか「うん、あきらめちゃダメ! 絶対にほむらちゃんを探し出してみせる!」

マミ「……まどかちゃん」

杏子「そうだな……まったく、ほむらも人騒がせなヤツだぜ!」

使い魔「サーセン!」

さやか「おおぅ!? 今までどこに」

マミ「使い魔がいる……つまり、ほむらちゃんは!」

杏子「ちょっと待ちな! 様子がおかしいぞ!?」

マミ「え? 使い魔が膨れ上がって……きゃあっ!」

使い魔を中心に衝撃波が広がった。


さやか「いたた、何が起こって」

まどか「ほむらちゃん!」

衝撃波の中心。
そこには見慣れた1人の魔女が立っていた。

魔女ほむら「ただいま、まどか」

まどか「……お帰り、ほむらちゃん!」

まどかが半ば体当たりするようにほむらを抱き締めると、ほむらも両手を広げてまどかを受け止めた。

魔女ほむら「私の肉体が消えてしまう時、私の意思を使い魔たちのグリーフシードに飛ばしたの」

杏子「孵化には結構なエネルギーとか必要じゃねーのかよ?」

魔女ほむら「それはワルプルギスの夜の魔女たちから拝借したわ」

杏子「悪知恵が働くやつだなー」

マミ「でも良かったわ」

さやか「本当に良かったよ」

まどか「ほむらちゃん」

魔女ほむら「まどか」

見つめ合うまどかとほむらだったが、いつしかその2人を囲むようにして使い魔の輪が出来上がった。

使い魔「サーセン」
使い魔「サーセン」
使い魔「サーセン」

魔女ほむら「あら、どうしたのかしら? 使い魔たちが……」

連続して衝撃波が発生した。

~数日後~

まどか「おはよう、ほむらちゃん」

魔女ほむら「まどか、一緒に学校に」

魔女ほむら2「何を行ってるの? 今日は私が学校に行く日なのよ!」

魔女ほむら8「私はシャルロッテがいたらいい」

シャルロッテ「ありがとー!」

魔女ほむら31「マミさんマミさん」

魔女ほむら13「31のせいで私の変な噂が……」

魔女ほむら7「消しましょうか?」

肉体消滅寸前に放たれた意思は使い魔すべてのグリーフシードに宿った。

相手が死なない程度につまみ食いを繰り返していた個体は異常に多く、無駄な頑強さのおかげでワルプルギスの夜の攻撃でも『消滅』はしていなかった。

結果、大量の魔女ほむらが生まれる下地が揃ってしまっていた。

魔女ほむら「まどかは私のものよ!」

魔女ほむら2「ひどいわ、独り占めする気!」

魔女ほむら3「公平にジャンケン、ジャンケンよ!」

魔女ほむら5「大岡裁きをするわ。まどかを引っ張っり合って、先に手を離した方が」

魔女ほむら9「最後まで手を離さなかったほむらが瞬時に持ち逃げするわね」

まどか「ちょっと、みんな仲良くしようよ!」

魔女ほむら「みんな、まどかが困っているわ、離れなさい!」

魔女ほむら2「意思継承の早さで順位を決めたらいけないわ」

魔女ほむら(その他)「そーよ!そーよ!」

まどか「いた、痛いってばー、手を左右から引っ張らないでー!」

まどか「いたいー! いたいー!」

魔女ほむら(一部を除いた全部)「えっほ、えっほ」

まどか「ほ、ほむらちゃんは本当に私が好きなの!?」

魔女ほむら(全)「もちろんよ!!」

まどか「う、嬉しいけど……嬉しいけど!」

まどか「うぇぇーんっ!!」

善良な魔女に囲まれたまどかはこの後、様々な意味での危機に直面するハメになるのだが、今のピュアなまどかには到底分からない話であった。

(完)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月03日 (火) 21:25:03   ID: TwFWb8Ct

おい

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