道化師の戀(70)

※「進撃の巨人」二次創作
※ハンジ(女性)視点
※リヴァイ→ハンジ→エルヴィン
※途中で性描写が入る予定

立ったら投下していく
今夜は途中までの予定

 窓に打ちつける雨音に気がつき、壁に掛けた時計を見上げるとすでに日付が変わっていた。今日も大層疲れた。
眼鏡を外し、眉間を揉みほぐしながら頸をぐるぐると回す。後頭部から背中にかけて引き攣れたような痛みが走り、思わず顔を顰める。
モブリットが持って来た紅茶はとうに冷め切っていた。彼がこれを持ってきたのはどのくらい前だろうか?数十分、いや数時間前か。
冷めて苦い紅茶を口に含み、椅子から立ちあがって伸びを一つする。机上の蝋燭が僅かな空気の動きに反応し、ゆらゆらと揺らめいた。
その微かだが暖かい光が冷たい石畳の床に不思議な影を作っている。

 乱雑に積み上げられた書類の山。光の輪の中できらきらと踊る細かな埃。愛用の湯呑み。
溢れんばかりの書物で今にも倒れそうなほどたわんだ書棚。この狭い部屋が私の世界の全てだ。
人類が巨人と闘い続ける限り、私の闘いも終わらない。この部屋では超硬質ブレードなどという無骨なものは使わない。
私がこの手に握るのは一本のペンのみだ。先がすり減って、ほどよく紙になじむこの一本のペンで、私は巨人と闘う。人類の生存を賭けて。

一日が終われば、指先はインクで真っ黒だ。手を洗っても染みついた汚れはなかなか取れない。
皮膚の奥に染みこんだ墨汁は、腕を伝い、肘をなぞり、肩を舐めるように這って私の心臓に届く。
もう何年、この仕事を続けて来ただろうか。
上司が死に、同僚が死に、後輩が死に、巨人がはびこるに従って、私の心にはどす黒い澱が溜まっていく。
周りの連中は、私のことを巨人の研究に狂った変わり者だと評している。
巨人に魅入られ、巨人に取り憑かれた哀れな女だと影で揶揄している。

(あれじゃあ嫁のもらい手も無かろうよ)
(分隊長殿は俺たち人間の男より、あの忌まわしい巨人のほうがお好みらしい)
 おあいにく様。女を組み敷くことしか頭に無いようなくだらない男などこちらから願い下げだ。
生来の変人で結構。
 ・・・それでも、こんな夜は、この胸に渦巻くどす黒いシミが、寂しいと啼き声をあげる。
誰かに触れたい。人の温もりを感じたい。温かなその眼差しで、その吐息で私のがらんどうな胸を埋めて欲しい。
---全く、矛盾している
 ささくれだった指先を眺めながら、ふん、と自嘲の笑みが零れた。

足元から冷え冷えとした夜気が伝わってくる。一日中履いていたブーツの所為で、ふくらはぎがこわばって痛い。
身体中が熱いシャワーとコーヒー・・・できればブランデーを二、三滴落としたものがいい・・・を求めている。
今日はここまでにするか。勢いよくファイルを閉じ、その辺にどさり、と投げ出す。

 そのとき、遠くから微かな音が聞こえてきた。馬を引く音だ。こんな夜更けに馬車を使う人物といえば一人しかいない。
我が調査兵団を束ねる男。あの男くらいの立場になれば、前線に出る以外にも他兵団や王侯貴族その他の連中との遣り取りなど職務内容は多岐に渡る。
団長という立場上、平素から多忙を極めているのに加えて、今回は女型の巨人捕獲に失敗したその尻ぬぐいでさぞ忙しいことだろう。
でなければこんな夜中にまで馬車を引き回したりしない。
 上背のある大きな軀、知性を感じさせる骨張った頬、くすんだ色の金髪。逞しい腕、強靱な力を潜めて張りつめた脚。その全てが眩暈がしそうなほどに男臭い。
それらを思い出しながら、乱暴にブーツを脱ぎ捨て、浴室の扉を開ける。引きちぎるように衣服を脱ぎ捨てて、タイル敷きの個室に足を踏み入れる。
シャワーの真下に立ち、蛇口を思いっきり捻る。狭い部屋の中にたちまち湯気が充満する。熱いお湯が身体中に染みいるのを感じながら、私は一人ごちた。
---決めた。今夜、彼の部屋にいこう

コピペすると改行&改段落がうまくいかん・・・
まずはここまで
一旦切ります

よくある事だ

急いで投下せんで貼り付けた後で修正するようにすればいい

>>9
ありがとう
貼り付けた後で改行してるんだけどね
なかなか思ったようにならんもんだね
ごちゃごちゃで読みにくくてスマン

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