幼女店長「ウチではたらく?」(1000)

幼女「いらっしゃいましー」

男「……?」

幼女「よおこそ」ペコリ

男「あー、えーっと。お店の人は?」

幼女「ふぇ? オテンチョならわたしです?」

男「オテンチョ?」

幼女「はいー。わたし、オテンチョです」

男「……もしかして」

男「店長?」

幼女「はいー」

男「困ったな。大人の人は?」

幼女「あいにく」

男「……居ない?」

幼女「はい~」

男「そ、そっか」

幼女「おきゃくさまおきゃくさま」

男「え、な、なに?」

幼女「ぱんぱかぱーん!」

幼女「おきゃくさまはおきゃくさまイチゴウです」

男「イチゴウ?」

幼女「はいーっ」パチパチパチ

男「(イチゴウ……初めての客ってことかな)」

幼女「オメデトさまです」

男「あ、ありがとう」

幼女「ゴキネンにこれあげます」

男「これは……。チョコ?」

幼女「あい」

男「あ、ありがとう」

男「(なんだこのチョコ。ここらで売ってるの見たことない)」

男「どうしたのこのチョコ」

幼女「ふぇ? ウッテルです」

男「売ってる?」

幼女「はいー」

男「(んん?? よく見たらこのチョコの包装、外国語で書かれてる)」

男「(この文字……んんん?? どこの語圏???)」

幼女「たぶぇないですか?」

男「え? あ、うん。じゃあ、せっかくだから頂こうかな」

男「……」パクッ

男「ん、……ん?」モグモグ

男「これは、お……おい……」

男「おいしい!! めっちゃ美味しいよ!」

幼女「てへー」

男「こんなに美味しいチョコ食べたの初めてだよ!!」

男「どこで売ってるのこれ!?」

幼女「さー?」

男「さー? ……って。ここで売ってるんじゃないの?」

幼女「ウッタほーがいいです?」

男「まだ売ってないの?」

幼女「はい~」

男「(矛盾してるのはさておき)そうなんだ。売ったら絶対一杯売れるよ!」

男「俺近所に住んでるし、定期的に買いに来るよ!」

幼女「ごひいきですね」

男「そうそう。頼むよ」

幼女「はー」

男「じゃあ、チョコは今度にするとして、他に何か売ってないの?」

幼女「んん?」

男「いや。 んん? じゃなくて。この店は何を売ってるの?」

幼女「さー……」

男「分からないの?」

幼女「あいにく」

男「そっか……」

男「(いつの間にか近所に変な店出来てるなーと思って覗いてみたら)」

男「(いったいこの店なんなんだよ……。こんなちっちゃい娘が店長?)」

男「(馬鹿言うなよ……ってよく見たらこの店)」

男「(商品といえる商品ほとんど置いてないし)」

男「(どれにも値札っぽいの付いてないし)」

幼女「ね。 ねね」ツンツン

男「ん? 何?」

幼女「これ」ヒョイ

男「こ、これは……!?」

幼女「ガッキ」

男「ガッキ?」

幼女「ガッキ」

男「……楽器」

幼女「そお」

男「(え? は? 楽器だと? 何だこの笛とギターとハーモニカが合体した様な物体は)」

幼女「ゴジュエン」

男「?」

幼女「それ、ゴジュエン」

男「は? え? 五十円?」

幼女「そうそ。ゴジュエン。……いる?」

男「……」

男「……」

男「……うーん」

幼女「たかい? まけよーか?」

男「いやそういう問題じゃないから」

幼女「はー」

幼女「おきにメシませんかー」

男「そういう問題でもないんだがな……」

幼女「こゆのもあります」ヒョイ

男「……こ、これは!?」

幼女「ヤク」

男「ヤク?」

幼女「はいー」

男「……焼く?」

幼女「んにゃ」

男「ひょっとして」

男「薬?」

幼女「はいー」パチパチ

男「(薬……ヤク……とってもお危険な匂いがしますし)」

幼女「ダイトッカ! サンジュエン!」

男「三十円……。この鼻くそ……いや、正露丸みたいな粒が……」

幼女「かう?」

男「買わない」

幼女「エー」

男「あのね。さっきの楽器といい、怪しげな薬といい」

男「いくら安くたって普通の人は得体のしれないものにお金出したりなんかしないんだよ?」

幼女「そでしたか……」シュン

男「(しかし……この薬はともかく、さっきの楽器とか、あとはそこらにポツポツ置いてある謎の物体郡は)」

男「(欲しい人からすると、かなり欲しいものなのではないだろうか)」

男「ほんとにこのお店、お嬢ちゃんが店長なの?」

幼女「おじょーちゃんちがうし。幼女だし」

幼女「幼女がオテンチョだし」

男「あー、うん。悪かった。店長。そっか幼女ちゃんって言うんだ」

男「(どうなってんだ……? 多分この店の持ち主の子供かなんだかだろうとは思うけど……)」

幼女「どしたらいーですかね」

男「ん?」

幼女「どしたらウレますかね」

男「……そうだなぁ」

男「俺はお店の経営なんかしたことないからよく分からないけど」

幼女「はー」

男「お父さんかお母さんに相談してみたらいいんじゃないかな?」

幼女「……はー」

男「そうだなぁ……まぁ、俺だったら、だけど」

幼女「はいー」

男「とりあえず、商品を綺麗に陳列しなおして、店の中を明るくして」

男「ちゃんとした値段を商品につけて、わかりやすく値札もつけるかな」

幼女「ははぁ」

男「店の入り口も入りやすくして、おしゃれな看板を立てて」

男「そうだな……変わったものばかり置いてあるから、そういう趣味な……」

男「うん、セレブな人たちをターゲットにするっていうコンセプトで、やってみたらどうかな?」

幼女「ほぉぉ」

男「っと、まぁこんなの素人アイディアだし、ちゃんとしたことはご両親に……」

幼女「ほぉぉぉぉ」パチパチパチパチ

男「おいおいよせよ。照れるやい」

幼女「めからウコン!」

男「は? え? あ、ウロコね」

幼女「すごいなー。すごいなー」キラキラ

男「(うぅ……そんなまぶしい目で見ないでくれ)」

幼女「さては、おにーさん。なにモン?」

男「なにもの、って」

男「なにものってぇー」

男「(ニートェ……)」

男「おにいさんはな、家を守ってる人なんだ」

幼女「はー」

男「家を守るのって、誰にでもできるようで実は出来ないんだ」

男「365日24時間、泥棒や強盗から家を守るという、とても危険でとてもカッコイイ仕事さ!」

幼女「りっぱなのですねー」

男「そうでもないさ」

男「(虚しくなってきた)」

幼女「そーですかー。ではきっと、いそがしーですかー」

男「ま、まぁな。家を監視していないといけないからな」

幼女「……そーですかー」シュン

幼女「むーん……」

男「どうしたんだい、そんな悲しい顔して」

幼女「なやんデルデス」

男「悩み?」

幼女「あい」

幼女「いっぱいいっぱい、おきゃくいっぱいほしーのです」

男「そっか。お客さんに来て欲しいのか。」

幼女「はいー」

幼女「幼女オテンチョになったから」

幼女「おみせハンジョーしたいん」

男「……そっか」

男「(この娘、どこまで真剣なんだろう)」

男「(どうせおままごとみたいな『ごっこ遊び』かなにかだと思ってたけど……)」

幼女「キューリョ」

男「ん?」

幼女「いくら?」

男「へ?」

男「お、お兄さんはなっ、ボランティアで働いてるんだ!」

幼女「ぼらんてあ?」

男「お金をもらわずに、ご奉仕する人の事さ!」

幼女「はー!」

男「世のため人のため、身を粉にして働いてるんだぜ」

幼女「ますますもってカガミですねー」

男「はっはっはっ」

男「はっはっ…………うぅっ」ポロッ

男「うぅぅぅっ」ポロポロ

幼女「!?」

幼女「どしました!? ころびました!?」

男「こ、ころんでないやい……っ。い、いやっ。人生に転んだんだいぃいぃぃぃっっ」

幼女「あやや」

男「アホか俺はぁあああこんな小さな子に見栄張ってどうすんだぁあああ」

男「大学にやめてから今日みたいに外ほっつきあるいてブラブラブラブラ」

男「家にいてもPCつけての2chやってーののお決まりコースでっ」

男「もーなにがしたいんだか自分でもわからんちんでさあああもうやだやだ死にたい」

男「うあああああああああああああああ」

幼女「よしよし」ナデナデ

男「ああああ…………あへ?」

幼女「いこいこ。いーこ」

幼女「いたいのとんでけー」パァァァ

男「え……」

幼女「とんでけーっ」パァァァッ

幼女「いたいの、なおた?」

男「……うん。いや、……うん」

幼女「えらいね。おにーさん、エライ」

男「……」

幼女「でも」

幼女「死んじゃ、や」ギュッ

男「……え」

幼女「や」ギュゥゥゥ

男「幼女、ちゃん……」

男「ごめん、幼女ちゃん。俺、嘘ついてた」

男「ほんとは、働いてなんかいないんだ。ボランティアっていうのも嘘」

男「家を守ってるっていうのも嘘」

男「いや、嘘じゃないけど。嘘で。……あぁ、もう。ともかく」

男「俺は無職なんだ……」

幼女「……そか」

男「俺に比べて、幼女ちゃんは偉いよ」

男「その年で、お店の店長になろうとしてるんだもの」

男「俺なんか、……俺なんかさぁ……」

男「仕事したくても仕事ないし、そもそも出来る仕事なんてないし……」

幼女「そなの?」

男「今は就職氷河期って言われてるくらいなんだ」

男「大学中退の俺が入れる会社なんてあるわけ……」

幼女「はー。なるほど」

幼女「じゃー」

幼女「ウチではたらく?」

男「…………」

男「…………ふひへっ!?」

幼女「おにーさんなら、いいよ」

幼女「や?」

男「……や? っていわれても……」

男「(いったい、この娘、どういうつもりで……)」

幼女「あ」

幼女「きょーは、イイから」

幼女「また、あした」

男「明日?」

幼女「ん。 アサ、きて」

男「朝に?」

幼女「ヤクソク」

男「(えぇい、どうせニートだ。平日だろうと休日だろうと、朝から暇だっ)」

男「わかった」

男「約束だ」

幼女「……!」

幼女「うんっ」ニコッ

 次の日

男「ふぁ」

男「朝、こんな早く起きるの久しぶりだな」

男「……なんか、昨日、無駄にドキドキして寝れなかった」

男「なんだろ……あー、うー、幼女ちゃんの体暖かかったなーーーっ!」

男「柔っこかったなーーーっ!!」

男「うひひっ」

男「って、いかんいかん。一歩間違えれば犯罪者になりかねん」

男「俺はやっと就職したんだ。あの店に。気を引き締めていかないとな!」


男「とは言ったものの、やっぱり店長だとか雇うだとか、子供の遊びなんだろうなぁ」

男「まぁ、遊びでもいいか。どうせすることないんだし」

男「……っと、そうこうしてるうちに店の前に着きましたよ」

 ガラッ

男「おはようございますー。約束どおり来ましたよー」

幼女「……!」

幼女「おにーさん!!」

男「お、おう。朝から元気だな」

幼女「来ないと思ってたから……」

男「え? なんで? 昨日約束したじゃん」

幼女「……」ジッ

男「?」

幼女「おにーさんが…………ったら」

男「え?」

幼女「な、ナンデモナイナイです」

男「ないのかあるのか。 まぁ、いいか」

男「昨日の話の続きだけどさ」

男「俺は晴れてこの店に就職、って事でいいのかな?」

幼女「……はい!」

男「おーけー。じゃあ、あらためてよろしくね。店長」

幼女「じゃー、おにーさんは、フクテンチョ」

男「くくっ、副店長ね。俺が」

幼女「ん。 フクテンチョ!」

男「なんでしょうか店長!」

幼女「ぼーなすハズムね!」

男「よっ、店長ふとっぱら!」

幼女「にょっほっほっ」

幼女「おにーさんフクテンチョに、はつしごと」

男「なんでしょう」

幼女「オキャクにごーがほしい」

男「お客2号ですか」

幼女「そー」

男「いきなりハードル高いですね、店長」

幼女「でも……オキャクこない、と、つぶれチャウ」

男「……でしょうねぇ」

幼女「そーすると」

幼女「おにーさん、クビ」

男「……」

男「はて……困った……」

男「(元々遊びみたいなもんで始めたわけだし)」

男「(クビになってもいいっちゃいいんだけど)」

男「(お客2号。二人目の、お客さん。俺以外の客)」

男「(つまり……このお遊びに、誰かもう一人を付き合わせなきゃならんわけだ)」

男「んんぅ」

幼女「ケゲン?」

男「怪訝ですな」

幼女「はー」

男「今のこの店の状態は、例えお客さんが来ても何か買ってくれるだろうか」

男「いや、買ってはくれないだろう」

幼女「ぬ」

幼女「イヤハヤ」

幼女「コマったね」

男「まずはお店の体裁を整えるところから始めませんか、店長」

幼女「てーさい?」

男「んー、見栄えというか、なんというか」

男「ともかく、しっかりと物を売れるようならなきゃ」

男「商品の値段も決まってない今の状況じゃ、商売をするどころじゃないよ」

幼女「ほー」

男「とりあえず、何をどれくらいの値段で売るかだけでも決めようよ」

幼女「あい!」

男「(うぅ、遊びだと分かっていても、どうも力がはいっちゃうな)」

男「(……まぁ、遊びも真剣にやった方が楽しいっていうし)」

男「(このまま付き合うか)」

男「この前もらったチョコレートなんかどうかな。あれに値段をしっかりつけたら、きっと売れるよ!」

幼女「あー……」

男「あ、もう無いとか?」

幼女「あるっチャあるやも」

男「?」

 幼女宅 倉庫

幼女「ここ」

 ガララッ

男「……うわ」

男「なんじゃこりゃ。わけわからないものが大量に……」

幼女「えーとえと」

幼女「んーう」ガサゴソ

男「うーわっ、なにこれグロッ!! マネキン? 人体模型??」

幼女「あえー?」ゴソゴソ

男「これは鍋……? いや、穴が空いてるから……冠?」

幼女「……!」

幼女「あった!」キュピーン

幼女「これ」

男「ん? ……おぉ! 昨日食べたチョコレートじゃないか」

幼女「いえす」

男「2……4……6……」

男「あれ、11個しかないの? 他には?」

幼女「ジュウにコあったけど、あげた」

男「あー、俺が食べた奴か。ってことは、元々1ダースしかないって事か」

幼女「そうそ」

男「まぁ、11個以上も売れるとは思えないけど……、これはどこから入荷したか分かる?」

幼女「みるくはスキかも」

男「乳化じゃなくて。……んー、まぁ、いっか。とりあえずこの11個を売りにだそう」

男「じゃあ早速、値札を作ろう」

幼女「あい」

男「俺が紙を切るから、店長は切った紙に値段を書いていって」

幼女「イクラがいいかな」

男「かけ値無しで美味しいチョコレートとはいえ、所詮お菓子だもんな。何円で売ろう」

男「俺なら幾らで買うかな。100円位かな」

幼女「ゴエンでいっか」

男「いやいや」

幼女「むずー」

男「幼女ちゃんは金銭感覚が鍛えられてないからしょうがないよ」

男「とりあえず、100円にしておこう」

幼女「え。たかい。うそやろ」

男「いいからいいから。副店長を信じてよ」

幼女「ひ。 や。  く。  え。  ん。」カキカキ

幼女「できた」

男「おー」パチパチ

男「じょうずじょうず」

幼女「それほどでも」

男「じゃあそれをあと10枚作って」

幼女「うい」

男「……さて、っと」

男「その間に俺は……」

男「んっしょ、んっしょ」

 ドサッ

男「……ふー」

男「(店内のガラクタを倉庫に詰め込んで、店の中をすっきりさせようと思ったけど)」

男「(なかなかどうして、体力不足の俺には一筋縄にはいかないなぁ)」

幼女「フクテンチョ!」

男「おー、店長。できましたか」

幼女「ラクショー」グッ

男「流石店長。じゃあ、早速チョコレートにはりましょう」

男「まぁ、今回の所はセロテープでいいでしょう。ペロッて切って値札をペロッって貼っちゃってください」

幼女「んー」ペロッ

男「いい感じです。これで誰がどう見ても100円のチョコレートですよ」

幼女「……やった!」

幼女「やったよ、フクテンチョ!」

男「あはは、でもまだ気が早いですよ。これからこのチョコレートを売らなきゃいけないんですから」

男「売るためにもうちょっとお店を整理しましょう」

幼女「あい!」



 おみせの しょうひんに 『なぞのチョコレイト(税込¥100)』 が ふえた!

 倉庫

男「んっしょ、んしょ……」

 ドサッ

男「ふぅ……。あれ、これは、……レジスター?」

幼女「れじすた? コレのこと?」

男「うん。こんなところに埋もれてたんだ」

幼女「なにするキカイ?」

男「お金の計算とかを自動でやってくれるスゴい奴でね」

男「普通、お店に一台は必須の機械かな」

幼女「へーー!」ヘェヘェヘェ

 ジャラジャラ

男「……? レジスターの中に何か入ってる」

男「開けてみるね」

幼女「ん」

 ちーん

男「……お」

幼女「ふ」

幼女「ふぉおん!」

男「こりゃけっこうな額が入ってそう」

幼女「タイキンだ!」

男「2の4の6……ううん、2万も入ってなさそう」

幼女「ニ、マン……?」

幼女「イエがかえる……!」

男「犬小屋ならな」


男「(しかし1万数千とはいえ、目の前に金が)」

幼女「タイキン♪ タイキン♪」

男「(幼女ちゃんの遊びに付き合ったんだし、これくらいネコババしても……)」

幼女「ねね、フクテンチョ! これツカウ? ツカエル? ツカエチャウ?」

男「使う、って。お店に?」

幼女「もち」

男「……」

男「(……いかんいかん。何を考えてるんだ俺は)」

男「そうだね。うん。じゃあこのレジスターをお店に置いて、カウンターを作ろう」

幼女「かうんた! うんうん、つくろ!!」

男「レジのコンセントをさして……っと」

男「うん。こんなんでどうでしょう?」

幼女「おおー」パチパチ

男「お店のガラクタも整理したし、レジも置いたし」

男「商品も置いたし」

幼女「テイサイ、できた?」

男「はは、そうだね。一応お店の体裁にはなったんじゃないかな」

幼女「……!」

幼女「くるかな? くる?」

幼女「オキャクにごー!」

男「そうだね……」

男「うん、きっと来るよ」

幼女「……やった!」

男「でもまだ、お店の入り口が、お店らしくないというか」

幼女「……ほぇ?」

男「『営業中』っていう札が隅に小さくかけてあるだけで、ちょっと入りずらいんだよね」

男「どんなお店かもパッと見よくわからないし」

男「俺が最初に来たときは、面白半分好奇心半分でここに入ったから」

男「よっぽどの事がないと、他の人はこの店に足を踏み入れないと思う……」

幼女「そ」

幼女「っかァ……」シュン

男「(さて……、これまでちょっと張り切ってみたはいいけれど)」

男「(お客を店の中に入りやすくするのは、そう難しいことでもない気がする)」

男「(でも、お客をこの店の中に入れるっていうことは)」

男「(この遊びに付き合ってもらうっていう事で)」

男「(……いいのかな)」

幼女「……」シュン

男「(幼女ちゃん落ち込んでるけど)」

男「(……よしっ)」

男「店長、ひとつ提案があります」

幼女「!」

幼女「な、なにかな!?」

男「外で呼び込みをしましょう!」

幼女「……ヨビ、コミ?」

男「そうです。道行く人に話しかけて、うちの店の商品を買ってもらうんです」

男「店に入ってもらえないなら、こっちが店の外にでて、お客さんを店の中に呼び込みましょう!」

幼女「……!」

幼女「ごいっす! フクテンチョ、ごいす!」

幼女「すげィ!」

男「ふっふふ。伊達に20年生きてないです」

男「(店の入り口を整えてお客さんに入りやすくさせちゃったら、一時の遊びですまなくなるかもしれないし)」

男「(俺が居ない時とかにお客が間違ってきたりしたら酷いことになりそうだし……)」

男「(呼び込みをするなら一時的なもので済むしな)」

男「それじゃあ店長、さっそく外にでましょう!」

男「待っててもお客なんか来ません! 我々の営業力で顧客をゲットしてやりましょう!」

幼女「おー!」

 ガラッ

女「え?」

男「あ?」

幼女「……!」

男「あ、れれ?? お客……さ、ま?」

女「は?」

男「れ、れれ??」

男「じゃ、じゃあ。この、み、店に、なに、か、用でも??」

女「店?」

男「は、はぁ、……まぁ、一応」

男「(いかん緊張のせいかというかあわわ焦ると焦って舌が焦る)」

女「……ふーん」

幼女「……」ガクガク

女「そっか、お店……」

男「……?」

女「すいませんね、遊びに付き合っていただいて」

男「……は?」

女「幼女の戯言に、付き合わされてるんじゃないですか?」

男「ざ、ざれごと?」

女「だめでしょ幼女。人様に迷惑かけちゃ」

幼女「……」ジッ

女「幼女?」

男「ちょ、ちょっと待ってください。貴方なんなんですか。店ちょ……いや、幼女ちゃんのいったい」

女「姉ですけど」

男「……っ」

幼女「…………もん」

幼女「あそびじゃ、ないもん」

女「……」

女「……そう」

幼女「幼女、オテンチョ、だもん」

男「……幼女ちゃん」

女「すいませんね、本当に。こんな娘でして」

女「幼女と遊んで頂いてありがとうございました。今日のところは、もう、これで……」

男「はぁ」

女「なにか?」

男「……い、いや。その」

幼女「……」ジッ

男「……」

男「……帰ります」

 帰り道

男「……」トボトボ

男「……幼女ちゃんのお姉ちゃん。俺と同じ位の年齢だったけど」

男「しっかりしてそうだったな」

男「……ぐぅ、ぅ」

男「いったい、なんだったんだよ」

男「一気に冷めちまったよ……! 人が一生懸命、幼女ちゃんの為にってやってたのに……!」

男「楽しくなってきたとこだったのに……!」

男「……あ……れ……?」

男「俺……」

男「(……楽しんでた?)」

 夜中 寝室

男「(……だめだ)」

男「(寝れない)」

男「(幼女ちゃんの事が頭を離れない。幼女ちゃんの店の事が……)」

男「でも」

男「お姉さんにあんなこと言われたら、もう行けないじゃんかよぉ……」

男「(遊びだって分かってるのに。文化祭の出し物だって、真面目にやったことなかったのに)」

男「(なのに)」

男「(なんでこんなに悔しいんだよ……!)」

男「(店の事とか、幼女ちゃんの事とか)」

男「(聞こうと思ったこと全然聞けなくて)」

男「(お客2号もまだ来てなくて)」

男「(なにもかも不完全燃焼で)」

男「……だめだ」

男「あきらめ切れない」

男「約束したじゃないか。……俺は、あの店の副店長なんだ」

男「どんな事があっても、あそこで逃げ出しちゃいけなかったんだ」


男「……うん」

男「明日もう一度、あの店に行こう」

男「きっと幼女ちゃんが……いや、店長が待ってる!」


   つづく

陰毛モジャモジャ

また明日、残っていたら続きを書かせてください。

tes

 三日目 朝 幼女のお店

男「店長!」

 ガラッ

幼女「……!」ビクッ

男「店長ぉ……よかった、いた」

男「いてくれたぁ」ヘロヘロ

幼女「え……」

幼女「おにー、さん」

幼女「どうして」

男「どうしてもなにも」

男「俺はこの店の副店長じゃないですか」

幼女「でも」

幼女「……だって」

男「じゃあ、クビですか?」

幼女「……ぇ」

幼女「……」フルフル

男「ならまだまだ働きますよ、俺!」

女「tuhoしませんでした」

幼女「……いいの?」

男「疑り深いですね。今まで働いてこなかった分働きますって!」

幼女「おミセ」

幼女「つづけて、いーの?」

男「あ……」

幼女「……」シュン

男「え、っと」

男「俺なんかが答えていいのかよくわからないけど」

男「店長は、遊びで店を開こうって思ってるんですか?」

幼女「ううン」

男「じゃあ、お姉さんに怒られる位、悪い事をしたんですか?」

幼女「……どかな」

幼女「わから、なぃ」

男「ごめん。聞き方が悪かったかもしれない」

男「幼女ちゃんは……店長は、昨日、自分が悪いことをしたと思ってるんですか?」

幼女「……」

幼女「……う」

幼女「う、うー」

男「分からないですか?」

幼女「うー……、おミセ、は」

幼女「幼女の、タメじゃ、ない、の」

幼女「だから」

幼女「……うーゥ」

男「あぁぁ、そ、そんなに悩まないでもっ!」

男「いいんです。店長が、そんなちっちゃな体で真剣なんだって分かればそれで」

幼女「そナノ?」

男「難しいこと言って、ごめんなさい」

幼女「だいジョブ」

男「店長と出会ってから、聞きたい事知りたい事、いっぱいできたんですけど」

男「ゆっくりでいいですから、教えてください」

男「俺、店長がなんでも気軽に喋っちゃうくらい、打ち解けられるようにがんばりますから」

幼女「……」

幼女「……うん」

男「じゃあ、昨日の続きしましょうか?」

幼女「オキャクにごー?」

男「そうですそうです」

幼女「わほー」

男「昨日は呼び込みするって言いましたけど」

男「作戦変更。気合を入れて、店の入り口をしっかり整えましょう」

幼女「ん!」

男「(昨日はまだ遊びのつもりでいたけど)」

男「(今日の俺は違う)」

男「(この店を、しっかりと店らしい店にするんだ……!)」

男「とはいったものの」

男「さて、どうするか……」

幼女「はー」

男「店長も何かアイディアあったら出して」

幼女「あい!」

男「とりあえず、ここを通りがかった人に、このお店がやってるっていうアピールができればいいと思うんだ」

男「それから、このお店がどんなお店で、どんなものが売ってるかとかも合わせて分かればいいよね」

幼女「はむー」

幼女「ナンモンですなー」

男「じゃあまずは、お店をやってるよっていうアピールだけど」

幼女「はいはいはい!」

男「おぉ! 店長なんでしょう!」

幼女「カンバン!」

男「看板。うん、そう。看板があるといいよね」

男「でも残念ながら、看板を作るお金も、頼むノウハウも俺たちには無いんだ……」

幼女「あうー」

男「うーん……」

幼女「はぅ」

男「良いアイディアがないなぁ」

幼女「なー」

男「(困ったな……これじゃ、やる気だけが先行しちゃって、結局グダグダで終わってしまいそうだ)」

男「(何か。何かないかな)」

幼女「ねーネ」ツンツン

男「あ、はい。なんでしょう店長」

幼女「やぱり、ヨビコミだめーなの?」

男「呼び込みもいいんですけど、一人二人を相手するならともかく」

男「大勢に来てもらう為にはもっとお店を……」

幼女「そかァ……」シュン

男「あ、いや」

男「まてよ」

幼女「どかした?」

男「もしかしたらもしかすると」

幼女「?」

男「……うん、いけそうです! 店長、当面の間お店をどうするか決まりましたよ!」

男「おいっちに」

幼女「おいっチに」

男「じゃあ、ゆっくりおろすよ」

幼女「へいオヤカタ」

男「3……2……1……」

 ドさッ

幼女「ふー」

男「ふぅ」

幼女「オモかた」

男「もってもらってありがとうです店長」

幼女「ラクしょーです」

男「それじゃあ、店先にもってきたこの棚が、これからしばらくは僕らのお店になりますよ!」

男「この棚の上に、チョコをちょこんと置いてですね」

幼女「うぃー」チョコン

男「それから、これは一番初めに僕がもらったチョコレートのあまりを、細かく砕いたものです」

幼女「ほんとだ。ちんマィ」

男「これをおもむろに、倉庫にあった綺麗なボウルへと移しかえて」

男「試食品の完成です!」

幼女「シショク! しってる!! 幼女シショクすき!」

男「こんな露天販売みたいにして売ってるチョコなんてやっぱり怪しいんで」

男「普通の人は買わないですからね。実際おいしいチョコを食べてもらって、購買意欲を誘おうっていう作戦です」

幼女「なるほ!」

男「こうやって店先で売るっていうのは、実際に商品をお客さんに見てもらいながら声をかけられるから」

男「呼び込みと店内販売のいいとこ取りだと思ったんだ」

幼女「はへぇ」

幼女「フクテンチョ、すげー」

男「てへへやめろい。素人考えだい」

男「……でも、問題はここからですよ店長」

男「お客二号をゲットするために、通行人に声をかけて商品のアピールをしなきゃ」

幼女「……ん!」

男「(ここは駅の近くっていう事もあって、決して人通りは少なくない)」

男「(むしろ朝方と夕方は通勤する人がいっぱい通る)」

男「(大丈夫。数打てばあたる。チョコの10個や20個くらい、すぐ売れるさ)」

幼女「うー、ダレにしよ」

男「無理しなくてもいいですよ。俺がまず声をかけてみますから」

男「店長はそれに続いてくれれば」

幼女「ううん、幼女はオテンチョだもん」

幼女「しっかりするの」

男「店長……」

幼女「……マセン」

主婦「……」テクテク

幼女「スミマセン!」

主婦「……あ、あら。呼んだかしら?」

幼女「あい」

主婦「……?」

幼女「ちょこ、いらンですか」

主婦「ちょこ……?」

幼女「これ」スッ

主婦「あら、綺麗な器」

幼女「ひとくちをば」

主婦「え? 食べていいの? この黒いの……チョコ?」

幼女「チョコットなら」

主婦「……?」

男「え、えっとですね。突然すいません。今ここでチョコレート売ってるんです」

男「外国産の、非常に珍しくて美味しいチョコレートです。開店特価で、今100円で……」

主婦「(なにこの人こんなにちっさい娘を使って商売なんかしてあやしいあやしいあやしい)」

主婦「す、すみませんね。主人を待たせてますのおほほ」

主婦「またね、お嬢ちゃん」スタスタスタ

幼女「あー……」

幼女「しくじった……」シュン

男「だ、大丈夫。言葉どおり、忙しかったんだよ」

男「ほら、店長に『またね』って言ったじゃないですか」

男「きっとまた来ますよ」

幼女「……うん」

男「ほら、気をとりなおして。まだまだ先は長いですよ!」

幼女「……ん!!」

幼女「あのー」

おっさん「ごめん急ぐんだ」

幼女「チョコをー」

ギャル「この娘チッコイよーマヂウケルー」

幼女「シショクをー」

浪人生「腹を下したらいけないから遠慮しておくよ」

幼女「あうあう」


男「(駄目だ、売れない……。よくよく考えたら、あんなに小さい娘と、(元)ニートの俺がチョコレートなんか露天販売なんかしても)」

男「(怪しいだけだ……! 普通の人はそりゃ近寄らないわな)」

男「(でも、ただ売れれば言い訳じゃないんだ)」

男「(幼女ちゃんと、俺とで売るからこそ、価値があるんだ)」

男「(ただお金を儲けたいんだったら、俺はさっさと就職してるはずだ)」

男「(お金じゃない。……お金じゃないんだ……)」

幼女「フクテンチョ……」

男「店長」

幼女「うー……」

男「あきらめますか。……それとも」

幼女「あきらめ、やだ。でも」

幼女「……でも」

男「店長」

幼女「あぃ」

男「店長のお姉さんに、遊びだって思われないためにも」

男「二人で売り切りましょう。 このチョコレート」

幼女「……」

男「見返してやりましょうよ。二人で」

男「幼女店長の店で」

幼女「……う」

幼女「うん!」

幼女「チョコ、チョコを、どぞ」

幼女「チョコレイトですー」

黒人「……」ズンズンズン

幼女「そこのー」

黒人「……」ズンズンズン

幼女「おまちー!」

黒人「……?」ピタッ

男「(ぬぉっ!? 見るからにガラの悪そうな体格の良い黒人さんっ!?)」

男「(なんて人に声かけるんだ! い、いや。や、やばい……幼女ちゃんに何かあったら……)」

黒人「What?」

幼女「あー、えー、チョッコレイ、チョッコレイ」

黒人「アーハ、 OK!」

 ヒョイ パクッ

黒人「~~」モグモグ

男「(うわ……ほとんど皆試食すら避けて来たのに、遠慮なく握り拳いっぱいチョコを……)」

幼女「……」ジッ

黒人「~~ヌ」モグッ

幼女「?」

黒人「ンーーヌヌッ?」モグモグッ

黒人「フォ、ォォォ」ポロポロポロ

幼女「ひぁ!?」

男「えっ!?」

黒人「ἀνφον όλλημαἀντίγφϗ!」

男「な、なんじゃああ」

黒人「τίν !!!」

男「え、ええええっと」

黒人「τίν !!!」

幼女「はおはお! おいしーでしたね!」

黒人「Yeah!」ギュッ

幼女「ひぁんっ」

男「(この黒人いきなり泣き出したと思ったら、今度は幼女ちゃんに抱きついたりして……!)」

男「ちょ、ちょっと! 何をして……」

幼女「い、いいのですー」

男「でも」

黒人「オーイオイオイオイオイ」ポロポロポロ

幼女「よしよし、よしよし」ナデナデ

男「(なんだこの光景は……ボブサップみたいな黒人が幼女ちゃんに泣きついてるなんて……)」

男「(夢でも見てるんだろうか……)」

 10分後

黒人「グスッ……スミマ、セン……ウッ」

男「いや、いいんですけど。落ち着きました?」

黒人「アイ……ズズッ」

幼女「よかちよかち」

男「えー、で、どうされたんですか。日本語少しは話せるようなので、良かったら事情を教えていただけると……」

黒人「コキョウヲ、オモイダシタンデスデス」

男「故郷」

黒人「イエスデスハイ」

黒人「ソノ、チョッコレイト」

黒人「ワガコキョウ、バヤビスオバナドゥノ、モノデスデス」

男「(ば、ばやびすおばなどぉ?)」 

黒人「コーダイナ、アフリカーナノダイチノ、ホンノホンノ、チイサナチイサナムラ」

黒人「ソレガ、バヤビスオバナドゥ」

男「はぁ……」

黒人「ワタシ、ベンキョシタ。シマクッタ」

黒人「シュッセシタヨ。ニホンデシゴトモラタ」

幼女「はー。カンシン」

黒人「デモママンガ……」

黒人「ママンガコイシクテ……ウッ」

黒人「ウウッ」

男「わ、分かった。事情は分かった。分かりました」

黒人「ワタシ、バヤビスオバナドゥノ、カカオデソダッタ」

黒人「カカオヲウッテ、カセイデ、ベンキョシタ」

黒人「ワスレナイ、アノカカオ……」

幼女「……」ジーン

男「(あのチョコレート、どこ産なのか皆目検討つかなかったが……まさか、そんな得体の知れない村のものだったなんて……)」

黒人「クダサイ、チョッコレイト」

男「……ふぇっ?」

幼女「!」

黒人「アルッタケ、クダサイ!」

男「全部で11枚。1100円なんですが……」

黒人「ヤッス!」

男「えっ?」

黒人「オカシイオカシイ。ソレ、チガウ。ヤススギ」

男「いや、でも」

黒人「ホィ。ツリハ、No thank you」

男「い、一万……?」

黒人「コレデモ、ヤスイ」

黒人「センエンナンカジャ、バヤビスオバナドゥノカカオニ、シツイレイ」

男「……よく、調べればよかった。実を言うと、適当に値段をつけたんです」

黒人「ソカソカ。ベンキョシタナ、ボウズ」

男「あはは……」

幼女「あの」

黒人「オッ」

幼女「あ、……あ……」

幼女「……ありがとう、ござい、まし、……た!」

黒人「ン」

黒人「コチラコソ、アリガトウ」

黒人「Baby girl。キミハ、フシギダ。ママンノニオイガ、スル」

幼女「……はー」

黒人「キミハ、ホンノスコシダケ、コキョウノニオイガ、スル」

幼女「オフロにはまいにちハイってますがー」

黒人「ハッハハ、オモシレー」

幼女「たはー、それほどでも」

黒人「ジャ、ソロソロイクワ」

男「あ、あの。よかったらまた来てください」

男「ここで、この娘……店長と、お店を開くんです」

男「まだ売るものも揃ってないですけど、これからどんどん大きくしますから」

黒人「……ン。マタコノチョッコレイト、シイレトイテ」

男「……! はいっ!」

黒人「ンジャナメナ!」

幼女「んじゃなめな~」

男「ありがとうございました!!」



 本日の売り上げ  

  バヤビスオバナドゥ産カカオ使用 高級チョコレイト 11個

   計¥10、000

幼女「~~♪」

男「ごきげんだな」

幼女「ん!」

幼女「オキャクにごー!」

幼女「きた!!!」

男「ん。……だな!」

幼女「えへへっ、えっへえへへへへーーー」

男「よかったな。ホント。……幼女が頑張ったからだぞ」

男「えらいえらい」ナデナデ

幼女「ふぇっ」

幼女「……ふぁぁ///」

幼女「うーぅ、は、はずい///」

男「え、なんで?」

幼女「なんデモ」

男「あ、そ」

幼女「ゥ~……」

男「まぁいいや。とりあえず、この店の外に出した棚を閉まって……」

女「ちょっと!」

男「え? ……あっ」

幼女「!?」ビクッ

女「……あなた、昨日の」

女「何してるんですか。……まさか」

男「……その、まさかかもしれないですよ」

女「まだそんなお遊びに付き合ってるんですか」

女「いい年に見えますけど、平日だっていうのにずいぶんとお暇なんですね」

男「う……」

女「はぁ……。幼女、この人にごめんなさいしなさい」

女「知らない人と遊ばないでって言ったでしょ」

女「それに……」

幼女「イヤ」

女「え」

幼女「キライ」

幼女「オネーちゃなんか、キライ!」

女「……キライ、って。そんな。私達家族でしょ?」

幼女「チガウ」

幼女「オネーちゃなんか……おねーちゃんじゃない!」

女「―――っ!!」

 バチーンッ

幼女「っ!!」

男「ちょっと! あんた小さい娘に向かってそんな暴力」

女「黙ってて! 口出さないでよ!!」

男「黙ってられるかよ!! 俺は幼女を……店長を守る義務があるんだよ!!!」

女「っっさい!! 笑わせないでよ!」

女「あんたと違ってね……そんな遊びで、家族やってるんじゃないわよ!!!」

幼女「……」

幼女「……っう」タッタッタ

男「幼女ちゃん!!」

ギャル「この娘チッコイよーマヂウケルー」
うけたwww

男「くそっ……」

女「追わないで下さいね」

男「なんでだよ!」

女「大丈夫。いつものことです。自分の部屋に引きこもるだけですから」

女「それに、ここからは私達家族だけの問題だから」

女「かまわないでください」

男「なんだよそれ……、俺は部外者かよ!」

女「もう幼女のお仕事は終わり。あとは家族と過ごす時間。……分かる?」

男「っく」

女「遊びじゃなくて仕事というなら、しっかりとその辺を守って頂きたいですわ」

女「もっとも」

女「お遊びであんな小さな娘をたぶらかしてる様なら、それはそれで考えものですけれど」

  夜 自宅

男「結局、また引き下がっちまった」

男「幼女ちゃんのお姉ちゃん……見かけによらず手ごわいな」

男「でも店を続けるためには、あの人をしっかり説得しないとな」

男「けれどどうすれば……」

男「どうすれば……ふぁぁ……」

男「やべ、今日はよく働いたから、眠気が」

男「店長も今頃すやすや寝れてるといいけれど」

男「……ん、ぅ……おやす、み……」

幼女なのに何故か店長

 4日目 朝 幼女の店前

 
男「おはよう!」

 ガラッ

幼女「おー、おは!」

男「おっ、……よかった。元気みたいで」

幼女「んー、ゲンゲンキ」

男「そかそか」

男「(昨日、あれからお姉さんと仲直りできたのかな)」

男「(それで幼女ちゃんは今明るい……とかだといいのだけれど)」

幼女「きょーもナンかうる!」

男「そうだね。どうしようか」

幼女「はてー」

男「うーん、倉庫あされば何かしらありそうだけど」

幼女「あ!」

男「何か思いついた?」

幼女「キノウのオバン!!」

男「キノウノオバン??」

幼女「あのねあのネ」

幼女「ウツワきれー、って」

幼女「オバンが」

男「おばん」

幼女「オバン」

男「おばさん?」

幼女「そーともイウ。いっちゃんはじめのー」

男「あぁ、あの主婦っぽい主婦の人ね」

幼女「そうそう」

男「その人が、……あぁ、チョコの試食で盛った器を綺麗だって言ったのか」

幼女「そそ」

男「ふむ……」

男「(確か、皿とか食器の類は、いっぱい倉庫にあった、様な……)」

男「よし、じゃあ今日は食器を売ろうか!」

幼女「ショッキ! うるうる!」 

男「よっしゃ、そうと決まれば倉庫を漁ろう!!」


 幼女の店 倉庫

男「うーー、この辺どうかなー」

 ガサゴソガサゴソ

幼女「このてぃーかぷ、かわゆ!」

男「いいね。それあ売ってみよう」

男「ええっと……ほかには……っと」

  ガサゴソガサゴソ

男「これは……ツボ? お、それとなんか陶器っぽいのが色々出てきた」

幼女「きれーないろー」

男「んじゃこれも売っちゃうか」

幼女「あいー」

 幼女の店 カウンター

男「さて……。倉庫からめぼしいものを持ち出したはいいものの」

男「値段をどうしようか」

幼女「どうせざる」

男「そんなにこういうのに詳しくないしなぁ。高くしすぎて売れないのも困るし」

男「たとえば、このティーカップセット」

幼女「んー、ナナジュえん!」

男「やっす!!」

幼女「そなん?」

オバン「良い仕事してますねー」

男「やっぱり価格設定は俺がするべきか……でも不安だー」

幼女「はてー」

男「まぁ、いいや! 野となれ山となれ!」


 おみせの しょうひんに
  『上品なティーカップセット(税込¥2000)』
  『ぐにゃんとしたツボ(税込¥500)』
  『へろへろの陶器(税込¥800)×4』
  『ふるびたマグカップ(税込¥300)×2』
  『綺麗な器(税込¥1500)』   が ふえた!

男「ま、こんなもんだろ」

幼女「ねふだ、つけおわたー!」

男「ご苦労様」

幼女「えへえへ」

男「今日は、売るものが割れ物中心ってこともあるから」

男「外じゃなくて店の中に上手く陳列して、お客さんに来てもらって、買ってもらおうか」

幼女「うん!!」

男「じゃあ、早速並べてみようか。落とさないように気をつけてね」

幼女「ん、っしょ。んっしょ」

男「大丈夫? もてる?」

幼女「へーきよぅ。こーみえて、ちからモチ」

男「ははは、そっか」

幼女「ん、っしょ。んっしょ」

 ズルッ

幼女「っえ、ふああっ!」

男「わっ、あぶなっ!!」

 グイッ

男「……っ」ギューッ

幼女「ふゎ、ぁ///」

男「あぶないあぶない。僕が店長を掴めない場所にいたら、どうなってたか」

幼女「う、-ぅ///」

幼女「ご……めン」

男「そんな。謝ることないよ。でも、力仕事はやっぱり俺がやるから」

男「店長は、棚を雑巾で拭き掃除してくれる?」

幼女「……あい!」

男「頼むね」

幼女「ふきふき」キュッキュ

男「そうそう、そんな感じ。お掃除上手じゃん」

幼女「それほどでもー」

 1時間後

男「うん、結構いい感じになったんじゃないかな」

幼女「おぉー」

男「掃除をして配置を変えただけで、ずいぶんと見違えたろ?」

幼女「ふんふん」

男「あとは人をどうやって呼ぶか、だな……」

幼女「どーすん?」

男「とりあえず、入り口のドアを開けっ放しにしてみよう」

幼女「ほぉ!」

男「それから……手作りで、ちょっとした看板も作ってみようか」

男「倉庫で見つけてきた板切れに」

男「こうやってマジックで……」

 キュ キュキュキュ

男「できた」

幼女「エトエト」

幼女「あ、あー……あん……?」

男「まだ字はあまり読めないのかな?」

幼女「うー」

男「アンティーク、安く売ります ―幼女のおみせ―」

男「って書いたよ」

幼女「……ほぉおおおお」

男「アンティーク、っていうか……まぁ、古物なんだろうけど」

男「かっこいい言い方の方がきっとお客さん呼べるよね」

幼女「なるほろ……で、その、えっと」

男「あぁ、店の名前? とりあえず仮に書いてみたけど、ごめんね安直で」

幼女「ううん、……ううん!」

幼女「うれしい」

男「よかった。気に入ってくれて」 

幼女「幼女のおみせ……幼女の……、ふふっ」

男「それじゃ、『営業中』の立て札を見えやすいようにかけて……っと」

男「店長、開店だよ!」

幼女「おー!!」

男「今日も売れるといいね」

幼女「……だいじょぶ」

幼女「キット、うれる」

男「そうだね」

男「昨日は偶然売れたようなものだけど……でも、頑張りつづければ報われる事もあるって知ったから」

男「今日も一生懸命やるよ」

幼女「幼女もガンバル!」

 30分後

男「……」ボーッ

幼女「……」ボーッ

男「……んー、来ないなぁ」

幼女「むー」

男「せっかく入り口を開けて、店内の様子が分かりやすくしてあるのに」

男「みんなまっすぐ歩くばかりで、こっち側見向きもしないし」

幼女「ね」

幼女「だれとも、オメメあわない」

 1時間後

男「……んー。どうしたもんかな」

幼女「また、ヨビコミする?」

男「今日は食べ物と違って誰彼かまわず欲しがる様な商品じゃないからなぁ……」

男「それは結構難しいかも」

幼女「そか……」

男「かといって、じっとしてるのも苦痛だよね」

幼女「……んー」

男「せっかくだから何か、お話しようか」

幼女「ハナシ?」

男「うん」

幼女「はー」

男「店長は、何か俺に話したいこととかある?」

幼女「……んぅ」

男「あるんだ」

幼女「ある、よな」

幼女「ない、よな」

男「そっか」

男「前にも言ったけど、俺は幼女ちゃんに聞きたいこと色々あるよ」

男「いっぱい、あるよ」

幼女「はて……」

男「たとえば、お姉さんとの関係のこととか」

幼女「……」

男「倉庫になんであんなに色んなものがあるのかとか」

幼女「……」

男「このお店はいったいなんなのか。そもそもなんで幼女ちゃんが店長をしているのか」

幼女「……はー」

幼女「ん……ぅぅ」

幼女「イヤハヤ」

男「ごめん、困らせちゃったね」

幼女「ウウン」

男「……あはは、駄目だな。なんだか触れちゃいけないって分かってたのに」

幼女「……でも、きてくれた」

男「え?」

幼女「ナンにも、しらないのに」

幼女「まいにち、まいにち、きてくれた」

男「……」

幼女「だからね、えっと……だから」

幼女「しんじてる、から」

幼女「……チョットだけ、なら……」

幼女「アノ、ね」

幼女「そーこの、もの、ゼンブ」

幼女「ゼンブね、あれは…………」

紳士「失礼。お邪魔いたします」

男「あ、い、いらっしゃいませ」

幼女「あ……」

紳士「拝見させて頂いてもよろしいかな」

男「もちろんです。ゆっくり見ていってください!」

紳士「……」ジッ

紳士「……」ジーッ

男「……」ドキドキ

幼女「……」ドキドキ

紳士「触っても宜しいかな?」

男「あ、はい。どうぞ」

紳士「どれどれ」

男「(あ、手袋した)」

紳士「……」ジッ

紳士「……はて」

紳士「ニ三、お話よろしいかな?」

男「え、えぇ。まぁ」

紳士「これらの品々。どこで手に入れなさった」

男「……と、いうと」

紳士「質問の意味はそのままと受け取ってください。正直にお答え願いたいですな」

男「……え、ええと」

男「(困ったな。幼女ちゃんの家の倉庫からだなんて言えないし……)」

男「(適当に家で使ってたもののリサイクル品だとか言ってしまおうか)」

幼女「……セカイ」

男「ん? 店長??」

幼女「セカイジュウ、から」

はて?

紳士「そちらのお嬢様が店主様でしたか。それは失礼」

紳士「そして店主。世界中……とつぶやきなさったか」

幼女「はい」

紳士「ふむ」

男「……?」

紳士「しかしどうして、売ってしまいなさる」

紳士「確かにどれも価値になりずらいかもしれません。売れれば良い、それは分かる」

紳士「ですが、金銭を凌駕するもの、価値のつけようのないもの……」

紳士「たとえば、……たとえばの話ですぞ」

紳士「思い出」

紳士「これらの品々は、そういった類のものに近いと私は見ているのですが」

幼女「ムズイこと、わからない」

幼女「でも……でも、言ってた、の」

幼女「モノに、は、もちぬし、が」

幼女「ふさわしい、もちぬし、が、いる。……って」

紳士「ほ!」

紳士「興味深いですな。そういう事をおっしゃる方が、まだいるとは」

紳士「いったい、どこのどなたか」

幼女「……」

幼女「……」フルフル

男「(幼女ちゃん……)」

紳士「……ふむ。沈黙。それもまた、いいでしょう」

紳士「ふさわしい、か」

紳士「ならば、私がこれらを買う必要もありますまい」

紳士「また、来させてもらいますよ、店主」

紳士「なかなかいい店。なにより、変わっている」

紳士「店構えも、店員も」

男「えっ?」ドキッ

紳士「それでは、失礼。」

男「あ、ありがとうございましたー」

幼女「……」

男「変わった人だったね」

幼女「……ん」

男「なんだったんだろうな。買うわけでもなし、不思議なことだけ言って……」

幼女「さー」

男「店長」

幼女「……?」

男「俺、ホント分からないことだらけで……、店長がこの店でどうしたいのか、まだ良くつかめてないんですけど」

男「信じていいん……ですよね?」

幼女「……」

めっちゃ高額商品かと期待した

男「あの倉庫のものが、世界中から集められたものだってのが本当なら」

男「本当なら……」

幼女「幼女は、ゼンブ、うらなきゃ、なの」

男「全部、売る。倉庫の中のものを?」

幼女「うん」

男「……なんで、ですか」

幼女「うらなきゃ、なの」

男「誰に言われたんですか」

幼女「だれにも」

男「じゃあ、なんで」

幼女「ワケは、……イッパイ。イッパイ。」

幼女「ムズカシィ」

幼女「でも、さっき、イイカケたこと」

幼女「これだけは、ワカル、の」

幼女「そーこのナカのもの、ぜんぶ」

幼女「ぜんぶ」

幼女「お父さんと」

幼女「お母さんが」

幼女「あつめたんだ」

男「……幼女の、両親が? え? でもそれを勝手に売って」

幼女「いいの」

男「?」

幼女「もう、いない、から」

 夜 寝室

男「(その日は、もうお客さんは来なかった)」

男「(そもそも、幼女の話を聞いて、俺はすっかり商品を売る勇気を無くしてしまった)」

男「(両親が世界中で買い集めたものを、勝手に売る?)」

男「(しかも、その両親は亡くなっている?)」

男「(……馬鹿な。いわば遺品みたいなものじゃないか)」

男「(どうして店長は……いや、幼女ちゃんはそんなことができるんだ)」

男「(もう、俺には訳がわからない)」



 本日の売り上げ

  なし

計¥0

 つづく

すいませんもうちょっと続きます
明日遅くなるかもしれないです
にもかかわらず書ききれない自分が情けない

また残っていたら、続きを書かせてください

ほしゅ

ねむい

ほっしゅ

幼女「わたしが保守するよ?」
俺「俺がやるよ、任せて」
幼女「男サン///」

 5日目 朝 自宅

男「……どうしよう」

男「朝なのに。出勤しなくちゃなのに」

男「でも」

男「俺はあの店で、何を売ればいいんだよ……」

男「くそっ」

男「最初に売ったチョコレートだって、もしかしたら幼女の両親の想いが詰まってたかもしれない」

男「それなのに、俺は……」

男「俺は、売っちまったんだ」

男「うぅ、う……」

男「……行こう」

男「幼女ちゃんが、どうして両親の遺品を売りたがってるのかは分からないけれど」

男「やっぱり」

男「こんなこと、止めさせなきゃ」

 朝 幼女のおみせ

男「おはよう」

 ガラッ

幼女「……あ」

男「来たよ」

幼女「う、……ん」

男「……」

幼女「……」

幼女「……あのっ」

男「ん?」

幼女「きょうは、なにを、うる?」

男「……」

幼女「まだ、まだソーコに、たくさんっ」

幼女「タクサンッあるッ、……から」

男「もう、止めようよ」

幼女「え……」

男「売っちゃだめだよ」

男「……絶対、後悔するよ」

幼女「しない、よ!」

男「幼女ちゃんはまだ子供だから」

幼女「しないもん!!」

男「……だからっ」

幼女「ウウン」

幼女「したって、いいもん!!」

男「……え?」

幼女「いいんだ、……モン」

男「幼女のお姉さんは、何て言ってるんだ?」

男「売ってほしくなんか、ないんじゃないのか?」

幼女「そんなこと、ナイ」

幼女「きっと、よろこぶ」

男「どうして」

幼女「ドシテ、って……」

幼女「…………うー」

男「俺にはわからないよ、幼女ちゃんの気持ち」

男「俺は、俺の両親がもし、居なくなったら」

男「両親が持っていたものは、できる限り大切に持っていたい」

男「それが普通なんじゃないかな」

幼女「……う、ぅー」

男「じゃあ、こうしようよ」

男「一昨日チョコレートを売ったお金で、何か新しいものを仕入れよう」

男「それを売って、お金を稼いで、また仕入れて」

男「少しずつ商品を増やしていこうよ」

幼女「……や」

男「幼女ちゃん、あのな」

幼女「や!!」

男「……」

幼女「幼女は、ウルの」

幼女「お父さんと、お母さんの」

幼女「おもいで」

男「思い出を、売る……?」

幼女「……」コクリ

男「なにを言って……あ……」

男「(昨日、あの紳士な人が言ってた)」

男「(ここにおいてある商品は『思い出』だって)」

男「……そうか」

男「幼女ちゃんと、幼女ちゃんの両親との思い出が」

男「このガラクタたちに……」

幼女「……」

男「ならっ」

男「それが本当ならっっ」

男「尚更売れな……」

幼女「おにーさんは!」

男「……」

幼女「……ヤクソク、まもって、クレタ」

幼女「ヤクソク、だいじ」

男「う、うん」

幼女「幼女、ヤクソクしたの。お母さんと、お父さんと」

幼女「だから、ウルの」

幼女「幼女のおみせで、ぜんぶ」

幼女「おもいでを、ぜんぶ」

男「……約束」

男「どうしてそんな約束をしたんだ。どうしてそんな事、幼女ちゃんの両親は」

幼女「わかンない」

幼女「……デモ、まもン、なきゃ」

男「そんな」

幼女「フクテンチョ」

男「……なに?」

幼女「おねがい」

幼女「たすけて」

幼女「オテンチョを……たすけて、……よぅ」

男「はーー、まったく。どんな巡り合わせかと思ったけど」

男「どうしてこんなことになるのかねぇ」

幼女「……ぇ」

男「金が欲しけりゃ今頃働いてるし」

男「勉強したけりゃ大学にしっかり通ってたさ」

男「したくない事なんてほとんどない。何より、したいことが無かったんだ」

男「だから俺は、いい年こいてニートなんかやってる」

男「その俺が、……本当に、久しぶりに、したいことを見つけたっていうのに」

男「なのにさ……」

幼女「ぁ……ぅ……」

男「だから」

男「……だから、後味悪いのだけは簡便してくれよ!」

幼女「え……?」

男「もう、大学中退したので後味悪いのは正直ごめんなんだわ」

男「ってわけだから。倉庫の中のモンを全部売り切ったらさ」

男「……笑って、くれるよな?」

幼女「おにー……っ、フクテンチョ!」

男「良かった、嬉しい、やりきったって」

男「俺と一緒に、笑ってくれるよな?」

幼女「ウン……、うんっ! ゼッタィ」

幼女「ヤクソク!!」

~BAD END~

>>582
おいちょっと黙っとけ

 昼 幼女のおみせ 倉庫

男「これと、……これと」

男「あと、これ。店に運んで」

幼女「あいっ!」

男「それから……」

 ガサゴソ

男「おっ、これいいじゃん。鞄か。ちゃんとした皮で出来てるのか?」

男「これも売っちまおう」

男「(とにかく倉庫にあるものを、できるだけ商品として陳列することが優先課題だ)」

男「(今まではチマチマ出してきたけれど、そんなことしてられない)」

男「(……もう、決めたんだ)」

男「(例え後悔があったって、誰かを悲しませたって)」

男「(俺はやって、やりきって、悲しみを上回る幸福を産むんだ」)」

男「(今まで、ずっとずっと逃げてきた人生なんだ。もう、……逃げない)」

 幼女のお店:店内

男「ん、っしょ。よっこらせ」

 ドサーッ

男「……ふぅ」

幼女「フクテンチョ、おつかれさまん」

男「ありがと。ちょっと疲れたけどな。商品候補がしっかり増えたぜ」

幼女「ひゃはー」

男「幼女ちゃんは値札作って。俺は陳列していくから」

幼女「うんっ。つくる!」

眼鏡「あ、あのぅ」

男「……え、あっ。いらっしゃいませ!」

幼女「いらしゃーいっ」

眼鏡「ど、……ども」

眼鏡「あ、……す、すいません。まだ開店前……でした?」

男「いえっ。大丈夫ですよ。見ていってください」

男「(なんだか地味な女の人だなぁ。でもいい人そう)」

眼鏡「そ、そうですか。……あっ、じゃあ」

 がさこそ

眼鏡「私、こういうものでして」サッ

男「あお名刺ですか。これはどうも」

男「……クール企画?」

眼鏡「いわゆるなんでも屋でして。そこの社員をやってます」

男「はぁ。それで、何か」

眼鏡「ある方のご紹介で伺ったんですが」

男「ある方?」

眼鏡「えぇ、……その、なんといいますか。弊社をご贔屓にしてくださってる方でして」

眼鏡「なんでも、『チョコレートの者』だといえば分かって頂けるとか」

男「チョコレート……?」

幼女「あ!」

幼女「オキャクにごー!!」

男「……!」

眼鏡「おきゃ……?」

男「い、いえ。こちらの話です。どうぞ続けてください」

眼鏡「あ。は、はい」

眼鏡「その方に、こちらの店舗に伺って私がお仕事を頂くように、とのご依頼を頂戴しまして」

男「……仕事?」

眼鏡「仕事、といっても特に具体的には伺って頂いてないんですが……」

男「は、ぁ」

眼鏡「何か、私に出来ることがあれば、協力させて下さい」

眼鏡「あ、一応。専門はデザインでして」

幼女「……でざいんっ!」

眼鏡「あ、ですが専門専門外かかわらず、お仕事ならなんでもやりますので」

男「デザイン、……あ、ひとつ」

男「ひとつだけ、早急に頼みたい事が」

眼鏡「ややっ。いいですね。なんでも屋の血が沸きます」

こんな本あったら買うかもしれない

男「うちの店の看板をお願いしたいんですけど」

眼鏡「看板ですか」

幼女「……オ!」

男「できるだけ多くの人に、この店に入ってもらいたいんです」

男「そのための看板を、是非」

眼鏡「……ん、ん~。シンプルですけど、難しい」

眼鏡「私の手に負えるかどうか」

男「そんなリキまなくていいんです。あなたの……眼鏡さんの、思ったとおりに」

男「ただ、できるだけ早く看板が欲しいんです」

男「……それと」

男「お金もあまりないのですけど」

眼鏡「お金のことは、あまり気にせず」

眼鏡「あの方に、たんまりと頂いてますから」

男「……そうですか」

男「じゃあ、甘えて……いいのかな、店長?」

眼鏡「……店長?」

幼女「オンは、かえすよネ?」

男「そうだね。返そう。いつか」

幼女「うんっ!」

男「……というわけで」

眼鏡「あ、あのっ、その娘が……店長?」

男「そうですよ。なんてったてこの店は『幼女のおみせ』なんですから!」

幼女「えへン!」

眼鏡「……ふっ、……くふふっ」

眼鏡「か、かわいっ……! やった。えへっ、うん。この仕事受けて、やっぱりよかったぁっ」

男「ど、どうしました?」

幼女「ヒャックリかー?」

眼鏡「す、すいませんっ。つ、つい……ふふっ」

眼鏡「ああ、もうっ。だめですね。フォーマルなのは私に似合わない」

眼鏡「よろしく、かわいい店長さん。眼鏡っていいます。お友達にしてくれますか?」

幼女「とも、……だち?」

眼鏡「そう。友達として、このお店のお手伝い、させてくれないかな?」

幼女「ふ、フクテンチョ!」

幼女「いいひとッ! いーひとぉんっ!!」

男「はは、そうだね。眼鏡さん、とってもいい人だ」

男「それじゃあ、よろしくお願いします」

眼鏡「はい。『幼女のおみせ』の看板。きっかり承りました」

眼鏡「期待してて、幼女ちゃん」

幼女「がんば!」

眼鏡「ありがとっ」

男「……でも、ほんとにいいんですか。ほんとに、こんな、良くしてくれて……」

眼鏡「いいんですよ。お礼なら、あの方に言ってください」

男「でも」

眼鏡「……こういう仕事してると、ちょっとした奇跡に、よく出会うんです」

男「奇跡?」

眼鏡「奇跡はね、お金じゃ買えないんです。値が付けられないんです」

眼鏡「きっとあなたも私と同じように」

眼鏡「小さな奇跡と出会う為に、ここに居るんじゃないんですか?」

男「小さな奇跡……、ですか」

眼鏡「そう。たとえば」

眼鏡「同じ値段の商品だとしても、買う人が違えば、商品の価値は違う」

眼鏡「その価値の違い決定づけるものは……」

眼鏡「……」

眼鏡「……ちょっと、しゃべりすぎちゃいましたね」

男「いえ。……すごいと、思います。俺とそんなに年の差はないでしょうに」

眼鏡「ふふっ、ありがと。でも私は貴方の方がすごいとおもうわ」

眼鏡「あ、謙遜とかじゃなくてね。素直に」

男「えっ、ええっ!?」

眼鏡「あはは、そんな驚くことかなぁ。……じゃ、また。看板が出来しだい来るからね」

幼女「まってゆ!」

眼鏡「またね、幼女店長さん。立派な副店長さん」

次は紳士がなんか連れてくるのか

 夕方 幼女の店:店内

男「……よしっ。とりあえず出庫した商品の陳列は終わった」

幼女「はひはひ」

幼女「ツカレった」

男「でも、ほら見てよ」

男「商品が増えて、やっと店内が普通の店らしくなってきたよ」

幼女「……ホントだ、ぁ……」

  おみせの しょうひんに
    『皮のカバン(¥2500)』
    『動かない腕時計(¥800)』
    『髪の長い緑眼人形(¥1600)』
    『南国なお面(¥700)』
    『鍋みたいな冠(¥200)』
    『へんてこな楽器(¥100)』
    『リアル内臓マネキン(¥5000)』
    『細工の入ったランプ(¥3000)』
    『鈍い色の石(¥100)×16』
    『もふもふのストール(¥2200)』
  がふえた!

幼女「うれる、カナー」

男「売れるさ。……売るんだろ?」

幼女「……うん」

男「……と、いってるそばから」

 カランカラーン

男「いらっしゃいませ!」

幼女「いらっしゃーデス」

彼氏「へぇ、……こんな店、駅前にあったんだな」

彼女「ねーもういいじゃん、早くさぁ……」

彼氏「まぁまぁ、ちょっと待てよ。俺の知的探究心がうずいてんだ」

彼女「えー、だってもういい加減、もう夜だし……急がないと……」

彼氏「何いってんだよ。まだたいした時間じゃねえよ。あ、ちょっと」

男「あ、はい。何でしょう」

彼氏「今何時?」

ブブゼラだろ

男「時間ですか? 4時を回ったところですけど……」

彼女「ほらー」

彼氏「まだ4時。4時なら平気だって。まぁほら、こういう雑貨とか売ってる店お前好きだろ?」

彼女「……知らないからね。遅れても」

彼氏「大丈夫だって。……おっ、この石見てみろよ。綺麗じゃね?」

彼女「そう? ……まぁ、でも、そういわれればそうかも」

彼女「わー、いろんな形。おもしろー」

彼氏「……ちょと、ちょっと、店員さん」ボソッ

男「は、はい?」

彼氏「そこの……それっ。すぐ包んで。いますぐ。あいつにバレないようにっ」ボソボソッ

男「おひとつですか?」

彼氏「ん……いやっ、二つ。二つセットで」

男「かしこまりました」

彼氏「たのむよ……!」

彼女「ねーねー、みてー、このマネキン! ……ってかヤバくない? めっちゃグローい」

彼氏「内臓掴めんじゃね?」

彼女「マジ? 掴んでみてよ」

男「ねぇ、幼女ちゃん。これが包める大きい紙とか倉庫になかったっけ?」

幼女「カミ……カミ……うーーーソーコはないぃ」

男「じゃあ包めないな……どうしたもんか」

幼女「あ、デモ……!」

 ゴソゴソ

幼女「……ここ、に。いろいろ」

男「レジ袋に、紙袋、包み紙。ハサミ、カッター、ホチキス。領収書、電卓、レシートの替え芯まで……」

男「なんでまたカウンターの棚の中に、こんな、用意のいい!」

幼女「さ、ぁ?」

男「ともかく、あの人たち急いでるみたいだし、パッパと包んじゃおう」

幼女「あいあいあいさ!」

男「あの」チョンチョン

彼氏「できたか?」ボソボソッ

男「こちらに」

彼氏「恩に着るっ」ボソッ

彼女「キャハッ、ねー膵臓カワイイヨ膵臓! 肝臓揉んでみなよぅ~」

彼氏「あーーーもうこんな時間じゃねえかーーーー」

男「(わざとらしい)」

幼女「えんぎハね……」

彼女「えっ? あ……だから遅刻するってば!」

彼氏「だな! 急ごうぜ」

彼女「もうーなによいきなり。ちょっとまってよぉおおっ」

 カランカラーン

男「ありがとうございましたー」

幼女「アリガトっしたぁ」

男「売れたな」

幼女「うン」

男「……マグカップ」

幼女「ふたつ!」

男「な。一気に二つも。でもあれ、彼女へのプレゼントとかかな?」

幼女「そーカモね」

男「結構古そうなやつだったけど、よかったのかなぁ」

幼女「へーきよ。キット」

男「そうかな」

幼女「うん。……キットね。ゼンセでも、つかってた」

男「前世? はは、幼女はロマンチストだなぁ」

幼女「ゼンセでも、ふたりは、ムサれてたんよ」

男「むさ……? あぁ、結ばれてた?」

幼女「そ」

男「……うん。そういう風に考えると確かに面白いね」

男「今頃、サプライズなプレゼントに、彼女さん驚いてたりして」

幼女「イイナァ」

男「え、何が?」

幼女「……さー」

男「さー、って。変な店長」

幼女「むー……ゴニョゴニョ///」

男「日も暮れてきたし、そろそろ店じまいかな」

幼女「んー」

男「今日はお姉さん来なかったね」

幼女「ヤキソバンかも」

男「また懐かしいキャラがなぜ」

幼女「ちがた。オソバン」

男「そうか……。でも、お姉さん帰ってきてこの店見たら、なんていうかな」

幼女「タブン、へーき」

男「……そうなの?」

幼女「うん」

幼女「オネーちゃ、いやじゃないんょ」

幼女「オミセのこと」

男「え? でもだって、あんなに『遊び』だとか言ってたのに」

幼女「うン……でも、ホントは」

幼女「う……」

男「お姉さんに怒られないなら、店は片付けないで、このままにしておくな」

幼女「うン」

男「じゃあ、そろそろ帰ろうかな」

幼女「ありがと。また!」

男「また明日!」


  本日の売り上げ  

  運命のペアマグカップ 2個

   計 ¥600

 夜 自宅:寝室


男「やっと軌道に乗ってきた……と思いたい」

男「でも」

男「まだ壁はいっぱいある」

男「その中で一番大きいのは、やっぱり……」

男「……うん」

男「幼女ちゃんはああ言ってたけど、やっぱり不安だ」

男「お姉さんと、ちゃんはなそう」

男「まずはそこからだ」

男「……ふ、ぁ……」

男「今日もよく働いたし……おや、……す……」

 6日目 
 朝 幼女のおみせ:店内

男「おはようっ!」

幼女「はお!」

男「今日も売るぜ!」

幼女「うんうんっ!」

 昼 幼女のおみせ:店内

男「やっぱりなかなかお客は来ないなぁ」

幼女「らねー」

男「……なぁ、今日はお姉さん、いつごろ帰ってくる?」

幼女「なんれ?」

男「ちょっと、話がしたくって」

幼女「……んー、どだろ」

男「今日も遅番?」

幼女「あー、きのうオソバン。きょう、ちがうヤモ」

男「そうか。二日連続で遅く帰ることはないか」

男「だとすると……」

幼女「ね」

幼女「ハナシって?」

男「お姉さんに、ここで店を開く許可をもらうんだ」

幼女「はー……」

男「昨日、怒られなかった?」

幼女「えー」

幼女「ねちった」

男「お姉さんが帰ってくる前に?」

幼女「そそ」

男「なら、いつもどおり夕方ぐらいまで居れば帰ってくるかな……」

 カランカラーン

爺「おじゃまするよ」

男「いらっしゃいませ」

幼女「らしゃーぃせ」

爺「……ほー、こりゃまた、かわっとるのー」

男「(杖ついた髭伸ばしてるおじいさん……)」

男「(ううん。長生きしてそう)」

爺「はて。これはなにかの」

男「あぁ、それは冠ですよ」

爺「かんむり? かぶるやつかの」

男「えぇまぁ、そうですね。被れば王様気分になれますよ」

爺「ほほ、それは愉快そうじゃの」

爺「だがそうじゃのー、ほしいものとは、ちっと違うんじゃ」

幼女「じい、じい」

爺「おや」

爺「こりゃかわいいお嬢さんじゃ。玉のようじゃわ」

幼女「おじょーちがウ。幼女は、オテンチョ」

幼女「ねー、じぃ。なにほしーの?」

爺「おくりものじゃ」

幼女「だれへ?」

爺「ばあさんじゃ」

幼女「……ばぁ?」

爺「そうじゃ。まいわいふじゃ。わかるか? わいふ」

幼女「わいふ」

男「奥さんのことな」

爺「そうじゃ、そうじゃ」

爺「そのばあさんがな、昨日くたばっちまってなぁ」

男「……え!?」

幼女「……!」

爺「そんな顔せんでくれい。往生じゃ、往生」

爺「笑って逝ってくれたわい」

男「……はぁ」

幼女「……」

爺「しかし残されたわしは、なんだか落ち着かなくてのお」

爺「何かせんといかん気がしての」

爺「で、よくよく考えてみたらの。ばあさんが生きとったころ、ろくなもの買ってやれんかったな思ってな」

爺「せめてあの世にくらい、わしからの最後のおくりものをもっていってほしいんじゃと思うてなぁ」

爺「わしの家の近所にあったここに来たというわけじゃ」

男「なるほど……」

幼女「……」

男「お気に召すものがあるかどうか分からないですが、どうぞ、ゆっくり見ていってください」

爺「ありがとう。そうするわい」

幼女「……ね、じぃ」

爺「なんじゃ」

幼女「くたばる、って?」

爺「死ぬってことじゃ」

幼女「しぬ……」

爺「お前さんの年頃には、まだ難しいじゃろて」

幼女「……ううン」フルフル

幼女「ね、……しぬって、なに?」

幼女「しぬと、あのヨにいくん?」

爺「そうじゃの。ほんとのことは、わからんのう」

幼女「……?」

爺「だれにも、わからんのじゃ」

爺「だから、皆、しぬのがこわいのじゃ」

幼女「……ばぁは、こわがった?」

爺「ばあさんか。……そうじゃのお。怖くないわけが、なかったとおもうがのお」

幼女「……爺もこわい」

爺「あぁ、怖いの。死んでばあさんのところにいけるともかぎらんしの」

幼女「そか……」

爺「だがな、死ぬも、生きるも、自然なことじゃ」

爺「生きて死なぬは、おかしなことなんじゃ」

幼女「……?」

爺「ほほ、少し難しかったかの」

爺「さて……ばあさんに、何をやろうかの……」

爺「……おや、これは」

男「あ、その時計、動かないんですよ」

男「多分電池が切れてて」

爺「どれ。はたしてそうかのお」

爺「……ふむ。こうじゃの」

 ギコ ギコ 

 ……チッチッチッチッチッチッ

幼女「!」

男「……動いた」

爺「若いの。これは手巻きの時計じゃったな」

男「そうでしたか。すいません、よく調べもせず」

爺「なんの。……ふむ、しかしずいぶん凝った作りじゃの」

 チッチッチッチッ……チッ…………チッ……チ……

男「あれ。……また、とまった」

爺「古そうなものじゃからのぉ。もっと巻かねばもたんのじゃろな」

幼女「……とけい、シんじゃた?」

爺「そうじゃのお」

爺「……生き返すかい?」

幼女「いき……かえ……す……?」

爺「ああ、そうじゃ」

爺「またネジを巻いて、巻いて。動かしてやるんじゃ」

爺「そしてそれを、お嬢ちゃんがつけてあげるんじゃ」

幼女「……わたし、が?」

爺「そうじゃ」

爺「この時計はずいぶん凝ったつくりになっておるが、いかんせん時代遅れじゃ」

爺「この時計を欲しがるものなどおらんじゃろ」

爺「じゃから、この時計が動く動かないに限らず、もう死んでるようなもんなんじゃ」

爺「……だが、お嬢ちゃん。おまえさんがこの時計を必要とするなら、話は別なんじゃ」

幼女「……」

爺「どうかな? つけるかい?」

幼女「……わかん、ない」

幼女「とけいは、どう、オモテるの?」

爺「さぁのぉ。死んでいくものの気持ちは、これだけ長生きしててもまだあやふやじゃ」

幼女「そか……」

幼女「でも……幼女のに、できない、から」

幼女「幼女は、ウラなきゃ、だから」

爺「そうか」

爺「なら、わしが買おう」

爺「いいんじゃな」

幼女「…………う」

幼女「……うん」

爺「わしは、この時計を殺すじゃろう」

幼女「……」

爺「ものを売るとは、そういう事じゃろうて」

爺「お嬢さん。その気持ちを、大切にしなさい」

幼女「……はい」

爺「よしよし。いい子じゃ。孫にしたいくらいじゃのお」

幼女「はぅ」

爺「さて、……いくらかの」

男「800円になります」

爺「そんな値段でいいのかのぉ。お嬢ちゃんへの小遣いついでにもっと出してもいいんじゃが」

男「僕はこれで高いぐらいだと思ってました」

爺「ほほ、それが古物の難しいところで面白いところじゃろな」

爺「ま、勉強代じゃの。万札3枚損したの」

男「ぶっ。そんなですか」

爺「そういうもんじゃ」

爺「結局、金は金じゃからの。幾らはたいても買う事だってある」

男「いやはやなんとも。……はい、200円のおつりです」

爺「うむ」

幼女「ねー、じぃ。またくる?」

爺「そうじゃの。ばあさんの四十九日すぎたら来ようかのう」

幼女「そか」

幼女「……そか」

爺「時計は、ばあさんと一緒に焼かせてもらうよ」

爺「一緒に逝けなかったわしの代わりにのぅ」

爺「……はてさて。婆さんに巻いてもらったゼンマイは、あとどれくらい残ってるかのぉ」

爺「したらな」

男「はい。ありがとうございました」

幼女「ありがーシタ」

爺「……昔からここらに住んでおって、この店の開店を楽しみにしとった老人の独り言じゃがの」

幼女「……?」

爺「死は、受け入れるものではない。乗り越えるもんじゃ」

爺「じゃから、おまえさんは間違っておらんよ」

幼女「……はい」

爺「ほほ、久しぶりに喋りすぎたわい。しかし、楽しかった。ばあさんへのいい土産話ができそうじゃ」

爺「じゃあのぉ」

 カランカラーン

男「……」

幼女「……」

男「不思議なお客さんだったね」

幼女「……うん」

男「ねぇ、店長」

幼女「ふぃ?」

男「……ごめん、えっと、その」

男「売れて……よかった」

幼女「……よかた、……カナ?」

男「多分。だって、あの時計は、あのおじいさんじゃないと、きっと買ってくれなかった」

幼女「うん」

幼女「……そう……だよ、ネ」

幼女「……」シュン

男「きっと、良かったんだよ。売れるべくして、あの時計は売れたんだよ」

男「悲しいことだけど。でも。それ以上に、きっとこれは幸福なことなんだ」

幼女「……うん」

幼女「うんっ」

男「あ……、そうか」

男「もしかしたら、こういうのが小さな奇跡、っていうのかな」

幼女「……?」

女「へぇ、売れたんだ」

男「う、うわっ!?」

幼女「オネーちゃ……」

女「なに? そんなに驚いて。失礼しちゃうわ」

男「い、いったいいつ入って……」

女「いつだっていいでしょ。自分の家なんだから」

男「う。たしかに」

幼女「……なに」ジッ

女「そんな目でみないでよ。……もう、遊ぶななんて言わないわよ」

女「言っても無駄みたいだからね」

幼女「……」

女「はぁ。……ま、遊びにしては上出来なんじゃない?」

女「時計に、マグカップ。……あと、あの賞味期限の怪しいチョコ売ったでしょ?」

男「賞味……って、す、すっかりわすれてた……」

女「商売するなら、それくらいしっかりチェックしなさいよ、ったくもう」

男「面目ない」

女「はぁ……。で? 本当にここにあるもの全部売るつもりなの?」

男「い、一応」

女「一応!?」

男「っぐ」

幼女「ウる」

幼女「ぜんぶ」

女「……ほー」

幼女「お父さんのも、お母さんのも」

幼女「……ぜんぶ」

女「売れるの? 全部?」

幼女「……ん」

女「そ」

女「なら、勝手にすれば」

男「ちょ、ちょっと。ちょっと待ってください」

女「何?」

男「お姉さんは……幼女ちゃんのお姉さんは、売ってしまってもいいんですか!?」

男「大切な両親の遺品ですよね」

女「……いいわよ」

男「ですよねー……って、え゛ぇっ!?」

女「何よ」

女「駄目なんて、私が言えるわけないじゃない」

女「……あれは全部、売るためにお父さん達が買ってきたものなんだから!」

男「……え?」

女「はぁ? あんたそんな事も知らないで売ってたの?」

男「え、えぇ。まぁ」

女「あーもうっ、何それ。ムカつく。ちゃんと遊ぶ相手にはお遊戯の説明ぐらいしなさいよね、幼女!」

幼女「……」ジッ

女「……っ、もうっ。なんでそんな……、あーー、もうっ!」

男「幼女ちゃんは悪くないですよ。ただ、どうも事情が複雑すぎて……」

女「はぁ、……何? 何なの? どこから説明すればいいわけ? ってか私がやんなきゃなの?」

男「できれば」

女「っ、……ふ。あんた、ずいぶんとずうずうしいのね。最初会ったときはあんなにおどおどしてたのに」

男「はぁ、まぁ。色々ありましたし」

女「あーほんとなんか調子狂う……、こっちは仕事で疲れてるってのに」

男「おつかれさまです」

女「ほんとよ全く!」

女「……で!? どこから話せばいいわけ?」

男「できれば、ご両親の事を、もう少し詳しく」

女「はぁ……」

女「話していいんでしょ? 幼女」

幼女「……ウン」

幼女「いままで、ゴメン」

幼女「ヒミツ、ってワケジャ」

男「いいよ。こういうのは大人にまかせりゃいいんだ」

女「ふ、ふふ。ずいぶんと口の回る」

男「お姉さまには負けますよ、ははは」

限界

明日は今日より遅くなるんだけど……
150レスくらい残ってれば大丈夫だとは思うんですが
ちょっと昔とスレ消化速度の感覚がくるってて分からんですね
次スレは無しの方向で

また明日、残っていたら続きを書かせてください

幼女「あ やっぱりえっちちょ……」

男「え? なに?」

幼女「……」ジッ

男「?」

幼女「おにーさんが…………」

男「え?」

幼女「幼女ちゃんのここペロペロちてほちいの…………」

男「え!!」

幼女「あ やっぱりえっちちょ……」

男「え? なに?」

幼女「おにぇがいちます……」

男「いいの? ね?」

幼女「やってくだちゃい…………」

男「おい わかった(うほほっww 幼女のマンコwwwwwwww)」

ペロペロチュパチュパ

幼女「ふぇぇ// きもちぃいおー」

男「おいしい! ピンク色でぷにゅぷにゅしてて!」

うめ

警察「未成年者を強制労働させている、という通報があったんですけどねー」

男「え?知りませんよ、何ですそれ?」

警察「ちょーっと店の中見せてもらっていいかなー?」

男「いや、あきませんて。ウチなんもヤマシイことないですもん」

警察「ないなら見せれるよねー?」

男「いやいや・・・礼状あるんですか?」

幼女「どうしたのー?」

男「アホッ!出てきたらアカンって…!」

警察「んんー?オタクの娘さんかなぁーー?お嬢ちゃんいくつかなーー?」

男「いや、この子はちゃいますよ、ちゃうねんて!!」

警察「君には聞いてないよー。お嬢ちゃん、答えてくれるかなー?」

幼女「え…?」

男「やめろや、関係ないやろ!」

警察「あ?この手は何ですかぁ?」

男「いや、ホンマ、かんべんしてくださいよ」

警察「手をね、離して下さいよ、ね?もうね、この時点で公務執行妨害でしょっぴけますよ?」

男「………」

幼女「やめてよーイジメないでよーー!」

警察「おいクソガキ、今何した?俺の足、蹴ったな?あ?」

男「ちょちょちょ!子供に何するんですか!?」

警察「関係あるかボケ、ワシらはしょっぴくんが仕事じゃ、子供だからどうこうは上で判断することじゃ」

男「何を無茶苦茶な・・・!」

警察「あとお前な、手ぇ離せ、言うたよな俺。言わへんかったか?」

男「いや、あんたが子供に何もしないって言ったら離しま……」

警察「はい、えー19時27分、コレネ、公務執行妨害、現行犯」

男「は…!?」

警察「えー本部、本部、4丁目の例の店、任意求めた所急きょ暴行、被疑者は20代男性」

警察「はよこの手ぇ離して、こうやって揃えて前に出せや、ワッパするさかい」

男「何を……」

警察「子供もな、今応援呼んだから一緒に同行や、保護観処分、施設送りってとこやな」

幼女「ふええ・・・?」

警察「国家権力ナメなよロリコンが」

こうして、一人のロリコンと一人の幼女は永遠に引き離された。
未成年者略取、児童ポルノ、買春・売春……
今日もまた、日本のどこかで異常性愛者たちが法によって裁かれる。

正義はどこか。
悪は誰なのか。
法治国家、民主主義、戦争の痛手から立ち直った日本が手にした新たな武器は
望むと望まざるとに関わらず、今日もまた「被害者」と「犯人」を作り出す。

 7年前  

女「はぁ、……はぁ、……」

 ザッ、ザッ ザッ、ザッ

女「まだ、歩くの……?」

父「あぁ」

女「そう……」

母「辛い?」

女「……大丈夫」

父「今日は歩き続ける。ここでテントは張れないぞ」

女「……うん」

母「ごめんね、早かったよね。一緒に歩きましょ」

女「べ、別に、いいよ。そんな」

女「……歩けるよ」

父「今日行くところは、人口200人もない村だ」

父「医者も教師も、役人さえいない」

女「ふぅん……」

母「言葉、通じるといいわね」

父「まぁなんとかなるだろ」

女「……また、まずいご飯なんだよ」

父「土着の食にありつけるんだ。貴重だぞ」

女「ハンバーグ、食べたい」

母「帰ったら、作ってあげるわよ」

女「……帰ったら。って、いつよ……」ボソッ

女「もう、2ヶ月も日本から離れて……」

父「嫌か? 日本に残りたかったか?」

女「……」

母「そんなことないわよねぇ」

女「……帰りたい」

父「そうか」

母「……ごめんね。やっぱりお祖母ちゃんの家に預けたほうが」

女「それはもっと嫌」

母「……」

父「素直でいいじゃないか。できたら楽しんでほしかったが」

女「こんなの旅行でもなんでもないし。楽しめるわけないよ」

女「いつもいつも、世界の端っこみたいな所につれ回して」

女「辛いだけだよ」

ネカフェの店員にPCフリーズさせられたあげく
ネタメモのデータ全部消えた死にたい

眠眠打破買ってきて今飲んでレッドブル開けて退路断ったらこれだよ


力不足ですんません
でも次スレはありません
機会があったら続き書きます

今のVIPで長いSSはちょっと難しいんだね
正直、風呂敷ひろげすぎた
保守スレにしてしまって申し訳なかったです

でも700位からの残り少なくなってきてからの流れが相変わらずですね



 幼女のおみせ:倉庫

男「……なんか売れるものないかなー」

 ガサゴソ

男「お? ……え?」

男「おおぉっ? なんだこれ、長くて太くてたくましくって」

男「これは」

男「まるで」

幼女「なンかみっけた?」

男「うあああああああああっ」

幼女「……?」

幼女「カクシた?」

男「いやいやいやいや隠してない隠してない」

幼女「あやしっ」

男「怪しくない怪しくない」

幼女「むー」

男「て、店長も何か探してよ。売れそうなものさ!」

幼女「……うー、まいっか」

幼女「うぃー」

 ガサゴソ

男「(セーーーッフ)」

幼女「なーイかなっ。なーイっかなっ」

幼女「……うにゅ?」

男「何か見つけた?」

幼女「これ! まめっぽいの!」

男「豆?」

幼女「たべてみよっ」

男「あ、ちょっと待ってください。なんか説明書いてありますよ」

男「えーっと。なになに? ……今夜はイチコロ 抱きしめて! ラブを高める究極の秘薬……」

幼女「はむっ」モグモグ

男「つまり?」

男「媚薬?」

幼女「まじー」

男「ちょっっっっっっくぁwせrちゅいふっじk」

幼女「まじぃーよゥ」

幼女「でも、もーいっこ」パクッ

幼女「うェーーー」

男「よ、幼女さん、幼女さん。その辺でやめときましょう」

幼女「フクテンチョもほしい?」

幼女「マージィよ」

男「いやいらないから。そ、それより今すぐトイレで吐きましょう!!!!」

男「薬が効く前に吐いて……っ」

幼女「に」

幼女「にゃんか……ぽか、ぽかー」

男「え」

幼女「うぅー、ん……」ムズムズ

男「うああああああ速効にも程があるだろおおおおおおおおおおおお」

また汚点がひとつ増えてしまった

所詮自己満足だしさ
寿命削って46時中展開考えて人の誘いも断ってさ
別にいいんだけどさ……
またしばらく筆をおります

>>953
ちゃんとやりたかったらSSで頑張れとしか
とりあえず乙

>>957
VIPが好きなんです
製作速報は苦手なんです
ありがとう

カフェインで胃がやばい

ちょっと楽しくなってきた

幼女「おにー……」
幼女「どーし、よ……?」

 切なげな表情をした幼女ちゃんが、愛液で濡れきったまだ未成熟な陰唇を、俺の肉棒にゆっくりとこすり付けて来た。

幼女「ん、ふぁ……っ」

男「う、ぅ」

 亀頭の先端が幼女ちゃんの熱に触れた瞬間、ブルっと快感が走った。
 小さいとはいえ、幼女ちゃんのメスの穴は立派に俺を扇情させる。
 ……このまま挿れてしまいたい。
 幼女ちゃんの幼い膣穴を、俺のモノで思いっきり蹂躙してしまいたい。
 俺の理性はすでに一杯一杯だった。

幼女「は、ぅ。は……うぅ」

 くちゅ、くちゅ。と音とともに、幼女ちゃんは腰を不器用にうごかして、股間をこすりつけてくる。
 俺の肉棒は、すぐに幼女ちゃんの愛液にまみれて、テラテラと光りだした。

とりあえず今日はゆっくり寝れそうですので
その辺は感謝

先に嫌った方の負けなんだよね
どんなに寛容な人でも、否定されてしまったら関係は成り立たない
これは悲しい事だね

でも、なんだかんだ昨日と一昨日は楽しかった。
出来はともかく、久しぶりに夢中で書けた。

また勉強しなおしてきます。

ありがとう。

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