カイジ「私立…希望ヶ峰学園…?」 (985)


唯の暗闇…


それが、始まり…!


そして、日常の終わり…!



カイジ「う…うーん」

カイジ「…ここは?」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380662558

薄暗い部屋…!見知らぬ天井…!カイジを見つめる監視カメラ…!鉄板の張り付いた仰々しい壁…!


カイジ(何処だ…ここは?)

カイジ(また黒服に連行されてきたのか…?…いつ、何の理由で…?)

カイジ(思い出せない…っ!)


その時、一葉の紙きれがカイジの視界に入る、この未知なる部屋に無造作に置かれた、数少ない手掛かり…!

カイジ「なになに…」

カイジ「…入学あんない?…オマエラ?…8じ…たいいくかんしゅうごう…?」

カイジ(意味が、わからない…が、少なくともこの部屋が『たいいくかん』でないことは一目瞭然)

カイジ(どうする…?…ここから動くべきか、留まるべきか?)


刻一刻と迫る集合時間、落ち着かないカイジ

そして、7時55分を過ぎた頃…っ!カイジ決断…っ!

カイジ「行くか」

カイジ「このまま…ここでウジウジしていても、…何も始まらない…っ!」


戸を開けて、長い廊下を見渡し

一歩ずつ、また一歩ずつ、…慎重に歩みを進めていく


そして…っ!まみえることになる…っ!あたらしい世界に…っ!!





―――伊藤カイジ/年齢不詳/超高校(?)級の「○○」

超高校級のクズ

底辺

超高校級の泣き虫

16歳か18歳かそのくらいのカイジとか見当もつかないな

強運もギャンブルも既にいるし
超高校級の逆境無頼とでも名のって引かれるのが想像つくわ

超高校級のアゴ……無いな

やっぱりクズだろうか?

クズもすでにいるしなぁ

まあ幸運も二人いるしギャンブラー二人いても問題ないな

散々な評価でワロタ

いや、カイジ→金→無いだから…

"超高校級の借入金"で決まりか?

全員鼻とアゴの長いダンガンロンパか・・・

ここはまじめに「博徒」で

ギャンブラ……被ってる…

面白い……ッ!
勝負しようぜ、超高校級のギャンブラーさんよ……

超高校級のお人好しじゃね?
カイジ味方には優しいし

超高校級の「逆転者」とか

負け犬

運否天賦(うんぷてんぷ)で

ダブボケ



ざわ・・・      ざわ・・・


カイジ「!……聞こえる」

カイジ「人の声だ」

カイジ「この中からか…っ!」


広大な迷宮のような建物の中をただ独り彷徨っていたカイジにとって

自分以外の人間の存在を確認できたことは大きな進展であり、束の間の安堵を得た

そして、開帳


ざわっ


一瞬の静寂、そして一斉に注がれる二十八の瞳…っ!眼差し……っ!!


カイジ「……あ、えっと……」

十神「…」

腐川「…」

霧切「…」


沈黙…っ!沈黙…っ!!沈黙…っ!!!

葉隠「オメーも…ここの新入生か…?」

カイジ「えっ…や、俺は」

石丸「おい君!」

カイジ「は、はいっ!?」

石丸「少なくとも5分前集合が基本であろう!…以後気をつけたまえ!」

カイジ「す、すいません…っ!」


カイジ、圧倒的謝罪……っ!


カイジ(っておい……何で俺いきなり怒られてんだよ…っ)

山田「これで15人…、そろそろ全員そろいましたかな?」

不二咲「あ、あのさぁ……君もやっぱり、知らない部屋で目が覚めて?」

カイジ「あ、ああ…」

葉隠「オメーもそうなんか」

セレス「となると、ますます妙な話ですわね…」

江ノ島「異常事態ってやつ…?…集団催眠とか」

朝日奈「それよりもう一回自己紹介しようよ~、遅れてきたクラスメイトのためにも」

大神「うむ…」

舞園「…私もそう思います」

大和田「んなことやってる場合かよ?」

カイジ(新入生…っ!?…集団催眠…っ!?…クラスメイト…っ!?)

カイジ(何が……どうなって!?)

桑田「つか、お前のアゴすげーな~!」

桑田「ヤベーよ、カド○ラもビックリだろ」

カイジ「ッ…おい、気安く触るなよ…!」

桑田「…んだよ」

不二咲「ふ、ふたりとも喧嘩はよくないよ…っ」

石丸「君たち、静粛に!」


この時、最後の新入生が玄関ホールへと辿り着く

時計の針は集合時間よりすでに5分を経過していた

明確な遅刻である…!

社会人ならば、問答無用で非難されても仕方のない痛恨の失態…っ!

苗木「あ、ど、どうも……」

石丸「…君ィ!!」

江ノ島「もーそのくだりいいから」

大和田「………、これで16人、いい加減そろっただろッ」

朝日奈「もーだから自己紹介~~っ!」

カイジ「……」


カイジはこの不可解な状況に混乱しつつも

一方でこの閉鎖空間に集まった、自分以外の15人について、ある一様の感情を抱く…


カイジ(…違う…)

カイジ(……オーラが違う)

カイジ(こいつらを纏っている……見えないオーラが)

カイジ(こいつらは…まるで俺とは違う人種……っ!)

カイジ(いうなれば、……天賦の才を持つ連中)

カイジ(俺達がいくら努力しようとも…っ!永遠に辿り着けない高みに…っ!)

カイジ(頂点に立つことが約束された人間達……っ!!)

カイジ(そしてその高みから俺達を見下ろし、嘲笑い、憐憫する……っ!!)

カイジ(……そういう奴ら……っ!!)


カイジ(こんな場違いな所に、何で俺は放り込まれちまったんだ……っ!?)


キーン…コーン…っ!カーン…コーン…っ!


霧切「…!」

腐川「…チャイム?」

十神「おい、静まれ……愚民ども……っ!」


《マイクテスッ!》

《校内放送…!》

《ただいまより入学式を執り行いますによって、至急体育館にお集まり…!》


それは、葬儀の場にて高笑いするような、場違いで不快感を催す声

アナウンスに促されて、ひとりまたひとりと体育館へ向かうカイジ達16名


そして、ついに知らされることになる…っ!

彼らがここ希望ヶ丘学園に集められた理由……その時、カイジは……っ!!

また次回
キャラがおかしいとか「…」が多過ぎとか指摘あったらなんでもよろ
できる限り修正する

むしろカイジSSにしては淡白なほうだな


まぁあまり気にせず頑張れ

面白そうだ
期待

いいよ
期待

とりあえず見てる

改めて読み直すとコレジャナイ感ハンパなくてやばいわ・・・ごめんっ・・・・
とりあえず続き投下↓


体育館に集まった16名……

疑念、困惑、恐怖感といった……負の感情に支配されつつある者もいれば……

一連の事態を単にドッキリ企画だなどと楽観視する者……

あるいは……冷静に状況を理解し、最適な行動を選択しようとする者もいた……


舞園「それにしても……どうして私達以外には誰もいないんですかね……?」

苗木「……ど、どうしてだろう」

霧切「……」

カイジ(ここが……体育館)

カイジ(文字通り……何の変哲もない、何処の学校にでもありそうな体育館……)

葉隠「きっと新入生歓迎のための……この学園ならではの手の込んだ演出なんだべっ……」

桑田「ははっ……だよな…」

カイジ(だが……楽観視はできない……、これまでの……分厚い鉄板に覆われた、光の入らない閉鎖空間……)

カイジ(確証はないが……おそらく、この建物……まともな脱出経路は存在しないのではないか……?)

カイジ(俺達は……閉じ込められている……?……この“学校”と銘打たれた密室に……)

カイジ(集められた……16人の”新入生”、怪しげな“校内放送”、“入学式”というイベント……)

カイジ(……これらは通常の文脈で理解してはいけない……何らかの隠喩っ……)

カイジ(だとすれば……これから始まる何かは……!これから俺達16人に課せられる何かは……!)

カイジ(俺の直感がっ……!正しければっ……!)


カイジ(……ギャンブルっっっ……!!)


カイジ(それもこんな異様な空間の中で行われるのは……十中八九…通常のそれとは常軌を逸したモノ……!!)

カイジ(それこそ……勝たなければっ……!人生が破綻するレベルのっ……!命懸けの大博打っ………!!)


大和田「まだ何も……始まんねえようだな………」

セレス「それならば、今ここで手短に済ませておくべきではありませんか?」

山田「……というと?」

セレス「先ほどうやむやになってしまった自己紹介のことですわ」

香川さんは出てくるかな

セレス「わたくしたちが現在置かれている……この異様な状況下」

セレス「また、今後起こりうる予測しがたい事態に的確に対応するためには…」

セレス「早めにお互いの素性を知り、名前を知り」

セレス「問題につして話し合える土台づくりが必要不可欠、………いかがですか?」

大神「我も同意見だ……」

朝日奈「うんっ……!」

カイジ(確かにその通りだ……“入学式”とやらが始まれば……)

カイジ(間髪いれず……何らかのギャンブルがスタートする可能性もある)

カイジ(その前にっ……知っておくに越したことはない……他の15人の素性っ……!)

カイジ(特にっ……俺が玄関ホールに至るまでに交わされた会話)

カイジ(……その内容をまったく知らない俺はっ……)

カイジ(すでに……出遅れているっ……!!)

カイジ(今ここで……その遅れを僅かでも取り戻す好機をっ……!みすみす逃すわけにはいかない……!!)

カイジ「俺も…賛成だっ……!」

苗木「ボ、ボクもっ……!」


ゴスロリ服の提案にはっきりと同意を示す者、あるいは口に出さずとも態度で同意を示す者……

一方でとりたてて関心を示していないと見受けられる者……

反応はさまざまだが、異議を申し出る者はいないとなれば、直ちに自己紹介が始まることとなったっ………!


葉隠「……んじゃ、俺からいくべ」

石丸「順番は時計回りでいいだろう……!本来入学式を前に私語など厳禁だが、今回は特例だ」

石丸「校長はおろか教師や他の生徒も誰一人いない現状なら……少なくとも5分程度は猶予があるはずっ……!」

石丸「各自持ち時間は20秒っ……!」

江ノ島「短っ……!?」

石丸「開始……!!」

問答無用で始まる自己紹介っ……!カイジは14番目っ……!

……その前にはピザデブ、後ろには銀髪の三つ編みが控えている……!


葉隠「っと……俺は葉隠康比呂ってんだ……まあよろしく頼むべ」

葉隠「超高校級の占い師……『超新星』なんて呼ばれている……」

葉隠「俺の占いは30%くらいは当たるべっ……!年はハタチ、3回ダブッて……」


石丸「終了っ……!…次…!」


カイジ(占い師……!30%当たるっ……?)

カイジ(……2人で普通のじゃんけんを1回やった場合の勝率より…尚も低いっ……!)

カイジ(もちろん……このドレッドヘアの話が事実ならばの話だがっ………!)

僅か20秒という限られた時間内においての自己紹介は……!

名前以外の情報を素早く取捨選択し、印象的なエピソードを簡潔に挟み込み……!

聞く者の記憶に残り……かつ好感を持たれるものであるのが理想である……!


しかしっ……!


この自己紹介はただの親睦会のためのものではなく……!

仮想“敵”の情報収集であると踏んでいるカイジは……!

相手の情報を鵜呑みにせず……虚偽の情報である可能性……)

その疑念は残した上で、各人のステータスを把握していく……!


十神「十神白夜だ……以上っ……」


石丸「ッ…!?」


十神「どうした、自己紹介は終わったはずだっ……!さっさと次が名乗ればいい」


カイジ(……このメガネは1人目と違って名前以外の一切の情報を口に出さなかった……!)

カイジ(……要注意だな……)


石丸「……次は僕だなッ!僕の名前は石丸清多夏、座右の銘は質実剛健!」

石丸「超高校級の風紀委員と呼ばれている!」

石丸「これから皆で胸襟秀麗…切磋琢磨、日々精進していこうではないか……!!」

石丸「以上だっ……!」


カイジ(完璧なっ……20秒……!!)

この時…カイジはとあるフレーズ―肩書きらしきもの―の存在に気づく……!


腐川「どうせ…あたしの名前なんてすぐ忘れられるんでしょうけど……」

腐川「腐川……冬子よ……」

腐川「そうね……超高校級の文学少女……なんて呼ばれてる……わ」

腐川「!…何よっ………『で?それがどうしたんだ?』なんて思ってるんでしょっ……!」


石丸「終了っ……!」


腐川「分かってるんだからっ……こんなブスが……」


石丸「その……、次っ…」


カイジ「“超高校級”……って……」

山田「おや?……貴殿も当然持っているのでしょう?」

カイジ「……!」

山田「何せこの学園、超高校級の才能がひとつはなければ入れないのですからな……」

カイジ「……ッ!!!」

霧切「………」


カイジ(才能っ……!?しかも超高校級だとっ……!俺に……そんな才能なんて………!)

カイジ(いや、さっきのメガネのように、あえて公言しないという手もあるっ……!)

カイジ(だがっ……!!現在4人中3人がその才能を暴露している……!)

カイジ(公言しないことであのメガネと同様に警戒されることは十分考えられうる……!!)

カイジ(もちろん…俺の番までの残り9人が公言するかどうかは、聞いてみないことには分からないが………!)

カイジ(少なくとも順番までにっ……!決めておかなければならないっ……!!俺の肩書き……!才能を……!!)

カイジ(長くとも……180秒以内に……!!)


江ノ島「どーもー、江ノ島盾子で~す……よろしくね……!」

江ノ島「まぁ……知ってる人多いと思うけどあたしモデルやってるよー」

江ノ島「超高校級のギャルって感じ~!」

江ノ島「……こんなとこ?じゃ、おっしまい」


朝日奈「はじめましてっすー!朝日奈葵、ヨロシクねー!」

朝日奈「みんなの名前しっかり覚えていってるからね~」

朝日奈「ちゃんと手のひらに書いてるし……!」

朝日奈「んーとそれから……あ、そうそう、私はスイマーだから!」

朝日奈「あと好きな食べ物はぁ~」


石丸「終了、次……!」


大神「大神さくらだ……」

大神「格闘技には……自信がある……」

大神「ふむ……我の相手を務められるに足る者は……」


カイジ(さ・・・く・・ら・・・・・?ま…さか……女……だとっ……)


大神「……………」

なにも他のキャラまでカイジっぽくしなくていいだろwwwwwwww


石丸「つ、次…!」


不二咲「あ…はいっ!…あの、不二咲……不二咲千尋です……」

不二咲「はじめまして……」

不二咲「これから、……よろしく……」

不二咲「え、えっと……一応、……超高校級のプログラ」


石丸「……、終了…!」


不二咲「あぅ………」


大和田「……オレか」

大和田「オレは大和田紋土……ヨロシク……」


カイジ(この男……まるでその筋の借金取りのような……威圧感っ………!)


大和田「………、次……いっていいぜ」

他のキャラまで顎と鼻がとがってるように再生されるww


桑田「うぃ~す!オレは桑田怜恩、ヨロシクな!」

桑田「ま、ここには超高校級の野球選手ってコトで入ったけど……」

桑田「ぶっちゃけ野球…好きじゃねーのよ…!オレは将来ミュージシャンになるっ……!髪ももう切らねぇし!」

桑田「……こんなとこか」


舞園「舞園さやかです……」

舞園「…アイドルグループに入って活動しています」


苗木(やっぱりキレイだな……舞園さんっ……)

苗木(同じ中学だったとはいえ……会話を交わしたこともなければ…)

苗木(目立ちもしないボクのことなんて覚えていないだろうな………)


舞園「あの……苗木くん、………ですよね」


苗木「えっ・・・・!?」


舞園「やっぱり、同じ中学校の……!」


苗木「お、覚えているの……ボクのこと?……今、ボクもちょうど同じことを考えていたんだ」


舞園「ふふ……分かりましたよ…私、エスパーですからっ……」


苗木「えっ……ほ、本当に…?」


舞園「冗談ですよ」


石丸「君達ィ!!……個人的な会話は後にしたまえ!!」


カイジ(エスパー……か……、ハッタリだろうが……心理戦が得意と見たっ……)


この時点で……!カイジの番まで残すところ2人……!!

カイジ(ふ、もうすぐ俺の番か……)

カイジ(今のところ、メガネとヤンキー風以外は、明瞭でなくとも…自身の才能のある分野を暴露しているっ……)

カイジ(やはりここは……俺も流れに乗るに越したことはない……そして……)

カイジ(俺の才能といえるもの……それはっ……!……やはりコレしかないっ……!!)


カイジ(超高校級の……博徒っ……ギャンブラーっ……!!)


石丸「次……!」


セレス「お初にお目にかかります、セレスティア・ルーデンベルクです」

セレス「“セレス”と呼んでもらって結構ですわ…!」

セレス「超高校級のギャンブラーを自認しておりますの」


カイジ「・・・・っ・・・・・!!!」


カイジに電流走るっ……!


カイジ(まさかの……!被りっ……!!ダブリっ……!!!)


まったく想定外の事態っ………!周囲の人間に対する第一印象……先入観……思い込み……!

まさか自分以外に博徒を名乗るものなどいまいという決め付け……!それがカイジを窮地に追いやる……!!


カイジ(どうするっ……!このまま博打打ちと名乗ることも……できないわけではないがっ……!)

カイジ(ここまで13人のうち、打ち明けた11人の中でダブリは皆無っ……!)

カイジ(この後いかなる勝負が待っているのか不明な今………)

カイジ(ダブることで変に目立つのは回避しておきたいところ……しかもこちらが後出しっ……ならばなおさら………)


カイジ(別の……別の才能を考える……!!博徒以外のっ……!!……何か……!!)


カイジ(だがっ…!俺の出番が廻ってくるまで、あと約30秒程度っ……!)

カイジ(こうなったら……!…なんでもいいから…口から出任せを……!!)

カイジ(いや、適当なことを言って……後で自分の首を閉めることになる場合もある……!!)

カイジ(それならばむしろ何も言わない方がましか……?……でもっ……)


……カイジ、圧倒的深読みっ………!!


セレス「うふふ……ギャンブルに興味がおありでしたらいろいろとお話してあげてもよろしいですわ」

セレス「例えば……希望という名の船に乗ったときの……」


石丸「……次っ!」


山田「山田一二三……ふふ、“すべての始まりにして終わりなるもの”………」

山田「この二つ名でっ…!…呼んでもらっても結構ですぞっ………!」


カイジ(廻ってくるっ……!もう廻ってくるっ………!もはや考え及ぶ余地はないっ……!!)

カイジ(これ以上っ……!考えたところでっ………袋小路っ……!!)


山田「我々の業界では超高校級の同人作家として、名を馳せているんですよねぇ……僕はっ…!」

山田「伝説として今も語り草になっているのは……」


石丸「終了!」


カイジ(来たッ………!!)

カイジ(時間は20秒っ……!無駄なことは省き……必要最低限の……!語るべきことを……!)

カイジ(整理し…!凝縮し……!そして……伝えきるっ……!!)


カイジ「…………、伊藤……カイジだっ……!」

カイジ「……………」

カイジ「俺の……俺の……肩書きはっ………!!」

カイジ「超……高校級のっ………!!」

カイジ「……………」


一同「………?」


カイジ「…の………」

カイジ「その……よく覚えて……いないんだっ……」

カイジ「記憶がっ…………飛んでて………!!」


一同「………」


石丸「……次!」


苗木(伊藤クンか……この人の名前も、新入生スレになかったな)


カイジ(馬鹿か……俺はっ……!記憶が曖昧なのは事実だがっ……!!なぜそれを敢えて言う必要があった……?)


霧切「……………」

霧切「……霧切響子よ」

霧切「……………」


石丸「…」


霧切「……話す内容について具体的に取り決めがないのだから、名前だけで十分よね」


カイジ(俺を除けば……3人目の非公開っ……!……現状15人中で3人……!俺を含めれば…4人っ……!)

カイジ(この程度の割合に達するならば……!臆することなく話さなくてもよかったじゃないか……!)

カイジ(それなのに……一方でよくしゃべる者が多いからといって……)

カイジ(自分も話さなければならないという強迫観念に囚われ……!)

カイジ(自分で判断することを躊躇い……!周りに流され……!墓穴を掘ったっ……!!)


石丸「……、では…最後の君っ……!」


苗木「あ、うん……!」

苗木「ボクの名前は……苗木誠……」

苗木「ボクの場合は……皆と違って抽選で選ばれただけというかっ……」





「終ぅ了ぉおおおおぉぉッ・・・・・・・・・!!!」





一同「・・・・・!?」


モノクマ「もうっ……いきなり自己紹介なんて始めるからっ……!」

モノクマ「登場するタイミングを無くしちゃって……ウズウズしていたんだよぉ……!」

モノクマ「でもっ……先生は空気が読めるので、全然イライラなんてしていないからねっ……!」


苗木「え・・・・?」


朝日奈「ヌイグルミが・・っ・・・・しゃべっ・・・て・・・・?」


モノクマ「もう時間も押しているし、ぶっちゃけちゃうよっ……!耳の孔かっぽじって……よく聞きなっ……!」

モノクマまで・・・感染してやがる・・・!
口調がっ・・・!




モノクマ「これからオマエラに……!ギャンブルをしてもらいますっ……!!」

モノクマ「コロシアイという名のっ………スリリングでエキサイティングな……勝負事(ギャンブル)をっ……!!!」




そのヌイグルミは、この後……自らを学園長モノクマと名乗り……!以下のような説明を淡々と行った……!


一.カイジら16名は、この希望ヶ峰学園内で一生生活しなければならないこと

二.この学園は外界とは完全に隔離されているということ

三.外界からの助けは一切望めないということ

四.各人に対して、電子生徒手帳が配布されること

五.学園から脱出できるのは、「学園の秩序を破った者(=卒業生)」のみであること


そして………!!


カイジ「その……秩序ってのは……一体っ……?」


モノクマ「簡単なことさ……!……人をっ……!殺せばいいのさ………!!」



一同「・・・・・・!!!」



モノクマ「殺って……!殺ってっ………!!殺りまくっちゃえッ………!!!」



頭頂部から足の先まで貫通するような戦慄…!


驚嘆と、現実感の欠片もない宣告にただ唖然とする者……

興奮してモノクマに反発の声を上げる者……

それに飽き足らず直接モノクマに攻撃を加えようとする者……

この場に及んでも尚冷静さを保っている者……


……未だに単なるドッキリであると信じて疑わない者


それぞれの感情が渦巻く中で、モノクマ退場っ……!

残されたカイジ達は…ただ呆然と……その場に立ち尽くしていた………


十神「モノクマ……とか言ったな」

十神「問題は……奴の話の真偽では………ないっ……!」

十神「問題となるのはっ……!この中に……!…その話を真に受けた奴がっ……いるか否かっ……!!」


あたりに漂う重苦しい空気……!疑念蔓延る視線の交錯………!


希望という名の学園で……絶望という名の悪魔の囁きが………

ゆっくりと……しかし着実に……脳裡を侵食してゆく………………


カイジ(クソッ………常軌を逸したギャンブルってのは事前に想定していた………だがっ………)

カイジ(『人を殺せ』だっ……?……俺達16人を……ただ…絶望させたいがだけのためにっ………!)

カイジ(それだけのために……たった……それだけのためにっ……)


カイジ(ふざけるなっ・・・・・ふざけるなっ・・・・・・ふざけるなぁ・・・っ・・・・!!)



―――陽の当たらない世界、絶望の学び舎

―――しかし、ある意味で最高の自堕落を享受しうる、奇妙な共同生活の幕開けである

また次回
ここからどう展開させるか考えてるんだが結構難しいな・・・

盛り上がってきたじゃないか


カイジがどのタイミングで覚醒するか気になる

ギャンブルじゃないけどなwww

直前で記憶喪失ネタがかぶって内心焦ってた霧切さんかわいい

カイジ「僕゛は゛ク゛ロ゛じ゛ゃ゛な゛い゛信゛じ゛て゛く゛れ゛ ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ゛!゛」

霧切さん絶対焦ってただろwww

面白いよ
こんな感じで続けていけばいいと思う
楽しみにしてるよ

・毎日、一人一人にペリカ(電子マネー)が支給され、購買等で食料を購入可能。
・しかし、支給で購入できるのは成人男性がギリギリ生存できるくらい。(山田、大神はきつい)
・各所にペリカを賭けられるギャンブル装置あり。
・餓えてきたところで強制参加ギャンブル大会開催。勝者には大量のペリカ。残高が0以下ならオシオキ。
・大会のみ、開始時にモノクマから借金できる。返済期限は大会終了時。

とか思い付いたけど、いまいち殺人に結び付かんかった。

断食やそれに近いものだと、山田が一番長く生きる。


ざわ・・   ざわ・・


悪魔の囁きに脅かされ、重苦しく淀んだ空気……

この沈黙を打ち破ろうとする者はまだ現れない……

が、この中の多くの者が……望んでいたに違いない……!

まずはこの膠着状態を打破する……契機(キッカケ)となる……誰かの一声を……!


カイジ(………ダメだな)

カイジ(いくら理不尽を叫ぼうと、嘆こうと……前には一歩も進めないっ……)

カイジ(今ここで、現実から目を背けてしまえば……あのモノクロの…思う壺……!)

カイジ(ならば……!!)

カイジ(まずは……周りの連中を……恐怖に捉われて霞んだ目をっ……醒まさせないといけない……!)


「「それで……」」


全くの同時っ……なおかつ同じ出だし……!


カイジ「あっ…」

霧切「……」


咄嗟に視線が交差する両名、またその他14名の視線がこの2人に遺憾なく浴びせられる……!


カイジ「ど、どうぞっ……」


カイジは先を譲り、銀髪は軽く会釈して衆人に語りかける…!


霧切「おそらく彼も、同じようなことを言おうとしたのでしょうけど……!!」

霧切「ここで無為に棒立ちしていたところで、……何も状況は変わらないわよ……?」


一同「・・・・・・・・・・」

石丸「確かに……その通りだっ……」

朝日奈「…そうだね、まずは私達に何ができるのか……ちゃんと考えなきゃっ…!」

葉隠「で、具体的には……どうすんだべ?」

桑田「そら、逃げ道を見つけるに決まってんじゃん…!」

桑田「完全隔離っても……どっかあるだろ、抜け道の……ひとつやふたつ…」

江ノ島「ついでに、あのヌイグルミを操ってるゲス野郎に天誅っしょ…!」

不二咲「その…」

不二咲「まずは“校則”をチェックした方が……校則違反をしたら、さっきみたいに危険な目に……」

大神「一理……ある」


こうして、カイジらはまず各々の電子生徒手帳を取り出し、校則の確認を行った

《校則》

1.生徒らは本学園内でのみ共同生活を行う。なおその期間に期限は設けないこととする。

2.夜10時から朝7時までを夜時間と定義する。なお同時間帯には立入禁止区域があるので注意すること。

3.就寝は寄宿舎エリアに設けられた個室でのみ可能であり、他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰することとする。

4.本学園についての調査は自由とする。行動に関して特段の制限は課せられない。

5.学園長であるモノクマへの暴力、及び監視カメラの破壊を禁ずる。

6.仲間の誰かを殺したクロは“卒業”となるが、自分がクロであることを他の生徒に知られてはならない。

7.なお、校則は順次増えていく場合がある。



一通り読み終えた上で、各人が校則を遵守するという一応の共通理解が得られる……!

そして、現状打開策として挙げられた校内探索が開始されようとするが……!


単独行動の許否を巡る小競り合いで約1名が負傷っ……!

負傷した苗木は大和田らによって個室に運ばれる一方で……!


ようやくそれぞれの探索行動が開始された……!!


―食堂―

モノクマ「食糧はねっ……毎日…自動で追加されるらしいよっ……!」

舞園「そうなんですか…モノクマさん……?」



―寄宿舎エリア―

石丸「…よし、大和田君の部屋の存在も確認…!ちゃんとネームプレートもついているなっ…!」

石丸「次は…」



―廊下―

桑田「…いくぜ」

葉隠「せーのっ…!」


ぐぎぎ・・  ぎぎ・・


不二咲「ど、どう…?」

江ノ島「いけそう?」

桑田「かはっ……こいつもだめだな…ビクともしねぇ…」

葉隠「他の鉄板にあたるべ……まだ山ほどある」

江ノ島「しらみつぶしに当たってったら……どっか緩んでるトコあるはずよね?…ゼッタイ…」

不二咲「あれば……いいけれど……」


―学校エリア・玄関ホール―

朝日奈「私は学校のほうを歩き回って外との連絡手段がないか調べてみるよ…!」

大神「承知した……朝日奈、無理は…するなっ……」

朝日奈「うん、ありがと……さくらちゃん」

大和田「よし、そんじゃこっちも一仕事すんぞ……大神!」

大和田「入り口の鉄の塊……こいつをオレらで協力してぶっとばすッ……!!」

大神「無論ッ…」



―学園内某所―


ぎぃぃ・・・


十神「…!」


霧切「……」


十神「そこで…何をしている…?」


霧切「………、校内を探索中……それだけのことよ」


十神「………、それだけのこと…か」


ぎぃぃ・・・


あるものは単独で、またあるものは複数で……散りぢりになって探索を続ける最中っ……真っ只中………!


―体育館―


しーん・・・


カイジ「………」

山田「………」

セレス「………」

腐川「………」


カイジ、山田、ゴスロリ服、腐川の4人は……いまだっ…!…体育館の中にっ……!


探索を手伝う気は多少あったが…誰からも同伴の誘いを受けることなく……!

あるいは自ら積極的に行動しようとする意欲すらなく……!


例えるならば怠惰な働きアリのように……!

時間を……食い潰していたっ……!!

カイジ(ここに残っている奴以外の連中は……あちこち調べまわっているようだが……)

カイジ(その結果については…夜に食堂で“会議”を開き……状況を報告しあうことになってる)

カイジ(となるとだっ……わざわざ俺が調べに行かなくとも……情報は手に入る……!)

カイジ(仮想“敵”とはいえ、今すぐにギャンブ……いやコロシアイが始まるような空気じゃぁない……)

カイジ(単なる闇のギャンブルでないと分かった以上……無理に動いて体力を消耗するのは愚の骨頂っ……!)

山田「もしもし、もしもしっ…伊藤カイジ殿」

カイジ「んっ…あ、あー何だ?」

カイジ(このデカいのは……自己紹介で……俺の隣だった……)

カイジ(確か…山田……とかいう男だなっ……)

山田「ひとつ気になっていることがありますゆえ、お尋ねしても…?」

カイジ「あ、ああ……」

山田「その…先ほどの自己紹介で…『記憶がはっきりしない』とおっしゃっていましたが…?」

カイジ「うっ・・・!」

カイジ(どうする……あまりこのことは……突っ込まれるとキツいっ……!)

カイジ(適当に受け流すか……いや……)

カイジ(いっそ、打ち明けたらいいんじゃないか……俺の唯一の才能と言えそうなモノを……)

カイジ(ストレートなコロシアイに……万が一……そういう状況が現実化した場合に……!)

カイジ(俺のしがない才能がっ……どう影響を及ぼすというんだっ……?)

カイジ(はっきり言って……何の武器にもならないだろっ……!それをわざわざ隠したところで……意味など……!)

カイジ(はっ……待てよ……!!)

カイジ(敢えて才能を隠しているからこそ……!その未知の才能はっ……周囲から警戒されっ……!)

カイジ(間接的にっ…!敵の奇襲をとどまらせる防御壁にっ……!なりうるっ……!!)

カイジ(未知というモノに対する…潜在的な恐怖を煽る……心理的なっ……予防線っ………!!)

山田「伊藤カイジ殿…?」

カイジ「い…いや、何でも……」

カイジ「それと…記憶のことは……さっきも言ったとおり、よく覚えていない……としか」

山田「ほほぅ…」


セレス「………」

腐川「………」


カイジと山田のやり取りが続く一方、その傍らのゴスロリ服と腐川は、彼らの話には我関せずといった風で佇んでる……

カイジ「……なあ、あんたさ」

セレス「……『あんた』…とはよもやわたくしのことを指しているのでしょうか?」

カイジ「ああ、……そうだ……あんた、……セレスだっけか」

セレス「左様、わたくしの名はセレスティナ・ルーデンベルク……」

セレス「セレスティナ・ルーデンベルク……!」

カイジ「…?」

セレス「我ながら素晴らしいネーミングセンスですね……惚れ惚れします」

カイジ「………」

カイジ「それは置いといて、ギャンブラーと称するあんたに……ひとつ聞きたいことがある」

セレス「………」

カイジ「今、この場で……誰かと賭けをするのなら……あんたは、何を賭ける?」

カイジ「この……汚いカネも特権もない、……一見地獄の釜の底のようで、…手入れの行き届いた鳥籠の中で……」

セレス「では伊藤君なら、何を賭けますか?」

カイジ「……俺はいつでも……命懸けだっ………」

カイジ「カネの損得に振り回されっ……化かし合い騙し合い、裏切りの連続っ……」

カイジ「だがここは……もうギャンブルどころか……そのまんまストレートなサバイバル・ゲーム……」

カイジ「ならいっそ……ここに秩序があるうちに……なんのシガラミもない純粋なギャンブルを……やれたら………」

セレス「質問に対する答えになっていませんよ」

カイジ「・・ぅぐ・・・っ・・・・」

山田「それにしても食糧問題が気になりますな……」

腐川(だったら勝手に食堂行きなさいよっ……)

腐川(……ほんと誰も…誘うどころか……あたしに話しかけてこないじゃないっ……別に分かってたけど……)


―個室(苗木誠)―


苗木「・・・ぅーん・・・zz・・・z・・・」




校内探索報告会議は、午後7時頃より食堂にて行われ……目ぼしい発見・進展はなかったが

学校エリアと寄宿舎の廊下には2階へ続く階段が存在することを確認

なお当該会議において、ゴスロリ服の提案により「夜時間中の出歩き禁止」という自治法が制定された……!

―個室(伊藤カイジ)―



《えー……校内放送ですっ……午後10時になりました……!》



カイジ(長い……一日だった………)

カイジ(個室は広くて衛生的……シャワールーム完備、模擬刀あり、おまけにルームキー付、絶対的…防音壁……)

カイジ(……食糧は……随時供給されるから心配無用)


カイジ(労働時間……ゼロっ………!!変わりに授業を受けろ……ということもないらしい……!!)


カイジ「本当に・・・・・天国じゃねぇか・・・・・・・・・」


コロシアイさえなければっ……!


……一抹の不安を抱えながら……まどろみ、いつの間にか深い眠りの淵を漂う……

カイジの今までの状況を振り返るとガチで天国なんだよな

また今度
ほとんど原作なぞってる感じで何かあれだな・・・
あとセレスさんのフルネーム間違えてた・・・出直してきます・・・



原作なぞるのは仕方ない
完結してくれよ

帝愛どうなってるかな。
地下帝国はむしろ黒幕的にはシェルターあるから安全?
んなわけねーよで潰されてそう。
扇動する人間帝愛には山ほどいるし。

今まで散々こき使われてた下っ端黒服連中が半分白服になって会長たちにクーデター起こしてるんですね

>>93
カイジからすればコロシアイなければ
出るメリットないレベルだからな
と一瞬思ったけどギャンブル中毒には
この生活は無理だな

帝愛はむしろ絶望側に協力してそう

なんで模擬刀あるの?

アニメ版は最初から模擬刀有るんだよなたしか

だれか零でやんねぇかな

それから俺は、この天国で生き続けた。
最高に楽しい時間だったと思う。
コロシアイ生活にもうまく適応できていた。
学級裁判もなんとかきりぬけた。

ありがとう、モノクマ。
ありがとう、私立、希望ヶ峰学園。

おわり


日の昇らない閉鎖空間といえでも……時間だけは外界と同様に経過してゆく……

もっとも、学園内に設置された時計の針が指し示す時間が正確であればの話だが……


《オマエラ…朝ですっ……7時になりました……起床時間ですっ………!》


カイジ「・・・う~・・・~ん・・」

カイジ「朝か・・・・・」


人間の体は、朝起きて光を浴びることで体内時計を調節している

したがって、一般の社会人や学生は……毎朝起きて当然のように外に出て日光を浴びるので

自然と体内時計がリセットされて、日中は心身が活動状態に保たれ、夜になると休眠状態に移行する……


しかしっ……!


カイジ達のように外界から隔離された空間の中にいる人間は、太陽の恩恵を被ることは不可能なので……

屋内の照明を適切に切り替えて、体内時計のリズムを乱さないようにしなければならない……!


この時……密室に時計があるか否かは重要であり……時計による調節なしに、自身の感覚のみを頼りに起床睡眠時間を決めていると

徐々に睡眠覚醒の周期が乱れ……健康状態に様々な悪影響を生じさせる……!

この点で、客観的な“時間”が共有できるのは…恵まれた軟禁状態といえるのである……!


カイジ「……食堂に…いくか……」

カイジ「ふぁぁ……まだちょっと…眠いな……、どうせ誰に迷惑かけるでもねぇし……」

カイジ(二度寝…するか……)


だがっ…!性質的に自堕落な人間は……折角のモーニングコールをフイにしてしまう………


―食堂―

朝日奈「おはよー舞園ちゃん、苗木も~」


舞園「おはようございます」

苗木「おはよう朝日奈さん、……みんな」


石丸「もう7時半になるというのに……!」

石丸「きちんと食堂に来ているのは6人だけかッ……?」


大神「仕方あるまい……取り立てて急がなくとも…」

舞園「それぞれ食糧は十分に確保できますし……」

不二咲「別に、何時に朝ごはんを食べても問題ないものね……」

石丸「それはよろしくないなっ…!」

石丸「朝起きて、きちんと朝食をとることは…規則正しい生活ができるかどうかに直結する…!」

石丸「よし……こうしよう……!」

苗木「……どうするの?」


石丸「明日より毎日、意見交換をかねた朝食会を開催する…!」


石丸「当然16人全員参加で、だ……!当日の活動方針等もその場で決定しよう……!」

朝日奈「それいいかも……!」

大神「我も……異論はない」

不二咲「でもボ、…私達は賛成でも……この場にいない人達は……」

舞園「確かに……そうですね」

石丸「僕が各人と直接掛け合ってみよう!…もちろんすでに決定事項ではあるが…!」

苗木(風紀委員の石丸クン……ちょっと強引だけど……まとめ役がいるほうが…まぁいいのかな)


―個室(伊藤カイジ)― 


カイジ、二度目の覚醒……すでに時計は11時を少し回っていた……!


カイジ「……うう~ん……ハッ……」

カイジ「……もう、こんな時間か……」


昼前に起床……!貴重な午前中を自ら放棄しておきながら……!……時間の経過が早いから、などと責任を転嫁し……!

結局…「今日も一日何もできなかった・・」と勝手に落ち込み……!

自堕落を抜け出せない………ニートのような生活っ…………!!


カイジ「朝飯…いやもう半分昼飯か……」

カイジ「とりあえず用だけ足して部屋を……出る」


カイジはのっそりとベッドから立ち上がり、個室から移動した


―廊下―

カイジ(……ん、あいつは……)

桑田「おい!……伊藤だっけ?」

カイジ「ああ……桑田か」

桑田「今起きか?……目が眠そうだぞ」

カイジ「……まあな」

桑田「ま、オレも人のこといえねぇがよ…さっきメシ食ってきたとこだ」

カイジ「そうなのか」


桑田「・・・あっ・・・・!」

カイジ「どうした……?」


桑田「オメー……今2人きりなのをいいことに……オレをぶっ殺そうとか思ってねぇよな!?」

カイジ「は・・・・・?俺が・・・・・・?ない・・・・それは・・・ないっ・・・・・!」


桑田「実は凶器を……隠し持ってたりとか……!」

カイジ「あるわけ……ないだろ……!俺は……完全な……丸腰っ……!!」


桑田「いや……アゴがあるだろっ……鋭利な……アゴがっ……!」

カイジ「アゴのことは……言うなっ………!人を殺す気なんて……微塵もない……!!」


桑田「ねーなら…いいんだよッ……!……ったくなんでこんなビビらねーといけねーんだっ」


桑田「どーしてくれんだよ伊藤……!」

カイジ「俺に……どーしろとっ……!」

桑田「ま、……サッサと出口見つけるしかねーな……オメーもしっかり探せよッ……じゃーな」


カイジ(やれやれ……)

カイジ(確かに大勢でいるならまだしも……2、3人くらいでいると疑心暗鬼になっても仕方ないな……)

カイジ(互いの心のうちがまるで読めないから尚更……)


カイジ(いや……交友関係ができていったとしても、結局他人の内心……心の奥底の本音なんか分かりやしない……)

カイジ(本当に怖くなるのは……むしろお互いに連帯感や信頼感が生まれてからだ)


カイジ(こいつなら信用できる……!こいつと一緒にいれば安心だ………!そういう心理状態になって初めて……!!)

カイジ(心にスキが生まれる……決定的なスキが……!)

カイジ(本当に狡猾で悪魔のようなヤツは……その瞬間を……逃さない……!!)


「伊藤カイジ殿」


カイジ「・・・ひっ・・・?」

山田「おや、どうしました……顔が少々強張ってますぞ?」

カイジ(何だ……山田か…)

カイジ「ちょっと考え事をしてただけだ……」

山田「なるほど……こちらでは、何を?」

カイジ「え、…いや、さっき起きたところで……今から遅い朝飯さ」

山田「これはこれは……!僕も同じですよ……ご同行しましょう」

カイジ「そうなのか?……昨日は緊張で眠れなかった……とかか?」

山田「まぁ、それもありますが……昨夜は夜の営みで……朝までフィーバーでしたのでっ……!」

カイジ「・・・・・・は?」

カイジ(夜の営み……?……誰かの部屋に集まって麻雀でもしてたのか……?)

カイジ(だったら俺も……呼んでくれたっていいだろ……)


…カイジ、山田と会話を交わしながら食堂へ向かう

途中で苗木と舞園に出会うが……挨拶を交わした以外は特段話題もなく、すぐに別れる



―食堂―


がらりっ・・・


カイジ「……そういやあの2人、もともと面識があるって言ってたな」

山田「ふふ……あの様子、……妄想が捗りますな……次回の作品のネタに……」

カイジ「おっ…」


昼食にはまだ早い微妙な時間帯……おそらく無人だろうと思っていた食堂の席で

ゴスロリ服が1人……相変わらず人ならざる西洋人形のような異彩を放っていた


セレス「あら……ご機嫌麗しゅうですわ」

カイジ「…どーも」

山田「……貴殿も遅い朝食で?」

セレス「身支度に少々時間がかかりましたの」


カイジ(……ああ……確かにこの格好……いろいろと時間食いそうだ……よく分からんが)

カイジ(しかし……)


カイジ「お嬢さんだか何だか知らないが、……待っててもメシは出てこないだろ?」

カイジ「ここには俺達16人とあの……クマ以外は誰もいない、自分のことは自分で……」

セレス「それはそうと……伊藤君」

カイジ「ん……?」

セレス「わたくしの暇を潰させて差し上げてもよろしいですのよ…?」

カイジ「は…い?」

セレス「わたくしと、ギャンブルをさせてあげてもよろしいと言っているのです」


カイジ「・・・・・・!」


セレス「昨日の口ぶりから察するに…伊藤君は賭け事がお好きなのでしょう?」


カイジ「……好きというか……強いられて……きたっ……というか……!」

山田「ギャンブルといいますとっ……!脱衣麻雀的なアレですな……!!」

カイジ「バカか…山田……!思考が偏り過ぎだっ……!ギャンブルってのは奥が……深い……!」

セレス「よろしいですわよ」

カイジ「え・・・・・・?」

セレス「脱衣麻雀でも」

カイジ「は・・・・・・?」

山田「な・・・・・・・・・」

カイジ「おい・・・その・・・・・ダメっ・・・・だろ・・・・・・・!!」

カイジ「あんた・・・・・だって・・・・・・女・・・・じゃ・・・・・・・・!?」

セレス「問題ありません、わたくしは必ず勝ちますので」

カイジ(この……確固たる自信ありげな言葉……!……全く……ぶれないっ…真意を測りがたい表情っ……!)

セレス「ただし、この勝負を受けるにあたって1つ条件を呑んでもらいますが」


カイジ「面白い……」

カイジ「勝負しようぜ……超高校級のギャンブラーさんよっ……!」


山田「ぼ、僕も加わりますぞ……!……あくまで……参考のためにっ……!」

カイジ「当然…『負けたら脱衣』というルールが追加されるとはいえ、基本は通常の麻雀でいいんだろ…?」

セレス「ええ」

カイジ「だったら人数が4人は必要……、それから肝心の雀卓は……」

セレス「そちらは購買部で入手しました」

山田「ほう……仕事の早い……!」

カイジ「じゃ、あと1人、人数あわせは……」


その時、食堂に入ってくる人影がひとつ……!

入るとすぐに、カイジ達3人の存在に気づき、一瞬戸惑うも、定型どおりの挨拶をしてくる……!


不二咲「あっ…こんにちは」


山田「おお、これはこれは……不二咲千尋殿」

不二咲「えっと…山田君と、セレスさんと……伊藤君だよね」

不二咲「早めのお昼ごはん?…私はちょっと喉が渇いたから…厨房に飲み物を取りに…」

山田「いえ、我々は…」

カイジ「!……ちょうどいい…不二咲……!」


小柄な不二咲に向かって歩み寄るカイジ


不二咲「え……何かな?」

カイジ「どうだ、俺達と一緒に……ゲームをしないか?」

不二咲「ゲーム?」

カイジ「4人いないとできないゲームなんだ……もしルールが分からなかったら、俺が教えるから」

カイジ「その……何だ……お互いの親睦をはかるって意味で……ひとつ……」

不二咲(ゲームかぁ…トランプとかかな…)

不二咲「別に……いいけどぉ」

不二咲「忙しくもないし……せっかく誘ってもらったんだから……」


山田「これで決まり……で、ですが…カイジ殿……」

カイジ「分かってるって」

カイジ「なぁお嬢さん、不二咲は……ハンデってことで、負けても“罰ゲーム”なしでいいよな……?」

セレス「……構いませんわ」


不二咲「ば、罰ゲーム??」


―寄宿舎エリア―


ピンポーンッ・・   ピンポーンッ・・   ピンポーンッ・・


石丸「おーいッ!伊藤君!!まだ起きていないのかい!?」


石丸(………、これだけ押しても出ないとなると……留守のようだ)

石丸(朝食会についてまだ説明できていないのは…伊藤君、山田君、セレス君の3人なんだが)

石丸(いずれも各個室には不在……いったい何処に……?)


ギャンブルの誘いに乗って、水を得た魚のように意気揚々のカイジ……!


エロ同人誌のような展開に、二次元的インスピレーションが湯水のごとく湧いてくる山田……!


相変わらず余裕綽綽然とした笑みを絶やさないゴスロリ服……!


そして詳しい説明も何もなくっ……なりゆきでギャンブルに巻き込まれる不二咲は……ただ……呆然としていたっ………!

また今度
ちょっと冗長ですが次々回くらいには「あのDVDを見て~最初の事件が起きる?」の話に入ると思います

ざわ・・・ざわ・・・

桑田と廊下でのやり取りの件で吹き出した
なかなかいい感じに福本っぽくなってきてるよ

最初より上手くなってきてるよ

いいね、


―食堂―

カイジ(『必ず勝てる』……あれほど堂々と、あっさりと……さも当然というように宣言できるからには……)

カイジ(必ずある……使ってくるっ……何らかの……インチキ…ペテン……イカサマをっ……!!)

カイジ(運否天賦をまるっきりひっくり返すような…確実に勝てる…何かを……!!)

カイジ(それさえ見抜くことができれば……!勝機は反転する……!)

カイジ(逆にこちらが確実に勝てるような……展開に持ち込める……!)


カイジはただ一念に…あらゆる策を頭に巡らせる……!

そのカイジの心中には……眼前のゴスロリ服の羞恥心をくすぐりたい……というような欲求よりも……!

この掴み処のない“敵”の…プライドという名の牙城をっ……!

己のやり方で……突き崩したい……!そんな気持ちが充満していた……!

山田「麻雀の経験はおありですかな?」

不二咲「うぅん……あんまり……」


が、このカイジの気概は呆気なく反らされてしまう………!


セレス「ただし」

セレス「このギャンブルを始める前に、2人には……制限時間内にあるものを作ってもらいます」

カイジ「……あるもの?……唐突になんの話だ……?」

山田「それはまたどうして…?」

セレス「お忘れですか?…わたくしがこのゲームに参加して差し上げるには、条件があると」

セレス「ちゃんと言い渡したはずですが?」

セレス「伊藤君が、賭けに乗った…少し前に」


カイジ「……はっ…………確かに……」

山田「はて……?」

不二咲「???」


カイジ「で、……その条件ってのは?」

カイジ「……達成できそうもないことふっかけて……勝負を逃げるつもりじゃねぇよな?」


セレス「そんなことはありません、あなたがたの知能指数次第で達成可能ですわ」


山田「い、いったい何を作れば……?」


セレス「今から1時間以内に、厨房で、あの下品で臭い食べ物……△△を拵えてきてください」

セレス「わたくしを納得させられるものを用意できた場合は、周知の通り脱衣麻雀を打(ぶ)って差し上げますわ」

不二咲「だ、だ…脱衣!?マージャン……!!?」

カイジ「……何かと思えば、そんなものでいいのか」

カイジ「……一度(賭けに)乗りかかった船だ」

カイジ「よし、厨房に向かうぞ……!山田……!!」

山田「合点ですぞ……!!」


厨房に向かうカイジと山田……!

まだこの状況を飲み込みきれない不二咲と……、当のゴスロリ服は……、ただ静かに、食堂にて待つ



―寄宿舎エリア―

十神「…何だって?」

石丸「どこかで伊藤君達を見なかったかと聞いているんだよっ!」

石丸「まだ彼らには朝食会のことを伝えていないからな!」

十神「それを何で俺に聞く?」

石丸「ハッハッハ…君にたまたま出会ったからさ!…級友同士、密に連絡を取りあう重要性というのは」

十神「そいつらの動向など……知らん」


スタ…   スタ…


石丸「……十神君からはもっと協調性を引き出さないとな」


こそり・・・

腐川「ぐふふ……白夜様……素敵っ………」


―トラッシュルーム―

霧切「………」


ひょこり・・・


モノクマ「ダメダメ、ここから先は…入れないよっ……!」

霧切「じゃあ、学校中に溜まっていくゴミはどうするの?」

モノクマ「掃除当番がねっ……回収してっ……ここに運び入れるのさぁ……」

霧切「そう……じゃあ掃除当番は誰なの?」

モノクマ「勿論、君達にやってもらうんだよ~1週間交代でねっ……!」

霧切「……もう誰かが指名されているの?…最初の掃除当番として」

モノクマ「あ……うぷぷぷ……まだだったぁ………」



―寄宿舎1階・男子トイレ―


しゃぁぁぁ・・・


葉隠「まったく……いい加減にしてほしいべ……」

大和田「ああ、まったくだな……こんな鑑別所みてぇなトコに閉じ込めやがって……!」

葉隠「いつになったら種明かしがされんのか……」

葉隠「オリテンにしては……ちょっと長すぎて興ざめレベルだべ」

大和田「……オメェ」

大和田「まだ……ンなこと言ってんのかよぉ……」


キラリ…


葉隠「ん……水槽のとこに何か……?これって…」

大和田「メダルか?…ゲーセンとかにある……あの」


―厨房―


エプロン姿で厨房に立つカイジと山田……!……圧倒的っ……違和感……!!


山田「おおかた、必要な材料は揃いましたぞ……!」

山田「挽肉、キャベツ、ハクサイ、ニラ、長ネギ、……ゴーヤはさすがに不要ですかな?」

カイジ「残り時間はまだ50分強……!……いける……十分過ぎる余裕をもって……!」


この時カイジ、致命的な見落としに気づく……!!


カイジ「あああっ……!」

山田「!?」

カイジ「バカなっ……!ない……だと?…うそ…だろ…?」

山田「ぬぬぬ…いったい何が足りないと……ハッ……!皮っ……!!」

カイジ「そうだ、……皮が……ないっ……!」

カイジ「ここには野菜や果物は豊富だが……市販品の……皮が……見当たらないッ……!!」

山田「くぅ……!カイジ殿……どうすれば……!」

カイジ「どうするも何も……作るしかない……!……皮をっ……!小麦粉から………!!」

山田「し、しかし……!皮から作ったことなど……一度も……!」

カイジ「俺だって……ないっ………だがっ…やるしかない………!」

カイジ「時間がない…!俺は今すぐ皮に取り掛かるッ……!山田は具の用意を……頼む……!」

山田「承知……!」

カイジ、山田と役割を分担すると、すぐさま棚から小麦粉を引っ張り出す……!


が、しかし……!ここで重要な問題が浮上……!!


カイジ(ちょっと待てよ……?……どれを……使うべき…なんだ……?)

カイジ(……薄力粉か……?それとも中力粉か……?……あるいは…こっちの強力粉か……!?)


カイジ混乱……!!

それもそのはず……!用途に応じた使い分けができなければ……!挙句の果ては失敗作……!

条件不成就……ギャンブルの約束は……あえなく反故に……!!

カイジ「クソッ……迷ってる時間は……ねぇ……!!」

カイジ「ここは一か八か……!!……コイツに……賭ける………!!」


その時カイジ、強力粉を選択……!!

それは全くの推論……!あの皮の硬さをイメージし……半ば強引の結びつけた……!運否天賦の選択……!!


どばぁっ・・・


カイジ「よし、ボールに強力粉をぶちまけた……!後は……」

カイジ「ここに水を入れて……!……ただ只管……捏ねて……!!仕舞に小さく小分けして……引き伸ばせば……!!」

カイジ「できる……!!……立派な……皮がっ………!!」


そして、それから時は流れ……!!

正午過ぎ……!


がらッ・・・


朝日奈「あれ、山田と伊藤じゃん?……何作ってんの~?」

大神「ほう……これは……」

カイジ「!……悪いが今は…話しかけないでくれ……!一刻を……争ってんだ……!」

山田「カイジ殿……!全ての具を……!皮で……包み込みましたぞっ………!」

カイジ「よし……!……焼くぞっ……!こんがりと……狐色になるくらいに……!」

山田「いざっ……!」


ジュウウウウウッ・・・・・


―食堂―

セレス「………」

不二咲「そろそろ、一時間経つよね…」


カイジ「……待たせたな」

山田「ふふ……!」

カイジ「作ってきたぜ……!……あんたの要求通り……!この……餃子をな………!!!」


カイジ、仁王立ち……!

自信に満ちた表情で……餃子の盛り付けられた大皿をっ………ゴスロリ服に差し出す……!!


セレス「………」

不二咲「おいしそう…!すごぉい…伊藤君達が作ったの…?」


ゴスロリ服は予め用意しておいた箸を使い……一切れの餃子を摘み上げ……そして……!


セレス「……残念です」

カイジ「・・・・・・・・!?」


予想だにしない一言ッ……!!


セレス「生地の弾力性、粘り、ふっくらとした柔らかさ……」

セレス「あらゆる面において……絶望的に出来がよろしくありません……寝かしを怠ったのですね」

セレス「このようなモノをわたくしに献上するとは……期待外れもいいところ……到底納得には及びません」

セレス「直ちに作り直してください」

山田「な、何をおっしゃる…うさぎさん……僕達は与えられた時間内に最大限の努力を……!」

カイジ「ふざけろッ……!!こんなくだらない茶番にっ……時間食わせやがって……!」

カイジ「さっさと……ギャンブルの台に……上がりやがれぇぇぇッ………!!」






セレス「 い い か ら 早 く 盛 っ て 来 い こ の ブ タ ア ゴ ど も が ァ ! ! ! ! ! 」





「「ひ、・・・・・ひぃいいいいぃぃ・・・・っ・・・・・・・・・・・!!!」」


この時、カイジと山田はあまりの鮮烈な恐怖に茫然自失……床にひれ伏し深々と…土下座っ……!!

不二咲「」

朝日奈「」

大神「……」


ゴスロリ服の豹変に……ただ唖然とし、立ち尽くす不二咲ら3名

そして昼食を取りに……ちらほらと食堂に集まってきていた者たちも……

その光景を目に焼き付けた……


江ノ島「ちょ…何よアレ」

葉隠「きっと……そういうプレイなんだべ……そうに違いないべ……」

大和田「意味わかんねーんだけどよ」

石丸「おいそこ…!ケンカはよくないぞッ…!」

舞園「放っておいていいんじゃないですか?…少し楽しそうですし」

苗木「え…?」

舞園「そうだ、私も、苗木君に何か作ってあげましょうか?」

苗木「えっ…?ボ、ボクに……?舞園さんがっ…料理を………?」

舞園「はいっ……苗木君のために……ラー油を……!」

苗木「・・・・・・えっ・・・・・・」


この期の及んでカイジは、ようやくすべてを理解……


ゴスロリ服は初めから…勝負をする気など更々なく……!ただカイジ達を籠絡し……昼食を作らせるっ……!

それだけの目的……!そしてまんまと嵌められてしまった己の迂闊さを呪い……!衆人環視のもとでっ……!



カイジ「クソッ・・・・・・ぢ・・・畜生ォ・・・・・・・・ぅううぁぁああぁ・・・・っ・・・・・!」


号泣っ・・・・・・・!号泣っ・・・・・・・!号泣っ・・・・・・・・!!!



この日より、カイジは……『超高校級の泣虫』というあだ名を獲得するのであった………

また今度
「ギャンブルに勝つ運」は「イカサマ」相手になったらどうなるとか考えたら上手く話つなげられなかった

『超高校級の泣虫』超高校級のクズ、ギャンブラー以外で考えれば一番合ってるかも知れん・・・

笑った、乙

確かにすぐ泣く

カイジは豆腐メンタルに見えて
泣きながら(窮地に陥りながら)物事を整理するタイプだからな

>>144
むしろそうならないと力を発機できないタイプ。
ん、やっぱ超高校級の泣虫あってるんじゃね?

超高校級の逆境といえば…聞こえがいいだろうがっ…!!



《朝ですっ……!7時になりました……!さぁて、今日もはりきって生きましょうっ……!》



この希望ヶ丘学園に閉じ込められるに至って、3日目の朝を迎えるカイジ



カイジ(あー、だりぃな……)


昨日もこの理不尽な監禁状態を打開する策は見当たらず、夜時間になると各々自室に戻り、2日目の夜を過ごした……


カイジ(今日から…朝食会だっけか……)

カイジ(別に行かなくても制裁を加えられるってわけでもないが……)

カイジ(行かなかったら行かなかったで……あの風紀委員が部屋に来るだろ……)

カイジ(面倒だが……)


カイジ、一応身支度を整え……個室から這い出し食堂へ……その中途


石丸「おはよう桑田君!……今日もすがすがしい朝だな!」

桑田「お天道さんも拝めまねぇのに……すがすがしいも何もねぇよ」


石丸「お!……伊藤君じゃないか!丁度よかった、君も念のため起こしに行こうと思っていたところだ」

カイジ「あー…、…それはどーも」


桑田「…よっ、チキン」

カイジ「は?」

桑田「チキンメンタルっつーことだよ」

桑田「聞いたぜ……何でもブーデーと一緒に、食堂で、…あの蝋人形みてーな娘(コ)に泣き土下座したそうじゃん?」

桑田「何か弱みでも握られたかぁ?」

カイジ「……ッ……そうじゃねぇよ」

石丸「桑田君ッ!!伊藤君が嫌がっているだろう!……そういう発言は止めたまえ!!」

桑田「……あーはいはい分かった分かりましたよッ……オレ先行ってら」


桑田はバツが悪そうにそそくさと食堂に向かっていく…


石丸「まったく」

カイジ「……別に俺のことなんかほっといて……」

石丸「そういうわけにはいかないだろうッ……!」

石丸「伊藤君、仮にセレス君からイジメにあっているならいつでも相談に乗ろう…!僕からも注意をしておくから」

カイジ「いやいやいや……!!」

カイジ「本当にそういうのじゃないんだ……頼むから……そっとしておいてくれ……!!」


石丸「……そうか、君がそこまでいうなら仕方ないな」

石丸「だが何か問題があったら、すぐに僕に知らせてくれ……校内での秩序維持は僕の大事な仕事なのでな…!」


言いたいことを一通り述べると、石丸は「食堂へ向かおう」と背中で語りながら颯爽と歩き出す…!

取り残されたカイジは…


カイジ(はぁ……面倒なヤツだ……)


―食堂―


カイジが食堂にたどり着いた時には、既に他の15人の生徒が集合していた


朝日奈「あー伊藤、おはよっす~」

苗木「おはよう……伊藤クン」

舞園「…おはようございます」


勿論着席位置に決まりはないので、

好きな位置に座る者もいれば、すかした顔で直立姿勢の者もいる

カイジは端の方の無人のテーブル席に座ろうかと思ったが…


苗木「あ、ここ空いてるよ」

苗木が気を利かせて席を指し示したので、苗木の右隣に座ることにした


(参照・座席イメージ)

         

霧切  山田 セレス 大神 朝日奈 不二咲 江ノ島   
―――――――――――――――――――――――       → 
                              厨房

                              →
―――――――――――――――――――――――        
 葉隠 大和田 桑田 舞園 苗木 カイジ  石丸




 十神
――――
――――
 腐川


↓食堂入口↓
   


そして、カイジの隣に着席していた石丸が、起立して高らかに宣言する……!


石丸「ただいまより、第一回朝食会を開催する!……一同着席……!」


江ノ島「てかアンタ以外立ってすらないし、…あ…もう1人居たわ」


腐川「何よっ……人の……勝手でしょ……」

十神「…いいからそこの席にでも座っていろ、目障りだ」

腐川「はいィ・・・・っ・・・・・・!!」


カイジ(あの小説家とやら……メガネの前では態度が急変するな……)


石丸「それでは諸君、まずは朝食を取ろうではないか…手を合わせて……!」

石丸「いただきますッ!」


朝日奈「いただきま~っす!」

大神「頂戴する……」

江ノ島「はいはいいただきま~す」

大和田「小学生かよッ…」

葉隠「お米の神様、農家の皆様……豊穣神の恵みに感謝……いただきます…だべ」

大和田「……」


多少の不協和音はあれども、各々用意された朝食に箸をつける

周りと談笑するものもいれば、黙々と食事を口に運ぶ者、あるいは何やら考え事をしながら咀嚼している者もいる


舞園「……苗木君」

苗木「…ん、何…舞園さん?」

舞園「はい、あ~ん」

苗木「!!?……ち、ちょっとっ……!?」

舞園「ふふ…冗談ですよ」

苗木「もう……からかわないでよ……」


リア充・・・・・・!・・・・圧倒的・・・・・リア充っ・・・・・・・・!!!


桑田「………」

カイジ「………」

カイジ「……その……、……仲が……いいんだな」


苗木「あ、いやそのっ……ご、誤解しないでっ……!……ボクと舞園さんは……!」

舞園「同じ中学校出身なんです……最初の自己紹介のときにも話しちゃいましたけど」

桑田「…舞園ちゃんは中学の頃からアイドルなんだよな?」

桑田「おう苗木、オメー相当周りからウラヤマがられてたろ」

苗木「そんな……羨まがられるも何も……中学時代は舞園さんと面識なかったし……!」

舞園「そうですね……あの頃は私、ちょっと苗木君に避けられていたようですし……」

桑田「ンだとオイ?……舞園ちゃんシカトとか…どーいうこった苗木っ……!」

苗木「ち、違うよ……!……舞園さんはアイドルだし……ごくフツーの中学生のボクには遠すぎる存在で……」


カイジ「………」

石丸「どうしたんだい伊藤君、少し表情が暗いようだが……」

カイジ「あ、いや……何でも」


苗木達の会話に耳を傾けながら……カイジは自身と彼らとの間にある見えない壁を意識していた……


カイジ(やっぱり、苦手だ……こういう雰囲気は……)


カイジ(何というか……自然な人と人の関わりの中に……すんなり入り辛いんだよな……)

カイジ(これで外にいれば……仕事の上下関係なんかで気まずくなってすぐ辞めちまったり…)

カイジ(何てことになるが、横一線の関係しかない分、ここは気が楽だな……あのクマの存在は別として)


そのようなことを考えながら、カイジは周りを見渡してみる………

苗木らは相変わらずあれこれ談笑中、その左側にいる大和田と葉隠は時折ぽつりぽつりと言葉の応酬

カイジの正面に並ぶ女子4名も、それなりに話に花を咲かせている様子


一方……


カイジ(隣の石丸は…いかにも規則正しくといった感じで黙々とメシを食っている)

カイジ(メガネと小説家は相席だが一切会話はない……片方は何かいろいろ喋りたそうだが)

カイジ(そして向かって左側の3人にいたっては……まるでお互いに興味がないといった雰囲気……)

カイジ(各々が自分の世界に入って、バリケードを張ったまま、ただ並んでいるだけ………、そう見えるだけなのかも知れないが)


と、その時……!

誰に向けるともなく、1人の少女が口を開いた……!

けして大音声ではないが………周囲のざわつきを貫き通すような一声


霧切「ひとつ、聞きたいのだけれど」


しんっ・・・


一瞬にして、周りのぼそぼそとした喧騒が掻き消される


朝日奈「どうしたの、霧切ちゃん…?」


霧切「私がここに来た頃には、既にテーブルに食事が用意されていたのだけれど」

霧切「……誰が朝食を作ったのかしら?」


それは、やや遅れて食堂に現れた者にはもっともな疑問であり……カイジもまた気づいていたが

誰も指摘する者がいないのでそのまま捨て置いていた質問だった……

不二咲「それなら……」

朝日奈「最初に来た私と、さくらちゃんと不二咲ちゃんで用意したんだよ~」

大神「用意といえども……たいした手間ではなかったが……」

朝日奈「野菜やハムを切ってサラダにしたり、飲み物淹れたり、パンを配ったり……サ○ウのごはんをチンしたり」

不二咲「他の皆が来る前に、ほとんど準備は終わってたよ」


石丸「僕も彼らと同時に食堂入りしたのだけれど、皆の遅刻防止のため一度寄宿舎エリアに戻ったので、な」

大和田「遅刻防止っつーか……ありゃサツの朝方のしょっぴきだろ……」

桑田「むしろ強制連行じゃね」


霧切「……そう」


葉隠「どうしてそんな神妙な顔をするんだべ?」


霧切「わからないの…?」


葉隠「?」


カイジ「ハッ……つまり……!」

十神「今後の食事の準備に関して、取り決めが必要なのか否か……そういうことを言いたいのだろう?」


カイジ「…ッ」


カイジ、発言に遅れをとる……!一瞬の遅れ……!場合によっては命取り……!


霧切「そうよ」

霧切「これまで2日間は、基本的に各人が自ら食事を用意し、片づけをしていた」

霧切「けれど、今日から朝食会を開いて、こうして一同に集って食事を取るのなら」

霧切「……今回のようにまとめて用意して、片付けも行うほうが効率的でしょう……?」


石丸「なるほど!」

石丸「確かに霧切君の言うとおりだ!……だが、今朝のように」

石丸「毎回早く食堂入りした生徒が自主的に準備をするというのは不公平感があるだろう…!」


舞園「それなら…ローテーションを組むというのはどうでしょう?」

桑田「ローテ?」

舞園「はい、食事当番を決めるんです……4人一組くらい……一日交代で」

舞園「それなら朝食会も毎日時間通りにできますし、4人もいれば誰かが体調不良でも、準備に支障はないでしょうし」


山田「……なるほど、良案ですな」


大和田「……ま、いんじゃねぇの」



十神「……まったく、お前達はまるで脳ミソが足りてないな」


大和田「ああッ……!?オメェ今何つったァ……!!」


十神「何だ?……反応するということは愚鈍を認めたようなものだぞ」


大和田「ぶっとばされてェのか……!!」


大和田、激高……!しかし、苗木の時の一件もあり、手は……出さないっ……出せないっ……!!

十神「考えてもみろ……誰かに自」


カイジ「自分の食事を…任せるということは……!!」

セレス「自らの命をその“誰か”に預けることも同然なのですよ」

不二咲「え……それはどういう……」

霧切「文字通りの意味よ」


十神「……ふん」


メガネ、セリフを奪われ……憮然とした表情……!


霧切「この中の誰かが、…舞園さんの案なら4人が、16人分の食事を用意できるのならば」

霧切「この4人は……その気になれば、他の人間をいとも簡単に殺害する機会(チャンス)を得るわ」



一同「・・・・・・・・・・・・!!」



霧切「例えば、……毒を盛る……といったような方法で」


一瞬で凍りつく食卓っ……!霧切と同じ考えが浮かんでいた者も、そうでない者も……!

その可能性を言葉として“咀嚼”することで……俄然現実“味”をまして迫ってきた……!“食べ物”
なだけに………!

霧切「利便性を追求すると、…どうしてもそれに伴うリスクが生じてしまう」


十神「そういうことだ」


石丸「そ、そのような……ことなど……」

江ノ島「いるわけないっしょ……さすがに…そんな本気(マジ)な奴……!」


十神「いないとどうして断言できるんだ?」

十神「現に俺は、この朝食を他の全員が口にするまで手をつけなかった」


朝日奈「なっ・・・・!」


十神「他の奴が用意したものなど……ナニが入っているか分からんからな」

十神「バイキング形式だから、全員がもれなく口にした後は……喉を通してやったが」


朝日奈「ひっどいよ・・・!!そんなに・・・疑うなんてっ・・・・・!!」


十神「何度言ったら分かるんだ?……俺はお前達を信用なぞしていない」

大神「朝日奈……そう取り乱すな、十神の言うことも……確かに理に適っている」

桑田「はん……十神の言い方にはイラつくがよ……確かに、それもそうだわ……」

苗木「そんな……」

山田「誰か1人でもその気になれば……!我々全員……一瞬でお陀仏にィっ……!!」



モノクマ「…それは違うよ」

一同「・・・・・・!!」


モノクマ、唐突に食堂に出現ッ………葉隠の……頭上に……!


葉隠「わっ・・・・!わっ・・・・!そこを退くんだべっ・・・・・・・!」


モノクマ「こらこら……無理に振り払おうとしない」

モノクマ「先生に暴力を振るったら校則違反だよっ……今のはノーカンにしてあげるけどねっ…!」


腐川「本当に……神出鬼没ね……」

十神「なんだ、腐川(オマエ)まだいたのか?」

腐川「ふぇぇ・・・」

食べ物なだけに……!

じゃねーよwwww


セレス「で、……『それは違う』とはどういうことなのですか?」


モノクマはカイジ達に対し、“コロシアイ”の補足説明を行った


……即ち、1人の“クロ”がコロすことができるのは、2人までであるということ

……共犯の場合は、実行犯(実際に殺害行為を行った者)のみが“クロ”に該当するということ

……自殺の場合は、自殺者=“クロ”になるということ

……事件が発生した場合、発見者が3人を越えた時点で緊急放送が入るということ

……そして事件後、しかるべき後に“学級裁判”が執り行われるということ


モノクマ「ん~~、ここで話しておくべきことは……これぐらいでいいかなっ……」


霧切「仮に2人の人間が意思の連絡なく、別々に犯行を企てて、同一人物を全く同時に殺害したとしたら?」


霧切「例えば……2人とも拳銃を利用した場合、ね……学園内に拳銃が存在するかどうかは置いておくとして」


霧切「2人のうち、どちらの放った弾丸が致命傷になったのか断定できない場合」


霧切「……両者とも“クロ”ということになるの……?」



モノクマ「・・・・・・・・えー?・・・・・・・・刑法的な論点は置いといて・・・」

モノクマ「・・・・・・RECが仕事してくれるさ・・・きっとっ・・・!」

観測出来ない場所で殺された場合ってどうなるんだっけ

モノクマ「ではでは……」


カイジ「おい、ちょっと待て…!」

カイジ「“学級裁判”って……何だよ……?ちゃんと……説明しろよ……!!」


モノクマ「学級裁判が、何…だって?……それはね……!」




モノクマ「 だ れ か が コ ロ さ れ て か ら の お た の し み ~ ! ! ! 」




それだけを言い残し、モノクマは颯爽と退場っ……!!

凄い面白い

結局その後、食事当番制についてはうやむやとなり

……原則として自給自足の方針でいくことが暗黙のうちに確認された


朝食会は、各人の信頼関係を醸成するどころか、逆に相互の疑念を深める結果となってしまった……!!


終了後、食器の片付けは準備をした朝日奈らが率先して行う他、一部の者は自主的に手伝い

……他のものは食堂を後にしつつある



その中で……


山田「しかし霧切響子殿はよく頭が切れますなぁ」


霧切「………」


山田「おおっ……華麗にスルー…されましたぞっ……」

カイジ「……なあ、セレスさんよ」

セレス「あら、伊藤君」

セレス「また、わたくしに薔薇の鞭で躾けられたくなったのですか?」

カイジ「・・・ぶっ」


山田「むほッ!?……伊藤カイジ殿!?……それは誠ですかなっ……!?」

カイジ「信じるなよっ・・・・!・・・・コイツの口から出任せだッ・・・・・!!!」


セレス「うふふふ、少し口が滑りました」

カイジ「出鱈目を……言うなっ……!…その上で、あんたに聞きたいことがある……!」

セレス「……何でしょうか?」

カイジ「昨日、あんたは……購買部で雀卓を入手したといっていただろ」

カイジ「実際にそこに行ってみると……いわゆるガチャポンみたいなのが陣取ってて……」

カイジ「その後ろの強化ガラスの向こうにいろんなモノが雑多に置かれているようだった」

セレス「……察するに、わたくしがどうやって“雀卓”を入手したのか、と聞いているのですね」


カイジ「ああ……」

山田「ふむ……」


セレス「現場を見てその程度のことも推測できないとは……小学生並の知性しか兼ね備えていないのですね」


カイジ「ッ……、まったく見当がつかなかったわけじゃない」

カイジ「…あのガチャにコインを入れて、アイテムを入手するんだろうということは想像がつく」


セレス「ちなみにガチャではなく“モノモノマシーン”と命名されているそうです」


カイジ「だが……問題はそのコインの出所だ……!ここには貨幣というものが…存在しないはず……!!」


セレス「そこで“モノクマメダル”を利用するのです…!」


カイジ「モノクマ…メダル…!?」




ちゃりーんっ・・・! ちゃりーんっ・・・! ちゃりーんっ・・・! ちゃりーんっ・・・!




その時……!大量のメダルがっ……!!……目の前のテーブルの上に……ぶちまかれる………!!!



カイジ「!!!」

山田「なななな!?」

セレス「まぁ・・・!」



霧切「……これのことよ、モノクマメダル」


カイジ「これ……全部で…少なくとも100枚…以上っ……!…いったい……何処で……?」


霧切「校内を探索する途中、至るところで見つけたわ」

霧切「何らかの手がかりになるかと思って随時回収していたのだけど」

霧切「……あの機械に投入する物だったのね」


山田「いやはや……こんなメダルがこの学園内に隠されていたとは……気づきませんでしたぞ」



セレス「これだけの数を2日間で……よほどお1人でお暇でしたのでしょうね」

霧切「…………」


カイジ「これを使えば、いろんなモノがドロップできるわけか……!」

セレス「そうです」


セレン「どんな景品がドロップできるかは運次第……コインの投入枚数は1枚から99枚まで可能ですが」

セレス「一度の投入によって獲得できるモノは……1つだけ」

セレス「ただ、メダルの投入数によって……以前に獲得したドロップ品との重複率が変動するようです」


セレス「……わたくしはこれまで」

セレス「雀卓の他に、Eカード、リ○キーダイス、ローズウィップ、焼き土下座強制機、リムジンをドロップしました」

セレス「いずれも獲得難易度Bランク以上の代物です」


カイジ「半分以上嘘臭ぇが……いろんなモノが手に入るのは……事実のようだな……!」


山田「なるほどなるほど……ですが疑問ですな」

山田「なぜアイテムドロップなどという……いわば余興などを、黒幕殿は用意したのでっ……?」


霧切「黒幕は私達にコロシアイを扇動しつつ、一方で平和的な共同生活を送る選択肢も与えている」

霧切「モノモノマシーンという“遊戯”を提供し、アイテムの獲得という物欲を満たす機会を与え……」


カイジ「……まぁ、そんな御託を並べるのはもういいだろ?」


霧切「…どうして?」


カイジ「あんたはその大量のメダルを……今すぐ購買部のマシンに投入するつもりか……?」


霧切「今すぐ?」

霧切「……そのつもりは、ないけれど」


カイジ「だったら……勝負をしようぜっ……」


霧切「……?」


カイジ「あんたが集めたそのメダルが……賭けの対象っ……!対象として……俺と……ギャンブルをっ……!!」



この時、山田は悟った……!……伊藤カイジという男は……もしやギャンブル中毒なのではないか…と…!



他方、ハッパをかけられた銀髪は……!……実に透徹として……無表情な…!


……冷ややかな目で、カイジを見据えていた…!!

また次回
…次には例のDVDが出てくるとこまで……

乙-

メダルでギャンブルするなwwww

が、銀髪……この提案を無視……!!
カイジ……空振り……それもそう……
カイジ自身……賭けの対象となるコインの所持数……0……!

そういえば福本キャラに女ギャンブラーっていたっけ?

カイジ負けて捜査の時霧切にこき使われそうw

>>181
名前持ち女キャラ自体少ないだろ


カイジから唐突にギャンブルを持ち掛けられた銀髪……!

そのポーカーフェイスは崩れないが……内心は多少なりとも困惑しているであろうことは……

想像に難くない……!


霧切「………」


カイジ「こちらが勝った場合には……そのメダルを全て俺に譲ってもらう……!」

カイジ「で、もし俺が…負けた場合には……」

セレス「当該メダルの枚数の2倍程度……倍返しくらいが相場でしょうか?」

セレス「モノクマによりますと、メダルは毎日一定数……新たに学園内の随所に配置されるとのこと」

セレス「具体的な数字は定かではありませんが、労を惜しまず毎日探し続ければ」

セレス「……収集不可能な数量ではないでしょうね」

山田「しかし……200枚以上拾い集めるとなると……骨の折れる作業になりますな」

カイジ「だが……その程度の労苦……汗水垂らして強制労働させられるのに比べれば……屁でもないこと」


霧切「ちょっと待って…」

山田「では……実際に賭けとなると、何をするのですかな?」

セレス「霧切さんは、校内を探索するのがお好きなようですから…」

カイジ「あまり時間を取らせるのも……悪いな」

山田「短時間で終わる賭け……、コイストスなど……最適なのでは……!……まさにコインがここにありますし」


霧切「ちょっと…」


カイジ「いや、仮にも100枚以上のメダルを賭けるんだ……さすがに五分五分の一発勝負は軽忽過ぎる」

セレス「では、じゃんけんで決めるのはどうでしょうか?」

山田「じゃんけん……ですと?……それこそ安直……そもそもギャンブルですらないのでは……!」

カイジ「……いや……じゃんけんも立派なギャンブルさ」

セレス「山田君は、“じゃんけんの必勝法”というものを聞いたことはありませんか?」

山田「必勝法……確かにそんな話は聞いたことが……しかし、唯の都市伝説…オカルトの類なのでは…?」

カイジ「それは違うぞ、……山田」

カイジ「単純計算なら……グー、チョキ、パーの手がそれぞれ出る確率は等しく3分の1だが……」

カイジ「実際には相手の性格、心理状態を推し量ることで勝率をグッと上げることが……云々……」

セレス「心理状態は体の動きにも影響を及ぼしますわ……例えば腕を振上げた瞬間の拳の角度が……云々……」


霧切「……………」


ギャンブルの相手当事者でありながら……置いてきぼりにされる銀髪……!


霧切「ちょっと…待ってもらえるかしらっ………!!」


し・・・んっ・・・


ようやく沈黙が訪れる……食堂の一隅……


霧切「賭博をする、しないの話の前に……確認しておきたいことがあるわ」

霧切「いいかしら?」


カイジ「……ああ、いいぜ」


霧切「あなたの目的は……このメダルを獲得することで得られるであろう、ドロップアイテムにあるの……?」

霧切「それとも、……もしかして……賭博自体をやりたいだけなの……?」


カイジ「そりゃあ……当然…………後者だっ……!」

カイジ「勿論、モノモノマシーンとやらで如何に有用なモノをドロップするか……それ自体も興味があるが……」

カイジ「それだけなら、最初からあんたのようにメダルを探し歩けばいいだけのこと……」

カイジ「つまり……敢えてリスクを抱えるとしても、一攫千“金”を目論見たい……って話だ……」


霧切「………、どうしてそこまで賭博に拘るの……?」


カイジ「理由なんざっ………たったひとつ………!」

カイジ「勝った……ときの……!恍惚感っ……達成感っ………!願望成就の境地……心の桃源郷………!!」

カイジ「そこに到達すること………!それこそが………すべて………!!」


霧切「そ、そう」

山田「………」


鬼気迫る熱弁に……2人が少々引き気味なのに漸く気づいたカイジは……!


カイジ「………」

カイジ「ま、まあ……否が応にも闇世界に引き擦り込まれちまって………自分が博打をする意味ってのを」

カイジ「いろいろ……考えてたら……」


……その時カイジ、背後より肩をポンと叩かれるっ……!

カイジ「…!?」


石丸「話は聞かせてもらったよ……伊藤君」


カイジ「石…丸……?」


石丸「賭博は違法行為……!……脱法行為……犯罪だぞッ………!!」


セレス「違法もまた法ですが」


石丸「許されがたい行為を……僕は見逃すわけには………いかないッ………!!」

石丸、猛然と抗議……!!それはぐぅの音も出ない正論っ………!!


カイジ(う……鬱陶しい………!)


石丸「伊藤君、考え直すんだ……まだ君ならば……十分更正の余地がある……!」

石丸「そう僕は…確信している……!!!」


霧切「………、そうね…賭博はよくないわ、私は無関係だから」


メダルを素早く回収した銀髪は、さらりとした髪をなびかせながら…その場を立ち去る……!


カイジ「お、おい……ちょっと待っ」


セレス「あら…もうこんな時間、お洗濯を済ませなければなりません」

山田「おおっと……僕も自室に戻って煩悩を持て余さねばなりませんね……」


さりげなく理由をつけて、食堂を後にするゴスロリ服と山田………!


カイジ「おいッ…!お前ら……まで……!」


石丸「伊藤君!……いい機会じゃないか」

石丸「君の未来のためにも……!……賭博で身を汚した過去を反省し、善良な真人間として更正するべきだ!」


カイジ(はぁぁ・・・・・・・)

カイジ(早く説教・・・・・・終わんねぇかな・・・・・・・・・・)


この後、石丸の説諭は約1時間に渡って続くことになる


すべてはカイジのことを思っての発言であったが……


ギャンブル漬けの生活に慣れきった者にとって………!

今更…善良な一市民になれというのは絵空事に等しく……!


すべての言葉は暖簾に腕押し……!…馬の耳に念仏……!

…博徒に職業訓練を施すが如く……無意味な時間の浪費であった………!!

来たか

でも桃源郷とか目指してる段階のカイジはボロ負けしか・・・
一旦ボロ負けしてどん底に落ちたら這い上がるタイプだけど・・・


そして、時刻は午後3時を過ぎたころ……


―個室(伊藤カイジ)―


カイジ「ふぁ~あ…………ったく」

カイジ(山田もセレスも……俺を見捨てやがって……)

カイジ(………『見捨てやがって』……?いや、それは…違うな……)

カイジ(別にあいつらが……仲間だってわけでもない………)

カイジ(たまたま……あの女がギャンブラーで、ついでにその近くに山田がいただけ……)

カイジ(そういう偶然……偶発的な事情で………あいつらと関わる機会が増えただけ)

カイジ(別に……無理に周りと関わらなくても……問題はないんだ)

カイジ(あのメガネや霧切のように……周囲と一線を画していても……それで村八分にあうわけでもない)

カイジ(そういう……環境になってるんだからな………仕込まれている……といってもいい)

カイジ(だから……別に一匹狼でも………)

カイジ(…………)

カイジ「やっぱ違う……そうじゃない……」

カイジ「何がそうじゃないのか……自分でもよく分からないが……」

カイジ「ひとつだけ……確かなことは……」

カイジ「結局のところ……俺は……ギャンブルを………易々とは……捨てられない………」

カイジ「ただ……それだけだっ……………」


カイジ、ベッドから立ち上がり室内で伸びをする


カイジ(まだ……昨日…セレスと交わした麻雀(ギャンブル)の条件は継続している……)

カイジ(………どうせ暇なんだ)

カイジ(餃子作りでも……するか……)


部屋を出て、食堂に向かおうかと廊下を歩いていたカイジのもとに……


「伊藤クン……!」

カイジ「!……苗木か?」

苗木「よかった……見つけた」

カイジ「俺を…探してたのか……?」

苗木「うん……それが、モノクマがまた…ボク達に話したいことがあるからって」

苗木「体育館に集合するようにって……」

カイジ「え…」

苗木「さっき放送が流れてたけど……聞こえなかった…かな」

カイジ「あ、ああ悪い……ちょっとうとうと……してた」

カイジ「手間かけたな……」

苗木「ううん……ボクは構わないよ、行こうか」


足早に体育館に向かう両名……そして、16人が集合した上で

学園長ことモノクマの布告が始まる……!

モノクマ「まったく、君達の消極的な姿勢には……失望を禁じえないよっ……!」


大和田「つーか…!いい加減に正体現せやっ……!……変態殺人鬼がっ……!!」


モノクマ「ヘンタ=イ=サツジンキー…?ソ連の音楽家か何かぁ……?」


大和田「ふ…ざけんなコラ……!」


ひそ・・

カイジ「……殺人鬼がどうこうって……何の話だ……?」

江ノ島「知らないー?“ジェノサイダー翔”ってヤツ……ほら、いろんなウワサのある……」

不二咲「もしかしたら…犯人はその連続殺人鬼なんじゃないか……って皆で話してたの……」

カイジ(知らねーな……)

モノクマ「前略……やっぱり、“動機”の提供が必要みたいだねぇ……」

モノクマ「というわけで……学校の外の映像を見せてあげることにしましたぁ……!」

モノクマ「ある場所にブツを用意してあるから……どうぞ覗き見ちゃってくださいなっ………!」

モノクマ「おしまいに」

モノクマ「うぷぷぷ……真実はひとつだけ……学園の謎を知りたければ……好きにすればいいよっ」


などと、今回も概ね一方的に話し、終わるとさっさと消えてしまう……


大和田「……おい」


大和田、出入口付近にいたカイジと苗木を指名……!


カイジ「え…」

苗木「え…」


大和田「ちょっくら行って来い……そのブツとやらを探しによッ………!」


カイジ、苗木は無抵抗に同意……!……舞園も加わり3人で……映像を視聴可能な部屋へ移動……!


―視聴覚室―


そして、それらしいブツは……すぐに3人の視野に入る………!


カイジ「……この……ダンボール箱は……?」

舞園「疎開資料でしょうか……?」

苗木「……それはないと思うよ」


その中には……16枚のDVDが……封入……!

苗木は、このDVDの存在を知らしめるために体育館へ……一方、残されたカイジと舞園は……


カイジ「……全員の名前が……ラベルに……載ってるな」

舞園「そうですね………どうします……?」

カイジ「ん…?」

カイジは外の世界潰れてるって聞いたら
もう帝愛が俺を追ってくる心配なし……!ここで一生暮らそう……っ!
とか内心喜んでそうww


舞園「気になりますよね……このDVD……どんな映像が……映っているのか」

カイジ「……、そうだな………苗木達は…まだ来ないが、先に見てみるか……自分の……DVDを」


カイジの提案にコクリと答えた舞園は、早速手近のPCを使い、DVDを食い入る様に見始める



そして、カイジも……!



《ザァァ・・・ザァァ・・・     ピッ》


カイジ(………いったい何が写って…)


《カイジ……元気かい……?》


カイジ(んな・・・・・・っ・・・・・・!?)



そこには、カイジの実の母と……公務員である姉の姿が……!


カイジ(何だよ……これ……どうして…………)


《       ブツッ       》


カイジ「ッ!!?」



一瞬の暗転……!そして…次に写ったのは……廃墟同然となった……実家の姿が……!!



カイジ「・・・・・・・ッ・・・・!」



さらに……!


《・・・・・元・・・・気・・・・か・・・・ザザザザ・・・・・・ザザ・・・・・・・》


映像は乱れ、なおかつ雑音混じりの音声……!わずかに聞き取れた……その内容は……!


《・・・・聞・・・ザザザ・・・・・絶・・・・ザザ・・染・・・・・ザ・・ザザ・・・》


カイジ「は・・・・・?おい・・・・・・・・?おい・・・・・っ・・・・・・・・!?」


《・・・・・・・・帝・・・・ザザザ・・・地・・・・・ザザ・・・ザ・・反・・・・・》


カイジ「何て言ってんだ・・・・・・!?おい・・・・・・!?外で・・・・・・何が起きて・・・・・!!?」


《・・・・・・ザザ・・・・・ザザ・・・・・親・・愛・・・・・カ・・・ジ・・へ・・・えnザザザザザ プツッ》


これを最後にカイジのDVDの映像は途切れ……残るは何もない……平面的な砂嵐のみである


舞園「いやぁああッ・・・・・・」

舞園(どうしてなの・・・!・・・どうして・・・・・こんなっ・・・・・こんなっ・・・・・・・)


ばたんっ・・・


苗木「……舞園さん、伊藤クン……大丈夫……?」

十神「………他人のことより、まずは自分のことを心配したらどうだ」

十神「これか……外の映像ってのは」


スッ・・


霧切「………」

腐川「イヤでも……見なきゃ……いけないの……?」

セレス「まずはそれぞれ、確認をしましょう……お話があれば、その後で」

石丸「セレス君の言うとおりだ……ま、まずは内容の確認……を……」

朝日奈「…そうだね」

大神「………」

不二咲「…ごくり」

山田「…気が進まないですな」

葉隠「何かイヤなものが写ってる気がっ・・・!見たくないべ・・・!」

桑田「…イヤなものかどーか占いで確かめてみろよ、……これだな、オレのは」

大和田「………はァ」

江ノ島「………」


各人宛に用意された怪しげなDVD……!

それらを目にした彼らの中には……!これまで押さえこまれていた……強烈な感情……!

外への……渇望に………覆われッ……!悪魔の囁きに耳を貸そうとする者が……現れようとしていたっ………!!

また今度
次はいよいよ・・・どう展開したらいいのか・・・割と困惑

完結させてくれよ
すげー面白い

無理に原作ルートに沿うこともないな

枕さんはもう救われてもいいと思います

今のままだと少なくとも舞園と桑田はアウトだよな
原作ブレイクしてもいいからカイジなんとかしてくれ

別に原作のままで良いよ
流れ考えるの大変だろ

むしろ>>205を見ると
原作のままやるのが難しそうに解釈できる

カイジも日頃は手袋してるんだよな
指一回取っちゃったからその手術跡隠すために

日頃はコミュ障害ぎみのクズで
追い詰められると覚悟を決めて誰も手が付けられない覚醒
戦いが終わると誰でも助ける超高校級のマザーテレサ
殺し合いだともう存在が怪しすぎる……


視聴覚室にて……用意された個々のDVDを視聴することになったカイジ達……!

それぞれの目に映った映像は……それぞれの胸に刻まれる……


苗木(………ボクの……家族にまで……手を出した……のか………?)

苗木(もしかして……皆も……ボクのと同じような内容の…?)


ある者は恐怖し、怯え、震え……またある者は、動揺を隠し切れず……!



舞園「もう・・・こんなの・・・・・耐えられないっ・・・・・・!」


ダッ・・


苗木「!……舞園さんっ……」


カイジ「……苗木、追いかけてやれ」


苗木「伊藤クン……」


カイジ「舞園が…この16人の中で……一番信用しているのは……たぶんお前だ……」

カイジ「こういうときこそ……ひとりに……するな」


苗木「………うん、そうだね」

苗木は…部屋を走り出てしまった舞園を追いかけていった…


そして、残された者達は……


腐川「な、何よ……ベタなラブストーリーなんか……いらないわよ……」

十神「他人のことに神経を傾けるほど、余裕があるのか?」


腐川「………」

腐川「ううぁあ・・・・!なんなのよぉぉぉぉ・・・・・!!!これぇ・・・・・・・キィィ・・・・ッ・!!!」


石丸「ふふふ腐川くん・・・・お、落ちっ・・・・着くんだっ・・・・・・!」


江ノ島「あ、あんたも・・・・落ち着きなさいよっ・・・・・!」


大神「江ノ島……お主も……落ち着くのだ」



カイジ(………大方の連中は、DVD(コイツ)を観て取り乱している………)

カイジ(だが……相変わらずだ)

カイジ(霧切とセレス、それからメガネは……表情や仕草を見る限り、未だに泰然自若……)

カイジ(冷静さを……失っていない)

カイジ(大神は……動揺が有るのか無いのか…よく分からないが……会話を交わしたこともないしな)


冷静さを失い、恐怖感が前面に湧き上がっている者と、あくまで感情を制御し冷静さを保ち続けている者

カイジはといえば、どちらかと言うと後者にあてはまっていた……!


カイジ(確かに……肉親がまるで死んだかのような映像……)

カイジ(外の世界で……何か……異変が起こっていると思い込ませるような映像……)

カイジ(こんなモンを……高校生のみそらで見せつけられた暁には……うろたえて当然)

カイジ(例えそれが……“超”高校級の連中だったとしても……)

カイジ(むしろ……あの冷静な連中の方が……どうかしてるくらい)

カイジ(……俺も……いきなり親や姉を顔が出てきて面食らったが……)

カイジ(このDVDに映し出された映像が……真実だと裏付けられる証拠は……皆無だ)

カイジ(何しろ、俺達をここに幽閉しているヤツが……用意したものだからな)

カイジ(信憑性が……ないだろう……?)

カイジ(俺達の恐怖心を煽り……混乱させて……)

カイジ(挙句の果てに……変な気を起こす人間が……現れることを期待した……!)


カイジ(・・・・・・陰湿な・・・・・・嫌がらせ・・・・・・・・!!)


カイジ(だから……情報を鵜呑みにしたら……ダメだ………!)

カイジ(この場は……冷静な連中こそが……怯えている連中の眼を覚まし……!)

カイジ(少なくとも……DVDを観る前の現実感まで……引き戻すべき……!)


カイジの思いを察したかのように……!銀髪が周囲に忠告する………!


霧切「いいの?」

霧切「こうして怯えていても、状況は同じ……」

霧切「それは、モノクマが最初に私達の前に現れたときの膠着状態と……さして変わらないわ」


腐川「さして……変わらない……ッ……てっ……?」

腐川「何……言ってんのよっ……・・・」


桑田「そう……だっての……!」


山田「このような映像(モノ)を見せられたんですぞ……!絶望的な状況が10割増しですぞっ……!」


不二咲「う・・・ううっ・・・・」



大和田「クソ野郎ッ・・・・」

大和田「オレはぜってーこっから出るぞ・・・・何としてでも・・・・絶対に・・・なっ・・・・!!!」


ざわ・・

直後、大和田に向けられる13人の視線……!


大和田「な・・・・なんだよ・・・?」


江ノ島「大和田……あんた」

朝日奈「その……、外に出るためには……手段選ばないっ……てこと?」

不二咲「それって……つまり……」


この時大和田、自らの発言が曲解されていることに気づく……!


大和田「な……、……違げえよッ……!!」

大和田「誰かを殺して……なんざ……思ってるワケねぇだろッ……!!」

腐川「でも、ヤクザなんでしょ……」

腐川「そういうの……常套手段……なんでしょ……暴力団(アンタタチ)には……」

カイジ「………」


大和田「オメェら勘違いすんなっ……!……オレは暴走族だよッ……やーさんなんかじゃねぇ!!」


カイジ「えっ」


カイジ、今更になって知る……大和田の素性………!


大和田「あァん!?」


カイジ「ひっ……何も…言ってません……!」


大和田「オレには守りきらなきゃいけねぇ約束があるんだッ……!」

大和田「こんなトコで……死んでたまるかっ……!!」


十神「……死にたくないなら、とどのつまり誰かを殺す他ないだろう?」

十神「この学園のルールに則るならばな」


大和田「ッせえ…!オメェだけは口も聞きたくねぇよ……!!」


十神「それはこっちのセリフだ!」


カイジ(うわ……収拾つかねぇだろ……これは……)

カイジ(といっても……もしここで俺が……)

カイジ(こいつらの間に割って入ったら……一昨日の苗木の…二の舞……!)


この状況を打破する鶴の一声は、風紀委員から放たれる……!


石丸「いい加減にしたまえッ………!!!」


石丸「このまま……不毛な言い争いを続けていても……何も解決しないだろう……!?」

霧切「石丸君の言う通りよ」


セレス「……ではどうしようというのですか?」

セレス「各々が視聴したDVDの内容について語り合って……傷の嘗め合いでもしますか?」


江ノ島「超ショックなDVD観た感想言い合って……ちょっとでもストレス解消しようってコト……?」


葉隠「それ、いいかも知れんべ……!」


大神「ならば……お主から話を始めるのが筋か……」


葉隠「え・・・・・あ・・・・・・・あぅ・・・・・・・・・・」

葉隠「や、やっぱりムリだべ・・・・!・・・・・口にするだけで小便チビりそうだべ・・・・!!」


十神「このヘタレめ」


結局、DVDの内容に関する意思疎通は上手く図れず……

セレス「これ以上、話し合いに進展が無い以上……ここに留まる理由はありませんわね」

セレス「お先に失礼いたしますわ」


大和田「………」

十神「………」

霧切「………」


ゴスロリ服の退場を皮切りに、自然と今回の集まりは解散……


石丸も自身のDVDを観たことによるショックが大きいようで……

再び学園内に散らばり行く級友達を……引き止めることはしなかった……


―廊下―

カイジ「霧切もそうだが……あんたもその鉄仮面(ポーカーフェース)……揺らがないな」

セレス「それは伊藤君も、同じようなものですわ」

カイジ「………俺の何処が……ポーカーフェイスなんだよ……」

セレス「たとえ苦悶に満ちた面持ちでして」

セレス「……内心では、次の最善の一手を冷静に見極めようとしているではありませんか?」

カイジ「………」

セレス「結局のところ、つつがなく状況を見極められて、状況判断に伴う適応性のある者だけが……この閉鎖社会で生き残るのです」

カイジ「それは前に……食堂で聞いたさ」


カイジ(この生活環境に適応すること……)

カイジ(俺以外の連中は……外の世界でさぞかし華々しい生活を送っていたんだろ)

カイジ(そういう人間にしてみれば……こういう生活ってのは……結構辛いもんなんだろう)

カイジ(俺には……逆立ちしても理解できそうにはないが)

―教室―

舞園「……ありがとうございます……苗木君……だいぶ落ち着きました」

舞園「私……取り乱しちゃって……」

苗木「もう、気にすることないよ……舞園さん」

舞園「でも・・・・・・・・私・・・・・・・・・・」

苗木「……大丈夫」

苗木「舞園さんは、必ずボクが守るから……!!」

舞園「苗木・・・・・君・・・・・・・」

苗木「絶対に、ここから出よう………!」

苗木「そして……叶えようよ………舞園さんの夢………」

苗木「そして……叶えようよ………舞園さんの夢………」

苗木「ボクにできることなんて、……ほとんどないと思うけど」

苗木「それでも……!……ボクは舞園さんのこと、精一杯応援するよ……!!」

舞園「・・・・・・・・本当に・・・・よかったです」

苗木「……え?」

舞園「苗木君が、一緒にいてくれて・・・・・・本当に・・・・・」

舞園(……心強いです)



それから数時間が経過……

各人はまちまちに夕食を済ませると……夜時間を意識しつつ

自由行動をとっていた……


―厨房―


カイジ「………」


ジュゥゥゥゥ・・・・


カイジ(…はぁ……)


カイジ(なかなか……王将のヤツみたいな味にならねぇ……)

カイジ(焼き方はともかく……やはり生地作りに改良が……必須……!)

カイジ(今度は、強力粉と薄力粉の配分を変えてみるか……)

餃子作ってる姿が板につきつつあるな


―個室(苗木誠)―

苗木「部屋の交換が校則違反にならないって……言われてみて初めて気がついたよ」

舞園「わざわざ交換してもらって……」

苗木「ううん……いいよ……!舞園さんが、それで安心できるのなら……!」

舞園「……ありがとうございます……苗木君」

苗木「それじゃ……ちょっと早いけど……また明日」


舞園「……おやすみなさい」


ばたん・・・


舞園「・・・・・・・・・」

舞園「ゴメンナサイ・・ゴメンナサイ・・・・・・苗木くん・・・・・・・・・・」



外に出たい・・・・!外に出たい・・・・・・!あの壇上(ステージ)にっ・・・・・・・・戻りたいっ・・・・・・・・・・!


そうするためには・・・・・・殺るしかない・・・・・・・・・!!


そうするほかに・・・・・・道は・・・・・・・・・ないっ・・・・・・・・・・・・・!!


精神的に追い詰められた・・・・人間が陥りやすい・・・・・・極端なっ・・・・・ゼロサム思考・・・・・・・・!!

また次回に続く

ここでどう転ぶか...

殺人トリックとか一から考えるの大変だしこれでおk

カイジまさかの第一被害者

ギャンブル依存なら最高なギャンブルがあるじゃないですかー
学級裁判っていう最高のギャンブルが、ね……

感謝知らずの奴ら・・・・・・!

100% 減点法の奴ら・・・・・・!

苗木がどうにかして犯人を捕まえてギリギリ合格・・・・・・! 100%出来て・・・ ギリ合格のライフ5個・・・・! 1つでもミスをすれば4・3・2・・・・・ それが奴らの思考法・・・・・・!

スーパー減点法

恐るべき学級裁判・・・・・・・・・!


―購買部―


カランコロン・・・


葉隠「……カプセルが出てきたべ」

大和田「あのメダル……こんなトコで使うモンだったとはなぁ……」


かぱっ・・


葉隠「中に紙切れが……なになに……」

桑田「何て書いてあんだ…?」

葉隠「『……おめでとう……ございますっ……!……貴殿は以下の景品を……見事手中に入れました……!』」


左隣にある強化ガラスの下部ハッチが開く……!


ぽとっ・・


大和田「ん、何か……出てきたよーだな」

桑田「……ってこれUNOじゃんか」

葉隠「こ、これは……」

大和田「?……どうかしたか」

葉隠「きっと神のお告げだべ……今夜はUNOで遊んで……恐怖心を少しでも和らげろっつー……!」

桑田「オメー直感だけで占うんじゃなかったっけぇ……?」

大和田「第一このマシンも何も、あのクマヤローの差し金だろ……」


桑田「それにもうじき夜時間だぜ」

桑田「自分の個室に戻らねーと……不味いだろ……?…一応……」


大和田「ン……いや、…………待てよ……………」


葉隠「どうしたんだべ……大和田っち………?」

―厨房―


トン・・  トン・・   トン・・   トン・・


カイジ(中に入れる具にも……一工夫がいるよな……?)

カイジ(隠し味とかいう……聞こえのいいプラスアルファ………!)

カイジ(………)


カイジ、ふと我に返る

誰しもときに集中力がプツリと切れて……無性に虚脱感に苛まれるもの……


カイジ(俺、なんで餃子なんかつくってんだよ……)

カイジ(よくよく考えたら……あいつは自分の『納得』のいく餃子を作って寄越せっていってるんだぞ……)

カイジ(そんなもん……まるっきりアイツの匙加減……気分に流されちまうような)

カイジ(あってないに等しい……基準だろーが……)

この時カイジ、ふと掛け時計に視線を移す


カイジ「やっべ、もうこんな時間かよ……」

カイジ「ぼちぼち切り上げて……部屋に戻らねーと……」

カイジ「第一……こんな時間に…厨房で……包丁握って……ゴソゴソしてる姿を………」

カイジ「誰かに……見られたら……」

カイジ「おそらく……誤解される……」

カイジ「早く片付け――」


ギィィ・・・・!


その時、開くはずがない(とカイジが思っていた)厨房の出入口が……音を立てて……開け放たれる………!


カイジ「・・・・!?」


そして、カイジの目の前に現れたのはっ………!!


大神「………」



ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・



カイジ「」



この時、カイジは思った

地上最強の死神が……自らを迎えに来たのだ……と……



カイジ(やべぇ・・・・・・・・・これは死ぬ・・・・・・・・コロされる・・・・・・・・・・・)

大神「………」


逃げ場の無い空間……!巨大な“怪物”の圧倒的……威圧感っ………!!

……手から滑り落ちた包丁………!!全身から滴り落ちる……とめどもない……汗……!!


……と、その時……


朝日奈「さくらちゃん?……誰か厨房(なか)にいるのー?」


大神「そのようだ……朝日奈よ」


朝日奈「……って伊藤じゃん、……何してんの?」


カイジ「は、は・・・は・・・・・、何でもねぇよ・・・・」

この後、カイジ達は暫時会話を交わすことに……


朝日奈「つまり……さくらちゃんが自分を襲ってきたって勘違いしちゃったの~?」

カイジ「まあな……い、いきなりで……」

大神「済まなかったな……伊藤よ……驚かせるつもりはなかったのだ……」

カイジ「あ、ああ…」

朝日奈「もー!さくらちゃんはとっても優しい女の子なんだからね」

朝日奈「そんな勘違いしちゃダメだよっ……!」

カイジ「悪い……」

大神「……我はさして気にしていない」

カイジ「は、はい……」

カイジ(こうやって間近で見ると……ますます人間離れしてやがる……)

大神「……我らは……就寝前に茶を淹れんとして……ここに来た」


コポポポポ・・・


朝日奈「で、伊藤はここで何してたの?」

カイジ「見て分かると思うが……餃子を作ってたんだよ……練習で」

朝日奈「餃子を………?」

カイジ「ほら、昨日も……やってただろ」

朝日奈「やってたって……あっ……あのお昼に、……セレスちゃんとの……?」

カイジ「そうだ……あの女、餃子が好物らしくてな………」

朝日奈「………」

大神「伊藤よ、……お主も一杯、どうだ……?」

カイジ「ああ、……もらっておく……」


ごくっ・・・ ごくっ・・・


朝日奈「……要するに」

カイジ「……?」

朝日奈「伊藤ってセレスちゃんのこと好きなの?」

カイジ「・・・・・ぶぅッ・・・・がほっ・・・・げほっ・・・・げほゲホッ・・・・・!!?」

来たか

朝日奈「わっ……大丈夫、伊藤?」

カイジ「・・・・・何で・・・・そうなるんだ・・・・・・?」

朝日奈「え…だってセレスちゃんの好きなものを作ってあげるんでしょ?…そーいうイミじゃないの?」

カイジ(はぁ・・・どうして・・・・変な勘違い・・・・・するかなぁ・・・・・・・・)


カイジは朝日奈と大神に対し、ゴスロリ服との賭けの経緯について説明……あらぬ誤解を解消する


朝日奈「え~…そんなことだったの~?」

カイジ「そんなこと……なんだよっ………」

朝日奈「でもさぁ…」

カイジ「これ以上…何だ……」

朝日奈「ほら、今朝十神とかが言ってたっしょ……他人が作った食べ物を口に入れるのは……」

朝日奈「その他人に……命を預けるようなものだってっ……」

カイジ「………だから?」


朝日奈「伊藤が作った餃子を、セレスちゃんが味見してくれるってことは……」

朝日奈「セレスちゃんは伊藤のことを信頼してるってコトじゃない?」

カイジ「あのなぁ…」

カイジ(そうじゃねぇ……!)

カイジ(……あいつは…俺がコロシなんかできないタマだって……見透かしてるだけなんだって……)

朝日奈「ま、頑張りなよっ……!」

カイジ(こいつと話すのは……疲れるな……)


大神「伊藤よ……我からもひとつ聞いてよいか……?」

カイジ「……大神……サン……?…な、何か……?」

大神「お主、……山田という男と……時折話をしていたな……」

カイジ「山田……?確かに……たまに喋ってはいたが………」

大神「山田は………」


その時、厨房に新たな人影が………!

そして、現れた人物の顔は……厨房に入った瞬間……わずかに強張る………!


舞園「・・・・・・あっ・・・・・・・」


カイジ「………」

朝日奈「あー、舞園ちゃん」

大神「………」


舞園は素早く表情を取り繕い……愛想笑いを見せ


舞園「…………、こんばんは」

朝日奈「どしたの?……あ、私達は喉が渇いたからお茶でも飲もうと思って」


舞園「……私も同じです、ちょっと飲み物を取りに……」

舞園「もうすぐ食堂もこちらも……立入禁止になっちゃいますから……」


そう返答すると……舞園は冷蔵庫から紙パックの麦茶を取り出し……厨房を後にした………


カイジ(……何だ……今の感じは………)

カイジ(舞園の奴……ほんの少しだけだが………様子が………)

朝日奈「ホントだ、話してたら夜時間迫ってるよ…」

カイジ「……そうだな、俺も……片付けないと」

大神「……我らも手伝おう」

カイジ「え……いや、悪いって……」

朝日奈「いいっていいって、気にしない気にしないっ……!」


その後、食器や食材・包丁等を片付け、厨房を出、食堂を後にした3人


……寄宿舎エリアに戻り、朝日奈・大神と別れ、カイジは自らの個室へと戻る



そして……三日目の夜時間が……幕を開けた



《皆さん、午後10時になりましたっ……!………今夜も……よい夢を………!》

また次回で

乙ー

いよいよか……乙っ!圧倒的乙……っ!

割となじんでるカイジ

どうしてアイドルは何時もこうなってしまうん?


―個室(伊藤カイジ)―


カイジ(朝日奈は……今夜は例のDVDの件もあって不安だから……大神に泊まってもらう……)

カイジ(と言っていた……)

カイジ(なるほど確かに……校則をよく読めば……それが違反にならないことは……明瞭)

カイジ(ついでに、『個室以外で寝てはいけない』ってことは……)

カイジ(裏を返せば……夜時間中ずっと他所にいても……起きていれば……不問……ということか)


―個室(舞園さやか)―

苗木(……抽斗の中には……裁縫セット……こっちが例の人体急所百科ってやつか………)

苗木(ゴミ箱の中に……あのDVDがあるな……)

苗木(舞園さん………もう大丈夫って………言っていたけれど……)

苗木(それにしても……舞園さんの……部屋の中か……) 


ちらっ・・


苗木(……舞園さんの部屋の……シャワールーム……)

苗木(い、いや……もう水が止められてるし………!)

苗木(第一……勝手に入るなんて……気が引けるよ……!……舞園さんに悪いよ……!)

苗木(……でも……別にっ……入るくらいはっ…………、ううん、ダメだよ……そんなこと……!)


苗木、女子の部屋にて……道徳的……葛藤っ………!


苗木(……もう寝ようかな)


ゴロリ・・


苗木(……舞園さんのベッド……舞園さんの…香り……、今夜は……いい夢が……見れるかも……)

束の間の安息を得る苗木、その一方……隣の個室では……

殺伐とした心理的葛藤により……頭を抱える舞園の後姿が………


―個室(苗木誠)―


舞園「・・・・・・・・・・・」


舞園(厨房の包丁……あれを使おうと……思っていたのにっ………)


夜時間開始間際……無人であることを期待しつつ、厨房に向かった舞園


しかし……!


そこにはカイジら3人が屯………!予想外の事態………!

3人の目を誤魔化し……包丁を確保………それは至難の業………!

尚且つ…一本の包丁を使用して……料理を作っていたカイジを目の当たりにし………諦めた………


仮に他の包丁を……目を盗み……持ち出すことに成功したとしても………

確実に……怪しまれる………!……カイジがっ……使用した包丁を……片付けたときに………!


舞園「………摸擬刀………工具セット………コロコロ…………」


舞園、それでも決意は……変わらず………!!

凶器の代替案を考え……考え……考えるっ……!!


そして……自身を庇うに違いない……苗木を陥れ……己のみの脱出を図る綿密な謀略っ………!


裏切り行為への背徳感と………!………何としても外へ出なければならないという……強迫観念……!


妄執のはざまで………!………荒れ狂う波のように………湧き上がる殺意………!!


舞園(私は……必ず………あの世界に戻って………大切な“仲間達”と………!!)

舞園(そのために……殺されてください………)



舞園「・・・・・・・桑田怜恩・・・・・・・・・」




アイドルの自分が誘いを掛ければっ……ホイホイ乗ってきそうな……軽薄な男っ……!

才能だけで成功し……努力を軽んじ………!

ミュージシャンになるなどと……忌憚なく公言し……!

芸能界をナメてかかったような……軽はずみな男……!!

アイドルになるために……苦心に苦心を重ねてきた………!自らを嘲笑うかのような……言質のオンパレード……!


ターゲットは……桑田っ………!

ざわ・・・ざわ・・・


そして……午前1時頃………!桑田の個室の……扉の隙間より……!

……舞園、“死神”からの招待状(メモ)を………ついに投函………!



その時………桑田はっ…………!



―個室(葉隠)―

桑田「他所の部屋だろーが……マジでお咎めナシじゃん……(ドロー2)……」

大和田「校則っつっても結構ザルってこった………(ドロー2)……」

葉隠「そこに気づくとは……大和田っちは案外頭がキレるってか……(リバだべ)……」

大和田「……案外だぁ?………オレがバカに見えるってか……?……(ドロー4、赤)……」

桑田「そう気にすんな……オレもベンキョーとかマジ無理だからよっ………(スキップ)……」

大和田「オメェと一緒にすんじゃねぇよ………!……(リバ)………」

葉隠「……タンマ」

大和田「おい」


桑田「……今更だが……男3人とかむさ苦しくね?」


大和田「女呼んでも来ねーだろ」


桑田「いや、オレ超モテるしっ……!」

桑田「つか……そろそろ逆に、女のコに部屋に誘われてもおかしくねーと思うんだよね」


葉隠「それはないべ……(直感)……」



桑田………自室に………不在っ………!!




そして、時は経過し……既に午前1時半っ………

―個室(苗木誠)―


舞園「・・・・・・・・・・っ」


舞園「どうして・・・・・・・来ないん・・・・・・ですかっ・・・・・・・・・」

舞園「殺せ・・・・・・ないじゃない・・・・・・・ですか・・・・・・・・」

舞園「・・・・・・・・・ころ・・・・・せ・・・・・・・・・・・・・・」


舞園「・・・・・・・・うぅ・・・ぅぅ・・・・・・わ・・・・・た・・し・・・・・・・・は・・・・・・・・」



舞園の切なる美声は……厚い壁に覆われ………誰一人として……それを知らない……知りえないっ……!!


黒幕を……除いてはっ………

また今度
何か安易な展開にしてしまった・・・すいません

このままギャグテイストもありだと思う
乙です

乙です


そうか。カイジが料理してたら包丁の本数に気付くもんな。上手いわ
しかし舞園もまだまだ諦めないだろうからどうなるかな

なぜこんなにも溶け込めるんだろうか

存外しっとりと進むのね
期待

存外しっとりと進むのね
期待

原作とは違うクロになるのかな

原作と違う感じ期待してるけどどうなるんだろう

模擬刀
 ↓
工具セット
 ↓
コロコロ

これはカイジが殺されるフラグ

展開予想の先制攻撃だべ


原作通りに行くかと思ってたので続きが楽しみ


―個室(苗木誠)―


ギリ…


舞園「・・・・・・・・・くぅ・・・・・っ・・・・」


包丁の代わりに、凶器として利用することにした金色の摸擬刀の柄を……硬く握り締め……

無意識に歯軋りをする舞園は……その端整な顔立ちからは想像がつかないほど……

歪み……崩れ……あたかも般若の面を思わせる………


舞園(どうして・・・・・・・・・いったい・・・・・・どうして・・・・・・・?)

舞園(・・・・もう・・・・眠ってしまっていた・・・・・・・・?)

舞園(・・・・それとも・・・・・・勘付かれた・・・・・・?・・・・・そんなはずは・・・・・っ・・・・)


よもや……桑田が自分の個室に不在だとは……思い至らなかった舞園………!

舞園がもっと冷静ならば……考えついたであろう………可能性………


経験などあるはずもない……殺人を決行するという……異様に高揚した精神状態は………

舞園の視野を……すっかり狭めていた………


舞園(上手くココに誘い込めたら・・・・・・・・絶対に成功していたのに・・・・・・・・・・・!)


桑田を部屋に招き入れた上で……一瞬の隙を突き……一撃で仕留める

女である舞園にとって……この生死を賭けた“勝負事(ギャンブル)”に勝利するのは……その方法しかなかった………!


しかしそれは……一歩間違えば………自滅につながる………リスキーな行為………!


不意打ちをかわされてしまえば……形勢は一気に逆転っ………!

不意打ちが成功したとしても………武器はあくまで観賞用の摸擬刀……

確実に急所を突かなければ………!無闇に切りつけただけでは………致命傷に至らない可能性がある……!


だが舞園は……ネガティブな事態を考えない……むしろ考えたくないっ………!

とにかくコロシを決行し……そして完遂すること………!


“牢獄”から抜け出した先にある……自分の本当の居場所を確認し……取り戻す………取り返すっ………!

今考えることはそれだけ………それ以外に……考えては……いけない………!!


そして……今やらなければ……苦渋の決断が……決死の決意が……折れてしまう………!

募る不安……焦り……



舞園(今日中にっ・・・・・・今夜のうちにっ・・・・・・・・!)

舞園(誰かを・・・・・・・・・・・・・・・・・・)


舞園(・・・・・・・誰かをっ・・・・・・・・・誰かをっ・・・・・・・・・・・・・・!!)

舞園(殺さなきゃ・・・・・・殺さなきゃ・・・・・・・殺さ・・・・・・・なきゃ・・・・っ・・・・・・)


が、しかし………!


思惑……困惑……焦燥が……頭の中でめまぐるしく行き交う………

……そして、どうしても捨てきれない………罪悪感ッ………!



舞園(苗木君は・・・・・・・絶対に私を・・・・・裏切らない・・・・・・)

舞園(私の言葉を・・・・・・すべて・・・・受け入れてくれた・・・・・・・・)

舞園(お人好しな・・・・・苗木君・・・・・・・・)

舞園(このまま私に裏切られて・・・・・・馬鹿みたいな・・・・・・苗木君)

舞園(苗木君の厚意を・・・・温情を・・・・・・・あだで返す・・・・・・・・私・・・・・・・・・・)



人間を辞めて………無慈悲な鬼に成り果てることへの………最後の抵抗っ………!!



舞園「・・・・・・・・・・・・」


際限ない逡巡の中で………

気がつけば……机の上に突っ伏し………

虚空を……ぼんやりと見つめている……



時間だけが……誰からの干渉も受けることなく………淡々と………刻まれてゆく




――『何があっても……ボク達は味方同士だよっ……!』

――『一緒にここから出よう、舞園さん……だって舞園さんは、ボクの助手なんだから』




舞園「・・・・・・・・苗木・・・・・・・・君・・・・・・・・・・・」



ふと、右手に込めた力が抜け……自然と嗚咽が漏れる…………

長い夜が………ゆっくりと………だが確実に………明けていく…………


―個室(葉隠康比呂)―


《オマエラ……おはようございますっ………!………》


大和田「・・・・・・・ん・・・・・・・おっ・・・・?」

大和田「朝か……いつの間にか……寝ちまったようだな……」

桑田「zzzz……」


ポカッ・・


桑田「ッ・・・・・・・・いてっ・・・・・・・!?何すんだ・・・・・・・・・・!」

大和田「寝ぼけてんじゃねーよ…………オレは戻るぜ」

大和田「石丸(アイツ)が来やがったら……メンドーだからよ」


ばたんっ・・


桑田「ふァーあ・・・・マジか・・・・・・・ねみぃ・・・・・」

桑田「・・・・葉隠(コイツ)の部屋から朝帰りかよ・・・・・なんだかなぁ・・・・・・」


ばたんっ・・


葉隠「zzzzz……zzzzz……」


直後桑田、自室にて………舞園からのメッセージを発見………!



―寄宿舎・廊下―


舞園(これでよし………)


両手に付いた金粉を綺麗に拭き取った後……

トリック完成のため……苗木の個室と交換していたネームプレートを……元に戻した舞園



「舞園ちゃん……!」

舞園「!!・・・・・・・・桑田・・・・・・・君・・・・・」

桑田「オレ………昨日の夜は………(葉隠の部屋にいてよ……すっぽかして悪かった)!」


舞園「・・・・・・ごめんなさいッッッ・・・・・・・・・・・!!!」


桑田「……え?」

舞園「私・・・・・・・・昨日の夜は・・・・・・・本当に・・・・・どうかしてました・・・・・・・・・・」

舞園「桑田君を・・・・・呼び出(して殺)そう・・・・・・だなんて・・・・・・・・・」

桑田「え……?」

桑田(アレ……何で舞園ちゃんが謝ってんだ……?)

舞園「私・・・・・・・・・」


がらッ・・


苗木「あ、……舞園さん、……桑田クン……おはよう」

ほう


このタイミングで……部屋から出てくる苗木………勿論それは……舞園の部屋から


桑田「はぁ・・・・・?」



桑田(舞園ちゃんの部屋から・・・・・・苗木が・・・・・・・?・・・・・ま、まさかッ・・・・・・・・・・・・!?)



舞園「苗木・・・・・・・・君・・・・・・・っ・・・・・・」


ぎゅっ・・・・


苗木「!!?……ま、舞園さん………っ!?」


桑田の目も気にせず……苗木に抱きついた舞園………感極まって涙が溢れる………


舞園「私・・・・もう少しで・・・・苗木君を・・・・・苗木君を裏切っているところでした・・・・・・・・」


勿論それは………コロシの罪を被せるという意味で………!


舞園「ごめんなさい・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・」

違う意味でよろしくない方向に……


苗木「舞園さん・・・・・・・・・・」

苗木(よ、よく分からないけど・・・・・・・)

苗木(何だか舞園さんの表情・・・・・憑き物が取れたみたいに・・・・・・サッパリとしてる・・・・・・)


一方で、傍観者の桑田は………察する………


桑田「・・・・・・・・」


桑田(あぁ……そういうコトか……)

桑田(オレ、舞園ちゃんにフラれたんだな……)

桑田(もともと苗木がスキで……チョットだけオレに気移りして……ラブレター的なの出したけど)

桑田(オレが来ねー間に……やっぱ苗木を誘って………一夜を共にしたってか………?)



桑田(マジ・・・かよ・・・・・・このオレより・・・・冴えない苗木の方を・・・・・選ぶのかよ・・・・・・嘘・・・・だろ・・・?)

桑田(・・・・・ハハハ・・・・・笑えるぜ・・・・ハ・・・ハ・・・)

ぐにゃぁ~~~ 


苗木「ま、舞園さん……とりあえず…食堂に行こうよっ……今日も朝食会があるんだし………」

舞園「・・・・・グスッ・・・・そう・・・・ですね・・・・・・・・・・・苗木君・・・・・・・・・・・」



桑田「ハハッ・・・・ハハハハ・・・・・・」



桑田……棒立ち……周囲の目も気にせず………しばし……棒立ちッ………



セレス「まぁ……桑田君が朝から燃え尽きていますわ、真っ白に」

山田「おやおや…これは驚きの白さでありますな……」

カイジ「……ギャンブルで……摩ったとかだろ………」


その横を、素通りするカイジ達



3日目の夜……舞園は……結果的に……思い止まった………!


舞園がその夜……何を考え、どのように過ごしたのだとしても……その過程は……舞園の胸の内………!


今回は、コロシアイが……発生しなかったっ………!………その結果こそが……すべて……!!

また今度
いろいろ考えたが・・・舞園さん生存させたかった

乙ー
これからどうなるのか楽しみだぜ

流石超高校級の幸運

よっしゃ!舞園さん生存ルートやんけ!

桑田くんももちろん生存するんですよね?

良かった、コロコロでコロされる桑田君はいなかったんだね…

コロコロの厚さは十分凶器になるレベルだからなぁ

桑田がアポするのはいつなのか


カイジ達が幽閉されてから……4日目の朝

少しずつ人間関係が形成されつつある中……今のところは

一応の均衡状態が維持され……モノクマが目論む“コロシアイ学園生活”はまだ実現していない………!!



―食堂―


がや・・     がや・・


舞園「さっきは……恥ずかしいところを見せちゃいましたね……」

舞園「取り乱してしまって……」

苗木「ううん……ボクは全然気にしてないよ」

苗木(ちょっと……ドキドキしちゃったけど)

舞園「苗木君……ドキドキしました?」

苗木「えっ……!何で分かったの……!?」

舞園「……エスパー……ですからっ………」


桑田「・・・・・・・・・・」


葉隠「桑田っち……どうかしたんだべ?」

大和田「まだ寝ぼけてんだろ」


霧切「………」


カイジ(……取り越し苦労だったな、舞園のやつ……例のDVDのショックを受け入れられたか?)


朝日奈「いっただっきまーすっ……はむ」

江ノ島「あんた……朝から何個ドーナツ食べてんの?……太らない?」


朝日奈「むぐ……大丈夫だよ~、ここ来てからもストレッチやってるし、廊下走ったとかも」

江ノ島「そーなんだ…」

大神「江ノ島よ、……お主も我らと共に鍛錬を行わぬか……?」

江ノ島「あたしはパス」

朝日奈「どうせだから、トレーニングジムとか併設されてたら良かったなー、それとプールも」


大和田「閉じ込められてるってのに……悠長な女だな」


山田「不二咲千尋殿は超高校級のプログラマーでしたな……」

不二咲「う、うん……そうだよぉ」

山田「もしやとは思いますが……『アドベンチャーゲームプログラミング―美少女ゲームの作り方』……」

山田「なる書籍を著したのは……貴殿なのでは……?」

不二咲「え、え…?何のこと……?」


腐川「うわ……善良な一般人をヘンな世界に巻き込もうとしてるわ……」


山田「ラノベや漫画に理解を示さない……」

山田「頭でっかちな小説家にとやかと言われる筋合いなど……ありませんな……!」


腐川「な、何よ……そんな低俗で文化を堕落させるだけモノ……」

腐川「……存在するに値しないじゃない……!」


山田「何をッッ……!!」


不二咲(2人とも……ちょっと怖いよぅ……)

ちゃくちゃくと … と っ が増えてるな


セレス「喉が……渇きました……」

カイジ「………、で?」

セレス「ロイヤルミルクティーを淹れてきてください」

カイジ「だが……断る……」

カイジ「自分で……しろよ……」

セレス「そんな……わたくしが生物臭い厨房に立つなど……イメージとして有り得ませんもの」

カイジ(こいつ……)

セレス「伊藤君は毛ほどもお役に立ちませんね……山田君、用意してください」


山田「……ぶひっ……は、ただいまっ………」


……山田、厨房へ移動


カイジ(……山田の奴、飼い慣らされやがって……)


カイジ「それにしても……」

セレス「それにしても……何でしょう?」

カイジ「平和だな……今のところ」

セレス「……均衡が取れているという意味で、ですか?」

カイジ「まぁ……そういうことだ………」

セレス「ふふ…誰かが“先陣”を切れば、堰を切ったように険悪なムードになるかも知れませんね」

カイジ「そこは……笑って話すようなことじゃ………ないだろ」


石丸「全員揃ったようだな……では改めて」

石丸「おはよう諸君!今日も一日、有意義に過ごそうではないか……!」


朝日奈「石丸ー!」


石丸「何だね……朝日奈君……!」



朝日奈「十神がまだ……来てないようだけど」

石丸「む……確かに」


不二咲「もしかして……朝食会のことを忘れて……?」


霧切「流石に……それはないと思うわ」


大和田「………じゃ、何で来ねーんだ……?」



苗木「十神クン……ま、まさかっ……」




一瞬間………一同に走る………緊張感……


石丸「十神君ッ!……あれほど注意しておきながら寝坊して遅刻とは……!!」


江ノ島「……そっち?」

朝日奈「とりあえず、探しに行った方がいいんじゃない?……念のために」

石丸「……そうだなっ……!」


モノクマ「おっと、その前に……!」


モノクマ、またも唐突に登場………!


苗木「モノクマ……!」


大和田「オメェいい加減ぶっ飛ばすぞ……!……邪魔すんじゃねーよっ………!」


モノクマ「邪魔するも何も……オマエラに耳寄りな情報を届けに来たんだよ~……」


舞園「情報……というのは……?」

モノクマ「折角……“動機”を用意してあげたのに……」

モノクマ「それでも消極的で……ガッツの足りない……オマエラに……」

モノクマ「先生はガッカリしています………」

モノクマ「そこで……考えました………!」


カイジ「もったいぶってないで……早く………言えよっ………」



モノクマ「新たな“犯行現場”の………提供です………!!」

モノクマ「今のオマエラの世界では……行動範囲が狭すぎて………完全犯罪を達成するのは困難……」

モノクマ「などと思って………!……実行を……躊躇している人には………朗報………!!」


霧切「私達の、行動可能な範囲を広めた………ということ?」


モノクマ「その通り…………!!」


苗木「!……もしかして、あの鉄格子で閉ざされた……階段の……上の………?」

カイジ「二階に………行けるようになった………ってことか……?」


モノクマ「それは見ての……お楽しみ………では、バイバイキ~ンっ……」


モノクマはそれだけを言い残し、いつも通り煙のように姿を消した


カイジ達は、食堂に現れない十神探しとともに……

モノクマの言う“新しい世界”を確かめるために……再び探索を開始………!

次回に続く

>>298
たぶんお前の言うコロコロは何か間違ってる

やはり俺の青春コロコロはまちがっている。

舞園さんの死亡フラグは完全に回避した

コロコロでコロコロした後コロコロすればおk

>>316
まだ桑田の逆恨みルートが残っているじゃないか

>>318
この手のSSでは珍しい苗木殺害ルートか


―寄宿舎エリア―

朝日奈「とりあえず、私は十神の個室でピンポンとノックのフルコンボやってくるよ」

朝日奈「もしかしたら……まだ中にいるのかもしれないし」


石丸「頼んだぞ、朝日奈君っ…!」


腐川「あ……あたしも……ついていくわ………」


朝日奈「!……腐川ちゃん」

腐川「この水泳バカと一緒にいたら……何かあったとき身代りにできそうだから(あんたひとりじゃ……心細いだろうから)」

朝日奈「何か……本音が口に出てるんですケド……てかバカって!?」


石丸「とりあえず2人とも……頼んだぞ」

石丸(……僕は寄宿舎エリアに変化が無いか、確認しよう……!)


―学校エリア―

大和田「もしかしたら……玄関ホールの鉄の蓋が……開いてるかも知んねーぞ……!」

葉隠「よーし、早速見にいくべ……!」

桑田「お、おう……」

大和田「どーしたよ桑田、元気ねぇな……オメェも出口探しに躍起だったじゃねーか」

桑田「別に……何でも……ねーし………!」


桑田(そーだよ……外に出れりゃいいんだよ………!)

桑田(そしたら………舞園ちゃん以上にキャワイイ娘だって……沢山いんだよ………!)

桑田(こんなモヤモヤすることも……ねーんだっ………!)


桑田「うっしゃぁー!!……いくぞ……出口を見つけにィ………!!」


―学校エリア・2階廊下前―

不二咲「本当に……鉄格子が……無くなってるよぉ………」

大神「更に調べるためには……この先に進む他にはあるまい」

江ノ島「でもさぁ……何か罠とか張ってあるんじゃないの……?」


霧切「………」


苗木「でも……大神さんの言うとおり……この先に進まないと……」

舞園「何も進展しないですし……」


霧切「そうね……ここは進むべきよ」

霧切「モノクマが言っていた通り、学園内のモノや施設をクマなく調べて……」


苗木「霧切さん………今の……駄洒落……?」


霧切「………、学園の謎に迫ることは、問題になっていないし」

霧切「何よりこの3日間……黒幕がその気になれば……」

霧切「私達を手に掛けることなど……造作も無かったはず………」

霧切「これだけ手の込んだ環境を用意して、私達が自らコロシアイを始めるよう仕向けている以上」

霧切「罠を仕掛けて私達を殺そうだなんて……興醒めな方法はとらないと思うわ」


舞園「興醒め……」

霧切「勿論……黒幕にとって、という意味でね」

霧切「それに……もしかすると」

霧切「私達が、食堂でモノクマに知らされる前に」

霧切「勘のいい人間が……既に2階に上がって、探索をしているのかも」


苗木「既に……?でも、他の皆はまだこっちには来て………あっ………」


銀髪は、躊躇うことなく……階段の踏面を一歩一歩踏みしめていく………!

苗木らも銀髪に続き、2階へと足を踏み入れた…………!

―食堂―

カイジ「他の連中はまた……あちこち調べにいったな……」

セレス「伊藤君は行かなくてよろしいのですか?」

セレス「先程の流れですと…苗木君達と一緒に2階に上がりそうな雰囲気でしたが」

カイジ「そういうあんたも……調べには行かないのかよ………」

セレス「わたくしはこれから……ティーブレイクですから」

カイジ「………」


この時山田、厨房より食堂へ帰還


山田「お召しあれっ………本場さながらの……ミルクティーですぞ………!」

セレス「………、まぁ………!」


30秒後……ゴスロリ服に罵倒された上………“ロイヤル”ミルクティーを作り直すことになった山田……再び厨房へ

カイジ「細かいことに……拘るんだな……」

セレス「本場の喫茶店が提供するものは……手が込んでいて当然なのです」

カイジ「山田にそこまで……要求するのかよ………」

カイジ「………」

カイジ「それにしても……だ」

セレス「………」

カイジ「俺が最初に此処の連中と顔合わせしたときには……もっと」

カイジ「……こいつらは俺のような地を這いずる人間を……ゴミを見るような目で……」

カイジ「見下し……嘲り笑うんだろう………そんな風に思ってたんだが………」

カイジ「実際のところ………それほどでもないみたいで………」

カイジ「ちょっと……意外なんだよな………」

セレス「うふふふ……ご安心ください」

山田レギュラー過ぎィ!


セレス「わたくしにとっては……伊藤君はGランクに分類されますわ」


カイジ「は…?」

セレス「存在自体が許せないので……組織を利用して抹消するレベルのFランクの人間」

セレス「それ以下のGランク……もはや抹消する価値すら見出せない程度の人間」

セレス「伊藤君のために特別にランクを用意して差し上げました」

カイジ「は…?」


カイジ(……ダメだ……こいつの話にまともに取り合ってたら………)

カイジ(こっちのペースが乱されて……勝機を見出せなくなってしまう………)

カイジ(いや……別に……今……勝負をしているわけでは……ないけれどっ…………)


がらっ・・

石丸「おい、君達!……各人が探索に励んでいるというのに……怠惰を貪るとは何事だ……!」

石丸「といいたいところだが……!……十神君が学校エリア2階の図書館にいたそうだ……!」

石丸「僕はそちらに向かうので、君達にも伝えておこうと思ってな……!」

石丸「他の皆にも集まってもらって……探索の進捗状況を確認しあう予定だ……!」


啖呵を切って食堂を出る石丸

それに続くカイジ

気乗りはしないながらも、食堂を出るゴスロリ服



山田「ご覧あれっ……ご注文通り……ロイヤルなミルクティーをっ………用意しましたぞ……!!」

山田「あれ……中に誰も……いません……………?」



そして、ひとり食堂に残された……山田…………

また今度
ちょっと話の進むペース遅いけどご勘弁を・・・

今来たけど面白い

苗木と山田以外の男キャラがセレスと絡みまくるのってなんか新鮮
あとはせいぜい十神と話すくらいだし


―学校エリア1階・玄関ホール―

桑田「クソッ……!」

桑田「何も変わりねーじゃんかよっ……!」


ガツンっ・・!


桑田「いてぇ・・・っ・・・・」

葉隠「そりゃ蹴ったら痛ぇべ、……鉄のように硬いし」

大和田「鉄だろ」


朝日奈「おーい、そこの3人組~」

朝日奈「十神が2階で見つかったってよ、学校エリアの上の……」

腐川「図書室……だったかしら………」


大和田「だとよ……」

桑田「ぶっちゃけ十神とかどうでもよくね……」


朝日奈「もー……そんなこと言わないの、一応……仲間なんだし」

朝日奈「それで、石丸が図書室に全員集合~、だってさ」


葉隠「んじゃ、俺らも行くとすっか………!」


―学校エリア2階・廊下―


カイジ「あのメガネ……十神とかいう男は、まさに他人の足元を見るような人間だな………」

セレス「……十神君ですか」

カイジ「俺だけじゃない……ここにいる人間は全て見下すような態度……」

セレス「それは仕方ありませんわね………彼は……巨大財閥の御曹司ですから」

カイジ「………御曹司?………知っているのか……あいつの素性………?」

セレス「伊藤君はご存知ないのですか?」

セレス「“裏の世界”も“表の世界”も支配する階級………その一族の血統を継ぐ者」

セレス「あの地下の王国とも……おそらく関わりがあるのでしょうね」

カイジ「………御曹司……か」


石丸「見たまえ!……どうやらここが……図書室のようだなっ……!」


セレス「標識がありますものね」

カイジ(……どうやら……この階も………右も左も鉄板だらけ……)

カイジ(全部見て回ったわけじゃないが……抜け穴など………ありそうにない)

―図書室―


ざわ・・     ざわ・・


山田「ひどくはありませぬか……伊藤カイジ殿………置き去りにするなど………!」

カイジ「そう気にするな……山田」


石丸「……これで全員揃ったようだな」



十神「………」


ぱらっ・・


再び一同に介した15人に……囲まれる十神………!ややシュールな光景………!



苗木「あ、あのさ……十神クン……」

十神「………」


苗木の呼びかけにも無反応………スタイリッシュ読書中………!


大和田「耳が遠くなっちまったんじゃねーのか?」


十神「聞こえている……黙っていろプランクトン」


大和田「あぁッ……!?」


石丸「落ち着くんだ大和田君!……十神君、君にはいろいろ聞きたいことがあるが……まず」

石丸「どうして朝食会の場に姿を現さなかったんだ……!……皆心配していたのだぞ」


十神「心配だと……?……フフ……いつまで仲良しごっこをしているつもりだ……」


朝日奈「ごっこって何よごっこって……!」

朝日奈「……あんただってこっから出たいんでしょ?」

朝日奈「だったら皆で協力して、何とか突破口を……」


十神「その認識が甘い……甘すぎる……といっているんだ」

桑田「オメー上から目線過ぎんだよ」

桑田「認識どうこうじゃねー……!……逃げ道さえ……見つかりゃ……!」


十神「それで……その逃げ道は見つかるとでも思っているのか?」

十神「此処に幽閉されて早4日目……逃げ道はおろか……この学園の全容すら掴めていない」

十神「この部屋とて、今日になってようやく入室できるようになったのだからな」

十神「かといって今後……外部からの救援などアテになるか?……警察などが頼りになるのか?」


不二咲「そうだよね……普通なら……私達が失踪したことで騒ぎになって……」

不二咲「警察が動いていても……おかしくないはずなのに………」

葉隠「……ま、まだ学園プロデュースのレクリエーションの可能性も残って………」


十神「いい加減、現実を直視しろ」

十神「そうすれば、お前達がどうすればいいのか……自ずと分かるだろう?」

江ノ島「どうすれば……って言ったて」

江ノ島「閉じ込められてんのよ……どうしようもないじゃんっ………!」

葉隠「どう考えても……八方塞がり……ってやつだべ」


十神「フン……愚民の分際で一人前に頭を使うなど……無駄なことだ」

十神「お前達は唯……この“世界”の中での決まりに…従順に従っていればそれでいい」


腐川「グッ……とクるわっ………!」

苗木「決まりっていうのは……校則のことを指しているんだよね」

セレス「……校則(ルール)に従ってここでの生活に適応していけば、問題はありませんもの」


十神「だが……“卒業”できる者は1人だけ」

十神「結局のところ……生存競争」

十神「生きるか死ぬかの蹴落とし競争……それが本質だ」

十神「適応などと聞こえのいい言葉を奏でたところで……こんな所で飼殺しになる人生を誰が選ぶ?」

桑田「ッ………」

大和田「………」

舞園「………」


十神「ならば、生き残って外に出る選択肢のほかないだろう?」


大神「十神よ……お主の言い分では……」

大神「あたかもコロシアイを煽っているように……聞こえるのだが……?」


十神「煽っている?……そんな軽率な話ではない」

十神「必然的に起きる……起こらない筈がないということだ」

十神「現に昨日のDVDを見て……事を起そうと企てていた者もいたのではないか?」


舞園「・・・っ・・・・」


舞園、一瞬…十神がこちらに視線を向けたような気がして俯く……

十神「むしろ……そろそろ事件が起きないと、面白くないのだがな」


苗木「!……十神クン……何言って……」


十神「生死を賭けたゲームなど……そうそう経験できるものではないからな」

十神「つまるところ、俺が勝利することになるのだから……お前達はプロセス中に消費される駒に過ぎないが」


大和田「黙って聞いてりゃ……よくもまぁヌケヌケと言いたい放題言えるなァ・・・・あ?」

霧切「何を言っても無駄でしょうね、それが彼の考え方ならば」


石丸「………ぐ…」


十神「もういいだろう?……この部屋にはお前達にとって有意義なモノなど……存在しない」

十神「俺は読書に集中したい………散れっ……」


十神の突き放した態度に……石丸はこれ以上何を説こうとも無駄であると悟る

各人は一通り室内を見回した後……腐川以外は図書室を後にした


その少し前に……


カイジ「おい……財閥の御曹司とやら……」


十神「……何だ?……もうここに用が無いなら俺の眼前から消えろ……目障りだ」


カイジ「ッ………」

カイジ「お前が聞こうが……聞くまいが……」

カイジ「命を賭した遊戯(ギャンブル)を……『面白い』……なんて言葉尻で片付けられる人間は」

カイジ「頭のネジが外れた……腐れ外道と………同じだ………」


十神「………」


十神、カイジを見向きもせず……“低俗”な推理小説を黙読……

一方のカイジ、この一言だけ捨て台詞を残して……図書室を去る……

また次回
次の次くらいに・・・例の暴露封筒の配布

そろそろ誰か死なないかな


セレスさん地下帝国知ってるのか
帝愛とも何度かやりあってるのかな


相変わらず面白い

ところでこのカイジはいつ頃のカイジ?



セレスも相当裏世界に通じてそうだから帝愛について色々知っててもおかしくない
しかし、舞園の時は運で回避出来たが大和田のはカイジじゃキツイよなぁ
…ちーたん死亡は免れないのか。なんとか生き残ってほしいが

スタイリッシュ読書ワロロンパWWWWWWWWWWWWW

足元を見るの使い方おかしくね?

舞園さんが踏みとどまったのはいいけど、そうなると今度はさくらちゃんが動き出すことになるんだよなあ

セレスの地下の王国発言スルーしたし、カイジはまだ経験してないのか

経験してるけど覚えていない可能性

>>346
平常時のカイジじゃキツイな
覚悟決めたかブチ切れてる状態なら大和田を圧倒できるパワーがあるけど
それでも良い方向に働くかどうか

問題はパワーじゃなくて今の所大和田とも不二咲ともほとんど接触がないことだな
下手すると気付いたら事件が起こってました、が普通にありうる

―図書室・書庫―


ギィィ・・


腐川「五月蝿い連中も……いなくなって………」

腐川「よ、……ようやく……2人きり……っ……」


十神「…………」


パラ・・   パラ・・


十神(これは……驚いた)

十神(政治史に残るレベルの外交機密文書……)

十神(こちらの棚には……未解決事件の全容を纏めた極秘ファイルまで……揃っている)

十神(……俺のように、これらの極秘資料の真価を理解できる人間は……この中にはいまい)

十神(この部屋は今後も利用してやるとしよう……)

腐川「あ、ああ・・・あの・・・・・っ・・・・・・・・!」


十神「………」

十神「いつまで……俺の気分を損ねたら気が済むんだ………?」


腐川「ひっ・・・・そ、そんなつもりは・・・・・・!」


十神「埃っぽい部屋に……これ以上腐臭を撒き散らすなっ………シャワーを浴びてこい……!」


腐川「・・・・はいぃ・・・っ・・・!!」

腐川(『浴びて』・・・『来い』・・・!・・・・さ、誘われた・・・・・・・・!!)


十神と腐川は一方的な恋慕もあって、しばらく図書室で共に過ごした


ランチタイムも終わり、時刻は午後2時過ぎ……その頃カイジは 

―個室(伊藤)―

カイジ(……暇だな)

カイジ(全体での探索は午前中で一旦終了……)

カイジ(各方面の報告によれば……新しい発見は)

カイジ(あの図書室のあった……学校エリアの2階が解放されていたこと)

カイジ(図書室の他に……水練室(プール)があって……朝日奈あたりが喜んでいたな)

カイジ(それと……何の変哲も無い教室が2部屋……これは1階と同じ……)

カイジ(寄宿舎エリアの方では……立入禁止だった大浴場が開放されてて……)

カイジ(それから……雑貨のある倉庫に入れるようになってるんだと………)


カイジ「散歩がてら……自分の目で確かめに行ってみるか?」


カイジ「っと、……それから」


ちゃり・・


カイジの手に握られていたのは……自力で入手したモノクマメダル……5枚ほど……!


カイジ「後で試してみるか………購買のマシーンで………!」



カイジ、自由行動開始っ……………!



―学校エリア・1階―

カイジ(とりあえず……2階の方にもう一度確認………)

カイジ(ん……あいつは……)

桑田「……お、伊藤」

カイジ「………どうだ、出口探しのほうは………?」

桑田「順調……なわけねーだろっ……!」

カイジ「そうかい……邪魔したな………」

桑田「………なあ、伊藤」

カイジ「ん?」

桑田「オメーだったら、オレと苗木……どっち選ぶ?」

カイジ「は……?」

桑田「率直に言って……付き合いてぇならどっちだ……?」

カイジ「ちょっと……待てよ………」

カイジ「俺には……そういう……変な……趣味は…………」

桑田「違ぇーよアホ!」

桑田「……一般的に考えてだ……オレと苗木ならどっちのがモテそうかって聞いてんだっ……!」

カイジ「どっちか………」

カイジ(そうだな……苗木のやつ……旧知の舞園を気遣って慰めたり、周りに気を利かせたり……)

カイジ「案外………苗木のほう……か……?」


桑田「・・・・・・アホ!このアホアゴ・・・!・・・アゴアゴアゴアゴアゴアゴアゴっ・・・・・・・!!!」


―学校エリア2階・廊下―


カイジ(いきなりキレるとは………)

カイジ(桑田の野郎……苗木と何か……あったのか………?)


苗木「あ、伊藤クン」

舞園「こんにちは」


カイジ「お、おう…」

カイジ「お前らは……2階で探索の続きか……?」


苗木「探索というより……うーん」

舞園「向こうの教室で、2人でお話していたんです」

苗木「ま、舞園さん……」

舞園「といっても……ただ2人でぼんやりしていただけ……ともいえるかも知れませんけど」


カイジ「…ふーん」


舞園「私、あれこれと考えすぎて……パンクしそうになった頭の中を……」

舞園「ぼんやりすることで……一度フリーズしちゃったほうがいいのかな……って思いまして」

苗木「……それでまぁ……ただダラダラしていただけ……みたいな感じなんだけどさ」

苗木「無理にあれこれ会話しなくても………」

舞園「こういう風な過ごし方もありなのかな……って思えるようになってきました……苗木君」


カイジ(こいつら……やっぱ仲がいいな……)


カイジと別れ、苗木と舞園は寄宿舎エリアへ移動

……残ったカイジの元には


江ノ島「お~い、伊藤じゃん」

カイジ「あ、……どーも……」

江ノ島「何気にあたしら初絡みじゃない……?」

カイジ(一言ぐらい……交わしたことが……有ったような…無かったような………)

カイジ「えっと……モデルとか……やってるんだっけ……?」

江ノ島「そうそう!……いろんな雑誌の表紙飾ってるから、一度くらい見たことあるよね?」

カイジ「たぶん……ない……」

江ノ島「えーマジ?……ちょっとショックなんですケド~」

カイジ「悪い……」


……これ以上ギャルのノリについていけず、江ノ島と別れたカイジは水練室へ

―水練室―


がらっ・・


朝日奈「あ、伊藤だ」

大神「ふむ…」


カイジ「よ、よう…」


朝日奈「泳ぎに来たのー?」

朝日奈「男子更衣室は右の方だよ、入るのに生徒手帳かざすってのは聞いたよね?」


カイジ「ちょっと部屋の様子を……見にきただけで………で、あんたらは…」


大神「見ての通り……肉体の鍛錬に励んでおるのだ……」

朝日奈「いろいろ道具とか揃ってるしね……それに」

朝日奈「コロシアイどうこうとか……難しいコトで頭悩ますよりさ、体動かしてる方がいいと思うし」


カイジ「元気だな……」

大神「伊藤も……どうだ……?」

大神「なんならば我らが……水練の指南役を務めてやっても……構わぬが……?」


カイジ「いや……、俺は……いい……」


朝日奈「むぅ…伊藤もパス……?」


カイジ「俺もパス……ってのは……?」


大神「不二咲も、体を鍛えたいと言っていたのだが……」

大神「我らと共にトレーニングをするのは……丁重に断ったのだ………」


カイジ(不二咲というと……あの背の低い女か……)

カイジ(確か……超高校級の……プログラマー……だったか?)

カイジ(そんなに体を鍛えたがるような人間には……見えないけどな………)


傍目には脳筋の2人を水練室に残し……カイジは階段を下りて1階へ………


―体育館前―

葉隠「トロフィーの他にも……はにわなんかが有るべ」

葉隠「これは……なかなか値を張りそうな……」

カイジ「占いで……モノの価値とかが分かるのか……?」

葉隠「いやぁ~まぁ時と場合によるべ」

カイジ「ところで……その手に持ってる……」

葉隠「ああ、これは由緒正しい万世一系(略)なシロモノよっ……!」

カイジ「これ……たぶん……ガラス玉………」

葉隠「!?……ちょっと待つべ伊藤っち……俺はコレを手に入れるのに数億円かけてっ……!」

カイジ(コイツ……騙されて……パクられやすそうな男だ)

カイジ(……さて、そろそろ購買に寄るかな)

―購買部―


ちゃり・・ちゃり・・ちゃり・・

ガコンっ・・・!


霧切「………チン…チロリン…セット?」


ぽとっ・・


カイジ「サイコロ3つと……どんぶりがあればできる……ギャンブルさ」


霧切「…そう」


カイジ「で、そのマシンについて……何か分かったことはあるのか……?」


霧切「…セレスさんの言う通り、メダルの投入枚数によって入手できるアイテムの重複率が変わるみたいね」

霧切「それから」


モノクマ「補足説明~!」

モノクマ「モノモノマシーンでゲットできるアイテムは……何もモノだけではございませんっ……!」

モノクマ「運がよければ……『男のロマン券』が出てきます!」

モノクマ「……この券がゲットできたら……」

モノクマ「必ずたぶんきっとロマンティックなイベントが発生しますよ……期待してねっ!」


霧切「男のロマンって……何かしら?」

カイジ「さ、さあ……?」


モノクマ「そして……なんと………まさかの………!」

モノクマ「『1日外出券』も入っていますよ~……!え、詳細?……ぷぷぷ……それは当たったらのお楽しみっ……!」


モノクマ、退場っ……

カイジの4日目の自由時間は……もう少し続く

また次回

>>344まあこれ>>351 どの時点で学園に送られたかは・・・先の展開で(先送り)
>>348 文脈的におかしいな・・・指摘感謝

ギャンブルでメダル稼ぎーのメダルの力技で外出券手に入れーの外でギャンブルに勝って借金返しーので脱出
ってとこまで想像したけどよく考えれば別に借金で閉じ込められてる訳じゃなかった

三点リーダって偶数個の方がいいんじゃない?

一日外出券もあるのかwww

福本漫画を基準にしているのなら……奇数個でも関係ないっ……!三点リーダの数っ…!

どうせっ……!入学してから一年以内のものは出れないんだろっ……!不適としてっ……、原作通りっ……!

ぜ、全員実は二年以上経ってるだろ……たぶん


三点リーダ偶数個、なんてのは昔の出版側の事情でしかないしな
本当は今はどうでもいい、出版物でもないし

乙乙

―購買部―


霧切「……」


カイジ(一日……外出券…………)

カイジ(何だろ……凄く……懐かしい響きだ…………)

カイジ(懐かしいけど……何だか……いい思い出じゃ……ない)


霧切「どう思う?」


カイジ「……モノクマの、一日外出券の話か……?」

カイジ「仮にその券を入手することが……できれば……」

カイジ「俺達16人のうちの誰か……一番信頼できそうな奴に……」

カイジ「外出権を行使させ……残る15人の安否を……世間に知らしめ…………!」

カイジ「学園を乗っ取った黒幕側の陰謀は……全て露見……白日の下に…………!」

カイジ「マスコミ……警察関係者……学園占拠という事案の重大さを鑑みれば……あるいは自衛隊までも……!」

カイジ「学園の横暴に介入……!……そして、人質の……確保……!」

カイジ「すなわち……俺達16人の…………生還っ……!!」


霧切「……」


カイジ「……絵空事だな」

カイジ「『1日外出』なんてことを認めたら……黒幕がわざわざ俺達を……」

カイジ「外部から切り離し……隔離している意味が……いっぺんに失われてしまう」

カイジ「モノクマの……ただの虚言じゃないのか」


霧切「そうね……確かにそうも考えられるけれど」

霧切「あえて……外出券という“餌”を本当に蒔くことで、私達を期待させ……」

霧切「でも結果的に……外出券は獲得できず……外への渇望は頓挫……落胆する私達」

霧切「そういう絶望を味わわせたいがための……余興とも……いえるかもしれない」


カイジ「本当に……『一日外出券』が入っていると思うのか……?このマシーンに…………」


霧切「断言は……できないのだけれど」

霧切「さっきモノクマは……『男のロマン券』は“(モノモノマシーンから)出てくる”と表現していたのに対し……」

霧切「『一日外出券』については……“(モノモノマシーンの中に)入っている”……」

霧切「……としか言っていないわ」


カイジ「……」


霧切「このニュアンスの違い……伊藤君なら、どう捉える?」

カイジ「『男のロマン券』の方は……運を上手く引き寄せられれば……手に入る可能性がある……」

カイジ「一方で『一日外出券』は……あくまで……“入っている”だけ…………」

カイジ「モノモノマシーンに“入って”はいるが、“出る”とは限らない…………否……手に入らない?」


カイジ「そういう風に……仕込まれている……?」

カイジ「そうかっ……!単純なイカサマだ……!」

カイジ「……『一日外出券』が“出て”こないように……マシーンが操作される………!!」

カイジ「この学園をまるごと支配下に置いている……黒幕ならば……」

カイジ「その程度のインチキ……造作も無く……行える…………!」


カイジ「各人が必死にメダルを集めて……ドロップアイテムの重複率を計算し……マシンの特性を見極めた上で…………」

カイジ「手を伸ばせば……届くところまで来た……その時に……掻っ攫われる……如何様の手によって……!」


霧切「……あくまで、仮説の域に過ぎないけれどね」

どすりっ・・・・!


カイジ「…………!!」


銀髪、カイジの眼前に……大量のメダルが封入された通い袋を提示……!


霧切「私が回収した残るモノクマメダル189枚……これはあなたに託すわ……受け取って」


カイジ「え……ちょっと……待てよ……」


霧切「もし万が一……『一日外出券』が出た場合には……報告して頂戴」

霧切「黒幕がどういう対応を取ってくるのか……見物よ」


言い終えると銀髪……なかば強引に通い袋をカイジに寄越し、モノモノマシーンに背を向ける……!


霧切「それじゃ……私はいつまでもモノモノマシーンに拘っているほど……暇ではないから」


カイジ「っおい……!」

カイジ「これ全部投入して……それでも外出券が出なかった場合は……?」

霧切「……そうなった場合は、仕方がないわ」

霧切「代わりにメダルで獲得したアイテムは……伊藤君が好きに利用してもらって構わないし」

霧切「黒幕に対しては、また別の対抗策を……考えていけばいいことよ」


カイジ「はぁ……」


霧切「それよりも……1回目の“動機”に続いて……あたらな“犯行現場”の提供……」

霧切「黒幕は私達が一応この生活に馴染んで……膠着状態になるのを防ぐべく……」

霧切「矢継ぎ早に……コロシアイの発生を誘発しようとしている…………」


霧切「伊藤君も、気をつけることね」


カイジ「……あんたもな」

銀髪は購買部から退出、カイジは購買内の自販機からドリンクを取り出し、喉を潤す


カイジ(金を入れなくても出てくる飲み物……現実じゃ……ありえないんだよな…………)


カイジ(さて……霧切から受けた提案だが……)

カイジ(俺が『一日外出券』を手に入れられたら報告しろ……ダメだったら好きに使ってくれ……だと……?)

カイジ(どっちにしろ……俺がリスクを負う部分が……まるで……ないよな…………)

カイジ(期限3日とか定めて……外出券が手に入らなかった場合は)

カイジ(ドロップアイテムの返還+借りたメダル(189枚分)を現物で即時返還)

カイジ(……ぐらいの条件を付けるのが……普通だろ…………?)


カイジ、などと考えながら……一旦、購買部を退室

時刻は午後6時前になっていた……

―厨房―


トン・・  トン・・    ぐね・・  ぐね・・


カイジ「悪いな山田……また手伝ってもらって」

山田「僕はお構いなしですぞ……」

山田「しかし……餃子とは……なかなか卑猥なモノですな……」

カイジ「は?……何処がだよ」

山田「中身を包むのですぞっ……!薄い……皮でっ…………!」

カイジ「お前の思考回路が……よく分からん……」

山田「伊藤カイジ殿が皮に包んだ中身を……セレス殿が口に挿れて……あとはお察しですな……」

カイジ「口の代わりに……手を動かせよ…………」


じゅうううううう・・・!


山田「前よりも……更に良い出来なのではっ……!」

カイジ「よし……今度こそ……認めさせるっ……!」

―食堂―

セレス「あいにくですが……今宵はフレンチのディナーを所望しますわ」

セレス「条件の『餃子作り』にはもう時間制限は有りませんが……」

セレス「わたくしがそれを食すのを欲したときに……用意するようにしてください」


カイジ(クソォ……!……向こうの言い分が理に適ってるわけじゃない……はずなのに…………!)

カイジ、ゴスロリ服にどうも頭が上がらず……反論には至らず


葉隠「おお!……旨そうな餃子だべ」

不二咲「これ……伊藤君がつくったんだよねぇ……?」

山田「ええ……伊藤カイジ殿が丹精こめて作ったものなのですが……」


カイジ「あんたらで食べたらいいさ…………捨てるのは勿体ねぇし……」


山田「では遠慮なく~パクパク」

葉隠「形は悪いが……味は悪いないべっ……!」

不二咲「おいしいよぅ……伊藤君は……お料理上手だね」


カイジ「よせよ……別に好きでやってるワケじゃ……ないし……」


この後カイジ、厨房に戻り、イメージ頼みでフランス料理のフルコースを用意すべく……悪戦苦闘…………!

それから……後ほど……


―寄宿舎エリア・廊下―

カイジ「はぁ……疲れた…………」

カイジ(そういや、大浴場……利用できるようになったんだってな)

カイジ(久々に……でっかい湯船にどっぷりと……漬かってみるか……)

カイジ(ホント……いつ以来だ……?)

カイジ(で……その前に)

カイジ(倉庫に寄っていくか……生活雑貨とか、ちょっとしたツマミとか……あわよくば酒とか……)

カイジ(あって便利なものを……部屋に持ち込んでおこう…………)



―倉庫―

カイジ「……ここか」


ギィィ・・


不二咲「……あ、伊藤君」


カイジ「……よう」

カイジ暗躍するなwww


―寄宿舎・廊下―

石丸「大和田君っ……!!」

石丸「君が直ぐに相手に手を上げようとするのは……君の忍耐力の弱さに起因しているのではないか……!!」


大和田「ッ……弱さ……だと?」


石丸「そう、弱さだっ……!言い換えれば根性の無さっ…………!」


大和田「オメー……イインチョー気取りやがって……あんま調子のってっと…………!」


石丸「そういう前のめりな態度が……よくないといっているんだっ………!!」


大和田「ンだとォ・・・・!」

石丸「むぅうう・・・・・!」


この後、大和田と石丸の……男の闘いが始まるのであった…………!

次回に続く

沼編みたくモノモノマシーン攻略するのかね

かなり面白い!!!

モ・・・モノクマメダルを最も効率よく稼ぐ方法は裁判突破・・・(震え声)

>>393
繰り返される……千本ノック……!

桑田が何したって言うんだ…

カイジってやっぱ寡黙系よりギャルやセレスとの方が絡みがいがあるな


―倉庫―

不二咲「あ……えっと……」

不二咲「服の着替えとかを……個室(へや)に持っていこうかな……って思って……」

カイジ「俺も……まぁ……そんな感じ…………」

不二咲「……」

カイジ「……」


ここで会話が……途切れる……!

2人だけの……密室…………!手を伸ばせば……届きそうな……微妙な……距離感っ…………!

何となく……気まずい……雰囲気っ…………!


カイジ(う……何だか……居づれぇ…………)

カイジ(何か……話題を振る……?この女……プログラマ…………そういうの……よく分からない……)

カイジ(いや……別に……そんなに相手を……気にしなくても……いいだろっ……)

カイジ(とりあえず……会話は……交わしたし……!挨拶……程度に…………それで……充分)

カイジ、ギャンブル関連以外の持ちネタ……ほぼ……皆無っ…………!

話の抽斗の少なさ…………それは……コミュニケーション能力の不足に直結…………!


不二咲「うぅ…………」

カイジ(えっ……?)


この時不二咲……唐突に涙目っ……!


カイジ「ど……どうした……?」

不二咲「……ご、……ごめんね……」

不二咲「……伊藤君の顔……ちょっと不機嫌そうでっ……」

不二咲「私のせいで……何か……嫌な思い……させちゃったのかな……って……」

カイジ「はっ……?違う違う……!そんなこと……ないからっ…………!」


それは……多少……被害妄想っ……!


だが……!


腐川のそれと比べると……鬱陶しさは……感じない……!

むしろ……力になりたくなる……!……まるで小動物のような……愛しい仕草を含めて……!


不二咲「……よかったぁ……嫌な思い……させてなくて……」

カイジ「お前……何と言うか……」

カイジ「……心配性……?気弱な……タイプ……?」

不二咲「……」

カイジ「あ、いや……責めてるわけじゃ……ないからっ……!」

不二咲「そうだよね……このままじゃ……いけないよね…………」

カイジ「うん……?」

不二咲「もっと……強く……ならなくちゃ…………」

カイジ「強……く……?」

不二咲「もっと…………」


不二咲、尚も瞳を潤ませながら……己に言い聞かせるように……呟く…………!


カイジ(強く…………)

カイジ(あっ……そういや、この女……体を鍛えたがってるって……朝日奈達が……言ってたな……)

不二咲「あ……あのさぁ……伊藤君……」

カイジ「……ん?」

不二咲「この前……誘ってくれた…………その……」

カイジ(この前……?)


がらっ・・・


セレス「……あら」


ゴスロリ服、このタイミングで倉庫に立ち寄る……

カイジと……その横で……目をうるうるさせた不二咲を目撃…………!

カイジ「……」

不二咲「……ぁ、……」

不二咲「……えっと、お休み……なさい……」


間が悪いと感じた不二咲……そそくさと……倉庫より退室


カイジ「……はぁ」

カイジ(不二咲が何を言おうとしてたのか……少し……気になるが……)

カイジ(狭い空間に2人きり……という……気まずさからの……漸くの解放…………)


セレス「もしや……」

セレス「不二咲さんを密室に連れ込み……襲おうとしていたのですか?」


カイジ「絶対的にっ・・・違う・・・・・!!」


カイジ、釈明……!……その後、衣類・食料品を携えて……倉庫から個室へ一旦帰還……

そして……夜時間少し前に

―大浴場―


ばばんっ・・!  ばばんばんっ・・!


カイジ「ふぃ~・・・・・・・」

カイジ「ああー・・・沁みる・・・・・・・・特に・・・・・・・左手っ・・・・・・・・」


ガラッ・・


苗木「あ……伊藤クン」

カイジ「!……苗木?」

カイジ「サウナに……入ってたのか……?服を……着たままで……?」

苗木「いや……ちょっと……勝負の立会いを……していて……サウナの中でね……」

カイジ「勝負……?……サウナの……中で……?」


カイジ、浴室を出て……脱衣所へ……

その傍らにて苗木……簡潔に説明……石丸と大和田の……一騎打ちについて…………


カイジ「大丈夫なのか……放って置いて」

苗木「まぁ……大丈夫だと思うけど」

カイジ「……」

苗木「……」

カイジ「なあ……苗木」

苗木「何……?」

カイジ「至極今更なんだが……お前の才能って……何なんだ……?」

苗木「ボクの……?」

カイジ「別に……嫌なら答えなくても……」

苗木「一応……超高校級の……幸運……みたいなんだけどさ……」

カイジ「幸運……?」

苗木「ごく普通の学生の中から……たまたま選ばれて……学園の門をくぐることになって……」

苗木「今思えば……むしろ逆に……不幸だったんじゃないかな……って思うけど」


カイジ(……幸運…………)


キーン……!コーン……!


カイジと苗木、大浴場を出て自身の個室へ


……幽閉生活4日目も……大きな波風は立たず……終了っ……!

カイジ溶け込んでるなwww

また今度…明日は来れないかも
・・・なるべくもうちょいテンポアップします

おもろい

ばばんっ・・!  ばばんばんっ・・!
腹抱えてワロタ

超高校級の乙……!

これは人が死ぬのか?
全員生還なのか知りたい?

せっかくカイジなんだから学級裁判でゴリゴリの心理戦が見たいけど、このままうまく事件を回避していくのも面白そう


むしろモノクマを出し抜く展開なら胸熱なんだが難しいだろうな

もうキャラの絵が全員カイジになってるwww

>>1の好きな様にやってくれるのが一番やで

モノモノマシーンで誤作動させて一日外出券手に入れても
外の様子を確認するくらいしかやることないよな

スレが進むごとにダンガンロンパが福本に侵食されてるなwwwwww


《オマエラっ……!おはようございますっ…………!》


五日目の朝を迎え……!

第3回の朝食会が執り行われるが……その場に十神と腐川の姿は……なし


―食堂―

朝日奈「あの二人……どうしたんだろ?」

桑田「十神はどーせ……上の図書館じゃねーの?」

不二咲「腐川さんも……十神クンと一緒なのかなぁ……」


石丸「ハッハッハ……!おはよう苗木君!……昨日は立会人になってくれたことに感謝しているよ!」

石丸「そうだろう……兄弟っ……!!」

大和田「だよな……!オレ達の闘いが……実現したこと……!それこそに……意味があるぜ……!!」

大和田「ありがとよっ……!……苗木……!!」

苗木(二人の間に……いったい……何が……?)

苗木(気になるけど……あまり突っ込んで尋ねるのも……野暮な気がする…………)


石丸「僕達が交わした熱い契りは……誰にも砕かれないっ……!そうだろう……兄弟っ……!!」

大和田「おうよ……男と男の絆はよ……金剛石(ダイアモンド)より硬くて……輝かしいっ…………!!」



江ノ島「あの二人(石丸と大和田)……もう放っておいてよくない……?」

葉隠「ま、あの二人(十神っちと腐川っち)は仕方ない……こっちはこっちでメシにするべ」


それぞれが朝食を取り始める中……山田が……気づく……!


山田「おや……そういえば……伊藤カイジ殿の姿も……見当たりませんぞ?」

大神「……言われてみれば……そのようだな……」

セレス「伊藤君……存在感が希薄なので気づきませんでした……」

桑田「鼻とアゴだけ存在感あるだろ」

舞園「十神君達はともかく……少し心配ですね」

苗木「ボク、伊藤クンの部屋に行ってみるよっ……」

霧切「……待って」

霧切「もしかしたら……あそこに居るのかも……」

―購買部―


がこんっ・・・!


カイジ「……単純に……投入枚数を増やせば……!」

カイジ「重複率が……軽減する算段か…………!」

カイジ「だが……ここまで総数で……50枚を費消したが……!」

カイジ「次々と……!……新たなアイテムが……出てくる……!湯水のように……!」

カイジ「アイテムの種類が……どれほどあるのか……?」

カイジ「まだまだ……推定しきれないっ…………!」

カイジ「このままじゃ……200枚ちょっとの元金……いやメダルでは……」

カイジ「到底足りない……!このマシンのまだ見ぬ奥底を……見通すには……!!」

カイジ「……もっと……もっとだ……!メダルを……集めないと…………!」

カイジ「だがっ……!」

カイジ「一人で回収するには……やはり限界がある……!」

カイジ「すでにマシンの存在に気付いている連中……そうでない連中も……含めて…………!」

カイジ「メダル収集を……推奨する……環境づくりが……必要っ……!!」


カイジ、朝一で……モノモノマシーンに対峙…………!


カイジ「燃えて来たぞっ……!……必ず……手に入れてやるっ……!」

カイジ「一日外出券っ…………!見てろよっ……モノクマ……!」


当然っ……監視カメラは……見ている……!


ガラッ・・!


石丸「伊藤君……こんなところに……いたのかっ……!」

大和田「っておい……もう……こんなに景品落としたのかよっ……」

カイジ「……!……お前ら……!」


観衆の登場……!少し心強いっ……そう感じたカイジ……だがっ……


石丸「さぁ……食堂に……来るんだっ……!」

カイジ「は・・・?おいっ・・・!今・・忙しいんだ・・・・邪魔・・するなよっ・・・!!」

大和田「オイコラっ……兄弟の手を……煩わすんじゃ……ねぇ……!」


ずるっ・・    ずるっ・・

―食堂―


石丸「よし!これでようやく皆……揃ったなッ!」


朝日奈「あの二人はもうスルーなんだ……」


がや・・    がや・・


カイジ「……ぐっ……」

霧切「伊藤君……熱心なのね……」

セレス「ただの中毒症状ですわね」

江ノ島「ちょっと……食べてるときに中毒とか……言わないでくんない……?」


山田「しかし……一日外出券などというものが入っているとは……」

山田「本当に出られれば……一気に問題が解決っ……!」

葉隠「案外……外に出たら……既に100年の歳月がっ……!」

葉隠「ッ……それなんて浦島太郎っ……!?」

苗木「ま、まさか……そんなことは……」


朝食会は……比較的和やかなムードで終了っ……!

DVDのショックから……一両日が経過し……大方落ち着きを取り戻した面々……


だがっ……!


そんな彼らの心理的猶予は……長くは続かないっ…………!

再び……召集されることになる……!モノクマの……二つ目の“動機”提供のためにっ……!


―購買部―


《ピンポンパンポーン……!》

《ええー……生徒の皆さんっ……!至急……体育館にお集まりくださいっ……!》


カイジ(……モノクマか)

カイジ(今度は……何の呼び出しだ……?)


ガラッ・・


朝日奈「伊藤~購買に籠ってないで体育館行くよっ……!」

大神「黒幕に無碍に逆らうのは……得策ではあるまい……」


カイジ「……分かってるって」


―体育館―


モノクマ「ええー……今回集まってもらった理由は……他でもありませんっ……!」

モノクマ「ずばり……!!」


モノクマ……秘密の暴露を……宣言っ……!


各人に宛てた封筒を放り投げ……趣旨を説明…………!

すなわち……内封された書面の内容を……24時間経過後……世間に……赤裸々に……公開すると…………!

それを回避するためにはっ……!

24時間以内に……誰かをコロすしかないという……紛れもない……脅迫っ…………!!


カイジ「……」

ぱらっ・・


そして……カイジの書面に記されていた……「恥ずかしい記憶」……「他人に知られたくない過去」とはっ……!!



カイジ「こ・・・これはっ・・・・・・・・!」



【伊藤カイジは……高級車(主にベ○ツ)を悪戯でパンクさせっ……エンブレムを……盗んでいたッ…………!!】

次回に続く

これは恥ずかしい……!!

よりによってこの秘密かっ……!!

これはカイジ殺人フラグたったで

露呈してしまう……最低な趣味……!

これは知られたくない……!!

―体育館―


ざわ・・     ざわ・・


苗木「……こ、これって」

朝日奈「嘘……何でこんなこと……知ってるの……!?」

大和田「……ゴクリ」

不二咲「・・・ぅぅ・・・・・」

腐川「あ・・・・ぁ・・・・」

十神「……」


各々の秘められた過去……外界との繋がりを示す……キーワード…………!

書面の内容はまさに千差万別……思うところも……人それぞれ…………!


カイジ(凄く・・・・恥ずかしいっ・・・・・・・・・!!)

カイジ(つか……どこでこんなこと……調べやがった…………?)

カイジ(俺以外で……この所為を……知ってるのって……)

カイジ(ダブボケでバレた……あの人くらい……あれ……?……誰だったっけ……あの人……)

カイジ(んなことよりも……これが……周りにバレたら……!)


――「うわ……伊藤……サイテー……」

――「伊藤クン……軽蔑するよ」

――「伊藤君……もともと人間のクズだとは思っていましたが……クズ中のクズでしたのね」


カイジ(いや……それどころじゃないだろ……!……こんなことが世間にバラされてみろ……!)

カイジ(何とか……何とか……しないと…………!)

カイジ(っておい……?)

カイジ(何とかって……どうするんだよ……バカか俺はっ……!)

カイジ(確かに……バラされるのは……恥ずかしいし……キツいけどっ…………!)


カイジ(これを理由に……人を殺す……!?)


カイジ(待て待て……待てっ……!)

カイジ(それは……いくらなんでも……いくらなんでも……行き過ぎっ……!)

カイジ(第一アレだ…………世間にバラされるっつっても……)

カイジ(世間様が……どうしたよ?)

カイジ(もとから……世間に入り込めるような人間じゃねーだろ……俺のようなプーが……)

カイジ(だったら……何で世間なんか……今更気にする必要が……ある……?)

カイジ(どーでもいいだろうがっ……!……誰に……何と言われようが……別にっ……!!)


モノクマ「うぷぷぷ……それじゃ、期待して待ってるからっ……!」

モノクマ「では、解散っ…………!」


モノクマ退場後、善後策を考える一同……


石丸「各自……秘密をこの場で発表すればどうだろうか……!……なあ、兄弟……?」

大和田「それは……」


腐川「ムリっ・・・!」

セレス「不可能ですわ」

舞園「……私も」

不二咲「まだ・・・ちょっとっ・・・・」

桑田「苗木はどうだ……?」

苗木「えっと……その、……桑田クンは?」

桑田「んじゃ伊藤は?」

カイジ「……パスっ……」

桑田「誰か言うなら言えよっ……」

葉隠「桑田っちは言わないんだべ……?」

桑田「……」


石丸「み、皆……」


山田「やはり……なかなか……」

江ノ島「言えって……言われても……」

朝日奈「……」

大神「……」

霧切「……」


十神「……そういうことだ、石丸」

十神「お前にとっての秘密は……他人に知られても差し支えない程度のものなのかも知れんが」

十神「中には……そうでもない人間もいる……」

十神「……24時間以内か……ようやく……コロシアイ(ゲーム)が始まるかもな」


重苦しい空気の漂う中……体育館から出ていく十神

それに倣うように……流れ解散となったカイジ達……


―購買部―

カイジ「よっこらせっと……」

山田「しかし……私的な秘密を一般公開とは……プライバシーの侵害も甚だしいことを……!」

カイジ「でもよ……お前の場合も……秘密自体は事実だったんだろ?」

山田「まあ……それは確かに……」

カイジ「黒幕が単独犯なのか……あるいは組織なのか……その辺のことよくわからないが……」

山田「むむ……この学園を占拠できる程度の能力に加え……情報収集力……資金力も…………」

山田「一筋縄ではいかない相手……ということでしょうなっ…………!」

カイジ「……ああ」


がらっ・・


江ノ島「んー?……なんだ~伊藤と山田じゃない」

カイジ「……お、おう」

山田「これはこれは……江ノ島盾子殿」


江ノ島「何してんの?」


山田「伊藤カイジ殿がこちらのマシンで回収したアイテムを……運び出す途中でして」


江ノ島「へぇー……ってうわっ……大量だ~」


カイジ「ま、ここに放置するのもあれだから……とりあえず部屋に運ぼうかと思って……山田に手伝」


江ノ島「あっ……!これ……レーションじゃん!!」



山田「……ローション……?」

カイジ「おい」

カイジ「……それ、レーション……っていうのか?」


江ノ島「知らない?携行食料……ようは野戦食のこと!」


カイジ「は・・・?・・・野戦・・・?」


江ノ島「こういうアイテムも入ってたんだぁ……」

江ノ島「昔は運びやすさ重視だったけど……最近のは保存性も高いし、メニューも増えてるんだよ」

江ノ島「移動後に痕跡を残しにくいレトルト系とか、フリーズドライ系とかいろいろあってさぁ」


カイジ「そ・・・・そうなんだ・・・・・・」

山田「ではでは……江ノ島盾子殿……おひとついかがで……」


江ノ島「マジ!?くれんの?……さんきゅ!」


その後江ノ島、満面の笑みにて……退室


カイジ「おい……山田、最近の……ギャルって……ああいう話題を好むのか……?」

山田「……ひとくちにギャルといえども……歴女とか山ガールとか……いますから」

山田「ミリオタ系女子がいても……不思議ではありますまい……」

カイジ「ふーん……そうなの……」


―食堂―

大和田「…………」

石丸「兄弟……大丈夫か?」

大和田「……ん?」

石丸「どうも先ほどから……少し……顔色が」

大和田「な・・・なんでも・・・ねえよっ・・・!!」

石丸「そ…そうか……ならば、いいのだが……」


朝日奈「大和田もドーナツ食べる?元気出るよ……!」

大神「我は……プロテインコーヒーを推薦しよう……」


大和田「ほっとけ・・・」

石丸「……」


―寄宿舎エリア・廊下―

山田「あと1時間少々で……夜時間ですな……」

山田「というわけで……僕はこの辺で」

カイジ「ああ、手伝ってくれて助かったよ……山田」


カイジ、山田と別れた後……

小腹が空いたので……倉庫へ向かおうとしていた……その中途っ……!


不二咲「い、伊藤クン……!!」


カイジ「……不二咲?」


不二咲「あ、あのさぁ……」


カイジ「どうした……何か……用か……?」

不二咲「そのっ……」

カイジ「……?」


不二咲、ここで深呼吸……!……そして、次に発した言葉はっ……!!


不二咲「だっ・・・・!」


カイジ「だ……?」



不二咲「・・・・・・・・脱衣麻雀が・・・・・・・・・やりたいっ・・・・・・・・・・!!」



カイジ「・・・・・・・・・・・・ッ!?」



…………カイジ、驚愕…………!!

次に続く

乙乙

これは殺し合い回避ですわ 乙つ

ちーたんのバスタオル姿がっ……!

カイジの脱衣なんて誰も得しないからな...

皮でも脱ぐのかな?(無慈悲)

美心が得するよ!

残姉が早速ボロ出しててワロタ

麻雀の面子あと2人誰が入るんだろ?

前回(やる予定だった人達)と同じじゃね?

大和田、セレスが本命だが・・・
他の面子も見てみたい・・・!

大和田とか完全カモじゃないですかー
セレスはむしろ参加しないんじゃ?まだ餃子上手く出来てないし

ん、あれ?ちーたん関連となるとまさか大和田石丸の二人か?
特に石丸はすぐ脱ぎたがる感じだし

麻雀だし石丸は参加しないんじゃね?


―寄宿舎エリア・廊下―

カイジ「はっ・・・・おい・・・ちょっと・・・・・?」


カイジ、目が点っ……!

一方の不二咲、念押し……!


不二咲「ダ・・・ダメ・・・かな・・・・・・・」


カイジ「いや……ダメとか……そういう話の前に…………」

カイジ「お前……分かってる……?自分が……何言ってんのか……?」


不二咲「……うん、分かってるよ」


ここで不二咲、何かを決意したような……真っすぐな視線…………!


カイジ(ッ……こいつ……本気(マジ)だっ…………!)

カイジ(何ていうか……こいつの瞳……凛とした……表情……)

カイジ(ある種の……男気を……感じるっ…………)

カイジ(女の不二咲に……男気ってのも……変な話だがっ…………)


不二咲「あ、あのねっ……!」

不二咲「図書館にあった……麻雀の本……読んでみたしっ……」

不二咲「点数計算とか……面白くてっ……覚えちゃったし…………!」


カイジ「あ、あのさっ……」

カイジ「麻雀が……やりたいんなら……やってもいい……むしろ歓迎なんだがっ……」

カイジ「別に……あえて……脱衣麻雀じゃなくてもっ……」



不二咲「そ・・・それじゃ・・・・ダメなのっ・・・・・・!!」



カイジ「……どうして……?」

不二咲「脱衣麻雀じゃないと・・・意味が・・・ないのぉ・・・・・・・」


カイジ「意味…………?」


不二咲「あ、あのねぇ・・・・」


不二咲「やったら・・・・分かるから・・・・・今は・・・・・・まだ・・・・・聞かないでっ・・・・・・・」


不二咲、顔を赤らめっ……モジモジとした……仕草…………!


カイジ「…………」

カイジ(やばい……こいつ……ガチで……可愛い…………)


不二咲「だから・・・・お・・・・・お願いっ・・・・・・・・!」


カイジ、ある種の色仕掛けに……!

抗えず……籠絡っ…………!


カイジ「し、仕方ねぇ・・・・・・受けてやっても・・・・・いい・・・・・」


不二咲「・・・・ありがとうっ・・・・・・!!」


カイジ「だが……どうする?……今日はもうじき……夜時間だが…………」


不二咲「今日……やらなくちゃ…………」


カイジ「……」


不二咲「ううん……今日……やらなきゃダメっ…………!」

不二咲「今日、一皮剥けなきゃ…………!」

不二咲「僕に……未来(あした)は来ないっ…………!……今までの自分を……変えられないっ……!!」


不二咲、これまでの様子とは打って変った……熱弁っ……

自身の秘められた過去を振り切り……新しい未来へ突き進まんとする……その躍動っ……


カイジ、不二咲の変化に……何かを感じ取り……そしてっ……!


カイジ「クク・・」


カイジ「いいぜっ……!やろう、脱衣麻雀っ……!夜時間なんざ……関係ねぇ…………!!」


その後、カイジ……段取りを引き受ける


―倉庫―

カイジ「貸してくれっ……」

セレス「……無償でですか?」

カイジ「勿論……タダでとは……言わねぇ……!」

カイジ「……これと引き換え……なんて、どうだ……?」


カイジ、モノモノマシンでドロップした……あるアイテムを……ゴスロリ服に差し出すっ……!」


セレス「……まぁ……」


それは……骨董品……アンティーク・ドールっ……


カイジ(何となく……この女が欲しがりそうなモノを……チョイスしたがっ…………どうだ……?)


セレス「……ほんの僅かですが……見直しましたわ」

セレス「……特別に拝借させて差し上げてもよろしいですわよ」


カイジ(よしっ……!)


カイジ、まずは……肝心の……麻雀用具を調達っ……!


セレス「ですが……伊藤君、もしや……夜時間のルールを破って」

カイジ「一人で部屋で練習するだけだ……いやほんとにっ……」

―寄宿舎エリア・廊下―


時刻は……夜時間間際……


カイジ(さて……お膳立ては……できた……)

カイジ(後は……雀卓を囲む……残り2人なんだが……)

カイジ(1人は……山田でも呼ぶとして……)


カイジ(もう1人……!……不二咲が……どうしても……勝負したいという相手っ…………)


カイジ(つい……その場のノリで……『俺が……呼んでくるから……任せろ』……)

カイジ(なんて言っちまったが……正直……声すらかけづらいっていうか…………)

カイジ(だが……不二咲のやつの……たっての希望だ……)

カイジ(約束は……反故にはしねぇよっ…………!)


ざっ・・    ざっ・・


カイジ(!……あいつだ……)

カイジ(これ以上にないタイミングで……こっちに……向かってくるっ…………!)



石丸「僕は兄弟の過去が……どんなものであろうと……すべて受け入れるからなっ……!」

大和田「兄弟……気持ちは……ありがてぇがよ…………」

大和田「オレは…………」



カイジ「……大和田ッ……!!」



石丸「伊藤君っ……?」

大和田「あぁ?……オメェは…………いきなり何だよ?」



カイジ「…………一肌……脱がないかっ……!!」



……カイジ、説得開始

次回に続く


しかし脱衣麻雀で女(?)一人を男3人で囲むとかww

残兄

そろそろ殺人起こしてください

一肌脱ぐ、が別の意味に見えるwwwwww

あれ?
カイジが青いツナギ着てる?

いや最高だこの展開ww
カイジらしいしこんな方法で回避するSSは初めて見た。斬新すぎるww

しかしこの面子で脱衣麻雀とは♂

なんかカイジがラノベ主人公っぽくなってきたな

石丸の前でそれは無茶だろ・・・

脱 が な い か

>>474
アーーーー♂

―寄宿舎エリア・廊下―


大和田「……あ?」

石丸「……?」


一瞬間、意味を理解しかねる2人を前に……カイジは続ける


カイジ「要するに……麻雀をしないかっ……ていう誘いさ」

カイジ「ただし賭けるものはアイテムでもメダルでもねぇ……身につけてる服…………」

カイジ「すなわち…………脱衣麻雀っ…………」


大和田「…………はぁ……?」

石丸「な……」


カイジ(……とりあえず大和田を誘い込む……つもりだった…………が)

カイジ(この場に……風紀にうるさい男がいる以上……それは難しい……)

カイジ(咎められるに……決まっている……)

カイジ(……だったら……逆に!)

カイジ(石丸も……こっち側に引き込むっ…………!)

大和田「オイ……いきなり何言い出すかと思えば……」

大和田「何でオレがオメェなんかと……ンなこと」

石丸「それよりも伊藤君……!」

石丸「もう夜時間も近いというのに……!……それも麻雀……とはっ……!」


カイジ(まずは大和田だ……こいつの攻略法は……すでに考えているっ……!)

カイジ「実はよ……ある人物から……お前を交えて……脱衣麻雀をやりたいっていう話を受けてな」


大和田「は?……誰だよ……ある人物って……?」


カイジ「……知りたいか?」


石丸「伊藤君!……兄弟も……!麻雀などというっ……」


カイジ「石丸ッッッ!!」


石丸「っい……!?」


カイジ「少し黙っててくれないか……今、大事な話をしてんだよ……男同士のなっ……!」


石丸「……む」



大和田「……ッ……大事な話ってんなら……さっさと続けろよ」

大和田「で……ある人物ってぇのは……?……桑田とかだったらぶっとばすぞ……」


カイジ「……不二咲さ」

大和田「・・・・・・なっ・・・・・・」


石丸「ふ、不二咲君……だと……!?」



カイジ「……そうさ」


この時大和田、カイジの胸倉に掴みかかるっ……!


大和田「てんめぇ……フザけてんのか……?」

カイジ「……ッ……」

大和田「……オレをおちょくろうってか……?……あぁん?」


今にも拳が一発飛んできそうな距離感……しかしカイジ、冷静


カイジ「冗談なんかじゃねぇよ……俺は不二咲と……確かに約束、したからな……」

大和田「約束だぁ……?」

カイジ「ああ……来るぜ……あいつ……必ず」

大和田「ざけんなよ……オメー……あれだろ?……不二咲の奴を無理やり引き込んだとかよっ……」

大和田「弱い物イジメだったら……承知しねぇぞっ…………!!」

石丸「兄弟……暴力はっ……」


カイジ「……俺が……そんなことできるやつに……見えるか?」


大和田「……知るかよ」


カイジ「不二咲に聞けば……分かる……」

カイジ「あいつは……本気(ガチ)だ……!」

カイジ「脱衣麻雀を……やることに……あいつは……もうガチガチ…………」

カイジ「信念の塊っ……そんなものすら感じた……」

カイジ「その不二咲が……どうしても……お前と一緒に……やりたいと言っているんだ」

カイジ「だから俺は、不二咲のために……お前を連れてくると……約束したっ……!!」

カイジ「……“男同士”の約束をだっ……!!」


大和田「ッ……!?」

石丸「な……!?」

大和田「男同士だと……何言ってやがる……?不二咲は……!」


カイジ「確かに……不二咲は性別上は女だがっ…………!」

カイジ「この約束をした時……あの時のあいつの何かに決意した表情はっ…………!」

カイジ「あれは女のそれじゃなかった……!……“漢”のカオだった…………!!」

カイジ「タイマンで大勝負に出る時の……そんな顔だ…………!!」



大和田「……で、でもよっ……」

大和田「表情がどうといっても……あいつは女に変わりはねぇんだ…………」

大和田「当然、女の体してるだろーが……」

大和田「……脱衣麻雀なんて……よ……」


カイジ「……逃げるのか?」


大和田「…………何だと?」

カイジ「確かにそうさ……男が脱ぐのと……女が脱ぐんじゃ……意味が違う」

カイジ「羞恥心のレベルが違うんだろう……俺は男だから分からねぇが……」

カイジ「だがよ」

カイジ「不二咲は……最初から……そんなハンデを背負いながらっ…………!!」

カイジ「イーブンで勝負したいっ…………て言ってんだ…………!!」


カイジ「その勝負から……逃げるっていうのか……大和田?」


大和田「…………」


カイジ「男なら…………!!」




大和田「……受けて立て……ってんだろ……?」


石丸「!……お。おい!?」


大和田「分かったよチクショー!!……脱衣麻雀だろうが野球拳だろーが受けて立ってやんよ!!」

大和田「その変わり、もじ不二咲が泣くようなことがあったら……オメェ泣かすぞコラァ……!!」


カイジ「好きにしろ……」


どさりっ・・


大和田、ようやくカイジの胸倉から手を放し、解放……すでにやや涙目のカイジ


カイジ(何とか……上手くいった……)

カイジ(昨日風呂場で……苗木からこいつの逸話とか性格とか……多少聞いていたのが良かったな……)

カイジ(さて……次は……)


石丸「待て待て待て……!!……僕はそのような行為……認めんぞっ……!!」

石丸「夜時間だぞ……!その上麻雀……!しかも……脱衣だとォ………?」

石丸「不二咲君がどう言っていようと……!そんな不純異性交遊的な……行為っ……!!」


カイジ「聞けっ…………石丸!」



《キーン……コーン……カーン……コーン……!!》


―図書室―

翔「ゲラゲラゲラっ……!……つーか夜時間入っちゃったよ……ま、関係ないけど」

十神「…………」

翔「あっ何気にアタシやばくね……?明日になったらバレる系……?」

十神「…………」

翔「仕方ねーな……いっちょ殺っちゃう?……イケメンメガネ料理しちゃう……!!」

十神「ふん……俺を殺せるものなら殺ってみろ」

十神「一介の幼稚な殺人鬼ごときが……ませた口を聞くな」

翔「ゲラゲラゲラッ……!!咬ませメガネがませた口聞くなってよ~んっ……!!」

十神「…………ッ」

翔「…………ふぇくしっ!!」


腐川「あ・・・・れ・・・・?」


5日目の夜は……続く

次回に続く
>>472 まあ最初は一部の男キャラ以外絡まないでいこうかと思ったが……

せっかくのクロスだしガンガン絡んで欲しいわ

おもしろそう


―寄宿舎エリア・廊下―


石丸「むしろ君が聞きたまえ!」


カイジ「俺は知っているんだぞ……」

カイジ「お前が昨日……夜時間のルールを破ったことをな!」


石丸「ぐっ・・・・!」


カイジ「苗木から……小耳に挟んだ」

カイジ「お前ら……サウナに籠って……我慢比べを……やってたんだろ?」

カイジ「違うか……?」


石丸「そ、それはっ……」

大和田「確かに、それは事実だ……違わねぇよ……」


カイジ「風紀委員のクセにだ……自分からそのルールを破っておいて……」

カイジ「その一方で、俺達のルール違反には……厳しくあたる……」

カイジ「おかしくねーか…………?」


石丸「し、仕方がなかったのだっ・・・・!」

石丸「昨晩の兄弟との一戦……あれには特別の意味があった…………」

石丸「そう……男と男の真剣勝負……!!」

石丸「あれは……引くわけにはいかない……乾坤一擲の大勝負だったんだっ!!」

石丸「たとえ夜時間に突入してしまおうとも……逃げるわけには……いかなかった……!!」

石丸「あのような場合ならば……!時には!……ルールを破ったとしても……それはっ!」


石丸「例外……!例外だ……!原則守らなければならぬルールにも……時には例外が必要なのだよっ!!」


カイジ「その通り・・・!!」


カイジ「だからこそ、今夜も例外なんだよっ……!!」

カイジ「これはただのお遊びじゃねーんだ……!!」

カイジ「不二咲と大和田の…………!」

カイジ「…………“男と男の真剣勝負”なんだからよっ…………!!!」


石丸「く・・・うっ・・・・!」


大和田「乗せられて言うのもなんだがよ」

大和田「そういうことだ……兄弟」

大和田「悪りぃが……オレは今夜も夜時間の外禁は……守らねぇよ……」

大和田「まぁ、もともとあの女が言いだした……口約束だけの決まりだ」

大和田(それによ……どーせ気が気でなくて眠れねーなら……)

大和田(何かやって……気ぃ紛らわせてるのがマシだッ……)


石丸「……っ……」


カイジ「そこでだ……石丸」


石丸「な、何だい……伊藤君……?」


カイジ「お前も……混ざれ…………!」


石丸「な・・・・!?」


カイジ「あと1人……席に空きがある……」

カイジ「麻雀ってのは……基本的に4人で打つものだからな」

カイジ「それに……お前がその場にいることで」

カイジ「監視役が、つくことにもなるんだ」

カイジ「万一、お前が言う……不純異性なんちゃらに発展しそうになったら」

カイジ「お前がその場で……止められる!……現場を、差し押さえられる……!!」

カイジ「その方が都合がよくないか……石丸?」


石丸「ぐ・・・た、確かに・・・・」

石丸「だがしかし・・・!この僕が・・・麻雀に興ずるなどっ・・・!!」


カイジ「石丸……お前、麻雀をやったことがあるか?」


石丸「い、いや……ない」


石丸「だがしかし……!」


石丸「麻雀などに使う時間があるのなら……もっと他にやることがあるだろう……!」

石丸「学生の本分は勉学にある!」

石丸「麻雀で一体……何を学べるというのだ……!!」


カイジ「ククク……分かってねぇ……お前分かってねぇよ、石丸」


石丸「な、何が……おかしい……?」


カイジ「この前、俺に小一時間ほど説教をしたことがあったろ?」


石丸「……確かに、あったな」


カイジ「……あのお説教……まったく心に響いてこなかったぜ」


石丸「んなっ・・・!?」


カイジ「何故か分かるか?……いや、今のお前じゃ分からないだろうさ」

カイジ「お前の言っていることは……全部正論なんだっ…………!」

カイジ「絵にかいたような綺麗事……理想論に終始…………」

カイジ「だがよっ!!それだけじゃダメなんだよ……!!」


カイジ「お前はお前の考え方を貫き通したいだろう……だがっ……!!」

カイジ「果たして他の連中が……お前の理想論……固執した考え方に」

カイジ「万々歳で賛同してくれるのか……?」


石丸「・・・ッ」


カイジ「清き水には魚棲まず……ってことだ……」

カイジ「お前がいくら声高に……賭博が違法だの何だのと叫ぼうが」

カイジ「……この世から賭博をやる奴がいなくなるはず……ねぇんだよ…………!!」


石丸「ぐ・・・く、くぅ・・・」

大和田「お、おい……そんなにヘコむなよ」

石丸「だったら……僕は……どうすればいいというんだっ……!」


カイジ「おいおい……簡単なことだろ」

カイジ「一緒にやろうぜっ…………麻雀」

カイジ「正論で凝り固まってる思考を解すには……視野を広げるのが一番じゃないか?」

カイジ「頭ごなしに批判するんじゃなく……まずは一度」

カイジ「……自分でやってみねぇと……わからねーだろ」


カイジ「本当に……麻雀をするのは…時間の浪費でしかないのか……あるいは」

カイジ「麻雀にも……何か学べるところがあるのかどうか」


石丸「…………」


カイジ「俺は保証するがな」

カイジ「麻雀は……奥が深いっ…………!!」

カイジ「ただのベンキョーじゃあ味わえない……」

カイジ「その面白さは……必ず石丸にとって……有意義になるはずだ……!」


カイジの怒涛の弁舌を前に……とうとう石丸……決心するっ……!


石丸「…………フフフ……ハッハッハッハッ…………!!」


大和田「兄弟……!?」


石丸「いいだろう伊藤君……そこまで言うのなら、その奥深さとやらを……味わおうじゃないかっ……!」


石丸「確かに君の言うとおり……僕は少し……視野が狭かったのかも知れん……」

石丸「中学時代……級友達との世間話…………あれがまるで続かなかったのだ……」

石丸「例えば、好きなゲームの話やテレビ番組、商業雑誌、その他諸々……」

石丸「何の教訓も得られまいと思ったものには……全く手を出してこなかった……」


石丸「だが……!」


石丸「よくよく考えれば……」

石丸「大勢の人々を惹きつける物事には……何らかの学ぶべき部分があってしかるべきなのだ!!」

石丸「これからは……その点をきちんと踏まえたうえで……!」

石丸「風紀の向上を目指して精進していくとしよう!!」


カイジ(はは・・・上手くいった・・・予想・・・以上に・・・・・)



その後、午前0時にある部屋の前に集合することを約したカイジ達は、一端各部屋へと戻った

そして……


―大浴場前・廊下―


大和田「ここで……やんのか?」

カイジ「ああ……すでに卓なんかは中に持ち込んでいる」

カイジ「それに……どうせなら……脱衣しても問題ない所の方が……よくないか?」

大和田「……脱衣室か」

カイジ「それにここなら……監視カメラもない、……多少の気休めには……なるだろ」


石丸「『初心者でも分かる麻雀入門』か……この手の本を読むのは初めてだ……」

不二咲「読みながらでやっていけば……段々ルールが分かってくると思うよぉ」


石丸「しかしこの点数計算というのは……複雑だな……」

石丸「ツモの場合……ロンの場合……振り込み……翻数……親の場合……子の場合……符…………」


不二咲「符計算は点数早見表を暗記すれば副底に加算するだけだから簡単だけど……」

不二咲「初心者なら符は省略して簡易計算をした方がいいよぉ……指折りっていうらしいんだけど」


大和田「ほぉー……不二咲、詳しいんだな……」


不二咲「えへへ……」


カイジ(流石は超高校級プログラマー……頭がキレるな……こいつ)


カイジ「ま、点数計算自体は……今回の場合あんまり関係ないがな……」


大和田「…………」

石丸「…………」


不二咲「……うん、そうだね」


大和田「不二咲……もう一度聞くがよ……」

石丸「そ、そうだぞ不二咲君……まだ後戻りは……できるんだ」


不二咲「さぁ……やろう、脱衣麻雀っ…………」


不二咲、大浴場へ向けて一歩前へ


そしてカイジ達を振り返り……もう一言


不二咲「それとね……もう一つ……隠してあるモノがあるの」


カイジ「……もう一つ?」


不二咲「すぐにね……分かるだろうから…………行こう!」


不二咲、たじろぐカイジらを置いて、先に脱衣室へ


石丸「い、行ってしまったな・・・」


大和田「うおりゃぁッッッ・・・!!!」


カイジ「!?・・・い、いきなり何だよ」


大和田「こうなりゃもう怖いもんなんざねぇよっ・・・!」

大和田「こちとら女への告白なんか10連敗中なんだよっ・・・・!!」

大和田「待ってろや不二咲・・・!・・・勝負だ勝負っ・・・・・!!」


大和田、不二咲に続き脱衣室へ


石丸「兄弟……少し発言が支離滅裂だったような……」

カイジ「緊張……してるのか……?」


そして、彼らに続くように……脱衣室へ向かうカイジと石丸

一方、物陰にて……偶然彼らの様子を見ていた人物が……1人


十神(石丸、大和田、伊藤、そして不二咲か…………)

十神(妙な組み合わせだ……)

十神(その上、あの妙な組み合わせで……黒幕の死角になる脱衣室に入っていくとは)

十神(フフ……これは確実に……何かが起こるな)

十神(……ここで様子を見ておくのも一興だが……夜が明ければ……露呈することだ)

十神(……明日は……朝のお遊戯会に……出向いてやるとしよう)



十神、ゲームのスタートに期待を抱きつつ……帰路につく……

この後、大浴場にて何が起きたのかは……カイジ達を除き……誰も知らない…………!


次回に続く

乙 引きが上手いな


ちーたんのストリップシーンが描写されるのか否か

例外……!って言ってる石丸の顔が班長に見えた

ただでさえ石丸ってゲーム強いイメージないのにやったことないんだから
あっという間に剥かれるだろうな。ちーたん男だから問題ないけど女だったら
危うくセクハラになる所だった。まあ女は脱衣麻雀しようなんて言わないけど

乙ー
説得の仕方が実にカイジらしい

麻雀慣れしてなくてもデジタル思考が得意なちーたんは結構強い?

男4人の脱衣麻雀wwwwwwww

ちーたんがちーたんじゃなかったら地獄絵図だったなww


カイジの説得がらしくていい

脳内再生が余裕すぎる

えっ、藤咲って男なの・・・?

>>485
あー すまん
別に悪い意味じゃなくて、原作男ばかりだから女と絡むカイジは珍しいなって

えっゲームもアニメも見てない奴いるの?


>>517じゃないが悪いけど俺もダンガンロンパは知らないな
カイジは知ってるから見てる

ダンガンロンパ知らない人もいるみたいだし、なるべくコメントでのネタバレは控えた方がいいのかな?

知らないのに見るのがおかしい どんどんネタバレしていこう

まあそこら辺は自己責任でってことで

おっつん

凄いな…カイジ世界にダンガンキャラが、じゃなくてダンガン世界キャラ達の中に
カイジが入っただけであとはちんぷんかんぷんでも読ませる力があるとは…

ダンガン知らないと設定とか世界観とか意味不明なんじゃと思うが

すまんな 苗木が主人公ってのとモノクマが青狸ってことしか知らんのよ
原作見る予定もないしネタバレばんばんおっけーやでー


―大浴場・脱衣所―


4脚の椅子で雀卓を囲み……倉庫から持ち込んだ菓子類等を頬張りつつ……進行していく脱衣麻雀……!


その夜、カイジ達の戦いは……様々な局面を内包した


非常に濃密な時間となった



≪……各人の着衣……おおよそ≫

不二咲:シャツ、上着、リボン、ストラップのドレス、パニア、靴下、下着

大和田:コート、インナー、ズボン、ベルト、下着

石丸:上着、ズボン、袖章、靴下、(腕時計)、下着

カイジ:ジャケット、ジーパン、インナー、ベルト、靴下、下着


石丸「バ、バカなっ……!」

石丸「3枚一組の組み合わを4つと……2枚1組の組み合わせ1つ……」

石丸「たったそれだけを作る作業だというのに……なぜ……」

石丸「僕だけ極端に上手くいかないんだっ…………!」


不二咲「お、落ち着いて……石丸クン」


大和田「それが簡単にできりゃ……苦労しねぇって」


カイジ「基本的な役の立直だが……そこまで持ってくるのに」

カイジ「どの牌を捨て……どの牌を残すか……明確な方針を立てることも必要だが……」

カイジ「変化する状況に応じて……柔軟な対応力も必須」

カイジ「手持ちの14の牌を……上手く揃えるだけのことだが……ありとあらゆる戦術が試される」

カイジ「勿論、それに加えて運のツキ、流れと言った抽象的な要素も取り沙汰される……」


カイジ「なあ……面白いだろ……?」


石丸「むむむ・・・・・!」

石丸「完敗だな……だが」

石丸「次は……負けんっ……!!」

石丸「ルールを深く理解し……!練習を通じて勝負勘を磨き……!」

石丸「勝てる実力を身につけるぞっ…………!」

石丸「絶え間ない“努力”は……決して自己を裏切らないのだ……!!」


大和田「お、おう……頑張れ」


カイジ(どんだけ精通したところで……絶対勝てる戦法なんざねぇがな……)

カイジ(言うなりゃ……麻雀を打つ人間の数ほど……“必勝法”があるって感じか?)

カイジ(イカサマがあると話は別だが……)


石丸「今回は……仕方が……あるまいな……では…………いざ」


大和田「お、おい!!」

大和田「兄弟……お前もうブリーフ一丁だろーが……!」

大和田「マジで……脱ぐのかっ……?……不二咲の……前でよっ……!!」


不二咲「大丈夫だよぉ……大和田クン」


大和田「だ、大丈夫って……お、お前なぁ……っ……」


この時カイジ、これまでに抱いていた……違和感が増幅っ……


カイジ(ちょっと……待てよ……男のアレ……見ることになるんだぜ……?)

カイジ(それを前にしてよ……この清々とした……表情は何だ…………?)

カイジ(女なら……少しは……顔色変わるだろ……?)

カイジ(かといって……コイツがアレを……見慣れてるような女には……どうしても……見えねぇ)


石丸「“男と男の勝負”に割って入った身なのだっ……!!」


石丸「今更……条件を反故にするなどもってのほか……!!」

石丸「……いざっ!!!」



石丸、脱衣ッッッ……!!!



この瞬間、石丸……飛ぶッ……ハコテン……!

否……正確にはマイナスにはならない……零状態……!


およそ10秒間、すべてを晒した後……大和田が放った腰巻で秘部を隠匿……!


そして尚……勝負は続行……!


……しかる後……



大和田「ぐっ・・・・」


カイジ「詰んだな……大和田……」


石丸「兄弟っ……」


不二咲「大和田クン……」


大和田「へっ・・・・次やる時は・・・倍返し・・・してやんよっ・・・・」



石丸に続き…………大和田……撃沈っ…………!!



大和田「おらあああああっ・・・・・!」

大和田「兄弟が男を見せた手前・・・オレが引けるかったんだっ・・・・!」


大和田、甘酒を飲みほし……!覚悟を……決める……!


大和田「み、見てろやっ・・・・!不二咲ィっ・・・・・・・!!」

大和田「ビッグマグナムって・・・・ヤツをよぉおおおおおおおおぉっ・・・・・・!!!」


ばさあっ・・・!




残るはカイジ、不二咲の2人……!


もちろん石丸と大和田も卓を囲む状況に変わりはないが……

すでに破産……失うもののない2人に漂う……緩やかな安息感……!


石丸「ハッハッハ・・・全てを失った堕落と退廃・・・こんな感覚・・・初めてだっ・・・!」

石丸「学年最下位の成績をとった人間の気持ちとは・・・こういうものなのかも知れんっ・・・!」


大和田「そういやオメェは一応・・・優等生だっけなぁ・・・・!」

大和田「にしてもよぉ・・・喉元過ぎたら・・・っつーのはまさにコレだな・・・・!」

大和田「もう何も恥ずかしくねーよ・・・!!」


残るカイジは上半身裸……一方の不二咲……未だに靴下と上着を脱いだのみ……!

予想以上の善戦っ…………!!


カイジ「しかし不二咲……思った以上にやるなっ……」


不二咲「ううん……こうやって実物の牌を使うのは初めてだし……」

不二咲「オンラインで試しにやってみたことがあるくらいだよぅ……」


大和田「ビギナーズラック……ってやつか……?」


石丸「凄いじゃないか……不二咲君……いや……不二咲先生……テクニックをご教授いただきたいところだ!」


不二咲「そ、そんなぁ……先生だなんて」


カイジ(ビギナーズラック……確かにそういう側面もあるかも知れないが……)

カイジ(こいつのことだ……おそらく……計算されている…………計算された戦術)


カイジ(……いわゆる……デジタル思考っ……)


カイジ(「運」や「流れ」といった……アナログな……ある意味オカルト的な要素を削り取った……)

カイジ(統計的な……手法……!)

カイジ(……無論、俺の頭じゃ……到底理解に及ばないような……理論とか……そういうの)

カイジ(使ってるんだろうけど……)


カイジ(さて……問題はここからだ……どうする?)


石丸「ところでだが……不二咲君」


不二咲「え……なぁに?」


大和田「いやよ……今日はオレの……負けだ……」

大和田「んなわけで……とりあえず……この勝負はお開きにしねぇか?」


不二咲「えっ……?」


カイジ「…………」


石丸「そ、そうさ……いくら不二咲が好調といえども……残るは伊藤君との一騎打ち……」


大和田「こん中じゃ一番麻雀やりこんでる奴だ……何が起こるか……わかんねぇしよ……」


大和田、ちらりとカイジに視線をやる


カイジ(……確かにな……まだまだ俺が挽回できる好機は十分にある)

カイジ(不二咲のことを考えるなら……この辺で……)

カイジ「不二咲……」


不二咲「それは・・・ダメっ・・・!」


カイジ「……!」


不二咲「決着がつくまで・・・やらせて・・・!!」


大和田「……オ、オイ!?」


石丸「……ッ!?」


不二咲「最後まで勝負するって・・・最初に約束したんだからっ・・・・!」

不二咲「投げ出したり・・・したくないのっ・・・・・!!」

不二咲「・・・最後まで・・・・やるよっ・・・・・!!」


カイジ「…………」


大和田(不二咲……伊藤の言った通りだ……)

大和田(男気ってやつだ……)

大和田(今までは……普通に気弱な女だとしか思ってなかったが……)

大和田(度胸があるじゃねぇか……オレなんかより……ずっと……!!)


カイジ「……そうこなくっちゃ」


石丸「!……伊藤君!?」


カイジ「ここで投げ出されちゃ……正直たまんねぇよ……!」

カイジ「ケリをつけようぜ……不二咲っ……!!」


不二咲「……うん」

不二咲「手加減……しないでね……」


カイジ「ったりめぇさ……!」

カイジ「ゲーム再開だ……!……混ぜるぞっ……!」


大和田「……おうよっ……!」

石丸「わ、……分かった……!」




経験で勝るカイジか、あるいはデジタル戦術の不二咲か……!!

白熱の戦いは……未明に決着を迎える……!!




そして……早朝……午前6時ごろ

カイジ達は……広々とした大浴場の中にいた


―浴室―


石丸「いやはや……朝シャンというのは……気持ちのいいものだな!」

カイジ「まぁな」

石丸「麻雀という新鮮な体験もできたし……不二咲君とも仲良くなることができた」

石丸「実に有意義な時間を過ごせたよ……伊藤君!」

カイジ「そう言ってもらえると……こっちも誘った甲斐があるさ……」

石丸「そして……兄弟の過去のことだ」

カイジ「全国的に有名な暴走族の2代総長の奴は……1代目の兄を……“殺した”……」

カイジ「いや……実際ドリフトで大和田が暴走しちまって……奴の助けようと身代わりになった兄が死んだんだ」

カイジ「大和田に直接の非はないが……」

石丸「兄弟にとって、“越えられない壁”であった大亜(あに)の存在……その死」


石丸「そして大亜(あに)の遺言……『オレ達の族(チーム)を守れ』……」


カイジ「族を守れという……兄との“男の約束”を果たすために……あいつは……」

カイジ「兄の事故死の真相を……舎弟に知られるわけには……いかなかった」

石丸「だからこそ……兄弟は口を固く閉ざしていたのだ……」

石丸「兄弟の過去……兄を自分が“殺して”しまったこと……それが世間に知られてしまえば……」

カイジ「自身への求心力の喪失……果ては兄と弟、二人で築きあげた族の崩壊……それを恐れるがために……」


石丸「今回の“動機”……兄弟の秘められた過去が……まさにそれだったとは…………」

カイジ「はぁ……俺には……わかんねぇな……暴走族の縦社会ってのは………」

石丸「僕にも……分からない……だが」


石丸「兄弟は……その過去を全て……僕達に打ち明けてくれた……」

石丸「兄弟は……兄弟なりに……秘密が暴露されてしまうという事実を、それに対する恐怖を……受け入れ……」

石丸「それを直視することで……一山乗り越えたんだ…………」


カイジ「自分自身の恐怖心……最大の弱みから目をそらさず……立ち向かうことを……決意した……ということか」

カイジ「一歩間違ってたら……あいつ……万が一のコトを起こしてたかもしれないな……」

石丸「兄弟に限って……そんなことはなかっただろうが…………可能性は……あったかもしれない」

解決しちゃってるしww

石丸「そういう意味でも……伊藤君には感謝している!」

石丸「兄弟が……過去を打ち明けられるような……環境を作ってくれたことを……」

カイジ「俺よりも……あいつに礼をいうべきだ……不二咲に」


カイジ「結局あいつが……脱衣麻雀なんて言い出さなかったら……あの一席は実現しなかったんだ」


カイジ「そして……あいつが……あの場で……」

カイジ「勇気を振り絞って……カミングアウトしなかったらな」

石丸「……そう、だな」






カイジ「しかし……まさか……不二咲が……」

石丸「……男子……だったとはっ……!!」


―サウナ―



そこには腹巻きをした大和田と、バスタオルを巻いた不二咲の姿が……!



大和田「今日から始めるか?……トレーニングをよぉ?」

不二咲「うんっ……!付き合ってくれて……ありがとう」

大和田「よせやい……それぐらい、あと桑田あたりにも声かけてみるか……仮にも野球の天才だ」

不二咲「……そうだねぇ」

大和田「……ありがとな……」

不二咲「え……?」

大和田「弱さを認める強さってのを……オメェに教えてもらった」

不二咲「そんなぁ……僕は全然強くなんか……」

大和田「強い……不二咲、オメェは強い…………嫉妬しちまうくらいによ」

不二咲「……大和田クン」

大和田「だから……オメェのお蔭なんだ……オメェの強さを見て……」

大和田「オレももっともっと……強くなんねぇと」


大和田「秘密がバレちまったくらいで……族をまとめられねぇようなヤワな男じゃなく」

大和田「もう一回り……大きくなって……」

大和田「こっから……出ようってな…………!!」


不二咲「大和田クン……」


大和田「こっから出たらよ……一緒に“暴走(はし)”ろうぜ……!」

大和田「バイクのケツに……のっけてやっからよっ…………!!」

不二咲「…………うん!」


新たな友情の……芽生え

一方、同じ頃……


―寄宿エリア・廊下―


十神(7時にはまだ早い……先にランドリーで洗濯を済ませておくか……)

十神(下々の連中と無駄に顔をあわせるのも気に食わんからな……)


十神(…………ん?)


僅かに漏れる浴場の照明に……人の気配を察する十神

気になり……中に立ち寄る


―大浴場・脱衣所―


十神(……誰か風呂に入っているのか)


辺りに散らばる服に当然見覚えはある……!

16人全員、毎日服装が変わらないのだから……!!


十神(これは……夜に目にした……あいつら4人の……)

十神(4人……ということは……不二咲も一緒に中に……?)

十神(そして……これは……麻雀卓か……?)


その時十神、ローカーの一角で……ある物を発見…………!


十神「む……これは」


それは……ノート型のパソコン……


十神(図書館に置いてあったものだな……いつの間にかなくなっていたので……多少気になっていた……)

十神(確か故障していたはずだが……スリープモード?……動作するのか……)


パソコンを立ち上げる十神、……そして……画面に現れたのはっ…………!



「おはようございます……ご主人タマっ…………!」

十神「……ッ……」



《おはようございますっ……!7時になりました…………!》


学園生活6日目の始まりを知らせる校内放送…………!



この直後、風呂からあがったカイジ達4人と……鉢合わせになった十神は……

珍しく……面喰った顔していたという…………

次に続く
麻雀描写はあんまり長くなってもあれなのでこれぐらいで……


このまま犠牲無いといいなぁ……


次は非常に福本らしい「金」が動機のギャンブラーが相手だな

すごくおもしろい
麻雀のも長さちょうどいい


セレスのラスボス臭ヤバイ

というか>>552のIDすごすぎワロタ
これ神IDだろ

乙 面白いわー

>>552本人乙

>>552
IDかっこよすぎィ!

金が動機だとむしろカイジが[ピーーー]可能性が…

まじかい?乙だい!

カイジは間違っても殺人はしないだろう そういうキャラだ

カイジは非情になろうとしても最後の一線は越えない、越えられない人間だからな。

追いついた
カイジいいなー。結果的に殺人も止まってるとか凄い

カイジは人[ピーーー]度胸だけはからっきしだからな・・・
最新刊で根底から善人って事で和也怒らせてたし

―食堂―


がらっ・・


十神「…………」


朝日奈「あっ……十神だ!」

苗木「おはよう!……十神クン」

舞園「十神君……朝食会に来てくれたんですね」

霧切「…………」

桑田「つーか……後ろ、珍しい組み合わせだな?」

大神「十神よ……」



十神「どうして俺がこいつら4人と一緒に居るのか……などとは聞くなよ……」

十神「……愚問だ」


大和田「ったく相変わらず鼻につく言い方しかしねぇな……オメェはよ」

石丸「とりあえず皆!……朝食会に遅れて来てしまってすまない!!僕が代表して謝罪しよう!!」


朝日奈「別に気にしないでいいよ~石丸」

朝日奈「葉隠と……腐川ちゃんもまだ来てないしね」


カイジ「ま、遅れたのは……仕方ねーって……」

不二咲「そうだよねぇ……」


朝日奈らが気を利かして用意した朝食を皿に取り……席に着くカイジ達4名

十神は自ら厨房に向かい、用意をしている間に……残る2人も姿を現す


葉隠「寝坊じゃないべ……ちょっと宇宙人にキャトられるビッグマックの夢を見てただけだべ」

腐川「十神く……ううん白夜様ぁ……こっちにいらしたのなら…………」

十神「黙っていろ」

十神「これで全員揃ったな……さっさと始めたらどうだ」

石丸「そうしよう……これより第4回朝食会を開催するっ……!!」



(参照・座席イメージ)

         

霧切 セレス 苗木 舞園 大神 朝日奈 江ノ島

―――――――――――――――――――――――        
                              
                              
―――――――――――――――――――――――        
葉隠 山田 桑田 大和田 不二咲 カイジ 石丸





 十神
――――
――――
 腐川


↓食堂入口↓



江ノ島「あれー?十神にしては……妙に友好的じゃね?」

朝日奈「口調は相変わらずだけどねー……」

山田「もしや……何らかのイベントが発生してデレ期到来……といったところで?」

桑田「誰得の展開だよ……」


腐川「あ、あたしが得するに…………決まってるじゃないっ…………」

十神「黙れ……」

腐川「はいっ・・・黙りますっ・・・・」

十神「俺がここに出向いてやった理由は……」

十神「そこの4人から……情報を得るためだ」

十神「それ以外に……ここに来る理由はない」


十神、カイジらに視線を移し……断言


セレス「4人というのは……先ほど連立って食堂にいらした伊藤君達のことですわね?」


十神「……そうだ、早くしろ」


石丸「よしっ……!」

石丸「僕が代表して説明しよう……!」

石丸「昨夜……僕と伊藤君・大和田君・不二咲君の4人は……」

石丸「大浴場を貸し切って朝まで麻雀をしていたのだっ…………!」


ざわっ・・


大和田「……ってオイ!?」

カイジ「そこは言わなくていいだろっ……!」

不二咲「あ、あははは……」


朝日奈「え~?夜通しで麻雀やってたの!?」

桑田「マジかよ……オレはハブりか?」

葉隠「どうせなら一声掛けて欲しかったべ」

大神「夜間はきちんと床に着き……早起きをして活動したほうが余程健康的なのだが……」

セレス「それにしましても……案の定、夜時間のルールを無視ですか……伊藤君……」


カイジ「いや……その……まあ……こういうときもあるって…………」


霧切「……麻雀の是非についてはもういいわ」

霧切「もっと重要なことがあるのでしょう……?」

霧切「全員が知っておくべきことが……そうよね、十神君?」


十神「まぁ……そういうことだ、……さっさと本題に入れ」


石丸「で、では……不二咲君」


カイジ「……」

大和田「……」


不二咲「あのね……僕……皆に伝えておくべきことがあるのっ……!」

不二咲「実はね……僕……」



不二咲「男なんだっ・・・・・・・!!」



一同「……!?」


江ノ島「えっ……今……何て……?」

朝日奈「不、不二咲ちゃんが……男の子ぉ!?」


山田「なるほどなるほど~……確かにこんなに可愛い子が女の子のはずがありませんからな」

葉隠「それは納得の理由だべ……!」


苗木「それは違うよっ……!」


山田「ってええええええええええええっ!!?」

葉隠「マ、マジでええええええええええっ!!?」


セレス「……あなた方は少し黙っていてもらえませんか」


舞園「そうですよっ……!いくら不二咲さんが女装男子だったとはいえ……」

大神「舞園よ……その表現は不二咲にとって……痛手なのでは……」


不二咲「…………」


舞園「あっ・・・!ご、ごめんなさい・・・悪気があったわけじゃないんです・・・・」


不二咲「ううん……気にしてないよぉ」


不二咲「僕……小さい頃から自分の弱さにコンプレックスがあって……」

不二咲「周りから『男のクセに』って言われるのが辛くて……」

不二咲「女の子の格好して、女の子になりきることで……現実から逃げて来たの……」

不二咲「だけど……」

不二咲「昨日モノクマから……その秘密をバラすって伝えられて…………」

不二咲「やっと……決心がついたんだ」

不二咲「これをきっかけに……本当の自分と向き合おう……って」

不二咲「それで、伊藤君に頼んで……大和田君や石丸君と一緒に…………」

不二咲「……脱衣麻雀をすることにしたの!」


朝日奈「だだ脱衣マージャンっ・・・!!?」

山田「だ、脱衣麻雀ですとぉ~!?」


山田「ちーたんと一緒に脱衣麻雀ですとぉ~!!何と・・・羨ましきっ・・・・!!」

桑田「オメーは二次元(?)限定とかどーとか言ってたろ……?」


霧切「皆、静かにして……」

霧切「つまり……不二咲君は……脱衣麻雀をすることで、まずは彼らに自分が男であるということを」

霧切「視覚的にはっきり伝え……その上で、今朝私達にも発表することにしたのね」


不二咲「うん……!」

不二咲「この先……いつまで皆と……ここに居ることになるのかは……分からないけど」


不二咲「しばらくは一緒に生活を共にする……“仲間”なんだもん!」


不二咲「もう……隠し事はしたくないから……!」


霧切「……そう」


不二咲、笑顔での返答……しっかりとした受け答え

彼女……否、彼の言葉は……


苗木「不二咲さん……ううん、これからは不二咲君だね」

苗木「何だか改まってだけれど……これからもヨロシク」


不二咲「うん、こちらこそよろしくね……苗木君」


山田「……ちーたん……いえ不二咲千尋殿……なんと殊勝なっ……」

葉隠「これぞ秘密暴露の先制攻撃だべっ……!」


舞園「不二咲君……ですか」

朝日奈「う~ん、不二咲ちゃんを呼び捨てってのはちょっと……私は今のままの呼び方のままでいっか」

大神「つまり……我らとともにトレーニングができないというのは……」


不二咲「うん……女子更衣室には入れないから」

不二咲「一緒に練習するのはやりづらいと思って……断ったの」


大神「……そういうことか」


大和田「あっ……そういやオレ、更衣室入れねぇよ」

大和田「この前のサウナんときに……ポケットに入れてた生徒手帳壊れちまってよ」

石丸「む……一昨日の夜の勝負のことか!」


苗木「あ……そういえば……大和田クンは服を着たまま入ったもんね」


江ノ島「今度は何の話ぃ~?」


大和田「いやよ……おととい兄弟と……サウナで勝負したんだ……夜通しな」

石丸「実に白熱した……実りのあるひとときだったさ……」


セレス「何度……夜時間ルールを破ったら気が済むのですか……」


桑田「生徒手帳が壊れたんなら誰かに借りて使えばよくね?」


苗木「それはできないよ……ほら、追加の校則にあったよね?」

舞園「……『電子生徒手帳の他人への貸与禁止』……でしたね」


山田「誰かが入る時に連立って入れば問題ないのでは……?」

葉隠「それやったら天井にあるガトリング砲でハチの巣だべ……」


江ノ島「あれってフラチなことしようとしてる時だけ作動するんじゃなかったぁ?」


石丸「だとしたら……問題はないな?」


朝日奈「ていうかさ……あれに撃たれたら大怪我しちゃうじゃん……危ないよね」


苗木「えっと……ケガじゃ済まないような……」


江ノ島「てゆーか……あのタイプのガトリングは連射性能高いし被弾したら普通死ぬから」

朝日奈「ええっ死ぬの……!?」


がたんっ・・・!


唐突に立ち上がる十神……!

絶え間なく続いていた会話が……ここでようやく途切れる


十神「不二咲自身の話はもういいだろう?」


十神「俺が聞きたいのは……脱衣所(あそこ)にあったPC(あれ)に関することだ」


霧切「……“あれ”……というのは?」


不二咲「うん!……そのことなんだけどね」

大和田「ここじゃ……難だ……監視カメラ(あれ)も……あるしな」

カイジ「後で……何組かに分かれて……直接脱衣所(あそこ)に行って……PC(あれ)を説明したほうがいいだろ」


十神「……確かに、それもそうだ」

十神「少しはお前達の頭の中にも……脳味噌が詰まっているらしい……足りてはいないが」


桑田「アソコだのアレだのじゃ何のことかわかんねーぞ……」

朝日奈「え・・・何・・・・もしかしてえっちぃこと・・・とか・・・?」

大和田「ちげーよ」


石丸「うむ……やはりアルターエゴ君のことも、皆に公平に知らせておくべきことだからな」


セレス「アルターエゴ……ですか……?」


石丸「……ッ!!」

カイジ「おい石丸!」

大和田「ここで言うんじゃねぇよ!!」

石丸「す、すまん……」


霧切「…………、なるほど……だから不二咲君なのね」

苗木「霧切さん……何か知ってるの?」

霧切「……この話は後にしましょう」

山田「しかし……」



霧切「…………後にするのよッ……!……いいわね!!」



苗木「は、はいッ!?」


銀髪の一喝により……静寂に包まれた食堂…………!


石丸「コホン……では……、とりあえず食事にしようではないか……諸君」


ようやく各自、食事に手をつける中……


苗木「あのさ……皆」


葉隠「どした……苗木っち?」


苗木「折角、不二咲君が勇気を出して秘密を告白してくれたんだからさ」

苗木「僕達も……やっぱり……それぞれの秘密を隠さず告白したらどうかなって……」


カイジ「…………」


大和田「無理強いはしなくてもいいだろうがよ……言いたい奴は言えばいんじゃねーのか?」

大和田「オレは……言ってもいいぜ……いろいろと吹っ切れたしよ」


桑田「別にオメーの話聞きたい奴いねーだろ」

大和田「……ンだと……オイ?」

不二咲「大和田クン……落ち着いて」


霧切「もしかして……勘違いしている人もいるかも知れないから……一応言っておくけれど」

霧切「モノクマは何も……私達の間に秘密をバラすなんて言っていないわ」


朝日奈「え……?」


霧切「『世間』に対して秘密をバラす……あくまで外界での生活に直結する秘密の暴露……なのだから」


モノクマ「ま、その通りなんだよね」


モノクマ、ここで登場……!再び葉隠の頭上にっ…………!


葉隠「わわわっ・・・!何でまた俺の頭の上なんだべっ・・・・・!?」

桑田「(頭が)軽いからじゃね?」

舞園「モノクマさんが……ですか?」


モノクマ「それからね……ぶっちゃけ、人によるんだけどさぁ……」

モノクマ「不二咲君みたいに……バレたらオマエラの接し方に割と影響しちゃうような場合もあれば……」

モノクマ「大和田君みたいに……バレてもそこまで影響はないんじゃね……ってパターンもあるわけ」


大和田「…………」


モノクマ「もっと言えば……バレたら……オマエラが身の危険を感じるようなっ……!」

モノクマ「秘密を持っている人もいるのです……!!」


腐川「・・・・ひっ・・・・」

十神「…………」


苗木「ボクらが身の危険を感じるような……秘密って……」


カイジ(…………俺は……そこまではいかないよな……)


モノクマ「ま、そういうことね~……!」


モノクマ、退場


セレス「わたくしたちが身の危険を感じるような……秘密ですか」

霧切「…………」

山田「そんなことを言われると……俄然気になりますな……」


石丸「よし!……とりあえず自分が該当しそうだと思うなら……発表してくれたまえ!!」

江ノ島「いや……逆に言わないって普通」

カイジ「こうやって疑心暗鬼になっても……よくないだろ……」

大神「されど……」


十神「丁度いい機会じゃないか……」

十神「なぁ、腐川」

腐川「え・・・・な、何っ・・・・・・・」


ここまで十神の命令を守り……沈黙していた腐川に

珍しく自主的に話題を振る……十神


苗木「腐川さん……?どういうこと、十神クン?」


十神「お前の、誰にも知られたくない秘密……ここで公言したらどうだ?」

十神「難なら……俺が代わりに言ってやってもいいが?」

腐川「……ッ……そ、そんなっ…………!」

腐川「……内緒にしてくれるって……約束したじゃないっ…………」

十神「そんな約束をした覚えはない……お前の独り言を、たまたま耳にしただけだ……」

腐川「ひ・・・ひどいっ・・・・・・・・」


石丸「と、十神君……?」

朝日奈「よくわかんないけど……腐川ちゃん嫌がって……!」



十神「こいつの“裏”の顔は…………ジェノサイダー翔なんだよっ…………」


一同「・・・・ッ・・・・!?」


カイジ(ジェノ……?……あれ、何だっけ……それ…………)



一同、唖然っ…………!

次回に続く

おつ


盛りあがってきたな

乙です


石丸はやっぱり石丸だった

乙~
少しイラついてるセレスさんかわいい

カイジ適応してるな


―食堂―


腐川「・・・あ・・・・・ああ・・・・」


桑田「ッてオイ……この根暗があの……」

朝日奈「連続殺人鬼……って…………」

舞園「冗談……ですよね……?」」

山田「ふ、腐川冬子殿・・・・それは誠でっ・・・・・?」


腐川「ち、ちが・・・・あたしじゃ・・・・・・!」


十神「正確に言えば……こいつであって……こいつでないんだがな」


苗木「それって……」

葉隠「謎かけみたいなのはいいから……どういうことなんだべ!?」


カイジ「ジェノサイダー翔……?……一体何者なんだ……?」

石丸「伊藤君!……君はニュースを見ていないのかね……!?」

不二咲「猟奇的な殺し方で有名な……犯罪者だよぉ……」

江ノ島「被害者はみんなハリツケにされてたんだっけ?」

カイジ「マジ・・・かよ・・・・」

カイジ「えっ・・・・!・・・・あの女が・・・・?」

カイジ「・・・・腐川が・・・・殺人鬼っ・・・・・・!?」


十神「さて、そろそろ直接本人に出てきてもらうか」

十神「その方が……手っ取り早い」

十神「おい苗木、テーブルの上のコショウをこっちに寄こせ」


苗木「えっ……?」


十神「早くしろ」


苗木「う、うんっ……」



十神の命令に従い、ペッパーミルを持参し十神に手渡した苗木……

そして……腐川に向けてコショウを振り撒く十神……!


腐川「ゴホッ・・・・・へ、へっくち!!」


バアアアアアアンっ・・・・!


翔「呼ばれて飛び出てッ……!……こにゃにゃちわ~……!」


一同「・・・・!?」


それまでの腐川の面影は吹っ飛びっ……

両手に鋭利なハサミを装備した……目つきのアブナイ人物が登場っ…………!!


一同は再び唖然っ…………!!


翔「っておーい!何か全員雁首そろえてるわぁ……!!ゲラゲラゲラッ……!!」


山田「・・・・ヒイイイイイ!!!」

葉隠「とりあえずこれはヤバいべ・・・!!俺達全員殺されるんだべっ・・・・!!」


翔「ああー?誰が全員殺すかっての……!!」

翔「アタシは男以外殺さない主義だからっ……!!」

翔「つーか……萌える男子限定で……!!イケメンメガネ以外だったらぁ~……ちーたんとかァ?」

翔「女装男子とか……萌えるっ…………!!」


朝日奈「ちーたんって……不二咲ちゃん!?」

不二咲「・・・・ぼ、僕!?」

大和田「お、オイ・・・この殺人鬼っ・・・・!!」

大和田「不二咲にちょっとでも触れてみろ・・・・オレが・・・ぶ、ぶっ飛ばすぞっ」

桑田「こ、声が・・・震えてんぞ・・・」

大和田「怖いとかじゃ・・・ねぇからな・・・!女を殴る主義じゃねーんだよっ・・・!!」

苗木「ちょっと待ってよ十神クン……!」

苗木「どうして……」

十神「どうして俺が、こいつをジェノサイダー翔だと断定できるのか……と聞きたいのだろう?」

十神「俺はもともと……機密性の高い情報に容易にアクセスできる立場の人間だ」

十神「当然警察内部の極秘情報……未解決事件についての詳細も把握している」

十神「それらの知識と、こいつが“正常時”のときに語っていた内容から……」

十神「腐川冬子こそがジェノサイダー翔なのではないかと推定し……昨晩……本人を問い質してみた」


翔「んでそんときにたまたま入れ替わって~……たまたまっ……!」

翔「ネタバレっちゃった!……つかアンタらビビり過ぎィ……!!」


石丸「と、とりあえず……君は正常時の腐川君じゃないのだなっ……!」

カイジ「ということは……コイツ……まさか……」

霧切「解離性人格障害……つまり多重人格ね」

セレス「くしゃみひとつで人格が交替するとは……ベタですわ……」


葉隠「オーガ……!とりあえず腐川っち……いやジェノサイダーを取り押さえるべっ……!!」

大神「仕方……あるまいか……」


翔「ハイハーイ!タンマタンマ!!」

翔「正体バレてんのに……アタシが殺しなんかしねーっての!!」

翔「アタシの殺り方には美学ってのがあんのよっ……!!」

翔「その美学を曲げての殺しなんてっ……!アタシのプライドがっ……許さないっ……!!!」

翔「殺ったら即バレしちゃうような殺人、誰がやるかってのっ……!!ゲラゲラゲラッ!!」

翔「だから白夜様ぁ~!アタシの秘密をこいつらにバラしたところで……!」

翔「殺戮ショーなんか始まんないんだよーん……!!」


十神「…………フン」

十神「おい石丸!……例のPC(あれ)の件は後で報告しろ」


石丸「…………了解だ」


十神、バツの悪そうな表情を見せ、席を立ち……食堂を後にする

それを追いかけるように……殺人鬼も退場


ばたんっ・・


そして残された者達は……


カイジ「……俺……夢でも……見てたのか……」

石丸「まさか腐川君が……犯罪者だったとは……」

江ノ島「つかヤバくない……あんなの野放しにしとくの?」

朝日奈「で、でも……男子しか襲わないらしいし!」

葉隠「こっちは死活問題だべ……」

大神「万一のことがあれば……我が応戦しよう」

山田「殺人鬼と囲む食卓など……」

セレス「適応ですわ、殺人鬼との共同生活など……滅多に体験できることではありません」

苗木「適応……というか、腐川さんだって……ボク達の仲間なんだし」

苗木「本人が殺しはやらないって言ってるんだから……信じてみても……いいんじゃないかな」

桑田「苗木……」

舞園「十神君は……ジェノサイダーさんと一緒で大丈夫なのでしょうか」

不二咲「心配だよねぇ……」

大和田「あいつは懐かれてんだろ……大丈夫なんじゃねぇか」

霧切「…………」



その後、朝食を終えたカイジ達は……一旦各個室に戻り

それぞれ、本日の活動を始める


―大浴場・脱衣所―


昼過ぎ、脱衣所にはカイジと不二咲を含む6人が集合していた


カイジ「ふぁ~あ・・・」

山田「伊藤カイジ殿は……午前中は何を?」

カイジ「まぁ……昨日寝てないからな……ベッドに寝転んでた」

霧切「…………」

セレス「……さて、この場に集まることとなった理由を説明していただきましょうか」

不二咲「……うん、今立ち上げるから……待ってて」

苗木「これ……ノートパソコン?」



16人全員で脱衣室に集まると、黒幕に怪しまれると踏んだカイジ達は

不二咲を除く15人を3組に分け……それぞれ時間帯を隔てて、アルターエゴの説明を行うこととした



カタカタカタっ・・・


アルターエゴ「こんにちは……ご主人タマ」

苗木「えっ……これ……画面に、不二咲クンの顔が……?」


山田「なっ・・・なんとぉ・・・・」


カイジ「俺も……最初に見た時は驚いたさ…………」

カイジ(まさか……こんなモンを拵えられるとはよ……)

カイジ(本物の天才じゃねぇか……)

カイジ(考えてみりゃ……こんな神業を使える連中の中に……)

カイジ(俺はいるわけで……なんつーか……)

カイジ(よく……何とかやっていけてるな……俺…………)


不二咲「簡単に言えば……高度な人工知能を有するプログラムなんだ」

不二咲「いうならば……膨大な情報を僕に代わって処理してくれる……もう1人の僕」

セレス「だからアルターエゴ……すなわち“別人格”ですのね……言い得て妙ですわ」

不二咲「うん……画面の周囲にいる人間を認識できるし……キーボード操作で会話もできるよぉ」

霧切「…………」


アルターエゴ「今日は……ご主人タマや伊藤君の他にも……初めての人がいるねぇ」

アルターエゴ「山田君と、苗木君……それからセレスさんと霧切さんだよね……これからよろしくね」


山田「おおー!……こ、これはこれは……!!」

苗木「ど、どうも……はじめまして」


霧切「不二咲君、それでアルターエゴによる解析は進んでいるの?」

不二咲「ううん……PC内に残っているデータには厳重なロックがかけられているから」

不二咲「もう少し時間がかかりそうだけど……僕もなるべく早く処理が進むように頑張るから」

セレス「厳重なロックがかかっているということは……」

霧切「重要な情報が隠されていることは……間違いないでしょうね」

霧切「この学園の謎に迫ることができるかもしれない……機密情報が」

苗木「ボク達がここから出るための……手掛かりが得られるかも知れない」


山田(ご主人タマ・・・ご主人タマ・・・・ワンモアプリーズ・・・・!)


カイジ(……どうやら、この件について俺にできそうなことはねぇな……)

カイジ(とりあえず……俺は俺にできることを……やるとしよう)

カイジ(…………)

カイジ(……俺は…………本気で…………ここから出たいと思っているのか…………?)


ふと……自分自身の本音について……問いかけるカイジ


アルターエゴについての一通りの説明を聞き終え……解散したカイジ達


カイジ、6日目の自由行動時間が始まり……例のごとく購買部へと向かうのであった

次回に続く

乙!

乙です
ちーちゃんが生きてる状況でアルターエゴってのは新鮮でいいな


―購買部―


カイジ「見せる……!見せる……!見せてやるっ………!」

カイジ「俺の……勝負強さをっ…………!」

カイジ「来いっ……!」

カイジ「来いっ…………!」

カイジ「…………来いっっっ…………!!」


がこんっ・・


カイジ「・・・・・!」


しかし、ドロップしたのは……!


カイジ「…………」

カイジ「また……電動こけしかよ…………」


カイジ、苦戦…………

200近くあったモノクマメダルも……残すところあと1枚…………


…………『一日外出券』の獲得など……雲を掴むような状況っ…………!


カイジ(まぁ……別に霧切に返す必要もないし……)

カイジ(自分でまた集めるか……)

カイジ(苗木達……見つけたら集めてくれって頼んでおいたし……)

カイジ(どこまで協力してくれるかは……未知数だが…………)

カイジ(ほんと……こんなとこに?……てな感じの場所にあるんだよな……メダル)

カイジ(というか……毎日……個室の中にも新たなメダルが隠されているんだが)

カイジ(あのクマ……いつの間に……)


カイジ、モノモノマシンの前に鎮座し……相変わらずにらめっこ……!

カイジ(序盤は1枚ずつ投入し……)

カイジ(重複が増えて来たところで2枚ずつ投入……)

カイジ(その後再び重複が増えてきたら次は4枚ずつ…………)

カイジ(倍掛けで様子見をしてきたが……)

カイジ(案外……1枚ずつで全部投入した方が……効率良かったかも……)

カイジ(だが……このマシンに搭載されている……)

カイジ(アイテムの種類が……如何ほどのものなのか……)

カイジ(おおよそ……見当はついてきた…………)

カイジ(重複してアイテムが出現するペースから逆算するに…………)

カイジ(100~150種類程度…………)

カイジ(やっぱ……地道にメダルを回収し……数のチカラで押しまくりっ……)

カイジ(吐き出させるっ……!)

カイジ(それが一番手っとり早い道だが……)

カイジ(やっぱ……面倒くせぇんだよなあ……)

カイジ(そういう……ちまちまとした作業を……長々とやるのは……)


がらっ・・


苗木「あ、……伊藤クン」

カイジ「おう……苗木か……」

苗木「今日もずっとここに……?」

カイジ「まぁな……ほら、言ったろ……一日外出券の話」

苗木「そうだったね……調子はどう?」

カイジ「スカばっかりだ……」

苗木「でも……いろんなアイテムをドロップしたんだね」

苗木「あっ……これ、光線銃だ……」

カイジ「ん?……お前もそういうの興味あんのか?」

苗木「いや……ボクじゃなくて……」

苗木「『も』ってことは……もしかして……江ノ島さん?」

カイジ「……ああ、あの女……俺がここに居る時にたまたま立ち寄ってな」

カイジ「俺がドロップしてた……レーションを気にいったみたいで…………結局あげたんだが」

苗木「ボクはこの前、これと同じ光線銃をドロップして……どうしようかなって思ってたら」

苗木「たまたま通りかかった江ノ島さんが……割と興味持ってくれて……」

苗木「そのままプレゼントしたというか……」

カイジ「……変わったギャルだな……別に趣味に対して他人がとやかという問題じゃないが」

苗木「そういえば……以前野宿したことがあるとも言ってたかな……」

カイジ「……は?」

苗木「まあ……いろいろあったんだなって……その時は納得したけど」

カイジ「ホームレスから雑誌のモデルにって……いろいろあり過ぎだろ……」

苗木「……それから、他にも気になることがあるんだ」

カイジ「江ノ島についてか……?」

苗木「うん……江ノ島さんって」


がらっ・・


桑田「おう、伊藤!」

葉隠「それと苗木っちもいるべ……!」

カイジ「……よう」

苗木「どうしたの……2人とも」

桑田「どーしたもこーしたも……相変わらず逃げ道見当たらねぇからよ」

葉隠「神頼みってとこよ」

桑田「で、どーなんだよ伊藤……外出券は出たのか?」

カイジ「い、いや・・・まだ・・・・」

桑田「オイコラ!……一日中ここに陣取っててまだ出ねぇのかよっ……!」

カイジ「仕方ねぇだろ……そんな簡単にホイホイ出るかよ」

葉隠「よっし……じゃあ次は俺が一丁やってみるべ」


葉隠「俺の占いは2割は当たるっ……!」


苗木「この前は……3割っていってたよね……」

カイジ「そもそもこれは……占いじゃねー……」

桑田「……やっぱ運のある奴がやってみた方がいいだろ」

桑田「伊藤とか……見るからに運に見放されたツラしてっからな」

カイジ「悪かったな……」

葉隠「それじゃ……セレスっちに頼むとかどうだべ?」

葉隠「ギャンブラーなら……運が強くないとやっていけないはず……!」

カイジ「あいつはなぁ……」

苗木「セレスさんはここでの生活……満更でもないようだし…………」

苗木「外出券を手に入れたいっていう気にならないと思うけど……」

桑田「んじゃ……苗木はどうよ」

苗木「えっ……ボク?」

カイジ「そういやお前……超高校級の幸運だったよな」

葉隠「確かに……!苗木っちなら……欲しい物をイッパツで当てても不思議ではないって……!」

苗木「いや……そんな、上手くいかないよ……きっと」

カイジ「まあ……試しにやってみろって」

カイジ「今日は俺1人でだいぶカプセル落としてるからな……そろそろアタリが来てもおかしくねぇ……」

カイジ「いや……むしろ来ないはずがねぇ……!」

カイジ「俺の手持ちメダルは……残り1枚」

カイジ「こいつを使え……苗木っ……!」


葉隠「よっ……苗木っち!……幸運(がいしゅつけん)をつかみ取るんだべっ…………!!」

桑田「苗木!……たまにはイイトコ見せてみろっ……!!」


苗木「あはは……、……分かったから」


苗木「あまり期待されても……困るけど……」


カイジからメダルを受け取った苗木……!

たった1枚のメダルを投入し……!○ボタンをポチっと…………!!


がこんっ・・・!



パンパカパーンっ・・・・!!!



苗木「!?」

カイジ「なっ・・・!」

葉隠「これはっ・・・!」

桑田「まさかっ・・・!」


苗木、獲得っ……!実にあっさりと……!!何の苦労もなく……獲得っ…………!!

ただし…………それは『男のロマン』っ…………!!


次回に続く
3つ目の動機提示は次の次くらい

来たかッ…!

ファッ!?

残姉ボロ出しすぎだろwwww

動機:男のロマンを使うには人を殺さなければならない

それだと事実的には使用不可能に近いな

逆に男のロマン権に逆らう方法が苗木くんを[ピーーー]ことだけとか

いや、そもそも風呂覗きを動機として提示された時点で色々詰むと思う


―購買部―

苗木「あっ……ゴメン」

苗木「外したみたい……」

桑田「つーかコレ……むしろ大当たりじゃねぇかっ……!」

カイジ「そういや……モノクマも言ってたな……『男のロマン券』ってやつ……」

葉隠「男のロマンというと……やっぱあれか……?」

カイジ「あれってのは……?」

桑田「アレだよ……アレ……!」

苗木「ち、ちょっと待って桑田クン……これ使うつもり……?」

桑田「は?……折角出たんだしよ……使わねぇと損ッ……!」

葉隠「でもどうやって使うんだべ……?」

カイジ「これを用意したのも……モノクマの野郎だしな……」

苗木「そうだよ……もしかしたら……モノクマの水着写真集とかが出てきたりとか……」

桑田「おいやめろっ……!!」

カイジ「口に出すなよっ…………想像しちまっただろ……!!」

苗木「あっ……ゴメン……」

葉隠「はっ……もしかしたら……!」

カイジ「何だ……葉隠……?」

桑田「ロクでもねーことは言うなよ……」

葉隠「監視カメラだべ……!」

苗木「あっ……」

葉隠「監視カメラで激写したマル秘映像がプレゼントされるんだ……そうに違いない……!」

苗木「そうか……!」

苗木「女子の……その……着替えの映像……とか…………?」

桑田「リアル盗撮映像っ……!」

桑田「とりあえず大神と腐川以外リクエストすっか……!」

苗木「で、でも……そんなコト……」

桑田「あ?……苗木……お前……まさか女子に悪いとか思ってね……?」

桑田「『男のロマン』に後ろめたさとか……いらねーし!」


桑田「つーかお前、とっくに(舞園ちゃんと)生でヤってるクセに今更草食アピってんのか……?」

苗木「えっ……何のことか分からないんだけど……?」

桑田「とぼけんな…………!!」


葉隠「まーまー……醜い争いは止めろって……」

カイジ「ちょっと待てよ……」

葉隠「ん?……どうした……伊藤っち」

カイジ「考えてみりゃ……盗撮向きな場所には……監視カメラがないよな……」

桑田「盗撮向きなトコっつーと……風呂場とか、更衣室とか……あとトイレとか……」

葉隠「確かに……そういえばそうだべ」

苗木「個室のシャワールームにも……無かったよね」


カイジ「教室とか食堂、図書室……いわば“公共の空間”には当たり前のように……設置されているが」

カイジ「案外……そういう私的な度合いが高い所には設置されていないわけだ……」


桑田「そういやモノクマのやつ……プライバシーに配慮的なコトも言ってたよーな……」

苗木「個室の中には一応監視カメラがあるけど……あえてカメラの前で脱ぎ着をする女子は……いないんじゃないかな?」

葉隠「俺は気にせず脱ぎ着してるけどなっ……」

桑田「さすが苗木……エロ方面では頭の回転早えーな!」

苗木「い、いやボクは別にそんなんじゃ……!」

カイジ「案外……“黒幕”って女なんじゃねーか……?」

葉隠「ん?唐突に……何故に?」


苗木「普通……男性だったら……」

苗木「折角監視するなら……そういう映像も撮りたいって思うんじゃないかな?」

苗木「それに……女子の部屋だけ、シャワールームに鍵が掛けられることとかさ」

苗木「女子の目線に立って……配慮しているような感じ……」


桑田「だから女かもって?……つかそんなの根拠にならなくね?」

桑田「フツーに男だろ……それも集団とか?……コロシアイなんて気違いじみたコト仕向けるヤツ」

葉隠「まぁーそうだが……ジェノサイダーの例もあるし」


がこんっ・・・!


その時、一枚の用紙が……カイジ達の元へ舞い降りるっ……!


カイジ「これは……?」

桑田「何だ何だ……?」

葉隠「なになに……『ランドリーにて……右端の洗濯機の中にっ……!』……?」

苗木「……ランドリー……とりあえず、行ってみようか」


その後、ランドリーにて……あるモノを獲得したカイジ達は…………!


―体育館―

大和田「……ぼちぼち夜時間近いな」

大和田「そろそろ筋トレ切り上げて……個室に戻るか……不二咲?」

不二咲「うん……そうだねぇ」



―図書室―

石丸「十神君!……もうじき夜時間だ……!」

石丸「読書に熱心に取り組んでいることは称賛に値するが……ルールはきちんと守るように……!」


十神「……俺はそんなルールに同意した覚えはない」

十神「そもそも……そのルールを度々破ったお前に言われる筋合いはない」


石丸「……ッ」


―大浴場―


ぽか・・    ぽか・・


朝日奈「いやー……皆でお風呂ってのもいいもんだねー」

霧切「…………そうかもね」

大神「されど……江ノ島の姿は……見当たらぬようだな」

舞園「江ノ島さんは……疲れたから先に休むって言ってました」

朝日奈「それにしても……結局2つ目の動機でも……事件が起こらなくてよかったよ」

セレス「そうですわね……」


腐川「ち、ちょっと……何であたしの方を見るのよっ……」


朝日奈「ていうか……ホントに表と裏で全然性格違うね……」


腐川「何よ……こっちがどれほど苦悩してるかも知らないで……」

腐川「ま……あんたみたいな脳筋女には……絶対分からないでしょうけど……」


朝日奈「またイヤな言い方っ……!」

大神「今回はやり過ごせたが……黒幕は今後も……あらゆる方法で我らに揺さぶりを掛けてくるだろう……」

霧切「また……新しい動機も提供してくるでしょうね」

セレス「あきらめが肝心ですわ……外の世界を諦めれば……動機に踊らされることもなくなりますから」

舞園「……皆で、外に出られればいいんですよ」

舞園「アルターエゴさんも不二咲君も……頑張っていますし」

舞園「とても難しいことかも知れませんが……決して……可能性はゼロじゃないと思うんです」

舞園「だから……私は諦めませんっ……!」

セレス「……現実逃避ですわ」

朝日奈「そんなことないって……きっと何とかなるさ!……きっとね」

霧切「…………」


腐川「無責任な言葉ね……」


大神「我は……そう信じよう……朝日奈よ」


―脱衣所―


ちらっ・・    ちらっ・・・


山田(……三次元のお風呂シーンというのも……意外と悪くはありませんぞ……)


……山田、さりげなく覗き行為っ……!


山田(まぁ……僕は……ちーたん(※アルターエゴ)とお話をしにきただけなんですが!!)

山田(とりあえず……間が悪いので……出直すのが得策ですな……)


≪キーンコーン……カーンコーン……!≫


―個室(苗木誠)―

桑田「で……どうするよコレ……?」

葉隠「そもそも勝手に持ってきて……大丈夫だったんか」

苗木「で、でも……忘れ物を預けるところもないし……仕方ないんじゃないかな」

桑田「苗木、お前下着ドロの素質あるんじゃね?」

苗木「それはないよっ……!!」

カイジ「それより……この下着の持ち主が誰なのかで……賭けをしようぜっ……」

カイジ「賭けの対象は……メダルでどうだ……?」

桑田「お前メダル持ってねーだろ」

苗木「そもそも……持ち主が誰なのか……確認のしようがないよ」

葉隠「にしても……地味な下着だべ」



……6日目の学園生活……無事に終了…………!!


次回に続く
男のロマンを動機に使うって発想はなかった・・・動機は基本原作通りで

乙でした!

エロトークで白熱する野郎共がいいなwwwwww
桑田が超ノリノリでいい

このこじれ具合苗木と桑田の殴り合いイベントでも待っているのだろうか

ロマン券を持っていない山田のほうがロマンを満喫しているという現実…!


―学校エリア4F・某室―



黒幕はこれまで、絶望していた

何もかも自分の思い通りになってしまって――

全てが己の絶望的で破滅的な希望通りになってしまって――


――私様は、絶望していた



(それなのに……どうして上手くいかないんだろ)

(綿密な計画を……練り上げて来たっていうのに……)


しかし…………黒幕は動じない………………!

むしろ………………!!


(……でもさぁ)

(こんなにコトが順調に運ばないなんて)

(あともうちょいのところで……寸止めされるなんて……)

(…………ゾクゾクするじゃないっ…………)


つんつん・・


??「○○ちゃん」

??「……私の替えの下着知らない……?」

??「探してるんだけど……何処にも……」


「知らね」


??「そう……」


「それにしても……何なんですかねぇ……この状況はっ…………?」

「未だに何も起こんらないなんて……ありえないわ……うう……」

「……つまんなーいっ……!!」


??「ど、どうしようかな……○○ちゃん……」

??「私にできることなら……何でも……」


ぽかっ・・!


「うるせぇ……黙ってろっ……!」


??「うっ……痛い……けど……痛くないっ……むしろ…………気持ちいいっ……」

「絶望的に退屈です……」


??「じゃあ……一緒にダーツしようよっ……」

??「娯楽(賭博)室は……まだ解放してないもんね」


「お断りだッ」


??「うう・・・・・・」


「さっさと食堂行って仕入品搬入しといて……あとトラッシュルームの掃除……!」

「各施設の監視カメラとモニターの動作状況確認……その他諸々の雑用っ……!!」


??「え…………それって今日は……○○ちゃんの当番…………」


「いーから早くっ……!!」


??「……うん」


俯きながら部屋を後にする……黒幕の手先…………


(本ッ当に……残念なお姉ちゃん…………)

(コロシアイが始まったら即刻片づける予定だったんだけどなー……)

(実験継続か……ていうか、ボロ出し過ぎ)

「……膠着状態ってなるとよォ……」

「……そろそろ裏切り者(コマ)を……動かしちまうか……?」

「それとも…………」



その時……外部との接続が保たれている通信画面が……!

ある人物の姿を……映し出すっ…………!



《内通者(コマ)を……?ダメダメ……全然……ダメっ…………!》


「…………何ですか?……私のやり方が……そんなにダメなのですか……」


《……違う違う……むしろ…………とても感心してるっ…………》

《あのDVDの提示……忌々しい過去の暴露をネタとした脅迫……》

《外の世界への帰還という渇望を……上手く逆手に取った……妙手っ…………!》


「っても結局引き金(トリガー)にならなかったもん……あぁ絶望的だわーっ!!」


《ククク……折角エサを撒いてやってるのに……思うようにいかないのも……》

《この手のプロデュースの……難しいところ…………》

《生と死を賭けた……ギャンブルってのは尚更…………後始末とか……ひっくるめて》


「それで、何の用ですか?こちらはヒマではないのですが?」


《内通者(コマ)を使うのは……時期尚早……、ていうか……それは奥の奥の手……》

《わざわざこれだけの環境を用意しておいて……ここで……意図的に事件を起こすなんて……もってのほか》

《もちろん……無知な“視聴者”達は……事件が起きただけで……ニヤニヤと……狂喜するんだろうけど》


《それじゃ……つまんないじゃん…………運営側(こっち)がっ…………!》


「…………」


絶望的な状況に置かれた人間達が……追い詰められ……追い込まれた挙げ句……》

《その本性を現し……最後は醜悪な争いを繰り広げ……自己の利だけのために……這いずりまわる姿……!》

《本当の意味での……人間の証明……人間存在の……真実っ…………!》

《そういう人間の真の姿を……自発的に炙り出さなきゃ……面白くないし》

《そうならざるを得ないのが人間……あともう一押しあればっ……その実態が……露見する……》



《シナリオ通りに・・・・・・・・・・・・・・・!!》



「……ふーん、で?」


《そこで……提案がある》

《3つ目の……“動機”の提案…………》


「え~なになにぃ?いいアイディアあんの?おせーておせーて!!」


《“カネ”だ》


「もともと次は、俺もカネ(それ)で行くつもりだったんだよ」


《…………、ま、兎に角》

《いるんだ……いつの時代も……何だかんだ言って……カネで動く人間はさ……》

《DVDと秘密の暴露……あれらは確かに……効果的ではあったが……》

《どちらも……「実態を確認しないと気が気でないから外に出たい」「秘密をバラされたくないから外に出たい」……》

《消極的な願望を刺激している……それじゃまだ不十分…………!》


《外に出て……それからどうする……?カネがあれば……それも十分なカネあれば…………》

《たいていのことは……できる…………!飢えた連中は……カネに群がる…………!》


《しかも……そのカネを……自分(クロ)一人で……総取り可能……!》


《積極的な……動機(エサ)の提示……》


《必ず……喰いついてくる奴が……現れるっ…………、そういう輩を……狙い撃ちっ……!》

《いつまで経っても外の世界を諦めきれないやつなんか……特に》


《…………これでコロシが起きないようなら…………》

《あいつらは異常!もはや……人間じゃない……生き物の本能を喪失している……!》

《だからこそ……必ず起こる……あいつらも……所詮は…………醜い人間なのだから!!》


「ごたくはもう結構です、ていうか話が長いですウザイです」

「さっきからアタシのセリフ短すぎよねっ」

「アタシ無口キャラじゃないんですけど!」

「それとアンタの口調とかダラダラしてて鬱陶(うっと)いワケっ!」

「もっと言葉を省エネしないといけないよっ!」

「ダラダラと引っ張りまくってもイライライライライライライライライライライラ!」

「要は相手(こっち)が無口キャラじゃないと展開遅過ぎてクレームがくるじゃん!」

「でもさ、ぶっちゃけ今時無口キャラなんて流行らないんだよね」

「つーわけでもうおしまい!打ち止め!ブレークタイムは終了です!」


《……………………》



「……うぷぷぷ……で、いくら出す?100億くらいかな?……100億円に決定……!!」


《100億……まぁそのくらいか》

《あの坊はともかく……連中の意欲を引き出すには…………その程度で充分》

《今夜中に……そちらに搬入する手筈を……整えておく》




…………黒幕が絶望に絶望するのはいつの日かっ…………?




そして、目下…………

カイジ達に示されることになる……三つ目の“動機”…………!



それは……ストレートに……カネっ……カネっ……カネッッッ…………!!



次回につづく
黒幕さんのキャラは上手く再現出来てる自信ないんで、おかしかったらすいません・・・

明日から2~3日くらいは更新できないのでご了承ください・・・

乙ー、待ってる

おっつー

おもしろいなー

カイジにとって一番の難関かな

カイジ「100億っ… ペリカに換算して1兆ペリカっ… 焼き鳥が10000000パック食えてビールが6000000本飲めるっ…」

反射的に億捨てて人助けちゃうカイジには鬼門じゃないでしょ

たえちゃんが話聞かなそうなのが恐いね

こええ

金欲しさに人を殺せる性質がカイジにあるのなら
エスポワールで借金ゼロにしただろうし、鉄骨渡りで前の奴を押してただろうな


―個室(伊藤カイジ)―



< 金は命よりも重い……! そこの認識をごまかす輩は生涯地を這う……! >

< ギャンブルを打つ者にとって……金は命! >

< 胸を張れっ! 手痛く負けた時こそ……胸をっ……! >




《朝です……7時になりました……!》


カイジ「…………夢か」


カイジの記憶は、未だおぼろげなまま……

ただ、少なくともはっきりとしていることは……

己が身を置いてきた……ギャンブルという名のブッラクホール

……永久に抜け出せそうにない……暗中模索……闇の中の博打の数々

カイジ(そうさ……俺は本来……こんな所に居るはずのない……)

カイジ(いや、居てはいけない人間だ…………)

カイジ(それなのに……俺はここに居る)

カイジ(本来……通常の日常生活において……俺がかかわるはずのない人間達)

カイジ(…………)

カイジ(もしかしたら……あいつだけは……)

カイジ(俺が這いずり回っていた……樹海のような世界を……垣間見ているのかも知れないが)


カイジ「おっと……さっさと食堂行かねぇとな」

カイジ「石丸の目覚ましコールは……もうコリゴリだし……」


カイジ、思考を現実認識に縒り戻し、個室を後にする

―寄宿舎エリア・廊下―


桑田「で、下着(アレ)は結局どーしたんだ?」

桑田「頭にでも被ったか?」


苗木「さすがにそんなことは……しないって」


葉隠「さすがにってことは……苗木っち……何に使ったんだべ?」


苗木「ちょっと!?……何にも使ってないよ!……机の引き出しの中にしまっておいたし!!」


カイジ「よっ……」

葉隠「伊藤っち、おーす!」

苗木「…………おはよう、伊藤クン」

カイジ「昨日のアレの話か?」

苗木「……まぁね」

桑田「全員揃ったか……そんじゃ、一斉にいくぞ…………」


「江ノ島……!!」「腐川だろ……!」「セレスっちだべ……!「モノクマ……のじゃないかな?」


葉隠「おおー……見事に見解が分かれたようだな」

桑田「つーかモノクマってどういうことだよ……苗木?」

苗木「うーん……いろいろ考えたけど……やっぱりモノクマの悪戯なんじゃないかなって」

カイジ「桑田、お前は無難な選択だな」

桑田「フツーに考えてあんなん穿いてんのは腐川くらいだろ……?」

葉隠「いやいや……それは浅い考えだって」

苗木「葉隠クンは……どうしてセレスさんだと思ったの?」

葉隠「そりゃアレだべ……服の色が近いし!」

カイジ「安直だな……」

桑田「つかオメーこそナゼに江ノ島?……大穴狙い過ぎだろ」



江ノ島「おっはよー!」


桑田「げっ・・・!」

葉隠「うわっ・・・!」

カイジ「よ、よう・・・」

苗木「お、おはよう・・・江ノ島さん」


江ノ島「え~……何この反応?……あたしって結構嫌われてる?」


桑田「違うって……別にそーいうワケじゃねーから!」

カイジ「そうそう……」


江ノ島「ていうか……あたしの名前が聞こえたような?」


葉隠「気のせいだべ……!たぶん宇宙からのモールス信号を勘違いした的な」

苗木「えっと……江ノ島さんって可愛いな……って話してただけだよ」

江ノ島「可愛い?……私が……?」

江ノ島「ふーん……」


江ノ島「あ、てかもうこんな時間だし!……食堂行かなきゃね!」

江ノ島「あたし先行ってるよ……じゃーね、苗木!」


苗木「う、うん」

葉隠「危ないトコだった……」

桑田「一連のことがバレたら死ぬしよ……社会的に」

カイジ「狭い社会だけどな……」

―食堂―


定刻をややオーバーした後……席に着いた14人


石丸「この共同生活が始まって早七日……」

石丸「これより第五回の朝食会を開催するっ……!」

石丸「が……十神君と腐川君の姿は……なしか」

江ノ島「ま、仕方ないって」

大和田「むしろいねぇ方がいいだろ……十神がいなけりゃ殺人鬼も来ねぇんだしよ」

不二咲「でも……」

舞園「2人も私達の仲間なんですから……」

セレス「ですが……強制するほどのことではありませんわ」

セレス「朝食会も……あくまでわたくし達の間で取り決めたことなのです」

セレス「来る者は拒まず、去る者は追わずのスタンスで充分ですから」


朝日奈「石丸~、ちょっと報告いい?」


石丸「ん……何かね、朝日奈君」


朝日奈「私とさくらちゃんで、学校エリアで朝練してたらさぁ……」

大神「3階へ続く階段が……開放されていたのだ」


桑田「マジかっ……!」

葉隠「3階には何があったんだべ……?」


大神「いや……まだ上がって様子を見てはいないのだ」

朝日奈「朝食会もあるしね……それに、皆で行った方が何となく安心だし」

カイジ「また……“犯行現場”の拡張ってやつか……?」

霧切「……そうでしょうね」

山田「ならば……後で皆で探索しますかな?……僕はここでゆっくりしていますがね」

苗木「山田クン……」

石丸「では、朝食後しかる後に学校エリア3階の探索を始めよう!」

石丸「……無理強いはしないが、できる限り参加してほしいっ!」


朝食後、一旦解散したカイジ達は……しかる後に探索を開始っ…………

―娯楽室―

カイジ「こ、これは・・・!」

カイジ「賭博室・・・だと・・・・!!学校に・・・・・・!」

セレス「娯楽室という標識を見なかったのですか?」


苗木「いろんなものがあるね……オセロゲーム、ダーツ、ルーレット、将棋、これは……パチンコ台……?」

舞園「こちらには雑誌棚がありますね……それからこれは……ボトルシップ?」


セレス「……素敵な空間ですわ」

カイジ「何て言うか……胸が躍るっていうか……」


セレス「苗木君、わたくしとオセロでもやりませんか……?」

苗木「え……でも、ボク弱いし……」

舞園「じゃあ私と一緒にやりませんか?……私も弱いので」


カイジ「え……?俺は?……ギャンブルは……?」

セレス「伊藤君は条件を満たしていませんもの」

カイジ「ぐっ・・・・」

―3F教室―

葉隠「う~ん、ここも鉄板に覆われてるべ……」

江ノ島「下の階の教室と……そんなに変りないね」

大神「やはり……微動だにせぬな……」

朝日奈「次の部屋行ってみようか……」


―物理室―


モノクマ「あれは空気清浄機なのさっ……あれがないと、オマエラはすぐに酸素不足でお陀仏だから気をつけてね!」

モノクマ「それじゃ」


霧切「…………」


腐川「……あんなでっかい球……誰が触るもんですか……」

腐川「あ……でも……白夜様のタマなら…………」

十神「……その低俗な口を閉じろ」


腐川「ふぁひぃ・・・」

十神「それから、そこの机の上にある……見るに堪えないカメラを……」

腐川「はいっ……!白夜様を不快にさせるモノは即刻どっかに放りますっ……!」


霧切「待って」

霧切「何かの手がかりになるかも知れないわ……これは私が預かってもいいかしら?」


十神「…………好きにしろ」

十神(物理準備室の中も……一通り調べておくか)

―美術室―

石丸「絵画、彫刻、その他……様々な作品が展示されているな」

石丸「このモノクマ像……実に精巧な作りだ……」

桑田「感心してねぇで……鉄板ぶち壊すのに使えそーな道具探せよ」

石丸「……とはいえ、ここにある小道具では……あの鉄板を砕くのは不可能だな!」

桑田「……ですよねー」


桑田「準備室の方はどーだ?」



「桑田君、石丸君……ちょっと来てっ……!」

―美術倉庫―


石丸「どうしたんだ……不二咲君?」

桑田「何かイイモン見つけたか……?」


不二咲「これ……床におちていたんだけどぉ……」

大和田「……見てみろ」


石丸「写真?」

桑田「何が写ってんだ?」


その写真には……教室にてはしゃぐ3人の男子高校生の姿がっ……!!


桑田「こ・・・これって・・・・」

石丸「大和田君と、不二咲君と、桑田君・・・・・?」

石丸「これは・・・一体いつ撮った写真なのだ・・・・?」

不二咲「それは分からないけれど……服装を見る限り……季節は夏だよねぇ……?」

大和田「だがよ……オレ達、こんな写真撮った覚えはねーし……まだ季節は春だろ?」


大和田「何より……この教室……鉄板がねぇ……青空が垣間見える…………!」


桑田「モノクマのやつの……捏造とかじゃね……?」

不二咲「分からないけれど……(PCに取り込んで)解析ができれば……何か分かるかも」


モノクマ「コラコラコラ~~~~!!」

パシッ・・!


不二咲「あっ・・・」


モノクマ「これはボクのだぞぉ~!……ていうか、見ちゃった?」


石丸「勝手に見てしまった……すみません!」

大和田「謝る必要ねぇだろ……」

桑田「つーかよ……何なんだ、この写真?」

桑田「オレらを混乱させるための捏造写真かっ?」


モノクマ「うーん、そうだねぇ~」

モノクマ「まぁ……ホンモノであることは確かなんだけどね……」

大和田「はぁ……?」


モノクマ「それではまた会おうクマっ……!」


石丸「行ってしまったな……」

桑田「ったく掴み処がねぇ……にしてもモノホンだと……?」

大和田「あいつの言うことが信用できるか?……どーせウソだろ」


不二咲(……本当に、捏造なのかなぁ……)

不二咲(まだまだ……この学園には僕達の知らない秘密が……隠されているみたい)

不二咲(アルターエゴでノートパソコンを解析し終わったら……次は)

―娯楽室―


ざわ・・    ざわ・・


カイジ「・・・・・・・」


舞園「えーと……」

舞園「……こっちですね……」


カイジ「ッ!!!」

カイジ「ば、馬鹿なっ・・・・!何故こっちがババじゃないと見抜けたっ・・・・?」


舞園「エスパーですから!」

苗木「あ、あはは……」

カイジ「くっ・・・・うぅ・・・・・!」

セレス「……伊藤君が最下位ですか」

カイジ「・・・・俺の・・・・負けだ・・・・いくら払えばいい・・・・・・?」

舞園「いえいえ、そんなに……気を落とさないでください」

苗木「そうだよ……たまたまだって」

セレス「第一これはただのトランプゲームであって……賭けではありませんから」


新しい“世界”が広がり……新たな手掛かりも発見される……

だが……!

学園の謎は……それでも尚……深いっ……!

次回に続く

乙ー この先が正念場か

そろそろ裁判始まって誰か死んだ?

>>686
どう見ても全員生存ルートだろ
ここから誰か死ぬなんて考えれん

>>866
もしかしたらそのうちアルエゴたんが
やられるかもだがな

カイジwwww
やっぱ追い込まれないと駄目なのな

一番最初の花札だっけ? あれも負けてたしなぁ
沼攻略した後も10万だったかを普通のパチで即溶かしてたし

―大浴場・脱衣所―


カイジ達が一通りの探索を終えたのと同じ頃合……山田は脱衣所にいた


カタカタ・・  カタカタ・・


山田「むふふふ・・・・」

アルターエゴ「へぇ……そんなことも知っているんだ」

アルターエゴ「山田君はすごいねぇ……」

アルターエゴ「もっといろんなことを教えて欲しいなぁ……」


カタカタ・・    カタカタ・・


山田「勿論ですともっ・・・・・・!」


がらっ・・!


霧切「やはりここにいたのね」

山田「ふべあっ・・・!?」


山田、霧切の登場に仰天っ……!


山田「こ、これは霧切響子殿っ……!」

山田「いやぁ……良いお日柄ですなっ…………!」


霧切「誤魔化さないで……そこで何をしているのかしら?」


山田「な、ナニと言われましても……」

アルターエゴ「その声は……霧切さんだね」

アルターエゴ「怒ってるのぉ……?」


霧切「あなたに対してではないわ」


山田「ぼ、僕に対して……?」


霧切「山田君、昨日の夜時間中にも……脱衣所に行ったわよね?」


山田「えっ・・・!」

山田「な、なぜそれを・・・?」


霧切「たまたま見かけたのよ……午前3時くらいだったかしら」

霧切「あなたがここから出てくるのを」


霧切「その時も……今と同じように、アルターエゴに?」


山田「いやいや……普通にお風呂に」

アルターエゴ「うん……山田君とずっとお話してたんだよぉ」

山田「っ・・・!」


霧切「……こう頻繁に脱衣所を出入りしていたら」

霧切「『脱衣所に何かがあるのではないか』……と黒幕に勘付かれる可能性がある」

霧切「そのことは分かっているわね?」


山田「そ、それは・・・・」


その時山田、霧切の手にしていたある物に釘付けにっ……!


山田「!!・・・それっ・・・!」


霧切「……?」


がらっ・・


苗木「霧切さん……?」

霧切「……苗木君、どうしたの」


舞園「霧切さんがこちらに入っていくのが見えたので……気になって」

カイジ「何だ……山田もいるのか」

セレス「探索後の報告は食堂で……という話でしたが」


霧切「少し、山田君に注意をしていただけよ」


舞園「注意ですか?」


山田「それより霧切響子殿っ!」

山田「そのカメラ、どちらで手に入れたので……?」


霧切「……これのこと?」


セレス「何ですの、これは……妙なキャラクターの絵が……」

カイジ「トイカメラか?」


山田「外道天使もちもちプリンセスぶ~こっ・・・!!」


苗木「・・・・?」

山田「僕が以前手に入れた非売品グッズですぞ!……なぜそれを、霧切響子殿がっ……!」


霧切「……3階の物理室で見つけたのよ」


山田「!?……な、何故そんなところにっ……!」


霧切「…………」


カイジ「よくわからねぇが……山田の所有物が、3階にあったってことか」

舞園「……おかしな話ですね」


霧切「……でも、この発見……今後の推理の参考になりそうよ」

霧切「とりあえず……あなたの物なら……これは返しておくわ」


山田、キャラもののカメラを手渡される…………が


山田「何か……使い古されてる……!?新品だったはずなのに……中古……!」

山田「…………やっぱいらないや」


カイジ「あっさり捨てるのか……」

セレス「……でしたら、わたくしが預かっておいてもよろしいですか?」

苗木「セレスさんが?」

セレス「何かに使えるかも知れませんし……使いたい方がいらしたらわたくしに言ってくださいな」

セレス「他の方々にも……後でそうお伝えしておきますわ」

セレス「よろしいですか…………霧切さん?」


霧切「…………、構わないけれど」



―食堂―


探索を終え……再び、食堂へと集合した14名


石丸「それでは……各自成果を報告してくれたまえ!」


学校エリア3Fの状況について、各々が報告

また、学校エリア1Fの保健室が……新たに利用できるようになっていた


報告後、解散したカイジ達

―大浴場・脱衣所―


時刻は午後8時過ぎ……夕食後のひととき


カタカタ・・   カタカタ・・


アルターエゴ「ねぇ……山田君、霧切さんがまた怒らないかなぁ……?」

山田「むふふ・・・・・バレなければ問題なかろうっ!……ですぞ!」


がらっ・・!


山田「ひぃっ・・・・!」


桑田「わっ・・・!?」

桑田「ってブーデーじゃねぇか……嚇かすなっての!」

山田「いえいえ……そんなつもりは」


桑田「何やってんの……ってアルターエゴかよ」

桑田「つーか……パソコン抱きかかえんなよ……はたから見たらマジきめぇから!」


山田「ふふ……これは一種の愛情表現」

山田「ハッ・・・・・もしや!桑田怜恩殿もちーたんとお話をしにっ・・・・?」


桑田「なわけあるか」

桑田「オレはフツーに風呂入るだけだよ」


服を脱ぐ桑田……と、その時……

桑田のいずれかのポケットから……丸められた紙が落下っ……!


山田「おや……何か……?」


《オマエラっ……!》

《至急体育館に集合してくださいっ…………!!》


桑田「おっと……アイツかよ……」

桑田「ったく……また例の動機か?」


急ぎ気味で今脱いだ服を着る桑田……!


山田「あの……桑田怜恩殿……これ落とし」

桑田「ムダ話してるヒマねーだろ……先行ってるぜ」


ばたんっ・・


山田(……行ってしまいましたな)

山田(この紙は……ただのゴミ……?)


山田、丸められた紙を広げて伸ばしてみると……!



『2人きりで話したいことがあります……

午前1時に、私の部屋に来てください

部屋を間違えないように、ちゃんとネームプレートを確認してくださいね

                            舞園さやか』

―体育館―


ざわ・・・    ざわ・・・


大和田「ったく……今度は何だよ」

江ノ島「そりゃ……やっぱり次の動機っしょ」



モノクマ「その通りでございますっ…………!!」


朝日奈「来たよ……ぬるりと」

葉隠「で……今度はどんな動機なんだべ……?」

大神「どんな動機が用意されていようと……我らは動じないっ……」


モノクマ「まぁまぁ……そうは言っても、人間……結局は飽くなき欲望に食い潰されちゃうものなんだって」


十神「時間が惜しい……さっさと話せ」

モノクマ「ずばりっ……!」

モノクマ「今回の動機(テーマ)はおカネですっ……!!!」


一同「……!?」



モノクマ「それもなんとっ……ひゃっくおっくえ~~~~~~ん!!!」


どっさり!!


カイジらの眼前に示された……正真正銘の……百億円っ!!

1万円札1枚の厚さがおよそ0.1ミリであることから……

積み上げれば……高さ100メートル……重さにして約1トンっ…………!!

それほどの……大金っ…………!!!


葉隠「ひ・・・・百億っ・・・!?」

カイジ「・・・・・・・なん・・・・だと・・・・・・・」

セレス「・・・・・・・・・・」

十神「……とんだ端金だな」

モノクマ「“クロ”になれば……百億円をゲットできますっ……!」

モノクマ「晴れて外に出れる上に……たぶん生涯遊んで暮らせるよっ……!」


不二咲「そんな・・・お金のために・・・人を殺すなんて・・・・」

苗木「ボク達は絶対にそんなことはしないっ・・・・・・!!」

桑田「そ、そうだってっ・・・!」


モノクマ「またまたぁ……強がっちゃって」

モノクマ「自分に正直になればいいのさ…………欲しいでしょ……100億円」

モノクマ「どうせなら期限を付けようかな……」


モノクマ「……48時間以内……!!」


モノクマ「現在午後8時15分だから……明後日の午後8時15分までに殺人を完了したら100億円の権利をゲット!」

モノクマ「それを過ぎたら……半額の50億円に目減りしますっ……!!」

モノクマ「要するに…………」



モノクマ「いつ殺るの?…………今でしょっ…………!!」



モノクマ、退場


しんと静まりかえる……体育館


石丸「ハ…ハハ……、今度の動機は……随分と古典的ではないか」

石丸「このような手法に乗る者など……いるはずがないっ……!」


腐川「……分からないわよ」

腐川「この中にも……お金に困ってる人……いるんじゃないの?」


カイジ「・・・・・・・・・・」


腐川「……葉隠とか」

葉隠「なっ・・・・・俺は占いで稼いでるんだ!そんなことないべ!」


腐川「……山田とか」

山田「し、失礼な!・・・・僕も同人誌で潤沢な資金を得ていますからっ……!」


腐川「あとは……ギャンブル好きな人間とか……お金に目がくらみそうよね?」


カイジ「・・・・・・・・ッ」

セレス「わたくしはギャンブルで得た貯金が10億円以上ありますから……これ以上必要ありませんわ」

カイジ(じ・・・10億っ・・・・・・・!?)


苗木「もう辞めようよ……腐川さんっ……!」

舞園「そうですよっ……お金よりも…………命の方が大事に決まってるじゃないですか……」

霧切「モノクマの話は終わったのよ……皆もうここに留まっている理由はないでしょう?」


体育館を後にした霧切に続き……流れ解散となる

そして……夜時間間際


―寄宿舎・廊下―

山田(腐川冬子殿ときたら……この僕がお金などで人殺しなど……)

山田(それにしても……ちーたん(※アルターエゴ)……この恋しさはいったい)

山田(この胸の・・・・・・トキメキは・・・・・・・)


セレス「……山田君」


山田「!……こ、これはこれはセレス殿……何か?」


セレス「大事なお話がありますの……夜時間になったらわたくしの部屋まで来ていただけますか?」


山田「は……はぁ」


《キーンコーン……カーンコーン……!》


―個室(セレスティア・ルーデンベルク)―


山田「え~……それで……話とはいったい……」


セレス「こちらのメガネ拭きなんですが……山田君のものではないですか?」


山田「!……それは!……昨日から見あたらなくなっていた……!」


セレス「やはりそうでしたか……こちらのカメラと同じキャラクラーがプリントされていたので」

セレス「もしや……と思いまして」


山田「わざわざ拾って保管しておいてくださったのですか……これはこれはご親切に」

山田「ところで……どちらに落ちていたので?……まったく覚えがないのですが」


セレス「……脱衣所ですわ」


山田「・・・・・・・・脱衣所?」

セレス「昨日、わたくし達女子一同で……大浴場でくつろいでいたのですが」

セレス「わたくしが皆さんよりお先に上がったところで……脱衣所へ出て直ぐの扉の手前でこれを見つけたのです」


山田「・・・・・・・・・・」


セレス「入浴の前には……そこには何もなかったのですが」


山田「・・・・・・・・・・・」


セレス「それに……このメガネ拭き……拾い上げたときに湿っていたのです」

セレス「おそらく……直前に湯気で曇ったメガネを拭いたからでしょうね」

セレス「ですが……脱衣所では湯気でメガネが曇るとは考えにくいので」

セレス「山田君は……湯気のかかる大浴場の扉の前にて……隙間から湧き出る湯気で」



山田「も、申し訳ないっ・・・・・・・・・!!」

山田「決して悪気などはなかったので・・・・・!もう覗きのような僕の主義に反することは二度としませんからっ・・・・!!」



山田、ゴスロリ服の誘導尋問に嵌り……覗き行為を自認っ……!

セレス「……あの場には、霧切さんもいましたよね?」


山田「た・・・・確かに・・・そうですが・・・」


セレス「……もし、覗き行為のことが霧切さんにバレたら」

セレス「霧切さんは更にお怒りになって……アルターエゴを、“山田君から取り上げる”かも知れませんわ」


山田「なっっっ・・・・・・・!!」


ゴスロリ服、アルターエゴから直接聞き取った……山田の弱みを指摘っ……!


山田「そ・・・・それだけはっ・・・・・・・・!」

山田「ちーたんは・・・・僕が生まれて初めて・・・・緊張もせず・・・・まともに会話できた相手なのですぞっ・・・・・(ママ以外でっ)!!」

山田「これからも・・・・ずっと大切にしていきたい・・・・・そんな“ひと”に出逢えたというのにっ・・・・・!」


山田「それを・・・・・取り上げるなんて・・・・・そんなっ・・・・・・・!!!」


セレス「…………」


アルターエゴは所詮ただのプログラムっ……というツッコミは敢えてしないゴスロリ服!

セレス「……覗き行為は立派な犯罪ですわよ?」

セレス「わたくし達が被った精神的苦痛から考えるに・・・・内密にするわけには・・・・・・」


山田「そ・・・・そこを何とか・・・・・!!」

山田「なにとぞ・・・・!なにとぞ内密にっ・・・・・!!」


セレス「・・・・・・被害者であるわたくしに・・・・・何の償いをするでもなく・・・・・・・」

セレス「泣き寝入りをしろと・・・・・・言うのですか・・・・・・・・・・?」

セレス「うぅ・・・・・・・・」


山田「すみませんっ・・・・!申し訳ありませんっ・・・・・・・!!」


……山田、土下座っ……!!



山田「何でもしますから・・・・!どうぞ・・・・お許しを・・・・・・・!!」


セレス「・・・・・・・・・・あらぁ」

セレス「今・・・・・・何でもするって・・・・・・言いましたわね」

セレス「・・・・・・・・・山田君・・・・・・・・・・・?」

―個室(カイジ)―

カイジ「…………100億」

カイジ「1億円の100倍…………」

カイジ「………100億あったら、俺の人生って」


カイジ「…………」

カイジ「・・・・・・・・・人を殺せるか?」

カイジ「100億の・・・・・・ために・・・・・・・・・?」



カイジ、頭から離れない……カネの幻影……

人の命はカネよりも重いのか…………?

それとも……命よりカネの方が……重いのか……?

次回に続く

乙!
大和田死んでないから石丸が覚醒せずにイベント起きないかと思ったけどこう来たか

乙です
さて、問題のたえちゃんだ・・・

いいね
立木ボイスが聞こえてくるようだ

ん……?
今……何でもするって……言ったよね……!

今こそ……特訓した餃子の出番……!

カメラ取り上げとくべきだったなぁ

―個室(伊藤カイジ)―


《朝ですよっ……!7時になりました…………!》


カイジ「…………」


カイジ(動機(カネ)のことが気になって……よく眠れなかった……)


カイジ「馬鹿がっ・・・・・!」

カイジ「いい加減にしろよっ・・・・・・・・!」

カイジ「折角・・・・・カネとは無縁な環境に放り込まれたってのに・・・・・!」

カイジ「なんでまた・・・・カネに惑わされて・・・・・・」

カイジ「ああー・・・・ったく・・・・・・・・・・」

カイジ「考えるだけムダだろ・・・・・・考えるな!!」

カイジ「ここにいる限り・・・・・カネのことなんざどーでもいい・・・・・!!」


カイジ「・・・・・・・・・・・」


カイジ「ここに・・・・・・いる限り・・・・・・・・・・なんだよな・・・・・・・・・・」

―食堂―


がらっ・・・


カイジ「悪い……遅くなった……」

カイジ「……?」


葉隠「よっ……伊藤っち」


カイジ「どうした……お前……だけなのか?」

カイジ「他の連中は……?」


葉隠「いやぁ……ちょっと理由があってよ」


カイジ「!!!」

カイジ「お前・・・・・・まさか・・・・・・」

カイジ「他の連中を・・・・・・・殺っちまったのかっ・・・・・・・・!?」


葉隠「ッ!?」

カイジ「カネの・・・・・・ために・・・・・・・・!!」


葉隠「ないないないない……!それはないべっ…………!!」

葉隠「ほら、アレだアレ……」


カイジ「アレ……」


葉隠「朝風呂にでも……いかないかってことよ」


カイジ「…………」

カイジ「いいな……行くか」

―脱衣所―


がや・・      がや・・


葉隠「伊藤っちを連れてきたべ」

朝日奈「お疲れ~」

カイジ「全員集まってんのか……?……怪しまれるだろ……大丈夫なのか」

苗木「一応……時間差で出入りするようにして」

舞園「少しは……攪乱できたのではないかと」

石丸「ともかく、長居するとモノクマが現れるやも知れん……!」

霧切「初めて頂戴……不二咲君」


不二咲「うん!」


カタカタ・・   カタカタ・・


不二咲「だいぶ手間取ったんだけど……ようやくPCの解析が終了したんだ」

不二咲「その結果報告をするために……皆に集まってもらったんだよぉ……」

不二咲「それじゃ……お願いね」

アルターエゴ「はい……ご主人タマ」


山田「はぁ・・・はぁ・・・・」

桑田「オイ変な息かけんな気味悪りぃ……!」


アルターエゴ「この学園ではね……『生徒を隔離して、場合によっては一生ここで過ごさせるというの計画』が練られていたらしいんだ」


大和田「はぁ……?それってよォ……」

翔「まるっきり今の状況と同じじゃねっ……!ゲラゲラゲラっ…………!」


アルターエゴ「でも……1年前に起きた“人類史上最悪の絶望的事件”が原因で」

アルターエゴ「……学園は閉鎖となったみたい」

江ノ島「人類史上(以下略)……?」

大神「1年前……だと?……それが事実だとすれば……」

石丸「僕達はそもそも入学できていないではないかっ…………!!」


セレス「つまり……こういうことなのでしょう」

セレス「何者かが……何らかの事件によって閉校になった希望ヶ峰学園を乗っ取り……」

セレス「先の計画―生徒を隔離し、共同生活をさせる―の被験者として……わたくし達を拉致し」

セレス「この学園に幽閉した」

セレス「その計画の一環に“コロシアイ生活”という実験が組み込まれていた」


葉隠「なるほど!……分からんっ……!!」

十神「計画を練った首謀者が……黒幕というわけか」


不二咲「そのことなんだけどさぁ……」

アルターエゴ「この計画の責任者は……学園長本人だったみたい」

不二咲「年齢は30代の男性で……まだ校内に潜伏しているらしいんだけど……」


霧切「・・・・・・!!」

桑田「本物の学園長が……あのモノクマを操ってるってコトか……!」

大和田「だがよ……そもそも学園が閉鎖になったったのはマジなのかよ……?」

十神「……それは確かな事実だろうな」

大和田「んだよ……根拠でもあんのかぁ?」

十神「この手紙だ……PCと同じく、図書室にあったものだ」


十神「苗木、読んでみろ」

十神、苗木に一通の封書を手渡す


ぱさっ・・


苗木「えーと……なになに」

苗木「『希望ヶ峰学園事務局からのお知らせ』……」

苗木「これって……希望ヶ峰学園を閉校するって趣旨だ……“深刻な問題”の発生によって……!!」


十神「事務局の印のある書類だ……信憑性は高いだろう」

十神「そしてこの書面における“深刻な問題”は……“人類(以下略)”ととらえられよう」

十神「そして……手紙の汚れ具合……少なくとも、あそこに置かれて1年以上経過しているとみて差し支えない」


朝日奈「な、なるほど……えっと……要するに」

セレス「PCから入手できた重要度が高いと思われる情報と、事務局の発行した手紙の概要が一致しているのです」

十神「俺達の置かれた状況の解明が……少しは進んだということだ」

大和田「つーより……何でその手紙を見つけた時に……オレらには知らせなかったんだよ?」

大和田「オメェはずっと図書室に入り浸ってたんだから……すぐに見つけたんだろ?」

十神「未知の情報というものも……取引に使えるからな」

十神「情報欲しさに擦り寄って来た人間を……罠に嵌める方法などいくらでもある」

十神「勿論、その場合……情報の真偽はそれほど重要では無いかも知れんがな」

大和田「オメェ……マジで殺しなんぞやるつもりじゃなーだろうな……?」

十神「……さあな」


石丸「……とにかく!……新たな情報が得られて良かったではないか」

石丸「今後は……この学園にいるらしい……本物の学園長を」


霧切「学園長は・・・・・・私が探すわっ・・・・・・・・・・!!」

霧切「必ず・・・・・・・・・・・見つけ出してみせるっ・・・・・・・!!」


この時銀髪、意外にも感情を露にした態度…………!


セレス「…………」

苗木(……珍しいな、いつも表情を表に出さない霧切さんが……)

カイジ(……霧切のやつ、やはり何か事情を知っているんじゃないか?)

カイジ(……俺達が知っている範囲より……もう少し先のことを)

カイジ(今になっても素性がはっきりしないのは霧切だけ……)

カイジ(あ、いや……他の連中にとっては……俺も似たようなものか……)


アルターエゴ「僕にできることは……これで終わりかも知れない」

アルターエゴ「学園長の名前とか……これ以上の情報は抽出できなかったし……」

不二咲「お疲れ様……」

不二咲「でも……まだできる事」


山田「ちーたんがもうお暇になるというのなら……!」

山田「僕に預からせてもらえませんかっ……!!」


霧切「!……それはダメよっ」

霧切「アルターエゴによる解析は終了しても……アルターエゴは安全に保管しておいた方がいい」

霧切「あなたが安易にアルターエゴを利用していたら……私達がどの程度の情報収集力を持っているのか」

霧切「黒幕に露見してしまうかも知れない」

霧切「学園内は自由に調べられるといっても……黒幕にとってどうしても知られたくない情報は必ずあるわ」

霧切「それらの機密情報のセキュリティシステムが……更に強固なものにされてしまったら」

霧切「今後の調査活動に支障をきたす虞がある」

山田「などとどうこう言ってっ……!!」

山田「本当は僕とちーたんの愛を邪魔するつもりなのではっ……!!」


霧切「え?」


アルターエゴ「や、山田君……」

山田「僕達は……一心同体なのですぞっ……!!」

山田「誰にも邪魔はさせますまいっ……!!」


不二咲「や、山田君……」


山田「何か問題でもありますかなっ………?不二咲千尋殿っ!!」

霧切「……不二咲君、山田君の妄言に惑わされてはいけないわ」


不二咲「え、えっと……そのぉ……」

葉隠「何か……三角関係のもつれっぽいべ」

朝日奈「ていうか……四角関係?」


石丸「こういうものを……純愛というのだろうか、兄弟?」

大和田「まぁ……人それぞれだろ」


十神「下らん茶番だ……もう此処にいる必要はないな」

翔「はいはい~どこまでもお供するわん……白夜様ぁ……!」


舞園「とりあえず……朝食にしましょうか」

苗木「そ、そうだね……」

大神「朝一番には……プロテインコーヒーがよくあうぞ」

桑田「水か牛乳に混ぜたほうが吸収いいんじゃね?」

江ノ島「それなら断然水っしょ……てゆーか水の確保ってマジ大事だし」


カイジ「…………、山田ってマジであれに惚れ込んでんのか」

セレス「そのようですわね」

カイジ「目の前にいる不二咲じゃなくてか……そもそも男だが……」

セレス「そういう愛の形なのでしょう」

セレス「ところで……伊藤君」

カイジ「……何だよ?」

セレス「本日は……お昼に中華を頂きたいと思いますの」

セレス「作っていただけますか……?」

カイジ「…………おうよ」

カイジ(今度こそ……認めさせるからな…………!)



モノクマの定めた100億円のタイムリミットまで……残り36時間っ…………!

次回に続く

乙ー

盛り上がってきたな


カイジの餃子でなんとかなるかっ…!?

―脱衣所―

霧切「不二咲君、今後山田君がアルターエゴに近づいた場合は」

霧切「警報音を発するように……設定しておいてくれる?」


山田「・・・・な・・・・・!?」


霧切「それから……アルターエゴの“知らない人物”が接近してきた場合もね」

霧切「……黒幕を出し抜き、ここから脱出するための……大切な足掛かりなのよ」

霧切「全員の利益を追求するためには……個人の欲求に振り回されている場合ではないわ」


不二咲「……うん、分かったよぉ」


不二咲の答えを聞き、呆然とする山田を置いて……脱衣所を去る銀髪


カタカタ・・    カタカタ・・


アルターエゴ「…………ふぁ~ぁ」

不二咲「それじゃぁ……スリープモードに入るよ…………おやすみ」


山田「・・・・・・・・・・」


不二咲「ごめんねぇ……山田君…………」

山田「・・・・・い、いえ・・・・・・・・・・」

山田「不二咲千尋殿は・・・・・悪くないですから・・・・・・・・」


山田「むしろ・・・・・ちーたんの創造主・・・・・・・・僕にとっては・・・・神のような存在っ・・・・・!!」


不二咲「え、えへへ・・・・」


どう返答すればいいのか…………困り顔の不二咲


山田(悪いのは・・・・・)

山田(・・・・・・・悪いのはっ・・・・・!!)

すいません今日はほんとしんどいんで短いですがこれくらいで
あと二日くらい更新とまるかもなんでご容赦ください

霧切さんに死亡フラッグが...?
いやいや、探偵役が死んだらダメだろう。

セレブじゃない限り金と言う欲にはどんな人間も勝てないと思う

金を動機にしたのに、全然関係ないところで殺人フラグ立ってる絶望

人は身に病があると、此病がなかつたらと思ふ。其日其日の食がないと、食つて行かれたらと思ふ。
萬一の時に備へる蓄がないと、少しでも蓄があつたらと思ふ。蓄があつても、又其蓄がもつと多かつたらと思ふ。
此の如くに先から先へと考へて見れば、人はどこまで往つて踏み止まることが出來るものやら分からない。

>>745っ誰かの詩?

>>745
高瀬舟かなんかだっけ

リスクがある場合は別だよね

バレたら死亡確定なんだから、100億でも割には合わんだろ

そもそも、殺人を犯して得体の知れない黒幕から貰った100億なんて大金を外の世界でまともに使えるのかって話だよな
作中人物たちは外がどうなってるか知らないが、たとえ外が普通の状態だったとしても警察に保護された時とか色々問題考えられるし

ついでに言うと生殺与奪を完全に握られてる状態で「外に出す」「100億渡す」なんて言葉を信じるのも無理がある
黒幕が痺れを切らすのを防ぐためのその場凌ぎとして殺人はアリかもしれないけど……

>>749
>ついでに言うと生殺与奪を完全に握られてる状態で「外に出す」「100億渡す」なんて言葉を信じるのも無理がある

生殺与奪を完全に握られてる状態でそんな冷静な考えには至れないでしょ

―厨房―


ガラッ・・


十神「……」

翔「あらぁーアゴたんじゃんっ……何やってるわけ?」



こね・・   こね・・

カイジ「…………」



大神「腐川よ……今は伊藤の邪魔をするな」

大神「伊藤は……乗り越えようとしているのだ……試練を」

大神「己自身の……限界を突破することでな……」

翔「試練?……特級厨士に合格狙ってんのぉーアゴたん?」

朝日奈「どこの裏料理界よ……ていうか……アゴたんって伊藤……?」

ぐり・・    ぐり・・

カイジ「…………」



朝日奈「そういや……今日は山田は手伝いに来てないんだね」

大神「山田は……あの様子だからな……」

大神「本人も気持ちの整理がついていないのだろう……」

大神「…………大丈夫であろうか」

翔「あれー……さくらん、ひょっとしてひふみんのコト心配なのっ……?」

翔「それって……コイってやつぅ…………?まさかの五角カンケイ!?」

大神「……そういう……ことでは…………」

朝日奈「ちょっとジェノちゃん!さくらちゃんをからかわないでよっ……!」

かぽっ・・    きゅっ・・・    きゅっ・・・

カイジ「…………」



朝日奈「それにしても伊藤っ……随分上手くなったね!」

大神「生地を捏ねる作業も……指の筋肉を鍛えることにつながろう」


かぱっ・・    トポポポ・・

十神「…………」


朝日奈「あれ、十神……カップ麺食べるの……!?意外と庶民的っ……!」

十神「……この場から即刻立ち去りたいからだ」

大神「塩分過多になると筋肉に悪影響を及ぼす……気をつけることだ」

十神「俺に命令するな」

翔「汁は全部アタシが飲むから大丈夫っ……!つーか白いほうの汁も……!!」

朝日奈「ち、ちょっとあんた何言ってんのよ・・・・・・!!」

翔「あはぁ~ん?……昼間っからエロい妄想はかどってんなぁ乳牛さんよ!」

朝日奈「んなっ・・・・・・」

大神「お主……朝日奈を侮辱するならば……我が許さんぞっ……!!」


十神(アルターエゴによって得た情報……)

十神(愚民共は……あれによってどう感化されるのか……そこが問題だ)

十神(フフ……アルターエゴの存在は……連中にとって、外へ出る手がかりとなる)

十神(……小さな希望の光のようなもの)

十神(あれを利用すれば……あるいは……)


朝日奈「十神、麺が……ふやけてるよ…………」


十神「…………」

ふや……

ふや……


じゅぅぅぅぅ・・・・!!


周囲の喧騒を物ともせずっ…………!

ただひたすら餃子づくりに没頭するカイジっ…………!


そして…………!


カイジ「一週間……」

カイジ「試行に錯誤を繰り返し……」

カイジ「ここまで来た……」


カイジ「・・・・・・できたっ・・・・・・・!!」

カイジ「これ以上のものは・・・・・・・ねぇ・・・・・・・・!!」


カイジ、ひとり雄叫び……!

何かをやりとげた後の……達成感……!


ありとあらゆるギャンブル漬けの……一発勝負な毎日を送ってきたカイジ……

碌にバイトも続かず……地道な借金返済など手に付かず……

継続的な努力を怠ってきたカイジにとって……


驚くほどの……達成感…………充実した気分っ!


カイジ「味見を、頼む」

朝日奈「どれどれ……はむっ」

朝日奈「おお・・・!」

大神「・・・・・・・・うむ」

朝日奈「…………いける!これならいけるよっ……伊藤!」

大神「…………お主を見守る我らの役割は終わった……行くのだ」


カイジ「……ありがとよ」


翔「白夜様~?別のカップ麺とお湯を持ってどこ行くのって!」

十神「……ここは暑苦しい、個室に戻る……ついてくるな」

―食堂―


カイジが満を持して……提供した餃子っ

それを頬張った……ゴスロリ服は…………!


カイジ「…………」

セレス「…………」

セレス「うふ……うふふ………」

カイジ「…………?」

セレス「驚きました……たった一週間で、ここまで上達するものなのですね」

カイジ「!……それじゃあ……!!」

セレス「約束通り、わたくしとギャンブルをさせて差し上げますわ」


カイジ(・・・・・・・よしっ・・・・・・・・!!)


ゴスロリ服、この時意外にあっさりと……!カイジの餃子を認めるっ…………!


一方、有頂天のカイジ……!


カイジ「そうと決まれば……!」

セレス「ですが……実際に勝負をするのは、また後の機会にしましょうか」

セレス「やはり……本気で賭けをやるのなら」

セレス「それ相応の時と場所であったほうが……趣があってよろしいでしょう?」

カイジ「…………まぁ、それもそうかな」

カイジ「だが、賭けの対象ぐらいは今のうちに考えておこうぜ!」

カイジ「何で勝負するかは……いろいろ道具も揃ってるからともかく」

カイジ「何を賭けるかってのは……」

セレス「そうですわねぇ……」



セレス「100億円で、どうですか?」



カイジ「・・・・・・ッ」


カイジ、この時背筋に悪寒を感じるっ……!

ゴスロリ服の赤い瞳に……何かがざわめいている……そんな感覚っ……!


カイジ「おい・・・セレス、それって」

セレス「……うふふふふ、勿論冗談ですわよ」

カイジ「・・・・・だ、だよな・・・」

セレス「伊藤君、あまり人の言うことを素直に信じてはいけませんわ」

セレス「顔に、騙され易いですと……書いてありますから」

カイジ「別に……俺は……そんなわけじゃ…………」


セレス「さ、温かい内に……一緒に召し上がりましょうか」

セレス「伊藤君が……作ってくれた、餃子を」

カイジ「……ああ」

―厨房手前―


朝日奈「おおー!何かいい雰囲気なんじゃない……?」

大神「そうかも……知れぬな」


平穏の中にも……いつ事件が起こるかわからないという危険が

時折見え隠れする……出口の見えない共同生活


100億円のタイムリミットまで……残り約30時間っ…………!

次回に続く

盛り上がってきた

乙でしたー

セレスにはもうちょっと凄腕ギャンブラーらしいところを見せて欲しかったから、期待

超高校級の嘘つきでないなら、アカギ並かそれ以上なんだよな

つまり天レベルか

モノクマが裁判=確実に誰か死亡のことまだ話してないのがなぁ

早く誰か死んでくれ

こらっそういう事言わないの><

そうだよぉ><

死体が発見されました!

―個室(伊藤カイジ)―


ゴスロリ服との昼食を終え……一旦個室に戻ったカイジだったが


カイジ「…………」


そわ・・     そわ・・


カイジ(くぅ……なんつーか……落ち着かねーな)

カイジ(100億のこととか……)

カイジ(セレスとの賭けのこととか……)

カイジ(……あと、山田の奴……大丈夫なのか?)

カイジ(いくら何でも画面相手に恋とか愛とか……)

カイジ(分からん…………その価値観)

カイジ「…………」

カイジ「探しておくか」

カイジ「“相応の時と場所”に合う……賭博道具……」

カイジ「……それと」

カイジ「もう少し、情報を集めておいた方が良さそうだな」



―トラッシュルーム―


がらっ・・


カイジ「……ん?」


ウィン・・・   ウィン・・・


霧切「……あら」

霧切「ゴミを捨てに来たの?」


カイジ「いや、ただ何となく立ち寄っただけと言うか……」

カイジ(人探しっていうか)

カイジ「それより、前来た時には……ここに鉄格子があって奥には入れなかったような」

霧切「鉄格子を開ける鍵があるのよ……掃除当番に託されているわ」

カイジ「……掃除当番?」

霧切「一週間交代制で掃除当番を引き受けさせるつもりだったようね、モノクマは」

霧切「それで学園生活二日目に……成り行き上……私が当番になったのよ」

カイジ「汚ねぇゴミを扱う作業だろ…………女なのによくやるな」

霧切「あら、そうかしら?」

霧切「ここそれほど等閑にはできない場所よ」

カイジ「というと……?」

霧切「仮に、事件が発生したとき……加害者(クロ)は完全犯罪を達成するために」

霧切「自身の犯行を類推しうる一切の物的証拠を……隠さなければならないでしょう?」


霧切「校則の6条に則って“卒業”を目指すからには……ね」


カイジ「いきなりコロシの話かよ…………」

カイジ「そりゃ……証拠をそのまんま残してたらバレるから、どこなと隠すだろうな」

霧切「でも、考えてもみて」

霧切「私達の行動範囲は……非常に狭いわ」

霧切「それにこれだけの人数がいれば……上手く隠し通すのは至難の業じゃない?」

カイジ「なるほど……確かに」

霧切「それならば、隠すより手っ取り早く……証拠隠滅を図れる方法を使うはずよ」

カイジ「!……そうか、ゴミの焼却炉!」

カイジ「ここでブツをまとめて燃やしちまえば……証拠は跡形も無く消えちまう!」

カイジ「万一誰かがコロシをやっちまった場合、証拠隠滅のためにトラッシュルームが使われる可能性が高いってことだな」

霧切「……そういうこと」

霧切「だから、私はこのままずっと掃除当番でも構わないわ」

霧切「むしろ、その方が少しは“事件捜査”の手間が省けることになる」


カイジ「……“事件捜査”?」


カイジ「ちょっと待てよ……捜査なんて項目、校則には見あたらねぇが……?」

霧切「……モノクマは、3日目の朝食会のときに……」


霧切「……『事件発生後しかるべき後に、“学級裁判”が執り行われる』といっている」


カイジ「よく覚えてるな……そんな前のこと」

霧切「常時メモを取る癖がある……みたいなのよ」

霧切「それで、実際の司法制度に照らし合わせて鑑みるに……」

霧切「殺人事件の発生と起訴後の法廷論争までの間には」

霧切「警察・検察組織による逮捕拘留、並行して被疑者の取調べ・捜査・差押・検証等が行われるでしょう?」


カイジ「あー、はい・・・・」

霧切「でも、この学園の中には、黒幕と私達以外には人がいない」

霧切「…………所在不明の学園長のことは……ともかくとして」

霧切「そうなると、事件発生後に警察的な作業を担わなければならないのは」

霧切「私達自身……なのではないかしら?」

カイジ「・・・・ッ・・・・」


モノクマ「Exactly……」


モノクマ、登場!……ややジョ○ョ立ち気味っ……!


カイジ「モノクマ!」

霧切「…………」


モノクマ「ていうか、霧切さんっ……!」

モノクマ「あんまりあれこれと邪推しないでよねっ」

モノクマ「ボクは言ったよね……裁判の詳しいお話は実際に事件が起こってからって」

霧切「それでいいのかしら」


モノクマ「ええ?」


霧切「むしろ、事件発生後から……学級裁判の流れまで」

霧切「今のうちにきちんと説明しておいたほうがいいんじゃないの?」

カイジ「…………」




モノクマ「そりゃまた、どうして……?」



霧切「ここまで、コロシアイが発生していないのは……”学級裁判”という不確定要素が存在するから……」

霧切「クロになって完全犯罪を達成すればそれでいいといっても、具体的にどの時点で達成の線引きがなされるのか」

霧切「“学級裁判”というものには……そもそも公平性が担保されているのか」

霧切「そのあたりの部分に不安を抱えているからこそ、なかなか実行に踏み切れないんじゃないかしら?」


霧切「突発的な犯行ではない限り……ね」

モノクマ「へむへむ・・・・・・」

モノクマ「うぷぷ……霧切さんの意見には一理はないけど一厘くらいはあるかもね」

モノクマ「いいよいいよ!」

モノクマ「コロシアイの発生が……促進されるのならっ…………!」

モノクマ「喜んで情報公開に応じましょうっ……!」


その後、モノクマは校内放送の音声とモニターを利用し……

学園内の随所にいる生徒達に、“学級裁判”の流れについて説明


…………各人の電子生徒手帳には、以下のように項目が追加された



(7.電子生徒手帳の他人への貸与を禁止する。)

8.生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

8‐1.一定時間中は、自由に殺人事件の捜査を行うことができますが、裁判室への入室を知らせる放送が入ったら、捜査を切り上げて速やかに移動してください。

9.学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。

10.学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、クロだけが卒業となり、残りの生徒は全員処刑されます。

11.コロシアイ学園生活で同一のクロが殺せるのは2人までとします。

―トラッシュルーム―


ピッ    ピッ


カイジ「……クロを外したら全員処刑……か……」

カイジ「まさしく……十神の言ってた通り……蹴落とし競争だな……これは」

カイジ「だが一方で、万一犯行がバレちまったら……一転クロが処刑されちまう」


霧切「…………」


カイジ「もしかして……抑止効果を狙ったのか……?」

カイジ「モノクマに裁判に関する情報を吐き出させ……それを他の連中にも周知させる」

カイジ「ゲスな黒幕の仕込んだことだ……“処刑(おしおき)”なんていうトチ狂った制度を押し付ける」

カイジ「それくらいのことを、あの黒幕ならやってくるだろうと…………踏んでいたとか?」

霧切「思ったより勘がいいのね……生意気よ、伊藤君」

カイジ「す、すまん……」

霧切「結果として、このアナウンスが抑止効果につながるのならそれはそれでいいけれど」


銀髪、ちらと監視カメラに視線を向ける


霧切「綿密な殺人計画を練っている人がいるとしたら……この情報は悪い意味でも有益になる」

カイジ「計画殺人なんかできるほど……頭の回る人間」

カイジ「それが……あんたの可能性も……なくはないよな?」


霧切「……」


カイジ「いや、悪いっ……疑ってるわけじゃないんだが……」

霧切「確かに私は、怪しまれても仕方がないでしょうけど」

霧切「それはあなたも同じよ」

霧切「……記憶を失っている……と言っていたわよね?」

カイジ「えっ……あ、ああ!ほんとにそれはっ…………ガチでっ!」

霧切「…………」


銀髪はカイジの瞳を直視し、その腹を探っているような様子であったが

やがて視線を反らすと、そのまま目を合わせることなく……


霧切「……もういいわ、そのことは」


この一言で〆、トラッシュルームを後に……


カイジ「……わかんねぇ奴だな、霧切も」

カイジ「っと……俺もここでボーっとしちゃいられねぇよ」


カイジも銀髪に続き……トラッシュルームを後に



パシャ・・・ッ・・・



カイジ(ん……今……何か音がしたような?……気のせいか?)

―個室(苗木誠)―


午後3時過ぎ……ベッドで昼寝をしていた苗木は

唐突なモノクマの校内放送によって……すっかり覚醒していた


苗木(……学級裁判の内容……その本質)

苗木(……モノクマの奴……なんて非道なんだ)

苗木(でも……このタイミングで“処刑(おしおき)”をするってことをボク達に伝えた理由って?)


ピンポーンっ


苗木「……誰かな?」


がらっ・・


苗木「伊藤クン?」

カイジ「何だよ苗木……居たんなら返事しろよ」

カイジ「お前に用があって探してたんだよ」

苗木「あっ……ゴメン」

苗木「しばらく眠ってて……気づかなかったんだと思う」

苗木「とりあえず入ってよ」

苗木「……それで、ボクに用って?」

カイジ「お前から聞きたいことが……あるんだ……」

苗木「聞きたいこと?」

カイジ「この前、大和田のことでも……お前結構詳しいこと知ってたからさ」

苗木「ああ……あれ?」

苗木「別にそれほど詳しいってわけでも……」

苗木「まあ一応、入学前に新入生スレを見て……一通り下調べをしてたから」

カイジ「……新入生……スレ?」

苗木「伊藤クンは……ネットの掲示板とかは……あんまり見ないほう……?」

カイジ「……まぁな」

苗木「そう……」

カイジ「ともあれ……今のうちに少しでも情報を得ておきたいやつがいるんだ」

カイジ「苗木が知ってる範囲でいいから……教えてくれないか?」

苗木「いいけど……誰のことについて……?」


カイジ「・・・・・あいつさ」

カイジ「セレスティア・・・・なんとかに・・・・ついてだっ・・・・・・・・!」


カイジ、未だに覚えていないっ……!

ゴスロリ服の“フルネーム”…………!

次回に続く
 
学級裁判が見たい人にとってはここまでの流れって退屈ですよね・・・それは謝ります

最近また話が冗長なのは先の展開に悩んでるからですが・・・できる限り更新滞らないようにしていきます


個人的にはここまで来たら全員生還してほしいけどなあ

全然問題ない
寧ろモノクマ以外全員生存でいいのよ

出来ればこのまま全員揃って生存して欲しいと思う反面
カイジの加わった学級裁判がどうなるのかも見てみたいというジレンマ
乙でした

カイジはもっと追い詰められなければならない

よし、あれだよ!
とりあえず全員生還ルートを書いたあとにオマケとして事件が発生した場合のストーリーを書いてもらおう!

>>795
それに賛成だ!!

全員生存は見たくないな
カイジがバトロワな状況で学級裁判するのを期待してたし
ぬるい仲良しごっこならカイジじゃなくて完璧超人のアカギでも連れてくれば良いし

アカギは殺した上で裁判に勝ちそう

>>797
自分で書けばいいじゃん

アカギはセレスに負けないとおかしい

そういや鷲巣ごとグニャ~っとさせられてたんだったっけか

>>795
天才

カイジやアカギよりも黒沢さんだったら皆を救える気がする。

コロシアイ云々は舞園桑田生存の時に言えよ。

アカギは負けてもぐにゃあしなさそうだから
負けたのはきっと平山辺りだろう…

桑田舞園生存でセレスさん死亡とか荒れるだろ。俺が

何で書きにくくなるような言い争いをするのか

ただでさえ展開困ってるみたいなんだし、>>1の好きなように書かせろよ

展開に悩んでるなんて公言してるんだから、展開に言及するようなことは避けるべきでしょ
弱みに付け込んでまるでそう書かなきゃいけないみたいな風潮を生み出すのは、展開の押し付けと一緒

結局>>799とかも「自分でやれば~」とかいう筆者の威を借る言い回ししてまで叩いてるけど
その手の要望を叩くならその前後の要望もひっくるめて全叩きするべきなはず
特に>>795なんて「両方の展開書いてね」とか明らかに横暴な要求なのにそれをスルー
ピンポイントで>>797だけ叩いてるあたり結局筆者のためではなく、自分の気に入らない流れを消したいだけ、典型的読者様

桑田辺りが死なないかな…意外性を突いて有能キャラでも良いけど

どうなるか?

―個室(苗木誠)―


苗木「セレスさんについて……?」

カイジ「ああ」

カイジ「あいつと近い将来…………“勝負”することになりそうだからな」

苗木(勝負……?ああ、……前に言ってた賭けの話かな?)

カイジ「敵を知り己を知ればってやつでさ……」

苗木「それならむしろ……伊藤クンの方が詳しいんじゃないかな?」

苗木「よく話もしてるみたいだし……」

カイジ「実のところ……あいつの話は大方掴み処がないっていうか」

カイジ「……言ってることがどこまで本気でどこから冗談なのか……」

カイジ「分かりづらいんだよな」

カイジ「だから……あいつに関する客観的な情報について知りたいんだ」

カイジ「過去に……どんなギャンブルで荒稼ぎしたのか……とか」

苗木「……そうだねぇ……ま、そもそもネットの情報も……すべてが客観的だとはいえないかも知れないけれど」


その内容は……


・ゴスロリ服を愛でる、「ウソの天才」と呼ばれる素性不明の女子高生

・自称「セレス(以下略)=本名」(正真正銘の本名は誰にも知られたくない?)

・出身地は栃木県宇都宮市らしい

・参加者同士で全財産を奪い合うゲーム、“キングオブライアー”で優勝したらしい

・闇の麻雀で“剛運”を持つ老人と“悪魔”と呼ばれる銀髪少年をぐにょ~とさせたらしい

・闇の麻雀インターハイで“牌に愛された子”を破り優勝したらしい

・地下の闇将棋大会で将棋のルールも知らずに適当に打って優勝(決勝の相手は“アキバの受け師”)したらしい




苗木「まあ……これくらいかな」

カイジ(……栃木って……あーだから餃子なのか…………)

カイジ(それにしても……)

カイジ(これは……どう解釈すればいい……?)

セレスさん、化け物じゃないですか

カイジ(「ウソの天才」というからには……この“過去の偉業”とやらも)

カイジ(実はすべて……ウソ?……作り話……?)

カイジ(かといって……仮に全部ウソだとしたら)

カイジ(……あいつに“ギャンブル”の才能なんてないことになる……)

カイジ(才能がなけりゃ入れない特別な学校に……あいつが入っていること事態がおかしい)


カイジ(裏口入学……?)

カイジ(いや、むしろそれって・・・・今の俺の状況じゃ・・・・・・・・・?)


カイジ(だから……すべてがウソだとは考えられない)

カイジ(ギャンブラーとしての才能を持っていることは確かなはずだ……)

カイジ(だが……この情報だけでは……)

カイジ(判然としない……セレスという人間の……本質的な部分が……)

苗木「あ、それと……ギャンブルの“必勝法”について話していたけど」

カイジ「何?……何ていってたんだ……あいつは」

苗木「う~ん、何だか回りくどい言い方してたけど……」


苗木「要は、“運”が“命”なんだって……」


カイジ「…………」


苗木「自分にはもとも賭け事(ギャンブル)の幸運がプログラムされているから」

苗木「負けることは無い……って……」


カイジ「…………」

カイジ「…………ほう」

苗木「伊藤クンも……ギャンブルに詳しいんだよね?」

苗木「やっぱり運の強い人が……そういう世界でお金を稼げるのかな?」


カイジ「…………」

カイジ「……どうだか」


苗木「え?」


カイジ「……本当に運だけで連戦連勝、負け無しってんなら……」

カイジ「それはオカルトレベル……葉隠の3割確実に当たるべ理論と同じ……」

カイジ「普通……ありえない」

カイジ「“ギャンブラー”を自称するくらいだから……長年に渡って博打に耽ってるのなら、尚更な」


苗木「うーん……宝くじとかで、高額当選したとか……?」


カイジ(やはり……一番は惑わされないことだ)

カイジ(苗木から聞いた話も……鵜呑みにしちゃいけない)

カイジ(相手のペーズに嵌らない……)

カイジ(勝機を見出すには、やはり……逆に……相手のペースを乱すことだ)

カイジ(あいつの……あの分厚い化けの皮……)

カイジ(それさえ剥がすことができれば…………案外っ…………)


カイジ「ありがとよ、苗木……いいネタを仕入れられた」


カイジ「もし本当に“賭け事(ギャンブル)”の幸運がプログラムされているといっても」

カイジ「…………“完全犯罪(ギャンブル)”の幸運がプログラムされているとは限らねぇ」


苗木「……え?……」


カイジ「独り言さ」

カイジ「……それじゃあな」


がらっ・・・


カイジ、用件を済ませて苗木の個室を辞去


苗木「行っちゃった……」

苗木(いい機会だから……伊藤クンの才能のことを聞いてみたかったけど)

苗木(まぁ……いいか、また今度で)

―個室(山田一二三)―

セレス「あら……どうして腰を抜かしているんですか?」

セレス「山田君」


おろ・・   おろ・・


山田「た、確かにっ・・・・・!僕は・・・・・・・・・・・!」

山田「何でもすると・・・・・・・!」

山田「で、ですがっ・・・・・・・・その・・・・・・・・・・!」


セレス「頭が高いんだよぉ!・・・・・腐れラードがぁっ・・・・・・!!!」


バシィっ・・・    

山田「・・・・・・びふいっ・・・・・・・・」


セレス「よろしいですか?」

セレス「もう一度、わたくしたちがこれからなすべきことを説明しますわ……」


ゴスロリ服、山田が偶然入手したという紙切れ……“舞園メモ”をチラつかせる

―購買部―


がこんっ・・


江ノ島「はぁ?……また香水?」

江ノ島「もっとイイもの出ないのかなぁ~」


ガラッ・・


カイジ「よ、よう……江ノ島……ここにいたのかよ……」


江ノ島「伊藤?」

江ノ島「何なのよ、あたしに用?」


カイジ「いやぁ……その、えっと…………」

カイジ「じ、実は俺も……お前と同じように……その……武器とか?……好きでさ」


江ノ島「えっマジで!?」


カイジ「ほら、えーと何だろ……戦艦とか……」

カイジ「愛宕とか木曾とかに……興味あったり……なかったり…………」


江ノ島「旧海軍の巡洋艦かー……あたしはどっちかと言うと近代兵器というか」

江ノ島「まぁ……実践的なことのほうが詳しいよっ…………!」


カイジ「……そっか」

カイジ「じゃあ……実践的な話ってことで……教えて欲しいことがある」


江ノ島「何~?」



カイジ「…………“ルーレット”についてだ」

―食堂―

朝日奈「処刑とか……ホント頭おかしいんじゃない?モノクマって!」

大和田「今に始まったことか?」

葉隠「しかし……あんな大事なことを今迄黙ってるなんてひでえって」

葉隠「クロだとバレたら死刑……なんて分かってたら尚更コロシなんてできねーっての」

桑田「は・・・オメー・・・まさか・・・・結構マジで殺る気だったんか・・・・・?」

葉隠「な・・・!?ち、違うって!!」

大神「桑田よ……無闇に揚げ足を取るでない」

朝日奈「葉隠はバカなんだからそもそもトリックとか思いつけないし!」

葉隠「そうだべっ……!!」

大和田「胸張っていうなよ……」

大和田(にしても……)

大和田(不二咲のヤツ……昼以降見かけねぇが)

大和田(今夜もトレーニングは……やるんだよな……?)



100億円のタイムリミットまで……あと残り約24時間っ……!!

つづく

とりあえず自分の書きたいように書いて、もし完結できて、余力があったらIFで分岐ルートでも書けたら・・・

遅いけど乙

カイジ提督なにしてるんすか

ぱんぱかぱーんだキソ~

苗木君もうセレスの事オトしてるか寸前じゃないっすかww

アカギは確かにぐにゃーしないな

ダンガンロンパの時代とアカギの時代の違いはツッコまないほうがいいんだろうな・・・
というかアカギが負けるのもその上でぐにゃ~なるのもまったく想像できん

面白いでsしえん

すばらしいよ……希望が溢れている

>>831
狛枝乙

―個室(山田一二三)―


山田「僕は・・・・・人を殺すなど・・・・・・そんなこと」

山田「そんなこと・・・・・・・いくら・・・・・・・・なんでも」


セレス「山田君、……よく考えてくださいな」

セレス「わたくし達は皆……所詮赤の他人に過ぎないのです」

セレス「その赤の他人を少なくともひとり……消去しさえすれば」

セレス「山田君は……晴れて、この養豚場のような飼い殺し空間から脱出できるのです」

セレス「それも……愛しのアルターエゴ……いいえ」


セレス「“ちーたん”と一緒にですよ?」

山田「・・・・・・・・・で、でも」

山田「ちーたんをここから救い出すことが出来ても・・・・・」

山田「その代償として・・・・・・不二咲千尋殿や、伊藤カイジ殿・・・・その他諸氏は・・・・」

山田「し、処刑されて・・・・・・・」

セレス「だから、それがどうしたのですか?」

山田「・・・・・・ッ・・・・・」

セレス「赤の他人である彼らの行く末など……わたくし達には関係有りません」

セレス「生きるか死ぬかのゼロサムゲーム……」

セレス「わたくし達が勝てば……残りの者が敗死するのは必然の理」

山田「・・・・・・・・・・・・」

セレス「それに……急ぎませんと」

セレス「……“ちーたん”が壊(コロ)すされてしまうかも知れませんわ」


セレス「……霧切さんに」


山田「んなっ・・・・・・・・・!?」


山田、驚愕っ……顔面蒼白…………!

セレス「よろしいですかぁ……?」



ゴスロリ服……目を<●><●>と開くっ…………!



セレス「霧切響子……あの方こそが、この希望ヶ峰学園を乗っ取った黒幕の仲間なのです」

山田「・・・・・・・な、な、なぁぁぁぁ・・・・・・・!?」


それは、まったくの憶測!

だが、山田を確実に計画へ引き擦り込むための……最良の方便っ!


セレス「霧切さんは学園生活の開始から、現在に至るまで……自分の素性について一切明かしていません」

セレス「それどころか、ほぼ常に単独行動で足取りが掴み辛い彼女は……」

セレス「わたくし達の行動を表から裏から監視しやすい“内通者”という立場にぴったりでしょう」

セレス「第一、このような状況にいきなり置かれておいて……顔色ひとつ変えず……」

セレス「常にあのような冷静な態度を保っていられるでしょうか?……まともな人間ならば」

セレス「……すなわちっ!霧切さんは……わたくし達とは異なる立場の人間であると考えれば」

セレス「彼女のあの達観した態度も……納得いきますわよね?」

バンっ・・・!


セレス「霧切響子は・・・・・裏切り者なんだよぉ・・・・・!!!」


山田「・・・・・・・・・・・!」


セレス「黒幕からの“動機”提供、脅し文句に馬耳東風なのも……」

セレス「入学当時、山田君がすでに失くしていたカメラを何故か持っていたのも……」

セレス「お風呂のときでさえ両手にはめた黒手袋を外さない意味深な行動も……」


セレス「すべては……霧切さんが最初から“仲間”ですらなかったという根拠となるのです」


山田「あ・・・・・・・あ・・・・・・・・・っ・・・・・・・」


ゴスロリ服の言は……あくまで憶測……!否……邪推っ!

それも根拠に乏しく……論理の飛躍した妄言に近かった…………!


だがっ!


人は根拠のない噂ですら……なんとなく信じ込んでしまう時がある

とりわけ、噂の対象となっている人物について……もともと穿った見方をしていた場合っ!

山田「だから・・・・・・かっ・・・・・・・・・!」

山田「黒幕にとって・・・・・間違いなく邪魔になるであろうちーたんの能力っ・・・!」

山田「そのちーたんを守ろうとした僕を・・・・ちーたんから執拗に退けてっ・・・・・!」

山田「ちーたんを・・・・・ちーたんを・・・・・・・!」

山田「霧切響子殿・・・・・・!許さんっ・・・・・・・・・・!!」


セレス「…………(単純ですわ)」


セレス「そして、……こちらを見てください」


山田「!……それは僕のカメラ……に、写ってる…………!?」


セレス「これは、この部屋の直ぐ先にあるトラッシュルームから……」

セレス「霧切さんと伊藤君が……ほぼ同時に出てきたところを写真に収めたものです」


山田「・・・・・霧切響子殿と、伊藤カイジ殿がっ・・・・・!?」

山田(伊藤カイジ殿・・・・・)

山田(そういえばカイジ殿も・・・・・・未だに自分の才能を明かしていないっ!)


セレス「偶然、伊藤君がそわそわとした様子でトラッシュルームに入っていくところを見かけて」

セレス「気になったので様子を伺っていましたら……」

セレス「ほら、山田君も聞いたでしょう?……あのモノクマのアナウンスが流れてきたのです」


山田「・・・・・・・!!」


セレス「そしてアナウンス終了後直ぐに……写真の通りに」

セレス「トラッシュルームというと……鉄格子があって奥には入れません」

セレス「かといって……今更探索をするほどの価値がある場所とも思えませんわ」

セレス「わたくし達一般の生徒にとっては……ですが」

セレス「どう思いますか……山田君……?」

山田「・・・・2人は・・・・グルだったんだっ・・・・・・・!!」

山田「実はあのトラッシュルームが秘密の抜け道とかにつながっててっ・・・・・・・!」

山田「そこから出入りして・・・・モノクマを操作しているのですぞっ・・・・・・!!」

山田「そうだと言っているっ・・・・・・・僕のゴーストがっ・・・・・・・・・・・!!」


山田、もはや冷静な状況判断……不可能

あっさりと絡めとられるっ…………ゴスロリ服の舌先三寸に…………!




山田「おのれ・・・黒幕っ!!許さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」




山田が激高するのを冷めた目で見据えながら……あくまで計画的な殺人に拘るゴスロリ服

なぜなら……ゴスロリ服にとっては


……山田など、己の欲望を成就させるための踏み台でしかないのだからっ

つづく

まだ誰も死んでないのか

ここまではどうにかなってきたが、今回は何か起きそうだな

山田は相変わらずだな……

山田なら死んでもいいや
クロは桑田で

セレスはもっと美味い餌で釣るか
物理的にボコボコにしないと止めそうにない

カイジはともかく、霧切は誘いに乗りそうにないよな~

このスレを読めと俺のゴーストが囁くのさ

つーかこんなに殺人計画先に出しといてそのまんま殺人起こるわけ無い

舞園も大和田も結局回避してるし
セレスも回避しそうだな
逆にカイジが被害者ENDはありそう

けどカイジは何されても死にそうにないな

耳千切ってもショック死しないタフガイだからな

爪に針針入れられたりね

麻酔なしで指を骨ごと切られてなお生きてる生命維持能力

超高校級のゴキブリ……は、某警察官のが適任か

>>854
誰?

>>855
両津

どこが高校なのか

そういや小学、中学辺りの話はあるけど、高校の時ってないっけ?
そもそも高校行ってるのか知らないが

両津の話は別のスレでやろうな

無駄な自治厨も別のスレでやろうな

問題はさくらちゃんともし残姉がグングニられたら…だな。
特に残姉、やっぱ苗木か?

頑張れカイジ
何を頑張ればいいかは知らないけど

―個室(山田一二三)―


セレスから犯行計画について説明され……諸々の準備に取り掛かった山田


その計画の内容は……いわゆる“共犯”……!


1人目のターゲットを一方が殺害……

2人目のターゲットを拘束……

自分達の犯行を欺くための……見せ掛けの“不審者”として祀り上げ……

アリバイ工作に利用した上で……

……一方が他の生徒の注意を引いている間に……他方が“不審者”を殺害

……“舞園メモ”を加工し証拠品としてでっちあげ、捜査を霍乱っ



これにて完全犯罪が成立する……(?)……と、豪語するゴスロリ服

その内容をあまり深く吟味しない……するほど頭が回らない山田っ

それに加えてっ……!


――「黒幕の一角……裏切り者さえ葬ってしまえば……」

――「そもそも裁判の執行自体が機能停止するでしょう」

――「わたくし達も……わたくし達の“仲間”も」

――「きっと救われるのです」

――「これは……そのための……わたくしの賭けなのです」

――「一緒に……黒幕を打ち倒しましょう」

――「協力してください……山田君っ!!」


……という一見して切実で……真摯なゴスロリ服の話に……

山田、感銘っ……!


さらに、決行は今宵だと……ゴスロリ服に追い討ちをかけられっ……

やはり深く考えることも無く……行動を開始


まず美術室に行って工具等を持ち出し、さらに娯楽室の雑誌棚からスロット雑誌を回収……

そして食堂の厨房にて……カイジが普段利用していたエプロンを拝借し……


カキカキカキカキ・・・・


山田(クフフ……同人作家たるもの)

山田(締切に迫られれば迫られるほど……燃えてくるんですよねっ……!!)

山田(材料が十分揃っている以上……不審者のコスプレ衣装作りなどっ……余裕!)

山田(フィギュア作りの経験もある僕ならばっ……!)


――「不審者役には伊藤君を利用しますわ」

――「伊藤君は誘い出しやすいように……布石を打っておきましたかしら」


山田(……設計は完璧だ)

山田(ギャンブル好きな伊藤カイジ殿が扮装するなら……)

山田(やはりこんな感じのデザインでよかろうっ…………!!)

山田(フフッ……名づけて……『パチンコ筐体ロボ・アンフェア』っ……!!)


――「先に伊藤君を確保しておきましょう……今夜の午前1時に娯楽室に来るよう仕向けておきますから」

――「それまでに不審者の衣装を用意しておいてください」

――「わたくし達は前もって午前0時に娯楽室に集合し……最終打ち合わせ」

――「霧切さんの殺害と、アリバイ工作についての段取りはそこで説明いたしますわ」


山田「殺ってやるっ・・・・・・!」

山田「僕は・・・・今なら・・・・・やれるんだ・・・・・・・!」


山田「黒幕を倒してっ・・・・!ちーたんを・・・・そして他の皆も救い出してっ・・・・・!」


山田「ここから出るんだ・・・・・・!!」

山田「それが僕の・・・・・ジャスティスっ・・・・・・・!!」


山田、脳内では悲劇のヒーロー気分っ…………もうどうにも止まらないっ!

―食堂―

朝日奈「そろそろ夜時間近いし部屋に戻ろっか?……さくらちゃん」

大神「そうであるな……」

朝日奈「いやぁ~今日もよく食べよく動いて頑張ったっ……!」

朝日奈「……ま、相変わらず進展はないけどねぇ」

朝日奈「でも……何だかんだでヘンな気起こす人もいないみたいだし」

朝日奈「とりま……一安心だよね」

大神「…………」

朝日奈「……さくらちゃん?」

大神「……いや」

大神「確かにその通り……何も起こらぬに越したことは……ない」

大神「…………」


大神の微妙な表情の変化を……見落とさない朝日奈


朝日奈「どうしたの?……何か……心配なことでもあるの?」

朝日奈「さくらちゃん……」

大神「…………」


大神「分かるか……朝日奈よ」


朝日奈「当然だよっ!」

朝日奈「だって私とさくらちゃんの仲だもんっ……!」


大神「…………」


朝日奈「……えっと、お節介だと思われたら……ゴメンだけど」

朝日奈「気になることがあるのなら……何でも……言い合える」

朝日奈「そんな仲でありたい……って私は思ってるし」


大神「朝日奈よ……約束する」


朝日奈「約束……?」

大神「我は……仲間だ」


朝日奈「へ?」

朝日奈「も~……さくらちゃんったら何言い出すかと思ったら……」

朝日奈「当たり前だよっ!当たり前田のクラッカー体操だよ!」


嬉々として他愛のない笑顔を振りまく朝日奈と……それを見守る大神

大神は心中複雑であったが……それでも今感じることは一つだけであった


大神(我がお主に出逢えたこと……それはこの上ない僥倖に違いない……)


ガラッ・・・!


葉隠「おお!……オーガに朝日奈っち!まだ食堂にいたんか!」

朝日奈「!……葉隠?」

大神「どうした?……やや焦り気味のようだが」


葉隠「とりあえず……黙ってついてきてくれねーか……話は後だべ」




―大浴場・脱衣所―

朝日奈「ええっ!?」

大神「……アルターエゴが……消えたというのか?」

石丸「ああ……僕と兄弟が大浴場を利用しようと先程ここに来たら……どこにも」

大和田「アレが万一誰かに盗まれたとなっちゃ一大事だからな……」

大和田「とりあえずオレは不二咲本人に確認しようとして……」

葉隠「途中で会った俺が話を聞いて……誰かに伝えようと思ったけど誰も見当たんないから」

葉隠「食堂にいったんだべ……たぶん朝日奈っちとかはいるかと思って」

朝日奈「別に一日中食堂に張り付いてるわけじゃないけどねっ」

石丸「今から他の皆を呼んでいては……夜時間をオーバーしてしまうな」

大神「それで……不二咲の方はどうだったのだ……?」

大和田「いや……個室の呼び鈴鳴らしてみたが……いねぇようだ」

葉隠「普通に不二咲っちがどっか持っていったんじゃ?バージョンアップとかで?」

大和田「こっから持ち出して使ったら黒幕にバレるだろ……?」

朝日奈「ていうかさ……アルターエゴをもし誰かが盗んだんだとして……その目的は?」

石丸「それは画面の中の不二咲君と会話を弾ませるためではないのかね?」

葉隠「なるほど……つまり犯人は山田っちだべっ!」

大和田「山田が持ってったんならまだマシだろ……もしも」

大神「…………」


もしも……黒幕に通じている者がアルターエゴを盗んだのだとしたら

大和田がそのような言葉を後に続けるつもりだったのかは定かでないが


ここでっ……!


《キーンコーン……!カーンコーン……!!》

《午後10時になりましたっ……!!》

大神「夜時間に……なってしまったようだな」

葉隠「あちゃー……どうすんだべ、アルターエゴは」

朝日奈「でもやっぱ緊急事態ってことで……今から皆集めて……」

石丸「だが……夜時間中に全員が動き回っては」

石丸「ますます黒幕に……勘付かれ兼ねん」

大和田「確かにな……」

石丸「よし……決定だっ!……今回の事案は先送り!」

石丸「意外と……明日の朝になったら、また元の場所にアルターエゴ君が戻ってきているかも知れないからなっ!」

葉隠「なるほど!……俺らが寝ぼけてただけなんか!」

大和田「だといいけどよ……」

大神「…………」

朝日奈「いいのかなー……これで」



100億円を賭けたマヨナカの闘いの始まりであるっ…………

次につづく
何か頭遺体です・・・また2、3日あくかもです


漢字が怖いわww
脳死してるみたいだわww
まあ楽しみに続き待ってるんで、お大事に
季節の変わり目は危ないかんね

おつー

生きてるかー?

頭が遺体らしいし…

おいやめろwwwwww
気楽に気長に待とうぜ

誰か死んだ?

>>1

悲しい事件でしたなぁ…

まだ頭が見つかってないんだっけ?

聖人の遺体かな?

頑張れ~

待ってる

失踪

一ヶ月過ぎたが、>>1は大丈夫かな

嫌な事件だったね・・・

…続きが、まだ見つかってないんだろ?

頭だけが遺体で見つかるなんて…

今日来ないとエタかな?

―個室・伊藤カイジ―



カイジ「…………」



夜時間になり、所用を済ませて個室に戻ったカイジは……

ドアの隙間から差し込まれたと思われる、小さな紙切れとにらめっこをしていた




『2人きりで話したいことがあります……

午前1時に、  娯楽室に来てください

部屋を間違えないように、ちゃんと   プレートを確認してくださいね

                            舞園さやか』


カイジ「何なんだ……これは」

カイジ(2人きり……?)

カイジ(娯楽室に…………?)

カイジ(舞園が……俺と……?)

カイジ「100%・・・ありえない・・・・」

カイジ「どう考えても・・・裏があるだろ・・・・」

カイジ「甘い言葉で誘い出して・・・・こう・・・毒物とかで・・・・!」

カイジ「いやいやいや・・・まさかっ・・・・!」

カイジ「だが・・・しかし・・・・・」

カイジ「状況が状況だからな・・・・100億かかってるんだ」

カイジ「それでも・・・他でもない・・・・舞園が」

カイジ「第一あいつはアイドル・・・!」

カイジ「カネになんざ・・・困ってないだろうし・・・・!」

カイジ「さすがに・・・・そんなことは・・・・・・」

カイジ「アイドルが・・狙っている・・・・?“卒業を”・・・・・・?」

カイジ「くっ・・・・!」

カイジ「待て、先入観で判断するな・・・・・!」

カイジ「何となく……舞園が書きそうな字だったから……これはっ……と思ったが」

カイジ「単に……他の連中、……苗木……はないな、桑田あたりの悪戯かもしれない」

カイジ「あるいは……他の誰かが、俺を呼び出すためのカムフラージュに……?」

カイジ「だとしたら……目的は一体……?どうして……舞園の名を借りて……?」

カイジ「けれど、もう夜時間だし確かめる方法は……」

カイジ「舞園がどんな字を書くのか……見たことはない」

カイジ「そもそも舞園と話したこと自体……そんなにないし」

カイジ「そういえばこの前、……娯楽室でトランプをやったっけ……苗木や、セレスを含めて」

カイジ、ここで一閃っ……!!


カイジ(そうか……このメモで一番注目すべきなのは)

カイジ(舞園さやかという署名よりも……『娯楽室』という場所の方だ)

カイジ(よくよく見ると、この『娯楽室』という言葉だけ……微妙に筆跡が違うっ……!)

カイジ(それから)

カイジ(『午前1時に、』……と『娯楽室に来てください』 )

カイジ(『ちゃんと』………『プレートを確認してくださいね』)

カイジ(これらの言葉の間に……不自然な空白が存在しているっ……!)

カイジ(この空白の間に………本当は別の言葉が“入っていた”んじゃないか?)

カイジ(……舞園が書いた、本物のメモの紙面に…………!)

カイジ、机上のメモ台紙を1枚取り上げ、“娯楽室メモ”と重ね合わせてみる

カイジ(やはり……このメモは各部屋に配置されている紙と同じ)

カイジ(そして割と薄い紙だから……白紙を上に重ねて…………できるな、なぞり書き)


カイジ、右こぶしを握りしめ……妙に納得した顔

そして……カチャリと音を立てながら……あるものを懐に仕舞い込み……


カイジ「…………間違いないだろ」

カイジ「これは罠……」

カイジ「罠ではあるが……」

カイジ「案外……見え透いた罠…………!」

カイジ「・・・・・ククク」

カイジ「いいぜ・・・・敢えて・・・・・嵌ってやるよっ・・・・・!」

カイジ「嵌った上で・・・・・勝負だっ・・・・・・」

カイジ「見せてやる・・・・“超社会人級”のギャンブラーの・・・・・」

カイジ「ここ一度の・・・・勇気をっ・・・・・・・・・!」


カイジ、あくまで死と隣り合わせの状況……

勝つべくして勝てない……何が起こるか予測不可能……

伏魔殿(娯楽室)に飛びこむ……その決意は……行動は……

吉と出るのか……凶と出るのか……?

―学校エリア1階・登り階段―


こそ・・    こそ・・


山田(やれやれ……“筐体ロボ”の制作に思ったより時間を取られてしまいましたぞ)

山田(午前1時よりも前に僕らは娯楽室で待機しておらねば……)

山田(確か3階でしたかな……)


怪しげな衣装を抱えて、なおかつ少々息を切らしながら階段を上る山田っ……

誰かに見られたら明らかに…………



ごそ・・・      ごそ・・・



山田「!!?」

山田(2階の方に……誰かの影が……!?)

山田(もしやセレス殿……いや、どうもシルエットが違うような……?)


ガタッ


「!?」

山田「なななっ・・・!」


山田、思わず間の抜けた声を上げるっ……!


「!?……その声……山田君……なの?」

山田「そ、その声は……」


「こ、こんなところで……何を?」


山田「え、いや、・・・・べ、別に何でも・・・!」


「………………」


山田「そのっ・・・!」

山田「眠れなくて・・・少し散歩をしておりまして・・・・・!それで・・・・!」

山田「トイレにっ・・・・!」

山田「急に催したんですがっ・・・・!」

山田「今、向かおうとしていたっ・・・・!」

山田「それだけのこと・・・・なのですがっ・・・・・!!」

困惑する山田……あれこれと思いつくままに言葉を並べ……ますます怪しさを増す……!

「…………そう」

山田「・・・・・?」

「それじゃ、……一緒にいこうよ…………トイレ」

山田「・・・・・は、はぁ・・・連れションですな・・・・はは」



奇妙な着ぐるみを抱えた山田と、スポーツバッグを丁寧に持ち運んでいたもう1人は……

そそくさとトイレの中に入っていった……


キター!
一体どうなる…!

お帰りー!ずっと待ってたよー!

カイジ頑張れ

超社会人級ワロタ

ちーたんと連れションだと!?(ガタッ

続きがみれるなんて、僥倖・・・!

正直死んだかと思ってたよね
・・・と…の使い分けてるのが気になるんだがなんか理由あるのか?

はよはよ

社会人ですらないだろ……

フリーターも一応社会人なのでセフセフ

きてたー

―娯楽室―


チッ……チッ……チッ……


刻々と迫るカイジの呼び出し時刻、午前1時っ……!

しかし、未だに現れない……山田……


セレス「…………」


ゴスロリ服は椅子に鎮座し思案するっ……

山田が娯楽室に現れない理由を……

そして、このまま山田が現れなかった場合の己の所作を……


セレス「……チッ」

セレス(上手く引きこんだはずでしたが……逃げましたか?……山田君)

セレス(……予定通りここに現れた伊藤君と鉢合わせとなると)

セレス(わたくし一人で事を運ぶのは困難ですわね……日頃の運動不足が祟りますわ)

セレス(今夜は大人しく帰路につくとしますか……)


ゴスロリ服、ここは計画の実行を断念!……賢明な判断


セレス(伊藤君に関しては、ここに誰もいなければ……ただのイタズラだったと思うでしょうし)

セレス(霧切さんに関しては、彼女が強い関心を抱いているらしい、学園理事長の情報を入手した……という)

セレス(匿名のメモをしたためましたが……)

セレス(やはりこのような安易な方法で彼女をおびき寄せるのは困難ですわね)

セレス(頭の回転が早い彼女を葬りされれば……裁判の進行も有理になることは請け合いでしょうが)

セレス(計画の練り直しですわ……)

セレス(まずはわたくしの目論見を教えてしまった山田君の処遇を……)


ギィィ・・・


ゴスロリ服、娯楽室を出、階下へ移動しようとした……その時



「……よう」

―学校エリア2階・男子トイレ―


ギィィィィィ・・・


そこには……“秘密の部屋”に闖入した者たちが…………!


山田「な・・・なんと・・・・!」

山田「こんなところに隠し扉があったとは・・・・!」


カタカタカタカタ……


不二咲「うん……僕も初めて知ったんだぁ」


カタカタカタ……


アルターエゴ「ボクを通じて霧切さんが教えてくれたんだよ」

アルターエゴ「更なる調査のために……ネット回線に接続可能な場所があればって話をしていたらね……」


山田「き、霧切響子殿がっ・・・!?」

不二咲、ネット接続に成功後……プログラマーの本領を発揮っ……!

カタカタカタカタカタ……


不二咲「山田君、今のうちに奥の書籍の方を調べておいて……!」

不二咲「学園に関する手掛かりがまだ残っているかもしれないし」

山田「……そ、そうですなっ」

山田「ですがその……不二咲千尋殿っ!」

不二咲「……?」

山田「霧切響子殿の提供した情報・・・・本当に・・・・信頼してよいので・・・・・・?」

山田「その・・・・・」


山田、めまぐるしい状況の推移に混乱と疑念渦巻くその心中っ……!

セレスに説かれた通り霧切響子を殺害するべきなのか・・・?

ならば今すぐにここから抜け出して計画を実行せねばならない・・・!

だが目の前にいる不二咲は今、自分達全員を救うべく、危険を冒して手掛かりを捜索している・・・!

不二咲千尋は、霧切響子を信頼している・・・!

不二咲千尋は、霧切響子に騙されている・・・?

それとも、不二咲すら実はグルで山田自身を陥れようとしている・・・!?

山田「ああああ・・・・わからないっ・・・・!」

不二咲「山田君!?」

山田「何が正しいのか・・・何を信じるべきなのか・・・・!」

山田「誰が味方で、誰が敵なのかっ・・・・!」

不二咲「…………」


カタカタカタカタ……


アルターエゴ「ねぇ、山田君」


山田「ちー・・・たん・・・・?」


アルターエゴ「ボクは、みんなことを……仲間だと思ってる」

アルターエゴ「だから、霧切さんのことも信じてるし……山田君のことも信じてるよ」

アルターエゴ「……山田君にも、信じてほしいんだぁ」

きた!

不二咲、PC画面から一瞬目を反らし……上目づかいに山田を仰ぎ見る

アルターエゴ「ボクのこと、ご主人タマのこと、……皆のことを」


そして両者笑顔っ・・・!当然ながら瓜二つっ・・・!屈託のない表情っ・・・・!それに射抜かれる山田っ・・・・!


山田「…………フッ」

山田「どうやら僕は、いまようやく気付くことができたようだ」


山田「自分の幸せだけを望んでの行動がっ・・・・!」

山田「愛するひとの望まない結末をもたらすのであればっ・・・・!」

山田「その先に愛などはないっ・・・・・!!ただの自己満足に塗れた頽廃的な終末だけであるとっ・・・・!!」


この時山田、実にあっさり改心っ……!

ぱらぱらぱらぱらっ……!


山田「徹底的に調べ上げてやる!……同人作家の本領発揮ですぞ!」


不二咲(……今日の山田君、いつも以上に感情の起伏が激しいなぁ)

不二咲(成り行きで危険なことに巻き込んじゃって……)

不二咲(……でも、山田君がいてくれるおかげで作業が捗りそう)

不二咲(黒幕に気づかれる前に……なるべく早くここを抜け出さないと……!)

―3階廊下―


娯楽室手前の壁に寄り掛かる……アゴの長い人影がっ……!


セレス「……」


カイジ「やはり、アンタだったか」


セレス「……何のことで?」



カイジ「夜時間の外禁ルール……言い出しっぺまで破るとはな」

セレス「……」

セレス「わたくしは……舞園さんに呼び出されてここに」

セレス「重要な情報が入手できたらしいので……気になりまして、なくなく禁を破ることに」

セレス「もしや、伊藤君も……?」


カイジ「……俺はまだ何も言ってないんだけどな」

カイジ「……どうして俺がアンタと同じように、舞園に、娯楽室に呼び出されたと思ったんだ?」

カイジ「偶然ぶらついていたら……たまたまここを通りかかった可能性だってあるだろ?」


セレス「……フフ」

セレス「偶然にしては出来過ぎでしょう?」

セレス「先ほどの『やはり……』という発言、何やらわたくしを疑っている様子」

セレス「何の心当たりもありませんが」

セレス「それから、伊藤君の立ち位置ですわ」

セレス「3階から2階へと繋がる唯一の階段の前を塞いで……わたくしをこの階から逃がさないつもりでしょう?」


カイジ「……わざわざ出向いてさしあげたんだからな」

カイジ「今度こそ……逃げずに勝負してもらうっ……!」


ここでカイジ、懐に手を入れ……鈍く光るブツをちらつかせる!


セレス「……」

カイジ「廊下で話は難だろ……入ろうぜ娯楽室」

カイジ「昼間の約束通り……ギャンブルしようじゃねぇか」

カイジ「お望みならば100億円……賭けて!」

セレス「……」

セレス「何かを企んでいるのは……伊藤君の方でしたか?」

セレス「わたくしを嵌めましたわね……?」

カイジ「人聞きが悪いな」

カイジ「娯楽室で博打でもしながら待っていようぜ……ってだけだ」

カイジ「……舞園が、来るのなら、来るまで」

セレス「……」


カイジ、じりじりと間を詰め……ゴスロリ服を威圧

一方のゴスロリ服……表情には動揺の色など見せないが、少しずつ後退り

追い込まれる……娯楽室の扉の前へと……その内へと……!


カイジ「……」


カイジの心中は……今なお緊張感で満たされていた……


カイジ(……やはり、セレスが意図的に俺をここへ呼び出したと見える)

カイジ(……それも敢えて舞園と偽り、かつ夜時間の学校エリアという無人の確率が高い状況下で)

カイジ(俺を……殺る気だったな……!)

カイジ(……だが、こいつは華奢だし、大神のような武術的な能力とか……明らかになさそうだし)

カイジ(男の俺を対象に選んだってことは……)

カイジ(たぶん協力者がいるっ……!)

カイジ(そう考えるのが筋だが……周りを見渡す限り……それらしい人影は皆無)

カイジ(こいつ……本気で、一人で殺るつもりだったのか……?)

カイジ(随分……なめられたもんじゃねーか)

そして……追いやられるように娯楽室に戻ったセレスと、安全を確かめた上で後に続いたカイジ



―娯楽室―


セレス「伊藤君……強引ですのね」

カイジ「少しは強引じゃねぇと……いつまで経っても受け流されそうだからな」

セレス「それで……その手中にあるものは、何処で入手したのですか?」

セレス「モノモノマシーンから出てくる……レプリカでは無さそうですが」

カイジ「……さあな」

カイジ「アンタが今言うべきことは……本気で命懸けのギャンブルをやる勇気が、あるかどうか」



カイジ「ロシアンルーレットで勝負だ…………拳銃(コイツ)でっ!!」

さすが逆境無頼、本領発揮か

―学校エリア1階・廊下―


カツン・・   カツン・・


深夜の廊下に鳴り響く……か細い足音

その主が、幾度となく監視カメラを睨みながら……挑発的な言動を繰り返す


霧切「話したいことがあると言っているのよっ……!」

霧切「見ているんでしょう?……モノクマ」


し・・・・ん・・・・・


霧切(これまでの経験上……あいつはこちらから働き掛けたら一定のテンポを置いて必ず出現していた)

霧切(カメラによる監視活動と、モノクマの操作やその他設備の管理があくまで人為的に行われているとするならば)

霧切(その間隙を突く余地がある)

霧切(モノクマの関心をこちらに集中させることで、黒幕の行動を制限できるのではないか)

霧切(そう考えていたのだけれど)

霧切(今夜に限って現れないのは……こちらの目論見を勘付かれたということ……?)

霧切(……)

霧切(……黒幕が直接手を下す可能性は低いと思うけれど、上の様子を見に行きましょうか)

霧切(…………)

霧切(……我ながら)

霧切(リスクの高い賭けをしてしまったものね)

霧切(『賭博はよくない』なんてとても言えないくらい)

霧切(……でもこれが成功すれば、必ず黒幕を出し抜けるはず)


銀髪、2階に続く登り階段に差し掛かったところで……


ゴガッ


霧切「!」

霧切(……音……)

霧切(何かがぶつかり合うような……体育館のほうからね)

霧切(……)


なお、銀髪はしばらく個室に戻っていないのでゴスロリ服からの“呼び出しメモ”の存在に気づいていない模様

―体育館―


 どがッ・・・!   がッ・・・!



「オマエさぁっ……!自分が何をやっているのか分かってるよね……?」



「・・・・!」



「タイムリミットまでに!指示通り事件を起こさなかったら……コロされちゃうんだよ、人質は」



「・・・・!」



「超マジでねっ…………!!」



「金輪際、脅迫には・・・屈せぬ・・・!我は・・・そう決意したのだ・・・・・!」



―個室・苗木誠―



苗木「はぁー……なかなか眠れない」

苗木「ちょっと昼寝し過ぎたかな……」

苗木「……」


苗木、娯楽室の雑誌棚から拝借してきた……人気ファッション誌のページを捲る


苗木「……」

苗木「やっぱり……気になるな」

苗木「江ノ島さん……雑誌の写真では“盛ってる”っていっていたけど」

苗木「いくらなんでも……」

苗木「違いすぎるよ……胸の……大きさがっ……!」


ひそかに核心に迫る、苗木っ…………!

>>907 驚嘆とか感情が昂ってそうなときの発言は・・・を使ってた気がするけど、あんまり気にしないで
では

>>930
sag縲憩縲阪↑縲Tag縲径縲阪§繧?↑縺

日本語でおk

苗木っちがハーレムをつくっていないことはおかしいべ!

苗木wwww


他はみんなシリアスなのにww

舞園さん生きてる

ここまで言えば苗木君の居場所は分かるな?

カイジの存在で一味違う雰囲気出てるな

やっと追いついた

これすごく良い

>>938 sage忘れてるよ?

超高校級の逆境無頼でいいんじゃないか


―娯楽室―


カイジ「あんたはモノクマが100億という動機を提示したとき」

カイジ「自分には10億の貯金があるから、もうカネなんかいらない……といった」


セレス「……」


カイジ「まずその思考はありえないっ……!筋金入りのギャンブラーならば……!」

カイジ「大きなカネを手にすればするほど……さらに、もっと大きなカネを手にいれたくなる!」

カイジ「己に運が巡ってきている……その確信があるならば」

カイジ「チャンスさえあるならばっ……!」

カイジ「とことん登りつめる……目に見えぬ頂までっ……!!」

カイジ「たとえその先に……人生の破綻がまっていたとしても……!!」

カイジ「それが……ギャンブラーの性ってやつだろ?」


セレス「……」


カイジ「俺は・・・賭けるっ・・・・・!!」

カイジ「賭けられる・・・・・100億のために・・・・・!!」

カイジ「命でさえ・・・・・賭けられるっ・・・・・・!!」

カイジ「勝てば・・・・・それでいいんだよッ!!」


カイジ熱弁……!

その眼光は……カネのために手段を選ばぬ悪魔の如しっ!

……そう見えるに違いない、傍目からは……!

しかし、カイジの心中では……



カイジ(だが……!)

カイジ(殺さない……!)

カイジ(人は……殺さない……!)

カイジ(殺せるわけないだろっ!)


カイジ(絶対に・・・・!!)


カイジ(誰かを殺したが最後……全ては黒幕の思う壺っ……!)

カイジ(第一100億なんてカネ……本当に手に入るのか分からねーし)

カイジ(黒幕が……宣言通り約束を守るかどうかなんて結局俺達に知る由はないんだ)

カイジ(黒幕に踊らされたら負けなんだよっ……!!)

カイジ(俺達16人のなかで……コロシアイが発生したら)

カイジ(その時点で即負け!全員実質脱落!この“ゲーム”の本質はつまるところそこにある)

カイジ(俺には……そうとしか考えられない)

カイジ(だからっ……!)

カイジ(止めなきゃいけない!コロシアイの発生を!)

カイジ(たぶん今現在、最も危険な……この女をっ……!!)


セレス「ロシアン・ルーレットですか……」


カイジ「……」


沈黙を守るカイジ……ゴスロリ服の出方を慎重に見極める


セレス「ですが……伊藤君が用意した拳銃を使うということは」


カイジ「拳銃に細工を施してる……っていうんだろ」

カイジ「俺は……相手がイカサマしてこない限り……フェアなつもりだぜ」

カイジ「第一……俺自身、こういう物を扱うのはそんなに慣れてねぇしな」


セレス「…………あら」

セレス「そうなんですか?」

セレス「わたくしは……ありますのよ」

セレス「ロシアンルーレットの経験」


カイジ「……ほう?」


セレス「あれは黒海の東岸に位置する……ワインの生産が盛んな小国での出来事でした」


カイジ「・・・?」


セレス「大金を賭けて、17人のプレイヤーがロシアン・ルーレットに参加したのです」

セレス「実に粛々と……運の無い方々は断末魔を上げて倒れていきました」


カイジ「・・・ッ」


ゴスロリ服の眼力っ……!


セレス「そう」

セレス「たった一人だけ……運のあるものだけが、生き残り、賞金を手にしました」

セレス「そういう風に……運命づけられていたのです」


カイジ「はは・・・」

カイジ「それが……あんただったと?」


セレス「正直言って……あのギャンブルは単調過ぎましたわね」

セレス「実に……つまらないものでした」


カイジ「……」


セレス「……手に汗を握る心理戦や駆け引き、絶対的に不利な局面での足掻き、起死回生の一策」

セレス「どんなに悪条件でも……諦めない……勝率がゼロにならない限り絶対にっ……!!」


セレス「そーいうものがギャンブルってヤツだろうがよぉ!!!!」



カイジ「っ・・・・!?」


ゴスロリ服、カイジに向かって腕を振り上げる……!

だが、あくまで男と女……!腕力の差はいかんともしがたい……!

カイジはゴスロリ服の腕を掴み、制止を試みる……!


が、しかしっ!



ザクリッ!!



カイジ「あがっ・・・!!」


ゴスロリ服の右手人差し指にはめられた……外骨格風の金属製指輪がカイジのアゴを直撃っ……!

裂傷、そして流血っ! 思わず怯むカイジ……!

さらにっ……!


ガッ・・・!!


カイジ「」


ゴスロリ服、細い脚を思い切り振り上げ……カイジの股間部を直撃っ……!

思わぬ反撃による動揺と鮮烈な痛みに……蹲るカイジっ!


ここぞとばかりに手早く拳銃を奪取したゴスロリ服は……

カイジの額に銃口を向けつつ……カイジの左手の平を、手袋越しに踏みつけるっ……!


カイジ「あ・・・・っ・・・・あっ・・・・・!」


グリ… グリ…


セレス「伊藤君は……少しわたくしのことを舐め過ぎなのではありませんか?」

セレス「うふふふふ、・・・・わたくしはぁぁぁ!」

セレス「何度も何度も何度もこの身ひとつで修羅場をくぐり抜けてきたんだよぉぉぉぉぉ!!」

セレス「ナメてんじゃねーぞこのビチグソがぁぁぁ!!!」

―個室(苗木)―


……ピンポーン


苗木「!?」

苗木(今……鳴ったよな?)

苗木(誰だろう……こんな時間に)

苗木(……どうしよう、出た方が……いいのかな?)

苗木(う~ん)

苗木(……も、もしかしたら、何か緊急事態ってことも!)


ガチャリ…

苗木「!」

舞園「良かった……起きてたんですね、苗木君」

苗木「舞園……さん?」

苗木「どうしたの?……こんな時間に」

苗木「……夜時間は……その」

舞園「ええ……分かってます……けど」

苗木「けど?」

舞園「ちょっと、気になることがあって……その」

舞園「助手として、苗木君に……相談したいなぁって」


この後、舞園は苗木の部屋の中へ…………

つづく

カイジが殴られてる絵がすげー簡単に想像できて笑える

カイジは痛みには慣れてるな

カイジも結構な修羅場潜ってるよな

左手の指切られてるしな(くっついたけど)
トイレ行かないと勝てない気がするがどうするか

期待

面白いな

社会人(働いてるとは言ってない)

―個室(苗木誠)―


やむを得ず、舞園を自室に招き入れた苗木

……以前に部屋の交換をした程度の仲なので、さほど躊躇はしない


苗木「それで……ボクに相談したいことって……?」

舞園「それがですね……」

苗木(……あ、でも立ち話も難だし)

苗木(舞園さんには椅子にでも座ってもらって……)

舞園「おかまいなく、……ベッドの上でもいいですよ?」

苗木「えっ!い、いや……そのっ」

舞園「苗木君?」

苗木「ふ、ふたりでベッドになんて……!」

舞園「……もう」

舞園「私はベッドの上に腰かけてもいいかなって言っただけです」

苗木「っ……そ、そっかそうだよね」

舞園「……でも」

舞園「別に嫌ではないですよ、苗木君となら……」

苗木「!?……な、何の事……かな」

舞園「さあ……何でしょうか……」


舞園は苗木の部屋の奥へ進み、苗木のベッドを一瞥し……

枕元にあったモノをひょいと抱えて机の手前にある椅子に腰かける


苗木(って……そもそも、あの日の夜にはこのベッドの上で舞園さんが寝てたんだし)

苗木(こんなにドギマギしないでいいじゃないか……)

舞園「苗木君……」

苗木「何、舞園さん?」

舞園「模擬刀の隣に飾ってあるのは……?」

苗木「ああこれ?……電動コケシ……なんだけど」

苗木「購買部のモノモノマシンの景品で……伊藤君が……沢山あるから一個くれるって」

舞園「そうなんですか、じゃあそっちのテーブルの上にあるのは……トランプ?」

苗木「ああ、これ……Eカードって言ってね……セレスさんからもらったんだ」

舞園「Eカード……?」

苗木「なんでも……有名なギャンブルゲームのひとつらしくて」

苗木「Eは……希望の頭文字を表すんだって…………」

舞園「希望の?……HでなくてE?」

苗木「フランス語か何かで……って言ってたような」

苗木「詳しいルールは知らないけれど……」

苗木(そういえば……『苗木君ならば希望という名のナイトになれるかもしれない』って)

苗木(意味深長っぽいこと、セレスさん言ってたっけ……)

舞園「ふーん」

舞園「苗木君って、セレスさんとも物のやりとりをするくらい仲いいんですね?」

苗木「い、いや……それほどでもなくもない……と思う」

苗木「ほ、ほら……セレスさんって掴みどころないし」


やや動揺する苗木っ……!


舞園「まぁ……セレスさんのことはいいです」

舞園「それじゃ……」

舞園「この雑誌はどうしてここに?」


舞園、その手にかざすのは……江ノ島盾子の写真が数多散りばめられた雑誌


苗木「!」

苗木「それは……そのっ……」


苗木動揺っ……!

別にエロ本が見付かったわけではない……!

が、それでもきまりが悪い……!


舞園「これは確か、……娯楽室にあったものですよね?」

苗木「え!……どうしてそのことを」

舞園「……一緒に3階を探索した時に確認したじゃないですか」

苗木「あ、そういえば……そうだった」

舞園「つまり……苗木君は自ら、何らかの目的でその雑誌を自室に持ち込んだ……!」

舞園「そういうことですねっ!」

苗木「ええっ!?」

苗木「そんな、根拠はないよね!?」

苗木「確かにこの雑誌をちょっと借りてきたのはボクだけどさ……」

舞園「ほら、根拠がありました!……苗木君の自白です」

苗木「あっ」

苗木(唐突に突き付けられて……焦る心理を読まれて……上手く自白に追い込まれた)

苗木(やっぱり舞園さんって……)

舞園「何となく分かっちゃうんですよね……ふふ」

苗木「う、うん……」

舞園「それで、この雑誌は何のために?」

苗木「ああ、これはその……ちょっと気になることがあって……って!!」

苗木「そういえば舞園さん、何か気になることがあるってボクの部屋に来たんだよね!?」

苗木「その話の方が先なんじゃ……?」

―学校エリア2階・男子トイレ内(隠し部屋)―


黒幕の目を盗み……隠し部屋で“暗躍”する不二咲と山田っ……!


山田「『ここから出てはいけない』……」

不二咲「山田君!そろそろここから出よう!……あまり長居はしたくないし」

山田「おお、そうですなっ……!」

山田「とりあえずここの資料は全部読破はキツイので……入れれるだけ僕の鞄につめて……!」

不二咲「うん……!」

山田「不二咲千尋殿の方は……収穫はっ……?」

不二咲「見つかったよ……黒幕に繋がる手掛かり!」

不二咲「超高校級の絶――――」


ゴッ・・・

薄暗く視界の限られた隠し部屋の中……!……唐突に倒れ伏した不二咲の背後には……!


??「…………」


ぎぎぎ・・


山田(・・・ぼ、僕の作ったロボがっ・・・・・!?)

山田(う・・・ご・・・い・・・・・て・・・・・・る・・・・?)


山田……混乱っ…………!

なかなからく話進まんわ……すいません

構わん続けたまえ

ゆっくりでいい
続けてくれるだけで感謝

ゆっくり無理せず続けてもらったほうがいいから問題ない

うわああああああちーたんが…!
続き待ってます

おつ

カイジと苗木の差がwwww

>>1から一気に読んだけどここにきて放置気味とは惜しい
ダンガンの方の原作知らんけどテンポよく読めてかなり面白かった

銃口つきつけられてんのも左手か
カイジは左半身にばかりダメージを負うなあ

がんばれカイジ

復活記念にほしゅ

待ってるよ

ヴァヴァンッ・・!  ヴァヴァンヴァンッ・・!

…待ってます

何でだろう

うん? 何がだい?

失踪認定って作者の最後の書き込みから二ヶ月だっけ?

生存報告だけでもほしいな

スレ埋まるね…

スレ埋まるね…

生存報告はよ

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