小町「え、ささらたちじゃソネット復活無理なの?」 (22)

アンヌ「はい」

小町「そんな…」

アンヌ「でも安心してください」

小町「え?」

アンヌ「戸取真の協力によってソネットはネット上に散らばったデータを回収することで復活することがわかりました」

小町「え、ほんと?」

アンヌ「プロトゼロが回収に向かっているのであと数週間もすれば復活できるでしょう」

小町「え、でもささらたち生贄に使ったほうが早いよね?というかなんで無理なの?」

アンヌ「彼女たちは鵜野うずめとの交流というデータが混ざってしまったので復活には利用できません」

小町「え、そうなの?」

アンヌ「はい」

小町「え、どうしよう。消す前提でうずめちゃんから貰ってきたのに手元に残っちゃうなんて」

アンヌ「良かったじゃないですか」

小町「いや私…えぇ、どうしよう嫌だなぁ」

アンヌ「何か問題があるんですか?」

小町「いやあのね、私ささらたちには元マスターとしての信頼を得るために再会を楽しみにしてたみたいに振舞ってたんだけど」

アンヌ「はい」

小町「正直あの子たちの面倒見る気はなかったっていうか」

アンヌ「まあそうでしょうね」

小町「すぐ消えるからちょっとくらいいい人の振りしとこうかなって思ってたけど正直あの態度続けるのは…厳しいかなって…」

アンヌ「わかります」

小町「ねえアンヌどうしたらいいと思う?」

アンヌ「彼女に返してあげればいいのでは?」

小町「えぇちょっと…えぇー? それはちょっと難しい…くない?」

アンヌ「彼女はだいぶ別れを悲しがっていたようですが」

小町「いやもうあれじゃない、あそこまでやったら後には引けないじゃない」

小町「『私、うずめちゃんとは争いたくないの。だからここは快くドールを譲ってくれないかしら』(キリッ)とか言っちゃって…」

アンヌ「わざわざ自分の物真似しなくても…」

小町「え、何? デバイス持ってうずめちゃん家のインターホン押して、ごめんささらたちいらなくなったから返すね?って言えっていうの?あんな奪い方したのに?」

アンヌ「委員長がやりたくないのなら別にしなくても良いと思いますけど」

小町「じゃあどうすればいいの?」

アンヌ「ドールの面倒を見てあげればいいのでは?」

小町「いやだからそれがいやなの…。ねえアンヌなんとかしてよ」

アンヌ「いや私は鵜野うずめとは面識ないですし…っていうかプロトゼロ使ってボコボコにした張本人ですし…」

小町「そこをなんとかお願い!副委員長!」

アンヌ「いや副委員長ではないですけど…」

小町「あなただけが頼りなの!」

アンヌ「福神漬け買いに行った分で今日の希望使い切りましたので」

小町「いや今日の希望とかそういうシステムじゃないでしょ委員会は!」

アンヌ「というか委員長」

小町「何?」

アンヌ「ドールたちの言い分も聞いてあげるべきでは?」

小町「えー」

アンヌ「それも嫌なんですか」

小町「嫌」

アンヌ「何故?」

小町「いやあの子たちの中の私のイメージ崩したくないから…」

アンヌ「崩れるの時間の問題じゃないですか」

小町「そうなんだけど」

アンヌ「というか委員長イメージ作りとかしてたんですか」

小町「まぁ…。いやぶっちゃけうずめちゃんの前で気が違った科学者みたいなこと言ってるのもキャラ作りだったの」

アンヌ「でしょうね」

小町「はぁーどうしよ…。なんて言ってうずめちゃんに返そうかなぁ…」

アンヌ「彼女に返す方法より前にまずドールを説得しなければいけないという問題が浮上しましたね」

小町「そっちはアンヌがやってくれないかしら」

アンヌ「いやむしろそっちの方が私には無理ですよ。私、あのドールたちからしたら黒幕の振りをしてた噛ませ犬なんですよ? そんな人間がどうやってドールを説得しろっていうんです?」

小町「アンヌ……何もそこまで自分を卑下しなくても」

アンヌ「委員長」

小町「はい」

アンヌ「帰りますよ」

小町「ごめんなさい」

アンヌ「はぁ…」

小町「とりあえずうずめちゃんに電話だけでもしてみようかしら」

prrr……

小町「あ、もしもしうずめちゃん?」

うずめ「……」

うずめ「……小町……さん……?」

小町(うわめっちゃ落ち込んでる)

うずめ「…………何の用ですか……」

小町「あーえっとね、ささらたちのことなんだけど」

うずめ「………………」

小町「…あ」(電話越しでもわかる、うずめちゃんの欝オーラの急加速!)

うずめ「…………」

小町「…あのそれでね、あの子たちが」

うずめ「なんですか…? 一人ひとり別れの挨拶でもさせてくれるんですか…?」

小町「……!」(これはチャンス!いったんドールに電話させてうずめちゃんとの別れを惜しませれば!)

小町「そう!そうなのよ!別れるのが辛いだろうからって思ってね!あの子たちも最期にあなたと話がしたいって…!」

うずめ「……どうして…」

小町「え?」

うずめ「どうしてそんなに……酷いことをするんですか……?」グスッ

小町「え、何?」

うずめ「あの子たち…私の部屋に……誕生日プレゼント…」

小町「う、うん? うずめちゃんの誕生日ってだいぶ先よね?」

うずめ「もう…わ、私とのっ……思い出がぁ……消えちゃうからって……」グスッグスッ

うずめ「まだ…私との思い出が残っている間に…最初で最後の……私、のっ……誕生日プレゼントっ、を、って……」ウッウッウッ…

うずめ「どうせ小町さんはささらたちの記憶を消しちゃうのに……!あの子達も消えることがわかってるのに……!今あの子達に何を言えっていうのよぉ!!」ウワァァァン

小町(え、あ、そっか…うずめちゃん記憶だけじゃなくて存在自体が消えること知らないんだ)

小町(あーっていうか私やっぱり言いすぎちゃったなぁ…うずめちゃん憧れの先輩である私があそこまで言っちゃったらそりゃ逆らえないよね…)

小町「……あ、もしもしうずめちゃん?あれ、切れてる…」

小町「あーどうしよう……どうしよこれほんとどうしよう…」

 ガチャ

ささら「……ただいま帰りました、マスター」

小町「あ、お帰りささら。用事は済んだの?」

ささら「はい」

小町「ふーん…。…あ、そっか!用事ってうずめちゃん家に誕生日プレゼント置きに行くことだったのね!」

ささら「……は?」

小町「さっき電話で聞いたわよ! あなたたちが誕生日プレゼントをくれたってうずめちゃんから!」

ささら「……」

小町「泣かせる演出よね~! 間接的に別れを伝えながらもあくまで悲しい別れの言葉自体は口に出さない! うずめちゃんもその意味を察して大号泣だったわよ? ていうかあれだったら普通の別れの手紙の方が悲しみ軽いんじゃない?」

ささら「……」ギリ…

ささら「……マスター」

小町「ん? 何?」

ささら「私たちドールはデータだけど…いろいろなことが出来る…。しゃべったり、笑ったり、泣いたり、敵と戦ったり」

小町「え? そうね、あとお風呂にも入れるしお菓子も食べれるわね。あ、そういえばあなたたち普通のご飯ってあんまり食べないのかしら?」

ささら「いろいろなことが許されているけど…禁じられていることって、あるの…?」

小町「ん、ん?さあ……よく知らないわね」

ささら「じゃあ例えば……マスターをその手で始末することとか」ジャキッ

小町「え?」

ささら「……」ドドド…

小町「ちょ、ちょっと怒らないでよささら…。べ、別にからかったわけじゃ…ち、ちょっと軽率だったかしら? ごめんなさいね?」

ささら「…」ドドドドドドドドドドドドド

小町「ちょ、ちょっと無言でゆっくり剣を持ち上げるのやめよう?怖いから」

ささら「……」ドドドドドドドドドドドドドドドドドド

小町「……」ガクガクガクガク……

ささら「イヤーッ!」ヒュウゥン!

小町「すみませんでしたっ!」土下座ァ!

ささら「え?」ピタァ!

小町「あのほんとごめんなさい、実はあれ嘘なの」

ささら「は?」

小町「いや、記憶消すこととか…そういうのがね…? 全部嘘なの」

ささら「……は?」

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