沢嶋「今回の取材対象は平成時代の国王」 (31)


タイムスクープハンター!

次回の取材対象は平成時代の国王!

国是である異性へのアピールを巡る騒動を追います!

果たして、彼らの恋愛は成就するのか!


『激震! 国王死しても理由は知らず!』

お見逃しなく!



【今回は書き溜めが途中までです】


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380555555




――ドン

タイムスクープ社


タイムワープ技術を駆使し

あらゆる時代にジャーナリストを派遣

人々の営みを映像で記録し

アーカイブ計画を推し進めている機関である



――ザッ

沢嶋「えー、アブソリュートポジション。N337、W335、E373、S311」

沢嶋「ポジション確認」

沢嶋「アブソリュートタイム。えー、B1192020年82時61分02秒」

沢嶋「西暦変換しますと、2013年9月30日19時20分21秒」

沢嶋「無事タイムワープ成功しました」

沢嶋「コードナンバー893893。これから記録を開始します!」



沢嶋雄一! 彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである!

あらゆる時代にタイムワープしながら、時空を越えて名もなき人々を記録していくタイムスクープハンターである!



沢嶋(今回の取材対象は平成時代の国王)

沢嶋(東京都内に存在する独立国、神聖モテモテ王国の国王とその国民による)

沢嶋(その怪奇な習慣と生活を取材する)





沢嶋「この時代の人々にとって、私は時空を超えた存在です」

沢嶋「彼らにとって私は宇宙人のような存在です」

沢嶋「彼らに接触する際には細心の注意が必要です」

沢嶋「私自身の介在によって、この歴史が変わることも有り得るからです」

沢嶋「彼らに取材を許してもらうためには、特殊な交渉術を用います」

沢嶋「それは極秘事項となっており、お見せ出来ませんが、今回も無事、密着取材する事に成功しました」



――ヴン、ピッ





激震! 国王死しても理由は知らず!





――バン!





沢嶋(東京都内のあるアパート)

沢嶋(その一室がモテモテ王国の領土だと知る人は少ない)

沢嶋(そして、国王とその息子にして唯一の国民オンナスキーは、今日も食卓を囲んでトンカツを食べている)

沢嶋(だが、突然、モテモテ王国国王ファーザーがハシを振りかざし演説を始めた)



ファーザー「この時代のナオンにとって、わしは想像を超えた存在じゃよ?」

ファーザー「ナオンたちにとって、わしは宇宙人そのものです」

オンナスキー「その通りだ」

ファーザー「ナオンたちに接触する際には思い切ったアピールが必須です」

ファーザー「重メガネ級の介在によって、このわしの評価が変わることも有り得るからです」

ファーザー「ナオンたちに秘密の取材を許してもらうためには、特殊な交渉術を用います」

ファーザー「それは極秘事項となっており、お見せ出来ませんが、今回は無事、密着取材する事に成功するかね?」

オンナスキー「まず死ぬと見ておけ」


ファーザー「こういった思考経路を辿った結果、我、勝利の方程式を編み出せり!!!」

ファーザー「2020年、我が国で開催されるはずじゃった、居間オリンピックの夢破れた今!」

ファーザー「次の2024年は玄関オリンピックを目指すんじゃよ!」

ファーザー「世界一コンパクトな大会じゃぜ?」

ファーザー「冬季オリンピックは、我が国には冬季用施設が冷蔵庫だけなのがネックなんじゃよー?」

ファーザー「エアコン殿の粉骨砕身によって18度を下回る事あらば、あるいは?」

オンナスキー「エアコンが砕けたら、お前も砕くぞ」

ファーザー「それにIOC委員どもには、ハイパーオリンピックでバレンティンが柔道に出場するプロダクトコードを送ってたんじゃよ」

ファーザー「奴こそは五十七本勝ちも可能な逸材」

オンナスキー「世迷言はもういい! ボクはナンパがしたいんだ!」




沢嶋(モテモテ王国の国是、それはナンパ。即ち、異性へのアピールである)

沢嶋(一方で、一般家庭以下の脆弱な国力を案じた国王ファーザーは)

沢嶋(建国活動と称して、国力拡充を狙った活動を度々展開した)

沢嶋(そのため、ナンパ至上主義のオンナスキーと衝突が絶えなかった)



ファーザー「おのれ、王族の分際で革命市民を気取りおって……」

ファーザー「じゃが、我が家の春をツイッターでやらかされては炎上確実」

ファーザー「よって若者文化に屈するわしの堪忍袋の緒が消失したぁぁぁーー!!」

ファーザー「O・MO・TE・DE・RO! 表出ろ!」

オンナスキー「ウッ! このバカ、また故障したのか!」





沢嶋(突然、オンナスキーに殴りかかるファーザー)

沢嶋(乱打戦はしばらく続いたが、オンナスキーの圧勝に終わり、ファーザーは死んだ)

沢嶋(そして、きっかり3分後、ファーザーが生き返った)



ファーザー「ぐ、ぐぬぬぅ……」

ファーザー「よ、よかろう、貴様の勝ちに免じ、民主化に応じる」

オンナスキー「……いや、民主化どころか、むしろボクの独裁制に移行したいんだが」

ファーザー「お、お主、わしから王権を奪おうと画策しちょるのかーー!!」

ファーザー「この下克上に立ち向かうには、我が国の有する軍事力はあまりに少ないのじゃよ!」

ファーザー「なにしろ、オンナスキーの反逆によって、一気に戦力80%減じゃもの?」

沢嶋「50%じゃないんですか?」

オンナスキー「あの、細かいところは聞き流した方がいいです」

ファーザー「ここは国外逃亡し、シーランド公国に居候する計略!」

ファーザー「あわよくば相続問題にかこつけて乗っ取る」

オンナスキー「それ、曹操軍50万が攻めて来ないか?」

ファーザー「ハルヒが橋の上で待ち受ければよいのじゃよ?」

┌────────────────────┐
│ファーザーは張飛の読み方を間違えている  ....│
└────────────────────┘


ファーザー「ふーむ。またもキョン明殿との浮名を流し、腐女子どもにエサを与えてしまいかねん」

オンナスキー「お前はどの武将の設定なんだ?」

ファーザー「雷薄」

┌─────────────┐
│三国志には割りと食いつく  ....│
└─────────────┘

オンナスキー「とにかく、ボクの言う通り、さっさとナンパの作戦を出せ」

ファーザー「おのれ、三国志で国民の不満の矛先をそらす計略も、ついに通用せぬようになったか!」

ファーザー「ここはベルクカッツェばりの逃走劇を展開! じゃじゃじゃぁーーー!!」ダダッ

オンナスキー「逃げるな」ガシッ

ファーザー「プーチン殿、空港に! 空港にお匿い下されぇーい!!」ぎゃわーーー!

ファーザー「OIAの秘密を全部世間に教えちゃうからぁーーーー!!

┌───────────────────┐
│Onnasky Intelligence Agency         .....│
│                          ......│
│反モテモテ王国オンナスキー情報局の略    │
└───────────────────┘

オンナスキー「お前の話に世間が耳を貸すとは思えないが」

ファーザー「OIAのエージェントどもが、普通にわしの会話を全て聞いておるのが許せん」

オンナスキー「聞け」

ファーザー「ぎゃわあーー、事情聴取を拒否する! 弁護士の大王を呼べぇー!!」

ファーザー「弁護士殿! 脇汗じゃよ、このメガネの脇汗をチェックせよーーー!!」

オンナスキー「おい、交換条件だ。さっさと今日のナンパの作戦を出せ」

オンナスキー「ナンパの結果如何ではお前の王権をとりあえず認めてやろう」

ファーザー「結果が芳しくなかった場合は?」

オンナスキー「ドラマで言ってたが、ギロチンにかかった王様というのは結構多いそうだ」

ファーザー「脚本家とギャルソンが、わしの存在をおびやかしおってぇー!!」

ファーザー「なんとも、おのれぇぇぇーい!!」ぎゃわーーー!

ファーザー「大脱走の地下道丸パクリぃぃぃぃーーー!!」ぎゃわーーーー!!

ファーザー「じゃが、はだしの王様ならば、あるいはギロチン免除されるのでは?」











┌─────────┐
│  .ナオン調査兵団  │
└─────────┘

┌───────┐
│  神仏の巨人  │
└───────┘

沢嶋(ファーザーの立案した作戦に基づき、路上に繰り出した二人)

沢嶋(裸足でパンツをむき出しという下半身に変わりないが)

沢嶋(髪は仏像のような螺髪で、上半身はある有名野球球団のユニフォーム)

沢嶋(手には数珠と人参という姿のファーザー)

沢嶋(背番号はなく、代わりに立川在住と書かれている)



┌────────┐
│ ..マーサマ投長 ...│
└────────┘

沢嶋(いつもの学生服の上に、ダンボールで作ったらしい茶色のジャケットを重ね着し)

沢嶋(何故か腰の後に噴射式殺虫剤、両方の太ももには電話帳を結びつけているオンナスキー)

沢嶋(ジャケットの後には、優勝セールという文字が大きく書かれている)

沢嶋(いつ警察がやって来てもおかしくない。そんな危険性を二人がにじませている)






┌──────────────────────────────┐
│神仏の巨人オープニングテーマ                         │
│『十万本の弓矢(カラーは紅蓮限定)』                     ..│
│作詞 孔明殿  作曲 周愉殿  歌 黄蓋殿(新人)             │
│                                          ......│
│                                          ......│
│リヴァリヴァリー リーヴァッヴァッ                       ..│
│                                          ......│
│リヴァリヴァリー リーヴァッヴァッ                       ..│
│                                          ......│
│バファローブルを 引き裂いて                          │
│                                          ......│
│非道のつば九郎 ぶん殴る                           │
│                                          ......│
│ホッシー トラッキー いたくよろこんで                     .│
│                                          ......│
│(ホッシーとトラッキーは憎しみを抱いていたらしい)              │
│                                          ......│
│ドアラの唸りに カラスコ逃げた(マカオへ)                  ..│
│                                          ......│
│(ドアラは親しみを抱いていたらしい。カラスコは自己の安全を優先)  .....│
│                                          ......│
│見ろよ 菅野のニヤけ顔                           ......│
│                                          ......│
│奴こそ 軍令違反故に鞭打ち百回の罰を下さん             ......│
│                                          ......│
│(魯粛の説得で斬首は思いとどまったらしい)                  .│
│                                          ......│
│バファローベルには荊州を与えん                      .....│
│                                          ......│
│ツネツネツー ナーベッベ                             .│
│                                          ......│
│ツネツネツー ナーベッベ                             .│
└──────────────────────────────┘






神仏の巨人「わしという存在が大きくなった気持ち」

神仏の巨人「具体的にはオカダカズチカのドロップキックの高さぐらい」

神仏の巨人「未来の基軸通貨たるレインメーカードルのために、本日の作戦を説明すらぁーい!!」

神仏の巨人「本日は、わしの王権争奪ナオン攻略戦につき、国王自ら国民のために囮とならぁーい!!」

神仏の巨人「らぁーいってのが、なにやら突如マイブームと化した模様だらぁーい!!」

神仏の巨人「らぁーいのところは、CV神谷明で読むのじゃぁーい!」

神仏の巨人「よって、ごおおおっどぼおおーいすしたところで、お前が26連勝するがよいらぁーい!」

オンナスキー「つまり、お前がナオンを襲ったところに、ボクが助けに入る芝居をやるんだな?」

神仏の巨人「そうとも言うー。春日部在住ぅぁーい!」

神仏の巨人「あ、しまった。埼玉には壁がなぁーい!」

神仏の巨人「壁とキャッチボールするのが趣味。交友関係は愛と勇気と壁」

オンナスキー「そういう作戦だと、お前、本気でボクに襲いかかるじゃないか」

神仏の巨人「安心らぁーい! わしはわしとて、ナオンの頭にかぶりつき、なめつくす権利を有す」

神仏の巨人「真実の意味で喰ってやる。あまっちょろい若者文化じゃないんじゃぜ?」

神仏の巨人「これは安保理で中露すら認めた国際法じゃよ」

神仏の巨人「よって、オンナスキー殿は安心して、わしの後背より奇襲を敢行なされよ」

神仏の巨人「ただし、ゴッドアルファはチートすぎるので不許可じゃよ?」

神仏の巨人「あ、らぁーい!」

┌────────────┐
│  マイブーム終焉の兆し  │
└────────────┘


オンナスキー「……今回ももうダメだな、きっと」

神仏の巨人「前方距離200にナオン発見!!」ピキーン

神仏の巨人「パターン女子高生、胸部に高エネルギー源を二つ確認!!」

神仏の巨人「目標のJKナオンの好みのタイプ、わし」

神仏の巨人「レッツオーライ、我特別攻撃ヲ敢行ス!!」ダッシュ!

オンナスキー「お、おい、待て! また警察呼ばれるぞ!」



沢嶋(猛烈な勢いで突進するファーザー!)

沢嶋(女子高生まで後数歩に迫ったその時!!)



――カチッ

神仏の巨人「らぁーい?」びよーん



沢嶋(突然、道路の一部がスプリングで跳ね上がり、ファーザーの体を上空へ放り上げた!)



神仏の巨人「ぎゃーーー、大王の罠でポン!!」ぎゃわーーー!

神仏の巨人「丹古母鬼馬二とストロング金剛はどこらぁぁーーーい!!」ぎゃわーーー!



沢嶋(そして、放物線を描き、私に向かって飛んで来る!)



オンナスキー「危ない!」



沢嶋(私はファーザーの頭突きを受けて弾き飛ばされ、更にコンクリートの塀に頭をぶつけてしまった)

沢嶋(激しい痛みを感じていたが、一方で意識が遠くなり、次第に何も感じなくなっていく)





――ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ

古橋『沢嶋さん、応答して下さい! 沢嶋さん大丈夫ですか!』

古橋『沢嶋さん! 沢嶋さん、しっかりして下さい!』



沢嶋(私は意識を失ったが、私の持っていたカメラが皮肉にも映像を記録し続けていた)

沢嶋(私から少し離れたところに血だらけのファーザーが倒れている)

沢嶋(そのすぐ側にオンナスキーがいたが、動揺していて手当てどころではないようだ)

沢嶋(だが、オンナスキーの背後に黒づくめの怪しい男が現れた!)



大王(例のポーズ)「あ、あのー……」キョドキョド

オンナスキー「あ! あんた、どうするんだ! 取材の人まで怪我させて!」

大王(例のポーズ)「ふははははは、再発防止に務めるつもりだが?」ずーん

オンナスキー「もういい、とにかく医者だ、医者に連れて行こう!」

大王「いや待て。今回は特別に、私のデビル教団でやっている祈祷で治してやろう」



沢嶋(男はどうやら、ある新興宗教団体で高い地位を占める人物らしい)





大王「決して、病院に連れて行くと警察沙汰になるのが怖いからではない」

オンナスキー「……まあいいが。で、祈祷と言うと?」

大王「この鉄のクイで頭蓋骨に穴を開け、頭の中から良い気を抜く」

大王「そうすると、悪のパワーが流れ込み、立派な悪人として生まれ変わる」

大王「ただし、実験例はない」

オンナスキー「お前、それやってたら殺人だぞ」

大王「……殺人だとしても、私は悪だから問題ないはずだが?」

オンナスキー「お、おい、よせ!」



沢嶋(振り上げられたカナヅチが、私の頭にあてられた鉄のクイに振り下ろされる!)

沢嶋(気を失っている私にはどうしようもない!)

沢嶋(だが!)



白衣のナオン「あなたたち、何をしてるの!」

大王とオンナスキー「え?」

白衣のナオン「あ、気を失っているわね、その人」

白衣のナオン「私が応急処置を施します! あなたたちは救急箱を持って来て!」

オンナスキー「は、はい!」

大王「え、私も?」

オンナスキー「いいから来い!」グイッ


今日のところは以上です。

訂正

>>5
ファーザー「冬季オリンピックは、我が国には冬季用施設が冷蔵庫だけなのがネックなんじゃよー?」

ファーザー「冬季オリンピックは、我が国には冬季用施設が冷蔵庫だけしかないのがネックなんじゃよー?」


>>14
沢嶋(振り上げられたカナヅチが、私の頭にあてられた鉄のクイに振り下ろされる!)

沢嶋(振り上げられたカナヅチが、私の頭にあてられた鉄のクイが振り下ろされる!)

>>14は勘違いしていたようです。訂正を取り消します


沢嶋(オンナスキーと新興宗教の男性を追い払って、私に近づく白衣の女性)

沢嶋(私の前にしゃがみこむと、その白衣を脱ぎ放った!)



古橋「沢嶋さん、大丈夫ですか! 沢嶋さん!」



沢嶋(なんと白衣の女性は、私の同僚で、タイムナビゲーターの古橋ミナミだった!)

沢嶋(負傷がないかどうか私をスキャンした後、アンモニアをかがせようと医療パッドを取り出した瞬間!)



やくざ「ほう。真昼間の往来で、男にヤクを吸わせるとはな。なかなかやるじゃねえか」ガシッ



沢嶋(通りがかりの暴力団関係者が背後から彼女の腕をつかんだ!)



古橋「え? ち、違います! 離して下さい!」



オンナスキー「な、なんだ、これ!」

大王(例のポーズ)「わ、わぁぁぁぁーー!」ダダダッ



沢嶋(救急箱を手に戻ってきたオンナスキーも驚きのあまり動きが止まった!)

沢嶋(振り返りもせず逃げたのは新興宗教の男性だ!)





オンナスキー「い、いかん。ともかくナオンだけでも逃がさねば……」

オンナスキー「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……!」

┌────────────────────────────────┐
│母親が不在                                       .│
│父親(?)がダメ人間(?)                               ....│
│内向的で友人が少ない                                 │
│                                              ..│
│大体同じ環境なのに、コイツの逃げちゃダメだは、何故か、後ろめたい    │
└────────────────────────────────┘



沢嶋(なけなしの勇気を振り絞って、暴力団関係者に挑むオンナスキー)



オンナスキー「お、おい! あんた!」

やくざ「なんか用か、坊主」

オンナスキー「い、いやがってるじゃないか! 離してやれ!」

やくざ「離してやってもいいが、俺に何か得な事でもあるのか?」

オンナスキー「……500円で、どうだろう」

やくざ「せめて10万だな」

古橋「離して下さい! 警察を呼びますよ!」

やくざ「呼べるもんなら呼べ。その脅し文句が今頃出たのは、そっちも呼びづらいからだろうが」

┌───────────────┐
│鋭い観察眼を有するやくざ殿    .│
└───────────────┘



沢嶋(どうにもならないと思われた、その時!)



――ゴゴゴゴゴゴゴゴ






オンナスキー「ふぁ、ファーザー!」

やくざ「なんだ、死んでたんじゃないのか、この物体……!」

神仏の巨人「状況把握。これより作戦を開始する」ゴゴゴゴゴゴゴ



沢嶋(またも甦ったファーザー。ファーザーの作戦とは一体!)



神仏の巨人「へぇーい、やくざ殿。アッシは神仏の巨人ってぇケチな野郎で」げへへ

やくざ「ほう、その巨人がなんの用だ?」

神仏の巨人「へい、あそこのメガネは、その奥底に連勝日本記録を秘めたメガネでがす」

神仏の巨人「つまり、あのメガネを割れば、連勝日本記録もやくざ殿のもの」

神仏の巨人「さあ、鉄のメガネを叩いて砕く。やくざ殿がやらねば、わしがやるでがんす?」

やくざ「なるほど。そいつは興味深いが」

神仏の巨人「?」

やくざ「続いてお前も殺せば、連勝記録が更に伸びる」ニヤリ

神仏の巨人「げぇぇぇぇえー、古今例のない記録へのこだわり!」ぎゃわーーー!!

神仏の巨人「その古今例のなさは大気圏突入時に戦闘を仕掛けるシャアの如く!!」ぎゃわーー!!

神仏の巨人「シャア少佐! 助けて下さいシャア少佐ー!」ダダダダッ!



沢嶋(やくざから逃れようとするファーザー! だが!)



――カチッ


今日は以上です。




沢嶋(再び何者かの罠が発動!)

沢嶋(ファーザーの近くの道路が左右に開き、中から一本の棒とスタンドマイクが現れた!)



┌──────────┐
│デビルホイッスル   ....│
└──────────┘

やくざ「なんじゃこりゃあ?」



沢嶋(暴力団関係者もファーザーの胸倉をつかんだまま注目する)

沢嶋(しかし、何も起こらない!)



やくざ「んん? 壊れてるのか?」

神仏の巨人「自分の機嫌次第で惑星を爆破するヘンテコ大王の罠」

神仏の巨人「よって地球爆発まであと5秒」

神仏の巨人「事ここに至っては、我が国は選ばれしナオンを募らん!」

神仏の巨人「そして、ナオンと共に部屋ごと大気圏外へ脱出し、大モテモテ王国星を称する予定!」

神仏の巨人「あ、財布を握りし臣民よ。さっさと部屋用恒星間航行システム買ってきてー」

オンナスキー「そんなもの、どこで売ってるんだ」

神仏の巨人「そこのナオンよ。さあ、汝の王たるわしと共に、人類の歴史を紡ぐと吉だと林先生も言っていた」

┌────────────────┐
│西川家に干されてる方の林先生    .│
└────────────────┘

古橋「え……。そんな地球爆発だなんて、ある訳が……」

オンナスキー「ん? 音が……」



沢嶋(オンナスキーの言葉に、その場にいる私をのぞいた全員が耳をすます)

沢嶋(チャッチャッというその音は、軽く固いものがアスファルトに当たっているようだ)

沢嶋(想像される地球爆発の音とは程遠い)

沢嶋(だが、それは次第に数を増やしていった!)






やくざ「ん、あれだ!」

神仏の巨人「げぇぇぇぇぇーー、主人公を喰う事に定評がある、まさにドッグ!!」



沢嶋(首輪のないもの、リードを引きずったもの、ありとあらゆる種類の犬が四方八方から駆け寄ってくる!)

沢嶋(道路から出てきた棒は犬笛だった!)

沢嶋(人間には聞こえない周波数だが、犬の耳には明確な集合目標だ!)



神仏の巨人「続きはWEBでぇぇーーーい!」ぎゃわーー!!


┌─────────┐
│WEBだから続く    │
└─────────┘



沢嶋(犬の群れはオンナスキーたちを無視して、ファーザーに群がる!)

沢嶋(大型犬数匹がファーザーを押さえつけると、他の犬もいっせいにファーザーの体に噛みついた!)



やくざ「犬の敵は、即ち俺の敵だぜ」

┌────────────────────┐
│幼少の頃から動物に優しくしていたらしい    .│
│処世術的な意味で                 ...│
└────────────────────┘



沢嶋(暴力団関係者も、ファーザーの胴にまたがり、顔面を殴打し始める!)



神仏の巨人「こ、殺すなら殺せェぇーいい!!」

神仏の巨人「はーっはっははははは!!」

神仏の巨人「大王の罠、やくざ殿、そして犬とまでくりゃあ!」

神仏の巨人「既にフルコンボ故! わしには、もはや恐れるものはないのじゃよーーー!」ぎゃわーー!!

オンナスキー「だ、ダメだ。逃げましょう」

古橋「え、ええ」



沢嶋(私の体を引きずって、オンナスキーたちは逃げた!)

沢嶋(だが、慌てたオンナスキーたちは、私の手からカメラが離れていた事に気づかなかった!)





やくざ「おい、お前のクライマックスシーズンはこれからだ。起きろ」

神仏の巨人「いへ、わヒは王族ラので、ふラひマックふひーぶンはあるいは免ろされまふ」

やくざ「そうか」

やくざ「じゃあクライマックスシーズンは飛ばして、日本シリーズいってみるか?」

神仏の巨人「いえ、わヒは王族ラので、助命を伏ヒて願い奉りまふ」

警官「そこで何をしてる!」

神仏の巨人「ぎゃ、ぎゃわぁぁぁぁーー!!」ぎゃわあーーー!

┌─────────────────────────┐
│IYK同盟締結                             │
│国力の伸張目覚しいモテモテ王国に危機感を抱いた    ..│

│犬、やくざ、警官の三大勢力が、種族や主張を超越して    │
│締結した軍事同盟。                         .│
│そのいずれの勢力も単独でファーザーを凌駕する。     .│

└─────────────────────────┘

やくざ「……チッ、ポリか……」

神仏の巨人「た、助かった……。まさか、国王自らが日本国の警察組織に救われ――」

警官「あ、またコイツか……。とにかく、署まで来てもらおうか」

神仏の巨人「――る訳がないんじゃよーーーー!!!」ぎゃわーーー!!

神仏の巨人「オープンゲエェェェェーット!!」ダダダッ!!

警官「あ!」

やくざ「チッ、逃がさん!」

神仏の巨人「チェェェェーンジ、ゲッター3ぃー!」ダダダッ!!

神仏の巨人「あ、しまった。水がない」



沢嶋(犬と暴力団関係者と警官に追われるファーザー)

沢嶋(その奇妙な集団は、カメラから遠ざかっていった)



――AUTO POWER OFF

――ザッ



もう少し続きます。
また夜に来るかもしれませんが、とりあえず以上です。




――AUTO POWER ON

――ザッ




沢嶋「あ、ありました。良かった。無事のようです」

古橋「また始末書が必要になるところでしたね。紛失していなくて安心しました」

オンナスキー「ファーザーはいないようだけど、まあいいか……」



沢嶋(30分後……)

沢嶋(気絶状態から回復した私は、古橋ナビゲーターとオンナスキーと共に、カメラの捜索とファーザーの安否確認のため、現場に戻った)

沢嶋(そこには血だまりと私のカメラ、そしてトキョーと書かれた紙があった)

沢嶋(白い紙は少し古びていて、ファーザーのものと思しき血が付着していた)



オンナスキー「これって、まさか……」

古橋「いやそんなはずは……」

オンナスキー「でも、ファーザーの奴、こういう事には超絶に無駄な才能を発揮するからなあ」

沢嶋「ところで、ファーザーさんは自分の事を宇宙人だと思っているようですが、本当のところは、一体どういう人なんですか?」

オンナスキー「え……。あの、ボ、ボクにもよく分からなくて……」

オンナスキー「ボク、小さい頃の記憶があんまりなくて……」

オンナスキー「ただ、どこかで、アイツの事を見たような気はするってだけで……」

オンナスキー「死んでも生き返るとか、頭の赤色灯が点滅するとか、人間離れしたところがあるけど」

オンナスキー「アイツの話はほとんどがたわ言だから、実際はどうなんだか……」

沢嶋「そんな怪しい人物と一緒に暮らしているのは何故ですか?」

オンナスキー「そ、それは……」チラ

古橋「?」

沢嶋「あ、女性の前だと言いづらいですか?」

オンナスキー「え、い、いや、そんな事では……!!?」

オンナスキー「た、ただ! 何度死んでも諦めないアイツの執念はすごいなと思ってるだけで!」

オンナスキー「数百回に一回くらいはナンパに成功するし!!」

沢嶋「なるほど。確かにファーザーさんの闘志のようなものは凄まじいものがありますね」

沢嶋「それでは、これからもファーザーさんと、こういった建国活動とナンパ漬けの毎日を送るのですか?」

オンナスキー「え」

┌───────────────┐

│あえて考えないようにしてきた     │
│将来への不安を突きつけられ    .│
│大いに困惑               .│
└───────────────┘


沢嶋(この問いかけにオンナスキーは呆然とし、しばらくインタビューどころではなくなってしまった)




沢嶋(止むを得ず、インタビューを切り上げ、我々三人でファーザーを探して歩いたが見つからなかった)

沢嶋(その日の内に古橋ナビゲーターは帰還。その後もファーザーの消息はつかめず、三日が過ぎた)

沢嶋(モテモテ王国本土、居間)



オンナスキー「ファーザーの奴、死んだのは疑いないけど、死体が見つからないとは」

オンナスキー「とうとう非業の最期を遂げたか……。周囲は歓喜だが」



沢嶋(いつも通りに、二人前のトンカツを食卓に用意したオンナスキーがそんな事をつぶやく)

沢嶋(オンナスキーはファーザーが消えてからずっと、学校を休み、本土でゴロゴロしていた)

沢嶋(寂しいという様子ではないが、どこかイラついていて、何もする気が起きないように見える)

沢嶋(そんな陰鬱な空気が国内に満ち満ちていた、その時!)



ファーザー「今帰ったがー?」

オンナスキー「ファーザー、お前、今までどうしてたんだ! いや、死なずにすんだのか!」



沢嶋(珍しい事に無事に帰ってきたファーザーを歓迎しようとしたオンナスキー!)

沢嶋(だが、オンナスキーの目が、ファーザーと、ファーザーに寄り添う二人の女性を捉えた!)



オンナスキー「な……に……!!!?!!!!」ビキビキ

ファーザー「わしのターン! ドロー!」

ファーザー「IYK同盟からの逃亡生活2日を生贄に! わしはナオン2体を召喚!」

ファーザー「能力、わしが好き! わしを愛してる! わしに恋してる! いいニオイがする!」げへへー

ナオン1「いやーん、ファー様ったら、恥ずかしいじゃなーい」

ナオン2「なあ、ファーちゃん、早く遊びに行こうよ。こんなところつまんないよ」

ファーザー「遊びじゃと? 困ったら即ち、でぜにーシーだと聞きました!」

ファーザー「いざ出陣じゃよー!」

オンナスキー「ひ、人が、人が心配してやってたのに、こ、コイツ……」





沢嶋(いつ果てるともない乱打戦)

沢嶋(神聖モテモテ王国国王と国民)

沢嶋(彼らはいつも必死だ。涙と流血にまみれた彼らの日々は誰よりも真剣だ)

沢嶋(例え、将来への希望もなく、女性への好意が報われる事がないとしても)

沢嶋(彼らの悔しさが、何かに結びつく日が来るように思えてならない)



沢嶋「ファーザーさん、オンナスキーさん。それじゃあ、私はそろそろ失礼します」

ファーザー「ぎゃ、ぎゃわーー!! あんた、目の前で国王暗殺事件が発生しちょるのに帰っちゃうの?」ぎゃわー!

ファーザー「ジャーナリストである前に、あんたの人間性と、わしのカリスマ性を重視し」

ファーザー「この暴虐のメガネから、わしを救えばピューリッツァー賞確定と、高木三四郎も言っていた!」

ファーザー「あ、じゃあ、ウソだ」

オンナスキー「し、嫉妬と言われてもいい、お前死んでも平気なんだから、とにかく死ねえ!」



神聖モテモテ王国は、警視庁の記録に散見されるだけで、その後の興亡は一切謎に包まれている。

だが、時間の狭間に消えた理想郷と、あの国を称える歴史学者が存在する。



沢嶋「えー。以上、コードナンバー893893。アウトします」



――ザッ







タイムスクープハンター!

次回の取材対象はポケモン時代のポケモントレーナー!

パートナーのポッポと協力して、ジムリーダーに挑戦します!

強敵イワークにどう立ち向かうのか!


『ポケモンバトル! ニビジムの戦い!』

お見逃しなく!


以上で終わりです。お読み下さいましてありがとうございます。
終盤で期間が開いたり、色々とすみませんでした。

予告は一応入れておきましたが、書くかどうかも不透明ですし、
実際に書いても違う題材という事もあるかもしれません。

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