マミ「やっと、普通の生活に戻れるのね……」 岡部「マミ……」(332)

岡部「駄目だ、まだ早過ぎる」

マミ「え?」

岡部「そもそもお前の普段の食生活は普通ではない! お菓子を食べ過ぎだぞ!」

岡部「たかが1kg痩せた程度でダイエット終了とは、根性が足りん!」

マミ「……っ」

マミ「凶真の馬鹿! もう知らない!」

ダル「痴話喧嘩乙」

岡部「痴話とか言うな!」

ダル「てかオカリンはデリカシーなさすぎっしょ」

岡部「デリカシーなどあっても"機関"には勝てん」

ダル「マミ氏、半泣きだったぞ」

岡部「…………」

岡部「クソッ、謝ればいいんだろう。明日来た時に謝ると誓おうではないか!」

次の日――

さやか「うーん、このCDもよさそうだなぁ」

まどか「ずん、ずんずん、ずんどこ……きよし♪」

(助、け……)

まどか「え、何?」

(助けて……)

まどか「あなた、誰なの?」

(ボクを、助けて……)

まどか(あっちの方から声がしてる気がする……)

QB「まど、か……」

まどか「ひどいケガしてる!」

ほむら「そいつから離れなさい、鹿目まどか」

まどか「ダメだよ、この子ひどいケガしてる。ひどいことしないで!」

まどか「この子、わたしを呼んでた。助けてって」

ほむら「離れなさい」

その時、周りが煙で包まれた。
さやかが消火器を使い、その粉末を周りにまき散らしたのだ。

さやか「まどか、逃げるよ!」

まどか「う、うん」

さやか「何なのよあの転校生、頭いかれてるんじゃないの!? つーか何なのそれ、生き物?」

まどか「わたしにもよく分からないんだ」

さやか「ふーん……あれ、出口はどこ?」

まどか「景色が変な感じになってるよぉ。なんだか怖い……」

さやか「あたしたち、悪い夢でも見てるんだよね?」

戸惑う二人の前に今までに見たこともない生き物が現れた。
わたがしにヒゲを生やし、胴と手をつけたような生き物である。

さやか「な、なんなのよこいつ! く、くるなぁ!」

風船が割れたような音がして、目の前の生き物の身体が消え去った。
音がした方向を見てみると、そこには一人の少女が立っていた。

マミ「間一髪、ってところかしら」

マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう」

マミ「自己紹介をしたいところだけれど、その前に一仕事片付けちゃってもいいかしら」

マミはマスケット銃を大量に召喚し、一斉に弾丸を放って使い魔を一掃した。
それに恐れをなしたのか、魔女は逃げ出した。

マミ「ケガはないかしら、ふたりとも」

まどか「あ、はい。大丈夫です」

さやか「助けてくれてありがとうございました!」

マミ「どういたしまして」

マミ「…………」

マミ「魔女は逃げたわ。仕留めるならどうぞ? 譲ってあげる」

ほむら「私は……」

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげると言っているの」

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

ほむら「…………ッ」

岡部「えぇい、いつになったら弟子は来るのだ。もう夜ではないか!」

ダル「最近毎日のようにマミ氏が来てたから、一日でも会えないと寂しくなっちゃうんですね分かります」

岡部「な、何を言っているのだ頼れる右腕(マイフェイバリットライトアーム)よ! そんなんではない!」

岡部「この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真(ほうおういん きょうま)の華麗な土下座を見せつけてやりたかっただけだ!」

ダル「ジャンピング土下座キタコレ」

ダル「……しかし、マジでこねーなマミ氏。こりゃ昨日のことを相当根に持ってると見たぜ」

岡部「えぇい、これでは謝りようがないではないか!」

次の日――

ダル「そろそろ学校が終わる頃すなー。今日も来ないに100ペリカ」

岡部「今日も来なかったら自宅に突撃を敢行するぞ」

ダル「JCが一人暮らししてる家に凸とか通報されるのがオチだお」

ガチャ

マミ「ウフフ、久しぶりの大いなる聖域(サンクチュアリ)の空気は素晴らしいわね」

岡部「ククク、そうだろうそうだろう! そして、それを感じ取れるお前は俺に選ばれし存在なのだよ!」

さやか「マ、マミさん……?」

まどか「な、なんかかっこいい!」

マミ「何か言うことはあるかしら、凶真」

岡部「あ、あれは……言い過ぎだった、すまん」

ダル「ジャンピング土下座マダー?」

岡部「黙ってろダル!」

マミ「ジャンピング土下座……? まぁいいわ、許してあげる。でも次はないわよ」

ダル「ドSなマミ氏マジたまんねぇっす!」

ダル「てか、こんなイカガワシイ場所にJCが3人もいるとか。これ何てエロゲ?」

さやか「エ、エロ!?」

岡部「ダルよ。未成年の前でそのような発言は自重するがいいぞ」

ダル「フヒヒwwwサーセンwwwww」

さやか「キモッ!」

まどか「さ、さやかちゃん。ダメだよそんな事言っちゃ……」

ダル「私どもの業界ではご褒美です」

マミ「それ以上続けるのなら我が隠されし銃(マイシークレットライフル)が黙っていないわよ?」

ダル「おぉ、こわいこわい」

岡部「弟子よ、そこの二人は?」

マミ「学校の後輩よ。昨日お友達になったの」

岡部「そうか。自己紹介がまだだったな。我が名は鳳凰院凶真」

岡部「フェニックスの鳳凰に、院、そして凶悪なる真実だ! 院についての説明は長いので省かせてもらう」

まどか「なんというか、個性的な名前ですね……」

さやか「いや、どう考えても偽名でしょ」

ダル「そ、本名は岡部倫太郎(おかべ りんたろう)。どこにでも居そうな名前っしょ」

岡部「ダル、キサマ裏切ったな!」

ダル「本名教えるだけで裏切りとかどこの諜報機関ですか? あ、僕は橋田至」

さやか「あたしは美樹さやか。よろしくお願いしまーす」

まどか「わたしは鹿目まどかです。よろしくお願いします、橋田さんと……岡部さん?」

岡部「待て待て待て。我が名は鳳凰院凶真と言ったばかりだろう」

まどか「あ、ごめんなさい」

ダル「謝る必要とかこれっぽっちもないぜ。オカリン照れてるだけだから」

岡部「ダルよ、今日の行動は少々目にあまるぞ」

さやか「へぇ、結構ウブなんだ」

マミ「鹿目さんが可愛すぎるのね、きっと」

さやか「まどかは渡さんぞ、私の嫁だぁ~!」

ダル「百合展開ktkr」

岡部「やれやれ……。それで、弟子はなぜこの二人を我が未来ガジェット研究所に?」

マミ「私についていろいろ知りたいって言われて。ここは私のもう一つの家みたいなものだし、紹介しておこうかなぁって」

岡部「フッ。そうだな、ラヴォメンはファミリーみたいなものだ!」

ダル「マミ氏と家族になるのは大歓迎だけど、オカリンはお断りします」

岡部「お前……まぁいい、事情は把握した。せっかく我が未来ガジェット研究所に来たのだ」

岡部「我々の素晴らしい発明品の数々を見せてやろう!」

さやか「おおっ、なんか映画に出てきそうな光線銃だ!」

まどか「さやかちゃん、危ないよ!」

マミ「大丈夫よ鹿目さん。それただのリモコンだから」

まどか「よかったぁ」

ダル「正確にはただのリモコンじゃないお。チャンネル送り以外何もできねー」

さやか「しょぼっ!」

まどか「これは、竹とんぼだね。懐かしいなぁ。ん、これカメラ?」

岡部「ほう、そこに気づくとはキサマできるな!」

まどか「えへへ……」

さやか「こんなものにカメラつけてどーすんの?」

岡部「聞いて驚け。カメラをONにして飛ばすことにより、なんと空中を撮影できるのだ!」

さやか「へー、結構すごそう」

マミ「カメラもすごいスピードで回転するから、撮影した動画も回転しちゃうのが欠点ね」

まどか「動画見たら酔いそう……」

さやか「なんというか、見事にガラクタばかりだね」

岡部「グハァ!」

マミ「ウフフ、痛いところを疲れちゃったわね。凶真、あれを見せてあげない?」

岡部「未来ガジェット八号機、通称電話レンジ(仮)か? あれは実験中のトップシークレットだぞ」

ダル「減るもんじゃないし、見せてもいいんじゃね?」

マミ「そうよ。誰にも見てもらえずホコリをかぶるよりいいと思うわ」

岡部「……まぁいいだろう。これが電話レンジ(仮)だ!」

まどか「普通のレンジにしか見えないなぁ」

岡部「チッチッチッ。こいつはただの電子レンジではない! なんと、遠隔操作が出来るのだぁ!」

さやか「遠隔操作?」

岡部「こいつにケータイを挿しておき、弁当やら冷凍食品やらの温めたいものをいれる」

岡部「そして別のケータイから、挿しておいたケータイにメールを送ることで解凍ができるのだぁ!」

岡部「ラボに帰還する3分前とかに作動させて、帰ってきたときにちょうどホッカホカな飯が食えるという素晴らしい一品だぞ」

さやか「おぉ、今までで一番便利そうじゃん!」

マミ「完成した時はそう思ってたんだけど、いざ使ってみるとそうでもなかったわ」

ダル「ま、こいつの真骨頂は別にあるのだぜ」

岡部「その通りだ。弟子よ、バナナを一本レンジにいれるのだ!」

マミ「了解!」

まどか「えっ、バナナ温めるんですか?」

岡部「少し待っていろ。すぐに分かる」

岡部「まずこの電話レンジ(仮)の使い方を簡単に説明しておこう」

岡部「電子レンジに無理やり接続した、専用のケータイにメールを送るだけだ。実にシンプルだな」

岡部「メールの内容には#の後に温めたい秒数を入力するのだが……今回はこの順序を逆にする」

岡部「つまり秒数の後に#をいれるのだ。120#、と……送信したぞ。しばし待つが良い」

まどか「わぁ、レンジが本当に動き出したよ! すごいなぁ」

ダル「キレイなターンテーブルだろ。普段と違って逆回転してるんだぜ、それ」

岡部「ほう、それは初耳だな」

チーン

岡部「さぁ青き百合(ブルーリリィ)よ、開けてみるがいい」

さやか「え、あたしのこと? 変なあだ名つけるなぁ!」

岡部「そんなに褒めても何も出ないぞ」

さやか「まったく、初めて会った人間に失礼だよね、ホント」ガチャ

さやか「え、なにこれ?」

さやか「バナナが緑色になってる!」

まどか「さやかちゃん、わたしにも見せて! うわぁ、何これ!」

さやか「しかもなんか微妙にデロってるし。キモッ!」

岡部「これぞ我が未来ガジェット研究所が生み出した狂気のマッスィーンなのだよ! フハハハハ!」

ダル「この機能、マミ氏の入力ミスで発見したんだよな。マミ氏まじパネェっす」

マミ「ウフフ、これも運命石の扉(シュタインズ・ゲート)の選択よ」

さやか「シュタインズゲート? なんですかそれ」

ダル「ただの厨二病だから気にしないでおk」

マミ「まったく、橋田さんは分かってないわね」

岡部「弟子の言うとおりだ。ダルよ、お前とはもう長い付き合いなんだ。そろそろ俺たちの会話についてこられるようになってくれ」

ダル「そ れ は 無 理」

さやか「このバナナって食べられるの?」

マミ「食べても特に害はないと思うけど……食べられた味じゃないわよ?」

さやか「それじゃ、一口いただきまーす」パクッ

まどか「さやかちゃんチャレンジャーだね……」

さやか「まずっ! なんかぶにゅぶにゅしたバナナだし、味はないし……」

岡部「なかなか度胸があるようだな。見直したぞ、青き百合よ」

さやか「もうツッコまないからね!」

ダル「ぶにゅぶにゅなバナナ……突っ込まない……」

ダル「美樹氏、アンタのぶにゅぶにゅしたバナナなんて突っ込まないんだからね……って言ってみてくんない?」

まどか「は、橋田さん鼻血出てます!」

ダル「いいからお願いします。できれば気持ち悪そうに言っていただけると私どもの業界では」

マミ「最終砲撃(ティロ・フィナーレ)!」パコンッ

ダル「あべしっ!」

岡部「ほう、さすがだな弟子よ。一段と技に磨きがかかっている」

マミ「これも日々の鍛錬の賜物ね」

さやか「そういえば、ここにいるときのマミさんってかなり雰囲気変わりますね」

マミ「私、さっきから普通にコッチになってたわね……今更だけれどちょっと恥ずかしいわ」

岡部「前言撤回だ。まだまだ鍛錬が足りんぞ、弟子よ」

マミ「そうね。こんな調子で、この道を極めることなんて出来るのかしら」

ダル「JCに友人の前で厨二病させるとか、ちょっと人生ハードモードすぎません?」

岡部「学校生活で強要するつもりはない。しかぁし! この未来ガジェット研究所は我らの大いなる聖域(サンクチュアリ)なのだ!」

岡部「この二人をここに連れてきたのも、自分のそういう面を知ってもらいたかったからという思いが少なからずあったのではないか?」

マミ「えぇ……そうなのだけれど、出会ったばかりの人にはちょっと早かったかもしれないわ」

マミ「ごめんなさい、鹿目さん、美樹さん。私って本当はこの通りちょっとアレな人間なのよ」

まどか「そ、そんなことないです!」

まどか「わたしは厨二病、だっけ? かっこいいと思いますよ!」

さやか「かっこいいかは分からないけど、面白いとは思うかなぁ」

マミ「鹿目さん、美樹さん……ありがとう」

岡部「フ、お前がここに来るのを許可するほどの人間なのだ。こうなることは最初から分かっていたぞ」

ダル「はいはい未来予知(笑)乙」

マミ「ウフフ、そうね。何も心配する必要なかったわ」サールティー ローヤリー

マミ「!」タマリーエ パースティアラサー レスティングァー

さやか「マミさん、ケータイなってますよー」

マミ「えぇ……」ポチッ

マミ「私よ。"機関"の連中の存在を確認したわ。これから現場に急行する。勝算はあるのか、ですって?」

マミ「油断しなければ取るに足らない相手よ。いざとなれば最終砲撃(ティロ・フィナーレ)を行使するわ」

マミ「私が絶対に勝利を勝ち取る。それが運命石の扉の選択よ――エル・プサイ・コングルゥ」

岡部(魔女、あるいは使い魔が姿を見せたようだな……)

まどか「え、"機関"?」

ダル「マミ氏の厨二病は日々進化していきますね」

岡部「奴らが現れたようだな」

マミ「えぇ、すぐにでも排除に向かうわ」

岡部「頼んだぞ、我が弟子。そして未来ガジェット研究所の若きエース、巴マミよ――」

マミ「えぇ、頼まれたわ」

マミ「それじゃ、鹿目さんに美樹さん。行きましょうか」

まどか「は、はい!」

さやか「おじゃましましたー」バタン




岡部「……死ぬなよ」ボソッ

ダル「?」

マミ「使い魔の数が多いわね。面制圧射撃(プレーンサプレッション)で決めましょう」

マミは高く飛び上がり、右手を天にかざす。
すると、彼女の上下左右から大量のマスケット銃が現れ一斉に火を吹いた。
地表には何十何百の弾丸が降り注ぎ、使い魔たちは跡形もなく消え去った。

マミ「さすがに魔女は倒せないわね」

そうつぶやきながらマミが着地しようとした瞬間、着地の隙を狙った魔女の触手がマミを拘束した。
触手がマミの身体を締め付ける。

マミ「ぐぅぅ!」

魔女は触手を器用に操り、マミを思いっきり壁に叩きつけた。
動きの封じられているマミには、防御をすることすら許されない。

マミ「あがぁぁぁああっ!」

さやか「あいつ、よくもマミさんを……!」

まどか「マミさん逃げて!」

マミ「だ、大丈夫。すべて計画通りよ!」

先程の銃弾の雨によって地面に出来た大量の穴のいくつかから糸のようなものが出現し、魔女の身体をがんじがらめにした。
その糸には相手の魔力を抑える効果があるのか、マミを拘束していた触手が姿を消した。

マミ「もうあなたは私の攻撃から逃れられない。これが運命石の扉の選択よ――」

マミは目の前に大砲のような大きさの銃を召喚し、そのトリガーに指をかけた。

マミ「最終砲撃(ティロ・フィナーレ)!」

巨大な砲身から弾丸が放たれ、魔女はかけらも残さず消滅。

マミ「ふぅ……大したことなかったわね」

さやか「くぅー、やっぱりマミさんかっこいいなぁ!」

まどか「だねぇ」

マミ「ウフフ……二人ともお疲れ様。もう遅いし、家まで送るわ」

さやか「未来ガジェット……なんだっけ。あの二人はこの事知ってるんですか?」

マミ「未来ガジェット研究所よ。凶……倫太郎には話してあるわ。橋田さんには話していない」

さやか「もしかしてオカリンが厨二病に目覚めたのは、魔法少女について話したのが原因だったり?」

マミ「違う、かな。まったく関係ないっていうわけじゃないけど……」

さやか「どんな関係なんですか?」

マミ「うーん……」

まどか「さやかちゃん、あんまり深く聞かないほうがいいんじゃないかな。マミさん困ってるよ」

さやか「あ、ごめんなさい!」

マミ「気にしないで頂戴、気になるものね。いつか、話せる時が来ると思うわ」

さやか「分かりました、それまで待ってます」

岡部「おっと、マミからメールが……無事に倒せたようだな」

岡部「あの二人は魔法少女の才能がある。なるほど、魔法少女がどんなものなのかレクチャーをしてるという訳か」

岡部「マミらしいといえばそうなんだが……無茶をするなよ」

岡部「青き百合か、数日ぶりだな。暇そうに見えてそうでもないのだな」

さやか「女子中学生に暇なんてないの!」

ダル「青春を謳歌してますなぁ」

さやか「青春と言えば……オカリンとマミさんって、もしかして恋人だったりします?」

マミ「ち、違うわよ! 変な事言わないでちょうだい」

岡部「というか誰がオカリンだ! 我が名は鳳凰院凶真だと何度言えば分かる」

ダル「その名前で呼んでくれるのはマミ氏ぐらいのもんだお」

まどか「じゃあ、お二人はどんな関係なんですか?」

マミ「そうね……私と凶真は、幼なじみなの」

マミ「私は小さいころに事故で両親を亡くした」

マミ「当時の私はショックのあまり、まともに食事も取らず人とも話せないような状態だった」

マミ「でも、凶真はそんな私に毎日話しかけてくれたの」

マミ「凶真がいなかったら、きっと未だに立ち直れてないと思うわ」

まどか「マミさん……」

さやか「人は見た目によらないなぁ。オカリンがそんな人間だったとは」

岡部「出会って二日そこらの人間になぜそこまで言われなければならんのだ」

ダル「まぁ、オカリンだし」

さやか「うんうん」

岡部「不条理すぎる……」

マミ「この話はこれでおしまい。さ、ケーキでも食べましょ」

マミ「そろそろ、巡回に行ってくるわ」

岡部「ウム。どこに"機関"の連中が潜んでいるか分からんからな。頼んだぞ」

マミ「えぇ。それじゃ、また明日ね」

まどか「おじゃましました」

さやか「おじゃましましたー」





ダル「JCのスメルは最高すな……ふぅ」

岡部「おい!」

マミ「私が魔法少女になった理由、話していなかったわね」」

マミ「両親が亡くなったとき、本来なら私も死ぬはずだったの。でも私は死にたくなかった」

マミ「そんな私の前にキュゥべえが現れた。生きたい、私はそう願ったの」

まどか「……」

マミ「私は願いを考える余裕なんてなかったけれど、あなた達は違う」

マミ「魔法少女になるとはどういうことなのか。それを理解した上で叶えたい願いはあるのか」

マミ「じっくり考えて」

QB「ボクとしては早いほうが助かるんだけどね」

マミ「女の子を急かす男の子は嫌われるわよ?」

十数日後――

ダル「ここ最近はリアルJCに囲まれてウハウハすなー」

岡部「うむ、今日は珍しく誰も来ていないが。まぁ実験に集中できるし、静かなのも悪くない」

岡部「一日中外にも出ずに実験に夢中とかまさにマッドサイエンティスト!」

ダル「違うよ。マッドサイエンティストという名のヒキコモリなんだよ」

岡部「ヒッキー言うな!」

ウゥーン ウゥーン

岡部「警報!?」

「見滝原市に避難勧告が出されました。見滝原市の住民の皆様は速やかに最寄りの避難所まで避難してください」

「繰り返します――」

ダル「ちょ、マジっすか?」

岡部「くっ、なんということだ。実験は中止! 今すぐ逃げるぞ!」

ダル「把握」

岡部「ここら一帯の避難先は見滝原中学校だったな」

ダル「そ。最近建て替えられたばかりだから結構安全だと思われ」

岡部「マミたちもきっと避難してるはず……」

ダル「まぁオカリンより遥かにしっかりしてるし、大丈夫っしょ」

岡部「着いた。相変わらずでかい中学校だな。ここからマミたちを探すのは相当時間がかかりそうだ」

ダル「いやいや、あそこの壁にたくさんメモが貼ってあるっしょ。来た人はあそこに自分の名前とか書いて貼るんだよ」

岡部「なるほど、まず俺たちも書かねばな」

ダル「その前に受付済ませようぜ、マミ氏たちのメモを探すのはそれから」

岡部「わかった」

岡部「ない。何度見なおしても、マミのメモがない」

ダル「鹿目氏と美樹氏は家族と思われる人たちのメモがあったけど、肝心の二人がいない件」

岡部「二人の家族を探すぞ、話を聞かねば。もしかしたら旅行にでも行ってるのかもしれん」

ダル「ねーよ。どっちの家族もおもいっくそ心配してる文面だったじゃん? それを考えれば二人とも見滝原を出ていないっしょ」

ダル「てか旅行するなら僕らに一言二言あってもいいだろ」

岡部「クッ……マミ達はいったいどこへ行ったのだ」

ダル「心配なのは分かるけど、外に出て探すのは無謀だぜ」

岡部「知ったことか。俺はあいつを守らねばならん」

ダル「たぶん無理だろうけどまずはケータイに電話を……あれ、僕のケータイがなくなってる罠」

岡部「確かターミナルモードの実験してる時に電話レンジ(仮)に挿していたな、ダルのケータイ」

ダル「ちょwwwwあの中には大量のフェイリスたん画像がwwwオワタwwwwww」

岡部「俺のケータイを使おう。出てくれよ、マミ」

岡部「………………」

岡部「…………」

岡部「……」

岡部「だめだ、つながらん!」

ダル「こういうときケータイは繋がらないのがデフォ」

岡部「よし、マミの家に行ってくる」

ダル「本気かオカリン? 下手すればマジで死ぬぜ」

岡部「フン。弟子一人救えずして何がマッドサイエンティストか」

ダル「惚れてますなー」

岡部「そういうのではない!」

岡部「いつの間にか雨が降ってるわ、雷は鳴ってるわ、暴風が起きてるわでとんでもないことになっているではないか」

岡部「フゥーハハハ! この程度の障害でこの鳳凰院凶真を止められると思ったら大間違いだぞ"機関"よ!」

岡部「待ってろよ、弟子! そして弟子の友人たちよ!」

岡部「この狂気のマッドサイエンティストに眠れる力を開放してくれよう!」

その時、聞こえた。どこか遠くから。
激しい雨の中で、轟く雷鳴の中で、荒れ狂う風の中で。
マミの、声が。

気のせいだろう。こんな状況では、近くにいる人の声すらまともに聞き取れない。
またいつもの妄想、厨二病?

いいや、違う。俺は確かに聞いた。
今までに聞いたことのないような、聞いただけで心がどうにかなりそうな……マミの悲鳴を。

俺は走った。あの声がした方向へ。

心臓が壊れそうな激しい鼓動を打つ、知るか。
足が強烈な痛みで悲鳴をあげている、知るか。
苦しくて呼吸すらまともにできない、知るか。

ひたすら、ひたすら走った。

そして声がした場所で俺が見たものは――



倒れている鹿目まどかと、それを支える黒髪の少女。
そして、泣き叫ぶマミの姿だった。

岡部「なんなんだよ、これ」

ほむら「岡部、倫太郎……」

マミ「倫太郎!? なんでこんな所に!」

岡部「鹿目まどか……おい、しっかりしろ! 寝たフリをしていい状況ではないのだぞ!」

岡部「早く目覚めるがいい! キサマにふさわしいコードネームがようやく決まったのだ!」

岡部「その名も極上の癒し(ヒーリング・ワン)。どうだ、いつもぽややんしてそうなキサマにお似合いだろう!」

まどか「…………」

岡部「なんとか、言え。言ってくれよ……なぁ」

ほむら「岡部倫太郎。鹿目まどかは、既に死んでいるわ」

岡部「誰か知らんが、勝手なことを抜かすな!」

ほむら「巴マミ、その男は任せるわ」

ほむら「まどかのおかげでワルプルギスの夜は死に体。私一人で十分」

マミ「わかったわ……」

岡部「あれも魔女なんだよな。いったい何があったのだ……」

マミ「あれはワルプルギスの夜、強大な魔女。私と暁美さんが戦ったけれど、まったく歯が立たなかった」

マミ「私たちがボロボロになっていく光景に耐えられかった鹿目さんは魔法少女になり、ワルプルギスの夜と戦った」

マミ「でもワルプルギスの夜に致命傷を与えた時に、ワルプルギスの夜は私と暁美さんを狙ってきた」

マミ「それを庇って、鹿目さんは……私のせいなのよ。私のせいで、鹿目さんは」

岡部「違う、マミのせいじゃない!」

マミ「やっぱり倫太郎は、優しいね……」バタッ

岡部「マミ!? 気絶しただけか、よかった……」

岡部「念のためダルにメールをしておこう。万が一外に出たりしたら危険だ」

外は恐ろしい事になってる。絶対に出るなよ。死ぬぞ

岡部「送信」

メールを送信するために、ケータイのボタンを押した。
その瞬間だった。

視界が歪み、目の前の光景が崩れ去っていく。

死んだ鹿目まどかも、倒れたマミも、止めを刺そうとする暁美ほむらも、ワルプルギスの夜も。
壊れた街並みも、激しい雨も、轟く雷鳴も、荒れ狂う風も。
何もかもが崩れ去っていく。



いつの間にか俺はラボにいた。外に出てみると、そこはいつもどおりの見滝原があった。
天候は快晴だし、魔女なんていない。崩れた建物もない。

さっきまで見ていた光景はどこへいったのだ。
幻覚や妄想でも見ていたのか?
わけがわからなかった。

岡部「そうだ、今は何月何日の何時だ!?」

岡部「もしかしたらタイムトラベルでもしたのかもしれん!」

岡部「…………」

岡部「さっきと同じ日付だ。時間もわずかしか経っていない」

岡部「とりあえず、ラボに戻るか……」

ダル「いきなり外へ出たかと思ったら、すぐに戻ってくるとか……マジ挙動不審なんですけど」

岡部「ダルよ。俺達は見滝原中学に避難したよな?」

ダル「は? 避難?」

岡部「そうだ。避難勧告がだされただろう」

ダル「宇宙人でも来襲したんすか、オカリンの脳内世界では」

岡部「俺はいたって真面目な話をしているんだが?」

ダル「いつもの厨二病にしか聞こえねー」

マミ「ただいまー」ガチャ

岡部「マミ!?」

マミ「ど、どうしたの凶真? ちょっと怖いわ……」

岡部「お前は覚えているよな!?」

岡部「鹿目まどかがワルプルギスの夜に殺されて、お前は倒れ、暁美ほむらがワルプルギスの夜を倒したことを」

マミ「いったい何の話……?」

ダル「いつもの厨二病っしょ。ちょっとレベルうpしてる感じだけど」

マミ「…………」

マミ「橋田さん、凶真を少し借りるわ」

ダル「デートですねわかります」

マミ「そ、そんなんじゃないわ! 行きましょ」

岡部「あ、あぁ」

岡部「いったい喫茶店で何をしようというのだ?」

マミ「凶真……いえ、倫太郎。あなたが見てきたこと、教えてくれないかしら?」

岡部「信じてくれるのか?」

マミ「私はあなたにワルプルギスの夜について話した覚えはないの」

マミ「でもあなたの口からその言葉がでてきたわ。私の知らないところで何かがあったのね」

岡部「分かった。すべて話そう――」

マミ「そんな、鹿目さんが!? 私のせいで……」

岡部「お前のせいじゃない」

ほむら「そうよ、巴マミ。あなたのせいではない」

岡部「暁美ほむら!」

ほむら「私も話に加わっていいかしら? あなたに聞きたいことがあるの」

岡部「構わん。俺もお前に聞きたいことがあるからな」

岡部「お前は、ワルプルギスの夜の襲撃を覚えているか?」

ほむら「えぇ」

マミ「!?」

ほむら「鹿目まどかが魔法少女になり、ワルプルギスの夜に致命傷を負わせたものの、私たちを庇って死んでしまった」

ほむら「そこにあなたが来たのよね」

岡部「その通りだ」

マミ「暁美さんまでもが覚えているということは、実際にあったことなのでしょうね……」

ほむら「次は私が質問をする番よ」

ほむら「岡部倫太郎、あなたは一体何者なの?」

ほむら「隠しても仕方ないから話すけど、私の能力は時間を操ること」

ほむら「私は鹿目まどかを救うために何度も世界をやり直しているわ」

岡部「暁美ほむら。お前はタイムトラベラーだったのか!」

ほむら「正確に言えばタイムリーパー、かしら。タイムトラベルと違って物理的なものを持ってきたりは出来ない」

ほむら「持っていけるのは自分の記憶と経験のみよ」

マミ「それにしてもすごい能力ね、過去に戻るなんて」

岡部「ウム、魔法少女は世界の法則をねじ曲げる存在だと理解しているが、ここまでとんでもない奴がいるとはな」

ほむら「あの時、私は時間を巻き戻す能力をまだ使っていなかった」

ほむら「突然、視界が歪んで壊れていき……気づいたら街中にいたの」

岡部「俺と同じ現象ではないか。俺も世界が壊れたと思ったらいつの間にかラボにいたのだ」

ほむら「もしかしたらあなたにも私と似たような能力があるのかも知れないわ」

岡部「別世界の記憶を持つ能力……魔眼"リーディング・シュタイナー"と名付けよう」

ほむら「……呆れた」

ほむら「私は今までに時間を4回巻き戻してきたけれど、こんなことは初めてだわ」

ほむら「あなたにあの時の記憶があると聞いて確信した。この現象にはあなたが何らかの形で関わっていると」

ほむら「この現象が起きたのは私があなたを巴マミに任せ、ワルプルギスの夜にとどめをさす瞬間だった」

ほむら「私がワルプルギスの夜の元へ向かった後の行動を話してもらえるかしら」

岡部「あぁ」

岡部「お前がワルプルギスの夜の元へ行った後、マミにこれまでに何があったかを簡単に説明してもらった」

岡部「説明してもらった後、疲れからなのか分からんがマミが気絶してしまった」

岡部「その後ダルに外に出ないように注意しておこうと思ってメールをした、それぐらいだな」

ほむら「あなたの行動は橋田至にメールを送ったことぐらいね。メールをして世界が変化した?」

ほむら「何があるか分からない世界だし、それを否定するつもりはないけれど……本当に他に何もしていないの?」

岡部「していない。メールを送った瞬間にアレが来たんだ」

ほむら「メールを送った瞬間……それが本当ならほぼ間違いなく、メールを送ったという行動があの現象に関係している」

マミ「倫太郎。橋田さんにはどんなメールを送ったの?」

岡部「あぁ、確か……『外は恐ろしい事になってる。絶対に出るなよ。死ぬぞ』だな」

マミ「!!」

ほむら「どうしたの、巴マミ?」

マミ「そのメールは5日前に橋田さんに届いたものよ。どういうことなの……?」

岡部「なんだと!?」

ほむら「詳しく説明してもらえるかしら」

マミ「確か倫太郎が出かけてて、橋田さんが電話レンジ(仮)の実験をしてる時に届いたの」

マミ「橋田さんの反応は……」

ダル『外は恐ろしいことになってる、絶対に出るなよwww何この電波wwwオカリンマジパネェっすwwwwww』

マミ「という感じね。メールは私も見せてもらったから間違いないわ」

岡部(ダルのマネが妙に似ているのには突っ込まないでおこう)

岡部「ということは、このメールは時間を超えたということになるのか!?」

ほむら「そうなるわ。過去にメールが送られたことにより世界は変化したというわけね……」

マミ「橋田さんにメールを送るとワルプルギスの夜が現れないってどういうことかしら。橋田さんがワルプルギスの夜なわけないし」

岡部「バタフライ効果だ」

マミ「バタフライ……ちょうちょ?」

岡部「バタフライ効果というのは、ブラジルで蝶が羽ばたくとテキサスに竜巻が起こるか?みたいな話だ」

岡部「自然界のような複雑系においては、ほんの些細なきっかけで何が起こるか分からん」

ほむら「岡部倫太郎が橋田至にメールを送ることで、世界の何処かで何かが起きた」

ほむら「そしてそれによりワルプルギスの夜が死んだ、あるいは存在すらしなくなったということ……?」

岡部「そうなる。だが、これは暁美ほむら。お前にとってはラッキーなのではないか?」

岡部「ワルプルギスの夜が今日現れるのは確定事項だったのだろう」

岡部「今日を過ぎれば奴が現れないのなら、鹿目まどかはもう魔法少女にならなくて済むのではないか?」

ほむら「あなた、自分の発言に責任を持ったほうがいいんじゃないかしら」

ほむら「バタフライ効果によって、ワルプルギスの夜の出現日が変化しただけなのかもしれない」

岡部「ぐ……そうだった。キサマかなり鋭いな」

ほむら「まぁでも、今日を越えられたということは私にとっては大きな前進なのかもしれない」

ほむら「お礼を言うわ。ありがとう、岡部倫太郎」

岡部「フゥーハハハ! この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真にかかればたやすい事よ!」

マミ「いつもの凶真に戻ったわね、フフ」

ほむら「盛り上がってるところ恐縮なのだけれど、今日はもう遅いわ」

ほむら「明日にでも集まりたいのだけれど、いいかしら」

岡部「フッ、歓迎するぞ時間跳躍者(タイムリーパー)よ」

ほむら「あなたが私を何と呼ぼうと構わないけれど、この3人以外がいる時は自重してもらえるかしら」

岡部「ククク、分かっている。"機関"に気づかれないためのカムォフラージュだろう」

ほむら「……まぁ、分かってるのならいいわ。それじゃ」

次の日――

ダル「6日前に送ったメール? あぁ、あの厨二病満載なメールですねwww」

岡部(受信日は6日前。本当に過去に届いていたのだな……)

岡部(マミたちがくるまで時間がある)

岡部(過去にメールを送る現象の発生条件でも調べてみるとするか)

ダル「今日のオカリンかなり研究熱心じゃん。頭でも打った?」

岡部「お前は一体俺を何だと思っているんだ」

ダル「はいはい狂気のマッドサイエンティスト狂気のマッドサイエンティスト」

岡部「クソッ、その余裕を味わえる日も残り僅かだ……存分に味わうがいいさ」

ガチャ

マミ「待たせたわね、凶真」

ほむら「お邪魔するわ」

岡部「フ、来たようだな。弟子、そして助手よ」

ほむら「助手!?」

岡部「俺と似たような能力をもつお前にふさわしいと思わんか?」

ダル「な、なんだってー! この一見黒髪ロングなクール少女も厨二病患者だったとは!」

岡部「ククク、三次元は広いぞ?」

ほむら「巴マミ、これはなんとかならないのかしら」

マミ「そのうち慣れるわ」

ほむら「確かに、過去へとメールが送られてるわ」

ダル「過去へのメールwwwちょ、暁美氏もかなりレベル高ぇwwwww」

岡部「我が未来ガジェット研究所に相応しいであろう?」

マミ「えぇ、彼女がこのラボにきたこと。これも運命石の扉の選択ね」

ほむら(巴マミも重症ね……)

数時間後――

ほむら「もうこんな時間。そろそろ失礼するわ」

岡部「あぁ、ご苦労だったな助手よ」

ほむら「私は今まで通りまどかの様子を見る。あなたは過去にメールを送る条件を見つける」

ほむら「これが当面の目標」

ダル「しかし魔法少女が実在するとは三次元はじまったな」

ほむら「橋田至、このことは内密に。もし誰かに話したりしたら、死んでもらうわ」

ダル「魔法少女に殺されるのも悪くないすな」

ほむら「…………」ギロッ

ダル「スンマセンでした」

岡部「あれから何日も過去へと送れるメール……通称Dメールの実験をしているが、一度も成功しない」

ダル「今日はどんな条件で試すんだ、オカリン」

岡部「今考えているところだ」

岡部「Dメールが発動したときの状況を可能な限り再現してるはずなんだが、うぅむ」

岡部「少し外の空気を吸ってくるか……」

「おっ、どこか行くのか岡部?」

岡部「ミスターブラウン。ずいぶんと機嫌がよさそうですね」

ブラウン「おう。42型ちゃんの修理がようやく終わってな」

岡部「あの巨大なブラウン管テレビの修理とは……かなり大変そうですね」

ブラウン「まぁな」

岡部「いつごろ壊れたんですか?」

ブラウン「何だ岡部。お前もやっとブラウン管の魅力に気づいたか?」

岡部「ま、まぁそんなところです」

ブラウン「42型ちゃんが壊れたのは……だったな」

岡部「!」

岡部(俺がDメールを送った直後じゃないか!)

岡部(Dメールと42型ブラウン管テレビには何か関係があるのではないか?)

岡部(しかも今まで修理してたというではないか。もし関係があるとすればDメールが送れないのもうなずける)

岡部「貴重なお話ありがとうございました」

ブラウン「おい、待て岡部! ……ったく、こっからが面白いっていうのに」

岡部「貴重な情報を入手したぞ!」

ダル「ラボを出てものの数分で貴重な情報……さすがに厨二病は格が違った」

ほむら「Dメールに関連するものかしら」

岡部「そうだ。Dメールが過去に送れた時と、今まででは決定的に違うことがあったのだ」

岡部「それは……この建物の1つ下の階にある42型ブラウン管テレビが動いているか、そうでないかだ」

ほむら「それがどうしたっていうのよ」

ダル「あの巨大なブラウン管テレビが放出している電子が、電話レンジ(仮)に何らかの影響を与えてるとか言いたいんですねわかります」

岡部「あぁ。あれがリフターの役割を果たしているのではないだろうか」

ほむら「???」

岡部「論より証拠だ。ミスターブラウンは修理完了したと言っていたし、さっそく試すぞ!」

岡部「さて、誰に何と送ろうか」

ダル「ロト6当てるとかいいんじゃね? ラボにエアコン希望」

岡部「グッドアイデアだ、ダルよ」

ほむら「犯罪と呼んでもおかしくないのだけれど、それ」

岡部「助手にだけは言われたくないな、銃火器的に考えて」

031214243034ロト6で買え絶対当たる

岡部「よし、送信!」

またあの感覚だ、魔眼"リーディング・シュタイナー"。
目の前の景色が崩れ、再構築される――。

岡部「助手。リーディング・シュタイナーは来たな?」

ほむら「えぇ。また、あの感覚を味わった」

ほむら「というか、その長い名前はどうにかならないのかしら」

岡部「メールの名前ではこっちが折れたんだ。妥協しろ」

マミ「きょ、凶真居る!?」

岡部「どうしだ弟子よ。そんなに慌てて」

マミ「あ、当たっちゃったの! ロト6!」

岡部「決まりだな」

ほむら「えぇ」

岡部「なに、番号をひとつ間違えた?」

マミ「ごめんなさい、せっかく凶真が教えてくれたのに」

岡部「八千円か……美味そうなデザートでも買ってこい」

マミ「え、いいの!?」

岡部「フッ、この俺にとってははした金だ」

マミ「あ、ありがとう! 美味しそうな物買ってくるわね!」

ダル「いいのかオカリン。ミスターブラウンに家賃の値上げくらって世界がヤバい!とか言ってませんでしたっけ?」

岡部「何、だと……」

ほむら(そういえば、あなたと私は世界が変化する前の記憶はあるけど、変化後の世界の過去の記憶はないんだったわね)

岡部「盲点だった」

「42型ちゃんがあああああああああ!」

ダル「今、ミスターブラウンの雄たけびが聞こえたんですけど」

岡部「俺は何も聞いてない、聞いてないぞ!」

岡部(42型が本当にDメールに関係があるのなら、メールを送信した直後に壊れるんだったな。ごめんなさいミスターブラウン)

岡部(42型の修理が終わったばかりなのか、それとも世界の変化によってテレビが故障した過去が無くなったのかは分からん)

岡部(もし前者だったら本当に申し訳ない……修理が終わったと思った矢先に壊れるなんて)

岡部「まぁ何であれ、これでDメールの発生条件は明らかになったわけだな」

ダル「ちょ、いつの間に実験したんすか」

岡部「さっきのロト6うんぬんは、俺が当たり番号を教えたのだ」

岡部「まぁ弟子が番号を間違えたから大した金額ではなくなったが」

ダル「うはwww億万長者への道が見えてきましたよwwwww」

ほむら「私としてはあまりDメールを使わないほうがいいと思う。何を引き起こすか分からないわ」

岡部「同感だな。俺たちは過去ではなく未来を変えねばならんのだ」

岡部(何度も使うとその内ミスターブラウンが夢に出てきそうで怖いし)

ほむら「世界が変わってから数日が経つけれど、まどかは生きている」

岡部「ククク、これが運命石の扉の選択なのだ」

ほむら「いいえ、まだ油断は禁物よ。いつ何が起きるか分からない」

マミ「ウフフ……。そんなこと言ってるけれど、最近の暁美さんは鹿目さんにべったりよね」

岡部「今日は極上の癒しと青き百合はお見舞いで来れないそうだな。残念だったな助手よ」

ダル「百合は美しいのです、エロい人にはそれが分からんのです!」

マミ「ティロ――」

ダル「ちょ、マミ氏。最近僕に当たりすぎっしょ」

岡部「未成年の前でそんな発言をするキサマが悪い。まぁ助手が極上の癒しにお熱なのは俺でも分かるがな」

ほむら「巴マミに分かるのはともかく、岡部にも分かるなんて……」

ほむら「私、そんなにまどかにべったりなのかしら」

岡部「まどか、あーん」

マミ「ほむらちゃんの料理おいし~い♪」

ほむら「!!」

岡部「こんなことやってたらそりゃバレバレだろう」

マミ「ウフフ、私は応援してるからね」

ダル「ブーッ!」

岡部「おいダルしっかりしろ! 鼻血出しすぎて死ぬとか一生の恥だぞ! って死んでたら一生も糞もないな」

岡部「いつまでも、こんな日々が続くと思っていた」

岡部「いいや、違う。心の奥底では分かっていたのだろう。まだ危機が去ったとは限らないのだと」

岡部「だが俺たちは、甘ったるい日常にどっぷりと浸かってしまった」

岡部「何も起こらないのに、気を張り続けるのにも限度があったというのもある」

岡部「……だが、気を緩めるには早かったようだ」

約1ヶ月後――

マミ「何なの、この魔女! 強すぎるわ!」

ほむら「くっ……ワルプルギスの夜より遥かに強い!」

マミ「キャアアアアッ!」

ほむら「マミ! ……駄目、死んでる」

ほむら「今の、ワルプルギスの夜の攻撃にそっくりだわ。ワルプルギスの夜が進化した結果だとでもいうの?」

ほむら「まだ、戦いは終わっていなかったというのに、なぜ私は……」

ほむら「ごめんなさい、まどか。私はまたあなたを救えなかった」

ほむら「過去に戻らないと。でも、時間を過去に戻せるのかしら?」

ほむら「今までと違ってワルプルギスの夜が現れず、あれから1ヶ月も経ってしまっている」

ほむら「お願い、動いて――」

ほむら「ハッ! 病院……。よかった、戻れたのね」

ほむら「冷静に考えて見れば、あの戦いで時間停止が出来たのだから、過去に戻る力も使えるに決まってるじゃない」

ほむら「私の能力は、決められた範囲の時間を操る能力」

ほむら「その時間の範囲なら、停止も巻き戻しも可能」

ほむら「今までは転校数日前から、ワルプルギスの夜襲来までの1ヶ月の範囲の時を操ることができた」

ほむら「でも、世界が変化したことにより何らかの影響を受け、2ヶ月まで伸びたのでしょうね……」

岡部「世界が変化した。またもやラボか」

岡部「魔女め、よくもマミを! 許さんぞ……」

岡部「今日は何日だろうか」

岡部「……えらく昔に戻っているようだな。助手が転校してくる数日前とは」

岡部「これが助手の過去に戻る能力とやらか?」

岡部「助手は確か、転校してくる直前まで入院してるのだったな。病院の場所ぐらい聞いておくべきだったか」

ほむら「その必要はないわ」ガチャ

岡部「助手!」

ほむら「あの結末は私の甘さが招いたものだわ、本当にごめんなさい」

岡部「自分一人で背負い込むな。お前のせいだというのなら俺のせいでもある」

ほむら「岡部……」

岡部「嘆いてる暇などないぞ、助手よ。俺たちが今やるべきことは、あの魔女をどうにかすることだ!」

岡部「我が叡智を以て必ずや裁きの鉄槌を食らわせてくれるわ! フゥーハハハ!」

ほむら「やれやれ、いい年して厨二病なんて本当にみっともないわね」

岡部「でも、悪くないわ」

十数日後――

ほむら「あいつを何とかする方法、見つからなかったわね……」

岡部「あぁ……しかし俺たちにはまだ時間がある。助手の能力、時間遡行(タイムリープ)を使うことでな」

ほむら「分かってるわ。悔しいけど、次のループで必ず何とかして見せる」

岡部「その意気だ」







2回目。戦力強化のために美樹さやかと佐倉杏子を味方にした。しかしあの魔女には勝てなかった。
3回目。前よりチームワークを重視して戦った。しかしあの魔女には勝てなかった。
4回目。美樹さやかが魔女になり、佐倉杏子が魔女になった美樹さやかと相打ち。私とマミで挑んだが、あの魔女には勝てなかった。
5回目。佐倉杏子が現れなかった。3人で挑んだが、あの魔女には勝てなかった。

10回目。あの魔女が来る前に巴マミが事故で死んだ。私と佐倉杏子で挑んだが、あの魔女には勝てなかった。
15回目。巴マミの調子がいいせいなのか、彼女と二人であの魔女を追い詰めた。しかし私を庇って巴マミが死に、あの魔女には勝てなかった。
27回目。数ループの間、魔力の消費を極力抑え、魔力が満ちた状態で挑んだ。でも、あの魔女には勝てなかった。
4?回目。巴マミが圧倒的な力であの魔女を攻め立てるものの、止めを刺す時に油断して返り討ち。結局、あの魔女(こは勝テなKAッた。

??回目。あの魔女に勝てない勝てないカてないかTEてないないないない。なんなのよあいつあいアいツあぎぎぎぎぎぎぎぎぎ。

岡部「しっかりしろ助手! おい!」

ほむら「ねぇ、岡部。私たちはあと何回やり直せばいいの……」

岡部「俺にも、分からない」

ほむら「…………」

ほむら「もう、耐えられないわ」

ほむら「あいつを倒すのは、もう諦めましょう」

岡部「何を言っているんだ助手! あいつを倒さねば見滝原は滅ぶ! マミも死ぬ!」

ほむら「でも、まどかは毎回生き残っている。私にはまどかが居ればよかったの、何でこんな大事なこと忘れてたのかしら」

岡部「…………」

岡部「いくつか前のループで、瀕死の状態で避難所の中学校に行ったよな。鹿目まどかが家族を探したいと言って」

岡部「そこで何があったか覚えているか」

岡部「ボロボロになった中学校で死んでいる大勢の人を見て、鹿目まどかは悲鳴をあげた」

岡部「そして自分の家族の死体を見て、ショックで倒れた。お前はあんな姿の彼女を見たのに、ヤツを倒さなくて良いというのか!」

ほむら「…………」

ほむら「まどかと数日間旅行にでも行くわ。そうすれば彼女は家族の死体を見ずに済む」

岡部「キサマ……ッ」

ほむら「軽蔑なり罵倒なり好きにして。でも、もう私の心は限界なのよ! いつ魔女になってもおかしくない!」

ほむら「私が魔女になったら、誰がまどかを助けられるって言うのよ! 答えてみなさい、岡部倫太郎!」

岡部「それは……」

ほむら「答えられないでしょう」

ほむら「私はまどかを連れて少しの間どこか遠くに行くわ。誰にも邪魔はさせない」

岡部「…………」

岡部「ひとつ、頼みがある。マミも連れていってやってくれ。この街から離れれば生き延びられるだろう」

ほむら「構わないわ」

岡部「ありがとう、ほむら」

ほむら「お礼を言われる資格なんてない。こんな終わり方は、最低よ……」

スウジュウオクモノー コドウノカーズサエー

岡部「メール? こんなときに……」

岡部「何だとッ!?」

調子はどうだ、過去の俺よ。
いい筈がないな。なんせ見滝原を見捨てることになってしまったのだから。
こんな結末でいいはずがないだろう、だが今のお前には暁美ほむらを止める術がない。
そんなお前を意地でも暁美ほむらを止める気にさせる事実を教えてやろう。

どこに行こうともこの世界ではマミは必ず死ぬ。まずはそれを理解しろ、いいな?
例え見滝原から離れてもマミは死んでしまう。魔女とは何らかかわりのない形でな。

この事実を知ればお前は命にかえてでも、暁美ほむらを止めようとするだろう。
しかしこれだけでは彼女を止めることは出来ない。
添付した音声ファイルを暁美ほむらに聞かせろ。そうすれば彼女は戦う意志を取り戻すはずだ。

まだ書くべきことはあるが、ここまで読んだのなら、とりあえず音声ファイルを再生してくれ。

クライマックスやんけ

まどか『ほむらちゃん。えへへ、久しぶり……かな?』

さやか『いや、ほむらからしたら久しぶりっておかしいんじゃない?』

さやか『だってこのメール送る先では毎日学校で会って、あたしやまどかと遊んだりしてるじゃん』

まどか『あ、そうだった。まぁでも、あの頃とは見た目とか全然違うしいいんじゃないかな?』

岡部『これは音声しか録っていないぞ。それと録音時間には限りがあるのだ。雑談はほどほどに頼む』

まどか『あ、そうだった。てぃひひ』

まどか『今まで何があったのか、全て岡部さんに聞いたよ』

まどか『ほむらちゃんはわたしのために今まで何度も過去に戻ってくれたんだね。何度も何度も、傷ついて……』

まどか『ありがとう、ほむらちゃん』

さやか『あたしはなんというか、その……ほむらの足引っ張ってばかりだったんだね。ごめん』

まどか『わたしたちはほむらちゃんが旅行に行くことを決断したことによって、魔女の襲撃から逃れられた』

さやか『けど、見滝原に住んでいた人は一人残らず死んじゃった。わたし、こんな終わり方は……嫌、だよ』

まどか『パパもママも、たっくんも、学校の皆も、近所の人たちも……そしてほむらちゃんも。失いたくないよ』

まどか『無茶苦茶言ってるのは分かってる。でも、お願い。見滝原のみんなを助けてあげて』

さやか『あたしからもお願い。見滝原を……守って、ほむら』

まーたさるった
さるった状態だとあと10時間ぐらいいるっていう

ほむら「まどか、さやか……」

ほむら「う、うぅううう……うぅうぁぁあああああああ!」

ほむら「………………」

ほむら「まだ、諦めるわけにはいかないわね」ファサ

ほむら「何度時間を戻すことになろうとも、必ずまどかを……いいえ」

ほむら「見滝原を、守ってみせる。それが彼女たちの願いならば」

岡部「フッ、それでこそ我が助手に相応しい」

岡部「メールの続きを読むぞ」

音声ファイルは再生したか? ほむらは戦う意志を取り戻してくれただろうか。
この先は取り戻してくれたという前提で話をすすめる。

今から書くことは、あの魔女を打倒するヒントになるかもしれない。
あくまでも、かもしれない……だからな。
この作戦が無意味だと判断したら。別の作戦を考えてくれ。

見滝原を襲撃する魔女。奴をよく観察しろ。
暁美ほむら、魔女が現れる際にはこの俺こと、岡部倫太郎も連れていくのだ。
そして俺にも奴をよく観察させろ。もしかしたら、何かが分かるかも知れない。

俺はあの魔女に対して何か気になっていることがあるはずだ。
それが何なのかは分からない。だからこそ観察する必要がある。

音声ファイルを入れたし、そろそろ文字数が限界だな。
頼んだぞ、過去の俺。そして我が助手、暁美ほむらよ。

岡部「この未来の俺はどれだけ大変な道を歩んだのだろう。俺には想像をすることすらできん」

岡部「だが、未来の俺の努力に報いることは出来る」

岡部「長い間、ご苦労だった。後は俺に任せておけ」

岡部「未来の俺が残したこのメールは、必ず平和な未来へと繋げてみせる」

ほむら「魔女について気になることがあるっていうことは、魔女の姿を見たことがあるのね?」

ほむら「あんなに避難してるように言ったのに……」

岡部「すまん。どうしてもお前たちが心配になったんだ」

ほむら「まったくあなたは……。それで、気になっていることってなんなの?」

岡部「それを知るためには奴をじっくり観察するしかないと、メールに書いてあるではないか」

ほむら「あんな魔女の近くに一般人を……無茶言うわね」

岡部「できないか?」

ほむら「まさか。まだ教えていない私の能力、それは時間を止めることなのよ。近づくぐらい訳ないわ」

岡部「チートすぎるだろ助手……」

ほむら「私に触れている間は誰でも動けるから、私と握手でもしておけばあなたでも停止した時間の中を動くことが出来る」

岡部「よし。首を洗って待っているがいいぞ、魔女め!」

ほむら「明日には魔女が来るわ。今日はしっかり休みをとっておいて」

岡部「ククク……心得たぞ」

ほむら「じゃ、おやすみなさい」

ほむら「来るわよ。心の準備はいいかしら?」

岡部「フ、フフッ、フフフゥーハハ、ハ! な、何ら問題な、いぞ……!」

ほむら「不安になってきたわね……まぁ、仕方ないか」

ほむら「奴は空を飛んでいるから、手を握るだけじゃ無謀ね。恥ずかしいかも知れないけど我慢しなさい」

岡部「え、恥ずかしいっておい何を……お姫様抱っこおおおおお!?」

ほむら「それじゃ、行くわよ――時間停止!」

岡部「魔女の動きが止まった……さすがだな助手よ」

ほむら「奴に近づくわよ。首のあたりをしっかり掴んでなさい!」

岡部「お、おう……しかし恥ずかしいな、これは」

ほむら「時間止まってるから誰にも見られないわよ。気にしない」

岡部「それはそうなんだがな……」

ほむら「何か分かった? 私にはとても巨大な箱にしか見えないのだけれど」

岡部「箱……?」

岡部「そうか、巨大すぎて気付かなかった。助手よ、奴の左下に向かってくれ」

ほむら「分かったわ」

岡部「…………」

岡部「ククク、ビンゴだ」

ほむら「何か分かったのね」

岡部「これは、電源スイッチだ」

ほむら「はぁ? それを押せばこいつが倒せるとでも言うの?」

岡部「たぶん、それは無理だろうな。一応押しておいてくれ。時が動き出した瞬間に何か起きるかも」

ほむら「はいはい……かなり重いわね。よし、押したわ」ガチッ

ほむら「それで、こいつはなんなの?」

岡部「こいつはだな……」

ほむら「しまった、エネルギーが切れた!」

ほむら「きゃあああああああ!」

ほむら「一撃でここまでやられるとは……時を、戻さないと」




岡部「時間遡行……ラボに戻ってきたか。ほむらが来るまで待つとしよう」

ほむら「おまたせ」ガチャ

ダル「うは、誰っすかこの黒髪ロングな美少女はwwwww」

岡部「俺の助手だ。ダル、すまんが少し席をはずすぞ」

ダル「JC(推定)と付き合っちゃうなんてさすがオカリン! そこにシビれる!あこがれるゥ!」

岡部「通報は勘弁な」

ほむら「またいつもの喫茶店ね。お気に入り?」

岡部「あぁ、マミのな」

ほむら「そう……それじゃ、話してもらえるかしら」

岡部「分かった。あの魔女はだな、パソコンのモニターだ。とてつもない大きさの」

ほむら「パソコンのモニター……? そういえば、あなたがDメールを使う前のループでそんな魔女と戦ったことがあるわね……」

岡部「ほう、今の発言はかなり重要だな。証言に追加してもらおう」

ほむら「ごめんなさい、あなたが何を言いたいのか全く分からないわ」

岡部「俺の予想が正しければ、助手が前に戦ったことがあるという魔女と、あの強大な魔女は同じ魔女だ」

ほむら「それはないんじゃないかしら。私が以前戦ったその魔女は、かなり弱かったわよ」

岡部「何が原因で世界が大きく変化したのか覚えているよな?

ほむら「Dメールよね」

岡部「その通りだ」

岡部「モニターの姿をしているということは、パソコンに何らかの関わりがあるんじゃないのか? あの魔女」

ほむら「姿が魔女の特性と何らかの関わりをもつ、ということはよくあるわ」

岡部「ククク……。奴はきっと電子的な能力を持っており、何らかの形でDメールの存在を感知してしまったのだろう」

岡部「そしてDメールを恐れた。何せ過去を改変するようなシロモノだ。魔女が恐れるのも無理はない」

ほむら「Dメールの存在をなくすために、何らかの方法で力をつけ、見滝原ごと電話レンジ(仮)を消滅させようとしたと?」

岡部「そういう事だ。まぁ、少し適切でない部分があるがな」

ほむら「どこかしら」

岡部「何らかの方法で……のくだりだ」

岡部「いつぞや、お前はあの魔女からワルプルギスの夜の力を感じる、などと言っていたよな」

ほむら「えぇ、言ったわね」

岡部「魔法少女は魔女を倒すことでグリーフシード、だったか? ソウルジェムの濁りを抑えるアイテムを入手できる」

岡部「ソウルジェムは魔法を使うことで濁る。つまり、グリーフシードとは魔法の力を補充できると考えていい」

岡部「そのグリーフシードを入手するには、魔女を倒せばいい。ここまで言えば分かるな?」

ほむら「以前戦ったパソコンの魔女が、他の魔女を倒して魔力を奪った……」

岡部「大正解。ま、あくまでも俺の仮説だがな」

ほむら「その仮説が正しければ、あの恐ろしい魔女を倒すのは驚くほど簡単だったのね」

ほむら「他の魔女を倒して成長する前に、倒してしまえばいい」

岡部「そういう事になる」

ほむら「でもちょっと待って。この仮説が正しければ確かにあの魔女は倒せるわ」

ほむら「けどこの世界では魔女関係なしにマミは……」

岡部「その通りだ。この世界ではマミは絶対に死ぬ。魔女と関係ない方法でも死んでしまうようだしな」

ほむら「だったら、あなたにとっては何の解決にもならないじゃない」

岡部「チッチッチッ。成長したと思ったがまだまだだな」

岡部「よく考えるのだ。パソコン魔女を弱いうちに倒したらどうなる?」

ほむら「…………」

ほむら「ワルプルギスの夜が、現れる?」

岡部「そうだ。ワルプルギスの夜がパソコン魔女に倒される前に、パソコン魔女を倒してしまうのだから……当然の結果だな」

岡部「おそらく、これで助手が今まで居た世界。つまり俺がDメールを使う前の世界に戻る」

ほむら「でもその場合、まどかが魔女になって世界を滅ぼしてしまう。あるいは、魔女になる前に死んでしまう」

岡部「果たしてそれは本当にそうなのだろうか? お前は以前の世界で4回ループしただけなのだろう」

岡部「しかもそのうちの3回は最初から鹿目まどかが魔法少女だった」

岡部「ギリギリまで魔法少女にならなかったのはたったの1回。検証が不十分ではないか?」

ほむら「た、確かに……。分かったわ、元の世界に戻りましょう」

岡部「元の世界に戻る、か。ククク……陳腐だが実に素晴らしいセリフだぞ、助手よ!」

岡部「そのセリフを拝借して、本作戦名を回帰する世界(リターンオブザワールド)とする!」

ほむら「あの魔女がどこにいるかは大体分かってる。数日あれば仕留められると思うわ」

ほむら「仕留めたら連絡するから、あなたは元の世界に戻った後の作戦でも考えていて」

岡部「あぁ、任せたぞ助手よ。俺も助手の期待を裏切らぬようパーフェクトな作戦を考えておこうではないか」

ほむら「頼んだわよ。それじゃ」

岡部「さて、俺はもう少しこの喫茶店で作戦を練るとしよう」

岡部「今までの経験からするに、その世界では絶対に覆せないということがある」

岡部「例えば、この世界ではマミが絶対に死ぬということだな」

岡部「しかし、元の世界で鹿目まどかが魔女になるか死ぬかのどちらか……これはまだ分からない」

岡部「俺はこれの抜け道を探さねばならん。さて、どうしたものか」

2日後――

岡部「リーディング・シュタイナー……! 助手がやってくれたようだな」

岡部「そして相変わらずのラボ。俺はどんだけラボに篭ってるんだ」

ほむら「お邪魔するわ」ガチャ

岡部「作戦、回帰する世界は成功したのか?」

ほむら「えぇ、あっけないものね」

岡部「ご苦労だった。俺もこの2日で考えたことを話すとしよう」

ダル「オカリンが見知らぬ美少女と厨二病満載の会話をしてる件」

岡部「フッ、ダルよ。キサマにもいずれ教えてやろう。俺達の長く、そして短い戦いのすべてをな」

ダル「ちょwww長いのに短いってwwwww」

岡部「助手と作戦会議に行ってくる」

ダル「どう考えてもデートですね」

2日後――

岡部「リーディング・シュタイナー……! 助手がやってくれたようだな」

岡部「そして相変わらずのラボ。俺はどんだけラボに篭ってるんだ」

ほむら「お邪魔するわ」ガチャ

岡部「作戦、回帰する世界は成功したのか?」

ほむら「えぇ、あっけないものね」

岡部「ご苦労だった。俺もこの2日で考えたことを話すとしよう」

ダル「オカリンが見知らぬ美少女と厨二病満載の会話をしてる件」

岡部「フッ、ダルよ。キサマにもいずれ教えてやろう。俺達の長く、そして短い戦いのすべてをな」

ダル「ちょwww長いのに短いってwwwww」

岡部「助手と作戦会議に行ってくる」

ダル「どう考えてもデートですね」

岡部「現実的なプランでワルプルギスの夜を倒す確率が最も高いのは――」

岡部「助手、マミ、美樹さやか、佐倉杏子の4人の魔法少女で挑むことか」

ほむら「これで勝てなかったら?」

岡部「その際のプランも一応ある。ただし、そっちはかなり手間がかかる上に何が起きるか分からん。まずは4人で挑むプランで行くぞ」

ほむら「分かった。マミはあなたが説得すれば問題ない。佐倉杏子は私が説得する」

ほむら「問題は美樹さやかね。今まで彼女にはかなり手こずったわ」

岡部「自分で言っておいて何だが、美樹さやかを魔法少女にしてもいいのだろうか」

岡部「魔法少女になったものの末路は、ロクなもんじゃないんだろう」

岡部「魔女に殺されたり、魔女になってしまったり」

ほむら「……そうね、魔法少女なんてものになる人間は少ないに越したことはない。魔法少女が増えたらアイツが喜ぶだけよ」

岡部「キュゥべえ、か」

ほむら「私、マミ、佐倉杏子の3人でワルプルギスの夜に挑むことにするわ」

ほむら「まどかはもちろんさやかもしっかり監視しないと。彼女は少し目を離した隙に魔法少女になってしまう」

岡部「キュゥべえの妨害、佐倉杏子の説得、2人の監視……これはかなりキツいんじゃないか」

ほむら「それでも、やるしかないわ」

岡部「2人の監視は最低限に抑えよう。事情をすべて話せばそうそう契約しようなんて思わないだろう」

ほむら「前に説明したでしょう。3回目のループで事情を話した結果、みんなの信頼をさらに落としてしまったのよ」

岡部「忘れたか。今の俺たちにはアレがあるだろう」

ほむら「アレ?」

岡部「助手を立ち直らせるのに使ったアレだ」

ほむら「世界が変わってるから、あのメールは存在しないはずよ」

岡部「そういう事ではなくてだな……あ、スマン。助手には聞かせてなかった」

ほむら「何をよ? 早く答えなさい」

岡部「あのメールには音声ファイルがもう1つ添付されていてな……そのファイルには重要なキーワードが残されていたのだ」

ほむら「あなたって人は……なぜそんなものを忘れてるのよ」

岡部「正直すまなかったと思っている、許してくれ」

ほむら「まぁいいわ……それで、内容は?」

岡部「鹿目まどかと美樹さやかの誰にも話していない秘密」

ほむら「そんなものをあなたは聞いたの!? 女の私が聞くべきでしょう、そこは……。あぁ、まどかのあんなことやこんなことが」

岡部「おーい助手。帰ってこーい。お前が想像してるいかがわしいようなことは一切ないぞ?」

ほむら「そ、そそそそんな想像はしていないわ!」

岡部「鹿目まどかの秘密は……」

ほむら「ゴクリ」



岡部「虫歯が1つあるけど怖くて歯医者に行っていないこと」

岡部「美樹さやかの秘密は、小5までおねしょが治らなかったこと」

ほむら「まどかの方はともかく、さやかのほうは卑猥よ!」

岡部「卑猥とか中学生が言うな! てか、おねしょぐらい誰でもするだろう!」

ほむら「まぁそうだけど……話を戻しましょう。その情報を使って未来からきたことが本当だと証明するのね」

岡部「そういうことだな」

岡部(そもそもお前が話を逸らしたんだろう……)

岡部「美樹さやかの説得は俺と助手、そして俺が説得したマミの3人でやったほうがいいと思うが、秘密はお前の口から告げてくれないか」

岡部「お前小5までおねしょしてただろう!」

岡部「女子中学生に向かってそんなHENTAI発言、いくらこの鳳凰院凶真にも難易度が高すぎる」

ほむら「当然よ。そんな変態発言をさせたことで世界が歪んだりでもしたら、目も当てられないわ」

岡部「ククク、違いない。鹿目まどかの説得はどうする」

ほむら「私1人にやらせて欲しいところだけれど、あなたとマミが居たほうがいいでしょうね」

岡部「了解だ。ではこれより、未来の仲間は今も仲間作戦(オペレーション・エターナルフレンド)を開始する!」

岡部「いや、ちょっと待ったぁッ!」

ほむら「い、いきなり大声を出さないでちょうだい」

岡部「見逃してる点があるではないか! しかもこの作戦が破綻しかねないような致命的な点だ!」

ほむら「なんなの、その点って」

岡部「佐倉杏子は見滝原に来るのか?」

岡部「助手の話を聞く限りでは、来たり来なかったりだったよな」

ほむら「!」

ほむら「盲点だったわ。彼女が見滝原に来る条件が分からない」

岡部「マミの生死が関わっているのではないか?」

岡部「魔法少女というのは自分のテリトリーがあるのだろう。テリトリー内に現れた魔女はすべて自分の獲物」

ほむら「なるほど、言いたいことは分かったわ」

ほむら「マミが死んだことによって、見滝原には魔法少女がいなくなった。……まぁ実際には私がいるのだけれど」

ほむら「そこで見滝原を自分のテリトリーにするために佐倉杏子が来たというわけね」

岡部「あぁ。とりあえず今までの情報を整理してみるぞ」

ほむら「一度目は、ワルプルギスの夜まで生存していた。佐倉杏子はおそらく来ていない」

岡部「おそらくとはどういうことだ」

ほむら「私はまだ魔法少女じゃなかったから、あまり深いところまでは分からないのよ」

岡部「そうだったな」

ほむら「二度目。マミは死んでしまい、佐倉杏子が現れた」

ほむら「三度目。マミが生きている状態で佐倉杏子は現れた。でも、すぐに……」

ほむら「四度目と五週目。マミは死に、佐倉杏子が現れた」

岡部「これは決まりだな……」

ほむら「マミが死ぬことにより佐倉杏子が現れるわけね。三度目だけは違うけれど」

岡部「クソッ! この世界でもマミに死ねというのか」

ほむら「まだ決まったわけじゃないでしょう。しっかりしなさい」

岡部「……分かってるさ。何か、抜け道があるはずだ」

ほむら「私はそろそろキュゥべえの妨害に行くわ。まだ私の転校まで数日ある」

ほむら「マミを死なせずに佐倉杏子を仲間にする方法を探しましょう」

岡部「あぁ。キュゥべえのことは頼んだぞ」

QB「きゅううう!」

ほむら「まどかは魔法少女にさせないわ、絶対に」

QB「一体君は何者なんだい、暁美ほむら」

ほむら「あなたを狩る者(インキュベーターハンター)よ」

QB「……わけがわからないよ」

ほむら(いつの間にか岡部の病気がうつってる。恥ずかしすぎるわ)

2日後――

ほむら「どうかしら、なにか思いついた?」

岡部「助手よ。佐倉杏子はマミの死をどうやって知るんだ」

ほむら「たぶんキュゥべえが教えてるのよ」

岡部「クククク……予想通りだ」

岡部「これならマミを殺さずに、佐倉杏子を見滝原に呼び寄せられる」

岡部「よく聞け、助手。これが俺の答えだ――」

ほむら「…………」

ほむら「それでいいのね? 本当に」

岡部「あぁ。自分の大切な人をこんな目に合わせるなんてまさに外道」

岡部「だが、これが最善策だと思う」

ほむら「彼女が納得してくれるかしら?」

岡部「納得させてみせる」

ほむら「分かった。あなたがいいなら、それでいい」

岡部「マミ、大事な話がある」

マミ「大事な話? 何かしら」

岡部「信じられないような話だが、落ち着いて聞いてくれ」

マミ「…………」

マミ「そんな事が……」

マミ「倫太郎がそんなに辛い目に何度もあっていたのに、私にはその時の記憶すらない。あなたの痛みを共有することすらできない」

岡部「何を言っているのだ。こうして話したことをお前が信じてくれただけで、かなりスッキリしたぞ」

マミ「やっぱり、倫太郎は優しいね……」

岡部「!!」

マミ「どうしたの?」

岡部「いいや、何でもない」

岡部「では、この状況を脱する方法を説明する」

マミ「お願い」

岡部「こんな作戦しか思いつかない俺は無能だ」

岡部「お前をこんな目に合わせるだなんてな」

マミ「駄目じゃない。狂気のマッドサイエンティストはこんな時こそ強気で居なくちゃ」

マミ「あなたが考えた作戦なのだから、私は受け入れるわ」

岡部「マミ……」

マミ「絶対に、私を助けてね」

岡部「あぁ、任せろ。この鳳凰院凶真が、命にかえてでもお前を助け出す。必ずだ」

岡部「助手よ。マミの説得は完了した」

ほむら「ずいぶんと早いわね。さすがと言ったところかしら」

岡部「お前が転入した次の日まで、俺にはやれることがないな」

岡部「しばらくはお前に任せっきりになってしまう」

ほむら「気にしないで。キュゥべえを撃ち殺すだけの簡単なお仕事だから」

岡部「おい、そのフレーズはまさか2ちゃんね……」

ほむら「な、何を言ってるのかしら! まとめサイトで見ただけよ!」

岡部「まとめサイトを見てる時点で末期だということを理解しろ」

ほむら「もう2ちゃんの話は終わり!」

ほむら「今の所キュゥべえはまどかに接触出来ていないし。この調子でいけばいいはず」

岡部「そんな考えで大丈夫か?」

ほむら「大丈夫だ、問題な……あぁ、もう! いい加減にしてちょうだい!」

岡部「フッ、この程度の挑発に乗るとは助手もまだまだだな!」

先生「今日は転校生を紹介しまーす」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」





キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

ほむら「そいつの話を聞いては駄目よ、鹿目まどか」

さやか「何なのよこの転校生……絶対ヤバイって! まどか、逃げるよ!」

まどか「う、うん!」

ほむら「…………」

ほむら(後は頼んだわよ、マミ)

さやか「なに、どこなのよここ! 出口は!?」

まどか「さやかちゃん、前からなにか来る!」

さやか「ば、化け物! く、くるなぁ!」

マミ「面制圧射撃(プレーンサプレッション)!」

マミ「ふぅ、間一髪って所かしら。ケガはない?」

まどか「は、はい!」

さやか「ありがとうございました!」

マミ「いえいえ。私の名前は巴マミ。魔法少女よ」

さやか「マミさん、あたし達に紹介したいのってどんな人なんです?」

マミ「フフ、会ってからのお楽しみよ」

まどか「気になるなぁ」

マミ「ここの喫茶店で待ち合わせしてるの。入りましょう」

岡部「ククク……来たな、弟子よ。それに……青き百合と極上の癒し」

マミ「待たせちゃったかしら、ごめんなさいね」

さやか「ぶ、ぶるーりりーってあたしのこと? 気持ち悪い名前つけないでよ!」

まどか「ヒーリング・ワン……なんかかっこいい!」

さやか「まどか趣味悪っ!」

まどか「ひどいよぉ、さやかちゃん」

岡部「そんなところに立っていても仕方あるまい。座るがいい」

さやか「いちいちカンにさわる言い方する人だなぁ」

マミ「こういう人なのよ、私に免じて許してくれないかしら」

さやか「まぁマミさんがそこまでいうなら……」

岡部「さっそく話をしたいのだが、もう1人来るのだ。それまで適当に食べたいものでも頼んでくれ。俺が奢ろう」

さやか「ま、マジで! 話が分かるなぁオジサン!」

岡部「オ、オジサン……!」

まどか「さやかちゃん失礼だよ!」

岡部「ま、まぁ、好きに呼べばいい」

岡部(クールになれ、鳳凰院凶真……!)

さやか「早くパフェこないかなー。ここのパフェ美味しいんだよね」

マミ「そうね、私も好きなのよ」

まどか「私はクリームあんみつかなぁ」

さやか「おぉ、渋いですなぁまどかは」

マミ「クリームあんみつ、今度食べてみようかしら」

岡部(……居心地最悪なんですけど)

岡部(誰でもいい、この乙女チック空間を魔剣レヴァテインで切り裂いてくれ!)

「お待たせしたわね」

さやか「パフェきた……ああああ、アンタは!」

  ( ^)   だから♪
  (  ) ̄
(  | |  )

  _(^o^)  今♪
    ( )|
  (  | |  )

       ( ^o)  1秒ー♪
      ̄(  )
   (   //  )

             (o^ )  ごとに~♪
            (  )ヽ
             | | 

..三  \ \  V  /   (o^ ) 三 世界ー♪
 三  \ \  V  / (  )ヽ 三
三   \ \  |  /  / /   三


三  ( ^o) \  V // / /  三  線をー♪
 三/( ) \  V / (o^/   三
三   ヽヽ  \ |  /(  /  三

..三/( )  \  V  /    (o^ ) 三 越ーえてー♪
 三  ヽヽ^o) \ V   /  (  )ヽ 三
三    \  )\ | (o^/  / /   三

ほむら「何をそんなにうろたえているの、美樹さやか」

まどか「ほ、ほむらちゃん……」

さやか「マ、マミさんがいるのにノコノコと姿を現すなんていい度胸じゃん!」

マミ「ごめんなさい、昨日のアレは演技なのよ。キュゥべえを騙すための」

岡部「キュゥべえは今どうなってるんだ、助手よ」

ほむら「殺さない程度に傷めつけてきたわ。数時間は身動きが取れないはず」

ほむら「殺してしまうと別の個体が現れて面倒だもの」

さやか「ひぃいいい……マミさん、こいつ本当に大丈夫なんですか?」

マミ「凶真は暁美さんのこと信じてるんでしょう?」

岡部「無論だ」

マミ「なら、私も信じる」

さやか(マミさんも大丈夫じゃない気がしてきた)

ほむら「あなたが疑うのは当然よ。これから、この世界の真実……の一部を話すわ」

さやか「ちょ、いきなり話が飛び過ぎてわけわかんないんだけど」

岡部「聞けば分かる」

さやか「あんたたち胡散臭すぎるよ。話してくれたとしても信じられないと思う」

岡部「ふむ……やはりこうなるか。助手、例のアレを」

ほむら「分かったわ」

さやか「ま、まさか力づくで」

まどか「さすがに喫茶店でそれはないと思うよ」

ほむら「ある意味、力づくね」

まどか「えぇっ!」

さやか「やっぱり! 誰かたす……」

ほむら「やれやれ……時間停止(タイムフリーズ)」

さやか「けてえええええ!」

ほむら「残念ながら、その叫びは誰にも聞こえていないわ。時を止める能力を発動させたから」

さやか「なにそれヤバすぎでしょ! ど、どうするつもりなのよ」

ほむら「あまり暴れないで。私から離れたらあなたまで止まってしまう」

ほむら「それに、力づくと言っても暴力を振るうわけじゃない」

ほむら「あなたが誰にも言っていない秘密を、私が口にするだけよ」

さやか「はぁ?」

ほむら「私は見滝原が滅んだ世界の未来のあなたから伝言を受け取った」

ほむら「見滝原を守って欲しい。でも過去のあたしは馬鹿だからきっと信じない……」

ほむら「そこで、あなた自身しか知らない秘密を告白してくれたの」

さやか「何なのさ、その秘密って」

ほむら「あなたが小5までおねしょをしていたことよ!」

さやか「ちょ、なんでそれを! お父さんやお母さんにもないしょで洗濯してたのに」

ほむら(それは絶対にバれていると思う)

ほむら「納得していただけたかしら」

さやか「こんなことまで知ってるなんて……悔しいけど信じるしかないじゃん」

さやか「あんたたちの話、聞いてあげる。でも!」

ほむら「?」

さやか「おねしょのこと誰にも言わないでよ!」

ほむら「約束するわ」

ほむら(岡部は知っているけど)

ほむら「時間再生(フリーズオフ)」

オカリンがリーディングシュタイナー持ってる理由って原作で説明あったっけ

>>214
ゲーマガのインタビューによると、「この能力自体は微小ながら誰にでもあるものですが、岡部はたまたまそれが強く発現していたという設定です」との事。

だってさ

ほむら「美樹さやかは納得してくれたわ」

まどか「さやかちゃんが納得したなら、わたしもいいよ」

ほむら(え、せっかく虫歯について優しく教えてあげようと思ったのに)

ほむら(虫歯について頑張って勉強してきたのに……おのれ美樹さやか)

岡部「どうした、助手」

ほむら「な、なんでもないわ。それじゃ、あなた達二人にこの世界の未来について、教えるわ――」

さやか「ウソ、でしょ……世界が滅ぶなんて」

まどか「わたしが世界を滅ぼしちゃうの……」

岡部(Dメールによる改変後の世界については話さないのか?)

ほむら(話す必要がない。ややこしいだけよ)

岡部(マミに話してしまったんだが)

ほむら(それはいいのよ。彼女にはあんな役割をさせることになる。あの世界について話しておいたほうが説得しやすい)

岡部(そうか。あと、上条恭介についての話はしないのか? この世界では重要なファクターであろう)

ほむら(そんなこと教えられるわけ無いでしょう。絶望して魔女になりかねないわ)

岡部(す、すまん。その通りだ)

ほむら(あなたって鈍いのか鋭いのかよく分からないわ)

さやか「で、それを知ったあたしたちに何か出来ることがあるっていうの?」

さやか「あたしは魔法少女になったら魔女になっちゃうんだから、魔法少女にはなれない。それならただの無力な人間じゃん」

ほむら「いいえ。あなたが魔女にならなければ敵が一人減るわ。魔女になったあなたって相当強いのよ」

ほむら「佐倉杏子が自爆しないと倒せないほどなのだから」

さやか「味方の時は足手まといなのに、敵になったら強いってなんなのよそれええええ!」

マミ「あなたは魔法少女になってはいけないということね。それが運命石の扉の選択なのよ」

さやか「エル・プサイ・コンガリィとかやる雰囲気じゃないですよマミさん!」

岡部「コンガリィではない、コングルゥだ! 焦がしてどうする!」

まどか「でも、コングルってお料理の漫画であったような気がするなぁ」

岡部「残念ながらそれが連載されていた雑誌はとっくに廃刊しているのだ。ご了承ください」

まどか「わたしは、どうすればいいんだろう……」

ほむら「さやかと同じよ。絶対に魔法少女にならないで」

ほむら「私とマミ、佐倉杏子でケリをつけるわ」

さやか「そのメンバーで倒せなかったら?」

岡部「別のプランを考えてある。それを実行するまでよ」

さやか「どうせ、次のループであたしを魔法少女にするんでしょ。あんた、まどか命って感じだし」

ほむら「まどか命なのは否定しないけれど、あなたを魔法少女にするつもりはないわ」

まどか「はぅ、恥ずかしいよお」

さやか「ごめんごめん、ちょっとからかっただけ」

さやか「あたしはあんた達を信頼するよ。魔法少女にならないよう頑張る」

さやか「でも、もしやばそうになったらフォローしてね」

マミ「もちろんよ。大事なお友達ですもの」

まどか「わたしも、魔法少女にならないようにする!」

まどか「叶えたい願いもないし……」

岡部「未来の仲間は今も仲間作戦はここに成就した!」

ほむら「次の目標は、キュゥべえを騙して佐倉杏子をおびきよせることね」

マミ「…………」

岡部「マミ」

マミ「大丈夫よ。あなたを信じてるから」

さやか「おふたりさん熱いですなー。もしかして恋人同士?」

マミ「そ、そんなのじゃないわよ!」

さやか「ムキになって否定するところが怪しすぎますよ、マミさん」

マミ「もう、美樹さんったら」


ほむら「これからも、あなた達二人はマミと一緒に行動して」

さやか「オッケー」

まどか「うん。マミさん、改めてよろしくお願いします」

マミ「こちらこそ、よろしくね」

岡部「次の作戦の詳細、本当に話さなくていいのか」

ほむら「話したらまどかとさやかの行動に不自然な点が出てしまう可能性が高い」

ほむら「それによって佐倉杏子が現れなかったりしたら、目も当てられないわ」

岡部「だが死ぬかもしれない状況になったら、契約してしまう可能性もあるだろう」

ほむら「そんなミスは犯さないわ、絶対に」

岡部「そう、だな。変なことを言って悪かった」

マミ「あらあら、ずいぶんと可愛らしい魔女だこと。でも容赦はしないわ」

マミはマスケット銃を足元にいくつか出し、それを手に取り魔女に狙いを定めて撃ち続けた。
放たれた拘束弾丸によって魔女は壁に縛り付けられた。

マミ「動きは封じた。一気に決める」

マミは大砲と言えるレベルの非常に巨大な銃を召喚した。

マミ「最終砲撃(ティロ・フィナーレ)!」

魔女に弾丸が直撃。地面に転がり落ちて、ピクリとも動かなくなった。

マミ「あっけないものね、お菓子の魔女」

しかし、転がり落ちた魔女の口から恵方巻きのような物体が姿を現し、猛スピードでマミの元へ向かった。

まどか「マミさん、危ない!」

そして、あっという間にマミの眼前に迫っていた。大量の鋭い歯を光らせた口を開けながら。

マミ「え?」

ほむら「時間停止」

時間を止めたほむらは全速力でマミの元に向かい、ソウルジェムを奪った。

ほむら(少しの間、預からせてもらうわよ)

ほむら(姿を隠して、時間再生)

マミの頭を魔女が食いちぎった。血しぶきが飛び散る。

QB(マミはやられてしまったようだね、ソウルジェムもなくなってるし……)

QB(これは、チャンスかな)

QB「二人とも、今すぐ僕と契約を!」

QB「願い事を決めるんだ、早く!」

ほむら「その必要はないわ」

ほむらが現れた瞬間、大きな爆発が起きて魔女は消滅した。

ほむら「目に焼き付けておきなさい。魔法少女になるって、こういうことよ」

ほむら(もう一度、時間停止)

ほむら(マミの身体にソウルジェムをつけて、盾に収納……人体が入るか心配だったけれど、問題ないみたいね)

杏子「なに、巴マミが死んだ?」

QB「あぁ。マミが負けるような相手ではなかったんだけれど、一瞬の油断が命取りだった」

杏子「見滝原は前から目を付けてたんだよね。魔女の発生率高いから」

QB「実は魔法少女がもう一人いたりするんだけどね」

杏子「ふん、そんなヤツ軽くけちらしてやるよ」

岡部「作戦はうまくいったか!?」

ほむら「えぇ。マミは私の盾の中にいる」

ほむら「盾から出してしまうと、マミが生きていることがバれる恐れがあるわ」

ほむら「だから佐倉杏子の姿を確認するまでは、外に出せない」

岡部「そう、か……。だがマミは大怪我を負っているんだろう。どうなんだ、そのあたりは?」

ほむら「この盾の中は私の魔力で満たされているわ。傷の治りは通常より早いはず」

岡部「何から何まですまんな、助手よ」

ほむら「今さら水くさいわよ、そんなセリフ」

岡部「……そうだな」

岡部「二人に真実を話せるのも、佐倉杏子が来てからか……」

岡部「真実を知っているのにそれを話せないというのは、つらい」

岡部「助手は最初の頃、一人でこういったつらさとも戦ってきたんだよな」

ほむら「今はあなたがいる。あなたが居なかったら、私はまどかを救う前にどうかなっていた」

ほむら「ありがとう。岡部倫太郎」

岡部「こちらこそ、礼を言わねばな。お前がいなければマミは助けられなかった」

岡部「ありがとう。暁美ほむら」

杏子「あーもう、なんなのこのUFOキャッチャー! アーム弱すぎだろ、全然持ち上がらねぇ!」

ほむら「今どき景品を持ち上げるUFOキャッチャーが存在すると思ってるの、あなた」

ほむら「度を越したアームの強さは店じまいに繋がるわ。その逆もまた、店じまいに繋がるのだけれど」

杏子「はぁ?」

ほむら「こういうのは、景品の端に片方のアームを降ろして、アームが閉じる力を利用して少しずつズらしていくのよ」

杏子「そんなん気づくわけねーだろ!」

ほむら「これはまだ優しいほうよ。よし、ゲットね。よければあげるけど?」

杏子「おいおい、アタシを舐めるなよ? 攻略法さえわかればこっちのもんだ」

再生中のマミさんグロそう

杏子「あと一回、あと一回……」

ほむら(どつぼに嵌まってるわね)

杏子「あー、もう! 何でズれねぇんだよ!」

ほむら「もっとギリギリまでアームを近づけなさい。箱に当たるぐらいでいいのよ」

杏子「箱に当たったらアームの降下が止まるだろ!」

ほむら「多少なら当たっても問題ないわ。私のプレイを見てなかったの」

杏子「むむむ、余計なお世話だ!」

ほむら「そんなに助けられるのが嫌なの? あなた、破産するわよ」

杏子「うるせぇ! アタシは誰の施しもうけねぇ。こうなったらヤケだ、ど真ん中!」

ほむら「一体何度ど真ん中を狙うの。どこまであなたは愚かなの……え!?」

ほむら「景品を、持ち上げた!? どうして、こんな……訳がわからないわ」

杏子「よっしゃ! やっぱ持ち上げてこそ、UFOキャッチャーやった気になるな」

ほむら「……私の戦場はここじゃない」

杏子「おいおいおい! 待ちなって。アタシに用があったんじゃないの、見滝原のもう一人の魔法少女サン?」

杏子「ワルプルギスの夜ねぇ。マジだとしたらかなりヤバイじゃねーか」

杏子「でもアタシは協力しないよ。デメリットに対してのメリットが小さすぎる」

ほむら「ワルプルギスの夜はあなたが思っているより強大よ」

ほむら「この街が滅んだ後、世界中を滅ぼしにかかるわ」

ほむら「そうね……私の見立てだと、日本は1ヶ月以内に滅ぶわ」

杏子「マジかよ!? そんな相手に勝ち目なんてないじゃねーか」

ほむら「1ヶ月以内に滅ぶというのは、ワルプルギスの夜が魔法少女を殺して、その魔力を奪うことも計算で入れた上での話よ」

杏子「今ならまだ手の施しようがあるってことか……」

ほむら「えぇ。それにはあなたの力が必要なの」

杏子「…………」

杏子「わかった、協力してやるよ。ただし、条件がある」

ほむら「私に出来ることなら、呑むわ」

杏子「ワルプルギスの夜が現れるまでの間の衣食住の提供。あと、今すぐに何か食わせてくれ」

ほむら「は?」

ほむら(メリット・デメリットなんて言ってた人間の要求にしては小さすぎるでしょ……)

杏子「UFOキャッチャーに夢中になりすぎて金使い切っちまったんだよ! 言わせんじゃねぇ恥ずかしい」

ほむら「その条件でいいのね……呑むわ。じゃ、近くの喫茶店にでも行きましょう」

杏子「お、なんかこれすごそうだな! この店にしようぜ!」

ほむら「え……ここ? 本気なの?」

杏子「なんだよ、奢ってくれるってのは嘘だったのか?」

ほむら「そういうわけではないけれど……」

杏子「じゃ、はいろうぜ」

フェイリス「お帰りニャさいませ。ご主人様♪」

杏子「うわっ、ななななんじゃここはぁ!」

フェイリス「ここはメイド喫茶メイクイーンニャンニャンですニャン」

ほむら「だから止めたのに」

フェイリス「あ、ほむらニャンお久しぶりだニャン」

杏子「お前来たことあんのかよ!」

ほむら「知り合いに無理やり連れてこられたのよ……」

杏子「まぁ店に入って何も食わずに出るのはよくないよな、うん」

杏子「というわけでこの超ジャンボセット頼むわ」

フェイリス「ニャニャ!? それは数多の戦士が挑み、敗れ去ったメニューなのニャ……本当にいいのかニャン?」

杏子「あぁ、アタシに二言はねぇ」

フェイリス「オッケーニャ、その挑戦受けたのニャン。ほむらニャンは?」

ほむら「私はコーヒーとオムライスでいいわ」

フェイリス「かしこまりましたニャン」

フェイリス「完食おめでとうニャン♪ 杏子ニャンは選ばれし勇者だったのニャ」

ほむら「ハンバーグ400g、ステーキ500g・・・女性が食べる量じゃないわよ」

杏子「うぷ……少し食い過ぎたぜ」

ほむら(少し?)

ほむら「無理して食べることないのに」

杏子「食い物を粗末にできるか! そんなヤツはぶっ殺す」

ほむら「お会計、お願いするわ」

フェイリス「杏子ニャンはあれを完食したからタダニャ。というわけでほむらニャンの代金だけいただくのニャ」

杏子「え、タダ!? んじゃまた来るぜ」

フェイリス「残念ながらあの戦いで勝利した者は、二度と挑めないのニャ」

ほむら「当然ね。完食した人に何度も挑まれては、店が潰れかねない」

杏子「ちぇー」

杏子「佐倉杏子だ。よろしく」

岡部「俺は鳳凰院凶真だ。よろしく頼むぞ、無限の胃袋(アンリミテッド・ストマック)」

杏子「……おい、こいつ頭大丈夫か?」

ほむら「大丈夫じゃないのが基本よ。だから大丈夫」

岡部「さて無限の胃袋も無事に仲間になってくれたわけだし、マミの姿を確認させてくれないか?」

杏子「は?」

ほむら「分かってるわ。えっと、どこら辺に収納したかしら……」

杏子「マミのヤツ、死んじまったんだろ?」

ほむら「死んだフリをしてもらっただけよ。あ、この胸の感触はマミね」

岡部「キサマ、なんてうらやま……もといけしからん!」

ほむら「よっ、と」

マミ「ここは、ラボかしら?」

岡部「マミ!」

マミの姿を数日ぶりに見た岡部はマミに駆け寄り、その身体を力強く抱きしめた。

マミ「り、倫太郎……痛いわ、力入れすぎ」

岡部「す、すまん! ついな……」

マミ「ウフフ、ありがと。約束守ってくれたわね」

岡部「無論だ。お前は俺が守る」

杏子(全部ほむらのおかげじゃねーの?)

ほむら(それは禁句よ)

ほむら「まだ治癒し切れていないようね。さすがにダメージが大きかったか……」

マミ「ワルプルギスの夜との戦いまであまり時間は残っていないし、盾の中で治療に専念してもいいかしら?」

ほむら「私は構わないけれど……」

岡部「な、なぜこっちを見るのだ!」

ほむら「そりゃあねぇ……」

岡部「しばらく弟子と会えないからと言って、別に寂しくなんかないぞ!」

杏子「素直じゃねぇなぁ」

岡部「フン……青き百合と極上の癒しにもマミのことを話さねばな」

さやか「本当なの!? マミさん生きてるの!」

ほむら「えぇ」

まどか「よかった……」

さやか「作戦的に言えないのは分かるけど言いなさいよ……って矛盾してるか」

ほむら「ちょっと待って、今マミを探してるから……いた。羨ましいほど大きな胸がいい目印になるわね、本当」

マミ「あら、暁美さんの断崖絶壁もいい目印になると思うわよ」

ほむら「一生盾の中の生活も素敵だと思わない?」

まどか「だめだよほむらちゃん、冗談でも言っていいことと悪いことがあるよ」

ほむら「ご、ごめんなさい」

まどか「マミさんも! ほむらちゃん、胸が小さいのすごく気にしてるんだよ」

マミ「そうね、少しキツかったわ。ごめんなさい」

岡部(極上の癒しの前ではこの二人もたじたじ、か)

まどか「でも、マミさんが生きててうれしいです」

さやか「本当あの時はビビりました!」

マミ「二人とも、心配かけてごめんなさいね」

次の日――

マミ「よし、完全に治ったわね」

ほむら「いくらなんでも修復が早過ぎるんじゃないかしら。本当に大丈夫なの?」

マミ「えぇ。究極の魔法少女(アルティメット・ワン)の名は伊達じゃないのよ」

ほむら(厨二病する場面じゃないのだけれど。まぁ本人が大丈夫と言っているならよしとしましょう)

決戦日前日――

岡部「では、そろそろ始めようか。明日の戦いのための、神聖なる演説を――」

岡部「神聖なる誓いの元に集いし六戦士よ」

杏子「なにが六戦士だよ、アホくせぇ」

さやか「まぁオカリンだから仕方ないじゃん。でも六戦士かぁ、数字的にあと一人欲しいかな」

まどか「むしろこうじゃないと落ち着かないかも」

ほむら「まどかを厨二病患者になんてさせないわ」

マミ「あら、それは残念ね」

岡部「お前ら、俺が演説してる最中に……まぁいい」

岡部「我々は幾千もの世界を渡り歩きようやくたどり着いた、争いに終止符を打つ世界へと」

岡部「敵は明日、この見滝原に襲来し……街を蹂躙するだろう。そして巡り巡って世界が滅びる」

岡部「これを止められるのは我々しかいない。我々で悲しみの連鎖という因果を断ち切るのだ」

岡部「六戦士による最後の作戦、神聖なる戦い(ジハード)の開始をここに宣言する」

さやか「ジハード……あっはっははは! これはやばい、笑いすぎて腹が……あははははっ!」

まどか「ぷっ……だ、だめだよさやかちゃん。岡部さんもきっと一生懸命考えて……うぷぷぷぷ」

ほむら「笑いをこらえるのは身体に毒よ、まどか」

マミ「もう少し長い名前のほうが私は好きね」

杏子「そこかよ!」

決戦当日――

マミ「あれが、ワルプルギスの夜……」

ほむら「そう。こいつに勝てなければ私たちに未来はないわ」

杏子「なんつーか、でけぇな。こんなでけぇ魔女は初めてだぜ」

マミ「攻撃が当たりやすそうで助かるわ」

杏子「余裕じゃねぇか、マミ」

ほむら「――来るわ」

ワルプルギスの夜の魔力がマミたちを襲うが、そのすべてはマミの障壁で防がれた。

ほむら「なっ!?」

マミ「あら、大したことないじゃない」

杏子「おいおい、あんな大量の魔力を何であっさりと防げるんだよ」

マミ「ウフフ、答えは簡単。私が最強の魔法少女だからよ」

杏子「それは分かってるけどよ、以前会った時よりもかなり強くなってんな」

マミ「あれは全然力をだしてなかっただけ」

杏子「マジかよ」

ほむら(訳がわからないわ。なぜ巴マミがこんなに強いのよ……)

マミ「それじゃ、今度はこっちの番ね」

マミは空を覆いつくさんばかりの数のマスケット銃を召喚。

マミ「一斉射撃(バーストショット)」

無数の弾丸がワルプルギスの夜に向けて放たれる。
弾を撃ち終え消えていくマスケット銃。マスケット銃は絶えることなく召喚されていき、弾丸を撃ち続けた。
ワルプルギスの夜の防御結界は瞬く間に崩壊。ワルプルギスの夜には防御も反撃も許されない。

ほむら「こんなに銃を出してたらとっくに魔力が底をついてるはず」

杏子「おいおい強いとかそういうレベルか、これ? 同じ魔法少女とは思えねー」

QB「気になるかい、マミがなぜあそこまで強いのか」

ほむら「インキュベーター……どういうことなの」

QB「魔法少女としての潜在力は、背負い込んだ因果の量で決まってくる」

QB「理由は分からないが、彼女はとても巨大な因果を背負っているようだね」

ほむら「!」

杏子「さっぱりわかんねーよ」

ほむら(因果の量……まさか?)

QB「まぁおそらく、暁美ほむら。君が関わっているのだろうね」

ほむら「そう思う根拠は?」

QB「君の能力は時間に干渉する類のものだろう。これまでの行動から考えてね」

ほむら「えぇ、その通りよ」

QB「そしてその能力を用いて、過去にでも干渉したのだろう」

QB「その結果、個人が持つには大きすぎる因果を背負うことになったんだね。巴マミと、鹿目まどかは」

ほむら(なるほど。でも、それってつまり……)

ほむらたちが話してる間もマミの攻撃は止まない。
ワルプルギスの夜は、もはや誰が見ても死に体だ。

マミ「もう十分かしら。そろそろとどめを刺してあげるわ」

マミはワルプルギスの夜に匹敵する巨大な大砲を繰り出す。

マミ「最終(ティロ)――」

それは一瞬、しかし大きすぎる隙だった。ワルプルギスの夜が起死回生の反撃に出る。

マミ「え?」

ワルプルギスの夜の魔力がマミの身体を貫こうとする、その時。

ほむら「時間停止」

ほむら「あなた、相変わらずツメが甘いわね」

マミ「暁美さん……」

ほむら「さっきまでのように弾幕を張ってるだけで倒せたのに。カッコつけて死んだりしたら笑えないわよ」

ほむら「でも、時が止まった今ならどんな攻撃をしようが問題ない。頼むわよ」

マミ「えぇ。分かったわ」

マミ「さようならワルプルギスの夜。あなたはこの世界に居てはいけない」

マミ「それが運命石の扉の選択よ。最終砲撃(ティロ・フィナーレ)!」

マミの大砲が放った巨大な弾丸は、ワルプルギスの夜を欠片ひとつ残さずに塵へと返した。

マミ「――終わった」

杏子「アタシは必要だったのかねぇ、これ」

ほむら「マミがここまで強いなんて思ってなかったのよ」

マミ「ふふ、ありがとう。佐倉さんは倫太郎たちを守ってくれてたじゃない」

杏子「ま、まぁな」

さやか「マミさんすっごくカッコ良かったです!」

まどか「銃をたくさんだしたところとか、すごかったです」

岡部「よくやった、マミ。さすがは我が弟子だけのことはある」

マミ「みんな、ありがとう。でも、少し疲れたわ……」バタッ

岡部「マミ!? おい、しっかりしてくれ!」

杏子「疲れて寝ちまったんだろ」

ほむら「確かに今は気絶してるだけ。でもこれでは、いずれ世界は滅んでしまう……」

岡部「どういうことだ!」

QB「鹿目まどかと巴マミの二人は、巨大な因果を背負っている。個人が背負うにはありあまるほどのね」

岡部「何の話をしているんだ」

QB「魔法少女としての潜在力は、背負い込んだ因果の量で決まってくる」

QB「そして、潜在力が優れていればいるほど強大な魔女になる」

QB「なぜそんなにこの二人は大きな因果を背負っているかというとね……」

ほむら「私が……過去に戻ったせいよ」

岡部「!!」

ほむら「すべて、私のせい。本当に、ごめんなさい」

ほむら「私がまどかを助けるという思いで何回も何十回も過去に戻ったから……!」

まどか「ほむらちゃん……」

岡部「間違ってるぞ、助手」

岡部「その理屈でいけば、マミに巨大な因果を背負わせたのは俺だ」

ほむら「過去に戻るしかないわね……」

杏子「チクショウ、これで終わりなのかよ」

さやか「なんなのよ、魔法少女って、魔女って!」

まどか「でも、過去に戻ったらどんどんわたしとマミさんが強くなっちゃうんじゃ」

ほむら「現状で既にとんでもな能力になってるから、おそらくこれ以上強くなっても今とさほど変わらないわ」

ほむら「……過去に戻るわ、次のループで悲しみのない世界に辿り着いてみせる」

ほむら「時間遡行」

ほむら「?」

ほむら「????」

岡部「どうした、助手」

ほむら「時間が、巻き戻らない」

全員「!?」

ほむら「どういうことなのよ! 今動かなきゃいずれ世界が滅んでしまうというのに……」

ほむら「動け、動け、動きなさいよ!」

ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「キュゥべえ、あんた何とかしなさいよ!」

QB「ボクにはどうすることもできないよ」

QB「この星は滅んでしまうけれど、二人のどちらかが魔女になることで宇宙は救われる」

QB「ありがとう、みんな」

杏子「テメェ……ブチ殺す!」

岡部「時が戻らなくてもまだ希望はある」

ほむら「何を……無責任なこと言わないで!」

岡部「おいおい、俺は一度足りとも無責任なことを言った覚えはないぞ?」

マミ(それは嘘ね)

さやか(嘘だね)

杏子(嘘だな)

岡部「何か周囲の視線がキツいが……まぁいい」

岡部「極上の癒しが魔女になったときとは決定的に違うこと、それはまだ時間が残されているということだ」

ほむら「いつかは分からないけれど、いずれ滅びはやってくるのよ」

岡部「おいおい助手よ。俺を誰だと思っている?」

岡部「我こそが狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!」

岡部「魔法少女? 魔女? 所詮宇宙人が作ったものではないか」

岡部「時間を操り、神をも冒涜した俺にとっては宇宙人など塵芥同然よ」

岡部「魔法少女や魔女のすべてを、我が科学の力で解き明かしてくれるわ! ヌワーハッハッハッハ!」

数年後――


岡部「ようやく、完成した」

ほむら「人工グリーフシード……本当に完成するなんて」

岡部「言っただろう、俺は狂気のマッドサイエンティストだと。不可能なことは何も無いッ」

ダル「そうそう、自意識過剰ってレベルじゃねーぞ」

紅莉栖「HENTAIの言うとおりよ。私がいたから作れたの。岡部一人じゃ絶対に無理」

岡部「わ、わかっている。こいつが完成できたのは優秀な我が右腕と助手と助手二号、精鋭戦闘員、そして我が弟子が居てくれたおかげだ」

紅莉栖「助手二号は愛人二号みたいだからやめろと何度言えば……」

杏子「だーれが戦闘員だ! 変な名前つけんじゃねぇ!」ゲシゲシ

ダル「佐倉氏に踏まれるとかなんというご褒美。オカリン絶対に許さない、絶対にだ」

岡部「ゴホンゴホン、ダルの嫁探しはそれぐらいにしてもらおう」

岡部「さぁ弟子よ。この人工グリーフシードを使うがいい!」

マミ「ウフフ、ラジャー♪」


マミ「ソウルジェムの濁りが、消えていく……」

岡部「ククク、フハハハハハハッ! 宇宙人敗れたりィ! 我ながら自分の才能が恐ろしくなってくるわ!」

マミ「やっと、普通の生活に戻れるのね……」

岡部「マミ……」




ほむら(私たちは席を外しましょう)

紅莉栖(そうね)

クリスティーナいたんだ

岡部「やっとだ。やっと俺は、お前を救うことが出来た」

マミ「倫太郎……」

岡部「もう離さんぞ、絶対にな」

岡部はマミを思い切り抱きしめ、マミの唇に自分の唇を重ねた。

マミ「んっ……」

岡部はマミの唇に自分の舌を入れる。
マミは入ってきた岡部のそれを受け入れ、自分の舌と絡め合った。

さやか(あ、あれが大人のキスってやつか……すごい)

紅莉栖(こ、これだからHENTAIは困るのよ!)

杏子(なんかこっちまでドキドキするじゃねーか)

まどか(わたしたちのぞいてていいのかなぁ)

ダル(とかいいつもガン見している鹿目氏であった)

ほむら(まどかの真っ赤な顔……食べてしまいたいわ)

ガタッ

さやか(あ、やばっ!)

岡部「!」

マミ「!」

マミ「み、見られちゃったわね……」

岡部「覗きとはいい趣味ではないかキサマら」

さやか「これはその……そう、ダルさんが言い出したんだよ!」

ダル「ちょ、美樹氏wwwww」

紅莉栖「これだからHENTAIは困る」

岡部「ダル後でボコす」

杏子「なーむー」

ダル「ちょ、冤罪ってレベルじゃねーぞ」



「やぁ、久しぶりだね」

岡部「インキュベーター……」

ほむら「残念だったわね、もうあなた達の計画は完全に潰えたわ。人工グリーフシードによって」

QB「そうだね。でも、あの計画はもう必要ないんだ」

杏子「必要ない? 今まであんなことしてきて、よく言えるじゃねぇか……えぇ!?」

まどか「杏子ちゃん、落ち着いて」

QB「まさかグリーフシードを産み出してしまうとはね。君たちには驚きを禁じ得ないよ」

QB「その叡智を持ってすれば、いずれ地球人はこの宇宙で起きているエネルギー問題すら解決してくれる」

QB「ボクたちはそう判断した。もう地球からは手を引かせてもらうよ」

QB「じゃあね、みんな」

さやか「いっちゃった……」

杏子「クソッ、言いたいことだけ言って逃げやがって」

マミ「でもキュゥべえがいなかったら、私はあの時死んでいたのよね。助けてくれたことには感謝してるわ」

岡部「そうか。こうしてマミと話すことすらできなかったのか……ならば少しぐらい感謝してやろう」

ほむら「私はどうなってたのかしら、もしアイツがいなかったら」

まどか「キュゥべえがいなくても、わたしとほむらちゃんはお友達になれたと思うよ」

ほむら「まどか……えぇ、そうね」

まどか「みんな、写真でも取らない?」

岡部「そいつはグッドなアイディアだな。鳳凰院凶真、人工グリーフシードの製造に成功! ウム、実に歴史的な瞬間である」

紅莉栖「あら、論文でも書いて発表するつもりかしら?」

岡部「フッ……まさか。そんなことをしたら"機関"の連中に嗅ぎつけられてしまうであろう」

ダル「論文書いたところで妄想乙!で終わりそうじゃね」

さやか「妄想はオカリンの十八番だしねー」

杏子「岡部=妄想だな、うん」

マミ「倫太郎はとうとう存在自体が、妄想という名の上位存在になったのね……」

岡部「この仕打ちはいつまで続くのだろう……誰か教えてくれ」

岡部「よし、撮るぞ。タイマーセット、と……間に合えぇええええ!」

紅莉栖「ちょっと、何でそんな勢いで走ってくるのよ!」

岡部「あと5秒ぐらいでシャッターが切れる設定だからだ!」

ほむら「タイマーもう少し長くすればいいだけじゃない……」

杏子「全くだ。わけわかんねー」

岡部「長くしたらスリルを味わえないではないか」

さやか「写真撮るのにスリルなんかいらないでしょ」

まどか「わわわ、止まってぇ!」

ダル「あぁ、時が見える……」

どんがらがっしゃーん

岡部「ククク、これで非日常的な写真が撮れたに違いない……ってなんだ、この感触」ムニムニ

まどか「きゃああああああああああっ!」

ほむら「まどかの可愛らしいお尻を揉むなんて、いい度胸してるじゃない岡部倫太郎!」

さやか「あっちゃー」

杏子「こりゃ確かにスリル満点だな」

ダル「オカリン、お前のことは忘れないぜ」

紅莉栖「岡部に敬礼!」

マミ「倫太郎ってば……あら?」

マミ「どんがらがっしゃーんってなる前にシャッターが切れてたのね」

マミ「みんな素敵な顔で写ってるじゃない。さすが倫太郎ね、ウフフ」

マミ「これが現像する機械よね……えぇと、これでいいのかしら?」

岡部「ぐぼああああああ! 死ぬ死ぬ死ぬ!」

さやか「マミさーん、ほむらがマジでやばいですよ!」

杏子「おお、岡部の顔が真っ青になってんぞ!」

マミ「やれやれ、私の旦那さんにも困ったものね」

紅莉栖「マミ、ちょっとシャレにならないことになってるわよ!」

マミ「今行くわね」

マミが岡部たちの方へ走り出した時、機械からみんなの写真がはらりと宙を舞って床に落ちた。



おわり

スレ立てから12時間近く立っている。読んでくれた人サンクス。ここまで量が多いと何時から投下を始めるべきか難しい
後日談というか、>>151あたりでほむらを止められずにまどかとかが旅行へ行くことになっちゃう話は途中まで書いてあるが、ギブアップ
平日なんだぜ、今日……

補足:紅莉栖は人工グリーフシード製作に挑んでる数年の間にラボにきた


ただ、>>1の生活が心配

マミ「弟子って呼ばれたの、何年ぶりかしら」

さやか「今では熱々カップルですからねぇ、お二人さん」

ほむら「そういうあなただって上条恭介とよろしくやっているんでしょう」

さやか「あはは。まぁそうなんだけどさー」

杏子「ほむらはまどかとどうなの、最近」

まどか「きょ、杏子ちゃんってば……」

ほむら「まどかったら照れちゃって、かわいいわ」ホムホム

杏子「何気にさ、相手がいないのってアタシと紅莉栖だけじゃね?」

ダル「ちょwwwスルーされてるしwwwwww」

マミ「橋田さんと佐倉さん、橋田さんと牧瀬さん……どっちがいいかしら」

ダル「その発想はなかった。リア充フラグキタコレ」

さやか「あたしはダルさんと杏子がいいと思うな」

杏子「絶対にお断りだ!」

まどか「わたしは紅莉栖さんのほうがいいと思うなぁ。二人ともすごく頭よさそうだし」

紅莉栖「私もこんなHENTAIは願い下げよ」

              .,-'''''~~~ ̄ ̄~~''' - 、
 \      ,へ.人ゝ __,,.--──--.、_/              _,,..-一" ̄
   \  £. CO/ ̄            \       _,,..-" ̄   __,,,...--
      ∫  /         ,、.,、       |,,-¬ ̄   _...-¬ ̄
 乙   イ /    /   ._//ノ \丿    ..|__,,..-¬ ̄     __,.-一
      .人 | / ../-" ̄   ||   | 丿 /  ).  _,,..-─" ̄   ._,,,
 マ    .ゝ∨ / ||        " 丿/ノ--冖 ̄ __,,,,....-─¬ ̄
        ( \∨| "  t-¬,,...-一" ̄ __--¬ ̄
 ミ  ⊂-)\_)` -一二 ̄,,..=¬厂~~ (_,,/")

     .⊂--一'''''""|=|( 干. |=| |_      (/
   /  ( /      ∪.冫 干∪ 人 ` 、    `
 /      )         ノ '`--一`ヽ  冫
                 く..          /
                .  ト─-----イ |
                  ∪       ∪

なんで初めの3回だか4回ほむらが時間巻き戻した時にオカリンのリーディングシュタイナー発動してないの?
ご都合展開やしませんか

>>314について書く

ほむら4回目のループ――

ほむら「これが今まで私が体験してきたことよ」

まどか「わたしが魔法少女になって、魔女になって……世界を滅ぼす」

ほむら「だから、あなたは魔法少女になっては絶対に駄目」

まどか「でも、そのワルプルギスの夜に勝てなかったら、見滝原はなくなっちゃうんだよね」

まどか「ううん、見滝原だけの問題じゃないよ。そんなに強い魔女がいたら、世界が滅んじゃう気がする」

まどか「つまりどっちに転んでも……」

ほむら「そうね。そこは、私を信じてとしか言えない」

ほむら「何度過去を巻き戻してでも、必ず私がなんとかしてワルプルギスの夜を倒す」

ほむら「って、この言い方じゃまるで今回は勝てないような言い方だったわね」

ほむら「今回、やつを倒して見せるわ」

まどか「ほむらちゃんなら、できるよ」

ほむら「ありがとう……まどか」

まどか(ごめんほむらちゃん。今、少し嘘ついた)

まどか(今のままだと何度時間を巻き戻してもだめな気がする)

まどか(わたしが魔女になってもならなくても、世界はなくなっちゃう)

まどか(それならいっそ、魔法少女になる時の願いを使ってほむらちゃんを手助けしてあげたい)

ほむら「今回も、駄目なの!?」

ほむら「ワルプルギスの夜、どうすればこいつを……」

ほむら「あれは、まどか!? 隣にいるのはインキュベーターね」

ほむら「こんな危険な所に連れて来るなんて……私が戦う様子を見せつけて契約を迫るつもりね」

ほむら「本当に汚い奴。これは、絶対に負けられない」

ほむら「時間を止めて、残った武器を一斉に放ってやるわ」

ほむら「はあああああ!」

ほむらはありとあらゆる武器をワルプルギスの夜目掛けて放った。
時間が再生された瞬間、ワルプルギスの夜を無数の銃弾や砲弾、爆発が襲う。
爆風が前で見えない。いくら奴でもこれなら……。
爆風の中からワルプルギスの魔力がほむら目掛けて放たれ、彼女の身体を貫いた。

ほむら「ガハッ……」

こんなことで終わる筈がない。そんなことは分かってるのに、何をやっているのよ私は……!

QB「仕方ないよ。彼女一人では荷が重すぎた。でも、彼女はそれも覚悟の上だろう」

QB「諦めたらそれまでだ。でも、君なら運命を変えられる」

QB「避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい」

まどか(キュゥべえって本当に口が上手だよね。人の弱みにつけこんでいけしゃあしゃあと……)
QB「そのための力が、君には備わっているんだから」

まどか(でも今はその力に頼るしか、未来を変える方法はない)

まどか「わたしに叶えられない願いはないんだよね?」

QB「もちろんさ。だから僕と契約して魔法少女になってよ!」
まどか「分かった。契約するよ」

ほむら「そいつの話を聞いちゃ駄目ぇえええ!」

まどか「わたしの願いは――」






まどか「ほむらちゃんみたいに時間に干渉できて、かつほむらちゃんに協力してくれるような人を見滝原に存在させること」

QB「わけがわからないけど、契約は成立だ! 君の祈りは、エントロピーを凌駕した」

QB「さあ、解き放ってごらん。その新しい力を!」

岡部「なぜ最初の4回のループの記憶がないか疑問だったが、なるほどな」

岡部「本来俺は見滝原に存在しない人間だったわけだ」

紅莉栖「岡部はその願いによって一から作られたのかしら」

紅莉栖「それとも、別の場所に住んでいた岡部を見滝原に住ませるようにしたのかしら」

岡部「後者ならリーディング・シュタイナーが発動するだろう。おそらく前者だ」

ダル「オカリンは生まれた時から厨二病になる才能があったんですねわかります」

まどか「今考えると、わたしとんでもないことやってるよね。勝手に命生み出したりして……」

岡部「なにをしょぼくれているのだ極上の癒しよ。キサマは全力を尽くした、それだけだ」

岡部「キサマがいなければ俺はマミと会うことすら出来なかったしな」ワシャワシャ

マミ「そうよ、倫太郎がいなけろば私……」

ほむら「岡部はさりげなくまどかの頭をワシャワシャしないでくれるかしら」

岡部「女の嫉妬は見苦しいぞ、助手よ。悔しかったら実力で止めてみるがいい」

ほむら「今の言葉、よく覚えておきなさい」

岡部「フゥーハハハッ! 御託はいいからかかって来るがいい!」


おわり

まどかベースの話だからシュタゲのネタバレはたいしたことない、たぶん
最初はオカリンとマミさんが厨二病しまくるだけの話にする予定だったんだが、いつの間にか別物になっていた
これも運命石の扉の選択か――エル・プサイ・コングルゥ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月20日 (金) 15:36:38   ID: 5Ziz-Gyw

シュタゲの世界観ではタイムリープでは未来は変えられないから、パソコン魔女は倒せない…ってのはまあマギカ世界観重視ってことで問題ないけど、そもそもリーディングシュタイナーは未来の記憶読み取れない。
根本的にシュタゲ世界観のリーディングシュタイナーとは別の能力ってことになる。
それに目を瞑ったらかなり面白かった。

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