田中「斎藤と俺の身体が入れ替わって数ヶ月が経過」 (356)

自転車に乗りながら球場の外を走っていた俺は

球場の外でランニングしていた斎藤とぶつかり

気が付くと、俺達の身体は入れ替わっていた

俺は元の身体に戻る方法を探しつつ

斎藤の身体を借り日ハムのメンバーとしてシーズンを戦う事になったのだが…

栗山「交流戦に突入して今日からは甲子園で阪神戦だ」

黒木「藤浪投手にいきなり斎藤をぶつけるんですね」

栗山「ああ、今の斎藤なら何とか対抗できるだろう」

黒木「大谷と藤浪の対戦だけでもファンは歓喜しますからね」

栗山「うむ」


―甲子園―

藤浪「斎藤さん、よろしくお願いします」

試合前、藤浪が今日先発の俺に挨拶をしてきた

斎藤「ああ、こちらこそ」

斎藤(田中)は軽く会釈をして大嶋とのキャッチボールを再開

大嶋「やっぱ生で見るとすげぇ身長高いっすね!」

斎藤「大谷が193?で藤浪は確かに197cmぐらいだしな」

大嶋「あんなに身長が高い投手なんて日本にそういないですよ!」

「9番…ピッチャー藤浪」

ワアアアアアアアアアアアア!!!!!

甲子園に藤浪の名が呼ばれると

全体からタイガースファンの大歓声が鳴り響いてきた

まるで地響きのような歓声である

ズドドド

斎藤(甲子園で投げるのも久しぶりだな)

栗山「大谷、今日は3番でライトだ」

大谷「はい」

「1回の表…ファイターズの攻撃は1番センター陽」

陽「さぁ、行くヨォ」

藤浪「フゥッ…」

藤浪は指についたロージンの粉にフッと強く息を吹きかけた

審判「プレイボール!!」

実況「さぁ!今日はここ甲子園で斎藤vs藤浪の投げ合いが繰り広げられます!!」

実況「斎藤は前回、巨人のエース菅野投手との素晴らしい投げ合いを見せてくれました!」

実況「解説さんは藤浪のピッチングどうご覧になられますか?」

解説「そうですね、2年目に入りましたがまだ投球の粗さというのは残っていますが」

解説「やはり彼の最大の特徴といえば、ピンチの時の要所要所のピッチングですからね」

実況「資料にもランナーを背負う程、被打率が低いとのデータが出ています!」

解説「2年目とは思えない投球をしますよね」

藤浪は大きく振りかぶり

長身独特のインステップ投法から第1球が放たれた

ズバンッ

審判「ストライクーッ!!」

150km

実況「ああーーーー!!っと!1球目で150kmを叩きだした藤浪!!」

解説「インステップ投法ですから右バッターは非常に打ちづらいですね」

実況「藤浪はインステップ投法と呼ばれる股関節が3塁に向いているのに上半身はホームプレート方向に向いているという」

解説「右打者からしてみればこっちに突っ込んで来るんじゃないかと思う恐怖心も芽生えますよ」

実況「1年目から身体の負担がかかるためインステップについては色々と議論がなされていましたからね!」

陽(ストレートがシュート回転してる…)

斎藤「藤浪のストレートは確かナチュラルでシュート回転するって…」

黒木「ああ、それが彼の武器でもある」

清水(ようし、良い球だ…)

実況「藤浪!清水のサインに頷き第2球を投げました!!」

陽「…!」

ズドンッ

審判「ボール!!」

実況「おっと!藤浪力んだか、ボールは真ん中高めに浮きました!」

解説「まだ、やはり制球の点では課題が残っていますね」

藤浪は先頭打者の陽にフォアボールを与えてしまった

「バッターは…2番ライト村田…」

実況「ノーアウト1塁!左打席に村田が入ります!」

栗山(藤浪は左打者を苦手としている、ここは村田の判断に任せよう)

大嶋「いきなり四球出しましたし、案外打てそうですね!」

斎藤「いや…藤浪という投手はピンチを迎えればより投球内容が良くなる」

実況「藤浪!1塁の陽をチラッと見ました!」
ビシュッ

陽「…お!」

藤浪はすぐさま1塁に向かって牽制を投げた……が

新井「…!!」

実況「あああーーーっと!藤浪の牽制球が新井のグラブの下を通過!」

牽制球のミスの間に1塁の陽は悠々と2塁に到達

ズサァッ

ワァァァァァァ!!!

このプレーに両観客席からざわめきが起きる

実況「ノーアウト2塁にチャンス拡大!藤浪は逆にピンチを迎えることに!」

そして藤浪は2番村田に対し1ストライク2ボールとし

置きに行ったアウトコースのストレート綺麗にレフト前に弾かれる

実況「村田レフト前ヒット!!2塁の陽は3塁でストップゥ!!」

解説「ノーアウト1、3塁…大きなピンチですね」

藤浪「…はぁ」

実況「早くも1度阪神内野陣が藤浪の下へ集まります!」

西岡「落ち着け、落ち着け。まだ1回の表や。」

藤浪「今日のライトって今成さんですよね」

鳥谷「ああ」

藤浪「じゃあ、今成さんのとこに打球飛ぶようにしてみようかな」

西岡「そういえば前に今成のエラーの物真似してたな」

藤浪「僕、あれすごく好きなんですよ」

新井(うわぁ…)

実況「っと、マウンドの藤浪ピンチを迎えながらも笑顔です」

実況「さぁ、集まった内野陣が元の定位置に戻ります!」

「3番・・・・・・ライト大谷」

ワアアアアアアアアアアアアア

実況「今日早くも大きな山場を迎えております藤浪!!」

解説「バッターは大谷くん、非常に楽しみな対決ですね」

大谷「…」

藤浪(去年の交流戦の時には2本もヒットを打たれてる)

藤浪(その借りはキッチリと返す)

スッ

藤浪の目の色が変わる

ピンチを迎えることによって彼の本来の投球スタイルが蘇る

ズドンッ

審判「ストライクーーーー!!バッターアウトォ!!」

実況「なんと藤浪、3~5番のクリーンナップを三者連続三振で抑えました!」

解説「これが彼の持ち味ですよ」

栗山「くぅっ…大谷、アブレイユ、大嶋が連続三振…!」

実況「藤浪!この回ピンチを迎えましたが見事に無失点で切り抜けました!」

大嶋「じゃ、行きましょうか」

斎藤(姿違えど俺の魂は田中のままだ、後輩に負ける訳にはいかん)

実況「さぁ!マウンドにはかつての甲子園優勝投手斎藤が!!」

「1番、セカンド西岡」

西岡「さぁ、行くで」

実況「バッターボックスには西岡!観客席から大歓声が送られます!」

斎藤(足もあるし塁には出したくはない)

大嶋(好きな所に投げて下さいよ~…)

斎藤が振りかぶり西岡に対して第1球を投げた

ビシュッ

西岡「…!」

コンッ

大嶋「セーフティ…!?」

実況「西岡!!初球セーフティバント!!」

ボールは捕手の大嶋と投手の斎藤の丁度真ん中辺りに転がった

コロコロ

大嶋「斎藤さん!!!俺が刺します!!」

大嶋は転がったボールを右手で鷲掴み1塁へ送球

実況「大嶋の肩が勝つか!!?西岡の足か!!?」

西岡「…っ!!」

ズサァッ

西岡は頭からヘッドスライディングをし1塁へ滑り込んだ

審判「…セーーーーーフッ!!!!」

実況「西岡!!!頭から滑り込み1塁セーフの判定です!!」

解説「ヘッドスライディングは危険なんですけどね」

西岡「っし、別に顔ぐらい傷ついても…勝つためなら大したことない」

「宇宙戦艦ーヤーマート…!」

実況「続いて2番の大和がバッターボックスに!!」

斎藤「嫌なランナーを出したな…この場面なら送りバントも警戒しないとダメだ」

和田監督(スッ)

大和「送りバント……か」

斎藤が第1球を投げると打席の大和はバントの構えを見せた

斎藤「…きた!!」

斎藤は全力疾走で前に飛び出るがバットを1度引く大和

ズバンッ

審判「ストライクッ!」

実況「大和!バットを引きましたがコースがストライク!」

大和「…」

2球目、同じようなコースにボールを投げる

ビシュッ

大和「次こそ…!」

コツンッ

バントをしたが打球は1塁線を切れた

審判「ファール!!」

実況「大和!バントが上手く決まらずツーストライクまで追い込まれました!!」

実況「3球目!斎藤が投げた!」

ビシュッ

コツンッ

大和「…あ」

大和はバントの構えのまま小フライを打ち上げ

キャッチャーの大嶋が飛びついて捕球

審判「アウゥト!!」

実況「大和バント失敗ーーーー!!!」

バットを叩き付け悔しがる大和

次いで3番の鳥谷がバッターボックスに入った

実況「続いて鳥谷が打席に入ります!ここまで四球数セリーグトップです!」

解説「非常に選球眼の素晴らしい選手ですからね」

2ストライクノーボールと投手有利なカウントであったが

なぜか四球を出してしまった斎藤

審判「フォアボール!」

斎藤「くっ…2ストライクまで追い込んでたのに…」

大嶋「次の4番マートンに集中しましょう」

斎藤「…ああ」

実況「4番マートン、ここ5試合で19打数15安打と絶好調です!!」

斎藤(1アウト1、2塁…抑える……絶対に…)

ビシュッ

斎藤「…あ」

マートン「…!」

パキーンッ

スライダーを投げたがほぼ真ん中に入ってきたため

絶好調のマートンはそれを見逃さず初球から振り抜いた

実況「マートン!!マートンの大きな打球は!!!打球はレフトスタンドへーーーー!!!」

ワアアアアアアアアアアアアアアア!!

実況「甲子園大歓声!!!初回、斎藤からマートンの一振りで3点を奪い取りました!!」

西岡「ウェァァァァァァァァイ!!」

実況「そして!ベンチの前ではファンに対する感謝の気持ちグラティを決めました!!」

西岡「グラティィィィ!!!!」

関本「グラッティッ!!!!」

斎藤「……悪い大嶋、失投だ」

大嶋「いえ…初球スライダーなんか要求した俺が…」

斎藤「…甲子園のこの雰囲気…もう1人敵がいるみたいでいつ投げてもやりにくい」

斎藤「敵は選手だけじゃないってことだ」

大嶋「…うっす」

斎藤(3点…きついな……)

斎藤が藤浪と投げ合っている最中

神宮球場では…

田中「フゥッ」

楽天vsヤクルト

先発投手は田中(斎藤)vsライアン小川であった

両者投げ合って3回までは両方ともノーヒットピッチング

「3回の裏……ヤクルトの攻撃は……4番レフト…バレンティン」

バレンティン「カモーン」

打席には昨シーズンの本塁打、首位打者バレンティン

田中(球速が150kmを出なくなった…身体が入れ替わっていい気になってたけど…)

田中(田中の身体を僕が同じように扱うのは無理だったんだ…)

バレンティンへ投げた初球のストレートが高めに浮き

パコーンッ

嶋「…!!」

星野「…チッ」

実況「バレンティンの打球は場外にへと消えていったーーーーー!!!」

小川「ナイス、バレンティ~ン」

実況「今日好投を続ける小川に1点の先制点をプレゼント!!」

田中「…クソッ……!」

その後もライアン小川が独特のフォームで

4~6回まで無失点に楽天打線を封じた

実況「田中の時はいつも打線が爆発するのですが、今日はその打線が沈黙しています!!」

田中「…」

田中(結局、あの後も3点追加点を取られて合計4失点…)

田中(なにをやってるんだ……僕は…)

しかし、好投を続けていた小川が突然7回のマウンドに上がらず

そのまま降板

松井「小川が降板?なにかあったのか?」

星野「さっき、6回終わった時に右太もも手で触ったりして気にしてたから」

星野「大事取って、今日はここで降板なんやろ…」

銀次「だとすれば2番手に上がる投手って一体誰が……」

「ピッチャー小川に代わりまして………由規」

実況「2番手投手はなんと昨シーズン怪我に悩まされた由規です!!」

スタスタ

由規はゆっくりとマウンドに上がった

田中(由規…俺達の1つ下の世代で、甲子園でも投げてたあの投手か…)

相川「投球練習してみてどうだ?」

由規「大丈夫です、今はこの舞台に再び立つことが出来たことに感謝してます」

相川「…そうか、遠慮せず思いっきり投げてこいよ。4点勝ってるんだし。」

由規「はい!」

田中(去年は怪我をしてほとんど登板機会がなかった…そんな彼がまたマウンドに上がるなんて…)

田中(……甲子園……僕は……確かにあの場所で……)

由規「…」

実況「由規!!大きく振りかぶって第1球を投じます!!」

ビシュッ

ズドンッ!!!

審判「ストライクーーーッ!!!」

由規が投じた第1球目のストレートはど真ん中に決まり

スタンドの電光掲示板には160kmと表示されていた

ワァァァァァァァ!!

田中「160……!?」

実況「決まったァァ!!初球160kmの最高級ストレートが決まりました」

解説「素晴らしいストレートですね」

田中(……僕も……僕だって……負ける訳にはいかないんだ…)

実況「躍動のピッチング由規…!」

実況「長い雨の中、ようやく1羽の燕がここ神宮に舞い戻ってきました!!」

……



一方、甲子園は既に6回まで進んでいた

実況「藤浪!ランナーを出しながらもここまで日ハム打線を無失点に抑えています!」

解説「斎藤くんも初回の3点を取られてからは失点はしてませんよ」

「6回の表、ファイターズの攻撃は…5番キャッチャー大嶋…」

「オオッシッマ!!オオシッマッ!!シャァシャァ!!」

大嶋「…まだ藤浪から点が取れてない……俺がなんとかして…」

栗山(大嶋はこの試合の結果次第で降格も有り得る)

大嶋は打席に入り大きな声を上げた

大嶋「お願いしァァシャッスッ!!!!!!!!!!!!」

斎藤「GANTZ....?」

大嶋「さぁーー!!俺が突破口を開くっすよ!!!」

斎藤「…ここまで全打席三振…か」

稲葉「やはり、まだ打撃能力は1軍レベルに到達してないかもしれない」

稲葉「だけど俺は大嶋くんを信じてるよ」

斎藤「稲葉さん…」

稲葉「彼が1軍に上がってからベンチの雰囲気も良くなったからね」

大嶋「来い!!!!」

藤浪(燃えて来るなぁ、ああいう人がバッターだと)

清水(精度が上がって来たフォークを使ってみるか)

藤浪「コクリ」

実況「藤浪!清水のサインに頷き第1球を投げた!」

ククッ

大嶋「…ウォァッ!!」

審判「ストライクーーーー!!」

実況「大嶋、フォークボールに思わず手が出ました!」

解説「藤浪くんのフォークボール、精度が上がってきてますね」

大嶋「…クッソ~…もう少しで当たりそうなのによぉ…」

斎藤さんにずっと前から聞きたい事があった

でも、それをシーズン中に聞くのは野暮だと思ったから

ひとまず、そのことは今はまだ聞かないでおくっす…

ズバンッ

審判「ストライクッ!!!」

実況「あーーー!っと!大嶋簡単に追い込まれました!」

大嶋(斎藤さん…あんたは俺をどん底から救済してくれた…)

???「復活したのは、お前だけじゃない。花巻東の名にかけて」

清水(ボール球は良い、このままインコースのカットボールで仕留めよう)

藤浪「…」

スッ

ビシュッ

大嶋「…そんなあんたを負け投手にする訳にはいかねぇんだよ…!!!!」

カキーーーンッ!!!

藤浪「…!?」

清水「あのカットボールを捉えた…!?」

ベンチにいた斎藤も思わずベンチから飛び出た

大嶋の打球は高く、高く舞い上がり

センター大和の頭上を襲った

実況「センター大和、バック…!バック!風はあります!!」

斎藤「…いけ…!頼む……!!」

清水「だ、大丈夫だ…!風のせいで押し戻されるはずだ…!!」

実況「大和まだバックします!!まだバックします!!」

大嶋「行けェェェェーーーー!!!俺の打球ーーーーー!!!!!」

ガシャンッ

実況「…せ、センターのフェンスに直撃!!!!」

大嶋は慌ててバッターボックスを飛び出した

大嶋「クソッタレ…!!!」

センターの大和はフェンスに直撃し転々としているボールの処理に急ぐ

ダッタダッタ

巨体を揺らしながら大嶋は1塁を蹴って2塁へ

斎藤「お、大嶋ーー!!無理するな!!」

稲葉「センターの大和くんの守備力を考えるとギリギリのプレーになるぞ…!」

俊足大和がすぐさまボールを処理し大嶋が目的地としている

2塁にへと返球

シュッ

大嶋「うがああああああああああああ!!!!!」

大嶋は2塁ベースの手前から身を投げ出し頭から2塁ベースに滑り込ませた

セカンドの西岡がボールを受け取りすぐさま大嶋にタッチを狙う

ズサァァァァァッ

審判は両手を広げ

審判「セーーーーーフッ!!!!!!」

ワァァァァァァ!!!!

斎藤「よっしゃー!よくやった大嶋ァ!!」

実況「大嶋の気迫溢れる打撃と走塁に甲子園球場が魅せられました!!!」

2塁ベース上で大嶋は大きく両手でガッツポーズ

大嶋「斎藤さーーーん!あんたに黒星なんかつけさせないっすよ!!」

斎藤「あの野郎…俺が失点したってのに…」

西岡(けっ、俺と似たような走塁しやがって)

大嶋(はぁはぁ……腰が割れそうなぐらいいてぇけど…これぐらい…)

栗山「代打」

実況「ここで栗山監督動きました!!6番アブレイユに代打です!」

解説「アブレイユは今日、藤浪くんにノーヒットに抑えられてますからね」

稲葉がネクストバッターサークルで素振りを2~3度繰り返した

ブンッ ブンッ ブンッ

稲葉「斎藤、俺もお前達みたいな若手の活躍を目の当たりにしたら…ベテランとして居ても立っても居られなくなってな…!」

斎藤「稲葉さん…大嶋のためにも繋いでください…」

稲葉「ああ、ベテランを信じろ」

斎藤にそう言い伝えると稲葉は静かに打席にへと向かう

この時の稲葉の後ろ姿がとても印象的だった

実況「代打…稲葉です!!」

ワァァァァァァァ

小学生「ああ、稲葉選手だ!」

小学生B「なんで稲葉なん…今シーズン打率2割切りそうやん」

小学生「稲葉選手はきっと打ってくれるよ!」

小学生B「うるさい!打たへんわ!」

ボコッ

小学生「うわああああああんん」


栗山「2割を切りそうな打率だが、私はあえて稲葉をこの場面で起用したい」

黒木「なぜです…アブレイユで良かったはずじゃ…」

栗山「ベテランの力を信じてみたくなったのさ」

黒木「監督……」

栗山「賭けてみようじゃないか、ベテランの意地に」

藤浪(稲葉選手…去年以来の対決ですね……)

実況「今シーズンは開幕当初、スタメンで固定されていたのですが」

実況「打率の低迷により最近は代打専門での出場が多い稲葉!」

解説「ベテラン対若手の藤浪くん、楽しみですよ」

藤浪「…」

清水(初球は様子を見てアウトコースに1球外そう)

藤浪は頷きセットポジションに入った

ビシュッ

稲葉は藤浪のストレートを待ち呼び込む

稲葉「俺は……稲葉だ……!」

パァーーーンッ

ストライクかボールの判定が際どいコースの球を

バットの先端でセンター前に弾き返した稲葉

ワァァァァァ!!!

大嶋は2塁を蹴り3塁に到達

稲葉もゆっくりと1塁ベースに到達し

レガースを外した

そして、3塁の大嶋に向かって親指を突き立てた

グッ

大嶋「…稲葉さん!!ナイスバッティングです!」

初めてこの試合で藤浪を攻めたてノーアウト1、3塁とした

実況「若手とベテランの連続ヒットでチャンスを広げました!!」

和田「久保の準備は?」

中西「はい、いつでもいけるみたいです」

和田「よし…2点取られたらリリーフで久保を投入だ」

実況「……藤浪!!7番鶴岡にタイムリーツーベースを打たれ2点を返されました!!」

藤浪「…」

マウンドで汗を拭い首を傾げる藤浪

6回にきて思ったコースに自分の球が投げれないようだ

斎藤(球数が多かったし、さすがに疲れが出て来たか)

8番の中島、9番の斎藤が打席に入る準備をしていた

未だノーアウト2塁

新井「よく投げた藤浪」

藤浪「すいません、思った所にコントロール出来なくて」

実況「藤浪…ここで降板ですかねぇ?」

解説「和田監督の口元を見たら久保って審判に伝えてましたね」

「タイガース、ピッチャーの交代をお知らせします…藤浪に代わりまして…久保」

中島「久保…か」

斎藤(昨シーズンはストッパーに転向したらしいけど中々良い成績は出せなかったみたいだな)

久保「うぃっす、サクッと抑えましょうかw」

西岡「頼みますよ」

久保「俺の投球術で抑え込めれるって(ニッ」

新井「…」

……



実況「ああーっと、久保!8番中島にフォアボール!」

久保「…入ってないのかよ」

実況「審判の判定に笑みを浮かべながら首を傾げます」

解説「際どいコースなんですけどねぇ」

実況「久保!9番斎藤に6球目を投げた!」

カーンッ

ボテボテ

斎藤「…チッ!!」

実況「ああー!斎藤の打った打球はボテボテのサードゴロ!」

解説「ノーアウト1、2塁ならば送っておくべきでしたね」

新井弟「…!!やば!きた!」

新井弟は全力疾走でサードゴロに向かう

実況「新井良!ぼてぼてのゴロを捕球しそのままお兄ちゃんの立つ1塁へ投げました!」

ビシュッ

新井「……あっーー」

新井弟の送球は兄の頭上の遥か上をいった

実況「な、なんと!!新井良!!大暴投です!!」

解説「これはいけませんねぇ」

新井弟「お兄ちゃんごめん!」

実況「新井兄が急いで転がったボールを拾いに行きます!」

実況「その間にランナーそれぞれ進塁!ノーアウト満塁です!!」

久保「…イライラ」

新井弟「ご、ごめんなさい久保さん」

新井「すまん…俺達兄弟のミスでピンチを広げて」

久保「……フフフ…気にしない気にしなーい♪」

新井弟(く、久保さん怒ってる…)

結局、新井の暴投からリズムを崩した久保は

日ハム打線に捕まり3点を失った

日ハム5 阪神3

実況「試合はファイターズがひっくり返しました!!」

斎藤はその後も続投で

6,7,8回と順調に阪神打線を0に抑えゲームを作る

「9回の裏……タイガースの攻撃は…5番ファースト新井」

実況「いよいよタイガース最終回の攻撃です!2点を追いかける状況に!」

大嶋「斎藤さん、あとこの回だけっすよ」

斎藤「ああ、これで阪神戦も制することが出来る」

新井「…俺達兄弟のミスで始まったことだ」

斎藤(今日、新井選手を完璧に抑えれてる…気を緩めなければこの回も…!)

ビシュッ

新井「ピクッ」

審判「ストライクーーーーー!!!」

実況「新井!ど真ん中ストレートに手を出しませんでした!」

解説「あれを振らないと厳しいですよねぇ」

大嶋(まだ9回だけど十分球威はある、いけるっすよ斎藤さん!)

斎藤(次はインコース高めに直球だ)

大嶋(うっす)

ビシュッ

新井はその球を待ってたかのようにフルスイング振り抜く

パキーンンッ!!

新井は打球の行方を見届け

まるでホームランを確信したかのようにバットを高く放り投げた

実況「入ったァァァァーーーー!!!新井兄弟のお兄ちゃんが9回!斎藤の球を捉えソロホームラン!!!」

新井「…(グッ」

実況「新井!片手で拳を突き上げながら1塁ベースをゆっくり回ります!!」

解説「ほぼボールに近いんですが、上手くたたんで振り切りましたよね」

大嶋「…い、1点差…」

斎藤「大丈夫だ…まだ1点差だ……」

「6番今成代りまして…福留」

実況「おおおおーーーっと!!ここで代打福留です!!」

福留「一日一善…!」

和田「この采配がゲームを動かす」

稲葉「斎藤くん、あと3人抑えれば良いだけだ」

大嶋「そうっす!まだ1点差なんですから!」

西川「俺達も全力でお前の後ろを守るから、頼んだぞ」

斎藤「……ありがとうございます、必ず抑えます」

実況「福留が今バッターボックス入りました!」

西岡「年棒相応の活躍してもらわんと」

斎藤(斎藤の身体に入って分かったことがあった)

斎藤(あいつは落ちぶれたりなんかしちゃいない…こんなに素晴らしいチームにいるんだ)

斎藤(甲子園で俺に投げ勝ったのも、あいつの努力と実力のお陰だ…マグレなんかじゃない)

ビシュッ

ズバンッ

審判「ストライクーーーーー!!!」

福留「くっ…今のには手が出ない」

パァーーンッ

実況「福留!!斎藤のチェンジアップを引っ張ったァ!!!」

斎藤「しまっ……」

バシィッ!!

稲葉「この塁は踏ませんぞ…」

審判「アウット!」

実況「…!!1塁稲葉の横を強烈なヒット性のライナーが襲いましたがガッチリ捕球!!」

解説「ヒットでもおかしくない当たりでしたけど、稲葉くんがよく捕りましたねぇ」

福留「くーっ、まぁヒットに近いから良いだろう」

実況「1アウトを取りました斎藤!次は7番の清水です!!」

斎藤(あとアウト2つ……)

ズバンッ!!

審判「ストライーーーーック!!!バッターアウト!!」

実況「斎藤!!清水を三振に切って取りました!今日7個目の三振!」

実況「勝利まであとアウト1つです!!」

小学生「うわああー!斎藤選手あと1人だー!」

小学生B「クソッ…なんで斎藤が…!」

スコーンッ カコーンッ

4本のマスコットバットをネクストバッターサークルで振り回す

斎藤「いよいよ、後1人……」

「バッターは8番…サード新井良…」

ワアアアアアアアア!!!

実況「再び甲子園のタイガースファンが地響きのような歓声を起こします!」

新井弟「…お兄ちゃんの仇を俺が討つ」

実況「新井ブラザーズ!今日は何かをやってくれそうな気がします!!」

実況「お兄ちゃんがホームランを打った日には弟も黙ってはいられません!」

兄がホームランを打った日の新井弟の打率は6割超

実際この試合も打点には絡まなかったが3打数3安打(うち2塁打1つ)

実況「そうです…!タイガースにはまだこの人がいます!!」

大嶋「あとアウト1つっすけど…1発のある怖いバッターが残ってましたね…」

斎藤「投げる球は変えるつもりはない、キッチリと抑えるぞ」

大嶋「はいっす!」

新井弟「…」

新井弟が打席に入った

キャッチャーの大嶋はいち早く何やら嫌な予感を感じた

斎藤(初球は外のスライダー…)

大嶋(…なんだ……なんだろう…いや、そのコースはマズイ気が…)

大嶋(いやいや!なにを言ってるんだ!俺は斎藤さんの考えを信じるんだ!)

斎藤が新井弟に対して投げた初球スライダー

新井弟はそれを無理に引っ張ることなくレフト方向へ弾き返す

パァーーーンッ

※ライト方向の間違いです

角度は十分だった

打球はライトのポール際にグングン伸びていく

大嶋「……!!あのコースをライト方向に!?」

実況「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!打球はポール際に伸びていくーーーー!!!」

斎藤「……!」

実況「大谷バック!!大谷下がる!!大谷もう1歩下がった!!大谷バック!!」

審判はライト方向へ飛んだ打球の行方を見届け

審判は片手を回した

実況「ホーーームラーーーン!!!大谷頭上を越えて行きました新井弟の打球!!!」

実況「新井ブラザーズ!2人で試合を振り出しに戻しましたァァ!!!」

斎藤「……フゥ」

実況「斎藤!思わず天を仰ぎます!」


新井「ナイスナイス!よくやった!!」

福留「グラティッーーーー!!」

実況「そしてホームランパフォーマンスをベンチ前で行います!」

福留「良太、お前ちょっとは使えるじゃねーか」

新井弟「ありがとうございます」

解説「これで同点に追いつきましたねぇ、延長戦も考えられますよ」

実況「斎藤の球数も既に100球を超えてますから交代も有り得ますよ…!……ん?」

ライトの大谷が駆け足でマウンドの斎藤の下にへと向かった

栗山「じゃあ、それでいこうか」

黒木「ええ…斎藤はよく9回まで投げてくれましたよ」

実況「栗山監督が出てきました、ああ…これはどうやら交代ですかね」

解説「大谷くんがマウンドに向かったということは」

「ファイターズ守備位置の変更をお知らせします」

「ライト大谷がピッチャーに」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

今日一番の歓声が甲子園球場に響き渡る

斎藤のリリーフとしてライトの大谷がそのまま投入された

実況「大谷がマウンドに上がりました!!ライトには斎藤の代わりに佐藤が入ります!」

マウンドの斎藤に大谷が詰め寄った

大谷「斎藤さん、お疲れ様です。今日のピッチング胸を打たれました。」

斎藤「…若いお前に負担をかけてすまない。あとは任せたぞ。」

大谷「はい、斎藤さんを負け投手なんかにはさせませんよ」

斎藤は手に持っていたボールを大谷に手渡し

バシッと背中を叩いた

斎藤は小走りでベンチにへと向かう

観客席からは惜しみない拍手が送られた

栗山「斎藤、よくやった。俺の見込み通りだ。」

斎藤「後は大谷に任せます」

大嶋「ようし、大谷!初球なに投げたい?」

大谷「…そうですね、160kmのストレートです」

大嶋「お、おいおい!そんな球投げれんのかよ!?」

大谷「投げてみませます、斎藤さんが守り抜いたここを汚す訳にはいきませんから」

大嶋(頼もしい奴だな…)

「タイガース、9番安藤に代わりまして…桧山…桧山」

実況「ここで代打の神様桧山登場です!!阪神の裏方にはまだこの男が残っていたァ!!」

解説「昨シーズンギリギリで引退を撤回されたんですよね、桧山選手は」

「この一打に賭けろ~」

「誰もお前を止められぬ~」

実況「地響きのような歓声が打席に向かう桧山に送られます!!」

実況「これが甲子園の怖いところです!」

桧山「まだこのユニフォームを着ていたい」

スッ

実況「打席に入った桧山!」

大谷(いきますよ、大嶋さん)

大谷、渾身の力を込め第1球を振りかぶって投げた

ビシュッ

桧山「…っ!」

ズバンッ

「159km」

実況「出ました159km!!これが怪物若手大谷です!」

大嶋(160は出なかったが…これだけ速いストレートを投げ込めれば…)

シュッ

スパンッ

審判「ボールッ!」

実況「2球目の緩いカーブは外に外れましたボール!」

解説「良い緩急だったんですけどねぇ」

大谷「…」

大嶋(力み過ぎだな…もうちょい肩の力抜け)

斎藤「大谷…」

ビシュッ

審判「ボール!」

実況「2球続けてボール!カウントワンストライクツーボール!」

カァーンッ
実況「桧山バックネット裏にファール!」

大嶋(うおお、155kmのストレートファールにしやがった)

福留「タイミングは合ってきてるな」

ビシュッ

カァーンッ

実況「ファール!桧山!粘ります」

その後も大谷の球をことごとくファールにし

徐々に大谷の桧山に投じた球数が増えていくことに

大谷「…っふう」

大嶋(ダメだ…投げる球とコースが思いつかねぇ…どうするべきか)

解説「桧山選手もタイミング合ってきてますから、怖いですねぇ」

実況「ええ、ホームランで阪神のサヨナラ勝ちです」

大嶋(…カーブ…)

大谷(フルフル)

大谷は大嶋のサインに首を振った

大嶋(じゃあ…スライダー…?)

大谷(…)

大嶋(違うのか…じゃあチェンジアップか?)

大谷(フルフル)

大嶋(……ど真ん中ストレート?)

大谷はそのサインにようやく笑みを浮かべ頷いた

実況「ようやくサインに頷きました大谷!」

大嶋(あーもう!お前に託したよ大谷!)

大谷は振りかぶり代打の神、桧山に今日1番となる直球をぶち込む

ビシュッ

桧山(……!!微妙に低い……見送るべきか……!)

バシッ

真ん中より少し低めに決まった大谷のストレート

桧山はボールと思い見送った

審判の判定は……

審判「ストライクーーーーッ!!!バッター――アウト!!」

大谷「うおおおおああああああ!!!!!」

右手でガッツポーズをし雄たけびを上げる大谷

「160km」

スピードガンには160kmと計測されていた

実況「大谷!!160kmのストレートで代打の神様桧山を三振に取りました!!」

実況「延長戦突入です!!」

スパァンッ

10回の表、先頭打者の大谷が阪神ボイヤーの球を捉え

貴重な勝ち越しソロホームランを放ち

その1点を大谷自身が守りきり1点差でタイガースを下した

藤浪「完敗です、調子自体は悪くはなかったんですけど」

藤浪「斎藤さん…いやファイターズの皆さんにやられてしまったっていう感じです」

藤浪「次回までには修正して、チームを勝利に導くピッチングをしたいと思います」


黒木「勝ち負けは斎藤にはつきませんでしたが…」

栗山「まぁ、よくこの試合に勝てたものだな」

黒木「本当に斎藤の雰囲気が見違えたみたいで……」

栗山「なにかに取り憑かれてしまったのかもしれんな」

一方…神宮での田中(斎藤)は

ズバンッ

実況「試合終了ーーーーー!!田中!!執念の完投勝利!!」

実況「打線が試合をひっくり返し田中が奮闘!」

実況「小川選手のアクシデントもあり途中でリリーフ登板した由規も見事なピッチングでした」

田中(僕は…この身体で満足しちゃいけないんだ)

田中(元の身体に戻って、自分の力で試合に投げ勝ちたいんだ……!)

身体の入れ替わった斎藤(田中)の活躍を極力

新聞やテレビで見ないようにしていたが

どうしても気になり、彼の現状を知り田中(斎藤)は自身の考えを改めた

田中(元の身体に戻れば…田中ともまた投げ合える…)

斎藤「今日はもうホテルに戻ってゆっくりするか…」

甲子園を出てバスに乗り込もうとすると

スッ

里田「あ…ナイスピッチングです」

斎藤「…!!」

斎藤(田中)の前に現れたのは里田であった

里田「今日ずっとスタンドから見てましたよ」

里田「チームみんなで勝てて良かったですね…!」

斎藤(どうして、甲子園なんかに…?)

里田「斎藤くん……じゃなくて………あの……そのなんて言えばいいか…」

斎藤「え…?」

里田「………」

斎藤「…」

斎藤(田中)の心臓が高鳴る

すると、里田は笑顔になりこう言い放った

里田「今は言いません…!」

斎藤「……え?」

里田の発言まだ理解出来なかった

思わず真実を伝えようとしたが、踏みとどまった

里田「私は知ってますから…薄々気づいてもいました」

里田「だから……帰ってきたら、おかえりって言ってあげる…それまで私は待ちます」

斎藤は里田のその一言で全てを察する

里田のさっき自分に見せた笑顔が涙を隠しているようにも見えた

里田「それじゃあ…また」

里田はそう言い残し立ち去っていた

斎藤「……あああああああああああああああ!!!!」

……



「菅野!ソフトバンク打線を無失点!今季早くも2度目の完封勝利!」

「藤浪、オリックス打線から10奪三振で7勝目!」

「ライアン小川!完投勝利!防御率ランキング現在セリーグ1位!」


パサッ

栗山「いやまったく、セリーグの若手投手達は本当に素晴らしい」

黒木「ええ…やはりいずれは球界を代表するような投手になると思います」

栗山「この3人…いやもっと出て来るかもしれないな」

コンコンッ

栗山「入れ」

ガチャッ

大嶋「…どうも」

栗山「大嶋か、どうしたんだ」

大嶋「実は……」

……



栗山「……腰の怪我…」

黒木「あの時のヘッドスラィディングの?」

大嶋「そうっす…思ったより痛みが引かなくて…」

大嶋「担当医からはこれ以上野球を続けるとスポーツ自体が出来なくなる身体になるって言われたっす」

栗山「……どうして黙ってたんだ?」

大嶋「捕手から外されるのが嫌で……黙っていましたっす…」

黒木「隠しておいた所為で腰が悪化したんだぞ…!」

大嶋「…斎藤さんの球は俺がずっと受け続けていたいんです」

黒木「大嶋…」

栗山「お前が斎藤にどれだけの信頼を寄せているかは分かっている」

栗山「だが、俺はチームを指揮する人間だ。無茶をさせる訳にはいかん。」

大嶋「……」

栗山「けどな、そんな情熱的な願いに俺は弱いんだよ」

大嶋「…じゃ、じゃあ……」

栗山「斎藤の登板時にだけお前にマスクを被らせる」

栗山「それと、打席に立ってもフルスイングするな」

栗山「お前斎藤の最高の恋女房役として試合に出てあいつを支えてやれ」

大嶋「……はいッス!!!!あ、ありがとうございます!!!!」

大嶋は大きな声を上げ監督に頭を下げた


斎藤は休日を返上しチームのブルペンで投げ込みをしている

斎藤「…はぁ……はぁ」

同じく田中(斎藤)も楽天の練習場でハードな練習をこなしていた

田中(シーズンの後半に…必ず……)

斎藤「元の身体に戻って斎藤と投げ合ってみせる……!」

ズバンッ!!


完 

終わりです
丁度、交流戦終盤で区切りが良かったので
次で最後なので続きはいずれ書きます

それでは

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