紬「値切ってもいいですか?」カイジ「ふ…ふざけるなァッ!!!」(223)

カイジ「金の重みも知らないガキがっ!」

紬「!?」

カイジ「25万円のギターを5万円にしろ?薄汚ねぇこと言ってんじゃねぇ!」

紬「あ、あのぉ…ここはうちの系列n」

カイジ「んなことが通じるかっ!!」

カイジ「お前はどうせ親の金で何の苦労もせずに生きて来たんだろうがな!」

カイジ「こっちは生活がかかってるんだよ!」

カイジ「どこのお偉いさんとかそんなの関係ねーんだ!」

紬「…ごめんなさい、そんな、私」グスッ

律「おいおい何の騒ぎだ?」バタバタ

紬「ううっ、ぐすっ…」ゴシゴシ

律「…!どうしたんだよムギ!」

紬「ううん、何もないよりっちゃん。私が悪いの」ヒック

律「何だ?この店員に何か言われたにか?」

カイジ「ったくこれだから嫌なんだよ。近頃のありがたみを知らない奴は…」

律「おいおっさん!」

カイジ「あん?」

律「あんたムギに何しやがった!」

カイジ「別に。世間知らずに説教してやったんだよ」

律「大人が子供泣かせて嬉しいのかよ」

カイジ「別に好きで泣かせてるわけじゃない」

バタバタバタ

唯「どしたのーりっちゃん?」

澪「騒がしかったけど、何かあったのか?」

律「このおっさんがムギを泣かしたんだよ!」

澪「えっ…?」

紬「あ、いや、これは違うの…」グスッ

律「この貧乏そうなおっさんに何かされたんだってさ」

唯「おじさん、ムギちゃんに謝ってよ!」

カイジ「そうやって理不尽ばかり人に押し付けてっからダメになんだよ!」

律「何だとこのヤロー!」

カイジ「…」フシューッ

律「…」ガルルルル

唯「…」ムー

紬「ぐす」ボロボロ

澪「え、えーっと…」オドオド

店長「どうしたのカイジくん。何かあったかい?」

カイジ「あっ…店長!聞いてくださいよ!」

店長「ん?」

カイジ「このガキどもが25万のギターを5万にしろとかどうとか言ってるんですが?」

店長「何?それは……ああっ!あなたは!」

紬「?」

店長「社長の娘さん!」

カイジ「」

カイジ「(社長の娘…?つまりここのボスのボスの娘?)」

店長「そ、それで今日はどういったご用件で?」ヘコヘコ

紬「あ…はい、あのギターの値段をちょっと値切ってもらいたいんですが」

カイジ「いやダメだ!社長の娘だろうがホームレスだろうが人間は平等なんd」

店長「でわ、このようなお値段で如何でしょうか?」

紬「…ん~もう一声!」

店長「それでは…五万円でご奉仕させていただきます…ね」

紬「はい。ありがとうございます」

カイジ「ちょ、店長!俺の給料どうなるんですか!」

店長「社長の娘を泣かせるなんて…君はクビだ」

カイジ「!」

Locker Room

カイジ「くっそ…!これからどうやって食っていけばいいんだよ…っ!」ガンガン

赤木「…ん。どうしたの?」

カイジ「ここを…クビになっちまったっ…!」

赤木「あらら」

カイジ「俺が何をやったって言うんだ…二十万も値切るなんてありえねぇだろ…」ボロボロ

赤木「運が悪かったね」

カイジ「簡単に言うなよっ!俺はこれからまたニート…なんだぞっ!」

赤木「あらら」

カイジ「何十件も回って…ようやく面接に受かったと思ったらこれだ!」

赤木「世の中正しい者が勝つとは限らない。権力の前に正義なんてゴミ以下だ」

カイジ「うっ…うっ…」グスッ

赤木「憎い?」

カイジ「…え?」

赤木「アンタをクビにしたそいつらが憎い?」

カイジ「そりゃあ憎いに決まってるだろ…っ!」

赤木「復讐したい?」

カイジ「そこまではいかねぇけど…ギャフン、と言わせたい」

赤木「なら手伝ってやろうか?アンタのやり方で復讐するの」

カイジ「ああ…と言いたいところだけど、中学生には期待できねぇよ」

赤木「……」

カイジ「またどっかで会おうな。じゃあバイト頑張れよ」

赤木「今までの記憶を思い出しなよ」

カイジ「…!」

エスポワール…地下労働…鉄骨渡り…Eカード…etc

赤木「アンタがすんなりと勝てたこと何てなかっただろ?」

カイジ「…」

船井…佐原…鈴木さん…利根川…

赤木「アンタは負けるために生まれてきたわけじゃないだろう?」

カイジ「未来は俺達の手の中だ…」

赤木「言っておくが俺は何の手出しもしない。その女子高生に勝てるかどうかはアンタ次第だ」

カイジ「…」ゴクリ

赤木「そうだね。どうせなら腕一本とか賭けて戦いなよ」

カイジ「腕っ!?」

赤木「そっちのが面白そうだ」

カイジ「馬鹿言うなよ!そんな…イっちまった賭けなんて」

赤木「あら?アンタ指とか鼓膜とか賭けてただろ」

カイジ「…アレは強制で自分の意思じゃない!(何でコイツ知ってるんだ?)」

赤木「いやだな、冗談ですよ」

カイジ「……」

赤木「じゃあまずは誰と戦いたい?」

カイジ「…あの因縁つけてきたデコっぱちだ」

カイジ「ところでお前、何者だ?」

赤木「余計な詮索はしないほうがいいよ」

別の日

澪「じゃあな、律。また明日」

律「おう!そんじゃな!」


律「容姿端麗♪頭脳明晰♪さわやか笑顔で幸せ運ぶ~」

ポンポン

赤木「ねぇ」

律「ん?なんd」

赤木「…」シュッ

ボゴオッ!

律「げふうぅっ!!」ヨロッ

赤木「悪いね。ちょっと眠っててくれる」

――

律「…う」

律(あれ…?あたし確か澪と分かれて…それからどうしたんだっけ?)

赤木「目が覚めた?」

律「あっ!お前…っ!」

カイジ「おい、どういうことだよこれ!」

律「楽器屋のおっさん?!」

赤木「見れば分かるでしょ?今からここで二人にギャンブルで勝負をしてもらう」

カイジ「そうじゃなくて、この固定された右手だよ!」ガチャッ

律「ほんとだ…何だこの金具、外れないぞっ」ガチャガチャ

赤木「ああ、それね。つまり腕一本賭けて勝負するってこと」

赤木「負けたら即、腕シュパーン」

律「」サーッ

カイジ「マジでやるつもりだったのか!」

赤木「二人とも、もう逃げられないね」

律「ふ、ふざけんなー!やってられっかこんなん!」

赤木「ああ、勝負放棄は負けってことで…」

律「ちょちょちょタンマ!」

律(うう。何でこんな事に…)

カイジ「…で勝負って何なんだ?」

赤木「コレ」

律「何だ。ジャンケンのカードか?」

カイジ「限定ジャンケン…!」

赤木「いや、ここはエスポワールじゃないから単なるジャンケンなんだけどね」

カイジ(エスポワール知ってるのか…)

赤木「ルールは説明するまでもないだろ。普通の、単なる、ジャンケン」

赤木「力の強さとか頭の出来とか関係無い、最も誰にでも平等なゲーム」

律(あ、これなら…あたしでも勝てるかも)

カイジ「カードはグー、チョキ、パーの三枚だけなのか?」

赤木「12枚もあっても意味がない。この場には二人しかいないんだから」

カイジ「これじゃ勝負が早くつきすぎるだろ…」

赤木「どちらかが二勝した時点で勝ちだ」

律「あいこになった時は?」

赤木「もう一回すれば?カードは別に無くならないし」

律「…カードでやる意味あるの?」

赤木「ああ。こっちのがどっちも緊張感あがるだろ」

カイジ「…」

律「…」

赤木「じゃあ始めようか」

赤木「二人とも、どれか一枚を選んでテーブルの上に伏せろ」

カイジ「…」ドクンドクン

律(くっそお、もうヤケだ)バン

カイジ「セット」スッ

律「こ、こっちも終わったぞ」

木「時計の針が12をさした時に表を向けろ」

カイジ(頼む…!)ドクンドクン

律(神様…!)ドクンドクン

チッ チッ チッ チッ チッ チッ

律(大体何であたしこんなことやらせれてんだ?)

律(さっきまでみんなで楽しくお茶してたのに…)

律(腕切られるなんて嫌だ…嫌だよ)

カイジ(俺!勝つのは俺!俺だっ!!)

カイジ(未来は俺の手の中!)

赤木「…!」

赤木「開けろ」

カイジ「!」バッ

律「…」バッ


律「おっしゃああああ!」

カイジ「な…っ!!」

律「あっぶねー。グー出しといてマジでよかった…」

カイジ「くそっ!もう一回だ!」

カイジ「ちくしょう!今度こそ、今度こそは!」

律「あと一回勝てば解放してくれんだよな?」

赤木「ああ」

律「おーし…」

カイジ(やばいやばい!もう後がない!)

カイジ「なぁ赤木!負けたら腕切るって本当は嘘なんだろ?」

赤木「……」ジッ

カイジ

カイジ(この眼…マジでやるつもりだコイツっ)

赤木「まだチャンスはあるでしょ」

律「あと一回!あと一回だ!」

カイジ「…」ブルブル

カイジ(あ、あ…指が震えてカードがつかめねぇ…)

カイジ「く、くそ、止まれ!止まれよ!」

律「ん?何か知らないけど、ビビってるのかおっさん?」

カイジ「なわけ…ねーだろおがぁっ!!」ガンガンッ!(床に頭突き乱打)

律「うわっ!?」

カイジ「ふんふんふんっ!!」ガンガンガンッ!

赤木「…」

律「お、おいやめろって!死んじゃうぞ!?」

カイジ「…ふーっ、スッキリした」ピタッ

カイジ「じゃあ二回戦行こうか」ドクドク

律(コイツ絶対おかしいって…)

カイジ「セット」スッ

律「せっと」スッ

カイジ「…ふふ」

律「…!?」

律(何だよ、この自信たっぷりの顔は)

チッ チッ チッ チッ

赤木「開けろ」

カイジ「オープンっ!」

律「…」スッ


カイジ「」ニヤ

律「…あ!」

カイジ「俺の勝ちだ」

律「お前なんかイカサマしてないだろうな!」

カイジ「おいおい、言いがかりはよせ」

律「じゃあさっきの自信満々の顔は何だよ?」

カイジ「教えてほしいか?」

赤木「…」

律「だから何だよっ!」

カイジ「お前の下、見てみろ」

律「した?」スッ

律「…お前の血痕しかないじゃん」

カイジ「それで気付かなかったらご愁傷様だな」

赤木「…」チラ

律「…??」

律(え、マジで何したのコイツ?)

カイジ「じゃあ次。ラスト行こうか」

律「ちょ、ちょっと待てよ!ずるいぞ!」

カイジ「はぁ?」

律「お前今イカサマしてるって言ったようなもんじゃないか!」

カイジ「さっきイカサマはしてないっていっただろ」

律「じゃあ何で…あんな自信ある顔」

カイジ「俺が自信ある顔してちゃイカサマなのか?」

律「それは…」

カイジ(ああ、そうだ。確かに俺は『イカサマ』なんかしていない)

律(やばいやばい。絶対あっちはあたしが何を出すか分かってる…)

カイジ「…セット」

カイジ(でも"不本意"にも、見えてしまったものはどうしようもないよな)

律「せ、せっと…」

カイジ「」ニヤ

律「…」ドキドキ

チッ チッ チッ チッ

赤木「開けろ」

カイジ「オープン!」バッ

律「…くっそ!」バッ

ザシュツ!

ボトッ

カイジ「……」

律「……」

赤木「……」

律「」フラッ

ドサッ

カイジ「…おい、気絶したぞコイツ」ボタボタッ

赤木「精神にきたんでしょ」

カイジ「…」

赤木「お前も早く病院に行け。放置してたら死ぬぞ」

カイジ「痛っ…!またかよちくしょう…」

赤木「でもこれじゃ、つまらないな」

赤木「最初っからこれじゃ後が思いやられる」

赤木「はたしてわざわざ憎み、勝負を挑んだ相手なんぞ守る必要なんてあったのか」

カイジ「やってることが利根川や船井と同じだ…って気付いたんだよ」

赤木「自分でイカサマじゃなくて不本意って言ってただろ…」

カイジ「それで勝ったとしても気分が悪いだけだ」

カイジ「…それより早くこのカッター取ってくれ。いい加減、残りの指が裂けそうだ」

赤木「甘い、甘すぎる」

赤木「次こそ死ぬかもなオマエ」

次回
唯「鉄骨渡りって何?」


  ざわ……

     ざわ……

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