女借金取り「ま、また来るからな!!」(292)


女借金取り「いるのは分かってんだァ!!」

女借金取り「出てこいコラァ!!」

男「ひぃぃ」ガクブル

女借金取り「扉開けろオイ!!」

男「む、無理です無理ですぅ!!」

女借金取り「開けろォォォォォ!!!!」ガンガンガンガン

男「ひゃあああっ!!わ、わかりましたって!!今!今開けますから!」

女借金取り「な、なにっ!?本当だろうな!?」

男「開けますから!大きな音出さないで!近所の人に迷惑だから!!」

女借金取り「お、おう……分かったから早く開けろコラァ!!」ガンガンガンガン

男「あ、開けますからぁ!!」


女借金取り(あ、でも待てよ……こんな格好で大丈夫なのか私?)

女借金取り(も、もし『こいつ服のセンスねぇなぁ』とか男に思われたら……)

男「い、今開けますから……」

女「待てコラァ!!!開けんじゃねぇクソテメェ!!!」

男「え、えぇえぇぇぇっ!?」

女「あ、開けたらぶっ殺すぞテメェコラァ!!」

男「ど、どっちなんですか!?」

女借金取り「ちょ、ちょっと待っとけやぁ!!!」ガンッ

男「ひっ!は、はいぃ!」


ピポパピ、プルルルルルルル、プルルルルルルル

女借金取り「お、おやびん!!」

女借金取り「あ、あのその、今から一回事務所帰ってから、もう一度例の家に突撃することって可能っすか!?」

女借金取り「いやその、ちょーっと用がありましてぇ!!いや、えーっと、服を着替え……」ゴニョゴニョ

女借金取り「えっ!?あんまり深夜の取り立てはダメ!?」

女借金取り「つまり……そうっすか。わかりました…………やっぱ無理っすよね」

女借金取り「はい……」ピッ

女借金取り「……」グスッ

男「あ、あのぉ……結局扉は閉めたままでもいいんですか?」

女「ちくしょぉぉぉっ!!!」ガンッ

男「ひぃぃっ!!」


女借金取り「おい男テメェコラァ!!!」

男「は、はいぃ!!」

男(なんで涙声なんだ……?)

女借金取り「ま、また明日来ても……じゃなくて、また明日も来てやっから覚悟しとけよオラァ!!」

男「か、勘弁してくださいぃっ!」

女借金取り「逃がさねーぞォ!!!」

男「そんなぁ!」

女借金取り「待ってろテメェコラァ!!絶対家にいろよ!!
      夕方あたりにまた来るからなァ!!!」

男「い、嫌ですよぉ!」

女借金取り「うるせェ!!絶対行くから家にいろよ!!」

男「うぅっ……」

女借金取り「いいか!?家にいろよ!?絶対だぞ!?家にいろよ!?」

女借金取り「じゃあな!!!」

男「」ガクブル

次の日
女借金取り(大丈夫だよな?この服……)
女借金取り(……いや、やっぱフリフリしすぎじゃねぇかコレ!?)
女借金取り(ミスったか!?やっぱ似合ってねぇかな!?)

子「ふんふふ~♪」テクテク

女借金取り「あ、おいそこのガキみてぇな坊主ぅ!!!」クワッ

子「ひぃぃっ!ガ、ガキと坊主は一緒ですぅ!!」

女借金取り「こ、この服……どうだ?ダ、ダサくねぇか!?似合ってるよな!?」

子「え!?あ、いや……」

女借金取り「似合ってねぇのか!?ハッキリ言いやがれ坊主コラァ!!」

子「に、似合ってます!!すごく似合ってますぅ!!」

女借金取り「お?そうか?……へへっ、本当か?」

子「ほ、本当です!!春って感じっス!!」

女借金取り「そうかそうか、似合ってるか。だよなっ!
      へへっ、おい坊主、小遣いをやろう」ニコニコ

子「え?」10円チャリーン
女借金取り「んじゃなっ!」ニコニコ
子「……なんだったんだろう」


女借金取り「おーい」ピンポーン

女借金取り「……」

女借金取り「おい男ォ!!」ガンガン

女借金取り「……」

女借金取り「返事しろコラァ!!!」ガンッ

女借金取り「……」

女借金取り「……いないの?」

女借金取り「……」

女借金取り「ちくしょぉぉぉっ!!!!!」

タッタッタッタ


男「わざわざ夕方に来るとか言ってくれたから逃げてこられたけど……家に帰るタイミングが掴めない……」ズーン

男「夜までこの公園で時間潰すしかないのか……?」ギーコ、ギーコ

男「もし待ち伏せとかされてたらどうしよう……」

男「ひぃっ」ブル

男「あ、でも強引な取り立ては深夜しちゃいけないっていうし……その時間まで待てば大丈夫か……」

男「つまり夜まで待つしかないか……はぁ……」ギーコ、ギーコ

女借金取り「どこ行きやがったコラァァァ!!!」タッタッタ

男「こ、この声は!?まずい、隠れろ!!」サッ

女借金取り「くそぉあの野郎!!!」タッタッタ

男「ひぃぃっ!」ガクブル

女借金取り「ちくしょぉぉぉっ!」タッタッタ……

男「……い、行ったか。よかったぁ……怖ぇえよ!」


男「……うぅ、寒い」ブル

男「今何時だ……?」

男「げっ!もう日付変わってるじゃねぇか!!か、帰ろう!」スタスタ

男「さすがにもう大丈夫だよな……」

男「こんな時間までいる訳ないしな……」

男「そろそろ我が家に到着だ……裏をかいて近い場所に隠れててよかった」

男「……ッ!!」

男「う、うちの前に誰かいる!!」

男「ま、まさかな……いや、そんなまさか」ジリジリ

女借金取り「遅いぞちくしょう……グスッ……」

男「……えっ」


女借金取り「テメェ、絶対家にいろって言っただろうがよ……」

男「あ、あの……」

女借金取り「せっかく朝早く起きて服を選んで……」ブツブツ

男(何言ってるんだろうこの人……)

女借金取り「さみぃし眠いんだよテメェェェ!!!!」

男「ひゃあっ!!」ビクッ

女借金取り「なめてんのかァ!?あぁんっ!?」

男「い、いや!なめてないです!!全然なめてないです!!」

女借金取り「とりあえずテメェ……へっくしゅっ!」

男「あっ……」

女借金取り「……」

男「……な、なんか飲みます?」

女借金取り「……」コクリ


男「コ、ココアしかないですけど……」コトッ

女借金取り「……」ジロッ

男「ひ、ひぃぃっ!!お、お気に召さないようであればなんなりと!!
  ち、近くにコンビニがあります故、拙者温かいコーヒーか何かを」

女借金取り「……」ズズーッ

男「あっ……あ、あの、ココアで、よかったですか?」

女借金取り「……」ジロッ

男「ご、ごめんなさい!!ごめんなさいぃ!!切腹の準備はできてますぅ!!!」

女借金取り「……」ズズーッ

男「え、と……」

女借金取り「……」ズズーッ

男(……ナニコレ、すごく気まずい神様仏様俺を助けて)

デレる時は女々しい口調になるとやられる

>>43
ボクッ娘にも女言葉を望むと見た





ナカーマww


女借金取り「……台所」ボソッ

男「は、はい?」

女借金取り「台所どこだって聞いてんだよ!!」

男「す、すみません!すみません!!」

男「そ、その扉の奥ですぅ!!」

女借金取り「……チッ……借りるぞ」

男「は、はいぃ!」

男(な、なんだ、何するつもりなんだ?
  高級そうなお皿を探して『とりあえずこれ貰っとくぞ』みたいなこと?)

男(それとも何?水がすごい好きで『お金の代わりに水貰うぞ』みたいな?)

男(あ、わかった!台所マニアだ!!この人台所マニアだ!!)

女借金取り「……」キュ、ジャー、カチャカチャ

男(……え?カップを……洗っている……だと?)

女借金取り「……」ジャー、カチャ

>>47が撃たれたぞー!
救急車呼べー!!

>>48
おやびん!救急隊員も悶え死に寸前です!


男「そ、そんなっ!いいですって!俺がやりますから」

女借金取り「黙ってろ」

男「で、でも……」

女借金取り「いいから座っとけ!!」クワッ

男「ひ、ひぃぃっ!!」

男(や、やっぱり怖い……)

男(で、でもカップ洗ってくれてるし……根はすごくいい人なのかも……)

男(いやでも……借金取りなんてみんな怖い人だし……)

女借金取り「ふう……」

男「あ、あのっ……」

女借金取り「あ?」

男「い、いえ!なんでもないですぅ!!」

女借金取り「……」

あれ?サラ金の遠藤さんにギャンブルたのんだら
テニスコートの地均し工事につれてこられたよ?

男(この人なんで帰んないのォォォ!?)
男(なんで30分間も無言で座ってるのォォォ!?)
男(ワガンネぇ!!オラワガンネぇよ母ちゃん!!!母ちゃん元気してっか!?)

女借金取り「……」

男「あ、あのっ……」

女借金取り「あん?」ジロッ

男「ひっ……そ、その……」

女借金取り「なんだよ」

男「か、帰らなくて、いいのかナー……なんて……ハハハ」

女借金取り「……テメェ」
男「ご、ごめんなさい!!」
女借金取り「……そ、その」

男「……え?」

女借金取り「……か、かかか、かの、彼女、かのっ」

男「か?……え?かの……?」

女借金取り「うるせェ!!!!!」ガンッ

男「えぇぇぇぇっ!?」

ガンッは男を殴ったのか?
それとも照れ隠しに家具とか壁ドンしたのか?

男(なんだったのぉ!?)
男(また黙っちゃった!!もう助けて!!)

女借金取り「……」

男「……」

女借金取り「……忘れろ」ボソッ

男「……え?」

女借金取り「忘れろっつってんだよコラァ!!!」

男「ひぃぃっ!!な、何をですかー!?」

女借金取り「さっきのだよ!!!」

男「さ、さっきの……?か、蚊がどうとか……」

女借金取り「黙りやがれテメェコラァ!!!」

男「す、すびばべん!!」

女借金取り「く、くそっ……」

とりあえずあんこで再生

女借金取り「……と、とりあえずだ!」

男「は、はい!?なんでしょう!?」

女借金取り「ひゃ、120円は……返済してもらったってことにしといてやる」

男「え?……えっ?」

女借金取り「……」

男「……あっ、ココアですか?」

女借金取り「そ、そうだよ!!なんか文句あんのか!?」

男「ないです!!ないです!!むしろ嬉しいです!!」

女借金取り「……」

男「……」

女借金取り「……また明日も来るからよ、覚悟しとけよ」

男「あっ……はい……」

女借金取り「……チッ」スタスタ、ガチャ

男「……や、やっと帰った……」


~夜道~

女借金取り「なにしてんだああああああっ!!!」

女借金取り「ホントなにしてんだああああああ!!!!!」

犬「ワンッ!」

女借金取り「うわっ!」ビクッ

女借金取り「犬テメェコラァ!!!」

犬「ブシュッ」

女借金取り「まずい……まずいぞ……明日も行くとか言っちまったぞ……」

女借金取り「いやでも行かねぇと……いやでも気まずすぎんだろ……」

女借金取り「……ぜってぇ、変なヤツって思われたし……」

女借金取り「あーちくしょぉぉぉっ」ジダンダ

>>93
どっちかと言ったらレヴィだろ・・・

次の日

女借金取り「……クッ……クソッ」モジモジ

女借金取り「……チャイム押すだけだろうがよ……なんでできねぇんだよクソッ……」

近所の爺「あんれー?」

女借金取り「あ、あぁん!?」クルッ

爺「男くんのがーるふれんどかえ?」

女借金取り「なっ、ち、ちげぇよ!!」

爺「男くんなら今日は仕事だって言ってたけんど」

女借金取り「な、なにっ!?」

爺「ホホホ、残念じゃったのう」

女借金取り「だからちげぇっつってんだろ!!!」

爺「ホホホ」スタスタ

女借金取り「クソッ……待つしかねぇか……。またかよ」


女借金取り「……うー、さみぃ……」

女借金取り「早く帰ってこいよあの野郎!!」

女借金取り「クソッ……」

男「あっ……」

女借金取り「あ」

男「……な、中、入ります?」

女借金取り「……」コクリ

男「きょ、今日は、コーヒーありますよ。
  ね、念のため、買っておいたので……」

女借金取り「……」ジロッ

男「ひっ!」

女借金取り「早く扉開けろよ」

男「は、はいぃ!!」ガチャ


男(……ま、また無言か)
男(この人……借金取りだよな?何しにここ来てるんだろう……)
男(というか、なんで俺また招き入れてんだろう……)

女借金取り「……」ズズーッ

男「……」

女借金取り「……」ズズーッ

男「……」

女借金取り「……台所」

男「……ど、どうぞ」

女借金取り「……」スタスタ

男「……なんだこれ……」


女借金取り「……」ジャー、キュッ

男「あ、ありがとうございます……」

女借金取り「……」ジロッ

男「ご、ごめんなさい!」

女借金取り「……」スタスタ

男「……」

女借金取り「……」

男(……また黙っちゃった)

女借金取り「……」

>>95
のせいで完全にレヴィとロックになっちまった


男「あ、そうだ!お腹空いてませんか?」

男(なんでもいい……!この場から逃げ出したいんだ……!)

女借金取り「……」

男「あ、あの……俺、チャーハンくらいなら作れますけど……」

男(これで台所に逃げられる……!)

女借金取り「必要ねぇy」グーゥ

男「……つ、作りますね!」

女借金取り「……チッ……」

久々に上手いのが来たな


女借金取り「待てよ……」

男「え?」

女借金取り「待てっつってんだコラァ!!!」

男「な、なんでしょう!?」

女借金取り「……座ってろ」

男「え?いや、でもチャーハ」

女借金取り「いいから座ってろつってんだァ!!!」

男「は、はいぃ!!」

女借金取り「……」スタスタ

男「あの……」

女借金取り「あ?」ピタッ

男「なんでも……ないです」


15分後

男(おいしそうなチャーハンがでてきました)

女借金取り「……」

男「す、すみません……作らせちゃって」

女借金取り「黙って食え」

男「は、はい……すみません」

男「……」パクッ

男(なんだこれ!うめええうああああ!!!!)

女借金取り「……ど、……」

男「え?」

女借金取り「なんでもねぇよ」

男(オラァ幸せだぁ!!)ポロポロ

女借金取り「……どう……うま……い……」ゴニョゴニョ

男「え?」

女借金取り「なんでもねぇ」

男「た、食べないんですか?」

女借金取り「……」

男「……」

男「……これ、俺の、食べますか?
  スプーンこれしかないですけど……それでよかったら……」

女借金取り「……」

男「あの……」

女借金取り「」バッ

男「うわっ!」

女借金取り「」ムシャムシャ

男(す、すごい勢いでスプーンひったくられた……
  や、やっぱ俺しか食ってなかったから怒ってたのかな……)

女借金取り「」ダンッ!スタスタ、ガチャ

男「え!?あ、ちょっと!!」

男「……か、帰っちまった……何しに来たんだ、ホント……」

~事務所~

おやびん「なんだ、話って」

女借金取り「おやびん……」

おやびん「どうした、早く言ってみろ」

女借金取り「か、かかか、か、間接、キ、キス、キスっ」

おやびん「あ?」

女借金取り「か、間接キスが、チャ、チャーハンの味でした!!」

おやびん「……何言ってんだオメェ」

女借金取り「お時間頂いて、すいませんっした!!」

おやびん「……お、おぉ」

女借金取り「」ガチャ

おやびん「……女ってもんが、わからネェ」

おやびん「……ふう」スパー

次の日

男「ま、また……仕事終わるまで待ってたんですか?」

女借金取り「……文句あんのかよ」ジロッ

男「い、いえっ!ないです!!!すみません!!」

女借金取り「ならグダグダ言うんじゃねぇよ」

男「す、すみません!!すみません!!」

男(わからん!借金取りとしてやる気があるのかないのかサッパリわからん人だ!)

男(まあやる気満々も困るけど!というかそっちの方がいや!)

女借金取り「……」

男「と、とりあえず、中どうぞ……」ガチャ

女借金取り「……ふう」ジャー、キュッ

男「……ありがとうございます」

女借金取り「……」

男「あ、あの!」

女借金取り「あん?」

男「……お、お金……全然、足りませんけど……その、なんとか用意してきました」

女借金取り「……チッ、これっぽっちかよ」

男「すみません……でも、今はそれが限界なんです……
  も、もう少しだけ……待っていただけたら」

女借金取り「テメェ」

男「ひ、ひぃぃっ!な、なんですか!?」

男(や、やっぱ生意気言いすぎたか!待ってくれなんて……)

女借金取り「……か、かの、彼女、彼女とか、い、いねぇのかよ」

男「……はい?」


女借金取り「勘違いすんじゃねぇぞォ!!!そういう身内のもんから借りるとか色々あんだろうがァ!!!」

男「べ、別に勘違いはしてませんけど……」

女借金取り「あぁんっ!?」

男「な、なんでもないです!申し訳ありません!!!」

女借金取り「でどうなんだコラァ!!!言ってみろオラァ!!!」

男「か、彼女は……い、いません!!」

女借金取り「あぁぁぁんっ!?」

男「ひっ、す、すみません!すみません!!
  というか、できたこともないです!彼女いなくてごめんなさいぃ!!!」

女借金取り「えっ?」

男「……え?」


女借金取り「……か、……え?」

男「……えっ?」

女借金取り「か、彼女、いねぇの……?」

男「……あ、はい……」

男(……何その驚き方……メチャクチャ傷つくんですけど)

女借金取り「い、いねぇの!?」

男「い、いませんって……すみません」

女借金取り「いねぇんだな!?本当の本当にいねぇんだな!?」

男「だ、たから……いませんよ……傷つきますよさすがに……」

女借金取り「ちょ、ちょーっと待ってろテメェコラァ!!!!!!」

男「え!?」

女借金取り「彼女がいないテメェは大人しく待ってろコラァァァッ!!!!!」ガチャバタン

男「一言余計ですよ!!!何回言うんですか!!!」


~事務所~

ガチャ

女借金取り「おやびんっ!!!」

おやびん「なんだどうした!?」ガタッ

女借金取り「か、間接キスを勧めてきた野郎に彼女がいないってのは一体どう解釈したらいいんすかァ!!」

おやびん「……な、なんだそりゃァ」

女借金取り「これなんなんすかァ!!!なんなんすかこれ!!!!」

おやびん「お、落ち着け!いいから一旦落ち着けテメェはよぉ!」

女借金取り「は、はい!すみませんっした!」

おやびん「ふう……ったく。で?間接キスがなんだって?」スパー

女借金取り「は、はいっ!」

おやびん「オメェそりゃ……恋だな」スパー

女借金取り「こ、恋!?」

おやびん「ああ、間違いねェ。そりゃ恋だ」

女借金取り(やはりか!!こ、恋か!!
      だよな!間接キス勧めてきた上に彼女がいねぇなんてあの男……
      こりゃ恋だな!!へへっ!こ、これが両思いってやつか!!
      悪くねェェェなァァァ!!!)

おやびん「そうか……まさかオメェが恋とはなぁ」

男組合員「おやっさん、いいんですかい?
     身寄りのない女借金取りを、娘のように可愛がってきたおやっさんが……」

おやびん「構わねェよ。娘が恋をしたってんなら、それを応援するのが親ってもんだろォが」

男組合員「はっ!すみませんっした!!」

おやびん「気にすんじゃねェ。それにしても、あいつが恋か……へへっ」

女借金取り「待ってろよォォォ!私に恋した男コラァ!!!」

おやびん「えっ」

えっ


おやびん「ちょ、ちょーっと待でゴラァィ!!!!」ガタッ

女借金取り「は、はいっ!?なんでしょうおやびん!!」

おやびん「テメェ、俺が言ったのはテメェがその男に恋をしているということであってだな、
     何もその男がテメェに恋をしているという訳じゃねェぞ」

女借金取り「は、はい!だから私はがんばって……えっ?」

おやびん「やーっぱり勘違いしてたか。まあしょうがねェはな。ろくすっぽ恋なんざしたことねェからなテメェはよ」

女借金取り「ちょ、ちょっと待って下さいおやびん!!」

おやびん「なんだ?」

女借金取り「男は……え?
      私に恋をしていない……?」

おやびん「してねェかどうかはわからねェけどよ。してるとも言い切れねェ」

女借金取り「な、なにィィィ!!!!!」

やべぇwwカワイイwwww


女借金取り「そ、そんな……」

おやびん「なあおい、その男の借金ってのは後いくらあんだ?」

女借金取り「……万円です」

おやびん「なるほど。おい、ちょっとその男ここにつれてこい」

男組合員「はっ!」

女借金取り「な、なにをするつもりですか!?」

おやびん「テメェにチャンスをやろうと思ってんだ。いいからつれてこい」

男組合員「行くぞ。道案内頼む」

女借金取り「お、おう……」


男「や、やめてェェェ!!い、命とアナルだけはァァァ!!」

男組合員「いいから黙ってついてこい!!!」

男「嫌あああ!!嫌嫌嫌あああああ!!!」

女借金取り「着いたぞ、男組合員」

男組合員「おやっさん、お待たせしました!!」ガチャ

おやびん「……おう、来たかァ」

男「……」ガクブル

おやびん「……ちょっとこの男と二人にしてくれ」

女借金取り「えっ!?で、でも」

おやびん「俺の言うことが聞こえねェのかぁ!!!!!」ビリビリ

女借金取り「はっ!す、すみませんっした!!!」ガチャ

男(……父さん、母さん……ごめんよ)

ざ     ざ        ざわ・・・
わ     わ
・     ・     ざわ
・  ざわ ・・・    ・
・     ・      ・
             ・


おやびん「……ふう、まあ、座ってくれや」スパー

男「は、はい…………あの、本当に……すみませ」

おやびん「すまねェなぁ」

男「……えっ?」

おやびん「本当はこっちから出向くべきなんだろうが、生憎できのわりぃ部下ばっかりでな。
     目が離せねェのよ」

男「い、いえっ!!あ、あの……それで……なんで俺は」

おやびん「ああ、そうだな」

おやびん「男さんの家を担当してるのは、女借金取りで間違いねぇな?」

男「は、はいっ……」

おやびん「あの娘はよぉ……身寄りのない捨てられた娘でよぉ……出会ったときはこーんなにちっちゃかったんだ」

男「は、はぁ……」

おやびん「それがよぉ、いつの間にか立派な口聞くようになりやがって、成績も今じゃ組で一番だ」

男(そ、そうなのか……とてもじゃないけどそんな風には思えない……)

おやびん「なんだ、話を聞いてみると、男さんにその娘が世話になってるらしいじゃねェか」

男「……え?」

おやびん「嬉しそうに話すんだよなぁ、コーヒーをごちそうしてくれるとか、チャーハン作ろうとしてくれるとか」

男「いえ……」

おやびん「いや、経緯は聞かねェ。借金取りとして、しちゃいけねェことだってのも分かってんだ」

男「は、はぁ……」

おやびん「ろくに友達もいねェ、恋もしてねェ。きたねえ世界に入り浸せちまった、親としての申し訳なさってのがあんだよ」

おやびん「あの娘には……才能がある。だが、普通に過ごして欲しいって気持ちを持つのは、親として間違ってるか?」

男「い、いえ」

おやびん「そこで、だ」

男「は、はい」

おやびん「男さんがよけりゃ……その、当分娘とこの関係を続けてくれはしねェだろうか?」

男「えっ……でも、それって……」

おやびん「もちろんタダとは言わねェ。本当なら身ぐるみ剥いででも請求するとこだ。
    かといって、こっちのメンツもある。借金を無くすってことはできねェ」

男「どういう……」

おやびん「借金は無くせねぇ……だが、毎日男さんは娘にコーヒーを煎れてくれている」

男「も、もしかして」

おやびん「一杯一万円でいい。どうか、借金を返済するまで、頼まれちゃくれねェだろうか……」

男「えっ……と」

おやびん「頼む、かわいい娘のためだ。このとおり」ペコッ

男「そ、そんな!頭をあげてください!」
おやびん「どうか」

男「……わ、わかりました!や、やりますから!」
おやびん「ほ、本当か!?」
男「ええ……その、女借金取りさんと関わること自体は……嫌じゃ、ありませんから」
おやびん「そうか……そうか!へへっ!」


おやびん「おーい!女借金取り!入ってこい!!」

女借金取り「おやびん!!!!!」

男(……おやびんのこと、慕ってるんだな。まあ、気持ちはわかる、すごく)

おやびん「今後、男さんから直線的に金を請求することは許さねェ。
     その代わり、テメェには男さんの借金分コーヒーを男さんの家で飲むという役目を与える」

女借金取り「……!!ありがとうございます!おやびんっ!」

男(……ありがとう?う、嬉しいのか?
  俺の家に毎日来なきゃいけないのに……?)

おやびん「いや、手荒な真似で呼び出してすまなかった。
     男組合員!男さんを家まで送って差し上げろ」

男「そ、そそそんな!申し訳ないですよ!」

男組合員「はっ!」


ブロロロロ……

男組合員「到着ですぜ」

男「あ、ありがとうございました……わざわざ」

男組合員「気にする必要はありませんで。
     形式は特殊だが、今やあなたは組の人間の一部と言っていい。
     どうか女借金取りをよろしくお願いします」

男「ア、アハハ……」

女借金取り「か、勝手なこと言ってんじゃねェ!!!」

男(あ……やっとしゃべった)

男組合員「ハッハッハ」

女借金取り「そ、その、よ……」

男「は、はい……」

女借金取り「……ま、また明日も、来るからな!!」

男「よろしくお願いします……」

キリいいし終わり

ラブラブも書きたかったけどぶっ通しだったからさすがに疲れた
すまん

元女借金取り「・・・っていうのがパパとママの出会いだったのよ」
息子「へぇ~・・おじいちゃんはそんな昔からかっこよかったんだね!」
男「パパはかっこよくないっていうのか!?」

みたいなの想像した

数年後


女借金取り「・・・・・」

男「どうした?」

女借金取り「・・・この・・一杯で・・最後の返済だね・・」

男「そうだな」

女借金取り「・・・」

男「・・また借りたいんだけど」

女「!?」

男「二人の新居のローンを、さ」

女借金取り「トイチじゃ済まさねえぞバカヤロウ///」

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