マミ「『まどかさま』って知ってる?」(330)

さやか「何それ?」

マミ「あら、美樹さんの学年には広まっていないのね」

杏子「あたしも初耳なんだが」

マミ「貴女は学校には通っていないでしょうし、無理もないわ」

さやか「で、それは何なの?」

マミ「最近、私のクラスで広まりだした噂なのだけれど」

杏子「噂、か。くだらねェな」

マミ「深夜に女の子の所にやって来て、女の子を何処とも知れない場所に連れていく存在。それが『まどかさま』らしいの」

さやか「な、なんだか怖いね」

マミ「それで、ここからが本題なのだけれど。この話を聞いた人の所には、来るらしいのよ」

さやか「……え?」

マミ「『まどかさま』が」

杏子「おいおい。今時流行らないよ、そんなのは」

さやか「ど、どうしよう。ねぇマミさん、あたしはどうしたらいいの!?」

杏子「信じてやがる……」

マミ「助かる方法は二つあるの」

さやか「早く教えてよ、マミさん!」

マミ「一つは『この話を二人以上に伝える』」

杏子「お前はそっちを選んだってワケか」

マミ「ええ。そしてもう一つが、『呪文を唱える』。ただし、その時には決して眼を開けてはならない」

さやか「その呪文っていうのは?」

マミ「『まどっちまどまど』よ」

杏子「……」

さやか「まどっちまどまど、まどっちまどまど……」

マミ「この『まどかさま』って、どこかで聞き覚えがあると思わない?」

さやか「うう、そう言われるとどこかで聞いたような気も……」

杏子「お前もか」

さやか「え? え? やめてよ」

マミ「やっぱりね。二人を巻き込んでしまったのは申し訳ないけど、確かめたかったのよ。このデジャヴが錯覚レベルのものなのかどうか」

さやか「そういえば、行方不明者って女の子が多いよね……」

杏子「ただの偶然だとは思うが、確かに気になるわな。魔獣絡みかも知れねェ」

マミ「私達なら、いざという時の対抗手段も持っているしね。魔獣の仕業なら、放っておく訳にもいかないわ」

さやか「やだぁ……」

杏子「怖いんなら、呪文とやらを使えばいいんじゃねェの? あたしとしてはありがたい限りだ。丁度グリーフシードが欲しい所だった」

さやか「まどっちまどまど! まどっちまどまど!」

マミ「何かあったら、テレパシーで連絡して。直ぐに向かうわ。それじゃ、おやすみ」

――さやか宅――


さやか「まどっちまどまど、まどっちまどまど……」

さやか「眠れないよぅ……」

さやか「こんな時に限って、うちには誰もいないし」

さやか「……」

さやか「杏子のヤツ、大丈夫かなー」

さやか「し、心配だなー。あいつ、一人じゃなんにもできないもんなー」

さやか「しょうがないなー。さやかちゃんが一緒に居てあげよう!」

――河川敷――


パチ、パチ

杏子「……」

さやか「きょ、杏子?」

杏子「ああ、さやかか。丁度良い所に来た」

さやか「うげっ! それ、蛇!?」

杏子「食うかい?」

さやか「い、いらないよ!」

杏子「ま、食わんだろうな。……んぐっ」ガツガツ

さやか「うわぁ……」

杏子「お前には、感謝してるよ」

さやか「えっ」

杏子「これで、野郎が来る確率は50%から100%に跳ね上がったってワケだ。存在するなら、の話だけどな」にぃ

さやか(ヤバい、コイツすっごい頼りになる)

杏子「さて、それじゃ寝るとするかい。生憎と、布団は無いけどな」

さやか「だったらあたしの家で」

杏子「面倒臭い。それに、柔らかいベッドの上じゃ寝付けそうにもねェ」

さやか「うぅ……」

杏子「イヤなら帰っても良いんだぞ?」

さやか「やだ!」

タツヤ「麻呂か!麻呂か!」
ほむら「うん、zipがほしいんだね」

杏子「そうか。じゃ、この寝袋を使え。あたしはもうちょっとしてから寝る」

さやか「悪いよ、そんなの」

杏子「ふん。あんたらとは鍛え方が違うもんでね。いいからさっさと寝なよ」

さやか「……ありがと。おやすみ」

杏子「ああ、おやすみ」


◆ ◆ ◆


  や ちゃ

さやか「zzzz」

 おぼ  てく た

さやか「……んあ? きょーこ?」

 さや ちゃ さ か

さやか「え……」

 さ しいよ さ かちゃん

さやか「……や、やだ」

 さや ちゃん やかちゃ さやかちゃ

さやか「杏子!! 杏子ぉ!!」

 さやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんおぼえててくれたおぼえててさびしいよさやかちゃん

さやか「やだよお! なんでいないの!? 杏子お!!」

 さやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃん
 さやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃん
 さやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃんさやかちゃん

さやか「うぐ、うぅ……まどっち、まどまど! ぐすっ、まどっちまどまどぉ!!」


 さ や か ち ゃ ん

杏子「……思いの外、時間が掛かっちまったな。しかし、大漁だ。手間ァ掛けて罠こさえた甲斐があった」

杏子「……さやか?」

杏子「さやか! さやか! おい、どこに居る!?」

杏子「……まさか」

 きょ  ちゃ

杏子「!?」

 う まい  し ったよ あり  う

杏子「……テメェの、仕業か」

 きょうこちゃんきょうこちゃん

杏子「……?」

 きょうこちゃんきょうこちゃんきょうこちゃんきょうこちゃん

杏子「なんであたしの名前を知ってやがる?」

 うんまいぼう おいしかったよ ありがとう

杏子「……」

 みじかいあいだだったけど わすれないよ きょうこちゃんもおぼえててくれたんだね

杏子「……悪い、忘れてた。ホントに悪いな。そっか、聞き覚えがあるワケだ」

 また きっと あえるからね

杏子「……ああ。もう、忘れねェから」

さやか「おーい! きょうこおおおおおお!!」

杏子「さやか。……と」

ほむら「……」

さやか「ふっふーん。怖がっちゃって」

杏子「お前の所にも来たのか」

さやか「うん。へへへ」

杏子「で、お前はどうした? ほむら」

ほむら「マミから話を聞いて」

杏子「ハナから知ってたって面だな」

ほむら「代わりに謝っておくわ。ごめんなさい。彼女も悪気があってやった訳じゃないの」

さやか「そんなの当たり前じゃーん!」

杏子「良く言うな。一人で寝られなくなってあたしのとこまで転がり込んできたのはどこの誰だ?」

さやか「ぐぬぬ」

ほむら「彼女は、嬉しかっただけなの。貴女たちに思い出してもらえたから」

杏子「だから、名前を知った奴の所を無差別に回ってるってワケか」

ほむら「そう」

さやか「なんか、怖がっちゃってバカみたいだねー。あははは」

杏子「マミの奴はどうなんだ? 二人に教えれば来ない、なんて言ってたが」

ほむら「さぁ。今頃、お話してる最中なんじゃないかしら」

――マミ宅――


マミ「ねぇ、なんで!? 二人に話せば助かるんじゃないの!?」

 ミ ん

マミ「やだ! やだ! まどっちまどまど! まどっちまどまど!」

 マミさんマミさん

マミ「ひいいいいいいいい」

 ティロ・フィナーレってなんだったんですか?


―――
 今夜、貴方の所にも現れるかも知れない。
 寂しがり屋な彼女が……。 おわり

じゃあ後はお前らに任せた
邪神 マドガミさまとか誰か書いてくれ

さやか「『マドガミさま』? なんですか? それ」

マミ「美樹さんは魔法少女になって日が浅いから、知らないのも無理ないわね」

杏子「あたしも知らねーぞ」

マミ「佐倉さんはあまり他の魔法少女と交流しないから……」

佐倉「あんただってボッチじゃねーか」

マミ「し、失礼な! 私だってmixiだとマイミク100人以上いるのよ! 魔法少女コミュの管理人だし!」

さやか「マミさん落ち着いて……」

マミ「ご、ごほん! まぁいいわ。貴女達に教えてあげる。『マドガミさま』の事……」

マミ「これを見て」


 魔法少女あつまれー☆ トピック

04月24日 … 『マドガミさま』の噂        
04月24日 … 【速報】群馬で魔獣が大量発生
04月23日 … 【殉職】魔法少女追悼トピ【円環
04月22日 … 新魔法少女の挨拶はここで
04月20日 … 皆で必殺技を考えるとぴ

杏子「なんだこれ」

マミ「魔法少女コミュのトピックよ」

マミ「その中でも、これ」

さやか「『マドガミさま』の噂……?」

杏子「結局噂なんじゃねーか」

マミ「いいから見て!」


 『マドガミさま』の噂

 『マドガミさま』は魔獣退治が下手な魔法少女の下に現れ、連れ去ってしまうという……
 今魔法少女の間でまことしやかに語られるこの噂について話し合うトピです。

さやか「あわわ……どうしようマミさん! あたし連れてかれちゃう!」

杏子「あはは! 確かにさやかは弱っちーからな」

マミ「大丈夫よ美樹さん。これを見て」

眼鏡っこ   こんにちは、『マドガミさま』関連で新しい噂を聞いたので書きこませてもらいます。
         『マドガミさま』は身代わりを置く事で、そちらを魔法少女と勘違いして持っていくそうですよ。

††MAMI††  興味深いわね、ぜひ詳しい話を聞きたいわ>眼鏡っこ

眼鏡っこ   マドガミさまは、少女の肌に最も近い衣類。つまり下着を枕元に置くことで、勘違いしてそちらを持っていくそうです。


杏子「ただの下着ドロじゃねーかよ」

>††MAMI††

いるいるwwwww

マミ「佐倉さん! そんなこと言ったら呪われるわよ!」

杏子「はぁ? 何いってんだ」

さやか「まずいよ! 杏子連れてかれちゃうよ!?」

杏子「マドガミさまなんか居るわけねーっての。第一あたしはかなりスコアを稼いでるっての」

マミ「いいえ、このトピックを見る限り、馬鹿にしたり下着以外をお供えしたり、お菓子ばっかり食べてても呪われるらしいわ!」

杏子「なんだよお菓子たべちゃいけないのかよ」

さやか「きょうこぉ……お供えしよ? このままじゃ連れてかれちゃうよぉ……」

杏子「えぇい鬱陶しい! あたしは信じないかんな!」

さやか「あっ! 杏子!」

マミ「まずいわね……」

さやか「どうしようマミさん……」ブルブル

マミ「美樹さんは念のため、今日は枕元に下着をおいておくといいわ」

さやか「はい、そうします……」ビクビク

さやか「えっと、お供えはパンツでいいかなぁ……」

さやか「枕元において、と」

さやか「うぅ……怖くて寝れないよぅ……」

さやか「駄目だ、寝るんださやか! ねるねるねる!」

さやか「あれ? なんだか……急にねむけ……が……」

さやか「Zzzz……」


??「…………」ガチャ

??「…………」ガサガサ

??「……新品か」チッ

さやか「Zzzz…」

??「次は使用済みを置け」ヒソヒソ

さやか「ん……んむ……」Zzz



さやか「はっ! あたしいつの間に寝ちゃって……あっ」

さやか「下着が……無くなってる!!」

さやか「マミしゃあああああああああんん!!!」ダバダバ

マミ「あら美樹さん。おはよう」

さやか「ままままマドガミさまが! マドガミさまが出たんです!」ガクガク

マミ「な、なんですって!?」

杏子「んなわけねー。どうせ夢だろ?」

さやか「ちがうもん! 朝起きたら枕元に置いておいた下着が無くなってたんだって!」

杏子「はぁ? ベッドと壁の隙間とかに落ちてるんじゃね?」

さやか「絶対ない! あたし確認したし! それに・・・…」

マミ「それに?」

さやか「夢のなかで、次は使用済みだって聞いた、ような……」

杏子「変態じゃねーか!」

さやか「あー! また馬鹿にした! 杏子だめだよ!」

マミ「佐倉さん、あなた完全に呪われたわ」

杏子「えー?」

マミ「とにかく、今日は貴女達二人とも下着を置くこと。ちゃんと使用済みをよ?」

さやか「はい! そうします!」

杏子「けっ 勝手にやってな」

マミ「佐倉さん……」

さやか「あううう……マミさんどうしよう、杏子が連れてかれちゃうよぉ」

マミ「信じるしか無いわ、彼女を……」


■あんこハウス

杏子「ったく、あいつらにも困ったもんだ」

杏子「…………」

杏子「一応だぞ! 念のため! そう、マドガミさまなんて居ないって証明するためだかんな!」ヌギヌギ

杏子「もう寝るけど、別に心配なんてしてないからな!」

杏子「………Zzzz」


??「…………」ヌッ

杏子「Zzzz…」

??「……」ゴソゴソ

??「……」クンカクンカ

??「……」ホムー//

??「………」ゴソゴソ


■さやさやハウス

さやか「うぅ……コワイよぉ」

さやか「でも今度こそ、使用済みをおけば……」ヌギヌギ

さやか「おやすみなさい」

さやか「Zzzz」

??「……」ゴソゴソ

??「……すっぺぇ」ペロペロ


■翌日

さやか杏子「「あたしの下着が……ない!?」

さやか「マミさあああああああん!」ダバダバ

杏子「しゃやかああああああああうあわあああああああ」ダバダバ

マミ「あら、二人とも……」

さやあん「「下着がなくなってた(ました)!」」

マミ「やはり……噂はほんとうだったのね」

マミ「こうしちゃいられない、早くトピックに書き込まないと!」


■ほむほーむ

ほむら「うひひ…… 大漁大漁」

QB「訳がわからないよ。どうして君は同姓の下着――しかも使用済みを集めるんだい?」

ほむら「分かっていないわね、インキュベーター」

QB「説明してほしいな」

ほむら「だってまどかパンツはもうこの世にないのよ!? だったら他の魔法少女のモノで我慢するしか無いじゃない!」

QB「……駄目だこいつ」

ほむら「さて、早速手に入れたパンツを被って寝るとしましょう」

ほむら「はぁ……あんパンは汗臭くてたまんないわ、さすがボーイッシュ系魔法少女」

ほむら「さやパンはなんだか酸っぱいわ。おそらく酸化した愛液の味ね。こいつまた上条で発情したわね」

ほむら「あぁ、たまんないわ……むにゃむにゃ」

ほむら「Zzzz…」


 ほ らち ん

 ほむら  ん

ほむら「ん……?」

 ほむらちゃん う  の

ほむら「だ、誰!?」

 わ しい    パン をクン  ン す   て

ほむら「お、お化け!? ひぃぃぃぃ」

 わたし こ はあそび ったの?

ほむら「いや、違う! これはまどか! 会いに来てくれたのね! ひゃっほう!」 

ほむら「ああ会いたかったよまどかまどかあああああああん!」

まどか「いっぺん黙れや」

ほむら「え?」

まどか「テレパシーで話してもラチが開かないし顕現しちゃったよ」

ほむら「まどかあああああ!」

まどか「近づくな変態」ベシッ

ほむら「あうっ」

まどか「何私の名前を勝手に使って変態行為に勤しんでるわけ?」

ほむら「そ、それは……あの、気の迷いって言うか」

まどか「ほむらちゃん、私のこと好きって言ったよね? あれ嘘だったの?」

ほむら「ちがう! 私はいつまでもまどか一筋よ!」

まどか「信じられんわ」ペッ

ほむら「まどかぁ……」

まどか「大体下着って何よ下着って。無理あるだろ信じる方も信じる方だわ」

ほむら「美樹さやかは実にチョロかったわ」

まどか「てめーは黙ってろ」ゲシ

ほむら「あうっ」

まどか「はぁ、ほむらちゃんは本当にダメな子だなぁ」

ほむら「まどかぁ…」

まどか「これはお仕置きだわ」

ほむら「おしおき?」ハァハァ

まどか「呪いかけたから」

ほむら「えっ?」

まどか「呪い。女性用下着に触れると死ぬ呪い」

ほむら「そんな! 私の生きがいが!」

まどか「うっせー死ね」

ほむら「はうっ」ジュン//

まどか「駄目だこいつ」

あれ、このマドガミさま見覚えが

まどか「反省したら解くから、それまで頑張ってね」

ほむら「あぁ! 待ってまどか! まどかああああああ」

まどか「ばいばーい」

ほむら「うぅ……まどかぁ…」


■翌日

マミ「あ、美樹さん! 佐倉さん!」

さやか「どうしたんですか?」

杏子「また『マドガミさま」か?」

マミ「これ見て! 魔法少女コミュのトピック!」


 『マドガミさま』の噂

眼鏡っこ         『マドガミさま』は私が冗談で広めた嘘です。
              怖がらせてごめんなさい。

††MAMI††       死ね。氏ねじゃなくて死ね。

シャル@恵方巻き  めちゃビビったやんけ。どないしてくれんねん。

さやか「なんだー、ウソだったのかぁ」

杏子「……」ガクガクブルブル

さやか「どうしたの? 杏子」

杏子「下着……」

マミ「え?」

杏子「じゃあ何で…… 下 着 は 無 く な っ て た ん だ ?」

マミさやか「「」」

 ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

■おまけ

上条「ねぇ、『ホムガミさま』って知ってる?」

上条「何でも、神かくしみたいな怪異らしいんだけど」

上条「そうそう、でも大丈夫。使用済みのパンツを枕元に置いておけば助かるんだってさ」

上条「え? 誰から聞いたのかって?」

上条「 黒 く て 長 い 髪 の 女 の 子 が ……」               
                                              END

上条「 

上条が何かを言いかけた件について

>>152
ごめんただの誤植

さて次は女神☆まどかを誰か書いてくれないかな

マミ「ねえ、『まどかさま』の話、覚えてる?」


 マミさんが唐突にそう切り出したのは、あれから一月後のことだった。


杏子「あぁ、忘れるワケねェだろ。約束したんだ、あいつと」


 切り分けられたケーキをフォークの先でいじくりながら、杏子。
 なんだか、ちょっとだけ悔しいな。あたしの方がまどかとの付き合いは長かったはずなのに。


マミ「そのことなんだけど。流れている噂が、変わってきているのよ」

さやか「ふーん」


 どうでもよかった。
 どんな噂を流されてもまどかはまどかで、みんなが言ってるみたいな酷いことをする筈はないから。
 でも、その話をするマミさんはちょっと辛そうで。だから、聞かずにはいられなかった。

さやか「それ、どんな風に?」

マミ「『まどかさま』の名を知った者の所に、『まどかさま』は現れる。ここまでは変わらないわ。対処法も一緒」


 そこまで言って、マミさんは口を噤んだ。まるで、本当に話し辛いのはこれからだって言ってるみたい。


さやか「いいよ。続けて」

マミ「ありがとう、美樹さん。……違うのは、結末。どこかに連れ去られるんじゃなくて……殺される、らしいの」

杏子・さやか「「はぁ!?」」

マミ「その死に方は人それぞれで、何の統一性もないんだって。でも、おかしな死に方だっていうのは共通してるみたい」

ほむら「下らないわ」


 そこまで聞いて、ほむらがやっと声を出した。いつも通りの無表情だけど、怒ってる様に見えるのは気のせいかな。

マミ「ええ、下らないわね。鹿目さんがかわいそう」

杏子「……噂を流しやがった奴は、どこに居やがる」


 杏子は、明らかに怒ってた。当然だと思う。あたしも同じ気持ちだもん。


マミ「分からないわ。凄い速度で噂が広まっているんだもの。まるで、ねずみが子供を産むみたい。うまいことを考えたものね」

さやか「止めてあげたいな」


 ついそう漏らしたら、皆が一斉にこっちを向いて。そして、笑った。


杏子「そう、だな。これじゃ、まどかの奴が浮かばれねェ」

マミ「協力するわよ」

ほむら「ありがとう、さやか」

 そうしている内に、太陽は沈みかけて空をオレンジ色に染めていた。今日はここで解散して、また明日対策を考えようっていうことになった。

 ふらふらと歩いていると、鏡のお城みたいな家――まどかの家の前を通りすがった。
 小さな男の子が玄関前の段差に座り込んで、一生懸命に何かを書いている。


さやか「たっくん!」

タツヤ「んうぇ? さやか!」


 名前を覚えててくれたことを嬉しく感じながら、たっくんの目の前にしゃがみこんだ。
 仲良くなったきっかけはほむらだけど、まどかの弟だったと知った今となっては、運命みたいなのを感じちゃうかも。

さやか「何を書いてるのかなー?」


 ひょい、とたっくんの落書きノートを覗き込んでみた。
 そこには。


タツヤ「うぇへ、へへへへ。まぉか! まろか!」


 真っ黒い、人型。
 おっきな二つの丸の中を、ぐりぐりと塗り潰しているたっくん。


さやか「……ぐぇ」


 お腹の奥から酸っぱいものが込み上げてきて、堪らず私はその場を離れた。

さやか「ただいま」


 そう言ってはみたけど、返事がないことは知っていた。
 二人とも、最近は家に居ないことが多い。なんでも、仕事が忙しいらしい。

 お風呂に入り終わった私は、すぐに寝ちゃうことにした。なんだか食欲がなかったから。


さやか「……」


 まどかの噂と、たっくんの書いていた何かが目の前をちらつく。
 ぶんぶん頭を振って、それらを振り払った。親友のあたしがまどかを信じてあげなくてどうするんだ。

 こんな時には、寝ちゃうに限るね。さぁ、明日は早く起きてまどかを助ける方法を考えないと。


さやか「zzz……」

 気がつくと、そこはあたしの部屋じゃなかった。
 だーれも居ないコンサートホール。でもステージ上のライトだけは、明るく光ってた。まるで、何かを待ってるみたい。


さやか「きょう、すけ?」


 何か予感めいたものがあって、あたしは最前列の一席に座った。
 あたしは、ここに居なきゃいけない気がする。

『あかぼtのへっちさた』


 そうしていると、何かが聞こえてきた。どっかで聞いたことがあるような、ないような、そんな声。


『あかぼtのへっちさた』


 ずっと後ろの方から聞こえていたそれは、だんだんあたしの近くに。


『あかぼtのへっちさた』


 すぐ近くで声が聞こえていたかと思うと、ぽん、とあたしの肩に手が置かれた。
 そして、知った。逃れ様のない、あたしの運命を。

◆ ◆ ◆


 眩しい朝日に瞼を焼かれて、あたしは目を覚ました。
 寝心地については文句無いが、どうにも日当たりが良すぎていけない。


杏子「ふぁ……」


 朝早く起きた所で、暇を持て余すだけだ。早起きは三文の徳だなんて、嘘っぱちだと思う。


杏子「んむむ」


 そこで、寝惚けた頭が妙案を導き出した。前言撤回。早起きは三文の徳。これ、間違い無い。


杏子「ひっひっひ」


 寝起きのさやかを強襲してやろう。このくらいの時間には、あいつは起きている筈だ。
 そうと決まれば、善は急げ。最低限の身だしなみを整えたあたしは、さやかの家へと向かった。

 物音を出さない様、そっと玄関のドアを閉めた。
 さやかの家は、とても静か。朝早いといっても、これはちょっとおかしいんじゃないか?


杏子「まーだ寝てやがんのか。しょうがねェな」


 以前にさやかの部屋に招かれた時の記憶を手繰り寄せて、探す。
 程無くさやかの部屋は見つかって、あたしはドアノブを捻った。

 ベッドの上には、人間一人分程の大きさの膨らみがあった。
 やっぱりまだ寝てやがる。なら、このあたしが叩き起こしてやるとしよう。

 泥棒みたいに足音を忍ばせて、ベッドに近寄る。そして布団の縁を掴んで――思いッきり引っ張った。


杏子「おら、朝だぞ! 起きろ!!」


                 f'´   f'´  f'´   f'´
                 易   姓  革   命
                 |\ ∧  ∧   /|_
               ,.<三二Λ ト、| | | |// ////>、
            /////////Λ|ム|_.iM|_.|//_∠///////ヽ
         /////////// / : : : : : : : : : : : : : ヽ、////\  
         ,'///////// , ´ : : :i : : : : : : : : : : : : : :.`、////∧   
           {////////// : : : : :l : : : : : : ',: : :\: : : : .∨///∧
           {////////,' : : : :/iΛ : : : :ト、 ',\ : :Y7 : : i/////} ____
         V//////ノ : ::i イ/{≧ト、: : i ヽ}=≦ミ| : i7i :i////∠三二ニ二三ミ、
            ∨/////イ : :|: { {::心 \{  {:::心 i : :| :i :|///仁二二二二三ヨュ.  
           ∨/////| : :| ヘ弋少  ,`  弋少 | : :| :i :|//γニミ黄三ミ、γ蒼ミミ
           \////VΛ:ハ ,,,,        ,,, | : :| :| :}// {{;;il天{;;illllli;;}}天lli;;}}               
            `<//}从:込、   `     ,ィノハイ从// {{;;;ili當{{;;li;;;}}{{;;己i;;}} 
                `<//rー ,、≧=-=≦=ー┐/>´  'ゞ=立彡ヘ死ゞ=彳
                  `>{;;;;;;;;;;;;≧{;;;}≦;;;;;;;;;;;;;}≦、    Vr==ニ二ミV/
               / ゞ:;;;;;;;;:ィ;;|ト、ヾ:;;;;;;;;;;ノ   `ヽ、  圷iil}.{lll}.{ll}.{iiメノ
              /    `ー'´ .|;;|.iΛゞ` -'´     `、  `=ニ(\\='´
                i、         |;;|ハ ヾ;\       /  ヽ、   (\、ヽi 
                l ヽ、       i;;|llllヽ \;;\  /    \  (\  }
                 |   \     /|;;|llllllΛ  VΛ         \入  ノ

 その瞬間、あたしの眼に冷たい何かが入り込んだ。堪らず瞼を閉じて、指の平で擦る。
 ぼんやりとした視界に映り込んだ指は、赤い異物に染まっていた。


杏子「ッ……血、か?」


 段々と明瞭になる世界の中、胸騒ぎに突き動かされるままさやかを探す。
 ……居た。ベッドから剥ぎ取られた布団の下に、青い髪が見える。


杏子「……は、はは。なぁ、さやか。朝だってば」

 笑う声が上ずっているのは、自覚していた。あたしの心臓が暴れまわっているのも。
 きっと、さやかがどうなっているのか薄々感付いていたからだろう。

 意を決して、布団を静かにめくる。


杏子「――ああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!」


 そこにあるものが何なのか、すぐには理解できなかった。あたしが知るさやかの姿とは、あまりにかけ離れていたから。

女神まどか・・・

杏子「――ああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!」


 そこにあるものが何なのか、すぐには理解できなかった。あたしが知るさやかの姿とは、あまりにかけ離れていたから。

 奇麗な瞳が輝いていた筈のそこには、何もなかった。からっぽの眼窩に、真っ黒いどろどろが詰まっているだけ。眉間には大きな穴が空いていて、もう一つの眼窩をこしらえたみたいだ。
 太陽みたいに明るく笑っていた口元からは、皮が剥ぎ取られて、出来そこないの人体模型の様。
 そして、下半身。存在しなかった。無理矢理引き千切られたみたいに、ぽたぽたと滴を零す腸が、布団を赤く染め上げていた。


杏子「あああ、うわああああああああああ!! さやか! さやかあああああああああッッ!!」

女神は他の人に任せたよさやかちゃんさやさや
ちょっとねゆ

オクタヴィった

てめぇこんな展開で寝るとか許さねえでもさやかちゃんは死んだほうがかわいいよちゅっちゅ

さやかちゃんの内臓ペロペロしたいよ眼孔にちんぽぶっ刺してふぉおおおおおおおおおおおおおおおおお

あとは任せた

ほむら「まどか様?」

ほむら(久しぶりにたっくん以外からまどかの名前を聞いたわ)

マミ「ええ、ぶっちゃけるとコックリさんの改変ね。ただ、十円玉じゃなく不思議アイテムのソウルジェムを使うの」

ほむら「そう」

マミ「ちょっと、そんな『わりとどうでもいい』って顔しないでよ」

ほむら「いや、わりとじゃなく、心底どうでもいいわ」

マミ「ひどい。皆が私をシカトするなら、みんな死ぬしかないj」

ほむら「暴れないで」腹パン

マミ「」ドサッ


ほむら「仕方ないから聞いてあげるわ。ただし三行でね」

ほむら(そもそも魔法少女が似非オカルトなんてナンセンス極まりないわ)

マミ「やった。
   お告げはあけみにでんごん
   りぼんはおさげにしないの省略されました。」

ほむら「わっふるわっふる」

マミ「話を聞いてくれるのね!?」パァァ

ほむら「」コクコク

ほむら(まさか本物なんて思わなかったわ。誰が言い出したか、円環のなんちゃらから自然に派生した名前かと)

マミ「まずね、これは地方によってはタマキ様とも呼ばれてて、いわゆる円環の理の噂、魔法少女の死に際に謎の少女が見えるって奴の、その女の子を降霊する儀式で」

ほむら(思った通り長いわ)

説明は省略されました。


ほむら「纏めると、さやか、杏子とやったら、私にお告げがあったのね」

マミ「そうよ。五つほどあったけど……」

ほむら「聞かせて」

ほむら「どういう事……」

ほむら「真夜中に近所の銭湯の煙突の天辺で、全裸で腕を広げたタジャドルのポーズなんて……」

QB「どうしたんだい、ほむら。異常性癖の気はあったけど、露出の趣味はなかったじゃないか」

ほむら「まどか様のお告げよ。」

QB「昔から、この年頃の少女はオカルトに興味を持つね。どうしてそんな非科学的な存在を信じるのか理解できないよ」

ほむら「地球の一般常識で考えれば、インキュベーター、あなたこそオカルト存在そのものよ」

QB「返す言葉もないや」

ほむら「さて、次のお告げは……」




杏子「いやー、小綺麗な身体だぜ」

さやか「推定Bね。杏子よりはマシか」

杏子「んだとコラ」

マミ(望遠カメラってすごい!)

ほむら「これが謎の白い液体……」

さやか「これを下着姿のほむらにぶちまける、か……」

ほむら「これは何?アルコールの匂いがするわ」

さやか「プルケが手に入らなかったから、にっこりマッコリを買ってきたよ」

ほむら「中学生がよく買えたわね」

さやか「本当は、父さんの飲みかけを拝借したの」

ほむら「どうでもいいわ、さあ早く」


バシャッ

ほむら「さあ、次よ」

さやか「なにこれエロい」

杏子「これはケフィアですか」

マミ「いいえマッコリです」

杏子「どう見ても精ry」

ほむ

その後、魔法少女の衣裳で男物のパンツを購入し、部屋でびっくりするほどユートピアをさせられたほむら。

ほむら「最後のお告げは、私もまどか様の儀式に参加、か……」
マミ「じゃあ、始めるわよ」ツヤツヤ
ほむら「それにしてもあなた達、やけに血色がいいわね」
さやか「え?そんな事ないよ」ツヤツヤ
杏子(ほむらの裸etcで興奮したなんて言えねえ)ツヤツヤ

マミ「まどか様まどか様、お越しください」

ほ む ら ち ゃ ん

ほむら「!?」

ゆっくり、一文字ずつ、黄色のソウルジェムは平仮名を指していく。
おねがいきいてくれてありがとう
ほむらちゃんのこと わたしはずっとみてる

ほむら「……」
さやか「泣いてる……」
杏子「良かったな、良かったなぁほむら……」貰い泣き
きょうはもうかえるけど またよんでほしいな
つきにいちどくらいがいいかも
ほむら「まどか……うん、絶対、絶対また呼ぶよ!」
じゃあ またね
マミ「もう動かないわね。お帰りになったみたい」
ほむら「まどか、まどかぁ……嬉しいよぉ……」

翌日、夜。
マミの家に、杏子とさやかが集まり、三人でまどか様をしていた

杏子「スゲーな、あのほむらが何でもしやがったぜ」

さやか「いけない、びっくりするほどユートピアで思い出し笑いがwwwwww」

マミ「でも、何故まどか様はこんなイタズラを?」

ちょっとむかし いたずらされた しかえしに

マミ「さてと、それじゃあ来月のイタズラをどうしましょうか?」

わたしは あたまからなっとうを かぶせたいわ

杏子「食い物を粗末にするのは良くねーぞ」

さやか「じゃさ、納豆の女体盛りにすりゃいいじゃん」

なるほど



見滝原の夜は更けていく

あ、私は>>1じゃありません。
だからそれまでの話とは関係ない、保守替わりの何かだと思ってください。

ほむ

へい

>>1じゃないけど何か考えてくる

あむあむ

マミ「最大50人に分身できたり高速移動できたり重力操作できたり津波起こせたり空飛べたり出来るようになったわ」

QB「…………」

マミ「ああ、私の欲望が暴走する……!!」

QB「マミ、そんなんだから友達d「ティロフィナーレ!」

マミ「なんだか無性に串田ボイスが聞きたいわ」

マミさんが平成ライダーファンネタで一度書いてみたいよね

ーDon't forget.

Always, somewhere,

someone is fighting for you.

ーAs long as you remember her.

you are not alone.

「うん。じゃあ、いこっか」

「うん」

……
「さよなら、だね。」

「ああ、いろいろあったけどありがとな。」

……
「これでお別れですね。」

「ごめんなさいね、わたしが誘わなければもっと」

……
「やっと、会えたね。」
「あなたとの約束守れたかしら。」

……
「」
「」
「」

他にさんや様つけて呼ぶ都市伝説か……なんかないかな?

ちょっと書いてみる。

さやか「いや~、まさか転校生も魔法少女だったなんてね。」

ほむら「暁美ほむらよ。いい加減に覚えなさい。」

マミ「おまちどうさま、はい紅茶とケーキよ。」

さやか「わーい、待ってました。いただきま~す。」

ほむら「それじゃ、遠慮なくいただくわ。」

マミ「それで、暁美さんにお願いがあるのだけど……」

ほむら「一緒に戦ってほしい、と言ったところでしょう。問題ないわ、一人で戦うよりも効率がいいし何よりも安全でしょう。」

さやか「えぇ~、マミさんはあたしだけじゃ頼りないんですかぁ。あんまりこっちには来ないけど杏子だっているじゃないですか。」
マミ「もちろん、美樹さんや佐倉さんだって信頼してるわ。仲間なんて多いにこしたことは無いじゃない。暁美さんにとっても都合がいいでしょ。」

さやか「それはそうですけど。」
ほむら「……」

マミ「それはそうとしとして明美さん。」

ほむら「なにかしら、巴マミ。」

マミ「……できれば名前で呼んでくれないかしら。あと先輩であることも考えてくれると嬉しいわ。」

ほむら「わかったわ、巴さん。それでさっきの続きは?」

マミ「……ま、まぁいいでしょう。それであなたはここにくる前にも魔法少女をしていたのでしょう。」

ほむら「一応、ね。」

マミ「歯切れが悪いわね、深くは聞かないけど。」

ほむら「……」

さやか「あっ、紅茶のおかわりもらいますね。」

マミ「それならウワサを聞いたことが無いかしら?」

ほむら「ウワサ?」

マミ「そう、ウワサ。魔法少女の間でいろいろとあるのよ中には普通の少女に広まっているものもあるわ。」

ほむら「例えばどんな?」

マミ「ワルプルギスの夜と呼ばれる巨大な魔獣がいるとか、魔法少女は昔からいて人類に大きな影響を与えてきたとか、QBは宇宙人だとか、ラスボスはウロなんとかとか、青は不人気とか。」

さやか「マミさん何か言いましたか?あとケーキのおかわりいいですか?」

マミ「気にしなくていいわ。」

ほむら「いろいろ妙なウワサがあるのね。(一般人にも流れているの?これが?)」

マミ「その中でも特に聞きたいものがあって。」

ほむら「そう言われも……(ほとんど事実で別に言うことが無





マミ「『まどかさま』って知ってる?」


ほむら「!?!!???!」
さやか「……」

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