妹「嘘でもいいから、好きって言って」(768)

男「ふわぁ…」

男友「寝不足か?」

男「まあね」

男友「こんな日に夜更かしなんかすんなよ」

男「良いじゃねえか、春休みなんだし」

男友「良くねえ、お前がぼけーっとしてるせいで今日のデートがつまんなくなったら許さねえからな」

男「デートって…女たちと遊ぶだけじゃん」

男友「デートだろ!こっちは俺とお前!向こうは女さんと女友!立派なダブルデートじゃねえか!?」

男「わ、分かったから唾飛ばすなよ」

男友「向こうが急に誘ってきたんだ…あんなことやこんなことを期待してもバチは当たらないよな…」ゴクッ

男「…はあ」

女「……。」

女友「あははー、ちょっと早く来すぎちゃったかな」

女「……。」

女友「張り切ってるみたいに思われたらどうしようかなぁ」

女「……。」

女友「ね、女。男友が浮かれてたりしたら嫌だしねー」

女「……。」

女友「…女?」

女「…やっぱり無理」

女友「へ?なにが?」

女「男くんと一緒に遊ぶなんて無理だよぉ!」

ダッ

女友「ちょっ、こら!」

女「か、帰る」

女友「お、落ち着いて女…あ、こらー!」

妹友「ふんふーん♪春休みぃ~」

妹「……。」キョロキョロ

妹友「今日はいい天気だねー、妹」

妹「……。」キョロキョロ

妹友「こんな麗らかな日に妹と遊びに行けるなんて、幸せだなー」

妹「……。」キョロキョロ

妹友「…で、そろそろその挙動不審な理由を教えて欲しいんだけど」

妹「…むー」

妹友「まあ、だいたい予想はつくけど」

妹「お兄ちゃんどこに行ったのかなぁ」

妹友「…ですよねー」

妹「あの様子は絶対に誰かからのデートのお誘いだったもん…だから」

妹友「だから?」

妹「追跡しないと!」

妹友「…はあ」

男友「……。」

男「……。」

男友「遅いなー…」

男「だな」

男友「集合場所ってここで合ってるよな?」

男「おう」

男友「集合時間は?」

男「1時」

男友「今は?」

男「1時半」

男友「……。」

男「……。」

男「…俺帰っていい?」

男友「駄目、俺一人とか緊張しすぎて死ぬ」

男「…はあ」

女友「女…お願いだからさっきの場所に戻ろ?ね?」

女「む、無理ぃ…」

女友「無理って…きっともう男くんたち待ってるからさ」

女「女友だけで行ってきてよぉ…」

女友「そ、そうしたらあの二人を誘った意味が無くなっちゃうでしょ」

女「私が行ったら恥ずかしくて死んじゃうもん…」

女友「私は今のこの状況が恥ずかしいってば!」

女「いいから離してよー!」

女友「離したらあんた家まで逃げるでしょうがー!」

女「忘れ物したんだよぉ」

女友「なにをさ?」

女「…ゆ、勇気」

女友「そんなもん家に帰ってもありゃしないわ!」

女「うー…帰りたいよぉ…」

女友「…私は一体どうしろと」

妹「…ここにもいない」

妹友「ねえ、諦めて私と遊びに行こうよー」

妹「うー…困ったよぉ」

妹友「ね、ちょっとは話を聞いてくれたら嬉しいんだけどなー」

妹「あ、あっちからお兄ちゃんの匂いがする気がする!」

ダッ

妹友「い、妹!ちょいストップ!」

妹「ん、なに?どうかしたの?」

妹友「とりあえずその匂いは気のせい」

妹「…かなぁ」

妹友「そろそろ少し落ち着いて考えてみようよ」

妹「私はずっと落ち着いてるよ?」

妹友「私個人の意見なんだけどね、こうやって公園の公衆トイレを巡っててもお兄さんには会えない気がします」

妹「…むー、じゃあどうすれば」

妹友「例えばさ、デートの待ち合わせといえば――」

男「……。」

男友「……。」

男「男友」

男友「はい」

男「今どこにいるのか電話して聞け」

男友「お、漢たる者、そんな無粋なことしちゃ駄目だ!」

男「……。」

男友「真の漢はな、何時間だって黙って待つんだよ!その時間さえもデートの一部なんだよ!分かるか!?」

男「建前は分かった、本音は」

男友「女の子と電話とか恥ずかしい」

男「……。」

男友「…男、電話して」

男「…はいよ」

女「…うー」

女友「駄目だ…埒があかない」

女「いーやーだー…」

女友「普段はか弱いのに、なんでこんな時だけテコでも動かないのさ…」

プルルルルル…

女友「あ、電話だ」

女「…だ、誰から?」

女友「…男くんから」

女「あー…嫌われちゃったよぉ!」

女友「そう思うなら逃げるなってば…」

プルルルルル…

女友「あーはいはい!…え、なんて言って出ればいいんだ」

女「うー…」

プルルルルル…

女友「……。」

妹「ほんとにこんなところにいるの?」

妹友「デートの待ち合わせ場所の定番だよ?」

妹「お兄ちゃん以外とデートなんてしたくないし」

妹友「……。」

妹「お兄ちゃんとデートするときは家から一緒だから待ち合わせなんてしないもん…」

妹友「あーはいはい…む、人多いなー」

妹「あッ!」

妹友「えっ?いた?…ってわあ!」

妹「伏せて!」

妹友「な、なにするのさ!」

妹「お兄ちゃんに見つかったらダメなの!」

妹友「わ、分かったけどこれはやめようよ!?道の真ん中で寝転がったら逆に目立つってばぁ!」

妹「あれはまさしく待ち合わせ!…電話中なのかな?」

妹友「人多いんだってば!周りの視線が…い、妹ー!」

男「なんだろ…出ないな」

男友「うーん?」

ピッ

女友『や、やほー』

男「お、出た。俺たちもう待ち合わせ場所にいるんだけどさ、今どこにいるんだ?」

女友『え?あ、あのね…えっとぉ』

男「…ん?」

女友『…ねえ、ちょっと女、ほんとに行かないの?ねえってば』ボソボソ

男「ん、聞こえないんだけど。今なんて言った?」

女友『あー…どうしよ、わあ…あ、男くん、えっとね…その』

男「どうした、なんか問題でもあったのか?」

女友『…う、嘘でしたー』

男「へ?」

女友『きょ、今日遊ぶってのは実は嘘でしたー!エイプリールフールだよーん、期待した?へ、へへーん引っかかったぁ、ざまーみろー!じゃ、じゃあねー!』プツッ

男「……。」

女友「……。」

女「……。」

女友「終わったああぁぁぁ!!なに言ってんだ私ぃ!」

女「……。」

女友「完璧に嫌なやつじゃないですか!どうしてこうなっちゃったのさぁ!」

女「ご、ごめんなさい…」

女友「いや、女のせいじゃ…って、半分はあんたのせいだけどさ、うー…」

女「…うっ」ポロッ

女友「わー、ウソウソ!泣かないで!」

女「…ぐすっ」

女友「と、とりあえず、今日はもうどうしようもないね」

女「…うん」

女友「帰りますか」

女「パフェ…奢ります」

女友「…じゃあ、食べに行きますか」

妹「あ、電話終わった」

妹友「相手の人たちが遅れてるのかな?」

妹「そうかもねー」

妹友「実はデートに誘われたけど嘘でしたー、みたいなことだったりして」

妹「エイプリールフールだからってそんなことはないでしょー」

妹友「だよねー…というか、ほんとにデートなのかな。なんか男の友達と二人で待ってない?」

妹「それはね、きっとダブルデートってやつだよ!うー…デートなんて羨ましいよぉ」

妹友「…妹、ちょっと不安になったから聞くんだけどさ」

妹「ん、なあに?」

妹友「もしデートだったとして、ずっとストーキングするのかな?」

妹「え?当たり前でしょ?」

妹友「……。」

妹「ん?」

妹友「ううん、なんでもない」

男「……。」

男友「なんだって?事故?大丈夫なのか?すぐ来れるって?」

男「……。」

男友「なんだよ、寝坊?いくらでも待つぞ?どうしたって?」

男「…ほんとのことは教えないほうがいいな」ボソッ

男友「え?」

男「いや、なんでもない。なんか都合が悪くなったらしいぞ」

男友「え…」

男「また今度遊ぼうって、すごく謝ってた」

男友「……。」

男「だ、大丈夫か?」

男友「…そっか、都合が悪くなったならしょうがないよな」

男「お、おう」

男友「……。」

男「…おーい」

女「ふふふ、一回ここのパフェに挑戦したかったんだよー」

女友「……。」

女「あれ、女友は食べないの?」

女友「あんた、男くんたちのところに行かなくて良いってなった瞬間元気になったね」

女「え、えへへ…」

女友「はあ、おかげで私はどんな目に会ったと…」

女「だ、だからそれはごめんなさいってばぁ」

女友「折角お近づきになれるチャンスだったのに」

女「…別に」

女友「…ん?」

女「お近づきにならなくても…遠くで見てるだけでいいもん」

女友「……。」

女「それだけで、十分幸せだもん」

女友「はいはい…たく、誰のために頑張ったと思ってるのさ」

女「ほら、パフェ食べよー」

妹「ん、なにやってるんだろー」

妹友「……。」

妹「なんかお友達のほうが落ち込んでるのかな…んー?」

妹友「……。」

妹「ね、妹友、お兄ちゃんたち今なにやってるんだと思う?」

妹友「その前に、私たちが今なにやってるんだろう…」

妹「え?」

妹友「道の真ん中で寝転がりながら双眼鏡でお兄さんを観察って…もう周りの人だかりが半端ないんですけど」

妹「確かに人がすごいねー、なにか珍しいモノでもあるのかな」

妹友「私たち…いや、もういいや、なんかどうでも良くなってきた」

妹「んー…ん!?まさかあのお友達とデート?お兄ちゃんがあのお友達を振ったのかな!」

妹友「駄目だこの子、腐ってやがる…」

妹「これはもっと観察しないと」

妹友「あ、見せ物じゃないので写メはやめてください」

男友「……。」

男「あーほら、元気出せよ、な?」

男友「……。」

男「今から二人で遊びにいくか?付き合うぞ?」

男友「……。」

男「…どうすりゃいいんだ」

男友「あ、いや、もう立ち直ったんだけどさ」

男「あれ、そうなのか」

男友「あれさ、なんだと思う?」

男「ん?…人だかりが出来てるな」

男友「さっきからあれが気になって」

男「見に行ってみるか」

男友「おう」

女友「だからさー、お話できるようになったらもっと楽しくなるってば」

女「…で、でもぉ」

女友「でもじゃなくて!」

女「男の人とお話をするの、苦手なんだもん…」

女友「苦手だからってずっと逃げてたらいつまでもそのままだよ?」

女「……。」

女友「だから頑張って今日のセッティングしてあげたのに」

女「うー…」

女友「…はあ、もういいよ。次にまた頑張ろー」

女「……。」

女友「返事」

女「…は、はい」

女友「よし!…それにしても」

女「パフェ、減らない」

女友「うん。挑戦したのはいいけど、大き過ぎたね…」

妹友「春休み終わって学校で笑いものになってたらどうしよう…」

妹「あ!動きがあったよ!」

妹友「え?」

妹「移動開始…方向は…」

妹友「方向は?」

妹「……。」

妹友「ん?」

妹「こっち」

妹友「へ?」

男「…おい」

妹「……。」

男「返事しろ、妹」

妹「は、はいな…」

男「双眼鏡なんかぶら下げて、なにしてんだ?」

妹「…や、野鳥の観察?」

男「……。」

妹「う、嘘です…」

男友「…妹さん?」

男「うん」

妹友「……。」

男友「こちらは?」

妹友「…妹の友達です」

男友「……。」

妹友「あ、そういう目で見るのやめてください…奇想天外なことをしていたことは自覚してます」

男「分かってるよ、妹に付き合ってあげてたんでしょ?…おい待て」ガシッ

妹「あうっ」

男「逃げんな」

妹「は、はい…」

男「…はあ、とりあえず場所を変えよう…人がすごい」

妹友「うー…なんでこんなことに…」

女友「二人でこの大きさってことに問題があったかな」

女「うん、そうだね…」

女友「残すのも勿体無いし、どうしたものか…」

カランカラン

女「頑張って食べよ…え…」

女友「ん、どうかしたの?女」

男「ここなら落ち着いて話せるだろ」

男友「洒落た喫茶店だなー」

妹友「ここは大きなパフェが有名なんですよ」

妹「うん!前から一回食べてみたいと思ってたの、お兄ちゃん」

男「おい、なんでここに来たと思って…」

男友「あ、大きいパフェってあの机にあるやつか?確かに大き…ん?」

男「ん?…あ」

女「……。」

女友「……。」

妹「知り合い?お兄ちゃん」

妹友「…ん?」

男友「あ、あれ…都合が悪くなったって…え?」

男「……。」

女「…あ、あう」

女友「え、えっとー…」

男友「……。」

男「……。」

女「……。」

女友「……。」

男友「……。」

男「……。」

女「……。」

女友「…パフェ、食べる?」

妹「美味しい!」

妹友「甘い…」

男「…で」

女友「…はい」

女「……。」

男「妹も」

妹「は、はい…」

妹友「……。」

男友「…これってどういう状況なんだ?」

男「……。」


女友「なんて言えばいいんだろう…というか、もう嘘ついたことになってるから、えっとぉ…」ボソッ

女「わ、私のせいで…でも、この女の子二人は誰なんだろう…」ボソッ

妹「ストーカーしてたのがバレたら怒られる…誤魔化さないと…」ボソッ

妹友「どうしよう、絶対変な子だって思われてるよね…で、この二人はダブルデートのお相手さんなのかな?」ボソッ

男「このまま話すと二人から騙されたことが男友に伝わっちゃうな…それは可哀想なんだけど、どうすれば…」ボソッ

男「まず簡単そうなところからいくか…妹」

妹「は、はいな…」

男「お前、あんな公衆の面前でなにしてたんだ?」

妹「…イモ虫の観さ――」

男「嘘はつくなよ?」

妹「……。」

男「……。」

妹「お兄ちゃんが心配で…だから妹友と一緒に」

男「…はあ」

妹「ごめんなさい」

男「心配性だなー、お前は。俺がそんな危なっかしく見えるか?」

妹「だ、だってぇ…お兄ちゃん、すぐにほいほいとついて行っちゃいそうだし…」

男「馬鹿だなぁ、小さい子じゃあるまいし」

女友「…お兄ちゃん想いの良い妹だね」


妹友「…綺麗に話が噛み合ってないけど、黙っておこう」

男友「あのー」

女友「…う」

男「…あ」

男友「都合が悪くなったん…だよな?でも今、パフェを食べてるし…え?」

女友「え、都合?えっと、そのー…」

男「あー、男友。それはだな、ちょっと事情が…」

女「…あう」

妹友「んー?」

妹「修羅場?」

男友「事情って、なんだ?」

男「えっと…どうしようかな」

女友「都合とかはよく分からないんだけど、その…騙してごめんなさい!」

男「…げ」

男友「騙すって…なんのこと?」

女友「なんのことって、だから…今日の――」

男「あーほら!」

女友「え?」

男友「ん?」

男「都合が悪くなったってのが嘘ってことだよな!な、女友?」

女友「え、え?」

女「……。」

男友「そ、そういうことなの?」

女友「えっとー…女?」

女「…無理、耐えられないよぉ!」

バッ

女友「あ、こら!どこ行くのさッ!」

カランカラン

男「…へ?」

男友「……。」

女友「……。」

男「……。」

女友「…あ、あははー、やっぱり都合が悪かったみたい」

男友「……。」

女友「お、女ー、待ってー!」

カランカラン

妹「……。」

妹友「……。」

男「無理って、なんだ?」

男友「耐えられないって…なに?」

妹「同じ空間にいることが苦痛ってこと?」

妹友「しー!妹、思っても口にしちゃ駄目だってば!」

男「しかもあいつら、パフェの代金払わずに行きやがった…」

男友「……。」

男友「男、聞いて良いか?」

男「…言ってみろよ」

男友「これさ、告白する前に振られた感じかな…」

男「え、お前告白するつもりだったのか!?」

男友「…あわよくば、な」

男「……。」

男友「でもどういう事だ?誘ってきたのは向こうからなのに…」

男「あーそれは…」

男友「な、なんだよ」

男「この際だから言っちゃうとだな、あれは俺たちが騙されたらしい」

男友「はい?」

男「エイプリールフールだから、からかわれたみたい」

男友「……。」

妹「おー、妹友の予想は当たってたんだー」

妹友「し、しー!」

女「…はあ、はあ」

女友「…お、追いついた」

女「き、緊張したぁ…」

女友「あんた、なに考えてるのさッ!」

女「な、なにって…男くんのことしか考えてなかったよぉ…」

女友「はい?」

女「目の前に男くんがいるだけで、なんかわけが分からなくなっちゃって…」

女友「でもあのタイミングで出てくのは失礼すぎるってば」

女「…あのタイミング?」

女友「折角男くんが遊びに行けるような雰囲気にしようとしてたのに!」

女「え…そ、そうなの?」

女友「え?」

女「男くんのことで頭がいっぱいで、なにも話聞いてなかったもん…」

女友「…はあ」

男友「……。」

男「…帰るか?」

男友「……。」

男「おーい」

男友「…帰る」

男「…そっか」

妹「お兄ちゃん、帰るの?」

男「おう、お前らはどうするんだ?」

妹「お兄ちゃんが帰るなら私も帰るー」

妹友「…私はなにしに来たんだろう」

男「パフェは…お、いつの間に無くなってる」

妹「美味しかったです」

妹友「甘かったです」

男「…まあ、金は俺が払っとくか」

男友「…帰って、泣く」

男「じゃあな」

男友「…ん」

妹「妹友、またねー」

妹友「うん、またねー…えっと、男友さんも家はこっちなんですか?」

男友「…そうだよ」

妹友「…なんか心配なので途中まで送りますね」

男友「ありがとー…」

男「いや、普通逆だろ」

妹「私たちも帰ろッ!お兄ちゃん」

男「ん、おうよ」

妹友「男友さんはお任せください」

男「ん、申し訳ない。またね」

妹友「はい、ご縁があればまたー」

男「なんか、なにもしてないのに疲れた…」

妹「お疲れ様だねー」

男「エイプリールフールのせいだな…まったく、踊らされたもんだ」

妹「んー…お兄ちゃん」

男「ん、どした?」

妹「今日は、あの人たちと…デートする予定だったの?」

男「…まあ、男友はその予定だったらしいな。俺は付き添いみたいなつもりだったが」

妹「ふーん」

男「…正直、楽しみにもしてたけど」

妹「……。」

男「女さんとは話したことなかったし、一回話してみたかったな」

妹「……。」

男「ま、良いんだよ。見事に女友に騙されたことだし、忘れよう」

妹「…デートだったら、私がいつでもしてあげるよ」

男「はは、妹は優しいな」

妹「…むう、冗談じゃないのになぁ」ボソッ

男「ん、なんか言ったか?」

妹「ううん、なんにもない」

男「ん?…そっか」

妹「うん」

男「くそー、このまま騙されて終わりってのもなんか悔しいな」

妹「んー…」

男「折角だから俺も誰かに…でも今の男友に嘘ついても可哀想だしなー…」

妹「……。」

男「どうしようか…ま、母さんに適当なこと言ってからかってみるか」

妹「……。」

妹「…お兄ちゃん」

男「なんだ?」

妹「……。」

男「…?」

男「喫茶店に忘れ物でもしたか?」

妹「…私にね、嘘ついてもいいよ?」

男「え?」

妹「騙されてあげる」

男「いや、お前が分かってるのに嘘ついてもしょうがねえだろ」

妹「……。」

男「…ん?」

妹「その代わり、言ってほしい嘘があるんだけど」

男「なんだって?」

妹「あのね、嘘でもいいから――」

男「……。」

妹「……。」

男「あれ、続きは?」

妹「…なんてね、嘘だよー」

男「は?」

妹「お兄ちゃん、また騙されたー」

男「…おい」

妹「えへへー…あ、きゃあ!」

男「よく分かんねえけど、しょーもない嘘つくな」

妹「に、逃げる!」

男「させねえ」

妹「あうっ」

男「…そういうのをな、傷口に塩を塗るって言うんだよ」

妹「あはは、ごめんなさい」

男「たく…ふざけてないで帰るぞ」

妹「はあい」

男「…はあ、散々な日だな」

妹「…むう」

男「なんだよ」

妹「なんでもないー」

おわり

エイプリールフールネタなのに日を跨いでごめんなさいでした

エロゲで登場人物紹介が終わったと思ったらいきなりエンディングになった気分

いくらでも書きたいけど
書くのとても遅いから、保守だらけになるのが申し訳なくて
書きたい人いたら、自由に続きをお願いします

ああそんなこと言うなら書いてやるよ

妹「ぶひぶひ」

妹友「あひぃッ!」

女「ぱしへろんだす~」

女友「ぐへへ、イイケツしてんなぁ、ふひ」

男「ハーレム!みんなが全裸でハーレム!」


ほらほら、お前が書いた大事なキャラどもが壊れてくぞ
嫌なら続きもお前が書け

……………………

…………

……


男「…Zzz」

妹「……。」

男「…Zzz」

妹「…ごー、よん、さん――」

男「…ん」

妹「にー、いち…ぜろぉ!」

ピピピ カチッ

妹「目覚ましは先に止めてーっと…お兄ちゃん、朝だよー」ユサユサ

男「ん…んー?…なんだよ、朝早くから」

妹「始業式だよー、新学期だよー」

男「あ?…ああ、今日から学校か」

妹「あと…今日は私の入学式だよッ!」

男「ふわぁ…」

母「おはよう、男」

男「おはよ、母さん。朝飯出来てる?」

母「自分でパン焼いて」

男「…起きてるなら、作ってくれよ」

母「なにか?」

男「なんでもない」

母「新年度初日からそんな眠たそうな顔で学校に行くの?」

男「今日から学校ってこと忘れてたんだよ…ふわぁ」

母「妹は昨日からずっと楽しみにしてたみたいなのに」

男「そうなのか?…ああ、だから昨日制服着てたのか、あいつ」

トットット

母「噂をすれば」

妹「お兄ちゃん、どうかな!私の制服似合ってる?」

男「…昨日散々見たっての」

母「はい妹、パン」

妹「あ、ありがとー」

男「それ俺が焼いたパン…」

母「もう一枚焼きなさいな」

男「なんでそうなる!」

母「あんたどうせ今日も妹に起こしてもらったんでしょ、お礼にパンくらいあげなさいよ」

男「頼んでるわけじゃねえよ!目覚ましで十分起きれるっての」

妹「お、お兄ちゃん、私自分でパン焼くから食べて?」

男「…たく、良いよ。妹はそれ食え」

妹「…あう」

母「早くしないと遅刻するわよ?」

男「うるせー!」

母「いってらっさーい」

男「…はあ、なんで母さんは俺に対してだけ態度が雑なんだよ」

妹「私のせいで…ごめんなさい」

男「いや、妹のせいじゃないけど」

妹「……。」

男「ん?だからお前のせいじゃないから気にすんなってば」

妹「…朝起こしに行くの…迷惑?」

男「え?…ああ、さっきの話か」

妹「うん…」

男「迷惑じゃないよ」

妹「ほ、ほんと?」

男「目覚ましだけだと、二度寝するかもしれないしな。感謝はしてる」

妹「これからも起こしに行って良いの?」

男「良いよ…というか俺を起こしたいのか?変な奴だな」

妹「えへへ、やったぁ」

妹「ふふーん」

男「なんだ、やけにご機嫌だな」

妹「今日からお兄ちゃんと毎日一緒に学校行けるって思ったら嬉しくて」

男「…うーん」

妹「あ、あれ?」

男「いや、まあ良いか」

妹「…?」

チリーンチリーン

男「ん?うわ、あぶねっ!」

男友「おはよー!」

男「自転車でつっこんでくるなっての…おはよ」

妹「あ、おはようございますー」

男友「おお、妹さんも今日から高校生かー…男、今日は自転車じゃないのか?」

男「おう、今日からは徒歩登校かな」

妹「え…あ」

男友「ほほう、めんどくさいことが嫌いな男が珍しい」

男「めんどくさいこと好きな奴がいるなら会わせろよ…」

妹「……。」

男友「はは、確かに。で、理由はなんだよ」

男「内緒」

男友「うん?」

妹「…あう」

男友「ん、妹さんどうかしたの?」

妹「…自転車、練習します」

男友「へ?」

男「あら、言っちゃうんだ」

男友「…え?自転車乗れないの?」

妹「…うー」

男友「ああ、なるほど」

男「まあ、妹が乗れるようになるまでは徒歩ってことで」

男友「妹想いなお兄ちゃんですな」

男「はは、まあな」

妹「…べ、別にお兄ちゃんは自転車で学校に行ってもいいよ?」

男「気を遣う前に練習しろって」

妹「…ん」

男友「珍しいねー、自転車乗れないなんて」

妹「……。」

男友「あ、えっと…からかってるわけじゃないけど」

男「こいつな、初めて自転車乗ったときに豪快に転んでなー」

妹「……。」ブルッ

男「…まあ、それ以来乗ってないんだよ」

男友「それはまた災難だったね」

妹「…でも、頑張ります」

男友「お、偉い」

男友「トラウマってなかなか消えないもんなー」

男「そういうお前はもう立ち直ったのか?」

男友「なにが?」

男「エイプリールフールのこと」

男友「……。」

男「…ま、まだみたいだな」

男友「…い、いやいや。さすがにもう大丈夫ですし!」

男「あ、そう…口調がおかしいことは突っ込まないけど」

男友「それに、おかげでお友達が一人増えたしな」

男「お友達?」

妹「妹友のことですか?」

男友「そうそう!すごく優しくてさ、あの子」

男「ほお」

男友「あの日、あの後ずっと慰めてもらった」

男「おい」

妹「……。」

男「ん、妹どうかしたか?」

妹「な、なんでもない」

男友「いやー、また会いたいなー」

男「なんか考えてる顔だろ、それは」

妹「えっとー…」

妹「『あんなに幸薄そうな人は初めて見たよ、あまりお近づきにはなりたくないタイプ』ってメールが…」ボソッ

男「……。」

男友「なんだよ、ひそひそ話なんかして」

男「い、いや、こっちの話だ!」

男友「ふーん…妹さん、あの子もこの高校なの?」

妹「あ、え…あ、はい、そうですけど」

男友「おー、それは楽しみ!」

妹「……。」

男「…なるほど、確かに幸は薄いみたいだ」

妹「……。」

男「どうした、門の前で固まって」

妹「ん、ちょっと」

男「…?」

男友「あー、俺もなったなー、それ」

男「なにが?」

男友「なんていうのか…感慨?みたいな」

妹「…私、ここに通うんだねって思っちゃって」

男「…なるほど」

妹「ん、行く」

男「はいよ」

男友「クラス発表の掲示板はあっちだよ」

男「俺らはこっちだから、また始業式終わったらな」

妹「うん、じゃあねー」

男友「またね、妹さん」

男「さて、今年のクラスはどうなってるかな」

男友「一緒だろ?全部の選択同じにしたんだし」

男「そういうもんなのか?」

男友「いや、多分5組と6組のどっちかだと思うけど」

男「確率2分の1じゃねえか」

男友「いやいや、俺らの友情パワーがあれば…ほら」

男「お、一緒だ」

男友「どんなもんだい」

男「そして女さんと女友も一緒だ」

男友「え…」

男「選択一緒だったってこと?」

男友「…だろうな」

男「すごい偶然だな」

男友「嬉しいような、泣きたいような…」

男「ま、良いことなんじゃねえか?」

男「…まあ、新しく見る奴がいっぱいだな」

男友「帰宅部のお前は人脈狭いからな」

男「部員4人の剣道部に言われたくねえよ」

男友「うるせえ…リアルに存続の危機だけど」

女友「…あ、あの…おはよう!」

男「お?」

男友「お…」

女友「…その」

男「おはよう、女友」

男友「…今年もよろしく」

女友「そ、その節は本当にご迷惑をおかけしましたぁ!」

ガバッ

男「え!?」

男友「ちょ…土下座!?」

女友「電話とかじゃ駄目だと思って、今日この日をずっと待ってました!どうかこの通り…」

男「ちょっと…え?待てって」

女友「あのあと喫茶店に戻ったときはもうみんな帰った後で…あ、パフェのお金もちゃんと払うから!どうか…どうか許してください!」

男友「と、とりあえず顔あげよう…そっから、な?」

男「俺ら、なにも怒ってねえし、うん」

女友「え?…本当?」

男「なあ、男友」

男友「お、おう!エイプリールフールに引っかかった俺らが悪いんだし」

女友「あ、それはまた違うんだけど…えっと…」

男「ん?」

女友「と、とにかく許してください!」バッ

男「分かったからその土下座をやめろー!」

ガヤガヤ…ナンダナンダ…

男友「あ、なんでもないです、こっちのことは気にしないで…ああ、新年度に暗雲が…」

女友「……。」

男「ひとまず、あのことは水に流そう、お互いのために」

男友「うん、それがいいと思う」

女友「…ありがとうございます」

男「それで、また1年よろしくってことで」

女友「はい、よろしくおねがいします」

男友「ふう…これで一件落着か?」

女友「う、うん…あ、まだ」

男「うん?」

女友「女も…謝ったほうが良いよね」

男「ああ、女さん」

男友「でも別に、女さんに謝ってもらうことはなにもない…よな?」

男「…だよな」

女友「そ、そっかぁ…」

男「…え、女さんが俺らを引っかけようとしたってわけじゃないんだろ?」

女友「え、あ、勿論違うよ!私一人の計画ですッ!」

男友「じゃあ、女さんはなにも…まあ、喫茶店から急に逃げられたのはショックだったけど」

男「しょうがないさ、まともに話したこともないんだし」

女友「あ…そのー」

男「ん?」

女友「そのことをさ、失礼だったなーって女がすごく落ち込んでて」

男「うん」

女友「なんか緊張しちゃったらしくて…話下手でさ、あの子」

男友「……。」

女友「だからその…話し相手になってくれると嬉しいなー、なんて」

男「…それはつまり、話下手を克服するためにか?」

男友「そりゃあ、喜んで相手になるけど」

女友「…ほ、本当に?やったぁ!」

男「仲いいんだな、お前ら」

女友「え?それはまあ、幼稚園からの付き合いですから」

男友「俺と男は…」

男「去年から。ちょうど1年前からだな」

男友「負けたな」

男「どういう勝負だよ…」

女友「ふふ、ずっと前からの仲良しに見えるけどねー」

男「…その、肝心の女は?」

女友「んっとねー、部活の朝練…みたいな?」

男友「みたいなって?」

女友「部活に入ってるわけじゃなくて、音楽室を頼んで使わせてもらってるの」

男「音楽室?」

男友「なにやってるんだ?」

女友「ピアノ!すごく上手なんだよ!」

男「…へえ」

男友「そっか、ピアノ部なんて無いもんな」

男「吹奏楽部とかはピアノ弾けそうだけど」

女友「女がしてるのはそういうのじゃなくて…ピアノ独奏みたいな…えっと、私もよく分からないんだけど」

男「ピアノコンクールにみたいな?」

女友「た、多分そんな感じ!」

男友「なんにせよ、すごいなー」

男「…でも、もう始業式始まるぞ。ここにいなくて大丈夫なのか?」

女友「え…あ、あー…あの子、一旦夢中になると時間とか分からなくなっちゃうから」

男友「あー…」

女友「よ、呼んできますぅ!」

男「…いってらっしゃい」

教師「ほら、早く体育館行けよー」

男「…どうする?」

男友「まあ、先に行ってようぜ」

男「…女友、苦労してそうだな」

日記だけで話をすすめるなんて斬新、会話なしで風景が浮かんでくる
頑張ってください、保守

誤爆した…恥ずかしい

男「入学式のあとに始業式だっけか?」

男友「そうそう」

男「ん…来た」

男友「女さんたち?」

男「うん、ぎりぎり間に合ったみたいだな」

男友「良かった良かった」

男「…あ」

男友「なんだ?」

男「女さんと目が合った」

男友「それで?」

男「一瞬で逸らされた」

男友「……。」

男「……。」

男友「…入学式始まるぞ」

男「…おう」

男友「今入場してきてる中のどこかに妹さんと妹友さんがいるんだよな」

男「ああ」

男友「見つけれないかなー…せめて何組なのかが分かればいけるんだけど」

男「…妹なら、見つけた」

男友「え、マジ?」

男「あれ」

男友「ん?…うわあ、めっちゃキョロキョロしてる」

妹「んー…あ、お兄ちゃんいたぁ!」

ブンブンッ

妹「お兄ちゃーん!」

男「……。」

男友「ほら、お前も手、振ってやれよ」

男「…遠慮しとく」

男友「…ま、始業式なんてこんなもんだよな」

男「ああ、眠かった」

男友「結局、一番面白かったのは妹さんだったしなー」

男「…はあ」

男友「そして妹友さんが見つけられなかったのが残念だぁ!」

男「はいはい…」

女友「やほー」

男「おう、お疲れさん」

女友「あははー、危なかったよー」

男友「……。」

女友「おろ?どうしました?」

男「女友の顔にみとれてたんだろ?」

男友「ち、ちげえよ!…でも、遠慮しないほうがいい笑顔になるなーって思ってた」

女友「え…な、なに言ってるのさぁ!」

男「はは、言えてるけど」

女友「そ、そんな話は良いんですよぉ…えっとね、ほら」

男「…ん?」

女友「…あれ、女は?」

男友「女さん?」

女友「あれ、えっと…おかしい、ほんのちょっと前まで一緒にいたんだけど」

男「…女さんなら、今そこから教室出てったけど」

女友「なっ!…うー、また逃げたぁ…」

男「……。」

女友「…し、しばしお待ちを!探してきますのでッ」ダッ

男友「…あ、うん、いってらっしゃい」

男「……。」

男友「…恥ずかしがりや?」

男「…という話だけど」

男友「嫌われてるわけでは、ないんだよな?」

男「…そうじゃないと言い切れる自信は、ない」

男「…遅いな」

男友「もうすぐホームルーム始まっちゃうだろ」

男「……。」

男友「……。」

男「…ああ、なんとなく思い出した」

男友「なにを?」

男「去年も確か、頻繁に女さんがいなくなっていたような気がする」

男友「……。」

男「…大変だな」

男友「ああ、そうらしい」

ガラッ

男「ん、戻ってきたか?」

妹「お兄ちゃーん」

男「…へ?」

妹「えへへ、来ちゃった」

男友「お、妹さん?もうホームルーム終わったの?」

妹「うん…あれ、お兄ちゃんたちはまだなの?」

男「これからだよ」

妹「そうなんだぁ…じゃあ終わるまで待ってるね」

男「先帰っててもいいぞ?」

妹「…うー」

男「…はいはい、待ってて」

妹「うん!」

担任「…ホームルーム…始めます」

男友「あ、先生来てた」

男「なんか…暗そうな先生だな」

男友「…じゃなくて、ホームルーム始まっちゃったぞ!?」

男「女さんと女友は…」

男友「まだ来てないな」

男「……。」

担任「…それでは…まず――」

男「あの、先生」

担任「…どうしたの?」

男「…んっと」

男友「ちょっとトイレに行ってきます!」

男「え?」

男友「行くぞ、男」

男「お、おい、こら!」

男友「急げー!」

ガラッ

担任「……。」

担任「…なるべく早く…帰ってきてね?」

妹「わっ!びっくりしたぁ」

男「…普通に、女さんたちを探してきますって言えば良かったんじゃ」

男友「一回ああ言って出ていってみたかったんだ」

男「……。」

男友「よし、探すぞ!」

妹「どうしたの?」

男「ああ、女さんと女友がどっか行ったまま戻ってこなくてね」

妹「女さんと女友さんって…パフェをくれた人?」

男「覚え方に問題があるけど、その人」

妹「…ん、私も探すの手伝うー」

男友「おう、じゃあ手分けして」

男「俺こっち見てみる」

妹「見つけたら教室に戻るように言えばいいの?」

男「うん、頼んだぞ」

妹「はいなッ!」

明るくなってきた…寝ます
保守はしなくても良いですので、本当に
残ってたら、書きます

ごめんなさい、おやすみなさい

保守

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内


>>348
かなり短くなったな
ってかこれって嘘だろ?

>>350
5分は短すぎるけど、念のために20分間隔で保守したほうがいい。
さっき25分で落ちたスレがあった

m(_ _)m

保守すいません、もう少ししたら書きますので

男「…うーん、といっても」

男「どこを探せば良いのか」

男「闇雲に探しても見つからないだろうしなー…」

男「……。」

男「というか、見つけても逃げられたりして」

男「……。」

男「…と、とりあえず探そう」

男「…ん?」

妹友「おかしいなー、ここらへんのはずなのに…」

男「妹友さん?」

妹友「わっ!…あ、お兄さん」

男「久し振りだね」

妹友「はい!…ふふ、ご縁があったみたいですねー」

男「そうみたいだな。それで、なにか捜し物でもしてたの?」

妹友「あ、えっとぉ…図書室を探しているんですけど」

男「図書室?図書室はもう1階上だよ」

妹友「…あれ、ここって4階じゃないんですか?」

男「ここは3階」

妹友「……。」

男「…ん?」

妹友「うー…恥ずかしい」

男「…はは」

妹友「で、出来ればこの失態は忘れていただきたいのですが」

男「そんな大げさな…図書室、今日は閉まってると思うけど?」

妹友「あ、はい。時間があったので場所の確認だけでもしようかなと思って」

男「ふーん…本、好きなんだね」

妹友「はい!あ…そ、それなりにですけど」

男「すごいなー、俺はまったく読まない人だから尊敬しちゃうよ」

妹友「そ、尊敬だなんてそんな!お兄さんだって、読んでみたら楽しいかもしれませんよ?」

男「…はは、機会があったら読んでみようかな」

男「…って、そうだ。こんな話をしてる場合じゃなかった」

妹友「あ、急ぎの用事でもあったんですか?引き止めてしまってごめんなさい」

男「いや、今女さんを探してるところでさ」

妹友「女さん…って、この前喫茶店で会った人ですよね?」

男「そうそう、どこかに居なくなっちゃって」

妹友「…一緒に探しましょうか?」

男「あ、大丈夫だよ、別に事件とかじゃないから」

妹友「…そうなんですか?」

男「図書館行く途中とかで見かけたら、教室に戻るように声かけてくれると嬉しいな」

妹友「はい、分かりましたー」

男「それじゃあ、俺は探しに行ってくるよ」

妹友「頑張ってくださいね…それと、図書館の場所を教えていただいてありがとうございました」ペコッ

男「いやいや、わざわざそんなお礼なんて…」

妹友「また会えたら良いですねー」

男「ん、そうだね」

男「さてと、探さないと」

男「…と言っても簡単にはいかないな」

男「ホームルーム中だから声も出せないし…というか、声出したら逆に逃げられそうだし」

男「……。」

男「…やっぱり、嫌われてるのか?」

男「……。」

男「…って、今はそんなこと気にしてる場合じゃないな、探そう」

タッタッタ

男「女さんが行きそうな場所、か」

男「はは、まともに喋ったこともないのに分かるわけねー」

男「……。」

男「…ん?」

女友『んっとねー、部活の朝練…みたいな?』

女友『音楽室を頼んで使わせてもらってるの』

男「……。」

男「来てみたのは良いけど、こんな場所は女友が真っ先に調べてるだろうしなー」

男「…でもまあ、一応調べてみるか」

男「えっと…音楽室っていくつもあるんだな。こんなところ普段お世話にならないから分からな…ん?」

~♪

男「……。」

男「…ピアノの音」

男「……。」

男「…この部屋からか?」

キイッ

~♪

男「……。」

男「…いた」

女「……。」

~♪

男「……。」

~♪

女「……。」

男「……。」

~♪

男「…この曲、知ってる」

男「……。」

~♪

女「……。」

男「……。」

男「…ん」

男「…すごい」

~♪

女「……。」

男「……。」

~♪

男「……。」

女「……。」

~♪

女「ん…」


男「…終わった、か」

女「…ふう」

男「今の曲、なんて言うの?」

女「え?」

男「すごく綺麗だった」

女「……。」

男「…ん?」

女「……。」

男「…?」

女「……。」

男「えっと…女さん?」

女「…な、なんで」

男「え?」

女「…//」カアッ

男「…ん?」

女「…あ…え…わ、わわわ、きゃッ!」

ガタンッ!

男「ちょ、ちょっと!?大丈夫!?」

女「あう…え、な、なんで…なんでぇ?」

男「い、今頭打たなかった?大丈夫なのか?」

女「え…あれ…男く…え?」

男「…ん?」

女「…きゅぅ」クラッ

男「え…ちょ、わあっ!?」

女「…あ」

男「大丈夫?」

女「……。」

男「落ち着いて、な?」

女「……。」

男「驚かしちゃったよな、ごめんな」

女「……。」

男「ピアノ、聞き入っちゃってさ。邪魔するのも悪いと思ったから…その」

女「……。」

男「…頭、痛くないか?」

女「…く」

男「え?ごめん、今なんて言ったの?」

女「…ショパンのエチュード、第3番『別れの曲』」

男「…えっと」

女「い…今の曲…です」

男「あ、ああ、なるほどね。教えてくれてありがとう」

女「は、はい」

男「なんか、どっかで聞いたことある曲だった」

女「そ、それは、ショパンの中でも…有名な曲だから…かな」

男「そうなんだ…すごく綺麗だったよ」

女「……。」

男「…あれ」

女「…//」カアッ

男「ご、ごめん、ありきたりな事しか言えなくて!」

女「ち、違うの!…違います」

男「ん…」

女「う、嬉しくて、その…ありがとう」

男「うん、また聞かせてくれると嬉しいな」

女「…はい」

男「…と、そうだ」

女「な、なに…かな?」

男「ホームルーム始まっちゃってるから、呼びに来たんだった」

女「え…あっ」

男「うん…でさ、みんな心配してるから教室に戻らない?」

女「…うー」

男「え、えっ!?ご、ごめん、怒ってるわけじゃないから、な?」

女「また…やっちゃったぁ」

男「…はは」

女「私、またみんなに迷惑、かけて…」

男「大丈夫だよ、みんなちょっと心配してるだけだからさ」

女「……。」

男「じゃあ、戻ろうか」

女「…はい」

担任「…連絡はこれくらいです…4人とも、分かりましたか?」

男「はい」

女友「はい」

女「はい」

男友「大丈夫です」

担任「…じゃあ、帰って良いです…1年間、よろしくね」

男「はい、よろしくお願いします」

担任「あと…元気なのは良いことだけど…ホームルームは出来るだけ受けてほしいな、なんて」

女「…あう」

女友「ご、ごめんなさい…」

男「以後、気をつけます」

担任「…トイレも、事前に行っておいてね?」

男友「あ、あははー…」

男友「ふいー、ようやく帰れる」

女友「ごめんね…一緒に居残りなんかさせちゃって」

男友「いやいや、これもまた思い出」

男「はは、そういうこと」

女「…ごめんなさい」

男「あーほら、だから謝るなって」

男友「笑顔笑顔」

女「…あう」

女友「私がすぐに女を見つけられたら良かったんだけどねー…」

男「女友はどこ探してたんだ?」

女友「……。」

男友「ん?」

女友「…家まで帰っちゃったんじゃないかって、女の家まで」

男「…それはまた」

男友「その行動力は、すごい…」

妹「あ、来たー」

男「待たせたな」

妹「全然待ってないよー。ね、妹友?」

妹友「うん!みなさん、お疲れ様でした」

男「妹友さんも待っててくれたんだ」

男友「久し振りー」

女友「ごめんね、迷惑かけちゃって」

妹「いえいえ、かくれんぼみたいで楽しかったです」

女「……。」

男「俺の妹とそのお友達、だよ」

妹「よろしくお願いしますッ!」ペコッ

妹友「お願いします」ペコッ

女「え、あ、こ…こちらこそよろしく、です」

男「じゃあ、帰るか」

男友「おー」

男「桜、綺麗に咲いてるなー」

女友「だねー、絶好の入学式日和で良かったよ」

妹友「…ねえ妹」

妹「どしたのー?」

妹友「お兄さんたち、無事に仲直りできたみたいだね」

妹「そうみたい」

女「…妹友さん?」

妹友「あ、はい、なんですか?」

女「…どっかで会ったこと、ないかな」

妹友「え…この前の喫茶店のときに一度会いましたけど」

女「あ、そうじゃなくてね…んー」

妹友「…すいません、覚えてないみたいです」

女「あ、ごめんね…気のせいかもしれないから」

男友「…女さん、女の子とは普通に話せるんだな」

女友「そうなんだよー…まあ、私とずっと一緒にいるからね」

男友「むう、なるほど」

女友「男の子とも話をさせてあげられるようにしたいと思ってるんだけどねー」

男「…別に、普通に話せるよ、女は」

女友「え?」

男友「なんだ?仲良くでもなれたのか?」

男「仲良くというか、喋ったよ」

女友「ほ、ほんとに!?」

男「そんなに驚くことでもないだろ、普通だって…なあ女?」

女「…はい?」

男「別に俺と話してても不自由ないだろ?」

女「……。」

男「ん?」

女「…あう」

女友「…私の後ろに隠れてもしょうがないでしょ」

男「…あ、あれ?」

男友「…道のりは遠いってことで」

女友「そう見えるねー」

男「おかしいな…女…あ、呼び捨てがいけなかったのか」

女「……。」

男「ご、ごめんね、女さん」

女「……。」

女友「私、はじめから呼び捨てにされてますけど…」

男友「はは、確かに」

男「こ、困ったな…」

女「…呼び捨て」

男「え?」

女「呼び捨てで…良いよ」

女友「あ…返事した」

男「……。」

女「…//」カアッ

女友「……。」

男「…じゃあこれからは、女で」

男友「お、俺も良い?」

女「…ん」

男友「おお、一歩近づいた!」

女友「…うー」ポロッ

男「はっ!?」

男友「な、なんで泣いてるんだよ!?」

女友「ら、らってぇ…女が男の子と喋れたんだもん…それが嬉しくてぇ…」

男「お、大げさな…」

女友「よ…良がったよお゛ぉ!」ポロポロ

男友「おわっ!なんだよっ!?」

男「そ、そこまでのことなのか…」

女「お、女友…ど、どうしよう」

妹「……。」

女友「じゃあ、私たちはこっちだから」

男「おう、また明日」

男友「またなー」

妹友「さようならです」

女友「ばいばーい」

女「…ばいばい」

男「妹友さんはまだ一緒?」

妹友「はい、もう少しだけ」

男友「多分俺と同じとこまでだな」

男「そっか」

妹友「男友さん、自転車って学校に申請とかいるんですか?」

男友「いるぞ、近いうちに紙が配られると思うけど」

妹友「なるほど、分かりました」

男友「自転車で通学するの?」

妹友「はい、出来るならそのつもりですー」

男「だってさ、妹」

男友「お、そこをからかうのか」

妹「……。」

男「…妹?」

妹「…あ、ごめんね…なにか言った?お兄ちゃん」

男「いや、聞いてなかったなら別に良いけど」

男友「考え事でもしてた?」

妹「…えへへ、そんなところです」

妹友「……。」

男友「お、じゃあ俺はこっちだ」

男「ああ、また明日」

男友「妹友さんは?」

妹友「…あ、はい、私もここでお別れです」

男友「お、じゃあ一緒に行こうか」

妹友「お願いしますー」

男「またね、妹友さん」

妹友「はい、またご縁があれば」

男「もう十分な縁も出来ただろ」

妹友「ふふ、そうですね」

男友「妹友さん、行こーぜ」

妹友「はい…あ、ちょっと待っててください」

男友「ん?…はいよー」

妹友「お兄さん」

男「…俺?どうかしたの?」

妹友「妹を大事にしてくださいね」

男「…?」

妹友「それだけです…それではまたー」

男「…んー、ん?」

妹友「妹、ばいばーい」

妹「…ん、ばいばい妹友」

男「大事にって…どういう意味だ?」

妹「べ、別に気にしなくていいと思うよ、お兄ちゃん」

男「んー…十分大事にしてると思うんだけど」

妹「……。」

男「あれ、そんなことない…かな?」

妹「…ん、そんなことある」

男「そっか、良かった」

妹「えへへ…私たちも帰ろ?」

男「おう」

妹「自転車の練習しないとねー」

男「無理すんなよ?」

妹「大丈夫だよー…たぶん」

男「…ま、期待しないで待っとくよ」

妹「むー」


おわり

昼は論文を書いて…夜はSSを書いて…
ちょっと寝させてください、すいません

おやすみなさい

……………………

…………

……

ピピピピピピピピ

男「…Zzz」

ピピピピピピピピ

男「…んあ?」

ピピピピ カチッ

男「ふわぁ…」

男「…妹、今日は起こしに来なかったのか?」

ムニッ

男「ん?」

妹「…むにゃ」

男「…なんでここで寝てるんだ」

母「いってらっさーい」

妹「ね、寝ちゃってごめんね…」

男「いや、良いけどさ」

妹「目覚まし時計が鳴るの待ってたら、うとうとしちゃって」

男「だから、無理して起こしに来なくて良いってのに」

妹「あ、明日は頑張るからッ」

男「人の話を聞けよ…」

妹「…あ、制服」

男「ん?」

妹「皺がついちゃった」

男「あーあー、寝ちゃうから」

妹「うー…まだ一週間も経ってないのに」

男「気にすんな、どうせすぐに皺くちゃになるから」

妹「そ、そんなことないもん」

男「おはよう」

女友「おはよー」

男友「徒歩なのに早いじゃん」

男「…今日は逆に早く来すぎた」

男友「はは、確かに」

男「女さん…じゃなくて、女は?」

女友「音楽室だよー」

男「そっか」

男友「朝から練習なんて偉いよな」

女友「もうあの子にとって日課になってるから」

男「それに付き合って朝早くに来る女友も凄いけどな」

女友「わ、私は勝手についてきてるだけだよッ?」

男友「十分偉いって」

男「…音楽室、か」

~♪

女「……。」

男「ん、やってる」

~♪

女「……。」

男「…やっぱり、すごいな」

男「どうやったら、こんなに綺麗に演奏出来るのか…」

男「……。」

男「それに…楽しそうに弾いてる」

女「…ふふ」

男「…よっぽど、ピアノが好きなんだろうな」

~♪

男「……。」

女「…ふう」

男「お疲れ様」

女「え?…わ、わあっ!」グラッ

男「げっ!?またか!?」

女「…っと…ふう」

男「あ、危ねえ…」

女「お、男くん…?」

男「はは、また聴きに来たよ」

女「…あう」

男「えっと…今の曲はなんて言うの?」

女「は、恥ずかし…え?…曲…ですか?」

男「そうそう」

女「べ、ベートーベンの…ピアノソナタ第17番『テンペスト』…の第三楽章、です」

男「…なんかクラシックってみんな呪文みたいな曲名なんだな」

女「きょ、曲名は…『テンペスト』」

男「あ…ああ、うん、なるほど」

女「……。」

男「…えっとー」

女「……。」クルッ

男「ん?」

女「すー…はー…」

男「…深呼吸?」

女「あ、ご…ごめんなさい」

男「そんなに緊張しなくても」

女「ご、ごめんなさい…」

男「いや、謝らなくても」

女「……。」

男「…固まらなくても…えっとぉ」

女「……。」

男「困ったな…その」

女「…あう」

男「…て、テンペストってなんか格好良い曲名だなー」

女「……。」

男「あれ…」

女「…かっこいい、ですか?」

男「あ、うん。そう思うけど」

女「……。」

男「ほ、ほら!曲自体もさ、なんか勇ましいというか…う、語彙力の無さが…」

女「……。」

男「な、なんかごめん…」

女「くすっ…」

男「え…え?」

男「今俺、おかしいこと言ったかな?」

女「…あ、ごめんなさい」

男「いや、良いけど」

女「…かっこいいって…弟も言ってたから」

男「弟?」

女「は…はい」

男「へえ、弟がいるんだ」

女「……。」

男「弟さんもピアノ弾いてるの?」

女「あ…ううん、弾いてない」

男「ふーん」

キーンコーンカーンコーン

男「…げ、ホームルーム始まる」

女「わ、わっ…」

登場人物増えるとよくわからなくなる

男友「ほお、弟かー」

女友「弟くんもね、可愛いよー」

男「可愛いって…今何年生?」

女友「あ、可愛いっていうのは見た目じゃなくてねー…あれ、弟くんって何年生だっけ?」

女「…こ、ここ」

男友「ここ?」

女「ここに…います」

男「ここって…高校ってこと?」

女友「あ、そうだよ!一個下だから、新入生だ」

男「…ふーん」

男友「一個下って…高校生になったら可愛いげもなにもないだろ」

女友「いやいや、それがなんというか…とてもお姉ちゃん想いで――」

ガラッ

妹「お兄ちゃん、お弁当一緒に食べよー」

2時間ほど出掛けます…
そのあとは朝まで頑張る

>>510
最後の人物なので、どうか大目に見てやって下さい

女「すー…はー…」
男「…深呼吸?」
女「…ヨッシャ!!!」

男友「お、妹さんだ」

男「弁当?俺今日持ってきてないけど」

妹「あ、あれ…」

男「学食行く予定だったからな」

妹「…むー」

女友「…あ!そうだ、妹ちゃんみたいな感じ」

妹「はい?」

男「ん、なにが?」

女友「女の弟くんが」

妹「…?」

男「…?」

男友「…全然想像がつかない」

女友「まあ、会ったら分かるって」

男「…ふーん」

グー

男友「…ん?」

女友「わ、私じゃないよッ!」

妹「こっちから聞こえたー」

男「こっち?」

男友「こっちって…」

女「……。」

女友「お腹すいたんだね、女」

女「…恥ずかしい」

男「はは、飯食うか」

男友「男、学食行こうぜー」

男「おう」

女友「私たちはお弁当食べようか、女」

女「うん」

妹「…えっと」

男「あ、妹は弁当なんだっけ」

男友「じゃあ、パン買ってきて教室で食べるか」

男「そうしよう」

妹「あ…ご、ごめんなさい」

男「気にすんなって、ちょっと行って買ってくるから先食べてていいよ」

妹「うー…じゃ、じゃあ私も行くー」

男「え、良いって。待ってろよ」

妹「パンが売ってるところ見てみたいのー」

男友「良いじゃん、一緒に行こうぜ」

男「…しょうがないな」

女「…あ」

女友「どうしたの?」

女「お弁当…忘れちゃった」

女友「あらら」

男「女も一緒に買いに行くか?」

女「…あう」

妹「妹友もね、あとで教室に来るって」

男「一緒には来なかったのか」

妹「今は図書室に本を返しに行ってるの」

男友「じゃあ早く教室に戻らないと妹友さん困るんじゃないか?」

女友「誰もいないもんねー」

男「女友は教室で待っとけば良かったんじゃないか?」

女友「ひ、ひどい…」

男「いや、冗談だけど」

女友「…男くん、真顔で冗談言うと分かりづらいよ」

女「…お弁当」

男友「ま、まだ気にしてるのか…」

女友「女はうっかり屋さんだからねー」

男「うん、段々分かってきた」

 「見つけた!」

男「…ん?」

男友「…誰?」

女友「おお、噂をすればってやつですねー」

男「ん?」

女「ど、どうしたの?弟」

男友「弟…お、この子が」

男「女の、弟?」

弟「姉ちゃん、弁当忘れてっただろ」

女「…あ、もしかして持って来てくれたの?」

弟「そうだよ、ほらこれ」

女「ありがとー」

弟「まったく、気を付けろよな」

男「…女が、普通に喋ってる」

女友「それは、姉弟ですからねー」

男友「男はみんな苦手ってわけじゃないのね」

妹「弟くんだー」

男「ん?妹は知り合い?」

妹「同じクラスだよ」

男「あー、なるほど」

弟「…ん?」

男「ん?」

弟「…あんたら、姉ちゃんになんか用事?」

男「は?」

男友「…え、俺ら?」

弟「用事あるなら、俺が相手になりますけど」

男「ちょ、ちょっと…」

男友「いや、俺らは女の――」

弟「姉ちゃんのこと、馴れ馴れしく呼び捨てにしてんじゃねえ!」ブンッ

男友「ぐはっ!?」ドスッ

女友「あ、あちゃー…」

弟「も、申し訳ありませんでしたー!」

男友「…いや、もう良いよ。顔上げて」

弟「いえいえ、恐れ多いっす!もうしばらく謝罪させてくださいっ!」

女友「あはは…」

女「ご、ごめんね…男友くん」

弟「まさか、姉ちゃんに男子の友達が出来たなんて思わなかったんです…本当に、平に、平にご容赦をば」

男友「わ、分かったからさ」

男「女に馴れ馴れしくからんでる奴らに見えたわけか…」

女友「久し振りに会っても相変わらずだねー、弟くん」

男「…どこらへんが妹みたいだって?」

女友「えっと、お姉ちゃんを大事にしてるところとか」

男友「あー、なるほど」

男「…ん?」

妹友「…えっとぉ、これはどういった場面なんですか?」

妹「あ、妹友ー」

女友「ふふ、どんな場面に見える?」

妹友「…みんなで、一人の男の子をいじめてるように見えます」

男友「……。」

男「まあ、そう見えるだろうな…」

男友「…ちょ、ちょっと、お願いだから顔上げてくれよ」

弟「え?もう許して頂けるんですか!?」

男友「いや、始めからそう言ってるじゃん」

弟「なんて心が広い…そのお気遣い、痛み入ります!」

男友「…なんか、疲れるぞこいつ」

男「基本的に、いい子なんだろうけど…」

女友「ね、可愛いでしょー?」

男「……。」

妹友「あれ、この声って…」

妹「妹友、どうしたの?」

弟「…あ!」

妹友「げ、やっぱり…」

弟「…師匠?」

妹友「わ、わあッ!それ以上喋るなー!」

男「ん、今なんて言った?」

男友「師匠?」

女友「師匠って…妹友ちゃんが?」

妹友「わ…うわあ…最悪」

弟「やっぱり師匠じゃないですか!どうしてここに?」

妹友「だ、だから、喋るなってばぁ!」

妹「…妹友?」

女「…ああ、そっか」

女友「え?」

女「…妹友さん…弟の習い事先で見たんだ」

男「習い事?」

妹友「ああ、もう駄目だぁ…隠せれない…」

男「空手?」

弟「はい、頑張ってるっす!」

男友「で、妹友さんは空手の先生の娘さんだって?」

妹友「…そうです」

女友「だから師匠なのかー」

妹友「こいつがそうやって勝手に呼んでるだけですよぉ…」

妹「なんか、先生より師匠の方が強そうに聞こえるね」

男「妹友さんは空手強いの?」

弟「それは、凄まじいっすよ!」

妹友「適当なこと言うなぁ!」

女「…でも、見たときは…すごかった」

弟「たぶん今手に持ってる本くらいなら、拳で突き破れますよ!」

妹友「で、出来るわけ無いでしょッ!」

妹「…知らなかったー」

妹友「うー…知って欲しくなかったぁ…」

男友「別に知られても良いじゃんか、なあ?」

男「父親が空手家だなんてかっこいいしな」

妹友「別にかっこ良さなんて求めてません…」

弟「そのかっこよさ、尊敬してますよ師匠!」

妹友「あんたは黙れー!」

女友「ふふ、新しい一面が見れたってことで」

男「空手、楽しい?弟くん」

弟「勿論楽しいですけど。でも俺は楽しいからとかじゃなく、強くなりたいから空手をやってます!」

男友「強くなってどうすんだ?」

弟「大事な人くらいは、自分の手で守れるようになりたいんっす」

男友「かっけー…」

女友「その大事な人って、お姉ちゃんのことでしょー?」

弟「そ、そうっすけど…なんですかその顔は」

女友「いやいや、なにも」

妹「…大事な、人」

男「……。」

男友「どうした、男」

男「いや、その大事な人を守りたいってのがさっきの行動だろうかって思って」

弟「お、お恥ずかしい…」

女「……。」

女友「…女?」

女「…え?」

女友「難しい顔してたけど、どうかしたの?」

女「な…なんでもないよ」

妹友「そんな風にやたらと暴力振るってたら、先生に怒られるよ?」

弟「…了解です」

男「……。」

妹「お兄ちゃん?」

男「なんでもない…ほら、そろそろ行くぞ。女が腹へったって落ち込んでるから」

女「え、え…違うよぉ」

女友「だからさー、桜が散っちゃう前にみんなでお花見行きたいねって」

男友「…もうエイプリールフールは終わったぞ」

女友「そ、それは本当にごめんってばぁ…」

男友「冗談だって。じゃあ今度の休日にお花見行くか?」

女友「え?本当に!?」

男友「部活もねえし、俺は良いよ…男は?」

男「……。」

男友「おーい」

男「…あ、なんか話してた?」

女友「みんなでお花見行きたいんだけど、男くんはどうかなって話だよ」

男「花見?…良いよ、別に」

女友「やった!女も行くよね?」

女「……。」

女友「女も行くってさッ!」

男友「今、なんも言ってなかっただろ…」

女友「じゃあねー」

男友「また明日なー」

男「……。」

妹「お兄ちゃん」

男「……。」

妹「お兄ちゃんってば」

男「…ん、どうした?」

妹「もうみんないなくなちゃったよ?」

男「ん…あれ、ほんとだ」

妹「疲れちゃった?」

男「まあね」

妹「……。」

男「今日は早く寝るかなー」

妹「…お兄ちゃん、昼からなにか考え事してるよね」

男「……。」

妹「悩み事…かな」

男「…んー、まあね」

妹「……。」

男「まあ、大したことじゃないよ」

妹「女さんのことでしょ?」

男「……。」

妹「違うの?」

男「…そうだよ」

妹「……。」

男「あーもう、ちゃんと話すからそんな顔するなって」

妹「…えへへ、良かった」

男「…妹は女のこと、どう思う?」

妹「どう思うって…」

男「ん、答えづらい質問かな」

妹「…大人しい人、だよね」

男「そうだな、女友とかと比べると大人しい子だよね」

妹「……。」

男「特に、俺とか男友と話すときとかは特に」

妹「……。」

男「妹も気付いてるだろ?」

妹「…うん」

男「それに…俺は去年も女と同じクラスだったけどさ。あいつが男子と喋ってるところ、ほとんど見たことないんだ」

妹「……。」

男「少なくとも、あいつから話しかけることは一度もなかったと思う」

妹「…なんとなく、分かるかも」

男「……。」

女友『女が男の子と喋れたんだもん…それが嬉しくてぇ…』

弟『まさか、姉ちゃんに男子の友達が出来たなんて思わなかったんです…』

男「……。」

妹「…どうしてなのかな」

男「それは分かんないけど…俺らが知らないところで、色々あったんだろう」

男「…それを無理に知ろうなんては思わないけどね」

妹「うん」

男「とは言っても、色々と考えちゃってさ」

弟『姉ちゃんのこと、馴れ馴れしく呼び捨てにしてんじゃねえ!』

弟『強くなりたいから空手をやってます!』

弟『大事な人くらいは、自分の手で守れるようになりたいんっす』

妹「…だから、元気がなかったんだね」

男「ま、そんなところ」

妹「……。」

男「あとさ…こういうこと、言いたくはないんだけど」

妹「なあに?」

男「…弟くんが、それに拍車を掛けてる気がする」

妹「……。」

男「今日男友に突っかかった時もさ、始めから俺らのこと、女にちょっかいを出してきた人だって決めつけてただろ?」

男「…今までも、ずっとそうやって女を守ってきたんだと思うんだ」

男「近づいてくる男の人は例外なく、な」

妹「……。」

男「そうしたら…まあ、必然的に男の人と接する機会自体がなくなるわけだから」

妹「…うん」

男「……。」

妹「……。」

男「だからといって…やめろなんて言えないけどな」

妹「…ん、分かった」

男「…はい、考えてたことはそれだけ。聞いてくれてありがとな」

妹「ううん、教えてくれてありがと」

男「俺に出来ることは、女と仲良くすることだから」

妹「……。」

男「さて、帰るぞー」

男「……。」

妹「また、考え事?」

男「いや…違うよ」

妹「なら良いけど」

男「……。」

妹「な、なに…かな」

男「んー…」

妹「そんなに見られると…は、恥ずかしいよぉ」

男「…妹みたい、か」

妹「え?」

男「どっちかというと俺の方が、近い気もするけどな」

妹「…なんの話?」

男「なんでもないよ」

妹「……。」

男「ん…家、着いたぞ?」

妹「……。」

男「入らないのか?」

妹「……。」

男「さっきの話か?そんなに思いつめるなって」

妹「…その話じゃ、ないもん」

男「…?」

妹「もっと…自分勝手な話」

男「はあ?」

妹「……。」

男「なんだよ」

妹「ね、お兄ちゃん」

妹「お兄ちゃんは、女さんのこと…」

男「……。」

妹「……。」

男「ん?…女のことが、なに?」

妹「……。」

男「妹?」

妹「…なんでもない」

男「…いや、気になるだろ」

ガチャッ

妹「ただいまー」

男「おいこら、待てって!」

妹「あ、お兄ちゃん。お花見には私も連れていってね?」

男「花見?ああ勿論…というかみんなそのつもりだと思うぞ」

妹「えへへ、そっかぁ」

男「…じゃなくてだな」

妹「お母さん、お腹すいたー」

男「聞けよ…はあ、もう良いや」


妹「……。」

妹「…私の、バカ」ボソッ

外が明るい…
あとお花見をしたら、前半が終わります

まだ前半って…やっぱり保守だらけ
落ちた時点で諦めるので、大丈夫です
おやすみなさい

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