ぬーべー「オヤシロさまの崇り…?」(1000)

ぬーべー「ここが次の転勤先の雛見沢村か……」

ゆきめ「静かでいいところですけど、何も無いところですね……」

ぬーべー「俺は君が居てくれるなら、世界の果てだって幸せさ」キリッ

ゆきめ「まぁ、先生ったら……////」カァー


眠鬼「うぜぇ」

ぬーべー「それにしてもこの村に漂う妖気、普通じゃないな」

ゆきめ「そうですね。とてつもないレベルの妖怪が潜んでいるに違いありません」

ぬーべー「きっとその妖怪が、大石さんの言ってた事件の犯人に違いない」

眠鬼「ふん、大したこと無いわよ、こんなの。私たち鬼の足元にも及ばないわ」

ぬーべー「だと良いんだが…。今回は二人の力も必要になるかもしれないな」

ゆきめ「先生の為なら、私どんなことで厭わないです!この命賭けて、凶悪な妖怪と戦います!」

ぬーべー「ありがとう、ゆきめくん。でも君は俺が絶対守って見せるさ!」

ゆきめ「先生…////」

眠鬼「うぜぇ」

ぬーべー「とにかく学校に挨拶に行こう」

ゆきめ「お供しますわ、先生」

眠鬼「お兄ちゃん、私はそこら辺ぶらぶらしてくるわ」

ぬーべー「いいけど、迷子になるなよ」

眠鬼「子供扱いすんな!」

ぬーべー「あと、手当たり次第に男をパンツにするのは辞めろよ」

眠鬼「しないわよ!…たぶん」

ぬーべー「雛見沢分校、ここだな。すいませーん」

知恵「はい」

ぬーべー「鵺野鳴介です。着任の挨拶に来ました」

ゆきめ「鵺野ゆきめです」

知恵「始めまして、知恵です。そちらが一緒に転校してきた妹さんですか?」

ぬーべー「いえ、妻です」

知恵「え?奥さんですか?お、お若いですね…」

ゆきめ「17才です」

知恵「じ、17才?そうなんですか…」

ぬーべー「妹は明日から登校ということで」

知恵「判りました」

知恵「というわけで、新しい先生の鵺野先生です」

ぬーべー「よろしくな、みんな!気軽にぬーべーって呼んでくれ!」

生徒「はーい!」



沙都子「あの新しい先生、侮れませんわ」

レナ「沙都子ちゃんのトラップ全部回避したもんね」

魅音「初見であんなことやってのけるなんて只者じゃないね。おじさんビックリしちゃったよ」

圭一「へへっ!面白いことになりそうだぜ!」

梨花「……」

魅音「ん?どうした梨花ちゃん?」

梨花「な、何でも無いのですよ。にぱー☆」


梨花「(あの鵺野のとかいう男、普通の人間じゃないわね……)」

眠鬼「あの女、お兄ちゃんにベタベタしやがって……」テクテク

眠鬼「しかし、何も無いところねー」テクテク


眠鬼「なんだ、このゴミの山。不法投棄ってやつか。世もまつだな」

眠鬼「こんな辺鄙なところなら人殺して埋めても分からないだろうなー」

カシャカシャ

眠鬼「!?」

??「富竹フラッシュッ!」

眠鬼「ちょっと!何勝手に写真撮ってるんだよ!」

??「あはは、ごめんごめん。可愛い娘が見つけて、つい反射的に」

眠鬼「か、可愛い…?そういう事なら仕方ないわね。あなた、この村の人?」

富竹「違うよ。僕は富竹。フリーのカメラマンさ」

眠鬼「ふーん、そうなんだ」

富竹「君はあまり見ない顔だね。旅行かい?」

眠鬼「私は眠鬼。お兄ちゃんの仕事の都合で引っ越してきたの」

富竹「へぇ。変わった名前だね。ところで、こんなところで一体何してるんだい?」

眠鬼「……昔殺して埋めた死体を確認しに来たのよ」

富竹「……。いやな事件だったね。まだ死体の一部が見つかってないんだろ?」


眠鬼「……え?」

ぬーべー「ただいま」

ゆきめ「おかえりなさい。学校どうでしたか?」

ぬーべー「みんな元気でいい子ばっかりだったよ」

ぬーべー「特に沙都子って子には参ったよ。あの娘の仕掛けるトラップはプロ顔負けだね」

ゆきめ「まぁ怖い」

ぬーべー「それに梨花って娘も要注意かな……」

ゆきめ「その子も悪戯好きなんですか?」

ぬーべー「いや、違うんだ。彼女は……取り憑かれている。それも凶悪な妖怪に」

ぬーべー「見た目は彼女と同じ年頃の女の子なんだが……。途轍もない妖気だった」

ゆきめ「もしかして、その妖怪が?」

ぬーべー「分からない。だが、この村で起きている怪事件に関わっているのは間違いないと思う」

ゆきめ「そうですか…」

ぬーべー「とりあえず、明日話を聞いてみようと思う。大石さんへの連絡はそれからだ」

ゆきめ「はい」

ガラガラ

眠鬼「ただいまー」

ゆきめ「あ、眠鬼ちゃん。おかえり」

ぬーべー「遅かったな。どこまで行ってたんだ」

眠鬼「ちょっとねー…」

ぬーべー「どうした?元気が無いな」

眠鬼「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんは雛見沢連続怪死事件について調べてるんだよね」

ぬーべー「あぁ、刑事の大石さんに頼まれた。それがどうした?」

眠鬼「お兄ちゃんが調べるって事は、それは妖怪の仕業?」

ぬーべー「その可能性があるって事だ。それにこの村に漂う妖気。この村には何らかの霊障があるのは間違いない」

眠鬼「そっか……」

ぬーべー「それがどうかしたのか」

眠鬼「ううん。何でもない。それより歩き回ったら腹減ったよ!ゆきめさん、ご飯!」

ゆきめ「はいはい、今用意してるからね」


眠鬼「(本当に妖怪の仕業なのかな……。あのゴミ処理場、全く妖気を感じなかったけど……)」

あれは2ヶ月前のことだった―――


大石「どーもー。鵺野先生。はるばる九州からご苦労様です。お呼び立てしましてすいませんねー」

ぬーべー「いえ。困っている人がいれば全国どこへでも行きますよ」

大石「おお、それは心強い!」

ぬーべー「なにやら霊現象でお悩みとか」

大石「うーん。お恥ずかしい話なのですが、そうとしか思えない事件が起こってまして」

ぬーべー「事件ですか。詳しく話してみてください」

大石「では早速。」


大石「鵺野先生は『鬼隠し』というのは聞いたことありますか?」

ぬーべー「鬼隠し?神隠しの類ですかね」

大石「えぇ、ある村独特の呼び方でしてね。似たような物だと思うんですよ」

ぬーべー「なるほど。その村で神隠し、いや鬼隠しにあって誰かがいなくなった、という話ですか」

大石「いやー、実はそれほど単純な事件じゃないんですよー」

ぬーべー「と言いますと?」

大石「その村、雛見沢村って言うんですけどね。そこで毎年綿流しというお祭がありまして」

大石「その日に起きるんですよ、不可解な事件が」

ぬーべー「……それはどんな?」

大石「一人が死んで、一人が消える。そんなことがもう4年も続いているんですよ」

大石「われわれ警察も全力で捜査しているのですがね。未だに謎に包まれたままなのですよ」

ぬーべー「大石さんはそれが妖怪の仕業だと?」

大石「妖怪、とは少し違うかも知れませんね。村の人たちは『オヤシロさまの崇り』と噂しています」

ぬーべー「オヤシロさまの崇り…ですか。」

大石「オヤシロさまってのいうのは村にある古手神社に祀られた神様でして。綿流しの祭もそれに関係しています」

ぬーべー「神様が殺人、ですか?うーん信じがたいですね」

大石「村の禁忌を破った者が祟られるという話です」

ぬーべー「なるほど…」

大石「それでですね。鵺野先生には村に学校に潜入して調査してほしいのです。学校には私が根回ししておきますので」

ぬーべー「わかりました。ご協力いたしましょう!」

大石「助かります。大いに期待していますよ」

ぬーべー「ご期待にそえるよう頑張ります」



ぬーべー「あのー、それで報酬のほうなんですけど……」
―――――


ぬーべー「あの女の子が大石さんの言うような残酷なことをしているとは思えないな…」

飽きてきた

ぬーべー「今日からみんなと一緒に勉強する転校生を紹介するぞ」

眠鬼「鵺野眠鬼でーす。みんなよろしく」

沙都子「ぬえの?」

レナ「あれ?ぬーべーと同じ苗字だ」

ぬーべー「あぁ、こいつは俺の妹みたいなものだ」

圭一「しかし、何というか、エロい格好だぜ……」ハァハァ

魅音「あれれ?圭ちゃん、転校生に欲情かい?」

レナ「はぅ~…。圭一くんのオットセイさん大きくなっちゃったのかな?かな?」

沙都子「まぁ圭一さん。破廉恥でございますわ」

梨花「圭一は変態さんなのです」

圭一「う、うるせー!青少年の健全な反応だ!」


眠鬼「何あれ?パンツにしていいの?」

ぬーべー「駄目だ。早く服着て来い」

魅音「ねぇ、眠鬼ちゃん。私たちの部活に入らないかい?」

眠鬼「ブカツ?何それ」

レナ「みんなで色んなゲームをして楽しく遊ぶ集まりだよ」

眠鬼「ふーん。まぁ、いいけど」

沙都子「わたくしのトラップを回避したぬーべーの妹なら相手に不測はありませんわ」

圭一「(けっけっけっ…。罰ゲームであのエロい体であんな事やこんな事をしてやるぜ)」

魅音「圭ちゃん、いやらしい顔になってるよ」

梨花「やっぱり圭一は変態さんなのです」

眠鬼「圭一はいいパンツになりそうなのに勿体無い」

眠鬼「うわーまた負けた!手加減するなんて嘘じゃない!」

ドカーン

魅音「ははは…。ご、ごめん。つい、いつものくせで…」

圭一「悪い悪い。楽しくて調子に乗ってしまったぜ…」

レナ「レナたちが悪かったよ。ごめんね。だから落ち着いて、ね?」

沙都子「そ、そうでございますわ。たかがゲームに負けたくらいで机を壊さないでくださいませ…」

梨花「みー…、もう教室に机残ってないのです…」

眠鬼「もー、私は帰るからなっ!」


ガラガラ ピシャンッ

レナ「はぅ~帰っちゃったよぉ…」

沙都子「怒らせてしまいましたわ」

魅音「それにしてもすごいパワーだったなぁ。おじさん恐怖を覚えたよ」

梨花「眠鬼も普通の人間じゃないみたいなのです」

レナ「(眠鬼『も』…?)」

圭一「野球チームにスカウトするべきだったな」

ガラガラ

ぬーべー「部活は終わったか?あれ?どうして机が一個もないんだ?」

魅音「あはは。ちょっとエキサイトしすぎちゃって…」

ぬーべー「やりすぎだろう……」

ぬーべー「あ、そうだ。梨花ちゃん、ちょっといいかな?話があるんだ」

梨花「…わかりましたのです。にぱー☆」

圭一「ぬーべー、俺の梨花ちゃんに変なことしたら許さないぜ!」

ぬーべー「アホ!生徒に手を出す教師がいるか!」

レナ「でも、ぬーべーの奥さんは未成年なんだよね?年下好き?」

魅音「何か臭うな。犯罪のにおいがプンプンするよ。ひひひ」

沙都子「まぁ破廉恥な!変態教師!教育委員会に訴えますわよ」

ぬーべー「いい加減にしろ!さぁ梨花ちゃん、行こう」

梨花「……貞操の危機なのですよ、みー」



羽入「(この眉毛、只者じゃない気を感じるのです。あうあう……)」

ゆきめ「夕食のお買い物に行かなくちゃ」

テクテク

ゆきめ「(あら?あれは雛見沢分校の生徒かしら?)」


圭一「それにしても、ぬーべーの奴、本当に梨花ちゃんに手を出さないだろうなー」

レナ「大丈夫だよ!キレイな若い奥さんがいるみたいだし」

魅音「そうかな~?梨花ちゃん可愛いもん。コーチみたいに虜になってもおかしくないぜ」

圭一「浮気は文化だって言うしな。あれ?不倫だっけ?」

レナ「うーん。レナ、やっぱり心配になってきたかも…」

魅音「大丈夫だよ!でも梨花ちゃん攻略は一筋縄じゃいかないから」


ゆきめ「……先生が浮気?」

ざわ…ざわ…

梨花「こんなところに連れ出して、話とは何なのですか?」

ぬーべー「あまり、他の生徒の前で言うことじゃなくてな」

梨花「やっぱりロリコンのカミングアウトなのですか?」

ぬーべー「そうじゃない」

梨花「大丈夫なのですよ。知り合いにもロリコンさんがいるので偏見は持ってないのです」

ぬーべー「だーかーらー!違うって!」

梨花「……みー、ごめんなさい。怒らないでほしいのです」

ぬーべー「あ、ごめん。いや、だからね、年下には手を出したけど、生徒には絶対手を出さないから安心しろ!」

梨花「冗談なのですよ、ぬーべー。顔が近すぎなのです」

ぬーべー「ははは…(こやつめ…)」

眠鬼「つい、カッとなって教室飛び出してきたけど……」

眠鬼「いや私は悪くない!あいつら、グルになって私を苛めてたんだ!」

眠鬼「くそっ!くそっ!くそっ!」


富竹「あれ?眠鬼ちゃんじゃないか」

眠鬼「あぁ、あんたね。確か名前は、ワタナベ…」

富竹「違う違う。戦場カメラマンじゃなくて、フリーのカメラマン富竹さ!」

眠鬼「そうそう富竹富竹。あんたは、いつまでこの村にいるのさ?」

富竹「もうすぐ綿流しのお祭があるからね。それまではいるよ」

眠鬼「お祭?」

富竹「おや?圭一君たちに聞いてないのかい?」

眠鬼「……聞いてない」

眠鬼「ところでこの間の話だけど」

富竹「この間って……あぁ、ダムの工事現場の事件の話か」

眠鬼「うん。あの時殺された現場監督ってどういうひと?」

富竹「さぁ…。聞いた話じゃ鬼のように怖い人だったって」

眠鬼「鬼のように?」

富竹「あちこちで色んな恨みを買ってたんじゃないかな」

眠鬼「嫌われてたんだ」

富竹「死んだ人のことを悪く言うのはいい事じゃないが、そうみたいだね」

眠鬼「他の人も?」

富竹「他の人って?」

眠鬼「他の年に行方不明になったり殺されたりした人。雛見沢連続怪死事件、だっけ?」

富竹「……驚いたな。そんなこと誰に聞いたんだい?」

眠鬼「興宮署の大石って刑事」

富竹「へぇ…。僕が聞いた話だとダム建設推進派やその身内ばかりらしいよ、殺されたり鬼隠しにあったのは」

眠鬼「お、鬼隠し?みんな嫌われていたのか?」

富竹「…そうだね。村人にとっては鬼みたいな忌み嫌う存在だったんじゃないかな」

眠鬼「そうなのか…」

富竹「じゃあ僕はそろそろ帰るよ。眠鬼ちゃんも暗くならないうちに帰りなよ」



眠鬼「(鬼は忌み嫌う存在、か…。そんな奴らが殺されたり、鬼隠しにあう…)」

眠鬼「(もしかして私が苛められたのは、正体がばれたからじゃ……)」

ゆきめ「さっきの話は何だったんだろ…」

ゆきめ「ば、馬鹿ね私ったら!先生が浮気なんてするわけないじゃない!」

ゆきめ「……でも昔は律子先生にも鼻の下伸ばしていたし」

ゆきめ「ちょっと、ひとっ飛びして様子見に行こうかな」フワフワ


ゆきめ「あ、先生だ」

ゆきめ「校舎裏で生徒と二人っきり…。それもあんな小さい子と…」

ゆきめ「昨日言ってた妖怪に取り憑かれた子、だよね」

ゆきめ「きっと除霊してるんだわ……あ」

ゆきめ「あんなに顔近づけて何してるの?ま、まさか、キス!?」

ゆきめ「そんな、嘘、いや、駄目っ!」


ゆきめ「もう見てられない……」

ぬーべー「俺は教師だ!君たち生徒を守るためにいるんだ!それを変態だなんて」

梨花「わ、分かったのですよ、ぬーべー。顔近すぎなのです」

梨花「圭一たちに見られたら襲ってるかキスを迫っていると勘違いされるのですよ」

ぬーべー「ああ、すまん。つい興奮して…」

梨花「興奮したのですか…」

ぬーべー「違う違う!そういう風に捉えるなって!」

梨花「冗談なのですよ。ぬーべー。落ち着いてくださいなのです」

ぬーべー「あーもう!」

梨花「何か大切な話があるのでしょう?本題に移るのです」

ぬーべー「あぁ、そうしよう。俺もこんなところゆきめに勘違いされたら氷漬けにされてしまう」

ぬーべー「実は君に聞きたいことがある」

梨花「性的な質問以外は極力答えるのですよ。にぱー」

ぬーべー「もう茶化すのはよせ。その前に」

ぬーべー「おい、そこにいる奴!君もこっちへ来るんだ」

梨花「……?な、何を言ってるんですか、ぬーべー。誰もいないのですよ」

ぬーべー「君は気づいてないのか?いや、隠しているんだな」

梨花「何のことなのですか。僕にはサッパリなのです、みー…」

ぬーべー「お前らにはまだ言ってなかったがな、俺は霊能力者なんだ」

梨花「霊、能力者……」

ぬーべー「ああ、だから、見えている。隠れていても妖気を感じるぞ。出て来い。そこにいるんだろ?」

梨花「……そういうことみたいよ、出てらっしゃい、羽入」

羽入「あうあう、僕が見えてるのですか?」

ぬーべー「あぁ、ばっちりさ。羽入というのか」

羽入「梨花、やっぱりこの欠片いつもと違うのです!」

梨花「そうね。この百年でこんなこと初めてだもの」

羽入「きっとこの欠片なら昭和58年6月の袋小路を打ち破ることができるのです!」

梨花「…そうだといいけど」


ぬーべー「何の話?」

ゆきめ「……思わず逃げてきちゃったけど、さっきのは何だったの?」

ゆきめ「見間違い?ううん、違う。先生はあの子に顔を寄せて、そして…」

ゆきめ「違う違う!きっと私の勘違い。先生、熱血だから大事な話をしようとして…」

ゆきめ「本当にそう…?やっぱり浮気?でも…」

ゆきめ「しっかりしろ!私!先生を信じないでどうするの!」



??「あら、あなたは確か今度引っ越してきた鵺野さんのところの……」

ゆきめ「?あなたは?」

鷹野「入江診療所でナースをしてる鷹野よ。今後よろしくね」

ゆきめ「はぁ…」

鷹野「どうしたの?浮かない顔ね。悩み事かしら?」

ゆきめ「いえ、大した事じゃないんです」

鷹野「そうは見えないけど。病は気からって言うでしょ。心のケアを私たちの仕事の一つなのよ。話してみて」

ゆきめ「実はかくかくしかじか…」

鷹野「なるほどね。そんな事が…」

ゆきめ「真実を知るのが怖くて逃げ出しちゃって…」

ゆきめ「でもよく考えたらおかしいですよね。いい大人があんな子供と浮気なんて」

鷹野「そうかしら?梨花ちゃん可愛いから」

ゆきめ「で、でも…」

鷹野「知り合いにも一人いるのよ。いい大人なのに梨花ちゃんにベタ惚れの人が」

ゆきめ「そんな、まさか!」

鷹野「恋愛に年齢なんて関係ないと思うわ。梨花ちゃんも年上を手玉に取る節があるようだし」


鷹野「あら、ごめんなさい。余計不安を煽っちゃったみたいね」

鷹野「大丈夫。それはきっとあなたの思い過ごしよ」

ゆきめ「そうだと良いんですけど…」

鷹野「大好きなんでしょう?鵺野先生のことが?それじゃあ信じなさい、彼のこと」

ゆきめ「は、はい!」

鷹野「何があっても疑ったりしちゃ駄目よ。彼もあなたは愛してるのに、それを疑うのは可哀想だわ」

ゆきめ「そうですよね!私ったらなんて薄情な…」

ゆきめ「すいません、女々しいこと言っちゃって。少し楽になりました」

鷹野「そう?役に立ててよかったわ」

ゆきめ「あ、そうだ!夕食の買い物に行かないと!鷹野さん、ありがとう」

鷹野「どういたしまして。気をつけてね」

ゆきめ「はい。失礼します」



鷹野「楽になった、か。うふふふ。本当にそうかしら?」

鷹野「男女の関係に一度疑いの心が火を点したら、そう簡単に消えてくれないわ」

鷹野「心の内で燻って広がって、次のちょっとしたきっかけでまた再燃するの。より激しい炎になってね」

鷹野「気をつけたほうが良いわよ。とくにこの村では、ね……」

ぬーべー「そんな事が本当に…?にわかに信じられん…」

梨花「残念ながら、今話したことは全て真実」

ぬーべー「こんな可愛らしい子がキャラ作りしてたなんて…。女って怖い」

梨花「そっち?」

ぬーべー「冗談だ、冗談」

ぬーべー「同じ日を何度も繰り返させる妖怪はいるが、長い期間、それも百年となると一体どんな妖怪だ」

羽入「失敬な!それは僕の力なのです!あうあう!」

ぬーべー「お前が…。あながち神様というのも冗談ではなさそうだな」

羽入「口の利き方に気をつけるのです、人間!僕は正真正銘神様なのです!オヤシロさまなのです!梨花、この無礼者を祟っても良いですかっ!?」

梨花「駄目に決まってるじゃない。袋小路を脱出する唯一の希望なのに」

羽入「あうあう、そうでした…」

ぬーべー「確かに俺より強い力を秘めている…。覇鬼でも勝てるかどうか」

梨花「バキ?それよりこっちの話は終わり。あなたは何しにこの村に来たの?」

ぬーべー「ある人に頼まれたんだ。この村で起きている怪事件の元凶を調べてくれ、と」

梨花「それ、もしかして大石?」

ぬーべー「知ってるのか?」

梨花「一応ね。過去の欠片でも、事件の解決には手段を選んでなかったけど、まさか霊能力者に助けを求めるとはね…」

羽入「大石も焼きが回ったものです」


ぬーべー「しかし弱ったな。相手が妖怪じゃないとなると、俺には手の出しようがないぞ」

羽入「そんな!期待させておいて酷いのですよ、ぬーべー!」

梨花「やはり、この欠片でも私は無残に殺されるのね……」


ぬーべー「……。いや、そんなことはさせない!」

梨花「でもどうやって?」

ぬーべー「言っただろ?俺の生徒は絶対に守る!傷つけさせやしないさ!この命に代えてもお前を守ってみせる!」

梨花「……。相手は妖怪じゃないんでしょ?」

ぬーべー「関係ない!相手が妖怪だろうと、神様だろうと、怪物だろうと、殺人鬼だろうと!俺が守る!」

梨花「…そう。期待していいのかしら?」

ぬーべー「当たり前だ!」

羽入「あうあう。ぬーべー、カッコイイのです!さっきは祟るとか言って悪かったのです」

ぬーべー「良いんだ。全部が終わったら、お前も成仏させてやるからな」

羽入「ぐぬぬ!だから僕は浮遊霊じゃなくて神様なのです!梨花、こいつオヤシロパワーでぶっ飛ばしていいですかっ!?」

梨花「駄目だってば」

ぬーべー「ただいま」

ゆきめ「お、おかえりなさい、先生!どうでした?」

ぬーべー「参ったよ。生徒に取り憑いてたのは幽霊や妖怪じゃないみたいだ」

ゆきめ「生徒って梨花って子でしたっけ?あの長い黒髪の綺麗な子」

ぬーべー「そうだけど、どうして知ってるんだ?」

ゆきめ「え?あ、前に見かけたことがあって。で、妖怪じゃないなら何なんです?」

ぬーべー「神様だってさ。小さくて可愛らしい子なのに霊力は覇鬼と同等かもしれん」

ゆきめ「小さくて可愛らしい子、ですか?」

ぬーべー「あぁ。梨花と一緒に見なかったか?梨花の周りを飛んでる守護霊みたいな奴」

ゆきめ「え?あ、ああ、どうでしょう?見なかったと思います……」


ぬーべー「ふーん。それで話を聞いたら、どうも怪死事件の犯人は彼女じゃないらしいんだ」

ゆきめ「へぇー」

ぬーべー「その上、梨花は何者かに命を狙われているらしい」

ゆきめ「そうなんですかー」

ぬーべー「上の空だな。ま、というわけで梨花を守るため、俺はしばらく彼女に家に泊まる事にした」

ゆきめ「ふーん……えぇ?い、今何とおっしゃいました?」

ぬーべー「だから、生徒を守るため、俺は明日からしばらく彼女の家に泊まって見張ることにした、と言ったんだ」

ゆきめ「そ、そんな!嫌ですそんなの!」

ぬーべー「君には悪いと思うけど、そうするしかないだろ?生徒の身を守るためだ」

ゆきめ「本当にそうですか?梨花って事と変なことする為なんじゃないですか!」

ぬーべー「な、何言ってんるんだ!馬鹿馬鹿しい!圭一たちみたいなことを言うんじゃない!」

ゆきめ「先生、動揺してる!怪しすぎます!」

ぬーべー「君も言ってたじゃないか!俺のためなら何でもするって!我慢してくれ!」

ゆきめ「それとこれとは話は別です!浮気なんて許せるはずないじゃないですか!!」

ぬーべー「浮気って…、相手は小学生だぞ?君は本気で言ってるのか?」

ゆきめ「本気です」

ぬーべー「馬鹿馬鹿しい……。もういい。俺は寝る。彼女の家に行くのは決定事項だ。君が何と言おうと無駄だ」

ゆきめ「そんな……」

ぬーべー「雪女にこんなこと言うのも変な話だけど、君は少し頭を冷やした方がいい」

バタン



ゆきめ「先生……」

~次の日~

生徒1「さっき、ぬーべー先生見たら大荷物だったけど何かあるのかな?」

生徒2「修行とか言ってたけど、何の修行だろうね」

生徒3「それより何で机変わってるんだろ?」

生徒4「また魅音ちゃんたちが何かやらかしたんじゃないのかな」


圭一「疲れたぁー」

レナ「朝早く登校して机交換してたもんね。ご苦労様」

魅音「偉いぞ、圭ちゃん!おじさんがご褒美にちゅーしてあげようか?」

圭一「おいおい、何の罰ゲームだぁ、そりゃ」

沙都子「まぁ!レディのキスが罰ゲームだなんて!失礼にも程がありますわよ」

圭一「うるせぇ!眠鬼の尻拭い、俺一人に押し付けたくせに!」

梨花「それは圭一が眠鬼の次に負けていたから、その罰ゲームなのですよ」

圭一「どうせなら梨花ちゃんにちゅーして貰いたいね!」ハァハァ

梨花「駄目なのですよ、圭一。僕の初ちゅーは大切な人のために取ってあるのです」

沙都子「つまり、圭一さんは梨花の大切な人じゃない、ってことになりますわね」

梨花「にぱー☆」

圭一「何だよ!けっこう本気で狙ってのによぉ!」ガクッ

魅音「あはははは、残念だったね圭ちゃん」

レナ「はぅ~、落ち込む圭一くん可愛いよぉ~!お持ち帰りーして慰めてあげたいよぉ~」

ガラガラ

圭一「お」

眠鬼「……」

梨花「あ、眠鬼。おはようなのです」

レナ「眠鬼ちゃん、おはよう」

眠鬼「…………。おは

圭一「おいおい!挨拶くらいしたらどうだ!」

圭一「こっちはお前の尻拭いで疲労困ぱいの上に、ブレキンハートだっていうのによぉー!」

魅音「八つ当たりはよくないよ、圭ちゃん。まぁそれは眠鬼も一緒だけどね」

魅音「部長として言わせて貰うと、負けて悔しいのは分かるけど片付けもせずに帰ったり無視したりするのはよくないぜ」

沙都子「そうでございますわ!レディとして片付けや挨拶は基本中の基本ですのよ。よろしくて?」

レナ「み、みんな、そんな言い方……」


眠鬼「……ふんっ!」



魅音「なんだよ、あいつ。まだ怒ってるのか?」

レナ「み、みーちゃん、眠鬼ちゃんは挨拶しようとしたよ…」

魅音「げ?そうなのか?」

梨花「そうなのです。謝った方が良いのです」

圭一「何でだよ!まず謝らないといけないのは、眠鬼だろ?特に俺に感謝して、パンツの一つでも見せるべきだぜ」

沙都子「なんと不潔な発言!誰か!塩撒いてくださいまし!」

知恵「何騒いでいるんですか?授業始めますよ」

生徒「はーい」



眠鬼「(……やっぱり嫌われているのかな)」

とぅるるる とぅるるるる ガチャ

大石「もしもぉーし、興宮署の大石でーす」

ぬーべー『あ、大石さん?鵺野ですけど』

大石「あ、鵺野先生。どうですか、何か分かりましたかー?」

ぬーべー『それが、色々と分かったのですが……かくかくしかじかで』

大石「……それはまた、何というか規模の大きい話というか。うーん」

ぬーべー『信じがたいのは分かります。しかし、私には嘘だとは思えません』

大石「そうですかー。先生がそうおっしゃるのなら。こちらの方でも何人か古手梨花の周囲の警戒させてみましょう」

ぬーべー『お願いします。相手が人間だと私も力を使いにくいので』

大石「分かりました。それでは、引き続き調査お願いします。綿流しの日には私もそちらへ行きますので」

ぬーべー『はい。それではまたお祭りの日に』

ガチャ


大石「ふぅ…」


熊ちゃん「大石警部、何か情報つかめましたか?」

大石「藁にでも縋る思いで、霊能力者なんてものに頼んでみたが…。キナ臭い話になってきたぞ」

熊ちゃん「やはりオヤシロさまの祟りだと?」

大石「うーん、オヤシロさまは関係なくて、むしろ命を狙われているそうだ」

熊ちゃん「え?どういうことっすか?大石さん、それ信じるんですか?」

大石「まさか!霊だの神だの馬鹿馬鹿しい。しかし、そんな男が犯人人間説を唱えてきたんだ」

熊ちゃん「信じるに値する、と?」

大石「半信半疑……いや、まだまだ疑よりだがねぇ。とりあえず若い奴に古手梨花を監視させてみるか」

キーンコーンカーンコーン


圭一「やっと授業終わった!もうヘトヘトだ」

レナ「体育の時間、ぬーべーと激闘してたもんね」

沙都子「ぬーべーはまだまだ手加減してたみたいですけれど」

圭一「あの兄妹の人体の構造はどうなってんだ?まともじゃないぜ、化け物だ」

レナ「し、失礼だよ、圭一くん!」

眠鬼「(化け物…)」

魅音「じゃあ疲れているうちに、さっそく部活ね」

圭一「鬼!悪魔!大嫌いだー!」

眠鬼「(鬼は嫌い…)」

魅音「けっけっけっ!今日も罰ゲームは圭ちゃんで決まりかな?」

レナ「眠鬼ちゃんもやるよね」

圭一「そうだな!眠鬼がいれば今の俺でも最下位回避できるぜ!」

沙都子「一度経験したのですから、今日は大丈夫ですわよね?」

魅音「今度は暴れたりするなよ」

眠鬼「……ふんっ!」

レナ「あ、ちょっと待って!眠鬼ちゃん!」

沙都子「あーあ、帰っちゃいましたわ…」

圭一「いつまで拗ねてんだよ」

魅音「参ったね。どうやったら機嫌直してくれるやら」

圭一「なぁ、部長。どうする今日の部活」

魅音「そうだねー」

梨花「あの、実は僕、ちょっと今日は用事があるのです」

沙都子「え?何かありましたっけ?」

梨花「大事な大事な用事なのですよ」

圭一「何だぁ、大事な用事って?ま、まさか男かぁ!?」

梨花「みー」

圭一「ちょっ!そこははっきり否定してくれよぉー!」


魅音「眠鬼は帰るし、梨花ちゃんも用事があるし、圭ちゃんはお疲れだし。今日はお休みにするか」

沙都子「そうでございますわね」

圭一「そうか、じゃあレナ、帰ろうぜ」

レナ「あ、ごめんね!レナも用事思い出したから先に帰るね!」

圭一「あ?何だよそれ!」

魅音「あははは。圭ちゃん本日二度目のハートブレイクだね」

圭一「何だよ畜生…。今日は厄日だぜぇ」

魅音「よしよし。おじさんが慰めてあげるよ」

圭一「うわぁーん、魅音ー!」ガバッ

魅音「ひやっ…!////」

ぬーべー「ここが古手神社が。いい所だな」

梨花「私と沙都子は集会所の裏の納屋に住んでるの」

ぬーべー「こんな立派な家があるのに」

梨花「……色々と理由があるのよ」

羽入「ぬーべーはデリカシーが無いと言われませんか?」

ぬーべー「そんな事、たまにしか言われないさ」

羽入「やはり言われるのですか……」

梨花「それより、それ、本気なの?納屋に泊められないけど、この家使ってもいいのよ」

ぬーべー「駄目だ!ここからじゃ、納屋まで距離があるからな。見張れないだろ?」

羽入「だからって何もテント暮らしすることないのです、あうあう…」

ぬーべー「大丈夫さ!依然、貧乏神に取り憑かれたときは、当時いた学校のグラウンドでテント暮らししてたし」

梨花「なんて迷惑な教師なの」

ぬーべー「俺なんかまだましだろ?他紙には学校の屋上で生活してた教師もいたぞ」

梨花「(タシ…?)」

ぬーべー「安心しろ。お前らが安心して生活できるように、いつでも見守っててやるからな!」

羽入「死ぬ間際のメッセージみたいなのです……」

梨花「縁起でもないこと言わないで」

ぬーべー「この事件が解決して夏休み迎えたら、いっぱい宿題出してやるから覚悟しろよ!」

羽入「し、死亡ふら」

梨花「言うなって」

ぬーべー「さぁ!俺の生徒に手を出す悪党め!どっからでもかかって来いっ!」

レナ「眠鬼ちゃん!待ってよぉ~」

眠鬼「……レナ。何か用か?」

レナ「はぁ、はぁ、はぁ。眠鬼ちゃんと、一緒に、帰ろうと、思って…」

眠鬼「……部活はいいのか?」

レナ「ふぅ…、今日は中止。それより、昨日はごめんね。あと今朝のことも」

眠鬼「……」

レナ「みーちゃんも圭一くんも沙都子ちゃんも悪い人じゃないんだよ?」

眠鬼「……」

レナ「昨日の事は新入部員に対する恒例行事っていうか、早く馴染んでもらおうと思って毎回やってるんだよ」

レナ「今朝のことは完全にみーちゃんと圭一くんの早とちり。二人も謝らなくちゃ、って思ってるはずだよ」

レナ「みんな眠鬼ちゃんのこと、もっと知りたいんだよ?友達だって思ってるんだよ」

眠鬼「……本当に?」

レナ「本当だよ!」

眠鬼「……私のこと嫌いなんじゃないの?」

レナ「そんなことないよ!」

眠鬼「本当に?」

レナ「ホント。だからね、みんなのこと許してあげてほしいな」


眠鬼「……いや、許してもらうのは私の方。負けて暴れたり、無視したりしてしまった」

レナ「そうだね。でも、その気持ちがあれば大丈夫。ちゃんとみんなに伝わるから!」

眠鬼「……ありがとう、レナ」

レナ「うん!じゃあ、明日からまた部活に参加してくれる?」

眠鬼「もちろんだ!」

レナ「もうすぐ綿流しってお祭りがあるの!その日の部活は派手になるから、早く慣れないと大変な目にあうよ!」

眠鬼「お祭り、か。うん、私、頑張る!」ニコッ

レナ「はぅ~!笑った眠鬼ちゃん可愛いよぉ~!お持ち帰りぃー!」ガシッ

眠鬼「わぁ!何するんだ!離せぇー!!」

眠鬼「あ、ところでレナ。聞きたいことがあるんだけど」

レナ「うん、何かな?かな?何でも聞いてほしいな!」

眠鬼「ゴミが不法投棄されてる工事現場で起きた殺人事件のことなんだけど」

レナ「知らない」

眠鬼「え?」

レナ「知らないよ、そんな事件。何かの間違いじゃないかな?かな?」

眠鬼「え、でも……」

レナ「誰が言ったの、そんなこと」

眠鬼「なんだっけ?タケトミ?タケミトじゃなくてタケシロじゃなくて……高城?」

レナ「ハイパーメディアクリエイター?」

眠鬼「職業名はそんな長くなかったような気がする…。フリーノカメラマンとか何とか」

レナ「富竹、あいつか。眠鬼ちゃんに余計なこと吹き込みやがって…」

眠鬼「れ、レナ?」

レナ「ううん、何でも無いよ、眠鬼ちゃん!」ニコ

眠鬼「そ、そうか…。じゃあ、鬼隠しって知ってるか?」

レナ「……」

レナ「それも富竹さんから聞いたの?」

眠鬼「うん…」

レナ「そっか。眠鬼ちゃんて、鬼とか神様とか崇りとかって信じる?」

眠鬼「まぁ、一応(私がその鬼なんですけれども)」

レナ「この村にはね、本当にいるんだよ、オヤシロさまって神様が」

眠鬼「そうなのか…」

レナ「それでね、オヤシロさまはね、裏切り者を絶対に許さないんだよ」

眠鬼「え?」

レナ「約束事を破った者には厳しい罰を与えるの」

眠鬼「(それが、あの事件に関係してるのか…?)」

レナ「だからね、眠気ちゃん」


レナ「約束破っちゃ、嫌だよ」

眠鬼「…っ!」ゾクゾク


眠鬼「や、約束って…」

レナ「ふふ、明日から部活に参加することだよ!」

眠鬼「あ、ああ、それね。約束は守るよ」

レナ「ぜったいだよ?」

眠鬼「うん……」

レナ「じゃあ私はこっちだから。またね!」

眠鬼「あぁ、また明日……」



カナカナカナカナカナ カナカナカナカナカナ

そんなこんなで寝ます
これを読んだあなた。どうか続きを書いてください。
それだけが私の望みです。

??「今日は綿流しってお祭らしいよ」

??「ワタガシ?何か甘ったるそうな祭だな」

??「ワタガシじゃなくて綿流しなのら」

??「ふーん。でもたまたま訪れた日がお祭だなんて、私の日ごろの行いがいいおかげね!」

??「あんたがそれを言う?」

??「何よ、文句あるの?」

??「喧嘩はよせよ、二人とも」

??「その通り。電車の中で騒ぐのマナー違反だ」



??「しっかし。すっかり馴染んじゃったな。最初はあんな凶悪な妖怪だったのに」

??「ぬーべーのおかげね」

??「……あの男に会って、私は愛することを知った。そのおかげで今の私がある。癪だがそれは事実だ」

??「だから今日は君たちの引率なんて面倒な役を引き受けたのさ」

??「とか言っちゃって、本当はぬーべーに会いたいんだろ?」

??「え?何々?玉藻先生ってそっち系?」

玉藻「失敬な。私にとって彼はライバル。そろそろ決着でもつけようと思ってだけさ」

郷子「またまた意地張っちゃってー」


広「でも驚くだろうな、ぬーべーの奴。突然俺らが会いに来たら」



魅音「よし!お次は何で勝負するかなぁ?」

圭一「何でも来い!へへ、腕が鳴るぜぇ!」

沙都子「負けませんわよ、圭一さん!」

レナ「レナも負けないよ!」

梨花「ボクも頑張るのです。にぱー☆」

眠鬼「駄目駄目!次も私が勝たせてもらう」

ぬーべー「いやいや!今度こそ教師の誇りにかけて!兄の名誉にかけて!絶対に勝つぞ!」


圭一「ってか、あんたは何でナチュラルに混じってるんだよ!」

ぬーべー「何か問題あるか?お祭で生徒が羽目を外し過ぎないように監視も兼ねてるんだぞ」

沙都子「そのようには見えませんけど」

魅音「まぁあ、いいじゃん!人数は多い方が楽しいよ」

眠鬼「まぁお兄ちゃんじゃあ、私たち部活メンバーに勝てるはず無いけどね」

レナ「眠鬼ちゃんが加入してから切磋琢磨して、みんなのレベルが格段にあがったもんね!」

圭一「あぁ、眠鬼のおかげだぜ!最初は歯が立たなかったぬーベーと互角以上の戦いが出来るようになったんだからな!」

沙都子「そうですわ!眠鬼さんに感謝しないと」

圭一「サンキューな、眠鬼」

魅音「部長としても鼻が高いぜ」

眠鬼「べ、別にあんたたちのためじゃないわよ!相手が弱かったら私が面白くないだけなんだからねっ!////」

レナ「はぅ~!ツンデレ眠鬼ちゃん可愛いよぉ~!お持ち帰りしたいー!」

眠鬼「ははっ!次の勝負に勝てたら考えてやるよー」

圭一「何ぃ?次の勝負に勝ったら眠鬼をお持ち帰りしてあんな事やこんな事していいのか?」

眠鬼「えっ?そんな事言ってな

魅音「うへへへ、おじさん、何だかやる気出てきたな~!可愛がってやるよ~」

梨花「僕たちが勝ったら入江にプレゼントするのです」

沙都子「まあ!素敵でございますわ!」

眠鬼「待って。そんなつもりじゃなくて…」

ぬーべー「待て待てぇ!妹に手出しはさせんぞ!」

魅音「そうと決まれば、さっそく次の勝負!舞台はあの屋台だ!行くよ!!」

一同「おー!」

眠鬼「こらー!勝手に話進めるなー!」

ということで
続きは午後にでも

「ひぐらしのなく頃に 鬼殺し編」

後半へ続く

カシャカシャ

眠鬼「あ、取り立て屋」

富竹「ははは、違う違う。とりたて、じゃなく、と・み・た・け。借金取りじゃなくてフリーのカメラマンさ」

眠鬼「あっそう」

富竹「参ったな、ははは」

眠鬼「もう一人は…」

圭一「富竹さんに鷹野さんじゃないか!」

鷹野「うふふ、今晩はー」

魅音「お祭りデートですか?おじさん妬けちゃうな~」

沙都子「ラブラブでございますわね」

眠鬼「たかのさん?」

レナ「診療所のナースさんだよ」

富竹「今年は一段と賑やかだねぇ」

魅音「そりゃそうさ!去年よりメンバーも3人も増えて実力だって格段にアップしてるしさ」

圭一「盛り上がらねェ方が嘘ってもんさ!」

ぬーべー「みんなの知り合いか?」

沙都子「そのようなものですわ」

富竹「あなたは…?」

梨花「ぬーべーは分校の新しい先生なのですよ」

富竹「そうでしたか。お噂はかねがね聞いていますよ」

ぬーべー「はぁ…(うわさ?)」


鷹野「くすくすくす」

魅音「二人のデートの邪魔しちゃ悪いし、そろそろ行こうか」

圭一「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじゃえって言うもんな」

梨花「お馬さんに蹴られたら痛い痛いのですよ」

眠鬼「さて、次の罰ゲームは何だぁ?」

レナ「ドサクサに紛れてお持ち帰りの話を有耶無耶にしちゃ駄目だよ」

眠鬼「うっ…」

富竹「何だか分からないけど、相変わらず面白そうなことやってるね」

沙都子「当然ですわ!そうじゃなくては部活の意味がありませんもの!」



鷹野「ところで、鵺野先生、ちょっと良いですか?」

ぬーべー「はぁ、何ですか?」

鷹野「ちゃんと誤解、解けましたか?くすくす」

ぬーべー「…何のことですか?」

鷹野「余計なお世話かもしれないけど、奥様の事もっと大切にしてあげた方がいいんじゃないかしら?」

ぬーべー「え?」

鷹野「さっきも彼女姿見かけたけど、とても寂しそうだったわよ」

ぬーべー「……」

鷹野「大切な人失いたくないなら、ちゃんと心繋ぎとめておかなきゃ駄目よぉ」

ぬーべー「そう、ですよね…」

鷹野「それじゃあ、頑張ってねぇ」




レナ「酷い顔だよ、ぬーべー」

ぬーべー「うるさいっ!俺より圭一の方が酷いぞ」

圭一「くそっ!男が二人揃って情けないぜぇ」

沙都子「殿方がこうも不甲斐なくちゃお話になりませんのよ」

魅音「じゃあ、次はあのカキ氷屋で早食い大会と行くか」

眠鬼「その屋台は…」


ゆきめ「あ、先生…」

ぬーべー「ゆきめクン…」

圭一「誰だぁ、この可愛い子ちゃんは?ぬーべーの知り合いか?」

眠鬼「お兄ちゃんの奥さんだよ」

圭一「なぁああにぃ~!?やっちまったなぁ!」

魅音「どっひゃー!想像以上にべっぴんさんだねー!」

レナ「噂には聞いてたけど…。本当に私たちと同い年くらいだね…」

沙都子「淫行でございますわ」

梨花「ぬーべー、破廉恥なのです」

ゆきめ「……」

ぬーべー「……ゆきめクン、ちょっといいかい」


沙都子「なにやら修羅場な雰囲気でございますわ…」

ゆきめ「何ですか、こんなところに連れ出して。梨花って子、放って置いてもいいんですか」

ぬーべー「犯人が人間ならこんな人目につくところで襲ってこないさ」

ゆきめ「そうですか…」

ぬーべー「あの夜以来、君とはまともに話せなかったからな……悪かったと思ってる」

ゆきめ「……何がですか?」

ぬーべー「生徒のためとはいえ、君の気持ちも考えずに自分勝手に行動してしまった」

ゆきめ「……」

ぬーべー「でも分かってくれ!愛しているのは世界で君一人だけだ!」

ゆきめ「信じられません、そんな言葉。女子生徒と一つ屋根の下で暮らしてるのに。不潔です」

ぬーべー「ちょっと待て!それ誤解だ!」

ゆきめ「先生は年下好きの嫌いがありますし、手を出さない方が不自然です」

ぬーべー「君は普段俺をどういう目で見てたんだ!いや、それはいいとして…」

ゆきめ「(否定はしないんだ…)」

ぬーべー「君は勘違いしてる、俺が生徒を大切にすることは君も知ってるじゃないか!」

ゆきめ「同じ布団の中でさぞ大切に可愛がってるんでしょうね」

ぬーべー「違うって、俺は梨花と同じところで寝泊りしてるわけじゃない」

ゆきめ「嘘だっ!」


??「話は聞かせてもらった!」

ガラガラ


ゆきめ「!?」

羽入「ぬーべーの言っていることは本当なのです!」

ゆきめ「誰!?」

ぬーべー「どっから出て来るんだ…」


羽入「境内の中で邪気を感じたので、祭具殿の中からこっそり観察してたのです」

ぬーべー「覗きか」

羽入「な、なんと人聞きの悪い!観察なのですよ、あうあう」

ゆきめ「誰?」

ぬーべー「オヤシロさまという名の覗きの神様だ」

羽入「いえ、僕は縁結びの神様なのです」

羽入「そこのあなた!ぬーべーの言ってることは本当なのです」

羽入「彼は決して梨花の住む納屋に足を踏み入れてません、一歩たりともです」

羽入「それは僕も、梨花と一緒に住んでいる沙都子も保証してくれます」

ゆきめ「じ、じゃあ、先生はどこで生活を」

羽入「ぬーべーは梨花を守るためにテント暮らしまでしてくれているのです」

羽入「彼は自分よりも生徒このこと、そしてあなたのことを考えているのです」

羽入「彼はいい人間です!あなたは、それを分かっているはずなのですよ」

羽入「それなのにどうして、彼を信じてあげられないのですか?」

ゆきめ「あ、あなたに何が分かるの…?」

羽入「さっきも言ったとおり、僕は縁結びの神様なのです。人の色恋沙汰なんて手に取るように分かるのですよ」

ゆきめ「……」

ぬーべー「ゆきめ……」




羽入「……梨花は可哀想な子なのです」

羽入「この昭和58年の6月の袋小路に閉じ込められて百年」

羽入「幾度と無く、両親を亡くし、友達を亡くし、そして自らの命を失くす。延々と繰り返すだけ」

羽入「ゴールの見えない、いえ、あるかどうかも分からないこのループ世界で彼女の精神は磨り減ってしました」

羽入「僕はもう見てられないのです。いい加減、梨花にこの6月以降の世界を見せてあげたいのですよ」

ぬーべー「そうだな…、そのために俺はここに来たんだ…」

羽入「僕には何も出来ません。梨花にはぬーべーの力が必要なのです」

羽入「我がままなお願いだということは承知してるのです。でも、どうか分かってほしいのですよ」


ゆきめ「……わかりました」

ゆきめ「そうですよね。先生はいつだって生徒を守ることだけ考えてました」

ゆきめ「そんな先生が生徒の処女も守れないなんてことないですもんね」

ゆきめ「ごめんなさい、先生…。私、どうかしてました……」

ぬーべー「いや、悪いのは俺だ。すまない。そして、ありがとう」

ゆきめ「信じてもいいんですよね?」

ぬーべー「当たり前だ!」

羽入「僕も太鼓判を押すのです!」

ゆきめ「ふふふ、縁結びの神様、直々の太鼓判を貰ったんだもの。信じないと罰が当たりますよね」

羽入「その通りなのですよ!オヤシロさまの祟りにあうのです!」

ゆきめ「先生、その子、助けてあげてくださいね」

ぬーべー「あぁ、約束するよ」



羽入「これで一件落着なのです、あうあう!」

ぬーべー「ありがとうな、羽入」

羽入「お礼なら、エンジェルモートの特製パフェでいいのです」

ぬーべー「ああ、今度お供えしておくよ」

羽入「絶対なのですよ!約束破っちゃ嫌なのですよ!」

ぬーべー「任せとけ!でも流石だな。あんなに怒ってたゆきめを説得してしまうなんて」

羽入「えっへん!伊達に縁結びの看板は掲げてないのです」

羽入「この祭具殿には、昔作ったチートな道具がたくさんありますから。簡単簡単~!」

ぬーべー「?」

ぬーべー「それより、お前は梨花のところにいなくていいのか?」

羽入「大丈夫なのです。綿流しのお祭りの最中に梨花が殺されることは絶対似ないのです」

ぬーべー「ふーん」


??「ウガー。よく寝たウガ」

羽入「…っ!?」ゾクゾク

羽入「な、何ですか、この邪悪な気は?」

ぬーべー「まずい、覇鬼のやつが目を覚ましやがった…!」


バキ「ウガウガ。ここはどこだ?」

圭一「お、ぬーべーが帰ってきたぞ」

魅音「長かったね。人気の無いところで何やってたんだか。ひひひ」

レナ「もう、辞めなよ、みぃーちゃん~」

沙都子「お下品ですわよ、魅音さん」

ぬーべー「待たせて悪かったな!」

眠鬼「……ゆきめとは仲直りできたのか?」

ぬーべー「あぁ、神様のおかげでな。お前にも心配かけたな」

眠鬼「べ、別に心配なんてしてないんだからね!///」


梨花「(どこ行ってたのよ、羽入)」

羽入「(お仕事なのです。あうあう)」


バキ「ん?何かいい匂いがするウガ」



レナ「ずっと気になってたんだけど、ぬーべーはどうしていつも左手に手袋してるの?」

眠気「…!」

魅音「あ、それ私も気になってた」

沙都子「何か理由がありまして?」

ぬーべー「ん?知りたいか?」

圭一「おいおい、引っ張るなよ。どうせ大した理由じゃないんだろ?」

ぬーべー「実はな、この手には鬼が封印されているんだ」

レナ「……え?」

魅音「うわぁ…、何その設定?」

圭一「俺の手が疼くぜぇ!ってか?厨二病全開じゃねーか」

ぬーべー「いやいや、本当だから。バキって言ってね、本当に危険な奴なんだよ」

ぬーべー「昔は恩師の先生と協力して封じ込めていたんだが、今は和解して奴の意思で行動を共にしているんだ」

沙都子「妙に凝った設定でございますわ。夜、寝る前とかに考えてらっしゃるのでしょうか」

レナ「でも普通人前じゃ言わないよ…」

梨花「ぬーべーはとっても痛い子なのです。みー…」

ぬーべー「ちなみに、この手袋はシャネルだ」

圭一「そ、そうか、さすが、ぬーべー!俺たちの出来ないことを平然とやってのけるっ!」

魅音「ゆきめさん、大変だね」

ゆきめ「う、うん。そうね…ははは(雪女とは言い出せない空気……)」

ぬーべー「悪い妖怪から生徒の安全を守る!それが俺の宿命だ!」

羽入「(ぬーべー、カッコイイのです!)」

ぬーべー「ありがとう!」


バキ「腹減った。いい匂いウガ」クンクン

バキ「おい、人間。あのたこ焼きと、というのを食わせるウガ」

眠鬼「(バキお兄ちゃん!?)」

魅音「ん?誰か何か言った?」

沙都子「たこ焼き、がどうとか聞こえましたわ」

ぬーべー「おい、バキ。たこ焼きは後で買ってやるから人が多いところでは大人しくしてくれ」

バキ「嫌だ。俺は今腹が減っているウガ」

レナ「じ、自分の左手と話してる…、のかな?かな?」

圭一「自分の世界を確立するために、腹話術をマスターしたのか!ここまで来たらアッパレだぜ!」

魅音「そうかな…、おじさんには分からない世界だね…」

ぬーべー「おい、やめろバキ、暴れるな!静まれ、俺の左手ぇ!」

圭一「くくく、力を持たぬ者にはぬーべーの苦悩は分かるまい…」

沙都子「そうでございますか。じゃあ、次の屋台に行きましょう」

バキ「食わせろー!」グッ

ぬーべー「おい、ちょっと、待て!引っ張るな!」

ムニュ


レナ「ふぇ…っ!////」

沙都子「ぬ、ぬーべーがレナさんのおっぱいを…!」

梨花「鷲掴みなのです」

ぬーべー「うわー、すまん!バキの奴が勝手にぃ~っ!」

圭一「出たぁ~!秘儀『手が勝手に』っ!ラッキースケベを装った、とんだ変態だぜ!うらやまけしからん!」

魅音「……けっこう最低だよ、圭ちゃんも」

圭一「……」

バキ「間違えたウガ。こっちか?」ヒョイ

ムニムニ


魅音「うわっ…!////」

ぬーべー「あぁああ~!すまないっ!」

沙都子「今度は魅音さんの巨乳が毒牙にっ!」

梨花「ぬーべーの左手は悪い子悪い子なのです」

眠鬼「(バキ)お兄ちゃん!いい加減して!」

バキ「俺が喰いたいのは肉まんじゃないウガ」ヒョイ

ムニュ ムニムニ ペタン

沙都子「ひっ…!////」

眠鬼「うわっ…!////」

梨花「ん…っ!////」

ぬーべー「うわ~、みんな、すまない!」


梨花「……何か納得いかないわ」

ゆきめ「いい加減に!しろっ!」冷凍ビーム

カチーン

ぬーべー「…」


レナ「ぬーべーが凍った…?」

圭一「なん…だと…?」

沙都子「これ、ゆきめさんがやったのですの?」

ゆきめ「はっ!私ったらつい…!」

魅音「一体どんなトリックで…?」

眠鬼「(まずい…)」

梨花「さ、さすがカキ氷屋さんなのです…。凄いのです、ゆきめ」

ゆきめ「え?あ、そうね。これくらい出来なきゃカキ氷屋なんて務まらないもの。ははは」

圭一「マジかよ…」

魅音「侮りがたしカキ氷屋。おじさん、ビックリしちゃったよ…」

レナ「…そういう機械があるのかな?かな?」

ゆきめ「う、うん。特注の物が奥にあるのよ…」


ぬーべー「…」カチーン

大石「おやぁ?そこで氷漬けにされてるのは鵺野先生じゃないですか」

梨花「あ、大石なのです」

レナ「こんばんはー」

大石「皆さん、お揃いで。仲がよろしいようで羨ましい限りです」

魅音「今日は何の用ですか?」

大石「何、お祭りのパトロールですよ。羽目を外しがちですからね。今も騒いでいた小学生を注意してきたところです」

魅音「ふーん、そうですか…」

大石「それにしても、鵺野先生、どうしてこんな事に?」

沙都子「ぬーべーがあまり変態さんなので、ゆきめさんがお仕置きしたのまででございますわ」

ゆきめ「ははは、気にしないでください。うちの夫婦ではよくあることなのでして。ね?」

眠鬼「そ、そうなんだよ!はは…」

大石「そうですかぁ?色々犯罪の匂いがしないでもないですけど」

ゆきめ「と、とりあえず、お湯で溶かしましょう!」

眠鬼「そうね、目立つもんね、これ…」




ぬーべー「はぁ、はぁ、はぁ。死ぬかと思った……」

眠鬼「自業自得よ。懲りたら大人しくしててね、お・に・い・ちゃ・ん」ゴゴゴゴ

バキ「(俺の妹がこんなに怖いはずがない…、自重するウガ……)」

梨花「そろそろ僕は行かないといけないのです」

魅音「もうそんな時間か。頑張ってね!」

レナ「最善列で見るからね!」

梨花「間違えないように頑張るのです。みー」


眠鬼「何かあるのか?」

沙都子「梨花はこのあと舞いを踊るのでございますわ」

圭一「へぇ!そいつは楽しみだぜ!」

梨花「ぬーべーも見に来てくださいね」

ぬーべー「ああ、ゆきめと一緒に見に行くよ」

梨花「にぱー☆」



大石「災難でしたね、鵺野先生」

ぬーべー「いやーお恥ずかしい所をお見せしてしまいまして」

大石「いえいえ。奥さんは雪女ということで、私も半信半疑だったのですか…」

ぬーべー「あまり大事にしたくないので、他の人には内密に」

大石「そういうことであればそのように。しかし、本当に妖怪という存在が、うーん」

ぬーべー「梨花の警護の方はどうなってますか?」

大石「あ、それなら問題ありません。厳戒態勢を布かせてますのでぇ」

ぬーべー「すいません、お願いします」

大石「頭を下げていただく必要はありません。市民の安全を守るのが我々の使命ですから」





ぬーべー「あー、しかし酷い目にあった。ゆきめの奴、実はまだ許してくれてないんじゃあ……ん?」

ガヤガヤ

ぬーべー「騒がしいな」

女1「やっべぇ!ちょーイケメン!」

女2「モデルみたい!ううん、モデル以上よ!」

女3「誰だれ?有名な人?何でこんな田舎のお祭りに?」

女4「きゃー!目が合った!わ、私、もう駄目ぇ~」ビクンビクン

ぬーべー「何だ何だ?」


??「ああぁ!いたあっ!ぬーべーだ!」

ぬーべー「?」

書き溜めなくなった
もう力尽きたでやんす…

ぬーべー「お、お前ら!何でここに!?」

広「会いに来てやったぜ!」

郷子「ゆきめさんに連絡もらったの中部のほうにいるって」

まこと「わーい!本当にぬーべーがいるのら!」

美樹「感謝しなさいよ。この美樹さまがわざわざこんな田舎まで会いに来てあげたんだから」

克也「よく言うぜ。真っ先に遊びに行こうって言い出したくせに」

ぬーべー「うれしいけど、駄目だろ。子供だけでこんな遠くまで…」

広「そこは大丈夫さ。頼りになる保護者がいるから」

郷子「そうそう」

ぬーべー「保護者…?誰のことだ……ん?このキザで嫌味な妖気は、まさか……」


玉藻「やれやれ。女性というのはどうしても美しい者に惹かれてしまうのですね」

ぬーべー「げっ!玉藻っ!」

玉藻「お久しぶりですね、鵺野先生」

ぬーべー「何しに来たんだよ、お前まで」

玉藻「ふっ、子供たちの引率ですよ。この子達は元気がよすぎて、さっきも警察の人に怒られてましたよ」

玉藻「それにしても、しかし、相変わらず面白い顔ですね」

ぬーべー「何ぃ?」

まこと「本当だ!その顔どうしたのら?」

美樹「いろいろ落書きされてるわね。なになに?」

克也「『私はロリコンです』…?せ、先生、マジかよ…」

ぬーべー「違う違ぁーう!これはこっちの生徒にやられたんだ!消すの忘れてた」

広「ロリコンについては克也も人の事言えないけどな」

郷子「妹好きって言ってあげなさいよ」

克也「……」

まこと「ぬーべーのこっちの生徒に会ってみたいのら!」

美樹「えー?面倒くさくない?」

広「サッカー上手い奴いるのか?」

克也「可愛い子いるのか?」

ぬーべー「いや、それがちょっと大変なことになってて……」

郷子「え?どういうこと?」

玉藻「……何の理由もなくあなたがここに来たとは思えません」

玉藻「この村に来た時から感じているこの妖気が関係してるのですね?」

ぬーべー「あぁ。悪いが少し力を貸して貰えるか?」

玉藻「ふっ、あなたといると退屈しませんね」

玉藻「なるほど。オヤシロさま、ですか。産土神の一種でしょうか」

ぬーべー「そうだろうな。だが、問題はそこじゃない」

玉藻「あなたの生徒が何者かに命を狙われているという点ですね。恐らく人間」

ぬーべー「ああ、この村を調べたが、人に危害を加えそうな妖怪や幽霊の類はいなかった」

玉藻「では人間でその生徒を狙うような人物の心当たりは?」

ぬーべー「どうだろうか。彼女はオヤシロさまの生まれ変わりの巫女として村人からは大切にされているし」

玉藻「生徒間のいざこざのような物は?」

ぬーべー「そんなものはない!今日もみんな仲良く遊んでいたさ」

玉藻「と、なるとやはり、その雛見沢連続怪死事件、というのが重要なポイントになってきそうですね」

ぬーべー「そうだな…」




圭一「ん?あれ、ぬーべーだよな?」

沙都子「一緒にいる子供たち誰でございましょう?」

魅音「誰だろ、隣にいる人、なんか、凄くイケメン…」ポーッ

レナ「ほ、本当だ!はぅ~、かっこいいよ~。お持ち帰りされたい~」ポーッ

圭一「あぁ?そんな事ねぇーだろ……まぁ、ちょっとカッコイイか?いや、かなり…」

ゆきめ「あれ?玉藻先生?」

魅音「ゆきめさん、あのイケメンと知り合いなの?」

ゆきめ「一応ね」

眠鬼「あ!広たちもいるぞ!」

沙都子「お知り合いでございますか?」

ゆきめ「昔いた童守小学校の子供たちよ」

レナ「ぬーべーの前の生徒なのかな?かな?」

魅音「へー!面白そうじゃん!挨拶してこようぜ!」

沙都子「そうでございますわね」

圭一「眠鬼の友達だろ?へへへ、可愛い子いるかなー?」


眠鬼「おーい!みんな!」

郷子「あ!眠鬼!ゆきめさんも!」

玉藻「ほぅ、あれがこっちの教え子ですか」

ぬーべー「そうさ」

ほす

梨花ちゃんって雛見沢症候群のこと知ってるんだっけ?
皆殺し編まで連続怪死事件の真相知らないんだっけ?

>>270
病気のことは知ってたはずでしょ
自分が女王感染者である、として入江たちの研究に協力していたはずだから

ただ、雛見沢症候群について全て正しく知っていたのかどうかと
数年間に渡る怪死事件の真相についてはよく分からん
誰か詳しい人いないの?

じゃあ病気について知っているけど入江や鷹野から説明されていた以上のことは知らないし、その内容についても特に疑ってはいない
怪死事件についても、何か推測くらいはしているかもしれないが真相は知らないって辺りか

ゴン「ねェ、ゴレイヌは一体どんな修業したの?」

ゴレイヌ「まずゴリラを具現化しようと決めてからはイメージ修業だな
最初は実際のゴリラを一日中いじくってたな。とにかく四六時中だよ
目をつぶって触感を確認したり、何百回何千回とゴリラで射精したり
ずーっとただながめてみたり、なめてみたり、音を立てたり、嗅いでみたり
ゴリラで遊ぶ以外何もするなと師匠に言われたからな
しばらくしたら毎晩ゴリラの夢を見るようになって、その時点で実際のゴリラをとりあげられた
そうすると今度は幻覚でゴリラが見えてくるんだ
さらに日が経つと幻覚のゴリラがリアルに感じられるんだ
重さも冷たさもすれあう音も聞こえてくる
いつのまにか幻覚じゃなく自然と具現化したゴリラが出ていたんだ」

魅音「広くんに郷子ちゃん、美樹ちゃんにまことくん、克也くんね」

レナ「沙都子ちゃんたちと同い年だね」

圭一「(あ、あれが小学生の乳かよ…!?)」

美樹「(何か凄まじい視線を感じるわ…)」

郷子「えっと、魅音さんにレナさん、圭一さんに沙都子ちゃん、か」

沙都子「よろしくでございますわ」

広「ああ、よろしくな!」

克也「(うっひょー!お姉さま方レベル高ぇ!)」

始まったか

眠鬼「ここにはいないけど、もう一人梨花って子もいるぞ」

克也「圭一さん、ハーレム状態じゃないか!うらやまけしからんっすよ」

圭一「へへへ」

まこと「沢山友達ができて嬉しいのら!」

ぬーべー「魅音!こいつらに祭を案内してやってくれ。俺はちょっと話があるから」

魅音「おっけー!」

郷子「ぬーべーは行かないの?せっかく会いに来たのに」

ぬーべー「あとで合流する。先に行ってるんだ」




羽入「うふふ、やっぱり若いっていいのです。あうあうー」

ぬーべー「おい、羽入」

羽入「ひゃぁっ!ぬ、ぬーべー!驚かさないでほしいのです!」

ぬーべー「何やってるんだ、こんなところで」

羽入「べべべべ別に何も覗いてないのです!決して人気の無いところでいちゃつくカップルとか覗いてないのです!」

羽入「彼女の普段と違った浴衣姿にキュンと来て欲情してしまい本番始めちゃったカップルとか覗いてないのですよ!あうあう!」

ぬーべー「お前……」

羽入「ななな何なのですか、その目は!?」

玉藻「これがこの土地を守る神様、ですか……」

ぬーべー「嘆かわしいことにな……」

羽入「そんな目で僕を見るななのですーっ!」

よし、ぬーべーはもういい
そっちのカップルを描写しろ

羽入「で、その人間は誰ですか」

ぬーべー「人間じゃない、妖狐だ。俺の友達みたいものだ」

玉藻「玉藻だ。今回、鵺野先生に泣きつかれたので協力することになった」

羽入「へぇー、妖狐ですか。このあたりでは見かけない妖怪なのです」

玉藻「事情は鵺野先生から大筋は説明してもらった。しかし、よく分からないな」

羽入「どこがです?」

玉藻「古手梨花が狙われる理由が分からない。それも決まってこの時期に」

羽入「そ、それは僕も同じなのです」

ぬーべー「本当に梨花を狙う人間に心当たりないのか?」

羽入「そんな人いれば、とっくに警戒してるのですよ。あうー」

ぬーべー「だよなぁ…」

玉藻「村人の可能性は?」

羽入「梨花はオヤシロさまの生まれ変わりとして村人から絶対の信頼を寄せられています」

羽入「関係も良好ですし、彼らに梨花を殺して得な事など一つもないのです」

玉藻「そのような立場を疎ましく思っている輩がいるのでは?」

羽入「可能性は……無いとも限らないですが、とても低いと思うのです」

玉藻「なるほど。では、生徒同士のトラブルという可能性は?」

玉藻「あの年齢の子たちの精神は非常に繊細だ。何がきっかけで壊れるかわからない」

羽入「……それは過去に何度もありました。疑心暗鬼で心が壊れ、惨劇に及ぶ。悲しいことです」

羽入「でも、それは偶発的殺人で、梨花そのものが狙われていたわけじゃないのです。回避可能なのです」

ぬーべー「しかし、回避しても何者かに殺されてしまう。そっちは避けられない、か」

ぬーべー「疑心暗鬼を生ず、か。心に生まれた鬼は親しき人も殺してしまうのか」

玉藻「それこそ憑き物ですね。この祭りの時期にやって来る悪霊の仕業では?」

ぬーべー「うーん、そうだな」

羽入「僕はそっち方面の力には疎いですが、これでも神様です。そのようなものは気づくと思うのです」

玉藻「霊現象ではないのに突然豹変するのか。本当に仲良いのか、その子達は?」

羽入「確かにみんな色々事情を抱えていて、精神的に不安定なところはあるのです」

羽入「ちょっとしたきっかけでL5に至ってしまい、そうすると奇蹟が起きない限り止められないのです」

羽入「梨花は何度も回避しようと試みたのですが、強い運命の力に邪魔されて……。あうあう……」

玉藻「L5、とは?」

羽入「雛見沢症候群の最終段階の症状なのです」

ぬーべー「雛見沢症候群…?」

羽入「かくかくしかじか、という病気なのです」

ぬーべー「驚いたな。そんな病気があるのか」

玉藻「馬鹿な、信じられん…。職業柄、様々な病気に出会ったが、そんなもの聞いたことがない」

羽入「まだ研究段階で特効薬も未完成、世間に発表されてないのです」

玉藻「研究か…。それは本当に未解明なのか?」

玉藻「すでに多くの感染者、発症者を研究し、投薬実験も行っていたのでしょう?」

羽入「……それはどういう意味なのですか?」

玉藻「もし、全てのメカニズムが解明されて、特効薬も完成していたとしたら」

羽入「そ、そんなはずないのです」

玉藻「もし私が研究者ならにば確かめずにはいられない、最後の実験が残っていますね」

羽入「それは…?」

玉藻「女王感染者死亡による感染者全員の発症実験」

羽入「そんなまさか!」

玉藻「そこにいる奴らは信用に足る人間なのか?」

羽入「そう言われると、確かに怪しい人はいるのですよ…」

羽入「で、でも、彼女に梨花は殺せないのです」

ぬーべー「どうしてそんな事言えるんだ?」

羽入「……彼女が今年の犠牲者だからなのです」

ぬーべー「なにっ!どうしてそれを言わないんだ!その人を助けに行かないと!」

羽入「危ないのです!そ、それに、今どこにいるか分からないのです…」

ぬーべー「くそっ!何てことだっ!もっと早く分かっていれば!」

羽入「ご、ごめんなさいなのです…」

羽入「(でも、梨花を守ってくれる人を危険な目に会わせる訳にはいかないのです…)」

今まで医者だの研究者だのって立場から見て考えることができる人、いなかったしね

玉藻「その人物以外に研究に携わっている人物は?」

羽入「入江という医者がいるのですが…。彼がこんな事をするとは思えないのです」

ぬーべー「また振り出しか…」

玉藻「どうも腑に落ちない。やっと、君が怪しいと思える人物が出てきたというのに」

羽入「玉藻は、死んでいても彼女を疑うと?」

玉藻「君はどうして、その女性を怪しいと思ったんだ?」

羽入「そ、それは、研究に魂を捧げているというか、身骨を砕いているというか、没頭しすぎて……」

羽入「自分の研究のためなら人殺しも辞さないというか、生理的に受け付けないというか……」

玉藻「そんな人物ならば、いや、そんな人物だからこそ死してもなお自らの研究を完成させようとするかもしれない」

ぬーべー「この世に強い未練を残して自縛霊となったのか」

玉藻「そのような存在に良心や罪悪感などない。まさに悪霊です」

ぬーべー「ならば、多くの犠牲者を出す結果に繋がることでも平気でやってしまう」

ぬーべー「まだ生きているのならば妖気を感じることが出来ないのも納得がいく」

玉藻「あくまで、可能性の一つですが」

羽入「でも、やはり、その場合も僕が気づくと思うのですが…」

ぬーべー「それもそうだよなー」

ぬーべーたちの便利な所は
祟りや妖怪の線を真っ先に調べる事が出来て、そっちの可能性をさっさと潰していける所だよなw




眠鬼「(あれは……)」

レナ「どうしたの眠鬼ちゃん?梨花ちゃんの舞始まっちゃうよ」

眠鬼「あ、あぁ…。なぁ、レナ。あっちには何があるんだ?」

レナ「向こうには祭具殿があるくらいだけど」

眠鬼「さいぐでん?」

レナ「でもね、あそこは神聖は場所だから近づいちゃ駄目なんだよ」

眠鬼「近づくとどうなるんだ?」

レナ「どうしてそんなこと聞くのかな?かな?オヤシロさまに祟られちゃうよ?」

眠鬼「……そっか」


眠鬼「(あれは、間違いなく富竹と鷹野だった……)」

レナ「眠鬼ちゃん早く!始まっちゃうよ!」

眠鬼「今行くよ…」




圭一「いやぁ~梨花ちゃん、可愛かったなぁ~!」

レナ「お持ち帰りしたいよぉ~はぅ~!」

梨花「あまり褒められると恥ずかしいのですよ…///」

広「ホントだぜ!どっかのがさつな女とは全然違うよなぁ」

郷子「ちょっと、それ誰のことよ!」

美樹「ま、まぁ確かに可愛かったけど私の豊満なボディの敵じゃないわね」

魅音「美樹ちゃん、本当大きいよねぇ。小学生とは思えないねぇ。えいっ!」

美樹「わっ!ちょっと、魅音さん、胸揉まないでくださいよ!お返しだっ!」

魅音「ひゃあっ!やったなぁ~!」

克也「(し、辛抱たまらん……)」

ぬーべー「おーし、みんな揃ってるな」

ぬーべー「じゃあ今日はもう遅いし解散だな」

一同「えー!」

ぬーべー「えー、じゃない!圭一はレナと魅音を送っていってやれ」

ぬーべー「梨花と沙都子は俺が送っていく」

沙都子「二人とも送りオオカミにならなければ良いんですけど」

梨花「圭一もぬーべーも良い狼さんなのですよ、沙都子」

圭一「ちぇっ!もっと遊びたいぜ!せっかく広たちとも仲良くなれたのによー」

まこと「僕はもう眠いのら…」

ぬーべー「また明日にしとけ。ゆきめ、子供たちを頼むぞ」

ゆきめ「はい」

広「俺も梨花ちゃんたち送るのついてくぜ!」

克也「あ、じゃあ俺も!」

ぬーべー「駄目駄目。危ないから家に帰ってろ」

広「?何だよ、危ないって…」

ぬーべー「あ、いや、何でもない。いいから、早く行きなさい!」

郷子「ほら、馬鹿男子たち!行くよ!」

広「ぬーべー、何か隠してないか?」

克也「怪しいな…、ゆきめさんに言いつけてやろうぜ」


ゆきめ「先生は今、かくかくしかじかで大変な状況なのよ…」

郷子「そんなことが…!」

まこと「梨花ちゃん、可哀想なのら…」

美樹「私たちも色んな目にあってきたけど、さすがに同情しちゃうわね」

克也「俺たちにはぬーべーがいたけど、彼女は今まで一人で戦ってきたのか」

ゆきめ「(羽入ちゃんもいるんだけど…ま、いっか)」

郷子「何とか助けてあげられないのかな」

眠鬼「相手が分かれば私が地獄の業火で滅殺してやるのに」


広「……よし、決めた!」

克也「広…?」



ぬーべー「それじゃあ、しっかり戸締りするんだぞ」

沙都子「おやすみなさいませ、ぬーべー」

梨花「また明日なのです。にぱー☆」

ぬーべー「あぁ、おやすみ」

バタン

ぬーべー「……さて、テントに戻るか」


玉藻「圭一くんたちは無事家に着きましたよ」

ぬーべー「悪いな。見送り頼んで」

玉藻「いえ。何がきっかけで発症するかわかりませんので」

ぬーべー「……そうだな」

玉藻「立ち話もなんですし、行きましょうか」

ぬーべー「どこへだ?」

玉藻「あなたが寝泊りしているところです」

羽入「まぁ!そこで二人で何するつもりなのですか?あうあう~。禁断の関係なのです~」

玉藻「……先生、私は帰ります。あとは一人で頑張ってください。アディオス」

ぬーべー「ちょっと待てって!おい、羽入謝っとけ!」

羽入「冗談なのですよ~。ごめんなさい、玉藻~」

玉藻「君みたいな子供に呼び捨てにされるとカチンと来ますよ」

羽入「玉藻は何歳ですか?」

玉藻「400歳だ」

羽入「僕は1000歳を超えてるのです。僕のほうがお姉さんなのですよ、えっへん!」

玉藻「……」イラッ

ぬーべー「ははは、まぁ、とりあえず落ち着こうぜ、仲良くいこうよ~」


ぬーべー「ん?境内の方が騒がしいな?まだ誰か残ってるのか?ちょっと見てこようかな~」

ぬーべー「なんだなんだ?」


克也「やっぱり、夜の神社は怖いな…」

美樹「何ビビってんのよ!しっかりしなさいよ、男でしょ?」

郷子「あ、ぬーべー!」

ぬーべー「あ、お前ら!何やってんだこんなところで!」

広「助太刀に来たぜっ!」

美樹「水臭いじゃない!梨花ちゃんの事隠しておくなんて!」

郷子「ゆきめさんから全部聞いたわよ」

眠鬼「お兄ちゃんだけじゃな不安だもんね」

ぬーべー「お前ら…」

「コナン君だけ抜け駆けはずるいですよ」
「そーだそーだ」
「わたしたちだって行くもん!」

>>368
すごい同じ匂いがするわw

ゆきめ「ごめんなさい。止めたんですけど…」

克也「いや、ゆきめさんは悪くないんだ。俺たちが勝手に来たんだよ」

まこと「眠いのら……」

ぬーべー「馬鹿!今回は本当に危険なんだ!家で大人しくしていろ!」

羽入「いいじゃないですか、ぬーべー。仲間は多い方が楽しいです!」

ぬーべー「楽しさなんて求めてないんだよ!」


梨花「あー、うるさいわね、沙都子が起きちゃうじゃない。何事よ?」

広「梨花ちゃん!君を守りに来たぜ!」

眠鬼「事情は聞いたぞ」

郷子「安心して!これでも結構いろんな生命の危機乗り越えてきてるから!」

美樹「ってか今、キャラが……」

梨花「事情を聞いたって、そんな話あっさり信じるの?」

まこと「こんなこと日常茶飯事なのら!」

克也「祟りなら何回もあってるし。はたもん場とか麒麟とか」

梨花「でも、今日会ったばかりの私のために?」

広「時間なんて関係ねぇよ!友達を見捨てる奴なんてぬーべーの生徒にはいないぜ!」

梨花「そう…。愚かな子供たちね。でも、ありがとう…」


美樹「キャラが…」



ぬーべー「梨花の好意で古手家に泊まることになったけど、みだりに家の外に出るんじゃないぞ」

ゆきめ「大丈夫です。私が監視しておきますので」

梨花「布団は人数分はあると思うのですよ」

郷子「ありがとう」

まこと「やっと眠れるのら……グー」

広「枕投げしようぜ!」

眠鬼「面白さうだな」

ぬーべー「駄目だ!もう寝なさい!」

一同「えー」




羽入「ぬーべーの教え子はすごいのです。初対面の梨花のためにここまで出来るなんて」

梨花「そうね…」

羽入「勇気と無謀は違うのです。あの子達は本当に勇敢な子たち…」

羽入「ぬーべー、いや彼らにはこの運命の呪縛を打ち破る可能性が秘められているのです」

羽入「でも、まだ足りないのです。この世界の特異点の力だけでは足りないのです」

梨花「……圭一たちはこんな話、信じてくれるかしら」

羽入「きっと信じてくれるのです。そして、力になってくれると思います」

羽入「彼らこそ、運命に抗うために必要不可欠な鍵だと思うのですよ」

梨花「……そうね」




大石「そうですか、分かりました…」

熊ちゃん「どうでしたか?」

大石「山の中で発見された焼死体は鷹野三四と断定されたようですよ」

大石「富竹ジロウの方はどうだ」

熊ちゃん「こっちは、争った形跡はあるものの、直接の死因はやはり喉の傷かと」

大石「ふーむ、自殺ですか…」

熊ちゃん「起きてしまいましたね、5年目の祟り。しかも犠牲者は二人…」

大石「弱ったなぁ、これだけ警戒していたのにねぇ…。また署長にどやされるよ」


翌日

玉藻「ということで入江診療所に来たわけですが」

玉藻「君は学校へ行かなくていいのか?」

眠鬼「大丈夫。向こうは広たちが梨花をしっかりガードしてるから」

玉藻「(そういう意味じゃないんだがな…)」



圭一「おい、お前ら…。一体何事だ、その格好…?」

広「悪漢にそなえて完全フル装備だぜ!」

レナ「頭に鍋、体に中華鍋。右手にすりこぎ棒、左手にフライパン…」

沙都子「こっちはキャッチャーのプロテクター装備してますわ…」

梨花「まことに至っては、ただのダンボールの工作なのです…」

郷子「私は止めろって言ったんですけど…」

魅音「何でこんなことに…」

克也「それは…」

梨花「それは僕が説明するのです」



玉藻「なにやら騒がしいな」

眠鬼「パトカーだ。警察が来ているのか」

玉藻「なるほど。既に犠牲者の身元特定はされたようだな」

眠鬼「ん?何の話だ?」

玉藻「オヤシロさまの祟りの話さ」


入江「まさか、そんな…!鷹野さんが殺された?」

玉藻「あれが、入江京介か」

眠鬼「(鷹野って昨日富竹と祭具殿にいた…。あいつ、殺されたのか…)」

入江「いや、参りましたね…」

玉藻「すいません、入江京介先生ですか?」

入江「あ、はい。そうですが…どちら様ですか?」

玉藻「童守町で医者をやってます、玉藻と申します」

入江「は、はぁ…。その玉藻さんが私に何か用ですか?」

玉藻「実は、雛見沢症候群のことについてなんですが」

入江「…っ!そこでそれを!?」

玉藻「患者の個人情報については守秘義務がありますので申し上げることは出来ません」

入江「……。すいません、今取り込んでいますので、その話はまた後日…」

玉藻「そうですか…」



大石「おやぁ?あなたは昨日お祭りにいた子供たちと一緒にいた…」

玉藻「あぁ、昨日の刑事さんですか」

大石「あまり見かけない顔ですね。何か用があって雛見沢に?」

玉藻「ここに引っ越してきた友人を訪ねてきたのです」

大石「友人、もしかして鵺野先生ですかな?」

玉藻「ええ、鵺野先生を知っていらっしゃるのですか?」

大石「知ってるも何も、彼をここに招いたのは私ですから」

大石「なるほど、あなたも彼と同じ霊能力者というわけですか」

玉藻「本当は違うのですが、信心深くない人には同じような存在と思ってもらって結構です」

玉藻「今は彼とともに事件の謎を追っています。出来れば、二人の被害者の詳しい情報を教えていただけないですか?」

大石「……、まぁいいでしょう(既に二人の犠牲者が出ていることは知っているのか)」

大石「かくかくしかじか、という感じです」

眠鬼「(富竹も殺された…?)」

玉藻「それは、間違いないのですか?」

大石「鷹野さんに関しては県警からの報告が嘘でなければ、ですけれどもねぇ」

玉藻「そうですか、ありがとうございました」


玉藻「…あれ?眠鬼クンはどこに行った…?」

ぬーべー「(殺された二人っていうのは昨日会った富竹さんと鷹野さんだったのか…)」

ぬーべー「(生徒の知り合いだったようだし、ショックも大きいだろう)」

ぬーべー「(生徒が落ち込んでいるのなら、教師の俺が元気付けてやらねばなるまい)」

ぬーべー「よし、明るく行こう!」

ガラガラ

ぬーべー「おはよう、みんな!今日も一日元気にいこ……いっ!?」

圭一「あっはっはっ!これで本当に完璧だぜ!」

レナ「さっきのハリボテより数倍かっこよくなったよ!」

広「なんか今なら俺、誰にも負けない気がするぜ!」

ぬーべー「お、お前ら、何だその格好は!?」

まこと「まことビーム!なのら!」

ピュー

ぬーべー「冷たっ!水か?どうなってるんだ?」

広「へへへ!カッコイイだろ?」

圭一「いや~、こいつら完全装備とか言ってたけど、全然駄目駄目だったからよぉ~」

魅音「沙都子がパワーアップしてやったんだよ」

美樹「本当、器用よね~」

沙都子「わたくしの手にかかれば、これくらいホームルーム前でございますわ!」

ぬーべー「朝飯前みたいに言うな!」

克也「すげーよ、実際。俺なんか、ほら、指から火が出るんだぜ?」カチャ ボーッ

沙都子「克也さんの持ってたライターを改造したにすぎませんわ」

レナ「(なんでライター持ってのかは分からないけど…)」

梨花「みんな、強そうなのですよ。にぱー☆」

沙都子「黒板消しのトラップなんかとは比べ物にならないくらいの破壊力でございますわ!」

ぬーべー「馬鹿なことやってないで、さっさと脱いで来いっ!」

広「えー?俺のなんか強力なバネとか入ってて、パンチ力倍増だぜ?」シュッシュッ

ぬーべー「授業受けるのにパンチ力はいらーんっ!」





眠鬼「(殺されたのは富竹と鷹野だったのか…)」

眠鬼「(でも何で?富竹はこの村の住人じゃないんだろ…?)」

眠鬼「(ま、まさか、昨日の夜、祭具殿に行ったから?それだけの理由で?)」

眠鬼「(神聖な領域に侵入した罰、オヤシロさまの祟り…。でも、本当は人間の仕業で…)」

村人1「今年もやっぱりあったらしいわよ、オヤシロさまの祟り」

村人2「怖い怖い…。今年は二人殺されたらしい」

村人3「いつもと違うな。じゃあ今年の『鬼隠し』も二人ってことか?」


眠鬼「鬼隠し…。鬼、隠し、二人……。もし私の正体が犯人にばれてたら…?」

ガリッ




羽入「ぬーべー、何をやってるのですか?」

ぬーべー「あぁ、殺された鷹野が本当に怨霊になってこの村にやって来ているのか調べている」

羽入「そんな水晶で分かるのですか?」

ぬーべー「普段なら、な…。しかし、どうも様子がおかしい…魂すら見つからない」

羽入「何故?」

ぬーべー「昨日までも君の強い妖力に阻害されていたのだが、それとは別の力が加わっているようだ」

ぬーべー「しかし、この力は人間でも怨霊でも妖怪でもない。初めて感じる異質な圧力」

ぬーべー「今日は村を覆うフィルターが一段と濃くなった。今にも押しつぶされそうだ。一体何が…」


羽入「……もしかしたら、この世界が終末に近づいたからかもしれないのです…」


ぬーべー「……それは、梨花に死が迫っているということか?」

羽入「はい。綿流しのお祭りが終わった今、梨花はいつ殺されてもおかしくない状況なのです」

ぬーべー「世界までのが梨花を殺そうとしてるのか…くそっ!」

羽入「この世界は運命の力そのもの。どう抗おうとも、世界が梨花の死を求めているのです…」

ぬーべー「関係あるかっ!運命だろうが、世界だろうが、俺の生徒に手を出させん!」

羽入「ぬーべー…」

ぬーべー「とりあえず情報がほしい…。鷹野が駄目なら富竹だ」


ぬーべー「南無大慈大悲救苦救難……『口寄せの術』!富竹の魂よ、降りて来いっ!」


富竹(霊)「呼ばれた気がして」

羽入「うぉおっ!ぬーべーすごいのです!」

ぬーべー「富竹さん、今の状況が分かるか?」

富竹(霊)「あなたは確か鵺野先生…。あれ、僕は何故ここに…?うん、その娘は誰だい?」

羽入「僕ですか?僕が見えるのですか?」

ぬーべー「驚かないで聞いてほしい…、あなたは何者かに殺されたんです」

富竹(霊)「へー……え?な、なんだってーっ!」


ぬーべー「どうやら、犯人の情報は得られそうにもないな…」




圭一「マジかよ、梨花ちゃん…その話」

梨花「信じられない気持ちは分かるのです。でも信じてください、本当なのですよ!」

梨花「(やっぱり、超常現象に馴染みのない圭一たちには理解してもらえないのか…)」

羽入「(あうあう…)」

圭一「くそっ!何でそんな大事なこともっと早く言ってくれなかったんだ!」

梨花「し、信じてくれるのですか?」

圭一「そりゃあ、にわかに信じがたい話だけどよぉ、だけど俺は梨花ちゃんを信じるっ!」

沙都子「梨花がそんな嘘つくとは思えませんわ」

レナ「レナも信じるよ」

梨花「みんな…」


圭一「くそっ!何やってんだよ、全く!」

魅音「やめなよ、圭ちゃん。梨花だって悩んでいたんだ」

魅音「こんな話して、信じられなかったらどうしよう、拒絶されたらどうしよう、ってすげー怖かったはずだよ」

レナ「それでも、こうやって話してくれたよ?私たちも信じてくれたんだよ?」

圭一「そうじゃねぇよっ!そうじゃねぇ……。友達なのに、仲間なのにつ!こんな近くに居るのにッッ!」

圭一「気づけなかったっ!梨花ちゃんがこんなに悩んでるなんて!苦しんでるなんてッ!」

圭一「駄目だな、俺はっ!とんだ大馬鹿野朗だぜ!」

沙都子「それを仰るなら、わたくしの方が大馬鹿野朗ですわ、同じ屋根の下で寝起きしてるのに…」

梨花「圭一も沙都子も悪くないのです。みんなを信じられなかった僕が一番の大馬鹿野朗なのです」

レナ「今はそんな話してる場合じゃないよ」

魅音「そうだね。梨花、もう少し詳しく聞かせてよ」



眠鬼「学校に来ちゃった。みんなどこかな…?会いたい…」


圭一「しっかし、酷いことする奴もいるんだな」

レナ「こんな可愛い子傷つけるなんて許せないよ!」

羽入「(欠片によってはレナも傷つけるんですけど…内緒にしておくのです)」

沙都子「鬼みたいな輩が存在するものですわ」

魅音「みたいってか鬼だよ、鬼!許せない!」

圭一「鬼なら地獄に追い返してやる!二度と戻ってこれないようにボコボコにしてよぉ」

レナ「ボコボコにするだけじゃ駄目だよ。せめて這い上がれないように、手足切り落としておかないと」

魅音「ひゅ~!言うね!」

圭一「た、たまにすげー怖い事言うよな、レナって…」

ガタッ

沙都子「?誰かいるのですか?」

梨花「どうかしたのですか?」

沙都子「いえ、気のせいでございましたわ」


眠鬼「(い、今の話って…)」



ガリガリッ



キーンコーンカーンコーン

魅音「やったー!お昼だ!」


ぬーべー「あれ?知恵先生は今日もカレーですか」

知恵「……はぁ?何言ってるんですか?」

ぬーべー「え?」

知恵「昨日はチキンカレー。今日はポークカレー!全く別物です!」

知恵「見れば分かるじゃありませんか!カレーを馬鹿にしているのですか?」

ぬーべー「す、すいません!あ、そうだ!玉藻と会う約束してたんだ!し、失礼しまーす!」

知恵「待ちなさーいっ!話は終わってませんよ!」


ぬーべー「まさか、智恵先生があんなカレー狂だったとは…」

玉藻「こっちです、鵺野先生。何か分かりましたか?」

ぬーべー「富竹の霊は何とか見つけて呼んだけど、駄目だ。何故か記憶が曖昧で」

玉藻「一体どうして?」

ぬーべー「死ぬ直前に頭を強く打って軽い記憶喪失に陥り、そのまま死んでしまったのかもしれない」

玉藻「それだけじゃ説明できない現象ですね」

ぬーべー「これも羽入のいう運命の力の影響なのかもしれない」

羽入「あうあう…」

ぬーべー「そっちは?」

玉藻「入江京介に話を聞くことは出来ませんでしたが、大石という刑事と話しました」

ぬーべー「大石さんか。それで?」

玉藻「大した情報は。富竹ジロウと鷹野三四の死が警察によって確認された、という程度でしょうか」

ぬーべー「まぁ、富竹さんの霊はこうしてここにいるからなぁ」

富竹(霊)「あはは、死ぬのも案外悪くないね!何だか清清しい気分だよ!」

羽入「そんなものなのですか…自分の死はあまりにも昔の事で忘れてしまったのです」

玉藻「しかし、こうなると…」

ぬーべー「やはり怪しいのは入江京介、という事か」

羽入「でも、研究のためだとしたら何故鷹野を殺すのでしょうか?」

羽入「鷹野が梨花殺しの為に反対する入江を殺す、というのは納得いくのですが、逆は…」

ぬーべー「……梨花を自分の物したい」

羽入「え?ここに来てロリコン発言?」

ぬーべー「梨花を愛している、自分の物にしたい、鷹野は邪魔だった、だから殺したんだ」

玉藻「なるほど。話では入江も相当の変態だったと聞きますからね。歪んだ愛情ですか」

ぬーべー「他人には分からないさ…。ってか『も』、って何だよ。入江『も』って」

ガサッ

ぬーべー「ん?そこに誰かいるのか?」




ゆきめ「(富竹さんと、あの鷹野さんが殺された…)」

ゆきめ「(鷹野さんは、悩んでいた私の相談に乗ってくれた。先生を諭してくれたとも聞いた…)」

ゆきめ「(そのおかげで、鵺野先生をロリコンだと疑っていた馬鹿な自分に気づけたのに)」

ゆきめ「(確かに、ちょっと変わった人だったけど…いい人だった)」

ゆきめ「(何で殺されなきゃいけないの…)」

ゆきめ「すいませーん。鵺野先生いますか?」

知恵「あ、確か、鵺野先生の奥さん…。あの無礼な人なら校舎裏に行きましたよ!全く!」

ゆきめ「あ、ありがとうございます…(何で怒ってるんだろ…)」



ゆきめ「(あ、いた。玉藻さんは羽入ちゃんもいる)」

ゆきめ「せんせ…


ぬーべー「梨花を自分の物したい」

ぬーべー「梨花を愛している、自分の物にしたい、鷹野は邪魔だった、だから殺したんだ」


ゆきめ「(え?え?い、今なんて?)」


玉藻「歪んだ愛ですね」

ぬーべー「他人には分からないさ…」


ゆきめ「(ど、どういうこと…?)」

ゆきめ「(先生が梨花ちゃんを自分のものにするために、鷹野さんを、殺した?)」

ゆきめ「(そ、そんなはずない!また、勘違い?聞き違い?だ、駄目、分からない……)」

ガサッ

ぬーべー「そこにいるのは誰だッ!」

ゆきめ「ひっ!」

ぬーべー「ゆきめ、お前ここで何してるんだッ!」

ゆきめ「あ、あ、あ…」

ぬーべー「はっきり喋るんだッ!」

ゆきめ「ごめんなさい!」

ぬーべー「何でも謝れば良いってもんじゃないぞ!お前みたいな奴にはお仕置きが必要だな…」

ゆきめ「な、何する気ですか、先生…」

ぬーべー「お仕置きだよ…!とびきりキツイやつだ…!」

ゆきめ「い、痛ッ!は、放して!」

ぬーべー「騒ぐんじゃねぇ!一瞬で終わるからよッ!」

ゆきめ「(お、鬼の手!?ま、まさか先生、私を殺すつもりじゃ…)」

ゆきめ「や、やめて!放してくださいっ!」

ドンッ

ぬーべー「お前ッ!何をするんだ!」

ゆきめ「(手が離れた!い、今のうち逃げないと…!)」





玉藻「行ってしまいましたね」

羽入「彼女とても脅えてたのです。何をしようとしたのですか?」

ぬーべー「デコピンしようとしただけなんだけどなー…」



ゆきめ「(こ、殺される!先生に殺されるッ!)」


ガリガリッ



魅音『鬼だよ、鬼!許せない!』

圭一『鬼なら地獄に追い返してやる!二度と戻ってこれないようにボコボコにしてよぉ』

レナ『ボコボコにするだけじゃ駄目だよ。せめて這い上がれないように、手足切り落としておかないと』

――――――

眠鬼「鬼は許せない、か…。はは、やっぱり人間と鬼じゃ友達になれないのかな…」

眠鬼「広たちだって、裏で何言ってるか分かんないもんな。私には人間の方がよっぽど怖いよ…」グスン

眠鬼「今年は二人殺されたから、二人が鬼隠しに会う…」

眠鬼「鬼隠し…。鬼、隠し…。『鬼に』隠されるんじゃなくて、『鬼を』隠すんだ…」


眠鬼「ははは、じゃあ今年二人隠されるのも不思議じゃないや」

眠鬼「だって、この村には『本物の鬼』が二匹いるんだもん」

眠鬼「………殺されるもんか、人間如きに。この私が…ッ!」


眠鬼「でも、お兄ちゃんはどうするんだろ…」

眠鬼「絶対に手を出さないよな。それが圭一たち生徒ならなおさら…」

眠鬼「駄目、お兄ちゃんが危ない…。殺されちゃう…!」



眠鬼「……だったら、先にこっちが殺してやればいんだ…」

眠鬼「犯人が分からない?ふふ、じゃあ村人全員殺してやるよっ!だって私は『鬼』だからなッ!」

眠鬼「あっははははははははははははははははははははははははははははは」



ガリガリガリッ




ゆきめ「(一体どうして?何で先生はあんなこと…?)」

ゆきめ「(聞き間違いないなら私が悪いけど、だって今、私を殺そうとした…)」

ゆきめ「(もう何が何だか分からない。何を信じればいいの…!)」

梨花「あ、ゆきめ」

ゆきめ「り、梨花ちゃん…!」

梨花「みー。どうしたのですか?とっても怖い顔なのですよ…」

ゆきめ「そ、それは…」


梨花「……いかお」



ゆきめ「……え?今何て言ったの…?」

梨花「…ふふふふ。ねぇ、あんた、鏡見たぁ?最ッ高に酷い顔してるわ!」

梨花「あははっ!そんな汚くて醜い顔してるから!ぬーべーを私にとられてしまう!そう言ったのよ!」

ゆきめ「…ッ!?」

梨花「ほら、ハンカチ貸してあげるから顔でも洗ってきたらぁ?あはははははははははははははははは」

ゆきめ「そんな…」ゾクゾク


ぬーべー「見つけたぞ、ゆきめっ!」

ゆきめ「い、嫌ぁッ、来ないで…!来ないでぇええええええええええええええええ」


ガリガリガリッ

書き溜め尽きた…
もう駄目なのれす…あうあうあー

俺、このSS完成したらぬーべー全巻大人買いするんだ……




沙都子「梨花、トイレに行ったっきり戻ってこないでございますわ」

レナ「あんな話聞いた後だと心配だね、ちょっと見てこようか」

圭一「大丈夫だろ?学校の中だぜ?もしかしたらお腹を下していて、う

魅音「はーい、ストップ!それ以上言ったら軽蔑するよ」

圭一「じ、ジョークだろう…」

沙都子「何か急に肌寒くなってきましたわ。もしかして、これが虫の知らせ…?」

レナ「やっぱりレナ、見てくる!」

沙都子「待ってくださいまし!わたくしも行きますわ」




沙都子「あ、梨花。こんな所にいたのでございますか」

レナ「帰ってくるの遅いから心配したんだよ?」

梨花「あ…危ない!来ちゃ駄目っ!」

レナ「え?」


ぬーべー「落ち着け!ゆきめっ!」

ゆきめ「うわああああああっ!凍りついてしまえぇええええええええ」

ピキピキピキ

沙都子「ひぃっ!廊下がどんどん凍っていく!」

待ってましたああああ!!

梨花「と、とにかく一旦逃げるのです」

沙都子「一体何事でございますの、これは!」

レナ「またカキ氷屋の機械なのかな?かな!?」

梨花「そうね、きっとその機械が故障したんだわ!ここはぬーべーに任せましょう!」



広「うぅ…寒い…。寒くなったらションベンしたくなってきたぜ」

まこと「僕もなのだ。トイレ行って来るのだ」

ガタ ガタ

まこと「…あ、開かないのら」

広「何やってんだよ、どけって」

ガタ ガタ ガタ

広「どうなってんだ?」

美樹「ねぇ、なんかものすごく寒いんだけど…」

ぬーべー「何をやってる!止めるんだ、ゆきめ!」

ゆきめ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

ピキピキピキピキ

ぬーべー「くそっ!どうしたって言うんだ!とにかく、このままじゃ生徒たちが危険だ!」

圭一「うわぁッ!寒ぃ!何だ、こりゃぁ!?一面氷の世界だぜ!」

ぬーべー「圭一っ!至急みんなを連れて校舎の外に避難するんだ!」

圭一「ぬーべー!一体全体どうなってんだぁ?いつのまにこの学校は冷凍庫に変わったんだよ!」

ぬーべー「説明は後だ!早く逃げろっ!」

圭一「よ、よく分かんないけど、任せとけ!」


ドンドンドン

克也「くそっ、マジだ!ビクともしない!」

郷子「どんどん寒くなっていくわ」

まこと「吐く息が白いのら」

美樹「いやあああ!誰か助けて!誰かー!」

克也「駄目だ!完全に扉が凍り付いてしまった!」

郷子「離れないと私たちも凍っちゃう!」

広「こ、こんなことできるのって…!」




知恵「一体どうなってるの、これは…。すっかりカレーが冷えてしまいました。それもまた乙ですけど」

魅音「私たちにはさっぱり…」

圭一「わかんねぇよ…、でもここはぬーべーに任せるしかねぇ」

梨花「みー…」

レナ「みんないるかな?かな?」

沙都子「……ひ、広さんたちがいませんわ!」

圭一「何ぃっ!?あいつら一体どこに?」

魅音「あ、あそこ!二階の教室!」


美樹「たすけてぇー!」

まこと「冷凍マコトになるのは嫌なのらー!」

克也「こんなときに冷凍マグロみたいに言うなっ!」



レナ「た、助けないと!」

魅音「でもどうやって?」

沙都子「二階に繋がる通路は全て氷漬けですわ」

圭一「知恵先生っ、梯子か何か無いんすか!」

知恵「ど、どこかにやったかしら…」

玉藻「これは何事ですかっ!」

梨花「玉藻っ!大変なのです!氷漬けにされた校舎に広たちがっ!」

玉藻「何っ!鵺野先生は何やってるんだ!?」

羽入「(た、大変なのです!)」

玉藻「校舎の外にまで侵食が広がっている…、ゆきめクンの仕業か…」

玉藻「君たちはなるべく校舎から離れるんだ!彼らは私が助けに行く!」

魅音「助けに行くって、大丈夫なんですか?」

玉藻「心配要らない!さぁ、早く!」

ザッ

沙都子「あぁ、眠鬼さん!いらしてたのですか?大変でございますの!」

眠鬼「…………」フラフラ

玉藻「いなくなったと思ったら、ここにいたのですか…。ちょうどいい、救出を手伝うんだ!」

眠鬼「………い」フラフラ

玉藻「……?眠鬼クン…?」

羽入「(何だか様子がおかしいのです…)」

梨花「…どうしたのですか、眠鬼?」

レナ「眠鬼ちゃん…?」

眠鬼「……うるさいんだよ、人間風情が…!気安く私の名を呼ぶな」ドドドド

圭一「な、なんか、様子がおかしいぞ…」

玉藻「(急激に妖気が膨れ上がっていく…ッ!!)危ないっ!伏せろッ!!」

眠鬼「地獄の業火に焼かれろおおおおっ!消し炭になれえええええええええ!」


ドドドドドドドドドッ!!




カチャ ボー

郷子「うー温かい…」

克也「沙都子ちゃんが作ってくれた改造ライター持っててよかったぜ」

美樹「でもこの程度の火じゃすぐ凍死よ」

まこと「まだ死にたくないのら…」

広「ゆきめさんはどうしてこんな事…、ぬーべーは何やってんだ…!」

郷子「あ、玉藻先生だ!眠鬼ちゃんもいる!」

克也「助かった!おーい!」


広「…?何か様子がおかしいぜ」




ぬーべー「くそっ!冷気が強くて近づけないっ!それどころか退路すら断たれている…」

バキ「(また氷漬けにされるウガ…)」

ぬーべー「止めるんだ!ゆきめ!突然どうしたんだ!」

ゆきめ「私に、近寄るなぁーッ!」冷凍ビーム

カチコチカチコチ

ぬーべー「くそ、このままじゃ凍死してしまう…ん?何だ、この邪悪な妖気は…?」

ぬーべー「校舎の外、生徒たちが逃げた方向からだ…ま、まさか!」

バキ「(この妖気、眠鬼のものに間違いないウガ)」

ぬーべー「眠鬼のやつ、何するつもりだ?校舎ごと吹っ飛ばす気か?」

ぬーべー「ゆきめは説得しても聞く耳持たず、彼女の頭が冷えるのを待つか…」

ぬーべー「ここは一旦退いて眠鬼を止めないと、って駄目だ!退路も塞がれてるんだった!」

ぬーべー「あああっ!何だよ、全く!……ん?」

…ぅぅぅぉぉぉ

ぬーべー「な、何だ?」

……ぅぅぅぉぉぉぉおおおおおおおおおおおっ!

ドォオオオオオオン!!!

ぬーべー「うおお、危ない!壁が吹き飛んだぞっ!眠鬼の仕業だな?」



ガラガラ

玉藻「……ちっ、卸し立てのスーツがボロボロだ……」

玉藻「ん?こんなところにいたんですか、鵺野先生!何やってるんだ、あなたは!」

ぬーべー「ゆきめがヒステリー起こしているんだ!外では何が起きているんだ?」

玉藻「同じような事ですよ。眠鬼クンがいきなり鬼化して圭一クンたちを、……殺そうとしてました」

ぬーべー「はぁッ!?何でそんな事に?」

玉藻「分かりませんよ、全く。いきなり発狂して凶暴化して、これは、まるで……」

ぬーべー「……ま、まさか!?」

玉藻「……見てください、彼女の喉の傷」

ぬーべー「これは…!」

羽入「こ、これはL5なのですよ!」


ぬーべー「何故二人が発症を?この村に来て、まだ日が浅いってのに…!」

羽入「分からないのです…、こんな早い段階でのL5発症は異例なのですよ…」

玉藻「……二人に共通するのは、人ならざる存在ということ」

ぬーべー「……どういう意味だ?」

玉藻「もしかしたら、雛見沢症候群というのは我々の側の病気なのかも知れない」

ぬーべー「妖怪が罹る病…か。妖怪が人間の病気にかかる事もある、その逆もまた然り…」

玉藻「考えてみれば、こんな不可思議な病が人間世界で生まれるとは思えない…」


玉藻「元々の病は、妖怪にとってここまで凶悪なウイルスではなかったのかもしれません」

玉藻「しかし、年月を経て、人間に感染し変異を繰り返して、ここまで急速に進行するものに変化した可能性があります」

玉藻「この分ですと、いずれ私も発症する可能性がありますね」

羽入「でも、僕は平気なのです。まぁ、神様ですから当然ですが」

玉藻「あなたやこの村に昔から住み着いている妖怪はとうに感染し、ある種の抵抗のような物が生まれているのかもしれない」

玉藻「時間があれば調査して、特効薬を作るなんてわけないのですが…」

羽入「駄目なのです。この状態に陥るとそう長くは持ちません。いずれ喉を掻き毟って…」


ぬーべー「くそっ!何て事だっ!羽入っ!何か手は無いのかッ!?」

羽入「……回復させる事は可能なのです。他の欠片で、圭一が発狂したレナを止めたことがあります」

ぬーべー「どうやって…?」

羽入「正気に戻す事です!彼女たちを語りかけ、本来の姿の心に戻してあげるのです!」

ぬーべー「それが出来ないから困ってるというのにっ!」

玉藻「大変です、鵺野先生!また眠鬼クンの妖気が膨れ上がっていきます」

玉藻「残念ながら、私の力ではそう何度も鬼の力を抑える事は出来ません」

ゆきめ「さっきから何の相談ですかっ!?あ、分かりました、私を殺す相談ですねっ!?」

ゆきめ「そんな事、させるかぁああああああああああああああああああ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ぬーべー「うわっ!」

ゆきめ「逃がすかぁああっ!凍れええええええええええええええええ」


羽入「どうやら、ゆきめの狙いはぬーべーのようです。彼女はぬーべーじゃないと説得不可能なのですよ!」

玉藻「言い忘れていましたが、二階には広クンたちが取り残されています!このままで凍死してしまう」

ぬーべー「なんだって!」

ぬーべー「ゆきめを放置すれば、広たちが危ない。かと言って、大人しく救出されてくれそうにも無い雰囲気だ」

玉藻「しかし、眠鬼クンを放置すれば圭一クンたちが危険だ。こうして悩んでいる好きにも攻撃されかねない」

玉藻「とにかく、私が眠鬼クンを抑えます!鵺野先生は早くゆきめさんの説得を!」

ぬーべー「お前一人で子供たちを守りながら戦えるのか!?」

羽入「一人じゃないのです!僕も微力ながらサポートするのです」

玉藻「それは……、心強い。迷っている暇はありません!」

ぬーべー「それしかないようだな…!」

ゆきめ「余所見するなっ!相手は私ですよおおおおおおおおおおおッ!!」

ぬーべー「ちっ!仕方ない!バキ!鬼の手解放だっ!」ドドドドド


玉藻「それでは、どうかご無事で。アディオス」

ゆきめ「相談は終わりですか!?私を殺す算段が立ったんですかぁッ!?」

ぬーべー「バキ、力をセーブしろっ!このままではゆきめを傷つけてしまう!」

バキ「何故だ?全力で叩き、行動不能にするのが手っ取り早いウガ」

ぬーべー「駄目だ!それじゃあ、L5は治まらない!」

バキ「だが、時間をかけすぎると子供たちが危ないんだろ?」

ゆきめ「何もしてこないなら、こっちからいきますよぉっ!先生ぃッ!」

ぬーべー「と、とにかく鬼火で彼女の攻撃を相殺するんだ!」




沙都子「わ、私は夢でも見てるのでございましょうか?」

レナ「何が何だか分からないよぉ…」

圭一「氷の次は炎かよ?厨二にも程があるぜ!一体どんなトリックだぁ?」

魅音「眠鬼ちゃん!どうしたの?何でこんな事するのっ!?」

眠鬼「友達面して気安き話しかけるなって言っただろっ!」

沙都子「ひぃっ!」

眠鬼「『何でこんな事する』だぁ?知ってるだろ?私は『鬼』なんだよおおお!」

眠鬼「ボコボコにされる前に、手足を切り落とされる前にッ!お前らを殺してやるよぉっッ!!」

梨花「ま、まさか、さっきの会話を誤解して…!?」

眠鬼「今度こそ消し炭にしてやるぅ!この鬼火はさっきの3倍だぁぁああああッッ!」ドドドドドドド


眠鬼「消し飛べぇええええええ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

玉藻「はああああっ!」

羽入「オヤシロバリアーッ!」

パリーンッ!!

魅音「た、助かった…!無事だったんですね、玉藻さん」

玉藻「辛うじてですが。しかし、あと何分彼女を抑えられるか分からない…。君たちはこの隙に遠くへ避難してください!」


梨花「羽入っ!これはどういうこと!?」

羽入「眠鬼とゆきめがL5発症してしまったのですよ!」

梨花「えぇっ!L5っ?……そう。じゃあやっぱり、引き金は私たちの会話なのね…」

圭一「梨花ちゃん、どいうことだ?説明してくれ」



ぬーべー「ゆきめっ!頼む!俺の話を聞いてくれ!君を助けたいんだ!」

ゆきめ「うるさい、うるさい、うるさいッ!鬼の力全開で私を殺そうとしてるくせに!」

ぬーべー「聞く耳持たぬ、か…」

バキ「どうするのだ、このままでは埒があかんウガ」

ゆきめ「鷹野さんを殺して、私を殺してッ、梨花とよろしくしようとしてるくせにッ!汚らわしいッ!!」

ぬーべー「な…ッ!?ま、まさか、さっきの話を勘違いして?」

ぬーべー「違うッ!誤解だッ!俺は鷹野さんを殺してない!俺が愛しているのは君だけだッ!ゆきめ!」

ゆきめ「いけしゃあしゃあと、よくそんな事が言えますね?この鬼畜変態教師ぃーッ!」

ぬーべー「本当だ!信じてくれーッ!俺は、もう君以外愛せないんだッ!」

眠鬼はパンツ履かないと力を制御できないって設定だっけ?忘れてた
ぬーべーと修行してコントロールできるようになったって設定で勘弁してくれ




広「やばいぜ!眠鬼と玉藻先生が戦ってる!」

郷子「なんでそんな事に!?」

広「知るかよぉ!」

美樹「だ、駄目だ…。私たちは凍死する運命なのよ…」

まこと「うわーん、死にたくないのらー!」

克也「あ、諦めるんじゃねえよ!」


玉藻「羽入クン。君はバリアー全力全開で張れ!子供たちを守るんだ!」

羽入「わ、分かったのです!」

玉藻「私は攻撃に専念します。彼女を撹乱して、鵺野先生が来るまでの時間を稼ぎましょう」

羽入「誰か、彼女を説得できる人はいればいいのですが…」



圭一「じ、じゃあ、眠鬼があぁなったのは、俺たちのせいだって言うのかよ!」

梨花「そうは言ってないのです!た、ただ、会話が引き金になったのは間違いないと思うのです」

沙都子「そんな…」

レナ「ど、どうしよう…。私、酷い事言っちゃった…」

魅音「レナは悪くないよ。そんなつもりで言ったんじゃないんだから」

梨花「そうなのです。誰も悪くないのです。…ただ、タイミングが悪かったのですよ……」

圭一「……でも、まだ最悪じゃあないんだよな?」

梨花「…え?」

梨花「な、何をするつもりなのですか?」

圭一「最悪じゃねーんなら、それは最高と同義だぜ!」

圭一「不可能と言われりゃどうにもならないけどよぉ!可能性が残ってるなら諦めるな!」

圭一「諦めなきゃ道は切り開けるんだよぉ!そうだろ?」

圭一「へへへ、こんな酷い状況だってのに血が騒ぐぜ!マゾだったかぁ、俺は?」

圭一「安心しろ、梨花ちゃん!この程度の困難!俺たちなら簡単に乗り越えられるってこと見せてやるぜ!」


梨花「圭一…」



眠鬼「何故、人間を庇うんだぁ!お前もこっち側だろぉッ!どうせ裏切られるッ!」

眠鬼「無理なんだよ!人間と妖怪が信頼しあうなんて!相容れない存在なんだよ!」

玉藻「そんな事は無いッ!君は今まで何を見てきた!鵺野先生の下で何を見てきたんだッ!」

眠鬼「その挙句が今、殺されかけてんじゃないか!説得力ないねっ!」

眠鬼「邪魔するなら容赦しないよ!吹ッき飛べぇええ!!」

ドドドドドドド

玉藻「うおおおおおおッ!」

羽入「玉藻ッ!」


玉藻「我ながら情けない…。あんな小娘一人、押さえ切れないとは……」

羽入「あうあう…」

眠鬼「はぁ、はぁ、はぁ…終わり?情けないなぁ!次で決めてやるッ!」

玉藻「不味いですね。妖気の高まりがとてつもなく巨大だ!彼女自身、無事ではすまないぞ!」

羽入「あ、あんなの、僕には抑えきれないのですよ」

眠鬼「全力全開ぃッ!この鬼火は更に三倍だぁぜぇええッ!」ドドドドドドドド



村人1「ひ、ひぇえ!何だ、あれは!?」

村人2「お、オヤシロさまの祟り…?」

村人3「鬼じゃ!鬼じゃ!鬼が村を滅ぼしに来たんじゃあああ!」

一同「この世の終わりじゃあああああ」


郷子「だ、駄目…。眠くなってきた……」

広「馬鹿!寝るな!死ぬぞ!」

まこと「あ、おばあちゃんが見えるのら…」

美樹「まだやりたい事、いっぱいあったのにぃ~…」

克也「体の感覚がなくなってきたぜ…」



ぬーべー「ゆきめ!愛してる!愛してるんだ、君だけを!信じてくれ!」

ゆきめ「信じられない!どうせ、口から出任せでしょおおお!」

ぬーべー「違う!本心だ!」

ぬーべー「どうすれば、俺の気持ちが伝えられる?心の底から彼女を愛してると伝えられるんだ!」

ゆきめ「どうして信じられるでしょうか!?心の中なんて本人以外には分からないのにッ!」

ゆきめ「だったら、ドタマかち割って、思考の全て見せるくらいやってみろよぉッ!」

ぬーべー「…!そうか、俺の思考の全てを見せれば良いのか…!ならば…!」

ぬーべー!「バキっ!鬼の手120%解放だッ!一瞬で彼女の動きを止める!絶対傷つけるなよッ!」

バキ「やってみるウガ。このまま冷凍オニは嫌ウガ」

ぬーべー「冷凍おにぎりみたいに言うな!」

ゆきめ「……やっぱり、鬼の手を私に向けるんですね?」

ゆきめ「ハッ!屁理屈も言えなくなったら実力行使ってわけだ!」

ゆきめ「私の氷漬けの愛を受け止めてくれるほど包容力はないんですかぁあああッ!」

ぬーべー「そんなもの、後から幾らでも受け取ってやるさ!だけど、このままじゃ広たちが危ない!」

ぬーべー「全力で!君を押さえ込むッ!!」ドドドドドド

ゆきめ「だったら私は妖気の全てを一点集中!氷の刃!胴体、貫けぇええええ!」ゴゴゴゴゴゴ

バキ「一旦離れて、叩き落すウガ」

ぬーべー「その必要ない!このまま彼女の愛を受け止めるッ!!」


グサッ


ぬーべー「ぐっ、は…。はぁ、や、やっと捕まえたぞ。ゆきめ。ううっ…!」

ポタッ ポタッ

ゆきめ「な、なんで避けなかったんですか…。血が…」

ぬーべー「何言ってるんだ、君が言ったんだろ?愛を受け止めろって…」

ゆきめ「……ッ!そんなパフォーマンスで私の気が晴れると思ってるんですか?」

ゆきめ「私はもう先生を信じられないっ!頭の中なんて分からないッ!」

ぬーべー「だから、見せてやる、俺の頭の中を。はぁ、はぁ…。君をどれだけ愛してるかを…」スッ

ゆきめ「鬼の手…。やっぱり、私を殺すんじゃないですか」

ぬーべー「はぁ、はぁ、違う…鬼の手にはこんな力もあるんだ」

ピトッ

ゆきめ「……!?お、鬼の手を通して、何かが流れ込んでくる…!」


ぬーべー「それは、俺の想いの全てだ。嘘も装飾も無い、本当の気持ちだ…」

ぬーべー「分かるだろ?お、俺が、どんなに君を想っているか…。うぅっ…」

ぬーべー「伝わるだろ?俺がどんなに君を愛しているかッ!!」

ゆきめ「(先生の想いが流れ込んでくる…。あ、暖かい…。こんなに私のことを…)」

ゆきめ「こんな暖かい想いを送られたら溶けてしまいそうです、私、雪女なんですよ?」

ぬーべー「アイスだってちょっと溶けてるくらいがおいしいじゃないか」

バキ「(その台詞はどうだろうか…)」

ゆきめ「う、ううっ…、ごめんなさい、先生……。こんなに私の事を想ってくれてるのに…」

ゆきめ「私は、信じる事が出来ませんでした…。ごめんなさい、本当にごめんなさい……うぅ…」

ぬーべー「良いんだ、泣かなくていい。もう大丈夫だ……」

ぬーべー「俺が悪いんだ。君を不安にさせてしまった、夫失格だ……ぐぁっ!」

ポタポタポタッ

ゆきめ「せ、先生、血がッ!今、氷で止血します!本当にごめんなさい!」

ぬーべー「こ、これは当然の報いだ。バキには治癒能力でどうにかなるさ…」

ぬーべー「そ、それより君は、校舎の氷をどうにかしてくれ…。広たちが凍死してしまう」

ゆきめ「は、はいっ!」



広「暖かい…。俺は死んだのか?じゃあここは天国だから暖かいのか…」

バチーンッ!!

広「痛ぇッ!!」

郷子「ヒロシ、しっかりしなさい!目を覚ませ!あんたが死んだら、私…!」

広「何しやがるんだ!この暴力女ッ!!ってあれ?ここは天国じゃない?」

郷子「よ、よかった…広ぃ~!」ガバッ

広「お、おい!抱きつくなよ!////」

ぬーべー「よし、全員、無事だな…。凍傷もヒーリングで治しておいた。あとはストーブにあたって体を温めろ」

克也「一体何があったんだよ、ぬーべー!」

美樹「もうすぐ死ぬところだったわ!」

ゆきめ「ご、ごめんなさい!ぜ、全部私のせいなの!」

まこと「ゆきめさんの…?」

ぬーべー「詳しい話は後でしてやる!お前らはここで休んでいろ!」

広「ぬーべー怪我してるじゃねーか!どこ行くんだ!」

ぬーべー「かすり傷だ、大したことは無い…。くっ…、眠鬼を止めに行かないと!」

広「そ、そうだ!眠鬼が玉藻先生と戦ってるんだ!」

ぬーべー「あいつもゆきめと同様に苦しんでいる…!助けてやらないと…!」

圭一節難しいお…




玉藻「とにかく、粘るんだッ!絶対に生徒を傷つけさせはしないッ!!生徒は私が守るッ!」

羽入「す、すごいのです…!玉藻の妖気が膨れ上がっているのです」

玉藻「鵺野先生なら何とかしてくれる。絶望的な状況を打破してくれるはずだ」

羽入「信頼しているのですね…」

玉藻「……ふっ、当然です。私がライバルと認めた人間です。それくらいでなくては困る」

羽入「…!ぼ、僕も頑張るのです!あうあう!」



圭一「お取り込み中のところ悪いんだけど、玉藻さん!あんたに頼みがある!」

玉藻「……圭一くん。危ないから下がっていたまえ」

圭一「いーや、退けないねぇ!仲間のピンチを見捨てて逃げちゃあ、前原圭一の名が廃れるってもんよ!」

羽入「……そ、そうなのです!絶望的な状況を打破してくれる人間は、ここにもいたのです!」

圭一「男、前原圭一!助太刀するぜぇッ!」


玉藻「…何をする気だ?」

圭一「へへっ!眠鬼の陥っている状況は梨花ちゃんから聞いて分かっている!」

圭一「そして、どうやったら救えるのかもな!」


玉藻「君が説得するっていうのか…。しかし、君たちは出会ってまだ日が浅いだろ。可能なのか?」

圭一「……勘違いしてるぜ、玉藻さん!絆の強さってのは、出会ってからの日数なんかで決まるんじゃねぇッ!」

圭一「だって、そうだろ?世の中には長く一緒にいたって、まるで分かり合えない奴が多いじゃないか」

圭一「絆が一緒にいた時間なら!高校で出来た友達は小学校からの友達に絶対勝てない!長年連れ添った夫婦は熟年離婚なんてしねぇ!」

圭一「そうじゃねーだろ?絆ってのは、お互いを信頼し認め合い、切磋琢磨して高めあう!その結果生まれるんだよ!」

圭一「長短じゃないんだ!どんだけ濃密な時間だったかが大事なんだッ!」

玉藻「……君たちはそれほど濃密な時間を過ごしたと?」

圭一「当ったり前だのクラッカーよっ!俺らは部活メンバーだぜぇ?共有する時間は嫌でも濃密になっちまう!」

羽入「玉藻!こ、ここは圭一に賭けてみるのです!」



玉藻「しかし、一体どうするつもりだ?」

圭一「正直、出たとこ勝負だぜ!俺はあいつを信じる!俺を信じてくれると信じるッ!」

圭一「あんたたちが何でこんな幻想厨二バトルを展開できるかさっぱりだが、今は聞かないぜ」

圭一「あんたが手品師でも、奇術師でも、魔導師でも何でもいい!」

圭一「眠鬼の元へ俺を飛ばしくれ!一対一で話をする!」

玉藻「危険だ、瞬殺されるのがオチだ」

圭一「危険は承知なんだよ!でも俺たちのせいなんだ!俺たちのせいで今あいつは苦しんでるんだ!」

玉藻「彼女は今正気じゃない。君の言葉に耳を傾けるかどうか……」

圭一「耳に言葉が届けばいいんだ!それが十分条件!言い合いになれば、分は俺にあるぜ!」

羽入「(すごい自信なのです…)」

圭一「俺が魅音の奴に何て呼ばれてるか知ってるか?あんたが奇術師なら、俺は魔術師!『口先の魔術師』だッ!」



玉藻「……わかった、君を信じよう」



玉藻「では、行くぞ!圭一くん」

圭一「おう!」

羽入「オヤシロバリアー全開!」

玉藻「しっかり掴まっていろ、飛ぶぞ!」フワッ

圭一「す、すげぇ!ホントに浮いてやがる!夢見てぇだ!」

玉藻「そのまま、永眠したくなかったら、しっかり仕事するんだ」

圭一「おうっ!」


眠鬼「……ッ!?圭一!や、やっぱり、私を殺しに来たのか!」

眠鬼「くそおおおおおッ!」

眠鬼「鬼火まだ未完成。威力は70%程度。……それで、十分だぁッ!」

眠鬼「生きたまま、業火に焼かれ、灰になれええッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

パリーンッ!

羽入「あうあう!あっさりオヤシロバリアーが破られたのですっ!」

玉藻「しかし、威力は弱まった」

圭一「やべぇ!正面衝突だ!」

眠鬼「消えてしまええええええええええええええッ!」



玉藻「……約束どおり、君を彼女の前まで連れてきた。次は君の番だ」



ブンッ

圭一「うわっ!急に投げるなぁ!お、落ちるぅ~ッ!!」

玉藻「私の力を少し君に注いだ。しばらくは飛行できるはずだ」

羽入「た、玉藻!危ないッ!!」


玉藻「必ず彼女を救うんだ、いいな……。アディオス」


ドンッ



羽入「た、た、玉藻ぉおおおおおッ!」

会話と効果音だけで戦闘シーンは難しいお…



眠鬼「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

圭一「へへへ、随分息が上がってるな。どうやら、もう限界みたいだな」

眠鬼「う、うるさい…!妖気が尽きようと、人間如きに後れはとらないッ…!」

圭一「どうやら、玉藻さんの杞憂だったみたいだな。お前はちゃんと俺の言葉に耳を傾けてくれた!」

眠鬼「……!やはり人間は最低だ!守ってくれた玉藻が死んでもヘラヘラ笑ってッ!後ろを見てみろッ!」

圭一「いいや、見ないッ!俺は信じている!玉藻さんは死んでなんかいない!だから振り向かないっ!」

圭一「俺は誓ったんだ、お前を救うと!だから、お前から決して目を逸らさない!絶対になっ!」


眠鬼「都合のいい事を…、信じてる?嘘つくなッ!口先だけなら何とでも言える!はぁ、はぁ…」

圭一「……確かに、俺は口先で相手を言い包めるのは得意だ。それは認める」

圭一「部活でお前はそれを身をもって体験してるだろ?」

眠鬼「はぁ、はぁ…そうだ、お前はいつも言葉巧みにみんなを騙し、ゲームに勝って来た」

圭一「騙した、って言い方は人聞きが悪いな。操ったと言ってほしいね!」

眠鬼「大して変わらないじゃないか、卑怯な奴め…」

圭一「卑怯…?はっ!お前、本当に頭がどうかしちまったんじゃねーのか!?忘れたわけじゃないだろッ!」

圭一「勝つ為には手段を選ばない、何でもありの無法地帯!それが俺たちの部活だったはずだぜ!」


圭一「それを卑怯だぁ…?ははは、笑わせてくれるぜ!笑わせてくれたお礼に、飴でもやろうかぁ!」

眠鬼「い、いらない、そんなもの!」

圭一「だろうな!お前がほしいのは飴でもなければ、ゲームの勝ち星でもない。信頼の心だ!」

眠鬼「し、信頼、だァああ?人間なんかの信頼などいらない!どうせ裏では何を企んでるか分からない!」

圭一「違う違ぁーう!俺が言ってるのは『信頼してもらう』ことじゃない。お前自身が他人を『信頼する』心だ」

圭一「お前、心のどこかで思ってたんじゃないか?自分と俺たちは絶対に分かり合えないって」

圭一「理由は多分、お前の持ってるその力が関係しているんだろうが」

圭一「だから、お前は端から俺たちを信用しなかった!諦めてた!疑ってたんだ、俺たちの事を!」

眠鬼「違う!私は信じてた!それをお前らが裏切ったんだ」


圭一「俺たちはお前を信じていたぜ?よく考えろ?信頼無しに何でもありの部活なんかできるか?」

圭一「信頼し、信頼されている!その確信があるから手加減なしで勝負できるんだろ」

眠鬼「わ、私だって…」

圭一「違うね!お前は俺たちを信じてなかった!」

眠鬼「どうしてそんな事が言える!」

圭一「手を抜いてたじゃないか!そんなすげぇ力持ってるのに!隠してた!」

眠鬼「……はぁっ?あ、当たり前だろ!鬼の力なんて使ってみろ!普通の人間なんか

圭一「ほら!今認めたな!手を抜いてた事!駄目だな!全然駄目だぜ!信頼してない証拠だ!」


圭一「普通の人間じゃあ絶対に勝てない、ってか?やってもないのに何で分かるんだ、そんなこと!」

圭一「どこぞのお偉い学者先生が論文でも発表したか?『眠鬼が本気を出したら、前原圭一は太刀打ちできません』、って!」

圭一「何大学だ?東大?京大?それともハーバードあたりか!?」

眠鬼「くっ…!」

圭一「あそこ見てみろ!いるだろ?園崎魅音、竜宮レナ、北条沙都子、古手梨花!部活メンバー全員!」

圭一「仲間だから!分かり合えると信じてるから!俺たちは逃げない!」

圭一「へへっ!今頃、沙都子なんかは考えてるぜ!お前にどんなトラップが有効かってな!」

圭一「論文が発表されようが、実証されようが俺たちはそんなの認めない!いい加減、目を覚ましたらどうだ!」

圭一「俺たちが信じられないんじゃない!お前が俺たちを信じないんだ!」


圭一「レナは自分を責めてた!自分の言葉がお前を傷つけた、と。それも見当違いだったな!」

圭一「こんな状況になった原因はおまえ自身の心の弱さだ!」


眠鬼「……もう、いい。分かった、口先じゃあお前に勝てない…」

圭一「当然だ、口先は俺の専売特許だぜ!簡単に破られちゃ、この先やってけねぇよ」

眠鬼「だから、もういい。お喋りは終わり。お前を殺せば、それで終わりだ」シュンッ

圭一「(手が刀に変わった…!)」

眠鬼「これで、まずお前を殺す。その後他の人間を殺して、終わりだ」


圭一「…へへへ、面白い!じゃあ、さっそく証明してやるぜ!」

眠鬼「……何?」

圭一「『眠鬼が本気を出したら、前原圭一は太刀打ちできません』が机上の空論だってな!」


圭一「これは二人だけの部活だ!勝利条件は簡単!お前が俺を殺して、実力の差を見せつければいい」

眠鬼「……無駄だよ。お前に私は止められない。倒せやしない!」

圭一「はぁあ?誰が倒すって言った?というか俺の攻撃、いや、口撃は既に終わってるんだぜ?」

圭一「また卑怯とか言うなよ?せっかくの高揚が萎えるから!」

圭一「俺は『口先の魔術師』!言葉巧みに相手の心理を操り、ゲームに勝利する!」

圭一「お前は俺の口撃ですでに心が揺らいでいる!俺が信頼できる人間だと思い始めている!」

圭一「だから、お前に俺は殺せない!仲間だからな!」


眠鬼「……ッ!ゴチャゴチャ、うるさいっ!おしゃべりは終わりだって言っただろ!」

圭一「だったら来い!お前は絶対に俺を殺せないッ!」

眠鬼「お望みどおり!殺してやるぅううううう!うおおおおおおおおッッ!!」



ぬーべー「大丈夫か、玉藻!」

羽入「意識を失ってますが、死んではいないのです」

ぬーべー「そ、そうか…。よかった。い、今、ヒーリングで治して…くっ」

羽入「ぬ、ぬーべーも酷い怪我なのですよ!」

ぬーべー「問題ない!まずは玉藻が先だ…」

羽入「僕もさっきからやってるのですが、力を使い果たしていて」

ぬーべー「二人がかりなら、危険な状態は脱するはずだ。頑張ってくれ!」

羽入「は、はいなのです!」


ぬーべー「圭一は大丈夫か…?」

羽入「僕たちに出来るのは彼を信じる事だけなのです。あうあう…」



沙都子「だ、大丈夫でございましょうか、圭一さん…」

梨花「大丈夫なのです。やる時はやる男なのですよ、圭一は」

魅音「そうだね、圭ちゃんならきっと…!」

レナ「うん。きっと眠鬼ちゃんを助けられる。あの時の私みたいに」

梨花「……ど、どういう意味なのですか?」

レナ「分からないけど、昔、あんな状態だった私を圭一くんが助けてくれた、気がするの…」

梨花「そうなのですか……」




広「うおおおおお!眠鬼!俺たちだって友達だぞおおお!」

克也「おい、危ないって!窓から身を乗り出すな!」

郷子「眠鬼!あなたが鬼だって関係ない!私たちの友達にはそんなの珍しくもなんとも無いわ!」

美樹「そうよ!そうよ!この美樹さまが友達だって言ってるんだから信じなさいよ!」

まこと「怖くて見てられないのら…」

ゆきめ「大丈夫、きっと眠鬼ちゃんも戻ってこれるよ。私と同じように」



眠鬼「死ねぇええええっ!」

圭一「俺は信じる!お前が俺を信じてくれると信じるっ!絶対に目を逸らしてやらないぜぇッ!」

まこと「ど、どうなったのら…?」

広「み、眠鬼…!」

魅音「け、圭ちゃん…」

梨花「ふっ、決着はついたようね……」

美樹「一体どうなったのよっ!?」


圭一「……」

眠鬼「……」


レナ「眠鬼ちゃんの攻撃が」

克也「す、寸前で止まった……」

郷子「つ、つまり…」

沙都子「この勝負は…」

羽入「圭一の勝ちなのです!」

一同「やったあああああああああああああああああ!!!!!」


ぬーべー「……よくやったな、圭一」



圭一「へへへ、ありがとよ。俺を信じてくれて」

眠鬼「馬鹿じゃないの!こんなの無謀じゃない!無茶苦茶だ」

圭一「違う、信頼さ」

眠鬼「わ、私は鬼よ…!極悪非道の代名詞…。そんなものをこうも簡単に信じるなんて…ホント馬鹿だ」

圭一「信じるのに簡単を困難もねぇ!信じると決めたら、疑わない。それだけだ」

圭一「俺だけじゃない。部活メンバーみんなお前を信じてる。広たちだってきっと信じてる」

圭一「そしてお前も信じてくれた。へへへ、これで本当の仲間になれたぜ」

眠鬼「わ、私を仲間と呼んでくれるのか…、こんな酷いことをしたのに」


圭一「なんだなんだぁ?らしくねぇな!お前はそんなうじうじする性格だったか?」

圭一「謝ればいいじゃないか!間違ったことをしたんなら!それで終わりだろ?」

眠鬼「ゆ、許してくれるのか…?私のこと…」

圭一「まぁ、駄目だろうなぁ~!」

眠鬼「…!そ、そうか、やっぱり……」

圭一「部活で手加減するなんざ許される事じゃねぇ!誓え!二度と手は抜かないと!」

圭一「そうすりゃ、今回の事は水に流してやる!」

眠鬼「圭一……。しかし、玉藻には酷い事を……」

圭一「そ、それは……」

眠鬼「謝って許してもらえる事じゃない……」

玉藻「全くだ…。こんな事、そう何度もされてたまるか」

ぬーべー「だ、大丈夫か!玉藻!」

玉藻「えぇ、もう大丈夫。あとは自力で治せます」

眠鬼「ご、ごめん……、なさい……」

玉藻「……ふっ。いいか、許すのは今回が最後だ。二度とするんじゃない」

圭一「ひぅ~ッ!かっけーぜ、玉藻さん!」

玉藻「ヒステリーを起こした子供をあやすのも大人の仕事だ」

眠鬼「た、玉藻…あ、ありがとう…、ううっ…」



広「眠鬼!」

郷子「眠鬼!もう馬鹿なんだから!」

レナ「眠鬼ちゃん、信じてくれて、ありがとう」

眠鬼「みんな…、ごめん……ううっ」

圭一「へへへ!眠鬼が泣くなんて、こりゃあ今晩あたり銃弾でも降ってくるんじゃないか?」

眠鬼「な、泣いてない!目にゴミが入っただけだ!/////」

まこと「やっと、いつもの眠鬼なのら!」



ファンファンファンファンファン


ぬーべー「ん?何の音だ?」

ゆきめ「パトカーがこっちに向かってきてるようです」

玉藻「当然ですね。これだけ暴れて、通報されない方がおかしい」

広「ど、どうすんだよ!ぬーべー!」

ぬーべー「うーん、言って信じてくれるような人種ならいいんだが…」

梨花「もう一度出番なのですよ、圭一」


ぬーべー「お、そうだな!上手い言い訳頼むぞ、『口先の魔術師』!」

圭一「うおおおおお!?また俺かよぉっッ!」

魅音「頼りにしてるよ、『口先の魔術師』ぃ~!」

レナ「やる時はやってくれるんだよね、『口先の魔術師』!」

沙都子「頑張ってくださいまし、『口先の魔術師』さん!」


圭一「や、やめてくれぇ~!恥ずかしいぃ~~ッッ!!」




羽入「これにて一件落着なのです!あうあう!」

やっと茶番終わったお…
ラストが見えてきたお…

ほしゅそういちろー

羽入は鬼狩柳桜を使ってほしい

羽入「抜刀!鬼狩柳桜!」
羽入「これでわかったであろう。それが人の限界です。」


羽入が使うのはデイブレイクだけで、本編では桜花が使ってるんだっけ?



ザザッ

山狗A『こちら山狗A。配置につきました。命令があればいつでも動けます』

小此木「あー了解。しばらく待機してくれ」

山狗A『了解しました』


小此木「…ふぅ、いよいよ、か」

小此木「で、どうします、三佐?早速おっぱじめますかい?」

鷹野「当然じゃない、すぐに始めなさい」

小此木「……了解しましたぁ」

小此木「全部隊に告ぐ。『終末作戦』開始してくれ」

山狗の皆さん『了解ッ!』



鷹野「ついに、ついに私の夢が成就される時が来たわぁ…。うふふふ」




山狗A「これより、古手梨花がいると思われる納屋への侵入を開始する」

ガラガラッ

山狗A「探せ!どこかにいるはずだ!」


山狗B「見つけた!二階の押入れに隠れていた!」

山狗B「さぁ、かくれんぼはお終いだ!大人しくついて来いっ!…あ、あれ?」

山狗A「どうした?」

山狗B「こいつ、古手梨花じゃねぇっ!」

??「さっそく見つかってしまったか」

??「そのようですね」

山狗B「誰だ、貴様らは!」

山狗A「恐らく古手梨花の友人だと思われますが、どうしますか?」

小此木『ちょっと待ってろ。……拘束しろ。もし抵抗するようなら殺せとのことだ』

山狗A「抵抗するなら殺せ、ですね。分かりました」

山狗B「…だ、そうだ。どうするガキども?抵抗してもいいんだぜ、友達より早く死にたいならな!」

??「ま、とりあえずはお言葉に甘えて、抵抗しておくか…!」

??「やれやれ…。この体じゃあ時間稼ぎ程度にしかならないでしょうが…」



バタンッ!

山狗B「ははは、ガキにしては粘ったじゃねぇか!」

山狗A「顔に一発もらっちまったぜ」

??「くそっ…!」

山狗B「頑張ったご褒美に、苦しまないように一撃で殺してやるよ!」

パンッ パンッ


山狗B「二人仲良くあの世に行くんだな……ん?」

山狗A「な、何だこれは…ッ!?」


小此木『どうしたぁ?始末したのか?』

山狗A「そ、それが…!銃で頭を打ち抜いたら……そんな!」

小此木『おい、落ち着け。何があったか詳しく報告しろ』

山狗A「か、体が、白い靄のようになって……、消えた……?」

山狗B「そんな馬鹿なッ!?」

小此木『そんはずあるか!何らかのトリックだ!よく探せ!』

山狗A「だ、駄目です!どこに死体はありません!完全に消えましたッ!!」

小此木『何が起きたかは分からんが、どうやら逃げられたようだな…』




小此木「三佐。すいません、ガキに逃げられたみたいです」

鷹野「逃げられたですって?使えない無能な兵隊ね!」

鷹野「ふん、まぁいいわ。周囲に既に封鎖されているのよ、すぐに見つかるわ」

鷹野「それよりも、問題は古手梨花よぉ。あの娘はどこにいったのかしら?」

小此木「考えられるのは本家の方ですかねぇ」

鷹野「だったら、すぐに兵隊を向かわせなさい!チャンスは今夜一晩しかないのよ!」

小此木「…了解」

鷹野「全く!これだからガキは嫌いなのよ。人の都合もお構い無しに好き勝手暴れて……」


小此木「……一体、何だったんですかねぇ。昼間のあの騒ぎ」




ぬーべー「…ん。どうやら陽神の術で作った分身はやられたようだ」

玉藻「こっちもです」

ぬーべー「子供たちを逃がす時間を稼げただけよしとするか」

眠鬼「本当に大丈夫なのか?ここは完全に包囲されているんだろ?」

ゆきめ「あの山は子供たちにとっては庭みたいなものなんだって。秘密の抜け道があるらしいの」

ぬーべー「しかし、やはり仕掛けてきたか…」

ゆきめ「圭一くんの読み的中ですね」

玉藻「さすが、というべきでしょう。本当に頭のいい子供だ」




数時間前


圭一「何とか警察も智恵先生たちも誤魔化せたけど……」

広「すげぇよ!本当に警察を言い包めるとは思わなかったぜ」

美樹「ホントホント。まさかあんな手を使うなんて!」

郷子「あそこであんな切り替えし方があるとは思わなかったわ!」

克也「もう芸術の領域だよな!」

まこと「さすが『口先の魔術師』なのら!」

レナ「でも大石さんは、まだ納得してなかったみたいだったね」

沙都子「……でも、本当の問題はこれからでございますわ」

魅音「一難去って、また一難か…」



玉藻「一段落ついたところで、本題に戻りましょう」

ぬーべー「確かに。のんびり傷を癒している暇はない…」

羽入「梨花はいつ殺されてもおかしくないのです。昼の戦いに巻き込まれて死んでもおかしくなかったくらいなのです」

梨花「……そうね。考えてみれば、L5を発症した仲間に殺される事なんて珍しくないもの」

ぬーべー「しかし、ここに来て分からなくなってきた」

梨花「ゆきめと眠鬼の症状の悪化を抑えるために注射を打ちに行った時、探りを入れてみた」

梨花「『山狗を使って僕を殺そうとしてすのですか?』ってね」

羽入「もし梨花を殺そうとしているのが入江一人なら、今まで僕たちでも回避可能だったはずなのです」

梨花「でも、どうやら違ったようね。彼に山狗の指揮する権限は無いらしい」


梨花「山狗を操れるのは鷹野だけ、そう言うと彼はしばらく黙り込んでしまったわ」

羽入「そして教えてくれたのです。彼が鷹野の死に疑問を抱いている事を」

玉藻「つまり鷹野三四は生きているかもしれない」


ぬーべー「それなら彼女の魂が見つからないのも納得できる」


梨花「何故、死を偽装しないといけなかったのか。それは分からないのです、でも」



玉藻「全ては君を殺すため、そして」

羽入「やはり鷹野は研究を完成させようとしてるのですか…」

ぬーべー「犯人が分かったところでどこにいるか分からなければ動きようがない」

玉藻「それ以前に我々は満身創痍。こちらから攻めるにはあまりにも弱っている」

梨花「やはり向こうが接触してくるのを待ってるしかないのですか…」

羽入「精神的に参ってしまうのですよ」

ぬーべー「いつ攻めてくるかさえ、分からないのはキツイな……」


圭一「その話なんだけど、分かるかもしれないぜ」

梨花「え?どういうことなのですか、圭一?」


圭一「いいか?仮に鷹野さんが犯人だとして、自分の死を偽装したんだ。今更あとには引けない」

圭一「しかし、今この村は世間の注目の的になろうとしている」

玉藻「……そうか、昼間の騒動だな」

圭一「その通り。いくら俺が警察を言い包めたとはいえ、あれはその場凌ぎに過ぎない」

圭一「一晩眠れば、一人くらいおかしい事に気づいてもう一度やって来る。大勢の仲間を連れてな!」

圭一「それだけじゃないっ!そうなればマスコミだって放っておかない!報道されれば野次馬もくる!」

圭一「そんな部外者がウジャウジャいる所で何とかって部隊動かせるかぁ?無理だろうな」

圭一「だったら、騒ぎが収まるまで待つか?そんな悠長な事できるなら死の偽装なんて真似しないはずだ!」

圭一「切羽詰っているんだ!じゃあ、どうする?そうだ!残された機会は唯一つ!!」


玉藻「今夜から明日の夜明けまでの間、というわけか」


――――――

ぬーべー「圭一を信じて、用心しておいてよかった」

玉藻「陽神の術の分身を囮にして梨花クンを本家に避難させ、接触があればすぐに逃げられるようにした」

ぬーべー「しっかし、敵がやって来るの待ってるんじゃ、俺たちがあーだこーだ考えるのは無駄だったな」

眠鬼「それに比べ、私たちが昼間暴れたのは案外無駄じゃなかったんだな!」

ゆきめ「そ、そうだね…あははは」

ぬーべー「……」

玉藻「……」


バタバタバタ


ぬーべー「む、どうやら来たようだな」

ゆきめ「室内で応戦するわけにもいきません、外で迎え撃ちましょう」



山狗A「こちら山狗A。本家の周囲に配置完了。いつでも突入できます」

小此木『では、さっそく制圧開始だ』

山狗A「りょうか…あっ!誰か出てきました!」

山狗B「今度は大人が3人にガキが一人かっ!男二人はどっかで見たような……」

山狗A「どうしますか?」

小此木『……始末しろ』

山狗A「了解。全員でかかれ!さっさと始末して、家屋の捜索に移るぞ!」

山狗の皆さん「おおおおっ!」



山狗C「撃ち殺せ!」

ピキピキ

山狗C「な、何ぃーーっ!銃が凍った、だとぉー!?」

ゆきめ「本当なら全員まとめて氷漬けにしたいんですけどね!生憎妖力が足りなくて」

山狗C「くっ!銃が駄目なら肉弾戦だ!女一人に手こずるんじゃな……なにっ!動かない!」

ゆきめ「足元がお留守ですよ?凍らさせてもらったわ。しばらくそこで大人しくしてなさい」



山狗D「こっちも撃ち殺せ!」

ダダダダダダダッ

山狗D「ははは!やったか!?」

玉藻「ふっ。知らないのか?その台詞は『やってないフラグ』だぞ」

山狗D「…?え?じ、銃弾が、空中で止まった?何をした?」

玉藻「本来なら狐火で焼き殺してやるところですが。生憎妖力が足りなくて」

山狗D「なんだ、それ!そ、そのサインペンで何をした?」

玉藻「霊力の無い人間には見えないだろ、この『くだ狐』は。こいつは私と違って慈悲深い、決して命まで奪わない…」



山狗E「諦めろ、命令だ。子供だからって容赦しな

眠鬼「うるさいっ!」ブンッ

山狗E「ぎゃふんっ!」

山狗F「だ、大丈夫か、伊井ーッ!?」

眠鬼「お前たちか、私の仲間を傷つけようとしてるのは!」

眠鬼「そんなこと絶対にさせない!ここで必ず食い止めてやる!」

山狗F「伊井の仇ぃー!」

眠鬼「カタキだぁあ?だったら、こっちも仇討ちだっ!何度もお前らに殺された梨花の仇だぁあああっ!」




ギャァアアーーッ!!!!




小此木「おい、何があった!状況報告しろ!おい!」

山狗G『た、たすけ……ぎゃああああああッ!』

山狗H『ば、バケモノ……プツッ』

プーーーーーーー

小此木「くっ!一体、何が起きている…?」


山狗A『報告します!かくかくしかじか…』

小此木「何?そうか、報告ご苦労」

鷹野「これは、どういうことなの?小此木!何故、たった四人も始末できないの!」

小此木「落ち着いてくだせぇ、三佐。実はかくかくしかじか……」



山犬I「何なんだ、これは…!何なんだ、お前は!」

ぬーべー「俺はただの教師だ!俺の教え子は絶対に守る!傷つける事は許さない!」

山狗I「教師だと?教師なら大人しく教鞭振るってろぉ!」

ぬーべー「そう言うのなら特別授業だ!ただし、俺が振るうのは愛の鞭だっ!歯ぁ食いしばれッ!」



まこと「も、もう走れないのら~」

郷子「まこと、しっかりしなさい!」

魅音「もうすぐ園崎家の敷地だよ。そこまで逃げれば簡単に手は出せないはず」


美樹「ち、ちょっとくらい休ませてよぉ…」

克也「さすがに疲れるぜぇ…」

圭一「なんだ、だらしないな!都会の奴はやわでいけないぜ!」

レナ「仕方ないよ。レナたちはこの山道もやれてるけど、広君たいは初めてなんだよ?」

沙都子「それもこんな暗い中だと、余計に疲労してしまうのでございますわ」

広「はぁ、はぁ…。ここまで逃げれば十分じゃないのか?ぬーべーたちが今頃ぶっ飛ばしてるだろ?」

梨花「運命の力を甘く見てはいけないのです。僕を殺す事をそう簡単には諦めてくれないのです」



圭一「少しだけ休むか。3分だ!それ以上は危険だ」

梨花「……わかったのです。僕のせいでみんなのこんな危険な事に巻き込んでごめんなさいなのです」

圭一「今はそんな事気にしてないで、生き延びる事だけ考えるんだ!」

圭一「運命?運命なんて諦める理由にならねぇよ!簡単に打ち破れる!俺たちなら!」

圭一「だからよぉ、しっかり生き抜いて、全部片付いたら!へへへ、色々サービスしてもらうからな~!」

梨花「分かったのです。どんな事でもしてあげるのですよ」

圭一「約束だぜぇ!」



羽入「(聞いてない、僕は聞いてないのです。死亡フラグを立てるような台詞は聞いてないのです。あうあう)」




ぬーべー「さて、そろそろ降参したらどうだ?そちらはもう壊滅状態だ」

山狗Z「そうみたいだな…」

玉藻「観念して指揮官のいる所へ案内しなさい」

ゆきめ「そうすればこれ以上誰も傷つかないで済むわ!」

眠鬼「お前たちの負けだ!」



山狗Z「……ふっ。くっくっくっくっ…」

ぬーべー「……何がおかしいんだ」

山狗Z「いやぁ、悪い。あまりの能天気っぷりについ笑いが抑えられなくてな。くくくくく」


山狗Z「お前ら、倒そうと思えばもっと早く俺たちを制圧できたはずだ。違うか?」

山狗Z「へへへ、まさか、自分たちが俺たちを足止めしていた、なんて思ってるのかぁ?」

ゆきめ「どういう意味?」

玉藻「……!ま、まさか!」

眠鬼「一体何だって言うの?」

山狗Z「やっと、気づいたようだな。くく、足止め喰らってたのはお前たちのほうだ」

ぬーべー「何っ?」


玉藻「鵺野先生、子供たちが危ないッ!!」


山狗Z「とっくに気づいていたよ、家の中に子供たちがいないことは!」

山狗Z「この包囲網の中、逃げられるとすれば裏の山くらいだ」

山狗Z「くっくっ、さっきの質問に答えよう。俺たちの指揮官はどこだ、って質問だ!」

山狗Z「指揮官は今頃、逃げたガキども追って、山ん中だろうよ!銃持った兵隊何人も連れてな!」

眠鬼「こ、ここにいるのが全員じゃないのか!?」

山狗Z「後備えくらい用意してるに決まってるだろ!」

ゆきめ「せ、先生!」

ぬーべー「くそっ!やられたっ!」

ぬーべー「そこをどけっ!」

山狗Z「おーっと!ここは通さないぜ!へへ、立場逆転だな!」

山狗Z「一分一秒でも長く、足止めし……うぎゃああっ!」

玉藻「鵺野先生!ここは我々が引き受けるので!早く行って下さい!」

眠鬼「頼んだよ、お兄ちゃん!」

山狗の皆さん「行かせるなあああああっ!」

ゆきめ「私が氷で道を開きます!さぁ、行って下さい!」カチカチカチ

ぬーべー「ここは任せたぞ!」




魅音「よし、そろそろ行こうか」

美樹「えぇ?もう?」

まこと「もっと休みたいのら…」

レナ「もうひと踏ん張りだよ!頑張って!」

沙都子「しっ!静かにしてくださいまし!」



カラカラ


克也「な、何だよ、この音…」

魅音「……沙都子のトラップだよ」


レナ「…誰かがこっちに近づいてきているんだね」

圭一「そうみたいだな」

広「き、きっと、ぬーべーだろ?悪い奴全員倒したから迎えに来たんだよ!お、おーい!ここにい

魅音「うわっ!ば、馬鹿!大声出すな!」

沙都子「忘れたのでございますか?落ち合うのは魅音さんの家の約束ですわ!」

郷子「じ、じゃあ、誰が来てるっていうの…?」


レナ「……想定してた可能性の中でもかなり悪い部類だね」

圭一「へへへ。でも、まださいあ

梨花「『最悪じゃない。最悪じゃなければ最高と同義だ』なのですね、圭一」

圭一「おいおい、梨花ちゃん!そりゃあ、俺の決め台詞だぜ?」



カラカラ


カラカラカラ


美樹「ど、どんどん近づいてくる!」

まこと「怖いのらー」

魅音「この速さなら園崎家の敷地に入る前に追いつかれる」

沙都子「で、でしたら戦うしかありませんわ!」


レナ「そうだね。きっと向こうはレナたちが攻撃してくるなんて思ってもいないはず」

圭一「奇襲をかけるのか、いいねぇ!逃げ回るなんて俺たちの性に合わないと思ってたんだよなぁ!」

広「ほ、本気でいってるのか?ぬーべーたちが止められなかった敵だぞ!」

梨花「そうとは限らないのです。包囲網を抜けられる事を想定した別部隊がいただけかもしれないのです」

魅音「そうだね。まともな指揮官ならそれくらい用意してるだろうね」

克也「つ、つまり、ぬーべーたちは負けたわけじゃないのか…」

郷子「そうよ、たかが武装した人間相手にぬーべーが負けるはずないもん」



魅音「いい?子供相手だと思って、向こうは油断してるはず」

魅音「そこに不意打ちをかければ、相手が幾らプロだって隙が出来る!そこを見逃さずに叩く!」

圭一「へへへ、それだけで良いのか!」

沙都子「楽勝でございますわ」

広「か、簡単に言うなよ!そんな針の穴に糸を通すようなまね、武装した兵隊相手にやれっていうのかよ!」

梨花「無理にとは言わないのです。広たちは逃げてくれても構いません」

レナ「レナたちは部活でこういうこういう事慣れてるから」

郷子「そ、そんな…!」

広「そんなことできるはずないだろ!狙われてる本人置いて逃げるなんて!」

カラカラカラッ!


美樹「も、もうすぐそこまで来てるわ!」

魅音「悩んでいる暇はないよ!覚悟を決めないと」

梨花「僕の事は気にしないでくださいなのです。ここまで一緒にいてくれただけ十分なのです。僕は幸せ者なのですよ。にぱー☆」

克也「り、梨花ちゃん…」

沙都子「簡易ですけど罠を仕掛けなおしてきましたわ」

魅音「ありがと、沙都子。まずは、そのトラップで敵の分散だね、基本中の基本の戦術」

レナ「分断されて焦っている所を襲撃するんだね」


圭一「広!決めろ!戦って生き延びるのか!逃げ切って生き延びるのか!」

広「うっ……」

魅音「駄目だね、即決できないようじゃ足手まといになる。みんなは逃げるんだ」

まこと「でも…!」

魅音「誰も責めないよ。武装した大人相手に戦えっていう方が無理な話だもん」

魅音「ここまで、梨花のために力を貸してくれてありがとう。部長としてお礼を言わせてもらうよ」


山狗α「みつけたぁ!ガキどもがいたぞっ!」

沙都子「見つかってしまいしたわ!」

圭一「いいか?俺たちが引きつける!だから、ここに隠れて敵をやり過ごした後、今来た道を戻るんだ!」

克也「そんな…」

レナ「行くよ、圭一クン!」

圭一「分かったな!絶対に捕まるんじゃないぞ!アディオス!」



鷹野「何て様なのぉ、小此木!包囲網すらまともに張れないの?」

小此木「仕方ないでしょう。この作戦自体、つい数時間前に決まったんですよ」

小此木「その上、この山はあいつらのホームと来たもんだ。後手に回るのは避けられないでしょう」

鷹野「い、言い訳なんて聞きたくないわ!さっさとガキどもを見つけなさい!」

鷹野「女王感染者以外は殺して構わないからっ!」

小此木「了解。お前ら、聞こえたな?相手が子供だからって気を抜くんじゃねぇぞ」


山狗β「しかし、さっきから、何の音だ」

カラカラカラ

山狗γ「きっとガキたちが遊んでいる時につけたものだろ」

小此木「おい、気を抜くなと言ったばかりだろ。こいつは罠だ」

小此木「こっちの位置を把握するためのもんだ。昼間のうちからこうなる事を想定して準備してたんだろうな」

小此木「相当頭の切れるガキだ」

鷹野「あ、あなた、罠だと知ってて?わざわざ相手にこっちの位置を教えてたの?」

小此木「よく考えてください。こんな暗い森の中でどうやってガキどもを見つけろっていうんですか」

小此木「どこかで息を潜めってジッとされてちゃあ、見落としてしまうかもしれない」

小此木「だったら、こいつで知らせてやるんですよぉ。何者かが迫ってきているってね」

小此木「そうすれば、きっと何か行動を起こすはずです。出てこないなら炙り出すまでですよ」

鷹野「そ、そんな事まで考えていたの」

小此木「部隊を率いる者としてこれくらいは当然です」

鷹野「し、指揮官は私よぉ!」

小此木「だったら、もう少し落ち着いてくださいよ。あなたらしくもない」


鷹野「あ、あんたに私の何が分かるって言うのよっ!」


ガリッ


小此木「指揮官さんは少し動揺してようだ。お前らはしっかりしろよ」

山狗α「は、はい」

小此木「ん、小枝が折れている…。こっちの方向に進んだのは間違いないだろうな」

カラカラカラ

小此木「そろそろこの音に気づいたはず。何をし掛けて来るか楽しみだなぁ」

小此木「ほぅら!敵が迫ってるぞ!捕まったら殺されちゃうぞ!どう来る、ガキども?」

カラカラ カラカラカラ

小此木「お前ら、集中しろ!どんな変化も見逃すな!どんな音も聞き逃すな!」

山狗β「(だったら、もう少し静かにしてくださいよ…)」


山狗α「あ、みつけたぁ!ガキどもがいたぞっ!」



魅音「よし、今だ!沙都子!」

沙都子「お任せあれ!ポチッとな、でございますわ!」

カチャ ガリガリ コトッ


シーン

レナ「…あれ?」

圭一「ま、まさかの不発?」


小此木「(……仕掛けてこない。何を企んでる?)」

山狗δ「逃がすか!」

山狗β「フルボッコじゃああい!」


魅音「…奇襲失敗か。仕方ない、一旦退くよ!」

梨花「沙都子!行くのです!」

沙都子「そ、そんなはずないでございますわ!」カチカチカチ

レナ「沙都子ちゃん!もういいから!」

沙都子「わ、私のトラップが働かないと!り、梨花が殺されちゃう!」カチカチカチ

圭一「沙都子!危ない!早く逃げろ!」

沙都子「…動け、動けっ!動いてくださいましッ!」カチカチカチカチ

山狗δ「まずは一人!」



沙都子「た、助けて…にーにー……」カチカチ

カチャ

ゴト ガリガリ ドンッ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

沙都子「……!う、動きましたわ!!」


山狗α「な、何の音だ?」

山狗δ「じ、地面が、ゆ、ゆ、揺れているぞ」

小此木「気をつけろ!何か来るぞ!」

バキ バキバキ バキバキバキバキ

圭一「お、おいおい沙都子。お前、一体どんなトラップ仕掛けやがったんだぁ?」

バキバキバキバキバキ

山狗γ「な、何だ?何かが、森の奥から……」



鷹野「何よ、あれぇ!」

山狗α「い、い、い、岩だっ!巨大な岩の塊がこっちに転がってくる!」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

山狗β「いやああああああああああああああ」

小此木「…くくく、想像以上だ!トンでもないもの仕掛けてくれたぜ!」

小此木「全員、回避しろっ!」

山狗δ「言われなくてもおおおおおおおおおお」

魅音「よ、よし!よくやったね沙都子!奇襲成功だ!」

沙都子「と、当然でございますわ!わたくしのトラップは完璧なのです!」



魅音「敵が合流する前に一人ずつ叩くよ!」

梨花「僕が前に出て、囮になるのです。隙を見て後ろから攻撃してくださいなのです」

圭一「普段なら危険だ、って止めるところだけど、今はそれが一番手っ取り早い」

レナ「大丈夫。指一本動かす前に決めるから。信じて」

梨花「信じているのです。仲間なのですから!」

羽入「(いいのですか?オヤシロバリアーは人間の兵器を防ぐのには向いてないのですよ)」

梨花「みんなが命がけで戦ってるのに、巻き込んだ私が命をかけなくてどうするのよ」

羽入「(あうあう…)」



克也「行ったみたいだな…」

美樹「そうみたいね」

まこと「沙都子ちゃん、すごいのら!僕らと同じくらいの年齢なのに…」

郷子「梨花ちゃんも。殺されるかもしれないのに、自ら進んで囮になってた…」


広「……なぁ、本当に俺たち逃げていいのか?」

美樹「魅音さんが足手まといだって…」

広「友達見捨てて逃げるなんて、俺にはやっぱりできねぇ!」

郷子「広…」

克也「……そうだな。お、俺もそう思ってたところだぜ」ガクブルガクブル

美樹「怖いくせに、強がっちゃって…。でも、そうよね。逃げるなんてできないよ」

まこと「決まりなのら!」




山狗δ「ぜぇーぜぇー…。助かった。ま、まさかあんな漫画みたいな事してくるなんて…」

山狗δ「あいつら、何してくるか分からない。早く他の奴らと合流しないと…ん?」

梨花「圭一ぃー!魅音ー!どこ行ったのですかぁ?みんな……あ!」

山狗δ「あれは、古手梨花!」

梨花「あ、あ、あぁ……。圭一ぃー!助けてくださいなのですっ!」

山狗δ「あいつらもはぐれたのか!ちょうどいい、捕まえ

ゴツッ  ドサッ

レナ「まずは一人」

圭一「(い、一撃かよ…)」

魅音「ナイスだよ、レナ!梨花ちゃんもいい演技だった!」

魅音「グズグズしてたら合流されちゃう!急ごう!」



山狗β「くそっ!ガキどもめ!調子に乗りやがって!見つけたらただじゃ済まさない!」

梨花「だれかー!いないのですかー!さとこー…あ!」

山狗β「飛んで火にいる夏の蟲!殺してやるぅ!」

ガサッ

圭一「今度は俺が華麗に決めるぜ!アルティメト前原サンダーローリングキックッ!」

山狗β「危ねぇ!」

圭一「何ぃ?アルティメト前原サンダーローリングキックをかわしたぁ?やばい!」

山狗β「このガキ!山狗部隊なめんじゃねぇぞ!死ねっ!」


圭一「なんてね!俺も囮だ!」

魅音「そっちこそ、部活メンバー舐めるんじゃないよ!」

ゴツッ

魅音「ちっ!仕留め損ねた!」

レナ「でも三人がかりなら!」

山狗β「こ、殺してやるぅ…ッ!三人まとめて!」


パーン

山狗γ「そこまでだ!動くとこのガキが蜂の巣になるぞ!」

梨花「くっ…。ご、ごめんなさいなのです、みんな…」



小此木「ここにいたか…。ほう、どうやら目標を拘束したようだな」

小此木「αとδはどうした」

山狗γ「分かりません。迷っているのか、さっきに岩の犠牲になったか、こいつらにやられたのか」

圭一「へへっ!あるふぁだか何だか知らないけど、お前らのお仲間なら一人ぶっ飛ばしてやったぜ(レナがね)」

山狗β「…ッ!勝手に喋るな!」バシッ

圭一「ぐはっ!痛ってぇ…」


小此木「そうか、一人倒したか。くっくっくっ」




広「(まずいぞ!みんな敵に捕まってる!)」ヒソヒソ

郷子「(どうするの?)」ヒソヒソ

美樹「(どうするって、助けるしかないじゃない!)」ヒソヒソ

克也「(でも、どうやって!)」ヒソヒソ

まこと「(敵は三人もいるのら!)」ヒソヒソ

広「(躊躇してる場合じゃねぇ!こ、ここは一か八か…!)」ヒソヒソ


??「(それは止めた方がいい。返り討ちに合うだけだ。僕の作戦を聞いてほしい)」ヒソヒソ

郷子「(あ、あなたは…?)」ヒソヒソ

小此木「……お前ら殺す前に聞いておきたい事がある」

魅音「普通そういうのって逆じゃない?殺される側が聞くもんだよ」

沙都子「冥土の土産でございますわね」

圭一「いいねぇ!じゃあ俺は冥土の土産にみんなのスリーサイズでも順番に聞いていこうかな?」

レナ「はぅ~、死ぬ間際まで変態さんなんだね、圭一君……」

山狗β「(こいつら状況が分かってるのか?なんでこんな落ち着いていられる!?)」

小此木「ふんっ、肝の据わったガキどもだ。嫌いじゃないぜ」

小此木「今夜、襲撃があると気づいたのは誰だ?」

圭一「俺だよ!あんたらの考える事なんかお見通しなんだよ」

小此木「じゃあ、トラップをしかけたのは?」

沙都子「わたくしでございますわ!あの程度のトラップ、朝飯前でございますわ」

小此木「うちのメンバーを倒したのは誰だ?」

レナ「レナだよ。不意打ちとはいえ、一撃で倒れるなんて鍛え方が足りないんじゃないかな?かな?」

小此木「……じゃあ、指揮官は?」

魅音「私だよ!そいつが偶然通りかからなかったら、あんたら今頃壊滅してたのに。惜しかったなぁ」

山狗γ「なにぃ?」

小此木「くっくっくっ、古手梨花。お前、いい仲間を持ったなぁ」

梨花「……」


小此木「お前らみたいなガキに、ここまで苦戦するとはな…」

小此木「敵ながら敬意を表させてもらう。俺の知っている兵士の中でもかなり優秀な部類に入る」

小此木「残念だ、数年後にやりあったら結果はどうなっていたか。それゆえに惜しい、お前たちを殺さなくてはいけないのが」

梨花「だ、だったら見逃してあげてほしいのです!お前たちの狙いは僕だけのはずです」

梨花「僕はどうなっても構わないのです。煮るなり、焼くなり、犯すなり、腹を引き裂いて臓物を引き摺りだされようとも!」

梨花「だからお願いなのです!みんなを助けてください!」

小此木「……駄目だ」

梨花「俺がそのを認めても、お前の仲間がそれを認めない。そうだろ?」

魅音「へー、よく分かるね!おじさんもなかなか優秀な方だと思うよ!私たちは絶対にそんなの認めないよ!」

梨花「み、魅音……」


小此木「残念だが、そういうことだ。古手梨花以外にはここで死んでもらう」

小此木「なに、すぐ追いつくさ。少しの間、三途の川原ででも待っててやれ。おい、殺せ」

山狗β・γ「了解」


羽入「(オヤシロバリアー!オヤシロバリアー!オヤシロバリアーっ!!あうあう…!だ、駄目なのです…!)」


ガサガサガサッ

広「お、おい!馬鹿!押すなって!」

小此木「誰だっ!」

レナ「ひ、広くん!?」


郷子「み、見つかった!」

克也「やべぇ!逃げろっ!!」

小此木「他にもガキがいたのか!ここには俺が残る!お前らは追え!」

山狗β・γ「はっ!」



山狗β「おい!止まれ!殺すぞ!」

広「止まっても殺すくせに!」

郷子「ちょっと!喋ってないで早く行ってよ!」



山狗γ「どこ行きやがった!出て来い!出てこないと殺すぞ!出てきたら見逃してやる!」

美樹「騙されないで!出てったら駄目よ!」

まこと「わかってるのら!」

克也「見つかった瞬間、あの世行きだ!」


富竹(霊)「よし、ここまでは作戦通り。三人の分断に成功」



山狗γ「どこ行った…?」


にゅーっ

美樹「ここだよ」

山狗γ「後ろか!……いない?」


にゅーっ

美樹「違うよ、こっちこっち!」

山狗γ「また背後に!いない…?馬鹿な!気配は真後ろにあった!耳元で囁かれていたッ!」


にゅーっ

美樹「どこ見てるの。こっちだって(私の役目はろくろ首を活かして、敵を陽動すること)」

山狗γ「いい加減にし

まこと「まことビーム(最大出力)なのらっ!」

ビシャッ


山狗γ「っぷはっ!冷てぇ!何の液体かけやがった!?」

まこと「まことビーム連射なのら!(僕の役目はまことビームで敵をずぶ濡れにすること)」ピューッ ピューッ ピューッ

美樹「いいぞ、まこと!もっとやってやれ!」

克也「(よし、今のうち、こっそり後ろから近づいて!)」

山狗γ「ち、調子にのるなぁ、クソガキぃいいいいいいいいッ!」

ドス

克也「ぐはっ…!」

山狗γ「同じ手が何回も通じると思うなよ!お前もだ!」

ゲス

まこと「ぎゃあっ!」

美樹「まこと!克也!」

山狗γ「水鉄砲だとぉ!どこまで!俺をこけにすれば!気がすむんだ!」

山狗γ「まずはチビ。お前から殺す」

まこと「ま、ま、まことビーム…」ピュッ

山狗γ「…ッ!う、う、うおおおおおおッ!死ねぇえええええ!」

ガシッ

克也「う、ううっ……」

山狗γ「仲間を庇ってまず先に死にたいか?だったらお望みどお

克也「お、俺の役目は、こっそり後ろから近づいて、まことのかけた、ガ、ガソリンに火をつける、こと…」

山狗γ「……が、がそりん…?」

克也「へへ、臭いで気づけよ、馬鹿…。襲撃されることが分かっててただの水鉄砲なんか装備するか!」

山狗γ「お、お前はどうやって火をつけるつもりだ?何も持ってないじゃないか!」

克也「残念、だったな…。沙都子ちゃんの改造で俺、指から火が出るだぜ!」

カチャ ボー


ボンッ!!!

山狗γ「ぎやあああああああああああああああああああああああああ」



山狗β「どこに隠れたぁ!?出て来い!出て来ないと捕まってる友達を殺すぞ!!」

山狗β「5秒だけ待ってやる!5!4!3!2、1、0!はい駄目ー!まず一人殺しまーす!」

郷子「ま、待って!」ガサッ

山狗β「そこかぁ~」

郷子「出てきたでしょ?友達に手を出さないで!」

山狗β「残念でした~時間切れ~!そうだな、一人目は…、お前だああああっ!」

グォンッ

山狗β「が、はっ…!何っ…!?いつの間に背後に?警戒していたの、気づけなかった!」

広『気配を消していただけさ。今のは手ごたえがあった。急所に入ったね』

山狗β「く、クソガキ!」

広『遅いっ!』

ドゴッ

山狗β「ごはっ…!(ガキの身のこなしじゃない!訓練された兵士のようだ)」

広『今のも手ごたえがあったぞ』

山狗β「ふ、ふざけやがってっ!」フラフラ

富竹(霊)「(急所にいいのを二発。相手はふらついている。畳み掛けるなら今しかない!回復する前に決着を)」

広『いくぞ!』

山狗β「が、ガキが!返り討ちに

ゴツッ

山狗β「か、かかかか、かはっ……」

バタッ


郷子「は、背後が隙だらけだったから、つい……」

広『だ、だからって、何もそんな大きな石で後頭部を強打しなくても……』

広「(暴力女…)」

郷子「ん?何か言った?」


山狗β「あ、あああああ、あああ」

郷子「あ!まだ意識がある!……もう一発いっとく?」

広『……殺さない程度にね』



チラッ

小此木「(遅い、遅すぎる…。しかし、奴らの要はここにいる4人のはず。ふっ、考えすぎか。あいつらが普通のガキ相手に)」

魅音「普通のガキ相手に負けるはずない、って?」

小此木「…!どうして、私の考えてる事が分かった?」

レナ「簡単だよ。あなたの部下たち、どう考えたって帰りが遅いですよね。あなたもそう思ってたんですよね?」

魅音「あんたは平生を装って、時間を気にする素振りを見せなかった。私たちに動揺を悟られたくなかったからでしょ?」

圭一「だけど、ここに来てついに時計に目をやった。そして一瞬表情が曇ったんだ!俺たちは見逃さないぜ」

魅音「こういう緊迫した状況での体感時間ってのはどうしても長く感じてしまうもんさ」

梨花「実際に経過した時間を知ってしまったあなたは、あまりの遅さに表情を曇らせてしまったのです」


圭一「あんたの脳裏を過ぎっちまったんだよな、あの二人はやられてしまったんじゃないかって!」

レナ「でも、あなたはその直後に考え直す。敵の要である私たちは既に捉えている、と」

魅音「視線がこっちに向けられたからね。それにさっきのあんたの発言、私たちに敬意を表すだのなんだの」

圭一「あの発言から、俺たち以外を敵だと認識してない事は簡単に読み取れる」

梨花「そして、あなたの唇の両端が一瞬緩んだのです」

魅音「だから分かったんだよ。あんたは広たちのことを完全に舐めきっているってね」

小此木「……なるほど。揃いも揃って大した観察力だな」

レナ「部活で日々磨かれてるから」

梨花「これくらいできて当然なのですよ」


小此木「やはり、殺すには惜しい人材だ……」

小此木「どうやら、二人が戻ってくるのを悠長に待っているわけにはいかないようだ」

小此木「残念だが、ここでお別れだ」

カチャ

魅音「…っ!」

小此木「恨むんなら、俺じゃなくて、うちの指揮官さんにしてくれよ」


圭一「……へへへ、冥土の土産に聞かせてやろうか?」

小此木「時間稼ぎか?悪いが付き合ってやる暇は無い」

圭一「気にならなかったか?さっきから沙都子は一言も話してないのを」

沙都子「……」

圭一「まぁ、気にならないっていうなら仕方ない。一思いに殺してくれ」

小此木「ふぅ…、何が言いたいんだ?」

圭一「あんたなら、ここまで言ったら気づいても良さそうなもんだけどな。じゃあ大ヒント。沙都子の特技は何だぁ!?」

小此木「……ふんっ、まさかこの状況で何か新しい罠でも作ってたとでも言うのか?」

圭一「かぁ~ッ!惜しい!残念賞!沙都子!正解を教えてやれ!」

沙都子「正解は『すでにこの場所に仕掛けてあるトラップのスイッチを探していた』でございますわ!」

小此木「なん…だと…?」

魅音「気づいてたんじゃないの?この森は既に罠だらけだって」

レナ「そのうちの一つここにあたんだよ」

梨花「だから魅音はあなたの気を逸らすためにあんなことを言い出したのです」

沙都子「そして、あなたの注意が他の人に向いている間にわたくしが隠していたスイッチを探していたのですわ」

沙都子「それが、これです!さっそく押してみましょう、ポチッとな、でございますわ!」


カサカサカサ

小此木「…!上かッ!」

美樹「残念!二問連続不正解!」

小此木「……っ!?ろくろ首っ!?」

広『正解は下だっ!』

小此木「し、しまったぁ!」

グォンッ


圭一「……へへへ、助けにくるのが遅ぇよ!もうすぐ殺されるところだったぜ」

広『これでも急いできたんだよ、圭一くん』

圭一「ん?そ、その声、まさか…?」


広『憑依合体、解除ッ!』

シュバッ


広「か、体中が、痛ぇええ……ッ!?」

郷子「広!大丈夫!?」

富竹(霊)「予め、説明しただろ。慣れてない者が憑依合体すると体中が筋肉痛みたいになるって」

美樹「あんたたちも思いっきり殴られてたけど、大丈夫なの?」

克也「へ、平気、平気……うっ!」

まこと「うわあああああああああん、痛いのらあああああああああああ」

梨花「よ、よかった、みんな無事で……」

レナ「よかった、じゃないよ!自分ひとりが犠牲になって私たちを助けようとするなんて!」

魅音「あれ、おじさん、ちょっと悲しかったなぁー」

梨花「ご、ごめんなさいなのです…」

圭一「梨花ちゃん、見かけによらず大胆だよなぁ。あんまり無茶するなよ」

沙都子「それは、こっちの台詞でございますわ、圭一さん!何なのですか、最後のあれは!」

レナ「いきなり何言い出すのかと思ったよ!」

魅音「わたしたちがフォロー入れなきゃばれてたよ。最初から罠なんてないって!」

圭一「し、仕方ないだろ!広たちが来てるのに気づいて、どうにかして小此木に隙を作らないといけなかったんだから!」


富竹(霊)「怪我人は出たが、全員無事生き残った。この勝負、君たちの勝ちだ」

羽入「よ、よかたのれす。ううっ…本当によかったのれす……ううっ」

もう惰性で書いてるお…、ピークはやっぱり圭一vs眠鬼だお…
後はもううんこだお…、左肘が痛いお…、もう辞めたいお…




鷹野「何なのよ!あのクソガキどもッ!このままじゃあ、わたしは……」

ガリッ

鷹野「い、いや、いやぁよぉ…っ!ま、まだ、おじいちゃんの研究が…!」

ガリガリッ

鷹野「どこ行ったの、小此木ぃいいっ!早くガキどもを殺しなさいっ!」

鷹野「早く古手梨花を捕まえなさいよぉおおっ!早く…!ううっ……」

鷹野「あ、あいつらが追いかけてくる!いやぁ!あそこには戻りたくなぁいっ!!おじいちゃん、ジロウさん。助けてぇ…」


ガサガサガサ

鷹野「ひぃ…っ!何よぉ~!誰?私をどうする気よっ!」

ガサガサガサ

鷹野「来ないで…!いやぁああっ!来るな!近づくなあああっッ!!」


パーンッ!!



ぽわーん(霊水晶通信モード)

ぬーべー「そうですか、子供たちは全員無事なんですね?」

富竹(霊)『ええ、怪我人は何人かいますが、命に別状はないでしょう』

ぬーべー「子供たちだけで、あの山狗部隊を倒したのか」

ぬーべー「ははは、あいつら、どんどんたくましくなっていくな…」

パーンッ!!

ぬーべー「!?銃声?ここから近いぞ…!」




鷹野「いや、来ないで、いやよぉ…来ないでぇ……」ガリガリ

ぬーべー「た、鷹野さん!やはり生きてたのか……」

ぬーべー「じゃあ、今の銃声は?」

山狗α「な、何故、鷹野、さん、さ……」

ぬーべー「……鷹野さん、あんたが撃ったのか」


鷹野「あ、あなた誰よぉ!来ないでって言ってるでしょ!」ガリガリ

ぬーべー「そ、その喉の傷!雛見沢症候群か!?」

鷹野「うわあああああああああああ」

ぬーべー「…ッ!鬼の手解放ッ!」


パーンパーンパーンパァ--ンッ!!


カチャカチャカチャ

鷹野「ああ、あああぁぁ……」ガリガリ

ぬーべー「鷹野さん……」


羽入「ぬーべー!大丈夫なのですかぁ!?」

ぬーべー「羽入……」

羽入「…!や、やはり黒幕は鷹野さったのですね……」

ぬーべー「そのようだな…指揮官は抑えた。これで全て終了だな……」


鷹野「おじいちゃん……、ジロウさん……」ガリガリ

ぬーべー「……入江先生に連絡しよう」


入江の要請で間もなく番犬部隊が到着し、山狗部隊は制圧された
鷹野は重度の雛見沢症候群の発症が確認され、入江機関が保護
戦い抜いた子供たちは誰一人かけることなく、古手家へ帰宅
そこにでぬーべーたちに迎えられ、生き残った喜びを分かち合う

こうして長い夜が終わった――――



数日後


入江「…こちらです。彼女は薬が効いていて、今は落ち着いています。しかし、心が完全に壊れてしまったようで…」

ぬーべー「そうですか……」

入江「本来ならこの入江機関は封鎖されるはずでしたが、私はここに残って彼女の研究を引き継ぐ事にしました」

入江「彼女や沙都子ちゃん、沙都子ちゃんのお兄さん、そして眠鬼ちゃんやゆきめさんの為にも」

玉藻「私もどうやら、感染していると考えて間違いないようです」

玉藻「私もここに残り、微力ながら研究の手伝わせて頂きたいと思うのですが」

入江「そうですか、それは心強い…。是非よろしくお願いします」


ぬーべー「彼女と少し話をさせてもらえますか?」

入江「それは…、いいんですけど、とても口を聞ける状態では……」


鷹野「…………」



玉藻「一体、何のつもりです」

ぬーべー「分かったんだ。彼女をこんな状態になるまで追い詰めた本当の元凶、本当の黒幕の正体……」

羽入「た、鷹野が黒幕じゃないのですか…?」

ぬーべー「何が何でも研究を完成さえようとしたのは間違いなく彼女の意思。彼女にとってこの研究はそれほど大切なものだった」

ぬーべー「しかし、彼女の背中を突き飛ばし、いとも簡単に人の道を逸脱させ、雛見沢連続怪死事件という惨劇を生み出した真の元凶」

ぬーべー「真の黒幕……、それがこいつだッ…!」

ぬーべー「南無大慈大悲救苦救難……姿を現せっ!」

オオオオオオオオオオオッ


羽入「……!こ、これが…!」

富竹(霊)「真の黒幕……」



ぬーべー「……こいつは、鷹野の守護霊だ」

玉藻「なるほど。守護霊ですか…。いくら悪霊の気配を探ったところで見つからないのは当然か」

ぬーべー「普段は鳴りを潜めていたんだ。昨日、彼女を見つけたとき、初めて気づいた……」

オオオオオオオオオオッ


富竹(霊)「し、守護霊、ですか…。そんなに重要なことなのですか?」

ぬーべー「ああ。守護霊は人格の形成に大きな影響を与える」

ぬーべー「守護霊が代わると、その人も別人のように変わる…。以前、郷子が経験した事がある」

ぬーべー「この霊が持っている人に対する憎悪の念が、彼女を大きく変えてしまったんだ」

羽入「守護霊は憑いている人を守る存在はずなのに…」


オオオオオオオオオッ


ぬーべー「彼女が雛見沢症候群を発症したため、今度は逆に守護霊が影響を受けている」

玉藻「悪霊に変わるのも時間の問題です」

羽入「ど、どうするのですか、ぬーべー?」


ぬーべー「…守護霊を交代する。そして、この霊には成仏してもらおう。恨みを忘れて安らかに眠るんだ…」

オオオオオオオオオッ


玉藻「代わりの守護霊はどうしますか」

ぬーべー「ああ、それは…」

富竹(霊)「ぬ、鵺野先生!お願いです!僕を彼女の守護霊にしてくれ!!」


ぬーべー「……あなたならそう言うと思っていましたよ、富竹さん」


ぬーべー「南無大慈大悲救苦救難…彷徨える哀れな霊に魂の救済を……」

オオオオオオオオオォォォォォ…………

羽入「消えてゆく……」

鷹野「あっ…、ああ……」


ぬーべー「富竹さん……」

富竹(霊)「はい……」

すぅー

鷹野「……あっ。う、ううっ…………じ、…さ……」


富竹(守護)「ごめんよ、鷹野さん。僕は君の心がこんなに傷ついてるとは知らなかった。そして、癒してあげられなかった」

富竹(守護)「僕はもう君を離さない。ずっとそばにいる…。そして君を今度こそ守ってみせる」

富竹(守護)「これから大変な日々が待っている。だから今は眠ろう……明日を生きるために」

富竹(守護)「もう誰にも君の心を傷つけさせない。誰よりもそばで君を守って見せるから……」

鷹野「ああ、ああああっ…!ううっ…、ううううっ……ジロ、さ、ん……」

鷹野「うああっ、うわああああああああぅっ」



ぬーべー「彼女ならきっとやり直せるだろう。愛する事の大切さを思い出したはずだからな」

玉藻「愛は無限の力に変わりますからね」

羽入「玉藻ったら、らしくない台詞なのですよぉ~。あうあう」

玉藻「ふん、以前ある男にそう教えられたんだ……」




圭一「何だよ!もう帰っちまうのか!?」

広「まぁね。怪我も治ったし、向こうの友達も心配してるだろうしさ」

レナ「寂しくなるね」

郷子「うん…」

魅音「本当なら駅まで見送りに行きたいんだけどさ」

沙都子「ぬーべーが授業受けろってうるさいのでございますわ!」

ぬーべー「当たり前だ!いろんな事があったせいで一週間ぶりの学校だぞ!初日からサボタージュするな!」

眠鬼「ちぇっ!私一人くらいいいじゃないか!」

ぬーべー「駄目だ!」

まこと「ぬーべーはケチなのら」

一同「あはははははは」


梨花「みんな、本当にありがとうなのです。僕が生きていられるのはみんなのおかげなのですよ」

美樹「何よ、あらたまって」

克也「感謝の言葉なら、この一週間で聞き飽きたよ」

梨花「それでも言わずにはいられないです。僕の感謝の気持ちはどれだけ言葉にしても尽きる事はないのです」

梨花「広、郷子、美樹、克也、まこと。圭一、魅音、レナ、沙都子、眠鬼。そして、ぬーべー、ゆきめ、玉藻」

梨花「みんながいたから運命を乗り越えられたのです。諦めていたはずの昭和58年の7月に行けるのです」


梨花「本当にありがとうなのです!にぱー☆」


圭一「おいおい、梨花ちゃん、忘れてないよな?あの戦いが終わったら、色々サービスしてくれるはずだろぉ?ぐへへへ」

梨花「みぃー?」

圭一「おおい!とぼけるなよぉ!!」

梨花「冗談なのです、ちゃんとサービスするのですよ!ぬーべーが」

ぬーべー「ええ?俺?」

梨花「忘れたのですか?約束したのです。夏休みの宿題、いっぱい出すって!」

ぬーべー「そうだったな!」

梨花「圭一もサービスしてあげてほしいのです!いっぱいいーっぱいなのです!」

圭一「いいぃッ!?サービスってそれかよぉ!」

ぬーべー「そうか!仕方ないなぁ!圭一、覚悟しろ?エグイくらいの量だしてやるかな!」

圭一「か、勘弁してくれよぉ~っ!」

梨花「圭一。ふぁいと、おー!なのですよ」

トミーの扱いが絶妙過ぎる




魅音「じゃあね、みんな!また遊びに来てよ!」

郷子「夏休みになったら、絶対来ます」

広「その時は一緒にサッカーしようぜ!」

圭一「へへ、上等だ!俺のアルティメット前原サンダーローリングキック見せてやるぜ!」

レナ「前は不発だったもんね」

まこと「またみんなで梨花の家に泊まるのら!」

眠鬼「今度は枕投げもしようぜ!」

梨花「はいなのです。お掃除して待ってるのですよ」


ぬーべー「……さあ時間だ」

広「あぁ帰ろう。俺たちの町、童守町へ………」

ご愛読ありがとうございました!>>1先生の次回作にご期待ください!

保守、四円、ご指摘などなど、最後まで付き合ってありがとうございました
ネタのつもりがノープランで普通にSS書き始め、何度投げ出しそうになったことか
後半投げやりになったとはいえ、物語はここで一応、区切りをつけることが出来ます
しかし、物語はもうちっとだけ続くんじゃな

各自で選択してください
この続きの世界を読むか読まないか、信じるか信じないかはあなた次第です

続きを読ませてくれること
それだけが私の願いです




美樹「いいなぁ、玉藻先生。ここに残るんでしょ?」

玉藻「研究のためだ。君たちには帰るべき場所があるだろ」

ゆきめ「みんな心配してるよ。早く帰って安心させてあげないと」

克也「そうだな。俺も早く妹に会いたいぜ……」

広「出たな、克也のシスコン魂!」

克也「うるせぇ!」

ぬーべー「電車の中では静かにしろ!」

郷子「何もぬーべーが童守町まで付き添ってくれなくてもいいのに」

まこと「僕たちだけでも帰れるのら」

ぬーべー「そういうわけには行くか!」


プルルルルルルル

アナウンス『ドアが閉まります。ご注意ください』


ゆきめ「それじゃあ、元気でね。夏休み、またおいで!カキ氷なら好きなだけ食べさせてあげるから!」

郷子「うん、楽しみしてるよ」

広「じゃあな!みんなにもよろしく伝えてくれ!」

プシュウウウ



ゆきめ「行っちゃいましたね」

玉藻「ああ、帰るか」



大石「おやぁ、奇遇ですねぇ。玉藻さん。デートですか?うん?確かそちらは…」

ゆきめ「私は鵺野先生一筋ですから!勘違いしないでください!」

玉藻「ただの見送りです。子供たちが帰るというので」

大石「今回は色々大変でしたねぇ~。噂で色々聞きましたよぉ」

大石「しかし、皆さんのおかげで定年前に連続怪死事件の真相をする事が出来た。感謝してますよ」

玉藻「どこまで知っているんですか、警察は」

玉藻「警察は何も知りません。梨花ちゃんが私だけに教えてくれたのです」

大石「肩の荷が下りました。これで何も思い残す事はない」

ゆきめ「それも子供たちの頑張りのおかげですね」

赤坂「梨花ちゃん!君をたs
梨花「東京に帰れ」



大石「それでは、私はこれで。色々忙しくて」

ゆきめ「雛見沢連続怪死事件が解決したのに?」

大石「警察の仕事はそれだけじゃないんですよ。傷害事件や詐欺事件、盗難事件。子供を狙って通り魔も」

大石「近頃ここらへんで不審者が出るという情報もありますし。一段落着いたと思ったらこれでしょう?嫌になるねぇ」

大石「ま、定年までこき使われるつもりです。それでは」

玉藻「そうですか。では、我々も帰るとしよう」

大石「あ、そうそう、これ」

ゆきめ「何ですか?」

大石「不審者警戒のお知らせです」

玉藻「……そうですか。“あ”いつがこの町の近辺に……」


村人1「あんれぇまー。随分派手な格好をした人じゃのう」

村人2「最近はあんなハイカラなのが流行っとるんじゃろうか」

??「…………」



まこと「うわー、町がドンドン遠ざかっていくのら」

美樹「こら、はしゃぐな!」

広「どうした、ぬーべー、怖い顔して……」

ぬーべー「あ、ああ。何かが、何かがおかしい気がするんだ(何だ?何だこの言い知れようのない違和感は……?)」

ぬーべー「(途轍もない重要な見落としをしている気がする……!くそっ…!何だ!?)」

郷子「何がおかしいって言うのよ。梨花ちゃんは助かったじゃない」

広「黒幕を捕まえて、彼女を殺そうとする運命の力に打ち勝ったんだろ、俺たち…」

ぬーべー「……はッ!!それだッ!!何で気づかなかったんだ!まずい…梨花が危ないッ!」

克也「な、何がどうしたって言うんだよ!俺たちにも分かるように説明しろよ!」

ぬーべー「……消えてなかったんだ!あの村を覆ってた異質な力…!運命はまだ彼女を殺す事諦めていないッ!」

一同「ええぇっ!?」

ガラガラガラ

ぬーべー「急いで雛見沢に戻らないと!」

美樹「無茶よ!走行中の電車から飛び降りるなんて!」

梨花「まさか、あんなイレギュラーが運命を打ち破るための鍵だったなんてね」

羽入「いくら欠片を探しても見つからないわけなのです」

梨花「彼らの存在はゲームのバグ、不具合みたいなもの。実際にプレイしないと見つけられないってわけね」

羽入「と、ところで梨花!約束どおり、玉藻がエンジェルモートの特製パフェをテイクアウトしてきてくれたのです!さっそく…」

梨花「嫌よ。私甘いもの苦手だもの」

羽入「そ、そんなぁ!」

梨花「……ふふっ。冗談よ、羽入。今回はあなたもずいぶん役にたったじゃない、ご褒美に食べてあげるわ」

羽入「あ、ありがとうなのです!!で、では、さっそく…!」

ザッ ザッ ザッ

??「……」

梨花「……?あなたは誰なのですか?僕に用ですか?」

羽入「(派手な格好なのです。口紅か何かのキャンペーンなのですか?)」

??「…………赤が好き?白が好き?それとも青が好き?」

梨花「……?しいて言うなら青なのです……」


カナカナカナカナカナカナ

ゆきめ「何ですか?その紙に書いてある『A』って」

玉藻「……子供ばかりを狙う殺人鬼さ。以前、童守町にも現れたことがあった」

ゆきめ「そうなんですか!怖いですね…」

玉藻「……ん?この霊気は…」


ドォォォォンッ

ゆきめ「きゃあっ!……先生?どうしてここに?」

玉藻「バキの翼で飛んで帰って来なければいけないほどの急用でもあったのですか?」

ぬーべー「説明は後だ!それより梨花を探さないとッ!……!そ、その紙は!」

玉藻「…?」



村人3「た、大変だあああああああああ。子供が川で溺れてるぞおおおおおお」

村人4「あああああ、あれはっ!あれはあっッ!※※ちゃまぁッ!」

村人3「駄目だッ!息をしていないッ!は、早く、救急車!救急車をよべぇええええ」





A「青が好きだと言った子は水に落とされ殺される」








梨花「……結局、私はどう足掻いても殺される運命にあるらしいわね」

羽入「あ、あうあう……」

梨花「黒幕の鷹野さえ、抑えれば私の運命は打ち破れると思った」

梨花「でも、そしたら、今度は意味の分からない殺人鬼が突然出てきて殺される」

梨花「もう、どうしようもないじゃない!」

梨花「私は、運命からは逃げられない。何をしたって昭和58年の6月の袋小路からは脱出できないのよ」

羽入「あ、諦めてはいけないのです!今回はイレギュラーずくめでした!あの殺人鬼もきっとイレギュラーなのです!」

羽入「でも、もう黒幕の正体が分かったのです!次の欠片ならきっと!」

梨花「でも、次の欠片にはぬーべーたちはいない。私たちだけで山狗全員相手に勝てるはずない」

羽入「……。あうあう……」


羽入「あ、諦めてはいけないのです!諦めたらそこで試合終了なのです!」

梨花「……」

羽入「い、一度発生したバグなら、きっともう一度起きても不思議じゃないのです!」

梨花「……それっていつよ。いつの欠片なの?私はあと何回、昭和58年の6月を繰り返せばいいの…?」



羽入「き、きっと、諦めなければ、また、彼が……彼?彼って誰なのです?」

梨花「……知らないわよ。さっきからあなた何の話してるの?」

羽入「い、今終わった欠片の話を……イレギュラーだらけの欠片」

梨花「イレギュラーってレナのL5発症を圭一が止めた事?」

羽入「それは、今の一個前の欠片なのです!今の欠片はみんなで協力して、く、黒幕を……」

梨花「……誰の事、黒幕って?」

羽入「お、思い出せないのです…!欠片自体がバグだった?だから記憶に不具合が生じてるのですか!?」

梨花「……どうでもいいけど、早く次の欠片へ行きましょう」

羽入「お、思い出せない……、何が思い出せないのかも思い出せなくなってきたのです……」




圭一「なぁ、梨花ちゃん見なかったか?」

レナ「見てないよ?どうかしたの?」

圭一「さっき玉藻さんが梨花ちゃんにって置いていったパフェが置き去りしてあったんだよ」

沙都子「あら?梨花って甘いもの好きでしたっけ?」

圭一「おっかしな~」

魅音「まぁ、すぐ戻ってくるんじゃない?もうすぐ部活の時間だし」

圭一「あんな事件のあとだからって神経質になり過ぎかな、俺」

沙都子「そうでございますわ。圭一さんは考えすぎでございますわ」

レナ「心配しなくても、すぐ戻ってくるよ。ひぐらしのなく頃までには、きっとね」



魅音「あれ?ぬーべーたちだ。どうしたんだろう血相変えて………」



カナカナカナカナカナカナ

やったああああああああ!やったよぉ悟史くううううううんッ!見ててくれたぁ!
バッドエンドにしてやったああああああよぉおおおおおおおおおっッ!!!
最後までやり遂げたよ、褒めてくれるよねぇ!悟史くん、悟史くん!ねぇ悟史くんってば!
あははははははははははははははははははははははははははははははははは

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