麦野「私が暗部に落ちる前に」(335)

麦野「はーーーーーーーーーまづらぁ、またあんたはつまらないミスして……死にたいわけかにゃーん?」

浜面「す……すまねぇ、麦野。き、気をつける」

麦野「’気をつける’だぁ?! 気をつけるで済んだら警備員はいらねぇんだよ! 今日こそてめえのその情けない×××を×××してやろうかコラァ!!」

バァン

浜面「ひ、ひぃ?! 麦野っ、ゆるしてくれーっ。命、命だけはっ」

麦野「ア”アァ?! だったらさっさと下部組織に召集かけてシコシコ後片付けでもやっとけや!!!!!」

滝壺「むぎの、こわい」

フレンダ「今日の麦野……、いつにも増して怖い訳よ……」

絹旗「さっきのは敵が超最期の足掻きで暴れただけで浜面のミスって訳でも無い気が……」

麦野「ほら、アンタらも無駄口たたいてないで、後は任せてさっさと退散するわよ」

絹旗「浜面は待たないんですか?」

麦野「なんで正規メンバーのアタシらが下っ端ごとき待ってなきゃいけないのよ」

絹旗「いや、だってほら。車が」

麦野「車だったら他の適当なヤツに運転させればいいじゃない、ほら、帰るわよ」

フレンダ「う、うん。まってむぎの、アタシもいく」

麦野「はやくしなさい」

ブロロロロロロロロロロロロロロ……

麦野「……」

フレンダ「……」

絹旗「……」

滝壺「……」

麦野「……」

滝壺「……」

フレンダ「……」

絹旗「……」

麦野「……」

絹旗「む、ぎの?」

麦野「なに?」

絹旗「いや、なんでも……」

麦野「そう」

見ていて恥ずかしいって^^;
sageて一人でやってろ。sageってわかりまちゅか?

ブロロロロロロロロロロロロロロ……

麦野「……」

フレンダ「……」

絹旗「……」

滝壺「……」

麦野「……」

滝壺「……」

フレンダ「……」

絹旗「……」

麦野「……」

絹旗「む、ぎの?」

麦野「なに?」

絹旗「いや、なんでも……」

麦野「そう」

フレンダ「(たきつぼ、たきつぼ)」

滝壺「(なに?)」

フレンダ「(麦野の機嫌わるくない?)」

滝壺「(そうかな?)」

フレンダ「(さっきからこの重たい空気、耐えられないのよ)」

滝壺「(べつに、へいきだけど)」

フレンダ「あたしが平気じゃないわけよっ」

麦野「どうしたの?」

フレンダ「ひゃっ?! い、いやべつになにも」

麦野「そう」

フレンダ「(ひゃ~……、何かあったなコレは絶対……)」

ブロロロロロロロロロロロ……

麦野「止めて頂戴、あたしはここで良いから」

「はい」

麦野「それじゃあアンタ達も、いつまでも起きてないでさっさと帰って寝なさいよ」

絹旗「わかりました」

滝壺「うん」

フレンダ「了解」

麦野「それじゃあまた明日」

バタン

フレンダ「……」

絹旗「……っだぁ~、なんか超疲れました」

フレンダ「結局、仕事よりしんどかった訳よ……」

滝壺「二人ともどうしたの?」

絹旗「滝壺さん、超平気なんですか?」

滝壺「なにが?」

フレンダ「この子のマイペースさには感服ねー……」

絹旗「どうしたんでしょうね、超何かあったんですか麦野は」

フレンダ「何か知ってる?」

滝壺「ううん、何も」

絹旗「私も超知りませんよ、フレンダは?」

フレンダ「しらな~い」

絹旗「う~ん……」

フレンダ「麦野さーここ最近、ずっとこんな調子じゃない?」

絹旗「そうなんですか?」

フレンダ「あ、そっか。絹旗ってずっと個人任務行ってたんだっけ」

絹旗「1週間ほど出てましたけど、ずっとこんな感じだったんですか……」

フレンダ「もー、麦野がこんな時に限って浜面が火に油注ぐようなマネ繰り返すからずっとヒヤヒヤだった訳よ」

絹旗「浜面、超空気読めませんもんね」

フレンダ「っだー、温泉でも行って帰ろうかな。二人とも行く?」

絹旗「滝壺さん、どうします?」

滝壺「二人が行くなら」

絹旗「ん~、それじゃあ行きましょうか」

フレンダ「行くいく~、レッツゴー。運転手さ~ん、隣の学区の温泉までお願いね~」

「わかりました」

ブロロロロロロロロロロ……

◇ ◇ ◇ ◇

「浜面さん、あらかた終わりました」

浜面「わかった、いつもご苦労さん。それじゃあ俺らもこんなトコからとっととずらかるか」

「あと……コレ、落ちてたんですけど。どうすればいいですか?」

浜面「なんだこりゃ?」

「さぁ? 見た目がなんか綺麗だったんで拾ったんですけど、何かの部品みたいですね?」

浜面「まぁいい、俺が預かっとく」

「へい」

浜面「報酬はいつも通り振り込まれてるはずだから、確認しといてくれ」

「わかりました」

浜面「それじゃ俺も帰るか」

浜面「帰るか……って」

浜面「車が無えぇーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」

♪トアルニチジョーハパラレルワールド♪

浜面「えぇぇぇ……ん? なんだ、メールか?」

From 絹旗
件名 三人で超温泉です
浜面今日は超災難でしたね
今フレンダと私と滝壺さんで温泉です
浜面はキッチンで水浴びでも
しといてください☆ミ

浜面「……なにこれ自慢?」

浜面「温泉……いいなぁ、あいつら」

ヒュウウウウウウウ

浜面「うぅ……さむっ、はぁ……歩いて帰るか……」

黄泉川「おー? 誰かと思えば浜面じゃん」

浜面「げ」

黄泉川「ちょっと待つじゃん」

浜面「なんだよ! まだ何もしてねぇぞ!」

黄泉川「まだって事は何かするつもりじゃん?」

浜面「いや……帰るとこだよ」

黄泉川「ふーん? 急に真面目になったじゃん? 感心感心」

浜面「真面目というか……はぁ」

黄泉川「どうしたじゃん、元気ないじゃん?」

浜面「おめーにゃ関係ねぇよ」

黄泉川「ちょっと待つじゃん」

浜面「な、なんだよ」

黄泉川「これ、落し物じゃん」

浜面「お、おう。ありがとよ」

黄泉川「随分高そうなモノ持ってんじゃん」

浜面「うるせーな、関係ないだろ」

黄泉川「関係ない?」

ガシッ

浜面「てっ」

黄泉川「浜面……まーた何か悪さしたら、すぐ捕まえるから覚悟するじゃん?」

浜面「してねーよ、いてーな。離せよっ!」

黄泉川「ちゃんと家に着くまで監視するじゃん」

浜面「はぁ?! なんでだよ!」

黄泉川「完全下校時刻はとっくの昔に過ぎてるじゃん」

テクテク

浜面「……」

テクテク

黄泉川「……」

テクテク

黄泉川「スキルアウトを抜けたらしいじゃん」

浜面「何でそんな事知ってるんだよ」

黄泉川「風の噂じゃん」

浜面「そーかよ」

黄泉川「なのに相変わらず学校には通ってないらしいじゃん」

浜面「何でそんな事知ってるんだよ」

黄泉川「浜面の学校の先生と知り合いじゃん」

浜面「……そーかい」

黄泉川「今からでも遅くない、ちゃんと学校に通って勉強するじゃん」

浜面「口あけたらすぐそれだな、勉強・勉強ってさ」

黄泉川「聞いてるじゃんよ浜面、昔は真面目な生徒だったって、だから──」

浜面「昔の事は言うな!!!!」

黄泉川「っ」

浜面「俺らの事、何もしらねぇくせに大人面するんじゃねえよ!!」

黄泉川「随分な口を利いてくれるじゃん」

浜面「うるせぇ!」

黄泉川「このチンピラが……痛い目みないとわかんないじゃん?」

浜面「いいぜ……かかってこいよ」

黄泉川「その腐った根性、叩きなおしてやるじゃん!」

浜面「必殺・煙玉!」

ボワン

黄泉川「っ! 煙幕か!」

浜面「だっはっは! なーんてな! お前に腕力で勝てるわけねえだろ! 逃げるが勝ちなんだよ!」

黄泉川「待つじゃん! 浜面!」

浜面「誰が待つか!」

黄泉川「お前は! まだやりなおせる! だから!」

浜面「うるせえ! ばーか! おとといきやがれ」

────────

────

──

浜面「……はぁっ、はぁ……逃げ切ったか……?」

浜面「ったくよー……仕事上がりでこっちも疲れてんだよ……」

浜面「勘弁してくれよなホント」

浜面「……だいたいよ」

浜面「もう堕ちるとこまで堕ちきった俺が、戻れるワケねぇだろうが……」

──戻るって、どこに


浜面「あぁ? だからがっこ──」


──戻るって、どこによ?


浜面「……?」


──どこに戻るの?


浜面「どっから声が……?」

浜面「おい! そこに誰か居るのか!」

「……」

浜面「……(スキルアウトか? こんな狭いビルの間の空き地で集団だったらめんどくせえぞ)」ゴクリ

「……」

浜面「出てこいよ! 居るんだろ!」

ジリッ……

ジリッ……

「……」

浜面「……ゴクリ」

浜面「……、来るっ!」


麦野「大きな声出さなくても聞こえてるわよ」


浜面「っ、麦野っ?!」

麦野「こんなとこになんの用事よ」

浜面「いや、用事というか……お前こそこんな所でなにやってんだ?」

麦野「あたしがこんな所にいたらヘン?」

浜面「いや、ヘンというか。麦野がこんなとこに居たのがびっくりでよ」

麦野「ふーん? じゃあ浜面はどこだったら私に似合うと思うの?」

浜面「どこって……お屋敷とかじゃねえの?」

麦野「お屋敷?」

浜面「そ、お屋敷。しかも金持ちのお屋敷で執事とかつけちゃうお嬢様」

麦野「はーまづらぁ。そんな妄想を繰り広げて毎晩×××を上下させてるわけ? 幻滅だわ」

浜面「なんでそうなるんだよ!」

麦野「ま、育ちが良いのは否定しないけどね」

浜面「そーかよ」

麦野「……あんまり覚えてないのよねー昔の事って。能力開発していた事くらいしか覚えてないかも」

浜面「あぁ、そりゃ学園都市に七人しか居ないレベル五の第四位だからな。やっぱり小さい頃から実験漬けだったんだろうな」

麦野「なーに? 浜面のくせに知った風な口利いてくれるじゃない」

浜面「ひっ?! べ、別にイヤミとかじゃねえぞ」

麦野「当たり前でしょ。浜面は無能力者、私は超能力者なんだから」

浜面「はぁ……そうだな」

麦野「浜面は覚えてる? 昔の事、学園都市に来る前の事」

浜面「別に、普通だろ」

麦野「もっと具体的に」

浜面「はぁ?」

麦野「いいから、教えなさいよ。この第四位の麦野沈利様が興味を持って聞いているのよ。光栄に思いなさい」

浜面「まぁいいけどよ……」

麦野「うん」

浜面「学園都市に来る前は、……そうだな、こう見えて結構真面目な子供だったな」

麦野「この見るからに頭悪そうなチンピラ風情が?」

浜面「おおい! 過去の俺に謝れ!」

麦野「ふん、いいから続けなさいよ」

浜面「無茶苦茶だなオイ……」

浜面「小学校じゃ学級委員とかやってたし、放課後行ってた野球チームじゃエースで四番のキャプテンだったよ」

麦野「全然そんな風には見えないわよね、今」

浜面「うるせー」

麦野「で、何でここに来たわけ?」

浜面「そりゃあ子供が学園都市に来る理由なんか一つだろ」

麦野「一つ?」

浜面「超能力に憧れてたんだよ、こう、能力をばーーーーーーっと使って、ごわーーーーーーーっと相手をやっつけて、正義のヒーローになるんだーーーーってな」

麦野「浜面が? 正義のヒーロー?」

浜面「そーだよ、悪いか」

麦野「いや、いいんじゃない? 私には良さがわかんないけど」

浜面「お前さ、テレビとかアニメとか見てなかったワケ?」

麦野「見てないわよ。それに戦隊モノなんてどれも同じじゃない、飽きるわよ」

浜面「わかってねぇ! お前は戦隊ヒーローの良さがわかってねぇなぁ、麦野」

浜面「いいかぁ! まずはなぁ!」

浜面「────────で、────────な、──────だろ!」

浜面「────が出てきたら3分で──────で!」

浜面「──────────敵も──────そこはお約束で────────」

浜面「────がピンチになったら────────でよ!」

浜面「────────だろ!」

浜面「──────なんだよ!」

浜面「わかったか!」


麦野「──ふにゃ? もう、終わった?」


浜面「寝てたとか……ひどい……」

浜面「まぁいい、とにかくそんな風だ」

麦野「ふーん」

浜面「?」

麦野「浜面もやっぱ、そういうのに憧れてたんだ」

浜面「まぁ……大抵のヤツはそうじゃないの?」

麦野「わっかんないなー、そういう憧れるっていう感情は」

浜面「そりゃ最初から上に居たからだろ」

麦野「……ふーん、無能力者が随分な口利いてくれるじゃない、はーーーまづらぁ」

浜面「ちょ! 今のはほんの例えで!」

──憧れ……ヒーローねぇ……

浜面「おう、ヒーローは良いぞ」

──、私には──無理──

浜面「何言ってんだ? 無理じゃねえぞ?」

麦野「?」

浜面「何歳になっても憧れるのは自由だろ、今からでも遅くねえよ」

麦野「という事は、浜面はこんな学園都市の最底辺まで堕ちてきといて勝手な妄想を抱きながら毎晩オナニーしてるのかにゃーん?」

浜面「……お前はいつも肝心な話になるとそうやって茶化すのな」

麦野「は?」

浜面「別に」

麦野「……浜面の癖に」

浜面「悪かったよ、気に障ったなら謝る」

麦野「謝罪なんかいらないわよ」

浜面「そうかよ」

麦野「そ、……その代わりもっと話しなさいよ」

浜面「何を」

麦野「浜面の小さい頃の話」

浜面「はぁ? なんで」

麦野「いいから!」

浜面「……ん~?」

麦野「例えばホラ! 学園都市に来た時の話とか!」

浜面「ここに来た時? ん~?」

麦野「そう、来たとき」

浜面「……来たとき……来たとき……?」

麦野「うん」

浜面「あー……、そういえばここに初めて来た時──」

◇ ◇ ◇ ◇

カポーン……

絹旗「超極楽です」

滝壺「良い湯だね」

フレンダ「極楽極楽……」

絹旗「日々の疲れが超癒されていく気がします」

フレンダ「む~」

滝壺「ふれんだ、なに?」

フレンダ「麦野も大きいけど、滝壺も結構大きいわけ」

モミモミ

滝壺「ひゃっ」

フレンダ「待て、たきつぼっ」

滝壺「やだ」

フレンダ「ま~て~」

絹旗「やれやれ……超子供なんですから……」

モミモミ

滝壺「ふえぇ……」

フレンダ「きひひっ」

絹旗「あーもー、二人とも、そこらへんにしといてくださいね」

フレンダ「わかってるって」

滝壺「……もー」

フレンダ「めんごめんご、後で牛乳奢ってあげるから許してね」

滝壺「……」

フレンダ「?」

滝壺「にほん」どーん

絹旗「勝利のブイサインっ?!」

────────

────

──


滝壺「……ごくごく」

絹旗「それにしても、今日の依頼は超ヘンでしたね」

フレンダ「そう? 適当に暴れただけで終わっちゃったから歯ごたえがなかったと思うけど」

絹旗「いつも爆弾で超ドカーンで終わらせてますもんね」

フレンダ「ふふ新種も開発中よ」

滝壺「……ごくごく」

絹旗「研究所を襲うのは超わかるんですけれど、暴れるだけで目的物の回収とかは依頼内容に含まれてなかったじゃないですか?」

フレンダ「ん、そういえばそうね」

絹旗「それに、最期浜面と超殴り合いになってたあの研究員、やたらと好戦的というか、何かを守ろうと必死でしたし」

フレンダ「そりゃ、自分が殺されそうになるってなったら必死にもなるでしょ?」

絹旗「んー、そうでしょうか」

フレンダ「ま。あそこでどんな研究があったとか、何に応用されるとか私達には関係ないって」

滝壺「……ぷはー」

絹旗「そうですね」

フレンダ「さ、絹旗も飲む飲む。こうやって腰に手をあてて……」

滝壺「もう一本」

フレンダ「プハー! 結局、風呂上りの一杯は格別な訳よ!」

────────

────

──


黄泉川「ちょっと待つじゃん! ……切れた」


鉄装「どうしたんですか?」

黄泉川「匿名のタレコミじゃん」

鉄装「匿名で?」

黄泉川「子供に大切なものを奪われた、取り返して欲しいって」

鉄装「大切な物って……?」

黄泉川「さあ? それを聞こうとしたら切れたじゃん」

鉄装「イタズラ電話ですかー?」

黄泉川「だと良いじゃん」

鉄装「んーそうですね、最近。私達の出動回数も減ってますもんね」

黄泉川「なんだ鉄装、出動がないからって怠けるつもりじゃん?」

鉄装「そ、そんな訳じゃないですよ!」

黄泉川「ほー……?」

鉄装「バリバリ頑張りますよ!」

黄泉川「頼もしいじゃん」

鉄装「はい!」

黄泉川「それじゃあ、今日も一杯やるじゃん!」

鉄装「えぇぇ……今日も、ですか」

黄泉川「ホラホラ、今日はもう終わりの時間じゃん! 行くじゃん行くじゃん!」

鉄装「ふえぇ~い」

鉄装「そういえば、あの彼どうなりました?」

黄泉川「ん? あの彼?」

鉄装「はま……なんとか、くん。でしたっけ?」

黄泉川「浜面じゃん?」

鉄装「ああ、そうその子」

黄泉川「浜面がどうかしたじゃん?」

鉄装「いや、黄泉川先生の机の上に資料が置いてあったから……」

黄泉川「鉄装~……盗み見とは良い度胸じゃん?」

鉄装「そ、そんなぁ。別に盗み見たわけでは……、その、ちょっと好奇心で」

黄泉川「まぁいいじゃん、浜面は元々どこだかのスキルアウトでチンピラで過去14回留置場にぶち込んだじゃん」

鉄装「じゅ、14回って……」

黄泉川「絵に描いた様なチンピラで、困ったもんだったんだ……けど」

鉄装「けど?」

黄泉川「その浜面がどうやらスキルアウトを抜けたみたいじゃん」

鉄装「え? じゃあ更正したんですか?」

黄泉川「わからん」

鉄装「わからん……って」

黄泉川「今日見てきたが相変わらず学校にも通わずフラフラしてるみたいじゃん」

鉄装「そうなんですか……」

黄泉川「……鉄装、どう思う?」

鉄装「どう、って?」

黄泉川「スキルアウトはそんな簡単に一言『辞めます』って辞められる様な組織じゃないじゃんよ」

鉄装「はぁ……それが?」

黄泉川「あそこのリーダー、駒場の姿もある日を境にぱったり見なくなった。一体何が起こってるじゃん?」

鉄装「仲間割れ、とか?」

黄泉川「だったらまだいいんだけど……最近、街がやけに静かじゃんよ。何かが起こる前兆じゃなければ良いけど」

鉄装「もー、心配しすぎですよ、黄泉川先生」


────────

────

──


浜面「そんで、心配して探しに行ったら半蔵の野郎が郭とイチャイチャしててよ、さすがに頭に来たな」

麦野「……わかった」

浜面「あん?」

麦野「あんたのとこのスキルアウト? だっけ」

浜面「おう」

麦野「あんた含めて、バカばっかりだったって訳ね」

浜面「おーい!」

浜面「まぁ……否定はできねぇけどよ」

麦野「ほらね」

浜面「それでも」

麦野「うん?」

浜面「俺らには俺らで、目的があったんだよ」

麦野「ふーん、目的ね」

浜面「おう」

麦野「ATM強奪したり、無駄に武装したりする事?」

浜面「いや、それはあくまで手段であってだな……少なくとも暗部組織とは違うぞ」

麦野「何が違うのよ、殺し……盗み……監視、観測、ハッキング、ピッキング、追跡……やってる事は一緒じゃない」

浜面「まぁ……そう考えるならそれでもいいけどよ……、それにもう俺はあそこを出た人間だからな」

麦野「哀愁漂わせちゃって、似合わないわよ」

浜面「うるせー」

麦野「はー、なんか浜面の話聞いてたら私の悩み事なんか消えちゃいそう」

浜面「悩みだ? お前に悩みなんかあんのかよ」

麦野「失礼ね」

浜面「う、わりぃ」

麦野「バカだから許してあげる、バカだから」

浜面「二回繰り返さんでもええわい!」

麦野「あははっ」

浜面「あー……なんかいつもこんな感じだな、俺。そんな役回りというか……」

浜面「……」

麦野「……」

浜面「……」

麦野「……なんか喋りなさいよ、はーまづらぁ」

浜面「お、おう」

麦野「……」

浜面「あ、あのさ」

麦野「うん?」

浜面「……(やべ、なんか何喋っていいかわかんねぇ)」

麦野「はーまづらぁ?」

浜面「……(つーかよぉ、よくみると麦野って結構美人?)」

麦野「?」

浜面「……(いや、結構っていうか、かなりというか……少なくとも俺の知ってる奴等と比べたら……)」

麦野「どーしたのよ、固まっちゃって」

浜面「……い、いや。別に」

麦野「?」

浜面「……(く……、顔! 顔! ちかいっての!)」

浜面「いや、ははは。そ、そうだ。上見てみるよ上」

麦野「上?」

浜面「……(よ、よっしゃ、とりあえず顔を離す事に成功したぜ!)」

麦野「はーまづらぁ? なんかあるの?」

浜面「……(し、しまった! 顔を離す事だけしか考えてなくてこの後の展開なんて何も考えてなかった!)」

麦野「はー、夜なのに星一つ無いわね」

浜面「そ、そうだな」

麦野「声裏返ってるわよ?」

浜面「そ、そうか? コホン、あーあー、うん。ゴホゴホ」

麦野「ヘンな浜面?」

浜面「(っだあああああああああああ!!! 近い! だから近いって! 顔! あたる! 顔が! 息が!)」

麦野「何よ鼻息荒くして、どうせエロい事でも考えてたんでしょ?」

浜面「な、ななななななんでだよ! はっ、アホな事いうなよ!」

麦野「だーれがアホだって……?」

浜面「いや! これは顔が! 顔じゃない! その、息じゃなくて! 近いのは! えっと!」

麦野「はーーーーーーーーまづらぁ……」

浜面「そ、そうだ! 麦野!」

麦野「なーにかにゃーん?」

浜面「月だ!」

麦野「月がどうしたって?」

浜面「月が綺麗だな、なーんつって、ははは」


麦野「………………………………………………………………」


浜面「え? 今なんて?」

麦野「ほら、月なんか出てないじゃないのさ」

浜面「うぐっ?! なんだって!」

麦野「ほら、見てみなさいよ」

浜面「……なん……だと」

麦野「あはは、バーカ面、浜面のバーカ」

浜面「う……ぐ(しかしなんか知らんが機嫌よくなったみたいで良かった……)」

麦野「くく……あはは、笑いすぎてお腹痛い……」

浜面「ああもう死んでもいいよ、畜生……」


麦野「………………………………………………………………」


浜面「え? 何この間」

麦野「はーーーーーまづらぁ」

浜面「え?」

麦野「私以外の女の前でこの台詞禁止な」

浜面「え? なんで?」

麦野「なんでって……なんでも」

浜面「なんか知らんが、わかったよ」

浜面「あ、そうだ。麦野」

麦野「ん? 何?」

浜面「いや。大した事じゃないかもしれないんだが」

麦野「今気分良いから特別に聞いてあげてもいいけど」

浜面「そうか、なら言うが。フレンダや絹旗、怖がってたぞ。お前が不機嫌だーってな」

麦野「あらそう? それならもう治ったから大丈夫よ」

浜面「は?」

麦野「だーかーら、もう大・丈・夫・だ・っつってんの!」

浜面「お、おう。さんきゅな、伝えとくよ」

麦野「フン、用が済んだら帰るわよ」

浜面「あ、おい。待てよ」

麦野「ついてくんな!」

浜面「待てよ! 麦野!」


──、ありがとう

◇ ◇ ◇ ◇

絹旗「ふーん?」

浜面「……という訳だから、なんかもう機嫌治ったらしいぞ」

絹旗「超怪しいですね……」

浜面「あん? 何がだよ」

絹旗「麦野は私が仕事で居なかった一週間前から機嫌が超悪くなったんですね?」

浜面「あ? あぁ、そうだと思うけど」

絹旗「その一週間前。浜面、プライベートでどこか行きました?」

浜面「はぁ? なんでそんな事言わなきゃいけないんだよ」

絹旗「窒素装甲・展開」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

浜面「ちょ! 待て! その車を下ろせ! 街中だぞここ!」

絹旗「超話す気になりましたか?」

浜面「なった! なったから!」

浜面「一週間前っつたらアレだな、なんかよ修道服着たシスター道端で倒れててがハラヘッタっつうからファミレスにつれてってやったんだよ」

絹旗「はぁ? シスターが道端でお腹を空かせて倒れてたぁ? もっと超マシな嘘はつけないんですか、浜面?」

浜面「いやだから本当なんだって!」

絹旗「はぁ……まぁいいでしょう、それで?」

浜面「それで、ファミレスに行ったのはいいんだけどよ。そのシスターの食欲がすごくてよ、店のメニュー殆ど一人で食いやがるんだ」

絹旗「超暴飲暴食シスターですか」

浜面「いやだからマジなんだって! 俺も一食くらいなら別に……って思ってたんだけどよ、これじゃさすがにやべーって思ってさ」

絹旗「財布が軽くなりそうですもんね」

浜面「軽くなるどころかマイナスなんだよ……」

絹旗「超ご愁傷様です、それで?」

浜面「そんな所に麦野がやってきたんだよ」

絹旗「……他の女性と一緒に居るところを超見られたわけですね……」

浜面「おー、丁度いいところに! って思ってさ」

絹旗「修羅場的な意味でですか?」

浜面「ちげーよ、さすがに持ち合わせがなかったから金貸してくれーって言ったら財布投げられて走って帰っていっちゃったんだよな。何か機嫌悪かったのかな、ははは」

絹旗「お前が超原因です!」

浜面「なんだ俺が原因……俺っ?!」

絹旗「どう考えても浜面しか居ないじゃないですか!」

浜面「なんでそうなるんだよ!」

絹旗「なんでって……はぁ、それ本気で言ってるんですか……」

浜面「……わっかんねーな」

絹旗「超浜面ですね……」

浜面「って、おーい。どこ行くんだよ、路地裏だぞそっち」

絹旗「こっちのが近道なんですよ、ボヤボヤしてると先行きますよ」



──、本当に……バカなんですから……。


浜面「おーい、待てよ……って行っちまった」

浜面「……つーかまたなんか聞こえたな……」

浜面「まさか俺、なんかの能力に目覚めたのか?」

浜面「ははっ、まさかな」

浜面「あんなに望んだって手に入らなかったんだ、今更手に入ってたまるかってんだ」

浜面「だいたい心理系の能力ってどうなのよ」

浜面「空耳だ空耳」

浜面「どうせならこう、わかりやすく火とか出てくれたらいいのにな」

浜面「……つーかよ」

浜面「遅刻すると怒られるんだよ、出てくるならさっさとしてくれねーか?」


「浜面仕上だな?」


浜面「その浜面仕上に何の用だってんだよ、そんなゾロゾロと大人数でさ」

「悪いが一緒に来てもらおう」

浜面「お前らどこの組織だ」

「答える義理は無い」

浜面「そーかよ……(正面に3人、後ろに2人。やれるか? ……いや、無理だな。かと言って逃げ道は奴等が塞いでる……)」

「大人しくしていれば危害は加えない、一緒に来てもらおうか」

浜面「……へっ、そんなの答えは決まってるだろ」

「そうか、それなら」

浜面「答えは、NOだ!」

ボワン

「く……子供だましが!」

浜面「それだけじゃないさ」


絹旗「浜面! 超大丈夫ですか!!」

浜面「絹旗!」

「くそ……新手か!」

絹旗「なかなか来ないから超心配しましたよ!」

浜面「絹旗! やれるか!?」

絹旗「心配ご無用ですよ!」

ドガッ

「ぐあっ」

絹旗「窒素装甲の前では銃弾も無力ですから!」

バキッ

「く……」

絹旗「あと3人!」

ガッ

「く……くそ!」

絹旗「後2人!」

ドゴッ

「っ!」

絹旗「残るは……!」

「く……来るなァァ!」

絹旗「っ?! 銃? ですが私には……」

「一歩でも動いてみろ! 浜面仕上に向かってこの銃をぶっ放す!」

絹旗「どうぞ、超ご勝手に」

「は?」

絹旗「だから、どうぞご勝手に」

「な……何を言っているんだ、仲間じゃないのか? 仲間の命がどうなってもいいのか?」

絹旗「仲間? 何を言っているんですかアナタ? そんな甘っちょろい事言ってるから命を落とすんですよ」

「ひ……」

絹旗「ほら、撃ちたきゃ撃てばいいじゃないですか」

「く! くるな!」

絹旗「一歩」

「っ」

絹旗「二歩……三歩……」

「来るな……来るなよぉ……!」

パァン!

絹旗「だから私には効かないって言ってるじゃないですか。ほら、今逃げたら私は超許してあげますよ」

「ひ……、ひ……、銃が効かない? ば……化け物!」

タッタッタ


絹旗「超逃げましたか」

浜面「……みたいだな」

絹旗「とんだ腰抜けですね」

浜面「逃がしちまっていいのか?」

絹旗「私は許すっていいましたけど」

浜面「でもよ」

絹旗「でも、麦野がどういうつもりかは、超わかりませんけどね」

「はぁ……はぁ……、ここまで逃げてきたら平気だろう……」

「くそっ、なんだってんだ。無能力者のガキ一つさらってくるだけじゃなかったのか!」

「なんであんな強い女が一緒に居るんだよ! くそ!」

「とにかく連絡を……」

「あ……? あれ? 携帯電話がない?」



麦野「探してるのはコレの事かにゃーん?」

「あ、あ。あぁ……(なんだこの女……)」


麦野「さっき、そ・こ・で、拾ったのよーん」


「そ、そうか。ありがとう。それを返してくれないか? 大事なものなんだ」


麦野「ふふ、お兄さん? そんなコトよりわたしとイ・イ・コ・ト・してかない?」


「いぃいいい? いいこと?」


麦野「ふふ、赤くなっちゃって可愛い。そんな下半身おったちゃって、早漏なのかにゃーん?」


「な、なにを……」

カツン

カツン

麦野「そう、動かないで。いい子だから動かないで、そのまま」

カツン

カツン

「は? はい?」

麦野「だから、動くなっつーの。脳味噌まで×××なのかっつーの。大人しくしてたら逝かしてやるからよ」

「え、ええと……」

カツン

カツン

麦野「逝かしてやるって言ってんだろ? 聞こえなかった?」

「あ……ぁ……あぁ……」

麦野「クソが! どこの犬かしらねぇけどよぉおおお!」


「あ……あ……まさか……まさか……」


麦野「てめぇの手下に手ぇ出されて黙ってられる程、お人良しじゃねえええええええんだよ私はアアァァァァ!!!!」


「まさか……まさか……第四位……」


麦野「人の事を序列で呼ぶんじゃねえよ。私には、私にはなぁ……ちゃあああああんと麦野沈利って名前があるんだよおぉ、覚えとけクズが──」


キュイイイイイイイイイイイイイィィィィィン……

「ゆ、ゆるし……」

麦野「──ま、最も。もう二度と喋れないだろうけどなァァァァァァァァアアアア!!!!!!」

ドッ

麦野「……ちっ、胸糞わりぃな」

麦野「二度とアイテムに手を出すんじゃないわよ」

麦野「……」

麦野「第四位……か」

麦野「どいつもこいつも畏怖、畏怖、畏怖……レベル五だから、当たり前といえば当たり前か……」

麦野「歩く自然災害……か、私にぴったりじゃねぇか」

──、麦野!


麦野「麦野沈利……」


──、麦野! 麦野!


麦野「ちゃーんと……名前、あるのになぁ……」

浜面「麦野! 麦野!」

麦野「あぁ? なんだ、浜面か……」

浜面「なんだじゃねぇだろうが麦野……何回呼んでも返事しねぇし、心配したんだぞ?」

麦野「はっ、無能力者の浜面が超能力者のこの私を心配? はーまづらぁ、腹で茶ァ沸かせるつもりかよ」

浜面「ほんとに心配したんだって、無事そうでなによりだ。ったく麦野よぉ、お前は一人で突っ走るから追っかけるのも大変だったぞ」

麦野「むぎの」

浜面「あん?」

麦野「ねー、浜面」

浜面「なんだよ」

麦野「名前、呼んで」

浜面「はぁ? なんで」

麦野「いいから」

浜面「麦野」

麦野「苗字じゃなくてちゃんと名前も」

浜面「……は、はぁ?(なんでそんなこと……)」

麦野「はーまづらぁ」

浜面「……っ(なんだ、麦野、さっきから様子が変だぞ)」

麦野「……おねがい」

浜面「なにこの麦野、可愛すぎだろ……(どうしたんだ麦野……)」

麦野「私、そんなに可愛い?」

浜面「し! まった! 心の声がっ!」

麦野「心の声? 心の中でどんな妄想を繰り広げていたのかにゃーん?」

浜面「ドチクショウ……なんたる失態……」

麦野「はーまづらぁ?」

浜面「ああもう煮るなり焼くなり好きにしろぃ!」」

麦野「あんたなんか煮たところで出汁なんか出ないわよ」

浜面「ひでぇ……」

麦野「それより、さっきの」

浜面「お? おおう……」

麦野「はやく」

浜面「ええい! ままよ!」

浜面「沈利、麦野沈利」

麦野「ん、もっかい」

浜面「しずり」

麦野「もっかい」

浜面「もっかいだぁ?」

麦野「文句いわない」

浜面「……沈利」

麦野「……うん」

浜面「沈利」

麦野「……」

浜面「沈利」

麦野「……うん……」

浜面「も、もういいか」

麦野「……うん」

浜面「……なぁ、なんかあったのか?」

麦野「べつにー」

浜面「そぉかよ」

麦野「……」

浜面「まぁ、無理にはきかねェよ」

麦野「そ」

浜面「……」

麦野「それじゃあ私から一つ聞いてもいいかな」

浜面「あん?」



麦野「……私とあんた、ずっと、どこか、ずっと前に会ってない?」

────────

────

──

絹旗「ちょっとフレンダ! 押さないでください!」

フレンダ「絹旗こそ! ちょっと下がるわけよ!」

滝壺「北北西から電波きてる……」

絹旗「っだあー、ここからだと声が聞こえませんね」

フレンダ「でも感じるのよ……あの辺り一帯に広がるピンク色のオーラを!」

絹旗「ピンク色って……なんだか超いやらしいですね」

フレンダ「ピンク色、もとい、バニー色な訳よ」

絹旗「あー、なんかそれ聞いて隠れてるの超アホらしくなってきましたよ……」

フレンダ「!」

絹旗「どうしました!」

フレンダ「あ……あ……」

絹旗「フレンダ……?」

フレンダ「とある魔術の禁書目録、録画するの忘れてたーーーーっ!!!」

ズコー

絹旗「な……なんですか」

フレンダ「ごめん、先帰るね」

絹旗「帰るって、ちょ……」

滝壺「きぬはた、かえろ?」

絹旗「滝壺さんまで」

滝壺「いいから、ね?」

絹旗「むー」

黄泉川「そこの3人、ちょっと待つじゃん」


フレンダ「……(い、今、気配なんかなかった訳よ!)」

絹旗「……(……おそらく相当のやり手ですね、どうします?)」

フレンダ「……(まだ麦野と浜面が中に居るし、事は荒立てない方が良さそうな訳よ)」

滝壺「なんですか?」

黄泉川「お? さっきの奴等と違ってちゃんとお話できるじゃん」

フレンダ「さっきの?」

黄泉川「なんか4人くらい静止を振り切ってここの廃工場に振り切って入ろうとしたから成敗したじゃん」

絹旗「そうなんですか、それじゃあ私達は超失礼しますね」

黄泉川「待つじゃん」

絹旗「何でしょうか?」

黄泉川「この顔に見覚えあるじゃん?」

滝壺「だれ?」

黄泉川「昔、この辺りを根城にしてたスキルアウトの一員じゃん、名前は浜面仕上、こっちは駒場利徳」

滝壺「しらない」

黄泉川「そっか、ありがとじゃん」

滝壺「お役に立てなくてごめんなさい」

黄泉川「いいじゃん、それよりこんな古い工場で遊んでるといつ崩れてくるかわからないし危ないじゃん。早く帰るじゃん」

フレンダ「それじゃあお言葉に甘えてそうさせてもらう訳よ」

黄泉川「ここには居ないか……ほかを当たるじゃんよ」



フレンダ「……」

絹旗「……」

滝壺「……」

絹旗「っだぁ~、超疲れました」

フレンダ「何なのよあの警備員、絶対タダ者じゃない訳よ」

滝壺「はまづらを探してたね」

絹旗「滝壺さん……、嘘つくのに超微動だにしませんでしたね」

フレンダ「世界最高の嘘発見器があったとしても感知できなさそうね」

絹旗「超すごかったですよ」

滝壺「それほどでも」

フレンダ「照れちゃっても~、かわいいっ」

フレンダ「それよりあの写真の人、駒場っつったかしら?」

絹旗「駒場、駒場利徳でしたっけ?」

フレンダ「結局、誰なのよ?」

滝壺「しらない」

絹旗「誰なんでしょうね」

フレンダ「浜面に関係ある人なのかな」

絹旗「今度機会があったら聞いてみましょうか」

滝壺「……」

フレンダ「そういえば浜面の過去って、あたし等、なーんも知らないのよね」

絹旗「それはお互い様では……?」

フレンダ「まっ、一緒に働くからには、興味が無いわけじゃないのよね」

ねr

フレンダ「浜面だってほら、ひょっとしたらどこかの国の王子様かもしれないし」

滝壺「はまづらが王子様?」

絹旗「なんですかそれ、どこの超アホアホキングダムですか」

フレンダ「わっかんないわよ~、だいたい、ここに来る前どうしてたかなんて本人以外わかんないもんね」

絹旗「なんか超興味沸いてきましたよ」

滝壺「南南西から電波きてる……」

フレンダ「今度皆の前で吐かせるわけよ、きひひっ」

絹旗「超罰ゲームでもやりますか」

フレンダ「浜面限定罰ゲーム大会? いいねいいね」

絹旗「超かわいそうですけど、超お似合いなのが悲しいですね」

滝壺「お似合い」

フレンダ「そんじゃもう解散って事でいいかな? あたし先帰るね」

絹旗「あ、待ってくださいよ」

滝壺「どこいくのフレンダ」

フレンダ「サバ缶」

絹旗「昨日超勝ってたじゃないですか」

フレンダ「昨日とは違う味が新発売な訳よ、全国を代表するコレクターとしては抑えときたいアイテムなのっ」

絹旗「サバ缶コレクターって全国に何人居るんですか……」

────────

────

──


「……浜面仕上の捕獲に失敗した?」

「は、はいっ」

「どういう事だ、きちんと現状を報告しろ」

「それが……」

「……なるほどな、あの第四位が関与しているのか」

「どうしましょう」

「アレはまだ浜面仕上が所持している、間違いないな?」

「は、はい」

「ふむ……どうしたものか……」

「社長、しかしアレには我が社の命運が……」

「わかっている」

「社長」

「ここは学園都市……、これ以上騒ぎを大きくして他の組織から目をつけられるのは得策ではない……静観する他あるまい」

「しかし!」

「なぁに、ただ何もせず待つと言っているわけじゃない」

「?」

「果報は寝て待て……ここには金で動く連中なら五万といるだろうさ」

◇ ◇ ◇ ◇



──あんまり覚えてないのよねー昔の事って。能力開発していた事くらいしか覚えてないかも。

──というのは嘘だ、本当は全部覚えている。

──ただ、思い出すにはあまりに無味乾燥で、思い出すには値しない出来事だらけが支配していて

──黒と灰色しかない世界の事ばかりが支配していて、

──夜な夜な、私の心をチクチクと刺すように音も無くやってくるんだ。

『あの子が……原子崩し』

──そこでは誰も私の名前を呼んではくれなかった。

『今日から君の能力開発を担当する事になった』

──白衣を着た男が私の前にやってきて薄っぺらい顔で笑う。

『今日からよろしく頼むよ、原子崩し』

──毎回繰り返される意味の無い遣り取り、これで一体何回目なのだろうか。

──朝が来る。

──足音が聞こえて、起床を促される。

──窓すらない研究施設の隅の部屋で与えられた物と言えば、研究者の男が趣味で読んでいるという本くらいだった

『おはよう、原子崩し』

──特徴の無い声が抜けていく。

──ああ、今日もあのつまらない時間が始まるのか。

──そう考えるとイヤになる。

『どうした? 行くぞ』

──いっそ目の前の男を殺してしまえばこの意味の無い日々に終わりがくるのだろうかと思って

──白衣を赤色で染め上げた事もあった。

──人を殺したという実感は無かった。

──、なんだ、こんなものか。

──かんたんじゃないか。

──簡単なこと、じゃないか。

──いつも通り、普段やっている実験の通りに照準を合わせて、能力を解放する

──それだけで目の前の男は動かなくなってしまった。

──本当に。

──息をするのと同じ感覚で能力を解放しただけ

──たったそれだけの事だったんだ。

──騒ぎを聞きつけた警備員が私の部屋に集まってきた。

──なのに誰一人として私を咎める物は居ず

──ただ、畏怖

──ただ、無関心

──淡々と、業務的に遺体を回収して消えていった。

『素晴らしい……素晴らしい力だ、原子崩し』

──おかしいな

──悪い事をした子供は怒られるんじゃないのか

──少なくとも本で読んだ世界では、そうなっていたのに。

『これは実験の計画を少し前倒しにしてもいいかもしれないな、ははははは』

──実験

──実験

──実験実験

──被検体番号4

──能力名

──原子崩し

──実験

──実験

──ねぇ。

『何だ、原子崩し』

──こんな実験繰り返して、何になるの?

『いつも言っているだろう、お前は将来莫大な利益を生み出すんだよ』

──将来って、いつ?

『明日の明日の、もっと先だよ』

──その日が来たらどうなるの?


──答えは、無かった。

──そんな日が、ぐるぐると続いた。

──捲ったカレンダーの数は覚えていないけれど。

──窓の無い部屋。

──寒暖の差など無く、空調で色を消された季節の無い部屋。

──最初の白衣が残していった本だけを読んで過ごしていた。

──やがて私はある一つの事に興味を持ち始めた。

──研究所の外

──この外側の世界はどうなっているのだろう。

──24時間をこの研究所の中で生きていた私が始めて関心を抱いた事柄だ。

──きっと、私の知らない不思議な出来事が沢山待っているに違いない。

──だったら。

──とっととこんな所、抜け出してしまおう。

──思い立ったが吉日。

──味気ない金属製のドアを原子崩しでぶち破った。

──警告音が鳴るが、気にしない。

──迷路の様な研究施設。だけど道筋は覚えている。

──途中、私を制止する大人達を何人か能力で黙らせた。

──大人達が後ろで何か叫んでいたけど聞こえない。

──行くんだ。

──外へ

──帰るんだ。

──外へ。

──右。

──右、

──ひだり

──階段を上がって

──長い廊下をぬけて

──いつも自分の実験が行われていた部屋を横目に私は走った

──銃を持った大人が立ちふさがる

──気にしない。

──能力を解放して駆けた

──息があがる。

──肺がつぶれそうだ。

──だけど、代償と思えば安いもの、

──今までの過去を清算するための。

──思い返せばつまらない毎日だった

──朝起きて一番に色々なプラグが取り付けられた服を着せられ

──その後いくつかの栄養を摂取し

──パラメーターの変化を測定

──それに従って白衣の男が指示する通りに原子崩しを発動させる。

──ガラス越しに見える薄気味悪い笑い顔が浮かんで

──おもいっきり、右足でふみつけるようにして

──私は走る。

──外に出たら

──なにをしようか

──おしゃれ、というものにも興味があるし

──しゃけという魚にも興味がある

──やってみたいこと、みてみたいこと

──たくさんありすぎてどれをしようなんて選べない

──ああ

──ああ

──なんて、

──なんて楽しいんだろうか

──あと少しで

──あと少し

──あと少しで、

『げ、原子崩し! 待て!』

──うるさい

──ジャマスルナ

『原子崩し!』

──私はそんな名前じゃない

──私は、私の名前は!

──

──

──

──

──

──

──

──、

──、これが、外の世界。

──思っていた程も、

──、いや、想像以上に

──、何も無かった。

──結論から言うと、何も変わらなかった。

──これが世界。

──これが世界か。


──でも、次にやってきたあの感覚は例えようの無い興奮・快楽の類の何かで

──風・音・光・温度・匂い・声・人の気配・町並み・ビル・雲・車・建物・ガラス・木・道・煙突・煙・騒音……エトセトラエトセトラ

──同時にあまりに多数の情報が脳に入ってきて

──私の頭はどうにかなってしまいそうだった

──

──、……まぶしい

──これが日の光というものだろうか

──うん、……悪くない。

──感動と呼べばいいのだろうか。

──あるいは。

──だがその一時の感動はすぐに不快な声でかき消される。

『ばか! お前等撃つな! 撃つな! 当たったらどうするんだ! あいつは金の成る木なんだぞ!』

──振り返ると銃を構えた大人達が追いかけてくる

──オマケにあの耳障りな声だ。

──私はまた、走った。

──威嚇で何回か能力を解放すると、奴等の動きが止まる。

──追いかけてこないでよ

──私、帰るんだから。

げ?メルトダウナーじゃなかったっけか


『原子崩し!』

──声が聞こえる。

『原子崩し! どこにいくつもりだ!』

──私は答えない。

『お前は、お前は俺の元でしか生きていけない! 一人で生きていけると思ったのか!』

──そんなの、知らない。

『原子崩し!』

──、うるさい

『……く』

──、ジャマ、しないでよ!

>>168
ぐあ
すんませんメルトダウナーで脳内保管たのんます


あと、
>>10>>8と一緒だったのと

>>139
×絹旗「昨日超勝ってたじゃないですか」
○絹旗「昨日超買ってたじゃないですか」

でした。
重ねてすんません。

『くそ……まだ実験段階だが、アレを使うか』

──白衣が携帯電話越しに何か指示を出した直後

──不快な音が私を襲う。

──とたんに演算に集中できなくなった。

──私の能力はその特性上「照準」が最も重要な要素であるらしい

──あの白衣の男が言っていた事だ

──「照準」が狂うと誤って能力が暴発してしまうかもしれない、と

──、……だとするとこの状況で能力を発動させるわけにはいかない……っ

──大人たちの足音が大きくなる。

──私は、

──逃げる

──息があがる

──でも、逃げる

──だめ。

──だめ、捕まったら。

──私は、私は外の世界に行くんだから。

──こことは違う、太陽の世界に。

──、一度手に入れたんだ。

──離して、たまるか……っ

──、だめ

──、耳が痛い。

──もう

──もう、何も考えられない。

──ああ

──そうか

──だめなんだ

──私は、私には

──この世界には

──私の場所なんて……



『おい! こっちだ!』

──その声は耳を塞いでいても聞こえたし


『こっちだ! はやく!』


──この、不快な音に支配された世界でも、はっきりと私に届いた

俺「こっちだ!!そのまま乗り込め!」

俺「大丈夫か!!」

俺SSなら俺得支援

──男の子だった。

──年は同じくらいだろうか?

──背は私と同じくらい、髪はボサボサ、なぜか土色に汚れた半そで半パン。

『逃げるぞ!』

──手を掴まれて、ぐいぐいと引っ張られる

──痛いくらいに強く引っ張られて、私は思わず手を引っ込めた。

『なにやってんだよ! 追われてんだろ!』

──、え……あ

『いいから!』

──、また、手を引っ張られる。






──その手は今まで差し伸べられたどの手よりも汚れていて




──その手は今まで差し伸べられたどの手よりも暖かかった




────────

────

──



『……ふぃー、逃げ切ったか?』

──、

『なんだよ、せっかく助けてやったのにお礼もねえのかよ』

──え、あ、……

『どうしたんだ?』

──う、あ……

『なんだオマエ、喋れねえのか?』

──何かを伝えようとするほど、私の喉は枯れていった。

『んー、ま、いいや。無理に喋んなくてもいいよ。あいつらに何か怖い事されたんだろ?』

──、ん……

『さ、これからどうするか。それよりオマエ、腹へってないか?』

──、……おなか? そういえば今日はまだ何も……

ぐるるるるる

『そっか、じゃあ俺の家に来いよ! なんかレーゾーコの中にあったと思うから』

──、言葉を介さなくても、なんとか空腹の意思は伝わった様だ。

『つーかよ、最近この辺りも色々工事中ですげーよな、ビルとかいっぱい立つのかな?』

『学園都市ってさ、すげーよなぁ。俺の居た地元じゃこんないっぱい人いなかったしさ!』

『あーもうなんかワクワクするなー!』

『来週からさ! 俺! 学校なんだ! どんな能力に目覚めて、どんな事ができるか、今から考えたらワクワクするぜ!』

『っと、話してる間に着いたな。このマンションが俺の部屋、狭いけどゆっくりしてけよ!』

──、こくり

『って、オイオイオイ、靴脱げ靴!』

──、?

『ハテナ? じゃねえよまったく、欧米か』

──オーベイ?

『いやそんなキョトンとされてもだな……』

ガチャ

『あー……』

パタン

『おーい、コンビニで買ってきた鮭弁当しかないけど、食べるか?』

──、こくり。

『ん、ちょっとまってろ。暖めてくるから、えーっと、確か電子レンジはこのボタンで……』

──、そわそわ。

『なんだよ、なんか珍しいモンでもあったか?』

──、?

『テレビに机にポスター、あとタンス……雑誌、別に普通のモンばっかだけどよ』

──、じー

『あぁこれか? 昨日ゲーセンで取ったカエルのストラップだけど、欲しいのか?』

──、こくり。

『ま、いいぜ。俺は別にいらなかったし、欲しい人に持っててもらえるならそいつも幸せだろ』

──、じー

『それはダメ』

──、?

『いや、だってそれ取るのにすげー金つかったんだよ、でかいし重いしクレーン甘いしで大変だったんだからよ』

──、じー

『……そ』

──、じー?

『……そんな目で見てもだめなもんはだめだああああああああああああああああっ!!』

チーン

『あぁぁぁああああって、出来たみたいだな』

──、?

『ホレ、熱いから注意しろよ』

──、っ!

『あーもー、そんながっつくなって……ってオイ! 手で食べるな手で! 箸をつかえ! ギャグか? 身体を張ったギャグなのか!』

──?

『お箸だよ、お・は・し! 日本語アンダスタン? チョップスティーック!』

──、?

『この顔はマジでわかんねーって顔だな……』

『いいか? こうやって右手で……こう、わかるか?』

──、こくり。

『お、そうそう。そうやって掴むんだ』

──、こくり。

『おー、上手い上手い。そのまま食べちまえ』

──、もぐもぐ。

『どうだ? 美味いか?』

──、こくこく。

『そっか、鮭好きなんだなオマエ。コンビニ弁当くらいしかなくてすまねぇな』

──、ふるふる。

『そういえば、オマエ、名前は何て言うんだ?』

──、

『ナマエだよナマエ、いつまでもオマエのままじゃ嫌だろ?』

──、ナ、……マエ……

『そうだよ、名前、なんだよ喋れるんじゃん!』

『あ? あ、あぁそっか。人に名前を聞くときはまず自分からだよな』

『俺な、俺の名前は──』

────────

────

──

麦野「……私とあんた、ずっと、どこか、ずっと前に会ってない?」

浜面「俺と麦野が?」

麦野「うん」

浜面「さあなー、誰かと勘違いしてねーか?」

麦野「そうかな」

浜面「だいたいよー、俺は女の知り合いっつったらスキルアウト繋がりで数人居る程度だしよ」

麦野「……それじゃああの修道服の娘は一体何だったのよ」

浜面「っだあ! かあ! らぁ! あの娘は道端で倒れてたんだって何度も説明しただろぉ!?」

麦野「ふつーさぁ、今日日の日本で道端に倒れてる修道服の女の子って居ると思う?」

浜面「いや、ベランダに引っかかっててもおかしくねぇんじゃねぇの?」

麦野「……むぎのびーむ」

浜面「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ?!」

麦野「ち、はずしたか」

浜面「い、いま! 髪! チリって! チリっていった! 髪! チリ! 当たるトコだったぞ! 麦野!」

麦野「当たり前じゃない、当てる気だったんだから」

浜面「さらっと恐ろしい事を言ってくれるな麦野は……」

麦野「浜面の分際で私に口ごたえしようなんて態度が気に入らなかったのよ」

浜面「ひでぇ……」

麦野「ま、いいわ。今日はもう帰りましょう」

浜面「ん。そうだな」

麦野「ここの後片付けよろしくね」

浜面「っておい! 俺一人でっ?!」

麦野「当たり前じゃない、正規の依頼でもないんだから下部組織使うわけにもいかないでしょ?」

浜面「いや俺所属は下部組織なんだけど……」

麦野「はーまづらぁ? あんたのせいで今日は休日出勤なんだからね」

浜面「う……」

麦野「……ま、どうしてもっていうなら手伝ってあげてもいいけど」

浜面「ほ、本当かっ?!」

麦野「その代わり……、か、買い物、付き合いなさいよ」

『買い物だよ、か・い・も・の、わかる?』

──、?

『なんつったらいいか……、食べ物、無くなったから買ってくるんだよ。わかるか?』

──、こくり

『よっしゃ通じた、そんじゃ俺は行ってくるから』

──、ふるふる

『ん?』

──、とことこ。

『一緒にってか?』

──、こくこく

『はぁ……、ま、いっか。夜は冷えるからほらコレ、着てけよ』

『そんじゃあ、行くか』

──、こくり。

『戸締りして……と。まーったくよ、オマエさ。結局どこの誰なんだー?』

──、?

『迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですかーってか……結局名前も聞けなかったしさ』

──?

『まぁ、誰だって言いたくない事の一つや二つあるもんだしな、気にすんな』

──、……こくり。

『さー着いた着いた、おい勝手に行くなよー』

──、?

『あぁ? これか? これはサバ缶っつってな、サバの缶詰だよ』

──?

『缶詰がわかんねーのか、缶詰ってのはまぁ、保存食みたいなもんか?』

──、こくり

『保存食って言葉はわかるんだな~?』

──、こくこく

『……ま、インスタントの麺類何個か買ってりゃ当分は大丈夫だろ』

──?

『ソレ、お湯入れたら食えるんだよ、うめーぞ』

──、っ

『あー……鮭味のラーメンは無い……かな』

──、……

『あからさまに落ち込んでるな……喋れねえのにナンつーわかりやすさだオイ』

『……あー、ちょっと来い』

グイ

──?

『魚のコーナーは、っと。ここか』

──!

『おお……目が輝いてるぜオマエ……』

──っ! っ!

『あーはい、はいはい。買う、買うから。ったくよーグリルなんて使った事ねーから焦げてもしらねーぞ?』

浜面「ったくよー、絶対コレ焦げてるって髪の毛さ」

麦野「さっきからグチグチと、女々しいのよ」

浜面「そりゃ女々しくもなるわい!」

麦野「はーまづらぁ」

浜面「なんだよ麦野」

麦野「……」

浜面「なんだよー?」

麦野「べつにー」

浜面「なんだぁ? ヘンな麦野だな」

麦野「ヘンはヘンでもヘンタイの浜面にだけは言われたくないわよ」

浜面「ははっ、負け犬上等ォ~……」

麦野「あった」

浜面「何買うかと思ったら弁当かよ」

麦野「明日の朝用よ。ここの鮭弁、好きなのよね」

浜面「ふ~ん」

麦野「なによ」

浜面「いや……意外っつーか、麦野がこんな庶民派スーパーを使ってるなんて思わなかったからさ」

麦野「なによー、人がどこで何買おうと勝手でしょ」

浜面「ちげぇねえ」

麦野「浜面は何買うの?」

浜面「そうだな……今日の晩飯、何にすっかなぁ」

浜面「……、あ」

麦野「うん? どうしたの?」

浜面「……麦野」

麦野「なに?」

浜面「……大変悲しいお話だ」

麦野「だからなによ」

浜面「金、ない」

麦野「……さー、かえろっと」

浜面「まままま、待って! 待ってよ~! 麦の~ん!」

麦野「誰が麦のんだ! ×されてぇのか浜面ァ!」

浜面「む、麦野! ビームはやめろ! 公共の場! 公共の場だって!」

麦野「……フン、なによ。お金が無いのってあのせいでしょ? 自業自得じゃない」

浜面「頼むよ~、腹が減って死にそうなんだ」

麦野「勝手に飢え死にしてれば?」

浜面「ひでぇ……」

麦野「フン」

浜面「俺がオマエの立場だったら絶対手を差し伸べるぞ麦野! 間違いなく! どこの誰であっても!」


『……オマエさ。結局どこの誰なんだー? 』


麦野「……」

浜面「あん? どうしたよ麦野?」

麦野「……なんでもないわよ」

ぐるるるるるるるるる……

浜面「は……はらへった……」

麦野「あーもう、わかった。わかったからそんな子猫みたいな目でみないでよ」

浜面「……麦野っ!」

麦野「そのかわり!」

浜面「?」

麦野「食材は買ってあげるわ、料理は浜面がすること、いい?」

浜面「お、おう! もちろんだぜ! 俺のスーパーでスペシャルな料理で麦野のほっぺた落としてやるから覚悟しとけよ!」

『っだああああああああああああああ!!!! 煙が! 煙が出てるっ?!』

──、けほ、けほ

『おい! ちょっとトイレ行ってくるから見ててくれって頼んだじゃねーか!』

──、?

『いや、見てたけど? って感じで顔をかしげられてもだな……』

──、ふるふる

ポン

『慰めてくれるのか、オマエ……』

──、こく

『そっか、優しいんだな』

──、……

『でも、晩飯は残念ながらカップラーメンだ』

──、ずるずる

『うまいか?』

──、こくり

『そっか』

──、ずるずる

『今度鮭味のラーメン、探してみるか?』

──!

『ここは学園都市なんだし、商品も変わったもの置いてたりするかもな』

──っ!

『あー、はいはい。また明日な、今日はもう遅いから』

『オマエ、布団つかっていいぞ』

──、?

『俺、ソファーで寝るから』

──、……?

『布団だよ、布団、ワカル? これを、こう、被ってねるの』

──こく

『お、そっか。じゃあ電気けすぞ、おやすみなー』

カチ

──、……。

──、……。

──、……。

スー

スー

スー

Zzz……。

『ふあぁ……よく寝た』

『って、うおお!!』

──、すー……すー……

『なんでオマエがソファーに……、ベッドで寝てたはずじゃ……』

──、すー……すー……

『ま、いっか。気持ち良さそうに寝てるし』

──、すー……すー……

『ほんっと、幸せそうに寝てるなー』

──、すー……すー……

『それにしても、誰なんだろこの子』

『やっぱ、誰か大人に相談した方がいいのかな』

『つっても、俺ここらへんの事まだよくわかんねーんだよな』

『こんな時どうすればいいんだっけ……』

『たしかこのガイドには……ええっと? こまった事は風紀委員か警備員にご相談って書いてあるな』

『これ、地図か』

『んー、ここからだと警備員の詰め所が近いのかな』

『んじゃ、買い物のついでに寄っていくとするかな』

──、ぱちり

『おきたか?』

──、……ぼー

『おーい?』

──、びくっ

『そんな警戒すんなよ、俺だ俺。昨日の事は覚えてるよな?』

──……こくり

『そりゃ良かった、シャワーでも浴びて来いよ』

──、?

『買い物、いくんだろ?』

──!

『シャワーわかるか? お湯が出てくるんだぞ?』

──こくこく

『お、オマエでも知ってるのあるんだな』

──こく

『って、うおお! バカ! こんなとこで脱ぐんじゃねえ!』

──?

『だから何? って顔してんじゃねえええええええええ!!!!』

シャーーーーーーーーーーーーー

──♪

『ったく、脱ぎ散らかすんじゃねーっての……、うへぇ……生暖かい……』

──♪

『ち、ちがう。これは別にやましい気持ちなんかじゃなくて、その! ちらかってるのはダメだろうどうかんがえても!』

──、♪

『ってかこいつ、服コレしかないんじゃ……』

──♪

『ついでに服屋にも寄ってくか? 金は親から振り込んでもらったのがまだたんまりあるし、大丈夫だろ』

──♪

『あいつ……結構胸、大きかったな……ってそうじゃねええええ!!!!!』

キュ

ポタポタ

ガチャ

──♪

『……』

──、?

ポタポタ

『……』

──?

『……タオルでふけー……』

──こく

カシャン

浜面「もー、なにやってんだよ。麦野が動いたから醤油倒れただろ? ホラ、これで拭けよ」

麦野「あんたが押すからよ!」

浜面「ただでさえキッチン狭いんだから、二人も入ったらそりゃキュウキュウだっての!」

麦野「何よ! せっかく手伝ってあげてるのに!」

浜面「……ん」

麦野「どうしたのよ」

浜面「このニオイ……」

麦野「あ?」

浜面「麦野! 火! 止めろ!」

麦野「火?」

浜面「魚! 焦げてる!」

麦野「……」

浜面「ま、焦げちまったもんはしゃーねー」

麦野「そうね」

浜面「責任の所在は一先ず置いといて……だ」

麦野「そ、そうね」

浜面「晩飯……どうするよ……、シャケしか買ってこなかったじゃねーか……」

麦野「なんとかするわよ」

浜面「なんとかってったって……」

麦野「ったく、しゃーないわね。アレを出すか」

浜面「あれ?」

麦野「鮭味のカップラーメン。あんまり売ってないから大事にとってたんだけど特別だからね」

浜面「どんだけ鮭好きなんだよ!」

ねr

◇ ◇ ◇ ◇


海原「お疲れ様でした」

一方通行「あー疲れた疲れた疲れた疲れたァ……、ほんっと、マジで疲れたわァ」

結標「っていうか……今日の依頼って、本当に四人で行く意味あったの? 三件とも全部瞬殺だったじゃない」

土御門「にゃー。依頼は完遂、何事もなく終わったんだから文句言わないにゃー」

海原「そういえばあの噂、聞きましたか?」

一方通行「何だァ?」

海原「なんでも人の記憶を自由自在に操るデバイスの研究が、とある施設で行われていたそうですよ」

結標「また悪趣味な研究をしていたものね」

一方通行「記憶だァ? ンなもんいじくってどうしよってンだ?」

海原「さぁ……そこまでは、ただ裏でその研究に不釣合いな程莫大な資金が動いていたとか何とか。噂じゃ子供の記憶の改変に用いられたらしいですけど」

一方通行「子供のねェ……」

結標「許せないわね、遺憾の意を表明するわ」

一歩通行「全くだァ」

海原「そうですね、でもまぁ統括理事会の意向に背いたとか何とかで封殺されたらしいですけどね」

土御門「おー、こわいこわい」

海原「ま、何かと尤もらしい理由をつけて、後は僕らみたいな組織が力づくで黙らせる。それが彼らのベーシックなスタンスですけどね」

土御門「さわらぬ神にたたりなしって事だにゃー」

海原「さて。与太話もこれくらいにして……、今日はもう解散ですかね?」

土御門「そうだにゃー、もう今日はアジトに残っててもやることがないにゃー。解散ですたい」

Prrrrrrrrrrrrrrrrrrrr.......

土御門「っと、電話か……」

土御門「そうか……わかった」

ガチャ

海原「何の電話だったんですか?」

土御門「依頼だ」

一方通行「はァ? 依頼だァ? おいおい、今日はもう店じまいじゃなかったンですかァ?」

土御門「正規のお客さんって訳じゃない……いわゆる飛込み客だにゃー、金払いがよかったんで受けてみる事にした。なんと前金でコレだけだにゃー」

カチカチ

土御門「見てみるにゃー、小さい家だったら一軒買えそうな額ですたい」

結標「何の仕事?」

土御門「’メモリー’の回収だにゃー」

一方通行「’メモリー’?」

海原「その’メモリー’とは?」

土御門「詳しい事はわからないにゃー。ただ、……」

─────────────

────────

────


浜面「タダより高いものはねぇ!」

フレンダ「なによ」

絹旗「超大声だしてどうしたんですか?」

滝壺「耳……きーんってする」

浜面「いや、何故か叫ばなくちゃいけない衝動に駆られてよ」

フレンダ「バカなの?」

浜面「うるせー」

浜面「それよりフレンダ、この前頼まれてた品、できたぞ」

フレンダ「え?」

浜面「なんだ忘れちまったのか? これだよコレ」

ゴトリ

フレンダ「あ、靴と……えーっとなんだっけ?」

浜面「イグニスだろ? 中身はただの窒素ガスだけどよ」

フレンダ「あー、そうそう。イグニスよイグニス、ありがと」

浜面「大事に使えよな」

フレンダ「結局、フェイクの爆弾なんて使う場面が限られすぎてて使いにくい訳よ、発想が逃げ腰の浜面らしいというかさ」

浜面「おおい! 人に作らせといてそれかよ!」

浜面「あと絹旗、窒素のビン、お前にもだ」

絹旗「私にもですか?」

浜面「お前さ、窒素装甲使ってる時は殆ど無敵みたいなもんだけど、窒素なくなったらやべーんじゃねーか? クリボーみたいに踏み潰されちまうかもしれねーだろ?」

絹旗「は……浜面には超言われたくないです!」

浜面「へーへー、いいからほら、持っとけ。持ってりゃいつか使うだろ」

絹旗「あ、……ありがとうございます」

浜面「おう」

浜面「それにしてもフレンダさー。靴に仕込みのナイフなんてよ、なんかスペツナズみたいだな」

フレンダ「憧れてたのよね」

浜面「映画の見すぎじゃね?」

フレンダ「ちょっと浜面さー、あたしの故郷バカにしないでくれる?」

浜面「え? フレンダってロシア人だったの?」

フレンダ「ぜんっぜん、縁もゆかりもないけど」

浜面「なんだそりゃあ……」

フレンダ「とりあえず、ありがと」

滝壺「はまづら」

浜面「ん、どした?」

滝壺「むぎのは?」

浜面「あと30分くらいしたら来るんじゃね?」

フレンダ「……なーんで麦野が来る時間を浜面は知ってるわけなの?」ニヤニヤ

絹旗「超謎ですね」ニヤニヤ

浜面「な……なんだよお前ら」

フレンダ「さぁねー」ニヤニヤ

フレンダ「はーまづらぁ」ニヤニヤ

浜面「なんだよ麦野のマネかフレンダ」

絹旗「昨日麦野の家に泊まったんですよね」ニヤニヤ

浜面「な”ぁ?!」

フレンダ「とぼけても無駄よ、浜面の靴にGPSチップを設置していたからねー」ニヤニヤ

浜面「お……お前らっ?!」

絹旗「で」

フレンダ「ぶっちゃけ、シたの?」

浜面「はぁぁぁぁぁぁああッ?! な、な、な、何を言ってるんだよ!」

フレンダ「何って、ナニでしょ」

絹旗「超ナニですよね」

滝壺「なに」

浜面「ナニとかさらっと言うんじゃねええええええ!!!!!」

浜面「だ……だいたいっ! 麦野は俺の事なんか全然好きでもなんでもねーよ!!」


絹旗「そうでしょうか?」ニヤニヤ

フレンダ「なんでそんな風に言い切れるのかにゃーん?」ニヤニヤ


浜面「あいつはベッドで寝たけど俺は廊下だぜ?! この扱いからわかるだろーが!」


フレンダ「という事はつまり」

絹旗「麦野の家に泊まった事実は認めるんですね?」

浜面「はぁ? 認めるも何もそれはお前等が俺の靴に細工して……」


フレンダ「あたしら、何も細工なんかしてないよ」

絹旗「まさかこんな簡単な誘導尋問にひっかかるなんて……浜面はやっぱり超浜面ですね……」

滝壺「たんじゅん」


浜面「なん……だと……」

フレンダ「(きひひっ、これから罰ゲームのはじまりはじまりよ!)」

絹旗「(フレンダ……悪魔の尻尾がでてますよ)」

フレンダ「(気のせい気のせい)」

絹旗「(超ワルですね。まぁこのノリ、嫌いじゃありませんよ)」

フレンダ「(さーさー、尋問開始よ!)」

さる多すぎワロエナイ
投下ペース落としていきます

フレンダ「ネタは上がってんだよにーちゃんよぉ」

浜面「何のネタだ何の」

フレンダ「……吐いてラクになってまえよ……カツ丼くうか?」

浜面「いらねーよ!!」

絹旗「ずばり、麦野のどこに惚れたんですか?」

浜面「はぁ?! なんで俺が麦野に惚れなくちゃいけないんだよ」

フレンダ「……」

絹旗「……なんで、って」

フレンダ「自覚なし?」

絹旗「ファミレスの件といい……きっと超自覚無しなんでしょうね……」

フレンダ「むぎの……不憫……」

フレンダ「浜面はさー、麦野の事どう思ってるの?」

浜面「どう……って」

絹旗「超好きだーーーー!! とか。超愛してるーーーー!! とか」

浜面「だからぁなあ、そんなんじゃねえんだよ」

フレンダ「婚前宿泊までしておいてっ?!」

浜面「婚前って……久々に聞いたぞそんな言葉、お前やっぱり日本人なんじゃ……」

フレンダ「今私の国籍の話なんかどうでもいいの」

浜面「はぁ……」

絹旗「昨日、麦野の様子はどうですか? 何か変わった様子は超ありませんでしたか?」

浜面「変わった……? 変わった様子って言われてもなぁ……」

浜面「あ」

絹旗「何か超おもいだしましたか?」

浜面「昨日夜さ、晩メシ作ってたんだよ」

フレンダ「どっちが! どっちに!」

浜面「どっちが……って別に、二人で、だけどよ」

絹旗「愛の共同作業ですねこれは……」

フレンダ「OH……LOVELY WORKS……トゥギャザー……」

浜面「いや、フレンダ意味わからんから」

フレンダ「それで、料理した。はい終わり。って訳じゃないんでしょ?」

浜面「あー、それでよ。狭いんだ麦野の部屋のリビング、二人入ったらもうキュウキュウでさ」

絹旗「つまりスキンシップも自然と増えるっていう超寸法ですね」

フレンダ「麦野……涙ぐましい努力……」

浜面「そしたらあいつさ、醤油とか零しやがってよ」

フレンダ「ドジっ娘アピールっ?!」

絹旗「なんか麦野のイメージが超崩れていきます……」

浜面「ったくしゃーねーなって感じで拭いてたら、鮭を焦がしちまってさ」

フレンダ「そこで更にワンモアパンチを重ねにいったのね麦野……」

絹旗「二重の仕掛けですか、超ハイレベルです」

フレンダ「上級者向けよ上級者向け」

絹旗「なるほど、超参考になりますね」

メモメモ

フレンダ「参考になるな……ならねーよ」

メモメモ

フレンダ「で、お風呂は当然一緒に入ったんでしょ?」

浜面「は……はぁ?!」

絹旗「超エロ面ですね」

浜面「あのなぁ……んな事してたら命がいくつあってもたりねーよ!」

フレンダ「3つくらい命、ありそうじゃない?」

絹旗「浜面でひとつ、エロ面でひとつ、バカ面でひとつですか?」

フレンダ「絹旗、上手いこというじゃない。ザブトン進呈よ」

絹旗「超ありがとうございます」

浜面「ったくよー、麦野が俺の事好きとかありえないからさ。お前等だけで盛り上がってんじゃねーぞ」

絹旗「それじゃー、昨日浜面が襲われた時の事はどうやって説明するんですか?」

浜面「昨日?」

フレンダ「結局、麦野ったらスゴい形相で逃げた一人を追っかけていった訳よ、あんな小物ほっといても別に大丈夫そうなものを。私が走っても追いつけなかったんだから」

絹旗「そうですよ、あんな小物」

浜面「その小物に追い詰められた俺の立場はっ?」

フレンダ「なし」

絹旗「超ありませんね」

フレンダ「でも浜面、よっく考えなよ」

浜面「あん?」

フレンダ「麦野の気持ちよ」

浜面「だから昨日のアレはアイテムのリーダーとして……」

絹旗「ここまでとなると……超呆れたものですね」

フレンダ「天然記念物クラスな訳よ、どっかの博物館に展示すればいいのに」

浜面「はぁ?」

絹旗「たぶん……超アレじゃないですかね」

フレンダ「アレだよね」

浜面「アレってなんだよ」

絹旗「アレはアレしかないです」

フレンダ「うん、アレしかない」

浜面「アレ?」

フレンダ「アレはアレよ」

浜面「アレってなんだよ」

絹旗「浜面だって自分の持ち物を勝手に取られたら超怒るでしょう? 例えば、お金を奪われたりしたら」

浜面「当たり前だろ」

フレンダ「麦野も一緒ってコト」

浜面「……そうだったのか」

絹旗「やっと気づきましたか」

フレンダ「鈍感」

絹旗「超鈍感」

滝壺「どんかん」


浜面「やっぱ麦野……ファミレスで金借りたコト怒ってるのか……?」

滝壺「」

絹旗「」

フレ ンダ「」

浜面「しかも昨日もお金無いって言ったらすげー怒られたし……金の切れ目が縁の切れ目って言うしなぁ……、次金が入ったら一番に謝りにいくよ……って、なんで三人ともずっこけてるんだ?」

絹旗「あの~、浜面? お金の事はものの例えで、実際麦野はそういう事で怒ってたわけじゃないと思うんです」

浜面「そうなのか?」

絹旗「え、えぇ。そうですよ」

フレンダ「こ……ここまでとは……」

絹旗「浜面仕上……超侮りがたし……」

麦野「随分楽しそうな話してるじゃない? 私も混ぜなさいよ」

フレンダ「む、むぎの」

絹旗「い、いつから居たんですか?」

麦野「いつ? 今きたとこだけど?」

フレンダ「そ、そう。なははー、なんか喉渇いちゃったなー、ドリンクバーでも行ってこようかなー」

麦野「あら? そんなの浜面に任せとけばいいじゃない」

フレンダ「な、なんだか今日は自分で入れに行きたい気分なのよ、そう! たまには自分で動かないとねー」

麦野「あ、そ。いってらっしゃーい」

滝壺「(にげた)」

絹旗「(超逃げましたね)」

浜面「お前等は何にする?」

絹旗「コーラ」

滝壺「かるぴす」

浜面「麦野は、いつものでいいな」

麦野「うん」

浜面「じゃ、行ってくるわ」

とある魔術の禁書目録スピンオフ作品

とある科学の原子崩壊(メルトダウン)

無能力者(ヘタレ)と超能力者(ツンデレ)が交差するとき、物語は始まる...!

麦野「はーまづらぁ♪」

浜面「保守」

フレンダ「結局、浜面と麦野はお似合いって訳よ」

絹旗「ツンデレと鈍感、超王道ですもんね。」

滝壺「南南西から支援が来てる」

普通レス配達って
名前からIDまでコピペするよな

>>268
フレ ンダ「」
おーいまん中で避けてるぞ(笑)

保守

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom