C.C.「ルルーシュ。 お前、死んだらしいぞ」(148)


C.C.「ルルーシュ! 起きろ、大ニュースだ!」

ルル「朝から騒々しいぞ…。 もう少し眠らせろ」

C.C.「二度寝する前に話を聞いておけ、損はさせないつもりだ」

ルル「どうせお前の事だから『ピザ激安』とかいうCMでも見たんだろう…」

C.C.「違う。 全く、お前は私を何と思っているんだ?」

ルル「ピザ食いNEET魔女」

C.C.「ほぅ、お前のカードを破産させるくらいピザを食ってやろうか?」

ルル「一体どんな脅しだ……」


ルル(……そして、俺はいつの間に見知らぬ部屋のベッドで眠っていたんだ)

C.C.「ふん。減らず口はその辺にして、いいから私の話を聞けと言っている」

ルル「そこまでお前が執着するニュースとは珍しいな。
   いいだろう、話してみろ」


C.C.「ルルーシュ。 お前、死んだみたいだぞ」

ルル「何……だと……!?」

ルル「それは何時だ?」

C.C.「先日の昼過ぎとの事らしい」

ルル「いったい誰が殺した?」

C.C.「先の大戦で死んだと思われていたゼロに、だ」

ルル「死因は?」

C.C.「胸を剣で一突き。 出血多量によるショック死だと報道されていた」

ルル「ほぅ…一突きで仕留めたのか。 ゼロは相当の腕利きだな」

C.C.「ああ、それはもう色々な奴からお墨付きな程度にはな」

ルル「捕虜のナナリーはどうなったんだ?」

C.C.「解放軍と市民により即救助された」

ルル「黒の騎士団の面々は?」

C.C.「同上だ」

ルル「今日の朝食は?」

C.C.「フレンチトースト。私が作ったんだぞ」

ルル「味の方は?」

C.C.「味見などするか。目分量に決まっているだろう」

ルル「…ちなみにシュナイゼルはどうなった?」

C.C.「助けられた恩義が云々で、ゼロに忠義を誓う声明を昨晩のうちに発表した」


ルル「それで、俺は誰だ」

C.C.「ルルーシュだ」

ルル「そうか…殺されたのは誰だったか?」

C.C.「ルルーシュだな」


ルル「とんでもない事件が起こったものだな」

C.C.「ああ、お前が寝ていた間に世間はとんでもない事態になっているぞ」

ルル「……それで、満足したか?」

C.C.「ああ。予想以上にお前が乗ってくれて大満足だ」

ルル「いつの間にかゼロ・レクイエムを俺はやり遂げていたのか」

C.C.「お見事だったぞ」

ルル「お前から賞賛を貰えたとなれば、相当なものだったのだろう」

C.C.「……ん?」

ルル「どうした、そんな訝しんだ顔をして」

C.C.「ルルーシュ、お前」

ルル「なんだ」

C.C.「ゼロ・レクイエムの事を覚えていないのか?」

ルル「……」

ルル「正直、気がついたらベッドに寝ていた事に最初は驚愕していた」

C.C.「一応確認しておくが、どういった理由でここにいるのか理解しているか?」

ルル「…大体の予想はつくが確証が持てない」

C.C.「覚えてないのか? お前、刺されてからずっと眠っていたんだぞ」

ルル「言われてみれば先日の記憶が曖昧だな」

C.C.「ちなみに、どの辺りまで覚えている?」

ルル「ほとんど覚えていない。 
   うろ覚えながら、ナナリーと少しだけ喋った…気がするだけだ」

C.C.「そうか。 会話は出来たか?」

ルル「…ああ。 記憶や感覚は曖昧だが、何かしら会話を交わせたと思う」

ルル「さて、現状を理解するために様々な疑問がある。
   しかしてゼロ・レクイエムを含めた全ての事象が
   本当にあったことならば、一つ大きな問題があるのだが」

C.C.「お前が抱える問題なぞお見通しだ」

ルル「ほぅ、やけに自信ありげだな」

C.C.「当たり前だろう? 私はC.C.だからな」


C.C.「ズバリ空腹だな。待ってろ、今すぐ朝食持ってきてやる」

ルル「……大ハズレもいいところだ」

ルル「思ったよりも美味しく出来ているな、このフレンチトースト」

C.C.「私にかかれば簡単な事だ」

ルル「ところで、C.C.。キッチンに置いてある失敗作の山だが」

C.C.「それは後で私が食べる分だからな。 決して失敗作なワケじゃないぞ」

ルル「よく言ったものだな…」

ルル「で、だ。キッチンに置いてあるフレンチトーストっぽい何かだが」

C.C.「ふん」

ルル「お前には勿体無いくらいの量だ。俺が全部食うから後で持ってこい」

C.C.「だ、だからアレは私が食べる分だと…!」

ルル「いいから持ってこい」

C.C.「あ、アレは本来私の分だが、お前がそういうなら持ってきてやろう」
 
ルル「そういう事にしておいてやろう」

C.C.「…美味しくなくても知らないからな」

ルル「お前が作ったんだろう? 不味いのか?」

C.C.「そんなワケないだろう。 しっかり味わって食えよ」

ルル「せいぜい期待させてもらおう」

C.C.「……腹、壊すなよ」


ルル「おい、C.C.」

C.C.「なんだ」

ルル「昼はいらん」

C.C.「…完食したのか」

ルル「ちょっと横になるから、そっとしてくれ。
   落ち着いた頃にでも俺の質問に答えてもらうぞ」

C.C.「却下だ。私は忙しい」

ルル「ゲーム機をTVへ繋ぐ作業を忙しいというのか、お前は」

C.C.「重労働だぞ?」

ルル「こんな事が重労働なら、数千万人単位で過労死する輩が出るぞ」

C.C.「いいじゃないか。
   どうだ、折角の機会だから一緒にゲームでもするか?」

ルル「馬鹿を言え。俺にそんな時間が…」

C.C.「時間が?」

ルル「……時間が、あるのか?」

C.C.「ああ、あるんだぞ。 心からゆっくり休める時間が」

ルル「丁度いい腹ごなしだ。
   こういうのには慣れていないが、お前がそう言うなら付き合おう」

C.C.「ふん、今日の童貞ボーヤは素直だな」

ルル「ただ、何事も慢性的に遊ぶのでは面白くない」

C.C.「私は楽しいぞ?」

ルル「俺が面白くないんだ。
   …ちょっとした賭けでもしながら遊んでみるか」

ルル「受理するか?」

C.C.「内容次第だな」

ルル「なに、簡単なことだ。
   俺が勝てばお前に質問、お前が勝てば俺に命令。
   シンプル故に分かりやすいだろう?」

C.C.「おい、ルルーシュ」

ルル「なんだ?」

C.C.「お前に対する命令は何でもいいのか?」

ルル「内容次第だな」

C.C.「おやおや、いきなり保守的とはらしくないな。
   要するにお前は負けなければいいんだ。
   最初から『内容次第』と逃げているようでは男がすたるぞ?」

ルル「自分の事を棚に上げておいてよく言えるな…」

C.C.「私はか弱い女だからな。 よって先ほどの理屈は私にはまかり通らん」

ルル「…まぁいい。言い出したのは俺からだからな、その条件で受けてたとう」

C.C.「では、まずチェスゲームを何戦かやってみるか」

ルル「C.C.、俺にチェスで敵うと思っているのか?」

C.C.「聞きたい事があるのだろう?」

ルル「……ふん」


Win:ルルーシュ


ルル「当然ながら俺の勝ちだ」

C.C.「…ここまでコテンパンにされると若干腹が立つな」

ルル「…拗ねるな」

C.C.「それで、お前は何が聞きたいんだ?」

ルル「まずは一つ。俺の疑問の基盤となる質問だ」

C.C.「言ってみろ」

ルル「『ゼロ・レクイエムは予定の通り成功したのか?』」

C.C.「その質問にはYesと答えよう。
   完璧だった。本当に、一部の狂いもなく、完璧に達成された」

ルル「……そうか」

C.C.「それで、お前は何が聞きたいんだ?」ってSSが昔あった気がする

C.C.「ゲーム中の憂い顔は相手に失礼だぞ。ほら、第二戦目だ」

ルル「まだ題目はチェスでいいのか?」

C.C.「ああ、それでいい」


Win:ルルーシュ


C.C.「………」

ルル「不貞腐れるな、さっきよりも10分長く対局出来たじゃないか」

C.C.「…バレバレだ。もっと分かりにくい手の抜き方をしろ」

ルル「…善処する」

ルル「では、次の質問だ」

C.C.「いいだろう」

ルル「『今俺たちが居る場所、ココはどこだ?』」

C.C.「確かに記憶の曖昧なお前にとっては重要な質問だな。
   ここはジェレミアの隠遁地となる予定のミカン畑。そこの宿舎だ」

ルル「また随分と立派な宿舎だな」

C.C.「皇帝時代のお前から貰った給与の半分で土地と家を買ったそうだ。
   随分と優遇してくれて感謝がうんたら、とアイツは言っていたぞ」

ルル「…そうか」

C.C.「外を見てみろ。見事なオレンジ農園だろう。
   アレは全部ジェレミアが栽培しているらしい」

ルル「今さらながら自分の業の深さを噛み締めているよ」

C.C.「気にするな、アイツは忠義の名とかで結構受け入れているぞ」

C.C.「もう一戦、もう一戦だけやるぞ」

ルル「俺の勝ちは揺るがないが良いのか?」

C.C.「その鼻をへし折ることに快感を覚えるのが私だ」

ルル「面白い、やってみろ」


Win:ルルーシュ


C.C.「………!」

ルル「大人気なかったのは謝罪するから涙ぐむな」

ルル「では、気を取り直して聞くぞ」

C.C.「ふん、上等だ。何でもこい」

ルル「『何故ここには俺とお前しかいない?』」

C.C.「簡単な事だ。ジェレミアとアーニャが農作業に出て留守にしているからだ」

ルル「…ナイトオブラウンズが何故ここにいるんだ」

C.C.「色々あってジェレミアが養うことになったようでな。
   この話は長くなるから、次の機会にでもゆっくり話してやる」

わっふるわっふる

C.C.「…次はゲームを変えるぞ」

ルル「ふん、何でも来い。負けるつもりは毛頭無いがな」

C.C.「では、このゲームで高得点を取った方が勝ちとしよう」

ルル「次に選んだジャンルは『ガンシューティング』か。
   この程度の題目なら楽勝だろう」

C.C.(…負けっぱなしは性に合わんからな。目にもの見せてやる)

ルル「今から始めるゲームのタイトルは何なんだ?」

C.C.「デスクリムゾン、だ」


Win:C.C.


ルル「おい、何だこれは」

C.C.「何がだ?」

ルル「何が? なにもかもに決まっているだろう!?
   だいたい何だ、このコンバット越前とやらは!
   コードネームに本名の一部を使う馬鹿がいるか!!」

C.C.「落ち着け、そんな熱くなるな」

ルル「他にも設定やらゲームの当たり判定やら、不満な部分を上げたらキリが無い…!」

C.C.「クソゲーたる所以がそこだからな」

ルル「それに、何よりも」

C.C.「ん?」

ルル「なんでお前は平然とエンディングまで辿り着いてるんだ!?」

C.C.「ふふん。当たり前だ、私を誰だと思っている?」

ルル「くそぅ…無駄に勝ち誇るその顔が腹立たしい……!」

C.C.「それじゃあ命令を一つ聞いてもらおうか」

ルル「仕方ない。ルールはルールだからな」

C.C.「『コーヒー淹れてこい』」

ルル「人を小間使いと思っていないか、お前」

C.C.「黙れ敗者。とっとと私のために精魂込めてコーヒー作れ」

ルル「くっ、い、淹れてくるから待っていろ! すぐに再戦だ!」

C.C.「おい、ルルーシュ」

ルル「何だ!?」

C.C.「間違っても睡眠薬入れて、私に変なことしようとするなよ?」

ルル「…手が滑って下剤が投与されたら悪かったと先に謝っておくよ」

~数分後~

C.C.「ほぅ、やるじゃないか。及第点を与えれる程度には美味いぞ」

ルル「褒められても嬉しくないのが不思議だな」

C.C.「変なものは入れてないだろうな?」

ルル「お前はまず俺に対する猜疑心を脱ぎ払うことを善処しろ」

ルル「さて、再戦だ」

C.C.「ゲームは先ほどと一緒で構わないな?」

ルル「構わないわけないだろう。さっさと別のゲームに切り替えろ」

C.C.「ふん、文句ばかりは一丁前だな」

ルル「その台詞はどの口が言うんだ」


C.C.「じゃあ、シューティングでのスコアアタックはどうだ?」

ルル「ほぅ、パターン構築が主となるタイプか。俺は構わんぞ」

C.C.「ジャンルは横スクロールSTGでいいな」

ルル「いいだろう。
   ところで、何というタイトルのゲームなんだ?」

C.C.「怒首領蜂・大往生だ」


Win:C.C.


ルル「ス、スコア差が圧倒的すぎるぞ…」

C.C.「なんだ、張り合いの無い奴め」

ルル「C.C.、貴様…このゲーム、やり込んでいるなっ!」

C.C.「答える必要は無い」

C.C.「そうだな、とりあえず『腰でも揉め』」

ルル「年寄りは大変だな」

C.C.「喧しい。 私はまだピチピチだ」

ルル「その表現がすでに…いや、なんでもない」

C.C.「うむ、今から横になるんで黙って手を動かせ」

ルル「はいはい…」

C.C.「それと」

ルル「ん?」

C.C.「変なところ触るなよ」

ルル「触らん」

C.C.「絶対だぞ」

ルル「触らん」

C.C.「手がすべったとか無しだからな」

ルル「触らんと言っているだろう」

C.C.「…真顔で返答されると、それはそれで腹が立つな」

ルル「…一体なんなんだ」

C.C.「さて、次は何で挑んでくる? んん?」

ルル「パズル系ならば有り難いんだが」

C.C.「却下。 お前に分がありすぎてアンフェアだ」

ルル「だとすればお前に何か案はあるのか?」

C.C.「そうだな、イレブンを列車で徘徊しながらモノを買い続けるゲームはどうだ?」

ルル「その言い回しだとモノポリーを連想するな」

C.C.「大体あっている。 桃太郎電鉄というタイトルのようだ」

ルル「またしても初めてプレイするゲームか。
   C.C.、ちなみにお前これをどの程度やりこんでいるんだ?」

C.C「一人で閻魔を3人相手どって余裕で勝てる程度だ」

ルル(基準がいまいちよく分からんが、大したことはなさそうだな…)


C.C.「さて、これはプレイ年数が選べるが何年くらいで戦ってみるか?」

ルル「適度に遊べる程度で頼む」

C.C.「了解した。 では10年くらいで遊ぶか」


Win:C.C.


ルル「くっ……惜敗か…!」

C.C.「ルルーシュ、お前の敗因は一つ。
   機動力を疎かにして農林物件ばかりを買い漁ってしまったことだ」

ルル「ふん、次の機会には見返してやるからな」

C.C.「せいぜい楽しみにしておこう」

C.C.「うむ…自分でもこんなに連勝するとは考えてなかったから
   罰ゲームの題目が浮かんでこないな」

ルル「ではいいじゃないか、パス1で」

C.C.「却下だ。 せっかくならこの権限を十二分に使わせてもらおう」

C.C.「……『手を握れ』」

ルル「ん?」

C.C.「二度も繰り返さんぞ」

ルル「いや、しっかり聞こえてはいたんだが」

C.C.「だったら早くしろ」

ルル「そんな事でいいのか?」

C.C.「充分だ」

ルル「手の内側に画鋲とか仕込んでいないだろうな」

C.C.「なんだその絶妙に陰険な手法の嫌がらせは」


ルル「…欲の少ない奴だな」

C.C.「…いや、私にとっては欲張りなくらいだよ」

C.C.「さて、次は何のゲームで遊んでみるか?」

ルル「C.C.、ちょっと待て。
   こんなに長時間ゲームをやったことが無い身としては、流石に疲れたぞ」

C.C.「なんだ、もうへばったのか。 だらしない奴め。
   私なんて某RPGでは天鱗を求めて丸二日ポータブルを手放さなかったぞ」

ルル「見事なまでに廃人じゃないか」

C.C.「そのくらい私の持つ気概を見習ってみろ」

ルル「ああ、反面教師としてな…」

C.C.「まぁ、お前が疲れたならば仕方ない。この辺りで切り上げるか」

ルル「ちょっと待て、まだあと一つだけ聞きたいことがある。
   最後に一戦だけやるぞ」

C.C.「ほう? 題目は?」

ルル「シンプル・イズ・ベスト。 ジャンケンだ」

C.C.「先に言っておく。 私はグーだ」

ルル「奇遇だな。 俺もグーを出すつもりだ」

C.C.「それでは引き分けてしまうだろう」

ルル「だったらお前が変えればいい」

C.C.「却下だ。 お前に言われてホイホイ意見を変えるのはプライドが許さん」

ルル「じゃあ俺がパーを出せば万事解決だな」

C.C.「ま、まぁそういう事になるな」

ルル「もういいな? それではいくぞ」

C.C.「最初は、グー!」

ルル「ジャンケン!」


ルル&C.C.「ポン!」


ルル:グー

C.C.:チョキ


Win:ルルーシュ


C.C.「ふ、不覚……」

ルル「C.C.、一つだけコツを教えておいてやる。
   この手のゲームで心理戦に勝つには、まず引き分けを狙っていくことだ」

C.C.「まぁいい。 負けは負けだ。
   で、お前が私に聞いておきたいことは何だ?」

ルル「最後に一つ、大事な質問をする。正直に答えてくれ」
  
C.C.「いいだろう」

ルル「今まで提示された条件から察すると、
   本当にゼロ・レクイエムは終わったんだろう」

C.C.「ああ、お前達は見事にやり遂げている」

ルル「そうなると、大きな矛盾が一つだけ生じるんだ」

C.C.「…言ってみろ」


ルル「C.C.、『俺は何故こうして生きている?』」


C.C.「……」


C.C.「…どこかの物好きがコードを与えたからだ。
    お前に死んでほしくないと願った愚か者が、そうしたんだ」

C.C.「ルルーシュ、人は死んだらどこへ行くか覚えているか?」

ルル「Cの世界だったか」

C.C.「ああ、そこでは過去に死した人と会話も出来る」

ルル「その為には自分も死人になっているのが条件だがな」

C.C.「お前、そこで会いたい人や謝りたい人がいるんだろう?」

ルル「……ああ」

C.C.「私がコードを与えたことにより、しばらくそこへ行けなくなったわけだ」

ルル「……」

C.C.「なぁ、ルルーシュ」

ルル「なんだ?」

C.C.「…私を恨んでくれて構わないんだぞ」

ルル「……」

C.C.「お前は全ての罪を抱える覚悟でスザクに殺されることを望んだ。
   しかして、私の勝手なエゴでお前はこうして生きている」

ルル「……」

C.C.「言うなれば、お前の誇りに泥を塗ったようなものだ」

ルル「……」

C.C.「…本当に、これは私のエゴなんだ。 謝っても、謝りきれない」

ルル「……」

C.C.「だから一向に恨んでくれて構わない。
   そうされるだけの理由が私にはあるし、お前にはそうする権利がある」

ルル「……」

C.C.「お前が望むのならば、何でもしよう。
   私はただ…お前に死とは別の救いを見つけてほしかったんだ」


ルル「…なんでもする、だと」

C.C.「…そこだけを抜粋するか貴様」

ルル「本当に、なんでも聞くんだな?」

C.C.「あ、ああ! なんでも聞いてやろう」

ルル「C.C.、それでは…」

C.C.(な、何をこいつは願うのだろうか…)

ルル「ならば、C.C.」


ルル「俺と一緒に来い」

C.C.「……は?」


 ルル「俺と合体しろ」

 C.C「……は?」

ルル「今まで騎士団やら何やらのしがらみばかりだった。
   だからこそ、自由な時間が出来たら俺は旅がしてみたくてな」

C.C.「まるで仕事に疲れたOLの発想じゃないか」

ルル「五月蝿いぞ。 
   で、だ。 やはり旅をしようにも一人だと退屈しそうでな。
   お供のような奴が一人は欲しかったんだ」

C.C.「…そこで私に白羽の矢が立ったわけだ」

C.C.「なぁ、恨んでないのか?」

ルル「感謝はすれど恨むことなど何も無い」

C.C.「いいのか?」

ルル「Cの世界にはいつでも行ける。 この現状も縁と受け取ろう」

ルル「何でも聞くと言ったな?」

C.C.「確かに言った」

ルル「二言は?」

C.C.「無い」

ルル「だとすれば話は早い。 
   俺をこういった現状においたお前への責任は、それが一番ベストな形だろう」

C.C.「全般的に問題はないが、一つだけいいか」

ルル「この後に及んで質問か。 まぁいい、何だ?」

C.C.「そ、その…私なんかで、いいのか?」

ルル「愚問だな。 お前がいいんだ」

C.C.「そうか。 そこまではっきり言うのは清々しいな」

ルル「ふん、今さら体裁を取り繕ってどうする。
   忘れたか? 俺とお前は…」

C.C.「共犯者だから、か…」


C.C.「ふふん、それなら確かに遠慮は要らんな」

ルル「ルルーシュ・ランペルージは死んだ」

C.C.「ああ、シャルルの王位を継承したその瞬間にな」

ルル「そして、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアも死んだ」

C.C.「ああ、華奢な男が持つには重過ぎる大罪を背負ってな」

ルル「だが、俺は生きている」

C.C.「ああ、…生きている。 お前は、こうして生きている」



ルル「とりあえずは、この優しい世界で余生を楽しむとしよう」

【エピローグ】


~とあるのどかな農道にて~


女「……」

男「……」

女「ギアスという名の王の力は、人を孤独にする」

男「……」

女「ふふっ。 少しだけ違っていたな」

男「……」

女「なぁ、ルルーシュ」

男「……ふん」


―END―

長時間お付き合い頂きありがとうございました

>>29
以前書いたssを覚えていて下さった方がいた事に驚きました
需要の有無は関係なく、また同じネタで音楽紹介でもしてみたいですね

完全に蛇足の形で申し訳ありませんが、スザクssも準備しておりまして…
ですが今回は時間の都合で割愛させていただきました
機会があれば彼にもスポットを当ててみたいですね

では、この辺りで失礼を
また次のギアスssで

まだ残っていた…だと……!?

多くの乙レス等ありがとうございます
このssが、少しでも皆さんの退屈を紛らわす手助けになれば幸いです
その上で楽しんでいただけたら個人的には嬉しい限り

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