ペトラ「口内炎?」(30)

オルオ「痛い」

ペトラ「なに、どうしたのオルオ…私、朝食作ってる最中で忙しいんだけど」

オルオ「…気になるか?」

ペトラ「気にならない。黙って立ってるならそこの食器棚から平たい大皿出して」

オルオ「ほらよ。で、だな…気になるなら教えてやる」

ペトラ「………」

ペトラ「…うん、わかった。いいよ、言って」

オルオ「最近働き詰めで俺は弱っているのかもしれん」

ペトラ「うん?」

オルオ「舌に口内炎が出来てしまってな」

ペトラ「いや、絶対この間舌噛んだからだと思うよ」

オルオ「見るか?」

ペトラ「…見たくないけど見せたいんでしょ」

オルオ「お前がどうしてもと言うならな」

ペトラ「はいはい、わかりました。見てあげるから口開けて」

オルオ「な?結構痛そうだろ?」

ペトラ「なんでちょっと自慢気に言うの?…うわ、でもこれは本気で痛そう…」

オルオ「栄養不足だな」

ペトラ「うーん…一応栄養偏らないように気をつけて献立考えてはいるんだけど、果物とかはやっぱりなかなか手に入らないし」

ペトラ「…ていうか、今回は栄養関係なくてただこの間の傷が炎症おこしてるだけだと思うんだけど」

オルオ「痛くて物が食べられないんだが」

ペトラ「はいはい。じゃあ、今日の朝食、とりあえずオルオのパンはスープに浸しておくね。柔らかくしたら食べやすいでしょ」

オルオ「頼む。そういう気のつくところは俺の女房候補としてポイント高いぞ」

ペトラ「そのポイント下げるにはどうしたらいい?」

オルオ「照れるな」

ペトラ「…いいや、とりあえず出来た分運んで。オルオのスープ作ったら私も食堂行くから」

エレン「おはようございます」

ペトラ「あ、エレンおはよう。もう座ってていいよ、いま朝ごはん並べるから」

オルオ「ペトラ、この大皿は真ん中でいいんだろ?」

ペトラ「うん、ありがと。そこに置いといて」




ペトラ「…じゃ、これで全員だね。いただきますしよっか」

エレン「…あの、兵長は?」

エルド「兵長は朝早く出かけられたぞ。今日は会議があるそうだ」

グンタ「昼過ぎには終わるらしいがな。それまでエレン、申し訳ないが朝飯を食い終わったら午前中はまた地下室に戻って欲しい」

エレン「…わかりました」

ペトラ「ごめんね、エレン」

エレン「…いえ、大丈夫です」

ペトラ「………」

エルド「ところでオルオ、それどうしたんだ?」

エレン「…そういえばオルオさんのだけひたパン仕様ですね」

オルオ「ペトラがな、俺の健康を管理したいんだそうだ。ったく、女房気取りかってな」

ペトラ「ちょっと、ふざけないで。怒るよ」

グンタ「それで、どうしたんだ」

ペトラ「…オルオが舌に口内炎できて痛いっていうから。食べやすいほうがいいかなと思って」

オルオ「見ろ、こんなになっている」

エルド「食事中だぞ、やめろ。汚いもん見せんな」

グンタ「そりゃ、あれだけ噛めば口内炎にもなるだろうな」

エレン「口内炎ですか…父から口内炎には酢でうがいをするといいと聞いたことあります」

オルオ「酢?」

ペトラ「酢かぁ…台所にあったっけ?」

グンタ「あったぞ、確か。こっちに来るとき兵団の備蓄倉庫から持ってきていたはずだ」

エレン「調味料入ってる棚のとこですか?俺持ってきます」

グンタ「頼んだ。多分奥の方にある」

エレン「わかりました」



ペトラ「…エレン、地下室で寝泊まりさせちゃってるってだけでも可哀想なのに、兵長がいない間も地下室っての可哀想よね」

エルド「まあ、上からの命令だし仕方ないだろ。そこは割り切らないとな」

ペトラ「うん…それはそうなんだけど」




エレン「…持ってきました」

ペトラ「ありがとう、エレン!……酢…こんなもんで足りるかな。あんまり使うのももったいないし…はい、オルオ」

オルオ「…じゃあ早速」

オルオ「」がらがら

オルオ「」がら…





オルオ「?!?!」ブハッ

ペトラ「うわ、ちょっと!汚い!!!オルオ馬鹿じゃないの!!?」

オルオ「ゲホッ…おい、これめっちゃ染みるんだが!?つか、むせる…ゴホッ」

エレン「まあ、酢ですし…」

グンタ「良薬口に苦し」

エルド「それだけ効いてるってことだろ」

ペトラ「もう本当にやだ…ちょっとかかったんだけど…オルオ最低…気持ち悪い」

オルオ「こんな染みると思ってなかったんだから仕方ねぇだろ」

ペトラ「…着替えてくる」

オルオ「おい」

ペトラ「オルオの口から出た酢がかかってとても気持ちが悪いので、着替えてきます!」

オルオ「二回も言わなくていい」



次の日


オルオ「痛い」

エルド「なんだ、酢は効かなかったのか?まあ昨日の今日ですぐに治るもんでもないだろうけどな」

オルオ「まだ白くなったままだ…物を食べるのがつらいから今日も食べやすいものにしてくれ」

エルド「まったくお前は手のかかる奴だな…わかった、お前の分だけ別につくるから食堂戻っててくれ」

オルオ「頼む」






ペトラ「え、オルオ…朝食また特別に作ってもらったの?」

オルオ「まあな」

リヴァイ「ペトラ、オルオはどうしたんだ?」

ペトラ「口内炎が痛くてあんまり物が食べられないそうですよ。自業自得です」

リヴァイ「…昨日の晩飯の野菜がやけに柔らかかったのはそのせいか?」

グンタ「オルオの分だけ別に作るのは手間がかかりますからね。兵長はもう少し固めのほうが良かったですか?」

リヴァイ「別にあれでも構わないが」

グンタ「なら、良かったです」

リヴァイ「オルオ…口内炎はそんなに痛むのか」

オルオ「それはもう!…見ますか?兵長」

エルド「どうしてお前はそう口内炎を人に見せたがるんだ」

リヴァイ「いや、見せなくていい…そうか」

オルオ「兵長?」

リヴァイ「今日の午後少し出かける」

ペトラ「?わかりました」

まさかオルオ愛されスレか…!?時代が追いついたか!!




ペトラ「兵長どこいったのかなぁ?」

グンタ「ペトラ、掃除の手が止まってるぞ」

ペトラ「ちゃんとやってるよー」

オルオ「……む、兵長が帰られたようだぞ。窓から馬小屋に戻ってくるのが見えた」

ペトラ「あ、ほんとだ。…エレン呼んでくるね」





エルド「兵長おかえりなさい」

オルオ「どこに行かれていたのですか?」

ペトラ「??…兵長、その荷物は……?」

リヴァイ「………」


リヴァイ「オルオ、これを飲め」

オルオ「?」

リヴァイ「ペトラ、エルド、グンタ、エレン…お前たちの分もあるから飲め」

エレン「?」

グンタ「なんですか?」

リヴァイ「これだ」

一同「!」

ペトラ「兵長、こんな…牛乳に…蜂蜜なんて!」

リヴァイ「口内炎には牛乳と蜂蜜が良いらしい」

オルオ「まさか、兵長!俺のために!!!」

リヴァイ「………まあな」

オルオ「兵長ォオオォオオオ!!!」

ペトラ「オルオうるさい!」

グンタ「…兵長、俺たちもいいんですか?」

リヴァイ「オルオのためだけに買ってきた訳じゃない。お前たちも皆、良く頑張っている…それをねぎらう意味もある」

リヴァイ「遠慮はするな」

一同「兵長!」じーん

ペトラ「じゃあ、早速牛乳温めてきますね!」

エレン「ペトラさん俺も手伝います」

ペトラ「あ、じゃあエレンはカップ配って!」

バタバタ

エルド「ペトラもエレンも完璧にはしゃいでるな」

オルオ「兵長ォオオォオオオ」

リヴァイ「…暑苦しい、寄るな」

エルド「オルオは感動のあまりおかしくなってるし」

グンタ「牛乳も蜂蜜も俺たちの給金じゃなかなか手に入らないからな。仕方ないだろう。そういうお前もにやついてるぞ」

エルド「まあな」

リヴァイ「………お前たちがそんなに喜ぶならまた買ってきてやる」

リヴァイ「次の壁外調査で任務を全うできたらな」

ペトラ「ほんとですかぁ!兵長!…よーし、よりいっそう頑張らなくちゃ!」

エレン「ペトラさん!ペトラさん!ちゃんとお鍋見てて下さい」

ペトラ「あ!わわっ…危ない吹きこぼれるところだった」

エルド「ペトラ、気をつけろよ?」

ペトラ「あはは、ごめんごめん。でも、もうすぐ出来るよ~」

オルオ「フッ、兵長のお気持ちが心に染みる…ここはぐいっと有難くいただかせてもらいます。ハチミツミルクなんて飲んだことないし、楽しみだ」

エレン「あ……」

グンタ「エレン、どうかしたか?」

エレン「あの、これも父からの受け売りなんですが…口内炎の場合は牛乳に酢をいれるのがいいらしいですよ。蜂蜜単体ならいいんですが、牛乳に入れてしまうとあんまり効果がないんだとか」

オルオ「!?」

リヴァイ「…それは本当か、エレン」

エレン「あ、えっと、はい…」

ペトラ「そうなんだ。…じゃあ、オルオのミルクには酢を入れるね」

オルオ「なんだと!!?」

グンタ「ほら、ペトラ早くつがないと冷めるぞ」

ペトラ「あ、そうだった!ごめんなさい」

コポコポ

ペトラ「兵長、どうぞ!おつぎしました!あと、エルド、グンタ、エレンも、はいっ!」

ペトラ「…あと、はい!これ、オルオの分」

オルオ「………」



ペトラ「それじゃ、いただきまーす!」

リヴァイ「甘いものはあまり好きではないが、これはなかなか良いな」

ペトラ「わー、ほんのり甘くて美味しい!優しい味がしますね。兵長、本当にありがとうございます!」

エルド「初めて飲んだが、これは本当に美味い…こんな高価なもの、ありがとうございます」

グンタ「ホットミルクって飲むとなんだか気持ちが落ち着くな。なんだか今夜は良く眠れそうだ」

エレン「昔母さんが作ってくれたのを思い出しました…」

わいわい

オルオ「………ふん」



その夜


ペトラ「オルオー?起きてる?」

オルオ「なんだ、俺は忙しい」

ペトラ「ベッドにゴロゴロしながらなに言ってるの。忙しくないでしょ」

オルオ「じゃあ、もう寝る」

ペトラ「なぁに?いじけてるの?」

オルオ「は?俺がいじける要素がどこにある」

ペトラ「ハチミツミルク」

オルオ「別に、俺は兵長のお気持ちが嬉しかっただけでハチミツミルクがどうしても飲みたかった訳ではない」

オルオ「もう俺は寝るから…ペトラ、お前もさっさと部屋に戻れ」

ペトラ「ふーん」

オルオ「なんだ」

ペトラ「いいから。オルオ、ちょっと起きて」

オルオ「……なんだよ…って、こら、飲み物を持ったままベッドに腰掛けるな。こぼしたらどうする」

ペトラ「そんなこと言っていいのかなー?」

オルオ「あ?」

ペトラ「ふふふ、内緒だよ?………ほら、オルオの分のハチミツミルク」

オルオ「!」

ペトラ「実はさっき、お鍋に少し残しておいたんだ」

オルオ「!!」

ペトラ「飲みたかったんでしょ?口内炎にはあんまり良くないかもしれないけど、ハチミツミルクなんてなかなか飲めないもんね」

オルオ「………」

ペトラ「良かったね、オルオ」

オルオ「………」

ペトラ「オルオ?」






オルオ「ありがとうペトラァアアア!俺の嫁ぇええええ!!!」ガバァ

ペトラ「は?!うわ、ちょっと!抱きついてこようとしないで!」

バシッ

オルオ「ッ!」

ペトラ「あ、ごめん」

オルオ「痛い」

ペトラ「え?そんな強く叩いてないよ」

オルオ「弾みで舌噛んだ…」

ペトラ「えぇ……?」

オルオ「同じとこ」

ペトラ「………はぁ、そんなんじゃ全然治らないじゃない」

ペトラ「本当仕方ないなあ、オルオは」

オルオ「誰のせいだ」

ペトラ「今のは不可抗力っていうか正当防衛!」

オルオ「………」

ペトラ「なに、その不満そうな顔」

オルオ「別に」

ペトラ「………じゃあ、ほら、ハチミツミルクここに置いておくから飲み終わったらちゃんと水桶に沈めておいてね?カピカピになったら洗うの大変なんだから」

ペトラ「そろそろ私部屋戻るね」

ペトラ「お休み」

オルオ「お休み…………ペトラ」

ペトラ「ん?」

オルオ「…ありがとう」

ペトラ「ふふ、どういたしまして!…栄養つけてちゃんと口内炎治してよ?」

オルオ「おう」

ペトラ「じゃあ、また明日ね」

バタン

オルオ「………フッ、ペトラもとうとう俺にデレ始めたか」



ガチャッ

ペトラ「それはないから安心して寝て」

バタン

オルオ「………」

オルオ「痛い」

オルオ「……心が」

オルオ「………」



オルオ「………せっかくのハチミツミルクだ。冷めちまう前に飲むか」




オルオ「………美味い」




おわり

オルオはもっと愛されるべき

>>1
よかった


エレンが天然なのか計算なのかオルオさんに厳しいな

オルオさんかわいい

久々に和むssを読んだ

これはいいオルオss

オルオさん可愛い

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月28日 (土) 15:25:18   ID: ioEFEe0v

おもしろかった

2 :  SS好きの774さん   2018年10月02日 (火) 16:59:04   ID: otMN1ocX

オルペト大好きです

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