幼馴染「アンタとは絶対付き合わない」(624)

確か昨日だった。俺はあいつと会った。引っ越してきたらしい。
俺は声をかけた。

男「お?久しぶりじゃん。幼馴染だよな?」

幼馴染「…」

おかしい。違和感の原因を突き止めるのはそう難しくなかった。

男「…?どうした?」

人違いか?いや…そんな筈は…でもひょっとしたら…

幼馴染「…」

なんだ人違いか。自分を無理矢理納得させて、アパートの自分の部屋に戻ろうとした。

男「すみません、人違いでした」

幼馴染「アンタ、男でしょ?」

足が止まった

男「なんだよ、人違いかと思ったじゃないか…あー恥ずかしい思いして損した」

幼馴染「ふぅん」

もしかしたら、こいつ明日から俺と同じ高校に通うのか?

男「お前ってさ、もしかして通う高校って」
幼馴染「〇〇高校」

当たった。ちょっとテンションが上がった。でも、なにか違う。こいつ、こんな性格だったっけ?

男「そうだ!引っ越しの後片付けとか、荷物の整理とか手伝うよ!」

幼馴染「いや…いいよ」

男「そっか…」

なんか鼻っ柱を折られた気分だなぁ…
まぁこいつも女の子だ。男には見られたくないものだってあるに違いないさ。

男「じゃ…用があったらいつでも呼んでくれな」


部屋に戻り…寝た。
隣からあわただしい音がしたが、呼ばれない以上しかたない。明日から新学期だ。



あいつはもう部屋にいなかった。初日からお早い登校ですこと…。

学校

男友「おう!お前また同じクラスだな!」

男「お、そうなのか。よろしくな」

男友「はは、何を今更!」

無意識に幼馴染の名前を探した。無い…無い…あった。灯台下暗し、とはこのことか。同じクラスだ。

男友「まぁ…教室に行こうぜ」

男「そうだな」

多分今年も出席番号でいえば、1番後ろの席だろう

やはり席は1番後ろか。
あいつは1番前の隅だった。

男友「あの子…うちの学校にいたっけ?可愛い子はすぐチェックしてるんだが…」

お前のチェック精度は舐めたモンじゃないが、「あの子」は転校生だ、無理もない。

女友「あの子多分転校生だよねー…。なんか怖いなぁ…雰囲気が」

聞いてたのか

男友「話しかけてこいよ!お前が友達第1号だ」

女友「えぇ~」

男友「帰りにタコ焼きおごってやるよ」

女友「イェッサー!」

小柄な女友が幼馴染の席に走っていく。机の上に乗り出し、気さくそうに話しかけている。
あいつの昨日のようすじゃ、突っ返されるのがオチ…


女友「そんなわけで、よろしくぅッ!」

幼馴染「うんっ!よろしくねっ」

あ…あれ…?

そこには昔のあいつがいた

先生からの紹介により、幼馴染は自己紹介した。うん、普通に明るい。友達もたくさんできるだろう。じゃ、昨日なんで…。

放課後

男「おう、一緒に帰るか?アパート隣だし」

幼馴染「いい。一人でかえる」

男「はぁ…俺…お前に嫌われちゃったのかなぁ…」

幼馴染「…」

しまった、つい口をついて!

あいつは廊下に鞄を持って飛び出し、帰ってこなかった。

男友「おやおや、あの子となんか関係あんのか?」

男「べ…別に…」

女友「タコ焼き~~」

男友「わかったって!こら、引っ張るな!」

アパート

一応謝ったほうがいいのか…
コンコンとドアを叩く

男「…いる?」

カギ…かかってないし…

男「は、入るぞ」

幼馴染「入らないで!!!」

ビックリしたね。イヤーたまげた。だって怒声がいきなりさぁ

男「あ、あのさ、今日、何か悪いこと言ったみたいで…ごめん」

幼馴染「…」
幼馴染「わかったから、さっさと部屋に戻って」

絶対許してもらってないな。ったくもう…。

自分の部屋に入ると、隣からすすり泣くような声がきこえた
これはマズイ

翌朝、あいつはまたしても早く部屋を出ていた。

学校

女友「おはよーっ!」

男「お、おはよ」

男友「よう…」

男「ど、どうした」

男友「聞いてくれ。このおチビちゃんがさぁ…タコ焼き10人前って…もうなんなんだよ…」

女友「量の指定はなかったもんねっ!」
男友「だからといって遠慮を知らんのかこのドチビがぁあ!」

女友「ドチビとは何事じゃあああ!!!」

また始まった。
さ、HRだ。席につこう

休み時間、あいつは色々な子とメルアド交換をしていた。友人関係に悩むことはなさそうだな。

男友「頼みがある」

男「なんだ?」

男友「金…貸して…くれ…あと1週間100円で過ごせる自信がない…」

男「ほら…仕方ねぇなぁ」

男友「恩に着る!!2倍返ししてやるからな!」

さて…俺はこれで一週間買い物は一切できなくなったわけだ。

自部屋

男「さぁてと…冷蔵庫の中身は…と…」

ニンジン、モヤシ、残りものの煮物…白菜etcと若干の調味料

男「うっ…とりあえず今日は煮物の残り食うか」

これから先一週間が思いやられる。もうお金ないんだもん…!

翌朝
学校

えぇい、昼飯と晩飯は抜きだ!流石に朝飯は抜くわけにはいかんがな。

男友「あれ?お前…昼飯は?」

男「あぁ、早弁したんだよ!」

男友「なるほど…あっこら!俺のおかずを食うな!」

女友「痛いっ!」

こいつら仲いいのか悪いのか…。



だめだ…腹が減ってなにもする気になれん…寝るか…。


『コンコン』

ん?

男「はい」ガチャ

幼馴染「…」

男「お、お前から珍しいな。どうした?」

幼馴染「これ…」

その手には、可愛い絵柄がついたタッパがあった

男「?」

幼馴染「今日、何も食べてないんでしょ」

バレたか。朝飯は食べたけどなぁ。

幼馴染「はい」

男「おう、サンキュ」

俺が受け取ると、あいつはプイと自分の部屋に引き返した。なんか淋しい気がするけど、タッパの中にあった野菜炒めは美味しかった。



さて、冷蔵庫にあったモヤシを炒めて食べて、今日もバリバリいけそうだ!!
ん?郵便受けに何か入ってる?


弁当箱だった。

男友「そりゃお前、ツンデレって奴だよ」

男「ツン…デレ…?」

知ってる。いや言葉の意味は知ってるんだ!あいつがツンデレ…ねぇ…

男友「ためしにあの子に好きって言ってみろよ」

男「ためしって…」

男友「ったく…しかたねぇな…じゃ、俺があの子にお前があの子の事好きってことほのめかせばだな…」

男「待て!なんで俺があいつの事好きって事になってんだよ!」

男友「違うのか?」

男「あ、あぁ…!」

男友「そうか、行ってくる」

男「待てーーー!!」

男「あ…あぁぁ…」

終わった…あいつに変な目で見られる…せっかく再会したのに…

女友「ありゃりゃ」

男友が喋ってる…その会話に全神経を集中する。

男友「…て訳なんだが、どうだ?」

幼馴染「ふぅん…私は…『あの人』の事、嫌いだなぁ…」


!!!!

終わった

帰り道

男友「…正直ゴメンナサイ…」

男「いい…いいんだ…ははっ」

もうどうでもいいんだ…アハハハハ

男友「お前…自殺とかすんなよな…」

男「だーかーら!言ったろ?俺は好きじゃないってさ!!」

男友「あ…あぁ…」

女友「なんか悲しいね…」

男友「それだけは言うな…」

男友の話によると、ツンデレとはあの状況のときに

『なっ…///そっそんな話して何になるのよっ!!』
とか
『わっ私も…好き…かも…』

とか、動揺したり第三者には素直になったりするらしい。
ところがあいつは
「私は嫌いだなぁ」
淡々と答えた。しかも『あの人』と来たもんだ。
完全に嫌われてるな。でも、弁当とかくれたり、そういう優しさは変わってないみたいで有り難かった。

『コンコン』

男「あ、あのさ…弁当箱とタッパ…洗ったから帰しにきたんだ…」

幼馴染「…」ガチャ

男「お、おう…ありがとな…俺みたいな奴に弁当なんか…」

幼馴染「……」

男「そ…それじゃ…な!!」

こいつは俺のことは嫌いなんだよな…嫌いな相手とは関わりたくないからな。だから無駄話はせず早々に切り上げた。

なんだろう、膝カックンを食らった気分を何倍にも高めた、そんないいようのない気分

朝…か?
何故か眠れなかった。そうだ、たまにはめちゃめちゃ早く学校に行くのも一興だな。まぁ学校に着く頃には野球部あたりが朝練をしている頃だろう

アパートの駐輪場には幼馴染の自転車があった。あいつより早く学校か。ちょっと勝った気分。

こうして俺は学校に向かった。

学校

女友「おはよっ」

早っ!!!

男「一応きくが…」
男「いつも…この時間に登校?確か部活はやってなかったよな?」

女友「うん!いつもこのくらいだよ!部活は…帰宅部だよ!えへへっ」

えへへじゃねぇよ…
男「こんな時間に来て、何してるんだ?」

女友「寝る」

男「は?」

女友「だって誰よりも早く来るっていう記録のためだし。でも最近、幼馴染ちゃんっていう強敵が来たから、記録塗り替えられそうで…あははっ!」


こういう無駄なことに一生懸命になれる人を俺は尊敬します。

幼馴染「…」ガララ

来たか。

幼馴染「!」

男「よ、よう…おはよ」

と言い終わる前に、あいつは教室から飛び出した。
嫌われてるってレベルじゃねぇよイジメだよコレ…。

女友「なんか…ご愁傷様です…」

男「笑うなら笑えよ…」

俺の何がキライなんだ?嫌われる分には仕方ないが、理由は知りたい!

男「全てか!?全てなのか!!?」

女友「うぁッ」ビクッ

男「あ…ごめん…声に出しちまった…」

HRの途中にあいつは息を切らして帰ってきた。当然遅刻扱い。もうなんなんだ。

休み時間

男友「どうした?あの子が遅刻なんざ…」

男「一回来たんだけどな…」

女友「男くんの顔見るなり教室飛び出しちゃった」

男「はぁ…」

男友「女友、言うな…俺からのお願いだ…」

もういい…廊下をうろつくことにした

幼馴染「アンタとは絶対付き合わない」

俺「……」

幼馴染「結婚しましょう」

はいはいはっぴーえんどはっぴーえんど

廊下

『ドンッ』

誰かとぶつかった。あぁもうついてない!

?「ごめんなさい!大丈夫ですか!?」

男「ん?あぁ…こちらこそごめん」

ん?名札の色は2年…一つ下か…

?「男さん…ですか?」

いかにも

男「なんで俺の名前を?」

?「名札に書いてますし…それに男友先輩がいつも…」

あぁ、男友の後輩ってわけか

男友「ん?お、後輩じゃん」

後輩「こんにちは」

男「この子は?マネージャー…じゃないよな、お前帰宅部だし」

男友「俺と同じ中学だよ。同じ中学で女の子はこいつだけだ」

後輩「だって私…男友先輩を追い掛けて…///」

はいはい、男友、こいつはモテすぎなんだよ。先月何人に告白されたんだ言ってみろ!

男友「ばーか、俺なんかのために高校決めると苦労するぞって行ったろ?大学は自分で決めるんだぞ?」

後輩「はい!自分で決めます」

男友「本当かよ…」

授業中

先生がまたくだらない雑談してる。いいのかよ、テスト前は先生は皆範囲を終わらせるためにヒィヒィ言ってるらしいぞ?雑談なんてしてたら範囲まで履修できないだろ。

先生「では、今から大切なお話があります」

そうそう、早くテストの範囲を…

先生「皆さんは『人』という字がどうやってできているか知っていますか?」

そういうのもういいから!アンタ英語の教師だろうがクソジジィ!!

『ガタン』

幼馴染が倒れた

ざわめくクラス。

女友「どうしたの!?大丈夫!?」

女友「先生!保健室に連れていきますね!!」

幼馴染「大丈夫…ただの貧血だから…」

先生「一応保健室で安静にな。貧血は怖いからな」

おいおい…。
小柄な女友が幼馴染をおんぶした。大丈夫かよそんなヨタヨタ歩きで…

女友「おぉっとっと…」

とりあえず授業は再開された

昼休み

幼馴染「…」ガララ

女友「大丈夫なの!?」

幼馴染「うん…ありがと…」

本当かよ…。家に送るくらいなら俺だって…。

男「家に…送ろうか?」

幼馴染「いい…これ…」

弁当箱

男友が目を丸くしたのが視界に入った。

男「いいのか?」

幼馴染「二人分作った人の身にもなって」

ありがたくいただくことにした

帰り道
男「ますますわからん」

男友「あの子のことか?」

男「あぁ、なんで弁当なんか…昨日も実はもらったんだ」

男友「…でも明らかに嫌っていた感じだったよなぁ」

男「あぁ…実はあいつと俺は幼馴染なんだ」

男友「あぁ~そんな気がした」

女友「じゃ、腐れ縁って奴じゃないの?」

男「それだ!」

男友「決まりだな」

納得した

帰宅完了。寝るか。

『コンコン』

またか?

男「はい」ガチャ

幼馴染「はい夕飯」

男「なんか…悪いな…」

幼馴染「死なれちゃ困るから…」
幼馴染「あと、朝早く行くんだったらちゃんと言ってよね」

男「?なんでだ?」

幼馴染「お弁当アンタの部屋の前にいつも置い…」

こいつは今しまったと言う顔をした。俺の前で表情を変えるのは初めてだな。いや、そんなことより…

男「お前…もしかして…今朝の…」

幼馴染「…」

部屋に戻ってしまった。あいつ…今朝俺を見て教室から出ていったのは弁当をとりに行ったのか…?いや…まさか…でも…

翌朝、いつも通りの時間だった。夕飯受けには弁当があった。やっぱり申し訳ない気分になる。朝からブルーな気分だ…

学校

男友「おいっす」

男「おっす」

女友「おはよっ」

いつものメンバーで少し雑談を交わすと、

女友「ねぇね、幼馴染ちゃんともいっぱい話したいな…ね、男」

また突拍子もないこと言い出しやがって…

男「まぁ待て」
男「確かにあいつの事を知りたい気分になるのもわかるが、俺は席を外していいか?」

女友・男友「ダメ」
即答かよ…

男友「もしかしたらお前のこと好きになるかも知れねーだろが!」

女友「印象アップのチャンスだよ!!」

こ、こいつら…

男「…ったく…」

女友は幼馴染を呼んできて、4人で面白可笑しい話をした。楽しかった。あいつは表情豊かで、昔と変わっていない様だった。

ただ、俺とあいつがそんな楽しいムードですら、直接言葉を交わすことが無かったことに俺は気付いていた

帰り道、少しモヤモヤした気分を晴らしたくて、気分転換に帰り道を変えてみた。それなりに大型の病院があるんだが、救急車のサイレンを聞くことはあまりなかったため、この町は恵まれていると思った。


病院から幼馴染が出てきた!?

男「お、おう。どうした、病院なんかに」

幼馴染「…先生に、念のため貧血の件で診てもらえって…」

なるほど
まぁ、一緒に帰る流れを作ることができたからよしとしよう。

男「なぁ」

幼馴染「ん?」

男「なんで…こっちに引っ越してきたんだ?お前なら向こうの高校でも…」

幼馴染「両親と喧嘩したの。だから、一人暮らしがしたかったの」

男「学費は親御さんもちだろ?てかお前の家族は、あんなに仲がよくて…」

幼馴染「昔と今をごっちゃにしないで」
幼馴染「もう変わったの。私も、何もかも。変わってないのは、貴方だけ」

そういうと、スタスタと帰ってしまった。
思わぬ不意打ちを喰らった。近くに落ちていた空カンを蹴り飛ばすことも忘れるくらい、俺は何か裏切られたような憤りを自覚した。

今日はバイトから給料がおりるから、もうあいつの厄介になることはなさそうだ。

男「そういうわけで…ありがとな」

手短に礼を言い、お礼といってはなんだがケーキを渡した。
これであいつの厄介にはならない。
それと同時に、あいつと話すことは0になった。本当に赤の他人のような関係になった。

学校

男友「なぁ、お前ら何かあったのか」

男「何かも何も、いつもどおりだろ?」

男友「なんかお前、怒ってる?」

男「べーつにぃ」

男友「そうか…」


そう…もともとこんな感じだからな、変な期待した俺がバカだったんだ。そうに違いない。

後輩「男さん!」

うおっ!?なんだいきなり…廊下くらい静かに歩かせてくれ!

後輩「あの…コレ…」
差し出された手には封筒があった。
ラブレター!?まさか俺に!?

後輩「あの…男友先輩に、その中に入ってるコンサートのチケットをですね…」

あぁ、ガックリ来たね。やっぱり男友なんだなと。もうね、死にたいね。

男「わかった!これを渡せばいいんだな!」

後輩「はい!ありがとうございます!」

最大限の爽やかスマイルで任務を引き受けた

男友「俺が?」

男「あぁ」

男友「うーん、断る理由もないからな、行くか」

お前のそういう所が女の子を勘違いさせるんだよ…
まぁこちらにも引き止める理由はないが

女友「何の話ぃ?」

男「あぁ、男友と後輩がコンサートに行くんだ」

女友「ふぅん…アタシも行きたいなー」

男友「残念ながらこいつは超人気バンドでな…俺はちょっと楽しみだ」

女友「ぶー」

やれやれ

日曜日
駅前

後輩「あっ!こっちですよぉ!」

男友「お、待ったか?」

後輩「いえいえ、今来たとこですよぉ」

男友「そっか…じゃ、行くか」

後輩「はい!」

後輩「せんぱぁい…」

男友「何さ」

後輩「手…つないでいいですかぁ?」

男友「よし、あそこにゲーセンがある」

後輩「まさかUFOキャッチャー…」

男友「そしてあそこには格ゲー筐体がある。あとはわかるな?」

後輩「勝ったら手つないでもらえるんですね」

男友「あぁ、まだライブまで時間がある、勝負だ」

後輩「望むところです!」

……

男友「ハッハ、残念だったな」

後輩「うぅ~…」

男友「ほら、もう着くみたいだぞ?」

後輩「あ…はい!」
………

男部屋

あぁ、暇だ。ゲームも飽きた。

男「散歩でもするか…」

幼馴染を呼ぼうと一瞬思ったが、すぐにやめた。馴れ馴れしいからな。やめておこう。

今日はいい天気だなぁ…

散歩するのは久しぶりだな。散歩なんて下らないと思っていたけど、ただ歩くのもいいなぁ。健康にもいいし。

『トントン』

肩を叩かれた。

女友「やっほー」

これは中々な大ボスに出会ったもんだぜ…

女友「何してんの?」

散歩だよ、散歩。

男「あぁ、ちょっと買い物をね」


どうしちまったんだ俺の口は
こんなチンチクリンに見栄を…見栄とすら言えない嘘言ってどうすんだよ

女友「そうなの?じゃ、一緒に行ったげる!」

男「お、おいおい。いいよ」

女友「まかせてよね!こう見えてもセンスはいいんだから!」

いやそういう問題じゃなくて…

ライブ会場

後輩「イェイ!!」

男友「イェイ!!!」

後輩「いやぁ…いいですねぇ…やっぱり!!」

男友「あぁ、しかもこの熱気…すごいな…ほら、ハンカチ」
後輩「あ…ありがとうございますぅ…///」

男友「まだまだ続くのかぁ…ノってるねぇ皆」

後輩「あっホラ!始まりますよ!」

男友「おっ」

ショッピングモール

女友「何が買いたいの?」

男「まぁ…服…かな…」

嘘。

女友「服ならまかせて!」

男「あぁ~ひっぱるなぁ~こらぁ~!!!」

痛い痛い!ちぎれる!ちぎれる!!


女友「服なら…ここかな…結構安いよ!」

なになに…70%割引…
うん、激安だね

女友「これ着てみて!」

男「あ、あぁ」

女友「次!」

男「あぁ」

女友「はい!」

男「うん」

女友「次は…」

男「うん…」

女友「これはどう?」

男「はい」

女友「ほい!」

男「うぁい!」


忙しい…

女友「ん…こんなモンかな?」

おお…確かにセンスはいいみたいだな…だが金額は…


上下合計3枚と帽子で3000円以内だと!?
本物だな…こいつ…

女友「えっへん!」

男「なんか…ありがとな」

女友「うんっ!全然いいよ!」

う~ん、今までただのやかましいチンチクリンだと思ってたけど、結構やり手なんだな…こいつ…とつき感心してしまった、悔しいっ

ライブ・終了・帰り道

男友「ふぃ~熱かったなぁ、色んな意味で」

後輩「そーですねぇ…」

後輩「先輩?」

男友「なにさ」

後輩「私は先輩のこと…好きですよ…」

男友「うん…前から言ってるな…」

後輩「でも…」

男友「ん?」

後輩「ただ好きってだけで…先輩が誰が好きかなんて…どうでもいいってことに最近気付きました」

男友「なんだなんだいきなり」

後輩「今日はとても楽しかった。ありがとうございます!それじゃっ」

男友「お…おいっ」

男友「……なんだかなぁ…」

翌朝

忌まわしい月曜日だ。あーやだやだ。郵便受けに弁当は確かに入っていない。当たり前だろ、何未練がましく期待してんだ、俺は。

学校

女友「よっ」

男友「おっす」

男「おはよ」

幼馴染はやはり早くに来ていた。もはや完全に他人だ。

女友「ライブどーだった?」

男友「素晴らしかったな。観客の女の子のレベルもお前の万倍…いや…それ以上…」

女友「もっぺん言ってみやがれぇッ!!」

男友「痛い!やったな!このやろ!!」

………本気でやったら男友が勝つだろうに。

放課後

女友「じゃ、アタシは帰るね!」

男友「なんだ?アイツ、最近早く帰るようになったな…」

男「奴いわく、『早起きには早めの充電』…だそうだ」

男友「何時から寝るんだあいつは」

ん?幼馴染の奴、まだ帰ってなかったのか?

なにやら自分の鞄に手をつっこみ、ゴソゴソさせていた

とりわけ気にすることなく、俺は学校を出る……わけにもいかず、尋ねてみた

男「どうした?何かないのか?」

幼馴染「…何でもない」

そういうとスタコラ教室を出て帰ってしまった。なんなんだあいつは…

男友「しゃあね、俺たちも帰るか」

男「そうだな」


そういって、何気なく下を見た。

俺が持っている部屋の鍵と似た形の鍵が落ちていた

ハハーン…

俺は二段飛ばしでアパートの階段を上った。
案の定、部屋の前に幼馴染が立っていた。

幼馴染「…」

男「…どした?」

幼馴染「…鍵…落としちゃったの…」

男「だと思ったよ。ほら」

幼馴染「!」

幼馴染「…」
幼馴染「ありがと…」

そう言って、少し微笑んだ。
そういえばこいつの笑う顔、久々に見たな…

翌朝 今日は校外学習…つまるところ遠足だな
確か…工場だったよな。現地集合か。そろそろ行くか。

男「あ」

幼馴染「ん」

玄関でばったり。
まぁ別々に行くこれて言った理由もないから二人揃って行くことにした。

工場

女友「遅いっ!」

いや…集合時間15分前…

男友「よぉ、二人揃って仲良しだねぇ」

男「な…ちっちが…」

幼馴染は何の反応も示さなかった。ここで慌てて否定するとガキっぽいかなと思い、途中でやめた。

おっと、そろそろ集合だ

工場は複雑だった。看板があるからいいものの、なかったら今頃迷うだろう、そう、迷路だった。

男「ふぅ…だいたいまわったなぁ」

男友「あぁ…疲れた…」

先生「ではこれから午後の部、繁華街散策です。繁華街の飲食店で昼食をとっても構いません。くれぐれも問題を起こさぬように」

男友「飲食店で昼食OKだってよ。わかってるねぇ」

男「同感」

女友「よっしゃーっ!一緒にまわろ!幼馴染ちゃん」

幼馴染「うんっ!」

いやぁ…美味しかった。
こういうところでハメを外しすぎると一人暮らしの俺は一気に明日からの生活が圧迫されるわけで。

男「ふぅ…まぁ、色々回ってみるか」

男友「そーだな」

女友「うんっ」

幼馴染「…」

とりあえず土産物をメインに見ることにした。

女友「このキーホルダーにしよっと」

男友「なんだ、お前のことだから食べ物系だと…」

女友「私だってたまには可愛くなりたいのっ!」

いや充分だろ。まぁ多少童顔だが…。

男友「じゃ、俺はこれで」

枕ってお前…!しかもそれ普通に近所で売ってたぞ!!

俺はまんじゅうを買った。1番無難だからな…

幼馴染は…なんなんだろう…

自宅

ふぅ…疲れた…明日は普通に授業か…

お気に入りのテレビ番組は終わっていた。今日はもう寝るか。

『ピピピッ』
メールか。

男友『お前、土産の饅頭忘れてるぞ』

饅頭?それなら今ここにあるんだが…。


…なるほど、あいつのか。部屋の鍵といい饅頭といい。あぁ見えてドジなんだな。

男『わかった、ありがとう。』

送信完了

学校

男友「おす」

男「おいっす」

女友「おはよ!」

幼馴染「おはよ…」

土産の件で、わずかながら言葉を交わすようになった。たいした進歩だな。

遠足も終わり、テストが近づいている。
仮にも高校3年生。普段から勉強してはいるが、テスト前はやはり気合いの入り方が違う。

男「さ、俺も勉強しないとな…」

男友「あぁ…」

女友「勉強会だよねっ!」


誰かこいつを止めてくれ

会場は何故か俺の部屋

幼馴染は女友に引きずられてやってきた。

男友「あぁん、わからん!」

男「どれ、見せてみろ」

女友「…??」

幼馴染「女友ちゃん、ここはね…」

てな具合だ。俺は一応恥ずかしくない成績だから、多少余裕はあるんだ。

男「はい、おやつですよー」

女友「わぁい」

幼馴染「最後にこれ解いてからね」

女友「え、ぇぇ~…」

なんでそんな絶望的な表情をするんだお前は

午後10時

最後は皆で蕎麦をすすり、勉強会はお開きになった。

男「ふぅー…」

寝ることにした。

翌日。学校。テスト中

男(うん…うん…よしっ)

男友(あぁ…これ覚えてたのに…うぁあああ)

女友(あ、これ進研ゼミでやったところだ!)

幼馴染(えっと…よしっ)


テストは個人的にはまぁまぁの出来だと思った。

4人とも無事クリア、赤点回避を果たした

1週間後

男友「よしよし、全員夏休みを学校ですごすことはないようだな」

男「だな」

それが普通だと思うんだけどなぁ…

男友「そこでだ」

ん?

男友「夏休みは受験の天王山と言われている!」
男友「確かに勉強は大事だ。だが…」

お…おい…

男友「息抜きも必要だ!海に旅行に行くぞ!!」

お前息抜きしかしてねぇじゃん!!

女友「おーッ!!」
ノるな!

これはフィクションなんか??
何時くらいに書き終わりそう?

20日後

『ザザーン…』

男友「来たな…」

女友「来たね…」

来ちまった… この馬鹿二人は…

なにはともあれ、せっかく来たからには泳ぐべきか?
そう思い、海に駆ける

男友「まてぃ!」

なんだ?

女友「準備運動っ」

男友「死ぬぞ…」



男「はいはいわかりました!」

>>107
明日まで

寝たかったら寝てもいいよ

幼馴染「…」

男「?お前は泳がないのか?」

幼馴染「うん…私はいい…」

もったいない気がするが、楽しみ方は個人の自由だ。よし、ひと泳ぎしますか。

女友「どうだっ女の子の水着姿なんて一生見ないでしょ!今のうちに目に焼き付けておけ!」

男友「ぶははっ!そんな貧相な体つきの女の子の水着姿を見たところで」

女友「なにをーッ!!」

男友「やめろ!頭押さえつけ…モガガッ」

楽しそうだなぁ…



男友「あぁ、焼くぞ」

女友「焼きますか」

男友「あぁ待て、カルビは最後だろうが」

女友「た、たしかに…」

もうわかっただろう。バーベキューですよ。

男友「あっそれは俺が育てたバラ肉…」

女友「パクッ」

男友「うあああああああっ!!」

女友「おいひーっ」

幼馴染「あははっ」

男「……」

こんなに楽しそうな幼馴染の表情を見れただけでもこの旅行はひょっとするとひと夏分の勉強よりも価値があったんじゃないかと、そう思った一瞬だった。

男友「晩飯後は…もうわかるな?」

はいはい花火花火

女友「花火ー!!」

男友「そう!花火!!男みたいな陰険な奴のために、ちゃんと閃光花火も買ってきた!」

男「だ、誰が陰険だ!」

男友「じゃ、始め!」

女友「よっしゃあああ!!」


俺が最初に手にとった花火は何かって?


もちろん閃光花火です

幼馴染「隣、いい?」

男「ん?あぁ」

意外だった。向こうから歩みよってくるとは。

幼馴染「唐突で悪いんだけど…」

男「ん?」

幼馴染「将来の夢…何?」

将来の…夢…?

なんだそれ?
夢?
高校3年生の時点で夢を語る?
……考えたこともなかった。

男「さぁね…秘密」

こんな情けない逃げ言葉しか思いつかなかった

男「お前は?」

幼馴染「秘密」

教えてくれるわけないか

男友「あの二人…なんかいい雰囲気だな…」

女友「うん…」

男友「邪魔しちゃいけないから、少し離れるか…」

女友「そだね…」



男「あるにはあるのか?」

幼馴染「…うん…」

男「そっか…」

高校3年生で夢か…でもこいつなら叶えられるような気がするんだよな。

終わると、近くの宿泊施設に泊まった

男友「うん…一部屋だけど、4人だから妙なことにはならないと思うよ?」

思うよ?ってなんだよ…

男友「まぁ、うんそれじゃおやすブホッ」

枕…直撃

女友「へっへーん」

男友「……」プルプル

男友「女とて容赦はせん!勝負じゃああああ!!!」

女友「おりゃああああ!!!」

枕…枕…枕…




寝かせてくれ…

結局眠れなかった…まぁあらかた予想はできたけどね。それにしても辛い。

男友「………」

女友「………」

1番こたえたのはこの二人だろう。朝方まで枕の応酬をしていた。俺と幼馴染は流れ弾で眠ることを許されなかった。

男「ふぁーあ…」

帰り道、4人で帰るとき、男友が口を開いた。

男友「お前らってもう付き合ってるの?」

!!
確かに付き合えたらこの上ない幸せだろうな。

男「いや…別に…」

幼馴染「違う」

これは両者とも否定した。これは。

幼馴染「これからも、付き合うことはない。絶対。付き合いたくない。」

………

思考が、止まった

男友「そ、そうか…じゃ、この辺で…バイバイ」

女友「バイバイッ」

残された俺と、もう一人は無言だった。
部屋まで何を考え、どう戻ったか覚えていない。

どうやら夢を見ていたようだ。あまりにもくだらない、妄想をしていたようだ

夏休みは、開けた。
俺は見事天王山に負けた。それくらい、あの言葉は胸に突き刺さり、今なお深く刺さりこんでいた。

女友「あ、もう…こんな時間…アタシ帰るね…!」

男「あいつ…帰るのまた早くなったな…」

男友「………」

男友の様子がおかしい

女友「はい、こちら756円になります!」

女友「はい、お釣りお確かめください、ありがとうございました!!」

女友「ふぅ…」

「レジ、空いてます?」

女友「あっ空いてますよー!」

そろそろ帰るか。
本屋で立ち読みを終える頃には10時を過ぎていた。店員に注意されるまで熱中していたようだ。

歩きなれた街…コンビニでパンでも買おう。

「いらっしゃいませー」

女友「…あ…」

男「お前…学校から今までバイトしてたのか?」

女友「やだなぁ、ちゃんと家でぐっすり寝てから来てますよーだ、9時からだよ?」

男「そうか…ならいいけど」

まぁ、こいつはマイペースだからな。俺はパンを買い、家路についた。

>>121
キモい
本当はヤろうと思えばヤれるチャンスはあったんだけどー、って言いたいんだよね
誰も聞いてないのに繰り返し語る典型的な童貞
大学の飲み会でよく居たよ

翌日
学校

女友は授業中よく寝る。本当にマイペースな奴だ…。

先生「女友。女友!!」

女友「へ?ふぁい!?」

先生「この問題、黒板に答案を」

無理だろ…難しいぞその問題…

女友「あ…れ…」

『ドサッ』

女友は黒板に答案を記す必要はなかった。

黒板まで辿りつかなかったからだ。

女友は保健室に運ばれた。また貧血か?

男「女の子って大変なんだなぁ」

男友「………」

どうした?

男「どうした?」

男友「…さぁな」

こいつ…何か知ってるみたいだな…

男「女友のことだけど…」

男友「大丈夫だよ…」

本当かよ…

帰りに、3人で保健室の様子を見に行った。

いなかった。荷物までさっぱり消えていた。

男友「…!」

ほどなくして男友が走り出した。

意味がわからない。夏休みからずっと混乱しっぱなしの俺には状況が理解できなかった

>>135
違うお
マジで自分に失望したんだお
この先俺はチャンスをつかめないのかな

ていうかこんなの誰にでもあるだろ



女友「今日は確か…パン屋の…レジだったよね…」

『ガシッ』

女友「ふぇ?」

女友「男友…?」

男友「ちょっと来い」

女友「離してよ…!もうバイトの時間…」

男友「いいから!!」

女友「………」

公園

男友「いつからだ」

女友「…ふぇ?」

男友「いつからこんな生活で、何時から何時まで働いてるかって聞いてるんだよ」

女友「…夏休み前…6月あたりから…」

男友「時間は?」

女友「5時から8時までスーパーかパン屋…9時から1時までコンビニ…4時から新聞配達…」

男友「なっ…」

>>139
前文からは構って病患者を感じるし最後の一行からはなんとも言い表せないかすかな反抗と自慢を感じた

>>142
お前らも恋愛くらいしてるよな?

してるよな・・・?

男友「いつ寝てんだよ…」
男友「そんな無茶苦茶な生活続けてるから体が成長しないんだよ」

女友「…!」

女友「し…仕方ないじゃんっ!!!!!」

男友「ッ…」

女友「しかた…ない…よ…だって…だってぇ……」グスッ

男友「…」

女友「パパの勤めてる会社が倒産しちゃってさ…パパが…家の天井からぶらさがってたの…」

男友「……」

女友「……生きていくにはこれしかないの…でも学校には通いたいの……しかたないじゃんかぁ……」グスッ

>>143
はいでました自虐風自慢ー
リア充なんだから空気くらいよんでねー

>>145
いやいや、マジでお世辞にもリア充ではない
リア充の基準が外にでれる事ならリア充だが

学生寮に下宿してるから友達もロクにいないし彼女なんか論外だぞ

男友「…仕方ないことねーよ…」

女友「何も知らないくせに!!勝手なこと言わないでよ!!」

男友「なんで俺を頼らなかった!!!!」

女友「…ッ…!」

男友「そんなに頼りないかなぁ…俺…そんなに情けないかなぁ…」

女友「……」フルフル…

男友「じゃ…俺も手伝うよ」

女友「そ…んなの…できないよ…」

男友「なんで?」
男友「俺はお前にとってそんなによそよそしい人間だったのか?」

女友「ぁ…ぅう…」

男友「少なくとも俺はそう思ってない」

>>148
だよな
こいつら相手にしてたらキリないよね
流石>>1さんっすわ

女友「私だって…男友のこと…好き…だけど…」

女友「ダメだよ…迷惑かけらんないよぉ…」

男友「ばか、お前が今日みたいにぶったおれてそのままオダブツしてみろ。そっちのが迷惑だぞ?」

女友「…でも…」

男友「俺が手伝うと決めた!お前に拒否権はない!!」

女友「…!」

男友「まだパン屋には間に合うだろ?今日は俺が代理で出る。お前は休め」

女友「ぁ…ぅ…」

翌日

男「ん?今日は女友休みか?」

男友「あぁ、大事をとってな。回復した共働きだ」

男「…?」



男友に詳しく話を聞いた。何か手伝おうと言ったが、拒否された。

そっか、二人はもう出来上がってたのか。

それに比べて俺は…

もう、11月か…早い…な…。

センター試験まであと2ヶ月ちょい。不安すぎる。

幼馴染はあれから冷たくなっていった。本当に今までの比じゃないくらいに。

どうしてしまったんだと。なにがあったんだと。

本当に嫌われていた事を認めたくなかった。

こういう女々しい奴大学にいるけど、見てるとイライラする
そもそも1はお前にスルー推奨したんじゃないと思うぞ

スルーしきれなかったのと眠気で寝るけど起きたら読むから1がんばれ

男友「最近どうだよ」

男「ごらんの通りだよ。お前らは?」

男友「あぁ、大分楽になった」

女友「うんっ」ギュッ

男「幸せそうで何よりだ」

本当に…

女友「幼馴染呼んでこようか?」

男友「まてまて、これは男自信の問題だ」

女友「ぶー」


俺に何をしろってんだ

>>156
盛大に釣られてるな

そういえば、幼馴染は最近帰るのが遅い。きっと今日もだろう。
アパートの階段を登る。いた。ちょうど入るところ。

声をかけてみよう。

男「あのさ…」

幼馴染「もう…話しかけないで…」

なんなんだ。

男「あぁ、そうかい」

もう、怒りしか出なかった。気に入らないところがあれば言えばいいだろう。嫌いになるプロセスがまるで読めない。これほどまでに歯痒いとは思わなかった。


隣から派手な泣き声が聞こえた。

なんなんだ

12月
クリスマスの月だ。去年まではケーキを一人分買っていたが、今年はそんな気がおきなかった。

いつものように、アパートの階段を登る。

後ろに幼馴染はいた。白い紙袋を抱えていた。

クリスマスは一人でするつもりらしい。
いいだろう。妙に対抗心が生まれた。24日にケーキ屋に走ることを決意した。

24日
買ってやった。デカいデコレーションケーキを。
ガキだなぁ…俺。

あいつの家に明かりはともっていなかった。しかし泣き声は聞こえた。

何かしてやらねばならない。訳のわからない使命感が生まれ、ノックもせず、インターホンも押さず、鍵がかかっていないドアを開けた。


そこに幼馴染がいた

男「メリークリスマス」

幼馴染「…」

目が真っ赤だった。

幼馴染「…出ていって…!」

男「やだよ」

幼馴染「警察…呼ぶよ…」

男「あぁそうしてくれ。クリスマスパーティは賑やかな方が楽しい」

幼馴染「…なんで…!?」

男「何が?」

幼馴染「私はアンタがキライなの!なんでそんなにしつこく…出てってよ…」

男「なんでしつこくお前に干渉するかって?」

男「お前が好きだからだ」


今…とんでもないこと言ったな…俺。

でもまぎれのない本心だった。

男「メリークリスマス」

男「…」

目が真っ赤だった。

男「…出ていって…!」

男「やだよ」

幼馴染「警察…呼ぶよ…」

男「あぁそうしてくれ。クリスマスパーティは賑やかな方が楽しい」

男「…なんで…!?」

男「何が?」

男「私はアンタがキライなの!なんでそんなにしつこく…出てってよ…」

男「なんでしつこくお前に干渉するかって?」

男「お前が好きだからだ」


今…とんでもないこと言ったな…俺。

でもまぎれのない本心だった。

男「メリークリスマス」

谷亮子「…」

目が真っ赤だった。

谷亮子「…出ていって…!」

男「やだよ」

谷亮子「警察…呼ぶよ…」

男「あぁそうしてくれ。クリスマスパーティは賑やかな方が楽しい」

谷亮子「…なんで…!?」

男「何が?」

谷亮子「私はアンタがキライなの!なんでそんなにしつこく…出てってよ…」

谷亮子「なんでしつこくお前に干渉するかって?」

谷亮子w「お前が好きだからだ」


今…とんでもないこと言ったな…俺。

でもまぎれのない本心だった。

幼馴染「…ッ…!」

幼馴染「…そんなの…反則…だよ…」
幼馴染「もう…無理…我慢できないよ…」

何言ってるんだ?こいつ…

幼馴染「ゴメンなさい!!ごめんなさい!!」

なんで謝るの?フラれたの?俺

幼馴染「今まで…冷たくして…ごめんなさい…!!」
幼馴染「でも……アンタのことが…ずっと…ずっと好きだったの…!!」グスッ


そうだったのか…!なんだ、落ち込んで損したな。

男「ま、ケーキ食べようか。ホラ、お前もこの前買った奴、あ、これか」

俺は前にこいつが持っていた白い紙袋の中身を引っ張りだした。

男「…」
男「なんだよ…これ…」

大量の錠剤が出てきた

男「…ッ…!」

男「…そんなの…反則…だよ…」
男「もう…無理…我慢できないよ…」

何言ってるんだ?こいつ…

幼馴染「ゴメンなさい!!ごめんなさい!!」

なんで謝るの?フラれたの?俺

男「今まで…冷たくして…ごめんなさい…!!」
男「でも……アンタのことが…ずっと…ずっと好きだったの…!!」グスッ


そうだったのか…!なんだ、落ち込んで損したな。

男「ま、ケーキ食べようか。ホラ、お前もこの前買った奴、あ、これか」

俺は前にこいつが持っていた白い紙袋の中身を引っ張りだした。

男「…」
男「なんだよ…これ…」

大量の錠剤が出てきた

男「これ…何…痛み止め…?一体何の…」

幼馴染「……」

男「なんとか言ってくれよ…」

幼馴染「男…私…私ぃ…」


幼馴染「ガン…末期の…ガン…なの……」


………は?

上条「…ッ…!」

土御門「…そんなの…反則…だよ…」
土御門「もう…無理…我慢できないよ…」

何言ってるんだ?こいつ…

禁書「ゴメンなさい!!ごめんなさい!!」

なんで謝るの?フラれたの?俺

禁書「今まで…冷たくして…ごめんなさい…!!」
上条「でも……アンタのことが…ずっと…ずっと好きだったの…!!」グスッ


そうだったのか…!なんだ、落ち込んで損したな。

一方「ま、ケーキ食べようか。ホラ、お前もこの前買った奴、あ、これか」

俺は前にこいつが持っていた白い紙袋の中身を引っ張りだした。

御坂「…」
木山「なんだよ…これ…」

大量の初春が出てきた

鳩山「これ…何…痛み止め…?一体何の…」

小沢「……」

鳩山「なんとか言ってくれよ…」

小沢「由紀夫…私…私ぃ…」


小沢「ガン…日本の…ガン…なの……」


………は?

>>179
くそわろたw

正直笑っただろ?

なんで?頭の中のパズルが綺麗に構築されていく。

あの日、貧血で倒れたっていうのは?

あの日、病院から出てきたのは?

あの日、海に入らなかったのは?

男「なんで…だよ…」

幼馴染「両親とは仲悪くないの…でも…自分がもうすぐ死ぬってわかったとき…我慢できなかった…!!もう一度、アンタの顔が見たかった…!!でも、いつかは死ぬ…できるだけ私なんかのために悲しんで欲しくなかったの…!!でも…」
幼馴染「だめだなぁ…私…やっぱり自分の気持ちに嘘はつけないよぉ…」

男「……ッ……」

男「なんで…なんで素直に…ならなかったんだよ…」

涙が止まらない。止める気すらない。

幼馴染「…ごめんなさい…」グスッ

これはいいセクロスができそうだな

何故か頭の切り替えはいつもの10倍以上早かった。

男「…よし…」
男「余命…あとどれくらいだ?」

幼馴染「…2ヶ月…くらい…」

2ヶ月…短い…
でも受け入れよう…

男「決めた」

幼馴染「?」

男「残り2ヶ月…思い出作りに専念だ…受験勉強なんてしてられるか!!」

幼馴染「……」
幼馴染「ありがとう…」

とりあえず妊娠させてあげなきゃな

それから、急いでクリスマスプレゼントを買いに行った。
二人で交換した。

大晦日には、面白い番組を二人で見て、幼馴染が作ってくれた年越蕎麦は本当に美味しかった。

正月には、もちろん甘酒を飲みながら初詣。
俺は中吉、彼女も中吉。こんなもんだろうと笑いあった。


痛み止めの量も増していった。

男「当たった…」

幼馴染「何が?」

男「年賀状のくじだよ…折りたたみ自転車!」

幼馴染「え!?嘘!!見せてぇっ!!」

絶対痛いだろう。痛み止めも効きにくくなってきただろう。

それでも彼女は幸せそうだった。
折りたたみ自転車、間に合うといいんだけど。

2月

彼女はもう歩くにも俺の力が必要になった。それでも全然幸せだ。生きているんだから。
その頃から、俺と幼馴染は寝るとき、互いに「おやすみ」と言うようになった。

そして、14日

朝からカチャカチャ音がする。

台所にあいつがいた。

男「立てるのか!?」

幼馴染「んーん」

なんだ椅子に座って…何してるんだ?
作業を覗き混む。

クリーム色のペーストがボウルの中で踊っていた。
幼馴染「今日はバレンタインでしょ?」

男「そっか…」

ボウルにチョコが足された。生地の色ががたちまちのうちに変化した。

生地が出来上がったら、形を作る

幼馴染「クッキー作るの。あー、ジャマしないでよぉ」

男「俺だって作りたいの」

型に嵌めて形を作るのは、一見粘土遊びと変わらなかった。しかし、これが口の中に入るのだ。楽しかった。

わざと変な形を作ったりもした。

セックスは?
狂ったように交尾しろよ

焼き上がった

幼馴染「この形にしたのアンタでしょ、バーカ」

男「不器用で悪かったですねー」

幼馴染「小学生のときの自由研究の貯金箱さえまともな形じゃなかったもんね」

男「うるせー」

幼馴染「あははっ」

焼き立てのクッキーがこんなに美味しいとは思わなかった。

幼馴染「バレンタイン…私…最後のバレンタイン…上手くいった?」

最後とか…そんなこと言うなよ…。





次の日、こいつは病院に搬送されることになる

病院

医師「もう、明日には…」

うん、知ってる。覚悟はできてるんだ。でも涙がとまらない。あんた医者だろ?涙止めてくれよ。


車椅子に載った、幼馴染が笑っていた。

医師「このまま死因をガンとするか…尊厳死を選ぶかの判断ですが…」

尊厳…『死』……?

恐怖が戻ってきた。覚悟はできてた筈なのに。

あいつは尊厳死を選んだ。明日の朝らしい。

ならば夜から朝まで話をしよう。最後の最後まで楽しもう。

幼馴染「男がいなかった最初の高校2年間は、楽しくなかったな」

男「またお世辞を言いおって」
男「そういえば、ご両親は?」

幼馴染「向こうで、別れを済ましたの…。悪いことしたなぁ…」

そっか…全部、俺に会うために…

幼馴染「泣くなよーwまだ話し始めたところでしょ?」

男「うるせーバカヤロー」

他愛のない話のネタは尽きる様子がなかった

いくらなんでも両親くるだろ

『コンコン』
ドアがノックされた。
医者が、薬品の瓶と、注射器を持っていた。

医師「時間です…もう…思い残すことは…ないですか?」


幼馴染「沢山あります」
幼馴染「男ともっと一緒にいたい」
幼馴染「80まで生きたい」
幼馴染「男…」
幼馴染「でも、もう…私は構いません。」

医師「貴方は?」

なんで俺に聞くんだよ。
簡単に『ありません』というとでも思ってんのか?

俺に聞くなよ…

幼馴染「泣いちゃダーメッ」

うるせーよ

注射器の針が見えなくなっていく

次に、中の液体が見る見る減っていった

幼馴染「男…」

手が持ち上がった

掴んだ

手…足…痙攣してる…薬が効いてる…


いやだ!!

薬とかガンなんかに持っていかれたくない!!

男「やだよ…やっぱり無理だよ!!」

幼馴染「男…泣いちゃ…だめ……」

何笑ってんだよ…何笑ってんだよ…こっちは真剣なんだぞ?

幼馴染の手足の震えが


幼馴染「男…大好き…」


止まった














後悔しています。
あの子の気持ちに気付いてやれなかったこと。
後悔しています。
初めはあの子の泣き声に関心をもたなかったこと。
後悔しています。
最後に男友と女友を呼ばなかったこと
後悔しています。
最後の言葉に、応えることができなかったこと

後悔していません

あの子に…出会えたこと


FIN

あとがき

読み返せばスイーツ(笑)もびっくりドンキーなSSだな

派生あれば書きたいけど、休憩が欲しいな

ケータイでよく頑張ったな

で、これ実話なの?考えたの?

>>242
ヒィクションです。

2月か…女友のバイトを手伝って、半年か…。そういえば男と幼馴染は最近めっきり学校に来なくなったな…。

女友「なんか退屈…」

男友「まったくだなぁ…」

退屈ってレベルじゃないな。あいつらそういえば地方からこの高校に来るために一人暮らしだったっけ?てかこの高校は半分くらいがそうなんだけど。じゃ、実家に帰ったのか?

だとしたら、俺たちに一報いれてくれてもよかろうに。

男友「はぁ…」

女友「どしたの?」

男友「今日、男の部屋にいってみようかなってさ」

女友「私もいく~」

男友「今日はバイト休みだからな、調度いいな」

アパートの階段を登る。何か変だ。幼馴染の部屋は隣らしいけど、誰もいない…。

男の部屋に、人の気配がした。


ノック

出た

男「おう、久しぶり」

男友「おうじゃねーよ、学校サボりすぎだろ…」

男「ま、入ってくれ」

断る理由もないからお邪魔する。
男は3人分のコップをもって、テーブルに置いた。

男「まず、二人に謝りたいことがあるんだ」

女友「え…」

男友「…!」

男「ごめん…今まで…言えなくて…」

幼馴染ちゃんがガン?いや、なにより重要なのは死んだこと。もういないということ。

男友「………」

親友を疑ったのは初めてかもしれない。何故言わなかったのかと。何故最期を俺たちにも看取らせてくれなかったのかと。

震える右手。

俺は必死だった。

女友は子供のように大泣きしている。まぁこいつは子供だが。

怒りと悲しみの懸命にこらえ、尋ねた。

男友「お前は、どうすんの?」

男「俺は実家に帰って、医者の勉強をすることにした。向こうの高校でな」

そっか…予想通りだな。

男「あいつがガンで死んだなら、ガンの治療の技術をさらに進歩させる、そんな医者になりたい」
男「どうだ、単純だろ」

否定はしない。

本当はひきとめたい。
だが、これはこいつの選んだルートだから、邪魔する必要もない。

男友「わかった…元気でな…!」

男「あぁ…!」

俺達らアパートをあとにした

男友「いい加減泣きやめよ…」

女友「だって…だってぇ…!」

やれやれ…俺だって泣きたいわ。明日も学校だ。家に帰って大泣きして、それでも明日は来るのだ。

俺は帰った

翌日、先生からの軽い男と幼馴染に関する報告を受けたあと、いつものように授業をうけた。

『トントン』

肩を叩かれた。

女「男友君って、男くんの親友だったわよね…かわいそうに…」

うん…気持ちはありがたいよ?

俺の席の後ろにはお世辞にも可愛いとか、スリムだとはいえない女が座っていた。

女「そうそう、男友君、今日私、新しいカフェに行くんだぁ」

…それで?

男友「うん」

女「男友くんも一緒にどうかなぁ…て、キャッ」

お前がもうちょっと上品だったらよかったんだが…

男友「すまん!今日はバイトがあるんだっ!!」

女「えぇっ…」

バイトがあるし、俺には女友もいる。くだらぬまやかしに惑わされる俺ではない!

女友「今日はスーパーだなぁ」

男友「俺はバーガーショップだよ」

女友「うぅ…なんか本当にゴメンなさい…手伝ってもらって…」

男友「おいおい、それ言い続けて半年だぞ?」

男友「ごめんなさい、よりありがとうの方がありがたい」

女友「じゃ…ありがとうっ!」

男友「おうっ」

バイトは楽ではないが、充実している。

俺はレジをしていた。料理あんまり得意じゃないし。

男友「はい、次のお客様ー」

男友「…え…」

男友「お前、新しいカフェに行くんじゃ…」

女「気が変わったの…ふふっ」

なにこれこわい

ふぅ…今日のバイトは終わった。女友を迎えに行くとしよう。
男友「お疲れ様でしたー!」

今日は早めに終わったから、向こうはまだ終わってないかもな。

女「男くん…」

!!

男友「いつから…?」

女「ずっと終わるの待ってたの…一緒に帰りましょ?」

こいつが可愛かったら俺の意思は揺らいでいたんだが…

その体型でハンバーガー食うからますますだな…
これは言う訳にはいかない。仮にも相手は女の子だ。

男友「お、俺寄るとこあるから!」

女「一緒に行くわ!」

ふざけんな!

俺の足は結構速いんだ!邪眼の力を舐めるなよ!!

走る俺。遠退く武威…いや、女。

ふぅ…マいたか…。結局女友のスーパーに早めについたな。

女友「どーしたの?そんなにゼェゼェ言って」

男友「もう終わったのか?」

女友「うんっ待たせてごめんね」

男友「いえいえ」

はぁ…疲れた…

そういえば昔を思い出す

男「お前ってモテるよな?」

男友「喧嘩売ってんの?」

男「いやいや冗談じゃなくて、先週も女さんに告白されてたな」

男友「あぁ…あの人はしつこいからな…もう12回目だよ」

男「………」



思い出すなぁ。友人からモテるとか言われたらちょっと本気にしてしまう。

女友「見て、ケーキもらって来たのっえへへ」

男友「お、マジか」

二人で食べることにした。

翌日
学校

また肩を叩かれた。無視する理由はないので応答

男友「な、何?」

女「男友君走るのはやいよぉ~ひどぉい」

ひどいのはお前の…ゲフンゲフン

女「いっこ聞きたいんだけどぉ~」

男友「何よ?」

女「なんで学校からの帰り道、女友ちゃんと一緒なの?」

あ、マズいな。クラスには一応秘密だった。

男友「たまたまだよ。帰る方向一緒なだけさ」

女「よかったぁ、私、浮気だと勘違いしちゃった!」


………へ?

浮気って?

男友「どういうこと?」

女「やぁねぇ、アタシ達のことよ」


やだ…この子大勘違いしてる……!!

女「浮気はダメよ?」


あぁ、俺は女友一筋だ…!お前じゃないかんね!!

男友「……」

何かがマズい

帰り道

男友「助けてくれ…」

女友「どーしたの?」

男友「女さんに最近からまれてだなぁ…」

女友「うんうん」

男友「やだなぁ…あの人しつこいんだもん…」

男友「やばいな…」

女友「私のこと…キライになっちゃう……の…?」

男友「違う違う泣くな泣くな」

女友「なーんだ」

こっちもこっちで対応が読めないなぁ

男友「ハッ」

後ろを振り向く

電柱

女さん…お腹…お腹ハミでてる…。

女友「あーっ女さんだ!!」

あっバカ!!

女「ふふっ…バレちゃ仕方ないわね…」

バレバレだからね、仕方なくないからね

女「単刀直入に言うわ…」

な…なんだ?

女「私の男友くんに近づかないでちょうだい!!」

うああああああああっ!!何言ってんだこいつ!!

女友「…えっ!?」ガーン

お前もお前で真に受けるな!!

女友「そんな…そんなぁ…」ガクッ

男友「お…おいおい…」

女「ふふっこんなおチビで貧相な体の女はほっといて行きましょ」

お前は豊満すぎるんだよ。お腹が。

女友「うわぁあああん…!!」

どうしろってんだ…

言うべきか…いや、言うしかない!!

男友「俺の彼女は女友だ!!」

女友「ふぇ?」

女「なっ!!?」

何故驚く!?

女「私…は?」

お前はただのクラスメイトDだ

男友「彼女じゃない!!」

言えた!!言えた!!

女友「男友……本当??」

男友「こんなところで嘘言ってどうすんだ。ホラ、行くぞ」ギュッ

女友「う…うんっ…///」

振り返ると女さんが呆然と立ち尽くしていた。
なんかかわいそうな気もするが、時にはガツンと言ってやったほうがいい。さ、バイトバイト。


女「いいえ…男友くんには私が必要なんだから…アハハハハ……」ボソッ

バイト終了!
さ、迎えにいくか

女「……」

男友「コ…コンチャース…」

女「今日は逃がさない…」

ヒイッ

男友「…やだなぁ…逃げるってなんだよ…」

女「女友さんのところへ?」

男友「うっ…」

女「やっぱり…ふふっまぁいいわ、行きなさい…」

な…なんだ?無事に行けるみたいだな。よかったよかった

男友「はぁ…」

女友「?」

男友「なんでもないよ」

女友「ふぅん」

いやいや、こいつを不安にするわけにはいくまい。

そう思って、さっきのことは黙っておいた。

翌日
学校

『とんとん』

またか…

男友「何?」

女「ふふ…これ見て…」

左手に包帯?なんだ?邪王炎殺拳の使い手か?

女「昨日男友に冷たくされたから…切っちゃった…フフッ」

リストカットですかマジパネェッス

男友「へ…へぇ…」

もうやだこの人…

このスレの流れ完全ガイド

スレ序盤
「構ってちゃん死ねよ」「なんでVIPに立てるの?」「興味ないです」「日記にでも書いてろカス」「リア充死ね」「塩こそ至高」
しばらく叩きが続いた後
「俺は聞くぜ」「聞いてやるから早く話せ」「書き溜めてこいよ」←こいつらがID真っ赤にしてスレに居座る

スレ中盤
「ちょwwwワロタwwww」「テラ武勇伝wwwwwww」「日付変わるから酉頼む」
「俺も似た経験有るわ・・・or俺の場合は・・・(以下こいつも自分語り)」×複数

電話「今北産業」 →>>1の話が終わる→「乙!これからも頑張れよwww」「乙」「またスレ立てて近況報告してくれよwww」

↓ここで分岐
>>1「残ってたら結果報告するわ」
保守の嵐
「おいまだ来てねえのかよ」
「保守」「ほ」×多数

>>1戻る
>>1「ただいま 保守サンクスwww」
「お帰り」「戻ってきてたwwww」

しょうもない話を少々誇張して>>1が語って 終 わ り
運が悪いスレの場合パー速にスレが立つ 


でも俺は好きだ。

>>300
これ使い所間違えたら痛いよな•••

でも俺は好きだ(キリッ
^^;

>>303
自分語りと保守くらいしか合ってない気がしたが致し方ない。

書き溜め中…なんかごめん…

やっと仕事終わったわ。新幹線の中で書き溜めてたんだけど、今から高速だから待ってくれな。男友編だけじゃ終わらないから。

本当ゴメン

休み時間
女友「ねーね」

男友「ん?」

女友「卒業したら、どうすんの?」

男友「まぁ…とりあえず大学かな」

女友「やっぱり」

男友「お前は?」

女友「ぁ…ぇ…」

あ…しまったな。俺がこいつのバイトを手伝ってる理由を忘れてた。
男友「ご…ごめん…」

女友「んーん、気にしちゃダメ」

んなこと言ってもだな…

女友「あ、そろそろ授業だね」

男友「なぁ」
女友「ん?」

男友「なんで進路のこと…聞いたんだ?」
女友「…私に歩幅合わせるつもりじゃなくてよかったってことっ!」
あぁ、なるほど…。

授業

『トントン』

………
『トントン』
……無視だ…無視……

女「男友くん」

くっ…

男友「な、何?」

女「さっき女友ちゃんと何話してたの?」

くっ…

男友「はは、なんでもない世間話だよ」

女「嘘。しらばっくれないで」

うっ

女「女の子に嘘は通じないんだから。」
こいつは…やるな……

女「何?」

男友「あ…今授業中だから…」クルッ

うまい…ファインプレーだ俺!!



放課後

女「で?」

男友「ん?」

女「さっきの話…」

男友「おおっと、バイトの時間だ!すまんな!」

なんかごめん…

あれ?追ってこないな…



教室


女「いいわ、女友さんが貴方を束縛してるんでしょ…今助けてあげるから…ふふ…」

帰り道

女友「どーしたの?最近」

男友「あぁ…ちょっとな…」

女友「疲れてるの?いいよ?休んでも。体壊したら大変だよ!!」
女友「もともと私の事だから…」
女友「だからさ、」

男友「疲れてる訳じゃないんですなぁ…」

女友「…?」

男友「大丈夫、俺はまだまだバリバリだから!」

女友「そっ…か…」

男友「じゃ、俺はバイトするから…」

女友「無理しちゃ…ダメだよ?」

男友「わかってる」

体には殆ど疲れはない。慣れって凄いな。ただ、精神的な疲れがなぁ…ただ一人の猛烈なアプローチで…

バイト中

女友「はーいっ次のお客さまーっ?」

女「………」

女友「女さんっ?」

女友「どーしたのさっ偶然だねっ!」

女「本当…おめでたい頭してるわね」
女「ちょっときて」グイ

女友「いたた…ちょっとダメだよっ…バイト中なんだか…」

店長「友達かい?今日は元々早く閉める予定だったから、行っておいで。青春だねぇ」

女「なるほど…店長公認よ?」

女友「うぅ…行けばいいんでしょ…」

女友「どーしたの?こんなところに呼び出してさ」

女「単刀直入に言うわ…貴女は男友くんに愛されてない!」
女友「ふぇえ!?」ガーン

女友「ぅ…そんなぁ…」ガクッ

女「ひざまづいてる場合じゃないわよ?」

女「男友くんがいずれここに迎えにくるわよね」

女友「う…うん…」

女「貴女が店にいないって知ったら、男友はきっとそのまま帰るわ!探しもせずにね!」

女友(う…たしかに帰りそー…)

女「ほら…来たわよ…」

女友「うぅ…」

女「私達は向こうからじゃ遠くて見えないから、ここなら安心ね」

女友「男友…」




女「ほら!店長にいないって聞いたとたん、見た?回れ右したわよ!?」

女友「あぁう…そんなぁ…」

ふぅ…こっちは終わったからさっさと迎えに行ってやるか。
あれ?いない。

店長「何のようかね?」

男友「あの…女友って奴を…」

店長「あぁ、あの子なら女の子とどこかに行ったよ。引っ張られてる感じだったが」

…嫌な予感しかしない。




捜すか!

女「聞いたわよ?貴女ビンボーで男友くんに手伝わせてるんだって?」

女友「う…」

女「かわいそうよねーこんなお荷物背負わされて…しかもこんなチビでまな板体型で…」

女友「ぅ…ぅ…」グスッ

女「こんどは泣きマネ?もしかして男友くんに近づいたのは手伝わせるために…」

女友「違うもんッ!!」

女「っ」

女友「違う!!違うよぉッ!!」

女友「…ッ」ダッ

女「ッ!…まっ待ちなさい!」

男友「はぁ…はぁ…どこに行った」

男友「あの野郎…見つけたら瞬獄殺喰らわせてやる…」

男友「ええい何処だ」


交差点


女友「ハァ…ハァ…」タッタッタッ

女「待ちなさい!」ドスッドスッドス

女友「ハァ…ハァ…」ピタ…


男友「……」

男友「うぬの拳…見せてみよ…!」

男友「たくっ…心配かけさせやがって」スタスタ

『プップーーーーッ!!』

女友「男友ッ!来ちゃダメッ!!!」

男友「わわっ」

『ドンッ!』

病院

男友「いやー…」

女友「ばか…」

いやーまいった。両足骨折で車イスとか笑えねーよ…。

女友「両足骨折で済んだからよかったんだよ?もしかしたら…」

男友「はいはいごめんなさいね」

早く治して手伝ってやらんとな…

女「男友くん!?大丈夫!?」

……入院期間が延びそうだな…

女「…まだいたの…」

女友「な…なにさ!」

?状況が読めん…

女「男友くんを好き勝手使った揚句、こんな大ケガまで…」

女友「使ったなんて…そんな…」

??え?

『キィ…キィ…』

女の子に押してもらうって結構恥ずかしいな…。

男友「さっきのは何の話だ?女さんがやたら意味深な口調で『いずれわかるわ、本当に相応しいのはどちらか』みたいなこと言ってたけど…」

女友「…」
女友「ね、外行っていい?」

男友「ん?あぁ」

風が結構気持ちいいな…

男友「ふぅ…結構久しぶりに外出た気分だな…」

女友「ね…男友…」

男友「ん?」

女友「私のこと…」
女友「好き…?」

これはこれは…。でもこうして聞かれて、答えるにはやっぱり気恥ずかしいな…。
俺はそのままの気持ちを伝えることにした。

男友「い、言わせんな恥ずかしい…」

女友「そ…そっか…そうだよね…」

ん?

女友「私なんか…ただのお荷物だもんね…手伝ってもらって…なんで気付かなかったんだろ…えへへ…」

男友「な…何を…」

女友「ごめん…今までごめんね…!」ダッ

…なんか勘違いされた。

病室

なんか俺が空気読めてなかったみたいだな…。でもどっかのケータイ小説みたいに『俺も愛してる!』とかは言えないわけで。

『ガチャ』

女「…男友くん…ふふ…」


いた。俺より空気が読めない奴が…

女「女友さんは?」

男友「なんか…帰った…」

女「そう。ふふ」

女「入院中の男の人ってタマっちゃうらしいわね?」

な…なんだ?

女「ナースの代わりに私がやってあげる…ふふっ」

そこから何が始まるんです?
やめろ!皮がぶ厚い顔を近づけるのは!!

女「女友さんはこんなことしてくれないでしょ」

男友「いや…してもらいたくない…(お前には」

女「あの子もやっと自分の身をわきまえて消えてくれたみたいだし…」

身をわきまえて…?

男友「おい、どういうことだ」

女「男友くん、あの子に散々コキ使われてたでしょ?」
女「だから私が助けてあげたのよ。貴方を」

…コキ使われてた?

女「あの子は貴方を利用するために、貴方に近づいたのよ?今回貴方がバイトできないと知ったとたん帰ったじゃない。あの子は残忍な女ね…」



女「だから私と」
男友「ちょっと黙っててもらえる?」

女「…え?」

男友「こんなペタペタした足音は珍しい」


『ガララッ』

女友「……」

女「なによ!出ていきなさいよ!」

男友「どーぞいらっしゃい」

女「なっ…」

女友「これ……お見舞いの…」

こういう時って、やっぱりその場で開けるのが礼儀なのか。
そう思って開けた。

中にはメロンが入っていた。

男友「お…おぉ…」

女友「余計なこと…しちゃったかな…」ビクビク

男友「そーだなー袋にレシートが入っちゃってるな」

女友「あッ!?」

こんなに高いの買っちゃって…

男友「今日…晩メシは?」

女友「だ、大丈夫だよ!店長さんからパンの耳…もらったからさっ」

男友「ばーか、パンの耳で腹が膨れるか。晩メシ、看護師の人にお願いするからさ、二人分用意してもらえるように」

女「こ…こんなの…私はもっといいお見舞いの品を…!」

男友「悪いな、俺は病院食とこのメロンでお腹いっぱいになりそうだ」
男友「やっぱりこいつしか無理だね。悪いけど」

女友「ぁ…///」

女「…ッ!!」

『ガララッ』
『バタンッ!!』

女友「怒っ…ちゃった…」
女友「病院食って元々数が決まってるんじゃないの…?」

男友「大丈夫だよ、余りくらい用意してるでしょ」

男友「デザートはメロンですか」

女友「う…うん…」

男友「はい、お前の分」

女友「いいの!?」

男友「お前が買ってきたんだろが」

男友「あと…俺、言葉にするのは恥ずかしいからさ」
男友「ペンと紙貸して」

女友「あ…うん…」

男友「…前の質問の答えなんだけど…」カキカキ

男友「これでいいかな」ピラッ


女友「……」
女友「うんッ……!」



fin

正直死にたいです。

今は病院にいます。
腰から下の感覚がありません。目は…ほとんど見えません…。

『コンコン』

誰ですか?

とりあえず
少女「どうぞ」

と言ってみました。

入って来たのはドクターでした。

友達なんか来るはずありません。

ドクター「どう?」

少女「昨日と同じです」

気分はすぐれませんが。

ドクター「気分は?」

少女「…昨日と同じです」

ドクター「そうか…」

何か書いてる音。

そっか、記録以外に私と話すことも理由もありませんからね。

ドクター「はい、体温計」

少女「普通はこういうのは、看護師さんがやるんじゃないんですか…?」

ドクター「まぁね、でも一応主治医っていうか…担当だから、できるだけ直接見ておきたい」

声だけの会話は味気がありません

ドクター「目は?」

少女「…見えません…」

ドクター「はいよ」

ドクターは聞いてきました。

ドクター「いくつだっけ?」

少女「…17です…」

ドクター「なるほど…原因はまだ教えてくれないのか?」

少女「…すみません」

ドクター「いや、いい、いい」

いじめで、クラスメイトに高い窓辺から落とされました。
言いたくない。
ただの転落ということにしています。院内では。

ドクター「じゃ、今日は遅いから、もうおやすみ」

少女「おやすみなさい」

結局、何かを書いている音しかしませんでした。
きっと、医者なんて患者を金づるとしか見てないんでしょう?

疲れたから寝ました



看護師「朝よ…起きてね」

少女「…んむ…」

結構寝付きはよかったみたいです。

看護師「はい、体温はかるからね」

またですか。異常があるのは下半身と目なのに、なんで熱を?

ドクター「熱はかられるの嫌そうだな、あはは」

ドクターがログインしました。

ドクター「熱が出ると、神経に異常が出るかもしれないんだぞ?そしたら、もっと不自由になるんだぞ」

納得。

看護師「…うん、多分体温は異常ないです」

ドクター「ありがと」

ドクター「なんというか、目はともかくとして、麻痺も完全ではないにしろ、回復は出来そうなんだよね」

少女「何回も聞いてます」

ドクター「そうだっけ?」

そういえばこの人、私のところにいつも居ます。

少女「他の患者さんは?」

ドクター「診てるよ?よっぽど酷いときは」

私もその一人ですか。

看護師「この先生はこんな歳でスゴイのよ?天才とかなんとか業界ですごいんだから」

ドクター「そういう事本人の前で言わないの!意識しちゃうでしょうが」

そ…そうなんですか…。ん?『この歳』?

少女「ドクターって…いくつなんですか?」

ドクター「26」

若い…!そんな歳でメスを持たせてもらえる事すら珍しいのに。

看護師「医学部首席でしたっけ?」

ドクター「忘れた」

ちょっと尊敬しようと思いました。

ドクター「たまには外出ますか」

外か…気乗りしません…。

少女「いいです」

ドクター「ほら、車イス乗った乗った」

少女「うぁッ!?ちょっと!降ろしてください!」

ドクター「このまま担いでってやろうか」

少女「降ろしてください!」

波の音

結局連れてこられました。

ドクター「いやー…浜風がいいねぇ」

寒いです。

腕は動くので、車イスは自分でも操縦できますよ。

ドクター「どこいく?」

少女「海なんて見ても…そもそも見えませんし…」

ドクター「ばか、男は海に風を求めるんだ」

少女「私は女です」

ドクター「そのまま、あと1、2メートルいけば溝にはまるぞ」

うっ…

ドクター「お前はまだ一人じゃ危ないからな、最初は助けてもらいなさいよ」

少女「うっ…はい…」

ドクターが意外に若いと知って、ちょっとは話しやすくなりました。

それがどうしたと言うんでしょうか。今日はもう寝ます。


看護師「起きてー」

少女「んむ…」

看護師「はい体温計」

少女「はい」

理屈を知ったので体温計を脇に挟みます。

体温計を計り終えて、しばらく本を読んでいると、昼になりました。

ドクターはまだ来ません

少女「すみません、ドクターは…」

看護師「あぁ、あの人は友人の結婚式に行ったわよ」

看護師「『やっとかよ』とか言いながら、結構楽しみにしてたみたいで」

へぇ…結婚式に出席するのは結構社会人的なことだと思ってました。

看護師「まぁ、明後日には帰るかな?」

明後日ですか…

翌日

暇。いつも暇ですが、今日は特に。私を突き飛ばした男の子の母親がお見舞いに来ました。

なんと言っていいかわかりませんでした。
でもドクターに原因がバレないから、タイミングはよかったです。

明日か…



この部屋は患者は私一人なので、夜は静かです。

看護師さんがたまに様子を見にきてくれました

看護師「母さんは?」


こればっかりは答えようがありません。

とりあえず家にいるんじゃないでしょうか

翌日

ドクターが帰ってきました。

ドクター「お土産は買ってきた。だが引き出物は渡さん」

だれも引き出物が欲しいとは…
とりあえずお土産はいただきました

看護師「どうでした?」

ドクター「あぁ、緊張したね。友人代表スピーチ…」

嬉しそうに話してましたが、一瞬寂しそうな顔を見せたのを覚えてます。

寂しそうな顔→寂しそうな声

大きなサイレンが聞こえました。

看護師「急患!かなり重傷です!!」

ドクター「!」
ドクター「わかった!!状態を簡単に言ってくれ!すぐに行く!!」

私と話しているときでした。少し大きな声を出したのでビックリしました。

ドクター「…わかった、とりあえず……」

あんな真剣な声、聞いたことありません。いつもフザけた話し方なのに

3時間?4時間?とにかく長い時間の後、ドクターは戻って来ました。

ドクター「ふぃーっ…」

いつもの声でした。

少女「どうだったんですか?」

ドクター「あぁ、ヤバかったな。あとちょっと遅れてたらってトコ」

患者にそんな事言っていいんでしょうか。いや聞いたのは私だけど。

ドクター「そういやお前のママさんパパさん見ないな…最近…」

いつもの事です。気にするだけ…無駄だから…

一時退院の許可がおりました。
下ろしたのはドクターです。

『たまには遊んでおいで』との事です。

両親が迎えに来た車に乗りました。

後部座席で振り返ると、ドクターが手を振っている、そんな気がしました。

もうすぐ家に着きます。

病院に居たかった

一時退院ということで、退屈しないように音楽プレイヤー、その他に必要な服なんかを揃えました。

そして、夜、病院に長くいたせいか、自分の部屋ではかえって寝られませんでした。

その時、聞こえました。耳はいいから。

「これ以上、アレを病院に行かせるの!?治療費だってバカにならないじゃない!」

「しかしだなぁ、社長の俺にも世間の目というものが」

「施設にでも預ければいいじゃないの!」

「施設の金だって馬鹿にならんぞ?親がいるというのなら」

…………

もう…聞きたくない…。

何日か後、病院に戻ることになりました。ドクターの声を真っ先に探しました。

ドクター「お、久しぶり」

車椅子に乗せてもらわず、おんぶされて運ばれました。

ドクター「あれ?もっと背中に柔らかい感触期待してたんだけど…期待はずれか?」

私は両手は動きます。

ドクター「痛い!!こら!殴るな!」

ベッドに入って、またあの日々を繰り返します。

両親の会話を聞いてしまった。両親にすら愛されてなかったことを再認識しました。

処方された薬を飲まずに隠し、貯めこみました。そんな日々が3ヶ月…

3ヶ月後



もう頃合いです。一気に薬の封を開けます。

水が…ない…。

しまった。さっき全部飲んで、看護師さんに頼むのを忘れてました。

もう1本どこかにないか、机、鞄、手さぐりで調べました。


「水か?水なら持ってきたぞ」

ドクターの声

少女「え…」

ドクター「水欲しいんだろ?フタ開いてるから気をつけろよ」

なんで?

ドクター「薬はちゃんと決められたペースで飲んでくれた方が助かるなぁ」
ドクター「一気に飲んだところで一気によくなるわけじゃないぞ?それどころか…」

『バシャッ』

少女「ハァ…ハァ…」

私がやろうとしたこと…わかってるくせに…!!死のうとしてたこと、知ってるくせに…!!そんなとぼけた言い方…!

ドクター「こらこら、濡れちゃったじゃんか」

少女「何も知らない癖に!!!」

少女「なんで…死なせてくれないの……?」

ドクター「なんでって…」
ドクター「死んでほしくないからだろ」

それはどういう意味ですか…!?お金のため!?世間の目のため!?

わずかに残った水をまたかけました

ドクター「うっ2回目は卑怯だぞお前…!」

少女「ふざけないでよ!!」

少女「私は…」
少女「もう…ただの…」

少女「いらない人間なんですから…」グスッ

ドクター「ここでドラマならお前のほっぺを平手打ちすんだろーな」

何を呑気に…

ドクター「そういえば、前に聞いてきたっけ?なんで医者になったか」

そういえば、いつも答えてくれなかった

ドクター「いいだろ、お前だけに特別に教えてやろう」

給料がいいから…?世間では勝ちとされる職だから…?

ドクター「好きな子が…死んじゃったんだ」

え…

ドクター「いやぁ、悔しかったね。悲しかったね」
ドクター「ひと月くらい、死んでしまったことにただひたすら頭かかえてたんだけどさ…」

ドクター「あの薮医者野郎、俺だったら治して見せるって思ってさ」
ドクター「別にガン専門じゃなくて、医者になってその分野の難病を治したかった」

少女「………」

ドクター「まぁ、結局今の科になっちゃったけどね」

そういってドクターは足元の布団をめくった

ドクター「足」

少女「へ?」

ドクター「足動かしてごらんなさいませ」

グイ

!!!!!

爪先が上を向いた

ドクター「よしよし、一時的なもんだからな、そろそろだとは思ってた」

少女「あ…ああ……」

ドクター「医療に過度の期待はしない方がいいぞ。薬で死ぬなんてなかなか出来ないからな」

ドクター「明日はリハビリの説明するから、今日は寝なさいな」


少女「………」

わけがわからない。考えている間に、寝てしまっていた。

今日はちょっと出張もあったから体力の限界なんだぜ。

明日は休みもらったから、明日書く!

ごめ、おやすみ

今日はドクターがリハビリの説明、導入を教えてくれるそうです。

ドクター「いいか、まだ動かせるって言っても足首くらいだからな。立つのはまだまだだ」

ドクター「ま、軽く動かそう、今日は」

ドクターはそういって私の足を持って

少女「ひゃッ!?」ビクッ

ドクター「ん?お前足弱いのか?」

う…

ドクター「そりゃそりゃ」

少女「痛い痛い痛い!!足裏のツボ押さないでください!!」

ドクター「よし、とりあえず感覚は戻ってきてるみたいだな」

…そういえば…

その日を境に、私の足はだんだん動くようになってきました。

足の自分で大きく開いたり、足の指先までは動かすことは無理でしたが、半年経つころには膝を充分に曲げられるようになりました。


ドクター「よし、そろそろリハビリかな」

ドクター「歩けるようになるかもよ」

私…が…?

ドクター「明日から、始めよう」

少女「はいっ!」

明日が楽しみでした

次の日、看護師さんが部屋に来ました。
看護師「さ、今からリハビリよ。車椅子に乗りましょ」

車椅子を押してもらい、着いたのはトレーニングルームみたいな場所。

看護師「さ、まず足を動かせるようにね、1、2のテンポで動かしてね。1、2…」

あれ?いきなり立つ練習をするもんだと思っていましたが。

看護師「はいはい、ほら、ちゃんと持っててあげるから」

看護師「1、2、1、2」

少女「………」

足をこんなに単純に動かすことも、少し難しいことでした。

今日のリハビリが終わり、病室に戻り、一眠りすると

ドクター「お…寝てるのか」

ドクターの声が聞こえました。

ドクター「どうだった?」

少女「まだ…立つ練習はしないんですか?」

ドクター「ばかもの、どのくらいの期間足動かしてないと思ってんだ」
ドクター「足の筋肉は衰え放題、今日の奴でもキツかった筈だぞ?」

少女「で、でも…」

ドクター「焦る必要なんかないさ、立って歩けるようにはなる」

少女「……」

なんか納得いかない…

足を動かすことを数日やると、座った状態では足を結構動かすことができるようになりました。

看護師「明日から立つ練習してもよさそうね」

きた!!

やっと、やっと立てる。

目はあいかわらず回復にはいたりません…。

次の日、リハビリの部屋に連れてもらうと

ドクター「よし、今日から本番だな。まずは単純に立つ練習だ」

ドクター「立てるか?」

あ…れ…?
こんなに力いっぱい立とうとしてるのに、立っているのはドクターの腕力のおかげ…

そんな…

看護師「最初はこんなものよ、ガッカリしないの」

うぅ…

立つ練習は難しかった…。そう落ち込んでいる日々の中にドクターの世間話(主に友人について)は聞いていて飽きませんでした。

その人達には最近子供もできたそうで。

ドクター「あの幼児体型、子供産むのに大変だったろうに。」

ドクターは楽しそうでした。

私の過去、今の状況にはわざと触れなかったんだと思います。
多分、私がこんなケガをした本当の原因も勘づいているのかも知れない…。

ドクター「そろそろリハビリの時間だな、行くぞ」

そういって、いつものようにルームで立つ練習をしました。

そのころにはドクターの手を借りてはいたものの、立つことができるようになっていました。



ドクターの手は…あったかかった。

ドクター「目が見えるようになるかもですよ」

えっ

ドクター「なんか海外とか行って色々面倒だけど…」

目が見える…?

ドクターは私の両親と話をしていました。病院を車椅子でうろついていたときに、偶然聞こえた会話です。

「ありがたいんですが、その…治療費は…」

ドクター「そこがネックなんですよ、だいたい、僕の予想ですが…」

「そ、そんなに!?」

ドクター「えぇ、金額からして、並たいていの物ではないので、ご本人には黙ってますが…」

「あの子は知らないんですね?」

ドクター「はい」


今、知りましたから。

ドクター「どうします?今すぐ決める必要はありませんが…」

「じゃ…この話はなかったことに…」


…やっぱり……

ドクター「…」
ドクター「今決める必要はありませんよ?じっくり考えてそれから娘さんのためにですね…」

「私達にそんな余裕はありません!!」

ドクター「…」
ドクター「ま、じっくり考えてくださいね」


部屋に戻ることにしました。

病室には看護師さんが置いてくれた花瓶に花があります。

両親とはほとんど顔をあわせていません。

私は窓からクラスメイト達に落とされました。

学校の先生が寄せ書きを持ってきてくれることがありましたが、書いてあることばは皆同じ

『がんばってね』

とだけでした。


別に、寄せ書きに色んな事を書いて欲しかったわけじゃない。
目が見えて欲しいわけじゃない。

なのに涙がとまりませんでした

ドクターの声を聞くことは最近少なくなりました。

少女「ドクターは…」

看護師「さぁ…あの人は重傷患者しかみないから、最近病院の外に出ることが多くて…」

なんてマイペースな医者…

看護師「でも腕は確かよ?海外の医療チームにもオファーが来てるとか」

そ、そんなに…!?

看護師「まぁ、すぐにアナタのところに来るわよ」

そうだといいんですが。

ドクターは今日も来てくれませんでした。

看護師「あの人相当忙しいみたいで…」

本当なんですか?

その次の日、ドクターの声が部屋で聞こえました。

ドクター「おっす、調子はどうだ?」

少女「今ではなんとか歩けるようになりました」

ドクター「マジか!それはおめでとう」
ドクター「退院も近いなー」

退…院…

またあの家に戻るの?

少女「ドクターは最近忙しいんですか?」

ドクター「んーまぁな、もうすぐ終わるけど」

リハビリでは、わざとモタつきました。退院を延ばすために。
看護師さんには少し申し訳ないです。

ドクターは今日も来ません。
来たときのドクターの声は、相当な疲れが感じられました。

忙しいというのは本当なんでしょう。
私は心配でした。ドクターがこのまま遠くに行ってしまいそうで。

それから、3ヶ月とちょっと後

看護師「ふふ、知ってるのよ?わざとリハビリ遅らせてるでしょ」

少女「…ごめんなさい…」

看護師「あはは、いいのいいの」

看護師「ドクター、来月には海外に行くそうよ」

え…………

看護師「ドクターのところにいたいから退院延ばしてたのは知ってたけど」

うっ…

看護師「あ、赤くなったー」

少女「は、話を続けてください」

看護師「うん、最近忙しかったのもそのせいなのかなって…」

看護師「今のうちに、後悔がないようにね」


そんな…ドクターが本当に遠くに行ってしまう…

ドクター「久しぶり」

ドクターの声が聞こえました。

少女「海外に行くんですね」
『おめでとうございます』は、言えませんでした。

ドクター「お前もくるか?」

へ?

ドクター「目、治るかもよ?」

少女「で、でも!お金が…!」

ドクター「金ならあるぞ?」

え?

ドクター「いやぁ、最近顔出さなかったのは、募金でもやってたんだよ」

看護師「なんか騙したみたいでごめんなさいね」

ドクター「俺はいつも募金集める余裕はないからさ、色んな人に手伝ってもらってた」

看護師「男友と女友って人にもですか?」

ドクター「あの二人は育児で忙しそうだから、黙っておいた」

看護師「もう…貴方が体調崩したら意味ないじゃないですか…」

少女「…でも…」

ドクター「行かないのか?行かないならなんか俺が不正募金したみたいになるんだが…」

ドクター「ま、一種の押し付けみたいなもんだから、行かなくてもいいんだが」

看護師「お金は?」

ドクター「俺のポケットマネーになる」

看護師「最低」

本当に迷った。こんなに自分のために何かしてもらった事はありませんでした。遠慮すべきなのか、受け取るべきなのか。




ドクターの顔を見てみたかった。

少女「本当に…お願いして…いいんですか…?」

ドクター「よっしゃ決まり」

1ヶ月後、海外に行きました。

両親には軽い連絡をしたあと、ドクター自腹の旅行という名目で。

もちろん病院にはちゃんとした話をしたそうで。

某国の空港

ドクター「お、結構歩けるようになったじゃん」

リハビリでは手は抜いていましたが、治るのは早かったようです。

ドクター「ほら、こっち。肩掴んだほうが見えない子は安心すんだっけ?」

ドクターの肩を持ちました。

たしかに安心しました。

ドクター「うわ…うちの病院とは比べものにならないくらいデケェ…」

病院についたみたいです。

ドクターと誰かが、そばで英語を話しています。
そんなにペラペラ話せたんだ…。

ドクター「よし、行くぞ」

私はドクターの腕につかまりました。

ドクター「じゃ、頑張れよ」

少女「ふぇ?」

ドクター「ふぇ?じゃねーよ。俺は目は管轄外だからなぁ」

ドクター「それに、元々チームの会議があるからここに来たわけで…」

そうだった…ドクターはもう…

ドクター「頑張るんだぞ?」

少女「…うん……」

注射が打たれました。医師さんたちが英語でやりとりしています。

ドクターの声が聞こえない。

不安で、その中で、意識がぼんやりしていきました。

ドクター、今何してるんでしょうか…


……

気がつくと、ベッドに寝ていました。

ドクター「お」

目に布が巻かれています。煩わしい。

ドクター「あ、それとるなよ。せめて3日間は。見えるまで時間がかかるからな」


少女「手術は?」

ドクター「成功したみたいだな。レポートを読むかぎり」

成功…よかった…。目が見える事は嬉しかった。

でもなにより、ドクターや色んな人の募金が無駄にならなかったことが1番嬉しかった。

少女「ドクター」

ドクター「ん?」

少女「会議…どうだったんですか?」

ドクター「あぁ…まぁ一日で全部決まることじゃないからな」

そうですか…。
ドクターには好きな人がいて、その人は亡くなったんだっけ…。

なんでこんな事急に思い出すんだろ…。

もう一度寝ることしました。

数日後、包帯をとっていいとの許しが出たので、とりました。

目が…開かない…

瞼がひっついちゃっています。

指を使ったら開きました。

眩しい…
眩しい…


白い布?指?


ドクター「見えるか?」

ドクターの…顔…。

ぼやけてます。はっきり見えません。

ドクター「これは?」

少女「指」

ドクター「いやそうじゃなくて、立てている指の本数を言ってくれ」

少女「2」

ドクター「これは?」

少女「4」

ドクター「よし…見えるみたいだな」

ドクター「おめでとう!」


手術は終わりました。私は日本に帰ります。ドクターはチームに入ることになったようです。

ドクターは日本に帰りません。

なぜか涙が出てきます。

目が回復して嬉しいだけなのか、それとも…

ドクター「はは、そうかそうか、目が回復して泣くってドラマでよくある展開だよなぁ」

なんでドクターは笑っているんですか。

ドクター「回復したんだぞ?見えるんだぞ?」


なんで私は泣いているんですか。


看護師さんがこちらに迎えに来てくれるそうです。

私は来週には帰るそうです。

ドクターは…?

数日たった後、ドクターは突拍子もないことを言いました。

ドクター「あぁそうだ、お前にとって『海は見るもの』だったよな」

そんな1年以上前の事…

ドクター「よし、行くか」

少女「…うん…」


海は綺麗でした。

隣にドクターがいます。

看護師さんのあの言葉を思い出しました。

『後悔のないようにね』

私は決めました。

少女「ド、ドクターっ」

ドクター「ん?」

少女「私…私…」

言葉が出てきません。混乱してます。私。

少女「ドクター…が……」








少女「ドクターが好き…です…」

ドクター「おやおや、嬉しいねぇ」

少女「でも…」

ドクター「ん?」

少女「ドクターは…今でも…」

亡くなった人には勝てないよ…だから

少女「自分の気持ち、伝えただけで…それだけです…」

ドクター「……」
ドクター「そっか」

ドクター「ま、俺なんかより、もっといい人がわんさかいるからね。お前に俺はもったいない。」

少女「そ、そういうわけじゃ…」

ドクター「俺みたいなモンにピッタリなのは、あのバカくらいでいいよ…」

ドクター「お前はもっとスペックが高い人に必要とされる筈だ」

ドクターは…悲しそうな顔をしていました。

ドクター「あの時、もうちょっと医療が進歩してたら…て今でも思うね」

空港での別れ際にドクターが言いました。

ドクター「あいつが俺なら、多分日本にお前と一緒に帰るだろうけど、俺、バカだから」

看護師「では、男さん、今までありがとうございました」

ドクター「名前で呼ぶなよー。じゃ、ありがとね。」

少女「ドクター…」

ドクター「お前ならきっと…。……おっと、もう時間だ、それじゃ!」

少女「…。ドクター……」

ドクターが私の事をどう思っていたのか、最後までわかりませんでした。
でも、後悔はしてません。ドクターに本心を伝えられて…伝わってよかったです。

日本
病院
看護師「今日で退院ね…」

少女「はい」

看護師「あなたがいて色々と、楽しかったわよ?そんな顔しないの」

少女「…うん…」

看護師「これから…どうするの?」

少女「…看護学校に通おうかと。」

看護師「あら、看護師になるの?」

少女「はい…父にも母にも…私は必要なかったみたいで…」

少女「でも、ドクターは私を大切に…」

少女「今度は私がドクターをサポートしたいんです…勉強して海外に渡るのは大変だと思いますけど…」

看護師「…」

少女「いつか絶対に…」

看護師「そっか、頑張りなさいよっ!」

少女「はいっ!」
fin

幼馴染 幼女時代

幼馴染 生還

さぁ選べ

病院

医師「あなたが、幼馴染さんの付き添いの方ですか?」

男「はい…そうですが…」

医師「大事なお話があります」

大事な話?病状が悪化したとか?

とにかくついていくことにした。


医師「これを見てください」

見せられたのはレントゲンかX線だか、よくある写真だった。

医師「実は…幼馴染さんのことですが…」

写真なんか見たところで素人にはわからないんだ。早く言ってくれ!
余命が短くなるとかか?

医師「摘出手術が上手くいけば…ガンが治る可能性が…」

…え?

男「も、もう一度…」

医師「ガンは治るかもしれません」

医師「不思議です…殆ど手がつけられなかったガン細胞が消えています。あとはこの核になるところを除けば…」

男「本当ですか!?」

医師「海外でも、似たような事例が多々あります。細胞に『消えろ』と念じ続けると、ガンが消えるという…奇跡みたいなものです」

医師「おそらく、ここ何ヶ月かの間に、とても楽しいことがあったのでしょう」

先生はにっこり笑った。

余命とされる2月になろうとしていた時期のことだった

手術は早いほうがいいらしい。

男「あいつには、伝えたほうが?」

医師「是非。精神がプラスになるに越したことはないので」

俺は病室に駆けた。

『ガララッ』

幼馴染「わっビックリした。何よ、そんなに慌てて」

男「…お前の…ガンさ…」

幼馴染「やだ、ガンの話はやめて最後まで楽しもうって約束したじゃない」

男「治る…かも…」

幼馴染「…えっ…?」


鳥のさえずりと少年野球のかけ声が外から聞こえた

幼馴染「へ…へぇ…そうなんだ…」

あれ?反応が薄い

男「反応薄くない?」

幼馴染「いや、だって冗談でしょ?」

男「本当だ。ちょっと先生呼んでくるから待ってろ」

まだ信じてないらしい。
―――
――

医師「本当です」

幼馴染「…」



幼馴染「キャーーーーーーーッ!!!」

み…耳が…!!!

医師「お、落ち着いてください!」

幼馴染「本当!?本当なんですね!?」

幼馴染「ラッキィーーーーッ!!」

ラッキーってお前…あと俺の鼓膜が…

幼馴染「ほら、アンタも喜んだら!?ほら!!」

医師「お…落ち着いて…」

男「ま…話を聞こう」

幼馴染「あ…ごめんなさい…」

医師「では手術の説明をいたします」


そうだ、ご両親も呼ぶとするか。

その日の夜、ご両親に電話をかけた。

明日には飛んでくるらしい。

病室

幼馴染「ねぇ、男」
男「ん?」

幼馴染「明日のことなんだけどさ」

男「手術か?」

幼馴染「…うん…」

幼馴染「正直…怖い…かも…」

男「死ぬ覚悟してた奴が何をいまさら」

幼馴染「もうバカ…。一旦あげて落とされるのが1番怖いのよ?」

まぁ…わからんでもない。

その夜は、幼馴染はすぐに寝てしまった。

翌日

手術だ。
できることなら、手術室まで行きたかったが、ここからは医師、幼馴染だけの闘いらしい。

できれば一緒に闘いたかった。患者として闘うのは勘弁。

俺も医者だったら、幼馴染と一緒に闘えただろうなぁ。

手術室の扉の前の椅子に座る。

色んな事を思いだしてしまう。

そういえば、幼馴染は物ごころつく前から一緒だった

『ピンポーン』

幼馴染『男くーん!』

男『なーにー?』

幼馴染『いっしょにあそぼー』

男『うん、いーよー!!』


こんな日々だったな、毎日

そういえば、幼稚園も一緒だった。当然か。

幼馴染『はやくあそぼーよー!』

男『ちょっとまってよ、ぼくいまネンドやってるんだから』

幼馴染『おそとでサッカーしたいよー』

男『もー、しかたないなー』


いやー…この時から振り回されてたのか、俺。これはまいった。

小学生のときなんか…ん?

幼馴染父「幼馴染のようすは!?」

男「今、手術中で…」

幼馴染母「そう…よかった…希望が見えたわね…あなた…」

幼馴染父「あぁ…」
幼馴染父「男くん…連絡までさせてスマンかったなぁ…」

男「いえ…きっとあいつも喜びますよ」

幼馴染母「お願い…どうか成功して…」

どうやら、俺にも神に祈ることしかできないようだ。

幼馴染父「君には本当に世話をかけた…」

男「いえ…あいつの決意の上で…」



そんな問答をくりかえして4時間…手術室の手術中のライトが消えた

医師「…」

男「ど、どうなりました!?」

医師「……」

幼馴染父「なんとか言ったらどうだ!」
幼馴染母「あの子…大丈夫ですよね!?」

医師「……」

―――
――

病室

幼馴染「綺麗サッパリ」

男「本当に?」

幼馴染「あの先生、あぁいうジョーク好きみたいよ。悪趣味よねぇ」

男「………」

おいおい

男「お前…これからどうするんだ?」

幼馴染「何が?」

男「ここにいるのか、実家に帰るのか」

幼馴染「あぁ、父さんに聞いたら、お前の自由だって言われた」

男「どうすんの?」

幼馴染「とりあえず、ここにいようかなっ…て…」

男「そっか…」

受験勉強も入試もすっぽかしたから、一浪は確定だな、そういえば…。

幼馴染「大学か…」

俺の将来には、医師というものが視野の大部分を陣どっていた。

男「医学部…か…」

幼馴染「行くの?」

男「…多分ね」

退院は近い

幼馴染は寝ている。

ご両親もつきっきりで看取り、俺の疲れの具合を指摘されたが、自宅に帰ったところで落ち着いて眠れる筈もない。

ご両親は俺と幼馴染のファーストコンタクトを覚えていた。

俺はもう忘れてた。まぁ無理もないか

俺の両親と幼馴染の両親は、子供がほぼ同じ時期に生まれたので、祝いあい、対面させた。

ここまでは自然な流れだ。

だが、ここで、二人は喧嘩を始めたらしい。
問題はただの赤ん坊らしい喧嘩ではなかったことらしい。

二人とも泣かないし、譲らない。

そこでなんと立ち上がったらしい。始めは俺。その次に負けじと立ち上がったのが幼馴染らしい。

両親たちは共々驚いたと。

今、隣通しで暮らしている俺と幼馴染だが、もしかするとその喧嘩の延長線上のことなのかもしれない。

幼馴染は無事退院した。
念のため、定期的に検査には行くそうで。

とりあえず、幼馴染の部屋で復活祭をした。
ご両親、幼馴染、俺の4人で騒いだ。

親父さんは酒飲んで泣いた

お袋さんは豪勢な料理を作ってくれた

幼馴染は笑ってた

男は嬉しかった。

翌日、ご両親は帰ってしまうらしい。

幼馴染「もう少しいたらいいのに…」

幼馴染父「じゃ、幼馴染をよろしくな…」

男「あ、はい」

幼馴染母「若いからって二人でハメ外しすぎちゃ駄目よ?」

幼馴染「なっ…///」

ご両親は笑顔で帰っていった。

男「学校はいつから行く?」

幼馴染「明日じゃ駄目?」

男「大丈夫なのか?」

幼馴染「うん、大丈夫!」


明日から学校か。長いこと行ってないから行きにくい。

学校

男「おはよ」

男友「おっ!?」

幼馴染「おはよっ」

女友「あッ!?」

男友「久しぶりだなぁ、お前ら…」

男「いやいや久しぶりってレベルじゃないよね、ホント」

女「男友くん…」ノソッ

男「…?また女さんに付きまとわれてんのか?」

男友「ま、まぁな…1年の時とは比べものにならん粘着度だ…」

女友「久しぶりっ」

幼馴染「うん、久しぶり」

女友「どーしたのさ、今まで休んでて」

それは聞くなよお前…!

幼馴染「ん、里帰り」

よし

男友「お前は?」

男「俺もだよ」

男友「なんだそうか」

男「そうだよ」


授業のベルが鳴った
これは懐かしい

授業中

1番後ろの席は全体を見回すことができ、たいへんよろしい。

女さんが執拗に男友に話しかけていること。

女友が教科書の陰で内職(本当の意味で)をしていること。

幼馴染が寝ていること。


うん、寝よう

帰り道

男「そういえば学校から一緒に帰るのは初めてか」

幼馴染「そうねぇ」

男「うー…ん…」

会話のネタが早々に尽きた。
今日はバイトの日だっけか。

男「俺今日バイトあった。そういえば」

幼馴染「客として行ってあげようか?そしたらアンタが『いらっしゃいませー』って」

男「うん、やめとこうな」

仕方なくバイト先に走る。



バイト先


男「危なかった、遅刻するとこ…」

男友「ん?」

男「お?」

男友「なんだ?お前も金欠か?」

男「奇遇ですなぁ、同じ職場とは…お前いたっけ?俺は結構長いんだけど、ここでバイトして」

男友「あぁ…最近だ」

男「女友の手伝いだっけ?確か」

男友「あぁ、お前らには迷惑かけたくないから、気にする必要はないぞ」

男「でもさ…」

男友「いやぁ、気持ちはありがたいんだけど、逆に申し訳なくてさ」

男「そっか…わかった。でも困った時は言えよ」

男友「あぁ」

女「………」

男友「い…いらっしゃいませ…」

男「女…さん……」

なんか雰囲気がヤバいなこの人
ヤンデレっぽい雰囲気

この子が可愛かったら一つのジャンルとして成り立っていたのに

女「男友くん…」

男友「は、はい」

女「……ふふ……」

おい、帰ったぞ

男「なんだあの子」

男友「うん…大丈夫だと思う…多分」

アパート
男「ふぅ…疲れた…」
『コンコン』

だいたい誰かは予想がついた。
男「どーぞ」

幼馴染「……」ガチャ

男「何?」

幼馴染「今日、何の日か知ってる?」

なんだこいつ、薮から棒に
男「…なに?」

幼馴染「ケーキぶつけんぞこの野郎」

ケーキ…あっ!!

幼馴染「アンタの誕生日じゃないの、しっかりしなさいよね」

男「あぁ…」

忘れてた 最近大変だったから

幼馴染「ケーキ作ったの。食べる?」

男「じゃ、お言葉に甘えて…」
いただいた。

男「今日はなんかこんな遅くに…ありがと」

幼馴染「年に一度だから助かったわ。これが毎日だとアレだったけど」

幼馴染「それじゃ、明日早いし」

男「はいよ」

幼馴染「おやすみ!」

男「おやすみ」

『バタン』


幼馴染がなかなかどうしてこんなにデレるとは…。引っ越す前…中学の時は本当に俺のこと嫌いなんじゃないかと思ってたけど。

寝る前に、またも色々昔のことを思いだした

小学生の時

幼馴染『今日から小学生だねっ』

男『そーだねー』

幼馴染『クラス一緒だといいねー』

男『そーだねー』

帰り道

幼馴染『一緒にかえろー!』

男『うんっ今いくよ!!』


あの時は勉強とか考えなくて、とても楽しかった

小学4年のときくらいに、初めてバレンタインチョコをもらった

幼馴染『あのさ、これ、ママと一緒に作ったのっ!食べてー!』

男『わ、ありがとう!!』

いやぁ……誰にだってこんな黄金時代はあったんだろうけど、あの時が眩しくて、なかなか直視できない。

小学5年

いじめっ子『お前、幼馴染のこと好きだろ!』

男『ち、ちげーし!!』

いじめっ子『だったら証拠見せてみろよ!』

男『わ…わかったよ!見せるよ…』

帰り道

幼馴染『男ー!一緒に帰…』

男『やだ』

幼馴染『…?』
幼馴染『な、なんで…?』

男『いやなもんは嫌だ!』

幼馴染『どーしたの?怒ってるの?』

男『お…お前なんか嫌いだ!!』

幼馴染『…ッ…』
幼馴染『……』ダッ…

あの時、帰ったら一日中隣から泣き声が聞こえたっけ…悪いことしたなぁ…
そろそろ寝よう



『コンコン』

幼馴染「起きてる?」

男「あぁ、ちょっと待ってろ」

『ガチャ』

幼馴染「…寝癖」

男「あっ」

幼馴染「アンタが身嗜みを気にしたところで急にモテる訳ないし、行こ」

男「うるせーほっとけ」

幼馴染「はいはい」

男「…ごめん」

幼馴染「?何が?」

男「いや、すごい大昔のこと」

幼馴染「なんか気持ちわるいなぁ…」

気持ち悪くてわるかったな…

そういえば、卒業式が近い

幼馴染「どしたの?ボーッとして…」

男「いやぁ、もうすぐ浪人生活が始まるんだなって」

幼馴染「大学、医学部だっけ?」

男「そ、医者になるの」

幼馴染「ふぅん」

男「お前はどうすんの?」

幼馴染「私?私は…」
幼馴染「考え中…」

男「おいおい」

幼馴染「だってまさかガンが治るとは思ってなかったもん!」

うん、その通りですね

卒業式

早いな…学校を休んでた時間が長かっただけに、あまり感慨は深くない。

男友「お前とはもう、お別れだな」

男「そうだな…」
男「女さんは振り切ったのか?」

男友「あぁ」

男「そっか…」


女友「幼馴染ちゃんっ」

幼馴染「あっ女友ちゃん」

女友「これで…これで…バイバイになっちゃうけど…なっちゃうけどぉ…」

幼馴染「あはは、泣いてちゃ何言ってるか、わからないわよ…?」

女友「ずっと、友達だよ?いつか結婚したらさ、式には呼んでね…?」

幼馴染「結婚…か…」
幼馴染「うん、女友もねっ」

女友「うんっ」

さて、いよいよ浪人生活が始まる
その前に聞いておきたいことがあったんだ。

男「お前は…どうすんの…?」

幼馴染「…先生にでもなろうかなって」

先生?

幼馴染「アンタは医療の先生になるんでしょ?」
幼馴染「だったら私は学校の先生になる」

幼馴染「でも、全然勉強してなかったから、今、教育大学に入るのは無理…かな…?」

男「うん、無理」

幼馴染「はっきり言うな!!」

男「痛い!!」

男「俺ももう一年勉強するからさ、一緒に勉強すればいいんじゃないか?」

幼馴染「…」

男「同じ立場だぞ?」

幼馴染「…負けないからね。絶対に…!!」

中学の時の幼馴染は凶暴だった

幼馴染『おはよ』

男『お、おはよ』

幼馴染『なによ!ついてこないでよ!!』

男『いやいや、家隣だから学校に行く方向同じでしょうが』

幼馴染『う…うるさい』ダッ

男『なんなんだ…』

バレンタイン

幼馴染『はい』

男『お、ありがと』

幼馴染『義理だからね』

男『う、うん』

幼馴染『変な勘違いはやめてよねっ!私は義理って言ったからねっ!』

男『わっわかったよ』

幼馴染『…ばかっ…』

男『なんなんだ……』

ある日

幼馴染『ねぇ…』

男『ん?』

幼馴染『もし…自分が、もの凄い病気患っちゃってさ、もう…余命3、4年って言われたら、どうする』

男『ものすごい病気って?』

幼馴染『ガン…とか…』

男『まぁ、その時はやりたいことやってから、満足したら消えるかな』

幼馴染『……』

幼馴染『…そっか…そうだよね…』

男『なんなんだ…』

幼馴染『え!?引っ越すの!?』

男『まぁね、そこの高校に行きたいんだ』

幼馴染『どう…して…も…』

男『…え?』

幼馴染『……』
幼馴染『…行けばいいじゃない…』

男『うん…行くんだけど…なんで泣い』

幼馴染『ッ!』
幼馴染『もう…アンタなんか何処にでも行っちゃえ!!!バカーーッ!!』


男『なんなんだ……』

はぁ…昔のことって結構覚えてるもんなのか…

看護師「男さん!」

男「ん?」

看護師「急患です!!」
看護師「女の子です。教室の窓から転落して…打ちどころが悪かったみたいで意識不明…」

男「わかった!今行く!!」

男「俺…この治療終わったら…あいつと結婚するんだ…」

看護師「フラグ立ててないで早く!!」

fin

もう…ない…何故なら!お試し●が…ッ明日切れてしまうからだ…ッ!

まぁ、生還編掘り下げすぎるとどっちがメインかわかんなくなるからなぁ…

てことで俺はおしまい。誰かが妄想垂れるもよし。このまま落とすもよし。

読んでくれて、ありがとう。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月29日 (金) 19:33:13   ID: 3yXnR3zb

幼が引っ越してきてまで男に冷たくする理由がわからない。

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