モバP「超攻速ウサミンロボ」 (36)


【モバマスSSです】

 ウサちゃんロボ + ウサミン科学 = ウサミンロボ

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 ――シンデレラプロ駐車場

モバP「皆乗ったかぁ?」

早苗「乗ったよ」

モバP「じゃあ出発だ」

 軽快に走り出す、シンデレラプロ専用大型ワゴン車。

比奈「えっと、まだ説明してもらってないんスけど、今日は何の仕事なんスか?」

かな子「車の後ろに荷物が沢山積んでありますけど」

仁奈「……お肉やお野菜が沢山でごぜーます」


茜「これは、バーベキューセットですね!!」

モバP「おう、みんなでバーベキューだ」

早苗「? お仕事って言われてたけど?」

モバP「仕事ですよ?」

比奈「よくわかんないッス。なんでバーベキューがお仕事?」

茜「わかりました! しっかり食べます!」

モバP「おう、そうしてくれ。番組的にも盛り上がる」


かな子「よくわかりません」

モバP「説明するよ」

モバP「今、みくと幸子に入っている仕事、聞いてるか?」

仁奈「知らねーですよ?」

茜「わかりません!」

モバP「生き抜き闘魂伝説、って番組だよ」

早苗「あー、あれか」

比奈「確か、色んなサバイバルに出演者が挑むって」

早苗「一ヶ月一万円で逃亡生活、とか、無人島一人旅とか」

かな子「え、みくちゃんと幸子ちゃん、それに出てるんですか?」


モバP「今サバイバル中だよ」

モバP「山の中で食材捜して十日間勝負、だそうだ」

比奈「本気でやばくないッスか?」

モバP「まあ、アイドルがチャレンジするときは基本、リタイア前提の企画だからな」

かな子「そうなんですか?」

モバP「無線機が支給されてるし、声の聞こえる距離にスタッフが常駐してる」

モバP「本気でリタイアって言えばすぐに辞められるようになってるよ」

早苗「それもそうか、本気で十日間のサバイバルはちょっと無理よねぇ」

モバP「そもそも、本気でクリアさせる気はスタッフにもないからな」

モバP「しかし、前にクリアしたアイドルがいたらしい」


早苗「え」

モバP「765プロさんとこの我那覇響ちゃんな。あのときは凄かった」

茜「765さんは凄いですね!」

比奈「765プロ、パネェッス」

早苗「幸子ちゃんの所に行くとして……」

仁奈「するってーと、バーベキューセットは二人への差し入れでやがりますか?」

モバP「いや、これはみんなで美味しくいただくよ」

比奈「もしかして、みくちゃんと幸子ちゃんの前で?」

モバP「うむ」

早苗「それって……あ、もしかして、嫌がらせ?」


モバP「番組の趣旨としてそういうこと。嫌がらせというか、二人への試練だな」

かな子「……なんだか恨まれそう」

仁奈「お仕事でごぜーますよ、かな子お姉さん」

モバP「ちなみに俺たちが行くのは幸子のほうな」

モバP「二人別々の場所だから。みくのほうには、のあさんと雪美とアーニャと光とみちるを、ちひろさんが連れて行ってる」

比奈「嫌な番組ッスね……」

かな子「本当に……」

かな子「」

比奈「どうしたんスか? ん? あれは……」

比奈「」


早苗「どうしたの、二人とも後ろ見たまま固まって……」

早苗「」

早苗「……P君?」

モバP「はい?」

早苗「今、高速道路よね?」

モバP「はい」

早苗「どれくらいの速さで走ってる?」

モバP「へ? ……時速90㎞ですけど」

早苗「ということはあの子も時速90㎞なんだ」

モバP「あの子?」


早苗「うん」

モバP「なんです?」

早苗「ウサミンロボが追いかけてきてる」

モバP「」

早苗「あ、追いつかれた」

比奈「へ、併走してるッスよ」

かな子「ウサミンロボちゃん、手振ってますよ」

仁奈「ご挨拶でごぜーます」

 ウサウサ

仁奈「やっほー」

 ウサウサ


モバP「……ウサミンロボ、パネェ……」

かな子「リュック背負って、虫カゴ斜めがけにして、虫採り網持ってますよ」

モバP「遊ぶ気満々か!!」

早苗「よく見ると、いつものキャタピラじゃなくて、車輪に換装してるわ」

モバP「晶葉め……いつの間に」

仁奈「プロデューサー、仁奈はおトイレでごぜーます」

モバP「次のサービスエリアで止まるか」

 サービスエリアに止まると、Pはすぐに晶葉の携帯に電話する。


晶葉「〝電話してきたと言うことは、ロボは無事合流したんだな〟」

モバP「〝驚いたぞ〟」

晶葉「〝ロボの走りっぷりはどうだった?〟」

モバP「〝まさか車に追いつくとは思わなかったぞ〟」

晶葉「〝以前から温めていた地上走行用改造プラン、超攻速ウサミンロボだ〟」

モバP「〝なにそのロンリーチェイサー〟」

モバP「〝ところでなんでウサミンロボが追いかけてきたんだ?〟」

晶葉「〝Pの忘れ物をロボに預けてあるから、受け取ってくれ〟」

モバP「〝虫採り網と虫かごは?〟」

晶葉「〝事務所を出るところで城ヶ崎妹に出くわしてね〟」


モバP「〝莉嘉に?〟」

晶葉「〝カブトムシを採ってきてくれと頼まれたらしい〟」

モバP「〝律儀だな、ウサミンロボ〟」

菜々「〝ウサミンロボは心優しウサミン科学の子ですよ〟」

モバP「〝どこの鉄腕だよ、っていうか、菜々もいたのか〟」

菜々「〝晶葉ちゃんとお留守番してますよ〟」

菜々「〝ロボはちゃんとプロデューサーの言うことを聞きますから、よろしくお願いします〟」

モバP「〝まあ、いいけど〟」

晶葉「〝じゃあよろしく頼む〟」

モバP「〝おう〟」


 忘れ物って何だろう、と思いながら電話を終える。
 そこへ差し出されるソフトクリーム。

モバP「ありがとう」

 ウサウサ

モバP「……なんでウサミンロボがソフトクリーム買ってるの」

早苗「ちゃんと人数分買ってくれましたよ?」

茜「冷たくて美味しいです!」

かな子「お先にいただいてます」

仁奈「ウサミンロボがくれやがりました」 

比奈「ちなみにお金はちひろさんから預かったそうッス」

モバP「!!」


早苗「どうしたの?」

モバP「そういえば、出張費用受け取るの忘れて……って、忘れ物ってこれか?」

 ウサウサ

モバP「おう、ロボ。その封筒……あ、やっぱり、これか」

モバP「……ソフトクリーム代がすでに抜いてある……」

比奈「あ、自分の分、払うッスよ?」

モバP「いやいや、さすがにそれくらいは出せるよ」

 ウサウサ


モバP「いや、いいんだロボ、気にするな。どっちみちそれくらいは途中で奢るつもりだったし」

早苗「トイレも済ませたし、そろそろ出発する?」

比奈「うーん、ロボの乗るスペースくらいならワゴンのほうにも……」

 ウサウサ

仁奈「走りやがるから、お構いなく。だそーですよ?」

かな子「仁奈ちゃん、ウサミンロボの言葉解るんだ」

仁奈「ロボの気持ちになるですよ?」


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幸子「」

幸子(……)

幸子(山に入って三日目)

幸子(キノコ美味しいです)

幸子(輝子さんが貸してくれたこの本『キノコサバイバル2013~君はキノコを食べるか』のお陰でここまで乗り切りました)

幸子(だけど、もう限界です)

幸子(今すぐギブアップして無線機でスタッフさんに連絡を……)

モバP(可愛い幸子なら出来ると信じている)

幸子「!!」

幸子「今のは、Pさんの回想!」


幸子「そうです、ボクはこの可愛さでサバイバルを生き抜くとPさんに約束したんです」

幸子「やり抜くんです、なんとしてでも!」

幸子「そうだ、少しでもつらい気持ちが紛れるようにと、小梅さんが託してくれた本がここに……」

 っ『殺人鬼』(綾辻行人著)

幸子「フギャーーー!! いや、舞台は山だけど、山だけどぉおおっ!!」

スタッフ「あ、いたいた。輿水さん輿水さん」

幸子「……なんですか?」

スタッフ「今日はこの後、サプライズゲストをお呼びしてますんで」

幸子「サプライズゲスト?」

スタッフ「シンデレラプロ、輿水幸子応援隊です」


スタッフ「そろそろ来るころですよ、車が到着しましたから」

 ウサウサ

幸子「……ウサミンロボさん……に、仁奈ちゃんが乗ってる」

仁奈「幸子お姉さんの応援に来やがりましたよ」

茜「トラーーーーイ!!」

早苗「やっほー! がんばってる?」

比奈「お疲れーーーっス」

かな子「うーん、山の空気は美味しいですね」

モバP「おう、やってるか?」

スタッフ「おはよーございまーす」


モバP「お世話になってます」

スタッフ「それじゃあ早速ですけれど、応援タイムと言うことで」

モバP「はい、それじゃあ、まずは一言ずつカメラの前で幸子へ応援を!」

仁奈「ウサミンロボが何処かへ行こうとしてやがりますよ?」

モバP「ウサミンロボはカブトムシを採りに行くから放っておいてあげなさい」

 ウサウサ

比奈「虫取り網振り回して森へ突撃してるッス……」

モバP「さあ、こっちは仕事だ。早苗さんからお願いします」

早苗「はーい。それじゃあ……」

 励まし言葉×5


幸子「ありがとうございます、ボクも精一杯頑張ります」

スタッフ「はい、収録オッケーです。それじゃあ、ここからは休憩タイムで」

モバP「よーし、セット出すぞー」

幸子「へ?」

幸子「……あれ? 炭? お肉……。あれ? バーベキューセット?」

幸子「あのー、皆さん?」

スタッフ「応援団の方々は休憩タイムですんで」

幸子「え?」

スタッフ「輿水さんは一口でも食べたら失格ですから」

幸子「え」


モバP「すまん、幸子。コレも番組の一貫なんだ、肉うめぇえええぇっ!!!」

仁奈「幸子お姉さん、せめて匂いで、食べた気持ちになるですよ。ソーセージ美味しいです」

早苗「ごめんね、幸子ちゃん。ねえねえビール有り?」

比奈「エビうま、ホタテうま」

茜「トウモロコシいただきます!!」

かな子「デザートもあるんですね」

幸子「フギャーーーー!!!」

スタッフ「輿水さん!」

幸子「?」

スタッフ「リタイアは二十四時間受け付けていますよ」


幸子「ううう……」

モバP「ごめんなぁ、幸子……うまうま」

早苗「ごめんね、幸子ちゃん……うまうま」

茜「ご飯ありますか?」

仁奈「うまうま」

茜「お代わりです!」

かな子「うまうま」

比奈「うまうま」

茜「お代わりです!」

幸子「」


 ウサウサ
 帰ってきたウサミンロボの虫かごは空のまま。

モバP「おう、ウサミンロボ。なんだカブトムシいなかったのか」

 ウサ……

モバP「まあ、元気だせ。莉嘉には俺からも言ってやるから」

 ウサ!?

スタッフ「じゃあそろそろ撤収お願いします」

モバP「はい、わかりました」

早苗「幸子ちゃん、がんばってね」

かな子「無理はしちゃ駄目ですよ」

茜「ファイトです!」


比奈「あー、無理は駄目ッスよ? リタイアでも番組的には問題なしだそうスから」

仁奈「響お姉さんの気持ちになるですよ?」

幸子「」

モバP「それじゃあワゴンに……ん? どうしました、スタッフさん」

スタッフ「あの、今麓から連絡が来て、包丁持った押し込み強盗の犯人が逃走中だそうです」

早苗「なにそれ。山狩りでも始まるの?」

スタッフ「山に逃げ込んでる可能性もあるから気をつけた方がいいそうです」

モバP「……んー……晶葉に連絡して、ウサミン竹槍装備のウサミンロボ二十機くらい護衛用に寄越して貰うか」

 ウサミン竹槍とは、ウサミン科学の粋を尽くした非殺傷兵器である。
 竹槍の先端を尖らせる代わりにソフトボールが付いている。
 突かれると、とても痛い。泣く。めっちゃ泣く。


早苗「そのほうがいいか……って、あれ、車が動いてる?」

モバP「ん? おおおお? ちょっと、誰乗ってるの!?」

茜「知らない人が乗ってますよ!」

比奈「……強盗ッスかね……」

 ウサ!

早苗「え? ちょっと、ロボちゃん!」

 ワゴンへ突撃するウサミンロボ。

モバP「はいっ?」

かな子「おおお」

 ウサミンロボは一瞬にしてワゴンの前に回り、足止めしている。


早苗「危ない!」

 走り出しかけた早苗の足が止まる。
 その視線の先では……

茜「犯人が車から降りましたよ!」

比奈「ウサミン竹槍でフルボッコッスねぇ」

かな子「容赦ないですね、ウサミンロボ」
 
仁奈「悪党にウサミンロボの慈悲は無用、でごぜーます」

 凹られた犯人がウサミンロボに泣きながら土下座していた。

早苗「とりあえず、包丁ももう持ってないみたいだし、後高手小手一文字縛りしておくわね」

 犯人を早苗に引き渡したウサミンロボは、ワゴンの中でゴソゴソと何かを捜している。


 ウサ!

 手を上げるウサミンロボ。
 そこには大きなカブトムシが。

モバP「お前、もしかして、それ採るために車停めたのか」

 ウサウサ

仁奈「犯人は別にカブトムシを盗んだわけじゃねーですよ?」

 ウサ?

かな子「まあまあ、ロボちゃんだって頑張ったんですから」

モバP「そだな、後は警察に任せて帰るか」

 ぷすん

モバP「車が動かない……」

茜「そういえばウサミンロボ、車停めるときに思いっきり叩いてましたね!」

 ウサ!?



 結局、ウサミンロボがワゴンを牽引して帰りました。

 カブトムシをもらった莉嘉はとても喜びました。

 幸子は十日間を耐え、我那覇響に並ぶ記録保持者となりました。

 みくはリタイアしました。


 以上、お粗末様でした


 時速90キロで走るウサミンロボが書きたかった


 あと、某所のまとめでグリグリ動く3Dウサミンロボを拾った。凄く嬉しい。

  

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